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38回国会参議院1961/06/06

法務委員会 第19号

発言数
258
登壇者
19
会派数
5
開催日
1961/06/06

会議録

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  六月二日付、笹森順造君辞任、泉山三六君選任。赤松常子君辞任、永末英一君選任。  六月三日付、西郷吉之助君辞任、江藤智君選任。大野太秀次郎君辞任、佐野廣君選任。泉山三六君辞任、谷口慶吉君選任。  六月五日付、江藤智君辞任、徳永正利君選任。大谷瑩潤君辞任、杉山昌作君選任。千葉信君辞任、占部秀男君選任。松澤兼人君辞任、藤田進君選任。大森創造君辞任、亀田得治君選任。  以上であります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 議題に入ります前に、委員長に若干の点をお伺いいたしておきたいと思うのでありますが、御承知のようにいわゆる政防法につきましては、衆議院における御承知のような過程を経て、ここに修正送付されたわけでありますが、今朝来の新聞を見ましても、委員会できょう中に質疑打ち切り動議を出すとか、中間報告だとか、これはいろいろな説でありましょうが、出ているわけであります。本院の特に法務委員会とせられては、従来、本朝もそうであるように、理事会中心で委員長の補佐をしてきたように思うのであります。こういう従来の慣行なりといったようなものを中心に、委員長とされましては運営をされる御所存なのか、あるいは、ごらんになっているかどうか、今ほど申し上げたような諸説があるが、そういったような心がまえでおやりになろうとしているのか、その辺をまず第一点としてお伺いいたしたいと思います。  それから第二の点でございますが、理事会が持たれたわけでございまして、会派の出身議員から若干の点は聞いたわけでありますれども、さらに本日の委員会運営についての日程なりといったようなものも、この際、委員会に御報告を賜わりたいと思います。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 従来通り、なるべく理事会を中心として運営していきたいと思います。本日は、まず、各会派から質問者の通告がございますので、その方々に質問をしていただきたいと思います。その後のことはまた理事会でやりたいと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 どうも重ねて恐縮なんですが、そういたしますと、いろいろ伝えられているように、他の委員会等で、たとえば内閣委員会の防衛とか、農水の農業基本法とかといったような委員会における審議の結末のようなことは、委員長としては、なるべくではなくて、とらないで、理事会を中心に運営を相談しながら進めていきたいという方針でございますかどうか、重ねてお伺いしておきたい。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) さいぜんお答えした通り、なるべく理事会を尊重していきたいと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 そのなるべくというところがちょっとどうも……。どうなんでしょうか。私ども心がまえがございまして、やはり本体の議題に入りますれば、やはり真剣に審議するについても……。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 従来からの慣行を尊重していきたいと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 ということは、理事会を中心に相談をしていくと、なるべくというような修飾はつかないで、率直にいこうと、こういうわけでございますか。いかがです。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 円満にいくようになるべくしたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 委員長はふだんからものをはっきりおっしゃらないたちです。しかし、この法案は治安立法ということで、私どもも大へん内容を重視しているわけです。しかるに衆議院の方で、ああいうこそこそ変な形で通っていきました。そこで、けさあたりの新聞を見ると、先ほど理事会でも強く指摘したように、自民党本日強行か、こういうような強行策がしきりに指摘されておるけれども、委員長としてはどういう心がまえでいかれるのか、こういう点をただしましたのですが、そのときに大川理事も、確かにこの法案は重要な内容を持っている。つまり法律的に見ても非常に問題の多い点があるのだから、これは十分に審議しなければならない。上の方からいろいろのなにがかりにあるようなことがあっても、やはり法務委員会としては法務委員会としてのえりを正して、十分にこれを審議しなければならない、こういうような心がまえをお話しになられたと思うのです。私はこの心がまえは、どなたの前に行って言っても筋の通ることである。筋の通ることを今日までの法務委員会はやってきたわけです。しかし、くどいようですけれども、けさあたりの新聞によって、私ども大へん心配をしているわけです。こういう心配の上に立って、委員長に運営の心がまえを尋ねているわけですから、理事会のことでも、なるべく理事会を開いてというようなことではなくて、理事会によって参考人を呼ぶ等の件についてもとにかく相談をする、こういうようなことで、理事会は別れていると思う。ですから、このことをはっきりおっしゃっていただかないと、大へん疑問が残って、歯切れが悪いと思う。もっと歯切れよく、率直にやはり御答弁いただいた方がいいと思う。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ただいま高山理事の仰せの通り大体私も了承いたしております。委員長の言葉は少ないようですけれども、私ども理事なりわれわれの考えを尊重されての御発言だと私は承っております。  なお、委員長のお言葉を補足いたしますと、実はこの法案については、特に高田理事から、参考人を適当な機会に呼ぶべきだという強い御発言がございました。私ももっともだと考えております。しかし、それは一応本法案の審議をやったその上で、適当なときに理事会を開いて参考人問題を御相談する、そういうことまで理事会は話しを進めたということも、この機会に補足して御発表いたします。

藤田進日本社会党

○藤田進君 私の質疑に対して、委員長並びに与党理事からのお答えがございまして、とりあえず審議に入って、そうしてその審議の過程に理事会を開いて、その他の、参考人等の問題も含めて、相談をしようということのようでございますので、了承いたします。     ―――――――――――――

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 政治的暴力行為防止法案を議題といたします。発議者及び政府側からの出席者は、発議者衆議院議員早川崇君、同じく富田健治君、同じく門司亮君、同じく鈴木義男君、法務大臣植木庚子郎君、法務省刑事局長竹内寿平君、刑事局公安課長川井英良君、公安調査庁次長関之君、警備局長三輪良雄君。  本案については、すでに予備審査の段階において趣旨説明を聴取しております。衆議院における修正点について御説明をお願いいたします。

門司亮民主社会党

○衆議院議員(門司亮君) 私から衆議院におきましての本法案の修正点につきまして御説明を申し上げたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 委員長、ちょっと途中ですが、説明書あるのですか、あれば配って下さい。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 説明書を配って。

門司亮民主社会党

○衆議院議員(門司亮君) それでは条を追って修正点の要旨について御説明を申し上げます。  本法集中の「思想的信条」と帯いておりますものを「政治的信条」に改めたのでございます。従って条文には一条ないしその他の条項に出ておりますので、ごらんを願いたいと思いますが、私どもが「思想的信条」を「政治的信条」と改めましたのは、いわゆる「思想」という言葉が、あるいは現実的にも非常に広いという解釈でございましたので、これらの問題についていろいろ将来法律の解釈上疑念等が起こってはならないと考えまして「政治的信条」ということにこれを改めたのでございます。  さらに第三条第二項に、「労働組合その他の団体の正当な活動」という字句を挿入いたしました。このことはすでに御承知のように破防法の第三条にもこれと同じような字句がございまして、この法案が労働組合その他の団体の正当な活動についてこれを阻害する範疇に加えるものでないという趣旨を明らかにしたものでございます。  さらにその次に、第六条を削除いたしました。このことは、第五条の国民全体がこうした政治的暴力行為の発生を防止することにお互いが努めなければならないという条文がございます。従って、第六条の警察署への通報等ということにつきまして、いろいろの異論のあることでもございますし、従って、国民のこの法案に対する心がまえとしては五条で十分ではないかということで、六条を全部削除することにいたしました。  さらに第三十二条に「情を知って」という文字をつけ加えたのでございます。このことは、この条文が政治テロを行ないまするその行なった者に対して経済上の援助を与えた者について罰する規定であったのでございますが、ここにやはり情を知ってこれに金銭その他のものを与えるということにすることの方が妥当ではないかという考え方のもとに「情を知って」という字句を挿入いたして参りました。  さらにその次には、内閣総理大臣官邸及び国会議事常への侵入の罪について、「教唆」、「せん動」という文字を削除いたしたのでございます。これは関係条文は第四条、第七条、第八条、第二十三条の各条に関係をいたしておるのでございますが、このことは、この条文にありますように、国会議事党並びに内閣総理大臣官邸に物をこわしたりあるいは脅迫をしたりあるいはへいを乗り越えたり門を乗り越えたりして侵入いたして参りまする不法な侵入者についてこれを罰する規定でございますが、さらに、これの教唆扇動を含んでおったのでございますが、このことは、往々にしてそういう事態の起こります場合に、いろいろな、教唆扇動というようなことになっておりますると、関係する問題を惹起する。必要以上に問題をめんどうにする危険があろうかと存じまして、この「教唆」、「せん動」という字句を削除することにいたしました。  さらに本法案につきましては、恒久法として規定をいたしておりましたものを、五年の時限法に改めたのでございます。で、この種の法案は、もとより、こういう事件が続発して参りまして、言うならば、事件に備える、非常事件というような形に備えるものであって、これが刑法の特別法というような治安立法でありまする限りにおいては、そうした社会情勢の一日もすみやかになくなることを私ども念願をいたしておりまするので、従って、この法を恒久法にするということはどうであろうかということで、これを一応五年の時限立法といたしました。そうして五年後にこの法律の存続につきましては国会においてこれを定めるということにいたしたのでございます。なお右の結果、本法が失効をいたしました場合におきましても、従前の犯罪については当然処罰される旨を規定いたしたのでございます。  以上の六点が本法案の修正の要旨でございます。  以上御説明申し上げます。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) それでは質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 私は最初にただいま御説明に相なりまた修正点に関するお尋ねをいたします。  最初の原案をただいまのように多くの修正をされるに至りましたその動機、原因について、提出者に率直な御意見を伺いたいのであります。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) お答えをいたします。  この法案は御承知の通り議員立法としまして出ておるわけでございます。非常に今日の世論は暴力を排除いたしたいと、暴力をなくしたいというのが、今緊切なる世論かと思うのであります。そこで一日も早く暴力排除の法案を作ると同町に、また議員立法の趣旨からも考えまして、世論も聞きまして、同時に、一つこの法案はできるだけ各方面の御意見も聞いて万全を期するような法案にいたしたい、これが根本的なわれわれの考えでございます。そこで参考人も九名の各方面の専門家がおいでになりまして、お話しを聞きまして、また異例なことではございましたが、参考人を重ねて第二日目にも来てもらいまして、延べ十二人の参考人によりましていろいろ公正な、真剣な御意見を拝聴いたしたのであります。またその間、各方面の御意見も聞きました。また社会党その他の他の党の御意見もいろいろ聞きまして、大体どういうところをお考えになっておるかということを聞きまして、そこでこういう修正点ができました。大体われわれといたしましては各方面の意見を聞いて、この修正六項目といたした、こういうことが言い得るかと思っておるような次第であります。

大川光三自由民主党

○大川光三君 大体修正をされた動機、原因については、提出者の御苦心のほどはよくわかりました。そこで、さらに本法案の骨子について、特にこれは法務大臣と提出者にお伺いをいたすのでございますが、本法案の骨子とするところは、第一に、政治的暴力行為に関係ある団体の規制であります。第二には、政治的暴力行為に対する刑罰の整備。  そこで、まず最初に第一の点について伺いたいのは、かかる法案においては、個人を対象にするだけではなしに、団体の規制はこれはもとより必要であります。しかし、現に破防法において、破壊団体について規制法規が存在している、しかも政治的暴力が民主主義を破壊するものである以上、一種の破壊活動ということができるのでありますから、両者の規制に強いて差違を付するということは必ずしも適当でないと考えられるのであります。それゆえに、現に本法案を見ましても、団体規制は破防法の第十一条ないし三十七条の規定が準用されております。従って、団体規制に関する限りは、破防法に所要の改正を加えることで事足りるのではないかという感が深いのでありますが、この点に関して特に立案者の御意見を伺いたい。同時に、破防法改正について特に関心の深かった法務大臣から本法案に対するお考えを伺っておきたいと存ずるのであります。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいまのお尋ねでございますが、御承知の通り破防法は内乱あるいは外患誘致、騒擾というような重罪といいますか、非常に重大な犯罪を対象といたしておるかと思うのであります。今回の政治的暴力行為として対象としておりますものは、殺人、傷害、逮捕監禁その他の犯罪でございます。警備上、どれが重い軽いということは、こういった情勢から申せませんが、普通の常識から申せば、内乱あるいは外患よりやや二級的なものかと思うのであります。第一、対象はそういうふうにやや違っておると思います。  それから破防法におきましては、そういう重要な犯罪である関係もございましょうが、御承知の通り解散の処置ができる、団体規制としては解散という最終の段階を規定されておるだけでございます。そこでこの法案におきましては、そういう対象の相違も勘案いたしまして、一気に解散――この解散の規定もこの中にございます。しかし、それは殺人行為を行なった場合に限っております。本法案におきましては、その段階において重いものは六カ月あるいは軽いものは四カ月というような制限規定を設けておる、こういうような次第でございまするので、そういうできるだけ対象をも考えまして、破防法との相違を考え、いろいろ考え合わせてこういうような法案ができたというような次第でございます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま提案者から御説明になりましたところと大同小異でございますが、法務省といたしましては、従来の破防法の実際の運営状況にかんがみてみまして、どうも現状に対しまして十分ではないのではないかという疑問を持っておりました。ところが今仰せになりました破防法の改正に熱心であった法務省あるいは法務大臣というお言葉がございましたが、この点は何かのお観測違いでございまして、われわれ当局といたしましても、破防法の改正でいくべきか、あるいは別な単独立法を考えるべきかという問題についても、いろいろ検討いたしてみたのでございます。その結論といたしましては、必ずしも破防法の改正によるのがよいとは思えないというようなおおむね結論に近づきつつあった状態のときに、こうした議員立法の提案がございました。そこで、われわれはこの趣旨を拝見いたしてみますと、ただいま富田提案者の御説明にありました通り、従来の破防法は暴力主義的破壊活動の防止であり処罰でございますが、今回のは政治的な暴力活動、危害活動を阻止しようというところに主眼の点があるのでございまして、従って、従来よりも犯罪の類型が広がっております。こうした問題も、ここ一昨年来の実情を考えてみますというと、この程度の従来に比較した犯罪類型の拡張ということは、どうも必要があるようにわれわれも考えておったのでございます。従いまして、今回のこの単独立法の法案が出まして、おおむねこの方針でよかろうというような考え方でわれわれ当局としてもおる次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 いま一つ、破防法に関連して伺いたい。これは公安調査庁の方から御答弁をいただいてけっこうでありますが、ごらんの通りに、破防法の第四条において、暴力主義的破壊活動の定義をいたしております。それによりますと、一項の二として、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもって、左に掲げる行為の一をなすこと。」と定めて、そのへにおいて「刑法第百九十九条(殺人)に規定する行為」こう定めております。すなわち破防法では「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもって」人を殺すことが暴力主義的破壊活動であると定義をいたしておる。  そこで伺いたいのは、本法案の第四条においていうところの政治的暴力行為ということは、つまり破防法第四条の暴力主義的破壊活動と同質のものであるかどうかという点でありますが、これは専門家から一つ伺っておきたいと思います。

関之公安調査庁次長

○政府委員(関之君) お答えいたします。  本法案を拝見いたしますと、破防法の第四条のただいま御指摘の条項が削除になってこちらの方に載っているわけでございます。それで、言葉は、「暴力主義的破壊活動」と「政治的暴力行為」というふうに二つ違った言葉のように拝見いたしますが、内容の規定は、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する」のが破防法の規定である。本法案の規定は、それにプラスして、ただいま御修正の「政治的信条」ということになっておりまして、大体行為の本質は同じものであろうかと、こう私は思っているのであります。

大川光三自由民主党

○大川光三君 そこで、この法案を見てみますると、先ほど私が申しました破防法四条一項の二のへというものが今度は破防法から抹消されたことになっておるのでありますが、一体そういう破防法の最も中心な条項が抹消されるということは、破防法自体の法体系から見てどうか、破防法そのものが骨抜きにされているんじゃないかという感じがありますが、いかがでございましょう。

関之公安調査庁次長

○政府委員(関之君) この法案を拝見いたしまして、破防法との非常に大きな差異は、もちろん第四条の規定に相なるわけであります。そこで、破防法のやはり一番中心なのは、第四条第一項一号の内乱類型がもちろん中心になろうかと思うのであります。そこで、それも加えて第四条の規定と本法案の四条の規定とを比較して考えてみますると、本法案の第四条の規定の方が個人的な、政治的な危害行為というような特色が強いと、こういうふうに思われるのでありまして、そういう観点から破防法の中から殺人の規定をこちらに持ってくることも私は一つの考え方であり、全般から見まして相当な考え方であろうかと、私はこう考えておる次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 もう一つ関さんに伺いますが、ごらんの通りに、本法案では時限立法とされております結果、五カ年するとこの法律が効力を失う。従って、殺人行為に関する部分も効力を失うことになろうかと存じますが、そういうときに、破防法について殺人行為についてはどうなさるお考えですか。この法律が効力を失ったら自動的に破防法の殺人行為が復活するということについて何かお考えがあるかどうかを伺いたいのであります。

関之公安調査庁次長

○政府委員(関之君) この法案の中に破防法の殺人の規定が取り入れられるに至りましたにつきましては、国会における立法の立場からそのような御処置に相なったものと思うのであります。従って、本法案が五年の後にその必要な分について国会で御審議をされる。そのときにまた、かつての状況、すなわち、破防法に現在殺人の規定がある、それからはずしたんだと、そのような経過をお考えになって、何らかのお考えが行なわれるかもしれませんが、どうも将来のことは私どもとして何とも申し上げかねますが、破防法本来の立場から申しますと、もし失効いたした場合には、やはりもとへ復していただくのが相当ではなかろうかと、こういうふうに私は考えるのであります。

大川光三自由民主党

○大川光三君 次に、本法案のいま一つの骨子でありまする刑罰の補整について伺いたいのであります。  本法案については、その多くは現行法の刑を加重するものでありますが、御承知の通りに現行法において相当大きな刑の幅があり、また、近年の刑事政策の傾向には、刑罰の緩和と保安処分の拡大が著しいものがあると考えますが、そういう点にかんがみて、刑の加重についてはなお慎重を要するものがあると解されます。なるほど政治的暴力行為は憎むべし、しかしながら、それを憎むのあまり刑法との均衡を無視して、いたずらに重刑を課すというような威喝的立法は私のとらざるところでありますが、本法案の立案にあたって、この点について立案者はどうお考えになっておるか伺いたいのであります。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 刑の加重に対する考え方の問題のお尋ねがあったのでございますが、この点は、ただいま大川委員のお尋ねもございましたように、立案の過程におきましてずいぶんいろいろ意見もあり検討もいたしたのであります。そのうちには、ただいまお話しの通りに、重罰をもって臨む、刑罰の加重をもって臨むということは考えるべきじゃないか、むしろ対象という面であるいは広げるとかいうようなことだけでもいいのじゃないかというような御意見もあったようであります。ただ、皆の結論として考えましたことは、本法案というものが、先日来申し上げておりまする通りに、緊急非常の事態に対する法案でございます。でございまするから、きわめて臨時的な緊急的なものである。そこで、刑罰の加重というような問題も補整の問題も、その点から勘案いたしまして、この緊急事態に対するために少しでも罰を重くして、それによって一つこういうことをないようにいたしたい、今日の世の中からテロも除きたい、集団暴力も除きたい、暴力というものを除きたいというのが立案者一同の考えました重点でございます。そういうところからいたしまして、やや罰は御指摘の通り重くなっております。しかし、これも、御承知の通りに社会党のお出しになった案よりは軽くなっております。最初民社党からも案をお出しになっておったのでありますが、これよりも軽くなっておる。まあそういうことを勘案いたしましてこの非常事態に対して一日も早く予防いたしたい、排除いたしたいという精神がこの刑罰のやや加重的な結果となって現われたのではないか。そういう気持でございました。お答えをいたします。

大川光三自由民主党

○大川光三君 それでは、以下私は条文を追うて重要と思われる部分についてお尋ねいたしたいのでありますが、「(目的)」の第一条のうちの「思想的信条」を「政治的信条」と修正されたのでありますが、率直に言うて「政治上の主義」と「政治的信条」とはどう違うのかということが一つ。いま一つは、「政治上の」ということと「政治的」ということとはどう違うのでありましょうか。これは門司議員なりあるいは鈴木議員から伺った方がいいと思いますが、その点をお伺いしてみたいと思います。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 第一に、「思想的信条」を「政治的信条」に変えましたのは、これはやはり参考人その他の方の御意見も聞いて修正をいたした点なんでございまするが、われわれ最初立案者といたしましては、思想的信条のうちには宗教上の信仰が入らないと解釈をいたしておりました。また、卓説にもそれはあるようでございます。しかしながら、また一面、思想的信条のうちには宗教上の信仰も入るんだという御意見と申しますか、御懸念もあるようでございますので、そういう点から、はっきりとここに政治的な信条、こういうふうにいたしたらどうか、こういうことで立案いたしたのであります。申すまでもなく、いろいろ専門家としてはまた説明もあるかと思いまするが、政治的な信条――信条という言葉は憲法、国家公務員法その他にもございまするので、この点は明確になっておるかと思います。ただ、その信条というだけでは非常に不明確、あいまいな点がございますので、これを「政治的信条」といたした、こういうような状況でございます。まあ信念――政治上の主義、施策と申しますと、たとえば共産主義あるいは資本主義というのが主義、政治上の主義でございましょう。また、それから派生する日常の個々の具体策が施策でございます。それと別に信条、信念というものがあろうかと思います。また、「政治的信条」というものを加えませんというと捕捉しがたい問題も今日の時点においてあるかというようなことからいたしまして、立案者としてこういう字句の修正なり立案をいたしたような次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 いま一つ、それに関連して、「政治上の主義」という言葉と「政治的信条」という言葉があるんです。これはどうも、あえて字句について文句を言うわけじゃありませんけれども、一体、政治上の主義ということと政治的信条という、「政治上」ということと「政治的」ということに何か区別があるんでしょうか。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) それじゃ、正確に一つ、法制局の部長から答弁さしていただきます。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) ただいま提案者から御説明がございましたように、「思想的信条」という言葉の多岐性を少し限定するという趣旨で修正に和なったものと推測するのでございますが、御質問の、信条という言葉とそれから主義という言葉と一体どう違うかという点につきましては、今までの衆議院における審議経過から、ほぼ次のように申すことができると思います。主義と申します場合には、一般的に客観的な立場から言葉がとらえられておりまして、かつ、それに一応の理論的なシステムと申しますか、体系ができている場合を考えております。こういうふうに、まあシステムマティックな体系化というものがそこまで至らないけれども、形容詞的に申しますというと、一種のばく然たる信条ではあるが、やはりしかし政治にかかわる一種の実践的な意欲を持っている、こういうものを表現しますには、どうも今のその政治上の主義という言葉では不適当でございまして、どこか漏れるものがある。それは何かというと、最近の事象から考えますと、そういう立場からやっておるテロ行為というようなものが考えられる。それを表現するにはどうすればいいかということに相なったわけでございますが、そこで、まあ「上の」という言葉と「的」という言葉とどう違うかとおっしゃられると非常に困るのでございますけれども、そこは、政治の信条という言葉よりは、政治的信条と言った方が端的にぴったりすることだと私は思うのでございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ちょっと答弁苦しいようですけれども、なるほど信条ということは、これは憲法にも使っておりますし、あるいは国家公務員法にも使っておる。けれども、それは「信条」ということだけで独立した言葉だ。そして、いわゆる信条が違うから政治的に差別を受けないと、憲法はそう言っているんです。そこで、政治的信条と、こう言われると、この文字解釈上、政治上の主義も政治的信条も同じじゃないかという感じがするんですね。それならば、わざわざ政治的信条というような新しい言葉を使わずに、もう、いっそこの条文は「政治上の主義若しくは施策又は信条を推進し、」と言った方がいいのじゃないかという感じがあって、まあ思想的信条、これは工合悪いと、あわてて政治的信条に直そうかという、どうもそういうとっさ工作をされた感じがするんですが、いかがでしょうか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) お言葉でございますが、信条と申します場合には、犯人の、実行者の心理的、主観的要素というものに重点を置いた言葉でございます。主義という言葉は、概念上先ほど申し上げましたように客観的な立場から、言葉自体がそういう概念規定でございます。そこで、こういうものをとらえる場合には、客観的の場合には、政治上という言葉が妥当でございますが、主観的なこういうものをとらえようという場合には、どうしても政治上というと、政治上の信条といった場合には不適当でございまして、そこで主観的な要素というものを強調する意味で「政治的信条」、こういうふうな表現にしたものだと考える次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 次に、本法案の三条のすなわち「(規制の基準)」という点について伺いますが、その第一項には、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならない。」といってはっきり規制の基準を定めている。そこで念のために聞くのですが、国民の自由とは一体何半をさすのか、説明していただきたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) これはわれわれといたしましては、今日日本の憲法の中心は民主主義、またそれを守るということが国民全体の義務であると思いますが、その民主主義の一番基本となるものは個人の自由である。具体的には憲法に表われておりますところの基本的人権である、かように思っているような次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ただいまの富田議員の説明でもわかるのですけれども、もう少しこの条文を親切に作った方がいいのではないかと私は考えるのでございます。たとえば破防法におきましても、国民の自由ということを内分けしまして、思想の自由、信教の自由、集会の自由、結社の自由、表現及び学問の自由等と列記をして、そして国民の自由ということを説明してある。これは非常に私は親切な書き方だと思う。社会党さんの案にも、国民の自画を今申すように列記されております。これは非常に私は親切な書き方だと思いますが、立案者はなぜその挙に出られなかったのか、それを伺ってみたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいま大川委員のお話しでございますが、われわれも同じ考えを持っているのでありますが、この表現で全部包含されていると、われわれ立案者は考えておった次第でございますので、この点、御了承賜わりたいと思います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 それと同じように、この三条中の国民の権利という中には、勤労者の団結権、団体行動をする権利等も含んでいる、そのように解釈してよろしいでしょうか。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) その通りにわれわれ考えております。

大川光三自由民主党

○大川光三君 同じく第三条の二項に関してでございますが、二項を見ますると、「この法律による規制及び規制のための調査については、いやしくもこれを濫用し、正当な集団示威運動、集団行進、集会その他の団体活動及び労働組合その他の団体の、正当な活動並びに適法な請願、陳情を制限するようなことがあってはならない。」こうはっきり定めて、破格にその規制の基準を定めておるのです。この原則に基づいて本法案の各条項が整備されておることは、これは一目瞭然であります。しかるに、世上しややもすれば、この法案の内容を改悪に曲解して、反対するがための反対ないしは一種の政治的意図を秘めた反対運動に利用しようとする動きのあることはまことに遺憾であります。たとえば労働組合の行き過ぎた団体交渉を理由に、この法律によってその組合が解散されるとか、ただ一回の暴力行為ででも集会の禁止、機関紙の停止、団体の解散の口実になるんだというようなたぐいの宣伝であります。そこで、私はこれに関連して念のために伺いたい。それは第四条の六号であります。すなわち「不法に、内閣総理大臣官邸若しくはその構内又は国会の会期中(参議院の緊急集会中を含む。)に国会議事堂若しくはその構内に、暴行若しくは脅迫をして侵入し、建造物若しくは器物を損壊して侵入し、又はさく、へい若しくは門を乗り越えて侵入する行為」と、はっきりこの条文に交われておるんです。ところが世間では何と言うかというと、われわれは国会に請願する請願権を持っておる、内閣総理大臣に陳情する権限を持っておる。ところがその陳情する権利も請願権もこの法律によって抑えつけられるんだというようなことを吹聴されるのでありますが、一体、請願権やあるいは陳情する権利というものがどういう形態になったときにこの法律の適用を受けるかということをはっきり具体的に説明をいただきたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいま大川委員からお話しございましたが、私ども実はこの法案の提案者といたしまして連日たくさんの電報やはがきで抗議文をいただきまして、その内容は、ただいまおし話しもございましたが、正当な労働組合の運動を弾圧するものだ、あるいは治安維持法の復活である、正当な陳情や請願さえもこの法律で押えようとしておるんだというような、誤解と申しますか、曲解と申しますか、非常な間違った解釈が今日ございまして、それに基づいてただいま申しましたような抗議文を出されるような次第でございまして、この点は非常にわれわれPRも行き届きませんで残念に思っておるのでございますが、しかし、おいおい私はそういうことも御了承賜わるだろうと思うのです。ただいまお話しございました正当な請願、陳情、これは憲法におきまして平穏な請願については当然国民の権利として認められております。また、団体交渉権その他についても、みんな国民が権利として持っておるのでありまして、本法案は、従いまして、その憲法に認められておるこういう基本的人権と申しまするか、これに一指も触れることを考えておりません。また触れられるものでもございません。ただそれが暴力に移る、暴力によって時には殺人になる、傷害になる、あるいは集団的な暴行になる、国会あるいは総理官邸への不法な、さく、へいをぶちこわして侵入するというようなことになる、それを除きたい、これの一点でございますので、要するに、暴力ということが伴わなければどんな行為も、何十万のデモが集まられましても、これを規制するとか抑制するというような本法案は力のあるものではございません。そんなことはねらうこともできないものだと考えておりますので、要するに暴力ということがこの法案の一番のねらいである、かように思っておるような次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 その点よくわかりましたが、ただ、よく誤解される点があると思いますので伺いますが、この六号に「不法に、」とい言葉が冒頭に使っておりますが、一体「不法に、」というのはどういうことでありますか。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) これは、実は先ほども申し上げましたことに関連いたすので当然なことでございまして、侵入をする、暴行脅迫をして侵入をいたす、あるいは建造物もしくは器物を損壊して侵入する、さく、へい、円を乗り越えて侵入する、これはもう不法でございます。しかしながら、これも万一誤解がありましてはいかぬ、あるいはこれを取り扱う取締官等におきまして万一にも弾圧というようなことになっちゃいかぬと考えまして、「不法に」という文字をつけ加えたような次第でございまして、刑法等におきまする「故ナク」という文字に相当すると思っておりますが、これは念のために加えたような文章かと思っております。

大川光三自由民主党

○大川光三君 今、富田委員のおっしゃるように、なるほど刑法では住居侵入については「故ナク」という言葉を使っております。ところが本法は「不法に」という言葉をお使いになっている。これはわれわれ法律専門家なればこれでよくわかるのであります。しかし、ややもすれば誤解される、現に先般の当委員会における門司さんの御説明で、またこの逐条説明の中を拝見いたしますと、不法というのは、法律上正当な理由がないことを言う、こう説明されている、もっともその通りであります。ところが正当な理由がないということは一体どういうことかという問題であります。一般の人はどういうことを言っているか、われわれは請願権を持っている、陳情の権利を持っているのだ、正当な権利を持っているのだからということまで考えるのですね、だからその正当な請願権を規制するということ自身がいけないのだ、こういう考え方です。そこで、一体、正当な理由という、門司さんの御説明は、具体的にはどういうことになるのか、それだけを詳細御説明願っておく必要があると思うのですが、いかがでしょう。

門司亮民主社会党

○衆議院議員(門司亮君) 私が御説明を申し上げましたのは、今、大川委員もおっしゃられましたように不法の行為というのは、当然法律を逸脱した行為であるということは御了解が願えると思うのであります。従って、それなら実際的にそれはどうか、こういうことになろうかと思います。私はこういうふうに考えております。法の一つの書き方といたしましても、全体を規制する、このずっとあとの条文の中に、いろいろな、たとえば不法という行為についての注釈のような形で、御承知のように物をこわして入って来たり、あるいは脅迫して入って来たり、こういう字句をつけております。これらの行為のすべてが私どもは不法だ、ただ不法に侵入したということだけを書いたのでは、今の御質問のようなことが私は起ころうかと思います。従いまして、法律に定めないいわゆる違反行為と同時に、その行為はこれこれこういう行為だと、この条文については一応これをしぼっております。物を破壊して入った人、あるいはさくを乗り越えたような人、あるいは脅迫して入ったような人を、この不法という概念をここにこの条文ではしぼって、そうして明確にしておりますので、今の御質問の要旨は一応ごもっともとは考えますが、私どもは法律の体裁といいますか、法律の条文としては差しつかえはないのではないか、いわゆる憲法に書いております平穏な請願、憲法は平穏という文中を使っておりますが、そうでないこういう行為を私どもは不法行為だ、こういう解釈をしているわけでございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 不法の規定は門司さんのおっしゃる通りなんです。ところが世の中で誤解されるので聞くのでありますが、これは竹内刑事局長に一つ専門的な御説明をいただきたい。本法が使いますところの「不法」ということと、刑法の住居侵入の「故ナク」という言葉には、法律上相違があるのかないのか、それが一点。  そこで、この「不法に」あるいはへいを乗り越えるとか、門を破ったりとか、それから門司さんの御説明では正当な法律上の理由がないのに、こういう説明をなさっておる。それももっともであるが、その具体的な例を伺いたい。ただ、へいを越えるとか、門を破ることが不法だというだけでは、これはちょっと説明が足らぬ。門を破って、へいを乗り越えても入る正当な権利があるのです。そういう権利は、たまたま請願権にそんなのがあるのか。その他の権利で、門を破ってもいい場合がある、あるいはへいを乗り越えてもいい場合がある、そういう正当な権利というものは、具体的にはどういうのかということを一つ御説明していただきたい。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 「不法に」という意味は、「故ナク」という言葉と、法律用語としては同じように使っておるように私どもは理解いたしております。そこで、「不法に」という文字が、この条文の中で、法律構成要件としてどういう意味、内容を持つかという点については、私どもの理解としましては、「不法に」とか、あるいは「故ナク」という言葉が特につけてあってもなくても、犯罪成立の要件としましては同じことでございまして、これは「違法に」という意味でございますから、本来、犯罪が成立いたしますためには、その行為が違法であることを要するのでございまして、特に「違法に」と書いてあるから違法になるのではないのでございます。しかしながら、刑法の各条文にも、特に不必要な文字でありながら、なお特にそれを書いて明らかにしておりますのは、ただいま御指摘のありましたように、刑法百三十条の住居侵入の罪、百三十一二条の信書開披の罪、百三十四条の秘密漏泄の罪等に「故ナク」という文字で表わしております。「不法に」という文字を使ってありますのは、御承知の通り刑法二百二十条の逮捕監禁のところにはそういう文字を使っております。しかし、これらは学説におきましても判例におきましても、両者に差異があるのではなくして、修辞的な、注意的な文字というふうに理解されておるのでございます。しかし、これらの犯罪をずっと見て参りますと、多くは、御指摘のように、たとえば住居侵入の場合につきましても、住居に入っていくという場合がかなり権利として行なわれ得るわけです。そういうふうに、非常に多く合法的な場合があるわけでございまするので、そういうような類型の罪につきましては、特に「故ナク」とか「不法に」という文字を使って、その点を明らかにしておるというふうに理解されるのでございます。  それで、「故ナク」と「不法に」との文字上の差異でございますが、「不法に」という用語は、その語感からいたしまして、単なる「故ナク」というよりも、そのこと面体がけしからぬという感じを持たせる文字でございまして、特に国会に侵入する場合、あるいは総理官邸に侵入する場合等につきましては、請願権とか、あるいは総理官邸につきましては、行政上の出入りの人が多いのでございまして、そういう所へ入る場合には、ただ「故ナク」入ったということでも法律上はわかるのでございますけれども、一般の人によくわからせるようにしますために、構成要件を分解しまして、へいを越えて入るとか、とにかくそのこと自体がけしからぬ入り方であるということを示しているのでございまして、その上さらに「不法に、」という語感を強める文字を置ことによって、その行為が違法な、すこぶる悪い、だれが見てもけしからぬという状態の入り方、こういうものを禁止する趣旨であるということがこの条文に表われているように私は理解するのでございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ちょっと、いま一つ念のために伺いますが、合法的に門を破ったり、へいをこわしたりして入れるというのは、具体的にはどういうのですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 門を破ったりへいをこわしたりというようなことは、国権の作用として、あるいは強制的に占有するとか、あるいはものを破壊して領置をするとかいったような刑事訴訟法上の令状をもってする場合等に普通あるのでございますけれども、一般的に申しまして、門を破ったりへいを乗り越えたりというような入り方が合法であろうとは考えられないのでございまして、そういう形態を「不法に」という率直な言葉で表わしているものだと私は理解いたします。

大川光三自由民主党

○大川光三君 大へんよくわかります。たとえば裁判所の判決をもって執行吏が家へ強制的に入り得る、これは合法的な正当な権利をもって入るわけです。請願権や陳情権には、そういうへいを乗り越えたり、あるいは門を破ったり、暴行、脅迫をもって人の家へ入れるという権利は含んでないのだ、こう解釈してよろしいのですね。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 仰せの通りでございます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 今の点に関連してお伺いいたします。今、大川さんのお尋ねになっておりまする四条の六号でございますが、この六号の「不法に」という内容は、次に書いてある内閣総理大臣官邸若しくはその構内又は国会の会期中に国会議事堂若しくはその構内に、暴行若しくは脅迫をして侵入し、建造物若しくは器物を損壊して侵入し、又はさく、へい若しくは門を乗り越えて侵入する行為」、この行為のワクを出るものか出ないものか、言いかえれば、ここに書いてある幾つかのことは不法行為の中の一例示であるか、あるいはこれはこの事柄に制限しているのであるか、このことをはっきりしておきたいと思います。制限規定か例示規定か。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) お答えをいたしますが、これは例示でございませんので、これだけに制限していると立案者としては考えております。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 これは例示ではない、制限であるといえば、大風が吹いてへいが倒れた、地震があって門がこわれた、そういう場合には、門、へいを乗り越えないで侵入することは不法ではないということですか。この場合には罪にならぬという御趣旨ですか。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) その場合は、自由に入れると思うのであります。ただ、しかしながら、また別の条件がございまして、暴行または脅迫をして入るとか、こういう文字がございますから、それに当てはまればこの六号に当たると私は思います。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) ちょっと私から立案者として少し補足いたしますと、不法に入るだけの場合には三年以下の住居侵入のあれが適用されるわけです。七年以下六カ月以上というのは、それに暴力行為が加わるわけです。従って、国会の構内なり国会議事常に、管理者が、議長が入っちゃいかぬと言うのに入るだけであれば、不法なんです。その場合、暴力行為を伴わない場合には、御承知のように刑法の住居侵入で三年以下の懲役、さらに、それにさくを乗り越えたり、あるいは暴力行為を伴いますと、この前の安保闘争のような、ああいう暴力行為を伴いますと、六カ月以上七年以下、こういうふうになると御理解願えれば明確だと思います。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 私が先ほど聞いたように、普通ならば門がある所である。普通ならばへいがあるのである。自然現象によりましてそういうものがたまたま破壊されて防備が十分でない。そのときに暴力等を用いて侵入したような場合においては、そういう設備がなかったらそれでいいというの、ではなくして、やはりこういうふうに厳罰をするという特殊規定を生かすべきところではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) これは制限規定でございますから、そういう場合には、たとえば衛視が阻止するという行為がなければ……。ただ門があいているので入っているというのであれば住居侵入になるわけです。これはあくまで制限規定ですから、へいが倒れておる、そこに衛視がおりますね、門の番に。それが阻止した、それを脅迫あるいは暴行して突き抜けて入るという事態が起こらなければやはりいかぬのじゃないか、かように思います。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 説明は了承いたしました。そういうお答えをはっきりしておきたいと思いまして……。私はこれが例示であるように誤解されるおそれが将来あるのじゃないかと心配しまして、この際、はっきりと制限規定であることを確かめただけです。

大川光三自由民主党

○大川光三君 次に、第四条七号、殺人の正当性または必要性に関する主張の条項についてお伺いいたします。  私は率直に申しまして、この殺人の正当性または必要性の主張に関するしぼり方がきつ過ぎるという感じがあるのであります。ごらんの通りに、第一には人を殺すおそれのあることを知りながら、という一つのしぼりがかけてある。次に、特定の者に継続または反復して、三にはその主張の影響を受けて特定の他人を殺す行為の実行をした場合という三つのしぼりがあげてあるのでありますが、これはおそらく憲法の表現の自由その他の自由を保障しようという強い配慮から出たものと考えますけれども、一体、人を殺すおそれがあることを知りながらというのは、特定の者が特定の君を殺すおそれがあるということを知っておるという、その知っておるということは、いわゆる未必の故意をさしておるのかどうかという点をまず伺いたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいま御指摘になりましたのでございますが、立案の過程において、これは非常に苦心をいたしました条文でございます。ただ、今日の世相と申しますか、政情を勘案いたしますというと、教唆、扇動というものではどうも捕捉できない面がある、もう少し幅広いといいますか、もう少し広くしませんというと捕捉できないものがある。殺す以外にないやつだとか、天誅を加えるべきだとかいうことを言って、それが直ちに教唆、扇動にならないというようなものも、御承知のように最近の事象にもあったかと思うのであります。そこで、これも捕捉いたしたいというので、殺人の正当性、必要性を主張するというものを処罰の対象にいたしたわけでございます。しかし同時に、これが今御指摘にもなりました通り、少しまた言い過ぎますというと、言論、表現の自由の抑圧という憲法上の問題にもなるというので、今のようなしぼりがたくさんできまして、あるいは予見しながら、あるいは現に殺人の行為が行なわれた場合というような、いろいろのしぼりができたように思うのでございますが、そういう立案の趣旨でございますので、御了承を賜わりたいと思います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 次に、第二のしぼりの「継続または反覆して」と「文書若しくは図画又は言動により、特定の他人を殺すことの正当性又は必要性の主張をする」ことという、ここに継続または反復するということが犯罪の構成要件になっておりますが、一回の主張によって特定の者が特定の者を殺した場合に、一体どうなるのでしょう。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) これは入らないと思います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ただ一回、正当性あるいは必要性を主張して人を殺しても入らない、非常にちょっと理論的におかしいと思いますが、条文の解釈としては、これは一回の場合は入らぬ、こういうことになるのですが、それでいいのでしょうか。また、ことさらに「継続または反覆」という一つのそういうしぼりをかけてあるのはどういうわけですか。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) これはお気持はよくわかるのでございますが、ただいま申し上げましたように、教唆、扇動、これはどうも捕捉できないものということから、正当性、必要性というものまで拡張といいますか、幅が広がりまして、それだけにしぼりも、相当かけて、これがあまりに過酷にならないように、表現の自由等の侵害にならないようにというようなことを考えまして、結論としてこういうふうになりましたようなことで、今のような観点からごらんになりますと、どうも足らないじゃないかというお考えもあるかと思いまするが、正当性と必要性を主張するだけでも犯罪の構成要件にはなるのだ、かりにしぼりがありましても……。そういうことになりますと、相当これは予防的な効果はあるとわれわれは確信をいたしておるのであります。

大川光三自由民主党

○大川光三君 第三の点でありますが、特定の他人を「(その特定の者がその影響を受けて第十四条第一項の罪を実行するに至った場合に限る。)」というのですが、それに対して十四条一項の罪を実行するに至った場合というのは、殺人の既遂のみをさすのかどうかという点をまずお伺いいたします。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) これは一つ、法制部長に正確な解釈をお願いいたしたいと思います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 十四条一項と言ったのは、十三条に変わっているかもしれません。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 修正になりましたので、第十三条になっております。これが人を殺した場合、十三条一項の話しでございますか。――既遂でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 既遂と言われますと、門司さんに伺いますが、この前の逐条説明によりますと、こういうことをおっしゃっております。逐条説明の四ページのしまいから三行目をごらんいただきますと、その発生した結果は「殺人の既遂たると未遂たるとを問わないのである」、こうおっしゃっておる。そうすると、先ほど御答弁になった殺人の既遂であるということは、これはわかりますけれども、既遂たると本遂たるとを問わない、この逐条説明の印刷物は間違いだということになりますか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 私先ほど申し上げましたとき、ちょっと御質問の趣旨を十分のみ込んでおりませんでしたので、補足さしていただきます。殺人の罪を実行するに至った場合の解釈でございますが、実行の着手を含むという解釈でございます。実行の着手があればよろしい、こういう解釈でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 そういたしますと、十三条ですね。もとの十四条は十三条に戻ったのですかね。十三条一項というのはこう書いてあるじゃないですか。十三条の一項ですね、「政治上の主義若しくは施策又は政治的信条を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、人を殺した者は、死刑又は無期」云々と、こう書いてある。一項ですよ。二項へもってきて、「前項の未遂罪は、罰する。」と書いてある。従いまして、一項は殺人の既遂という以外にちょっと判断つかぬと思うのです。二項で未遂罪、三項で予備、陰謀罪。そこで、十三条一項の罪を犯したという場合には、殺人行為に属する、未遂であるとかということは、二項、三項でこれは処理しているのと違いますか。従いまして、十三条一項は人を殺した既遂をさすのだという判断が下されるのですが、いかがでしょうか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 厳密な言葉で申しますというと、十三条一項の罪を犯したとは書いてございませんで、ああいう行為を「実行するに至った場合」というふうに書いておりまして、厳密には、先ほど申し上げましたように、実行の着手があればよろしい、こういう解釈であると考えるわけでございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 なるほど。この四条七号には、カッコの中には「第十三条第一項の罪を実行するに至った場合に限る。」と、こう書いてありますね。「実行するに至った場合に限る。」と、こう断わっておりますけれども、しからば十三条一項の罪とはどうかといったら「人を殺した者は」と、もうはっきり「人を殺した者は」と言ってしまっておる。しかも二項は「前項の未遂罪は、罰する。」というのでありますから、たとえば瀕死の重傷を与えた、その結果、時間的経過があってその人が死んだという場合には、これはまあ殺人をもって論じてもいいと思いますけれども、瀕死の状態の状況においてすでにこの十三条一項の罪を終わったということになるかどうかということを繰り返して伺います。この点、一つ竹内刑事局長から専門的に御説明をいただきたいと思います。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 私の理解をいたしますところを申し上げますと、「第十三条第一項の罪を実行するに至った場合」、この実現の解釈になると思うのでありますが、十三条第一項は、おっしゃる通り既遂でございます。殺人の既遂でございますが、この七号は既遂の場合と未遂の場合と両方含んでおるのでございまして、既遂の――もし未遂の場合を含むというならば、二項と書いたらどうかということになりますが、そうなれば既遂の場合が入らないことになるおそれがある。そこでカッコの中に入っておる実現でございますけれども、「実行するに至った場合」と、つまり殺人を実行するに至った場合と、こういうのでございますから、実行してとめなかった場合と実行してとめた場合と両方含むと、かように解釈するのが相当だと思うのでございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 それからいま一つ、このカッコ入りのその特定の者がその影響を受けて殺人の罪を実行するに至ったときという一つのしぼりですね、まあ客観的な一つの条件をつけておるわけですが、そういう客観的処罰条件を付したのはどういう理由かを伺いたい。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 今仰せのように、後段の方の客観的な処罰条件を付しましたと申しますのは、論理的にそうでなくちゃ困るという考慮からではございませんで、政策上の問題でございまして、犯罪構成要件としては、その前にありますところの「何々した者は、」というところまでで犯罪構成、要件としては終わりまして、その客観的な殺人という事態が現われたならば処罰するという論理の構成でございます。  そこで、なぜそうしたのかということにつきましては、これは一種の政策でございまして、前段の行為だけでも危険性と申しましょうか、要件としては備わっておるのでございますけれども、そういう場合だけ処罰しようという政策的配慮からでございまして、絶対にそうでなくちゃその条文が成り立たない、こういうものではないと理解しております。

大川光三自由民主党

○大川光三君 いま一つその点について。これは具体的な問題で伺いますが、殺人の正当性、必要性を主張する行為は、その結果において殺人を実行したという条件が満たされたときに初めて犯罪が成立するということになるのでしょうが、客観的処罰条件の完了までに相当長期間経過する場合があると思うのですが、そういう場合には、一体、公訴の事項とか因果関係はどうなるのですか。大いに殺人の正当性、必要性を主張している。ところが、三年も五年もたっていよいよその特定の者が特定の者を殺したという場合における公訴事項の問題あるいは因果関係の問題について御説明をわずらわしたいと思います。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) まず、公訴の事項の点につきましては、むずかしい問題でございまするが、後段で処罰条件が規定されておりますので、公訴の事項はやはり後段の事実が発生してからあとで始まる、こう解するのがほんとうだろうと考えております。それから、非常に時間がたった場合、一種の正当性主張という行為があった時期と、それからその影響を受けて殺人をする者との――実行者が現われました場合と、時間的な距離が非常に長くなった場合どうだという問題につきましては、その点は前段の方に書いてありますところの予見という要件と、それから処罰条件としての影響を受けてということとのからみ合いにおきまして、そこにおのずからなる制限があると考えております。無限に何年もたってからというふうなことでは、その影響を受けたという証明自体がはなはだ困難になって成立しないであろう、こういうふうに考えております。

大川光三自由民主党

○大川光三君 次に第四条一項の六号と十六条についてでありますが、内閣総理大臣官邸及び会期中における国会議事堂に対しての不法侵入を「政治的暴力行為」として、そうしてこれに対して一定の刑罰を課するということになっておりますが、国の三権の一つをになう最高裁判所がこれより除外されております。もとより裁判所が政治的紛争の場所となるものとは解されないというところから、かくなったとは思いますけれども、この法案が特にこれを除外されておるという一応の事情はわかります。しかし、近年特殊の事件に関する法廷内外の秩序は憂慮されるものがあると解するのでありますが、法廷等の秩序維持に関する法律というものを再検討する必要がなかろうか、あるいは率直に言って、この立法に当たって、私は、国会、総理大臣官邸及び最高裁判所という三権をになう各所を、対等にこの法案において扱うべきだと考えておるのであります。裁判所関係については特に再検討を考える用意が立案者にあるのか。あるいは法務大臣におかれましても、いわゆる国会の議事堂とか総理大臣官邸に対しては政治的暴力行為を規制することになりますけれども、裁判所に対してこれを除外しておるということについて、どうお考えになっておるか、伺っておきたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 立案の過程のことを申し上げたいと思うのでありますが、ただいま大川委員からお話しになられましたような意見が相当多かったのであります。と申しますのは、立法、司法、行政、三権を守ることが民衆を守ることじゃないか。そういう点から申しますと、総理官邸、国会のほかに、裁判所の神聖を守る、その権威を守るということがきわめて必要じゃないかという意見も非常に多かったのですが、ただそれに対しましては、今お言葉もございましたが、法廷の秩序維持に関する法律も、あるいは不十分かもしれませんが、ございます。また、裁判所ということになりますると、第一審が御承知の通り最終の裁判所になる場合も多いのでございますから、各裁判所ということになりますと、数のことになりまするが、全国で非常な裁判所の数になる。最高裁判所だけに限ることができませんので、非常に数が多くなるんじゃないか。また、本法案は元来が非常立法でございます。できるだけ今日の事態につぼを合わすようなものでなくてはならないというようなことを考えまして、裁判所に対するいろいろな各種の、不穏な暴力行為というものが、判決に対する不服といいますか、これに基づくものもございます。しかし、本法案はここにございます通り、政治上の目的をもっての暴力行為でございますので、そういう判決関係のものを対象とするものではない、一応除いたらどうか、しかし将来の問題として非常に重要な問題でございますので、考えるべき問題だというような考え方が、立案の過程にあったのでございますが、結論は、こういうところに落ちつきましたような次第でございます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま立案者の富田議員から御説明になった通りでございまして、さらに今お述べになられなかったことのうち、なお私どもの気づいておった一点を申しますと、現在、裁判所またはその構内という言葉の意味が、実情の点から考えますと、非常に区分が困難な場合が多うございます。御承知の通り、裁判所、検察庁あるいはその他の法務関係の役所がほとんど同居しておりまして、一体どこまでが裁判所で、どこからどこまでが裁判所じゃないか、あるいは構内という場合に、どこまでが一体裁判所の構内で、どの部分が他の法務関係の官庁の構内になるかというような点が、実際の問題になりますと、判定困難な場合が非常に多いのであります。従って、こういう点も、やはり今後法律施行の上で行き過ぎのことが起こってはどうかという心配もございます。まずまずこの際は入っておらなくてもやむを得ぬではあるまいか、かように考えておる次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 次に六条、七条に関するお尋ねをいたしたいのでありますが、これはおそらく他の委員諸君からも御質問があると思います。そこで、一応簡単な質問をいたしたいのですが、第六条にいう、たとえば公安審査委員会が、政治的暴力行為を行なった団体の役職員または構成員に対する処分の条件、内容等の規定でありますが、一体、役職員または構成員が当該団体のためにする行為という、「団体のためにする行為」というのは、非常に広い意味を持つように考えるのでありますが、この「ためにする行為」ということの御説明をいただきたいと思います。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 第六条と第七条とは、この発動の根拠が仰せのように変えておりまして、第七条におきましては、「団体の活動として」云々という表現をいたしました。それからその前の条文におきましては、「団体の活動に関し」、または「目的の実現に資するため」という表現になっております。  まず、あとの方から申し上げますというと、これは四条の四項におきまして、団体の活動の定義がございまして、比較的厳密な定義が与えられております。それに、つまり本質的に申しますというと、本来、団体の活動自体として見られるものは、七条でございます。前の方の六条の関係におきましては、団体の活動自体とはいえないが、「団体の活動に関し」と申しますのは、関連してという趣旨でございます。それから「目的の実現に資するため」と申しますのは、犯人のというか、テロ行為その他の暴力行為をやりました者の主観的意図におきまして、平たく申しますと、こうすれば団体の目的のためになるだろうという意図がある場合、そういう場合を考える。従いまして、これは現在の破防法とも建前を異にいたしておりまして、破防法におきましては、役員その他の活動制限という前の方の条文の問題を、いずれも団体の活動として云々というワク内で問題を論じております。本法案におきましては、それを若干はずしまして、関連性を持つ場合、あるいは主観的意図において団体の目的の実現に資するためという意図がある場合、そういう格好で若干団体の責任を負わしてもよろしいが、現在の段階では、団体そのものの活動制限をするよりも、その役員を除外してしまえば団体自体としてはきれいなものになる、それほど悪くないという状態においてもこの六条が発動できるという結果になると考えます。  従いまして、両者の条文の関係はどうなるのかということが問題になるでありましょうが、それは一面においては七条の団体活動の制限をするのと同時に、六条の方の役員の活動制限もやり得る場合もございましょうし、それから、あとの方の団体活動の制限は、まだ、そこまでは至らないけれども、あの男をお前の団体から排除しさえすればまだ許してやれるというふうな事件におきましても、前の方の条文が発動し得る、こういうことになると考えております。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ただいまの御説明によると、第六条の団体の構成員あるいは役員の行為者を処置するということは、これはわかりますが、その行為者を出した団体自身を規制するというのは、これはどういう法律関係になるでしょうか。私自身もわかりにくいのですが、たとえば刑法のいわゆる共犯理念からいくのでしょうか。とにかくそういうふらちな者が団体から出た。そこでその母体を処罰する。ここを世間では非常によく間違うのです。暴力行為をやったら、一ぺんにその団体が四カ月とか、六カ月の間機能がとまってしまうのだ、むちゃだという声があるのですが、そこのところをもう少し詳しく説明してもらいたい。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 御質問のようなところが当然問題になるでございましょう。そこで、一方においてこの団体に、今おっしゃいました言葉を借用いたしますならば、ふらち者が出てきた場合に、その団体自体に責任を問うことがなぜできるかという点につきましては、やはり「団体の活動に関し」という問題、これは御承知のように、たとえば民法におきまして不法行為の損害賠償を事業者に対して負わせます場合に、また、たとえば運転手が交通事故を起こして、その他刑法で定める罪を犯したという場合に、事業者にどの程度損害賠償責任を負わせるかというふうな帰責の事由をつかまえますには、やはりその事業に関し、あるいは業務に関しということでとらまえております。それから民法四十四条等におきましても、やはりそういう考え方で出発しているものと考えております。そこで平たく申しますというと、そういう行為がその団体から出ることが、やはりその団体の、ずばり活動そのものとまでいえないが、団体の活動に関連性を持っているという意味合いにおきまして、やはり団体にある程度の責任を負わせることができる。従いまして、あの役職員もしくは構成員を君のところの団体にあまり出入りさせるなという意味の、一種の取り締まり、こういうものは立法上可能だと考えるわけであります。

大川光三自由民主党

○大川光三君 第七条の点でいま一つ伺っておきたいのですが、たとえば第一項に、殺人に関する政治的暴力行為に関する場合で、団体が、第四条一項に規定する政治的暴力行為のうち、殺人及びその予備、陰謀、教唆、扇動または殺人の正当性、必要性を主張する行為を行ない――たとえば殺人の行為を行なうということはわかるのですが、それから後に、これに「継続又は反覆して将来さらに団体の活動として」何らかの「政治的暴力行為を行なう明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、」こういう条件をつけているのです。ここがちょっと非常にくわせものだと思うのです。実際は。これは条件は一回ですよ。けれども、一回やっても、将来もおそれがある、こういう条件のもとに、おそれがあるというときには、ぴしゃっとその団体を押えるというところに、その乱用のおそれがないかという懸念が起こってくる。それは乱用のおそれはないのだということは、この条文から出てきますか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) これは非常に重要な問題でありますから、立法者として申し上げますと、団体活動の制限というものは、慎重の上にも慎重を期するということが前提でなければなりません。そこで、よく社会党の人なり総評の人なりが言われるのですが、国鉄が一つの政治的目的の運動をやった、その中の不心得者が個々の政治的暴力行為をやった。そうすると、その労働組合は団体制限を受けるのじゃないかということを院外では言っておるわけです。それは明らかに制限を受けないのです。ただ、その構成員が暴力行為をやった場合には、ここにありますように、その個人の団体員としての行動制限だけで、団体には何ら影響ありません。そこで団体の制限という場合には、団体の意思として、また団体の決定によって暴力行為を二度積み重ねた。あるいは殺人及び殺人関連事項を二度以上重ねたという条件がまず必要でございまして、さらに将来もそういうものを行なうおそれがあるいわゆる政治暴力常習団体、そこまでくれば憲法上認められた団体活動の権利を制限してもやむを得ぬじゃないか。これは暴力行為を防止するためにやむを得ぬじゃないか。従って、一回だけというのは、特に殺人をやった団体では一回だけです。それから将来継続するおそれがある、反復するおそれがあるだけにしぼっているのですが、それ以外のものは、まずこれは私が立法のときに、事務当局に言って入れさせたのですが、それ以外の傷害、集団暴行、その他の場合は、二度以上やって、しかも将来もやるおそれがある。ここまでしぼりましたのでございまして、院外の労働組合や総評、その他の人たちが言っているようなおそれは全然ないのでございます。この機会に明らかにしておきたいと思います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ただいまの早川委員の御説明でよくわかりましたが、もうちょっと具体的に伺いますと、たとえば、一人一殺主義の団体がある。こういうふうなものはどの条章に該当するのでございますか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 一人一殺主義の団体というのは、なかなか、もちろんこの一人一殺でその団体が殺人を犯した。一人一殺主義という主義を持っている。これは将来それをやるのはわかっておりますから、これはさらに殺人のおそれがありましたら、八条でなくて解散の方にいくわけです。九条でありましたか。しかし、殺人を将来行なうおそれがあるのじゃなくて、それ以外の政治的暴力行為をやるおそれがあるという場合には、この六カ月の団体の制限になるかと思います。

大川光三自由民主党

○大川光三君 どうも私は、この最初に申しました刑罰の補整の点について、多少詳しくお尋ねをしたいのでありますが、時間的に大へん迫って参りましたので、刑罰に関する補整の点は他の機会に譲るといたしまして、いま一つだけ伺いたいと思います。  いわゆる解散指定団体ですね。あるいは制限団体に対する資金源を途絶することについて考慮が払われていない。そういう必要はないだろうか。これは民社党さんの案でも、最初にそういうことがあったと思いますけれども、いわゆる解散指定団体、あるいは制限団体に対する資金源の途絶の考慮を払っていないというのはどういうわけでございましょうか。この点を伺っておきたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) この問題につきましては、二点重要な法律条項を入れております。第一点は、二十一条でございます。二十一条におきましては、「情を知って、」「凶器を提供し、又は金銭、物品その他の財産上の利益を供与してこれを幇助した者は、」現在の刑法では、本犯が実行されなければ無罪になる。ところがこの二十一条におきましては、本犯の実行を待たずして五年以下という重い懲役にすることにいたしました。それから七条、八条、その他制限団体になった場合には、その予算とか業務計画を公安調査庁に報告しなければならない。いわゆる資金状況をも明るみに出さなければならない。それを怠った場合に罰金を課せられるという二点におきまして重要な立法をいたしております。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 速記を起こして。  それでは、これにて午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時十七分開会

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、政治的暴力行為防止法案の質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 質問を開始するにあたりまして一応委員長にお尋ねをしておきたいことがありますので、この点をお許し願いたいと思います。  けさも理事会で私が主張いたしましたことは、この法律は治安立法であり、きわめて内容が重大である。午前中の大川委員の質問によっても明らかのように、破防法とその類型を同じくするものだ、こういうような説明もあって、この内容そのものは非常に重要な内容を実は持っておるわけであります。くどいようでありますけれども、衆議院では、諸般の政治的な事情から、こうした重要な内容を持つ治安立法、なかんずく刑法の改正並びに破防法の改正、こういうものを含めるものを、わずかに二十五時間十八分で審議を終わっております。この二十五時間十八分の中で、参考人の意見を徴しこれに質疑を加えた時間は総計十時間であります。従って、このような重要な治安立法を審議するにあたって、最も責任のある議員の質問の時間が大体十五時間そこそこである、こういうような中で、きわめて政略的に――言い方が失礼であるかもしれませんが、もっといい言葉で言えば政治的に、しかも、なんですか、どうも私ども常識人では考えられないような陽動作戦とやらで、私は女ですから陽動作戦というような言葉もわからない。そういう中で委員会を通過し、また本会議を通過したことは非常に遺憾なことであります。たまたま午後から私が質問を展開するにあたりまして、中間報告がなされるような動きがあるのではないかという質問を新聞記者の皆さん方からお受けいたしました。これは私はその真偽のほどはわかりませんですけれども、非常に不愉快な思いがしたわけです。理事会においても私が冒頭述べましたように、この種立法については責任を持たなければならない。特に厳重に内容の吟味というものがされなければならない。しかるにかかわらず、初めて私がこの質問を展開するにあたって、中間報告の質疑打ち切りがあるのではないかというようなことを伺う、非常に不愉快です。このことは私信じたくはございませんけれども、このような政略的な政治の動きの中で、参議院法務委員会は、こうした政略的な圧力に屈すべきではないと思う。従来参議院の法務委員会は良識の府と呼ばれてきたと思っています。私のような微力な浅学な者が参議院の法務委員会に席を置かしていただいて一番誇りを感じたことは、良識の府であるというその建前に立って、ここに列席されておる大川先生あるいはまた井川先生、後藤先生、これらの先生方は純然たる法律家として、与野党抜きにして今日まで堂々たる法律論を展開されて、立法の府を守ってこられた。参議院の良識を守ってこられた。私はこうした有為な堂々たる先輩の間に伍して、参議院法務委員会の権威を信じ、国民の信頼を裏切ってはならない、こういうような使命感に燃えて実は今日も質問に立とうとしておったわけです。そのやさきに中間報告あるいは質疑打ち切りがやぶから棒に出るのではないかといわれる。私は、自分の使命というものに対して非常にゆらぎを覚えるのです。それであってはいけないのですけれども、薄氷を踏むような思いがするのです。もっとありていに申せば、私が七時間も八時間も質疑をもし展開するようなことになれば、あるいはまたこれがきっかけになって質疑打ち切りというような、そのような不愉快なことが起こるのではないかというような、そういうようなことにまで神経を使わなければならない。一体、こんなことで議員の審議権というものは確保されるのか、参議院の法務委員会の権威というものが一体維持されるのか。私は、いろいろな政治勢力はあると思います。全然そういうことがあってならないとは言いません。しかし、これは治安立法であり、内容は、破防法の改正であり刑法の改正である。このような重要な内容を持つものに対して、参議院法務委員長としての現職にあられる法務委員長の責任というものは、しかく重大だと思う。で、私が、これから若干の質疑を展開するにあたって、どこからいつ何が飛び出してくるかわからないというような、そんな、不安な中で質疑するというような不愉快な空気だけは、これはぜひ一掃していただかなければならない。もしかりに政治的に何としてもそういうようなことをしなければならない段階があるとするならば、これは理事会をお開きになって、与野党の了解を得られて、われわれ参議院の法務委員がベストを尽くして職務を全うしながら、各党の意見の調整という方にこれは向いていってしかるべきだと思うのです。私はこのような政略の中で、質問を知らぬ顔をしてするような気持にはなれない。この点について法務委員長の見解を私はただしたい。しかる後に質問をいたしたい。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 私は中間報告のことについては何も聞いておりません。全然知りません。また、法務委員会としては十分慎重審議すべきものと思っております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 お聞きにならないということでありますが、お聞きにならなくとも、そういうような方法がきた場合に、これは法務委員会を守っていただく、このことを私はあなたに強く要望したいのです。それは参議院の誇りある伝統を守っていただくという一語に尽きるからなんです。その中で私たちは十分にこれを審議しなければならないと、こういうふうに考えておるわけであります。  以下、提案者に冒頭に御質問を申し上げたい。  提案者にまずお聞きしたいことは、この種重要な治安立法について、非常に衆議院は、何と申しますか、大急ぎで審議をお済ませになったように思います。何時間時間を費やしても結局同じことだという見解もあるでしょう。まあ適当なところで切り上げてしかるべきであると、こういう見解もあるかもしれません。しかし、内容から見ると、たかが議員の観閲時間が十五時間、二十時間というようなことで、この法律のすべてを尽くしたというふうにはどうも考えられない。はなはだ失礼な言い分ですが、考えられない。先ほど専門家である衆議院の法制局長さんですか、あの方の御答弁を伺ってみても、実にふらふらです。「政治的信条」、「政治上の主義」、聞いていて一向わけがわからない。法律というのは自民党や民社党や社会党のためにあるものではありません。国民のためにあるものです。治安立法は一読して国民に十分その意が尽くされるような、そのようなものでなければならないことは言うを待たないと思います。きわめて内容が膨大なものでございますが、十五時間やそこらで衆議院の審議というものは完璧であるという自信をお持ちになっておるのか、この点を提案者に尋ねたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) お答えいたします。  先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、本法案は、元来が非常な緊急事態と申しますか、最近の政情に対する非常な衆力に対する対策として考えられたものでございます。自然従って一日も早くこの暴力排除、暴力追放の一つの法案を成立させたいということは、これは高田委員も御熱心に御主張になった一人のようにも思っているのであります。これが第一非常な大きな意義を今日持っていると思うのであります。  それから申すまでもなく、この法案は議員立法でございます。どの法案についても、政府提出の法案につきましても、われわれ勉強をしなければならない。皆一同勉強しておるのでありますが、議員提案で社会党からもテロ法案が出ている、民社党さんからも出ている、自民党からも出そうといたしておる、こういうわけで、議員といたしましては、非常に努力をいたしまして、非常に関心を持って勉強をいたしておるのであります。その後、また高田委員も御承知の通り、また高田委員本直接御関係願ったのでありますが、何とかして三党で一つ一緒に共同提案をしたい、こういうようなことまで考えまして、いろいろ論議も――事実上は十分法案の内容も審議が尽くされておるというのが、これは実態だと思うのであります。でありまして、衆議院の質問時間が十五時間であったか二十時間であったか、私ちょっとはっきりいたしませんが、社会党の方も一人ではなしに大ぜいの皆さんが熱心に長時間御質問なさった。もちろん自民党からも質問なさっておる。そういう意味からいきまして、実体的に私は十分審議がなされたものであると、かように思っているのです。その後起こりましたいろいろな事態につきましては、ここに申し上げませんが、法案についての審議は衆議院で十分実体的にはなされたものであるということを、提案者として申し上げられるかと思っております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私は早川先生、稲田先生、門司先生このお三方にもこの立案過程において前後三回ほどお会いをいたしました。門司先生とはお会いをいたしませんでした。初めて両先生にお目にかかりまして大へんお人柄に打たれた。また両先生の善意にも敬意を実は表したわけであります。しかし重ねて申しますが、この異常な事態に対処するために、できるだけ三党間の調整を得て努力をされたということに対しては、私は了とするわけであります。しかし、両先生にどうしても再度お伺いしなければならないことは、たとえこの異常な事態に対する時限立法でありましても、これは人権を拘束する。一日でも二日でも拘束する。権力を背景としたこれは治安立法です。従って、この種治安立法に対しては、私は衆議院の審議というものは、提案者が理解されるほど完璧であったとは考えられないのです。それは私ども同志の社会党の衆議院の先生方に審議後のいろいろの問題点について実はお尋ねをしたわけであります。ところが幾多の疑問を先生方はお持ちになっていらっしゃったのです。重ねてお尋ねをしますが、衆議院のわが党の議員は全部十分な質問の時間を使ってそれが終了したと判断されておられるのでしょうか。この点をお伺いいたします。

早川崇自由民主党

○策議院議員(早川崇君) 少し高田先生に誤解があると思うのですが、衆議院の実情を申しますと、十五時間のなるほど御審議であったと思うのですが、この法案が本会議で提案されて、社会党の方が御質問されてから六月三日まで二十日間あったわけです。二十日の間におきまして社会党の方の御質問をわれわれは非常に望んだわけでありますけれども、社会党の方々が御質問をなかなかされようとしなかったわけです。われわれはそれがどういう意図かわかりませんが、そのためにわれわれは三十日間、日曜を除きまして常に委員会で待ちぼうけをいただいたというわけでございまして、そのことも一つお含みいただきたいと思います。  それからもう一つは、その前に約二カ月間にわたりまして、周田先生も入れましていろいろ三党調整をいたしました。それから最後の段階になりまして、猪俣私案という提案がございまして、国会関係のものを別立てにする、団体規制を緩和する、同時に、これを両立てにして国会を通す。これに対しましては、自由民主党としては、われわれといたしましては、この法案の性質上われわれは国会乱入は同じ暴力行為と思っておりますけれども、一覧が一致できるならば放流的大局的見地から、この猪俣提案をのむという御返事を申し上げました。ところが社会党の中央執行委員会では、それを拒否されましたので、それではもうやむを得ないから民社党の共同修正案ということで、ここだけが問題点であったのか、どうしても猪俣提案をおのみにならぬというので、やむなく今のような案で採決をいたしたと、こういう過程になっておりますので、なるほど御質問の時間は十五時間と存じますけれども、われわれはむしろ二十日間を、質疑をしてくれ質疑をしてくれと、しつこいほど申し上げたのですが質疑していただけなかったという実情も、どうか一つ衆議院の実態として御理解を賜わって御審議いただきたいということをお順い申し上げておきます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 懇切な経過の御説明をいただいたわけです。二十日間の審議に応じないという社会党の態度について御指摘があったことについて、私は党の一員としてその非礼についてはおわびを申し上げたいと思います。しかし皆さん方がそれぞれの事情をお話しになるように、この非礼の裏にもいろいろのやはり私どもの党としての考え方もあったことでございますから、ここでその非礼についてどっちが非礼であるとか、こっちにはこういう言い分があったとかというようなことは、私は預けたいと思うのです。問題は、いかなる事情があっても、この種重大な治安立法に対して十五時間の審議時間で質疑を打ち切ったという、このことについて、私は不満足ではないかという質問をしておるわけなんです。猪俣私案のことには、私はあとで触れたいと思いますが、それは触れないです。この種治安立法に対していかなる事情があろうとも、自民党のものでもなければ、民社党のものでもない、この法律は社会党のものでもない、国民の権利というものに対する一種の制限である、むしろ非常に強い制限である、刑罰規定を伴う制限である。団体に規制を加えるというこれまた異常なる制限である。こうした治安立法に対する立法者の熱意はわかります。お人柄からいって決してそれがうそではないとはわかります。けれども、わずか十五瞬間の審議時間でこれで満足であるというこの立案者の見解について、遺憾ながら私は異議を抱かざるを得ないのです。社会党にも数々の専門家がそこに列席したはずでありますが、質疑打ち切りというようなことで、その意を尽くさなかったことを、じだんだ踏んでくやしがっておるわけです。これは社会党のためにくやしがっておるのじゃないのです。説明を聞かなければわからないところが残ってしまった。そうしてこれが無理に法務委員会であんな形でもって強行採決された。おまけに衆議院の本会議では何が何だかわからないような形でこれを強行採決して……。こういうような治安立法というものは、国民の権利を縛る、その法律の審議のあり方として妥当を欠くものではないか、治安立法に対する立案者の周到なお心がまえというものにいささか疑問を抱かざるを得ない。十五時間という時間で、いかなる弁明があろうとも、これで十分であるという、こういう立証をお示しになることができますか、私はしつこいようでありますけれども、あらため、てこの点を確認させてもらいたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 高田先生のお気持なりおっしゃることもよくわかるのでございます。ただ、先ほど申しました通りに、審議時間の十何時間であるということでもって、それだけでこれだけの審議がおろそかにされたということは、私はいささか見解を異にします。実質上、ただいま申し上げましたようにずいぶん長い時間皆さんと何とか一つこの暴力排除の法律案を成立さしたい、しかも議員立法であるというので、議員がほとんど異例なくらい努力をされましてやったということも御承知の通りであります。そういう意味において、私は審議は十分やられておると信じております。  それからいま一つ。高田先生、これは申すまでもないのでございまするが、治安立法で非常に重大な団体規制といい、個人も、これによって対象としておる法規でございますから、非常な権利の制限になります。しかしながら、最近、暴力というものはテロといわず集団暴力といわず、これはどれくらい大きく国民全体の自由を侵害しておるか、どれほど国民に脅威を与えておるか。それにはまた世論がある。何とかしてこの暴力は排除してもらいたい、追放してもらいたいと言っておる点があるのじゃないかと思います。そういう点から考えますと、国民大多数のものの自由を非常に侵害するような暴力を、どうしても追放しなければいかぬと、これは私はあろうと思います。もちろんよくおわかりだろうと思うのでありますが、私はそういう点に重点を置きまして、この議員立法が社会党からも真先に出されておる、また民社党からも自民党からもあったので、何とかみんな一緒にして共同提案したいといった根本の理念になっておるのかと思います。そういう意味から申しましても、皆も非常に勉強いたした、十分そういう意味においては実費的審議をした法案であると私はかたく信じておることだけを申し上げたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 このことだけに長い時間を取ろうとは考えておりません。社会防衛の見地から、お気持ちはよくわかります。しかし、この種立法は社会防衛、社会的な防衛の面だけを強調することは危険だろうと思う。なぜならば、この種立法は個人的な一つの自由を拘束する内容を持っておるからであります。従って、これを治安立法と呼んでいるのでありましょうが、そうであればあるほど、社会防衛とともに、私が反面心配するこれらの規制等の問題については相当しぼって、最小限度、しかもすべての国民に明確にわかるようなものでなければならないという気持がいたしますが、その条件というものは、必ずしも本法案では満足されてないような点から、質問が残ったとか、疑問が解けないというようなうらみが少なくとも、一つの政党にあるということについては、これは少しお考えをいただかなければならない点だろうと私は考えます。従って、こういう見地から、参議院の法務委員会のここにそろっておりますわが党のメンバー、占部、亀田、藤田、この方々がとにかくこの疑義というものについては十分にこれはたださなければならない非常な責任を持っておられるわけなんです。私はそういうような重い責任をみずから――負わせられたのでない、みずから感じて、冒頭質問をしようとするときに、やれ中間報告だ、やれ質疑打ち切り、これは脅迫ですよ。これこそ暴力です。(「そんなことだれも言わぬがな」と呼ぶ者あり)いや、お待ち下さい。そう言ったというのでない。もしそういうようなことが現実にあるとすれば、私はこれは悲しむべき事態だと言うのです。だから、衆議院の提案者はそれは御満足だと言わなければならぬですよ、提案者が不満足だなんて言ったらひっくり返ってしまいますから。それは不満足だと言っても、本会議は通ってしまったのですから、やっぱり言わなければならないでしょうよ、心で幾ら思ったって。そういうわけですから、十分なるこれは審議を尽くさしてもらいたいという意味から、今この経過について立案者にただしているわけなんです。  次にお尋ねをいたしますが、去る昭和二十七年に破防法が上程をせられました。本法案はことごとく破防法といって差しつかえない。第四条の罪の規定、五条、六条のうち六条は削除せられました。五条、九条、これらを除いては 全文破防法でございます。全文これことごとく破防法である。この破防法は審議の過程でいろいろ  私も当時議員になったばかりでございまして、大へんもの珍しく法務委員会に傍聴を実はさしていただきました。当時さっぱり議員さん方の質疑応答の内容すらもわからない状態でございましたが、非常な熱烈な質問が展開せられたわけです。今は自民党でいらっしゃる一松さんが、当時扇動という問題について堂々たる法律家としての議論を展開された。私はいまだにそのことが深く印象に残っておる。かくして破防法は二十七年の四月十七日に衆参両院ともに提出をされて、参議院は予備審査をいたし、五月の十五日に衆議院を通過したものを受領して本審査に入った。約一カ月余り参議院は破防法について非常なる議論を展開された。六月の十九日に参議院法務委員会は破防法を否決いたしました。そしてこれが修正になって、結論として通ったわけでございますが、御承知のように破防法の立案過程においても相当長時間の、これは正式機関を経ておると私は承知しております。しかも、なおかつ三カ月の議論の中で参議院法務委員会は教唆、扇動の文字をめぐって激しい議論が展開されて、否決というような形に至ったことを歴史的に私どもは今思い起こすわけであります。このような歴史をたどった破防法の全文が、今回の政防法の内容であり、破防法の場合には、御承知のように内乱、外患誘致、それらの予備、陰謀、教唆、扇動、殺人、放火、列車転覆、爆発物の所持というような非常な重大犯罪がざっと並んでおるわけです。今回の政防法は、内乱、外患誘致、放火、殺人、爆発物の所持、列車転覆、そういうようなたぐいのものではない。内容は殺人傷害、逮捕監禁、強要、そして暴力行為の処罰法、それから首相官邸、国会の議事堂の中に不法に乱入する行為、こういうように……。破防法の罪科は非常に常識的に見てこれは重い。今度の場合には、この暴力、脅迫、逮捕監禁というようなものも含まった破防法と同様の罪科、それ以上の罪科を課しておる。しかもその上に六条が削除されてそして九条の届出制がさらに加わって、大へんな内容のものになっている。そういうものなのに、かつての破防法の審議には三カ月を要している、しかるに今回は十五時間である。これでいかにこの異常な事態に対処するために万やむを得なかったと言っても、治安立法の立法者としての態度と申しますか、御認識というものが、あまりにお急ぎになられたのではないかという、そういうきらいを実は持つわけなのであります。また同じように、最近この治安立法の制定は、昭和二十七年の四月三日刑事訴訟法の一部改正が提案された。しかしこれはやっぱり中には問題が含まれて、緊急逮捕の件ですか、暴行罪や脅迫罪、これらを緊急逮捕という罪名に加えるというような内容を持ったもので、暴力関係の内容を持ったものであったと私は承知しておる。これまた審議未了でございます。あけて三十三年の五月にあらためてこの刑訴法の一部改正というものが提案をされて、非常な慎重な審議の末に、衆議院並びに参議院においても本法案で問題になっている私文書の毀棄あるいは器物毀棄罪を非親告罪としようとした刑法二百六十三条、二百六十四条の改正規定を削除するというような修正までされた。非常に今日までわが国の法律、いろいろの刑法の歴史を見ると、絶えず慎重であり、絶えず細心の注意が行なわれてきておる。私はこれはもっともなことだと思う。民主国家であればあるほど人権が擁護されなければならない。アブノーマルな事態があるからといって、このアブノーマルなものを削除しなければならないからといって、これらの慎重な手続が省略され、議員の審議権が剥奪された中で十五時間の審議でこれらのものが通っていくというこの姿こそ私は問題だろうと思う。私はわが国のこの刑法の歴史というものは伝統としてこれは尊重しなければならないものだろうと思うのです。その伝統が破れている。破れた中で人権が守られるのか。刑法のわが国の歴史は、私は学者じゃありませんから知りません。しかし、最近の刑法改正に見、あるいは破防法の制定に見ても、いずれもこれは非常なる注意が払われておる。議員は附帯決議をし、あぶないところは削除をしている。そういうような歴史というものは、お互いさまこれはここでもって思いを新たにして考えてみるべきである。アブノーマルな事態だから、そら法律だ、そら縛れ、なるほど社会防衛の見地からそういうお気持はわかります。ほんとうにそれはわかります。わかりますが、なおかつわが国の刑法の歴史、人権の尊重はしなければならない。民主主義社会における刑法の改正等については、特に議員立法である限りにおいては、議員の良識とわが国刑法上史上の名誉にかけなければならないものがあるのではないでしょうか。私はこういうことを、みずからが未熟なるがゆえに、しかも私はこういう専門的な知識を持たないがゆえに、むしろこのわが国の刑法の歴史の伝統というものに対してえりを正して、このようなことをあなた方、皆さん方に御反省をわずらわすことができないものであろうかということを、謙虚に実は申し述べておるようなわけでございます。私は地方行政において門司先生の絶えざる熱心な御審議の態度、議員の中でも非常に尊敬を申し上げておる。門司先生の日ごろの慎重なる御態度から考えたときに、少し門司先生もあせり過ぎられたのではないだろうかというようなことで、私はむしろ門司先生の名誉のために、これは少しおあせりになっておられたように思うというような形で、むしろ門司先生の御立場を弁解する側に回っているようなわけです。先生のことを知れば知るほどですね。  いろいろと申し上げましたが、私は質問よりも何よりも、問題はこの基本的な態度、基本的な腹がまえというものなしにこの法律を扱うことは非常に危険であるとみずからを戒めているがゆえに、先輩の早川先生、あるいは富田先生、あるいは門司先生に向かってまことに非礼千万なことを数々申し上げたようでございますけれども、これは民社党の法律ではない、自民党の法律ではない、国民のための法律である、こういうような観点に立って申し上げたわけであります。  次にお尋ねを申し上げたいことは、これまたはなはだ申し上げにくい点でありますが、五月の十三日にこれを私拝見したわけですが、一般の新聞紙上で拝見したのは多分国会に提出された十七日より二、三日あとであったろうと思います。きょう新聞の切り抜きを持って参りませんでしたが、どうも二、三日あとであったように思うわけです。私ものんきなものでございまして、実は三党の話し合いのときに、富田先生から、社会党の先生方、少しこだわり過ぎている点もあるんじゃないですか、私どもは全学連のようなのだけをこの対象にするのだから、何も一般のものをどうこうというのではないのですからというので、実は私も拝見して、あっさりまあこの程度ならばそんなに心配はないのじゃないかという実は率直な気持なんです。あのときそう思ったのです。あのとき、富田先生のような温厚な人から御熱心に言われますから、はあ、なるほどな、しかし裁判所と国会と首相官邸と三つ入っているのはおかしいなというように、きわめてさまつ的なようなことにかまけておりました。実はあまり意に介しなかった。新聞を見たときも、詳細に見ましたが、新聞を見たときにそうあまり感じなかった。そこで、これはつい最近でありますが、ある情報から伺いましたことは、これはほんとうでなければいいと思うのですが、自民党の方はこの新聞発表をなさるのにあたって詳細なる法解釈を差し控えてもらいたいということを注文せられたと伺っておりますが、これは非常に私は問題だろうと思う。これは誤解であってくれればいいと思っております。なぜならば、省略したところが一番問題点なんです。そういわれてみると、なるほどな、新聞で省略してあるところが一番問題になっているからそういうことになっていますから、この機会に、新聞社にこの法律の詳細な説明は省略してほしいということをわざわざおつけたしになってお回しになったということを伺っておりますが、それはほんとうであるか、どの程度のものであるか、これをお尋ねいたします。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) そういう事実は絶対にございません。われわれは全文を、各新聞に差し上げまして、五月十三日に日本経済で、自民、民社両党の政治暴力防止法案はいいから通せという御激励をいただいております。内容を詳細に説明して……。また十四日、一歩前進の両党の暴力立法、これは毎日新聞でもおほめをいただいております。読売は、政治暴力立法はこの国会で成立させよと、社説でこの内容を詳細検討した上で書いていただいております。東京新聞も本国会で修正で通せ、朝日新聞も大体同じような御激励をいただいておりまして、新聞をあげて……。これは前の国会で超党派で暴力排除の決議をしておるわけです。それがその後嶋中事件その他起こりまして、また本国会でこの暴力防止法案を流すということでは、一体国民に対する義務を果たしておるのかという論調もございます。従って、われわれは、さらにこれを次の国会に流しますと、その間にまたしてもテロ事件が起こり、またしても悪質な集団監禁のような、あるいは国会乱入のような集団暴力が出てきたときに、どうしてわれわれは責任を負えるかという、ほんとうに平和主義に徹し、民主主義、議会政治を守るためにこの法案を出しておるんでございまして、それ以外の何らの別の意図はございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 大へん失礼なことを申し上げましたが、決してこれは非難するためのものの申しようではないということを御了解いただきたい。なるほど各新聞社は、早く社会防衛の責任をとれということで、お急ぎになったことはわかります。しかし、この安保の問題あるいは右翼テロの問題で、議員が責任を負うことは当然でありましょうが、行政の最高の責任を持つ池田内閣それ自体が責任を持たなければならない問題だと思う。議員が責任を持つことはあたりまえです。私どももそう思っております。しかし、それよりも先に責任を負わなければならないのは、これは何といっても行政の最高責任を持たなければならない池田内閣そのものなんです。これに対して法務大臣は、先般の本会議において、だんだんと事情を説明をせられたわけでありますが、遺憾ながら植木法務大臣の苦しい御心中をお察しすると、それ以上のことを申し上げたくないけれども、本来ならばこれは法務大臣が率先して責任を持たれるべきであった、法制審議会に諮問されるべきであった、早く立法されて諮問をせらるべきであった、刑法の改正は法制審議会がまず審議をして、そうして国会にその是否を問うという建前になってきているはずなんです。これが今日までの刑法改正の伝統だったと思う。なるほど理由は、異常な事態に対処するという、そういう事情はあるでしょう、あるでしょうが、なおかっこの種治安立法については、そういう手順を政府みずからがいち早くとおりになるべきであったと思うふうに、新聞は世論として期待していると、こういうお話しですが、また、これは朝日新聞ですか、「治安立法とルール」、こういう見出しで、慎重なる審議という毛のが、やはりこの社説の裏に出ていることもこれまた否定できないところなんです。ここでそんな問題を私はやりとりしようとは思いません。どうですか、法務大臣は破防法の改正ということを考えている、刑法の改正だけでいこうとも考えているというようなことは、あの浅沼事件の直後にしばしば法務委員会でもお話しになっておるけれども、何か法制、審議会に諮問をされた、こういうような事実はございますか。この点についてお尋ねしたい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 法務当局といたしましては、一昨年来のいろいろな世情に顧みまして、破防法、刑法、あるいは暴力行為取り締まり等に関する法律、これらの諸般の現行法制も十二分に研究をいたしまして、そうしてどういう格好でこの事態に対処するのが最もよかろうかということについて、常に研究を続けて参ったわけであります。ところが、たまたま御承知のように、日本社会党からも一つの対案を御提案になり、また民社党からも国会に御提案があり、次いで間もなく自由民主党からも成案を得てそうしてその骨子を新聞に御発表になりました。われわれ法務当局といたしましては、これらの事情にもかんがみまして、事は国民の基本的権利をある場合には制限をしなければならない大事な大事な法律でございますから、それだけに広く各方面の意見を十分尊重して、またそれを取り入れて、そうして立案をするのがしかるべきものだ、かように考えておりました。従って、法務省当局としての固まった一つの案を作るに至らないうちにこれらの法案がそれぞれ進行を始めております。私の方としては、法制審議会の議に付するがためには、一つの成案を得てその上で審議会の意見を問うことが従来の慣例でございます。従って、その成案を得る程度に至らぬうちに、ただいま申し上げましたような各党からの案も出、そのうちにまた自由民主党、民主社会党との間の共同提案のいろいろな御相談も進んでおりました。私は法務大臣といたしまして、こういうような大事な法律でございますから、それだけに必ずしも政府が一方的にこうした法律を出すということも一つの方法ではあります。従来そうした例が多いのではありますけれども、大事な法律であるだけに、なおさらまた立法府に属される議員の方々が御相談の上で議員提案としてお出しになるということが、うまい工合に議がまとまっていくものならばそれこそなおいいのではあるまいか、かように私は考えておりました。幸い今日のような両党の共同提案ができ、それに対する修正ができて今日に及んでおるようでありますから、われわれ政府当局といたしましては、みずから政府提案をするに至らない時期にこうした法案ができたということは、むしろ私としては、ある意味ではもっと早くできればよかったと思わぬでもありませんけれども、しかし一面においては、今申したような趣旨において議員の皆さんからこうした法律をお出しになって、そうしてそれを慎重審議の上で通していただく、今日の急場に臨んで後に悔のないようにしていただくことが、なおけっこうではあるまいか、かように私は考えておる次第でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 お気持のほどはわかります。しかし池田総理大臣は、私の嶋中事件刺殺問題についての質問に対して、早急に善後策を講ずると本会議で答弁をせられた。その答弁にこたえられて与党である自由民主党の治安対策特別委員会は、四月に政治的暴力活動防止法案要綱なるものを、ここにずっとお出しになったのではなく、立案をされて成案を急がれたわけなんです。同じような時期に社会党もまた、こういうことを知らないで、どうしてこの事態に対処できないのだろうか、一つわれわれでも作ってみようじゃないかというようなところでやったわけであります。しかし、あの事件に関連して、池田首相の責任ある答弁に対して、政府与党が政治的暴力活動防止法案要綱というものをここに作り上げたという誠意を、これを私はここで問題にしたい。政府与党じゃないですか、これは。政府与党が作られたものであれば、政府はこれに勘案をされて、これをなぜこの法制審議会に諮問なさらなかったのか。諮問すれば幾らでもできたはずです。諮問なさろうとする意欲がなかったからだと私は言いたい。もし私が法務大臣なら、いつでもあなた方は政府与党の考えを法律にでも行政的にでもどんどん実行できるだけのあなた方は行政的な権力をにぎっておられる。その政府与党が池田首相の本会議の答弁にこたえて四月に政治的暴力活動防止法案要綱として相当な内容を盛ったものを提出された。本法案にほぼ同じようなもの、民社党より若干軽い、こういうものが出されておる。お作りになっておるのですからね。それはあれでしょう。法務大臣はこれを法制審議会におかけになるならできたはずじゃありませんか。それをわざわざ民社党と共同でおやりになって、そうして――大臣ここをよく聞いて下さいよ――ようやく議がまとまって出されたので、私は安心をしたと、こう言っていられる。議はまとまっていないですよ。治安立法というものは階級的な立場に立つものではないのです。資本主義を擁護したり社会主義を擁護したりするような、そんな階級的な立場をとるものが治安立法ではないのです。あなた方は階級的な立場をとろうとするところに問題が起こるのです。そうじゃありませんか。議がまとまったということは、一切の階級的な立場を超越して、このアブノーマルな社会に対応すべき緊急最小限度の制限を加えるというこの基本線がくずれたから、こういう問題が起こってきている。そうしてここに政治の混乱が起こってきている。そうしてこの混乱の中にろくろく審議されないものが、もしかりに参議院でべらぼうな形で通過したとしたら、どこに民主主義の擁護があるのです。私は法律の内容もさることながら、この立案過程におけるきぜんたる政府の意図、そうして治安立法に対する議員の謙虚なる心がまえ、階級性というものを超越した基本人権と民主主義の上に立つその慎重な謙虚な態度こそが治安立法を進めていく上における不可欠の要件だと思えばこそ、はなはだ失礼万々のことを繰り返して州済まないわけでございますが、なぜこういうようなこと、下地ができているものを、なぜこれを法制審議会におかけになれなかったものか、非常に私は残念に思うのです。従って、法務大臣の御答弁では私の満足のできない御答弁であります。了解のできない点が多多残るのであります。どうぞお答え下さい。(「おざなりの答弁じゃだめなんだ、もっとはっきり言いなさい」と呼ぶ者あり)

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの御質問は、何かわが党におきましてまとまった案ができて、それを政府が取り上げて直ちに法制審議会にかける等々の手続をして出すべきではなかったかというように拝聴いたしました。しかし私は、私の承知しております範囲では、自由民主党でそれほど固まった案ができてそれをわれわれにお示し下すったことはないのであります。私の承知しております範囲では、早川さんが委員長をしておられますあの委員会でまとまりました案、その案は拝見いたしました。そうしてそれがその後民社党あるいは日本社会党にもお話しかけをなさり、その結果が民社党との間においては話し合いができて、日本社会党との間の話し合いはできなくて、いわゆる両党の共同提案になったと、かようないきさつを承知しておるだけでございます。われわれ政府といたしましては、それほどの固まった案がどうしても遺憾ながらできませんでした。そのために法制審議会に諮問をしてその意見を問うだけの機会を得られなかったのでございます。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 私、実は立案の初めから関係いたしておりました一人として高田先生にちょっと申し上げたいと思うのでありますが、今、時日の点でございまするが、今度の暴力排除の法案を一番早くお出しになったのは、やはり社会党であったと思うのであります。今見てみますると三月三十三日の提案になっております。続いて、日時を忘れましたが、民社党からも案が出ております。ところが、自民党の方を申し上げまするというと、自民党の方では今年の初めごろから実は暴力追放と暴力防止のことについて考えておりました、委員会で。ところが、まず第一に一般暴力、町の暴力を追放したらどうかというので、街頭を明るくするとかあるいは刃物の所持の制限であるとか、あるいは婦人議員の皆様のお力ででき上がった例の酔っぱらい追放といいますか、ああいう法案もできる。これは一般暴力で、続いて治安暴力と申しますか、政治暴力をどうするかという問題を寄り寄り話し合っておったのです。要綱もぼつぼつ作り始めておったときに、社会党がまずテロ防止処罰の法案を出される。続いて民社党さんからも出される。こういうことがございました。そこで、われわれとしましては要綱も作りました。同時に、何とかここで一つ議員立法にいたしたい。今日の世論にこたえ、また今日の先ほどお話しのようなアブノーマルな非常に緊急な世相に対して何とかしなければ議員としてもいけないのじゃないか。また、先ほど話しのありました通り、暴力排除の決議案も前国会で通っております。議員として何とかこれは暴力を排除したい。そういうところから、幸いにといいますか、社会党、民社党でも案をお出しになっておるから、これに一つ同調して、暴力排除という点については皆で一致できるのだから、三党共同提案でやりたいと、こういうことをわれわれは念願いたしたのであります。そういう意味で、政府の方にも、ことに植木法務大臣にもよく連絡いたしまして、法務省でもいろいろ研究はもうすでにされつつあったようでありますが、むしろまあ待ってくれ。そういう言葉を使ったかどうか知りませんが、気持から申しますと、われわれ議員で何とか三党でまとめて案を練り上げたい。だから一つ待ってくれ。そうして皆で一つ仲よくりっぱな案を作り上げたい。こういうことを申したことが、法務省はなぜ法制審議会にかけなかったかと、今いろいろ御指摘になるような原因になったかと思いますが、その責任の一半は、いろいろわれわれ委員のうちにもあると思いますので、この点一つ御了承願いたいと思います。その間、ただし法務省当局ともいろいろ連絡をいたしまして、過去の実績、いろいろな問題もありますから、よく意見を聞き、実情も聞く。こういう態度で進んで参りましたので、実際与党といたしまして政府が作りたいというような案を十分考えた。一面から言いますときに、こういうような状況でございますので、一応ちょっと御了承願いたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 立案者の富田委員から、責任の一半があるという大へん謙虚な御反省の言葉をいただいて、私は了とするものです。その言葉こそ私は伺いたかったんですが、非常に責任があるということ。しかし法務大臣のお口からはですね、非常に政府として責任を痛感したという言葉をあまり伺えない。私はくどく言うようですけれども、政府与党はです。時には政府を引きずり回して、予算の編成等においては傍若無人のふるまいをしてきておる。政府はこれに屈服をしておる。なぜ治安立法だけが法務大臣の良識が勝たなかったのか。やろうやろうと思えばできるはずなんです。そうしてまたそれは政府の責任においてやられるべき筋合いのものです。ですから、今日までの政府並びに与党自民党の動きから見たときに、やっぱりこの行政府が主導権をとられて、そうしてともにこの治安対策委員会のそうそうたる早川さん、富田さんというようなメンバーもそろっておられるわけなんですから、よく御相談をせられて、これだけの案ができておったら、これはもう法制審議会におかけになれば、きっといろいろのもっといい名案が出たろうかと思うのですね。早川さん、富田さんは非常なる法律の御専門でおられることは、百も承知しております。しかし、なおかつ政府の立法に対しても刑法の改正、治案立法についてはこれは厳重な審議機関を経なければ、やはり刑法成立の建前としてけっこうではないというようなことから、そういう機関が設けられておるわけなんですから、政府はやはりそれだけの責任感をお感じになるべきだと思うのですね。しかも法務大臣は、この議員の方がみなまとまったんだから大へんけっこうだと思っているなんと言うのは、これは認識不足もはなはだしい。重ねて言います。治安立法というのは階級的立場に立つものではない。あくまでも目標は社会防衛、民主主義の確立なんだ。そのことのために基本人権が制約されないような慎重なる機関の配慮というものが必要であることは論を待たない。それくらいの責任がなくて、一片の法律でテロやそれからいわゆる労働組合とかあるいは大衆行動のトラブルというものを抜本的に是正するというようなことはできやしないのです。もちろん私はこの立法が永久的なものでないことを了とするものであります。そういう建前の上に立って、なおかつ政府の責任というものは追及されてしかるべきものだという、こういう観点に立っておるのです。再度私は法務大臣の答弁をわずらわさなければならない。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 御承知のように、いつかも御答弁申し上げましたが、政府といたしましては二月下旬に暴力全般に対しての予防、防遏についての閣議決定をいたしまして、広範な行政の各部門から暴力追放についての措置を講じようという努力をいたしております。その現われが、先ほど富田委員もお答えになりました刃物の規制の問題でありますとか、あるいはまた皆さんの方で御立案になりました酔っぱらい規制の問題でありますとか、あるいは予算的措置の問題として、これは法律はこしらえるには、至りませんでしたが、夜の町を明るくする諸般の行政的措置の問題でありますとか、こうした問題を着々としてそれぞれ直ちに実行に移すことの努力をして参ったのであります。しかしながら、このテロ行為その他集団の政治的暴力といいますか、これらについての問題も何らかの対策を至急立てるべきであるという方針のもとに、御承知のように治安関係の懇談会等も内閣にこしらえて、それらの意見も徴して、さらに進んで参ろうということでおりましたが、これもいろいろな事情から、その後開くようにならなかったことは御承知の通りであります。そこで政府みずからの立場としては、先ほど申し上げますように、各党からお出しの提案並びにみずから現状に対しての認識を、これを整理いたしまして、そうして着々として何らかの成案を得るように努力をいたしておりました。その過程において、今申しますような各党からの案が出ましたから、それの進行をも互いに見合っておったわけであります。その際に、たまたま今回の御承知のこの共同提案の議がありましたので、これならば、私が先ほど申し上げましたように、政府がこうした立法についてやるのが従来の例ではございますが、しかし国民の基本的権利に関係する重要な事案を含んでおりますから、それだけに、なおさら、立法府におられるそれぞれ議員の方々が議員提案としてお出しになる、こうした案ならばなおある意味においてはいいのじゃないかという見方もあり得るのであります。私はその考え方もこれは捨てがたい問題であると考えましたので、それで政府提案で出すとかあるいは法制審議会に諮問するとかいう程度のところまでは手続が運びませんでしたが、しかし、それがもしさらに理想を追いますならば、もっともっと早く適当な案を見通してこしらえて、そうしてそれを法制審議会の議に付するということができたならば、なおさらよかったろうという意味においては、はなはだ努力の足りなかったところをおわびいたしたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 法務大臣のお人柄を知っているがゆえに、私はあなたの苦衷も十分御答弁の中からくみ取ることができるわけなんです。だからといって、法務大臣は公人であります。決して私人という立場に立って私は今あなたにものを申し上げているつもりはさらさらないわけであります。もしそれだけのあなたが責任を痛感されたということであるならば、なぜあのような事態に、ああいうぶざまな形で法務委員会を通過したことを、あなたは見ておられたのか。議員の質問した時間はわずかに十五時間です。膨大な内容を持つこういうものが十五時間です。そうして階級的な立場に立っちゃいけないという観点に立っているのに、社会党はここに入らない、階級的な立場に立って入らないのじゃないですよ。そういう観点から折衝したのですけれども、議がまとまらない。つまり機が熟しておらなかったのですね。熟しておらないところへ持ってきて、今度質疑打ち切りをかけて、そうして委員会を移動して、陽動作戦とやらで、ちょこちょこと変なことで通して、本会議に至ってはなおさらのこと、言語道断、なぜ政府は、こういう事態に一緒になって万歳と言ったのか。あなた方一緒になって、万歳の乾杯をあげたに違いない。不届きである。政府の責任ある態度としては、どうしても私は了解することできないのですね。もし私がかりにあなたの立場にあったなら、やはり大臣の職を賭しても、踏むべき筋を踏み、そして社会党もともに、最終までねばりにねばって、社会防衛と民主主義擁護の見地から、あなたは堂々の陣をお進めになってしかるべきだったと思う。私はあなたの人格を知るがゆえに、あまりに弱過ぎる。弱過ぎるとあなたをしかるわけではありませんけれども、治安立法であるがために、私ども苦言を呈さなければならない。社会党議員として苦言を呈しておるのではありませんが、国民の一人として、その治安立法そのものについての謙虚な――大臣、われわれは勇断がほしかったということを、つくずくあなたのために私は惜しむのです。  さて、これに大権はお答え下さいと申し上げても、それは無理だと思いますから、次に質問を進めさしていただきたいと思います。提案者にお尋ねしたい。提案者は、治安立法に対する心がまえについては、以上私の質疑で明らかなように、その善意は認めます。異常の事態に対処して、議員として責任を痛感されるというその善意は、私は大いに敬意を表します。またその熱意に対しても、脱帽敬礼することにやぶさかではありません。そういう前提に立って、この法案を拝見いたしますと、右翼テロの暴力とともに、頻発する国会周辺のデモ等におけるいわゆる暴力という問題を、一緒くたにとりまとめて立案をされております。従って、この結論に至るまでには、十分の研究と十分の資料に基づいてされたものだと私は了解したい。この立案過程にあたって、どういうところから、どういう問題について、どのような資料をお集めになったのか。これが一点です。ちょっと抽象的でありますから、具体的に一つくらい申し上げますが、たとえば第四条の「政治的暴力行為」の定義の中で、一号から八号まであげられております。つまり「人を殺すこと」、「人の身体を傷害すること」、「逮捕監禁」、「強要」、「暴力行為等処罰に関する法律に規定する行為」、それから「不法に、内閣総理大臣官邸若しくは「国会の会期中に国会の議事堂の中に侵入すること」というようなことが羅列してありますが、こういうような類型をおきめになるのには、それ相当の資料をお持ちになって、あげられてこられたと思いますが、どういうような資料を、どこからお集めになって、どんなものがこの立案過程に最もポイントとして講ぜられたのか。この点をきわめて詳細に、立案者からお答えをいただきたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 第四条でございますが、先ほど来も申し上げますように、われわれは、もう暴力は個人的であろうと集団的であろうと問わない。あるいは中には、右翼だけとか、左翼だけとかおっしゃいますが、左右を問わない。そんなことはもしあるとしても、これは問わない。こういう建前で、暴力は一切排除をしたい。これがまた今日の世論じゃないかと思います。正しい世論は、そういうことを要求しておるのじゃないか、こういう建前に立ったのでございます。よけいなことでございますが、この点がちょっと最後まで社会党の皆様と意見が多少違ったかと思いますが、われわれは、暴力がもう集団であると個人であるとを問わない、思想的背景がどんなものか、これを問題にしないという点があったと思います。たとえばそこで、政治的暴力の対象として、今御指摘のように八項目ほどあげておりますが、一番の問題は、何と申しましても、最近は殺傷事件でございます。浅沼さんのあの御不幸な事件、また嶋中事件、これはもう非常に世間にショックを与えていると思います。どうしてもああいうことはなくしてもらわなければならぬ。それでなければ民主主義は守れぬということが、非常に大きな面をなしているのであります。それからいま一つは、昨年のたとえば安保闘争といいますか、安保騒動において現われたようなあの集団暴行であります。反復――それこそ反復継続して、そうして一つの指令のもとに、連日のように何日間にわたって国会を襲撃する。警備されている国会を襲撃する。そうしてさくを、準備したものでもって、なわで引きこわす。外灯もたたきこわしてしまうと、こういうこの集団暴力、これはどうしてもわれわれはデモとは考えられません。正当な大衆行動とはどうしても思えない。これは何とかしなければいかぬ。これは私は、ほんとうに大多数の世論と申しますか、であったと思うのであります。  そこで、この第六号には、国会議事堂、それから総理官邸、これは昨年来現われた現実の事象をつかまえて対象にいたしております。それから殺傷の問題は、今の嶋中さんのようなああいう事件、これに非常に刺激せられている。それからそれに続きまして、これは一々事態を申し上げれば枚挙にいとまがないくらい逮捕、監禁、強要がございます。集団的暴力行為、器物損壊、ずいぶんございます。そういうこともございますから、これも加えた。それからここには教唆扇動には至らぬが、どらももう少し、この殺人を、当然ああいう者は天誅を加えるべきだとか、殺すべきだとか、いわゆる殺人の正当性、必要性を主張している。これは何とか規制すべきじゃないだろうか、何とかこれは捕捉すべきじゃないだろうかという意見もございましたから、第七号にはそれが現われている、こういうような不法の行為だと思います。  それらの資料は、高田先生もごらんの通り、新聞紙上にも詳しく出ております。その他にも出ております。また、われわれは警備当局からもそういう資料をもらってもおります。聞いてもおりますので、根本にはそういう暴力を排除したい。その必要もある。ごく最近に起こった暴力、これを追放いたしたい。予防いたしたい。これが根本観念であったと申し上げたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 具体的に言うと、浅沼、嶋中事件、それから集団暴力においては安保闘争のあの一つの現象、こういうものをお考えになったようですが、それについて、この資料を詳しく申し上げてみると、たとえば嶋中事件あるいはまた浅沼事件、これらの背後関係というものについても、相当の資料というものをお集めになって、それらの組織、それらの機構、それらの現状、いわゆる背後にあるものの現状というものについては相当の資料をお集めになったものだと私は了解したいわけです。そうでなければ、テロ行為を抜本的にこれをなくすために、こういう法律をなすったと述べておられるわけですが、相当な資料というものは、立案者において御用意になっておったと私は見るわけなんです。浅沼事件の、あるいは嶋中事件のような、世間が非常に疑惑を残していることは、背後にあってこれを教唆扇動したという団体、その団体がまた別な変なものにつながっておる、それがまた分かれて変なものにつながっておる、そのまた手先の者が町のゆすり、かたりをしているというようなものにもつながっている。実に広範なこの機構網があるということを実は私聞いているのです。社会党が立案するとき本、私は法務部会の一員として、相当な現実に基づく資料というものをもって立案をしなければ、その抜本的な対策にはならない。その資料というものは徹底的に集めなければならない。そしてもし立案するとするならば、最小限度最も必要なものについてのみこれを規制しなければならない。それには現実というものに対する資料というものが必要なのではないかということを実は力説した一人であります。従って、立案者は、かかる重要な治安立法を立案されるにあたっては、それ相当の背後関係の究明等についての資料は、私はおそろいになっておったと考えるわけであります。不幸にしてわれわれ審議するその議員の中には、そういう資料というものは実は一つもちょうだいしておらない。もしかりにこれが政府提案であれば、あるいは政府はいろいろのこの審議に必要な資料はわれわれの前に出してきていたかもしれない。議員立法であったとしても、審議する者に対してそれ相当の根拠になるだけの資料をお出しになるのが私はこれはあたりまえだろうと思う。どうしてそういう資料をお出しになることができなかったか。赤尾敏氏の逮捕なんというのは、あっけなくあれはもう解き放されて涼しい顔をしておる。私は、あの赤尾敏が逮捕されて釈放に至るまでの経過というものを、実は不敏にして知らない。多分今度の法案を審議するには、それらの資料というものは少しはお出しいただけるだろうと実は思っておったんです。その資料に基づいて、私は、この法律でもってこういうふうになってこうだから、これでもって縛れるということがはっきり言えないのですね。法律の字いじりなんか私する必要がないのです。法律の字のひねくりなんというのは専門家にさせればいいのです。しかし、やっぱりこういう事実だから、こういうふうにしてこうだからこれは縛れて、こうなって、これは排除できるんだという、そういうものがなければ、これは納得のしようがないじゃありませんか。立法府のわれわれはしばしば政府に資料の要求をするわけなんです。従って、私が聞きたいのは、ちょうだいできる資料があるかどうかということが一つ。  それから、安保闘争におけるあの騒動の問題についても、これは相当資料をお集めになったものではないかというふうに考えられる。あれは起訴された者が何人かおるはずですね。どういう罪状で何人起訴されているか。そしてそのメンバーはどういうメンバーなのだろうか。そしてその機構はどういう一体機構なのだろうか。現在の全学連の学生運動というものはどういうものなのだろうか。立案者はしばしばお話し合いの過程で、全学連のようなものをということを口にせられたのだから、多分やはり全学連を目標に置いておられると思うのですが、やはり全学連が安保騒動でやったその行状なんというものについて、少しは資料としてお出しいただいた方が審議上都合がいい。なぜなれば、これは刑罰をもって縛るのですから、こういう事態のときにはこれで縛っていくんだ、こういう事態のときにはこうなっていくんだ。そしてこういう事態で、この人間がこういう団体に入っているときにはこの条項に該当するんだから、ああいうような騒擾問題は、この法律を出せば一ぺんにこれは解消する良薬なんだということを、これはやっぱり私ども知りたい。立案者の皆さん方に、くどいようですけれども、私らもこれは責任あるわけなんです。ここへきょう出た以上は、これは早川案でもなければ富田案でもなければ、門司案でもない。これは参議院に送付された参議院法務委員会の案に今なりつつある。それだからこそ、私はそういうような現象というものに対して、この法律のこの条項でこれは徹底的に抑えることができるのだという、そういうことを知りたい。もし資料があれば一つどういう資料をお集めになっておったのか、また、安保騒動の中における起訴された人物、起訴状の内容はどういうものか、こういう点をお持ちでしたら一つお知らせ願いたいと思います。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいまこの四条に関連いたしまして資料の問題を高田先生からお話しがあったのでありますけれども、私は率直に申しましてかように思っております。議員立法でございますからして、政府提案のように一々資料を全部集めてこれを皆さまにお渡ししなければいかぬということは、ちょっとそこまではなかなかいかないのじゃないか、率直に申し上げますが。ただしかしながら、高田先生のお気持はよくわかりますので、必要があればこういう資料を一つ出せということをおっしゃっていただけば、これはわれわれ現に今日法務当局でございませんから、あるいは捜査途中のものもございましょう、あるいはきまったものもございましょう、起訴の、またあるいは判決のあったものもございましょうし、いろいろ種類がございますから、ちょっとそういうことは、その当局でないとなかなか選別が困難ではないかと私は思うのであります。また議員立法でございまするから、他の観点からいって必ずしも全部資料がそろわぬでも、大体私は明敏な高田先生なんかよくおわかりだろうと思うのでありますが、ことに社会党からは、政治テロ処罰法案が出ておりますが、これは社会党も殺傷はけしからぬという非常な厳罰でお臨みになっている。その資料は、はたしてわれわれに配られておるかというと、これは配られておらぬのでありまして、これまた要求をすればお配りを願えるだろうと思うのでありますが、これは法務当局からお答えした方がはっきりするかとも思いますが、一応お答えいたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは今回の立法だけではありませんが、どういう場合にも、刑罰法規を作る際には、何か具体的に起きている現象に対する目標があるはずなんですね。それなくして立法しようなんていう、そういうことが起こるわけがない。で、そういう場合に、何か必要性を感じて作らなきゃならぬのだ、そのことにとらわれすぎますと、やはり作られるものは、これは抽象的な条項になってくるわけです。しかしながら、そういう現象は千変万化なんですから、その隣り合わせのようなところが大へん問題になってくるわけですね。従いまして、社会党にもああいう立案がありますが、皆さんの方と結局意見がまとまらずに、自民・民社共同提案でこういうもので出ておる。そこでですね、この必要とされている社会的な現象に対して、これがいいんだ、この両党案がいいんだ、こういうことで皆さんもお考えになっているのだと思うのですね。そこで問題は、ときどき引き合いに出されるのが、必要としておる現象というのが、皆さんがときどき言うのは全学連のような左の方、右の方では右翼、そういうことが大まかな概念としては出ておるわけなんです。しかしこれは、実際に大川委員もずっと逐条的に検討されたように、実際問題の適用がどうなるだろうかというふうに考えますと、なかなか大まかにはいかない、そう大ざっぱには。そこで、この左の方のこの方面に向けるんだという、その左の方というのがどういう一体概念でお考えになっているのか。ただ漠然と左じゃ私はいかぬと思うんですね。で、高田さんが資料を出してほしいと言いますのは、皆さんの案が適当なのだろうかどうかというその判断をするためには、その目標とされておる団体なり現象について、自分たちは要約するとこういうふうに考えているんだと、そのことを具体的な事例とともにその事例を批判して、批判すれば要約してこういうことになるんだと、だからそこにこの条文のこの条項を適用してくるんだ、この団体がこう来た場合にはこれでいくんだと、こういうふうに、こう関連づけてほしいという意味だと思いますし、私もこういう憲法の、何といったって人権を大きく制限する規定でありますから……。しかし、それもほんとうの意味でそういう関連性というものが明確になって、必要ということならやむを得ないでしょう。だから、そこを具体的な資料と同時に、その資料に対する皆さんのまとまった考え方というものをこう出して、そしてこの条文との関連というものを明確にしてほしい。これは右に対してもそうです。右翼暴力と一口にこうおっしゃっても、実際ははっきりした概念ではありません。そこなんです。で、そういう点がはっきりしませんと、漠然としてこういうふうなものをお作りになっても、いわゆるこの右翼のテロ行為というのは、何といっても性格的にはこれは個人的な色彩が強いわけです。団体を解散してみたところで、なかなかこれは陰にこもる性格を持っておる。だから、はたしてこれでいけるんだろうか、そうなりますとそっちの方はなかなかこれでいけそうにもない。残るのは結局表に常々と顔を出しておるもの、こういうことの心配があるものですから、労働組合なりそういう方面が非常にこう神経を立ててくることになる。だから、そういう意味でのこの資料、関連性というものを、ただ一般にいわれておる程度にこの見当だというふうなことじゃなしに、やはりもう少し突っ込んでほしいんですね。で、まあ私の質問の番になりましたら、いろいろ私としてもその点だけじゃなしに、たくさん実は考えている点があるわけなんですが、一応高田さんが同じような問題に今触れられておりまするので、私からも、これは一つ提案者だけじゃなしに法務省の方も何かそういう点で法案を審議に協力できるようなことがあれば、やはりそういう作業をしてもらいたいと思う。われわれ社会党案のものにつきましては、まあ私が皆さんに今要求したほどの資料というものは、ちょっとこう即座にはお示ししにくいかもしれませんが、しかし、気持としてはそういう点を実は非常に考えておるんです。だからそこら辺のところを、これは法務省の方からも一つお考えをざっくばらんに聞かしてもらいたいと思いますが、これは即座にどういう資料をしからばどうするということは、なかなか簡単にお答えできにくいかもしれませんが……。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 資料の問題は法務省からもまた御答弁願えることと思いますが、今、亀田委員からお話しがございました。私言い方が足りなかったのかもしれませんが、私は左翼の暴力とか右翼の暴力とかいうことは、これはもう私はいまだかつて言ったことがないのです。たとえば集団は左翼だとか、個人的なものは右翼だとかということが一般に今言われておりますが、たまたま最近起こったのはそういう傾向に思われるというだけでありまして、ヒットラーの時代を見ますと、御承知の通り右翼がむしろ集団暴力で、左翼が個人テロだということを言われる人もあるくらいでございます。左翼とか右翼とかいうことじゃなしに、いやしくも暴力は、集団たると個人たるとを問わず、これは何とか予防しなければいかぬ、排除しなければいかぬということが世論であり、また立法の趣旨だったと思いますので、ちょっとこの点だけを私足らなかったと思いますので、補足さしていただきます。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) この段階におきまして、私どもも可能な限りの御協力を惜しむものではございません。ただ、先ほど提案者からも御説明ございましたように、この法案が昨年来の一連のできごとに対処しようという趣旨に出たものであるというものでございますが、こういうふうに法案の形になりまして、かつまた、いろいろな角度から法制同等で法律的な、技術的な面からの検討が加えられてきておる案だと思いまするが、こうやって抽象化された一つの法律が、すぐ過去のどの事件にどういうふうに処理されるかというようなことになりますと、その個々の事件だけを取り締まるという目的の法律ではないのであって、将来、過去のようなあの種の事件を防遏しようという御趣旨の法案でございますので、個々、ケース、ケースによりまして検討をされなくちゃならぬのでございます。私ども法を執行する立場のものといたしましては、この法律の適切な解釈のもとに法の運用をはかっていくほかない次第でございます。でございますから、この法案のどの条文がどの事件にどういうえうにぴしゃっといくかというようなことを御議論いただきますことは、私どもとしましては、ケース・バイ・ケースできめていかなければならぬというふうに考える次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 もう一点。富田さんからお答えがありましたけれども、やはり問題は、そういう立法者自体が抽象化された立場で立案をすべき問題ではないだろうと考えるのです。あなたは今ドイツの例をお出しになって、その当時はむしろ逆だ、こういうお話しもありましたが、逆なら逆で、逆に適したようなやはり暴力対策立法というものをお作りになったらいいわけです。それはやっぱり国、そのときによって違うわけですから……。もちろん今刑事局長の、何も法律というものは一つの事件を片づけるためのものじゃない、これはもう当然のことです。しかし、どんな場合にも、ことに刑罰法規の場合には、それは人権をそれだけ縛るわけですから、具体的な必要性によってこれは生まれておるということは事実なんです。どこでも、どの場合でもそうです。あなたはそういう工合に抽象的に左も右もないのだ、暴力はいかぬのだと、こういう立場で考えているとおっしゃいますけれども、しかし、このことを要求したのはもともとはこれは世論でしょう。その世論の始まりは、何といったって浅沼さんが殺されて、その前後にもほかのことがありました。そういうことが大きな一つの根拠になっております。だからその要求にこたえるということも、これは為政者として当然でしょうが、立法というものは、やっぱり私はそういうものだと思うのです。だから、そこをしっかりやっぱり踏んまえて、そういうことに対処できるだけの的確なものを、作る。私はこれができたら大へんな功績だと思うのです。国会議員としては。もっとほかにもあるでしょうが、いろいろ立場があれば、それはそれとして、また十分研究してもいいわけでしょう。しかしこの暴力立法、――テロに対してどう立ち向かうのかということは、何といったって一党の総裁が殺された、白昼公然と。ここから起きていることは事実のことだ。それで、私たち社会党は大きな被再考なんですね。しかし、これは決して社会党が自分の委員長を殺された、そういう意味だけではないのですよ。社会党は委員長を殺されたから極端に右翼の方のテロばかりを目標にした法案を考える、これはとんでもない話しです。社会党の浅沼さんが何も私たちだけの浅沼さんじゃないのですからね。たくさんの社会党に投票しておられる人がある。また世論が盛り上がっているのもそういう背景があっての浅沼さんなんです。そういう意味で直接の被害者は社会党であり、またもっと掘り下げて考えれば、それを支持しておるたくさんの大衆の人が被害者なんですね。そこから盛り上がったのに、今度はその人たちが要求しておるものが前へ進まないで、もうちょっと考えてくれと言われる方がこう何か前進しそうだ。高田さんは最初こまかく話しがまとまらないので、こういうものがまかり通ろうとするということに対するふんまんを述べておられましたが、私は多少理論的、法律的に掘り下げて、そういう点を同じことを実は申し上げているのです。これでは筋が通らぬですよ、経過から見て。私はこれは決して私たちの気持だけを申し上げるのじゃなしに、やはり治安立法に対する当然の取り組み方ではないかと考えるのですね。社会党が立案したあの法律案もいろいろ御議論、御批判があります。私たちもあれは完全だとは思いません。作成した後のいろいろ専門家の批判等をお聞きしましても。そういうふうに非常に狭く目標を限って、何とかそこに対象、焦点を合わそうと、こうしてやっておる。それすらもなかなかうまくいかない。そういうわけでありまして、あまりそういう具体的に焦点を合わすようにこの法律は考えておるのだとあなたの方でお答えになると、しからばどういうふうに焦点を合わすのか、事実とこの法文との関係を明確にしてほしいというふうにこちらが要求するかと思って、そこら辺を何か抽象化されておっしゃっているようでありますが、それはちょっと早川さんや富田さんの本心では私はなかろうと思うのですね、どうなんですか。どうも亀田君の言うのは、それはちょっと立法論としておかしいじゃないかというふうな御批判でもあるのなら、また私どもはいろいろ御意見をお互いに聞くことも大事ですから聞かしてもらいたいと思うのですが、私ちょっと少し納得いかぬ問題ですから、早川さん、富田さん、どちらでもいいですが、これはなかなかむずかしい問題ですから、一つざっくばらんに御意見を聞きたい。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいま亀田委員の御意見なんでありますが、これは私全部否定する意思は全然ございません。よく御意見わかります。この法案ができましたのは、たびたび申し上げる通りに、最近の嶋中事件なり、また少しさかのぼりますと、われわれの考えでは安保のあの集団衆力、これがやっぱり原因をなしておるとわれわれは考えておるのであります。しかし、先ほどちょっと私は申しましたが、ただ集団は左翼であるから、集団を対象とするものは左翼対策だ、あるいは個人テロの問題はこれは右翼だというようなことがあると、ちょっとわれわれの考えておりましたところと違いまして、右翼であろうが左翼であろうが、集団であっても個人的のものであっても、右翼が集団をすれば、やっぱりこれはもちろん対象になるわけでございますので、これはおわかりだろうと思いますが、そういう意味、気持を申し上げたのでありまして、亀田さんの御意見に決して反対という意味では全然ございませんので、言葉が足らなかったと思いますが、そういう趣旨であったと御了承願いたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 立案者に対して詳細な資料の要求をするということは、これは大へんある意味では失礼な申し出だと私も思う。しかしこれだけの刑罰がざっと並んでおって、具体的な浅沼事件、嶋中事件、安保事件、こういうものが出てきているわけなんですから、安保の事件でもって起訴されている人たちは今何人くらいおるのか、その罪状は一体どういうような内容で被疑者となっているかということぐらいの、そういうような資料は、私はお出しいただいたら大へんけっこうだと思う。もちろんこれはケース・バイ・ケースでもって処理される問題でありますから、その全部をお出し願いたいというふうな、そういう横車を押すつもりはいささかもございません。従いまして、安保騒動に関連したものの処置、処理状態、そういったようなものは、これは当局にも資料はすぐ整うだろうと私思いますから、これは一つ整えていただきたい、なお浅沼事件の際における赤尾敏逮捕について、その後の経過等については、一部新聞紙上で概略は報道されておりましたが、何かうやむやのうちに、証拠不十分というようなことで、これは釈放されているようであります。この間の経過等についても、私は若干資料としていただきたい、知りたい、これはくどく申し上げるようですが、事件はケース・バイ・ケースで処理される問題で、その資料を皆出せというようなことはいささかも申し上げておらないんです。限って今申し上げているんですから、これをぜひお聞き届けていただきたいと思うし、当局としても今私が申し上げました事件についての経過、その中における集団暴行並びに個人の行為、こういったようなものについてはまとまったものを一つ拝見さしていただきたいと思うんです。  なぜ私がこういう無理のようなことを申し上げているかといいますと、先般申し上げたように、社会党の立法過程においても、私は十分な資料を用意すべきであるということを主張した一人であります。くどいようでありますが、社会党の案は完璧なものではありません。提案者も当委員会で提案をした場合に完璧なものではない、皆さん方の御意見があれば、これは十分私ども再検討する用意はある、こういうことを申しているわけです。実は国会周辺のデモ規制が安保闘争にからんで議員立法として国会に出されたことがございます。そのときに、提案理由として、国会の審議権が妨害された、周辺が騒音のために審議することのできない事態がしばしば重なったということで、どうしても国会周辺のデモは規制されなければならないという結論が出されて立法されたわけです。当時私どもは、国会周辺のデモがはたしてどういう状態で国会の審議が妨害され、どういう状態で国会の登院が妨害をされ、いかなる条件の中で国会の審議権というものが守られなければならないかということを検討したいあまりに、提案者にその資料の要求をしたことがございます。そのときに出された資料は、大体七例くらいであったと記憶いたします。しかし、その七例は一つ一つ十分に拝見いたしますと、遺憾ながら国会審議に対して国会周辺のデモがストップさせたというような、そういう作用をしておらなかった、むしろ院内の事情が審議ストップというところにあった、それをどういう取り間違いか知りませんけれども、審議権を非常に騒音のために脅かされたというようなことであれが出てきた。あるいはまた偏向教育ありとして教育二法が提案されたときに、いかなる偏向教育があったかということを具体的にその資料を示すことを私どもは政府に当時要求した。出された偏向教育の資料は、ケース・バイ・ケースで非常にたくさんありました。しかし、遺憾ながら偏向教育なりとして文部省が、モデル・ケースとして出したところのその土地のPTAや学校の先生方は、私らは寝耳に水だというのです。文部省がモデル・ケースとして出されたことは寝耳に水だというようなことで、非常にやはりその根拠は薄らいだ。私は治安立法を立案される以上は、的確なとは申し上げませんけれども、ケース・バイ・ケースという幅のある考え方に立ちますけれども、なおかつモデル・ケースとなったようなその資料というものを私どもはちょうだいしたいというのは、決して無理な要求ではなさそうに考えられるわけであります。これは、私は最近の立案過程のもとにおける資料と、法案を生むに至った結論というものが非常にずれている。そんなずれた中で出された法案というものは、やっぱり実効がない。もし実効があるとするならば、政府が意図をもってこの法律を推し進めようとする政略的な意図は満足できるかもしれません。政略的な意図、それであっちゃいけない。治安立法は階級があるものではない。そういう観点に立ったときに、謙虚にやはりこの資料を一つおまとめいただけるように政府当局側も協力をいただいてお願いを申し上げたいと思います。その点、立案者いかがでございましょうか、政府当局いかがでしょうか、お尋ねいたします。   〔委員長退席、理事大川光三君着席〕

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 高田先生からの切なるお言葉がございまして、十分研究いたしまして対処さしていただきたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 提案者の側とも御相談いたしまして、極力資料の収集に努めて、適切なる機会になるべく早く出すように努力をいたしたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これから収集なさるのですね。大臣そうですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) きょうまでの事跡について、たとえば先ほど御指摘がございました赤尾敏の問題でありますとかいうものは、すでに手元にございますし、それぞれ提案者と御相談をして、その事案の適切なものを取りまとめたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、お願いを申し上げたいことは、第四条第一項第五号の問題です。第四条第一項第五号は、暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項に規定する行為、こういうふうにうたってございます。これは一般の国民は六法全書を開きませんと、この詳細が若干わかりかねる。一言にして言えば、非常に不親切である。なぜ私が第四条第一項の第五号を特にここに持ち出したか、なぜこの第五号だけを私が持ち出したかという理由について、若干説明を加えて質問をしたいと思う。  暴力行為等処罰に関する法律は、大正十五年に通過した法律であります。かなりこれは以前に出された法律でございますが、この法律の立案過程においては、やはり相当の議論がされたように一部記録で拝見するわけであります。符に私がここで力説をしたければならないことは、今度提案者は、法律の乱用を紡ぐために規制の基準を明確にされるとともに、一部修正を加えられております。これはけっこうなことと思うのです。しかし、この第五号にいう暴力行為等処罰に関する法律の立案過程では、当時小作争議や労働争議にはこれらの法律は適用してはならないのだ、こういうようなことが付帯決議として述べられたように私は記憶しておるわけです。御承知のように、暴力行為等処罰に関する法律も、これも大きな一つの治安立法であります。従って、当時の司法大臣は、この立案過程において、不当に人権を損傷することのないように注意されたことについては敬意を表したいわけであります。つまり小作争議とかあるいは労働争議とか、そういうようなものにこの法律をやたらに使っちゃならないのだ、こういうことなんであります。ところが、最近の勤務評定の闘争あるいはまた三池の争議、これらの問題に適用されている法律は、暴力行為等処罰に関する法律の内容が非常に多いように私は承知しております。つまり、「団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ」、刑法第二百八条第一項の暴行、第二百二十二条の脅迫。生命、身体、自由、名誉、財産、 こういったようなものに対する脅迫。それから刑法第二百五十八条以下の公文書毀棄、私文書毀棄、建造物破壊、また建造物以外のものを破壊または傷害したものというような、実に膨大な内容の含まれる法律であります。しろうとは第四条第一項第五号の暴力行為等処罰に関する法律というのは、これはよく理解することが非常に困難な内容を持っておるように思うが、同時に、当時労働争議や小作争議にこの法律は適用しないのだ、こういうことを言っておりますが、実は最近の労働争議にはこの暴力行為等処罰に関する法律が生き生きとして活躍をしている。私は労働争議に暴力を認めるという立場は取らない。取りませんが、法律として一歩踏み出せば、立法当時の善意とか立法当時の規制というようなものがだんだんときかなくなってくるわけなんです。そこに治安立法というものは慎重に取り扱わなければならないという事態があると思う。  そこで、これは法務当局にお願いしたいことですが、最近の労働争議で処断されたものの中で、暴力行為等処罰に関する法律を適用したケースはどういうケースがあるか。そうして、これは一つ資料にして当局の方からお出し願いたい。争議でトラブルがあった場合に、この暴力行為等処罰に関する法律を適用した最近の事例、たとえば、高知でこういう事例に対してこれを適用した、どこそこでこういうふうにして適用した、こういうものは多分あると思うのですね。労働争議にはこれは適用しないというが、今適用しているらしい。そうだとすると、やはりこれもまた私としては資料としていただきたい気持がする。この点一つ政府当局から資料としてちょうだいできるかどうか、これをお伺いしたい。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 最近の労働争議に関連して発生した傷害事件、暴行事件等は、暴力行為等処罰に関する法律の適用を見ておりますことは、ただいま高田委員の御指摘の通りでございまして、ただいまその資料を持っておりませんので、どの事件にどれというふうに特定して申し上げることができないのでございますが、適用を受けておりますことは事実でございます。ただ高田委員にお言葉を返すようでございますが、先ほど暴力行為等処罰に関する法律は、立案の当時、小作争議や労働争議等には適用しないということになっておったはずじゃないかというお言葉がございます。そのお言葉は、私もしばしばこの議場で伺ったのでございまして、当時の速記記録等につきまして確認をしてみたわけでございますが、私の見ました速記録によりますと、適法な、正当な小作争議、労働争議には適用しないということを申しておるのでございまして、これは当然のことでございますが、違法な争議と申しますか、そういうものには直接には言及しておらないのでございまして、その後の裁判の運用にはこの法律を適用しておる現状でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それこそお言葉を返すようですけれども、何も適法なものを何だかんだ書く必要はない。適法でないものにはこの限りではないと覆われておりますが、労働争議、小作争議というのは、初めから暴力でひっくり返してやろうという考えは持たないわけですが、やはり労働争議中に、まあ今の労働争議でもございまするけれども、管理者側が、力弱しと見るやピケを解くために町の暴力団を使うという場合がありますね。こういうときには労働組合側としては争議の中に実力で立ち向こうということはしたくないけれども、正当なピケ行為に対して、このピケを破壊しようとする者に対して正当防衛ということはあり得る。この正当防衛がたまたま暴力行為等処罰法に該当するとして起訴され、勾留され、処分をされているという例は、最近の非常に顕著な特徴です。こうなって参りますと、当時小作争議や労働争議には適用しないというのは、やはりそういう心配をされたからであって、何も不法なものには適用しないなどというはずは私はないと思うわけです。ですから、やはり労働争議とかそういうものに暴力行為等の処罰に関する法律は、いかなる場合にこれが通用されたかということについては、きわめてデリケートな、かつまた重要な一つのケースとして資料を実は求めたいわけです。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 関連して。去年からいろいろテロ問題が起こっておるわけですが、例の岸さんの問題とか、河上先生の問題、浅沼委員長の問題、これは自殺していますが、それからその後嶋中事件であるとか、この間の例の安保反対運動の中に突っ込んだ犯人の問題であるとか、そういうような人たちが現在どういうような法的な扱いのもとに置かれておるかということについての資料をあわせて一ついただきたいと思うのです。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) ただいま御指摘の資料でございますが、今調整をさせておりますので、後刻提出いたします。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは拡大解釈の問題であります。これは先般大川委員からも、この法律を一部の君が拡大解釈をし、あるいは曲解をして、大衆運動を弾圧するものであるというがごとき主張をなす者がある。これは大へん残念なことだと大川委員がおっしゃっておられます。私もまた尊敬する大川委員の御指摘について全く同感であります。だがしかし、善良な大川委員は、また弁護士としてもきわめて有能な方でおられるわけなんです。従いまして、私が以下これから主張する拡大解釈の危険性というものについても、たぶん先生は弁護士として同感をされる面もあるのではないかと思うのです。  治安立法は、これは拡大解釈をしては実はいけないものであります。いけないけれども、これを運用する際には拡大解釈ということがあり得るのです。あり得ますから、ここで二、三の例をあげていえば、強要ということは、刑法ではどういう状態を強要というかとか、あるいは逮捕監禁というのはどういうような状態をいうかというような状態を、刑法では事こまかく詳しく書かれているわけです。ところがこの法律では、たとえば第四条第一項の第三号では、「刑法第二百二十条第一項又は第二項に規定する行為」と、こういうふうになっておって、ちょっとしろうとでは、逮捕監禁という概念、また法律的な解釈というものは大へんしにくい。しかし実際はこの法を運用する場合に、これは運用する人の方がこれを解釈する場合が多いと思うのです。ですから、拡大解釈というのは一応治安立法の場合には、その拡大解釈について、誤った拡大解釈はここでもってこれを明らかにしていかなければならない義務を立案者は持っている、かように考えるわけです。従いまして、拡大解釈が全部誤った解釈であるというふうな結論を下すことは誤りであるということを私は指摘しなければならない。立案者は、拡大解釈は誤りであり、誤謬であるという受け取り方をなさろうとするのか。おそれ入りますけれども、一つ慎重に御答弁をわずらわしたいと思います。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) ただいまお言葉の通りに、治安立法は、実際これを適用いたします者の行為如何ということが非常に問題になると思うのでございます。そこで、今回の法案におきましても、提案者、立案者がみな非常に心配をいたしまして、この点は非常に特に気をつけたつもりでおりまして、そこで先ほど来お話もございましたが、第二条、第三条等は、いずれもそういうことを考慮いたしましてできている法条だと思っております。さらに、これは従来の例でございますけれども、こういうものが出ました場合にはよほど厳格な、また法務当局あたりからいろいろこまかい指示がなされまして、この乱用を防ぐということについて万全が期せられるべきだと思いますし、おそらくそういう手続をとられるだろうと私は思っております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 拡大解釈の問題は、きわめて重要な問題でありますから、これは相当質問の過程でもこれを明らかにせねばならない内容を持つものと私は考えるわけです。   〔理事大川光三君退席、委員長着席〕  たとえば最近起訴されている器物損壊の実績から、実は大へん私は驚いた事例があるわけですが、これは昭和二十五年の六月ごろの一つの判例でありますが、第四条第一項第五号の暴力行為等処罰に関する法律、これの器物損壊ということで起訴された事例なんですが、白い壁に墨で文字を書いた。ところがこの文字を番いたということで、器物損壊ということで起訴されている。ですから、私どものようなしろうとは器物損壊というと、こういうコップのようなものをこわしたり、それからここに立っているマイクをふっとばしたりすると、これは器物損壊になるんだなということは、これは概念的にわかるわけです。しかし実際問題として黒いへいのところに白い白墨でもってじゃんじゃん字を書いて、あるいはまた白い壁のところに墨で字を書いたりした場合でも、これは器物損壊、こういうようなことで起訴されているというようなこともわかってくると、なかなかこの拡大解釈というものはこれは重要な検討の対象になる問題だということを考えさせられたわけでございます。鈴木義男先生――弁護士として非常に御高名の高い方でございますが、器物損壊というもの範疇はどういうまでの範疇をいうのか、私のしろうとの考えでは、へいに墨で字を書いたくらいは消せばなくなるんだから何も器物損壊に入れなくたっていいんじゃないかという気持があるんですが、実際にこれは起訴されている。こういうものまでも器物損壊という範疇に入るとすれば、よっぽどこれは腹をくくって内容を検討させてもらわなきゃならないという気持がするわけなんです。どうぞ一つ鈴木先生にこの点承らしていただきたいのですが。

鈴木義男民主社会党

○衆議院議員(鈴木義男君) その判例の問題は、やはり白い壁に墨を塗ったくっても損壊にはなるのであって、言い方が悪いのでありますが、器物でなく落書損壊とでもいえば、名画などに墨を塗られちゃたまらないですから、これはやはり損壊罪として取り扱っておるわけであります。しかし詳しくそれを鑑定いたしまするのには、鑑定料をちょうだいして、(笑声)そしてやりませんと、ここで具体的な法律の問題を研究するには少しいかがかと存じますが、拡大解釈というほどの問題ではないとこれは思います。むしろ治安維持法などをいかに拡大解釈して乱用したかということならば、私は幾らでも材料を持っております。今のはそんなに荒立てて言うほどの拡大解釈ではないと、こう考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 しかし専門家の鈴木先生にお言葉を返しておそれ入りますが、起訴されているということは明らかにやっぱり拡大解釈をしていろという事例ではないでしょうか、もしかりに、私が団体交渉中に、敵方に、こいつ一つ引っくくってやろうと思う人もおります。組合の中にはにくらしいことを言う人がおりますよ。こういうような場合に、誤ってそこらにある墨汁のびんを引っくら返して、そしてテーブルかけを著しくよごしたという場合には、これまた器物損壊の範疇に入るんじゃないかと思う。そうすると、しろうとは器物損壊だから、そこらのものをこわさないようにということは言うけれども、ものをよごして、そしてそれを洗たく屋に出さなきゃならないというようなことでもこれは器物損壊という範疇に入るというようなことであれば、これはやはり拡大解釈という私のしろうとの言い方はこれはいけませんかもしれませんけれども、これらの類型はやはり相当に拡大解釈して、そしてこれが適用される場合も多いという一つの立証として考えなきゃならないじゃないかと思います。まあテーブルのことを申しましてけれども、ついてですけれども、これもやはり器物損壊の部類に入りましょうか、枝葉の問題でおそれ入りますが。

鈴木義男民主社会党

○衆議院議員(鈴木義男君) 要するに、このテーブルかけが使えなくなる程度によごされれば、それはやはり器物と言えないでしょうが、この布を損壊された、ほかに処罰する罰条がない場合には、遺憾ながらそれを流用するほかないのです。法律はあらゆる場合を想定して書いておくことはなかなかむずかしいことなんです。今度の法律などは拡大解釈しちゃいけないから、構内に暴行、脅迫をもって侵入したり、あるいは器物を損壊して侵入したり、さく、へい、もしくは門を乗り越えて侵入するなどと書いたわけで、これ以外のことはできない、処罰はしないのだということをここに示しているくらいのものでありますから、非常に丁寧な、具体的に個別的に規定している親切な立法だと思うのであります。今の損壊論はちょっとむずかしい問題でありまして、ほかに適当な言葉がないために、こういう言葉が流用されることになるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 枝葉の問題になって大へんおそれ入りましたが、一つの類例として有名な弁護士さんである鈴木先生にその鑑定方を一応伺った、こういうことであります。(笑声)拡大解釈ということはほんとうに笑いごとじゃないわけなんであります。しろうとである私にはそういうことはよくわからないので、それでこの法を適用されるものは、鈴木先生のような専門家はこの法律適用はあまりされないわけです。みんなしろうとの国民が通用きれるわけなんですから、そこで拡大解釈という問題は決して軽視することができない問題として、ここで一、二の例を出して、拡大解釈即曲解である、この法律を悪質に持って回って反対運動を起こす論拠にしているのだというこの結論に対しては、私は駁論をしなければならない、その駁論をするのには具体的なことを駁論するよりか仕方がないわけです。  次にお尋ねをしたいことは、暴力というのは一体物理的な力を言うのであるか、物理的な力以外に暴力という範疇がこの法律の中にあるかないか、この点をお尋ねします。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) この法律では第四条に規定いたしておりますように、物理的暴力以外に殺人の正当性とかそういもものも含めておりますから、物理的だけではございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 暴力々々といいますと、しろうとは物理的な力、トラブル、こういうものを暴力と言うのであるというふうに一面解釈されがちであります。しかし今般の法律は、単なる物理的な力である、トラブルである、こういうものだけにとどまらず、ある種の表現、あるいは図画、ポスター、写真、こういうようなものを、その表現の次第によっては暴力行為であるという認定がされることがあると思いますが、この文書図画等がその表現のいかんによって暴力行為だということになってくると、これは非常にこの法律の取り扱いはむずかしい、大へん大切に取り扱わなければならない問題のように私は考えるわけです。具体的に指摘をいたしますと、たとえばこれは昨年のことですが、国鉄労組の大量首切りがございましたですね、国鉄労組は首切り反対という闘争を展開いたしました。私の見解では労働組合が生活の条件を維持し、労働条件を守るためにこれを主張して戦うということは、労働組合の本来の姿であって、これは何ら違法ではない、こういうふうに考えるわけであります。速記録等で拝見いたしますと、立案者も私が今主張いたしましたことについては同感であるというようなお考えをお持ちになっているようにお察しをしているわけであります。この点についても提案者にあとで伺いたいのですが、国鉄労働組合が首切り反対ということで――何千人かの人が首を切られる場合に、生活権を失うわけでありますから、これに対して正当な労働組合法に基づいて反対闘争するということは、これは当然なことであります。しかしその闘争の手段、方法、これが問題だろうと思うのですね、その闘争の手段、方法が、これが実力を行使をして、公共に迷惑をはなはだしくかけるというような場合には、これはあるいは暴力行為というようなことになるかもしれませんが、しかしこの法律では、目的を持たない暴力的な行為というものはこの法律の対象にはならないことになっておるわけでございますね。この場合、労働組合の首切り反対の闘争、これはこの法律にいう政治上の施策という面に該当をする目的を持つ闘争であるかどうかということが、これが一つであります。まずこれから一つお願いいたしましょう。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 今のような、先ほどの政治的暴力行為のときにも誤解があると思うので、この機会にはっきり申し上げておきますが、この法律における政治的暴力行為には、小作争議とか、あるいは労使間の首切り、賃上げによるいろいろな暴力行為は一切入りません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 一切これは入らないわけです。これはどういうような法規でもってこれを規制なさいますか。今日までどういうような法律でこれを規制しておられましたか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) これははっきりこの法律の第四条で、政治目的をもってする暴力でございますから、労使間の労働組合の経済闘争、そういうものに関する限りは、この四条において法律の対象にならないわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そういたしますと、国鉄労働組合の闘争の中で、従来までも繰り返されていたことでございますが、これは労働組合の争議というのは、トラブルが起こるのがあたりまえで、全然トラブルのない争議なんというのはないわけなんです。しかし、一般の人は、トラブルが起こると、非常に行き過ぎた闘争だというふうにごらんになるわけなんです。どだい争議というものは、お葬式のようにだまっているのが争議ではなくて、争議にはやはり争議としての形があるわけなんですから、当然そこにはトラブルというものが必然的に起こってくるわけです。そういう中で、かりに第一、第二組合というようなものがあったときに、ピケを破ったりするときに、ここでもって第一組合なら第一組合の者一が、そのピケを破られないように合法的にスクラムを組んで張り合うことがあります。その場合に、やはり力と力の対決というものが一時間も一時間も続かなくとも、五分なり十分なり続くことがありますね。こういうようなときに、その場面をカメラでもってとって、そうして「国鉄労働組合員のピケを守った勇敢なる戦い」、こういうようなタイトルで情報宣伝をいたします。これは労働組合の情報宣伝というのは、そういうピケ破りのものに対しては、やはり抵抗権を持って戦うというのが労働組合の正常な姿勢なんですから、勇敢なる戦いというようなタイトルで情報活動をしたといたしましょう。この場合に、これは賃上げでございますから、あなたのおっしゃるようにこの法律には該当しないとおっしゃいますけれども、もしこれが安保闘争において、安保条約反対闘争、「国鉄労組員勇敢に戦う」というような見出しであるならば、これは明らかに暴力行為として、この図画の表現というものは該当する危険性を持つだろうと私は思うのです。この点どうですか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 政治目的、安保闘争のための暴力行為であればもちろんかかります。ただ、図画でそういうことを書いただけではかからないので、図画の規制は、殺人の正当性、必要性を主張する行為はかかりますけれども、安保闘争がんばれというのはもちろんかからない。ただ安保闘争というのは政治目的ですから、 これに伴って集団暴行をしたり、ここに書いてあります法律にかかりますならば、これは当然かかるわけでございまして、私は現在の日本が、言論の自由、選挙の自由、結社の自由のあるときに、なぜ暴力によって政治目的を実現しなければならないか。私はそういう意味で、この法律は、社会党も主張していられるように平和主義、議会主義擁護というような意味で、政治目的のためには暴力を使わないようにしようじゃないか、そういう大目的が背後に隠れているわけであります。どうかその点は、平和主義の社会党でありますから、われわれと同じように政治目的のための暴力というものは日本から駆逐していくという点では、一つ御協力を願いたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 平和主義は、お互いにこれは当然だろうと思います。しかし平和主義と労働組合の戦いというのは、これはやはり全然あなた異質なものにお考えになっていらっしゃる。これは実は冒頭に質問する問題でした。しかしこれはあとに残っていらっしゃるから、これは譲りますが、平和主義、これはお互いに平和主義ということは確認しております。しかし、労働組合はみずからの労働条件を守り、あるいは政治上にきわめて不当な現象が起こったという場合に、国民として、不当なる政治に対する一つの抵抗する権利、意思表示の権利というものは、これは憲法で認めておるわけです。ですから必ずしも労働組合が政治上の意思を表現したとかしないとかいうことが、即暴力行為とは規定できませんけれども、私は一枚のビラについて、ここで具体的に申し上げているわけです。「安保反対闘争、国鉄労働組合勇敢に戦う」、ということで、もみ合っているような場面は、これは何も第四条第一項に該当しないのだから、そんなものは入らないのだとおっしゃっておいでです。あなたもおっしゃっているようですね。しかしこの八号を私はまた詳細に読まなければならない。第四条第八号、これを読みますと、「第一号に規定する行為の予備」、これは解釈をしないとわからないです。これは殺人をする行為の「予備若しくは陰謀をし、又は第一号若しくは第二号に掲げる行為若しくは第六号に規定する行為の一を教唆し、若しくはせん動ずること。」、こういうわけでありますから、これは殺人の予備、陰謀だけではないわけです。傷害がここに入ってくる。ですから傷害というのが、またあとで問題になりますが、何もこんなところを切って血を流したのが、これは傷害ということではないらしい。何も見えなくても、傷害という医者の診断書があれば、これは傷害になるわけです。そういう傷害の起こりそうな現場写真に、「国鉄労働組合勇敢に戦う」というようなものが出た場合に、これは第四条第八号に規定する条文に該当するでしょう。「第一号に規矩する行為の予備若しくは陰謀をし、又は第一号若しくは第二号」です。この第一号というのは殺人、第二号は傷害、「に掲げる行為」、これは傷害を起こすような行為を勇敢に戦う行為であるとして、機関紙が宣伝をしたということは、これは明らかに暴力行為になる。私はこの法律がわかって、おっかないと思えば、今度はそういう写真があって、機関紙に流すときに、皆さんこのようなことをしてはいけませんと、こう書かなければならぬ。労働組合の機関紙は、そうもみ合っているようなところには、皆さんこのようなことをしてはいけませんと、この法律に引っかかることをおそれて、皆さんこのようなことをしてはいけません、そういうような宣伝というのは、あまりやらないのです。で、タイトルに掲げる文字一つで、暴力行為になることもあり得る。タイトルに掲げる文字一つが、ここにいう政治的暴力行為に該当する危険性が非常にある。そのことによって、団体の活動が規制をされることもあり得る。ですから拡大解釈をして曲解しているなんてことは、少しお読み取り方が足りないのか、われわれがノイローゼなのか、ここらあたりもう少し一つこれを掘り下げて伺ってみたい。「安保反対闘争、国鉄労働組合勇敢に戦う」というこのタイトルは、明らかにこの傷害を扇動するような行為であると認定される危険性はあり得る。早川さんは認定しませんよ、あなたは。富田さんも認定なさらないだろうと思います。しかし認定の仕方によってはそういう危険性はあり得ると私は考えます。この点いかがでしょうか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 御承知のように、第四条の第八号と第二項でございますが、正当性の主張の文書、殺人であるとか、さらに教唆扇動という場合に文書でやったという場合という御指摘だと思いますが、これはこの法律で書いておりますように、あの人を傷つけろというようなスローガンを書く労働組合はないと思います。そうなれば一ぺんに引っかかります。ですからそういうことを書かない限り、ただ勇敢に安保闘争で戦え、というようなことでは絶対にかからないのです。ですから、実施当局の法務省からもまた御答弁いただければ幸いと思います。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 私の見解によりましても、ただいまの場合には該当しないと解釈いたします。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 かからないとあなたは認定し得る明確な根拠がありますか。あなたが認定なさるわけですか。竹内さんのようなりっぱな刑法学者が認定するわけじゃないでしょう。そういうことを認定するのはそれは一調査官じゃありませんか。あなたが認定しないとここで保証するなら、認定しないという条文を示していただきたい

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 私は、私の一つの法律家としての解釈を申し上げたのでございますが、この解釈は個人的なものじゃなくて、やはり客観的に承認されるものでなければならないのでございます。ただいまの条文で今御指摘のようなプラカードなりそういうスローガンを掲げた文章、これに該当するような解釈をいたしますことは、非常に特殊な解釈だと私は思います。もしそういう解釈があるとすれば、通常の法律家として刑罰法令を解釈する立場で解釈いたしますならば、そういうものは入らない。そういう趣旨におきまして私の意見を述べた次第であります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 竹内さんに重ねて伺いますが、あなたは刑法学者としても非常にりっぱな方で、だからそういう解釈はあなたはなさるでしょう。だがしかし、実際にこういうことを、認定するのはだれが認定をするわけですか。これは違法行為であると、これはちょっとおかしい、疑いがあるに足るというようなことを認定する場合ですね、的確な、十分でなくても、疑うに足りるというようなことがあっても、やはりこれは当局というものは相当に活動をなさるだろうと思います。認定をするのはだれが認定をするか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 法律解釈の最終の解釈権は裁判所にあるわけでございますが、犯罪としてこれを取り扱います場合には、法の執行に当たります警察官あるいは検察官が一応の容疑といたしまして解釈をいたします。その場合におきましても、身柄を逮捕するというような場合におきましては、現行犯につきましても、後に勾留の段階で審査を受けますし、令状をもらって逮捕するという場合においては、令状請求の段階で裁判官の審査を受けるわけでございまして、勝手気ままな解釈は許される筋合いのものではございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 全くそうでなければならぬ。それが筋の通ったことだと思います。しかしこの法律によれば、団体に対する制限は、これは何も裁判の判決なんか必要としない、ちゃんと行政措置で団体に対する規制というものはやれる仕かけになっておる。立案者、そうじゃないのですか。団体の活動に対して規制を加える事項があった場合には、必ずしも当初から裁判にかけていいか悪いかというようなことをきめてから活動を停止させるのではなくて、行政措置でもって活動の一部を、あるいはまた二部を、あるいはまた三部を、これを停止させる権限をこの破防法では与えておる。この破防法と同じなのがこれなんです。だから今竹内さんがおっしゃったように、不当な処分に対しては裁判権があって裁判がこれを守るのだから、最終的には不当な処分ということはあり得ないのだと、こう言っているわけです。そうでなければならないわけです。ただしかし、本法では破防法を適用しているんですから、内乱、外患誘致、殺人、放火、列車転覆、爆発物使用、こういうおっかないことをやるんですから、これは裁判なんかやっちゃいられない。そういうような建前から公安調査庁は行政処分で活動の一部を停止させる、こういうことがこれが破防法の建前だ、そういうような建前をそっくりここに持ってきて、政治的な目的を掲げて、安保反対、人の足をけっとばした、こっちの人も足をけっとばした、同じ流れの団体の者が、また高知県あたりでも人の足をけっとばした、こういうような事例があった場合には、これは明らかに公安調査庁、公安審査会が、これが行政処分として団体の活動の一部または団体の活動の二部を停止させる権能を行政処分として許しておる。しかしここで裁判権を否定しているわけじゃない。司法権より先に行政権が優先しているというこの建前は、これは竹内さんのこの所論とは若干違う建前になっている。私の解釈違いますか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 高田先生の御質問は、第六条、第七条、第八条、第九条の問題だと思いますが、こういうことだと思います。竹内さんの言われたように、殺人、傷害、集団監禁、逮捕、そういうものは竹内さんの言われた通りであって、現にそういう政治的暴力行為が行われなければ発動できません、公安調査庁の調査は。破防法では御承知のように破壊活動容疑団体のその活動の調査ができる。今度の政防法ではそうではなくて、そういう政治的暴力が行なわれたそれが一体団体の意思というもので行なわれたのかどうかを調査するのが主目的なわけです。従って竹内さんの言われたように、政治的暴力行為の認定というものは警察なり、あるいは逮捕状その他によって客観的に起こるわけですから、そこには私は調査官の乱用はない。あるのはもし御心配ならば、団体の意思として行なわれたかどうかという調査と認定でございますが、そこで私たちは団体活動の制限につきましては、後ほど御質問もあるかと思いますが、第七条で四カ月なり六カ月の団体制限をする場合には、団体活動としてそういう行動が行なわれたかどらか、殺人以外は反復して行なわれたという実績が必要である。しかも将来反復継続してさらに行なわれる。しぼりにしぼっておるわけですね。ですから、よほどそれは慎重にやらなければできないことでございます。  それからもう一つ、日教組なら日教組の例を取りましょうか。組合員の一人がどこかで政治的暴力をやった、高知県でもやった、ところが団体の制限になるかというとなりません。それは個々の組合員やったことは個々の個人だけの問題であって刑罰は課されますし、あるいは団体役職員なりに若干の期間の制限がございますが、日教組全体として団体活動が制限されるということは絶対ございませんので、労働組合、総評あたりが間違っていろいろ文書を出しておりますが、この機会にはっきりそういう御心配は要らないと、私は一昨日のNHKテレビの対論でもそのことをはっきり申し上げました。社会党の猪俣君その他に誤解であったことを了承願ったわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 早川さんは善意の方ですから、それはNHKのテレビでちゃんとおっしゃられれば、世間の人はなるほどそういうものかと、こう思うでしょう。思うでしょうが、しかし、われわれはこの立案過程で団体規制に対する制裁、またはその制裁の経過、あるいはまた制裁に直接携わる人物、また制裁の方法、救済の方法等については、これからずっと私は相当の時間をいただいて質問をしなければならないおわけであります。しかし、どらも常識的に考えてもう五時なので、私だけがこうしてがんばっているというのもちょっと遠慮したくなるわけでございますが、ほんの緒論に入ったのですが、どういうふうにいたしましょうかね……。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 関連して。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 非常にこれは重大なところなんです。――ではどうぞ関連して下さい。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 今の早川さんの御説明で、団体についての規制の問題ですが、個々の組合員の場合は決して団体そのものには直接影響はないんだと、そういうようなことをおっしゃっておるんですが、ちょっとこの条文を見ると、なかなかどうそれだけではないような感じがいたすのです。というのは、今、高田さんが問題にされておるところに関連する問題ですが、団体活動の制限の第六条ですね、六条の関係に「公安調査委員会は、団体の役職員又は構成員が、当該団体の活動に関し、又は当該団体の目的の実現に資するため」と、こういうふうに二つ書いてある。ところで「当該団体の活動」というものは一体何であるかということ、その前の第四条の四項で「この法律で団体活動」とは、団体の意思を決定する行為又は団体の意思に基づき若しくは団体の主義、方針、主張に従ってする団体の役職員若しくは構成員の行為をいう。こういうふうに書いてある。で、この「団体の活動」ということについては、これはあとで内容的にはまだお聞きしなくちゃならぬと思います。一応その団体が団体として、あるいはまた団体の全体を何というか、代行する機関として意思を決定する、その機関の意思の決定に従って役職員なりまた構成員なりが行為をすると、こういうふうにやや明確にこれはうたわれておるわけです。しかしその中でも、あとの「主義、方針、主張」、これらの点についてはまだお聞きしなくちゃならぬと思いますけれども、この内容についはいずれにしても、これらもわれわれの解釈ではやはり団体の機関が決定した団体の意思、これを受けて、この役職員並びに構成員が行為をした場合であるとわれわれは解釈をするわけです。ところが、先ほども申しましたように、今度の第六条には、「当該団体の活動」、これはいいのですけれども、そのほかに「当該団体の目的の実現に資する」と書いてある。この「目的の実現に資するため」ということになりますと、これは非常に範囲が私は広くなるんじゃないか、「当該団体の活動」ということになれば、それはもう機関の決定に従った意思の決定、この意思の決定を体してやるということははっきりしておる。ところが、その下に「当該団体の目的の実現に資するため」と、こう書かれておるんですね。これはやや範囲が広がって、案外組合なら組合の指令で集まった連中がそのときそのときのその場でいろいろの問題が起こったときに、組合の機関の決定あるいは団体の機関の決定の、その機関の決定のないままに行なったようなことが、この政治的暴力行為のこの規制の中にはまるような場合が――具体的には私はきょうは関連だから、あまり長く聞いては悪いから言わぬけれども、出てくるんじゃないかと、こういう点を私たちはおそれるわけです。そこではっきりお聞きしますが、「団体の活動」ということと、「当該団体の目的の実現に資するため、」ということは、一体どういうふうにこれは違うのか、その点をまずお伺いしたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 「団体の活動」というのはここに書いておりますように、団体が意志を決定して暴力行為をやる、あるいは団体の意思に基づき、また団体が暴力的な主義、主張を持っておる場合は、その主義、主張に沿ってやるという意味でございまして、これは第七条の問題、団体制限はそれだけでございます。第六条の「団体の活動に関し、又は当該団体の目的の実現に資するため」、というのは、団体の意思としてはそういう暴力行為をやるというのでないにもかかわらず、この団体の構成口なり役職員が自分の主観的意思で、これは団体の目的のためだというので殺人をやったり、あるいは政治的暴力行為をやった場合には、団体自身は健全なんだけれども、その人が政治的暴力をやるというようなことをやったわけで、その人は一つ四カ月間、その団体の役職員なら役職員になっておりましたら制限を受けるというわけでございまして、これは個人の方の制限でございます。その点、六条と七条とは根本的に違っておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 実は議事進行なんですが、正直なことを言うと、このノート一冊質問なんですが、これは別に政略的ではないんです。これは私、しろうとだものですから、こまごまのことがわからないんです。それで自分で実は研究をして、とことんまで自分は自分なりの小さなからの中で研究したことをお尋ねしたいという謙虚な気持なんですが……。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 速記を起こして。

永末英一民主社会党

○永末英一君 一番最初にこの法律を立案されました趣旨を一つ……。われわれの観点によりますと、大体治安立法なんというものはない方がいいにきまっている問題。ところが、特に昨年以来いろいろ治安関係に関する犯罪が起こりながら、法務当局はそれの取り締まりについて、国民の常識から見た場合に、非常にどうも手抜かりがあるのではないか、何かどこかに欠陥があるのではないかということを思わせてきた。で、われわれの見解によれば、現行の法令を十分に運用するならばできるかもしれない、そういう意見があることを知っております。しかしながら、それにもかかわらず、昨年以来、いろいろな治安関係に関する犯罪について、十分の取り締まりをでき得なかったとすれば、どこかに現行法令の上に欠陥があったに違いないと思うわけである。しかし、これらの点については、そうではないのだ、現行法令には欠陥はあまりないのだ、ただ取り締まり当局の実行力が伴わなかったという議論がございます。この点について、法務大臣と立法者との意思を伺いたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 現行の法令で十分でありませんので、社会党も民社党もわれわれも提案をいたしたわけでございますが、社会党の御提案の場合には、刑罰を強化して威嚇していくということで、この政治テロその他を防止して抑制していこうというお考えです。われわれは、若干の威嚇的効果というものをも考慮いたしまして、刑法とのバランスを失しない程度で刑罰の補整と加重をいたしますとともに、なお予防という点では、その政治暴力行為をやる団体にもメスを入れなければならない、こういう考え方からその必要を認めまして、政治的暴力行為防止法案を作ったわけでございます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 法務当局といたしましても、世上、あるいは現行法令の厳正なる施行によって、十分取り締まりの目的が達し得るのではないかという御意見のあることは承知しております。またわれわれも、そうした立場に立っての研究もやってみたのでございます。部分によっては、あるいはそういうことが確かに一面の真理がございますが、他面また、なお現行法では不十分なために、もう少しこうした、今回の法案の中にありますような問題等について、新しい立法を加えた方がいいのではないかと思われる節もある。すなわち、両方ともあり得る意見でございました。

永末英一民主社会党

○永末英一君 法務大臣に重ねて伺いますが、この法律の中には、刑を補整し加重したる部分と、新たに犯罪として起こしたる部分とございます。その新たに起こしたる部分については、法務大臣は、新たな立法を要せなければ別行法令ではできないとお考えですか。いかがですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。従来の犯罪類型の中で、これに対して刑罰を重くするという面と、新しく規制のために犯罪類型をこしらえた部分と両方ございますが、その新しい部分については、やはり立法が適切ではなかろうかと考えておった一つの事案でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 団体に対する行為の制限の問題について、ちょうど先ほどからも問題が出ておりました。で、ここで問題となりますのは、団体活動に関して団体が規制をせられる場合に、一体この団体というのは、いろいろな意思決定をする、たとえば団体の意思決定と申しましても、一つの労働組合をとっても、政治上の意思決定をたくさんやるわけです。ところが、その団体が、体ある行為、つまりここで掲げられておる政治上の主義、施策ないしは信条というものにひっかけながら、いわゆる第四条に掲げてあるような政治暴力行為をやるというようなことが問題であろうとは思いますが、労働組合の側になりますと、自分の労働組合にはたくさんの政治上の目標を掲げた意思決定がなされておる。ところが、たまたま自分の労働組合が経済上のことで団体交渉をする、あるいはまたその他の大衆運動をする、その場合にも、たまたま自分の労働組合がそういう政治上の意志決定をしているために、これにひっかけられるおそれはないかということを心配いたしております。この点について立法者はどう考えますか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) それが経済闘争の場においてやられた以上は、絶対そういう御心配は要りません。

永末英一民主社会党

○永末英一君 ただいまのような問題は、たとえば逮捕監禁、強要、脅迫というようなことが問題になり、あるいは傷害というようなことが問題になってくると思うのです。しかし今申し上げましたように、あなたは御心配は要りませんと言いますが、法文上どこを読み合わしてそう判断すべきかということを御明示を願いたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 永末さんの御質問は、その団体の、団体制限の場合とごっちゃにされているのではないか。

永末英一民主社会党

○永末英一君 いや、六条、七条一緒です。最初は七条の……。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) その場合に、団体制限の場合には、御承知のように団体の意思として、あるいは正当なる機関の決定として、あるいはその団体の主義、方針として、暴力主義的な主義方針に乗っかっておって、その方針に従ってやった場合にのみこの団体制限、四カ月ないし六カ月の制限を受けるわけでありますから、その団体におきましてたとえば平和憲法を守れとか、あるいはまた安保反対というような主義、主張を持っておる団体の構成員が、たまたまその暴力行為をやったといたしましても、もちろんかかりません。さらにその団体の個人が賃上げ闘争で、労使間の紛争で暴力行為をやった場合には、これは刑法でかかるのであって、もちろんその団体が政治上の主義、主張を掲げておっても、その個人の行為が、第六条における役職員の四カ月停止ということにもかかりません。

永末英一民主社会党

○永末英一君 第四条の四項で、団体の活動の中で、団体の役職員もしくは構成員が、団体の主義、方針、主張に従ってやる場合に、いわゆる団体の行動になる、こう書いてある。ところで、第六条では、団体の役職員または構成員が、団体の活動に関し、ないしは団体の目的の実現に資するために何かやると、こう書いてある。問題としたいのは、団体の役職員であるがために、その行動が団体の行動であるか、それとも団体の役職員個人の問題であるか、この一つの判定がどういう基準で下さえるかというところに切れ目があると思うわけです。従って、六条、七条と第四条第四項との関連について、その辺の判定の基準を立法者は考えていられるならば明らかにしていただきたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 先ほどもお答えいたしましたように、六条は、団体の中の個人の役職員、構成員としてだけの活動制限ということになっておるわけでありまして、従って当該団体の活動に関して、暴力行為をやった。しかし、それは団体の意思として暴力行為をやれというのではない場合ですね。いわゆるその個人の側から見ているわけですね。団体は何もそういう意志を持っておらない。それから、当該団体の目的の実現に資するため、その目的の実現のために団体は何も政治的暴力行為を、やるという意思決定もいたしておりませんし、機関の決定もしておりませんし、そういう主義、主張を持っておらなくても、本人が、たとえば安保闘争というのが目的であれば、その目的の実現のために、あえて投入、その他傷害、集団監禁のような政治暴力行為をやった場合には、その団体は暴力団体でない健全な団体でありますけれども、その個人は過激な政治暴力行為者だという場合には、その団体を健全化させるためにも、ちょうど公民権の停止というのがありますね、選挙に。その個人の四カ月程度の、殺人の場合には六カ月の団体活動が、個人が制限されるというための規定でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 これは刑事局長ですかにも伺いたいのですが、六条では、団体の役職員または構成員、おのずから自明、明白の理である、こういうふうに書いてある。ところが、第四条第四、項では、その役職員もしくは構成員が、団体の主義、方針、主張に従ってある行為をやるわけですね。従って私は伺いたいのは、六条と七条とは、団体の行為と団体の構成員もしくは役職員の行為を分けてある。ところが問題は、実際団体の行為として出てくるのは、一体その役職員が機関行為やっているのか、個人行為やっているのかわからぬ。こういうことがある。ところがその個人行為であったにかかわらず、機関行為とみなされて、団体の行為ということで援用されるおそれはないかという疑いがあるわけなんです。そこで、法文上はそう書いてあるが、そういうような団体の役職員の行為から、団体の行為として援用されるおそれはないかどうかということを、法文上一つ御解釈願いたい。こういうことです。

関之公安調査庁次長

○政府委員(関之君) 団体規制の問題でありまするから、私から便宜お答えいたします。剛体の活動としてという定義は、四条に定義が明確にあるわけであります。従って、その要件としては、団体の意思決定ないしはその規約綱領等に基づいて、それも本来は、もともとその団体の意思決定に基づくものでありまするからして、間接的と申しましょうか、遠因としては、団体の意思の決定に基づいて行動するということに相なるわけであります。そこで御疑問の、いわゆる団体の役職員としてか、あるいは団体の構成員としての行動か、ないしは個人の行動か、そのけじめをどこに見出すかという問題に相なりますが、これは破防法上の、おそらく私どもの今までの考えとしましては、団体の行動というところのけじめは、やはりその当人の行なった行為が、客観的にやはり団体の活動ないしは団体の意思と直接ないし間接の関連があって、客観的に一応そう認められる、こういう客観的な要件と、主観的な条件として、御本人がやはり団体のために活動する。全くその同じような暴行行為を、ある団体の構成員がいたしましても、全く団体の活動と無関係、自分の私怨的なものでやったとかというようなことは、例として申し上げると明瞭でありますが、そのようにやはり主観点な事件として、本人がこれは団体のため、あるいは団体の活動を推進するその途中においてやるというような、そういうような主観、客観の両方の要件をもって、団体の活動であるかどうか、あるいは関するものであるかどうか、あるいは目的の実現に資するものであるかどうかという判断をいたすべきものであろうと考える次第でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 その二つの関連は、非常に実際の判定にあたっては、微妙な点が出てくると思うわけです。その点については、一つ厳格に御解釈を願っておきたいと思います。  進みまして、第十六条、国会並びに首相官邸に対して乱入する規定でございますが、それの未遂罪を罰する。こういうことになっておる。未遂罪というのはなかなかわからない。どこで一体実行に着手しておるかわからない。そこで、たとえば国会周辺のへいであるとか、あるいはまた首相官邸をさえぎっておるへいに手をかけただけで、未遂罪が適用される状態である。こういう見解がありますが、この見解についてはどう判定されますか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 第十六条の規定の骨子をなしておりますのは、不法に侵入する行為でございまして、その手段として、ここに掲げてあるいろいろな条件がございます。この犯罪としましては、この手段の一部にとりかかった場合、つまり一部に実現をした場合、これが犯罪の実行に着手したのでございまして、その着手がさらに進行して参りまして、侵入という事実が実現をする。その場合に既遂になるわけでございます。そこで、未遂と申しますのは、侵入という行為には至らなかったが、この手段として掲げてあります暴行もしくは脅迫というような行為があった。建造物あるいは器物を損壊してという条件の場合には、建造物あるいは器物に対して損壊の行為に手を触れた、あるいはへい、さくを乗り越えるというときには、足をかけたとかというその手段の行為の一部が行なわわれた場合には、侵入の行為に至らなくても、それはすべて未遂として考えなければならない解釈でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 国会周辺にデモが行なわれている。デモ隊の持っているプラカードが国会のさくに当たった、たたくというようなことはどうなんですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 侵入の意思がない場合には、それは手段ではなくて、たまたまへいをたたいたというだけでございまして、これは十六条の問題ではなくて、もしそれが「器物損壊」ということになりますならば、刑法の一般原則、二百六十条以下の規定に、よりまして、処分するかどうかをきめる案件だと考えます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 本法の二十一条かで、「情を知って、」ということを入れられたようですが、確かに適当だとは思います。しかしながら、問題は、一体その殺人もしくは傷害を実行しようというものに対して、そういう情を知る必要があるのかどうか。問題は、たとえば政治上の目的のために労働組合に資金カンパをやる。あるいは街頭で資金カンパをやる。その資金カンパに応募したもの、あるいはまた労働組合員が、一般的に一つの労働組合の活動のために資金カンパをする。あるいはいろいろな団体に資金カンパをする。その団体が国会に乱入をやる。あるいは大衆行動で政治的暴力行為に至る連動をやったというと、その資金カンパをやったものが、一体情を知ったということになるかならぬか。情を知ったという解釈、この点についてどうお考えになりますか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) ただいまの設例に出されました例で申し上げますというと、今の資金カンパでございますから、当然「情を知って」という概念には入らないと考えます。やはりこの男は、政治目的をもって殺人をするのだという、相手のそういう状態をわかっているというのが、「情を知って」という内容でございます。そういう趣旨の規定だと考えます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 「情を知って」ということは、政治上の主義施策もしくは政治的的信条に関するものではなく、政治的暴力行為に関する情を知ってと解釈してよろしいのですか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) さようでございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 二十三条では、教唆扇動に至らざるものに対して、新しい罪の類型を作ったわけでございますが、この項を作ったことによって、これは新しい罪の類型だと思うのです。どういうものを、一体これによっておおい得るということを立法者はお考えですか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) これは先ほども社会党の委員の方からご質問ありましたように、ある塾で、反復継続して殺人の正当性を主張する。しかしこれをやれとか、あるいは扇動に至らない講義の形でやられる。しかしそれは予見される、しかもその結果、殺人が行なわれたという場合には、扇動まで至らないものを、これはもうほとんど扇動と紙一重であるという立場で、こういう規定を設けた次第でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 この教唆もしくは扇動というのは、実際の本犯で行なわれる行為に対して、いわば相当因果関係がある。そういうような一つの何といいますか、個人主義的な観点からのいわゆる実行者の意志決定に何らかの影響ありというところに重点が置かれている。この条文は今の刑法の解釈上、教唆扇動に至らざるものも、紙一重というと、何か教唆扇動以外に何らかの類型があるように思われる。つまり問題は政治的暴力行為を起こさしたことに対して、教唆したか、扇動したかという判定以外の何かを、類型を考えておられるように思うけれども、一体そんなものはどんなものか、教唆扇動に入らないのかどうかというところを、一つ御説明願いたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) これは刑法にはない新しい責任論の、むずかしい議論でございますが、立法者といたしましては、例の嶋中事件その他に関連いたしまして、社会教育的にそういうものはやりにくくするという立法の趣旨でございまして、これに関連いたしましては、小野清一郎先生あたりは、従来の刑法体系から申しまして、いろいろ批判をされておったことは承知いたしております。しかしわれわれは立法者といたしまして、その時代の要求にこたえるという意味で、新しい規定を投げたわけでありまして、刑法理論の構成につきましては、法制局の専門家からお答えいたします。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 補足いたしまして、その理論構成の面を若干分析して申し上げたいと思います。  第一に扇動の定義との重大な違いは、字句で申しますと、犯罪を「実行させる目的をもって」という要件を二十三条では書いてございません。それにかわってと申しますと若干語弊がございますが、それに類似するような概念規定をどういう形でつかまえたかという点につきましては、「第一項に規定する行為を行なうおそれがあることを予見しながら」というのが、それに若干近い類型を考えた次第でございます。そのかわり、それに一種の責任を負わせる根拠は一体どうかという根本問題になりますと、やはり基底的には政治上の主義目的のためならば人を殺してもいいというような主張自体、現在においては反社会的なものだという立法者の基底的な信念がここにひそんでおると私は推測いたします。そういう前提に立ちまして、そうしてしかも現在の教唆扇動の定義からは漏れて、常識的にはあとで尾を引いているというものがある、それをどうつかまえるかというところに問題の拠点があると思いますが、今申しましたように、一方においては「実行させる目的をもって」というに至らなくても、単に行なうおそれがあることを予見しながらやれば足りるという面で、ここを若干緩和いたしまして、なおしかしながら、あとは立法政策の問題でございますが、単に正当性を主張したというものは、やはりそこまでは政策的に処罰の対象とするのは何でございますから、やはり今般は、実行するに至った場合に初めて処罰するということを処罰条件といたしました。その他こまかいことにつきましては、継続または反復とか、被害者及び加害者両方につきまして、おのおの特定という概念で縛るというふうな配慮をいたしておる次第でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 破防法の四十五条に「公安調査官の職権濫用の罪」という規定がございます。この法律は破防法を多くの部分援用しておる。しかしその破防法の四十五条の援用はない。この法律では公安調査官の職権乱用を認めておるという議論がありますが、いかがでございますか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 当然、破防法における職権乱用三年以下の規定は、これには適用できるわけであります。

永末英一民主社会党

○永末英一君 適用いたしますというお答えですが、法文上どうなっているのかということを伺っているわけであります。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 打ちあけて申しますというと、実は世間でそう言っているから、どうしてもここで同じ条文を書けという御下命があったのでございますが、はっきり申し上げた方がいいと思いますが、あまりにも私どもの常識に反しますので、あまりにも当然なことだからこれだけはかんべんして下さいと、私が実は議員さん方にお願いをしたいきさつがございます。おそらく法務省当局でも当然のことである――と申しますのは、向こうの法律に、たとえばこの法律の適用についてはという字句でもございますれば、それは書かなくちゃいけません。しかしながら、一般的に調査官はその職権を乱用して云々と書いてございまして、きわめて一般的な規定でございますので、これはちょうど刑法における職権乱用の規定が公務員についてありますときには、公務員に各種の設置法その他の法律が新しくできまして、権限がふえるたびに、一々法律で書かなくちゃいかんという論議と同様でございまして、それは当然要らない、きわめて明白である、こう考える次第でございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 書いてないからそういうものが逆に解釈されるとは私は思いません。しかしながら、この法律を適用するについて、一般的にどういうことを心がけなくちゃならぬかという訓示規定はございます。ところが、里耳に入りやすいのは、破防法を援用しながら、これだけ援用してないから、逆にそれは認めているといわれた場合に、当然のことではないか、これをやる公安調査官等はどういう工合に乱用した場合に律せられるかということを答えなくちゃならぬと思うのです。その答えのされようとしては、一般的なことだから当然だということでは済まぬのではないか。ほかの法律に根拠があればお答え願いたい。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 今お述べになっております条文を読み上げてみますというと、「公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こに処する。」、こういう一般的な明文でございます。ちょっと繰り返して恐縮でございますが、私どもの常識から申しますと、これはこちらの方には書いてないからどうだという疑義そのものが初めからおかしいと思うのでございまして、当然、一般規定でございますから、公安調査官の職権を行なうについては、この規定が適用になるのはあまりにも当然である、こう思うのでございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 いわゆる政防法、この法律にはこの規定はないけれども、公安調査官としての行なうべき行為については、当然四十五条は公調査官にかかる、こう解釈してよろしいか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) さようでございます。

永末英一民主社会党

○永末英一君 終わります。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 暫時休憩いたします。    午後五時二十六分休憩      ―――――・―――――    午後八時四十九分開会

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続いて、政治的暴力行為防止法案の質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 私は、ただいまから、自民党並びに民社党、両党共同提案による政治的暴力行為防止法案に対し若干の質問をいたしますが、その前に一言要望いたしたいことがあります。  この政防法が衆議院の法務委員会において論議され、それが通過して参議院に回ってくるまでの間に行なおれたあの国会の混乱状態、そういうことを良識の府であるこの参議院において再び繰り返すことのないように、与野党の諸君にかたく要望いたすものであります。  まず最初に質問いたしますが、社会党から出されたテロ処罰法案に対して、自民党と民社党で出した政防法は左翼の集団デモを取り締まる方に重点がかかっている、こういうような評判がなかなか高いのでありますが、これに対して提案者はどのようにお考えになっておりますか。これを御質問いたします。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) お答えいたします。先ほどもちょっと申し上げたように思いまするが、今回の立案の根本といたしまして、基本的な態度としまして、われわれは、暴力は、側人的であると集団的であるとを問わず、暴力を取り除きたい、こういうことでございますので、若干お耳にも入っておるように、左翼集団暴力だけを対象としているというわけでは全然ございませんので、この点御了承賜わりたいと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 もちろん暴力は絶対に排除すべきでありますが、テロの場合は単独行動が多いわけであります。そうして自分の所属する団体からあらかじめ脱党して、単独で殺人行為あるいは傷害事件を行から、しかも政治的信条によってやったのではない、こういうようにやれば、また逃げ道も出てこないことはないのです。けれども、集団行動というものは、そういうふうな逃げ道はない。もう正面から思想を掲げて行動するわけであります。ですから、非常にテロの場合とは全然違うわけでありますが、こういうものを同一法案の中に織り込んでやったということは、それは左翼のデモを取り締まるためにやったのだというような評判を受けても仕方がないのじゃいかと言われていますが、大臣はこれをどう思いますか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 私は、かつて本会議あるいは委員会の席上でも申し上げましたように、やはり提案者のただいま御説明になりましたと同様に、暴力問題については、右であると左であると、あるいは集団であると個人であるとを問わず、適切な対策を立てることが必要である、かような態度で今日まで研究検討を続けて参っております。今回の両党共同提案にかかるものも、おおむねその趣旨に合致しておるものと考えておる次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 暴力は、政治的であるといなとにかかわらず、これは当然排除しなければなりませんが、私は、現行法規で取り締まれるのじゃないかと思うのですよ。暴力行為取締法、また破防法、刑法、公安条例もあるし、道路交通法もあるし、性犯罪法もあるし、そういったすでに成立されてある取り締まり法で取り締まれないことはないと思うのですけれども、どうして新たに作らなければならないかということが納得できないのですが、その点をもう一度大臣からお伺いいたします。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 現行法の運用だけではどうしても及びません部分があることが、まずその第一点でございます。その点につきましては、今回の第四条に列挙せられてありますところの犯罪類型も、従来の分よりは広がってあることは御承知の通りであります。  それから第二点といたしましては、現行法の刑罰の程度が、いま少しくこれを加重するのが現在の犯罪情勢に照らして適切である、その方が犯罪の予防にも十分資し得るというように考えまして、こうした二つの重要な点からやはり新しい立法が必要である、かように考えておる次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 私は政府当局と警察首脳陣で、ほんとうに忠実に現行法を守れば、それを行なえば取り締まれると思うけれども、警察当局からもう一度聞きたいと思うのです。  なお、安保条約をめぐっての国会乱入のときに、そのときの暴力取り締まりはどうなっておるか、その結末はどうなったのか、それもあわせて聞きたいと思います。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 法務大臣のお答えになりましたことにつきまして、警察はどう思うかということでございますが、警察といたしましても、法務大臣のお答え以外にお答えいたしますようなことはございませんので、全く同様に考えておるのでございます。  また、安保条約の際の取り締まりの跡始末はどうなっておるかということでございますが、これは先ほど資料要求がございまして、法務省からお答えをいたしましたようなことでございますので、それで御了承いただきたいと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 安保条約の際の国会乱入のときには、現行法ではまだ不十分だという結論なんですね。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 現行法におきましても、建造物侵入の罪がございますので、これで、対処することができるわけでございますけれども、今回の法案の中で、特に政治的な意味で最高機関たる国会に侵入いたしますものにつきまして、特にその刑を重くし、そういうことを予防するという趣旨で、こうされたと思うのでございまして、まことに警察といたしましても適切な規定であると考えのでございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 次に第一条、修正前の思想的信条を推進しというのを、「政治的信条」と修正いたしまた。なお、逐条説明の方には思想的信条とは思想上の信念のことであると書いてありまして、最後の方に、宗教上の信仰を除いたものと解される、この思想的信条が政治的信条に直されておりますが、宗教活動を弾圧するようなおそれは全くないかどらか、提案者にお伺いします。

富田健治自由民主党

○衆議院議員(富田健治君) 先ほどもちょっと申し上げたように思うのでございますが、思想的信条という立言をいたしましたときにも、われわれは宗教上の信仰は省かれるものだというふうにかたく信じておったのであります。ただ御承知の通り、それについては多少一部に疑義があるという御心配もあるような状況でございましたので、そこではっきりと「政治的信条」というふうに修正をいたしたような次第でございまするから、この政治的信条という文句のうちには、宗教的信条は絶対に入りません。さように御了承願います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 第二条の方には「これを拡張して解釈するようなことがあってはならない。」とありますが、こうある以上は拡大解釈するおそれがあるから第二条ができてあるんだと思うのです。それで今はそういうおそれはないような雰囲気であるし、提案者ももちろんそういうことは考えておらないと思いますが、法を運用するのは人であります。これが先にいってどういうふうに拡大されてくるかわからないと思う。今憲法九条を見れば、すなおに見るならば、日本の国に自衛隊があるということは非常におかしなことだと思うのです。陸軍も海軍も空軍もほんとうはないのがあたりまえです。ところが戦力なき軍隊であるとか、自衛隊であるとかいうような名前であれば憲法違反でないと、こういうように解釈されてくる。ほんとうにすなおに見たらおかしなことだなと私は思うんじゃないかと思うのです。そのような意味で、宗教団体が布教活動を行なっているのに対して、もしかりにこれに反感を持っている有力者であるとか、あるいは公安審査委員のようなものができたとしたら、あの宗教団体は宗教の仮面をかぶった政治団体である、こういうような見方をした場合に、宗教活動までも弾圧されるおそれがあるのではないかと私は思うのですが、こういう点に関してはどのようにお考えですか、そういう憂いは絶対にないと断言できるでしょうか。提案舌と大臣に伺います。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 宗教運動の弾圧という言葉はわかりませんが、宗教団体が政治運動というものをやれば、しかも政治団体の政治活動をやって、しかも人を殺したり、身体を傷害したり、政治的暴力行為をやれば別でございます。しかしながら思想的な、宗教的な信条が異なるので、その反対の宗派の人を殺したという場合にも、これは適用になりません。それは一般刑法で規定されることでありまして、この政防法の対象外にいたしたわけでありまして、これが思想的信条が賛成とか反対とかということを「政治的信条」と直した根本の趣旨でございますから、宗教問題での殺しとか傷害とか暴力行為は一般の刑法で考える、こういうことでございます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの提案者の御説明の通りだと考えております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 人を殺したとか何とかいうことになれば、おっしゃるようにそういうことはないと思いますが、ところが宗教を勧められた、あれは宗教活動じゃない、政治活動をやっているんだ、自分たちの仲間をふやして政治家を出すんだ、で宗教を勧めるんでなくて強制しているんだ、こういうような拡大解釈をすれば、宗教団体を不当に弾圧するおそれも出てくると思うんです。そうして第四条一項の四号、刑法二百二十三条にひっかけてくることも考えられてくると思いますけれども、そういうことは全くないと断言ができるかどうか、それを提案者にお伺いしたいと思うんです。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、宗教団体であっても、政治目的で人を逮捕、監禁するという場合にはもちろんかかってくるわけでありますが、宗教上の理由で第四条の人を殺したり何かいたしましても、刑法でひっかかるのみでございいまして、その点ははっきりいたしておるのでございます。従って宗教団体を弾圧するという意味がわかりませんが、これはあくまで現刑法にありますところの暴力行為を、政治目的のためにやったという場合の法律でございまするから、御心配の点は全然ないと考えるのであります。さよう御了承願いたいと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 それは政治的目的のために暴力をやれば、当然ここにひっかかるわけでありますが、政治目的であるかあるいは純粋な宗教活動であるか、そういう点をだれが判断するか。宗教団体から政治家を出したから政治目的だ、こういうようなことを見て、そういう立場からながめてくると、宗教団体の行動も政治のためにやっているんだというようなことになって、強制しているんだということから、刑法二百二十三条にひっかけてくるようなことがあるんじゃないかというわけなんです。その点もう一度御答弁願います。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) たとえば何々宗教団体が、ある人を当選させるために選挙運動をやったといたしましょうか、その場合に、その人を当選させるためという政治的のために、刑法第二百二十三条の強要罪、人を脅迫し、あるいは暴行を加えてその意思に反することを実行せしめるというようなことは強要でございますが、そういう場合にはもちろんかかります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 たまたま選挙の最中に宗教の話が出て、言うまでもなく政治の話も出たというような場合に強制された、あるいは政治目的でやっている政治団体だというようなことも起きてくるんじゃないかと私思うのです。そういうことはありませんか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 政治運動をやるだけではかからぬのでありまして、政治目的のために刑法ではっきり規定いたしておりまする第四条の殺人とか、障害とか、逮捕監禁とか、強要とか、新たに規定いたしました殺人の正当性の主張とかというものをやらなければ、ただ政治活動をやったからということでは、この法律の対象にはもちろんならないわけであります。そういった犯罪事実というものが明瞭になりまする場合におきましては、その宗教の団体のAという人がBに対してこういうことをやりましたから、刑罰補正によりまして普通の刑法より重い刑罰を課せられるということになるわけでございまして、ただ政治活動をやっただけでどうこうということとは全然これは無関係でございます。要はそういった政治目的という、はっきりした目的で、ここに書いておりまするような犯罪行為をやるという客観的事実がなければならないわけであります。そういう意味では、ただ政治活動というのではもちろんかからない次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 押し問答を繰り返しても仕方がありませんから、次へ行きますが、二十三条「政治上の主義若しくは施策又は政治的信条を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、特定の者が第一三条第一項に規定する行為を行なうおそれがあることを予見しながら、その者に対し、継続又は反復して、文書若しくは図画又は言動により、特定の他人を殺すことの正当性又は必要性の主張をした者は、その特定の者がその影響を受けて同項の罪を実行するに至ったときは、教唆又はせん動に至らなくとも、この罪をせん動した者と同一の刑に処する。」、「教唆又はせん動に至らなくとも、この罪をせん動した者と同一の刑に処する。」ということが何だか不当のような気がするのですが、もう一ぺん一つ説明して下さい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 法制局の部長から御説明いたします。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 先ほども申し上げたのでございますが、教唆またはせん動の要件に該当しなくとも、そのほかの要件、そこに書いてありますようなことに該当すれば、せん動、教唆と同一の刑に処するという意味でございますが、御質問の趣旨がはっきり私汲みとっていないかもしれませんが、前のこととちょっと繰り返すことになりますけれども、それでは単純に正当性を主張したこと自体を、それだけで処罰するのか、こういう毎度からたとえば御質問が向けられておると仮定して申し上げますならば、それだけではございません。それによってこの殺人の行為が起こるかもしれぬということを予見しながらという要件がございますそれから処罰要件として、こういう本罪が実行するに至ったという条件を加味いたしまして、本罪も成立する、こういうことでございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 たとえばまあ池田総理をとると、池田さんは所得倍増倍増というけれども、物価倍増でどうも所得倍増にならない、今度合ったら一つやっつけてやろう、こういうふうに言った者があるとするんですよ。それをやっつけるということは殺すことじゃなくて、池田さんに向かってその矛盾をついてやろう、こういうふうに言った場合、それを聞いた者が実際に総理に傷害を負わしたとか、そういうような場合には、教唆でも何でもなくてもこっちは罪を受けるのか、具体的に言えばそういうときはどんなふうになるのですか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 今お話しになりましたような説例を、その言葉通りに解釈いたしますというと、常識的に申しまして、単にある政治しの主義、施策というものを推進する意図というものはございますけれども、その中にわれわれの信奉する主義主張のためには、あるいは人を殺すのが正しいのだ、あるいは絶対に主義主張の貫徹のために殺さなければいけないのだというような意思内容までも、つまり正当性もしくは必要性ということがこの中に含まれているとはとうてい思えませんので、そういう場合には本罪の成立がないというふうに解釈するのが正当だと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 次に、私はなぜこのような問題の多い法案を急いで今回成立させなければならないのか、その理由を提案者にお伺いいたします。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 御承知のように、安保問題、嶋中事件を初め浅沼、川上、岸、各般の政治テロ及び暴力が世上の風潮になりまして、昨年の暮に超党派で暴力廃止決議を衆議院でやったわけでありますが、そういう世論にこたえまして、一刻も早く政治目的のための暴力を日本から一掃し、ほんとうに平和的手段のみによる議会及び民主主義の政治の基礎を固めてもらいたいというのが、国民のほとんどの要望でございます。また世論の代表機関であります大新聞は、あげて今国会においてそういう政治暴力防止立法をやることが義務である、国会議員の責務であるという世論に答えまして、一刻も早く政治暴力をなくしなければ、これをまた将来に残すとなりますと、またテロが起こる、また集団暴力が起こるというようでは、立法府に身を置くわれわれとしては責任をはたすゆえんではないと考えまして、一刻も早く今国会において、成立せしめたいというので、三党間に三カ月以上にわたりまして、十数回にわたりまして折衝をいたしたわけでございます。そうして、ほとんどしぼれるところまでしぼって、猪俣提案まで出て参りました。社会党も御同調願えるものだと、ぎりぎりのところ、われわれは非常に喜んだのでありまするが、残念ながら最後の段階において社会党の御同調を得られることができませんでした。しかしながら、そこまで世論の大多数が望んでおり、しかも社会党の有力な人たちまで非常に近い御意見を出されたという段階におきましては、これを一刻も早く成立せしめまして、国民の不安を取り除き、ほんとうに平和主義に徹した議会民主主義を擁立するということが刻下の急務であるとわれわれ考えまして、一刻も早くこの法律が成立することを望んでおる次第であります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 衆議院の委員会で参考人を呼んで意見を聞いたそうでありますが、この参考人の意見は、聞くところによれば、過半数が批判的であり反対であったということも聞いております。また、ここにあのように声もするように、反対の声もかなり多いんです。そういう問題のある法案は、できるだけ審議を尽くして、十分に慎重審議してきめなければならないものだと思うんです。これを、参議院に来てもまだ始まったばかりです。会期末が近づいているからということで急いで上げるようなことは、私は言論の府としての務めを果たすものでないと思うんです。そういう意味において、もっと慎重に審議すべきでないかと思うんですが、提案者並びに大臣はどうお思いになりますか。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 問題は、この法律のどこが悪いか、どこがいいかという点にしぼられるのではなかろうか。そういう点におきまして、参考人の御意見の中にも、社会党の方で御推薦になった五名、自民党と民社党推薦が四名でございました。中には、こういう立法は必要でないという先生もおられました。しかし、われわれは、その中で必要だという人の御意見の中のいろいろな批判の点を十分とり入れまして、六点にわたりまして修正をいたしたわけでございます。必要がないという意見はこれはもうこれに修正の余地はなかったおけでありますが、多くの方々がこうしたらどうかという点はおおむねとり入れておりまするので、そういう意味におきましては、国民の大多数の御意見、また国会内における大多数の御意見は十分これに盛られておるのではないか、かように考えまして、一刻も早く成立をして、政治暴力ムードを日本からなくしていくという所存でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 暴力は否定するのは、これは万人の共通な気持だと思うんです。ただ、衆議院の通り方もあのように国民のひんしゅくを買うような無理押しをしたという感じがあまりにも強い。私は、自民党でもなければ社会党でもない。どちらにも見方しておらないけれども、客観的に見たときに、まだ時期尚早じゃないか、もっともっと審議を尽くしてやるべきじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。が、しかし、どうしてもやろうといえばこれは仕方がないわけでありますが、立法府として、言論の府としての務めを十分に果たされるように強く要望して私の質問を終わります。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 皆さんの御質問で私の伺いたいところも重複する点がありますが、それらを省略いたしまして、ほかの点だけを伺いたいと思います。多少重複することをお許し願いたいと思います。  この法律で規制する対象は、いわゆる確信犯というのですか、でき心でやったとか何とかというのじゃない、ある一定の主義信条を持って、それに基づいてやるということが多いのではないかと思います。一体そういうふうな考えをただ刑罰を重くするということだけで、そういうことが守れるものかどうか。刑罰を重くすることによって多少はまあいいかもしれませんけれども、基本的にはそういうことではできないのではないか。そういうことに対しては提案者なり、あるいは政府なりはどういうふうなお考えを持っておられるかということを伺いたいと思います。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 自分が死刑になっても絶対にやるのだという狂信的な確信犯にはもちろん効果がございません。法律は万能ではございませんから、そういう人たちにはあるいは効果がないというのが正しいかもしれません。しかしながら同時に若干の刑罰の加重、そうしてそれを予防するためのいろいろな団体規制の措置というものによりまして、この政治暴力を防げる効果もまた絶大でございます。要は、こういった政治暴力横行の時代におきまして、国家が、立法府が断固として政治目的のためにする暴力を排除するのだという、また国会乱入にいたしましても、こういうのはいかぬのだと、断固たる意思表示がこの政治暴力行為防止法の社会教育的効果でございます。従って、こういう法律が国会で御承認されて実施されますならば、私は百パーセント一挙になくなるとは申しませんが、いわゆる政治暴力ムードと申しますか、政治暴力風潮に対しては、有力な一つの効果を獲得することができるということを確信いたしております。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 まあそういうふうな暴力に対しては断固たる決意というか、規定を作って、これを畏怖せしめるというようなお言葉、確かにそういうようなこともあるかと思いますが、そういたしますと、実は今日政府なり警察のやっていることが一体断固としてやっているかどうか。これは先ほどの辻君の御質問にもあったのですが、今日までいろいろ暴力があって、それに対してはいろいろな法律の規制がある。必ずしもこの法案をもってしなくてもいいのではないかと辻君が指摘された。しかし今日までの法律で漏れているところもあるし、また漏れていないところでも断固とした今おっしゃるような決意を示すためには、罪を加重しなければならぬという必要があって、この法律を作ったのだ。それで法律の網の目は一段目と整備することになりましょうけれども、整備した網の目を実際に使う、これをやはり実行していくということがはっきりしなければならぬ。ところが今日までいろいろな問題で政府あるいは警察のやっていることを見ると、必ずしもそうでない。いわゆる集団デモというふうなものがある、大きなデモがあっても取り締っていない。現に道路交通法という法律があるのです。あるいはまた街の紳士といいましょうか、そういう人たちのいろいろ個人的な暴力行為に対しても警察の取り締まり、あるいは裁判のやり方は非常に手ぬるいということは世間で周知の事実になっているわけです。こういうふうに現行の法律の施行も十全にやっていないとなると、網の目を一生懸命やりまして、法律としてはなるほど完備したものができても、一体これをほんとうにやるのかやらないのか。もしこういう法律を作って、それの施行に多少でもちゅうちょすることになってくると、かえって法の権威を失墜して、先ほどおっしゃったような断固たる決意だ、これによって予防の効果が期待できるのだということの逆効果になると思うのですが、大体そういうことに対しては、この法律の施行についてもそうですが、現にある法律の施行についても警察当局あるいは司法当局は従来のやり方なり今後についてどういうふうな御所見を持っておりますか、お伺いいたします。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 現行の法律制度並びにこうして新しく立法せられました場合に、その立法の各条項に照らしまして、厳正に、かつ適実に運営して参るということを努めて参りたいと考えておるのであります。今日までも、もちろんそうした態度で進んできておるつもりではありますが、あるいは一部にただいま御指摘のごとき批判が行なわれておりますように、必ずしも十分じゃないじゃないかというような点が絶無とは私も申しません。しかしながら、それらの点については、従来、当該法律の実際の適用の実情にもかんがみまして、直ちに、かりにきのうまではこの条文の適用がなかったが、きょうからにわかに適用するということもできかねる場合もあります。しかしながら、事あるごとに実際の実情に適するようにという意味で、厳正な励行を努めて参っておるのであります。たとえて申しますと、先般もこの委員会において申し上げましたごとく、われわれ検察当局が求刑をいたしますような場合におきましても、法律の範囲内において所定の、一つのやはり慣例と申しますか、ワクがございまして、それによって従来適切に求刑をいたすのでありますが、しかし最近の実情にかんがみまして、それでは不十分であるということを気づきまして、これもその基準を変更して、そうして厳正に適用しようということを申し合わせて、全国一斉に不均衡の起こらないように努めて参るということもやっております。さようなわけで、従来から既存法律についての運用が不十分であると思われる点、あるいはそうした御指摘を受けるような点については、常に反省を加えながらその改修に進んで参っておる次第でございます。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 次は、法律の条文で一、二お伺いいたしますが、第一条に、政治の主義というような言葉と、それから政治的信条というふうにありますが、この区別は大体どういうふうにお考えになっておりますか。  それからもう一つは、先ほど辻君の質問に対しまして早川氏から、選挙運動をすることもこれに該当するのかどうか、ある人の選挙運動について何か強要、強制的なことがあれば、それはやはり政治的暴力行為となるというようなお話でありましたが、そうすると、選挙運動あるいはある人を当選せしめまたは当選を妨げるというようなことが、「政治上の主義若しくは施策又は政治的信条を推進し、支持し、又はこれに反対する目的」を持つということに該当することかどうか。先ほどお話がありましたが、ちょっと念のためにお伺いします。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 政治上の主義というのは、資本主義とか、共産主義とか、一つの体系をもったイデオロギー、主義という意味でございます。それから施策していうのは、たとえば国民皆保険を実現するとか、いわゆるそういう具体的な政治目的、政治的信条というのは、信条というのは御承知のように憲法や国家公務員法にありますような信念、それによって差別をしてはいかぬという、憲法の条項をとりまして、そういう体系の主義までいかないが、心の中に思っておりましても、そういった信念、常識的に解されるものを言うのでございます。技術的なことは法制局からお答えいたします。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 選挙運動の定義、概念と、それから本法案におきます政治上の主義もしくは施策または政治的信条という言葉の区別でございますが、選挙法におきますところの選挙運動の定義につきましては、昔から判例で概念が確定しておりまして、特定の候補者の当選を得させる目的、もしくは得せしめる目的ということで、非常に限定的に解釈されておりますので、ある場面で具体的な場合においては重複するものもあるかもしれませんが、概念上は一応区別される、こう申し上げて、いいかと思います。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 概念的に区別されているということになると、今の第四条のいわゆる「政治的」ということには入らない、こうなると解釈していいですか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 大体その個々の選挙運動における、たとえば暴力行為が起きました場合の問題でございますが、それは政治上の主義、施策云々という規定にはすぐには当てはまらない、一般的には当てはまらないというふうに解していいだろうと思います。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 先ほどの早川さんのお話、ちょっと私の聞き違いかもしれませんけれども、辻君が、ある宗教団体で選挙の候補者を出す、それの運動のために云々と、そのとき強制というふうな問題が起こったらどうかというようなことがあったとき、それはかかる、それに羈束されるというようなことがあったと思うのです。そうすると今の部長のお話とは違って、政治上の信念あるいは信条の中へ入るのだ、こう解釈されるのですが。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 早川先生が先ほどお話しになりましたのは、主として宗教的信仰もしくは信念、そういうものと政治的信条という概念の区別についてお話しになったのでありまして、従いまして宗教団体といえども、この政治上の主義もしくは施策または政治的信条を推進するものが暴力行為を用いましたならば、本法の適用があるけれども、ここに書いてあります以外の、単なる思想もしくは単なる宗教上の信仰そのものと関連する暴力行為は一般刑法の適用を受けるのであって、本法の適用は受けない、こういうお話をなさいました。従いましてそのお話は、その思想的とかあるいは宗教的信仰という概念と、本法におきまするところの政治的云々という概念との区別について強調されたわけでございまして、選挙運動が、今度は政治上の施策に該当するかどうかというものとはまた別個の問題であると考えます。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 その別個な問題は一体どういうふうに解釈されるか、先ほどのように一致する場合もあるし、別な場合もあるので個々に解釈する、こういうことになるのですか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) 選挙運動で、たとえば特定の候補者の応援をします方々の心理状態を具体的にどう判断するかということでございまいすが、それは個別的に、自分の尊敬するこの候補者を当選さしてあげたい、こういうだけのことでございましたならば、それは概念的に政治上の施策の推進ということとは一応切り離されます。しかしながらそれがもっと、これは個々の犯罪者の内心の意図をどう立証するかという問題でございまして、きわめてデリケートでございますが、概念的には、理論的には政治上の施策の推進のために云々ということにまでそれが論証し得るかどうかということは、単に選挙運動をやったということだけでは当てはまりませんということを申し上げる次第でございます。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 それから第十条に参りまして、この団体が解散の指定を受けて解散してしまう、そうすると、その団体を今度は再建というようなことは、まあ再建といっても、メンバーが全部同じとか、規約が全部同じであるか、多少違うかということは別にして、常識的に再建だということはこれはできないことになりますから、この四カ月ですか、期間が過ぎれば、いわゆる前のものの再建だと思われるような団体を作ることはかまいませんか。

川口頼好第二部長

○衆議院法制局参事(川口頼好君) その点に関しましては、条文といたしましては解散指定が第九条でございまして、その次の条文の第十条の第二項に脱法の禁止の規定がございまして、「いかなる名義においても、」云々というふうに書いてございまして、結局これは具体的には認定の問題に期するわけでございますが、前の団体と同一性格のものの再建だとみなされるようなものは脱法だとして禁止に触れる、こう申し上げるしかございません。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 じゃ今度は条文より逆に事柄を伺いますが、いわゆる政治的テロというふうなもの、これはあらためて伺うまでもなくこれは論外でありますから、多少疑問になるのは、いわゆる政治的デモであろうと思うのですが、昨年の安保反対デモのとき「岸を殺せ」というふうなプラカードを掲げてあるのです。そして「わっしょい、わっしょい」、「岸を殺せ、岸を殺せ」というふうなことをやっておる。もしああいうふうなことが、この法律があったとすれば、あれはどこかに当てはまりますか。それとも当てはまりませんか。また今日では「池田を倒せ」という 倒せというのが 内閣を倒せということならいいのですが、これがやはり身体的に倒せということであると、殺せということと同じ言葉になります。こういうふうなデモの行為が、集団行為がこの法律のどこかへひっかかりますか、ひっかかりませんか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) ただいま設例を申されましたが、ただいまのような案件につきましては、大部分は事実の認定でございます。その「岸を殺せ」という意味が、文字通り殺すという意味であるかどうか、あるいは「倒せ」という意味が殺すという意味までも含んでおるのであるか、そうして真実そう考えて言っているのであるか、単なる符牒として言っているのであるかという事実問題が第一に問題になるわけでございますけれども、そのようなことをかりに真実殺すという意味で言っているものだといたしましても、それを反復継続してやりました場合に、法案の第二十三条の所定の条件を満たしまして、その影響を受けて岸を殺すといったような事態になるということになりますると、二十三条の違反として処断される場合があり得ると思うのでございますが、先ほど申しましたように、前段の事実関係をどうみるかということによってきまる問題でございまして、単にそのようなことを叫んだからといって、直ちに二十三条が出てくるという筋合いのものではないと理解いたしております。

杉山昌作参議院同志会

○杉山昌作君 それでは最後に、衆議院段階というか、あるいは法案が出る前の段階で、自民、民社、社会三党でいろいろ話し合いがあったことを新聞等で承知しております。私のところは御承知の通り衆議院に足を持っておりませんものですから、衆議院段階のことがよくわからないのでございますが、一体こういうふうな法律が三党の話し合いができてやれば一番いいのだ、これはだれでも考えることなんで、そのために三党の皆さんそれぞれ熱心なお話し合いをしたことと思います。不幸にして社会党がやめになって、そうして自民党と民社党との共同提案になっているのですが、一体そのどういう点が最後的に社会党の方と議が合わなかったのか、それらをお示し願えるならお示し願いたい。それに対して、自民、民社両党はあえて提案をなさっているわけですから、それをどういうふうにお考えになっているか、それから実は、それをお尋ねまでして今やらなきゃならぬのはどういうわけかということなんですが、その最後のところは先ほど辻君の質問に対するお話がありましたので、前段の方だけを参考にお伺いしておきたい。

早川崇自由民主党

○衆議院議員(早川崇君) 実は、最終段階におきまして、社会党の交渉委員の猪俣提案と言われるものの内容は、新聞紙上で御承知のように、国会その他への乱入を別立てにしてほしい、別の法律にしてほしいということが第一点であります。第二点は、殺人、傷害以外の、逮捕監禁とか、あるいは強要とか、集団暴力の刑罰の過重は認めるけれども、それに対する、それを原因とした団体規制は一つ緩和してもらいたい、殺人、傷害という暴力行為を行なった団体だけに団体規制をやってほしい、という点が第二点。第三点は、これは法律は別立てにするけれども、猪俣君は、あるいは代表委員の坂本君もおりましたが、国会への乱入、総理官邸への乱入、さらに裁判所まで入れてほしいという、こういうことは悪いことなんですが、しかしわれわれは、こういう団体暴力行為と個人テロとは別に考えておるから、別立ての法律にしてもらいたい、そこでこれを同時提案して、国会で三党が通す、こういう申し合わせでございました。ところが、こういうものはわれわれが自分の説ばかり主張してもだめです。議会政治は妥協でございますから。われわれは国会に対する暴力的政治目的による乱入というものは、これは暴力という面から見れば、殺人も傷害も集団暴行も同じことで、ただ程度が違うから、片一方に殺人に対して死刑あるいは七年以上で、団体規制も、殺人は重いが、国会乱入は軽い。ちょうど刑法で殺人と住居侵入と同じ法律にあるような意味におきまして、そうわれわれは思っておりますけれども、政治は妥協でございますから、社会党が少なくとも国会の三分の一の勢力を持っている以上、そのお立場を尊重いたしまして、それをのもうということに、民社党も自民党も妥協いたしたわけであります。ところが、これは社会党の方からお聞き願いたいのでございますけれども、中央執行委員会において全面的に拒否された、こういう経過をたどっているわけであります。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 暫時休憩いたします。    午後九時四十二分休憩      ―――――・―――――    午後十一時三十二分開会

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  次回の委員会は明七日午前、零時五分より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後十一時三十三分散会      ―――――・―――――

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