文教委員会 第19号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/04/13
会議録
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。開会前の理事会におきまして協議いたしました結果、本日はまず、義務教育諸学校施設費国庫負担法等の一部を改正する法律案を議題とし、発議者より趣旨説明を聴取し、次いで、当面の文教政策に関する調査を行ない、さらに、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案の審査を進め、なお時宜によっては、日本育英会法の一部を改正する法律案の審査をいたすことに決定をいたしました。 以上、理事会決定の通り審議を進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう進めて参ります。
○岩間正男君 議事進行。ちょっと文部大臣にただしておきたいと思うのですが、当委員会の開会がいつでもおくれている。その原因の大部分はあなたに負うところが多いと私は思うのです。出席時間は明確だし、そうして委員がここに定足をそろえて待ってからすでに二十数分たっている。いつでもこういうことが繰り返されておる。大体があなたが就任された昨年の秋の去る当委員会におけるあなたのあいさつのとき、すでに何かテレビに出るとかなんとかということで五十分ほど待たされた経験を持っている。それがいまだに続いている。こういうことでは非常に時間がむだにされます。ロスにされます。どういう一体考えをお持ちになるのか。当委員会の運営についてあなたは協力するのかどうか。こういう法案審議の遅滞の一切の原因はあなたにあるんです。それについて文教の府にあるあなたにはっきりただしておくことが大切だと思うのです。今後のことがあるからこれについてなぜ一体おくれるのか、こういう事態についてどういうふうに対処するか、この二点について満足に答弁願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 出席がおくれましてまことに申しわけなく存じております。定刻にもちろん出席することが当然でございまして、そうすべきことは万々心得ておるつもりでございますが、そのときどきにおきましてよんどころない陳情が見えたり、また省内の打ち合わせ等のためについおくれることもございます。そういうことで不本意ながら定刻におくれることがありますことを恐縮千万に存じます。(「きょうはどういう理由です」と呼ぶ者あり)本日も実は私の郷里からよんどころない——これはプライベートの問題でしたが相談に参りまして、つい時間が過ぎましておくれたことはまことに恐縮に存じております。今後重々注意したいと思います。
○委員長(平林剛君) 委員長からも文部大臣に一言御注意を申し上げておきたいと思います。 本日、大へん開会の時刻がおくれましたことは、文部大臣の御出席がおくれたためであります。私は重要な案件をかかえまして、できるだけ委員会の運営の進展をはかりたいと思いますが、このままでは思うように参りません。先回も御注意申し上げました通りに、なるべく早く御出席をいただくようにお願いをいたします。同時に、ただいまの御説明を聞きましてはなはだ私は遺憾に思います。これはプライベートなことで事情はいろいろございますけれども、そのときには委員長のところに何時ごろ出られるという御連絡をいただくようにお願いをします。一言注意をいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御忠言ありがとうございます。今後厳重に時間を守るように努力いたします。 ——————————
○委員長(平林剛君) それでは、義務教育諸学校施設費国庫負担法等の一部を改正する法律案を議題とし、発議者より趣旨説明を聴取します。
○衆議院議員(山崎始男君) ただいま議題となりました義務教育諸学校施設費国庫負担法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 政府は、昭和三十六年度の教育予算編成にあたり、その基本的な考え方として、わが国教育水準の向上、教育の機会均等、科学教育の振興、中学高校生徒の急増対策をあげております。しかるに、その財政措置の不十分さは、今日、学校現場における教室の不足を生じ、すし詰め学級解消をおくらせ、わが国教育水準の向上を阻害しており、一方、数多い老朽危険校舎は、児童生徒の安全を脅かしております。 しかも、校舎の増改築費の公費負担の低さは、昨年本院において改正を見ましたところの地方財政法の一部改正による、父母並びに地域住民の公費負担解消措置がなされたにもかかわらず、その成果は見るべきものがなく、むしろ、地方財政の現状から教育条件整備の削減が行なわれ、教育水準の切り下げさえ散見されるところであります。 本院におきましても、さきの昭和三十二年五月、第二十六国会において、義務教育が国と地方公共団体との共同責任にかかる重要事項たる点と、地方財政の実情とにかんがみ、公立義務教育諸学校の施設、設備についても、政府はすみやかに義務教育費国庫負担法の精神にのっとり、これに必要な経費の二分の一を国が負担するために、必要な措置を講ずべきこと、また、公立義務教育諸学校における教育効果の向上と教育財政の有効化を期して学校統合を企画しつつある現在、政府は義務教育の重要性と地方財政の実情とにかんがみ、すみやかに有効適切な措置を講ずべきこと、との附帯決議をいたしました。 また、参議院におきましても、公立義務教育諸学校の施設、設備について同趣旨の決議がなされ、あわせて、公立義務教育諸学校における校地の購入に要する経費を国庫補助または起債の対象とすることを決議いたしております。加えて、第二十八国会におきましては、本委員会の全会一致をもって、同趣旨の附帯要望がなされ、すし詰め学級解消のため、文部省においても五ヵ年計画によって、公立義務教育諸学校の施設の整備を行なわんとしたところであります。しかるに、今日における実態は、この五ヵ年計画すら完全な実施を見ることができず困難に直面していると言わなければなりません。 かかる問題の解決をはかるため、義務教育の本質に立脚し、義務教育諸学校の施設、設備に要する経費に関しては、国がその大幅の負担をすることが適当と考え、今回提案する運びに至った次第であります。 以下、内容にわたって御説明申し上げます。 まず第一には、義務教育諸学校の施設の新築または増築に要する経費については、国がその十分の八を負担することとし、これを三十七年度から三十九年度までの三カ年計画で行なうこととしたことであります。 第二は、義務教育施設については、小学校、中学校とも平等に取り扱われることが適当と考え、不正常授業については、その新築または増築に要する経費についての国庫負担率を統一したことであります。 第三は、国庫負担の対象を、不正常授業解消、屋内運動場、学校統合に伴う校舎増築、危険校舎の新築及び増改築としたことであります。 第四は、校地の購入に要する経費については、その二分の一を国庫負担とすることであります。 以上がこの法案を提出いたしました理由及び内容の概略であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
○委員長(平林剛君) 本案に関する質疑は後日に譲ります。 ——————————
○委員長(平林剛君) 次に、当面の文教政策に関し調査を進めます。 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。
○野本品吉君 私は一昨日から昨朝にかけてあったといわれております文部省と日教組の諸君との問題につきまして、当否の論は別といたしまして、実情、真相を誤りなく把握しておきたい、かように考えまして当局に御質問を申し上げます。当日の事態が一体どういうわけで、どうして起こってきたのかということが一つ、もう一つは、事態の推移を時間的に、何時ごろからこういう状態であった、何時ごろはこうであった、それをどういうふうに何時ごろ措置していったかというようなことにつきまして、真相を文部省当局からの説明をいただきたいと思います。さらに私どもとしては、聞きますと、警察官が文部省の庁舎に入って、そして文部省の中に入られた学校の先生方に外へ出ていただいたということを聞いておりますので、警察の方々がどういうような措置をとられたか、これも御説明をいただきたいと思います。 私のお伺いしたいのは、要するに真相がどうであったか、実情がどうであったかということを、誤りなく理解したい。こういう気持で御質問申し上げるわけでありますから、従って文部省及び警察当局におきましても、私の質問の趣旨を十分御了解下さいまして、その状態を御説明いただきたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) お答え申し上げます。四月五日付で、日教組から文部大臣と話し合いの再開を申し入れて参りましていたのですが、四月十日に文部省はこれに対する回答書を作りまして、五時過ぎになりまして、愼枝書記次長に連絡を地方課長がいたしまして、双方の話し合いの結果、四月十一日の正午ごろに手渡す、こういう約束をいたしたわけでございます。ところが、当日愼枝書記次長外十七名の方が、昼ごろという約束にもかかわらず、十時二十分ころに省内に入られ、秘書官室で大臣に面会を要求されたわけでございます。地方課長は、日教組の話し合い再開の申し入れに対する文部省側の連絡事項を手渡すとともに、その内容について、説明を申し上げたわけでございます。ところが、十二時十分ころから十二時二十分までの間に、佐久間副委員長以下六十六名の日教組の地方代表の方々が、数名ずつに分かれて、職員にまぎれて省内に入られた。十二時二十分に、日教組組合員三十名が、集団で省内へ入った。私がまぎれたと申しましたのは、別に日教組の方ということをおっしゃらずに入られたわけでございます。それで日教組の組合員三十名が集団で省内に入って、先に入った八十三名と合流して、秘書官室と地方課に分散して待機の姿勢に入られた。で、百数十名の方が省内に入られて、今申しましたように、秘書官室と地方課になだれ込まれたような状況でございまして、ほとんど秘書官室でも立錐の余地なく入られたので、係の方も便所にも立てないような状況下に置かれたのでございます。そこで、大臣はお会いしない、こういう意思表示は明確にされておったわけでございます。ところが、これ以上面会を強要されましてもお会いできない事態でもございますし、執務上も実は非常に困りましたので、一時三十分になりまして、地方課及び秘書官室の組合員に対して、地方課長から、あるいは課長補佐から、退去していただくようにお願いをいたしたわけでございます。ところが、なかなかこれに応じられそうな気配もなくて、二時二十分になりまして、文部省の責任者が、マイク、張り紙等によりまして、再三にわたって組合員の省外退去を求めたわけでございますが、組合側はそれに応じられなかった。大へん遺憾なことでございますが、二時三十分になりまして、やむを得ず警官隊の出動を要請したような次第でございます。 その後大体三時十分には、警官隊の出動によりまして、組合員も省外に退去させられたというのが実情でございます。
○政府委員(三輪良雄君) 警察といたしましては、二時三十分に、文部省から麹町警察署長に出動の要請がございまして、二時五十五分に機動隊を文部省内に入れております。三時に、三時十分までに退去をするように警告をいたしております。しかし、自発的に退去される様子が見えませんので、三時十分から三時十七分までの間に、警察の実力行使と申しますか、押し出すようにして、全員百六名を省外に排除をいたした、こういうことを聞いているのであります。
○野本品吉君 大体はわかりましたが、一点さらにお聞きしたいのは、どうしてそういう状態にならざるを、つまりそういう事態が起こらざるを得なかったかというそのいきさつですね、それをもう少し明確にしたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) 文部大臣は、日教組の方とはお会いしない、こういう態度を明らかにしているにもかかわらず、いつまでたっても面会を強要されて、大臣に会うまでは帰らない、こうしてがんばられるわけでございます。それが数人ならともかくといたしまして、百数十名にわたる方々が、秘書官室と地方課に一ぱい入り込まれて、執務上にも困りますし、また職員も実は外出ができないような状況下に置かれますので、これ以上長くいていただくことは、中におります職員のものにも非常に迷惑でございますし、外部との執務ができない、こういうような状況下でございまして、大へん私どもも遺憾には存じましたが、やむを得ず警官隊の出動を要請いたしたわけでございます。
○野本品吉君 もう一点、それは先ほどの御説明によりますると、地方代表というようなことを言われておりますが、集まられて文部省へ行かれた方というのは、地方代表なんですか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 日教組の中央執行委員の方のほかに、地方の代表の方々毛まじっていらっしゃったわけでございます。
○野本品吉君 地方の方が来ておられると、何か会合でもあって、ついでにおいでになったのか、あるいはそのためにお集まりになったのか。もう一つは、地方の代表の中で、地元の東京都のものが、大ぜい先生方がいるわけですが、東京都の方はどんな状況だったか、これをお伺いしたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) これは新聞の伝えるところでございますが、日教組が指令をいたしまして、各県から数名ずつの方を招集いたしまして、文部省に面会に来たいということは、私もかねがね聞いておったわけであります。東京都の方もむろん地方代表の中に入っていらっしゃると思うのです。しかし、その後三時過ぎになりまして、大体文部省玄関前に集まられた方が、三百五十名ぐらいと想定されるのですが、その三百五十名の中には、もちろん文部省においでになった方々のほかに、東京都の教組の方がだいぶんお見えになっておるのではないかと思うのでございます。
○野本品吉君 大体事情はわかりましたし、状況もわかりましたが、私といたしましては、ただいまお伺いいたしました事柄に基づいて、さらに詳細な調査検討を行ないまして、その結果、また当委員会においていろいろとお伺いする機会があろうと思いますから、そのことを申し添えて私の質問を終わります。
○豊瀬禎一君 ただいま内藤局長の方から事件の経緯について説明がありましたが、私自身も当日並びに昨朝も現場におって事態の推移を見ており、また文部当局者ともこの事態について折衝をしたのですが、全体を通じて私が端的に指摘し得ることは、大臣を初め、文部当局者に労働組合の組合員が多数で問題を持ってやってくるという事態が不穏な事態であり、不適当な措置である、こういった基本的な見解の誤解があると思うのです。御承知のように、憲法二十八条は団結権、団交権、団体行動権を保障いたしております。労働組合員というものは、大ぜいで行動することを憲法で保障されておる。ところが、次官その他の答弁を聞いておると、このような状況の中では、お会いすることができない。労働組合の団体行動という憲法二十八条の保障に基づく正当な行為に対して不穏当な行為であるかのごとき判断をしておられる。ここに私は本問題の一つの原因があり、もっと本質的には、たびたび昨年の八月以来大臣に指摘し、問題をただしておるところの、大臣が会ってもむだである、会わないことの方が正当なんだと、このように話し合いという民主主義の基本を根本から否定しておることにあると思うのです。そこで、私は大臣にはっきりとお聞きしたいのですが、本問題の契機は私が今指摘したように、話し合いに応じるという態度が大臣にないために起こったのであり、二十八条の団体行動権に対する認識不足が警官動員という事態を招いたのだと考えておるのですが、大臣の見解をお聞きします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。二十八条で保障される労働者の団体行動権ないしは団結権というものは、あくまでも労使関係の場において認められておることでありまして、労使関係のない場で、労使関係に立たないものに対して団体行動をするなどということは、憲法第二十八条とは無関係と考えております。
○豊瀬禎一君 ただいま大臣の答弁ですが、労使関係にのみ限定されるという二十八条の解釈の根拠を今少し明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。根拠は二十八条そのものにあると思います。
○豊瀬禎一君 大臣、朝から出席が悪くてとかく委員会でのあなたの行動について注意を与えたところですが、答弁も、私もできるだけ質問は実質的に聞いておりますので、答弁の方も問題の本質について率直な御回答を願いたいと思います。二十八条そのものにあるというあなたの解釈はどういう根拠ですかと、こうお聞きしているのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。憲法の解釈の問題であろうと思います。私は憲法第二十八条の勤労者に対する団結権ないしは団体行動権を保障されておるというのは、あくまでも労使間の関係において理解される労働組合という趣旨及び立場において保障されておる基本的人権だと思うのであります。あるいは繰り返し申し上げましたように、文部大臣というのは、教職員の組合、勤労者の団体というその立場の日教組、この相互間におきましては、労使の関係にない。従って文部省はあくまでも文教の行政をつかさどる文部大臣が管理します営造物であります。本来の文教行政を執行するための職員がそこにおって仕事をする、あるいは国民的立場において陳情に見えることもむろんございましょう。そういう相手をする場所であって、労使間の交渉をする場所ではない。しかも繰り返し申し上げますように、文部大臣と日教組というものは、労使間の相互関係にないということにからいたしまして、憲法第二十八条の保障する労働者の基本的人権を発揮すべき場所ではない、そういう意味において申し上げたわけであります。
○豊瀬禎一君 大臣の二十七条の解釈では、憲法の条文を今さら申し上げる必要はないと思いますが、二十八条にいうところの勤労者の団体行動の権利は、これを保障する。そうすると、日本教職員組合の加盟者は、二十八条にいうところの勤労者ではない、こういうことですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。勤労者であるから団結権、団体行動権を保障されていると理解いたします。
○豊瀬禎一君 日本教職員は勤労者である、従って団体行動権は保障されておる。そうすると、先ほどのあなたが労使の場でないから団体行動権の保障は適用されない——明らかに矛盾じゃないですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。一つも矛盾はないと思います。労働者であり、勤者労である憲法第二十八条にいうところの団体であることは間違いないと思います。先ほども申し上げますように、この団結権なり団体行動権なるものは、労使という関係において保障された権利であって、労使関係に立たないものに対する権利ではない、これは私は自明のことだと心得ております。
○豊瀬禎一君 ここで荒木さんと憲法論議をしようとは思わないのですが、あなたの先ほどの答弁では、日本教職員組合の組合員は、二十八条にいうところの勤労者である。従って二十八条の三権の保障は憲法では与えられる。しかし、それは労使の場に限るというのは、労使の関係が具体的に生じた場合においてのみ二十八条は適用されるという憲法上の根拠はどこにありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。根拠とおっしゃいますけれども、憲法第二十八条の本来の趣旨が物語っておることと思います。
○豊瀬禎一君 同じ答弁ばかりされますので、これ以上進めませんが、大臣のただいまの勤労者の二十八条の三権の保障は、労使の関係にのみ限られるというのは、まことに荒唐無稽の考え方で、きょうはこれ以上この問題については追及いたしませんが、大臣十分検討して誤った見解を改めておいていただきたいと思います。 ここで法制局長にお尋ねしますが、ただいま大臣が答弁した第二十八条の勤労者の三権というものは、労使の関係が具体的に具現され得る場合にのみ限定されるという解釈に対して、法制局長はどう考えますか。
○法制局長(斎藤朔郎君) 私、労使の場においてのみ憲法二十八条の規定の働きがあるんだ、こういう説の意味を十分にまだ理解できませんので、一応その点は除外いたしまして、私の考えておりますことをお話いたしますと、憲法二十八条は勤労者の団結権を保障しておるということ、その保障の仕方をどういう工合に現在の日本の実定法上において保障されておるか、法律上の機構を通じて、いろいろの憲法以外の法律がございますが、そういう法律上の機構を通じての保障の仕方、あるいは法律を離れた事実上の、尊重とか、保障とか、そういうものもあるかもしれませんが、そういう憲法の条文だけでなくて、現在の日本の実定法全体をながめてみて、どういう保障がされておるか、そういう観点から考えるべき問題だと考えております。そうなりますと、労働組合法とか、あるいは国家公務員法とか、地方公務員法、いろいろの法律がございますが、その法律の中で個々の労働者の組合が、いかなる権利義務を持つかということは、たとえば今問題になっておりますことにつきましては、地公法の五十二条等にこういう団体はこういうことができるというように規定されておりますから、その地方公務員法五十二条という実定法の規定から、どういう保障がなされておるかということが導き出されるのではないかと思います。
○豊瀬禎一君 ただいまの法制局長の憲法解釈は、はっきりしておきますが、重大な誤謬があります。二十八条の解釈を実定法の具体的な保障の仕方から判断するということは、これは重大な誤りです。二十八条を受けて実定法がどう出てきているから、具体的にはどうなるんだということは言えるけれども、実定法がどうなっていることによって、二十八条の三権をどう解釈するかということは、日ごろ明快に答弁をしておる法制局長の見解とも思えませんが、そのことの論議はきょうはやめておきます。 大臣の見解によれば、たとえば労使の関係にのみ限定するとすると、日本教職員組合が隅田公園の土手の上でデモ行進をする、どこを探しても主なる者はいない、これは団体行動ではない。わざわざ二十一条の結社の自由とは別個に、二十八条に三権の保障をしたのは、大臣もおそらくお忘れではないと思うけれども、憲法改正の際に二つの重要なことが論議された。一つは実質は変わってきたけれども、天皇制そのまま天皇という地位を置いている。もう一つの大きな要素は、ほかのものはすべて世襲制というか、これを廃止したけれども、財産権の世襲だけは認めている。資本家に対して財産権の世襲を認めた。この対比として一つは労働者そのものに対して三権を保障し、これを生存権としてオーソライズした。従ってこの三権は労使の関係が具体的に具現する場合において保障されるということでありまして、基本的な勤労者の人権として、永久に侵すことのできない権利として保障されているはずです。 そこで憲法の、大臣に対する解釈は以上で終わりまして、大臣のただいまの見解を突き詰めていくと、日本教職員組合は、二十八条の権利に基づくところの団体であるというよりも、二十一条の結社の自由の規定、これに基づく団体であるかのごとき言辞を再々の委員会において私は受けるのですが、この際大臣の見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。二十八条の勤労者の基本的人権は、まさしく御指摘のような沿革はございましょうが、使用者対労働者という関係なしに、二十八条というものは本来存在しないものだと私は心得ております。そこで今法制局長のお話のごとく、その具体的な行動半径は実定法の定めるところによる——私もそう思います。そういう意味で教職員団体は二十八条に基づく団体として、団結権、行動権を保障されたその姿が、地方公務員法に規定するところの地方教育委員会を相手として、教職員団体が団結権を持ち、かつ団体交渉をするという制度が認められているのは御理解の通りであります。そういう意味合いから申し上げまして、私は文部大臣という立場においては、教育委員長の職を行なうものではございませんから、二十八条に基づくところの教職員団体を相手とする交渉権限は、お互いに実定法上認められていない、こう理解するのであります。そこでデモ行進をやることは、労使の具体的な関係の場でないというデモ、デモンストレーションということが起こったときに、それも否定するかというお尋ねのようでございますが、それはむろん団体行動権の一つとして保障されているわけであります。しかし、それはあくまでもその勤労者の団体の行動半径内のことであって、はるばる東京へやってきて、しかも文部省という仕事をしている——管理権者のもとに秩序ある仕事の場であるべきところに団体で来られて、自由な行動をされることが保障されていることとは全然関係のないことだと心得ております。
○豊瀬禎一君 地公法五十二条の、あるいは五十五条等から考えて、憲法二十八条の基本的な解釈は別として、具体的な実定法に入ったとしても、連合体としての組織は認められているし、そのことが総理大臣官邸前で一つの意思表示をしようが、あるいはその他の場所においてしようがが、それは当然当該組合が団結権に基づいて、団体行動をした場合には、当然これは二十八条の解釈に基づくべきものと思います。しかし、私が質問したのは、日教組を二十八条と考えているか、二十一条と考えているかと、こういうのです。簡単にいずれかを答弁願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。むろん今御指摘のように地方公務員法に認めておる都道府県の教職員の団体の連合体という意味において日教組を二十八条に保障するところの団体であると思います。
○豊瀬禎一君 ただいま、大臣の答弁によりまして従来大臣がとってこられた見解が一そう明らかになったのですが、先ほどの内藤局長の野本委員に対する報告の際にもありましたように、四月五日申し入れ事項に対する今村地方課長名の連絡事項の中にも、ILO条約八十七号が批准されても、私は日教組はいやだから会わないのだ、こういう表現が貫かれておると思うのですが、八十七号条約の精神からして、これを批准しようという方針をとっておる現在、また本国会において提案されることが事実の問題としてある現段階において、やはり大臣は八十七号条約の精神からしても日教組とは会わないのが当然だと、こういうふうに受け取れる回答を出しておられるのですが、間違いありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。日教組は、今申し上げたように、憲法二十八条に源を発するところの勤労者の団体であることは間違いありませんが、しかし、文部大臣という立場のものとの団体交渉権は、申し上げるまでもなくない、お互い持っていない。それが日本の地方分権制度を基本とする教育のあり方から当然のこととして今日まできておるのであります。ILO八十七号を批准しましょうとも、批准しませんでも、そのことは牢固として動かすべからざる私は日本としての鉄則だと思うのであります。従って八十七号条約を批准いたしましても、文部大臣が批准したことによって当然日教組との団体交渉の相手方になるというものじゃないと思います。従って労使間の団体交渉権という意味においては、批准のあるなしにかかわらず同じことだと心得ております。
○豊瀬禎一君 そうすると、大臣は八十七号の第三条の二項、あるいは四条、五条、六条をどういうふうに解釈しておるのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 条約の内容は暗記しておりませんから、必要ならば政府委員からお答え申し上げます。
○豊瀬禎一君 先ほども指摘しましたように、今国会で政府としてこれを提出しようという方針です。しかも本委員会におきまして大臣が日教組と交渉しないという態度については、憲法上からも、またILO条約を批准しようという方針からも、誤っておるということを指摘してずいぶん長くなります。その現段階におきまして八十七号条約の精神、あるいはその骨格であるところの三、四、五、六条を、条文を覚えておきなさいと私は申し上げておきましょう。その意図するところを大臣が知らないということが、記憶していない、それを勉強してないというそれ自体が、大臣が日教組と会わないことが正しいのだという誤った見解となって現われておると思います。 そこで、私は大臣の答弁を便利にするために具体的に指摘をしていきたいと思います。第三条の第一項に、これは九月一日の委員会の際にも、私は明文を読んで大臣に指摘しておきましたが、労働者団体は、完全な自由のもとにその代表者を選び、その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案する権利を持っておる。この完全な自由のもとに活動すること、そうして第二項には、公の機関は、この権利を制限し、あるいはこの行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。第四条には、その活動を停止させることをしてはいけない、こういう定めがあるわけです。この完全な自由のもとに云々という言葉だけでなくして、八十七号条約の精神は、単に大臣が言っておるように、地公法がどうだから当該教育委員会ということだけでなくて、現在の行政機構の中で、必然的に関連を持ってくる文部当局としては、当然これを批准する以上は、交渉に応じる義務を八十七号条約の批准によって負ってくると思うのです。大臣はそう考えませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。御指摘の点は、八十七号条約を批准する、しないということは関係なしに、すでにして日本の憲法のもとに結社の自由ないしは相互の不介入の原則が貫かれております。それが条約に加入することによって、国際関係におきましてもまあ一人前になる形をとるという意味で価値があろうかと思いますが、従って完全な無制限の自由を八十七号条約も保障しておる意味では決してない。日本の憲法の十二条ないし十三条というものが基本的人権、自由権にも当然及ぶということは、最高裁の判決もそうなっておると承知いたしますが、そういう趣旨を織り込んだのが、地方分権を建前とする日本の教育の場においては、教職員団体は地方公務員法の定むる限度内である、そういうことにしておりまして、結社の自由は完全に認められておる、相互不介入の原則もちゃんと明記してあると私は承知しております。
○豊瀬禎一君 大臣は本国会が始まる前からの当委員会において、私が、ILO条約を批准することによって、その精神と相反するような国内法がある場合は、これを改正していくという方向をたどるということについて賛成できるかどうかをただした際に、当然そうすべきであろうと考えております、このような回答をしております。従って八十七号条約の精神と相反する国内法は、今大臣の答弁のように、国内法はこうなっておるからだということではなくて、精神と相反する、あるいは条文と相反する国内法は、憲法の定めに違反しない限りにおいては、そちらの方が改正さるべきであるし、大臣もそうすべきであろうと思いますと答えておったのを、きょうはこれを訂正されるのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。訂正する必要はないと思います。ILO八十七号条約の趣旨に明らかに矛盾するものありせばこれは批准する以上は訂正すべきだ、しかしながら、日本の憲法に基づき、国際的な常識からいきましても当然許さるべき範囲内のある種の制約というものは、日本が独立国である以上は自主的に当然なし得ること、その限度内のことが今申し上げたような範囲内においてはすでに規定されておる、そのことと私は矛盾しない、矛盾するものありせば、たとえば在籍専従者を置くがごときは、まさしくILO八十七号条約に背反する、相互不介入の原則に反することの一つかと思いますから、そういうものは改正しなければならぬ、かように思っております。
○豊瀬禎一君 大臣が今日もなお八十七号条約の精神、あるいは条文に違反するような国内法は改正していくべきであろうと見解をとってあるということを了とします。 一九五三年、九十八号条約を日本国政府が批准をした際のいきさつを大臣にちょっと説明して見解をただしたいと思います。 これを日本が批准しようとした際に、諸外国の方は、日本は文明国といっており、あるいは日本国憲法には文化的な国家の建設を明記しておるけれども、日本の労働者の実態は前近代的であるし、労働条件は非常に悪い。従ってこれを加盟させることについては問題があるという反対意見が出た際に、日本国政府の代表は、憲法二十八条によって三権が保障されておるから、労働者がそのような不遇なことになることはありません。今後もそれがないようにやっていくという答弁をして、これが結ばれております。この精神からすると、当然八十七号条約の「完全な自由の下に」という表現は、日本国憲法と著しく抵触しない限り国内法を自動的に改正していくという精神で貫かるべきであると思います。 そこで、その問題をもう少し明らかにするために、大臣に、一九五八年十月二十日から十一月三日までジュネーブにおいて開かれました教育問題に関する専門家会議の結論が出ておりますが、ごらんになったことございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 題名だけは知っておりますが、内容は見たことはございません。
○豊瀬禎一君 大臣の手元に現在私が今指摘した資料はお持ちでございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今手元に持っておりません。
○豊瀬禎一君 一九五八年の教育問題に関する専門家の会議の結論は、現在の日本の文教行政に対しましてもきわめて示唆に富み、かつ本質的な問題について指摘をいたしております。残念ながら題名だけを聞いて内容を御存じないようですが、このジュネーブの専門家会議の結論を大臣は、どれという指摘じゃなくて、全般的にこの種のILO専門委員会の結論は尊重していくという精神はお持ちですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 内容を存じませんから一がいに申しかねますけれども、筋の通ったことに賛成するのは当然だと思います。
○豊瀬禎一君 過日の委員会におきまして同僚委員の質問に対して大臣は、新聞等で発表されたのですが、共産国陣営がひっかき回しておるようなILOは脱退し、別に作ったらいいじゃないかと考えておるというような重大な失言をして、これを取り消されたことがあります。少なくともILOに対して多少の勉強をしておられるならば、このILO専門諸委員会の結論というものは諸国の憲法を十分に考えながら非常に慎重な討議のもとに出されておるものです。従って、私がその次に指摘する内容はどういうものだろうかとびくびくされないで、基本的にそうしたILOの専門委員会の結論は当然尊重すべきであると御答弁になるのが至当ではないかと思いますが、再度不必要な見解を披瀝されないで、尊重されるのか、されないのか、簡単にお答え願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 条約の案文に取り入れられてから十分検討したいと思います。
○豊瀬禎一君 ILOの運営の中で各種専門委員会の結論というのは非常に、これを批准しておる諸外国は十二分に尊重を払い、これが実施に努力をしています。日本の文部大臣荒木萬壽夫氏は専門家会議の結論だけでは尊重するに足りない、条約の条文に入らねば歯牙にもかけない、こういった態度ですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 参考にはしてよろしいんでしょうけれども、それを守る守らないということは条約案になってきた後でなければ具体的な問題にならないものと思います。
○豊瀬禎一君 基本的に尊重するという態度ではなくして、条約の条文にならねば検討の余地がない、こういうことですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。さっきも申し上げましたように参考にはすべき文献であることは確かでございましょう。ILO八十七号条約を批准せんとする態度をきめておる現内閣といたしましても抽象的にはまさにその通りだと思いますが、具体的にどうだということは条約の案文となって、それを批准するかいなか、調印するかいなかとならなければ現実問題にはならないということを申し上げただけであります。
○豊瀬禎一君 このことに対する見解の論争はこれで終わりまして、具体的に進めていきたいと思います。
○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○豊瀬禎一君 ただいま申し上げました専門家会議の結論の中に「教師は教育上又は職業上に影響する一切の問題についてその雇用者又は他の関係者と折衝し協議を行なう権利を享受すべきである」、私はこのことの内容について深く論じませんけれども、「教育上又は職業上に影響する一切の問題」というのはきわめて広範な内容を含んでおる。教育課程はもちろんのこと、勤評その他あらゆるものを含んでおるし、また同じような条項の中に、教職員の勤評は当事者の了解なくして実施してはならないということも結論として出しております。しかし、このことに触れると長くなりますが、今読み上げましたところの雇用者、大臣が言うところの法的な労使関係または他の関係者と折衝し、協議を行なう権利を享受する、この精神からしても、一歩譲って、かりに交渉をする現行法規上の根拠がないということを仮定するとしても、八十七号条約批准を目睫に控えた現段階においては、昨日のような事態の中でも、また基本的な諸問題についても、大臣は率直に教育上または職業上に影響する諸問題について話し合いをすべきが八十七号の精神であります。大臣が答えられました二十八条の勤労者に対して三権を保障しておる精神だと思うのですが、そう思われるのか思われないのか、簡単にお答えを願います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。学校の先生が教師として今御指摘のようなことをなさることは、これは当然のことと思います。今御指摘のことは私は労働組合としての立場でなかろうと理解いたします。
○豊瀬禎一君 「その雇用者又は他の関係者」という場合は、教職員の意思表示の態様が教師という形においてここに明記する関係者に交渉する場合もありましょうし、この前文等から見まして、論議の過程の全体を通して大臣はごらんになっていないから御存じないけれども、それは教師の所属する諸団体、すなわち職員団体あるいは労働組合の場合にも当然そのことが期待さるべきであるということを定めておるのであります。大臣は都合のいいときには、教師としておいでになれば喜んで会いますと、こう言う。都合の悪いときには、法的にオーソライズされていないから会ってもむだでございます、こういう考え方は特に四月十日に今村課長の名前で愼枝書記次長に連絡された書類の一項の(1)、ILO条約八十七号を批准しても私は日教組と会いませんという考え方は非常なあやまちであると思います。そこで私は八十七号条約の第五条——法文はお持ちですか大臣、ないんですね。「労働者団体及び使用者団体は、連合及び同盟を設立し及びこれに加入する権利を有し、また、これらの団体、連合又は同盟は、労働者及び使用者の国際的団体に加入する権利を有する。」第六条は「この条約の第二条、第三条及び第四条の規定は、労働者団体及び使用者団体の連合及び同盟に適用する。」従って日教組という地公法五十二条の二項に定めているところの連合体ですね、全国的な組織、これは八十七号の第六条からすると、当然二条、三条、四条が適用される。従って、文部省としては交渉に応ずるのが批准の精神からして至当だと思うのですが、大臣の見解は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今お読み上げの趣旨は、私は自主運営と相互不介入の原則を定めたものかと思いますが、まさしく日教組という全国団体の連合体、それを作ることは自由であり、それに不介入の原則を定めるべきである。しかもそれを自主運営できるという趣旨でございまして、現在日本もそうなっていると思います。具体的な交渉相手等は日本の国内法に定めるもの以外のことはあり得ないものと思います。
○豊瀬禎一君 第六条の連合体にも適用するという具体的な内容は、日教組という連合体としての保障をされている事項と読みかえても差しつかえないのですが、完全な自由のもとに代表を選び、その活動を定め、自分たちが望む関係当局者、必ずしもそれはいわゆる明確な労使関係じゃなくして、それらの関係諸団体と当然交渉する権利を持つ、そうして公の機関はその権利を制限してはならないという趣旨ですよ。従って団体を作ることがよろしいかどうかと言っているのじゃなくて、連合体を作っておれば、その連合体にもILO八十七号の二条、三条、四条は適用される。こう言っているのですよ。市町村単位の職員団体に保障していると同じ保障を六条によって適用されねばならないと、こう言っている。おわかりですか、大臣。そうすると、当然日教組という連合体も文部省その他に対して交渉を持ち得る。このように理解すべきではないですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答へ申し上げます。八十七号条約は、結社の自由、相互不介入ということが本則であろうと思いますが、交渉の相手方とは全然別問題であろうと思います。もし、日教組という連合体を交渉の相手とするということを想定するとしますれば、都道府県教育委員会の連合体というものができて、それと日教組との間の交渉というものは八十七号の趣旨からいって想像されるわけですけれども、想像はできましても、国内法の制度上そういうことができてないからできないというまでであって、だからといって、文部大臣がその連合体の交渉の相手方たるべき筋は八十七号条約から出てくるものではないと心得ております。
○豊瀬禎一君 八十七号条約をお読みになっていないからそういう見解が出てくると思うのですが、先ほどの答弁からしても国内法上定めがないからとおっしゃるけれども、国内法にそれを阻却するような法律があるとすれば、当然これを改正していくという方針を立つべきであると思います。大臣の答弁の中には、すでに批准している九十八号条約についての第六条の解釈について、やはり公務員という解釈というか規定というものを間違って判断しているじゃないかという気がするのですが、これは地方公務員その他の場合もこの六条の公務員というのには入るのだというお考えですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。その公務員に入る、すなわち除外されておるということが政府としての統一見解でございます。
○豊瀬禎一君 ILO条約の全文は英文と仏文とあるそうですが、私はフランス語は知らないのですが、英文の場合も、きちんとした原文では、パブリック・サーバント・エンゲージド・アドミニストレイションズ・オブ・ザ・ステート、いわゆる国の機関に雇用されておるパブリック・サーバント、いわゆる国家公務員、仏文の場合は単語で国家公務員、非現業の国家公務員の場合にはファンクショナリーズと使っておるし、地方公務員の場合はアジャント・パブリック、明確に違っておって、この原文の場合には、非現業の国家公務員を明確にしてきておる。原文がそうなっておるのに、政府の統一解釈がどうか知りませんけれども、どうしてそういう地方公務員等にも適用するという外国語を勝手に辞書を作るような、解釈を作るような措置をされておるのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。英文及び仏文の解釈についてある程度論議があることも伝え聞いておりますが、この論議を念頭に置きまして政府としての外務省、労働省、法制局等の相談の結果の統一見解がさっき申し上げた通りでございます。
○豊瀬禎一君 それから続いて質問がありますけれども、理事会で報告しておりましたように、同僚米田委員の質問がありますので、これで私終わります。
○委員長(平林剛君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○矢嶋三義君 豊瀬委員の質問に関連して一問だけ伺います。それは、内閣の法制局長官の答弁ならば僕は黙って聞いて下がっているが、わが院の法制局長の答弁だから私は聞きのがすことができない。それと荒木文部大臣の発言の中に、一言どうしても聞きのがすことができない点があるから、両者に関連することがあるから、ここで質問いたします。 それは、荒木文部大臣についての一つは、先ほど本日の質疑は、昨日、一昨日の問題が中心に質疑されているわけですが、話がILOの問題に発展している。そうしてILO八十七号条約については、これが条約として発効してからでなければ意見が述べられないという形で豊瀬委員と応答した点については、私はまことに遺憾に思います。内閣は閣議で議決をし、そうして閣議の決定に基づいてわが立法府に批准を求めてきているわけです。その案件について立法府の委員から質疑された場合に、内閣の閣員の一人として条約発効しなければ具体的に答弁できないという、かような統一的な立法府における答弁というものは許されることができない。これは一つ、内容的なものは他日機会を得て伺いますが、これに対する大臣の釈明所見を求めることと、それから、法制局長の答弁として許すことのできないのは、憲法二十八条のこの団結権と交渉権については、あなたは先般の本委員会で私の質疑に対して次のような答弁をした。憲法二十八条あるがゆえに、これがあるいは公労法あるいは地公法にあるいは国公法にこの精神は生かされてきている。日本の勤労者の団結権と交渉権は前向きに積極的に推し進めるようにしなくちゃならぬ。それは二十八条の憲法の精神である。行政府もその線に沿って行政をやらなくちゃならぬということを先般私の質問に対して本委員会で答弁しているわけですね。そうしてその精神から、地公法五十二条の三項といううものが生まれてきているわけです。五十二条の三項で事実上職員団体の連合体を認めるということは、その連合体がそういう地公法五十五条でいう交渉等をする必要が起こってくるから、そういう必要性から五十二条の三項というのがここにできてきているわけです。だから、わが院の法制局長としては、当然その線に沿った答弁をしなくらやならぬ。ところが、さっき文部大臣のあとであったから非常に歯切れの悪い答弁をした。だからこの憲法二十八条を地公法五十二条の三項、五十五条等からあわせて考えた場合に、団体協約書に文部大臣が調印をしろというようなことは私は主張しませんよ。しかし、実質上、実態上、文部大臣が教職員組合に会うということは絶対的にやらなくちゃならない。これをやらないがゆえに昨日、一昨日の事態が起こってきているわけです。あなたはどう思いますか、この点をはっきりして下さい。この前この委員会で答えた憲法二十八条の精神、この流れをくむところの地公法の五十二条、特にその三項でその団体を交渉団体と認め、五十五条において交渉という条章をうたってある。そうして教職員の給与の問題等々、これも時間がないからあらためてやりますが、日本の行政の内容の実態から、日本の教職員組合の方々は当然文部大臣に面会を求めるところの権利がある。文部大臣は職務上から当然会わなければならぬところの義務がある。また、会って話し合いをしなければ文部大臣としての職責を尽くせないということは明々白々だと思うのですよ。これをやらないがゆえに、きのう、おとといの事態が起こっているわけですからね。それは詭弁を弄したような答弁をして、不明確な答弁をしているということは、冒頭に申し上げましたように、内閣の法制局長官ならば私は黙って下がる。しかし、わが院の法制局長が、先般の本委員会における答弁と違って歯切れの悪いような、かような答弁をしている点については、私は黙って下がるわけにはいかない。かるがゆえに私は質問するわけです。具体的に答えて下さい。実態的に文部大臣は会うべきである、また会う義務がある。それがこの憲法から流れる一連のわが国の法律の精神だと思う。お答えいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一点についてお答え申し上げます。先ほど豊瀬委員にお答え申し上げましたのは、矢嶋さんの御質問とちょっと違っておりまして、注釈を必要としないようにも思いますが、言葉があるいは足りなかったかもしれませんので、繰り返し申し上げます。豊瀬委員の御質問は、教育者専門家会議でこういうことをきめておる、それについてどうだと、こういうようなことでございましたから、そのことは具体的には条約案として取り上げられた。それに日本が調印するか、あるいは批准するかというときに検討をいたしたい、こう申し上げたのであります。
○法制局長(斎藤朔郎君) ただいまおしかりを受けましで恐縮でございますが、私きょう申し上げたことも、前に申し上げたことも、気持の上においては変わりはないつもりでございまして、今日の説明があるいは言葉足らずで、十分意を尽くしていなかったためかと思いますが、先ほども申しましたように、団結権の保障、団結権の尊重、その尊重、保障、そういうことの仕方には、実定法上のやり方もあるし、それ以外に事実上と申しましたのは、事実上また政治家としてのやり方もありましょうし、だからその二つの面から考えまして私は法律の実務家でございますので、まず実定法上の仕組みがどうなっておるかということを申し上げたわけでございます。事実上どういう尊重をするか、あるいは政治家としてどう尊重すべきかということは、私は法律の実務家でございますので、さような面について私は答弁いたすことは因りますので、実定法上の仕組みについて申し上げただけでございます。従いまして、実定法上の仕組みと申しますれば矢嶋先生御指摘のように五十二条の解釈問題だと思います。現在の五十二条、五十五条もちろん地方公務員法でございます。地方公務員法の五十二条、五十五条の条文の解釈といたしましては、五十二条第一項、第二項に書いております単位職員団体及び同一地方公共団体の連合体につきましては、明らかに五十五条で交渉の権限を認めておることは、文理上問題はないわけでございます。五十二条の第三項に規定されておりますこれは、わざわざ団体と言わずに組織という言葉を使っておりますが、これについては条文の文句にもございますように、連合組織を事実上結成し、または連合組織に事実上加入することを妨げるものではない、こういう条文の書き方をしておりますので、おそらくはそういう五十二条三項のできました趣旨は、五十二条の一項、二項の条文以外のことはできないという反対解釈ができては因るので、こういう三項の規定が念のために置かれておるというふうに、私は法律家としては解釈いたしております。その三項の事実上の組織、事実上の組織と申しますか、三項で認めておる連合組織について、事実上いかような取り扱いをするかということは、私は、法律の実務家である私から答弁することはできません。
○委員長(平林剛君) 本問題に関する調査は後刻に譲ります。 ——————————
○委員長(平林剛君) 次に、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。 本法案につきましては、去る三月二日趣旨説明を聴取いたしております。質疑の通告がありますのでこの際これを許します。矢嶋三義君。
○矢嶋三義君 国政調査という立場からまずお伺いいたします。法制局長、私の質問の本論に入る前に、先ほどのあなたの逃避的な答弁を、私は本院の一員として見のがすことはできない。もう一問いたします。 院の法制局としては法の行政運用はしない。確かに法律屋である。しかしその法は、立法精神からしていかように運用されるのが好ましい、立法過程から顧みるときに、かように行政運用さるべきだ、こういう見解は持っているはずです。この見解を持っていなかったら、私は、本院の法制局はその使命を果たしたことにならない。そこで私は、さっき具体的にお答えを求めました点にピントを合わしてお答え願いたい。そのためにあなたに予備知識を一つ与えます。たとえば先生方の給与について、地方交付税、これを積算するにあたって単位費用というものを設定します。たとえば本年度は、小学校費の教職員単位費用は二十万四百二十円、中学校費の教職員は二十万九千五百二十円、かように設定いたします。これによって地方交付税が組まれるわけです。それを受けて立つ都道府県は、これを基礎に給与費を予算に計上するのです。だからこれ以上の予算を組もうといっても、交付税で流れてこないから、都道府県は組めないわけです。よろしいですか。もう一つ例をあげます。小中学校の場合、たとえば旅費は一人年間今度一割上がって四千四百円になった。ところが、それが不足している。それじゃ勝手に組めるか。やはり組めない。交付税に入っていくわけです。そういう仕組みになっているわけです。そういう実態から考える場合に、文部大臣は、教職員の待遇改善等についての話し合いを至急に、憲法二十八条と地公法の五十二条三項、それから五十五条と一連に考える場合に、事実上会って話し合いをするのが適当な法の解釈運用である、かように私は百パーセント確信を持っております。法制局当局としては、かような運用が好ましいという見解を持っておられるのか、それとも違う見解を持っておられるのか。それだけ承っておきます。
○法制局長(斎藤朔郎君) 私は、先ほども申しましたように、議院法制局の職員といたしまして、議員の立案に対するサービスをするということが主でございまして、具体的の裁判とか政治とか、いろいろの問題につきましての当否ということを、私がここで申し上げることは適当でないというように考えておりますので、どうぞその点はあしからずお許しを願いたいと思います。
○矢嶋三義君 一番早く退席を必要とする大臣は、どなたでしょうか。
○委員長(平林剛君) 大蔵大臣です。
○矢嶋三義君 皆さんおそろいの方が都合がいいのですが、御事情がございましょうから、それでは大蔵大臣に関係する点を先に伺います。実は文部大臣と科学技術庁長官がおられないと質問にならないのですけれども、ここは大蔵大臣に一つ貸すことにしてお伺いします。 その前に、工業技術院の院長が来ておれば伺いたいと思います。工業技術院院長に一問発して、大蔵大臣に伺います。工業技術院長としては、この研究関係を通産省の外局として担当されているわけですが、たとえば電気試験所、機械試験所等が具体的にございますね。適格な研究者を量的に質的に確保できておりますかどうか。それからさらに、あなたの所管を少し視野を広げて、日本全国的に見た場合に、研究開発をするにあたって、技術者の需給関係というようなものについて、院長としてどういう御識見と認識を持っておられるか、お答え願いたい。
○政府委員(後藤以紀君) お答えいたします。最近研究者を採用いたします場合におきまして、人事院試験を受ける人が減って参っておるようでございまして、でそのために以前に比べまして採用が困難になっておるということは事実でございます。ただし、一般に報道されておりますものは、相当誇張されて報道されておる点もございます。それでその点についてちょっと申し上げますというと、たとえば電気試験所あるいは東京工業試験所あるいは機械試験所その他多くの重要な研究機関が工業技術院に属しておりますが、従来年によりまして退職者の数等は不同でございますけれども、年々高齢者その他あるいはまた家庭の事情等で退職する人が相当ございますので、その際はできるだけ上級の人を、有能な人材を集めるように努力いたしております。従って数年間、研究者は質的には漸次向上をいたしておるのでございます。しかしながら、三十五年度におきましては、合計といたしまして退職者の数がこれは民間等へ移る人等がふえて参りましたので多少ふえております。しかし、これもそのずっと前に……。
○矢嶋三義君 簡単に意を尽くして下さい。
○政府委員(後藤以紀君) 多くなっておりまして、その三十三年度、三十四年度あたりはかえって減っておりまして、三十五年度またふえておるというような状態でございますので、内容的には研究を行なうのに支障が生ずるというようなことはございません。ただし、私どもはそれで決して満足しておるわけではございません。今後大いに国立研究機関の重要性にかんがみまして、研究力を増大いたしますためには待遇の改善、具体的に申しますというと、研究者の格づけの改善、それから研究費の増大等によりまして、さらに十分なる人材を確保するように努力いたしたいと思っておりまして、さしあたっては採用試験の問題、それから格づけの問題等につきまして、人事院及び科学技術庁等と現在協議をいたしておる次第でございます。
○矢嶋三義君 大蔵大臣に伺いますが、まあ工業技術院長を特定して伺ったんでありますが、たとえば電気、機械とか科学方面は非常に不足をしておる、それから大学に付設している教員養成課程で、昭和三十五年の三月に百三人卒業者があったが、教員になった人は一人しかないということは、理工系の教員の確保もできない、科学技術者も確保できない、政府の関係の研究所からだんだんと優秀な研究者が逃げていって、研究に支障を来たしている、これは大蔵大臣としてはその原因をいかように把握をされ、いかに処理されようとされているか・御見解を承ります。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、最近の民間の研究投資というものが非常な伸び方をしておりまして、たとえば昭和三十三年に七百何十億という研究投資が、三十四年では千百億、昨年の三十五年度はおそらく二千億に近い民間の研究投資が行なわれていると思いますが、大会社を初めとして研究施設が、この二、三年の間に非常に強化しましたために、優秀な技術者がみなそちらの方に持っていかれるというようなことで、政府関係の研究機関というようなものへの人員確保が、非常にむずかしくなっていることは事実でございます。結局、私どもは今回人事院の勧告に従って給与制度の一部改正と、それから研究費をとにかくふやすことによっていろいろな問題が解決される面もございますので、一律各研究機関の研究費を二割予算においてふやしていくというような措置を、今度はとったわけでございますが、まだ今おっしゃられるような問題に対処する方法としては十分でございませんので、これらは関係省と十分対策を考えるつもりでおります。
○矢嶋三義君 あなたの予算編成にあたっての努力は認めますけれども、結果としては、私は非常に批判さるべき予算になっていると思うのですよ。ケネディ氏が大統領になって科学技術の振興を盛んに唱えている、そうして教育者のサラリーを上げろという教育白書もケネディ氏は出しているわけですね。昨日ソビエトはついにワストーク(東方)打ち上げに成功した、世界を震駭させた、こういうときに、あなたの組んだ予算は、たとえば宇宙開発研究費、これが驚くなかれ七千三百万円です。宇宙科学技術開発促進費七千三百万円、去年が三千七百万円、科学技術庁長官は倍になったといばっているのですが、七千三百万円。ところが、ワストークはすでに飛んだわけですね。かような世界情勢から何か反省があってしかるべきだと思うのです。 で、具体的に承りたい点は、時事問題としてワストークの打ち上げ成功にあなたはどういう考えをもってこれに接せられたか、それが一つ。それからさっき盛んに民間研究設備投資云々と言われておりますけれども、民間と、政府すなわち国全体としての研究投資ですね、これが日本では世界の情勢にマッチしていない。私は数字をあげてあなたの御所見を承りますがね。この科学技術庁から出たこの資料を見ましても、世界では各国ともなんですよ、先進国はもちろんのことでありますが、この比率というものは最低二%、それをずっとこえていっているのです。日本の場合はこの比率は一・四二%、一般会計に対して一・四二%で、総所得に対しますと一%に達していない。こういうようなことで、一体科学技術振興、それから所得倍増計画、こういうものが達成されるのかどうか、予算を数字的に検討した場合に、私は予算編成をされる水田大蔵大臣のお考えがどうなのか、さっぱりわからないのですがね。お伺いいたします。
○国務大臣(水田三喜男君) 私の方は相当わかっておるつもりでございます。と申しますのは、科学技術の振興という観点から見た日本の予算措置及び民間の研究投資というものは、昭和三十一年以前は、これはもうゼロにひとしいというくらいのものでございましたが、ようやく昭和三十一年ごろから民間も研究投資というものを重んずるようになり、また政府もいろいろそれに対する税制上の優遇措置とか、いろいろのことをやりまして、だんだんに投資が大きくなってきますと同時に、政府の予算の中にも科学技術研究費の占める割合がだんだんに大きくなってきておりますが、問題は三十一年度から初めて日本で科学技術振興というものに予算的な措置をし出したということでございますので、まだ四、五年しか事実上なっていないということと、そうしますというと、どこを一番重要視するかと申しますと、何といってもおくれているのが基礎的な部分でございますので、今御質問にありましたような宇宙科学とかいう方へまだ手の回る段階でございませんので、ここで基礎科学の振興というものがどうしても先だというような観点からいろいろな予算措置をしておるのでございますが、今年度を申しますと、大学におけるそういう意味の研究費、施設費を含めた、広い意味の科学技術振興費を見ますと、六百九十九億円ということで、昨年の予算からのふえ方は二四%ということになっています。ちょうど今度私どもは三本の柱とかいって、公共投資を非常に重要視しましたが、公共投資の伸び方も本年度は昨年に比べて二四%でございますが、大体科学技術振興費もそれと同じ比率で、百三十億円以上の予算強化をやったということでございまして、それでは外国と比べてどうかと見ますと、民間投資は、今のところ、これは外国の方が大きいのですが、総予算の中に占めるいわゆる科学振興費というようなものの比率は大体西独程度でございまして、フランスそのほかの国よりは、今年になって日本の比率が多くなったということでございます。で、アメリカ、イギリスそのほかは、日本の比率よりは多いのですが、八〇%はいわゆる軍事費でございまして、軍事費の中に占める研究費というものを省いたら、ことしになって初めて日本の総予算の中における科学振興費というものは諸外国並みになってきたということが言えようと思います。で、この調子で科学技術会議で答申されておりますような長期計画の線に沿った予算強化を年々やって参りますのでしたら、私は、三十一年度まではほとんど問題にならなかった日本の科学技術振興もあと四、五年で諸外国以上の予算の裏づけを持った進み方をするのだろうと考えております。
○矢嶋三義君 急いでおりますから、二、三問で午前中の質問は終わりますが、ワストークに対する御所見はないですね。何か感じたはずですがね。あとでお答え願います。 あなたはさっき数字を述べられましたが、どなたに教えられた数字を述べられたか、私はそういうことではごまかされません。私は科学技術庁から出たデータを基礎にさらに私が確かめた数字でさらに伺いますがね。たとえば、国の財政規模に対する研究予算の比率ですね、三十五年度は一・四三%です。ところが三十六年度は一・四二%に下がっているのです。何百億の絶対値がふえたといいますけれども、予算規模の拡大率からいうならば、今年度の国の予算の全体の増加率は一三・五%、ところが科学技術関係の増加率は一二・九%。日本の経済規模の増加率よりも、科学技術振興関係の予算の増加率の方が低いのですよ。それはさらに、外国はその軍事研究云々といいますけれども、これは科学技術月報の五十五号ですが、科学技術振興費は一・四%。わが国の防犯関係費は九・一%、科学技術振興費一・四%。それは予算規模がふえれば、何百億はふえるでしょう。しかし、その財政規模の中に占めるところの研究予算の比率、これがわずか〇・〇一にしても低下しておるというこの事実、それから国の財政規模の増加率に比して科学技術振興関係の増加率が低いというこの事実、これで一体世界の動きに追っついていけるかどうか。だからワストークに対する見解も述べようがないのじゃないですか。こういう点は、池田さんの本会議における施政演説だけで 言葉の上だけでなくて、はっきり予算案の性格というものを、そういうふうに数字的に向けていかなければ、日本の科学技術の振興も、所得倍増計画の具体的な裏づけも私はできないと思うのです。簡単に御所見を承りたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 今のおっしゃいました数字は、いわゆる予算の上にある科学技術振興費と銘打った金額でございますが、事実は、さっき申しましたように、基礎研究というようなものの予算支出が非常に多うございますので、そういう大学における教官研究費とかいうようなものをみんな入れた広義の科学技術研究費というようなものを拾いますというと、総予算に対して三・五八%という比率になります。今言いましたこの予算の上に振興費と書いてある数字だけでございましたら一三%でございますが、そうじゃなくて、そういう研究費を入れた総額は二四%の昨年に比べて伸びになっております。
○矢嶋三義君 ワストークには、どういう感じを持っていますか。
○国務大臣(水田三喜男君) まあ、これは世紀のすばらしいことでございまして、私どもとしましてはそこにいくまでのほんとうの基礎研究という段階で、もう数年、日本は骨を折らなければそこまでなかなか科学技術は到達しないだろうと思っておるわけでございます。
○矢嶋三義君 もう一点で終わりますが、そこで、月の世界の旅行が五年先か十年ぐらいでできそうだというわけですけれども、それを、あなたはすぐできるような予算を組みなさいというようなことを私は申しません。しかし、今ここで問題になっておる工業要員の養成程度のがっちりした予算は日本の経済力で組めますよ。内容はこの次にまたやりますけれども、所得倍増計画というけれども、それに携わるところの技術者の養成計画というものはめちゃくちゃじゃないですか。いずれこれは荒木文部大臣と池田科学技術庁長官とそろえてやりますけれども、三月十一日に科学技術庁長官はああいう勧告を出した。それで文部大臣とやり合って、何か閣議のあとでばかやろう呼ばわりしたということですが、大平官房長官は、この前、本委員会で私の質問に対して、今、荒木、池田両大臣にまかしてある。それで、どちらも聡明な人だから、それで問題は片づくだろうと、こう言われていました。ところが、あの勧告が出て一カ月もたっている。いまだに片づかない。池田科学技術庁長官が荒木文部大臣をばかやろうと言ったのだが、これは言ったか言わぬかも確かめてみますが、言った方も悪いが言われた方も悪いですよ。これは国民に対する影響はきわめて大きいことです。閣議の席上でやったというのだが、あなたは閣議で取りまとめ役をされておるわけなんだが、そういう事実があったのかどうかということと、一体、勧告があってから一月経過しているのですが、いかようにこれを調整されようとしておるのですか。この前、あなたと池田長官が本委員会においでになったときに、私が質疑をいたしましたところが、池田長官は、水田大蔵大臣もこれは聞いておいて下さい、三十六年度を含めた、さらに大幅な増員計画をやらなければ、所得倍増計画にマッチしたところの技術者の養成計画にはなってこない。だから、そういう三十六年度の予算に影響なくやれる部面と、三十六年度の予算をある程度修正しなければやれない部面とがある。そのいずれをも三十六年度からやる必要があるというのがこの勧告であるということを、はっきり、速記をつけて答弁した。それで、この勧告に対する文部大臣の見解を求める、気にくわなかったら、科学技術庁設置法の条章に基づいて総理大臣に意見の具申をする。それで、それがもしいれられない場合には、自分は職を賭するとまで本委員会で私に答弁しておるわけです。だから、これは今、大平長官から御答弁いただきますが、こういう問題は、宇宙船を飛ばすというような問題じゃないので、日本の今の経済力で十分対処できる問題ですよ。こういう足元から対処すべきですよ。だから、大平長官は、これをいかように調整されたのか、されようとされるのか。また、この勧告を生かすためには、この勧告の大筋は私は正しいと思うのですが、私は水田大蔵大臣にお伺いしますが、補正予算を組むべきだと思うのです。仲裁裁定に伴う補正予算も組むわけでしょう。そのときに若干の補正予算を組んで、私立学校の協力も求めて、そして所得倍増計画にマッチしたところの科学技術者の養成計画の修正をすべきだと思うのですが、お二人の御答弁を求めます。
○国務大臣(水田三喜男君) 昭和四十五年度までに不足する総計十七万人の人材養成という計画を、私どもはこれはできるだけその線に沿って実行するつもりでございますが、実際にこの計画を見ますというと、私の気持では、もう三年早くこの計画を出発したら、予算的にも期間的にも間に合ったのじゃないかと思いますが、今年からこれを出発するということになりますというと、いわゆる学校教育という部面でふやせる限度を三十六年度では二千六百人余、増募の限度をそこに置いたわけでございますが、それをやるにしましても、まず教官の養成というものから始めていかなければ、いわゆる学校教育による養成ということになりますというと、いろいろに無理が伴うということで、三十六年度は二千七百人の増というところから始まって、同時に、後年度のための教官の養成というようなところへ力を入れるというふうなことをとらざるを得ませんでした、さらに来年度、再来年度とやっていきますと、やはり十年間に七万人前後不足する、十万人ぐらいの不足という計算になりますので、この計画をもっと強化する方法については、なかなかこれは間に合いませんので、学校教育による充足画計というものも来年から強化するということと、同時に、民間のいろいろな養成機関というようなものにたよっていくという方法もここでとらなければならぬだろうと思いますし、そういうものを全部勘案して、どうしても予算的措置が足らないということでございましたら、私どもは後年度へいって考えることにやぶさかではございませんが、当初予算のときには、そういう点十分文部当局とも私どもは検討しましたが、一挙にこの計画通り、ただ増員だけすればいいということには、学校教育である以上は、やはり不可能な部面が多かったので、計画が低目にはなっておりますが、問題は、この計画の出発が私はおそかったことからくるもので、二、三年前にこの計画を出発したら、私はあの計画通りりっぱにやっていけたのではないかと今思っている次第でございます。
○政府委員(大平正芳君) 三月十一日に科学技術庁長官から文部大臣に対して御勧告がございました。この勧告は、この前の本委員会におきましても申し上げました通り、閣議の問題にはまだなっておりません。しかし、日本の成長過程におきまして、科学技術の振興をはかるために、技術者の養成について特段の関心を払われた科学技術庁長官が、文部大臣に勧告されたという事実は、池田科学技術庁長官の政治感覚の鋭さを示すものでございまして、私は高く評価いたしております。問題は、文部大臣と科学技術庁長官が、その後どういう調整をしたかどうかということでございます。御両人とも科学技術者の早期養成に万全を尽くさなければならないという目標においては、完全に一致いたしております。問題は、これを、その方法論をどうするかという問題に集約されているようなわけでございまして、ただいまの段階では、三十六年度の予算はすでに成立を見て、しかもこの予算は、政府といたしましては、今日与えられた環境のものにおきましてベストな案であるという自信を持って御提案を申し上げ、御承認をいただいたわけでございます。従って、三十六年度に科学技術庁長官の勧告に従って増員計画が盛り込まれるかどうかということでございます。三十七年度以降におきましては、勧告の趣旨に沿いまして、文部省といたしましては、大学設置基準等についても再検討を加えて、御要請のような方向に努力いたしましょうということにおきましては、見解を一にいたしております。問題は、三十六年度という時限におきまして、科学技術者の養成について具体的な手段を有効に講じ得るかどうかという点にしぼられて参りました。この点につきましては、矢嶋委員も御案内のように、私立大学におきましては、学科によりましては、三十六年度に追加募集をいたしましても、教育が可能であるという見解をお持ちの学校もあられるということを伺っておりました。その場合は、必ずしも予算的な補助をちょうだいしなくても増募できるという見解を持たれている大学もあるやに聞いておりますし、科学技術庁長官は、それをことしは予算に関係なくとも実行すべきだと、こういう考え方を主張されておりました。文部省といたしましては、それではその問題の検討に入りましょう、こういうところまできたわけです。残された一点は、一体検討をして、時間がたって、三十六年度の追加募集に間に合うかどうかという点にしぼられてきたわけでございます。私どもといたしましては、両省の間でこの点を詰めていただきまして、タイミングをはずさないように鋭意文部省といたしましても御努力いただきまして、可能なものであれば、三十六年度から実行に移していただくような工合にいくまいか、目下しぼられた一点につきまして調整中でございまして、ほどなくこの問題は了解点に達するものと私どもは存じております。
○矢嶋三義君 大蔵大臣もお忙しいようですから二間だけで終わります。第一間は簡単です。大蔵大臣としては三月十一日付の池田長官の文部大臣に対する勧告書、けさお見せしたわけですが、これに対してはどういう御所見を持っておりますか、支持しますか、しませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) 大体所得倍増計画に即応したこの科学技術会議の答申の線に沿った勧告でございますので、これはむろん賛成でございます。
○矢嶋三義君 午前中最後の質問ですが、本法律案を議了するまでに、私は内閣の最高責任者である内閣総理大臣の本委員会の出席を御要請申し上げます。ということは、池田長官の勧告は——所得倍増計画に伴う科学技術者の養成計画というものを行政府は策定して、その裏づげとなる予算案を組んで、そうして国会に上程して参ったわけです。ところが、その計画の策定そのものが誤りで修正しなければならないということの意思表示をしている、閣員の一人がね。しかもそれをするためには予算を必要としないでもやれる面と、予算を修正しなければやれない面とがあるということを、法に基づいて内閣の一員が同僚の荒木文部大臣に勧告しているわけです。きわめてこれは重大ですよ。私は、こういう所得倍増計画とか、科学技術者の養成というものは計画的でなければならぬと思う。ところが伺ってみますと、各大臣によって数字がまちまちなんです。いずれ私は本格的に時間をたっぷりとって数字を積み上げて参りますが、今大蔵大臣は二千七百人云々と言う。これは二千七百人どころではない。私の調査では三千二百二十人になっている。二千七百人ではない。大臣によって適当な数字を言っているわけです。だから、科学技術庁で積み上げている数字というものは、私はある程度信頼することのできる数字だ、かように思うわけです。 それで伺いたい点は、どうしても私は補正予算を組むべきだと思う。水田大蔵大臣、これを聞いておって下さい。仲裁裁定の補正予算は今国会に提出するということを閣議できめましたね。ただ時期だけがペンディングになっている。財源だってあるんだから、閣員の一人が修正する必要があるというのですからね。ただ若干の補助金程度でよろしいでしょう、多額にならない、補正予算の中にこれを投入して、そうして直ちに池田勧告の趣旨が生かされるように私はやるべきだと思う。しかもあなたはこの池田勧告を支持している。同感だというなら、当然そういうことをやるべきだ。あなたの裁断が下せないとあらば、内閣の最高責任者の池田総理大臣と対決せざるを得ない。この点明確にお答え願いたい。 それから、大平官房長官に、さっきお答えないですが、ともかくおかしな話だけれども、しかし、新聞にああいうふうに池田長官が荒木文部大臣をばかやろう呼ばわりしたということがずいぶん麗々しく出ている。これは事実だと思う。しかし、事実であるのか、事実でないのか、これをはっきりして下さいよ。事実だとすると、言った大臣もそうだが、言われた大臣も問題ですよ。外国では人の乗ったロケットが宇宙を一時間そこそこで飛び回るというときに、科学技術者の養成をどうするかという点について意見がまとまらずに、そうして大臣ともあろうものが、両方でばかやろう呼ばわりをして、委員会でも委員が満足するような答弁ができぬというなら、内閣投げ出したらいいですよ。そういう事実があったのかどうか。あったとするならば、私は両大臣に、いずれここでやりますが、両大臣に、官房長官として何とか私は注意を喚起してもらいたい。閣議のあとだといいますから、閣議は官房長官が司会されるわけですからね。調整役なんですから。これをお二人から承って午前中の質問を終わります。
○政府委員(大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、この問題はまだ閣議の議題になっておりません。従いまして池田大臣がどう言われたかは、閣議の外の問題でございます。案ずるに、私は、池田さんは非常に御熱心な方でございまして、御熱心さの余り、伝えられるようなことがあったかもわかりませんけれども、閣議外の各大臣のまあプライバシーのことにつきましては、私はとやかく御返答するのは適当でないと存じます。
○国務大臣(水田三喜男君) 最初に人数の問題でございますが、養成計画の数字はそうなっておりますが、すでに予算措置のとられておる人数をさっき申し上げたわけでございます。それと、今の池田長官の勧告でございますが、池田科学技術庁長官自身も申しておりますように、予算がきまるまで勧告を控えておったという事情もございます。で、それはなぜかと申しますと、特に官立大学、そのほかの養成計画は、さっき申しましたように、教官の養成とか、まず設備も整えてなければいけない問題がございますので、そういう点の制約から、三十六年度としては、とりあえず生徒の応募をこのくらいふやしたらいいというものを関係庁で一応検討した結果でございますので、問題はまだこの養成計画で、主要部分に相当担当してもらえる余地がある、それは直接には国の予算と関係なくやれる部分もあるのだからという考慮があって、計画自身不足だからこれに対処しろという勧告が、あのときの勧告のやはり一つの大きい趣旨になっているのじゃないかと思います。で、この勧告が出たのを無視して、今回の予算が組まれたといういきさつではございませんので、一応この問題は、この問題として毛、なお今年度中にこの養成計画の強化策ありゃなしやということは、当局同士で十分私は検討してもらいたいと思っております。
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。 午後は十四時十五分から委員会を再開することにし、暫時休憩いたします。 午後一晴十四分休憩 ————・———— 午後二時三十三分開会
○委員長(平林剛君) これより文教委員会を再開いたします。 まず、当面の文教政策に関する調査を進めます。質疑の通告がありますので発言を許します。米田勲君。
○米田勲君 私は午前中に豊瀬委員の質問に引き続いて、私もこの問題についてはお尋ねをしたいと思っておったのですが、昼からの分に回されましたので、できるだけ時間を倹約しながら、要点をお尋ねしたいと思います。 ところで、私がこの質問をするに至った動機といいますか、それは一昨日文部省に教職員の人たちが相当数行って、文部大臣と話し合いをしたいということについて何か問題が起こって、果ては警察官が相当数入り込んでこれを排除するというような事件が起こった。その事件は、私は労働者の立場を十分理解する一人であるけれども、日本の教育の上から立って考えると、ああいう事件が繰り返されるということは非常に困ったものだと思う。ああいう紛争の起こる原因は私はいろいろあると思いますけれども、荒木文部大臣の考え方が再検討される時期がこなければ、ああいうごたごたは絶えず繰り返されて今後いくものではないか、こういうふうに考えますので、前に私は予算の第四分科会でこの点も触れて文部大臣の意見を聞いたのでありますけれども、きょうはあらゆる方面からまとめて大臣の見解の間違っておることを一つ明らかにしながら、再検討をしていただきたいということを結論的には主張したいわけです。従って私の質問時間は、再検討してみたいという大臣の答弁があるなら一分間で終わるのですけれども、従来のような見解であれば、やはりいろいろな角度からその見解が妥当でないということを明らかにしながら、質問の時間は必然的に長くなることを一つ皆さん御了解を願いたいと思います。 最初私は文部大臣にお考えをいただきたいと思いますのは、この連絡事項で回答しておる、文部大臣は労使関係のうち外に立つ者であるから、日教組の代表と話し合いに応ずるわけには参らないという、この結論を導き出していることについて、まず第一に、私は国際的な立場からあなたにお考えを願いたいわけですが、内閣では、すでに閣議で十分検討をして、国会に対してILO八十七号条約の批准を求めてくる態度を明確にしております。従って、午前中豊瀬委員の質問に答えられた荒木文部大臣の答弁にあるような、筋が通っておるなら検討してみてもいいというような言葉は、これはまた荒木文部大臣の国際的な失言を起こしかねない言葉だと思います。大体、日本はILOに再加盟をしておる。その再加盟をしておるときに、政府代表のILO会議における発言は、この前私が当委員会でお話した通りなんです。そうして現在は、その理事国になっておる。そうして加えて、今回ILO八十七号条約を批准しようという決定を見ているわけですから、当然ILO八十七号条約の条文に示されたこの方針、この精神は、それを尊重する限り、国内法のそれに抵触する部分については積極的に改正を加えていくというのは、かつて荒木文部大臣の答えたことなんです。そこでILO八十七号の第三条に、豊瀬委員も触れておりますけれども、一、二項とありますが、その一項には明らかに「完全な自由の下にその代表者を選び、」その次でありますが、「その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案する権利を有する。」ときめておるのであります。「活動を定め、」とは、労働者の団体、その団体が自分たちの勤務条件あるいは待遇、給与等に関する問題を解決するためにどのような活動をするかというその活動であります。そうしてその計画を立案する権利というのは、その活動計画を達成するためにどういう順序でこの問題を処理していくかという計画を定める権利を有する、と、こうなっており、この条文の精神をよく踏まえて、さらに第二項の「公の機関は、」文部省のようなところです。「公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。」と、こうなっておる。この条約を批准する限り、この条文にもとることをあえて日本の政府が推し進めていくことはできないはずである。これは国際信義の上からもできないはずです。だから労働組合がその活動を定め、計画を立案していく権利を持っており、その権利を制限したり、その権利の行使を妨げるようないかなる干渉も公の機関はできないのだ、ということをはっきりうたっておるわけです、ここで。そしてそれを受けた第四条は、労働者の団体は行政機関によって −文部省によって、と、この場合考えてもよいでしょう。行政機関によってその活動を停止されることはない、となっておるのです。そういたしますと、今この条約を批准しようとする立場ですから、国内法が云々であるから、それはいけないという、そういう答弁では私は筋が違うのでないか。あくまでもこの条約を批准する立場において、当面しておる、今問題になってる交渉の問題をどう位置づけるか、どう解決をつけるかということを判断することでなければならぬと思う。このことについて、文部大臣はどういうように考えておるのか。まず第一にお尋ねをいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。ILO条約の規定を引用してのお尋ねでございますが、政府は、文部省は、あるいは文部大臣といたしましても、教職員の団体の自由を制限し束縛していることは一つもございません。
○米田勲君 文部大臣、あなたはそういう断言ができますか。それはあなたに聞きますが、日本教職員組合というのは教職員の団体ではありませんか。それを答えて下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。もちろん、お話の通り教職員の団体であり、法律に認めるところの団体であります。
○米田勲君 そうしますと、大臣、そういう法律が認めておる団体、その団体が活動を定め、たとえば待遇上の問題で、特殊学級の教員の給与がどうも低過ぎるために、なかなかその教育効果が上がらないという問題を解決しなければならぬと、今行動を定め、その行動、活動を達成するための計画を立案する、市町村教育委員会に交渉をする。問題が解決つかない。都道府県教育委員会に交渉をする、あるいは都道府県知事に交渉する。問題が解決つかない。そうなりました場合に、当然教育行政に大きくウエートのある立場にある文部大臣に対しても、同様にこの問題を訴えて解決をしてもらわなければならないという立案をした。その立案に基づいて、文部省に会いたいと言っていった場合に、あなたが会わないと言って拒否をすることは行政機関の力によってその活動が停止されたことになりませんか。文部大臣にもこの事情を訴えて、文部大臣だけではありませんよ、前から続いてきてそれでも解決がつかないから、教育行政の重要な立場にある文部大臣にも話をして、解決をつけようと考えて交渉に来たが、その交渉には応じないということになりますと、この第四条、ILO八十七号の第四条にある、行政機関によってその活動を停止されることはない、という条項に抵触をしてくると私は思う。会わないと言って、その会って話をする計画と行動を阻止されたのだ。こういうことになると思うが、どうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。私が会わないというのは、ILO条約とは関係ないと思います。交渉をされる相手方は法律上はっきりと定まっておりまして、その交渉によってすぐ解決することもありましょうし、すぐ解決しないこともあろうと思います。それはそれぞれ国の予算、地方公共団体の予算、あるいは法律制度、そういうものの改正のきっかけを作る意味において目的が果たされつつある。そういう姿だと思います。
○米田勲君 文部大臣、あなたはそういう答弁をしておりますが、何か自分の主張に食い違いがありませんか。あなたは、この八十七号条約を批准するという態度をきめたのですよ。批准するからには、この条約に定められた国際的な見解、この見解を尊重して国内法をこの線に沿うように改めていく義務を同時に負うのですよ。その点はどう考えているのですか。批准は批准、国内法は国内法で違うのであるか、全然。そういうふうにものを考えているのですか、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。条約は条約、国内法は国内法と思います。ただし、日本の憲法も定めております通り、日本が締結した条約は尊重する、尊重の義務は当然あります。尊重いたしましょうけれども、それはあくまでも日本は独立国であり、法治国であり、民主主義国であるということまでかなぐり捨てることは私は意味しないと思うのであります。日本の憲法の条章に照らして独立国として当然なし得べき行為というものは、これは国内法によって当然規定してしかるべきもの、そういうらち内においてILO条約が尊重される、そういう筋道かと心得ております。
○米田勲君 それではあなたの言い方というものはどうもちぐはぐですよ。あなたはILO条約八十七号を批准するという方針をきめておる。公労法の中のこの条約に直接抵触をする個所を直すという方針を、削除をする方針を閣議できめませんでしたか、きめている。そのようにこの条約を批准するということを実行する限りにおいては、この条約の精神、この条約の条文に現われた方向に国内法を改正する義務が伴う。もし日本の憲法だとか法律だとかをたてにとって、法律や憲法に私は抵触しないと思うが、これを批准して国内法を改正することには——こそこそ話をしておると大臣聞こえぬじゃないですか。憲法や法律に抵触しないと思うけれども、この精神に沿うて改正をしても、しかし、あなたにはこの条約を批准するという方針をきめているんだから、少なくもこの条約の条文にある言葉については、精神については尊重をするという建前で日教組との交渉の問題を再検討する必要があるという私の主張なんです。それは国内法がどうあるとかなんとかということを抜きにして、この条約を批准するという新たな立場をとった限り条約の条文に明記されているこれらを検討して、今まで交渉を頭から拒否しておった方針、態度を再検討しなければならないとあなたは考えないですか、どうですか、その点は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。批准することは閣議決定をいたしております。従ってILO八十七号条約批准後、条約と矛盾する点があるならば国内法も改正することは当然であります。矛盾しないものは、さっき申し上げたように、今のままでよろしいと思うのであります。
○米田勲君 だから私は今の国内法でいけば、日教組という職員団体は法律上文部大臣と団体交渉権なり協約権を持っていない。これは現行法によって明らかです。しかしですね、この条約の批准をするという立場を踏まえてこの交渉の問題を新たに検討する場合、その条約の条文の中には、繰り返しませんが、先ほど言ったようなことが明記されているんだから、交渉には応じないという従来の態度を、いずれになるかは別にして再検討しなければならないというすなおな判断に立つのが私は妥当だと思うのです。その点は再度お伺いしますが、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。ただいまお尋ねの点は、八十七号条約を批准しましょうとも、しませんでも関係ない、同じことだと思います。
○米田勲君 文部大臣、一方的な答弁をするというと、何ぼでも長引きますよ。あなたはこの条約を批准しても現行法と無関係なんだと、こうきめているでしょう。今の答弁はまさにそれだ。これを批准しようとも、現行法の団体交渉権が文部省に対してない、文部大臣に対してないという現行法は変化がないんだから、再検討の余地はないと、こういう判断でしょう。それが即断にすぎないんだというのです。このILO八十七号条約の各条文に示された、明らかにされておるこれらの言葉、繰り返して言うと時間がかかりますから言わないだけですが、これらの言葉から考えて、あなたは、問題を訴え、その解決を要請しようとしてやってくる職員団体、日教組という職員団体の代表者と会うことすら拒否をして、その行動を停止、阻止してしまうということは従来の態度ではあったが、これを尊重するという建前に立たなければならない限り、少なくも再検討しなければならないということになることがすなおだと思う。これを批准しても自分の今までとっておった態度は正しいんだというのはあまりにあなた頑迷過ぎませんか。これほど明確にILO条約には書いてある。結論はどうなるかは別としても、再検討する余地がないというものの言い方はこの条約を無視しているということになる。そうなりませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。条約を無視していることにはならないと思います。もし文部大臣が日教組と交渉相手にならねばならないとするならば、現在の日本の教育の根本のあり方、すなわち地方分権制度を改めまして、中央集権的にして、地方公務員たる教職員を、文部大臣の任命権者たる立場において人事権を持たせる、すなわち労使関係の使用者の関係に立たせるという方針をあらためて打ち立てる必要があるならばともかく、そうでないとするならば、ILO八十七号条約を批准しようとも、その関係は何ら変更あるべからず、あるはずがないと思います。
○米田勲君 今の答弁はあなたの頑迷な頭から出た一方的な解釈であります。何もこの条約を批准して、この条約の精神に即応するように国内の一部の法律を改正したからといって、どうして、その中央集権化しなきゃならぬとか、任命権を文部大臣が握らなければならぬというような法改正まで必要とするなどという主張はどこから出てくるのですか。そういう極端な論をするからこの質疑応答がおかしくなってくるのです。私はそういうことまでは言っておらない。どういう結論が出るかは別にして言っているのだ、わざわざ。どうしなさいと、どうならなければならないと主張したか。どういう結論が出るかは別にして、この条約を批准する限り、日教組と交渉を拒否していた自分の態度、方針について、あらためて検討するという立場が正しいのだという主張なんです。検討をしてみたが従来通りであったという場合もあるかもしれない、また別な立場であるかもしれないし、あなたの言うように最極端の、教育を中央集権化して任命権をがっちり握って統制をとって教育をやっていくといったような、そういう極悪な改悪を必要とするかしないかは、まだ検討してみなくちゃわからない。そうでしょう。だから私はそういうことではなく、従来あなたのとっておられたその態度は私たちは知っているのだから、しかし、新たなる事態が起こってきた限り、当然あなたの従来とってきた方針について再検討をするということがこの条約を批准する上からいってすなおな態度ではないか。国際的にも信頼される態度ではないかと私は言っている。それがあなたにはわかりませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。条約を尊重し、かつ再検討を加えた結論として今私がお答えするように考える次第であります。また、そういう線で閣議決定もいたしているわけであります。
○米田勲君 それじゃ、検討をしたなら、ILO八十七号の第三条、私が先ほど説明をしましたが、これについてあなたは反論をして下さい、私の主張を。研究をしたというのなら、この条文の1、2について反論をして下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。私も八十七号条約は、結社の自由、相互不介入の原則を定めた趣旨であろうと思うのですが、あくまでもこれは労使間の関係において定めることでありまして、労使の関係に立たない立場にあるものを規制する関係じゃなかろうと考えます。
○米田勲君 それはあなたの一方的な主張です。この条文を読んでごらんなさい。あなたのところにはないのですか。「労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、完全な自由の下にその代表者を選び、その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案する権利を有する。」と書いてあるでしょう。日教組という法律に認められた職員団体が、問題を解決するための活動や、それを解決に持っていくためのいろいろな計画を立案する権利は何人にも侵されないということをこの条約はきめているのです。そうして引き続いて「公の機関は、」とうたつている。あなたは公の機関でしょう。その公の機関は、この権利を制限し、この権利の行使を妨げるようないかなる干渉も差し控えなければならないとうたっているでしょう。これを一体どういうふうにあなたは僕の主張に反対して、今あなたの求めているような結論を出したのですか。それを答えて下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。御指摘のような自由と権利を保障している条約と思います。さっきも申し上げた通り、それはあくまでも労使間相互の関係においてそうであって、あくまでも国内法の合法的な範囲内でなければならぬことは条約も認めているところと理解いたします。従って何人といえども、そういう、たとえば計画をすることを日本では何人といえどもこれを妨げたり制限することは許されない。またそういうことで教職員団体が今日まできていると思うのであります。
○米田勲君 そうすると、あなたは文部省と教職員団体が、あなたのいう概念はどうかしれませんが、私の考えている概念からいって、労使関係の立場にあるということが立証されたら、具体的な事実として立証された場合には再検討をいたしますね。どうですか。これは仮定に立っているわけですから、その仮定が満たされた場合にはあなたは当然再検討しますね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。もちろんそうでございます。ただし、日本の現行制度におきましては、文部大臣は日教組との関係において、いかなる意味においても労使関係の使用者の立場ではないと心得ております。
○米田勲君 それはあなたの一方的な考えだ。非常に解釈を狭義にした場合はそうです。しかし、私はそのことについては後ほど別な角度から明らかにします。八十七号条約を批准する限り、文部大臣の従来とってきた態度については当然再検討されるべきであるというのが私の変わらない信念であります。それを頑迷固陋な、謙虚になって考えようともしないで、自分の考えている結論だけが唯一の絶対だと思っているところに世の中の紛争が起こってくる。もっと文部大臣は謙虚に考えるべきだ。自分の考えていることが絶対だと考えているところに、この委員会でいつでもむだな論議をしなければならないことになってきている。 それではもう一つ。私はこの点も豊瀬委員が触れておりますけれども、あなたはILOの専門委員会でいろいろな討議が行なわれ、そうしてそれぞれ結論が出ているのですが、この結論に対してもこれをきわめて尊重するという立場ではない。午前中は妙なことを言いました。私は、ILOの理事国になっておる日本の政府の閣僚の一人が、間違ってもILOの会議で出た結論がゆがめられておるとか、筋が通らぬこともあり得るなどということを口にしてはならないことなんです。午前中もそれに類したことを言って、私はたまりかねてあなたの言ったことにヤジを飛ばしました。ILOで出される結論は、筋が通らないものがあるんじゃないかという疑惑を持つべきではない。そういうことは、かりに考えても、閣僚の一人であるあなたが言うべきではない。これははなはだ遺憾な軽率な態度です。しかし、そういうことは抜きにして、このILO専門委員会の第一議題になったそれぞれの結論の、私は三十三——これは豊瀬委員が触れたと思いますが、「教師は教育上又は職業上に影響する一切の問題についてその雇用者又は」——その次です。「その雇用者又は他の関係者と折衝し協議を行なう権利を享受すべきである」と書いてある。こういう結論が出ている。「雇用者又は」です、「他の関係者と折衝し」となっておる。だから、私は少なくも直接的な任命権者でない、文部大臣は。しかも直接的に法律上団体交渉を行ない、協約権が裏づけられてあるといったような、法的な、日本の国内法は立場をとっておらないけれども、こういうILOの専門委員会で衆知を集めて出した結論に現われているこういう結論は、やはり尊重すべきである。尊重すべきである。その尊重しなければならないと考えていることの中に、「雇用者」だけではなくて、「又は他の関係者と」という言葉が使ってある。これは文部大臣がいつも、私は労使関係にない、私はらち外だ、こう言って交渉を拒否しておるけれども、それは「雇用者」という一面だけを強調しているからです。「他の関係者」の中には入っておる、あなたは。それは後ほど立証していこうと思います。これはどう考えますか。あなたはこれを尊重する気はありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 午前中、豊瀬さんにお答え申した通りでございますが、教育者の専門家会議でそういうことが結論づけられておることは、むろん尊重し、参考とすべきでしょうが、それを現実にしますためには、そのことがILO関係の条約案となって取り上げられ、それを日本が調印するか、あるいは批准するかという場になって初めて問題になり、そうしてそれに加盟し、批准した後に、そのことが国内法上どう扱われるかという関連を持つ事柄だと思います。で、今日の文部大臣の立場及び日教組の立場、そのことからは、当然に国内法上そういう御指摘のようなことは現実には出てこないと思います。またその専門家会議の結論にいたしましても、よもや国内法を無視してというわけではないと心得ます。法治国たる国においては、国内法の定めるところ、条約と矛盾しない範囲での国内法の定める範囲内においてさような権利があり得る、そう理解いたします。
○米田勲君 それは文部大臣、間違っていますよ。現に今度のこのILO条約を批准するときに、国内法に抵触して、どうしても削除しなければならない個所があるでしょう。自動的に削除しなければならない、これを批准したために。それは国内法と相反する個所があっても、国内法を変えてILOの条約の方向に位置づけようとしているでしょう。そういう立場をとらないではだめでしょう、あなた。だから、私はこの専門家会議のこの結論、たくさんの中の全部に触れるのは、時間が長くなるから、一カ所だけ触れたのだが、この条約を批准するということとこれとはうらはらなんですよ。あなたの交渉を拒否するという、その態度を再検討しなければならないのでないかということが生まれる大事な個所なんです。それで私は指摘したのだ。私はあなたががんこにそうやっておる限り、何回でも機会あるごとに、間違いだということをただしますよ。国際的な立場から見て、あなたの考えは間違っている。第二には、国内法の問題についてあなたの考えは間違っておるということを明らかにして質問をします。地公法の五十二条——さっきから問題になっておりますが、この五十二条の一項、二項は、これはもう言う必要はありません。第三項をことさらにここに加えた立法の精神は何か。これが質問です。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。結社の自由を尊重して、連合体を作ることができる。また、それに対して、地域職員団体が加入脱退自由である、その結社の自由を認める趣旨と思います。
○米田勲君 文部大臣、この五十二条に、単位団体と、単位団体の連合体、それから他の地方公共団体の連合体、この三つ並んでおる、三項、それが一括、五十二条にあるのです。今の文部大臣の答弁であると、これは何も五十二条の第三項に書いておかなくてもいいことです。五十二条の三項になくたって、憲法にあるのですから、自由に——禁止する法律がない限り、そういう団体を作ってはならないという禁止の条文がない限り、これは当然そんな職員団体を作ることを第三項にうたわなくたってできる。そうでしょう。それをわざわざ五十二条の一項、二項を受けて、第三項をことさらにうたった理由は何かというのです。結社の自由を認めたことです。そういうことであれば、必要のないことなんです。何がゆえに五十二条の第三項にこの条文を位置させたか、そしてこの条文を特にうたった理由は何か、それを見解をお聞きしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。日本では教職員団体は地域団体だという趣旨のことを明らかにし、その立場において、その団結権と交渉権を明記してあると思います。それだけでは十分ではない。何となれば、それは各地域職員団体が連合体を作ることもできる、また他の連合体に加入することもできるという点を、疑いがあるから明確にするためのものだと思います。
○米田勲君 それはあなたの独自な見解でありませんか。独断的な見解だ、これは。これはこの五十二条というのは、職員団体の組織のことをきめてあるのですよ。そうして第一項には単位団体、第二項には連合体、当該地方団体の。第三項には、他の地方公共団体の職員団体と連合体を作ることができる、そういうことを作ることを妨げない。表現は確かに消極的であります。しかし少なくも、ここに三つ並べて書いた限り、単に第三項は職員団体の結社の自由をここにうたってあるということでは相済まんのであります。それなら、これはなくたっていいのじゃないですか。禁止する条文がない限り、いいのじゃないですか。一項、二項は何も全国的な連合体を作ってはならないと書いてないでしょう、どこにも。禁止してないでしょう、一項、二項は。そうすれば、全国的な連合体はこの条文がなくたって作れる。それは憲法で作れる。それをわざわざなぜここにうたわなくちゃならぬかという、そこが問題なんです、理由が。それをお答え願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。結社の自由は、地公法に関係なく、あると無論言えます。五十二条にいっておりますのは、労働組合としての憲法にいうところの勤労者の団体としての規定がうたわれ、しかもそれは地域職員団体であるということを明記しておる。その角度からの団結権と交渉権を明記いたしておりますから、あたかも第三項がないならば、教職員の地域団体であるがゆえに、全国体の連合体を作るなどということに疑いを持たれるおそれがある。それを注意的に規定したものと思います。
○米田勲君 文部大臣、教職員の団体は地域職員団体でなければならぬというのは、地公法のどこに書いてあります。それを条文で読んで下さい。教職員の団体は地域職員団体でなければならないと、どこに書いてありますか、条文を読んで下さい。常識ではだめですよ。ちゃんと条文を示して下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 職員団体が憲法二十八条にいうところの労働組合の実質を持つ職員団体として認めるということは、結局、団結権なり、団体交渉権という裏づけがあって初めて意味があると思うのであります。その交渉相手方を地方教育委員会と定めること、そのことが地域職員団体である。それ以外には交渉権を持った職員団体というものはないという趣旨を明記しておるものだと思います。
○米田勲君 あなたはどうもおかしいんではないか。私の質問は、あなたは職員団体というのは地域職員団体でなければならぬと法律できめておると言うから、それではどこにそんなことをうたってあるかと聞いたのです。そういうことはないのですよ、あなた。法律を読んでごらんなさい。職員団体は地域職員団体に限るのだ、そうでなければだめなのだとどこに書いてありますか。単に、初めは、その地方公共団体の単位団体を作ることだけをすなおにうたってあるだけですよ。これでなければならぬという理由はどこに書いてありますか。第二は、その当該地方公共団体の中の単位団体の連合体、それをすなおにうたってあるだけです。地域職員団体でなければならぬということはこれじゃうたっておらない。どこにそういうことがうたってあって、あなたはこういうことを言うんですか、誤りではないんですか。教職員の団体は地域職員団体に限るのだという、そういうことは見解の誤りじゃないのですか、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今も申し上げた通り、労働組合としての教職員団体というものの存在意義は、団結権、交渉権というものが裏づけされないならば意味ないと思うのであります。その交渉権を持つ団体は地域の職員団体だということになっております。地域職員団体以外のものは許さないという書き方でないというだけでございまして、実質上私が申し上げた通りになっておる、こういう意味でございます。
○米田勲君 文部大臣、職員団体であろうが、労働組合であろうが、団体交渉権、団体協約権、団体罷業権を持っておることが、これが憲法上正しいのです。完全な姿です。労働者を守るという立場からいけば。しかし、日本の現行法はいろいろな形でそれに制約を加えておる。しかし、それは何もあなたに今さら職員団体は団体交渉権や、あるいは協約権を持たないような職員団体は役に立たぬのだとか、立つとか、そういう論議に発展していくべき筋合いのものじゃないんじゃないんですか。そういう論議は今の話とは違うんじゃないのですか。私は第三項に、第一項、第二項を受けて全国的な連合体を作ることを法定したことは、積極的に団体交渉の相手を明示してない。もちろん書面で協約するようなことも積極的にはうたってないけれども、この団体の活動を法がやり、一項、二項を受けてこの全国的な連合体というものを法が守っているのだと私は考える、積極的に表現はしていないけれども。だから第三項に位置づけた価値がある。しかしそれは非常に消極的です。この点をもう一度検討してもらわなくてはならない。それから私はさらにあなたに見解をただしたいのでありますが、今も日本の行政機構の状態が——教育行政機構と言ってもいいです——状態が、第三項を必要とするということからも生まれてきていると思う。第一項、第二項はもちろんですが、第三項を、これをうたわなくても、ことさらに結社の自由があるのだから、いいものをわざわざここに加えたということは、日本の教育行政全体の実態からみて必要があるということを考えて積極的にうたったものである。しかし、その権利等については消極的な表現がとられているにすぎない。こういう主張であります。そこで、文部大臣に次にお尋ねしますが、単位職員団体は、これは市町村教職員組合、具体的に言うなら。それから単位職員団体の連合体、これは都道府県教職員組合。この単位団体である市町村教職員組合は、もちろん勤務条件や給与その他の問題について、当該公共団体、つまり市町村教育委員会や、市町村当局者と交渉をします。これは法がきめています。都道府県の連合体は都道府県の教育委員会並びに都道府県知事と問題について交渉します。これは第二項に明示してある。ところで教職員の団体がこのように市町村教育委員会、市町村当局、都道府県教育委員会、都道府県当局と交渉をしても、なおかつ十分に問題の結論が得られないことがないかどうか。交渉の結論を出すにしてはあまりにも権限がなさすぎるような条件はないか。そこで、すべての給与や勤務条件や勤務時間等のことが交渉の相手方である当局が、団体交渉の当事者の能力を持っておって、十分に結論を得られるような行政機構になっておるということをあなた方は主張するかどうか。私は必らずこういう交渉があっても、その残余の分は大なり小なりどうしても結論を出せないもの、解決のつかないもの、解決してはならないものが残るというふうに主張します。そういうことがあり得ないかどうか、文部大臣の見解をただします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。民間団体と違いますから、公務員である立場の勤労者でございますから、交渉だけですべてが解決するものではむろんないと思います。それは公務員である関係から当然の制約でやむを得ないことと心得ます。
○米田勲君 これは別な角度から質問する場合に、あなたの言っていることは一方的だということを言いたい。私は現在の都道府県や、市町村の財政や行政権の実態からみて、職員団体と交渉しても直ちに任意な自分たちの判断では改善しようと意図しても結論を出せない問題が数多くある。実態としてある。それをお認めになったようですが、その理由はすべて公務員であるがためですか、もう一度お答え願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。公務員でありますから申し上げるまでもございません。国または都道府県、市町村の条例、予算等によって決定される範囲が非常に多いわけですから、交渉によって解決し得る範囲は比較的少ない。これはもう公務員なるがゆえの本質的な、何と言いますか、制約であろうかと思います。
○米田勲君 文部大臣の今の答弁は私は納得します、初めて。教育公務員であるという立場から都道府県や市町村ではとうてい結論の出せない問題が数多くある。国にもかかわりを持ってきているということをあなたは認めている。そういたしますと、法律は日本の国内法の立場、今ILO条約の批准などを全部抜きにして、現行法では五十二条一項で市町村の当局、二項で都道府県の当局と交渉をしても、なおかつ公務員であり、行政や財政の機構上国全体の問題にかかわってその結論を得なければならないものがあるということを認める限り、残った問題ですな、残余の問題はこの職員団体は一体どこへ訴えればいいのか、あなたはそれをどこへ訴えろと言いますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。その残余の問題は政治課題でございましょうし、行政そのものだと思います。
○米田勲君 それはおかしいではないか。大体、日本の憲法のある限り、法律を抜きにして、常識的に考えても、働いているものの勤務条件や給与や、あるいは勤務時間等の問題で法に定められた当事者と交渉をしなさいと言うからやってみた、しかし、それはそこだけに権限があるものでなかったということがわかった。都道府県当局にもやってみたが、そこではとうてい解決のつく問題でなかったというときには、これは働いている職員団体の人たちは当然それにかかわりを持っておる代表者のところへ事情を訴えにくることは常識ではありませんか、近代国家においては。それは団体交渉と名づけるか何かは別にしても、どうしても解決のつかない問題を、それに大きくかかわりを持ち、行政的にも重要なウエートを持っておる人のところへその問題の実情を訴え、改善策を訴えるためにくるのは当然でありませんか、この点はどうですか。すべて政治問題として片をつけるというのは言い過ぎではありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。二十八条に保障する意味合いの勤労者の団体という限りにおいては、今問題になっております点について、交渉相手と法律上きまっておりますその相手と交渉をやって片づく範囲以外のものは直接交渉によって解決すべきものではない、そういう筋合いのものでないということを予定して制度ができておる、そういうことと思います。
○米田勲君 法制局長がおればここで見解を聞けるのですが、いないけれども。文部大臣、日本の法律で、憲法に保障されておる基本的な権利をある程度制約をしようとする法律は、すべてその最低限度を規定してあるのです。すべて最低限度を規定してあるのです。これはもう何人もそれを認めるはずであります。憲法に保障してある国民の基本的権利に抵触をし、これに制限を加えるような法律を出す場合には、必要最低限度の線を示してあるのが日本の法の建前であります。いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。もちろんそういう趣旨と思います。
○米田勲君 だから、私の言いたいことは、最低限度のことを規定してあるという立場を理解するなら、法律に明記してある単位団体は市町村当局、そしてその連合体は都道府県当局、第三に規定してある法律が認めておる全国的な連合体は、最低限の規定によってこの交渉に応じられなければならぬことを、都道府県、市町村当局には拘束を加えているが、しかし、この第三項の示された全国的な連合体の職員団体は、文部大臣が教育行政上、または教育財政上、法律の上からいっても、政令の問題からいっても、あるいは文教予算を発議する立場からいっても大いにかかわりがあるだけではなしに、重大な影響がある立場にあるあなたに、残余の問題を職員団体の人々が訴えてくることが、法律はそれを認めておらないというふうに断言をするのは、日本の基本的権利に対する制約を加えておる立法の一貫した立場を否定しておる主張になりませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。私が団体交渉の相手方でないからお会いしないというのは、あくまでも憲法二十八条に基づくところの労働組合という団体としての日教組について申しておるので、事実問題として陳情等のことは当然国民はだれでもやれる、そういう陳情の形においての意思表示を聞かないと、いまだかつて言ったことはありません。
○米田勲君 これは交渉といい、陳情といい、その人の主観がだいぶ働きますから、あなたは陳情と言ったが、この陳情は私は何だかわかりません。今論じていることは、あなたは日教組の代表者とは会わない、会わないと言って一切拒否している。だから、そういうあなたの立場は、私が今あなたに主張をしておる考え方からいって、重大なあなたは責任を持ち権限を持っておる立場の人だから、未解決な問題をあなたのところに会って訴えるということは、法律がこれを禁止していないばかりでなく、法律の精神からいって、積極的にあなたは話を聞き、現場の事情を理解をし、国の財政その他の問題を勘案して解決のために努力するという立場の人であるはずなんです。私は当然あなたは積極的にそういう立場をとるのが、この職員団体の問題を規定した施行法の立場だと主張している、私はここで念のために言っておきますが、労働組合法にいうストライキ権を持ったり、労働協約権を裏づけたりする団体交渉をあなたはしなければならぬのだとは一言も言ってない、いいですか、そういうことは言っていないのですから、その立場からいって、あなたは当然会ってその訴えを聞き、積極的にその正しい主張、現場の事情が、教育の効果を上げるのを阻害しておるという事情がわかれば、それを解決するために努力をすべき立場にあるのではないか、しかるに完全にこれを拒否しておるのは法の建前ではないのではないか、こういうふうに私は考える、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。中央交渉、団体交渉等ということを離れて、会うか会わないかということは、毎度申し上げておりますように、事実問題であって法律上の問題ではないと思います。
○米田勲君 その次にあなたの言いたいことは、会うも会わぬもおれの自由だ、勝手だ、だから会わぬのだ、こういう論をいつも使う、しかしあなたは文部大臣なんですよ。あなたが日本の教育を伸展させようとするのに、だれに働かせなければならぬですか、あなたが日本の教育行政を、あなた一人がこの建物の中でくるくる舞いをしても日本の教育は進まない、あなたが考える日本の教育を前進させるために、だれに最もよく働いてもらわなければならぬですか。あなたどう考えているのですか、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。それは何といっても現場の教師諸君の働きに待たざるを得ないことと思います。
○米田勲君 それがはっきりあなたにわかっているなら、現場の者がきて自分に陳情するなら話は聞こう、会おう、こう言うが、一体そういうことは事実問題としてできますか、現場におる教師というのは毎日授業をやっているのです。朝から晩まで教育をやっている。そんな者が、話があるからといって、みだりに文部大臣のところにやってこられたら国の教育はどうにもならなくなるでしょう。だから、私はその代表者を少数選んで、そしてその代表者が意見を代表し実情を訴えるのを、代表してあなたのところにくるのが正しい、当然そうあるべきなんです。そんなにみんな各種の学校から教壇を捨ててあなたのところに陳情にこられたら困る、そうではないですか。そういうできもしないことならやりますと、また、そういうことが起こったら困るようなことならあなたは応ずるという。なぜ、それに応じられるような気持があるなら、それらの代表者が現場の人たちの意見を代表してあなたのところにこようとしているんだから、その代表者と虚心たんかいに会ったらいいではないですか、法律もそれを禁止しておらない。あなたが、ほんとうに第一線に活動している教育者が真剣に活動してくれなければ日本の教育が前進しないというなら、それらの教職員の代表者が会おうといって問題を訴えに来ているときに、法律がどうなっているとか、こうなっているとか言って拒否しておる態度は積極的な態度ではない、少なくとも。私は、あなたが他に政治的な思惑があるなら別ですよ。純粋に考えて当然そういう態度をとるべきだ、こう思うのですが、あなたの従来とってきた態度をこれを変更し、再検討する意思はありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今まで申し来たっておりますことは、日本の憲法、教育基本法、あらゆる法律制度に基づいての当然の帰結を申し上げておるにすぎません。労働組合である本質を持つととろの教職員団体、また全国体にそれが連合されました日教組という団体の意思というものは、あくまでも私は地公法に法定しておるところの事柄についての団体の意思しかあり得ないと思います。そのことならば、すでに法律に定まっておるように、申し上げるまでもなく地公法でもって相手方がきちんと定まっておる。そういう制度に基づいての話し合いの結論が私は都道府県等から出てくるという姿が最も正しい姿だと思います、制度上の。また、文部省としまして、末端に教育行政の趣旨を徹底しますやり方も、法律、政令、省令等もむろんございましょうが、具体的な措置については教育委員会を通じて、あるいは教育長を通じて各学校長に伝える。そして学校教職員に伝えるというやり方でやりますのと、往復同じルートを通って正規の意思決定をはかることが本来の筋道と思います。そのほかに、事実問題として個々の教職員が意見を述べられることもございましょう。あるいは研究団体が研究成果を文書等にして陳情という形でお出し下さることもございましょう。そういう御意見を聞くことは私はいささかも拒否する意思はございません。労働組合であるならば労働組合本来の相手方との話し合いを通しておやりいただくのが建前だ、こう思っておるのであります。
○米田勲君 文部大臣、話があなた、とにかく堂々めぐりで、どっかへくると垣根を破って外に出る、だめですよ。法律にきめてある。五十二条の一項、二項はそれぞれその当局と交渉することを規定している。その規定では問題が解決つかないことがたくさんあるということをあなた認めている。その解決つかない問題、あなたの見解において、それは政治問題だから政治家にまかしておけ、あるいは行政をやっている者にまかしておけと、こう言いたいかもしれないが、ほんとうに日本の教育のまじめな前進を考えるなら、それらのことを訴えにくる代表者と、法にきめてあるいないにかかわらず積極的に会って話し合いをする。話し合いをすることが交渉と名づけられるならそれでもいいでしょう。そういうことが正しいのではないかということですよ。あなたに一つ聞きたいが、あなたの論法をもってすれば、市町村教育委員会当局と交渉をする単位団体だけでいいのですよ。なぜ都道府県教職員組合という連合体を法律は認めたんですか。あなたの論法をもってすれば政治問題であり、行政のルートを通してやればいいんだ、そこで未解決なら連合体の団体が交渉をする権利を法定されたのはどういうわけですか、どういうふうに解釈しますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。再々申し上げますように、日本の教育が地方分権的な基本方針にのっとっておるから、都道府県、市町村、都道府県限りでもって、国全体という立場をとらないのがよろしいと、そういう建前であるがゆえにそうなっておると思います。
○米田勲君 教育行政は確かにそうですよ、今の現行法は。しかし、その教育の現場に働いている人たちの給与や待遇あるいは勤務時間だとか、勤務条件の問題で解決をつけてほしいと思って持ら込んだ、たとえば特殊学校の盲聾学校の寮母、その寮母の問題で、市町村当局と職員団体が話し合いをした、交渉をした。解決がつかない。当然ですよ。都道府県の教職員組合が都道府県当局と交渉をした。解決がつかない。当然ですよ、これは。この問題をどこにあと訴える場所がありますか。それは文部省しかないでしょう。あと残るところはあなたしかないでしょう。あと、この寮母の問題で、この寮母が二十四時間ぶつ通し勤務になって、時間外手当ももらっていない、この状態をあとどこに訴える場所がありますか。現場の教員はあとはあなたのところしかないはずなんです、この日本の田中の中で。そうではないですか。どこかありますか、訴える場所が。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。交渉という形で解決することは都道府県以下の公共団体しかあり得ない。それで解決しない問題をかりに文部大臣が相手して相談したとしても解決はつかない。あくまでもそれは法で、立法措置もしくは予算措置か、国会という最終の決定をして下さらぬことにはできない、問題が解決しないということでありまして、それ以外のことは任命権者たる、人権者たる都道府県以下の教育委員会でもって解決する。それがすべてを解決しない意味においては、万全でありませんけれども、公務員たる立場の職員団体対その使用者の立場の任命権者の相互関係の最大限度でやる、そのことはやむを得ざる本質上のことでございまして、それであるがゆえに労働組合が、任命権者にあらざる、使用者の立場に立たざる文部大臣と交渉して一体何があるだろう、無用のことだと思います。団体交渉の意味においては私は無用のことだと思います。事実問題は別でございます。
○米田勲君 無用なことであるというのはどういう意味なんです、無用なことであるというのは。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 前提がございます。団体交渉で解決するという意味においては無用のことであるということは初めからわかっている。
○米田勲君 それは初めから私もわかっていますよ。さっきから話しているように、第一項、第二項のところには、これはもう書面でも協約できるような権限も裏づけられた交渉権がある、一項、二項の職員団体は。三項はそれが積極的にうたわれていないというだけだ。そして事実問題としては、ここで解決がつかない。あとそのことを訴えるのは文部大臣しか残っていない。もちろん文部大臣が何でもやれるわけではないことは常識的にわかっておりますよ。しかし、あなたは発議者になり得る。どうですか。法律に定まったその法律を運用していく上に政令を出す発議者になり得る。どうですか。そういう重大な立場にあるということをあなたはどう考えておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。いろいろな陳情等を承って、なるほど問題点がそういうところにあるかなあと教えられることもございましょう。そこで発議する場合の参考になることも当然あると思いますが、それは教職員団体たる日教組でありましょうとも、一個人たる国民でありましょうとも、その関係は、文部大臣との関係においてはその問題に関する限り同じことだと心得ております。
○米田勲君 文部大臣、あなたの使っている陳情と交渉というのはどっちなんです。私が言っているのは、その交渉というのは、今あなたと僕との関係における話し合いの中に、交渉という言葉は団体協約権やストライキ権を背景にしたいわゆる団体交渉権なるものを言っていないのですよ。私はこれは前もってお断わりしている。その交渉と陳情はあなたどう違うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 交渉という言葉を陳情と同じようにお使いであるとするならば、これは私が申し上げているのは、日教組も教職員団体という労働組合の全国組織ですから、労働組合の本質を持つ団体の代表者と交渉をしまして事が解決するものは何にもない、そういう権限を持っていないという意味で申し上げておるのでありまして、それ以外の、こういう意見があるということを言われる意味ならば、日教組の代表者であろうと、一般国民の個人であろうと、立場上から申し上げれば同じことだと、そういうことを申し上げておるのであります。
○米田勲君 私の聞いていることはそんなことではないのだ。あなたと話が食い違いがあるから、使う言葉を統一したいと思って聞いているのです。もう一ぺん言わなければあなたはわからない。労働組合法に規定してあるような労働協約権だとか、罷業権を裏づけにした団体交渉権の問題は、あなたと私のきょうの話の中には全然ないということです——という交渉なんだ。その交渉と陳情はどう違うのだ。あなたは、陳情なら受け付けます、陳情なら受け付けますと、さっきから言っている。私は交渉したらどうですかと言っている。交渉の問題について再検討しなさいと言っている。交渉と陳情とどう違うのか、あなたはどう思うか。それを一致させなければ話にならない。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。労働組合に関して交渉という言葉を使えば、いわゆる団体交渉とつい理解しがちでございまして、そういう意味においておっしゃるならば、文部大臣は日教組と交渉する資格もなければ、権限もない、それ以外の意味でならば、陳情という意味で、国民はだれでも政府に対して請願、陳情ができるという立場と同じだと、こう申し上げるのであります。
○米田勲君 文部大臣。交渉という言葉は、いわゆる労働組合法にいう団体交渉権以外には交渉という言葉はないのですか。あなたの答弁を聞いていると、そういうように聞こえるな。私は何度も言っているように、あなたと私のきょうの話の中に、こういうものは除外しているのだと言っているわけですよ。そういうものは除外しての話なんだ。そう言っているうちに、どうも話がちぐはぐなので、陳情と交渉とはどう違うのかと聞いておるのですよ。こうでないのですか、あなたの言うのは。陣情というのは、来た者が、こうです、ああですと、こちらで一方的にいろいろ説明をして帰る、受ける側は何にも言わない。交渉という字は交わるという字ですから、向うが言ったら、こっちが返事をしなければならぬと、これの違いがあると思っているのじゃないですか。私は交渉も陳情も同じだと思っている。われわれの日常の生活の中では、労働組合法でいう団体交渉であれば、これははっきり違っておる。しかし、交渉といい、陳情といっても、それは言葉の単なるニュアンスの違いであって、実質はほとんど同じですよ。事情を述べにあなたのところに来ても、あなたは黙って聞くだけ聞いて、ふんふんと言って、人を帰すだけではありませんでしょう。相手の言うことについて、いろいろあなたの見解を述べるでしょう、事情も言うでしょう。そうなれば、それは日本語でいう交渉という形と同じじゃありませんか。お互いが意見の交換をする、お互いが話し合いをするという。だから私は、日教組と陳情ならやるが、交渉ならどうも団体交渉権の方と似通ってくるのでいやだ、こういう区別をする必要はないのじゃないですか。陳情も交渉も現象としては似たり寄ったりのものではありませんか、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。憲法にも、国民は陳情、請願権が保障されております。その意味で陳情といい、請願という言葉を使います。交渉という言葉を特に使う必要は私はないと思います。交渉という言葉を使えば、団体交渉以外に労働組合を相手にする場合はあり得ないというのが常識だと思いますから、その混同を避けるために陳情と交渉を使い分けているわけであります。
○米田勲君 あなた独特の論法です。幾ら説得しても、あなたの耳には入らない。 さて、その次に、私はさっきからあなたと議論しておりますが、文教予算の問題ですが、この間の予算第四分科会で、ずいぶん私はあなたの組んだ文教予算について聞きました。それで、ずいぶんあなたが現場の事情にうといということがわかった。あなたも反省したでしょう、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろんそうでございます。
○米田勲君 そういう問題を現場に働いている人たちの代表が文部大臣によく理解してもらいたいと思ってやってくる、そういう積極的な気持を持った者すら、頑迷に門を閉じて会わないというのは、結局あなたのように、予算の問題でいろいろ聞いてみると現場の事情にはきわめてうとい、ほとんど知っていないのではないかと思うことすらたくさんある。私はこの予算に現われてきておるいろいろな問題を一つ一つここで繰り返しては言わないが、学校に働いておる教職員の勤務条件や、あるいは給与、待遇等に直接、間接にすべてひっかかってきておる問題なんです。あなたのところに相当それを右にするか、左にするかのかぎが握られておるという事情については、あの三時間半の間であなたにとくと理解してもらったはずです。たとえば旅費の問題にしてもしかり、現場の職員に、学校にまで下がっていくと、年間に一人当たり七百円にしかならぬという事情も私はあなたに理解させたでしょう。どうしてそういうことになるかの事情も話したでしょう。その問題をいくら市町村の当局、都道府県の当局に交渉したって解決がつかないのです。やはり働いている者があなたのところに訴えに来て、あなたもその実情を聞 いて、なるほど自分のところで思い切った財政措置がとられなければ、末端のところではそんなことになっているのかということを理解してもらえば、そこにこそ日本の文教予算は一歩でも前進できるきっかけを見つけることができる。もちろん、あなたに言わせれば、議会でわれわれが言うからいいと、そういうふうに逃げるかもしれない。そういう道も一つあるでしょう。しかし、現場の代表者が、あなたの知らないところで隘路がたくさんある実情を持ってきて話をしたい、交渉をしたい、こう言ってきておる者まで門を閉ざしておるところに、あなたの組んだ文教予算が現場の事情にきわめて暗いという実態が暴露されておる。こんな文教予算で一体文化国家にいつになったらなるのですか。きょうは繰り返して言いませんが、あなたのところに代表者がやってきて、あなたに訴えなければならぬということは当然なのです。今の日本の行政の仕組み、財政の仕組み全体から、つまり常識的なものなんです。それをなぜあなたはそれらの代表者と会うことを拒否するのか、私は何としてもわからない。何か別に意図があるとしかわからない。別な意見があるならば、私はその限りにおいて理解するけれども、この間もやりましたが、極端に言うと、この予算の一つ一つがみなあなたの手に握られているのだよ。あなたが奮発をして踏み切らない限り都道府県は踏み切らないのだ。何事でも自動的に、半額国庫負担だから都道府県が出すなら私は自動的に出しましょうとあなたは言うかもしれない。行政、財政の仕組みはそうなっておる。しかし、実態は逆なんです。これもあなたによく聞いてもらったはずです。だから、私は法にどう書いてあるとか、法律がどうだとかいうことを振り回す前に、日本の教育をよりょく前進させるために、現場の事情を理解したいという気持を持つべきだ。そのためには、それらの人々の代表者から時間の許す限り積極的に事情を聞き、また自分がそれらの教職員に期待していることを述べて、お互いが話し合うということが日本の教育を前進させる上に大事なことなんです。それをあなたは拒否しておるのだ。予算の問題等について、あなたはそのことを再検討するというような気持になっておりませんか、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。労働組合たる日教組と交渉するとと、これは申すまでもなく、なすべきことではないと思います。しからば、事実上会って話を聞いたらいいじゃないか、そのことを拒否するものではむろんございません。しかし、私が教育の末端のことを知る知らないということは私の非常に不徳のいたすところでございますが、これを補うものには行政組織がある。文部本省にもそれぞれベテランがそろっておって内助をしてくれる建前になっておる。それをまた内助をする意味においては、地方行政組織がございます。それに協力をする学校長ないしは教頭等の管理職がございます。それらを通じまして、日教組から話を聞くよりも、より正確な確実な資料が十二分に集まる仕組みになっておる。それが第一義だろうと思います。さらに足らざるところの政治課題は、国会で御指摘願って、改むべきところは改めていくという機会を最終的に与えていただく、それで私は十分だと心得ます。そのほかに、事実問題として参考になるようなことを聞かしてもらうということをこばもうとは思いません。
○米田勲君 あなたのような論をする立場であると、職員団体なんて要らないんだ、交渉する職員団体なんて。行政機構がりっぱにある。何のために職員団体を法できめて、交渉する権利、書面で協約する権利まで職員団体に与えておるのか。あなたの論をもってしたらそんなものは要らない。ちゃんと政治家もいる、行政機構も完備しておる、それでいいはずだ。それではうまくないから、よりよく現場の事情をそれらの行政にも反映させるためにそういう道が開かれているのが、職員団体の法定されている理由ではないか。それがはしなくも第三項に至って、積極的にあなたと交渉しなければならないとうたってないという理由だけで、当然聞くべきあなたの立場であるのに頑迷に拒否しておる。これは何としてもあなたに考え直してもらわなければならぬ。 次に、もう時間があまり過ぎて恐縮なんですが、私は、一体あなたはこういうことをどう考えますか、法治国家では、憲法や法律等に基づいてお互いが行動をする、そういうことが正しいことはもちろんです。しかし、法律にきめてない、政令でもうたってない、規則にもないが、長い間われわれが慣行として、慣例として、または先例としてやってきたようなことを尊重していくという立場は大切なのではありませんか、どうですか、あなたはどう思っておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。慣行、慣例のいいものは踏襲すべきだと思います。悪いものは改むべきだと思います。
○米田勲君 その悪い、いいが、あなたの独善的な判断できめられていいのかどうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。独善的であってはむろんいけません。法律、制度に従って判断すべきものと思います。
○米田勲君 大体慣行や先例は、法律などに規定してない場合の話でしょう。法律に規定していれば、法律を見ればはっきり出ている。法律やその他のものにはっきりきめられていないけれども、長い間そのことが先例として、慣習として、慣行として行なわれてきたということは本来尊重すべきものなんです。この議会だってそうでしょう。国会法できちっときめてあるほかに、われわれが長い間積み重ねてきた慣行とか先例、そういうものを尊重して国会の運営をすることが大事でしょう。それと同じように、私は国家の相互間でも、個人の相互間でも、団体の相互間でもそうだが、法律だけを振り回して、法律以外のことは一切まかりならぬという立場ではなしに、今まで長い間行なわれてきたこと、そのことをも十分尊重してやるという必要があるんじゃないかという立場を私は持っておる、あなたはどうか知らぬが。あなたに聞くが、日教組という団体は昭和二十二年に生まれたのだ。それ以来、歴代の文部大臣が相当かわりました。文部大臣で日教組と、話し合いであろうが、交渉であろうが、陳情だけであろうが、それは私は問いませんよ、いわゆる団体交渉権というその交渉でなしに、法が途中で変わりましたからね、交渉しているでしょう、歴代の文部大臣は。ただ一人、歴史的なのはあなたです。たくさんの文部大臣が歴代にわたって日教組と話し合いをしてきている。それは、ときには紛争を起こしたこともあるでしょう。しかし紛争を起こして、マイナスだけではなかったはずだ。それは歴代続いてきたことからいっても、私はそのことが言えると思う。それをあなたの代になってから、頑迷にびしっと切ってしまう。あなたに言わしたら、それは悪い先例だから、悪い慣例だから切ったのだと言うかもしれない。しかし、あなたはそういう頑迷な立場でなしに、もう少し自分の先輩である歴代の文部大臣が、だれ一人としてあなたのような態度をとらなかったことをどういうふうに考えているのか。なぜあなた一人だけが、私に言わすと、独善に頑迷に交渉を受け付けない、会うのはきらいだと言わなければならないのか。歴代の先輩の文部大臣の交渉に応じた態度を、どうあなたは判断しておるか、それを聞いておる。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。日教組と交渉せねばならないことはないから会わないのであります。従来、交渉に応じた大臣があったことも承知いたします。それは事実問題として陳情を聞くということであったかと思いますが、それはその人々のそのときにおける判断によって、そういうことをしたということであって、私の判断によるならば、日本の教育のあり方からいって、日教組との交渉などに応ずることそのことが、法律、制度の趣旨に反する。また、事実上今の段階でお目にかかって話をするなどということは必要でない、むしろ有害だと私は判断をしておりますから、お目にかからないだけでございます。
○米田勲君 私は、あなたの判断はわかっている。耳にタコができるほど聞いておる。あなたの以前の先輩の文部大臣が、だれ一人として在任中に日教組と交渉に応じないと言った人はいない。それは回数の多い少ないはあったでしょう。だれ一人として、あなたの先輩はそういう行動をとった者はない。それはなぜだといって聞いている、なぜか。あなたはそれをどう思っているか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今までのそういう事例は聞いて知っております。その現場は知りませんけれども、会ってみても何にもならなかったということがわかったということが一般の通例であったように承知しますから、そういうことならば、ことさら先例になずんでお目にかかる必要はなかろう、こう思っておるのであります。
○米田勲君 文部大臣、それから自民党の人たち、僕は先ほど冒頭に言ったように、文部大臣が、いろいろ事情が起こってきたから再検討してみたいという一言を言うなら、私は一分間で質問をやめる。だから途中で茶々を入れないで、僕は真剣になって、文部大臣に反省を求めている。待ってもらいたい。文部大臣、あなたは私が聞きたいことに、今率直に、すなおに答えようとしない。ふしぎではありませんか。歴代の文部大臣が、だれ一人として行なわなかったことを、あなた一人だけがやっている。そうしてその交渉したことによって何の弊害が一体起こったという、そういう事実があるかどうか。あるなら私は聞きたい。それは、ときには言い合いをして大声になったことはあるかもしれない。しかしそのために何が起こったか。私そういう文部大臣が歴代にわたって、前には、法律上権利があったときは別ですよ。途中から、権利がなくなってからは慣習として交渉に応じてきた。それは私は非常に大事なことだという主張をしたい。これは公の秩序または善良の風俗に反しない限り、慣習は法令の規定により認められたるもの及び規定なき事項に関するものに限り法律と同一の効力を有するということさえ言われておる。だから私は文部大臣に、自分だけ判断をしておることが正しいと今まで考えられていたでしょうが、この場合ILO条約も批准することであり、予算を組んだ際に現場の事情もほとんどわかっていない事情もあり、あるいはまた職員団体が法にきめられた当局とそれぞれやっても、大かたのものは問題が片づかない事情にもあるし、長い間の慣行でもあるから、この場合、日教組の代表と会わないという態度について、もう一度検討してみますという弾力のある態度になれませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。私は当たりまえのことをやっていると思っておるのであります。会わないということは、これは当然のことだとそう考えて今日に参っております。米田さんのせっかくのお話でございますけれども、再検討せねばならないということは私にはよく理解できないのであります。
○米田勲君 私は、だいぶ時間も経過しておりますが、最後に、文部大臣はわれわれがこれほど長きにわたってあなたの態度について再検討をしてほしいという希望をるるあらゆる角度から今まで主張し続けてきておる。しかし、あなたは終始一貫、頑迷固陋に今の言い方を通しておる。そんなことで日本の教育が前進できると思ったら大間違いである。あなたはいたずらにトラブルを好んでおる。また話し合いで問題を解決していこうというより、相手方とトラブルを起こすことだけを考えておる。それがあなたの今の態度だ。日教組と積極的に話し合いをする、話し合いによって問題を解決するというよりは、警察官を使って引きずり出したり、会わないと言って頑迷に拒否したりしておる。そういう対立状態の中に、そういう紛争の中に日本の教育は前進するわけがない。私は断じてそのことを主張しておく。この文教委員会のある限り、あなたが文部大臣である限り、私はあなたと頑強に戦っていくつもりだ。こういう文部大臣のある限り、日本の教育は前進しない。争いは今後も長く続く、そのことを断言しておく。以上で質問を終わります。
○千葉千代世君 関連。
○委員長(平林剛君) 関連ですね。それでは簡単に一つお願いいたします。当委員会で要求した出席大臣も見えられておることでありますから、先ほどの委員長、理事打ち合わせの線もございますから簡単に御質問をお願いいたします。
○千葉千代世君 文部大臣にお伺いいたしますけれども、今まで歴代の大臣が日教組と会った、会ったけれども何も効果がなかったと、こういうことをおっしゃいましたのですけれども、具体的に、それでは日教組が結成されまして昭和二十二年六月八日以来お勤めになった大臣の一人々々について、どういう話し合いがあって、その話し合いの中から何も出なかったという結論をおっしゃって下さい。私はお話し合いをしてよりよい効果をたくさん上げてきた幾多の事実によってこれを反駁したいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。一々私は会われたときの様子を調べたわけではございませんから、ただ、だれに聞いたとも覚えないようなことでございますけれども、様子を聞いたことはあります。その結論的なことは、何にもならなかったという感想を聞いただけでございます。
○千葉千代世君 それはどの大臣からお聞きになりましたか。そういうふうに抽象的なことをおっしゃられては困るのです。たとえば田中耕太郎文部大臣と会ったときにはどういう話し合いがあって、どういう効果があったかということ、あるいは免許法の改正、給食法の問題等々たくさんのことでお話し合いしたわけです。それで幾多の成果を上げているわけです。ですから、大臣がどの前大臣からお聞きになって何にもならなかったとお考えになったか、そこをはっきりおっしゃって下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今申した以上のことを格別存じませんけれども、ただ、以前は文部大臣が団体交渉権もしくは団体交渉の責任を持っておった時代があったと思います。そのときには、これは当然お目にかからなければ法律違反、お目にかかった以上は団体交渉権を持った同士の話し合いですから、何か成果があったはずと思います。もしなかったとすれば、なかったことがおかしいぐらいじゃなかろうか。そうでなくなった以後のことをばく然とながら聞いてみますと、具体的に成果が上がらなかった、その成果が具体的に残っていないというふうに聞いているのです。
○千葉千代世君 それは大へんなあなたの聞き違いかどうか存じませんけれども、それをおっしゃった大臣の名前を具体的にあげていただきたいのですが、そうでございませんと、ただ文部大臣が御自分のおっしゃることを有利に展開するために前大臣を引き合いに出して非常な迷惑をこうむると思うのです。ですからぜひ具体的におっしゃって下さい。でなければ今までおっしゃったことを取り消していただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げますが、それぞれの大臣に一々お目にかかってお尋ねしたわけではむろんございません。文部省内で、事務当局に様子をばく然とながら聞いてみまして、今申したように感じておるわけであります。のみならず、先ほど来申し上げるような意味合いにおいて慣行とおっしゃいますけれども、慣行にも踏襲すべきものと踏襲しない方がかえっていいんじゃないかということと二種類あろうかと思いまして、私は後者に属するものと心得ておるのでございます。
○千葉千代世君 大臣、うそをおっしゃっては困りますね。先ほどは、前大臣から聞いたけれども何にも効果がなかった。今は文部当局の事務官僚から伺った中にそういうことがある、こうおっしゃったわけですね。どちらがほんとうでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先ほどお答えした語尾がはっきりしなかったせいかと思いますが、前大臣に聞いたとは申しておりません。だれということを記憶しないぐらいのばく然たる相手方に聞きましたと、こう申し上げました。事務当局から聞きましたと申し上げましたのですが、それがそうなんでございます。
○千葉千代世君 昭和たしか二十年の十一月だと思いましたけれども、マッカーサー司令部に幣原当時の首相が呼ばれて、そして労働組合の促進、教育の民主化あるいは婦人の参政権等々について日本側に提示したわけですね。それを受けた幣原首相が当時の閣内で相談し合って、この中には占領当時としていろいろ条件があるけれども、特に戦前の労働者がばらばらで、一人々々の力ではとても自分を守っていくことはできない制度の中にあった。戦前からいろいろ労働運動があったけれども、これも封殺されておった。だから占領下であって占領軍としての勧告ではあるけれども、日本の勤労者が一人々々権利を主張しておって幾多の辛酸を経た結果もあるのだから、これは労働組合の促進あるいは教育の民主化、そういう点で大いに自分たちは日本の民主化のために尽くすという約束をしたわけです。その戦前からの勤労者の意欲とそのような勧告と、それからいろいろの情勢が相待って、日本の進展のためにはどうしても労働組合の促進をしなければならない。教育制度についても幾多の民主化をはかっていかなければならない。こういう観点から発足して、そして団体交渉権を持ったけれども、それは大臣の言われる通り、正式な団体交渉権を持ち、団体協約を文部省と結んだ。その結んだ中にたくさんの条項はございましたけれども、昭和二十四年でしたが、御承知のように政令二〇一号が出て、団体協約というものはこれは無効にするけれども、そのかわり人事院というものを置いて、公務員の問題については全面的に政府がこれを取り入れて、よりよい労働条件を作って、給与の問題についてもその通り、こういうことを約束されたし、日教組と結んだ団体協約の中で、福利に関する件、休日の問題であるとか、あるいは産休の問題であるとか、こういう教員の福利に関する件についてはこれを残しておいて、そうして交渉を続けていく。ストライキ権はなくなったけれども、そのかわり、これこれの条文については幾多の覚書もあったはずなんです。その後、団体協約がなくなって以後の文部省との交渉の中で、免許法の問題一つを取ってみましても、当時、劔木さんがいらしたはずですが、これは大臣、次官と七十回ぐらい交渉していらっしゃる。そうして非常に押しつけられた免許制度、不法なものをだんだんよくして現場に出していく、それには現場の意見を聞こうではないか、たくさんの現場の人たちから意見を取って、それで中学校については一科目しか出さないのを二科目にしようじゃないか、たとえば師範学校卒業したものについては。そういうふうにこまかい問題についてずいぶん改正されていったわけです。あるいは給食法につきましても、これはやっぱり農林省の食管関係と文部省の関係でいろいろな問題があったけれども、とにもかくにも現場の子供たちがおなかがすいておる。あるいは食生活の改善、あるいは体操の先生については加配米をよこせ、というとおかしいのですが、加配米を出せと、こういうような話し合いを続けてたくさんの成果を上げておる。賃金の問題でも、御承知の通り最低六百円の保障給の問題から発展して、その当時は地方々々でもって結んだ給与の問題についても、ですから、でこぼこになっていたわけです。そういう点についても、文部省では地方の実情と照らし合わせて、特別不当のものについてはどうしようではないか、文部省にその権限はないけれども、皆の意見を聞いて大蔵当局に対して義務教育の負担分をどうしようとか、それから全部国庫負担から半分負担とこうなった。こういう推移の中でいつも文部省は真剣に交渉に応じて下すった。私も現に昭和二十年から、田中文部大臣から歴代の文部大臣にお会いいたしました。一生懸命なるあまり、やはり議論は沸騰することもございましたけれども、腹の底には、お互いに日本の教育をしょって立つんだという意欲というか、気力というか、あって、そういうものについてはお互いに真剣に話し合っていったわけです。大運文部大臣から少しおかしくなっていったわけです。非常に御不幸にもなくなられたのですが、いろいろ考えていった場合に、やっぱり人の気持を率直に聞いて、謙虚に聞いて、この問題はこうだからと、一つの問題をとらまえてあらゆる角度から検討しなければ、日本のどんな文化も進んでいかないということを私は考える。特にその省の責任の地位に当たるものは一人々々の教員の気持というものを、文部大臣は文部省の中で電波探知機か何かで全国六十万の先生の胸の中で思っていることをぼっぱっとわかれば別ですけれども、まだそこまで発展していない。そうすれば、やはり持っている気持を一人々々が出し合って、それを学校の先生方の代表なり、郡の代表なり、県の代表なり、これらがまとめて、そうして陳情するなり、交渉するなり、名前はどうでもけっこうです。とにかくお話し合いをして前進していこうという、こういう姿勢がない限りは、私は日本の教育者というものは非常に気の毒だと思うのです。自分たちの考えというものが、大臣のおっしゃるように、職制を通してだけしか言われないということでは、戦前と何ら変わりがない。私たちは戦前の教育会に入っておって、そうして教育会の総会がありますというと、校長先生が委任状に判こを押しなさい、こう言われるのです。校長先生、教育会の総会で何かございましたでしょうか、ようわからぬじゃった、それで済んだんです。ところが、それでは日本の教師一人々々がほんとうに教育を達成する道ではないということを悟ったがゆえに、自分の権利を主張することは人の権利を守ることである。権利を主張することは当然義務が生ずることはあたりまえのことであって、そうした相関関係の中でお互いに真剣に取っ組んでいく、そういう姿勢で絶えず切磋琢磨していくということで、そうして教育の前進があるのじゃないか。こういうことで私たちは大衆の意思を結集して文部大臣と話し合うということがぜひ必要である。特に文部大臣が再三言われるように、現場の一人々々の先生は大へんいい先生だ、けれども、日教組は気に食わない、こういうわけですね。そのいい先生がお互いに選んだ代表が悪いというはずはないですよ。どうですか、おかしいじゃありませんか。私は時間がないからやめたいと思いますけれども、聞いておって非常に情ないと思ったのは、話し合いをして何も効果がなかったということを放言するということは、私は非常に不見識であると思うのですが、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先ほども申し上げました通り、団体交渉の立場にあった制度のもとにおいては成果が上がったはずであります、それはそういう制度のもとにお互い権利と責任を持って交渉したわけですから。その後は、その制度が変わった以後におきましては団体交渉できまるはずがない、きめちゃいけないことになっておるわけですから、成果が上がるはずがない、そういう意味において私は具体的に何が残っておるかつまびらかにいたしておらないのであります。大部分の先生はりっぱであると今でもかたく信じております。私の郷里の狭い範囲でありますけれども、それだけを見ましてもそれをかたく信じます。日教組とそれを区別しておることはおかしいとおっしゃいますけれども、私は毎々申し上げましたように、共産党が三千人以上もおって、地方々々の幹部として活躍しておるそのことは、ほめたことではなかろうと感ずる一人であります。ことにいろいろな問題につきまして文部省を敵だと規定して、敵だと言いっぱなしのままで話し合いとか何とかおっしゃいますけれども、その気が知れない、どういうことだろうかと、むしろ私は不思議に思っておるのでありまして、事実問題としてお目にかかるということは、今としては適切ではあるまいと、かように考えておる次第であります。
○千葉千代世君 私はそれでは資料を要求したいと思いますけれども、歴代の文部大臣と日教組が、交渉なり話し合いなり、何でもけっこうです。とにかくお会いして話し合った内容とその後の成果の進展について、これはぜひとも初めから出していただきたいと思います。というのは、団体協約がなくなった以後の文部大臣との交渉の後にも私たちはたくさんの成果を上げていると思うのです。ですから、五十万の教師たちは一緒になって、これはやはり自分たちの責任をお互いに明らかにしていくためには、いろいろな教育の実情を出し合っていく教育研究集会が持たれているし、交渉の中でも数々出さているわけです。だから、それを具体的に現わしてほしいということを、よろしゅうございますね、これはぜひ出して下さい、あなたは出す責任がございますから。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えしますが、格別具体的な成果が上がって残っておるものはないように私は承知しますが、これは以前からのことを知っております事務当局でないとわからないので、必要ならば事務当局からお答えさしていただきたいと思います。
○千葉千代世君 各歴代の文部大臣とお会い下すって資料をやはりはっきり出して下さい。文部官僚の方もやはり変わっていらっしゃいまして、そのときの風潮によって都合のいいことを言われる人もございます。指摘してもよろしゅうございます。ですから、やはりそうではなくて、文部大臣のずっと生きていらっしゃる方々、清瀬さんでもよろしいし、全部お会い下すって、これこれはこうであったということをしっかり書いて出して下さい。そうでなければ承知できません。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ある限り資料を作ってお出しいたします。
○千葉千代世君 私の申し上げたのは、歴代の文部大臣とお会い下すって、何月何日とまではわからないでしょうけれども、大体どのくらい、何回ぐらいお会いになってどういう話し合いがあって、その後どうなったかということについて出していただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) できるだけ御要望に沿うようにいたします。
○千葉千代世君 もう一つ、もうこれで終わりますが、労働慣行の件ですけれども、たとえば東京都には都労連と申しまして、東京都労働組合連合会というのがございます。日教組が連合組織であって、今、大臣がおっしゃったように会う理由がないと、こう言う。交渉する理由がないとおっしゃる。東京都では、この連合会が労働慣行の三十年の歴史の中で、これは法律よりも重んじられてきているわけですね。そして歴代の知事はいつも話し合いをして、そして東京都の労働行政についてはもうほんとうに謙虚に胸を開いてお話し合いをして、そしてほとんど都労連については何一つトラブルもないでしょう。りっぱに業績をあげているわけなんです。そういう労働慣行がたくさんある。ところが今まであった労働慣行も、さっきおっしゃったように、確たる証拠もないままに、御自分の主観で、一文部官僚がこう言ったからといって、国政を審議するこの当文教委員会において、あいまいな自分の考えで、今まで会って何の話をしても成果は何にもないからやらないと、そういうふうに独断できめつけていく文部行政というものに対して、私は戦前と同じような、あるいはより以上の何か暗いおそろしい感じを持つものなのです。やっぱり私どもは日本の教育は国民全体のものとしていくと、こういう観点から進めていく、全体のものにしていくためには、その衝に当たっている教育者の一人々々の考え、意見というもの、これを代表がまとめて文部大臣に申し上げて、みんなはそう思うけれども、今は予算でかくかくだ、制度はかくかくだ、こういう問題が話し合えないで、みずから閉ざしていくということは、これはおそらく世界にも類例がないと思います。私どもが参りました世界教員会議でもそのことは問題になったのですが、その門戸を閉ざされているというところはやっぱり独裁支配の傾向の強いところとか、植民地主義の中でその国の一人々々の意見が反映しない、すべてにおいてそういう状態の中では、教師だけが例外で自由とは言えないけれども、それはごく少ない国であるわけです。私はそういう点から考えまして、日本が一番大事な、日本の再建の道が教育だということを考えてみますと、そういう点でやはり門戸を閉ざしていくというこの件については、深くお互い考えなければならない。特に文部大臣がいわれのない理由を取り上げてこれを拒否しているということについて、これは非常に困ると思います。これは要望でございますが、とにかく資料をいただきまして、これはお互いにもう徹底的にお話し合いをしたいと思っております。
○委員長(平林剛君) 本件に関する調査は、本日のところこの程度といたします。 ——————————
○委員長(平林剛君) 次に、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を午前に引き続いて議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので発言を許します。
○矢嶋三義君 この法案は工業教員養成に関する内容のものでありますが、この案件を審議するにあたりましては、日本の科学技術行政が日本の政治の中に占める位置、それから日本の科学技術水準が世界のその水準に比していかなるレベルにあるかという位置づけが明確になり、さらに政府の所得倍増計画、あるいはこれに伴う技術者の養成計画が明確にならなければ、この法案の内容が的確に審議できませんので、逐次私は系統立てて審議して参りたいと思います。本日は時間が相当伸びておりますから、きょうのところは文部省と科学技術庁、それから経済企画庁、この三者の方々だけに居残りいただいて、そこにピントを合わせてお伺いいたしたいと思います。 まず、荒木文部大臣、池田科学技術庁長官に伺いたいと思いますが、一九六一年の年頭に当たって、世界の科学者には、本年こそは人間衛星宇宙船が飛ぶであろうという予言がなされておりました。それがアメリカの手によって、あるいはソビエトの手によって先になされるかということが関心事であったわけでありますが、ロケットの推進力が飛躍的にすぐれているというソビエトによって、遂に昨日、人工衛星宇宙船ウォストークが一時間四十八分の長時間で見事成功いたしました。このことはわが国の内閣の閣僚である、しかも科学技術関係である所管大臣としては何らかの感想、所見を持ち、今後に対処される御用意があられると思いますので、両大臣からその感想、所見を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。米ソの、特にソ連の今度の人間衛星打ち上げに驚異の眼をもって感動したわけであります。翻って日本を考えた場合に、およそ及びもっかない遠距離のことのように考えられました。
○国務大臣(池田正之輔君) ソ連が人間衛星を打ち上げることは、前々から世界の人たちが期待しておりました。しかし、何と申しましても人間が初めて宇宙に突入したこの歴史的な事実は、これは人類の科学の進歩の上からいって非常に私は喜ぶべきことだと存じております。ただ、日本の科学技術がこれと比較いたしまして、今、文部大臣は及びもつかないと言われましたけれども、これは別の角度から申されたことであろうと思いますが、日本の基礎科学はそれほど幼稚なものではなくて、中にはなかなかりっぱな学者もいるということをもって私は若干意を強うしているものであります。
○矢嶋三義君 お二人ともですわ、びっくりして感想はないということですよ。これは相当長い問題で、世界の科学者というものは重大関心を払っておった問題ですよ。一国の担当国務大臣の感想所見としてはまあ落第ですね。町のあんちゃんか何かの感想ならその程度でいいけれども、いやしくも担当国務大臣としての感想なり所見としては、もう少し内容のあるものを私は期待をしておったわけですが、じゃ質問を進めます。 そこで、文部大臣に一言伺って、次に、科学技術庁長官へと質問を移しますが、文部大臣、午前中からずっと質疑応答を重ねておりますが、そのためにこの法案の審議というものがこれだけ時間がずれたわけです。それだけ日本の文教政策というものが私はゆがめられていると思うのですね。しかも政治家は信念を持つということは大事でしょうけれども、その信念というものはやはり正しいものであり、大かたの国民によって受け入れられるものでなければならぬと思うのです。あなたが信念居士だということは私認めます。しかし、午前中からわが党の委員諸君との質疑応答を聞いておりますと、これは穏やかでないですね。それで私は冒頭にウォストーク、「東方」の問題を出したわけです。ガガーリン少佐は宇宙から地球を眺めているというわけですよ。あなたは事実上会うか会わぬかは自分の勝手だとおっしゃるけれども、ずいぶん、それは私は大かたの国民によって納得されないものだと思う。そうして、先ほどから伺っていると、ずいぶんやっぱり失言の部類に入るものがございますね。それで、申し上げたい、聞きたいことがありますけれども、これは主議題でないから、私は一言だけ伺って次の質問に移りますが、こういう私は問答が日本の国会で行なわれ、大臣のあの答弁がまかり通っていくということは私は不思議だと思うのですね。ほんとうに嘆かわしいことだと思うのです。どうですか、あなたの今の態度は、国民に許容されているかどうかという点を、ある新聞社にでもお願いして世論調査してみたらいかがですか。私は先ほど聞いておって、そう結論的な感じを持ったのですがね。あなたのすべてが悪いとは言いませんよ。しかし、きょう午前中からの同僚諸君との応答を聞いて、事実上会わない云々というあの内容は、僕は国民に抽出世論調査をやれば否定されると思う。会ってお互いに話し合うことだけはやるべきだということが圧倒的に出てくると思うのですよ。あなたはそう思いませんか。そういう世論調査を新聞社にでも要請する、中立機関に要請する御意思ございますか、それを聞いて、次の質問に移りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。世論調査までも頼みたいとはむろん思いませんけれども、私は日本の憲法、日本の教育基本法以下、教育に関する少なくとも法律制度のもとに顧みて、当然しごくのことを申していると思っております。
○矢嶋三義君 私の質疑はそれが目的でないですから、次に進んで参ります。 科学技術庁長官に伺います。あなたが三月十一日に文部大臣に出されました勧告、あの取り扱い、事後処理が明確にならないと、次の質問が展開されません。それから、この法案に対する是非の判断もつきません。従って、先般、本委員会でも伺ったわけですが、それを重複しないように伺います。科学技術庁設置法の十一条の四項に基づいて、文部大臣に報告を求めましたか、求めませんですか、いかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) まださような手続はやっておりません。
○矢嶋三義君 長官は、先般、三月二十八日の本委員会における私の質疑に対しまして、文部当局がどうしてもわからなければ、次の手を考えなければならない、かように答弁をなさっているわけです。あなたは三十六年度を含めて早急にと勧告をしているわけなんです。早急に検討されなければならない。所得倍増計画に影響を及ぼすと言われている。そうしてあなた、一カ月もたって。なめられているじゃないですか、あなたは。荒木文部大臣からもなめられている。閣僚諸君からもなめられているじゃないですか。大平官房長官の午前中のお答えを承ると、まだ閣議の議題になっていない。先般、企画庁の山下参事官は、まだ見たことがないと言って、三月二十八日に委員会で答弁しましたね。で、私からしかられた。あなた、勧告した以上は、貫かなければ、何ですか、なめられているじゃないですか、それでよろしいですか、いかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) 私をなめているような、さような不届きな者はいないと思っております。
○矢嶋三義君 結果として、無視されているじゃないですか。それでは、次の質問をする前に、経済企画庁政務次官御出席になっているはずですから、前へ出て来て下さい、お伺いします。先般、三月二十八日、勧告が出て十七日経過したおりに、科学技術庁長官にかわって本委員会に出席した山下参事官は、池田科学技術庁長官の勧告書はまだ見たことがない。今初めて見ただけだから所見はない、こういう答弁がありましたが、経済企画庁では、このいわゆる池田勧告を検討された結果、どういう経済企画庁として御見解を持つに至られたか、お答え願います。
○政府委員(江藤智君) お答えいたします。科学技術庁の方から文部省の方に勧告が出されましたことにつきましては承知をいたしております。で、その内容その他につきましては、科学技術庁の方と文部省の方とでいろいろと御折衝中でございますからして、われわれはその結果を見守っておる、こういう立場でございます。
○矢嶋三義君 所得倍増計画を立てたのお宅でしょう。
○政府委員(江藤智君) その通りでございます。
○矢嶋三義君 その所得倍増計画を遂行するにあたって必要な科学技術者の養成計画、うらはらの関係になるわけですね。そこで、この池田科学技術庁長官が、設置法の十一条に基づいて勧告したこの内容というものを検討した結果、どういう所見を持っているのですか、持たなくちゃならぬでしょう。
○政府委員(江藤智君) 経済企画庁といたしましては、所得倍増計画を遂行する上におきまして、この技術者の数というものにつきましては非常な関心を持っております。で、われわれといたしましては、所得倍増計画にも明記してございまするように、四十五年の最終年次までに……。
○矢嶋三義君 勧告に対する見解を述べればいいですよ、時間がかかるから。
○政府委員(江藤智君) お答えいたします。この御説明を申しませんとそれにならないわけでございますから、一応われわれの考えを申し述べまして、そうして事務的と申しまするか、文部省とそれから科学技術庁の方とで御折衝になっておる結果を実は待って、そうしてわれわれの、経済企画庁としての意見も申し述べたい、こういう段階になっておるわけであります。で、われわれの考えておりまするのは、四十五年度までに大体十七万人という高等技術者と申しますか、大学卒業程度の技術者が不足をするということにつきましては、これははっきりと承知をいたしており、しかもこれをできるだけすみやかに充足をすべきであるということも、われわれとしては強く主張しておるわけであります。ただ、その内容につきまして、実際に十七万人足らないのでございますけれども、御承知のように、それではすぐ技術者をふやすというわけには、午前中の大蔵大臣の返事にもございました通り、これはできるものじゃございません。少なくとも、今増員をいたしましても、四年先のことになるわけであります。そうしますというと、十七万人というのは、現在すでに一万八千人ばかり足らないのでございます。そういうものの累積でございます。でございまするからして、十七万人が足らないけれども、それをすぐ充足するということは実際不可能である。で、科学技術小委員会の結果も御承知の通りでございまするが、これにつきましては、十七万人の大学卒業者程度の者が足らない。そのうちで、少なくとも大学の卒業者というものは、七万人はどうしても充足せなければならぬ。問題は、この七万人と十七万人との間をどういうふうに持っていくかということが、ただいま問題になっている点だと私は思っておるのであります。その点につきましては、教員の増員もございましょうし、あるいはいろいろな設備の増加もございましょう。でございますから、ここは技術的にいろいろと技術庁と文部省との方で検討していただく、そうしてその不足分は大学卒業以外の者で、いろいろな教育、訓練、現在そういうことも行なわれておるわけでございますから、そういうものによってどう補充されるかという点を検討して、われわれの意見をはっきりとさしたい、かように考えておるのが経済企画庁のただいまの立場でございます。
○矢嶋三義君 そんなことはね、全部、科学技術庁長官知っていらっしゃるのですよ。文部大臣も知っている。矢嶋も知っているのですよ、そういうことはね。そういうことを前提にして、なおかつ池田科学技術庁長官は、こういう勧告をなさらなければならなかった。もしこの線に沿ってやらなければ、お宅で立てた所得倍増計画は科学技術者の面から崩壊する。科学技術者の充足はできない。人の面からその所得倍増計画は達成できない。だから、それを達成するために、自分は池田内閣の閣僚の一人として、法に基づいてこの勧告をせざるを得ないという結論に達して勧告を出した。だから、その勧告についてあなたのところはこれを取り入れてやるべきか、それともこれはとんでもない勧告だとお考えになられたのか、その見解を聞いているのです。お答えを願いたい。
○政府委員(江藤智君) 企画庁といたしましては、最低少なくとも七万人、それから多い方がいい。しかし、それよりも多く養成するということにつきましては、いろいろと具体的な問題がございまするからして、その点の検討をやっていただきたい、こういう見解でございます。
○矢嶋三義君 ということは、経済企画庁としては池田科学技術庁長官の勧告を否定する立場ですね。
○政府委員(江藤智君) 忌避するというわけじゃございません。これは科学技術庁の立場としてはもっともだと思います。しかし、その養成をするについては、また文部省の方で、具体的ないろいろと検討しなければいけないわけでございまするからして、私は科学技術庁の要求が過当、多過ぎるということも決して考えません。できれば十七万人というものを大学卒業者でもって埋められるならば埋めた方がベターでございます。しかし、実際問題、十七万人を埋めるということはこれはできない。でございまするからして、できるだけ教育設備を拡充いたしまして、十七万人に近づけるという面におきましてはこれは異論がございません。幾らにするという問題につきましては、もっと科学技術庁と文部省の間で検討を進めていただかなければならない、こういう考えでございます。
○矢嶋三義君 だから、これはいずれ最終的には総理大臣を本委員会に呼んでほしいということを委員長に要望したのですけれども、しからば、所得倍増計画を修正しなければいけないんじゃないですか。国会に対する説明も修正して、予算もそれに即応するようにしていかなければならぬじゃないですか。——ちょっと待って下さい。今のあなたの答弁は、この前も山下参事官が答弁した十七万五千です、正確に言えば。あなたの数字はこれを約十七万と言っております。理工系の大学卒業者の高級技術者が必要だと言っている、科学技術庁長官の説明によりますと。それから文部大臣も認めているのだが、七万人しか充足できない。十万充足できない。その残りの十万人は経済企画庁と科学技術庁の見解では、これは大学卒業程度の理工学を修めた技術者でなくちゃならぬ。それが必要にして十分な条件だと言っている。それに対して文部大臣は、その十万は企業内の再教育によって充足したいという考えだ。非常な大きな食い違いですよ。だから、もしあなたは、とりあえず七万、あとは多いほどいいが、十万足らぬが、多いほどよろしいけれども、やむを得ないというならば、所得倍増計画を修正しなければ、幾ら計画して予算を組んでおるといったって、人が追いついていかなければ所得倍増計画は絵にかいたもちになるじゃありませんか、責任を感じませんか。従って、池田科学技術庁長官から勧告があったならば、いち早く一番先にあなたのところは検討して、所得倍増計画を策定したところの責任官庁として、あるいは科学技術庁長官に、あるいは文部大臣に意見を具申する。さらにこれを長官によって閣議の議題に供するくらいな熱意がなければならぬのですよ。責任を果たしたことになりませんよ。それを経済企画庁はやっていない。三月二十七日までに書面さえ見ていないということは、科学技術庁長官がなめられていることですよ、平たい言葉でいうならば。まず経済企画庁の政務次官からお答えいただいて、あと科学技術庁長官の方から、経済企画庁の答えはそういうもので満足できるものであるかどうか、お答えいただきたい。
○政府委員(江藤智君) お答えいたします。所得倍増計画を遂行する上におきまして、大学卒業者は少なくとも七万人充足しなければいけない。それじゃ残りの方はどうかと申しまするというと、これは大学卒業者程度の人だと、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。ところが大学卒業者程度よりも、これはもう大学卒業者の人がいいにきまっておるわけでございまするからして、われわれといたしましては、具体的にそういう方針が立つならば、これは七万人といわず、もっと数をふやしていった方がいい、こういう気持でおります。しかし、こういう問題につきましては、非常にむずかしい問題でございますから、文部当局におきまして十分に検討していただく、こういうふうにわれわれは考えております。
○国務大臣(池田正之輔君) 企画庁はどういうことを考えておられるか、私にはよくわかりませんが、今の答弁は必ずしも満足すべきものではない。おそらくは、これは企画庁の方々は、日本の文教政策というものをあまり御存じないからそういうことを言われたのだろうと、私は善意に解釈いたしております。
○矢嶋三義君 経済企画庁長官がお見えになっていないから、政務次官にあまり聞いても意味をなさないから、私はあまりあなたに聞かないけれども、しかし、ただいまの答弁だったら重大ですよ。大学卒業者は七万で、あと十万はその程度だと言う。この前も山下参事官ははっきり答弁しましたよ。それから、三十五年十月四日、科学技術会議の議長である内閣総理大臣に答申をした、この答申書の百八十四ページ、これには正確に十八万九千四百十四人、昭和四十五年までに十八万九千四百十四人不足する。この供給過不足数は大学卒業者であるという規定をしていますよ。これを尊重してあなたのところは計画を立てていったわけでしょう。だから、そんないいかげんな答弁をされては困ります。で、科学技術庁長官に伺いますがね、あなたは三月二十八日の本委員会における私の質問に対して、こういう答弁をされています。話がどうしても進んでいかない場合には、科学技術庁設置法の十一条五項の規定に基づいて内閣総理大臣に意見を具申する場合もあり得る、こういう答弁をされているのですが、十一条の五項に基づいて総理に意見を具申されましたか。いかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) まだそれはやっておりません。しかし、そろそろそれをやるか、あるいは別の手を使うか、何らかの措置を講じなければならぬ段階に押し詰められておることだけは事実であります。
○矢嶋三義君 先般あなたはこの問題について池田総理とお話し合いになられたのでしょう。書面でなくても口頭で。どういうお話をされて、総理はどういう発言をされたか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) お答えいたしますが、そろそろ時間切れになってきましたので、時間切れといいますか、大詰めといいますか。従って、先ほどあなたの御質問の中にもありましたように、御指摘のように、いつまでもこれはぐずぐずしていられちゃいかぬということで、最近ある種の交渉をというか、したわけであります。それについて、どうもこの前、衆議院でございましたか、参議院でございましたか忘れましたけれども、そのとき総理もおられまして、総理の答弁を聞いておりますと、どうも総理はあまりよく御存じない、中味は。そこで私がさっき言いたかったのは、これは閣議にもかけない、総理にも耳に入れないで、私の責任と権限においてこれはやったことでございますから、私がこれを解決するという建前を今日もとっております。しかし、事いよいよ大詰めにきましたので、総理の耳にも一応入れておかないと、これはいかぬというので、一応説明をしておいた、こういうことでございます。
○矢嶋三義君 それに対して、総理は意思表示はございませんでしたか、お伺いします。
○国務大臣(池田正之輔君) 総理の意思によって動いておるのでないので、私の意思で……。
○矢嶋三義君 総理が何かしゃべったかどうか。
○国務大臣(池田正之輔君) 別に大したことはございません。
○矢嶋三義君 大したことはないが、しかしあったのだね。次に伺いますが、同じ三月二十八日の私の質問に対して、こういう答弁をされています。私の質疑の焦点は、確かに所得倍増計画を推進して行くに当たっては、技術者の養成計画として科学技術庁長官の指摘は正しい、大筋として正しい。従って、あなたは勧告をした以上は、政治家としてこれが無視された場合には責任ある態度をとるのが政治家の取るべき道だと、かように伺ったことに対して、あなたは、極端にいえば職を賭してもやるのだと、こういう御答弁をされておりますが、現在そういう決意を持って対処されているのかどうか。問題を処理、解決する最終的な方法としては、法的には科学技術庁設置法の十一条の五項によって、正式に所管大臣として総理に意見を具申する、この道が残されているだけですね。これをやられるか、やられないかということが、あなたの最終的な一番重要なポイントになると思うのですが、その点のことを伺いたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) 御指摘のように、法律的には第五項によって具申するということでありまするけれども、このことは非常に重要な私は問題だと思っております。それはあなたも御指摘になったように、今後の十年間の日本の産業、経済の十カ年計画、勧告にも指摘しましたように、それ自体が危うくなる、これを私が責任ある閣僚の一人として黙って見ているわけにいきません。従って、具申程度で私は済まされる問題ではないというような心境であります。
○矢嶋三義君 そこで文部省側に伺いますが、あとさらに詳しい数字で、私はいずれが正しいかはっきり答えを出したいと思っているのですが、昭和三十六年度、現時点においての科学技術者の卵として理工系に入学さした人員は三千二百二十人、このうちに私学の占める人員は千二百六十五人、こういうふうに数字を了承しておいてよろしいかどうか、伺います。
○政府委員(福田繁君) その通りでございます。
○矢嶋三義君 科学技術庁長官、この数字間違いありませんでしょうか、御所見を承ります。
○国務大臣(池田正之輔君) あとから少しふえていますから、そういうことになったはずであります。
○矢嶋三義君 じゃ、現時点において科学技術庁長官は、昭和三十六年度においてさらに最小限理工系の学生を、それが国立、公立、私立にかかわらず、何名程度は増員すべきだ、またそれはやれば可能だと、こういう見解を持たれているか、数字をもってお答え願いたい。
○国務大臣(池田正之輔君) 数字の話になりましたから、先ほどあなたから十八万幾らという数字をお示しになりました。その十八万幾らという数字は、これは理工系だけじゃなしに、農学部、医学部が入った数字であります。
○矢嶋三義君 その通りです。
○国務大臣(池田正之輔君) 従って、理工系は大体十七万が不足するというのが科学技術会議の答申でもあり、また企画庁の案でございます。ところが若干ふえておりますが、ここで明確にしておきたいことは、文部省が最初に発表いたしました数字によりますと、七万幾らといっておりますが、これはどうも七万幾らというのはどこを指しておるのか、私にはよくわからないのですが、あるいはいわゆる四年制度の大学の入学者、それが七万幾らだとも言えます。それにプラス短期大学を入れますと十万一千足らず、正確には十万八百幾らになるはずであります。ところが、これは入学者の数でありまして、卒業者の数は違うのであります。卒業者の中から、四十五年までの間に卒業する人は何人おるかといいますと、短期大学をも合わせまして五万六千九百三十二人という、これが初期の数字であります。その後若干ふえております。しかも五万六千九百三十二人という数字は、これは具体的に申し上げますと、一年に入学した学生がそのまま全部卒業して、一人の脱落者もなくして卒業して、それが全部所要の職場についたと仮定した場合のことでございまして、矢嶋君が御存じのように、途中で脱落者が出てきます。また卒業してから親の商売を継いだり、別の方向にいく人もたくさんあるのでありまして、実働人員はおそらく私は四万前後じゃないか、従って国家の要請である十七万というものと四万というものを比較したときに、ここに大きなへだたりが出てくるのであります。これを一体、私は黙って見ておられない。これじゃ科学技術振興なんというものは、こんなものは政府でいわない方がいい、いえた義理じゃない、そんなことは。従って、これを何とかして埋めなければならぬ、埋める方法はあるか、あると私は思う。これを私は提示しておるわけであります。
○矢嶋三義君 そこで三十六年度、この年度最小限どの程度充足するがよろしい、また可能だと、いかように御判断なさっておられるか、その数字を承りたい。
○国務大臣(池田正之輔君) これは具体的には、それぞれ各学校なり何かについてケース・バイ・ケースで調べていかないと、具体的な数字は出て参りません。しかしこの前も、あなたから先ほど重複しないようにとおっしゃられましたけれども、私が特に申し上げておきますことは、十七万という国家要請が出た場合に、文部省は公然に各大学にこれを呼びかけて協力を求めるのが当然であります。各大学と申しましても、一つ一つということでございません。大別いたしますと、御承知のように国立大学もあります。公立の大学もあります。公立の場合には当然これは県知事なり、大都市の市長なり、そういう方々に呼びかける、あるいは大学当局に呼びかける。もう一つのケースは、私立大学に呼びかける、協力を求める。この三つあるわけなんです。ところが、文部省は国立大学だけを一生懸命やって、公立や私立の大学には全然呼びかけをしておらない、この態度は怠慢じゃないか、これを私は責めたつもりであります。しかもその後見ておりますと、何ら手を打ってない、あなたからなめられていると、あるいはなめられたのかもしれませんが、そのなめられっ放しで済ますようなか弱い池田でもないはずです。これが実態なんです。従って、公立、私立に国が勧告を出したときならば、公立も間に合った、私立ももちろん間に合った。公立、私立を最大限に、これをフルにやれば数千人はこの三十六年度からふやせたはずなんです。それを私は指摘したいと思います。
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、科学技術庁長官のお言葉を承っていますと、文部省の計画性が不十分である、それから数字に弱い、しかもその数字は適正な数字でないものを使っておられる、かように批判をされております。私もかなりその池田長官の数字には共鳴するところがあります。文部省、文部大臣としてはどういう御所見でありますか、反論する自信があれば反論していただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。私も数字に弱い方でございまして、あまり確実にお答え得ないかとも思いますが、まあ三十六年度予算ですでに御審議を願って決定していただきました中に、国、公、私立大学の、特に理工系の学生の養成につきましては、昨年、大学から学部新設、学科増設、あるいは増員等、あるいは大学院の設置等、また新たに大学を作る要請等もございましたものを、ほとんど全部許可しておりますが、そういうことを念頭に置きながら予算の内容をはじいたわけでございます。さかのぼりますと、このことは、御案内の科学技術会議の答申案に盛られております趣旨は内閣として尊重せねばならないことは、これは当然でございますから、その趣旨に従いながら、しかも可能なる範囲において極力盛り込んだのが予算案の内容なわけでございます。十七万人見当の技術者が今のままでは足りない。それをどういうふうにして充足していくかということも、また科学技術会議の答申の過程を通じまして、科学技術庁、文部省、経済企画庁等事務当局が総がかりで作業をしまして、一応出ました推定の数字が十七万。その養成につきましては、先刻お話が出ましたように、最低七万ぐらいのものは大学卒業という形をとったものを新規に充足することが望ましい。しかし、まだ足りない。足りないことは遺憾千万でございますけれども、特に教授陣をそろえることが現実問題として困難な事情と推察されましたので、単に数字を合わせるだけが能ではあるまい。現実に即して極力考えた場合、一応推定されますことは、最終年度に一万六千人ばかりの大学卒業者を出すということ、それを年次計画で充足いたしますと約七万三千人ばかりの養成ができる。そうすれば九万七千ぐらいの赤が立つけれども、これは遺憾千万でありますけれども、実情やむを得ないであろう。従って、それは職場における再教育等を通じて極力充足する。もっとも三十七年度以降予算措置を必要とするものにつきましては、財政の許す限り前向き姿勢で最終年次の一万六千人をふやす努力をすべきであろう、そういう課題としては残るということも、当初作業当時から予測されましたことで、そのことは関係各省庁において極力検討を続けておるところでございます。そういう関係からいたしまして、十七万が充足できない点を科学技術庁長官からもっとしっかりやれという激励の意味で御勧告を受けたと存じまして、三十六年度につきましても、もしできることならば、今後に実施ができるかいなかを十分検討いたしまして、できるものならやりたい、できなければ、三十七年度以降に予算措置を伴うものにつきましては、もっと努力すべきであろう、こういうふうに考えておるところであります。
○矢嶋三義君 もうちょっと伺いますが、依然として両相の間には懸隔があります。一つもみぞは埋まっておりません。そこで科学技術庁長官に伺いますが、現時点に立ってあなたのとるべき道は大まかにいって二つあると思います。その二者択一だと思うのです。その二者択一とは、一つはいまだに閣議の議題になっていないというのですが、閣議の議題にならないまでも、関係閣僚の懇談会にこれを持ち出して、そして協議をすることを求めるか、それともあなたの出所進退をかけて、設置法の十一条の五項で総理に意見を具申するか、その二者択一だと思うのです。もうきょうは四月の十三日ですからね。しかも、あなたの勧告がなされてから一ヵ月以上経過されているのですから、そのいずれかをとって早急に閣内の一致した結論を出していただかなければ、今審議している法案の審議はできない。賛否の意思表示もできない。今大学卒業程度の技術者をやっておりますけれども、次には工業高等学校卒業生の中級技術者の計画をただしていかなくちゃなりません。それに伴う工業高等学校の教員養成計画というものとあわせてただして参らなくちゃなりませんので、それとの関連性がありますので、入学期並びに法案審議上からいっても私は相当時期が切迫しておる。その二者択一、いずれかを選んでいただいて、内閣として意見を統一していただかなければならぬと思うのですが、長官の御答弁を求めます。
○国務大臣(池田正之輔君) 文部大臣は聡明な方でありますから、少しはわかってくれるだろうと思っております。従って、私は必ずしも計画が悪いとは思っていないのでまだ捨てておりません。もう若干の時間をかせば——ただ、文部省の事務当局というのは昔からはなはだ頑迷固陋なところがありまして、なかなか手に負えないところがある。荒木君もやりにくいだろうと私は同情しておる。しかし、この文部省の従来からとってきたこの態度、人員に合わないこの態度というものをこれをぶち破れないようだったら、これは日本の産業経済の進展はあり得ないと私は強く信じております。
○矢嶋三義君 あなた幾らか荒木さんを信じているようですが、そこで参考に聞いておきますが、文部省の官僚が頑迷固陋だ、けしからぬという点については、われわれの同僚と意見の一致するところがあります。科学技術庁のお役人の方はどうですか、参考に聞いておきたいと思うのですが。
○国務大臣(池田正之輔君) わが科学技術庁の役人はいずれも聡明で忠実であります。
○矢嶋三義君 それは参考にお伺いしておきますが、次に、文部政務次官に伺いますが、閣議の議題にもなっていないというのに、大平官房長官があなたに何かお話になったはずですね。この問題について。そうしてあなたは文部省で協議されて、その結果を池田科学技術庁長官に持って行かれないで、大平官房長官のところに持って行かれたということが新聞に報道されておるのですが、それは真実なのかどうなのか。もし持って行かれたとするならば、どういうわけでその勧告を池田科学技術庁長官のところに持って行かれないで、大平長官のところに文部省の意見書なるものを持って行ったのか、そうしてその内容がいかなるものであったのか、お答えいただきます。
○政府委員(纐纈彌三君) お答えします。実は御承知のように、科学技術庁長官からの勧告を受けまして、私どももその問題につきましては、十分に尊重しつつ、いろいろ検討いたしておりますが、われわれといたしましては、なかなか科学技術庁長官のお考え通りに実施することが困難であるというようなことを考えたわけでございます。そこで、実はいろいろこの問題につきましても、協議をいたしつつ、一応、官房長官において両者の間の了解を得るようなあっせんをしようというようなお話でございますので、そこで実は今お話しのような問題につきましても、官房長官にはあっせんの資料として提出するという話に及びまして、私が省内において意見をまとめまして、それを持って行ったのでございますが、内容につきましては、けさの新聞等に出ておりまするようなことで、三十七年度からは十年間において足りない十万人程度の定員を、これを養成するような努力を科学技術庁長官の勧告に沿ってやりたい。それからまた大学の施設基準等につきましては、さらに検討いたしまして、悪いところがあれば一つこれを直して、施設の場合等におきましても、今までよりもあるいは都合よくいくような方にすることについても、もしそういう点があれば検討してもよい。また、三番目には、科学技術庁長官の方から私の方にいただいておりまする増員計画について、再検討するために、当該学校等と至急協議をして、実は私の方としては、学校から直接そういう内容のことについてもきておりませんので、それについてできるかできないかということを、十分に一つできるだけすみやかにやっていきたい。こういうことを省の意見として官房長官に申し入れたと、こういうことであります。
○矢嶋三義君 科学技術庁長官に伺いますが、ただいま文部省の政務次官が述べられました内容、これが大平官房長官に通じているわけですか。大平官房長官から、その内容のことが池田長官にお話があったかどうか。もしあったとするならば、その内容に対して、科学技術庁長官としてはどういう御所見を持っておられるのか、お答えいただきたい。
○国務大臣(池田正之輔君) けさ私は登院いたしました際に、官房長官から、それらしいものをちょいと見してもらいました。拝見いたしますと、考え方としては非常にいい考え方でありますが、さて具体的にどの程度に行動に移されるかということについて、これから夕方でも時間があったら文部大臣と一ぺん話してみたい、かように思っておるのでございます。従って、先ほど聡明なわが文部大臣と申し上げたのは、それを意味したのであります。この機会に特に私は申し上げたいことは、文部省の役人さんもおられますから、先ほど私は失言いたしまして、頑迷と申し上げましたが、これは十七万人、大学卒業者十七万、それから工業高校が四十四万という国家養成がここに打ち出されたということは、これは非常に大事なことなんです。文部省がこれをどうもどういうふうに受け取っておるか。その後みておると、どうもこれはすなおに頭に入ってないのじゃないか。日本の産業構造なり、産業経済がどんな形で上昇しつつあるかということも、文部省の、もっとも所管は違いますから無理もありませんけれども、感じが薄いのじゃないか。そこで、私は若干申し上げたいのは、こういう大きな国家目標、そこでできるだけ十七万なら七万くらいはというような、なまぬるいものの考え方では、これはいけない。そこで私は特に申し上げておきたいのは、国家養成が十七万と四十四万という、この膨大な数字が出ております。現に私の役所などは、ことし約八十人の人員を要するのに三十何名しか採用できない。これが現状であります。民間企業におきましても、中小企業などは大企業から吸収されて、国立の試験研究所等におきましては、上の方がどんどん引っ張られていかれて、これは蒸発といっております。中堅どころがどんどん流れていく、これを沸騰といっております。この沸騰状態が続く限りは、これは工場ができても動かす人間がなくなる。これが現状であります。従って私はこれを憂える、でありますから、かような非常な処置をとった。そこでさような場合に、世界の各国はどういう手段をとっておるか。ドイツにおいても、フランスにおいても、共産主義の国々を見ましても、これは非常手段をとっておるのであります。いつかも申し上げたかしれませんけれども、共産主義のある国などは、普通科目というものとか、教養科目とかいうものは全然やらないで、ほんとうに専門のことだけどんどんやって、そうしてすぐ間に合う人間を作っているというような措置をやっている国がたくさんあります。日本は幸いそこまでの極端なことをしなくても、相当、中学校、高等学校の普通教育において教養科目をやっておれば、そういうような極端なまねはしなくてもいいのでありますけれども、だからといって、従来の文部省が考えているようなオーソドックスなものの考え方で、この日本の時代の要請である産業経済の上昇にこたえていくということは私は不可能だ。そこで非常措置をここでとらなければいけない、その腹がまえが文部当局にはできていないのじゃないか、幾ら教えてもわからない。実に情ない事態だと思っております。
○矢嶋三義君 あと二問で終わりますがね。私は国の同じ内閣の閣僚として席を持っておられるお二人は、十分意思を疎通させて仕事をやっていただきたいと思うのです。たとえば昨日ウォストークが飛んだ。さっそく荒木君、池田君ということでね、これからどうするかという話し合いがあって、そうしてこの御両所でお話し合いされた結果というものが、国民に声明として出されるなり、国会で矢嶋の質問に答えられるという形体でなくちゃならないと思うのです。それが必ずしもそういう状況にないということで、私は責任を追及いたしますよ。で、お二人が熱心なのは私は多とします。しかし、またそれを全面的に認めるということはできない。若干今取り消されたけれども、たとえば先ほど文部官僚は頑迷固陋だ、科学技術庁の役人は非常に忠実で云々と、こういうところは少しオーバーだと思うのだね、僕は。先ほど午前中から質疑されましたが、文部大臣は日教組と会わない、事実上会わない。それをしかも文部官僚が、お役人さんがこれを支持している。これらあたりは言語道断な頑迷固陋の最たるものだ。しかし私はそれがすべてだとは言わない。しかし、かような事柄とか、それから私は非常に遺憾に思うのは、これからも話し合われるということですがね。新聞に麗々しく出ていますが、池田長官が、荒木文部大臣ばかやろうという言葉をかけだそうですね。こういうことが新聞報道に出るだけでも穏やかでないと思う。これは言った方もいけない、言われた方もいけない。で、先ほどから盛んに文部大臣は聡明だ、聡明だと言われておりますがね。これは反対なことを言ってるんじゃないの。池田長官、腹の中では聡明と思っていないのじゃないですか。三月二十八日の僕の質問に対して、この速記録の五ページにも、「どうも文部大臣は少し頭がぼやっとしておるのではないか、そういう意味で私も若干決意が鈍っておる、」、こういう速記録を残されているわけですね。こういう点はお二人とも反省していただかなくちゃならぬと思う。一体この法案の審議できませんよ。その点が明確になってこなければ審議できないです。荒木さん、あなたはほかにも日教組とけんかしているが、池田長官からばかやろうと言われたのですか。そうして、あるいは石頭ということが新聞に出ている。頭がぼやっとしていると速記録に残っている。こんな国会はないですよ、世界中探しても。科学技術の振興どころじゃない。それは反省ないですか、お二人からお言葉承りたい。そうして当面勧告の問題を、早急に池田内閣として解決してもらいたい。そうしなければ、所得倍増に伴う科学技術者の養成計画というものはどうなるのか、高級技術者、中級技術者はどうなるのか、それに必要な工業学校の教員は、幾ら年次計画で養成しなければならぬのかということが出てこないのです、数字的にね。この点、お二人から承って、あともう一問して、きょうの質問は終わりたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。先刻申し上げましたように、三十六年度予算を編成するに当たりましては、科学技術会議の答申の趣旨を尊重いたしまして、その線から出てくる中級技能者でありまするならば御案内の通り約四十四万人不足するであろう。それに対応しまするために約一万人を三十六年度は増募できるようにしよう、そのペースで参りますると……。
○矢嶋三義君 高級技術者が足りないとまた狂ってきますよ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 四十四万人おおよそ養成できそうである。さらに教職員がなければその目的は達せられませんので、その根拠に立ちまして、御承知の高等工業教員養成所を三年間の年限でもって卒業さして千人足らずの者を年々出していくというやり方で、そして現在の大学から出てきます教職員希望者を極力吸収する努力をしていくならば、教職員もどうやら間に合うであろう、そういう構想のもとに三十六年度予算を御審議、御決定をいただいておりまして、その裏づけとしての立法措置をこれまた現に御審議願っておるような次第でございます。その構想につきましては、池田長官も閣僚の一人として御賛同いただいて御審議願った予算案が通過したような次第でございまして、勧告はあくまでも三十六年度予算そのものでなくて、十七万人中十万人見当が足らない。大学卒業者として足りないということは座視するに忍びない、今からでも再検討して、もっと三十六年度についても養成できるようなことを検討したらどうだ、こういう御勧告をいただきまして、先刻お答えを申し上げましたように、よりよりそのやり方を検討中であるわけであります。
○矢嶋三義君 池田長官、ばかやろうなんて言っちゃいけませんよ。言うたか言わぬか答弁しなさい。
○国務大臣(池田正之輔君) 新聞にはそういうふうに出ておりました。御承知のように私は気が短かいので、のぼせる性でありますので、何を言ったかよく覚えておりません。それらしきようなことをどうかするとこれは出てくる場合もあるのであります。これは御存じのように私は育ちが悪いものでありますから、さようなことがもしあったとすれば、これは荒木君に対して、荒木文部大臣に私から深く遺憾の意を表したいと思っております。
○矢嶋三義君 荒木文部大臣の御答弁ですが、さっき私が申し上げましたように、中級技術者が四十四万人昭和四十五年度まで不足するという数字が出ております。しかし、高級技術者が理工科系だけで約十七万人、そして七万人は充足する。だから十万人足りないとすれば、これは企業内で再教育して充足するとすれば、これは中級技術者に及んでいくのですから四十四万人に影響してくるのですよ。これは工業高等学校を幾ら増設しても、若い技術者を幾ら増員しても、中級技術者に関係してきますから、親元の十七万人をいかにするかが明確になってこないと、これは触れていかれない、そういう意味で私は申し上げたわけです。早く明確な結論を出していただきたい。それから荒木文部大臣、今の答弁でちょっと了承できない点は、荒木文部大臣は、昭和三十六年度の予算そのものには関係なく、池田科学技術庁長官がこういう勧告を出された云々ということですが、科学技術庁長官に伺いますが、あなたは三月二十八日、本院文教委員会で私の質問に対して、この速記録の九ページに出ておりますが、この勧告は予算を伴わないで可能な面と、予算修正をしなければならない両面を含んでおるわけでしょう、こういうふうに私が伺ったところが、池田長官は、「その通りです。」と答弁している。だから、あなたの勧告を三十六年度を含めて早急にこれを検討してやるとすれば、三十六年度の予算にも影響し、一部はでき得べくんば予備費から出すなり、あるいは補正予算を積極的に組むなり、そういうことを必要とする場合もあるという内容の私は勧告だとこの前の質問から了承しているのですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) 私の勧告は、予算が衆議院を通過したあとでございます。従って、今、文部大臣からも御指摘がありましたように、この予算に対しては私ども閣僚として責任を持たなければなりません。従って、今度の私の勧告は、予算と申しましたのは言葉が足らなかったのかもしれませんが、予算に伴う面につきましては文部大臣が言われるように三十七年度からのつもりでございます。三十六年度はこれは予算を伴わないでやる方法があるのじゃないか。それは勧告を出された当時に、直らに文部省が行動を起こして府県知事やその他に交渉すれば若干のものがふえたはずだ。と同時に、私立大学にこれを交渉すれば協力を求めればできたはずなんです。しかし、その後一ヵ月以上経過いたしましたので、今日となってみますと公立関係はおそらく見込みが薄いだろう。かように思います。従って、残されたものは私立大学であります。私立大学の場合には、これは私が科学技術庁長官として科学技術の推進をはかるという立場から、各私立大学から希望の学校のそれぞれ新設課目の希望その他をとってみたのでありますが、その場合に、当然に本年は予算がないから政府としては補助その他の授助はできないが、国家の要請であるから、一つ協力する意味において学課の増設その他をやってくれんか。御承知のように理工学部を新設——新設という言葉で一括しておりますが、新らしい工科大学、理工科大学を建てろということになりますと、いろいろ支障が出てきます。しかし、現在ある大学の工学部にあるいは電子工学でありますとか、あるいはその他の最近の新らしいそういう理工系の科目をふやす、三科目や五科目ふやすという場合にはむずかしい問題じゃない。それぞれその大学によって違いますけれども、何十人、何百人それぞれ学者を擁し、スタッフを擁しております。従って、ジュニア・クラスの一年を今からすぐやったって困るようなことは断じてない。それをおやりなさいというのです。そこで賢明な文部当局もこのごろやっとわかってきて、そういうふうに一つ話し合いをやってみようということになっておりますから、おそらくこれ以上は矢嶋さんにも御心配かけないでいけるのじゃないかという私は希望を持っておったわけであります。
○矢嶋三義君 最後の質問をいたします。そして資料を要求いたします。 科学技術庁長官の答弁は少しニュアンスが変わって参りました。三月二十八日の時点では、あなたは三十六年度の予算にも影響を及ぼすということをはっきり答弁されましたので、私は官房長官にも、本日、水田大蔵大臣にも、池田長官の勧告の趣旨を入れて補正予算を組んだらいかがですかという質問をいたしましたが、まあ政治は妥協であるから、池田内閣の中であなたも若干妥協されたのだろうと思います。そうだとすれば、文部省としては、あるいは池田内閣全体としても何か解決策はあると思うのですよ、三十六年度の予算に影響なくやれるということになれば。従って、私は要求いたしますが、五日以内に、すなわち来週の本委員会が開かれる火曜日、それまでにこの勧告問題について荒木、池田両大臣連名の上で、かくかくにこの問題を処理したという点を明確に文書をもって委員長を通じて本委員会に提示願いたい。それができない限り、ほかの人は知りませんが、私は本法案に対する質疑は保留いたします。質疑は私としてはできません。この点と、もう一つの資料要求は、この科学技術会議の答申書にもあるわけですが、プリントして次の内容のものを出して下さい。それは理工学系科学技術者の三十五年から四十五年に至る各年度別の不足数、従って推定になりますがね、不足数。それから三十五年から四十五年に至る各年度の入学予定増加数、入学する生徒で三十六年度何名ふえる、三十七年度何名ふえるという予定増加数。それからもう一つは、三十五年から四十五年に至る各年度におけるこの理工学系大学の卒業予定者数ですね。しかも、それが三十九年より四十年は何名卒業予定者数がふえるであろうか、四十一年になると何名ふえるであろうというその推定数、それを一覧表として出して下さい。これを検討しますというと、計画が適正であるかどうかということが綿密にわかりますから、その不足数、それから不足見込み数、それから入学推定数、卒業推定数、この動きが三十五年から四十五年にわたってわかるような一覧表をプリントして出してもらいたい。この二つを資料要求として本日の質問を私終わりたいと思いますが、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) 前の方の、一札を入れろというようなお話がございますけれども、これは何も書類にして矢嶋先生に提出しなくても、何らかの形で御満足のいくような回答をいたしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御要求の資料は極力間に合わせたいと思っております。
○委員長(平林剛君) 本案に関する質疑は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時三十二分散会