文教委員会 第20号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/04/18
会議録
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。 開会前、理事会を開き協議いたしました結果、本日はまず、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし審査を行ない、次いで、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題とし審査を進め、さらに、当面の文教政策について調査をいたすことに決定を見ました。 以上、理事会決定通り審議いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう進めて参ります。 ——————————
○委員長(平林剛君) まず、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、発言を許します。野本品吉君。
○野本品吉君 一点お伺いしておきますが、育英会法の改正によりまして、貸与しました学資の免除の適用範囲が拡大されてきましたことは大へんけっこうなことだと思うのですが、それに関連いたしまして、一つ私は伺っておきたいのですが、それは大学を卒業する、引き続いて大学院に入る、その大学院に入って研究された方が、育英会法の改正によりまする貸与学資の免除の適用を受ける場合に、これは大学在学中のものは、貸与学資は一体どうなるか、その点をはっきりお聞きしたい。
○説明員(木田宏君) 今回の御審議いただいております改正案で免除規定を修正するように考えて御提案申し上げておりますのですが、その案文によりますと、「前項ニ規定スル場合ノ外日本育英会ハ大学ニ於テ学資ノ貸与ヲ受ケタル者ガ修業後一定年数以上継続シテ小学校、中学校、高等学校、大学其ノ他ノ施設ノ教育ノ職ニ在リタルトキハ政令ノ定ムル所ニ依リ其ノ貸与金ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ免除スルコトヲ得」と書いてございます。またさらに「大学院ニ於テ学資ノ貸与ヲ受ケタル者が修業後一定年数以上継続シテ高等学校、大学其ノ他ノ施設ノ教育又ハ研究ノ職ニ在リタルトキ亦同ジ」としてあるのでございます。これによりまして、今お尋ねの大学で育英資金の貸与を受けた者がさらに大学院に参りまして、大学院で育英資金の貸与を受ける、そうして高等学校の先生になりました場合に、大学院で受けました育英資金の貸与の返還は高等学校に就職いたしました場合には免除するという書き方になっておるのでございますが、大学で受けました育英資金の貸与を高等学校の教師になった場合に免除するかどうかということにつきましては、実はその法文にもございますように、政令の定めるところによるということになっておるわけでございまして、その政令の定め方として、今後政府部内でも相談をいたさなければならない課題ということになっておるわけでございます。この法文の規定そのものから、当然に大学院を出て高等学校の先生になりました者が大学在学中に受けました育英資金の貸与金の返還を免除するというところまで機械的にいくかどうかということにつきましては、私どもとしても政令のきめ方によるほかはなかろうということで今関係方面と折衝しておるような次第でございます。
○野本品吉君 文部省としては、その政令をどういうふうに定めようとするか、つまり大学、大学院を通じての貸与学資免除の線でいこうとしておるのかどうか、そこの点をはっきりしていただきたい。
○説明員(西田亀久夫君) ただいま総務課長から申し上げましたように、免除という制度が、学校を終わります者を特定の職に誘致するという観点から出されております制度でございますので、大学、大学院を通じました場合におきましても、最終段階でございます大学院だけを免除すれば、それで誘致の効果は十分達するのではないか、あわせて本人の大学時代のものまで免除する必要はなかろうという意見も政府部内にございまして、今申し上げましたように、それが当然大学の奨学金も大学院のものもあわせて免除するということを、今ここではっきり予定としてそのようにいたしておるということは、ちょっと申し上げかねるわけであります。
○野本品吉君 私は、大学と大学院というのはおのずから設置目的が違っておるということは考えられるわけで、大学院は特に教員のための研究の場所でなくて、高度の学術の研究ということが大学院の使命であるととは言うまでもないのでありますが、今のようにお話を伺いますと、何か大学から続いて大学院に行った者に対する学資の免除というものは、最後の段階である大学院だけに適用されて大学に及ばないということになってきますというと、非常に割り切れないものを感ずる、政府部内でこれを研究している場合に、関係方面と折衝中だと、こういうお話でございますが、関係方面で折衝するということになれば、金の問題ですから大蔵省との話し合いが主たるもので、大蔵省以外にこの問題について話し合いを進めるというところはありますか。
○説明員(西田亀久夫君) この法規に関する免除規定に関しましては、現在大蔵省だけでございます。
○野本品吉君 文部省の今までの折衝の過程において、大蔵省はこの点について相当難色を示しておるわけですか。
○説明員(西田亀久夫君) 大蔵省側におきましては、先ほど申し上げましたように、最終段階のものを免除するということで、一応事足りるのではないか、特に従来は大学院だけの免除でやってきておって、新たに今度大学の奨学金も教員になった場合に免除するという規定を設けましたのは、それは大学を出ただけで、あるいは大学の先生になるという者もあるから、そういう場合を含めるという意味であって、在来大学院だけの免除を受けておった者にあわせて大学までの奨学金を免除する必要はこの際ないんではないか、こういう意見が大蔵省側の意見のようでございます。
○野本品吉君 大体わかりましたから、私は大蔵省の意見も確かめなければならぬと思いますので、この点についての質問を一応留保して、次に譲りたいと思います。
○委員長(平林剛君) 他に質疑のおありの方はございませんか。——他に質疑もないようでございますから、本案に対する残余の質疑は後刻に譲ります。 ——————————
○委員長(平林剛君) 次に、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。質疑の通告がありますので、発言を許します。野本品吉君。
○野本品吉君 国立工業教育養成所の設置等に関する臨時措置法の第七条に、「所長のほか、教授、助教授、助手及び事務職員を置く。」ということで、こまかい事柄は私は知っておりませんから、そこで、「所長のほか、教授、助教授、助手及び事務職員」、この人的構成配置というものをどういうように考えているか、具体的にお話をいただきたいと思います。
○説明員(村山松雄君) 養成所は、三学科を置くものと二学科を置くものとがございます。三学科の場合におきましては、教授六、助教授六、助手六、事務職員を合わせまして、合計四十二名、二学科の場合ですと、教授四、助教授四、助手四、事務職員を合わせまして、合計二十九名の職員編成を予定しております。
○野本品吉君 この職員構成は、一般の他の学校の職員構成と比べて、どういうことになりましょうか。
○説明員(村山松雄君) 工業教員養成所の職員構成は、大体、高等学校卒業を入学資格といたしまして三年の教育機関でございますので、同種のものといたしましては、四年制の大学あるいは三年制の短期大学、二年制の短期大学等がございます。それらと対比いたしますと、四年制の大学の場合に比べますと、大体二分の一見当になっております。それから短期大学に比べますと、併設の短期大学よりは多少よくなっております。それから独立の短期大学に比べますと、多少少な目になっております。
○野本品吉君 この職員構成というものが、将来の教育効果を上げる上において、相当重要な要素になってくると思うので、いずれ御研究はされていることと思いますけれども、職員構成が充実しないことによってせっかく設けられる養成所の教育効果が上がらないというような事態が起こらないように、十分これはお考えをいただかなければならぬと私は思っております。 次に、養成所に置かれる学科は、養成所ごとに文部省令でこれを定めるということになっておりますが、この九つの大学のそれぞれに置かれる学科、これはどういうことになりますか。
○説明員(村山松雄君) 九つの養成所で合計二十二学科を予定しております。内訳といたしましては、電気が六学科、機械が六学科、工業化学が五学科、建築学科が三学科、土木学科が二学科でございます。 これは、工業高等学校の増設計画の大体の学科別の比率に対応いたしまして、工業高等学校をたくさん設置するもの、従って教員需要が多いと思われる学科を多くし、比較的少ないと思われる学科を少なくし、まとまった教員需要がないと思われるその他の学科は省略いたしまして、主要五学科につきまして二十二学科を計画しているものでございます。
○野本品吉君 各養成所に置かれる学科のことですが、たとえば北海道大学と東北大学と、それぞれの大学にはそれぞれの大学の特徴と申しますか、があろうと思うのです。もう一つは、それぞれの地方に工業学校が設けられるのですから、こういう工業教育をこの地方ではやりたい一その地方の要請に応ずるという必要もあろうと思うのです。そこで学科を置く場合に、学校の特徴というか、長所を生かして、電気を置くとかあるいは機械を置くとか、応用化学を置くとかいうことと、その地方の要請という二つの要素に基づいてきめられるのがいいのじゃないかと思うのですが、これはどういうことになりますか。
○説明員(村山松雄君) 二十二学科を九養成所に配分する場合に考えましたのは、やはりブロック別に配分をするということと、それから大学側のその相当学科の充実度と申しますか、御協力願う態勢に応じて配分するということを主眼として考えました。ただ工業高校の新設計画というのが必ずしも地域別にはっきり学科別にきまっておるわけでもございませんので、そこら辺のところはかなり大ざっぱな検討になっております。で、大学別の学科の配分につきましては、二十二学科を三学科ずつ組み合わせまして、大学側でこの学科ならやってもよろしいというような希望も尊重いたしまして配分したわけでございます。具体的に申しますと、北海道大学につきましては電気、機械、工業化学の三学科でございます。東北大学につきましては電気、機械、土木の三学科でございます。東京工業大学につきましては電気、工業化学、建築の三学科でございます。横浜国立大学につきましては機械と建築学科の二学科でございます。名古屋工業大学につきましては工業化学と建築学科の二つでございます。京都大学は電気、工業化学、土木の三学科でございます。大阪大学は電気と機械の二学科でございます。広島大学は電気と機械の二学科、それから九州大学は機械と工業化学の二学科、こういう工合に組み合わしてございます。
○野本品吉君 ただいま私がお伺いしましたのは、ただいま申し上げましたように、その学校その学校の特殊な研究、まあ向き向きがあろうと思うし、各地方の工業学校の地域的な要請もあろうと思うので、この二つの点からやはりできるだけ教育効果というものが上がるような御配慮をなさるのがしかるべきじゃないかと、こういうふうに考えたわけです。 そこで、ただいま御説明がございましたが、各学校の——あなたの学校ではこういう学科を置く、この学科についての教育養成をしてもらうという点について、各大学との話し合い、了解というものが完全にあらかじめつけられておりますかどうか、この点を一つ……。
○説明員(村山松雄君) 養成所設置につきましては、これは予算を要求いたしますと並行いたしまして、各大学の中の関係の方にも来ていただきまして、打ち合わせをして計画いたしたものでございます。
○野本品吉君 そこで、私ともの手元に実は関係九大学の職員組合その他から、いろいろとこれに協力できないような陳情が実はきておるのです。そこで私は先ほど養成所の職員構成をお伺いしましたのは、それを置くことによって教授、助教授その他の方々の労働強化といいますか、負担が重くなると、そういうところに問題があろうと思うのですが、その点についての文部省の見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(村山松雄君) 養成所の教官の構成は、先ほど申しましたように四年制の学部、学科の場合の約二分の一を予定しておるわけでございまして、専任の職員だけを見ますと、四年制の学科の場合に比べまして足りないということに相なります。ただこの不足の分につきましては、所要の非常勤講師手当を一般の場合以上に計上いたしまして、非常勤講師の協力によって十分な教育をやっていただく、こういう計画になっております。そういう計画にいたしました理由は、そもそもこの工業教員養成所が臨時措置でございますので、恒久的な学科の場合と全く同じ教員構成をすることについては多少無理があったことと、もう一つは、実際問題といたしまして、現在工業関係の学科ですと、定員がかりにありましてもなかなか実員が埋まらない、候補者が見当たらないというような実情もございます。そこで専任教員はほんとうに必要な中心的な職員だけを予定して置きまして、残りは非常勤講師手当を潤沢に計上することの方が学内外の協力を得ることに便宜である、そういうことによって必ずしも質を落とさない教育ができると考えたからでございます。
○野本品吉君 私がさっきの職員構成の問題と、その次の御質問を申し上げましたのは、その点について十分の調整というか話し合いというものをつけておいてやらないと、教員養成の目的も十分に達しられない。一方本来のその学校の教育の上にもよい影響を与えない、マイナスになる、両方とも、そういう点が懸念されますので、それでお伺いしているわけなんで、これらのことについてもやはり設置する学校の教育効果を減殺しないように、同時に設置する教員養成所の教育効果を十分上げられるようにという点において文部省は相当御研究と考慮とを必要とするであろうという、そういう考え方でお伺いしたわけです。一応養成所の問題につきましての質問は私はそれだけです。 大蔵省の主計官がお見えになったそうですが、委員長よろしいですか。
○委員長(平林剛君) 本案に関してなお他に御質疑がございませんか。なければ、本案に関する残余の質疑は次に譲ります。 ——————————
○委員長(平林剛君) ただいま大蔵省の関係官が見えましたので、この際再び日本育英会法の一部を改正する法律案の審議を行ないたいと思いますので御了承いただきたいと思います。
○野本品吉君 大蔵省の方からお見えになりましたから、一点お伺いしておきたいと思います。それは、今度育英会法の改正に伴いまして貸与学資の免除の適用範囲が相当拡大されてきた。そこで私お伺いしたいことは、先ほど文部省の方にも質問したのですが、政令で定められることになっております貸与金の免除の適用対象のうち、大学を出た者と大学院を出た者の問題で、大学を出た者がこの対象になるような教育職になった場合に、これは大学在学中の貸与された費用が免除される。大学から引き続いて大学院に入った者が大学院を終えて教育職についた、その場合に、従来といいますか、大学院を出た者に対しては大学院だけの学費の免除というようなことがいわれておるというんですが、ほんとうにそうなんですか。
○説明員(佐々木達夫君) この問題は、これから政令で研究しますが、今までの研究段階に基づきますと、大体そういうふうにいたしたいというふうに考えております。
○野本品吉君 将来の政令の研究に待つということになるんですが、実際問題として考えて、大学から引き続いて大学院を出た者が教育関係の職についた場合に、大学院だけの貸与費の免除ということで、それが大学にまで及ばないということになるというと、変なものだと思うんですが、どうですか。これは何か論拠がありますか。
○説明員(佐々木達夫君) お答え申し上げます。この問題は非常にむずかしいいろいろな考え方があると思います。そこで、まあ従来は大学院を卒業して大学の先生になった場合、これは免除になっておりました。ところが、最近実情を見ますと、大学を卒業して大学の先生になるというような場合が割合パーセンテージが多いというような問題がございます。最近大学の先生が不足しておりますので。そういうような場合に、その人たちが従来の規定では免除にならなかった。そこで手直ししようじゃないかというような問題が起こりました。従いまして、大学を卒業して大学の先生になった、この場合に、やはり今まで従来の規定では免除にならなかったような方がございます。これは片手落ちじゃないかというようなことで、その点の手直しをしたわけでございます。 それからもう一つ、大学院を卒業して先生になって、大学の場合まで全部遡及いたしますと、従来高等学校を通じて貸与を受けていた者が、たとえば大学を卒業して義務教育の先生になったような場合、これはまあ高等学校まで遡及しなければならないような問題が起こるんじゃないかというようなことで、この際従来の片手落ちの部面を手直しするというようなことにとどめようということでやったわけでございます。
○野本品吉君 まあいろいろこれは議論があるかしらないけれども、実際問題としてどうしてその教育職についた者に免除をするかということになれば、それは優秀な教員を教育の現場に招致すると、そしてそれによって教育効果の万全を期するということがこれはねらいであろうと思うんです。そうなってくるというと、大学を出て大学院にいって、その者が教育に職を奉じたということになるというと、本人の教育力と申しますか、教育力というものは、大学、大学院を卒業したその力が教育の作用として働いているわけなんだ。大学以前のものは働かないんで、大学院だけのが働くという、そういうものじゃないんですね。そういうところに私は人材養成のための貸与学費の免除というほんとうの精神が現われてくると思う。従って大学から大学院を出て教育職についた者に対しては、大学、大学院を通じて貸与学費の免除をするのがほんとうじゃないかというふうに考えるんですが、どうですか、主計官。
○説明員(佐々木達夫君) まあいろんな考え方が成り立つと思います。ただ先ほど申しましたように、この際従来の不備の点の手直しという程度にとどめました。と申しますのは、先般来しばしばうちの政務次官なんかもお答えしているように、この育英制度自体は、貸与金免除ということは非常に例外的な規定になっております。従いましてこの貸与制度というものを原則的に貫くならば、その例外的なものは必要最小限度に押えなくちゃならぬというような考え方があるわけでございます。従いまして今回の改正におきましては、そういう若干の手直しをしまして、育英制度全般についての検討というのは、さらに今の育英制度自体が完備しているかということについては問題があるかと思います。いずれまたこのような点については、いろいろな先生方の御意見等を伺いまして、徐々に研究していかなければならぬじゃないか、さしあたり今度やるとすれば、従来落ちていた部面の救済といいますか、その点の手直しという程度にとどむべきじゃないかというような考え方でやったわけでございます。このタブると申しますか、大学と大学院とダブって免除になるというようなことになりますと、まあそういう考え方もいろいろ理論上は成り立つと思いますけれども、この際手直しというような意味において、今まで大学を卒業して大学の先生になった場合、免除にならなかったものをこの際手直ししてやろうじゃないかというような考え方でございます。いろいろな御意見もあると思いますけれども、まあこの際最小限度にとどめたというような考え方でございます。
○野本品吉君 まあ大蔵省には大蔵省のいろいろ考え方もありましょう。しかし、ここで大蔵省、文部省が現在政令の制定について現在も話し合い、また今後も話し合うとこだと思うのだが、特に大蔵省の方に率直に申しますと、もともとこの免除の規定を設けたというのは、先ほども申しましたように、優秀な人材を教育界に招致するということのために考えられてきたことだと思うので、ややもすれば経済的な感覚が非常に鋭敏な大蔵省が、この奨学金の免除というものを財政的な感覚においてのみこれをとらえずに、どうしたら日本の教育効果が上がるのかと、どうすることが日本の次の世代をになう若い者に対する教育の効果が上げられるのだと、そういう主としてこの問題は教育的な観点——財政とか経済的な観点に鋭い鋭敏な感覚を持っておる大蔵省の人が、教育という観点からこの問題を扱うというふうにお考えをいただきまして、今後文部、大蔵両省当局の方がそういう点に十分思いをいたして政令の制定に臨んでいただきたいと思います。特にこの点を希望申し上げておきます。私の質問は、育英会についてはそれだけなんで、これで終わります。
○委員長(平林剛君) 本案に関する質疑は、本日のところこの程度といたします。 ——————————
○委員長(平林剛君) 次に、当面の文教政策に関する件につき調査を進めます。 質疑の通告がありますので、発言を許します。豊瀬禎一君。
○豊瀬禎一君 私はつい最近埼玉県大宮聾学校で起こりました寮母の待遇改善運動をめぐっての組合役員並びに現場教職員の逮捕あるいは大量取り調べ等の問題をめぐりまして、この際、事の発端がたびたび本委員会においても指摘して参りましたように、精神的な面においては特殊教育の重要性を痛感して重点的に配慮していくと文部当局が言いながら、やはり特殊教育に対してはまだまだ劣悪な諸条件に置かれているという問題を取り上げまして、二、三質疑を続けていきたいと思います。 まず最初に、大宮聾学校で起こりました待遇改善問題の内容、あるいはそれをめぐる先ほど申し上げました事件の概要についての御報告を求めたいと思います。
○政府委員(内藤誉三郎君) 埼玉教組の特殊教育部会が三月十九日から二十五日の間、寮母の問題に関して学務拒否闘争のスケジュールを組んでいた。そのうちの一つに、校長交渉があったわけであります。で、組合は、三月二十日の午後、校長交渉を校長に申し入れたが、校長は年度末多忙を理由として当日はこれを拒否した。校長は二十七、二十九、三十日に面会しようと言って、面会を全面的に拒否したのじゃなくて、当時、当日はお会いできないと、こう申したのですが、その結果、組合は自宅にまで押しかけたが、警官が住居不法侵入の疑いで、関係者の任意出頭を求めて取り調べ、そのうち一人の寮母の取り調べが長時間にわたったために、五時ごろ意識がもうろうとしたが、取り調べが続けられ、さらに九時十五分、これは午後でございますが、同じように、気分が悪くなったために休ませ医者に注射をさせた。その後さらに取り調べて、十時十分に警察の自動車で宿舎に送り返した。組合は、三月二十七日に警察署長と警備課長、警備主任を加害者として人権侵害調査申立書を提出いたしたわけでございます。このことにつきまして、川口の診療所の診断書が出ておりますが、その診断書の内容を見ますと、本人はノイローゼ、自律神経系の不安定症のため、睡眠障害、食欲不振、不安感、心悸高進等があって、今後三週間静養を要す、というようなものであったと聞いております。警察はこの事件に関連いたしまして、住居不法侵入のかどで中央執行委員の飯塚を三月二十六日に逮捕し、その後釈放しております。それから大宮聾学校教員、坂戸聾学校教員、それぞれ一名ずつを四月一日に逮捕したのでございますが、その後組合は、校長罷免要求、警察の捜査の即時中止等を要求して闘争しており、二十五日には、教育長あてに寮母の待遇改善等の決議書を提出した。なお、埼玉県教育委員会は、寮母問題については、前々から交渉を繰り返し検討しておるような次第でございます。
○豊瀬禎一君 僕の質問が言葉足らずであったかと思うのですが、最も重要、かつ、私が要求した報告がないのですが、事前にも内藤局長に打ち合わせておったので、多分おわかりであったのではないかと思うのですが、今の報告をお聞きすると、意地悪い質問せんですなおに聞いていきますが、主として待遇改善問題を中心にして起こった刑事問題の報告が主として行なわれた。私が求めておるのは、寮母の待遇改善問題というか、劣悪な条件にあるのが報告の本質だから、この問題についての報告、すなわちわかりやすく言って、どういう待遇改善を要求し、どういう状況に大宮聾学校の寮母の労働条件というものがあるのか。それは現行法規上好ましいのか、あるいは不適当なのか。そういった点の報告を主に求めたかった。今のような報告をされると、医者の診断書の内容についてはこう——高田真弓さんを取り調べた際、女教師が失心したので、注射を打ってまた取り調べていった問題とか、あるいは逮捕の当、不当についての質問を、あなたのただいまの報告によるとしていかざるを得ないのですが、問題の本質を指摘した私の質問に対して、そのことは待遇改善運動が行なわれているという軽い触れ方をして、その他の主として労働運動の発展として起こってきた刑事問題を主に報告したのはどういう所存ですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今お尋ねが聾学校の待遇改善問題に端を発して、その経過を聞かしていただきたい、こういうお尋ねでございましたから、その大宮聾学校の事件の概要を説明したわけでございます。御質問がどういう要求を出したかというお話でございましたら、それはこれから申し上げたいと思うのでございます。 まず、要求の第一は通勤制でございます。第二番目に増員の問題、現在七人について一人になっております。それを五人について一人に改める。それから炊事員の増員一人ないし五人、それから夜警警備員これを一棟について一人を要求しております。それから舎監の増員、最低一人ないし最高三人用務員を要求している。それから寮母の手当、月額三千円、そういうような事柄が要求の内容になっておるわけでございます。ですから、こういう問題は、私は校長さんに言うたところで解決する問題ではないだろう、校長の自宅にまで押しかけたことは少し行き過ぎではないかと思うのでございます。
○豊瀬禎一君 だんだんと売り言葉を吐いてこられたから、私の質問も私の最初の趣旨を変えて質問を続けていきます。 私が質問したのは、事件というのは待遇改善の問題である、そのことをお聞きし、事前にもあなたから聞きにこられたからその問題にしぼりたいと、こういう意向、それは言葉の行き違いでただしませんが、現在の教育基本法あるいは学校教育法その他の諸法規の中から、いわゆる法規に定められないところの勤務条件は概括して県教育委員会の条例、県条例あるいは教育委員会との協定その他いろいろの形でありますけれども、実際の問題、特に大宮聾学校に起こりました事件のかなり多くのものは、ただいま読み上げた手当等の問題は別にして、勤務の内容、割り振りをどうするかという問題は、校長と職員、その間で協定できるものはかなりあったはずです。それを校長の自宅といってもこれは校地の敷地内にあることですし、校長交渉の適、不適をあなたがここで委員会であえて論ずる意思があるとするならば、私はこの問題をまず取り上げて質問を続けていきたいと思います。ただいま申し上げましたように、校長と職員の間に、だれはいつ宿直をしてもらいたい、あるいは昼間の八時間の勤務の割り振りをこうしてもらいたいとか、あるいは深夜にやってもらいたいとか、そういったことは、あなたの今の報告では問題すべてを校長交渉によって解決できる問題ではないと、こういう指摘の仕方をしたのだと思うのですが、私が今あなたが読み上げた問題に限定した場合でも、校長と職員の間でもっと円滑に解決できる問題があると考えておるんですが、それは局長はどう考えておりますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) この待遇改善の問題は根本的な問題でございまして、今寮母というものは寄宿舎に泊まり込んでおるのが原則でございます。ですから、これを通勤制に改めるというようなことになりますと、これは相当私は根本的な問題であろうと思うのです。それから増員にいたしましても現在七人について一人ということで、これは定数法の基準にも出ておるわけでございます。ですから、これは地方だけで解決できる問題ではなかろうと思うのです。交付税もこの基準で算定をいたしておるわけでございます。炊事婦にいたしましても、夜警の警備員にいたしましても、舎監の増員にいたしましても、用務員の問題、これは私ごもっともな要求だと思いますけれども、これにつきましても県の方で定数をきめなければ、県条例でその数をきめなければ解決しない問題である。で、具体的にまかされた範囲内でだれをどういうふうに勤務させるか。一週間に一日の週休があるわけでございます。それから一カ月に二日の外泊は認めておるようでございますが、そういう場合に、二日の外泊を許す場合の許可権、これはもちろん校長にございますけれども、今ここにあげられたような御要求については、私は校長に交渉を持ち込まれることが無理ではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
○豊瀬禎一君 まあ問題解決の本質が那辺にあるやという角度からの答弁としては、内藤さんの今の言い方についてはさして異議ありません。しかし、報告の際に校長交渉が適、不適を批判するというこのあなたの学校の運営に対する考え方には問題がある。これはなるほど職員団体に所属していますから、荒木大臣の再々の答弁のように職員団体を通じて県教委と交渉すれば片づきますという方針ですから、ここで解決すべきはものの本質です。しかし、その際に同じ県立の同種の学校の中において他の学校と条件が違ってみたり、校長が頑迷固陋で勝手に勤務時間外に準勤務という時間を作って実質勤務時間が大幅に延長されておる、あるいは同じいろんな法定の勤務条件を職員に守ってもらう際にも、当該校長の基本的な運営に対する考え方、あるいは端的に言って非民主的な思想の持ち主、こういったことであると、直ちに県教育委員会にあの校長は校長として不適当だから罷免してくれと、こういう形で職員団体を通じて要求することもよろしいでしょう。しかし、ある場合には当該職員が校長と話し合いをしながら住みよい学校、働きやすい職場に改善していく、この基本的な校長と職員との関係も局長は否定する考えですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) そういうことを否定する意思は毛頭ございません。
○豊瀬禎一君 そうだろうと思うんです。それを否定していただくと話はもっとおもしろくなってくるのですが、だとすれば、先ほども指摘したように校長と交渉する交渉態度とかあるいは場所とか人数とか、それにはおのずから具体的な事件ですから問題はあったでしょう。しかし、当該学校の職員が、私も現地に行ってかなり長時間現場を見せていただいたり、寮母の皆さんとも懇談をしたんですが、いわゆる必ずしも職員団体を通して県教委に対して校長の運営上の欠陥あるいは校長を不適として罷免要求をする、こういった形を好まず、当該学校の職員と校長という関係の中で問題を解決したいという考えというのは私はむしろ好ましい状況であったと思うんです。同時にまた寮母の増員の問題にしろ、局長が指摘した幾つかの労働ないしは待遇改善の事項に関しても、そういう意向を校長に具申し、校長がこれを校長の職責として県教委に具申をしていく、こういう態様も内藤局長としてはそれはすべて職員団体でやりなさいと、こういうお考えですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) こういう私が先ほど述べたような待遇改善の事項については、校長さんとしては、これについて意見を述べる立場には私はないと思う。こういうことを組合員の方々が希望として述べられる点は理解できますけれども、少なくともこれを団体交渉とか何とかいう私事項ではないと思うのでございます。
○豊瀬禎一君 職員が自分たちの労働条件、待遇改善等に対して、直接職員団体を通じて県教委に交渉を持つ、このことだけでなくして、それらの事柄について校長に話をし、校長と協議をし、あるいは校長に意見を具申し、校長がみずからの責任で運営しておる学校のよりよい教育環境を作っていくために教育委員会に意見を具申する、これを局長は否定するかと聞いているんだから、そのことに対して、ずばりと答えていただきたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) だから私が申し上げたのは、こういう事項は校長を当局としては適当でないと思う。ですから、校長に希望を述べられることは私は差しつかえないと思うし、また校長が教育委員会にそういう希望を述べることも差しつかえないと思う。で、県教育委員会と職員組合がこの問題について団体交渉することは適当な事項であろうと思います。
○豊瀬禎一君 これは大臣に見解を聞きますから聞いておいていただきたいと思うのですが、先ほど言ったように、職員団体を組織しておるものが、地公法に許された条項について教育委員会と交渉する、これはあえて局長の答弁を待たぬでも当然のことです。それらの事項に関しても先ほど私が申し上げたように、当該学校の職員が、自分の勤務しておる学校のよりよい教育条件を作り上げていくために、まず校長と話し合いをする、校長がこれを、こういう要望があるという形で教育委員会に意見を具申をする、あるいは取り次ぐ、これを基本的に否定するかどうかということを聞いておる。大臣の見解を承りたいと思う。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 基本的に否定する、しないという問題のお尋ねでございますけれども、その御趣旨は実際問題として、そういうことはあった方が望ましい、またそういうことがあったらば、校長も意見を具申するということがあってしかるべきじゃないかという意味では当然望ましいことであり、あってもいいことだと、そう理解いたします。ただ、職員団体対校長という関係において団体交渉の課題というのが適、不適と、相手方が適当でないということを政府委員は申し上げたと思うのですが、その点は私もそういうふうに思います。
○豊瀬禎一君 そう心配して前もってお断わりにならなくても、最初から私がお断わりしておるように、相ともに寮母の問題を、少しでもよくなしていきたいという念願ですから、基本的なあり方として必ずしも職員団体を通ぜず、いわゆる私は、言葉を明確に使い分けておるはずですが、当該学校の職員が校長というものに対して、よりよい教育条件を作り上げていくために相談をし、意見を具申する、はっきりこう申し上げておるでしょう。従って後段のあなたの予備答弁は全く必要のないことです。 そこで大臣も、いわゆる地公法に定められておるところの交渉事項といえども、当該学校の校長に職員が意見を具申する、こういうことがあり得ていいし、またその態様によっては望ましいことである、こういう見解であることが明らかになりましたので問題を先に進めていきたいと思います。 そうすると、この大宮聾学校の事件は、局長の報告にありましたように、解決の何といいますか、ポイントを握るところはもちろん大多数校長になかったし、あるいは法改正に待たなければならないし、条例改正を伴わなければ解決できない問題が多数あったと思う。しかし、私ははっきりここでお聞きしたいのは、他の学校に、同県の同称の学校においても解決されておる幾つかの条件についても、当該大宮聾学校においては校長の学校運営が不適切であったために、今私が指摘し、大臣が同意を表したような校長、職員という形における円滑な話し合いがともすれば閉ざされておった。ここに大宮聾学校事件が先ほどの報告のように刑事事件となり、あるいは交渉に全く参加していなかった現場教員を誤って任意出頭を命じながら間違いがわかって取り消すには面子があるしという立場に追い込まれておるような格好になってきたと思うのです。このことを質問を具体的に進めていく前にはっきりと認識しておいていただきたいと思うのです。 そこで、まず当該学校の問題に移ります前に、これは局長にお尋ねしますが、先ほど読み上げられたいろいろの条件を、八項目の要求を特殊学校部としては県教育委員会に埼玉高教組の名前で正式に要求して運動を続けておったことは事実であります。この中に、たとえば炊事婦を置きなさい、あるいは寮母を増員してくれ、夜間に婦女子あるいは生徒のみ当該寄宿舎におって、一名の男子職員もいないという、こういう形では不安であるし、また教育上も好ましくないので、警備員や用務員、男性を置いてもらいたい、こういう幾つかの要求を掲げておるわけですが、この幾つかの待遇改善、あるいは手当を支給してくれという要求の基本を貫くものは、先ほど局長が答弁した寮母が寄宿舎にほとんど二十四時間勤務の条件の中に置かれておるということに私は問題の一番大きな点があると思います。なるほど週に二回程度の外泊は許されております。しかしそれは、ある寮母が病気になったりすると、その外泊が取りやめられるか、従来の学校運営の慣行からすると、ある生従に手当がいき届かないためにびろうな話ですけれども夜尿症の子供が不始末をしでかす、こういった実態になっておる。与えられておる条件、権利というものをそのまま実施していく寄宿舎の現行の制度の中では、どうしても何らかの欠陥を生じてくるというのが現状です。 そこで、まず問題をしぼりまして、寮母というものは寄宿舎の中に常泊しなければならないという法律的な根拠があるかどうか、あるとすればそれはどこに基づくか、お答え願いたいと思います。
○政府委員(内藤誉三郎君) 法律的根拠はございませんが、契約でやっておるわけでございます。同様な施設は、厚生省の保護施設でも同じでございます。
○豊瀬禎一君 契約でやっておるというのはどことどこで、そしてどういう法律に基づいてやっておりますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 契約でございますからこれは民法でいくわけでございます。その場合に、本人がその条件を承諾して就職したわけでございますから、そのことは当然心得ておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 法律的には民法による。契約の相互関係は……。
○政府委員(内藤誉三郎君) この相互関係と申しますけれども、実はこういう条件で本人は承諾して採用されたものと、こう心得ますので、そこに合意が成立していると、こう考えられるわけでございます。
○豊瀬禎一君 合意成立の相互関係はどこかと聞いておる。
○政府委員(内藤誉三郎君) それは本人が承諾をしたから任命行為が行なわれるわけでございます。
○豊瀬禎一君 そうすると、あなたの答弁では県教委が任命をしておる。従って宿泊をするという民法上の協定は、県教委と寮母との間で成立しておる。こういうことですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) そういうわけでございます。
○豊瀬禎一君 そうすると、寮母が常泊しなければならないということは教育関係諸法規にはなくて、全く別個の民法から発生しておるという見解はよくわかりました。そうすると、当該県教委の方針は別として、文部省としては寮母という職種が常泊でなければその本務に適当でない、あるいは好ましくない。ないしはそうした方がよろしい。こういう見解ですか。それとも常泊するしないはその本務とは全く無関係で、当該県教育委員会の考え一つによるものだ。いずれをとっていますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 小さい子供の世話でございますので、寮母という制度を昭和二十三年に発足するときから、文部省としては先ほどお述べになりましたように二十四時間勤務だ、こういう考え方で子供の世話を、寄宿舎でめんどうを見るわけでございますから、そのめんどうを見るのにふさわしい状況が適切であると考えまして、今日まで寄宿舎に居住しないことを原則にいたしておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 そうすると、文部省の寮母の本務に対する好ましいあり方としては、常泊するということですね。しかも今、局長の答弁では、二十四時間勤務が好ましい。その解釈して差しつかえありませんか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 私は常泊が適当であると考えておるのであって、二十四時間勤務というのは豊瀬委員がおっしゃったので、その言葉を使ったので、二十四時間勤務という態様は決して好ましいこととは思っておりません。
○豊瀬禎一君 まさか内藤局長が二十四時間勤務が好ましいと考えているだろうとは思っていないのですが、今の答弁でわかりましたが、そうすると、寄宿舎に宿泊しておるということは好ましいけれども、勤務時間としては八時間勤務で、これは八時間勤務というのは好ましいとか好ましくないとかいう問題ではなくて、八時間勤務であるべきである。これが文部省の方針ですね。
○政府委員(内藤誉三郎君) 勤務時間の態様はどういうふうになりますか、これは教育委員会の、あるいは県の条例でおきめになることだと思いますが、労働基準法によりますれば六十時間までは延長できることになっておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 八時間勤務が好ましい、あるいはであるべきだと考えておるかどうかです、私の質問は。
○政府委員(内藤誉三郎君) 寮母という職種が非常に特殊な職種でございますので、勤務時間の測定は私非常に質の面においてむずかしいと思うのでございます。一般的な労務でございますれば、デスク・ワークの場合ですと、八時間という労働時間は的確に把握できますけれども、寮母の性格上勤務時間の拘束が非常にむずかしいということはあり得ると思うのであります。
○豊瀬禎一君 いかなる職種であれ、現在の世界の趨勢として労働時間は以前に比べると増加の方向をたどらないで短縮の方向をたどっておることは、これはどなたも認めていただくと思うし、内藤局長もその傾向について、賛否は別として、認められると思うのです。そこで、今局長が言った寮母の職種といいますか、あるいは寮母という仕事柄から八時間勤務では困るのではないか、こういった趣旨がありますが、寮母の場合は、これは学校教育は、あなたが今言われたいずれの場合をとって毛、デスク・ワークではないですね。寮母の場合といえども、他の教育職員と同様にそれぞれの規定に基づいて寄宿舎における児童の世話、教育に当たっておるのですが、そうすると世話、教育というのは八時間勤務では困難な勤務内容である、こういうふうに考えておられると理解してよろしいのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 寮母の職種の態様が、これは寄宿舎におるわけですから、昼間は子供は学校に行っているわけでございます。ほんとうにお世話になるのは学校から帰ったときの方が子供に直接影響があるわけですし、またそれが必要なわけでございます。そうなりますと、寮母の勤務態様というのが非常に特殊でございます点から、一般の職員と比べて拘束時間のきめ方が非常にむずかしいのではなかろうかということを申し上げたわけでございます。
○豊瀬禎一君 昼間になるか、夜間になるかは別問題として、施行規則の定めるところでは、「寮母は、寄宿舎における児童等の世話及び教育に当る。」、これが本務ですね。この「世話及び教育」という法の定めるところからして寮母は八時間勤務では困難である、こういう言い方を局長はしておると思うのですが、そういう了解をしてよろしいですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 労働の密度が非常に違っておりますので、一日の間でも非常に違うわけでございますので、拘束時間をきめる場合に困難ではなかろうかと申し上げたわけでございます。
○豊瀬禎一君 一年生を教えておる教員、あるいは知能のきわめて優秀な生徒を取り扱っておる教授内容、あるいは図画、工作、音楽、それぞれ分析してみると、労働密度というものは同じようなあれはないと思うのですが、労働密度とか、そういう単位時間における労働提供の量といったことじゃなくして、私は純法律的に先ほどから指摘しておる施行規則の「世話及び教育に当る。」と定められておる寮母の法定の勤務が八時間労働では困難であると解釈するかどうかということを聞いておるのです。再度御答弁願います。
○政府委員(内藤誉三郎君) たびたび申しましたように、一日の勤務の態様が種々さまざまでございまして、子供の世話をする場合に、学校に行っている場合と、それから学校から帰った場合の仕事の態様も違うわけでございます。私どもとしては八時間の勤務時間は好ましいと思いますけれども、ただいま申しましたように、寮母の職務内容の実態が多種多様でございまして、労働の密度が非常に一日のうちでも違うのでございますから、これをどういうふうに規定するかということは、大へんむずかしい問題ではなかろうかと思います。これは寮母の性格そのものからくる私は本質的な問題ではなかろうかと思うのであります。
○豊瀬禎一君 問題が二つあると思うのですが、寮母の特殊な問題というのは、過去における、あるいは現行諸制度の中における、あるいは諸制度を踏み越えて現場の実態における特殊ということは別においておきまして、法律的には寮母の本務は「世話及び教育に当る。」、これだけです。これが寮母の仕事であります。寮母はそれぞれに違うと言っておるのですが、局長が言っておるのはAとBの寮母はそれぞれ職務内容が違うという言い方ですか。それとも一般の、これは準用規定ですから、一般の学校教育法に定めるところのいわゆる教育公務員とは異なった仕事を持っておる、こういう意味ですか。寮母個々の対比の問題ですか、教育公務員との対比を局長は言っているのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 寮母個々の問題ではございません。ちょうどお母さんのようなものですから、家庭の主婦が一日の勤務態様が、ひまなときもあるし、忙しいときもある、そういう意味で非常に拘束時間のきめ方がむずかしいということを私は申し上げておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 まあ、おそらく局長といえども寮母というのに母が使ってあるから、家庭のお母さんと同じ仕事をしなさいというような法律違反の見解を持っていられないだろうと思うのですが、そうすると、教育公務員がそれぞれの担当しておる教授内容によって労働密度も違うことは指摘しましたが、寮母の場合は、いわゆる職務内容としては寮母一括して論じてよろしいということもはっきりわかってきたと思います。そこでただいま出ました、これは局長もどこかでも、寮母はお母さんですから犠牲的精神を発揮して、八時間にこだわらず愛と熱の教育をしなさいと、どなたかがおっしゃりそうなことにも賛成のようですけれども、かりに本人がいわゆる盲あるいは聾、こういった不遇な子供を取り扱う、またそういった人たちの教育に一生を捧げようというりっぱな精神のもとに、当初からそういう教育を受け、技術を覚え、希望して勤務しておろうとも、寮母の勤務条件を定めていくものは当然法律諸制度に基づかなければなりません。本人の犠牲的精神ないしは労働の犠牲を強制するというのは、教育行政あるいは校長といえどもできないはずです。そこで明らかにしたいのは、七十三条の四に定めてある「世話及び教育に当る。」という内容の世話と教育という法律用語を局長はどういうふうに解釈しておるのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 簡単に言えば、子供のお世話をするわけです。お世話をする場合に、単に子供のめんどうを見るということだけではなくて、どうしてもその寮母の人格というものは子供に反映するものである。そこで教育的な配慮をも加えてほしいと、こういう意味でございます。
○豊瀬禎一君 教師ないしは、まあ寮母の場合も教師といっていいと思うのですが、教育の場において人格が反映していくという条件は、いわゆる寮母でない教育公務員の場合と寮母の場合は、寮母の場合の方がより大きい、こういうふうに局長は考えているのですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 教員の方が軽くて寮母が影響力が大きいとは私一がいに言えないと思います。少なくとも子供のお世話をすると、それが職務でございますが、その場合にやはり教育的な影響力があるから教育的な配慮を加えていただきたいと、こういう趣旨でございまして、教員と寮母とはやはり性格は違うと思いますが、共通に子供たちの成長を望み、また教育的に人格的にすぐれた子供を育成していただきたいという気持については私は寮母も教員も同じだろうと思います。
○豊瀬禎一君 そうすると、一人の生徒に対する教師との人格交流のあり方、あるいは教育作用の条件反射の場合でも、公務員と寮母の場合は、いずれが軽重があるということはないということがわかりましたので、それならば、たとえばここに豊瀬という聾児竜がおり、これに対して内藤という寮母がいて、この法律に定めるところの世話及び教育活動の部面に関する限りは、豊瀬という生徒に対しては内藤という特定の寮母が終日世話をしなければ、法に定むるところの「世話及び教育に当る。」という、法の定める本旨が支障を受けるというか、実現できないとは局長は考えていないんですね。
○政府委員(内藤誉三郎君) その通りでございまして、学校の教員の場合には児童についての全責任があるわけでございまして、教科の指導、あるいは教科外の指導にいたしましても、教育課程に定めたところの所定の課程を終了させなければならぬ責任があるわけでございます。ただ、寮母の場合は一般的に子供のお世話をしていただくわけでございますから、特定の人でなければならないというふうには考えないのでございます。
○豊瀬禎一君 学校教育の場合でもいわゆる学級担任、特定の学級担任とその学級児童との交流ということは、現在の基本法その他の精神からしては、やや薄れてきたという言葉は適切ではありませんけれども、学校全体、地域社会その他、もっと特定されたる教室、あるいは特定されたる校地内という作用を越えて、もっと広い場面で作用が行なわれる方が好ましいということは現行教育学の所説です。従って寮母の場合は、今、局長の答弁では、特に特定の人でなくてもよろしいという考え方に教育学的に賛否を表することはいささかおくとして、特定の人でなくてもよろしいということであれば、先ほど申し上げましたように、耳が聞こえない、あるいは目が見えないという不遇な子供ですから、これらの人たちが寄宿舎に置かれておる以上は、何らかの形で常時世話されるような態勢になければならないということについてはいささかも異存がありません。しかし、との態勢をしくためには、先ほど例として指摘した、内藤という寮母が常に豊瀬という聾唖者についておる必要はないとすれば、ある寮母は八時間勤務してきょうは帰ります。そうして夜は荒木という寮母に交代する、このことは寮母が適当であるとして採用された以上は少しもかまわないということ、従って、いずれかの寮母が深夜といえども二十四時間的に、ある寄宿舎に入っておる生徒の世話をするということは必要なことですけれども、それがすべての寮母を常泊して置くという態勢に置く必要はないということは明らかになったわけです。そうすると、たとえば結婚しておる寮母も週に二日しか家庭には帰れない。結婚しようとすれば、大宮の佐野校長のごときは、あなたは母としての精神に足りませんからやめていただきたい、こういうことが、寮母という法律に定める世話、教育という本務からして、今特例したような事柄が公然と学校経営の中に、あるいは教育行政下から要求されてよろしいかどうか、局長としてはどう考えていますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 常泊をして子供の世話を常時していただくことが子供の教育上適切であると思いますけれども、また寮母の方々の待遇につきましても十分配慮しなければならぬと思います。寮母の基本的人権はできるだけ尊重していくように、その辺は運営上適切に考慮がされなければならないのではか。いかと思うのであります。
○豊瀬禎一君 ということは、現在のように——大宮聾学校について私は一人々々の具体的な、あなたは何月何日にどういう勤務をしましたかということをつぶさに聞いてきたのですが、それを一人々々述べていくとずいぶん長くなりますので、集約として申し上げたいのですが、平均して実勤務が十六時間程度になっております。こういう勤務の実態は、内藤さんが言った、お母さんだから当然と考えているんですか、あるいはやむを得ないことと考えているんですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 当然とは考えておりません。やむを得ないことだと思っております。
○豊瀬禎一君 やむを得ないと考えておるということは、そのことが行なわれておっても放置しておくということですね。そういう理解をしてよろしいか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 決して放置しておくのじゃなくて、改善に努力すべきことだと考えております。
○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、施行規則の七十三条四に定めるところの寮母の本務からして、年若いとか、あるいは老人とかいった年令的な、あるいは生理的な条件の差は抜きにして、一律に子供の世話をする時間が十六時間をこえるということは、やむを得ないことであるといって見過ごしておくつもりですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) できれば三交代制にでもして、早番、おそ番、徹夜番等がございましょうが、そういう三交代制くらいにすることを目標に努力していくべきじゃなかろうかと思います。
○豊瀬禎一君 大臣のただいまの基本的な考え方を承りまして一応安心したのですが、私も今すぐ全部を八時間で交代しなさいというととが、現在の政府の文教行政に対するウエートの置き方からして、皆様方のお考えとしてはむずかしいと思いますけれども、好ましいあり方としては、ただいま大臣が言われたように、八時間勤務の中で誠心誠意寄宿舎生の世話をしていく、そうしてある人はきょうは深夜にわたるけれども翌日は休んでいく、こういうことが望ましいということはどなたも認められると思います。しかしながら、私が今指摘したように、単に大宮聾学校だけでなくして、ほとんどの寄宿舎に雇用されておる寮母の皆さんは、この前に調べた際にも、今度、大宮学校におきましても十五、六時間の勤務をしておる、これは人権上からも、また女性の、ある人には母体保護、ある人には家庭生活の維持、こういった点からも非常に重要な問題です。しかも私が憂うるのは、勤務はしっかりやりますから、生活ができないから結婚しても勤めさして下さいというのを、校長は、あなたが結婚して御主人を持てば愛情が御主人の方に移るでしょう、そうすると、生徒に対する愛情がなくなってくるから、内藤局長さんも前におっしゃった、母親がわりにはなりませんからやめて下さい、これが寮母の置かれておる実態です。私が調べた大宮聾校のある女の先生は、子供を、寄宿舎に住んで一週間に二日しか帰れないで、御主人をなくしてほかに世話する人もいない、そうすると、子供の生まれた方はやめるか、人に預けるかですね。実際にやっと高校卒業しまして一安心しましたと言っておられましたが、こういう話は単に大宮学校だけではなくて全国にあるのですよ。しかもそれに対して学校を運営しておる責任者の校長が、家庭を持つことも否定する、自分の子供を持つこともできないというような寮母の実態ということは、これは大きな問題だと思うのです。もちろんそれでも私はこの不遇な子供たちの世話をやめたくない、こう言っておるのですよ、大宮学校の先生たちは。私はこの教育愛と校長の態度が著しく懸隔をしたところに大宮聾学校の問題の本質があると思うのです。 そこで、次に質問を進めていきますが、現在のところでは、施行規則には、「児童等の数を六人をもって除して得た数以上を標準とする。」、普通六人、そうして別の法規では七人と定められておりますが、この六人にしろ七人にしろ、これではどんなに大臣が寮母の立場に同情され、解決したいという念願を持っておられても、実際は十六時間勤務、そうして具体的に大宮のKという先生は結婚をするか、やめるかという問題について深刻に悩んでおる、そうすると、さしずめ必要なのは、まず寮母の増員を、ある意味では交代制ですね、これを早急に実現することがまず最も大切な問題であると思うのですが、すでに本年度予算は通過しましたけれども、この寮母の施行規則の基準を変えるか、何らからの、基準を変えなくても、「除して得た数以上を標準」ですから、もっとふやしてもいいわけですから、実際は全国的に見まして六人程度になっているのは十数県程度で、大多数は十人に一人とか、八人に一人とか、特に文部大臣として銘記していただきたいのは、私の調べたところでは、国立の東京教育大学の付属の盲学校は、これを上回って生徒数がいるということ、こういう点に対して、単に同情は——大臣としては基本的に実態を解決しなければならないということではなくして、私はここで次年度の予算を約束して下さいとは言いませんけれども、次年度については、との今指摘した寮母の二十四時間勤務、結婚、育児さえも否定されておるという現状打開のために、もう少し具体的な決意の披瀝をお願いしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 検討してみたいと思います。
○豊瀬禎一君 俗称検討大臣におなりにならないように特にお願いをしておきたいと思います。 次に、これは生徒の問題ですが、私も福岡県内におきましても、こういう施設をずいぶん見て歩いたのですが、大臣も選挙区の中にこういう学校がありますから、つとに御承知だと思いますけれども、大多数が十畳の中に八人ないし九人、あるいは十畳が六畳になっておっても、四人ないし五人と、こういう設備です。そうして目が見えない、耳の聞こえない子供の寄宿舎であるのに、ガラスは破れ、私が行ったときにはちょうど日曜日でしたけれども、風が前日強かったために戸の——ガラスが破れておったからではなくて、戸の立てつけが悪いために、砂が畳の上にずうっときれいにたまっておるのです七また、ふろ場をのぞいて見ましたけれども、これは大正時代に初めてふろができたときのふろ傷みたいに、私は近いうちに文化財保護委員会に文化財として指定を願った方がいいんじゃないかと思うほど、釜にしても、ふろにしても実にお粗末で、朝の六時から水を入れて、それからたきつけて大体七、八時間たかないと沸かない、これは行って調べていただくとよくわかります。大きなふろ場の百何十人も収容しているところに、このくらいのパイプであっためていくふろですから、冬なんかはもっと時間がかかります。とういうふうに、寄宿舎の生徒一人坪数もめぐまれておりません。設備も悪い。とういう教師の単に労働条件という問題ではなくして、高橋委員からも指摘されたように、こういう不遇な子供に対しては、子供の責任ではない、親にも一半の責任はあろうけれども、国がもっとこういう生まれつき不遇な子供に対してはできるだけの援助をするという立場から、現在の寄宿舎の設備等について大きな改善を加えて、明るい環境のもとにこうした不遇な子供の育成を国がやっていくという点については、ある意味では、普通の子供が行っておる義務制の諸学校よりももっと急を要する問題だと思うのです。こういう問題についても、大臣は早急に実情を調査して、改善を進めていこうという御意思がありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あります。
○豊瀬禎一君 私はただいまの大臣の、言葉少ない答弁ですけれども、誠意を信頼して、早急の間にこれが実現されていくことを期待しておきます。 そこで、主要な問題の本質は大体質問は終わったのですけれども、次に二、三問題を進めたいと思うのですが、これは局長御存じのように、寮母は教特法の準用規定になっておりますね。寮母の皆さんが、先ほども指摘したように、大多数は、戦後はあるときには、こう言っては失礼ですけれども。未亡人の職場提供という形がある程度考えられた時代がありますけれども、大宮聾学校でも、短大の養成所ですが、あれを出た二十才わずか過ぎたような若い人たちが、これだけ不満があり、これだけ学校経営に問題を持ちながら、あなたはどうして高等学校を学業したときからこういう寮に入って生活をすることを考えたかと言って聞いてみますと、これは皆さんがこういう特殊な児童の教育に対して非常に高い愛情を持って勤務されております。こういう点から考えて、寮母の皆さんが一般教育公務員と同程度に恵まれたような環境でなくとも、と言えば語弊がありますけれども、より以上の苦労をしてでもこの教育に一生を捧げたい、こういう気持を持っておられることを考えてみますと、多年の要望である、寮母の身分を教育公務員として取り扱っていく、せめて、早急に待遇改善ができなくとも、あるいは諸問題が一気に解決できなくとも、身分の安定だけは法律的に保障する、こういうことも重要なことではなかろうかと思うのですが、寮母の身分を教育公務員に置きかえていくという点について、局長の見解をお聞きしたいと思います。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今御指摘の通り、寮母は教育公務員特例法で準用職員になっております。従って俸給表も、これは高等学校俸給表を使っておりますので、それで助教諭の待遇をいたしております。ですから、待遇の面におきましては教員と同じような待遇が保障されております。一般の事務職員とは違っておるわけでございます。特に厚生省の保護施設に比べますと、文部省関係の寮母につきましては、特例法の準用職員でございますから、教職員俸給表(二)を適用している。そのほかに調整額も八%出しておるわけでございます。こういう点でできるだけ今後も改善に努力して参りたいと思いますが、さしあたり教育公務員にするためには免許状が当然要りますので、免許状及びそれに準ずるような扱いがなされなければならぬと思うのでございますが、こういう点から考えて、今直ちに寮母を公務員特例法にそのまま持ってくることには問題が多かろうと思います。
○豊瀬禎一君 内藤さんは、口に善言を唱え、心に冷酷無残な何ものかを持っている人のように、私は今の答弁で見受けるのです。私が聞いているのは、なるほど免許法の建前からすると、そういう障害があります。しかし、寮母を公務員とするという基本的な態度にあなた方がきまりさえずれば、それに付随してくる免許法の改正、養成施設等の問題はおのずから解決する問題です。寮母を教育公務員とすることが、言葉を変えて聞きましょう、望ましいか、望ましくないか、これについてお答え願います。
○政府委員(内藤誉三郎君) 寮母を教育公務員にすることは、私は適切でないと考えております。と申しますのは、寮母には資格を要求しておりません。教員については一定の資格なり免許が要求されるわけであります。ですから寮母に適当した人は任用の範囲が広いわけでございます。むしろその方が未亡人の方も入ってこれるし、いろいろな方が入れるわけであります。その方がいい。ただ問題は、特例法に規定した場合に、どういう特典があるかと申しますと、私どもは今の準用職員で他の教員と同じように待遇を保障しておりますし、また、身分も同様な取り扱いをしておりますので、別に特例法の本則に入れなくても、準用職員でも具体的に問題はないと思うのであります。むろん問題があれば御指摘いただきたいと思います。
○豊瀬禎一君 身分がそうでないという法律の定めは、あなたが具体的な諸条件において準用して法律の定めによって取り扱えると答弁しようとも、実際は教育公務員でないことは事実です。どこに都合の悪いことがあるかということは、寮母が、先ほどからもう四、五回読み上げておりますように、教育すべきということがついております。従って、私は資格を採用者に要求していないけれども、これは寮母を教育公務員とすることが望ましいという観点に立てば、先ほども指摘したような免許法の問題にしろ、その他の資格条件、あるいはその他のその職に必要な条件というものは、基本態度に付随して要求され、それが充足されるような養成設備、あるいは課程を修得すればよろしいのです。労働基準法の本年度の、あなたのところから出されておる法令集で、基準法の第八条適用事項範囲を定めておる問題で、私は寮母は八条の十二項の適用を受ける職種であると考えておるのですが、局長はどういう見解ですか。基準法を見なくても、「教育、研究又は調査の事業」、これは当然わかっておることでしょうが。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今ちょっと条文を見ておりますが、御指摘の通り、当然私は教育関係の職の中に入っておるものと心得ております。
○豊瀬禎一君 そうすると、十三項の「病者又は虚弱者の治療、看護」、いわゆるあなたが先ほど冒頭にあげられた厚生省その他の施設の関係のものとは違って考えてあるということがわかりました。これからしても、また寮母のおもな仕事の中に、施行規則によって、「世話及び教育に当る。」、もちろん教授作業は、寄宿舎から出て行って学校に行ってほかの教諭がやっております。しかし実際に学習を見たり、いろいろなことをしたり、また逆にあなたの御答弁をとって言えば、諸条件も教育公務員と同等にしてある。そうして教育公務員という矜持と、それから教育公務員としての必要な資格諸条件をとって、こういう特殊教育の場において、よりよい教育活動を行ないたいという寮母の前向きの善意を否定しては、こういう特殊教育の向上は望めないと思うのです。こういう観点から大臣も、この際私が今まで申し上げました寮母の置かれておる不遇な条件と、これにもめげず特殊教育に専心している寮母の皆さんの期待にこたえて、あらためて、寮母を教育公務員として切りかえていくという問題について十分の御研究をお願いしておきたいと思います。 次に一、二ただしたいのですが、寮母が一日に十六時間も勤務しておる。さらに大宮高校におきましては、朝五時に起き、八時まで勤務し、生徒が八時半あるいは九時ごろ出校の際には、当然その間適当な時間までは自由時間として与えられています。ところが、当該学校におきましては準勤務という制度が設けられている。準勤務とは何ぞやと校長にただすと、勤務ではございませんけれども、勤務に準ずるもの、勤務でなくて勤務に準ずるものとは何事ですかというと、それは寮母の皆さんの教育外に待つところです。そうして割り振りが個々人にきちんとしてある。それだけではありません。自由時間に何をしておるかと聞いてみますと、児童が病気をすると病院に連れていく、不幸にして大きい施設ですので、個人病院ではありませんためにずいぶん待たされると思う。治療が終わって帰るまでには平均一時間以上の時間を過ごしておる。しかも校長の要求するのは、自由時間に子供から頼まれた学用品を買い出してくるとか、身の回りのものを買い出す、こういった勤務をしておる。また、炊事にしましても、私ども日曜日でしたので、寮母の先生方の炊事をなさるのに、立ち会い、一緒に食事をして参ったのです。このたび大宮高校には近く一名の炊事員が配当されるようですが、世話という中に炊事が入っておるという文部省の解釈で、それも八時間の中に含んでおるということであれば別の問題として提起しますけれども、やはり学校給食法の定むるところからして、何といいますか、何にもそれらについて特殊技能のない人々が炊事をしていくよりも、少なくとも普通の学校の給食とは異なって、終日寄宿舎生活をしているわけですから、正式の免許を持った炊事婦といいますか、学校給食の担当者を置くことが望ましいと考えるのですけれども、局長はどう考えていますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) できればおっしゃるように炊事婦を置いた方が好ましいと考えております。
○豊瀬禎一君 学校教育法に基づくといいますか、厚生省関係の施設でなくて、盲聾学校等の寄宿舎に、学校給食法に定むるところの栄養士は置くべきだとお考えですか、置かないでもよろしいというお考えですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 施設の規模にもよると思うのでございますけれども、ある特定規模以上のものについては栄養士があった方が望ましいと思います。
○豊瀬禎一君 今日までそういう行政指導を誠実に続けてきておられますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 寄宿舎、特に多数の児童がおる場合には、一般の事業場等におきましても同様に措置するものと考え、私どもも指導しておるわけであります。
○豊瀬禎一君 指導方針は了解いたします。それでは県立に限定いたします。県立の特殊学校で、寄宿舎を設備しておる総数と、その中で、栄養士を置いた方が望ましいと判断できる、今、局長の言ったある程度の施設の大きいところ、栄養士を設置するに必要な数を収容している寄宿舎の総数をあげて下さい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 盲学校、聾学校は、ほとんど全部寄宿舎がついております。その数は公立で盲学校六十六、聾学校八十二、養護学校が八でございまして、総数で百五十六です。
○豊瀬禎一君 その中で、今、局長答弁による、ある程度の施設の際には栄養士を置いた方がよろしいと判断できる数は。
○政府委員(内藤誉三郎君) 各寄宿舎の人員を今個別に持っておりませんので、的確には把握いたしかねておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 意地の悪い聞き方をしているようですけれども、ある程度の施設には栄養士を置いた方がよろしいという行政指導の方針を持っておるとすれば、私は全部当然置くべきだと思って、今読み上げられた数でよろしいと思っているのですけれども、局長の方である程度の大きい施設に置いた方がよろしいという基準を、指導の方針の一つのポイントとしておるとすれば、それだけの施設の中で、少なくとも百名程度、八十名程度、五十名程度でも栄養士を置くべきである、置いた方がいいという指導がここになされていなければならない。そうしてその中で行政指導を聞いて設置した県はこれだけ、まだ置いてないところはこれだけだ、こういう教育諸条件の整備に対して適切な指導を行なっていくのが、教育基本法の、教育行政とは教育諸条件を整備することにあって、教育内容に干渉することでないと明記しておる趣旨です。この点につきましても、きちんと資料を整えて、今日までの行政指導の成果によって、栄養士がどの程度ふやされているかどうかを御報告を願いたいと思います。そこで炊事婦といいますか、栄養士も置いた方がよろしい、あるいは寮母がそのまま炊事婦となるのでなくて別個に置いた方がよろしい、この問題につきましては、一応の方針はわかりました。 さらにお尋ねしたいのは、寮母は、これは何といいますか、おかしな言葉ですけれども、校長さんに聞いてみると、女とは限りません、母という字がついておりますけれども、法律上は女と限っていないで、男の寮母だってよろしいのだそうですが、実際問題としてはほとんど女性であることは間違いないと思います。ところが、本校と寄宿舎はある程度の距離があったり、また実際においてこれは不親切とか、なまけておるということでなくて、本校の警備員、用務員は勤務として当該学校に所属しています。従って、本人の勤務は当該学校に限定されておるし、当該学校の用務員、警備員がそのことを主張して寄宿舎のそれを否定するのは当然であると思いますが、まあ盲にしても、聾にしても、火災の際にも本人たちは一般の子供たちと違って、身体不自由で、その中で男子の宿直員もいない、警備員もいない、こういう状況では、事故の際にも寮母の皆さんはかなり不安を持っております。客観的に見ましても、こういった点は早急に是正されなければ、非常災変の際に、女手と申しますとちょっと言葉が行き過ぎかもしれませんけれども、女の寮母の皆さんだけでは、どろぼうが入った際にも、いろいろな際にも因ることが出てくるというのは実態のようです。従って、寄宿舎にも用務員とか、あるいは警備員、それから舎監、こういったものは、子供たちが身体不自由であるだけに一般の学校よりももっと完全に配置されて、災変の際にも、日ごろの世話も十分に行き届くべきである、こういうふうに考えるのですが、この問題に対する基本的な見解を大臣に伺いたいと思います。用務員、警備員、舎監。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう実質的に必要と考えられる用務員を充足するように、今後も私は検討を加え、努力をしていかねばならぬと思います。
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○豊瀬禎一君 そこで大臣に、また局長に二、三特に研究課題をお願いいたしたのですが、最後に大臣に対してもう一つ確認しておきたいのは、たびたび指摘しましたように、結婚の意思の表示をするとやめて下さいという。また家庭の事情で二泊以上の、子供を持ったりいろんな、夫の病気等で二泊以上、ほかの日に休暇をとろうとするとなかなかうまくいかない、こういう人権に関するような問題につきましては、当該学校長の頑迷固陋で過ごせない問題だと思うのです。局長の答弁では、お嫁さんに行かないのも本人が希望して寮母になったのですから仕方がございませんというニュアンスを私は感じるのですけれども、大臣としては、そういうことではなくして、本人が結婚をしても寮母としての仕事が継続できるように、教育行政機関等に対して適切な行政指導を行なっていただきたいと思うし、その他の人権的な問題、諸条件の問題はまた別ですけれども、人権的な問題、寮母だから花もあらしも恋も忘れなさいというようなことが、寮母なるがゆえに、行政機関あるいは校長から要望されるというがごとき事態については、十分の行政指導をしていただきたいと思うのですが、大臣の見解を承っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的問題を指摘されてのお話ですから、その事実を知りませんとお答えいたしかねる面もございますが、要は私は寮母の仕事の実態がどういうものか、もし結婚をして家庭を持てば、少なくとも寮母の仕事がやりにくくなるという本質を持った仕事であるかどうか、そういうところが私も認識が十分でありませんから、かれこれ申し上げられませんけれども、人権に関するようなことを不当に制限をするようなやり方は、むろん適当でないことは当然でございます。今も申し上げましたように、寮母の仕事の本質が、そういう悪意を持った場合は論外ですけれども、完全な善意をもって対処しましても、結婚したがゆえに制約がある、本来の仕事ができなくなるかどうかという問題は、もうちょっと実態を教えてもらってからにしたいと思います。一般的な問題としましては、今申し上げるように、人権を制限、侵害するごときはもってのほかだと思います。
○豊瀬禎一君 ちょっと気になるのですが、大臣、現在の憲法法規の中で、女性が結婚したがために不適当になる職種、これが公然として認められる、あるいは学校教育法等に規定するところの設備の中で、女子が結婚したために不適当になるかどうかを検討しなければならないといったような職種があり得ていいものですか、大臣。そちらの方が重要問題だと思いますが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 夜もかりに三番交代にいたしましても、いわば徹夜して子供たちの世話をしなければならぬという仕事の分野があるように思いますが、結婚して家庭を切り盛りする、自分自身の子供も、寮母として人さまの子供を預っていると同様、もしくは感情的に言いますれば、より重大に考えざるを得ない必然的な家庭的仕事があるはずですから、そういう立場と両立するであろうかどうかということが、私は実態がわかりませんからと申し上げる主たる理由でございます。一般論としては、先ほど申し上げた通りであります。
○岩間正男君 時間がないから簡単にお聞きしますけれども、今適切な質問をされたわけですね。文部大臣はこれに対して十分に検討してこの問題を解決する努力をする、こう言われた。私お聞きしたいのですが、これはどうですか、県教育委員会とこれは交渉して問題の解決ができる、こういう問題ですか。ということは、私は今問題になっている日教組との団体交渉の問題、それと関連してお聞きしたいのですが、文部大臣どうお考えになりますか、これは県教育委員会と交渉してこの問題は解決できますか。たとえば、これだけの一つの問題をとってできますかどうですか、はっきりして下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 解決する部分と解決できない部分とあると思います。
○岩間正男君 これはほとんどできませんね。ほとんど待遇の問題でしょう、労働条件の問題ですね。ほとんど基本的な問題というのは、これは文部省のつまり施行細則のこれは改正か、さらに予算の増額、これなしにはこれはできないですね。これは認められますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 予算がなければ実施できませんし、法令の改正が伴わなければ実施できない課題が多かろうと思います。
○岩間正男君 そうすると、私はこの全国的な連合体である日教組が——この中に特殊学校は入っているわけですね。そしてこのようないろいろな勤務条件並びに待遇改善上の要求ですね、これを、県教委ともむろん団体交渉をするでしょう。しかし、直接今のような問題を交渉し、さらに直接その意見を、実情を反映するためには、やはり文部大臣と会って話すことが最もいいし、また、文相の趣旨から考えても当然私は実態を把握しなければならぬと思う。間接的に県教委を通して聞くとか、単に報告書でこれを見たんでは、今の豊瀬委員のような切実な具体的な実情というのはわからない。豊瀬委員のこの今の質問だって、まだ実情を百パーセント反映しているということには私はいかぬと思う。やはりその当事者に私は会って聞く、それが最も適切な、そうして最も内容に即したところの教育行政であると考えられます。そうすると、どうなんですか、私は特殊学校の寮母の問題、これだけでも今のような問題を持っている。しかし、単にこれは特殊学校の寮母だけの問題じゃない。教育の分野において同様の問題というものはたくさん山積みされている。このような問題を文相は、これは直接聞き、この問題を解決するという、当然そのような職責を果たすということに努めなければいけないと思うのですが、どうでしょうか。今私は問題にしたいのは、日教組との交渉を、あなたは一ぺん閉ざした貝の口を開かないというような格好で強引にやっているのだが、私はこの一つの側から見ても、どうも不適当に思うのですが、もっともこれは今答弁はむずかしいだろうから、この答弁できなければ、この次までに考えてもらって、ゆっくりやってもらってけっこうです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今御指摘のような課題は、いわば政治課題であります。教職員組合が交渉をすべき課題は、法定されている以外のことにはあり得ない。そのほかのことで会う、会わないということは、いつも申し上げるような事実問題であって、会う、会わないというのはお互いの勝手だ、実情の調査等は文部行政組織を通じて正確に把握する必要があると思っております。
○委員長(平林剛君) ほかに質疑のおありの方もあろうかと存じますが、本件に関する質疑は、都合によって次回へ譲ることとし、散会いたします。 午後一時三分散会 ————・————