本会議 第25号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1961/05/12
会議録
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 ————・————
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。 この際、お諮りいたします。岡崎真一君から、海外旅行のため会期中請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 日程第一、選挙制度審議会設置法案(趣旨説明)、 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。安井自治大臣。 〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
○国務大臣(安井謙君) 選挙制度審議会設置法案につきまして、提案の理由とその内容の概略を御説明申し上げます。 選挙が民主政治の基盤をなすものである以上、選挙の公明化を期して参ることは、わが国民主政治の進展のために、常に変わることのない課題であると考えられます。このような見地かち、選挙制度は、創設以来幾多の改革を経て現在に至っているのでありますが、最近における数次の選挙の実情に顧みますとき、現行制度の全般にわたって再検討を加え、もって、党派を越え、国民全体の協力を得て、理想選挙の実現を期して参る必要が痛感され、世論もまた強くこれを待望しているものと思われるのであります。 政府といたしましては、この際、改善の具体策について成案を得るために、新たに強力にして権威ある選挙制度審議会を設置し、各界各層の学識経験者をわずらわして、選挙制度の合理化及び選挙の公明化に関する重要事項について調査審議を願い、その答申を待って、これを尊重して、法律改正案を国会に提出する等、所要の措置を講じようとするものであります。これがこの法律案を提出するに至った理由であります。 次に、この法律案の概要について御説明いたします。 第一に、選挙制度審議会は、国政の基礎をつちかう選挙の制度及びそれに関連のある諸般の事項の調査審議を使命とする関係上、これを総理府に置くことといたしました。 第二に、その所掌事務といたしましては、選挙及び投票の制度に関する重要事項、国会議員の選挙区及び各選挙区別の議員定数を定める基準及び具体案の作成に関する事項、政党その他の政治団体及び政治資金の制度に関する重要事項、並びに選挙公明化運動の推進に関する重要事項について、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議の上答申するとともに、これらの事項について、みずからも調査審議の上、意見具申をすることができるものといたしました。 第三に、審議会の構成につきましては、学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命する委員三十人以内で組織することといたし、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、別に特別委員を置くことができるものといたしました。この特別委員は、国会議員及び学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命するものでありますが、国会議員のうちから任命された委員は、特に国会議員の選挙区及び各選挙区別の議員定数を定める具体案の作成については、事柄の性質上、調査審議に加わることができないことといたしました。 第四に、審議会から答申または意見具申のあったときは、政府として、これを尊重して所要の措置を講ずべきことは当然のことでありまして、特にこの趣旨を明記することといたしました。 なお、これらの事項のほか、審議会の組織、運営等について所要の規定を設けた次第であります。 以上がこの法律案の提案理由並びにその内容の概略でございます。(拍手)
○議長(松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山本伊三郎君。 〔山本伊三郎君登壇、拍手〕
○山本伊三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました選挙制度審議会設置法案について、重要な点に限って総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。 近時、政治に対する不信の声が国民の間に高まりつつあります。このよってくる原因にはいろいろありましょうけれども、特に選挙の際における悪質な買収ないし利害誘導の違反の激増が大きな原因であると私は信じておるのであります。ことに、昨年秋の衆議院総選挙におきましては、買収または利害誘導の選挙違反のみで二万七千件以上もあると言われております。しかも、この選挙違反事件のうちには、現在の内閣の中にもそういう方があるやに伝えられているのであります。かくのごときが真なりとするならば、国民の政治に対する不信の念の高まることもまた当然と言わざるを得ないのであります。私は、本日これを深く追及しようとは思いません。そこで、私は、これに関連して池田総理にお聞きしたいのであります。 一昨年すなわち昭和三十四年十二月二十六日に、現在存置されている選挙制度調査会から、選挙制度に関する九項目の答申がすでになされております。もちろん、この中には、各党によって意見の対立する選挙区制等の問題も含まれてあります。しかし、その答申の第四項、すなわち選挙の腐敗を粛正する答申のごときは、何人たりとも異存のないものだと私は信じます。自民党といえども、社会党といえども、また、その他の党派といたしましても、国民の政治に対する不信を持つ原因であるかような悪質な違反に対して、なくすることに反対のある党はないと思うのであります。そこで、なぜ政府は、この際早急に、この共通的な問題についてのみでも選挙法の改正に手をつけようとしないのか。しかも、新たに、今回提出されましたように、選挙制度審議会と、調査会を審議会という名前に変えて、このような審議会を作って、また、先ほど自治大臣から説明がありまして、権威のあるそういうものを作るといいますけれども、また相当の時期がかかると思うんです。それを、国費を使い、また、審議日数を費やして再び答申を求めるというような、そういう回りくどい方法をなぜとられるのか。総理の明快なるお答えを願いたいのであります。 次に、本案の内容について質問いたします。これも総理にお願いしたいのであります。 本案の第三条に、答申尊重の条項があります。すなわち、第三条に、こううたっております。「政府は、審議会から答申又は意見の申し出があったときは、これを尊重しなければならない。」とあります。当然のことであります。私は、この条文を見まして、全く奇異な感を持ったのであります。現在二百六十に余る審議会なり調査会なり、各種委員会がありまするが、こういう答申尊重の条文はほとんど見られません。審議会なり調査会を作る趣旨は、出された答申を尊重するということが建前であります。もし尊重せないというならば、今日ある調査会、審議会は全部廃止してもらわなくてはならぬ結果になると思うのでありますが、しかし、この答申尊重の条文を入れたところに私は何らかの意義があると思いますので、この答申尊重の条項を入れられたその意義について御説明を願いたいのであります。 次に、本案第五条の委員の構成であります。これは自治大臣でけっこうです。第五条第一項には、先ほど説明がありましたように、委員は学識経験のある者のうちから総理大臣が任命することになっております。もちろん、先ほど説明がありましたように、特別委員として国会議員が参加することができます。しかし、国会議員の場合は、先ほど言われましたように、重要な事項には除外されておりますので、主要な構成委員は学識経験者となっております。私は今日まで内閣委員会において、各種の審議会、調査会の設置法を審議して参りましたけれども、ほとんどすべてその選任条件として学識経験者という言葉があります。たとえば医療制度調査会におきましては、こういう条文がありますけれども、医療制度調査会の中で、紡績の社長さんが医療制度の改革にどういう関係がありますかという質問をすると、医療の専門家ではないが、医療を受けた経験があるという答弁がございました。そういうことからいくと、この学識経験というこの概念規定というものは、きわめてばく然たるものであります。従っていかなる人を委員に任命しても、その選定条件に合っているということになるのであります。しかし、私は一般論をここで申し上げません。特に選挙制度の改正については、国民全般が大きく関心を持っているものでありますので、そこで具体的に自治大臣に聞きますけれども、そういう国民が非常に関心を持っているので、今度の委員の構成には、いわゆる有権者の大多数を占めているところの労働者あるいは農民、中小企業の方々からも、その学識経験ということで入れる意思ありやいなや、この点を具体的に答弁願いたいのであります。 最後に、自民党の総裁としての池田総理にお聞きいたします。過般、自民党では、昭和三十七年参議院議員通常選挙における選挙運動の特例に関する法律案が発表されたのであります。このような措置は、その条項の中に選挙事務員の報酬を法定するとか、選挙運動費の増額をするとか、現行公職選挙法の主要な実体に触れるものもあります。これは一特例法で措置することは行き過ぎではないかと思われるのでありますが、また、それがために選挙法そのものの改正をおくらす原因になるのではないかと思いますので、この点、自民党総裁としての池田さんから所見を聞きまして、簡単でありますが、私の代表質問を終わりたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。 一昨年の選挙制度調査会の答申によって、公明選挙を期するよう早く措置をすべきではないかという御質問でございますが、御承知の通り、選挙制度調査会の答申は抽象的でございまして、これを各党で審議いたしましても結論は出なかったのでございます。従いまして、私は、この重要な問題は、今までの調査会とは違いまして、その組織、権限、運営におきまして、相当範囲を広くして、選挙の投票とか、あるいは選挙ということだけに限らず、政党あるいは政治団体、今までと違って独自の調査がし得るように範囲を広げまして、りっぱな各方面にわたる答申を早く出していただいて、そうして完全なものにしたいという気持で御審議を願っておる次第でございます。 なお、法文にあります、答申を尊重する、これは私は、この審議会を設けました趣旨にかんがみまして、もちろん今までの調査会、審議会の答申は、参考にし、できるだけ尊重しておりますが、私の気持は、こういう画期的な大規模の審議会でございますから、できるだけこれを積極的に尊重するという気持を出した次第であります。 なお、参議院議員選挙の特例につきましては、これは国会において審議されることでございまして、内閣総理大臣としてお答えするわけには参りません。また、自民党の総裁としても、ここで意見を申し上げることは差し控えたいと思います。(拍手) 〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
○国務大臣(安井謙君) 選挙制度審議会を設置いたします趣旨は、ただいま総理の御説明の通りでございます。これが成立いたしました暁の人選をどうするかという問題でございますが、それも御説のように、でき得る限り広い層から学識経験者を選びますと同時に、また、でき得れば実務の経験者あるいは選挙の体験者、こういったような方も広い角度から入っていただくように万全を期したいと考えておる次第でございます。(拍手) —————————————
○議長(松野鶴平君) 基政七君。 〔基政七君登壇、拍手〕
○基政七君 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました選挙制度審議会設置法案に関し、総理大臣並びに自治大臣に御質問いたしたいと存じます。 一昨年の地方選挙及び参議院選挙、さらには昨年の総選挙を通じて、公明選挙実現への国民の要望は、きわめて強いものとなって参りました。そのようなときにあたりまして、選挙法の抜本的な改正を行なうために、ここに選挙制度審議会設置法案が提出されましたことは、時宜を得たものと思いますが、その方針あるいは改正内容については、あいまいな点が多々見受けられますので、私は基本的な問題について、いささか大臣にお伺いいたしたいと思います。 まず第一に、答申の時期についてでございますが、今国会の会期は余すところ二週間にも満たないのでありまして、本法案が会期中に通過するかいなかは、きわめて疑問であります。もし通過したといたしましても、何日までに改正の答申があるかどうかは、来年の七月に選挙を控えております参議院にとっては、まことに大きな関心事であるわけであります。こうした不安は、現在参議院の自民党の中にも、暫定措置として選挙法を改正しようというような動きがあるのでありますが、政府は、本法案による審議会の答申に基づいた選挙法改正は、来年の参議院選挙に及ぼす方針であるかどうか、総理大臣並びに自治大臣にお伺いいたしたいのであります。 第二点は、審議会が答申する際の最低基準についてであります。衆議院における審議の過程においては、小選挙区制度に関する諮問を政府が行なうかどうかということで論議が展開されているようでありますが、私は、審議会が政府に答申する場合の最低基準を定めておく必要があると思うのであります。すなわち、選挙区と人口とのアンバランスを是正すること、選挙公営を強化すること、罰則規定の強化をはかることなどでありますが、政府は法律に規定する意思があるかどうか。もし規定しないとするならば、政府の方針として、小選区制度並びに比例代表制、参議院の全国区制度に対する考え方についてはいかなる方針を持っているか、総理並びに自治大臣にお伺いいたしたいのであります。 次にお伺いいたしたいのは、人口増加に伴う議員定数のアンバランスの是正についてであります。一例をあげますと、衆議院の場合、東京六区の有権者総数は百二十二万五千八百四名に対して、議員定数は五名になっております。これとは逆に、兵庫五区の有権者総数は二十二万三千九百四名に対して、議員定数は三名となっておるのであります。これらは明らかに有権者数と議員定数のアンバランスを生じておる例であります。本問題は衆議院の場合でありますが、これは当然参議院にも及ぶのであります。従って、政府はこのアンバランス是正にあたり、議員定数をそのままにして選挙区を改正するのであるか、あるいは選挙区をそのままにして議員定数を増減する考えであるか、自治大臣にお伺いいたしたいのであります。 さらにお伺いいたしたいのは、選挙公営の拡充強化の点であります。これまでの選挙は個人本位の選挙であり、物量選挙であるといわれてきました。従って、今日の選挙法改正の意義は、人口増加に伴うアンバランスの是正のみならず、個人本位の選挙から政党の選挙に移らねばならない。また、金のかかる選挙を、金のかからない公明選挙に改めねばならないことにあると思うのであります。こうした選挙の公明化を実現するためには、公営を拡充強化することが必要であります。すなわち、立会演説会を数多く開く、あるいはまた街頭演説会場、ポスター、掲示場の公営化、ラジオ、テレビ、選挙公報の改善等を行ない、はがきやポスターを多くする等の、個人選挙の面をできるだけ押えていくように措置することが必要であると思うのでありますが、選挙の公営強化に関する具体的な方針について、総理並びに自治大臣にお伺いしたいのであります。 次に、沖繩選出議員の議席指定についてであります。沖繩の施政権を日本に返還することについては、たびたび論議の的となってきました。先般、沖繩立法院の代表が来日され、政府、政党に施政権返還運動の要請を行なっておられるようでありますが、この返還問題は、沖繩住民はもちろんのこと、日本国民にとっても重大な問題であります。私が今さら申し上げるまでもなく、沖繩には日本の潜在主権があり、この意味から、沖繩住民に対し、日本国民としての参政権が与えられることは当然のことであると思うのであります。しかるに、施政権が米国にあります今日において、直ちにこれを実現することはきわめて困難なことであります。従って、ここにわれわれが、将来において沖繩施政権の返還が実現されるまでの間、沖繩選出の国会議員の議席を衆参議院の中に指定して、沖繩住民の主権行使を留保する体制を整えておくことが必要であると考えるのであります。このために現行選挙法の制度を改正して、沖繩代表者の議席を確保しておくべきだと思うのでありますが、この点について総理のお考えをお伺いしたいのであります。 選挙制度は代議制民主主義の基調をなすものでありまして、その改正も、いたずらに党利党略によって作成されてはならないのであります。また、その改正の内容におきましても、選挙運動を行なう人の立場に立って制度が改正されるのではなくして、選挙する人、すなわち、国民の立場に立って行なわれねばならないのであります。このような観点から、審議会を設置して、その答申を尊重すること、あるいは公明選挙、公営の強化等をはかることは当然なことであります。しかるに、従来の選挙法改正の歴史を見れば、常に多数与党に有利な改正が行なわれ、個人中心の選挙に終わっていることは、まことに遺憾にたえないところであります。このようなことにならしめないためには、審議会委員の構成に厳正中立化をはからねばなりません。それゆえに、審議会委員は一党一派に偏しない人を選任する腹がまえがあるかどうか、総理並びに自治大臣にお伺いいたします。 以上、本法案の基本的な問題についてお尋ねいたしましたが、これらはいずれも政府として当然具体的な方針を持っていなければならない問題であります。従って、政府の明確なる御答弁を要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。 本審議会の委員の任期は一年といたしております。従いまして、私は、審議会が発足したならば、直ちに調査に移りまして、一括して答申なさるか、あるいは随時きまった問題から答申なさるか、これは審議会におまかせいたしておりまするが、重要な案件でございますので、慎重審議を願うと同時に、やはり早急に実施すべき事柄と考えておりますので、早く答申が出ますことを私は期待いたしているわけであります。従いまして、参議院の選挙にも間に合えばけっこうだ、それを期待いたしているわけであります。 なお、また調査の範囲につきましては、前の調査会とは違いまして、先ほど答えましたように、審議会の調査範囲は非常に広くなっているのであります。御質問の選挙区画の問題、定数の問題等も、私は当然答申があるものと考えているのであります。なお、選挙の公営強化につきましては、私は、しごく賛成でございます。 沖繩の問題につきましては、施政権が返っていない現在におきましては、外交的にも、また、法律的にもいろいろ問題がございますので、政府といたしましては、ただいま検討をいたしているのであります。 なお、審議会の委員の人選につきましては、慎重に各界各層のりっぱな人に出ていただきまして、公正な結論が出ることを期待しているのであります。(拍手) 〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
○国務大臣(安井謙君) 選挙制度審議会に対する答申の手順というようなものをどうするか、こういう御質問が一つございます。これは今度の法律案にも内容に明記してありますように、また、今、総理のお話のように、非常に広範囲な、しかも、それを具体的に分類をした諮問をいたす予定でございます。ただ、衆議院でも附帯決議がついておりまして、でき得る限り、当面間に合うものから早く手をつけていくようにというこの附帯決議もございます。こういった精神は十分今後も尊重していきたいと思っている次第でございます。 なお、公営選挙の拡充とか、あるいは公明選挙、こういったものは、当然今後ともまっ先に取り上げていかなければならんのでありまして、これにつきましても、具体的なあり方について、十分な御答申を期待いたしているのであります。 沖繩の問題につきまして、別表へ置いて、潜在的に主権のあることを明示してはどうかというような、非常に含蓄のある御質問でございます。これは個人的にも、十分国民感情としても考慮すべき問題であろうと存じます。いろいろ法律上の解釈、条約上の問題等もございますので、目下これにつきましては慎重に政府としては検討をいたしているわけでございます。 それから、審議会の人選につきましては、今もお話の通り、党派にかかわらず、公明な人選をいたして、十分りっぱな結論を得るように期待したいと思います。(拍手) —————————————
○議長(松野鶴平君) 市川房枝君。 〔市川房枝君登壇、拍手〕
○市川房枝君 私は、ただいま議題となっておりまする選挙制度審議会設置法案並びに関連した問題について、池田総理及び安井自治大臣に二、三お尋ねを申し上げたいと思います。 私は、ただいま提案の理由でお述べになりましたように、現行選挙制度の全般にわたって再検討を加え、もって、党派を越え、国民全体の協力を得て、理想選挙の実現を期するために、これをお作りになるということについては、一応けっこうだと存じます。しかし、この諮問されようとしております項目が非常に広範で、しかも根本的な問題が多いのであります。それに委員の任期は一年となっております。一体どの事項をいつまでに答申を得て、国会にいつ提出されるのか、前の基さんからも御心配がありましたが、私は非常にそれを心配するのであります。来年の参議院の選挙に間に合えばいいと総理もおっしゃっておりましたが、それじゃ困ると思います。はっきりと、どういう御予定か総理から伺いたいと思います。この選挙法の改正については、鉄は熱いうちに打つべきだとして、今国会の初めに公明選挙実現のための改正だけでも国会に提出すべきだということを国民は期待しておりました。で、その程度の改正ならば別に審議会に諮問する必要はなく、前の選挙制度調査会の答申案を採用すればできたはずだと思います。それを審議会設置法の審議だけで今国会を終わってしまおうとするのはまことに遺憾に存じます。池田総理は、よく、政治の姿勢を正すとか、忍耐と寛容をもって話し合いの政治をするとおっしゃっており、それはウソではなく、ある程度実行しておいでになることを認めます。しかし、この政治の基本である選挙を、金のかからない選挙、よい候補者が当選できるような選挙にすることについての総理の熱意は、私にはどうも足りないように思いますが、いかがでございましょうか。来年の参議院選挙については、すでに事前運動が行なわれておるようでありまして、このままでは昨年の衆議院の選挙よりももっと金がかかることになるのではないか、そうすれば政党も候補者もお困りになると思うのでありまするが、この点について総理はどんなふうなお考えを持っておいでになるか、伺いたいと思います。 次は、大蔵大臣に実は伺おうと思っておりましたが、御欠席のようでございますので、総理から伺いたいと思います。それは政治献金と税金の問題でございます。せんだって八幡製鉄の一株主が、会社が昨年の三月十四日、自民党に三百五十万円献金したのは定款違反だとして、東京地裁に提訴いたしました。これは各新聞に大きく報ぜられておりましたので、総理ももちろん御記憶のことと存じます。私の調査によりますと、八幡製鉄は、三十五年中に選挙及び経常の政治資金として、自民党、社会党、民社党、宏池会、十日会、信友会、蓬庵会、経済再建懇談会に、合計一億六十三万円の政治献金をしております。この金は、法人税法の第九条三項及び法人税法施行規則第七条の寄付金の損金算入限度額の規定により、資本金の千分の二・五、所得金額の百分の二・五の合計金額の二分の一に相当する金額は無税となっており、八幡製鉄では、この金が三十四年には一億二千四百八十一万二千七百円、三十五年には二億円近くあったはずでございます。この法人税法による寄付金の無税の規定はどういう趣旨で制定されているか。政治献金をさせることを予想しての規定であるかどうか。また、この寄付の無税の率を減らして、税金として国家に納入させるなり、あるいは株主に還元させるようなお考えはないかどうか、伺いたいと思います。 なお、私は、銀行、会社等からのこうした政治献金及び労組その他の団体からの政治献金は望ましくないという立場で、これを政治資金規正法で禁止をし、個人からの寄付を認めるようにしたいと主張してきておりますが、総理はなかなか御賛成をして下さいません。そこで、個人の寄付の場合、現在では免税になっておりません。それを免税の措置をするようにしてはいかがか、総理はそれをどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。 次は、安井自治大臣にお伺いしたいと思います。私どもは、昨年の十一月二十日に行なわれました総選挙で立候補をされた方たちの選挙費用の届出、及び各政党、政治団体の選挙費用の届出を拝見して計算をしてみましたので、まずそれについての疑問を幾つか伺いたいと思います。この当選者四百六十七名の方々のうち、選挙違反容疑で白紙となっております方が五名ございますので、合計四百六十二名になりますが、その方々の届出選挙費用は、平均五十八万千六百五十二円となっておりまして、法定の平均八十一万二千円の約七割くらいしか使っておりません。二千万円ないし三千万円と言われたあの選挙費用が、六十万円以内とはどうしたことでおりましょうか。これでは正しい報告とは思えないのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたい。 それから収入についてでありますが、公職選挙法では、その選挙運動に関するすべての寄付及びその他の収入は記載しなければならないとなっておりますのに、党から出ている公認料が書いてない方もあります。ことに宏池会、十日会、蓬庵会等の派閥から、明らかに選挙のためとして支出されておりますのに、全く記入してございません。多少事実に近いような記入をしておいでになるかと思われますのは京都の田中伊三次さんのでありますが、田中さんは、大平さんから三百万円、石井さんから二百万円、賀屋さんからの百万円を含めて千百六十九万余円を書き出しておられます。千万円以上の収入をお書きになった方はこの方一人であります。それで、同氏の支出がどれだけかといいますと、六十七万余円でありまして、一千万円残っている勘定になります。収入のこうした記入の仕方で一体差しつかえないかどうかということを自治大臣に伺いたい。 それから、なお収入の中に、地方自治体から特定候補に寄付が出ております。たとえば長野県の第二区の羽田さん、第三区の中島巖さん、宮澤胤勇さん、愛媛第一区の関谷さん、茨城第二区の塚原さん、北海道二区の松浦さんほか二、三名の方がございますが、これも法的に一体差しつかえないか、あるいは法的に禁止はされていなくても、そういうことが選挙の届出なんかにはっきり出ていて一体いいものかどうか伺いたい。 以上事実だけでも、現在の届出がきわめてルーズで、ただ受け付けるだけで、それから各都道府県の公報、官報での告示の形式もまことにわかりにくくて、一般有権者には理解できないと思います。現行法のもとにおいてでも、私はそれをもう少し再検討をしていただきたいと思いますが、自治大臣にその御意思がおありになりますかどうか、お伺いしたい。 最後は参議院自民党は、先ほどからお話が出ておりますが、この間、三十七年における衆議院選挙の選挙運動等の臨時特例に関する法律案要綱を御発表になりました。選挙法を改正するならば、当然、政府が御提案なさるべきだと考えますが、自治大臣はどうお考えになっておりますか。なお、内容につきまして、これは少し申し上げにくいのでありますが、公明化に関する事項がなくて候補者に都合のいいことだけが出ておるということで、国民の中には非難が出ておりまするが、そういう点を自治大臣としてはどうお考えになるか、伺いたいと思います。それから、これも先ほど基さんからお話がありましたが、今度の案の中に選挙運動員に対して日当を出すということが出ております。これは私は非常に重大な問題であって、いわゆる従来の選挙に対する考え方を私は変えるものではないか。それについてちょっと申し上げる時間がなくなってしまいましたが、この点について特に大臣の御意見を伺いたいと思います。これをもって私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。 早く選挙の公明を期するために調査会の答申によってやらなかったか、こういう御質問でございまするが、御承知の通り、さきの衆議院選挙の前におきましても、との答申によりまして各派がいろいろ御審議願ったようでございますが、結論を得なかったような次第でございます。従いまして、大きくかまえまして、全般にわたってりっぱなものを作り上げる、そうして公明選挙の実を期そうとするのが私の考え方でございます。しかし、法律がいかにできましても、運用とかあるいは候補者または選挙民の公明選挙に関する熱意が必要なんでございます。私は、昭和三十六年度の予算におきまして、従来の倍以上の公明選挙に関する費用を計上いたしまして、全国津々浦々にわたって公明選挙の実をあげるようPRを始めていきたい、こういう考えで進んでおるのであります。 次に、選挙に対しての、あるいは政治団体に対しての寄付金の問題でございまするが、お話のように、今の税法は、資本金の千分の二・五、また益金の百分の二・五、これを加えました金額の半分までは損金算入の制度になっておるのであります。各社の様子を見ますというと、これは政治資金ばかりではございません、ほかのあらゆる寄付金を一緒にしてでございますが、各会社がいろんな事情で寄付金が必要でございます。交際費か寄付金かわからぬというような問題もございまするが、そういうようなものは寄付金として考えることになっております。そういたしまして、大体今の会社十数万のうちで、この限度を越えて政党並びにほかの方面、各方面に寄付している額は、大体全体の二割足らずでございます。八割以上は各種の寄付金は限度内となっておるのであります。八幡製鉄が限度内になっているかどうか、これは今つまびらかにいたしませんが、これに対する新聞記事は見ております。これはどうなりまするか、私は結果を見たい。 市川さんがおっしゃるように、政党への献金を個人が出す場合に損金とするという問題でございまするが、これは国庫収入から申しますると大へんな赤字がふえるわけで、大所得者が負担する国税、地方税の方は大体七〇%程度に相なっておりますから、個人の寄付金を損金にするということになりますと、財政上なかなか大へんなことに相なるので、外国の例もいろいろ調べておりまするが、この問題につきましては、やはり今度の審議会等におきまして私は十分検討を願いたい問題の一つとして考えておるのであります。(拍手) 〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
○国務大臣(安井謙君) 選挙に関する資金の収入及び支出の届出が過小じゃないか、こういう御質問が一点でございますが、御承知の通りに、届出は厳正に真実を届け出るべきものでございまして、われわれはそれを期待いたしております。その違反が明らかになっておれば、これは選挙法違反なりあるいは政治資金規正法の違反になる、こういうことになろうかと存じます。 地方自治体からの寄付金の例があるということでございます。私、実はこれは事実をまだ十分調べておりませんが、自治体そのものからの寄付を選挙に関して取るというととは好ましいものではなかろう、法律上の制限というものはないにしても好ましいものではなかろうと考えております。 それから、参議院の特例法について日当云々の御質問がございますが、これは先ほど総理もお話がありました通り、これは今、国会であるいは議員間で御議論になっている問題でありまして、まだ政府としてこれに対する意見を表明する時期じゃなかろうと存じます。 なお、公明化運動が非常に偏しているのじゃないか、あるいは効果が薄いのじゃないかという点につきましては、今総理のお話の通り、今度は相当な予算を組みまして、官民一体となりまして、十分この公明化運動の効果を期する予定でございます。(拍手) —————————————
○議長(松野鶴平君) 須藤五郎君。 〔須藤五郎君登壇〕
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに安井国務大臣に対し質問をするものであります。 そもそも、政府、自民党が、選挙制度を改正し、あるいは政党法を制定して、民主的諸政党並びに諸団体の活動を規制しようとたくらんだことは、今回が初めてではありません。その最も露骨な例が、あの悪名高い岸幹事長当時の小選挙区制法案であります。その意図するところは、いわゆる二大政党制を人為的に作り上げ、形式的な議会主義によって独占資本と自民党の永久政治支配を確立することであり、日本の民主主義的な政治運動と政治制度を封殺することにあったのであります。しかし、このようなたくらみは、その都度国民に見抜かれ、国民の政治的自覚とその反対闘争によって粉砕されて参りました。今回提案されました選挙制度審議会設置法は、いわゆる学識経験者を中心として、国会議員の参加を制限し、あたかも第三者の手で作られるがごとき装いをこらしながら、実は、小選挙区制法案あるいは政党法の制定等、今までと全く同じことを繰り返そうとしているのであります。 いやしくも、政府が国民の意思を尊重し、それを選挙の結果及び国会の構成に正しく反映させようと考えているのであれば、当然全国一区比例代表制を採用すべきであります。これこそが人民の意思を最も正しく反映させ、最も民主的な選挙制度を作る道であります。そのために、少なくとも当面、現選挙区制のもとで議員定数を有権者数に比例するよう改正すること、選挙運動に対する不法な制限を廃止すること、買収及び供応など悪質選挙違反の連座制を強化し、買収選挙の絶滅をはかること等々、当然とるべき措置を直ちに講ずべきであります。このことは何人も否定し得ないところであります。なぜそれができないのか、池田総理にその根拠を明確に示していただきたいと思います。 次に、この法案はこれ自体だけを切り離して問題にすることは決してできません。選挙を通じて政治に国民の意思を真に反映させるためには、国民の言論、政治活動の自由が完全に保障されていなければなりません。しかるに、政府、自民党のやっていることは、ことごとにそれと反対のことばかりではありませんか。労働者の民主的権利、民主的活動と政治運動に対する弾圧、さらにその弾圧のために軍隊までも出動させるいわゆる治安行動計画の実施、ILO条約の批准を逆用しての国内法の改悪、さらにまた、新破防法ともいうべき政治的暴力行為防止法案の国会上程をたくらむなど、これらすべては、国民の民主的な言論、政治活動の抑圧であり、攻撃でなくて、何でありましょうか。それだけではありません。政府及び自民党は、政治の実体を国民から隠すために、あらゆる手段を弄しております。行政当局の秘密主義、国会における少数党の発言の抑圧、テレビ、ラジオ、新聞など、マスコミ支配の強化等に狂奔しております。 私がこの際特に指摘しなければならないことは、政府、自民党が国会正常化の名のもとに国会法の改悪をたくらみ、少数党の発言を押え、今まで以上に国会をその支配のもとに置こうと画策している事実であります。これは、国会を国民から切り離し、いわゆる話し合いの政治と称して、国会をなれ合いと茶番劇の舞台に変えるものであります。新安保条約の実施と独占資本の支配の維持を保証しようとするものにほかなりません。以上のごとき政府、自民党の反民主主義的な諸政策と結合して、この法案の企図する政党法、小選挙区制が強行されるならば、このような事態は一そう促進され、その危険性はさらに倍加するでありましょう。それにもかかわらず、社会党の諸君までが、政府、自民党のこの陰謀に引きずられ、それに同調しておられることは、私はきわめて遺憾に思うものでございます。池田内閣のいわゆる低姿勢の底に秘められたこのような悪賢く欺瞞的な政策は、全くケネディ政権のもとにおけるアメリカの帝国主義的政策と軌を一にするものであります。 わが党は、かかる反動的な諸政策にまっこうから反対するとともに、本法案の即時撤回を要求して、私の質問を終わります。 〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田勇人君) 選挙法の改正を早く出してはどうかという御質問に対しましては、先ほど来答弁したところで御了承願います。他は御意見のようでございますから、答弁を省略させていただきます。(拍手) 〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
○国務大臣(安井謙君) われわれは、りっぱな選挙制度を作るために審議会の設置法案を提案しておるのでありまして、初めから色めがねをもってこれを無視されるようなことでは、これは答弁のしようもなかろうと存じますが、少なくともわれわれは、今、須藤さんがここでお話になりましたように、政治活動あるいは言論の自由は、ソ連、中共その他の国に比べて、どこよりも日本は決して自由において劣る国じゃなかろうという確信を持っております。(拍手)
○議長(松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 日程第二、日本国とパキスタンとの間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)、 日程第三、航空業務に関する日本国とベルギーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、 日程第四、航空業務に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、 以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員長大内四郎君。 ————————————— 〔木内四郎君登壇、拍手〕
○木内四郎君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を一括して御報告申し上げます。 まず、日本国とパキスタンとの間の友好通商条約について申し上げます。 政府におきましては、一昨年来、カラチにおいて条約締結の交渉を行なって参りましたが、昨年十二月パキスタンのアユーブ・カーン大統領来朝の際、懸案事項の最終的解決をみるに至りまして、十二月十八日東京で本条約及び議定書の署名が行なわれたのであります。この条約は、無条件の最恵国待遇の原則を基礎として、入国、滞在、旅行、身体及び財産の保護、事業活動及び職業活動、工業所有権、仲裁判断、関税、為替管理、輸出入制限等、広範な事項について規定したものであります。 従来、わが国とパキスタンとの通商関係は、もっぱら関税及び貿易に関する一般協定及び国際通貨基金協定等の一般国際約定により規律されておりますが、この条約の締結によりまして、両国間の通商経済関係はさらに安定した基礎の上に置かれることとなる次第であります。 委員会の審議におきましては、条約各条について詳細な説明を聴取した後、その他の東南アジア諸国との通商航海条約締結の見通し、並びに、交渉にあたって特に営業の条項に対するわが国の基本方針、本条約に規定されている事業活動及び職業活動の遂行に関する待遇の内容及び特に日米通商航海条約の規定との相違点、わが国とパキスタンとの間の貿易の実績並びに本年度の見通し、輸出代金延べ払いの期間延長に対する政府の方針等につきまして、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 ————————————— 次に、航空業務協定に関する二件について申し上げます。 この二つの協定は、わが国とベルギー及びドイツとの間に、それぞれ民間航空業務を開設運営することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件を定めるとともに、附表または交換公文において、わが国と相手国の航空企業が業務を運営する路線を定めたものであります。 ベルギーとの協定は、昨年六月二十日に東京で、またドイツとの協定は、本年一月十八日にボンで署名されたのであります。 この二つの協定の締結により、わが国の航空企業とベルギー及びドイツの航空企業は、それぞれ相手国の領域に対し、平等の立場で乗り入れる権利を持つこととなります。 委員会の審議におきましては、わが国を中心とする国際航空企業の現況について説明を聴取した後、日本航空が欧州乗り入れに備えてエール・フランスと提携するに至った経緯及び提携の実益、協定路線上の沖繩の取り扱い、日ソ間の航空協定に関する交渉の現状等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 ————————————— 委員会は、昨十一日、以上三件に対する質疑を終わりまして、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 まず、日本国とパキスタンとの間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 次に、航空業務にに関する日本国とベルギーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、及び航空業務に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件全部を問題に供します。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両件は全会一致をもって承認することに決しました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 日程第五、外務省設置法の一部を改正する法律案、 日程第六、厚生省設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長吉江勝保君。 ————————————— 〔吉江勝保君登壇、拍手〕
○吉江勝保君 ただいま議題となりました外務省設置法の一部を改正する法律案外一件につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 最初に、外務省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 この法律案の改正の要点は、従来の欧亜局に新たに中近東アフリカ部を設置しようとするものであります。政府が新たに中近東アフリカ部を設置せんとする理由として述べるところによりますと、現在、中近東、アフリカ地域の独立国は三十六カ国の多きに達し、さらに今後数カ国の独立が予想されておるような情勢であって、これらの地域が世界の政治経済上においてきわめて重要な地位を占めることはもちろん、ことにわが国は、アジア・アフリカ諸国の一員として、これらの諸国の動向には特別に深い関心を有している。しかるに、現在、外務省の機構としては、西欧諸国、東欧共産圏諸国及び英連邦諸国とともに、これら中近東及びアフリカ諸国ともあわせて、世界の独立国の約三分の二に相当する六十八カ国に関する外交政策の企画立案、情報の収集、調査等きわめて多岐にわたる事務を欧亜局で所掌し、その事務量は急激な増加を来たしておる。加うるに、中近東、アフリカの諸国は、西欧、東欧の諸国と後進国、先進国の差があるばかりでなく、あらゆる面で国柄が異なっており、また、これらの諸国は、植民地支配より独立した国であるだけに、国民感情等においても独自の機構において処理することが適当と思われるので、これらの諸国との外交事務の円滑かつ能率化をはかるため、今回、中近東アフリカ部を設置しようとするものであるとのことであります。 内閣委員会は前後四回委員会を開き、この間、小坂外務大臣その他関係政府委員の出席を求めまして、本法律案の審議に当たりました。委員会におきましては、中近東アフリカ部設置の理由と、この部の所掌事務、組織、予算等の諸点について、外務当局より説明がありましたが、この部を新設して、中近東及びアフリカ諸国との外交事務をさらに推進せんとするのには、この部の定員が十九名では少なきに失するのではないか。何ゆえに定員をいま少し増加しなかったのか。また、中近東及びアフリカ諸国にあるわが国の在外公館の刷新強化並びにこれら諸国に対する経済協力に関する小坂外務大臣の所見いかん。外務省においては大公使の認証官の数が約七十名の多数に上っているが、大公使を認証官にしなければならない理由いかん。政府は中近東及びアフリカ諸国に対しいかなる外交方針をもって処せんとするのか。民間人を大公使に任用するの当否について小坂外務大臣はいかなる見解を持っているのか等の諸点につきまして、質疑応答が重ねられましたが、その詳細は委員会会議録に譲りたいと存じます。 なお、これまで当委員会でたびたび問題となっておりました外交問題懇談会に対する措置につきまして、政府の所見がただされましたのに対し、小坂外務大臣より、この外交問題懇談会は民間の有識者の懇談会であって、委員会、審議会とは異なり、一つの結論を取りまとめて政府に答申するがごときことは当初から予定しておらず、また、この懇談会の運営は自主的に行なわれるという建前をとっておるので、このような点を十分行政管理庁にも説明して、その了解を得たような次第である旨の所見が述べられました。 去る四月二十八日の委員会において質疑を終わり、次いで討論に入りましたところ、自由民主党を代表して村山委員より、本法律案の附則中「昭和三十六年四月一日」とあるのを「公布の日」と改める旨の修正案が提出せられ、修正部分を除く原案に賛成する旨の発言がありました。 討論を終わり、まず村山委員提出の修正案について採決いたしましたところ、全会一致をもって可決せられ、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決せられました。よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。 ————————————— 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 まず、本法律案の改正の要点を申し上げますと、その第一点は、環境衛生行政を積極的に推進するため、現在公衆衛生局環境衛生部が分掌している環境衛生行政の効率的な遂行を確保し、その責任体制の明確化をはかるという理由をもって、公衆衛生局環境衛生部を廃止し、環境衛生局を設置しようとするものであります。 その第二点は、近年ガンが増加の一途をたどっておるにもかかわらず、ガンに関する医療及び研究がまだ不十分な状況であるため、その診断及び治療、並びに調査研究をさらに強力に推進するという理由をもって、厚生省に付属機関として国立がんセンターを設置しようとするものであります。 その第三点は、国民年金を含む社会保険制度の整備充実により、その事務が増大してきたため、これらの事務に従事する職員の研修を計画的に行なうという理由をもって、厚生省に付属機関として社会保険研修所を設置しようとするものであります。 その第四点は、厚生省の付属機関である医療制度調査会の設置期間が本年三月三十一日までとなっておりますのを、本調査会における審議がまだ十分尽くされておらないため、その設置期間を昭和三十七年三月三十一日まで一年間延長しようとするものであります。 なお、これらの改正のほか、引揚援護局の名称を援護局に、また、病院管理研修所の名称を病院管理研究所に、それぞれ改める等の改正を行なっております。 内閣委員会は前後五回にわたり委員会を開き、この間、古井厚生大臣その他関係政府委員の出席を求めまして、本法律案の審議に当たりました。 委員会の審議において問題となったおもな点を申し上げますと、環境衛生部を環境衛生局に昇格する理由と、この局の組織、都市清掃事業十カ年計画の内容とその所要経費、国立がんセンターの組織と、同センターの今後の運営方針、医療制度調査会設置期間延長の具体的理由、国立病院の今後の整備計画、社会保険研修所の運営計画、寺院境内墓地における埋葬の取り扱いについての厚生省当局の見解、なまコンクリートの公害問題に対する今後の厚生省当局の方針、四月三十日大阪市において発生した胎児の遺棄問題に対する古井厚生大臣の所見等の諸点でありまして、その詳細は委員会会議録に譲りたいと存じます。 なお、下村委員より、太平洋戦争における戦没者の遺骨の調査収集の状況と、戦死を確認されていない行方不明者の現在数、並びに中共に抑留されている戦犯者の釈放問題について、政府の所見がただされましたのに対し、古井厚生大臣及び政府委員より、現在共産圏の諸国に遺留されている遺骨についてはまだ手が伸びていない、また、中共に抑留されている戦犯者の釈放については、政府は日本赤十字社を通じて先方へ交渉を重ねている旨の答弁がありました。 去る九日の委員会において、質疑を終わり、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して村山委員より、原案の一部における施行期日、及び、現在、医療制度調査会が本年三月三十一日まで置かれるものとなっておるが、この日がすでに経過しているので、この調査会をさらに一年間設置するについての所要の修正案が提出せられ、この修正部分を除く原案に賛成する旨の討論が行なわれました。 討論を終わり、まず村山委員提出の修正案について採決いたしましたところ、全会一致をもって可決せられ、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決せられました。よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。両案の委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。 両案全部を問題に供します。委員長報告の通り両案を修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は委員会修正通り議決せられました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 日程第七、建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、 日程第八、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)、 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。建設委員長稲浦鹿藏君。 ————————————— 〔稲浦鹿藏君登壇、拍手〕
○稲浦鹿藏君 ただいま議題となりました二法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。 まず、建設業法の一部を改正する法律案について申し上げます。 本改正案は、最近における建設工事量の増大にかんがみ、建設工事の施行体制を強化し、建設工事の適正な施行の確保をはかろうとするものであります。 その要旨を申し上げますと、 第一点は、登録に関する事項の改正でありまして、建設業者を総合工事業者と専門工事業者に区分し、それぞれ登録の要件を定めております。 第二点は、公共性のある施設または工作物に関する建設工事の入札に参加しようとする建設業者の経営に関する事項の審査についてでありまして、その項目と基準は、中央建設業審議会の意見を聞いて、建設大臣が定めるものとしております。 第三点は、建設業者団体に関する事項でありまして、建設業に関する調査、研究、指導等、建設工事の適正な施行を確保するとともに、建設業者の健全な発達をはかることを目的とする事業を行なう社団または財団で、建設省令で定めるものは、建設大臣または都道府県知事に所定の事項について届け出及び所定の報告をしなければならないものといたしております。また建設大臣または都道府県知事は、登録を受けた建設業者及び届出のあった建設業者団体に対して、必要な指導、助言及び勧告を行なうことができることといたしております。 このほか、以上の措置に関連して、所要の改正及び罰則の規定の整備を行なっております。 当委員会におきましては、建設業者団体の性格等に関して熱心な質疑が行なわれ、参考人を招致して意見を聞く等、慎重審議を重ねましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 かくて質疑を終わり、討論を省略して、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 ————————————— 次に、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 本法案は、九州、四国、中国地方に広く分布する、シラス、ボラ、赤ホヤ等、いわゆる特殊土壌地帯の災害防除等に対処するため、昭和二十七年四月議員立法により制定され、さらに昭和三十一年三月期限延長の一部改正が行なわれたものであります。 今回の改正案は、同法が来たる昭和三十七年三月を最終期限としておりますので、事業の進捗状況にかんがみ、さらに昭和四十二年三月三十一日まで、五年間、その有効期限を延長しようとするものであります。 本委員会においては、事業計画とその実績、今後の事業遂行の見込み等について質疑があり、討論を省略、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 まず、建設業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 次に、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 日程第九、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長大竹平八郎君。 ————————————— ————————————— 〔大竹平八郎君登壇、拍手〕
○大竹平八郎君 ただいま議題となりました企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、企業の資本構成を是正し、経営の健全化をはかる見地から、従来、一定規模以上の株式会社に対して再評価積立金の資本組み入れを促進し、あわせて減価償却を行なわせる所要の措置を講じてきたのでありますが、近くこの規定の適用期限が切れることになりますので、今回、この規定を若干強化するとともに、適用期限を延長しようとするものであります。 以下、本案の大要について申し上げますと、 第一に、現行法では、再評価積立金の資本組み入れ割合が三割未満の場合には年一割二分、五割未満の場合には年一割五分をこえる配当ができないこととなっておりますが、昭和三十七年三月末日を含む事業年度以降二年間は、資本組み入れ割合が三割未満の場合には年一割、五割未満の場合には年一割二分、七割未満の場合には年一割五分をこえる配当を行なってはならないこととし、昭和三十九年三月末日を含む事業年度以降一年間は、資本組み入れ割合が四割未満の場合には年一割、六割未満の場合には年一割二分、八割未満の場合には年一割五分をこえる配当を行なってはならないことといたしております。 第二に、減価償却の額が普通償却範囲額の九割に満たない場合には、現行法では年一割五分をこえる配当を行なってはならないことといたしております。が、昭和三十七年三月末日を含む事業年度以降二年間は年一割二分、昭和三十九年三月末日を含む事業年度以降一年間は年一割をこえる配当を行なってはならないことといたしております。 第三に、昭和三十七年七月一日以後開始する事業年度において、再評価積立金の資本組み入れ割合が八割以上の場合、または再評価額積立金の額が資本の額の一割以下の場合には、取締役会の決議により、その全額を資本準備金に組み入れることができることといたしております。 委員会の審議におきましては、再評価積立金の資本組み入れ強化による効果、再評価積立金の資本組み入れと増資との関係、業種別の資本組み入れ割合の状況等について質疑がなされたのでありますが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。 ————・————
○議長(松野鶴平君) 日程第十、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長平林剛君。 ————————————— ————————————— 〔平林剛君登壇、拍手〕
○平林剛君 ただいま議題となりました国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案につきまして、文教委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、本法律案の概要を申し上げます。 本法案は、経済の成長に伴う技術者の需要の増大と、昭和三十八年度以降における高等学校生徒の急激な増加に対応して、工業高等学校の急速な新設、増設が必要となりますが、それに伴う工業教員の需要の増大に対処するため、緊急の措置として、臨時に国立の工業教員養成所を設置し、工業教員の急速な養成を行なおうとするものであります。 すなわち、国立工業教員養成所は、北海道大学等国立の九大学にそれぞれ附置し、その修業年限は三年、入学資格は大学の入学資格と同様にいたしております。また、本養成所における授業料その他の費用の免除及び猶予について特別の規定を設け、卒業生に対しては高等学校教諭二級普通免状が授与されること等を規定いたしております。 なお、衆議院におきまして、内閣提出原案の施行期日「昭和三十六年四月一日」を「公布の日」に改めるとともに、昭和三十六年度に入学する者に対して、四月一日から在学するものとみなす旨の修正がなされております。 委員会におきましては、二月二十八日、本案が付託されまして以来、法律案の重要性にかんがみ、文部大臣を初め大蔵大臣、科学技術庁長官、経済企画庁長官及び内閣官房長官等、政府当局の出席を求めて、きわめて熱心な審議を重ね、さらに五月九日には、四名の参考人より本法律案に対する意見をも聴取いたしました。 質疑の過程において各委員から取り上げられました主要な問題点は、本法律案の前提となる科学技術者の養成計画と、工業教員の需給についての基礎数字、本養成所と現行教員養成制度との関係、養成教員の質の問題及び卒業生を教員として確保するための措置、養成所を附置した当該大学の教育研究への影響、卒業生の大学への編入学の問題等多岐にわたりましたが、以下これらの質疑応答により明らかとなりました諸点について申し上げます。 まず、本法案は、工業教員のすみやかな養成をはかって、工業教員の需要の増加に対処することを目的としているが、養成所の卒業生を産業界に流出させることなく、工業教員として確保できるという保障がないではないかとの質疑に対して、憲法上、卒業生が教職につくことを義務づけるのは困難であるが、日本育英会の特別奨学生とするよう努力したい。予算の関係で本養成所の学生に対する貸費制度が発足できなかったのは遺憾であったが、文部大臣は今後さらにその予算措置について努力を続けるということでありました。 次に、この養成所は、現在大学において行なわれている教員養成制度を破壊するものではないかとの質疑に対して、本案は当面臨時の応急措置であって、その目的を果たした上はこれを廃止するものであるから、現行の制度をくつがえすものではないという答弁がありました。 また、養成所の修学年限は三年であって、その教官組織、修得単位数等いずれも四年制の大学に及ばないので、養成される工業教員の質は大学卒業者に比べて低下するのではないかとの質疑に対しては、養成所を附置した大学の協力と、教官、学生の努力と熱意によって、大学卒業者に劣らない程度の者を養成したいとのことであり、養成所を附置された大学の教育研究には支障を来たさないよう、専任教官の増員、施設、設備の充実等について今後も努力を続ける意向が明らかとなりました。 最後に、本法律案は教員養成制度の基本的方策に関連する重要法案であるにもかかわらず、その起案に際して、なぜあらかじめ中央教育審議会へ諮問しなかったのかとの質疑に対して、本案は緊急かつ臨時的な措置であり、その上、時間的な制約もあったため諮問しなかったのであるという弁明がありましたことを申し添えます。 なお、これらの質疑応答の詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと存じます。 昨五月十一日質疑を終わり、討論に入りましたところ、矢嶋委員より日本社会党を代表して、研究者や教職員の待遇改善をはかる等、抜本的施策を講ずることなく、本案のような拙速的措置によって糊塗しようとするのは、政府の教育政策の貧困を示すものであり、また、本案の基礎となる科学技術者養成計画数がきわめてずさんであること、今回の措置は、学校教育制度、教員養成制度及び給与制度に混乱を来たすものである等の理由により、本法案に反対の意見が述べられました。次に、野本委員より自由民主党を代表して、本案は工業教員の急速な需要に対処するための必要にして時宜に適した措置であるから、賛成である、しかし、制度的にも、内容的にも若干の問題はあるので、今後、養成所の学生の処遇、施設、設備、教官の配置等の改善に慎重な配慮をする等、運営に遺憾のないようにとの要望が開陳されました。続いて、岩間委員より日本共産党を代表して、本案は日本の教育体系をゆるがすものであり、教育の質的低下を招くものであるとともに、さらに、民主的な科学教育をも破壊するものである等の理由から、反対であるとの討論がなされました。 討論を終わり、続いて採決をいたしましたところ、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。矢嶋三義君。 〔矢嶋三義君登壇、拍手〕
○矢嶋三義君 私は、ただいま議題となりました国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案に対し、日本社会党を代表して反対の討論を行なわんとするものであります。 本法律案の内容は先刻委員長から報告された通りのものでありますが、反対の第一理由は、戦後十六年にしてようやくその成果をあげつつあるわが国の新教育制度、新教員養成制度を破壊し、混乱せしめる内容を持ち、教育の質的低下を招来するおそれがあるということであります。すなわち、社会の高度化と教育、文化、学術の進展に即応する高水準の知識と、人間性豊かな教員養成のために、一般教育科目、基礎教育科目を重視し、四年制の大学の中で教員養成を行なうという大原則のもとに現在まで参ったのでありますが、本法律案は、修業年限を三年間に短縮し、基礎教育科目をわずかに十七単位とし、人文社会科目、保健体育科目等は、必修としては一単位をも修得しなくともよろしいことになっておるのであります。教師としての人間形成に欠けるところはないでしょうか。科学技術振興のテンポの早い科学時代、宇宙時代に、発展性あり、創造性豊かな中堅工業技術者を養成することのできる優秀な工業教員が、かくのごとき内容で養成され得るものでありましょうか。将来、工業高等学校の教育水準の質的低下を招くおそれが多分に感ぜられるのであります。教育職上きわめて重要な現行免許法に照らして、二級普通免許状さえも付与できない内容でありますから、便宜的に免許法そのものの一部を改正して、二級免許状を授与せんとするものであります。現行教員免許制度の原則をも破壊するものであり、以上が第一の反対理由であります。(拍手) 反対の第二の理由は、有能な人材が魅力を感じて応募して参る内容を具備していないということであります。すなわち、本養成所は、学校教育法に基づく大学でないことはもちろん、学校でもなければ、各種学校でさえもないのであります。そんなところで人の子の先生を養成してよろしいものでございましょうか。もちろん、大学への進学の進路は開かれておらず、また、授業料全免措置や学費貸与の特別措置等もなされていないのでありまして、従って、優秀なる人材を工業教育界に確保するととに欠けていることを反対理由として指摘するものであります。 反対理由の第三は、工業教員の確保が意のままにならない、その根本原因排除の方策が講ぜられていないということであります。工業教員の不足は、好況なる産業界に比し著しく劣悪な給与及び待遇を抜本的に改善適正化するのでなければ解決できない問題であることは、本院において、勝田、進藤、杉野目、小野各参考人がひとしく強く指摘したところであります。現在、国立の七大学に教員養成課程があり、その定員は約百三十名でありまするが、三十五年度卒業生中、工業教員となった者はわずかに一名であったのであります。また、工業教員免許状取得者数は、三十三年度に一千三百十三名、三十四年度に九百七十八名、三十五年度には七百九十六名と著しく減少しつつあり、また、採用試験に応募、合格した者のうち、相当数の人は産業界に走る傾向がきわめて顕著となっているのであります。これ全く給与や研究環境等について学校と産業界との間に著しく差等があるからであります。しかるに、本法律案は、この根本問題に何ら対策が講ぜられていないのでありまして、年間一人当たり約六十万円の国費を投じて養成しても、その卒業生を工業教育界に確保し得る保証は全くなく、産業界に流出するおそれがきわめて大であり、工業教員養成の目的を達じ得ないことは容易に予想せられるところであります。 反対の第四の理由は、養成所予算が学科目制大学に準じて組まれ、教官の定員は、新制大学一学科に対し、教授四、助教授四、助手四の半分、すなわち二、二、二でありますから、おのずから非常勤講師が多くなり、教育内容を低下せしめるのみならず、物的、人的両面から、付設される親大学みずからのその教育と研究体制に支障を与え、迷惑をかけるおそれが明白であります。これらのことは、付設される九大学の教職員組合の共同反対声明や、愛知県下六大学教職員組合の反対声明、さらに東京工業大学教授会有志六十四名の教授の方々や、日本教育学会大学制度研究委員会等の反対声明理由の内容によってきわめて明らかなところであります。 私は、ここに討論を行なう中で、政府に注意を喚起し、強く警告を発しなければならないことを遺憾とするものであります。最近三カ年間における元国立大学理工系教官の海外流出人員は実に三十三名であり、大学教官の民間への流出状況は、三十三年度一千四百十六名、三十四年度千六百三十名の多数に及んでいるのであります。また、三十四年度において、政府関係機関研究公務員中、実に二百十五名が離職しているのであります。この現象のよって来たるところは、給与が実質的に戦前の約六割にすぎず、その研究費も戦前の約六割五分程度というがごとき劣悪な状況で、研究生活に安んじて打ち込める環境と生活が保障されていないということが最大原因であると考えられるのであります。(拍手) 世は、人工宇宙衛星船ウォストークや、宇宙人間ロケット、レッド・ストーンが、人の手によって、自信を持って飛ばされる宇宙科学時代であります。技術革新のテンポの激しさは目をみはらせるものがあるのであります。領土が狭く、資源に乏しく、過剰の人口をかかえるわが国こそ、国策として教育研究への大幅投資を断行することこそ、投資効率の高い、ぜひやらなければならない国民的投資ではないでしょうか。しかるに、研究投資は、国民総所得のわずかに一・四%程度にすぎず、先進国の約三%近くであるのに比し、著しく劣っている現状であります。外国からの技術導入に際し、ロイヤリティとして支払われた外貨は、最近六カ年間に約九百四十億円の巨額に達しているのであります。私は、保守党政府の手になるわが国科学教育政策の貧困を指摘し、その是正積極化を要望警告せざるを得ないのであります。(拍手)先人は、幾何学に王道なし、幾何学に王道なしと申されましたが、科学にも王道はないことを政府は肝に銘ずべきであります。 池田内閣の掲げる所得倍増計画遂行に即応して、今後十カ年間に不足が予想される大学卒業程度の技術者数は約十七万名であり、工業高等学校卒業程度の中堅技術者は約四十四万名も不足と見込まれており、その対策として、今後七カ年間に、大学理工系学生約一万六千名の定員増と、工業高等学校生徒約八万五千名の定員増の計画がそれぞれ策定されているとのことであります。この計画遂行に必要な工業教員の四十五年度までの不足数は約一万五百名といわれ、本法律案成立によって充足するとしても、なお約四千三百名が不足し、また、高級技術者は約十万名不足するとの資料が政府側から提出されたのでありますが、約十万名に及ぶ高級技術者の充足計画のあいまいさ、提示された数字の不正確さや、さらに、毎年約百三十名の工業教員養成課程卒業生中、わずかに一、二名程度しか教員とならないというのに、その打開策を講ずることもなく、工業教員養成所と並行的に養成課程の募集を従来通り継続する等、きわめてずさんな内容を含むものであり、本法律案は、どろなわ式、近視眼的拙速法案でありまして、池田科学技術庁長官の言葉をかりれば、下策の下の法律案であります。荒木文相の説明によれば、幾つかの欠陥はあるがやむを得ない法律案であると呼ばれるしろものであります。審議中に判明したのでありますが、科学技術者の養成計画や教員養成方針について、荒木、池田両大臣の間に著しい見解の相違があり、本日に至るまでいまだに一致点を見出し得ず、われわれがある程度了解できる説明と資料の提出をなし得ないほどの醜態を呈しているのであります。このぶざまさは本法律案審議過程に支障をもたらし、立法府に対して内閣が責任を果たし得なかったことは、まことに遺憾きわまりないことであり、池田内閣の責任を声を大きくして追及しておくものであります。(拍手) さらに、現行教育制度、教員養成制度を破壊するがごとき本法律案を提出するに際し、委員長報告にもありました通り、中央教育審議会に正式諮問することもなく、また附設を予定される東京工業大学の教授会の意向に基づいて、学長から私信の形で文部省に提出された建設的意見すら政府は尊重することなく、軽く取り扱われたのでありますが、かくのごとき態度は今後断固改めらるべきであります。 わが竹本社会党は、需要の多い工業教員の養成は、現行免許法のもとに四年制大学で行なうことを堅持すべきものであると考えるし、また、その具体的方策は、たとえば大学に工業教育学部等を設けることにより可能だと考えます。適格有能なる人材確保のためには、教職員の初任給引き上げを含む給与及び待遇の抜本的改善をはかることによってその目的を達成することを確信するものであります。よって、本法律案を同僚諸君とともに否決し、再検討すべきことを主張いたします。私は、本法律案のように、単なる技術屋教師、インスタント教師を養成せんとする本法律案に、日本社会党を代表して反対理由を申し述べるとともに、あわせてわが党の方針をも披瀝し、御聡明なる同僚諸賢の御共鳴、御同調を心から期待しつつ、討論を終結するものであります。(拍手)
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十四分散会