文教委員会 第30号
- 発言数
- 249 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/30
会議録
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 まず、委員の異動につき御報告いたします。 去る五月二十四日、鍋島直紹君及び後藤義隆君が委員を辞任され、その補欠として井川伊平君及び宮澤喜一君がそれぞれ委員に選任されました。以上であります。
○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。 昨日及び本日の開会前に理事会を開会し、種々協議いたしました結果、本日は、まず教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査をいたして、これを議了いたしました後、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法等の一部を改正する法律案、学校図書館法の一部を改正する法律案、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を順次議題とし、審査を進めて参ることに決定をみました。なお、明日は午前十時三十分より委員会を開会いたすことに決定いたしました。 以上、理事会決定通り委員会を運営して参りたいと存じますが、御異議ございませんか。
○岩間正男君 今の日程について、これは今お聞きしたのですが、水曜日は定例日でないのにやる、こういうことなんです。これについては、私は基本的には賛成でありません。しかし、会期末だから、まあ勉強しようと、こういうような気持もわからないつもりじゃない、その点については一応了承することにしておきます。私は問題は、今までの参議院文教委員会の運営のやり方について、やはり一つの批判を持つものです、自分の参加した委員会に責任を負う者の一員として。というのは、どうも時間に対しての観念が乏しいと思うのです。これはもう深夜に及んだ例もあるし、それからどこで、何時ぐらいまでを目安にしてやるのかという限定がないのだな。これでやっていくというと、それは全くもう運営というものは軌道に乗って明確な形でいかないと思う。大体一つの常識があると思うのです。これはだらだら運営をしてはまずいと思いますので、たとえば、午前十時開会の場合はまあ午後三時ぐらいまでやるとか、午後一時からの場合には五時までとか、そういうふうに一つの目安をきめてやらないことには、きょうなんかの日程を見ますというと、免許法が上がってから、六つぐらいの法案を出してきておるのだな。これがはたしてやれるかというと、実際私はやれないのじゃないかと思う。もっとも十二時までやって深夜国会をやればやれないことはないと思うが、しかし、こんな運営は、まだ会期も十日あるのに、現在やるべきじゃないと思うし、また、会期が迫ったにしても、こういうやり方で深夜国会に追い込まれることについては、正常運営ということを今口で叫んでいるときに、こういうことを前提にしてはまずいと思う。従って、大体そこに一つの常識があるはずですから、そういうような運営について一つ考えてほしいと思うのです。理事会の決定は、一応今の線ということですが、それについての具体的な時間の目安をどの辺に置くか、この辺を大体当委員会で明らかにして、その上に立って議事を進めていただきたいと、こう思うのです。この点から発言をするわけでありますが、この点、諮っていただきたいと思います。
○委員長(平林剛君) 岩間委員の御発言は、きょうの委員会の終了時刻を大体どの程度にするかということに関連しての御意見であったと承知いたしました。委員長としては、委員長理事打合会におきましても、深夜までやるというようなことはもちろん取りきめてありませんし、そこは常識的な運営をして参りたいと思います、あなたの御意見も十分尊重して委員会の運営に当たりたいと考えておりますから、御了承いただきたいと思います。
○矢嶋三義君 ただいま委員長理事打合会の結果を御報告になりましたが、この中に、調査案件の報告がございませんが、たとえば、愛媛県の教育行政に関する調査等は、参考人の意見聴取までして、本委員会で相当取り上げて参った問題でございます。この問題については他の会派もそうでございましょうが、社会党としても、ある見解を持って、この国会で早急に調査の終末をつけるべきであるという立場で臨んでいるわけであります。ただいまの報告では、愛媛県の教育行政に関する調査案件等、その他社会党から幾多要請しているわけでありますが、それらの点については何ら御報告がありませんでしたが、この点は早急にお取り運び願いたいという御要望を含めて、委員長理事打合会の御協議の経過並びに結果をお教えいただきたい。これが一つ。それから本日の委員会の運営でありますが、ただいま岩間委員の御要望で指摘された点は私も同感であります。私がお願い申し上げたい点は、議員立法を提案している一人でございますが、たとえばきょう五、六本の法律案が並べてあるのですが、率直に申しまして、私は学校図書館に関する法律の審議はぜひきょうお願いいたしたいと理事を通じてお願いしておきました。うすうす、きょうの委員会の運営については承わっておりましたが、高等学校の定時制の法律案は法案自身私用意して来ておりません。今初めて聞いたわけです。それほどたくさんの法律案は審議できぬかと思いますので、願くは、これから委員長において計画される場合は事前に一つお教えいただきたい。でないと、私ども議員立法を五本担当しておるわけですが、五本を同時に取り上げることになりますと、時間的な制約もありましょうし、また、発議者としての準備等もありますので、その点とくと御配慮願いたい。 それから、先ほどのあれで運営していくことは賛成でありますが、これを見ますと、政府提出にかかる法律案では本審査が四件でございますね。それから内閣提出で本院の予備審査が三件ございます。それから本院の議員立法で本院本審査のものが九本ございます。それから他院の議員立法で予備審査のものが四件ございます。これはいつも申し上げますが、現在の国会法並びに議院規則は議員立法が本体でございます。特にこの中には、一本が他院の委員長発議というような形で超党派的に出されている法案もありますので、これらは審議日程を組む場合には最優先的に取り上げていくべき問題だと思います。私も議員立法をいたして五本担当いたしておりますので、精力的に審議していただきたいと思いますし、準備の都合もありますので、きょうのところは先刻の委員会の運営でけっこうですが、委員長において格段と御配慮いただくように、この点をお願い申し上げておきたいと思います。第一点を聞きたいと思います。
○委員長(平林剛君) 矢嶋委員の御要望についてはごもっともでありまして、その件につきましては、委員長理事打合会におきましてお話し合いの線もございますから、できれば理事を通じてお聞き取りをいただきたいと思っております。 また、調査案件の点につきましても、これまた、ある程度御要望の線に沿って話し合いがございますので、理事からお聞き取りをいただきたいと思う。 なお、矢嶋委員が御提案になっておる法案の準備の連絡が私の方から行き届かなかった点についてはおわびをいたしたいと思います。その運営については後ほど御相談をして参りたいと考えております。
○矢嶋三義君 調査案件の取り扱いについては、うちの理事からうすうす大体承わっているのでございます。しかし、委員長理事打合会の結果を速記をつけて報告される場合には、これは非常に重要なことでして、一切、委員長さんの報告がなかったからお願い申し上げたわけで、うちの理事からは非公式に承わっておるわけですが、委員長理事打合会の結果の報告である場合、ちょっとやっぱりお知らせおき願いたい、こういう趣旨です。
○委員長(平林剛君) 念のために申し上げますが、明日の委員会におきましての取り扱いは、全般的に意見の一致をみておるわけではありませんけれども、調査案件につきましては、これを現在まで委員会として相談になっている問題について取り上げるということになっております。そのいずれを取り上げるかにつきましては、また委員長理事打合会において御相談をするということになっております。
○岩間正男君 ついでに。予定されており、あるいは先に質問通告をしているような調査案件の問題というのはあるわけでしょう。私なんかも日光の問題で二週間ほど前に出しているしわけですね。これちょっと事務の方から発表してもらいたい。何々があるか、今後のあれ。
○委員長(平林剛君) ただいま委員会の調査事件として私どもに通告がございますのは、大学入試に関する件、文化財保護行政全般について、三重県鈴鹿市の中学校廃校に関する件、学生部次長制設置に関する件、新島における自衛隊の宿舎に関する件、愛媛県の教育行政に関する件及びもう一件、文部大臣の発言に関する件がございますけれども、このいずれを取り上げるかという問題は、なお意見の一致を見ておりませんで、委員長理事打合会で取りきめられることになっております。なお、あなたの御要望がありました日光の重要文化財に関する問題は、先ほど読み上げました文化財保護行政全般の中で取り扱って参りたいと、かように考えておりますので、御了承いただきたい。 いろいろ御意見がございましたが、先ほど申し上げた理事会決定通り委員会を運営して参りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営して参ります。
○委員長(平林剛君) それでは、教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対し質疑のおありの方はございませんか。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○千葉千代世君 私は、日本社会党を代表して、本法案に対して反対の意思を表明するものでございます。 御承知の通り、わが国の教員養成制度並びに教員の免許制度は、戦後、根本的に改革がなされました。すなわち昭和二十四年制定されました教員免許法は、その後四回の改正を経て、実態に即応する措置がとられて参り、教員の資質の向上をはかる上に大きな役割をはたして参りました。 さて、今回の改正案を見まするに、その趣旨とするところは、第一に、高等学校における工業科、理数科の教員不足に対処するための応急策として免許基準を緩和することにあります。私どもは工業、理数科教員の不足状況を無視するものではございませんが、このような不足打開の措置は、ただ安易にしてこそくな方法のみでは解決できません。教員の待遇問題や教育研究条件を根本的に改善することであることは論を待たないことでございます。さらに、私どもは教員養成を行なう大学の拡充等を要求しております。このことは、さきの工業教員養成所設置法案、この法案審議の際に明らかにしたところであります。昭和三十三年の七月に中央教育審議会の答申がございましたが、その中の教員養成の基本方針を見ますというと、教員の養成は国の定める基準によって大学において行なうものとするとあり、また、教員に必要な資質としては、一般教養、専門学力、教職教養の三つが要求され、しかも、これらが教師としての人格形成の目的意識を中核として有機的に結合されることが必要であると、かねて力説されております。さらに、高等学校教員は、生徒の教育に即する教職教養と、特に担当教科科目に対する高度の学力を必要とすることは言を待たないと思います。続いて、教員養成を目的とする大学における養成の項の教育課程等の基準に、教育課程は、一般教育、専門教育、教職教育が有機的に結合されたものでなければならないとございます。なお、教職教育のうちで、実習教育を重視し、あわせて教師としての人格形成に留意するとあります。本法案は、このような教員の資質の向上の方向とは逆に、教員の資質を低下せしめる危険を多分に持っております。しかしながら、中には実習助手から実習教諭への道を開いたことと、養護教諭免許状取得に必要な在職年数の認め方を緩和した点は、私どもが従来主張して参った問題でありまして、大へん喜ばしいことでございます。しかしながら、先に述べましたように、第一に、教育職員の質的低下を必然的にもたらすこと、第二に、免許法の体系をくずすこと、第三に、教育学、教育原理、教育心理、あるいは教育法等の教職教育に関するところの学問を軽視していくことになる。このことははなはだ遺憾でございます。戦前の教員の免許状は、御承知の通り勅令によって出され、幾多の欠陥がありました。このことは中央統制の教育の弊害と全く表裏の関係にありました。これを是正するための免許法の抜本的な改正が昭和二十四年になされたのは前に述べた通りであります。第四に、教員の確保は単に免許状取得に免除条項をつけたことによってなされるものでないことは、繰り返し申し上げた通りでございます。抜本的な施策が早急に講ぜられるべきだと存じます。 以上の問題をはらんでおりますので、私どもは反対をいたすものであります。これをもって反対の討論を終わります。
○北畠教真君 自由民主党を代表して賛成の討論をいたします。 まず、この法律案は、中学校等の教育課程の改訂に伴う教科の改正に対応して、美術及び技術の教科の免許状を新設することとしております。また、これに伴う経過措置として、技術科に関する講習を修了した者に技術の教科の中学校教員免許状を授与することができる特例を設けております。これらの措置は、新教育課程の実施を円滑ならしめるため設けられたものであり、必要かつ適切な措置と考えます。 次に、この法律案は、高等学校の工業、理科、数学の教科について教員免許状を取得する場合における教職専門科目の単位の修得を教科専門科目の単位の修得をもってかえることができる特例を設けております。理工系教員の需給の現状と、昭和三十八年以降の高等学校生徒の急増及び国民所得倍増計画の実施に伴う需要の増大に対処するためにはやむを得ない臨時的措置であり、時宜に適したものと考えております。 さらに、高等学校の実習助手及び学校看護婦等養護教員の職務に準ずる職務に従事している職員に対して、それぞれ実習教諭免許状、養護教諭免許状を取得できる道を開くこととしておりますが、実習教員及び養護教員としてこれらの者を登用する方途を講ずるものとして適当な措置と考えます。 以上のように、この法律案は、教育課程の改訂、理工系教員等の不足の事態に対処するための措置を定めたものであり、いずれも必要にして適切なものと考えますので、ここに賛成するものであります。なお、今後、教職員の資質向上のための研修、あるいは待遇等について十分措置されんことを希望いたすものであります。
○委員長(平林剛君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。教育職員免許法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(平林剛君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
○委員長(平林剛君) 次に、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がございますので、この際発言を許します。
○米田勲君 ただいま議題となりました法律案の審査を行なっていくに際して、私は、すでに昭和三十年八月の五日に施行になっております女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律、この現行法に関連をして文部大臣にいろいろ御質問をいたしたいと思うわけです。 日本の教育を前進をさせなければならないということは、これは何人も考えておるところであります。その日本の教育全般の水準を上げ、振興をはかっていくためにいろいろな政策が考え出され、また、その政策を実施に移すための予算等が考えられていくわけであります。そこで、私はすでに昭和三十年に法律として生まれたこの女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律に基づいて、現在どのような実態に学校教育が、またこの産休の教職員の扱い方並びにその産休期間中の教育の正常なあり方について、現行法の建前においてどういう現状にあるかということの認識が、今後この問題を一そう前進させ、障害を排除して教育を前進させるために今非常に必要だと思うのです。そういう角度から、私は文部大臣はどのような現状認識に立っておるのか。現行法においてどういう隘路が横たわっていると認識しているかというようなことをお伺いをし、もし、われわれと見解を著しく異にするならば、大いに論じ合って、日本の教育の全面的な前進のために努力をしてもらいたいし、われわれもともに努力をしていきたい、こういう立場で質問をするわけであります。 第一に私が質問申し上げたいのは、文部大臣も御承知かと思いますが、ILO条約百三号の第三条第二項に母性保護に関する条約があります。日本は、大臣も御承知のように、このILOに再加盟を申し出て承認をされ、現在加盟国になっており、しかも単なる加盟国という立場よりは一段責任のある理事国になっているわけです。そういう立場にある日本が、このILO条約百三号第三条二項にすでに決議をされております母性保護に関する条約を、今日に至るもなお現在の政府はこれを批准しようというかまえを持っておらないように見受けられる。この母性保護に関する条約は、要約いたしますと、「出産休暇の期間は、少くとも十二週間とし、且つ産後の強制的休暇の期間を含むものとする。」という内容の条約が決議されているわけです。さらに、同条約の第三項には、産後の強制的休暇の期間は国内の法令で定めなければならないときめられておるわけであります。文部大臣もたびたびこの委員会で発言をしているように、今日、日本の経済力というものは漸次発展の方向に向かっていることをいつでも自画自賛しているわけです。そういう経済的な力が増大をしていっておる一方、日本が国際的にも、また他国の信用を得て国際的に決議をせられたILO条約等の各条文にわたって、積極的にこれを日本においても批准をして、その批准した立場に立って関係国内法を改めていく姿勢をとることが、私は文部行政を担当しておる荒木文部大臣の責任の一つであると考えておるわけであります。そういう立場からあなたにお聞きしたいことは、今日に至るもまだこの条約を批准しようとする考え方を明らかにしていないのは、政府の無理解かもしくは怠慢ではないのか、一体この条約をいつごろ批准するという考えがあるのかないのか、ないとすれば、その理由はどういう理由によるか、もし批准をするというのであれば、その見通しはどういう現在立場に立っているか、こういう点について最初お伺いをいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 母性保護条約の案がありますことは聞いております。批准をいたしておらないことは御指摘の通りですが、いつこれを批准するかということはまだ具体的に検討いたしておりません。聞きますると、この条約を批准しておる国はきわめてりょうりょうたるもので、西欧諸国は一国もまだ批准をしていないとも聞きます。よそがそうだから、それにならうというわけでは毛頭ございませんけれども、むしろ、私は現行国内法で定めております内容を完全に実施するということがまず先決ではなかろうかと思います。もとより産休法の本則の規定することそのままが実行されていないと承知いたしておりまして、その点は遺憾でありますが、これは逐次積み重ねていきつつ法律の趣旨を実現することに努力したいと思っておる次第であります。
○米田勲君 ただいまの大臣の答弁で、私はもう一度確認をしておきたいと思うのですが、まさかあいまいなことを言われたとは思いませんが、ILO第百二号条約の批准は、今のあなたの言葉によると、批准をしておる国はりょうりょうたる数である。西欧の諸国は批准をしていないということをはっきり言われましたが、一体りょうりょうたる数というのは、具体的にどういうふうに理解をしておるのか、その点が一点。 もう一点は、今の答弁はこのように解釈してよろしいかということをお聞きするわけです。このILO条約第百三号の母性保護に関する条約というのは、原則としてはこれを日本政府も批准をして、この方向に向かって国内の諸法規の改正を行ない、前進させるべきだということを原則的には考えておるのだ、そういう理解に立っておるのだ、しかし諸般の情勢から、いまだに国内の現行法を整備することに今力を入れる段階で、やがてその整備された暁には、さらに一歩この条約を批准して条件を前進させるというふうに考えておるのです。こういう答弁が行なわれたと私は聞いたのですが、その解釈には間違いがないかどうか、この点をあらためて二点お伺いします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一点は政府委員からお答え申し上げます。 第二点は、御指摘の通りでございます。
○政府委員(内藤誉三郎君) 母性保護に関する条約の批准状況は、昭和三十五年六月一日現在におきまして、批准国は、白ロシア、キューバ、ハンガリー、ウクライナ、ウルグァイ、ユーゴスラビアでございまして、アメリカ合衆国を初めフィリピン、ソビエト連邦、英国、オーストリア、ベルギー、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア、チェコスロバキア、デンマーク、フランス、西ドイツ、東ドイツ、イタリア、ノルウェー、ポーランド、スエーデン、日本、大韓民国、ブルガリア、コロンビア、以上の国は批准しておりません。
○米田勲君 先ほど大臣も言われましたように、よその国が批准をしていないから、多くの国が批准をしていないから日本も批准をしないのだ、そういうわけではない、そういうお話でした。ところで、今の政府は日本の財政力が力がついてきたということから、アメリカとの関係もあるでしょうが、後進国に対して経済援助をしようとする政策を立てておるわけです。これは私はやり方によってはいいことだと思います。しかし、後進国に援助をするという積極的な国のかまえをとるような段階に日本の経済的な実力があるとすれば、わが国の国民に対する福祉、日本の民族に対する社会保障、そういった面では飛躍的にこれを増大することがまず基本ではないか。そういうことを大きく進めながら、他の面に向かって後進国の経済援助ということをやるならよろしいが、国内の社会保障制度も微々たるものであり、またその方にまで広がっていくのはどうかと思いますが、こういう産休に関する母性保護に関する国際条約すら批准できるような条件に国内法はなっておらないのです。今のままの法律では、現行法ではこの条約を批准できないのです。条約の条文の条件に適合しておらないのです。そういうことでありますから、私はよその多くの国がこれを批准していないというようなことに安易に立てこもらないで、積極的に日本の国民のためのこうした政策については、各国に先んじてこれを実施に移していくというかまえ方が必要なのではないか、それがまた後進国に対する経済援助を積極的にやる政府の立場としては、そういう両面にわたる考え方が必要なのではないか、その施政なしに一方的に背伸びをして後進国の経済援助などという方に立ち向かうなら、国民は納得をしないし、その政策自体にも疑問が起こってき、協力をするという態勢がなくなるのではないか、こういうふうに考えますので、その点は文部大臣として、どういうふうに考えるか、簡単でいいですからお答えを願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 考え方としては、大体私も米田さんのお説わかるような気がいたします。ただ、現実問題としますと、二者択一ということよりも、両方の考え方を、施策を並行的にやっていくということが私は現実的じゃないかと思います。後進国援助ということは、何だか背伸びしたように見えないでもございませんが、しかし、同時に反面、後進国援助をすることによってその地域の購買力を培養して、日本の輸出市場を育成するという反射的効果も多分に期待できるわけでございますから、日本みずからが生きるための手段としても後進国との交流を盛んにすることが適切であるという面もあることを考え合わせまして、もとより国内的に社会保障の充実ないしは教育施設設備の充実等、なすべきことはお説の通り当然でございますが、どっちか一つを片づけて次に移るべきものであるというものではなかろう、むしろ現実に即すれば並行的にやった方がより適切ではなかろうかと思うわけであります。
○米田勲君 私はこの産休問題を検討する際に、どうも日本の国民の中には、頭の中に、われわれもそのおそれがないとはいえないのですが、男性と女性というものに対する差別感、そういうものが絶えずまつわりついているのではないかと思うのです。女の教職員がお産のためにその前後を休むということは、私はこれは当然の権利だというふうに積極的に考えなければならぬ。何か余分なことをしてまわりの者が迷惑をするので、それを休ましてやるのは恩典なんだというような、そういう消極的な立場でものを考えるがゆえに、この現行法の建前ですら幾多の隘路が生まれてくるのではないか、こういうことを痛切に感じておるのです。これはまた給与、待遇、そういうものにも関連して、同様のものの考え方を少なくもこの文部行政の上からは完全に払拭しなければだめだと、そうでなければこういう問題も積極的に解決する方向に向かないというふうに私は考えるわけです。文部大臣に念のためにお話をしておきますが、この男女性別によって差別をしてはならないという内容を含んだILO条約の百号があります。この条約はまだ日本において批准をしておりません。これも批准をしている国がりょうりょうたるものとはいえないわけです。これは三十カ国あまり批准をしておりますから。私はこの産休問題を検討するかたわら、やはりこういう国際的な性別によって差別待遇をしない、差別を受けないという積極的なこうした条約の条文は、文部省が率先批准をしていくというような考え方を基礎として、国民の中にそういう考え方を強く積み重ねていって、そういう態勢の中から、産休問題にしろ、女子の教職員、あるいは労働者の待遇の改善、あるいは産休問題といったような問題を解決つけていくことが非常に大事なことだと考えておるわけです。この点、多少外側に含まれる質問をしますことになりますが、文部大臣の見解はいかがなものでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 心がまえとしてはお説の通りであらねばならぬと思います。同時に、ILO関係の条約を待つまでもなく、日本の憲法それ自体が男女の性別によって差別しないという建前は貫いておるわけでありまするし、そのことがまた産休法ともなって現われたことと思いまするし、かつまた労働基準法等もその趣旨は相当徹底して取り上げておると私は理解しておるわけでありまして、今後さらにその方向に、むろん一挙に行き得るとは申し上げかねますけれども、そういう気持ちで推進していきたいと思います。
○米田勲君 文部大臣は、日本の憲法にそういうことはちゃんと明記されておるからいいのだというものの考え方を持っておるようです。そしてそのことは、労働基準法だとか、あるいはこういう産休法で相当程度うまくいっているという内容の今答弁がありました。私は大臣が今でも相当という言葉を使わなければならない程度にしかいっていない。だからいろいろな問題が起こってくるのだというふうに考えるわけです。国際的な日本の信用を高め、国際的な水準に教育行政を持っていくという立場から当然考えておる文部大臣であれば、日本の憲法にあるから大体まあいいだろうという、そういうおざなりではなく、積極的にこの問題を検討する必要があると、私は一応意見だけを述べて次の質問に移ります。 第二の質問は、現行の産休法が施行されて以来数年を経ておりますが、実情は、端的に言って、この法律をきめたときの立法者の精神が現実の職場には生きておらない。それは全く生きておらないと私は言いませんが、現行法を制定したにかかわらず大事なポイントがすなおに打ち出されていない。このことは、この委員会で私以外の他の委員からも指摘がありましたから繰り返しません。とにかく現行法があるにかかわらず、現行法の精神は必ずしも生かされていないということを私は現実の姿を見て思っておるわけであります。文部大臣は、産休法が実施されて五年、六年になりますこの法の精神が、立法の精神が生かされておるというふうに現状認識をしているかどうか、その現状認識の仕方、それをまず承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 精神は、法律が現存しておりますから生きておりますが、現実がこれに追随できていないという意味において不満足な状態であろうと思います。まあそういう認識に立って、先刻もお尋ねに対して、今後の努力に待たざるを得ないと申し上げた次第であります。
○米田勲君 そういたしますと、文部大臣も、現行の産休法は、精神は現存するのだが実際にはあまり十分な効果を上げていないというふうに認識をされておるようであります。この現行法の立場というものは、一方に、母性を保護しようという立場と、もう一つは、その母性を保護しようとする立場を貫くために、そこに起こってくる学校の正常な運営が阻害されないようにしなきゃならぬという、この二本がきちんと立っておれば、私は十分にその効果を上げ得ると思うわけです。ところが実際には、大臣も調査されて覚えておられるだろうが、産前産後の休暇が、本人が願い出ても十分にとることができない。そういう実情、とらない方が悪いのだというような言い方ではなしに考えてみて、そういう実情があるし、一方には、お産のために休んだ先生の受け持ちの学級を、その生徒を、二十坪の教室に二倍にふくらして、学級を併合して、集団的な、全く教育の場としてはなっていない不正常な教育で、その産休期間を間に合わしている。このケースが相当たくさんあります。それからもう一つは、産休期間中に補助教員を配置しないで、他の先生が補欠授業に行きます。毎時間毎時間補欠が割り当たって、補欠授業に行く、補欠授業などというものは、学校の正常な運営を保てるものではないわけです。これは、実際にやってごらんになった方はわかるはずであります。そういう欠陥が幾多出ておるというのは、現行法そのものに問題点があるからだと大臣は考えないかどうか。現行法そのものに、そういう現実を生み出す欠陥が内在しておる。そういうものを含んでおる。だから、現実としては精神は生きておるが、実際問題としてはうまくいっていないという、素朴に言えば、そういう認識にならざるを得ないのじゃないか。端的に言って、繰り返して言いますが、現行法にその欠陥の根本原因があるのじゃないかということを私は考えておるわけです。大臣のこの点に対する見解はいかがなものでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あながち私は現行法に欠陥があるからそうなっておるとも考えません。現行法は相当の理想を盛り込んでおる法律だと思います。現実がこれにそぐわないのは、実際のところ、私も文部省に職責を与えられまするまでは、先ほど米田さんがちょっと触れられましたように、産前産後の休暇がそんなによけい要るのだろうかというふうな気持は、私にもないとは言えなかった。私どもいなかに子供の時代から育っております者にとっては、特にそんな連想しか浮かばないのであります。というのは、農家の婦人がお産の前日まで田植えをしたり、刈り入れをしたりして、しかも健康な子供を生んで、お産が済んだかと思うと、もうまた働いておる。しかし別に支障があるとは聞かなかったというふうな事例が、私なんかの子供時代からの常識としてこびりついておるものですから、正直なところ、何かしらお情け的なもののような感じがしないわけではなかったのであります。ですけれども、文部省に入って、委員会でいろいろ啓蒙されてみたりして、なるほどそうかなあということを、今にしてしみじみ思うのでございまして、そういうふうな程度のものの考え方が、私は特にいなかの方では一般的じゃないかと思います。そういうことが、都道府県、市町村の現場の行政面では大勢を支配する傾向にありはしないだろうか。そういうふうなことからしまして、法律そのものの精神がりっぱに生きて、現行法としてありますけれども、裏づけがこれに伴わない。むろん文部省の努力が足りないというおしかりが当然出てくる勘定になりますけれども、それもございましょうが、現地における切実感というものが、理想は理想として、一応わかったような気持になりましても、これに追いつけないというのが現状じゃなかろうかと、まあ想像するわけでございます。即席の想像で当たらないところがあればお許しをいただきますけれども、私は率直なところ、そんなところに原因があるのじゃないか。やはりかすに時をもってして、啓蒙をもってして、漸進的に法律の趣旨に沿うような努力をするよりはかなかろうと、こんなふうに考えております。
○米田勲君 私は、きわめて賢明な荒木文部大臣すら、最近まではそういう認識不足だったというのを今聞いて驚きました。しかし、現在の段階ではだいぶん理解をせられておるようですから、これはまあ安心なんですが、だから、私は先ほど申し上げたのですよ、冒頭に。日本の国民の頭には、今、大臣が言われたような気持が相当ある。女性の前でそういうことを言うと非難されるから言わないだけで、黙っているけれども、腹の中はそういうのがだいぶある。だから私は、国際条約のそれらに関連するものを批准されるという積極的な態度をとりながら、国民をやはり啓蒙するということが大事なんだと思うのです。その点で、やはり文部大臣は何といっても責任を負わなくちゃならない。そういうことをやるのはやはりあなたの仕事ですよ。そういうまあ雑談に入るのは抜きにして、農家の婦人のお産の話は、言いたいことがあるのですけれども、そういうことは今言っておると時間がかかるから抜きます。 ところで、本論に戻しまして、私が、産休法の精神は生きておるのだが実際はうまくいっておらないという、大臣のこのすなおな答弁をもらったので、あなたこれはだいぶん理解しているなと思ったのです、実は。その欠陥は現行法の内容にそういう欠陥を生み出す個所がある。大臣はどうもその点はやはり私と認識がだいぶん違う。現行法はいいのだが、どうも皆さんの理解が徹底しておらぬから実際の効果は上がらないのだと、こう言っておりますが、私はその点を今指摘をします。あなたの見解を、そしてただします。まず第一に、現行法で産休のとり方です。現行法では、権限のある者の承認を受けなければならぬということになっております。承認がなければ休めないのです。勝手に休めば処分されるのです。職場放棄である。だからここに、一つはその承認を受けなければならないということになっておるけれども、私はこの現行法の精神を積極的にもし貫こうとするなら、適当な、学校または自治体が指定したお医者さんに診断書をもらって、その診断書をつけて届け出ればそれを承認しなければならない、産休をとることを承認しなければならないようにしておけば、ちょっと先生、まあおなかが大きくなって、非常に生徒の前へ出て教えるのが都合が悪くなったでしょうが、また肉体的にもつらいでしょうが、まあ補助教員が入らないものですから、もう一週間ばかりがまんをして下さいということが起こらなくなる。現行法のこの承認というところが、私は隘路が生まれてくる一つだと思っておるのです。先ほど申しましたように、産休が無理なくとれるようにさせるためには、適当な医師の診断書をつけて届出制にすべきである。そういうふうに改正すれば、その難点を取り除くことができるというふうに私は信じているわけです。この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の通りであるように思います。ただ、承認を受けなければならないという建前でありましても、運用よろしきを得れば、届出と実質的に同じようなことも不可能ではない。運用の点のぎごちなさから、いろいろなことが起こることも想像できるのでありまして、どちらかベターかと言えば、届出で休暇がとれるようにすることがよかろうと思いますが、それは必然的に届出があれば休暇がとれる。とられれば、その間隙を必ず補い得る措置が、裏づけがないならば、届出制度になり得ないというところに現実の悩みがあって、今の現行法が考えられている段階ではないかと思うわけであります。どちらがいいかとおっしゃれば、それは届出で済むようにした方がいいにきまっていると思います。
○米田勲君 いいものはいいとはっきり言ってもらった方がいいね。大臣の答弁は私はやはり現行法の母性保護に対する確信が足らないと思うのです。母性を保護しなければならないという積極的な立場をとるなら、政治家がそういう答弁をするものではないのですよ。母性保護に対する、あなた認識が弱いのだ。もっと積極的になるなら、すなおに産休がとれるような条件に法律を変えるべきですよ。大体あまり金のかかることはお互いにやりたがらない。そういう傾向があるのですよ。しかし、まあ法律がそういうふうにきまるならやりくり算段をして、そうしなければなるまいというのが日本の政治の実体ではないですか。その政治の大事なポストについているあなたが届出制にするということに改正を踏み切らなければ、十分に母性保護という本法の精神が実現しないのだという認識を強く持つべきですよ。そういう認識を持たない限り、現在の隘路は打開されないのですよ。打開されぬということは本法の精神も死んでくるということです。あなたは本法の精神が生きておるというけれども、実際は死んでおる。もっと積極的な気持はありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 議員立法に敬意を表して現行法を尊重する立場においてお答えを申し上げておりますが、ベターなことがはっきりする限り、ベターな方向に努力することも当然と思います。
○米田勲君 まあ大体前向きの返事になりましたから、時間をかけ過ぎますので、それぐらいにしておきますが、しかし、今言ったことは、やはり文部省のものの考え方として、大臣が在任中にその方向を基礎づけてもらいたい。やめたらおれは知ったたことではないのだということではなく、あなたが何年やっておられるかわかりませんが、ここで答弁を簡単にしておけば、その場が済んでしまうのだと、そういう安易なことではなくて、責任を持ってその方向に前進できる基礎的な態勢を文部省内に築いてもらいたい。まあ、この程度でその問題は打ち切って次に進みます。 まだ現行法の中には隘路がある。それは何かというとこの産休の期間であります。その産休の期間に補助教員をまるまる配置すれば、まあまあ現行法の精神は生きるのです。——大臣はお釈迦さんのように両方の話が聞こえるのですか、内藤さんと話しているけれども。いや、聞こえるならいいのです。変な答弁をなさったら工合が悪いから言ったのです。まあ、ほんとうは失礼なんだけれども。質問しているのによそと話ししているのは——まあいいわ。産休の期間中、補助教員を配置できるように法律がなっておればいいのだが、その配置の仕方は、現行法の中の条文にあるように「休暇の期間の範囲内で」という言葉がある。休暇期間の範囲内でという条件がついている、補助教員の配置期間は。この文章は、休暇期間の範囲内ですから、一日であろうが、二日であろうが範囲内です。かりに十週間お産をする教職員が休んだとする、産前産後で。この十週間のうち三日配置しても現行法に抵触しない、補助教員を一日配置しても現行法に抵触しないわけです。その一つの条文のところだけとればの話ですよ。そうなりますと、どういう問題が起こってくるかというと、これは大臣もすぐわかると思いますが、その産休をした先生の教室は、不正常な教育を行なうしか方法がなくなってくるわけです。十週間のうち三日補助教員を配置した、残りの期間は不正常である。不正常な状態を作るということは現行法が戒めているところですよ。戒めておるのだが、実際はもう一つの方に「休暇の期間の範囲内」という条件で条文を書いているために抜け道がある。もう一つの抜け道は、学校教育の正常な実施が困難となると任命権者が認める期間、こうなっておる。いよいよもってこれはひどい抜け道です。前の方であれば、産休期間の若干は補助教員を置かなければならぬのだが、次のやつでまるっきり抜け道ができてしまう。任命権者が学校教育の正常な実施が困難だと認めなければ、この責任は出てこない。まあ大体はやっていける、私はそう認定したのですがという任命権者の考えであれば、この法律はそれ以上拘束できない。従って、結果的には全く産休で休む先生がいても、補助教員を一人配置しなくても、現行法の建前上違法ではないわけです。そういう条文には二つのさらに穴がある、抜け道がある。その抜け道を善意である、悪意であるということには触れませんが、抜け道を作って苦しまぎれに、補助教員が配置されない。配置されても、その期間中の一部分にすぎない。このことが裏返しになって産休の補助教員が十分に休まれないという結果を招いている。現行法にはこのような弱点と隘路がある。私はどうも文部大臣の現行法はいいのだという考え方には賛成できないわけです。この点はやはり法の抜け道といいますか、悪用している者はいないとしても、法にはそういう抜け道があるのだということを大臣は考えないかどうか、見解をお伺いいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは運用が適切に行なわれまするならば、特に悪いというほどのことじゃないと思います。乏しい常識をもって申し上げるのはどうかと思いますけれども、産前産後の休養を要する状態は、人によって相当違いがあると思います。画一的に休まねばならないとするようなことが。はたして適切であるかどうか。御当人の考え方で、自分の受け持ちの生徒たちを一日もほったらかしにおけないと一方において考え、かつ、からだの状態が休まぬでもよろしいという自信がある方には、何も算術的に一応必要とした六週間なら六週間必ず休みなさいという必要は、衛生上の見地からいっても必要でない方もあり得ると想像され得るのでありまして、では支障ありやなしやを責任ある立場において良心的に判断して調整をとることも、その道があってもそれ自体がけしからぬということにはなかりそうに思うわけでありまして、しかし、理想的に言えばいつでも最高限度の期間は休もうと思えば休める、休んだ結果が不正常な授業にならないで済むような裏づけを別途考えねばならぬという課題があることは否定いたしませんけれども、現行法それ自体が、もってのほかの欠陥があるというふうには私は受け取れないのじゃないかという気持がいたします。
○米田勲君 大臣の今の答弁を聞いて馬脚を現わしたなと思った、私は。あなたは先ほど大臣にならない前はとんでもない認識に立っておったが、その後いろいろ研究をして理解を深めたというふうに私は思っておった。あなたの今の答弁は、結局まだもとと大した大差はないということを現わしているのです。それはどこかというと、人によって休む期間は必ずしも画一でないというものの言い方であります。そのものの言い方の陰には、先ほどあなたが、かつて考えておったという、農家の御婦人がお産をする直前まで働いて、お産をした直後また働く、それでも大したことがなかったではないかと記憶しているという先ほどの発言がありました。その発言がそういう言葉の裏に残っているのですよ。それはもちろん学問的にみても医学的にみても画一ではないでありましょう。しかし、今日の医学の常識からいって、積極的にまた母性保護をしなければならないという行政的、政策的立場に立つなら、本人によって休む期間は必ずしも画一ではないのだからというそういうことを持ち出したり、または子供がかわいいからほったらかしては済まぬと思って休まないこともあり得るなどという、そういう考え方を容認するような大臣の見解では、現行の産休法実施下における学校教育並びに母性保護の問題が今の隘路を打開する方法はない。あなたがもうそういう認識なんだから、あなたが認めるように日本の国民の中にはまだまだ理解が薄いといっている、理解の程度が高まっていないといっている、ところが、あなた自身がその認識が非常に欠けておると私は思う。どうして現行法の隘路を私が指摘しているのに、それを知りながら、すなおにあなたはそれを認めようとしないのか、その認めようとしないというのは母性保護に対するあなたの強い信念が欠けておるか、もくしは政治的な配慮かどっちかですよ。私は第一の現行法の隘路は、権限のある者の承認を受けなければ休むことができないようなしかけになっておるという点、そして産休に伴う補助教員の配置が、休んだ先生の休暇期間の範囲内でという抜け道が一つあることと、しかもこの補助教員を置くときには、任命権者が学校教育の正常な実施が困難であるというふうに認定しなければ補助教員は置かなくてもよろしいようになっておる、大まかに言うとこの三点が現行法の抜け穴であります。逆にいうと不備であります。産休法の精神が現実に生きない原因であります。それにもかかわらず、あえて現行法には難点がない、こういうことを言ってみたり、またわれわれの考えが非常に高い、実現不可能な理想でも申しておるようにあなたは考えているようだが、言葉の端々から。しかし、私はこういう程度の現行法の隘路を解決するぐらいは、今日、日本の国の経済力からいって、後進国開発の援助計画まで打ち出そうとしておる今日において、何も理想的なものであって現実放れだといって放置できる性質のものではないと私は思っております。この三点について、現行法の隘路でないという理由をあなたはあくまでそう言うなら、隘路ではないという理由を明確にしてもらいたいと思う。そうでないと私の認識とまるっきり大きく食い違うし、この問題が文部省で前進した形で解決するのは非常に頼みがたい、頼みにしがたい感じがするので、あらためてお聞きをいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 問題の認識はおかげさんで少しは人並みになったつもりでおります。先刻申し上げますように、議員立法でありますから、議員立法の内容それ自体にけちをつけるということは失礼だとも思いますし、議員立法自体に考え漏れがあったのじゃないかと、裏を返せば言う意味にとれそうですから、あえて申し上げなかったのであります。御指摘の点は……。
○米田勲君 大臣、答弁中ですが、それは間違っていませんか、ちょっと認識が。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点は改善の御意見としてはよくわかります。そこで政治的に……。
○米田勲君 発言中ですが、私の聞いておることと違っておる……。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政治的な配慮とおっしゃるので、それは政治的配慮も少しは念頭に置きながらお答えいたしております。というのは、当然に御意見のようなことにするとして、交付税の裏打ち等がはたしてどのくらい要るのか、そのことがいきなり来年度からでも実現できるほどのものであるのかどうか、そこら辺が私はよくわかりませんので、そういうことも念頭におきながら、百。パーセント賛成申し上げますと言いかねて申し上げておるのであります。
○米田勲君 文部大臣、ちょっと僕と論じておる時点が違うというか、場所が違うのですね。私は議員立法になって提案されている法案についてあなたと論議しているのではない。私は昭和三十年に施行になった現行法について大臣はどういう現状認識をしておるのかということをお尋ねしたいということを申し上げたのですよ。だから問題点は、今質疑応答を繰り返されているのは現行法なんですよ。議員立法の話ではないのです。だから大臣が現行法について大たん率直に御意見を言われてけっこうなんですよ。その点間違っていませんか。何か議員立法について私が質問をしているような、そういう立場で答弁をされているように今聞こえたんですが、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 現行法が政府提案でなしに議員提案で制定された法律だものですから、その議員提案をなさった方がたくさんいらっしゃいますから、皆さんのお考えが間違っていましたよというふうにお受け取りになられては大へんだとも思いますから申し上げておるのであります。
○米田勲君 しかし大臣、それはあまりにも巧妙な言い方だと思うのです。僕の認識は、だれが提案をしようが法律になってしまったらこれはお互い共同責任ですよ。発議者がだれであったなどということを、今ごろ、現行法を批判するときにその人に気がねをしなければならぬ性質のものですか。そんな政治的配慮は必要ありませんよ。現行法で隘路があることは大たん率直にお互いに批判し合ってけっこうだとふだん言っているでしょう、あなただって。だから私は今の大臣の答弁はちょっとおかしいのじゃないかと思います。 そこで私はもう一度お伺いしますが、そういう立場で現行法はきめられておる。その現行法はないよりはよかった、ないよりは。今も大臣が言うように、ないよりはいい。しかし、この立法の精神が具体的には生きていない個所がたくさんあるという実情を大臣が知っておるんだから、その実情は私はここで繰り返して言う必要がない。大臣も局長から聞いておる。大臣も見て知っておる。その解決されないような現状はどこからきておるのかということを私は今あなたに認識してもらいたかった。その原因は、現行法の個所にこれこれ指摘できるのですよと言っている。ところがあなたはどうもそれをすなおには考えられないようです。どうも私と意見が一致しないのです。その点これは隘路だと考えないというのであれば、そのない理由を聞きたいのです、私は。そうすれば大体食い違いがどこから起こってきているかわかる。私はこの三点が一番産休法を現実に生かすことができない抜け穴と見ているのですよ。どうですか、その点。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 考え方としては食い違いはないと思ってお答えしております。国会で議員立法だからといって遠慮する必要ないじゃないかというお許しが出れば気が楽になりますが、いやしくも一国の最高機関において衆知を集めて国会の意思として定まった、イニシアチブは立法府においてとられた法案そのものに、本来欠陥があったというふうに指摘する勇気はございません。ですから想像しまするに、欠陥なりと米田さんが指摘されることも当時十分念頭にあって立法されたに違いない。ということは、とりもなおさず、米田さんをして言わしめれば、欠陥と明確に指摘されますが、立法の当時は運用によって適切にやっていけるものなりという認識であったに違いない。その運用すらもが十分に実情に即して良心的に行なわれないうらみが多分あるであろうから、現実のそごがかなり出ておるんじゃなかろうかということを申し上げたのであります。さらにまた米田さんが指摘されることそのことは、現行法に比べればベターな御意見のように思います、こう申し上げておるのでありまして、そういう意味で今後に対しては努力をしていくべきものと考えております。こういうお答えを申し上げましたので、ことさら新しく米里さんの御意見にたてついている気持は毛頭ございません。
○岩間正男君 関連。さっきの文部大臣の発言に、議員立法云々ということがありましたが、これはあなた間違って御答弁なさったんなら私は取り消していただきたいと思います。今後、議員立法に対して非常にこの性格が問題になってくるのですよ。国務大臣として、とにかく議員立法であろうが、政府提案であろうが、これがもうちゃんと両院を通過して法律になれば当然これは政府を拘束する、行政府を拘束するだろうし、この履行の義務を行政府は負わなくちゃならない、そういうものなんですね。そういうものでないような答弁で、それが何か議員立法だから、これに対して遠慮しなきゃならぬというプライベートの発言があったわけですが、これはお茶飲み話だったら私は黙っておるんでありますけれども、やはり国会と行政府の関係において事を明確にしておかなくちゃ、ことに国務大臣の発言としては、このまま容認しておいては今後まずいのです。さらに当委員会の運営についても、議員立法というものが何か特別に扱われて、政府提案より軽々しく扱われるというような事態が起これば、これは私は非常にゆゆしい問題だと思うのです。従って、先ほどの御答弁は、これは私はこのままでは、当委員会で黙っていちゃまずいんだ、そう思いますので、この際あらためて明確にその関係について大臣の見解を明らかにしておいていただきたい、こう思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府提案であろうと議員提案であろうと、国会の議決を経たものは、ひとしく法律であることは、これは当然であります。議員立法でありましょうとも、現行法は、今の産休法は政府を拘束する、国民全体を拘束する、これは当然のことであります。そのことに一点の私は疑いも持ちません。拘束する法律であるがゆえに現行法を尊重しつつ御答弁申し上げれば、運用の面において現実の不適切なところがあるという御指摘に対しましては、運用の面でこれを補い得る点が相当あるように思うということを申し上げたのであります。しかし、三点について指摘されましたところは、比較してみれば、米田さんのお説の方がベターなように私も理解できるように思うと、こう申し上げたのであります。また、議員立法であるがゆえに、国会の議員の側の立法府の意向を尊重して申し上げたことがお気に召さぬようですけれども、これは私は当然のことだと思います。国会は私は、直接国民を代表される方々が国民の意を受けて、第一義的に国会みずからの発意として御決定になる提案でございますから、政府提案の法律とはニュアンスにおいていささか異なることは当然であって、プライベートな発言ではないと私は心得てお答え申し上げておるのであります。
○矢嶋三義君 関連して。ただいまの大臣の発言ですね、ある角度からは了承できます、よろしい発言だと思います。しかし、それには条件がある。それは、次の私の質問に対していかような答弁をするかによって決定されることだと思います。で、伺いたいことは、米田委員並びに岩間委員が指摘している問題について、大臣、明確に答えていただきたい点は、議員立法の形で法律が成立をした、行政府がこれを運用してみて欠陥がある、また、これを充実するためにかくかくの一部改正法律案を行政府として企図する必要がある、こういうように認定された場合に、議員立法なるがゆえに、その欠陥を是正していく、より改善するための一部改正法律案を提案することについて積極的であるか、それとも消極的な態度をとるか。内閣提出にかかる法律案と比べた場合に、欠陥があった、より改善するために一部改正法律案を提出する必要があると認めながらも、この議員立法なるがゆえにといってその改正を企図することに消極的なのか、それとも行政府としては、その時点に立って積極的に内閣提出の形で一部改正法律案を提出されるとするのか、その点明確にして一つお答えおき願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまの矢嶋さんの具体的にポイントを押えての御質問は、これは議員提案であろうと政府提案であろうと同じことだと思います。先ほど来のお答えでその点は御理解いただいておるとは思いますが、蛇足ながらもう一ぺん申し上げれば、現行法の解釈を中心に私は申し上げました。米田さんの指摘される改善の御意見については、なるほど承わればベターであるように存じますから、そのことについては今後努力していかにやなりますまいと思います。こう申し上げたことで、矢嶋さんの御質問には実質上お答えしておるように思います。
○千葉千代世君 関連して。先ほど荒木大臣は、議員立法だから、何かそこにいわくがあったら運用の面で是正すればこれはいいんじゃないか、こういうふうに解釈する、こうおっしゃったわけですね。ですから、あとでお答えになった政府提案の法律であろうとも、議員提案の法律であろうとも、国会の責任でできた以上は、これは同じものだ、こういうことをおっしゃった。そうすると、前におっしゃったことは取り消すわけでございますね。いかがでしょう。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは取り消すとかいう問題では私はなかろうと思います。議員立法でお出しになりましたときの提案者、あるいは立法者の意思というものは、政府側には直接的には、第一義的にはわかりませんから、現行法の提案者の御意思をそんたくするに、現行法でよろしいという一応お考えになってお出しになったに違いない、そういう前提に立って解釈してみまするのに、さっき御指摘になりました承認を云々とか、範囲内でとかということも、もし、それがこの立法の根本趣旨を十分に理解し、良心的に運用するのであるならば、実害はあるまいという認識に立って立法者意思はあったであろう、だから、運用の問題が適切でないがゆえに、現実に適当でないことが起こっているとするならば、運用を完全にすることによって相当くずれてくるのじゃなかろうかということで申し上げたのであります。しかし、米田さんの御意向は、そういうことでは抜け道があって、ざる法みたいになるおそれがある、だからぴしゃっとすることがいいのではないかという趣旨の御意見であります。比較してみれば、ベターであるように思われます。ですから、そういう認識を新たにいたしまして、今後に向かって努力していくべきものと存じますと、こうお答え申し上げたのでありまして、取り消すべき筋合いのものではないと私は存じます。
○千葉千代世君 くどいようですけれども、これはやはり法律となった以上は、一々これを解釈していく場合に、御自分のそんたくによって左右されてはかなわないと思うのです。具体的に申し上げれば、たとえば、「その休暇の期間の範囲内において、」と、この論議のときには内藤局長もいらっしゃったし、それから野本委員が中心になってなすって下さったのですが、この意見の分かれ道というのは、今、米田先生がおっしゃったように運営されるおそれがあるというので、この点を十二分に検討したわけです。その検討の内容というのは、「休暇の期間の範囲内」というのは、全国で十六週から十二週と、こういうふうに幅のあるとり方をしておる。最初、団体協約で十六週間というものを結んだけれども、団体協約が無効になった、その精神は生かしていく、十六週が本来であったわけです。しかしながら、県の条例とか、県の財政の逼迫状態によって、現在では十六週は、東京、新潟、兵庫で、大阪が百日間、山形が十四週、あとは十二週という、こういう休暇許可期間になっている。そういうように幅が広いから、ここで十六週うたうということはできない。けれども、最低は十二週は必要だということが話し合いはされたわけです。十二週から十六週という期間があるから、ここに期間を明示するということは、かえってたくさんとっている、十六週か十四週はとっている県を拘束するようになるから、そこではこの期間をうたわないで、その範囲内ということで、その期間というのは最低十二週、最高十六週ということが再三確認されたわけです。この点について、当時タッチしていらっしゃった局長さんはどうお考えになるのでしょうか、大臣のそんたくとだいぶ違いそうですから、そこらへん明らかにして下さい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 御承知の通り、休暇の期間は労働基準法によって産後六週間はこれは強制規定になっております。産前の場合には六週間は本人の申し出に基づいてきめる、そこで、十二週間のとり方が人によって、産後の場合はこれは確定しておりますけれども、産前には幅があるし、それからお話のように十二週間以上とっておるところもあるわけなんです。そこで「休暇の期間の範囲内」というのは、十六週間とっているところは十六週間、十二週間のところは十二週間、あるいは本人のからだの都合で八週間というところも私はあろうと思う。その期間、学校教育に支障を来たしては困るから、その間は産休代用を任命しろ、こういうふうに私は理解しておるのであります。
○千葉千代世君 続いてもう一つ。「学校教育の正常な実施が困難となると認める期間」と、こういうことになっておりますね。その任命権者が認める期間ということに問題があると米田委員が強く指摘したわけです。これも当時の討論のときいろいろな問題がありましたので、結局、任命権者が大臣のような任命権者がいるとしますね、荒木大臣のような。そうすると大へんなことになるわけです、そうでしょう。農村の人たちが一日しか休まないで、すぐお産してきたというような、その母体が非常に過激な労働、休養ができなかったということ、お産に対する認識というか、お互い日本人は医学に不足しておった、だから四十くらいで梅ぼしをここにはった人が多いということ、それから婦人科の疾患が多いとか、それから今生まれた子供はすぐこうやって手を動かしますけれども、その時分の子供は三カ月くらいこうしておった、それが普通だったのです。そういうものが改善されて、そうして産前の疾病をなくし、それから産後も十分に休養をとってそうして体力も回復する、こういうことが専門家の方でもずいぶん論議されたのです。そうして任命権者が、もし、失礼ですが、荒木大臣が福岡県の教育長さんだった場合には、これは大へんなことになってしまうわけですね。私は今でもこれは非常に寒けがします。そういう任命権者があると困るので、「正常な実施が困難となる」場合と、この規定は何だと言ったらば、先生が休んだ場合に、これを正常な授業ができないという認定をしたから、合併授業は困る、これは不正常な場合だとか、時間々々に先生が全部交代で来て補欠をすることも不正常だ、校長さんがやってきて、片手間にやる場合でもこれは不正常だ、そういう解釈をしたから、内藤さんは定員をとるのにその時分はものすごく張り切ったときで、先生方の定員をとっていく場合に、校長先生が授業をするといったら、校長先生は授業じゃなくて、校長先生は必ず特別に一人要る、教員はこれこれだということを学級数によってやったわけです。そんなことで、正常な授業のできないということの認定は、先生が休んだ場合だという規定は、意思の統一をぴちっとしたわけです。これは動かすことができないはずです。ですけれども、今、荒木さんのような教育長さんがいると困ると心配したのですよ。四、五年前に、それでこの解釈をずいぶんしたわけです。しかも運営の面で十分各県が果たされていないから、この法律が十分に実施されていないではないかということを米田委員が指摘したわけなんです。荒木文部大臣との討論はまた別の機会にしたいと思いますが、ここだけはきちっと踏まえて、立法の趣旨はこうだが、これがこうできなかった、その隘路は何だかということで直していく、こういうような審議の仕方でございませんと、おもんばかるに、当時の立法者の意見は、議員提案だからこう推察しますと、そういう勝手なものさしを振り回されてこの法律の改正を審議されるということは非常に冒涜だと思います。そういう意味で、この意思決定をしたときと、それからそれが守られなかったら守られなかった、全国の中で守られているところは何県しかないとさらけ出していただいて討論することが大事じゃないか。ちょっとそこで荒木大臣と内藤局長と意思統一をして下さいませんか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 実は私どもでも調査いたしましたところ、産後の六週間以上につきましては、全国で九四%が六週間なんです。これがまだ残っておりますのは大へん私も遺憾に思っております。それから産前の方は、本人の申し出によって休暇を承認しておりますので、七〇%が四週間以上となっております。それ以外のものがまだございますけれども、この点も私遺憾に思っておりますが、ただ、ここで、「学校教育の正常な実施が困難となると認める」という点が非常に問題になりまして、先生の御指摘のような趣旨じゃなくて、実は各県に産休代用というものをあらかじめ用意している県が相当ございます。ですから、産休代用をぐるぐる回すことも可能なわけだし、また大規模な学校については、いろいろお仕事もあるけれども、級外教員の相当数あるところは、これは今おっしゃったように、合併授業とか、あるいは何かちょこちょこやるような授業じゃなくて、級外教員がたくさんいるようなところは、規模によってこれは違うのでございますけれども、相当大規模な学校になりますと、級外教員も相当数おりますので、そういうところはそれでよろしい、そうではない。今おっしゃったような合併授業をしたり、何か片手間でやるような場合は、これは完全に補充しろという趣旨でございますので、私どももその点は十分趣旨の徹底をいたしておるのですけれども、まだ徹底が不十分な点がございますれば、これは大へんどうも遺憾に思いますので、今後一そうその点は努力いたしたいと思いますが、多少ここの「学校教育の正常な実施が困難となると認める期間」というのが、どうも誤解の原因になっているのじゃなかろうかと思うのでございます。
○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○千葉千代世君 今、内藤局長がおっしゃったのですけれども、私は国会審議のときにもずっと傍聴に来て速記録も持っております。何べんも言うように、ここは非常に不明確で困るから、これは一体どうしてもらったがいいか、もらわないがいいか、国会が七月三十日のぎりぎりまでもんだのです。どうもこれは不満だ、そして意思統一をしようというので、自民党の皆さんと御相談し合って、そして文部省にしかと言い置くことは、この運用を誤らないようにということの解釈であったわけです。そこをやっぱりはっきりしておきたいことと、それから荒木文部大臣は、大へん失礼ですけれども、やっぱり法案の立法過程その他について、局長がそばで補佐してよく説明してあげませんと、やっぱりこういう発言をたびたびされて非常に恥をかくし、日本の婦人の母体保護の面に影響するわけなのです。そういう意味で、大へん失礼ですけれども、それはただ出し放しにしないで、勝手に解釈をしないでよく統制しておいて下さい。お願いいたします。
○米田勲君 先ほどから関連質問でいろいろなことが言われましたが、私の考えは、立法者の意思がいかようにあろうとも、一たび法律になったら、法律の条文に現われた言葉そのものが法律なのですよ。そのときにはこういう解釈であったとか、こういう見解であったとかいうのは、それは好意的に、無理な言葉で言えば好意的に考えて言えるものであって、法を守るという立場であれば法の条文に現われたものが問題なのだ。当時私はこのことを踏み切って立法された人たちの努力には敬意を表します。しかし、その当時の客観的な条件が、こういう産休法を生み出すときにはいろいろな条件があったでしょう、隘路は。従って、立法者自身もこれでは不満足でしょうけれども、現在の段階を一歩大きく飛躍させるためには、やはりやむを得ないのではないかという考え方があったのではないか、だから私は今日に至って、たとえ議員立法の形で制定された法であろうとも、欠陥を指摘してこれを改善するということは何ら差しつかえのないことであって、立法者の意思を踏みにじるものではないという立場です。そして、千葉先生から盛んに審議過程のことが問題になっておりますが、どんなにそのときに立法者が討論をし合っても、法律の条文になっていない限り完全なものじゃないですよ。何といっても今生きて働いているのは法律の条文なのです。だから、その法律の条文に抵触するかしないかということが問題なのです。産休の補助教員を置かないところだってこの現行法に抵触しておらないわけだ、理由をつけて。そうでしょう。違法行為を犯しているということになれば大へんなのです。正常な教育の運営が行なわれているという私は認識だ、百パーセントではないが、まあやれるのだ、私はそういう認識に立ったのだと言えば任命権者が責任を負わなくてもいい、この法律にたとえその議員の方がどんなに申し合わせをそのときにしようとも違法にならない。それから本人が、私はお医者さんとも相談をしたが、あなたの体質であればもう今から休んだ方がよろしい、こういうふうに医者が言っても、権限のあるものが承認をしないという前には休めないのです。それを押して休むことは無断欠勤ですからね。職務を放棄したことになる、そうでしょう。だから私はこの点と、その補助教員が休暇期間の範囲内でというそのきめ、それは事情があったでしょう。十六週から十二週まで、そういう事情はともかくとして、現行法は休暇期間の範囲内ということになっておることは間違いないのだから、しかももう一つの一番困る条件は、任命権者自身が正常な教育の運営ができているかできていないか、できるかできぬかという認定をする立場、これは文部大臣も考えてもらわなきゃならぬが、任命権者がまた一方には補助教員を配置すべく予算を作り上げる責任がある、一方に。だから問題が起こってくるわけですよ。今日、地方行政委員会でも本委員会でも問題になっておるように、都道府県市町村の財政は政府の努力にもかかわらずまだまだ問題が多い。地方財政の現状は苦しい。苦しいから、いいことはわかり切っておっても予算を盛り込むことが困難だ。そこで補助教員の配置を完全にすることができない立場に追い込まれるから、現行法のどこかのところに言いがかりをつけて、結局は本法の精神が完全に生きていく方向に前進できない隘路になっておると、こういう見方なんです、私は。だから産休法がせっかく生まれたのだから、一方に母性保護、一方には教育を正常に保つ、そしてそこに産休が行なわれるという、こういう条件を生み出すためには、その法律の隘路に着目をして、少なくともその条文を改正する考え方に立って、それを実現するための予算の問題に手をつけるのでなければ、私は幾ら啓蒙をしたとか、いや運用の仕方だとかということを文部大臣が叫んでおっても、ない袖は振れないという現状ですから、背に腹は変えられないというようなせっぱ詰まった地方財政の現状で、この問題は解決つかない。そのことはやはり人間の生命に関する重大な問題に支障がいっておる、しわ寄せが。だからこのことは、財政の問題も大問題でありましょう。現行法を改正するといっても、なかなかこれはいろいろな困難があるでしょうけれども、せっかくこういうりっぱな産休法が生まれておるんだから、この法律に画龍点睛して、真に本法の精神が生きるように文部省全体の体制をまず固めてもらうことが、現行法を改正して踏み切る第一歩なんです。われわれが幾らがんばっても、文部大臣がその気になり、文部省がまずその体制をしかない限り、この問題は解決がつかない。それで私はわざわざ時間をいただいて、文部大臣にこのことに対する理解を深めてもらうと同時に、そういうかまえ方をまずあなたのところで作ってもらいたい。あなたのところが積極的にならない限り、この問題は相当期間なおざりになりますよ、このまま。とても大臣の言うような運用の妙を発揮すればなんというお題目では直らないですよ。そういう財政実情ということは大臣も私は理解しておると思うのですよ。それまで理解したら現行法のこの三点の隘路、これを解決するために、今後、大臣が全力をあげて努力をするという気持にならなければならないはずだと思う。あまり私一人しゃべっておってもしようがないから、大臣一つ見解を聞きます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来前後三回にわたって申し上げました通り、今おっしゃるような気持になったのであります。努力したいと思います。
○米田勲君 それからこの現行法では、産休というのは小中高校、盲聾唖学校、養護学校に勤務する教職員となっておるわけですね。ところが、私は冒頭に申し上げましたように、母体を保護するという積極的な立場を政策にとる限り、これはもっとその範囲を広めて、幼稚園の教職員とか・あるいは小中高校に勤務しておる実習助手だとかいう方たちにも、この法律の条件が適用されるように積極的になすべきだと私は思っておるのです。実習助手は教職員の免許を持っておらないので、そういうものまで産休法を適用するのはどうかと思うという考えの人もないことはない。私は耳にしております。しかし、私は現行法の産休法が母体を保護しようという非常に高次な立場に立っておるんです。その高次な立場をもしほんとうに生かすとすれば、今限られている範囲内の人たちに適用する法律ではなく、もっと私が申しますように、幼稚園の教職員、実習助手等にもこの産休で休暇をとる権利を法定化する。そしてまた、この期間中、補助教員が配置できるように、休暇期間全部にわたって補助教員が配置されるように法律を改め、必要予算を盛り込んで地方財政の現状を打開していくという、そういう車の運び方が大事だと思っておるわけです。その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の今の認識だけから申し上げますと、学校の先生だから、特に授業をしていただく方々だから、特別の保護立法がなければならぬという意味において産休法が意味があると思います。その他学校の先生でない人々は、一般国民という立場において、労働基準法の精神に照らして保護すれば一応足りるのじゃなかろうか、こういうふうに思いますが、これも私の今持っておる常識の範囲内のことを申し上げておりますから、説が変わることがあり得ると思いますけれども、検討さしていただきたいと思います。
○米田勲君 文部大臣は、今教職員の免許状を持って、教職員であれば本法の適用を受けると言っておりますが、幼稚園の先生は免許状を持ってやっているのですよ。との人は除外されているのじゃないですか、これをどうして除外したのですか。あなたは今の質問の前半分を肯定するなら、これも含めるということは、文句ないですよということになりませんか。それからあとの方の実習助手、具体的には、これはしかし文部大臣、私は何度も時間をかけて言いたくないが、文部大臣の立場にあるものが、そういうものの考え方をすべきでないと思うのですよ。ほかの大臣であれば別ですよ。文部大臣は、学校における教育がよりよい条件になるように努力する立場の人でしょう。労働大臣や厚生大臣と違う。実習助手というものは置いておいても置かぬでもいいものだ。そんなものは学校教育に大して貢献しているものでないという、もし認識に立ってものを言うなら話は別ですが、私はそういう認識ではないと思う。実習助手といえども、免許状を持って実習助手になっていないとしても、学校教育全体の運営の中の大部分については、やはり大切な仕事をしておる。そのためにこれを配置しているのです。そういう立場から考えれば、その人たちには産休法は適用しないのだということは、少なくも文部大臣は、これは十分ではない。やはりそこまで拡大して適用するようにすべきであるというものの考え方くらいは、なったらいいのじゃないですか。あなた、労働大臣と間違っているのじゃないですか、その点はいかがです。この二つ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっき申し上げましたように、もっと総合的に検討さしていただきます。幼稚園につきましては、ちょっと私も認識不足でございましたが、学校教育法にいう学校という意味においては助手等と少し趣を異にすると思います。いずれにしましても、もう少し検討さしていただきます。
○矢嶋三義君 大臣、議員立法の母法を審議したときに、私も本院へ議席を持っておったものですが、そのときの大きな理由は、あなた、今、一般国民と同じ云々という言葉を使われましたけれども、お産の前後——特に前に、心静かに心身の静養をはかる必要があることはどの女性にも同様である。しかし、そういう状況下に、教育活動に低下をもたらされては子供が犠牲になるから、だから、かわるべき先生を必要とするであろう、こういう教育的な立場からと、もう一つは、表面に出なかったけれども、大きな理由は、子供の前に、あのお産直前の大きなおなかですね一これは出産ということは厳粛な事柄なんですけれども、あまりその大きなおなかを子供の前にちらつかせることはしない方がいいのじゃないか。当事者も、そういうところにあまり出たくない心境になるのではないか。それで、やはりお休みをとっていただいて、それで、そのかわるべき先生を採用することは必要だ。こういう立場から、教育職員に対してあの立法がなされたわけです。そういう立場からいいますと、幼稚園の先生であろうが、助手であろうが、小中学校や高等学校に勤めている事務職員の人でも全く同じなわけですね。そういう立場から、米田委員も質問しているわけで、この法改正の趣旨もそこにあるわけです。そういう議員立法をした当時の経過があるわけです。この点については、ごもっともだとお思いになるでしょう。いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ごもっともだと思います。幼稚園につきましては、市町村に財政負担がなりますがゆえに、実行上の困難があるということで除外されているかと思いますが、しかし、これも本質的には同じことでございまして、市町村負担であるがゆえに財政措置が困難であるならば、困難を克服する手段はないかということを、あわせて考えつつ検討さしていただきます。
○米田勲君 もう一つ、あわせて見解をお聞きしたいと思うのですが、現行法では、国公立の学校に勤務する、女子職員に限られておりますね、この法律の適用は。そこで何度も言いますけれども、一貫して母体を保護するという立場を教育行政上強く考えるなら、私は当然、私立学校に勤務する教職員に対しても、この法が適用されるように配慮されるべきだ。それは国公立の場合と同様にするかしないかは問題でありましょう。しかし、少なくともこの法律、この種の法律が、私立の学校の女子職員にも適用されるようになるように考える立場こそ、母体を保護しようという本法の精神に完全にマッチするものだと考えているわけです。しかし、これはただ単に、私立の学校の女子職員に本法を適用するように改正をしただけでほうり投げられたのでは、これは私立学校関係者はやはり財政の面で非常に問題がある。だから同時に、これは財政的にも国がある程度の肩入れをして、てこ入れをして、そうして本法の母体保護の精神を私立学校女子職員にも及ぶように、文部省としては鋭意検討して実現をはかるべきではないかと思いますが、文部大臣の決意はどうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御趣旨は賛成であります。
○米田勲君 文部大臣は、話をするとだいぶわかってくるようですが、私のおそれるのは、あなたは、たまたま論議をしていると非常に無理解な個所があるのですよ。わかっていてくれるなと思うと、急にまたわからなくなる。苦しくなってくると検討さしてもらうと言うが、私は何度もあなたに悪口のようなことを言うが、文部大臣なんですからね、あの池田科学技術庁長官のように、がむしゃらに、一つ文部大臣の立場を生かすようにがんばってもらいたい。日教組の方を向いたときばかり、がむしゃらにならないで、こういう問題にはほんとうに真剣になって、あなた自身が理解をし、その実現のためにおれはやるぞという気持にならない限り、こんなのは何年たったって解決つかないですよ。その解決をつける個所というのは、先ほどから指摘している通り三点です。この三点を改正するためには、これは財政的な裏づけが必要です。一体、文部大臣の、この法律に対する重要性、改正点に対する重要性をいま一度聞かしてもらって、そのことの検討は今後どれほど要するものであろうか、そうして、われわれがどういうことをあなたに期待していっていいのか、そういう点について、もっと親切に自信のほどを聞かしてもらいたい。いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 検討しっぱなしで、いつかわからぬというつもりで申し上げたわけじゃございませんが、できることなら、来年度から一つ、一ぺんにはできないまでも、ちょっとでもやっておきたいという気持はございます。池田長官のいいところは見習わしてもらいたいと思います。(笑声)
○米田勲君 久しぶりに愉快な答弁をしてもらった。これはぜひ、議員提案になっておる法律案もありますが、私は先ほどから申し上げた点をよくもう一度検討してもらって、そしてもう少し文部省の側から、積極的に現行法の改正点を打ち出して、そしてよく努力をしてくれたなという、われわれが感心できるような体制に、少なくとも大臣は骨を折ってもらいたい。非常に長い時間にわたりましたが、問題は、非常に多くの人々が期待している問題であります、この問題は。ぜひ一つ文部大臣の積極的な今後の活動を期待いたしまして、まだいろいろ伺いたい点もございますけれども、委員長・理事打合会でだいぶ時間を制限したようなことをきめられておることを知っておりますので、あえてこれ以上は時間を費やすのもどうかと思いますが、これで質問を打ち切ります。どうか一つ積極的なる、議員提案に対する態度について、現行法に対する検討についても御尽力をいただきたいと思いますし、先ほどの答弁では、それを期待することができるとわれわれは考えておるわけです。
○井川伊平君 提案者に一点だけですが、はっきりしていただきたいと思いますが、それは女子教職員の分べん前の六週間内における休暇の請求があった場合、その請求の法律上の効果いかん、こういう問題であります。本日の米田さんの御質問を承っておりましても、先般のこの委員会における提案者の御答弁を承っておりましても、今私が申したところの休暇の請求に対しては当局の許可が要る、あるいは承認が要るということがしばしば繰り返されておるが、はたしてそういうものが要るかどうかという点におきまして、私は大きな疑問を持つのであります。請求という言葉自体からいえば、普通は請求ということは、何ものかを求めるのであって、求めることが承諾であるか、あるいは許可であるか、あるいはその他のいろいろの事実上の影響であるとか、いろいろのものがありましょうが、そういう意味から申しますると、何か許可が、承諾がなければ休暇がとれないようなふうな感じを持ちます。しかし、これは用語が不正確であるにすぎないのでありまして、私の考えをもってしますれば、分べん前の六週間内に休暇の請求があれば、その請求自体が直ちに休暇してよろしいところの効果を生じておるのであって、許可によって生ずるのでもなければ、承諾を待って休暇ができる権限ができるものではないと私は考える。しかるに本日の米田さんの御質問を聞きましても、先般の提案者の話を聞きましても、いかにも承諾とか、許可がなければならぬようなふうにお答えになっておるが、これは考え違いではあるまいか。労働基本法の六十五条によりますると、この請求がありました場合には何らの条件を待たずしてその請求者に、他の職業につけてはいかぬ、休暇を与えなければならぬということが法律にきめられております。従って、分べん前六週間内に休暇をお願いいたしますということは、許可という言葉は使ってあるけれども、届出の意味であって、それが出た以上は、いや許可はいたしません、同意をいたしませんという権限は当局の方にはない。ないとすれば、当然に休暇の申請で休暇をする権限が生じておる。一方の方で、許可いたしません、こうして下さいとか、あるいは認可しませんからこうして下さいということは、基準法六十五条の違反でありますから、違法行為であって、国民はそんなものに服従する義務はない。しかるに先般来の提案者のお話や、本日の質問を通じますと、許可がなければ、あるいは認可がなければ休暇に入ることが違法であるという御趣旨に聞こえるが、この点につきましての御意見を承っておきます。
○豊瀬禎一君 御指摘の通り、労基法六十五条の精神は、本人が申請すれば当然の権利行為として休暇を与えるものと私どもも解釈いたしております。この点について、質問者と私どもの見解は異なるところはありません。ただし、現在の学校における産休の実施の具体的な方法につきましては、産休法の第四条にも、「国立又は公立の学校に勤務する女子教育職員が権限のある者の承認を受けて産前産後の休暇をとる場合においては、」云々という定めがございます。それと同時に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十二条には、県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件を規定いたしておりますが、この規定は、これらの諸条件については都道府県の条例で定めるようになる。実際の服務の監督権として四十三条に、「市町村委員会は、県費負担教職員の服務を監督する。」と定めております。従って、現在の産前産後の休暇をとる女子教育職員は、この両法の適用を受けまして、校長に請求の届けを出し、これを教育委員会が許可するという方式になっておりますが、私どもが許可されないと力説しております実態は、たとえばAという女子教員がお産の時期を目途として、たとえば六週間前に休暇をとりたいという意思表示を当該校長にいたしましても、たとえば先回申し上げました山梨県のごとく、それに必要な補助教員配置の予算が設けられていない場合には、教員の配当がないわけです。従って当該校長は、県条例、その他教育委員会等の定めがあって、あなたは前は四週間程度しかあげませんよ、補助教員が参りませんので、それまでがまんをしてもらいたい、こういう措置をとっておるわけです。その措置をとっておるのは私は根拠としては、現行の産休法の第四条の、権限ある者の承認を受けて休暇をとるという法律の適用と同時に、先ほど申し上げました地方教育行政の教育委員会の権限並びに具体的な予算上の措置、これらを勘案して、実際問題として労働基準法六十五条の、本人が請求した場合には自動的に休暇が与えられるという精神が踏みにじられておる。このように考えておるわけです。
○井川伊平君 分べん前の六週間につきましては、強行法である労働基準法が定められておるから、それにはこの強行法を無視した行政措置はとれないはずで、また六週間でなく、それよりももっと長いきめのありますものにつきましては、労働基準法六十五条はそれに関与するものではない。これは言うまでもないことだと存じます。それでありますから、労働基準法で定められておる通りに六週間という間内に入りました以上は、その請求がありますれば、教育委員会におきましては職につけてはならないという法律上の効果が発生しているんだから、従って休暇を請求いたしまして直ちにその人が休暇に入りましても違法にはならない、相手方に労働させる権限がないのでありますから違法にはならない。ただし、今の事例のごとく、山梨でありましたか、四週間くらいまではがまんをしてくれという話があるとすれば、それはそういうことがあるかもしれませんけれども、それに応ずる義務はないのであって、私はどうも労働基準法のきめた通りにしていただくのでありまして、それ以外はまっぴらでございますということを言うことができる。しかるに校長や委員会の方が言うので、まだ四週間に達しませんから、それじゃあともう何週間か働きましょうということは、自分の権利を自分から放棄することであって、母体が保護されていないのは、法律によって保護されていないのではない、法律は保護しておるのである。本人がこれを放棄しているのである。その境目は私はつかないように聞こえる。だから、堂々と私はそんなことはできませんという、それだけでいいことでございませんか、いかがですか。
○豊瀬禎一君 立案の過程に私どもが最も論議をしましたのはその点でございます。原則論的に私はただいま御指摘の趣旨については理解いたすのです。おっしゃる通り、現行の実態は労働基準法六十五条がじゅうりんされておるわけです。従って、たとえば四週間の休暇しか本人が請求しても与えない場合には、基準法違反として校長を告発することも可能であります。しかし、実態はその校長の責任というよりも、当該地方自治団体、特に県が、たとえば四週間の予算しか組んでいない、従って当該教員が六十五条の精神にのっとって、御指摘のような行動をとった際には、たとえば六週間前にとった場合には、四週間の予算しか組んでいない場合に、二週間空白になるという状態を生じるわけです。これは私どもの権利意識の万全という立場からすれば、それは当該女子教員の責任ではなくて、校長ないしは地方自治体の責任であって、本人はそのことに全く拘束されないで、御指摘のように必要な六週間はとるべきであると考えます。しかし、それがただいま言ったように空白になるということ、容易に許可がおろされないという実態を今日まで続けて参ったわけでございます。そこで校長対教職員、あるいは予算という面におきまして、地方自治体との争い等の、ここで六週間、あるいは休暇を請求しても直ちに与えられない件数について、訴訟等の行為を起こすとすれば全国何千という件数が生じてくる。こういった事態に対して権利意識の正当な行使という形で問題を解決するという方法も私は正当ではあると思います。しかし、やはり現行法が制定されて四、五年になっても、なお地方自治体が現実に労働基準法六十五条の違反行為を行なっておる。文部省がたびたびこのことに対して善意ある措置をしても、現在なおそれが行なわれておるという実態から考えまして、私どもは法定する以外に解決の方法はないだろう、こういう立場に立ったわけです。
○矢嶋三義君 関連して。われわれ発議者を代表して豊瀬委員が御提案申し上げている通りですが、関連して文部大臣に私は伺いたいと思うのです。ただいま与党の井川委員が、さすが法律の専門家だけに、法解釈のもとに質疑をされておりまして、われわれ発議者としても全く同一解釈をしているわけです。さらに発議者である豊瀬委員から、さらにつけ加えて説明があったわけですが、文部大臣に伺いたいのですが、今の井川委員の法文の法律解釈ですね、この点については文部大臣同感だと思いますが、念のために伺います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私も同感の意を表します。許認可といたしましても、当然その許認可の内容次第では、覊束される行政処分と、そうでないものとあると聞いておりますが、許可しないということは許されない性質のものであろうと思います。
○矢嶋三義君 もう一問。そこで重ねて大臣に伺いますが、母法の立法精神と、その条文解釈は明確になりました。そこで発議者としては、その立法精神と条文解釈の正しい運用ができていないので、それを明確にする必要があるという立場において、本改正法律案の一部の中に織り込んでいるわけです。従って母法の立法精神と条文解釈は明確でありまするので、行政運用していく場合に、あやまちなきようそれらの点を条文上明確にする必要があるという点については、文部大臣は当然そういう態度をとられるものと思いますが、念のために伺っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 現行法をそのままでも、解釈論として今お話が出ましたような結論になろうかと思いますが、さらにそれを誤解なからしめる措置は適当だと思います。
○井川伊平君 いろいろ御回答得まして、私の考えと似た点が多くて満足しますが、しかし、基準法の六十五条が正しく運用ができていかないという責任はだれにあるのかという問題は、これは女子教職員にもあるのであるということを忘れてはならないと思います。あるいは女子職員の中で、いや六週間内に入りましたから、私は断然休暇するのですと言う人と、言わない人の二種類があるとすれば、言わない人は健康が丈夫だから休む必要がないのだ。それだからもう少し、しばらくお勤めしましょうというのかもしれない。ほんとうにからだがそういうように休むことを必要とする場合においては、いや私は休ましてもらいたいと言いそうなものだ、今日の学校の先生のはっきりものを言う性格から見たら、そのくらいのことは私は言えそうなものだと思う。だから実際六週間内に入りまして、なお若干の期間職場についている人は、その人は一般の人とは違いまして、職場におっても差しつかえないという条件のもと、いろいろの教育委員会であるとか、校長の話を受け入れて、自分の権利を放棄しているものである。だからもしそれが、法が正しく行なわれないという責任があるとすれば、その女の職員の方々も責任者の一人であって、何も当局だけが悪いようなことは言われない。あるいはそうすることが正しかったのかもしれない、健康の状態から。そういう点につきましては、十分の御研究と県別の御調査ができているわけですか。からだの健康状態から勤めているのだ、からだの健康状態が悪いから、同じ府、県、町村にありましても、六週間内に入れば直ちに休むものもある、その両方の数字が調べられておりますか。
○豊瀬禎一君 調査はできております。と申しますのは、各県とも予算ないしは条例等で産休の補助教員の配置期間を定めております。たびたび私どもがお答えいたしましたように、東京と数県は十六週間、十二週間であるところもかなり多いし、それ以下になっているところもあります。しかし、私は先ほどもお答えいたしましたように、私どもが、特に私自身もこの立法をします際に、これは最も大きな部面としては井川先生御指摘のように、当然の権利を行使するという女子教員の心がまえが重大な問題であるということも全く同感です。このことが完全に実施されていくとすれば、職場の中にトラブルが起こり、あるいは学級で空白になる状況は生じるけれども、休めないという事態はある程度解消し得る可能性はあります。しかしながら、今指摘いたしましたように、そういう予算の配当がないために、たとえば二週間の空白を生じる、その際の学級管理の問題はどうなるかという問題、あるいは校長としては補助教員の配置がないために何とか女子先生に休んでもらわないような措置要請を行なっていく。このことが前回も簡単に指摘しましたように、やはり現在の学校運営の実態の中では、勤務評定等に影響をもたらしておると私どもは判断するわけです。それで、基本的には先生御指摘のように、女子教員の権利意識の充実を待つべき課題も多分にあると思いますが、そのことだけで解決していくと、実際に都道府県が六十五条の条文、法律を承知しながら、四週間等の予算配当を行なっておる。従って、休んでも補助教員が来ないというこの実態の解消には、私どもは権利意識の行使だけではならないという判断です。
○井川伊平君 補助教員の数を準備する問題でありますが、これは女子教職員の分べん前の六週間内に入りました方々が、自分のみずからその権利を放棄して協力するという態度がなければ教育界には非常に悲しむべき現実の姿が現われる。そういうことになりますれば、当然に法の改正というものが生じてくる。法の改正が今日までできないでおる原因は、女子教職員の皆様方が基準法六十五条を抜きにして、自分の健康を中心に考えて強力に就勤するということに原因があるのではないか、言いかえれば責任者はそこにおるのではないかと、私はこう考えますが、いかがですか。
○豊瀬禎一君 先ほど来お答えいたしましたように、結果的な始末の仕方としては、休まないで、たとえば六週間前から休みたいと考えましても二週間がんばって四週間しか休まない。この事態は私は決して、中にはからだの都合で三週間でいい人もおりましょうし、五週間でいい人もおりましょうし、御指摘のように配当予算で本人の身体状況だけを考えていくと、それで適合する方も絶無とは申しません。しかし、画一的に予算の中で四週間しか補助教員が配当されないという現実は、本人がいやだと思っても、先ほど何度も言いますように、学級担任が不在という空白が生じる、あるいは自分の教科の教授ができないという姿ができる。中学校等の教科担任制度になりますと、ほかの、たとえば国語等の教員の時間数が多くなるという現象を生じて参ります。これは私どもとしては決して正常な学校運営の姿ではない。このことは本人の協力意識やそういう善意だけで解決さるべき問題でなくて、やはり法律の、基準法の定めがあるにもかかわらず、本人の身体状況を勘案する余地を許さない。たとえば四週間なら四週間だけしか画一的に補助教員を配置しないという地方自治体の根本問題を解決しなければ、本問題の解決ははかり得ないと、こういう理解の仕方であります。
○井川伊平君 一点だけ最後に……。 法の改正はけっこうかもしれませんが、今日の実際から言えば、強行法である基準法の六十五条が厳然として存在をするのに、それが履行されないような現状下において法律の改正ということは、むしろ何と申しますか、迂遠なことではないか。それよりも事に従事している 基準法六十五条によって権利を取得しているところの女子教職員の自覚が第一ではないか、こう考えますが、この点いかがですか。
○豊瀬禎一君 私が何度もお答えいたしておりますように、ただいま御指摘の女子教職員の権利意識の確立ということも私はこの問題を解決するきわめて重要な要素であると考えます。しかし、それだけでは、先ほど申し上げましたように、学級に先生不在という事態が現在の状況としては生じる。これを解決することは権利意識を確立するだけではだめである。従って法定することによって、地方自治体が本人の権利が容易に行使できるように六週間の補助教員の配当を行なうようにしたい。これが私どもの念願です。
○岩間正男君 今、井川さんから私はいい発言があったと思うのです。当然強行法である労基法の六十五条、この問題はこの前論議されたと思うのです、この前に。しかし、実情によって、実は抵触するような立法措置がされたわけなんです。ここに旧法の不備があるわけで、私は当然抵触しないような、そうして権利ははっきりやはり確保する。そのためにはこれは教職員自身の責任もあるというこの議論はやはり成り立つと思うのですね。しかし、それは全体ではないとしても成り立つ。それから、そのようなやはりはっきりした当然権利を守るという、そうして法を守るという、しかも、それが実際に女教師の母体を保護することになるのでありますから、私はこの発言に賛成いたします。こういう方向を生かす方向にこれは行くべきじゃないかと思うのです。 そこで、この提案の改正案の三条ですね。つまり現行法の三条を廃止して、それから四条を三条に改正するわけですが、その中では、はっきりこれは許可ということは取ってしまっているのですね。この点どうですか。だから私は、今のような御発言は、この社会党提案の改正案ですね、これでは、今の趣旨は生かされていると、こういうふうに見ていいと思うのだけれども、どう考えていますか、この点、提案者から一つ……。
○豊瀬禎一君 質問の趣旨を正確に把握いたしかねたのですが、私どもの改正の要点は、先ほどもお答えいたしましたように、前後それぞれ六週間の補助教員の配当を法定するわけですから、当然、ある先生が分べん前六週間になりますと、本人が休暇請求の行為をするとしないとにかかわらず、補助教員を配当すべきである、こういう形になるわけです。
○岩間正男君 それは当然私の寝間の趣旨になると思います。今まで許可制であったのを許可制でなくしたわけでしょう。当然これは自動的に発動するのであるから、権限の行使と思う。ただこれはその裏づけとしての措置をすべきだ、こういう点に重点が置かれておると思うので・その点はそれでいいと思うが、それで、これは文部大臣もこのような方向にいくことについては御賛成のようですな。これはもう一度確認したいと思いますが、ようございますか。さっきの発言は、まさにその通りだというような発言でございますが、そう解釈してようございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。
○岩間正男君 そうしますと、私はここでお聞きしたいのでありますが、今までもそう文部省は考えてこられたと思うのですが、地方財政のこれに伴わない、従って財政的措置がされないことが実際は労基法六十五条が無視されてきたところの大きな原因だと思う。従ってこれに対して注意を勧告するような措置を文部省が今までとられたことがあるか。たとえば通達とかその他のやり方によりまして、これは地方自治体に対して当然この法の執行を厳重にすべきである、その措置をとるべきである、そういう勧告とか、通達とか、いろいろな方法あったと思うのでありますが、文部省は今までそういうような措置をとられましたか。
○政府委員(内藤誉三郎君) たびたびいたしておりますが、特にこの法律が制定されました当時にも、この趣旨を鮮明にいたしておりますし、交付税の方におきましても、産休だけではございませんが、結核休職を含めまして二%の財源措置をいたしております。財源的には支障がないものと心得ておるのでございます。
○岩間正男君 今まで何回そういう措置をとられたのですか、具体的に一つ。
○政府委員(内藤誉三郎君) 何回ほどか今ちょっとここに通牒の写しを持っておりませんので、機会があるごとに申し上げておりますし、教育職会議等でも申しております。法律の制定の際には必ず指向的な指導、通達を出しておりますから、何べん出したかということは今記憶ございません。
○岩間正男君 文部大臣にお伺いしたいのですが、通達を出しておるにもかかわらず、これが実施されなかった、その根源はどこにあると考えられておられますか。非常に完全に全国的に実施されていないというのが事実だと思うのですね、この点はいかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 交付税の裏づけがございましても、具体的に一々のりづけしてないものですから、道府県の財政の状況によって、これこそ背に腹はかえられず、通達通りに実施していないというのが実情じゃないかと思います。何度も繰り返し反省を促して、実行させるようにすべきものと思います。
○岩間正男君 これはほかに方法ございませんか。文部省の通達は何回も耳にたこがよるというようなことで、聞いてもほおかぶりといった事実もあるのじゃないか。これに対して閣議なんかで問題にして、具体的にこれを施行させる方法というものは、文部省の通達だけでなくて、熱意があればこれはできる問題だと思うのでありますがへこういう点について、文部大臣はどういうふうに今後処置されるおつもりですか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは法律の執行に関することでございますから、何べんでも通達を出し、もしくは機会あるごとにこの趣旨を鮮明いたしまして、執行を要請するという以外にはなかろうと思います。閣議の問題にしましたところで、それ自身で問題を解決するものではなくて、さかのぼれば、地方財政それ自体の制度的なむずかしさもはらんでおるかと思うのでございまして、そういう意味では、政府全体が検討すべきものかもしれませんけれども、いやしくも法律が制定せられ、一応地方財政計画として交付税の裏づけがある以上は、都道府県が良心的にこれを執行するかいなか認可するわけですから、これを言っても言っても聞かないからとほうっておかないで、あらゆる機会にその努力をし続けるということが、私は残された唯一の具体的な道であろうと思います。
○岩間正男君 何回も繰り返して努力をすればというような話でありますけれども、それだけでは行政措置としては不十分じゃないかと思う。もっともこの問題について罰則があるかどうか、私は今つまびらかにしないのでありますが、少なくともこの強行法である——当然の国民の権利に関する問題を怠っているというところに、一つの私は弱点があると思う。こういう点をもっと明確に追及するための処置について、どういうふうにしたらいいかという点については、もっと十分に考えてほしいと思う。そこでこの問題とも関連するのですが、どうですか、今度の法案の改正案の中心の問題は、十二週間の期間を限定したこと、それから必ずそれの裏づけの補助教員を確立する財政的措置をはっきりとる態勢を整えることが最大の眼目だと思うのでありますが、私は先ほどの米田議員の質問でもいろいろ出たと思いますけれども、あらためてこの法案に対して、文部省としては、文部大臣としてはどういう見解を持たれるか、はっきりここでお聞きしておきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど米田さんにお答えしたことで尽きていると思いますが、改正の要点は、主としてベターな方向に行く事柄だと心得ております。
○矢嶋三義君 私は発議者の一人でありますが、発議するにあたって非常に心配しておった点が幾つかありますので、この際行政府の責任者から明確にしておいていただきたいと思いますので、三点お伺いいたします。 その一つは、申し上げるまでもなく、政府提出にかかる法律、議員提出にかかる法律で差別をつけるべきではなくて、行政府は法の運用を行なうに際しては、むしろ気分的には議員立法にかかる法律案の運用には一段の配慮をすることがあってしかるべきだと思いますが、しかるに先刻来指摘されましたように、的確に法が運用されていないという点について、さらには意識的に私は議員立法なるがゆえにというので、その適正な運用、予算化等について、行政府に一般論として消極的な態度があるように、過去の実績から私は判断いたしておりますが、これはまことに遺憾なことだと思います。これらの点について、大臣の見解と反省はいかようなものであるかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 文部省に関する限りは反省するようなことはなかろうと思っております。ことに、ただいま問題になっております件については、義務教育の上ではむろんございますが、予算としても数億円がついておりますし、のみならず、その他については交付税の裏づけもあると承知しておりまして、少なくともこれに関する限りは御指摘のようなことはないと思います。また一般的にはありゃなしや、私も定かにはわかりませんけれども、先刻来の御答弁で申し上げましたように、提案者がどっちであろうとも、法律となればその執行面においては差別があるはずがないと心得ております。
○矢嶋三義君 質問の第二項目に入りますが、そのことは、生産部門を担当する職場等においては、あるいはこの子供さんを養育されている経産婦を必ずしもその職場に必要としないかもしれません。しかし、教育という職場においては、人の母となった出産の経験のある女子教育者がいるということは必須条件であり、このことは他の職場と比べて著しく必要性と特徴とがあると私どもは考えておりますが、この点に対する行政府の認識はいかがなものであるか、伺っておきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 同感でございます。子供を持ってみなければ、親の気持はわからない、親の気持を十分に考えるから、人の大事な子供を教育するという角度から見ましても望ましいことだと思います。
○矢嶋三義君 続いて伺いますが、世評こういうことが伝えられておる、女子教員は学校を終了したときが能力的にトップ・レベルにあるのであって、その後結婚することによって低下をし、出産することによってさらに低下して教育者として十分の活動ができない、従って女教師は、子持ちでない、家庭持ちでないはつらつたる独身女教師に限るというような世評があります。私は人の子の教師となる女子先生が、学校卒業した直後はそれなりによさがある、結婚することによって人間形成上プラスする面があって、さらにある方面においてよりよき教師となる、さらに出産して現実に人の母親となることによって、他の独身者が持つことのできない人間としての、教師としてのよさというものが生ずるものであって、一部世評で伝えられているように、大学卒業した直後がトップ・レベルに云々ということは著しく認識を誤った意見である、かように私は考えるものでありますが、現在行政府はどういう認識のもとに立って都道府県教育委員会等に助言と指導とを与えておられるか、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学校出たてがいいところもあろうと思います。御説の通り、それぞれ長短があると思いますが、バランス・シートからいけば人の子の親になったときが一番プラスが多いと私は理解いたします。教育委員会等にその意味においてどういうことを指示いたしておるかはちょっと承知いたしませんので、必要あれば政府委員からお答えいたさせます。
○矢嶋三義君 政府委員の答弁必要といたしません。 ただいまの荒木文部大臣の答弁は同感であり・非常にりっぱな答弁であります。ついては先般、愛媛県の中型女教師の研修会があった。その席上において愛媛県教育委員会の某指導主事——教育委員会の職員ですよ、その人が中堅女教師たちを前に、あなた方はもう質が落ちているのだ、学校を卒業したときがトップ・レベルで、あなた方は中堅女教師、中年女性になっておられるが、結婚したときにダウンして中年女性となった今、母親となったときはさらに能力が落ちているのだ、しっかりしてもらいたいという指導を研修の時間にやっておりますよ。誤れることはなはだしいものであると思うのですね。かかるがゆえに愛媛県の中堅女教師の研修会は本委員会において調査の問題として取り上げられることになったわけでありますが、愛媛県の教育長に対して適切なる注意を喚起するところの措置をとっていただきたい。よろしゅうございましょう。
○政府委員(内藤誉三郎君) 一部誤解があるのではなかろうかと、私は思うのでありますが、あのときの講習会の、私も全部記録を今見ておりますけれども、受講生の大部分の方は、あの講習会は大へんよかったと言っております。
○矢嶋三義君 いや、それとは違って、私の申したことについて、何か矢嶋が誤解したとか言うが、その根拠を示してやって下さい。今全般的な問題ではなく局限しているのです。全般的な問題をやれば時間がかかりますよ。
○政府委員(内藤誉三郎君) そういうようなことが、今速記録を取って見ておりますから、そういう事実が、言うたかどうか、あるいはどういう表現か、全体の中をよく調べまして、御指摘のようなことがありますれば十分注意いたしたいと思います。
○矢嶋三義君 内藤さん、私に失礼なことをおっしゃらんで下さいよ。私は直接その女性の方からお伺いしたのですよ。この耳で聞いたのですよ。それに基づいて伺っているわけですね。だから、あなたが答弁する場合に最大限譲っても、矢嶋の言うことが真であるならば、この前提で答弁すべきですよ。誤解があるんじゃなかろうかというのは、矢嶋に対して失礼ですよ。私のところにずいぶん投書が来るけれども、私はその投書を手紙で問い合わせて、その人の正式氏名と住所がわからない限りはどんな投書でも私は取り上げない主義にしているのですよ。それで誤解があるんじゃなかろうかというようなことは失礼千万ですよ。だから矢嶋の発言が真ならば、それはとんでもない大臣の発言にも反することだ、愛媛県の大西教育長に対して適当な指導もするし、注意を喚起する、この答弁を私は求めているのです。よろしいですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) その通りでございます。
○矢嶋三義君 それで調査して、どういう結論になってどういう注意を喚起したかということを後日本委員会に御報告願いたいと思います。よろしゅうございますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 承知いたしました。
○矢嶋三義君 最後の第三の質問の点でありますが、この法律案を発議する場合に最も懸念したことは、小学校児童五十六人について教職員一名、中学校生徒五十四人について教職員一名という基準に基づいて教職員の員数を算定し、それに基づいて国の補助金と地方財政計画を組むと、この五十四、五十六という数字がもう少し少なくならないというと、この改正法律案にも直接に影響を及ぼすことが一番懸念した点です。ところが、この五十四と五十六という数は、すし詰め学級の解消の計画を現池田内閣は持っておりながら前進しない、これはあなた御承知の通り。ところが、最近伝えられるところによりますと、あのすし詰め学級解消計画は三十八年に完了するという年次計画で進んで参ったわけですが、今の時点に対して池田内閣は二年ぐらい延長ずる考えを持っているということが伝えられているわけですね。もしそういうようなことに相なりますれば、あの本法律案が成立した場合においてもいろいろ問題が起きてくるわけです。 そこでここで私は文部大臣に明確にしていただきたい点は、池田内閣の文教政策、荒木文相としては三十八年にすし詰め学級を解消するというあの計画は、世評伝えられているように一年ないし二年その計画を延ばすようなことはなくて、既定計画通りに予算的措置を講じて、そのすし詰め学級解消計画を完了する、この方針に相違があるかないか、荒木文部大臣から明確に承っておきたいと思います。答弁次第ではさらに質問いたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 相違ありません。うわさがあるという御指摘でございますが、そんな考え私も持っておりませんし、今事務当局に聞いてみますと、事務当局もそんな考えを持ったことがないと申します。
○矢嶋三義君 最後に御要望申し上げます。閣議がありますと記者会見なさるわけですが、その記者会見の席上で、こういううわさがあるということであるが、とんでもないというその発言を記者会見の席上において文部大臣がなされることを御要望申し上げます。要望に沿っていただけましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あえて記者会見で言わないでもはっきりしたことであろうと心得ますが……。
○矢嶋三義君 言うてもいいじゃないですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 言うてもいいと思います。
○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記を始めて。
○岩間正男君 大臣がこの前お見えにならなかったので、なおただしたいと思いますが、その中で、先ほどの御発言の中に、一般の勤労者との問題もある。それで、母体の保護ということは、単に何も教職員に限ったことじゃない、こういうような発言があったわけですが、教育労働における特殊性というものが私はあると思う。文部大臣はどういうふうにこれをつかんでおるかということで、この産休問題に対する処理の仕方が非常に変わってくると思います。こういう点からお聞きしたいと思うのでありますが、一般の労務者の場合の母性保護の場合と、それから教育の場におけるところの母性保護の場合の相違、こういう点についてどう考えておるか、伺いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日本人という、人間という立場からならば同じだと思います。しかしながら、教育の場における先生は、児童生徒を相手に——筋肉労働者と違った大事な仕事をして下さる人ですから、教育効果を阻害しないようにという別個の社会的、国家的要請がある意味においておのずから違う、その点の相違を認めます。
○岩間正男君 もう少し具体的に答えてもらいたい。抽象論ではまずいので、時間も食われますし、あまり抽象論をしたくないので、私はこの問題について分けてお聞きしますが、一つは、子供に対する影響がありますね。普通の職場における場合だったら、これはあとで補うということもできる。それから代がえの人を持ってきてもこれはたやすく補充できるということもあるわけですが、この影響するところは子供なんだね。人間の、これは教育の問題なんだ。この点が一つ。これは先ほども出されたと思いますが、もう一つの問題を私は言いたいのです。それは教師の問題です。教師の特殊性について考えてほしいのです。たとえば五十人のクラスの子供をおいて、そうして産休の休暇をとった。ところが、実際はその補助教員が補充されていない。そういうことによって、実は教師そのものに対して非常に心理的な影響を与えてくる。これはほかの産業においてよりもその度合いというものが非常に違うと思う。こういう特殊性についてはどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は連想いたしまして、一般の労働者と違う児童、生徒を相手にする先生だから、その点の相違はあると申し上げたのもその意味であります。そういう気持を持ってもらっておる先生でありますから、心置きなく休めるような措置を講ずべきだ。現行法もその趣旨でできておると思います。一応の措置はできておりましても、それが実行上欠陥がある事態が指摘されましたので、その原因を探求しながら立法趣旨に合うようにせねばなるまい、そういう努力をいたしたいと先ほど来申し上げておるゆえんであります。
○岩間正男君 結局、教育の特殊性かて考えて、特に文部大臣はこの産前産後の休暇の問題について万遺憾なき体制を確立する、その努力を十全に果たすべきだ。ほかの産業と比べて、もっとも私は必要性が高いのだ、こういうふうに考えますが、この点、そう考えておられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の通りでございます。
○岩間正男君 次にお聞きしたいのは、この補助教員を得られないということがこの問題の一つの大きな焦点になっておる。これは地方財政の問題が先ほど出されましたからこれは省くのでありますが、もう一つの問題があるのじゃないか。それは補助教員自身の待遇の問題があるというふうに考えるのでありますが、これは内藤局長にお聞きしますが、どれくらいの単価に見積もっているか。補助教員の単価というものは、給料というものは一体どれくらいに見積もっているか。それから給与の条件はどうなっているか。それからその他のいろいろな昇給にも関係があると思いますが、この点はどうなっているか。この点を明確にしてほしいと思います。
○政府委員(内藤誉三郎君) 産休のものは一般の給与単価でやっております。現に実際の分で見ておりますのが昭和三十五年度予算で五億五千万計上しておりまして、別に関係者としては差別いたしておりません。
○岩間正男君 発議者にお聞きしたいんですが、どうですか、今のような政府の答弁がありましたが、そういうふうになっておりますか。私は別に聞いているのですが、どうですか、今の問題。
○豊瀬禎一君 ちょっと委員長と打ち合わせをいたしておりましたので、内藤局長の答弁を聞き漏らしたんですが。
○米田勲君 今のやつを答弁にかえて。あの内藤局長の言ったのは文部省側、国側の措置としてはそうなっているんですよ、確かに。しかし、現実に補助教員が受けている給与というものは決してそんなものじゃない。これは途中で横に逃げちゃっているところに問題があるんですよ。文部省の手前は単価二万五千円ぐらいになっている。しかし、実際は全然そんなのではない。非常に悪いということです。
○岩間正男君 これは実態調査をされていますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 調査は今ここに資料がございませんけれども、先ほど米田委員のおっしゃったように、一般教員並みの単価で見ております。ただ、現実に産休代用になる方の資格にもよると思うのです。高等学校を出た方もあるでしょうし、大学を出た方もあるでしょうし、短大を出た方もある。その給与の単価の高に応じていっていると思いますが、こまかい御要求がございますればさらに調査いたしまして実態を明らかにしたいと思います。ただ、これはあくまでも年令にもよりますし、資格にもよりますので、いろいろと事情がございますから、その点はさらに調査いたしたいと思います。
○岩間正男君 私はやっぱり伺いたいのは、どうも今の答弁では非常に不十分だと思うのですが、地方財政によって非常にむらがあるということが一つあるので、それで資格の問題をあなた出されましたけれども、そういう問題もありましょう。それも一つの要件になっているかもしれない。しかし、それだけではない。この問題を決定しているのは、やはり地方財政の実情と、それからこの問題に対する熱意の度合い、こういう問題がこれは決定していると思うのです。 それからもう一つお聞きしたいのは給与が低いということと、それからボーナスも昇給もない。これは非常に待遇上からいえば大きなマイナスになっているわけです。そういうところが人を実際はまかなえない、吸収できないということの一つの原因になっていると思う。こういう点について実態をもっと把握するという、科学的に把握するという努力がなくて、何かここだけの答弁で今のようにつじつま合わせて頭の中で考えたというだけでは私はまずいと思うのですが、今まで文部省がこういうような調査を過去五カ年、この法律案が通ってからなさったことがありますか。まずお聞きしたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今手元に資料がございませんけれども、しておると思います。ただ、問題は三カ月で、これは三カ月間の代用教員でございますから三カ月でやめますと、当然ボーナスも入りませんし、退職金も入らない。こういうことに今の給与法がなっておりますから、年間を勤めて、産休代用ということでプールしておれば、これは一般の給与並みになるわけです。ただ、産休だけの代用教員の場合には、今の給与法の建前からそういうものは出せないようになっておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。
○岩間正男君 それじゃ私の質問は終わりたいと思いますが、この次に残しておいて、発議者の千葉さんから今の問題についてちょっと答弁して下さい。
○豊瀬禎一君 先ほど御質問の点ですが、私どもとしては全国各都道府県の産休補助教員の初任給の調査をしておりますが、これはベース・アップ前の調査ですが、平均八、九千円というところで、低いところは六千円等もありますが、その後、今回のベース・アップ等によりまして、平均は一万円こしておるんじゃないかと思いますが、大体御指摘のように暫定手当もなかったり、昇給等の措置もない等のことで、かなり年配の方々でさえいろいろな悪条件の中で産休補助教員をやっていただいておるというのが全国的な実態でございます。
○岩間正男君 そうすると、これについてのあなたたち今度の法案を出されるについて、どういうふうに実態の問題を満たすか、これについて一つの策があるだろうと思いますが、これは今お答えができればお答えいただきたい、できなければこの次にお願いしたいが、いかがですか。この問題解決しない限りは、実際補助教員を充足するといっても充足できないし、かりに充足されたとしても非常に質が劣悪だ、こういうことでは教育の欠陥が出るだろう。こういうふうに考える、従ってこの問題、それに対するまたボーナスの問題、昇給の問題、さらに身分保障の問題、こういうような問題について、やはり相当具体的な案というものが必要だと思うのです。これはきょうでも、あとでもようございますが、お答えいただきたい。
○豊瀬禎一君 まず、身分安定の問題ですが、単に補助教員だけでなくして、公務員、地方公務員等のいわゆる臨時職員の全体的な問題として私たちは身分確保の問題を処置しなければならないと考えております。産休補助教員をいたしましても、前回も答弁いたしましたように、あるAという先生のところに行くと、次にはBという先生のところに行くというように、年間それぞれ回り持ちで補助教員をやっておられる人々もありますし、またそういった勤務を続けながら、一応年限としては一年間の契約になっておっても、実際の執務としては連続して数カ年間勤務しておるという人もあるという実態です。こういう人の身分については、先ほど申しましたように、臨時職員の身分確保という全般的な角度からぜひとも解決をはかりたい。なお、給与の問題につきましては、当該機関が予算を少なくするために、大学出等の、あるいはその他のいわゆる給与の低い層に該当する人々を雇用しておることも実態ですけれども、逆にそうでない免許を正式に持ち、あるいは長年教員をしておった人で退職しておった人までも採用いたしておりますが、これらの資格を持つ条件を備えておる人々に対しましては、給与等は当然当該年令に、あるいは経歴に該当する給与を支払うべきであるし、昇格ないしは賞与等の問題につきましても、実績として通算されておる、勤務されている人々に対しましては、そのような措置を考えなければならない、このように考えておるわけであります。
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、本日のところ、この程度といたします。
○委員長(平林剛君) 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。米田勲君。
○米田勲君 先ほど来、私は大へん長い時間いただいて産休法のことで質問しましたが、これは三べんほど私の質問の機会を延ばされたことに原因するので、相当お疲れのところと思いますが、また引き続き私はただいま議題になりました法案の内容について、文部大臣に質疑をいたしたいと思います。常識的な時間がきたときに教えてもらわないと、私はちょっと質問をしている側ですから、委員長の方から夢中になっておったら注意して下さい。 まず私は、この政府が出した学校教育法等の一部を改正する法律案をいろいろ検討をしてみました。その結果、私はこれは文部大臣にあらかじめ一つ聞かなければならぬことができたという感じであります。聞かずもがなのように受け取らないで、一つどういう考え方を持っているか、明確に答えて下さい。 その第一の質問は、現行の学校教育法の第一条では、この法律でいうところの学校とは何かということを規定してあります。第二条では、学校を設置することができるのは国、地方公共団体、学校法人に限られるということをきめてあります。その他の者は学校というものは作れない、開かれない、こういうことを明確にしてあります。第三条では、学校の設置には監督庁の定める諸条件を具備しなければならないことをきめているわけであります。私はこれらの現行の学校教育法第一条から第三条にわたって、きわめて厳密な条件を法定してあるのは、一体いかなる理由に基づくものかということお聞きしたいわけです、この法律案をあらためて出されたので。文部大臣はいかなる見解でありますか、お伺いします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 端的に申し上げれば、教育の機会均等の趣旨を満たさなくてはならない、このことは実質的にいえば教育効果に差等があってはならない、あくまでも国民的立場において本来の教育効果が誤りなく行なわれねばならないことを期待するがゆえの定めと思います。
○米田勲君 国の文教政策上、何の基準もなしにでたらめに学校が作られて、その学校で教育が行なわれるということは、全く望ましくないことであります。だから私は学校教育法というものを法定して非常に厳重に、学校というものは何か、学校はだれが設置することができるのか、そのためには監督庁でいろいろな条件を示している、その条件に適合しなければ認めないという定めをしているわけであります。なお、四条から百十条にわたってずっと見て参りましても、学校教育法は、現在の日本における学校教育をあらゆる角度から詳細に法定を行なって、そうしてただいま文部大臣の答えられたように、日本の教育における効果といいますか、教育の水準を一定の水準に保つというために格段の努力が払われている、こういうことを私は考えるのです。この私の考え方は、文部大臣とその理解が同じだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 同感であります。
○米田勲君 それでは第二の質問は、この法案の、これは質問が順序不同になりますが、第四十五条の二の改正点を取り上げて私は質問をいたします。 〔委員長退席、理事豊瀬禎一君着席〕 ここに法文の上に「技能教育のための施設で」という個所があります。この施設は、どこにだれが作るのか。そしてその管理権はだれが持っているのであるか。こういうことをまずお尋ねをいたします。
○政府委員(内藤誉三郎君) 技能教育施設は、公的なものもございますし、私的の会社等もございます。
○米田勲君 内藤局長の答弁は私の聞きたいことと違う。第四十五条の二のところを開いてみて下さい。 文部大臣御用ですか。
○理事(豊瀬禎一君) ちょっと便所へ……。
○米田勲君 それじゃ、大臣が帰るまで休憩さしていただきます。
○理事(豊瀬禎一君) 一分間休憩いたします。 午後四時三十一分休憩 —————・————— 午後四時三十三分開会
○委員長(平林剛君) ただいまより委員会を再開いたします。
○米田勲君 ただいまの質問は休憩中の雑談ではっきりしましたので、再質問をしません。 それでは次にお伺いしたいのは、この「技能教育のための施設で文部大臣の指定するものにおいて教育を」云々とある。一体、文部大臣の指定するその指定はどんな手続で行なわれるというふうに考えておるのか。指定の手続であります。
○政府委員(内藤誉三郎君) これは、技能者養成施設いうのが労働省の職業訓練法に基づきまして、各民間の会社、事業場でやっておるのがたくさんございますし、また公的な施設で労働省の訓練所毛ございます。その中で高等学校と同程度の資格のあるもの、すなわち教育内容の面において、高等学校の教科書を大体使っておる。それから教師も高等学校の教師と同等以上の資格のある者、それから施設設備も高等学校と同程度になっているもの、こういうものをまず認定するわけですが、その前に、これは定時制、通信教育との連携でございますから、各府県で会社、事業場と十分連絡をいたしまして、そこの学校が文部大臣の指定を受けるに値すると、こういう内申が参りますれば、それに基づいて文部省では関係各方面の協議会を開きまして、これは高等学校の教育と同等以上の教育をしておると、こういう認定をいたしますれば、その際に文部大臣が指定をする。その指定をしたことによって学習がダブらないようにしたいと、こういう趣旨でございます。
○米田勲君 結局、今の答弁は、事業場の管理者といいますか、その人が都道府県自治体の首長とその条件について話し合ってですか。そして条件が、先ほど言ったような条件が具備しているということは、この都道府県の長が証明をして文部省に出すのですか、その点はどうなんですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。
○米田勲君 それと、今のお話ですと、関係各方面の審議会にかけるという手続を今お話しなさったが、その関係各方面の審議会というのはどういうものですか。現行のものですか、これから作るのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) これは法的な審議会というよりは、むしろ文部大臣がそれで認定していいわけでありますけれども、労働省の訓練施設の関係もございますし、民間の会社の関係もございますから、できるだけ公正にやりたい、こういうことで、できるだけ文部省の官僚独善にならぬようにしたいという趣旨でございます。
○米田勲君 おんみずから言われたのでは私は信頼ができないんだが、大臣、今都道府県の長から申請手続がとられた場合には、公平になるよう、官僚独善にならないように審議会等を設けて、そこにかけてよろしいということになれば文部大臣が指定するという、こういう手続をとりたいという。これは内藤局長の試案なのか、すでに文部大臣の手元でそういうことが決定を見ておるのかどうか、決定を見ておるとすれば、それはどういう審議会なのか、審議会の構成はどんなふうに考えておるのか。それとも、現行の何かを使って、現行の審議会を使ってその任務を果さたせるのか、新たな構想で審議会を作るのかどうか、その構想はでき上がっているのかどうか、内藤局長の個人的な見解なのかわかりませんので、文部大臣から一つそのことについてはっきりお伺いいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的な構想を今すぐお目にかけるような形ではできておりません。今政府委員から申し上げましたのは一試案でございます。試案でございますけれども、特別に政令を出したり、省令を出したりということは考えておりませんで、事実問題として、関係の人に集まってもらって、協議会というようなものを事実上作って相談したらいかがであろう、こういう考え方でおるわけであります。
○米田勲君 今の文部大臣の答弁だと、内藤局長の答えた関係各方面の審議会という構想は試案だと言っているのですね。そういう試案をわれわれに答弁してもらっては困る。やはりこの法案を出している限り、文部大臣が指定するこの仕事をするのでしょう。その指定が問題だと私は思っているから、どんな手続がとられるのですと、こう慎重に聞いているのです。そこにもってきて成案でもないものをぽっと見せて、こういう慎重なことをやるのですよ——聞いてみたら試案だと、固まっていないと、これでは私は法案を審議するときに予断を抱かされてしまう。それは単なる試案であったから、あとでできてみたら、そんなものは作られなかったと言ってみても、これはどうにもならなくなってしまう。だから委員長に、一つ文部大臣も心得てもらいたいのだが、成案になっていないものだったら、成案はないということを言ってもらわなければ困る。単なる内藤さんの試案だけを言われて、ははあ、そういうことになるのだなあ、手続としては慎重なんだなあと、こういうふうに判断して次の質問に移ったのでは、ちょっと私は困るとこができる。それで、あらためてお聞きしますが、その試案は、目下のところ実施に移すという構想ですか、文部大臣、それをはっきり約束できますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 試案と申し上げましたのは試みの案でございます。プライベートの案ということじゃなくして、そういう考え方で行ったらどうであろうということは、私も承知しておるわけであります。ただ、具体的に人選をいたしまして、こういう組織、人数ということを私が決裁しておりませんものですから申し上げたのであって、必ずそういう手だてを経て公正を期したいと思っております。
○米田勲君 それでは、まだその成案を得ていないけれども、都道府県の長から申請があった場合には、何らかの公平を期すことのできるような諮問機関のようなものを設置して、その答申を待って指定をするという手続をとるのであると、こういうふうに確認してよろしいですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。
○米田勲君 その場合、単なる、その諮問機関は、法律、政令等によらないものだという、試案の程度ですから、そう答えたのだと思いますが、私は指定の問題というのは非常に大事なことだと思います。これはだんだんに、私は自分の意見も述べ、聞きますが、従って、私はそういう成案ができた場合には、必ず政令でその設置をさせるようにするように、みずからも拘束しておく必要はないですか。これは大臣自身も政令でそういう機関を設けて、指定の際には誤りなきを期するというような、そういう約束なり答弁はする段階ではありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃることも一つのよき方法だと思います。事実上設けると申しましても、文部省内の正式の文書で決定をしておくわけでございますから、実質的な効果というか、それに対する責任感は同じようなことだとは思いますが、さらに考えて、少なくとも省令で一つ考えたらどうだろうということもあわせ検討したいと思います。通過しましたらば、なるべく早く体制を整備せねばならないという意味で、事実上設けることが当面の構想でございますけれども、それを省令の形にすることも一つの方法であり、これまたベターな考え方だと思います。
○米田勲君 これはまだ、今の答弁は確定的な段階の答弁ではないようですが、私は、この指定の問題をめぐって、これ以上質疑をし続けたくないという立場です。今のことは約束してもらいたい、この法案を出した建前として。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説の通り、省令にした方がよりはっきりすると思いますから、その方向づけでもって検討したいと思います。
○米田勲君 これは、なぜ私はそんなに申すかというと、これは大臣がかわるたびにそういうものがかわっていくようでは、公正的確な審査ができないのじゃないか、そうしてまた、指定が粗雑に行なわれることによって、重大な弊害が起こるということが考えられますから、その点で私は、今まだ法案の段階ですが、特に大臣の見解をただし、われわれの考えているような慎重なものを省令で定めるということを確認した前提に立って質問を続けます。 そこで、同じ条文の中に、「当該施設における学習を」、この「学習」は、客観的にいって、どのように認定されるのでありましょう。私はここがわからないのです。「当該施設における学習」を高等学校長がこれは認定するのかどうかは、この条文だけではわからない。高等学校長でないとすれば、だれかほかに認定する者がいるような気がする。そうして、かりにそのだれかが認定するにしても、その認定にはどういう客観性があると考えられるか、そういう点が非常に疑問であります。この点をはっきりさしてもらいたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) その前段を読んでいただきますと、「校長は、文部大臣の定めるところにより、」以下云々として、「教科の一部の履修とみなすことができる。」ですから、当然校長が認定するわけでございます。そこで、どの程度のものを認定するかということになりますから、そこは「文部大臣の定めるところにより、」きめるわけですが、私どもが現在考えておりますのは、国民教育として必要な部分は、これは認定はしないつもりでおります。ですから、工場等の実験実習の教科に関するもの、こういうものは認定したい。そこで認定の限度は三分の一程度を考えておりますが、マキシマム二分の一以下というふうに考えております。
○米田勲君 私は、認定の範囲だとか何とかいう問題ではなくて、高等学校長が認定をするということは、まずはっきりしたのですが、私は、高等学校長は、自分の監督権の及ばないところで教育作用が行なわれたことを、自分の権限で認定をするということは、一体可能なのかどうか、そういう疑問が起こるわけです。高等学校長が認定するからには、自分の権限の及ぶ範囲内の教育作用でなくちゃならぬ。高等学校長の監督権というのは、限られた範囲であります。さて、この法案のこの施設、技能教育のための施設というのは、高等学校長の権限の及ぶ範囲に入るのかどうか、この点がまた疑問になってくるわけです。どうですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) この生徒は、高等学校へきているわけです。ですから、生徒としては校長の権限の及ぶ範囲でございます。ただ、問題は、今米田委員の御指摘のように、実験実習にいたしましても、その部分はどうやっているかわからないという御心配があろうかと思います。そこで、この技能者養成施設が高等学校でやっていると同じ教育内容、教員組織、施設設備の状況等を見まして、これは大体高等学校の学力以上やっているという証明をするわけです。そこで、文部大臣の認定が起きる。起きた場合に、そこへ今度その子供が定時制、通信教育に通うわけです。通っている範囲においては、その生徒は自分の監督下に入るわけでございます。ですから、絶えず学校とその技能者養成施設との連携を密にいたしておりますから、学校からもこの施設に派遣いたしまして、視察もし、授業の実態も見ているわけでございます。こういう点を考えまして、御心配のないようにいたしたいと思います。
○米田勲君 私は御心配申し上げているのではないのです。私は、この認定と高等学校長の権限の問題を言っているのです。それがどのようなことであろうとも、生徒には高等学校長の権限が及ぶけれども、しかし、そこで行なわれた教育作用、学習というものに高等学校長の権限が及ばないのではないですか。その点をはっきりして下さい。高等学校長の権限がそこまで、その教育作用、学習に及ぶのかどうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) そこは及ばないわけです。
○米田勲君 それでいいです。それでは、高等学校長の権限の及ばない範囲で行なわれている教育作用、学習、それを高等学校長の権限で認定をする、教科課程の一部を履修したという認定をするというととは矛盾しないか。私に言わせると、高等学校長が自分の権限の及ぶ範囲内における教育作用を監督し、学習に対する教科課程を認定するというこの行動はとれても、自分の全然権限の発動できない、権限外のところで行なわれておる教育作用、そうして行なわれている学習に対して、認定をするという立場をとるということは、きわめて私は現行の学校教育法の立場からいうと、とんでもないものの考え方だと思う。こういうふうに考えるのですが、との点、大臣にどうですか。大臣、これはとんでもないことだと思っているのだ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 直接の支配下にあれば認定などという手続は要らない道理でございますが、本来、文部大臣が指定しますときに、その技能教育の場がどういう人的物的構成のもとに、またその技能教育課程が、内容がどんなものであるかということも十分認識をした上で指定が行なわれるものと思います。もしその指定が今申し上げた意味で妥当である限り、また同時にその技能教育をするものが良心的である限り、原則的には同等の程度の教育が行なわれておると信頼ができると思います。それに加えて認定権を与えられた高等学校長は、今政府委員から申し上げましたように、努めて常時その実態を把握しつつ、はたして指定されるに値しておったかどうかを確認した上で認定をするということになろうかと思うのでありまして、その信頼度が問題であろうと思います。
○米田勲君 文部大臣のその答弁で私は納得できない。文部大臣が指定をする際には、おおむねそれは物理的な条件にすぎない。教育というのは、教育作用というのは、物理的な条件がある程度整備しても、それで一定水準の教育作用が行なわれるということには限らない、私はそういう見解なのです。物理的な条件を見て指定をしても、それで一定水準の高等学校の教科課程と同じような学習が行なわれているという認定にはならない、認定の助けには。それは一助にはなっても、そういうことにはならないという考えが一つ。それから連絡を密にするなどという言葉を使っておりますけれども、高等学校長の権限の及ばないところで教育作用が行なわれておる、そういう場所の、緊密な連絡などという言葉だけで高等学校長に重大な認定という作用を行なわせるということは、これは大体無理ではないか、この二点が問題なんです。文部大臣は今、高等学校長の及ばない範囲で教育作用が行なわれ、学習が行なわれているから、だから認定ということがあるのだということを言っておりますが、それは考え違えじゃないですか。高等学校長の権限の及ぶ範囲内において行なわれている教育作用、それを監督し、そうして学習をして得た単位を教職員の申請といいますか、報告を待って、単位の取得を認定するのでしょう、従来。だから・それは高等学校長の権限の及ぶ範囲でも、認定すべきだと言わないまでも、認定するのです、履修を、そうでしょう。それがこの法律の場合における認定というのは、高等学校長の権限が及ばない、全然。それと、今大臣が言ったような物理的な条件がある程度そろっておって指定をされたのだから、そこでは一定水準の教育が行なわれると信頼してもいいということは、法律案を提案した立場の文部大臣としては、少し説明の仕方が不足ではないか。もっとわれわれがそれならわかった、それなら安心であるというようなことでなければ、無理に信頼ができるのだ、できるのだというようなことを押しつけられても、この法案に対する理解ができない。この二点を一つ明確にして下さい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほど大臣がお答え申しましたように、認定する場合に、今米田委員のお話のように教育内容、教員の組織、教員の資格、施設設備の状況等を見まして、就業年限ももちろん考慮いたしまして、高等学校以上の実力ある、こういう者を認定をするわけでございますから、これは一応御了解いただけると思う。問題は、そこでどういう教育が行なわれておるかということを高等学校側で十分把握しなければならない。認定施設になりますと、高等学校とこの認定施設とは緊密な連絡をするわけでございます。そこで教科の履修の程度、あるいは授業時数の程度、詳細な報告を待ってその上で、これならなるほど工業の機械なら機械の実習はやったという確信が持てた場合にのみ、これは校長が認定をするのでございますから、決して工場から出てきたものをうのみにして校長がやるわけではございませんので、その点は校長に認定権がございますので御了解いただきたいと思うのです。
○米田勲君 私はそういう子供だましのようなことで法案の内容を説明されても納得できませんよ。あなたは緊密な連絡などと言っていますが、法律上何も法定されていないでしょう。絶えず校長がその教育作用の行なわれる企業内の学習に対してこれを何か監督したり、指導助言をしたりする権限がないんでしょう。また緊密な連絡をするということにも何ら法定されている個所がない。そうして全く権限の及ばないところから出てくる文書が、そうでしょう、そういう場所で行なわれた学習を、一体何を根拠にして高等学校長は実際問題として認定しますか。その相手が学校なら別なんですよ。学校という法人格を持っておったり、監督庁の指定する設置者として認定をしているところから申請がくるなら文句ないのですけれども、学校じゃないのですよ、明らかに。そうして企業者なんだ、相手は、それを作っている人は。その企業者のやっている教育作用、学習を物理的な条件が指定するときに整っておったからといって、その学習を一方的に何の法定された根拠もない高等学校長が認定をしなければならないといって、良心的な認定ができますか。一体自分の監督がそこに及ぶとか、あるいは指導助言が法制化されているとか、そういうことであるなら私は認定はそれをたよりにできますよ。しかし、この法文のとこにも——そういう権限を及ぼすことはできないでしょう。そうすると手放しで出てきたものを認定するしかないでしょう。何を一体根拠にしてやりますか。向こうから一方的に出てきたものを見て、これでよろしいというめくら判以外になくなるじゃないですか。私はその点でこの法案に非常に弱点がある。こういう点を非常に強く感ずるのですが、もっと納得のいく説明を、緊密な連絡くらいでは納得できませんよ。
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん連携施設になりますと、学校からもその職員がその工場に行くわけでございます。そこで米田委員の御心配のように、その法案が向こうからきたものをそのまま認定するというふうになりますと、これは問題がある。ところが、この法律は校長がその高等学校における教科の一部の履修とみなすことができるというので、どの程度履修したかということは、これは校長の認定いかんでございますから、御指摘のように不備なものがございまして、実力のないものがございますれば、これは単位と認めないわけでございます。
○米田勲君 今の答弁の中に、企業内に設けられる企業教育の場、施設、そこに行なわれている教育作用、学習、それに何かあなたの発言だと、高等学校の教職員がその現場に行くということを前提にしていますね、今の答弁は。しかし、この法律の改正案の中に、どこにそんな任務が新たに付加されていますか、そんな任務は付加されていない。学校の教職員が、自分が任命された学校内における校長の監督によって、自分の与えられた任務をやる以外に、何も関係のない企業の中にまで行って教育活動しなければならぬ、指導しなければならない任務がありますか。そういうものを前提にして、何かこの認定が公平にいく根拠があるものになり得るのだというように言いくるめ方では、私はこの個所から一歩も前進できない。もっとはっきりしてくれなければだめなんだ、わかるように答弁してくれなければ。高等学校長がたまたま遊びに行くとか、教職員がたまたま遊びに行って何か見ている、だからその認定は可能なんだ。こんなことでは子供だましであって、法案の重大な弱点を補うことにはならない。
○政府委員(内藤誉三郎君) この認定施設と当該学校とは、やはり一つの特別な関係が結ばれるわけでございます。当然、定時制の課程または通信教育の課程に就学する生徒だから、正式に技能者養成施設の生徒でございますから、自分の生徒でございますから、生徒の指導の関係で、それは学校が当然認定施設になれば連携がございます。そういう意味でですね。
○米田勲君 あなたは常識的なことを言ってもらっちゃ困るのですよ。われわれは法案の審議をしているのですから、法律の定めのないことを期待するのは無理ですよ。必要なことを法定化すべきですよ。そんな法定化していないものを根拠にして、こういうことがある、こういうことがあり得る、だからいいのだ、そんな論理は私は納得できないのですよ。どうも私の聞いている疑問点が明確にならないのですよ。私の聞いているのはこうなんですよ、高等学校長の権限の及ばないところで教育作用が行なわれる、いいですか、それは先ほどの大臣の答弁では、指定をするときに条件をちゃんとこちらできめて、その条件に適合したところを指定するのだからよろしいじゃないか。こう言うけれども、教育作用というものは、物理的な条件が整備しただけでは、学習が、高等学校の教科課程を履修しているという認定は簡単にはできない。そういう不見識なことはできない。物理的な条件だけ整備しておったらいいということにはならない。だから指定をするときの条件云々ということは、これは理由にならない、これがまず第一。 それから第二には、高等学校長の権限が及ばないところで教育作用が行なわれる、この教育作用によって行なわれた学習を高等学校長が認定をしなければならない、教科課程の一部を履修したという認定をしなければならない。一体認定ができるかということ、内藤局長の説明によると、学校とその企業所とは特別の関係があるなんて話ですが、男女の特別な関係みたいなことでは、法案の審議はできないですよ。特別な関係なんてどこに書いてありますか。特別の関係なんて、そういう主観的なことではだめなんです。法定化されたり、あるいは法案の中にその条件が盛り込まれているなら、これをたてにして答弁ができますよ。しかし、あなたの特別な関係だとか、あるいは緊密な連絡だなんていうことは、法案のどこを見ても書いてないから、私のこの質問が出てきた。そういう条件下において、一方的に高等学校長がどうして認定ができるか、認定のできない条件において認定をさせるということをこの法案はうたっているが、これは問題にならないというのが私の考えですよ。
○政府委員(内藤誉三郎君) 私が今申しましたのは、言葉が足らなかったので、大へん恐縮でございますが、校長は「文部大臣の定めるところにより、」この「定めるところにより、」ということで、今申しましたように、十分連絡を密にすることは規定するつもりでございますが、大体この認定施設をするのは、ある高等学校が特定な技能者養成施設と十分話し合わなければなりません。話し合って、話がまとまって、県の教育委員会から申請が出てくるわけでございます。そこで先ほど申しましたように、抽象的な表現ではいかん、こういうお話で、もちろんこの法律でも「文部大臣の定めるところにより、」と書いてございますから、この「文部大臣の定めるところにより、」という中に、十分今私が申し上げた趣旨は明確にいたしたいと考えております。
○米田勲君 私は納得できない。もしこういう法案を出すなら、法文上それを定めるべきですよ、それは重大なポイントですよ。そんな政令だとか、省令なんかできめたって、こういう重大な認定権を発動しなければならない高等学校長に権限の及ばないような法律にしておいて、そうして緊密に連絡だとか、打ち合わせしなければならぬのだとか、幾ら言っても、法律上何の効果もないじゃないですか。当然この法律を出すときには、高等学校長に権限が及ぶように認定する作用が誤りなきを期せられるように、権限を法定すべきだったはずですよ。そういうことを抜きにして、高等学校長に認定をさせるということについては、私はまだこの答弁には納得できない。何かを、きまりそうな話をしておりますが、それだってまだ試案でしょう。成案ではないでしょう。何かをきめるという、今僕に追及されたからそういうことを言っておるだけで、少なくも僕はこの法案を出す限り、そのような重大な点を落として案を出してくるというのは間違ってやしませんか。大体、学校教育法の建前からいっても、高等学校長の権限の及ばないようなところで行なわれている教育作用に、高等学校長が大きな責任を負わなければならぬような認定をするということは責任を負うことですよ、無責任なことはできないですよ。そういうばかな話はありますか。責任を一方に負わせるなら、そういう権限を与えるべきですよ。権限を与えもしないでおいて、責任だけかぶせるという、そういう法律は私は重大な点にミスがある。この私の主張は間違っておりますか。学校教育法の立場から考えてどうですか、私は言いくるめられませんよ、この点は。
○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほど米田委員も高等学校ならいいというお話があった。高等学校同士なら当然これはいいのだ、こういう御主張でございました。ところがそういう意味で、高等学校と同程度の認定をいたしますためには、私は内容にしても、施設設備にいたしましても、教員組織、資格等についても、大体高等学校以上という認定をして、実質的には高等学校とお認めいただけるのじゃなかろうか、そういう趣旨で、あとはどの程度認めるかという具体的な問題については校長に権限があるわけですから、その報告を十分見て、校長が認定することができる、こういう規定でございまして、来たものを全部認定するという趣旨ではございません。
○米田勲君 これは与党の諸君にも理解してもらいたいのだが、私はここをしつつこく聞いているのは、納得できないから聞いているんですよ。私はこの重大な点をあなたの言うような、あいまいなことではわからないんです。認定をするためには、その教育作用の及ぶ、行なわれているところに自分の権限が及ばなければならんでしょう。だれかのやっておったことを自分で認定だけはさせられる、そんなばかな話がどこにあるのですか。全く学校教育法の建前を破壊している。この一点についても、この法律はどうしたって、そこの企業内の教育作用、学習を、高等学校の学習の教科課程の一部とみなすことを認定させる、その認定権を学校長に与えるなら、当然その教育施設における教育活動に対して、高等学校長の権限が及ぶように、この法案を変えてこなければならない、そうでなければ、今の学校教育法の建前をくずすことになりませんか。これはお互いかけ引きなしに、まじめに考えて私はそう思うんですよ。学校教育法の今の立場を守らなければならぬというのは、私は文部大臣、文部省とわれわれと見解は同じだと見ているのです。その建前をあくまでもくずさないためには、高等学校長の認定権を発動させる、そういう責任を負わせるなら、当然その教育作用に対して権限の及ぶように法定すべきだ。片手落ちなことをして責任だけ負わしている。結局これはどういうことになるかというと、無責任な認定になるのですよ。そんな指定をするときに、こういう条件があった、こういう条件があったといって、途中で指定をぱっと取り消しますから、文部大臣、そんなことさえわからないのだ。一度指定してしまうと、そうするとそこに行なわれる教育作用というのは、物理的な条件がそろっておっても、ちっとも教育的な活動が行なわれない場合だってあり得る。それを校長は何の権限も発動できない。監督する権限の発動もない。法律的な根拠は何も与えられていないのに、持ってきたものだけは認定しなきゃならぬ。認定することができるとは書いてありますが、事実上これは拒否できますか、実際問題として。きわめて不備だと思いませんか。内藤さんだけに聞いておったのではわからぬから、大臣、これはどうなんですか。重大な点ですよ。
○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この制度は、申し上げるまでもなく、家庭の事情等によって義務教育だけを終わって社会人となった人、それを受け入れました企業体におきましても、あるいは労働省の技能者教育施設の目途とするところも同様だと思いますが、そういう家庭条件、個人のいろいろな条件があるけれども、本人の向学心もだしがたい点もございましょうし、企業体それ自体も、ひまを与えて勉強させたい、させることが、また企業体自体の希望するところにもかなうというところから、働いておる人々に向学心を満足させるという点を特に重視いたしまして、民間企業体であるならば、その職業訓練所で訓練しておる者が、定時制の高等学校に入学しておる、しかも、重複して教育を受けるということは、本人にとってもいわばむだなことであるし、時間を活用するゆえんでもないという点から、その企業体が指定して下さいと申し出をしまして、そのことが受けられて、先ほど来申し上げるような審査を経て、これならば物的、人的設備も、それからまた技能教育の課程内容等を見ても、よかろうと一応考えられたものが指定される。その指定というのは、一種の実質上の認可制度だと思いますが、その場合には、これはいわば文部省と当該施設者との間の公の契約の性質を帯びるかと思いますが、その指定します場合に、文部大臣の定めるところにより認定という、その省令が制定されるわけでありましょうが、その政令の存在も企業体は承知しながら、しかもそのほかに、指定しますときに当然条件がつけらるべき性質のものと思います。そういう条件と省令とをあわせまして、当然その企業体たるものが義務づけられる文部省ないしは学校長が要求します資料の提出、あるいは場合によっては現場を調査に行くということもあり得ると思いますが、当然にそういう一種の公法上の契約に基づいた義務づけが、企業体には負わされるわけでございますから、それと初めに指定しますときの設備なり教育内容なりが十分に監査されましたことに基づいて学校長が認定する、こういうことは、私は責任を持ってやれる条件は具備できるものと思います。ただし、お説のようにそのことを法律そのもので規定するのも一つの方法ではございましょうが、しかし、この立法案のように、今申し上げたような理論に基づきまして、企業体に、法律に明記したと同様の義務を負わせ、効果を上げ得るまた一つの方法であろうと存じます。
○米田勲君 せっかく文部大臣の親切な長い答弁がありましたが、それはあなたの常識論です。ここは法案の審議をやっているんですよ。私は、およそ教育というものは、現行法か、これからきめられる法律かに基づいて行なわれなければならぬという考え方です。その法律のどこにも書いてないことをたてにして、そうして、こうなるからいい、ああなるからいいでは、僕は納得しないんですよ。何度も同じことを二人とも言っている。それは単に、こうだろう、ああだろうという常識論なんですよ。もう一ぺん、私が重大な疑点を持っておるこの個所について、もっとそういう常識論でなく、法理論上一体これはどうなるんだと、学校長の立場というものは、認定という作用は一体とうなるんだと——そうして特に文部大臣に知ってもらわなければならぬのは、指定をするからいい、指定をするからいいってあなた何度も言うが、指定をするときは、教育作用を指定できますか。それはあくまでも物理的な条件が備わっているかどうかということだけなんですよ。それ以上のものではないでしょう。しかし、そういう物理的な教育の条件がそろっているからといって、学習がりっぱにできたなんということは即断できませんよ。学習というのは作用なんだから、その作用を認定しなくちゃならぬ。かつて指定を受けたことがあるから大丈夫なんだとそういうことでは、それは真に教育のことを考えておらぬ人の言い方だ。だからそういう答弁でなく、僕は委員長からとめられたからきょうは質問を続けませんが、そういう答弁ではここはまかり通らぬですよ。そういうことでは私は今後何ぼでも、この問題についてあらゆる角度から質問をして、納得させてもらいますから、しっかりしてほしい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) さらに次の機会にも十分お答えを申し上げたいとは思いますが、常識論とおっしゃいますが、文部大臣が法律に基づいて指定するということは、法律上の指定処分でありまして、法律に基づいた指定権限を与えられました文部大臣としては、認定が責任を持ってやれるような相手方に対して指定をすべきことは当然でありまして、しかもまた指定処分をやります場合の指定条件として、先ほど来申し上げているようなことを条件づけることは、これは法理論であり、法律上の制度論であると私は思います。
○米田勲君 文部大臣の言っているその規定はわかるのですが、これはそんなものは指定していない、それは一定の条件を具備しなければならぬというととは説明書きにも書いてある。私はそれを言っているのじゃない。これは、今、学校長の権限の及ばない範囲の教育作用ということを言っているが、この次には教育行政権が及ばない。私は今、学校長の話ばかりしているけれども、そういう教育作用を認定しなければならぬ。作用によって行なわれた学習を文部大臣指定をするときに、いろいろな条件が整備されておったら、それから何年間もずっと引き続いて行なわれる学習は、これはちゃんと高等学校の一部の履修が行なわれていると高等学校長は認定して差しつかえないのだ。見たことも聞いたこともないようなところに行って、出ない幕のところから出てきたものに認定するのだ。そういうことが法治国家において行なわれるということは、これは学校教育法を撹乱させることですよ。だから、私は文部大臣の言っている一部の言い分はわかる。私の言っているのは、そこが問題ではない。これはわかるでしょう。そういう答弁を、これでうまく答弁できるとしてまとめてきてもらっても困る。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御趣旨はよくわかるのでございますが、教育作用のことになりますが、私立学校でも条件の点で認可するわけでございます。具体的に、学校でありますけれども、教育作用は同じで、それを監督権の及ばないのに、転学は単位を認めておるのでありますから、その点は私御心配はないのではなかろうかと思います。
○米田勲君 これは学校じゃない。法律にいう、そこの辺を間違えてもらっては困ります。知っているでしょう、何もかも。学校じゃない。法律上学校長の権限は及ばない。教育行政権は及ばない。指定するときだけ及ぶが、あとは及ばない。だからあなたの答弁もピントをはずしている。ピントをはずした答弁では納得できない。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 指定の点は先刻御説明申し上げて一応御理解いただいたようですが、指定しますときの条件には、当然学校長にはたして指定され、かつ認定するに値するような教育活動が行なわれているかいないかの監査権限も私は当然与えてしかるべきものと思います。思いまするがゆえに、そういう条件をつけます。その権限に基づいて学校長は現場監査をする。その監査に基づいて認定することは私は合法的になし得るものと思います。
○米田勲君 資料要求のことをこの次の最後の段階に聞いたものでは、資料要求をしたのでは困ると思いますから、きょう要求しておきます。提案理由の中に、「その施設、設備、教員組織、指導内容等が、高等学校と同等以上と認められるときには、」と条件がついております。これが前提であります。そこで、こういうものが現実にどのようにあるか、具体的にあげて下さい。今どこの企業のどこに、そうしてその施設は高等学校設置基準と比べてこう、教員組織はこう、指導内容はこう、高等学校と同等以上というのですから、これは高等学校設置基準以上ということですから、そういうものは現実的にこの日本に企業内にどれくらいあるか、数だけでなしに、内容をどこそこの何、それはどういう条件か、これは条件以下だけれども、ここまでそろっているというのもある、そういう資料をなるたけ詳しく、一つ何個所ありますなんとかというのは困りますから、前もって要求しておきます。
○矢嶋三義君 本案件について、私は次回に質問させていただきますが、その質問をするに当たって、必要な資料を四つ要求いたしますから、準備していただきたいと思います。その一つは、国立、公立、私立に分けて通信制の課程、定時制の課程、この現状がいかようになっているかということがわかる資料、学校数並びに生徒数を明記していただきたい。そうして、その資料の中に次の要素を入れていただきたい。それは、通信制並びに定時制の課程の高等学校について、都道府県によってその関心度に非常にアンバラがあるわけですね。だから、都道府県別にその都道府県の関心度がわかるように表を作っていただきたい。特に定時制課程の項で、最近定時制の課程というと夜間に限定しまして、昼間でも地域によれば定時制課程が必要であるのに、昼間の定時制をほとんど全廃して夜間のみに依存しようという傾向が非常に現われております。私はそう思っているのですが、そういう点、実勢を把握いたしたいので、定時制課程の中で昼間のはどの程度あって、夜間のがどの程度あるかということがわかるような資料、そういうような資料にしていただきたい。それから第二の資料としては、国立、公立、私立に分けて、広域の通信制課程を現在やっているのはどの程度あるのか、その現状がわかるような資料。第三番目は、「盲学校、聾学校、養護学校または特殊学級において教育することが適当な児童、生徒の範囲を明確にし、」と提案理由にあるのですがね。「明確にし、」と提案理由にありますが、その基準を持っておられると思います。だから、その範囲を明確にする標準といいますか、基準といいますかね、そういうものを文書で出していただきたい。そうして最も最近の文部省の持っている数字として、この教育することが適当な児童、生徒がどの程度いるのか、最も新しい数字を表にして出していただきたい。そうして、それぞれの就学率ですね、盲、聾、養護、特殊学級についてどの程度であるか、最新の資料として日付を明記して出していただきたい。最後にして四番目の資料ですが、それは、この通信教育課程の学生の教科書代ですね、教材費、そういうものが現在どのくらい負担になっているのかということです。それからこの法案と直接関係ないのですが、第一番目に要求した資料と関連あるからお願いしておきたいのですがね、それは大学で今通信教育というものをよくやっていますね。あれは私はこれは学校教育法を見る範囲内では、大学で通信教育云々ということは書いてないのですがね、高等学校は通信教育はあると書いてある。それからまた大学のところで、大学では夜間で教育することはうたってある。しかし、大学でこの通信教育ができるということは学校教育法の中にうたってないように思うのですがね。それはあるのかないのかということと、もしありとするならば、現在のわが国の大学教育のレベルにおける通信教育の概要がわかる資料を出していただきたい。それは高等学校の通信教育が重点になっておりますから、だから直接関係はありませんが、大学に結びつきますので、大学の通信教育というものの現状がわかるような資料を出していただきたい、よろしゅうございますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) はい。
○岩間正男君 資料要求。第一に、高校と同等以上の民間企業内訓練所、この訓練所の教育内容と時間数、教科内容、これがわかるような資料を出していただきたい。(「それは米田君がやった」と呼ぶ者あり) 第二には、企業内訓練所で訓練を受けている人数、それからそのうち高校に通っている数は幾らか。 それじゃ第二の方を生かして……。
○委員長(平林剛君) 各委員の資料の要求について政府側からお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(内藤誉三郎君) お求めになった資料は全部提出いたします。ただ矢嶋委員の大学の通信教育の法令でございますが、学校教育法七十条によりますと、四十五条を準用しておりますから、高等学校の通信教育をここで準用しておりますので、大学においても通信教育ができるのでございます。
○矢嶋三義君 何条を準用しているのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 七十条でございますが、四十五条を準用しております。
○矢嶋三義君 七十条で……。
○政府委員(内藤誉三郎君) はい。
○矢嶋三義君 なるほど、やっぱり落度はないわけですね。
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は本日のところ、この程度といたします。
○委員長(平林剛君) 次に、学校図書館法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○豊瀬禎一君 文部大臣にお尋ねいたしますが、教育関係諸法律、諸法規の中で、本法に定めたものを付則等で免除しています。こういう規定があると思うのですが、こういう定めは、本法の精神からして当然早急に排除さるべきであると考えますが、大臣の見解はいかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 仰せの通りの性質を持つものと思います。付則等で、いわば経過的に理想状態まで到達するのに間があるという認定のもとに付則で緩和しておる場合のことかと思いますが、当時の付則が立法されました当時の条件が変化しておる限りにおいては、それに応じて理想の方向に、本法の方向に歩みを進めていくべきものと思います。
○豊瀬禎一君 教育関係の諸法律あるいは規定の中に本法の定めた付則等で、ただいま大臣の答弁のように、経過的に何年間か、あるいは「当分の間」という用語のもとに、それの実施を排除しておる規定は幾条項ありますか。これは内藤さんでよろしい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 私も全部覚えておりませんが、たとえば養護教諭の問題がございます。
○豊瀬禎一君 事務職員は。
○政府委員(内藤誉三郎君) 事務、職員については、これは「置くことができる。」となっておりますから、別に排除しておりません。
○豊瀬禎一君 学校教育法二十八条では「置かないことができる。」と書いています。こういう法律がいろいろあった。あるものは年限を定め、免許法等においては年限を定めたり、あるいは「当分の間」という用語を使っておりますが、それぞれの法律に関して、いつごろまでにこれこれの当分の間等の免除規定を排除しようという計画を文部省としては持っておりますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) なるべく早く解消したいのでございますが、御承知の通り小中学校とも生徒急増の山を迎えましたので、すし詰め学級の解消を当面の急務としておりますので、昭和三十八年度に一応中学校の急増が整備されますので、その後におきまして早急に年度計画を立てましてこれを完全に実施したいと考えております。
○豊瀬禎一君 理由はわからないではないのですが、私が率直にお聞きしたいのは、当分の間そうしないでよろしいという規定の個々について具体的な計画を持っておるのですか、いないのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) ある程度の具体的な案は持っております。
○豊瀬禎一君 その一、二について御紹介下さい。
○政府委員(内藤誉三郎君) まあ、今ここでちょっとお述べするのは差し控えたいと思いますが、また豊瀬委員によく御懇談をいたしたいと思っております。
○豊瀬禎一君 私が文部大臣であれば、残念ながらその計画を持っておりませんと正直に答えるところですが、たとえば「事務職員を置かないことができる。」あるいは養護教諭の問題、これから質問を行なおうとする図書館法等、こういう個々の当分の間の排除規定に対しては、やはり文部省としては具体的に個々の規定については、いつごろまでに予算措置をこれこれするとか、あるいはいつごろまでにこれを排除する、こういう具体的な計画を持つべきだと思う。 そこで本法に入りますが、具体的な、図書館法の付則2の「司書教諭を置かないことができる。」少なくともこの問題については文部省の見解をはっきりお聞きしたいと思いますが、この規定をいつごろまでに削除するとか、あるいはこの規定の定めにもかかわらず、具体的にはこの規定が必要がないように完備さしていくとか、こういう計画が文部当局にありますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 司書教諭につきましては、司書教諭の講習もいたしておりまして、現在一万八千人ほどの養成もいたしておりますので、これは教員で兼務でございますから教員をもって充てることができるという立場をとっておりますから、できるだけ、今ちょっとここで年度計画を持っておりませんが、なるべく早く司書教諭が各学校に置かれるようにしたいと思っております。
○豊瀬禎一君 学校図書館法第三条の実施状況といいますか、現状について全国的な小中校の把握がありましたらお知らせ願いたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在、司書教諭で兼任しておるという数字は私ここに持っておりませんけれども、数は千人くらいではなかろうかと思っております。
○豊瀬禎一君 お互いに長時間審議しておるから疲れておりますから、ただいまのような間違った答弁が出てくると思いますので、質問を終わりたいと思いますが、私のただいま質問したのは、図書館法第三条の実施状況で、図書館を置かなければならないとなっておるが、どうなっていますかという質問です。
○政府委員(内藤誉三郎君) 学校図書館につきましては、全国ほとんど全部が学校図書館または図書室を整備いたしております。
○豊瀬禎一君 小中校別に正規の図書館施設を有するもの、その他のものを併用しておるもの等、あるいは図書館の広さ、蔵書等に対して小中校別の資料がございますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 最近のものをできるだけ早く整備いたしまして提出いたしたいと思います。
○豊瀬禎一君 次に、先ほど間違って御答弁された司書教諭あるいは教諭ではないけれども、PTA会費等から何らかの名目をつけて図書館の業務に従事させておると思いますが、これらの正規の司書教諭でない者の報酬とか数とか、あるいは給与、身分等について現状把握がありましたらお知らせ願いたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) PTA等でやっておりますので、私どもも明確には把握しておりませんが、大体その数は四千人ぐらいと記憶いたしております。給与の方はあまりよくないと聞いております。
○豊瀬禎一君 全国つまびらかにこれを把握するということは、あるいは困難なことかとも思いますけれども、文部省として把握できる程度の、低いところ、あるいは平均のところ、高いところ等、今指摘しました人々の給与等に対する資料の提出をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(内藤誉三郎君) 承知いたしました。
○豊瀬禎一君 最後に一つお尋ねしたいのですが、冒頭に指摘しましたように、図書館は置かなければならない。司書教諭も置かなければならない。これを当分の間ということで削除しておりますが、図書館教育の重要性、あるいは学校図書館法が制定された趣旨から考えて、図書館の設備あるいはそれに携わる職員等の現状、あるいは身分、給与等は概して好ましい状態にあるかどうか。このまま放置しておって学校図書館法制定の趣旨、あるいは図書館教育の目的が達成されるかどうか、大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 詳しく実態を私自身承知しませんが、先ほど来の質疑応答等を通じまして、いろいろな面でまだ十分でない点があるように承知いたしたわけであります。なるべく早く学校図書館法の目ざす方向に向かって努力して参りたいと思います。
○豊瀬禎一君 私どもが矢嶋委員を中心として提出しております図書館法の改正に対して、現況から大臣は必要な措置であるという見解ですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん、そういう意図をもってお考えになったわけでございますから、方向としては私も同感でございます。
○豊瀬禎一君 私の質問はきょうはこれで終わって、資料の提出を待って再度質問をいたしたいと思います。
○安部清美君 図書館教育の問題は、これは私どもも非常に重要な問題だと思っておるのですが、新しい教育の観点からも学習活動の面からいっても、図書館の重要性を私どもは認めます。だが、今豊瀬委員が文部当局に質問された数の問題、これは提案者も一応御準備になっておるはずだと思います。図書館が今日どういう状態になっておるか。司書がどういう状態になっておるのか。司書助教諭を置かなければならないような根拠になっおるもの、これを御説明願いたいと思います。
○矢嶋三義君 提案理由にも書いてありますように、提案者としては、この図書館は約九〇%程度設置されておると、かように把握をいたしております。それからこの司書教諭を置かなければならないとなっているわけですが、御承知のごとく、付則二項で特例措置として当分の間置かないでよろしいとなっているわけです。このことと、小学校児童五十六人について教職員一名、それから中学校生徒五十四人について一名という基準がありますので、司書教諭の有資格者はかなりいるのですけれども、専任として任命していないわけです。ところが、各学校九〇%程度図書館がある。ところが、そこに働く人がいないわけです。だから、今の学校図書館で一番大きな問題は、適格な図書館で働く人間を得るという一語に尽きると思っております。 そこで現状はどうかと申しますと、文部省は先ほど数を四千名程度と言っておりましたけれども、私たちとして持っている数字は、高等学校で約五千名、小中学校で約四千名、合わせて約九千名が学校図書司あるいは補、事務補佐等の名前で働いているわけです。そうしてそのうちの約七〇%の人がPTA人件費負担になって、給与としては大体四千円か五千円のポケット・マネーしか受けてないわけです。そこで地方財政法がこの四月一日から改正施行されまして、そういう図書館に勤めている職員の人件費は、PTA負担であってはいけない、公費負担にしなければならない、かように相なったわけでありますけれども、それに基づいて地方財政計画で約八億円の人件費が学校図書費、それから給食調理費等を対象として積算されましたけれども、現実においては公費負担に、公務員への切りかえができていない現状であります。図書館の必要性という点については、先生の御意見と全く同感でありまして、そこで発議者としましては、とにかく図書館に適格な公務員を確保したい、そうして適正なる給与を与えたい、しかも、それは大した国家の予算を必要とするのではないから、ぜひとも同僚皆さん方の御同意を得て成立させたい、かように現状を認識し、念願をいたし、この法案を提出いたした次第であります。もう一御質問でございますからお答え申し上げておきたい点は、私どもの案では御承知のように小中高等学校の図書館で働いている人は、生徒、児童と常に接触しますので、その生徒、児童の人格形成にも影響を与えるから、単に図書司という事務員としてだけでなく、願わくは教育公務員としての教養を持ってほしいという意味で、法案に書いてありますように司書助教諭という職種を設けて、そうして司書助教諭、司書教諭で図書館業務をしていただこう、かような立場で立法いたしました。しかし、学校図書館に非常に関心を持っている団体あるいは有識者間には、そういう教育公務員としての司書助教諭制がしかれないならば教育公務員でなくてもよろしいから、せめて図書館で働いている教育公務員という身分扱いにして適正なる給与をしていただきたい、こういう意見も民間にあることは事実でありますけれども、私ども発議者としては前者であります。
○岩間正男君 私は時間の関係からこの質問はあとでゆっくりやらしていただきたいのですが、ただ提案者の提案理由の説明は一応聞いたわけです。しかし、これについて詳しい説明があると思いますので、きょうはその程度で説明しないでおいていただいて、それをもとにしてあす質問をする。ぜひあなたの方で十分説明をしておきたいという点がありましたら追加していただきたい。
○矢嶋三義君 ぜひ説明をし、先生方に御研究をいただいて御審議いただきたい点は、先ほど申し上げたことなのですが、いかにして学校図書館にりっぱな人を確保するか、それから適正な給与を与えるかというこの一点が、政党、政派を越えての最大公約数と思います。分かれるところは、小中高等学校なるがゆえに、私どもが条文化しておりますように司書助教諭、司書教諭という系列をとるか、それとも司書教諭は法にあるから、図書館に働く職員はあえて教育公務員でなくても、たとえば学校司書、あるいは学校司書補という名目で、教育公務員でない公務員でよろしいのではないかというような意見もあろうかと思いますが、いずれが適当であるか、いずれによって学校図書館の充実、発展を期せられるかということが、私どもの立場から考えている一番のキーポイントでありまして、先ほど申し上げましたように発議者といたしましては、前者の教育公務員という制度をとるのが適当で、これで行ないまして、大体法案にも書いてありますように平年度において約一億円という程度の予算と、かように見込んでおります。その程度で学校図書館の充実ができるならば非常に幸いだと、こういう見解を持っているわけでありまして、この法案についても、皆様方のいろいろ御批判があられようかと思いますが、そういう角度で一つ御研究、御審議をいただきまして、この国会でぜひ一つ成立できるよう御配慮いただきたい。しいて申し上げたいことはこれだけであります。
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、本日のところはこの程度にいたします。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十三分散会 —————・—————