予算委員会 第14号
- 発言数
- 207 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/14
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。本日、小幡治和君が辞任されまして、その補欠として塩見俊二君が選任されました。 —————————————
○委員長(館哲二君) 次に、理事の補欠互選を行ないます。現在、当委員会におきましては、理事が一名欠員となっております。互選は、先例によりまして、委員長の指名をもって行ないたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。それでは理事に米田正文君を指名いたします。 —————————————
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和三十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 本日より一般質疑に入ります。森元治郎君。
○森元治郎君 初めに、エドウィン・ライシャワー教授を日本の大使として派遣したいというアメリカの同意を求める手続がなされたようであります。大へんこの方は各方面に評判のよろしい方で、いろいろ問題のある日米関係の理解の促進には大いに役立つところがあると思います。われわれとしては、これを歓迎して一日も早く同意が与えられるものだろうと期待しておりまするが、外務大臣のお考えを伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ライシャワー教授が駐日大使として来られるであろうということは、大体考えられることでございました。アグレマンが参りましたということは、本来発表すべきことでございませんで、正式にそれを受諾して効果を生じたときに発表すべき国際慣例でございまするが、この件に関しましては、従来のいきさつがございまして、非常に長くライシャワー教授のお名前が新聞紙上等にも出ておりました関係もございまして、今回は若干異例的にその報道が流れたものと心得ます。従いまして、その決定する以前において、私が、歓迎の気持はもとよりでございますが、そういう気持を持っておりましても、この公式の席で申し上げることは、国際慣例上差し控えるべきことになっておりますので、この際は、その点は御容赦願いたいと思いまするが、ただ、私個人としましては、ライシャワー氏とは中学生のころからよく知っておる仲でございますし、昨年も日本へ参りましたとき、十分いろいろ話しする機会もございましたりして、非常によい方であるという気持を持つのみならず、長年の知友であるという気持を持っておる次第であります。
○森元治郎君 続いて本論に入りまするが、外務大臣は、いわゆる岡崎・マーフィー交換公文というものを御存じであるかどうか、こういうものが存在しておるということを知っておられるかどうかを伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 存じております。昭和二十八年一月十三日、当時の外務大臣岡崎勝男氏よりアメリカの特命全権大使ロバート・D・マーフィー大使に対しまして書簡が寄せられました。それに対してアメリカ大使館から回答があった次第でございます。
○森元治郎君 このいわゆる岡崎・マーフィー交換公文というものは、過般の安保条約審議の際にも一回も触れられなかった不思議な公文のようであります。 ところで、まず伺いたいのは、二十八年の一月十七日に外務省の情報文化局長発表によれば、日米往復書簡となっております。しかしながら、本物はこういう形式ではなかろうと思うので、まず形式を伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 形式は、日米間の往復文書、往復書簡ということになっておりまして、発表の通りでございます。一月十三日に今申し上げたようにこちらから書簡が出されまして、それに対しての返書が一月十六日に来ております。従って、情報文化局長の発表は一月十七日に出されたものだということでございます。
○森元治郎君 この日本側からアメリカに出したのは口上書とかというものでありますか、そういうことを伺っておるわけであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 書簡が出ているわけでございまして、口上書ではございません。
○森元治郎君 この交換公文は、安保条約に関する大へん危険な、そして不可解な忘れ物だと私は思う。内容を後ほどお尋ねいたしまするが、非常に疑問の多い、そして事と次第では大へん問題をはらんだものであります。中に、見ますると、旧安保条約のもとにおいて作られたその公文だけに、旧安保のにおいが強くて、しかもそれを裏づける条項も入っておる。当然これは何らか措置すべきはずであったと思うのでありまするが、一体、これは生きているのか死んでいるのか、有効か無効か。端的にお伺いをいたします。
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げます。有効でございます。これが生きておるということは、昨年の一月初旬に口頭をもってそのことが了解されておるのでございまして、そのものは新安保になっても受け継がれるということに了解されておるものであります。
○森元治郎君 伺いますが、昨年の一月初旬、口頭で云々というお話でありまするが、私はそういうことを聞いたこともないし、政府は発表もしておらない。どうですか。発表なされましたか。いやしくも交換公文という公の両国を拘束する書簡に対して、口でもって解決したなんて、そういうばかなことはありませんよ。それが証拠に、吉田・アチソン交換公文、あるいはまた国連軍の日本における地位の協定、こういうものが安保条約ができると同時に、一緒にこれをリニューして、新しくして、岡崎・ラスク交換公文は、これは用がなくなったというので取り消しをして、一つ一つ折り目、筋目をつけるのに、そういうことは私は絶対にあり得ないと思う。しかも裏の方でやみ取り引きのような口頭で話し合いがついて新安保に受け継がれたと、どこにそういうことがあるのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま申し上げたように岡崎・マーフィーの往復文書は、これは往復文書でございます。領空侵犯の排除に対する日米間の往復文書でございまして、この交換書簡の趣旨は、日本側が領空侵犯排除について米側の協力を要請したのに対しまして、アメリカ側はこの日本側の要請に応ずる旨の意図を表明したのであります。で、この件を確認することは、この趣旨が新条約下においても有効であると、日米間で念のため確認したのにすぎないものでありまして、従って、特にこれを発表する必要を認めないということで今日まで発表していないということであります。書簡を確認し合ったという行為にすぎないわけであります。
○森元治郎君 この問題は、外務省は安保で触れられないでほっとしたようなところであったところへ、本日私にこういうことを言われたんで、ちょっと工合が悪いような顔をしておられますが、こういうものを一体発表する必要がないというのは、少し強弁ではないですか。これは交換公文であります。これを日米間の念のために、その再確認をしたんだから発表しないでいい。一体どういう確認をし合ったのか、何月何日で向こうはどう言ってこちらはどう言ったのか、これは当然文書にして公表すべきものであります。ということは、この協定が発表されておるんですから、これを死文化させ、殺しあるいは生かす場合には、あらためて表面の文書にされるのが当然であります。こういう協定が裏の方で一月初旬、どこでやりましたか知りませんが、こそこそと話し合ったから済んだと言われたんでは大へんであります。もう一ぺんこれを承りたいことが第一点。 第二点は、これは先ほど生きておるという外務大臣の御答弁でありまするが、大へんなことになろうと思います。大体アメリカ側の回答には、その後段の方において、元の安保条約の「条項の下に、必要かつ適当とされる一切の可能な措置を、日本国政府のあらゆる実際的援助の下にとるよう極東軍総司令官に命令しました。」となっております。そもそもこの往復書簡の趣旨は、北海道の上空に盛んに国籍不明の外国機が領空侵犯をしてくるというので、日本の方で何とかこれを排除してくれないかという要請から発したお互いの文書の取りきめであります。早く言うべきところを今日おそくなってどうも済みませんが、こういうふうに極東軍総司令官にやったということが一点。そんなものは今ありません。それが生きているというのは一体どういうことか、それから安保条約の「条項の下に、」——安保条約はもうなくなって、昨年新しい安保条約になっている。どうしてこれが生きているのか、幽霊というにもあまりにもこれはずうずうしい幽霊であります。こういう点は、また形式上、旧安保条約というのは日本がお願いした。日本の防衛は講和条約締結当時において、自分で自分を守ることができないので、「どうかアメリカが来ていて下さい。」「日本の要請によって、あなたの御希望に従って日本及びその付近にいてあげます。」というのが旧安保条約の形式であります。このころはみんなこういう形式であった。そういう形式を踏襲して、どこを見たってこれは旧安保の中においての往復書簡であって、決して今生きられる道理はない。当然これは死文化すべきであったと私は思います。死文化すべきはずであった。それから先ほど申されたように、何か裏の方で取りきめをされたというのはわからない。だから一月幾日、だれとだれがどこで会って、どういう話し合いをしたか、おそらくメモはあるはずであります。メモなしにやるというのなら、これからあぶなくて外交はまかせられません、それが通るというのなら……。口先だけで、安保条約を今度やめることにしましょう、今度やることにしましょうと言うのでは……。小坂さんどうです。だいぶ苦しいようですがね。これはやっぱり筋を通して、古いものは死文化させ、なくし、新しくするというなら新しい取りきめがあってしかるべきであります。この点と、何月何日どういうことをしたか、ここで発表を願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) この往復の文書は、ただいまお話がありましたように、北海道の上空において外国の軍用機による領空侵犯が行なわれていることは困るから、そういう不法行為に対しては有効に排除してもらいたいものだと、よろしゅうございますというような行き来があったわけなんです。 そこで、そういう承諾の仕方についてでありまするが、その際、ただいまお話のように、「安全保障条約の条項の下に、」という言葉が確かに使われておるのであります。しかしながら、そういう措置をとるように極東軍総司令官に命令したということもいわれておるのであります。ところが今のお話では、安保条約が新安保になったじゃないか、だからこれは引き継がれないんだとおっしゃいますけれども、この中にあるたとえば「極東軍総司令官」というものも、御承知のように太平洋司令官に変わっておるわけです、だいぶ前に。変わったときにそれじゃこれが死んでおるという議論も出なかったのでありますし、またそういうことはあり得ないことなんであります。当然に引き継がれるべき問題なんであります。御承知と思いますけれども、国際法上の原則でムタティス・ムタンディスという原則があるわけであります。事情が変更されない限り、そうした約束事は有効である、こういうことでございますから、こういう事情をやめるならば、これはまさにお話の通りでありましょうが、そういうことがそのまま引き継がれるのでございますから、確認行為で十分なわけでございます。何も陰の方でやられたのではないと思います。昨年のことでございますが、当時の藤山外務大臣がマッカーサー大使との間に、一月上旬に話し合いがあったというふうに私は了承いたしております。
○森元治郎君 そのマッカーサー大使と藤山さんが会った、その確認をしたという内容を一つ出してもらえないか。そういう口先のことではだめだ。やはり文書に対しては文書でやるべきだ、ということはどうです。それがほんとうだと思います。
○政府委員(中川融君) この経緯は、ただいま外務大臣が申された通りでございます。文書できめたものは文書でやるべきだというお話、まことにごもっともであります。従って、もし岡崎・マーフィ覚書を廃棄あるいはこれの内容を変えるということであれば、これは当然同じような形の文書によるべきでありますが、これはそのまま継続するということでありまするから、特に文書は作る必要はない、かように考えた次第でございます。従って、文書というものはなくても、政府間で有効な合意ができれば、それで十分である、かように考えております。
○森元治郎君 それでは条約局長、何月何日どういう合意ができたか。それはあなたの方に記録にはとどめていないのですか。あったら出してもらいたい。
○政府委員(中川融君) 重要な会談が行なわれまするごとに記録は当然とっております。しかし、その記録を国会に御報告いたしますことは、従来その例がなかったと思いますので、これは差し控えさしていただきたいと思います。 なお、具体的な日付は一月の六日でございます。それ以前にもその話が出たことがございますが、最終的には一月の六日でございます。
○森元治郎君 それはぜひ出してもらわなければ、前に協定があって、そうしてそれを再確認したというなら、悪いことでない限り、これは出すべきことは当然だと思います。これは出すべきですよ。もしこれが許されるならば、今後何をやったってわからないです。昨年の一月六日にやりました。しかし、内容は外交の慣例で発表できないのだという悪習ができたならば、これはおそるべきことであります。国会を無視して、これだけの大きな、両国を拘束する問題をやるということは、非常に悪いことでありますから、どうしてもこれは出してもらいたい。あるいは現物そのもので悪ければ、これこれ、これこれマッカーサー大使が言った、藤山外相はかくかく答えたというくらいのことは、当然できるはずでありまするが、それもできないのですか。これは大きな問題ですよ。
○国務大臣(小坂善太郎君) 外交交渉のいきさつというものを、一々そのだれがどう言ったということを国会に御報告しておりまする前例はなかったかと承知いたしております。従って、お出しをいたしておらないのであります。
○森元治郎君 そういう御答弁は受けられない。それならば、初めから領空侵犯のこの要請なるものは、こんな文書にして出すことはない。ソビエト大使館に行ってちゃんと頼んできなさい。ほいきた、それきた、これで済むことなんです。しかし、それは日本及びアメリカのいろいろな関係を生ずるので、それではというので、やはり文書にしてくれとおそらく言われたのだろうと思う。実際はそうじゃありませんけれども……。そういう形式をとってくれというので、お願いするという文書を出し、承知をしました、あなたの気持を汲んで自分の国の総司令官に命令をしておきましたから御安心下さいというのが、この往復書簡ではないでしょうか。それならば、安保条約ができた、前の古い安保条約ということを引用しているこの交換公文については、一月六日に確認するときに、あらためて文書にすべきだったと思うが、文書にすべきか、しなくてもいいと……。した方がよかったか、どうお考えですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) この往復文書がかわされまする際には、今までなかったことが新たにされるのでありまするから、これを文書として確認しようということで、往復書簡がかわされたのだと思います。しかし、先ほど申し上げたように、その事情というものは変わっていないのでありますから、それの確認行為をするという際は、これは口頭でもよかろうと思います。(「よくない」と呼ぶ者あり)しかも、先ほど申したように、ムタティス・ムタンディスという国際法上の原則からしまして、事情の変更が特になされないのであります。従来通りそれは続けましょう、よろしゅうございますということで十分であろうと私は思っております。
○森元治郎君 自分の都合のいいときだけは国際法の原則だなんと言って……。それならば、韓国の請求権の問題だって、敵産を没収しますなんということを認め、これは異例だ、そういうときにこそ確立されたる戦時国際法の法規に従って、日本の韓国における財産は没収できないのですよと言ったらどうですか。そんな場合々々によって調子を変えたんじゃだめです。 それから、私はどうしてもこれは往復書簡の効力について云々するときには新たにすべきものだと思います。そこで、この協定がどういう意図で結ばれたか。日本の当時の発表によりますると、日本はお願いしたけれども、実は積極的なのはアメリカであった。外務省はもちろん日本側が要請した結果こうなったとは言っておりまするが、当時の消息筋では、必要な措置をとってくれというのはむしろアメリカ側が積極的であったといわれます。その証拠は、この交換文書をごらんになればわかります。日本から向こうにお願いした内容は、近ごろ北海道上空に国籍不明の飛行機がどんどん飛んでくるので困るから、これはこのような領空の侵犯は国際法上の不法行為たるにとどまらず日本国の安全にも重大な影響を及ぼす、日本政府は右のような領空の侵犯を有効に排除するための手段を今持っておりませんから、どうか有効適切な措置をとって下さいと申し込んでおるのに対して、この回答がどう言っているかというと、その領空侵犯を排除するために、旧安保条約——旧とは書いておりませんが——元の安保条約の条項のもとに「必要かつ適当とされる一切の可能な措置」。日本がお願いをしておるのは、有効に排除するための措置というのに対して、お答えは、「必要かつ適当とされる一切の可能な措置」これは非常に積極的であります。これを見ても、むしろアメリカ側が申し込んできた、こういうことが立証されると思う。それから交換公文の形式としておかしいのは、普通はこちらからお願いした文書の回答は、それを繰り返す、それが普通の形式でありまするが、これはまるでそこらの町でわれわれが手紙を出すように、たのむよ、承知した、そうしてたのんだことにない強い言葉がここに書いてあります。日本の防空はアメリカに全部まかせたかのような、あるいはまかせられたかのような回答をしております。一体どっちがこれは積極的であったのか。私は、アメリカの当時の積極性にあったと思います。いわゆる一国の基本権を擁護するという一般の国際法の規定に従ってとったものではなくて、それ以上に作戦的な強い意図が入っていると思うが、どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、国際法の解釈を自分の都合のいいように持ち出すつもりはございません。ただいまお述べになりました対韓国の財産請求権の問題に関連してでございますが、これはまさにハーグの陸戦法規の四十六条の範囲を越えたものであるかもしれません。しかし、この米軍政府当局のとった措置というものを、われわれは講和条約の第四条(b)項で認めているのであります。これはまた韓国だけについて言えることではありませんで、第十四条におきまして、連合国財産についても同様の措置を認めておるのであります。しかし韓国に対しましては、第四条の(a)項において放棄したという事実を頭に入れて、お互いに交渉するということになっておりまして、お互いに交渉するということが書いてあるのでありまして、しかも一九五七年のアメリカ解釈というものをわれわれ了承いたしまして、その際にはそのことを頭に入れて、しかもどれだけわれわれが出しておるかということによって韓国の財産請求権は拘束されるという意味のことを書いておるのであります。私は条約通りに問題を把握して参りたいと思っております。 そこでただいまの御質問でございまするが、これはわれわれから書簡を出しまして、この書簡に対する受けが来ておるわけです。その受けの中で、ただいま御質問の点は、「一九五一年九月八日付合衆国と日本国との間の安全保障条約の条項の下に、必要かつ適当とされる一切の可能な措置を、日本国政府のあらゆる実際的援助の下にとるよう極東軍総司令官に命令しました。」と、こうあるのであります。すなわち日本国の要請に基づいて、この必要と認められた、適当とせられる措置をとる、しかもそれもいいかげんなことでなくて、日本国の要請に基づいてできるだけのことをしてあげたいということの気持をアメリカは総司令軍に命令した、こういうことでございまして、積極、消極は、これは言葉のあやでございますが、要するに日本から依頼したことに対して、米軍、アメリカがこれを受諾し、日本の要請に基づいた措置をとるようにしました。こういうことだけであると考えます。
○森元治郎君 先ほどの一月六日の藤山・マッカーサーの話し合いというものは、当然文書で出すべきだということは後ほどに留保して、先へ話を進めまするが、この往復書簡の気持から、あるいはこの表現から受ける感じというものは、日本の単なる領空侵犯というだけではなくて、防空全体を一つたのむような形になっていると思います。そこで、これは新しい条約と一体関係はどういうふうになるか、これが第一点であります。こういう野放図なお願い、日本は何もないのだから、一つアメリカの方でやってくれ、こういう書簡でありますから、安保条約との関係は一体どうなるのか。必要があれば、アメリカはこの書簡によって何でもできると解釈するのは決して不当ではないと思う。相当のことができます。一切の可能な措置を日本の援助でやるのだとなれば、新安保条約でいろいろな取りきめを結んでおりますが、これは何もならなくなってしまう。安保条約の大きな抜け穴をここに作っておった。私はそういう言葉を使いたくないけれども、アメリカが自由に日本で行動するための一つの手段ではなかろうか。そうであることを望みませんが、そのようにも考えられるのでありますが、新安保条約とこの防空の問題、この点をお伺いいたします。
○国務大臣(小坂善太郎君) 新安保条約といいましても、従来の安保条約と異質なものではないと私は考えます。従来の安保条約の足らざる点、すなわち日本とアメリカとの関係が平等を欠いているという点を、日本の自主性を尊重してこれを改めていくというのが、いわゆる新安保条約、いわゆる言いようによっては安保改定そのことの趣旨であろうと思うのであります。 この書簡から私どもの読み取りますことは、「一切」という字、あるいは「可能な」という字があるけれども、何でもかんでもやるというのじゃなくて、日本の要請を、日本の辺境における領空侵犯、これを排除してもらう、そのことに必要な措置をとってくれという日本の要請をアメリカが受諾したということでありまして、安保条約そのものが防衛的な性格をあくまで堅持しておりますことと同様に、これは日本の防衛のために、日本の安全と平和のために必要な措置というふうに私は理解いたしているのでありまして、あなたの御心配のような点は、私は感じないのであります。
○森元治郎君 それは納得できません。最近の飛行機はスピードがマッハを単位として早くなって参りましたので、従来のように、よその飛行機が領空に入ってきた、それから飛び上がって、それに警告し、これを外へ追い出す、あるいは強制着陸させるというには、あまりに早過ぎて、従ってこれからの防空というのは、非常に国の外へ出なければ自分の領空を守れないというのが飛行機発達の現状であります。そこで、私はいろいろな危険が起きてくると思うのです。この点、軍事専門家の防衛庁長官に、最近の領空侵犯と航空機発達との関係をちょっとお伺いしたい。
○国務大臣(西村直己君) 領空侵犯の、最近はあまりたくさんはございませんが、しかしながら確認はできませんが、領空侵犯らしき事態は、やはりときたま起こるのであります。確かにお説のように、非常にジェット時代に変化しますから、ややもすれば無意識あるいはその他の場合に領空にかかるという場合はあろうかと思います。従って、これに対しまして排除の方法でありますが、たとえば排除と申しましても、一がいに攻撃をかけるとかそういう意味じゃなくて、いわゆる警告を出して退去を求めるとか、いろいろな穏当な例ということは、これは国際慣行においてもしばしば行なわれたわけです。確かにお説のようにジェット時代になりますと、領空侵犯というものもあり得る場合もあるということは、国境に非常に近い場合、お互いに各国間で、これは外務大臣の所管でありましょうが、そういうことがないようにお互いにするのが国際的道義であり、国際の通念ではないかと考えております。
○森元治郎君 新しい条約との関係ですが、新条約四条との関係はどうですか。四条では、日本の安全に脅威が生じたと認めるときにはいつでも協議することになっております。しかし、この書簡があなたの言うように生きているということになれば、領空侵犯について協議の必要がなくなっているのではないか。かりに協議しても、すでにこれほどの強い表現で必要な措置をとることをアメリカ側に前もって委託をして、前もって要請してある。だからアメリカ側の判断でどんな措置がとられても、日本側としては文句が言えないのではないか。この点どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、アメリカは日本の安全、平和を守るためにこちらに駐留しておるのでありまするから、アメリカが特に好戦的に、日本の意に沿わぬような、ことさらに攻撃的な措置をこの書簡によってとるとは、毛頭思わないのであります。御指摘のように、安保条約の第四条には、随時協議の条項がございまして、われわれ常にアメリカとの間に緊密に安全と平和のための協議を行なうのであります。しかし、他にももちろん正式の外交ルートもあるわけでありまして、随時日本の平和という問題に関しましてアメリカ側と協議をいたしておるのであります。さような書簡があるから、それによって抜け穴があるとか、さようなことには毛頭ならぬと確信しておるのであります。この点はアメリカ側も同断であります。
○森元治郎君 アメリカ側がさような勝手なこと、行き過ぎたことをやることはあり得ないのだ、あるまい、それは私もそういうふうに期待はしておりまするが、しかし、そういうふうにただ期待であるとかいうあやふやなことがいろいろあるので、協定というものを結んで、できる限り原則を条約できめ、交換公文できめ、議定書できめるという、幾段にも可能な限りの手続をとっておるのであります。そこで、第五条との関係は一体どうなるか。政府は、新条約第五条にいう武力攻撃とは、組織的、大規模な侵略の意図をもってする武力による攻撃であり、単なる領空侵犯はこれに含まれないと説明をして参りました。つまり、よほど重大な武力攻撃が日本に加えられない限り、第五条の発動として日米両軍が出動することはないと説明することによって、日本がアメリカの欲する戦争に巻き込まれる危険はないのだと説明してきております。五条の武力攻撃の定義をいかに狭くしても、他方でこの書簡によって大幅にアメリカ軍の出動を要請している以上、これは何の意味もなくなるのではないか。アメリカ側は、安保条約第五条の発動としてではなく、日本政府の要請に応じて出動し得るからであります。こういうことが許されるならば、ちょうどレバノン事件と同じであります。どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 第五条は、組織的な、計画的な武力攻撃が加えられる場合に限ることは、条約の説明でおわかりの通りでございます。今の領空侵犯を日本の方からアメリカ側に排除してもらうように頼んだという書簡は、そうした現実にそのことが日本の平和と安全を脅かすという事態がない限り、そうその書簡一本によりまして、安保条約に規定されておることが全部ほごになるという性質のものでないことはもとよりです。この安保条約そのものが日本の安全と平和のためにあるのだ、こういう点を認識していただければ、ただいまの問題は何も危惧する必要はないということになることは明瞭だと思う次第でございます。
○森元治郎君 そういう御答弁を聞けば聞くほど、やはりこれをはっきりした文書にして世間に知らせて、その憂いがないのだということを国民に当然知らせるべき必要性がますます加わってくると思う。 さらに伺いまするが、最近の飛行機は大へん性能もよくなって、速さも速いが、高度も高く飛んでくる。そうすると、こういう領空侵犯あるいは侵略の飛行機、これは性能のよいレーダーを有するアメリカ軍が主として探知し得るのであって、日本側はアメリカ側の通知によってこれを知り得るというのが実情であろうと思うのであります。アメリカ側は、安保条約とは関係なく、こういう自分がつかみ得た情報によって、みずからの判断で飛び出すということもあり得るのじゃないか。何となれば、このアメリカ側回答書簡の後段において、一切の必要かつ適当とされる措置をとるというのですから、飛び出されてもこれは仕方がない。事前協議などといういとまは全然ない、もうまかせてあるのですから。これはどうなんですか、単なる善意にだけ期待するのですか。
○国務大臣(西村直己君) 森さんも御承知のように、レーダー・サイトは実はほとんど昨年の六月三十日までに日本側に移管されておるわけであります。従って、レーダー・サイト並びにそれに関係する警戒態勢は、日本側でやっておるわけであります。
○森元治郎君 事前協議との関係はどうなりますか、外務大臣。新安保条約の付属交換公文で、事前協議というものがあります。日本政府の要請に基づいてとる行動は、事前協議の対象となることになっております。しかしながら、かりに事前協議が起こっても、先ほどの書簡によって、日本側としては、よろしく頼む——それは困るということは言えないのではないか、どうですか。
○政府委員(中川融君) 今御指摘のありました通り、この領空侵犯というものは、これは武力攻撃には原則として入らないと考えております。ごく例外的な場合といたしまして、たとえば、領空侵犯と同時に、それが強力な爆弾でも積んで日本の領空に入ってきまして日本を爆撃するというような場合も、これは全然皆無とは言えないかと思いますが、さような場合には、あるいは武力攻撃になりましょう。しかし、普通の領空侵犯というものは、武力攻撃の範囲内に入らないのであります。従って、第五条の適用も原則としてはございませんし、第六条関係の事前協議という問題につきましても、御承知のように、事前協議は三つの場合に限られております。従いまして、軍事行動というような場合には、作戦行動という場合に事前協議ということになるのでございますが、そのような事態は領空侵犯に関連しては予想していないのでございます。 なお、この際つけ加えさしていただきますが、岡崎・マーフィーの書簡が非常に危険なものであるという森委員の御心配は、この条文だけといいますか、書いたところだけを見ますと、あるいはそのような御懸念の出るようなことも、あるいはこういう点からこうと思われるような点もあるいは考えられるかと思いまするが、現実の運用がどうなっておるかということを簡単に御説明申し上げたいと思いますが、これは、実は八年前にできた書簡交換でございます。五三年にできた書簡交換でございます。その際には、日本には全く防衛航空力というものはなかったわけでございます。日本は領空侵犯に対して何ら手段がないために、従って、ある意味で全面的にアメリカ軍に依存するような格好の書簡が出ておるわけでございますが、その後自衛隊が整備されまして、今は防空能力も相当自衛隊自身が持っておるし、日本自体が領空侵犯を排除する能力も相当あるわけであります。その限度においては、日本が自主的に領空侵犯の排除に当たるということは当然でございます。しかし、まだ遺憾ながら完全とは言い切れないというところがございますので、それを補う意味で、アメリカ側に依然協力をお願いしておるというのが現状でございます。従いまして、アメリカ側の協力の内容というものは、岡崎・マーフィー覚書の実際の運用といたしましては、常時日本の自衛隊と緊密な連絡のもとにのみやるということになっておりまして、その点いささかも懸念はないと、かように考えております。
○森元治郎君 大へん懸念がないようなお話でありますが、そういうことはやはり紙に書いた条約に基礎を置いて今防衛その他を考えているのでありまするから、やはりそういうことも紙に書いて、書き直して、必要がなければこれを消してしまう措置をとるべきだというのが、きょうの私の質問の重点なのであります。小坂さんは、国会もまだ五月の終わりまでありますから、この問題では相当これから皆さんに食いつかれる。そうして、御答弁は、一月六日に、藤山さんとマッカーサーさんがどこで会ったのか知らないが、会って話したのだから心配はないのだ、こういう答弁では問題は尾を引くばかりであります。私は、これは当然取り消すべきだと思うが……。その前にちょっと防衛庁長官に伺いたいのは、この領空侵犯ということの領域は、一体日本本土だけであるのか、歯舞、色丹なども入るのかどうか。都合によっては択捉、国後も入るのか。こういう領域の問題と日米両軍の空軍の配置の状況、米軍防空体制なんかについて、防衛庁長官の専門的な御答弁をお願いします。
○国務大臣(西村直己君) 防衛庁といたしましては、もちろん防衛庁自体にも、御存じの通り、航空自衛隊が自衛能力を持っておりますから、防衛庁といたしましても、自衛隊も漸次防空能力は整備しておる段階ではあります。従いまして、国土を領空で守るには、事実上、歯舞・色丹との間に線を引きまして、守る限界をわれわれの方は持っておるわけでございます。
○森元治郎君 ちょっとあとの方忘れちゃったようでありますが、私はかねがねあなたに……。日米空軍の配置の状況とか防空体制などを簡単に一つ御説明して下さい。
○国務大臣(西村直己君) 日本の航空自衛隊の状況をちょっと先に申し上げましょう。 航空自衛隊は、三十五年十二月の三十一日現在で千百十五機ございます。これはその中で、各種の目的を持った飛行機を全部含めまして千百十五機。航空団五、輸送航空団一、それからレーダー・サイト、こういうものは大体日本側が所管をいたしておるのであります。それからこれのさらに細部になりますと、航空総隊一、航空方面隊が二、三沢、入間。それから航空司令所が春日。それから実動部隊としては、航空団が四、千歳、松島、小牧、新田原。それから輸送機の方は、これは関係ありませんけれども、輸送隊は木更津にございます。その他教育部隊が宇都宮におります。 それから米側の根拠地といたしましては、三沢、入間、それから横田、板付。それから海軍の米側の航空部隊が厚木、岩田、こういうふうになっておるのであります。
○森元治郎君 それでは、この問題は大へんむずかしい問題でありますので、重ねて外務大臣にしつこいようでありまするが、私も大臣の立場に同情をいたしますけれども、往復交換公文で参ったものに対しての意思を、新たなる意思を入れるという場合には、やはり紙に書いたものを交換されて公表されることが至当だと思う。政府という——私もあなたの立場になれば曲ったものでもがんばるかもしらぬが、ここは私はあんまり追及しようとは思わないので、それがよりベターだというようにはお考えにならないか、もう一回伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) この書簡は、先ほどから申し上げているように、往復の書簡交換が行なわれたわけであります。いわゆる交換公文とは違って特に書簡の交換ということを言うておるわけであります。そこで、その事情変更が行なわれる、すなわち、そういうことが、もう頼まないということになりますれば別でありますが、従来通りこれは継続していくのだということを了承いたします場合は、私は口頭でいいと思います。理屈っぽく申し上げますと、たとえば先方の返書の中に、これは極東軍総司令官に命令したという一項があるわけですが、極東軍総司令官というものはもうなくなっちゃっても、やはりあの書簡は生きているというような扱い方をされているわけであります。それはまあ口頭でやったんだろうと思う。その辺の事情は、私就任前のことで、今とっさにつまびらかにいたしませんが、おそらくそうだろうと思う。おそらく同様の意味において安保条約が改定されて、ムタティス・ムタンディスの原則があるのでこの問題は口頭で済ましていくと、こういうことになったと思うのであります。私はそのやり方でけっこうであったというふうに確信いたしておるのであります。
○森元治郎君 極東軍司令官の問題で、そんなこと言うなら安保条約のときごらんなさい。行政協定は新しい行政協定に直す場合には、「てにをは」まで直しているじゃないですか、一々。名前が変われば名前が変わった——おかげさんでわれわれの書類はこんなになってしまうくらいあるのを対比して大へんな苦労ですよ。名前が、ちょっと変わればすぐ変わる、今持ってきていないけれども。極東軍司令官は今の太平洋軍司令官に変わったんだというようなことをぬけぬけと言っておられたんじゃ、これからあなたは一体交換公文、条約等、どう解釈されるかわからぬと思う。これはやっぱり公式の文書ですから——これは書簡だとおっしゃいますが——何となれば、サンフランシスコの平和会議があった昭和二十六年の暮れ十二月二十四日に、吉田さんはダレス大使に書簡を送って、台湾の限定承認をしましょうと、こういうことを言っておる。これも書簡じゃないですか。この書簡によって日本と台湾との条約は結ばれたのであります。そんな書簡といっても、ラブレターみたいなものじゃないのですから、これは相当の権威のあるものです。今、大臣のおっしゃるようなそんな、これは書簡だなんて軽くおっしゃいますが、外務大臣としてはそういうことでは勤まりませんぞ。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように、この安保条約の改定というものは、非常に大きなねらいが行政協定の改定にあったわけです。実際に安保条約を施行するための諸種の協定、行政上の協定に非常に不平等性のはっきりしたものがある。たとえば労務者の直接雇用なんというものは、これはやはりそういう形であるから労働三法が適用されるかされないかというようなことが議論になったわけでありますから、これを間接雇用にすると、裁判権の問題等も明瞭にしていくと、そういうことで大きな事情変更があったわけであります。従って、名前も、行政協定という名前は御承知のように変わったのでありまして、地位協定というふうに変わっておるわけであります。そういうふうに変わったものについては、これははっきりと、これはもう変わったのでありますから、協定をきちんと文書でしなければならぬと思うのです。
○森元治郎君 これも変わっておる。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは事情は変わっていないのです。日本の北海道周辺に領空侵犯が行なわれる場合には、アメリカ軍がそれを排除しましょうと、こういうことなのでありまして、そのことは少しも変わっていない。それを続けてやりましょうというだけのことでありまして、そういう点は文書でかわさなくても口頭で確認しておる。そうして公式の会談でありますから、当然それに関する記録があるわけでありますから、それでけっこうなんだ、こういうふうに思うわけであります。
○森元治郎君 それは部内限りの答弁はそれで済むでしょう、政府部内は。閣議において、あなたが池田さんと、こういう趣旨で答弁しておこうというならそれで都合いいかしりませんが、国民にはそれは通りませんよ、そんなことでは。それが証拠にここに、何回も言うようだが、旧安保条約の、「一九五一年九月八日付合衆国と日本国との間の安全保障条約の条項の下に、」という字も入っておるのであります。当然これは単なる口頭では済まない。そこで私は、あくまでこれは死文化すべき、やめてしまうべきものであるということが第一点。それから第二点は、今からでもおそくないから、あなたが大臣就任前の藤山さんとマッカーサーのときの話し合いの内容を政府声明として出すか。この二点、どうです。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私はこの理解の仕方が、こういうことをやることが一体日本のために不利益であるか利益であるかという点がやはり一つの問題点だと思うのであります。これは日本の北海道周辺の上空を侵犯されることは因るのであります。私は困ると思います。従って、そういうことが排除されることが望ましいことだと思うのです。でございますから、これを延長することが適当であると思う。非常に困ることを無理にやるということを口頭でやったということでありますれば、私は御非難は当たっておると思う。その意味で私は前藤山大臣は口頭でこの問題を処理されたのだと理解いたしておるのであります。 それから第二点の、これを声明すべしということでありますが、ことさらにそういうことを大きく言うてみることが今日の国際環境下にあって適切であるかどうかということを判断しなければならぬと思います。私は、そういうことをことさらに荒立てることが不利益であるという、有益でない、こういうことの見解からいたしまして、この問題はこれでよろしいというふうに判断いたしております。
○森元治郎君 問題の取り方が私と全然逆で、これは何にもしない方が利益であるとか、あるいは事を荒立てないために出さない方がいいとかいうことの問題ではなくて、私の伺っているのは、形式として、やはり文書にして、それを出される、口頭でこういうことを約束しましたということを文書で出してもよろしい、何らかの措置をすべきだというのであります。決して相手を荒立てるものではない——荒立てるというのなら、そもそもこの書簡が出たときに、ソビエトの方ではアメリカの侵略行為であるというような宣伝を大々的に当時やった。ところが、アチソン長官あるいは当時のクラーク司令官は、何が悪いんだと、大いにアメリカの方が、非常に熱の上がった野球のスタンドみたいな応援であります。荒立てるのも、もとから荒立っているわけですから、今急にこれをやったからといって、荒立てるわけでもない。問題は、荒立てる荒立てない、利益、不利益ではなくて、文書にすべきだというのが私の趣旨であります。同時に、これを死文化すべしというのでありまするが、大臣はどうしてもそれでがんばりなさるようでありまするから、今日のところは、これにて一応打ちとめて、機会をあらためてやることにいたしたいと思います。
○高田なほ子君 委員長、ちょっと関連させて下さい。お話を聞いていて、大へん私も不安に思います。普通の問題でしたら、外務省の見解もそれで成り立つかもわかりませんが、この文書は、出動要請に対する交換文書だと思うんです。もっと詳しく言うと、出動に対する援助の要請、一体この防衛出動については、非常に厳重な規制がございます。自衛隊法では、出動に対しては国会の承認を得なければならない。非常に緊急でやむを得ない場合でも、自後に国会の承認を得なければ防衛出動はできない。もし防衛出動をする場合には、各関係機関に対して十分な連絡をとらなければならない。こういうふうに、防衛出動そのものに対しては、わが国としては重大な手続を経なければならない問題だと思います。従って、今回のこの交換公文の内容は、わが国の防衛出動に対する援助の要請でありますから、国会の承認に値する内容を持つものでありますから、当然このような問題は口頭でなさるべきではなくて、森さんの主張されるように、文書によってなされることが正しい私は行動ではないかと思う。簡単な内容のものではございません。国会の承認を得なければならないという内容を持つものであるがゆえに主張しておるわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 大へんにいい点に触れていただきまして、私に申し上げる機会を与えていただきまして感謝いたしますが、これは、いわゆるおっしゃるように出動ではございません。領空侵犯というのは、本来やっていけないことなんです。やっていけないことをやられた場合に、これを排除してくれということは、これは警察行動を意味するのであります。防衛的な意味から言いましても、防衛庁長官からお答え願いますけれども、これは出動ではございませんで、警察行動でございますことをはっきり申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) われわれの統括いたします自衛隊におきましても、領空侵犯に対する措置というのは、特別に防衛出動、治安出動と区別をはっきりさして、自衛隊法の八十四条をごらんいただきますとわかるのでありますが、「長官は、外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、」この必要な措置を講ぜしめる。このことの関連事項でございます。防衛出動、治安出動とは全然関係がない。領空侵犯に対する一種の警察の事実措置と申しますか、警察上の措置でございます。
○高田なほ子君 ちょっと了解いたしかねますけれども、このアメリカ側の回答文書の内容は、これは警察出動を内容としたものでございますか。私はそうでないと思いますが、この点はいかがでしょう。極東軍総司令官というのは、これは警察の行動を内容とするものでございましょうか、大へん疑問に思いますので、この点を伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) やっていけないことを行なわれた場合に、これを排除してくれということを依頼しているのでございまして、警察的な事実行為であると私は思います。
○森元治郎君 いろいろ問題がありますが、どうも警察行動などという、だんだんあやしげな方向に向かっていくようでありますけれども、これはほんとうの警察行動ではないのであります。明らかに軍事的な措置であります。軍事的な措置。それを警察行動などという、警察の署長がやるような行動ではないのであります。時間もございませんから、それは次の機会に譲りまして、茨城県の那珂湊の問題が、航空基地関係にありますので、ちょっとこの点について政府の御答弁を願いたいと思います。 茨城県那珂湊、勝田市にまたがる、いわゆる前渡飛行場のアメリカ軍の射爆場であります。これを返してくれというのが地元の要望であります。社会党がまっ先にこれを取り上げ、続いて自民党の方も賛成し、今はその二つの市、日立市、水戸市、東海村、村から市町から、それから茨城県知事、県会全部が賛成して、一つどうかこの接収を解除してくれないかというので、防衛庁とかあるいは調達庁とか、あるいは科学技術庁に大へん熱心に陳情をしております。途中において、ジョンソン基地の司令官が、三十五年だったと思いますが、三十二年か三十五年ごろに返せると思うというようなうれしい話があったりして、それが事実でなかったのでありますが、いずれにしても、みんながそろってこれを返してもらいたい。その理由は、もう御承知のように、あの付近には原子力研究所、原子燃料公社、原子力発電会社の東海発電所もあります。どんどんこれが拡張されている。それから、あそこらにいろいろな工場が誘致されてくる。やがては人口八十万の市になることも近い将来だというので、大いに皆さんが張り切っているので、どうか一つ国会でもこれを取り上げてもらいたいということであります。去る六月だと思いますが、茨城県知事の岩上君が、県会でお話をして、私は、この問題のために四月中旬に、もしアメリカ大使館あるいは外務省の御了解を得られるならば、アメリカへ行って、アメリカの首脳に直接お会いしてお願いするということをお話しております。これは、非常に熱心な知事の行動でありまするが、われわれとしては、一日も早く返してもらいたい。事情もありましょうが、これは、外交の面については外務大臣、これはまた新しい行政協定にもよることと思うので、防衛庁長官にも伺いたいし、原子力発電の点からは、科学技術庁長官からそれぞれの御答弁をいただいて、この珍しい与野党一致、県民一致のこの気持にこたえてもらいたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) 水戸の米軍の対地射撃場の問題であると存じております。また、地元から非常な御熱心な要望が数年来あることも存じております。ただ、米軍といたしましても、必要度が非常に高い演習場であるだけに、その返還要求に対する折衝は、率直に申しまして、私は、安易なお返事を申し上げることによって場をのがれるより、実際は非常に困難な状況にあるということをはっきり申し上げます。しかしながら、われわれといたしましても、地元の状況等も十分了解しておりますので、調達庁その他を通しましてできるだけ、やはり返還する場合には、また一体どういうふうな代替地を設けるかというふうなことも考えて参らなければならぬ場合もあり得るのでありますが、そういうようなことと関連いたしまして今後も折衝を続けて参りたい、こういう考えでございます。
○国務大臣(小坂善太郎君) この御要望につきましては、よくわれわれも承っておりまして、先方ともいろいろ話をいたしておりまするが、何分にも先方は強い希望を持っておりまして、なかなからちがあきませんのでありまするが、さらに、この地元の御要望を十分体しまして、折衝を続けたいと考えております。
○森元治郎君 技術庁長官がまだお見えにならないようでありまするが……。
○委員長(館哲二君) 政務次官が来ておりますが、よろしければそれで……。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。
○森元治郎君 やはり形式はとった方がいいと思いますので……。先ほど大臣のお見えにならないうちに、那珂湊の前渡の飛行場ですね。あの返還については、あなたのところにも要望書が二度くらい、荒木さんのときとあなたと二度出ていると思う。そこで、あの関係の原子力関係が大へんあそこに密集して、今後町も発展するので、ぜひその接収を一日も早く解除してくれということは、もう大臣も御存じの通りであります。しかも、全県みんな、各党一致して、珍しく超党派で、これの接収解除に陳情をやっているわけであります。茨城県知事も、アメリカへ行って直接向こうにお願いするという決意のようでありますので、大臣からも、この県民の気持をとらえて、接収解除に努力してもらいたいと思うのだが、御意見を伺いたい。
○国務大臣(池田正之輔君) 大へんおそくなりまして失礼いたしました。ただいまの森委員の御要望でございますが、これは、茨城県知事さんを初め、地元の方々の御要望を私は承知いたしております。先般私が東海村に参りましたときも、現地を見て参りました。しかし、こういう問題は国際的ないろいろな問題がからんできますので、なるべくやり方を注意していきたい。ということは、あまり勇ましくやってもどうかと思いますし、といって、あまり低姿勢でもいかぬ場合もありますし、そこがほどほどというところが非常にむずかしい。知事さん初め県の代表の方はワシントンまでわざわざおいでになるということを私は承知いたしております。これはぜひ、御苦労様でも行っていただいて、私どもは陰からできるだけの御援助、援護射撃をいたしたい、かように考えております。
○森元治郎君 この点は、真剣になって、接収解除に努力してもらいたいと思う。事情はむずかしいということは、西村長官の御答弁を待つまでもなく、よく承知いたしておりますが、しかし、行ってごらんになればわかりますが、三百五十万坪くらいの小さい所で今の早い飛行機で反転をやられたのではとてもじゃない。いつかさらに大きい事故がある。すでに六名ばかり死んでおりますが、大きい事故が起こるので、代替地ということは私はわかり、ませんけれども、新しい行政協定にも、返還を目的として話し合いをするというのが第何条かにもありますので、どうか一つまじめに取り上げて折衝してもらいたいというお願いをいたします。時間もございませんので、きょうは一時間分作ってきたのですが、四十分になりましたので、ごくポイントだけを伺います。 軍縮関係と中共との問題を伺います。最近自民党の中国問題小委員会で、主査である松木俊一代議士が、中共は、早ければことしの秋には核保有国になりそうだと報告をしております。政府は、こういう判断をどういうふうに受け取っておられるか。ことしの秋には持ちそうだという情報を的確にとっておるのかどうかが第一点であります。 第二は、軍縮管理は中共政府も参加させるようにしなければ意味がない。ちょうどアメリカのケネディ大統領の演説の下書きをするスピーチ・ライターというのですか、プロフェッサーのシュレジンガーの言葉にもあるように、どんな軍備管理も、中共を除いては無意味である、国連加盟くらいならば、支払い代価としてはそう高くはないとまで言っております。こういう意味からも、国連加盟にして、国際社会に北京中共を入れていかなければ、軍縮というものの最終目的は達しないのじゃないか、こういうことをまず伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨日もこの場所でお答え申し上げたことでございまするが、当初ソ連との間に、原子力の平和利用ということで協定が結ばれまして、大体確認されておりまするのは、北京に七千キロないし二万キロワットの炉がございまして、一九五九年からプルトニウムの生産が軌道に乗っているということは、われわれそのように承知しておるのであります。しかしながら、これもプルトニウムを精製いたしまするために化学処理が必要でございまして、これには相当に膨大な設備が要るわけでありますが、現在これを持っているのは、米、ソ、英、仏と四カ国になっておるわけです。さらにこの核爆発を行ないまするためには、信管の装置が要る。いろいろな点が問題になっておるわけでありまするが、私どもとして、そういうことをこの場で言いますことは差し控えたいと思っておるわけであります。他にも三カ地点、未確認でございますが、そうした炉があるというふうにいわれておるのであります。この原爆の場合、プルトニウムが大体十キロというふうにいわれておりまするので、そのプルトニウムがたまっていく期間を計算いたしますれば、ある期間が出てくるわけでありますが、私からこの席でとかくのことを申し上げるのは差し控えたいと考えておる次第であります。 それから、中共を国連に入れる、あるいは国際社会に入れる、そして軍縮の規制をするという問題でございます。それに軍縮に協力してもらうという問題でございますが、これは御承知のように、十カ国委員会というものが、軍縮に関しまして協議をいたしているわけであります。これは国連のワク外でやっているわけでございまするが、これに中共に加盟してもらうということは、これは軍縮に関する十カ国委員会の委員が決定すべきことでございまして、われわれとして何も言う立場にないわけでございますが、一方、中共側におきましては、中共を承認せざる限り、そうしたものに加わらないという意思を表明していることも御承知の通りでございます。それに関しまして、われわれいろいろ研究をいたしているのでございますが、何分にも微妙な問題を、この際ここで申し上げる段階には至っておりませんことを御承知願いたいと思います。
○森元治郎君 中共が核保有国になることに対して、日本社会党では、これはわれわれのかねて主張していることと大へん反するので、近く中国へ行くわれわれの使節団は、核保有は待ってくれということをわれわれは言おうとしているのであります。そこで、一体こういうお隣りの中国が核兵器を保有するということについては、日本も、自民党でも重大なる関心を持っておられることと思いますが、特に私の伺いたいことは、これをいいことに世上の見方でありますが、日本にも対抗上核兵器を持ち込む、あるいは再軍備への、あるいはまた憲法改正の口実にするのではないか、こういうことをおそれている空気が出て参りました。そこで私は、従来政府の答弁に一貫しているように、この際核兵器の持ち込みはやらないということ、こういうことをこの機会に明確に答弁を願えるかどうか、そうあるべきものだと思うのでありますが、外務大臣から、一つ内閣の代表として、御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 政府が、一貫いたしまして核兵器の持ち込みに反対、それはもう絶対許さぬということを言っていることは御承知の通りであります。現内閣におきましても、もとよりさような考えでございます。これは他の機会にも申し上げておることかと存じますが、これは強く反対いたします。なお、中共において、さような物騒千万なる核兵器などを持つということになりますことは、もうわれわれとしても遺憾千万でございまして、さようなことにならぬことを、心より希望いたしているわけであります。
○森元治郎君 残り時間あと短いのでありますから、飛ばしまして、何といっても、ことしは中共の国連加盟が大きな世界の外交問題であり、日本にとっても大へんな問題であろうと思います。そこで、昨年の暮れの国連総会で、日本は、アメリカ提案になるモラトリアムに賛成の投票をしておりますから、そのときの気持、そのときの理由はどういうものであるか、いわゆるこの中共の国連加盟について、総会にたな上げをするという、あのアメリカの提案に賛成をしたときの理由はどういうことかということが第一点であります。 第二点は、この秋にどうもまた再びこの問題が取り上げられて、問題になろうと思うのでありまするが、やはり日本は従来通りの方針でいくのかどうか、あるいは大勢順応という、あちらを見、こちらを見て、大勢に乗っかって恥をかかないようにしていくのか。 それから、先ごろ松平国連大使は内地へ帰って来られた折、新聞記者の会見であったと思います。詳しいことは私忘れましたが、要するに、最近日本は大へん国連で評判がよくて、友だちが多くなった。裏を返して言えば、投票をするときには、日本の気持に賛成してどうもやってくれそうな国が多くなった、従って、国連において、反対し、賛成する、いずれにしても大きな発言力があるようなことを言っておりますが、事実はどういうことであるかということを伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) この国連の代表権の問題を議する場合、これはこのたな上げに関する限り、過半数できめ得るわけでございます。現在国連におけるいわゆるチャイナの代表を国民政府がしておる。その代表権を中共に与えるという問題の持つ国際性、いろいろな国際的な困難な事態を生ずることを考えますれば、その当時としては、これを一年間たな上げして議題からはずしていくということは、非常に当時の情勢では適切であると、こう思いましたので、代表権のたな上げにわれわれは賛成をいたしたわけでございます。しかしながら、その後において国際情勢は常に動いておるわけでございます七われわれはその動きというものを敏感に感じとり、諸般の情勢を見ながら、自主的に、かつまた、柔軟な弾力的な態度で対処したいというふうに考えている次第でございます。 また、松平国連大使の、こちらにおきます、国連内部における日本の評判がよくなっておるということは、私もさようだと思います。日本の言っておりますいわゆる静かなる外交、国連制度というものを、良識と理性の場として育てていくという私どもの努力は非常に理解され、高く評価されつつあるというふうに私も思っておる次第でございます。
○委員長(館哲二君) 森君の持ち時間は終了しておりますことをお含み願います。超過した分は話がついておりますが。
○森元治郎君 これは先ごろのイギリスの連邦首相会議で、この際、中共を国連に加盟さすべきだということの空気が大へん強くて、どこの国とどこの国は賛成しそうだ、あそこは引っ張り込まなければならないというような、大へん積極的な様相を示しました。それで、私は計算をしてみたのですが、もしあの当時のイギリス連邦首相会議の報道が確かだとすれば、総会において中共の加盟を審議するということをやらない、いわゆるたな上げということに賛成をするのが三十九票で、いや、これは問題にすべきだというのが三十八票になるようであります。わずか一票の差ぐらいで、大へん接近しているような形勢であります。ことしの秋にうまく入るかどうかもわかりません。また、アメリカも、今のところ、なかなかこれに応ずる様子がないので、両方の陣営でこの抱き込みをやるだろうと思います、猛烈な抱き込みを。ですから、これはにわかにいずれが勝つということもなかなか想像はできないが、いずれにしても加盟ということはあるようであります。あるように思われます。そこで、一つの仮定になりますが、小坂外務大臣も、きょうの政治だけをやっているのが政治家ではないので、やはり加盟と承認の問題というのは関連するものであるから、これは大臣の政治家としての見通しと信念を伺えば足りるのでありますが、私は、もし国連に入ることが中共ができたとするならば、これは承認すべきだと思う。日本は、これを中国の正統政府として承認すべきだと思うが、どうかということであります。承認と加盟はこれは別なものだ、一方の解決は必然的に他方の解決を意味しないという議論があります。なかなか強いようであります。しかし、これはよく考えてみると、二つの中国の下地を持った議論だと思います。日本と台湾との平和条約締結の経緯と国連主義の建前からすれば、これは自民党政府の言う国連中心の建前からすれば、国連で中国を代表する唯一の正統政府は中共だと認められた場合には、これは中共を日本は承認をして、日本と台湾との条約はやめるべきだと思う。日本と台湾の条約は、もう小坂さんもよく御存じの通り、条約というのは背景が大串であります。どうしてできたかという経緯は、なかなか条約の解釈上大事であります。あのころは、もうダレスさんが飛んで来て、台湾と日本が平和条約を結んでくれなければ、講和条約というものもなかなか上院の方が通らない、一つやってくれということでありますが、翻ってみると、このダレスさんのお願いから九年もたっております。吉田さんはいやいやながら——私は、いやいやながらとはっきり言います、いやいやながらダレスさんに出したあの書簡の意味というものも消えてしまって、台湾との条約に対する義理は果たしたと思う。そこで、最近これは自民党あるいはそれを支持する方面から流れる中共承認論、これは段階的であろうとも、中共承認論は、台湾は何らかの形式で残るものだ、残すべきものだという潜在的な考え方、あるいは割り切れないといいますか、そういう考え方が残っているようであります。この点について伺いたい。ということは、近ごろだんだん中共問題が大きくなって参りますと、二つの中国のかわりに一つの中国、一つの台湾共和国あるいは国連の信託統治、中共の自治州、人民の投票によって自決をさすべきだというふうに、中共は国連に入れてもいいが、台湾は台湾として何らかの形に置いていこうという議論が、日本のみならず、自由主義陣営の間にもたくさんあるのであります。これを伺いたいということは、池田さんが近くアメリカに行かれて、ケネディ大統領とも御相談なさる。ところが、これまでと違って、アメリカは、アジアの一員として、大国である——大国だそうである日本の御意見を伺ってみたい、こういう態度でありますから、これはもう今から腹をきめてかからなければならない問題であります。小坂外務大臣御一緒にいらっしゃると思うので、まずそちらさんの意見はどうだなどという恥さらしのことであっては、これは日本のためにはならない。これはこうあるべきだ、こう言うだけであります。簡単に言えば、中共が国連に加盟の暁には、正統政府としてこれは承認すべきである。承認しただけではだめであって、従来の日本と台湾との条約は、これは国連中心主義の立場から、やはり日本・台湾条約の限定条約という不可思議なる、異例なる条約をこの際直して、憲法九十八条にいわれるところの、確立された国際法規による国の承認ということに持っていくべきであると思う。そこで、一つの中国、一つの台湾とか、先ほど申し上げたようないろいろな考え方が最近多く出てきているので、これについて大臣の政治家としての腹を伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御質問の点は、非常に国際的な背景を持った問題でございまして、われわれ十分この問題を、先ほど申し上げたように、柔軟な、弾力的な考え、しかも自主的な判断を持って結論づけたいと思っているのでございますが、非常に複雑な背景を持っておるのでございますから、今何ともここで申し上げる段階に至っておりません。しかしながら、常に私どもの中心といたしますところの世界の平和、そうして極東の安全と平和、そうして日本自身の平和、日本の利益というものを考えなければならぬ。これを中心にしてものを判断しなければならぬということだと思います。もとより将来を見通したことも、その立場から判断さるべきものだと思っておりまして、現実も無視せず、しかも将来の展望を持った判断を下したいと、かように考えて構想を練っているときでございます。
○森元治郎君 もう一点で終わります。 そこで、最後に一点だけをお伺いしますが、どうも外務大臣、総理大臣は、一体自分の国会答弁をもう一ぺんお読みになったことがあるか、あるいはテレビ、ラジオで見たり聞いたりされたことがあるか。外国では、政治家は弾力的とか前向きとか、いろいろそういう言葉も使いますが、その前段には、必ず方針が示されていて弾力的と、こうなるのであります。日本の場合は、発言集でもって、前向きの姿勢、弾力的ですね、こういうことが。 それからもう一つは、中共の圧力に屈せず、アメリカに追随せず、一体これは何ですか、これは。それはこれこれの方針があり、中共は認めるんだ、認めない、これこれの理由で認めない、そのあとにくっつけるんならよくわかるのですが、そういうことではほんとうに日本の外交はさびしいのです。そこで責め立ててもだめですから、一体どういう機関を通じて頭を固められるのか、社会党の参画を求めるか、広く委員の参画を求めるか、複雑怪奇というような外交懇談会の結論をお待ちになるのか、池田さんがここで答弁したから私は伺うのですよ。外交懇談会の結論を待とうとするのか、とうとう出ないで今度国連問題に移ったそうでありますが、複雑怪奇なんという結論はないのであります。平沼内閣でも有名で、自分でわからないのが、これが複雑怪奇であります。自分で自分がわからない。一体どういう機関に諮ってやるのか、いつまでにやるのか、そうしてやったならば、六月に行かれるそうでありますから、国会において堂々と所信を出さるべきだと思うが、いかがでございましょう。
○国務大臣(小坂善太郎君) 外交懇談会は、これは非常に自由な立場で、いわゆる良識ありと見られる人に集まってもらって話をしてもらう機関でありますが、こういう自由な立場にある人でも、今日中共問題というものに対して、これでいくのだという結論ができぬくらい複雑な問題であるのであります。そこで私は、今申し上げたように、これこれでいくのだというのがないとおっしゃいましたが、世界の平和、極東の平和、そうして日本の安全と平和と、きわめてはっきりしているのでありまして、それにいかにして沿うかということを中心に考えていきたいと思う。そうしてどういう機関に諮るかということでありますが、これはもうもとよりわれわれの日ごろ尊敬している諸機関に諮って、十分遺漏なきを期したいと考えている次第であります。
○委員長(館哲二君) 午後は一時五十五分に再開することにいたしまして、瞬時休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————・———— 午後二時十五分開会
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を再開いたします。 午前に引き続いて質疑を行ないます。村山道雄君。
○村山道雄君 池田内閣がその施政の根本方針でありまする国民所得倍増計画の中で、特に所得の地域格差の是正を重要視いたしまして、また昭和三十六年度予算を編成するにあたりましても、後進地域開発を重点事項にあげておりますことは、まことにわが意を得たものでございまして、深く敬意を表する次第でございます。 そこで、この所得の地域的格差是正の基本的な考え方につきまして一、二の点を迫水国務大臣にお伺いいたしたいのであります。 その前に政府に作成していただきました資料をごらんをいただきたいのであります。経済企画庁調べの府県別の財政力指数、分配所得指数並びに産業人口構成比という資料でございまするが、これはいわば地域格差の番づけとも申すべきものでありまして、第一欄は全国の都道府県の財政力指数つまり各都道府県の基準財政収入額をその基準財政需要額で割ったパーセンテージを示すものでありまして、ただいま国会に提出されておりまする国庫負担割合の特例法の目安となるものでございます。最高は大阪府の一二五・八%、最低は鹿児島県外三県の二三・一%となっております。ここでは特に百パーセント以上つまり不交付団体が四十六都道府県中四部府県しかないということが注目をされるのでございます。 第二の欄は都道府県、県民一人当たり所得を全国平均を一〇〇とした指数でありまして、地域格差そのものずばりを示しております。最高の東京都は一八五%、最低の鹿児島県は六二・三%でありまして、実に三対一という大きな格差を示しておるのであります。 第三欄は、第二次、第三次産業人口の全産業人口の中に占める構成比を示すものでありまして、近代産業の発達した地域とそうでないいわゆる未開発地域の差を如実に示しております。最高は東京都の九六・五%、最低は鹿児島の三七・六%となっておるのであります。 そこで、私が第一にお伺いしたいことは、われわれが何ゆえに所得の地域格差を、特に所得倍増計画との関連において是正しなければならないかということでございます。この点をはっきりと解明いたしておきません限り、具体的な問題に入って参りまして、いろいろの波乱や見当違いの議論が生じやすいのでございます。私はこう考えております。国民所得倍増計画の進行過程におきまして、所得の地域格差是正が必要であるということは、一面におきまして、所得水準の低い地域の住民の所得を引き上げるということは、言いかえれば、その地方住民の購買力を引き上げるということでございます。一国の国民経済成長の過程におきまして、今まで十分の購買力を持っていなかった地域の住民に新しい購買力を持たせるということは、その経済的な効果は甚大でありまして、先進国が東南アジア等の未開発地域に開発投資をする目的もここにあると思われるのでございまするが、これが第一点であります。他面におきまして、所得水準の低い地域の住民の所得を引き上げるということは、その地方住民の負担力を引き上げるということであります。現在のわが国の地方自治体の財政状態が所得の地域格差を反映いたしまして、少数の財政的にゆとりのある団体と、多数の貧困団体とに分かれておりますることは、お手元の表の示す通りでございます。すなわち、大阪府の第一欄の財政力指数一二五・八%は、第二欄の分配所得指数一五七・九%であることを反映するものでありまするし、鹿児島県の財政力指数二三・一%は分配所得指数が六二・三%にすぎないことを明らかに反映しておるのであります。そこで所得の地域格差を是正するということは、地方財政の著しい不均衡を是正することとなるのでありまして、これがわが国の財政経済に与える効果もまた大きなものがあると思われます。このように見て参りますると、所得の地域格差の是正は、未開発地域の人たちが気の毒であるとか、かわいそうだというような理由からではなくして、日本経済の均衡のとれた成長発展を期しますためには、これら後進地域の住民の所得水準、すなわち購買力、言いかえれば租税負担力を引き上げることが必要であるからやらねばならないことである、さように考えるのでございまするが、この所得の地域格差是正を必要とする理由につきましての私の考え方について、迫水大臣のお考えをお伺いしたいのでございます。
○国務大臣(迫水久常君) ただいま村山さんがお述べになりましたことは、全くその通りでございまして、所得格差是正の努力をする意味のきわめて重大なる部分が今お述べになりました事情に存すると思います。
○村山道雄君 所得の地域格差是正の問題につきましての基本的な考え方に関しまして、いま一つ迫水大臣のお考えを承っておきたいと存じまするが、それは次の事柄でございます。未開発地域にはいわゆる貧困の悪循環が行なわれております。それは住民の所得が少ないから事業が興せない、たとえ中業を興しましても、その地域住民に購買力が少ないのでうまくいかない、そこで仕事がないから住民の所得が少ない、こういう悪循環でございます。先ほどの表でごらんをいただきましても明らかでありますように、第二欄の分配所得が全国平均の一五七・九%の大阪府では、第三欄の第二次、第三次人口構成比が九三・六%を占めておるのに対しまして、分配所得指数が全国平均の六二・三%の鹿児島県では、第二次、第三次の人口構成比はわすかに三七・六%にとどまっておるのでございまして、ここに貧困の悪循環の行なわれておることは明瞭でございます。しからばこの悪循環を断ち切るのにはどうすればよいか、この解決策といたしまして、未開発国開発問題に関する最近の学説といたしまして、ほぼ定説と言っていいと思いまする考え方は、その地域に短い期間に思い切った産業基盤造成と産業立地のための投資を一挙に行なう、その地域住民に雇用と購買力を与えながら産業開発を完成するほかに方法がないという考え方でございます。たとえばコロンビア大学のラグナー・ヌルクセ教授等の御主張はすでに日本にも紹介されておるのでございます。政府がたとえば東北開発促進計画におきましては、十年間の公共公益事業投資額を一兆二千四百八十億円、前五年間の投資額を五千六百十億円とあらかじめ閣議で決定をいたしまして、これに基づいて経済企画庁からこの委員会に提出していただいておる資料にございますように、昭和三十三年度から三十六年予算までの間、四年間に四千二百二億円の投資を実行しようとしておられる、これは前五カ年計画の七五%に当たるのでございまするが、これは東北地方の貧困の悪循環を断ち切ろうとする基本的な考え方に基づいておるものである、かように考えます。また政府がこの国会に後進地域開発に関する公共事業の国庫負担割合の特例法、また低開発地域工業開発促進法、こういった法案を提出しておられまする基本的な理由は、この未開発地域に現存いたしまする貧困の悪循環を断ち切ろうという考え方に基づいておるものと考えるのでございますが、迫水大臣はこの考え方に御同感でありますかどうか、御所見を伺いたいのでございます。
○国務大臣(迫水久常君) 現在日本に未開発地域というものが存在いたしますのは、やはりその土地の地理的条件が相当大きな原因をなしていると思います。そうして未開発地域におきましては、ただいま村山さんのお述べの通りの貧困と、そしてまた未開発ということの悪循環が継続しているものと考えております。今後未開発地域を開発していくというためには、要するにその土地に存在する生産性の低い産業、たとえば農業のごときものの生産性を一そう向上することに努力すると同時に、その土地に対して生産性の商い産業を移していく、こういうことが考えられる手段の大本だと考えております。しこうしてそういうことのためには公共投資というものがいわば先行しなければならぬということは御説の通りでございますので、考え方といたしましてはその方向で進んでいくつもりでおります。
○村山道雄君 次に、私は迫水国務大臣に国民所得倍増計画と、未開発地域開発計画との関係について質問申し上げたいのでございまするが、それに先立ちまして、最初に、昨年の十二月の二十七日に閣議決定されました国民所得倍増計画の理解の仕方につきましてお尋ねをいたしておきたいと存ずるのでございます。この問題は去る十日の本委員会におきまして木村委員の関連質問に対する迫水国務大臣の御答弁によりまして一応解明された点でございますが、基本的な問題でございますので、あらためてお尋ねをいたす次第でございます。 この閣議決定の内容は、「政府は、別冊「国民所得倍増計画」をもって、昭和三十二年十二月十七日閣議決定の「新長期経済計画」に代えるものとするが、今後における経済の運営にあたっては、内外経済の実勢に応じて弾力的に措置するものとし、とくに、別紙「国民所得倍増計画の構想」によるものとする。」とあるのでございます。従いまして別冊「国民所得倍増計画」の内容と、別紙「国民所得倍増計画の構想」との内容が一致しない、あるいは矛盾しておるような場合には、政府は当然別紙「国民所得倍増計画の構想」によって処理されるものと考えるのでございまするが、念のために迫水国務大臣の御意見を確認しておきたいと存ずるのでございます。
○国務大臣(迫水久常君) 国民所得倍増計画におきまする工業立地の計画につきましては、原案が太平洋ベルト地帯というような構想を中心にしてできておりまして、いわば低開発地域、後進地域の開発ということにつきまして、もう少し政治的には、まだ日本国としては国民経済としては配慮した方がよさそうな感じがいたしますものですから、構想にそのことをうたったのでありまして、私は二者択一の関係ではないとは思いますけれども、いわゆる計画にいう掲げられたるものをそのままに推進するということではなしに、修正という言葉を使うとまた非常にむずかしいので、言葉使いがむずかしいのですけれども、そのことを十分に頭に置いて実施の計画を立てていきたい、こう思っております。
○村山道雄君 国民所得倍増計画は、言うまでもなく現在わが国のすぐれた学識経験者をすぐって作られました経済審議会の答申を採用されたものであり、まことにりっぱなものであります。しかしながら私に言わせていただきますると、先ほど大臣にお伺いをいたしました未開発地域住民の所得、すなわち購買力、言いかえれば担税力を引き上げることによる経済効果の認識、また未開発地域の貧困の悪循環を切断する方法についての正しい把握という点におきまして、読みが浅いと申しますか、あるいは経済効果の見方が初等数学的であったと申しますか、とにかくいささか配慮を欠いた点があったと存ぜられるのであります。そのことは、計画書が一方では「産業基盤強化のための投資は計画の前半期に、かなり重点的に投資することがのぞましいと考える。」と言い、また「新規労働力の供給は三十八年度から四十二年にかけて高く、その後は相当落ちることになると予想される。後半期においても、農村人口の流出は進められるであろうが、成長にともなって労働市場はいっそうひっ迫の度を加えることになろう。」、「とくに労働力の質的量的供給の、面で、成長の制約、要因が生ずる可能性がある。」というふうに言っております。そう言っておきながら「計画期間の後半期に重点をおいて、新たに、北海道、東北、裏日本等の後進地域における大規模工業地帯の育成に着手し、」とかあるいは「北海道、東北、裏日本は期間中において現に行なわれている既定の計画を実施するが、これら地域は倍増計画につづくつぎの期間にいっそう重要な役割を果すものと考えられるので、計画期間の後半期に重点をおいて、慎重な配慮で選定された地点につき大規模な中心的工業地帯となるにふさわしい外部条件の整備を図る。これ等工業地帯を中核として、工業化を促進する。」というふうに申しておりまするが、これでは未開発地帯が所得倍増計画完成期間後まで置いてきぼりになり、所得の地域格差が是正されぬばかりではなく、ますますひどくなることは明瞭であると考えるのであります。しかしながら閣議決定の所得倍増計画の構想の中ではこの点に関しまして、「産業の適正配置にあたっては、わが国の高度成長を長期にわたって持続し、企業の国際競争力を強化し、社会資本の効率を高めるために経済合理性を尊重していくことはもとより必要であるが、これが地域相互間の格差の拡大をもたらすものであってはならない。」と明らかに記されておるのでございます。この場合に、構想の方の考え方によるべきものであるということは、ただいまの大臣の明快なる御答弁によりましてはっきりいたした次第でございます。閣議決定に際しまして、この構想に矛盾すると思われる事実に筆を加えられなかったことは残念に存じまするが、計画が審議会の膨大なる答申でありましたために、困難なる事情は十分に了解することができるのでございます。 そこで迫水国務大臣にさらに進んでお尋ねいたしたいのでございまするが、未開発地域開発計画のうちで、東北開発促進計画は前に述べましたように、その公共事業及び公益事業の総投資額が閣議で決定されておるところにその特色がございます。これに基づいてすでに前期計画の七五%が実現に移されておるのでございます。しかるにこの計画の目標は、昭和四十二年度に十年前に比べて一七四・一%に上ることを予定しておるのでございまして、国民総生産が十年間に二倍になることを想定しておりまする国民所得倍増計画に比較いたしまして、その計画規模の小さいことは明らかでございます。この閣議決定の目標を所得倍増計画に適応するように改定をしていただくということは、私が東北開発審議会におきまして迫水国務大臣に、質問を申し上げ御同意を得ている点でございます。しかし、倍増計画の中には先ほど申しましたように「北海道、東北、裏日本は期間中において現に行なわれている既定の計画を実施するが、」というような限定的な表現がされております。しかしこの点も構想の方では「後進性の強い地域の開発促進ならびに所得格差是正のために、速やかに国土総合開発計画を策定し、その資源の開発につとめる。」とございます。この場合構想が適用されることは、ただいまのお答えによりましても明らかであると思います。そこで現に行なおれております既定の計画の中でも、その投資目標を閣議で決定しておりますような場合に、所得倍増計画と比べてはなはだしく水準の低くなってしまったような場合には、必要な改定を行なっていただく御意思であると思いますが、その通りでありますかどうか、これが第一点。 なおその意思があるといたしますならば、われわれといたしましてはできれば昭和三十六年度予算の要求に間に合わしていただきたいのでございます。そうして本委員会で小平委員に対する迫水大臣の御答弁によりますると、全国の総合開発計画がことしの六月までにできる由でございます。そこでこのことは可能でもあり、また必要なことでもあると考えるのでございまするが、大体いつごろまでに改定していただけるのでございますか、これが第二点でございますが、合わせてお答えをいただきたいのでございます。
○国務大臣(迫水久常君) 東北開発促進法によります東北開発促進計画が、十カ年計画で一兆二千三百億円であることはお述べの通りでございます。現在前期一五カ年計画では五千五百億円が進行中でございますが、これはおおむね三十七年度までに完成をする見込みでございます。ただしこれは十カ年計画に対しては進捗率が三十五年度までに約二五%しか進捗していないという状況なのでありますが、現在先ほどお述べになりました通り、企画庁におきましては全国総合開発計画を立てております。この全国総合開発計画では、たとえば道路等につきましては従来の一兆円計画が二兆円計画になった、それをそのまま二兆円計画として配分をして計画を立てておりますがゆえに、東北地方の部分もそれだけ当然広がって参る次第でございますが、この全国総合開発計画が大体六月には完成の見込みをもって鋭意努力しておりますが、これができました場合において、それに照応して東北開発促進もおのずから変わってくるものと考えております。
○村山道雄君 次に東北開発促進計画に関連いたしまする二、三の重要な問題につきまして関係国務大臣にお尋ねをいたしたいのでございます。 最初に運輸大臣にお尋ねを申し上げます。東北開発促進計画の投資額を閣議決定いたしました公共、公益事業の中で、現在一番おくれております、東北開発の一番の隘路となっておりますのが国鉄の事業でございます。閣議決定の総投資額が一兆二千四百八十億、先ほど申し上げましたが、国鉄は千四百八十億になっております。前期の五カ年間で七百億となっていたのでございますが、三十三年度から三十六年度までの進捗状況は四百二十六億でございまして、六〇・八%にすぎないのでございます。全体は七五%まで参っておりまするので、進捗率はおくれている次第でございます。昨年の三十五年度の春以来、東北支社管内の駅頭の滞貨は全国一の高率を示しております。その関係当局の非常な御配慮にもかかわりませず、本年二月末におきましても駅頭の浦賀は三十四万八千三百トンございました。全国最高を示し依然悪化の傾向にありますることは、東北開発上まことに遺憾に存ずるところでございます。そこでこれに対しましてさしあたりの応急対策も御配慮いただきたいのでございまするし、同時に恒久対策として東北開発のための隘路になっておりまするこれを除去していただくばかりではなく、むしろ先行投資の意味をももちまして、大いに輸送事情の改善をおはかりいただきたいのでございまするが、この応急策及び恒久対策につきましての運輸大臣の御所見を承りたいのでございます。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げます。御承知の通り東北の貨物の出回りは、秋から冬にかけて翌年の三月ごろまでが一番多いときでございますが、ことしは御承知の通りの豪雪のためにこの滞貨が激しくなりましていろいろ御不便をかけておることはまことに遺憾に存ずる次第でございます。運輸省といたしましては国鉄を督励をいたしまして、ことしの二月から貨車を増備いたしましたり、貨物列車を増発いたす等のことによりまして、これが輸送の円滑を期しておりますような次第でございます。ことに御指摘のありましたように、東北の秋田管理局におきましては約十八万トンの輸送が減ずるというような事態もできましたために、いろいろ御迷惑をかけておるわけでございまして、応急の措置といたしましては雪害による損害を早く回復いたしまするための対策といたしまして、ただいま申し上げましたように、貨車を増備し貨物列車を増発する等のことをいたしておるわけでございます。恒久対策といたしましては、上越線あるいは羽越線等を今後新しい五カ年計画によりまして複線化あるいは電化をいたしまして、そうしてこういうことによりまして秋田、新潟方面と東京との間の輸送が増強整備されますので、将来におきます裏日本と表日本との地域的の格差が大きくなるということを防ぐようにいたしたいと考えておるのでございます。
○村山道雄君 運輸大臣のただいまのお答えとも関連いたすわけでございまするが、当委員会に配布いただいておりまする「国鉄新五箇年計画の概要」という冊子を拝見いたしますと、東北を通っておりまする主要幹線の複線化の計画が出ております。これによりますると、五年間に複線化いたしますのは、東北本線の好摩駅以南、常磐線の平駅以南だけでございます。それに続く十年間の昭和五十年までの予定区間は、東北本線と常磐線、羽越線の全線が複線化することになっておりまするが、そのときに奥羽線は現在の通り単線運転を続けることになっておるのでございます。あとで建設大臣にお尋ねいたすのでございまするが、国土縦貫東北自動車道というのができまするが、これも雪の関係がございまするので、奥羽山脈の東側の方を通る。これはいたし方ないのでございます。従いまして裏の方で頼りにいたしますのは、雪の中でも走ってもらえる鉄道でございまするが、これは十五年先になりましてもまだ単線運転を続けているということは、これはまことにさびしい限りでございます。もちろん地方の産業開発の見通しが立ちまして、貨物の輸送量が予定されておるのでなければ、交通機関のみの整備を期待することは無理であるとはわかっておるのでございますが、そうかと申しまして当面の見通しだけを見られましたのでは、未開発地域には、前にも申し上げますように、未開発地域独特の貧困の悪循環が繰り返されておるのでございますから、産業基盤整備のための政府の投資が行なわれませんければ、立ち上がりができないわけでございます。これらの点も十分に勘案いただきまして、奥羽線の複線化の時期をもっと早くしていただきますことにつきまして、運輸大臣におかれましても御検討をいただきたいと存ずるのでございますが、これに関する御所見を承知いたしたいのでございます。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。 国鉄新五カ年計画におきましては、さしあたり輸送力が行き詰まっております主要幹線を取り上げまして、これを複線化しあるいは電化等を実施いたすのでございまして、今御指摘のように、東北地方では東北本線、上野−好摩間の複線化及び全線の電化が取り上げられておる次第でございます。ただいま御指摘になりました奥羽本線の複線化は今回の五カ年計画には取り上げられておりませんけれども、現在奥羽本線の一部隘路区間の線増と勾配改良工事を実施しておるのでございまして、また秋田−青森間については、四十一年度以降に実施するように考慮をいたしておるのでございます。なお、上越線も新五カ年計画によりまして、ほとんど全部、全線複線化及び電化される予定になっておるのでございます。これによりまして先ほど申し上げました秋田、新潟を中心とする裏日本と、東京の輸送というのは円滑になるとともに、その際ディーゼル化を行ないますことによりまして、それに関連する地方の交通が大いに便利になることと思うのでございます。また奥羽線の福島−秋田間の輸送力増強につきましても、今後の輸送量の推移とにらみ合わせまして、表日本と裏日本との地域格差の起こらないように、十分に検討いたすことにいたしたいと考えておる次第でございます。
○村山道雄君 運輸大臣にもう一つお尋ねいたしたいのでございますが、国民所得倍増計画の中でも、国際収支改善の対策といたしまして、観光事業を重視して、特に長期融資によるホテルの整備を促進することを強調しておるのでございます。東北地方のような未開発地域でも、観光事業には特に恵まれておるのでございまして、その開発はただに国際収支改善に役立つだけではなくして、地方の産業開発等の方にも重大な役割を果たすことは明らかでございます。しかるに現在北海道、東北開発公庫の融資の対象に観光事業が加えられておらないのでございます。開発銀行では融資できるのでございますから、片手落ちのように思われるのでございまして、この問題は東北地方にとりまして、きわめて重大な問題でございまするので、さらに検討をいただきたいのでございまするが、この点に関する運輸大臣のお考えを承知いたしたいのでございます。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。 北海道、東北方面の産業を開発振興いたしまする場合に、観光事業というものがきわめて重要なものであることは論をまたないのでございます。従いまして観光のことを扱っておりまする運輸省といたしましては、北海道、東北等の観光の重要な地域におきまして、外国人を誘致、接遇いたしまして、これにより外貨の獲得をはかり得るような国際観光ホテルの施設とか、あるいは国際観光日本旅館の施設等につきましては、ただいま御指摘のような北海道東北開発公庫の融資が必要であると考えるのでございまして、従来総理府並びに同公庫及び大蔵省との折衝をいたしておるのでございます。幸いに三十六年度の予算におきましては、この北海道東北開発公庫の融資原資が三十億余りふえまして、原資が百九十億円に上りましたような次第でございまするので、こういう方面への、今までと違って新しく観光方面に融資をする余裕ができたように考えますので、今後とも関係方面と緊密な連絡をとりまして、お話のように北海道東北開発公庫の観光事業への融資の実効を見ますように努力をいたしたいと、こう考える次第でございます。
○村山道雄君 ただいまの問題に関連いたしまして、大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたいのでございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 観光事業につきましては、特に国際観光事業が日本の国際収支の改善に寄与するところが多いという観点から、財政資金の融資対象として取り上げるべきであるということになり、ただいま開発銀行がその全国的な視野から統一的な融資を行なっているというのが今までの実情でございますが、これを今おっしゃいましたように、北海道東北開発公庫でもこれを融資対象にするかどうかということについては、これは十分これから検討いたしたいと存じます。
○村山道雄君 なお、この問題に対しまする北海道東北開発公庫の所管大臣でありまする迫水大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(迫水久常君) 問題は、その観光という言葉が、少し幅が広過ぎて、温泉マークまで観光という世の中ですから、国家資金で育成するに足る観光というものに限定を私はしなければいけないんじゃないかと思っておりますが、私どもの方の心持では、できるだけ公庫の融資対象に入れたいという心持で、今大蔵省と折衝いたしております。
○村山道雄君 各大臣の御説明、御趣旨はよくわかりました。ただ開発銀行で融資ができて、北海道東北開発公庫で融資ができないというような点が、私どもには十分納得がいきにくいのでございまするが、なお関係各省で十分御協議をいただきまして、一日も早く融資の道をお開きいただきますように希望いたしまして、この質問は打ち切ることにいたします。 次に、中村建設大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、閣議決定の東北開発促進計画の中で、将来における東京−青森間の高速度自動車交通の要請に応ずるために、国土開発縦貫自動車道路の一環として、東北自動車国道の建設に必要な調査を行なうものとし、その実現に資すると定めておるのでございまするが、東京−青森間の六百六十キロメーターを高速自動車道でつなぎますと、時速百キロメーターといたしまして六時間半の行程となるのでございます。現在、国鉄の特急「はつかり」が上野−青森間を十一時間半で走っておるのと比較いたしますると、五時間の短縮になる次第でございます。このことは、東北地方で生産をいたします、またこれから生産されようとしておりまする牛乳とか、あるいは果実、野菜のような腐りやすい品物が、その日のうちに東京を中心といたしまする大消費地に到着することになるのでございまして、まことに地域開発に及ぼす影響は絶大なるものがあると存じます。このような抜本的な施策が行なわれることによりまして、初めて東北のおくれは急速度に取り戻せると存ずるのでございます。政府は、その調査費といたしまして、三十五年度に百五十万円、本年度に四百五十万円を計上しておられるのでございます。この調査の内容が工事計画等につきましては、昨日小平委員からの質問がございましたので、私は質問を省略いたしますが、ただ私は、ぜひこの大事業を東北開発促進計画の完了いたしまする昭和四十二年度までに完了をしていただきたい、このことを強く建設大臣に要望をいたしまして、次に進みたいと存じます。 この国土開発東北縦貫自動車道に関連をいたしましてお伺いをいたしたいことがございまするが、この東北開発縦貫自動車道が、冬に雪が積もる関係もございますので、奥羽山脈の東側にその路線を選ばれましたことは、これは当然のことであると存じます。しかし、この自動車道と裏日本との間に冬の間でも利用できまする連絡道路が必要であることは申すまでもないのでございまして、このことが行なわれません限り、東北の表側と裏側とにまた非常な格差ができて参る次第でございます。この第一着手といたしまして、国道十三号線の福島−米沢間の粟子峠の道路を改修いたしまして、現在、海抜千メーターにあります隧道を海抜五百メーターにまで引き下げまして、冬季の交通を可能にする計画ができ上がっており、三十六年度から着手をされて、四十年度に完成をされる予定で、三十六年度予算には五億八千万円の予算が計上されておると存じておるのでございます。現在、この隧道の位置とか取りつけ道路のとり方等につきまして、意見がまとまらないで再調査をされておるやに聞いておるのでございます。十分の調査をいただきますことはもちろんお願い申し上げたいところでございまするが、東北開発上のこれはきわめて重大な問題の一つでございまするので、お伺いいたしたい第一点は、予定の期日でありまする昭和四十年度までには工事を完了していただきたい。第二点といたしまして、冬季の交通を可能ならしめることが目的でございまするので、隧道の高さを海抜千メーターから五百メーターに下げるという、この大筋をはずさないようにしていただきたい。この二点を強く要望いたしたいのでございまするが、これについての中村建設大臣の御所見を承知いたしたいのでございます。
○国務大臣(中村梅吉君) 御質問の粟子峠の問題でございますが、私どもの気持としましては、努めて早く、これは非常に重要な路線でございますので、進めて参りたいと思います。三十六年度におきましても、このトンネルに取りつけます道路の改修に相当の資金を入れまして、活発に進めていきたいと思います。ただ御指摘のありましたトンネル、隧道の位置をどこにつけるか、これは意見が不一致であるというようなお話もございましたが、実はこれにつきましては、第一案、第二案、第三案というように、大体幾つかの案を持っておるのでございます。今御指摘の五百メートルの位置につけることが一番理想であるという御説でございます。できるだけ低い位置につけることが道路の価値を高める上からもまことに大事でございますが、問題は、五百メートルの位置でございますと、隧道の距離が五千八百メートルほどの距離になりますので、そういたしますと、換気の関係、技術的な関係等を処理できるかどうか、工費の問題ももちろんでございますけれども、それよりもそういった角度をよく調査いたしませんと最終案になりませんので、また一案、二案、三案をそれぞれ比較検討いたしまして、できるだけ道路価値の高まる、技術的にも可能であり、換気の上からも支障がないというような地点を選びまして、できるだけ道路価値の高まるような方法で実施をするように努めたいと、かように考えておる次第でございます。
○村山道雄君 各大臣からきわめて懇切なる御答弁をいただきまして私は満足をいたしたのでございます。質問はこれで終わりまするが、未開発地の開発、所得格差の是正ということなくしては所得倍増計画は成り立たない、さように信ずるものでございます。各大臣の今後ともこの問題に対する熱心なる御努力を要望いたしまして、私の質問を終わります。 —————————————
○委員長(館哲二君) 次に松浦清一君。
○松浦清一君 池田内閣の所得倍増計画に伴いまする海運問題に限定をして関係大臣からいろいろお教えをいただきたい。 御承知の通り、わが国の海運は、第二次世界大戦が始まりまする直前六百万トンの船を持っておりまして、戦争中にもいろいろ粗製乱造をいたしまして、六百万トンに余る船を建造して、総量千二百万トンの船が戦争のために減耗をいたしまして、戦争が終わりました直後には、戦争前に作りました使用にたえないぼろ船を含めまして、百七十万トン足らずのまことに惨たんたる状況になったのであります。それがいろいろな苦しいイバラの道を渡りまして、昨年の九月末現在では六百二十一万トンの商船隊に仕上げることができたのであります。この努力は、政府の貧弱なものではありましたけれども、国の財政資金の投入等によりまする努力、また船員、業者等の非常なる努力によりましてここまできたのでありまするけれども、しかも、その量だけの問題から考えてみますると、他の第三次産業に劣らない増勢を示しておるにもかかわらず、日本の海運というのは非常に不景気で困っておるのであります。そういう状態が一体どういうところに原因をしておるかということをお伺いを申し上げたいのであります。 また、順を追うて御質問を申し上げまするが、所得倍増計画の最終年度でありまする昭和四十五年度の貿易量の計画、それからそれに必要な所要船腹の量、そうしてその船をどうして作るか、こういう問題を順を追うて御質問申し上げたいと思います。それらの御質問申し上げまする前提として、運輸大臣にお教えを願いたいのですが、第一に、海運が非常に不景気で困っておるという実情は、日本の現在の保有船腹量、すなわち六百三十一万トンという量に問題があるのであるかどうかということ、それから第二には、外国に比べて船を作る費用そのもの、あるいはその資金の調達等の中に問題があるのか、これが第二であります。第三には、運賃そのものは、御承知の通り日本の船だけではどうすることもできない。国内の施策によって運賃の高低をきめるということはできない。国際市場に支配される特殊なものであることは御承知の通りであります。そうしてその中で、アメリカ、英国、西ドイツ等の主要海運国は不況だ不況だといいながらも相当の利潤を上げている。そうして配当もかなりのものができておるにかかわらず、日本の船は、戦後十五年間無配を続けておる。これは一体どういうところに原因があるのか、これが第三であります。そういう関係に日本の船が置かれているということは、現在の日本の海運自体の力が、外国の、つまり主要海運国の力に比べて非常に弱体であるからそういう状態に置かれているのかどうかということ、これが第四であります。この四つに問題を分けまして、運輸大臣からやや詳しく御説明を賜わりたいと思います。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。御承知の通り、日本の海運業は戦争中、大体所有しております船腹の八割以上を戦争によって失ったのでございまするが、これに対しまして、アメリカの占領政策によりまして、戦時補償打ち切りということが行なわれましたので、現在の金にいたしますると約五千二百億円ぐらいの戦時補償というものを得ることができなかったのでございます。従いまして、戦後日本の海運業が再出発をするときにあたっては、ゼロから出発をいたしまして、往年の七つの海に日章旗を翻した時代の海運の隆盛を見まするためには、十数次の計画によりまして、借入金によって船腹を建造をいたしましたという次第でございまして、これが今日でも経理の内容を見ますると、借入金が非常に多い。元金の支払いでさえ停頓しておるというような状態で、多くの船会社は配当さえできずに、借入金の利息を支払うのに過大な負担をしょって、あえいでおるというのが今日の現状であるのでございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、戦争前と同程度の船腹を外航船がようやくにして持つことができるようになりましたけれども、その間、外国の海運業というものは非常な発達をいたしましたので、外国の所有する船舶と日本の船腹との比率を見ますると、日本の船が努力をして戦争前の六百数十万トンを建造したにかかわらず、外国の海運業と比較いたしますると、比率は、戦争中のそれよりもはるかに下であるということになるのでございます。 ただいまお話のありました所得倍増計画の今後十年間の推定を見ますると、輸出によりましては約八%増、輸入におきましては、トン数におきまして九%の増ということに相なるわけでございまして、こういうような増加いたしまする貿易量に対処いたしまして、日本の船の積み取り率を多くいたしまして、外貨を獲得する運賃収入を増しまして、国際収支を有利に転換いたすということが海運に課せられた大きな使命でございますが、それには船をもっと作らなければならぬということに相なるのでございます。しからば、昭和四十五年に、ただいま申し上げましたように、輸出も輸入も非常にトン数において増量するものを、少なくとも一般貨物におきまして六〇%、油類において六五%ぐらいの邦船の積み取り率をもっていたしまするならば、どのくらいの船が必要であるかという推算をいたしますると千三百三十五万トンでございます。従いまして、現在あるものから、あるいはスクラップにするもの等を考慮いたしますると、九百七十万トンを今後十年間に作らなければならぬということになるのでございます。 しかしながら、先ほど申し上げましたように、日本の海運企業というものが、基盤がはなはだ脆弱でありますので、一どきに三十六年度に九十万トン、百万トン作るということを計画するわけに参りませんので、まず十年計画の中で、前半におきましては海運企業の合理化等によりまして、基盤をだんだんと強固にしながら船を作っていって、後半になるべく多くの船を作らせるという考えを運輸省としては持っておるのでございます。従いまして、三十六年度におきましては、自己資金及び借入金によりまして約五十万トンを作るという計画を立てておるようなわけでございます。 それから、ただいまお話の、外国では日本の海運政策などに比較して、どうであるかということでございますが、これは日本の海運政策とは、実は比較にならないのでございまして、アメリカでも西ドイツでもイギリスでも、どこの国におきましても、あるいは建造に対して補助金を与える、利子補給はもちろんでございます。あるいは運航補助を与えるとか、あらゆる補助を与えまして、そうして海運業の振興発達に国家が本腰を入れて骨を折っておるのでございます。従いまして、外国の船会社におきましては、戦時補償を十分にやってもらった上に、国が各種の補助をいたしますので、従いまして、日本の船会社が借入金に対して利息を払っておると同じように、配当をどの会社もなしておるというのが、今の実情でございます。私どもは、所得倍増計画によるところの輸入量の増大等にかんがみまして、もっと船腹を充実するために努力いたさなければならぬと考えておるのでございます。 今申し上げました借入金の過大なる負担に対しましては、昨年とことしにわたりまして、市中銀行の金利に対する補給金、また海運金融の五〇%を占めておりまする開発銀行の金利に対しまする本年は補給金を政府が負担するというようなことによりまして、一歩一歩小なりといえども、助成政策に努力をいたしておりますので、これをもって、私どもは満足をしておるのではございませんで、各国の海運助成政策を十分に見まして、わが国におきましても、今後、もっと国家の保護助成というものが、日本の海運業を往年の位置に引き上げるために、きわめて必要であるということを痛感して努力を怠らないようにいたしておる次第でございます。
○松浦清一君 運輸大臣の頭の中にある一ぱいの海運に対する総論的な説明を聞きましたけれども、その総論的なことは、私どもよく知っておるのです。今、大臣のお話を聞いておりまするというと、結局三千二百億円の戦時補償を全部打ち切られて、他人資本で全部船を作った、金利に追われて困っているのだ、それを何とかしてやれば助かるのだ、こういう意味に理解されるような総論を述べられた。それは主要な原因であることは承知しております。しかしそういうことではなしに、もっと一つ一つの具体的な問題をとらえて究明をしていきませんと、日本の今日の海運を打開することはできないのです。 私は四つに問題を分けまして質問をしたのは、あなたの総論を承ろうというのでなしに、船舶の今の量というのは適量なのか適量でないのか、それから国内の施策によってだけで船の通貨ということはきめることはできない。その適否は別として、国鉄が困っているので、運賃を上げてくれというし、私鉄が困れば、運賃を上げてくれというし、船はそういうことが可能である産業ではないのです。御承知の通り、日本の政府がどうこうしたって、運賃をどうすることもできない。日本の船主が、こんな安い運賃で荷物を運んでも引き合わないから、もっと上げてほしいと言っても、国際市況に支配されるのでありますから、どうすることもできない。それを一体どうしたらいいのか。こういうことを一つ一つ尋ねたいために、四つの問題をここに出したのですが、あなたは、全部にわたって、総論的な序論的な意見を述べられたのでありますが、それだけではわからないのであります。 第一にお尋ねをした六百三十一万トンという現在の三十五年度における日本の船の量というものが、日本の貿易量、それから積み取り比率、そういうものから勘案をして、適量であるかないか、こういうことをお答え願いたいと思います。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げます。 ただいまお答え申し上げましたように所得倍増計画……
○松浦清一君 所得倍増は、あとで聞きますから、現在の六百三十二万トンが適量かどうか。
○国務大臣(木暮武太夫君) 輸入量もふえますので、六百何十万トンというものでは、とうていこれをまかなうことができないという考えで、四十五年におきましては千三百三十五万トンまで、これをふやしていきたいという考えを持っておるわけでございます。
○松浦清一君 私は、めんどうくさい理屈を言うのはきらいなんですけれども、千三百三十五万トンの船が必要であるということは、政府の計画の中にちゃんと載っておるのですから、それは私は知っておるのです。それをどうして作れるのか作れぬかということもあとで聞きますが、現状において六百三十一万トンというものが適量であるかどうかという一点にしぼってお答え願いたいと思います。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げます。 今申し上げました通り六百何十万トンというものでは、これは戦争前と、ほぼ同じでございますけれども、世界的の保有冠から見て非常に少ないのでございまして、海運によりまして海運の収入をはかる等のことがなかなかできないのでございますから、これをふやしていきたい。三十六年度におきましてはただいま申し上げましたように自己資金と借入金によって五十万トンをまず建造していきたい、こう考えておる次第でございます。 今後におきましては、今の建造資金の確保ということには財政融資を十分にいたしまして、そうしてこの資金の不足のないように、またただいま申し上げました外国に比較いたしまして、金利負担の多いことに関しては、政府利子補給によりまして、幾分でも金利負担を減らして経営に無理をさせないようにやって、そうして海運企業の基盤を強固に生かして、年々建造船をふやしていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○松浦清一君 そういたしますると三十五年度で、三十五年度というよりも、現況において六百三十一万トン、それから第十七次計画造船で、財政投融資を中心とする計画造船が二十五万五千トンですね。もし自己資金船が三十万トンできたとして五十五万五千トンだ。それを六百三十万トンに加えると六百八十万トンになる。それで来年はよろしいのですか。
○国務大臣(木暮武太夫君) 三十六年度におきましては、その程度にして、これからだんだんに建造をふやしていきまして、四十五年までに九百七十万トンを建造いたしまして、私どもの考えておりまする千三百三十五万トンまでに達するように計画いたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。
○松浦清一君 あなた予算委員長をこの前やられて、予算委員会における審議の方程式というものを御承知でしょうが、本会議で私は総括的に全部質問してしまったら、それはあなた、全部やったらいいのですよ。そして必要があれば、また再質問すると、こういうことなんです。 ところが、そういう大まかな議論ではなしに、予算委員会では、一つ一つの問題を切りくずして、かちっかちっとけじめをつけていかないと結論が風ない。だから何べんあなたが四十五年度の倍増計画の最終年度に千三百三十五万トンの船が必要だということを繰り返しておっしゃっても、私は今、それを聞いておる段階ではない。今の現状において、日本の船腹は六百三十一万トン、来年は六百八十万トンで、それでよろしいのか、こういうことを開いておるのです。よろしいとか少ないとか、それをおっしゃったらいいのです。
○国務大臣(木暮武太夫君) 詳しい数字を政府委員から答弁させますから、お聞きを願いたいと思います。海運局長から。
○政府委員(朝田静夫君) お答えを申し上げます。 ただいまの日本の海運の保有しております船腹で、これで適正規模であるかどうかという御質問でございますが、積み取り比率の上から見ますというと、五〇%以上を日本船が積み取っておりますけれども、海送の国際収支のしからながめますというと、三十五年度の海運の国際収支はIMF方式で二億四千七百万ドルの赤字になる見通しでございますので、そういった赤字を少なくとも解消いたしますためには、現在の貿易量と見合って約百万総トンの船腹が不足だという私どもは推算をいたしておるのであります。 従いまして、戦前の世界船腹の比率と日本の船腹の比率をながめてみますというと、七%ないし八%でございますので、現在の世界船腹が一億二千万トンでございますから、約七%といたしますと、その数字は大体見合うのではないか、こういうような適正規模の商船隊の保有を必要とするというのが私どもの一応の推算でございます。
○松浦清一君 それは非常にりっぱです。その百万トンの船が不足して、海難収支の上に赤字を出しておる、こういう現況がはっきりしておるのに、どうして船が作れないのか、その理由を一つ大臣から御説明願います。 海運局長が出ると、大臣が出る幕がないから、海運局長に尋ねるときには、また数字を尋ねますから。
○政府委員(朝田静夫君) お答え申し上げます。 先ほど大臣から御説明がございましたように、海運企業の基盤がきわめて脆弱でございますので、現在は、企業力の強化という点に重点を置いておるわけであります。 従いまして現在償却前利益の方式をとっております。これ以上借入金が増大いたしますことを防ぎまして、企業力の強化を中心に海辺行政を進めて参っておるようなわけであります。従いまして来年度の、あるいは本年度の償却前利益の限度において、船を作って参ることが、海運企業の健全性を維持しつつ船腹の整備、同時に、そういう要請に答えていく、こういうことでやっておりますので、せいぜい自己建造を含めまして、先ほど御指摘になりました二十五万五千トンのいわゆる計画造船と合わせまして約五十万トンが限度である、こういうことであります。
○松浦清一君 日本の、その外航船舶が百万トン不足をしておるという、そういう実態ですが、まだ百万トン不足があるということが現状であるということが国際収支の上に数字的にどういう影響を及ぼしておりますか。大臣わかりませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) 国際収支の上の影響は、三十四年度は受け取りは七千八百五十万ドル、支払いが一億六千九百九十二万ドルということで、九千百万ドルの赤字になっております。これが三十五年度になるとさらに大きくなりまして、受け取りが六千七百十八万ドル、支払いが二億三百十五万ドルということで、一億三千五百九十六万ドルというふうに、貨物運賃の受け払い状況はだんだん赤字が多くなっているという実情でございます。
○松浦清一君 三十四年ですか、九千百万ドルですね。三十五年が——これは暦年ですな、三十五年度が一億三千五百九十六万ドルの赤字、そういうことがしろうとにわかるように言うて、日本の国の財政経済の上に損得の数字で表わしたらどういうことになりましょうか、大蔵大臣。企画庁長官でもよろしい。国際海運収支の上で何ぼ赤字が出たという数字は、これはしろうとにもわかるのですね。それが日本の国家経済の上に損得の数字で表わしたらどうなるかということはなかなかわかりにくい。それがわかるように一つ。説明のしようありませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) 要するに船の運賃収入が赤字を出さぬ程度にいくならば、日本の国際収支は貿易外の赤字が減る分国際収支はよくなるんだということだろうと思います。
○松浦清一君 それ以上の説明ができなければ、私も聞きませんがね。専門家はわかりますね。財政経済の専門家はわかりますね。それから貿易や国際収支なんということに明るい人はよくわかるのですね。しかし、そういう赤字が国民自身のふところかげんに数字的にどう影響するかということはなかなか専門家でなければわかりにくい。もし、それを説明することがおできならば御説明を願いたいと思いましたのですが、なかなかむずかしければやめておきます。 それから積み取り比率の問題ですね、これを改善するという方法についての何かお考えございますか。
○国務大臣(木暮武太夫君) 先ほど申し上げましたように、船舶をふやすよりほかは邦船積み取り比率をよくするということはできないというふうに考えますので、船腹をふやしていきたいというふうに考えているのでございます。
○松浦清一君 それでは、第一点の現有船腹の絶対量が百万トンほど不足であるという一つのことはわかりました。それから積み取り比率を改善していく道は、やはり船腹量をふやさなければならぬという第二点のこともそれでわかりました。それじゃ、日本の造船費ですね。船主が造船所に支払う造船費、それは外国に比べて高いのか、安いのか。お知りなら教えていただきたい。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。この前のスエズブームの時分には日本の建造船価は高いようなことを聞いておりましたが、現在におきましては、世界の、ほかに比較いたしまして安い方だろうというふうに考えております。
○松浦清一君 アメリカ、英国、西ドイツに比べて、日本の造船船価はどういう比率になっておりますか。時間をとってほかの委員諸君に気の毒ですから、海運局長にかわって御答弁願ってけっこうです。
○政府委員(朝田静夫君) お答え申し上げます。アメリカとの船価の比較におきましては、これは比較にならないほどアメリカの方が高いわけでございます。大体優秀定期高速船で日本の倍に近い建造船価だと承知いたしております。西ヨーロッパ諸国におきましての比較におきましては、日本船とほとんど同じレベル、もしくは若干安いという現状であるということでございます。
○松浦清一君 船価は外国に比べて安い。荷物の積み取り比率を高めていくのにも、国際収支をよくするのにも現在の船腹の手持ちでは不足である、こういうことがわかりました。不足であれば、どうしてその不足を充足するための施策を講じられないのですか。できない理由をおっしゃって下さい。
○国務大臣(木暮武太夫君) 先ほど来申し上げておりまするように、日本の船会社の戦後における出発からいたしまして、企業の基盤が弱いというところに原因があるように思います。
○松浦清一君 船会社の経営基盤が非常に脆弱であるということは、先ほど大臣みずから御説明なさったように、戦争中に持ち船全部沈められてしまって、戦時補償を一切打ち切られた。世界中で戦時補償を打ち切られたのは、大臣御承知の通り日本とドイツだけです。ほかの国は戦争中に損耗した船の補償はされているわけですね。そういう状態です。ドイツは、そういう中から船を作るのに、船舶建造費のために金を無利子で貸してやるものに対しては所得税を免除するという方法をとりましたですね。それだから戦争が終わった直後に船を作り始めた西ドイツは無利子の金で船を作ったわけです。それで非常な躍進を遂げた日本は裸になってしまったわけです。補償はされなかったのです。全部他人資本で船を作り始めた。そうして現在三千億に近い借金を、背負って二百億円に余る金利を払っていかなければならぬ、それが海運基盤の弱体の原因なんです。その責任は一体どこにあるか。
○国務大臣(木暮武太夫君) 御指摘の通り、ほかの国は戦時補償をみんな受けておるし、西ドイツにつきましては、ただいま御指摘の通りの話を聞いております。従いまして、日本の海運企業の基盤の弱いことは、先ほど来から申し上げまする通り、ゼロから出発して、借入金によって船を建造してきて、今過大なる利子支払いに悩んでおるということが大きな原因であるように考える次第でございます。
○松浦清一君 大蔵大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 結局、海運政策に対する今までのやり方が少し不徹底だったと私は思っております。で、今年度は、さっきお話がございましたように、大体五十万トン、その約半分は財政資金による計画造船方式でやっていき、これに利子補給の措置をとるということをきめましたが、量が縛られておるという原因は、確かに海運の企業力が非常に少ない、この企業力を無視した造船というものはなかなか困難だというような点からの制約を受けておりますので、一応、関係官庁の間で、五十万トンということをきめて、それに対する措置をとってはございますが、これはやはり少ないのじゃないか。国際収支の改善とか、いろいろな問題が今後大きいこれは問題でございますので、そういう点から考えたら運賃の受け払いが、せめて受け取り運賃が支払い運賃に匹敵して、海運の国際収支が少なくともとんとんにいくという程度の改善は私どもはしなければならぬ、政策としてもこれは真剣に考えなければならぬだろうという問題が今また政府の中にも出ておりまして、一たんこういうことで出発はいたしますが、さらに私どもは関係官庁の間でこの問題の再検討を続けて、そうして相当もう少し考えた対策を立てる必要があるのじゃないかというところまで、今案は政府部内でもきておるところであります。
○松浦清一君 世界各国とは申しませんが、世界の主要海運国のその国の海辺に対する助成の具体的な内容を大蔵大臣お知りですか。——これはね、運輸大臣は数字を知らないかもしらないけれども、海運局長がよく知っているはずなんですよ。海運局長は知っているから、海運局長に尋ねるのではない。海運を助成して国を大きくしなければならぬということが問題になっているそういう時期における大蔵大臣には、それなら外国はどうしておるかということを知ってもらいたいので大蔵大臣にお伺いしているわけです。
○国務大臣(水田三喜男君) 今度の予算折衝でも、海運当局からはいろいろそういう問題について承わっております。で、ドイツが無利子の資金で船を建造したというやり方についても私どもは知っておりますが、日本の今の状態から見まして、そう思い切ったことはやれませんし、市中銀行からの借り入れの利子補給という制度は去年からまた復活しておりますので、本年は開銀の貸付資金に対する利子補給というようなものを新たに行なって、そうして全体の造船金利を、市中と開銀合わせて六分程度になろうと思いますが、今までの造船金利と比べて相当の改善になりますので、国際競争力も出てきますし、この程度の措置で大体やっていけやせんかというのが最後の運輸省や大蔵省の結論でございまして、ことしはそういう措置をとったという次第でございます。
○松浦清一君 国内産業に対するその利子補給なり、財政投融資なりは、大体それはそれでいいかと思うのです。ところが先ほどから申し上げておりまするように、海運というものは国の施策だけで運賃をどうするということはできないのだ、電車やバスや汽車と違って国際市場に運賃というものは常に支配される。であれば、外国が一体どういう利子で船を作らせて、どういう航路補助を与えているかということを基礎にして考えなければ、外国との競争には耐えられない。大臣は利子補給、利子補給とおっしゃるけれども、そして市中金利、それから開銀の融資利子は平均六分ぐらいにしたいと考えていらっしゃいますけれども、それが世界の造船金利とどういう関係がありますか、比べてみて高いか安いか御存じですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 開銀の利子は五分でございますが、市中金利と合わせて平均六分ということで、まだ外国の造船金利よりは、私の聞いておるところでは二分程度商いというふうに聞いております。
○松浦清一君 外国より二分、その利子の高い船を作って外国と競争するというのはこれは耐えられないのですね、やられますね。これはしろうとが考えましてもわかりますね。私はここで大臣にはっきりと、大臣、それからおそらく海運局長などは数字をよく御承知でしょうが、ほかの政府委員の方々にも聞いておいてもらいたいのです。アメリカ、フランス、イタリア等の主要海運国が定期航路の船に対してどういう補助をしているかということですね。アメリカは一九三六年の商船法の運航補助規定によって、推定航路に就航している自国船の運航費と外国船の運航費との差額を補助している。これはよく一つ考えてもらわなければならぬのです。それから一九六〇年度予算決定額は一億二千八百七十五万ドル、つまり一九六〇年度におけるアメリカの定期航路に対する補助が日本金で四百六十一億円の補助をして競争させているわけです。それからフランスは一九四八年海運組織化法によって、MM及びフレンチ・ラインと一般の重要航路に補助金を交付している。両社に対する補助金は一九六〇年度において七十三億フラン、日本金の五十三億円、これは補助金はやりっぱなしですよ。それからイタリアが一九三六年法によってフィンマーレ・グループの四定期船会社、これに対して運航補助金を出している。こういうふうに、短期航路に対する補助金は、大体、主要海運国では、同じ航路に競争をしているよその国の費用より高い部分だけは、全部補助金としてやっている。いかなる場合であっても劣勢にならない、いかなる場合にも同じ航路に就航している船との競争に打ち勝っていける、こういう無勢になっておるわけですね。 それから造船の補助は、これはアメリカでは、一九三六年の商船法の建造差額補助規定によって、外国建造船価と自国建造船価との差額を補助している。その補助額は自国建造価額の三分の一を限度としているが、特別の場合には二分の一をこえることもある。一九六〇年度造船関係予算決定額は一億三千二十五万ドル、四百七十七億円の造船補助をしている。それからフランスは、一九五一年ドフェール法により、国内建造価格を国際水準に引き下げるため、造船用資材の割高分に対する補償として補助金を造船所に交付している。ただし、補助額は船価の二〇ないし三〇%であって、利益が所定額をこえたときはこれを返納するという約定つきであります。それから、本法によって一九六二年までの五カ年間の造船補助計画が議会で承認されているが、一九五九年度の補助割当額は二百三十五億フラン、これはフランスですね。二百三十五置くフラン、百七十一億が補助されている、こういうことです。それからイタリアは、一九五四年ダムブローニ法によって、船価の一〇ないし二七%を補助している。本法による一九五五年度より六四年度までの十カ年間の補助金割当額は総額一千四十五億リラである、六百六億円。なお、一九五九年度予算は年間八十六億円である。こういうふうになっている。それからイタリアは、一九五四年の今の法律によって、船主の造船資金に対して、五カ年間に年一・五%の利子補給をやっている。それから西ドイツは、一九五五年十月の規則によって、借入金利七%以上のときは貸付期間十二年ならば初年度三%、以後九分の一ずつを減らして、九年間の利子補給をやっている。 それから、融資並びにその融資に対する保証。アメリカでは、一九三六年の商船法によって、建造差額補助を受ける船主は、国内建造価格より補助金を差し引いた額の二五%を即金払いすれば、残額を年利三・五%、二十カ年の年賦払いで政府より貸付を受けることができるようになっている。一九三六年の商船法の抵当援助規定によって、建造補助を受けない内外航路の新造に対し、船主は建造価格の一二・五%ないし二五%を即金払いすれば、残額は年利三分五厘、三十カ年の年賦払いで政府より貸付を受けることができる。 こういうふうに、まだいろいろこの補助助成をやっておるところがありますけれども、まあ大体的にいって造船金利は三分五厘から四分ですね。三分五厘から四分。インドあたり三分ですね。あんな後進国でも三分で船を作らしている。それから航路補助は、先ほど申し上げましたように、同じ航路で競争している場合には、他国船の船費に比べまして、運航費に比べて、高い部分だけは全部補助をして競争さしている。こういう状態に自国海運を償いているわけです。 にもかかわらず、先ほどからしばしば私も申し上げましたように、運輸大臣も言っておったように、戦争のためにほとんど全部やられたんですから、あと百七十万トン残った船というのは、戦争中に粗製乱造した船と、戦争前の古いぼろ船しか残らなかった。外航に就航できるような船というものは一隻もなかった。船会社はなくなったのです。ほかの陸上産業に比べて話をしてはなはだ恐縮だけれども、ほかの産業であれば、工場は焼けても土地は残る。船は、船が沈められれば何にも残らない。何もなくなって、すっ裸だ。それからやり出しているのですよ。世間では、利子補給がどうだこうだと言う人もありますけれども、これはとんでもない。事情というものを知らぬ人の言うことだ。ほんとうの日本の海運の実態を、国際収支との関係、世界の海運国の海運に対する助成、そして外国と競争させておるというその実態、それを知れば——今の利子補給は一体なんぼですか。ことしの予算で通っておるのは、海運利子の補給一億八千万円です。市中金利が八億なんぼ、十億に足らないものを補助して、そして利子補給やっているやっているというようなことは、もう大へんなことだと思う。そういうことに対して今閣内でも問題になっているというお話が大蔵大臣からございましたけれども、これをさらに改善していかなければ、次に出てきまする四十五年、千三百三十五万トンの船腹増強を達成するということは絶対不可能です。どうお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 各国の造船に対する施策はいろいろございますが、たとえば利子補給をやっているといっても、非常に条件がきつくて、実際にはあまり活用されていないというところもございますし、さっき金利を申しましたが、大体あなたの言われるところで、ただドイツだけが非常に日本より高いということでございますが、金利が低くても船価は高い。たとえばアメリカのようなものは非常に船価が高い。で、日本は、金利はそういう状態でございますが、船価は割合に安くて、輸出船舶が御承知のような工合になっている程度でございますし、それから運航賃、いろいろな企業の合理化の点からいいますと、日本の運航費その他のコストというものは、外国に競争できる立場に、有利な——有利性を持っている。いろいろなことを総合的に勘案しますというと、今回とった措置で、平均の金利が大体六分程度ということの措置で、私は外国競争に対して相当の競争力を発揮できると考えておりまして、総合的な判断で施策するよりほかには仕方がないと思います。 問題は、私のさっき申しましたのは、五十万トンという建造トン数が、さしあたりのところとしては、企業力から見て、ここらが妥当だろうという結論にはなっておりますが、しかし、もう少しやり方によってこのトン数をふやせないかということが問題になっておりますので、金融の問題とも関連して、今後この問題は十分検討したいと思います。
○松浦清一君 大蔵大臣、それは外国が安い利子の金を借りるというようなことをあまり利用していない、そうおっしゃったのですか。今、金を借りるというようなことをあまり利用していないとおっしゃったのですね。
○国務大臣(水田三喜男君) 今のは、たとえばドイツの例ですが。
○松浦清一君 まあドイツだけなんだ、それは。それはドイツだけで、ほかの国はどうなんだ。
○国務大臣(水田三喜男君) そういうふうに利子補給の条件がきつくて、あまり適用を受けないところもあるし、外国とも、いろいろ今おっしゃられたような施策をしておりますが、これを総合してみますと、船価の問題とか、金利の問題とか、この運航に対する合理化の問題とか、いろいろなものを総合すると、今回の利子補給という措置によって、けっこう国際的にそう日本の条件が劣っているといえないところまで来てやせぬかと、そう考えているわけでございます。
○松浦清一君 大蔵大臣、その考えは間違っておる。外国があまりそんなに、利子が、安いからといってじゃんじゃん借りないということは、イギリスでもアメリカでも自己資本というものをたくさん持っているのですよ。自己資金が、自分の欲する船舶を建造していくのにほぼ足りるだけの資金を持っておりますから、金を借りぬでもいいわけです。借りた場合には、このように補給されるということを私は言っている。西ドイツだって、最初のうちは、先ほど申し上げたように、船舶建造のために金貸したのは、何々会社へ金を貸しますね。その会社はそれだけ所租税から免除される。そして無利子で船を作ったといって、どんどん船を作ってきて、もはや自己資金で船が作れるようになってきた。ひとから金を借りて作らぬでも作れるようになってきた。足りない部分だけを借りているわけです。その足りない部分を借りた分に対しては、今言ったように補助しておる。利子補給をやっている。航路については、重ねて申しますけれども、外国の船と同じ航路を競争しておるから、どの船にも負けないだけの航路補助をやっているわけです。そして競争さしているわけです。だから、それをやっていかなければ所得倍増計画に伴う四十五年度千三百三十五万トンの船腹を確保することができないから、私は言っておる。これを改善せにゃいかぬです。どうでしょうか。即答ができないでしょうが、考えの方向だけ示しておいて下さい。
○国務大臣(水田三喜男君) 考えの方向はもちろんそういう方向でございまして、そこでことしもこの造船に対しては新しい措置をとったというわけでございます。
○松浦清一君 それから、四十五年までに千三百三十五万トンの船を作るということを計画をして、そして今おっしゃることは年間五十万トンくらいの船だとおっしゃるのですが、五十万トンずつ船を作っていったのでは、これから十年間に五百万トンしかできないと、そういうことになります。それから、現在の六百三十二万トンの船が、そのうちの戦標船の七十七万トンというのは、これはもう使用に耐えなくなっているのであるからして、早急に改造しなければならぬ。改造すれば、新造船ができるでしょうけれども、そうすると私の計算では九百万トンそこそこの船にしかなれないわけですね。これはどうして目標量に達成する方針でしょうか。大蔵大臣、運輸大臣、企画庁長官、一つお考えをお示し願いたいと思います。
○国務大臣(木暮武太夫君) 先ほどもお答え申し上げました通りに、十年計画のうちの前半におきましては、現在の日本の海運界の基盤の脆弱なることにかんがみまして、初めは基盤を強化しながら船を作らしていって、そうして後半に船を作る数をふやしていくという考え方でやっておるわけでございまして、三十六年度におきまして五十万トンという考え方だから、三十七年度も五十万トン、三十八年度も五十万トンというわけでなく、だんだんにこれをふやして参りまして、結局解撤いたしまするものを考慮いたしまして九百七十万トンを十年間に作るようにしたい。そうして四十五年度におきましては千三百三十五万トンに保有量をいたしたいという計画を持っておるわけでございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 大体、十年後の見通しから来た計画は、ただいま運輸大臣の述べましたように、九百七十万トンということでございますが、これを十年間で割れば、一年に九十七万トンということになりますが、最初からそういう比率でいくものではございませんし、貿易量に応じて後年期にだんだんに多い量になっていくというのが、そういう計画を立てるのが普通でございますが、私どもは、今度予算の問題で各種の十年計画ができて参りまして、道路にしましても、港湾にしましても、いろんな十年計画というときに、前半期と後半期の計算でいろいろ苦心しましたが、これは別に方式があるわけではございませんが、大体いろんなものの計算から見ますと、十年計画の前半期というもの、前半の五年というものは、大体三五、六%から三八%前後を予定し、後半期において六〇何%というものが予定されるのがやはり実際的な計画であるというようなことも出て参りましたので、そうしますというと、この造船がかりに九百七十万トン必要だとしても、前半期にどのくらいの建造をやったらいいかという数字を出してみますと、さっき申しましたように、私は五十万トンが少し少な目だというふうに思いますので、ただいまの海運の実情からこの程度が妥当だというふうに一応政府部内で決定して、これから出発はいたしますが、その前半、後半の分け方において、少し建造量が私は足らぬと思いますので、さらにこれを引き続いてもう少し大きい建造をやりたいという方向で今考えておるのでございます。
○松浦清一君 どうしたら、大蔵大臣の言葉をかりれば、大きい建造ができるでしょう。どうしたらできるでしょう。お考えありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは資金の措置というものも考えますし、その他全般の考慮を払って、政府がもう少しこれを多目にしようと考えるなら、これは可能なことだと思っております。
○松浦清一君 企画庁長官にもお伺いしたのですが、お答えがないので一緒に伺いますけれども、これ、こんな小さい小冊子ですが、「海運と国際収支」という見出しで、毎日新聞の交通運輸関係で専用にこのことを研究されておった稲田正義という人が書いた本です。このパンフレットを見まするというと、政府の所得倍増計画の四十五年度の推定貿易量ですね、それと船舶建造の速度とが合わぬということをここで指摘しているのです。これは非常に傾聴すべき意見だと思いますので、私はここをちょっと読んでみますから……。「政府は所得倍増計画で目標年度の昭和四十五年度には通関ベースで輸出九十三億二千万ドル、輸入九十八億九千百万ドルの貿易額を想定、そのさいの貿易量を輸出二千二百六十万トン、輸入二億三百九十万トンと推定、これに必要な邦船の外航船腹量を千三百三十五万総トンと算出している。そしてその暁の国際収支は海運関係国際収支では三億一千四百万ドルの赤字を出しながらも総合収支ジリでは二億ドルの黒字を出すものと想定している。ところで四十五年度に千三百三十五万トンの外航船腹を整備するためには、それまでの十年間の老朽船舶の解体量を見込むと、三十六−四十五年度間に九百七十万トン、年率で九十七万トンの建造を要する。現実の海運業界の姿は、経営基盤の悪化から、新造船にあたっては「償却前利益の範囲内」建造方式を課されている。この方式を厳守すれば、三十五年九月期の主要海運五十三社の償却前利益の合計額が百五十億円であるという現状からは年間三十万トンの建造が限度とみられる。この方式の適用にさいしさまざまな拡張解釈を加えるとしても年間五十万トンの建造が最大限度となり、やむをえず運輸省ではこの五十万トンベースで船腹整備計画をたてている。しかし年間建造量で九十七万トンと五十万トンとのギャップは大きい。その重大な結果として四十五年度の国際収支は海上運賃を現在の水準で横ばいと仮定しても海運面で四億八千万ドルの赤字となり、総合収支ジリは他項目の収支が変らないとしても黒字額はわずか三千万ドル程度に減少する。」と書いてある。これはそうして四十五年度においては、海運関係収支では三億一千四百万ドルの赤字だが、総合収支では二億ドルの黒字と算定しているわけですね。二億ドルの黒字と算定しているのに、総合収支で三千万ドルの黒字にとどまるということになれば、船舶不足のために、これは所得倍増計画は行き詰まる。ここから破綻を生じてくる。こういう見方をこの人はしているわけです。私もこれを見て感心して、そうでないかと思ったのですが、これはほかの方の四十五年度の倍増計画は私は論じませんよ。それについていく船腹量の造成が不可能である。そういう現状を私は痛感しているわけです。どうでしょう。
○国務大臣(迫水久常君) ただいま松浦さんお読みになりましたことは、まさにその通りかと思います。ただし、その前提は、五十万トンでずっと進んでいって、九百七十万トンは作れないということが前提にあるわけですが、そこで年に直して約九十七万トンという数字は、必ずしもそれは意味がないのでありまして、私ども考え方は、先ほどから運輸大臣や大蔵大臣が言われた通り、末広がりにずっと数字をふやしていこうという考え方、それにしてもその五十万トンというのは、少しスタートが小さ過ぎやしないかということは、私たちは前から言っておりまして、予算編成のときまでは、いろいろな事情で間に合わなくて、その話がつかなかったのでありますが、先般から大蔵大臣にも御相談しまして、この数字をもう少し大きくするように、末広がりにやるということは、ことしから九十七万トン作るわけではありませんが、もう少しこれを大きくして、末広がりの幅を狭くできるようにしたいというので、金融その他の面について、何か工夫はないかといって、今検討している最中でございます。従って、もしその方の推定せられた通り、五十万トンだけでいくとすれば、その計算は私は正しいと思います。
○松浦清一君 この予算委員会の御審議を通して、所得倍増計画は年次計画ではないと、こういうことをしばしば答弁をされておりましたから、そのことについて、私は可否をここで論じませんけれども、船の方でも、初めのうちは五十万トンだけれども、しまいの方にはしり上がりにもっと作るのだ、そういうことになりますと、五年五十万トンずつ作っていけば、あとの五年間は、百何十万トンか作らなければならぬということになる。そういうことは可能だと確信しておられますか。私は十年間の計画を立てるのに、年次計画をやらない計画というそのこと自体が、ちょっとおかしいと思うのですが、船の方にも、毎年何トンぐらい作っていけばいいのだという大体の目安がつくはずだと思う。だが五年間は五十万トンずつやっていったら、あとは内閣も変わるだろうし、だれかが何とかするだろうぐらいの計画はちょっと困る。それはどうでしょう。あとは幽霊みたいにぼやけてしまうのじゃ困るのだ。四十五年度までに九百七十万トンの船を建造するのだ、するのには、大よそ年次的にはこれくらいのものを作っていかなければならぬ、今の五十万トンじゃ少ない、七十万トンぐらい作らなければいかぬのだ、こういう答えが出るべきはずだと思うのです。どうでしょう。
○国務大臣(迫水久常君) 最初の五年間五十万トンでいって、あと百万トンという考え方じゃなくて、ことしから五十万トン以上に、結局訂正されてくることになると思いますが、もちろん、それは前半期に半分作ってしまって、後半期にまた半分というのではなくて、前半期のウエートは少ないと思いますが、終局的には千三百三十五万トンになるような計画を立ててみようというのが今の考えで、所得倍増計画全体が年次計画を持たないのは、おかしいと言われますけれども、これは十年後の見通しをつけたのでありまして、それぞれのものについて年次計画の立ち得るものについては、立てっていこうという考え方でございますので、造船の問題も、その線で考えていきたいと思います。
○松浦清一君 朝田海運局長にちょっと教えてもらいたいのですが、三十五年の九月期の五十三社の償却前利益、これは幾らですか。 〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕
○政府委員(朝田静夫君) お答え申し上げます。三十五年九月期におきます利子補給対象会社の五十四社につきましての償却前利益は百五十三億八千六百万円でございます。
○松浦清一君 そうすると、この稲田氏が指摘しているように、海運業者が実際に船を作れる力というものは、償却前利益の範囲内が限度だというのですね。そうすると百五十三億円が償却前利益の総額であるとすれば、これに見合う船しか結局できないことですね、去年の九月期では。三月期も私の見ている海運市況では、これが飛躍的に増大するとは思われない。来年もこの調子でいくというと、減りこそするけれども、ふえるということはないと思いますね。そうすると船主の能力で、つまり自己資金船を作る限度というものは、これはもうせいぜい二十五万トンから三十万トンをこえるということはないと思う。それが両年も七年も先まで続くかどうか、それはもうわからぬけれども、とにかく現状でここ二、三年間というものは、船主の実力で作り得る船は、せいぜい二十五万トンから三十万トン内外、もう少しよけい作らなければならぬと、こう考えるのだったら、財政資金を流すか何か、どこかで金を工面せんけりゃできないわけですね。ことしも五十万トン、来年も五十万トン、再来年も五十万トンという、こういうのだったら、百四十億、百五十億の財政資金でいいでしょうけれども、それが少ないと、もう少し作らなければ、四十五年度千三百三十五万トンの目標に達しないのだと、こう考えられるのだったら、来年はもう少しふやさぬというと、この船はよけい作れぬ、こういうことになりますが、それはどう思いますか。どうでしょう。
○国務大臣(水田三喜男君) これは今申しましたように、私どもは、この問題はさらに再検討を続けるつもりでおりますし、それによって必要な財政資金というようなものも、これから十分考えたいと思っております。
○松浦清一君 これは大蔵大臣にお聞きするのは無理かもしれぬけれども、総選挙が終わった直後の閣議で、池田総理が、池田新政策と国民所得倍増計画において、見落とされていた最大の盲点は、船腹増強の必要性だった。船腹整備を怠ると、国際収支の面で大きな赤字を生ずるおそれがある。早急にこの点を再検討して対策を講じてもらいたいということを閣議で発言されたそうですが、それをお聞きの閣僚ございますか。忘れましたか。
○国務大臣(水田三喜男君) 閣議発言は記憶しておりません。おりませんが、総理もそういう方向で熱心なことは確かでございますし、今関係閣僚で、その問題も、さっき話しましたように再検討しているところでございます。
○松浦清一君 それじゃその点は、しばしば申し上げましたように、所得倍増の政府の御計画が、完全に計画通り達成することを、いろいろ所得較差等の問題はあるとしましても、それを少なくしていくような方向に向かって私ども希望するわけですから、それを達成するためには、それに並行して海運力の増強というものをはかっていきませんと、国際収支の面からこの計画が破れてくる。こういうことになりまするので、来年からでもおそくありませんから、船腹増強のために格段の努力を払ってもらいたいということを要請しまして、船腹の問題についてはこれでとどめます。
○羽生三七君 関連質問。この場を借りて自分の勉強の場にさせていただいて非常に恐縮ですが、どうして日本の海運界が国際的な競争力がないのか。その理由が私、どうしてもよくのみ込めないのです。他の大企業は、国際競争力がだんだん強くなって、相当の利潤も上げ、生産性も上がっている。海運だけは政府の援助がなければ、どうしてもやっていけぬという理由はどこにあるのか。これは戦争による破壊というものが、まだ引き続いているのかどうか。その点を一つお教えをいただきたい。
○国務大臣(木暮武太夫君) たびたび申し上げましたように、日本の海運の戦後の出発点が、御承知の通りゼロから出発したというようなことになっておることと、それから負けた国である関係上、世界の海運界に日本が戦前のように仲間に入れられなかった。御承知の通り海運界におきましては、古くからヨーロッパあたりにおきましても、いろいろの同盟などがありまして、日本のそれを仲間に入れることができないというようなことがありましたことなどが、日本の海運というものを非常におくらした原因である。こういうふうに私どもは考えております。
○松浦清一君 今の羽生委員の関連質問ですが、そういう説明では、それは世間の人は納得しませんよ。もっと深刻な状態をはっきりおっしゃる方がいいですよ。海運局長からでも十分説明なさったらどうです。
○政府委員(朝田静夫君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、昭和二十五年までの間におきまして、司令部の方針によって、外航船舶の建造を抑制されておりましたことが第一点、従いまして外航活動をその際にも引き続き制限を受けておった。その間におきまして日本を中心といたしますところの定期航路その他の極東水域から、欧州あるいはアメリカ等の航路におきましては、ほとんどその間において戦前築き上げました航権を外国海運に取られてしまったということのために、これの回復にアウトサイダーとして非常なファイトをやらなければならないというような出血もございましたのが、沿革的な理由の一つであります。 それと同時に、第二点は、先ほどから大臣の御説明にありましたように、戦時補償の打ち切りによりまして、自己資本を全部喪失いたしましたために、国民経済の要請にこたえるために、船腹の増強は全部借入金によらなければならなかった。しかもこの借入金の絶対額が、膨大でありますのと同時に、支払い金利が国際水準に比較いたしまして非常に割高であるということが、第二点であろうと思うのであります。 それから第八次、第十三次というような、きわめて船価の高いときに船が作られた。従って、大きな負担になり、この船価の高い時期に大量に作られた。これは一つの悪循環でございますが、そういう際に金融がつく、船価の高いときに金融がついて、船価の安いときに船舶金融はあまりつかないということも、企業に対する重圧の一つの悪循環ではありますが、一つの原因になっておる。従いまして、外国海運が一世紀にわたりますところの内部蓄積を持っております。またたびたび大臣から御答弁がございましたように、各国とも海運の助成に力を入れておるという相手方と競争をいたしますためにも、運賃の面におきましては、日本の国内だけでコントロールはできないという他動的な要素に加えて、競争をして参らなければなりませんので、そういう間におきまするところの不利な条件が重なって、現在二千七百億からの借入金、しかも二二%と七八%という資本構成の最も悪い比率を産業界でも示しておる。こういうことが、海運が立ち直っていない原因であろうかと存ずるのであります。
○松浦清一君 大蔵大臣、運輸大臣、企画庁長官にお伺いしますが、最近のアメリカのドル防衛措置、シップ・アメリカン運動が、わが国の貿易、日本船の積取量にどのように影響しているか、将来予想される影響等を御説明願います。そのうちで、ドル防衛措置のわが国の財政経済に及ぼす影響については大蔵大臣、シップ・アメリカン運動のわが国の海運に及ぼす影響については運輸大臣、それからわが国の貿易の量に及ぼす影響については経済企画庁長官から、それぞれ御説明を願います。
○国務大臣(水田三喜男君) お説のように、ドル防衛措置というものによって、アメリカができるだけ自国船を使用するという措置をとっておるのでございますから、若干の影響は当然あると思います。しかし、どれだけの影響があるかというものについてのまだ数字的なワクの方を私どもの方ではいたしておりません。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。 アメリカの海運業界におきまして御指摘のように、ドル防衛問題に伴いましてシップ・アメリカンの運動を展開して、アメリカ側の国際収支改善のためにアメリカの船の積み取り率を多くして海運の収入を多くしょうという運動のありますることは御指摘の通りでございます。この運動においては、政府関係物資に関する米船の優先使用法令の強化が要請されていると伝えられておりますが、この点に関する政府の具体的措置といたしましては、さきのハーター指令に続きまして、去る一月十二日のICA指令がありまして、二月一日から適用されることになっているわけでございまして、この指令によりまするというと、政府援助物資はアメリカの船で輸送される場合にのみICA資金から運賃が支払われる。被援助国はICA関係物資の五〇%まではアメリカ船以外の船腹を使用することができますが、この場合にはICAは、この輸送に対し運賃支払いをしないことになっている。結局事実上は、米船の一〇〇%使用を結果するということになるのであります。このハーター指令及びICA指令によりまして東南アジア関係航路に影響がありまして、ただ、ICA物資につきまして、従来とも米船優先使用法令の適用がありまして、アメリカの船が五〇%ないし八〇%程度の積み取りをこの方面にはいたしておりまして、その残りを邦船及び第三国船で積み取っておるという状況であり、また、航路によって相違はありまするが、ICA物資の総輸送量に対する比重は全体といたしましてあまり大きくありません。さらに、セメント、肥料など運賃の低いものが多いので、当面のICA指令によるわが国の海運収入に対する影響はあまり大きくないと考えられるのでございます。また、ニューヨーク航路につきましては、邦船の積み取り比率は、昭和三十四年度におきまして六二%、三十五年度は六四%であります。また、昨年十月以降を見ても、十月六三%、十一月は六六%、十二月が六四%とだんだん推移しておりまして、今日まではシップ・アメリカン運動による影響は、積み取り比率の面では、この今の申し上げた数字から見ましてもあまり影響がないように感ぜられるのでありますがただシップ・アメリカン運動におきましては政府関係物資ばかりではございません。先般問題になりましたトヨタ問題というのがございましたが、あれに見られましたように、一般商業貨物についても米船の積み取りの強化をはかろうとする動向が出て参りますので、その場合は当然日本船の積み取り比率が減少いたしまして、その損失も大きいことが予想されるのでございまして、北米航路が日本の基幹航路でありますだけにわが国の海運全体に重大なる影響を及ぼすものと考えられますので、アメリカの今後の出方というものを十分に注意いたしまして、この問題につきましては、いろいろ外務省とも緊密な連絡をとりまして、問題に対して外交交渉を進めて参りたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○国務大臣(迫水久常君) シップ・アメリカンの問題によって日本の貿易の量に及ぼす影響いかんという御質問でございましたが、ただいまのところ、今、運輸大臣がおっしゃいました通り、大体米船——シップ・アメリカンの問題は、現段階におきましては、従来から比較的米船積み取りの比率の非常に高かったICAの物資だけに限られておりますので、現在はほとんど影響はない、こう考えておりますが、将来、今、運輸大臣も言われた通り、コマーシャルの物資にまでそれが及んできた場合にどう影響するかということは、まことに申しわけございませんけれども、現在の段階において、私ども、はじいておりません。 〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕
○松浦清一君 昨年の十月の三日、アメリカの国務省が米船優先主義強化の問題を取り上げて、アメリカの船主団体を集めていろいろ協議をしておる。その際に、船主団体の方から「最近の米船積み取り比率の急激な低下は外国の自国船優先主義によるもので、ことに日本側の自国船優先主義は単に日本人の愛国心に基づくものとのみは考えられない。その間種々の巧妙な手段が仕組まれており、今や米国船に対する差別待遇の線に達している。この際商務省はこの傾向に対する有効な対策を講ずること、場合によっては国務省と協力して日本側と外交会談を持つべきである。」こういうことがこの会合において決議を、商務省の音頭取りによってなされておる。こういうことに関する交渉が外務省にあったかなかったか、それだけ外務大臣からお伺いいたします。
○国務大臣(小坂善太郎君) シップ・アメリカンの問題は、ただいま企画庁長官からお答えがありましたように、ICAのファンドによる積み取りについてはできるだけこれを米船でやるようにしたいということだけが、今までアメリカの国務省からありました希望ないし指示でございます。このICAの積み取りについては、従来から大部分がアメリカ船を使っておった等の関係もございまして、差しあたりこの問題に関しての日本の積み取り比率の影響というものは少ないかと思われるのでありますが、最近輸出入銀行の借款によるものについて、やはりシップ・アメリカンということが問題になろうというふうな意向もありましたので、そういう点については、われわれ詳細な調査と注意を怠らぬつもりでございます。で、ただいまお話のような商務省の方から何かあったかということでございますが、これは今までのところございません。ございませんのみならず、わが方といたしまして、例の運輸大臣お話の、トヨタ問題というもののありました際に、わが方の大使館から先方のアメリカの国務省に対して強くこうしたことに対して抗議を申し入れております。シップ・アメリカンの問題、ドル防衛に籍口してことさらにそれに便乗するような民間の動きというものに対しては、これが日米間の国交に不測の影響をもたらす場合もあるから、さような便乗のないようにしてもらいたいということを強く申し入れてございます。国務省もその点については初めて承ったということでありまして、十分調査してくれることを約束いたしたような次第でございます。ただいまのところ、そういうような指令は先方からはございませんわけでございます。
○松浦清一君 新聞などで伝えられているところによりますと、単にICA物資のみならず、綿製品、電機製品、洋服生地、そういうものに対するボイコットがかなり広範に行なわれている傾向にあることが見られるのですね、こういうことは今、日本がアメリカのドル防衛措置は、日本に対する影響はICA物資の輸送の面だけに限られているのだ、大したことはないといって、あれよあれよと言っている間に、だんだん拡大していって、日本の海運の大宗である北米航路に及ぼす影響というものは、非常に大きいと思うのですね。今でさえも先ほどしばしば申し上げたように、所得倍増計画に伴う船舶の造成が可能であるかどうかということが心配されているのに、この方面でやられてしまうと、どうにもこうにもならぬという結果が予想されるわけで、そういう問題のみならず、いよいよ六月には総理が渡米されることが予定せられ、外務省ではその準備を進められているそうであるが、その際にこのシップ・アメリカン運動、それから綿製品、電機器具それから洋服生地ですね、こういうものに対するボイコット運動をやめてもらいたい、こういうようなことを交渉する準備を進められておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) このシップ・アメリカンの問題に対しては、政府はただ楽観しているのではございませんで、事あるごとに問題を未然に防ぐべくいろいろ努力をいたしているわけであります。なお、この問題と似たようなことで、バイ・アメリカンという運動があるわけでございます。これに関連いたしまして、今お話の既製服の問題等もあるわけでございますが、既製服の問題は、これは御承知の通り、アメリカの消費量というものが、年間二千三百万着もあるといわれております。わが方の自主規制のワクは十二万着ということでございますが、実際は四万ないし五万着くらい出ているのでございまして、全体の消費量に対しまして、わずかに〇・二%という、まことにネグリジブルな、非常に無視すべき少額であるのであります。こうした問題をとらえて、ことさらに封鎖的な傾向がある。ことにこの運動はポトフスキーという、組合の一指導者の運動であるわけでありますが、そうした封鎖的な、排他的な運動が、一部の人によって行なわれる、そのために非常に国交に影響するような問題も出るという場合、また、対日感情、アメリカに対する日本人の感情というようなものが、傷が入るというようなことになってはゆゆしき問題であるから、こういう点については十分に注意をされたいということを、私どもは強く交渉いたしているのであります。 また、綿製品の問題に対しては、日本は自主規制というものを行ないまして、非常に紳士的に規制をしているわけであります。この間アメリカの消費量がふえて参りますので、香港あるいはインド等が非常にその間に割り込みまして、綿織物だけで見ますと、昨年一年で日本のシエヤーというものは、総体的に三〇%くらい減っているのであります。そこで、紳士的な行動をとっておる日本の輸出というものがことさらに阻害されるというようなことについては、われわれこれは黙視しがたいということで、いろいろと強力に交渉いたしております。ただいまお話の総理大臣の渡米の際には、そういう問題に限らず、広く経済問題も含めて全般的に腹蔵ない意見の交換をするように準備を進めておる次第でございます。
○松浦清一君 ことしの二月、アメリカ議員の、ボナー委員会から国会に対して海事法の改正案が提案されたということを聞いたのですが、この提案の大体ポイントというものは、例の五〇%条項の削除、こういうことが含まれているのじゃないかと思いますが、その内容をお知りならばお教え願いたいと思います。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、御指摘のように、二月十五日、アメリカの下院のボナー議員という人からアメリカの海事法の改正案が提出されたのでありますが、その内容は、第一に、契約当事者以外の船舶運航利用者を排除することを目的とし、またはそのおそれのないことなどを条件に二重運賃制を認めること。第二には、米国連邦海事局が海上運賃に対し統制を行なうこと。第三は、同盟等の規約等において海事局の要求書類はその所在のいかんを問わず提出することを定めるべきこと。などであります。この法案につきましては、各国とも反対が多く、イタリア、デンマーク、ノールウェー、スエーデン、英国、ドイツにおいて抗議を行なうために準備を進めているとのことでありますが、本法案は米国海事局の監督権限を極度に強化して、海運会社に各種の義務を課している結果、一国政府の干渉により国際海運活動の円滑な実施に重大なる支障を来たすものでありまして、外国文書の提出を強制することは一国の管轄権に関する国際法上の一般原則に反するおそれがあると考えられるのであります。元来海運同盟活動については、政府はみだりに干渉すべきではないと考えられる次第であり、この点本法案には問題が多いと考えられますので、アメリカに対する日本政府としての態度につき、抗議をいたすことを目下当局では検討中でございます。
○松浦清一君 アメリカがその自分の国だけに関係のある法律を幾ら作ろうと、それを干渉することはできないわけですが、これらの今言ったような、説明されたような海事法の改正というものは、世界の海運、特に日本の海運に及ぼす影響というものは非常に大きいわけです。ですからそれに対する抗議を申し込むことを検討中だとおっしゃるのですが、そんなことを検討しておる間に法律ができてしまうというと、外国で法律ができたのを日本が取りやめさせるということはできないのだし、話をするなら今問題になっているときが一番いいのじゃないかと思います。これまた総理がいらっしゃるころまでにすでにできてしまうかもわからぬけれども、強硬に日本海運に悪い影響を及ぼすような法律はやめてもらいたい、こういう交渉をされる準備が外務大臣にございますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) この件に関しましても、先方と在米大使館の朝海君がいろいろ交渉しておるわけでございます。しかし、ただいま松浦さん御指摘のように、法律になってしまったのではどうにもなりませんのでございますから、よくその間に実情を説明いたしまして、アメリカの当局に、十分事情をわからせる努力をしておる次第でございます。
○松浦清一君 それはせっかく、ぜひ一つ交渉して、そういうことをやめさせてもらいたいと思います。 次は、最後で、戦標船の問題について若干伺いたいのですが、七十七万トンという戦争直後に作られた、もはやもう対抗能力のなくなっている船が七十七万トンあるのですね、これの実態と、それに対する対策を一つ具体的に教えてもらいたい。
○国務大臣(木暮武太夫君) 戦標船は、御承知の通り、戦争中政府の規格によって、早急に、沈められた船の代替船として作られたものでございまして、その材質等も非常に脆弱なものであるのでございます。そこで、もう保安上からもとうていたえられなくなっておりますので、昨年の十二月にこれを保安上からきびしい検査をいたすことになりました。従いまして、これを保有いたしておりまする船主の人たちは、政府の政策によりまして、これが改修等を行ないます場合に、はからざる負担を感ずるようになったわけでございます。ことに、戦標船が、今日は、多くは中小船主の手にありますので、この問題は大きな社会問題と考える次第でございます。ことに、戦標船関係の船員というものは、八千人といい、あるいは一万人というような話を聞いておりますので、これらの人たちの生活の将来を考えますると、戦標船の処理の問題というものは、中小企業の問題であると同時に、大きな社会問題であるように考えられるのでございまして、政府はこの点に着眼いたしまして、戦標船の処理の問題を今回計画いたしたのでございます。戦標船対策に要する経費といたしまして、初め、政府出資八億円と財政融資四十四億五千万円を予算として要求を実はいたしたのでございまするが、これは現存する戦標船七十万総トンのうち、継続使用を二十八万総トン、十六次計画造船によってスクラップになるものが六万総トンと見込んで、残りの三十六万総トンについて、第十七次及び第十八次の計画造船で十六万総トンが解撤されて、二十万総トンが公団で解撤されるものとして、これを二カ年間で実施する計画によって、ただいまの金額は算定をされたものであります。すなわち、公団による建造量は解撤比率を一対一として年間十万総トンであり、これに要する資金は総トン当たり十万円として百億円で、このうち、公団持ち分七十億円、四分の三に相当する金額五十二億五千万円を要求いたしたのでありますが、しかしながら、戦標船対策の実施期間を二年計画から三年計画に改めて、そうして、新造と解撤の比率は一対一としないで一対一・五の程度を目標として実施することを検討中でありまするが、三十六年度においては、開銀七億円、公団八億円、合計十五億円をもって、大体四万総トン程度解撤して、三万総トン程度の新造を行なわんとする予定を持っておるのであります。年間十五億円では三カ年計画といたしましても十分な代替船建造は困難でありますので、今後三十七年度、三十八年度においてはこの資金をもっと大幅に増額いたしましてそうしてこの所期の目的を達成するようにいたさなければならぬと考えておるような次第でございます。
○松浦清一君 大へん御親切な御説明をいただきましたが、最初の計画は、七十七万トンのうち、二年間で三十六万トンを解撤して三十六万トンを新造するという計画だったのですね。それが大蔵省にやられてしまって、八億円の七億円の十五億円しか予算が取れないと、そういうことで、今おっしゃる通りやっても、四万トンつぶして四万トン作る。四万トンしかできない、そういう結果になってしまったわけですね。そうすると、昨年の十二月二日付で船舶局長の名前で依命通牒を出している船体検査の検査基準を強化するというこの通牒の効力というものは一体どういうことになる。もしも船は作れないし、この検査強化をやるということになれば、船を係船するよりしようがない。係船すれば乗っておる者が失業する、端的に言えばこういう結果が現われてくる。これをどうするんです。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えいたしますが、三年間にそういう事態の起こりませんように極力努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○松浦清一君 極力努力するという具体的な努力目標を一つおっしゃっていただきたい。——運輸大臣、聞こえんのじゃないですか、私が言っておるのが。聞こえていますか。もし聞こえなかったら、もっと大きな声を出してもいいですが。海運局、長説明して下さい。
○国務大臣(木暮武太夫君) ただいま申し上げましたように、今のは不十分でありますから、三十七年、三十八年度においてもっと大幅の金を投じたいということを申し上げたのでありますから、努力いたしまして、三十七年、三十八年にはこれをそういう事態の起こらないように解決するように予算を十分に取って努力したいと、こういう意味でございます。
○松浦清一君 そうしますと、大事なことを一点伺いますけれども、三年間に解撤を要する船は解撤をして新船を作るということに努力をされるその間に、昨年十二月の通牒にかかわらず、船を係船されるというようなことはないですね。昨年の七月に通牒を出して、また十二月にちょっと緩和された通牒は出ておりますけれども、これでもだめなんだ。ところで、そのまま船を使えば、この前の弥彦丸みたいに非常に危険な船がある。船をつぶさせるということは、池田さんが大蔵大臣のころに中小企業の二つや三つつぶれてもどうだとか言った、あれと同じような結果になるわけです。それを係船させるというようなことはないわけですね。
○国務大臣(木暮武太夫君) これは、あの十二月一日に船舶局から通牒を出した問題についての御質問でございますので、十分私は記憶しておりませんものですから、大へん失礼いたしましたが、十二月一日以降に、これは検査をいたしました以後、二年以内にスクラップされる予定の戦標船については、スクラップするまでの期間、過度の運航について、船体に過度の応力が生じないよう荷物を載せる量を抑えて、適正にして、また気象とか海象に細心の注意を払って……。
○松浦清一君 大臣、あなたの説明はもうよろしい。私が説明します。あの通牒は去年の七月に出した通牒です。そしてきまりがつかないものだから、また十二月に出している。それがあなたの読んでいるやつで、この二つしか船舶局からは出ていないのですよ、戦標船に関する検査強化の通牒というのは。今あなたが読んでおられるやつは二カ年間で解体が約束されるやつは少し緩和してよろしいという、そういう意味の通牒なんだ、あとから出たのは。ところが、私が問題にしているのは、最初そのときの計画は二カ年間で三十六万トンの解撤を行なって、代替船を建造するという方針であったのだ。ところが、大蔵省にやられて予算が取れなかったから、それを三年延ばすのだということになった。そうすると、この通牒は二年ではいかぬことになる。それをどうなさるかということです。
○国務大臣(木暮武太夫君) いや、そうでございますから、今申し上げた通り、十分の予算は取れなかったので、二年でやるべきものを三年で処理をいたすように努力をして、三十七年、三十八年のときに十分の融資をしたりなんかしたい、こういうふうにまあ考えて、そういう事態の発生しないようにやりたいと、こう考えるわけです。初めは今の予定で大蔵省に交渉をいたしましたことが、こちらの希望のように参りませんでしたことは、まあ非常に遺憾であった。それですから、三カ年にこれをやるということになったわけですから、それで三カ年の間に、そういう事態の発生しないようにいたしたい、こう考えているわけです。
○松浦清一君 そうすると、七月の通牒をもう一ぺんやりかえて出すわけですか。これは二カ年という期限があるわけですよ。それを三年に延長するということになれば、このまま一年延長ずるのかどうか、その点明確にして下さい。
○政府委員(朝田静夫君) お答え申し上げます。船舶局から出しました通牒は十二月以降、この一年間で中岡検査、あるいは定期検査も船によってそれぞれ検査期日が到来するわけでございます。従いまして、この一年間に検査期日の到来いたしましたものから二年間、こういうことでございますので、最長のものは三年の期限になっているわけであります。あらためて通牒を出すというようなことはないものと考えております。
○松浦清一君 そうしますると、検査基準を強化して、そうして危険な船を一掃したいという考えが、予算関係でだんだん縮小されてきて、あなたのおっしゃる通り三万トンの船しか作れない、そういうことになれば、三十六万トンから四万トンつぶして三万トン作る、三十三万トンは危険な状態のままでその船が運航される、こういうことになるのですか。若干の補修はありますけれども、徹底的に補修をやれば、これは運輸大臣ご存じないかもしれませんが、海運局長、船舶局長はよく知っている通り、八百トン、一千トンの船をこの検査基準に合うように修繕をすれば、二千万円以上の金をかけなければできない、徹底的に修繕をするには。政府みずからが十五年たったこの船は、使えぬものになっている、こういうことを断定しているのですよ。普通の状態で建造された船でも、船舶の耐航年数というものは二十年、しかもこの粗製乱造中の粗製乱造、そのときでも三年使えたらいい、戦争か終わるまで使えたらいい。戦争が終わったら、何でもいいから木で船を作るわけにいかぬから、金の船を作れといって、やかましく言って作らした船なんです。政府みずからが作らせて、そうしてもう使えない。こういうことに太鼓判を押しているのに、それの解撤、代替船建造ができない、こういうことは一体どういうことですか非常に政治の貧困というか、政策が矛盾している。
○政府委員(朝田静夫君) お答えいたします。ただいま三十六万トンの処理をどうするのだ、こういうことでございますが、大臣から御説明がございましたように、三十六年度におきましては、四万トンを解撤いたしまして、公団と開発銀行と合わせて三万トンの新造をする方針でございますが、三十六万トンのうちで四万トンしか解撤できないじゃないか、こういう御不審の念を抱かれておるようでございますが、三十六万トンの中で十六万トンはいわゆる計画造船にリンクいたしまして、解撤をしていくといたしますということになりますと、残りの二十万トンが問題になるわけでございます。従いまして三十六年度の四万トンの解撤を差し引きますというと残りは十六万トンになるわけでありますから、この十六万トンの問題を二年間で、三十七年度、三十八年度を通じてできる限り財政融資のワクの増大に努力をいたしまして万遺憾なきを期したい、こういうことでございます。
○松浦清一君 これは私は大へんなことを初めて聞きましたが、十六万トンを計画造船にリンクするということは、これはどういうことですか。それはあれですか、二十五万五千トンのうちに含まれるのですか、そのワクの外ですか。
○政府委員(朝田静夫君) 二十五万五千トンに関連して、今日のような戦標船の状況でございますので、それにリンクさせて、新造するものについては、自己の戦標船あるいは系列の大きなものを持っておりますものをその機会につぶしていく。これは戦漂船処理対策としてではございません。先ほどから問題が出ておりましたように、償却前利益方式という現在方針のもとに、国際競争力にたえ得る商船隊の計画的な建造をやるわけでありますから、これは戦標船処理対策とは別個のものではございますけれども、三十五年度におきまして実施いたしましたような、リンクさせてその機会につぶしてもらう、こういうふうに、日本海運の当面いたしております宿題に協力していただく。こういう意味で十六万トンを今後の計画造船についてもあわせて処理していく、こういうことでございまして、一トン対一・五トンというような比率でなしに、二万トンの船を作ります場合でも四千トン程度の船を作るような協力をしいただく、こういうことでございます。
○松浦清一君 はっきりしないんですが、二十五万五千トンのワクの中ですか、外ですか。
○政府委員(朝田静夫君) 十六万トンは二十五万五千トンの中といいますと、非常に誤解が生ずるのでありますが、二十五万五千トンは建造量でありまして、十六万トンはつぶす量であります。従って、中とか外とかいうことでなしに、リンクさせて、二十五万五千トンを建造いたします場合に、十六万トンの半分約八万トン程度を本年度三十六年度においてスクラップする、こういうことであります。
○松浦清一君 そうすると、戦標船を十六万トン解体したものは、計画造船の二十五万五千トンのワクの中であるけれども、優先的に計画造船の割当をしてやると、こういう意味に解釈できるんですか。
○政府委員(朝田静夫君) 優先して取り扱うということでなしに、義務づける方針でございます。十六次造船におきましても義務づけたものでございますから、そういう方針もことしになってやらないということもどうかと思いますので、三十五年度同様の方針でもって義務づけて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○松浦清一君 そうすると、計画造船の割当をやった船主は、十六万トンのうちの何%に当たるかしれませんけれども、それに見合う戦標船の解体をしなければならぬという条件でもつけるわけですか。
○政府委員(朝田静夫君) その通りでございます。
○松浦清一君 そうすると、大型外航船を計画造船のワクの中で建造する能力のない、戦標船だけしか持っていない船主は、一体どうなんです。
○政府委員(朝田静夫君) お答えいたします。戦標船だけ持っているという会社は、総じて中小船主に多いわけでございますが、そういうものに対しましては、従来開発銀行と取引関係のありました船主につきましては、開発銀行の一般ワクその他で七億円、旅客船公団を改組いたしまして特定船舶整備公団という名前にいたしておりますが、その公団で処理いたしますのが八億円、こういうところの範疇に入るものだと思うのでございます。計画造船につきましては、従来からの国際競争の、チャンピオンを作って参る、こういうところから考えてみますというと、戦標船だけ持っているという船主は、皆無でございます。
○松浦清一君 戦標船だけ持っている船主は皆無ですか。私の持っている資料では、十四社、戦標船だけしか持っていない船主がありますよ。
○政府委員(朝田静夫君) そういった船主は、大体において、公団あるいは開発銀行の一般ワクの方で処理をいたす対象の船主であろうと思います。
○松浦清一君 ですから問題は、最初運輸省が計画されたように、四十五億五千万円の予算が取れまして、そうして十万トンの十万トン、六万トンの六万トン、八万トンの八万トン、三十六万トンの解撤が二年間に行なわれて、三十六万トンの新造代替ができる、こういうことになればよかったのだ。ところが、大蔵大臣、にこにこしているけれども、大蔵省がきつくて予算が取れなかったものだから、今のような変態的なことをやろうとしている。だから、言葉ではあなたおっしゃらないけれども、改E型一ぱいしか持っていない中小船主、中小というよりも小船主、そういうやつは会社がつぶれてもかまわぬから、二つでも三つでも一緒になって金融ベースに合うような格好にして持ってこい、こういうような態度に見えて仕方がない。ほんとはそうなんじゃないですか。
○政府委員(朝田静夫君) ただいまの御指摘の、三社合体して金融ベースにのるようにして持ってこい、こういう考え方ではございませんで、私どもは企業自体の自由意思でそういうことになることは、きわめて歓迎をいたすところでございますけれども、そういうことのワクにはめてそういう方向に押しという解撤比率につきましては、私どもはそういう方針でございますけれども、中小船主の実情を勘案いたしまして十分検討をして実施細目を作りたい、こう考えておるわけでございます。ただ、原則として一・五トン対一トン、こういうふうに考えておりますが、二隻つぶした場合には合計トン数の程度まで作らしていくということも別途実情に合うかどうかと思いますが、こういう実施細目につきましては十分各方面の意見を承った上できめて参りたいと思うのでございます。 また、最後に御指摘になりました千三百三十五万トンの問題につきましては、これは外航船舶だけの保有船腹の目標量でございまして、内航船舶はこれに含まれておりませんので、一言づけ加えさしていただきます。
○委員長(館哲二君) もう時間です。
○松浦清一君 もう時間ないですか。それじゃ大蔵大臣に一つお願い申し上げておきまするけれども、今まで申し挙げましたように、その外航船舶の増強も今のような調子では千三百三十五万トンに達することは大へんに困難です。 それから主として内航に就航しておる戦標船の問題でも、人命にかかわるようなぼろ船で辛うじて運航しておるのが現状です。これは運輸省の当初の計画を私は指示したのは、一応三十万トン程度のものは資力のある人は大修繕を施して、ここ一年の間に相当買うたときの値段より高い金を出して大修繕を行なっている、外板を全部取りかえてやっている、そのほかの資力の乏しい小船主は大修繕ができなくて、ぼろぼろよたよたとした船でその航海を続けておる。そういう現状でありまするから、実際問題として本年度予算で当初要求した通りに復活してくれと言ったところでだめだろうが、来年からはしっかりと一つ池田総理が閣議で発言されたように船のことを思い出してくれて、ぼろ船がなくなって、そして小船主がつぶれないように、そういう方策を講じていただくことをお願い申し上げまして、これで質問を終わります。
○委員長(館哲二君) 明日は午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十二分散会