予算委員会 第10号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/09
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。昨日、重政庸徳君及び白木義一郎君が辞任され、その補欠として下村定君及び小平芳平君が選任されました。 —————————————
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和三十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題にいたします。 質疑を続けます。木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 私は、政府、自民党の政治経済政策の基本となっております所得倍増計画が三十六年度予算に具体的にどう現われているかということについて質問いたしたいと思います。そうして、その質問を通じて所得倍増計画ないし三十六年度予算の性格並びに本質を明らかにし、それと対決する社会党の政策的立場を示したいと思うのであります。 なお、この質問に入るに先だちまして、三十五年度第二次補正予算審議に際して問題が決着してない点がございますので、その点について政府の所見をただしておきたいと思うのであります。 その第一は、第二次補正予算と財政法二十九条との問題でございますが、これにつきましては、政府は、もし財政法違反の疑いがある場合には、この資金は使わないということを衆議院で言明しているわけであります。しこうして、参議院の予算委員会におきましては、学者の意見を聞いたのでありますが、学者の意見は二つに分かれておるのです。これが違反していないという意見と違反しているという意見と二つに分かれております。違反しているという意見は、政府の産投特別会計に補正予算を組んで資金を繰り入れて、一種のフィスカル・ポリシーみたいな政策をやること、それ自体については異議がない。その政策については賛成であるが、しかし、この財政法はそういうことを予定して作られているのではないのだ、いわゆる自由経済原則に基づいて作られたのであって、従って、財政法二十九条の規定に違反することは明らかである、こういうことをはっきり言われておるのです。ですから、これについて学者の意見は二つに分かれておるのです。分かれている以上、疑義は依然として残っているわけです。疑義が残っていれば、これは使えないわけです。使ってはいけないわけです。衆議院で疑義が解明されてから使うということを言っているわけですからね。もし使いたいならば、どうしても使いたいならば特例法を出すか、あるいは財政法を改正するか、何かの手続をはっきりしてこれを使わなければ、私は違反を依然として犯すのではないかと思うのであります。ですから、手続をはっきりしなければいけないと思うのです。財政法改正あるいは特例法を出すこと自体については、私は賛成、反対の自分の意見は、ここでは保留いたしますが、とにかく手続として特例法を出すか財政法を改正するか、どちらかにしなければ、これは財政法に違反しているという疑義が依然として抜けないのであります。ですから、政府は、特例法を出すか、あるいは改正法を出すか、そうしなければこれは使わないというのであるかどうか。もしお使いになるならば、衆議院段階で言われた言明に違反するわけであります。それを裏切るわけでありますが、この点について所見を伺っておきたいのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 政府は財政法違反ではないという考えでやったわけでございますが、しかし、今おっしゃられるような疑義が出ていることは確かでございますので、今後こういう疑義をなくする形でやりたいということでございまして、今後疑義をなくするような方法を政府としては、そういう機関にかけて検討するというお約束をしたわけでございまして、私どもはその通りにやるつもりでございますが、この補正予算の通過の場合には、政府が今後のそういうお約束をして、これを認めてもらったといういきさつになっておりますので、今後こういうふうにする場合についての問題が残っているわけでございまして、本年度の補正予算の問題は、これで私どもは一応御承認を願ったものと、こう解釈しておりますし、衆議院のいきさつもそういうことになっております。
○木村禧八郎君 それはおかしいと思うんです。これは資金には繰り入れましたけれども、まだ産投の支出にはならぬわけですね。三十六年度でこれはいよいよ支出になるわけです。従って、依然として疑義が残っている以上は、資金は資金としてそのままとめ貫いて、支出して使うべきじゃないと思うのですね。
○国務大臣(水田三喜男君) 衆議院のいきさつから見ましても、参議院のこの予算委員会のいきさつから見ましても、今後こういう点の疑義をなくするようにしろという一応御意見つきで承認いただけるという形でございますので、今後の検討を政府はやるつもりであります。
○木村禧八郎君 まだ疑義が解明されてないということが明らかであるのに、今後々々と言うのはおかしいと思う。今でも間に合う。資金としてとめ置いておけばいいのです。この支出をする場合には特例法を出すか、あるいは財政法を改正するか、どちらかの手続をしなければ、衆議院でこれははっきりしない以上は使わないということを言明されておるのです。それに違反するというのです。
○国務大臣(水田三喜男君) いや、そういうことを言明している事実はございません。従来こういうことが慣例のように行なわれておるが、疑義があるし、二度疑義のあるままこういう措置を今後はとらないようにということで、今後とる場合には、疑義をなくするようにしたいということで、これからこの問題について、政府としては、機関にかけて御検討を願うという予定になっておりますので、今後はこういう疑義のないようにする研究を私どもはいたしたいと思いますが、今回の場合は、これで承認してもらったというふうに思っております。
○木村禧八郎君 私は依然として承認できません。しかし、この問題についてあまりこだわっておりますと時間が空費されますので、次に伺います。政府は依然として財政法に違反した疑義を残しながら今度はそれを行なうわけですね。この点についてはやはり違反を犯しておると断定せざるを得ません。 次にお伺いしたいのは、三十五年度の自然増収の問題です。これは前に大蔵大臣は三百億くらいあるだろうと、こう言われておりましたが、最近の大蔵省の発表によると、六百億くらいあるのではないかということが新聞紙上に伝えられております。どのくらいあるか、見積もりは大体もう煮詰まってきてわかっておると思いますので、それをお伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ正確に見積もるわけには参りませんが、しかし、一月末の収入実績を見ますというと、前年度に対しては、大体収入割合が四%以上向上しているという数字になっておりますので、かりに三月末までにその通りいくという大ざっぱな見方をしますというと、五百億以上の自然増が期待できるのじゃないかという状態であります。
○木村禧八郎君 どのくらいですか。
○国務大臣(水田三喜男君) まあ五百億以上になるのではないかというふうに思っております。
○木村禧八郎君 これは非常に私は重大な問題だと思うのです。総理にお伺いしたいのですが、前に総理は過小見積もりは過大見積もりと同様よろしくないと、こう言われたわけですが、依然として非常な過小見積もりである。今の大蔵大臣の御説明によると、五百億円以上見積もれるのじゃないか、まだ五百億円以上自然増収が三十五年度で予定されておるというのです。しかもこの間、三月三日慶応大学の高木教授の公述によりますれば、大体三十五年度の租税収入は一兆六千五百億で、これを当初の見積もり一兆三千三百六十六億に比較しますと三千一百三十四億の自然増収になるわけであります。これまで第一次、第二次補正において見積もった自然増収をこれから差し引きますと、まだ一千五百八億もある。まだ過小見積もりではないかという見解もあるのです。そうなると、これまで財源がない、財源がないと言いまして、公務員の給与を、実施を十月に延ばしたり、あるいは三十五年度で減税すべしという主張があったのに減税をやらなかった、五十八億しかやっていない。あるいは社会保障費も純増一億八千万円しかやっていない。そして財源がないないと言いながら四百四十億第二次補正を出し、さらにまた五百億以上のそこに自然増収が見積もられているのです。これだけ財源がありながら、緊急にやらなければならない問題がたくさんあるのに、どうしてこれをやらないのですか。第三次補正を出すべきであり、公務員の給与を人事院勧告にまでさかのぼって実施すること、あるいは社会保障費を厚生省は二六%まで上げろと言っているのですから、それは今の緊急の必要性でありますから、この第三次補正においてもそれを織り込むべきだと思うのです。あるいはやや余裕があったら間接税も減税すべきだと思う。総理は野党との話し合いにおいて、その説が合理的であるならば話し合いをして修正することにやぶさかでないと言われているのです。どうですか、五百億以上の自然増収がまだ予定されているのですか。私はそれ以上にあると思うのです。高木教授はまだ千五百億もあると。前に私は二千九百億ぐらいあるのではないかと言ったときには、総理は、そんなにあるはずはないと言われましたが、大体私の見積もりに近いのですよ。総理、どうですか、第三次補正を出されるか。それから見積もりについて総理は何回も過小見積もりは過大見積もりと同様によろしくないと言われたが、さらに三度目の過小見積もりをやっているのです。われわれしろうとだって推定がついているのです。政府はごまかしています。無責任じゃないですか。この点総理にお伺いしたい。
○国務大臣(池田勇人君) 過小見積もりは過大見積もりと同様に避けなければなりません。しかし、何分にも三十五年度の経済の伸びというものは、木村さんもこんなに伸びるとはお考えになっていなかったと思う。そういうふうにどんどん伸びてきたものでございまして、ついていけないくらいな見積もりになったことは事実でございます。初めからそのつどそのつど適当な見方をしたのでございますけれども、何分にも予想以上の伸びでこうなってきたのでございます。第三次補正予算を組むことは大蔵大臣からお答えいたします。
○国務大臣(水田三喜男君) 第三次補正は今まで通り考えておりません。(「何言っているのかわからないじゃないか」と呼ぶ者あり)
○委員長(館哲二君) もう一度お答え願います。
○国務大臣(水田三喜男君) 第三次補正は全然考えておりません。
○木村禧八郎君 総理は私の考え方が合理的でないと言われるのですか。なるほど木村が予想しない以上に伸びたと言われていますが、私は、第一次補正のときまでは確かにそうです。千五百十四億の第一次補正を組んだときには、これほど自然増収の伸びが大きいとは思いませんでした。しかしその後においては、そのほかに二千九百億あるのではないかということを、われわれはしろうとでも計算して予想しておるのですよ。大体そうなってきているのです。それで四百四十億出し、またさらに五百億以上の自然増収がある。しろうとでも推定がつくのですよ。第一次補正以後についてはそれを問題にしているわけです。ですから、そんなに国民から税金を取り過ぎているのでありますから、予算以上にこんなに取り過ぎているのですから、それは返すべきである。少なくとも間接税の減税か、あるいは、あとでも御質問いたしますが、今後国民消費が生産力に対して過小になる可能性があるのでありますから、過剰生産の可能性も出て参りますから、公務員のベースを人事院勧告までさかのぼって実施すべきですよ。あるいは池田総理の主張されておる所得格差を早くなくするためにも、三十五年度の補正において生活保護費の引き上げを行なうべきですよ。こんなに財源があるんじゃありませんか。その点を総理に伺う。私の言うことがこれは間違っていますか、不合理ですか。合理的であれば話し合いによって補正を組むのに、修正するのにやぶさかでないと言われているのじゃありませんか。どこが間違っていますか、それを指摘していただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 三十五年度の年度迫っての自然増収と、それから三十六年度の予算の組み方とは一致しないと考えるのであります。で、もう三月になりまして、相当の自然増収が出る。これによって間接税をたとえば減税するといたしますると、三十六年度になって減税を予定していないときには、間接税一、二カ月減税したのが、また今度もとへ戻るということになりますから、三十五年度の自然増収があるからといって、将来に影響する税制改正その他のことはできないと私は考えております。
○木村禧八郎君 時間が限られておりますので、質問したことにきちんとお答え願いたいと思います。その財源があるのに、さっき申し上げましたベース・アップの問題とか、あるいは三十六年度に、まあ減税についても、また三十六年度においても過小見積りと思うのでありますから、財源があると思う。あるいはまた社会保障費の引き上げですね、その考え方が合理的であるならば、第三次補正をここに組んでどこが悪いのですか。そこを聞いているわけです。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申した通りでございます。
○木村禧八郎君 その点については減税にだけ触れておるのであって、先ほどといいましても、ベース・アップとか社会保障、生活扶助の引き上げについてはお答えになっておらないのです。
○国務大臣(池田勇人君) ベース・アップの問題も、あの当時の状態として、これでやむを得ぬと考えたのであります。しこうして、その後において九月以前にもやるかということにつきましては、もう一応問題は私は片づいたとして取り扱うべきだと思います。それから社会保障関係にいたしましても、一、二カ月・二、三カ月の問題を社会保障で組みますと、三十六年度とのつり合いがむずかしくなるのでございます。
○木村禧八郎君 どうむずかしくなるのですか。
○国務大臣(池田勇人君) 具体的な問題をお話になったら、そのときにお答えいたします。たとえば生活保護費を二月、三月分をどれだけ上げるか、これにいたしましても、大した金額は要りますまい。あるいは失業対策費をどうするかといっても四月からの問題がありますから、そこを急にふくらますわけにもいきません。また一カ月、二カ月くらいのところで補正予算を組むのもいかがかと思います。しかし、この点につきましては大蔵大臣の所管でございますので、大蔵大臣から詳しくはお答えいたします。
○国務大臣(水田三喜男君) もうこれは木村さんにもおわかりだと思いますが、三十六年度予算が今審議されておるときでございますし、三十五年度が三月あと何日かというときに、ここで第二次の補正にあったような、一括して資金に繰り入れるというような補正はできましても、そのほかの補正予算がここで技術的に組めないということもおわかりだと思います。従って、さっき申しましたのはまだ見込みでございますが、かりに収入歩合が一月末が四%少しであったからといって、概算してそう見込まれるといっても、まだ確定したものが出ておりませんので、かりに五百億円以上の自然増加がありましても、これは財政法四十一条による剰余金として取り扱われるべきものでございまして、ここでその財源を対象とした補正予算を組むということは、むろん妥当ではないと考えまして、補正予算のことは今考えておりません。 —————————————
○委員長(館哲二君) この際、委員の変更について報告いたします。 本日、小酒井義男君が辞任されまして、その補欠として小林孝平君が選任されました。 —————————————
○木村禧八郎君 ただいまの御答弁によって、非常に政府の政策の性格がはっきりいたしました。大資本擁護に役立つような産投への繰り入れの補正は組むことができるけれども、非常な貧困者を救うような生活保護基準の引き上げはできない、あるいは低所得層のベース・アップはできない、そういう補正は組めない。財源が五百億以上まだありながら、そういうことができない。技術的にできないことはございません。できないはずないじゃありませんか。じゃあ、私を大蔵大臣にさして下さい。大蔵省の役人を督励してできます。できないことはないのです。不可能なんということはありはしません。ちゃんと技術的に、大蔵省の役人は特にたんのうでありますから、これは前に私は苦い経験があるのです。いわゆる軍事公債打ち切りのときに、あれは技術的にできないと言って、だんだん聞いたら技術的にできるのです。われわれしろうとだと思ってそういうところをごまかそうと思っても、それはだめです。 次に、三十六年度の自然増収ですが、これはどのくらい見込まれているのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 三十六年度の増収は、今年度の予算に提出したような見込み方をしておりません。これは先ほどお話がございましたように、過小見積りも過大見積りも、これはともに適当でございませんので、私どもとしましては、各税目ごとに三十五年度の実績を十分勘案して、積み上げ計算をやって算出したというものでございますので、今年度のような大きい見込み違いというようなものは私どもはないと思っているわけであります。どういう積み上げ計算をやったかという根拠がもし御必要でございましたら、それらは一つ主税局長からこまかく説明させます。
○木村禧八郎君 その資料はあとでお出し願いたいと思うのです。 先般三月三日に参議院で財政法の二十九条について学者の意見を聞いたときの慶応の高木教授の公述によりますと、三十六年度の自然増収は六千三百三十四億円見込まれている、政府の方は三千九百三十億、二千四百億の差がある。私のしろうとの計算でも約五千億であります。三千九百三十億なんということはありません。絶対ないのです。これも非常に過小見積りです。今まで政府のは、どうも私は依然として見積り過小だと思うのです。過大に見積ってもいけないのですけれども、それで多く見積ったからといって、何も使う必要はないのです。減税に回すならすればいいのでありますけれども、どうも私は過小見積りだと思うのです。まだまだ財源があります。三千九百三十億円ではありません。この点はどうもおかしいのですが、どうですか大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) 過大に見積るわけには参りませんし、過小に見積ることも問題でございますので、私どもは妥当だと思う積み上げ計算をやりましたが、三十四年度から三十五年度にかけてふえた自然増収のふえ方と同じような形で三十五年度から主十六年度はいかないという事情がはっきりございますので、私どもも少し過小ではないか、もう少し自然増が三十六年度はあっていいはずだという考えからいろいろ検討しましたが、三十六年度のふえ方というものは、三十五年度に見られたものとは事情が相当に違っておりますので、これは見込みでございますから、若干の自然増はまだ出るかもしれません。これははっきり私も言いませんが、そう大きい狂いはないと思う程度の見積り方をしたのでありまして、三十六年度は、そうわれわれが常識で考えるような大きいふえ方はないと思っております。
○木村禧八郎君 三十六年度においては、下期あたりの景気がダウンするとでもお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) そういうことではございません。三十四年度の経済成長が、御承知のように一七%以上という大きいものでございましたので、それの影響が三十五年度の収入に現われておりましたし、三十五年度の経済の伸び方そのほかを全部勘案いたしますと、三十六年度の税収というものは、自然増の伸び方を三十五年度に期待したような見方はできませんし、そこらは十分慎重な計算をやったつもりでございます。
○木村禧八郎君 運輸大臣にお伺いしたいのですが、国鉄では三十六年度の下期あたりの輸送なんかについてはどういうふうな傾向になるとお考えですか。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えいたします。国鉄の貨物並びに旅客の輸送は、三十四年度に比較すれば、三十五年度は一割ぐらいふえております。収支の関係を見ますると、営業収入におきましては、三十五年度は、昨日もお話いたしました通り、二十八億円ぐらいの黒ということになっておりますけれども、臨時収入の方におきまして相当の激減があるわけでございます。三十六年度の予想といたしましても、経済成長に伴いまして、旅客も、また貨物の方におきましても、相当の伸びを見ておりますわけでございますが、三十五年度がまだはっきりとわかっておりませんので、三十六年度の推定をはっきりとここで申し上げるということもできないと思うのでございます。
○木村禧八郎君 何だか非常に頼りないのですが、おそらくこまかい作業をしていると思うのです。三十六年度の上期、下期に分けて、私は、三十六年度下期には、最近貿易も悪いし、違ってくると思うのです。ラフな御答弁ですから、これ以上伺いません。 それでは次に、所得倍増計画と三十六年度予算との関係についてお伺いしたいのですが、この三十六年度予算は所得倍増計画の第一年目の予算であるといわれているわけです。たまたま新しい安保条約も三十六年度から本格的に実施段階に入るのです。安保条約も十年の期限でありますし、所得倍増計画も大体十年、これは平仄を合わしたように一致しているのですが、結局所得倍増計画というのは、新しい安保体制の経済的裏づけと、そういうふうに理解してよろしいのかどうか、この新しい所得倍増計画の意義はどういうところにあるのか、総理にお伺いしたいのです。
○国務大臣(池田勇人君) 別に安保条約との直接の関係はございません。私は、倍増計画十年以内というので、安保条約とは無関係に日ごろから考えておったのでございます。
○木村禧八郎君 私は、単なる安保条約とは理解していないのです。いわゆる安保体制といっておりますが、これは安保体制は、御承知のように、アメリカと日本の支配階級が、この資本主義という、こういう経済の体制を維持し発展するために結んだものであると思うのです。軍事的な面はただ一つの側面にすぎないのであって、社会主義に対抗するために、ソ連でも中国でも経済の発展が非常に成長率が大きく、経済力がどんどん大きくなってくる。これに対抗する意味で、日米の支配階級が共同で、資本主義という、労働者を搾取して、そうして資本の利潤を確保するという、こういう経済の仕組みを安定し強化するというねらいがこれは安保体制というものだと思うのです。その裏づけになっているのが所得倍増計画ではないかと、こういう意味で聞いているのです。単なる軍事的な条約というものに私は理解していないのでありますが、そういうことではないのでありましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は、支配階級がどうとかいうのではなしに、国民全体がよりよくなるという考え方のもとにいっているのであります。
○木村禧八郎君 それでは、これから具体的に、はたして所得倍増計画の実施によって、その第一年目の三十六年度の実施によって国民みんながよりよくなるかどうか、具体的に私は伺っていきたいと思うのです。この所得倍増計画の目標はどういうところにあるのですか。具体的な目標は一体どこにありますか、具体的に伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 国民全体の生産を伸ばし、所得をふやし、そうして全体が伸びると同時に、いわゆる所得格差を縮めていこう、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 これは所得倍増計画にも詳しく書いてございますが、今総理がお答えになったところによれば、一つは経済全体を大きくしていく、高度成長をはかっていくということが一つ。その過程において、格差ですね、地域格差、あるいは農業、非農業の格差、あるいは大企業、中小企業の格差、あるいは所得階層間の格差、これを是正していくということがねらいになっていることはもうはっきりいたしたわけであります。そこで、この所得倍増計画の二つの大きな目標ですね、高度成長政策と格差解消政策、これは三十六年度の予算にどういうふうに具体化されているのですか、この点を伺いたいのです。 まず第一に、高度成長政策ですね。これが三十六年度予算、これは所得倍増計画第一年目の予算でありますが、これに高度成長に対してどういうふうに予算が組まれているか、これから私は御質問したいのですが、三十六年度予算を見ましても、これは高度成長にならないのです。この反動として、私は、三十六年度の下期あるいは三十七年度ぐらいに過剰生産の恐慌が必ずくると思うのです。高度成長にならない、その矛盾をむしろこの予算は含んでいる、こう考えるのです。 それから、また格差の方については、逆に格差は拡大する。地域格差も、あるいは農業、非農業の格差も、大企業、中小企業の格差も、所得階層間の格差も私は拡大すると思うのです。そこで、三十六年度予算に、高度成長と格差解消、この政策が具体的にどういうふうに織り込まれているか、この点簡単でいいですから、お伺いしたいのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 高度成長政策を裏づけるためには、御承知の通り、私どもは予算編成の方針として三本の柱ということを申しましたが、減税と公共投資の強化、社会保障の強化と、三つに力を入れました。それから、前にも申しましたように、人的能力の向上ということに関連して、文教関係費、科学振興費というものに力を入れたわけでございますが、民間投資につり合わないで、今立ちおくれているのが公共投資でございますので、この公共投資に力を入れないというと高度成長の基盤ができないということは、日本の現実の事実でございますので、この産業基盤を急速に整備するということは必要なことでございます。と同時に、今、木村さんが申されましたように、過去二年間の設備投資、一年に三割以上ずつふえた設備投資、これに対して来年度も三兆一千億以上の設備投資が見込まれるということになりますというと、もし需要がこれに伴わないという場合には、経済の均衡発展ができなくなる、過剰生産というような事態を起せば、安定的な発展を阻害するということになりますので、私どもとしましては、輸出政策の強化ということと、国民の消費能力を保障するということに力を入れざるを得ませんので、従って、社会保障費の強化、今までの予算に比べまして、一年に三割四分以上の予算強化ということは画期的なことだと思いますが、こういう点に配慮するというようなことをいたしました。 それから、また日本の産業の体質改善、あるいは国際競争力等の問題、いろいろな点を考えまして、成長政策の基本になるものは、やはり国民の税負担を軽くするということ、金利水準を低めるということが、これも前提でございますので、この二つの政策を私どもはあわせて配慮したというようなことでございます。 地域格差の問題は、まず地方交付税の配分の仕方において、財政力のない県にこれを傾斜的に重くするという、配分の方法を改善するということと、もう一つは、ただいま国会に御審議を願っております未開発後進県について、公共事業に対して、国家の補助率を、財政力に応じてこれをあんばいする、低い県に対して補助を厚くするということを行なって、地方の財政均衡をはかって、開発のおくれている県の開発に特に力を入れてこの地域差の問題の解決をはかりたいということであります。 各国民層の所得格差というようなものにつきましては、全体としての経済成長政策をとることによって、その中で各階層間の所得調整をはかることと、直接的には税制の改革、所得の少ない層に対する減税を厚くするという政策、また生活能力の乏しい層に対する社会保障の強化というようなこととまってやるのが大切でございますので、そういう一連のものを総合的に配慮してこの予算の編成をした次第でございますので、所得倍増計画の大筋には沿った予算の編成をやっておると私は思っております。
○木村禧八郎君 大蔵大臣からだいぶ詳しいお話がありましたが、大体所得倍増政策としまして、その第一年目の予算としては、高度成長のためには、大体設備投資というものを拡大していくということが中心になっておると思うのですね。そのために金利を下げたり、まあ補完的なものとして公共投資もやるわけですが、中心は設備投資でしょう、これが中心になっていると思うのですね。それと格差につきまして、今お話になったようなことがいろいろうたわれておるわけです。しかし、今大蔵大臣お述べになりましたが、じゃあ、計数的に具体的にこれから聞いていきますが、そうなっておらないのです。そうなっておらないから問題なんです。そこで、まず高度成長の点について伺っていきます。それは政府は、高度成長を達成できるような政策が盛り込まれていると言うのですが、逆に三十六年度の下期、あるいは年末、あるいは三十七年度にかけて過剰生産の恐慌が起こるような組み方になっているのです。また、金利政策その他もそうなっているのです。ですから、政府の言うことと逆なんです。抽象論では水かけ論になりますから、具体的にこれを聞いていきます。 まず第一に、過剰生産を用意している、この予算は。そういう点について伺っていきますが、三十六年度の設備能力の増加はどれくらいに見込んでおられますか。いや、生産力の増加です。生産力の増加はどのくらいの見込みですか、三十六年度の。
○国務大臣(迫水久常君) 設備投資三兆一千億増加するだろうと見込んでおりますことは御承知の通りと思います。
○木村禧八郎君 生産力の増加。
○国務大臣(迫水久常君) 生産力と言いますと、つまりそれから出てくる生産力ですか。
○木村禧八郎君 そうです。
○国務大臣(迫水久常君) 金額に見積りまして、その設備投資の増加によって来年度の何が、総生産が十五兆五千余になるというふうに見込んでおります。
○木村禧八郎君 三十六年度の生産力は、三十五年度の設備純投資の大体〇・七くらいと見るのが普通でありますね。それから計算すれば出てくるわけです。
○国務大臣(迫水久常君) 木村さんのおっしゃるのは、要するに、それだけの設備投資があった場合に、リプレースする分が何パーセントである、産出する分が何パーセントと計算しているかという御質問かと思いますが、私の方はそういう計算をいたしておりません。
○木村禧八郎君 それでは、経済企画庁から出しましたのがここにあるじゃありませんか。「昭和三十六年度の経済の見通しと経済運営の基本的態度」という、これに出ているじゃありませんか。大体それから計算すれば出てくるはずです。ですから、三十五年度の設備投資を基礎にして・それからリプレースメントを一五%くらい見るのが普通のようでありますから、一五%引いて、それに〇・七かけたものが三十六年度のいわゆる生産力の増加と見るべきだと思うのです。それはここに計数は出ています。これから計算すれば出てくるはずであります。
○国務大臣(迫水久常君) ただいま木村さんのおっしゃいましたような計算方式をとるにつきましては、リプレースの一五%が確かであるか、あるいは産出計数を一にするのか、〇・九にするのか、〇・八にするのか、その問題については経済企画庁は検討をまだ尽くしておりません。また非常に理論的にはむずかしいことだと思いまして、私の方の見通しは、逆に有効需要を積み上げる方式によっていたしておりまするから、三兆一千億の設備の増加によって、具体的にどれだけ生産能力が出てくるかということは計算をしてないのです。
○木村禧八郎君 そうじゃないんです。三十六年度の生産力の増加を聞いているのですから。三十五年度の設備投資、これはここに出ているじゃありませんか、二兆八千五百億円。従って、常識からリプレースメントを一五%と見れば、八五をかけて〇・七かければ、大体一兆六千九百五十七億になるということです。大体の推計ですよ、それでよろしいですか。
○国務大臣(迫水久常君) そういうふうに計算をしておる学者もあることももちろん知っております。しかし、私どもの方では、設備投資の増加三兆一千億というものの中にどれだけの取りかえ率があるのかということについては、研究が尽くされておりませんので、今、木村さんのおっしゃいましたような計算方式によって出てきたところの生産能力があるということに、これは同意するわけにはいかないのです。私の方の経済見通しは、有効需要を逆に積み上げていくことによって見通しを立てておるのでありまして、考え方の、生産能力の増加という問題は一応この経済見通しの中では概念として出てこない、こういうふうに存じております。
○木村禧八郎君 経済企画庁長官は三兆一千億と言いますが、それは三十六年度なんですよ、設備投資の増加は。生産力を計算するときには、前年度の三十五年度の設備投資を基礎にしてしなければだめなんですよ。
○国務大臣(迫水久常君) その点は御指摘の通りでありますけれども、ただいま申しましたリプレースの部分が何パーセント、その産出係数を〇・九にするのか、〇・八、〇・七にするかということは、いろいろほかの方でも研究をしておりますけれども、結論を得ておりませんが、三十五年度の二兆何千億という設備投資の増加の金額から三十六年度における生産能力の増というものははじいておりません。
○木村禧八郎君 いろいろ議論ございますから、私は、最低〇・七として——今〇・九と見るか一と見るかいろいろ議論がございますので、最低〇・七と見て、三十六年度の生産力の増加は、大体一兆六千九百五十七億と推定されるのですよ、最低に見て。これに対して国民の総支出、国民消費の増加はどのくらい見ておるのですか。
○国務大臣(迫水久常君) 三十六年度の国民個人消費の伸びは八兆三千五百億、全体の伸びです。その増加は、三十五年度が七兆五千億ですから、八千億の増。
○木村禧八郎君 私の計算によると一兆三千九百億なんです。ここに出ておりますが、一兆三千九百億、今のは個人消費だけでしょう。総国民支出を言っているのですよ。
○国務大臣(迫水久常君) それはお手元に資料があるかどうか知りませんけれども、三十五年度の実績の金額が十四兆二千三百億に対して、三十六年度の見通しでは十五兆六千二百億ですから、おおむね一兆四千億、で、木村さんおっしゃいました一兆六千億というものに相当するのがこの数字でございます。
○木村禧八郎君 ですから、おおむね一兆四千億——一兆三千九百億です。今私の言った通りですね。そうしますと、国民生産力の増加が一兆六千九百五十七億でしょう、国民消費の増加が一兆三千九百億でしょう、三千五十七億の差があるのですよ。三千五十七億だけ国民消費の方が生産力の増加より少ないのですよ。
○国務大臣(迫水久常君) そこで、さっきから申し上げている通り、一兆六千億という木村さんの御計算は、まあ取りかえ率を一五%にして、そうして産出係数を幾つにされたか知りませんけれども、そういうふうにして出てくる数字でありまして、私の方はその数字を承認をしていないわけです。結局昭和三十五年度における設備投資の増二兆何千億から出てくるところの新しい生産というものは、ただいま申しました一兆四千億ぐらい、こう見ているわけです。もし研究会のような場合でありましたら、これを木村先生の方式で計算した場合には、取りかえ率が何パーセントになるかということは私の方で計算をいたしておりますけれども、今申し上げる通り、取りかえ率を何パーセント、産出係数を何パーセントと、〇コンマ何パーセントというような研究は、私の方はまだ答えを出していない。有効需要の方を積み上げてきて、そうして推算しまして計算をいたしているのでありますから、従って、一兆六千億という数字を土台にして、一兆六千億の増加があるのに、一兆四千億しか需要の方では見積っていないのではないかという御議論には、私の方としてはお答えできないのです。私の方は一兆四千億の増加がある。従って、つり合いがとれているのだという計算をいたしているのであります。
○木村禧八郎君 私の言わんとするところは、設備投資が予想以上に大きいのですよ、政府が予想したよりは。だから経済企画庁が今まで計算しておったところよりも、次々と予想以上に大きくなってきているのです。そこで、この計算の仕方は学界でもいろいろ問題がありますけれども、一応常識に従って、池田さんのブレーンの下村氏の作業したあれによっても、大体三十六年度、七年度ぐらいはリプレースメント一五%ぐらいみているのですよ、これは常識ですよ。もう少したちますとリプレースメントが大きくなります、設備投資全体が大きくなりますから。従って、大体一五%が常識ですよ。それに産出係数〇・七を最低に見積って、これを多く見積っているなら問題があるでしょう、一と見積ったり、〇・九と見積ったりすれば。それから、最低に見積って今お話したような差があるのです。こういう方法よりほかに具体的に数学的に検討する方法が今のところないのです。そこで、次にお伺いしたいのですが、この所得倍増計画自体において、私は、本質的に矛盾があると思うのです。それは生産力と国民消費との間の本質的な矛盾です。そこでお伺いしたいのは、たとえば九%の成長を過剰生産でなくして維持するためには、国民消費何パーセントぐらい、国民消費はどれくらい予定したらよろしいか。
○国務大臣(迫水久常君) 三十六年度について見まするというと、国民個人消費の伸びというのは、約一〇・七%伸びなければつじつまが合わない、こういうことです。
○木村禧八郎君 これは大体一般的な場合にあてはめてよろしいんですか。
○国務大臣(迫水久常君) きわめて大ざっぱな数字でありまして、大体国民消費は一割ずつ伸びていくことを標準にして考えておりますけれども、それがあとで、先だって一〇%と言ったじゃないか、それが九%になってけしからぬというおしかりを受けることがあるとすれば、もう少し慎重に計算しなければいけないんですけれども、大体ラフに、国民消費は一〇%ずつ伸びているということを頭に置いて考えております。
○木村禧八郎君 私つまらぬ言葉じりはとらえたりいたしません。ほんとうのことを明らかにしたいわけなんです。ほんとうの実態を明らかにしたいわけです。大体、まあ今、企画庁長官がお答えになったように、九%の成長率のためには国民消費大体一〇%、これは認めているところですね。その場合には賃金水準はどのぐらいの伸びを予定されますか。
○国務大臣(迫水久常君) 昭和三十六年度の計算では、賃金率の上昇はおおむね六・七%から七%ぐらい、こういうふうに個人消費が伸びますのは雇用の人員の増加もありますので、合計すれば一〇%ということになりますが、賃金の伸び率というものは、まあ七%前後、こういうふうになっております。
○木村禧八郎君 そこで問題になるわけです。日経連の試算によりましても、九%の成長を維持するためには、約一〇%の国民消費の増加が必要である。その場合に、賃金についてはやはり消費性向を大体同じと見て、——下がる場合はもう少し多くなりますが、同じと見て、大体九%の賃金の上昇が必要である。消費性向が下がるとすれば一〇%程度の賃金の上昇率ですね、これが必要である。そうなると、これまでの賃上げの率の倍、倍の賃上げが必要である。これまで大体五%程度の賃上げであります。これに対して一〇%の賃上げが必要なんです。そうしなければ生産力と国民消費はつり合わないんです。今賃金の上昇を大体七%ぐらいに押えているから、さっき言ったようなアンバランスが出てくるんですよ、そこに。で、この所得倍増計画が、基本的に生産力がふえるけれども、賃金水準はそれにつれて上げないという、今の資本主義の経営においてはそうなんです。生産性は向上しても、それにつれて賃金を上げない。そこで、そこに過剰生産になる矛盾を内在的に持っているんです、今申し上げたようなところに。この点どうなんですか。
○国務大臣(迫水久常君) 国民消費が一〇%伸びるということを申し上げましたので、勤労所得はおおむね一二%ぐらい伸びると思います。で、七%と申しましたのは、個々の、一人当たりの賃金の上昇率がおおむね七%ぐらいというのでありまして、賃金の上昇ということをおっしゃいました場合には、雇用者の増大も当然これは含まれるわけでありまするから、それは勤労者所得は一二%ぐらいふえる、国民消費は一〇%ぐらいふえる、こういうことでございます。それで、来年度、昭和三十六年度七%ふえると見通しましたことは、今までよりも賃金率が七%ふえるように見込んでいるのだということを申しましたのは、この七%という数字は、従来の実績よりも大きい数字を見込んでおります。
○木村禧八郎君 私も、もちろん日経連の試算なるものにおいては、雇用の増加と賃金ベースの引き上げですね、両方含んで計算しているわけです、ですから、それから見ても、傾向として本質的に所得倍増計画は生産力の伸びるに応じて、あるいは生産性が増加するに応じて賃金の引き上げ方がおくれを示している、示す傾向があるのだ、そういう点が過剰生産を引き起こす内在的矛盾を持っているのだということを言っておるのです。そこで、これをさらに三十七年度について御質問をしていけば、もっとはっきりしていくと思うのです。今、三十六年度においてもそういう購買力の——国民消費の不足があるといいますが、三十七年度について御質問をしていけば、さらにはっきりすると思うのです。そこで、三十六年度の設備投資をどのくらいに見ておられるか。三十六年度の設備投資です。
○国務大臣(迫水久常君) 先ほどから申し上げる通り、三兆一千億であります。
○木村禧八郎君 その程度ですか。——通産大臣にちょっと伺います。鉄鋼の設備計画、これにつきましてお伺いしたいのです。最近、鉄鋼六社はものすごい設備増産計画を立てております。そうして各社ともシェアを増大させるために非常な競争をして、収拾がつかないので、通産省一任になっているそうでありますが、その実情はどうなんでありますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 通産省から、鉄鋼約三十社に対しまして、昭和四十年までの大体設備投資の計画を一応徴したのであります。それによって大体合計が出て参りましたが、鉄鋼界はこの三十社だけでないので、さらにこのほかにも、少し規模の小さいのがございます。しかし、この三十社が大体全体の八割五分から九割余を占めておるという状況でございますので、それからはじき出して、鉄鋼全体の四十年における設備というものはこういうふうになるであろうというような数字が過般新聞で伝えられたのであります。しかし、これはただ一応のいわば希望計画、そういったようなものを一応とってみたのでございまして、各社においてこれを今度は具体的にどう進めるかという確たる成案があるわけではなかろうと、そこで、その四十年の推定が新聞紙上に伝えられた。この数字というものは、四十五年において目標として掲げられておる数字とほとんど同じなので、これは大へんだというような議論を巻き起こしておるのでありますが、これを打ち砕いて申し上げますというと、まあ希望計画というような段階でございます。で、通産省といたしましては、三十六年度の具体的計画をさらに徴しまして、そして需給の情勢をよく照らし合わせて、そして三十六年度の計画が完成するのが三十八年度、三十八年度において、はたしてどれくらいが適当であるかということを検討して、各社にこれを指示するということにいたしております。
○木村禧八郎君 ただいまの御報告を承りますと、所得倍増計画の最終年度、昭和四十五年度の目標が粗鉱生産四千八百万トンですね。ところが四十年度の計画ですでに四千七百万トンです、新聞で伝えられているところによると。今、通産大臣が言われたところも大体そうだと思うのです。そうしますと、四十五年度の計画は四十年度に行なわれてしまう、非常な予想以上の大きな設備拡張だと思う。これは石油産業なんかについてもそうじゃないかと思うのです。その他の産業についても、そうなると、かりにこれが許されれば鉄だけが独走しちゃって、そっちの方に資金需要も集中するでしょう、ほかの方の資金需要は混乱しますよ。そういう問題があると同時に、これまで三兆一千四百億と見込んだ設備投資の予定は、それ以上になるかと思います。三兆四千億から三兆五千億くらいになるのじゃないかと思います。この点、企画庁長官いかがですか。
○国務大臣(迫水久常君) ただいま鉄の方のお話が出ましたが、これは今、木村さんのお話になったことはその通りなんです。ただ、この鉄の計画というものは、各社が腹一ぱい自分のやりたいだけのことを、資金の関係も何も考えずに言い出したことなんでありまして、それで通産省がこれを調整する、私どもの方も手伝うだろうと思いますが、調整するのでありますから、決してそういうことにはならない。かりにそういうものが許された場合には、まあ五十キロで走ることを大体頭においているところを、百キロで暴走されることですから、近所迷惑であることは言うまでもないのでありますが、決してそういうことにはならない、こういう性質のものです。そういう性質の数字があそこに出てきている。ただし、全体的に日本の産業界は、日本の経済の高度成長ということに対して、相当の確信をだんだんに持ってきたようでありまして、この確信を持つがゆえに、スピードが自然上がってくる傾向にあるということは、これは率実だと思っております。従って池田内閣といたしましては、産業界から信頼を受けることは非常にうれしいのでありますけれども、同時に、あまり信頼をされ過ぎて、スピードをあまり上げられても非常に困るのでありますから、その間における十分な調整をとりたいと思っておりますが、御質問の要点は、三兆一千四百億ではもう少し大きくなりはしないか、私もその懸念を率直に申して持っておりまするから、これについての一つの何か処置をとるべく、三兆一千四百億の中に押し込んでしまう必要が必ずしもないかと思っておりますが、木村さんの御心配になるような、むちゃくちゃな膨張が起こらないような処置をこれから考えていかなければならない、私はこう考えております。実際問題としては、民間にも企業者にも良識がありますし、金融者にもおのずからその間に資金の限度というものがあるのでありますから、そうむちゃくちゃな、木村さんが非常にエンファサイズして言われるような状態にはならない、傾向としてはふえる傾向がありそうだということは、率直に私も考えております。
○木村禧八郎君 これは非常に私は重大な問題だと思うのです。これから長期計画を達成する場合、やはり所得倍増計画は自由企業の原則に従ってやるわけでしょう、それで高度成長の一番の原動力になるものは設備投資なんでしょう。それが今お話したように計画的に組めないわけです。これは計画的に組めない。三兆一千四百億というこのわれわれに出した企画庁の計画にはなっておりますが、しかしそれで、それ以上になるかもわからない。なるべくひどくならぬようにというような、腰だめ的でしょう、政府は干渉できないのでしょう。そこに問題があると思うのですね。それが生産面における過剰生産を引き起こす一つの要因であると思う。この所得倍増計画が過剰生産を引き起こす一つの要因は、設備投資が調整できないというところにあります、自由企業原則で。具体的に鉄鋼の生産はそうでしょう、四十五年の計画が四十年にきておるのです。それを具体的にどこまで調整されるのですか、それを伺いたいのです。具体的に調整されるといいますか、どこまで……。それからもう一つ、所得倍増計画で過剰生産をもたらす問題は、国民消費がこれに釣り合わない、特に賃金水準が立ちおくれを示すことになるのです。この二つが所得倍増計画に含まれている基本的な、過剰生産を引き起こす、景気変動を引き起こす矛盾だと思うのです。そこでどう調整されるのか。
○国務大臣(迫水久常君) お話の通り、所得倍増計画は自由主義経済下の計画でありまして、所得倍増計画におきましても、民間経済の見通しとその誘導と書いてございます。従って三兆一千四百億というふうに一応見通したものが、国民経済の全体の高度成長に対する確信が強くなればなるほど、それがスピード・アップしてくる可能性というものを非常にそこに含んでおることは事実でありますけれども、私そういうことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、戦争中の経験で、それを厳格に何か権力で抑えましても、なかなかそれは抑えきれるものではなくて、むしろ民間の協力態勢といいますか、そういうことによって、できるだけこの道しるべに従っていくように、皆が自制していくという態勢を作り上げるのが一番大事だと思っております。鉄の例が出て参りましたが、鉄の方は、自分たちで調整がつかないから通産省におまかせをすると一応言っておる。従ってこの鉄の方をどういうふうにして通産省が調整されますか、それは通産大臣からお答えがあると思いますけれども、官民相協力して、この所得倍増計画を一つの道しるべとして、そのところにできるだけ沿うていくようにおのずから自制し、協力する態勢というものを作り上げていくことが、自由主義経済下におけるこういう一つの計画と申しますか、見通しを達成していくゆえんである、そういうように努力したいと考えておる次第であります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 経済企画庁長官のお答えで十分と思いますが、なお私から若干補足いたします。鉄鋼界の最近の経営は、これは非常に力強い有効需要に支えられて成長してきておるのでございます。今の情勢から見ましても相当にこの需要が堅調である、こう全般としては言えると思うのであります。そこで、お話の三十六年度の時点において、どういう具体的に設備投資計画をすべきかということについては、一応各社の企業計画は先ほど申し上げたように徴してありますけれども、この問題をただむちゃくちゃに自分の企業だけを本位にしてやるということになると、鉄鋼全体として非常なデッド・ロックにのし上げるということになるので、問題は、全体としてきわめて諧調のとれた設備拡張計画でなければならぬということを、各社は皆よく過去の体験によって頭にしみ込んでおります。そこで、そういうような意味で、問題の最後の調整を通産省に申し出ておるのであります。ここが大事たところでありまして、ただむちゃくちゃに自分の会社だけをよくすればよいというような考え方だと、どういう強制力を施しても始末が悪いものでありますけれども、別に監督規定やなんかなくても、自分を守るために、全体が調和のとれた拡張計画を実行しなければならぬということを、お互い業界の良識と申しますか、そういうようなものが非常に発達してきておるのであります。それに基づいて、官民協力してその問題の結論を出したいと、こういうことであります。 それから、先ほど石油化学についても同じような過当投資というものが行なわれておるのではないかというお話がございましたが、日本の石油化学は、まだ化学工業全体としては五%ぐらいの地位しか持っておらない。英米においては六〇%、あるいは七〇%、そういうのが化学工業界における石油化学の今日占めておる地位でございます。そういう点からいいましても、日本の化学工業がむちゃくちゃに設備拡張をして一体どうなるかというような心配はございません。それから、これは多くは新しい技術、従って外国の化学工業会社といつでも技術提携をしております。従って、外資法の監督下に入るわけでございまして、そういう点からも十分に注意して、この成り行きを見ておりますから、御心配の点はないわけであります。
○委員長(館哲二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。
○木村禧八郎君 この点は社会党の政策と基本的に対立する点なんです。一番重要な点なんですね。ですから、自由企業原則に信頼してやっていっていいのか、やはり資金については、生産面まで干渉していくことは生産を落とすと思うのですが、やはりフローの面なり資金の面から計画的にやっていかなければいけないというような気がするのです。これはあとでも私は質問しますが、たとえば地域開発についてもそうなんです。自由企業原則で、ここへ産業を持ってきようと思っても、それは企業の自由になるのですから、その通りいかないわけなんです。そこで私は調整する必要があると思う。この点が、自民党あるいは政府の政策と社会党の政策の基本的に違う点が一つここにあると思うのです。ところで、非常に政府は、企業者の良識、また企業者も前と違って非常に景気に対するサーベーとか、いろいろなものも果たしておるし、採算についても非常に賢明であると、それに信頼しておられるのですが、しかし、今度は政府の方が逆に設備投資を刺激するような政策をとっているのじゃありませんか。これでは逆じゃないですか。いわゆる金利の引き下げです。金利引き下げはなぜやる。最近の設備投資の非常に盛んになってきている一つの要因は——全部じゃありませんが、これは各社のシェアーをふやそうとして過当競争がそこに行なわれていると思うのです。それ以外に、金利の引き下げがさらに刺激になると思うのです。 そこで、大蔵大臣に伺いたいのですが、この間の金利の引き下げは何のためにやられたのか。これまで大蔵省は、金利というものは自然資金の需給関係によってきまるのだと、だから資金の需給関係に追随して公定歩合というものはきめるのだと言われておった。ところが、最近は指導的に下げておる。何のために金利を下げておるのか。これは、設備がどんどん拡張されて、設備投資の負担が、金利が多くなったから、その金利負担を軽めようということもあるでしょう。しかし、一面これが設備投資の意欲を刺激すると思うのです。これは私は矛盾していると思うのです。この利下げの理由なんですが、何をねらいとしてやったのか、それを伺いたいのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもは金利の持っておる経済の調整機能を否定しておるものではございません。金融情勢に応じて金利が上がったり下がったり、その需給の関係によって金利が調整されるということは差しつかえない、またそうされるべきものだと思いますが、今度政府の指導したいろいろな一連の政策は、日本の金利水準をここで一段引き下げて国際水準にさや寄せをすると、その必要が日本経済に今あるために、そういう方法をとったのでございまして、自由化もこれからまだまだ進んで参りますし、そうすれば国際競争力を日本の企業につけなければなりませんが、国際金利水準よりも非常に高くなっておる日本の金利水準をこのままに置くことはいけませんので、金利水準を一段下げると、この必要のためにやった措置でございまして、今後金融情勢の変化によって金利が上がったり下がったりすることは当然でございますし、これは公定歩合の問題も日本銀行がそういう点を十分見てやる仕事でございますが、今回のは、水準それ自身を一段下げるという必要に迫られておりますので、その方向の施策をしておるということでございます。
○木村禧八郎君 それがこの自由企業原則と矛盾しておると思うのですよ。前は大蔵省はそういう指導的な金利政策をとらなかったのですよね。やはり資金の需給関係によって市中の金利が下がれば、公定歩合は追随主義をとっておった。今度は、指導的に、積極的に金利を下げようとしておるのでしょう。そこで矛盾が出てきておる。資金の需給関係からいえば、大蔵大臣は自然増収が五百億円以上あるというのでしょう。引き上げ超過になるのですよ。資金が窮屈になるのですよ。そのときに、なぜ資金の需給関係の原則を無視して下げるのか。これは所得倍増計画によって設備拡張計画を促進しようという意味を持っていると思う。一方で金利負担を軽めながら——金利負担を軽めれば、一そう投資意欲をそそるわけです。金利を下げて、公社債の投資信託ですか、そこに非常に不自然な矛盾が出てくるのですね。だから、社会党のような一貫して計画的な政策をとる場合にはそれでよいわけなんです。しかし、自由企業を原則としながらそういう政策をとると、今言ったような矛盾が出てくるのです。この点はどうお考えですか。設備投資を逆に促進させるのではないかと言うのです。
○国務大臣(水田三喜男君) もし、日本のように経済成長の非常に速いところは、資金が不足する、資金需要が多くて金融が窮屈であるという状態は、これは過去においてもそうでございましたように、まだ今後そういう状態が続くだろうと思います。ですから、もし国際金利にさや寄せをするという政策が必要であるという場合に、この状態の中で自然に放置しておいてもそういう状況は出て参りませんので、私どもはできるだけ金利が引き上げられる環境をここで作ってこの問題を解決するよりほかないと考えまして、去年の八月以来この環境を作ることには非常に骨を折って参りました。外資の導入の問題にしましても、資本蓄積を促すようないろいろな一連のこと、そういうことをやって参りましたし、また引き揚げ超過が非常にきつかったことの緩和策もとるというようなことで、だんだんに情勢を馴致してきて、今回の措置をとったわけでございますが、時期としては私どもは一番いい時期ではなかったかと思っております。これを、このまま資金がゆるんだときにおいてとかいうようなことを考えておったら、なかなかこういうことはできませんので、そういう方向の期待を民間に私どもはしておりましたが、民間が自主的にわれわれの期待に沿って、時期を選んでこれに踏み切ってくれたというのが実際のところでございまして、従って、その後の結果を見ましても、金融情勢は、今、割合に順調に推移しておりまして、大きい弊害は見られなかったと私は思っております。
○木村禧八郎君 私は、高度成長政策の矛盾の一つとしまして、今、設備投資の問題を質問しておるのですが、まあ資金面からも無理な、まあ指導的金利政策ということはわからないことはないのですが、それは設備投資を一そう過大にしてしまって、ここに過剰生産を生む。矛盾をどうしても生み出してくると、こう思うのです。そこで、社会党としては、今度、長期政治経済計画というものを決定したわけです、今度の大会でですね。で、社会党は、この資金計画について詳細な計画を用意しておるわけですが、この点は時間がございませんから、これはもうすでに新聞にも発表されておりますし、御必要でしたら、資料がございますから差し上げます。それを見ていただきたいと思うのです。 そこで、質問をもとに戻しまして、今のような金利政策からいいましても、設備投資意欲が非常に大きくなり、企業経営者の懸命な経営の仕方に信頼するとしましても、実際問題として、三十六年度の設備投資は三兆四千億くらいになるんじゃないかと、こう思うんですが、この点、企画庁長官はどうですか。
○国務大臣(迫水久常君) 先ほどから申し上げております通り、設備投資がふえそうな傾向を持っているということは、私も率直にいって承認をいたしますけれども、それが三兆四千億になると思うかという御質問に対しては、私はそうは思わなくて、もう少し下のところで調整がつきそうに思いますと考えております。
○木村禧八郎君 私は、まあこれは議論になりますから、一応三兆四千億という前提にして質問を続けていきたいと思うのです。 三兆四千億としますと、さっきのリプレースメントがまた問題になりますけれども、一応一五%と見て、それから産出係数を〇・七と見ると、三十七年度の生産能力は二兆二百三十億になるのです。約二兆ですね。そこで伺いたいのは、個人消費は、三十七年度、どのくらいになるか、それから輸出はどのくらいであるか、政府の支出増はどのくらいであるか、それから個人住宅はどのくらいの増を見込めるか、それから在庫投資はどのくらいか、いわゆる政府で出しておりますこの国民総支出はどのくらいになるか。
○国務大臣(迫水久常君) 私の方は、三十七年度ははじいておりません。
○木村禧八郎君 大体個人消費は一〇%の伸びと見ますると、三十六年度の個人消費が八兆三千五百億ですから、八千三百五十億になるわけです。輸出入及び設備投資はとんとんないし横ばいと一応見まして、政府の支出の増加が一〇%増とすると、三十六年度の政府の中央、地方の支出は大体三兆二百億です。この一割増と見ますと、三千二十億です。それから個人住宅の投資を二〇%増と見たのです。非常に増加すると見て、三十六年度の個人住宅の投資が四千百億ですから、その二割、八百二十億です。それから在庫投資が一〇%増と見て、三十六年度の在庫投資が七込億ですから七百億増。これを計算しますと、大体生産力に対しまして七千百六十億ぐらいの国民消費の不足になるのです。それから、三十六年度において約三千億の不足が見込まれる。さっき議論になりましたが、三十七年度になると設備投資が一そう大きくなり、これに対して個人消費が立ちおくれを示し、あるいは貿易が悪くなってきておりますね、最近。そこで、あまり輸出超過も見込まれない、そうして大体輸出入とんとんと見る。そうしますると、七千百六十億の国民消費の不足が生ずるわけです。 さらに、今度は物価の問題であります。物価は、企画庁は一・一%の消費者物価の騰貴と言っておりますが、絶対そんなことはありません。すでに総理府統計局で出しました二月の東京都の消費者物価指数は一一三・二であって二・五%上がっているのですよ、三十五年度に比べて。それで、もう二月以後ずっと物価が上がらないと仮定しましても、三十六年度の消費者物価の東京都の騰貴は三十五年度に対して二・五%ですよ、もうすでに。さらに今後、鉄道運賃とか郵便料金の引き上げ、その他の公共料金等の引き上げがあれば、私はもう最低三%は上がると思うのです。そうすると、三%上がると、これはどのくらい購買力を総体的に減らすかといいますと、二千七百五十五億。三十七年度の個人消費を九兆一千八百五十億と見ますと、その三%、二千七百五十五億、総体的に購買力が減るわけです、物価が上がりますと。そうすると、アンバランスは一兆円近くなるのですよ。二兆円の生産力の増加に対して、国民消費は大体一兆円くらいです。ですから、一兆円のアンバランスが出てくる。過剰生産の可能性はどうしてもここに出てくる。 そのほかにまだ要因がありますが、それについてはあとで伺っていきますが、貿易の問題とか、あるいは自由化の問題とか、アメリカのドル防衛に対する協力とか、そういう点をだんだん考慮していきますと、あるいはまた世界景気の問題、あるいは景気循環として大体三十七年度は五年目に当たるのです。これまで大体景気循環は五年五年で来ているのですが、三十七年度は五年目に当たります。そういうところから見まして、どうしても三十七年度は過剰生産です。このままでいけば恐慌が来ることはどうしても必然だと思う。この点、企画庁上長官、今の生産力と国民消費とのアンバランスの点、それから物価の問題について伺いたい。
○国務大臣(迫水久常君) 予算委員会でなくて、もし別な機会でありましたら、私は今非常に興味の深い数字をたくさんに伺いまして、ぜひ木村さんからもお教えを受けて、私どもの意見も申し上げてみたいと思いますけれども、こういうときでありますから、最初の三十七年度はこういうふうになるのじゃないかというもろもろの数字につきましては、吉田総理の例にならって、仮定のことに対しては御答弁いたしかねますということで一応御勘弁願って、あとでよく研究をさせていただきます。 ただ、お述べになりましたものの中で、最初の生産力の増加の数字について、これは主としてリブレースの割合の問題から起こってくると思いますし、また、物価の問題については、東京の指数をおとりになってのお話しでございますが、全国という指数をとらなければならないであろうとか、それから全部悲観材料だけを基礎にして御計算になっていらっしゃる等、私の方でも、木村先生に対していろいろ申し上げる点もあると思いますが、きょうはそれを差し控えまして物価の問題だけについてお答えをいたします。というのは、その前に率直に申して、三十六年から三十七年にどう橋をかけていくかということは、それは相当にむずかしい問題であるということは、私もよく自覚をしているわけです。問題は、物価の一・一%にはならないじゃないかという点でございまするが、これはただいまおとりになりました数字が、二月の東京の物価指数をおとりになっていらっしゃるのでありますが、二月という月は、雪害等のために輸送が非常に停滞をして、ことに食料品における需給が、非常にアブノーマルの状態であった月なのでありまして、私どもの方で試算いたしますと、昨年十二月の水準で今後消費者物価が横ばいで推移すると前提をいたしますと、三十六年度の上昇率は〇・一%、私の方の見通しは一・一%と見ておりますが、かりに昨年十二月の水準で横ばいになるのだとするというと、物価の上昇率は〇・一%にとどまるという計算も出ておるのであります。そうして昨年中におきまする消費者物価の上がりましたその内容を見ますというと、食料品の値上がりというものが、値上げをしたものに対する寄与率といいますか、一番大きな割合を占めておるのであります。それが寄与率は五二%という大きな数字になっておりまする等のことを考えまして、現在のところ私は一・一%という見通しは当らずといえども決して遠くないと、こう考えておる次第であります。
○木村禧八郎君 企画庁長官は、今後鉄道運賃、郵便料金等の値上げ以外は値上げを押える、そういうことを閣議で発言されて、新聞に発表されていますが、今後はそういう措置をおとりになるのですか。
○国務大臣(迫水久常君) 公共料金の引き上げにつきましては、それぞれの立場から考えると、みんな理由のあるものばかりのようであります。でありますが、このところ率直に言いまして、少し公共料金の値上りが順を追ってだんだんにくるものですから、たとえば映画の入場券売場を例にとると、お客さんが多過ぎて、三枚というのを一枚ずつにしろといって大体抑えてはきたのでありますけれども、どうもこう多くてはムードがひどくなり過ぎるという考え方から、思い切って総理とも相談をしまして、ここで一ぺん今回の興行はこれ限り、あと当分ということで、きのうの措置をとりました。あの方針で各省みんな協力してやっていただくつもりでおります。
○木村禧八郎君 当分というのは、いつまでのことですか。それから実際の新聞の発表を見ますると、政府はそういうことをやっても、実際問題として牛乳、農林省どうですか。牛乳はもうすでに一円上がっているのですよ。押えることはできないと言われている。ですから、あの閣議における発言は、鉄道運賃その他の値上げ反対運動を抑えるための方便であって、国会でも終われば、また次々に上げていくんじゃないか。国民は信頼していないんですよ。あれはごまかしであって、一時値上げ反対運動を、国会開会中騒いじゃいけないから、押える方便としてああいう発言をしておいて、実際は押えない。一つ一つ見て抑えられますか。今までクリーニングとか、あるいは理髪とか、パーマとか、賃金が上がるのだから仕方がないと言っておったじゃありませんか。それを抑えられますか。それから電力料金は認めるんじゃないですか、九州電力は。おかしいじゃないですか。
○国務大臣(迫水久常君) 昨日、おとといですか、閣議できめましたことは、言葉の通り実行していくつもりでありまして、ただいま木村さんが、あれは国会の間だけ反対運動を押えるための方便じゃないかという御質問は、私は相当いやな気持ちで、そういう木村さんさえ、私に対してそう考えておられるかと思って、非常にいやな気持ちがするということでありまして、あの言葉の通り実行していきたいと思います。ただ、牛乳は上がったじゃないかとおっしゃいますが、これは陳弁するわけではありませんが、昨日の閣議決定の中で、政府の関与し得るというところの第二項なんです。公共料金ではございませんが、極力これを押える方向でおりまして、もう農林省とも御相談をいたしまして、きょうの新聞にも出ておりますが、あれは農林省に断わりなしにいきなりやったものでありまして、それに対して、農林省も手を打っていると思いますし、また、どうしてもそれがうまくいかない場合には、乳製品を輸入することによって具体的に引き下げていきたい、こう考えております。 それから、当分の間ということは、これは非常にむずかしい御質問でありますけれども、私は暦でこの期限を切ろうとは思っておりません。要するに値上げをしなければならぬものがある、値上げはやむを得ないものがあるということは、これは御了解を願えるのでありますが、それを御了解が願える状態になったときまでと、こういうふうに私は考えております。今まで値上げするがしようがないのだということを言っておるのにもかかわらず、急にああいうことをしたのは、どういうわけかという御議論でありますけれども、それは、とにかく一つの何といいますか、値上がりムードの心配がありまして、そのことを逆に利用して、便乗的な値上げをする気配も相当に私としては感知されたものでありまするから、そのムードを消して、ほんとうにやむを得ないものだけ選別するために、ああいう処置をとることが必要である、こう考えて、池田総理の御指示を得てやった次第でありまして、あの通りまじめに実行するつもりであります。
○木村禧八郎君 まじめといっても、具体策を伺わなければ承服できません。そこで、農林省に伺いたいんですが、この牛乳値上がりを押えるのに、どのくらいバターを輸入するつもりですか。あるいは脱脂粉乳をどのくらい輸入するわけですか。
○国務大臣(周東英雄君) お尋ねでありますが、牛乳あるいは乳製品等に関しまして、特殊の事情があればともかくも、国内における需給の関係から出ている値上がりというようなことがやむを得ず出てくるならば、これは国内の生産者の立場を考慮しつつ、輸入数量を決定していきたいと思っておりますが、ただいま具体的に時期及びその数冠というようなことについて検討中でございます。
○木村禧八郎君 新聞では、農林省は当面バター五百トン、脱脂粉乳千五百トン程度の輸入をしたいと考えているようだが、三十六年度中に需給のバランスをとるために必要な輸入量は、バターが約二千五百トン、脱脂粉乳が約四千五百トン必要である。それだのにバター五百トン、脱脂粉乳千五百トンでは、需給のバランスはとれないと思う。
○国務大臣(周東英雄君) ただいま申しましたように、輸入の時期及び数量は検討いたさなければなりません。ただいま大体の数量、御指摘の点はございますが、それをだからといって直ちに、一ぺんに同時期に輸入するということも、いろいろな点について関係を生じます。だからその必要の数量というものを、いつの時期にどのくらいの数量ずつ輸入するかということは、慎重に考えたいと思っております。
○木村禧八郎君 だから、国民が納得しないのですよ。需給関係では、これだけ必要なのだから、これだけ輸入するのだということを明らかにすれば、納得すると思うのです。それをしないから納得できない。だからごまかしじゃないか、信頼できないのです。ですから、具体的な数字をもってこれだけ輸入する、それでは需給のアンバランスをなくすためには、これだけの輸入が必要だということは、はっきりしているのですから、それだけ明らかにすれば、値上げムードというものは押えられるのです。ちっとも具体的なあれを示さないから、みな不安に考えている。
○国務大臣(周東英雄君) 私はその点を今お答えしているわけです。近日のうちに、具体的な数字を、新聞に出ておりますが、その後さらに検討いたしておりますので、これを三月末に何トン、四月に入って何トンということを、はっきりいたさせます。
○委員長(館哲二君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記を始めて下さい。 午後は二時半に再開することとして、暫時休憩いたします。 午後零時三分休憩 ————・———— 午後二時五十七分開会
○委員長(館哲二君) 午前中に引き続いて委員会を開会いたします。木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 午前中に引き続きまして、物価の問題について総理にお伺いしたいのですが、迫水企画庁長官が閣議において今後の物価騰貴を抑制する発言をされて、閣議で了解されたようでありますが、今後どういうふうにして物価の値上がり、消費者物価の値上がり、公共料金の値上がりを抑制していかれるのか、国民は非常に心配しておりますので、その具体的なお考えを総理から伺っておきたいと思います。非常に重大な問題でありまするから。
○国務大臣(池田勇人君) ただいま値上がりムードがあるやに私は感じておりますので、政府が直接関係しておりまする公共料金、まあ公共料金といってもお医者の方は公共料金に入るか入らぬかという問題もありますが、お医者と九電と今までやった予算を組んだ以外の公共料金、またこれに類するものは私は当分の間引き上げを認めない、こういう考えで閣議決定をしたのであります。
○木村禧八郎君 具体的にお伺いしたいのですが、まず国民が心配しているのは、物価値上がりを政府は抑制すると言われながら、値上がりムードの一番基本になっているのは何といっても鉄道運賃だと思うのです。従って、鉄道運賃の値上がりを押えないで、そうして当分の間他の料金、消費者物価の値上がりを押えるといっても国民はどうも納得できないと思うのです。ですから、抑制されるといわれるなら、どういうふうな方法で政府はこの抑制をされるか、牛乳の例を一つ申し上げますれば、かなりの量を外国から輸入しないと、バターなり、あるいは粉乳ですね、そういうものを輸入しないと値上がりは押えられないわけです。ですから、具体的に、政府は値上がりを抑えられる自信があるのか、その具体的な考え方と、それから「当分の間」ということにみんな国民は疑問を持っているのです。それで、国会が開かれている間、値上がり反対の運動を一時抑える方便として、ああいう申し合わせをしたんじゃないかという疑惑を持っているわけです。ですから、国民が安心できるように、「当分の間」というのは、いつごろまでを指して言うのか、それから具体的な方策について、この際責任ある御答弁を願いたいわけです。
○国務大臣(池田勇人君) 牛乳の問題は、私は公共料金のうちへ入れておりません。牛乳が上がり、そうしてバター等が上がる状況でございますので、これは今具体的にバター等の輸入について検討を命じております。 それから「当分の間」というのは、先ほど申し上げましたように、今値上がりムードがあるように思いますから、そのムードがある間は上げない。おさまったときに、合理的で、ぜひ必要なものならば考える。国会の開会中との関係はございません。値上がりムードが落ちついてくる、だんだんなくなってくる、その場合に、必要やむを得ざる限度におきましては、個々の具体的な場合によりまして考えることはございますが、そういうムードのある間はそれを助成するようなことはいたさないということをきめたのであります。
○木村禧八郎君 この値上がりムードの一番原動力になっておりますのは国鉄運賃でありますが、運輸大臣に伺いたいのですが、私は映画館で朝日ニュースを見たのです。そのとき木暮大臣はこういうことを述べておられるのですね。国鉄運賃値上げによって国民の生活に影響があるというような考え方は、ばかの一つ覚えだ、そういうことをはっきり言われおる。私はそれを聞いておりまして、運賃値上げによって国鉄の建設資金をまかなうということは、ばかの一つ覚えだと思うのです。こんな簡単なことはありません。運賃を値上げしないでどうして建設費をまかなうか、そこに木暮大臣が運輸相になった意義があると思う。木暮大臣は私の先輩です。慶応の先輩です。そうして経済にも明るい人なんです。運賃値上げをして建設費をまかなうなんというのは、こんなのはばかの一つ覚えで、だれだって、子供だってできます。それをやらないでどうして建設費をまかなうかというところに苦心の存するところがある。この点について運輸大臣の御所見を伺いたい。運賃値上げが国民の消費生活に影響を及ぼすと考えるのは、ばかの一つ覚えであるかどうか。私はこれは失言ではないかと思うのです。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、今御指摘になりました朝日の何ですか、映画とか何とかというものに何か映っていたようなことも今日は記憶はしておりませんが、そのとき申し上げましたことは、いろいろ言葉の末にはおしかりを受けるようなことがあったかと思いますし、まあ私もふなれなものですから、野人礼にならわずで、言葉の表現がまことに下手であって、おしかりを受けるようなことがございましたら、そういう表現の仕方につきましては深く反省をいたしたいと思います。 そのとき話しましたことは、要するに二点でございまして、一つは、今度の所得倍増計画に関連いたしまして、今日国民の輸送需要に応じ切れない隘路となっておる国鉄輸送力を増強整備いたさなければならぬその財源として、世間では、国から金を出したらよかろうとか、あるいは借金でやったらよかろうとかいうような御意見がある。これは一つの御意見でありますけれども、国鉄が公共企業体で独立採算制という立場に立つ以上は、それが一般国民の生活にあまり影響をしないような程度のものであるならば、利用者の負担に待つということも一つの方法である、すなわち、これが一方におきましては、国鉄自身企業合理化によって金を捻出いたしますことと、政府といたしましても、国鉄が公共性を高度に持って、公共負担をかなり負担いたしておりますことにかんがみて、あるいは新線建設の補助をいたしますとか、あるいは資金運用部資金の財政融資を多く心配してやるとかということをやる。それともう一つは、国鉄自身として利用者の負担が国民の生活にあまり響かないようなものであり、物価に対して響かないようなものであるならば、ある程度利用者の負担にしてもいいではないかということを申しましたことと、もう一つは、当時、国鉄運賃の値上げをすればすぐ物価に影響をするということが非常に言われまして、何だか、国鉄運賃改定ということを契機として、上がらなくてもいい一般物価を上げる気風が一方では起こるようなことがありましたものですから、すなわち、そういうことは、国鉄運賃の改定ということが直ちに物価に影響するものではない、物価というものは、御承知の通り、需要供給その他多くのエレメントがあって、それで上がるもので、物価の値上がりということには、国鉄運賃改定が直ちに反映するものではないということは、二十六年の国鉄運賃の改定のときも、二十八年の国鉄運賃改定のときも、三十二年の国鉄運賃改定のときも、その後の統計を見ますると、物価には何ら影響がない。それはすなわち、物価というのは、国鉄運賃の改定というようなことがコストインフレを起こすのでなくして、むしろほかに、景気の上昇であるとか、あるいは金融の緩慢、梗塞であるとか、いろいろの作用が物価というものを微妙に動かしておる証拠が、過去におきまして国鉄運賃改定のときに起こっておるものですから、国鉄運賃改定がすぐに物価を上げるものであるというようなことは、これは少し議論が行き過ぎではないかというようなことを申した次第でございまして、その間、まことに行き届かない、ふなれのために、表現におしかりを受けるようなことがありましたことはまことに遺憾でございます。
○木村禧八郎君 大先輩にはなはだ御無礼なような質問をしておりますが、個人的には非常に尊敬しているのでありますから悪しからず。しかし、公的なことでございますから、その点は御了承願いたいと思います。部屋もお隣ですし、非常に温厚な方だと尊敬しているわけです。しかし、質問はまた別でございます。 ただいま独立採算と言われましたが、国鉄は公共企業体であり、非常な公共性を持っているわけですね。そこで、普通の独立採算の企業と違うわけです。いろいろな割引をたくさんやっているわけです。そして割引によって、あるいは自衛隊輸送とか赤字線の経営とかによって五百二十五億の赤字負担をしておるわけです、国鉄は。あるいはまた、利子の支払い、政府の出資金が少ないから百八十七億も利子負担をしておるわけです。石炭、鉄鋼とか造船には利子補給を適用しておるわけです。国鉄にそういう利子補給をして悪いということはないわけです。また税金も、固定資産税とか通行税百十億も課税しておる。そういうことを考えれば、国がもっとこれは支出すべきであるということは当然出てくるのですよ。運賃値上げによってのみやるべきじゃないと思うのです。そういう点があるわけです。しかし時間がございませんから、その点は十分考えて……。国鉄運賃値上げ以外の方法によって建設資金をまかなうのが、それが専門家の苦心の存するところなんです。そうでなければ運輸大臣は子供だっていいわけです。ですから運賃値上げをここで再考されまして、以外の方法によって建設資金をまかなう御意思があるかどうか。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げますが、ただいまのお話のように公共負担というものが国鉄の経理を相当に圧迫いたしておりますので、政府といたしましても、先ほど申し上げましたような、従来赤字線であり、国鉄経営の大きな負担となっておる新線建設に対しましては、三十六年度から三億六百七十五万円ですかの利子補給という今までにない政府としての負担をやります。また法律によって無賃乗率を決定されております戦争のときにけがしたり、病気をしたりなさった方の無賃輸送につきましても、六千何百億の国庫負担をやはり赤字補償の意味でやっておりますわけでございます。国鉄といたしましてもできるだけ経営の合理化に努めまして、新線建設などにつきましても、どうしても鉄道でなくちゃならぬ場所は別でございますけれども、鉄道建設審議会などの御意見なども、ほかの交通機関で間に合うものはこれで間に合わせるようにというような御注意もありますので、今後は国鉄自身も独立採算制と公共企業体の立場で経理の改善に努めていきたいと思いますが、何と申しましても国鉄は五カ年間に非常に多くの金を要しますものですから、これをある一部の方が言われるように、全部国で出すとかあるいはまた財政融資によってやるというようなことになりますと、本年度におきましても三千七百億以上に上りまする国鉄の借入金というものが、五年後におきましては一兆一千億をこして、年々の利払いだけで七百億をこすというようなことになりますと、公共企業体としての経理の状況が非常に悪化することを考えまして、さしあたりは四百八十六億円という相当大きい金額ではございまするが、利用者の負担によって自己資金を調達さしていくという方法に出ましたような次第でございます。 いろいろ御注意はありがとうございました。
○木村禧八郎君 国鉄運賃値上げは引っ込めるわけにいかないというようなお話です。そうしますと、値上がりムードは、私はなかなかとめることはできないと思うのです。 そこで、総理に伺いたいのですが、これまで所得倍増計画は過剰生産の矛盾を持っている。前に計算したその計数を少し述べたのですが、三十六年度ですでに三千億の国民消費の不足、三十七年度におきましては七千百六十億の国民消費の不足になる。しかも物価の値上がりは、これをとめることができないといたしますと、かりに三%消費者物価が値上がりしますと、大体一兆円近い消費不足になる。国民消費の不足、いわゆる設備過剰になる、その上に、さらに金利の引き下げによりまして投資意欲を刺激すると私は思う。これについては総理もいろいろ御意見もあるようですが、一方では設備投資を刺激し、他方においては物価の値上がりによって、そうでなくてさえ過剰生産になる矛盾を倍増計画は持っておるのに、購買力をさらに低下させて矛盾を激化させる、さらにその上に最近の輸出が非常に悪くなってきておりますが、今後の貿易の見通し、大体経常収支において一月は一億ドルの赤字、さらに今後対米輸出はあまり伸びないような見通しでありますし、またアジア、アフリカ、ラテン・アメリカ等への輸出もあまり伸びそうにない、アメリカの景気後退それからドル節約の影響によって今後の輸出は伸びそうもないわけです。通産省が八日に二月の輸出の認証実績を発表しておりますが、これから見ましてもかなり今後の輸出は悲観的に見られたものです。そうしますと、一そう過剰生産の傾向がひどくなるのです。こう思うわけです。この点について総理はどういうふうに見通されますか。
○国務大臣(池田勇人君) 午前中いろいろ御議論を聞いておりましたが、三十六年度の設備投資が三兆一千億で済むか済まないかという問題、企画庁長官が答えたように、済ませたいという気持でございますが、ある程度はふえるかもしれない、しかしむちゃなふえ方はあらゆる手を使って抑えていくつもりでおるわけでございます。 それから金利の引き下げは、かえって設備投資を助長しはしないか、こういうお話でございますが、私は、日本の金利水準というものが従来高過ぎるのでございます、この水準をこの際下げておくということが、日本の輸出また経済の着実な発展に非常に効果があるというので、引き下げはすべきだと考えております。また、累年設備投資が行なわれて、そうして生産過剰になりはしないかという御心配、この点は、ある程度生産が過剰ぎみで卸売物価は下向きだという点は、私も頭に入れております。この生産過剰ということをそのままほうっておくわけにいきませんので、輸出振興と健全な国内消費の増大をはかっていく、こういう考えでいけばいいと思います。過去もそういう考え方でいって、こういうりっぱな高度の成長をいたしておるのであります。 それから輸出の増加につきましてはいろいろな支障が出てくる、これはいつものことでございますが、私は長い目で見て日本の輸出競争力を伸ばしていく、そうしてアメリカのみならず、ヨーロッパ、東南アジア、南半球へ極力延べ払いその他の方法で輸出を増加していく。これは一時的の現象で将来をあれこれ言うことは、私は当たらない場合が多いと思います。長い目で国際収支なんかを考えていくべきだと思っております。
○木村禧八郎君 物価の値上がりを抑えられないと……。健全なる購買力の増加とそれから輸出増大によって過剰生産を調整していくというお話ですが、物価値上がりを許したのでは、それが困難だ。政府あるいは財界の過剰生産を防ぐ最後の道は、輸出の増大だと思うのです。ですから財界は、政府が、ことに下村理論等は輸出については非常に重点の置き方が低い、国内のマーケットの拡大に重点を置いて、設備投資にのみ非常に重点を置き過ぎて、輸出についてはあまりウエートを大きく持っていない。それが破綻のもとになるんじゃないかというので、財界では政府に対して輸出振興を非常に強く要求している。第二次補正の四百四十億の産投会計も輸出入銀行の方に回されると思うのですが、ところが、総理は長期的に考えるべきだと言うけれども、長期的に見ましても、今後の日本の輸出は非常に困難に逢着するんじゃないか。ことに自由化の問題、今度日本の外貨がたまりまして、IMFの総会においては日本が十四条国から八条国になることを勧告されるんじゃないかといわれておるのです。そういうふうになったら、この貿易の自由化も非常に速度を早めなければならぬことになってくるのです。この問題について政府はどうお考えですか。八条国に勧告される公算が大きいのであります。その場合に自由化のテンポはどうなるか。前に三年間で八〇%と言っておりました。それによってまた影響が出て参ります。
○国務大臣(池田勇人君) 十四条国から八条国に移ることもわれわれは将来の問題として考えなければなりません。しかし移るにしましてもその間に一、二年はあるのでございます。私は日本の力がそれだけ認められておるので、そういう心配は要らないと思います。 なお輸出の増加につきましては、極力われわれも努力していきたい、新しい天地を開拓する、あるいは延べ払いその他信用供与によりまして輸出を増大していく、あらゆる手を尽くしていきたいと考えております。
○委員長(館哲二君) 木村君持ち時間が終了いたし、ましたことを御注意いたします。
○木村禧八郎君 アメリカのドル防衛策に対する協力として、またいろいろな影響が出てくると思うのですが、今度のマルクのあるいはギルダーの切り上げの問題について、総理はどうお考えですか。また日本の円の実勢は今何円くらいであるか、日本においても切り上げの問題なりあるいは為替を切り上げなければ賃金をもっと上げるとか、前のエアハルト経済相が言ったようなことが必要になってくるんじゃないかと思うのですが、それで、アメリカからドル防衛の協力について何か要請されておるかどうか。それに関連してドル為替の為替変動の幅を大きくするとか、あるいは為替平衡資金を設置するとかいう問題も論議されておるようでありますが、こういう点について総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 所管ではございませんが、私は日本の円の切り上げというふうなことは、ほとんど問題になっていないと思います。これは三百六十円が三百五十八円二十銭くらいに非常に円が強いときもあります。また昨年の秋ごろは三百六十円ちょっと上へ上がったような弱いときもありますが、大体三百六十円で順調にいくと考えております。従いまして、円を切り上げるという事情は起こらないと考えておるのでございます。 なおドル防衛について協力方ということは、昨日か一昨日も申し上げましたように、私は聞いておりません。 それからマルク、ギルダーの引き上げにつきましては、これはある程度ドル防衛に協力するという立場もあったでしょう。しかし、私は一昨日も申し上げましたごとく、かつて二、三年前エアハルトはイギリス、フランス等のポンド、フランの非常に弱いときに、ドイツはマルクを切り上げるべきじゃないかということを強く主張されたのでございまするが、かぜをひいた国があるからというので自分もかぜをひかなければならぬことはないというので、きっぱり断わりました。しかるところ、今回は五%足らずでありますが、ああいうふうにマルクを切り上げ、またギルダーもその程度切り上げになったということは、一つはドル防衛に協力するということもありましょうが、ドイツ、オランダ等のごときは非常に輸出超過でありまして、しかも完全雇用でございます。しかもコスト・インフレの状況がある、こういうふうなところから、ドル防衛に協力するかたわら、自分の国の経済の運営からいって、ある程度の切り上げはやむを得ぬといいますか、当然のことだと思う。みんなが上げることを納得し得ることだと、こう考えて、両面から私はやったのではないかと思います。ことに予想に反して五%足らずでございますから、私はドイツあるいはオランダ経済にはそう影響はなくて、国内経済にはかえって好影響があるのじゃないかというようなことを考えるのであります。
○木村禧八郎君 このドル為替の問題と平衡資金、それから円の実勢をどのくらいに見ているか。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げましたように三百六十円で考えております。平衡資金はどういう意味でございますか、これは特に手を打つ必要は今のところ何もない。
○木村禧八郎君 防衛庁に伺いますが、この防衛費につきましては、第二次防衛計画を池田総理がアメリカに行くときに作成をして携帯をして行くとか新聞に出ておりましたが、第二次防衛計画というのはどういう構想のものであるか、三十六年度予算にも一部頭が出ていると思いますが、その構想を伺いたい。 それから防衛費は国民所得に対して何パーセントぐらいが適当だということについて、防衛庁長官は談話を発表いたしておりますが、三十六年度の予算において防衛費は予算及び国民所得の何パーセントぐらいを占めているか、この点を伺いたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) お答えいたします。 ただいま次期防衛力整備計画は、防衛庁におきまして、検討中でございます。いずれ成案を得ますれば、法律によりまして国防会議で政府の意思を決定してもらうという段階になるのでございます。第一次防衛整備計画は三十五年度までの計画でございます。従って三十五年度までに一応の目標を達成しましたが、その残りの分もございます。従って三十六年度におきましては、その限りにおきまして三十五年度までの第一次整備計画のワクの中で予算要求をいたしました。しかしながら重要事項がございますので、国防会議を開いて、その重要事項といいますか、十単位をいわゆる十三個に編成がえをするということだけを決定を願っております。そこで次期防衛力整備計画を作りますにあたりまして、私どもとしては一次計画——現在までの自衛隊の整備されて参りましたのは当然の基礎でございますが、その上に乗りまして、さらに国防力の増強、漸増の基本方針というものが、政府といたしましては従来定められております。いわゆる漸増主義でございます。従って漸増主義のもとに三自衛隊が均衡を保ちながらいく。もちろんこの前提には民生安定というものが第一義になるのでございます。と同時に、それに加えまして、さらに次期防衛力整備計画では、当然それの後方支援的な、たとえば備蓄でありますとか、通信でありますとか、補給でありますとか、そういうようなこともあわせて整備をして参りたいという考え方であります。 なお、三十六年度のただいま御審議願っております予算は、的確な数字はここにございますが、国民所得の一・四三%と一応計算をいたしております。それから予算に対しましては、全体の予算の要求に対しまして防衛関係費の占める割合は八・七九、こういうふうに計算を一応いたしております。そこでこれが多いか少ないかなかなかむずかしい問題ではございますが、ただ世界的な一つの係数は出ております。その係数のとり方はいろいろな御議論があるところでございますけれども、わが国は、世界におきましてはきわめて国防費の率の少ない国であります。おそらく最低でございましょう。二%を切っているのは最低であると思います。次期防衛力整備計画におきましては、どの辺を目標にするかはまだ検討中でございますが、従来とも大体二%前後というものを一つの、国民所得に対するものを二%前後にもっていくのが一応のわが国の国情に合った常識論ではないかと、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 継続費は今全体でどのくらいで、その継続費は何省所管の継続費がどれだけを占めておるか、これが一つと、もう一つは、国庫債務負担行為は全体で幾ら、その中で防衛庁関係の国庫債務負担行為は幾ら占めておるか。今の防衛庁長官のお話は、継続費及び国庫債務負担行為については含まれておらないのです。ですからその点についてお伺いしたい。
○政府霊員(石原周夫君) お答えを申し上げます。 継続費の総額は、一般会計総理府所管におきまして二百十億三千六百万円、三十六年度以降支出予定額百五十億五千八百万円、項目は六つございまして、昭和三十四年度乙型警備艇建造費以下防衛庁費分でございます。 国庫債務負担行為の総額は、一般会計におきまして千五百八十四億六千八百万円、三十六年度以降の支出見込み額は、三十六年度の分と三十七年度以降と二つ申し上げます。三十六年度分が二百四十三億六千二百万円、三十七年度以降の予定額が千百三十一億六千八百万円、これが一般会計国庫債務負担行為の総額です。そのうち防衛庁分が総額千二百十六億二千五百万円、三十六年度額が百六十七億、三十七年度以降が九百二十六億三千五百万円、こういう数字になっております。
○木村禧八郎君 今の数字で明らかなように、継続費は全部防衛庁費で、防衛庁以外には一つもありません。継続費予算は全部防衛庁、しかも国庫債務負担行為については、総額千五百八十四億のうち防衛関係は千二百十六億、七六・七%ですよ。こういうような予算の組み方で一体いいのですか。今まで継続費は財政法で禁止されておったのを、これを直しましたが、改正して継続費にできるようになったが、全部防衛費じゃありませんか。全部防衛費、再軍備費ですよ。継続費がこういうふうな傾向になっていったらどういうふうになりますか。その点どうですか。その点と、もう一つ伺いたいのは、ヘリコプター空母、これを作る場合にどのくらい予算がかかりますか。
○国務大臣(西村直己君) 防衛庁関係の予算におきましては、継続費と国庫債務負担行為が多いことは事実でございます。ただ、その額がはたして予算全体の中で妥当であるか。後年度に確かにある程度糸を引いておることは事実でございます。ただ、これは防衛費の一つの特殊性をお認め願いたいのでありまして、艦船の建造等は一カ年ではできないのであります。数カ年にわたるのであります。また、航空機等におきましても、御存じの通り、ロッキード分などは国庫債務負担行為として後年度負担分に属し、従って、私どもとしては、これは大蔵大臣の所管でございますが、負担財政のいわゆる筋を通す意味からは、後年度負担の制度がない方がいいのかもしれませんけれども、いわゆる艦艇等の特殊性から、艦艇、航空機等についての生産の一つの計画と申しますか、と同時に、後年度の負担計画がある程度はっきりしておりませんので、生産する者自体も、機械を設備し、いろいろ投資していく上に不安定な状態では、非常に単価が高くなる。そういう意味から、後年度の計画性を持つと思うのでありますが、できるだけ、単年度予算の制度の例外であるということは私も了承して、最小必要限度に努めて参りたいと思います。 なお、いわゆるヘリ空母でございますCVHでございますか、CVHの問題は、かりに将来これは二次計画で検討いたします場合に、艦船の、普通の警備艦等の更新がございます。古くなって参りますと、当然これは年令がくれば落として参るわけであります。従って、それらを、もちろん周辺には使いますから、それはそれの交代になりますが、ヘリ空母そのものは百億から百二、三十億前後ではないかと思うのであります。それに多少のヘリコプターを搭載するという問題が出て参りますが、詳細私ははっきり覚えておりませんが、船そのものとヘリコプターを入れて百二、三十億じゃないか、こう思っております。もちろんこれも一カ年でできるものではございません。それ以外に護衛艦艇がございますが、これは当然古い船の差しかえ、振りかえがついて参ります。これは一般の更新でございます。大体そんな程度ではないかと考えております。
○木村禧八郎君 防衛費が国庫債務負担行為とかあるいは継続費という形で一般会計に直ぐに出ておりませんから、国民は大体一般会計に出ておる程度が防衛費くらいに思っておりますが、そうじゃなく、非常に根が深いんです。千何百億というものは国庫債務負担行為で、将来のわれわれの予算を縛っているわけですね、税金の使い方を縛っている。しかも今ヘリ空母を作る場合、百数十億、百二、三十億かかるというのです。それだけで非常な防衛費の負担が出てくると思う。そういう防衛費負担等を考え、それから今までの貿易の困難性とかあるいは物価値上がりによる国民の購買力の相対的低下等々を考えますと、そうしてまた設備が非常に拡張されていく。で、どうしても私はそういうことから過剰生産、それはわずかな過剰生産じゃないのでありまして、三十六年度の下期あたりから出てくると思うのです。三十七年度には過剰生産の恐慌が私は起こると思うのですが、この点について、総理はどういうふうに考え、そういう可能性がある場合にはどういう手を打とうとされているか。所得倍増計画の趣旨と反するような高度成長政策はここで挫折すると思うのですが、総理の見解を伺いたいのです。
○国務大臣(池田勇人君) 私は財政運営のよろしきを得ればそういうことはないと、起こらないようにいたしたいと思います。
○木村禧八郎君 それでは、これは水かけ論みたいなことになるかもしれませんが、私は相当数字的な根拠を示して質問したのでありますから、誤っているのならば、一々それについて根拠のある批判をしていただきたい。こういう点が誤っているのだ、合理的であるならば総理は話し合いに応じて修正してもよろしいということを言っているのですから、それが合理的であるのかないのか。そうでないならば、具体的に係数をあげて反論していただきたい。そういうことについて何らされないで、ただ適切な政策をとっていけばそういうことにならぬ、これは非常に無責任だと思いまし。 しかし、時間がなくなって参りましたから、最後にもう一つ、所得倍増計画で格差解消の問題を、あるいは是正の問題を取り上げております。ところが、三十六年度予算を通じて見た限りにおいては、逆に格差が拡大されてくるのです。それでこれは具体的に私は質問いたします。それは地域計画ですね、格差解消のために産業立地計画というものを立案されていますが、ところが、所得倍増計画によりますと、太平洋沿岸の地域の開発が重点になっているのです。北海道、東北、裏日本は今度の十年計画以後の次の十年になっている。これでは地域格差がますます拡大するばかりじゃありませんか。この点どうお考えですか。
○国務大臣(迫水久常君) その点は、所得倍増計画と一緒に閣議決定をいたしました所得倍増計画の構想という書類がございます。その書類によりまして、いわゆる太平洋ベルト地帯のあの構想はそのままには考えないという方向を出しまして、具体的には目下私のところで研究中でありますし、調整中でありますし、総合開発計画によってその方向を出したいと思っております。
○木村禧八郎君 自治省において、地方開発の基幹都市建設促進法案を用意しているように聞いておりますが、この構想を伺いたい。それから建設省において、広域都市建設法案を用意しているように聞いておりますが、その構想を伺いたい。それから今企画庁の、もうすでに法案を出していると思うのですが、低開発地域工業開発法案、それから通産省の工業地帯開発促進法案、これだけ地域計画があるのですよ。それでこれをどういうふうに調整するのですか。それによって地域的な格差がどういうふうに解消されるのですか。この点を伺いたい。 それからもう一つ、建設省に伺いたいのですが、今度の公共投資ですね、道路、港湾、あるいは工業用水等についての府県別の割当ですか、そういうものがありましたら大まかでいいんです。それを出していただきたい。それを見なければ、どういうふうに地域開発が行なわれ、地域格差が縮まるのだか、わからぬわけです。それでこれは三十六年度予算だけじゃありません。長期計画を持っているのですから、道路計画においては二兆一千億をもとにしておりますから、それについて府県別にどういうふうにこれを配分されるのか、それを見なければわからぬわけです。地域格差がどう縮まるのかどうか、今の点について、各省ですね、各省所管の大臣にこの構想を一応ここで伺いたいのです。
○国務大臣(中村梅吉君) お答え申し上げます。 府県別の個所づけ等につきましては、目下いろいろな準備を、研究をいたしておりますが、予算の議決をいただきまして成立をいたしてからでないと、でき上がりませんし、同時にまた、五カ年計画の方にいたしましても、実は五カ年計画の事業量及び目標等につきましては、道路整備緊急措置法に基づきまして閣議決定をせねばならないということになっております。これも道路整備緊急措置法の改正案を目下国会に提案をいたしまして、御審議をいただいておりまする段階でございますので、この法案が、改正案が成立し、また、予算が成立いたしましてから、私どもといたしましては、閣議決定の運びにいたしたいと思って、その機会には、あまり時期がずれませんように、おくれませんように、目下検討を続けておる最中でございますから、申し上げかねるのでございますが、ただ、前段でお話のございました格差是正の問題につきましては、私ども道路整備を初め、諸般の公共投資を進める上におきまして、努めて地域的格差是正について意を用いて参りたいと思っております。それと建設省の構想でございました広域都市建設法という法案の考え方は、国会の始まりましたころに実は提案の予定でございましたが、実は今日の段階になってみますると、通産省の工業立地の調査、あるいは自治省の基幹都市の構想、これらと全く一体になった姿でいくのが本来であると思いますので、十分これらの調整を遂げまして、機が熟してから立法化をはかった方がいいのじゃないか、こういうように現在考えております。私どもの広域都市建設というのは、別段よその省で考えておるのと、ばらばらに食い違っておるわけではございませんので、われわれといたしましては、ただ後進地域を開発して参りますのには、従来の市町村等の区域に縛られたのではうまく参りませんから、そういう市町村の区域等にとらわれないで、もっと広域的に緊要地帯の開発をする、建設省所管の仕事の進め方をしたいということを基本に考えておるわけでございまして、工業都市の立地の調査などとも食い違っておるわけでありませんし、また、食い違わないように調整して進めるべきものである、かように心得てやっておるような次第でございます。
○国務大臣(安井謙君) 地方格差の縮小につきましては、それぞれの部門でいろいろ骨格のある案を考えている形でございますが、自治省といたしましては、今の基幹都市の地方の都市を中心に、その周辺一帯を総合的に開発を促進していこうと、こういうことで、各省との関連部分につきましては十分な連携をとりまして、調節をやりながら進めていくつもりであります。
○国務大臣(迫水久常君) 全体的な地域的な格差の是正というのは、要するに、生産性の低い産業の多いところは所得が低いし、生産性の高い産業の多いところは所得が高いのでありますから、結局生産性の低い産業についてはこれの生産性を高めることに努力すると同時に、生産性の低い産業ばかりあるところには生産性の高い産業を分散するということが、結局所得を拡大する道だという考え方が基本的な考え方でございます。そうしてただいまお話のように、そういうような線に沿いまして、建設省では広域都市、自治省では基幹都市、通産省では工業地帯開発、いろいろな構想がありまして、今回の予算においても、また、私どもの方でも低開発地域工業開発促進法という法律を作りまして低開発地域を指定しまして、そこに工場を建てるものには、税金のしの恩典等、なるべくそこへ工場がくるような道を開こうという法律も用意しておりますが、これらのものについては、それぞれ全部これ総合調整していかなければなりません。予算の面におきましては広域都市の問題につきましても、また基幹都市の問題につきましても、若干ずつの調査費がついておりますが、私の方にも五千万円というような調査費をつけてもらいまして、これをうまく配分することによって調整をつけていく方針でございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 工業立地の問題につきましては、すでに立地の調査法を施行しております。各府県の数カ所の地点を選びまして、その状況を各角度から調査して、今日まで百六十六カ所をすでに調査をいたしまして、その結論を広く企業界に発表いたしまして、工業立地の参考に供しておるような次第であります。しかし、所得倍増計画の当初年度としては、この問題はまだ十分でございませんので、これを改正いたしまして、各主要産業の立場からさらに検討を加えて、そうしてこれを公表し、そしてたまたま企業進出をする企業があれば、一定の規模以上のものについては届け出をしてもらって、そうして著しく不適格な土地に進出しようという企業に対しましては、適当な勧告をこれに行なう、こういうことにして指導して参りたいと存じております。 なお、調査の件はそのような状況になっておりますが、さらに工業開発促進法というようなものを、現在通産省において考究しておるような状況でございます。しかし、各省でそれぞれ基幹都市の問題でありますとか、その他いろいろな各種の違ったねらいから、おくれた地方の建設というものをいたして、各省の施策が検討されております関係上、これらの問題につきましては、関係各省と十分な連携をとりまして、いやしくも混雑、重複のないような、整然たる陣容で問題の推進をしたいという考えでおる次第であります。
○木村禧八郎君 ただいま各省の地域開発計画を聞きましたが、調整が全然とれていないんですね。そしてこれはあとで建設省に資料要求しますが、道路、港湾、工業用水について、府県別の割当ですね、これを資料としてお出し願いたいのです。これを見なければ地域格差を縮めるといってもわからないのです。 それからもう一つは、これは自由企業の原則、つまり企業経営をあくまで尊重してやるわけですから、かりに政府がここで税金まけてやる、道路を作るといっても、企業の自由なんですから、いくかどうかわからないのです、これは。はたしてこの地域格差が縮まるような方に、この工業立地計画ができるかどうか。今の企業の自主性を尊重する建前で一体できるのかどうか。三十六年度の工業投資を、一体地域格差のためにどういうふうに配分するか、全然わからないじゃないですか。道路はつかみ予算じゃないですか。これから作業するんだ、そんな予算のつけ方でよろしいかどうかですね。これでは地域格差は開くばかりです。その資料を要求します。 次に時間がございませんから……。この地域格差はどうも資本の効率ということばかり考えて、開発を行なうと思うのです。太平洋ベルト地帯が資本の効率からいえば一番高い、だから資本の効率の低い北海道、東北、裏日本をあと回しにする。住民の利益よりも資本の効率ばっかりを重点的に考えているのです。そういうふうに公共投資も、財政投融資も私は使われていると思う。そうすればますます格差は拡大するばかりです。格差解消といってもむしろ逆だと思うのです。 そこで次に、もう時間がございませんから、簡潔に伺います。農業と非農業の格差を縮めるためには、どういうふうにするか。農業基本法によって政府は農業を近代化し、あるいは前進させる。所得倍増によって農民を都市の方に移動させると言いますけれども、今の農民が低賃金で臨時工とか、社外工という形でとりあえずいきますが、これまでの傾向を見ますと、農民は移動しますが、農家戸数は減ってないのです。土地を放さないのです。土地を放しません。これは土地を放すことによって、農家の一戸当たりの平均の耕作反別をふやすことによって農家の所得をふやして、農業と非農業の所得の不均衡を是正するということなんですけれども、実際問題としてできますか。 また今度の税制からいきましても、農民の七%しか所得税納めておりません。ですから、大部分の農民は減税がないのです。減税がない上にガソリン税の負担があります。あるいは国民年金の負担が出てくるのです。農民はむしろ増税、公租公課がかさむのであります。農民には減税の恩典がないのです。そこで、今度の専従者控除については、所得税と事業税ですか、住民税について、住民税の所得割りについて専従者控除を認めるかどうか、その点を伺います。 それから時間がございませんから、一ぺんに質問してしまいますが、次に階層間の所得格差を縮小するといっておりますが、しかし、今度の減税を見ても、社会保障を見ても、階層間の格差がこれは縮まるよりむしろ拡大されます。階層間の格差のために、今の税制及び社会保障へ具体的にどういう措置を講じているか、階層間の格差を縮めるために。 それから大企業と中小企業との格差を解消するために具体的に三十六年度予算においてどういう措置が行なわれているか。 この四つの点について伺います。
○国務大臣(周東英雄君) 私に対するお尋ねに対してお答えいたします。農業と非農業間の所得格差を一体やれるかという御質問です。御承知のように今日のような零細経営、また過剰な人口を抱えての農業をそのままにしておきましては、なかなか農業と他産業との間における格差を縮めることは困難であります。従って私は二面におきましては、農業に対する今後における生産の増加ということが、一つの大きな目標でありましょう。これは生産の増大であります。しかし、その生産を増大する場合において考えなくちゃならぬことは、先ほどからいろいろほかの議論で工業生産について御指摘がありましたが、これは過剰になってはいけません。少なくとも将来における需要の増加は、農産物を、需給の見通しに立って生産を増加していくという形をとることが一つでありましょう。これは絶対的に生産の増加の面からすれば当然であります。 第二点は、やはりこの過小農の形態、過小農経営というものと、そこにやむなく今日までやられておった農村における過剰人口、過剰労働の投下ということからくる事態を改善しなければ、何とおっしゃいましてもこのままによってやるということは無理です。ところが、私どもよく皆さんおっしゃいますように、だからして零細農を切り捨てるというようなおそろしい言葉をお使いになりますけれども、私どもそういうことは考えない。私どもは、今日における農業と非農業との間における格差を縮めていくということについては、何としても農業を近代化し、農業の比較生産性を上げるということだと思います。その意味から、ほんとうにやらなければならぬ仕事であったと思います。それは、何らほかの面に雇用のないときにこれをやれば、それこそ農業を小さく追いやるということになるかもしれませんが、しかし、今日は、とにかく現実の問題といたしましては、明らかに日本の国民経済というものの大きな伸びによって、他産業における成長も高い、この方面と一貫した形において農業構造改善ということを考え、そこに就業、労働一人当たりの生産性を高めるということは、当然私は格差を縮めるということではないかと思う。これが第二点であります。 それから第三点は、あなたが御指摘になったと思いますが、何と申しましても、所得が高くなっていく場合における需要の弾性値というものは、これは十分あなたの御承知の通り、所得が大きくなる場合における需要弾性値というものは、第二次、第三次産業における生産の方に比較的多くなり、絶対的に農業生産から上がるものに対する需要の弾性値というものは低いです。そういう面においては、非常にむずかしい問題があると思います。しかし、幸いなことには、だからといって、新しい方面に生産がふえないかというと、私が申し上げたように、日本として新しい方面における考え方としては、畜産、果樹というものが、これは大きく需要として伸びて、しかも将来における過剰にならずにやれる。こういう面は、一つの行き方として、大きく伸ばしていこうということであります。 さらに第四点は、申し上げるまでもなく、私どもは、一人当たりの経営規模を拡大していって、生産をふやそうということが一つの点でありますが、そこに家族経営を中心とした経営規模の拡大、自営し得る農家というものを考えておりますが、その点が今の日本の状態ですぐできるとは思っておりません。それほど私どもは楽観しておりません。しかし、そこにでき得ない期間において、零細農家あるいは兼業農家というものを協業化させていきつつ生産を上げる、こういうようなことも総合的に考え、それぞれ多少ながら今年度の予算にも計上してある次第であります。
○国務大臣(安井謙君) 住民税で農家の専従控除を認めるかどうか、こういうお話でございますが、国税の減税に伴いまして、でき得る限り地方税も減税をやる建前でやっておりますが、現在の地方の財政状況から申しますと、国税に比例したような減税は非常に困難な状況でございます。また、住民税というものの性格から考えまして、今回この控除は住民税については当てはめないという方針をとっておる次第でございます。 なお、先ほど申しおくれましたが、地方格差について、ただ資本の効率だけを考えておるじゃないか、こういうお問いでございましたが、現在はいろいろな地方格差を縮小するために、各行がそれぞれ有効な方法を考えて、まだ調査の段階でありますが、具体的な問題といたしましては、例の後進地域に対する、いわゆる公共事業費に対する補助率の特例法、こういうものを出しまして、地方の地域で十分な公共事業の消化をはかって、さらに立地条件をよくして、工業、産業の発展をはかるというふうに具体的に進めている次第であります。
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほどの資料のお話でございますが、目下検討をいたしておりますので、資料の提出は困難でございます。ただ私ども考えておりますことは、所得格差の是正に大いに寄与いたしたい心がまえでやっておりますが、当面としましては、御承知の通り、一級、二級の国道が大体全国至るところに配分されておりますので、これらの整備をさしあたり強力に進めまして、同時に通産省のやっていただいておりまする工業立地条件等の調査の進むのと相待ちまして、産業開発、後進地域の開発に役立つような枝を作り、あるいは所要の路線を整備する、こういうように今後やって参りたい考えでございます。ただ、資料の点につきましては、さような次第でございまするから、お含みをいただきまするよう、一言申し上げておきます。
○木村禧八郎君 いつごろ出せるのですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 実は予算編成段階から、まるっきりつかみではありませんので、大蔵省とおよその見当をつけながら積み上げてきておるものでありまするが、個所決定につきましては、あるいはそれをどの程度のどういう分量でどこへどうするかということにつきましては、目下検討をいたしておる次第で、ことに予算をおきめいただいてからでないと、私どもは最終的にきめかねますので、その時期を待ちまして決定に運んで参りたいと、かように存じておる次第でございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小企業と大企業との格差是正についてどういう予算措置を講じているかというお尋ねでございましたから、お答え申し上げます。結局、格差是正の問題は、中小企業の生産性を向上するという問題に帰着するかと思うのであります。ただいまの現状では、中小企業の中でも最も零細な企業につきましては、大企業のほとんど四分の一程度の生産性しか上げておらぬと、こういう状況でございまして、これが対策といたしまして、中小企業振興対策、すなわちそれが全部中小企業の生産性向上の対策であるということになると思うのであります。それで、まず中小企業の近代化問題につきまして、予算といたしましては、従来十三億程度のものを約三十億にいたしましたし、それからまた財政投融資の面におきましては、昨年——三十五年度に比較いたしまして約三%増の八百数十億の財政投融資をこの方面に振り向けておる。それからまた、アメリカの輸出入銀行から中小企業の近代化資金として約五十億円来年度において期待しておるような状況であります。それから、経営、技術両面における指導の助成費として、十分ではございませんが、予算措置を講じておる。それから最後に、税制の面におきましては、専従者控除を認め、それからまた同族会社の社内留保に対する税制上の措置を講じ、あるいはまた中小企業の設備に対する——主として機械でございますが、そういうものに対する税制上の非常に厚い保護を今回加えることになった次第であります。これらは要するにいわゆる中小企業の振興対策として講ぜられておる措置でございますが、これがすなわち生産性向上であり、格差是正の問題であると、かように考えております。
○国務大臣(迫水久常君) 地域間の格差、それから中小企業と大企業との間の所得格差等の問題につきましては、ただいま各大臣より申し上げた通りでございまして、階層間の問題でございますけれども、これはやはり低所得者の所得をふやすような方策をとる以外にもちろん道はないのであります。最低賃金制度を励行するとか、あるいは生活保護基準を上げるとか、実際問題としましては、労働供給の関係で中小企業の労務者の賃金は非常に上がる傾向でございますので、そういうことで格差は逐次縮小しつつあるものと考えます。それで、三十五年中の総理府統計局の全都市勤労者世帯の家計収支の統計によりましても、平均の家計収入の上昇率は一〇・九%でありますが、最も低い低所得者層の、いわゆる第一分位の上昇率は一一・四%という数字が表われておるのを見ましても、下の方の階層が上の方に上がりつつあるということは認められるのじゃないかと思います。
○木村禧八郎君 これまで格差是正あるいは解消の問題について、地域格差の問題、それから大企業と中小企業の格差の問題、あるいは農業と非農業の格差の問題、階層間の格差是正についていろいろ伺いました。しかし具体的に三十六年度予算においてどういうふうになっておるかということについては、多少通産大臣がお触れになった程度であって具体的に明らかでないのです。通産大臣がお触れになった点でも、中小企業については、たとえば設備近代化の補助金については、自民党は初め百億要求したのでしょう。百億要求したのに二十八億ですよ。さらにまた二重構造の解消に役立たせるための機械設備の共同化、このために育成費十五億の要求に対して三億でしょう。こんなことでどうして格差解消に役立ちますか。また階層間の格差につきましてもだんだん縮まる傾向にあると言いますが、三十六年度予算を通じて見ると、たとえば税制について見ると、たとえば基礎控除を引き上げないのです。ですから独身者は減税がない。所得税も納めることもできない低所得者層も所得税の減税ですから減税がない。また今度の税制改正によって妻の座を引き上げるというので、七万円を九万円に上げたのですが、妻のない人はその恩典にあずからない。低所得者層ほど減税の恩典にあずからない。物価騰貴だけの影響を受けてしまうわけです。これだけ格差が拡大するばかりです。政府は、減税六百三十一億、社会保障六百三十六億、合計千二百六十七億を階層間の格差解消のために計上したと言っておりますが、他方において国鉄の運賃値上げによる負担が四百八十六億、郵便料金の値上げによる負担が五十五億、ガソリン税値上げによる負担が百五十四億、地方道路税、関税による負担が三十二億、あるいは医療費一〇%引き上げによる負担が二百四十一億、国民年金の負担が三百億、大学授業料の負担が二十五億、千二百九十三億の新しい国民負担が生じてくるわけです。片一方で減税、社会保障千二百六十七億、これで格差解消のために措置していると言っても、他方それを上回る新しい国民負担が出てきて、ことに低所得者層がこの負担をこうむる。これ以外にその他の消費者物価の値上がりがさらにあるのですから、これではますます格差は拡大するばかりです。時間が参りましたから結論を急ぎたいと思いますが、これまでの質疑を通じて明らかになったことは、所得倍増計画の二つの柱、高度成長政策の、これは本年の末なり来年に過剰生産の危険があり、さらに格差はますます拡大するばかりです。こういうことが明らかになってきたと思うのです。これは間違っているなら計数的に具体的に反論していただきたい。私は間違ってないと思う。 さらに最後に総理に伺いたいのです。総理は新聞記者に対して、経済のことは池田にまかしてくれとこう言っておる。これで池田さんにまかせておけますか。まかしておけないと思う。ですから社会党はこれに対決しまして、過剰生産のこの恐慌を防ぐためには、物価を値上げしてはいけないわけです。国民所得をもっとふやすべきです。国民消費をふやして、春闘における大幅賃上げというものは、これは過剰生産の恐慌を防ぐ国策ですよ、大幅賃上げというものは。大幅賃上げを認め、それからさらに間接税を中心とする減税を行ない、それから貿易、輸出を拡大するために日中貿易です、これ早急に政府間協定を結んで、これを拡大すべきこと、こういう政策をやらなければ、さらに無政府的な状態になっている設備投資に対して、資金の計画的な調整を行なう必要があると思うのです。こういう点がわれわれの主張なんであります。これに対して最後に総理の御答弁を承りたい。総理にどうも経済のことをまかしておいたのでは非常に不安でいたし方がない、社会党におまかせした方がよろしいのじゃないかと思いますので、この点最後に伺います。
○国務大臣(池田勇人君) 所得格差の問題につきましては、木村さんからもう数年前から、あるいは十年ぐらい前からいろいろ聞いておりまするが、私は所得格差はだんだん予定通りと申しますか、相当少なくなってきていると思います。昭和三十一年には、さきにも申し上げましたが、二十万円以下の世帯は六百八十万世帯ございました。三十四年には五百六十万世帯に減っております。二十万円以下、これは統計の数字でございます。いろいろ議論はございますが、日本の経済の伸びはほんとうに十分ではございません、格差の点につきましては、全体の伸びはもう人の驚くほど伸びておりますが、格差の点は十分ではございませんが、相当改善せられつつあるのであります。所得倍増計画の一つの大きい目的は、その格差をなくしようとしておる。この傾向がだんだんだんだんと出てきておると思います。それから木村さんは数字でどうこうとおっしゃいましたが、私も午前中もちょっと聞いておりましたが、あなたのお作りになった数字であなたは議論しておられる、企画庁長官は企画庁長官の分で言っておるわけです。
○木村禧八郎君 いや政府の資料をもととしているのです。
○国務大臣(池田勇人君) 資料をもとにしておりまするが、根本は、たとえば設備投資に対して何でございますか、修繕その他改良の分が一割五分とか、それから生産性の伸びるのが七%、しかもそれを昨年二兆八千億におとりになっているようでございますが、私は、昨年が二兆八千億、一昨年が二兆一千億というときに、三十五年度の二兆八千億がすぐ翌年度に生産として七%出るということにつきましては、三、四年、四、五年前の問題と、今の数字とはよほど変わってこなきゃならぬ。私は四、五年前の分は大体一割近く出るのじゃないか、九%は少なくとも出ると言っておったのでございます、四、五年前には。今では私は三十六年度の生産を見るときに三十五年度の七%はちょっと僕は無理だと思います。やはり三十四年の二兆一千億と、そうして三十五年の二兆八千億の平均ぐらいをとってやるのが、やはりすぐ投資したのが翌年フルに生産性で出るわけじゃございませんから、そういう点につきまして非常に木村さんもドグマの点があると思います。これはお互いに勉強してですね、いいあれを出さなきゃなりませんが、しかしいずれにいたしましてもお話の通り物価は上がると言いながら生産過剰で恐慌がくるという議論をしておられる。恐慌がくるようならば物価は下がるわけなんでございます、卸売物価が。だから議論の点がなかなか結論がぽんぽんぽんぽんと早く出てあれでございますが、ずっと前からのあなたの議論を伺っております。あなたのおっしゃる通りにいく場合が少くて、(笑声)私の言う通りにいった場合が多いのじゃありますまいか。もちろんあなたの御意見は御意見として十分拝聴いたしまして、今後におきましても御意見を参考にしながら善処していくことは先ほど申し上げた通りでございます。私は恐慌がくるようなことはないと、ただ問題はこのままにほっておくと、たとえば鉄の問題にしても四十五年で粗鋼が四千八百万トン、そうなるとアメリカの半分以上になるようになる。そんな鉄の消費はできっこない。ここでまた去年は私通産大臣をしているときにこういう問題が起こりまして相当押えたのであります。新聞にちょいちょい出ることをもとにされて議論してもその通りにいかないのでございまして、政府はできるだけの経験と知恵を持ちまして、一つあなたの御心配にならないように今まで通りにうまくいくよう私は努力いたしたいと考えておるのであります。
○羽生三七君 ちょっと関連。先ほど来、木村さんの質疑された問題に関連することでありますが、私は結論から先に言いますと、所得倍増計画という名前はやめた方がいいのではないか、これは昨年の当予算委員会で申し上げておる。長期経済十カ年計画とかそういう呼び方をすべきで、つまり国民総生産、国民総所得は確かに上がります。しかし高度成長と一人々々の所得が正比例するかというと、正比例する部分もあるし、そうでない部分もある。ところが国民一般は、所得倍増計画というものを、これはいつも木村さんが言われるように、三万円の俸給が六万円になるのだ、十年先には。そういうものとして理解をして、俸給生活者がそうだから他のサービス部門も、おれの方もある程度値上げをしてもらわなければ困る、こういうムードを作っておる。企画庁長官は値上がり心配ムードと言われるけれどもそうでないのです。所得倍増計画のムードで、これがもう現実と食い違っておる最大の要件であります。だから資本主義経済のもとにおいては、本来、この長期計画で生産の面のみならず、その他の各階層間の差を縮める点についても、地域格差の問題についても年度計画に見合う計画をその都度立てて、それに合わしていくというだけでは私は困難だと思う。そうであれば、私は所得倍増計画という名前が非常に罪深いと思う。だから長期経済十カ年計画と呼称を変えるべきだと思う。変えない限り今木村さんが指摘されたような問題は今後幾らでも出てきます。私は農業問題一つあげても、先ほど農林大臣のお話について言いたいことがあるが、関連質問だからはぶきますが、私はそういう意味でこの呼称を変えるべきではないかと思いますが、高度成長と国民総生産、国民総所得、これは正比例する場面があると思います。しかし一人々々の所得が向上するかということになれば、たとえば国家公務員についていえば、人事院の勧告のいかんにかかわらず、とりあえず他の民間企業はいざ知らず、国家公務員だけは十年後には倍にしよう、政府がこういう政策を打ち出して、多分右へならえというなら話はわかります。しかしこれはバランスをとるんだから自分たちだけ先にいくという議論になりますから、十年先になっても五割か六割、倍にはならぬでしょう、なかなか。だから私は呼称を変えにゃいかぬと思う。これで総理なり企画庁長官から、私はやはり長期経済十カ年計画とすべきだということを考えますので、御意見を承りたい。
○国務大臣(池田勇人君) これは所得倍増計画ということ自体が、われわれとしては自由主義経済のもとでなかなか言いにくいものであります。だから倍増計画が出ましたときに、構想ということを言っておるのであります。構想ということで一般にいわれる計画と、計画といえばお話のように毎年毎年の計画をずっと出される。年次計画を出すのが計画でございます。で、私の申し上げるのは十年以内に所得倍増構想、こうおとりいただきたい。倍増はだれがするかといったらわれわれ政治家がするのではございません。これは全部国民の熱意と行動によって持ち出される。私はその熱意と行動を醸成、刺激していけばこの倍増になり得るものだということを唱えておるのでございます。年次計画とは違います。従いまして、私が十年以内の倍増計画というときには、三十五年度の総生産を十三兆六千億とみていたわけです。だんだんそれが先ほどからの自然増収で十四兆二千億になってきて、十四兆二千億に対して九・二%というから十五兆六千億になるのでございます。十三兆六千億ということからしますと、十四、五パーセントの増になる、こういうものなんです、経済というものは。こういうものなんで何も九・二%にとらわれるわけではございません。ただ私は、雇用の関係、また倍増の基本を作る意味におきまして、当初は九%程度にやっていこうという努力目標としていっているのですが、幸いに国民の努力によりまして当初考えたよりも昭和三十六年度は十四、五パーセントの増になっておるのであります。これでやってみますと、私の三年間の九%というものは昭和三十七年、三十八年におきましては六・六、七パーセントで、もう平均九%の実績が出るわけでございます。しかし、私は、それを六・六%程度で三十七年度もおさめようと思いません。だから計画というのは構想とお考え下さったらいいと思います。われわれは全体の生産が倍になり、そうすれば所得もお話のように大体倍になる。しかし人口の増加がございますから、一人当たりという分につきましてはなかなかそうはいかぬでしょう。しかし、私が所得倍増計画として全体をいっているのは、国民所得全体を倍にする、そうしてその間において低所得層あるいは中小企業あるいは農民等を倍ではいかぬ、二倍半、三倍、できれば四倍にしたいというのがあれでございます。個々一人々々の所得ということは言っていない。あるいは五割しかふえぬ人がおりましょう、上の人は。しかし下の方は三倍、四倍にふやしたいということでございます。そこはPRで国民によく知っていただくようにしていかなければなりません。これは国会でこういう議論をしておるので、これで私よくわかっていただくと思うのであります。
○木村禧八郎君 これで終わりますが、最後にちょっと、総理は聞き捨てならぬことを言われましたから、この点釈明いたしたい。それは聞きようによっては大したことはないのですが、総理は、見通しはよく当たっている、木村さんの見通しは当たらぬ、こう言っている。しかし、私は、終戦直後のインフレについてははっきり見通しを当てた、当てたというのはおかしいが。昭電疑獄についても私は一カ年前に指摘しました。私の言うことが当たらない方が幸いなんです。私は当たらないことをむしろ幸いと思うのでありますが、あげ足を取るようで妙でありますが、私はやはり権威にも関しますからこの点を釈明しまして、質問を終わりたいと思います。 —————————————
○委員長(館哲二君) 村松久義君。
○村松久義君 私は時間の制約がありまするので、問題を農業政策にしぼって質疑をいたしたいと存じます。 幸いにしてただいま農林大臣より所得格差に対する方策を承りました。第一は、生産の増大という点、第二は、労働生産性の向上、第三に所得の需要における弾性値を向上せしめる、もう一つ何か承りましたが忘れましたけれども、従いましてそういう具体的な御意見を拝聴いたしましたので、時間を節約する意味において、問題をそこから始めてみたいと思います。ただし、批判の対象になりますのが十年後の農業の姿そのものにありまするので、まず最初に総理大臣より十年後における農業の位置づけと申しますか、あり方と申しまするか、十年後にはかくあるであろうといったような見通しを一つ御発表を願いまして、その御発表に基づいてただいま農林大臣の言明を中心として進めて参りたいと思います。このことは結局農業における産業構造の改革の問題であり、また所得格差の解消の問題でありまして、その具体的な方法について私の考えておりますることを申し上げつつ、政府の御意見を拝聴したいと、かように思っておるのでございます。 まず第一に、農業の十年後における鳥瞰図と申しましょうか、首相の考えておられることを御発表願いたいと存じます。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほども申し上げましたように、所得倍増というのは、そういう構想でいくのでございまして、要は国民全体、ことに農業問題につきましては、農民自体のおきめになること、われわれは農民の方々の所得が二倍、三倍、四倍になるように、いろんな施策をしていくわけでございます。で、これは法律でこうせい、ああせいと言うことではございませんので、十年後にどうなるかということは、今後の施策のよしあしによることであり、そしてその施策に農民がどれだけ御協力いただけるかということで結果は変わってくるのでございます。それじゃあ何にもならぬじゃないかと、こうおっしゃいまするが、われわれの構想といたしましては、何といたしましても、第二次、第三次産業とは生産性の向上がもう宿命的に農業は落ちるのでございます。いかにいたしましても農業の生産自体を倍にするということはなかなか困難でございます。そうすればどのくらいになるかということになりますと、私はよくいって生産が五割ぐらいふえればいいんじゃないか、一応の目標として。五割もなかなか相当でございましょうが、まあ農産物の種類によっても違いましょうが、全体として私は五割程度ふえれば相当なものじゃないか。そうしますと、五割ふえた場合において所得を倍にする場合においては、やはり農業人口がそれだけ減っていって、そして生産性を向上さすようにしていかなければならぬ。そういうようにしていきますと、第二段において、それじゃあ農業から離れていかれる農民の方々はどこへいくかということになると、片方の第二次、第三次産業にいくと、そこで農地を離れにくいという場合におきましては、自分のところから工場へ通えるようにしていこうと、こういうのでございまして、その姿全体としては、私は今申し上げたようなことになるだろうと見ておりますが、一にこれはやはり政府の施策と、そうして国民全体、ことに農民の方々のお考えによってよほど型が違ってくると思います。従いまして農業基本法を制定いたしまして、その地方、そのときどきによってそういう方向へ施策を持っていきたいと考えておるのであります。
○村松久義君 結局今伺い得た範囲は、農業生産の五割増、農業就業人口の半減といったような、まあそういう大体のところを伺いました。その場合にそれがほんとうに所得の増加に、また所得均衡と申しましょうか、所得均衡になるのかどうかということは、これは農業経済の特殊性をよほど十分にお考えの上に、その対策を講ずるというのでなければ、おそらくそのことは達成不可能であるという点を私は一番心配をいたします。農林大臣の先ほどの生産の増加といったようなお話もございましたけれども、生産の増加の裏には、これはもう非常な資本と申しますか、物財の投下量が極端にふえるようになる、これが農業の特殊性なんです。数字をあげて申しますればおわかりになると思いますが、まあ大体私はまるい数字で申し上げますが、三十年のときには一番の農業生産の増加したときでございます。しかしその場合に二十五年と比較をいたしてみると、物財の投下量がほとんどもう倍になっております。 〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕 つまり資本投下が倍になっておりまして、その場合において生産の増加はどうであったかといえば、ようやく二割なんです。つまり、日本の今の農業生産の大部分は、まだ未開発のものはありまするが、大部分のものはこれはもういわゆる農業経済で申しまする収益の逓減と申しましょうか、その逓減の法則にもうどうしても抜け切れない状態になっておる。従って二割の増産をいたしまするために、物財の投下量がほぼ倍になっているというのが現状でございます。従いまして、そういう場合におけるいわゆる資本効率の低下は、もうすでに同期間において六〇ぐらいになっているのでございまして、こういうのが生産の増加の正体なんでございます。従って生産の増加をしようといたしますると、特にあるものに関しましては、これはもう非常な損失を来たす、農民の側から申しますると、コスト高を生ずるのでありまするからして、従って生産の増加をしたということだけをねらって、それで、それが所得が均衡になるんだという考え方自体がはたしてどうであろうか、これは農村に実際に常に出て参りまする私どもが、農村の方々からも始終承っておるところであり、また農業生産の理論とは全く正反対であるということを常に私どもは感じておるのであります。従って、生産の増加が所得の増加を来たすものであると、あるいはそうさせるんだとお考えになるならば、この収益逓減の法則をどうして克服なさるかという点を、これをまずはっきりしていただきたい、これを農林大臣に承りたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) お話しの点はもっともなんです。だから私どもは新しい方向に向かっては、近代化という言葉を一口に言っておりますが、この中に入る仕事としては、あるいは基盤の増強なり、大きく機械化並びに農業技術の導入というようなことを考えております。今、土地というものを中心としての生産が農業でありますから、当然農業技術等をそのままにしておいて、そこにいかに過剰労働を投下し、また資本を投下しても、ここに土地収穫逓減の法則があるということは、これは御指摘の通りだと思います。だから、従来のままではいけないのであって、そこに新しい技術の導入をし、しかも資本の投下におきましては、お話しのように相当要りましょうが、それに対しては別個新しい——たとえば今度の予算等に表われましたる部分は、農業近代化資金融通法案というようなものを出して、資本装備等をやらせる場合における資金の面を考えてやりますとか、あるいは御指摘のように従来の生産というものは米麦中心であった、しかしそこに新しい方向としては、単に生産を伸ばしふやすという物量の増産だけではいかぬということは御指摘の通りでございます。そこに合理的なコストの面を考えて、収穫逓減の法則によって投下資本に比較して受け取りの収益が少なくなるということを避けるがために、新しい方向に、畜産、果樹というものに転向させるように持っていくということは、新しい行き方です。その間について土地に関する収穫逓減の法則を除く問題としては、新しい農業技術の導入ということによって、同じ土地でももっと収穫逓減の法則を延ばす私は方策は必要だと思うのであります。
○村松久義君 新しい技術が現在の段階において何が考えられるか、まあその空の新しい技術を持って参りまして、新技術によってこれが克服されるのだと、こうおっしゃられるなら、私何にも申し上げません。事実生産の増大を来たすべき新技術なるものが、これはもうたびたび試みられておる。しかし、それもほとんど成功をいたしておりません。ことに、今までの新技術による生産の増大というものは、狭い単位面積における技術なんです。これは今農相の言われる通りの拡大したる土地における技術というようなものをもし予想せられておるならば、これは私は現在の技術はないと申し上げたい。それをもしあると仰せられるならば教えていただきたいのですが、先般もある県において、いわゆる省力栽培をいたしまして、パイロット農場において麗々しくこれを行なった。しかしそれは事実成功をしておりません。あるいは密植栽培というようなものも今までいろいろ試みられました。しかしながら、これにはまたこれの非常にコスト高になるような欠陥を持っております、現在の段階において。従って単位面積当たりにおいて今まで試みられましたところの技術というようなものが、これが次の農業法人化したところの、経営規模のまた大きくなったときにこれが当てはまるのだと、たやすくお考えになるならば、これは大きな失敗をなさるのではないだろうか。むしろ私は、生産の増大という点は、これは二の次にして、もう少し直接に所得を増加するような農業政策をとられるということの方が、より適切なのではないだろうかという点を私は考えるのでございますが、もし新技術によって今の収穫逓減の法則を排除できるような道がございますれば、一つ御発表を願いたいと存じます。
○国務大臣(周東英雄君) 専門的に御研究のあなたの御意見拝聴いたしますが、私どもは、一律に単位面積の収穫量を上げるための技術の導入ということだけを考えておりません。もとよりそれもございます。たとえば、新しく考えておるような水田酪農というような問題、酪農と水田経営というものを交互に考えていくということは新しい行き方である。また御指摘の省力栽培ということは、これは成功しなかったというお話でありますけれども、成功しておるところもございます。これは地域的によほど考えていかなければならぬ。どこもかも一律にそれをやっていくという考えではございません。しかし、少なくとも省力栽培をやるということについて、小さい面積ごとにやっておったんでは、これはだめであって、場合によってはそこに耕地の集団化ということをやって、そうして耕作振興ということに対しては、これを共同にやるということが一つの方法であります。そこに中型トラクターを持つか、大型になるか、これなんかは機械化と技術というものを一緒に考えていかなければならぬ問題である。しかし私は、そういう単位面積からの収量を上げるにつきましても、これはいいからさあ全国一律にやるということではいけないと思う。そこで新しい問題としては、現在府県にありまする農業改良普及員の人々に対してもっと積極的に特技を教え込む。果樹畜産等をやらせるために、農業技術を導入させる場合において、機械の使用方法の指導というような面をやらせることが必要である。ことに、水田酪農というものにつきましては、そのやり方については、模範的な経営方法を地方においてこれを指導していくということも考えていく。安易には考えておりませんが、これが不成功に終わるとは考えておりません。また農地の面で、単位面積だけではなくて広い面積にやるという問題については、新しく伸ばせるところの畜産等に関しましては、これは新しい技術ももちろん、経営方法についての指導面、これは従来の関係からいえば、個別的に少量の経営といいますか、少数飼育で副業的になっておった場合、今度は多頭飼育というものを考えつつ、ある一カ所に主産地形成をやりつつ、そこにまとまった形において農家の生産を上げさせて、それを商品化率を上げる方法をどうしてもやらなければならない。そうすると集団的な草地の改良という問題を大きく考えて、集約牧野、草地の改良その他各種の方策を講ぜんとするのが要点であります。これはおのおの大きな場面、小さい場面における各種の技術の導入ということが、御指摘の収穫逓減の法則というものをもう一つ防除しつつ生産を上げるということに私はなると思う。今御指摘の、まず生産を上げないで所得をふやすことをせいということであります。いろいろこれは価格問題等をお考えかもしれません。しかし、要は積極的に収益を上げるということは、まず売れるべき需要のあるものを作って売って、積極的に売れるということを考えるべきであって、それには将来の需給の見通しに立って指導していくということが私は必要だと思います。
○村松久義君 成長作物といわれるものと、それから収穫逓減の法則を現実に受けておるもの、これはもちろん区別して考えなければならぬ。しかし、今私どもの考えの重点は、何といっても重要農産物といえば、もはや収穫逓減の法則が作用しつつある。成長作物に関しましては、これは別個の方法をとるべきものなんです。従いまして、この点は私今論外にいたして、後にこれは論じたいと存じます。 そこで、今の集団化の問題、あるいは経営規模を拡大して、そこにトラクターを入れるというようなお話もございましたが、それには、そこに達しまするにはいろいろな隘路がある。それができたものとして御計算になると、これは所得均衡が一体何年後になるのであるか、かなりここは時間的な問題として非常にむずかしい問題があるのでございます。ある人が農業の所得均衡の問題を論じまして、ちょうどこわれかかっておる時計、それのゼンマイを直し、竜頭を直すについて、時計を一刻もとめちゃ困るというような、そういう条件で時計の修繕をしなければならぬところに非常にむずかしさがあるといわれたので、私は十分、農業政策を考えていきます場合においてはこの気持がなければできない。生きている農民なんです。従いまして、もうすでに経営規模の拡大ができたような、そういうおつもりで、あと新技術を入れるのだ、こういう気持でなしに、新技術自体が、私先ほど申し上げましたように、現在において大経営における新技術はございません。まだそこまで発達いたしておりません。しかし発達しませんでも、とにかくそれを大経営に入れていかれることもけっこうでございましょう。しかしながら、そのことの前に、もうすでに集団化したようなお考えにならないで、どうすれば集団化するかということに関して特に一つ御考慮をいただきたい。と申しまするのは、離農をいたしますその場合に、土地が集団化されまする条件としては、離農をした人自体の生活が安定をしなければならぬこと、土地が非常に高く売れなければならない。買う方から申しますと、何といっても大きな資本が要るのです。計画にありまするように、かりに二・五ヘクタールの百万戸を造成しよう、これはもうこれだけですでに数千億円かかるのでして、数千億円が出れば、今のあなたの御議論が、そこへ新技術を持っていけばいいんだということにもなりましょうけれども、しかしそこに至りますること容易ならざる事態において、その場合において生産を上げるということだけで、それ自体が矛盾を持っておりまするところに、それによって所得均衡を解決しよう、格差を是正しようということは、あまりに大きな飛躍じゃないだろうか。むしろ私はこの場合においては、所得均衡をするためには、どういう方策をまずとって、一刻も死なせないような考慮をしていった方がいいかという、そういう問題についても一つお考えをいただいて、その点についても農林大臣の御所見を拝聴いたしたいと存じます。こう申し上げますと、かなり抽象的になるのでありまして、後に企画庁長官の方にもお尋ねいたしたいと思いますが、要するに農業基本法において私一番気に入った点がある。それは生産条件及び交易の条件において不利があればこれを補正するんだと。生産の条件の不利といえば申し上げるまでもなく、今の収益の逓減が顕著に働いておる。そのことを不利なものに対して補正をするというところに、この農業基本法の精神があるのです。交易条件の不利と申しますると、要するに価格問題、従ってその不利を是正するということにまず第一の主眼を置いて、しかる後に今の計画を着々お行ないになりませんと、経営規模がすでに拡大したように申しますが、もう拡大いたしまするためのその資金だけでもこれは容易なことじゃない。従いまして、私は、この場合において生産条件の不利を解決し、また交易条件の不利を解決いたしまするために、何を一体重点を置いて、そこに力を注げばいいんだということについて、これは一つ農林大臣のお考えを承りたい。私は、伺いまする前に申し上げますが、やはり物価における——私はこれを所得均衡の価格と申しますが、所得均衡価格を形成するための総合的の物価政策というものを、これをまず最初にねらっていかれたらどうだろうか、こういう考え方を持っておるのでございます。一応御意見を拝聴いたしたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) お話を伺っておりますと、何だか集団化とか、大きな規模になったということを前提に置いておるといいますが、私は、そうしたいというのが今度の農業基本法の眼目です。だから、それは並行していくべきだと思います。各農業者の農業基盤というものを、今のような過小農経営で過小の耕地をやっている、それをそのままにしておいてはいかぬのじゃないか。まずこれを生産を上げるためには、所得を上げるためには、生産基盤を拡大していくことが必要であるということ、それは容易なことであるとは思っておりません。それに、それぞれの生産基盤拡大に伴う財政的措置なり法制的措置をとろうというのが基本法の規定になる。だから、これからやるのです。今のままではいかぬ。その上に立って何を考えるかといえば、やはり何といっても私は、将来における需要の見通しの上に立っての作物の生産を指導していくということでなくちゃならぬ。しこうして、それに対しては、でき上がったものは、生産条件の不利ということは、単なる収穫逓減の問題だけでなくて、それは天候に支配され、自然的条件が支配するとか、腐敗製品であるとかという取引上のいろいろな問題、こういう問題を是正するのでありますが、とにかく、その生産したものを、そういう不利があるために買いたたかれないように、合理的に売られるようにという措置をとるというのが、今のあなたの御指摘の生産条件とか交易条件の不利ということに対する是正措置なんです。それにはもとより価格の問題も入りますけれども、初めからでき上がったものが、よくいわれるように、生産費補償方式とかいわれる形で全部の農産物を支持せよということは、ちょっと実際に合わぬのじゃないか。やはり問題は、これからの農村を指導していくためには、需要に見合った生産をさせ、作ったものが売られないでしまいになるような、肥料代も取れぬような形に持っていかれないように、まず生産を調整、指導していく。そうして、あらゆるそういういろいろな施策を考えても、なおかつ条件——たとえば自由化に対する措置というような問題に対して、ある程度価格を保障していく、支持していく、あるいはそれに対して関税調整を行なう、あるいは輸入の制限を行なって保護していくという場合がある。最後にやはり価格の問題が出て参りますが、その価格というのは、あくまでも、何でもかんでも一応価格支持政策をやって、それでもってやるということになると、時に需要と合わないで、ただ戻ってくるということになると、終局において私は農民に損をかけるということになるということはいけない、こういうふうな考え方でございます。
○村松久義君 どうも私とあなたの距離が非常に遠いように思いますが、価格問題というものは一切の前提になる。たとえば経営規模の拡大をしたいというときに、あなたは適当な、あるいは合理的な価格とおっしゃっています。しかしそれは一体何であるか。現在のたとえば野菜にしても果実にしても、これは生産費さえも償わないときが多いのです。そうして非常な価格の値下がりをしているときがあるのですが、これ全体を見ましても、せいぜい保障せられている価格というものは、全部を合わしてみまするならば、結局単純再生産のできる程度の価格、こういうことになるでしょう。単純再生産のできる価格というものは、結局、もう経営規模の拡大とかというようなことは考えられないものなのです。従って、どういう価格を保障するかということが、経営規模の拡大の前提なんです。もっとも、政府がただ貸すというなら別ですよ。しかしそういうことの不可能なことは私ども知っておる。従ってこういうように、みずからの農民の力によって、農家の力によって経営規模の拡大ができるということは、これは決して単なる生産の増加だけではできない。もうコスト高に必ずなるにきまっています。そういう場合においての価格というものは、結局農業基本法においてねらっておるところの所得の均衡を得るような、そういう価格をいかにすみやかに作るか。これは総合的に作っていかなければ——市場は保護せられましょう。しかしながら総合的には、これは全部はできないとおっしゃるのですけれども、少なくともその心組みでおやりにならなければいけないのです。価格の体系においても、米においては生産費及び所得補償方式でいっている。農産物の価格補償方式においては、これは実際に生産費を無視して、需給の関係でいっております。そうして野菜や果実等に対しては、これは結局野放しなんです。そういうふうに、農産物自体の間においてさえも、そこにはかなり均衡を得ないような状態であって、それでいいか悪いか、私はほんとうに所得の均衡を目ざすならば、価格の政策において均衡を目ざすような、これを一つ総合的な体系をお作りになる。その体系がなければ、経営規模の拡大もむずかしいと見ております。これは果実を例にとって申しまするならば、これには非常に御苦心をなすったことは私知っております。しがしながら、果実を考えてみましても、これはどうしたって経営規模が二十町歩とか三十町歩とかいうものが、これは単位経営規模になるのです。その場合において、どうしてこれを入手するかということになってくると、これは非常に大きい金が要るのです。四、五戸だけで集まってやりましょうといっただけでも、施設には五百万、千万とかかるのです。いわんや土地を入手する、しかも現在の農業金利というものは、一生懸命に商工関係においては、これはもう金利の引き下げが行なわれておりますが、農業においては、今度の処置によって六分五厘程度までしか下がらない。それも全体が下がるわけには参りません。七、八分の金をもって、これでもって初めから借りてやるのだというようなことになりましたならば、これは初めから経営は成り立たない。そういうような事態があるのですからして、そこで物価の問題とか、農業生産物の価格の問題とか、あるいは金利の問題とか、そういうものについて十分な考えがまず先行しなければならぬ。これが先行しないで、そうして経営規模の拡大を言っても、言っただけでは、これは空論になってしまう。従いまして、私は先行すべきものとして、まず価格政策について、これは一つ経済企画庁の長官に承っておきたい。 総合的に、いかなる価格体系が農業経済において適合するか、適当であるかという点について、一つ考えを発表していただきたい。
○国務大臣(周東英雄君) その点は、私は初めから、これから作ります農産物の価格をきめて、それを安定させるということにもっていくことはなかなか困難だと思うのですよ。私は、やはり、価格の安定をさせていくということは、農業基本法の目標なんです。しかし、安定さすべき水準をどこに置くかということは、そこに生産事情あるいは経済事情を参酌して考えます。その生産事情の中には、もとより生産費などの問題を一つの要因として組まれるということははっきり申し上げております。しかし、それは常に需給事情なり、全体の経済事情の中から考えて、まずそこまで高価格にきめて支持するということにすると、かえって私は農務者を誤ると思うのです。 それは十分に考慮のうちに入れなければならぬし、それらのことから考えまして、収益をどういうふうにやらせるかということに対しては、果実なり、いろいろな問題について、作付転換をやるような場合におきましても、その基盤となるべきものの農地の取得とか、改良とか、草地、牧野の改良とかという、すべての問題に対しては、これは政府の財政資金も出まするし、また、投融資関係においても、今度できるだけ低利な金を長期に貸す。これにつきましては、もう御承知の通り、小団地、開墾地等において三分五厘の金を出している、あるものについては五分五厘の金を出しているというようなことがあって、長期据え置き期間というようなものを考えてやっていく。しかしこれで十分だとは考えておりません。今後における問題として、政府があるものを指導するについて、総合的に施策を立てなければならぬし、その立てられる施策は、長期見通しの上に立って立てて、立てるについて財政的、法制的な措置をとり、また、金融上必要な措置をとると言っているのはこれであります。私は、今すぐに、あしたの日からとるということは、これはなかなか困難であります。これらは農業基本法制定の暁、順次、必要な施策に対して必要な財政的措置、または金融的措置、法制的措置を考えていくわけであります。 御指摘のように、なかなか農業問題はむずかしいのですけれども、あまりせっかちには、過激にはいかないのであります。それらの御指摘の点は、私ども十分に考えて、今後における農業金融に対する金利の問題をどこに持っていくか。今よりもっと下げたいという気持はあります。同時に、また価格の問題についても十分に考えて、不利を与えないような、合理的な価格でありますが、それは常に生産費所得補償方式ということだけで全農産物を一律にきめていくということは、これは困難でもあるし、事実不可能だと思います。特に、よく生産費所得補償方式と隆々しくおっしゃいますけれども、まだこれは熟しておりません。米についての問題はありますが、今、価格支持——農産物価格安定法等に現われている点、あるいは繭糸価格安定法に現われている点、すべてこれはいろいろそれぞれの産物に対しての価格支持安定方策を講じておるのであります。すべてが生産費所得補償になっておらぬ点は、これはそれぞれの問題が困難性を帯びているからであります。
○村松久義君 私は支持すべき価格というものを、一体どこに置いておるかということについて、今日までの経過を見て、私不安に思ったので、あえてこの質問をしたんですが、例をあげて申しましょう。 どうも消費者の攻勢にあうと、農民保護の立場にあるべき農林省も、いつもあわてていらっしゃる。昨年、あの豚肉の価格の高騰がありました。そのときには、もう緊急輸入だといって、この緊急輸入をもって豚肉の価格を下げたということ。これは私たちから見ると、豚肉のあの当時のあの価格というものは、合理性を持っておったと思うのです。何を急いで、農民の、せっかく今高くなったという、そういうときに下げなければならぬのか。これはまた、先般、企画庁長官の話を私承っておったのですが、現在高くなっておるのは、木材と食料品と繊維と公共料金なんだ、その食料品の高いというものも、たとえばとうふを例にとっておられました。これは手間賃が上がったのだから、これだけは容認しろといった、非常に謙譲の美徳を発揮しておられましたが、この食料品の値上がりという声が、一体農村の農産物価にどんな影響を与えていますか。何にも上がっていったのじゃないのですよ。農産物価格が上がっているのじゃない。そういう場合において、むしろ大豆の場合は、これはとうふの原料の大豆の自由化の声におびえて弱含みである、決して農産物価は上がっておりません。それが食料品であると言うので消費者が攻撃すれば、これを抑えつけてしまう。そうして、これが結局において、かえって大豆の価格を下げるような形にすぎませんで、けつこうでしたけれども、これは後に例の交付金の問題においても、二千六百円といったようなめどでやったならば、これは下がりますよ。そういうような場合に、われわれはいつも農産物価が当然に高かるべき場合においてさえも、あわててこれを抑えつけておるのだ。 同時に、その反面を申しますと、どうも金が出たときに、これは全部消費者のために保護しておるにかかわらず、いかにも農業保護のような形をとって農林省が進んでおられる。 米の場合においても、これは赤字が、今年も三百六十億ですか、麦と合わして三百九十億——これは一体、だれを保護した金なんでしょう。こういう場合に、これは農民の保護なんだというふうにお考えになるが、そうじゃないのです。所得補償方式、あれは正しい価格でございます。従って、その正しい価格で売っていくべきものなんです。それをわざわざ二重価格で安く売っておるということなんですから、こういう場合には、消費者の保護のための赤字なんです。そういうものの考え方をせずして、高いと言われれば、すぐ押えつけてしまう。そうして、正当なるべき価格さえも、くずしてしまうおそれがあるのです。 そこで私は、そういうくずしにあわぬように、この場合においてはっきりと、いかなる価格水準のものを、いかなる基準価格を支持なさるかということを私ははっきりしていただきたいと思う。 〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕 農産物価については、これは申し上げませんけれども、二十六年を一〇〇といたしまするならば、二十八年はピークでございます。そのピークから三十年、三十一年、ずっと下がってきておるのです。幸いに支持価格であるところの米麦だけが、大体の水準を保っております。その他においては、これは非常な下落なんです。統計でごらんの通りなんです。これは、常に農業経済において支持すべき価格というものについて、その信念がおありにならない。基準を持っておられないのです。必ずしも全部が全部私は所得均衡の価格にしろということじゃございませんよ。しかしながら、とうふが上がったと言っちゃどうの、あるいは豚肉が上がったからどうのといったような、そういう形において消費者の——これは消費者が、合理的な価格なら私は負担するのが当然だと思う。負担のできるような物価体系というものを、一つ根本的にお考えいただきたいと思うのですよ。従って、合理性を持っておる価格ならば、消費者もこれを負担できるように、負担をすべき考え方を持つのでなければ、合理的な価格さえも、農林省はこれを維持してくれないということになるのです。 従って、いかなる基準価格が支持せられるべきかという問題については、これはもう一度、一つお考えをいただきたいのです。必ずしも政府が支持しろというのじゃございませんよ。基本法にもありまするように、地域的において、それのいろんな方法があるのです。ただ、いろんな方法がありますが、また、政府の支出を要しない方法も幾つもありまするけれども、どの価格を支持するのだという、これは一つ政府として、明確な線を出していただかないと——そのものによって違ってけっこうです。そのものによって違ってけっこうですが、何らかの基準を示さないで、ただ消費者が高いといって、おしゃもじをかついでくれば安くしてしまうのだというのでは、せっかくの農業の所得格差を消していこうという、その政策に合わないこと、はなはだしきものがあるのでございますから、この点は一つ十分にお考えをいただいて、今後それに対するどういうお考えを持つか、これを一つ御発表をいただきたい。
○国務大臣(周東英雄君) その点は、私は御意見に別に異議はございません。私どもも、先ほども申し上げたように、農業基本法の示すところも、つまり生産事情及び経済事情を考え、しんしゃくして合理的な価格で安定させていきたい、これは個別的に今どれは幾ら、どれは幾らということは言いますまい。また地域的にも違います。ことに私は、先ほど御指摘のあった果樹だとか蔬菜なんか大へんだというお話でありました。これなんかは、やはりああいう腐敗商品で、市場の状況も考えずにどんどん作っていくということにも、ある程度自主的は調整も必要だと思う。しかもそれに関連しつつ、やはりおのずから合理的な価格というものがあるわけですから、その点で、私どもは安定させていきたいと思います。その点について私どもは別に非常な不利を農民にかけたくない、これは私どもも最終的の価格をいかにどの点で安定させるかということは考えていきたいと思います。 ことに先ほど豚肉とか、あるいはとうふの問題を御指摘になった点は、私はその通りだと思う。むしろ私は高くなって、これはもう消費者のために需要供給のバランスが割れてきておるのですから、そこで数量を入れて、消費者にはかったということは一つの行き方であったと思うのです。しかしそのことは、あなたの御指摘のように、決して農家の手取りは上がっておらない、ふえておらないという御指摘であった、そういう面は消費者のために必要な関係で、需給の調節をやる必要は政府としてはあるけれども、生産者と小売価格の差というものに、どこにメスを入れるべきかということは、これは流通形態について、今後は農林省は農家のために十分考えて、合理的な提案をするようにしなければならない。これは品目別に申し上げる時間ございませんが、だんだん物が高くなっていくしわ寄せが農家にきて、農家が少なくなって、真ん中の、中間機関の手取りがふえていくという形は直していかなければならない。これは私はやはり価格安定政策の一つだと考える。 これらをあわせ考えた上で、さらにそれに対する安定すべき価格水準をいかにするかということは、個別に考えていきたいと思います。
○村松久義君 どうも合理的にとおっしゃる合理的価格というものの基準が、どこにあるかということを承っておる。合理的にという言葉の魔術もございましょうが、私たちからいうと、これは消費者のがまんすべき程度のものは、これはがまんさせるという態勢をとらなければいけない。また一方に所得の均衡の政策は、これは意欲的なものです。その意欲的な政策を実行なさるためには、やはり一つの合理性を持つところの基準をどこに求めるか、これは腹をきめてかかりませんと、そのつど合理性が違ってくる、内容がそのつど違って参りますると、これはいつも、おしゃもじによってどうこう言われるのです。 ことに消費価格におきましては、賃金の高騰というものと、これは密接不可分なものなんです。私は非常に重要性を持って関連があると思っております。従って、そういう場合における消費者価格が上がったというような場合において、これをなぜ押えて農民の経済に対してしわ寄せするのだ、これは、私にはわからない。これは、実例がたくさんあるから申し上げるのです。また合理的な価格というものは、これはどちらかといえば、その地方地方でこれを行なうべきなんです。その地方地方において行なうべきそのやり方に対しては、政府は基準をきめて、そうしてある程度の助成をするなり……。助成しなくたってりっぱにやっておるところもあります。たとえば福井県には、夏カンランのあのやり方の基金制度、不足の場合、値下りの場合における基金制度なんかを、りっぱに作っておるのですから、これは政府の負担にならないのですよ。しかしその合理的な価格というものは、これは一つ基準を示していきませんと、これはとてもその地方だけで勝手にやるわけには参りません。 従って合理性というのは私から申しますと、どうしても均衡価格であるということに、これは重点を置いて考えられる。軟弱な野菜についてはできないと仰せられるが、そんなことございません。事実やっているところがございます。従って、こういうものについても、一つ広くお考えいただきたいと思います。 そこで最後に、時間もなくなりましたから、大蔵大臣の一つ意見を拝聴いたしたいと思いますが、今のこの予算なんですが、この予算において現われておりまする農産物価格対策の費用、これは非常にふえました。二三%にふえて、昨年が八〇%だ。これは私非常に喜んで見たのですが、その内容は、米麦に対する中心主義なんです。他の価格に全然及んでおらないのです。従って将来合理的の価格というものが、ここに設定せられます場合においては、この方面にも、一つ力を入れていただきませんと、せっかくの所得均衡の方式がくずれてしまうということを第一に考えます。 それからもう一つの問題は、たとえば果樹の場合におきまして、これは非常に広大な面積を要するのです。十町歩、二十町歩、これが基準なんです。従ってその場合に、新しく果樹をやろうというときには、どう考えても、これは金融という方面において考えていただかなければならぬのみならず、いわゆる桃栗三年、柿八年なんです。果樹の場合においては、その生産の上りまするまでには相当の年数を要するのでございまして、従って金融における条件というようなものは、これは他のものとは、根本的に違わなければならぬと思います。従ってこういうようなことについては私は農産物価格政策は、これは総合的におやりを願いたい。同時にこの金融に関しては、それぞれの個別的の特徴がありますから、その特徴に応じてやってもらいたい、こういうように考えるのでございまして、来年度の予算、今後の予算の方針、あるいはまた金融関係において、いかなる御所見を持っておられますか、承りたいと存じます。
○国務大臣(水田三喜男君) 農林関係の金融は、御承知の通り融資の対象別によって政策的に考慮されておりまするので、みんな一律ではございません。従って一番安い金利は三分五厘までいっておりますし、期間は最長が三十年というところまでいっておりますので、非常に最高と最低との幅をもって今運営をされておりますが、結局今おっしゃられましたように、融資対象の性質によって適当に金利をきめていくということをするよりほかには方法がないだろうと思いますので、今後は、そういう方面に十分問題を検討をして参りたいと思います。
○委員長(館哲二君) 時間がきておりますから……。
○村松久義君 それでは結論を申しますが、要するに私、農林大臣の言われたこと、生産の増強とか、あるいは生産の増大という言葉は、この際私は使いたくありません。要するに農業政策の今日の方針としては、生産性をふやしていくと同時に、収益性をふやさなければならぬ。これは同時に並行しなければならぬのですが、これはお互いに矛盾しております。その矛盾しておるものを、どこで調整をとっていくかということが、今後の農業政策の成功不成功の分かれるところと思います。共通いたしておりまする点は、何といっても農産物価の価格政策において、これはぜひ一つ統一性を持っていただきたい。その合理性と言われるその基準をはっきりとして、その線に向かって体系づけ、それに対して処置をしていく、同時に金融に対しましては、これはもう個別的に非常に差があるのですから、果実の場合においても、ただ、差がありますというだけじゃなくて、これはもう、十数年の間は生産ができないのですから、そういうようなものにおいての長期金融なりあるいは金利等に関しては、これは特段の考慮を払わなければできないのですから、そういう差別の大きい農業生産に対して、それに適応するようなおのおのの政策をとっていくという、それを一つ根本方針にして進んでいかれんことを私は希望いたしまして、私の質疑を終了いたします。
○委員長(館哲二君) 速記をちょっとやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十三分散会