文教委員会 第16号
- 発言数
- 281 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/04/04
会議録
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。 開会前の理事会におきまして協議いたしました結果、本日はまず、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし審議を進め、次いで当面の文教政策に関する調査をいたすことに決定を見ました。 以上理事会決定通り審議いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう進めて参ります。 それでは、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。 なおこの際、本案審議のため日本育英会会長田中義男君を当委員会に参考人として招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。千葉千代世君。
○千葉千代世君 私は日本育英会法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたしますが、この改正案は返還免除と貸与金の回収について、それから新しく項目を設けて、この適用範囲を広めているのがおもな問題だと思うのですけれども、まず第一番に、十六条ノ四の第一項についてお尋ねいたしますが、その中に、大学における貸与金の返還を免除される職に、高等学校、大学、その他の施設の教育の職を加えるとあるのでありますが、その他の施設の教育の職というのは何でございましょうか。
○説明員(西田亀久夫君) 現在までの免除規定によりましても、小学校、中学校以外に、義務教育に準ずる教育を行なっております少年院、教護院における教育担当者の場合は現在でも政令で規定されております。その者を含むことはもちろんでございますが、さらに盲学校、聾学校、養護学校、さらに政令におきましては、今回新たにこの政令を改正いたしまして、その中には児童福祉施設の中で、たとえば精薄児施設でございますとか、肢体不自由児施設のように、そこの児童が本人の特別な事情によって義務教育を猶予または免除された者の世話をしておられる施設であります、そのような施設において児童の指導に当たる職員、そのような人もその他の施設の中に含めたい、かように考えております。
○千葉千代世君 具体的にお尋ねいたしますけれども、精薄児の教育その他特殊児童の教育に当たる方というと、教育大学に付設してある問題とか、そういうような養成所ですか。
○説明員(西田亀久夫君) ただいま申し上げましたのは、児童福祉法に基づきます児童福祉施設でございまして、厚生省の所管の問題でございますが、その中の精薄児施設、盲聾あ児施設、肢体不自由児施設、そのようなものを考えております。
○千葉千代世君 厚生省所管の施設、文部行政と厚生行政の間にあって、これら養成所については、教育を受けるのは文部省関係の学校で受けるわけでしょう、そうして勤めるのは厚生省関係のそういう福祉施設に勤めた場合に免除になる。こういう建前でございますか。
○説明員(西田亀久夫君) この免除をする職としてそれらの機関を指定いたします場合は、大学を卒業いたしました者がたとえば厚生省の所管でございます精薄児施設におきまして、児童指導員というのがございます、さような地位につきました場合に、これはいわゆる特殊教育としてこの学校教育のワク内にも入り得ないような非常に不幸な児童たちをその施設の中で二十四時間世話をなすっておられるわけです。そういった児童指導員の方を免除を受ける職として指定をしよう。こういう考え方です。
○千葉千代世君 そうすると、やはり教育を受けるのに文部省関係の大学で教育を受けると、こういうわけなんでしょう。先生がね。
○説明員(西田亀久夫君) その通りでございます。
○千葉千代世君 そうすると、厚生省関係ですとその児童施設ですか、福祉施設の中にそういう費用は全然出ておりませんですか。たとえば保健婦養成とかいろいろなところに補助金なんか出しておりますね。育英資金程度のものを出しておる。実際実務についた場合に免除するとかでございますね。そういうふうに厚生省関係からは全然そのそういう費用をもらえていないんでしょうか、教員の場合は。
○説明員(西田亀久夫君) この育英会法で問題といたしておりますのは、大学において学資の貸与を受けました者が、学校教育法の教員になった場合を一応免除をすることを原則に考えておりますが、今の厚生省のそういう施設で児童の指導に当たります者は学校教育に準ずるやはり生活指導教育という意味と考えまして、それに準じた扱いをしようということでありまして、厚生省の方では別に厚生省の保健所のお医者さんを確保いたしますために、別の奨学金をこれは大学在学中の学生に貸与いたしまして、卒業後保健所等に就職した場合に免除されるというようなものが、日本育英会とは別にあると私心得ておりますが、その問題とこれとは一応関係はないわけでございます。
○千葉千代世君 この趣旨については賛成でございますけれども、限られたお金でございますからですね、厚生省関係でも保健婦の養成とか、それからお医者さんの養成の場合に、育英資金を出して、そうして厚生省関係にお勤めになった方には免除すると、こういう方法がございますから、やはり文部省関係の大学を卒業なさった方にも、厚生省の方としてそういう予算を組むべきではないかと、こう思ってお尋ねをしたわけでございますけれども。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 千葉さんの御懸念はごもっともでございまして、本来文部省が所管します日本育英会法に基づいての奨学金制度は、教育の場に勤める人に対して特殊の場合に免除したり何かをやるということが建前であることは申すまでもありません。また、先ほど来説明員から申し上げております課題は、実質しの教育と一応考えられると、従って育英会法の恩典をその方に及ぼしても制度上の矛盾はなかろうと、同時に御懸念のそれに対して、厚生省自体でお医者さんと保健所に対するお医者さん確保のためにやっております制度と同じものをそれにやっておるとすれば、重複いたしますから避くべきものと思います。その点は御懸念ないと思って、厚生省所管ではございますけれども、実質的な教育目的を果たしてもらうという義務に着目いたしまして拡張したわけでございます。
○千葉千代世君 特に児童福祉施設にお入りになる子供さんについては御不幸な方が多いわけですから、そういう教育に携わる方に育英資金をあげて、そうして万全を期するということ、このことについては全く賛成でございますけれども、厚生省の方としてもやはりこういう予算については考えられる必要があるんじゃないかと、そういう点で文部省と厚生省関係でお話し合いになったことございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 実はこの法案を提案する以前でございますけれども、閣議でこれに関連する話が出まして、できることならば実質的な教育でもあるようだから検討してみようということで、検討を加えました結論が一応今御審議願っておる内容になっておるわけでございます。もっともこれは絶対的なものではございませんので、実質上なるほど教育ではあろうけれども、形式上は厚生行政になっているという条件下におきましては、お説の通り厚生省でお医者さんについて考えると同じ考慮を払っても差しつかえがないわけでございますから、将来そういうふうな問題が具体的に出ました時分には、厚生省でそういう制度ができました時分には、これを法案から除くということもその場合は考慮すべきものと心得ております。
○千葉千代世君 そうしますと、そこにお勤めになった教師は何かこの年数によって返還規定のございません――たとえば一年勤めてやめてもそれは免除するのでございましょうか。何か年数の規定がございましたら……。
○説明員(西田亀久夫君) 今回の法律改正に伴いまして政令も改正いたします。その結論をどうきめるかは現在まだ確定いたしておりませんが、従来義務教育の教員になりました場合の免除の方法といたしましては、まず本人が大学で二年以上在学をしていたものでなければならない。そうして奨学金を受けて指定されました職につきました場合に、その職に二年以上在職をいたしまして、そうして貸与金の総額が免除になりますのは、大学で貸与を受けました期間の二倍勤続した場合に全額免除になる。その中間の場合には比例計算で免除額を計算いたすようにしております。いずれの場合も二年未満の場合は、全然免除が行なわれない、こういうふうな方法規定があります。
○千葉千代世君 これはやはり来年度の予算を盛る場合にも、厚生省関係と少し関連して、少しでも多く育英資金の確保ということは私どもの願いでございますので、やはり厚生省でもお医者さん、保健婦にしたと同じように、やはり予算に盛っていただきたいと思うのです。と申しますのは、お医者さん、保健婦その他が厚生省直轄で運営しているわけですね。そこへ行って仕事をしていると、そうすると教員はよそ者扱いということはございませんけれども、非常に肩身を狭くしてその中でお仕事をなさっているわけなんです。やはりそういう点についてもこれは文部行政と厚生行政を一本にすぐするということはできないかもしれませんけれども、やはり厚生省の方から出した育英資金でありますというと、働く場合の何といいますか、気分的とか連携とか、そういう意味で非常にやりいいということを伺っているものですから、重ねて要望しておきたいと思います。 次は第二十四条の改正でございますけれども、この中には今までは文部大臣のまあ認めるものによって認可云々ということがございましたですね。その認可制が削られているわけですね、今度は。
○説明員(西田亀久夫君) 第二十四条は、現在一項と二項から成り立ってございまして、今回の改正はその一項の次に加えると申しますことは、ここに改正案で提出いたしましたものが新たな第二項になりまして、従来の業務方法を定めて主務大臣の認可を受けなければいけないという規定は、従来通り第一項に残るわけでございます。
○千葉千代世君 そうしますというと、「回収ニ関スルモノハ主務大臣ノ定ムル所ニ依ルモノトス」というのは、新しいものについてだけこれは適用する、こういうわけですか。
○説明員(西田亀久夫君) 従来の第一項では、育英会が業務の方法を定めまして主務大臣が認可するという建前で参りましたが、今度の新しい二項が加わりますと、育英会がその業務方法書を定めます場合に、貸与金の回収に関するものは主務大臣が定めました、たとえば文部省令等の原則にのっとりまして、回収方法を業務方法書に定めるということになります。従いまして、その新たに行なわれます回収に関する業務方法の内容が、従来の本人との貸与契約におきましてあらかじめ本人の了解をしてない、本人とすればかりに不利益だというようなものがありますならば、これは過去のものに遡及することは困難かと考えられます。
○千葉千代世君 それに関連して予算的なもので伺いたいのですけれども、三十六年度の育英貸付が五十億八千七百四十万ございますね、そうして育英会の補助金が三億三百三十五万七千円ございまして、その補助金の内訳はどんなになっていますでしょうか。
○説明員(西田亀久夫君) 補助金は、育英会法によりまして、育英会の業務に関します事務費を国庫から補助いたすわけでございますので、日本育英会の職員の人件費、物件費はすべて包括されるのはもちろんでございますが、さらに貸与金の返還、回収に関する経費等もすべてこれに含まれておりますし、三十六年度の予算に計上されました特に増額の大きな点といたしましては、返還、回収網を全国的に整備いたしますために、新たに大阪に育英会の支所を設けるための予算が計上されております。これが前年度に比べまして、補助金が特に大幅に増額になりましたおもな点でございます。
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○千葉千代世君 大阪支所が新たに設けられると、これが大幅に増額、予算に盛られていると、その他東京都内の集金制度の拡充というような事柄、それからもう一つは、本部事務機構の強化という内容になっておりますのですけれども、大阪支所を設置したについては、これはお金の回収が目的なんですか、貸し付けたり、回収も同時にすると、こういうわけでございますか。
○説明員(西田亀久夫君) 大阪支所は、この返還回収を的確に行ないますために育英会が今後四カ年計画で全国各ブロックに支所を設けまして、それがその地域の府県にさらに駐在員等も派遣いたしまして、もっぱら返還、回収のセンターとしてそれを活用しよう、こういう考え方でございますので、大阪支所もそのような返還金に関する業務を中心といたしておりまして、貸与事業の方は直接関連いたしておりません。
○千葉千代世君 そうしますというと、これは全くのお金の催促の機関と、こうなるわけでございますね。大阪に一カ所か、東京都内の集金制度の拡充という内容も予算に盛られているようですが これは育英会長さんに伺った方がいいかと思いますが、東京都内の集金制度の現状について伺いたいと思います。
○参考人(田中義男君) 現在東京都内の集金をするための専従職員が十名予算をいただいております。ただ病気その他の事故がありまして、現在では七名の者が毎日集金の業務に従事いたしております。これは昨年から始めましたわけでございますけれども、特に長い間延滞をいたしておりまして、しばしば書面による督促をいたし、また催促いたしましても、なかなかそれにこたえてくれない、こういうような人々に対しまして、さらに予告をもって、応答しない場合には、集金のために参上いたします。こういう手続を経ました上に、それぞれ訪問をいたしまして、これもただ取り立てるということを第一の目標にいたしているわけでありませんので、できる限り訪問の上は御相談をいたしまして、そして実情に応じて返還可能な道を相談し合う、こういうことでおたずねをし、そして返還促進に当たっているわけです。その中には、たまたま参りました場合に、直ちにそれではというので、即席返還をして下さる方もありますし、なおそれなればこういうふうなことにして、いついつころまでには払うようにするというようなお約束もいただくこともございます。そういうふうなことで、ただいま実施いたしておりますが、大へん成績がよろしゅうございます。私どもも非常にこの制度に期待を持っておりまして、その関係でさらにこれを拡充するために、新年度、新たな予算等もお願いいたしている、こういうわけでございます。
○千葉千代世君 三十五年度の滞納額ですけれども、今東京都の関係でどのくらいございますでしょうか。そして三十六年度はどのくらいの回収目的でいらっしゃるのでしょうか、概略でけっこうでございます。
○参考人(田中義男君) 都内の数字については、ちょっと今資料を出しまして、お答えいたします。
○千葉千代世君 後ほどでけっこうでございます。 これは大へん回収に行くと成績がいいというようなお話がございましたけれども、そういう人は催促しなくても払えるだけの余裕金を持っている、余裕金というか払えるだけのお金を持っているわけなんですか、催促してまた気がつくような、そんな人はいないと思うのですよ、悪い悪いと思っていて払わないのか、それとも取りに来るまで待っているのか、大へん失礼な言い分ですが、催促して大へん成績がいいというようなことになりますと、何か催促するのがあたりまえのようなことになって、この予算に大へん食われるということは、大へん不本意と、こう思うのですが。
○参考人(田中義男君) 実はお話の通りにこういう制度を始めますと、結局みな集金に来てくれるものだ、従って、それを待つという気持になってくれることを非常におそれているわけです。とにかく何十万の件数があるわけですから、それを一々集金させるというような手数でもって、その返還を期するということは、なかなか困難でございますから、そうじゃなしにほんとうに長い間音さたもないし、また返還もしてくれないという、特別な悪質とまでは参りませんけれども、何とも誠意を疑うような人に対してとりあえずたずねていく、こういうことでないといけませんので、従って、一般にも集金はそういうような性質のものであって、決して本則ではないというふうに仕向けるように、私ども気を配っているわけでございます。そこで現実東京都内においてたずねて行っております様子を聞きますと、大体は善意です、悪意ではございません。まあうっかりしておったとか、あるいはそのうちにと思っておったとかいうのが大体多うございまして、そこでいろいろお話し合いができて大体成績がよろしい、こういうことになっているわけでございます。
○千葉千代世君 悪意はないといえば、それが善意のサボタージュというのでしょうか、やっぱり借りたお金を悪意がなくて返さないのだとかいうことでは済ませないと思うのです。 その論議はさておきまして、たずねていかれる場合に、勤務先がわかって、住所がわかっているところしか行かないわけでしょう。そうすると、お金を借りましたときには住所がわかっておっても、再三変わったり、それから民間会社で就職がえをいたしました場合ですね、どこも届けるようになっていないわけでしょう、これは一応は届けるようになっているかもしれませんけれども、これは大した規定はないわけですね。
○参考人(田中義男君) これは、私ども奨学生に対します規定等を作りましてこれを、育英会限りの問題ですけれども、そしてそれらの場合には本会の方へ届けてもらう、こういうことに実はなっておるのであります。それが必ずしも全部履行しておるとはいえませんので、かなりまあ多うございまして、そのために私どもとしては苦労をしておると、こういうことでございます。
○千葉千代世君 公職についている場合には、やはりこれはわかりいいし、調べられやすいわけですけれども、民間の会社などに勤めた方ですとかなり調査が行き届いてもいないし、本人もそれを履行していない、届けるのを。そういうとぼけたのがうんといるように伺っていますが、どのくらいのパーセントいるのですか、行き先がしっかりわかっている者と、わかっていない者とのパーセントは。
○参考人(田中義男君) それははっきり私どもパーセンテージをとっておるわけではございませんけれども、そんなに多いわけじゃございません。ともかく確かにお話のように、もう悪意の者も間々ないではございません、ないではございませんけれども、大体はやはり相当最初採用いたします場合に十分厳重な選考をいたしておりますので、大体はまあ良質な、そして善意の者が大部分だと考えておるわけでございます。
○千葉千代世君 良質で善意のある者ならば、これは昨年度の滞納額は幾らでしたか、昭和三十何年からずっと大して返還率はよくなっておりませんね。五〇%内外ということでしょう。そうすると、金額にしますと四十億ですか、その中の二十三億ですか、ことし回収になるといいましたね。そうすると、二十億余のお金というものが滞納になっているならば、それで善意で、悪質でないとするならば、そういうたくさんのお金というものがもっと私返還さるべきじゃないか、こう思うわけです。ですから、育英会長さんが、督促制度について、まだ始めて間がないからその点については調査も十分でないかもしれないと思うのですけれども、やはりここにメスを入れておきませんと、借り得でもって、返した方が損をするのでしょうか。これは借りたものを返すという建前の中で、やっぱりきちっとこれを、ことしの目標は幾ら、それに沿って調査も十分にするという――この間決算委員会でしたが、ここでもやっぱり質問したのでしたけれども、やっぱりその点は解釈について、たとえば公務員の方々についてもかなりある、各省にあるように聞いている。こういうわけで、一応私的に調べてもらったのですが、かなりあるようでございました。ところが、その後会計検査院、それからその他の省でもお調べになっていただきたいと言いましたら、どこからも調べた報告もないようなわけで、まあ内々にしているのじゃないか。それで大蔵省あたりでも部長さんですか課長さん、上の方たちが滞納したことを知っていると、下の若い人たちが、何だ育英会に納めもしないで大きなことを言って、国家の予算を組むとは何事だという、冗談まじりに言っている。これは公務員に対しても当然これは本人の責任で返していただくと同じように、これは公務員であると民間であるとを問わず、やはり借りた金は返すという、そういうPRというものをもう少ししていただきたいと思うのです。ただ、わかっているところだけ催促に日参して、そしてぎゅうぎゅう催促され、そうでないものはこぼれていくという不公平なことのないようにお願いしたいと思っているわけなんですけれども……。 日本育英会のこの制度のほかに、団体で七百二十あり、その半数が地方公共団体であるように聞いているわけです。この育英制度のほかに、民間団体で百九十七も貸し付けているわけです。そうすると、民間団体の回収状況――中にはクレジット貸しのところもあるわけなんですけれども、回収状況と、それから育英会の方の貸付の回収状況とは、御比較になったことございましょうか。
○参考人(田中義男君) 私ども、あまり他の団体等の詳細について十分な調べはいたしておりません。おりませんけれども、ただいまお話のような点につきましては、大体どこも、私どもの方が特に悪いということではなく、あるいは私どもの最近の成績はいい方に属しやせぬかと考えております。
○千葉千代世君 この点は非常に大事だと思うのです。というのは、今、民間の会社や銀行、それからデパート等で、高校生を採用する場合に、在学中に育英資金を出すから、卒業したらば必ずここに入るようにという、暗々裏のひもつきでしているわけなんです。その中に、たとえば千葉市の扇屋デパートなんか見ますと、その金は返さぬでいいと、卒業してここにおってお金を返さぬでもいい。そうすると、日本育英会で金を借りたら返さなくちゃならない、自分の方は返さなくともいいんだ、就職も保証する、こういうふうにして制度を設けている。それから、銀行も二つばかりございましたですね。これは、民間会社にも、就職難とあわせてそういう方向がだいぶございますので、ちょっと聞くと大へんいいように思いますけれども、育英資金を借りて、さて卒業してお金を返さぬでもいい。で、就職する。そうすると、まあ労働条件とか給与とか、そういう面にそれが影響してきて、デパートでは十分これは貸した金はすぐ回収できるわけです。本人の労力によって十分働かせますからね。で、私この間、扇屋デパートに行って、あそこの従業員の方々とお話したんですけれども、もう入ってきた人たちは、終業しますというと、一階の売り場が泥でよごれるから、全部はだしになって、そして水で掃除させるとかいうふうなこととか、朝、全部集まって訓示を聞いて、その訓示の内容についてもずいぶんいろいろな問題ございましたけれども、そういうふうなことも陰に陽に本人の労働条件あるいは労働者としての権利というものが、そういうふうながんじがらめで侵害されていく傾向にあるのじゃないか。ですから、貸した金は返さぬでも、全部自分は給与だからというようなことで手放しで飛びつかせるということも問題じゃないか、こういうふうに考える場合に、日本育英会のお仕事というのは非常に大事なお役目を果たしているじゃないか。だから、貸すときには貸す名分を明らかにする。これは、一番いいのは給与が一番いいわけですけれども、全部困る人にそういうのを上げるということは一番いいわけですけれども、とにかくそういう制度があるからには、回収問題についても補助金を増して、そしてお金を集める上にかなりの労力とお金を費やすということに対しては、非常に問題があると思うのです。こういう点について、このままでことしも来年も続けていくつもりなんでしょうか。
○参考人(田中義男君) 従来はとかく育英会の貸付金の返還についてあまりにこれを教育的に扱おうということから、少し借りた方でも甘く考えた傾向がないじゃございません。しかし、それではとうてい許されない情勢になって参りましたので、とにかく借りたものは返す、そして正直な者がばかを見るようなことがあっては相ならぬ、こういうふうなことをかたく考えまして、近年まず貸します場合に、相当この奨学金の返還すべきものであるその性格について十分にこれをたたき込んでいく、それには特に学校等にもお願いいたしまして、十分その点のPRについて、あるいは認識を深めることについて十分な努力を目下注ぎつつあるのでございます。それからなお卒業いたしました場合にも重ねて、いよいよ返還期に入るわけでございますから、その点についての認識を十分に与えまして、そして返還意識の高揚と申しますか、その点についての努力を十分行き届くように現在しております。それからなお卒業し、返還期に入りました場合に、ともかく当然事前にいろいろ書面等の予告なりあるいは催告なりをいたしますけれども、しかし、どうしてもなお返還を果たさない場合には、やむを得ないから、これは法的措置をもとる、こういうふうなかたい決意をもちまして、近年この返還問題と取っ組んでいるわけでございます。従いましてまだ十分な成績を上げておりませんけれども、そこにその成績の向上いたします光明を今認めつつあるのでございますから、将来もっとこの成績を上げて、一般の御期待にも沿いたい、かようにかたく考えて会の職員全部を督励いたしている現状でございます。
○千葉千代世君 会長さんは非常に回収に御苦労なさっているようですけれども、貸与制度というものについてどうお考えになりますか。
○参考人(田中義男君) 今までもいろいろ発足当時から議論があり、沿革もございまして、一応貸与ということが本則になって参っております。ただそれについては先ほどもお話がございましたように給費にすべきではないかとか、いろいろ議論はございますけれども、ただいまのところ、財政状態、その他から考えますと、これを全部給費に切りかえるということは相当困難である。従って現在の貸与制度を、返還を十分確保しつつ続けるほかないと思いますけれども、ただ最近の実情から申しますというと、科学技術の振興等に関連をいたしまして、特別な技術者を養成する、あるいは国家に、ある分野において特別な才能のある者を育成し、また確保する必要がある、こういうふうな部面に人を確保するためには、最近具体的には大学院の特に博士課程等についての議論もございますけれども、貸費でなく、給費にすべきじゃあるまいかというようなことがいわれておりまして、私どももそれはかなり検討を進めておりまして、情勢が許しますならば、そのような方策も今後新たにつけ加えるべきじゃないかと考えております。
○豊瀬禎一君 ちょっと今のことに関連して一、二会長にただしておきたいと思います。いろいろ千葉さんと論議されましたが、金の回収のできていない原因の主たるものを簡単に二、三あげていただきたい。
○参考人(田中義男君) 私どもはまず本人の経済状態が主であると考えるわけであります。その次には、本人はその意思を持ちながらも、いろいろ手続、その他の点について、そのうちにと思っておって、善意ながら手続を怠っているという者が第二種類にある。第三種類は少数ですけれども、何か奨学金はもらったような感じを持って怠っているというものがあるように一応考えております。
○豊瀬禎一君 大体大きくしぼると今の三点になるということですが、この三つの原因の現在までの占めておるパーセンテージを正確に把握するととが不回収の資金を回収する抜本的な解決策になるわけですね。ばく然とした言い方でなくして、今会長があけられた三つの原因について今日まで二、三カ年間の年次別があればなおよろしいし、どうしてもなければある特定の時期でよろしいから経済的な事情によるもの何%、善意であるけれどもまあサボっておるというもの、もらったもんだと思って黙っていれば返さんでいいのだからというのである程度ずるけておるもの、このパーセンテージを出して下さい。
○参考人(田中義男君) その資料をただいま私お答えするほどのものを持ちませんですから、後ほどそれを作りました上でお答えさせていただきたいと思います。
○豊瀬禎一君 千葉委員が指摘されたように、数十億の金が未回収になっている。私は育英資金については別の観点を持っているのですが、まず一応の現段階において回収するという立場に立つとして、その金を解決するためにいろいろな方途を育英会としては考えられなければならないと思います。これは前回の当委員会においても論議されました。このことに対して直接的な責任はあなたの方にあると思う。そのあなたの方で未回収の原因が把握されながらその原因に対する類別が今日まで把握できないというところに運営の問題があるような気がするのですが、端的に申し上げまして、育英会そのものの怠慢がそういった状態を来たしておる直接の原因じゃないかという気がするのですが、どうお考えですか。
○参考人(田中義男君) さような御指摘を受けましても、現在の実績はあるいは私もやむを得ないかと思いますけれども、ただ先ほども申しますように、近年その状況は許すべからざることだと考えまして厳重な処置をとるように私どもできる限りの方策を講じて進んでおるわけでございます。
○豊瀬禎一君 僕の言っておるのは、把握できにくかったと思いますが、たとえば第一の経済理由が八〇%を占めておるとするならば、今後新たに考えられておる地方出先の執達吏的な徴収督促機関を設置するということに主眼が置かるべきじゃなくて、免除というところに主眼が置かるべきでしょう。それから第三の悪意的な不返還者が大多数を占めておるとすれば、これまた抜本的な方策が問題になってくる。この原因に対するパーセンテージの把握なくして回収というのは、ただ一般的な事務機構の強化とか、単なる督促ということでは本委員会で論議する際にどれがきめ手になるかということが把握できにくいと思うのです。しかし、現在まだそれをおやりになっていないということでありますので、はなはだ不満ですけれども、次回までにこれを明らかにしていただいておきたいと思います。 それからこれは別な角度ですが、私は日本国憲法の新たな決意に立って考えてみる際に、先ほど会長も言われたように、天下の英才を国家が保障しながら育てていって文化国家を建設するというあり方からすると、育英資金というものは千葉委員も先ほど指摘したように、本質的に僕は貸与ということよりも給付制度に重点が移行さるべきである。二兆予算の中で一%とすると二百億ですか、そのくらいの金が日本の文化国家建設の育英資金のために出せないという理由は存在しないと思う。基本的に貸与制度であるべきでなくして、給付と申しますか、渡してしまうという立場に立って、国が育英資金の予算の裏づけをすべきだと私は考えておるんですが、会長のお考えはこのことに対してどういうところですか。
○参考人(田中義男君) この点ついては、先ほども申しましたわけでございまするけれども、現在貸与制度を直ちに給与制度に移しかえるということについては実際問題としてもまあ困難があると申し上げました。なお貸与すべきか、給費すべきかという本質論につきましてもかなりいろいろ議論のあったことでもございますし、なお現在も議論のあることでございますが、私は現実問題としてこの貸与制度を維持しながら、必要な分野について給費制度もあわせ考えるべきでないか、かように考えておるわけでございます。
○豊瀬禎一君 現実の問題というのは、主として予算の裏づけということですか。
○参考人(田中義男君) 予算ばかりでございませんで、給与と貸費の問題についてはなかなか実は創業以来の議論のあるところでございまして、私ども貸費よりも給費という点についてのまだ結論を持ち得ておらないのであります。
○豊瀬禎一君 関連質問ですから、これ以上追及するのは避けますが、少なくとも日本育英会のビジネスでなくして、方向について一応の責任を持たれる会長としてはやはり僕はこういう問題について明確な把握を持って、単なる事務ということでなくして、育英制度はどうあるべきかということに対してもう少し検討をお願いしておきたいと思います。 最後に、大臣に一点だけお尋ねしておきますが、ただいま会長の意見をただしましたように、当然方向としては育英の趣旨に立った際には貸し与えるということでなくして、これを給付していくという方向が望ましいことだと思いますが、大臣としてはその意見のもとに今後努力するというお考えはありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は育英制度としては現行の貸費制度の方が正しいと思います。と申します意味は、働いて国費をまかなうために国民は税金を納めます、単に一般的な育英というだけの目的のために、その働いて出してもらった税金を、頭がいいからというだけでくれてやるということは、これは適切でないと思います。働いた金で自分が学校に行けたならば、自分が働けるようになったら返すという考え方の方が私は正しいと思うわけであります。もっとも学校の先生になるとか、国民的な立場で国民が納得する方向に寄与する人に対しては、働いて出した税金を給費として支給しっぽなしであっても納得のいく面があろうかとは私も思いますが、一般論としては、私は貸費制度の方を建前とすることが正しいんじゃなかろうかと思います。
○野本品吉君 この問題は私は実はこの委員会でかつて取り上げました問題なので、一応その責任もありますし、関心を持っておりますので、一、二きわめて簡単に申し上げます。(「関連ですか」と呼ぶ者あり)関連。そこで私は、今回収の問題がいろいろと論議されましたけれども、この回収を厳重にするということの意味をどういうふうにとるかということで、一応考えてみたんです。で、むろんこの回収というのは、高利貸しが金を取り立てると、あるいは執達吏が行って強制執行をすると、そういうような角度からでなしに、私が考えたいのは、やはり貸与を受けた学生の諸君が、自分たちが完全に返納する、返還することによって、自分たちの後輩がより多く貸与を受ける機会に恵まれるんだと、先輩として後輩に対する道義的な責任――返還が不十分なためにすでに二十億もたまっておるということがいかに後輩の進路をふさいでおるか、そういうところに道義的な、教育的な意義を返還問題に見出すべきであると、私はかように考えておる。この点については、会長はどう思いますか。
○参考人(田中義男君) 全く私どもも同様な考えをもって指導等をいたしております。
○野本品吉君 そこでそういう意味において、この返還の仕事が完全に行なわれるためには、私は当然その各種の協力を必要とすると思うんです。貸与金を受けるときに、父兄は一体どういうふうに考えたか。貸与を受けて自分の子供をりっぱに育てたいという気持において父兄がこれに期待をかけている。学校は一体貸与生というものを、当該の学生を選考するときに何と言ってあなたの方に申し出ておるか。これはりっぱな生徒だから、貸与金を、育英資金を貸与してもらって育ててほしいということの内申といいますか、具申というものがあるでしょう。そういう父兄の希望、学校の希望にこたえて、あなた方の方では、それに基づいて慎重に審査の上貸与をきめているんですね。従って卒業後における貸与金の返納ということについては、これは父兄も、これに関係した学校も、あなた方も、貸与事務を取り扱ったあなた方も、これは共通の問題として考えなければならぬ。で、従来父兄や学校というものは、この貸与金の返納についてどういう協力をしておったか、あなた方は父兄や学校に対してどういう協力を求めておったか、これはどうですか。
○参考人(田中義男君) 父兄等につきましては、私ども従来はあまりきつくはやりませんでしたけれども、近年、まあ御承知のように、保証人等もそれぞれ私どもにわかっておりますので、動かしまして、本人に対しても十分債務を履行するようにという連絡をいたしまして、父兄には督促をするようにいたしております。なお学校等におきましては、先ほども申しましたのですけれども、もう学生が奨学生になるそのときから十分返還についての意識をたたき込むように、またいよいよ卒業をいたします場合にも、はっきり十分に卒業後の返還について、これを完遂するようにという十分な指導をしてもらうように、私ども近年特に力強く大学当局に働きかけて、御協力を得るように努めております。
○野本品吉君 私はやはり今日まで回収の問題がこんなに委員会で論議をされなければならないほど貸与された学費の返還ということが行き詰まっておるということについては、従来いろいろ御苦労はなすっておったとは思いますけれども、育英会当局においても、多少いろいろな点において多少の手落ちがないでもないと私も判断しております。今後の回収の問題につきましては、ただいま申しましたような関係各方面の協力を求めて、十分その実績を上げていただきたいと思う。 それからもう一つ私が申したいのは、先ほどお話のございました、まあ返さないけれどもそれは別に特に悪意に満ちて返納を怠っておったというものでないというのが相当おると、そういう話なんですがね。そこで、そういう悪意に満ちて返納しなかった者に対して、いろいろ働きかける場合に、私はその職場等における影響も考えなければならぬので、あれは貸与金を返さないから悪者であると、ふらちな者であるといったようなふらち呼ばわりをせずに、本人にいろいろと迷惑のかからないように十分なあたたかい配慮をもってこの事務に当たっていただきたいという希望を持つのです。 それからもう一つの点は、先ほど金の返らない一番大きな原因の一つは、経済的な理由だと、こうおっしゃるのですが、大体大学を卒業された者の初任給は幾らであるかということは、もう常識としてだれでもわかっておる。家庭の事情等によっていろいろ違いましょうが、私の知る範囲では、あれは卒業後二年たってからですか、回収の始まるのは……。
○参考人(田中義男君) 半年たちましてからです。
○野本品吉君 半年、それで二十年以内ですね。
○参考人(田中義男君) そうです。
○野本品吉君 そうすると、平均しまして学費の貸与を受けた者が月々にするというとどのくらいになりますか。
○参考人(田中義男君) 平均をいたしますと、年まあ七千円から八千円ぐらいになります。大学につきまして大体そういうふうに私ども承知しております。
○野本品吉君 まあ年、かりに七千円としましても月に六百円ということになってくるわけです。そこで、まあ経済的な本人の事情もあるかしらぬけれども、私がさっきも申しますように、これが奨学金の貸与を受けた先輩として、後輩に対する道義的な責任があるというその基本に立ってものを考えてもらい、それから関係されました各種の父兄、学校、それからその他の方々が、これもまた善意を持ってこの面に当たれば、執達吏のような、高利貸しのような気持でなしに、実際の成績が上がってくるのじゃないかと、かように考える。そこで、これは育英会の陣容の問題でありますけれども、先ほど来、育英会の支所というものを設けてやるというのでありますが、先ほども千葉委員等からもお話がございましたけれども、この支所等を設けてやる行き方は、一刻も早くなくなることが理想です。そういう支所にかかる費用は育英の方に回るというようになることがわれわれの望むところなので、ぜひ今後、こまかい心づかい、あたたかい気持で、しかも実際の成績の上がりますように、特に最善の努力を希望します。それだけです。
○参考人(田中義男君) 先ほど御指摘になりましたように、返還について各方面の協力を得るというお話、実はただ大学だけ、学校だけでございませんで、特に多数の奨学生が就労をいたしておりますような官公職場等につきましては、十分この点についての御理解をいただき、また場合によれば返還について格別な御協力をいただくような方途を現在講じつつございます。しかしお話のように、そのために奨学生にとって奨学金返還のために非常に人事管理上不利を招く、こういうことのないように慎重に考慮を払うように私どもも十分留意をいたしておるつもりでございます。
○岩間正男君 関連。簡単に二点お伺いしたいのですがね。一つの問題は、やはり諸外国のこの制度を研究する必要から資料をほしいのですがね。それは諸外国ではどうなっておるか、貸与の適用範囲、それから貸与の額、それから実際の実行の総額、こういうような点でぜひ調べて出してほしいのですが、米、英、仏、それから西ドイツ、それからソ連、中国、それからチェコスロバキア、それから朝鮮民主主義人民共和国、これだけちょっと参考までに資料、あなたの方でどれだけ集めておられるかわかりませんけれども、この制度についてどうなっているか、この実態を出していただきたい。これが一つ、よろしゅうございますか。
○参考人(田中義男君) わかりました。
○岩間正男君 もう一つお伺いしたいのは初任給の問題です。今のお話では六百円、七百円ぐらい出せないことはないだろうという意見もあるようでありますが、今の初任給というのはどうなっているのか、額によって違うと思いますね。私立の場合と国立の場合と違うと思いますが、幾つかのケースはとることができると思いますね。これを出していただいて、さらにぜひこの中で問題にしたいのは、そのうちの生活費というのはどの程度まで生活費と考えなければならないのか、初任給のどれだけかかるのか、こういう実態の調査がされておるのか、どうか月々六、七百円ですから額としては大したことないように思うけれども、これがエンゲル係数でも割っているような生活状態だということになると、これは大へんなことになるのです。余裕がある場合の六、七百円と、余裕がない場合のほんとうにぎりぎり一ぱいの六、七百円とはこれは非常に違う。むろんこれはそういう義務をつけて、そうして返すということを建前にして借りたものだから、返さなければならぬというのは、一応そういう建前になっておりますが、しかし、政治というものはそういうものじゃない。ことにこれは憲法二十六条との関連から考えれば、この問題については相当考えなければならぬ問題がある。こういうような点からあなたたちその実態を調査されておるのかどうか、少なくともそれを何ですか、就職をした、それからその初任給について報告する義務になっていますか、それについてここに検討するというようなそういう形にこれはなっておりますか。それからその検討した結果というものは何か資料的に今まで出されておりますか、初任給はこれだけだ、そうしてこれこれの生活費がかかる、そこからこの返還する金をはじき出すということが実態の生活の上にとってどういうことになるかというような研究調査がなされておるかどうか、この点お伺いしたいと思います。そうしてなお資料を要求したいと思います。
○参考人(田中義男君) 資料については私ども整えまして御報告申し上げます。ただ第二点の初任給に関連した問題ですけれども、これも資料はございます。きわめて抜き取り調査にすぎませんけれども、大よそどれくらいになっているかという資料もございます。それから生活費の問題ですけれども、私どもやはり何と申しましても生活、家庭の状況というものが非常に問題でございますので、大体どの程度がほんとうに最低生活になり、あるいはそれをも多少上回る最低文化生活費とでも申しますか、そういうふうなものがどの程度になるか、これについてはあるいは厚生省関係の資料なり、あるいは総理府の統計局の出しております資料なり、また労働科学研究所等において出しております資料等をいろいろ調査いたしまして、そうしておよそのそこに見当をつけまして、そうしてそれを基本にいたしまして、そうしてどの程度が大体標準となる生活費になるかというふうな実は調査をいたしておるわけであります。これも資料といたしまして一つ後ほど提出いたします。
○岩間正男君 今の生活実態の調査に最近の物価の値上がりを加味して出してもらいたいですな。これは政府統計でも三十四年よりは三十五年は三・二%、それからさらには今年度は一・一%で押えるというわけですが、大体政府統計でさえ五%で押える、しかし、実際はその三倍くらい上がっていると思うので、そういうものを最近のやつを加味して、それから賃金の値上がりもあるとすればそれを加味して実態を把握する、そういう努力の上に、これはできるだけ最近の現状把握の上に立って資料を出していただきたい、いかがですか。
○参考人(田中義男君) 承知いたしました。大体それに沿うように調製いたしたいと思います。
○矢嶋三義君 時間が迫りましたが、わが党としては、この育英制度というものは教育文化政策の中で最も重点を置いた一部門でありますので伺いたいことはたくさんあります。きょうは時間の許される範囲内において伺いたいと思う。伺う前に、大学学術局の所管局長お見えになりましたが御健康の都合ということですが、答弁ができるなら政府委員ですから答弁席に着いていただいて、西田説明員は本省に帰って行政事務に携わっていただきたい。それから田中会長は特に御出席を御希望申し上げたわけですが、先ほど来答弁を承っていますと、あなたが次官になられる前、局長にあるころ政府委員として国会においでになった当時とは政情も世相も変わっておりまして、若干育英会に長くおられるので、少しピントをはずれているようですからしっかりした答弁をお願い申し上げておきます。 まず、大臣に伺いますがね。これ日本育英会法は昭和十九年に公布施行されたのでかな字になっておりますが、文部省関係でも平がなの法律と片かなの法律とあって、われわれ六法を見るときに非常に目を使うわけです。これ平がなにせめて文部省の法律だけでも統一する方針ございませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 統一したい気持であります。ただ私よくわからない点ですけれども、戦前の法律で生き延びておるものをかなをどうするかということについて一般的に行政府の内部として取り扱い方に一貫した考え方がありゃなしや、そこら辺がよくわかりませんけれども、気持としましては一貫した体裁にすべきものと心得ます。
○矢嶋三義君 閣議等において議題に供し、内閣法制局で検討されて、内閣全体として検討していただきたい。これは全国民、現代に生きるわれわれ、さらに後輩諸君が、これから影響を受ける視神経への影響というものは相当大きいものがあろうと思うのです。従ってぜひ検討していただきたいと思います。 次に、大臣並びに田中会長に伺いますが、まず田中会長から先に答弁していただきますがね。この日本育英会法の第一条は「優秀ナル学徒ニシテ経済的理由ニ因口修学困難ナルモノ」と、こうなっておるわけですが、私は立法当時から、その後の法の運用を見ておって、「優秀ナル学徒ニシテ経済的理由ニ因リ修学困難」というこの条文の運用が若干変わってきたように感ずるのですが、今奨学生を選考する事務を扱っている育英会事務当局として「優秀ナル」に重点を置くのか、「経済的理由ニ因リ修学困難」という点に重点を置いているのか、それとも両者をタイに見ているのか、いかように運用しているかという点と、それから文部大臣に伺いたい点は、今後どういうところにピントを合わして運用すべきものとお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
○参考人(田中義男君) あの法文を見ますというと、その点明瞭ではございません。二つの要素が並立しておる格好でございます。で、私どもの会の運用の沿革を見ますというと、発足当時は特に「優秀」というところにかなりウエートがかかっておったと思います。その後終戦後の非常な経済困難等によりまして、かなり「優秀」というよりも「経済的理由」の方を重く考えて運用をしてきたようにも思っております。現在におきましては、およそまず両方とも、どちらに重きを置くということに至っておりませんで、両方を合わせ総合をいたしまして選考する、こういうことにいたしております。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 優秀な者であって、かつ経済的条件に恵まれない者、やはり対等というか、二つの要素が備わったもの、そういう趣旨と心得ます。
○矢嶋三義君 あえて私がこの問題伺うわけは、やはり同年配の青年層に対する影響が非常に大きいから、明確にしていただき、また正しい運用をしていただきたいと思うんです。それは新聞の投書を見ましても、あるいはラジオの「私の時間」等への投書を見ても、年間を通して、まあごく一部でしょうけれども、自分はアルバイトして学校に行けない、ところが育英金をもらってそれを交際費に使っている同僚がおる、自分たちアルバイトしているような学生に貸与していただけないかという意味の新聞への投書、あるいは放送局への投書というものは一年じゅう通して相当あるんです。それを編集局が若干ピック・アップしては活字にしたり、あるいは電波に乗せたりしているわけですが、ごく一部とは思いますけれども、しかし同年代の青年層がそういう気を配っているということは、私はやはり重要だと思う。だから当局の態度を明確にして正しい運用をしていただかなけりゃならぬと思いますので、これに対する文部大臣の所見を伺います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私も今おっしゃったような投書なり、あるいはラジオを聞いたりして感じたのでありますが、やはり私は今申し上げましたように、まず優秀であるということ、かつ経済的条件が、不幸にして優秀でありながら恵まれないために行けないということ、そのことを中心に不公平のないように、公正に運用さるべきだ。同時にまた資金に限りがあるために、十分希望にこたえ得ないということも当然あろうかと思うので、これはもっと今後その足らざる面を補う努力をするべきであろうと感じた次第であります。
○矢嶋三義君 時間がないから、これ繰り返しておきませんが、会長はよくこれを胸にとめておいてもらいたいと思います、今の大臣の発言を。 次に伺いますが、文部大臣、あなたは荒木文政の一環として、三十六年度の概算要求に約百三十三億円の奨学関係予算を要求いたしましたね。そうして国会に今審議を要請されているのは約五十三億九千万円となっている。あなたの要求の二分の一以下に査定がなされたわけですが、荒木文政として百三十三億六千万円を要求したのはどういう構想を持っておられたのか、お答しえいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 従来からありました一般奨学を、もっと量を、対象人員をふやしたり金額もある程度上げたいということと同時に、特別奨学のことを当初考えたわけでありますが、予算折衝途上において、どちらかといえば特別奨学の方にウエートを置くということで妥協したもんですから、三分の一見当になったわけであります。
○矢嶋三義君 これは私は限られた国家予算でいかなる奨学制度をしくかという立場から非常に私は重要な問題が潜在していると思うのですが、やや人気通り政策に池田内閣は重点を移したという点について私は批判をいたします。遺憾です。特別奨学生というので人気取り政策をやろうとした。当時特別奨学生は高等学校六千人、大学は五千人だったのが、あなたの要求を排除してそうして高等学校を一万二千人に大学を八千人にふやした。そうして特別奨学生という新たな制度をここに設けようとした。こういうことが総金額としてはわずかですが、あなたの要求よりははるかに少ない。人気取り政策に重点を置いて、そうして教育の機会均等という立場からあなたのとられた立場の方が正しいと思う。あなたの考えられたことは私は正しいと思う、荒木文相の考えられた構想は。やはり今の日本の国民の所得の現状から、それから青少年層の向学心から考えて、あなたの最初の構想は正しいと思う。それは両方できればそれに越したことはない。二者択一、そのいずれを今の日本の教育界においてとるべきかといえば、あなたの当初考えられた教育の機会均等という立場から高等学校でも大学でもその率をふやす。それから今物価の関係から単価を千円から千五百円に上げる、あるいはさらに千八百円から二千円に上げるという、こういう金額面と採用率、それから教育の機会均等という立場をとるべきだ。ところが、これをぱっと切ってしまって、当初要求と大きな数字の変更をもたらしたので、人気取りを主に考えて特別奨学生の方をこうしたという点、これは私は非常に遺憾に思います。批判いたします。御所見いかがですか。どうしてあなたのような信念のある大臣がこういう私は誤れる妥協をされたのか心外です。お伺いいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今後並行的にもっと充実したいと思います。
○矢嶋三義君 こういう点をあなたは信念を通さなければいけないと思うのですよ。しかもこの特別奨学生五千人が八千人になった。この文部省の概算要求になったふえた分は六カ月予算しか組んでいないのですね。どうなのか。それからこのオーバーした部分の採用はいつされたのか、されるのか。この後者については田中会長からお答え願いたい。前者は文部大臣。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答えをいたします。
○政府委員(小林行雄君) 当初予定されておりましたのは、御承知のように大学が五千、高校六千ということでございますが、その後いろいろ予算折衝の関係からこの採用数が八千、一万二千にふえたわけでございます。この差額と申しますか、人数の差につきましては、御承知のように当初予約されておりませんので、この分につきましては三十六年度の予算が成立しました後に採用試験を行ないまして特別奨学生の採用をするという関係から、六カ月分の計上をいたしたわけであります。
○参考人(田中義男君) ただいま御答弁がございましたように、増員分につきましてはこの八月に試験をいたしまして、そうして十月から六カ月採用する予定にいたしております。そうしませんと、実は準備の都合もございますので、そういうふうにいたしたわけであります。
○矢嶋三義君 会計課長来ていますか。――それでは文部大臣に伺いますが、これは池田内閣の昭和三十六年度の予算の中の一つの重要な部門として施政演説にも入っておる。当院において会計課長は予算の説明をした。こういう場合に、こういう説明に触れないということは私は言語道断だと思う。特別奨学生をかくかくふやした。施政演説までやり、そうして文部大臣の予算説明にるる触れておって、そうして詳細なる予算説明をする場合にこういう増額分については六カ月予算しか組んでいないというような説明をしないということは議員をごまかそうとする態度だというので私は非常に遺憾に思います。そういう点こそ綿密な予算をわれわれが委員会で承りたいというときには、聞きたいことなんですよ。そういうことをほおかぶりして、いかにも奨学生制度は飛躍的に伸びて、こういうような七千五百円なりあるいは三千円、自宅通学は大学四千五百円、そういう奨学生を、かくかく文部省の要求を倍にしてふやしましたよというような、これは宣伝的な言辞を弄するということは、私は行政府当局としては立法府に対して私は不謹慎であると思うのです。今後絶対にかようなことがあってはならぬことを厳に戒めておきます。 次に、文部大臣に伺いますがね。ことし初めて、これは施政演説にあるのですが、中学校二、三年生にテストして人材開発計画をやる。これは文部大臣の予算の説明にも出ております。この人材開発とこれとは関連があるということですがね、たとえば中学二、三年生にテストして、その優秀な人には優先的に育英制度を適用するということが伝えられておるのですが、事実ですか、事実でないですか。そういうことはまた可能なのかどうなのか。文部省の方針と、それから田中会長はいかように了承されておられるのか承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 奨学制度運用につきましては、従来通りのやり方でやって、一斉テストとは直接の関係はございません。
○参考人(田中義男君) その問題については、ただいま大臣のおっしゃいましたように私ども了承いたしております。
○矢嶋三義君 その答弁は了といたします。それは正しいです。 次に伺いますが、この特別免除を拡大されたわけですが、これを拡大することによって年間どの程度の予算となると推察されておりますか、田中会長に伺います。
○参考人(田中義男君) 今資料をちょっと勉強いたしますから……。
○矢嶋三義君 じゃあとでお答え願います。 文部大臣に伺いますがね。この免除を拡大いたしますと、そうすると、この法律の附則の二項で、「現に大学又は大学院に在学する者に対しその在学期間中に貸与した貸与金についても、適用する。」ということですから、今度大学の四年生になった奨学生諸君は免除の恩恵に浴するわけですが、ところが、昭和三十六年の三月卒業して、昭和三十六年の四月教職についた人は、この免除の恩典に浴しないわけですね。こういう僕は法律の制定の仕方というのはないと思うのですよ。この法が適用される対象はいかなるものかということを考えてごらんなさい、困窮者なんですよ。そういう人を対象とした法律であれば、昭和三十六年の三月卒業者は、たとえ大学の先生に、あるいは諸施設の指導者になろうが、まるまる返還しなければならない。ところが、来年の三月卒業した人は全部免除されると、こういう断層のある立法技術はきわめて私はまずいことだと思うのですよ。その遡及の仕方がむずかしかったならば、経過措置として何分の一にするとか、こういう配慮は当然私はなされなくちゃならぬと思うのです。この点大臣いかようにお考えになられますか、経過措置を考えるべきだ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今指摘の卒業生だけをとりますと非常にきわだって見えますけれども、一般に法律が遡及しないのを本則といたすわけでございますから、遡及し始めれば際限がないということにもなります。法律改正の場合の断層は私はやむを得ないものじゃないか、あきらめてもらうよりほかには考えようがなかろう、こう思います。
○矢嶋三義君 では大臣、私は私案を出しますからお考えいただきたい。その私案なるものは、大学から各級の学校に教育職を確保するために、あるいは施設に適切なる指導者を確保するためにこういう改正が行なわれるわけです。必要だというわけですね。だから、新たに人材を吸収する必要があります。また今おる人は引っこ抜かれては困るわけですね。引っこ抜かれていっては困るわけです、そういう人も確保しなければならぬわけですね。だから、返還の義務を負っている、まあその個人にとっては債務ですね。その人の返還しなければならぬ義務を負っている金額を少なくとも二分の一にするというようなことは、立法技術上からも問題はないし、ましてや憲法違反でもない。 〔委員長退席、理事豊瀬禎一君着 席〕 昭和三十六年三月卒業した人、×円返還義務があればそれを二分の一×円にする。今から三年、四年前卒業した人は若干返還している。残額は少なくなっている。その残る返還義務のある金額の二分の一にするとか、こういう経過措置は、決してそういう措置をしたからといって、立法技術上誤りとはなりませんよ。一つの債務なんですからね。それを支払わないからといって罰則はない。けれども、道義的な一つの債務です。その返還義務を若干免除するということなんですから、私は当然配慮すべきことだと思うのですがね、大臣、いかがでしょうか。ここが私は政治だと思うのですよ。 〔理事豊瀬禎一君退席、委員長着 席〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御意見としてはわかりますが、むろん、御指摘のように、いわば利益を与えることですから憲法違反ということもむろんないと思います。思いますけれども、これは同じような課題はひとりこういう問題に限らず、たとえば税金の場合でも、減税になったとする。過去にさかのぼるということが……。
○矢嶋三義君 それとは違うですよ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 本質は違いますけれども、理屈としては同じようなことかと心得ますが、どうしてもけじめがつかないだろうと思われるのであります。お気持はわかりますけれども、立法技術として考えましても、やむを得ざることじゃなかろうかと、こう思います。
○矢嶋三義君 この点は私はちょっと下がれないですね。返還を義務づけて与えている金額、それは個人個人によってみんな違うのです。それを経過措置として何分の一かにするというような配慮は、当然私はなさるべきだと思う。あたたかい配慮はね。だから、たとえば今大学四年生ですよ。これは過去三年間ことし卒業した諸君と同じ条件下に貸与を受けてきたって、そして中には単位が取れないで一年おくれて卒業するがゆえにこれが免除になる。それはことし卒業した者が、同じ条件下に貸与を受けた者が全額払わなければならぬ。百とゼロですよ。この返還義務を課しているものを一つの政策としてそれを減免しようという場合に、ゼロか百かという、経過措置を考えないそういうやり方は、私は政治じゃないと思うのだな。しかも相手が就学困難な、経済的困難な人。私が言うような措置をしたからといって一つも、いかなる法律も違反にならないと私信じている。業務に携わっている育英会の事務当局としては変な感じ持ちませんか、いかがですか。要望したこともないですか。立法過程においてそのくらいのことは要望すべきだと思う。
○参考人(田中義男君) ただいま大臣のお話もございましたように、実際問題としては非常に事務上の手続を要することでございまして、中にはすでに返還した者もあり、あるいは返還せざる者もあり、その間の公平を期するということが非常なこれは手数でございますので、ただいま大臣がおっしゃったような結論にいかざるを得ないわけでございます。
○矢嶋三義君 これはまたこの次に私は質問いたします。大臣、一つ大蔵大臣と協議しておいていただきたい。場合によれば修正をする用意があります、社会党としては。修正を考える。それでそういう案が出た場合、政府側としてどういう見解を意思表示されるかということについて大蔵大臣と協議してきめていただきたい。予算的にも大したことじゃないのですからね。 次の質問をする前に、さっきの答弁を一つお願いします。
○参考人(田中義男君) 一時的には、在学生をも含みますので、約三億七千から五億にわたるようでございます。これが平年度になりますと約一億ということになると思います。
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○矢嶋三義君 そこで次に伺いますが、貸与金の返還回収についてこの法案で特に配慮しているようです。それで、主務大臣の定める政令によって云々と積極的な意欲を示しておるわけですね。主務大臣の定める政令というものはどういう内容を考えているのか。私はプライベートに聞いたところによると、延滞料を取るとか、あるいは集金手数料を、延滞している人に対して取るとか、あるいは卒業後六カ月以後二十年間に返還するわけであるが、これをまとめて早期に支払う人に対しては割り戻し金を出す、こういうことを主務大臣が政令として定めて、そして回収の能率を上げよう、回転率を高めよう、こういうことをお考えになっているやにプライベートに聞いておるのですがね。大臣並びに育英会の事務当局はどういうお考えを持っていらっしゃるのか。特に私はこの早期に返還する人に対しては割り戻し制度を考えるというような点は一つの私は妙案だと思うのですね。早く返還してもらえばそれだけ回転率がよくなりますからね。お考えをお二人から伺っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まだ私としましては事務当局の構想等も詳しく伺っておりませず、私もまだ念頭にございません。ただ割り戻しということがはたしてできるかどうか、法律に基づいて具体的方法を政令に委任されておるというとき以外に、政令だけでできるかどうかということも常識上ちょっと疑義を持ちますが、いずれにしましても、まだ私としましては今申し上げるような構想がございません。
○政府委員(小林行雄君) 御承知のように、貸与金の回収につきましては、現在の法律では今の法律の十六条にございますように、貸与金には利息をつけない、あるいは返還の期限の関係、あるいは返還の猶予ということしか規定してございません。 育英会の規則にいたしましても、業務の方法書に、大体それに法律に該当するような事柄を規定いたしておる程度でございまして、これらの規定では私どもこの貸与金の回収については、不十分であるというふうに思っております。従って今後貸与金の回収について御提案申し上げておりますように、貸与金の回収に関しては文部大臣の定めるところによるということにいたしまして、その実態にはまだいろいろ検討すべきものもあろうと思いますが、ただいまお尋ねの中にございましたように、正当の理由がなくて延滞ずるような者については延滞金を課するということにいたしたいと思っておりますし、また善意の協力をする意味で比較的経済的に余裕のある方々が繰り上げて償還する。繰り上げ返還するような方に対しては、一定の率をもって減額する、あるいは割り戻し金を支払うというようなことを考えたいと思っている次第でございます。
○参考人(田中義男君) ただいま政府委員の答えられたようなことを私どもも検討中でございます。
○矢嶋三義君 それは早急に検討して、いずれ本委員会に報告してもらいたいと思う。 そこで次に会長伺いますがね。私はね、大学卒業生の一年間の返還金額は約四千五百円と今まで承っておるんですがね。さっきあなた七千円、八千円と答弁されましたが、違っておりませんか。
○参考人(田中義男君) これは平均でございまして、間違っておりません。と申しますのは、大体大学だけで二千円または三千円となっておりまして、四年間借りますと十四万円くらいになると思います。それを二十年で割りますと、まず一年間平均をいたしましてまあ七千円くらいということで申し上げたんでありまして、これは個人の都合によって私ども年賦あるいは月賦等約束をいたしますので、そこで本人卒業後それぞれの実情に応ずるように予想いたしまして約束すればいいわけですから、当初は大体四千円ないし五千円、せいぜいなっておると思いますけれども、二十年平均いたしますと七千円くらいになりませんとまた合いませんので、そういうふうに申し上げたのであります。
○矢嶋三義君 まああなたの言う数字にもならんと思うのです。そこでそれはさておいてですね、文部大臣、この前本委員会でやりましたね。文部省あるいは大蔵省ですね、公務員にも無意識のうちに延滞している人がなきにしもあらずという答弁でしたが、少なくとも野本委員からああいうふうに指摘されて、委員会で大へん何か調査するなり、あるいは少なくともあなたの部下に対しては、無理のいかぬ程度に返還能力の可能な人は返還してほしいというような、御善処なさったことと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的には善処いたしておりません。私が国会の場で今御指摘のようなことを発言しましたことは今でも同じように思いますが、それを伝え聞いた人は善処するであろうということを期待しておりまして、ことさら一々調べ上げまして念を押すということはいたしておりません。
○矢嶋三義君 局長どうだったね。
○政府委員(小林行雄君) まあ私もそういうふうにお答えしたと思いますが、しかし、それはやはりこの制度を実施します上からは、政府の関係官庁といたしましては非常に重要なことであると思いますので、ぜひしかるべき機関に諮って、そういった了解を一つ取りつけたい。少なくとも官庁は率先してこういった返還を官庁勤務者が行なうようなことにいたしたいと思っている次第であります。
○矢嶋三義君 まあ悪意でなくて失念している場合が多いと思うのです、僕は。あの程度の返還ならば――優秀な人が主として奨学金受けていますからね。就職するときなんかは一つのこれはのれんになっていますからね。特殊な家庭環境あるいは病気を長くされたというような条件でなければ、普通の人なら僕は返還能力はある状況下にあると判断して、まず間違いないと思うのです。失念している場合が一番多いんじゃないかと思いますね。その点では育英会やはりのんびりしていますよ、田中さん。そこに一つの原因がある。私は伺いましょう。あなたのところの職員には労働三法は適用されているかされていないか、どうですか。
○参考人(田中義男君) 私の方の団体は労働組合でございまして、適用を受けております。
○矢嶋三義君 受けているね。それであなたのところの職員の給与は国家公務員並びに他の省庁の外郭団体、たとえば中小企業金融公庫、国民金融公庫とか、開発銀行とか、そういう部類の機関の職員の給与、それから民間会社の社員の給与との比較はいかようになっているとあなたは把握されておりますか。
○参考人(田中義男君) 私どもの方の職員の給与は、一応国家公務員に準じまして、それ以下にはしないように努めておりまして、現実そうなっていると思います。他の団体等は、私どもまあ特殊法人として全部国予算をいただいておる補助金によってまかなっておりますので、その他の団体等に比しますと、あるいはよそには劣る団体も相当あるかと思いますけれども、少なくとも国家公務員に準ずる扱いはいたしております。
○矢嶋三義君 あなた認識不足ですよ。あるいはあるかもしれない――そんなどころじゃないですよ。大蔵省とか通産省とか他の省のそういう法人になっている団体と比べてごらんなさい。第一あなたのサラリーを比べてごらんなさい。育英会の会長だから、他の公庫あたりの会長か総裁あたりとあなたの給与を比べてごらんなさい。あなたよっぽど豊かだから何とも関心持ってないかもしらぬけれども、格段の差がある。あなたも職員もそうです。だからあなたのところは大学の新卒なんか希望してこないでしょう。行政職甲あたりをパスした人が志望してきましたか。文科系統で行政職の乙合格者だってないでしょう。人材がこさせようと思ってもこないですよ。ストライキかけられたらどうしますか。堂堂とあなたの職員はストライキをあなた方にかけることができるのですよ。労働三法適用受けている。それはおとなしいからそういうことをやってない。それをいいことにして、あなた方は待遇をいいかげんなところにおいている。これは私立学校振興会しかり、公立学校共済組合しかり、私はこういうところに能率が向上しない大きな原因があると見ている。他の公庫等法人等の給与と非常な差がありますよ、民間と比べたら比較にならないですよ。それじゃ国家公務員かといえば国家公務員じゃない。だから身分上の保障その他については、国家公務員と違うですね、劣っておるわけです。だから、労働三法を適用されて、国家公務員でもないのですからね。他の国民金融公庫とか、中小企業金融公庫とか、そういう法人と匹敵するぐらいまで何らか工夫して待遇改善をせにゃいかぬですよ、そうして優秀な若い諸君も希望を持って就職してくるように、就職した人は落ちついて腰かけに腰かけて、そうして熱情を持って仕事に取り組むような雰囲気を作らなきゃ能率は上がらないですよ。わずか五十億円台の金ですけれども、この回転率いかんによったら、これは非常な効率高き運用ができるのですよ、それをまた多額にわたって滞納が例年繰り返されているということは、そういう職員の士気にも私は影響があると思う。これは私は解決する必要があると思うのですが、文部大臣の御所見いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ一般的にもっと向上させる努力をすべきものと思います。同時に、また国民の血税をもってまかなうわけでございますから、元金は。能率がもっと上がるようにしていただくことに並行して実質を向上さしていくという考え方もまた一方にあってしかるべきとも思います。いずれにしましても、だんだんと向上していくように心がけたいと思います。
○矢嶋三義君 政府出資をしている法人で差があるというのはおかしいじゃないですか、文部大臣。その差たるやちょっとの差じゃないのですよ、それは田中さん研究していなくちゃいけませんよ、研究しているはずですよ。あなた、あるいはあるかもしれないというが、とんでもないですよ、私が調べたら非常にあるのですよ、首脳部から下級の職員に至るまで大きな差があるのですよ。いずれも政府出資の法人ですよ、国会でその根拠法律は審議可決を受けておるところのものですよ。若干の差はしょうがないですけれども、そんな大きな差があるべきじゃないと思うのですよ。これは調整をして引き上げるべきですよ。ほんとうにあなた労働三法を適用されておるから、これらの関係者が全部労働争議に入ったらどうしますか。それをやらないことをいいことにして、そんな不平等にしておくことはいけないことだと思う。そういう点については、文部大臣は私は努力される立場にあるし、またそれは要望したいし、義務があると思うのですがね。同じ政府出資の法人ですからね。その不平等をいかように大臣はお考えになられますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほどお答え申し上げた通りに考えております。
○矢嶋三義君 その不平等の是正に努力されるお考えはあられるのですか、いかがでしょうか、念のため伺っておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 十分検討の上に努力したいと思います。
○矢嶋三義君 その検討の上というと、どういう角度から検討していただくのでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 文部省所管の外郭団体もほかに二、三あるようでございます。その実態も調べ、また他の各省所管の外郭団体の使命なり、その実態なりということの比較も必要であろうかと思いますが、いずれにせよ今後給与を充実していく方向に努力をしたいと思います。
○矢嶋三義君 育英会事務当局としては、私が今述べたような内容の事柄を文部当局に意見具申あるいは協議されたことがございますか、あるいはございませんか。なかったら怠慢ですよ。
○参考人(田中義男君) 各団体等の給与についても私の方も資料を今整えております。従って、各外郭団体等においても先ほど御指摘がございましたようにいろいろ問題もございますので、ただいま文部当局とも御相談をいたしておるところでございます。
○矢嶋三義君 その給与とも関係がありますが、当委員会の要求によって三十五年十二月二十六日調べとしてあなたのところから資料が出されているのですね、定員関係、職員の増加比率は昭和二十五年をベースとしてとった場合に三十五年は一六六と。ところが、要返還増加比率は二十五年を基準にとった場合に三十五年は七七三と、非常に業務量がふえているわけですね。それに対して定員が著しくアン・バラになっていますね。これもやはり能率が向上しない、資金の回転がうまくいかない要素になっているんじゃないですか。どういう認識を持たれていますか。また、育英会事務当局としては文部省等にこういう点についてはどういう意見を述べられておられるのか、承ります。
○参考人(田中義男君) 予算編成等の場合には、われわれ考えまして適当数の増員等についても文部省にも申請をし、相談をいたしておるのでございますが、予算査定等の過程においてここに掲げられてあるような数字で決定を見ているということです。しかし、お話のようにわれわれもできるだけ能率増進のためには人員増も必要かと考えておりますけれども、現在はかような結果になっております。
○矢嶋三義君 所管局長はこの三十五年十二月二十六日に日本育英会調べとして当委員会に出されている定員関係の資料、承知していますか。
○政府委員(小林行雄君) 拝見いたしております。
○矢嶋三義君 どういう御見解を持たれますか。
○政府委員(小林行雄君) そこにございますように、確かに職員数から申しますと、二十五年と三十五年を比較いたしますと本部関係では倍――百四十が二百八十三という数字でございます。奨学生の数の増加率から申しますと、これは大体照応しているということがいえますが、多少それは下回っております。下回っておりますけれども、実数からいいますと大体そういうことになっておるわけでございますが、返還者の増加比率から申しますと、これは全然問題にならぬ非常に少ない比率のものでございます。この点につきましては、できるだけ従来のいろいろな仕事のやり方につきまして事務の刷新をする、あるいは御承知のように非常にまあ機械化し得る部門も数ございますので、いわゆる新しい設備等も入れましてできるだけ機械化するというようなことを含めまして能率増進に努力をいたしております。と同時に、また私どもといたしましてもできるだけ予算の許す範囲内で必要数の職員数の増加には財務当局といろいろ折衝をして今日に至ったような状況でございまして、将来の問題といたしましては、やはり先ほど申しましたようないろいろな手段を講じますとともに、なお必要な人員増については措置をしていかなければならぬというふうに考えております。
○矢嶋三義君 先般この延滞金の問題を本委員会で取り上げたときに、非常に返還率の悪い久留米大学、青山学院大学、岐阜大学、こういうところには注意を喚起してしかるべきだという要請がなされたわけですが、注意を喚起したかどうか、その反響はいかなるものであったかということと、それから育英会事務当局に伺いたい点は、最も新しい数字で滞納金額は幾らになっておって、それからその未返還――滞納されている金額はパーセントで幾らになっておるか。あなたのところでつかんでいる最も最近の数字をお教えいただきたい。
○政府委員(小林行雄君) 返還の成績のよくない大学について注意をせよということでございまして、そのお話のございました直後に、実は全国の学生部長の集まりがございまして、三十六年度におけるいろいろな事業計画について御相談をいたしたのでございますが、その席上、特に大学の名前をあげまして、非常に成績が悪いということのために国会等でも問題になっておるから注意をすると同時に、今後努力をしてもらいたいということを申し渡しておるわけでございます。
○参考人(田中義男君) 先般差し上げました資料の中に出ております。パーセンテージは三十四年度末現在として五二・五%というパーセンテージが出ておったのであります、返還率がですね。それが最近――と申しまして九月三十日に私どもの方でとりました資料が最近ですが、それによりますと返還いたしました額が二十五億七千五百余万円、未返還が十九億五千百余万円、そうしますとその率が五六・八八%ですから昨年度末の五二・五%に比べますと約四%強上昇しているという数字が出ております。
○矢嶋三義君 その未返還は約四三・二%ということですね。
○参考人(田中義男君) そういうわけでございます。
○矢嶋三義君 もうちょっと質問があるのですが、千葉先生が関連質問があるそうですから。
○千葉千代世君 関連。先ほど十六条の四の一項について質問いたしました際に、その他の施設の教育の職を加えるというのがございまして、その内容が明らかになりましたのですが、幼稚園の先生の問題について何か御答弁なさいましたでしょうか。
○政府委員(小林行雄君) 私先ほどはおりませんでしたからあるいは多少食い違うかも存じませんが、一応私からお答え申し上げますと、今回の改正は当面の必要に応じて必要やむべからざるものだけを実は取り上げたということでございまして、従って今度の免除措置の範囲の拡大には幼稚園の先生は含まれておらないわけでございます。幼稚園教育の充実をはかるということはもちろん教育上重要なことでございまするけれども、従来、御承知のように、義務教育の先生をまず確保するということで今までの制度ができておりますし、今回はいろいろ高校の急増対策あるいは科学技術の振興といったようなことから高等学校の先生、それから大学の先生というものを加えたわけでございまして、幼稚園の先生につきましてはできればそういうこともけっこうであろうと思いますが、現在いろいろな幼稚園の先生の実情から申しますと、たとえばこの際返還免除職を適用いたしましても、これですぐ優秀な教員が幼稚園で全体的に確保されるというような実情になっておりませんので、その点は将来さらに検討いたしまして、必要があるかどうか、必要がある場合どの程度のことが期待されるだろうかという点をよく検討いたしまして判断をいたしたい、かように思っておるわけであります。
○千葉千代世君 幼児教育の大事なことは今さら私が申し上げるまでもございませんけれども、やっぱり人間形成の一番大事な時代で、どこの国でもこの幼児教育については最近特に力を入れている実情であるということと、それから日本の幼稚園教諭の方々については、いろいろな面で、給与の面その他について差があって御苦労なさっておるわけであります。先般も県費負担の問題で質問いたしましたことございましたけれども、現在いらっしゃる幼稚園の先生方は市町村負担でございますために、非常に格差がございます。市町村市町村によって非常に違うということで御苦労なさっている。同じように大学を卒業して、たとえば短大なら短大を出まして、そうして義務教育に勤めた方と、幼稚園に勤めた方については、給与の面でもたくさんの差があるわけです。いつも身分の不安定な中にいらっしゃる。退職金についても東京その他の一、二県については、義務教育と同じように通算されますけれども、全然考慮されていない県もかなりございます。そういうように考えていきますときに、幼稚園にお勤めになって、同じように教諭の資格を持って、そうしてお勤めになっていらっしゃるのに、給料が非常に低い。ところによりますと十年勤めて四千円差のある方もございますし、二千円というのはざらだと、こういう差があることでございますので、これは一つ何らかの面で待遇改善の一つとして取り上げることと、もう一つはやはり教育の機会均等という精神から、幼稚園にお勤めになっていらっしゃる方についても、育英資金の返還の免除をぜひお願いしたいと思っていますけれども、その点について文部大臣はどうお考えでございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど政府委員から申し上げましたように、幼児教育の重要さはむろん文部省としても従来念頭に置いているわけでございますが、幼稚園という制度それ自体を、全国的にどう受け取るか、それに応じてどんなふうにしていくかということが、必ずしもまだはっきりした線が出ておりませんので、そのことを検討し、それを全国的の視野から取り扱う一つの構想を打ち立ててからでないと適切でないと思うわけでございます。そのことをむしろ急ぐべきではなかろうか、かように考えます。
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
○千葉千代世君 今大臣は、全体を考えて適切に処理してからのことというふうにおっしゃったわけですけれども、適切という言葉の内容でございますが、幼稚園の教諭の待遇については、前々から県費負担にしてほしい、こういう強い要望があったわけです。ところが、予算の関係その他でいつも見送られてしまっているわけです。ですから、県費負担の問題は当然考えて措置していただかなければなりませんけれども、それと並行してあらゆる面で待遇を考えてあげる。その一つとして、育英制度についても、先ほど申し上げましたように、幼稚園に勤めた方についても、一定の期間お勤めになった方については、免除してあげる、こういうふうに早急にお考えいただきたいということを、これは要望しておきます。 それから次に、文部大臣は、貸与の方が正しいというような御発言なさいましたのですが、この前の決算委員会のときに、文部省関係の項で育英資金の返還率について質疑がございましたが、そのときに私が、現在の貸与制度があるからそれに沿って徴収するということ、この仕方について、免除の人はどれくらいとかいう、こういうことで質問した中で、給与が望ましいと思う、それが本体であるべきだというような意見を、私出したわけです。特に憲法二十六条の中の教育の機会均等の精神、こういう立場から私はそういう要望を申し上げたところが、それについて大臣の御決意を伺ったのです。そうしたら大臣はそのときに、給与が望ましい、これから努力するという意味を言われたわけです。そうすると、先ほどおっしゃったことと決算委員会でお述べになったことは、まるで違うと思うのですが、あらためて伺いますが、文部大臣はどちらがほんとだとお思いになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この前お答え申し上げましたときの記憶が、はっきり念頭にございませんで恐縮ですが、そういうふうに申し上げたとしますれば、特殊な、国家的に考えまして、先刻申し上げましたように国民の税金支弁のものではあるけれども、それを給与にしても、だれしも納得のできる方面に人材を確保するという意味から、そういう範囲を広げるということについて申し上げたのだろうと思いますけれども、もしこの前の御答弁がそういうふうにとれないような御答弁をしているとすれば、本日申し上げましたことが私の率直な直感的な考え方でございます。 繰り返し申し上げる必要もないようですけれども、ともあれ特別の今申したような必要がないのに、一般的な課題として全部を給与にするということは、少なくとも常識的に考えまして納得できない線じゃなかろうか。極力給与にする幅を広げるということは、当然必要かとは思いますけれども、給与ということは、この前お尋ねにあずかりましても、私の常識からは当然には出てこない考え方だと思います。もしこの前とのそごがございまするならば、本日お答え申したことが正しいというふうにお受け取りをいただきとうございます。
○千葉千代世君 そのとき伺いましたのですね、返還問題がございまして、現状はこうだと、こういうことで話し合って、それで、返還のときについてはこれこれこういう方法で処理してほしいという要望も出されたわけです。そのときに、基本的な考えとしては給与がいいか貸与がいいか、私どもは給与を望んでおります、そういうことについて早急に対策を立てる御意思はございませんかと言ったところが、基本的な考え方については給与が望ましい、努力をすると、こういうお答えになったわけです。ですから、その場当たりに伺ったのではございませんです。そうすると、基本的な考えが今お述べになったように貸与が正しいというわけですね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。決算委員会のときのお答えは、何か私が前提を誤解したためかと心得ます。本日のお答えが私の気持であることを再び申し上げて、御了承を得たいと思います。
○千葉千代世君 今ここに速記録を取り寄せてございませんので、一言一句どうということは私申し上げられませんけれども、その席に内藤初中局長さんいらしったようですが、今いませんか。――大学局長さんもいらっしゃいましたね。
○政府委員(小林行雄君) 私、決算には出ておりませんが。
○千葉千代世君 それじゃ、速記録を調べまして、そして、もし今おっしゃったことがほんとうであって、決算委員会でお述べになったことが違うというならば、またあらためた角度で決算委員会の方で、三十四年度の決算を審議いたします場合にこれは十分ただしたいと思っております。 もう一つは、給与と貸与についてですけれども、ちょうど、国立国会図書館の方で私調査していただきました資料がここにございますわけです。で、各国のがございますけれども、九カ国に限って私ここに抜粋してみたんです。それは一九五八年の一月の調査ですから、当然一九五七年の状況だろうと思うのです。で、さっき岩間委員が資料請求なさったんですけれども、それの請求の中に、一九六〇年の状態が知りたいと思うのです。これは資料要求になります。そして項目を、ただどこそこでどうだではなくて、やはり九項目に分けてこれは資料を出していただきたいと思いますが、第一番は国の名前、それから設置別、それから内容については七項目に分けて、種類及びその内客、給与と貸付別――給与であるか貸与であるかの別ですね、それから総額及び単価、それから比率及び数、選考の条件、卒業後の条件、それから法律条文、たとえば育英会法みたいに各国で法律があると思いますから、その法律文その他、それをきめるめどになるもの、根拠になるものを一つ調べていただきたい。これは国立国会図書館の一九五八年の一月にはその項目で調べられているわけです。 それで、これは質問になりますけれども、大臣が今、貸与の方が正しいという御見解をなされたわけですが、現在、世界各国で行なわれております育英制度について、給与の方が多いのか、貸与の方が多いのか、それから今、世界の教育趨勢の中でどういう方向に向かっているかということを把握になっておりましたらお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまのお尋ねにつきましては、私自身念頭にははっきりしたものはございません。
○委員長(平林剛君) 資料の御要求につきましては、政府の方いかがですか。
○政府委員(小林行雄君) ただいまの資料の御要求でございますが、これは国立国会図書館で調製された前の資料のようでございます。その辺は十分連絡をとりまして、私ども自体の方にはそこまで入るだけの現在資料がございません。国会図書館の方と十分御連絡をとりまして、もしできるならばできるだけ早く御提出申し上げたいと思います。
○千葉千代世君 大臣は貸与の方が正しいといったのは、先ほどお言葉の中に英才教育云々から国民の払った税金だから働けるようになったら返すのはあたりまえだ、こういう根拠でございますね。そうすると、育英資金の制度の基本的な態度というのは、英才教育というのを主としていらっしゃるのですか、お考えは。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。
○千葉千代世君 それは大へんな違いじゃないでしょうか。やはりこれは憲法の二十六条の中に、その国に生まれた子供たちはその才能によって教育を受ける権利がある。そういう内容の中には明らかに教育の機会均等という精神が根本になっているのではないでしょうか。子供に権利があるならば、その権利を全うさせてやるというのが、政府の責任で、それがお仕事であろうと思うのです。ですから、やはりこれは教育の機会均等の精神と、それからその条件によっていろいろございましょうけれども、根本はこれは一つじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 英才教育が目的であることは当然ですが、その条件としては、さっき申し上げましたように優秀であることと、経済的条件とが一緒に、対等に考えられて結論が出る、こういう建前が日本の今の育英会法の建前かと思います。その建前に立って申し上げているわけでございますが、経済的条件が恵まれないが、しかし優秀である。しかし、それを埋まらせるには国家的に考えてもったいないことだから、それを発掘するというところにウエートがあろうかと思うのでございまして、従って国費でまかないまする以上は、その状態から抜け出して、能力に応じて最高までいけるという道を開くことが機会均等の意味における施策の中心課題であると思うのであります。それは結果的には先ほど来御審議願っておりますように、学校の先生であるとか、その他国民的立場で考えましても、給費にして差しつかえないと考えられるものが給費になることは、これは別の意味で当然のことかと思います。それは可能な限り広げられるということも、これまた必然的なことでなければならぬと思うわけでございますが、基本線の考え方としましては、やはり貸与制度ということを建前にして、そしてその建前からいけば例外と申されるかと思いますが、給与になる場合が相当出てくる、それは結果というか、例外である。そんなふうに理解すべきものと私は考えております。
○千葉千代世君 やはりこれは文部大臣と私は大へん考えが違うのです。今世界の教育の情勢の中で一番大事なことは、その子供の持っている個々の才能を十分に生かしていくという政府の配慮の中で、適性適職の問題も考えられるでしょうし、いろいろございますけれども、やはり何といってもこの子供の持って生まれたものを引き出していくというお役目は国の責任であるとするならば、当面やはりこれは給与にしていくべきじゃないか。ここに国会図書館で調べました一九五八年の資料がございますけれども、その中には九カ国だけ抜粋してみたのですけれども、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、西独、東独、ソ連、中共、中華民国、こうございますが、その中で貸与にしているという国は、アメリカが給与と貸与だけでございまして、あとはほとんど給与になっておるわけであります。ただフランスが、給与がほとんどであるけれども、貸与もある、こういうふうなやり方で、対象は大学、それから高等学校いろいろございますが、フランスだとか、ソ同盟その他は中等学校までこれを適用するし、イタリアは小学校児童にまでずっとやっておりますね。もっともやる種類によっては違いますけれども、非常に広い範囲で、自由濶達にその国に生まれた子供たちに対して国の深い配慮が払われているわけでありますけれども、総額及び単価についても、たくさんな費用を払われている。特に同じ資本主義であるイギリスの例をとってみますというと、これは本人に奨学金をやるだけではなくて、お家が貧しい場合には、その家の生活費の一部をまかなっている。これは生活保護その他の保護もいきますけれども、それと並行して、ダブってもやっているわけなんですね。本人の生活費を扶助している。私も向こうへ行きましたときに、奨学金について特に調べてきたのですけれども、イギリスで、この表によると、八五%の大学生が奨学資金を受けておる。それは返さなくてもいいという。私もおやつと思って、国の税金で払ったのですから、やっぱり返さなくてはいけないのじゃないでしょうかと聞いてみたのです。ロンドン大学に行ってみたとき、その学生たちが、僕らは奨学資金をもらって勉強している、卒業したらば一生懸命働いて税金を納める、その納めた税金が自分らの子供とか、兄弟にまた返っていくのだ、だからこれは国民の義務として税金を納めているからには当然の権利だ、育英資金を借りた子供たち、生徒たちは、こう喜んで喜々として希望を持って勉強している。ですから、お金を借りてにこにこしているという姿を私初めて見たのですが、それはやはり自分が税金を払ってそれが役に立つ。今すぐ、自分が育英資金を借りたら、これを四カ年計画で返せとか、二十年計画で返せとか、こういう拘束はないのです。ですから、非常に信頼して勉強している。ソ同盟、東独、その他もちろんでございますけれども、日本と同じような資本主義の国の中で、やはりイギリス、フランス、イタリア、西独、それからずっと社会保障のできておりますデンマーク、スエーデンとかを見ていっても、どの国でも当然の権利のようにされているわけです。ですから貸した方も、これ貸してやったぞというおごる姿もないし、借りた方も卑屈になっていないで、やっぱりその国の生産のためにお互いの力を出し合って、適性適職の補導と相待ってこの育英会制度がされているということを考えた場合に、単なる英才教育で競争を深めていくというようなやり方はしないということをしみじみと考えたわけなんですが、従いまして、選考条件についても、才能ある貧困な者、その家庭の収入状況に応じて育英資金をやっている。イギリスの場合ですと、ここに八五%とございますが、私ども行きましたときは八七%くらいになっていたのじゃないか。これは日本より大学の数も少ないのですけれども、ですから炭鉱に働いている方たちも、貧しい駄菓子屋さんの子供たちであっても、地域的にも、スコットランドのずーっと奥の島の者も、ロンドンの者も、そういう者たちに、全体の視野から立って、そしてこれを国の責任で遂行していく。こういうことを考えたときに、日本では今貸した金を一生懸命よこせよこせと、人のふところに手を突っ込んで取るような育英会を作っておりますけれども、私は非常に悲しい現状に考えているわけなんですけれども、後ほどまた資料も出てきましょうから、その点について、やはり日本育英会制度については、抜本的な考慮をこの際払っていただきたい。ですから一部改正よりも、全面的改正を私はなぜ出さなかったか。こういうふうに考えます。そういう点についても、十分な考慮を払っていただきたい。 次の質問もございますが、またの機会に譲りまして、一応とめておきます。資料の先ほどの要求について、よろしゅうございますか。
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。午後は二時より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時十五分休憩 ――――・―――― 午後二時十八分開会
○委員長(平林剛君) ただいまより委員会を再開いたします。 午前に引き続き、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○矢嶋三義君 育英会の田中会長に伺いますが、高等学校並びに大学教育奨学生あるいは大学院の奨学生、こういうものの割当はいかようにしてきめておりますか。
○参考人(田中義男君) 高等学校につきましては、その府県の高等学校生徒数、これを一応の基準にいたしまして配分するようにいたしております。なお、特にそれを将来の問題としてもう少し正確にするために、中学校の生徒数も考えていくというふうにただいま検討いたしております。それから大学につきましては、従来、特に基準を設けて配分したということではございません。実際は法規にありますように、財政的な状況を十分学校当局等において調査を個別的にされまして、そしてその者の家計状態等からして、ほんとうに奨学金なくしては通学あるいは就学困難だということであるかどうかという具体的なケースについて慎重審議してもらって、そしてこれには奨学金を貸与することが適当である、こういう結論を得た上に、われわれの方に大学から家計状態については申告してもらう、こういうふうにいたしておるのでありますけれども、しかし大体から申しまして、その大学における一般学生の所得階層と申しますか、そういったふうな事柄からいたしまして、自然、ある数の候補者というものが出て参ります。それを長い間の統計等に基づいて、おおよそこの程度であるならば、と申しますのは、ただ自由に個々に申請を希望によっていたしておりますと、相当の数に上りますので、それを一々審査をし、また仕事をして、そしておよそ全採用数というのがきまっておるにかかわらず、膨大な申請数を自由に受けつけていくということは、学校当局としても、われわれとしても、きわめて事務上煩瑣な手続きを要し、非常に無駄の多いものですから、およその見当をその大学における学生の階層等を中心にいたしまして、おおよその目安をもって、そうしてなるべく無駄を省くように御相談をしあっている、これが実情でございます。
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、私はことに高等学校の奨学生の各都道府県の配分ですね、これに疑問を持っているのですがね。大臣の所見を承りたいのですが、教育の機会均等と、それから所得格差の是正という角度から考えても、現在の配分方法には補正係数を考える必要があると思うのですよ。ただ、その都道府県の高等学校の生徒数だけで按分比例で出すということはあまりに私は機械的過ぎると思うのです。例年のことですが、たとえば鹿児島県とか、鳥取県あたりの国民所得というものは非常に低いわけですよ。南九州とか、裏日本、東北というようなところは低いわけですね。そして施設設備の整備されている大学に行くとなると、遠隔の地ですから教育費はかさむわけですね。かつては総理大臣であった広田さんは石工さんの息子だったということですね。昔は埋もれたそういう英才も芽を出してきておったのですけれども、今の新学制で、相当優秀な子供でも、山の奥で施設設備の不十分な、教師も十分配置をされていない僻地で義務教育の九カ年間を教育されて、たとえば相当いい素質を持っておっても、私はその九カ年間の教育というものは、相当影響を及ぼして、教育の機会均等に恵まれない場合も昔以上に私はあるのではないかと思っています。それから大学についても、昔は高等学校のナンバー・スクールから、その後相当数の高等学校ができた、その地域の子供はその高等学校に入れば・それを一つのステップとして、そして最高学府のユニヴァーシティに入れた。けれども今の学制でいくと、経済的に不如意な家庭の子供というものは、かえってその角度からいえば教育の機会均等が昔よりも不十分になっている面も私はあろうと思うのです。だから、わずか五、六十億円の予算執行ではありますけれども、ただ都道府県の高等学校の生徒数だけで割当を配分するということは妥当でないと思います。やはりその県の国民所得とか、それからその地域に大学がたくさんあるかないかというような点を若干考慮に入れた補正係数を設定する必要があると私は思うのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと私にはにわかにわかりかねますが、矢嶋さんの言われておりますお気持はわかるような気がいたします。ただ問題は、何が最も正しいものであるかということをタイムリーに発見できるかどうかということにもかかろうかと思うわけです。少なくとも育英会法に規定しておりますように、優秀であることの確認、家庭の経済事情の確認、それがまず先決問題、それに今おっしゃるようなことをどういうふうに按配したならば最も適切であろうかということは、ちょっと私もわかりかねるわけでありますが、最初申し上げたように、お話の気持はわからないでもございません。要は、そういうことを十分検討を加えてへんぱなことのないような実現性のある、ものさしみたようなものを作ることは必要であろうかと思います。
○矢嶋三義君 田中会長に伺いますが、若干私は今までも配慮していると思うのですが、もう少しそれらの点について今後配慮されてはいかがかと思いますが、御所見を承っておきます。
○参考人(田中義男君) 先ほども申しましたように、一応は従来、高等学校のその府県における数というものを基準にいたしておりますが、しかし、これは動かないものじゃありませんので、いろいろその府県の実情等によりまして、数の上にいろいろ補正を従来いたしておらないわけでもございません。なお、割当について公正を期するということは、なかなか重要な問題でございますから、われわれもいつも苦慮いたしておるのでございまして、先ほど申しましたように、従来は大体高等学校の生徒数というものが中心ですけれども、それに加うるに、やはり中学校の生徒数も考えなければいけまい、なお、ただいまお話のように、その府県の財政状態と申しますか、経済状態というものも、自治省等における相当な資料をもらいまして、そうしてその経済状況というものを、ある程度考慮しなければなるまいかというふうなことも考えて、目下せっかく検討中でございます。
○矢嶋三義君 その答弁を了といたします。研究して十分御配慮いただきたいと思います。 それから次に伺いますが、特別奨学生制度ですね、大学が今度始まるわけですが、このPRがどう本不十分のようです、末端に行ってみますと。それに当然だと思いますけれども、非常に書類がたくさん必要であり、また、レントゲン等をとるために金が要るわけですね、だから高等学校の先生に伺ってみますと、推薦したいのだけれども、当時は五千だったのですが、五千の中に入るか入らぬか、入らぬときには気の毒だから推薦してみたいのだが、すすめられないのだよ、こういうことをよく現場の高等学校の先生はおっしゃっておるのだけれども、大型のレントゲンをとるとか、いろいろ書類を整えることは当然だと思いますけれども、この趣旨からいって、その事務費を全部育英会側で持つというのは私は妥当じゃないと思うのですけれども、志願者の経費は半額になるくらい配慮できぬものでしょうかね。必要な費用の半額くらいを育英会の事務費で見て、半額くらいを生徒の負担にする。約二千円くらいかかるそうですね。だから主任の先生はすすめてみたいけれども、全国で五千、その後八千になりましたけれども、それではたして採用されるかどうか、採用されぬ場合は大体経済的に困難な子弟が多いわけですから、気の毒だからというのですすめぬわけですね。ちゅうちょするわけですね、先生が。だから私はせいぜい採用されるかどうかわからぬが、志願する人の負担というものは六、七百円どまりくらいじゃないと、千円こえて二千円もかかるとなると、主任の先生も推薦をちゅうちょすると思うのですね。だから全額育英会で持つというのも私は必ずしも適当でない。だから現行の生徒の負担を半額程度にする配慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○参考人(田中義男君) 相手が経済的に不如意の家庭の子供ですから、できるだけめんどうを見てやりたいという気持においては変わりはございませんが、ただいまのところそこまで予算も出ておりません。将来の研究課題にしていただきたいと思います。
○矢嶋三義君 それはぜひ一つ研究していただきたいと思う。それから先ほどお話が出ましたように、十月から採用する高等学校なり大学の特別奨学生ですね、この締め切りはいつですか。
○参考人(田中義男君) 六月十日になっております。
○矢嶋三義君 それらの周知徹底方はいかようにしておりますか。
○参考人(田中義男君) これについては私ども特に計画が決定をいたしますと同時に、地方にそのことを流しまして、そうして各学校にそれぞれ周知徹底するようにという通知を出してやりました。同時に、各新聞その他におきましても相当取り上げてPRして下すったことと考えております。
○矢嶋三義君 参議院の法制局長がお見えになっておられますから、先に質疑を終わりたいと思います。院の法制局長としての見解を承りますが、この六法全書を見ると、制定当時の時期によってひらがながあり、かたかながありということですね。それから今、日本育英会法を審議しているのですが、これは昭和十九年に公布施行された法律ですが、「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル」云々という言葉があるわけですね。これらは内閣法制局の方はどういう見解を持っておるか知らないが、使う国民の立場に立った場合に、統一的であり、便利であるためには、ひらがなならひらがなに私は統一したらよろしいと思うのです。文部大臣は、まあ、検討に値するということをさっき答弁したわけですがね。それから新憲法後において効力が依然として生きておる法律にしても、主権在君が主権在民と、こういうように大きく国家の基本法が変わった後においては、主権在民の国家の基本法下においては、おかしな表現の文章というものはやはり立法府の責任において整理すべきものだと僕は思うんですがね。そういう点については立法府の法制局長としてはどういう見解を持っておるかを伺っておきます。
○法制局長(斎藤朔郎君) 御承知のように、現在の法律の中には、旧憲法時代に成立したものがまだ相当数残っております。その旧憲法時代に制定されたものにつきましては、ただいま仰せられましたように、新憲法以後の法律形式とはやや違ったものがあるわけでございますが、それらのものを新憲法下の法律と体裁を合わせるために統一的に改正するということは、相当、数が多いものでございますから、おそらく今まで、そういう全文改正の機会があったものは例外といたしまして、それ以外のものについては旧憲法時代の形が残っておるわけでございますが、ただいま仰せられましたごとく、確かに新憲法下の法律の体裁から見て、必ずしも適当でないように思うものも、そういう感じを受けるものもございますので、機会あるごとに新しい形式に改正するように努力しなければならないと考えております。
○矢嶋三義君 立法府の法制局の局長としての見解は私は了とします。私も同感です。時間はかかりませんから、委員長、内閣の法制局長ですね、至急呼んでいただきたいと思います。私は、一挙にできないにしても、たとえば日本育英会法の一部改正法律案を提案する、そういう時期に、そのつど私は整理していくべきものだと思うのですね。少なくとも現在、内閣から日本育英会法の一部改正法律案が出ておるのだから、そういうチャンスに、そういう機会に体裁を整えていくようにしなければ、法律を出す、国会に提案する行政府としては非常に怠慢だと、私はかように考えます。で、内閣の法制局はどういう見解を持っておるかお聞きもしたいし、また、注意も換起いたしたいので、後刻早急に出席を委員長から要請をしていただきたい。 もう一言、参議院の法制局長にお尋ねいたしますが、これは念のために伺うわけでございます。それは国から、ある特定の国民が国庫からある条件のもとに貸与を受ける、そうしてそれを支払うべき義務、債務がその個人に発生する。その発生した後において、いろいろな情勢の変化によって、立法府において、その個人が負担している債務を、あるいは二分の一あるいは三分の一に減額すると、こういうような立法を立法府においてやった場合には、憲法上法律上何らの支障はないと、かように私は考えるのですが、念のために局長の見解を承っておきたいと思います。
○法制局長(斎藤朔郎君) ある特定の国民が国に対して債務を負担しておって、その債務の返還について、その後の事情の変化によって、返還債務の義務の一部または全部を免除する、こういう立法をすることは、もちろん差しつかえはないと存じますが、ただ、普通考えられますことは、ただそういう免除の条文を書きました場合に、その法律施行後に発生した債務についてそういう法律が適用があることは、これは問題ございませんが、その当該の法律施行前に発生した債務についても、同様の、全部または一部の免除の規定の適用を及ぼすかどうかということは、これは結局立法政策の問題に帰するのではないかと思います。刑罰法令に法律制定前の行為に対して適用を禁止されているというようなものではなくて、国民に利益が与えられる、減税をするとか、あるいは給与を増額する、こういうものについては遡及して適用している例もございますから、理論的には、債務の全部または一部の免除の規定を前にさかのぼらさすということも、理論的に私はできないことはないと思いますが、そういうことをした場合に、法律関係が非常に複雑になって、やはりその権衡を害する、いろいろの観点からして、はたしてそういう遡及的な立法をすることが政策上妥当であるかどうかということによってきまるべき問題ではないかと思います。
○矢嶋三義君 よくわかりました。あとの最終段階においてあなたが述べられた危惧は、私が今考えているケースの場合には全くない場合なんです。理論的な点についてのお尋ねをいたしたわけでありまして、答弁明快で、よくわかりました。私のあなたに対する質問を終わります。 そこで、次に西田説明員の方からお答えいただきましょう。昭和三十六年度の高等学校、大学並びに教育奨学生、大学院奨学生、これらが、その在籍生徒学生数の何%採用され、その金額がいかようになっているかということを、ゆっくりお答えいただきたい。
○説明員(西田亀久夫君) 昭和三十六年度の予算におきまして、採用人員として予算計画に計上されておりますものは、高等学校の一般奨学生におきましては年間に六万八千八百七十九名、それから大学は……。
○矢嶋三義君 いや、それはパーセントで現わして下さい。在籍生徒学生数のパーセントを私は要求しているのです。
○説明員(西田亀久夫君) 在籍生徒数は、この予算上使われております生徒数は、高等学校では全日制、定時制を合わせまして約……。
○矢嶋三義君 いやいや、それも別々に、全部それは積算するときは別々にやっておるのでしょう。
○説明員(西田亀久夫君) 別々でございます。
○矢嶋三義君 別々に答弁して下さい。だからゆっくりと私が言ったでしょう。
○説明員(西田亀久夫君) 予算の積算における高等学校の学生生徒数は、全日制におきまして百九十三万五百四十二名、採用率はその三%でございまして、全日制の奨学生採用数は五万七千九百十六名であります。高等学校の定時制は生徒総数五十四万八千百六十一名でありまして、採用率二%、採用人員は一万九百六十三名になっております。 次に、大学の奨学生は一般奨学生と教育奨学生に分かれております。一般奨学生は基礎の学生数は四十四万二千七百四十七名、採用率は二〇%、採用人員は八万八千五百五十名、教育奨学生、これは教員養成学部に限って出される奨学金でありますが、学生総数五万九千六百八十名、採用率四〇%、採用人員は二万三千八百七十二名、ほかに大学奨学生の中には通信教育を受ける者が三百七十五名、これは定数として含まれてほかにございます。特別奨学生の方は、高等学校におきましては、生徒総数の何%という積算ではございませんで、一学年定数でございます。従って、三十六年度におきます高等学校特別奨学生の採用人員数は二万四千名であります。大学の特別貸与奨学生は、第一学年が今度始まりますものですから、一学年分だけで八千名でございます。以上でございます。
○矢嶋三義君 大学院は。
○説明員(西田亀久夫君) 大学院は修士と博士と、それから医学関係の博士と三つに分かれております。修士課程で申し上げますと、採用人員は二千二百名、博士課程は採用人員二千六百名、医学関係の博士課程は採用人員千三百名、それらの積算は高額の単価のものは人材養成計画等を考慮いたしまして定数になっておりまして、低額の方の八千円の単価のものは、その高額の奨学金をもらう者以外につきまして、ある一定の比率を乗じて算定いたしております。修士課程でございますならば、二五%、博士課程は五〇%、医学関係におきましても同じく五〇%、こういう積算になっております。
○矢嶋三義君 高等学校、大学の単価を念のために伺います。
○説明員(西田亀久夫君) 単価は、高等学校一般の奨学生は全日、定時とも月額一千円であります。大学の奨学生は三千円と二千円と二口ございまして、その振り分けは新規に採用されます者は月額二千円、継続しております者のある割合の者が三千円の単価になっております。その割合は一般奨学生の場合は継続者の六割が三千円、教育奨学生の場合は継続者の三割が三千円、こういうような内訳になっております。大学院の奨学金は、単価は月額一万円及び八千円というのが修士課程の単価でございます。博士課程におきましては、医学関係の博士課程も含めまして月額八千円と一万二千円の二通りがございます。特別奨学生は、高等学校におきましては月額三千円、大学におきましては自宅通学者は月額四千五百円、自宅外居住者は月額七千五百円、かようになっております。
○矢嶋三義君 念のために申し述べてもらいましたが、昭和三十五年度と比して内容的にはそう変わっていないわけですよ。ただ高等学校の奨学生が若干ふえたのと、大学の特別奨学制度が新たに設けられた、それと大学院の奨学生の単価がちょっと上がっただけであって、最も大事な高等学校並びに大学の一般奨学生の採用率、パーセントを引き上げる問題と、それから高等学校の奨学生の貸与金額月一千円を千五百円程度に上げる問題並びに大学の奨学生の二千円と三千円の二種類あるのを一律に三千円程度に引き上げる、こういうような一番重要なポイントというものは全く変わっていないわけですね。だから施政演説等において、本会議なんかで池田さんが述べるに値する内容のものではないですよ。それをいかにも非常に躍進したがごとく宣伝的に取り扱っている点を午前中も私批利したのですが、非常に遺憾に思います。この高等学校、大学の特別奨学制をここに伸ばしたことは、その限りにおいてはけっこうです。しかし、むしろそういうところに重点があるんでなくて、この高等学校の三%、これはもう長い間叫ばれているのですよ。五%程度にしなければならぬというのを文部省は概算要求として一〇%要求したわけです。それを三%に据え置かれたのですよ。ことに定時制の二%というのはどうも操作ができぬわけですよ。定時制の二%を文部省としては一〇%要求した、概算要求では。だから、こういう三%、二%という数字ですね、こういう数字をとめておいてはいけないですよ、育英制度前進のためには。だから池田さんが池田内閣の大きな一つの新政策として院内外を通じて国民に訴えられる以上は、こういう数字を動かさなければ、ああいうふうに池田さんが大きな声で叫ぶに値する内容のものではないと思うのです。私ども日本社会党は、私、質問の冒頭に申し上げましたように、この育英制度というものには重大な関心を払い、教育、文化政策の一つの重要ポイントとしておるわけです。だから文部省は、この全日制、定時制を一〇%要求しましたが、一〇%までいかなくとも、少なくも六、七%程度まではこぎつけなければなるまいと、かように期待しておったわけですがね、予算の編成段階で見守っていたわけです。ところが、これは据え置きになってしまった、非常にこれは私は遺憾に思います。田中会長に伺いますがね。定時制にしても高等学校にしても希望者は相当たくさんいるでしょう。これは各県支部段階においてかなりしぼって申請さしている、しぼって申請さしても各学校長等から相当推薦が出てくる、それで都道府県支部でそれをしぼってあなたのところへくるわけですがね。この運用をずっとやってこられておる育英会当局としては、全日制高等学校の三%、定時制高等学校の二%、こういう数字はぜひとも飛躍的に数字を上げてもらいたいという、過去の実績から希望を持っておられると思うのですが、念のためにお教えをいただきたいと思うのです。
○参考人(田中義男君) 現在希望者の相当数というものはその目的を達し得ない現状でございますので、概算要求にございましたような線まで実現していただきたいというのがわれわれの希望でございます。
○矢嶋三義君 これは八月からは昭和三十七年度の予算編成騒ぎが事務当局で始まって参りますが、大臣の御所見いかがでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。午前中お答え申したのと同じことでございます。特別奨学制度を創設もしくは拡充するということは、まあ主として社会保障制度の充実という角度からの考え方が重点的に入ったわけでございまして、だからといって一般奨学が今のままでよろしいとはむろん思っておりませんので、この方の充実にも今後努力したいと思っております。
○矢嶋三義君 私は希望として申し上げておきますがね。まあ今の段階では薄くても広く考えられることは私は大切だと思います。できるだけ数多くの人がこういう制度に恵まれる、貸与できるというように運用すべきものだと思います。ちょっとでも貸与金がありますと、それで勇気づけられ、それが誘い水となって教育の機会に恵まれ得ることになりますから、特別奨学制というような点に重点がいってしまって、そうして一般奨学制の方を軽く考える、今度の予算編成にもはっきりそれが出ているわけです。こういう行き方は僕は逆だと思いますので、意見としてこれは申し上げて参考にしていただきたいと思うのです。 それからこの項目の中の他の点ですがね。それは今の日本の学界で一番大きな問題は、学者、研究者の後継者の育成ができないという点が一番懸念されているわけですね。はたして学者、研究者の後輩が、卵があと育ち得るだろうかというのを先輩の諸先生方は非常に心配されているのが今のわが国の実情だと思うのです。そういう意味から、博士課程にしても修士課程あるいは医学関係にしても、大学院学生については私は全員奨学生に採用されたらいいと思うのですね。金額を幾らに設定するかという問題もありますが、大学院の学生は全員奨学生に採用ということを、私は大原則で立てる必要があると思うのですよ。でなければ、特別な財政的に恵まれた家庭の子供でなければなかなか大学院に残らないですよ。将来の日本の学界を背負って立つような有為な青年が残らないのですよ。それはもう現実に現われてきておるわけですね。その点で私はあえて聞いたわけですが、先ほど修士課程が二千二百名、博士課程が二千六百名、医学関係千三百名、こういうふうに定数でやられているようですがね。これは一体大学院在籍者数の何%になっておられますか。これを西田課長から、説明員から一つお答えいただきたいと思います。
○説明員(西田亀久夫君) ただいま申し上げました予算上の採用計画数の在籍学生数に対する比率、的確な数字を今手元に持っておりませんが、私の記憶によりますと、博士課程におきまして、在籍学生数の約六五%が奨学金を受けておると考えております。修士課程におきましては、それが約四〇%足らずだったと思います。ただ、ちょっと資料がございませんので、数字はちょっと的確を欠いていると思いますが。
○矢嶋三義君 これは大臣、非常に不十分ですね、ぜひ配慮していただきたいと思うのですが、私は例年、これは委員会ではやらないかもしれないが、やった機会は割りに少ないかと思うのですが、政府当局には常に個別的に要望して参っている件ですが、司法省関係の司法修習生が入る研修所ですね、判事、検事の卵が入る、あれに入れば、全員一万数千円――たしか一万六千円だったと思うのですが、給与があるわけですよ、給与が。だから、やはり優秀な人が行きますよ。ところが、大学の教授、研究者になるという場合は、博士課程に行く以外にはないわけですよ。そうして、この程度の貸与金をもらって、そうして一方は判事、まあ検事、さらに特に判事ですが、判事になる。一方は大学の教授になりますと、三十五、六才か四十才ごろになると、給与はものすごい懸隔ですよ。それは三権分立の立場から、裁判官の給与がよろしくあるべきだという、これは原則として当然だと思うのですけれども、しかし、日本の給与体系からいえば、同じ年輩の人、四十才くらいの大学の教授と、それから裁判官になった人の給与というのは三万ぐらいの差がついてくる。今、正確なデータを持ってきてないのですが、大まかに言って、その卵時代に博士課程に行った場合と、司法修習生として研修所に入った場合と、一方は全員給与があり、一方はわずか博士課程六五%、修士課程四〇%、そうして今度まあ若干引き上げて一万二千円と八千円の二口があるわけですが、この程度の貸与金しかない。これでは私は今の日本の第一線に活躍されている日本の学者、研究者の安心できるような後継者を育成していくことはできないと思います。それで私は、数歩下がっても、大学院の学生には全員奨学金を与える、全員奨学生に採用する、まあ金額はいろいろ設定の仕方がありましょう。財政的な面からも考えなければならぬでしょうが、少なくとも大学院の学生は全員奨学生に採用する。それで将来、日本の学界を背負って立つような大学卒業生は振るって大学院に残っていただけるような、そういう研究環境を作る必要があると思います。大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 矢嶋さんの御意見に同感でございます。
○矢嶋三義君 こういうときに大蔵大臣か、政務次官がおらぬと工合が悪いのですが、やはり出席願えないのですか。
○委員長(平林剛君) ただいま出席を要求いたしておりますが、まだ参りません。高辻内閣法制局次長が長官の代理としてお見えになりました。
○矢嶋三義君 そちらの方は金の方に縁がないので、今のやつは大蔵省がいないと工合が悪い。 では、法制局の次長がお見えになりましたから、あなたの質問を先に済ましたいと思うのですが、ここに日本育英会法の一部を改正する法律案が内閣提出で提出されて審議しているのですが、この法案は当然内閣の法制局、あなたのところで手がけられたものと思いますが、念のために伺います。
○政府委員(高辻正巳君) 仰せの通り、内閣提出の法律案でございますので、法制局が審議いたしました。
○矢嶋三義君 この法律はもちろんのこと、六法全書を見ますと、かつて私は予算委員会で述べたことがあるのですが、法律の公布施行をされた年次によって、ひらがながあり、かたかながあり、それから体裁もまちまちなんですが、旧憲法時代の形態をとったものもあれば、新憲法時代の形態をとっておるものもある。ただいま審議しておる日本育英会法は、昭和十九年二月十七日法律第三十号として公布施行されておるわけですが、従って、旧憲法時代ですから、「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル」云々と、こう出ておるのですね。こういう法の改正をやる場合には当然整理して内閣は出すべきじゃないですか。内閣法制局としては一体どういうことを考えられておるのか。私は、第何回国会を期して日本の法律を全部統一形態にしなさい、こういう無理なことは主張しませんよ。しかし、新憲法になって逐次法律が一部修正が手がけられるそのつど、そのつどですね、国家の基本法である現行憲法に即応した形態、旧憲法を知らない新憲法下に育った新しい世代の諸君が見ても、いささかも不思議に思わないような、そういう形態に、法律案を手がけるつど、私は是正していくべきものと思います。それは内閣法制局の当然の責務だと思います。そういう点については、何ですか、現内閣に直属しておる法制局としては、どういう見解を持っておるのですか。繰り返して言いますが、私は、こういう法律案が出るでしょう、この法律案を出す機会に、このような日本育英会法を、これを新憲法下にふさわしい表現、体裁に直すべきものと思います。かように思いますが、お答え願います。
○政府委員(高辻正巳君) お答えを申し上げます。仰せの通りに、実は新憲法ができまして、ああいう体裁になりまして、法令の形式もすべて変えることにいたしまして、口語体、ひらがなという方針をとったわけでございますが、御指摘のように、新しく法令を制定し、あるいは従前にある法律を廃止いたしまして新法律を制定するというようなときには、これも御存じの通りに、常に新しい方式でやっておるわけでございます。しかし、ただいま御指摘の点は、その一部を改正しました場合も、その改正のつど、すべて改めた方がよくはないかというお説でございまして、その限りではごもっともだと思いますが、何分にも法令の数がものすごくたくさんございまして、中には商法とか、民法とかいうようなふうに一部を改正したことも現にございますけれども、その際に、全部を新形式によってやるというのは、あまりに形式だけにおいて改正する点が多いのと、それから、そういう、たとえば今例に出しました民法、これは第一編から第三編まででございますが、あるいは商法は大体において全部でございますが、そういうものについては、さらに例を加えますれば、民事訴訟法、刑法、そういうような諸規定がございまして、こういうものについては、さらに内容全体についてやはり改正をするという機運が、たとえば商法の改正とか、あるいは刑法の改正とか、そういう問題も実は他にもございますわけでございまして、そういう際には、内容も、形態も、ともに改めていこうということに相なるわけでございます。そうしますると、簡単なものはやってもいいではないかということになるかもしれませんが、われわれ法令をずっとこう眺めております場合に、やはり一部改正というような場合については、程度によってそれを差等を付するのはなかなかむずかしいのでございますので、私どもがとっておりますのは、一つの法令の中で、あるいは章、あるいは節というふうにまとまったものがあります際には、他の部分はかたかな書きであっても、その部分はひらがな書き、口語体に改めていこうというふうにいたして、なるべくそういうまとまった形における場合には新方式をとっていこう。ちょうどだだいま仰せになりますのと、それから全然手をつけないのとの中間的な措置を講じておるわけでございます。まあその辺で、御満足がいただけないかもしれませんけれども、そういうような一つの方式をきめまして努力をいたしておるわけでございますので、その辺御了解を得たいと思います。
○矢嶋三義君 あなたの答弁、了とする面はあります。まあ毎国会内閣は大体三百本前後の法律を国会に出していますからね、法制局は御多忙だということは推察できます。しかし、国家の基本法とも関連あることで、また、実際六法を繰った場合に体裁が違ったり、かながあり、ひらがながありということになると、午前中も言ったですがね、しょっちゅう読んでいると、視神経の影響もかなりあるんですよ。それで、もう少し今のあなた方の姿勢をさらに積極的に推し進めるように特に要請します。それで定員がいろいろ問題ありましょうが、そういう点は法制局長官の方から、定員の点についてもしかるべき機関に要請して定員を充足してもらう。そして体裁を整えるようにすべきだと思います。いずれまたあなたも法制局長官になるでしょうが、あなたの任期中までは完了できるように御努力願いたい。こういう質疑があったということは、あなたの上司である法制局長官に一つお知らせ願いたい。これであなたに関する質疑を終わります。 で、質問を戻しまして、田中育英会会長に伺いますが、旧軍人戦没者の遺児ですね、これは第二次世界大戦が終わったころは戦争遺児は五十五万人と総理府は発表しているんですがね。この五十五万人の人が、小、中、高、大学と卒業してしまうまでには相当年数がかかると思うんですが、赤紙召集等を受けて、そして家の柱ともなるべき主人が戦死した、そして未亡人が数人の子供をかかえて苦しい生活をしているというような子弟に対しては、育英会の運用等については若干配慮してしかるべきだという世論もつとにあるわけですがね。現在どういう運用をされているのか、数字をあげてお答え願いたいと思います。
○参考人(田中義男君) 旧軍人遺家族の奨学生につきましては、お話しのように、一般の奨学生より特別な配慮をし、特別な扱いをいたしております。それで現在私どもでめんどうを見ておりますのが一万一千余人ございます。そしてそのうち、高等学校奨学生が約八千三百余名でございます。大学の奨学生が約二千六百余名になっております。で、これらは一般の奨学生に比しまして非常にたくさん、必ずしも二〇%とか、あるいは三%というパーセンテージは問題にいたしませんで、相当高率の程度においてこれを採用するようにして問題の解決に努めております。
○矢嶋三義君 私は大まかな資料しか持たないのですがね。戦死者はやはり農村出身に多いのですよ、おおむね農村出身に。そういう農村はまた貧困でもあるわけですからね。だからさっき奨学生の都道府県の割当について補正係数を使ってほしいと私言ったのは、そういう要素もある。たとえば九州でいえば佐賀とか、熊本とか、鹿児島というところですね。これは主として第一次産業の県ですよ。それで県の財政力も弱い。県民所得も日本の標準よりはるかに低い。そうしてこれは昔から軍人が非常に多いのです。それからまた戦死者が非常に多いわけです。こういう要素がはっきり出てきているわけですね。そういう県にはただ高等学校の生徒数だけで奨学生をはじき出したのでは、こういう配分も合わせ考えると工合が悪くなるわけですよ。若干そこに補正というものを考えられないとできないわけですからね。今あなたが言いました軍人の子弟に対する高等学校八千三百人、大学生二千六百人、この高等学校の八、千三百人というのは、別ワクでこれは扱っているんだと思うのですけれども、その運用方法について承っておきたいと思います。
○参考人(田中義男君) お説のように、これは別ワクで扱っております。同時に一般奨学生のように地域別の配分はいたしておりません。
○矢嶋三義君 文部大臣はどこへ行かれたんですかね――そうですが。それでは田中育英会会長に伺いますが、小中学校に就職された先生方の育英資金返還の免除というのは、昭和十九年法律施行のときからそうでしたね。途中からですかね。ちょっと私記憶はっきりしていないので、その点教えていただきたいと思うんですが。
○参考人(田中義男君) 二十八年法律改正のときから法制化されております。
○矢嶋三義君 二十八年から法制化されている。その場合は遡及しなかったのですか、したのですか、どういうふうに取り扱いましたか。
○参考人(田中義男君) その場合は二十五年まで遡及したと承知しております。
○矢嶋三義君 小中学校の先生とすでになっている人も二十五年の卒業生以後に適用した、こういうのですね。
○参考人(田中義男君) さようでございます。
○矢嶋三義君 文部大臣にお伺いしますが、今度はどうしてそういうことをやらないのですか。私さっき、昭和三十六年三月卒業以前の人は全額返還しなければならぬ。ただし昭和三十七年三月以後卒業した人々は全額免除になる。これでは同じ職場で同じ職種で働きながら、当事者の心情を察すると適当でないから、だから遡及して全額とならなくても、せめてその債務として背負っている金額の二分の一ぐらい、気は心、半減してはいかがですかということを午前中からずっと伺っているんですが、遡及することは云々だとか、言を左右にして、気持はわかるがということではありますが、私の意見に同調していただけないわけですがね。二十八年のときには三カ年遡及して、こういうことをやられている。よほどこれは私は実際的だと思うのです。ほんとうの政治だと思うのですがね。このときも保守政権ですよ。社会党政権じゃないのですよ。保守政権です。だから再考慮していただきたいと思うのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 午前中お答えを申し上げた程度以上のことを今ちょっと申し上げかねますが、繰り返し申し上げますと、遡及するということ、これは私も同感の点がありますけれども、一体考えると、ことしの三月卒業する者だけにとどめるのか、遡及して一体どこでとどまるのかということも問題でございますし、また、事務的にも相当繁雑になることも必至でございましょうし、そういうふうなことを考えあわせまして、遡及することは結論的には適切でないように考えます。
○矢嶋三義君 これであまり押し問答はしません。あとで他会派の方に会って話してみたいとも思いますし、それから大蔵大臣の見解も聞きたいと思ったのですが、御出席ないわけですがね。私は非常にまぎらわしいことをお尋ねしているわけではないのです。昭和三十六年の三月卒業の場合まで遡及するか、三十五年まで遡及するか、三十四年まで遡及するか、どこにいったって一つの断層があるじゃないか、けじめがつかぬじゃないか、こういう言い方を私はしているのではないのです。私見として言っていることは。何年に卒業しようが、それぞれ償還すべき金額というものは背負っているわけですね。中には全く支払っていない人もありましょう。中にはもうすでに一部支払って、一部残っている人がありましょう。いずれにしましても、それらは清算して、これから支払わなくちゃならない義務を背負っている金額、その金額を二分の一なら二分の一減免する。すべての人に平等です。しかもこれは合理的でもあり、科学的でもあります。はっきりと筋が通っているのです。そういう形で、気は心でやるべきじゃないか。それに対して、今この法案ではことしの三月卒業した者は、たとえば高等学校の先生になって全額これから二十年間償還せねばならぬ。ところが少なくとも三年間大学で一緒に勉強した来年卒業する後輩は一円も支払わぬでもよろしい、そういうちょっと射幸心をそそるような、一か八かというような、そういう政治、行政を私はやるべきじゃない。ましてや経済的に不十分で就学困難なるがゆえに、しかも優秀で奨学金を受けた対象の方々ですから、そういうふうにすべきだ。私はこの法律の作業段階に事務当局に私見として述べたことがある。しかし採用してくれなかった。育英会の事務当局においても、また行政府のトップレベルの話し合いにおいても、法案作成段階にそういう意見が出ないこと自体が私はおかしいと思うのですね。ほんとうに真剣に考えていないのじゃないかと思うのですね。もし自分の子供に該当者があったら必ずそういう意見が出てくると思う。出てこないのがおかしいと思うのですね。しかし、この法律はまだ国会で成立したわけじゃないのですから、本院が先議ではあるし、まだ審議権を持っている。立法府としては決しておそいわけじゃないのだから、まあ私は皆さん方の意見をただし、そして今後協議して参りたいと思っているわけです。内閣から提出されたのですから、これを撤回して、あらためて修正して出しましょう、文部大臣からそういう答弁は私は求めようとは思いません。これは無理です。そういうことは申しません。しかし、そう承ればその意見はごもっともだ、立法府においてしかるべく御審議をお願い申し上げたい、行政府としては提出段階にこれで適当だと思って出したんだが、そういうことならば立法府でしかるべく御審議願いたい、この程度の発言は私はあってしかるべきだと思う。そして立法府において修正案が出たならば、これは若干予算を伴いますから、当然、行政府の所見を述べる機会をわれわれとして与えなくちゃならぬ。その場合に、これは立法府の修正はごもっともだという程度の所見表示はしていただく用意を持っていただかなければ、午前中以来の所論だけで、われわれの方がベストであって、今さら話し合いの余地はないのだというような態度では私は了承できないという立場で伺っているわけです。あなたの気持を少しのぞかしてみて下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻来申し上げておりますように、矢嶋さんのおっしゃるお気持はわからぬではございません。人情論としてはまさしく一貫した御意見だと思います。ですけれども、まあおおよそこの問題に限らず、国民の利益になるような立法が新たに行なわれました場合に、改正されました場合、理論的には同じことじゃなかろうかと思います。冷酷むざんなように一見見えますけれども、しかし、また遡及することによって生ずる錯雑な事務等が現実問題として処理しにくいということがあり得るでありましょうし、そういう意味合から、おっしゃることはわからぬじゃございませんが、私どもとしましては、今出して御審議願っておる線が妥当ではなかろうかと、こう思うわけであります。もとより言うまでもないことですが、立法府においての御論議の結論がどうなるかということは、むろんわれわれの関与すべき限りではございませんけれども、案を出しましたものとしては以上申し上げるような考えでおるわけであります。
○矢嶋三義君 お言葉を返すわけではありませんが、私は人情論だけで申し上げておるわけではないのですからね。今の大臣のおっしゃる、予想しておる場合もいろいろ考えて言われていると思うのですけれども、たとえば三月一日付でベースアップになった、去年退職しておるその人を、三月一日付でベースアップになったんだから、だから自分のやめたときの月給をこのベースアップの線に引き直して云々しようと、そういうようなことをやり得るわけではないですよ。こういう場合は大臣のおっしゃる通りです。私も全く同意見です。しかし、そういう場合とこのケースとは違いますよ。現在の大学あるいは高等学校という教育の場において人材を確保しなければならぬ、その具体的な一つの政策として、その現われとしてこういう法案が出てきているわけですね。そういう立法の趣旨に立脚してこの問題を考えた場合に、ことし卒業してその職場において国民のため国のために期待に沿うように働く、来年卒業してその場において働く、そういう事実をもとに考えた場合、ただ遡及してはならないというので、一年違いで一方は一〇〇で一方はゼロというような取り扱いは、人情としてももちろんのみ込めないが、理論的に考えても私はおかしい。しかも、それを是正する方法は、私は一つの私案を申し上げましたが、幾通りでもある。それが憲法上他の法律と何ら支障がないということは参議院法制局長が答弁した通りです。そうなると、何か答えが出なければならぬが、その答えはどういう答えになるか、私はまたあとで考えてみましょう。大臣としてのお答えを一応承っておけば、この問題に関する限りは一応よろしいと思います。 次に伺いたい点は、科学技術関係の団体、振興に関与する団体、それから教育機関、それから育英団体、これらに対する税の減免措置というものがとられて参ったわけですが、それが不十分だという声は、もう長きにわたってあるわけです。それで、免税措置をいかように改正、前進させようとされるのか。私も国会図書館の立法考査局に頼んで、数年前とごく最近、諸外国のを調べていただいたのですが、国、公共団体としてもやっているが、民間団体としてこういう育英制度というものは、先進国ほど非常に発達しているんですね。日本もようやくそういう風潮が最近盛んになって、国はここ数年五十数億を投じた。それから地方公共団体でも、最近かなり育英制度というものを発足させてやっているようです。また、民間においても最近非常に芽が出てきたようですね。これは喜ばしい傾向だと思うのです。で、この芽というものはますます育てていかなくちゃならぬと思うのです。その一つの方法としては、やはり寄付金に対する税の減免措置ですね。先般来、私学の経営あるいは私学の振興という角度からも論じられ、大臣に御要請もして参ったわけですが、政府、与党の方でもずっと研究されてこられたところですが、法人税法の施行規則、これは四月一日から改正されたと承っているのですが、直接責任者から私承る機会がなかったので、この席をかりて、一つ法人税法の施行規則をいかように改正されたのか承りたいと思います。私が間接的に承知しているところでは、まだまだなまぬるいと思うのですね。今の日本の税収が、この調子のいいのがどこまで続くか、必ずしも予測しかねるところがありますけれども、しかし、非常に好調であるということは何人も否定できないと思うのですよ。そうして、あるいは私学教育の機会均等が、あるいは私学の振興が、あるいは科学技術の振興が非常に叫ばれているときですからね。私が間接的に承っているところでは、非常にこまかな弥縫的なものだと思うのです。もう少し、全部ワクをはずして、個人寄付まで減免にするんだというくらいの意気込みを示してよろしいと思うのです。それが国家の財政にそんなに影響しませんよ。微々たるものだと思うのですよ。どうして政府はあんな――いわばけちですね。きゅうきゅうとした方策を講ぜられるかと、まことに心外にたえないんですがね。大蔵大臣あるいは大蔵政務次官の出席も要請したわけですが、おいでになっておられないので直接承れないのですが、所管大臣としての荒木文部大臣の、結果を御報告願うとともに、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 結果は、矢嶋さんにしかられそうな程度でありまして、もちろん満足ではございませんけれども、概略、今までよりもワクとしましては倍くらいのものが期待できるんじゃないかというふうに一応推定いたしております。具体的内容につきましては、説明員から申し上げることをお許しいただきます。
○説明員(木田宏君) 今御指摘になりました法人税法施行規則の改正につきましては、法人税法施行規則に七条という規定が現在ございまして、これが法人の寄付につきまして一定の金額までその寄付金は損金として算入するという規定でございます。今回それに加えまして、七条の二という規定を加えまして、特別の目的――、主として科学技術の振興、それから学校教育の振興、第三番目には育英奨学関係の援助のために、従来とって参りました一般の損金算入のワクとほぼ ほほでございません、全く同一のワクを、今申しました科学技術等の特殊な目的のためにのみ支出した場合には、これを損金算入に加算して取り扱う、こういう取り扱いをいたすことになったのでございます。その一般のワクと申しますのは、法人の資本金の千分の二一五、それからその年度におきます所得の百分の二・五を加えましたものの二分の一額まで、法人がどのようなところに対して寄付をいたしました場合にも損金に見るということでございまして、これだけのワクでは、科学技術等に対します寄付をいたしました場合に十分でないというところから、先ほど申し上げました特殊の目的にのみ支出された寄付については、そのただいま申し上げましたワクと同額を別にプラスして支出してもこれを損金に算入するという取り扱いにいたしました。その取り扱いにいたしました中身は、ちょっと今法令自体を持っておりませんので、多少不正確な点がございますが、私の記憶によりまして申し上げますならば、第一は、民法法人でございまして、自然科学の試験研究を行なっております法人に対して寄付するもの、それから第二は、その科学技術で自然科学に限るということになっておりますが、その試験研究を行なうものに対して助成をすることを主たる目的とする法人、三番目には、科学技術の思想の普及啓蒙に当たることを主とする法人、四番目には、学術の研究でございまして、自然科学以外の人文関係ではございますが、人文関係の学術を研究する法人の中で特に学術としての研究の色彩の濃いものを四番目に加えまして、五番目に学校教育の助成を行ないます法人、それからその次に育英を主たる目的といたします法人並びに学生寮の設置を目的といたします法人、このような民法法人につきましては、先ほど申し上げました特別のワクとしての取り扱いをするということになりました。なお、そのほか、民法法人ではございませんけれども、私立学校を経営いたします学校法人、主として学校教育をやるものにつきましても同様の取り扱いをすることにいたしました。なお特殊法人で、日本育英会と私学振興会、そのほか理化学研究所等、文部省所管以外の法人もございまするけれども、法律によりまして設置されました六つか七つの特殊法人につきましても同様の便宜を取り計らうということに改正をいたした次第でございます。
○矢嶋三義君 時間が参りましたから、あと一項目、給与の問題だけ伺って私の質疑をきょうは終わりたいと思うのですが、今の問題はきょうの主議題ではないから、繰り返して掘り下げては伺いませんが、ともかく平たい言葉でいうと、けちけちしているということ、ほんとうにもう問題にならない。で、一つだけ希望して、また伺っておきたい点は、ともかくできるだけ手続を簡単にすることですね。そして教育、文化方面に寄付をしやすいという雰囲気を作ることが大事だと思うのです。そういう心がけをしてもらいたいということ。それから具体的な問題ですが、私はたまげたのですが、神奈川県のごときは大学の寄宿舎まで税金をとっておるのです、教育の場でないというので。こういう点は地方自治体なり、自治省とも文部省は協議して、高等学校やら大学やら学校の寄宿舎に課税するということはやめてもらわなきゃならぬと思うのです。まあ微々たる一つの具体例ですがね。神奈川県などは現にとっておりますよ。そしてその理由として、教育の場でないという。こういう税に対する考え方というものは私は納得できないわけで、これは一つの意見として、希望として申し上げておきます。 先ほど申し上げました最後の項の給与の問題ですが、田中育英会会長に重ねて伺っておきますが、あなたのところの部下の公務員のベースと他の省庁の外郭団体である、たとえば国民金融公庫とか、中小企業金融公庫、商工中金、農林漁業金融公庫あるいは輸出入銀行、こういうようなところの職員とのベース差というものはどのくらいとあなたはつかんでおられるのですか。
○参考人(田中義男君) 私の方のベースは、午前中申し上げましたように、大体まあ公務員に準じておると思うのでございますが、従って文部部内においては決して悪くはございませんが、お話のように他省の、特に産業省関係のものと比べますと落ちておることは事実だと思います。その程度でございますけれども、これは団体によって違いましょうが、まず二千円平均くらい差がありはせぬかというふうに私は感じております。
○矢嶋三義君 二千円はたっぷり差がある。それから期末賞与等において比較にならないんですね。それから盛んに国家公務員に準じてということですが、たとえば出張旅費とか、あるいは福祉厚生施設とか、あるいは恩給、年金というような点について、あなたのところの職員と国家公務員とには差等はございませんか、いかがですか。
○参考人(田中義男君) 少し落ちておるように思っております。
○矢嶋三義君 そういう点で落ちておるのですよ。だから希望が持てない、不満があるのは当然ですよ。だから、これはあなたにできることではないのですが、荒木大臣、ぜひ他の省庁の外郭団体と文部省の外郭団体とのアンバラというものを、一つ池田内閣として考慮していただきたい。そうして直接あなたに御縁のある、たとえば今ここに問題になっている日本育英会とか、あるいは私立学校振興会、公立学校共済組合、こういうところの職員の身分とその待遇の適正化についてはぜひとも一つ御配慮、御尽力をいただきたい。そのことがこの能率向上と非常に関係がありますからね。そういうことになりますれば、大学の卒業生の行政職甲に合格した人はともかくも、行政職乙程度に合格した若き春秋に富む青年諸君が就職して参りますよ。ところが今のところはそんな見込みは全然ない。だからそういう人がなかなか入ってこない。そういうことでは将来が思いやられると思うのです。ぜひ大臣の政治手腕と大臣の責任において善処していただきたい、そういうお約束を私はきょうしていただきたいと思います。お答えいただきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 午前中もお答え申し上げましたように、それぞれ沿革なり、使命なり、実態なりというものを判断して処置すべきものと思うわけでございまして、方向としては、給与の是正、向上に努力することはこれは当然のことでございますが、そういう意味で検討させていただきます。
○矢嶋三義君 田中会長に念のために申し上げておきますが、あなたの列席のところで、大臣がちゃんと今のことを速記録に残しておられるわけですから、あなたはあなたの部下に早急に指示して、十分調査して、データを整えて、そうしてあなたは日本育英会の責任者、会長として、文部当局と折衝を早急に始めるように私は特に要請いたします。やっていただけますか。
○参考人(田中義男君) 検討いたします。
○矢嶋三義君 検討いたしますだけで努力いたしますではないのですか。検討いたしますということは何か逃げられたような気がするのですが。
○参考人(田中義男君) 逃げるわけではございません、できるだけ、事情の許す限り職員の待遇改善に努めるわけでございまして、そのように努力いたします。
○矢嶋三義君 もう一、二問。大臣で、けっこうです。この「日本育英会の学資貸与金等に関する資料、三十六年二月十三日文部省大学学術局」という書き出しで本委員会に資料が提出されておりますが、この資料については大臣として責任を持たれますね、文部省から出た資料。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 責任を持てると思います。
○矢嶋三義君 先ほど、この育英会の貸付金の返還成績は思わしくない、その理由として、初任給等の経済的理由を田中育英会会長はあげておりますが、このデータを見たら、ほんとうに先生方の給与というものはお気の毒のように安いのです。バランスがとれていない。この第三項目にあります「大学卒業生の民間初任給」、しかしカッコして、税込現金月額で、臨時給与を含まずですよ。臨時給与を含まずに、五百人以上の規模での民間の初任給は、男が一万四千三百六十円、それから女の人は一万二千八百二十円、臨時給与を含まずですよ、基本給がこういうベースになっている。これは労働省調査によるのです。しかもこれは三十五年三月の卒業者の初任給調査と、こういうふうに説明がつけてある。ところが先生方の初任給は、三十五年の三月卒業者は一万一千五百円で大へんな差じゃないですか、民間の男の一万四千三百六十円と比べて。また、女子の場合でも一万一千五百円と民間の一万二千八百二十円と比べて、これではほんとうに教職員が生活に因るはずだと思う。それで、この文部省の資料では、田中さん書いてあるでしょう。「大学卒業の奨学生の返還年賦額は、平均四千四百三十四円である。」、こういうふうに資料に出ている、文部省の大学学術局から。だから、さっき四千五百円くらいじゃないですかと、あなたが七、八千円と答弁されるから、数字があまり違いますねと伺ったわけです。これは二月十三日付で文部省から出た資料なんですね。そこで、大臣に長くなって気の毒ですが伺っておきますが、確かに育英会の償還金の成績が悪いということは、失念している層も相当あると思います。それが一番多いと思います。しかし、田中会長が申しましたように、初任給が安い、経済的理由というものを見逃すことができないと思う。卒業してから六カ月後から払うわけですから、六カ月後からこの資料によっても年に四千四百円くらい払うわけです。田中さんの説明によれば七千円から八千円払うというわけですから、そうなるとなかなか支払いができなくなるんじゃないですかね。これは政府から出た資料ですからね。民間給与と比した場合に、あまりにもひどすぎるのですね。これらの詳細については、後日またデータをもって伺いたいと思うのですが、当面確信を持って伺い得ることは、ともかく初任給を引き上げるということは、もう絶対必要なことじゃないかと思うのです。初任給一万一千五百円が先般の改正で一万二千八百円になっている。昭和三十五年の三月の資料で、男が一万四千三百六十円ですからね。そして一年経過していますから、少なくとも平均千二百円ぐらいはオーバーしていますから、大へんな民間との格差ができていると思うのですね。教育界に人材を確保するその一つの方策として、この育英会法の改正が出てきているわけなんですが、それも一つの方法です。しかし、それと並び、あるいはそれ以上に必要なことは、教育公務員を確保する立場からは初任給を上げるということが、それと対等以上に私は非常に必要な要素であろうと、かように思うわけです。だから教育界に人材を確保するという目的を達成するために、給与政策の一つとして、閣内においても初任給の引き上げですね、これに格別意見を開陳され、努力される必要があるのではないかと思うのですが、大臣の御所見を承って一おきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私いつも申し上げているのですけれども、大学教授を初めとして教職員に人材を得ることは、これは基本的な重大課題だと心得えます。その意味において、あらゆる角度から待遇の改善をはかっていく必要があると考えておる次第でございまして、微力ながら今後も努力したいと思っております。
○矢嶋三義君 私の質問はこれできょうは終わります。
○委員長(平林剛君) 本案の質問、他にございますか。他に御質疑のおありの方ございませんか。――他に質疑がなければ、本案に対する質疑は本日のところこの程度にいたします。 ――――――――――
○委員長(平林剛君) 次に、当面の文教政策に関する件を議題といたします。 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。
○米田勲君 私はきょうの委員会に、また大学入試問題にかかわる事件を質問として出さなければならないことを非常に遺憾に思っております。先にお伺いをいたしますが、九州大学、東大、教育大学、北大等、各大学の入試に関する事件が相次いで惹起をしまして、当委員会でもこの問題を取り上げて種々話し合いが行なわれたわけですが、われわれの側からも強く文部当局に対して善処方を要望したはずであります。そこで、今日まで文部省で大学入試に関する各大学の事件の内容調査に当たって仕事が運ばれたと思いますが、その調査の結果はどういうようになっているかということをお伺いしたいわけです。ただ、私はお答えになる場合に、調査はまだ完了しておりませんというふうな答えが出るかもわかりませんが、この問題が発生してから、各大学に相次いで類似の事件が起こり、当委員会で問題になりましてから、ある期間を経過しているわけです。だから、まだ調査は続行中でありますのでというお答えでなく、現在までの段階において調査をせられたその調査の中間報告をしてもらいたいということであります。内容としては、各大学における事件の内容、それからその問題をどのように最終的に措置をしたか、その措置の仕方、それからその一つ一つのケースに対する文部省の見解、これを一つ最初にお伺いをいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 説明員から御報告いたさせます。
○説明員(村山松雄君) 四月一日付で大学課長を命ぜられました村山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 大学入学試験問題の事故の状況につきまして、現在までに調べました状況を簡単に申し上げます。昭和三十六年度の大学入学試験問題におきまして、出題の誤り等の事故があったケースは、大学の数にしまして八大学、件数にしまして九件ございます。大学別に概要を申し上げますと、東京大学におきまして、社会科の世界史の問題の中で正解に不適切なものがございました。それから東京教育大学におきまして、社会科の日本史の設問におきまして出題の不適切な点、簡単に申しますと、事実の年代の説明につきまして疑義があるものがございました。次に、岡山大学の理科の生物の問題の設問の中に、数値が理論的に不適切なものがございました。それから九州大学の理科の生物の化学反応の問題の中に不適切な設問がございました。なお、九州大学の場合は、問題が不適切であるほかに、その出題された問題がほとんど同じ形で受験雑誌に掲載されておったという点があわせて問題として取り上げられております。それから九州大学におきましては、さらに数学の問題の中で、一つの問題が受験雑誌に同大学の教官の名前で出題されておるものがございました。それから長崎大学におきまして、社会科の人文地理の問題の中に、地域を選択させる設問の中で、回答事項が事実に誤りがある問題がございました。それから茨城大学におきまして、理科の化学の問題の中で、相当数の問題が、ほとんど同じ形で受験雑誌に同大学の教授の名前で掲載されておるものがございました。次に、富山大学の社会科の日本史の設問の中で、第二次世界大戦としるすべきところを第一次世界大戦と誤記したものがございました。それからこれは国立でございませんが、札幌医科大学の理科の物理の問題の中に、数値が不適当な設問がなされておるものがございました。以上が三十六年度の入学試験問題におきまして、不適当と申しますか、事故と申しますか、そういうものがありました今日までに判明した概要でございます。 で、それにつきまして、ただいま申し上げました七つの国立大学の中で、一番先に九州大学の問題が取り上げられましたわけで、国立大学の入学試験は二回に分けて実施しております。九州大学は一期の大学でありますし、当時二期の大学はまだ試験が実施されておらなかったわけでありますので、とりあえず、大学入学者選抜試験問題の出題につきまして、出題の誤り等によって事故を起こした例があるので、受験問題についてはさらに綿密に検討するように、二期の実施を予定しております大学につきましては、大学局長名で通達をして、せめて二期の大学でもなるべく事故、ミスの少なくなるようなことを期待したわけでございます。 これに対しまして、大学の処置でございますが、とりあえずの問題といたしましては、それぞれの大学におきまして、問題のミスはミスといたしまして、受験者に対してできるだけ不公平にわたらないようにいろいろ考慮いたしまして、各合否の判定を工夫する等の措置を講じまして、結論的に申しますと、たとえば事故のあった問題を除外して採点したり、さらに、事故のあった問題が正しくて、それを受験したとすればいい成績をとったであろうと思われるようなものにつきましては、その問題が省略されることによって不利にならないように統計的方法をいろいろ苦心いたしまして、合格者の数を安全係数を見て、やや多い目に決定する等の措置を講じまして、当面の措置を講じたわけでございます。 それから出題の誤りの責任者と申しますか、原因の探究につきましては、それぞれの大学におきまして調査委員会等の組織を設け、あるいはその他の方法を講じまして、徹底的に調査いたしまして、今後かかる事故が再発しないように検討中でございます。事故を起こしました責任者の問題につきましても、これは本来、大学管理機関が措置すべき問題でございますが、それぞれの大学におきまして現在検討中の段階でございます。 簡単に概要を申し上げました。
○米田勲君 現在までの事件の発生件数は九件で、大学は八つにわたっておる、こういうお話でしたが、私は今後詳細に全国的に検討をすれば、こういう類似の事件はまだ他にもあるように思われるし、なければ幸いであるが、あるように思われます。そうしてこの事件を結末つけるのに、すべて水増し入学という手段によって事が決着をつけられておるという点は、私はちょっと納得ができない。しかも文部省から大臣の名前でかだれかわかりませんが、各大学に対して、入学試験の問題、入学試験そのものが公正適切に行なわれるように指示がなされたはずであるが、その指示があなた方の意図の通り十分に徹底をして、事故がなかったかというと、そうは言えないのじゃないか。私はそういう文部省の一片の指示だけで、こういう問題が絶滅を期すことができるというふうには安易には考えられない。大体、大学の教授の人たちが集まって、真剣に受験問題や受験に関することを考えた上で取り行なわれておるはずなのに、こういう問題が起こるということは、これは単なる過失であるというふうにだけは考えられない。不可抗力である、過失だとは考えられない。そうした点を考えると、どうも文部大臣を初め文部省のこの問題に対する認識が不徹底なのではないか。この問題の重要性に対する認識が不徹底なのではないかということをおそれるわけであります。こういう問題が相次いで一度ならず二度ならず、今わかっただけでも八度も九度も起こっておるということであれば、国民は一体大学の入学試験に対してどういう感じを持つか、大学の入学試験に骨身を削るような思いでがんばっておる子供や親たちは、一体どういう感じを持つのか、わが国の最高の学府である大学の入学試験に、こういう事件が相次いで発生するということは、一体教育行政上どういうものであろうかということを考えたときに、もっと文部当局はこのことについて真剣になってもらわなければならぬはずである。一体今まで行なった文部省の指導、助言、この問題を絶滅させるための指導、助言は十分であったと考えておるのかどうか、文部大臣に所見をお伺いしたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。大体こういう入学試験のことは、御案内のごとく、大学のそれぞれの自主的な処理にまかせてある。制度上はそういうことになっておると思います。一般に入学試験については適正を期するようにということは、一応の制度も一般的にはできておりまして、その趣旨はむろん各大学に徹底しておると思います。従って、一般的に申し上げれば、文部省としての従来の処置は適切に行なわれておったと申し上げてよいと思います。ただ、具体的には御指摘の通り続々と近来遺憾な事柄が起こります。起こることそれ自体は、各大学のやり方がまずかったからそういうことになったのだと申し上げるほかにないと思います。従って、それが一再ならず起これば、どういうところにその欠陥があるか、組織、制度としても今のままでいいかどうか、ことごとく善後措置にいたしましても、大学の教授会等に諮って、大学自体が善後措置をすることになっているわけでありますが、そういうことであってよろしいはずですけれども、そういうところにまでも問題があるかどうかということは、今後の検討に待たざるを得ないわけでございますが、抽象的に申し上げれば、今後に向かって、今申し上げるような諸問題を十分検討いたしまして、再びこういうことの起こらないようにという措置を検討いたしたいと思う次第であります。
○米田勲君 大学の入学試験は大学当局の自主性にまかしてあるのだということについては、あとからもう少し、私は私なりの考え方がありますので、それはあと回しにすることにして、ただいま文部大臣の答弁では、文部省の打った手は適切であった、しかし、受けた大学側ではその指導助言に対して適切な手を打たなかった、こういう話であるが、そういう形式的なことでは話は通用しないのじゃないですか、文部大臣。おれの方ではちゃんと適切に手を打ったのだ、しかし相手が十分なことをしなかったから、またこんな問題が起こったのだということでは、あなた、国務大臣としては、そういう一方的な言い方だけで事は済まないでしょう。起こった事件そのものは、日本の文教政策上問題ですよ、これは。だから、あなたの打たれた手は、あなた方の考えたうちではまあ適切な手を打ったと思われているだろうが、その手が十分にきかないような手段であったので、それは形式的であったのだなあと反省があってしかるべきじゃないですか。形式的であったがゆえに、受けた大学側ではそのことを真剣に考慮をしなかった、検討しなかった、その結果また事件が起きた、こういうことなんだから、形式的な指導助言だけでは事が徹底しないという実情であれば、さらに新たなる文部省の行政権限の範囲内で問題の処理の仕方を工夫すべきである。それなのに、自分の方で打った手は適切であったということだけで平然と言い切られたのでは不承せざるを得ません。そういう点について何か文部大臣は考えませんか。私がやった手は適切であったのだと言うだけで、こんな事件が相次いで起こっているという現実を見たときに、もっと考えてしかるべきだと私は思うのですが、どうですか、その点は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一々のこの不祥な、好ましからざる事柄は、今も申し上げましたように、文部省として具体的にどうするということは不可能であります。一般的に法律あるいは政令、省令等、制度を通じまして、一般抽象的な指導を従来いたしてきているわけでありまして、そのワク内で、こういう問題は大学みずからが責任を持ってやるべきことだと思います。試験問題それ自体の一つ一つは、問題を出す教授、助教授等の担当者の良識に待たざるを得ない。問題の選定に当たりましても、その出した教授にまかせぱなしではなしに、衆知を集めて、万誤りなきを期する責任は、当然、大学側にあると私は思います。そういうことをしたでありましょうが、結果は遺憾な結果になっているならば、大学みずからがその欠陥をまず反省をして、どこにその欠陥があったかという結果を十分に正しく認識をして、その結末をわれわれも聞かしてもらって、今後に向かって原因が奈辺にあるかを考え、そうして一般的な措置をする、こういうこと以外にはやる方法はないと思います。しかし、そう申せばとて、そんなことを言って平然としておるというおしかりですけれども、もちろん平然としておるわけではございません。遺憾千万に思います。衷心申しわけないことだと、大学当局と一緒になって、当該大学と一緒になって国民にお詫びせねばならぬような気持で一ぱいでございますが、さりとて、しからば文部省としていかなることが事前になせたかというならば、やはり大学の自治の建前によって、その線に沿って最小限度のといいますか、できるだけの一般的措置を従来講じてきておるわけですから、その組織、制度のもとに自治権を持った大学らしいことをやってもらいたいということを、従来希望し続けて今日に来ておると思うのであります。繰り返し申し上げますが、続々として起こりましたことを一々究明いたしまして、今後に向かって誤りなきを期するのにはどうすればいいかということを総合的に検討をして、できるだけのことをいたしたいと存じております。
○米田勲君 いろいろ工夫をして、できるだけの手を打って、こういう事件の今後発生することを食いとめたいということであるならわかるのですが、冒頭、大臣は、文部省としてはどうにもならぬのだというものの言い方をされたのでは、これは納得ができないのですよ。それはもう制度上きまっていることがあるから、何もかも踏み込んで文部大臣がやられるということはわれわれも考えていない。しかし、これは文部省としてはどうにもならぬことなんだということでは納得ができない。 さて、大臣にお伺いしますが、何度も文部省の方で注意を喚起し、このことの厳正を期してほしいという幾つかの手を打ったのに、大学当局が依然としてその責任を果たさず、類似の事件がまたまた来年度に同じ格好で発生すると、こういう場合には、文部大臣はその大学当局に責任をとらせるような考えはないのですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 各大学では最終的な結論はむろん出ていないようですけれども、たとえば九州大学等におきましては、教養学部の部長が進退伺いをし、あるいは誤った問題を出した教授が辞表を提出しておるということを聞いております。しかし、そのことそれ自体、教授会に諮って大学自体がきめることでございまして、その結果がどういうことになるかということを見きわめませんことには、その途中でもって文部省がかれこれ言う立場にはなかろうと思います。また、最終的な決定がありましょうとも、決定そのものをはたして文部省としてどうすべきものか、その点ちょっと私も疑問がございまして、明確にお答えできかねますけれども、先刻も申し上げましたように、文部省として、今度の問題について結果的に何をなし得るかということ、なし得なければ得ないで、今後再びこんなことが起こらないようにどうすべきかということは、あげて今後の検討に待たざるを得ないことかと心得ておる次第であります。
○米田勲君 各大学では入学試験について出題をきめたり、あるいは試験の執行をしたりしていくのに、委員会がそれぞれ持たれておると聞いているのですがね。だから、単なる個人の教授が全責任を負えばそれでいいので、他の人はそれに責任がないという立場はちょっと私は解せない。共同責任ではないかと思うのです。しかし、特に問題を漏洩したと、こういうことになれば、これは共同責任といっても、そこまで共同で責任は追い切れないけれども、今度のような事件であれば、私は共同責任だと思うのです。当然、委員会のメンバーが共同責任を負い、さらには学長が責任を負うべきものだと、そういう問題の処理の仕方についてきびしさがなければ、このことに対する真剣さが生まれてこないのじゃないかという気がします。私は何も処罰することによって、この問題を解決したいなどという、そういう考え方ではないのですが、単に形式的な、辞意を表明したら、まあまあいいと慰留をされた、そうしてその事件はおさまったと、こういうような安易なことでは、何度も繰り返され、来年度もこういうことが起こるおそれがあるということから、いろいろこれは文部大臣の方でも御検討願いたいと思うわけです。ところで、私はきょうの委員会で再びこういうことを言い出したのは、四月四日付の朝日新聞の報道によりますと、先ほどの課長の報告にもありました茨城大学の入試事件が報道されているわけです。そうして、ここはあまりにも解決の仕方がはなはだ非常識過ぎるんじゃないかとさえ私は思うわけです。大体入学者の一五%水増し入学を認めて、そうして落着させた。定員は八百五十五人なのに百二十二人増員して入学を認めた、こういうことが報道されているので、私は全くおそれ入ったわけです。よく内訳を見ますというと、特に文理学部では百五十五人に対して四十四人水増し入学、法学部では二百四十人に対して二十三人の水増し入学ということで問題を処理した。一体これで厳正が期せられたか、こういう人数の水増しで入学試験の厳正がそこなわれなかったかというと、私は問題があると思うのです。しかし、それにもまして考えられることは、われわれが九州大学のときに水増し問題をここで取り上げたあと、全部、事件が起こったらみんな水増し入学である。そうしてこの報道によると、茨城大学などは水増し入学もはなはだしい、けしからぬとさえ言えるわけです。そうして、こういうことで問題を落着させなければならなかった事件の内容を聞いてみると、ある教授が出題に当たったが、その出題された問題のうちの半分は、すでに自分が受験雑誌に出題をしておる、そういう問題を受験問題の半数を占める問題にしておる、ここに文部大臣、何か問題がありませんか。私は文部省が指導助言をして、厳正を期してくれと言っても、こういう受験問題に選ばれる問題の中の半分に余る問題が、すでにその教授の手によって受験雑誌に公表されておる。その雑誌を買って、たまたま勉強したのが、競馬に当たったようなものでうまく当たった、こういうばかなことが起こっておる。そうして、この受験雑誌に出した部分の問題を外して、残りの問題で採点をして入学をきめた、そんなことで文部大臣、この茨城大学の入学試験は公正に行なわれたと思われますか、どうですか、その点は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと私も厳密には申し上げかねますけれども、新聞記事を見て私も驚いた一人でございますが、私の乏しい常識では、これはとんでもない入学試験だったなあという感じでございます。もともと受験雑誌に出したような問題を試験問題として出した当該教授の私は常識を疑いたい。しかし、それはそれとして、別途批判さるべき筋合いのものと思いますけれども、入学試験のやり直しということができないという前提に立ちまするならば、その大学として、こうするほかにはないと、衆知を集めて考えました善後処置案以外には何とも具体的には手の打ちようがないのではなかろうか、水増しそれ自体がもってのほかだと私も思いますけれども、それ以外に方法があるならば別ですけれども、受験者本位にものを考えた場合に、批判される余地は別途残しつつ次善の策はそれしかなかったということの前提に立てば、これはやむを得ざるものと考えなければいかぬと思います。しかし、誤りは誤りで犯しながら、水増しで事を処理するということが今後続々行なわれるのでは、これは根本的な問題だと思うのでありまして、そのことも含めて先刻申し上げましたような意味で、十分一つ検討して、再びかような遺憾なことが、ばかげたことが起こらないようにということを十分検討し、対策も考えたいと思います。
○米田勲君 文部大臣に考えてもらわなければならぬのは、この委員会で文部大臣が、この事件を次善の策として解決するのには水増し入学以外にはなかったのじゃないかという、そういう発言をするから、私はこの水増し入学の常習犯が横行するようになるんじゃないか、言葉は少し悪いのですが、犯罪じゃないのですから。しかし、そういう常習的な傾向が出てきておるのじゃないですか。全部水増しですよ。そして茨城大学の水増しは全く一段ときわだっている。この次にまた同種類の事件が起こったら、これよりもさらに大きな水増しの傾向が出てこないとは断言できない、このざまでは。私は水増しで問題を解決するのは次善の策としてやむを得ないという文部大臣のこの委員会における発言そのものがこれは妥当を欠くのじゃないか。それが聞こえますからね。そうすると、文部大臣も次善の策としてはもう水増し入学しかないと、そう言っているのだ、こういうことになれば、これは認められるなということで、問題の処理は水増しだ、水増しだと、なるべく正確を期するためには水増しを大きくしたらいい、そういうことになりませんか。だから私は水増ししか次善の策がないのだという文部大臣の発言自体が、これは考えものじゃないか。もっと水増しで問題を解決したことに対して厳正なというか、きびしい文部大臣の見解が表明される必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 米田さんの今の御批判もあり得ると思います。思いますけれども、当該入学試験の好ましからざる事態の善後処置の責任と権限はあげてその大学にあります。その大学がそういう方法しかないと判断してそういう結論を出し、現に入学を許可しているという事実は、これはそれを否定して、もう一ぺんやり直しということは考えられないことであろうという前提において申し上げておるのでありまして、水増しがいいなんということをもちろんその意味で申し上げた覚えはございませんが、ただある程度の――その程度がどの程度までが限界であるかということは問題でございましょうが、毎年ある程度の定員内の採用もしくは何らかの都合である程度の水増しというか、今度の場合の予定数以上の入学許可とは意味が違いましょうが、現実問題としては、予定の定員以上にオーバーして入学許可をするということは、従来一つの慣例として行なわれきたっておると承知いたしております。それが一般に納得のいく範囲内であるならばむろん問題ないのですけれども、特にこの茨城大学の話等が真実なりせば、私も常識的にとんでもないことではないかしらんと実は思っておるわけでございます。従って、そういう水増し入学ブームみたような愚かしいことのないようにということも含めまして、制度それ自体、あるいは原因のよってきたるところをもっと究明いたしまして、将来に向かってその防衛対策を考えねばならないと、厳粛にそう思っておるわけでございます。
○米田勲君 水増し入学で問題を解決したということについては、まあここではこれ以上論議をしないことにして、文部大臣の方では十分事後対策の中の大事な点としてこれは考えてもらいたいと思う。ただ、私は次にお伺いしたいのは、この九件の事件は大体二つあるわけです、その事件の発生原因に。一つは出題が間違っている、出題が不適切であるということと、もう一つは厳秘に伏せるべき試験問題が事前に受験雑誌に公表されておる。大体まあ予備校の教授を兼任しておって、そこでまた教えておるという話も聞いておるわけです。こういう二種類に大体類型を立てることができるのじゃないかと思う。これは事件の起こった様子から判断して私は思っておるのですが、大体こういう種類の問題が発生する、やはり私はこの前も言いましたが、どうも一般的な傾向がありそうだ、慎重に行なわるべきその受験問題の委員会の優秀なメンバーが集まっているのに、出題が間違っておる、不適切である、こういうことに至っては、これは何としても解せないので、私は最近、最近といっても、今年の大学の入試事件を見ると、どうしてもこれは一般的な傾向がありそうに思う。その傾向をきわめて、そうして、そこにメスを加えることなしには、今後絶滅を期するということはむずかしいのじゃないか、漫然と策を講じておったんでは。こういうふうに思えるわけです。これは私やはり個人の思い過ぎかどうか、文部大臣はどう考えますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今後もこんな不祥なことが起こるとすれば、第一に私は、大学が自治能力がないと国民的立場から判定ざせるを得ないと思います、という事態に立ち至らないとも限らない。そうせねばならぬということじゃございませんけれども、その意味において、私は大学がそれぞれの立場において自治権を持った大学にふさわしい良識を受り戻してくれということを要望したいと思います。まあ問題を間違った出題をするような先生があるならば、その人の能力を疑わざるを得ない。はたして大学教授たる資格があるかどうかということを国民は疑うだろうと思います。そういう意味で、また大学それ自体が、教授会か何か知らぬが、良識をもってその処置についても厳粛に判断をすべきものと思います。秘密であるべきものが秘密が漏らされるというのは、これまた大学それ自体のだらしなさを立証することでしかないと思うわけでありまして、そういうだらしない教授会か何か知りませんけれども、委員会の運営等を今後に向かって絶対にやらないということを国民に誓うべきだと思います。また、意識的に受験雑誌等に出題したものをことさら取り上げる教授や助教授等ありせば、私はその人の良識を疑いたい。その良識の問題といたしまして、これまた大学当局みずからが自主性を維持せしめる角度から厳粛に一つ考え直してもらいたい。そういうことを私は第一義的に大学当局に要望したいと思うのであります。それが要望しても、しても、できないとなれば、今の大学が自治能力なしとして、私は法律制度の源にまでさかのぼらざるを得ないことに追い込まれるかもしれない、好むところではございませんけれども。おそらくは、そういうばかなことにはしないように、あらゆる努力を私は各大学が今後はされるものと期待いたします。
○米田勲君 私は的確にどういうふうにやっていけば問題を防ぐことができるかということについては名案がないんですが、今だいぶ文部大臣はいろいろなことを具体的に申されました。この受験に携わる委員になる教授、この人が受験問題雑誌に執筆をしておる、大学の予備校の教授になっておるというようなことは、私はどうも適切でないように考えるわけです。それは受験雑誌に出題をすれば原稿料が入るだろう、大学の試験に自分の受験雑誌に出した問題と同じ試験問題が出れば人気が出る、その雑誌は売れる、そこまで悪く解釈をしなくてもいいと思いますが、いずれにしても僕は、大学の受験に携わる委員会のメンバーになる教授については、ある一定のワクをきめる必要があるんじゃないか。そうでないと、受験雑誌に事前に発表する、そうしておいて、それと同じ問題を受験の問題にするというようなことを防ぐことができなくなるのじゃないか。また、予備校の先生として兼任をしておるような場合、巧みに使い分ければいい教授だということになりかねない。こういうことをもってみれば、これは私、正しい主張かどうか、若干まだ言い切るには自信がないんですが、この委員会のメンバーになる教授には具体的にどうということを、今断言できないとしても、ある一定のワクを加える必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか、大臣は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げますが、私もむろん名案があろうはずはございませんが、抽象的に申し上げれば、先刻来申し上げておるように、今、米田さんの御指摘のようなこともあわせて、その大学みずからが誤りないような角度からの検討の結論を実施するという真剣さがあってしかるべしと思います。なお、文部省としましては、大学の入学試験研究協議会というのが従来ある趣ですが、一般論としましては、今おっしゃったようなこと等もむろん検討されて、今後誤りなきを期するような助言等が行なわるべきものと思いまして、その協議会等にも御相談申して、万遺漏なきを期したいと思います。第一義的には、繰り返し申し上げるようでありますが、大学それ自身がもっと厳粛に真剣に取っ組むべきものだ、それがまた完全に行なわれれば、こういうところでいろいろ御論議やお叱りを受けずに済むはずだ、基本的には私はそう思います。
○米田勲君 矢嶋さんが関連質問したいと言っておるので。
○矢嶋三義君 一言いたしますが、関連して、念のために、重ねて資料を要求しておきますが、きょう社会党は、茨城の問題はあまり問題がひどいので、中間報告を承ったわけです。しかし、以前に国立学校にもたくさん出ておるし、それから公立高等学校の方にもたくさん誤りがあったので、大学局並びに初中局で国公立の大学並びに高等学校全部を調査して、資料として文書をもって出すように、資料要求をつとにしてあるわけです。皆さん方として調査を進めておるということですが、きょうの答弁によって、その資料の提出はとりやめるわけではないのですから、きょうは中間報告を求めたわけですから、文書をもって、できるだけ早く出されるように重ねて要請しておきます。それによって、またあらためて社会党は追及いたします。 関連して一つ承りたい点は、私もけさの新聞を見てびっくりしたのですが、茨城大学の百二十二人の水増しで処理しようという、ここまでくれば、この八大学全部と言わないが、私は民事訴訟が成り立つのじゃないかと思います、受験料を出していますからね。そうして受験者にとっては損害賠償の要求ができると思う。それから試験無効の民事訴訟が私は成り立つのじゃないかという見解を持ちます。いかに水増しをしても、誤れる問題を出されると、それによって時間が制約されておりますから、時間の制約を受けるし、それからいろいろ心理的影響がありますから、公正なる評価、査定が行なわれなかった状況下にこの試験が行なわれた。そこで、その不平を押えるために、あるいは九大において五名、あるいは東大において三名、茨城のごときは、先ほど指摘したように、実に百二十二人の水増しをやっておる。そうでなければ、次善、三善の策がとれないという結論になったわけですから、これは私は損害賠償、試験無効の民事訴訟が成り立つと思うのですが、文部大臣はどういう見解を持っておるか、あわせて参議院の法制局長の見解も承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまのお尋ねには私はお答えいたしかねます。
○矢嶋三義君 法制局長どうですか。
○法制局長(斎藤朔郎君) 突然私は入ってきましたので、今おっしゃっておる具体的な問題、実は存じませんので、何かけさの新聞に出ておったかどうかというようなことをちょっと聞きましたのですが、内容がまだ十分わかりませんので、具体的な問題についてどうこうという意見を申し上げることは、法制局プロパーのあれでもございませんので、もう少し考えたいと思います。
○矢嶋三義君 もう一回、それでは若干予備知識を与えますが、あなたは法律家だから純法律的に考えればいいわけです。今度の大学の入試で、先ほど文部省の発表では八大学にわたって九件の誤謬の問題があった。その中には簡単なミスプリントもありますけれども、はっきり専門的に見て学問上誤りの問題もある。また学説の分かれたものもあるわけですが、はっきり誤りの問題もある。しかも、その出題者は受験雑誌等に原稿を請われて出した。そしてその受験雑誌に出た問題が、三月号に出たやつが試験問題に出ている。同じ問題が出ている。そういうケースもあるわけなんですね、二、三件あるわけです。広い意味に解釈すれば、僕は職務違反、涜職をさえ広義に解釈すれば構成するんじゃないかと思う。もし、その受験雑誌社と学生が若干連絡を、相意思を疎通していれば、はっきりとこれは広義のわいろの解釈が成り立ちますよ。これは私はわいろというものについては、しろうとながらかなり研究した過去の経験もあるんですがね。受験雑誌社は学生等を通じていますからね。そして出題者が出した試験問題と同様のものが受験雑誌に出ているとすれば――公務員ですからね、出題者は。これはわいろの解釈は広義で十分に成り立ちます、私の過去の研究では。そういう誤りさえあるわけですからね。しかも、これは国としては受験料を納付さしている、受験者に。だから、受験者はその受験料を返してくれと損害賠償を要求して――そういう誤れる問題を限定した時間内においてやらされて、テストして、公正でなかったからというので、茨城大学は一五%、実に百二十二人の水増し入学を許可している。これを今、米田委員が追及している。ここまでになれば損害賠償と、あの試験は限られた時間内に公正に行なわれたものでない、従って試験無効という民事訴訟が十分私は成り立つと思うんです。あらためてお答えいただきたい。
○法制局長(斎藤朔郎君) 民事訴訟の損害賠償請求権、あるいは刑法上のわいろ罪が成立するかどうかというようなことは、もう少し具体的な問題をよく研究いたしませんと、私もこういう公の席ではっきりと成り立つとか成り立たぬとかいうことを言い切るだけの自信は現在ございません。
○矢嶋三義君 それじゃ法制局長、あなたは立法府の参議院の法制局長として多数の部下をかかえて職務に従事しているわけですから、一週間以内に検討されて、参議院法制局の見解を委員長を通じて本委員会に報告していただきたい。御研究いただけますね。
○法制局長(斎藤朔郎君) できるだけその事情を具体的に承りまして、よく考えて、御趣旨に沿うような答弁ができればいたすことにいたします。
○米田勲君 文部大臣に一つこのことを調査して具体的にこの委員会に報告をしてもらいたいと思いますのは、さきに九州大学の入学試験問題にかかわる事件があって、当委員会でそのことが話し合われて、文部大臣から九州大学を初めとする大学に対して通牒が出た、指導助言の。そのあと、茨城大学の教授の中の試験委員会のメンバーで受験問題雑誌に出題をした事実はないかどうか、通牒が出されたあとにですよ。茨城大学で通牒を受け取っていながら、受験の委員会のメンバーである教授が受験雑誌に出題をしている事実がないかどうか。この点を特に一つ調査をして当委員会に報告をしてもらいたい。 さて、その次にお伺いをしたいんですが、一五%百二十二人の水増し入学まで問題を発展してしまったわけです。これは五人や十人のところならまあまあというところであった。ところがここまで水増し入学がふえてきたということになると、この大学の教授、助教授の数、その他講師、助手の数がありますが、それからそういう教授、助教授等の配置ですね。設備、施設等の拡充、そういう問題があわせて処理されないと、大学のすし詰め教室が発生するわけです。文部大臣は、次善の策としては水増し入学しか方法はなかったろうということであるんだから、このことをまず認められる考えだ。認められるとすれば、入った学生たちがすし詰めの大学教育を受けないように、百二十二人という膨大な数をふやしたんだから、この大学に対してあなたは自動的に教授、助教授、講師、助手等の増配置予算を回すかどうか、並びに授業の充実ということを考えているんですから、設備、施設等の増強を行なうべく必要予算を与えるかどうか、この点はどうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点もちょっと今確定的にお答えはいたしかねます。いたしかねますが、先刻も申し上げましたように、大学それ自体がそういう善後処置をする権限を持って措置しておりますから、その当該大学としては、事前に何らの文部省に対する打ち合わせ等もなしに、そういう入学許可をいたしていることと思われますので、実行上は曲がりなりにも支障なしとしている、こう考えざるを得ないと思います。ただし現実問題として、それが不可能であるならあるとして、今後問題が出てくるかもしれません。そのときでないと何とも今としては私は申し上げかねます。
○米田勲君 事前に文部省の方に何らの了解の話がなく百二十二人という水増し入学を決定したのだから、大学としてはやれるという自信があってやったんだろうというふうに突っ放されたのでは、私は入学した学生の立場からいえば非常に困る考え方だと思います。大学側では、自分にマイナスがあるんだから文部省の方に泣きつかないで、まあ予算の範囲でやりくりして適当なところでまず済ましていくしか方法がない。文部省の方は、何もいってこないで勝手にやったんだから、自分らの責任で処理をするという、双方がそういう態度であったら困るのは学生です。そんなすし詰め教育をやってもらおうと思って大学に志望しているんでない。それが三人や五人なら話はわかるけれども、大体、工学部だとか、文理学部だとかいう学部でしょう、最も多い水増しをしているのが。そうなってくると、ペーパーだけではこれは問題にならぬ。当然そこに設備や施設の増強をはからなければ、これだけの人間をよけいに収容して、なおかつ教育効果を上げるということはできない相談です。教授や助教授、講師、助手等の数も現在のままこの百二十二人をふやしてやっていくとすれば、当然これは手が足らないはずです。教授の活動が不徹底になる。みんなその結果は学生にしわ寄せになるわけであります。だから私は事前に話がないからといって、あるいは今後も話にこなかったからといって、どういうことでこの学校の百二十二人の水増し入学の結果、教育活動が行なわれているのかということを文部大臣は詳細に調べるべきである。そうすれば、入学を許された学生たちが十分に教育を受けられないような現場の実情になっている場合は、やはりこれはもっと公事な立場からこの問題を解決してもらわなければならぬ。責任のなすり合いで事を済まされたのでは困るというのが私の考えです。この点はいかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほどのお尋ねの範囲内のことだけを申し上げたわけですが、先日、矢嶋さんから九大の問題をお尋ねがございましたときにお答えしたことを記憶しておりますが、そういう水増しがあったとして、それはやむを得ないと前提して、あと何をなすことが残るのか。もし必要とあらば予備金支出ででも支障のないようにする必要があるんじゃないかという趣旨のお尋ねがあったと思います。むろん水増し入学やむなしと決定的に考えますならば、あと学生はどんなひどい教育を受けても仕方がないのだと突っ張ねることが能でないということは私も心得えております。ですから、もっと具体的な実情を当然文部省も調べて、知る責任を感じますと同時に、その前提において何をなすべきかをまた考え、処置すべきものと心得ております。
○米田勲君 これは私最後に文部大臣もお考えを願わなければならぬのですが、学校教育法の施行規則の六十七条には、大学に入学する学生は教授会の議を経て学長がきめることになっております。だから大学の入学試験、それから入学を許可する学生の決定は、あげて大学当局の権限で行なわれるということになっているのはわれわれも了解できるわけです。しかし、だからといって文部省にはほとんど有効な手だてを講ずることができないのだとか、あるいは全くノータッチでいかざるを得ないのだという考えになっては困りますという意味なんです。大学の自治を尊重するということは大事なことであります。しかし、こういう種類の問題を防ぐためには、あまりその大学の自治を尊重するという隠れみのの陰に隠れてしまって、文部省はどうもこの問題については処置がないという消極的な態度にならないように、やはり文部省の行政上の責任の限界において有効な手だてを今後とも積極的に講じてもらいたい。特にこの文部省の設置法には、大学学術局の仕事の中に、九条三項に書いてありますが、「大学教育及び学術の振興に関し、企画し、及び援助と助言を与えること。」がその任務となっております。だから私は大学教育の振興に関していろいろな企画をしたり、援助をしたり、助言を与える義務を文部省は十分に考えて、その立場から大学の自治を侵さないという限界において、しかもこういう不祥事件が今後全く繰り返されることがないように積極的な対策を講じてもらいたいという考え方であります。ぜひ調査を綿密にせられて、そして先ほども言いましたが、形式的な注意を喚起するとか、通牒の一片を流しておくとかいうようなことでなくて、積極的な新たなる手だてを講じて、われわれがこの委員会でまたこういうことを三たび繰り返して論じなければならないような不祥なことは絶滅を期してもらいたい、そのことについて文部大臣は全力をあげてその行政権限内で措置してもらいたい、これが私の強い要求であります。所見を承りたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今おっしゃったような根拠に基づいて先刻来の御答弁を申し上げておるつもりでございます。繰り返し申し上げますが、すでにこの遺憾なことがあった、その事柄それ自体を具体的にどうするかということは、私はちょっとやりかねる事柄だと思います。あとの善後措置を講ずる、失敗のあと、しりぬぐいみたようなことですけれども、あまり進んで情熱を傾ける課題でもありませんが、やむを得ざる措置として先刻来申し上げるようなことを学生本位に考えざるを得まい、将来に向かっては、こういうばかげたことが絶対起こらないようにどうするかという角度で検討したいことはさっき申し上げましたが、その結果が通牒という形になるのが、まあ通例の結果だと思いますけれども、しかし、私はそのほかになし得ることがあるならば、権限を行使するとかせぬとかという開き直った立場を離れてでも、各大学に再び同じような誤りのないようなことを十二分に話して、変なことが起こらぬように未然に防止するあらゆる努力をせねばならないと思います。
○米田勲君 私は文部大臣の言葉じりをつかまえてどうも云々するような気はないのですが、私が二度にわたってこの問題でこの委員会で相当時間をかけて文部大臣に見解を尋ねたのですが、今言ったような、しりぬぐいをするようなばかげたことで全力を尽くしてやるにはあほらしいといったような、そういうものの考え方はやめてもらいたい。ばからしい仕事ではないですよ、これは。真剣にやってもらはなければならぬことです、国民の立場からいえば。親も子供もそうですが、大学に入るか入らぬかということは死にもの狂いなんだから、今の日本では。こういう事件はそういう国民の側から見れば大事件なんですよ。文部大臣はもう大学を全部子供が卒業しているから、こんなしりぬぐいはばからしいというふうにお考えかもしれませんが、実際そういうことではなく、ほんとうに真剣に対策を研究してもらって、手だては十分に尽くしてもらって、その責任において絶滅を期してみせるというくらいの気概でこのことにぜひ当たってもらいたい。念のために申し上げておきます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと用語が十分でなかったと思います。こういう、いわば愚かしいことが再び起こらないようにという気持で真剣に将来に向かって努力をしなければならない、そういう気持が十分にお伝えできませんでしたから補足させていただきます。
○豊瀬禎一君 村山課長に一つお尋ねしておきたいのですが、九大事件等に関連して局長から通牒を出された日にちと、茨城大学で試験が行なわれた日にちは。
○説明員(村山松雄君) 局長通達を出しましたのは昭和三十六年三月十六日付でございます。茨城大学におきまして試験が実施されましたのは三月二十三日でございます。
○豊瀬禎一君 先ほどの米田委員の質問に関連してもう一つだけ調査事項をお願いいたしておきたいことは、通牒が出されて後に、茨城大学当局が試験実施の前に再度試験問題等についてあやまちがないかどうか、あるいは試験委員等について関連した問題等を受験雑誌に掲載したことがありやなしや、こういった問題について委員会として責任ある処置をしたかどうか、処置をしたとすれば、検討討議を加えたとすれば、どういう方法、内容で論議されたかどうかも、先ほどの米田委員の調査事項に関連して同時にやっておいていただきたいと思います。以上です。
○委員長(平林剛君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後四時五十九分散会 ――――・――――