文教委員会 第22号
- 発言数
- 341 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/04/25
会議録
○理事(豊瀬禎一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 本日は、委員長所用により不在のため、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。 なお、ただいま委員の異動がありましたので、御報告いたします。 二見甚郷君が委員を辞任され、その補欠として、平島敏夫君が委員に選任されました。 以上であります。 —————————————
○理事(豊瀬禎一君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき、御報告いたします。 開会前、理事会を開き協議いたしました結果、本日は、まず、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進め、これを議了し、次いで、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について審査いたして参ることに決定をみました。 以上、理事会決定通り取り扱って参りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(豊瀬禎一君) 御異議ないと認め、さよう進めて参ります。 —————————————
○理事(豊瀬禎一君) それでは、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。千葉千代世君。
○千葉千代世君 私は、日本育英会法の一部を改正する法律案に関連しまして、まず、当面の問題につきまして、育英会長にお尋ねいたします。 ただいま日本育英会の職員の方々がべースアップを要求しているようでございますが、それに対しまして、会長さんはどのように対処していらっしゃるか、現状を説明していただきたいと思います。
○参考人(田中義男君) 職員の給与のべースアップにつきましては、組合の方からその要求を出しております。私の方といたしましては、財政上の問題、あるいはまた他の団体等との比較等も十分検討いたしました上で処置をいたしたいと、かように考えているのが現状でございます。
○千葉千代世君 他の団体と申しますと、たとえば私学振興会とか、共同で要求していらっしゃいますね。そういう全部の方との関連においてお考えになる、こういうわけでございますか。
○参考人(田中義男君) 関係の団体との検討も必要だと思います。また、その他先般この議場でも言っておりますように、いろいろの他の団体等につきまして、広く給与べースの点を検討いたしました上で考えたいと、かように思っております。
○千葉千代世君 それでは、他の団体がベースアップの要求をいれれば育英会もいれると、こういうわけでございますか。
○参考人(田中義男君) 私どもだけで、これは単独に決定するわけには参りません。自己自身の予算の関係もございますし、また、国との関係もございますので、それぞれの手続を経、処置いたしませんと、育英会だけでどうするということは、実は権限上もできないことになっておりますので、十分検討いたしたいと、かように申し上げているわけでございます。
○千葉千代世君 共同で要求していると、そういう団体の方々の話を聞きますというと、今の育英会長の答えのように、いずれも他の団体と見合わしてきめるといって、その所属している、自分が長としての考えをはっきりお出しになっていない、そうすると、お互いによりかかり合っていっておって、さっぱり解決の糸口がないのじゃないかということが感じられますので、そういう意味で、育英会長さんとして早急にこの問題に対して、よその方はこうだろうけれども、育英会としてはやはり民間賃金との格差とか、それからお仕事をしていらっしゃる内容とか、非常に骨が折れるわけですね。賃金も少ない、こういう中で、それでは自分の所属しているところでは一つ早いうちにこういう案を出そうという、こういうお考えはございませんか。
○参考人(田中義男君) 他の団体のことは一応参考として調査をいたしておるのであります。むろん育英会は育英会としてのまた独自の判断に従って、そうしてその措置を検討いたしたい、かように考えております。
○千葉千代世君 その独自の判断をする材料ですね、どういうことですか。たとえば育英会の中の人件費について、少ないとか、あるいはこのくらいならできるとかいう判断の材料がございますはずですね。それを明らかにしていただきたいと思います。
○参考人(田中義男君) 私の方の職員の、まあ職員構成と申しますか、いろいろそれぞれの経歴を持ち、また、職務の性質もいろいろございます。で、それらをも十分検討いたしました上に給与はきめるべきものだと思います。それには、先ほど来申しますように、むろん他との関係も考慮しなければなりませんけれども、しかし、私自体として、いかにあるべきかという判断はわれわれにおいて下して措置をすべきものだと、かように思っております。
○千葉千代世君 もう少し具体的にお答えいただきたいと思うのですが、たとえば要求に対して全部いれられるか、あるいはその希望に沿うようにどのくらいの努力、処置をしていくかという、こういう点についてお答えいただきたいと思います。
○参考人(田中義男君) 現在の要求はかなり実情よりも高いものを要求いたしておる。で、それが直ちに受けられるというふうには考えられませんので、漸進的に、実際上可能な程度がどの程度であるかというふうなところに目安を置かなければならないようにただいま考えておるのであります。
○千葉千代世君 その可能な程度という額はどのくらいでしょうか。一応の目途を知らしていただきたいのです。
○参考人(田中義男君) それはまだ私申し上げる程度の結論を得ておりません。
○千葉千代世君 それではいつごろそれが申し上げられる程度になるのですか。
○参考人(田中義男君) はっきりいつということは申し上げかねますけれども、私は最近の状況からいたしまして、特にこの給与問題には、ただ単に自分で主務を持ちながらの片手間に処置をするということでは、とうてい適当でありませんので、特にそのために専心検討をする、研究をする人を置きまして、そうしてできるだけ具体的にこれの検討を進めていくような措置を、ただいまとっておるところでございます。まあなるべく早く結論を出すようにはいたしたいと考えております。
○千葉千代世君 私学振興会の方々もやはり要求していらっしゃるようですけれども、会長さんの方では、やっぱり民間との賃金も非常に低い、かなり差があるのですね。一つ希望に沿うように努力するというふうに向いているようでして、そういう共同で要求した中で、これは当たっていなかったら大へん失礼になりますけれども、日本育英会の方では、育英会の会長さんががんとしてそれに反対しているということを聞いたのです。現に育英会ではほかの方よりも平均四千円ぐらい少ないそうですね、賃金が。お調べになったことはございましょうか。他の法人の俸給の現在の平均よりも育英会の方々の方が大体四千円くらい低い、そういうふうに伺ったのですけれども。
○参考人(田中義男君) 他の団体の平均よりも四千円低いとは私承知いたしておりません。われわれよりもむろん他の産業省等の団体、公団等で、よほどそのトップ・レベルの、いい所はあるいはそうかもしれません。けれどもいろいろ調べてみると、われわれよりもまた少ない、かなり低い団体もかなりある。で、それらを考えてみると、私の方はまず中位じゃないかと実は考えておる程度でございまして、平均四千円低いというふうには……、ちょっと私は数字を持っておりませんが。 —————————————
○理事(豊瀬禎一君) ただいま委員の異動がありましたので御報告いたします。 安部清美君が本委員を辞任され、その補欠として野上進君が委員に選任されました。 以上であります。 —————————————
○千葉千代世君 そのいろんな団体の中で、育英会長さんが頑強にベースアップに反対すると、こういうふうに伺っているのですが、それは間違いでしょうか。
○参考人(田中義男君) 特に私が頑強に反対しているということはございません。
○千葉千代世君 ございませんか……。反対しているということはないけれども、非常に消極的で、さっぱり漸進させるという道を開いてくれないというふうにとってもよろしいですか。
○参考人(田中義男君) それも少し誤解、たと思います。
○千葉千代世君 それじゃ、この点はこれでやめたいと思いますけれども、やはり民間の賃金の差、他の法人との関係その他の中で、非常に賃金も低いので、この育英会法が通って、そうしていい運営をしていくために、そういう方々の一番の協力がなければならないと、こういう観点から、幸いに反対しているということはうそだということがわかりましたので、早い機会に要求に対して、よりよい努力とよい回答が出ますように御努力いただきたいと思いまして、この質問を終わりまして次に進みます。 日本育英会の運営の中で一番問題になっている点、今後こうしていきたい一もちろん問題になっている点かあって、文部省その他でもってこの改正案をお出しになったのでしょうけれども、この改正案のほかに問題になっている点がございましたらあげていただきたいと思うのです。具体的には返還の処置とか、それから、もっと文部省の予算をたくさんとって育英会の方に出してほしいとか、こういうふうな問題点がございましたらあげていただきたい。
○参考人(田中義男君) 育英事業につきましては、現在かなり拡充されてきておりますけれども、なお人数の点におきまして狭き門である、こういうふうに言われておるのであります。特に大学よりも下級の学校におきましてその必要が多いようでございます。従って、現在の数よりももう少し人数においてふやしてくれという声がかなり強うございまして、これも一つのわれわれ問題といたしております。次に、現在の月額単価でございますね、これも高等学校におきまして一般貸与は千円、大学におきまして月額二千円または三千円、この月額はすでに数年前の単価でございまして、現在のこの一般経済状況等からいたしまして、これはあまりに低過ぎるので、いま少しこれは増額してもらいたい。ことに高等学校についての千円につきましては、かなり強い増額要求がございまして、これらについては、われわれも実情まことにもっともだ、できるならば増額をはかりたい、また、希望いたしておるのでございます。
○千葉千代世君 文部大臣にお尋ねいたしますが、ただいま育英会の会長から、もっと人数をふやす問題とか、あるいは月額の費用をもう少し多くしてほしいとか、単価を上げてほしいとか、こういう問題点を持っているということでございますが、文部大臣は、これに対して来年度の予算あるいは今後のこの運営について、どのようなお考えを持っておりましょうか、数をふやすことと単価を上げることについて。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 検討を加えたいと思います。その方向はむろん仕事量に応じる適正な員数であり、また給与も他の類似の機関等との関係もにらみ合わせて、向上させるという方向の方向づけを念頭におきまして検討したいと思います。いずれにしましても、公務員の給与の改善は、御案内の通り人事院の勧告を待って行なう慣例でもございます。そういう関係もむろんございますが、方向としては、今申し上げたような考えで努力したいと思っております。
○千葉千代世君 次に、お尋ねいたしますけれども、ちょうど三十五年の九月三十日現在で、育英資金を借りて返した収納率が五六・八八%、こうなってだんだん収納率はよくなっていると、こういうふうに伺っておりますけれども、まだ返せない人たちがございますですね。そういう人たちに対してどのような処置と、それからこの収納の見通しをお持ちになっていらっしゃいますかどうか答えていただきたいと思います。
○参考人(田中義男君) 昨年はかなり成績が上回ってきておりまして、当初、昨年度の返還目標額をも少し上回る成績を上げております。しかし、お話のようになお延滞をいたしておるものが多いわけでございますので、従って、本年度から特に返還機構につきましては、お陰をもって支所を設置をして、そしてその地域における返還収納率を上げることを逐次努力することにいたしております。なお手段、方法等におきましても、単に文書連絡による督促をさらに一歩進めまして、これも予算面において認められましたあの外務員制度を採用いたし、そして個々に面接によって指導的に集金をしていく、こういうふうなことも拡充して参りますし、なおそれでも悪質にして返還の誠意がないようなものにつきましては、よほど慎重なる検討、手続を経ました上で、あるいは行政措置をも講じなければならぬかと、かように考えまして、機構においても、回収方法等においても、これを強化いたしまして、そして延滞の解消を期する、こういう考えで進めて参っております。
○千葉千代世君 再三の質問で、私どもの考えは明らかにいたしましたように、やはりこれは貸与ではなくて給与への方向を私どもはとっていきたいと、こういう考えでおりますが、当面、貸した金が返らないということについては問題がございますので、その中でどうしても病気であったり、貧困とか、いろいろな事情で、だれが見ても返せない。こういう人に対してはやはり免除の幅を拡大していくような処置を講じていただきたいと、こう考えております。 時間の都合上進めたいと思いますが、次に、この法律が通過したあとの問題点、たとえばこの法律が適用される人たちはいいのですが、されない方、すでに卒業して社会に出ている方ですね。その方々がずっとこれから長い問返していかなければならない、こうなっておりますが、それについて免除の方法等考えたことはございませんか。つまり、この法律が通って適用される方とそうでない方々との差がございますわけですね。それについてどのようにお考えになりますか。
○参考人(田中義男君) これは非常にむずかしい問題で、私どもも実際問題としてずいぶん苦慮いたすところでございますけれども、これは文部省においても御検討になって処置せられましたように、原則としてはやはり不遡及、これは前回の義務教育の場合にも、あれは三年間さかのぼっていますけれども、しかし原則としては不遡及、こういう建前をとっておったようでございます。従いまして、今回も不遡及という原則に基づいて処置せざるを得ないような実情でございまして、この法律案で採用されたことが適当だと言わざるを得ないようでございます。
○千葉千代世君 すでに卒業して、これから返す時期に入っている方々については、やはりこの法律が適用される方と比較して、不均衡のないように、たとえば全額免除というものも、これはなかなか問題でしょうけれども、とりあえず二分の一ぐらいを免除していただきたいと、こういう考えを持っておりますが、これは全然望みはございませんですか。
○参考人(田中義男君) これはいろいろ政府の御方針、御政策等にも関係するわけでございまして、私はっきり申し上げかねますけれども、部分的に免除するにしましても、これはすべて法律に基づかなければならぬことで、むずかしいのではないかと思います。
○千葉千代世君 それじゃ文部大臣にお尋ねいたしますが、今、育英会長は法律に基づかなければむずかしいと、こういうことをおっしゃったのですが、政府の方としては、将来あるいは現在でも、この二分の一あるいは三分の一でもいいし、全額免除ならなおいいわけなんですが、返還免除の方向についてどのように考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御質問の点につきましては、先般、当委員会で矢嶋さんからも御質問がございましてお答えを申し上げましたが、また今、田中育英会長から話がありましたことと同様でございまして、原則は、やはり法律は遡及しないという建前を貫くことが適切じゃなかろうかと思うわけでございます。むろん人情論と申しますか、実際問題としては、その境界線、ボーダーラインにある人は気の毒だという気持はむろんいたしますけれども、これは一般にこういうふうな新しい制度が開かれます場合には、常につきまとう問題でございまして、やむを得ないこととして遡及させないという建前でいくことがより適切であろう、こういうふうに考えているわけでございます。
○千葉千代世君 まことに残念でございますが、これはやはり現在の方と前に受けた方と不均衡でないように、何らかの措置を講ずべきではないか、こう考えております。 それから、次に文部大臣にお尋ねいたしますけれども、御提案になりました法改正の中に、大学を卒業した者たちが、今までは義務制については免除だと、こうございましたですね、その中に幼稚園を加えていただきたい、こう考えているわけです。と申しますのは、たとえば短期大学を卒業なさって、小学校、中学校にお勤めになった、あるいは幼稚園にお勤めになった方と非常に差があるわけです。幼稚園にお勤めになった方は給与あるいは退職金、恩給等々について非常に不均衡だ、少しでもそれを是正していきたい。あらゆる面から直していきたい中の一つとして、この育英会から借りた資金の免除という点について、これは非常に差があるわけです。差があると申しますよりも、全然ないわけです。ぜひこれは加えていただきたいという考えを持っておりますけれども、文部大臣はそれについてどのようにお考えですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 幼稚園教育が教育の一環として、実質上非常に重要であることは私もわからないわけではございませんが、ただ遺憾なことには、幼稚園制度そのものがまだしっくりいたしておりませんで、御案内の通り、全国的にみれば種々雑多と申しますか、整備されておらない。ですから、今後、幼稚園制度そのものをもっときっちりすることが先決問題で、その上に立ってお話のような趣旨を広げていく、順序としてはそういうことではなかろうか、かように今考えているところでございます。
○千葉千代世君 もう一つは中学校の問題でございますけれども、大学院を卒業して、そうして免除の特典を受ける中に、今度は高等学校まで延ばされたわけです。私どもとしては、これは中学校まで延ばしていただきたいということを考えているわけです。これは申し上げるまでもございませんけれども、専門科目の問題、あるいは教育行政上、中学校と高等学校のおのおのの生徒の増減によって、教育行政上人事の交流をするわけです。そうすると、高等学校におった者が今度中学校に行く場合もございますし、中学は、まあ今度は生徒がだんだん減っていく場合に、また高等学校に、もとに返すとか、こういうふうに暗黙の話し合いの中で人事の交流を持った例がたくさんございます。そうしますと、これは本人が好むと好まざるとにかかわらず、行政上、中学に行く場合もございますので、この点についてぜひ中学の教諭の方々にこれを適用していただきたいと、こう考えているわけです。それについてどのように考えておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大学院を終えた人が中学の先生になった場合にも適用すべきじゃないかというお説でございますが、私どもこの原案を提案し、御審議願いますまでの考えは、むろんそのことも必要であるということは考えたわけでありますが、現実問題としては、大学院の本来の趣旨が中学の先生になることを本来目的としていない、また実際上のケースもきわめてまれな例外的なものであって、数の上からいえばほとんど考慮の余地がなかろう、こういう前提のもとに、抽象論としては御説ごもっともだと思いますが、この現実に立ってこの際は必要じゃなかろうと、かように考えておったわけでございまして、趣旨そのものは幼稚園の場合とは違いまして、実質的には当然なことであろうかとも思うわけであります。
○千葉千代世君 これで質問を終わりますけれども、再三申し述べましたように、やはり日本の国の責任として、将来の子供たちが安心して勉強して、その特質が生かされて、それが国家の役に立つと、こういう観点から、これが貸与でなくて早急に給与の方向に進んでいくべきじゃないだろうか、今世界各国の例も調べてみましたけれども、やはりその国の青少年が国家に信頼をして、安心して勉強していくと、こういう中で給与によって、非常に強い希望を持ってくるし、国としても大きな愛情を子供の一人々々に注いでいく、こういう観点から憲法の精神を生かしていかれるべきじゃないか、そういう意味で、私は貸与でなくて給与制度への切りかえというものを強く要望いたしまして質問を終わります。
○矢嶋三義君 二、三点明確にしておきたい点がありますので、簡単にお答え願います。 大学卒業者が高等学校の教諭になると、大学四カ年間に受けた奨学資金は免除になりますね。お答え願います。
○説明員(西田亀久夫君) その通りでございます。
○矢嶋三義君 大学院卒業生が高等学校の教諭になる、その大学院の卒業生の大学の四年間の奨学資金は免除にするつもりですか、しないつもりですか。
○説明員(西田亀久夫君) 現在まで、大蔵当局との協議の段階におきましては、最終の課程を卒業するその人間をその最も望ましい職業に誘致するという趣旨からいえば、最終課程の奨学資金だけを免除すれば足りるのじゃないかという意見がございまして、その点につきましてはまだ結論を得ておりません。
○矢嶋三義君 では、今の段階ではあなた方としては大学院の修士課程二カ年間を修了して高等学校の教諭になった場合には、修士課程の二年間分の奨学資金だけを免除すると、こういう考え方ですか、今のところ。
○説明員(西田亀久夫君) そのようにすることがこの免除制度の性格として妥当であるか、それとも大学のものもあわせて免除することが適切かどうかにつきまして、政令のきめ方を関係当局と十分協議いたしたいと思っております。
○矢嶋三義君 文部大臣に伺っておきますが、説明員の答弁は矛盾していると思うのです。大学院を卒業してその修学目的に云々ということならば、高等学校の先生が免除になってきたのですから、だから大学院の二年の修士課程を経て高等学校の先生になった場合には、大学院の二カ年しか免除されないというのではこの立法の精神に反すると思う。だから大学院の修士課程二年を卒業されて高等学校の教諭になった場合には、大学と大学院の奨学金を当然免除するように、この政令をかようにしなければならぬと思っておりますが、大臣の御見解を承っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私もお説に賛成でございますが、現実問題は大蔵省との折衝でなかなか難航しております。金をなるべく出したくない方と、なるべく出してもらいたいという側との折衝でございまして、事実問題として今後の折衝の努力の成果に譲りたいと思います。
○矢嶋三義君 田中会長に念のために伺っておきますが、私の所論は筋が通っておりますね。
○参考人(田中義男君) ただいま文部大臣のお答えになった通りだと思います。
○矢嶋三義君 念のために伺っておきますが、修業後一定の期間内というのは、一年以内に就職してやはり二年間、大学卒業者にしろ、大学院修士課程の卒業者にしろ、二カ年以上職にあった場合、かようにお考えになっていると思いますが、念のため伺っておきます。
○説明員(西田亀久夫君) この法律にあります「一定年数以上継続シテ」というのは、現在の政令ではいずれも勤続二年以上という意味でございます。そして政令には、さらに卒業後その職につくまでの期間が修業後原則として一年以内、特別事情がある場合にはさらに一年延期して二年以内にその職につけばいいという規定になっております。
○矢嶋三義君 私の伺っているのは、その二という数字を動かすお考えがあるのかないのかということを伺っているのです。
○説明員(西田亀久夫君) 免除を受けるために、その貸与を受けた期間の何倍を在職しなければならないかというその倍率につきましては再検討するつもりでありますが、最低二年間以上ということはやはり必要だと考えております。
○矢嶋三義君 最後の質問ですが、文部大臣に伺いますが、この前私質問してどうしても納得できないからもう一ぺん伺っておきます。労働省所管の中央職業訓練所、ここに勤めた人は私は免除さるべきだと思う。まず、文部大臣の見解を聞く前に労働省の政府委員の見解を聞いておきます。と申しますことは、昭和二十九年文部省告示第八十九号による免除されるのを見ますと、防衛庁の防衛大学校が入っているし、海技専門学院、海上保安庁の海上保安大学校も入っている。さらに具体的問題に例をあげますと、日本国有鉄道の中央鉄道教習所というのも入っているのですよ。中央鉄道教習所のごときは高等学校三年を経て入っているわけです。そういう点を考えた場合に、労働省所管の発足しました中央職業訓練所、当然これは免除さるべき部類に入れるべきだと思うのですが、労働省側としてはどういう御見解を持っているのか、伺っておきます。
○説明員(有馬元治君) 私どもの方の中央職業訓練所は、御指摘のように、大体高校卒を対象に入所させておりますが、この四月の二十日から開所したばかりでございまして、まだその職員構成等につきまして、今後若い大学院、あるいは大学卒業生も漸次採用して参りたいと思いますが、現在のところ人員構成がそういう若い層に及んでおりませんので、文部省とはこれから折衝をいたしまして、中央訓練所の教授、助教授、スタッフになる要員、あるいは研究部門の要員にこれらの優秀な大学卒業生が入ってきた場合には、この恩典に浴するように取り計らっていただきたいというつもりで、文部省とこれからお話を進めて参りたいと、かように考えます。
○矢嶋三義君 文部大臣、最後の質問になるわけですがね、私幾つか例をあげましたが、特に中央鉄道教習所、これは免除になっているのですよ。先般発足しました中央職業訓練所なんかは非常に重要なところなんですが、高等学校三年終えたのを入れて長いのは四カ年間教育するわけです。当然、今労働省の見解のように、中央職業訓練所も免除の指定をすべきだと思うのですが、御見解を承っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 実は今のお尋ねの点は、労働大臣からかつて閣議で話が出まして、検討してみようということで事務当局相互間で検討を加えました結論は、純粋の教育と考えられる範囲にこの際は限って、立法措置をしたいという結論になったわけでございまして、実質的には、御指摘の通り、国家目的から国対国民という関係において考えれば、実質上は同じようなことかと思いますが、幾らかそこに違いがあるということで、分界線を一応引いたと考えられるのであります。今後検討の余地があろうかと思いますが、差しあたりは今申し上げた考え方で、この際は立法措置を講じたというふうに御理解いただきたいと思います。
○矢嶋三義君 納得できないから指摘しておきますが、純粋な教育の研究所といっても、防衛大学は学校教育法に基づくものではないのですよ。海上保安大学またしかり。それから産業安全研究所、それから鉄道技術研究所、中央鉄道教習所、こういうのがみな免除になっているわけです。そうして中央職業訓練所を免除しないというのは、中央職業訓練所がいかなるものかということを文部大臣は御検討なさっていないのじゃないですか。当然私は入れるべきものだと思うのですが、これは要望にとどめておきます。質問を終わります。
○理事(豊瀬禎一君) 他に質疑のおありの方はこざいませんか。——他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(豊瀬禎一君) 御異議ないと認めます。よって質疑は終了いたしました。 この際、お諮りいたしますが、千葉委員より、委員長の手元に修正案が提出されております。よって、本修正案を議題に供します。 まず、提出者より趣旨説明を聴取いたします。
○千葉千代世君 私は、自由民主党及び日本社会党を代表して、日本育英会法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明をいたします。 まず、お手元に配付いたしました修正案を朗読いたします。 日本育英会法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 第十六条ノ四第一項及び第二項の改正規定中「継続シテ高等学校」を「継続シテ中学校、高等学校」に改め る。 原案によりますと、大学院に学んだ間に受けた貸与金の返還を免除される職のうちに、新たに高等学校の教員の職を加えておりますが、本案は、さらに中学校の教員の職をも加える。このことの修正を行なおうとするものでございます。その理由としましては、大学院に学び、その間貸与金を受けた者のうち、高等学校以上の学校の教育の職についた者のみが貸与金の返還免除の対象にされておって、中学校の教育の職についた者には返還免除の適用がないことは、まことに均衡を欠くものであると考えております。申すまでもなく、中学校においては教育の職務の内容が専門的な教科担任制でありますから、大学院に学んだ人々がその職につきますことは容易に予想できることであります。また望ましいことでもございますが、それに加えて、現に高等学校と中学校の教員の交流は、生徒数の増減によって教育行政上しばしば自由に行なわれておった。こういう観点から、ぜひ中学校も加えるように、こういうような修正案を提案した次第であります。どうぞ一つ、委員の皆さんの全員の御賛成をお願いしたいと思います。 以上であります。
○理事(豊瀬禎一君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のおありの方は順次御発言を願います。 別に御質疑ございませんか。——御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(豊瀬禎一君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
○野本品吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま千葉委員から御提案になりました修正案及び修正部分を除きます原案に対して賛成の討論をいたします。 この育英会法の一部改正の法案が提出されました理由は、すでに提案理由に尽きておりますが、要は、高度の学術研究ということが日本の将来の発展にいかに重要なものであるかということ、それから教育界に人材を招致するということが、またいかに重要なものであるかという点にかんがみまして、従来、貸与金免除の道が開かれておったのでありますけれども、その考えを拡充発展させることが時代の強い要請であって、これにこたえる道を開いたという点におきまして、この改正案はまことに時宜を得たものと考えているわけであります。特にここで申し上げたいことは、何と申しましても、教育はいろいろ問題がありますけれども、過去においても、現在においても、将来においても、教育は人であるということは、これはもう動かすことのできない、教育の効果をあげる鉄則であろうと思う。そういう意味におきまして、教育の職に関係する者に貸与金免除の道を開くということは、日本の教育の将来のために、非常に大きな役割を果たすであろうということが期待されるからであります。 第二の点は、貸与金の回収の問題でありますが、今まで私どもは、貸与金の回収がわれわれの希望するような状態でなかったことに対しまして、深く遺憾に思っておったわけであります。私は貸与金の回収ということを、貸したから取るのだというような、そういう気持でなしに、これは先輩が後輩に対する貸与金支給の機会——恩典を奪うようなことがあってはきわめて遺憾である。先輩の善意の協力というものが後輩を鼓舞し、激励し、光明を与えるという、どこまでも道義的な立場に立って考えたいと思うのでありますが、かような点につきまして、さらに回収を円滑にするための措置をとられたことに対しましても、まことに当を得たことであると、かように考えて、この案に賛成するわけであります。 なお、ここで私は、社会党の皆さん及びわれわれ話し合いの上、次の付帯決議をつけたいと思うのであります。付帯決議の案文を朗読いたします。 日本育英会法の一部を改正する 法律案付帯決議(案) 大学において学資の貸与をうけた 後、学校教育法第一条に掲げる学校 の教育・保育の職に就いたすべての 者に対し、貸与金の返還を免除でき るよう、政府は、すみやかに適切な 措置を講ずべきである。 この付帯決議をつけますゆえんは、先ほど来申しました本案提出の理由を徹底させるという点にあるわけであります。なお、本案を審議する途上におきましても、いろいろ委員からの質疑があり、要望があったことは御承知の通りでありますが、それらの要望の線に沿って、将来、政府の善処方を希望する、かようなわけであります。 以上、付帯決議を付します趣旨につきまして、つけ加えさしていただきました。これをもって終わります。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、日本育英会法の一部を改正する法律案並びにこれに対する修正案に対しまして反対するものであります。 まず、修正案から申し上げますというと、社会党の皆さんが免除規定を拡大する、高等学校、さらに中学校まで拡大する、そのような努力をされたことに対しましては非常に多とするものであります。しかしながら、この法案の最もねらいであるところの、いわば滞納の取り立てを強化する、いわば借金取り立て法案とも申すべきこの法案の本質においては変わりはない、従いまして、残念ながらこの修正案には反対するものであります。 次に、法案の反対理由を申し述べたいと思うのでありますが、第一に、この日本の育英会制度そのものの根本的改訂を迫られておる時節にもうすでに到来しておると思うのであります。中教審の答申案によりましても、貸与よりは給与が望ましい、こういうことを明白にうたっておるのであります。ところが、この中教審の答申のこのような基本的な、しかも現状に合ったところの趣旨はほとんど考慮されていない。何ら法案には生かされていない。そうして滞納を、これを取り立てるべきだという一面だけが、この法案に生かされて、このように審議会の答申そのものは政府の都合のいいところだけを取り上げて、他の最も重要な面というものをこれはごまかしてしまうというやり方では、審議会そのものの趣旨とも私は反すると思うのであります。こういうような意味において、私はこの法案というものは全面的な改訂が望ましいにもかかわらず、そのようなことがされていないという点について第一にこの法案の性格が明確であると思うのであります。私はこのような意味においてまず第一の理由として反対せざるを得ないのであります。 第二に、この法案は、先ほど申し上げましたように、いわば借金を取り立てることを強行する、そのための態勢を強化する、こういう形になっておるのであります。むろん先ほど野本委員が述べられましたように、これは後輩に対する恩恵を、現状のように滞納が多いことによってその恩典を削減するものだという、そういう趣旨、それを表面に——それたけを考えるならそうです。しかし、私たちが考えてみますときに、このたびのこの法案ができたときのそもそものこれは動機となったものは、池田総理が第二次内閣を作った当初だと思いますが、この育英資金の滞納が非常に多い、これは返還を要求するために措置をとらなければいかぬ、このような精神によって貫かれておると思う。ところが実際全般の国家施政、国家の財政計画から、われわれはこの中におけるところの教育の機会均等、ことに貧困者層の恵まれない層に対するところの教育の機会均等という立場から考えるときに、このような局部的な問題について非常に強調することは私は当たらないと思う。と言いますのは、日本の終戦後の歴代内閣がそうでありますけれども、ことに開銀、輸銀を通じて大独占資本に一体どれだけの今まで投融資をしてきたか、そうしてその回収されないものはどうかというと膨大なものです。これがはたして厳正な形でこの取り立てが実施されておるかというと、これはそういう形にはなっていないと思う。ところが、わずかに二十一億の、いわば国家財政の千分の一の滞納を取り立てることに、わざわざこのような法案をこれは出してきておるのであります。私はここに一つの問題があると思う。単にこれはもちろん行政だけの狭いワク内で考えるべきじゃない、国家の行政全般の中におけるバランスにおいてこの問題ははっきり検討されるべきであるのであります。性格は明白ではないか、そういう点から考えまして、さらにその次に問題にいたしたいのは、現在取り立ての対象になっているところの大学卒業生あるいは高等学校卒業生、いわゆる育英資金の貸与を受けている学生諸君の初任給の問題であります。この初任給は御承知のようにはなはだ低いと言わざるを得ない。私は初任給を十分に引き上げ、最低生活の保障というものが十分にできている、そういう中では、私はこのような事態というものはこれは激減するものだと考えるのであります。ところが、初任給は非常に低くて、しかも育英資金のこれはワクがあるわけでありまして、私はこういう点から考えて、青少年の生活状態から考えて、このような法案というものは直ちにこの現状に合ったと、こういうふうには考えることができないと思うのです。 ことに、私はさらに問題にしたいのは、この法案の適用でありますけれども、この適用に当たって、実は貧困者層の就学不能の人たちの問題を解決するところに国家の施策のあたたかい手が伸びていくことが非常に喜ばれると思う。ところが御承知のように、生活保護法の適用を受けておる数は百六十万をこえております。ボーダー・ラインを加えるならば実に一千万をこえておる。これに対して特別奨学制をとって、高等学校で八千人、大学で一万二千人の措置をやったというような表現でありますけれども、現状において生活保護を受けておる人たちは、自分の子弟を、その子弟がどんなに優秀で高等学校にやりたいと思っても、高等学校に入学の受験をして、そうしてこれをパスしましても、高等学校に入れば生活保護を切り捨てる、こういうような苛酷な条件があるのであります。この問題を全面的にわれわれは検討するということが、現在の教育文政の中においては教育の機会均等を真に机上の文句にしないためには非常に重大な問題だと思うのでありますが、特別奨学制の問題では、ほとんど名目的な問題で根本的なこのような問題を解決することはできないのでありますが、この具体的な現われは、高等学校において全日制の制度に対しては三%の適用、しかし貧しい階級の定時制の子供に対しては二%の適用、こういう格好になっております。数が定時制の場合には全日制の三分の一にも満たないのでありますから、絶対数においては十分の一にも達しない、こういうような事態が起こっているのでありまして、真に日本の教育の現状、国民生活の現状から考えるならば、教育の機会均等を正すための努力をこの育英会法案でやるとするならば、この点について相当格段の努力を私はしなければならぬと考えるのであります。こういうような意味におきまして、この法案の持っている性格はまさに恩恵的、これは貸与、この基本線においてはほとんど変わりはないのであります。これを諸外国の例に比べてみるならば、なるほど資本主義の世界におきましては、たとえば米国の全学生の二五%、あるいはフランスにおけるこれは二二・三%、それから西ドイツにおける二三・七%、これは育英会からもらった資料でありますけれども、こういうことになっておる。しかし社会主義国の体制を見ますというと、ソビエトはこれは全学生の約八〇%、それから中華人民共和国は八〇%、チェコスロバキアは六二%、朝鮮人民民主主義共和国のごときは大部分の学生がこのような適用を受けておる。これは貸与でなくて給与です。ここにもう教育に対する熱意、そうして教育制度の階級的な性格というものが私は明白に出ていると思うのであります。こういう点から考えて、この育英会法案に対しまして私たちは賛成することができないのでありまして、私は一番大きなねらいであるところのこのような滞納金取り立て、これを中心とする法案、しかも罰則まで適用しようとしている。しかもこの罰則は法律によって定めるところでなくて、実は省令によって決定するということになって、この正体は不明であります。私はこのことが及ぼすところの青少年に対する教育的影響を考えるときに、なおさらこの法案には賛成することができないのであります。こういう点から、日本共産党といたしまして、この法案に反対の意見を表明する次第であります。
○理事(豊瀬禎一君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議、ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(豊瀬禎一君) 御異議ないと認めます。よって討論は終局いたしました。 これより日本育英会法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、千葉委員提出の修正案を問題に供します。千葉君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○理事(豊瀬禎一君) 多数でございます。よって千葉君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○理事(豊瀬禎一君) 多数でございます。よって本案は多数をもって修正すべきものと議決されました。 次に、討論中に述べられました野本君提出の付帯決議案を議題といたします。 野本委員提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○理事(豊瀬禎一君) 多数と認めます。よって野本委員提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 本決議に対する政府の所見を求めます。荒木文部大臣。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま決議されました点は、実際上、幼稚園教員の問題であろうと存じます。これまで本委員会の御質疑に対してお答え申し上げてきました通り、なるべくすみやかに幼稚園教育に関する各種の問題点を総合的に検討いたしまして、この結論に基づいてなるべく御趣旨に沿うように研究を進めて参りたいと存じます。
○理事(豊瀬禎一君) なお、本院規則によりまする報告書の作成等諸般の手続は、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(豊瀬禎一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○理事(豊瀬禎一君) 次に、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。矢嶋三義君。
○矢嶋三義君 本法律案を審議するにあたって、現内閣の科学技術政策が那辺にあるのか、どの程度の科学的な数字、根拠をもってなされているのか、それが明確になっておりませんので、法案の審議ができない段階にあるわけです。従って、主として池田内閣の科学技術政策に最も関連の深い両大臣の御出席をいただいて、その点をまず明確にしていただきたいと思います。その角度から伺って参ります。 まず、科学技術庁長官と文部大臣の順序で伺いますが、国の経済の発展と国民生活の向上には科学技術の振興というものはきわめて大切であるということは申すまでもないと思うのです。池田内閣もそのことを述べているわけですが、具体的にはっきりしたものが出てこない。そこで伺いますが、国立試験研究機関の新しいあり方というものを再検討する必要があるのではないか、乏しい国家財政で、試験研究が行なわれておりますが、重複している面があったり、または漏れた、脱漏した点がある、こういう点は私は否定できないと思うのです。世界の科学技術の進歩とともに試験研究機関というものは規模が大きいほど効果が上がるということになっているわけですね。そういう世界趨勢から見て、日本の国立試験研究機関の新しいあり方というものを再検討する必要があるんじゃないか、と同時に、この科学技術者の養成計画について、文部省と科学技術庁の間で意見の相違を来たして先般来質疑が行なわれているわけですが、科学技術行政そのもののあり方も再検討しなければ世界の進運に伍していけないのではないか、こういう見解を持っていますが、どういう御所見を持っておられるか、池田国務大臣から荒木文部大臣の順序でお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) 科学技術庁の科学技術行政のあり方、これは非常にむつかしい、簡単に申し上げにくいんでありますが、私の立場から申しますと、日本の科学技術庁というものはまだ五年しかたっておりません。私が長官に就任いたしまして見るところによりますと、科学技術庁というものはどうも双生児みたような、少し何というんですか、月足らずみたいな感じがいたします。従って、これを抜本的に、ほんとうに骨を入れて科学行政のあり方というものをやっていくためには、幾多のこれから検討も要するでしょうし、やり方も変えていかなければならない面がたくさんあると思います。そこへ持ってきて、御承知のように、これは日本だけじゃなしに、世界的な規模において科学技術の目ざましい進歩発達というものは御承知の通り、これに即応していくんだということになってくると、ますますその感を深くするので、従って、ただいまお尋ねになりましたように、研究機関のあり方のみならず、全般にわたってわれわれは広く深く再検討する段階に入っておる、かように考えております。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま池田長官からお答え申した通りでございます。もっとも大学の研究を中心に考えますれば、大学では学問的な学理の研究、真理の探求が第一でございましょうし、科学技術庁の所管される試験研究等の範囲は、その原理の真理の探求の結果を応用するという面以下のことを総合的に担当しておられると、こう思うわけであります。しかし、御指摘の通り、原子力の問題を初めとしまして、学術の研究をするにいたしましても、応用技術の研究をするにいたしましても、研究施設というもの、設備というものは金もかかるし膨大にならざるを得ない。その目的が違うからといって、幾つも置くという御指摘の重複した施設は財政的にも賢明でないのみならず、能率的にも考慮を要するという面もあろうかと思います。まあそういうことで、現に原子力研究所等の施設にいたしましても、大学等における研究の便宜も与えられる道も開かれているようですが、極力、金のかかる、しかも必要なものは整備すると同時に、それを総合的に活用するという考慮が払われるべきだと、そういうふうに考えます。
○矢嶋三義君 ただいま国立試験研究機関のこの物の問題を論じているわけです。研究行政、科学技術行政そのものにも問題がある。それから施設、設備が非常に老朽化して近代化をはからねばならない、この物の面もありますが、と同時に、今度は人の面を伺いたいと思うのです。日本の理工系研究技術者で外国に流れて出て行った人、流出して行った人ですね、この人の人数、状況を資料として要求いたしておきます。また、大学の教授、研究者で民間の方へ流出した人数、状況を資料として提出するように要請しておきましたが、その数字をお答え願いたいと同時に、その原因をいかように把握されているか。荒木文部大臣並びに科学技術庁長官の順序でお答え願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(天城勲君) 最近におきます国立大学の理工系教官の海外への就職状況でございますが、現在、三十二年、三十三年、三十四年につきまして調べましたところでは、アメリカ、イギリス、フランス、オーストリア、スエーデン、ブラジルの国々につきまして、教授、助教授、助手クラスを含めて三十三名でございます。それから同じように、国立大学の理工系教官の民間への転職状況でございますが、三十二年、これは教授、助教授、講師、助手を含めまして百二十一名、三十三年は九十五名、三十四年は百四十一名でございます。
○政府委員(島村武久君) 科学技術庁の方からお答えいたします。 ただいま資料の手持ちがございませんので、後に、新しい資料要求として拝聴いたしまして、資料を整えまして御提出したいと思います。
○矢嶋三義君 文部省はよく数字を出して科学技術庁からその数字を批判されるわけですが、数字が的確でないですよ。まあそれは指摘いたしますが、その前に、元国立大学の理工系だけで三十三名海外に流出しているわけですね。これは研究条件がいいから流出して行くわけですよ。民間を含んだ日本の科学者の流出というものは、まだはるかにこれより数字が多い。特に若い基礎科学を研究している人がよく流出している。それから国立大学の理工系教官の民間への流出状況、あなたの今の答弁では三十二年が百二十一、三十三年が九十五、三十四年が百四十一というが、この数字は一体どこからとられたのですか。日本私立大学連盟がこの問題を取り上げて、科学技術庁並びに文部省から出された資料をまとめたものが発表されております。それによりますと、三十二年度理科系だけで千百四十四になっていますよ。三十三年度千二百四十七、昭和三十四年度が千四百七十二、理科系だけですよ。しかもこれには定年とか、本人の意思に基づかないものとか、死亡とかというものは除いてあるのです。流出したのがこれだけの数字になっているのです。この私立大学連盟で調査したのは、これは科学技術庁、文部省の資料をもとにまとめた、かように書いて詳しくこういう方面のことをまとめられておる。従って今の文部省の出された数字というものは非常に甘い数字ですよ。こんな甘い数字で政策立案、行政執行をやっていけば狂いが生じてくるのじゃないですか。ともかく、あなたの出された資料をかりに認めるにしても、ものすごい数字になりますね。一体、この原因は那辺にあると把握されておるのか、両国務大臣からお答えを願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一には、御指摘の通り、研究意欲を満たすのには日本の内地の研究施設ではもの足りない、外国の施設の方が研究意欲を満たす、魅力を感ずるということが指摘されると思うのであります。同時に、経済的な条件がいいからスカウトされるという人も中にはあろうかと思います。いずれにしましても、はなはだ遺憾でありまして、そのためには日本の研究施設等につきましてもっともっと力こぶを入れて、国内におって研究ができるような、魅力を感ずるような方向へ努力していくべきものと存じております。
○国務大臣(池田正之輔君) これは矢嶋委員からおしかりを受けるかもしれませんけれども、日本の理工科卒業生や研究員がどんどん外国へ出て行くということは、とりもなおさず日本民族の頭がいいから、頭脳がいいからどんどんハンティングをされる、こういう見方も成り立ちます。だからといって、私はこれを手放しで喜ぶものではございません。従って、それは今、文部大臣からもお話がありましたように、いろいろな条件からそういうことになっているようです。ということは、一番大きい問題は何といっても待遇よりも研究環境が日本の場合に整備されておらない。従って、アメリカその他に参りますと研究環境が整備されておりまして、勉強するのに非常に落ちついて勉強ができるということで、帰ってくるのがいやになってくるというようなことも聞きますし、そういうことが一番大きな原因じゃないか、つまり研究意欲に燃えた若いそういう研究員の人たちは研究が目的でありますから、日本のように研究設備も不十分な、環境の悪い所よりも、そっちに行った方が勉強ができるというようなこともございますので、ただ、幸いに最近は御承知のように民間の研究所は——国立はそれほどまだ進んでおりません、残念ながら。環境がどんどん今よくなりつつありますから、それと合わして私ども行政の責任者としては、これを何とかしてとめる方法を考えていきたい、かように考えております。
○矢嶋三義君 そこでやや具体的に伺いますが、さすがは科学技術庁長官だけあっていいことを突かれたと思うのです。研究環境をよりよくする。研究者が安んじて研究できるような生活が保障されること、そして興味を持ち、希望を持って心身ともにその研究に投入できるような条件を整えるということが必須条件だと思うのですね。そこで、それには日本の政策を進めていくにあたって研究投資ですね、これは最も投資効率の高い国民的投資だと思うのです、研究投資ということは。その研究投資は、予算を編成するにあたって、日本の国の国民所得の何%程度が研究投資として適当だというお考えを持っておられるか。それによって日本の国の予算の性格がきまってくると思うのです。それによって日本の科学技術の振興のテンポも質も量もきまってくると思うのですね。この点大事だと思いますので、両大臣の見解を承ります。
○国務大臣(池田正之輔君) これは御承知のように、三十四年、三年くらいまでは国民所得に占めるパーセンテージは〇・九%前後だったと思います。去年あたりからことしにかけての民間の——国立はそれほどじゃありません、若干ふえておりますが。民間の非常な研究熱というものが膨脹いたしまして、最近の統計によりますと、大体一・四%前後まで上がっておるようであります。しかし、諸外国の例を見ますと、少ないところで二%以上になっておりますから、まだまだこれは満足すべき状態じゃない、さように承知いたしております。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 数字を存じませんが、多々ますます弁ずる問題だと思います。とかく日本では、従来、基礎的な研究、応用研究も含めまして、研究にあまり金をつぎ込まない傾向が顕著であったと私も承知しますが、近来、民間におきましても、今、科学技術庁長官から申しました通り、その必要性のゆえにずいぶんと努力が注がれておる状況でありますることは御案内の通りであります。国もまたもちろん今後に向かって惜しみなく金をつぎ込む体の覚悟を持って臨むべきものと思っております。
○矢嶋三義君 科学技術庁長官の数字は私の持っている数字と合致いたします。で、それを基礎に伺いますが、たとえばアメリカは二・七%なんですね。国民所得がけた違いに大きいのに持っていって二・七%ですからね。日本の場合は、国民所得がその十分の一なり二十分の一で昭和三十三年の時点において約〇・九%、ようやく本年度あたり一・四%近くなっていますが、この政府の所得倍増計画に伴う計画を、青写真を見ますと、昭和四十五年で二%にするという計画が答申されていますね。これを一体池田内閣は踏襲していくつもりなのかどうなのか。これはこれからの高級技術者、中級技術者の養成計画、ひいては教員の養成計画と直接結びついてくるのですがね。昨年の十月、科学技術会議から答申された十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策についてという、これによりますと、十年後にやっと二%に研究投資を持っていくという青写真が示されているわけですが、今の時点で、いわゆる先進国というものは二%をこえているわけです。しかも、アメリカあるいは英国、西ドイツのごときは国民所得が上だ。上の上にそういうパーセンテージになっているわけです。だから、今後、科学技術の振興、技術革新、ひいては国際貿易の社会において日本が進出していこうということになれば、こういう青写真では私は世界の情勢についていけないんじゃないかと思うのですが、この点は池田内閣としてはどういう目安を持っておられるのか、お答えいただきたい。文部大臣、池田長官の順序でお願いします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の科学技術会議の答申は、一昨年来、科学技術会議の慎重な検討の結論として生まれ出たと承知いたしております。現在としては、遺憾ながらそういう青写真を一応の目途として進むほかにはないのが日本の現状だろうと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) これは私の就任前になされたものでありまして、その後私が就任いたして以来、内容についても若干検討してみました。ある意味では無理なところもあり、ある意味では非常に遠慮した書き方もしておるようであります。遠慮した書き方というのは、つまり現在の段階においては予算の裏づけがないから、つまり今の、現在の日本の政府の予算規模においては、そう急速には伸ばされないというようなこともございましたでしょうし、それぞれの役所の、御承知のように、国立研究所は各省にまたがっておりますから、そういう意味で各省の意見等も参酌をした結果、非常な抽象的な結論になっている面が多い。これが当時、私がもしもその地位にあったら、かような抽象論でなしに、もっと具体的なものを私は打ち出しておったろうと思う、できたかどうかは知りませんけれども。そういう意味で、はなはだ不満足なものである。しかし、今にして考えてみますと、これはまあ少し無理はありますけれども、若干の無理があってもこれを押し通すのでなければ、日本の科学技術というものは、ひいては日本の産業、経済というものは所期の目的の通りにやっていけない。従って、これは若干の無理があっても、これから急速にわれわれは積極的にやっていかなければならない、かような考え方を持っておるのであります。
○矢嶋三義君 内閣の方針、それから予算の組み方がはっきりしていないから、今審議しているような工業教員養成所法案というようなものが火事どろ式に出てくるのですよ。世界の情勢とか、国内の情勢、それから方向づけというものがちゃんときまっているのですからね。わかるのだから、政治家というものは少なくとも先が見えなかったら政治家の部類に入りませんよ。はっきりわかっているのだから、それに即応した方針を立てて、、予算を組まないからこういう事態が起こってくるのですよ。だから、こういう点をしっかりと内閣としては明確にしてもらわなければ、次の論議をしてもむだだと思うから聞いているわけです。昨年の一月ですよ、岸内閣のときに建設省の設置法の一部改正するときに、村上建設大臣を相手に、私は建設省並びに地方庁の建設関係の技術者の充足状況はどうか、足らないのじゃないか、もう少し技術者の養成計画を立てる必要があるのじゃないかということを繰り返し、繰り返し伺ったけれども、つべこべした数字をあげて、何ら技術者は不足しておりませんと答弁をしている。それがあなた、昨年の一月ですよ。基礎科学の振興とか、技術者の養成を計画しょうなんというのは、日本学術会議は数年前から叫んでいる。ところが、それが一向日本の政治、行政面に反映してこない。それで火がついてから考えるから、こんな火事どろ的なものになってくるわけだ。それでは世界に伍していけないわけなんですね。そこで、さらに具体的に伺いますが、たとえば予算ですがね、科学技術振興費、これが本年度一四%増になっていますね。その総額は約二百七十七億、前年度に比べて三十四億六千万円ふえている。ことしの予算の規模からいえばわずかに一四%ふえている。増になっている。ところが要求は四百七十八億四千万円というのを要求していますよ。四百七十八億四千万円、三十五年度に比して世界の情勢から九〇%増の予算要求をしたわけです。この要求をしたこういう案を作ったのは荒木さんが科学技術庁長官のときです。そして閣議決定したのはわずか一四%増にとどまっているわけです。この閣議決定したときの責任者、主なる責任者は科学技術庁長官。どういうわけでこんな予算を一体組むのですか。一般会計の歳出総額に対する比率は〇・〇一%下げていますよ。三十五年度で一般会計歳出総額の一・四三%が三十六年度になって一・四二%と〇・〇一%下げているのですよ。世界の科学技術の振興のテンポの早さ、それから日本の置かれている条件、人口、領土の広さ、資源あるいは日本人の勤勉、頭脳、こういう要素を考えた場合に、一体こういう性格の予算を組むのは何が目的かとわからないのですがね。要求したところの責任大臣は荒木国務大臣、議決してこれを国会の承認を求めて参ったときの責任者は池田国務大臣、あなた方は一体どういう所見を閣議で主張し、やられておられるのか、このお二方からお答え願いたいと思います。まず原案作成者の方から。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ概算要求は、せめてできることならばという考え方で科学技術会議の答申の線を尊重する立場から要求したと記憶いたしております。原案として国会に提出しましたときに、初めの概算要求と似ても似つかぬものになるのは、遺憾ながら日本の予算編成の過程の通有のことでもありまして、残念には存じますが、むろん閣議決定のときの所管大臣として池田長官もそれまでにあらゆる努力をしたはずでございますが、成果はあまり上がらなかったことは残念でございます。それもしかし結局は三十六年度予算全体をにらんで、財源との関連において最終的に調整されたわけでございまして、残された問題は今後に極力積み重ねられていくべきものと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) 今、荒木文部大臣も申されましたように、日本の予算の編成のやり方が大体古くさいですよ。もう少し何とかせないと、私はそう思っています。しかしまあとにかく過ぎたことは……。(笑声)そこで今度の私どもの予算は、なるほど全額においては一〇何%ということで御不満だろうと思うし、私ももちろん不満でございますが、内容的にごらん願うとおわかりになりますように、たとえば新技術開発公団でございますとか、これなどは将来五十億まで広がっていくという性格の予算でございます。それから理化学研究所の移転問題に関しましても同様でございます。それからまた原研に設けましたプラズマの研究、これは全額から申しますとわずかなものでございますけれども、将来非常に広がっていくような性格のものでございます。そういったようなもの、つまり私のねらいといたしましては、金額そのものよりも新しい事業に手をつけておけば、これがやがて来年度から直ちにこれを広げていけるというようなものにねらいをつけまして、大体新要求の項目は取ったつもりでございます。
○矢嶋三義君 一つには、概算要求が大体原案が僕はよくなかったと思うのです。そうしてあなた方の要求する場合の資料というものが科学的にがっちり固まっていないところにあると思うのです。それで具体的に伺って参りますが、たとえば科学技術者の養成計画、これについて現に両省庁の間で意見の食い違いを来たしておるわけです。所得倍増計画に伴う科学技術者は十年後に大学卒業程度の理工系技術者が約十七万人不足する、それから工業高等学校を卒業した中級技術者が約四十四万人不足するということが指摘されているわけです。この充足計画は本年度から始まるわけですね。この計画はずさんであるといって科学技術庁長官が荒木文部大臣に勧告書を出した、文部省の方にこの高級技術者の十七万、中級技術者の四十四万の充足計画を青写真で数字を示しなさいと言って出していただくと、同じ文部省内で作った計画と思えないのですよ。そもそも計画の立て方から違う、数字の並べ方が。こういうことで一体大蔵省を説得し得るかどうかということですね。数字の組み立て方が違うのです、同じ省内で。そうしてその数が適当でないから、池田科学技術庁長官から法に基づいて勧告を文部大臣は受けたわけです。大筋としては池田長官の勧告は私は支持いたします。ただし、そこで池田長官に伺いますが、あなたは科学技術庁設置法の十一条によって勧告を出されたわけですが、日付は三月十一日、ずいぶんこれは勇ましい勧告ですがね、少し色あせたのじゃないか、もうきょうは四月の二十五日ですね。先般あなたがおいでにならぬ委員会で大平官房長官に御出席いただいて伺ったところが、まだ閣議の議題にもなっていないということなんですね。どういうわけでこういう大事な問題を、しかもあなたは勧告を出されて、関係閣僚の懇談会とか、閣議の議に供しないか、私は理解に苦しむのですがね。一部新聞の報ずるところによると、四月十四日に閣議で話に出たというのですが、それは閣議の議題にならなかったのか、大平官房長官の言明にも私は納得いたしかねるところがありますので、勧告書を出された国務大臣として、その真相と、現在どういうお考えでおられるのか承りたい。
○国務大臣(池田正之輔君) これは、勧告は当然私の職権において出したものでありまして、私と文部大臣との話し合いでこれは解決できる。従って、そういう問題を一々閣議に出して閣議の決定を仰がなければ決定できない、さような性格のものではないと思います。そういう場合もありましょうけれども、私はそれほど微力ではないつもりであります。そういう意味で私は自分でこの問題は処理するのだ、従って、閣議には、総理やその他の諸君に迷惑をかけないという意味で私はかけなかったのであります。十四日の閣議で私はこれは発言いたしまして経過を報告しただけでありまして、これは閣議に正式に議題としてかけたものではございません。考え方としては、私は自分で自分の職権に基づいてこれを勧告し、そして最終的には自分の発言を正しいと思っておりますから、これは何とか貫徹したい。文部大臣もこれは理解してくれるだろう。まあ文部官僚の一部はこれはわかりませんがね。(笑声)
○矢嶋三義君 じゃ、科学技術庁長官に伺いますが、あなたは解決の最終的めどを何月何日ごろに置いておられますか。
○国務大臣(池田正之輔君) 何月何日の何時というわけにはいきません。
○矢嶋三義君 時間はいいです。もう学校は始まっておりますからね。
○国務大臣(池田正之輔君) それぞれ時間切れですから、とにかく近いうちに何とかけりがつくだろうと思っております。
○矢嶋三義君 もう一つ科学技術庁長官に伺って文部大臣に伺いますが、科学技術庁長官としては、三十六年度の予算に影響なくて増員できると御判断されているようですが、あなたの胸算一用では大体何名程度増員できるというお考えでおられるかどうか。私は可能ならば増員すべきだと思うのです。というのは、これは荒木文部大臣も聞いておいていただきたいと思うのですが、あなたのところから出された資料ですね、これで三十七年度に三千三百五十人の増員、三十八年度で三千百五十人となっているのですが、これは非常に少ないですよ。一万六千人の定員増を一年でも早く達成するということが必要になっているわけなんですね、この数字からいいますと。一万六千増員達成するのを一年でも早くやらなくちゃならぬ。一年でもおくれればおくれるほどその欠員が蓄積されていく、ひいては所得倍増計画に影響を及ぼしてくるわけです。その見地からいえば、三十七年の三千三百五十、三十八年の三千百五十という数字はあまりにも少ないですよ。そういうこととあわせ、本年度に、この成立した予算に影響はなくて増員が可能ということになれば、最大限私は増員を早急にやるべきだと思うのです。そこで荒木文部大臣の見解を承る前に、科学技術庁長官としては何名程度はそう無理しなくて可能だ、こういう数字を持っておられるか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) これはその増員計画の数字になりますと、これは基本的に私と文部省との意見が食い違うと思うのです。しばしば申し上げておりますように、科学技術会議の要請する人員は十七万人となっておる。それに対して文部省の案によりますと、四万人足らずしか四十五年までには卒業者は出せない。これが原案であります。その後若干の何は出ております。そこで御参考までに申し上げますが、一体、現在年々——ことしもそうでありますけれども、理工系の卒業者がどれくらい出ておるかと申しますと、これは正確な数字はつかめないのであります。何しろ文部省から出てくる数字はでたらめでありまして、(笑声)まことにでたらめでありまして、私もこれはなげかわしい次第だと思っております。これは文部大臣からよく聞いておいてもらわなければならない。文部省の各局から出てくる数字がそれぞれ違うのですから、従って、私自身が科学技術庁長官の立場において正確な数字をつかむことはなかなか困難であります。そこで、概算で申し上げますと、大体四万と言っておりますが、しからば一体今、年々出ておる卒業者は理工系に医学部、農学部を合わせて大体三万二、三千人になっておるはずであります。ですから、その中から医学部や農学部系統を差し引きますと、大体去年あたりの数字によりますと二万二、三千人です。二万二、三千人に若干のものをこれから十年かかって四万人にふやしたって、十年間で四千人ずつ、かりに割ったとしても三万人にならないですね。そういう数字があるのです。ところがそれじゃ需要数はどうなっておるかということを、これを一つはっきり、文部省の諸君もここにおられますから、私は文部省の諸君はおそらく財界や何かとの話し合いはまだされていないだろうと思う。一応ここで参考に説明しておきます。今まではそれでよかったかもしれませんけれども、最近の理工科系の需要というものは非常に急激にふえております。たとえば三十四年の民間の研究所の研究要員、これが一万一千幾らになっております。ところが三十五年度は四万二千幾らになっております。三万人の増加になっております。しかし、この数字は若干割り引きしなければなりません。というのは、三十四年度において調査したときに調査漏れになった分や何かがございますから、そういうものを差し引きましても、少くとも二万人程度というものは、民間の研究所へ全部吸い上げられておる、これが実情であります。大げさに申しますと、理工科系統の今までの卒業生が全部それに吸収されておるという数字になります。その上に驚くべきことは、最近私どもも若干認識不足の点もありましたけれども、最近、民間の業界、財界やその他でいろいろ調査を今進めておりますから、正確な数字は申し上げられませんけれども、たとえば貿易商などでは、少くとも二割から三割、多いところでは五割まで百人、二百人という新しいことしの採用人数の中から理工科系を採用いたしております。つまり貿易商社は、御承知のように外国の貿易商のセールスマンというものはほとんど理工系であります。同時に銀行及び証券会社、さらにデパートの機械の売場というようなものはほとんど理工系をことしから採用しております。新聞社、雑誌社は申すに及ばず。従って、この第三次産業の方面に一般の方々が気がつかれなかった、予想もされなかった。第三次産業に莫大な人数が吸収されております。そうなりますと、それだけでも、もうすでに卒業者は足りない、これが現状であります。従って、職場に行くものはほとんどもうそれでも足りない、そこへ持ってきて、先ほど矢嶋さんから御指摘がありましたように、外国に相当長い問行っておるというのが現実の姿であります、しかも急激に。昨年から本年にかけて、ことにこの三月の卒業生の現状であります。でありますから、この十七万人という数字を政府は出しておりますけれども、答申案が出ておりますけれども、私は最初からこの十七万では、これは足りないというのが私の実は考え方であります。ところが文部省の案によりますと、四万人しかありませんから、そこでこれを何とか無理してやっていけば、少くともことしは、文部省が最初に予算要求のときに出した数字よりも、少くとも私は一万人はふやせるというのが私の見解であります。
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、今、池田長官が数字をあげてるる述べられました。大体私が持っておる数字と合致いたします。しかし最後の一万人という数字は、私が予想しておった数字よりは大きい数字を聞かされたわけですが、勧告を受けた文部大臣としては、なるべく早く調査を完了するということでした。先週木曜日の質疑の際は、十一校のうち二校の調査を完了した。で、早急に調査を完了して結論を出したいということでしたが、現時点において何校の調査が完了し、いつごろ、どの程度の結論が出る見通しが立たれておられるか、お答えいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先日もお答え申し上げましたように、大体今月一ぱいには調査を完了したいと思っております。
○矢嶋三義君 現在何校の調査が終わっておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(天城勲君) 約十一校のうち半分くらい。
○矢嶋三義君 約なんかじゃないですよ。そんなはっきりしていない……。
○政府委員(天城勲君) 正確な数字は現在覚えておりません。約半分済んだと記憶しております。
○矢嶋三義君 池田長官いかがですか。怠慢じゃないですかね。文部省は三月十一日に勧告を受けて衆参で論じられてきて、法律案の審議にも関係を及ぼしているわけです。閣内の方針が一致していないというわけで追及されて、この前、纐纈政務次官が官房長官に中間報告をしたのは四月十三日のはずですよ。四月十三日に文部省の政務次官は大平官房長官に中間報告をしたはずです。そのときも早急という言葉を使ってありますが、あの活字には。先週の木曜日に三校だけ調査が終わった、それで質疑をしたところがすみやかにやりたいと、ここで本日質疑のあることはわかっているのに、約半数とは何ですか、半数とは。二十九日から飛び石連休に入るのですよ。休みが終われば五月中旬ですよ。それから一体どうしようというのですか。池田長官もう少し催促したらいかがですか、あなたはどういう所感を持たれますか。
○国務大臣(池田正之輔君) 今答弁したのは文部省の何という人か知りませんよ。これはでたらめな答弁、無責任な答弁です。知らないというならそれでいいけれども、約半数なんて無責任です。これが文部省官僚の姿なんです。わが政府部内にかような官僚がいることはまことにざんきにたえません。今まで済んだのは三つしかありません。そこで私は文部大臣も、ここに政務次官がおられますが、その他の諸君もおられますけれども、一体、文部省の中に私の意見に賛成している人が非常に多い、一部にそういう担当しているような連中の中に、若干の連中にみなごまかされている、いいかげんなことをやっている、一体半数というような、そういう無責任な答弁をしておる、これはまことにざんきにたえません。
○矢嶋三義君 これは委員長、法案を審議する委員としても困るのですがね。先週の木曜日に伺って、本日またこれをはっきりして質疑をしようというのに、先週、文部大臣は十一校のうち一校調査した、大体三千人程度の目安があるが、増員できるかどうかということを検討するということです。本日、池田長官は約一万人は予算に関係なく可能だと判断しているという、一対三以上じゃないですか。それだけの両大臣に食い違いがある、しかも先般催促をしておいたのに、文部省の方では約半数調査を終わった、それで文部大臣はできるだけ早くというようなことで答弁されている、ところが池田長官はそばでその数字はうそだ、三つしか調査が終わってない、こういう答弁では次の質疑をしようにもされぬじゃないですか、文部大臣、どうして責任をとりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 調査の実情につきましては、政府委員からお答え申し上げさしていただきます。
○政府委員(天城勲君) 十一校でございまして、書面と、それからお目にかかっての調査で私半数と申し上げましたけれども、十一校のうち六校終わっております。
○矢嶋三義君 それでは官房長に伺いますが、その六校調査をした結果、増員入学はできそうだというのは何名くらいだと判断されておりますか、その六校の調査では。
○政府委員(天城勲君) 私実は調査に直接立ち会っておりませんので、詳細な報告を得ておりませんのでお答えすることができません。
○矢嶋三義君 学術局長が病欠ならば大学課長が来てるはずです。お答えいただきます。こういう質問があることがわかっているはずじゃないですか、お答え願います。
○説明員(村山松雄君) 官房長からお答え申し上げましたように、大学からおいでいただきまして、書面と口頭によって実情を伺っておるわけですが、全体的に検討いたします必要もございますので、個々の大学につきまして可能であるとかないとかいう結論はまだ現段階では出しておりません。
○矢嶋三義君 その答弁もおかしいですよ、その大学に収容能力があるかないかということを調査するんでしょう。国全体として何名不足で、でき得べくんば入学さして増員しなければならぬということははっきりしているわけなんだから、国策上必要だということは。だから教育をする大学は受け入れ体制があるかないかというのが目的じゃないですか、それだけじゃないですか、よその大学と関係はない、六大学は調べたが、十一大学全部調べなければ、調べた六大学については収容能力があるかないかという判断が下されぬという、そんなばかなことがありますか、そんなことではすごされませんよ、お答え願います。あると判断したか、ないと判断したか、あると判断したなら何名程度可能だと調査の結果判断されたのか、お答えいただきます。
○説明員(村山松雄君) 大学の増員の計画なり、それから現在の施設の収容能力なり、そういった点について御説明を承ったわけでございますが、それにつきまして可能であるかないかの判断を下すにつきましては、大学基準の適用、それからそういうことを承認する場合の手続、その他いろいろ検討すべき点がございますので、現段階におきましてはまだ結論が出ておりません。
○矢嶋三義君 そういう点は誠意がないですよ。 それじゃ私もう一項目突っ込んで聞きます。政務次官に伺いますが、あなたは四月十二日の夜、大平官房長官にこの問題についての何らかの回答をされましたね、これをまず確認したいと思います。
○政府委員(纐纈弥三君) 先般御質問の際にも、私は大体、大平官房長官に三項目の内容を、あっせん案の内容として申し上げたと御説明申し上げました。その通りでございます。
○矢嶋三義君 その内容をちょっと確かめて次の質問をいたしますが、それは現行の大学設置基準及びその運用については検討を加えたい。運用についての検討を加えたい。増員計画についてはすみやかに当大学の実情を調査し検討したい。こういう意思表示をあなたは大臣にかわって官房長官になされましたですね、御確認願います。
○政府委員(纐纈弥三君) ただいま御指摘の通りに私は申し上げました。そこで先ほど来、官房長、大学課長から申し上げましたように、実は先般来早急に進めておりますが、学校の方の都合もございましたので、金曜と土曜日は実はそれができません。昨日は実は千葉大と芝浦大学を呼ぶことになりました。芝浦大学の方は、一応書面をもって、私の方としては今のところ増員の計画をすることはできないということでございました。千葉大学の方は、理事が急に胃けいれんになりまして参りませんので、昨日は近畿大学を呼んだようなわけであります。きょうはまた引き続いて三校を呼ぶわけでありますが、従って、できるだけ早くこれない方の方は、東京の近くの方でお見えいただける方に御都合をつけて、日程を変更して調査を進めたい、こういう状態であります。
○矢嶋三義君 大学の学生定員増は、これは文部省の認可事項になっていないでしょう。この点いかがですか。大学設置基準の運用について聞いているんです。学生の定員の増員は、文部大臣の認可を受けなけりゃならぬという認可事項じゃないでしょう。いかがですか。
○説明員(村山松雄君) 学生定員は学則に規定する事項になっておりまして、学生定員増は、形式的に申しますと、学則の改正ということになりますので、法令上は報告事項になっております。
○矢嶋三義君 認可事項ではないでしょう。
○説明員(村山松雄君) そうでございます。
○矢嶋三義君 事実は認可事項として扱っているんじゃないですか、いかがですか。
○説明員(村山松雄君) 学生定員の問題は、大学の規模、それから教授能力、大学教育の成果を左右する非常に重要な要件でございますので、大学の設置を認可する場合におきまして、将来、学生定員の変更も文部省と協議していただくように希望事項として述べまして、そのように運用しておるわけでございます。
○矢嶋三義君 現行の大学設置基準及びその運用については検討を加えたいということは、認可事項でないのを認可事項と同じように文部省で相当にコントロールしている、そのためにうまくいかないから、そこらあたりを検討を加えたいという意思表示をした資料、これ、しかるに何ですか。政務次官に伺います。この昭和三十六年三月三十一日付大学学術局長名で出されたこの通達はいつ発送しましたか。
○政府委員(纐纈弥三君) 局長名で出しましたので、実はタイミングが非常に悪かったのでありますが、一応聞きましたら、起案から執行するまでに相当日数がかかっておったわけでございまして、実はそういう意味におきましていささかタイミングがはずれておりまして、従前のものを確認して出したというような形になっておりまして、実は起案当時は科学技術庁長官の方からの通告を受けなかった前のように私は承知いたしておりますが、多少そこに事務的の手違いがあったということでございます。
○矢嶋三義君 文部大臣、この通達、承知していますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 出しましたときは承知しませんで、あとで承知したわけでございます。でございますが、現在の文部省対私学との関係において、当然関係者が知っておらねばならないことについて通達が出されておるように私は承知しますが、ただ運用上も検討を加えたいということを国会でも申し上げ、そういう考え方でおるときに、何かしらぬそれとちぐはぐなような感じを受ける通牒が出されたという点ではいささか遺憾に存じております。事柄それ自体としては、検討するにいたしましても、必要な事柄が盛り込まれているように承知いたしております。
○矢嶋三義君 これでは文部省と科学技術庁の意見調整ができないのは私は当然だと思うのですね。こういう問題が論ぜられているときに、こういう通達を出されるというのは理解に苦しむんだね。大学課長に聞くがね、ともかく私学が法律規則を無視してやたらに独走しそうだから、ここで一つコントロールしなきゃならぬというようなそういう現実があり、その必要性を感じたからこれを出されたんですか。そうだろうと思うのだ、おそらくそうでしょうね。どうですか、どういう気持でこれを出されたのですか。
○説明員(村山松雄君) お示しの通達は公私立大学のみならず、国立大学にも出したわけでございまして、従来、許認可事項、報告事項につきましては、場合によりますと励行されていない場合がございまして、そうなりますと、文部省といたしましては、大学の実態を把握するのに不十分な点が出て参りますので、これを励行していただきたいという趣旨で出したわけでございまして、特にコントロールしょうというような特定の意図があるわけではございません。
○矢嶋三義君 じゃ伺いますがね、この通達を出す時期は、タイミングとしては国会論議並びに科学技術庁と文部省との意見調整段階では適当なタイミングでなかったという反省をいたしておられるかおられないか、これを伺います。
○説明員(村山松雄君) タイミングとしては確かに不適切な点があったかと思います。
○矢嶋三義君 特にコントロール云々というけれども、新たにつけ加えたものがあるじゃないですか、終わりの方に。「(別段の定めはないが、異動の際は御報告ください)」、「(別段の定めはないが、そのつど御送付下さい。)」、根拠のないのにそういう要求をつけ加えて出している。特に協議事項のところに、「大学学部等設置の際通達した事項」という協議事項のところですね、「当分の間、文部大臣に協議すること。」、これは明らかに法律違反じゃないですか。先ほど私伺ったように、学部を設置する場合には、大学設置審議会でやって認可を受けなければならない、ところが学生定員の増員等は認可事項でないのだから、こういうような通達を出すということは、僕は精神としては法律違反の精神があると思うのだね。この点は科学技術庁長官どういう見解を持っておられますか、あなたこの通達が出ていることを知っておりますか、知っておりませんか、その点、もし知っているとするならば、こういう段階にこういう通達を出すことは、タイミングとしてはよくないと文部省が反省したからそれはいいとして、むしろコントロールを強めるような協議事項の通達は、僕は法律の精神からいって、それに反するものだと思うのだが、科学技術庁長官どういう見解を持っているか、お答え願います。
○国務大臣(池田正之輔君) 実は私もこれが出たことを知りまして、中身を見まして非常に驚いたのです。これは文部官僚の一部が……しかもその当時これが出されたときに、文部大臣も政務次官も、上の方の人たちは何も知らなかった。これだけの重要な、大問題になっているやさきに下僚がこれを勝手に出してやった、これは私学に対する一つのどうかつであります。恐迫としか思われない、こういうようなことを文部官僚があえてやっておる、これは私は非常な義憤を感じました。と同時に、これはあえて御質問ですからお答えしますけれども、一体この協議事項というのは、これが出された当時は私は妥当だと思う。これはたしか終戦直後に、時期ははっきりいたしませんけれども、今から十数年前に出されたと思う。そうして何年も何年もこういうものをやっているということなれば、当然これは法律を改正すべきである法律論から言えば。従って、こういうものを次官通達か何かで強制してやるということは、これは立法の趣旨に合わない、従って、これは法律違反、法律違反というとこれは非常に言葉が強くなりますが、そういう結果的に法律を無視したような結果になることは、文部省として、十分に文部大臣にも考えてもらわなければならぬ。こういうものを一々大臣も知らないうちにどかどか下僚が出すような通達、それほど重要なものだ——先ほど御答弁の中に特定の学校が、これは危険がある、いいかげんなことをやられちゃ困る、従って、それに注意を与える意味において、こういうものをそういう特定の学校にだけ出すならこれは話がわかる。私立大学その他官立大学全部に出したということになると、ますますこれはゆゆしい問題である。どういうつもりでああいう答弁をしたか知りませんけれども、かようなことは、これは以後十分注意しなければならぬ。どうしてもそんなに必要性があるなら当然これは法律改正で出すべきである。私はそう解釈しております。
○矢嶋三義君 文部大臣、ただいまの池田国務大臣の見解に対してはどういう見解を持たれますか。確かに、終戦後、新制大学が発足した場合に、その必要を認めて協議事項として扱ったんだと思うのです。それで惰性で、一つの慣性でここにずっときていると思うのですね。だから、池田国務大臣の意見のように、確かにその必要があるなら法律を変えてやるべきだ。これをやるのは法律無視だ。さらに、少し言葉が強いけれども、私学に対するどうかつだと、こういうふうに池田長官は所見を表示されているわけですが、文部大臣はどういう御見解ですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点も含めて再検討をしたいということを文部省として国会において申し上げておるやさきに、その通牒が出ましたことはタイミングとしてちょっとおかしかったと思います。ですけれども、その通牒そのものは、よく聞いてみますると、ほとんど毎年のように出しておる。まあ念のための通牒だそうでございまして、その意味においては実質的には他意があったわけではむろんございませんし、ただ政治的な問題にもなっておるときに、何か他意があるごとく思われはしないかということを連想しないで出してしまったということはタイミングが悪いということだと思います。それから、これはまあ沿革的に言えば、昭和二十四年ぐらいから始まったと私は承知いたしておりますが、矢嶋さんも御指摘の通り、終戦直後の混乱期において、私学はもちろん、教育界がめどを失ったような状態、新しい制度が発足したとたんにおきまして、いかがわしい大学もあったようであります。ですから、法律上から申し上げますと認可事項ではありませんけれども、文部省として私学の実態を把握する上からいいますと、ことに学校法人の認可あるいは学部の認可と関連して、施設、設備はもちろんのこと、定員も無関係ではございませんので、教育の質を落とさないという角度から、認可に関連して、認可条件としてこういうことについても省内では協議して下さいという条件をつけましたそのことは法律的には私は疑義はないと思います。ただ、現実の私学の実態がその後だんだんと健全化してきて、いかがわしい大学などはほとんどないという最近の状態になってきますると、認可条件としてそういうことまでやるのはいかがであろうか。当、不当の問題としては残っておる課題だと思います。ですから、その意味において今後検討を加えて、協議事項などというものを除いてよくはなかろうかということを含めて検討したいというととでございます。純法律論として言うならば、従来の認可条件に加えましたことは、少なくとも当時としては違法でもなければ不当でもなかったろう。今後に対しましては当、不当の観点から検討を加えねばならぬ、かように思っております。
○矢嶋三義君 時間が参りましたから、午前中の質疑をこれで一応終わりたいと思うわけですけれども、もう一問いたしますが、一万人と、それから応検討対象になっているのが三千と言う。この一万と三千というのは数字だけでなくて質も違うんですね。これだけの差異があれば一体技術者をいかように養成するか。ひいては工業教員を幾ら養成したらいいかという数字のはじきようがないんですよ。若干ここに数字が出てきましたけれども、早くこの一万と三千の両ラインの数字のその数を近づけていただくと同時に、その数字の質ですね、内容ですね、それも合致させていただがなければあまりにも隔たりが大きい。これでは一体臨時教員養成所で工業学校の教員を何名、何年計画で養成していいのか数字のはじきようがありません。これははっきり申し上げておきます。で、午前中の質問を終わるにあたって数字をお答え願いますが、これは文部省と科学技術庁と、それから大蔵省の説明員からお答え願いたいと思うのです。それは、この理工系の科学技術者養成所が一人増員するにあたっては一年に幾ら予算が必要か、それからこの臨時教員養成所の学生には一人について一年幾らの国費が必要なのか。それから理工系の科学技術者の過半数は私学で養成しているわけですが、私立学校における理工系の科学技術者一人について、国は一人当て一年幾ら助成をしているのか、その数字を三者から承って午前中の質問を終わります。
○国務大臣(池田正之輔君) この問題についての答弁を申し上げる前に、先ほど質と量のお話が出ました。そこで私は御参考までに申し上げますけれども、文部省はこれは当然でありますが、やたらにふやすと質が落ちる、それから教授の数が足りないということをしきりにおっしゃるのであります。これはごもっともなお話なんです。しかし、何らこれに——それじゃ足りないからといって、あるいは質が落ちるからといって——私は落ちないと思うのですけれども、落ちないで質、量をふやす方法はないか、こういうことなんですね。これはあると思うのです。現にソビエトなりドイツとかというものは、少なくとも三百人、五百人を一つの教室に入れてりっぱな教授が教えている。そういう面の検討がなされておらないということはまことに私遺憾にたえません。なぜ、いたずらに教授が足りないとか、質が落ちるとか、そんなことをばかの一つ覚えみたいに文部官僚において言っている。よその国でやっているのですから、それをやっていないのは日本だけなんです。なぜそれをやろうとしないか、積極的な意欲がないということであります。そこで今の御質問の最後の点でありますけれども、私の承知いたしておりますところによりますと、本年度の——大蔵省の主計官が何かはやほやしていますから私から申し上げますが、大体一人頭十八万円ぐらいになっております、割ってみますと、今年度の教員養成所の面は。しかし、これは設備費がまだ十分に入っていない数字じゃないか。これから二年、三年、四年になって参りますと、研究費、設備費がかさんで参りますと、おそらく二十数万円、普通の国立の理工科系は三十数万円になっております。地方はこれよりずっと落ちております。そこで私学関係でございますが、私学関係は今度の設備補助、これを見ますと一人当たり八万幾らになっております。
○矢嶋三義君 一年にですか。
○国務大臣(池田正之輔君) いや、これはその数字は私まだはっきりつかめないのですけれども、八万幾らに割るとそうなりますが、おそらくこれは大学の場合は、四年間で割るということになると二万円、一人当たり二万円、私大体そこのところだけ、最後の点は私明確につかんでおりません。大体そんな見当じゃないかと思います。
○矢嶋三義君 今文部省側と大蔵省側が数字を検討しておるようですから、その答弁をいただく前に、科学技術庁長官にもう一つ伺いますが、私は、一万人と三千人が、絶対数も違うが質も違うと言った意味は、あなたば、一万人は予算を伴わないで可能だ、こういう判断ですね。それから、荒木文部大臣は、この前この委員会で、大体十一大学で検討する対象になるのは一二千人だというわけです。三千人なら増員が可能だというわけじゃないのですよ。荒木文部大臣は、三千人が一応検討の対象の数字だというわけです。だから、何名増員できるかという点については、きょうの段階においてもまだ全然白紙なんです。三千という数字はそういう質の数字なんです。あなたの方では一万人可能だというわけですね。だから、あまりにも開き過ぎるわけです。とても私はこんなことでは一歩も先に進めないと思うのです。どうですか。あなた、この時点に立って、科学技術庁設置法の第十一条の五項に基づいて、長官は内閣総理大臣に対して、当該事項について内閣法の規定による措置がとられるよう意見を具申することができるという規定があるわけですが、この十一条の五項で、内閣総理大臣に意見の具申をして、所得倍増計画を一枚看板とする池田内閣の手によって、総理の手によって解決しなければ解決できないのじゃないかと私は今判断をしているのですがね。ということは、その一万と三千の、絶対数が違うのと質が違う、こういう点についてあなたはどういう、現時点において、判断と見通しを持っておられるか、お答え願います。
○国務大臣(池田正之輔君) これは決して御心配要りません。というのは、はっきり申し上げますけれども、この際ですからはっきり申し上げますが、各大学とも、それぞれ定員の二倍、多いところは三倍くらいの入学を今度やっております。これは現実にやっておる。これは既成事実としてでき上がっておる。これに対して文部省はどういう態度をとるかしりませんけれども、これは私はけっこうだと思います。従って、私の所期の目的は半ば達しておる、こういう結論になるのであります。でありますから、これ以上そう総理をわずらわす必要もなければ……。ただこの機会に、私は文部官僚のものの考え方——文部官僚と申しましても全部というわけではありません。特に大学局におる文部官僚の頭というものを、これを一つぶち破ってやらないといけないと思う。これは文部大臣からもう少ししっかりしてもらわなければ困ると思うのです。
○矢嶋三義君 さすが池田国務大臣は池正の名で通っているだけに政治家だと思うね。あなたの判断はこういうことなんですね。三月十一日付で勧告を出した。この池田勧告に、まあ教唆扇動されたというか、激励されたというか、それによって各私立大学は二倍なり三倍の入学生を現に確保している。ただそれを認めるか認めないかというだけの問題だと、こういう認識のもとに荒木文部大臣に挑戦しているわけですな。はっきりしたのです。荒木文部大臣、これいかがですか。二倍なり入れているのですがね、これを認めるか認めないかという段階に来ているという内容がはっきりしてきました。あなたの御所見と、現在における実態の把握はいかようなものであるか、お答えいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 定員の二倍、三倍、現に入学さしておるかどうかは、実態把握いたしておりません。原則として定員が定められているものと思います。
○矢嶋三義君 では、これ勝負どころですがね、実際入っているとすれば、矛盾を犯しているわけですね。明らかに受け入れ態勢はあるわけですよ、池田科学技術庁長官の認識によれば。それで現在講義が進んでいるわけですね。それだったら、それに即応する増員計画というものを認定されれば、これで円満にものが解決するのじゃないですか、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今おっしゃる意味も含めまして、先刻来お答えしておりますように、当該大学の方に来ていただいて、実情もよく承りつつ結論を出したい、こういう段階でございます。
○矢嶋三義君 大体それですべてがわかりました。大臣、大体一倍半か二倍に水増しをしておるということを、あなた知らぬかもしらぬけれども、大学学術局は知っておるわけですな。そこで、つむじを曲げて通達を出したということなんですね。まあそういう行きがかりというか、感情は抜きにして、両大臣は早く意見の調整をして、ともかく数字をはっきり示して下さい。ことし増員は三千二百二十人と承っておるわけです、この委員会は。これをはっきり何名かということを一つ示していただきたい、それに基づいて中級技術者から教員養成の数字をはじき出して参りますから。これは早急にやっていただけますね。念のために文部大臣の御答弁を伺って、保留になっておる先ほどの数字を一つ御答弁いただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 以前からお答え申し上げておりますように、十一の大学に来ていただいて、実態を把握しながら結論を出したい、こういうわけでございます。ただ御案内の通り、文部省対私学の関係におきましては、私学で理工系の人材養成をこれだけやりなさいということを指示する立場にございませんで、各私立大学等で、自分のところではこういう学科目、あるいは学部等を新設あるいは増設等をして、これくらい養成をしたいということを正式に申し出られまして、初めて正式には知り得るわけなんでございまして、もしそれが予算に関連するとか、あるいは私学振興会を通じての融資の対象になるとかいうことに関しますると、今申し上げた正式の申し出によって行動するほかにはないわけでございますから、私学の内部で、胸の中で、このくらい養成したいと思っておられることは私どもの立場においては知り得ないわけでございます。知り得る機会は、今申し上げたように、各私学から正式の申し出があって、そうしてそれが双方の話し合いで結論が出たものが最終的な正式な数字、こういうことになるわけでございますが、実際は国立大学におきましても、御案内の通り、入学のときには定員よりは少なかったり、ある程度多かったりということは従来事実問題として黙認されてきておる。私学においても同様のことが黙認されるという形で推移してきておると思います。ですから的確に何千何百何十名おるかということは掌握できていないのが実情でありまして、正式に定員として文部省が承知しておることを基礎にものを申し上げるほかにはないので、従来からそういう立場に立ってお答え申し上げておることを御理解いただきたいと思います。
○説明員(村山松雄君) 国立大学の理工系学生一名増員に対する年間の予算でございますが、これを三十六年度増員の千七百九十名分に対しまして、それに対応する予算額を千七百九十名で割りますと、建物を除く経常費、臨時費が約十万、建物の経費が三十五万、計四十五万という数字になります。それから工業教員養成所の学生一人当たりの年間経費は、三十六年度予算に計上されました工業教員養成所の経費は八百八十名予定する入学定員で割りますと、建物を除く経常費、臨時費が一人当たり十七万、建物の経費が約五十万、計六十七万という数字になります。臨時教員養成所の方が一般の大学より割高になっておりますのは、一般の大学の方は、初年度は教養関係が入りますので、単価が比較的安くなっております。工業教員養成所の方はいきなり専門教育の方へ入りますし、それから建物につきましても、既設的建物が全然ないという条件で、必要なものを全部計上する関係で高くなっておるわけでございます。 それから私学の理工系一人増募に対しましての経費でございますが、これを今年度、三十六年度の私学関係として予定いたしました八百人増員に対する私立大学整備費補助金が一人当たり幾らかという観点で計算いたしますと七万八千円ということに相なります。
○説明員(佐々木達夫君) 一人当たり幾らという数字は非常にいろいろな条件によって違うと思います。たとえば二十人教育する場合と十人教育する場合によっても違いますし、学部によってもいろいろ違います。従って、一人当たり理工系幾らということはなかなか的確には把握できない問題だと思います。先ほど大局的な数字につきましては、科学技術庁長官からお答えがありました大体ああいう見当じゃないか、大局的に眺めて見ますと。しかしながら、ただいま文部省から説明いたしましたのは、本年度予算をそのまま数字をとった場合の数字でございます。ただ、これはいろいろな条件が違いますので、的確に、理工系一人増員すれば幾らという数字は、これはなかなかむずかしい問題でございます。従いまして、本年度予算をとって見ますと、今文部省が説明した数字になるわけでございます。
○矢嶋三義君 今数字を承りましたが、科学技術庁長官と文部大臣に伺いますが、この国庫経理、支出から判断されることは、私学に受け入れ態勢があれば私学と十分協議して、私学を利用するといいますか、協力を仰ぐと申しますか、そういう態勢をとることは非常に予算面から効率的なことだと、この数字から判断されるんですが、この点文部大臣なり、科学技術庁長官はどういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私学の協力を求めながら人材養成をすることは、これは当然のことでありまして、従来、文部省としても、いまだかつて私学をことさら押えつけて協力させないということはしてこなかったと思います。今後といえども、むろん協力を求めていくべきものと心得ます。
○国務大臣(池田正之輔君) 今、文部大臣がおっしゃった通りでありますが、しかし、大臣が考えていることと下の方でやっておることと違うんじゃないか、これはもう少し文部大臣からもその点を御注意願いたいと思いますが、私も他省のことだからあえて申しにくいことを申し上げるんですが、つまり文部大臣としてはあくまでも公平な立場で、国家的な立場に立ってそういうふうにお考えになっているんでしょうけれども、つまりこういうへんちくりんみたいなものが出てきたようなわけで、さっき私は、二十四年と文部大臣がせっかく言われますから黙って引っ込んだんですけれども、そうじゃないんです。これが出たのは終戦直後で途中でインチキがあったんです。これは今ここでは申し上げません。いい機会がありましたら、あなたに御説明いたしますが、文部省はいかにインチキやっておるかということです。そういう意味で、これからもう少し文部省の諸君も、ここでお互いに日本人なんですから、日本の善良な行政官として、良心に立ちかえって国家のために考えてもらいたい、このことだけを私は申し上げておきます。
○理事(豊瀬禎一君) 本案に関する質疑は午後二時二十分より再開続行することとし、暫時休憩いたします。 午後一時二十四分休憩 —————・————— 午後二時三十八分開会
○理事(豊瀬禎一君) ただいまより文教委員会を再開いたします。 午前に引き続き、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。 質疑の通告がありますので発言を許します。矢嶋三義君。
○矢嶋三義君 午前中、人事院総裁並びに公務員室長にお伺いする予定であったのが伺えなかったので、まず、給与の問題について伺いたいと思うんです。 午前中、質疑も出たわけなんですが、この研究者の海外への流出、それから研究者の民間への流出、相当数字が出ているんですがね。私の持っている数字では、公務員の研究者で離職した人は二百十五人という数字を私は持っているのですが、昨年九月二十八日付で日本私立大学連盟作成の人事院勧告と大学教授待遇改善に関する参与資料、これは昨年の秋もらった資料なんですがね。この資料によると、これは科学技術庁と文部省の資料で作成したというのですが、理科系で、昭和三十四年度では千四百七十二人という人が民間へ流出しているわけです。で、工業高等学校の教諭並びに助手等が、かなり民間からスカウトされているのですが、これの資料提出を要求しておいたのですが、文部省では数字としてできていないので、きょう出ていないのですがね。こういう事態の起こる一番大きな原因は結局は給与の問題にあると思われるのです。で、この行政管理庁の行政監察、それから科学技術会議の答申を見ましても昨年の夏、人事院が行なわれた人事院勧告を実施してもなお不十分だということが第三者的な立場からの意見が出ておる。当事者である学術会議とか、あるいは研究者のグループでそういう叫びをしたことはもちろんですがね。これについて人事院はどういう見解を持たれているのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) ただいま御指摘のように、研究職の離職と申しますか、離職なりあるいは充足の困難という問題につきましてほかの研究環境と申しますか、そういうものとあわせて給与の問題がやはり一つの要因でありますことはお話の通りだと思います。まあそこで人事院といたしましては、もちろんこの現在の科学技術の振興と申しますか、そういう点ではどうしてその給与と任用の両方の関係から対処いたすべきかということは始終重要な問題になっていますわけで、給与の問題につきましては昨年の、御存じのごとく、給与の問題及び初任給調整手当というものに対する昨年の段階といたしましては、一応あの線が妥当なも一のと思いましたけれども、いろいろ科学技術庁とか、技術方面からの御要望も十分伺っておるわけでありますが、今年度の問題といたしましては、ちょうど四月現在で民間給与の調査に着手いたしましたので、研究方面の民間給与の問題も勘案いたしながら、十分今度の調査の結果と照応いたしまして十分検討いたしたいと思っております。
○矢嶋三義君 ただいま臨時教員養成所の法案を審議しているのですけれどもね。給与の問題が適正に解決しなければ教員養成の目的を達することができないと思うんです、私は。問題の根本はここにあると思いますので、今のわが国の制度では人事院のこの責任と使命というのは大きく最も関係あるところですから、私は後ほど要望もしたいし、もう少し伺って参りたいと思うのですがね。今、人事院の置かれておる立場というのはきわめて微妙なところがあるわけなんですが、私は根性のある答弁をしてもらいたいと思うのですけれどもね。その一つは、先般、根本的な問題ですが、日経連の前田専務理事と池田総理大臣が給与に関しての論争をやったわけですね。その所論は当然人事院としては承知していると思うのですけれどもね。あの中で池田総理が公務員の給与については民間給与と比較検討してやっておるのだ、そうして日本においてはいまだかつて生産向上を上回わるところの賃金引き上げが行なわれたことはない。だから生産向上に伴うところの収益は資本蓄積と設備——具体的に設備投資等へ回わすと同時に、賃金にもはね返るのが妥当である。だから昨年の人事院勧告は間違ったとも思わない。また、それを十分、百パーセントじゃなかったけれども尊重してこれを行政の面に生かした政府の施策も誤ってない、こういう筋で反論をしていますがね。前田専務理事の所論はこれと非常に対照的なものであったわけですよ。人事院は公務員の給与並びに民間給与について専門家としてデータを、常に整えられているわけですがね。あの論争を聞いて人事院としてはどういうデータに基づいてどういう見解を持っているか、承りたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) 日経連方面におきましては、別に先般の前田専務理事の発言にかかわらず、始終まあいろいろ公務員の給与と民間給与との差につきましては批評もあるわけでございまして、人事院といたしましては、まあ外部のいろいろな御批評のいかんにかかわらず、御存じのごとき調査によりまして民間給与を調べまして、民間給与と生計費というものを大体二つの柱にいたしまして勧告いたしておりますわけで、今後といえどもそういう方針でやって参りたいと思います。
○矢嶋三義君 あなたはどちらの所論を正当だと考えられたかということです。
○政府委員(入江誠一郎君) どちらの所論と申しますか、結局今のお話の通り、前田専務理事の発言は大体において生産性と賃金というふうな問題を中心にして主として先般の公労協その他人事院の勧告というものが高過ぎるといいますか、というような意味の発言だったと思います。総理大臣は民間給与を比較して人事院が勧告しているのだというふうなことでございまして、まさにその意味では総理大臣の言われる通りでありまして、民間給与にあわせて勧告いたしておるわけでございます。
○矢嶋三義君 念のために承っておきますが、給与局長に伺いますが、あなたが担当責任者として専門的に数字を扱うわけですが、今作業段階にあるわけですが、人事院は微妙な立場に立たされているわけですけれども、財界あるいはそれを代表する前田専務理事がああいう所論をされ、それに対して池田総理がああいう反論をするとか、そういうことには当然惑わされることなく、純統計学的に給与の実態を把握し、作業を進められるものと私はかたく信じますが、念のためにあなたの決意を承っておきます。
○政府委員(滝本忠男君) ただいま総裁からお答えがございましたように、人事院といたしましては、公務員法に規定いたしますところに従いましてやるということに変わりはないのであります。従いまして日経連でもいろいろのお話が出ますし、また総評方面からもいろいろのお話が出るわけでありますが、人事院といたしましては、ただいま総裁からお話がありましたように、公務員法に規定されております人事院の使命という点にかんがみまして、それにすなおに、率直に従ってやるということで現在本年の四月分につきましては、民間給与調査をやるということで、もうすでに準備を進めております。この調査は昨年行ないましたものと大同小異でございますが、多少いろいろわれわれの知りたいこと等も盛り合わせておりますので、その調査結果に応じまして、民間給与というものを把握し、これに基づいて人事院としてどういう勧告をやるかということを判断してやるということになります。惑わされるなどということはないのであります。もう公務員法に規定してあるところに従いましてこれにすなおに従ってやる、こういうことでございます。
○矢嶋三義君 あなた方は政治的な配慮をめぐらして初任給調整手当——これはまたあとで伺いたいと思いますが、そういうことでこれを処理しようとしておられるのですが、非常にこういう給与政策というものは僕は弥縫的なもので、こういうもので解決はできないと思います。この考え方もあとで伺いますが、その批判点を指摘して御一見解を承りたいと思うのですが、その前に、もっと根本的なことを伺っておかなければならぬ点は、それはあなた方が作業をされる場合、昨年の人事院勧告で大学の教授、助教授、すなわち教育職俸給表の一表、研究職、医療職、これを重点的にある程度の高率引き上げ勧告をされたのは方向づけとしては間違いないと思います。しかし、民間の給与との比較ですね。これは私は不十分だと思うのですよ。でなければ、海外はともかくとして、国内に官公吏の公務員の研究職にある人があれほど流れていくことはないですね、民間に。それから教職にあるところの技術系の教師が民間にそんなにスカウトされて逃げていくはずはないと思うのですよ。それはひどい格差があるからですね。これを是正するというのが人事院の使命ですから、その点で前田専務理事が何と言おうが、あなた方が民間の試験研究機関の研究職、そういう方々の給与とあるいは公務員のそれとの比較をする場合に、何か統計の基礎にとる数字のとり方が、事業所の規模等もその一つだと思うのですが、何かとり方に欠陥があると思うのです。これが十分バランスがとれるように適正なる数字をはじいて給与体系を是正しなければ、どういうことをやってもそれは流れていってしまうと思うのです。そういう点については何か反省、さらには改善策というものをお考えになっておられないかどうか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) 給与の比較方法につきましては、現在やっておりますことにつきまして特に大きな誤りはないと確信いたしております。そこで民間給与と公務員給与の比較の出て参りましたものに基づきまして、われわれが俸給表を各種作ります。それについていろいろ御批判もあろうと思いますけれども、ただ率直に申しまして離職の問題とか、あるいは研究職の大きい意味において科学技術方面から見た優遇の問題というものを、給与の問題だけで解決いたそうということは必ずしも簡単には参らぬのではないか。やはり総合的に研究施設でございますとか、いろいろな将来に対する研究の熱意を高揚する施策でありますとか、いろいろな方面から考えていただきませんと、これはよく御存じの通り教職員の例をごらんになりましても、公務員内部にはおのずからそこに給与の均衡といいますか、給与は御存じの通り一つの納得の問題でございますから、全体の公務員がある程度納得し得る一つの均衡をとった給与体系を作る必要もございますので、もちろん民間給与を十分調査いたしまして、ことに最近科学技術の尊重ということが重大な課題でございますから、慎重に対処いたしたいと思っておりまするけれども、調査方法そのものは別段大きな誤りはないと信じております。
○矢嶋三義君 少し具体的に伺って参りますが、たとえば昨年の夏の勧告の場合ですね、さっき言った大学の教授、助教授、それから研究職、医療職を高率に勧告しましたね。あたかもこれで問題が解決するかのごとく人事院はお考えになっておるわけですね。方向づけとしてはそれは正しいと思うのです。ところが、それに行政職関係が便乗してきたでしょう。そして平均一二・四%、二千六百八十円のベース・アップをやった、去年十月現在で。ここにも資料があるわけなんですが、計算してみますと、大学の先生と、たとえば行政官の順調なコースをいった人と裁判官との給与差は開いておるでしょう、数字を計算してみますとね。大体、大学の教授といったら大学でやはり優秀な人ですからね。だから教職にいった場合は、順調なコースをいった人とそれから裁判官にいった人と素質的には、能力的には同じに見ていいと思うのです。ところがこの前の人事院勧告でかえって大学教官は行政官、裁判官から引き離されてしまっている。たとえば一つ例をあげますと、昭和十五年の三月に大学を卒業したとするのですね。そうすると経歴年数は二十年です。行政官だったら局長になっている。これは改訂前は約七万。ところが、切りかえでは約九万になっているのです。二万はね上がっている。ところが、大学教官の場合は切りかえ前は五万円ちょっと切れる、いろいろな手当を入れてあるのですよ。そうして切りかえ後は六万円です。だから約二万の差がついておる。裁判官の場合だと切りかえ前は約九万をちょっと切れる。切りかえ後は十一万四千円くらいです。だから大学教官と裁判官の場合は約五万円開くのです。大学を昭和十五年に卒業して二十年たった。もとよりよけい開いてきている。こういうところに、大学教官というのは大体大学で優秀な人ですから、民間が給与がよかったら流れて行くのは当然ですよ。だからこういう勧告の仕方に僕は問題があると思うのだ。これはどっか数字が開くのは統計のとり方に誤謬があると思う。実際、切りかえた結果がこういうふうに出てきております。行政官、裁判官よりも大学の教官がかえって切りかえられると差が開かれちゃう。かかるがゆえに現実に現われてくるのは民間に流出するわけですよ。大学の教授を確保できない。ことに理工科関係が確保できないですね。大学院だって理工科関係は一番確保できない。文科系統は大体定員がおりますよ。理工科系は大学院の学生それ自体確保できない。大学院に入れておいても、将来の学者の卵として入れても途中で民間に出て行ってしまう。ということは、大学院教授になっても待遇はこうこうということは見えているから、だから今さら大学院で勉強しても、スカウトされたら行くということでしょう。この点は人事院が勧告される場合に数字の検討を誤らないようにしていただかなければ、いかに研究者を養成していっても必要なところに確保することができない。これは局長どうお考えになりますか。
○政府委員(滝本忠男君) 先ほどお尋ねがあったのでありますが、人事院が民間給与調査をいたしまして、それで、それに基づきまして勧告いたすわけでありまするが、これはたとえば、研究職なら研究職の民間の数字が出たらそれをそのままとるというわけではございません。これは去年の通りであります。行政部内の各バランスというものを十分考えてみなければならぬということがあるわけであります。従いまして、昨年は大学教官、それから研究職、医療職というようなところを上げ、また行政部内には御存じの通り技術関係がおるのであります。それからまた行政部内のいわゆる管理的職務にある人は、これはすべて管理的な職務におるわけではないので、非常にハイアラーキーの頂点であるような方は非常に少ない人でおります。これは非常に重要な任務をしておるのだと私は思うのであります。そういうふうでありまして、行政技官がおり、そういう状況があるという場合に、これをほうっておいて、研究、医療、それから大学教官だけをやるということは当を得た措置でないと、このように昨年は判断いたした次第であります。それで俸給表はああいうような勧告をいたしました。今、矢嶋委員の問題にされましたところは、俸給表自体の問題よりも、やはり俸給表がどういうふうに運用されておるか、またどういうところにおる人々がどういう人々であり、どういうつまり工合になっておるかというような現実の問題と非常に関係があると思うのであります。昭和十五年に出た者は局長になっておるというお話でございますが、ある省ではなっておるかもしれません。しかしある省では、やはり十五年くらいに出た人がまだ局長のポストにつけないという場合だってあるわけです。それからまた、その辺になって参りますと、やはり役所のポストも限られておることもあるわけでありますし、また人の問題もありましょう。年次だけで何年に出た者がどうだとなかなか言えないと思うのであります。で、われわれの方としましては、こういうことはございますけれども、一応大体現在局長になっている者が大体何年くらいに出たものであるかというようなところに見当はつけまして、俸給表等の勧告の場合に考慮をいたすわけでございます。昨年の場合におきましては、まず医療、研究、教育を見まして、それから行政を考えましたときに、あの程度をやることが適当であろうというように考えた次第であります。まあ学校関係の場合に、教授が非常に長く在職される場合に、教授のいわゆる定員というものが詰まっておって、そして上にいけないというような問題があるかもしれません。そのためになかなかあとが続かないというようなことがあるかもしれません。いろいろなことがございまして、実際に給与がどういうふうになるかということは、そういう実施の問題まであわせ考えてやらなければならないのではなかろうか、そのような点につきましても、われわれは、たとえば等級別定数ということを現実に作りまして、そして定員を認めたりいろいろなことをしているわけであります。その辺の努力もいたしている次第であります。で、今、裁判官のことのお話が出たのでございますが、これは特別職でございまして、まあわれわれは去年の状況におきまして、矢嶋委員が御指摘のような立場に立って、たとえば大体学校を出てどれくらいの者が、どのくらいの給与に平均的にはなっているのだろうというようなことから見ました場合に多少懸隔が、行政職一般あるいは教育職、大学教育職あたりとの間に、相当の開きがあるのではなかろうかというようなことも念頭にあったわけでありまして、その辺も考慮に入れて勧告いたしたのでございますけれども、裁判官は特別職でございまして、これまた別個にお考えになるという立場で、結局ああいうことになったのであります。その結果、現在御指摘のように、やはり裁判官と行政官の関係が、従前に比べまして、必ずしも改善されたとはいえないような状況にあるのではなかろうかと思います。まあ昨年の状況におきましては、昨年の勧告というものが、俸給表としては一応去年はあの程度が許される限度だというふうに考えているのでありますが、われわれとしましては、その俸給表がどういう一体効果を持ったか、影響があるかということは、絶えず現在でも調べておりますし、また今年の調査の結果どういうことに相なりまするか、まあかりに問題を具体化するというような場合には、その間の研究を十分織り込みまして、実施まで含めてこれが適正を期するように、われわれはやりたいというように考えております。
○矢嶋三義君 私のさっきあげた数字は、具体的なケースをあげて、大体の傾向を察知するためにあげたので、その数字が百パーセント普遍性を持っているという意味で申し上げたのではないのです。その点であなたの所論の過半数を私は認めますが、しかし方向づけとしては、傾向としてはそうなっているということを私は指摘したわけです。そこで文部大臣に今度伺いますが、この給与との関係があるわけですが、臨時教員養成所を設けた場合に、講座制をとるのか、学科目制をとるのか、それによって研究費が違ってくるわけです。そこで私は伺いたいのですが、講座制をとっている大学と、科目制をとっている大学で研究費が非常に違うわけですね。やはり一方は講座研究費になり、一方は教官研究費という形で配分される。これは非常に違うわけですね。私は臨時教員養成所はわずか三年足らずで養成するといわれることを承って、どういう形をとるのかというのは興味を持っておるのですが、その内容を伺う前に、一体講座制をとっておる場合と、科目制をとっておる場合に、あれほどの研究に対する予算に相違があってよろしいものかどうか、この点については大学の教授の研究意欲にも関係することですし、給与、俸給表と不可分の関係に私はあると思うのですよ。それで基本的なことを伺っておきたいと思います。もう少し是正する考えはないか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと明確にお答えいたしかねますので、政府委員から答えさせていただきます。
○説明員(村山松雄君) 現在国立大学におきましては、大学院を持つ大学はその基礎となる学部は講座制をやっておりまして、大学院を持たない場合にはその学部は学科目制ということでやっております。従いまして講座制の場合には学部の教育だけじゃなしに、大学院の教育研究もその講座が担当するという考え方になっておりますので、研究費につきましても学部と大学院の分をカバーできるだけのものを計上しておるわけでございます。従いまして学科目制の場合に比べますと、相当の差が出てきておるわけでございます。
○矢嶋三義君 そういうことは私知っているのですよ。大学院のある大学と、ない大学とで差があるということは、すべてに差があるわけです。それは研究費だけじゃない、定員にも差がある、全く同じ国の大学とは考えられないほど差があるわけです。それでいいと思っておられるかどうかということを、実は失礼ですけれども、大臣、数字に弱いですね、午前中池田長官と並んでお伺いしていると、池田長官はやっぱり数字を持っておってはっきりやっています。それで文部省が攻撃された場合に文部大臣は反論ができない。それは数字を持っていないからです。倫理綱領というのは非常に詳しいようですが、少し失礼ですけれども数字をもう少し入れてお答えいただきたいと思うのですがね。私今、大学課長から伺っている点は承知しているわけですよ。後刻本論に入ったときに定員ということを聞きたいと思いますが、今、給与のことを聞いておるわけですが、今の配分されている、あれほど講座制をとっているのと科目制をとっている大学で研究費に差等があってよろしいのでしょうか、どうでしょうか。私は是正さるべきものだと思うのですが、その前に大学課長、どの程度の差をつけているか、それを説明して、それを受けて大臣の御答弁を願います。
○説明員(村山松雄君) ただいま大学院大学と、しからざる大学との教官研究費等につきまして明確な計数的な資料を持ってきておりませんので、直ちに取り寄せまして御説明申し上げます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) どうも数字に弱くて申しわけありません。先刻大学課長が申し上げましたように、大学院における研究と学部における研究と、いわば両面のものをまかなう意味において金額が違うということのようでありますが、いずれにしましても大学院大学であろうと、そうでなかろうと、研究費が非常に少ないということはもう多年いわれており、いつかも申し上げたと思いますが、せめて戦前並みにしたいということを戦後今日まで文部省は年々それを目標に努力してきておるようでありますが、まだ戦前に立ち返っていないと思います。いろいろな内容等が複雑で奥行きも深くなっておる今日からいたしますと、戦前並みということでも足りないかと思います。これまた今後着々増額をはかっていくべき課題と心得ております。
○矢嶋三義君 臨時教員養成所は三年足らずでやられるということなんですが、研究費の配分についてはどちらの方をとられる予定で、ございますか。
○説明員(村山松雄君) 工業教員養成所の教官組織、研究費の単価等は学科目制の大学に準じて定めることにいたしております。
○矢嶋三義君 先ほど文部大臣、研究費を戦前並みにしたいと考えてやってこられているということです。速記録を調べますと、昭和三十三年の時点において、三カ年計画で教官研究費、講座研究費を戦前並みにするという言明を速記録に政府はとどめております。だから四、五、六と三年目にきたわけですね。今年度の教官研究費並びに講座研究費は戦前の実質一〇〇%になっておられますかどうか、それとも何%になっておられますか。
○説明員(村山松雄君) 三十六年度の国立大学の教官研究費は、大学と研究所を合わせまして、約八十億になっております。これは戦前水準で換算いたしますと、目標額が百二十億でございますので、まだ三分の二程度しか達しておりません。
○矢嶋三義君 あなたは三分の二と言いますが、私計算してみると、六〇%ちょっと出たくらいですね、三分の二までいっていません、六〇%ちょっと出ているだけです。どういうわけで、三十三年の時点に、三カ年計画で戦前並みの一〇〇%に持っていくという言明を国会速記録に残して、その後日本の経済は飛躍的に伸びてきているわけです。非常に順調にいっているわけです。税の自然増も多く、非常に予算は組みいい条件に恵まれている。それだけ条件がそろって、どういうわけなんですか、予算が組めないんですか、そうして六〇%そこそこにとどまっているのか、文部大臣のお答えを願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 努力不足でございます。もっとも三十六年度は前年度に比べればだいぶふやしたつもりではございますが、まだ努力が足りなかったことを遺憾といたします。
○矢嶋三義君 お互いに国会で質疑応答して、それから政権を担当し、予算の編成権を持っているものとすれば、これは予算を編成する権利と、それから公約を実行する義務と責任との関係にあるわけですからね、若干ずれることはしようがないですよ。それから天変地異があるとか、国の経済状況が非常に危機に瀕するというそういう新しい事態が生ずれば別ですよ。ところが、昭和三十三年のころより予想以上に日本の経済力は伸び、予算編成等も楽になり、いろいろいい条件がそろって、しかもこういうことが守られない点については、立法府としては責任を追及せざるを得ませんよ。大臣が謙虚に努力不足だということですから、私はそれで一応この点は下がりますけれども、しかし、政治というものはそれじゃ済まぬものと思うのです。結局、権利と責任という形で数字になって現われてこなければ、国民に対して責任がとれないと思うのです。私はここで持っているこの講座研究費から言いますと、非実験の場合は四一%ですよ、実験の場合は七七%近くなっていますけれども、そうしてこれが講座研究費の場合ですからね。教官研究費の場合は、科目制をとっている、教官研究費の形態をとっている大学では、実験の研究費が講座制をとっている大学の非実験よりは下回っています。どうして私はこういう予算を組むのかということが理解できないのですがね。だから冒頭にあの質問をしたわけです。講座制をとっている非実験の率よりは科目制をとっている実験の方が低いのですからね。そういう資料ははっきり出てきます。それではそういう大学から研究者が民間にスカウトされて逃げるのは当然ですよ。人事院にさっきお伺いしましたが、給与の問題もありますけれども、人事院みずから指摘したように、そういう研究環境というものがやはり条件になる。ごもっともな言葉だと思うのです。それが工業高等学校にいったら、なおひどいですからね。一部優秀な実習場を持っているところもあるけれども、研究室もないのですから。それに民間に行ったら給与もいいし、研究所もあるわけですから。だから大学で教職課程で教員を養成しても、教員にならんで民間に行ってしまう。教員になっておっても、途中からスカウトされて逃げられてしまうということなんですから、だからどうしても数字で予算面で、そういう試験研究の機関の施設設備と給与と、両面からそういう態勢を整えなければ、弥縫的な策を講じても人材を確保することはできないと思うのです。そういうオーソドックスな行き方をしないで、何か奇策を弄していこうというようなところが私は納得できないわけですよね。そういう点については、文部大臣はどういう御見解を持っていらっしゃるのか、念のために伺います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の通り、研究費等は潤沢であればあるほどいいわけでございますが、先刻も申し上げました通り、努力不足であったと申し上げるほかないのでございますが、しかし、これでやむわけじゃございませんで、年々積み上げて理想に近づけていくということよりほかに考えようもございませんし、またそのことをやっていきたいと思います。
○矢嶋三義君 ここで具体的な数字を伺いますが、大学の工業教員養成課程ですね、それが従来定員が何名で、昭和三十五年並びに三十六年において何名の人が工業高等学校等に就職されたか、数字をお教えいただきたい。
○説明員(村山松雄君) 工業教員養成課程として国立大学に置いておりますのは七大学でございまして、入学定員は百三十名でございます。その卒業者は大体百二十名程度卒業しておりまして、工業教員となった者は、三十六年につきましてはまだ確認しておりませんが、三十五年卒業者につきましては、二人と承知しております。
○矢嶋三義君 いつ二人になったのですか。衆議院の速記録では一人と答弁しているのですが、その後一人ふえましたか。局長は一人と答弁しているのですが、衆議院で。その後ふえたのか、それとも間違いないのか、どっちがほんとですか。
○説明員(村山松雄君) 失礼いたしました。一名でございます。
○矢嶋三義君 しっかりせぬとまた池田長官からやられますよ。 次に人事院にお伺いしますが、入江さん、最近人事院総裁になられたわけですが、あなたにも関係あるのですが、前から全国官公庁技術懇談会という組織から、人事官の選定についてよく陳情を受けるわけですが、数年前、かつて僕は議院運営委員をやっているときにも陳情を受けたのですが、先般、人事官が欠員のときも陳情を受けたわけですがね。これは多分各議員にも陳情していると思うのですが、これはごもっともなことが書いてあるわけですね。人事官は人文系統者をもって常に充てられるから、科学技術関係の業務に従事したことがない、経験を持たないから、科学技術者の実情について十分な知識と理解とに欠除しておる場合があるので、どうも科学技術研究者の立場から見た場合にはうまくいかない場合がある。だから、でき得べくんば三人の人事官については、科学技術関係の人をもう一人選択してしかるべきではないか、これは内閣と国会でやることでありますけれども、しかし、この全国官公庁技術懇談会のこの意向というものはこれは傾聴に値すべきことだと思う。こういうことを人事官耳にしたことがあるのかどうか、また人事官会議等の運営にあたって、こういう声というものは十分僕はしんしゃくされてやられておるものと思うのです。これはひいては今後のあなた方の人事院勧告にも影響してくることですし、研究者の勤務状態に影響してくることですから、あなたを不信というわけではなく、人事院の総裁としてどういう御見解を持っておられるか承っておきます。
○政府委員(入江誠一郎君) 人事官の任命の問題につきましては、よく御存じのごとく、これは人事院の一種の独立性に対する政府の一種の統制といいますか、これが人事官の任命権を政府が持っておられるところに、この面においても重要な要素を置かれておるわけでございまして、私といたしまして、人事官の任命がいかにあるべきかということにつきましてここでお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、しかしながら、ただいま御指摘の科学技術方面からの御要望は私どもも伺っております。また、むしろ現在の段階におきましては、今御指摘の通り、三人の人事官の中に科学技術系統の者がおりませんために、この点は率直に申しましてよけい気を使っておるわけでございまして、給与は先ほど申しました通り納得の問題でございますが、いかに努力いたしましてもそこにはやはり人事官の構成のいかんによって納得しがたい点が公務員各位にあられはせぬかということを始終苦慮をいたしております。そういう意味におきまして今後十分ほかの人事官とも科学技術の振興につきましては、誠心誠意努力したいと思っております。
○矢嶋三義君 高等学校の給与、すなわち臨時教員養成所卒業者の給与に入る前に、私は先刻の質疑を少し敷衍してさらに伺いたいのですが、四月現在における民間の給与を資料として検討、作業中だということですが、これは人事院総裁に伺いたいのですが、前出専務理事がいかように申されようとも、昨年の一二・四%、平均二千六百八十円のべ・ア勧告というものは低くとも高きに失したものではないと思う。しかも、これは、政府は、あなた方の意に反して完全に実施しませんでした、尊重にとどまりました。その後、中労委が仲裁裁定をやりまして、これは定昇を入れて平均三千円アップしておるわけですね。去年仲裁裁定はどういうものが出たかというと、去年は八百円——八百五十円程度であった。これは平均四%というわけですね。本年度はそれが御承知のごとく一%前後で実質三千円以上出ているわけですね。その後、民間給与の動きを見ますと、大体三千円から七千円のべ・アが行なわれておりますね、民間のべ・アが。そうなりますと、私の持っているデータからいっても、三公社五現業の賃金と民間給与とをあわせ考える場合、当然公務員、これは理工科系の公務員だけではありません、全公務員を通じての初任給のべ・アを含む勧告をしなければならぬ数字が当然出てくると思う。この点についてはどういう見通しを持っておられますか。
○政府委員(入江誠一郎君) 結論から申しますと、去年の五月以降今年の四月までの民間の給与が上がりましたのが、先ほど申し上げました人事院の四月を起点といたしました民間との職種別給与調査の現われでございます。問題はどの程度、いろいろ今金額をあげて御指摘になりましたが、たとえば公労協関係のいわゆる定期昇給を含めて三千円、人事院の二千六百八十円、これは定期昇給を含んでおりませんが、大体公労協と、御承知の通り約一〇%の差でございます。昨年の賃金に比べまして。そこで、人事院の昨年の勧告は大体一二%、そこで、公労協方面と一般の公務員との差が現在大体一〇%、現在と申しますのは、今度の引き上げ前でございますが、大体一〇%の差がございました。これはずいぶん長い間沿革的に、大体それが持ち越された格好でございます。人事院といたしましては、やはり公労協関係の賃金も十分注意いたしておりますけれども、これは御承知のごとく、民間給与と生計費とを勘案して勧告するようにというのが法の精神でございまして、やはり私どもといたしましては、四月の民間給与調査の結果によって善処いたしたいというわけでございますので、現在どの程度の差があるか、あるいはそれがこの夏と申しますか、夏にそれについて勧告をする場合に、どういう結果が出る、だろうという見通しにつきましては、現在全然見通しを持っておりません。
○矢嶋三義君 この法案で大学は三年、養成所に三年しか在籍しない者に四年制の大学を出た者と同じ待遇にしようとか、したいとか、あるいは初任給調整手当で確保したい、そんな弥縫策で根本を忘れたような給与政策をやったのでは僕は承知しませんよ。今の、私は給与局長に伺いたいと思いますが、今度の定期昇給を含む三千円べ・アで、公務員と三公社五現業の大体バランスがとれたというような意味の答弁は数的に問題にならぬ答弁だ。私はあなたの部下から承っておるのですが、あの仲裁裁定が出る前に、国家公務員の一二・四%、平均二千六百八十円のべ・アとの関係から、仲裁裁定は千五百円に出るだろう、あなたの方の専門家の数字が千五百円、そうしたところが定期昇給を含めて三千円の仲裁裁定が出ておる。これは人事院の給与局の局長の部下自身が、すでに専門でやっている人自身がびっくりした。だから、閣内で一番びっくりしたのは水田大蔵大臣でしょう。予算編成なんということじゃない。それは税の自然増収も景気も上昇だから、その点心配ないが、三千円という数字にびっくりした。大体千五百円くらいであった。だから、この三千円というのが出て、これを完全に政府はのんで実施するのですから、そうなると当然差が出てきますよ。それにさらに民間が、この間の私鉄あたりの争議の妥結状況を見ても、三千円から、中小企業でも大阪あたりでは七千円くらいのべ・アをやっているのです。この賃金の上昇ですよ。生活水準の向上ですよ。それに物価もやや上昇ぎみというのです。これらの要素から見れば、直感というものは正しいのですよ。どうです、給与局長。これは五%そこそこできくものではないですよ。あなた方が数字をひん曲げれば別ですよ。正直に統計数学的に数字をはじいていったら、必ず初任給を含むべ・アの勧告を法に基づいてやらざるを得ないことになるですよ。それも直感としてきているはずです。それが直感としてきていなかったら、給与局長おかしいですよ。直感なら直感で、答弁したらいいですよ。何もこわいことはないのだから。そういうことを無にして、四年制の大学出と同じように給与しましょうと、人事院がそれなら政府ものんでもよろしゅうございましょうとか、あるいは初任給調整手当でこうしましょうとか、そういうものは本末転倒の議論だと思うのですね。だから、そういう前提の問題をはっきりただしてから、本論に入ろうとしているのです。
○政府委員(滝本忠男君) 矢嶋委員は、総裁の説明されたのをちょっととっ違えられているのではなかろうかというふうに私思うのですが、というのは、総裁が答弁になりましたのは、従前長い歴史的経過におきまして、これは古い資料での話でありますが、その後、大した変化もないから、大体同様の推移をしているであろうと想像できるのでありますが、おおむね一〇%前後公労協関係とそれから一般職と違っているとい5経緯があるのです。それは各企業体によりまして多少の相違はむろんあるでありましょうが、おおむね一〇%前後の差があったわけです。そこで、去年一二・四%の勧告をしまして、十月からそれだけ上がったわけでございますから——国家公務員か上がりまして、公労協が上がらない前の話でございますね、そこでは大体平均川ベースと同じくらになっておったわけであります。ところが、今度の仲裁裁定でおおむね一〇%程度、ある現業については一二%ということになっておりますが、これは御存じのように、公労協関係は、今度は管理職をはずして、一般職員について一〇%か一二%という仲裁裁定をしたわけでございます。かりに国家公務員につきまして——国家公務員の場合は、現在はっきりと管理職か管理職でないかという区別がございますけれども、公企体とバランスをとって考えてみますと、おおむね五等級以下というところの職員を対象に比較をすれば適当であろうと考えられるわけであります。去年の勧告におきまして、五等級以下でどのぐらいになっておったかといいますと、一一%なんであります。そのパーセントをとってみますると、公労協が今度やりましたものは、去年の人事院勧告と大体同程度のアップ率をやったと、このように判断できるのです。しかし、公企体の方では、一般職より公企体の方が高いのがあたりまえだというような観念があるようでございますが、われわれはその点がちょっとどうしてそうなのかよくわかりませんけれども、一般的にそうした観念があるようです。従って、今度公企体がそういうことをやりましたから、従って、現在の時点におきましては、一般職と公企体というものは、従前の公企体が高い関係が維持されるような形になっていると、こういう説明を総裁はなさったわけであります。それで、三千円、三千円とおっしゃいますが、それは定期昇給まで含めての話でございまして、国家公務員の一二・四というのは定期昇給を除外した話でございまするので、この千五百円ということをだれが言ったのか、それは個人としておそらく言ったのでありましょうが、これは見通しとして言ったのかどうか知りませんけれども、これはどうも私は責任が持てないのですが、今回の国鉄は、定期昇給のところを除いて言いますと、二千三百円くらいの改善になっているのじゃなかろうかというふうに考えております。それはそれといたしまして、それでは人事院が今度どういう措置をとるかということでございまするが、これは先ほど総裁が答弁されましたように、われわれとして、今軽々に見通しをこうだろうとか、ああだろうとか言うわけに参りません。従いまして、われわれも、これはもちろん、労働省の毎月勤労統計でありまするとか、あるいは広範な調査でなくっても、いろいろな資料が随時労働関係の冊子等に出ますから、そういうものは十分見ております。しかし、われわれが責任を持って言えることは、やはり人事院が民間給与調査をやりました、その結果に基づいて言えるわけでございます。その点については、現在その調査をやる準備は着着進めておりまして、近く実地調査の段階に入りますけれども、まだその調査ができていない先に、ああだろう、こうだろうということは言えないわけです。それで言わないわけです。それで、この人事院勧告というのは、パーセントを上げるだけが目的ではないのでありまして、やはり給与制度として、俸給表がどういうようにあるべきかということをあわせてやるわけでございます。従いまして、いろいろな新しく生起します問題で、従前の企画にはまらぬものは、やはり勧告の時期にそういう技術的な問題もあわせて取り上げなければならぬと、こういうことになろうと思いますし、ただいまの状況におきましては、まだ人事院の調査というのが完了しておりませんので、これはその上で慎重に検討したいと思っております。
○矢嶋三義君 なかなか局長の答弁はがっちりしている。そこで、具体的に少し伺いますが、初任給調整手当の問題は、去年あなた方が勧告を出されて、一般職の俸給表を審議する段階で、初任給調整手当なるものは、行政職一表とか、研究職とかあげられて、教育職の一表だけに適用して、教育職の二表には適用しないのだと、こういう速記録が残されておりますね。ところが、三月三十一日付で人事院規則を出されて、教育職俸給表の二表にも初任給調整手当というものが出ているわけですね。従って、この法律案の卒業生に対しても、初任給調整手当を支給するということになっておるようですが、そういうふうに変わられた経緯を簡単に御説明願いたいと思います。
○政府委員(滝本忠男君) 人事院は、勧告しました当時、ただいま御指摘になりましたような人事院の考えを国会で申し上げておったわけでございます。ところが、この人事院勧告を受けまして、給与法改正案として政府側が提出されまするときに、その法案で人事院が考えておったものよりも広くされたわけです。人事院は、その当時におきましては、科学技術振興のためということはもちろん考えて、そのためにやったわけでございますが、それはもうほんとうに一番必要なぎりぎりのところにそれを適用しようということを考えておったのであります。従いまして、著しく高度な科学技術知識、それから採用が非常に困難であるということを二つの条件にしておったのでありますが、政府側は、この専門性のところでも少し程度をやわらげた表現をとられ、また採用の困難というところでも少し調子を落とされて法案を出されたわけであります。その法案が通ったわけであります。従いまして、人事院が当初考えておったものよりも、国会で御審議になり、そうして法律として出ましたものが、範囲が広がっておったわけでありまするから、それに応じまして、われわれ実施の際にこれをどういうふうにするのか、いろいろ研究しました結果、やはり工業高等学校の専門科を担当しておられる教育には出すのが適当であるというようなことから、当初勧告直後に人事院の考えを申しておったところよりも、範囲が広がったわけであります。現在そういうところで出ておりまするので、今度国立工業教員養成所の卒業生というものが出ます場合に、もちろんこれは工業高等学校の工業課程を担当されることになると想像されまするので、その場合におきましては、現在の人事院規則によりましても工業教員には出ることになっておりますので、当然出ることになるだろうと想像いたしておる次第であります。
○矢嶋三義君 そこで、少し掘り下げますが、この人事院規則の別表で、たとえば物理科は指定してあるわけですね。ところが、応用化学は指定してあるが、いわゆるケミストリー——化学の方は指定していない。数学も指定していない。何ですか、この別表で、電気通信、機械、土木とか指定するにあたっては文部省と十分意見を調整した上かどうか、その点。それから、物理をし、応用化学だけやって普通の化学を入れない。数学を入れない。たとえば数学あたりだったならば、今証券会社だって、保険会社だって近ごろは数学の需要が非常に多い。優秀な数学教師を確保することが非常に至難な状況です。それをどういうわけでこういう線を引かれたか、お答えいただきたい。
○政府委員(滝本忠男君) 先ほども申し上げましたように、初任給調整手当を支給します対象というものを選定いたします場合に、それが技術的に非常に専門性を持っておるという要件と、それから採用困難という要件と二つあるわけであります。これをかみ合わせてやるということであります。ところで、採用困難という場合に、どの程度を一体採用困難というかということが非常にむずかしい問題でありまして、そのけじめがなかなかつかない、理屈が分かれるところであります。われわれとしましては、文部省のみならず、この科学技術に関係のある省庁とは一応相談はしました。しかし、それで全部みんなが人事院の考えに同調したというわけではありません。皆それぞれ主張があります。しかし、われわれとしましては、これは人事院が国家公務員の採用上級試験というのをやっておるのでありまして、その場合に、各省庁並びに関係機関等からどれだけの技術者がほしいという要求が人事院にくるわけであります。その要求が参るわけでありますが、実際には試験をやってみて合格者というものが出る。ところが、その合格者が出ましても、民間等にいくために抜けていくものがおる。そういうものは実際上採用することができませんので、従って合格者の中から辞退者を差し引きます。それが採用可能数というものであります。その採用可能数というものを、各省庁が要求しております需要数でございますね、需要数で割る。それをわれわれは便宜供給率といっておりますが、その供給率が最近三年間の平均で九〇%以下、こういうことで線を引いたのであります。それで、ただいま御指摘のように、ああいうIBM、電子計算機とか、国産の計算機などずいぶん発達いたしまして、その方面のいわゆるプログラマーというもの、これは数理統計に非常に熟練を要するらしいのですが、そういう方面のものが非常に要求されております実情もよく知っております。ただ統計数字としては九〇%ちょっと高いものが出てくるので、これは入れようがない。しかし、傾向から見てみますと、これは想像の域を出ないのでありまするけれども、来年以降になればこういうものはおそらく現在のパーセントを割るのじゃないか、支給対象になるのではないかという見通しを持っております。しかし、どこかで線を引くということになりますると、やはりそういう話はわかるのでありまするけれども、数字としてそういうものが出てこない、仕方がないというところでございます。
○矢嶋三義君 政府のやることがすべて合理主義と、科学的に行なわれてないから、えらい矛盾が起こって参りますよ。特に教育の場におけることであれば、僕は先生方の心理状況にも影響して、それは職場の零囲気なり、さらに教育効果に至大な影響を持ってくると思うのですね。 それはさておいて、文部大臣に伺いますがね。九〇%という数字で線を引いたということで、いかにもそれは人事院の統計マニア的なところがあるのですけれども、しかし、政治行政ということで考えた場合、物理を入れて、化学を入れないで、数学を入れないと、そういうことでよろしいのですかな。実際優秀な教師を確保するのに、非常に困難を来たしているという現実があるのですね。その点については、文部大臣はどういう見解を持っていますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほど人事院から御答弁ございましたように、結局採用が困難かどうかという問題になってくるわけでございまして、工業高等学校の際には、工業だけに限定をいたしまして、特にお話のように理科、数学の問題も検討いたしましたけれども、まあ今回は工業学校にしぼったわけでございます。私どもはこれで決して十分だとは考えておりませんし、たとえば水産の機関学科にいたしましても、その他検討すべき問題がまだ残っておるわけでございますが、とりあえずまあ第一段階として工業にしぼる、それから大学の場合に、確かに物理を入れまして、化学と数学を落としたのはどういうわけかというお尋ねでございますが、これも当面採用が非常に困難なものという点で入れたわけですが、先ほど給与局長が答弁いたしましたように、あるいは来年になれば、この状況がまた変わるだろうと思います。ともかく深く科学技術を専門に研究したということと、採用困難という二つの条件をからみ合わせまして、できるだけ現場の需要に沿うように努力いたしたいと思います。
○矢嶋三義君 私はこの質問を続けます。現内閣の給与政策というのは、目に余るものがあるのですよ。それでもう少し総合的にこれは質問を追及して参ります。 議員立法ですから政務次官に伺います。産振手当、これは自民党の議員立法でありました。工業高等学校の理科の先生には、産振手当は出るでしょうか、出ないでしょうか。政務次官、出すのが妥当と思いますか、出さぬのが妥当と思いますか。
○政府委員(纐纈弥三君) 出していないのでございます。
○矢嶋三義君 きょう上野で開かれている日本学術会議では、基礎教育、基礎科学の重要性というものが論じられているはずです。これは長きにわたって論じられている。その基礎科学を徹底的にやらなければ、日本は世界の進運に落伍するであろうというのが日本の科学者の予言です。その基礎科学にはいろいろあるけれども、義務教育課程における理科教育もその一番下のベースとして非常に大事だということをいわれているわけですね。工業高等学校で、産業教育、職業教育をやる場合に、理科という教科がなくて、電気、機械の講義というものができるでしょうかね。材料の強弱学一つにしても理科という教科の名によって教育を受けていないで、一体工業高校学校の専門の教科ができるでしょうか。どういうわけで理科の先生に産振手当を出さぬのでしょうかね。政務次官、これは議員立法ですから伺いますがね。政務次官が工業高等学校にかりに勤めているとしますよ、あなたが理科の先生、他に化学の先生、電気の先生、幾何の先生おられます。そういうのは俸給の七%産振手当をもらう。あなたが、理科の先生が下ごしらえをして差し上げる、そうして産振手当がないというときに、ごもっともだといってあなたは下がりますかどうか。議員立法でしたがね。行政府はそういう運用をしているということなんですが、どういう御所見を持たれますか。是正すべきではないでしょうか。
○政府委員(纐纈弥三君) この議員立法制定の当時、私よく存じませんでしたが、私は今のお話を聞きまして何となく片手落ちのような感じがいたすわけでございます。
○矢嶋三義君 文部大臣、ちょっと実態申し上げますが、それは工業高等学校の理科の先生なんか哀れなものですよ。少し実情を知らせる必要があると思う。理科の先生は大がい一年二年を担任しておる。三年の担任には絶対なれない。何となれば三年になれば就職問題が起こってきまずから、三年の担当の先生は、電気、機械とか、専門の教科の先生だけです。理科の先生が一年、二年のときに下地を作るわけです。それで手当というものがないわけです。それで教師は薄給で働くわけです。育つ子供が楽しみなんです。自分の教えた子供がすくすく伸びていって、世のために地域のために働いて幸福に成長していく姿を見て、唯一の慰めにするものですよ、教師というものは。工業高等学校の実態というものは、教え子のたずねてくるのは、三年のときに担任になった機械、電気、あるいは土木とか、こういう専門の先生だけですよ。三年のときに担任してもらって就職の世話をしてもらうからで、まあ人情が薄いというか、やむを得ないと思うが、理科とか一般教科の先生が工業高等学校に行ったら哀れなものですよ。私は工業高等学校に奉職したことはないが、つぶさに調べているが哀れなものですよ。全く生徒から刺身のつま扱いですよ。実際は大事な教科をやってる。そして手当の方は、一方は七%、一方はつかない。これで先生方が満足するのはずがないと思う。こういう手当自体が問題があると思う。それで今度また初任給調整手当というものが出てくるわけでしょう。それで理科の先生にまたつかない。だから、産振手当はつき、初任給調整手当はつく、一方はつかない。たとえば今東京大学を出て土木の先生がかりに工業高等学校の先生になった。そうすると、産振手当がつき、初任給調整手当がつく。理科の先生が先生になったら、初任給調整手当もつかなければ、産振手当もつかない。そして同じようにその学校で校長の指示下に入って教育をしている。こんな給与体系ってありますか。しかもそれは土木と機械と、数学あるいは化学や物理、理科と、教科が違うだけですよ。それをさらに進めて教育という立場でいえば、英語であろうが、数学であろうが、国語であろうが同じですよ、皆。どこかで線を引かなければならない、そんな一体給与体系というものがありましょうかね。目に余るものがあると思うのだね、僕は。文部大臣、どういう御所見ですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 的確にお答えができませんが、矢嶋さんのお話、何かごもっともなような気持がいたします。議員立法をいたしますときに、御説のように線の引き方が適切であったかどうかということにも問題があろうかと思いますが、まあ一般に理科なり数学なりという、何と申しますか、基本的な科目、それが無視されていいともむろん思いませんし、給与体系の問題として線の引き方を考える余地なきやいなやを一つ検討してみたい気持で今承っていたわけであります。
○矢嶋三義君 それは保留して、今度は別の角度から人事院に伺いましょう。本年度から行政職の採用試験に甲、乙と分けましたね。行政職甲と乙の合格者、それから実際に採用したのは甲と乙で何名ずつになっているか、お答えいただきたい。
○政府委員(矢倉一郎君) 本年度合格数、それから採用の実態でございますが、甲と乙と別々に申します。合格者は甲種が九百八十一名、それから乙種で三百八十九名でございます。そのうち、まだ採用が現在も進行中ではございますが、現在の段階で御報告申し上げますと、甲種で五百三十六名、それから乙種が百二十七名、以上の数字でございます。
○矢嶋三義君 数字は正直で雄弁ですよ。念のために伺って次の質問に参りますが、行政職甲と乙とそれぞれの初任給をお教え願いたい。その初任給を知ってるはずだ、そのくらいのことは。念のために聞くんですよ。
○政府委員(滝本忠男君) 行政職の初任給は甲が俸給表で一万二千九百円、乙が一万二千円です。
○矢嶋三義君 文部大臣、質問いきますよ。その前に、内藤局長に伺いましょう。この数字を聞いてあなたどういう感想を持たれるか。行政職甲の合格者九百八十一名、採用は五百三十六名、応じてきたそうですよ。それから乙は三百八十九名、約三分の一、そうしてその採用されたのは百二十七名、これは甲の約四分の一、圧倒的に甲ですね。甲の初任給は一万二千九百円、乙の初任給は一万二千円。あなたの扱っている教職員の初任給は御承知の通り一万二千八百円。ところが、この本年四月から始まった行政職の甲、乙の、この合格状況、採用状況、この数字を承って過去を振り返り、どういう御所感を持たれたか、まずそれを承りましよう。
○政府委員(内藤誉三郎君) 教職員の初任給につきましては、普通の公務員よりは少なくとも一号の差があるべきであるというのが文部省が従来とってきた態度でございます。そこでこの甲、乙の話が昨年出たときに、私が承知しておる限りにおきましては、乙が原則であって、甲は例外である、こういうことでございまして、教職員についても一号の差が維持されているものと私は心得ておったわけでございます。ただ、これは去年初めての制度でございまして、実はどういう運用をされるのかについて文部省も重大な関心を払って見守っておったわけでございますが、今、御指摘になった事情をお聞きしますと、こういうことで原則がひっくり返るようになりますと、これは教職員の初任給について、さらに検討をしていただかなければならぬ問題であると、こう考えております。
○矢嶋三義君 あなたはこういう場合に非常に頭がよくさえておる。りっぱな答弁です。文部大臣、お聞きになられたでしょう。だから今の政府の給与制度は目に余るものがあると思うのです。そういうものを是正しないで、臨時教員養成所出と大学卒業と同じ扱いをするとか、切任給調整手当とか、こういう弥縫的なことをやっていることは、論ずるに当たらないということを私は主張しておる。そのために積み重ねてきておるわけです。なぜこんな甲、乙を設けたか。設けるときに、乙が原則である、甲は特例ですよと、こう言うて各省の人事官を納得させておる。実際採用したらほとんど甲ですよ。乙はそのうちになくなってきますよ。これはとりもなおさず切任給は低過ぎる、低賃金だということからいかにしてこれを切り抜けるかという、しかも賃金の所要予算、国家の所要予算をできるだけ押えて、何としても今の低賃金政策からきている隘路を突破するかという方法としてこういうものを考え出したのですよ。だから官僚の諸君のあとに続く幹部コースを行くものは、とにかく九百円上げて甲にしよう。それからどうしても民間の関係でつかまらぬのには、初任給調整手当というえさで引っぱっていこう、あるいは産振手当で足どめしよう。それ以外の教師でいえば、数学の教師とか、英語の教師とか、国語の教師、体操の教師、こういう人は低賃金でよいわ。それは国家の人件費は少なくて済む、こういう考えからきているんですよ。何もこれは邪推じゃない。曲がった見解でもないですよ。これは今の政府の給与政策だ。だから私は目に余るものがある。そうしてさっき言ったように、同じ大学から出ていって、同じ職場で子供に教育して、一方は初任給調整手当、産振手当をもらう、さらに定通手当というものがある。さらに上の方だから、教頭だから管理職手当がつくことになる。何が教頭が管理職ですか。小学校六学級で管理職。熊本県では、全県下の先生方の人事を扱っておる教職員課長が管理職手当を受けていない。ところが、山の中の小学校の六学級の教頭さんが自民党の給与政策で管理職手当の支給を受ける。こんなばかな政策ありますか。反論できますか。こういう給与政策で先生方があなた方を信頼して、一体ついていくかどうかということだね。ことに私は若い青年諸君、優秀な人を教育界に確保しようというにあたっては、やはり若い者か希望を持って——彼らは新教育を受けているから、戦後の新教育理念というものを身につけている着たちが納得できるような教育体系を作らなければならぬと思う。文部大臣、初中局長はさっき行政職の甲との関係から、今まで聞いておったのと違う、こうなればかつての先生は、超勤がないために一号アップだった既得権を剥奪されておるから、初任給の是正について考慮しなければならぬと、ここで明快に答弁している。しかもこれはどこに出ても堂々通っていく論だ。だから私はほめた。文部大臣、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 昨年の臨時国会で決算委員会で矢嶋さんから同じお尋ねがございまして、当時は輪郭がはっきりしなかったので明快には申し上げかねましたが、今内藤局長から申し上げたことが私どもの側の考え方でございます。すなわち、教職員は超勤手当を支給するというのにぴたっとはまらない職場であるから、一般よりも一級上げて初任給を考えるということが従来の慣例になっている。そういう建前になっている。その建前は今後もむろん維持していくべきものと思うのでありまして、その場合の基準を、どれが原則かということにおいて考うべきものと思っております。
○矢嶋三義君 人事院総裁に伺いますが、私はさっき申し上げましたが、初任給が民間給与とのそれに比較して、エンゲル係数云々ということは抜きにして、民間給与その他に比較して、初任給が低過ぎるというこの事実が、あるいは初任給調整手当、あるいは甲、乙と、こういう形に現われている、こういうこの所見に対して、あなたはどういう見解を持たれるか。第一、人事院の専門とするところが、大学を卒業するときに甲、乙と分けて採用するというのは、これはどういうわけでこういうことをやられたの。私は滝本さんの給与に対する考え方というものは、長い間給与局長をされてよく知っていると思う。個人的に聞いたことはないが、滝本さんがこういうことを考えたのではないと思う。それから入江総裁にしても神田人事官にしても、私は知っている。こんな甲、乙なんかで、大学を卒業して、これから公務員となって、サーバントになる者を、こんな色分けをするということは考えられないと思うのですが、どういうわけでこういったことをやったか、すぐにこれは改めるべきだと思う。かりにあなた大学を卒業して試験を受けて、たとえば文部省に入ったとしますよ。滝本さんと一緒に入った。滝本さんは甲だ、一万二千九百円。あなたは乙で一万二千円。文部省にいるむすめさんの前でどんな気持がしますか、それで仕事が一体できるかということですよ。大学を出て、勤めて、それで仕事の困難性とか、その能力とか何とかで、いつかの時期に差がついてくるというなら、それは私はわかりますよ。ある人は課長になり、ある人は同じに入ったけれども課長にまだならない、こういうことはわかりますよ。しかし採用するときに、甲と乙で九百円の差をつけてやっていくというのは、私はどうしてもこれは納得できないのですがね。私の質問は二つありますよ。初任給は低過ぎるという実態からこういう問題が起こってくるということ、従って、初任給の是正というものは必要欠くべからざるものであるということは、数字は雄弁に示している。それから、甲、乙なんか、こういう制度はやめるべきです。どういうわけでこういうことをしたか、やめるべきです。この二点について御所見を承ります。
○政府委員(入江誠一郎君) まず、初任給の問題でございますが、初任給の問題は、やはり民間給与と比較いたしますと、たとえば昨年の勧告の時点で申しますると、やはり民間の給与とやはり相応しているわけでございます。結局ここで論議が分かれますのは、どの程度の民間の企業体と比較すべきだろうかという問題だと思います。たとえば五百人以上の企業体と申しますか、事業所、つまり五百人以上の会社と比較いたしますると、公務員の初任給はだいぶ民間よりも低い。しかし、現在は御存じの通り、五十人以上の企業体及び事業所を基準にいたしておりますわけで、公務員の初任給は民間よりも低いか高いかということは、そこで現われる問題でございまして、それは公務員は大きな組織体でありますから、五百人以上と比較すべきだという御議論もあるのでございますが、一面また納税者の立場からいえば、三十人以上の中小企業の給与も参考にすべきだという論議もあり、そこで人事院といたしましては、御承知のごとく、長い間五十人以上の事業所と企業体というものを基礎にしてやって参っておるわけで、その調査につきまして、先ほど来いろいろ数字を曲げるのではないかというお話もございましたが、これは大事の問題でございますので、一言申し上げさしていただきますと、人事院の調査につきましては、御承知のごとく官公労組につきましても相当専門家がおりまして、検討されておりますし、また国会においても十分御調査になっておりますので、決してなかなか、統計は統計局でやっておりまするし、特別に民間の企業との比較において曲げた数字というものは出るわけがないと存じております。それから甲、乙の問題でございます。これはいろいろ、たびたび御指摘もございまして、御説明するまでもございませんけれども、甲を設けましたのは、最近の公務員諸君の状況を見ますと、量も質も低下の傾向にございますので、特に優秀な学生につきまして、官庁の内部の問題といたしましては、多少その高度な官職といいますか、高度な地位につけるという能力のある者につきまして、は、高度の試験を普通の試験のほかに加えて課しまして、それでそういうものを選抜したいということで設けましたわけでございます。これは外国のことを申し上げることも恐縮だと存じますけれども、アメリカあたりでは、成績によりまして、たとえば百人合格いたしますると、上から五十人なら五十人に給与上の優遇の措置を与えるということもやっておりまするけれども、これは官職中心主義のわが国の公務員制度としてはいかがかと思いまして、甲、乙という別個の試験にいたしたわけでございます。また国内におきましても、たとえば御存じのように、現業関係、公社におきましてはこういう一般の採用者と特別の高度の試験を課して採用するものと、別にやっておるところもございますので、必ずしもこれは人事院だけでやりましたものじゃございません。昨年の問題といたしましては、ただいま任用局長が御説明いたしました通り、大体三分の一が乙になりまして、約三分の二が甲になっております。こういう推移がどういうふうに出て参りますか、必ずしも今文部省の局長が言われたように、甲が原則であって、乙が特別であるということを申すのは少し早計じゃないかと思っております。
○矢嶋三義君 要望がきているわけですが、給与の問題、結びに入っておりますから、よろしゅうございますか。内藤局長に伺いますが、先ほど文部大臣から超過勤務がないから云々という御答弁ありましたが、あなたのところの御調査では、教職員の超過勤務時間は大体どの程度と把握されて一いるか。日本で労働基準法でいうと四十四時間ということになっているわけですね。どの程度週にオーバーしているという数字を文部省の調査局の方で持っておられるか、お答え願いたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 勤務時間の測定は非常に困難でございます。拘束時間でいきますと、四十八時間、あるいはそれをこえているのではなかろうかと思うのでございます。
○矢嶋三義君 あなたは文部省から出した数字を忘れているでしょう。文部省から出された数字は五十五時間という数字が出ている。大体十五時間から十一時間、日教組の方では十三時間という数字を持っている。約十一時間というのが正しいでしょう、文部省の発表している数字としては。
○政府委員(内藤誉三郎君) その資料のとり方でございまして、どこまで勤務時間に入れるかという問題も私はあろうかと思うのです。要するに、学校におる時間を全部勤務時間だと、こういうふうに把握されますと、少し時間が多くなると思うし、校務を処理しておる時間というふうに限定いたしますれば、これは勤務時間は少なくなるだろう。それで四十四時間よりも多いことだけは事実なんでして、私が四十八時間と申し上げたのは、そういう意味で四十八時間あるいは五十時間前後ということが大体の見通しではなかろうか、こう思うのでございます。
○矢嶋三義君 増子公務員室長お見えになっていますね。あなたと文部大臣、御両所からお答えいただきたいと思うのですが、昨年給与法を審議する段階で、教職員の俸給体系が非常に複雑多岐になっている。それからさっき言った行政職甲、乙の関係、それから初任給是正の問題、それから超勤の問題、こういうことから超勤を加味した給与表を既得権を守るという立場から新たに研究作成するか、それとも文部省で持っておられる約十時間前後の超過勤務時間に対する超過勤務手当を出すか、そういう教職員俸給表の再検討を必要とする、検討しましょうということであったわけです。今度新たに初任給調整手当、この段階ではそういうものはなかったわけですが、初任給調整手当が出てきたわけですね。だから掘り下げて、ある特定の学校を考えるというと、管理職手当に初任給調整手当、定通手当、それから産振手当、こういうもろもろの手当が入ってくるわけですね。それで実際学校で教職員を動かしている学校長としては非常に学校の管理運営上困るし、また当事者にすれば心理的な影響の面もあるわけです。そこで、さらに複雑多岐になってきたわけですが、その教職員の俸給表の検討というものはいかようになったのか、文部省並びに公務員室長の御答弁をいただきたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 初任給の検討につきましては、先ほど申しましたように、文部省側といたしましては、今後この問題を改善しなければならない、こういう見地で人事院あるいは公務員制度調査室とも十分御協議を遂げて参りたい。まだ結論が出ておりません。
○政府委員(増子正宏君) 今御指摘の問題につきましては、文部省からもお答えがありましたように、また昨年の十二月矢嶋委員から御指摘がありました際に、総務長官から教職員の給与体系の御指摘の問題等につきましては、人事院並びに文部省と十分連絡をとりましてこの検討をし、改善に努力したいということを申し上げましたわけでございますが、現在におきましてもその通りでございます。
○矢嶋三義君 立法府の決議等を尊重してやっていただかなければならぬと思うんだね。それからまたここで答弁されたことを忠実にやっていただかなければならぬと思うんですね。文部大臣、この問題いかように推し進められるつもりか。ただ、人事院と公務員調査室とで協議し云々ということでは問題は前進しないわけです。所管大臣としてたれに命をして、そうしていつを目途として研究していただけるか、それを特定しないと、国会で適当な答弁をするだけでは問題は進んでいかないと思う。それからさらに何でしょう、去年の十二月に本院の内閣委員会で決議されたことがあるわけです。これは増子さんも御承知のはずです。三十二年の三月三十一日において学歴是正が行なわれた。それ以後に新制大学の資格取得者に対しての是正は当然だという答弁をあなたがされたわけです。だから決議したわけです。さらに昭和十八年以降の師範科卒、昭和十九年以降の青年師範学校卒、数カ年続いているわけですね、それらの学歴是正について適切な措置をとってほしいという決議があり、これに対して大尉は所信を表明しているわけです。一体、その後どういうふうになされたのか、こういうもろもろの教職員の給与という問題を解決しなければ、民間が景気がよくてそちらの方に引っぱればそれは優秀な先生方を確保するということはできませんよ。ただ、そのときに努力しますといって通ればいい、もう終わりくらいに思われておったのでは心外なんですがね。だから私は大臣にどなたを担当に特定して、いつを目途に研究していただき善処するという、やや具体性を持ったお答えをはっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 給与体系ということでいきますれば、文部省だけでどうということはできないことは御案内の通りでありまして、国会における政府側の答弁は当然それぞれの制度上責任を持つところで、その国会の特に決議等がなされましたことについては、それを尊重しながら、直ちに検討に着手して、できるだけすみやかに実現するという心がまえでやることは当然であって、それは一々念を押しませんでも当然のこととして考慮されつつあると私は信じております。また教職員に対する給与体系上のいろいろな御議論でございますが、これはなるべく実質給与をよくしたいというそのつどの意欲が結論づけられたことが給与体系的には幾らか混乱を来たしておるということを御指摘されたことと私は心得て承っておるのでありますが、それを体系づけるのにどうすればいいかということになりますと、やはり人事院なり給与担当の所管のところで一般的な検討をしてもらい、同時に私どもの立場におきましては、そういう権限を持った方面に注文もいたしましょうし、協議もいたしまして、実現をはかるように努力する、こういう心がまえでおるわけでございます。今後もそういう考え方で進んで参りたいと思います。
○矢嶋三義君 では文部大臣にこの法案に直接関係してお伺いしますが、臨時教員養成所を卒業した方の初任給は四年制の大学卒と同じように扱われるお考えですか、どうですか。政府部内の意見はどうなっておるのですか、お答えいただきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大学卒と同じような取り扱いをしてもらいたいという考えでおるわけでございます。これは人事院規則の改正を必要とするわけでございますから、人事院と事務当局同士で折衝中でございます。私どもの希望は大学卒と同じようにできればしたいものだと考えております。
○矢嶋三義君 人事院に伺いますが、今のわが国の給与制度からそういうことは可能かどうか、どういう御見解を持っておられますか。
○政府委員(滝本忠男君) これは文部省からも事務的に何回も御連絡があったのです。それで科学技術振興のために臨時に工業教員養成所を作られるという趣旨があるのですが、これはそういう意味から、そういう観点から十分その目的に沿うように初任給等も考慮しなければならぬ問題は確かにあると思います。で、まあ内閣委員会でつけられております附帯決議で、全般的に初任給問題というのはわれわれも検討しなければならぬ立場にあるわけでありますが、これは附帯決議がなくても十分われわれはその問題を検討したいと思っております。ただ現在の教員給与におきましては、免許と修学年数ということが二つの柱になって現在給与体系ができ上がっておるわけであります。初任給もそういうふうにきまっておるわけであります。従いまして、これは事務的に文部省にも申し上げたのでありますが、それは全体として高くする努力はしたいのでありますけれども、少なくも給与体系上これを同一にするということは——まあこの問題だけに局限されるならば、あるいは場合によってはそういうことも考え得るかもしれませんが、やはり初任給体系というものは、全般的にいろいろなところに問題があるわけでございます。従いまして、われわれとしては人事院としましては、文部省でいっておられるように四年制の大学を出ました者と俸給上の号俸を同じにするということは、これはもう初任給体系上から見まして適切でないのじゃないかというようにわれわれは考えているわけであります、現段階におきまして。ただ問題は、俸給表上だけでなしに、そのほかの面で考慮する余地があるかもわかりません。そういうことにつきましては、一つ文部省と今後事務的に相談して参りたいと思います。
○矢嶋三義君 そういう点から見た場合に目に余るものがあるのだね、この内容は。教職員の場合に、今、滝本給与局長が言われたように、免許というものが非常に大事な要素になっている。これは一貫した政策をとっているわけです。ところが、この臨時教員養成所なるものは、いずれこの法案の本質論になってから伺いますが、僕は免許法を曲げていることだと思う。免許法がそのまま生きていない。修正しなければならない。免許法に抵触する。それから今までの給与というものが修学年数に重きを置いてきた。その修学年数をまたそれを修正、曲げてそうして大学卒と同じようにしたい、こういうのです。これは希望としてはけっこうかもしれないけれども、今までの日本の給与体系からいって、できることじゃないのですね。相談を持ちかけることが間違いですよ。そういう点で免許法等からいっても、給与の点からいっても非常にこの法律案なるものは、あとで審査していけばいくほど出てくると思うのですが目に余るものがあると思うのだ。これは給与のことだからここにとどめておきますが、そこで結びとして伺いますが、先ほど給与局長からもちょっとお話が出ておりましたが、問題は初任給にあると思うのです。これは文部大臣にお答えいただきますが、この初任給調整手当を今度からやる、いわゆる臨時教員養成所卒業者にも準用するようになるということですが、こういう初任給調整手当というものをやめて、そうして先ほど内藤さんの答弁の中にも出てきているわけですが、教育職俸給表の一表及び二表、三表、この三表いずれも初任給の適正化ということをやられることが給与政策として必要だと思うし、私は妥当であると思うのですが、この点についての問題をお答えをいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今のお尋ねの点は、私は人事院の方で客観的な立場から給与体系の一環として御検討を願った結果に待ちたいと思います。
○矢嶋三義君 それでは人事院、文部省、それから総理府を代表して公務員室長ですね、この三方に伺いますが、この昨年来継続して、本日もただしたわけですが、教育職俸給表の再検討ですね。それには既得権の復活ということもあります。それから初任給是正という内容も入っている。さらには先ほど指摘しました、昨年十二月の本院における高学歴是正の決議の趣旨も含まれるわけですが、こういうものを一括して研究、是正、改善ですね、この結論を人事院勧告がことしの夏行なわれる前に間に合うかどうか。なすべき義務が私は教育職に対してあると思うのです。出していただきたい。それをお約束していただきたい。それをお答えいただきます。
○政府委員(入江誠一郎君) ただいまいろいろ御指摘の問題は、先般の附帯決議にもございました問題でございまして、特に初任給の問題につきましては、この八月と申しますか、この次の報告あるいは勧告のときに民間給与の問題が出て参りますから、十分附帯決議を尊重しながら検討いたしたいと思っております。
○矢嶋三義君 文部省はやはり人事院に実情を訴えなければ人事院忙しいから黙過していっちまいますよ。少しも文部省は人事院に説明に来ないそうですよ。下の方の人に聞けばそう言いますよ。
○理事(豊瀬禎一君) 答弁求められるのですか。
○矢嶋三義君 ええ、そうです。文部大臣、公務員室長。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 人事院総裁のお話と相呼応して努力します、相呼応して、こちらだけではできませんから……。
○政府委員(増子正宏君) 先ほどの御質問は、人事院のこの次なされるであろう勧告の前に結論を出すようにという御趣旨であったように思いますけれども、私どもといたしましては、実は教職員だけの初任給を切り離して具体的な結論を出せるかどうかにつきましては、非常に疑問を感じておる次第でございます。すなわち各職種間の均衡というような問題がございますので、おそらくはこの問題を取り上げます場合には、その他の職種につきましてもいろいろに波及する部面があるのじゃなかろうかというふうに考えておりまして、私どもが御指摘の問題を承りましたときから全体の問題として実は非常に注意をいたしておるわけでございます。従いまして、先ほど人事院総裁からお話ございましたように、おそらく初任給の問題につきましては、その他の関係全般の問題として一つの考え方というものが出てくるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。私どもとしましても、そういう観点から実は検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○矢嶋三義君 あなたの答弁は総理府総務長官級ですわ。確かにりっぱな答弁です。(笑声)で、問題は文部省ですよ。あなたは人事院に呼応してと言いますけれども、呼応ということもけっこうですが、あなたのところから問題を積極的に実情を説明しなければ、人事院は民間のも調査するし、全域にわたってやられるわけですからね、相当の専門のエキスパートがおっても手が届かぬのですよ。だから文部省から積極的に出ていかれて、勤務状況の実態はこうなんだと、こうだと、で、文部省としてはこういう見解を持っているが、積極的にこうしていただきたいというくらいな素案というものを出して、そうして専門的な人事院から検討を仰ぐということに出なければ、待っておったんではだめですよ。そういう点で僕は積極性が従来少し足りないような気がするのですよ。まあ日教組があるから忙しいのだと思いますけれどもね。まあそれはそれにして、こういうことをやらなければいけないのですよ。それでその点積極的に文部大臣、あなたの部下をして積極的に呼応して人事院に働きかけて、そうして人事院によく説明して理解してもらって、そうしてこの夏の人事院勧告に間に合うようにしなければ、立法府におけるあなた方の答弁、それから決議の趣旨も生きてこないと思うのですね。当然そうなさるべきだと思いますが、文部大臣、お答えいただきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 相呼応してと申し上げるのは、こっちから呼びかけて人事院が応じていただけるという意味と御理解いただきたいと思います。(笑声)
○矢嶋三義君 なかなか味な言葉になってきました。 最後に滝本給与局長に伺いますがね。なかなか実情わからないと思うのですが、先ほどそれで私ちょっと実例あげて文部省側に伺ったのですが、初任給調整手当をラインを引かなければならないから引いたということですが、これにしても、あるいは産振手当ですね、これにしても、たとえば理科の先生あたりないわけですよ。それで初任給調整手当、産振手当、定通手当というものがあるでしょう。それに教頭さんになれば管理職手当と、こういくわけですね。こういう給与体系というものが教育の場において適当かどうかということを国の給与制度、政策を研究している人事院として僕は検討の余地があるというぐらいなお気持に達せられているのじゃないかと思うのですけれどもね。それはなかなかお忙しくて教育の現場を体験することもできないし、十分御存じないと思うのだけれども、しかし、若干質疑応答お聞きになって、かりにあなたが教育長なり、あるいは学校長として責任の立場に立った場合、こういうような給与政策でうまくいくのかどうかという点について、何か私は所感があられるのではないかと思うのですけれどもね。だから給与というものは特定政党の政策的なものがあまり入って給与体系が作られていくというようなことはよくないと思うのですよ。それはあなた産振手当の制定の過程なんか思い出されるとはっきりすると思うのですね。若干やっぱり日本の政党の対立というところから政党の給与政策というものがある程度露骨に出ている面もあってこういうことになってきたと、たとえば産振手当が出たとき、最初は農水手当といって農学校と水産学校だけだったでしょう。産振手当について農学校と水産学校だけで、どうして電気を扱う工業が出ないのか、そうすると、農業と水産の先生が陳情に来たからやったので、工業の先生の方は陳情に来ないから上げなかったというのですね。議員立法になったのです。それで次の国会で工業学校に広がってきた。こういう過程を通ってきたのですからね。その後管理職手当——小学校六学級の教頭さんの管理職手当がつくのですよ。それで初任給調整手当と産振手当、こうなってきたから、やはり純粋な給与制度、給与政策の立場から、専門的にあなた方の方で一応検討していただかなければならぬと思うのですがね。どういうお感じを持っていられるのですか。
○政府委員(滝本忠男君) ただいま御指摘のように、まあ従前いろいろ人事院として意見を持った場合におきましても、たとえば議員立法というような形で問題が出てくるというようなことも従来あったわけであります。従いまして、教育関係につきましては、非常に同じく公務員といいながら、教育公務員の場合はだいぶ勤務の態様等も違うしいたしまするので、まあこういう問題につきましては、やはり文部省から十分お考えを承りたいというふうに思うのです。ただいま大臣も、自分の方から呼びかけて人事院がこたえるであろうというお話がありましたが、人事院がこたえます場合には、これはやはり給与体系として公務員全体のことを考えながらまあこたえなければならぬという問題があるわけです。まあ大体給与というものは一元的な法律で扱うのが一番好ましいことであろうと思いますけれども、実際問題としては給与法の中に入っていないような教員関係の給与の項目もあるような現状でございますので、文部省の方のお話も十分伺いまして、われわれとしても十分この問題を研究したいと思っておりますが、文部省等の御意見等を十分承って、そして給与体系全体の中でわれわれは考えていきたいと思います。
○理事(豊瀬禎一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(豊瀬禎一君) 速記をつけて。 本案に対する質疑は一時保留いたします。
○理事(豊瀬禎一君) 次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので発言を許します。千葉千代世君。
○千葉千代世君 私は市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について質問いたしますが、ちょうど人事院がいらっしゃいますので資料要求したいと思いますが、この法律の審議にあたりまして、先ほど矢嶋委員から話されました専門技術の科目ですが、それに関連する問題がございますので、三月三十一日に初任給調整手当支給規則というのを人事院でお出しになっていますですが、その規則をあす中にでもちょうだいしたいと思っておりますが、お願いできますか。
○政府委員(入江誠一郎君) 提出いたします。
○千葉千代世君 それじゃ、人事院よろしゅうございます。 昨年、国家公務員の給与法が改正になりまして、初任給の調整手当が加えられたわけなんですけれども、今回この改正法案の市町村立の職員の場合ですけれども、これは関連法案として出されたわけでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) お説の通り関連法案でございまして、本来ならば一般職の職員の給与に関する法律の附則か何かでやるべきでございましたが、当時は高等学校まで初任給調整手当を出すかどうかという点で人事院と折衝しておったわけでございます。ようやくまあ人事院が高等学校の工業を中心に科学技術を必要とするもので、しかも欠員の補充が困難なものについて認める、こういうことに最近決定いたしましたので、その場合に、高等学校の先生のうちで市町村立の学校の教員につきましては、給与をどこで負担するかという問題があるわけでございます。そこで本俸は都道府県で負担することになっておりますので、本俸を負担するところが初任給調整手当を負担するのが適当である、こう私ども考えましたので、この法律案の改正をお願いしているわけでございます。
○千葉千代世君 そうしますと、国家公務員給与法の改正の内容を準用するわけでございますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。
○千葉千代世君 そうすると、具体的には国家公務員法にあります初任給手当の中で、一年目に二千円とか、二年目に千四百円、三年目七百円、四年目から一般並み、これが準用される、こういうわけでございますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。
○千葉千代世君 先ほど資料を要求いたしましたその人事院規則の中に支給範囲などがしるされてあると思うのですが、矢嶋委員からの質問の中にございましたように、工業の教科の担任の先生だけ、こうなるわけでございますね、同じようになるわけですね。
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。工業に関する課程の専門教科を担当する教員でございます。
○千葉千代世君 そうしますというと、国家公務員給与法の中にございます教育職の俸給、(一)の二等級ですね、そういうものが適用されていくわけですね。そういった場合に、工業の科目、人事院規則の中には、私、はっきり記憶をいたしておりませんが、たしか十三の科学技術の部門があるように伺っているわけなんです、十三の科学技術のことが。それを選定した根拠というものを先ほどかすかに伺ったわけなんですが、やはりこれをもう少し明確にしていただきたいと思うのです。十三科目を選んだという理由ですね、十三科目、電気とか、工学とか、そういうように十三科目ございますように聞いたわけですけれども。
○政府委員(内藤誉三郎君) 明日資料が提出されると思いますが、これを文部省側で承認しました理由は、工業の部門がございますが、その中で、この科学技術の専門的な知識と、それから採用が困難である、こういうように認定されたもののうち、工業だけに実は高等学校はしぼったわけでございます。このほかにも私どもは希望を持っておりましたけれども、今回は見送ったと、こういう趣旨でございまして、これで将来ずっと固定するという意思ではございません。
○千葉千代世君 この前に文部大臣が、この法律案の提案理由を説明した中にも内容が明らかにされていないで、今、内藤局長がおっしゃったように、専門的知識を必要とする、容易に採用しにくいとか、こういう条件しかあげられていないわけですね。この十三の科目の内容についてもたくさんの問題をはらんでいると思いますけれども、資料をちょうだいして細部まで検討したいと思いますが、たとえば工業の中身にどれくらいまで入っているかという問題について明らかにしていただきたいと思うのですが、たとえば工業の科目の中で、さっきも一般化学は入っていないと言われたですね、応用化学とか、工業化学とか、一般には入っていない物理が入っているとか、その不均衡について矢嶋委員から述べられましたけれども、やっぱりこの点が非常に重大じゃないか、こう考えますので、特に理由をつけたという点について伺いたいのですけれども。
○政府委員(内藤誉三郎君) 高等学校の場合には、特に工業の電気、機械、土木、建築等が対象になったわけでございまして、その中でいわゆる専門教科、実験、実習を伴うところの専門教科を中心に選んだわけでございまして、今お話の中の物理とか、化学とか、数学というような普通教科は、これは除外いたしたわけでございます。それは民間との競合が特に著しいものに限定したわけでございます。
○千葉千代世君 そのように限定されますというと、これは先ほど矢嶋委員からるる申されたように、ほんとうの教育を進めていく場合、教員間の感情の問題はともかくとして、根本的に教育そのものがくずれていくんじゃないかという心配をしているわけなんです。内容はともかくとしても、給与の面だけ考えていっても、さっきお話がありましたように、大学卒が一万二千八百円ということを言われましたですね、四年の課程を終えた者については。一般職と比較した中で述べられたのですが、初任給。そうしますというと、今審議しておった工業教員養成所にこの例をとってみますというと、たとえば工業教員養成所では、そうすると、それが大学卒と同じような初任給をやりたい、考慮すると、こうおっしゃった。そうすると、具体的には一万二千八百円と、こうなるわけですね。それに二千円の調整手当をつける、そうすると一万四千八百円ということになるわけですね。そうして、その修業年限は三年だと、こうなるわけですね。そうすると、その人たちは別の面で保護されている面は、三年で終わるけれども、大学に進学したいときには自由にできるという道が開かれていますね。工業教員養成所を卒業した者は、もう一年やりたければやれる道が開かれている。今度は育英資金の方ですと、大学と同じように返還免除がされる、こうなっている。もう一つの面で申しますと、免許法でも、教養課程なんかについての特典がある。工業科目に行く場合とか、理科系統に進む場合二分の一免除とか、こういうふうに特典がある。そうすると、一般の大学を卒業した者が一万二千八百円でずっとこれはいきます。ところが三年で卒業した者が大学と同じ初任給でこういう特典を持っている。そうすると、これは大へんな開きなんです。私どもの考えとしては、なるほど、当面そういう技術者について教員が必要だということはわかりますけれども、やはり工業にしろ、すべての産業の基礎になるものが、基礎的な学問という上に立たなければ、これは伸展しないじゃないか、こういうふうに考えますので、大へんな矛盾をはらんでいるんじゃないかと考えます。それについてどうお考えになりますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) これは先ほども質問がございましたのですが、今の四年制の教員養成課程で、昭和三十五年に工業学校に行った者はわずかに一人であるというような実情でございまして、これは結局は民間に吸収される。これは問題はやはり初任給の問題があろうかと思うのです。そこで三年制にして、しかも能率的に教育を施して四年制の免許状を与える。同じ免許状が与えられますので、そこで四年制の大学と同じような実力のある者、こういうふうに認めていただいて、その上でまあ差がついたわけでございますが、この場合に、民間の場合に大体一万五千円ぐらいというのが民間の相場でございますが、その相場に合うようにして、教育界に人材を吸収したい、こういう趣旨でこの法案が出ているわけですが、一般の教員につきましては、やはり同じように上げるべき点もあろうと思う。決して十分とは私ども考えていないのですが、この方は採用はともかく間に合っているので、今一番当面の急務として学校運営上困っている問題は工業学校でございますので、この工業学校の先生にも初任給手当を出したい、こういう趣旨でございます。
○千葉千代世君 三十五年の卒業でわずかに一人だと、そうすると今度は、初任給手当を加えたらばこれは多くなると、こういうふうに予想していらっしゃるのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 年限が一年短かくなり、しかも待遇が四年制と同じ、少なくとも民間の待遇とのバランスがとれますならば、教育界にも人材が誘致できるのではなかろうかという趣旨でございます。
○千葉千代世君 それはまあ工業教員め臨時養成所の問題でしょうけれども、これは工業教員の養成に限ったことでなくて、一般大学を出た方で工科を専攻していらっしゃる方々でも、これは同じに適用されるわけですか。この問題はそうしますというと、その一般の大学の工科をお出になった方々ですね。民間でそのようにたくさんほしいといっているのに、教員のなり手がない。初任給手当をつけただけでたくさんくると思うのですか。一人が十人になる、二十人になるという予想がつきますでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 民間の方に今流れておるのが、初任給手当の二千円でくるかというお話でございますけれども、少なくとも、今よりはくるのではないかと思います。しかしながら、それでもなお私どもは不安がございますので、修業年限を短縮して実力をつけて四年制に負けないような方法で工業高等学校の先生を確保しようというのが、この法律案の趣旨でございます。
○千葉千代世君 非常に無理な法律じゃないかと思うのですけれども、さっき申し上げたように、教員間個々の問題と、それから民間との問題、教員間個々の問題ですと、私が申し上げるまでもございませんけれども、教員は非常な薄給なわけです。一万二千八百円。それが一般の学科を教える先生はそうだ。そうすると、工業の教科だけ受け持つ人だけに二千円手当をつける。一万二千円に対する二千円という比率は非常に大きいわけです、先生方にしてみればですね。だから、その面について、この工業の先生だけを上げるのではなくて、やはり一般の初任給を上げていく、この方向の中でやはりこれは考えていかなければならぬのじゃないか、こう考えるわけなんです。初任給の引き上げについてどのように考えていらっしゃるか。それは全然据え置きのままで、一時的に糊塗するように二千円上げていった。こういうふうに、この前の国家公務員の給与法のときには、私どもはやはり抜本的に初任給全体を上げていくべきだ。だから、手当を部分的に限られた人に二千円なり、あるいは千七百円なりつけていくということについては反対だ、そういう意味で給与法に反対したわけです。しかも、現実的には市町村立の高等学校にもふやしていこう、こういう点でわからないわけじゃないのですけれども、どうもやはり割り切れない点があるわけですが、初任給を上げていくという方向に検討なされたことがございますでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 初任給の問題についても、文部省として上げていただきたいという気持を持っておるわけですけれども、これは先ほど来、人事院や、あるいは公務員制度調査室長からもお話がありましたように、全体の公務員との、実はバランスの問題があるわけでございます。人事院が勧告しましたのは、それぞれ相応の理由があると思うのです。ただ、一番困っておりますのは、科学技術者を民間に取られて学校に確保できないという点がございましたので、人事院も、一般職の給与に関する法律の中で、初任給調整手当というものを新しく創設したわけです。その創設の線に沿って、まあ今回は高等学校の先生にも及ぼした、こういうわけでございます。
○千葉千代世君 やはり工業を受け持つ先生が少ないという理由の一つに、民間との賃金の差もございますわけですけれども、やはりこれは今のうちに根本的に直していかないというと、ますますこれは細っていくのじゃないか。具体的には、初任給と、それから教師の中で最高に行った号俸とがあまり開きがあるということが原因で、やはりこれは初任給と、それから最高号俸の開きが二倍以上、あるいは二倍半以上になるということについては非常な問題があると思いますが、これは一般の給与の問題でございますので、ここでは省きたいと思うのですが、工業の教科に限ってつけていく、しかも、教科の内容について支給の範囲を定める場合に、人事院と十分な打ち合わせもできていないようだし、もっと広めていきたいという意向も文部省の中に見えるようにうかがうのですけれども、具体的に、たとえば一般化学なら一般化学について、来年度はこれを範囲を広めていくというような、こういう考えはございましょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今回、人事院がきめた規則によりますれば、これは工業高等学校の工業に関する学科の専門教育を担当する教員を全部対象にしたわけでございます。ただこれで十分かというお尋ねでございますが、あるいは農水産の場合もあるでしょうし、あるいは物理化学の問題も起きてくるかと思います。問題は、採用困難の度合いによって決定されるべき課題でございますので、今後採用が困難でございますれば、この範囲をさらに拡張するようにいたしたいと考えておるわけでございます。
○千葉千代世君 これはずっとこれから先初任給手当をつけていくという法律なんでございましょう。時限立法ではないわけでしょう。ずっとやっていく、こういうわけでしょう。その採用困難という判定は、たとえば三十五年に卒業した人は一人なんていう、こういうふうなばかげたことではなくて、卒業した人数の中で、教師になる資格のある者について大体何%ぐらい満たされればこれはいいのかという、こういう問題について答えていただきたいと思うのです。
○政府委員(内藤誉三郎君) これは先ほど人事院の給与局長が申しましたように、供給者の九割ぐらいが確保できればよろしい、まあそれ以上に確保できないという場合には検討したいと、こういうふうなことを申しておりましたので、まあその線で御了承いただきたいと思います。
○千葉千代世君 供給者の九割と申しますと、たとえば百二十名なら百二十名、工業の教員の免状を持った者の九割と、こういうわけですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 供給者と申しましたのは間違いました。需要者側ですね。要するに学校で採りたいという場合に、たった一人しか採れないというわけじゃ、これはとても困りますので、大部分のものが採れれば、これは採用困難というわけには参らぬと思います。先ほど人事院は、需要者側の九割しか確保できない、それ以下の場合には手当をつけたいと、こういうことを述べておったわけでございます。
○千葉千代世君 需要者側の要求の九割ですか、需要者側の九割を満たす。そうすると、初任給のこの手当をつける、この法律を改正してこれが早急にすぐ九割になるとは考えられないわけなんです。で、工業教員養成所の問題もございますが、これを抜きにして考えてみます。抜きにして、今のままで大学の四年終わった方の工業教員なり、その方々が教師になるというのが、三十五年度が一人だというのが、この調整手当が出てきてから幾らか多くなるということは想像されますけれども、安心していられないんじゃないかと、こう考えるわけでありますが、どうなんですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 御説の通り、二千円の手当をつけて安心して確保できるというわけには参らぬと思います。それだからこそ、三年の短期の工業教員養成所の設置をお願いしておるわけでございます。
○千葉千代世君 そうしますというと、まあこれは一応の望みとして一般の大学の工科の卒業生にはつけたわけなんでして、それで工業教員養成所の方へ重荷がずっとかかっているわけなんですね。これにひたすら望みの綱をくっつけると、こういうわけですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 初任給の調整手当も一つでございますけれども、これだけでは不十分でございますので、お話しのように、この臨時教員養成所に非常な期待と希望を持っておりますので、ぜひそういう趣旨で御協力をいただきたいと思います。
○千葉千代世君 これはやはり何ですね、そのこと自体の、当面局部的に見た面だけでは、臨時教員養成所の問題も必要だから作る、こういうふうに言われておるわけなんですが、やっぱり全体の日本の工業教育の水準、科学の水準を上げていく、やっぱり世界の今の趨勢の中で、どの国でも科学教育というものを一生懸命やっていく、これは世界あげてやっている、こういう中で、工業教員養成所、あるいは一般の大学を出た方に二千円の調整手当をつけて当面を糊塗していこうというにはあまりにも情けない気がするわけなんですけれども、まあ重ねて伺いますけれども、これは各大学の学長さん方、そういう方々のやっぱり要望というのも入れてあるんでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) ともかく高等学校側で工業教員を採るのに非常に困って、何とかしてくれという切なる御要望に基づいて、二千円という額は少ないかもしれませんけれども、まあこれでも一歩前進しておりますので、この程度を支給したいと、こういうふうになったわけでございます。
○千葉千代世君 この法律のもとになります国家公務員給与法の改正ですけれども、これは議員立法になっておりますですが、高等学校の先生方、たとえば高等学校の校長会あるいは高等学校の組合の方々、こういう御意見はどうだったのでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) まあいろいろ私は意見があろうと思うのです。高等学校側におきましては、全体の初任給を上げてほしい。先ほど矢嶋委員からいろいろ御指摘になりましたように、各学校の経営から申しますと、手当をもらう人、もらわない人があって、学校運営に困っているという事情も私どもよく聞いております。しかしながら、当面の問題として工業学校の先生が確保できない、こういう実態はこれは目をおおうわけには参りませんので、これは何とかして工業の専門の先生を入れませんと学校教育が麻痺してしまう。仕方がないからこういう措置をとらざるを得なかった、こういう点を一つ御了承いただきたいと思うのです。
○千葉千代世君 それはよくわかりますけれども、やはり全国の高等学校の中でたくさんの教師がいるわけなんです。その中でそういうふうにまあ収入の面でてきめんに二千円なら二千円違う。すると、俸給をもらう側から見ますと、二千円というのはこれは大へんな額の相違になるわけです。そういう中で全体を運営をしていくということについては、教師はお金のことは考えないといった時代は別として、やはり生活の安定の上に立って安心して研究もできるし、それから教育もできるし、自分の力を十二分に発揮していくという、こういう意欲が学校の中で一人々々は持って要求を出しているわけです。その中で工業教員だけ二千円の手当をつけていくということについては、学校運営上校長さんとしても非常に問題じゃないかと思うのですが、校長会の意見として、そういう点は強く出なかったのでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) これが将来ずっと二千円の差がつくというならば、私は御指摘のように大問題だと思います。しかしながら、この初任給調整手当は、初年度二千円、次が千四百円、三年目が七百円、四年目からは消えてしまうわけですから、工業学校の専門の教員を確保するという趣旨等から見ますと、そう本質的な給与体系をいじっているわけではないのでありまして、この程度のことをしないと民間に吸収されてしまう、こういう趣旨から私はやむを得ざる措置だと、こう考えているわけでございます。
○千葉千代世君 この三年が大事じゃないのでしょうか。初めて勤めた場合はみんな同じような希望を持って、そうして一生懸命やろうという気力に燃えてくるわけですね。それで学校を卒業してすぐですから、経済的に恵まれていないし、本も買いたいだろうし、洋服も買いたいだろう、こういう中における二千円の差というものは、これは安い月給をもらった者でないとわからないのです。私どもも勤めたときに、男の先生が五十円、女は四十五円、その中で師範学校卒業した者は四十五円だけれども、検定で卒業した者は四十二円であるとか、三円の差をつけられている。今度は昇給するときに、一円、一円五十銭と上げるのです。一円と一円五十銭の差、五十銭の差が大へんだったわけです。そんなようなことを考えていった場合に、何もお金が多いから教育の問題をどうしようとか、少ないからどうしようとかということでなくて、教育の場についていけば、助教さんであろうとも、大学の先生であろうとも、幼稚園であろうとも、小学校の先生であろうとも、これは同じ責任を持って、たとえ一人を教えようが、百人を教えようが、この責任は将来永久につくものです。その大きさは変わりはないわけですが、しかし現実の問題としてもっと研究したくて本を買いたい、こういうときにその当時の五十銭の差というものは大へんなものである、私ども身にしみているわけです。今はたとえば賞与にしましても、まあいろいろな面についてガラス張りの中で、欠勤日数は幾ら、何々幾らとなっている。ところが勤務評定というものができまして、またおかしくなってしまった、そこへ持ってきて今度は政策的に、国が政策的にそういうものを仕向けていくというところに非常な問題がある。ですから一年、二年、三年、四年目には解消していくというけれども、初年度におけるやはり打撃が非常に大きいのではないか。こういう点についてごく給料の少ない生活をなさったことのない文部省の方方、おわかりにならないと思うのですけれども、これはもう一ぺん考えてみる必要があるのではないでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どももその点薄給から上りましたのでよく身にしみて感じておるわけですけれども、ただ、問題はこういうことじゃないかと思うのです。学校運営上確かに好ましいこととは思っていません。できるだけ同じような待遇が保障されるべきだと思いますけれども、現実の問題として工業学校の先生がいないということは学校運営ができないわけなんです。その必要に迫られた場合にどちらが弊害が大きいか。工業の先生一人もいないという学校は学校運営できないわけです。多少の気まづさはあっても工業学校の教員を確保するという方が、工業教育を進める上から見ますれば、これは忍んでいただかなければならぬ。そういう点で一つ多少の気まづさはありましても、工業学校教育を推進するという点から御理解いただきたいと思います。
○千葉千代世君 多少の気まづさは忍んでも、一人や二人だから、まあ大勢の人が、はっきり言えば犠牲になっているわけですね。これは言いようが悪いですけれども、そういう場合には、やはりそういう気持とか経済的な基礎を築いてやるという責任をお互いに持っていくならば、初任級の引き上げと同時にこのことも考えていくと、こうなればまだまだこの話がつくわけなんです。ところが初任給はそのまま据え置きだという、しかも教育職については、一般公務員のさっきの人事院の採用試験の中の甲については比較的いいわけです。そういうふうになりますというと、やはり教育の職だからたくさんよこせという無謀なことは言わないけれども、やはり教師という特別な立場にあって、研究その他について非常に違う部門を持っているわけなんです。ですから、これはやはり私は我田引水かもしれないけれども、教育の職にある者については特別に国が考慮していくという、これはどこの国でも保護しているわけです。ですから安心して教師になっていく、こういう施策をやっていく場合に、工業の科目だからここだけ上げていこうということはないように聞いているのです。まず初任級を上げていく、最高を押える。押えていくけれども、子供たちがたくさんある大学の先生なんかでありますというと、生活が困るというと育英資金の適用をするとか、それから子供が病気になったときには国が保護するとか、研究して疲れた、保養させるためには特別の保養所を作って、そして安心してからだを休めて頭脳を休めて次の勉強への基礎を作っていく、こういういろんな保護政策から教育の面を守っていっているわけです。ですから、単に手当だけ上げて初任給を上げていかないというのは非常に本末転倒しているのじゃないか。この点は非常に残念なわけなんですけれども、これに関連しまして、さっき、長くじゃなくて一、二、三年先だから、こうおっしゃったのですが、毎年暫定手当なんかもらっておりましたね。それは本俸に一年づつ繰り入れられていっていると思うのです。そうすると、これは一時的であるけれども、工業教員になり手が少ないから、この初任給を本俸に繰り入れていこうではないか、こういうふうな方向に出ないとも限らないと、私はこう考えているわけです。これは思い過ごしでしょうか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 現段階におきましては工業教員が不足している。日本の科学技術が非常に進歩したために、こういう制度を取らざるを得なかった。しかし、日本の経済が安定して、学校の人材養成計画が的確にいきますれば、まあ千葉委員の御指摘のような事態がないとも私も言えないと思います。むしろ、そういう事態になった方が、あるいはいいかとも思っているわけでございます。
○千葉千代世君 最後に伺いますけれども、この初任給の調整手当は二千円、千四百円、七百円、こうつけていますね。これは大体どのくらいの期間の見通しでやっていらっしゃるか。さっきのお話では当分、需給関係がまず九〇%ぐらいになったら、これはよしていこうじゃないか、こういうお話でしたね。そうじゃございませんでしたか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 当然その採用が困難でなくなれば、これも解消さるべき性質のものと考えております。
○千葉千代世君 そうすると、この法の適用は大体何年ぐらいの予定でいらっしゃいますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今日のように科学技術の急速な進展をしている時代においては、これは当分解消は困難ではないかと考えております。
○千葉千代世君 そうすると、ずっとこれを適用していくわけでございますね、ずっと。
○政府委員(内藤誉三郎君) 別に未来永劫というわけじゃございませんが、千葉委員の御指摘になったように、安定して参りますれば、こういうものも本俸に繰り入れられる可能性が出るのではなかろうか、全体のベースの問題が上がってくるのではなかろうかという期待を持っているわけでございます。
○千葉千代世君 時間もきたようですから、質問を後日に譲りたいと思いますけれども、やはり今の学校の運営の問題、それから今後の見通し等についても問題点があると思うので、きょうはこれだけにしておきます。
○理事(豊瀬禎一君) 一分間休憩いたします。 午後五時十七分休憩 —————・————— 午後五時二十二分開会
○理事(豊瀬禎一君) 再開いたします。 本案に対する質疑は、本日のところはこの程度とし、再び国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。 質疑の通告がございますので発言を許します。矢嶋三義君。
○矢嶋三義君 経済企画庁長官に若干お伺いします。所得倍増計画の立案者でいらっしゃいますが、最近の経済成長の実情、それから最近の国際収支、特に外貨の経常収支の実情等から、あなたが主になってお立てになりました所得倍増計画については、いささかも修正することなく所期の方針通り進んでも大丈夫だというような御見解でいらっしゃいますでしょうか。それとも実施段階に入らんとしているわけですが、その段階におけるその後の情勢等から修正を必要とするときがくるのではないか、近いうちにくるのではないかというような御所見を持っていらっしゃるでしょうか。その辺のところをお伺いいたしたい。
○国務大臣(迫水久常君) 何しろ所得倍増計画は十年間の長期計画でありまして、しかも三十六年度をスタートとした十年間の計画となっておりますので、三十六年度が始まってからまだ二十五日しかたたないということで、改訂するとかしないとかいう状態とは全然現在の状態はそういう関連ではないと思っております。ただ、今年度の国際収支の見通し、貿易経常収支において一千万ドルの黒字が出る、あるいは総合収支においては二億ドルの黒字が出る、こういうような見通しは、本年度の見通しはどうかという御質問に対しましては、現在のところもう少し様子を見なければその見通しを変えなければならぬかどうかということについてははっきりしたことが申せません、こういうお答えができますけれども、所得倍増計画自身はややもう昭和三十五年度自身の位置が高くなりましたから、その高い位置からスタートしているので、所得倍増計画の初期の昭和三十三年度の価格水準によって二十六兆という総生産は十年を待たずして到達ができるだろうと思いますが、これを改訂する必要はまだ全く認めておりません。
○矢嶋三義君 所得倍増計画を実施していくのは人でありますから、だからその計画立案者並びにこれを実施される場合においても教育計画、人材開発計画というものを重視されておられると思うのです。その所得倍増計画にマッチした教育計画ですね、人材開発計画についてはどういう御所見と御構想を持っておられるでしょうか、お伺いします。
○国務大臣(迫水久常君) 所得倍増計画に書いてあると思いますが、ごらん下さったと思いますが、要するに経済の発展に即応して必要なる能力を備えた人間を養成してそれを充足していくということでございます。それで所得倍増計画におきましては、人的能力の問題についてはさらに一そう精密に掘り下げて研究すべきであるというような答申が出ておりますので、本日の経済審議会において人的能力向上政策部会というのを創設いたしまして、大原総一郎氏を部会長とする部会を作りまして、それでさらに掘り下げて研究をしていくようにして参りたいと思っております。
○矢嶋三義君 過去の日本の歴史を振り返ってもそうですが、近代においてその傾向は顕著なんですがね。経済拡大政策をとると具体的には、たとえば所得倍増政策にマッチした人材開発、教育計画という場合に、当面の実利の追求に偏向をし過ぎる傾向があるのですね。基礎的な積み上げを不足にして成果を気ぜわに要求して参るという通弊が過去にあったと思うのです。もう原子力発電にはっきり現われておりますね。茨城における東海村の原子炉二号炉の問題についてもその部類ですよ。それから私は最近の飛行機事故についても結論は基礎の研究が足りないという一言に尽きると思うのです。たとえば航空自衛隊あたりのジェット機の事故が非常に多い。これはある人はパイロットの練習期間が不足だのに、それをすぐジェット機に移す、それが早いのだとか、あるいはジェット機を乗りこなせるようになってもまだ射撃訓練演習等をやるのには飛行時間が少ないのに、早く射撃訓練等に入り過ぎるがゆえに事故が起こるんだという見方をしておる人もある。これは一面の理由はあると思う。しかし、その根底にはやはり基礎的な修練を得ていないという一語に尽きると思う。きのう、羽田飛行場で日航機が——原因は調査してみなければわからないが、事故を起こしたようですが、あれだけ科学が進歩して機械が綿密になって参ると、パイロットが乗ってから、ことに軍用機の場合そうですが、三十秒か四、五十秒の間に、さっと一べつして、これで調子がいいか悪いかということを判断しなければならぬわけですからね。こうなれば、勘ですよ。科学的な勘ですよ。その勉なるものは、基礎教育がなければできないものなんですね。そういう基礎的なものが十分積み上げられないで、成果とか、結果というものを追求していく。そのあせりといいますか、それが事故の原因になっている。私の知識をもってすればそう確信しているのですがね。そういう意味から、所得倍増計画に伴う人材開発計画ですね、きょう部会を作られたということなんですが、そういう点に十分配慮を必要とする。それから十年後の計画ですから、その途中にどういうことが起こるかわかりませんが、ともかく今ここで問題になっているのは、要するに人材開発ということが問題になっておるわけですね。これだってやっぱり、きめてこまかな数字で、現時点においてきわめて合理的な科学性のある数字でやっていかないと、長期にわたる問題でもあるし、また人に関する問題ですから、不足してもいけないし、非常に過剰でも困る。のみならず、国家投資として不経済になりますからね。そういう点の、いわば一語にして言うならば、企画性ですね。そういうものが大事だと思うのですが、そういう点について、政府の関係省庁の間でどの程度綿密に検討されたのかという点について、私は百パーセントの信用を持っておらないのですがね。まあやれるだけやって、いけるところまでいけといったような面が一部の省庁にあるのではないか。だから、全体として非常に緻密な、きめこまかな研究調整というものは十分なされていないのではないかという感を持ち、それが不安となっているわけです。その点について、倍増計画の立案者としての経済企画庁長官は経済閣僚としては最右翼ですからね。その責任においてどういう御所見を持っておられるのか、お答えをいただきたい。
○国務大臣(迫水久常君) さしあたり予算の獲得のような場合には、文部省で所得倍増計画の線にできるだけ近いようなということで努力されまして、私の方においてもそれをずいぶんお手伝いをしたと思っておりますが、あるいは今矢嶋さん御指摘のような点がないこともないじゃないかとも思いますので、お説の通り、非常に大事な問題でありますから、経済審議会においても新しく部会を作ったような次第でございまして、今後、政府の各部内がほんとうに一致して、できるだけ連絡を密にして、間違いのないようにしたいと思っております。
○矢嶋三義君 少し具体的に伺いますが、そこにないかも一しれませんが、三十五年の十月四日、科学技術会議から「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」という答申がありますね。これが所得倍増計画を行なうにあたっての科学技術関係の基礎的なものになっているわけです。予算もこれを基礎に組まれていっておるわけですが、大学卒業程度の理工学系科学技術者供給過不足数がこの百八十四ページに示されていますが、この数字が三十五年から四十五年まで毎年大体一万六千人前後でずっと並べられているわけです。それから百八十六ページに同じく三十五年から四十五年までの工業高校卒程度の技能者供給不足数が出ていますが、約四万二、三千人程度の数が並べられておるのです。この並べてある数字を経済企画庁としては所得倍増計画を立てる場合に、こういう並べ方をどう評価して、どういう眼でこの数字を見られたか、承りたい。
○政府委員(大来佐武郎君) ただいまの御質問の数字につきましては、所得倍増計画と科学技術会議の答申とは、私ども企画庁の方と科学技術庁、文部省あるいは労働省と協力してはじきましたものでございますので、私どもの方としては、倍増計画では中間年次を示さないということでいっておりますので、中間年次の数字は正式には出ておりませんのですが、計算といたしましては共同してはじいたわけでございます。
○矢嶋三義君 共同してはじいたのならどういうようにしてはじいたかということを聞きたいんですがね。その過程にも私は関心を持っている。並べられている結果についても私はかなり疑問を持っているのですけれどもね。どういうふうにしてはじかれたのか。これがはじき方のいかんによっては途中年次における所得倍増計画の達成状況にも影響を及ぼしてくるので、どういうようにしてはじいてかように数字が並べられたのか、その並べられた数字が三十五年から四十五年までいずれも大体似通った数字ですが、しかし、その似通った数字でも誤差論からいえば、誤差論の立場からこの数字を見ると、四万台で最終位の数字まで正確に書いてある。だから、何か科学的な根拠があってはじいたのだと思う。これは大ざっぱなものならば、やはり近似計算等が出されたならば、有効数字を考慮して、この五けたの数字では、最終位までかように正確な数字は並べられないと思う。だから何か根拠があると思うが、いかようにしてはじいたのか、ちょっと説明してもらいたい。
○政府委員(大来佐武郎君) これは実は大体の計算方式といたしましては、日本の経済成長、これは私どもの方の計算から大体成長率とか、あるいはそれに経済の拡大に見合う工業生産の伸びとか、そういうものがいろいろ出て参りますので、特に工業生産の伸びと従来の人の所要額、技術者の所要額との相関関係を求めまして、経済拡大に応じてこれだけよけいの技術者が必要だという計算をいたしまして、それからそれにプラスいたしますのは、減耗補充でございまして、今後十年間に年をとって理工系卒業生がだんだん死亡ないし引退して参りますこの分は、ちょうど企業でいえば設備の減価償却にあたるものでございますけれども、その人の減耗補充をやっていかなければならない。これは経済規模が一定でも常にある割合で補充していかなければならないわけでございますから、それを追加いたします。 それからもう一つ、これは特に文部省の方の御調査によりまして、現状において本来ならば大学の理工科卒業程度の人たちで埋めるべきポストといいますか、仕事がそうでない人によってやられている。これはやはり本来あるべき姿ではないんで、これを十年間にできるだけ大学卒業生によって補充していく。この調査の基礎になりましたのは、文部省が三年ずつ二回やられたと思いますが、かなり大がかりに大学卒業生の種目別の職域配置の調査、その調査はかなり詳細なものでございますが、それが今の算定の一番の基礎になっておるわけでございまして、この職域の配置調査と、私どもの方の経済成長の見通しと、この両者から所要数を計算いたしまして、それから今度は毎年の卒業生の見通し、理科、工科についてございます。これは従来の、前の五年計画のときに八千人の定員増加計画というのを、これを経済計画と一緒に当時文部省が決定いたしたわけでございます。それが昭和三十八年まではその計画に基づいた定員増加が卒業生として現われて参ります。その原因によります毎年の定員増、卒業生の増加分と、今申しましたような需要数とを突き合わせまして、差引マイナス一万六千人、先ほど御指摘のありました数字が年次別に出て参ります。ただ三十九年以後は所得倍増計画に基づく増員計画がないとすればの不足になっておりますので、そこまでずっと不足の数字が出ておるのですが、そこにやはり一万六千人余りの不足、それを充足するという計画の組み立てになっておるわけであります。
○矢嶋三義君 これは科学技術会議の資料ですからね。エキスパートだけそろってお作りになられたのだから、この中にある数字というものは、私は信用していい数字だとは思いながらも釈然としないところがあるから伺ったわけですが、要するところ、あなたの答弁から確認したいことは、これらの数字は相当あなた方としては自信のある数字だと、かように了承してよろしいですね。
○政府委員(大来佐武郎君) 計画作成当時に用い得る利用可能なデータとしては一応やはりそこまでやったということでございます。
○矢嶋三義君 そうでしょう。五けたの数字を一位の末尾まで正確に書いてありますからね。よほどこれはやはり科学性があり自信があると思う。それを前提として伺って参りたい、 次に承りたい点は、長官に伺いたいのですがね、三月十一日付で科学技術庁長官が科学技術庁設置法の十一条に基づいて文部大臣に勧告書を出されましたが、あれを経済企画庁長官もちろん御存じと思いますが、あの勧告をいかように評価といいますか、見ておられるか、御所見のほどを承りたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) ただいまの御質問に対しては率直に言ってあまり答弁をいたしたく実はないのですけれども、これはまた池田科学技術庁長官としてはこういう必要を認めてやられたのだろうと、こう一応考えました。
○矢嶋三義君 科学技術庁長官は経済企画庁長官の作成された所得倍増計画を成功さしたいというお気持であの勧告書を出されているのですね、その観点から。それでその勧告の内容を経済企画庁で御検討なすった場合、これはお節介の勧告だというようにとられたか、われわれが立案した所得倍増計画を推進するのにこれは適切なる勧告で、推進力となるというとり方をなされたか、そこのところを承りたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 実は経済企画庁にも各省に対する勧告権があるのですね。私はそれを一ぺんも使ったことはないのですが、池田長官は勇敢に使われたなあという感じが私は率直に言えると思います。うちの方の所得倍増計画を推進さしてやろうという非常な御熱意は非常にありがたく存じますが、ここに書いてあるいろんな数字につきましては、私の方の事務当局で一応それに対する見解を作っておりますから、大来局長より御答弁をいたします。
○政府委員(大来佐武郎君) 実は先ほども御説明いたしましたようなことで、理工系の卒業者の不足数が出ておりまして、これを累算いたしますと、約十七万人になるということは科学技術会議の報告にも出ておるかと存じます。政府の所得倍増計画の中にもその数字が出ておるわけでございます。文部省の計画によりまして、最終年次に約一万六千人の理工系の定員増加を達成するという、それを順次毎年やって参りますといたしまして、積み上げで約七万人の十年間に新たな理工系の卒業生の増加がプラス・アルファの分が出るわけでございます。その十七万と七万とを対比すると大きく不足するではないか、これが科学技術庁長官の重要なポイントになっておると存じます。それは確かにこの十七万という不足の数字は理工系の大学卒業程度として不足するということを倍増計画でもいっておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、ことしからの不足数を累積しております、三十五年、三十六年というふうに。これは、たとえば今大学に工科を新設いたしましてもその新設した卒業生が出て参りますのは四年後でございます。四年間はもういかようにも手の打ちようがないわけでございまして、先ほど矢嶋先生の言われました年次別の不足数の四年間分平均して約一万五、六千人で四年間でございまするから六万人、これはどうしても充足できない、物理的に充足できない不足数でございます。教育に四年かかるわけでございますから、その後のなるべく早くギャップを小さくするために、この定員増加を最終年次に一万六千の定員増加にするよりもう少し早くそこまで持っていったらどうか。これは私の方としても望ましいことだと存じております。ただ、その増加したものをそのまま伸ばして参りますと、今度は最終年次一万六千ということと合わなくなって参りますので、やはりその状態に一年でも早く近づける、その意味で、たとえば私立大学の活用等についてさらに積極的に検討していただく。これは倍増計画の趣旨からしても望ましいことだと私ども考えているわけでございます。結局不足数を認めながら、ただ大学を増設し、定員の増加をし、これに必要な教育、校舎、施設等を補充して参ります場合に、ある程度物理的に拡張のスピードに限界がありはしないかというような点と、最初の四年の約六万というのは、これはどうしても現実問題として充足困難ということから、そういう養成計画になっているわけでございまして、そういう意味で科学技術庁長官の御指摘になっておられる点、なるべく早く少しでもギャップを小さくしようというお考えには私どもも賛成でございます。
○矢嶋三義君 事務当局の発言は明快です。事務当局もまた大臣も池田長官の勧告の内容は大筋としてよろしいと思う。しかし、閣僚の一人である国務大臣としてああいう時期にああいう勧告をすることが、政治的に見た場合には、必ずしも双手をあげて賛意はいたしかねるという政治的な見解を国務大臣が持っていると、かように私はただいまの答弁を承ったわけです。これはそれなりに承っておきましょう。ところが、この文部省から出た資料によりますと、三十五年度において皆さん方の数字をかりますと、一万七千九百八十三人の不足。で、たとえばずっと飛んで昭和三十九年にいって一万二千七百六十八人の不足という計算をすれば数字が出てくるわけです。だから、たとえば四十二年をとると、三千八百九十八人の不足。これは計算すればそういう数字が出てくるわけです、この表から。これは所得倍増計画を推進していくにあたっては、こういう過程における不足というものは計算に入れておられるのですか、どうですか。
○政府委員(大来佐武郎君) この点は、実は現在現実にも不足をしておるわけでございまして、結局本来なら大学卒業程度の人によって満たすべき仕事が、もっと教育程度のそれよりも低い人々によって充足されておる。それは充足は必ずしも満足すべき状態ではございませんが、一応は満たされておるという格好になっておりますので、その程度のズレのマイナスがあるという条件のものにおきましても、倍増計画で考えております経済成長ないし工業の拡大は、達成可能であるというふうに判断いたしておるわけでございます。
○矢嶋三義君 それではこの文部省の計画はあなたのところにも御相談になっていると思うのですがね。たとえば十年の最終年度の四十五年ですね。四十五年において四百十九やはり不足ですね、この文部省から出た数字を計算しますと。四十四年においても八百三十四の不足ですね。これで了承しているの。四十五年の最終年度で四百十九やはり不足になりますね。だから、その年次の最終年次はとんとんになるというのは、この調子で行けば四十七年か八年になるのじゃないかと思うのですが、そういうことを了承なさっているのですか、いかがですか。
○政府委員(大来佐武郎君) 確かに御指摘のように四十五年に需要が一万六千八百四十九、供給が一万六千四百三十という形になりますと、少し、四百ばかりの差額があるのですが、当時私ども了承しておる限りでは、端数を大体切り捨てまして、一万六千人程度ということで、何分にも長期のことでございまして、最後にはそういうある程度大まかに見たということがございますので、少しそういう不つり合いの点はあるかと存じます。
○矢嶋三義君 数字を使うときには、同じ一つの問題を計画し、やっていく場合は、同じ精密度の数字を使わないと意味をなさぬですよ、計画はね。ある作業をする場合、ある面においては十分の一の精密度の数字を使う、ある面においては百分の一の精密度の数字を使う、それを一緒に作業したって、それは正しいものは出てきやしませんよ。これは数字を使う場合のいろはのいですよ。 それで文部省に伺いますが、この点どうお考えになりますか、先ほど大学における工業教員養成課程は、定員が百三十人で、大体卒業するときは百二十人になる。だから一割損耗するということを大学課長が答弁しているのですね。それから経済企画庁の人は、これは死亡その他の損耗率を計算して、この表は共同作業をしたというわけですね。ところが、この文部省で出た数字は、一人も一死なないことになっているのですよ。入学した人は、全部卒業することになっている。そうしてなおかつ、四十五年の完成年度で四百十九不足ですよ。そっちを切り捨てたというのなら、こちらの、さっき言った五けたの数字の第一位まで正確な有効数字を並べているじゃないですか。それだけの精密な数字を並べて計算している。それだけの精密度で計算してきて、なおかつ最終年度に四百十九不足している。こうなると、数字の扱い方がずさんだというそしりを免れないと思うのですね。これは私は科学技術庁が目をつけてついたに違いないと思うのです。その点に関する限りは数字がずさんだと私は思うですね。はたしてこれ自体が責任のある計画としてこのままわれわれが認めていいのかどうかという点に疑問を持たざるを得ないのですがね。ある面においては損耗率を考え、ある面においては損耗率を考えない、しかも、損耗率を考えないでやって、最終年度でなおかつ四百十九の不足である。この点は、経済企画庁としては、文部省のこの計画をどういうふうに了承されておるのか、この点お答え願いたい。
○政府委員(大来佐武郎君) この数字の計算は、先ほど申しましたように、相関関係、減耗率、それから減員の卒業生の予測数というようなものから出しましたもので、その差引勘定からこの五けたの数字が出て参りますが、御指摘のようにだいぶ先になるに従いまして、そのけたの一番こまかいところは、不安定なといいますか、わからない要素がだんだん出て参ると思います。まあそういう意味でこの定員の数の計算というのは、十年先の目標については比較的大まかな見積もりでございまして、もともと百以下の単位まで正確にはかれるというものではないと存じておるのであります。で、たとえば国民所得倍増計画でも、すべて今後おおむね十年に国民所得を倍増するというような、かなり幅のある表現をいたしておりますが、これはやはり従来私どももいろいろな経済計画の仕事をやって参りまして、自由経済のもとで——これは計画経済でもある程度そうした問題はございますが、将来について非常に予測できない要素がございます。いずれにしても、まあ三年くらいたてば、その後の進行状況なり、経済成長の実態なり、技術者の獲得状況なりでさらにこれを検討していくということには当然なることだと思っておるわけでございますが、大体の大ワクとして一応事務当局で一万六千という目標で作業を行なったわけでございます。
○矢嶋三義君 文部大臣にお伺いしますが、こういう計画をする場合ですね、関係のある科学技術庁、経済企画庁、これらの省庁の事務当局間では、十分この数字を練らなくちゃならぬと思うのですが、練らなかったのじゃないですか。僕は、文部省と大蔵省とで予算編成のときにそういうお話だけして、そうして予算がきまって、その予算の範囲内で一応数字を並べて理由づけた、こうじゃないかと思うのですね。あるいはこういうものをやる場合に、経済企画庁と科学技術庁と文部省とで数字をずっと練って、それを基礎に三者一体で大蔵省の予算折衝をやると、こういう形が私はとらるべきじゃないかと思うのだが、その形がとられていないのじゃないかと思うのですね。それが科学技術庁長官とあなたのところの意見の相違の来たしている一番大きな理由じゃないか。それからあなたのところの使っている数字と、その説明と、こちらさんの経済企画庁で出されている数字ですね、説明とは違いますよ。数字の質が違うのですよ。こちらは盛んに損耗率とか、それらの消耗率であるとか、そういう経費を勘案して云々ということを言われているわけですね。あなたの方はそれが全然入っていないわけです。だからそういう点で、所得倍増計画とその要員の数字については私はとやかく言いませんが、これをいかに充足するかという実際政治に移す面において関係省庁と連絡不十分、不調整であったというそしりを私は免れないのじゃないかと思うのですが、大臣はどういう所見を持たれますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のようなそしりは受ける意味があろうと思います。先ほど経済企画庁からのお話の通り、所得倍増を十年後に達成するということからいたしまして、文部省の調査局によって調べました大学卒業者の就職しました状況を克明に調べ上げて、そしてそれぞれの理工系ことにそれぞれの職種にどういう率で今までば就職しておるかということを今後の十年間の経済成長に見合って推算されたものが、先刻の話の通り約十七万人現状のままなれば不足する、そのことについては先刻の御説明の通り、きわめて合理的にできておるわけでございます。それを年次別にどういうふうに大学卒業という形で充足するかにつきましての年次別の推算につきましては、事務的には連絡はしておるとは思いますが、不足数の計算ほど合理的な精密な根拠があってでき上がっているとは私も承知していないのであります。それは教育の立場から、第一には質を落とさないということ、第二には落とさないためにも当然必要な要素であります教授陣の充足ということ、さらには国家財政上大学理工系の大学卒業者を充足するための施設、設備の予算、それも幾らでもとれるんだという計算は勝手にできるわけですけれども、現実性を持った良心的な立場において考えるとするならば、まあ三十六年度で一応考えておる程度の比率で獲得できるというような要素を考えあわせて年次別に振り分けたというものでございますから、不足数の推算に比べますると減耗率その他一定の率をもってはじき出してどうという数字になっていないと思います。ただ減耗率は考えてない格好にはなっておりますけれども、先日この委員会で説明員から申し上げましたように、また本日の委員会でもたまたま話がそれに及びましたように、定員は定まりましても、現実にはある学校では定員より少な目に入学することもあるし、ある程度オーバーすることがある。私学の関係におきましては、その差が相当なものであるのが現実でございます。さりとてその正確に把握できない私学面のプラス・アルファの数をこれに入れてさらに減耗率をかけて計算しますことの一見正確そうに見えることよりも、むしろ定員を押えまして、それがそのままずっと卒業するのだということの方がわかりやすくもあるし、減耗率を十分考えた意味合いは当然含む道理でございますから、かような数字になっておると私は心得ております。さらに逆に申し上げれば、現実の数を掌握して、そして減耗率をかけてずっと積算していきますれば、最終年次における不足数というものはもっと少ない結果になろうかと推定されるわけでございます。しかし、それは不正確な根拠に基づきます推定でございますから、今申し上げるように、むしろ定員そのままがずっと卒業して社会に出るのだという数字をとった方がいずれかといえば筋が通るんじゃないか、こういう考え方でできておるわけであります。
○矢嶋三義君 時間が迫りましたから、もう一、二点伺って、きょうのところを終わりたいと思うのですが、経済企画庁の局長に伺いますが、大学卒業程度の理工方面修得者が約十七万で、今の文部省の方に提出しているのは、七万充足できる、あとの十万もこれはこの間山下参事官が御答弁なさったのですが、きょうもあなたの答弁に出ておりましたが、大学卒業程度の技術者が十万人必要だ、こういうことですね、そこでこの十万を所得倍増計画をスムーズに推し進めていくためには、その十万を現在の中級技術者をこれを何か適当な機関で再教育することによって充足すると、そうすると中級技術者がそれだけ不足してくるわけですね。こういう認識に立っておられるわけですな。いかがですか。
○政府委員(大来佐武郎君) この点が、ただいま現状でその不足が、何らかの下の方からで充足されておる結果になっておりますので、その状態を認めたままで、この工業学校の方の不足数を計算したことになっておりますが。
○矢嶋三義君 それでさ、その十万をですね、大学の卒業生が間に合わないからですよ、それで中級技術者を再教育して、それを充足するとすればですね、その分計画上は中級技術者は不足してくるということになるでしょう。簡単な算術でしょう。
○政府委員(大来佐武郎君) まあ中級技術者については、御承知のように計画期間中に四十四万人の不足があるということで、最終年次までに定員八万五千人をふやさなければならぬという目標になっておりますので、確かに計算から申しますと、ただいま矢嶋先生の御指摘の通り、まあその不足分を繰り上げていくのが中級技術者に食い込むということになると思うのでございますが、その分を含めて不足分として四十四万ということになるかと思いますんですが、その辺のところ……。
○矢嶋三義君 冗談じゃない、経済企画庁、そんな計画ってあるかね。一人二役という俳優みたいなものだ。はっきり伺いますが、経済企画庁としては何ですか、十七万人の、文部省で七万計画して、あとの十万は、できるだけ一万六千人の定員増を、年次を繰り上げてもその一万六千人の定員を一年も早く充足をして、そうしてその十万のギャップを大学卒で埋めたいという考えなんですか。それとも、経済企画庁としてはやあもう七万充足すればそれでよろしいと、あとは中級技術者の再教育をして、そうして大学卒に準ずるような人で埋められればそれでよろしいと、所得倍増計画はそれで推進できると、こういう御見解に立っておるのか、いずれですか。
○政府委員(大来佐武郎君) 計画といたしましては、大学卒業の理工系は十年間に約七万人増加する。それから工業高等学校の卒業生の定員を八万五千人定員増加を実現すれば、これで一応充足する建前になっておるわけでございます。その不足の十万分というのはその中から見ておるということになります。
○矢嶋三義君 その中からというのは、どこからですか。
○政府委員(大来佐武郎君) この大部分はおそらく中級技術者から参ると思うのでございますが、あるいはその以外の、たとえば法文系からの卒業生でかなり近ごろは会社に入ってから技術教育をやっております。いろいろなソースがあると思うのでございますが、この点については正確な計算はいたしておらない。で、そういう意味でいろいろな源泉がございますから、全部が工業高等から食い込むというふうには私どもは考えておらないのであります。
○矢嶋三義君 では山下参事官、この前出席されて答弁されていますので、山下参事官と御協議の上、この次の委員会にちょっとおいでを願いたい。そうして済経企画庁の統一確定答弁を要望申し上げておきます。 そこで内藤局長に伺いますが、この中級技術者の養成計画が出ていますね。これは文部大臣は高級技術者の十万を企業内教育で充足したいという答弁を衆議院でされているのですが、そうなるとその十万を加えた五十四万ということで考えられておられるのか、それともこの勧告書にある十七万と四十四万のこの四十四万の数字を考えておられるのか、いずれで立案されたのか、お答えいただきたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 初等中等教育局としては、この四十四万人を基礎にいたしております。今お尋ねの十万の問題は、これは先ほど経済企画庁の方からもお話がございましたように、この調査をするときに職種によってこれは大学卒に置きかえた方がいい、あるいは実は法文系になっているけれども理工系で埋めた方がいいということで、現実には何らかの形で埋まっているわけです。それをよりよくするために、それを大学卒の技術者でかえた方がいいということで、現在は間に合っている数字になっていますのでこれに手を加える必要はない、そこで私の方は工業高等学校については四十四万を目標に充足すると、こういうことでございます。
○矢嶋三義君 そうすると、私の予想よりは逆の目が出たのですがね。きょうは時間が来たからここらあたりでとどめますが、あなたの計画書を見ると、これは計算しますと四十一年にしてもう工業高等学校卒業生は一万五人過剰ですよ。四十四年には四万七百五十九人過剰ですよ。四十五年には四万七千七百七十三人過剰ですよ。一方大学の卒業生はさっき言ったように、四十五年にしてなおかつさっき言ったように四百何人不足と、こうきているわけですね。これ非常な疑問持たざるを得ないのですがね。これいかように説明されるか、この次まで宿題にしておきたいと思うのです。 そこで、最後に経済企画庁長官に伺いますが、この中級技術者と高級技術者の計画が文部省から出ているのですが、この数字から教員を年次計画で幾ら養成しておかなければならぬという数字が計算出てくるわけです。これ非常に基礎数字になるわけですが、さっき委員会からこれ出していただいたのですがね、どちらの計画の方が経済企画庁にとって、所得倍増計画を進めるにあたって、適当な計画だというように御判断されたでしょうか。これと、この計画の立て方が違うわけですね。即答できなければ、この次まで研究して、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) それでは、次の、事務当局とそれからよく突き合わせてみまして、そうしてその結果を事務当局からお答えいたします。
○理事(豊瀬禎一君) 本案に対する質疑は、本日のところこの程度とし、散会いたします。 午後六時十六分散会 —————・—————