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38回国会参議院1961/02/16

予算委員会 第4号

発言数
358
登壇者
31
会派数
3
開催日
1961/02/16

会議録

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。  二月十一日、須藤五郎君、十三日、二見甚郷君が辞任され、その補欠として岩間正男君及び塩見俊二君がそれぞれ選任されました。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 去る十三日の委員長及び理事打合会におきまして、昭和三十五年度予算補正第2号及び特第2号の取り扱いにつきまして協議を行ないましたので、その内容について報告いたします。  二月十六日、十七日の二日間で議了すること、質疑時間は三百六十分として、各会派への割当は次の通りであります。自民が百三十五分、社会が百三十分、民社が三十分、無所属クラブが三十分、同志会が二十分、共産党が十五分、質疑の順位につきましては、今回の補正のこの審議に限りまして、社会、自民、民社、次に社会、無所属クラブ、同志会、共産、社会ということにすることにいたしました。  以上でありますが、ただいま報告いたしました通りに取り運ぶことに御異議ありませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第2号)、以上二案を一括して議題といたします。これより質疑に入ります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 質疑に入る前に、ちょっと議事進行について簡単にお尋ねしたいことがございますが、よろしゅうございますか。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) よろしゅうございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この三十五年度の第二次補正につきましては、御承知のように、衆議院段階におきましても、財政法違反ではないかという疑義があるというので、非常にもめたわけです。政府側も疑義があるということを認めまして、そして財政法の附則第七条に基づく財政制度審議会を開いて、そこで検討するということになったのですね。これは、委員長も御承知の通りです。そこで委員長は、この議案につきまして、この補正第2号が財政法違反の疑義があるというお立場でこれを諮っておられるのか。その点について明確にしていただきたいと思うわけです。疑義があるとすれば、政府側も疑義を認めて、わざわざ財政制度審議会を開いてその結論を得るということになったのでございますから、また、時日もございますので、この結論を得て問題を処理するということにするのが合理的ではないかと思うのでございます。参議院は良識の府と言われております。そういう立場から考えましても、質問は私はこれから続けたいと思いますが、議事進行上ですね、しかし、討論採決につきましては、あしたというわけにいかないと思うんです。至急政府はこの財政制度審議会の結論を出すべきだと思うのです。時日があるのですから、結論を出して、疑義があるかないかはっきりしまして、疑義がないといえばないで、また疑義があるというなら、これはもしそういう結論になれば、われわれは、財政法違反の疑義があるのに、これを審議し、そして議決したということになれば、これは後々までも非常な悪例を残すことになります。そこで、委員長にお伺いしたいのは、これはあした討論採決するわけにはいかないのではないか。この点について、委員長さんはどういうふうにお考えかということが第一です。  第二は、財政制度審議会に諮ると言われますが、この委員の顔振れは、大蔵事務次官が会長なんであります。そしてほとんどが大蔵省の役人ですよ。専門家としましても、経理関係の専門駅はおられますが、財政制度に関する専門家は一人も入っておりません。こういう審議会で、この財政法違反であるかないか、これを諮問しても、これは私は意味をなさないと思うのです。ですから、政府が諮問する場合に、この委員会の委員のメンバーは、これは変えるべきである。そして財政専門家を入れて、そして国民の納得できる結論を出されるべきだと思うのです。やはりこの委員につきまして財政専門家を入れる。そして至急この結論を出してもらうということにする。  この二点について、委員長さんはどういうふうにお考えか。この点をまず明確にしていただきませんと質疑に入れないわけであります。議事進行上、委員長に御意見を承るわけです。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 委員長としましては、これは一応政府から提出されておりますので、本委員会で皆様の御意見、御検討の上で事を進めていきたいと思います。そして今までの経過などにつきましては、今大蔵大臣から発言を求められておりますので、一応大蔵大臣の説明をお聞き取りを願いたいと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 ただいまの質問は委員長になされておるのです。議事運営についての質問なんです。それを大臣に御答弁を求められているのはおかしいのです。そしてまた、委員長が単独にそこでそういう発言をされるのもおかしいと思う。こういう事態の違った、しかも非常に疑問があるということを、質問者が質問に入る前に出されたならば、理事会なら理事会を開いていただいて、そこで検討すべきものじゃないかと思うのです。何も大臣に答弁してもらう必要はない。そこは、委員長が独断で、そこでそういうふうな答弁をされるのも困る。大臣に答弁してもらうのも困る。だから、理事会を開くかどうかという答弁をはっきりしてもらわなければ困るのです。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 委員長といたしましては、理事会でこれを議題にして、本日から御審議を願うということでありますので、その順序に従って取り計らう。今、木村さんの疑問につきましては、理事会でも問題は触れておりません。理事会では、議事の取り運びについて進めてきたわけでございます。そして今、木村さんの持っておられる疑問につきましては、衆議院でも議論がありました。その際大蔵大臣の答弁もありました。大蔵大臣が特に発言を求められておりますし、特に第二の問題につきましては、これは大蔵省側の御意見も聞かなければならぬ問題であると思いますので、大蔵大臣の一つ意見を聞いていただきたいと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それはおかしいというのですよ。議事運営についての質問なんですよ。議事運営に対しての質問にどうして大臣の答弁が要りますか。議事運営をどうするかという質問なんですよ。これは議事運営で、こういう疑義があるから、だから採決その他のやつは待ってもらいたい、質問は入りますと、しかし採決その他には、こういう疑義があるから、だから、今まで理事がきめてきたことに対して疑義があるから、それを解明したいと言っておるわけですよ。何も大臣の答弁を求めているわけじゃない。議事運営についての質問なんです。だから私は、理事会なら理事会にすべきだと言っておるのです。おかしい。

中野文門自由民主党

○中野文門君 本日から審議を開始いたしますこの補正予算の審議の取り扱いにつきましては、たびたび予算委員会の理事会が開会をされ、先ほども、本日この会議に臨みまする前に、各派の理事が寄って成規の理事会を開いて、そうして時間の分け合い、さらに本日の議事の運営について円満に事を運んで、この席にわれわれ出てきたわけでございまするので、ただいま阿具根さんからさらにこのただいまの議事進行の発言に対して、あらためて理事会でも招集をしたらどうかというお話がありましたが、阿具根さんは、日本社会党の代表として理事会に臨んで、党の意見を代表して、本日これから開始するすべてのぜん立てが終わってこの席に参っておるわけでございまするからして、私は、あらためて理事会を招集するまでもなく、先刻の理事会の決定に従って議事の進行をなされることが通常な姿であろうと、かように思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 私は、ただいまの意見に全くその反対のことを申し上げねばならないのです。なぜかならば、事態が違った。委員から議事運営の質問が出ているのです。質問の出る前にわれわれは話をしてきたのです。しかも、それは今日どうせよという問題じゃなくて、明日まで含めて、これが解明されるまで採決は待ってくれという新たな観点からの議事運営なんです。だからこれは、今直ちに理事会を開けというのじゃなくて、理事会で十分審議しなければならないということを私は主張しておるわけなのです。そうでなければ、理事会できめたのは、委員がどういう重要な問題を持ってきても一切それできめるというのならば、委員会の審議権を剥奪しておるのです。しかも、これは議事進行の動議なんです。だから、それは成り立たないと思うのです。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 ただいまの阿具根君の御意見は間違っております。なぜかというと、木村君は委員長に、これは財政法違反であるような疑いがあるから、これについて委員長はどう考えるかという質問なんです。それから、それに対して委員長が答えるのは、それは阿具根君の言う通りです。しかしながら、委員長がお答えする前に、大蔵大臣からこのことについて意見があるから、自分の意見を申し上げたいという発言があり、委員長はその大蔵大臣の意見を聞いた上で、今木村君の質問に対してどうするかということは、委員長の職権においてお答えをすればいいわけです。お答えをする前に大蔵大臣が意見を述べたいということで、委員長がこれを許可するということは、何も違反でも何でもない。そうして許可した後に、委員長が大村君に対する意見を発表すればそれでいいわけである。それを阿具根君は、大蔵大臣の意見を聞く必要はないと言う。それは、大蔵大臣の意見を委員長がどう採択するかは委員長の職権である。その採択の上において委員長が木村君にお答えするんですから、それを、途中において阿具根君が、大蔵大臣の意見を聞くのは不都合だというような御意見は間違いです。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 一松君は非常に大先輩だから、私は何事も聞きます。しかし、そういうように、一方は間違いであるときめつけてしまうというのはおかしい。議事運営についての発言なんです。議事運営についての質問であって、こういう疑義があるから、この議事運営について——私の発言のときは黙って聞いて下さい。あなたは非常な先輩です。大先輩だから、あなたの質問のときは、私は何もものを言っておりません。どうぞ一つ聞いて下さい、人のを聞かないで、間違いだときめつけるのが間違いですから。だから、私が言っておるのは、議事運営についてこういう疑義があると言うから、それは理事会なら理事会でもう一回やったらいいじゃないか、こういうことを言っておるわけです。そうして木村委員も、質問は続けますと言ておるわけです。質問をしないとか何とか言っているなら別、質問は続けますけれども、こういう疑義が起こっておるから、議事運営としての考え方を一つもう一回審議してもらいたい、こういうことなんだから、だから私は、理事会でやるのは間違いじゃないと思うんですよ。それが本論なんですよ。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 委員長からお答え申し上げます。  委員長も、この問題につきましては、後刻理事会を開いて御相談を申し上げたいと思っています。今、大村君の質問に対しましては、大蔵大臣から一応お話があるということでありますから、それをお聞き取り願って、そうして質問を続行していただきたいと思います。水田大蔵大臣。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 今、大村委員からお話がございましたが、もし衆議院における経過に誤解があるといけませんから、衆議院のときの経過をちょっと私から御説明したいと思います。  衆議院では、この財政法第二十九条に違反してはいないかということが問題となりましたが、私どもは、今回の補正予算は、財政法二十九条には違反していない、違法でないと考えておりますが、しかし、すでにこの問題については、二十六国会においても論議されたことがございますし、補正予算をもって将来必要であるための資金を確保するために資金繰り入れという措置をとることは、別に財政法上違反ではないといたしましても、この問題が、そのつど論議の対象になるということは好ましいことではないと私どもは考えています。それで与党側には、これは疑義はございませんでした。しかし、野党側にこういう疑義が出ておるということは確かでございますし、しかも、野党側でも、社会党のお考えと民社党のお考えには若干の違いがございまして、政府が産投会計に資金を繰り入れるというようなことは、実体問題としては政策的に悪いことじゃないんだと、だから、いいことなら、将来論議なくそういうことができるように改正を考えたらどうかというようなのが大体民社党のお考えでございました。それから社会党の方のお考えは、産投会計に将来政府の財政運用の弾力性をつけるという意味において、そういうことをすることは、たとえ違法でないにしても、それが必要避くべからざることか、今やらなければならぬことかというような問題についての疑義が出てきたことは確かでございますので、そこで、与党、野党の理事会におきまして、こういうことでこの問題を進めるということがきまりまして、私から予算委員会で発言を求めて申し述べたんですが、その文句を言いますと、今回の補正予算による産業投資特別会計資金への繰り入れについては、政府としては適法のものと考えているが、財政法第二十九条との関係について疑義も出ているので、今後政府においてこの点について検討することにやぶさかではない。また、今後における補正予算による産業投資特別会計資金への今回のような繰り入れについては、右の検討の結果を待つことといたしたいと、こういうことで審議を進めていただくということがきまったわけでございまして、衆議院では、財政法違反であるということを政府が認め、また野党も認めて、違反なことをきめたということではございませんで、私どもは、これは適法だとは思うが、しかし、こういう問題が、終始これについての疑義が出るようではいかぬから、今後疑義の出ないようなことについて政府も検討するということで話し合いがついたと、こういういきさつでございますので、この点は御了承願いたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 審議会についてはどうなんですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 政府が検討するって、どういうことをするかということでございますが、これは、衆議院でその方法をきめたわけではございませんが、今、財政制度審議会という審議会もございますので、そこで検討してもらったらどうかということを今一応考えておるというところでございますが、どういう形でこれを検討するかということは、まだきまったことではございません。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 木村君に申し上げますが、この問題につきましていろいろ御意見があると思います。それは、本委員会の一つ討議の中でやっていただくことにしたらいかがでしょうか。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 簡単ですから……。今、議事進行の結末をつけるために簡単にお尋ねします。  まだ私の質問に対してお答えになっていない点が二点あるわけです。一つは、この第二次補正を扱うにあたって、委員長さんはどういうふうに考えているか。疑義があるものとして扱っているのか、疑義がないものとして扱っているのか、その点を私はさっき伺ったわけなんですが、お答えがない。この点が一つと、それから、大蔵大臣が今御発言を求めてお答えがありましたが、私が質問したのは、この審議会にかける場合、今の委員の構成はこれでいいかということですね。これでは、財政制度の専門家が現在入っていないのですよ。こういう審議会では、私は公正な結論が得られないと、ですから、もっと財政制度に関する専門家を委員に入れべきではないか、そうして諮問されべきではないかと、こういうふうに質問しているわけです。この二点についてお答え願いたい。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 委員長から申し上げますが、委員長は、衆議院から回付されてきましたこの二つの予算案につきまして、これは審議をする職責があると思います。そうしてこの委員会におきまして、皆様方の御意見を尊重しながら進めていくつもりでおります。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 審議会の委員には、金子作一郎さん、西野嘉一郎さん、加藤一郎さん、 田中治彦さん、河野一之さん、そのほかに、今まで雄川一郎さんというようなことで、大学の財政の教授も入っておりますし、行政学者も入っておりますし、そのほか大蔵省、法制局、検査院、いろいろ役人側の委員も入っておりますが、この審議会で審議するのがいいか、また別に、将来そういう疑義の起こらぬように、場合によったら財政法の改正というようなものも考えたらいいのじゃないかということを特に諮問する委員会を作ってもよろしゅうございますし、その方法は、私は、皆さん方が十分妥当と思われる形でこの問題を解決したいと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 最後に確認しておきますが、あとで理事会を開いて、政府側も、今後において今度のような措置をする場合には、その審議会その他の意見を徴して善処する、こういうようなことでございますが、もうすでにそのこと自体が、この第二次補正について、それが財政法違反と断定はしないまでも、そこにやはり疑義があるということについては、多少疑いを持ち出しているように見受けられます。ですから、これは理事会でお取り計らい願いたいのですが、討論採決には、そういう結論を、やはり参議院段階ですから、衆議院と違いますから、結論を待っても決しておそくはないと思う、時期的にはですね、来年度に使う資金でございますから。その点については、理事会でお計らい願いたいと思います。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 理事会でいろいろ相談をして進めたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは、これでこの質問を終わります。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 木村禧八郎君。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいま議事進行で一応触れたのですが、財政法二十九条の解釈でございますが、私は、財政法二十九条の解釈につきましては、「内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費若しくは国庫債務負担行為又は法律上若しくは契約上国の義務に属する経費に不足を生じた場合に限り、」補正予算を「国会に提出することができる。」となっております。この「経費に不足を生じた場合」というのは、私の解釈では、「必要避けることのできない経費」に「不足を生じた場合」、この「不足を生じた場合」というのは、全部にかかるものと私は解釈すべきだと思う。そうしますと、「必要避けることのできない経費」に「不足を生じた場合」ということは、これはもう当然当該年度の経費に不足を生じた場合ということでありまして、しかもこれは過去になっておる。不足を「生じた場合」であります。ところが、この補正では、将来の資金の手当になるわけです。三十六年、三十七年度の資金手当になるのですね。これは「不足を生じた場合」じゃございません。従ってこの規定は、三十五年に例をとれば、三十五年度の産投会計に不足を生じた場合です。それで、三十五年度の産投会計には、御承知のように、資金計画もちゃんとございます。資金計画もあるわけです。で、三十五年度の資金に不足を生じた場合、補正予算を国会に提出することができるというのが二十九条の解釈ではないかと思う。そう解釈するのが一番合理的ではないか。この点について伺いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、会計年度独立の原則というものがございますが、ただ、この原則だけでは財政運用がうまくいかない。今すぐ必要な金でなくても、将来必要がはっきりしておるものに対しては、場合によったら資金というものをもって運用することの方がいい、こういうときには資金というものを作ることができるのだ。ただ、やたらに作られてはいけないので、法律をもって作るならよろしいという一つの例外、原則に対するいわば例外の措置が財政法において認められております。産投会計に一つの資金を作ったということは、政府の出資需要に対して弾力的に適宜適切に運用できるように、その必要があるというので資金というものが作られておることは御承知だと思うのでございますが、そういう必要で三十一年度に資金が法律でできて、そのときには、補正予算をもって三百億円この資金の繰り入れをやった。この資金を三十二年度に使い、三十三年度に使い、さらに三十四年度に使って、今年度この資金が今枯渇しております。ところが、その資金需要がどういうふうになったかと申しますと、三十五年度の経済の見通しというものについても、見込みについても、当初予算作成のときに若干の狂いがあったことは御承知の通りでございまして、非常に当初の想像以上に経済が伸びた。さらにまた、当初予算を作った後に、ドル防衛の問題とか、自由化の問題とか、いろいろの問題が起こってきましたので、これに対処するために、将来の政府に対する出資需要というものが非常に多くなっておる。にもかかわらず、それらに充てるための産投会計の資金というものは不足で、将来にこれを対処することができなくなっている。しかも、三十六年度以降の資金需要を見ますというと、住宅問題から農林問題、中小企業問題に対しての出資需要というものが、少なくとも四百億ぐらいは避けられないものだというふうに今見通されておりますが、そうしますると、明らかに保有の産投会計の原資というものは今ないのでございますから、何とかしてこれを補給しなければならぬという必要に現在迫られておりますので、今年使うというのでしたら今年の歳出でいいわけですが、今後これに対処するにどうしても必要だというためにできている資金でございますから、その資金をここで補給することはどうしても必要なことであるし、明らかに不足を生じている問題であるから、今年度財源的に可能なときに、この資金の繰り入れという歳出行為をここで行なおうとするのでございますので、私どもは、そういう意味で、二十九条に違反している行為ではないという考えで、現に今までも、補正予算の際において資金の繰り入れはもう前例がたくさんあることでございますので、私どもは、今回に限って違法行為をやっておるというような考えは今のところ持っておりません。しかし、先ほど申しましたように、疑義がないかと申しますと、私どもの方にはあまりないのでございましたが、はっきりとあるのだあるのだということで論議が出ている以上は、疑義が生じているという事実は認めないわけには参りませんので、今後そういうことのないように、疑義を生じないような措置は皆考えようじゃないか、これには賛成でございますが、今回の資金に繰り入れということは、今年使わなければならぬということじゃなくて、もう将来にそういう必要が出ていることははっきりして、今それに迫られていることでございますから、必要なものとして判断して、そうしてそこへの繰り入れをやろうとするのでございますから、これは、財政法上りっぱに許されたやり方ではないかと私は考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 衆議院段階での質問では、これも大へん有益だったと思いますが、主として「必要避けることのできない経費」、これについて、必要避けることができないか避けることができるのかという、必要避けることができぬ経費かどうかが問題になっておりました。私は、これは新しい解釈を聞いております。この二十九条は、「必要避けることのできない経費」に不足が生じた場合に補正予算を組むことができると解釈すべきだと思うのですよ。そうすればはっきりするわけなんです。生じた場合なんですよ。生じた場合なんですから、三十五年度の産業投資特別会計、この特別会計にはちゃんと資金計画もございます。二百六十億。これに不足を生じた場合に、補正予算を組むことができるというのですから、三十六年度あるいは三十七年度の不足分については、私はこれはまたあとで総理大臣、大蔵大臣にもお伺いしたいと思うのですが、三十六年度、七年度で手当ができないことはない。ことに三十六年度の歳入見積もりについてはまだ過小です。私はもっと歳入はあると思う。三十六年度の予算でもまかなえるのです。財源でもまかなえるのに、わざわざ三十五年度の補正において産投の資金をまかなうについては、そこに二十九条の解釈、私が言いましたその解釈との間に矛盾がある。今まで大臣は違反でない違反でないと言うのは、この「必要避けることのできない経費」なんだ、それで四十四条に基づいて法律によって資金を保有できるのだから、それはかまわないのだと言うのですけれども、二十九条との関連では、少なくとも不足が生じた場合ですから、当該年度、どうしたって過去の規定になっている。その点を私は質問している。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) それはそれでいいのじゃないかと思いますが、はっきりと、この産投の特別会計の資金というものは今なくなっておりますので、これにどう対処するかという必要が出てきているということでございますので、私は、問題は、むしろとの二十九条の違反であるかどうかではなくて、政府が必要欠くことのできない経費の不足と判断して、これを今年度補正予算をもって対処することがいいかどうかという政府の政策的な判断が間違っているかどうかということは、これは御批判を願うべき問題だと思いますが、私どもは、はっきりと当初予算で考えなかった、予算編成当時考えなかったいろいろな事態が出てきて、それに対処するために必要な産投会計の資金というものがもう枯渇しているのだ、その事態に対処するということでございますので、これは特に二十九条に違反しているということじゃないと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それはおかしいですよ。これも、普通に健全なる常識に基づいて、これを読めば、三十五年度の産投の資金に不足を生じた場合ということですよ。私は、大体この不足については、財政法の二十四条の不足と大体同じように、まあ予備費の規定ですね。大体そのように私は考えるべきだと思う。そうならば、三十五年度においては不足は生じてないはずで、枯渇はしましたけれども、三十五年度のあれについてはちゃんと計画が出ている。二百六十億について、どの産業に貸すかということは、ちゃんと手当がついているのですよ。枯渇はしたというけれども、三十五年度において不足は生じてないのですよ。ですから、もし三十五年度に不足が生ずるならば、はっきりと三十五年度に使うということを大蔵大臣は言うべきだ。ところが、三十六、七年度に使うと言うのですよ。不足を生じた場合、三十六、七年度には、まだ不足を生じたことにはなっていないのですよ。そこのところをお聞きしているのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 三十五年度中に使うべき経費がなかったというのと、そうじゃなくて、資金の不足というのは別でございまして、この資金というのは、将来にわたって適宜運用できるための金でございますので、それが不足しているということとは違うと思います。そういう問題に対処するために資金というものを作っているのですから、資金が不足して、その不足を埋めるということは、必ずしも三十五年度にその金を使わないから、それはおかしいという性質のものではなくて、先にわたって、将来にわたって使う必要のあるものを確保するために、資金というものを置いているのですから、資金の不足というのと、一般のその年の直接の何か経費の不足というようなものは、一応分けて考えなければならぬじゃないかと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 三十五年度においては資金の手当がついている。三十六年度の手当がまあつかないというなら、三十六年度において手当できるのですよ。できるのです。これはあとでまた……。それは財源の問題になりますが、できるのです。できるのなら、なぜ三十六年度でやらないのか。一体、四十四条で資金を保有してしまえば、五年、十年先のものでもいいのですか。そんならもう財政法の規定なんぞ要らないわけですよ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは御承知のように、私どもは当初三十六年度でやろうと思っておりました。ですから、大蔵省原案のときには、私は三十六年度の歳入でこの資金の繰り入れをやろうと考えておりましたが、大蔵原案は御承知の通り閣議で討議する予算案の素案でございますから、これが当然閣議の段階で政府案としていろいろな調整を受けることは、これは当然でございますが、この調整の過程において、私どもは、やはり当初予定した金は政府の成長政策をやるために必要な三十六年度経費に充てることがいいと思って、そうしてこの産投の資金確保は財源的にもここで余裕が見込まれてきましたので、三十五年度の補正によって対処することが妥当だと、こういう考えをもって、この当初の私どもの大蔵原案を変更したわけでございますので、三十六年度でやってもいいし、これはやる方が確かにいいかもしれませんが、しかし、財源的にこれが可能である限り、三十五年度の補正でやってもこれは差しつかえない。そこはやはり政府の政策的な判断の問題でございますので、私どもはそれでその方がいいという判断をしてやったというわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ますますよくわからぬ。三十六年度でやった方がいいというのでしょう。いいのだけれども、三十五年度に財源的に余裕があれば三十五年度でやってもいい、こういうわけです。そんな便宜的なものではないのですね、これは。だから、私は、もうくどいようですが、質問しているのは、この二十九条に違反しているかしていないかということが、ずっと問題になってきているでしょう。ところが、二十九条に違反しているかしていないかは、衆議院段階では、緊急性がないじゃないか、「必要避けることのできない経費」ではないのだ、そういうふうな解釈に基づいていましたが、そうなると、「必要避けることのできない経費」なんだということになれば、三十六年度でも、三十七年度でも、資金をまかなっていいのだ、財政法違反ではないという議論になっていくのですが、この規定はそうではないのであります。それは「必要避けることのできない経費」に「不足を生じた場合」ということになっているから、三十五年度の産業投資特別会計に不足を生じた場合に、補正予算を組むことができる、提出できると、これが一番常識的な考え方です。それで、その金は三十六年度、七年度に使うというのでは、「不足を生じた場合」−不足は生じていないでしょう、三十六年度のこの経費に。これはちゃんと明細表が出ている。投資計画が出ています。この投資計画には不足を生じていないでしょう。三十六年度、三十七年度は不足を生じたのじゃないのです。これは生ずる見込みなんでありまして、この規定以外であります。ですから、そういうものにこれを使うことができないわけです。そういう質問なんですよ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 先ほどから申しておりますように、資金に不足を生じた、これは事実でございますし、ですから、第一次補正のときも国会で論議されまして、もう少し財源の余裕が見込めるなら、この際、産投会計への繰り入れをもう少し多くやったらどうだ、現在不足しているじゃないか、もっと大きく産投会計への資金繰り入れをやったらどうかという御質問もございましたが、確かに財源の余裕があれば、第一次補正予算のときに、私どもはもう少し多い繰り入れをやりたいと思いました。しかし、当時は確実に見込み得る財源というものの余裕がそうないという状態でございましたので、やりたいがやれないということで、この必要は今始まったことじゃなくて、第一次補正のときからも、そういう必要がもう出ておったのをやれなかった、こういう事情もございますが、その後、来年度の、三十六年度の予算編成の過程におきまして、当初の考えと違って、また経済状態が案外順調であって、歳入増の見込みが相当出て、財源的に可能ということになりましたので、それならこの不測の事態に対処するために、三十五年度の第二次補正でこの問題に対処することが妥当だという判断をしたということでございます、いきさつは。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どうも資金というところに隠れているわけですね。資金ということで逃げているわけです。資金はそんなにルーズに使えるものじゃないと思うのです。財政法の十二条の年度の規定というものにも、やはり制限を受けるものだと思うのです。これは解釈問題になってくるかもしれませんが、資金というものは、そんなにルーズに使うようにわれわれは認めることはできないと思う。やはり厳格にこれは規定しておかないと、非常にルーズになってくると思う。そこで、三十六年度の資金でまかなった方がいいのだということをおっしゃいましたね。三十六年度でなぜまかなわなかったのですか、それでは。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) いいのだと申したわけじゃございませんが、この資金が枯渇して不足しておりますので、もし今年度の補正をやらなかったら、補正ができなかったら、私は三十六年度の予算でこの資金繰り入れの必要ありと考えて、大蔵原案を作る段階においては、そういう百五十億円繰り入れをするというのが大蔵原案でございました。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ですから、そういう原案であったのをどうしてそれを減らしたのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは先ほども申しましたように、政府の予算編成方針は、いわゆる三本の柱——減税と社会保障と公共投資を中心の予算を編成するということでございましたが、また大蔵原案の一番最初は、それにのっとった原案でございましたが、実際に閣議の討議の段階におきましては、やはり経済成長の大もとは、何といっても国民の力の向上にあるというところに帰着しまして、この際、文教政策というものがやはり伴わなければ、政府の所期の経済政策もうまくいかないというようなことから文教費、科学技術費というようなものは、相当の予算措置をする必要も起こって参りましたし、いろいろ勘案しました結果、そういうところに三十六年度の見込まれる歳入を重点的に充てることが予算の編成としては正しいというような各種の、各般のいろいろな調整を経た結果、産投会計への資金繰り入れが必要であっても、財源が許すというなら三十五年度補正で対処することが妥当だという判断に落ちついたと、こういう経過でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それじゃ、三本の柱、三重点というのは、四重点になったわけですね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 予算の前年度に比べた増加の仕方から見るというと、文教関係費というものは相当の増額をしておりますので、四本の柱というわけではございませんが、三本の柱に関連した必要な各般の施策というものはたくさん出ておりますので、そういう体での均衡をとった予算配置をしたということでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。不足したという場合ですね、資金が。これは、使い切った場合を不足したとおっしゃるのか、資金が必ずしも潤沢でないという場合を不足したと解釈されるのか。普通、計上してある予算を使い切って、ほんとうに足りなくなった場合の不足したという解釈か、必ずしも資金が潤沢でないと、そういう解釈か。もし後者の解釈なら、どんなことでもやれることになるんです。資金が潤沢でないかち、幾らでも次の年度を見通して余裕があれば補正でやっていく。だから、その不足したとは、持っておる金が現実に足りなくなったという解釈なのか、必ずしも潤沢でないという解釈をしておるのか、どちらでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) この、政府に対する出資需要の多いときに、とにかく産投会計の資金はゼロになってしまっておりますので、必要に対処する方法がないというのが現状でございます。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) ただいまの財政法二十九条の「経費に不足を生じた場合」という不足の問題でございますが、これは従来からの解釈でございますが、つまり、既定経費がある場合に、その既定経費を使い切った場合のみでなくて、いわゆる既定経費に頭を出しておらないけれども、新しい財政需要が起こって、どうしても出さなくちゃいけないという場合も、両方含むと当然考えられております、すべての補正予算はそういうことで今まで扱ってきているわけであります。つまり、予算超過支出の必要があるものと、予算外支出の必要のあるものと、両方含んでおるわけであります。それで、今回の場合は、これは産業投資特別会計への資金繰り入れ。資金繰り入れの当初予算、これはないわけでございます。しかし、資金繰り入れの必要が生じたので、資金繰り入れという項目を起こし、資金繰り入れの金はないので予算外支出——予算超過支出か予算外支出かと言えば予算外支出の方でございますが、要するに新しい項目を起こしてどうしても入れる必要があるからというわけでございまして、入れる金は当初予算には一文もない、それをただ不足しているから補うのだ、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは、今のお話ですと、大体二十九条の解釈が、必要避けることのできない経費に不足を生じた場合と、これは不足にかかるということにたりますね。それでいいんですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 言葉としてはもちろんかかっております。かかっておりますが、その意味は、いわゆる既定経費に頭を出しているものが足りなくなったという場合のみでなくて、経費の項目としては新しいものでも、どうしてもその年度に支出する必要があるもの、これはやはり経費に不足を生じたという観念で考えられております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 かなり焦点がはっきりしてきました。衆議院段階では、この不足にかからないということで論議されておったのです。今度はこれが、必要避けることのできない経費に不足を生じた場合、こういうことになって参りましたので、今度は割合に、議論の焦点がかなりはっきりしてきました。そこで、不足を生じた場合、将来における、では五年、十年、二十年光の不足についても、——極端に言えばですよ、これは少し理屈めきますが、議論めくが、じゃ、そういうことも極端な場合には可能なんですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは要するに、木村委員のよく御承知のことと思いますが、今回の補正予算は要するに繰り入れが歳出でございまして、産業投資特別会計の方の支出の問題でなくて、要するに補正予算を組みました理由は、一般会計から産投資金への繰り入れということでの歳出で、これは三十五年度歳出として不足であるということで出ているわけでございますが、その出た資金をいかに使うかという問題は、これは資金の性質で出てくるわけです。産投資金の性質上、そう長い年度にわたってこれを使うということは、これはあり得ないと思います。しかし、資金の性質から申しますと、相当長い年度にわたって使うものもこれは性質上あるわけであります。まあこれは当初予算で資金を組む場合と、あるいは補正予算で資金を組む場合と、両方ありますが、資金の性質から申せば、産投資金の場合は、ちょっとそう長い間使うということは考えられませんけれども、資金の性質から言えば、昔のたとえば学校資金は非常に長い年度にわたって使ったわけでございます。資金にはいろいろあるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それはおかしいですよ。それは産投会計に特別の規定がない限り、ほかの財政法の規定を適用されるべきだと思う。そうでしょう。産投会計に五年でも十年でも使ってもいいという規定がないなら、ほかの財政法の規定に従うべきです。そうすると、そんなむちゃに、私はいかに資金といえども、そういうふうに際限なく何年先のものもこれを調達できるということで予算を計上するということは私はできないと思う、大体十二条の規定があるのに、何年にわたって使ってもいいというなら、これはまた問題になってくると思うのですが、財政法十四条の三の規定で明許繰り越しとの関係が出てくると思う。それはこの財政法をごらんになりますれば、繰り越し使用につきましては、非常に厳密な規定がある。いろいろな規定があります。雑則についても規定があります。たとえば繰り越し明許の金額を除くのほか、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度においては使用することができないことになっている。国民の血税を政府が使うにあたりましては、この資金の効率、その厳正というものを期さなければならないわけでありますから、この使用については、特にまた民主的財政につきましては、民主主義の段階においては、それを厳密に規定しなければいけないのです。ただ窮屈だからというので便宜主義でやることはできない。そういうふうにするならば、ちゃんとそういう手続でやるべきですよ。その事自体が悪いという問題も一つありますけれども、しかし、手続をちゃんと踏んでいけば、たとえば繰り越し明許については、ほかの資金につきましては、ちゃんとその特別会計に規定してありますよ。食管特別会計その他みな規定してある。予算総則に規定している。ところが、産投会計には規定がない。資金だからそれでいいと言われるが、食管特別会計にはちゃんと規定があります。予算総則に、翌年度に繰り越して使用することができるとある。なぜ予算総則にそれを規定しないのですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 今、いわゆる歳出の繰り越し問題の話でございますが、これはまさにその年度の歳出を翌年度に繰り越す場合、厳格な制限があるわけでありまして、その制限を相当ゆるくはずす方法として明許繰り越しの規定があるわけであります。いわゆる明許繰り越しのことが予算総則に書いてありますものにつきましては、その年度に使い切れない金を翌年度に繰り越して使用できる。そういう繰り越し明許の規定のないものは、一定の理由がある場合のほか、繰り越して使用できない。これはおっしゃる通りでございます。しかし、ここで違いますのは、今の資金繰り入れということは、要するに三十五年度予算、これは三十五年度中に使い切るわけです。わざわざ繰り越し明許にする必要がないわけでございます。それからもう一つ、産投特別会計の方の収入支出、歳入歳出、これはまた資金と歳入歳出は別問題でございまして、資金に入れるわけでございます。その資金を使う場合に産投の歳出に組んで使うことになっております。その歳出について繰り越し明許をつけるかつけないか、これまたその歳出の性質によります。おそらく産投についておりませんのは、当該年度に使うことを予定してつけていないと思います。従って、繰り越し明許のついていないのは、財政法にありますような一定の理由がなければ翌年度に繰り越すことができない。これは普通の歳出はそうでございます。資金というのは、これはよく御承知だと思いますが、歳入歳出外現金につきましては、いわゆる年度というものはないわけでございます。歳入歳出外現金として資金を持っておるわけです。その資金を持っている間においては、その資金は今の歳出の問題でございませんから、年度の問題がない。これはそういう資金を持つことがいいか悪いかということを法律ではっきり書けば、そういう資金が出てくるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それはおかしいですね。それは三十五年度におきまして不足が生じないのに繰り入れるから、従って、繰り越しの問題が起こらないのはあたりまえです。不足が生じないのに三十五年度に繰り入れるのですから、その点がおかしいということと、それから四十四条の「特別の資金を保有することができる。」という場合に、年度の規定がないと言いますが、これは私はおかしいと思う。そこに特別の規定がございますか、これは年度については何年度でもかまわないという規定がございますか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 要するに資金というのは一つのファンドを国が持つということでございます。つまり、その資金の出し入れはこれは歳入歳出にしておる場合もございます。歳入歳出にしていない場合もございますが、要するに一つの資金を持って何年間にもわたって使う、資金運用部資金のように国が預かったものを運用していく資金もございます。それから昔ございました大学の学校資金のように、あるいは日清戦争ころにございましたが、賠償金を入れて将来にわたって使っていこうというような資金もございます。いろいろな資金があるわけでございます。その資金はそれを国が持っております。それをその資金の目的に従ってどういうふうに使っていくかという問題でございまして、資金自身には年度の区分がない、資金の保有自身には年度の区分がない、そういう意味で、これは普通の総計予算主義といいますか、そういうものの例外でございますから、法律をもって特に資金を置くことがいいか悪いか。置く場合にはその資金の使用の仕方、運用の仕方を法律ではっきり書くということになっております。産業投資特別会計の資金につきましては、産投特別会計法にその規定があるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは特別会計である以上、これはやっぱり会計ですね。政府の会計になっておるわけですが、一応特別会計というものは十三条で認めておるわけです。一般会計、特別会計、この二つをもって国の会計というわけですから、その場合には特別会計である以上、この十二条に、「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」ということになっておる。この例外規定である。例外なら例外とはっきり、資金については会計年度に制約がないということが書いてない以上は、十二条の規定の制約を受けるべきではないかと思うんです。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 特別会計は大体一般会計と同じように歳入歳出があるわけでございまして、この歳入歳出はもちろん年度の制約を受けるわけでございます。旧憲法の時代には、臨時軍事費のような長い年度使った特別会計の例もございます。現在はそういうものはないわけで、特別会計は毎年度の歳入歳出ということが当然あるわけでございます。しかし、資金というのは一般会計にも特別会計にもございます。そういう資金は資金というものの性格上一つのファンドを持つわけでございますから、それ自体歳入歳出ではなく、年度に制約されないということがあるわけであります。その年度の歳入歳出に当然入れるなら資金というものを作る必要はない。従いまして、産投の場合には、その受け入れ、払い出しは歳入歳出外とすると、特別会計法にも書いてございます。そういう意味で資金の性質上、資金に入れて一定の金を持つということは、歳入歳出と関連させないというのは資金の性質からくる、そういうことは法律にはっきり書いてみなそういう例外を置いているわけです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どうもまだ納得しないのですが、資金とそれから歳出の方と全然別個に考えているというお話ですが、しかしそうなると、この資金がルーズに使われる危険が出てくる。今度の場合なんかは典型的な場合だと思うのですが、私は最後にこの点について、総理大臣に伺っておきたいのですが、これまでの質疑を通じて、総理大臣は資金というものにつきまして、今のような考え方でいいのかどうか。やはり規制というものが私はなければならないと思う。極端に言えば、五年、十年先の資金でも持って、いいというようなさっきのお話もあったわけです。資金についてはですよ。しかし、それでは非常にルーズになるのではないか、そういうことが一つと、もう一つ、三十六年度において、財源があるのにどうして最初大蔵省原案で産投会計の予算を組んだのに、これを削って文教予算の方にどうして回したか、この二点について伺います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、この問題につきましては、すでに数年前ここで議論をしたことがあるのであります。財政法上疑義があるというお話でございますが、私は適法である、そうして資金というものの性質上、これでいいのだと考えております。ただ、五年も十年もとい問題でございまするが、やはりこれは必要性を考えてやるべきでございまして、三十三年、三十四予算の分は三十二年に三百億のうち百五十億使っている、三十三年、三十四年と二年にわたりまして。それから食管会計の調整資金、これの分はその年一度でちょっと不足いたしましたが、これも次の年度、次の年度で使ったと思っております。およそ、こういうものには程度があるのでございまして、法律を設けて必要性を、そうして法律を設けて適法にできることを私は確信しておるのであります。ただ、常にこういえ問題が起こりまするから、専門家等に諮ってみよう。政府としては適法だと確信いたしておりまするが、念のためと申しまするか、将来議論を起こさないように一つ決定的な説を出そうと思っております。  なお、大蔵省原案と申しますか、素案と申しますか、の考え方で、財政投融資百五十億を組んでおりましたが、予算全体を見まして、私は今回は一兆九千三百七十四億のうちは三本の柱、あるいは文教その他国民生活の安定、経済の成長に使った方がいい、こういうので閣議決定は、産投に大蔵省が予定しておったのを落としたわけであります。これは全体の予算の作成上必要やむを得ないことと考えて、ああいう措置をとったのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣はこの前の予算委員会で、昨年の十月二十日の予算委員会で、歳入につきまして過小に見積もるということは、過大に見積もると同様に失敗に終わる、こういうふうに言われております。ところで、三十五年度の補正についてもあとでお伺いいたしたいと思うのですが、三十六年度について、自然増収三千九百三十億と大体見積もって予算を組んでおられますが、私は自然増収はもっとあると思うのです。極端に言うと、下村氏などは五千五百億ある——これはどうかと思うのですが、私のしろうと計算では、大体四千六億ぐらいに計算では出てきます。四千六百億、もう少しあるかもしれません。これは今後の経済情勢によると思うのですが、従って、三千九百三十億じゃないと思うのですよ。それで、三十六年度で百五十億の産投の資金ぐらいは三十六年度で十分私はあると思うのです。三十六年度でまかなった方がよりよいのだということを、先ほど大蔵大臣言われたのですが、三十六年度に財源はあるのですよ。あると私は思うのです。この点、総理大臣はどういうふうにお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大蔵大臣からお答えした方がいいと思うのです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、前に総理大臣が過小見積もりはしないと言われた、その関連において伺っておるので、ほんとうは大蔵大臣からもやはりお伺いしたいのですけれども、それで、特に総理大臣が計数に非常に明るいわけですから、そういう点でも一応そのラウンド・ナンバーで、感じでけっこうなんですけれども、三千九百三十億じゃ私はないと思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) こういうことにつきましては、いろいろ議論があるのでございまして、私は、従来過小見積もりだということを常に考えておりまして、しかし、大蔵大臣の掌におりませんでしたから過ごしたのですが、今回は私にも責任はございます。大蔵大臣の報告につきまして、私は適正なりと考えたのでございます。お話のように、三十六年度の景気はどうなるかということが非常に動く。私は相当よくなると見まして、この程度ではないかと考えたのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣からも一つ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 税収の見積もりはなかなかむずかしい問題でございまして、三十五年度の見積もりが実際から見まして過小であったという事実ははっきりしておりますが、特に過小に見積もったかというと、あのときの見積もりを見ますと、そうではなくて、経済成長の伸びも非常に少なく見て、実績は当初の見込みの約倍ぐらいにもなっているということから経済がよくなった、想像以上によくなったための増収が多かったということで、大きい見込み違いになって参りましたが、今回の場合は、なるたけそういうことのないようにというので、相当慎重に、各税目ごとの積み上げ計算をやって、大体三千九百三十億円前後が、まあどこから見ても妥当な見積もりじゃないかということにきめたわけでございます。国会で、あれは非常に過大見積もりで、月一ぱい見過ぎていはせぬかという議論がございましたので、私は、答弁で、少なくとも過大見積もりじゃないと、税目ごとに一応積み上げ計算をやったものであって、今は確実な歳入だと予定し得る範囲内のものだと答弁しておりますが、これは結局、今度三十六年度の政府の立てた経済見通しを一応の基礎としての見通しでございますので、この経済が見通しより悪かったら、税収が予定より少ないという場合も起こりましょうし、私どもの今見通しているよりも案外経済が好調であったという場合には、もう少しの自然増収があるということも考えられると思いますが、一応来年度の政府の見通し、経済が九・二%一応伸びるという見通しに立った税の見積もりとしては、この辺が妥当であろうと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 おかしいですね、名目九・八%、実質九・二%で計算するとそうならないのです。今おっしゃったように、そうならないのです。私は、三十六年度の税収を見積もる場合に、三十五年度の税収が基礎になると思うのです。三十五年度が結局どのくらいの自然増収になるか。そこで補正と関連しまして質問いたしたいのですが、この前千五百十四億の第一次補正を出してくるときに、大体適正な見積もりだと言われたのです。そして総理大臣は、過小見積もりはやらない、私の内閣では過小見積もりはしないつもりでありますと言っておいて、そうして今度の四百四十億の補正を出してきているのです。明らかにまた過小見積もりをやったわけです。今度は私は意識的だと思うのです。千五百十四億の場合は、当初においてこんなに経済成長が大きいとは予想しなかった。千五百十四億の自然増収が出てきた。われわれもこの点はもっと過小見積もりしておったのですけれども、しかし、ある学者はもっとあると言っておりました。しかし、今度第二次補正を出した場合、これはもう意識的だと思うのです。もう千五百十四億の第一次補正を出したときには、この前私も質問いたしました。もっと自然増収はあるのだ、あるのだから、公務員給与を人事院は五月に実施せよと言っている。五月に実施する財源もあるし、あるいはまた生活保護費につきましても、あまり保護基準が低過ぎると厚生大臣もはっきり言っているのです。あまりに今の生活保護基準は低過ぎる、引き上げたいと言っているのですから、そんなら三十五年度に財源があるのです。四百四十億出てきた。この前はもち代として一億八千万円しか組んでないのです。また、三十五年度の年度内の減税の要求もあったのです。それを五十八億しか減税してない。そうして予算はないのだ、大体財源が千五百十四億ぐらいしかない、大体これは適正だと言っておいて、そうして財源がないというので、公務員の給与の引き上げを十月にずらした。社会保障費の増加を、純増一億八千万円、たった一億八千万円のもち代、減税も五十八億にすぎなかった。そうしてあとになって四百四十億自然増収が出てきた。しかし、私はざらに自然増収はあると思うのです。私は今度の四百四十億は意識的だと思うのです。そうして、それをどこへ向けたか、産投でしょう。産業投資特別会計に入れちゃった。もし、この前の第一次補正のとき、はっきり四百四十億あるということがわかっておれば、公務員給与を五月にさかのぼって実施せざるを得なかったでしょう。ないないと言っておいて、公務員給与のベース・アップの実施をずらし、社会保障費をもち代として一億八千万円に値切り、減税を五十八億に減らしちゃって、そうしてあとで四百四十億の財源で、それを産業投資特別会計の方に向けてしまう、大資本擁護の方に向けてしまう、これは意識的じゃありませんか、この点は総理大臣いかがでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) あの当時もお答え申し上げましたごとく、九月の決算並びに十二月のボーナス等々によりまして、動くかもわかりませんが、ただいまの状態ではこれが適正な見方だと答えたのでございます。結果におきまして、非常な好景気が続きまして、ことに九月期決算が非常によかった、そうして賞与も非常によかった、酒税も非常にあがった、関税も非常にふえてきた等々で、結果において四百四十億の追加の自然増収が出たのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣が、私はお知りにならないはずはないと思うのです、あのとき。千五百十四億どころじゃないということであのときに私が質問をいたしました。大蔵省の方の見積もりが少ないということは、雇用の増加率もあれは過小に見積もっておりましたですね。われわれしろうと考えだって千五百十四億のほかに、約八百億はあるだろうと押えておったのです。計数に明かるい総理大臣は、ちゃんとおわかりになっているくせにそういう答弁をされている。あのとき逃げちゃった。総理大臣は答弁されませんで、これは私には正確な数字がわかっておりません。事務当局からお答えいたさせますと言って逃げちゃって、そうして総理はお答えにならなかった。もうちゃんと総理は知っておられるものですから、もし答えたら、あとで責任問題が起こるというので、必ずそれは総理はそういうとことはなかなかよくお知りになっているだけあって、逃げ方はうまかったと思うのです。しかし、結果として出てきちゃった、四百四十億。しかし、さらに私はあると思うのです。まだ三百六十億ぐらいあるんじゃないですか。あるいはもう少し、四百億か五百億くらいまだ自然増収が見込まれるのじゃないですか、三十五年度に。この点どうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 最近は租税収入の方はあまり見ておりませんので、事務当局からお答えいたさせます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは事務当局でもけっこうですが、しかし、前に総理大臣は非常に自信をお持ちになって、私の内閣では過小見積もりはしない、そうして来年度においてはあなたがびっくりされるほど正確な見積もりをいたしたいと、こう言うのですからね。それほど総理は、確かにそれはそう言われるように、総理はそれだけ計数に明かるいわけですから、決して私は誇大な言葉とは受け取りません。そうでしょう、確かにそうだと思います。それだけに総理に質問したいわけですよ。大体勘です。どうです、四百億、五百億くらいあると思いますが。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 十二月決算の会社も相当いいようでございます。従いまして、私はある程度あるかもわかりませんが、これはそう何百億というわけにはいかぬのじゃないかと思うのです。しかし、何分にも十二月決算を見、その後の状況で判断しなきゃならぬものだと思います。三十六年度の予算につきましても、大村さんすでに御承知の通り、三千億をこえるのじゃないかと、こう私は言っておりましたが、三千九百三十億、私は、大体大蔵省事務当局としては、従来ない見方をしたのではないかということを考え、今度は間違わないつもりでおります。補正予算の分は事務当局から答弁させます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 今意識的というお話でございましたが、第一次補正のときも申し上げました通り、不確定要素がたくさんございまして、年末賞与も、民間がどういう賞与を払うかということもわかっておりませんので、財源があれ以上ないというふうに考えておったわけではございません。まだ相当自然増はあるとは思っていましたが、しかし、今確実に見込まれるものはこうだということを言って、それを見込まれる範囲で財源をきめたわけでございますが、それ以後いろいろの徴税の実績も明らかになってきましたし、十二月末の税収入を見ますというと、大体あれに対して五・六%ぐらいの増収というものが予想されますので、これが全部このまま三月末までその通りの率で増収になるということもできないと思いますが、かりにそういう見方をするといたしますと、可能線がどのくらいかということでございますが、多くかりに今の調子でいったらこのくらい、最大の見積もりをする場合には、今、木村さんのおっしゃられるように、この補正を終わったあとで、まだ二、三百億円出る可能性というものもありますし、実際は今の率通りにいくというわけでもないと思いますので、それ以内だろうと思いますが、これだけが自然増の全部だとは思っていません。多かった場合の大体の可能性の限度ということを考えますというと、これはまだ三百億円ぐらいの自然増が補正後にまだあるかもしれないということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいまの御答弁を伺いますと、三十五年度においてもまだ相当自然増収の余裕がある。今二、三百億といわれましたが、私はもう少しあると思う。三十六年度についても、これは三千九百三十億どころではございません。四千億はこえます。確実にこえます。あとになればわかりますが、私は四千五、六百億と見ております。非常に財源に余裕があるのです。この余裕があるのに、どうしてそういう財源を、それこそ緊急なものに使わないか。そうして財源がないといって千五百十四億の第一次補正を組んでおいて、あとで産投の方に入れてしまう。全部が大資本擁護ではありませんが、そういう方にこれを入れてしまう。そこに非常に問題があると思う。あとで財源がどんどん出てくる。全くこれまでの経過を見ますと、第二次補正は、だましたような形になっている。一千五百十四億については、私はこれは無理からぬと思う。これはわれわれも間違いますよ。しかし、第二次補正については、何といったって、もう意識的であると思います。  それで、今後の三十六年の見積もり等につきましては、本予算を審議する際に質問いたしますから、次の質問に移りたいと思うのですが、次の質問は物価の問題なんですが、まず、総理大臣に伺いたいのですが、物価問題は、最近非常に重要になってきておりますが、特に所得倍増計画の基本となる重要な問題でございますし、今後の財政経済政策全般に重大な影響を与える問題だと思います。もちろん家計に及ぼす影響が重大であるということももちろんでありますが、それ以上に、今後の財政経済全般、特に政府の所得倍増計画に影響するところが非常に重大だと思う。そこで、まず総理に、今後の物価をどういうふうにごらんになっているか、物価を安定させていくのか。物価の上昇はいたし方ないとして認めるのか。また、安定させていくというならば、物価対策としてどういうことをお考えになっているのか。まず総理にお伺いしまして、その後迫水企画庁長官にも御質問したいと思うのです。  まず、総理から最初にお答えをいただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) この物価につきましては、三つございますが、わが国経済の成長というものの基本になるのは、やはり卸売物価でございます。これは外国貿易との関係もございます。この卸売物価は、私は安定している。どちらかと言ったら、下降ぎみになるのじゃないかと、こう考えております。その理由は、何と申しますか、わが国が輸入しておりまする輸入品目の物価指数というものは、大体三十年を基準にいたしまして八四、五%、一割五、六分下がっておる。それから、日本から輸出いたしますものは九五、六%、すなわち五%ぐらい下がっておる。これはわが国の物価が安定したこと、しかも品質がいいということ、そうして船賃が非常に安い、これで下がっておる。これが今の状態の船賃でならば、私は輸出入物価というものは日本が優位を続ける。そうして国内で生産を伸ばしていくならば、生産性も向上いたしますし、また雇用も伸びて、賃金指数も上がっていく。そして輸出もふえるし、国内消費もふえる。それで、大体私は卸売物価は横ばい、下降でいく。それで内容を見ますと、大体卸売物価は、昭和二十七年を一〇〇にしますと、今一〇三前後でございます。しこうして、その内容を見ますと、上がっているものは木材と建築資材、これが相当上がっている。そうして食料関係、あとの鉱工業製品はおおむね下落しております。一〇〇以下である、こういうところから考えまして、私は、今の卸売物価の問題といたしましては、木材、建築材等が非常に高騰しておりますので、これを引き下げていく。こうすれば、卸売物価は一〇〇程度でおさまると思います。  次の小売物価は、これは大体卸売物価につり合っていて、それよりもちょっと面目を動く程度でございますが、国民生活に一番影響のありまする消費者物価、これにつきましては、もちろん卸、小売の物価が上がらなければ、これはそう上がるものではございませんで、消費者物価というものにはサービス料、これが相当影響いたします。また家具、住宅等々がどうしても経済成長で上がる傾向がございますので、消費者物価の方は、卸売物価ほど横ばいしません。施策はなかなかむずかしい。ことに手間賃、サービス料が上がるということは、国民全体の所得の伸びにつり合ってこれは考えていかなければならない問題である。従いまして、小売物価につきましては、政府といたしましては、できるだけ適正な、合理的な、上がるものはこれはやむを得ませんが、思惑とか、あるいはムードで上がるというようなことは極力押さえるように、一つの、何と申しますか、部局を設けまして、企画庁でやってもらうつもりでございますが、独禁法とか、あるいは公共料金とか、あるいは組合関係等々と、あらゆる方面から上がり方をできるだけ少なくしていく。一方での手間賃の点は、これはやむを得ないという考えで進んでいきたいと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 企画庁長官は、総合官庁として総合的な物価対策というものをお考えだと思うのです。この物価対策についてどういうような方針をお持ちになっていますか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) まあ一口に申しますれば、物価は安定せしめていく、こういうことが物価対策の目標であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいま総理大臣の御答弁では、卸売物価は大体まあ持ち合い、多少下がっていくかもしれない。消費者物価につきましては、まあ上がることは認められているわけですね。前提にしているわけですね。その便乗値上げ、そういうことは押えなければならないけれども・合理的な値上がり、特に手間賃とかそういうものの値上がりによる騰貴は、まあやむを得ない。  そこで、私は結論から申しますと、最近鉄道運賃、郵便料金、その他公共料金の引き上げ、これは今後諸料金の引き上げにはね返り、それがまた他の物価にはれ返って、それが卸売物価にはね返らないということは私はあり得ないと思う。結局この対策を誤まれば、私は池田内閣の命取りになると思う。この物価対策で所得倍増計画がこれでくずれちゃうと思うのです。それは根底からくずれると思うのです。  そこで、具体的にお伺いしたいのですが、手間賃が上がる、それによって物価の上がる分については、これはいたし方ないと、こういうのですが、所得倍増計画によって他の所得がだんだんふえていきますね、そうしますと手間賃が上がらざるを得ないでしょう。そうしたら、そういう他の所得が上がるにつれて、手間賃もこれは上がらざるを得ない。そうしたら、毎年々々やはりそういう手間賃、あるいはパーマネントとか理髪、そういう賃金部分が多く占めている料金ですね、そういうものがどんどん上がっていくでしょう。そういうものが上がっていけば、ほかにもこれははね返ってきます。影響を与えます。それは本年度だけじゃないですよ、次から次と上がっていくでしょう。そういうものはどんどんほかの所得が上がるにつれて、そうして手間賃がどんどん上がる。それにつれて料金が上がるのはこれは認めていくと、こういうことなんですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 合理的な上がり方なら、これは当然の結果と思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 企画庁長官はどういうふうにそれをお考えですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 今、木村さんのおっしゃいました通り、手間の上がり方も、他の収入、所得の増加に照応して、こういうようなふうにつれて上がると、こうおっしゃいましたので、いたちごっこに、一方が上がると一方が上がる。一方が上がっても、それが他にはね返るということにはならないと、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは、それが結局コストにいろいろな影響をしてくるわけですが、結局全体の物価水準を一上げていく、こういうことになると思うのですね、全体の物価水準を。それで私は、片方で物価が上がるならば、他方において何か物価の下がる政策をとって、総合的に物価を安定さしていかなければ全体的に私は上がると思うのです。経済企画庁は総合官庁ですから、今総理が言われたように、手間賃が上がるのは、どんどん上がっていってもしようがないと言う。しかし、実際家庭では、家計簿を担当する主婦にとっては、名目がどうあろうと、それがインフレであろうがなかろうが、そんな言葉はどうでもいいと思う。現実に家計にそれが響いてくるのです、それが。そういう場合に、そういった値上がりはいたし方ないとしても、他方において下がれば、家計における影響はそれで相殺されるわけですね。それこそ物価対策じゃないですか、総合的な。だから、他方において上がることがあれば、ほかの方で下げる政策をとり、総合的に物価を安定させるというのが、先ほど企画庁長官の答弁になった物価を安定させるという意味じゃないですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 全くお話の通りでございまして、私の国会における経済演説の中でも、工業的な製品のごときは、将来生産性の向上によって価格を下げ得るものがあり得ると思う。そういうものについては、これを価格を下げる方向で指導していきたいということを申しております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうでなければならぬと思うのです。  そこで、総理に伺いたいのですが、卸売物価については、大体横ばい、あるいは安定、多少下がるかもしれないというのが所得倍増計画の場合の前提であるようなお話でございました。しかし、今後所得倍増計画によって労働賃金もどんどん上がっていくわけですね。コストに算入されます。そういうコストに算入されていく場合、これは物価の引き上げの原因になりますね。その問題にどういうふうに対処していくかということと、手間賃等が上がる場合には、これは生産性向上によって吸収できない。できないから上がるのはやむを得ないというのですね。こういう考え方に立っていると思うのです。そうすると、全体的に物価の値上がりというものがやはりどうしても起こらざるを得ない。他方において物価を下げるという政策、これを具体的に伺いたい。どういう政策をとるか伺いたいのですが、総理にまず伺いたいのは、その賃金値上がりによるコスト高、それをどういうふうにして、それによる物価の値上がりを押えるか。それからもう一つは、生産性の向上によって吸収できない手間賃とか、パーマあるいは理髪、そういうところの賃金値上がりによる料金の値上がり、これをどういうふうにしてその値上がりが家計に響かないようにされていくのか。との二点について。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 卸売物価が横ばいあるいは下降の傾向にあるということは、私は生産性の向上が相当急速に上っております。従いましてこの賃金の方もかなり上がっております。過去昭和三十一年か三十年を基準にいたしまして、生産性の向上は平均三割以上上がっております。賃金指数も二割余り、二割七、八分、生産性の向上にまだマッチしておりませんが、大体お話並みで上がっておる。そうして物価は今のように横ばいであります。生産は三十年に比べて五割伸びている。それで今日本は大体安定したところをたどっている。私も今後それをやっていこうと考えております。それから、今の消費者物価が家計に響くという問題でありますが、家計に響くという問題は響き方、これは消費者物価が上がって所得が上がらないということは、これは大へんなことでございますが、賃金指数も、先ほど申し上げましたごとく二十数%上がって、そうして消費者物価が大体一〇%で、こういうことでいけば、もちろん響かないとは申しませんけれども、全体の生活としては向上していると考えているのであります。従って所得倍増になったときに、消費者物価が一つも上がらないということになれば非常によろしいわけでありますが、これはなかなか困難で、所得が倍になったとき消費者物価の上がり方がうん下であるということが望ましいわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その料金類が上がっても家計に響かないようにすればいい、所得がそれ以上に上がればいいとおっしゃいますけれども、三十六年度の税制をごらんになりましても基礎控除に触れていない。そうすると、所得が、一人当たり大体二万一千円くらいふえることになっている。ところが、税金の方は、減税にかかわらず、税金の負担がふえているのですよ。基礎控除に触れませんから、いじりませんから税金負担がふえている。そうすると、一人当たりの国民所得は一万一千円くらいふえるようですけれども、税引きになると大体五・何%しかふえない。所得倍増なんとか言っておりますけれども、倍増の場合だったら一割くらい年間ふえなければならないでしょう。そこへもってきて料金類の引き上げがあると、それは実質的にはそんなにふえなくなるのです。ですから税制面についてもそういうところを考慮しなければならないのですが、片一方でその物価が上がった場合、他方において価格が上がった場合、他方においてこれを下げれば、これは安定するわけです。そこで私は、これからやはり料金類の値上がりも予想されます。国鉄運賃、郵便料金の値上がりも政府は大体認めておるようです。それを他の面において今度は相殺するような、ほかにおいて家計費負担が減るような措置を政府はおとりにならないのかどうか。現実に国鉄運賃が上がれば家計に響くのです。大体東京都の例で、夫婦子供三人で月収三万三千円の人ですね、今度の減税で四百円減税になった。ところが国鉄運賃の値上がりによって、大体四百八十円だんなさんと子供さんの定期代がふえる。国鉄運賃の値上がりだけによって四百八十円ですよ、それだけ家計費の負担になる。そうすると減税は飛んでしまって、八十円むしろ赤字になる。今度郵便料金は小包が上がるでしょう。迫水長官の郷里の鹿児島は今までは百五十円、今度は二百九十円、そういう負担が出てくる。これは国鉄運賃だけでそうでしょう。それから郵便料金だけでそうですよ。ところが、そのほかに私鉄が上げる。電力、ガス、水道、学校の授業料、家賃、こういうものが上がってきたらどうします。実際の家計簿より見て、この値上がり負担というものは軽視できないですよ。ですから、一方においてそういう値上がりによる家計負担があれば、他方において負担が軽くなるような措置をとることによって、その負担を相殺する。こういう政策こそが総合的な物価対策であり、企画庁長官も先ほどその通りだとおっしゃった。そこで総理大臣は、他方において家計費の負担が軽くなるようなどういう措置をお考えなんですか。今までは、上がるということだけですよ。今まで出ているのは、下げるというのはちっとも出ていない。何らか下げる政策をとらなければ、全体に物価が上がらざるを得ないでしょう。家計費はそれだけ負担が多くならざるを得ない。政府の政策に、家計費の負担が下がるという政策はどこにございますか。減税をやったって、基礎控除に触れませんから逆に税金は高いんですよ。高くなるような減税なんですよ。減税をやるから負担が軽くなるということは言えないと思う。間接税を減税すれば別ですが、その点総理にお伺いしたい。下げる対策ですね。一つもとられていない。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) まず御質問の点で、基礎控除をやっていないから税金があまり減らないじゃないか。これは税率その他で全般的には減っておると思います。家族五人で三十二万円が三十九万円まで上がっていることですから、相当減ると思う。大村さんに申し上げたい一つの点は、それではその人の所得はどうなっていますか。それがもし役人であれば、昨年よりも一二・四%上がっている。その人の所得がどうなっているかということをお考え願いたい。それから手間賃が上がって、消費者物価が上がってもやむを得ない、片方でそういう下げる施策をとれ、その通りであります。私は先ほど来言っているように、材木その他建築資材、そうして食糧等について引き下げの措置を講じたい。それから今まで上がっていない、三十年ころから比べると、下がっているものについてもできるだけ下げていきたい。大体鉱工業生産は、生産性が向上し賃金も上がっておりますが、今御承知の通り非常に設備を拡張しております。人によっては生産過剰になるだろう。私は過剰というところまではいかないけれども、品物が相当もたれてくるということは、これは下降の傾向でございます。私が申しております貿易自由化、これが今までの日本の物価を下げるに非常に役に立つわけであります。最近において、砂糖につきましても大豆につきましても、相当思い切った輸入をしろということを言っております。早い話が毛糸なんかも自由化の問題がありましてから、もう何と申しますか、一ポンド二千円近くしたものが、千三百円近くに値段が下がっております。品質がよくなってきて下がりつつある。下げる方の政策は随時とって参り、そうして生産の増強によって品物がもたれて、だんだん下降の傾向になる。私はこういうことは考えて言っておる。だから税の問題につきましても、要すれば、事務当局からお答えさせますが、税は軽い、またその計算には電気、ガス税も入っていないという計算になっておると思います。そうしてその人の所得がどうなっているか、こういう全体を勘案しながら私は台所にそう響かない、そうして所得がふえ、われわれの生活が向上していくことを念願しておるのでございます。過去五年をごらん下さいましても、私はそういう傾向に相なっておると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 念願はけっこうですが、所得がふえなかったら大へんですよ。それはだんだん成長していけば、家計費がふえてくるのですから。結婚する、子供ができる、所得がふえるということと、家計が楽になるかならないかということは別問題だ、所得がふえなかったら大へんです。ですから今の公務員でも定期昇給というものがあるのですよ、定期昇給というのは賃金の引き上げではありません。当然これは年をとっていけば家計費がふえていくから、所得がふえるのです。それ以上にふえなければ、池田総理の言われるほんとうの意味の所得倍増にはならないのです。十年間一万円ずつ上がって、それが倍になるというのはあたりまえなんです。倍にならなければ大へんです。子供ができる、家計費がふえる、家計費との関係について考慮すべきです。総理は今所得がふえるということも考えなければいかんと言われた、それはもちろん考えなければならないと思うのです。私もそれを前提にして考えておる。ただ所得のふえるということと、家計が楽になるかならないかということは、その所得と税金の問題、基礎控除の問題、物価の問題、そういうものを総合的に判断して考えなければいけないと思うのです。  そこで企画庁長官に伺いたいのです。最初三十六年度の消費者物価を〇・七%に押える、ところがそれを一・一%ですかに改定されたようです。   〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕 その根拠です。そうして今後の消費者物価の見通し、それをお伺いしたいのです。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 最初〇・七%と見通しましたのは、食糧費その他は若干下がってくるが、主として住居及び雑費に若干の値上がりがあるであろう、計算の詳細についてはもし必要とあれば事務当局に説明させますが、そういうようなことを勘案しながら一応の計算をして〇・七%と出しております。その後国鉄の運賃の値上がりがあります。それが〇・一響くであろう、それから私立学校の月謝が上がる、これは現実の問題として若干ずつ上がっております。そういうものを考える。さらに九州電力の値上げの申請が一七・幾らでありまして、これをかりに申請通りと一応見積もりましてはじき出しまして、そういうもので修正をいたしますというと、一・〇九という数字になるので、一・一とした。現実の問題としては、九州電力は一〇%台に抑制をすることになるでありましょうから若干下がると思います。まあ全体的に見て、本年は昨年に比べまして約三%消費者物価が上がっておる。これは主として昨年の夏から以後の食糧、ことに魚介類の値上がりというようなものが大きく占めておると判断いたしておりますが、本年は大体一・一の程度で推移する、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大体一・一ですね。私の計算ですと、これは総理府統計局の、企画庁でお使いになっているCPI、東京のCPIです。三十六年一月は一一二・六です。そうして三十玉年度の平均が一一・三です。これで割りますと、大体一・一ですね。そうすると、今これで計算しますと、本年一月の物価が横ばいするということだけで一・一なんですよ。それに先ほど企画庁長官が言われました、これは東京CPIですが、授業料とかあるいは家賃とか国鉄運賃を加えれば、一・一ではとどまりません。そのほかに、消費者物価指数には入っていないものの値上がりというものも考えなければならぬのですよ。それをどの程度に考えられているのですか。非常に軽微に考えているようですけれども、たとえば授業料関係だって、入学金とかあるいは校友会の費用とか、あるいは大工の手間賃、そんなものは入っていないでしょう。地下鉄の運賃は入っておりますか。そういうCPIに入っていないものの値上がりが相当あるのですよ。しかも東京CPIだけで、一月の物価が横ばいであるとして一・一なんですよ。何か非常に企画庁の発表は影響を過小に見ておりますが、そんなものじゃないと思うのです。もう家庭の主婦に聞きましても、肌身に感じて、最近でもすでにみそ、しょうゆとか、昨年秋からのそういうものの値上がりによって家計は非常にふくらんで、大体家計費にして、さっきお話した東京都で四十二才の人、夫婦子供三人で月収三万三千円の人が、昨年秋からのみそ、しょうゆ等の値上がりによって、二千円家計費がふえている。これが一般の主婦の家計での物価値上がりに対する実際の感じなんですよ。政府の発表とは大へん違う。何かCPIの統計上の、指数上の発表はそのように見えますが、それでも企画庁のとわれわれの計算とでは違うのです。もうすでに一月の物価が横ばいとして一・一なんです。ですから非常に過小な計算ではないかと思われるのですが、この点いかがですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) ただいまお話の中で、CPIの統計を作ります上で含まれてないものもあるじゃないかというお話でございますけれども、これは先般から総理大臣からも御指示を受けておりますけれども、逆にたとえば耐久消費財のごとき、やはりCPIには含まれておりません。こういうようなものは値下がりをいたしておるのでありまして、一応議論を現在の制度のCPIの問題で進めていきたいと思いますけれども、私は先ほど御説明いたしました見積りのようなふうにして、一・一の程度で推移し得るものと考えております。  なお、ただいま御質問の中で、三万三千円くらいのところで、家計費に物価が上がっただけで二千円の影響があるということをおっしゃいました。これはよく方々で聞くのでありますけれども、実は何が幾ら上がってその総合計が二千円になるのだという根拠を、私はこの機会でなくてもよろしゅうございますから、あとで木村先生に伺いたいと思いますけれども、私どもの計算では、物価の値上がりだけでふえた家計費というものは、これはもうずっと低い約五百円以下、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それはもう何回も、たとえば毎日新聞なんかでも、詳しく家計簿の値上がりというものがあります。それはたくさんあります。それはあとであれいたします。  それからこういう点も考える必要がありますよ。多少、今まで穀類ばかり食べていたのが、たとえば牛肉とか肉類、乳製品、こういうものの消費がふえたということですね。これは所得倍増計画による政策なんですよ。ですから、生活水準を同じと考えてはいけないと思うのです。生活水準の向上というものを前提にしているでしょう。それを前提にして家計費のふえるということもやはり問題にしなければ……。それじゃ牛乳消費が少しふえた、牛乳の値上がりもあって、家計費もふえた。それは、消費がふえたのだから、また、牛乳とか、牛肉なんか食べたからふえるのだと、そういう議論ではいけないと思うのですよ。当然生活向上が予想されているのですよ、所得倍増計画ではね。ですから、その点も企画庁長官は、物価の問題を考える場合に、家計費の問題を考えるときに、質的向上というものを考慮に入れなければいけないのじゃないか。それでなければ、中産階級化とか、あるいは西欧諸国と十年後に同じような生活水準になるとか、あるいは生活の洋風化だ、あるいはこれからリクリエーションをだんだん盛んにしなければならない、レジャーも持たなければいかぬ、それは政策でしょう。ところがリクリエーションを盛んにしようというと、今度は鉄道運賃が上がるのですよ。家庭電化を盛んにして、だんだん生活を文化的にしようというと、電気料金が上がるでしょう。教育文化を盛んならしめようというと、月謝が上がるんでしょう。そういうふうに国民生活をこれから所得倍増によってだんだん近代化し、引き上げていくにしても、みんな上がってくる。また上がろうとしている。ですから、それでいいのかどうか。それでは、どんどん上がっちゃったのでは、結局、政策では所得倍増によって十年後に西欧諸国と同じような、それに近い、そういう北欧諸国と同じくらいの生活水準になるといったって、それは実現できない。ですから、そういうものとして考えるべきじゃありませんか、質的の向上の……。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 全くおっしゃる通りでございまして、いわゆる所得倍増計画、池田内閣の高度経済成長政策というのは、究極の目的は、国民生活の内容を充実向上せしめることにある、それが具体的の問題として家計の支出の増大となって現われてくるのは当然でございまするから、高度経済成長政策の究極の目的は、家計の支出の増大を目的としているものだといっても、決して間違いではございません。ただ、私先ほど申し上げましたのは、私どもの研究でも、三万三千円のクラスの方で、やっぱり家計の増加というものは二千八百二十三円、家計は平均して増加していると思っております。先ほど木村さんのおっしゃったのは、物価騰貴によって二千円増加しているという言葉をお使いになりましたので、そこを私は伺いたかったのでありまして、この二千八百何円の増加をしていることは当然であって、これはもっと増加させたいと考えておる。それは生活内容の質的向上によって増加した部分が相当の部分であって、国鉄の運賃の値上がりあるいは郵便料金の値上がり、あるいはおとうふが若干上がったということによって、その物価だけの問題として、それが、二千円全部が物価の値上がりで占められているごとき御発言がありましたものですから、その点を伺ったような次第でございます。   〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 今後の物価対策について伺いたいのですが、今まで政府の物価対策を伺っていますと、具体的に物価を下げるという政策についてまだ納得いくような御答弁がないのです。  そこで、私の方から具体策をお示ししますので、これについて政府の見解を承りたい。  まず第一に、間接税を引き下げるべきではないかと思うんです。鉄道運賃値上げにわれわれは反対です。その他も反対です。かりに、どうしても鉄道運賃を上げるというのならば、他方において間接税を下げることによって——たばことかあるいは酒、物品税、砂糖の税金等々にありますが——そうすれば、それによって家計費の上がるのは片方で相殺できる。あるいはパーマ代とか低賃金の労働者の賃金が上がることによって料金が上がるという、そういう場合は、間接税を下げることによって相殺できるのじゃないか。なぜ政府は間接税を下げなかったのか。三十五年度においても財源があるでしょう。あるんですよ。大蔵大臣は二、三百億まだあると、最小限を言われた、私はまだ四、五百億あると思いますよ。四百四十億、これも産投に入れるよりは——産投は三十六年度はありますよ。三十六年度においては三千九百三十億、ですからこの四百億を間接税の引き下げに向けるべきでしょう。それでもまだ余裕があるんですから、三十六年度ではね。それで総合的な物価対策になるんでしょう。池田総理は、忍耐と寛容、そういう精神によって今後国会運営についてやられると言われる。合理的な意見であれば聞くにやぶさかではない。予算を修正することにやぶさかでないと答弁されています。私の、間接税の引き下げによって公共料金その他で家計費がふえる分をカバーせよというこの議論、これについて、もし合理的であると総理がお考えになったならば、私は第三次補正でも組んで、ここで三十五年度でも間接税を引き下げるべきじゃないかと思う。それが具体的に言うところの寛容と忍耐の寛容の精神だということだと思うんですよ。そこまで具体的に考えなければ、それはもううたい文句みたいなものであって、それは抽象的なことにすぎないと思うんです。そこで、総理は、この三十五年度内にまだ余裕財源があるんですから、産投はこれはやめて、この第二次補正は、三十六年度は財源があるんですから、間接税の減税に向けるべきだと思うんですが、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 減税についての私どもの態度は、しばしば申しました通り、個々ばらばらの税利のいじり方はやりたくない。やはり税制は体系的にいじらなければなりませんので、そのために、三年という研究期間をおきまして、税制調査会にこの検討を願っている。この検討の済み次第、逐次全体の体系を害さないような形で減税をやっていきたい、こういう方針で今まできておりますので、御承知のように、今度は税制調査会から、とりあえず所得税、法人税中心の減税についての意見答申がございましたので、政府は、これに基づいて今国会に減税の税制改革案の御審議を願うことになっておりまして、今後引き続いて中央、地方を通ずる税源の配分の仕方とか、地方税のあり方というようなものについての検討にこれから入っていくと同時に、また直接税と間接税の問題で、今おっしゃられましたような間接税の減税の必要がございますので、どういう形でやっていくのが全体の税体系を害さないで合理的な税の改正になるかというふうに、順を追って今政府は合理的な減税をやろうとしておるときでございますので、今その線で始まっておる。従って、三十五年度に、まだこれは財源があるかどうか今のところはわかりませんが、かりに若干の財源が予想されるにしましても、減税の仕方をそういう方法によってやろうと考えておりますので、途中で、三十五年度にこれから部分的な減税をやるというようなことは適当でないと思っておりますので、今年度は、すでに御承知のように、前国会でお願いしました給与所得についての減税をやるにとどめたわけでございまして、これから今年度内に減税をやるということは、事実上不可能だと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 税制そのものについては、また本予算のときに質問いたしますが、私は、総合物価対策の一環として、間接税の引き下げを考えるべきだという意見を述べたわけです。これについては、また本予算のときに税制そのものとして質問いたしたいと思います。  次に、国鉄運賃あるいは郵便料金、特に国鉄運賃ですが、公共料金の負担につきまして、これは受益者負担の原則をもっと確立すべきじゃないかと思うのですね。今度の国鉄の第二次五ヵ年計画によって一番利益を受けるのはだれであるか。あるいは電力、道路、港湾、工業用水の開発等によって利益を受けるのは大資本なんです。ですから、そういう人たちは受益者ですから、やはりそういう受益者に負担させるという、そういう考え方をすべきである。つまり、それは税金でまかなうべきものである。しかも租税特別措置による減税は本年度だけでも千四百七億でしょう。三十六年度は大体千五、六百億ありますよ。ですから租税特別措置を整理することによっても、国鉄運賃の四百八十六億ぐらいの財源はまかなえるのですし、あるいは法人税の改正によっても、超過利得税を設けることによっても財源は出てきます。国民の税金によって大資本に多く奉仕する国鉄とか、あるいは電力、道路、港湾、工業用水、これを建設するというのは筋が通らないと思うのです。ですから、受益者負担の原則をもっと確立して、税金によってその建設資金をまかなうという考え方です、この点について総理大臣はどういうふうにお考えか承りたいです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 独立採算制をとっておりまする国鉄といたしましては、やはり受益者が直接その値上がりを負担するという建前でやっております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうじゃないのです。国鉄運賃の運賃制度をごらんになっても、貨物運賃が安くて、旅客運賃でカバーしているのです。逆なんですね。受益者負担の原則が貫かれておらない。電力料金だって大口の料金が二円くらいです。電灯料金が十一円か十二円なんです。受益者負担でないのですよ、料金制度そのものが。ですからそれを受益者負担のようにすべきであると言うのですよ。全然理解していない、運賃制度や料金制度を道路だって、港湾だって、工業用水だってそうでしょう。所得倍増政策による大きな会社の設備拡張によって、国鉄の拡張なり、道路、港湾、工業用水の拡張が必要になってきているのですよ。大資本の利益になるわけですよ。全部とは申しませんが。従って、利益を受けるその大資本の負担においてそういうものをまかなうべきだと思うのです。  もう時間がなくなりましたから、次に・独占物価のもっと引き下げに努力すべきだ、特に鉄鋼の価格を引き下げるべきだと思います。鉄鋼の値段を下げることによって機械の価格も下がるでしょう。それによって全体の物価を上げないようにすることができます。先ほど総理大臣は、生産性が非常に上がっていると言われた。生産性が上がっているのに卸売物価が安定しているということは、総体的に上がっているということなんです。経済企画庁の調査でも、昭和二十八年から三十四年まで大体五〇%ぐらい生産性は上がっているのですよ。五〇%も生産性が上がっているのに、卸売物価はちっとも下がっていない、鉄鋼の値段が。その間に賃金の値上げがありましたが、非常にたくさんの利益を大きな会社は得て、そうして設備拡張、設備拡張をやっている。それによって神武景気だ、縄文景気だ、これが出ているのでしょう。今後の物価政策として独占物価、特に鉄鋼の価格を引き下げるべきだと思うのですが、総理大臣はいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 生産性の向上によるものは、これは賃金あるいは将来の生産基盤の強化、あるいは物価の値下がりということに向けてやるのが本然の姿であろうと思います。鉄鋼につきましても、昨年たぶん二千円か、三千円下げたと思います。そういう方針はわれわれもとっていきたい、またとりつつあるのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 一厘金利が下がりますと、一会社で十五億円ぐらい利益が多く出る。従いまして、今度の金利引き下げと関連して、そうして独占価格をもっと下げるべきですね。非常な独占利潤を得ております。  最後にもう一つ総理に伺いたいのですが、私は三十七年度には過剰生産の恐慌がくるのではないかと、こういうふうに見ているのです。三十六年度の予算自体が、過剰生産の反動景気をもたらす矛盾を持っていると思うのですが、その中で、特に物価の問題に関連して伺いたい。消費者物価がだんだん値上がりして参りますと、相対的に購買力がそこで減ってくるわけなんです、相対的にですね。それで生産力と有効需要との不均衡が三十七年度になって私は非常に強く出てくるのじゃないかと思う。三兆円以上の設備投資が三十六年度に行なわれ、これが生産力化してくる。ところが、さっきの基礎控除の引き上げなんかで大きく所得がふえるだろうと……。それが予定した一〇%の所得増加にならないのですよ。ふえるにはふえますけれども、所得倍増計画とマッチしてこない、消費者物価が上がってきますと。そればかりじゃございませんが、この物価対策を誤ると、所得倍増計画がくずれてくる。特に三十七年度には私は過剰生産の景気反動が現われてくると思うのです。すでに中には、もう国鉄の輸送なんかを見ますと、下期にダウンするような傾向にあるといわれております。もうそういう徴候が出ておりますが、三十六年度は、この積極財政あるいは積極的な民間設備投資で九・八%以上の成長は私はいくと思うのです。しかし、三十七年度に——これまでの過去の景気循環から見て、ちょうど五年目ごとに景気循環の不況はきているのです。そういう循環の期間から見ても、ちょうど三十七年度は五年目ですよ。池田さんは二回失敗しているんです。昭和二十九年ですね、あのときはロバートソン会談でお帰りになって、そうして経済基盤の強化という積極財政をとった、二十九年にデフレ予算をとった。三十二年に千億減税積極政策をとった、そうして外貨危機でなべ底不景気がきた。ちょうど今度五年目のまた三十七年ごろは、景気循環から見て五年目になる、ちょうど景気循環をもたらす転期にくると同時に、今政府のやっている政策が、物価政策だけじゃないですが、特に物価政策で、生産力に対して有効需要をですね、つり合わないようにしていく要素になっていくと思うのです。そういう点から、三十七年度の景気動向を、どういうふうに総理はお考えになり、これにどう対処しようとされているか。これはドルの防衛の影響とか自由化の影響とか、いろいろ三十七年度にそういう悪い影響がしわ寄せしてくるのでありますが、この点について伺いたいのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十八年のあれ、それから三十二年のあれ、木村さんは失敗だとこうおっしゃいますが、私は成功だったと考えておるのであります。その後の動きをずっとごらん下されば、二十八年におきましては、災害によりまして一億四、五千万ドルの食糧緊急輸入をやりましたために赤字が出た。三十一年の赤字は、スエズ運河の結果、思惑輸入をして外貨が三、四億ドル減りましたが、物資は六、七億ドル、たくさん日本に入ってきております。これが三十三年から四年、五年、そして今の好景気を来たしておるのであります。私は決して失敗したとは思いません。それから三十二年、三十三年が非常に不景気だといっても、生産は一つも落ちていません。日本のジャーナリズムあるいは金融専門家は非常に神経質で、少し言葉が強過ぎる。結果をずっとごらん下されば、じみちに伸びておるのであります。三十七年度は動くか、こういう話でありますが、私は、全知全能を国民とともに働かしまして、リセッションの起こらぬようにやっていこう。それはもちろん一〇%、九%がずっと続くと保証はできませんが、あまり動かない、予定よりも動かない、これで進み得られると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 安定的成長という言葉は、暑気変動を起こさないようにしていくのが安定的成長で、一兆円デフレ予算、あの二十九年のときですね。失業者が生じ、働く人たちが非常に困るわけです、嫌気変動ということがあると。だから、景気変動をやはり避けるということが大切なんじゃないですか。私はまあそうならないことを池田総理のために願うわけですが、どうも三度目のいわゆるすれ違いの悲劇というものを、またここで総理が演ぜられるのじゃないかというふうに思うのです。時間がございませんから、三十七年度の経済の見通し、景気反動がくるのじゃないか、過剰生産の不況がくるのじゃないかとい私の論拠については、これは議論になりますからやめます。  それで最後に一つだけ承っておきたいです、これはこの前の国会での質問に関連するのですが、池田総理は外為会計につきまして、これは根本的にやはり再検討する必要があるということを言われた。そして今度私は、この特別会計の、外為会計の予算書を見ましたが、この前とだいぶ変わっているような収支になっているように思われるのです。そこで、総理は外為会計の根本的な再検討と言われましたが、どういう点をこれから変えようとしておられるか、その点についてですね。それでまた、これが三十六年度の予算にやはりどの程度に出ているのか承りたいです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) この前の国会で申し上げた通りに、外為会計のあり方につきまして、今大蔵省で再検討願っておるわけであります。まだ具体案を持ってきておりません。これは外国為替管理法等と関連する問題が多いのでございまして、私は、貿易の自由化と同時に為替の自由化も進めていかなければならぬ。これと関連いたしまして、外為会計のあり方につきまして検討を加えておるのであります。大体大蔵省としては、従来MOF勘定を非常に大事にするというような傾向がございます。私はこれはある程度改めつつあるのではないかと思う。具体的のあり方につきましては、まだ為替管理の問題と関連いたしまして検討を命じておる次第でございます。結論はまだ出ておりません。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 木村君の持ち時間は終了いたしましたから……。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 一問だけ……。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) では一問だけどうぞ。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 最後に、今度の一十六年度の特別会計の予算書のうち、外為会計のあれを見ますと、かなり赤字が出ると思っておったのが赤字が出ないのですね。三十六年度、外貨が相当余るはずなんですよ。赤字が出ない。これには今までと私は違った運営をするということになったんじゃないかと思うのです。たとえば日銀に対して外貨を売る、売れば無利息の資金が入りますから、今まで約六分の利息で入ったのが、外貨を売れば、これで利息のつかない資金が入る。そういう、日銀に外貨を持たせるという、そういうふうに何か政策の転換をされたのではないかということが一点ですね。今後、貿易。為替管理ももちろんあることでありますが、外貨を日銀にだんだん保有さしていくのではないかと思われる節もあるのですが、この外貨の運用についてのお考え方と、それからインベントリーが千二百億もあるわけですね。このインベントリーは、総理はどういうように将来考えていくつもりであるか。これについても問題があると思うのですが、この二点についてお伺いしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話しの通りに、今お答えしたMOF勘定の問題でございます。大蔵大臣の持っておる外貨を日銀に売るとすれば、外為証券を発行することは要りませんから、それだけ赤字は少ない。それからまた前の貿易特別会計、それからまた一般会計からのインベントリー、これはインドネシアの債権を棒引きしてもなおかつ千三百億くらい残る。そしてまた利子の要らない国庫余裕金の運用を数百億円やっておりますから、大蔵大臣の勘定の外貨を日銀にできるだけ売るということにすれば、そういうインベントリーで動く金、政府余裕金の運用ということで、赤字が生じない。ある程度黒字が出るということは、やり得ることでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 インベントリーを将来どういうふうにお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) インベントリーの問題を将来どうするかということは、もう少し私は考えさしていただきたいと思います。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 午後は二時より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時十八分休憩    ————・————    午後二時二十四分開会

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) これより委員会を開会いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。大谷贇雄君。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 質問に入るに先立ちまして、御列席の閣僚諸公に注文がございます。ということは、議運の理事会の協議会で、自民党の持ち時間は百三十五分、大谷贇雄はただ一人の質問者である。従って百三十五分あるはずだけれども、片方を見るというと六十分ということになっている。そこで六十分できるかしらぬと思っておったところが、わが愛する館委員長は百三十五分を値引きをしろというわけだ。四分の一に負けておけというようなことで、これもまたわが党の愛する委員長であるし、予算委員会は今、明日二日しかありませんので、忍びがたきを忍んで了承をいたしたわけであります。ところが、私の質問事項は十一カ項目になっておりまして、これは緊急欠くべからざる質問でありまして、これを削るわけにはいかない。普通でやると十一時間あるいは十二時間を要するのでありますが、それを百三十五分の四分の一に縮めろというのですから、まことにこれは困難至極の技術を要するのでございます。しかし、まあ時間制限の、愛する委員長の要請がありまするから、まあ涙をのんで、一つそういうことで了承をいたして質問いたすわけであります。そこで、とくと閣僚諸公にお願いしたいことは、私はそういうことで、きわめて困難な情勢下において簡明に質問を、ほんとうは非常にしたいのだけれども、仕方がないのでお尋ねを申し上げますから、従って閣僚諸公は私の質問に対しましては十分懇切丁寧に、一つ私が納得がいくように、同僚諸君が心から了承するように、また国民諸君がよろしいということになりまするように、十分に一つ御答弁をお願いしたいのだが、しかし、この際とばかりに大演説をぶたれては困るので、そこのところは一つ閣僚諸公の答弁技術の妙を発揮していただいて一つお答えをいただきたい。あらかじめそれだけ御注文を申し上げておきます。  そこで、時間の制限がそういうことであって、まことに遺憾千万と思っておったら、なお内容につきましても、総論各論と行こうと思ったら、総理も二時半でなければ御出席にならぬというし、厚生大臣は、衆議院の方で参議院の方はやめてくれと言って、社労の衆議院の諸君が言う。そんなべらぼうなことはない。参議院きわめて軽視であるということで、まず最初にお尋ねをいたしますので、順序不同で、まことに遺憾千万であるが、大谷贇雄、めちゃくちゃに、ずたずたになってしまったのだが、一つ御答弁を願いたい。  そこで、厚生大臣は非常な御苦心をされて、対医師会の問題、医療費引き上げの問題について非常な御苦労をしていだたいておりまして、私は心から敬意を表しております。ところが、せっかく大臣が苦心惨たんして御努力を願っており、きのうも懇談会があり、きょうは新聞を見るというと、総理も乗り出してこの解決策に当たろうというようなことでいろいろ御心配を願っておりますが、しかし二月十九日はいよいよ切迫をして参りました。日本医師会、歯科医師会が全会員に対して一斉休診の指令を下した。これは、各新聞をごらんになっても、国民は非常な憤激をしておる。武見太郎君は実は私と同窓でございまして、同窓のよしみとして少しかばわなければならぬけれども、なかなか体格いいし、がんばりの強い男でございまして、彼も慶応の仏教青年会の会員でもあって、なかなかの人物だと思うのですが、とにかくやっておる。しかし、そういう一斉休診ということについて国民は非常に憤激をいたしておるわけです。とにかく日曜日は休むのがあたりまえだなんということを言ってもらっては、これはどうにもならぬ。従って、こういう事態に対して厚生大臣、いろいろとまあ御苦心をいただいておりますが、これが対策、御所見はどうであろうか、これをまず第一に伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 十九日の一斉スト、また一斉検診、予防注射、予防接種などの非協力、あるいは保険医の辞退というふうな強硬な方針を医師会、また歯科医師会で打ち出されておりまして、国民全体に大きな不安を与えているわけでありますが、何とかこれを円満に収拾できないものかと思いまして、できるだけ努力はいたしておりますが、まだそのめどがつかぬ状況であります。医師会がここまでの態度に出るにつきましては、いろいろそれなりの理由もあると思うのであります。今度の医療費の引き上げ問題に対しての不満な点もありましょう。のみならず、さらに昨年八月に出しております医師会からいえば四つの要望、歯科医師会も似たり寄ったりの要望がございますが、それがまだ実現されていないではないかという不満、あるいはさかのぼって保険診療というものと、それから自由診療という立場をとる医師会の方々の立場との関係、まあ根本的にこの保険診療と自由診療ということを考えられる立場とのいおば衝突、めんどうな問題が背景にありまして、それが積もり積もって今回になったように思うのでありまして、医師会、歯科医師会とされても、きわめて良識のある方々ばかりでありますのに、あそこまでいかなければならぬようになった事情は、われわれの方もさかのぼって考えてみなければならぬ点もあると思うのであります。しかしとにもかくにも、きょうの不安を除きますためにはどうしたらいいか。あるだけの手段を尽くさなければならぬと、こういう考え方で私ども努力いたします。のみならず、自民党の党といたしましても、三役が中心となって、この問題の解決に努力しようということになり、また今もお話のように、けさほどは総理みずからも加わられて、どうしてこれを円満に乗り切るかという協議をいたしたり、それに続いてまた努力もやっていこうという状況でありまして、最後まで何とかこの事態を円満に解決する努力を続けたいという考えでいるのであります。少なくとも、一番不安を国民に与えております急患に対する措置などは、最小限度、何としてもこれは欠くわけにいきませんので、医師会にもお願いをし、またわれわれも万が一のときの手当を官公立病院などにもいたしまして、間違いのないように、最悪の場合にも最小限度の手段は講じてくれということで、今日臨んでいるという段階であります。実情をありのまま申し上げてお答え申し上げます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、ときはすでに非常に切迫をいたしておるのでございまして、国民はひとしく心配をいたしております。お医者さん方にもいろいろ長年の問題で解決をしてもらいたいことがあるということはよく了承をいたしておりまするけれども、しかし、病に主なしといい、いつ起こるかわからない。日曜日に病気が起こらないなんということはだれも保証できない。それを、診療を日曜日だからしないというようなことになっては、これは事人命問題に関する。従って国民の憤激するところはそこに実はあるわけであります。従いまして、今日は総理もお出ましになって解決策に乗り出されておる。厚生大臣の御苦心と対策は私どもも十分に了承し、また代々の厚生大臣がこの問題のために非常な苦しみをなめて退陣をするというような事象が起こっております。どうか一つこの際、抜本的な解決をしていただきたい。しかし、あくまでごね得だというようなことになっては私はいかぬと思います。厚生大臣、所信に向かって一つ明快な判断によって国民の不安を一掃していただく。同時に将来の医療行政の方向に対して誤りない基本線を貫かれることを希望いたす次第でございます。  そこで、総理がお帰りになりましたから総論に戻ります。この今度の国会での非常な中心題目になるであろうと思われますのはILOの問題だと思うのです。そこで、この点につきましては、どうしても、私はこの前の特別国会におきましても総理に、情報宣伝省を置いていただくことが最も大切である。当時アメリカの例も申し上げ、ドイツの例も、さらにまた、フランスの宣伝大臣を置いておることも実は申し上げた。このごろフランスの宣伝相に会いましたところが、国民というものは政府の施策、あるいは政党の考え方というものについては身近かでない。従ってもう絶えずリピート、リピート——繰り返し繰り返し言わぬというと、政府の施策というものが徹底しないのだと、こういうことを申しておった。全く同感であります。国内においてばかりでなしに、たとえば日本の考えておりますることを、総理は国連外交の強化をするということをおっしゃっておいでになりまするが、どうしてもこれはそのためには広報宣伝活動を強化するということが非常に大事な問題だと思う。このごろアメリカのUSIA、対外広報機構だけを調べてみましても、一億二千万ドルも使っている。日本の広報室に去年たった一億三千万円、円ですわ、これは問題になりません。これでは国会デモが起こって、そしてああしてやるような事態が惹起するのです。従って、私は今度の国会の非常に重要な問題でありまするILO等の問題に関しましては、ぜひとも国民諸君に周知徹底をせしめませんというと、われわれはILOというものを知っているけれども、一般の人は、これはILOとは何やいな、ILOとは何ですか、アリラン節ですか、そういうような認識よりないわけです。従って、その点に関しまして、ひとりILOの問題のみならず、施策一般に対して、これは政党も徹底的にやらなければならない、その点について、宣伝活動の大いに強化をはかられるような御意思ありやいなやということを総理にお伺いいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 民主政治の建前といたしまして、情報を収集し、施策を宣伝するということは、最も重要なことであるのでございます。財政の許す範囲内におきまして、できるだけ経費をそちらの方に回すように努めております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 これはイギリスでも中央広報庁というものがございまして、もうそれは何です、あらゆる国民に対するサービスもするし、周知徹底をせしむるということに最大の努力をいたしておる。従って、特に一つ総理の十分なその点に関する御配慮をお願いをいたしたいと思います。そこでILOの問題ですが、この問題につきましては、総理の施政方針演説におきまして、ILO条約の批准をすると同時に、国内態勢の整備をすると、こういうことでございましたが、私どもはこの現状のままで、直ちにこれが批准はすべきものではない。野放しでこの批准をしてしまうということになっては、これはせっかくの自由民主労働運動のこの展開が最も望ましいときにおきまして、その点におきまして、非常な欠点、欠陥を生ずるものと思われる。従って、国内法の整備をするということが先決問題である。国内態勢の整備をするということが先決要件であると思いますが、この点に関しまして、総理並びに労働大臣の御所見を伺いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話の通りでございまして、私は国内法の整備につきまして、ただいま検討を加えている次第でございます。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) ILO八十七号条約は、ILOの諸条約の中でも基本的な条約の一つでありますので、これの批准案を国会に提出する方針でありますが、それには、少なくとも同時に国内法の整備が行なわれることが必要であろうと考えまして、目下、国内法の整備の調整に当たっているところであります。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 労働大臣、一つその点は……どうもこのごろなんですよ、事務当局の人の話を聞いてみるとあまり十分でないようです。これは一つ、あんたふんどし引き締めんことには、これはあきませんよ、これは十分に一つ御留意をお願いをいたしたい。  そこで、ILOの問題につきまして、日教組が先般ILOに提訴いたしておる、それに対して文部省がその見解を発表を、この間の七日でありましたか——されて、これは実は国内の問題を国際労働機構に持ち出すということは、国内で解決できることを持ち出すということは、実は国際信用上から残念なことだと思っておる。そこで政府の発表によりまするというと、日教組の申し立ては主として歪曲をした、あるいは隠蔽した事実を基礎として主張しておる、そして具体的な例をあげておるのでございます。もししかりとすれば、学校の先生の団体に対するみずから不信用が国際的にも出てくるということになる。従ってその点に関しまして、文部大臣としては、日教組が今日まで発表しました公式文書の中で事実を歪曲したものがあるとすれば、それを、具体的な事例を一つこの際伺っておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  日教組のILO提訴に対しましては、ILOの事務局から一応これを受理して、その上に立って政府側としての反論の資料があるならば送ってよこせ、こういう求めに応じまして先般送付いたしました。その一部につきまして新聞発表をいたしたのでありますが、元来、外交文書でございますから、ILOの従来の取り扱いが、一般的にこれを発表することはしないという外交慣例になっておるということでございまして、ただ、参議院におきましても、あるいはまた新聞の方からも、一部のことは発表したらどうだというふうな御要望もございましたので、ほんの一部のことを発表したわけでございます。そのことはすでに新聞にも伝わっておりますことでございますから、ことさら申し上げませんが、ただ、私どもの方で回答するにつきましては、ただ真実をありのままに申しまして、提訴の理由のないことを反論するという態度で終始いたしておるのであります。具体的なことは、すでに発表されました範囲についてのみ御了承いただいておることと思いますから、繰り返し申し上げることを避けたいと思います。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 私はこの問題につきましては、八十七号条約批准に際しまして、文教の問題は非常に大事である。在籍専従の問題にしましても、この前の三年間暫定的に認めるなんというようなことでは、私はあんなものはあかんと思う。これは即時撤廃をしなければならぬと思う。また、ストライキ権の問題でも、そういうことは考えられぬ問題である、従ってこれは十分に一つ御検討を願いたいと思います。そこで、北海道新聞にこういう記事が出ておる。高等学校の三年生であります。高等学校生徒の政治活動は望ましくないと校長さんたちのきめたことは正しいと思う。私はある高校生の政治団体に加盟しておった一人だったが、おそろしくなってやめた。何度かの会合のときに、いつでも北教組、高教組、全学連の人が来ては、プロレタリア独裁革命の近いことを話して励ましておった。先生たちの勤評に反対せよ、教育課程を改めることは戦争につながるというようなおそろしいことを話したりします。私たちに、最前線の闘士として学校内を乱すように教え込むのです。右翼のことは知りませんが、こんな渦の中に入ってしまっては、私たちの心境はそれよりもっと激しくなると思います。おそろしいことです。こういうことを新聞に寄せてある。一体、日本の教育はこれであっていいのかどうか、総理並びに文相の御見解を承っておきたいと思う。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 教育は国の根本でございますので、りっぱな教育が行なわれることを念願いたしております。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。ただいま総理からきわめて簡潔に御答弁がございましたが、私もその通りだと思います。教育を通じて、日本人としてりっぱな人に育ってほしい。さらに、それは国際的にも信頼と敬愛を受けるに足るような人に育ってくれかしとする念願を、教育を通じて実現すべきものと心得ております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、このごろ大へんいやな事件が起こりまして、そのために、との間警察庁長官に聞くというと、われわれ国会議員やほかの人に百何十名の警官が番をしておると。会館でも、花をつける。何やっておるのか、大会でもあるのか。いや、これつけにゃはいれません。きのう私が衆議院に行ったら、衛視が、ちょっとどなたですか。あほらしくて物が言えぬ。去年の安保国会、あの大騒動のとき、われわれは平然として、堂々わしはデモの中に国会に一人おった。道路に出ても何ともない。そんなススキの穂におびえるようなあほらしいことをやってもらってはあかん。大いに泰然自若として、山くずるるともという信念をもってやらにゃいかぬと思う。  そこで、この際、これも実は私どもの方の国会対策委員会であまり言うなというので、しようがないから、あまり言わぬが、それで抽象的に申し上げる。事が起こるのは、必ず源がある。根本原因がある。その根本原因に粛正を加えなければ、現われた事象だけながめても、これは無意味だと思う。(「そこまではよろしい」と呼ぶ者あり)そうでしょう。そこで、近ごろ、言論の自由、これはあくまでも守らなければならぬ。総理も本会議でそういう御答弁。しかし、おのずからこれには限度がある。天皇陛下を、あんた、むちゃくちゃにこきおろしてしまったり、あれは気違いが書いたものだといえばそれまでのことだが、そんなものをほっとくなんというあほな手はない。これは断じてやっぱり国家の尊厳——世界各国どこへ行ったって、元首に対する名誉保持のちゃんと法律ができとる。日本だけは人間天皇様やから、そんなことはないけれども、腹の中ではおもしろうない。わしがあんなことを書かれたら、憤慨にたえぬから、押しかけていく。抗議を申し込んでいく。そこで、こういう問題が起こる。二、三日前に、これはわしの先生やが、小泉信三先生——武見君も弟子や。この小泉信荘先生が、「言論の自由とその自制」という論文を書いていられる。私はこの際、総理が、こういう去年からハガチー等々。羽田のあの事件。アイク訪日中止。浅沼さんああいう目に会った。津さんもそうや。それから河上さんも。そうして、山口二矢、また今度。こういうことについて、その源の言論の自由はむろん尊重するけれども、この行き過ぎというのは根本問題だ。この根本問題に対して、総理がはっきりした態度を打ち出されるということは、私は国民が信頼するゆえんだと思う。池田内閣がふにゃふにゃだというようなことでは、信頼しません。また、ああいう暴力事件、いろいろ法案等も出るわけで、われわれの身辺を守ってもらっておる。そんなとろくさいことじゃあきまへんわ。私は、この際総理がきぜんたる一大宣言を発していただくということが、国民に池田内閣が信を得るゆえんだと思いますので、御所信をこの際承っておきたいと思う。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 言論の自由は民主主義の根本でございますから、これはあくまで擁護しなきゃなりません。しかし、権利の乱用、また自由の行き過ぎ、これも民主主義の敵であるのであります。従いまして、私は、言論の自由を守ると同時に、その行き過ぎにつきましてはこれを抑えていかなきゃならぬと考えております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 これは、マスコミ倫理全国協議会というものがありまして、映倫、それから新聞社等、このごろ私はその代表者の人と懇談会を開きましたが、非常にやっぱり心配して自主的規制を大いにやっておられるのでありますから、政府はやはりこれらの方々とも常時一つひざつき合わして、日本の青少年の問題の品位向上のためにも、いろいろな事故が起こらぬためにも、ぜひとも一つそれらの人々とも大いに常時接近をしていただいて、話し合いをしていくということにつきまして、一つ深甚の御配慮を願いたいと思いますが、これはいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 内閣総理大臣就任以来、新聞報道関係の人と常に話し合うよう、できるだけの機会をつかまえて懇談しておる状況でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、どうも近ごろちょっといろいろなことが狂った状態なんですな。インセイン・ソサイァティ、狂った社会という言葉がありますが、これはヌーベル・バーグならいいけれども、だいぶ狂ってきておる、その一つの例です。これはここの同僚諸君にもあんまり知っておる人はなかろうと思う。これは実は、二、三年前に私が発見した。ということは、この東京のどまん中に、法務省のそばに——そばということもないが、とにかく都内に、北鮮の、あんた、共産主義を日本国内に伝播する国際的な大学がある。御承知ですか。法務大臣、警察庁長官、どうです、みんな。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 都下北多摩郡の小平に、朝鮮大学と称する共産主義を教育する学校がございます。これは昭和三十四年六月に北区から移って参ったものでございまして、四年制の学校でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 これが、あんた、なかなか隆々としておることを知っておりますかいな。隆々と栄えておるのじゃ。これは四年制大学で、今三年生までおる。それで、日本人の先生も十人ばかり行っておる。これは、あんた、日本の東京のどまん中に国際共産主義の大学が堂々とできておる。一体、文部大臣、どうお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。最近そういう話を聞きましたわけでございますが、総合するところによりますると、大学とおっしゃいますけれども、実は何々商会というがごとき営利事業をやっておる団体であるがごとく見受けられるそうであります。従いまして、まだ学校として運営されておるかどうかという、実態につきまして十分承知いたさないことをまことに遺憾に存じますが、十分に調査いたしまして、善処いたしたいと思います。もっとも、各種学校ということでございますと、直接文部省がタッチしない課題でもございますが、いずれにしましても、東京都とも連絡をいたしつつ、真相を確かめまして、善処をしたいと思います。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 それはあきまへんわ。それはあんた、学校教育制度の中に入っておらぬ学校です。東京都の教育委員会も御存じないのです。これはやみ大学です。やみ大学。一体こういうものが——これは実は一席大いにやりたいのだが、もう時間がないですから。法務大臣、一体こういうものが、法務大臣のいらっしゃる東京のどまん中にあるのは、どうです、どういたします。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま御質問になりました、いわゆる朝鮮大学と称せられるものがあることは、われわれ、公安調査庁の関係から、ある程度の情報を手にいたしております。先ほど安井国務大臣からも御答弁がありましたように、都下小平町にその施設があるのでございまして、これが昭和三十三年の秋ごろに、最初は技術者養成所をこしらえるというようなことで土地を獲得し、施設を作りかかったのでありますが、これが途中から、その翌年の三十四年六月に、先ほども御答弁がございましたように、そうした学校らしきものをまあ始めたということでございます。  その内容等につきましては、詳しいことが御必要なら、政府委員をして答弁いたさせますが、いわゆる共産主義の教育をしておる。教師の諸君も約四、五十名いるようでありますが、うち三十名ばかりは朝鮮人、二十名近く日本人も関係しておられるということがわかっておるわけであります。そうしてそれの一体運営はだれがやっておるのかという問題につきましては、これは在日朝鮮人総連合、この団体がやっておるのでありまして、この団体は公安調査庁のいわゆる活動範囲内であります。破防法の見地からは、これをいわゆるわれわれの方で暴力主義的破壊活動の容疑団体ということで、調査の対象にいたしておるのであります。従いまして、もし今後の状況いかんによりまして、十分われわれはその動静を調査いたしておきまして、もし忌まわしい問題等に発展するおそれがないように、できるだけ今後も調査を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 なお、詳細に一つ承りたいと思います。

関之公安調査庁次長

○政府委員(関之君) 御説明申し上げます。ただいまここで御質問になり、各大臣からお答えになりましたごとく、朝鮮大学と称するものが存在しておるわけでございます。これは在日朝鮮人総連合、すなわち略称総連と称するものが支配、指導しているわけでございまして、総連は結局、北鮮の各種団体が結成する統一戦線に加盟いたしまして、北鮮に直結し、在日という条件のもとにおいて北鮮の指導、支配のもとに共産主義運動を推進する、こういう団体なのであります。  そこで、その団体がさまざまな活動をしておりますが、教育活勅というのはきわめて重要な場面である、こういうふうに判断されるわけであります。その証拠といたしまして、この三年間ほどに北鮮から総連の教育活動の援助として総計約十一億円ほどの資金を送ってきておるわけであります。その中の約一億ちょっとのものが、この大学の建設資金ということに充当されておるわけであります。設立の経過は、ただいま法務大臣からお話し申し上げましたような次第でありまして、そういうわけでで上がったのでございます。  ところで、総連は、これは単なる大学のみならず、その今の十一億円の資金を基礎といたしまして、要するに子弟を共産主義的に教育する。がっちりした共産主義の精神に鍛練された青年を養い上げて、そうしてこの総連活動の筋骨にするとともに、その精神のもとに養われた技術者を養って北鮮の建設に送り込む、こういうような大体考え方をとっておるようであります。従って、その考え方から、今のような膨大な資金を利用いたしまして、小学校、中学校、高校などについては、すでに多くの努力をいたしております。中には、北鮮からじきじき教科書を取り寄せて、そうして共産主義の教育をいたしておる。その最高の学校といたしまして、かつては朝鮮師範専門学校、これは高校などの先生を養う学校でありましたが、それを改組いたしまして、朝鮮大学、こういうふうに俗に称するものを作り上げたわけであります。  さて、そこで何をいたしておるかと申しますと、この学校は文学部と理学部と二つに分かれておりまして、そうしてそこに現在生徒さんが約三百余名おりまして、先生は、ただいま申し上げましたように、教授が約三十名、講師が約二十四名。その二十四名は、大体日本の方々がそれに当たっているのであります。中には、共産党員も数名発見される状況にあるわけであります。さて、そこで教育の根本の方針として、要するに共産主義の思想を徹底する、それに基づくところの考え方をさらに完成する。もちろん、これは高校とか中学のそこらの過程においても、その方針によってやっておりまして、要するに、それらの初歩的な段階の最後の仕上げ、最も最高の理論をそこで教え込む、こういうような考え方でそこで教育が行なわれているわけであります。教科書なども、技術的な問題は大体技術の教科書でありますが、思想的な問題はすべてマルクス・レーニン主義に基づく基本的な文献、また当面の金日成の書いたものとか、あるいはそれに関連する革命朝鮮の解放の経過、いろいろなこういうような問題をそこで講義しているのであります。このような内容がその朝鮮大学の実態なのでありまして、ここに今申し上げたような一億円の金で、学校の校舎は約一千三百坪余り、それに寄宿舎が九百坪ほど、相当広大な土地を占めております。率直に申しまして、なかなか警戒厳重で、調査をしても、なかなか近づけないというような警戒のもとに、そのような教育を実施しているという実情に相なっているわけであります。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、こういう学校教育系統にも属せざるやみ大学が、しかもおそるべき国際共産勢力の中心の学校が、東京のどまん中にある。一体これは、先ほど法務大臣から破防法のお話が出ましたが、これは適用できるのですかどうですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。学校そのものに対しては、  いわゆるやみ学校と申しますか、いわゆる朝鮮大学そのものに対しましては、ただいまのところ破防法の活動云々  の問題はございません。今のところ、まだございません。しかしながら、これを経営しておりますところの、運営しておりますところのいわゆる朝総連、これがわれわれの破防法の調査対象にしておりますので、それの調査状況いかん、さらに今後の活動状況いかんによっては、当該在日朝鮮人総連合がわれわれの調査の対象になって、そうしてその活動を規制するとか云々の問題は、必要があればそういうところまで進んで参ることもあり得るかと、かように考える次第でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 きびしき御善処をお願いをいたします。   そこで、次に、きょうの新聞に新島の問題が出ております。さらに十日にも乱闘事件、この真相について御説明を願います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 昭和三十二年から防衛庁があそこヘミサイルの試射場を設置する計画を立てておりまして、それが三十四年に島の地元の村会で受け入れ態勢が決定いたしましたが、これに対する反対派がございまして、終始、今反対派と賛成派との抗争が繰り返されておる実情でございます。詳しい状況につきましては、警察庁長官から申し上げます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 御説明いたします。防衛庁関係で数年来紛争が起こっておることは遺憾に存じております。ただ、事柄の実態はきわめて、その実態そのものは明らかなんであります。それは防衛庁で、三十二年でございますか三年でございますか、ミサイルの試射場を作りたい、こういうことから起こっております。現在の段階は、試射場へ参ります二メートル半くらいの道路を一メーターか二メーター広げる、村道の工事に関する村会を開くかいなかの問題でございます。村の実際の状況は、その試射場を作るにあたって、港を建設し道路を作るというようなことで、非常な希望条件がありまして、これを受け入れたわけであります。現在、賛成派は約六割以上七割近く、反対する島民が不幸にいたしまして四割から三割くらいあるわけであります。  試射場と申します内容はどうであるかと申しますに、国産のものでありまして、海外から買い入れましたエリコン、あるいはサイドワインダー、こういうものは一切あそこで試射するつもりはございませんし、それから、いわんや試射の対象になりますものも、防衛庁所管の技術研究本部で国産化いたしておりますミサイルであります。ミサイルと申しますと、何か非常に言葉が激しいようでありますが、一種の武器ではございますが、それの基本になりますところの飛翔体と申しますか、飛ぶものを試験したい。従って、率直に申しますと、本質は秋田県でやっておりますロケットの試験とほとんど変わらないわけでありまして、しかも飛ぶ距離はわずか十キロないし二十キロ。秋田県でやっておりますものは、これが二百キロないし三百キロというような……。それから、私どもの方でやっておりますものは、考えておりますのは、その先に落下傘をつけまして、静かに海中へ落として、回収して内部の機械の構造を調べたい。従って、爆発物や、いわんや核弾頭などはつけない。年間大体二十回くらいですから、まあ一月前後のものを使わしていただきたい、しかも、その先は無人地帯でありまして、島の突端の地域でありますから、ツバキの灌木等がありまして、何ら人家、航空機、航行船舶にも損害を与えない。万一漁業補償でも必要であればこれを与えよう、こういうのが実態でございます。  ところが、残念なるかな、一部の村民が戦争中疎開された経験から、多少誤解があるのであります。また、左右両翼の方々がはるばるあそこまでお出かけになりまして、率直に申しますと、いささか巌流島のような格好になっておるというのが現在の状況でございます。防衛庁といたしましては、できるだけ流血ということを避けつつ、しかし大部分の方がこの手のあいているときに村道工事くらいはやらしてもらいたいという強い希望もありますから、それらに従っておもむろに進めて参りたい、これが実際のわれわれの姿であります。なお、これに関しましては、軍事基地にするのじゃないかという声がありますが、絶対に私どもはそういう考えはございませんし、またそれが必要があれば、余暇には、あいているときには、たとえば民間にも御開放申し上げるという考え方もあるのでございます。これらの点を御納得いただきますれば、この問題は漸次解決するのじゃないか、こういうふうに思っておりますが、ただ遺憾ながら、よそから入っていらっしゃる方が非常に御熱心に、それぞれの立場で熱心にやっておる、これが実情でございます。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 新島問題は、昭和三十四年十二月に村議会で受け入れ承認がなされたわけでございますが、この問題に反対します約三百九十戸の島民、これが支援団体の支援を得まして、新島ミサイル試射場設置反対同盟を結成して、抗議運動や道路通行阻止闘争を展開いたしておるのであります。本年に入りましてから、設置賛成の右翼団体と、反対支援オルグ団の相次ぐ多数渡島に伴いまして、ただいま防衛庁長官からお話のございましたように、紛争事案が相当数発生いたしておるのであります。  現在までに発生いたしました不法事犯は三十八件ございます。このうち本年に入ってから十二件を見ているのでございます。この内訳を申し上げますと、反対派によるものが二十一件、このうちオルグ団が関係したものが十八件、賛成派によるものが九件、右翼によるものが八件、合計三十八件ございまして、このうち検挙送致いたしましたものは、反対派十八件、八十名、うちオルグ関係のものが十六件、三十七名、賛成派が七件、二十九名、右翼四件、十三名、ということになっておるわけであります。  警備のいたし方といたしまして、警察といたしましては、新島が離島であるという特殊な環境と、島民の感情等も考慮いたしまして、島民をいたずらに刺激したり、問題の解決がなった場合におきましても、島民の間にしこりが残るというようなことのないように、細心の注意を払って事態に対処しておるわけでございますが、勢いのおもむくところ、警察の警告や制止に従わない不法の行為が起こった場合におきましては、やむを得ず必要かつ適切な措置をとるという警備方針をもって臨んでおるわけでございます。  警備の現在の態勢でございますが、新島におきましては、新島署員が四十一名、大島署からの派遣が八名、本部私服員が十二名、機動隊三十八名、合計九十九名を配置しておりますが、島内の情勢いかんによりましては、さらに機動隊等の増強も考えざるを得ないという状況でございます。  現在、オルグ団は百二十九名参っておるわけであります。また右翼側におきましては、大日本独立青年党、防共挺身隊、大日本愛国党、こういうものが三十数名参っておるわけであります。そういう状況でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 自治大臣にお尋ねします。このような左右両団体が行って村議会に圧力を加えるということは、これは自治行政の干渉ではございませんか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) お話の通り、村の問題でございますから、この村の問題に実力をもって外部から入っていっていろいろ行動を起こすということは、決して好ましいことじゃなかろうと思います。それには、おのずから法的に取り締まりますためには限度がございまして、これはその事犯々々においてはこれを警察の力なり何なりで制止をいたして、好ましいことではございませんが、今直ちにこれに警察力等を加えて排除をするといったようなことにはちょっといたしかねるような状況にございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、鳥ではよそ者は出てもらいたいという声が相当ある、両方の。このよそ者が出て行きさえすれば自主的にうまくいけるのだが、それに対してどこまでお骨折りになり、またどういうような今後対策をお立てになるのですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 村の当事者の中にも、そういった外からの干渉を排撃したいという空気が漸次盛り上がってきておるようであります。これは当事者を通じてその両者に対して退去を要請する、あるいは警察側からもこれ以上紛争が激しくなるようならば、退去を勧説すると申しますか、そういったような手段をとりたいと思っております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 すみやかなる御善処をお願いいたします。  そこで、さっきの木村君の物価問題、これを一つ……。どうもこれ、やはり納得がいかぬです。迫水長官の横ばい論なんて、これはわかりますけれどもね、われわれは。しかしそりゃカニの横ばい……人間生活ですからな。そいつがやはりこれはこの際……ことに公共企業体の鉄道、それから郵便、この値上げ、これは社会党さんや総評、民社も演説会をやっている。これは物価値下げ大運動を展開すると言っておる。従ってこれはやはりピンク・ムードならいいけれども、これはなかなか値上げムードだから、これはやはり女性方にはなかなか納得がいかぬのです。この「婦人公論」で、娘さんと迫水長官が対談をしていなさるが、納得しているようだが、最後には納得しておらぬ。従ってこの際、総理、経済企画庁長官それから郵政大臣、運輸大臣等、一つこの場で……私も納得がいかない。私はしろうとだから、木村さんみたいに専門家じゃないのだから、詳しく一つお話を願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 物価はできるだけ上がらないように、しかしまた消費者物価で合理的であるものは、これはやむを得ない、こういうことでございます。合理的であっても、それができるだけ上がり方を少なくするように努めていこうとしておるのであります。所得倍増との関係は、午前中も企画庁長官が申した通りでございます。われわれが物価の安定ということは、施策の根本として考えております。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 物価が横ばいと申しますのは、物価が上がらないという意味でございます。それは卸売物価の段階におきましては物価は上がっていかない、こういうことを申したのでありまして、別にカニが横にはうという意味ではございません。消費者の物価につきましては、経済演説でも詳しく申し上げましたが、商品の小売価格、それから床屋さんとかパーマ屋さんとかいういわゆるサービスの業並びに公共料金、この三つに分けて御説明を申し上げましたが、商品の小売価格というのは、原則として卸売物価が上がりませんので、上がっていくことは少ないと思います。もっともとうふ屋さんでありまするとか、そういうようないわゆる労賃が価格を作り上げる上において大きな要素を含みまするものにつきましては、若干の上がり方はございますけれども、インフレーションというような問題になることは決してございません。サービスの料金につきましては、ただいま総理大臣もおっしゃいましたように、この面に属している人たちの収入がほかの一般の人の収入と同様にふえていかなきゃならぬ立場上、当然これは若干ずつ高騰をいたす次第でございます。要するに、物価が騰貴をしない方がもちろんいいのでありますけれども、一般に収入がふえて参りまする関係上、それに伴って手間賃が上がることによって、若干ずつそういう方面の値上がりがくるということは、これは許すべき限界だと考えております。公共料金につきましては、これは別に運輸大臣及び郵政大臣よりお答えがあると思いますが、独立採算制の限界において、必要なる資金を、それを利用する人たちが、少しずつ自分の上がりつつある所得の中から出し合っていくということは、これはやむを得ないことではないかと思います。  要するに、さっき雑誌のことをおっしゃいましたけれども、そのときにおいでになった女の方も、何か自分たちがふところから出す金が、少しでも多くなるのは実にいやだというその感じだけをおっしゃっていらっしゃるのでありまして、そのときは、その雑誌には出ておりませんけれども、だんだん話を詰めていきますというと、その方のお考えでは、パーマ屋さんの、美容師の給料というものは、国が税金で取った、その税金で取ったものの中から補助すればいいじゃないかというようなふうに話がなりそうになったこともあるのでありまして、そういうことができないということは当然でございますので、現在所得倍増計画が進行して、経済が成長しております際においては、所得がふえておるのでありますから、その限界の中において、手間賃の値上がりによるものは、やむを得ないと思います。一般的に卸売物価、物価の基礎になるものというものは、需要供給の関係並びに生産性の向上の関係からいいまして、むしろ下がりぎみの横ばいと、こう考えております。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げます。今回の国鉄運賃を改訂いたしまする問題は、御承知の通りただいまの国鉄の輸送力が、現在におきましても国民の需要に相応ぜざるうらみがございます。従いまして所得倍増、経済成長等の今後における事態を勘案いたしますると、この際日本の産業の動脈でありまする国有鉄道の輸送力を増強、整備する必要があるという結論に到達いたしたのでございます。そこで国鉄におきましては、昭和三十六年度から五ヵ年計画によりまして、主要幹線の複線化とか、電化とか、あるいは通勤・通学の輸送力の増強によって、混雑の緩和をいたしますとか、あるいは踏切の整備をいたしますとか、いろいろの増強、整備をいたしますることを計画いたしましたが、これに要する資金は、五ヵ年間におきまして九千七百五十億円という、約一兆億円に近いものでございまして、年度割にいたしますと千九百五十億円というような膨大な金額になる次第でございます。そこで、鉄道の公共企業体、独立採算ということをにらみ合せますると、政府といたしましても、この財政投融資計画を従来よりも増していく、借入金は本三十六年度にいたしますと一千億に近い九百九十六億円ぐらいに増加いたしまして、昨年に比べますると百七十四億円ぐらい、借入金の方でも増加をいたします。もちろん企業体といたしまして、みずからの手による企業の合理化によりまして、金をしぼり出すということも考えなくてはならぬ、また六百億円ぐらいは減価償却の方に金を回しまして、これを増強の方に使う、こういうふうに考えて参りますると、この際約四、五百億の金は、利用する人たちの負掛、それが国民生活にあまり響かぬように、物価に影響のない最小限度ならば、がまんをして改訂してもらうということが適当である、こういうふうに考えました次第でございます。  御承知の通り、鉄道の運賃というものは、ほかの物価に比較いたしますると、ずっと非常に低いのでございます。昭和十一年を一〇〇とする物価指数を見ましても、昭和三十四年度におきましては、小売物価が二九七になっておるときに、鉄道の旅客運賃は一二九というような、まことに低いところにあるのでございます。しかしながらこれを改訂いたすにあたりましては、国民の生活に影響することを考え、物価にさし響くことを考えまして、たとえば農林水産物の物資に対しまする暫定割引はそのままに割引率を残しておく、あるいはまた通勤通学の定期につきましては、割引率はかなり、御承知の通り最高九二・二%というような大きな割引でございますけれども、それは国民生活に及ぼす影響を考えてこれも残しておく。あるいはこれは法律の改正ではございませんけれども、一番利用されております従来の三等、今度の二等の寝台などに対しまするいわゆる税金を、ただいま通行税廃止は御審議を願っておりまするが、これが出ますれば、従来よりも、一番利用されるところの二等寝台というものは二割安くなるというような、いろいろのことを考えて実施をいたすのでございまして、従来昭和二十六年、昭和三十年に鉄道運賃の改訂がございましたけれども、これらはほとんど影響することはなく、あるいは物価はそのとき下がったというようなことがございますので、今もお話がありましたように、物価は、需要供給、その他いろいろのエレメントによってこれは決定さるるものでございまして、この程度の国鉄運賃の改訂によりまして、物価に大きな影響があるというふうには、私どもは考えておらない次第でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 ちょっとこの機会に、国鉄総裁の十河さんおられますが、あなたの方の国鉄労組さん、えらい、新聞見ると反対しておりますが、これはどういうわけですか、ビラ張って。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 労働組合がどういう理由で反対しておるかよくわかりませんが、今もお話があったように、あるいは物価が上がりはしないかということ、あるいは合理化が進められて、労働組合の方にしわ寄せになりはしないかというふうなことを心配して反対しておるのじゃないかと想像いたしておる次第であります。

小金義照自由民主党郵政大臣

○国務大臣(小金義照君) 公共料金のうち、郵便物等についてお答え申し上げます。今総理並びに経済企画庁長官から基本方針を述べられましたが、まさに郵便料金につきましてはその一つでありまして、御承知のように、昭和二十六年から、ほんの一部、小包か何かについて途中で改訂が行なわれただけで、そのままになっておるのです。ところが郵便物の激増状態は非常なものでありまして、郵便物がふえれば料金がふえるのでありますけれども、とうていこれは追いつかない。そこで特別会計の建前もございまして、ちょうど十年たったときでありまして、これを改訂する時期が来た。そしてこれは各方面の方々にお願いをしてあります郵政審議会で十分審議いたされまして、その答申を基礎にして郵便の値上がりの料率を一応内定いたしました。これは大体において国民生活に一番影響のあるだろうといわれる第一種、第二種、すなわち封書とはがきは全然手をつけません。激増いたしました第三種。第四種は据え置き、ことに盲人関係のものは今まで幾らか取っておりましたが、これはただにいたします。そして五種、従って三種、五種の値上げであります。あとは為替の振りかえ料、そういうものが上がるのでありまして、国民生活には非常に軽微な、あるいはほとんど影響がないというふうに私どもはその答申によって察知したのでありますが、しからばこれをどう使うんだということが御質問のように思われますけれども、それは、今なかなかこれは困っておる問題ですが、郵便の遅配だとか、そういうふうなものをなくしまして業務の正常運行をはかるために、相当数の非常勤の職員というものがございます。これはきわめて不合理であり、また人を使う上において私はよろしくないことだと思いまして、大蔵省とも相談の結果、非常勤職員を定員化すというようなことに大幅に予算を認めていただきます。さらにまた、大都市に非常に人が集中し、また従って郵便物が集中いたしますので、これを機械化する、運送その他を機械化する。サービスの方面におきましては、特定郵便局を二百局、簡易郵便局を五百局、それから郵便の赤いポストを大体四千六百個くらいを増設いたします。さらに今二回配達いたしておりますが、需要度の高いところにはもう一回くらいふやしたい。収集の方も四回だったと思いますけれども、集約地帯においては四回だったと思いますが、これも一回か二回ふやしたい。さらにまたこれを機械化してどんどん運搬をすみやかにしたい。さらに正常のベース・アップがございます。ベース・アップといいますか昇給と申しますか、それが四・五%くらいの率で見込んでございます。こういうものに充てるために今般値上げをしていただくのでありますが、第一年度は大体為替の振りかえ料まで入れますと七十二億くらいの増収になる。そうすると三十六年度において赤字が出る、それをはるかにこすんじゃないかという御意見も出ましていろいろな論議をいたしましたが、しかし郵便の料金をそうたびたび動かすこともこれは困るので、結局まあ大体五ヵ年間くらいは据え置けるということで、そういう値上げをしていただきたいので、しからば初年度あたり余ったものをどうするか、これは借金を返していきまして、そうして後の用意にするためにそういうふうな処置をとって参りたいと思うので、今申し上げましたことでおわかりのようでございましょうが、従業員にもできるだけ、何といいますか安心して働けるような措置も一緒に講ずる次第であります。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 物価問題は、家庭の大蔵大臣は主婦ですから、気分です、従ってちょっと上がっても非常に微妙に影響しますので、どうか一つ政府におかれましては、十分に国民に納得がいくように一つお願いしたいと思います。国際的視野に立てば、日本の物価は安い、現に三島由紀夫と竹山道雄の対談でも日本はまことに安いと聞いている、しかしちょっとでも上がるのは工合いが悪いですから、どうかこの点は、一つ国民が心から了承のいくように、これは非常に大事な問題ですから特にお願いをいたします。  もう時間がありませんので、もう二点大蔵大臣、通産大臣に、この間六日の日にトランジスター・ラジオの対米輸出で十一商社が捜査を受けた、神戸の税関で、この問題どういうふうになっておりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) その問題のきょうまでの調査の結果は事務当局から報告させます。

稲益繁大蔵省主税局税関部長

○説明員(稲益繁君) ただいま調査中でございますので、今後の調査に支障のない範囲におきまして現在までわかっておりますところを申し上げます。  犯則容疑の概要でありますが、実はトランジスター・ラジオ並びにその部品であります。主として対米並びにカナダ向けの輸出でありますが、その輸出の際に実際の取引価格よりも申告価格があるいは高価に、あるいは低価によって申告されておる。いわゆる虚偽申告の容疑でございます。ただいま調査中の商社、中にはメーカーもあるようでありますが、数は大体東京、大阪、神戸、横浜、こういった地域にわたりまして二十六社ございます。件数で申し上げますると、高価申告が二百七十四件、低価申告が二百五十件、大体こういうことになっております。こういう犯則容疑の出ております原因でありますが、御承知のように輸出競争が非常に激しいわけであります。そのために実際の取引価格よりもチェック・プライスその他の関係で高価に申告する。そうしまして、その間に差額が残るわけでありますが、こういうものの決済を、逆に低価の申告をいたしまして、こういうもので決済するといったような動機があるようであります。  現在までわかっております容疑の内容は大体そういうことでございます。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 対外輸出の際に二つの方法がとられております。つまり、いわゆる自主規制の方法といたしまして、チェック・プライスの制度と、それから数量を規制するという二つのやり方をやっております。今回問題になったのはそのチェック・プライスが十四ドルであるのを下回るような実際の取引を行なったというような容疑の点が問題になったのであろうと存じますが、大体チェック・プライスの制度は非常にまぎらわしいのでありまして、自主規制本来の効果を発揮するよりもいろいろな問題を派生して参るのでありますが、今後はこれよりもむしろ数量規制の方に重きを置いて指導したい、かように考えております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 時間がありませんから、もうちょっとお尋ねいたしますが、ジェトロの対日輸入制限問題、これはなかなか容易ならぬと思いますが、どうお考えでございますか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 新聞に出ておりましたのは、アメリカにおいて日本品をボイコットする、その事例として大体四件をあげておるのでありますが、そのうちで最も注目すベきものは既製服の輸入制限運動でございます。これはアメリカの既製服の労働者の団体がありますが、この団体が、全国的に日本の既製服の輸入を制限すべしと、こういう運動を全国的に起こしておる。あとの三件は反射作用としてそれぞれ地区的にいろいろな動きがあったのでありまして、問題は既製服の全国的運動にあるのであります。で、これは昨年の一月から自主規制を日本の既製服の組合において行ないまして、年間十二万着、これだけを一つアメリカに輸出しようじゃないか、この制限をこえないようにしよう、こういう申し合わせをしたのであります。それで実際の実行の数量はその中のたった四分の一の三万着にすぎないのであります。全米でしからば既製服がどれくらい作られているかと申しますと、昨年で二千五百万着でありますから千分の一そこそこぐらいの程度のものでありますが、何ゆえにかようなわずか三万着の輸入に対してかような運動が起こったかということを考えてみますというと、どうもこれは急に伸びそうである、伸びてしまってから押えるということはなかなか骨が折れるからこの際、というようなことでこういう運動を起こしたように思われるのであります。そこでこの問題を、主としてこれを中心といたしましてアメリカ内おいてマスコミを通じてPRをやり、かたわら在米大使館から厳重に国務省に対してきわめて厳重なる抗議を今続けておる状況でございます。ケネディの声明にもありましたように、輸入制限であるとか、あるいは関税製品を高くして、いわゆる保護貿易的な政策はとらないということを言明している関係もありまするので、もちろんアメリカ政府としては日本の抗議に対して同感であろうと思うのであります。問題は政府の意見通りにも必ずしも簡単にはいかぬというような国柄でございますから、ただし、この抗議に対して相当の効果を上げ得るものと私どもは考えておる次第でございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで前段の問題につきましては、これはやっぱり商売の道義性の立場からも、国際信用を阻害するという問題についても、私は重大な問題だと思っております。通産省、十分に御注意を願って、さらに今のアメリカでは国産品愛用運動も起こるやに聞いております。従って、なかなか貿易は多難であろうと思う。大いに一つ健全な貿易が振興するように、このことを御尽力願いたい。  最後に、一点だけ総理にお尋ねを申し上げますが、先般衆議院の本会議におきまして、加藤勘十君の中共問題に対する質問にお答えになって、施政方針演説とはちょっとニュアンスが変わってですね、世界情勢を見ながら弾力的考え方によって行動をきめたいと思うと、こういうことですが、その弾力的というととはどういうことかですね、これはてんまりみたいでは因るので、その点を一つこの機会にはっきりとしていただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 初めからきまった考え方で押すというのではなしに、情勢の変化を勘案して慎重に検討して善処する、こういうことでございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 委員長、もう一言だけ。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 時間が参りましたが、一言だけ発言を許します。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、これはこの間ケネディの国会における発言を見ましても、それからまた国務次官の発言を見ましても、なかなかはっきりしておるのです。現在の中共は認めることはできぬ。一言にするならばそういうことです。私はフルブライトに会って参りました。また下院の外交委員会の極東小委員長のザブロッキイにも会って参りました。侵略国家であることが反省ができなければ、アメリカは共和党から民主党にかわっても国の根本方針に変わりがない、こういうことをはっきり言っておる。従って、国連代表権、加盟等の問題もこの秋には出てくると思いますが、これらについても相当はっきりした考え方を持っているように私は直接会って、国防省の幹部にも会って参りまして、それらの点は向こうの意思ははっきりしておると思う。従って中共は歴史的にも文化的にも、また地理的にも隣接国家ですから、大いに商売等、文化交流等をやらなければなりませんけれども、国民政府を日本が認めておる以上、これらに対して色目を使うような外交が行なわれることは大へんだと思う。従ってこの点につきましては、その点をもう一度総理から伺っておきたいと思います。外務大臣にも一つこの際伺っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話のように、わが国は中華民国を相手として条約を結んでおりますが、いろいろの点を考えまして誤りなきを期しております。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 総理からのお答えで尽きておると思いますが、世界の情勢、極東の平和、しこうして日本の利益ということを十分に考慮して慎重に対処したいと思います。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 どうか一つその点は十分に慎重にお願いを申し上げまして、愛する委員長のために質問をこれで終わることにいたします。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 次に、田畑金光君。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私は補正予算の点については、けさほど木村委員から詳細にわたり、政府の不手ぎわについて御意見、御質問がございましたが、全く同感でございまして、わが党といたしまして、今次の第二次補正予算については、さきの特別国会における大蔵大臣の答弁に照らしましても、明らかに食言であり、また財政法の建前から見ましても、こういう予算を組む必要はないという立場をとっておりまして、従って、この予算については政府に撤回を要求し、反対を強く表示するものであります。ただいまから質問することは、外交並びに内政の問題について、二、三お尋ねをしたいと思いますが、補正予算を組むなら、むしろこういう点に一つ予算を組んでもらいたい、国民生活につながる問題を中心として予算を組んでもらいたい。これが私の申し上げたい点でございます。  まず最初に、私は日本の独立の完成という立場から、領土問題を中心として沖繩の問題について、二、三総理並びに外務大臣にお尋ねしたいと思っておりますが、まず第一に、現在沖繩はサンフランシスコ平和条約第三条により、アメリカによってその施政権が行使されておることは周知の通りであります。このような現状を日本政府としては好ましいと考えておられるか。また、こうした現状は沖繩住民の意思に即さないと考えておられるかどうか。これをまず承りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩の問題につきまして、この問題はただいまお話のように、平和条約の第三条によりまして、現在の地位がきめられておるわけでありますが、これが施政権の返還問題につきましては、昭和二十七年以来、数回にわたりまして国会の決議もございますし、政府としてはその間にアメリカ当局に対してその配慮を要望したのであります。これに対しまして、アメリカ側はわが方の意のあるところを了解いたしまするとともに、沖繩に対するわが国の潜在主権を確認して、さらにアメリカの沖繩を維持するのは極東の現情勢が継続する期間に限る意向の旨を明らかにしているのであります。この施政権の問題につきましては、高度の政治的見地から日米相互の理解と信頼の上に立って措置することが必要でございまして、政府としては今後あらゆる機会にしんぼう強くこの実現を期するために、積極的に努力して参る所存でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 政府は沖繩の施政権返還について従来努力を続けてこられた、こういうわけでございますが、今日までの努力の成果というものはほとんど見るべきものがないのでございまして、新しい情勢に即してさらに政府としてこの問題については積極的な外交上の措置その他はかられることと考えておりまするが、この点についてもう一度御見解を承りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 昭和三十二年六月に岸前総理が行かれ、またその九月に藤山前外側が行かれ、また私も昨年九月訪米いたしました際、先方の最高首脳との間にこれが要望を行なっておるのであります。その結果、現在御承知のようにできるだけ沖繩の現状は、東西間の極東の情勢にかんがみて、返還することは今むずかしいのであるけれども、その間に沖繩住民の経済発展、福祉増進のために、できるだけ援助をいたそうということになりまして、御承知のように、一昨年以来、教育あるいは医療の各面にわたりまして、経済援助あるいは技術援助を積極的に行なってきております。また昭和三十六年度におきましても、一そう広範囲の各種の援助をいたすよう、現在準備中であるわけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 沖繩の施政権問題を明確化するために、私は、サンフランシスコ条約並びに国連憲章の関係について、政府の考え方を承りたいと思います。  周知のように、サンフランシスコ条約第三条によって、沖繩は将来「アメリカを唯一の施政権者とする信託統治」にすることが条文上予定され、それまでの間、アメリカが施政権を行使するということになっておるわけです。すなわち平和条約第三条は、沖繩の信託統治を予定した規定でありますが、信託統治については、国連憲章でその要件が明確に規定されておるわけです。すなわち国連憲章七十七条によって規定されておりまするが、沖繩はこの国連憲章七十七条のどの号に該当するのか。七十七条によりますると、a号、b号、c号となっておりまするが、沖繩の場合は、信託統治地域と指定するためには、どの条項に該当するのか、これをまず承りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩の問題は、七十七条のb号に「第二次世界戦争の結果として、敵国から分離される地域」というのがございまするが、これに該当するわけであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 大臣の答弁によりますと、「第二次世界戦争の結果として、敵国から分離される地域」、これに該当するというお話でございますが、この条文は、明らかに領土権の放棄を内容としているわけでございまして、沖繩がこの条項に該当するとは考えるわけには参りません。七十七条b号で間違いがないかどうか、あらためて承ります。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 七十七条のb号によって現在のようになっておるわけでございまするが、しかしそれによって平和条約第三条によるところの信託統治制度のもとに置くということの約束、従って信託統治にするという提案がアメリカによってなされることがあれば、わが国としては、これに異議を唱えない義務を負うわけでありますが、アメリカは、このような提案を一定期間にするという義務を、また、負うものではないわけであります。従って現在までこの地域が信託統治制度のもとに置かれていないからといって、アメリカはわが国に沖繩を返還する法律上の義務はないわけでありまするが、なおこのような提案が行なわれ、実行されるまで、わが国は、アメリカがこれらの地域の領域及び住民に対して、行政、司法、立法の権力の全部及び一部を行使する権利を認めております。しかし、それと同時に、潜在主権はわが国にある次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 今、大臣の答弁によりますと、七十七条のb号に該当するということでございますが、もしこの条項に該当するということになりますならば、これは明らかに潜在主権が日本にあるということは、解釈としても出てこないと、こう考えまするし、やはり領土権としては——領土権というものを日本が放棄したということは、断じてないと私たちは考えておるわけでございまするが、この点については、政府として従来とも、b号によるという立場をとっておるのかどうか。あらためて承りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま申し上げました通りでございますが、従来からの解釈についての御質問でありますから、法制局長官からお答えいたします。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) この第三条による沖繩のステータスについては、外務大臣がお答えになった通りでございますが、この第三条が実行される——いわゆる沖繩が将来かりに信託統治の地位になった、その信託統治の本拠は、七十七条一項のabcのどれかということになれば、これはb号と言わざるを得ない。それはそう考えざるを得ないものと考えております。  で、現在でも、いわゆる今のアメリカが施政権を行使しておる状態のもとにおいては、いわゆる日本は領土権を放棄いたしておりません。従いまして、これはいわゆる潜在主権がある、これは、そう考えておりますし、アメリカも、それは言っておりますから、これは問題にならないと思います。  ただ、かりに第三条の規定によって、沖繩について信託統治が施行された場合に、その場合の主権はどこに属するかという問題は、これは信託統治一般の問題でございます。信託統治一般の問題について、信託統治になった場合は、旧主権国の主権はなくなるではないかという議論が、国際法学者の間に相当強いわけであります。これについては、いろいろ意見もございますけれども、主権はなくなるという説も相当あるということは言わざるを得ないと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 この点についての今の御答弁では、納得するわけには参らぬわけです。連合国の中においても、サンフランシスコ平和条約が締結された前後におきましては、この点について、いろいろ議論が分かれたということをわれわれも知っておりまするし、もし今、法制局長官や外務大臣の答弁のようなことであるとするならば、潜在主権があるとか、あるいは領土権の放棄をやっていない、こういうことは出てこないと考えておるわけで、一般的な信託統治制度の建前から見た場合云々という今の法制局長官の御答弁でございますが、沖繩の場合は、第七十七条のa号に該当しないことはもちろん、c号に該当しないことはもちろん、b号についても、これは該当しない、こう見ることが正当な解釈である、こう考えるわけでございますが、この点について、これは法理論の立場からいっても、歴史的から見ましても、そう見るのが、これは常識だと考えるわけです。「敵国から分離される地域」と、明確にこれはなっておるわけでございまして、歴史的な立場から見ましても、沖繩や小笠原あるいはまた講和条約の建前から見ましても、領土権をわれわれは放棄はしていない、こう見るのが当然でございまして、そういう点から見ますならば、b号に該当するという解釈は間違いである。  こう考えておりますが、この点あらためて外務大臣から御答弁を願いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 法律の解釈としては、私が今申し上げたようなことでございますが、先ほども申し上げましたように、こうした信託統治にするということも、アメリカ合衆国の提案があった場合には、これは同意しなければならぬ。しかしアメリカ合衆国としても、一定期間内に、そういう提案をしなければならぬという義務を負うものでもないわけであります。従って今日まで、そういう提案がないわけでありまして、その期間が、この領域、地域内におきまする住民に対しての行政、立法、司法上の権力の全部または一部を行使する権限がアメリカにあるということを認めておるわけでありますが、それと同時にわが国は潜在主権がある、こういう話し合いになって、先方もそれを認めておるわけです。  しかもそういうことを認めておりまするが、その一国にのみ付与されましたその権利が、当該国——この場合アメリカの、一方的な意思によって、その権利を放棄することもまたできるわけであります。これはさきにアメリカが、奄美群島をわが国に返還した例もあるわけでありまして、こうしたことが今後アメリカが、そういう措置をとれば、沖繩の日本返還ということが可能になるわけであります。かようなことであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私のお尋ねしております点は、アメリカが、かりにサンフランシスコ条約第三条によって信託統治地域に沖繩をする、こういうふうなことになってくれば、そのときアメリカは、憲章のどの条項に基づいてやるのかということになってきますが、御答弁によりますと、その場合には七十七条のb号によってやるんだと、こういうことの政府の解釈であるわけです。  しかし、先ほどから私が申し上げましたように、それは結局今の国連憲章のもとにおいて、アメリカが沖繩を信託統治にすることは事実上できないのだ、この憲章の精神から申すならばできないのだということを裏づけておることだと思うわけで、一体、もしそれがあなた方がお話しのように可能だとするならば、「敵国から分離される地域」ということになってきますと、これは領土権もないということを日本政府みずからが認めることになるわけであって、この点は、先ほど申し上げたようにわれわれとしては歴史的な関係から申しましても、あるいはまた講和条約の法理論の立場から見ましても無理だと、こうわれわれは考えておるわけで、この点一つ外務大臣から、あらためて御答弁願いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほど申し上げましたように潜在主権は、アメリカにおいてわが方の潜在主権を認めておるわけであります。さような点を申し上げたわけでありますが、法理論上の解釈を一つ、条約局長から御説明させます。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) 今御質問の点でございますが、「敵国から分離される地域」というのが、信託統治に付せられる一つの場合として書いてあるわけでありますが、その分離という意味が、主権の完全なる分離をも当然意味しなければならないかということは必ずしもないと思うのでありまして、要するに分離にも、いろいろな分離の仕方がある、さような意味から、この沖繩を日本から分離いたしまして国連の信託統治のもとに付するということは、七十七条の第一項のb号、これによってやはり行なわれるのではないかと解釈するのでございます。  この点の解釈につきましては、サンフランシスコ会議におきまして、この平和条約が審議されました際に、この条約の起草に当たりましたアメリカの代表が詳細にわたって説明しているのでありますが、そのアメリカ代表の説明によりましても、これが沖繩が信託統治に付せられる場合には、今の七十七条の一項のb号というものによって付せられることになろうということを説明しておるのでありまして、大体、この説明が正確な説明であると考えるのでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 この点は、結局国連憲章の、この今問題になっている条項と、平和条約との関係については、これは説明が不可能になっておるわけです。というのも、われわれは明らかにこの国連憲章の建前から見ると、第三条は憲章の精神に即さぬという立場をとっておるわけで、今条約局長が、いろいろ答弁しておりましたが、これは結局アメリカが、そのような解釈をとっているから、日本もそれにならうんだと、これを言っておるにすぎないわけです。この国連憲章というものが、一体いつできたものですか、これを一つ承りたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 一九四五年六月二十六日サンフランシスコにおきまして署名せられて、一九四五年十二月二十四日効力を発生したものでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 サンフランシスコ講和条約はいつ結ばれたものですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 一九五一年の九月でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私は、明らかにこの憲章のできたときと、さらに対日講和条約のできたときとは、数年間の隔たりがあるわけで、おそらく憲章のこの精神というものが、私はこの講和条約の中に正しく反映されなかった、こういう点に私は今のような問題点が生まれておる、こう言わざるを得ないと思うわけです。この点に関しまする限り、私は政府の答弁に納得するわけには参りません。  さらに私は、信託統治制度の目的という立場から見ましたときに、基本的な目的というのが国連憲章の第七十六条に明示されておりまするが、沖繩という地域は、あるいは小笠原という地域は、第七十六条の信託統治の目的から見まして、適当であるかどうか、妥当であるかどうか、この点について、外務大臣の一つ御意見を承りたいと思うわけです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答え申し上げます。  七十六条には、信託統治の基本的な目的がございまするが、これは、国連憲章第一条に掲げまする国際連合の目的に従ってということで、abcdと分けてございます。で一般的な規定といたしまして、国際の平和、安全の増進、さらに信託統治地域の住民の政治、経済、社会的な、また教育的な進歩を促進する。各地域及びその人民の特殊事情並びに関係人民が自由に表明する願望に適合するように、かつ、各信託統治協定の条項が規定するところに従って、自治または独立に向かっての住民の漸進的な発達を促進すること。まあそういうようなことが書いてあるわけでございまするが、この平和条約の第三条によりまして、沖繩の地位いうものは規定されておるわけでございます。しかしながらこの信託統治にするということの発動をアメリカはまだいたしておらないわけでございます。  しこうしてわが国に潜在主権がこの極東の情勢が静ひつに返ったときには、これに日本のものになるということをアメリカは約束しておるわけで、しかもその約束は、私も自身でこの耳で確かめておる次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私の申し上げたいのは、今外務大臣は、七十六条の各項目を読み上げられましたが、そういうことをお尋ねしておるわけではなくして、基本的に憲章七十六条の精神というべきものは、植民地等後進国の自治または独立を促進するのが、信託統治制度の本来の目的であり、またそうでなければならぬ、こう考えておるわけです。言うまでもなく、この信託統治制度は、旧国際連盟の規約のもとにありました委任統治地域制度が、新しい国際連合のもとにおいて信託統治制度に発展しておるわけでございまして、委任統治地域制度の精神に、また信託統治制度の精神の間にも、やはり時代の隔たりと進歩の跡があるわけで、これを見のがすわけには参らぬと思っております。私の申し上げたいことは、この七十六条の精神から申しますならば、沖繩のような、あるいは小笠原のような日本の領土の一地域であり、文化的にも同じ水準と申しても言い過ぎでないと思うのでございますが、教育文化等の面から見ましても、高い水準にあり、日本の領土の一部であった沖繩、小笠原、これの地域が信託統治制度のこの憲章の精神から見た場合に、これは明らかに私は誤りだ、憲章の精神に反する、こう私は考えるわけで、この点について大臣はどのようにお考えであるか。七十六条のこの精神、基本目的から見るならば、明らかに沖繩を信託統治制度に付することは誤りであると考えるが、この点についてはどうお考えであるか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 田畑さんも御承知のように、最近は信託統治というものを飛び越えて、旧植民地であったものが、直ちに独立するというふうな風潮に国際的な動きがなっておるわけでございます。それでこの沖繩問題に関しましては、私が先ほど来申し上げておるように、講和条約においては第三条に規定されておる。しかしながらこの条項を発動されておらない。しかもアメリカは日本の主権が潜在的にあるということを認めております。状態の推移によっては、これを日本に返還するということになろうということを言っておるわけであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 外務大臣、私の質問に答えていないわけです。時間がないので、私も詳しく申し上げることもできませんが、サンフランシスコ条約第三条のことを私は質問しておるわけじゃございません。あなたお話のように、植民地が独立国家になる時代です。私の申したいのは、同じような立場から見まして、この憲章第七十六条の信託統治制度の目的かい言うならば、沖繩のような文化的に進んだ地域を、これを植民地や半植民地と同じような形で取り扱うという、この建前そのものに疑問を持つわけでございますが、この点はどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 平和条約におきましては、第三条において、沖繩についてはさようなことに扱われるがという前提で、それは条約にそうなっているがということを私は申し上げておる。ただ、いいとか悪いとかいうことになりますと、まだそういう条項は発動されておらない。しかもこれはおそらく、今の状態では発動されないのではなかろうかと思われるわけであります。この点は要するに極東の緊張の問題にからんでおるので、その緊張が平穏になったときには、それは日本に返還される、こういうことでございまして、決して条約の内部のことがいいとか悪いといいますことが、そのことだけで問題がどうこうなるわけじゃございません。第三条を適用されておらない、こういう現実を私申し上げたのでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 現実を私はお尋ねしておるわけじゃございません。端的に私はお尋ねしたい。また端的にお答え願いたいが、憲章七十六条の建前からいった場合に、沖繩を信託統治にするということは、この憲章の精神に沿うか沿わないか、それを端的にお尋ねしたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) これはサンフランシスコの講和条約を結びますときに、連合国としては当時の認識においてさような認識を持ったので、第三条にあの問題を書いたんだと思います。しかしこれが日本にとって好ましいか好ましくないかという価値判断は別でございます。その価値判断といたしまして、こういうことが適用されないというような現実になっているわけで、われわれはこれはわが国に返還されるものと、かように考え、また、返還されるように交渉しているというお答えであるわけであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 大臣にあらためてお尋ねしますが、あなたのお言葉にありますように、第七十六条の価値判断についてどう評価されますか、これをもう一度承りたい。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは第七十六条に信託統治の基本原則が書いてあるわけであります。将来かりに沖繩について信託統治に付するという問題が起こります場合には、もちろん、その地域における信託統治のあるべき姿は、この原則によって行なわれるべきものだと思うわけであります。しかし、それはまあ日本にとって、それがいいか悪いかということは、今大臣が申された通りに非常に問題でございまして、むしろ日本としては、従来から施政権の返還ということをアメリカに対しても言っているわけでありまして、現状においては、その事態がまだ起こっておりません。しかし連合国としては、 この条約を作ります場合には、七十六条以下の規定によって、将来沖繩がもし信託統治になれば、その規定に従って運用する、そういう考え方で作ったものに違いなかろうと、かように考えます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 答弁にたっておりません。  次に進みますが、大臣、あなたの先ほどの御答弁のように、第三条は十年近くも実行されないまま今日にきているわけです。どうしてこの第三条が実行されないのか、なぜアメリカはこの第三条に基づいて信託統治地域の中に入れる手続をとらないのか、これについてお尋ねします。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) われわれとしては、沖繩が日本に返還されるということを希望しているわけであります。アメリカもそうした事情を考慮していると思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 今、国際法上の建前から見まして、この信託統治地域というものにはういうものがあるのか、それをお尋ねしたい。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) これは御承知の通り、旧委任統治区域が信託統治になったものが大部分でごございます。それ以外に、今度の戦争に基づいて、一時国連の信託統治になったトリエステのようなところもございますが、これはすでに問題が解決いたしまして、信託統治ではなくなっているのでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私の質問と大へんかけ離れた答弁ございますが、この国連憲章によりますと、信託統治制度の中には、戦略的な信託統治と、一般的信託統治とあるわけであっで、こういう戦略的信託統治を適用するとか、あるいは一般的信託統治制度を適用するとか、こういうような問題が、新しい国際情勢の発展から、アメリカとしても、沖繩にいずれを適用するについても問題がある。こういう立場から、この三条は空文化されて今日にきているとわれわれは見ておるが、この点外務大臣の御見解を承りたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどからお答えいたしておりまするように、沖繩を信託統治にする、平和条約の第三条を発動するということは、現情勢下において不適当である、かような判断の基にそれが行われていないのだと思います。その原因の一つに、われわれが、日本が沖繩の施政権の返還ということを求めている、こういう事情も考慮されていると思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 条約局長、一つ今の点答弁してください。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) 具体的にどういうわけで第三条の規定に基づきまして、あの地域が信託統治に付せられていないかというお尋ねでございますが、これはいろいろな、先ほど大臣の申されましたように、日本があの地域の返還を希望しているということから、信託統治にしますと、これを日本に返還するということが非常に困難になるという事情もございます。また、大きな国際情勢から見まして、信託統治協定というものが非常に国際連合の中で作りにくいという技術上の問題もございます。そのようないろいろな事情から、この信託統治に付するということが現実には行われていないということになっておると承知しております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 戦略的信託統治に編入した場合にはどうなるのか、一般的信託統治制度のもとに置いた場合にはどうなるのか、これを一つ承りたい。

中川融外務省条約局長

○政府委員(中川融君) 一般的な信託統治地域につきましては、国際連合の中で信託統治理事会というのがございまして、ここがいわば監督をするところになるわけでございます。これに反しまして、戦略地域の信託統治になりますと、安保理事会が監督する地位になるのでございます。なお、実際にどう違うかということは、戦略統治地域におきましては、主として戦略的な目的にこれを使うことが許されるのでございますが、一般信託統治地域につきましても、これに軍備を施すというようなことは必ずしも禁止されていないのでありますが、原則として、ここはむしろ平和的な目的に使われるということになるのが、大体この二つの地域の目的上の差異でございます。しかし戦略統治地域におきましても、信託統治地域一般についての要件というものはやはり適用になるわけであります。住民の福祉、あるいは将来に向かってのいろいろ住民を援助するというようなことは、当然戦略的統治地域にも適用があるわけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 委任統治制度のもとにおいては、軍事的に利用することは禁止され、特に旧国際達観規約のもとにあるB式、C式委任統治地域の場合には、陸海軍基地や要塞を作ることはきびしく禁止せられておったわけであります。信託統治制度のもとにおいて、戦略地域が設けられたということは、これは軍事的に利用するためであり、基地や要塞を作ることも許されているわけで、その例はかつての日本の委任統治地域であった太平洋諸島が、今日はアメリカの信託統治のもとにあり、アメリカが施政権者として明瞭になっておるわけです。そういうような立場から見た場合に、これは沖繩の場合は、これを信託統治制度に持っていくについて、今お話のように、戦略的信託統治の場合は安保理事会がこれを監督する、一般的信託統治制度のもとにおいては信託統治理事会が一般的に視察し、監督することができる、こういうようなことがいろいろ障害となって、第三条の適用というものがなされていない。こう私たちは見ておるわけですが、この点外務大臣の見解を承りたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどから申し上げましたように、諸種の国際的な配慮があります。その中には、強くわが方が施政権の返還を要求して、またそれに対してアメリカも十分考慮をしている、こういう事情が入っておるということは、先ほどから申し上げておる通りでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 答弁になりませんが、そこで、そういうように国連憲章の建前から見ても疑問があるし、また条約の第三条というものは、今お話のように空文化されているわけです。こういうことを考えたとき、私はこの際、奄美大鳥返還の例を先ほどあげられましたが、アメリカの一方的な意思によって、あるいは情勢の変更という立場において、返還されるのを待つのでなくして、この際、沖繩の施政権返還についてはもっと政府は積極的な努力をなすべきである。ことに、伝え聞くところによれば、総理は六月アメリカに行かれるそうでございまするが、こういう場合に、もっとこの問題については積極的に返還をアメリカと話し合いをなさるべきだ、こう考えまするが、この点総理の見解を承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) いろいろ問題がございますので、私はまだこの問題をどうこうという話題に乗せる乗せないということは、前の内閣からの問題でございますので、また自分も、沖繩の施政権の返還はできるだけ早く実現したいという気持であることを申し上げて、話題にするしないはしばらく留保させていただきたいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 時間がございませんので、もっとこの問題については掘り下げてお尋ねしたいのでございますが、残念でございます。しかし、総理の今のような消極的な答弁では、私は満足するわけには参りません。せっかくアメリカに行かれる機会でもございまするし、この際一つ、極東の情勢も、また戦略的な基地の価値も変わりつつある情勢でございまするから、国民の悲願であり、沖繩の人々の悲願でもあるこの問題については、もっと積極的に努力をされたい、こう私は希望するわけでございますが、あらためて総理の見解を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、アメリカへ参りました場合の話題につきまして、これを強く主張するとか、これは言わないとかいうことをここで申し上げることを差し控えたいと申し上げたのであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 総理に伺いますが、話題にすることをここで話をすることは差し控えたい、それはよくわかりますが、私が先ほど来述べていることについては、総理は御理解が願えますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お気持は十分理解しております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 時間がないので、この点は残念ながらこの程度にとどめておきますが、次に、私は石炭産業対策について若干大臣にお尋ねしたいと思います。  その前に私は一つ、昨年の九月二十日に水没事故で六十七名の犠牲者を出したあの福岡県の川崎町地内にある豊州炭鉱の問題、あれから約五カ月になろうとしておりますが、災害発生の原因が何であり、責任の所在はだれが負わねばならぬのか、これを一つ通産大臣から明らかに願いたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 最近炭鉱の災害がきわめて減る傾向にございましたが、昨年、三十五年度においていろいろな事故があり、ついにこの豊州炭鉱の事件が起こったのであります。直接の原因は、降雨のために増水しまして、中元守川の河水が、川底の浅い部分にあった古洞を通じて坑内に突然流入したと、そういう事件でございます。遠因としては、その後的確にまだ断言できない程度でございますが、おそらく地下のごく浅い部分の採掘による地盤の沈下及び川向こうの新庄地区の地下の火災、これに関連して小爆発がおそらくあったのではないか、その影響がおそらく一つの遠因を構成しておるのではないかということが考えられておる程度であります。で、責任の所在につきましては、現地調査の結果、鉱業権者が、川底のすぐ下に古洞が存在しておったという事実、それもどうも認識しておらなかったようであるし、それから川底が陥落するという危険な状態にあったということもどうも十分に予知していなかった、こう思われるのであります。なお、近く特別調査団を編成いたしまして、現地調査を厳密に行なうことになっております。それからまた、火災の個所も、広範囲に表土をはいで、そうしてよく原因につきまして究明する手はずになっておりますので、新しい何か事実をつかめることも予想せられまするので、一そうこの問題につきましては慎重に検討を加えて結論を出したい、かように思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 非常に長い御答弁でございますが、私は端的に責任は明らかになったのかどうか、これをお尋ねしているわけです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま申し上げるような状況で、責任の所在がまだ明確にはなっておりません。しかしながら、どうも多分に不可抗力によるのではないかというような予想が濃厚になっておりますが、しかし、結論として、それを断定するまだ段階に至っておりません。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 現在現地においては、四百余名に上る従業員諸君が死体収容作業を進めておるわけです。この過程において、再び事故が起きやしないか、あのような地盤の不安定な、川底には無数の古洞がある、今御答弁のように、まだ消火作業も終わってない、ガスが噴出しておる。灌漑期を控えて井せきをとめると水が滞留する、再び事故が起きはしないかということを心配しておりますが、この点は政府当局において大丈夫だと、こういう御判断であるかどうか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) その点につきましては、だんだんに、昔の掘った跡——古洞が意外な所に発見されておる、こういうような状況でありまして、なおよく厳密に調査をいたしましてそれぞれの対策を講じて参りたい、かように考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 この点については非常にまだ不安が残っておりまして、従業員の諸君も落ちついて作業に従事できないわけです。現に組合は今月の初め、これらの不安が除去されるまでは、暫時の間作業を休むと、その間もろもろの保安確保の措置について、政府関係機関から御努力を願いたい、こういうことを強く要請しておるわけです。炭鉱災害は減少したといっても、なお年間六万数千件に上っておる。毎年六百名前後の人がなくなっておるわけです。こういうことを考えたときに、あのような危険な地帯において死体収容作業を進めておりまするが、政府当同の答弁だけではなかなか現地の人々方は納得できない。この際、権威のある第三者機関を設けて、学者、技術者あるいは学識経験者等を含めた権威ある調査機関を設けて、私は現地の調査を特に保安の面から見てはかられたらどうか、こういうことを提案したいのでございますが、通産省としてその準備があるかどうか承りたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 危険を感じて坑内作業をストップしておる状況でございますが、これもごもっともだと思うのであります。そこでただいま御提案のように専門家を依頼しまして、そしてなるべく早い機会に現地調査を厳密にいたしまして、そして危険の有無及び、もしあればこれに対する安全な排除措置を講じまして、そして一日も早く死体発掘の作業を完成するようにいたしたいと、かように考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 関連。関連して御質問申し上げますが、私は、現地も調査いたしましたので、私の方が大臣よりも詳しいかもしれませんが、大臣は、ただいま不可抗力による公算が大きいと言われた。不可抗力による公算が大きいとするならば、それは一体責任はどこにあるか、六十七体の死体をだれが出す責任があるか、東中鶴では十八体の死体について、責任者が確認されておりながら、財源の都合で出せなかった。海のまん中で人間が死んだならば出せませんといわれましょう、これは魚が食ったり死体がどこかへ行ったりするなら出せないこともあるでしょう。しかし、水没落盤で死んでいる人の死骸は、当然出さなければならない。その場合、もしも大臣が言われるように、不可抗力であったとするならば、一体だれがこれを出してくれるか、その点をはっきりしてもらいたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまのところではまだ断定はできない、もう少し厳密に調査をいたしまして、慎重に結論を出したいと思うのでありますが、どうも現地の大勢では、おそらく不可抗力によるのではないかというような、そういう意見が比較的強いということを、まあ経過的に私は見ているのでありますが、今は炭鉱鉱業権者が大いに馬力をかけて死体発掘に努力をしているのであります。責任の所在いかんによっては、また、この問題については考え方を変えるという必要もございましょうけれども、ただいまのところは、まだ結論的にはそういう段階にない、こう申し上げたいと思うのであります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 考え方によっては、不可抗力とか、あるいはあれが大臣の初期あるいは中期に掘られた川底の古洞が、これが原因になっているとするならば、もしもそういう結論が出てくるとするならば、現在死体搬出している炭鉱は被害者になるわけです。そうした場合一体どういう考え方か、それからその責任の所在もさることながら、六十七の死体は政府が責任を持って出すかどうか、これが一つ。  それから総理大臣にお尋ねいたしますが、鉱業法を考える場合に、鉱山の保安監督部が通産省にあるということでは、私はこういう問題が非常に起こってくると思う。年々歳々、田畑議員が言われましたように、六百人からの人が抗内で死んでいる。これは当然労働省に移管さるべきである。労働省が保安の監督をやるべきであると思う。それを生産を担当している通産省が深安の担当をやっているから、私は保安が非常にないがしろになると思う。だから、この保安に関しては、当然人命の問題、あるいは人体の問題であるから、労働省に移管する考えはありませんかどうか、お尋ねいたします。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いろいろ前提をおいての御質問でございますが、この問題につきましては、先ほど申し上げました通り、重大な問題でありまして、その責任の所在ははたしてだれが負うのであるか、この発掘作業等の終局の責任はだれが負うのであるかといったような問題に関連いたしますので、これはまた調査団を派遣して厳密に調査をいたしまして、慎重に結論を出したいということを申し上げているわけであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 鉱山保安の問題につきましては、阿具根委員よりお話しのような議論も前から聞いております。しかし、ああいう専門的のものにつきましては、やはり専門官庁において、そうして労働関係的の頭でやっていくのが、すなわち、今の現行制度がいいのではないかと私は思っております。なお、今後研究いたすことにいたします。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それでは通産大臣に御要望申し上げますが、もうこの問題を取り上げたのは五ヵ月前です。五ヵ月たった今日、お考え下さればわかると思いますが、おそらく遺体は骨だけだろうと思うのです。遺族の身にもなって、今日になって今から調査団を派遣すると、そういう考えでなくもっと人命というものに対しては積極的にやっていただきたい。これだけを要望いたしまして、関連ですからやめます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 石炭の問題について通産大臣にお尋ねしますが、石炭産業がエネルギー消費構造の変化のために非常な危機に立っていることは御承知の通りです。当面石炭産業の一番大事な問題は、昭和三十三年に比べて、昭和三十八年度までには販売値を千二百円引き下げること、これはコスト引き下げが絶対の課題です。三十四年、三十五年を通じてどうなっているのか、これを承りたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 石炭産業がいわゆる斜陽産業としてだんだん縮小傾向にあることは、まことに資源の有効利用の点から遺憾に思うのでありまして、極力合理化いたしまして、そして他のエネルギー産業と匹敵して十分に役に立つようにするため極力合理化を助成しておるという次第でございます。ただいまの状況は非能率炭鉱の整理の問題、これはすでに数年前から継続してやっておりますが、今日まで約出炭量にいたしまして四百万トンの整理をしております。こういう状況であります。  それから第二は高能率炭鉱を助成する、つまり縦坑その他の方法によりまして合理化をどんどん進めていく、こういう積極的な方策をとっておりまするが、今日まで三十四年度におきましては二百三十四億の工事をいたしております。三十五年度において三百二十七億、これらの大部分は開銀資金によるのでございます。それから第三の方法としては流通面の合理化を促進しておりまするが、混炭でありますとか、あるいはまた港湾の施設を整備するとか、そういったような、あるいはまた貯炭設備の共同化というような問題あるいは機概化の問題、こういったようなことをいたしまして、極力流通面においても合理化を促進しておる、こういう状況でありまして、本年度内に約一億数千万円の無利子貸付を行なおうとしている状況であります。それでその効果の問題でございますが、これは一人当たりの出炭量の上に非常に顕著に成績が現われて参りますので、その点を申し上げてみたいと思うのであります。昭和三十三年におきましては、平均一人当たりの出炭量が月当たり一三・九トン、それから三十四年に参りまして一四・九トン、三十五年の上期の平均が一六・七トン、そうして三十五年の十二月におきましては、一躍二十トンをこす状況になって参りまして、合理化の効果が顕著に現われて参ったということがいえると思うのであります。それからコストの関係でございますが、これも主要産業向けの供給炭価についてみますと、三十五年度は前年度に比して約二百五十円の値下げを実行しておる。こういう状況でございまして、合理化の効果がだんだんと現われて参っておる。この分でいきますと、三十八年度におきましては月一人当たりの生産が二六・二トン、その程度までいけるのではないか、そうして目標の炭価千二百円下げるということも実行は可能である、かように考えておる次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 大へんまあけっこうな見通しを答えていただきましたが、国鉄の貨物運賃が一五%値上げになりますと、石炭にどういうはね返りがありましょうか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 貨車積みの石炭については、ただいま計算ではトン当たり七十一円、それから貨車積みでない石炭もございまして、ならしていうと約六十円見当になるのではないか、かように考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 電力料金がまた上がるようでございますが、一番石炭の生産の中心地である九州の方では、九州電力がまた近く値上げになるようです。通産大臣はこの間、上げるという答弁をなすっておりましたが、これを上げますとどの程度の影響があるか承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まだどの程度まで上げるかという確定の数字を得ておりませんので申し上げかねますが、極力石炭にはね返らぬように軽微に抑えたい、かように考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 けさほど総理大臣の答弁の中で物価については、鉱工業物資についてはむしろ横ばいか値下がりです、ただ上がっているのは木材、建築資材だ、こういうお話がありましたが、そのように木材、杭木が上がっておるわけです。一体杭木の値上がりがどの程度石炭のコストにはね返っておるか、承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) トン当たり五円程度のようです。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 杭木の値上がりは私の調査によるとトン当たり二十五円、大臣の答弁のように国鉄の運賃値上げによって七十一円、電力料金の値上げ、これは九州を例にとってみますと、私の調査によると九十三円、これだけで百七、八十円の値上げになるわけですね。一年分の石炭のコスト引き下げの努力目標は約二百円で、この国鉄の運賃、電力料金、杭木等の値上がりでそれは全部食われてしまうのです。あなたは通産大臣として、石炭体質改善の一番大切な責任を持っておられる方でございますが、この点についてはどのように考えておられたわけですか、国鉄運賃値上げについてはあなたも閣僚として御賛成なされたし、またそういう問題があるということを一言も閣議の中でも発言されなかったように私は漏れ承っておりまするが、どう考えておられますか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 九州の電力料金の値上がりの問題につきましては、率がまだ縦走いたしておりませんから、今申し上げる段階ではないのでありますが、しかしあなたの御計算によると九十何円の値上がりなんという話でありますが、そういうことは私どもは考えておりません。きわめてその間に距離が出て参るのではないか、かように考えております。  それから石炭に対して、国鉄運賃、それからこれらの電力料金の値上げ、坑木、こういったような問題については、国鉄運賃の適用の問題、電力料金にいたしましても石炭にどういうふうに適用するかというふうな問題については、まだ考究の余地があると私は考えておるのであります。今それを直ちに具体的に断定する段階にはまだ至っておりません。従ってできるだけ石炭に対しましては影響の少ないように今後考究、努力して参りたい、かように考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 石炭産業が体質改善をはかっていくには、何と申しましても労使の民主的な協力関係が基盤でなければならぬと考えるわけです。労働者だけにしわ寄せをするということがあってはならない。生産性が向上するなら当然労働条件を向上せしめるということがうらはらでなければならぬと考えておるわけです。この五年間に千二百円石炭単価を引き下げる、この合理化を推進するにあたっては労働者の賃金というものは一体どういうことになっておるのか、これを承りたいと思うのです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん生産性の向上に寄与した労働者の待遇は、相当にこれは改善すべきものであると、かように考えて一おります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 三十四年から三十八年度までに石炭のコストを千二百円下げるというこの問題は、先ほど申し上げたように、炭鉱にとっては絶対の課題なんです。それを、コストを下げるためにはいろんな条件が並べてあるわけです。先ほどから問題にしました通りに当然労働者の賃金というもの、あるいは労働者の雇用の問題とか、いろいろこれは出てくるわけです。その場合に労働者の賃金というものは一体どのようにこの計画の中へは織り込まれておるのか、据え置きなのか、下げるのか、あるいは上げるのか、どっちなんですかとお尋ねしておるわけです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体年々三・八%程度賃金を上昇させるという計画のもとに千二百円の目的を達成すると、こういう考え方であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 三・八%値上げを計画に織り込んであるという御答弁ですが、今の石炭産業の労働者の諸君には三・八%の毎年賃金の上昇というものが保証されておるのかどうか、炭価の中においては考えられておるのかどうか、これを一つお尋ねしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 千二百円を引き下げるという計画の中にその三・八%を織り込んでおるわけであります。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 田畑君に御注意申し上げますが、持ち時間が一応済んでおりますから……。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 そのつもりで簡単にやりますが、御答弁がさっぱりわからないのです。たとえば私の知っておる、まあ全炭鉱でございますが、昨年の賃上げでは三・八%を基準として計算し、大手の炭鉱においては一方三十五円というきわめて決定的な賃金の要求をしたわけですが、結局十九円というベース・アップにすぎなかったわけです。これは三・八%というのは、前の経済企画庁で立てられた新長期経済計画のもとで経済成長率六・五%、そのときの個人所得の伸びを、第二次産業における個人所得の伸びを三・八%、これで出てきたのがいわゆる三・八%です。今日は所得倍増だといって九・二%の経済成長をことしは期待できるのだと、こういうことを言っておるわけです。そうなってくるならば、当然この三・八%の労働者の賃金は、もっとこれは引き上げなければならぬ、こういうことになるわけです。本年の予算を見ますと、日雇い労務者の賃金日額も五十二円引き上げになっておるわけです。われわれはこれで十分だとは決して思っていない。日雇い労務者の賃金をもっと上げるべしと主張しておりますが、それに比べても、実は炭鉱労働者昨年の賃金値上げは一日十九円、中小炭鉱は横すべりか、これは引き下げにあっておるわけです。このように合理化計画に前提された程度の賃金すらも実際はできない。これは労使の協力関係云々といっても、なかなかこれは期待できないのじゃないか。私はこの際労働大臣に、一つこういう問題について労働大臣はどのようにお考えになっておられるか、通産大臣の答弁がはっきりしませんので、一つ労働大臣から今度は承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) ただいま通産大臣から御説明がありました通り、三十八年度までに炭価を千二百円下げるという計画の中には、労働者諸君の賃金は平均三・八%上がっていくということが計算の根拠になっておるという御答弁であります。実際のその決定は、これは労使双方の交渉によってきめられると理解をしておるわけであります。そこで、ごく新しい統計はございませんけれども、現実に中には経営の状態その他によって賃下げが見られるところもあるかとも思われますけれども、しかし石炭の合理化が労働者の犠牲によって行なわれないように、石炭鉱業に対しては基準局の監督の強化をはかっておるのでありまして、監督対象事業別に言いますると、大体石炭産業については九〇%、全事業場に対する割合として九〇%を基準監督署で監督をいたしております。これを他の製造業及び全体のほかの産業に比へますと、あるいは製造業が二十六、七%、全体で三十数%であるのに比べますと、特別重点をおいて監督をいたしておりまして、でき得る限り労働条件の低下にならないようにいたしておるわけであります。それから実際上どうなっておるかと申しますと、ごく新しい数字は欠けておるのでありますが、昭和三十年を一〇〇といたしました場合において、石炭鉱業規模三十人以上の企業体において調べました名目賃金指数でありますが、それは三十二年で一二九・九、三十三年で一三四・二、三十四年で一三五・八、三十三年から三十四年は鈍化いたしておりますが、そういう状態になっております。これを他の製造業、同年度を一〇〇といたしました場合におきましては、三十三年が一一六、三十四年が一二六、三十三−三十四年間の伸びは一般の製造業が多いのでありますけれども、三十年からの数字を見てみますると、特に石炭産業は悪いということはいえないのであります。ただ三・八%という計画から織り込んで参りますと、三十三年、三十四の伸びは三・八%にはなっていないのであります。三・八%という数字は、先ほどからの御説明の通り、千二百円値下げをする計画の中の要素として見込んだ数字で、現実的には労使の話し合いによってそれぞれきめられるべきだと考えているわけであります。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) もう一問だけにしておいて下さい。時間がだいぶ経過しております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 実はまだこの問題について、いろいろ通産大臣にお尋ねする予定でおりましたが、時間の関係で残念ですが、これは約束だからやむを得ぬと思います。そこで、私、実はILO条約の問題についても、それから医療保障の問題についても質問をするつもりでおりましたが、時間の関係でやめることにいたしまして、ただ、私、ここで池田総理にILO条約批准についてお尋ねしたいと思うのです。総理は施政方針演説の中において、「ILO第八十七号条約の批准については、これに関係する国内法の整備につき慎重検討を要するものと認めますが、自由にして民主的な労働運動の発展を期する見地から、右関係法案とともに今国会に提出すべく準備を進めております。」、こういうお話があったわけです。これを読む限りにおいては、非常に消極的で、いつ出すのかはっきりしない。きょうの新聞を見ましても、自民党の治安対策特別委員会のその小委員会の中で、批准をすれば国内法についてはかくかく改めねばならぬ、こういうことを申しております。聞くところによると、与党の中がまさに収拾つかなくなって、一体いつごろこのILOを国会に出すのかわからぬ見通しの状況に聞くわけです。今幸い予算も審議されているし、予算の審議に支障があっちゃならぬという、あるいはそういう顧慮もあるかもしれぬし、あるいはまた、できればこの批准手続をおくらして、今国会では流して、あるいはうまくいけば次の国会に継続審議に持ち込もうかと、こう疑われても仕方がないと思うのです。しかし、もうすでにこの問題については昭和三十四年の二月の労働問題懇談会の答申、岸内閣の閣議決定、そしてまた昨年の国会においては現に提案をしているわけです。中山伊知郎教授も朝日新聞の懇談会の中で申しておりましたが、この際国内法の整備ということはあと回しにして、まず批准手続をとるのが政府のやるべきことじゃなかろうかということを言っておられします。私はやはりこれが順序じゃなかろうかと、こう思うのですが、池田総理にお尋ねしたいことは、この国会で必ず出すという準備でおられるのか。また国内法等の整備についても、この際便乗的なことはやめた方がよかろうと、こう思うのですが、この点についてはどういう考え方でおられるか、この点明確に承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 施政方針演説で申し上げた通り、今国会に提出する考えで準備を急いでおります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 委員長……。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) それではもう一問だけ。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 総理大臣にお尋ねしますが、そういう御答弁は、私は聞かなくてもいいのです。この際、一体政府として、もっと誠意をもってこの問題に対処してもらいたいと思う。どういう準備を持っておられるかこれを一つ承りたいと思う。労働大別でけっこうです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) まず基本的に、ILO八十七号条約は、これはILO諸条約の中で、特に自由主義国にとっては基礎的な問題と考えるべき条約であると理解をいたしております。従ってそういう建前から、この条約批准を急ぎたいと思っておることをまず第一に申し上げておきたいと思います。  それから第二番目は、ただし、公労法、地公労法が制定されましたときの経緯、その原因、そういうようなものについて、現在まだ完全にそういう法律が制定されたときの諸条件が解消せられておるとも理解されない。そこでそういうところを勘案いたしまして、労働問題懇談会の答申に、批准をすべきものだということとともに、国内法の整備も行なうべきものという答申がございました。そこで国内法の整備をあわせてやっておる段階であります。  それから、与党内にいろいろの意見があることは、これはもう大ぜいの集まりでありますから、どんなところでも、意見がいろいろ分かれるものであります。しかし、ただいま申しましたような認識の上に立ちまして、私どもはでき得る限り早くこれを提出すべく全力を注いでおるところであります。  そこで、お話の中で、八十七号条約の批准案件だけ先に出して、国内法の整備等はあとに回すべきだという御議論がございます。それも一つの御議論ではございますけれども、他に、なお、先ほど申し上げましたような公労法、地公労法が制定せられたときの諸条件というものがまだ解消せられていないという意見も強いのであります。それから労働問題懇談会におきましても、国内法の整備をあわせて行なうという答申がございました。私は、少なくとも同時に行なう必要があると考えておりますので、そういう観点に立って極力急いで参る次第であります。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 次に、占部秀男君にお願いします。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 私は今度の第二次補正の問題に関連をして、地方税の問題を三つだけしぼってお伺いをいたしたいと思うのであります。  第一には、この補正予算案の中に盛られた地方交付税の九十億円の問題であります。第二は、明三十六年度の地方財政計画の問題であります。第三は、ILO八十七号条約批准に伴う地方公務員の扱い方についての問題点であります。  そこで、政府部内にも何か御都合もあるようでありますから、私はILO問題の、地方公務員の扱い方の問題点について、まずお伺いをいたしたいと思います。先ほど大谷さんからこの問題についてのお話がございましたし、今田畑氏からも、この問題についての話があったわけです。しかし私は、いつごろ一体条約の批准案が国会に出されるのか、この点についての見通しを一つはっきりしてもらいたいと思う。というのは、この問題は、国民の基本的な権利に大きな影響のある問題でございます。従って短期間でこういう問題を処理しろといっても、これはなかなかできるものではありません。そういうような意味合いから、池田総理のその点についてのはっきりした見通しを一つお伺いいたしたい、かように考えます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど来お答えした通りでございまするが、御承知の通り、さきの国会にも一応提案いたしました。大体あの線で、あの線をもとにして、今、調整しつつあるのでございます。  具体的の問題につきましては、労働大臣よりお答えいたします。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 今具体的というお話……具体的にいろいろ検討はしておりますけれども、検討調整をしておる段階で、その一つ一つの問題をとらえてここでお話しを申し上げることは、その調整の事に悪影響を及ぼすと思いますので、それはごかんべんいただきたいと存じます。  ただ、非常に重要な問題、基本的な問題でありますから、短期間で御審議を得ようというような考えは毛頭ございません。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 はっきりした出される見通しについての御答弁がないんで、はなはだ遺憾だと思いますけれども、今、労働大臣が言われたように、部内の調整でさえ、それほど大きな問題がある。こういう問題ですから、念のために、十分審議できる期間を前提として国会へ提案していただきたい、こういうことであります。  それから労働大臣に第二にお伺いしたいことは、この条約は労働基本権のうちの特に団結権についての条約がおもであります。批准された暁は、言うまでもなく、国内労働法規の法源となると思うのでありますが、その点についての見解を一つ……。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) これはILOで取り扱われておりまするので、労働基本権という立場から御議論が出るのでありますが、私の理解は、これは単に労働基本権だけではなくして、自由主義国家の誇りとする政治体制の一つだと考える。ファシズムや共産主義の国では見られない、与え得られない権利であるという理解のもとに、この法律案の審議を、この条約の批准案件というものを出そうと思っているわけでありますから……。これは、しかし批准されていないと申しましても、わが国の現行法体系は、やはりこの自由主義国家であるという体制のもとに貫かれているのでありまして、単に労働法関係だけでなく、この思想はわが国の法体系の基礎の一つである、かように理解をいたしております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 そこで文部大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、先ごろ、日教組のILOに対する提訴に対して、政府が反駁する見解をILOへ送った、こういう問題であります。まあ失言問題なんか全然これは問題ではありません。われわれはそういうことを言っているのではありません。この送った内容について、先ほど、大谷さんでしたかの質問に対して、ある程度のことは新聞に発表した、しかし全体は発表してない、こういうようなことを言われておったわけです。私はあの政府の見解なるものを読んで、そういう事情が私にはわかりませんので、非常に、この政府の見解は日教組の方をゆがめていると言うけれども、逆に政府の見解の方がゆがめられて発表されておるのではないか、こういうことを感じたわけです。なぜかというと、あの新聞発表を見れば、地方公務員の労働権は保障されておる、そこに重点を置いて、従って政府の措置には間違いがない、こういうようにとれる発表の内容であったと私は思う。ところが、日教組のILOに提訴をしたのは、労働権の問題というよりはむしろ労働三権についての問題点が主であったと私は考える。ところで肝心のその労働三権については、一体、地方公務員はあるのかないのか、またどんな扱い方をされておるのか、こういう点が、あの政府の見解を発表された新聞に伝えられておるところの中では明らかになっていないわけです。私は故意に政府が、ああいう点を隠してILOの方へ送ったのかと実は思ったのですが、一部発表していないということになると、何か故意にそういう点を国民の目の前にさらすのがいやだから発表しなかったような感じを受けて、私は不愉快でならない。そういう点について一つ荒木さんのざっくばらんな見解を承りたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先刻お話し申し上げた通りでございますが、政府側から反論を出しました一部をやむなく発表をしたわけでございますけれども、御指摘のようなことさらなる意図を持った反論は一つもしてないつもりでございます。たとえば日教組の行動権について、弾圧をしておるというふうな提訴もあるようででございますけれども、そういうことはありません。争議権、罷業権がないということが適当でないということも含んでおりますが、それは地方公務員であり教職員であるその団体に罷業権を与えないということは、諸外国にも例があることだし、日本の教育制度、地方公務員という立場から当然与えられていないという趣旨を、法規に基づきましてそのままありのままを反論しているというがごときものでございまして、ことさら現行法秩序体系を曲解したりゆがめたりという根拠は一つも申していないつもりでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 発表された政府見解の全文が手元にありませんから、それ以上私は追及をいたしません。  それでは大臣にお伺いをいたしたいのですが、これはあわせて池田総理にもお伺いをしたいのです。地方公務員法に規定されておる地方公務員というものは、 これは日教組に結集した教員だけではないのであります。自治労に結集した都道府県市町村に勤めておる者もあるし、あるいは都市交通に結集したいわゆる都市交通労働者、これもみんな地方公務員の中に入っておる。一体、現在の憲法の規定で、いわゆる勤労者、この勤労者の中に地方公務員も入ると私は考えておるし、従来政府もそういう扱い方をしてきたと思っておりますけれども、この点はいかがでありますか。総理についてもその点をお伺いをいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。地方公務員全部について申し上げる立場でもございませんけれども、教職員も地方公務員という立場において勤労者の、広い意味での労働者であり勤労者であると理解しております。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 文部大臣の答えた通りと思います。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 広い意味の勤労者であると、こういうように今仰せられましたが、私はそういうことを聞いておるのじゃない。憲法に規定された勤労者の範疇に入るか入らないかと、こういうことをお尋ねしておる。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん入ると存じます。ただ、労働組合法が適用されない意味において、広い意味でのと申したわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 ところで、荒木さんにお伺いするよりも、むしろこれは労働大臣にお伺いした方がはっきりすると思うのですが、地方公務員は現行法では憲法二十八条に基づく勤労者としての団結権を認められておりません。これはいわゆる地方公務員が、労働組合法上の組合を作るという権利を除外されておることであります。これは勤労者としての地方公務員の団結する権利に対しておかしいじゃないか、かように考えるのですが、この点は、いかがでございますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 御承知のように団結する権利は与えられております。それから団体交渉をする権利もありますが、労働協約を結ぶことは認められていないのであります。つまり労働三権が完全な形において与えられていないということは、これは現行法上事実であります。しかしこのことは、ILOの条約の中の、いわゆる公務員というものの中に含まれるものであると私どもは理解をいたしておるのであります。公務員も地方公務員も同様、あれは九十八号条約であったと思うのでありますが、その中から除外されておるところの公務員というものに含まれるものと、ILOの条約から私どもはそう理解しております。  それから憲法上は、正確な条項は覚えておりませんが、十二条から十五条の間に、そういう規定があると理解をいたしておりますが、このことは、法制局長官から御説明をいたします。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 憲法との関係でございますが、二十八条にいわゆる勤労者の団結権、団体行動権についての保障の規定があるわけでございますが、まあ公務員も、これらの国家公務員、地方公務員、広い意味の勤労者であることは間違いございませんけれども、憲法十二条、十三条によって、権利についての公共の福祉上の制約ということは、これはやはり憲法は認めております。また十五条におきましては、公務員は全体の奉仕着であって一部の利益の奉仕者じゃないということがございます。  そういう観点から、公務員というものの特殊の性格から、労働権あるいは団体行動権についての制約を受ける、これはやむを得ないことだと、憲法上合憲であると、かように考えられておるわけでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 ただいま労働大臣や法制局長官から御答弁がございましたが、その答弁によると、結局勤労者の団結には労働組合法上の団結と、そうでない団結と二つあると、こういうことになるわけです。私は憲法二十八条に規定された勤労者の団結には二つはないと思うのであります。というのは、地方公務員も、地方公務員以外の勤労者も、働く者という立場からいうならば、賃金や給料や、これらに準じた収入で生活をしておる薪である。この勤労者の生活実態は、公務員だろうが公務員でなかろうが、これは同じであります。つまり雇用関係の中で生活しておるという生活実態です。その実態は、何ら私は変わりはないと思う。この点をまず一つ御意見を伺いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 生活の実態は、お説の通り変わりはございません。ただ、その賃金を決定する方法は、違うわけであります。公務員、地方公務員は、法令によって保障されておるわけでありまして、その点は、労使の交渉によって決定せられる労働協約その他によって、団体交渉その他によって決定せられるものと、賃金の保障の根拠が違うわけであります。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 憲法を受けて国内法があるわけでありますが、一般の労働者につきましては労働組合法の適用がある。しかし公務員は、その性格が一般の労働者とは違うわけでございまして、その一定の職務に対して報酬を受けて働くということにおいては、普通の勤労者と同じでございますけれども、その職務が国家あるいは地方公共団体という公の性格を持つところに勤務しておる、また公の性格を持つ職務、その公の性格には、いろいろなニュアンスはもちろんございますけれども、そういう全体的にいいまして、いわゆる国民全体の奉仕者、あるいは住民全体の奉仕者として行動すべき特殊の職務あるいは地位を持つ、そういう点におきまして、その団体結成、あるいは団体行動権について、一般の労働者と違う地位を持つということは、これは憲法は当然容認しておるところだと考えるわけでございまして、その公務員の性格に合うような意味においてのこの団体行動権、あるいは団体結成権において、国家公務員、地方公務員、あるいは地方公務員の労働関係法、地方公営企業の労働関係法、こういうような幾つかの法律をもってこれを律する、これはもちろん憲法によって私は容認されたところだと、かように考えます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 ただいまの政府の御答弁では、結局公共の仕事をしておるということと、公務員が全体の奉仕者であって、国民から結局使用されるのだ、こういうような特殊性からだというふうに御説明になったと思います。それでよろしゅうございますか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 結局憲法十五条では、「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」、それを受けまして、国家公務員法は、国家公務員は国民全体に対する奉仕者であるべきである。また地方公務員法は、それぞれの地方公共団体の住民に対する奉仕者である、一部の奉仕者ではないという、このおのおのの公務員の建前が規定されております。そういう性格を持っておるわけでございまして、これにつきましては、憲法十二条、十三条の規定にも、公共の福祉上の制約、基本的人権に対する公共の福祉上の制約を認めておるわけでございます。そういう公務員というものは、職務に特殊性を持っておりまして、公共の福祉上の要請がある、そういうところからの制約を受けるものである、かように考えております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 公共の事業に携わっておって、全体の利益の奉仕者であるという、そういう性格から、いわゆる労働組合法上の団結権は認めないのだ、そういうことでしょう、一般勤労者の。別の団結権を与えておるのだ、こういうような説明であったのです。私は納得できない。なぜかというと、憲法二十八条に定められておるこの国民の、いわゆる勤労者の権利としての団結権その他の権利は、国民の生活権についての保障規定である。これはあなたもいなめないと思うのです。そしてそれを何か、公務員であるという職業上の権利義務についての保障規定ではないこともこれは明らかであると思います。憲法二十八条は勤労者の生活を保障する規定であって、公務員であるとか、いろいろな職業上の権利義務を保障する規定ではないということは、これはもう明らかであります。ところで、地方公務員は、今労働大臣もお認めになったように、その雇用関係における最後のその生活の実態、それはやはり他の労働者と変わりのない生活実態をしておる。給料あるいは賃金、これをもらって生活をしておる実態をしておる。こういうことになればですよ。当然私は労働関係そのものの基本的な性格が、両者の場合は同一なんだから、従って、憲法二十八条の規定の中に取り入れて、同一の法規でもってこれを律するのが正しいやり方ではあるまいかと思うのです。それをですよ。生活権を保障する規定である。二十八条のこの勤労者の概念に、職業上の権利義務的な、身分的な、そうした問題をからませるところに、私は政府のやり方のずるさがあるというふうに感ずるのでありますが、その点はいかがでございますか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これはいわゆる団結権だけの問題になりますと、労働組合法で規定しております団結権の規定と、あるいは国家公務員法、地方公務員法で規定しております団結権の規定とには、それほど大きな差はございません。しかし、公務員というものの性格から申しまして、その公務員に関するいろいろな職務権限、あるいはその行動権は、いわゆる国家公務員という性格あるいは地方公務員という性格から特殊の扱いを要するもの、かように考えて、一般の労働組合法とは別な規定をしておるわけであります。で、その規定は、もちろん公共の福祉という見地、それから、そういう公務員の基本的権利の保障と、こういう両方の性格からにらみ合わして、妥当な解決に従うべきであるという考え方で立法がなされておるわけでございまして、一般の勤労者につきましては、労使双方間の団体交渉によって、たとえば勤務条件をきめるという建前でございますけれども、公務員につきましては、これはやはり結局国家の使用者である、あるいは地方公共団体の使用者であるという建前から、その国家を構成する国民、あるいは地方公共団体を構成する住民の意思と無関係に、単にその行政機関の代表者と、あるいは公務員の団体との間の団体交渉で勤務条件をきめるのは適当ではない。これはやはり国民の代表者である国会が制定した法律、あるいは地方公共団体の代表者である議会の制定した条例、こういうものを基準として勤務条件はきまるべきものである。またそれについて団体交渉をするかわりには、人事院とか、あるいは人事委員会というような規定を置いて、公務員の生活保障の方法を考える。これはやっぱり公務員の特殊性格からくるものと思います。その特殊性格は憲法の十二条、十三条あるいは十五条の規定から申して、もちろん違憲ではない、かように考えておるわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 憲法の何条ですって。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 十二条、十三条、十五条でございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 今法制局長官のお話を聞くと、公務員という業務の性格、あるいは公務員という身分の特殊性というか業務の性格というか、そういうものが特殊だからそういう扱いをするのだと言う。しかもその性格の内容というものは、憲法十五条、十二条、十三条等に規定されておる。こういうようなお話であったと思うのです。憲法十五条は、言うまでもなく、「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」という、そうした性格について書き、公務員の選定は、これは国民固有の権利であるということをうたっておる。それから、十二条や十三条は、いずれも公務員が公共の仕事をしておるので、公共の利益を守っていかなければならないということの基礎づけの条項であると思う。結局公務員は公共の利益を守る仕事をするという、そういう特殊性があるから、いわゆる一般の労働組合法に基づくところの勤労者の範疇からはじいたのだ、こういうことになると思うのですが、それでよろしゅうございますか。それをはっきりしておいて下さい。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 公務員の性格、公務員が公務を執行する職務権限を持っている。かような見地から、これは国民全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。地方公務員の場合は、住民と置きかえて考えるべきだと思いますが、そういう性格から、一般の私企業と申しましょうか、私の民間事業における労使関係とは別個の性格をやはりそこに持っている。もちろん、しかし公務員の基本的人権の保障ということは必要でございましょうけれども……。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 よけいなことは答えないで、僕の聞いていることだけ。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 公務員の性格ということから考えて、これは国家公務員法、地方公務員法という別の法律がありまして、公務員関係を規律する、これはやはり勤労者という地位は持っておりましても、特殊な性格、公務員の職務の性格ということからくる特別立法は、これは憲法は認めている、かように考えます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 どうもわからない。その特殊な性格とはどういう内容であるかということを、私はわざわざ要約してあなたに話したのです。ところがまたぼやけてしまった。特殊な性格、公務員の持っている特殊な性格というものは、どういう内容であるかということをはっきり言って下さい。簡単に。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 国あるいは地方公共団体の職務、事務を遂行する任務を持っているわけでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 それではあなた答弁にならんじゃないですか。国及び地方団体の仕事をする、そんなことは公務員があたりまえです。初めから公務員はそのために雇ったんじゃないですか。その公務員が他の勤労者と違うところの性格、公務員の特殊的な性格が出ている、こう言いますから、私はその性格の内容は何であるかということを聞いたのです。何という失礼な答弁をするか。(「失礼じゃないよ」と呼ぶ者あり)失礼じゃないか、公務員であるということは、国や地方団体の仕事をするということが公務員である。これはあたりまえな話です。僕はそういうことを聞いたのではない。公務員も公務員以外の労働者も勤労者としては同じ生活実態にあるのに、団結権については違った扱い方がなされている。これはどういうところに原因があるのかと言ったら、あなたは公務員は特殊の性格がある。その特殊の性格を言って下さい。つまり、目的がないんです、あなたは。公務員という仕事をただ平面的に説明しただけなんです。僕はそんな説明を聞いてるんじゃない。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 公務員は、御承知の通りに、国家あるいは地方公共団体の事務を執行する地位にございます。国家あるいは地方公共団体というものは、これは住民あるいは国民全体の利益のために奉仕すべき性格を持っております。そういう性格を持っておる団体において勤務し、国家全体あるいは地方公共団体全体の利益のために奉仕すべき地位を持つ公務員というのは、一般の私企業の職員、勤労者とは地位が違う、かような考えでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 だから、僕がさっき言ったじゃないですか。公務員の特殊的な性格というのは、公共の利益を守るための仕事をするというところに性格があるんだろうと言ったら、あんたがそうじゃないと言った。今言ったことは、あなたはそういうことを言っているんでしょう。もう少しはっきりと一つ答弁をしてもらいたいと思う。  そこで、公共の利益を守る地方公務員だから労働組合は作れないんだという形になっておるけれども、それじゃ、地方公務員の中に、労働組合を作れる地方公務員と作れない地方公務員と、二色現行法ではある。どういうわけです。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 同じ地方公共団体に勤務する職員でも、そのいわゆる地方公共団体の職務の性質によっておのずから差があるはずでございます。つまり、普通のいわゆる行政事務的なものを執行する権限、つまり、何と申しますか、行政法でいいます優越的な地位あるいは支配的な地位に基づいて地方公共団体の権能を執行する地位にあるような行政的な職員、それと、いわゆる地方公共団体とか住民一般の福祉増進のために一定の事業を営んでおります、たとえばここで公営事業といっておりますが、公営事業を営んでおるような場合の職員の場合、これはおのずからその住民との関係においての職務の性格には差があるわけでございます。その差のあるところに着眼して、いわゆる地方公営企業については、一般の行政的な権能を行なう地方公共団体の職員、あるいは公権力の行使的なものを行なう地方公共団体の職員とは、別個な取り扱いをするのが妥当である。かように考えられておるわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 公共企業体等の地方公務員と一般行政の地方公務員とでは、おのずから住民に対する関係において差がある。——どういう差があるか、具体的に示していただきたい。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 公営事業、たとえば電車であるとか、鉄道であるとか、あるいは自動車の運行であるとか、かような事業は、いわゆるその事業の性格から申せば、電車の事業、あるいは鉄道事業、あるいは自動車の運送事業、これは民間事業として行ない得る性格のものでございます。事業のそういう性格から申せば、大体同じようなものが民間事業にもあるわけでございます。それから、一方のいわゆる地方公共団体の行政的な事務あるいは公権力の行使的な事務、これは一般の民間には類例のない仕事でございます。こういうもので、おのずから性格が違ってくるわけであります。で、今の公営事業は、一般の民間事業と類似の性格を事業そのものは持っております。しかし、公共団体が営むという点においては、これは一般の私営の営利を目的とする事業とはやはり性格はもちろん違います。性格が違う点においては、やっぱり労働関係もおのずから違ってくるということにはなりますけれども、しかし、一般の地方公共団体のいわゆる公権力行使あるいは行政執行、そういうことに当たる職員とはやはりそこに性格の差がある。差があるので、その差があるところに着眼して、やはり職員の勤労関係、勤務条件の関係については差を認めていこうというのが、今の法制の建前であります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 私は納得できない。今あなたの言われたのは、民間の方の企業と、それから公共企業との間の業態の上において似たところがあるということだけであって、公共の利益に対して奉仕するという問題と、いわゆる金をもうけるという問題、これはあなた、ごっちゃにして言われておると思う。たとえば、同じ電車でも、私鉄の電車はこれは金をもうけるためにやっておる、地方公共団体が市営でやっておる市電というような問題は、これは金をもうけるのではなくて、公共の利益のためにやっているのです、はっきりした性格が、そこに違いがあるではありませんか。あなたは今公務員というもののその特殊な性格は、公共の利益のために、公共のために奉仕するというところにあるのだということを言われたのです、勤労者として差別するその原因は。ところが、この一部に労働組合法を認められておる、その人も公共の利益のためにやっておる。公共の利益のために奉仕しておる人の中で、片方は労働組合法を認める、片方は労働組合法から除外されておる、こういうことなんです。それは正しいと思いますか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 同じ鉄道事業、あるいは電車の事業でも、公共団体が経営する場合と一般の私企業で経営される場合と、そこに公共的性格、あるいは営利的性格で差があることは、さっき私が申し上げた通りであります。また、今、御指摘の通りであります。それについては別に私はそうでないとは申しておりません。しかし、同じ地方公共団体の職員の中でも、いわゆる公権力の行使、あるいは行政的な仕事、こういうものの執行に当たる職員と、今申しましたような公益的な性格は持っておりますけれども、民間にもあるような形態の事業、つまり鉄道とか電車とか、あるいはガスとか、水道とか、こういうような一種の公企業と申しますか、こういうものに従事しておる職員との間には、性格はやはり差をつけて考えていいのではないか、こういう考え方があるわけでございます。これは御承知と思いますが、いわゆる昭和二十三年に政令二百一号の出た場合には、地方公共団体の職員を全部包括して、いわゆる一括した扱いをしたわけでございます。これはその後いろいろ考えられて、今のように一般の行政的な職員とそうでない公企業の職員とを分けて、やはり勤労関係は考えていくのが妥当である、こういうような考えで分けられたのでございます。国家公務員についても、これは同じことでございます。たとえば郵政事業の職員とか、あるいはその他のいわゆる五現業の職員は、初めは国家公務員法の適用を受けておったわけでございますが、これを後になって分けまして、五現業の職員については、いわゆる公労法の適用を受けるようにした、こういうようにする方が、これは要するに公務員のその性格に着眼して、おのおのの勤労関係についての規律を分けることが妥当である、かような考え方で行なわれているわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 あなたのいわゆる公権力を持つところの公務員の範囲が、イギリスの労働法に対する扱いのように、行政権の責任者、指揮監督権を持った者、こういうことに限定されているならば、今のあなたの答弁についても、私はやや満足である、「ああそうですか。」ということを言いますけれども、今日公務員は、全体としてやられておる指揮監督権を持ったものだけじゃなくて、地方公務員と名のつくものならば全部除外されておる。その場合に、たとえば会計なら会計の事業をする、会計でもって金の計算ばっかりやっておる、民間産業で経理をやる、業態的にどこに変わりがありますか。数えている金は、片方は税金で集まった公共の金ですけれども、数えているその仕事についてどう違いがあるのです。利益でもうけたところのものも同じなんです。ちょうど軍事を市電の人が動かしているのと、民間産業で動かしているのとでは、電車の形は一つであるというのは何ら変わりはない。そういうような種類については当然公共の利益に云々の問題で労働組合から除外するということはおかしいじゃないですか。公共の利益というところに重点を置くならば、その公共の利益に重点を置いて縦に割っていけばいい。業態なら業態が同じであるということに、業態の問題は業態の問題として業態で割っていく、はっきりすべきだと思うが、あなたの意見はどうですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これはやはり公務員の性格から申しまして、指揮監督者のみならず、やはり補助者も総体的に一括して考える方が私は適当だと思います。やはり指揮監督の責任を持つ者だけのみならず、補助的な仕事をやっておる者もやはり公権力の行使を補助しておるわけです。あるいは行政的な事務を補助しているわけです。こういうのも入れて、含めて公務員の性格を考えていくべきだと思います。しかし、これは占部委員よく御承知のことだと思いますが、いわゆる公営企業でない範囲においても、いわゆる単純労務、単純労務の方につきましては、たとえ現在地方公務員でも別個の扱いをしております。こういうものにつきましては、地方公務員の性格にかんがみまして、特殊な扱いをしておるわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 だから私はいかぬというのだ。単純労務とそれから一般の指揮監督権のない公務員とどこが違いますか。あなたは補助的な軍務と言われたが、たとえば現在労働組合法の適用を受けておる地方公務員である、たとえば市電の運転手さん、これも補助的な事務です、仕事です。一般の指揮監督権を持っていない以下のものとどこにも違いはないじゃないですか、どういうところに違いがあるんですか、そのことを伺いたい。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは先ほどから申し上げておることに尽きるわけでありますが、結局今特殊な扱いをしておりますのは、公営事業に従事する職員、それからいわゆる単純労務関係でございます。それ以外の一般の公務に従事する職員は、これはいわゆる指揮監督権を持つもののみならず、やはりその補助者もあわせていわゆる地方公共団体としての公務の執行ということに関係する職員でございます。これは包括してやはり考えるのが至当である。これはやはり補助者を抜けて考えるのは一般の公務の執行上適当でない、好ましくない、管理監督の責任を持つ者だけを特殊扱いするのは公務の性格から言っておかしい、かように考えられて、今そういう法制を立てておるわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 労働大臣にお伺いしますが、日本の公務員とそれから諸外国の公務員と、いわゆる公務員という性格において違いがあるのか、それとも違いがないとお考えになっているか、ちょっとお伺いいたします。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は違いはないと思っております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 それならばちょっと観点を変えてお伺いいたしますが、諸外国で公務員についての労働三権ですね、適用しているか、適用していないか、こういうような事例をお伺いいたしたい。さっき荒木さんのお話では、何か外国の公務員は、日本の公務員と同じように、団結権やその他が取られているという例もあるということをさっき言われたのですが、一ついいところ、たとえばイギリスとか、フランスとか、西ドイツとかあるいはアメリカとか、そういうようなわれわれの知っている限りのところを一つ簡潔にお話し願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は一々の国々の事例について根拠のある知識がございませんから、それは事務当局に準備があれば説明をいたさせます。ただ、私はこの際申し上げておきたいと思いますことは、諸外国と申しますよりは、ILOの条約中における労働三権その他の取り扱いにおきましても、公務員の場合はこれを除外されているという認識の上に立っているわけであります。ただ、私ども勤労者の保護保障という、生活条件その他の保障ということを管掌いたしております立場から申しますと、業務が特殊であるからというて、これに対する保障がないままに放置されているのでは困るのであります。しかし、公務員の場合、これは労働条件が法令によってきめられている。それから公共企業体その他現業の場合においては、公労委あるいは地公労委の仲裁裁定の実施ということによって、保障が別の形でなされている。別の形でなされているために、労働三権のうち、公務員、地方公務員については団体交渉権の一部が奪われ、争議権が完全になくなっているという状態の保障は、それで行なわれている、こう私どもは考えているわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 諸外国の例をお聞きしたいのですが、その前に、今調べているならいるでいいのですが、今の大臣の御答弁によって、大臣は九十八号条約では公務員は除外されておるということだが、どこに除外されているのですか。おそらく第六条の項をおっしゃっておると私は思うのです、第六条の、私の手元の翻訳が間違っておるかもしれぬけれども、「この条約は、公務員の地位を取り扱うものではなく、また、その権利又は分限に影響を及ぼすものと解してはならない。」こういうふうに私の持っておる翻訳文には書いてあるわけです。そういうことになると、これは公務員が労働者であるとかないとかというような、あるいは公務員を労働者から除外するというような問題ではなくて、公務員の地位の問題、すなわち公務員としての業務について、労働組合のいろいろな動きというものが、組合員の生活を守るからといって直接むやみにその業務に影響するようなことがあってはならない、そういうことをこの表現でうたっておるだけであって、公務員が労働組合から除外されているなんて一つもうたってない。さらにその証拠には、第十五条には、「この条約に規定する保障を軍隊及び警察に適用する範囲は、国内の法令で定める。」軍隊と警察でさえ適用する場合はその範囲については国法で定めてもいいけれども、こういうようなことになっておる。従って、この条約そのものは公務員も勤労者であって、労働組合を諸外国と同じように持てるのだ、こういう前提に立ってこの条約がなされておるということは明らかなんです。その点一つ。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 具体的なILO条約の私が申しましたところの背景をなす条項について、今労政局長から説明させます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 その前に諸外国の例がわかっておってたら……。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) あわせて。

冨樫総一労働省労政局長

○政府委員(冨樫総一君) お答え申し上げます。諸外国の例につきましては、ただいま正確な資料を持っておりませんので、適当な機会に申し上げたいと存じますが、一般的に申しまして、一律に各国が同様の扱いをしているというわけではないようであります。制限せるところもあれば、この制限に軽重もあるというようでございます。  なお、今の条約の問題でございまするが、九十八号の六条の規定は、これ自体文章に書いてある通りでございますが、ただ先ほど大臣が申しましたのは、この条約全体におきまして公務員というものがどういうふうに解釈されているかという点について申し上げたと存じます。それにつきましては、この条約に関するILOの付帯文書の中におきまして、この条約の本質は団体交渉権の保護に眼目がある、従って、公務員という抽象的観念から、公務員の具体的限界をとやかく言うことはかえってはっきりしなくなる、団体交渉権を保護するというゆえんのものは、団体交渉によって労働条件の維持改善が自主的にきめられる分野において団体交渉権が大事であり、従って、保護さるべきものである、従って一方、先ほどから話がありましたように、法令等によりまして、従いまして団体交渉ということでなく、法令によって労働条件が担保保証されておるという観点に立ってこの公務員の範囲を理解すべきである。こういうことでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 そこに大きな問題があるのです。労働大臣ちょっとお聞き願いたい。まずあなたの方で手持ちのあれがないというから私が手持ちのものを出します。これは政府の機関である人事院が出しておる人事院月報、この中には各国の公務員の団結権について書いてある、イギリスは労働組合としての一般労働法の団結権の適用をいたしております。団交権も対等の団交権を持たしておりまして、ただしまた、一部にはホイットレー協議の方式をとっておるところもある、争議権については特別に禁止をしておりません。従って、法の規定がないのです。そのときそのときに争議権の問題は解決をする、こういうことになっております。フランスではこれは新憲法で、一般労働組合法で認めております。特に官吏法においては六条で労働組合の結成権をはっきりと認めております。これはあなた御存じだと思う。団体交渉権は、新憲法で労働組合としての団体交渉権を認めております。争議権はどうであるかというと、これまた新憲法でこれを規制するところの法律はない。ただ、ある法律の範囲内において行使しなければならないという形をとっておる。日本と同じように敗戦した西ドイツはどうであるかというと、やはり同じように団結権、団交権をはっきりと認めている。ボン基本法では、一般公務員、警察官までこの労働組合を作ることを、団結権を認めておる。こういうような人たちが集まったILOのその背景の中で、この八十七号条約ですか、九十八号条約、これが論議されたのです。そこで日本のように法律で規制しておるところもあるし、そうじゃない多くの国々があるのです。そこでその解釈についてはその国の現行法があるので、この際あまりはっきりしたことをしないようにしようといっただけの話であって、九十八号条約そのものはもちろん公務員は労働組合を作ることができるのだという前提のもとにこの条約ができていることは明らかじゃありませんか。その点はっきりして下さい。

冨樫総一労働省労政局長

○政府委員(冨樫総一君) この九十八号という条約は先ほどから問題になっておりまする八十七号の条約と姉妹関係になっております。この今問題になっているいわば兄貴分になっている八十七号条約におきましては、公務員を包含いたしまして、これに団結権を与える、そういう解釈のもとに批准の準備等を進めているわけでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 結局労働組合としての団結権を認められておるということでしょう。その点をはっきり……。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は、公務員、地方公務員が労働組合法の適用から除外されておること自体が、そのこと自体がILOの精神に反しているものではないということを申し上げたのであります。それからまた、同時に、もう一つは、いわゆる労働三権というものの制限を受けている。その結果として受けているわけであります。従って、その結果として受けておる事実もそれに違反しておるものではないのだということでありまして、従って、新しい条約、八十七号条約は公務員の団結権というものも認めておるわけでありますから、従って、八十七号条約を批准をいたした場合におきましては、わが国の国内法も公務員の団結権というものを認めるということは、これは認めるように私どもはしなければならぬと思います。しかし、労働三権全体を、争議権まで含めて全体を認めるということは、ほかの私企業の労働組合と同じように扱わなければならないという結論は出てこないのだということを申し上げているわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 今の労働大臣の御答弁は非常に重大な答弁であるので私は確認をしておきたいと思うのです。私が申し上げておることも、争議権まで含んで言っておるわけじゃないのです。団結権の問題をまず言っておるわけです。今大臣は、この八十七号条約は、そういうような団結権の内容を含んでおりますので、これを批准した暁はその問題に進んでいかなくちゃならぬ、こういう点がはっきりされたので私は非常にうれしく存じております。労働組合が地方公務員、あるいは国家公務員にも許されるのだということになるわけでありますから、非常に私としては欣快の至りであると思うのであります。何か御不審がありますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) あまり簡単に喜ばれると恐縮でございますので、私の申し上げた趣旨をはっきり申し上げます。八十七号条約を批准すれば、あるいは現在においても公務員が職員団体を作るということは決して禁止をいたしておりません。従って、そういう意味において団結をする権利はあるわけであります。ただ、わが国の労働組合法の適用をそのまま地方公務員、国家公務員に適用しなければならないということは、そのままでは出てこない。ただ、八十七号条約を批准いたしました場合におきましては、その批准した結果として生じます団結権というようなものについて、国内法の整理をしなきゃならぬ部分はこれは当然しなきゃならない。しかし、労働組合法の適用を受けるということになりますと、争議権まで含むのであります。これはまあ特別の今の公共企業体の労働組合とか、あるいはそのほかの場合は、地方公共企業体は制限を受けておるわけですが、一般に労働三権と言えば三つを含むわけでありますから、そういう三つを含んだものとしての、いわゆる三つとも持った労働組合というものから区別すること自体がILOの精神と違反しているということではない、ということを申し上げたのであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 じゃ、重ねて一つ明快な答弁をもらいたいと思うのですが、今、大臣が言われた中で、どうも明快でない点がある。それは、争議権まで含んだ労働三権ということを前提として労働組合法を認めるというわけにはいかないのだと、こういうことを言われた。ところが、現在、地方公務員の中には、労働組合法上の団結権を持って、団体交渉権も制約され、争議権も禁止されておる人たちがおるわけです。私はこれに三権を持たせるべきであるという主張でありますけれども、一歩譲って、そういう現実があるならば、その現実に合わせるということになるんだろうと私は考えるのですが、その点はいかがですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 争議権は除外されましたからこれは別にいたしておきまして、団体交渉権を完全に与えるという場合は、労働条件、その他が団体交渉によってそのまま決定せられる場合、つまり私企業の場合と、それから労働条件の中の貸金、その他の問題が、これは埋葬者と交渉するだけではおさまらない問題、税金とかその他によってまかなわれる場合におきまして、納税者の代表である、国民の代表である国会なりあるいは地方議会なりというものの当然同意を要するというような問題とは、これは団体交渉権の内容におのずから相違が出てこざるを得ない、こう考えている次第であります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 大臣が今言われた中で、争議権は一応おくとしても、(国務大臣石田博英君「あなたがおいたのです」と述ぶ)まあどちらでもいいです。現在の地方公務員の関係では、労働組合法上の団結権を持ち、制約された形の、完全なじゃありません、法律上の制約された形の団体交渉権を持った組合があるわけです。これは最低の組合です。完全な団体交渉権を持っていない最低の組合です。制約されている。これには当然いくべきであろうと、私は言っておる。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 今のお話でありますが、そうすると、その段階までは公務員も、それから一般の地方公務員もいくべきだ……。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 私は地方公務員のことを今言っている。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 地方公務員もほかの団体のところまではいくべきだ、こういう御議論でありますか。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 そうじゃない。さっき大臣は八十七号条約が九十八号条約の前提で、それより大きなかぶった問題で、その中には公務員は労働者だという点が認められておるんだということをさっき労政局長の冨樫さんの答弁ですか、今言われましたね。そこで、あなたはそれを受けて、この八十七号条約が通った場合には、それにふさわしいところのやはり国内法の問題もやらなくちゃならぬと思っているんだということを言われたんです。そこで、それは結局労働組合法上の組合を認めるということではないかと、私はそうお話したのです。そうするとあなたは、争議権をひっくるめていろいろ難点をされたが、僕は争議権を今言っているんじゃないのだ、団結権を言っているんだ。現実に地方公務員の中には争議権は禁止されておって、そうして団結権は、制約されておるけれども持っておる、すなわち労働組合の団体交渉権を制約された形ではあるけれども持っておる、すなわち労働組合としての団結権を持っておる、こういう組合が現実にあるじゃないか。従って、持っておるだろうと、こういうふうに私はあなたに問うたわけです。それ以外の最低の労働組合はありませんよ。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) お答えを申し上げます。現在でも団結権はあるわけでありますが、しかし、団体交渉権の内容というものに制限を受けておると、こう今おっしゃいましたし、現にそういう組合があるわけであります。そこで、その団体交渉権に制限を受けておるということの根拠は、これは労働条件が団体交渉のみによって決定できない立場にあるということによって制限を受けるわけでありますから、その制限の中で取り扱って、そうして八十七号条約の趣旨に合うように検討をすべきものだと考えております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 それじゃ話が違うのです。というのは、職員団体の団結権は今だってあるんです、地方公務員には。それで、あなたは八十七号条約が通ったならば、これはまた違った考え方でもってこれをやっていかなくちゃならぬということを言っておる。そこにあんた大きな矛盾がある。現在の職員団体を、これを労働組合法上の労働組合にするならこれは話はわかる。現在の職員団体をそのままにしておいて、さっきのあなたの御答弁というのは、ちょっとそれは矛盾しているんじゃないかと思うのですがね。その点どうです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 違ったというふうに私申したかもしれません。申したとすれば、別に違ったというつもりで申し上げたのではありません。八十七号条約は、公務員も当然その団結権を認められるわけであります。ただ、八十七号条約に規定せられております、要求しております団結権と、今ある団結権とは違うのです。今ある団結権は同じ職員だけでなければいけないわけですから、団結権に制限を受けているわけであります。九十八号条約が通過いたしますと、その団結権はやはりその制限から、八十七号条約に合うように検討をしなければならない、こういうことを申し上げたのでありまして、団体交渉権を今より先にもっと広げるということになりますと、その団体交渉によって給与の条件、労働条件が、そのまま定められるところと、そうでないところとは、おのずから違ってくる、こういうことでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 納得できないのですがね。さっき富樫さんの説明は、公務員の問題についてはいわゆる付帯文書があって、九十八号条約では、それぞれの国の解釈に従っていけるようになっているけれども、今度の八十七号条約では、明らかに労働者としての公務員の団結権なんだということを明確にしていたじゃありませんか。それに基づいて私は言っておるのです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 九十八号条約、これは条文の正確な解釈はいずれ申し上げますが、その中では、公務員というもの、公務員についても英文とフランス文では違うのでありまして、いろいろ議論がございましょう。その公務員というものは、つまり団体交渉権というものを九十八号条約全体からはずされているわけです。ところが、八十七号条約のいう団結権というものは、公務員も当然その中に含まれる、こういうわけです。   〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕 つまり公務員といえども、どういう人と結社をしようと自由であるわけです。それは今の職員団体を作るという団結権とは性格が違うので、それに合うように直す、こういうことを申し上げたのであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 そうすると、公務員の団体が、労働組合法上の団体と合体した、そしてそれは労働組合法上の適用を受ける、こういうわけですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは団結権の問題については、今度の八十七号の問題でございますが、これは公務員といえども除外されない、そういう関係でございます。で、団結権の規定は、現在一般の私企業あるいはいろいろな地方公営企業につきましても、労働組合法が適用される。一般の地方公務員につきましては、地方公務員法でいっておるわけであります。これは八十七号条約、必ずしも国内法を一本の法律で適用しなければならぬということをもちろんいってないわけであります。その性格の異なるに従って、国内法は別でも、もちろんいいわけでありまして、地方公務員法が八十七号条約に合うようにできていれば、これは問題ないと思うわけであります。従いまして現在の地方公務員法の五十二条でございますか、あの規定が、はたして八十七号の規定に合うか合わないかという問題で、今後国内法の整備をするとすれば、するわけでございます。現在の地方公務員法の規定は、実は形式から申しますと、八十七号条約に表面から抵触するようにできておりません。これは労働問題懇談会のときに、そういう議論が出ております。ただし、現在の運用が八十七号の精神と多少違っておりますので、この点をはっきりさせようという点は、昨年の法案でも考えられておるわけであります。そういうわけで、地方公務員がいわゆる団体を作ること、これは何ら八十七号条約の精神に従って制限はない。従って他の、たとえば私企業の組合と団体を作る、団体を作ること自身は、別にこれは制約はないわけであります。しかし、いわゆる団体交渉権の方になりますと、これはいわゆる九十八号条約の問題であります。従いまして去年の地方公務員法の改正案、これは御承知だと思いますが、つまり地方公共団体の当局と交渉できる団体は、つまり職員、また職員に多少加えましたけれども、要するに職員を主体とする職員団体に限る、こういうふうに持っていこう、これは九十八号条約の方からいって何ら抵触するものではない、かように考えておるわけでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 その点いろいろと私は問題点があるのです。あるけれども、あとの問題をやらなくちゃあ時間の関係がありますから、私は総括的に一つ池田総理にお伺いしたいと思います。  さっき私がこの質疑の中で明らかにしたように、憲法上のこの解釈からいっても、地方公務員は生活実態から見ても勤労者である、こういう実態があります。さらにまた諸外国の公務員の労働関係についての取り扱いからいっても、まあ反動的な国家ならこれは知らないことでありますけれども、大部分の文明国家は、労働組合法上の扱いをしておるということははっきりと私は今申し上げましたことでおわかりになったと思う、まあおよそ私は知っておられると思うのですが、そこでそういうような中で、特に今度は八十七号条約についての批准をするわけであります。で、総理はわが国を福祉国家に持っていくのだということを、総理の、池田新政策の三本の柱の一つとしてあるのです。福祉国家を作るためには国民の社会権、生活権というものを認めなければならぬ、その生活権を、憲法によれば金を持っておる人は財産権で認められておるし、働く者は労働権、そうして労働三権で認められておる。こういう憲法の建前もあるので、従って今度の批准が終わった後の国内法の改正については、諸外国のいい例を取って前向きに持っていくことが日本の国を福祉国家に育て上げる一番の原因であると私は思うのです。そこで、そういうような意味合いで総理の一つお考えをお聞きしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 国家公務員、地方公務員の地位に関しましての憲法上の解釈は、先ほどまで法制局長官が述べておったのと私は同様でございます。なお、ILO批准ということは、労働条件を改善し、社会正義、恒久平和ということを目的としておるのでございまするから、私はILO八十七号をできるだけ早く批准したい、そうして日本の労働条件がよりよくなることを念願しつつ進んでいきたいと思うのであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 なぜ私はこういうことを総理にお願いするかというと、私は時間があればもっと……。  かつて地方公務員が労働組合法上の扱いを受けていたことがある。それを途中にして労働組合法上から除外された。そういう点をやはり経過的にたどって私はお願いをしたいと思うのです。御存じのように、マ書簡が出て、ポツダム政令二百一号が出て、そしてこういう形になっていったわけです。あのときに、こういうような形を日本の地方公務員に与えるのがいいか悪いかでマッカーサー司令部の中も大きくもめたことは御存じの通りです。当時責任を持っていたキレン労働課長やスタンチフイルド次長はそのために辞任をして国に帰っておる。そのときにキレン労働課長、これは日本人じゃありません、アメリカの人ですよ。アメリカの人がこういう帰国の声明を発している。総司令部が日本政府労働者の団体交渉権を否定したことは、日本の組織労働者の四〇%を占める人々に民主主義の信念を強めることにはならない。私の辞職の原因は、むしろ大部分の政府労働者たちが団体交渉権、仲裁裁定の権利、すなわち労働組合としての団結権を否定されたことにあるのである。こういう声明を発しておる。スタンチフィルド次長はさらにこれに輪をかけて、多くの諸国では政府事業においては、民主的な団体交渉権が確立され、ストライキ権についても問題は起きていたい。団結権は完全である。しかるに日本がこういうようなことをやるのは、日本の労働者の四割を占める官公労働者の労働政策としては許しがたいものだと。われわれはこの労働者たちの権利を守るために戦って破れたからと、こう言って帰って行っているのです。アメリカの人さえそういうふうに考えている。いわんや今の日本人の中で、総理大臣が、今度の八十七号の批准を契機にそういう前向きの方向に向かわずに、かりにうしろ向きの方向に向かったとしたら、これは大きな問題になってくると思う。どうぞ一つそういう点で、まだ条約が出ておりませんから、時間の関係があって私もこれで切りますけれども、どうぞ一つ考えていただきたいと思います。  なお、今までの憲法論議やその他の問題については、まだまだ反駁すべき余地があるのですが、きょうは一つこれで一たん打ち切っておきたいと思います。  それから第二の問題点でありますけれども、今度の補正予算の中で、地方交付税交付金の九十億何がしというものが、大蔵大臣の説明によると、来年度へ繰り越しということになっております。ところで、今、都道府県市町村は金がなくて公共に対するサービスもできない、のどから手が出るほど金がほしい、こういうような状態はあなたも御存じの通りだろうと思うのです。なぜ大蔵大臣は、仕事さえできなくなっている、公共の福祉的な、生活環境さえ荒れ果てて守れなくなっているような地方の実態というものを無視して、そして九十億を本年に使わずに来年に回そうとするのか、その点についての御見解を承りたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは御承知の通り、前国会におきまして、昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律というものが制定されて、補正予算による交付税の増加分のうち、ベース・アップその他の所要資金を計算しまして、二百四十億円をこえる部分は明年度に繰り越し措置をとることができるという、この法律によりまして、百十七億円を明年度に繰り越しをいたしました。で、今回の九十億円も同じような措置をとりたいと思いますが、これはもう年度末のことでもございますし、来年度の地方財政計画の中でこれを具体的に使用することが最も地方財政の運営において合理的だというふうに考えて、これは大蔵省だけの考えでもございませんで、自治省その他におきましても同じような意見でございますので、こういう措置をとりたいというように今のところ思っております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 年度末に近いからというお話ですが、それは僕は当たらないと思う。なぜなら、今三十五年度の決算が出てきていないから、これははっきり数字的に言えないが、三十四年度の地方財政の収支決算を見ても、金がなくて、聖業の繰り越しを行なうとか、あるいは三十五年度分の早食いや繰り上げをやっておるのです。こういうところが相当あることは大蔵大臣も御存じの通り。今、三十五年度の現在でも、地方の、都道府県なり、市町村の財政状態は同じような状態に置かれておる。特別の措置は一つもしていない、国から。そういう中で、かりにこの九十億を明年度に回さずに、本年度に使うならば、繰り延ばす事業も繰り延ばさずに済むし、いろいろの点において今の点をカバーすることができるのですが、そういう点、大蔵大臣、どういうふうに考えますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) そういう点がございましても、これは来年度の地方財政計画を立てておるときでございますので、この金を一体的に運営することの方がより合理的だ。関係者の各地方におきましても、やはりこの使用の方法については特に異論がございませんで、そういう方向に私は皆さんが賛成だというふうに思っております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 あなたはそう思われても、地方はそう思っていない。それじゃ、僕は安井自治大臣にお伺いいたしますが、最も新しいやつでは、昨三十四年度の地方財政の収支決算の調べがもうおそらく私は出ておると思います。そこで、昨年度の一般財源の伸びはどのくらいあったか。そうして、その一般財源の伸びがどういうような使途別に使われておるか。これはもうはっきりすると思います。大略でよろしゅうございます。あまりこまかくなくてよろしい、大略でよろしいから、割合を一つ発表していただきたい。   〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 三十四年度の伸びは、三十主年度に比べまして一千三十億程度でございます。大体大部分が義務的経費に使われておりまして、一部、百三十億程度翌年度に繰り越しておりまして、そうしていわゆる行政水準に使っておる部分というのは五十億程度でございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 三十四年度の都道府県声町村の決算の状況を今数字にあげられたのですが、これを見ても明らかなように、千三十億もある一般財源の伸びの中から、おのおのの行政水準の改善のために、橋のこわれたのを直したり、道路を直す、いろいろなことを直す金はわずかに五%しか使っていない。あとは義務的経費あるいは公共事業の地方負担分の激増あるいはまた赤字穴埋め、こういう方のところに使われている。これが実態なんですよ。こういうような地方のいわゆる仕事のできない地方政治の困った状態をそのまま見て、九十億を来年度に回していいのですか。この点、僕は単なる計算上の問題でなくて、政治上の、いわゆる政治的な見地からこれは一つ御答弁を願いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 前国会のときにおいてもそうでございましたが、これも十二月に近いときでございまして、当面地方財政として必要とするもの二百四十億を使う。そのほかの交付税の配分はいろいろ、もう年度末ではあるし、ここで急いでその配分をきめることも技術的な困難がある。明年度の財政計画の中で一体的に運営する方がいいということが、年末のことでございますし、特に今回の九十億は、年度末がさらに押し迫ったときでございますので、これは前回の繰り越し金と一緒にして運営するのが私はいいのじゃないかと思っております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 大蔵大臣は前回の第一次補正のときに二百四十億を出しておると言われますが、あれは給与引き上げについての財源として配っておる。あれは一銭も事務事業の改善には使われておらぬのですよ。それはあなた御存じだと思うのです。だからこそ、九十億の問題を来年へ延ばさずに本年使いなさいと言っておる。特に地方交付税法では、私が言うまでもなく、基準財政需要と基準財政収入との差、これは当該年度の特別交付税の中に加算して当該年度に配るということが規定してあるじゃありませんか。従って、これをそういう方向でやってもらえばいいのである。しかもそれが地方へ行った後にどういう使われ方をするかということについては、災害復旧あるいは赤字穴埋め、あるいはさっき自治大臣が言われたように、百八十億繰り越しがあったというふうに、後々のための繰り越し、こういうようなことのために使えということに、おととし地方財政法を改正して、その第四条で規定をしておる。しかもこのやり方に従わなければ、財政的な方法であるけれども、都道府県市町村に対して罰則とも見られるところの規定まであるのです。だから、九十億を回して、それをどういうふうに使おうかは当該市町村に、あるいは当該団体にまかせればいいじゃありませんか。これをまかせないということ、自体が地方財政法の第二条第二項、大臣御存じのように、国は地方財政の運営については自律性をそこねてはならない、こういうことに私は違反すると思うのです。地方交付税法は、当然に本年度に渡すべき金と規定してある。それを渡さないということ自体が地方団体の財政運営の自律性をそこねるものであるというふうに私は考えるのです。大臣はどういうふうにお考えですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 大蔵大度は財政上の問題ですから、当然の御答弁であろうかと存じますが、これは大蔵大臣にただ強要されて自治省がやったものじゃないのでありまして、占部さんのおっしゃるように、当該年度の交付税の補正額は、それは当該年度に本来ならば配るのが筋であろうかと存じます。ただ、三十四年度といたしましては非常に年度も詰まっておりまして、それと一般の自然増と申しますか、そういうものも若干ございますので、また、来年度にはさらにより大きい財政需要もあるものでございますから、昨年末の補正額の一部と今度の九十億とは、できれば繰り越しをすることにいたして、そうして来年度新しい財政基準の需要に充てようと思っておる次第でございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 この点は見解の相違と言ってしまえばそれまでですが、われわれは納得できない。納得できないと同時に、もう一つ問題点があるのですが、大蔵大臣も自治省大臣も、繰り越す、繰り越すということを言っておられるのですが、一体、繰り越すということは、どういうところできまっておるのか、私ははっきりわからない。というのは、いただいた、この昭和三十五年度の一般会計予算補正のこの中を見ても、特別会計予算の補正第二号を見ても、確かに九十億という地方交付税は出て、それが地方交付税及び譲与税特別会計に繰り越される——中に入れられる、こういう点は明らかになっておるのですが、それを来年度に回すという——との前は特例法を出したのですけれども、特例法は出ていないし、一体どういうわけで、だれが一体こういうことをきめるのか、非常に不思議に思うのですが、その点は……。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) ごもっともでございますが、これは昨年末の第一次補正の際、二百四十億をこえる額を限度として繰り越すことができるという特例法が今でも生きておるものと心得ておりまして、従いまして九十億もこれは繰り越しをいたすことができるものである。従ってまあ実際問題としては、特別の事情が起こらなければ繰り越しをいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 ちょっとその点は非常に重大な問題だと思うのです。この前の第一次補正のときの特例法の案を持っておりますけれども、安井大臣は、あの提案理由の説明のときに、今回の補正予算により増額を見ました地方交付税の額は三百五十七億である、そのうちの二百四十億を引いたあとを明年度の地方財政の状況等も考慮して三十六年度に繰り越して使用できるようにしておく、そのためにこの法律案を出す、こういう説明をされておる。第一補正のときの特例法じゃありませんか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 第一次補正の際にその法律案が出たわけでありますが、その法律案の内容自体は、三十五年度における交付税の補正額についてはと、こういうふうな一般的にさしておるはずでございます。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 占部君、持ち時間がきておりますことを御了承願います。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 通例、何というか、確かに第二条には「追加予算」というふうに響いてある。従ってそれはそのままだと言われる。そうなると、私はますますおかしくなると思う。では現在この前の第一次補正のときに三百五十七億でしたかな、あの金の中の二百四十億という工合に分けた、あれは現在地方交付税及び地方譲与税の特別会計の中に、この第一次補正によって行なわれたこの額というものは、どれくらいに上っておるのですか。どれくらい計上されておりますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 特別交付税の交付すべき額が今幾らあるか、こういうことでございますか。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 そうじゃありません。第一次補正によって生まれた地方交付税のこの交付金の額のうち、現在交付税及び譲与税配付金特別会計の予算の中に計上されて残っておるものはどれくらいあるかということです。

奥野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奥野誠亮君) 御趣旨をあるいは間違えているかもしれませんけれども、現在のところ、特別交付税を除きまして、全部配分を了しておるわけでございます。なお先般補正によって増加いたしました額のうち二百四十億円は、今年度内に配分を了するわけでございます。しかし百二十七億、これを来年度へ送る予定でございます。今回増加いたしました九十億円も、当然前の法律を受けまして翌年度へ送ることになりますので、合わせまして二百十七億円が来年度へ送られる、こういうことになるわけでございます。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 私は本格的にいって、こういうような扱いでは、予算を明確にすると同時に、議会がこれに責任を持つという国の支出の議決を、この問題にひっからませて——私はやり方がよくない、こういう観点に立ってお伺いしているんですが、特例法を出すべきであるという観点に立ってお伺いしているんですが、今言われたように百二十七億残っておる、そうすると現在残っておる分に今度出る九十億を加えると、二百十七億ということになるしところが法律をそのまますんなり読んでごらんなさい、「第二条、追加予算により昭和三十五年度の交付税及び譲与税配付金特別会計の予算に計上された地方交付税交付金の額のうち二百四十億円をこえる額については、来年度へ回す」というふうに書いてある。現在三百十七億しか残っていないのに、二百四十億をこえる金額じゃないのに、どうやってやるんですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これは第一次補正で三百五十七億御承知の通り補正増になったわけで、そのうちの二百四十億をこした部分については、補正増額については、これを次年度へ繰り越すことができるということで、その一回目の百十七億、二回目の九十億合わせて二百七億でございますか、これを大体繰り越そうといたしておる次第であります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 重ねて言いますが、私しつっこいようでございますけれども、特例法を出さないということを言われるので、私はこういうことを言うんですが、それならば、この法律をすんなり読めば、二百四十億をこえた額ですよ、第一次、第二次入れていいわけであります。二百四十億をこえた額については三十七年度に回す、ところが、この前の三百五十幾つのうちの二百四十億は、もう地方の方の給与引き当ての財源として出したわけでしょう、残っておるのは百十七億しか残っていないでしょう。その百十七億に九十億を足せば、二百七億しか残っていないじゃありませんか。これをこのまますんなりと読めば、二百七億しか残っていない。だからこの二百四十億をこえた額にならぬのだから、地方交付税法に従って、当然本年内にこの九十億も、とっておいたやつも一緒にくるめて払うのが本筋じゃないかと私は言っておる、特例法を出せば別ですよ、その点も一つ。

石原周夫大蔵省主計局長

○政府委員(石原周夫君) 先ほど自治省の方からお答えを申し上げました通り、第一次補正におきてまして、三百五十七億円を計上いたしたわけであります。それに今回九十億円を追加するわけでございまするから、合計四百四十七億に相なるわけでございます。従いまして、四百四十七億が、ごらんの第二条にあります追加予算に計上せられたという額に相なるわけでございます。それから二百四十億円をこえる額を限度としてということが書いてございますから、四百四十七億から二百四十億引きました二百七億、その額が繰り越される、これを限度として繰り越す、こういう規定になっております。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 くどいようですが、もう一つ。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 皆さんの了解を得て……。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 僕は予算の取り扱いの問題で重大な問題ですから、もう一つ念を入れておきたいんですが、局長さんお答えになったような答えの仕方は、第一次補正のときならいいんですよ。あのときは、三百何億という中から二百四十億を、これを給与財源として充てて地方へ出して、あとの百十七億をとっておく、これを三十六年度で出す、こういうことだからいいんですよ。ところが、これはそうじゃなくて、その当時作ったこの法律の規定をそのままここで利用するのか、あるいは使用するのかわかりませんよ、言葉は、僕は専門家じゃないからわからぬけれども、そのまま利用してやるということなんでしょう。そうすると、先ほどの三百何十億かのうちの二百四十億というのは、すでに今日では地方へ行っちゃっている。今日現在この地方交付税及び譲与税配付金特別会計の中の残っておる金は、百十七億しか計上されてないでしょう。それへ九十億だから、おかしいじゃないかと言うのです。特例法を出すなら別だと言うのです。

石原周夫大蔵省主計局長

○政府委員(石原周夫君) ただいまのお尋ねは、第一次補正によって計上せられました三蔵五十七億円が、二百四十億を配付をいたしますと、なくなるかというような前提のお話のように伺ったのでありまするが、これは法文でごらんになりまするように「計上された地方交付税交付金の額のうち」ということが書いてあります。これは地方に現実に配付されるされないのいかんを問わず、計上された額が三百七十億であり、それに今回九十億円が加算をせられまして四百四十七億、それがここにありまする「計上された地方交付税交付金の額」というふうにお読みいただくわけであります。別に地方に配付いたしましたから予算が消滅するわけじゃございません。これは計算上は三百五十七億プラス九十億で、四百四十七億というふうにお読みいただきたいと思います。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 その点について問題点があるのですが、もう時間がないので、私はこれでやめますが……。  最後に、地方財政計画、あれは一体いつごろ出す予定か、これだけは聞いておきたい。あの問題は、予算の審議も衆議院の方ではすでに半ばへいっております今日、明三十六年度の地方財政計画がまだできてないというのでは、予算の審議の上からいっても非常に私は支障になると思う、この点一つ……。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) おくれておってまことに申しわけございませんが、国の予算がきまり、そうして地方の全体の団体のそれぞれの推計を集めまして、でき得れば来週中くらいに何とか概算のものをまとめたいと、こう思っております。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 明日は午前十時より委員会を開きます。本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十九分散会    ————・————

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