予算委員会 第15号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1961/03/15
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について報告いたします。 本日、森八三一君及び小平芳平君が辞任されまして、その補欠として大竹平八郎君及び中尾辰義君が選任されました。
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続けます。千田正君。
○千田正君 私は、まず最初に外務大臣にお伺いいたしたいのですが、昨日、政府の関係閣僚懇談会におきまして、ガリオア、エロアの対米債務返済の交渉開始を申し入れることにしたということを記者会見において御発表になっておるようであります。そこで、このガリオア、エロアの返済という問題になりますると、大体これは先般来衆議院の予算委員会、あるいは当参議院の予算委員会等におきまして、相当論議されておった問題であって、この債務ということは、池田総理は債務ということを決定しておる。ただ、全部が債務であるかどうかというところに非常にわれわれは疑問に思っておるのでありまして、とにかく、いつからこの問題について交渉するのか、また債務と信じておる額がはたして政府が常に唱えておるところの二十億五千万ドルというものは的確なところの債務であるかどうかというところにわれわれは疑問を持つわけであります。それで、外務大臣としての御所信を承っておきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 新聞に、近く関係閣僚がこの問題について協議して、アメリカに対しまして交渉を開始するということが出ておりましたのでございますが、これは私の方から積極的にそう申したのじゃございませんで、そういうことになるかということですから、これはいつか言わなきゃならぬことだろうからということで、否定をしないということを言いましたところが、ああいうふうになったわけであります。しかし、それはそれといたしまして、この問題については債務とわれわれ心得ておるのであります。そこで、その心得ている額が一体幾らになるかということが問題でございまして、占領下にありましたいろいろな書類がございますけれども、まあ非常に明瞭であるものもありますし、若干明確を欠くものもあると思うのでありまするし、そういうものを一々精細に検討いたしております段階でございます。そこで、その検討の結果に基づきまして、われわれは国民に対して十分御説明のできる資料というものをもとにいたしまして、そうして折衝をいたしたい、最終的な債務の額を決定いたしたい、かように考えております次第でございます。 われわれといたしましては、アメリカに対しては、その中のあるものについて、はっきりとその支払いの時期、方法についてはこう決定するということを請書を出しているものもございますので、アメリカに対しては、そういう約束をしてそのままほうっておく、この問題はうるさいから、ただ流しておけということにも、日本の国際信用の将来を考えまして、それだけにも参りませんのでございます。あえて困難なところでもよけて通らずに、この際戦後十五年にもなったのでございますから、ケリをつけた方が将来のためによろしかろう、こういう判断に立っておるわけでございます。しかし、その内容については非常に国民負担と関係のある問題でございます。当時のいきさつもいきさつでございますので、十分に検討いたして参りたいというふうに考えておる次第であります。
○千田正君 大蔵大臣にお伺いしますが、ただいま外務大臣からのお話がありました通り、関係閣僚の間においては、これは債務として、日本政府としては払う意思がある。先般あなたは衆議院の予算委員会の第一分科会では、返済する場合は、原則として国民に二重払いをさすようなことはしない、こういうようなお答えをなさっておられるのであります。しかしながら実際からいって、当時のこの代金としましては、この援助物資を国民に売って入ったところの代金は、見返り資金の特別会計に繰り入れてあって、それがやがて産業投資その他の一つの大きな原資になっておる。今日に至っては五千億という膨大な産業投資の原資を使っておられますが、そのうちにこのかつて国民に売りつけて入ってきた金が入っておるのでありますが、あなた方の方としましては、これを対米債務と心得て支払うという場合においては、支払うその金はどこからどういう項目のもとに、どういうところから出していかれるか、その点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 先日答弁いたしましたように、まだ政府部内において、払う場合にどういう払い方をするかというような問題をきめているわけでは全然ございませんが、質問によりまして、もし払うとしたらどういうことを考えるかということでございましたので、お答えしたわけでございますが、この見返り資金の積み立てについてどういう使い方を政府がしているかということを見ますと、いろいろの使い方をしておりまして、政府の債務を払ったものもあるし、公企業に支出したものもありますし、私企業に貸し付けているものもありますし、そういう使途を十分に検討して、国が国民のために使っているというものについては、これは一般会計から出すということも、国民にいわゆる二重払いをさせたということにはならぬでしょうし、私企業に貸し付けているものというものは、当然、その回収金をもって充てるのが当然でありましょうし、そういうものはこの援助の積立金の使途によって国民に最後は払い方を納得してもらうような方法を考えるつもりである、こう申したのでございまして、今でもそういうふうに考えております。
○千田正君 大体、日本の産業の開発あるいは戦後に於けるところの日本の復興等に対して、いわゆるあなた方が適当と認める意味において使われておる金、あるいはその方面に利用した総額は、大体どれぐらいになっておりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 今ここにこまかい資料を持っておりませんが、大体私の承知している範囲では、この使途が、国が国民のためにこれは使われているものだと思われるものとそうじゃないものとの比重を申しますと、六割前後はやはりこれは国の要請で使っておる融資、そのほか公企業への支出とか、いろいろございますが、あとがその使途別に厳密に見ると、そうならぬというような性質のものではないかと思っておりますが、まだこれは、今詳しいそういう色分けをしておりませんが、大ざっぱに見て、半分は政府が国のために使っている、この資金を使っていると見ていいじゃないかと、こう言えるのじゃないかと思います。
○千田正君 外務大臣に再びお尋ねいたしますが、先月の二十日に、これはアメリカからの電報で、われわれはまあ新聞で承知したわけでありますが、ブレンターノ西ドイツの外相がアメリカを訪問した際に、アメリカのボール国務次官が西独の外務次官に手渡した覚書を発表しまして、その一部に、米国は共同防衛、低開発国援助は富める国が貧しい国よりも多くを分担するという能力による支払いの原則をとる。なお、二、三つけ加えてありますが、そうして最後に、なお米政府当局は、米国は現在欧州の工業諸国、特に日本、カナダに対し、低開発国援助で大きな努力を払わせる計画を作成中である、この計画はOECDすなわち経済協力開発機構によって調整されることになるだろう、こういうことを発表されておるのでありまするが、ただいま外務大臣がおっしゃったように、このガリオア、エロアという債務をアメリカ側に返済するということに関連しまして、アメリカ側としましては西ドイツあるいは日本、カナダ等のように、終戦後富める国に変わってきた国は、アメリカにかわって低開発国援助の資金をまかなうべきである、こういう結論を出しておるようであります。そうしますと、このガリオア、エロアの債務は、アメリカとの折衝のいかんによってはアメリカ側に返済せずに、返済した形式のもとにおいて低開発田開発援助資金に日本側の担当分担金として回すことも可能であるというふうにわれわれは考えられるのであります。その点につきましては、ただいまアメリカ側で発表しておりますところの、この低開発に支払わせるための経済協力開発機構というような新しい機構内においてそういう問題の調整にかかるだろうと思いますが、こういう問題に対してはどういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大鹿(小坂善太郎君) 千田さんお話しのように、去る二月十七日、ブレンターノ西ドイツの外務大臣訪米の際に、ただいまお読みになりましたものは手交されておるのでございます。アメリカは西独が妥当な規模の後進国援助計画を推進することを歓迎するということを申しておりますし、なお、この文書は後進国開発計画についての先進国間の公平な分担についてOECDの中で早急に検討さるべきものであると信ずるということを言っております。従って、まあこの問題は直接ガリオア、エロアの返済金とは何らの関係のない形になっておるのであります。しかし、この後進国に対する援助といいますか、低開発国を開発する問題というものは、これは世界共通の新しい問題になっておりまして、南北問題とも言われておるのでありますが、われわれといたしましては、アジアの国でありまして、アジアの開発度の低い国に対しては、われわれとしてはできるだけこの援助をせねばならぬと思っておるのであります。このわれわれの気持というものを十分アメリカに納得させるということは必要でございまして、従来もその方針でおるのでありまするが、アメリカにおきましても、最近の日本の経済伸展というものに非常に大きな信頼と期待を持っておるのであります。 で、こうした情勢のもとにおいて、ガリオア・エロアの返済金の問題について、これは一応、もちろん先方から借りた債務と心得ておるというものについては、これはなさねばならぬと思いますが、そのこととの関連については十分慎重に検討をいたしまして、処置をいたしたいというふうに考えております。
○千田正君 まあ、ガリオア、エロアとの間の問題は慎重にお考えになるというお話でありますから、十分にお考え願いたいと思います。 次に、今後、低開発国の開発に対しては、ほかの国々は日本に非常に期待するところが大きい。大きいにもかかわらず、日本側は輸出には非常に熱心であるけれども、援助に関しては無関心である。特にこれはインドあるいはパキスタンその他いわゆる東南アジアを中心とする国々はそういうことを言い出してきている。ロンドン・タイムズなどを見ましても、そういう問題を取り上げて批判しておりますが、昨年の秋の第三次債権国会議では面と向かって、日本は低開発国援助には不熱心であると攻撃されておるのであります。この三月の対印債権国会議に対して、援助問題に対する具体的な何かの方針を外務省として固めておられますか、どうでしょうか。その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) AA諸国の経済開発については、やはりアメリカとかソ連とかいう、いわゆる大国の大規模な工業あるいは農業に対する考え方よりも、われわれの日本の技術というもの、あるいは日本人の考え方というものは非常にマッチする点が多い。その意味で非常にわれわれの考える援助開発協力というものは有用であろうと信じております。その意味でインド、パキスタンに対しましても最初から債権者会議にも入っておりまするし、またDAGにも創始国として入りましたのでありますし、またコロンボ・ブランでもいろいろやっておるわけであります。そのほか、賠償に関しましても、これは戦後だいぶ年月が経過いたしまして、いわゆる賠償という考え方から、これを通じて経済的な推進の一つの支えにしたいという気持が被賠償国の間にも起きて参っておりますのでありますから、これにつきまして十分にわれわれとして今後最も適切なるものを考えていきたいというふうに思っております。昨日の閣議でもきめました問題で近く調印される問題に、これはセイロンとか、あるいはアフガニスタンとか、そういうような国々に対して漁業開発、あるいは中小企業の技術センターを作って、これに指針を与えていくというようなこともございますわけでございますが、そうしたいわゆるきめのこまかい、日本もそう金持ちであるわけでもございませんので、大量の資金、資材を投入するということは困難な面もあるわけでございますが、そういう間にできるだけ被援助国に対する適合した計画、そうしてそれをできるだけきめのこまかい形で積極的に推進して参りたい、かように思っておりますわけでございます。
○千田正君 もう一つ、これはコンロン報告につきまして、この報告の実現に対して外務大臣はどういう御所信を持っておられるかお聞きしたいのであります。一九五八年のアメリカ上院外交委員会に報告されておるいわゆるコンロン報告なるものの内容を見ますと、アメリカは沖繩の軍政をやめ、文官政治に切りかえて行政水準を高揚する、そうして近い将来に日本に返還されることが望ましいということが報告されております。従って、この報告は沖繩住民のすべての希望であり、長い間の悲願でもある。こういう意味でアメリカの国内でもケネディ大統領が就任したならば、この問題の解決に一歩進むであろう、こういうことで特にフルブライト民主党の上院外交委員長とともに、この問題は一九六一年、すなわち本年の一月になりましたならば、この沖繩の問題についてはコンロン報告の採決をしようじゃないかという声が強く聞こえておった。ところが最近になりまするというと、中共問題あるいはその他をめぐりまして、沖繩に対する考え方がどうもケネディ大統領が新しい政権を担当しても変わりそうにない。むしろ当時唱えられておったように国防省から国務省へと沖繩の管理を移転しようじゃないかという話し合いが逆になっちゃって、また、ますます強化していきそうな傾向が強くなってきておる、こういうふうにわれわれには看取されるのであります。しかしながら、沖繩の住民からみますと、一日も早く日本への復帰を望んでいるし、ことに最近のように逆に軍事基地としての風貌を強化されていこうということに対しては絶対反対したいという声が強くなってきている。日本は何も考えてくれていないじゃないか、こういう声が最近沖繩の住民の諸君から強く叫ばれておりますが、日本としまして、外務大臣としまして、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 一昨年の十一月コンロン報告が米国上院の外交委員会に提出をされたのでありますけれども、これが実はその後一度も議題になっておらぬのであります。千田さんの御指摘のように沖繩の問題については、いずれはこれは日本に返還することという前提のもとに今からそのことを考えていなければならぬということはございますけれども、この「いずれは」というところに問題があろうかと思う。私は東西緊張の現在におきまして、この沖繩問題がはなはだわれわれの悲願にもかかわらず、ああした状況になっておりますことは残念には思っておりますけれども、しかし、その状況下においてもできるだけそういう状況を早く解消して、緊張の緩和が持ち来たされて、そうして沖繩がわが国に返還されますように、施政権が返還されまするように従来から努力いたしており、また今後もそうした努力を続けたいと思っているのであります。しかし現状が現状でございまするので、その間においてもできるだけ沖繩住民の福祉について、われわれも協力いたしたいということで、先般のこの三十六年度の予算においてはかなり、ただいまマイクロ・ウエーブの問題であるとか、あるいは農業開発の問題であるとか、あるいは厚生福祉に関する問題であるとかいうものにつきましても、われわれ予算上協力できる点については協力するということで事態を進めておりますのであります。太田主席も先般も見えられまして、非常に日本側のこうした気持に対して好意を謝しておられましたのでありますが、われわれこの沖繩住民の希望にも沿い、しかもこの国際緊張緩和という現実も見ながら、現在のところできる限り沖繩住民の福祉に貢献して参りたい。しかもこの施政権返還については、しんぼう強く交渉する、かように考えておる次第であります。
○千田正君 十年前に、一九五一年でありますが、今度日本に赴任されるであろうというライシャワー博士が、かつてハーバード大学の燕京研究所におかれて、この沖繩の問題についてこういう発表をした。これは個人として話しているのでありますが、琉球は日本復帰を提唱し、復帰への権利を持つべきだ、従って私個人としては、将来再び琉球が日本に復帰することを期待するということを語っておられます。今度幸いにもライシャワー氏が日本へ来られるとすれば、特にこういうふうに日本を非常に理解しておられ、また沖繩の住民の気持をよく汲んでおられる大使でありますから、十分こうした折衝を一つ重ねていただきたい。ただ、一方においてはスパークマンアメリカ上院議員などは、沖繩は金で求めることのできないほど重要性を帯びてきた。こういうことを指摘しており、今度赴任しましたキャラウェー高等弁務官にしましても、金で買えるところのものでない、沖繩はあらゆる点において東洋におけるところの最重要点になってきたということを強く叫んでおるようなわけでありますから、この間に処して、日本としましては沖繩の住民の意思を汲み、またわれわれかつての苦しい立場で最後の戦いまで追い詰められていった沖繩の人たちのことを考えれば、安閑としておるわけにいきませんので、十分に国民の意思を汲んで外務大臣は折衝していただきたいと思います。 そこで、次の問題としまして、私がお尋ねいたしますのは、御承知の通り、かつて第一次欧州大戦のあとにおきましては、ウィルソン大統領が主張しましたところの国際連盟が発足しました。そうして数年足らずして日本、ドイツ、イタリーのようにこの連盟から脱退して、そうして第二次大戦の端緒を開いた。今度はいよいよ日本が負け、そうしてまたドイツもイタリーも負けて、終戦後新しく発足されたのは、やはり同じような世界平和を要望してできた国際連合であります。このかつてのウィルソンが叫んだ国際連盟と、当時ゼネヴァに本拠を置いて発足した国際連盟と、今日叫ばれて、また加盟して行なわれつつあるところのこの国際連合の差がどこにあるか。それは私があえて言うまでもないと思いますけれども、もう一度、再び世界戦争に巻き込まれないための、平和を目的とした国際連合の使命はどこにあるのだということを再検討する必要があるのじゃないか。こう思いますので、かつてのゼネヴァに置かれました国際連盟と今日アメリカに置かれておるところの国際連合との差がどこにあるか、その重点を一つもう一度お考え直しを願って、外務大臣から御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 一九四五年に発足いたしました現在の国際連合は、連盟時代に比べますると、さらに世界的に政治、経済、社会の一つの動き、しての作用を強めるという点が明らかになっておる点が大きな差だと思うのであります。御承知のように国際連盟時代に、規約十条、十六条におきまして制裁規定がございました。その制裁に反する国については、これは加盟国全体に対する反抗と見なして経済的な制裁を加えていくというような規定がありましたのでございまするが、しかしそうした規定がありますにもかかわらず、いろいろなその前の段階がございまして、その調査段階においてこれがやや死文化していたという点もございますわけでございます。そこで国際連合は連盟の失敗にかんがみまして、憲章上は平和維持のより有効な機能を果たし得るように作られております。しかしながら、これは五大国の協調を前提としておるのでありまして、現在国連が発足後、東西の対立のために必ずしも憲章の規定通りの国連の動きがないことが多くなっておるのであります。特に連盟時代になかった軍事的制裁、この軍事的制裁は安全保障理事会の決定として行なうことになっておりまするが、この憲章に定める国連軍というものがない現状では、この軍事的制裁というものは事実上不可能になっておるのであります。しかしながら、安保理事会または総会の決定によるところの、決議によるところの加盟国が侵略を排除するための事実上の行動として朝鮮事変の例もございまするし、あるいはレバノンの例もあり、また最近はコンゴーの例もあるのでございまするが、そうした点が従来の連盟よりさらに国際的な平和を乱すものについて政治的なあるいは社会的な、経済的な一つの動きによってこれを排除していこう、そうした動乱の要因を排除していこうという点が強くなっておる点は特に特徴としてわれわれ考えておるような次第であります。
○千田正君 今外務大臣がお述べになった通り、国連がよい意味において、ほんとうの世界平和のための国際連合であるならば、まことに理想的なものだと思うのであります。ところが、ただ一つここに大きな問題が無視されておるのじゃないか。ということは、たとえば中共承認の問題等については、今世界の大国のうちで武力を持っていながら国際連合に参加しておらない国、国連のいわゆる旗じるしのもとに参加しない国はどこかといえば、すべての国民は直ちに中共であるということを指摘するでありましょう。われわれはやはり平和を求めるためには排除してはならない。連合の一員として組み入れて、その中に一つの制裁規定を設け、その中にさらに安保理事会等におけるところの国連の動き方に対して一つの大きな役割を演ずることによって世界の平和を保ち得るのだという観点から考えるならば、何も中共というものを排撃してその中に組み入れないというようなことをやる必要はないじゃないか。国連に加盟させて、そうしてメンバーの中でお互いに自粛する姿こそほんとうの国際連合の行くべき姿ではないか、私はそう思うのでありますが、外務大臣はどうお考えでありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 千田さんの仰せられた御意見は、まさに私もりっぱな御意見だと思います。しかしながら、この中共問題というものは非常に国際的な複雑な背景を現在持っておりまするし、まあわれわれといたしましては、この問題の扱い方というものは、ただ単に軍縮問題に、国連内に中共が入ることが望ましいということだけでこの問題を律するわけにもいかぬ点もございまして、それこれ考えながら今慎重にこの問題に対する態度を検討いたしておる次第でございまして、しばらく猶予を置かれたいと思うのであります。
○千田正君 この間池田総理大臣もまあ中共の問題に対しては前向きの姿でいく。それからただいま外務大臣も慎重に考えたい。もうしばらく、ということは、やっぱり岸内閣と同じように静観の態度をもっていこうというお考えでありますか。どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただ一口に静観ということによって律せられる場合にもいろいろな内容があろうかと思うのであります。ある時期に至れば踏み切らなければならぬこともございましょう。その場合、そのことによって得る利益と、リパーカッションと申しますか、それによって生ずるところの諸種の反動というものに対しても、それこれ勘案して十分わが国としてどういう利益があるか、国としてどういう損失があるか、またわれわれとしてはアジアの平和というものに対してどういう影響があるかということも、それこれ考えなければならぬと思っておる次第でございまして、一口に静観とか能動的とか、それだけで律せられるように感じておる次第でございます。
○千田正君 そこで、前向きの姿のうちで、特に今おっしゃられたようなことであるとするならば、私は先般アメリカ側が提示した問題の一つとして中共との問題。まず第一にそれならば、文化人の交流として一応新聞記者諸君の交換をやろうじゃないか、ジャーナリストの交換をすることによって一つアメリカと中共との間の今までの窓をあけたいということをケネディ大統領が考えて、中共側に対してジャーナリストの交換ということを言い出したようでありますが、それがまあうまくいかなかった。しかし、そういうような問題はむしろ日本側あたりが中に立っていわゆる国連におけるところの東西紛争をやめさせるためのかけ橋としての日本外交というような、自主的な一つの動き方が日本としては必要じゃないだろうか。いつでもアメリカのしり馬に乗ってでなければ仕事ができないということじゃなくて、むしろ東洋の平和のためには日本が自主的外交の立場に立って、そうして東西冷戦の緩和のため、もう一つ前進した働き方をするのがむしろ日本の外交として最もいい行き方ではないかと私はそう思うのでありますが、何かその間に立って自主的外交をやるというようなもう一段の決意を持ってほしいと思いますが、外務大臣お持ちでありませんか。
○国務大臣(小坂善太郎君) それこれ、いろいろと考えておりますのであります。つまらぬ例を申し上げて恐縮でありますが、水鳥が水に浮かんでおるのを見ますと、これはいわゆる静観といいますか、動いていないように見えるかもしれませんが、その足の動かし方で、前にも進んだりあとにも進んだりするのであります。そういうことで、十分私ども今お話のことも含めて今検討しておるのであります。
○千田正君 どうぞ平家の軍勢のように、水鳥の騒ぎにおそれをなさないように一つお願いをしたいと思います。(笑声) 次に、日ソ漁業交渉の問題ですが、日ソ漁業交渉に先立ちまして、小坂外相はソ連のイシコフ漁業相と会談したようでありますが、その際、魚族保護についての共同調査を行なうことについて合意に達したといわれるのでありますが、共同調査は、当然日ソ漁業の間の交渉の議題になっておりますが、すでにこれに対して今までよりは新しい計画が何か議題になっておるか、外務大臣もしくは農林大臣どちらでもよろしゅうございます。
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘のように、資源の調査という問題は、昨年から取り上げられております、まだしかし、同じ方法で同じ場所にということまでいっておりませんが、別々の調査方法をとっております。ことしの経過についてでありますが、ことしは二月の六日から二十二日までですから、大体、専門科学小委員会が相談いたしまして、サケ、マスに関する資源の状況についての討議をいたしました。で、それを大体この間二十日から開かれました本会議において一応採択しておるという形であります。今日におきましては、それは一応採択されまして、さらに現在網目の問題、あるいは規制区域の問題等、いろいろ問題が出ておりますが、まだ数量の問題なり規制区域の問題は今後の問題になると、かように思っております。
○千田正君 いつでも私はこの問題が出るたびに思うのでありますが、日ソ間に行なわれておる漁業問題は、単に漁獲の多寡がどうしたとか、ここで漁業経営が成り立たないという問題、あるいは資源問題等というような問題以外に、日本としては大きな問題をはらんでおるが、それはそれとして、もっと大きな問題は、いわゆる日本の権益の問題だ、魚をとるとらないは一つの実質的な問題であるが、その背後にあるものは、日本の権益は終戦によってある程度放棄したけれども、ここからこっちはあくまで日本の権益だという一つの日本国としての権益をわれわれは保持しなければならない、そういう立場に立ってのいろいろな問題が出てくるわけであります。ただいまお話のありましたうちで、漁業の昨年の禁止区域以外に、最近はソ連はもっと拡張しようというどうも空気がありそうだというように新聞紙等が伝えておりますが、われわれは、これ以上に漁獲すべきところの範囲を——禁止区域を拡張されるのでは、北洋漁業におけるところの漁業経営は成り立たないのじゃないか。それを、もしもかりにそういう規制をされたことによって成り立たせようとするならば、国内におけるところの漁業態勢というものをさらに改めなければならない。改めることによってまた膨大なるところの計画変更をせなければならないというふうに考えるのでありますが、この点につきまして、あくまで昨年の規定以外は、禁止区域を拡張するということに対しては反対するという御意思を持っておられてしかるべきだと思いますが、農林大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(周東英雄君) お話の点はごもっともであります。まだ具体的にその問題について、いろいろうわさをされておりますが、問題が出て参りませんが、私どもは、お話のように、今日までかなりいろいろな点において話をまとめてきておるのでありますから、今後新たにさらに規制区域の拡大等に対しては、私どもは好ましくないと思っております。まだ問題が出ておりません。そういう具体的な問題が出たときに交渉の内容に入ると思います。
○千田正君 それでは、農林大臣に重ねてお伺いいたします。それはこの国会でおそらく最大の問題として農業基本法の問題が提案されております。それで、これを検討してみまするうちに、私は非常にこれは農家にとってまた農家に生をうけたものにとって大きな法律的な問題が出てくる。それは、いわゆる農業資産の相続について、今までの法律であれば、御承知の通り親が死ねばその財産は子供たちが新しい民法によって等分に分けるのでありますけれども、長男が農家を継いで農業に従事するとするならば、一応その権利を放棄するか、あるいは価格に換算して、一応長男なら長男にその農地を与えるというような格好になって、まあどうやら進んできておる。ところが、今度農業基本法が出ると同時に、一方においてはその裏づけとしての農業法人化の問題がある。そこで、私はここにそれらをいろいろ考えてみた中で、二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。土地細分化を防ぐために一子相続制を認めるとしましても、農業資産の評価の仕方に問題が残されていると思うのであります。それで評価の基準が、いわゆる時価価格になっているのは不合理ではないかという問題が出てきているのです。もう一つは、農業法人に——かりに、二・三男が、今までは長男に相続させたり、自分らが放棄しあるいは評価を受けてそのままあったものが、今度は農業法人として変わってきた場合ですね、民法とそれから民法上遺産と法人化との間に、実際に享受すべき、何といいますか、権利、それから価値等において、相当変更がくるのではないか、こう思いますが、これに対しては農林大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(周東英雄君) 今度の法律案によりまして、経営の細分化を防ぎたいというのが眼目でございます。従いまして、農業法人ができました場合において、相続さるべきものは大体現行の法律の通り各人が分割に相続するわけであります。これを経営を細分化させないために、できればその中のたとえば一人の方がそれを経営していって、あとはまかせるということになりましょうが、その土地をいかなる形に法人に出すかということが問題である。その場合に、各人が所有権を渡さないで貸借関係になったということにでもなれば、分割相続されたものに対する所有権はそのまま各人が持っている。またそれが出資の形になりますと、一応法人のものになりますけれども、しかし、それに対しては出資した土地についての持分権というものがあるわけであります。それら、おのおの各自残って参ります。そういうふうに考えております。これは経営の細分化を防ぐのであって、分割相続を一子にまとめるという形にはなっておりません。
○千田正君 それで、もう一つは、小作料の決定については、農地法によりますと収益主義となっているのでありますが、農地そのものの価格については時価主義で取引が行なわれております。しかも収益価格よりも交換価格が大きいのが通例でありますから、農地の評価の仕方をどうするかという問題が非常に重大な問題であろうと思います。農地の評価というものと、今の小作料との問題等の関連しました点において、はっきりしたアイデアを示してもらいたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) これは大体現実に申しますれば、収益から採算したのが農地としての適正な時価です。時価主義が単なる売買実例価格になりますと、各地方それぞれ違って参りましょうし、本来ならば、売買した工業用地等転換される土地の価格というものは、直ちに農地の時価にはならないのじゃないかと考えております。そこらに時価主義という考えを取りますと、非常に悩みを生じやすい。かように考えております。
○千田正君 時間がないようでありますから、それでは、今度のあれで、協業促進資金制度というものが農林省の案として出ております。これによりまするというと、協業促進をするためには相当の設備資金が必要である。その設備資金に対しては、政府の方で見てやると言っておりますが、これに対するところのいわゆる利子補給等がありましょうが、それを差し引いても七分五厘という案は、ちょっとこれは酷ではないか。私はどうも、あまりほかのことはよく知りませんけれども、開発銀行——これは調べてみますと、開発銀行では大体六分五厘、電源開発会社に対しても六分五厘、輸出入銀行は四分、住宅公庫は五分五厘、住宅公団に対して六分五厘、海運会社に対しては六分五厘を三分五厘に引き下げよう、こういうようなのと比較しまして、七分五厘というのは、しかも長期にわたる農業経営という面からいいまして、ちょっと高過ぎやしないだろうか。むしろこれは最低の率にきめて、そうしてほんとうに農業の経営というものを、今までのほかの産業との格差を少なくするために、盛りあげていこうという考え方であるならば、七分五厘は少し高過ぎると思うのですが、農林大臣はどういうふうにこれを考えておりますか。
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘の点、その農業近代化資金融通の法案に盛られた形における系統金融の金を利用する場合七分五厘、これは一般的にいうともう少し安い方がよろしいのでありますが、これは初めての試みとしてこれをここまで持って参りました。しかし一面、御承知と思いますけれども、農林漁業金融公庫の貸付金等におきましては、たとえば非補助小団地等土地改良資金は大体三分五厘、また自作農創設資金は五分、その他の一般農林金融公庫の運用利回りは五分五厘だったと思います。従って各業態別に、仕事の別にそういうのになっております。将来は、なお今の問題についてもできるだけ金利を下げるように努力はいたしたいと思います。満足はいたしておりません。これはまた大蔵大臣の方の考えもあり、政府といたしまして、全体的に日本の金利政策というものは、国際水準に近寄るように下げていこうという傾向であります。そういうことと相待ちつつ、農業近代化等においても金利がだんだん下がっていくように私ども努力もし、期待をしておるわけであります。今後努力いたしたいと思います。
○千田正君 今の農林大臣のお答えがあったのですが、大蔵大臣どうでございますか。今、農業基本法はいよいよ国会に提案されまして、これが今国会に通過するか、あるいは通過しないか、非常にいろいろな疑義があるのですが、今回近代化の設備資金七分五厘というのは、ちょっと農業に対しては酷ではないかと私は思うのですが……。
○国務大臣(水田三喜男君) この近代化資金は、農業の系統資金を農業に導入しようという考えから出たものでございまして、国と地方が一分ずつ利子を持って利子の補給をやるということでございますが、問題はこれで済むわけではございませんで、私どもがこの利子の補給をするということは、この農業資金というものが、農民から貯蓄をされた金が、御承知のように今、何と申しますか、三階建ての機構になって中央にその金がくるという形では、非常にコストが高過ぎますので、どの資金よりも今農業資金が一番コストが高いということでございますので、これについては改善策はやはり考えるべきである。で、農林省におきましても、この農林資金が、系統資金というものが、もう少し低コストの資金にならなければならないということについて、今後一段の努力をするということになっておりますので、私どももそういう努力の誘導の意味で利子補給をやるということにしましたので、今の姿のままでいくのでしたらこれは確かに高いと思いますが、将来そういう合理化を考えるという前提で今度踏み切った措置でございますので、将来はこれは当然下がることと思っております。
○千田正君 ちょうど大蔵大臣、外務大臣、農林大臣がおられますから、もう一つ外交問題と関連した問題について聞きたいのですが、オットセイ会議というのがありますね。それでオットセイの三国会議によって、そうして日本はオットセイをとっちゃいかぬ、とっちゃいかぬと言っても、日本に住んでいない動物をとっちゃいかぬという国内法を作られて、これはいわゆる国辱法であると言って、かつてわれわれは大いに議論したのです。そのオットセイ会議の結果、オットセイを処理したあとの精算額一五%を日本によこすから、日本は国内法でオットセイをとることをやめてほしいというのが会議の主たる内容であって、ついに日本がそれを承知した。ところが農林大臣御存じかもしれませんが、最近相変わらずオットセイがどんどんふえてくる。最近はいわゆる金華山の沖から北海道にかけまして相当、数百万頭と称せられるオットセイが回遊してきている。同時に幾多の魚をとって食べる。動物園でごらんになればおわかりでありましょうが、一頭のオットセイの食べる量は大体一日一貫目の生魚を食べるのです。これがかりに百万頭という膨大なオットセイの群が三陸沿岸から北海道沿岸にかけて回遊する、そのたびに魚をとられてしまう。一日百万貫というものは、この害獣によって食べられてしまう。こういうものは、いわゆる漁業資源確保のための会議が行なわれるにかかわらず、この問題がクローズ・アップされてこないというのは、アメリカとかカナダとかソ連とかいう、いわゆるオットセイの生息をする島を持っている国ががんばっておるからであります。その代償として一五%を日本に与えるのだと、こういうことになっているのですが、一体その一五%という金は入っておるのですか。もらっておるのですか。それはどうなんです。
○国務大臣(周東英雄君) 三十三年から三回、今日まで五億四千万円、これはこの通りもらっております。
○千田正君 それで今の北洋漁業の問題になってくるというと、必ず資源保護という問題がベースになって、日本がいつでもそれで圧迫される。それでこういう害獣によっていわゆる食いつぶされるところの資源が相当ある。これに対しては日本は相当この問題を強く主張しておられますか、どうですか。
○国務大臣(周東英雄君) この点は御指摘の通り私どもの方、日本としては害獣によってと申しますか、影響を受ける、食べられておる魚というものが相当あるのじゃないか。また相当に今日ふえてきておる。これを海上捕獲を許したらどうかという主張はしているわけでありますが、それについては、オットセイによりどれだけ食われているかという調査を一応やっておりますが、これは現在までは太平洋岸の方でやっている。調べてみると、あまり腹の中に入っていないということで、どうしてもこれはオホーツクにおいてやらなければならぬ。それで引き続きその調査をやっておるのですが、相当な調査の資料を持ちまして海上捕獲を許せということの主張をしなければならぬと思っております。
○千田正君 時間もだいぶ長くなりましたから、外務大臣と農林大臣にお伺いするのでありますが、日韓問題がやがて解決しますというと、その解決すると同時に経済問題もおそらく解決すると思うのであります。それで、従来の韓国からの鮮魚あるいはノリ等のものを日本が輸入しておる。そうして韓国との交流の一助にしておったのでありますが、これが正式に韓国との間に会談が締結されて、そうして外交が軌道に乗れば、当然この貿易の面においてそういう問題が起きてくる。そうしますというと、国内におけるところの、同一生産物の輸入というような問題からして、国内の生産に影響を及ぼしてくる問題が相当あると思うのであります。この点につきまして、韓国との一体正式な締結は、いわゆる日韓会談の解決がいつなのか。見通しはいつか。それと同時に、当然また農林大臣としては、その後に来たるものとして生産物あるいは生産加工物というものが日本に相当入ってくる。入ってきた場合に、国内の生産に対しての調整をどうとるか、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私からは日韓会談の見通し等について申し上げます。あとは農林大臣からお答えいただきます。 日韓会談は、御承知のように、現在予備会談の段階でございまして、主として事務的な問題について双方考えを固めるという段階でございます。これは今まで四回やられた会談と異なりまして、非常にバック・グラウンドが友好的な雰囲気になっているということは言えると思うのでございます。現在、御承知のように、財産請求権の問題、それから漁業の問題、これがまあ非常に大きな問題になっておりまして、法的地位の問題については割合に話が進んでおります。従来の会談では、財産請求権の問題は全然触れられないで、また漁業問題も、李ライン問題といえども、先方は全然触れることを避けたのでありますが、今回は両方とも議題にしていろいろなデータを出し合うというようなところまで来ておるのは御承知の通りでございます、しかし、何分にも今までいろいろいきさつのある問題でございますから、これはなかなかいろいろな曲折を経ることと思うのでありまして、私どもは、従来諸種のいきさつを持った問題だけに十分に意見を出し尽くして、そうして慎重に話し合って、その上で妥結をいたしたい、こういうことで考えておりますので、本会談にこれを切りかえる時期はいつかということに対しましては、今はちょっと申し上げることは差し控えたいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(周東英雄君) 日韓会談の成立の後における輸入水産物の影響ということですが、これは大体生鮮魚、冷凍魚、ノリというような問題になってくると思うのであります。なかんずく御心配はおそらくノリ等の問題だと思いますが、ノリにつきましては、最近三割も国内生産が増加して、価格が生産地においては二分の一になっておるというような状況であります。しかし、従来から一億枚というものは許されておる。これは三十億枚できるものに対する一億、これはよほど影響も大きいと思います。これは今後どうなるかということについては、できるだけ国内のノリ生産業者等の利益を考えて処置をしていきたいと思います。それから生鮮魚及び冷凍魚につきましては、従来やはり貿易関係の支払い関係から見て、今の数量はやはり従来から見てまだややそれはふやし得る余地があるのじゃなかろうかと思います。しかし、これは会談の成立後の問題で、よく内地の水産業者、沿岸漁業者のことを考えて処償いたしたいと思います。
○千田正君 それでは、話を変えまして、実は外米の問題があるのです。それは通産大臣と農林大臣にお伺いしたいのですが、最近どうも日本がいわゆる非常に米の生産が上がったので、外米の買付はことしは相当減額した結果、タイ、ビルマその他の国ではどうもおもしろくないというので、日本は買ってくれないじゃないか、それならばむしろ中共に売って、中共からむしろ必要の、今まで日本から買っておったところの繊維品その他を中共から入れようじゃないかという空気が非常に強くなってきておる。そこで、外米の購入と、一面においては日本の輸出産業の問題とのかね合いにおいて、今後実際に起きてきておるこの問題をどうするか、どう解決するか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘のように、国内における米の生産というものが非常に伸びまして、今ある程度余っておるような格好であります。しかし、一面に御指摘のように外交の問題もございます。そこらは勘案して適当に処置いたしたいと、目下相談中であります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ビルマ、タイ等の東南諸国は、日本の輸出市場として重要な国々でございます。従来は、これらの国々から外米を購入し、それと見合いの輸出をしておったという状況でありますが、最近はとかくこの外米輸入が細って参りまして、そうして反対にこれらの国に対する輸出額というものはそう減らない。いわば片貿易というような格好になっておりますので、この従来のこの状態だけでも相当に論議がやかましいのであります。これ以上さらに貿易のバランスをくずすということになりますと、非常に好ましい海外市場というものを喪失するという危険性がございますので、今農林大臣からお話ししました線に沿いまして、関係各省と十分に協議しておる最中でございます。
○千田正君 通産大臣に重ねてお伺いしますが、それは先ほど外務大臣からもいろいろお話ありましたけれども、中共との貿易の問題でありますが、最近日本の視察団が向こうへ行きましても、非常に好転しつつあるような報告もあるようであります。何かこれに対して、いわゆる池田首相の前向きの姿勢でもって一歩前進する一つの政策として、この輸出に対する、あるいは輸出入に対して通産大臣としてのお考えは、何か積極的なものを示していただきたい、こう思いますが、御所信を承りたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほど外務大臣から水鳥のお話が出ましたが、表面にまだ現われて参りませんけれども、とにもかくにも政府間協定の段階でないことは御承知の通りでございますが、その他のそれに至らない段階において、まだまだこの貿易額を増進する道は、あるいは余地が多分にあるわけであります。その方法として、これに対する国内態勢を整えるということもございましょうし、それからまた対外的にいろいろな手を打つという方法もございましょう。とにもかくにもこの問題については、これが唯一の橋頭堡であるというのはございませんでして、いろいろな施策を目下講じている状況でございます。最近、国際貿促の山本君が、割合に手広く日本の各経済人を伴って向こうを視察して、最近帰って参りました。まだ私は会っておりませんけれども、よくこれらの人々の意見を聞きまして、そして今日の段階においてどういう手を打つ必要があるか、それらの問題について十分に考えまして、総理の言っているような前向きの姿勢でこの問題に当たりたい、かように考えております。
○千田正君 最後に、科学技術庁長官にお伺いしたいと思います。それは原子力研究所の問題でありまして、先般原子力研究所の二号炉のCP5型ですか、これは設計が一万キロワットの出力ということになっておるのでありますが、どうも期限が来ても、どうもそういう方向にはいかない。しかも、先月まではゼロであった。こういうことであっては、多額のいわゆる金を使って、そうして日本のいわゆる原子産業なりの元締めになるところの、原子炉の研究にしましても膨大な予算を使っておるにかかわらず、動かない。動かないのに金を使うというようなことでは、しょうがないのでありまして、これは重大な将来の原子力産業あるいは原子力問題の一つの大きなネックになると思います。それで、この間の経過を御説明いただきまして、今後はこういう問題に対してはどういう処置をせられるかという点についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) 東海村の原子力のCP5の問題でございますが、これは御承知のように、一万キロ出力の炉というのでございますが、ゼロ回答だ。幸いにいたしまして、最近二十、三十、さらに五十、百、二百、昨日午後になりまして五百まで。この状態でいけば、最初心配されたような事態はおそらくなかろうというふうに考えております。 それから、ついででありますから申し上げますけれども、CP5を膨大な金を使ってかようなことになりますと、おくれたことはまことに申しわけないのでございまして、これは契約をいたしました日本側とアメリカ側と、いずれもとにかくまだはっきりした科学的な知識なり技術を持たなかった、不十分であった、そういうところに大きな欠陥があるのじゃないか。従って、今ここで取り上げてそれほど責めなくてもいいのじゃないか。今後われわれが十分注意していけばいけるのじゃなかろうかということが一つ。 もう一つは、膨大な予算をつけたとおっしゃいますけれども、よく世間にそういうふうに伝えられておりますけれども、CP5に要した予算というものは、かれこれ合わせまして四、五億円程度のものであります。しかも、その中で一番問題になりますのは、その中に入っておる燃料棒の問題でございまして、外の施設はそのまま使える。従って、中のものがどうしてもいけないということになれば、それを取りかえればいい。その分の金額は幾らかと申しますと、大体一千万から一千五百万。それも幸いに今五百キロまで上がりましたから、今月は一千キロまで上げる。さらに二千キロまで上げるということが可能だという専門家の御意見でございます。それに従って上げていくつもりであります。そうなりますと、今まで現在使っております原子燃料棒は、これは消耗品でございますから、それが消耗した暁においては、もっとよりよい、専門的に申しますと、現在の燃料棒はいわゆるウラン二〇%という燃料棒であります。現在世界で使っておりますのは九〇%あるいはそれ以上の燃料棒を使っておりますので、それを使えばいいんでありますから、それと取りかえればいい。それに取りかえたら、今どのくらいになりますか、一千万から、こえても大した金じゃない。あたかも新聞、雑誌その他を見ますと、炉に投じた、外側の設備なんかそれを全部合わして、それが全部むだになったと、そういうような印象を世間に与えておることは、これは間違いでありますから、その点だけをはっきり申し上げておきたいと思います。
○千田正君 一万キロの予定のが、ようやく二千キロということになるというと、これははたして一万キロ、当時の予想したようなものになるかどうかというと、すこぶる疑問だと考えられますね。 それから、もう一つは、これを選定する場合に、もちろん、長官がおっしゃるように、世界のあらゆる技術を研究して、最もよいものを取るという意味においては、いろいろの国を選定の相手にするでありましょう。国とか、その国の科学を信頼するでありましょうが、第一号炉のときにはイギリス、第二のときはアメリカ、第三のときはフランスというのでは、かりにそういうふうに転々と炉をかえてみて、その間にいろいろな問題が起きてくる。私は、今度の問題でも、もうすでに期限が相当切れておって、そうしてやはりこれをある程度成功させなければならないという意味で、向こう側の技師なりその他の関係者が日本に滞在しておる、そういうような費用やなんかも、これは日本側が負担したように聞いておるのですが、そういうことはどうですか。
○国務大臣(池田正之輔君) こまかいことはわかりませんから、政府委員から。
○政府委員(杠文吉君) では、お答えいたしますが、日本側の負担でございまして、一日滞在費百十八ドルでございます。
○千田正君 一日百十八ドルということでありますが、今までオーバーして滞在した部分はどうなるのですか。
○政府委員(杠文吉君) オーバーしてと申しますのは、二月十四日までの期限でございまして、期限まで滞在しておりますから、だから、オーバーしたということはございませんですが。
○千田正君 しかし、一万キロ出るまではいるのですか。
○政府委員(杠文吉君) お答えいたします。一万キロワット出るまで滞在するという契約にはなっておりませんのでございまして、本年の二月十四日まで滞在して、その間、いろいろ状況の指導なりあるいは協議にあずかるというようなことでございます。原子力研究所におきましても十分に検討いたしまして、またアメリカのアルゴンヌの国立研究所からCP5の世界的な権威者でありますところのドクター・スチーブンスという方に二月二十日に来ていただきまして、その方の御指導あるいは御意見等も十分拝聴いたしまして、先ほど長官からお答えいたしましたような順序で出力を上昇中でございます。
○千田正君 これで終わりますから……。そうすると、長官、あれですか、かりに長官は一万キロ大丈夫出るという御自信のもとにやっておられるでしょうが、かりにそれが今二千キロ大丈夫だ、五千キロぐらいでもう出ないということになれば、また同じ会社とは次には契約はできないだろうし、また別個の方向で新しい調査のもとにやらなくちゃならないと思うのですが、これは中途でやめることもあるいは無理があるということは予想されてしかるべきだと思いますが、どうなんですか。そのときは変更して、新しい契約を次の炉の場合には考えられる、こういうふうに考えてよろしいですか……。
○国務大臣(池田正之輔君) 御承知のように、原子力科学は未開発の面が非常に多いので、そういう意味からも、現在日本で入れております炉の種類は、あなたが先ほど御指摘になったように、アメリカから入れたり、イギリスから入れたり、いろんな形のものが入っております。これは前に決定されたことでございますけれども、一つにはそういう多様ないろいろな型式のものを入れて、つまり現在は日本の原子科学というものはまだまだ研究の段階である。さような立場に立っていろんな原子炉を入れまして、主として研究が進められておる。そういう意味で、その過程においてそういうような最初予期しないような失敗もときにはあり得る、絶対ないということは言えないだろうと思います。 —————————————
○委員長(館哲二君) 大竹平八郎君。
○大竹平八郎君 まず最初に、外務大臣にお伺いしたいのですが、十二月の二十日の日の当委員会の補正審議のときに、私は池田総理並びにあなたに対しまして、ビルマ、フィリピン、その他各国の賠償問題並びに経済援助等の問題につきましてお尋ねをいたしたわけでございます。そのときに、私はお尋ねの中に、ビルマの再検討賠償問題という点をお伺いいたしましたが、今のところ政府はこれに対して確たる考えを持っていないというようなお話で、私はそのまま引っ込んだのでありますが、その後新聞の報ずるところによると、その再検討問題というものが実現化して、すでに四千万ドルを先方に提案されたと聞いておるのであります。これに対しましてビルマ側といたしましては無償一億ドルを要求してきておるということを聞いておるのでありますが、これはあなたの外務大臣の以前から、岸内閣当時から再検討問題につきましては国会でしばしば答弁がございまして、おそらく再検討の問題は起こらぬだろうということが答弁の大体一貫したことであったのであります。ところが、十二月の二十日の御答弁から間もなく、四千万ドルを政府が提案をいたした。しかも、これに対しまして先方側は一億ドルを要求してきて、今これが交渉中だと、こう聞いておるのでありますが、実際はどういう状況になっておるのですか、まずこれを伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) ビルマとの賠償関係は、御承知のように、再検討条項がございまして、これに基づきまして一昨年の四月に先方からこの条項に基づいて協議をしたいという話がございました。日本政府の見解は、これは均衡を得ておる、他の賠償国に対しての賠償支払い額と均衡を得ておるということであり、先方は賠償再検討を必要とするものである、こういう見解でございまして、両方が長く並行線をその主張においてたどっておったのでございまするが、われわれといたしましては、ビルマ国のわが国に対する友好的な態度にもかんがみまして、またアジアにおきまするわが国の国際的な地位も考えまして、こうした状況にあまり長く置くということはいかがなものであろうかということで、いろいろ先方とも話をいたしまして、ただいまも御指摘のように、一月になりましてから、ビルマに対して経済並びに福祉に関する友好的な協力をいたしたい。これはたとえばビルマに道路を作るとか、あるいは病院を作るとか、あるいはスタディアムを作るとか、そういうようなもので一つ協力をしたい、ただしこれは無償でいたしましょうということを申し出をいたしました。その後最近になりまして、先方から、この方式についてはけっこうである、しかしその金額についてもう少し考えられないかという提案がございました。額の内容については、私どもは、これは交渉の途中でございますので、ここで申し上げることを差し控えさしていただきたいと思いますが、私どもが提示した額よりももう少し考え直してもらいたい、こういうことを先方は申してきておるわけでございます。ただいま折衝の段階にございます次第であります。
○大竹平八郎君 御承知の通り、賠償はビルマ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、これを合計いたしまして十億一千二百八万ドル、こういう膨大な金額になっておるのでありますが、私はこの前も指摘をいたしたのでありますが、何かこの賠償が常に奥座敷で取引をされておるような感じがあって、国民が非常に不審の念を持っておるということを申し上げたのでありますが、十二月の二十日の御答弁のときに、私は、小坂外務大臣が全然その必要もなく、またそういう交渉を受け入れぬとは聞いてはおりませんけれども、ほとんど再検討の問題というものは起こってこぬだろうというふうに私は少なくともとっていたのでありますが、それがとにかく四千万ドルを向こうに提示をしなければならなかったというところに、私どもはこの賠償とか経済援助全体を考えまして解せないところがあるのであります。ビルマは一番最初にやった賠償国でございますので、フィリピンその他とのいろいろなバランスというような問題で多少の問題が起こることは、私どもも一応は考えていたのであります。しかしながら、四千万ドルというものをすぐに続いて提示をしなければならぬ。しかも向こうは、私どもの聞くところによると、一億ドルという膨大なものを提示をされてきておる。こういうわけでありますが、お話によりますと、まだ交渉中だと、こういうのでありますが、交渉中だといって、また一カ月くらいたちますというとその数字が出てくるというようなことでは、これはどうも何か国会が軽視せられておるような気がいたすのでありますが、実際向こうとして提示してきておる金額は一体幾らなんでありますか、これを一つ伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) ビルマは、ただいまお話しのように、一番最初に日本との賠償に応じました国でございまして、そのゆえに賠償再検討条項というものが入っておるわけでございます。この条項は他の国との賠償関係の条項には入っておりません。従いまして、問題になるといたしましてもビルマだけが問題になるわけでございます。そこで私どもは、ビルマに対する今度の提案は、これは賠償ではない、経済、福祉に対する協力である、しかし無償である、こういう形で申しておるわけでございます。ビルマ側はなおそれに対して、これを実行することによりまして賠償再検討条項というものはこれは落としてしまう、死文化する、こういうことに申しておりまするのでありまして、ビルマ側もこれを了承いたしております。ただ、交渉中の、ことに金額に関しまする問題等は、これはいろいろ従来の外交交渉の本貫に触れるものでございまするので、きまったときに申し上げまして、そうして御審議の上御可決をいただけばそれを支払うということに従来なっておりますものでございまして、決して国会軽視というような趣旨ではないことをぜひ一つ御了承を願いまして、先方の提示しております金額は、先方も申しておらないのでございます。その点は御了承願います。
○大竹平八郎君 そういたしますと、大体私が申し上げたような金額、少なくともそれくらいのものが、私は確実の数字を聞こうとはいたしませんが、大体そんな見当で、またビルマ側の要求も大体そのくらいの数字だと、こう考えていてよろしいかどうか。こういう点くらいは差しつかえないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ビルマ側は、決して過大なことを日本に対して要求しようとも思わない、さりとて自分らが不満な額では困る、こういう趣旨のようでございますが、金額の点は一つ御了承願いたいと思います。
○大竹平八郎君 それじゃ、それはその程度にしておきます。 これに関連をしまして、これはあなたの就任のずっと以前のことなんでありますが、ビルマのウ・ヌー首相が一昨年のたしか春でございますが、日本に参りまして、当時の岸総理大臣と会見をいたして、そうしてこの再検討問題について話し合いをいたしたと私どもは聞いておるのでありますが、これはあなたの時代ではないのでありますけれども、これはいろいろの意味において、引き継ぎで当然あなたの方にわかっておるはずでありまするが、このウ・ヌー首相と岸総理とのこの問題についての会談の内容、私は数字的のことを求めませんが、差しつかえない限りお話し願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私が先ほどお答え申し上げた点で多少誤解があるといけませんので、補足させていただきますが、ビルマはそういう気持ちであろうと思いますが、私どもとしては、金額の点は、われわれとしてはそういう点にはまだ納得し得ないものがございまするので、今後交渉をしたい、こういうことでございます。過大の要求でないというのは、先方がそう考えるつもりであろうということでございまして、こちらがそういうことを認めた意味では決してございませんから、その点をあらためて申し上げさせていただきたいと思います。 それから、岸前総理時代にウ・ヌー首相が、IPIですか、新聞協会のゲストとして来られまして、その際に、お会いになりましたときにも若干このお話があったように私どもは聞いております。しかし、いろいろの方法が考えられるわけでございます。非常に長期で、しかも非常に低利な、しかもそれを工夫して企業的な採算を勘案するというような、いろいろの方式も考えられたようでございまするが、いろいろ私どもも検討いたしまして、非常にむずかしい方式でやりますことは、かえってあとに問題を残すことになる。それから、これからわが国は各種の国との間に経済協力を進めていかなければなりませんので、それに一つの特殊な型を作っていくということが、先例を作ることがあとに及ぼす影響もいかがであろうかという点も考えなければならぬと存じまして、無償で経済に関する協力をする、こういうことにいたしたわけでございます。 御承知のように、賠償でございますると、これはあくまでも先方の政府の考え方に基づきまして、こちらがその義務を履行するという形でございます。ただ、経済福祉に対する協力でございますると、こちらもまたビルマ側のいろいろの経済、福祉に関する国民の希望等も勘案いたしまして、こういう計画はいかがであろうかということをこちらも一緒になって考えるということが、賠償と形の上で違うわけでございますが、こうした方がさらに両国の結びつきを深めるゆえんではなかろうか、こんなふうに考えて、さように決定いたした次第でございます。
○大竹平八郎君 岸総理との会見に対して……。
○国務大臣(小坂善太郎君) 岸総理とウ・ヌー首相は、当時首相になる前で来られたわけでございますが、御会見になりましたようでございます。そうしてそのときに、今申し上げたような、いろいろの工夫をしたらどうかというお話があったように聞き及んでおる次第でございます。
○大竹平八郎君 ビルマだけが再検討条項があるということは、これは外務大臣が今お話しの通りでございますが、しかし、やはりビルマにこういうものを重ねてやるということになりますと、他の国々が他の形でもって、経済協力とかあるいは経済援助とかいうような意味において問題が起こってくるという、こういう傾向はございませんでしょうか、その点伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 賠償に関係いたしまして、これをどうするという話は、これはないと確信いたします。われわれが再検討条項を持っております賠償国はビルマだけでございます。この問題に関しましては、他に波及することはないと存じます。ただ、わが国としましては、東南アジアの諸国に対して、できるだけわが経済の許す限り協力していくということは、今後において続けたいと考えている次第でございますが、これがビルマとの賠償再検討条項、その条項に従って履行したということと関係はないものと考えております。
○大竹平八郎君 次に、フィリピンの経済協力の実施につきましてお尋ねいたしたいのでありますが、御承知の、フィリピンの経済協力実施という問題の一番大きな問題は、例のテレコミ、電気通信綱の計画と、それからいつも問題になりますマリキナ・ダムと、この二つが大きく取り上げられているわけでありまするが、最近聞くところによりまするというと、このテレコミ計画に基づきまして、日本の電電公社を中心にいたしまして、関係各省から多数の調査の方々が行かれまして、ほとんどその調査も完了をいたして、あとは施工を待つばかりになっている。ところが、突如といたしまして、フィリピン側からは、それを変更いたして、カガヤン鉄道を作ってくれということを申し出たように聞いているんでありますが、これはいろいろな国、フィリピンの国の内外にも批評がございまして、この秋に行なわれるところの大統領の選挙に対する一つの大きな選挙運動じゃないかというように勘ぐる向きもあるわけなんでありまするが、これは合意条項ではっきりとうたわれていると思うんでありますが、こういうように勝手な変更をせられてくるということは、これは日本側としても非常に迷惑だと思うのでありますが、これに対しては、大臣、どういう御見解を持ち、また現在どういう御措置をとられているか、これを伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま御指摘の点は、岸前総理がフィリピンに行かれました際に、先方の大統領との間に公文をかわされまして、マリキナ・ダムの計画とテレコミの計画というものを実行するということを約束されたのであります。テレコミの計画、これは全領土にわたりましての計画でございまして、千二百三十万ドル。これに対しては各専門家が出て、十分なる調査をして、すでに実行に取りかかり得る用意ができているのであります。それから、マリキナ・ダムに関しましては、三千五百万ドルでございますが、これは地盤等に関する問題がありまして、その安全性についての論議が行なわれまして、そうしてマリキナ・ダムの計画調査のコンサルタントがもう一度これを調査するというような関係になって、おくれておりますようでございますが、ただいま御指摘のように、先方から本年の初頭に、このテレコミの計画というものをやめて、振りかえて、カガヤンヴェレーの鉄道計画をやりたい、これは四千五、六百万ドルかかるかと思っておりまするが、さような計画に振りかえたい、こういうようなお話がございました。私は、やはり一度両国政府が正式に合意したものについては、日本の国民の側においては、両国政府の合意があるのだからこの計画というものは、実現されるということを確信いたして諸種の調査をし、また、準備もしておることがあるだろうと思います。そこで、卒然としてこれを変更するということになりますると、なかなか国内的なその問題で困難な問題があるということを申しましておりましたのであります。先方は、それでは一つ一部テレコミの計画をして、そして他をカガヤゾヴェレーの鉄道の方へ振りかえてくれることを考えてはどうかという種の御提案もありました。私は前言を申した通りでありまして、非常に私としてもそうした御計画を承って困却するのであるけれども、せっかくのお話であるから、なおこれを検討いたしましょうということにいたしまして、この計画に関連する各省間におきましていろいろ御検討をいただいておる段階でございます。
○大竹平八郎君 もし検討の、これは結果を待たなければなりませんが、かりに先方の言うように、テレコミ計画からカガヤン鉄道に変えるということになりますと、金額は、今大臣が御指摘のように四千五百万と千二百三十万ドルとだいぶ違うのでありますが、金額までを日本がその分を負担するというようなことはよもやないと思うのでありますが、この点どうなんですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) こういう計画をやりまするに対して、やはり現地通貨をどう調達するかということも非常に問題になろうと思うのであります。従いまして、その現地通貨をどうして調達するかという方法等についてもわれわれは知りたいと思いまして、そういう点も照会をいたしております。そこで約束は、もう金額はきまっておるわけでございますから、他のものについて一体どうするつもりかと、新たなる借款を供与するという要求であるのかどうかという点も今これを確かめておりまするのであります。大竹さんがおっしゃいまするように、理論的にはこちらは千二百三十万ドル出すものをそれ以上の計画をやってくれということになりますれば、その余分のものについては新たなる借款ということにならざるを得ないのでございます。
○大竹平八郎君 外務大臣、そこでですよ、私がビルマの問題で、再検討問題で指摘をしたようなことがつまりこれに関係があるわけなんです。そこで、こういうようなことが、この賠償問題に関係しては、いつも事外交問題だというようなことで議員の追及もそれほどでもないのですが、ちょっと時日がたつといろいろなものがあとからばらばらと出てくる。そこでさっき私はビルマのいわゆる再検討条項の問題についてお話をしたのは、あとでこういうような、再検討条項というのはほかの条約にはない。ないといっても必らず何かの形で起こり得るのじゃないか。今のあなたの答弁を聞いておりますと、もうすでにこのフィリピンの問題で起こりつつあるのですね。この点はどうなんでしょう。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは直接関連がございませんと思いまするのは、ビルマとの話をいたします時期と、このフィリピンの話し合いの時期との関係でございますが、これはほとんど同時期になっております。これはそういう点でビルマの話が出たからといって追っかけてくるのじゃなくて、やはり日本が最近非常に経済的に立ち直ってきた。そこで東南アジアに対する経済協力も大いにやろう、こうした声にこたえ、かつフィリピンにおきましては、日本との間には御承知のように、戦後非常にこの日本に対する感情が悪かったわけでございますが、最近これが著しく改善されまして、日比通商航海条約というものも調印をせられておる。そういうようなことで大いに日本もそういう気持でいるのだから、この協力を得たい、こういうことではなかろうかと私は思っております。
○大竹平八郎君 それは外務大臣、全くビルマも最初から再検討条項をおそらく遂行しようとは思わなかったのでしょう。しかし、そういう今あなたのお話の通りだ、日本が最近非常に景気がよくなってきておると、だから一つ一番やってやれと、こういうことが私はことにあえてフィリピンを一応指摘しましたが、フィリピンに限らず他の国々にも起きてくるのじゃないか、そういう点はどうかと、こういうことをお尋ねしたわけなんでありますがね。そこで、これだけ、これはおそらく電電公社が中心になったと思うのでありますが、千二百三十万ドルもかかるテレコミの計画に対する調査その他のものは、これは大へんだと思うのです。おそらく電電公社とすれば、非常にこの問題において当惑をされておると思うのでありますが、こういう国内的な問題は、私は政府の力で解決をするかもしれぬけれども、こういうようなことをあっちで言われ、ふらふらとなり、こっちで言われ、ふらふらとなるということになりますと、一体私どもは、外交というものについて信頼感を失うような気がいたすのでありますがね、この点を一言一つ……。
○国務大臣(小坂善太郎君) ビルマとの間の話し合いというものは、先ほど申し上げたように、一昨年の四月から起きておる問題でございます。再検討条項があるからこれを発動したいというビルマ側の気持は、もう二年越しのものでございます。この辺でけりをつけねばならぬということに立ち至ったと私は思うのであります。フィリピンのその話し合いは、実は非常に先方も恐縮をいたしておるような状況でございまするが、何せ私どもは、この東南アジアの国との間の友好関係を進めていくということになりますと、むげにも、先方が非常に困って言ってきた問題を断わり切れない点もあろうかと思うのであります。そこで、先ほど申し上げたように、これは全土にわたるテレコミの計画、それを一部にしてもらいたいということについては、ある程度考えて上げねばならぬかと思っておる次第でございます。
○大竹平八郎君 時間がありませんからその程度にしまして、そこで私は、一つ逆に注文的な質問をいたしたいのでありますが、東南アジアの援助というものが、日本の今の置かれている立場、ことに最近の景況というような点からできるだけやらなければならぬ、御趣旨は私非常によくわかります。そこで、これは国際情勢によっていろいろ変わって参っておりますし、それからその立場々々によっての批判がいろいろあると思います。まあビルマ、フィリピン、インドネシア、ベトナムと、これだけで十億一千二百八万ドルという膨大な賠償が出ている。その他カンボジアその他の諸国に対しましては、経済援助の形でこれまた相当援助資金というものが出ておるわけであります。ただ一つ取り残された国があるわけであります。これは社会党さんなんかきらいの国でありますが、台湾、国民政府ですね。ここは御承知の通り、一千万人という最も日本に親近感を持っておる民族がおるわけです。この台湾は今は何といったって、日華条約が二十七年の四月に結ばれまして、これは一応中華民国としてあなた方は相手にしている国なんです。しかも、この蒋介石が当時中心にいたしまして、ただいまの中共が延安から参りまして、いわゆる国共合作によって、そして抗日戦というものを八年間御承知の通り展開をいたしたわけです。そこで私どもは、いろいろ関係ございますので特に痛感をいたしたのでありますが、日本が敗戦をされた。私どもは敗戦をされたときに、これはもう当然現地におりまする日本人が、これは軍人といわず民間といわずひどい目にあう、あるいは殺戮されてももうこれは文句の言いようがないとわれわれは思っていた。ところが、とにかく蒋介石総統の声明によってこの二百八十万人が助かった。そこで条約が二十七年の二月から行なわれまして、二十七年の四月に十四条の日華条約というものが結ばれたわけだ。その中に日本に対する賠償請求権というものを放棄しておるわけでございます。この今私が申し上げましたビルマその他の諸国を合しました以上に中国に与えました日本の物質的な、そうして人的な損害というものは何層倍にもなっておるのでありますね。それがとにかく一応二十七年の条約において、そうして日本に対する賠償の請求権というものを放棄した。その後国民政府になりまして、台湾との貿易というものが約八年間、大体片道八千五百万ドルくらいの協定貿易というものが行なわれて、今日まで来ておるわけです。そこでその貿易の協定の中に、一千万ドルのスイングがある。そうして日本が少しよけいあれするようなことになりまするというと、直ちに現金決済を迫られてきておる、こういう実情をあえて耐え忍んで、今日まで非常に日台貿易というものは順調に来ておる。ところが、経済援助とか、あるいは経済協力なんというものは、政府としては今日ほとんどしていないのでありますが、そういう点に対して、他の東南アジア諸国に対する今の小坂さんのお考えからいたしましても、私は台湾に対する経済援助というものは当然じゃないかと思うのでありますが、この点いかがでありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 台湾に対しましては、御指摘の通りだと思います。従来台湾の側におきましては、いわゆる繁文縟礼で、非常に外国の資本が入っていく、あるいは経済援助等が行なわれる場合の繁雑なる規則がございまして、また、資本送金というようなことも非常に困難になっておりましたので、これが著しい障害になっておったのではないかと思われるのでありますが、最近これらの点が著しく改められましたようでございまするので、十分この点については考慮しなければならぬと思っております。
○大竹平八郎君 次に私、日韓問題につきまして少しくお尋ねをいたしたいのでありますが、日韓問題につきましては、先ほども千田委員から触れたようでございますが、これはこの前も私が申し上げました通り、会談は昭和二十六年の十月から始まったわけであります。そうして第四次会談からまさに第五次会談に移ろうとしているわけでありまして、年月の上から申しまするというと、実に十年間、まことにわが国の外交史上にこんな長い交渉をしておる歴史というものは、私はないように聞いておるのでありますが、しかしながら、先ほど来の御答弁を伺っておりましても、いまだ暗中模索という程度を一歩も出ないように聞いておるのでございますが、新たに今後臨む会談に対する政府の覚悟を一つお聞きいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御指摘のように、非常に長い経過をたどって参りました日韓交渉でありまするが、昨年の十月二十五日から開かれました委員会ないし本会議は、従来本会議四回、漁業及び李ラインの委員会、これが三回、在日韓国人の法的地位に関する委員会が八回、請求権委員会ですが、これは三つに分けておりまして、一般請求権の小委員会、船舶小委員会、文化財小委員会と三つに分けておるわけでございますが、一般請求権の小委員会が五回、それから船舶小委員会が七回、文化財小委員会が二回というふうになっておりますので、この中で御承知のように、法的地位に関する問題は、非常に永住権の問題を中心に討議が進んでおります。漁業及び請求権の問題につきましては、今日まであまり進展を見ておらなかったのでありまするが、最近に至りまして、今後実質的な審議を進めていくことができるという見通しを得て参りました。先方も今までタブーにしておりました李ラインの問題に触れて論議するという態度を明らかにして参りました。非常にこの点は進んだと思うのであります。日韓問題というと大へんな変革を来たすような御意見がございまするが、私は、そういう考え方は当たらないのではないかと思っております。従来日本におりまする韓国人につきまして、この法的地位が未確定でございまするが、現にこれは一般外国人とは違う扱いを受けておるのでありまして、永住しておるのであります。なお、財産請求権の問題、李ライン問題というようなものは、これは解決せねばならぬと思いますが、とにかく韓国との間には、今日通商関係がございます。それから司令部時代の遺物とはいいますものの、先方からの在日代表部というものがおるのでございますし、日本の方は向こうに代表部が置かれないという非常に妙なへんぱな形になっておるのでありますが、いずれにいたしましても、国交というものの変則的な形はあるのでございます。これを正常化するということでございまするが、この問題については、何分にも非常に近い関係にある両国でございまするから、この問題を一日も早く両方の誠意によって従来の関係を乗り越えて、早く親善の関係を固めたい、かように考えておる次第でございます。
○大竹平八郎君 差しつかえない限り各委員会の重要な経過ですね、こまかいことは要りませんが、このことについて。
○政府委員(伊関佑二郎君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、請求権並びに漁業につきましては、今週から実質的な討議に入ったわけでございまして、まだ大きな進展はございません。法的地位につきましては、永住権の問題、そのうらはらをなします強制退去の問題、それからこちらにおります韓国人の処遇の問題、教育とか生活保護とかいうふうな問題がございます。それから韓国に引き揚げます際の財産の持ち帰りの問題、こういう問題について、かなり討議は進んでおります。 それから船舶と文化財、これはあまり議論をすべき点がございません。政治的な決定に待つということになっておりますので、それほど中身のある討議はいたしておりません。
○大竹平八郎君 これは大臣お答えにくいと思うのでありますが、何か、先方の代表は、形式的に申しますれば、全くこれは韓国代表として、また当然それによってわが方は交渉の対象にされていると思うのですが、本国自身が李承晩革命以来落ちつきがないということで、本国のいろいろな政変といいますか、あるいは政変的な空気、そういうような情勢で、来られております代表の方々も、非常に動揺されておるのじゃないですか。そういう点が、こういうふうに時間をかけてもなおかつ見通しのつかないという結果になっているのじゃないでしょうか。これはあなたは、外務大臣として御答弁がしにくければけっこうなんですが、いかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在こちらに来ておりまする代表兪鎮午という方は、韓国における政界、言論界、学界のホープというような非常な期待をになっておる方だと承っております。で非常に韓国側としては、最も優秀なる代表を出しておるのだと承知いたしておるのでありますが、何分にも従来のいろいろないきさつがございまして、ことに李ライン問題を討議して、これを撤回するというのには、相当なる反動が先方には当然あるわけでございます。代表権の問題、財産請求権の問題にいたしましても、これは非常にいろいろないきさつがございまして、この委員会で何回も申し上げておるような複雑な経路をたどっておりますので、問題自体が非常に輻湊しております。こういうことから会談が延びておるのだと思うのでございますが、いずれにしましても、先ほど申し上げたように、十分この問題は討議いたしまして、そうして拙速ということは避けて、双方完全な了解の上に処理いたしたいというふうに思っておる次第でございます。
○大竹平八郎君 それから、これは岸内閣と申しますより、岸総理の失政といわれておるのでありますが、日本の韓国におけるところの請求権の放棄という大きな問題なのであります。これは当時の岸総理の心境の上から申しますれば、例の久保田発言あるいは漁夫の拘留、こういうような問題に対する一つの交換的な条件というようなこともあったと思うのでございますが、とにかく韓国における日本の請求権を放棄をしたということは、私どもは何といっても失政だと思うのでございまするが、これに対して国内の補償の問題ですね、これについては何か外務大臣としてお考えになっておられるかどうか。これを一つ承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは昭和二十七年の十二月三十一日のいわゆる米軍解釈をのんだという点についてのお考えだと思いますけれども、これは日本がサンフランシスコ条約の第四条(b)項で日本の韓国にありまする請求権というものは放棄しているわけであります。これは一九四五年の米軍軍令第三十三号によって、日本の韓国にありました財産を米軍が取得し、所有するということ、そしてそれが四八年に韓国側に復帰されたということを含めて日本側はそれを承知しておるわけであります。従ってそれについて今後に交渉いたしまする場合には、サンフランシスコ平和条約の第四条(a)項によるところのそういう交渉、それをやります際に、そうした事実を頭に入れて交渉の際の参考にして、そして請求権の問題を考えるべきである、こういう米軍解釈をのんでおる。日本もこれに同意した、韓国側も同意した、こういうことであるのであります。従いまして、私は決して失政とは言えないと思います。これは今後の交渉の結果で、私どもはその解釈というものを正しく解釈して、そして日本が大きな韓国にありました財産を放棄したと、それについて先方の請求権に対してその事実を十分考慮に入れて交渉するのでございますから、その結果明らかになると思うのであります。その補償の問題については、今の平和条約でさようなことを日本側が承諾いたしておるのでございますから、個人に対する賠償の問題というものは起きないと思います。これはあたかも十四条で連合国に対する財産請求権を放棄いたしましたことと同様に扱われるべきものと考えております。
○大竹平八郎君 そこで日韓問題の最後について——これは質問する私も実は非常に言いにくいことなんでありますが、国家のために忍んで申し上げますから、どうか一つ虚心たんかいに御意見を承りたいと思いますが、日韓全面会談の日本政府代表というのは昭和三十三年の二月二十八日に発令になっておるわけなんですね。そうしてその代表は沢田代表。まあ沢田さんは非常に外交経歴も豊かで、そうして手腕、識見きわめて高い人だとは思うのであります。そういう意味において、われわれは常々尊敬をいたしておるのでありますが、とにかく三十三年二月の発令なんでだいぶ長くなっておる。幸いというか内閣も池田内閣になられて、外務大臣は日韓問題の解決に最も意欲的だといわれる小坂さんが外務大臣に就任をされた、こういうような機会に代表を更迭するというお考えはございませんか。これは私はただ人をかえたからといって会談が成立するとは必ずしも思いませんけれども、とにかく一歩前進をするということだけは言い得ると思うのでありますが、はなはだこれは人的な問題で、質問する私もあえて忍んで申し上げたのでありますが、これについてお考えを一つ承ります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 日韓会談に関しまして長い経過をたどっておりまするが、これについては常に外務省が主となっていろいろ取りまとめをお世話しているわけでございますので、関係各省いろいろ御尽力を願っているわけでございます。外務省ではアジア局長が主としてこの関係をつかさどっているのでございまするが、ただいま御指摘のような点を私特に聞いておりませんので、この場で、そういうような考えを持っておりませんわけでございますが、なお御意見ございましたら、御遠慮なくおっしゃっていただけば、私の意見をまた申し上げたいと思います。
○大竹平八郎君 次に、先般の当補正のときにも池田総理並びに水田蔵相、小坂外務大臣にガリオアの問題につきまして申し上げたわけでありますが、先ほども千田委員からも御指摘がございまして、私はこの問題について債務であるとか、どうとかいうことについて議論をしようと思うものではないのでありますが、ただ池田総理が六月には渡米をする。そうして渡米の中で、非常にこのガリオア交渉というものが大きな問題であることは大体私どもとしても想像ができるわけなんであります。そこで、通産大臣のこれは所管と思うのでありますが、従来までガリオアの金額についていろいろといわれているのでありますが、二十億四千万ドルだとか、あるいは十九億五千万ドルだとかというようにいろいろいわれているので、これはまた正確な数字が政府として御答弁できないことも当時の複雑な空気の上からいって私は無理がないと思うのであります。まあ、一時は総司令部の管理下にあった場合もございますし、それからある年代になりましてからは、貿易特別会計として勘定をせられ、処理せられていたこともあるわけなんでありますが、そういうわけで、とにかく私どもの耳にいたしておりますのは、そういう一億ぐらいも違うのでありますね。もう六月も間もないのでありますので、相当この問題について細部的なまとめができていると、こう思うのでありまするが、一体正確な数字は政府としてはどのくらいに考えているのか、この点を伺いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 昭和二十四年の四月以降につきましては、御指摘の通り特別会計が設定されまして明瞭になっておりまして、その金額は約九億ドル、三月以前の問題は全部米軍の方において、連合軍の総司令部の管理下におきまして、商業物資も援助物資も混淆してはっきりしておらない。その数字をただいまいろいろな角度から綿密に検討しているのでありますが、今幾らかというお尋ねにはまだ自信を持って答える段階でございません。もしも、しいてといえば連合軍の総司令部の統計によってこれを推計するほかはないのでありまして、これはおおむね十一億ドルと、こうなっております。そこでこの十一億ドルがはたして正確な数字であるかどうかということにつきましては、連合軍が残置いたしました資料を中心としてただいま申し上げたように綿密な検討をしているのでございます。十分に、この問題につきましては、率外交交渉の貴重なる資料にもなりまするので、結論を出すについてはきわめて慎重にこれを進めている、こういう段階でございます。
○大竹平八郎君 そういたしますと、通産大臣、これは要するに日本側だけでは正確な勘定はできない、こういうのでありますか。そうして、その正確な数字を出す上においては、どうしてもアメリカ側との打ち合わせをしなければならぬ。また打ち合わせをしつつある。こう考えてよろしいんですか。 〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕
○国務大臣(椎名悦三郎君) 外交上の折衝に移りますれば、この数字の問題について先方の意見も提示されるであろうとは思いますが、ただいまわれわれが出そうとしておるのはそれ以前の資料でございまして、その内容については別段アメリカと折衝する気持は持っておりません。
○大竹平八郎君 水田大蔵大臣にこの問題について一言伺いたいと思うんですが、これはちょうど先般私があなたに質問しようと思ったところが、あなたが衆議院に参られて御出席なかったので、池田総理が蔵相代理として答弁をされたのでありますが、どうもそれはふに落ちないんですが、このガリオアの会談は池田さんとアンダーソンかロバートソンか知らないが、会談が皮切りで、その後佐藤蔵相その他の方々がたびたび会って交渉されて、最後が昨年のあれは九月かなんかでございますが、あなたが先方と交渉をされたんでありますが、そのことは私どもといたしましてもかなり詳細に突っ込んだ話ができたものと想像をするんでありますが、もしその点差しつかえない限りお答え願いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年私がアンダーソン氏とお会いしましたときは、このガリオア、エロアの問題は議題にしないということでお会いしましたので、この問題についての討議はいたしておりません。
○大竹平八郎君 それから、外務大臣にこの問題の最後についてお答え願いたいと思うんでありますが、このガリオアの債務であることについての議論は、先ほど申した通り、私はするものではありませんが、日本の終戦処理費でございます。日本の終戦処理費は、昭和二十一年から二十八年までの決算額を見ますというと、実に五千二百億円の膨大な金額に達しておるんであります。そこで、政府がこのガリオア処理交渉に際しまして、私はあえてこれを金額の高も違いまするからガリオアとこの終戦処理費を相殺をしろとまでは私は申しませんけれども、こういう莫大な五千二百億という終戦処理費というものが日本から出ておるのであります。こういうことから考えまして、今後この交渉に当たりましては、私はこの点を深く先方に訴える必要があるのではないか。これはまた日本の国民の全体の声でもあると、かように考えておるのでございますが、御所信を伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) この問題については、まさにお話のように五千二百億円、当時まあ複数レートでございますから、いろいろ計算して大体四十八、九億ドルになると思いますが、それだけのものを支払っております。しかし、これと同様なケースが西独にもあるのでございまして、西ドイツはその期間のものを六百六億マルク、ドルに換算しますると百二十七億ドル、大体われわれの倍以上のものを払っておるわけでございまして、講和条約でわれわれは占領軍費の負担ということについての合意もあるわけでございまするので、これは払ったことは事実でございますが、これとガリオア、エロアの交渉をからませるということはちょっとできないことかと思います。
○大竹平八郎君 次に、私は荒木文部大臣に対しまして少しくお尋ねをいたしたいのであります。 まず、私立大学の振興の問題につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、あなたからもいろんな機会においてたびたび御所信の表明があったようでありまするけれども、わが国の私立大学は言うまでもなく教育基本法及び学校教育法等によって設立、経営をせられて、今日は学術の研究等に関しましてはですね、国や公立大学に劣ることなく、国家社会に対して非常な有能な士を供給をしておる。そうして養成をしておる。こういうような事実からかんがみまして、すでに今日では国や公立大学中心の教育よりも、むしろ私立大学の振興いかんということが、わが国の将来に非常な影響を与える。私どもはこういうことをいえる時代になってきておるのではないかと、まあかように考えておる一人であります。しかし、この予算面から申し上げますというと、国立大学の関係経費は、総額にいたしまして昭和三十五年に五百五十億に達しておるわけであります。しかるにかかわらず私立大学に対しまする補助金は、私立大学研究設備助成補助金と、私立大学理科特別助成補助金とを合わせましても、十億三千万円という僅少な額でございまして、これを私立大学並びに官公立の学生の数で割ってみますると、今日私立は三十八万人、これを年間一人当たりにいたしまするというと、二千七百十八円というわずかなものでございます。これに対しまして、国立大学の総経費五百五十億円を国立大学の学生、十九万人でこれを割りますというと、一人当たりが二十八万六千円という、私立大学に対しまして約百倍の数字が出るわけでございます。 その他またその授業料の関係、あるいはまた育英資金の関係とか、こういう点から考えましていろいろあろうと思うのでありますが、憲法の第二十六条は、御承知の教育の機会均等を掲げておるのであります。こういう点からかんがみまして、文部大臣はこの際、私立大学に対する振興策について、思い切った施策を考えておられるかどうか、またこれはすべきではないかと私は思うのでありますが、御所信を伺っておきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。御指摘の通り、私立大学が教育の面において、非常な役割を果たしておる。国民の教育の機会均等の場において、公共的な働きをしておることは御指摘の通りであると思います。 そこで今、予算面からする私学と国公立との関係において、非常に差別しておると申しますか、金額が一方は膨大であり、一方は僅少だという意味の御比較のもとに御批判がございましたが、これは国立と私学との本来の性格ないしは特色からして、もうずっと以前から当然のことと理解されて今日に至っておろうかと思います。新しい教育の実施されました戦後におきましても、その考え方をずっと踏襲して参っておるように承知いたしております。言いかえますれば私学はあくまでも国の権力によって支配するという考え方でなしに、あくまでも自主的に私学のそれぞれの特色を生かして、教育の面で協力してもらう。まあ、そういう建前であろうかと思います。従いまして国立は読んで字のごとく、国で財政的にあらゆるめんどうを見る。私学はその沿革から申しましても自己資金ないしはまあ民間資金によって、みずからの責任において経営管理していくことを建前とする。ただし、やはり御指摘の通り、青少年の教育に携わる意味においての、公共性のきわめて高い施設でございますから、その意味において、国はできるだけの援助をするという建前で、その援助の方法も、一般的に申し上げれば、学校の施設ないしは設備等について、金が要る、それに対して、民間資金、銀行預金なんかならむろん大へんな金利がかさみましょうが、寄付金なり、あるいは一般の資金であるのに、十分でない、もしくは金利の問題がある、そこで、その資金を潤沢に協力していこうという意味から、なるべく長期の低利の資金を供給しようということで、私学振興会を通じまして、その私学振興会に政府か出資をいたしまして、それを資金として回転しながら、なるべく長期低利の資金を提供するということを一般的な国の私学に対する援助のまあ限界として参っておると承知いたします。ただ、特に、たとえば科学技術教育の振興というがごとき、特に金がよけいに要る、また、国としましても、私学に依存して人材の養成をしてもらわなければならないという必要性からいたしまして、適当なこれには補助金を支給する。まあ、そういう考え方で私学の振興に国が協力することが、私学の特質あるいは自主性ということを念頭に置きました場合の限界線ではなかろうか。こういう考え方で一貫してきておりますことが、予算面から申せば、御指摘の通り、一は五百億円以上、一は、三十六年度予算におきましては前年度より十億円ばかりふえまして、私学振興会の出資を含めますれば、今大竹さん御指摘の金額にもうちょっとふえまして、二十三億円余りかと思いますが、むろんそれで十分とは言えませんけれども、原則的に申し上げれば、国立、公立と私学のそれぞれの特性から、あるいは沿革からいたしまして、余儀ないことであろうかと思っております。さらに前向きに、もっと私学振興上必要な援助をなすべきことはこれは当然なことであろうとは思いますが、それは今後に待ちたいと存じております。
○大竹平八郎君 そこで私は、申し上げ、またお考えをお聞きしたいのでありますが、この今の教育制度は、言うまでもなく、アメリカ占領軍の遺産として今日まで引き継がれておるのでありますが、そういう意味からいきまして、もうこの辺で、現在のアメリカの遺産でござまする教育毎度というものに対して再検討を加えるの必要が起こってきているのじゃないか、かように私は考える一人でございます。ことに、この高等学校の三年と大学の四年が問題なんであります。高等学校三年は、旧制でも三年ではございましたが、それは事実上大学の予科としての三年でありまして、人格形成のいわゆる時期であった。現在の高校三年は、ちょうど昔の中学校のこれは変形でございます。実際には大学の受験の予備校的存在にまあ化しておるわけであります。そして、三年で卒業しても、有名な大学に入ろうといたすことはほとんど現在においては不可能であります、相当な秀才であっても。従って、浪人を一年する、あるいは二年するということは、これはもうざらなんであります。高等学校三年と、それから、皮肉なことを申し上げまするなら、浪人科を一年と、そして辛うじて大学へ進めるというのがこれが現段階の状況でございます。高等学校三年では実務にもつけないし、そうかと申しまして、大学へも直ちに入れないとすれば、昔の中学校五年のような、一年を加えて、高等学校四年制とし、三年から大学へ連絡して、四年は予備校的存在か、あるいは実務的学習期間とするとか考えられてよいのではないかと、私はこう考えておる。学習期間とすることが、まあむろんこれは必要であること言うまでもないのですが、普通高等学校は四年制として、最後の一年は追加的な一年としてもよいのではないか、これも私の私案であります。実業学校、すなわち商業学校やあるいは工業学校は、三年ではやはり短過ぎるのではないかと思うのでありまして、これを四年制にするとか、あるいは五年制にして、昔の専門学校的存在にするとか、これは何か聞くところによりますというと、技術関係を中心にして専科大学の御構想があるようにも聞いておるのでありますが、これはあくまでも私の私見でありますが、そういう意味におきまして、根本的に、アメリカ軍の遺産でございました教育制度というものをこの辺で大改革をするの必要に迫られておるのではないかと、かように考える。ことに、最近の中小企業工場等におきまして、一番必要なのは中以下の技術者であります。昔ございました工手学校程度のこの卒業生の技術者というものは、中小企業の繁栄をいかに助長したかということは、これは私が申し上げるまでもないことであります。そういうような制度等も勘案をいたしまして、この際考えるべきじゃないか。ことに、技術関係の問題につきましては、先般池田科学技術庁長官の異例な発言があって新聞をにぎわしたことがあるのでございますので、この際、一つその所信を伺っておきたいと思うのであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。学校教育制度を全般的に再検討すべき時期ではないかというお説でございますが、私もその気持においては同感でございます。ただし、六三制、すなわち義務教育課程そのものにつきましてはいろいろ批判もあるようではありますが、その実質を改善していくというやり方で一応いいんではなかろうか。ただ御指摘のごとく、大学制度につきましては、終戦直後占領軍によって示唆されました線でスタートを切りまして、そのままで一つも手直しということはなかったと記憶いたします。 〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕 そこで現在、すでに前大臣のときに中教審に諮問が発せられまして、大学制度全般について検討をしていただきたいということで、昨年以来鋭意中教審において審議中でございます。そのうちに御答申を得られることと思いますが、その答申を待ちまして、文部省自体としても具体的な検討をいたしたいと存じております。さらにまた、五年制の特殊な考慮を払った専科大学というがごときものを考えたらどうだという御意向もあったようでありますが、これはすでに御承知の通り、今まで二回ほど提案されまして、不幸にして審議未了に終わっておるように承知いたしております。審議未了になりました理由等を再検討いたしまして、今度は人材養成の具体的な社会の要請にこたえる意味合いにおきまして、五年制度の大学じゃなしに、高等専門学校とでもいうべき考え方で立法措置を講ずべく今鋭意準備中でございます。要すれば、なるべく早い機会にこの国会に御提案申し上げて、御審議を願いたいという心がまえでおる次第でございます。
○大竹平八郎君 次に、労働大臣にお尋ねいたします。例のあの、今回起こりまして、衆、参両院において緊急質問まで行なわれました、例の九州の上清炭鉱の災害でございますが、これは御承知の通り、戦後最大のものでございまして、しかも課長補佐が自殺をするというような悲しむべき問題まで起こりました大きな事件でありますが、そこで、日本の産業におきまする災害でございますね。こまかいことはよろしいのですが、お答えできる程度お答え願いたいと思います。最近の各産業別におきまする災害の件数、それから死傷者数、それから災害の損失金額、こういうものを含めまして一つお答え願いたい。
○国務大臣(石田博英君) 一般的に申しますと、災害率は減少しております。しかし、雇用が増大いたしておりまするし、生産性も向上いたしておりまする状態でございますので、絶対数はふえておるのであります。今、概略の数字を申し上げますと、労働者の死傷件数でございますが、三十四年——これは一日以上休まなければならないような死傷の事故であります。三十四年は七十四万三千五百名であります。そうしてそのうち死亡者が五千八百九十五名であります。それから三十五年、これはまだ若干残っておるのでございますので、推定でありまするが、七十九万五千二百名、死亡者が六千七十名、で、この場合におきましては、これも推定でありますが、あとにつまり傷が残る人々が、七万人くらいに上るのではないかと思われます。 それからこれを規模別に見てみますると、これは千人率で計算をいたしますと、三十三年ごろから申しますと、三十三年は、全産業におきまして、全規模におきましては三四・九でありまして、それが三十四年には三三・九、三十五年の推定では三三・二と若干ずつ減少をいたしております。しかし、これを企業の規模の大きさで見てみますると、百人以上は、三十三年には二一・四でありましたのが、三十四年は一九・九、三十五年は一七・九と、百人以上の事業所においては減少を示しておりますが、それ以下の中小企業におきましては、三十三年が四四・八、三十四年が四三・八、そして三十五年はなお四三・六でありまして、これを二十七年まで振り返ってみますと、二十七年には百人以上が三三・二、百人未満が三〇・八と、むしろ中小企業の方が少なかったのであります。それがただいま申しましたような数字になっておるので、中小企業の方に非常に多くなっている。これはむしろ、二十七年から約十年間見てみますと、逆にふえているということであります。 それから重大災害、これは三人以上の死傷が出た場合でありますが、これが三十三年には二百三十二件、三十四年には三百三十八件、三十五年には二百九十四件、やはりむしろ三十四年から比べますと減ってはおりますけれども、全体から見るとふえておる、こういう状態であります。これを雇用並びに国の総生産の状態から見ますると、三十年を一〇〇といたしまして、産業災害の指数は二三と増加しておりますが、雇用は一五二・主、総生産は二三五・七となっておりますから、雇用の伸び、生産の伸びに比べますと、まあ低いわけでありますが、しかし、ただいまも申しましたような、中小企業における災害が増大し、それからいわゆる重大災害がふえておる、そうして大規模は著しく改善されておるというのが実情でございます。
○大竹平八郎君 そこで通産大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、池田総理は十日の本会議で、保安と生産は車の両輪ではなくて、保安あっての生産であるという言葉を言われたのであります。まさに私どもその通りだと思うのであります。そこで、ただいま労働大臣から御答弁にあったように、中小企業が非常にこの災害の件数というものが多いのであります。そこで、この中小企業の災害の多いという、こういう点を、私どもはよほど政府当局として吟味をしてみなければならぬと思うのであります。労力に重点を置いて、そうして近代化的な機械の設備は高いから、これはおいて、なるべく古くて、そしてまあ安い賃金で、能率の上がり得るようなものだけに重点を置いてやられると、こういうような気配が、私どもは非常に多いと思うのでありまするが、この点に対しまして、通産大臣はどういうお考えを持って、またどう措置を現在とられておられるか。これはもう今労働大臣が示したように、はっきり中小企業の災害の状況というものを数字において示されておるのでございますので、ぜひ一つ明確な御答弁を願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 鉱山災害と、それから工場災害のうちの爆発物関係は通産省の所管でございますが、最近この通産省所管の中小鉱山、あるいは中小企業等において、しばしば災害が発生しておる状況でございます。今回の上清炭鉱の空前の災害を見たのでありますが、これらにかんがみまして、産業災害対策連絡会議というものを政府の中に設置いたしまして、逸雄省といたしましては、既存の鉱業法でありますとか、あるいは保安関係の制度を極力活用して、災害対策を強力に推進したいと考えております。特に、御指摘の中小鉱山等につきましては、保安の現状にかんがみまして、指導員制度を三十五年から創設をいたしまして、そして保安技術、あるいは保安教育と、そういう点を大いに改善するように努力して参ったのでございますが、今後さらにこの方面に力を一段と尽くしたいと考えておりますし、それからまた、何分にも中小鉱山等においては、経済力が弱い。そういう点から、保安施設等に手抜かりが生ずる傾向にございますので、これらの点につきましては、きわめて有利な融資をあっせんいたしまして、そして保安施設の充実に努めて参りたいと考えております。
○阿具根登君 関連。労働大臣と通産大臣に関連して御質問を申し上げますが、労働大臣が先ほどの答弁で、災害の率は減ったけれども、雇用の増大、生産の増大によって、災害の量はふえた、こうおっしゃっている。私はその点においてはそうだと思うのであります。それから炭鉱におきましては、政府の政策によって、この二年余りに四万名以上の人が減っておる。二十九万おったのが二十五万しか今いないわけなのです。減って災害がふえてきた、これは一体どういう意味か。 それから通産大臣は、本会議の私の質問に対しては、保安要員は減らしておらないとおっしゃった。保安要員は減らさなくて生産要員を減らして、そうして生産が上がりますか。保安要員はもとのままで、第一線の生産要員だけを減らしたということになるわけです、四万人減らしたということは。それで生産が今日のように上がって人が減った、そういうばかな話がありますか。ただ会社側とかあるいは官庁の調査のみであなた方は答弁をされておるから、ほとんど会社の言うなりの答弁をされておる。そうでなかったならばこういう数字は出てこない。私の時間になりましたら、私はもっと詳しく御質問申し上げますが、以上御質問申し上げます。
○国務大臣(石田博英君) 私が先ほどお答え申しましたのは、全産業についての数字でございます。炭鉱についての取り分けた数字を私は今持っておりませんが、おそらくその阿具根さんのおっしゃったような傾向があるのではないかと私は推定をいたします。その原因その他については、私は私なりの所見は持っておりますけれども、所管が違いまするから、通産大臣からお答え申し上げます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 保安要員を減らしておらないと申し上げましたのは、災害の発生した上清炭鉱について、従来の要員というものは減らしておらないということを申し上げたのでございまして、全般の問題については、私まだ手元に数字を持っておりませんが、上清炭鉱については要員は減っておらないということを申し上げたのであります。
○阿具根登君 まあ関連だからいいでしょう。
○大竹平八郎君 労働大臣に続いてお尋ねいたしますが、最近の就職状況がいいことは、これは言うまでもないのでありますが、しかし、年令別に見ますると、中年者の状況は必ずしもよくない。この点はいつぞやあなたに私は御質問もいたしたわけであります。それからいま一つ、最近は中学卒業生が引っぱりだこであったわけでありますが、しかし、この昭和三十七年、八年くらいになりますると、相当いわゆるこの戦後の出産ブームのおかげによってだいぶふえて参るわけであります。従って、この点に対して三十七、八年後に予想いたしまする労務状況、それからその間に処して谷間の中に歩みまする中年者の就職という問題をどうされるか、この考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) まず、若年属の新規学校卒業者の問題についてお答えを申し上げたいと存じますが、その前に、今まで三十五年度の卒業生について私が各委員の御質問にお答えをいたしておりましたのは、まだ三十五年度の卒業生の年度の終わりにきておりませんでしたものですから、推定の数字でございましたが、ほぼ確実なものが判明いたしましたので、この際訂正いたしておきたいと存じます。それは、三十五年度におきまする中等学校卒業生の就職希望者は三十六万五百三人であります。これに対しまして新規求人数が百二万三千六百三十二人、それで求人率が二八四、約三倍であります。それから高等学校卒業生のうちで、就職希望者は五十九万八千五百七十六人、それに対して求人数は百十九万六千六百六十三人であります。これは今の求人率が二〇〇であります。ちょうど二倍に相当いたします。で、との傾向から参りますると、三十七年ごろから四十三年までに見られまする戦後の生産率の上昇に伴う新規労働人口の増加には、私はこの傾向から見てみますると、そう心配は要らないのじゃないか、新規学校卒業者については要ると思います。詳しい数字の記憶はございませんけれども、大体一番多い年で、十五才になりまするいわゆる新規労働人口が、平年大ざっぱに一〇〇と、した場合に、一七〇くらいのものになると存じます。従って、ただいま申しましたような現在の状態、これがさらに経済の成長に伴ってこの傾向は増加すると思います。と申しますのは、今の求人率を昨年に比べますと、昨年の求人率は、中学については一九一でありまして、高等学校については二二四で、著しくこの傾向が強まってきておるのであります。しかし、中高年令層につきましては、これはきわめて憂慮すべき状態にございます。そこで、この問題を処理いたしますためには、まず第一に、新しく高年令層の失職者を出さないようにいたさなければなりません。そのためには、何と申しましても定年制の延長であります。で、定年制の延長につきましては、先般私は、まず政府関係機関の代表者においでをいただきまして、中高年令層の就職問題一般に加えましてお願いをいたしまして、それぞれ現在でも、いわゆる五十五才から二年ないし三年それぞれ延長されつつある傾向にありますけれども、これをさらに助長していきたいと存じます。 第二には、やはり石炭産業、あるいは駐留軍関係、あるいはドル防衛、さらに将来推定されます貿易自由化というようなものによって起こって参りますいわゆる産業政策の変化、経済の発展というようなものに伴って起こります雇用の変動、ここで出て参ります離職軒というのは、ほとんどがいわゆる新規な学校卒業者ではございません。これには、まず第一に職業の再訓練を行なっていくことによって新しい就職の機会の増大に努めて参りたいと存じます。これはいつかもお答えを申し上げたと思うのでありますが、技術の訓練が行なわれますると、相当の年令層の就職も、非常にいい成績を示しております。九州荒尾の三池炭鉱の離職者を対象といたします訓練所の第一期の卒業生が先般卒業式をあげたのでありますが、一〇〇%の就職率でありました。この中には五十五才の人が二人、五十二才の人が一人、四十才以上の者がほぼ半分くらいであったように私は記憶いたしておりますが、それが一〇〇%の就職を示しました。従って、職業の再訓練を行なうということであります。 それから第三番目には、やはり一面において新規学校卒業者に対する求人が今申し上げましたような数字でございますから、各職種の中で、中高年令層で充足し得られる職種を調査いたしまして、その職種に対する職業のあっせんその他は、でき得る限り新規学校卒業者を避けて、そうして中高年令者をあっせんするように全般的に指導をいたしていくことによって処理をいたしたいと存じます。これはやはりまず政府関係機関から始めまして、順次民間の協力を仰いで参りたいと考えておる次第であります。
○大竹平八郎君 そこで、最近の傾向といたしまして、中卒、高卒等が多く大企業の中に吸収されていく。中小企業は非常に悩んでおるわけですが、これに対する政府の対策はどういうような手を打たれて一おるか。
○国務大臣(石田博英君) これは何と申しましても、中小企業の労働条件の向上をはかっていく以外にはございません。それには、まず最低賃金制、あるいは中小企業退職者退職金共済制度、あるいはまた失業、労災その他の各種の社会保険の小規模事業場への適用、さらに週休制、一斉閉店、その他基準法の命ずる条件の履行、また家内労働についての行政指導、さらに、ひいては家内労働法の制定等の努力をいたし、その行政効果を上げて参りまするとともに、どうも中小企業者一軒でできない、たとえば住宅の建設とか福祉施設の建設等につきましては、これを共同で行わしめるように指導をいたしまして、それについての所要の資金の融資をはかるという方法をとって参るのであります。とれについては、厚生年金の還元融資額三十億円を現在準備をいたしておるようなわけでございます。しかし、さらには、一面において中高年令層の就職が困難でございますので、先ほど申しましたように、私どもで調査いたしました職種約百二十種に上っておるのでありますが、そういう職種につきましては、中高年令層の人々を、要すれば職業の訓練をいたしまして、そうしてそういう人々を使っていただくようにあっせんをいたして参りたいと考えておる次第でございます。
○大竹平八郎君 時間が参りましたので、いま一点だけ小金郵政大臣に一言お尋ねいたします。あなたが大臣に就任されて以来、ちょうど十二月を前に控えて非常に努力をせられて、われわれが憂慮いたしておりました年賀郵便等、割合に円滑にいったわけです。ところが、最近の状況は、またまたひどくなって参りまして、このごろ少しく用件の重いものは、普通はがき、普通郵便ではとても間に合わないというので ほとんどが速達を出しておるようであります。そういうようなことから考えまして、郵便料値上げ、値上げといっているけれども、もうすでに実際的には倍以上の値上げになっている。十円のところは二十五円か何か張る、倍以上なんです。そうして普通の郵便であれば、ほとんど告別式には間に合わない。いろいろな集会が間に合わない。これはもう日本じゅうの世帯がみんな困っておることなんです。そこで私どもは、いやでも応でも速達を出さなければならぬという、こういうことなんです。この原因というものは一体どこにあるのか。そうしてこういうように日本じゅうの人がみんな困っている。都会に住む人も山の中の人も、みんな困っているのだ。こういうような状態を一体どう打開するのか、また、打開しつつあるのか、この点を私は伺って質問を終わります。
○国務大臣(小金義照君) ただいまお尋ねの、郵便物の遅配につきましてはまことに遺憾でございます。ただいまの現状から申しますと、本日調べました数字によると、大体積滞数が百七十万通余り。百七十万通余りと申しますと、全一日の数から見ますと一〇・一%くらいに当たっておると思います。小包が二万数千個ですか、これが大体全小包の一日の量の平均を見ますると、七・四%くらいかと思っております。これだけの数字から見ますと、十分の一日おくれればいいはずなんですが、ところが、なかなかそうはいかない、全般的に遅延の状況が発生しております。と申しますのは、郵便局の中で郵便物の遅滞しておる局が、大体日本で普通局でございまして、つまり大きな郵便局ですが、五十局ぐらいございます。その五十局の割り振りは、東京が一番多い。東京の区内、名古屋、大阪、それから北九州の主要都市、こういうところの郵便局にたまっております。それが、そういうところの局がたまっておる状況は全国的に響きまして、一日あるいは二日、速達でも三日かかっている。大へんな苦情が参っております。まことに申しわけない次第でありまして、非常に私が心を痛めておりますのは、就職、入学の通知がおくれて、速達がおくれている、こういうことで、非常に申しわけないと思っております。ただ申しわけないで済まないので、私は、郵政部内の全職員に対して、この郵便物の連行の、郵便行政の連行の正常化を呼びかけて、同時に、また管理者を督励いたしておりますが、ただここに、二月の二十八日限りで、俗にいう三六協定と申しまして、超過勤務の協定が切れまして、いわゆる無協定期間に三月一日から入ります。入りまして協定がなくても、努めて超過勤務をして、あるいはしないでも、郵便物をはかさなければ家に帰らないという局もありますが、まあ三六協定がないものだから超過勤務をしない。超過勤務をしなくても、相当な数量ははかせていかなければなりません。ある局のごときも、現実に調べますると、人数の配置が足らぬじゃないかということで調べましたが、そうではない。私は、給与の点、それからまた機械化、合理化の点についても、相当思い切ってやれ、また、やらしつつございますが、私は一つ残念なことには、勤務内容、これが充実されていないじゃないか。たとえば三六協定がないと五時なら五時に帰るということになると、従来の気風からいきまして、どうも勤務内容が充実しない。そこで、ある局のごときを調べてみますと、無届欠勤がありまして、そこの集配区域のものには郵便物を配れない。また、突然の無届欠勤でございますから補充ができない。しからば郵便事業の行政としては、十分な人を配置したら、ピークを中心に人員配置をしたらいいという説もありますけれども、ピークを中心に人員を配置いたしますと、今の何倍か郵便料金を上げても、これは人を配置し切れない。のみならず、郵便事業の本質からいきまして、これは少ない日もあるし多い日もありまして、大体平均したところをとって、それからかさの上がったところは超過勤務でやっていただく。これは長い慣習であるのみならず、私は郵便事業を見てみまして、やはりある程度それは許されなければならない。そうなると、どうしても超過勤務をやっていただかなければならない。超過勤務をやる協定がなくなると、どうしても今のような、サボタージュじゃございませんと思いますけれども、勤務内容がよくならない。従いまして、三月早々から指導班——パトロールと申しますか、指導班、監察班等を出しまして督励いたしておりますが、なおかつ今のような状況であります。 それから、速達がおくれますのは、まことにこれ容易ならぬことでありますが、非常にこれまた遺憾でありますが、労働組合運動としては、春闘、夏季闘争、それから年末闘争、郵便物、特に急ぎの郵便物等の需要が多いときにその労働闘争がやってくるものですから、あたかも国民の非常な大事なときにその闘争が繰り返される。今日もそのような状態が発生いたしておることはまことに申しわけないことで、われわれ全省内をあげまして、また、まじめに勤めていられる勤労者、第一線の郵便局員等も、心を合わせましてこの解消に努力しつつございますが、まだ成績の上がらないのはまことに申しわけないと思っております。 —————————————
○委員長(館哲二君) 岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表しまして、国防、外交、新安保条約下のイデオロギー体制、これらの諸問題について質問いたしたいと思うのであります。 まず、最初にお伺いいたしたいことは、この前、西村防衛庁長官に対しまして、防衛庁から治安行動草案を出してもらいたい、こういうような要求を、当委員会の成規の手続でやったはずです。ところが、これに対しましてきょう出されました「治安出動時における行動の基準について」という片々たるものがございますけれども、これはこの前の要求に対する提出でございますか。
○国務大臣(西村直己君) 委員長を通し、正式に御要求がありましたから、私の方は、治安行動につきましての考え方を、委員長を通し、各位に御配付を申し上げたのであります。
○岩間正男君 委員長から確認していただきたいと思うのでありますが、この前の提出の項目は、治安行動草案を出してくれ、こういうことになっておるはずであります。ところが、ここに出されましたのは草案じゃないのです。何かほんとうにこれは三下り半式な、抽象的なものです。これでは私は当委員会の要求にこたえることにならないし、また、私の当時の趣意でもないわけです。従いまして、これについて委員長ははっきり御返答願いたい。
○委員長(館哲二君) 岩間君の要求は、委員会を通じて三月三日に出してあります。それに対しまして防衛庁から本日配付せられましたような資料としての提出があったわけであります。それについて十分でないというお考えでありますれば、さらにまた理事会で後日打ち合わせをして検討したいと思っております。
○岩間正男君 防衛庁長官は、私たちの草案そのものを出せという要求に対してこたえておられないと思うのですね。こういうもので私は実際今行なわれておる治安行動の実態をつかむことはできない。従いまして、非常に問題がはずれておると思うのでありますが、この点いかがでございますか。
○国務大臣(西村直己君) 治安行動草案は、私どもは国会へ御提出するつもりございません。これは単にまだ草案の段階であります。
○岩間正男君 これは新聞にも伝えるところによりますと、この前問題が起こったあとに、陸幕の幹部に会って聞いてみるというと、まあそういうものはできておる、しかも、これに対して防衛庁長官が判を押すという、最後の決定段階に入っておる、こういうふうに聞いておるのでありますけれども、そういう態勢の中で、当委員会の要求にはおこたえにならないのでありますか。
○国務大臣(西村直己君) 草案というものは検討いたしまして、流動いたして参るのでございます。私の手元まで参るには、まだ相当な検討が加えられると、こうお考えを願います。
○岩間正男君 私は、国会の権威において、この草案の段階で大へんな問題がある、国民の治安に対して、われわれの生——そのような平和を守るためには絶対これは必要だ、こういうことで、まだ固まらないうちにこの草案に対して質問をしておる。私はなぜそういうことを特に質問をしなきゃならないかというと、次のようなたとえば一つの例をあげれば、国民も、それから同僚の委員も納得していただくだろうと思うのです。これは衆議院の三月四日の速記でありますが、社会党の横路君の質問に答えて、予算委員会であります。スクラムの引き抜きに対して特定の人を目がけて狙撃手を使うことは常識で考えられないとあなたは言っておられる。常識で考えられないことを規定しているのがこの草案じゃないですか。私は、だから一部でもいい、この草案を当委員会に出して、もしも全体に配ることができなければ、回し読みでもいいから、この草案についてはっきり内容を検討することが重大だと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(西村直己君) 普通の治安、公共秩序の維持の場合における自衛隊の行動、また間接侵略の場合における自衛隊の治安出動等の場合の行動、おのずからそこにそれぞれの質の違いがあるのは当然であると私は考えております。単に普通の国内における純粋の治安行動の場合において、また非常な最悪な状態、いわゆる間接侵略であります。その場合における治安行動とは、おそらくおのずからとる道が違うということは普通の常識である、こういう意味でございます。
○岩間正男君 私はそういうことを聞いていないのです。あなたは抽象論に戻しますが、こう言っているのですよ、横路君は、「去年も安保デモについてスクラムを組んでいる。そうすると警察官が引き抜きをやる。やはりあなたの方も出ていって引き抜きをやる。そういう場合に」、「あなたの方では、そのスクラムを組んでいる首謀者とおぼしき者に対してその狙撃手で」、「手足をねらってやる」、これは大へんなことですよ。これに対してあなたは、治安出動というのは「日本人に対する直接の問題でありますから、非常に気をつけるわけであります。おそらくそういう際に特定の人を目がけて狙撃手を使うということは常識として私は考えられない。」と、これはあなたまさにこの通り答弁されたと思う。それは衆議院の速記録で調べたのですからはっきりしておる、こう答えられた。ところがですよ、ここの草案を見てごらんなさい。この前私が提出いたしました三十七ページにはっきり書いております。引き抜きという条項がある。その中のdに、「引抜きを実施する際は、途中において暴徒の行動が暴力化することを予期し、直ちにガス、狙撃平等を使用しうるよう準備しておかなければならない。」あなたは、想像されない、常識では考えられないと言った。ところが、そのことははっきりこの草案の中にはうたわれているのです。そうすると、あなた自身は防衛の最高責任者として、防衛庁長官としてこういう実態を知られない、全然知らない、そうして陸幕では実際やっていることを何ら知らないでおいて横路委員の質問に対して答えた、こう言わざるを得ないのであります。つまり今問題になっているシビリアン・コントロール、このコントロールがきかなくなる。そして軍隊は軍隊としてもう独立的な立場で動きつつあるのじゃないか。あなたはもうたなに上がっているんじゃないか、私はこう思うのですが、いかがですか。たな上げじゃないですか。これについてはっきり答えて下さい。
○国務大臣(西村直己君) 私は別にたなに上がっているとは思わぬのであります。御承知の通り、自衛隊法に治安出動、それから間接侵略の場合における治安出動と、おのずからそこに間接侵略とそれから純粋の治安出動とがございます。それからあなたがそこにお持ちになっておられる草案と称せられるものは、一体いかなるものを根拠にしておられるのか、私にはわからないのであります。ただ問題は、間接侵略の場合における限度あるいは普通の治安における限度と、おのずからそこに常識で質が違って参るということは、間接侵略の場合には、極端な例を申し上げれば、不正規兵が入ってくる場合もありますれば、武器の投入ということも一応間接侵略、いわゆる外国の教唆によるという形がとられてくる場合であります。それから同時に、純粋のあなたが今言われるような治安出動の場合におきましては、警察がまず正面に立つのであります。警察が全部破壊されたような場合において、われわれは大体治安出動の漸次いろいろな形をとっていくのであります。あなたはただ普通の警察がまだいる間に治安を直ちに防衛庁が、自衛隊が出てきて、しかも、狙撃手を使ってやるような印象を与えるような御質問でありますから非常に奇妙にとれますが、私どもはそういうような考えでなくて、あくまでも物事を常識的に一つ判断をしてもらいたいと考えております。
○岩間正男君 その常識的なという、あなたが常識では考えられないと言っているから、われわれは重大問題としている。あなたは一般論へいつも戻されて間接侵略だと言われる。間接侵略どころじゃありませんよ。一体あなたは草案をお読みになったのですか、私はお聞きしたい。陸幕の幹部ははっきりこれを認めているのです。そのものだ。事実そうだ。あなたはどうですか。
○国務大臣(西村直己君) あなたのお持ちになっておられる草案を陸幕の幹部が承認しているという事実は聞いておりません。
○岩間正男君 あなたは新聞をごらんにならないのですね。あなたは、この前私が質問してから次の日のこれは都下の新聞、全国の新聞、みなこの問題を取り上げました。そういう中でほとんどこれは新聞が言ってきておる。実際見ておるのであります。こういう事実があるのです。あなた自身はそういう実態を見たら、それについてこれを調べてみるのが当然あなたの責任だと思うのですが、これをやられなかったのですか、この点をお伺いいたします。
○国務大臣(西村直己君) 私は内部の草案についてはある程度知っております。特に私どもはあくまで、御存じの通り、自衛隊法というものによって厳重にいろいろな制約を受けております。その範囲内において任務を尽くすのであります。従って、自衛隊においてかりに草案を検討いたしましても、自衛隊法の中でやるのでありまして、あなたのお持ちになっておる草案は、いかなる形で、いかなるところからお手に入れになったか、私には全然見当がつかないのであります。
○岩間正男君 だから、私は草案を出して具体的に逐条的に審議してごらんなさいというのです。今あなたが言ったようなことになるかならないか——ならないのです。はっきりならないのです。あなたは抽象的なことでいつも問題をそらしておる。私はこの問題を逐条的にやる時間はきょうはないです。これは草案をぜひ出してもらわなくてはならない。しかも、どうですか、あなたの先ほど出されたこの草稿を読んでみますと、これはよく検討中だということを言っておる。しかし、これは検討中だけじゃないのです。これは実際に今持てる部隊を使って訓練をしているのでしょう。こういうことをあなたはっきりしているのじゃないですか。市ケ谷の部隊をあげて私はこの前指摘したのです、それについてあなたは検討中だ、草案で検討中だと言っておるが、実際やっておるのですよ。実施しているのですよ。私はだから心配しているのです。これについてはっきりお答え願います。
○国務大臣(西村直己君) 治安維持は自衛隊の本来の任務でございます。もちろん警察の補助としての意味における治安維持は自衛隊の本来の任務であります。従いまして、自衛隊法が定まりまして以来、幾つかの草案が出ておるのであります。そのたびに現実に、草案というものは机上にただ図面を引くようなものではございません。ある程度部隊と合わせてみなければ検討ができないのであります。そういう意味で検討を加えておるのであります。
○岩間正男君 私は、この問題に対して答えられたただいまの答弁で、防衛庁長官がいかにこの問題で無知であるかということがはっきりしたのです。私は先ほどあげたあの横路君との応答の理由によりまして、これは全く日本国民の治安に関する重大な問題ですから、ぜひこれは委員長において、当委員会で決定いたしましたように、草案そのものを私は、要求いたしておるのでありますから、これを至急出して、そうして当委員会の審議に十分間に合うように私はやっていただくことを重ねて要求いたしたい。 それからもう一つお聞きしますが、あなたは自衛官精神要綱というものをお出しになりましたけれども、きょうもらった。しかし、これは全く片々たるものです。こんなものでは審議できないと思うのです。しかも、どうです、きのうの新聞を見ると、われわれ国会でもらったよりもはるかに詳しい内容がすでに新聞にこれは明らかにされておる。そうすると、全くこれは国会無視じゃないですか。国会にはこんな片々たる五、六行のものを出しておいて、そうして新聞には膨大なるものがこれは紹介されておる。このような国会軽視の態勢について、委員長から注意して下さい。
○委員長(館哲二君) 岩間君の資料要求につきましては、理事会とまた打ち合わせまして適当に処理したいと思います。
○岩間正男君 ぜひ委員長の賢明な御判断によりまして、実に重大な問題でありますから、これについてわれわれの最初出しました要求を貫くようにお願いを申し上げ、また同僚の皆さんにもこのことをお願い申し上げて、私はきょうの段階では次の問題に進みたいと思います。 次にお伺いいたしますのは、外交問題であります。私は中国問題についてお伺いしたいと思います。今、大きな問題になっている中国問題に日本が正しく対処するためには、何よりも根本原則を明らかにすることが最も大切であると思います。そこで、この根本原則をただすために、きのう関係文書の提出を私は要求しておいたのです。外務大臣はそれに基づいて私の質問に正確にお答え願いたいのです。再確認の意味がありますから、少しくどいようでもお願いしたい。まず第一に、カイロ宣言、次にポツダム宣言、さらに一九四五年九月二日に日本の降伏文書が出ております。この三つについて、そのうちの台湾の領土条項に関する部分を述べてほしいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) カイリ宣言は、台湾、澎湖島は中国に返還さるベしと規定してあります。
○岩間正男君 よく聞いて下さい、私は時間が少いのだから……。私はカイロ宣言、それからポツダム宣言、降伏文書、三つを言っているのですよ。カイロ宣言だけじゃだめですよ。よく聞いて下さいよ。
○国務大臣(小坂善太郎君) ポツダム宣言は、カイロ宣言の条項は履行さるべきものと規定されております。降伏文書はポツダム宣言を受諾しておりますが、これは休戦協定の性格を意味するものでありまして、領土的処理は行ない得ない性質の文書であります。
○岩間正男君 その条項を正しく読んで下さいよ……。
○委員長(館哲二君) 岩間君御発言願います。
○岩間正男君 ちょっと時間を取られてしまう……。
○委員長(館哲二君) 不満足ならばもう一ぺん御質問願います。
○岩間正男君 きのう言っておいたのですよ、あなたに。
○政府委員(中川融君) カイロ宣言、ポツダム宣言は、ただいま外務大臣の言われた通りでございます。 なお一九四五年の九月二日の降伏文書でございますが、その降伏文書におきまして、日本はポツダム宣言の条項を履行する、誠実に履行する、こういうことをいっております。
○岩間正男君 あなたは降伏文書をはっきりしなかったですな。こういうように正確に書いてあるでしょう。ポツダムにおいて、米国、中国及び大ブリテン各政府首脳によって、代表が、その後ソ連も加わった宣言の諸条項を認める、こういうことをはっきりこれは降伏文書にうたってあるわけです。私は今あげた三つの文書によりまして実に問題ははっきりしていると思う。台湾は中国に返さるべきだし、関係国はそれとそれを実行すべきことを固く約束しているのが、この文書だと思いますが、小坂外相は、この国際的に確認された厳とした事実を否定することはできないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今申し上げたように、降伏文書が値上の処理について述べておるのではございません。サンフランシスコ講和条約、そこにおきまして、この帰属については、関係国で決定して、協議決定してきめるということを、われわれは了承しているわけであります。
○岩間正男君 あなたは先ばしりして、そういうなにをする必要はないのです。私は筋をただしておる。経過をただしておる、歴史的経過。そうして今中国問題に対処するためには、あくまでも基本的な問題を明確にして、そこから再出発をしなければ、断じてこの問題は私は解決しない。そういう点から質問をしているのであります。そこで、カイロ宣言、ポツダム宣言、降伏文書の精神によって、はっきり台湾の帰属は中国に帰る、こういうことをはっきりあなたはお認めにならなくちゃならないと思います。いかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今申し上げましたように、カイロ宣言は、台湾、澎湖島は中国に日本が奪取したのだから返すということを規定しておりまして、われわれはこのポツダム宣言を受諾いたしました。ポツダム宣言には、カイロ宣言の条項は履行せらるべしということが書いてある。そうしてわれわれは降伏文書によって、ポツダム宣言の受諾を宣言したのであります。しかし、これは降伏文書というものは、休戦協定の性格を有するものでありまして、領土的処理を行ない得ない性質のものであるということを申し上げたのであります。
○岩間正男君 そういう国際法的な解釈はありますか。あなたはそういうごまかしをやって、日本の外務大臣をやっていてはだめですよ。もとをただすことを私は言っているのですよ。これはそんなことを言っても、次の文書を見てごらんなさい。続いて一九五〇年一月に、トルーマン大統領がはっきりこの問題について声明を出しています。そうしてその声明に従って、そのあとで、同年の二月九日付で、アメリカ国務省がはっきり声明しているわけです。台湾の領土条項に関するところを読んで下さい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 一九五〇年一月のトルーマン声明は、台湾の地位に関するアメリカの政策と題しまして、台湾は蒋介石総統に引き渡され、過去四年間米国と他の連合国は同島に対する中国の権限の行使を受諾している、と述べておりますが、これは領土権とは関係なく、国民政府が台湾に対し、現実の支配を及ぼしておるということを認めたものであります。
○岩間正男君 そういうあなたは、一々その事実を今のようなあなたの解釈でごまかしてはならぬと思う。それからもう一つ、どうですか。そのあとの、国務省がはっきりそれをバックアップして、さらに声明しているでしょう、その声明は。
○国務大臣(小坂善太郎君) 一九五〇年二月国務省声明は、法的には、その大統領声明の内容を確認したものでございます。なお、この声明中で、その他台湾において人民投票を行ない、その結果台湾の帰属を決定することの可否に関しまして、政策的な検討は加えております。しかし、この声明、国務省声明というのは、今申し上げたように、大統領の声明の内容を確認したものでございます。
○岩間正男君 委員長、注意して下さい。議事進行。私は読んで下さいと言うのです。その厳正な文書をここで読むということは、非常に重要なんです。あなたが解釈をする必要はないのです。そうでしょう。私はそのことを聞いています。ほかの議員諸君からも要求して下さい。これが必要なので、今のようなあなたの解釈の入ったものを聞いているのじゃない。正確に読んで下さい。
○政府委員(中川融君) 一九五〇年一月五日のトルーマン声明でございますが、これは新聞記者会見でトルーマン大統領が言ったところでございますが、大体六カ条のことを言っております。 第一には、「伝統的なアメリカの中国政策は、門戸開放策に示されている如く、中国の領土保全に対する国際的尊重を要求している。」、これが第一点でございます。その次は、第二点といたしまして、「一九四五年のポツダム宣言及び日本の降伏文書によって再確認された、一九四三年のカイロ宣言に従がい、アメリカは台湾を中国に引渡し、かつ、台湾に対する中国の統治権の行使を認めた。」、第三点といたしまして、「アメリカは、台湾または他のいかなる中国領土に対しても領土的野心を持たない。現在、台湾に特別な権利または特権を獲得したり、軍事基地を設立しようとはしていない。また、兵力を使って現在の情勢に干渉する意思もない。」、第四点といたしまして、「アメリカは、中国の内戦に捲き込まれるような方針はとらないであろう。」、第五点といたしまして、「アメリカは、台湾にいる中国軍に対し、軍事援助も助言もしないであろう。」、第六点といたしまして、「アメリカは、現在のECAの経済援助計画を続けることを提案する。」、これがトルーマンの言ったところであります。 その次は、同じ年の二月九日の国務省の見解でございますが、これは米国下院の質問に対する国務省の意見として出たものでございます。
○岩間正男君 それも読んで下さい。
○政府委員(中川融君) これは三点でございます。 第一点は、「一九五〇年一月五日のトルーマン声明は台湾の処理に関し米国がカイロ宣言を再確認したものである。台湾は一九四光年日本軍が蒋介石総統に降伏して以来中国が支配している。」、第二点といたしまして、「台湾は中国の一省に編入された。米国政府はこれらの処置はカイロ、ポツダム宣言にそっていることであるので疑問をもったことはない。連合国は過去四年以来台湾を中国の一部とみなしてきた。」、第三点といたしまして、「今日米国政府が台湾において非中国人による行政権を樹立しようとすれば、中共も全アジアも米国は誓約をやぶり、中国の領土保全尊重という伝統的政策に反し、台湾を中国から分離しようと企てていると解釈するであろう。」、これが国務省の見解であります。
○委員長(館哲二君) 委員長から岩間君に注意します。岩間君は、御質問になりますときに、あの法律も読め、この条約も読めと言われますと、議事進行上非常に困ると思うのであります。どうか御注意を願います、広範なものについてはです。
○阿具根登君 委員の発言をそんなことをしては困る。それは常識があるのだから、そんなことを言っちゃいかぬ。
○委員長(館哲二君) だから、岩間君に御注意します。非常に大部なものについて、これも読め、あれも読めと言われますと、これは非常に皆様の御迷惑になると思います。御注意申し上げます。岩間君、御発言……
○阿具根登君 速記を落としなさい、速記を。議員の発言を、そこで委員長抑制しちゃいかぬです。
○委員長(館哲二君) 抑制しているのじゃありません。
○阿具根登君 非常に重要なものを聞ているのだから、当然やるべきですよ。
○委員長(館哲二君) 岩間君の常識に訴えます。
○阿具根登君 委員長は何も進行の立場に立つことはないのですよ。
○委員長(館哲二君) 委員会の進行の立場から申し上げております。
○阿具根登君 議事進行だったら、われわれが発言します。委員長がセーブする必要はないのです。
○委員長(館哲二君) 岩間君、御発言願います。
○岩間正男君 委員長の先ほどのお言葉は、あれは私を拘束しないのみならず、当委員会を拘束しないという了解のもとに進めてよろしいですか。
○委員長(館哲二君) ただ、皆様の御良識に訴えたいのでございます。
○岩間正男君 私はそう了解します。しかし、実に日本の運命に関するような重大問題なんです。それを政府のそういう責任者が読むということは、意味があるのです。そこで私は、今の文書によってはっきりしたと思う。そこに述べてあることは、だれが聞いたって明らかなように台湾はヤルタ、ポツダムの二つの宣言その他国際協定並びに国際法の精神に従って中国に返還され、中国政府はまたそれらの国際的取りきめに従って台湾を自国の領土に編入したと、それをアメリカ、イギリスその他の連合国が確認したことをはっきり示していると思います。小坂外相はこの二つの歴史的な文書がそういうものであることを確認しますかどうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) なお一九五〇年六月トルーマン声明においては、台湾の将来の地位の決定は太平洋における安全の回復、日本との平和条約の締結または連合国による検討を待たねばならないと声明しておりまして、この年の九月アチソン国務長官は国連事務総長あて書簡におきまして、台湾の中国への正式引き渡しは日本との平和条約または他の適当な行為を待つべきものであるということを述べておるのであります。従いまして私はこの点からいたしまして、アメリカ政府も法的には台湾の帰属は未決定という解釈をとっておると思います。先ほど私は、台湾の領土的な帰属は、連合国によって何らかの決定が行なわれるまでは、未決定と考えざるを得ないと申し上げましたが、同様の趣旨をこのままアチソン声明によっても確認したいと思います。
○岩間正男君 私は六月のことなんか聞いていないのです。六月の聞いてないことを答えておる。私はこの前の事態、そうして国際的に認められた、その事態について確認するかどうかと言っているのに、あなたは先に予定観念で答えておる、これは委員長注意して下さい。やはり厳粛な進行をしなければならないと思う。私が聞きもしないことをあなたは答えておる。
○国務大臣(小坂善太郎君) いや私は御質問に関連がありまするのでお答えをしておるのであります。先ほどから申し上げておりまするように、われわれはポツダム宣言を受諾したわけであります。ポツダム宣言はカイロ宣言の条章を履行せらるべしと規定しているのであります。しこうしてわれわれは降伏文書に署名をいたしました。その関係について今、岩間さんのおっしゃることにお答えしているのでありますが、さて今お話のようにこのトルーマン声明並びに国務省の見解からしてどうかとお尋ねがありましたから、その後においてもアメリカがこういう解釈をはっきりさしておるのであって、台湾の領土的な帰属というものは、これは連合国によって何らかの決定が行なわれるまでは未決定と考えざるを得ない、こういう私の見解をお答えとして申し上げておるのであります。
○岩間正男君 そんなことをあなたは言う資格はない、放棄したのですから。そうしてアメリカは二枚舌を使っている。はっきりトルーマン声明という大統領声明です、それを国務省がはっきり確認しておる。そうして領土的野心もない、はっきり帰属は決定した、こう言っておる。厳たる事実なんです。そうして朝鮮事変が起こったそのあとに出した負け惜み的な二枚舌なんです。あなたはそれをなぞっておる。冗談をあなたは言ってはいけませんよ。それは単に文書の上だけではない。さらにこうした法的根拠じゃなくて実情もはっきり措置がとられておる。もう一ぺんその点から確かめたいと思います。 一九四五年八月十五日、日本が降伏したそのあとの十月二十五日日本軍の降伏式が行なわれ、これと同時に台湾省行政長官公署が設置され陳儀氏がその初代長官になった。この事実を小坂外相は認めなくちゃならないと思いますがどうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) その事実はそうでございます。
○岩間正男君 そのとき何ですか、もうすでに単に文書の上だけじゃなくて、事実としてはっきりこれは中国に編入されたという事態をうたっておるものですね。このように私ははっきりした問題をはっきりさせなければならぬと思う。で、以上のような点からかんがみまして、これはほかならぬ中華人民共和国の中央政府がその政権樹立以来一貫して主張してきたことでありますが、すなわち台湾は中国の不可分の領土であり、すでに中国に帰属しているということであります。これは全く領土であり、国際諸協定並びに国内法上の諸手続、さらに関係諸国の確認を得てはっきり裏づけられているのであります。現在台湾の帰属問題などという問題はもうないのだ、それはもうすでに解決済みだ、国際的に。私は小坂外相にもう一度この点をお聞きしたいと思うのですが、あなたはこのような事実の経過の上に立って、先のあなたのような態度をやめてはっきりお答え願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) われわれはサンフランシスコ講和条約によりまして台湾、澎湖島に関する権利、権原、請求権を放棄しておるのであります。その帰属は関係国の協議決定するところによるということをまた認めておるのであります。従ってわれわれがそうしたことを言う立場にないということは、岩間さんもよく御了解願えるかと思います。
○岩間正男君 一国の外務大臣が、歴史的経過で国際法上ではっきりきめられて、そして処分も決定されて、はっきりそれを確認されたアメリカさえも大統領声明で明確にしたものを、今さらあなたがアメリカの立場に立って四の五の言うべき問題ではない。先ほど申しましたように、それははっきりしています。それは朝鮮事変後に一挙にそれをアメリカはくつがえしたのです。すなわち一九五〇年六月、アメリカはみずからのでっち上げた朝鮮戦争に藉口して、無法にも台湾を軍事占領した。これはアメリカ帝国主義の野望の現われです。問題はここから起こったのです。サンフランシスコ条約も日台条約もすべてこのアメリカの野望を合理化する手段に使われたのです。日本の歴代政府はアメリカのこの帝国主義的侵略政策に引きずられているからこそただいまのような答弁になる。中国の当然過ぎる正しい主張を認めようともしなかったし、認めることができなかった。そしていまだに中国に対する正しい措置が取れずに、またそれを取ろうともしていないではないですか。あなたの先ほどの答弁はよくそれを物語っている。いかがですか。小坂外相。お答え願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) アメリカでさえもとか、日本の外務大臣としては情ないというお言葉でありますが、この問題は日本自身の立場で、私は日本の外務大臣として御答弁を申し上げているのであります。日本はサンフランシスコ講和条約というものによって、岩間君御承知のように台湾に対する権利、権原、請求権を放棄して、そしてその帰属は関係国できめてくれということを了承しているのであります。従って今われわれがここでその帰属はどこだここだということは言えないということが、これがわれわれの立場なんです。
○岩間正男君 私は、その費えないのはその通りです、しかし厳たる客観的事実のもとに立ってどうなっているかということを聞いている。これが判断できなければ外務大臣は勤まらないじゃないですか。そういうようないわゆるすでに予定観念に立って物を言ってはいけません、日本の厳正なもとを正すのです。日本の国際的な道義を正しなさい。その上に立って話をしないで何の答弁があるか。そんな外交では話にならぬ。あなたはそのように何とかかんとか言っているが、対中国問題を解決するためには、まず台湾が中国領土としてすでにはっきり編入されてしまっている。この厳たる事実を率直に認める。それが正しいという原則的な立場に立たない限り中国問題は絶対に解決しないのです。これはわかり切ったことです。それとも小坂外相はこの原則的な立場を否定し、国際的諸協定を踏みにじり、アメリカの帝国主義的侵略政策に加担して中国問題は解決できると考えているのですか。中華人民共和国政府並びに世界の平和愛好諸国民が、それを認めるとでも考えているのですか。本気にあなたはそう考えているのですか。お答え願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は日本の外務大臣といたしまして、日本が調印いたしました条約上当然のことを行なおうと考えているのであります。私は男らしくポツダム宣言を受諾し、そして平和条約を結んだ日本として、その条約にのっとってものを解釈するということは、これは日本の外務大臣としてあたりまえのことだと思って申し上げているのであります。私はあなたのおっしゃることがわかりません。
○岩間正男君 男らしい態度というのは、一ぺん放棄した、世界ではそれをちゃんと処分してしまった、アメリカも認めた、イギリスも認めた、諸国も認めたそのことを、朝鮮戦争が終わって必要があって、今度は日台条約を作らなければならない、それからトルーマン声明をひっくり返す、国務省声明をひっくり返す、そういうものの上に立っていくのが小坂さんの男らしい態度ですか。あきれたものじゃないですか。そういう日本の外交というものはないですよ。私はあなたに最後に警告を発したい。池田内閣に警告を発したい。私は重大なこの問題に対して言っておきたいと思うのです。それはほかでもありません。アメリカのケネディ新政権が中国問題の処理について何か新らしい動きを示していることは御存じの通りです。池田内閣がそのケネディの新構想なるものに大いに期待し、それに便乗しようとしていることも明らかです。伝えられるケネディ新構想は一口に言うならば、国連での中国代表権問題を中心とした中国問題の正しい解決が国際世論化され、もはやそれに抗し切れなくなったアメリカの取りつつある窮余の一策です。それはせんじつめれば国際世論に迎合して、台湾を中国から切り離す、そしてそれと引きかえに中国の代表権を認めようとすることであります。しかしこれは従来にも増して悪らつな意図が隠されています。アメリカのねらっていることは、中華人民共和国政府が当然のこととしてこれに応じないだろうことを計算に入れ、あたかもこれに応じない中華人民共和国政府が好戦的であり、その平和政策が偽りであると世界の人々に思い込ませようとする意図を持っているのであります。池田内閣はアメリカのこの新しい策謀に加担し、日本の国民をこの落とし穴に落とし込もうとするのか。このような策謀は、中華人民共和国はもちろん日本の国民と世界の平和愛好諸国民の力によって、私は粉砕されるだろうことは火を見るよりも明らかだと思います。私は、池田内閣がこのような見え透いた策謀をやめ、そのしり馬に乗ることをやめて、国際正義と正しい原則の上に立って日台条約を破棄し、中国と国交を回復し、中華人民共和国の国連代表権を即時承認することを求める。これが最も正しい日本外交のあり方だと思います。しかし、あなたはお答えできないでしょう。私はあなたの答はあえて求めません。しかし、はっきり警告としてこのことを明らかにしておきます。答弁はいいです。聞かないのですよ。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、そうした偏見を持ったお言葉はそのまま返上申し上げたいと思います。私はアメリカを敵と考えておりません。従って、アメリカに対しては十分われわれも自分らの考えることを述べたいと考えておりますが、あなたのおっしゃるような新たなる策謀とやらいうものが、アメリカにあるなどというようなことは、一切さようなことは存じませんし、そういう策謀は特になかろうかと思っております。要するに世界の平和をどうして確保するかということを考えることが世界の各国の共通の責任であると考えております。
○岩間正男君 あなたの言葉が当たるか私の言葉が当たるか、今から時間を見てごらんなさい、明白だ。世界の動きを見てごらんなさい。あなたはなるけど池田内閣の閣僚としてそう言わざるを得ないつらい立場にあるのかもしらぬけれども、もう少し世界の情勢を見てごらんなさい。私はしかしこの問題でこれ以上あなたと論争しようとは思っておりません。次に進みます。 それでは私は荒木文相に質問をいたしたい。荒木さん、あなたの最初からの答弁を聞いているとどうも少し冗漫です。聞いたことに答えなさい。私、時間がないのですから。そこで第一にお聞きします。端的明快に答えなさい。あなたの俊敏な頭を使ってやっていただきたいと思います。 荒木文相は、まず現在教育委員会によって行なわれておる末端の教育行政が、正しく行なわれているとお考えですかどうですか。簡単でいいです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。正しく行なわれておると思っております。
○岩間正男君 あなたは最近、愛媛や長崎でどういうことが行なわれておるか知っておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 存じません。
○岩間正男君 知らないからそういうことを言う。私はここに資料を出します。この資料を見たらあなたはがく然とする資料です、これはね、こういうのです。ことしの一月六、七日の二日間に愛媛県北宇和郡吉田町、玉津公民館で、愛媛県教育委員会、宇和島市教育委員会、北宇和郡地教委連絡協議会、南宇和郡地教委連絡協議会の合同主催で、中堅女教員の研修会が行なわれました。この研修会は管内の中堅女子教員の資質向上を目的として、管内から約五十人の女子教員が参加し、教育事務所の管理主事三名、指導主事三名、社会主事一名が司会し、講師は県教育長大西忠、出石寺信徒総代菊池正行、大耕舎主大山澄太、こういう人であります。そうしてそのテキストとして用いられたものが松下村塾記、また仏典の勤行聖典それから食事の時にお祈りする食事五観、こういうものがテキストとして使われておるのであります。ところで会の持ち方ですが、参加者を一方的に指名し、地教委、校長を通して参加を強力に強制し、しかも家庭の主婦の多い女教員に、土曜、日曜の一泊二日を、これをカン詰にし、毛布を持参し、公民館に泊まらせているのです。こういう戦前のまさに修養団がやるような研修会が、教育委員会の公然たる名によって、行なわれることを荒木文相は正しいとお考えですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あらゆる機会に研修をしなければならないことは、教育基本法の趣旨からいっても、当然のことと思っております。
○岩間正男君 これはあらゆる機会に入りますか、研修の目的を言ってごらんなさい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育基本法に規定しておりますような正常な教育が行なわれるように、教師に対しましても研修をやっていくという趣旨がうたわれていると思います。
○岩間正男君 これは教科内容とか、教育のやり方については、研修は持たれるのですが、こういうような松下村塾記であるとか、そういう食事をするときに合唱をして、唱えるような言葉を、これをテキストとするところの一体研修会というようなものはありません。どういうものですか。(「食事五観を読むなんて大したこっちゃ」と呼ぶ者あり)あなたの方の御商売の方なら……。今、国家の大事を論じている。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。当該県の教育委員会が教師と一緒になって研修するわけでありまして、そのやり方そのものは、独自の判断において教育委員会及び教師がスケジュールを作り、研修するものと思います。
○岩間正男君 大へんな文部大臣をわれわれは持っている。法律違反です。法律にそんなことを言ってない、教育委員会の内容だって、これはあとで明らかにいたしますから……。 私は次に進みたいと思います。しかも、問題は研修の内容です。テキストは、先にもあげたように、全く右翼的な内容です。講義の中では、日教組や総評を誹謗し、しばしば脱退をにおわしております。集会後に大西教育長を初め講師や助言者が、出席者の一人々々に私信を出しているのです。その中の一人、出石寺の信徒総代菊地正行は、全出席者にプリントのあいさつ状と資料を送っている。その中でこう言っている。はっきりここに書いてある。いいですか、見て下さい。「明治維新の先哲は剣で切り結んで血を流してまで正道に進まれましたが、今日は話し合いでやわらかく、粘り強くゆけば、女の方々の方がぶこつな男子よりもかえって強い力が出るのではありますまいか」とか、「もしも人々が思い上がって、みずから国の主権者の地位を獲得したかのように妄想し、天皇との関係がきのうまでとは逆転したかのように考えるならば、それは笑うべきこっけいというよりは、むしろあわれむべき悲劇であろう」、さらにまた「この国が天皇を中心として組織せられ、団結せられ、発展して来たった二千幾百年の歴史を織りなしたこともまぎれもない事実である」と、独断し、天皇中心主義を讃歌し、最後に、「皇国護持の御ため御勇奮ひたすらお願い申し上げます」と結んでおるのであります。 私は、お聞きしたいのでありますが、これは全く主権在民の憲法を頭から否定し、天皇中心主義を謳歌する、これは全く右翼の言い分に通ずるものがはっきりあると思うのでありますが、このような一体内容を持ったこの講習会、研修会というものを、あなたはお認めになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今読み上げられましたことを承っておりましても、格別そうひどいことじゃないように考えております。今までの歴史そのものは事実として言ったのでございましょうし、現在も、今の憲法によりましても、天皇は国民団結の象徴であるという意味においては天皇中心と言える。新しい意味における天皇中心のことを言ったのじゃないかと思います。
○岩間正男君 憲法九十九条違反ですよ、九十九条違反です。憲法によって作られた閣僚がこういうことを言っていいのですか、国会の議場で、重大問題じゃないですか、重大な問題じゃないですか。皇国護持のため御勇奮下さい、皇国護持ということは、そういうことになっていますか、憲法違反です。私は注意されることを希望します。私はあきれたものだと思います。この中に、先ほどあげたように、もう人民主権、主権在民ということを否定しているのです。否定している。はっきりそう言っている。今私がここであげたように、思い上がった考えで、そうして天皇との関係がきのうまでとは逆転したかのように考えるならば、それは笑うべきこっけいというよりは、むしろあおれむべき悲劇であると言っている。こういうような考えがこの憲法下で行なわれるということは、実に驚くべきことである。絶対にわれわれは了承することができないです。私は少なくとも荒木文部大臣は、現在の憲法下における閣僚であると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。その通りだと心得ています。
○岩間正男君 おそれ入りますが、九十九条をここでやっていただきたい。九十九条をもう一ぺん念のためやって下さい。確認願います。読み上げて下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 公務員は憲法を順守する責任がある趣旨のことを書いていると思います。
○岩間正男君 皇国護持のこの考え方というのは、憲法に違反しませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。皇国護持という言葉そのものは、穏当でないと思います。
○岩間正男君 穏当でないことを吐く人を講師とする研修会を認めますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当該県の教育委員会が企画しました研修会であろうと思うのでありますが、その話の中の用語が適切でなかったというだけで、研修会全体がけしからぬというのは、結論が早過ぎると私は思います。
○岩間正男君 私は、重大問題です。そういうような言い方でこの問題を濁される問題じゃございませんよ。しかし、これはいずれ時間を得たら、後刻あらためて徹底的にこれは明らかにしようと思います。
○高田なほ子君 ちょっと関連して。教育の地方分権については、これは、私から申し上げるまでもないと思います。教育の地方分権につながるものは、何としても日本の民主主義を徹底させる、こういうところに根底が置かれなければならないと思います。従って、文部省の、文部大臣の権限は、都道府県教育委員会をすべて拘束する権限はないと思います。しかし法律的には、明らかに教育基本法に反するような内容を持ったものが、かりに研修会の名をもって行なわれているとするならば、これに対する指導、助言の権限は、文部大臣がお持ちになっておるはずです。ただいまの岩間委員の質問に対し、皇国護持という内容を持つものについては、必ずしも適当でないとお認めになっておられます。私はお認めになった以上は、教育委員会のあり方として間違った点があるならば、大臣としては、これに対する指導、助言をされるのがあたりまえだろうと思います。なお今私はこの内容を承知いたしませんから、詳しくここで断定できませんけれども、国民の主権を否定するような教育というものは、これは私は憲法違反だろうと思う。天皇の地位については、憲法の第一条から第八条まで、天皇の地位並びに天皇の権限が規定されていますから、これはわかります。しかし、だからといって、国民の主権が、これが思い上がりだというような内容を持つ講習会が、教育委員会の名において教員に徹底させられるということは、はなはだもってこれは遺憾千万だと思う。国民の主権を守るということこそ、私は今日教育者に課せられた重大な使命ではないかと思う。国民の主権を否定するような内容を持つ講習会のことについて、これは大臣が、適当な指導と助言をなされることが、私は正しいあり方ではないかと思います。 この点についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 今、高田さんのおっしゃった話の、お言葉の内容に関する限りは、その通りだと思います。実情は、私まだ存じませんので、実情を知りました上で、適切でないところがあるならば、お説の通り適切なる指導助言をする権限もあり、なすべきものであると思います。
○大谷贇雄君 関連。ただいまの岩間君の御発言は、研修会に出席をした人に、それがしから私信を出した、その私信について、岩間君が文部大臣の所見を求めておられるのでございます。私信に対して——個人がした手紙に対して、文部大臣にそれを答弁を求めるということ自体がおかしい。委員長は岩間君に対して、そういうことは質問をするものではなかろうと、こういう御注意があって私はしかるべきものだと思います。委員長、所見いかがですか。
○委員長(館哲二君) 各委員の御良識に訴えたいと存じます。
○岩間正男君 もう一つ申し上げます。 こうした研修会のあり方は、日教組の組織破壊と全く軌を一にしている。愛媛県では、教育研究協議会という団体が、教育委員会のきも入りで作られ、教育長や教育主事を先頭に日教組の組織破壊を進めています。地教委が公然と校長や教頭を使って、日教組からの脱退を迫る。中には、喜多郡河辺村坂王小学校の例でありますが、教育委員長、教育長が校長を使って教員を一人一人宿直室につれ込んで脱退を迫った。このとき、大森という教育長が入口のところに寝そべって返答を迫った例があります。脱退すれば昇級昇格等で優遇し、これをきかなければ、昇級昇格をストップする、こういう昇級昇格を組合分断にまで利用するやり方は許せないと私は思いますが、いかがですか。これは明らかに人権の侵害であり、さらに地方公務員法五十六条の違反であると思いますが、私ははっきりこの点を、教育の中立性を常に口にしているあなたに、こういうことで教育の中立性が守られるかどうか、お伺いします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。 よく調べましてから、お答えさせていただきます。
○岩間正男君 それじゃ、私はこのような問題をただすには、はっきり、やはり法的な基礎に立たなければならん。大もとさただす必要があるのです。 そこで私は、まずお聞きします。教育基本法の第十条を読んでいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 「第十条(教育行政)教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し面接に責任を負って行われるべきものである。 教育行政は、この自覚一のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」
○岩間正男君 その精神は、どういうことを規定したか、これについて解説を願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま読みましたことで明らかであると思います。
○岩間正男君 それではお伺いします。「不当な支配に服することなく」——不当な支配とは、何をさしますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育行政の権限を持った者以外の支配に服しない、こういうことだと思います。
○岩間正男君 あなたは、とんでもない間違いを犯しております。文部大臣、そのあとのところを読んでごらんなさい、こういっているでしょう、だれに責任を負うか、教育は。教育は国民全体に対して直接の責任を負うのです。従って教育権というものは、どこにありますか。教育行政者にあるとお考えですか。この基本法、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 教育に限らず、ことごとくのものが、主権在民の憲法下においては主権者にあると思います。教育と特にそれを取り出していいます場合には、その言わずもがなのことよりも、もっと具体的、狭い範囲で不当な支配といっておると、私は解釈します。その意味においては、民主社会においては国民の代表たる国会において、主権の最高機関として法律制度を定められる、その法律、制度に基づいて権限を持った者、それが主権者にかわって支配をしておる——権限を持っておる。こう心得ますから、今申し上げたようなお答えにいたしたのであります。
○岩間正男君 これは、その解釈は大へんな違いじゃないかと思います。教育の権利は、はっきりこれは国民にあるとあなたは言われたのですが、これについて、そのあとに第二項にはっきり規定しているでしょう。行政が行き過ぎては困る。私は、この不当な支配というのは、これははっきり国家権力からの支配をやめろ、こういうことなんです。なぜそうかというと、私はこれは戦争前の苦い経験があるから。御承知のように天皇制中心主義で育てられ、軍国主義に子供を育てられ、そうして大東亜戦争にかり立てられた、何百万の青少年を失ったのです。天皇の御ためだ、権力者の命ずるところを、これを再び繰り返さないために、不当な国家の権力支配、これを教育から排除するということが、この教育基本法の大原則、第十条というのは、そういうところにある、そういう点から考えまして、教育行政が再び文部省によって中央集権化され、それによって支配されることは、非常にこれは重大でありますから、第二項に明白に規定してあります。教育行政は、この自覚のもとに、不当な支配が行なわれないで、国民がはっきり教育の権利を持って、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の諸整備を目標として行なえばいい、教育の内容に入ってはいかぬということを、明白にこれは規定したものと見なければなりません。この点いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育に国家権力が入ってはいけないという仰せのようでありましたが、私は、民主憲法のもとの国家権力というものは、とりもなおさずそれは主権者のものを公務員を通じて行なわしめておる姿を、それを国家権力と理解すべきものと思います。その行動すべき内容、行動半径というものは、民主国会によって国民にかわって決定せられました法律制度以外のものでは動かすべからず、そういう法律によって支えられたる権限者以外の者が教育の場に踏み込むことそれ自体は法律違反である、かように思います。
○岩間正男君 あなたは、今のようなこれは形式的な解釈をされましたけれども、この基本法の問題については、全く私は十分な理解が足りないと思います。これは日本の現実、今まで繰り返したいろいろなわれわれの間違い、そういうものをただすために、はっきり教育を国民の手に帰し、そしてそのもとで正しく民主的な運営をするために、これは作られた規定です。これは学者の説も多く一致していると思うのです。 こういう点について、私は時間の関係から、ここで十分やることはできませんけれども、どうですか、一体池田・ロバートソン会談の覚書が出されまして、これ以来日本の教育というものは、全くこの教育基本法の精神から考えましても、私は逸脱をし始めてきていると思うのであります。私はかりに、こういう例をあげる。一九五四年に、大達文相の時に教育の政治的中立二法案を通して政治活動を禁止する、こういうことが行なわれた。そうして一つの権利を奪った。五六年には教育委員会法の改正、そうして任命制にしました。清瀬文相はまた同じ年に、今こそ占領教育刷新の時と言明をしました。一九三七年に松永文相は、道徳教育特設の声明を発し、また愛国心高揚を説きました。勤評を五八年には実施しました。そうしてまた校長管理職手当を支給したのであります。こういうようなやり方によりまして、さらにまた道徳時間特設、学習指導要領、こういうようなやり方によりまして、一連の反動的な文教行政が行なおれてきた。そうして愛国心、君が代、道徳教育、こういうものを強調してきたと思います。行政機構の面では、教育委員会を任命制にした。校長を管理職にするというような形で支配を強化した。そうして当然これらの反動文政に反対して戦う、抵抗して平和教育を守る、子供を守る、そのために日本の日教組の諸君はたたかってきたと思うのです。だれが一体憲法を守り、教育基本法を守ってきたかということはあまりにも明白だと思います。
○委員長(館哲二君) 岩間君に申します。持ち時間が終了いたしております。
○岩間正男君 こういう中で、教育体制は池田・ロバートソン会談以後、刻々と変えられてきた。しかも皆さんどうでしょう、日本の現実を顧みますというときに、この教育の問題を一つの柱としまして、実は安保体制の中の私はイデオロギー体制が今作られつつあると思う。右翼の復活の問題、あるいは伊勢神宮の国事化の問題、皇室のいろいろな儀式が国事化されようとしている問題、あるいは先ほど問題になりました自衛隊の精神教育要綱の問題、いわゆる新しい軍人勅諭の問題、その他等々の一連の構想の中に、実は安保条約を遂行するために、池田内閣は安保体制を考えた。その安保体制というのは、三本の足からできていると思う、一つは軍事体制であり、一つは産業経済体制であり、しかも、これをささえるために、かつて東条時代にやられましたように精神総動員体制、いわゆるイデオロギー体制をはっきり確立する、この三本足を強行することが、現在アメリカの原爆戦略体制の中に、はっきり編入した、この性格を持つ安保を強行するためには私は必要だと思う。こういう体制の中で、御承知のようにもろもろの反動政策が行なおれていると思うのです。私はこういう中で、かつての文部省や内務省が果たしたような役割を復活さしてはならぬと思うのです。また日本の人民は、これをさせないだろうと思うのです。ここ数日繰り返されましたあの荒木文部大臣の答弁の中から、実に恐るべきものを私は汲み取っている。アメリカのマッカーシズムですよ、あの考え方は。そうして共産党に対するあの誹謗のごときは、どうですか。反共精神が、日本の平和を奪うのです。
○委員長(館哲二君) 岩間君、時間がきました。
○岩間正男君 私は、そういう点から考えて、かつて戦争前に共産党をいろいろ誹謗し、弾圧し、そうしてさらにその力が、労働者や社会党に及び、日本の民主勢力を圧縮しました。こういうような体制を私はとるべきではない。 こういう点で私はあなたの厳重な反省を求めて、これは返答要りません。私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 初めにいろいろと例示されました国会を通過した法律によって実施された事柄は、それこそが民主的な結論であると思います。岩間さんの属せられる共産党が常に言われる悪法は法にあらずという見方からするならば、自分の気に染まないから、あれは保守反動だ、あるいは安保体制強行だというような御批評はございましょう。しかし、それは共産党だけのお立場であって、国民の圧倒的多数は、共産党を支持してない。その国民の気持から言うならば、これは明らかに今の状態は、民主的な国権の最高機関によって、新憲法の定めるままの政治が公明に行なわれておると、こういうことだと私は心得ております。
○委員長(館哲二君) 明日は、午前十時より公聴会を開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後六時一分散会