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38回国会参議院1961/05/23

法務委員会 第16号

発言数
129
登壇者
12
会派数
2
開催日
1961/05/23

会議録

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  五月十九日付、後藤義隆君辞任、田中茂穗君選任。  五月二十日付、田中茂穗君辞任、後藤義隆君選任。  五月二十二日付、木島義夫君辞任、岡村文四郎君選任。  五月二十三日付、江川三郎君辞任、近藤信一君選任。  以上であります。     —————————————

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 検察及び裁判の運営等に関する調査中、出入国管理に関する件を議題といたします。  本日は、最近の出入国の管理の状況、特に朝鮮人の出入国状況について調査を行ないます。  まず、当局側より説明をお願いします。当局側の出席者は、法務省より高瀬入国管理局長、警察庁より三輪警備局長であります。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) 御命令によりまして、最近の外国人特に韓国人の本邦への出入国の状況につきまして概略申し上げたいと存じます。  第一に、最近における正規出入国外国人の数について申し上げてみたいと思います。昭和三十六年一月から三力までの外国人の出入国者数は、入国者が三万四千二百二十六名ございまして、出国者が二万九千三百六十六名計六万三千五百九十二名ございます。これを昨年の一月から三月までの合計と比較いたしますると、入国者におきまして二〇%の増、出国者におきまして一八%の増、出入国者合計におきまして一九%の増加と相なっております。昨年度におきまする大型ジェット機の全面的就航、最近の貿易自由化の傾向、人の出入りのひんぱんさ等によりまして、今後も漸増する傾向を示すものと考えられます。  次に、本年一月から三月までの間におきまする出入国外国人を国籍別に見ますと、米国人の入国者が一万七千七百九名、入国者合計に対しまして五二%を示しております。出国者は一万四千六百六十名出国者合計に対しまして五〇%を示しております。本邦に出入国いたしまする外国人の約半数が米国人でございます。朝鮮人がこれに次ぎまして、入国者が二千七百八十五名、出国者が三千四百六十六名ございまして、以下英国人、中国人、カナダ人等になっております。概括して申し上げますと、本邦に出入国いたしまする外国人は非常な増勢を示しておるということを申し上げられると存じます。  次に、人数といたしましては第二番目でございますが、種々の点におきまして非常に問題がございまする朝鮮人の出入国の現状について概略御説明申し上げます。朝鮮人の出入国者の中で、ただいま申し上げました正規のルートによります出入国以外に、いわゆる不法の入国をいたします行が非常に多いのが現状でございます。この朝鮮人の不法入国者の現状を統計的に概略申し上げてみますと、その検挙状況におきましては、昭和二十六年以降朝鮮人不法入国者の検挙数は左に申し上げる通りでございます。  昭和二十六年度に三千四百九十五名ございまして、自来逐年、歴年に申し上げますと、二十七年に二千六百二十八名、二十八年に二千二百二十四名、二十九年に千四百九十七名、三十年に千四百三十四名、三十一年に千百十七名、三十二年に二千七十七名、三十三年千四百三十八名、三十四年に至りまして千六十二名、三十五年が千八百五十二名、これが検挙された朝鮮人の不法入国者の数でございます。  ただいま申し上げましたことによりまして、昭和二十六年をピークといたしまして、逐次その検挙数が減少しておりましたところ、昭和三十二年に至りまして若干増加したけれども、昭和三十四年が非常に減りまして千六十二名という数字になっております。三十四年に減りました現象を見まして、三十五年以後は減るものと考えられておりましたが、加えまして昨年度の韓国の政情変化等もございました関係上、その帰趨は非常に着目せられておったのでありますが、一躍八〇%増の千八百五十二名に昨年昭和三十五年は増加を示しております。さらに三十六年、本年度に入りましてからは、一そう増加の傾向がございまして、本年一月から五月までの集団不法入国者だけを取り上げてみましても、その検挙されましたものが四百七十三名に達しております。これは、昨年度の一月から五月までの集団不法入国打の検挙数二百八名に対比いたしますと、非常な激増と印されるかと存じます。朝鮮人の不法入国者の態様といたしましては、集団で不法入国する者が非常に多い現状でございます。これは対馬にありまする警戒態勢、その他山口県等における検挙数の増加等事実が、この集団不法入国者の増加いたしまする場所の傾向を示してているものと思うのでございます。  その他、集団不法入国の問題につきまして、一、二御説明申し上げておきたいと存じまするが、集団不法入国者の入国の態様がいかが相なっているかと申しますると、九名以下のものと、十名ないし二十名のグループと、三十名以上のものというふうにこれを分けて見ますると、十四年において、九名以下が十三件ございます。三十名以上が四件ございます。十名以上三十名以下が十三件ございます。これは昭和三十五年におきまして、九名以下が九件、十名以上二千名以下が二十一件、三十名以上が六件という統計が出ております。この統計を一見いたしまして顕著な事実は、十名以上三十名以下のものがかなりの数になっておりますし、コンスタントに九名以下のものが存在しているというのが過去の現象でございます。しかるに、本年度に相なりますると、一月から五月までの短い期間の統計でありますが、九名以下の集団不法入国者が九件ございます。三十名以上が七件ございます。これは、先ほど申し上げました三十四年、三十五年の統計は、年間統計で四件、六件という数字が出ておりまするが、本年は一月から五月の間におきまして七件という数字が出ております。つまり、非常に小規模なものと、三十名以上の大規模なものと、二つの傾向を示しておるように考えられます。  次に、不法入国者の手段でございまするが、地理的な日韓双方の関係上、小型の密航船によって入国して参るものが非常に多いのが顕著な現象でございます。また、日韓双方の間におきまする交通——正規なルートによりまする出入国の簡易化と申しまするか、出入国者のふえまする度合いにおきまして、そのルートを利用するその他の手段によりまする一種のブローカーというものが存在するもののようであるというふうな印象を受ける事件が多いのでございます。この入国の手段、態様におきまして非常に巧妙と相なったと申しまするか、あの手この手を使いまして集団密入国の目的を達する方法がとられているように判断されております。  なお、彼らの目的地並びに出て参ります場所の点について申し上げますると、目的地といたしましては、大阪市が非常に多うございます。これが第一位で、次いで東京、名古屋地方等の大都会を目的地として不法入国して参るというような現象でございます。なお出航地は、地理的に本邦に最も近い点、すなわち釜山がトップを占めておりまして、あと牧の島、麗水等がこれに次いでおります。上陸地点といたしましては、韓国からわずか三十マイルの位置にございます対馬に集中する一方、山口県、福岡県、佐賀県に連なる一連の線及び山陰道等の海岸線を利用して、警戒手薄な所をねらって入ってくるような傾向が見られます。  不法入国者の出身者は、圧倒的に済州島が多く、なお巨済島付近、慶尚南道が非常にたくさんございます。  次に、この不法入国者の動機と申しまするか、目的等につきまして申し上げてみますると、一般的に見まするとと、少年、婦女子等が在日親族をたよって同居したい、またはその生活を共にしたい、補助を受けたいという者が多く、そのほかには求職、すなわち就職するために本邦を目指す者、また勉学、学校に入りたいと称するような者がかなりの部分を占めておりますのが現状でございます。  なお、不法入国者の年令の構成について一、二顕著な事象が起きておりますので申し上げてみたいと存じますが、先般来、人道的の見地に基づきまして、老人——非常に高齢の人であるとか、非常に子供で年令の幼い者等につきましては、不法入国事実はございまするものの、その行政処分としての処遇につきまして、特別在留許可というような線が打ち出されておる率がかなり多いということがございました関係上、昭和三十四年に未成年者及び六十才以上を除きました壮年の者の比率が、全集団密入国者の四二%でございます。これは、昭和三十四年の集団密入国者三百六十四名につきまして、未成年者百九十名五二%、六十才以上二十一名六%、この双方に対しまして、成年者——六十才以下が百五十三名四二%という数字を示しております。昭和三十五年に相なりますると、五百十三名全員につきまして、未成年者三百一名五八%、六十才以上四十名八%、この双方を控除いたしました壮年の者が百七十二名、すなわち三四%に相なっております。三十四年が四二%でございまして、三十五年に相なりますると三四%に減っております。昭和三十六年——本年一月から五月までの四百十七名の集団密入国者の年令構成は、右比率に対比いたしますると、未成年者が二百八十五名六八%という激増ぶりを示しております。六十才以上が十四名三%でございまして、壮年と思われまする百十八名は二九%に減少しております。集団不法入国者の年令構成は、この統計よりかんがみますると、非常に年少行と老人というものが逐次増加しつつあるというのが現状かと考えられます。  今後の見通し等につきましては、これが判断はなかなかむずかしいかと考えられまするが、昭和三十四年に最近十カ年中の最低を示し、三十五年には、李政権が崩壊し、民生が多少安定の方向に向かい、日韓関係等も好伝するきざしを見せたことにより、不法入国者の数は減少するかと考えておりましたが、政変直後の五月以降むしろ増加の一途を示しております。このような傾向の原因はいかがなものであるかということにつきましては、的確にこれを申し上げることはむずかしいかと存じまするが、沿岸警備の政変直後における弱体化でありまするとか、日韓関係の好転ということによりまして、日本側の処分が緩和されるのではないかというような期待等の増大が原因になっているかとも考えられます。  なお、この不法入国の取り締まりの状況につきまして法務省に関しまする御説明を一、二つけ加えて申し上げてみたいと存じます。  不法入国者をいかに取り締まるかという問題につきましては、その国の法制上の建前から幾つかの呉なりました態様が各国によりまして採用せられております。わが国の場合におきましては、出入国管理令によりまして犯罪としてこれを処罰することになっております。一方、退去強制と申しまする行政処分を並行して取り締まりをする建前に相なっております。すなわち入国管理局といたしましても、不法入国者を発見いたしました場合は、行政処分に付する手続の一環といたしまして、身柄を拘束すること、国外送還の実施までその身柄を拘束することが可能でございまするし、その間に犯罪といたしまして捜査機関に告発、刑事手続が行なわれるということがございます。他方、捜査機関におかれても、発見されました際は、逮捕の上刑事手続を進めるかたわら、入国管理当局に通報をいたしまして、あるいは身柄を引き渡す、退去強制の手続の実施に協力いたすことに相なっております。  ただいま申し上げました朝鮮人の不法入国の場合におきまするケースは、この方面におきまする取り締まりの状況ということに相なっておるのでありまするが、これは第一線が、捜査当局が主として当たっておられるのが現在の状況でございます。  以上をもちまして外国人の出入国の全般的計数の点及び朝鮮人のうち特に不法入国という態様をとりまする入国の形式並びにそれが大略等につきまして概略お話し申し上げた次第でございます。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 以上で当局の説明は終わりました。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 ただいまいろいろと報告をお聞きいたしまして、特にその中で朝鮮人の不法入国というものが昨年から若干増加しつつあるという傾向でございます。特に私は、五月十六日に韓国でクーデーターが行なわれまして、韓国における政治情勢というものに若干の変化を来たしておるというのが今日の状態であるので、特にこのクーデーターによる韓国の経済的な情勢というものも私は大きな変化があると思うのであります。そういう点いろいろと考えますると、今日はまだ戒厳令下にある韓国でございまするから、今直ちにということは私はないかとも思うわけでありまするけれども、やはりだんだんとこれが落ちついて参りますると、そこに私はいろいろな問題が発生してくるということが予想されるわけであります。特にこうした軍事革命後における収拾というものがきびしく行なわれる場合には、やはり新聞等にもいろいろ報ぜられておりまするように、やはり政治的な亡命者というものが予想されるというふうにも私は考えるわけでございまするが、きのうきょうの新聞にもそのことが取り上げられて、それに対するところの日本政府がどう対処していくか、これが一つの大きな問題になろうかと思うのでございます。従いまして、それらの問題について政府当局はどのように対処していかれるお考えを持っておられるのか、この点からまずお尋ねしたいと思うのであります。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの御指摘の点について二点お答え申し上げたいと存じます。  第一の点は、今般の韓国に起こりました政変に際しまして、入管当局といたしましては、先刻来申し上げておりまする不法入国者の態様その他について顕著なる変化があったかなかったかということにつきまして、隷下機関に直ちに訓達いたしまして鋭意注目しておるところでございまするが、ただいままでの状況におきましては、大きな変化はございません。言葉をかえて申し上げますると、五月の十六日以降集団不法入国は検挙せられたものはございません。また朝鮮から来訪いたしまする流れるごとき日常の朝鮮人の本邦渡来も途絶えておりまするために、顕著な変化はございません。ただ、対馬の厳原の港におきまして、韓国の革命に伴いまして小型貿易船が従来ともひんぱんに入国しておったのでございまするが、十九日に至りましてこれが平常通りの数字に復元しております。  革命以降本月二十日正午までの出入国船舶の数字を申し上げてみますると、十七日に釜山より入港したものが一ぱい。釜山へ出航いたしたものが三ばいでございます。十八日に入航いたしたものが二はい、同じく馬山よりでございます。出航いたしたものが四はい。これは馬山へ出航いたしました。十九日に入航が五はいでございまして、馬山が四、郷ノ浦が一、出航が同じく一でございます。これは馬山へ向けております。二十日は入航なく出航が馬山へ一ぱいというのが現状でございます。このことは、海外渡航その他につきまして新韓国政権が厳重な措置を講じておるかとも想像せられましたが、少なくとも対馬に向け、対馬よりの少型貿易船に関しまする限りは、平常と申しまするか、従前の姿に戻っておるという事実を示しておるように考えられます。  第二点のいわゆる政治亡命その他の問題でございまするが、これはきわめて重大な意味を持ちまする問題であることは御指摘の通りでございまして、これが取り扱いにつきましては、従来とも非常に慎重にいたしております。ただ、この際一、二入国管理局関係の法務省の見解を申し上げておきたいと存じまするが、いわゆる韓国その他の地域から政治亡命を唱えまして本邦政府の庇護を請求するということが正面に出ましたケースは、従来ともにほとんどございません。このことは、韓国を例にとりますると、韓国の政変等によりまして従前の地位を捨て、かつまた生命その他の危険が差し迫りましたので、不法入国等の手段によりまして本邦へ来訪し、本邦でその安全をはかるという具体的のケースは、従前ともございました。しかし、この具体的のケースを処置いたしまする入管の方針は、一括これを単純なる不法入国者として処遇いたしております。この点は捜査機関等ともよく打ち合わせをいたしまして、不法入国者として一連の刑事手続に至りまする諸手続を踏むことにいたしております。つまり、われわれのねらいと申しまするか、その考え方の基本に存在いたしますることは、政変のたびにいろいろな人たちが政治亡命ということを唱えまして本邦へ渡来し、その安全をはかるという現象が、日韓双方がきわめて地理的に近接しておりますること及び本邦に六十万以上のいわゆる朝鮮人というものが存在しておりまする関係及び本邦におきまする治安等の基本的見解から、これが増加を見ますこと、かくのごとき事件が多数発生いたしますことにつきましては、これを必ずしも好まない。また抑制すべきであるという見解から、この種措置をとっております。  われわれの技術的な手続におきましては、先ほど来申し上げております通り、不法入国という一連の手続において案件を処理いたしておりまして、いわゆる政治亡命という大問題には触れずに事態を処置しておるのが現状でございます。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これはおとといの新聞でございましたが、警察庁が政治亡命を特に受け入れるという方針を関係各省ときめたような一部の報道がございましたので、この際、お許しを得てお断わりをいたしておきたいと思うのでございますが、日本政府側といたしての態度は、今入管局長からお答えをいたした通りでございます。警察側といたしましても、いかなる階層の人々を政治亡命として受け入れるかということについて、警察側がこれを取りきめる筋合いのものでもございません。ただ、先ほど来お話しがございましたように、昨年の十一月に元内務部長が密航して参りまして、政治亡命をしたいという申し川がありましたわけでございます。そこで、今回の政変にかんがみて、そういった意味のいわゆる政治亡命を届け出る人たちの密入国もだんだんあろうかということは想像されるのでございます。従いまして第一線の警察といたしましては、これをいずれも同様に密入国の事件として検挙いたし、司法手続を進めるわけでございますけれども、その際に、政治的あるいは外交的な意味で何らかの配慮すべき点があるのかどうかというような点につきまして、ことに今回の事件が起こりました直後に関係各省にも事務的な御連絡をいたしておるという事実のみでございます。従いまして、警察が特段権限もございませんこの政治亡命者の受け入れを、警察が歓迎をするというような筋合いのものではございません。若干そういうふうな取り方をして、はね返ってきた外電もあるやに承知をいたしますけれども、そういうことでございますので、ただいま入管局長からお答えになりました以外のことを警察が考えておるわけじゃございませんので、御了承いただきたいと思います。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 今、御答弁がございましたように、昨日の新聞に、やはりそのことが報道されているのです。政府は、いわゆる実質的な承認の線で進んでいく、その中に、政治亡命者について人道上の非難を受けないように適切な措置をとることと、それから二番目として、亡命者の限界は、官僚クラスの地位にあった者とし、左翼系統は、組織の最高幹部クラスを原則とする、こういうふうに二つの点をあげて、新聞で報じておるのです。  そこで、今御答弁がございましたが、いろいろと昨年も内務部長の何とかいう人が、政治亡命を申請された。さらにもう一つは、前大使、柳というのですか、柳大使が同じように亡命の手続をとられた。この二人のその後の状況は、どうなっておるか。この点お尋ねいたします。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) 前駐日代表部大使柳泰夏の状況について申し上げてみますると、同人は大使の資格をむちまして国交未回復でございまする日本に駐在いたしまして、これが存在を本邦政府も承認いたしまして、韓国代表部の代表者として存在を続けておったわけでございますが、過般の政変によりましてその地位を失いました。その失いました大要は、韓国代表部から正式な文書が外務省に参りまして、柳大使の大使解任並びに駐日代表部の代表者たる資格の喪失を通告をしたわけでございます。この事実に対しまして、従来は、その日までは外交官としての日本滞在を許容されておったのでございまするが、そのもとの資格喪失という現象が起こりまして、これに対し、いかが対処するかという問題が起きたわけでございます。これにつきましては、国際慣行、国際上の慣習、国際法等によりまして、当分の間——残務整理をする間は、一種の大使の資格に準ずる待遇を与えるということが、国際的な慣行でございまするので、即日に当該在留資格を抹消し、新たな資格を付与することなく、当分の間、半年、まず財産の整理でございまするとかその他身辺の整理をいたしまして帰国すべき建前のもとに、在留資格を黙認しておった次第でございます。しかるにもかかわりませず、同人が一年を越しましていまだに出国することができない状況にございまするので、従前の資格をそのまま認め、残務整理等のために本邦に在留を許可する筋合いではなくなったものと判断いたしまして、これを不法残留者として立件いたしまして、これに対し法務大臣は退去という決定をいたしております。しかるに団人は、韓国を除きます外国は、いずれの国からも査証が得られませんで出国の可能性を喪失いたしております。なお、韓国に強制的に送り返しました場合には、生命に重大な危険があるもののようにも判断せられ、かつまた同人はその旨を上中いたしておりまするので、同人をして本邦に正式に在留さすことはできないが、その国外退去という決定のまま本邦にかりに存在せしめておくというのが柳泰夏に対しまする処遇でございます。  第二の張キョン根元内務部長官につきましては、これが本邦に不法入国をして参りました事実、その妻並びに秘書官一名を帯同いたしまして唐津の付近に不法入国した次第でございますが、これは先ほど申し上げました不法入国者としての通常の事件に従いまして、捜査当局がこれを司法手続に乗せております。そうして現在のところ、裁判所におきまして裁判係属中の状態でございます。入管当局といたしましては、裁判の決定を待ってその身分処遇の決定をしたい、かように考えておる次第でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 そういたしますと、裁判の決定で、その裁判の結果におきまして、もしそれが政治亡命を許されない、それが期限が切れておるこういうことになると、一般の密入国者と同じようにこれは送還ということになりますか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいま裁判に係属せられておりまする事件の性質につきましては、私の承知いたしておりまする限りにおきましては、法不入国者としての通例の手続に従ったものと存ぜられます。言葉をかえて申しあげますると裁判長の判決につきまして、政治的考慮、政治亡命というものがございますかどうかは私としてはそんたくいたしかねる次第でございますが、通例の不法入国打として入管令違反という形において審理を受けつつあるものと了解いたしております。  なお、判決後、当人の処遇についていかが考えるかというお言葉でございますが、このことにつきましては、その身分判決、司法上の身分が確定した際におきまして、慎重に審理してこれが決定をいたしたい、かように考えております。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 先ほど報告の中でございましたように、現在いわゆる在日朝鮮人で、正式に登録を受けて居住するというのは約六十万というふうに私聞いておるのです。これはもうここ二、三年来若干減少しつつある傾向があつたのですが、また最近これがふえてきておるというふうにも聞いておりまするが、実際の数は、現在どれくらい登録された朝鮮人がおりますか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの在日朝鮮人で登録せられておる者が何人おるかという御質問でございまするが、昭和三十六年二月末日現在におきまして、外国人登録をいたしておりまする朝鮮人の数は五十八万百九名でございます。この朝鮮人と申しまするものは、北の部分、南の部分、双方を含んだ数字でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 この五十八万百九名でしたか、これは朝鮮半島全体の数でございますが、これを南北に区別するというふうなことはむずかしいのですか。もし南朝、北鮮系統ということで数字がわかりまするならばお示しを願いたいと思うのですが……。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの点につきましては、その区別をいたしますことが非常に困難でございまするので、一応双方合わせた数字で、区別困難というふうに御了承願いたいと存じます。ただ、外国人の登録証という小さな旅券類似のものがございまするが、これは外国人は常時携行し、係官の呈示要請に対して呈示する義務を持っておるのでございます。こういうものでございますが、この中に国籍という記載欄がございまして、この欄に朝鮮という言葉と韓国という言葉が記入せられておりまする例が多々ございます。記入してない例がございまするし、記入してございまする例がございまするが、このことは、御当人の申請者が、市町村その他登録の機関の窓口におきまして、国籍に朝鮮または韓国と記入したものでございまして、更新の際に朝鮮を取り消し韓国とし、韓国を取り消し朝鮮とすること等、そのままにしたのもありまするし、かつまた、当該記載がない場合もございまするので、これが双方の分類を示す基準であるというふうにはわれわれは了解いたしておりませんもので、結局、ただいま申し上げました一五十八万百九名は、はっきりした区分けはつきかねるというのが真相でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 ちょうど日韓会談が始まろうとしておりまして、その矢先に今度のクーデターが行なわれまして、朝鮮への送還問題というのが一つの問題になっておるのですね。これはくまでに何名ほど送還されて、それから今ちょっと停滞しておるのですが、今後の見通しですね、それはどんなものですか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの韓国向け送還の状況につきましてお答え申し上げます。  退去強制処分に付しましたる朝鮮人を韓国に集団送還をいたしました数は、入国管理局創設以来、昭和二十五年十二月十一日の第一次から始まりまして、昭和三十五年十一月二十一日の第三十七次までの間におきまして一万二千九百八十四名を送還いたしました。なお、このほかに、入国管理令の五十二条及び五十九条によりまして、自費で出国いたす者、つまり切符、船賃等を自分で支弁いたしまして帰る者、また五十九条の船長の送還義務によりまして、個別的に送還せられた者がその間八千三百三十一名ございます。双方を合計いたしまして、三十六年四月末日現在におきましては二万一千三百十五名が送還せられております。  なお、五月の十六日及び十九日の二回に分けまして送還を実施する予定でございましたところ、御承知の五月十六日の政変がございまして、韓国中日代表部から正式に右送還を取りやめてほしいという申し入れがございましたので、その安全等を勘案いたしまして、十六日及び十九日に想定しておりました送還を取りやめてございます。  なお、今後の見通しの問題でございまするが、入管といたしましては、先年、非常に多数の強制送還対象者が大村にたまりまして、たまると申しますのは多少……、大村に非常に集積せられまして過剰の状態を現出いたし、その間いろいろの問題がございまするので、一定の数まで該当者が集積せられました際は、逐次韓国側と折衝の上送還したいという方針をとっておりましたところ、過去一年半にわたりましては韓国側の協力がございまして、円滑に当該送還事務が行なわれておったのでございまするが、今後、日韓の関係、これは外交関係と申しまするか、大きな関係によりまして、この送還事務が影響を受くるということなきを保せられない状況になるかもわからないという状況でございますので、この送還の将来につきましては、非常な関心を払っておりますのが現状でございまして、これが見通しにつきまして、ただいま、はっきりしたことを申し上げるまで至っていないことを御了承願いたいと思います。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 それから在日外国人に登録証が渡されますね、登録しますると。その登録するにはいろいろな基準があると思うのです、許可基準というものが。一体、その基準というふうなものはどこに置かれておるのですか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの基準というお言葉でございまするが、これは必ずしもいわゆる資格の問題ではございませんので、入管令の規定によりまして、本邦に一定期間以上存在いたしまする者は登録の義務がございます。この外国人登録は、やや住民登録に類似したものでございまして、市町村の役場に参りまして、窓口におきまして自分の国籍、年令その他を申請いたしまして登録を申請いたしますと、外国人登録証が交付されるというのが現在の仕組みになっておりまして、その間、旅券を呈示いたしますとか、または旅券にかわる文書を呈示いたしまして、これが申請をなすほかは、戦前から引き続き本邦に在留しておりまする朝鮮人及び台湾人等のものが、従来の自分の在日の経歴を示す文書を持ちまして窓口に出頭いたし、登録証をもらう、交付を受けるというのが現在の仕組みになっております。その間、資格等につきまして裁量的な行動はいたしておらないのが現状でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 先ほども御説明の中にございましたように、密入国行が徐々にまたふえてきておるという状況にあるわけなんです。で、当局で今つかんでおられる密入国打と称する、特にこれは朝鮮人の実数、これは把握することはなかなか困難だと思うのですけれども、概略、今どれぐらいの人数がいるかおわかりになりませんか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの密入国した者の全体の数はどのくらいであるかというお尋ねでございますが、もちろんこれは潜在し、検挙されないで本邦に隠れておるという者の存在を否定しない限りは——はっきりした数は出て参らないと思いまするが——現在、先ほど申し上げました集団不法入国によりまして検挙せられた者が本年の一月——五月までに四百七十三名ございますが、これとやや同じぐらいの数が単独で不法入国してきた者というふうに、蓋然性と申しまするか、みなされるのではないかというふうに考えられます。この双方、四百七、八十名の者を倍にした数が不法入国者でございますると、これは単独に不法入国したかどによりまして入管当局並びに捜査当局等におきまして検挙をし、手続に乗せた者の数とやや匹敵いたしますので、そうはなはだしく大きな数の者が不法入国が成功いたし、本邦に潜在しているというふうには考えられないのではないか、かように考えております。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 従いまして、未登録者、これはおおむね不正入国、密入国の人が多いと思うのです。これは正式に登録できないから、そういうことになるのですが、これらに対しましては、この「出入国管理とその実態」という本の中に退去強制の手続と執行、この中にいろいろあるわけです。将来この密入国者、現在未登録の人々に対しまして、この基準に基づいて、これはお宅の方で逮捕し強制送還をする、こういうことに方針は変わりございませんか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの登録をしておらない事実に対しましては、これは登録法、入管法によりまして取り締まりをすることができる法律の仕組み相なっておりますので、現実に登録をしておらない者が発生を見ました際に、認識をいたしました際に、所定の手続によって違反事実を調査し、行政処分の決定をいたす仕組みになっております。なおその際に、その未登録のよって来たりまするゆえん、また未登録者の性格と申しますか、やや広い見地から、その行政措置の裁決をいたしまして、必ず未登録である者は直ちに退去するというふうに、非常に過酷な取り扱いをいたしておらないのが現状でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 さらにもう一つは、朝鮮人送還の云々という中にいろいろと項目があげてあるわけですが、戦前からずっと居住している者、またその中にはいろいろな犯罪を犯した者とか何とかいろいろ書いてあるわけです。戦前からずっと日本に住居しておった者に対しては、登録は全部あなたの方では受け付けておられるのですか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) 戦前から引き続き本邦に存在いたしまして、太平洋戦争終結の日及び講和発効の日まで引き続いておりました者は、最初の登録の時期に際会しておりまするので、第一回の登録を持っております。現在まで六回切りかえをいたしておりまするので、この人々が現在まで引き続き本邦におります者といたしますると、第六回まで、第一回から引き続き登録を所持しているというのがその状況でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 私の調べたのに、こういうケースがあるのです。戦争中に日本の軍隊に取られて、まああの戦争にいろいろ協力したわけなんであります。ところが現地で除隊になって、どちらに帰還したかという動向がわからなかったのです。そこで家族は、朝鮮に帰ったものと察しまして、朝鮮に帰ったのです。ところがそのあとで、本人は日本に帰ったということがわかって、さらに家族は日本に来た。そこで、朝鮮で家族がばらばらにになって、日本に帰った者と、また向こうに残った者とあるわけなんであります。そこで日本に帰ったことがあとでわかりまして、さらに韓国から日本に帰ろうとしたが、正規の手続では帰れなかった。そこでまあ先ほど来問題になっている小型船によって密入国をしたわけなんです。ところが、それは密入国者ということで検挙されまして、そしてこれは送還になったわけなんです。こういう者に対する取り扱いはどういうふうになっていますか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまお尋ねに相なりました具体的の問題につきましては、具体的事実がわかりますと、各事件個別に出先機関によりまして、入国管理事務所が各地にございまするが、当該事務所におきまして違反事実から始まる一連の行政処分の手続をとります。なおその間におきまして、最終的な段階におきまして、当該関係者が入国管理事務所の決定については、自分は異議を申し立てるということを申しますと、その異議は法務大臣に伝達されまして、法務大臣が、これが裁決をあらためてするという状況でございます。法務大臣の裁決にあたりましては、単に不法出入国の事実にきょくせきすることなく、その背面の事情、家族構成等並びに不法入国の動機その他につきまして、慎重に当該各個別の事件について研究をいたし、誤りなきを期して大臣の裁決が行なわるというのが現状でございます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 往々にして私は役所の仕事は、ただその法令だけをたてにとって、何といいますか、人間味というのか、人情味というのか、そういうことが考慮されない。法律ですからそれはやむを得ないといたしましても、私は、非常に法律で割り切れない問題がそこにあるのではないかと思うのです。たとえば、私が今申しましたように家族が全部日本におる。そして自分一人が朝鮮に残った、しかもその男はやはり日本で生まれて日本で教育を受けて、朝鮮語は一つもわからない。そこで、じゃ本国の朝鮮で自分一人の生活ができるかといったら、生活が非常に困難だ、こういう場合に、やはり人間として何としても家族の所へ行きたい、それで密航して密入国をする、密入国をしてつかまる、つかまると、今度は不法入国者ということで強制送還になる、強制送還になってもまた一人ではこれは朝鮮の今日の経済状況のもとにおいては非常に生活も困難で、またここへ逃げて来る。それをしばしば繰り返しておりますると、その本人自身にはますます犯罪が、重なっていくばかりで、これはもう抜けようがないと思うのです。しかも、それがしばしば行ったり来たりしているうちに、やはり悪い仲間に引き込まれまして、若干の犯罪も起こす。犯罪を起こすと、これは犯罪者だということで、この中にあるように、ヒロポンに関係したとか何とかということで、そうするとそれはまた帰されて、どうしてもこちらへくる条件というものがないわけなんです。しかしこれは何回送還しても、何回でもまた密入国をしてくる。先ほど御説明のありましたように、簡単に来れるわけですね、朝鮮から日本へ小舟でこう来れるのですから。そういうことで、これはもうだんだんとその者に対しては罪名が並なっていくばかりで、私は人間的に非常にこういう問題は気の毒な問題であると思うのです。こういう行に対する何か救済の方法というふうなものを私は考えるべきじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの御指摘の点につきましては、入管職員千五百名になんなんといたしますが、日夜かくのごとき問題の発生を起こすことないように心しつつ、真摯かつ熱心にその任務を遂行しているものと私は確信しております。  なお、ただいま御指摘の具体的の事案につきましては、いかにも、お言葉に従いますると悲惨な状況でございまするので、特別に当該事件を研究いたしまして、詳細に研究いたしまして、善処し得る可能性があるかないかということについて調べてみたいと考えております。  なお重ねて申し上げまするが、法の運営につきまして御指摘の正義、人道の二大方針を離るることないように、われわれ一同日夜努力している点につきましては、御了承願いたいと考えます。

近藤信一日本社会党

○近藤信一君 先ほど来私が聞いていることは、政治亡命者に対してはいろいろとそういう方法が——政治亡命を許す、許可するというふうなことが考えられるけれども、実際政府の高官だとか、そういう人に対しては一つの道が開かれているけれども、一般の民衆は経済的に困って、経済的に韓国で住めない場合、やはりこれは何としても日本への密入国、もう一つのきれいな言葉でいえば亡命ということになるわけであります。やはり私どもといたしましては、やはり外国人が不正、不法に国内に居住するということは、それは思わしくないけれども、やはり今はもう独立して韓国になっているが、その前には何といっても日本政府で統治して、それから日本のあの戦争にも大いに協力さして、一般のあれとはちょっと違うと私は思うのです。それが今もう独立して、国が違うからこれは法律によってこうなんだといって、これを冷淡に扱って、それらの将来というものを私はそこでじゅうりんしてしまうということは、一つの大きな問題であろう、こういうふうに考えるから、私はこの問題については、私自身大村収容所へ行って、いろいろ調べたこともございます。いろいろな問題で、これは人道的な立場からも、こういう問題は、当局が法律をたてにとってそれを解決するということでなくて、もう少し幅のある何らかの解決の方法というものを講ずる必要があると私は思うのですが、将来そういうことも一つよく考えてもらいたい、かように私は考えまして、私の質問を終わるわけであります。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 先ほど警備局長からお話しがありました。当局としては当然そうだろうと思うのですけれども、新聞を読んで、われわれが受けた感じというものは、何かこうちゃんとそういうことを所管する役所があるのに、そのほかに警察だけが先走って、一方では取り締まりを厳重にするということを言ってみたり、一方ではクーデーターによるところの政治的な亡命者に対しては、大所高所からこれを取り扱うというお話しなんですが、この問題のいきさつというものは一体どういうことなんですか。どうしてそういうニュースが出たのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 新聞の取材でございますから、だれがどういうことを言ったことがそういうことになったのかよくわかりませんけれども、先ほどお答え申し上げましたように、私どもは第一線の警察といたしまして、密入国者の取り締まり、検挙、送致ということを職分といたすわけでございます。従いまして、その密入国して参りました者が政治亡命を申し出ようと出まいと、その扱いは同じであるわけでございます。そこで、前の例でも申しましたように、ただいま司法手続を進めておるような状態でございますけれども、しかしながら、これは国際慣例と申しますか、政治亡命ということもこれはあり得るわけでございましょうから、そこで第一線の警察がそういう密入国の取り締まりをやる際に、特段そういうことについて政治的な、外交的な配慮が必要であるかどうかというような点については、特にまた関係当局に事務的に御連絡をしたわけでございます。それぞれの当局としては、もちろん亡命というような関係はあらかじめ尺度をきめまして、これ以上のものは許す、これ以下は許さないとかというような尺度をきめて一般的に扱うものではありませんし、また先ほど申しましたように、これは司法的な手続は進めるわけでございますけれども、個々のケースにつきまして、いろいろ政治的、外交的に考える筋もございましょうから、個々のケースについてのできるだけ早い連絡を求めるというようなことでやったわけでございます。従いまして、私どもとしては、第一線に対しまして、この情勢から密入国のふえるということに対する警戒、監視の目を厚くするということとともに、そういった特殊なケースがありました際には、できるだけすみやかに警察庁に知らせてもらい、関係各省に御連絡をする、こういう措置を考えてとったのでございます。韓国にこういう政変が起こりますというと、従来の政治関係の方々が亡命を考えられるであろうということは、これは一般的にも常識的に考えられることでありますし、その際、扱いがどうなるであろうということが一つの興味の中心であったということで、それぞれ取材をされたことと思うのでありますが、取材源につきましては、私どもの方で確かめるわけには参らないのでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 それでは、お話しの中でちょっと聞き漏らしたのですが、そういう政治的な亡命ということを申請されるかもしれないが、出先の警察官はそれについてすみやかに本庁に連絡しなさいということの指令をお出しになったと、こういうわけでございますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 第一線は、入つてくる者を取り締まるだけでございますけれども、先ほども申しましたように、前例がございまして、自分はこういう扱いをしてもらいたいという申し出があるという場合に、第一線の方ではどう扱っていいかということに迷う場合もあり得ると思いますので、そういう場合にはすみやかに警察庁に申し出て、手続を進行しつつ警察庁から関係各省に連絡するということでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 それでは出先の警察としましては、一応は法律の手続に従って、密入国である、そういう方針のもとに処分をする、手続をとる。しかしそういうふうに政治的な亡命として扱ってもらいたいという申請があった場合には、遅滞なくそれを本庁に連絡してくれというだけの指令なんですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その部分につきましてはそれだけでございます。ただ、取り締まりの強化ということは、御承知のようにブローカーが相当におりまして、女子供が多い最近の密入国でございますけれども、一人二万円から五万円取ってこちらに送り込む、そういうブローカーが相当あるということでございます。そういうものの取り締まりをどういうふうにするかという技術的な問題につきまして、いろいろあわせて言ったことがございますけれども、その分につきましては、御指摘の通りでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 ちょうど集団密入国のブローカーの問題が出て参りましたが、この現況について何かあなたの方で握っておられる状況がございましたらお知らせ願いたい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 非常に巧妙でございまして、密入国をして参りました集団の関係者の取り調べの中から、そういうことを私ども割り出して、逮捕すべく努力をいたしておるのでございますが、韓国の中にブローカーがおりまして、これが向こうで希望者を集める。船を仕立てて手下を乗せたりする。そうしてこれがこちらに行きますというと、あらかじめ連絡があって、こちらの者が当面の受け入れの場所を準備する。そうして関係者、引き取り人に渡すときに金を払うというようなものが最近は特に多いように開いておるのでございます。送って参りました船長というものは必ずしもブローカーでございませんで、非常に立ち回りが巧妙でありますし、入ってきたものを逮捕いたしましても、それがこちらの国内で世話をいたしますブローカーというものになかなか直接の結びつきがつきません。昨年の十月、佐賀県で二十四名検挙いたしましたが、この際二名の朝鮮人ブローカーを検挙いたしております。なおそのほかの場合におきましても、関係ブローカーというものを密入国者からいろいろ聞き出しまして、指名手配をいたしておるものも相当数あるわけでございます。これらの数も相当にあることと思いますけれども、今のように非常に巧妙な動きをいたしておりまして、まだその全貌を明らかにいたしません。鋭意そういう意味で捜査、検挙に努力いたそうと思っておるところでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 そういうブローカーは、主として人間を送るということだけなのであるか、あるいはそういうブローカーは、同時に密貿易等にも関係して、両方ともやっているというような傾向があるのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 主として集団的に密入国して参ります場合に世話をしておりますブローカーは、これは一がいに言えないかと思いますけれども、そういう集団的な密入国の世話をすることの組織ではなかろうかと思われるわけでございます。入管局長からもお話しがありましたように、そのほか貿易船等に隠れて乗っているものというような小人数の場合もありますから、一がいに言えないと思いますけれども、集団的な密入国を、いわば募集をしてこちらに連れてくるということでかせいでいるブローカーが相当にあるのではなかろうか、というふうに思われるのでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 密貿易の状況というのは、最近どんなことですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 密貿易の問題につきましては、警察庁の保安局で扱っておりまして、申しわけございませんけれども、ただいまお答えをいたします資料がございません。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 それでは先ほどの例の政治亡命の問題は、長官にお聞きすることが適当かと思いますが、その問題と、それから密貿易の実態の問題につきましては、後日またこういう問題を審議いたしますときにお願いすることにいたしたいと思います。  そこで入管局長にお伺いいたしたいのですが、いろいろ最近における事情をお伺いしたわけですが、かりに、もしその原因別ということで考えるといたしますと、特に最近における顕著な原因というようなものが考えられますか。たとえば経済的な理由もあるでしょうし、あるいは政治的な亡命というような理由もあるでしょうし、あるいは単純に個人的な、つまり親子夫婦が離散しているのが一緒になりたいというようなもの吟あると思いますが、そのほかにも考えられると思うのですが、ごく大ざっぱに分けて、特別な原因ということは、どんなふうになっておりますか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいま御指摘に相なりましたもろもろを動機といたしまして本邦にいわゆる密入国をして参るケースがほとんど大部分でございまして、そのほかに格別取り上げて申し上げるほどの類型化は、現在までのところ把握しておらない状況でございます。一番根本的な点を申し上げてみまするというと、生活の貧困ということと、もう一つは、かつて双方とも同一国家内にあったと申しまするか、朝鮮におる人と日本におる人との間に家族構成、親類の構成等が非常に錯綜いたしておりまして、日本のある県の人がある県へ行く、親類をたよって行くというような気分と申しまするか、感情の基本的部分にこの種傾向がございますることと、第一の生活の困難とこの二つがこの種の現象を招来するのに一番大きな原因ではないか、かように考えております。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 従来の政府の高官等が政治的な亡命をするという場合はごくまれな例でありましょうし、またケースとしては非常に少ない場合だと思います。政治的な政情の変化あるいはクーデターというようなことも、結局は経済的に食えないのだということが原因と見なされないこともないと思いまするので、そうして考えてみると、政治的な動機によって日本に入国してくるという場合はごくまれなケースとしまして、経済的な原因、生活困難あるいは家族的な原因、つまり個人的な理由、この二つのものが相当大きな比重を占めることになると思うのですが、いろいろの事情から一家離散していて、これが一緒に生活したいということが相当大きな比重を占めていると思うのですが、密入国者が理由として申し述べるところは、計数的に、離散家族が一緒に暮らしたいというようなケースは、どのくらいの割合を占めているのですか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまのいわゆる離散家族の集合ということを目的とするために、正当な旅券その他手続を踏むことなしに本邦に不法に入国するものの数というお尋ねでございますが、これは非常に少ないのではないかと想像しております。私がただいま手元に持っておりまする資料によりますと、月間平均四、五件というふうに書いてございまするので、私自身の経験によりましても、あまり多数のものがこの種、正確な意味におきまするいわゆる離散家族の集合という形で本邦に渡来してはおらないのではないかというふうに考えられます。なおこの家族の構成、つまり本邦側に非常に多数の家族がおりまして、韓国側に少ない場合、または本邦側に非常に近い親族がおりまして、韓国側に薄い親族がおりました際に、不法入国して参りましたものの処遇につきましては、先ほど来申し上げておりまする法務大臣裁決等におきまして慎重に人道その他の点を顧慮いたしまして、これが許可を与えたもの、特別在留を許可いたしたものの数が相当のパーセンテージに上ぼっておるものと、かように考えております。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 正規の外交交渉というものが成立しておりませんので、そういう離散家族が一緒になりたいというものも、やはり形式的にいえば、不法入国という形をとらざるを得ないわけなんで、それに対しては法の示すところによって処断しなければならなくなって参ります。事情はいろいろあると思うんですが、先ほどの近藤君に対する御答弁で明らかにされまして、つまり正義と人道というもののかね合いがなかなかむずかしいということなんです。しかし、それには必ずしも道がないわけではなくて、事情が明らかになれば、何とかして十分な人道上の考慮をしてやろうということでありますから、私どもとしましてそういう取り扱いをしていただくということを強く希望申し上げるわけであります。何と申しましても両国の外交関係というものが今日のような状態でありますから、普通ならば正規のルートによりまして在日領事の手を通して、夫が向こうにいるから、家族が向こうにたくさんいるから行きたいと言えば、大がいの場合、日本に正規のルートでもって入ってこられるわけです。ですから本人の罪というよりも外交関係の異常のためにその犠牲を受けているということがあるんじゃないかと思うのであります。その取り扱いにつきましては、局長の御趣旨の通りやっていただきたいということをお願いいたします。なお、最近における不法入国の場合における北鮮からと南鮮からというふうに区別いたしますと、これは圧倒的に南鮮が多いだろうと思うんですが、その割合というものはどういうことになっておりますか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) 現在の私どもが持っております統計によりますと、北鮮からの不法入国者というものはございません状況でございます。不法入国者として日本側において取り扱われている右のは全部韓国に淵源し、韓国より参ったものでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 先ほどのお話しによりますと、今回の韓国のクーデターの結果は全然出ていないというお話しでありますが、この問題についての日本側の態度としましては、なかなかデリケートのものがあると思うのであります。これはもっと大所高所から取り扱わなければならないわけでありまして、韓国側に対して日本が非常に便利をはかれば、また北鮮側を刺激するということもあると思うのでありまして、要望といたしましては、こういう問題は非常に高い視野から取り扱っていただいて、一時的な事情によって日本の国際的な立場を動かすようなことのないように、厳に御注意をしていただきたいということを御要望申し上げまして、一応の私質問を終わります。

大川光三自由民主党

○大川光三君 ちょっと今のに関連して二、三伺いたい。朝鮮人で現にこの特別在留許可の申請をしておる事件数というものは幾らあるのでしようか。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの特別在留許可を目下申請中というものの数についての御質疑でございますが、特別在留許可は、入管令の五十条の規定に基づきまして、本邦に在留する正式な資格を持っておらない者が、所定の手続に従いまして行政処分を受けつつある段階におきまして、地方の入国管理事務所の段階における入管当局の決定に異議を持った際、法務大臣が介入いたしまして、法務大臣がこれの決定をなすというときに、当該事件関係者に対しまして与える資格が特別在留資格でございます関係上、異議申し立ての数字並びにこれが現在手続中であるかないかという点につきましては、明確に何件と申し上げることが技術的にでき得ない状況でございます。ただ、漠とした数字を、記憶いたしておりまする数字を申し上げてみまするというと、一周間に一回法務大臣の裁決委員会を行なう慣例になっておりまするが、その委員会におきまして、三十四、五名ないし四十七、八名、月に五十名くらいの数がございます。これを一周間に一回必ず定例に開いておりまするから、これが一番基本的な数字かと心得ます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 そこで私の承知しておる範囲では、その申請事件で二年、三年も未決定のままで置かれている者がある、ところが今に至ってそれは不許可だというのもはなはだ酷だと思われる事件が相当あると思いますが、これらはいずれ一括して何か政治的な解決を見なければならぬというように私は考えておるのでありますが、それに対する郷当局のお考えを伺いたいと思います。

高瀬侍郎法務省入国管理局長

○政府委員(高瀬侍郎君) ただいまの未決に相なっておる状況が多年にわたるというお言葉でございまするが、法律的に申しまして、決定をいまだ与えざる状態が長時間にわたって持続するということはございませんので、法務大臣が裁決いたしました際に、退去という決定をいたしまして、当該退去の措置が完成することなく、言葉をかえて申し上げますと、本邦外に出ていってもらいたいという法務大臣の決定がございましたにもかかわらず、病気その他の事情によりまして許可を得まして本邦に長い期間在留すると、在留するという言葉はちょっと変でございますが、本邦に存在するという事例は、御指摘のごとく非常にたくさんございます。昨年の三月三十一日末におきまして二千七、八百のかくのごときケースが存在しておりまして、これが解決につきましては、御指摘の高所大所の見解から、かつまた入管行政そのものを正当化するという建前から、鋭意努力を重ねて参りまして、現在までに解決いたしたものが千四、五百のケースを解決して、現在のところ正確に申しますと千三百四十三名だけ残っております。四月一日現在千三百四十三件に減っております。これも本年度ここ数カ月の間におきまして、まず朝鮮人の当該関係者につきましては全面的に解決をしたいと、かように考えております。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 他に御質疑はございませんか。——なければ、本件の質疑は本日はこの程度にとどめます。     —————————————

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 検察及び裁判の運営等に関する審議中、少年問題に関する件を議題といたします。  本日は、先般、浅草署でキャバレー、バー等で働いていた小中学生等を補導した事件について調査を行ないます。当局側の出席は、警察庁綱井保安局防犯課長、法務省長島刑事局青少年課長、厚生省大山児童局長、労働省谷野婦人少年局長、上原基準局監督課長であります。  まず当局の御説明をお願いいたします。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 御質問の事実は、去る十三日に新聞に載っていた事案だと思います。この記事はいろんな事案が一括して書いてあるように思われるのであります。  警察で知り得ている分と関連づけて申し上げますと、第一の、小学校の生徒がキャバレーで働いていたという事例でございます。これは事実としては昨年の五月に起きた事件であります。この事案は、小学校の五年生十一才の女の子であります。家出をして浅草付近でぶらぶらしていたのでありますが、募集に応じてあるキャバレーに年令を二十三才と言って住み込みで女給になったわけであります。営業者の方も二十三にもならぬということは知っていたのですが十一才とも見えなかったようであります。いずれにしましても、そういうことから同店で一月あまり働いているうちに警察で発見いたしまして、本人は親元へ引き渡すとともに、営業者の方は児童福祉法、労働基準法、風俗営業取締法違反として送致するとともに、営業停止の処分を行なった事実であります。  さらに本年の五月十二日に送致した事件でございますが、これは浅草の方の簡易料理店ないし深夜喫茶店等で中学二年生十四才でございます。十四才の少女が女給として住み込んでおったという事案でございまして、これらについてもそれぞれ法律の定める手続をとったわけであります。  さらにまた本年の四月の事案としまして、キャバレー経営者、これは数軒持っておるのでありますが、児童を特に多く集めまして人数としては四十四名、うち家出の少女が二十名に及んでおります。こういった少女を何ら年令を確認しないで雇い入れて、女給として客の接待をさせていたというような事案がございます。これは本年の四月に検挙いたしまして、それぞれ手続をとったわけであります。ほかにも同様な事例があるわけでございますが、一応あの記事に関連づけた事案としてこの三件を申し上げておきます。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 御質疑のある方は順次発言を願います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 今三件についてお話があって、その他にも同様の問題があると、こういうふうに報告をされておりますので、この際一応同様の問題についてもう少し詳しく資料をあげて報告していただきたい。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 昨年度の統計でございますが、これは今申し上げたようないわゆる飲食店ないし料亭、キャバレー等にそういった児童が住み込んでおった事案、そのほかに売春防止の関係で、児童に売春をさせたような事案、それらいろいろ含めた数字でありますが、その多くの分が今御指摘のような事案に当たると思います。数字的にそれだけをとっていませんので、一括して申し上げるわけであります。児童福祉法違反、つまり児童に淫行をさせる行為、あるいは満十五才未満の児童に酒席に待する行為を業務としてさせる行為、そういった事案で四百四十九人の被疑者と、それから被害者、おもに少女でございますが、四百六十、五人判明いたしております。それから売春防止法の関係で少女が被害者であった場合、二十才未満の婦女子ですね、これが被疑者が四百三十一人、被害少女が四百四十六人、職業安定法の公衆衛生、公衆道徳に有害な業務につかせる行為、あるいは無届けの有料職業紹介所、これが二百二十九人、被害少年少女が四百十名、労働基準法違反としまして被疑者百七十人、被害少年二百六人、このほかに風俗営業の地方条例で十八才未満の行を主として客席で接待する業務につかせてはならない、あるいは主として酒を提供する風俗営業では二十才未満の行を入れてはならないという規定があります。この違反が三百三十二人、対象になったこれも主として少女でございますが、五百二十六人、こういった昨年度の数字が出ております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 今おっしゃった数字は昨年度の数字ですね。この数字はどういうような増加の傾向を示しているか、数字は時間がないから一々あげなくていいですが、増加の傾向を示しているのではないか。そのうちどういう項目が一番多く増加しているか。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 全体の数字は三十九年度とほぼ同様でございます。その中でただいま御指摘のような、満十五才に満たない児童に酒席に待する行為を業務としてさせること、それから有害業務等の紹介募集というのが前年度に比べて五割近く増加いたしておりますから、全体としては別に変わらない状況の中で、こういった部面の方へ違反が多いといいますか、違反が増加しておるのではないか、そういうふうに考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 特にこの客席接待の増加というのはどのくらいふえていますか。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 四九・七%、七十五名の増加というふうに出ております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 この増加する傾向というのは、今後もなお増加し得るというような観点をおとりになっておるのではないかと思いますが、この点はどうか。増加するのには何かわけがあって増加するように考えられますが、どういう理由でこういうふうに増加していると、いろいろあなたの方でお調べになったでしょう、ケース・バイ・ケースがあるから……。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 感じといたしましては、増加の傾向にあるというふうに思っております。理由といたしましては、一つは営業不振の挽回策ないし好奇心をそそるという意味から、いわば年少少女を使用する、さらにそういった場合にはお給金と申しますか、経費も年長者の場合、成人の場合に比して安いというようなことがございます。さらにまたお客の好奇心をそそるということもございます。さらにまた最近の少女——中学生クラスの者が多いわけでありますが、あるいは家出をする、あるいは家にいてもいろいろいわば注意を要する少女、そういった者が相当おるわけでございますが、比較的楽で収入が多いという職業を希望すると申しますか、小づかい銭かせぎにそういうところで働くことを必ずしも否定しないというような空気の少女が存在するわけであります。その間にまたブローカーというようなものも存在いたします。まあいわばこういった業者の側からする経営方針としてのそれ、それからそういった少女たちの傾向、さらに中間者の活躍、この三つの要素が多くの場合あるのでございまして、そういう意味から増加するのではないか、このように考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 まあ結論を先に出すのはどうかと思いますが、営業を振興させるために、できるだけ人のやらないことをやって営業の挽回に努める、その気持はわかるが、そのことのために年端もいかない子供たちを使う業者というのは、最も悪質なこれは社会の悪魔です。こういう悪魔に対して制裁というものが必ずしも適正に行なわれていないという現状にあるのではないだろうか、そういうことを私は思います。たとえば今あげられたような、浅草で昨年の五月にあげられた問題ですが、十一の小学生が都内のあっちこっちの大衆酒場、そういうところを歩いて、その転々として歩いておる間の補導とか、取り締まりとか、発見するとか、こういうようなこともやはり手抜かりの点が幾多あるように思うし、十一才の者が最後に行き着いたところは、今度はキャバレーでは二十三だということで、カクテルドレスを着て相当なことをやっていたようですけれども、こういうふうに転々として歩いて、十一の子供が二十三だと言っても、ああそうかというようなことでこれをかかえ込んで客席にはべらせる行為というものは、これは容易ならざることなんですが、これは児童福祉法でいうと、十五才未満の者を客席にはべらせたからと、こういうことで、単にこれは一年以下の懲役なんです。その子供が将来どういうふうに転落するかもわからない。この悪魔の下に対する制裁というものはたった懲役一年。非常にこれらの刑罰はもちろん軽い。あとで触れますけれども、そういう行を雇って、その雇う者に対して監督の手が伸びておらないというところに問題があるように思いますね。私は警察はどういう目的でこういう——これは読売新聞ですけれども、「中学生ら八人補導、当局も頭をかかえる傾向」と、こういう見出しで、そして、今のように年端もいかない子供たちをカフェーとかバーとかナイトクラブとか、そういうところに使っておったのをたまたま警察がこれを発見して、そして問題にされたようでありますが、警察がこれをくくる前にもっとほかにやる方法はあるような気がする。この十一才の子供を発見したのは、これはどういうような動機でこれを発見したわけですか、警察の方としては。あるいは、十二月の浅草の問題、四月のキャバレーの聞問題今度の新聞にたくさん出てきた五月の問題等は、どういう動機で警察がこれを発見したか。家出人を捜索するというような形で発見したのではないだろうかというふうにも考えられる。どういうケースでこれが発見されたのか。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 十一才の少女の件は、友だち二名と一緒にアパートに住んでいたのでありますが、その友人の少女が窃盗容疑で浅草署に補導されまして、その少女たちからこの子供が働いているということが判明したわけであります。あとの二件の発見の動機でございますが、これは正確には承知いたしていないのであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 読売新聞の報道するところによると、最近この八人のバーで働いている子供たちを補導したことになっておるけれども、現に台東区内では、中学生四名がどこに行ったかわからないということで警察に捜査願いを出した。警察は、捜査願いがあればこれは捜査しなければならないので、こういうような目的でたまたま捜査していたところが、事情を聞いていると今のような事件が出てきて、それで業者に対する制裁が行なわれたというようなケースにも受け取れるんですが、警察自体はあれですか、青少年たちのために、悪質な業者がいろいろなやり口をやっていることについて絶えず監視をされておるような気もするけれども、どうもこのケースはそういうところからあがってきたんじゃないように思いますが、常時未成年者に対して悪質業者がいろいろなことをやるわけです。そのやることについて、業者は絶えずどういうような態度でもって臨んでおられるわけですか。

木村行藏警察庁保安局長

○政府委員(木村行藏君) ただい高田委員から仰せになりましたことは非常に重要な件でありまして、この問題につきましては、特に去年あたりから警察におきましては、ことに少年警察の面におきまして、児童の福祉を害するおとなの犯罪、その中には業者も入るわけでありますけれども、児童福祉を害するおとなの犯罪というものに対する捜査ということに一番力を入れまして、予算なりあるいは警察内部の体制についても、専従班を作りましたり、そういう意味合いにおいて、ことに人身売買、あるいは非常に年若い少女少年というものをそういう行為にはべらせるというようなことについては、いわば警察としては非常に目を光らしております。それからまた、少年警察として絶えず盛り場なりその他について補導のため街頭に進出いたしておるわけであります。そういう面、あるいは外勤警察官がいろいろこういう面についても業者との連絡あるいは業者に対する内偵というようなことについては特に力を入れておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 こういう問題が起こると、とかく警察だけが怠慢であるように考えられたりする場合が多い。もちろん警察はそれだけの権力を持つのですから、わずかな少年警察官を動員しておやりいただくことはけっこうですが、しかし、労働省にお尋ねをしますけれども、年少者あるいは女子、満十五才に満たない者の使用について、これは労働省自体が一つの監督権をお持ちになっておる。したがって、今度の事件がたまたま窃盗容疑者を調べたところが明るみに出て、そうして十一才の者がキャバレーで働いていたというのを見つける前に、これは年少者を使う場合には証明書というものが五十七条で必要になっておるわけですが、法に抜け穴があって——これはあとで聞かなければならないが、法に抜け穴があって、使用人が非常に少ないというような場合にはこの年少者の証明書というものがいいかげんに取り扱われているのではないかという気持がする。この場合どうも年少者の年令証明書というものは使用者側で備え付けられておらなかったような傾向がありますが、これは一つの具体例で申し上げて答弁をしにくいかと思いますけれども、この浅草で十一の六年の子供が働いていたキャバレーやなんかでは、こういう年少者の証明書というようなものはいつでも用意されておったのでしょうか。この点どうなんでしょう。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 労働基準法におきましては、保護を要します女子、年少者につきまして特別の規定を設けております。御承知の通り、五十六条におきましては、「満十五歳に満たない児童は、労働者として使用してはならない。」、こういう規定があるわけであります。ただ、児童の健康及び福祉に有害でないものにつきましては許可を受けて使用することができる、こういう建前になっておるわけであります。そういう場合におきましては当然年令の証明書を備え付けなければならないと、こういうことになるわけであります。ただ、今回の問題になりますバー、キャバレーのたぐいにおきましては、女子、年少者につきましては使用を禁じられております。ここでは使用ができないという建前になっておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 使用はできないのに使用しているところに問題があるから聞いている。バーとかキャバレーとか、とにかくそういうところは、全部証明書というものは絶えずあっているわけですか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 当然証明書を置かなければならないと、こういうことになっております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 この間、女を殺したバーテンがありましたね。事件の名前は忘れましたけれども、アパートでもって殺しちゃって、今度はこうり詰めにして送った事件が世間を騒がした。あのバーテンの経歴は、新聞の報道するところによると、年じゅう転々として動き回ってああいう仕事をしていたらしい。バーテンをしていた。ところが、あのような水商売をしているような場所で、はたしてその雇うときに証明書というようなもの、年少ではなくとも、その雇う場合に、その人の名簿とか、経歴とか、そういうようなものを当然これは業者側としては置かなければならない、これは基準監督官の権限として使用者あるいは使用人に審問権を持つというような強大な監督権を持っているんだから、当然やはりそこに働いている人の名簿等については備え付けておかなければならないという建前になっているのではないかと思いますが、現状はどういうふうになっておりますか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 基準法上では、その事業所において人を雇います場合には、雇っております労働者の名簿というものを備えつけなければならない、こういう規定になっております。また年少労働行を使用いたします場合には、当該年少労働者につきましての年令の証明書というものを構えなければならない、こういうことになっております。ただ、それならばそういう規定が完全に守られておるかということになるわけでございますが、私どもといたしましては、こういう規定はいやしくも人を使います以上は当然守られるべき義務でございますので、この義務の履行につきまして監督指導を行なっておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 監督指導を行なっても、なおかつ現状では転々と店から店へとはね回り、いゆわる悪の温床となるような人物が次から次へとはね回っておりますが、そういうような状態について基準監督局の方では大へん調査が困難ではないかと私は同情するのでございますが、はたして監督官はそういうものを追って歩いて、絶えずそれを調べるというそういうひまはありますか。現状はずいぶん抜け道になっているんじゃないですか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 私どもの監督の対象になります事業所は、数は全国で約百四十万ということになっております。私どもの監督指導の重点は、現在のところ当面工業的な企業を対象にして監督を進めて参っておるわけでありまして、お話の通りかかる業種につきましての監督指導というものが、十分なされておるかという点につきましては、十分なされておるというふうには申し上げる自信はないわけであります。しかしながら、今川新旧に報道されましたような事件、年少者の保護という見地から非常に重大な問題でございますので、この方面につきましても、今後特に監督の面で手抜かりのないように十分留意して参りたいと、こういうふうに考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 お答えにくい点だろうと思いますけれども、実際は水商売をしておられるというようなところの雇用関係というものについては、その雇用関係の業態をつかむということは当局としてもずいぶん困難だろうと思う。もう少し悪口を申し上げると、実際はやれないというような状況にあるのではないかという気がする。ですからこれは遠慮なく、現状を私聞きたいんです。やれないのではないかという気もしているんですが、もう少し現状について話していただけませんか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 接客娯楽、こういったバー、キャバレーというような接客娯楽事業につきましての現在の監督の状況を申し上げますと、これは昭和三十四年中の資料でございますが、定期監督といたしまして、定期的に事業所に出向きまして監督いたしました数は千三百七十九事業所であります。全体の適用事業所の数は非常に多いのでございますので、監督をいたしました率といたしましては非常に低いわけでございます。三十四年中は、今申し上げましたような事業所につきまして監督を実施いたしているような状況でございます。なお、定期的な監督指導のほかに、業界の組織を通じまして、集団指導という形で基準法順守の啓蒙普及をやっている、こういうような形で仕事をやっております。  ここで違反の非常に多い事項について申し上げますと、女子の労働時関係の基準法違反、これが三六%に相なっております。それから女子の休日労働、これにつきましても、休日労働はできない建前になっておりますが、女子の休日労働につきましての規定違反が五二%ということに相なっております。それから割増し賃金関係につきましても、違反がかなり多くなっております。一応三十四年中の統計に見ました状況は以上の通りであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 年少者の点をもう一ぺん言って下さい。年少者労働についての違反事項というのはどれくらい数としてあったか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 年少者の関係につきましては、休日でございますが、休日の関係では違反率が五・四%、こうなっております。それからもう一つは深夜業の関係でございますが、これが〇・六%、こういうことになっております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そのほか年令を偽って十三の子供を十五くらいに、いいかげんにして使っているという事例を、あなたの方であげたということはありませんか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 三十四年中の統計におきましては、特に最低年令については違反は指摘されておりません。なお、三十四年中に接客娯楽業関係で最低年令違反二件が数えられております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 接客業関係で年令詐称が二件あるという今の報告がありましたが、どういうケースでこの二件は調べられましたか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 静岡の例でございますが、これは芸妓置屋でございまして、十七才あるいは十六才の女子二名を芸妓として酒席にはべらしておった、こういうことであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これはたまたま発見したというケースであって、監督局としては年令詐称の問題について、あまり今日まで重点を置いて監督してこなかったのではないかという疑いを持つのですが、そういう点はどうですか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 最低年令の規定と申しますのは、基準法上でも非常に重要な条項でございます。従いまして、私ども先ほど申しましたように、年間で大体二十四万事業所の監督をやっているわけでございますが、この監督をいたします際には、特に重要な条項でございますので、この点につきましては特に目を光らして監督をしている、こういう状況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 目を光らせて監督している割には、どうも実際にはこういうケースが非常に多いらしい。今警察の方では、あなたもお聞きになっていらっしゃる通り、十五才未満の者を酒席にはべらすというものの件数は増加の傾向にある、こういうようなことでありますが、私よくわかりませんが、十人以下の飲食店、こういうものに対して労働基準監督局は監督の権限をやはり持っておりますか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 基準法の適用事業所は、いやしくも人を一人でも雇えば適用になる、こういうことでございますので、十人以下の飲食店でも適用の対象になる、こういうことを申し上げております。ただ先ほど申し上げておりますように、何分監督官の組織も非常に弱い状況であります。またそれに反しまして、監督の対象になる事業場の数が非常に多いということで、仕事を進めます場合には特に業種に重点を限りまして、また監督の事項につきましても重点を指向しまして、仕事をやっておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 業種に重点をかけて監督されることはよくわかりますが、年少労働について特に重点をかけたということは、最近いつそういうケースがありましたか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 女子年少者関係の重点事項といたしましては、特に労働時間の関係を重点としてやっております。特に労働時間の関係につきましては繊維産業でございます。繊維産業につきましては従来から非常に長時間労働が行なわれておる、こういうことでございますので、ここ数年繊維産業における女子年少者の労働時間の監督を非常に強く行なっております。それからなおまた特に児童関係につきましては、アルバイト中におきましていろいろ問題が起こりますので、アルバイトに関しましての児童の使用につきまして、特に学校当局あるいはPTA等とも連絡をいたしまして、アルバイト中におけるいろんな問題の起こらないように指導をいたしておる次第でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 最近この風俗営業関係の業態の中で年少者を事情を知りながら使って、子供達を転落の方向に導いていくという悪魔が非常にふえてきている。この悪魔は警察官だけではとても取り締まれない、しかもそれは正当な労働をやらせながら転落させていくという非常に悪質な業者が、子供たちに向かって今きばをみがいている。そういうときにこの風俗営業関係の労働の実態について相当基準監督官はこれは権限を行使してもらわなきゃならない。この法律違反の罪を徹底的にやはり摘発するためには、そのためにこそ労働基準監督官は、司法警察官としての権限を持っている。警察官だけでなく司法警察官としての権限を持っている。子供を守るためにその司法警察官としての権限というものがフルにこれは行使されなければならない時代だと思うのですね。今日まで風俗営業関係に関する調査というものは、今御答弁を聞いておってもあまり重点的にお考えになってきたような傾向には考えられませんが、婦人少年局長の谷野さんがおいでになっておりますからお尋ねしますけれども、婦人少年局は労働基準局長等に対して勧告権を持っている、相当な権限をお持ちになっていらっしゃる。婦人少年局は婦人や少年年少者の労働を守るために大へん御熱心で、しばしば資料等もちょうだいいたしまして敬意を表するわけでありますが、風俗営業等、最近今示されたような事例の中で子供たちが非常に業者から被害を受けている、こういう事態に対して局としてはこの事態をどういうふうにおつかみになっておられるのか、そしてまた時によっては基準局長あたりにこの問題について勧告をお出しになって、もっとしつかりやれというぐらいのことをやっていただきたいと思うのですが、その点一つ伺わしていただきたい。

谷野せつ労働省婦人少年局長

○政府委員(谷野せつ君) 働く少年少女を守ります上から、最低年令につきましては一番大事な基本的な問題でございます。婦人少年局といたしましては、特にこの十五才に満たない最低年令未満の児童の保護のためにいろいろと活動をいたしておるのでございます。一つには、私どもの室長が調査権を持っておりますので、本来でございますと、これらの事業場を回って調査した上、その事例を見出しました場合には、婦人少年局長を通して基準局長に勧告をして、その調査の役割を果たすべきなんでございますが、ここでまことに正直に申し上げますが、何分にも婦人少年室は人数が四人から五人ぐらいでございまして、本省の四課の一般的な調査を受けましての活動で限界にございますので、そのほかにこのような問題で調査に歩くということが非常に困難な事情にございます。そこで私どもといたしましては、婦人少年室に協助員がございます。これが全国に二千五百人配置されておりますのでございますが、特にこの最低年令未満の児童の福祉に関しまして、学校に就学期間中でございますので、就学期間に長欠をしております事実から、親元を調査し、さらにその親元を通して事業の実態の調査をして、その上で児童の福祉に反するような仕事をしておりますような場合には、さらにこの基準法の五十六条に基づきまして許可を受けるように話をいたしまして、有害でないような仕事につけ、労働条件その他についてずっと守つていくようなお世話を現在までいたしておるわけでございます。しかし、この協助員にいたしましても、二千五百人と申しますが本務もございますし、そのかたわらにおいて聞き込み、あるいはまた私どもの方の指示に基づいていたしておりますので、このような今回発見されましたような児童にまで、なかなか手が及ばないようなうらみがあるのでございます。私どもといたしましては、今回こういうような事実が出て参ったのでございますが、特にこれらの問題につきましては、使用者に年少労働者の基本的な使い方の条件についてわかることを必要といたしますので、それらのことがわかるような調査啓蒙資料なども従来から出しておりますので、さらにこれを基本といたしまして、使用者の理解を深めるための活動をいたしたいと思います。またこういう事実が出て参りましたので、従来手の及びませんでしたこれらの業態につきましても、さらに注意をいたしまして、可能な限り調査の手が進められるように、そうして、その結果に基づきまして、基準局に勧告を必要といたしますような場合にはいたしたいと考えて、おります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ほんとうは私は同情しているのです。いつも婦人少年室というのはだんだん人を狭められてきてしまって、これでは、今日の社会情勢の中で子供を守るために婦人少年局の活動を期待はするけれども、実際やはり今局長が言われた通り心では思うけれども、なかなかやれないというのが実際だろうと思う。この点は私も大へん同情しておりますが、しかし警察だけではなく、労働基準監督局もそれから婦人少年局も厚生省も、みんな目を、今子供が社会の悪魔のために傷つけられつつあるという大へんな状態であるということをお互いに認識して、もう少しこういうところに熱意を持ち、目を向けて、重点的にことしは一つこれをやっていこう、こういうような立場をとらなければ、これは大へん失礼な言い分ですが、警察だけではこれはもうやり切れないのじゃないかと思うのです。  そこで具体的にお尋ねしますが、今度は警察ですが、「浅草のカフェー五軒を摘発」、これは家出少女を女給に使っていた悪質な飲食店の摘発を続けてきた浅草署では、十五日までに台東区浅草の北田原町カフェー「デイト」など五軒を風俗営業取締法違反の疑いで書類を送検した、こういう記事が出ているわけです。これは摘発された浅草署からお出になっておらないから伺っても無理じゃないかと思うのですが、年少者は使えないということがわかっているから、彼らは子供たちが二十才とか二十一才ということに基づいて、使用人の名簿を当然作っていると思うのです。ですから警察では、同じように年少者の証明書だけではなく、使用人の年令、氏名、経歴、こういう内容を持つものを職場では絶えず業者が持っていなければならない。そういう必要書類というものをしょっちゅう点検をされておるわけですか、点検した結果何も違反がないということが絶えず警察の方ではわかっておるわけですか、この点どうなんですか。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) 御指摘の事項でありますが、これは都道府県の条例で規定しておるわけでございます。おおむねの府県において従業者名簿というものを備え付けることになっております。それで異動のつど従業員名簿を調製していなければならぬ。しかし、労働基準法でいう労働者名簿を備え付けておったら、それにかえてもいいということにおおむねなつておるわけでございます。それで、月一回とかあるいは二回とかというふうに各その許可された風俗営業をする所を回って施設や従業者名簿等を調べておるわけでございます。それで、どうしてわからないかということをおっしゃられることになるかと思いますが、まず第一に年令を偽ってくる、初めから本人が、たとえば東京の場合なら従業員は十八才以上でなければならないということで、十八才以上になっておる、あるいは所によっては書いてない場合もあるわけです。検挙事例を通じて見ても、よし書いてあってもそうなっておる。それから視察、内偵ということで、ときには入って見るわけでございますが、御承知のように最近の子供はからだが大きくて、それに口紅をつけ、おしろいをつけるとなかなかわからないわけです。そういった事情で、業者の場合は、これはたとえば十八才が基準なら十八才以下はだめだということは十分承知しているわけですから、年令確認が、相手が二十才だといった、からだも大きいし、そうであろうと思ったというようなことで逃げる。それからそういう直接の検挙でない場合には、たとえわかっても、皿洗いをさせておって客席には出しておらないというようないろいろな逃げ口上を使っておるようなわけで、以上のような実情ですが、しかし、警察としては十分そういう風俗営業としての順守事項として、また特に少年保護の立場から十分注意はいたしております。今後ともこの方面の取り締まりを独化していきたいと考えております。そういった逃げ道といいますか、難点があることを一言申し添えておきたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 従業者名簿あるいは労働者名簿というものには氏名、生年月日、履歴というものを備え付けなければならないわけです。ところが今あなたがおっしゃったように、にせが多いというか、労働者名簿というものには当然これは今度戸籍抄本のようなものを付けなければ効力を発しないくらいのことは、これは行政的にそんなことはやれるのだから、特に風俗営業関係の雇用状態は数々の未青年者たちが毒牙にかかっておる。これをやはり抑えつけるには、労働者名簿というものに必ず戸籍抄本を付けさせるようなやり方をしたらどうなんだろうか。今これには戸籍抄本なんか付いていないでしょう、どうなんでしょうか。労働基準監督局の方に伺いたいのですが、これは戸籍抄本といったようなものは付いていないのですか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 年少者の労働……。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 年少者だけでないですよ。すべて含めて言って下さい。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) ただいまの基準法上の規定で申し上げますと、百七条で「使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者について調整し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他命令で定める事項を記入しなければならない。」、こういう規定になっております。そこで、命令でどういう規定を定めておるかと申しますと、「性別、本籍及び住所、従事する業務の種類、雇入の年月日、解雇又は退職の年月日及びその事由、死亡の年月日及びその原因」、こういうことが定められておるわけであります。従いまして、法律上といたしまして、労働者名簿その他につきましては、今お話のように戸籍証明書といったようなものを備え付ける義務はないわけであります。ただ、特に先ほどから問題になっております年少者につきましては、戸籍証明書の備え付けの義務が、あるわけであります。五十七条をごらんいただきますと、「使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。」、こういうことになっております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 大へん失礼ですが、あなたは私の質問をする気持を理解しておらないで、法律ばかり言っておりますが、今私が言っているのは、未成年者を使えないから、カフエーやバー、キャバレーでは内容がにせの者を平気で使っているから、調べに行ってもわからないわけです。だから、このにせの者を食いとめるためには、特に問題になっている業態については、法律には戸籍謄本を付けろということはもちろんないですよ。ないけれども、これを防ぐための一つの方法として、本人の戸籍抄本くらいは付けさせるべきではないか。これは意見なんですが、行政的にできるのだ、そういうものを付けさせたらいいじゃないか、こういうふうに考えているわけです。しかし、年少者の場合は、親権行、後見人の同意書が付けられておりますから、親権者あるいは後見人の、あるいはまだ勉強したいということのために、学校長の証明というようなものが付けられて、法律的にはかなり厳重にしぼられているが、しぼられているのを逃げ道としてにせの内容を持つ者、偽名を使ったり、今言った年少者の場合には年令を詐称したりする、これを食いとめるためには、どうしても戸籍抄本みたいなものを添付しなければこれは効力がないのだというくらいのところまで追い込めていかなければ、悪質業者を食いとめていくことができないのじゃないかという気持がしている。法律を改めなくたって、行政的にできるのではないかという考え方を持っているわけです。だから監督局の方で、この現状に対して特に風俗営業等に類するものについて、従業者の名簿には戸籍抄本を添付することをこれは指示してやったらいい。こういうことはできませんか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) ただいまの法制の建前からいたしまして、一般的にそういう証明書を備えつける義務を負わせることは法律上はどうかと思います。ただ行政指導としてそういう指導をやったらどうか、こういう御意見につきましては、そういう趣旨は十分了解いたしますが、何せ相手がああいう業態でございますから、そういう指導をやりましても、はたして実効があるかどうか、これは大いに問題のあるところではないかと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 環衛法というようなものを作って、業者の組織に対してはかなり厚生省あたりも相当の権限を持っているわけなんです。厚生省にお尋ねいたしますけれども、年少行を使う、あるいはまたこういう現在の事実、年令を詐称してそうしてバーなりナイトクラブなりに雇っておる、そういう悪質な業者を組合自体の中で規制するような勧告を、環衛法に基づいてされたという例が最近ありますか。

大山正厚生省児童局長

○政府委員(大山正君) 環衛法につきましては、公衆衛生局の所管でございまして、私詳しい実際の内容につきまして存じませんので、ただいま御質問のありました例があるかどうか十分お答えできませんです。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これに詳しい方に実はきてほしかったのですけれども、もう一つお尋ねいたします。風俗営業等これらの業態のものが環衛法に基づいて組織される組合がありますね。しかしその組合に入らないアウトサイダーのものに対して、環衛法に基づいて今どういうような措置をおとりになっておるのか、実はそういう現状を知りたかったのです。だれか知っておる方はありませんか。そこにおられる方で……。

大山正厚生省児童局長

○政府委員(大山正君) ただいま関係の者が参っておりませんので、後刻関係当局に連絡いたしましてお返事いたします。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それでは、これは重要な点で伺いたかったわけなんですが、広範な問題でございますので、引き続きまたもう一回ぐらい、特に委員長にお願いして、この問題をとり上げたいと思いますから、その節にまた御用意いただくということで、これの続きを警察の方にお願いしたいわけです。  従業者名簿、これはしかし相当にせのものがある。この間のこうり詰め死体の犯人は名前を三つぐらい使っていたらしいですね、山口とかなんとか。そういう名前を使っておる。業者はその名前や年令や経歴等を詐称したものをそっくりそのまま受け取っておったのではないかという節がある。ああいうバーテンのようなことをやっている人は、従業者として当然その店に名簿というものが備えつけられていると思います。あの場合は、その名簿等についてはずいぶんお調べになったんじゃないかと思いますが、その結果偽名を発見したのじゃないかと思います。これを防ぐために、悪を防ぐためには、やはり戸籍抄本みたいなものを風俗営業に関する限りはつけさせた方が、悪質業者から青少年を守り、また悪の温床であるものに対して、にせの名前を使っていて摘発が困難だとか、そういう現在の状態を救済する方法にもなるんじゃないか。ですから警察は、にせの従業者名簿を本物にするために抄本をつけた方がいいという考え方をお持ちになるのじゃないかと思いますけれども、あなたのこの点についての意見を聞きたい。

木村行藏警察庁保安局長

○政府委員(木村行藏君) ただいま高田委員の御意見も私は大へんいい考えじゃないかと思いますが、労働省と関係もありますので、十分研究いたしたいと思いますが、確かに偽った、にせのこういう従業員名簿でありますれば、全然取り締まりの意味をなさないのでありますので、これらの面についてあるいは一つの方法としては、風俗営業につきましては、各都道府県の制定する条例というものがありますから、その条例で必要な制限を設けて、あるいは戸籍証明書などを合わせて添付しろというようなことも一つの問題として考えられます。ただ、今直ちにここでそうしたいということを申し上げるだけのまだ実際の研究は進んでおりませんけれども、非常に私はお話の点を傾聴いたしております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 法律では、労働者名簿を備えつけ、労働者名簿を問題があったときに報告させることができるようになっている。報告しないものについては、基準局は強権でも報告させるような権力を持っているわけですね。そういう法律の建前からいうと、やっぱりほんとうのことをつかんでおかなければならないということになっているわけなんです。法律の精神をくんで、そういうものは何も法律改正しなくたって、行政的な指示等においても、法律の精神からいうとやれる筋合いのものじゃないかという気がするわけです。ですから、この問題の出たのをきっかけとして、労働省、それから警察、厚生省、こういうものが十分に一つ御連絡下すって、この行政的な方法をできるだけ早く研究されて実行に移された方がいいんではないかという気がいたしますから、一つこの点御研究おき願いたい。  次に、労働基準法では、家事使用人は労働墓準法の適用外にこれはなっております。旅館、それからカフエー、バー、ナイトクラブ、こういうようなところで家事使用人として通告をしているものもあるのではないかという気がするのです。実態はどういうふうになっておりますか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) お説の通り、労働基準法では家事使用人につきましては、適用が除外されておるわけでございます。今お尋ねの接客娯楽の事業におきまして、家事使用人という形でこれを接客業そのものの本務につかしておる実情はどうかということでございますが、その辺の実情につきましては、現在のところ資料を持ち合わしておりませんので……。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 問題は、家事使用人というのが労働基準法の適用除外になっている。旅館だけはこれは適用になりますけれども、その他のいわゆる風俗営業では、家事使用人ということになると、労働基準法も何も適用にならないわけです。だから家事使用人というものの内容等については、風俗営業に関する限りこれは調査をする必要があるのではないだろうか。労働墓準監督局は適用以外の問題についても、これはもう少しお調べになる必要があるのではないかと思います。これは私の意見でありますが、いかがですか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 私どもの基準法の適用の態度といたしましては、もし家事使用人という形で、本来その事業を営んでおります家族の家事に従事しないで、その接客娯楽業そのものの本務に従事しておる、こういうものがあるといたしますならば、それにつきましても当然実態に応じて基準法を適用する、こういう態度で進みたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ところが、冒頭に私がお尋ねしたことに対して、風俗営業に対する労働の実態について、なかなか詳細な事情がつかめないというのでありますから、それぞれのケース・バイ・ケースで業態に応じて云々といわれますけれども、実際はそれがなかなかおやりになれないから、風俗営業等の業態をおつかみになる際に、この家事使用人というような名目があった場合に、この家事使用人の項目については詳細にやはり御調査になる必要があるのではないか。あなたの方は使用人について報告させるという権限を持ってるのですから、どうしても報告しろというのに報告しなければ、これはあなた制裁できる、それだけの権限を持っているのですから。家事使用人等についての報告というものは、これはどんどんさして、そうしてその家事使用人の内容等についてはやはり御調査になることが権限としてできるのです。今私は、この小学生がバーに勤めて、そして子供が転落のふちに陥ろうとするこの危険な状態に対して手を打とうと思うからこういう質問をしているのですから、そういう気持を汲んで一つお答えをいただきたい。どうです。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 風俗営業に関しましての家事使用人の実態につきまして調査をしたか、こういう御意見でございますが、婦人少年局の方とも連絡いたしまして、御意見の点十分検討してみたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 この十一才の浅草の少女の場合は、警察で調べたら大へん賃金も安かったらしい。二十三才だというのに、何ですか、月給が四千円ぐらいきりくれておらない。これも労働基準法違反の範疇に入るものじゃないですか。二十三にもなる者に四千円きりくれないというこの実態は、労働基準法にいう平均賃金よりずっと下回っておる。こういうふうな問題をどういうふうにあなたはお考えになりますか。

上原誠之輔労働省労働基準局監督課長

○説明員(上原誠之輔君) 基準法におきましては、個々の事業体におきましてどの程度の賃金を払うかという点につきまして、要するに賃金の絶対額につきましての制限はないわけであります。ただ最低賃金法に基づきまして最低賃金が決定せられておりますならば、その決定された最低賃金より下回ってはならない。こういうことになっておりますが、一般的には一応絶対額につきましての制限はないわけであります。ただ額が非常に低いという問題もあるわけでございますが、これにつきましては、最低賃金法というものをこの際どういうふうにして適用していくかという問題になるかと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それ以上のお答えはあなたに期待してもこれはむだだと思いますが、悪質な業者は法の盲点をねらって、いかにしてこれを合法化するかということで彼らは頭を使っているようです。賃金等の問題についても、この子供たちを使うときに、十四の子供を二十才であるというふうに年令詐称してそして使っている。これを安く彼らは使いたい、利用するだけはうんと利用して、そして払う賃金は安くしたい。こういうような考え方から業者は試用期間——試みに使用人を使う期間は労働基準法では賃金の問題はかなり大幅にゆるめてあるわけです。賃金の規定があっても試みに使っている期間というものは、そういう賃金上の制約というものはあまりされておらないようです。試用期間の問題も、こういう悪い人間はずいぶん頭を働かせて、ただ使いみたいに使って、とにかくばかもうけをしようと、こういうような悪質な者もあるわけです。ですから試みに使っておるというような期間についても、これは基準監督署にはちゃんと報告をしてあるのではないかと思うのです。そういう問題も当然これはあなたの方にいろいろ定期的に御報告をしておるのではないかと思うので、こういう問題についても一つ注意をしてお扱いいただくことを私は期待するわけなんです。これは今日まであまり年少労働について国会でもいろいろ力こぶを入れなかったことには私も非常に責任を感じているわけなんです。たまたまいろいろの新聞——読売新聞を初めとして産経も朝日も最近この青少年問題をよく取り上げて下さっている。でありますから一つ御苦労なことでありますけれども、こういうところに力こぶを入れて努力をせられたい、こういうことを希望するわけでございます。  それからこれは五月十四日の産経新聞の記事でありますが、「血を売る家出少年数十人」、「暴力団のワナに落ちる」、こういう見出しで、最近警察は暴力団にだいぶ手を入れました。そのたまよけのために十四や十五の家出少年を全部使ってそれに血を売らせておる。こういう悪者がおる。この悪者の事実を新聞で実は見まして大へん驚いたわけなんです。警察の方はこの問題も御調査になっておられますか。

木村行藏警察庁保安局長

○政府委員(木村行藏君) まことに申しわけありませんが、聞いておりませんので、至急その事実について調査いたしまして、また他の機会に御報告申し上げたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 厚生省にお尋ねいたしますが、この血を売るということについて私もよく調べてはありませんが、相当やはり厳重な規制があるように思われますが、未青年が血を売るということについて厚生省はどういうような規制を設け、またどういうような行政的な機構がこれに当たるのか、この際お答えいただきたい。

大山正厚生省児童局長

○政府委員(大山正君) 売血の問題につきましては薬務局で所管しておるわけでございますが、児童局関係といたしましては、実はただいま御指摘の新聞の事例を読んでおりませんので、詳細お答えできませんが、児童福祉法の三十四条の九号に、児童に対してこれを自己の支配下に置きまして、児童の心身に有害な影響を与えるような行為をするというような場合には、やはり児童福祉法の違反になりますので、この点からもそのような行為は規制されるというように考えます。売血行為自体の問題につきましては、私ちょっとお答えする知識及び権限を持っておりません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 この問題も最近のきわめてあくどい一つのケースでありますが、子供の血を売らせるというこのやり方、この暴力団のあくどいやり方、これは児童福祉法の九号を今読み上げられましたけれども、これは一つの法解釈であって、必ずしも児童福祉法違反にひっかかるか、ひっかからないかということは解釈上抜け道があるかもしれません。問題は血を買う方の側において相当いろいろな基準とか何かがあって、そうして子供の血を買うというようなことはしていらっしゃらないだろうと思うのですが、この新聞によると、住所不定の無職の十九か十八の二人の連中が、お金がほしいと、そうして家出をして金もない、こういうような少年に目をつけてはエロ写真を売らせたり、客引きの手先に使ったり、そうしてあげくのはてに血を売らせてその分け前を取る、こういう有様、これは生き地獄ですね。とても子供たちはこの社会の中に守られているというふうには考えられない。泣きたくなるような有様です。しかし、あなた今それについて詳細な資料をお持ちでないということであれば、これはまたその次に譲らさしていただきたいと思う。  次に、けさの読売新聞は、母子寮の花売り問題の結末を報道しておられます。これは東京都の問題になりますが、未亡人会とか民生連合委員会というような名で、それで東京都がうしろだてになって母子寮に割り当てして花を売らせ、割り当てられたお母さんたちは売らなきゃ工合が悪いということで、何か常盤台の駅あたりでは、あるいは池袋あたりでは二十二人も町かどに立って、五千本も六千本も花を売ったというような事実が報道されている。その売った者はこれは児童福祉法の違反として取り上げられた模様でありますけれども、どうもこの新聞の報道の実態によると、これは児童福祉法違反でこれを懲役一年というような、そういうかわいそうな処分にはできないような状態にあるわけですね。何ですか、夫に死に別れて女手一つで働きながら子供を養っておる。たまたま花売りの仕事があったので、その子供に花を売らせた。幾らかたくさん売れば、一本で二円もうかるんだそうですね。十円で売って二円もうかる。そこでできるだけ一ぱい売りたいということで、とにかくこれは夜まで売ったらしい。そしてわずかばかりの、百八十円ばかりのもうけがあったので、この百八十円のお金でお母さんに花模様の三枚のハンカチを買って母の日にプレゼントとして贈ったという、そういうような物語が読売にけさ報道されている。児童福祉法違反としてこれは警告というような処分で終わっておるようですが、これに私は罪を課せということは言わないけれども、最近やはり児童福祉法の違反問題が各所に起こっておる。むしろ東京都あたりがそんな母子寮に花をおっつけたということ自体がけしからぬ。今日は東京都の関係の方はおりませんけれども、こういう物売りは、必ずこういう方向に行くということを知りながら物を売らせる。その者に対する法の規制というのはどういう規制があるのか、刑事局長でもおいでになれば伺いたいのですが、警察の方でお答えいただけますか。

綱井輝夫警察庁保安局防犯少年課長

○説明員(綱井輝夫君) お答え申し上げます。児童福祉法の第三十四条に規定があるわけでありますが、第三十四条の第一項の四号の二というところであります。児童、つまり十八才未満の少年、少女に午後の十時から午前の三時までの間、戸戸について、または道路で物を販売させる業務をさせてはいけない。それからさらに十五才から十八才未満はその時間外ならば法には触れないわけですけれども、十五才未満の児童の場合には一定の風俗営業ですね、キャバレーとかカフェー、そういうところに入って花売り娘といいますか、そういった風俗営業に立ち入って物を販売してはならない。この二つの規定があるわけでございます。従って風俗営業に立ち入って売ったり、あるいはそういったいわゆる深夜——深夜でなければ、たとえば新聞配達というような行為もあるわけでございますから、こういう場合には、すすめるわけではないが、違法ではないということになっておるわけであります。この場合は調べてみますと、ちょうど夜の十時三十分ごろ子供たちが池袋の方でカーネーションを売っていた。これは午後の十時を過ぎておるわけでありますから、あるいは強制的にそういったカーネーション売りをさしておるのではないかということで、調べてみましたところ、お話のようにカーネーションの委託、販売をいたしておりまして、その売上金で母子寮ないし母子寮に住んでおる人たちの若干の厚生といいますか、それをはかろうというようなことで売っていたという事情が判明いたしましたので、答申書を出してもらって、注意指導にとどめたわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私が伺っているのは、それは児童福祉法の三十四条では今いうような深夜に売らせたり、それから街頭で売らせたり、そういうものに対しては一年以下の懲役または一万円以下の罰金、こういうことになっているわけです。だからこの場合は母子寮のお母さんがその罪科を受けなければならないことになるわけです。法律的にはそうなる。しかしそういう母子寮などという大へん事情のお気の毒なところにこういうことをやれば、必ず子供が売るということを知りながら委託させたその責任というものは、やっぱり私は同等の責任を負わなければならないんじゃないかという気がするわけです。委託した方が悪い。そういう事情を知りながら委託した方が悪い。そういうものが平気な顔をしておって、かわいそうなお母さんがとにもかくにもこれは警告という一つの処分を受けているわけですが、お母さんがそういう警告の処分を受けて、その間いろいろ警察で調べられているのじゃないかと思う。どんなに子供心が傷ついたかしれない。子供はいいことをしたと思っているのに、おまわりさんに調べられているということでどんなに心をいためたかしれない。そういうことをさせた者、委託した者、それが平気な顔をしているというのを、これを何とか規制する方法はないかという質問をしているのです。ありますか。

木村行藏警察庁保安局長

○政府委員(木村行藏君) この「何人も」というのは、結局三十四条第一項の第四号の二のような行為をさせたという人がなるわけでございます。それ自体はケースによってはいろいろ出てくるわけで、大体はおっしゃるように、母子寮のお母さんといいますか、そういう方々が該当するのでありますけれども、内容によっては、そのお母さんに対してこれを必ず児童に売らせろ、しかも、夜中でもかまわぬから売らせろというような具体的なことをそそのかしておりまして、それに基づいてこの行為が行なわれた場合には、場合によっては刑法の教唆になる場合もあるかもしれません。教唆罪であります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私は、こんなところで教唆扇動なんということを言いたくありませんが、具体的に考えると、とにかくお母さんが警告されたわけですね。調べられて警告されたわけです。子供もいろいろ事情を聞かれたわけでしょう。ずい分気の毒だと思う。そういうことをさせた者、その者に対してやはり警告を出すべきであって、お母さんにだけ警告をしてはいけないと私は言うのです。そういうことをさせた者にもやっぱり警告を出すべきなんです。そういうことを私は考えます。平気な顔をしているじゃないですか。そういうことをやらせたその根源者に対しては何も警告されない。この新聞は報道していないが、何か警告されましたか。

木村行藏警察庁保安局長

○政府委員(木村行藏君) おっしゃる点につきましては、母子寮当局以外の人に対しては警告をしておらないようであります。しかし、これはやっぱり結局においてそういう結果をもたらした原因は、そのおっしゃる別な方にあるわけであります。これに対しては警告すべきだと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 すべきであると思うので、最高責任者がお見えになっておりませんから、確答を求めたくはございませんが、そういう措置を当然とるべきであります。そうして、一番犠牲になる貧しい母親や子供の魂を傷つけるようなことをさせないでもらいたい。どんなに傷ついたかしれない。この子供がかわいそうです。こういうことをさせる悪の根源に向かって権力は発動されるべきであって、下の者に権力を発動させることを避けてもらいたい。私はそれを希望する。  まだ、いろいろ問題がありますけれども、最後にぜひこれは伺っておきたいことで、刑平局長がお見えになることを実は期待したのですが、他の委員会の都合でお見えにならないようですが、児童福祉法違反あるいは労働基準法違反という、そういう者に対して、私はずいぶんこの子供に被害を与えたその者に対する刑罰というものは、必ずしも適当な量刑ではないように考えられるわけです。しかし、これは量刑の問題でありますから、今直ちにどうのこうのと言いたくはありませんけれども、どだい、あの松本事件なんというのは、これは人道上許すべからざる問題である。中学生の子供に制服を着させて、そして強制的に売春させて、その首魁はまだ係争中で判決も下ってない。それと共謀したおかみだの仲居は懲役三カ月だ四カ月だ、執行猶予が三年だ、こんなばかげたやり方というものは、私は人道的にも許せないような気がするわけです、裁判を批判するわけではないけれども。こういうような問題についても、もっと研究していただきたい。何でまた悪いことをした首謀行、土建業者はなぜ今日まで係争中なのか。こういう問題についても、大へん私は疑問に思う。  そこで、これは刑法の解釈になりますが、十三歳未満の者に強制わいせつの行為をした者は、これは六カ月以上七年以下の懲役、こういう非常に重い罪科が課されてあるわけですが、これは、した者に対する罪科ですが、させた者に対してはどういうような解釈をしているのか。そういうことをさせた者は刑法の百七十六条が適用されないで、百八十二条を適用するということになるのだろうか、ここらの解釈をちょっと聞いておきたいのです。松本事件に関連して。

木村行藏警察庁保安局長

○政府委員(木村行藏君) あるいは私の解釈が間違っておるかむしれませんが、そういう今お話しのケースにつきましては、刑法総則で、教唆とか、あるいは脅迫とか強要とか、そういう一般の犯罪が成り立つ場合が出るのじゃないかと思います。具体的に今お示しのケースについては、深く実態を把握いたしておりませんので、正確にお答できませんことをお許しいただきたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 意見として私はこういう考え方を持つのですが、刑法の百七十六条は、強制わいせつをした者、その者に対して六カ月以上七年という、かなりこれは重刑である、した者に対しては。させた者は、百八十二条、淫行勧誘罪、これは三年以下の懲役または五百円以下の罰金だ。安い。私はした者よりさせた者の方に、これは重点が置かれなければ子供が守られないという、そういう考え方を実は持っているわけです。今直ちにここで御答弁いただくのも無理かと思いますので、またこの次のときに、強制わいせつ、淫行勧誘、これの関連において、十分お調べいただいて、特に松本事件を中心にお調べいただいて、明確な御答弁をいただくことを希望するものであります。  時間がなくなりましたので、まだまだ質問が残っておりますが、お互いに二時になりまして、基本的人権に関する問題になりますから、ここらで取りやめておきますから、委員長にはどうぞこの次この問題を続けてお取り上げいただくことを、心からお願いを申し上げたいと存じます。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ほかに御質疑ございませんか。——なければ、本件の質疑は本日はこの程度にとどめます。  次回の委員会は五月二十五日午前十時より開会し、政治的暴力行為防止法案及び政治テロ行為処罰法案の両案の提案理由及び補足説明を聴取し、本日の調査を続行したいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三分散会      —————・—————

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