文教委員会 第14号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/28
会議録
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 まず、委員長と理事打合会の経過につき御報告いたします。 開会前の理事会におきまして協議いたしました結果、本日は、まず本委員会に新たに付託となりました学校教育法の一部を改正する法律案、日本育英会法の一部を改正する法律案及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、以上三案につきまして趣旨説明を聴取いたし、次いで、科学技術者養成計画に関する件等、当面の文教政策に関し調査を進めることに決定をいたしました。 以上、理事会決定通り審議いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう審議を進めて参ります。 まず、学校教育法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。
○衆議院議員(山中吾郎君) ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その理由を御説明申し上げます。 御承知のように、昭和三十三年六月に学校保健と充実をはかるため、学校保健法が施行されました。以来、児童生徒の健康管理並びに保健指導が学校教育の一環として重要な位置を占めるようになりましたことは、将来をになう青少年のためにまことに喜ばしいことでございます。このようなことこそ、よりその充実をはかるため万全の策を講ずる必要があると考え、その一つといたしまして養護教諭の問題を提案申し上げる次第でございます。 すなわち、学校教育法第十二条には「学生、生徒、児童及び幼児並びに職員の健康保持増進を図るため、健康診断を行い、その他のその保健に必要な措置を講じなければならない。」とあり、また、学校保健法第一条には、「学校における保健管理に関し必要な事項を定め、児童、生徒学生及び幼児並びに職員の健康の保持増進を図り、もって学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする。」と規定されております。そして、このことは都市であるとか、農山村、また、学校種別や学校の規模の大小によって差別があってはならないものと考えますし、それぞれの学校において、これが実施に当たりましては、綿密な計画のもとに方策が行なわれなくてはならないわけでございます。 さらに、わが国は諸外国と異なりまして、学校に学校医が常勤ではありません現状からいっても、専門職としての養護教諭が必要であると考えます。また、このことについては、学校保健法の制定に当たりまして、国会審議の過程で、衆参両院とも養護教諭の必置の促進と必要性が強調された付帯決議が行なわれております。しかしながら、学校教育法第二十八条におきまして、小学校には、「養護教諭をおかなければならない。」と規定されており、同法第四十条においては、中学校にこの規定を準用いたしております。ところが、同法第百三条では、「当分の間、養護教諭は、これを置かないことができる。」とされているため、せっかくの本則で各校に必置とされているにもかかわらず、この附則によって任意とされているのが実情でございます。 学校教育法が施行されましてすでに満十四年になろうとしておりますが、現在のように学校保健の重要性、養護教諭の必要性は当時と比較することができぬほどの相違があると考える点から申し上げましても、当然今までに何らかの対策がとられてしかるべきであったと思われるのでございますが、次に申し上げますように現状はきわめて悪い状態にあります。養護教諭の配置率は、私どもが多年要望する一校に一名を配置するとしますと、その配置率は小学校二五・五六%、中学校一五・三八%、高等学校四三・七八%という低い率でございます。これについて、さらに詳しく申し上げますと、養護教諭の配置のよい県は、別紙資料にもございますように、小学校では東京の七八・八%、佐賀の五八・八%、福岡の五六・九%、大阪五三・四%、群馬の五二・〇でございます。中学校では、佐賀四九・六%、福岡四七・五%、大阪四四・六%、千葉の三八・九%で、いいと思われます県でも半数に満たないありさまでございます。悪い県の実情を申し上げますと、小学校では島根二・二%、栃木の五・九%、青森、三重の九・八%で、中学校では徳島が一人も配置しておりませんし、岡山、愛媛の二・四%、香川、群馬二・五%、兵庫の二・八%、和歌山の四・二%、東京四・五%、北海道、栃木、山梨、静岡、三重、島根、鳥取の五−七%というような状況でございます。 しかも、その上に、公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律第七条四項及び第八条三項の規定が優先されまして、小学校児童千五百人に一人、中学校生徒二千人に一人という算定により、このことがあたかも養護教諭の配置基準であるかの印象によって配置されているために、地教委単位や同一市町村に配属するということから、小規模学校の幾つかを兼務する養護教諭が年々ふえております。その実情は、千葉、岩手、富山、新潟の六校を初めとして、ほとんどの県が二、三校を兼務いたしております。また、都職員の定数に関連いたしまして、養護教諭が授業を担当しております。このことは、あきらかに間違いであると考えますが、中学校で約五〇%、小学校では二〇%の授業担当であります。一校であっても、また、過度的段階にあります学校保健の実情からしても容易でないと考えるのでございます。従いまして、学校教育法の附則にあります「当分の間、置かないことができる。」という規定については、すでに法制定後十余年を経ている今日では、当然これを削除しなければならないと考えるのであります。同時に、国及び地方公共団体の財政事情や、これに伴うところの養護教諭の養成に日時を必要とする点などから考えますと、一挙に整備することは事実上困難であろうかと存じますので、本案におきましては、昭和三十七年度から年次計画を定めまして、これによって年々財政措置その他の必要な措置をとりまして、順次整備を行なっていきたいと考え、そのようにいたした次第でございます。 次に、高等学校の養護教諭に関してでありますが、現在、高等学校におきましては、養護教諭は、学校教育法第五十条により「必要な職員をおくことができる。」という任意規定が適用されておりまして、配置の規定になっておりません。高等学校の場合におきましても、生徒の養護にあたる教諭の必要性は小学校、中学校と全く同じでございまして、現に高等学校にはその必要性から養護教諭が置かれていることからみてもそのことが明らかにされているといえます。そこで、本案におきましては、同法第五十条の規定を改正し、高校についても養護教諭を必ず置かなければならないといたしました。高等学校の場合におきましても、昭和三十七年度から完全な実施を求めるといたし、あわせて年々養護施設の整備をはかることとした次第でございます。 次に、事務職員について御説明申し上げます。御承知の通り、戦後わが国の教育制度は根本的に改善されてから十数年、ようやくにしてその基盤が整いつつあります。しかしながら、以前はそれほど問題にされていなかった学校事務も、今日では教育の機能を十分発揮せしめる推進力として大きな役割を果たしつつあります。小学校、中学校において学校事務を担当する職員の置かれていない学校では、教師が二百種類に及ぶ広範多岐にわたる事務を、児童、生徒の教育という重責を果たしながら分担処理しなければならない状況であり、義務制諸学校の教職員の悩みの種であり、他の社会人の想像し得ざるものがあります。不十分ながらも専門的な学校事務機構の確立されている高等学校及びそれ以上の学校に比べて、小学校、中学校は、県教育庁、出張所、地方教育事務所、地方教育委員会等から直接、間接に管理されているために、事務量は前述のように複雑多岐にわたるのでありますから、事務を処理する専門的な機関がどうしても必要になってくると思うのであります。事務職員が配置されなければ、教師が教育本来の目的を達成することは事実上不可能に近いと言わなければならないのであります。現在の義務制諸学校の事務職員の配置状況は全国の学校三万九千百三十五校に対し、九千三百四十九名にすぎません。第二十八回国会で成立をみた義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律によれば、事務職員は、小学校十八学級、中学校九学級以上の学校にのみ配置することとなっています。このような基準のため、現実に見られる事務職員の配置は全く不十分な状況になっており、事務職員一人で数校を兼任しているのが実態であります。従いまして、これが改善の要望は、学校運営事務をあずかる事務職員の過去数年にわたる切なる声であります。にもかかわらず、現実には学校教育法第二十八条第一項ただし書によりまして、ただいま申し上げた通りの定数標準法による不十分な配置が行なわれているのであります。このような状態では教師の保健、児童生徒の教育の建前からも、正常な学校教育の運営をはかることは不可能であります。従って、教育基本法の根本精神から考えても、学校の正常な教育及び運営を行なうために、全国の小学校、中学校に事務職員をぜひ配置しなければならないと思うのであります。学校教育法第二十八条に、「小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。但し特別の事情のあるときは事務職員を置かないことができる」となっておりますが、以上申し上げました理由により、学校教育法第二十八条第一項のただし書きを削除して事務職員を義務設置し、学校教育及び運営の万全を期したいと考えるのであります。なお、国及び地方公共団体の財政事情を考えまして、一挙に配置することは事実上不可能であろうかと存じますので、本案におきましては、国及び地方公共団体はその実施のため、昭和三十七年度から年次計画を定めこれによって年々財政措置その他必要な措置をとり、順次配置を行なっていかなければならないことといたした次第であります。 以上がこの法律の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。
○委員長(平林剛君) 本案に関する質疑は後日に譲ります。 ——————————
○委員長(平林剛君) 次に、日本育英会法の一部を改正する法律案及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、両案を便宜一括して議題とし、文部大臣より趣旨説明を聴取いたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出いたしました日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 昭和十九年日本育英会法施行以来、日本育英会は、年々堅実な発展を遂げ、今日まで同会を通じて学資の貸与を受け、その勉学を続けることができた学徒は、きわめて多数に上り、国家的な育英事業として多大の成果をおさめてまいりました。日本育英会から学資の貸与を受けた者は、修業後一定の期限内に、その貸与金を返還する義務を有しておりますが、特例として、それらの者が義務教育に従事する教員または高度の学術研究者となった場合に、その貸与金の返還を免除できる制度を設けて参りましたのは、それらの分野に積極的に人材を誘致し、義務教育の充実と学術の振興をはかろうとする趣旨に基づくものであります。ところが、近年、高等学校進学者の急増に対拠し、また、科学技術者の育成を促進するため、高等学校または大学に優秀な教員を確保することがますます重要になって参りましたので、これに応ずる措置を講ずるとともに、日本育英会の貸与金の回収を一そう的確に行なうため、現行法の一部に必要な改正を加えることが適当であると考え、この法律案を提出するものであります。 改正の第一点は、大学における貸与金の返還を免除される職のうちに、高等学校、大学その他の施設の教育の職を加えたことであります。改正の第二点は、大学院における貸与金の返還を免除される職のうちに、高等学校の教員の職を加えたことであります。改正の第三点は、日本育英会の業務の方法のうち、特に貸与金の回収に関するものは、主務大臣の定めるところによるものとしたことであります。改正の第四点は、当分の間、大学または大学院で学資の貸与を受けた者が、沖縄の教育または研究の職についた場合も、日本本土の場合と同様に、その貸与金の返還を免除できる規定を設けたことであります。改正の第五点は、当分の間、貸与金の返還免除については、国立工業教員養成所を大学と同じ取り扱いとしたことであります。 以上が、この法案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかにご賛同下さるようお願いいたします。 —————————— 次に、このたび政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。 さきに一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の施行により、科学技術に関する専門的知識を必要とし、かつ採用による欠員の補充が困難と認められる職に新たに採用される職員に対し、初任給調整手当が支給されることとなり、また、地方公共団体に採用される職員についても同様に初任給調整手当が支給されることとなったことは御承知の通りであります。 この法律案は、右の改正に伴い、指定都市を除く市町村立の高等学校の定時制課程の授業を担任する教員に支給される初任給調整手当をその他の給与と同様に都道府県の負担する旨の規定を設けるとともに、所要の規定を整備することといたしたものであります。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
○委員長(平林剛君) 両案に関する質疑は後日に譲ります。
○委員長(平林剛君) 次に、科学技術者養成計画に関する件等当面の文教政策に関し、調査を進めます。 質疑の通告がありますので、発言を許します。矢嶋三義君。
○矢嶋三義君 私は科学技術者養成計画と所得倍増計画との関係並びに関連して科学技術振興の問題について若干伺いたいと思います。 三月十一日に、科学技術庁の長官から文部大臣に勧告がなされました。それを中心に質疑いたしたいと思うのですが、これは質疑を決意して本日まで大臣並びに政府委員の出席が得られなかった関係上、質問が延びているわけであります。私は質問に入る前に官房長官に注意を喚起いたしたいと思うのですが、本日も予算の分科会との関連があるから、私は大臣の出席は要求をしていないわけなんです。たとえば、文部大臣にかわって文部政務次官、あるいは大蔵大臣にかわって、政務次官二人おられるわけですが、どちらか一方の政務次官、あるいは経済企画庁長官にかわって政務次官をと、かように要望申し上げるのですが、どの政務次官も旅行中というようなことでお見えにならないのですが、この年度末を控えて、内閣は国会に法案をたくさん出しているわけですが、立法府のその審議を急いでいる段階で、こういう非常な重要な、国会中でも特に重要な段階に政務次官が次々に旅行されて、そうして衆参通じて各委員会が開かれるのに、大臣にかわって出席ができないというようなことでは、法案の審議を仰いでいる行政府としても、立法府に私は申訳ないことじゃないかと思うのです。こんなにたるんだ空気だから今度の国会で法案の成立の成績が悪いと思うのですよ。私は注意を喚起するとともに、官房長官の所見を承っておきます。
○政府委員(大平正芳君) 御注意ごもっともでございまして、各政府委員を督励いたしまして、国会の御審議に支障のないように最善を尽くすつもりであります。
○矢嶋三義君 関係大臣あるいは政務次官で、おられない方がおられますから、そこは政府委員を補足してもらいますし、また、内閣を代表して長官がお見えになっておりますから、政府委員が出席していない代償として、しばらく御出席をお願いいたします。 まず、官房長官にお伺いいたしますが、池田内閣の所得倍増計画その政策と科学技術の振興というものの関連をいかように認識され、どういう具体的政策をもって対処されようとしておられるかですね。また、三十六年度の予算編成に臨むにあたって、どういう基本的態度で臨まれたのか、その点お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(大平正芳君) 御案内のように、わが国は豊かな労働力に恵まれておるわけでございます。で、この労働力、技術力を活用いたすことに成功するならば、向こう十年間に国民所得を倍増するということは不可能ではないと、こういう考え方に基づきまして、すでに経済企画庁における審議会で御検討願っておりまして、でき上がりましたのが御案内の所得倍増計画なんでございます。ただ、この所得倍増計画の計画という言葉がやや実態に忠実でないと思いますのは、これは一つの絵でいえばデッサンのようなものでございまして、構想——各種の所得を倍増に持って参る場合に用意すべき政策、手段を組み合わせてみて、こういう姿のものになるという一つの構想を示したものでございます。具体的な政策は、これを鏡にいたしまして毎年度の予算で具体化していくわけでございます。で、三十六年度がこの計画実施の第一年度にあたるわけでございます。従いまして、現実の具体化された政策が、所得倍増計画でうたってありまする政策、手段との間に完全に一致しておるのかいないのかということになりますと、完全に一致していない面が相当あると思うのでございます。これは私が先ほど申しましたように一つの構想、構図でございまして、それを鏡にして年々歳々の政策の姿を正しながら、終局においてその目的を達していこうと、こういう考え方でございます。従って、言うところの政府の計画であると、そのままお受け取りいただかない方が正確じゃないかと思うのでございます。そういう性格のものだと私は了解いたしておるのでございますが、今、矢嶋委員から御質問がございました科学技術の振興並びに科学者、科学技術者並びに技能者の育成配置ということは、申すまでもなく所得倍増計画の根幹になっておるわけでございまして、これが活発に行なわれなければ所得倍増計画の推進ということは非常に困難である、こう考えています。
○矢嶋三義君 官房長官ね、私がきょうどんなことを質問するだろうかということを予想して、その予防線を張るような気持で答弁されている。こういう問答をしておったら、とても時間がかかってしょうがないですからね。私の伺っているところに的確にピントを合わせてお答え願いたいと思うのです、先のことは心配なさらぬで。 私が伺っているのはね。世界先進国というのは、科学技術の振興という問題について非常に計画的に組織的に体系的にもう数年前から取り組んで参って来ているわけなんですね。で、わが国はこれから経済規模を拡大しよう、所得倍増をしようと、こういう政策を掲げて努力される、これは非常にけっこうなことだと思うのですよ。その政策、構想とわが国における科学技術の振興というものを、それをどういうように関連づけて、どういう認識のもとに取り組んだか、予算編成で今後取り組もうとするか、その基本的な内閣の立場を聞いているわけです。三十五年の八月十三日に行政管理庁が、「大学における科学技術教育行政監察について」という報告書を出しているのですが、この中にこういうことがあるのですよ。非常に傾聴に値いする言葉だと思うのですが、「科学技術振興についての認識の問題」と、こういう書き出しで、一行読んでみますと、「結局のところ科学技術振興が産業の質的発展、国民生活水準向上に果たす役割についての認識不足によるものと思われる」、いろいろの結果がね、こういうように表現してある。文章は短いけれども、非常にこれは千金の重味のある文章だと思うのです。で、三十六年度の予算を組むにあたって、また、この国会に臨むにあたって、内閣としては法律的に予算的にどういう認識と決意のもとに取り組まれたか、また、対処していかれようとしておられるのか、それをお伺いしているわけです。もう一ぺんお答え下さい。
○政府委員(大平正芳君) 科学技術者、科学技術の振興並びに技術者の養成ということは、政府の政策の根幹であるということは先ほど申しました通りでございまして、与えられた条件のもとで、しからばどのような年次計画でもって進んで参るかということは、関係各省の間で御協議いただいて、第一年度は予算案にその答案が出ていると思うわけであります。私どもは冒頭にも申し上げました通り、所得倍増計画の推進にあたりまして、科学技術の振興ということが根幹的な重要事であるという認識はだれにも劣らない程度に持っておるつもりでございます。
○矢嶋三義君 そこで、ここで、池田科学技術庁長官の御見解も承っておきたいと思うのですが、この科学技術振興に対する認識ですね、これが適正であるかどうかということが法律作成に当たっても、あるいは予算編成に当たってもきわめて重要だと思うのですが、この点について現段階におけるわが国の現状を科学技術庁の長官としてはいかように見ておられますか、お答え願いたい。
○国務大臣(池田正之輔君) これは閣内におきましても、あるいは院内におきましても、それぞれの方々の御認識の問題でもあると思いますが、少くとも私が見まして、今度の科学技術者養成という立場から切り離して見ますと、これはまことに不満足であるとはっきり申し上げられると思います。
○矢嶋三義君 そこで、次に内閣の代表としての官房長官に伺いますが、三十五年の十月四日に科学技術会議から、「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申というものが出ておりますが、これは岸さん当時に諮問して、池田内閣になって答申がなされたわけですが、この三十六年度の予算を編成するに当たって、この答申になるものはいかように取り扱われたのか、池田内閣のこの答申に対する基本的な態度というものをお伺いしておきたい。
○政府委員(大平正芳君) 予算編成方針におきましても、また総理大臣の施政方針演説におきましても、科学技術の振興につきましてはその答申を尊重して、その線に沿ってやるという趣旨のことが述べられておるわけでございまして、その答申が出ました場合、科学技術庁の方から詳しく御説明をいただきまして、これを尊重して参るということはたびたび申し上げておりまするし、その考え方に変わりはございません。
○矢嶋三義君 では、その答弁を承っておいて、次に、ただいまの答弁に対する質疑をさらにいたします。次に、経済企画庁の政務次官がお見えになっていないようですから、山下参事官に伺いますが、所得倍増計画を立案されたのは経済企画庁ですがね、これに即応する教育計画というものについてはどういう御見解を持たれ、また政府部内に対していかような意見表示をされたか、大臣にかわってお答え願います。
○説明員(山下貢君) 所得倍増計画の性格につきましては、先ほど官房長官から御説明がありました通りでございまして、今後のわが国の経済の発展の機動力をなすものは人の問題という深い認識を持ってこの計画を作ったのでございます。換言いたしますと、これから経済の高度の成長を維持しまして、また、産業構造の高度化というものに対応するため、あるいはまた一方において予想されます生産年令人口の減退、これは十年くらいしますと、生産年令人口がにわかに減退する傾向でございますが、そういう事情を勘案いたしますと、どうしても労働の質あるいは量というものを確保する必要がある。そういう意味で非常に今度の計画では重視されておる点でございます。で、そういうすぐれた科学技術者の数をどれくらい確保しなければならないかという点につきましては、今後新たにいわゆる科学技術者、これは大学卒業程度のものをさしておりますが、これがおよそ十七万人、工業高校卒業程度の技術者が約四十四万人、さらに技能訓練によりまして充足すべきいわゆる技能者数が約百六十万人というふうに推定されております。このような技術者の充足のために、大学の理工学関係の定員あるいは工業高校の定員の計画的な増加をはかる必要がある、また、技能者につきましては、公共の職業訓練機関の拡充あるいは企業内の技能訓練の実施というものによりまして、これを強力に推進する必要があるというふうに指摘しておるのでございます。そこで、昭和三十六年度の予算におきましては国立及び公立大学の定員が約二千名増加、正確に言えば千九百五十五人と承知しております。それから私立大学が約一千人、正確には千八十五名と承知しておりますが、合計約三千人の理工系大学の定員が増加することになっておるわけでございましてこのほか公共機関で行ないます技能者養成数も、前年に比べまして五千人ほど増加されることになっておりまして、これらの態勢を見ますと、所得倍増計画で示されておりまする技術者あるいは技能者の養成計画の方向というものに大体沿ったものであるというふうに私どもは見ておるわけでございます。
○矢嶋三義君 重ねてお伺いしますが、経済企画庁としては、この所得倍増計画は官房長官が申されるように、これは構想である、一応の目標で、目安であるとしても、技術者というものは速成ができないわけですからね、計画的に体系的に年次計画を持って育成していかなければならぬ、これは各国でもさように、先進国で実施しておることです。その点とこの答申ですね、昨年十月四日の答申ですね、この答申の主柱は、技術者、技能者の人材養成というものに大きな柱がある、こういう認識を持たれ、今後の経済計画を立てられるとともに、閣内においてはそういう主張を経済企画庁としてはして参った、かように了承してよろしいわけでございますか。
○説明員(山下貢君) 第二番目の質問からお答えいたしますけれども、全く御指摘の通りでございまして、今回の所得倍増計画の特徴の一つとしてよく言われておりますことは、従来の長期経済計画はややもすると物的な生産ということに重点を置いてきたうらみがありますのに比べまして、今回の計画はいわゆる社会公共資本充実、それと人間の問題、従来は教育なら教育ということで、あまり経済ということとのつながりが、密接な考慮なくして取り扱われたきらいがあったのに対しまして、今回は長期の経済計画という観点から、これはきわめて重要な点であるということを深く認識をいたしまして取り上げたということが、一つの非常に重要な特徴と言われておるわけでございます。で、第一番目の問題につきましては、倍増計画は官房長官もおっしゃいましたように、一つの大きな今後の長期経済発展のための方向を示したものでありまして、約十年間ぐらいに所得を倍増するためには、いかなる政策を遂行すべきであるかということを大まかに示している。この計画のうちにはいわゆる年次計画というものを盛っておりませんし、この計画自体が年次別にどういうことをやっていくということを書いておりません。年々の計画は官房長官もおっしゃいましたように、そのときどきの情勢に従いまして、各省関係の方々が協議しながら、具体的にこの計画の趣旨を尊重しながらやっていくというふうに了解しております。
○矢嶋三義君 あなたは大臣でも政務次官でもないわけですが、答弁者がおいでになっていないからお伺いするんですが、もう一回お伺いしまして他の問題に質問を移していきますが、参事官、あなたの信念に基づく答弁を私は要請しておきますよ、それはね、あなたの答弁はあとの私の質疑と関連してきますから、信念に基づいて正直な答弁をしてもらわなければならぬ。その点は、池田科学技術庁長官の三月十一日付の文部大臣への勧告、あの内容はごもっともな勧告という経済企画庁としては認識に立つか、それとも別の認識を持っておられるか、経済計画を立てられた責任官庁としては、その人材養成の角度からどういう認識をもってその勧告を見ておられるか、責任ある答弁を願いたい。
○説明員(山下貢君) 実はまことに申しわけないことですけれども、この科学技術庁長官から文部大臣あてのこの勧告、今までよく拝見しておりません。先ほど資料を入手いたしまして今ちょっと見る状態でございますので、詳しく……あるいは当たらない点があるかもしれませんが、大体十七万、計画の中で十七万人不足があるというのに対しまして、今回の予算措置をもってしては、それに遠く及ばないのではないかという御趣旨のように承りますけれども、その点は確かにそうであると思いまして、できるだけ早い時期に十七万人の不足を埋めるように政府として努力する必要があるということは同感でございます。
○矢嶋三義君 官房長官、私はあなたの責任を追及しますよ、これね、山下一政府委員に私は今忍んで伺ったわけですが、これ以上の答弁を要求することは無理だと思う。しかし経済企画庁がこの勧告文を検討していないという点は怠慢ですよ。野党がおとなしくしているからであるけれども、この勧告と予算案とは密接な関係があり、これは予算案の修正、撤回を要求してもしかるべき内容のものですよ。これは内閣としてもきわめて重要な問題ですよ。当然、閣議において慎重に検討されなくちゃならぬ内容です。ましてや経済企画庁の庁議において、この池田長官から出た勧告なるものを検討して、そうして庁議として意思決定をして、そうして経済企画庁長官は閣議において発言するくらいな関心と意欲がなくて責任を果たしたと言えますか。山下参事官の今の御答弁では、十分検討していないで、今拝見しましたと、どう思いますか、官房長官。また、勧告を出された池田長官としても非常に心外だと思うんですよ。これを出されて、経済閣僚でもる経済企画庁長官が庁議で検討もさしていないという点についてどういう感じを持たれますか、内閣はそれで連帯責任を国民に負えますか。まことに私は心外ですが、まあこれは一政府委員ですからね、これ以上答弁を求めることは無理だと思いますけれども、しかし、さっきの答弁から言って、私は内閣を代表しての官房長官の責任を追及する。その所見と勧告者としての池田長官の御所見も承りたいと思います。
○政府委員(大平正芳君) 去る十一日の池田科学技術庁長官の文部大臣に対する御勧告は承知いたしております。がしかし、この御勧告はまだ池田大臣からも、荒木大臣からも閣議にお話がございませんで、閣議のレベルの話にはまだなっておりません。私が承知いたしておりますことは、この御勧告を受けた文部省……。
○矢嶋三義君 それはそうとして、大へん失礼ですけれども、経済企画庁の庁議で協議していないというようなことについてどうお考えになりますか。
○政府委員(大平正芳君) 今、文部省と科学技術庁との間で、この御勧告に関連いたしまして御検討が続いておると承知いたしております。そうして、それが発展いたしまして各省関係の御討議を願うというような段階になりましたならば、私どもとしてもそのように勧奨して参りたいと思いますが、ただいまのところ、問題は文部省と科学技術庁との間で検討が進んでおると承知いたしております。
○国務大臣(池田正之輔君) この問題につきましては、あまり僕から発言したくないのですけれども、卒直に言って……。
○矢嶋三義君 発言して下さいよ、念のためですから。
○国務大臣(池田正之輔君) 各省を見まして、企画庁長官は私個人的に話してもおりますから、わかっておるだろうと思います。わかっておるはずだと思いますが、各省に私どもの方から勧告を出すと同時に、書類は各関係役所に送っております。それを企画庁が検討しなかった。議会で忙しいのもあるでしょうけれども、同時に、一体このごろの官僚というのはそういう傾向があります。これはぜひともお互いに直さなきゃならぬ、そう思っております。
○矢嶋三義君 官房長官、予算編成についてこれを尊重したと言われます。これは人材養成を主柱にしているということも経済企画庁長官も認めている。ところが大学の卒業生に、今このあとで数字をあげて質問していきますが、大学卒業生についても、工業高等学校卒業生についても、これの答申とはずいぶんずれていますよ、この予算案に提示されているのと。ある意味から言ったらでたらめですよ。ほんとうにあなた方が、こういうように経済が拡大され、所得倍増計画がレールに乗っていったらどうするのですか。技術者、技能者はこの答申は少しも尊重されていないのですよ。そこにピントを合わしての科学技術庁長官の勧告ですよ。当然、経済計画を立てられた経済企画庁としては真剣に討議されなくちゃならぬですよ。文部省においても当然でしょう。少なくとも経済閣僚懇談会ぐらいに持ち込んでいかなければ意味なさないですよ。池田内閣の一国務大臣が一つの法に基づいて勧告をなして、のろしを上げた。他の大臣諸公はこれを冷ややかな目で見ている、われ関せずというようなことで。それでは内閣というものは立法府に対して、あるいは国民に対して責任とれますか、大平さん。これだけ言えばわかると思うから、あえてあなたの答弁求めませんが、科学技術庁長官に伺いましょう。科学技術庁長官、この科学技術庁設置法の第十一条第五項に、長官は云々とあって、「内閣総理大臣に対し当該事項について内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。」、あなたは勧告書を出された。ところが、まだあと聞きますが、文部大臣との間で意見も一致しないで平行線である。関連責任官庁である経済企画庁でも、庁議でこれを検討すらしていない。こうなればあなたはあなたの信念に基づき、また、科学技術庁の責任大臣として、この第十一条の五項に基づいて内閣総理大臣に措置がとられるように意見の具申をすることが適切だと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(池田正之輔君) これは御承知のように、四項で、今五項のことをおっしゃいましたけれども、その前の段階で、十一条の四項で御承知のようにその報告を求めるというのがあります。これは若干それぞれ考えなければならぬことではないかと私は思っております。それは何となれば、若干御説明申し上げますけれども、私が勧告を出しました趣旨は、勧告文にもありますように、文部当局の努力次第によっては、予算と関係なしに増員できるはずなんです。それを文部当局があえてなそうとしない。そこに私の意見があるのです。主張があるのです。これは予算と関係なしにいける。ですから、文部当局から、これからどういう措置をとられるのか。ただし、そんなことをやっておるとその時期を失します。時期を失すると、この三十六年度ではそれ以上、今、文部省が出しておる数字以上にはふえないという結果になりますから、そのことはこれからの計画に大きな支障を来たす、これは私として、私の立場からして黙視することができないという意味で私は勧告を出したので、若干余裕を見まして、文部当局がどうしてもわからなければ次の手を考えなければならぬ、かように思っております。
○矢嶋三義君 結局、責任大臣としては次のような立場に立っておるということですね。科学技術庁設置法第十一条四項に基づいて勧告を受けた文部大臣の報告を近く求める。その内容次第によっては第五項によって内閣総理大臣に措置がとられるよう意見を具申する、こういう決意であるということですね。
○国務大臣(池田正之輔君) 決意はまだ少し早いでしょうが。
○矢嶋三義君 お考えですね。
○国務大臣(池田正之輔君) 文部大臣はそうばかな人ではないので、賢明な人ですから少しはわかってくれるだろうと思うのですが、ただ、文部大臣を取り巻く文部官僚がわからないのが多いので、どうも文部大臣は少し頭がぼやっとしておるのではないか、そういう意味で私も若干決意が鈍っておる、こういうことです。
○矢嶋三義君 質問を続けますが、二月二十一日に、私は文部大臣とあなたとおそろいで科学技術の問題について質疑した場合に、池田国務大臣は非常に遠慮した答弁をされておるのですけれども、日本の文教政策が若干欠陥があったのじゃないか、その結果、今日のような事態が起こったのではないかと思う。そうして「いわゆる科学技術者の養成という立場から若干検討しまして、意見が出ましたが、場合によっては文部当局に注意を喚起する何かの方法もあるだろうと思います。あるいはまた文部大臣とひざつき合わせて話し合って、これはお互い国家のためで」云々、こういうふうに速記に残しておるのですよ。これは二月二十一日です。で、三月十一日に勧告が出されたのですね。ということは、相当、科学技術庁としては長期間にわたって検討すべきだと思うのですね。文部官僚とも文部大臣ともひざつき合わせて話したけれども、事が急であるにかかわらず、なかなか問題が進展しない。従って、かんにん袋の緒を切って勧告を出した。こういうことのようにとれるのですが、そうでございますか。それと文部官僚云々というのは衆議院でも盛んに言われておりますが、文部官僚というのはどういう点が直されなければならぬようにお考えになっておるか、あなたの感じを一つ承っておきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) どこをさすのかわかりませんけれども、何と申しても文部省というところは私には腑に落ちない点が非常に多い。そのたった一つがここに出てきた。こういうことです。
○矢嶋三義君 次に承りますが、大臣としては、科学技術関係の三十六年度の予算、またこの表裏の関係にある法律には会心の策というお考えを持っておられないのだと思われるような感じがするのですね、若干。この科学技術庁関係の予算等について十分の責任は自分には負えないというような御見解、気持でいらっしゃるような感じがするのですね。これは御無理もないと思う。あなたが科学技術庁長官に就任されたのは昨年の十二月八日ですね。だから、もうそのころはこの概算要求等も固まってしまった後でしてね。それだけに最初から提出された法律並びに予算を手がけた事情にないだけに、これでは自分は十分責任を持てない、会心の策でない、こういう御心境にあられるのじゃないかと思うのですが、率直のところいかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) その通りでございます。
○矢嶋三義君 官房長官に伺います。第一次池田内閣が成立したのが三十五年七月十九日ですね。そうして文部大臣の荒木さんが原子力委員長と科学技術庁長官とを兼任されたわけですね。その間に所得倍増計画が作られ、十月四日に、こういう一年半にわたる研究の成果として答申がなされたわけですね。それで、八月ごろから三十六年度の予算の概算要求の積み上げがなされたわけですね。その間における荒木文部大臣の職務執行というものは十分でないものがあったのではないか、私はここに非常に問題があると思うのですね。ひいてはこれは内閣の責任だと思うのですよ。その間に原子力委員会等も十分開かれなかった、科学技術会議も開かれなかった。だから池田内閣の政策とマッチした科学技術振興に必要な予算の編成が十分にできなかった。それで、この中途から池田科学技術庁長官が引き継がれて、不満足ながらも是正できずに参ったということが、本日ここに勧告の形で具体的に現われておる、これは内閣として責任があると思うのですが、どういう御見解ですか。
○政府委員(大平正芳君) 第一次池田内閣におきまして文部大臣と科学技術庁長官を御兼任いただいた趣旨は、この基礎研究が大学の場において大学の主力になっておるという実情から、科学技術庁長官と文部大臣とは同一人で御処理いただいた方が科学技術振興の上において役立つのではないかという認識に立っておったのでございます。ところが、内閣ができましてから、やはり科学技術庁長官は御専任でありたいという趣旨のお申し入れが各方面からございましたし、また、文部大臣プロパーの仕事が非常にお忙しい事情もあるようだということで、第二次の組閣に当たりましてはその趣旨に沿って選任するということになったわけでございます。その荒木文部大臣として御兼任の時代に科学技術の振興についての仕事を懈怠されておったとは私は思いませんが、事情は今申し上げたような趣旨で専任にいたしたと、こういうことでございます。
○矢嶋三義君 責任問題には触れられないのですが、責任がありますよ。それを質問していると時間がかかりますから質問を続けますが、若干内容について伺いますが、池田国務大臣は、先ほど、三十六年度の予算に関係なくて自分の勧告した趣旨は生かされていくのだと、こういう御答弁をなされておりますが、確かにあなたの勧告の中には、昭和三十六年度を含めてさらに大幅な増員計画について早急に再検討し云々と、こういうふうに勧告されているわけですね。三十六年度の予算案に影響を及ぼすことなくやれるというのは、どういう点をお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(池田正之輔君) 御承知と思いますが、現在の日本の大学、短大をも含めて理工科系統の学生の分布は、大体国立が四〇%で公私立が六〇%の比率になっていると承知しているわけです。ところが文部省が立案いたしましたものは国立だけをねらってやっている、そして公私立に向かっては協力を求めていない、何らの措置を講じていない、極端に言えばですね、若干はやっておるようですけれども。このいわゆる大幅な増員のための協力を求めていない。そこに私は大きな矛盾がある。従って、公私立に呼びかけて適宜な措置をとれば今日からでも私はできると思う。若干時間がおくれるかもしれませんけれども、現在、文部省が計画しておるいわゆる教員養成機関というものよりももっと早く出発できるはずなんです、実態は。これをあえて文部省当局がそれをつかもうとせず、その努力をしていない、それを私は指摘しておるわけであります。
○矢嶋三義君 官房長官、所管大臣がそれだけの見通しと信念をもってこの主張されていることは、内閣の取りまとめてやるべきことではないですか、あなたはどういう御見解でやっておられますか。
○政府委員(大平正芳君) 先ほど申し上げました通り、この問題は科学技術庁と文部省の間で今検討されておると承知いたしております。私どもの方には正式にまだ御詮議がございません。ただ、私は職掌柄その間の経緯はいろいろ伺っておりますので、池田科学技術庁長官の勧告の御趣旨は文部省もよく体しておられると思います。この政策の実施の手段、順序その他につきまして若干の見解の相違がまだ解消されていないのではないかと思いますけれども、その方向に文部省も科学技術庁もお考えになるという方向は一致しておると承知いたしております。
○矢嶋三義君 文部大臣並びに文部政務次官はお見えになっていないわけですが、小林大学学術局長と福田管理局長はお見えになっていますね。それで御答弁をわずらわしたいと思うのですが、あなた方文部官僚は大体けしからぬということなのですが、話しても一向聞き入れない、それから国立だけ考えて公立、私立について協議もしないし、計画にあまり考えていない。それが事実だとすると、私は重大だと思うのですね。十年後に理工科系の大学卒が十七万人不足、工業高等学校の卒業生が約四十五万人不足とすれば、これは国立で幾ら充足するか、公立あるいは私立で幾ら充足するかという計画を立てて、それに即応した法律的、予算的措置が計画的に、体系的にとられていかなくちゃならぬと思う。そういう点で、科学技術庁長官の答弁を承ると私は事は重大だと思うんですがね。あなた方お二人も、文部大臣にかわって答弁していただきたいと思うのです。科学技術庁長官の勧告文書を検討されたでしょうが、これをいかようにあなた方は受け取られたか、批判があればその言葉も聞きたい。それから、この勧告に対して事務当局としてはいかに対処し、科学技術庁側の期待に沿うべく構想を練ったか、あるいは練りつつあるか、事務当局としてですね、そういう角度からお答えいただきたいし、また、当面、三十六年度の予算は本院で審議中でありますが、その予算と関係なく、その予算を修正することもなく、科学技術庁長官の勧告の趣旨が生かされる道が十分あると、こういうお言葉ですね。あるとならば、私はやるべきだと思う。それがやれるのかやれないのか、どういう見解を持っておられるのか、大学学術局長としてお答えいただきたいし、また、福田管理局長は私学の担当でありますから、私学審議会等もあるわけです。この私学審議会においては、私学の重要な案件について協議することになっているわけですが、どういう過去において協議がされ、現時点においてどういう意向に私学審議会はあるのか、最近これらの問題について正式に私学審議会として意思表示をされたことがあるのか、ないのかあるいは今後されようとして今研究段階にあるのか、所管局長としてそれぞれお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小林行雄君) 三月十一日に科学技術庁長官から御勧告をいただいたわけでございまして、それにつきましては、文部省としては直ちに関係者集まりまして、いろいろ検討をいたしたわけでございます。この勧告の御趣旨は、要するに所得倍増計画を達成するためには十七万人の理工系技術者を必要とするが、現在の一万六千人計画ではその半数を満たすことも困難である、従って、もっと大幅な増員計画を検討して科学技術者の確保をはかれと、こういうことでございまして、この御趣旨につきましては文部省といたしましても賛成でございます。文部省といたしましては、御承知のように一万六千人計画に基づきまして、これは平年度で、一万六千人計画を実施いたしますれば国立の一万人、私立の六千人ということでやっておりますが、国立の一万人に対しましては、一応平均的にこれが進行するものといたしますれば、千三百人程度でいいわけでございますが、それをさらに上回って明年度増募することにいたしております。しかし、こういうようなことではなお不十分でございますので、今後はこの一万六千人計画をできるだけ初年度の方に文部省としては繰り上げ実施をすることにしたい、早期に繰り上げまして、それによってできるだけこの不足数を多少なりとも解消するように努力をして参りたいと思っております。それについてのあらゆる方策をとる考えでございます。なお、私学の協力につきましては、これは従来からも、私学の協力なしにこういった科学技術者の計画的養成はできないものでございますので、いろいろとお願いはいたしておるわけでございますが、文部省として、私学側の、あるいは科学技術庁の御指摘にございますように不十分であったかとも思います。今後はこの点につきましても、文部省としてさらに注意をいたしまして、この一万六千人の計画、これはまあ十七万人に比べて不十分でございますが、これを達成するためには、何とかして私学の積極的な御協力をいただくように対策を立てたいと思っているわけでございます。なお私どもといたしましては、三十六年度予算を修正せずに増募計画をさらに拡大するということについては、いろいろ困難な問題もあろうと思いますが、私学側とも相談いたしまして、よい方策があれば取り入れて参りたいと思っているわけであります。
○政府委員(福田繁君) ただいま大学学術局長からお答え申し上げました通りでございますが、養成計画自体につきましては、一応、国公私立全般の問題として、大学学術局で担当いたしておりますが、私の方は私立学校の担当の窓口といたしまして、この養成計画が始まります昨年の九月であったと記憶いたしておりますが、九月の二十日前後から、私立大学関係には私立大学振興対策委員会というのができておりまして、従来からある会でございますが、そこでもって将来の増募計画等についても十分検討して、そして予算化することの必要なものにつきましては予算を要求するというような態度をとっておりまして、昨年の九月の二十日前後には、数回にわたってこの問題は検討いたしたのでございます。その当時はまだいろいろ私学関係につきましても、将来の構想というものがあまりはっきりはいたさなかったのでございますが、三十六年度の予算要求として、私立学校関係の大体八百人というものについて御了承をいただいたと思っております。従って、私どもといたしましては、過去の八千人の増募計画の際におきましても、十分私立学校関係の御協力をいただいて、この増募計画というものは成立して参ったのでございます。今大学学術局長から申し上げましたように、この私立学校関係の協力というものを十分ウエートを重く考えている次第でございます。従って、まあ計画の途中においていろいろな問題が生じてくれば、これはまたそのつど検討いたすことにいたしましても、三十六年度においては、一応国立、私立の増募計画というものは、この程度でよかろうというような関係できたわけでございます。従って、今後予算を伴わずに、もし増募ができるというような方法がございますれば、これは一つ私立学校関係の協力をさらに積極的にしていただく意味におきまして、十分な検討をして参りたい、こう考えている次第でございます。私どもとしては私立大学審議会ではこの問題は正式に取り上げておりません。と申しますのは、今申し上げましたような私学団体の方の私立学校振興対策委員会というところで、この問題を取り上げておりますので、取り上げておりませんけれども、話題としては一、二回出たと記憶いたしております。従って、今後の問題につきましては十分そういう連絡を緊密にしながらやっていきたいと考えている次第でございます。なお最近におきまして、私立学校関係の今申し上げました対策委員会においては、いろいろ案を検討されているようでございますので、そういった面についても十分今後参考にして研究して参りたい、かように考えております。
○矢嶋三義君 大蔵政務次官に伺いたいと思いますが、この科学技術者の養成計画に基づく各省庁の概算要求ですね。これについては削減されたのか、それともこれは予算査定の場合はあまり削減しない方針でされたのか。どうもこの経過を見ますと、予算編成段階に大蔵省はきびしい査定をやり過ぎたのではないかというような懸念を私は持つわけです。基本的な問題ですから、もう少し科学技術の振興に対しては、先進国がやっておるように、大幅な国家投資をするという見地に立って予算を編成しなくちゃならぬと思うのですよ。こういう点について、二十穴年度予算編成に当たってどういう方針で臨まれたか、今後いかに対処されるかという点について、大蔵当局の御見解を承っておきたいと思う。
○政府委員(田中茂穂君) 科学技術の振興につきましては、特に現池田内閣の大きな政策の一つでございますので、その点十分留意いたしまして編成に当たっております。具体的に申しますと、狭義の場合、純粋な科学技術の振興に計上いたしました予算が二百七十六億であります。これは前年度が二百四十五億でございまするから、三十一億増加いたしております。対比いたしますと、一三%ふえております。広義の場合、いわゆるいろいろな大学の施設、その他研究施設、そういった施設も含めた広義の予算を申しますと、穴百九十九億計上いたしております。前年度が五百六十六億でございまするから、百三十三億ふえます。パーセンテージは大体二六%ふえております。ほとんど文部省から御要求のありました御要請に沿いまして計上をいたしておりまして、特に大蔵省として削減したというようなことはございません。なお、ただいま矢嶋委員から御指摘のありました諸外国との対比を申し上げますと、今年度の科学技術の全体予算は、国家予算の大体三・五%になっております。フランスでは二・六%、それからドイツでは三・六%、それからアメリカは軍事関係の研究施設その他も含めて八・五%になっております。イギリスは四・二%、そういう比率でございまして、本年度の三・五%というのは決して諸外国に比して劣っているというふうには考えておりません。
○矢嶋三義君 何を予想して準備されてきたのかわかりませんが、そういう数字でごまかそうというのは、私けしからぬと思うのですよ。科学技術の施設設備の体系が整っておる先進国と、これからスタートしていこうとする日本と、そういうとり方で比べて大丈夫なんというのは、とんでもないことだと思うのですよ。国民所得に対する比率なんかからいったら比較になりませんよ。フランスは最近核保有国になったのですけれども、フランスあたりの過去六年間の力の入れ方というものは、現在の日本のそんなものじゃないですよ。そういう数字でごまかそうなんということは、とんでもないことで、そういう聞いてもいないことを答弁しておる。私は当面の具体的な問題を伺いますが、文部省の方に伺いますが、大蔵政務次官はそうおっしゃっておるのですよ。なぜあなた方は要求しないのですか。少し大きい声を出しますよ。十七万人の大学の理工学の卒業者の充足にしても、高等工業学校の四十四万人にしても、これでは充足されぬではないですか、なぜ高等工業学校卒業者が充足されるような、そういう要求をしないのですか、理解を持って削減しないというのだから、なぜ十七万人の計画を立てないのですか、国立だけでできなければ、なぜ私学に幾らとして、それに即応する私学に対する助成要求をしないのですか、責任を追及しますよ。要求したのかしないのか、したけれども削減されたのか、されないのか。それから、佐々木主計官に伺いますが、削減したのか、しないのか。今後こういう計画のもとに三十七年度の概算要求が出てくれば、上司の意を体して削減しない方針で臨まれるのか、臨まれないのか、事務当局の御答弁をそれぞれ伺いたい。
○政府委員(小林行雄君) この一万六千人の拡充養成計画、これは十七万の不足に対応するものとして文部省では考えておりますが、これは確かに十年間に約十七万人の不足数が推定されるわけでございますが、文部省といたしましては、これを全部十年間に充足するということは、たとえば教官数の問題、あるいは施設設備、その他財政関係、いろいろなことも勘案して、非常に困難と実は考えたわけでございまして、従って、四十五年度における必要数、それと現在の理工系卒業者の供給数との差を不足数と一応推定いたしまして、一万六千八百人というのを出し、拡充養成計画の数といたしましては、一万六千人ということを目標にいたしたわけでございます。この一万六千人に対する要求といたしましては、もちろん要求通りではございませんけれども、例年に比べてはかなりよく予算をつけていただいたものと思っております。
○矢嶋三義君 高等工業学校はどうなんですか、四十四万人充足できるのですか。
○政府委員(小林行雄君) 初級技術者の四十四万人につきましては、これは今後の高校急増対策の一環といたしまして、文部省として計画を立てておりまして、この数についてまだいろいろな点で不一致の点はございますが、文部省としては、できるだけこの四十四万人に近い数字を充足するように計画を立てておるわけであります。
○説明員(佐々木達夫君) お答え申し上げます。科学技術振興策、これは先ほど政務次官からもお話しになったように、来年度予算の非常に重要点でございます。従いまして、私どもは非常に重点を置いてこの予算の査定をいたした次第でございます。そこで、今問題になっております十七万人計画とか、四十四万人不足という実態ですが、これは国民所得倍増計画、先般の科学技術会議の答申その他の基礎資料として出ておりますが、簡単に申しますと、今の十七万人計画というのは、第一年度——昭和三十六年の年末において一万六千人不足するという数字でございます。来年度も一万六千人、その次も一万六千人、毎年一万六千人不足しておる。従いまして、昭和四十五年度も一万六千人不足するという数字でございます。そのグロス・トータルが十七万人という数字になっておるのであります。従いまして、今年かりに一万六千人充足いたしましても、卒業するのは二、三年後ですから、その間今の数字は必ず物理的にいいまして不足する。従いまして、この一万六千人を初年度から全員充足すれば、まさに今述べられておる十七万人不足というのは完全に埋まるはずでございます。しかしながら、先ほど文部当局からもお話がございましたように、その施設の問題、先生の問題、具体的に先生の問題について申し上げますと、今度、文部省から出ておりました数字は、若干査定いたしましたが、千八百六十人の要求に対しまして千七百九十人、若干学科の問題その他で査定いたしたものがございますが、ほとんどまるのみの数字でございます。これは過去の大蔵省の査定といたしましては、まさに画期的な数字だと思いまするが、しかし、その場合においても問題は先生であります。これは予算に計上して科学技術者が直ちに養成されるというような問題ではございませんので、問題は、そういう学部学科によい先生を選ぶという問題で、その点につきましても、私どもは非常にいろいろ検討いたしました。具体的にどういう先生がくるかというようなリストまで作って、ほんとうにそういう先生が得られるのか。たとえば助手から助教授にならせるのはどういうものか、いろいろ検討いたしました。たとえば、各大学では定年制を延ばすとか、いろいろ努力しております。その努力の範囲内におきまして、初年度を三十六年度として予算を計上するのは最大限度どのくらいかということで、いろいろ文部当局と話し合った結果、今のような数字になっております。従いまして、先ほど申しましたように、初年度から一万六千人全員を増加をいたしましても、卒業するまでの空白、これは必らず穴があく。しかもその初年度から一万六千人を直ちに増員するということは物理的にも、旅設的にも、人的にも、先生の関係からいっても不可能だ。しからば最大限に初年度はどうしてそのカーブを、教員の養成、それから大学院の先生になる人を、いろいろな数字から見合わして早急にこれを一万六千人に近づけてやるか、それは財政の許す限りでございますけれども。そういう方針で、三十七年度以降は実はまだ具体的な数字は固まっておりませんので、文部当局として一応の試案は先ほど上がっておるわけでございますが、大蔵省として別にそれをのんでおるわけではございません。早急にそういう空白を埋めるというような予算の査定努力を今後いたしていきたいというふうに考えておる次第でございます、簡単に申せば。
○矢嶋三義君 官房長官はお忙しいようですから、官房長官に関連のある質問を先に終わります。この火急の問題ですがね、文部省にお伺いしますが、予算に関係なく池田長官はやられると言われておるわけですね。今、何ですか、私立大学から申請のあっているので保留しているようなのがあるのじゃないですか。それを、保留しているのを許可、承認すれば若干解決できると、こういうふうに僕は長官はお考えになっておられるのじゃないかと思うのですが、そういうことはあるのかないのか、その科学技術庁との間の話し合いはどういうことになっておるのか、お答えいただきます。
○政府委員(福田繁君) 私立大学審議会でまだ決定になっていないものが若干ございます。実は本日その最後決定をやるべく私立大学審議会を開催いたしております。
○矢嶋三義君 そういう問題があればですね、官房長官に伺いますがね、担当池田長官としては責任ある勧告をしておるわけですから、そういうことで調整がつくものならば私はそれに努力すべきだと思うのですね。三十七年度以降の予算は予算として努力すべきだと思うのです。ただし勧告の中にちょっと出ております大学の設置基準を緩和する、引き下げるというようなニュアンスの文章がありますが、これは私は間違っておると思うのだね。内閣としてどういう見解か、これは重要だから私は聞いておきたいと思うのだがね。これだけ科学、教育、文化、学術が進歩する時代に、大学の設置基準を安直に引き下げたり緩和したり私はすべきじゃないと思う。そういうことでなくて何か解決する、今、文部省の局長が申されたようなことで解決する道があれば、新学年度を控えているのですが、早急に関係大臣の意見を調整して解決すべきだと思うが、官房長官の御所見を伺いたい。
○政府委員(大平正芳君) 文部省と科学技術庁の間で御調整中だということは前にも申し上げた通りでございます。文部省にも科学技術庁にもそれぞれ御専門の知能がおられますので、こういう方々で十分、大事な問題でございますから御協議願いまして、御調整がつくことを期待いたしております。これが非常におくれまして、不当におくれるというようなことがございますれば、私どもの方でこれを督促して参るに決してやぶさかではございません。
○矢嶋三義君 ケネディ氏が大統領になって、アメリカで教育の特別教書を発表されている。私は大使館から送ってきたその印刷物を読んで感心しましたよ。池田内閣は所得倍増、経済拡大政策を推進して、これを責任をもってなし遂げるという意欲に燃え、その政策を推進する以上は、それに伴う教育計画というものを十分立てて、ケネディ氏のその意向をまねるわけじゃないけれども、教育に対するこの国家の投資というものをもう少し大幅に増額し、根本的にそういう教育投資という考え方を政治の面に打ち出していくべきじゃないかと思うのです。この点について官房長官並びに大蔵政務次官はどういう見解を持たれるか、基本的な問題でありますからお答えをいただきたい。
○政府委員(大平正芳君) 原則としてお考えに賛成です。ただ、投資いたします以上は十分効率を発揮せねばなりませんから、ただいま佐々木主計官からもお話がございましたように、教育効果が上がるように、りっぱな技術者ができるように政府として監督すべきだと思います。与えられた条件のもとで隘路をどう具体的に打開していくかというところに私どもの苦心があるわけでございまして、その点御了承をいただきたいと思います。
○政府委員(田中茂穂君) ただいま御指摘のケネディ氏の例を引かれましたが、わが国としましてもその点はやはり考えるべき点だと思っております。でありますので、財政の許す範囲内におきまして、できるだけ研究施設その他に国家は投資しなければならぬと、かように考えております。
○矢嶋三義君 政務次官の答弁はだんだん大臣答弁に近づきよる——官房長官、もう二点伺っておきますがね。池田内閣の池田科学技術庁長官のあの勧告をあなたは支持しているものと思うのですが、いかがですか。それとも何ですか、とんでもない、あんな勧告を出してくれたというような見方をしていらっしゃるのですか、いかがですか。
○政府委員(大平正芳君) 科学技術庁長官の御熱意、十分敬意を表しております。
○矢嶋三義君 支持しているのですか。
○政府委員(大平正芳君) 技術庁長官のねらう方向に対しましては全幅の支持を惜しまぬつもりでございます。
○矢嶋三義君 お忙しそうですから、あとで池田長官にお伺いするのですが、この池田長官の勧告からいえば三十六年度の予算は私は修正せにゃならぬと思うのですよ。あんまり僕はきょう火をつけようと思わぬのですけれどもね。これは三十六年度を含めたさらに大幅な増員計画云々とあれば、緊急にということもまあ表現されているわけですが、当然その三十六年度の予算は私は修正せにゃならぬと思うのですね。それがこの段階においてできぬとあれば、せめてこれは全幅的にこの方針を支持しているならば、補正を早期に組むべきだと思うのです。きょう三公社五現業の裁定を閣議はのまれたそうですね。で、これは補正予算を早急に出されるのだと思うのです。あとでなく早急に私は出されるのだと思うのですね。そうなれば、この池田長官の勧告の趣旨に沿った予算補正を私はすべきだと思うのです。それがこの答申を尊重し忠実なゆえんでもありますよ。これはあとは数字的に言いますが、これは決して尊重されていないのです。これにマッチした計画、数字になっていないのです。その補正予算の点についてはいかがですか。
○政府委員(大平正芳君) 先ほどからるる御説明がありましたように、今の与えられた条件のもとにおきまして、文部当局としては最善の予算を組んだつもりであります。大蔵当局におきましても、教員の充足その他を勘案した上で可能な限りやったつもりであるというお話がございました。で、私どもは三十六年度における所得倍増計画第一年度の計画としてはベストなものと考えて今の予算案を出しておるつもりでございます。で、問題は池田長官の御勧告を三十六年度において予算補正の形でやるがどうかということにつきましては、池田長官と荒木大臣との間におきましても、そういうことを求めておるわけではない、問題は、三十六年度予算に関係なく、公立、私立の系統におきましてさらに開発すべき余地があるかどうだろうかということが問題点だと承知いたしております。この点につきましては、先ほど申しました通り、科学技術庁と文部省の方で御協議中と、そう承っておるわけでございます。
○矢嶋三義君 それなら科学技術庁長官に伺いますが、予算を伴わないでできる面もある——私学関係ですね、福田局長も言ったように。しかし、予算を伴わなければできない面もこの勧告にあるわけですね。あなたも日本人だから日本語詳しいでしょうから、これはあなた、この勧告を読んだら当然そうですよ。私学からのいろいろな申請で保留してある件で、予算を伴わないで強化することができる面もある。しかし、予算に計上していないからそれに対する助成はできない点はあります。そういう面と予算を伴わなければできない面があります。勧告には、昭和三十六年度を含めてさらに大幅な増員計画について早急に再検討され、必要数の科学技術者の確保をはかられるよう勧告するとありますが、予算修正をしなければできませんよ、両面を含んでおるわけでしょう。だから百歩を譲っても、予算を伴わぬ面でも荒木君やってほしいと、あなたは言っておるのだと思う。そうでしょう、いかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) その通りです。
○矢嶋三義君 その通りでしょう。それを官房長官、池田内閣の一国務大臣がそれを出された、あなたはこの方向は賛成でそれを全面的に支持すると答えられておる。だから、私は今の予算案審議をストップするとか、これを修正していきなさいと、そういうことを言わない、あなたと私の仲だから言わない。(笑声)しかし、三公社五現業の、四百五十億円ばかり要るというのですね。これは予算を補正しなければ移流用やったってできないですよ。それじゃ、聞きますが、予算補正をするでしょう、いずれ。どうですか、それを承っておきます。
○政府委員(大平正芳君) その点につきましては今検討中でございまして、補正予算を組むことはあるいはやむを得ないかと考えております。ただ、今科学技術庁長官の御勧告、当面問題になっておりますのは、三十六年度の予算案に関連してそれに影響があるかないかの問題が今問われておりますけれども、池田長官の願いは、お考えになっておることは、何も三十六年度に限ったことじゃないのでありまして、三十七年度以降そういう大事な問題であるし科学技術者の充足という問題は長期計画に沿って精力的に、かつ、しんぼう強くやらなければいかぬ、そういう方向に対して示唆があったものと心得ておるわけでございまして、本体はそこにあるわけでございまして、今問題になっておる三十六年度予算案に関連しての面は、たまたま予算案が参議院で御審議を願っておるときであるから、その問題が特に大きな問題として取り上げられておるのでありますが、本体は科学技術者の充足ということを精力的に、かつ、計画的にやれという御趣旨であると私は理解しております。
○矢嶋三義君 あなた、池田長官の勧告書よく読んで下さいよ。英語もうまいが、日本語もうまいはずだから読んで下さいよ、池田長官はっきりおっしゃっているのだから。もう間もなく解放しますがね。大蔵政務次官にお伺いしましょう。 政務次官は大蔵政務次官ですから、三公社五現業の四百五十億というのは補正予算組まなければやれないでしょう。それとこれとも関係してくるのだが、特別会計だけでなくて、一般会計からも若干繰り入れるようになると思うのですが、大蔵政務次官としての見通しはどうですか。見通し持たなければ政務次官勤まりませんよ。
○政府委員(田中茂穂君) けさの閣議の結果をまだ大臣から直接お聞きいたしておりませんし、四百五十億をのんだかということもただいまこの席でお聞きしたような次第でございます。それによって大蔵省としてはどうするかということが今後の問題になってくるわけであります。十分大臣とも相談いたしまして、今のところ、私といたしましては今聞いたばかりでございますので、十分勉強したいと思っております。
○矢嶋三義君 ゆうべからあなた一生懸命勉強してそんなことを答弁しちゃいけませんよ。 それで官房長官、次の答弁私は納得できれば官房長官も御多忙ですからそれで御退席を願うのですがね。この勧告からいって、今の審議している予算案を修正するか補正を組まなければやれませんよ。またこの勧告の内容は、これを尊重する立場からいったら、工業高等学校の卒業生、大学の卒業生の充足という立場からいって、今の予算案に盛り込まれているものでは非常な不十分なんですよ。不十分というよりずさんなんですね。だから、まあ三公社五現業のあれに関連しての補正が今この国会で出されるか、あるいは一説では秋かといわれておりますが、私はそうは延びないと思うのですよ。おそらくこの国会でやっぱりやらなければ、先食いをするといってもそうはいかないと思うのです、あれだけの問題だから。この機会に、この科学技術庁長官の勧告と、それからこの答申書を尊重する立場において補正をやる場合には誠意をもって検討する用意がある、ここまでの答弁がなされれば私はあなた御多忙ですからここで御退席を願おうと思うのですが、いかがですか。科学技術庁長官は予算を伴わないでできる面と予算を伴わなければできぬ面がこの勧告の中にあります、そういう勧告であります、ということを速記をつけて答弁している。それをあなたは、横から勝手に池田長官の心底を推察して答弁しているのですが、普通なら閣内不統一で声を大きくして責任を追及するのです。その点は控えているのだから、そのつもりであなたも答弁してくれなければ困る。
○政府委員(大平正芳君) 予算を編成いたしますまでに起きた条件に基づきまして作りました予算案で、これは私どもといたしましては最善のものと心得ておるわけでございます。ただ公労委の裁定という事実があとから出て参りまして、これに対して政府が尊重して実施するという趣旨を明らかにしておりましたが、これは予算編成当時予想しなかった事態でございますので、これにつきまして心要あらば補正を組むことにやぶさかでない、こういう考えでおります。その問題の科学技術庁長官の御勧告は三月十一日になるほど行われましたけれども、しかし、科学技術者の充足という問題は予算編成当時すでにあったことでありまして、これは補正を組む理由には私はならぬと考えております。問題は三十六年度に関する限りにおきましては、本予算案と関係なく池田長官の御趣旨がどこまで生かされるかということについて具体的な検討をやるべきであるし、また調整案ができればこれを実施することは非常に望ましいことであると、こう考えております。
○矢嶋三義君 ちょっと事は重大になったのですね。池田長官あなたも信念ある政治家、また責任ある立場にもあるわけですが、この勧告を出して、そして場合によると総理大臣に意見も具申する用意があるようですが、これがあなたの勧告が生かされるか生かされないかによってあなた政治的生命をかけなければならぬと思うのですよ。代議士をやめる必要はないでしょう、しかし、科学技術庁長官としてははっきりその責任ある出所進退を私はやらなければならぬと思うのですよ。あなたも閣僚の一人として予算案の閣議決定には参画をされているはずです。そして立法府にその審議を願っているわけです。その段階において、その内容に相当の影響を及ぼす、所得倍増等経済拡大政策に基本的に影響を及ぼす、こういう意見をはっきりと出されているわけです。従って内閣としてはある程度これは筋が通っているのだから、当然これを尊重して、その方向に是正していくという、その方向づけさえあれば、私は下がっていいですよ。しかし、それがなかったら、長官としては、あくまで閣内に踏みとどまって、総理大臣に十一条に基づいて意見を具申して、その政治的決断を仰ぐか、その政治的決断が仰がれない場合は、あなたの責任のもとに責任ある政治家として、科学技術庁の長官のその任命を返上しなければならない。私は二者択一だと思う。それがほんとうの責任ある政治家のとるべき態度だと思うのです。お伺いいたします。
○国務大臣(池田正之輔君) 極端に考えれば、そういう場合もあり得ると思います。
○矢嶋三義君 それはりっぱな答弁です。 で、官房長官、御多忙のようですから退席していただきますけれども、あともうちょっと私伺いますけれども、池田内閣は数字に強いというのですけれども、これに関する限りは数字が非常にずさんです。この答申との関係においても、また科学技術庁の指摘したこの数字においても、また文部省の答弁においても、数字は非常にずさんです。食い違いがあります。しかし、そういう点は、正しい数字が私はわかれば、あえて追及しないつもりです。ただし、正しい数だけをきょう伺って確認しておきたいと思うのですが、そういう点でも内閣の責任を追及しようと思えば追及できるわけですから。先ほど経済企画庁で、庁内で研究もしていないというようなことでは、私は池田内閣全般の責任を追求したい気持になるわけです。これだけのことは、あなたとしてもお聞き取りいただいて、閣議の適当なときに大臣諸公に一つ注意を喚起していただきたいと思うのです。池田長官としては、それだけの信念と決意のもとに勧告書を出されているのですからね。これを受ける文部大臣としても、あるいは非常に関係ある迫水経済企画庁長官にしても、少なくとも経済閣僚は池田君からそういう勧告が出たのだから検討しようという気持がなければ、何かひやかし半分のようなことでやられるということは、私は事は重大だと思うのです。そういう点についての注意喚起と閣内の意識統一、調整というものを官房長官の職責において私はやっていただきたい。よろしゅうございますか。
○政府委員(大平正芳君) 御注意十分心に銘じて善処いたしたいと思います。
○矢嶋三義君 それでは、文部省に伺いますが、この工業高等学校ですが、この答申書によりますと、昭和三十五年において四万三千二百七十六人不足。昭和三十六年において四万三百十三人不足。昭和四十五年で、トータル四十三万九千四百八十人の不足になっておりますね。ところが、今度の予算書では八十五課程ふやして約一万人の増員にすぎないでしょう。この指摘した数字と工業高等学校の生徒一万人増員で予算を組んでいることとの関係はどういうことですか。お答えいただきたい。
○政府委員(福田繁君) 工業高等学校の問題についてでございますが、文部省といたしましては大体この所得倍増計画に基づきます工業高等学校の増加と、並びに高等学校急造対策とかみ合わして考えているわけですが、数字としては一応全体の百十万人の高等学校急増分の中で、約三十八万人という数を押えております。従って、これは全部新設の高等学校によってこれを充足するのではなく、従来の工業高等学校の拡充あるいは定員増というような措置を講じまして、その数字を充足したい、こういうような計画でございますが、もちろん年次別に考えますと、かなりの、たとえば五ケ年計画といたしますと、これが均等にこれをやらなければならぬというような考え方でなく、不均等でこの充足をしていく、こういうような考え方に立っておるのでございます。
○矢嶋三義君 佐々木さんいかがですか、いずれにしてもこれは四十四万人なんかになりませんよ。今度の工業高等学校の新設についても、公立二十四校、私立二十校は予算査定で認められただけでしょう。とてもあなたこの八十五課程一万人ふやしたからといって、この所得倍増計画の四十五年の四十四万なんかになりっこないですよ。 それともう一つは、政務次官に伺いたいと思うのですがね。今科学技術の振興という立場から、工業高等学校がだいぶ論ぜられておりますけれども、あなたはベビー・ブームによる高等学校の志願者、これを全部工業高等学校に吸収するお考えかのようにあの予算書を拝見するわけですが、高等学校への進学者が多くなるわけですが、それに対する配慮が工業高等学校だけにありますね。あの補助を、ことし初めてわずかですが一億九千九百万の補助金を出しましたね。あと工業高等学校増設の方面だけの予算だけで、普通高等学校というものは、全く触れられておりませんね。あれは何ですか、女生徒まで全部工業高等学校に入れるつもりですか。ベビー・ブームですか、幾ら子供が多くても、半数は女生徒だと思うのです。私はちょっと大蔵省の査定方針を見ると、女性の敵だと思う。全く女性のことを考えていない。工業高等学校のことばかり考えて、女生徒が工業高等学校に入るわけじゃない。しかも工業高等学校とすれば、わずか一万人というわけでしょう、この答申案を尊重して予算を組んだといっても、とても四十四万人になりません。今三十五年、三十六年の不足数四万三千何がしと具体的に数字をあげている。だから当然あの池田内閣の所得倍増計画は、スムーズに進んでいけば、人材面で充足できなくて崩壊しますよ。マッチしておりませんよ。そこに科学技術庁長官の非常に悲壮なる勧告書が出てきた一番大きな原因がある、いかがですか。
○説明員(佐々木達夫君) 初めにその数字のことでございますが、四十四万人については、先ほどは大学の場合は十七万計面と関連して御説明いたしたのでありますが、大学の場合は毎年一万六千人ぐらいの不足で合計十七万人、今度の場合の四十四万人不足も、三十六年度より四十五年度まで毎年四万七千人大体不足する、そのクロストータルが四十四万人という数字になるわけであります。従いまして、これを全部物理的に解消するとするならば、高校ですから三年前に五万人を増員していくと、ことし卒業するのは五万人、従いまして、それで三年前に五万人増員していると、ずっとそのままいくと、この四十四万人不足は解消する。ところが、所得倍増計面に結びつく問題、これにつきましては、これはどうしても予算措置その他を考える場合には、三十六年度からやらなければならない。従いましてどうしても空白ができるというような問題がでございます。物理的に申しまして、直ちに、ことし入学して、ことし卒業するというわけには参りませんので、施設その他の関係——高等工業につきましては先生問題が非常に重要な問題になっておりまして、従いましておそまきながら、若干どろなわ的なところがございますけれども、今度は臨時に高等工業の教員の養成所を作るというような措置をいたしまして、初年度——三十六年度におきましては、いろいろな事情を勘案した最高限度をとろうとしておるわけでございまして、従いまして、今度の科学技術庁の答申にございますのも、これは将来十年先の見通しでございますので、三十六年度といたしてはこれは今できるだけの措置をとったわけでございますので、三十七年度以降さらに、この科学技術会議の答申を尊重いたしまして、財政その他、人的資源その他、いろいろな問題を勘案して——予算がつけば科学技術者の養成ができるというわけではないと思います。先生の問題とか、配置の問題、土地の問題いろいろな問題が解決しないとできませんので、そういうものを勘案しながら逐次これをやっていきたい。ただし、その場合に、どうしても物理的な不足ができると思いますが、そういう問題については、単に学校教育ばかりではこれは補うことができませんので、職業の再訓練とか、それから青年学級における職業訓練的なもの、技術訓練的なもの、そういうものに今後重点を置きまして、その不足を補う。こういうものが十年間に四十四万人なり十七万人不足する。そういう技能者を少しでも解消するというふうな措置をとっていきたいというふうに私どもは考える次第でございます。 それからさらに高等学校の急増対策の問題についてちょっと私どもの見解を申し上げますと、中学校の卒業生は、御存じのように、三十八年度から四十年度にわたって急増する。これはいわゆるベビーブームのその子供が高等学校に入るわけです。そのために、これらの中学校の卒業生を進学させるために、高校の入学定員を増加するということは、これは当然しなければならぬ措置だと思います。他方、国民研得の倍増計画その他によりまして、四十五年度において工業高校の生徒の卒業生が約四万六千人不足するということが出ております。従いまして、これらを勘案いたしまして、都の工業高等学校の生徒を三十五年度以降すみやかに五万人増員をはかりたい、その不足を解消するという意味において、それから工業課程以外の職業課程は、現有施設において収容し得る限り——これは相当余裕がありますから、たとえば職業課程その他の課程につきましては、その現在の施設その他を勘案しまして収容する。そうして、その残りで収容できないもの、これにつきましては普通高等学校で収容するというような考え方を持っております。その場合、高等学校の設置者は、御存じのように、地方公共団体ということになっております。しかも義務教育ではございません。そこでこれらを財政措置する場合には、直ちに補助金政策というものをとるかどうかという問題は、いろいろ地方財政その他を勘案しなくては考えられないという問題がございますので、そこら辺、今後三十八年度以降の問題でございますので、三十六年度につきましては、さしあたり先ほどの国民所得倍増計画に結びつく工業高等学校につきまして補助金政策をとったのでありますが、一般の高校の卒業生が——工業高等学校の生徒の急増する三十八年度以降の問題につきましては、地方財政の現状その他を勘案して、たとえば起債措置その他いろいろ考えてこれに対処していきたいというような考え方を持っておるわけでございます。
○矢嶋三義君 あなたの御答弁の中に納得できるものもありますが、所得倍増計画がスムーズにいったら、技術者の人材面で崩壊するのですよ。そこを私は重大だと言うのです。 具体的に一つ承りますと、ここに勧告書が出ているのですが、理工科系科学技術者が昭和四十五年度に約十七万人不足になる。今、文部省が計画しておる七カ年計画では約七万人しか充足できない。だから十万人不足するということは文長大臣自体認めているわけですね。ところが、その十七万人なるものは、この答申書を見ますと、大学卒業程度の技術者ですよ。ところが、衆議院等の答弁を聞いておると、文部大雨は、苦しまぎれか、何かしらぬが、企業内で再教育云々というのです。それは先ほども出ました約百六十万の技能者の必要な面であって、企業内云々というのは、ここでいう所得倍増計画に伴う十七万人、不足の十万というのは、少なくとも最小限四年制の大学を卒業した以上の高度の技術を持った技術者が必要だということになっておるわけなんです。だからどうしても計画が不十分になるわけです。この十七万人というのは、科学技術庁長官、経済企画庁の参事官にお答えを願いますが、これは理工系の大学を卒業程度の技術者が十七万人不足するという意味だと把握されておるわけでしょう。いかがですか。
○国務大臣(池田正之輔君) 実は私も、文部省から出ておる数字というものはでたらめで、つかみにくいと思うのです。そこで私は最初に予算要求があった数字を提示した。そうすると、私の言った数字がでたらめだ、こういうことになっておるのです。もちろん実施段階において若干これがふえてきたことも承知しております。そこで今あなたが指摘されたように、七万云々と言われましたけれども、一体七万という数字をどこから出したか、私はわからない。ほんとうは、これは文部省は一体——最後の四十五年度の入学者数を言うておる。卒業者数はもっと下なんです、短大を合わせて、卒業者数は、はっきり言いますと。今の現在の文部省の計画によりますと、五万六千九百三十二人です、卒業者はもっと厳密に言えば、その年に卒業したものは、その年は見習い程度で、使いものにならぬ、われわれ科学者の立場から言えば、さらにまた入学者の数というものは、そのまま卒業して職場につくものじゃない。過去の経過から見ましても、社会全体から見ましても、何割かの歩引きをしなければならぬということになってきますと、それよりはるかに下の数字になる。工業高校におきましても同様であります。三十八万云々と言われましたが、これは入学者数です。これをはっきり申し上げておきます。それを基準にして、従ってこのままでは所得倍増計画にはマッチしないものができるから、そこで政治家の良心からいっても黙視することはできない。従って私は勧告を申し上げた、こういうことでございます。 そこで、先ほど来矢嶋委員からの御指摘ございました中で、御参考に申し上げたいことは、文部省の、つまり大学教授の質を低下しろと私は言ったのではない。そういう意味じゃございません。文章はあるいは悪いかもしれません。そういふうにとられたかもしれませんけれども、そうじゃないので、教授を採用するというものの内規みたいなものをこしらえる。それによりますと——これは若干違っておるかもしれません、私の記憶によりますと、たとえば博士論文が必要だとか、教べんを何年とらなければいけないとか、あるいは論文は三つ以上なければいかぬ、そういう規制をしておる。ところが、理工系に至りましては、最近大学を出まして、民間の会社や研究所にりっぱな学者がたくさんいる。実際家がたくさんいるのです。そういう人たちはその資格に当てはまらない。むしろいいかげんなと言っては悪いけれども、大学教授より、りっぱな人たちがたくさんいる。そういう人たちは現在文部省のものさしでは落第です。そういう面を指摘しておるのであります。大学教授の質を低下してもよろしいという意味では決してないのでありまして、この点を御了解願いたいと思います。
○説明員(山下貢君) 所得倍増計画におきまして、科学技術者数の不足が十七万人としてありますけれども、これは大学の理工科系卒業程度のものを私は言っておるのであります。
○矢嶋三義君 それで非常に明確になっておるのですね。だから、文部大臣いないが、小林局長さん、文部大臣がその十万足りないのは事実だと、そういうふうに今答弁して、それを企業内の再教育で云々、協議してみようというようなことは、おかしいじゃないですか。経済規模拡大と所得倍増云々というのは、池田内閣の本会議における施政演説にうたわれている一番大事な政策ですよ。施政のこれからの路線ですよ。それを達成していくにあたっては、科学技術者の人材養成というのが非常に重要だということが柱で、こういう答申がなされているのですよ。そうしてこの答申のもとに、これを尊重して予算が組まれたという。その予算編成にあたっては、大蔵省はそれを尊重してやられたというのですよ。そういう条件下に科学技術庁長官から勧告が出た。それに対して十万不足するのは事実だが、それは企業内の再教育で間に合わせるつもりだ、そういうことを文部省議できめているのですか。文部省議でそういうことをきめているのですか。どうですか。あなたの方では、この答申というものをそれでよろしいというように、文部省の事務当局ではとっておられるのかどうか。お答えいただきたいと思います。
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答えいたしましたように、十年間に大学あるいは短大の理工系学部の卒業者が十七万人不足するということは、私どもこれは資料に基づいて事実だと思っております。ただ、これに対して、現状では四十五年度における必要数と現状との不足数一万六千人養成計画というものを立てざるを得なかったのでございまして、これは文部省として態度を決定いたしております。もちろん、これでは不足でございますので、先ほど申しましたように、できる限りこの一万六千人養成計画を初期の年次に繰り上げるというようなこともやりたいし、現在の計画では一万六千人のうち、六千人を公、私立の大学にお願いするということを計画いたしておりますが、これはできるならばもっと多数の養成を、ことに私学にはお願いしなければならぬと思っているわけでございます。そういったことでできるだけこの差を埋めて参りたいというふうに考えているわけでございます。 なお、衆議院等で文部大臣が、この不足については企業内訓練という言葉を使われましたが、これはこの一万六千人計画では、私どもの推定では大体七万人程度しか充足できないので、約、まあ十万人程度不足することになるので、これは先ほど申しましたような施策を講じてなお不足する分については、これは国全体としてあらゆる方策を講ずるという意味で、たとえば企業内訓練等にも一つお願いせなければならぬのではなかろうかと、こういう趣旨であろうと私は思っております。
○矢嶋三義君 あと十分くらいで終わりますが、再検討を私は要望いたします。 その点については、僕は科学技術庁長官の勧告、意向を支持します。私は心を鬼にしてあなたに質問しているのですよ。ほんとうはあなたはかわいそうだと思っているのです。今、僕にしかられて、予算折衝では佐々木さんにぴしっとやられる。そうして田中さんからは押えられて、不満足ながらああいう予算を出して、ここで僕に今度やられるのではお気の毒だと思っているのですが、僕は心を鬼にして今あなたを追及しているのですが、しかし、究極は文部大臣の責任であると思うのです。ほんとうに所得倍増計画がスムーズにいったら、人材養成ができずに、そこで頓挫してしまいますよ。そういう施政演説をしておるのにそういうことを一体やってよろしいのかどうかということは、これは池田内閣の責任問題になると思うのです。いずれ文部大臣にやりますから、文部大臣はもう少し科学技術庁長官の勧告を重大視して、そうして迫水経済閣僚とも十分協議して、真剣にこれと取っ組んで再検討する用意があってしかるべきだと思うのですよ。今度の予算で修正できなければ、当面予算に手をかけないでできる方面から、解決できる面を早急に解決をし、できるだけ近い機会に補正等の機会があれば、その場合に、大きな一つの日本の国策なんですから、補正の面で生かすように所管大臣としては努力すべきものだと思う。いずれ直接大臣から意向を聞きますがね、所管局長として、そういう意向のあったことを一応大臣に伝えておいていただきたい。 で、あと二、三伺いますがね。この説明のところにある点として伺っておきたい点は、私学の関係者からも私は一、二承っておるのですが、国立の学校を新設する、あるいは学部を増設するときには、国立ですから文部省の許可、認可等も要らないわけですけれども、私学の場合は当然とはいいながら許可、認可が要るわけですね。その場合に、大学の完成時における約六割程度の施設設備、教授陣容を整えなければ発足を許さないという、こういう取り扱い方は、私立に対して若干きびし過ぎるという不満があるようです。これは私はごもっともだと思うのですね。その私立大学の財団がしっかりしておるかどうかという点を十分検討して、将来の目安が立てば第一年次、第二年次と、逐次施設設備が充足され、教授が充足されて、大学教育が、法律に定められている基準が実施されるという見通しが立っておれば私は許していいのじゃないかと思うのですよ。非常に心配される余り、スタートにおいて六割のものが充足されていなければというふうな条件は、ちょっと私は過酷過ぎるのじゃないかと思うのですが、それはどういう見解を持っておられるか、そういう点に関する限りある程度緩和されるお考えがないかどうか、そうして充足しなかったらあとで処置の仕方はあると思うのですよ。しかし、大学を作ればやっぱりその大学はりっぱにならなければ志願者が入ってこないわけですから、教育の方面に投資してそういう、学校でも経営されようという人は、そう私は無責任なことは決してやられないと思うのですがね、この点、勧告の説明の中にも若干触れておるようでありますから、その点実情をお聞きするとともに、文部事務当局の御見解も承っておきたい。
○政府委員(小林行雄君) ただいまのはいわゆる設置基準ではございませんので、大学設置審議会における審査の際の取り扱いの方針でございますが、従来はこれはまあすべて大学なり短大の発足の当時に、その教員の組織にいたしましても、あるいは施設設備につきましても、全体の計画をはっきり立てるということと、それから初年次にその八、九割が充足されておるということを実は条件にいたしておったのでございます。これにつきましてはいろいろ論議がございまして、これはなまぬるいからもっと強くせいという最近の実は傾向であったのでございますが、しかし、先ほどからお話の出ております科学技術者の養成、これにこたえるための理工系の短大なりあるいは大学の設置ということが急務でございますので、実は本年度の審査から先ほどお尋ねにございましたように、第一年次には理工系については全体の六割というようなことにしてもらったわけでございます。これは御承知のように、第一年次における大学教育におきましては、一般教育で開始されるわけでございます。従って一般教育のたとえば教員につきましては、一般教育の全体の教員と、なお専門教育については、その支柱になるような先生を確保してもらいたい、こういうことが主眼となっておるわけでございます。もちろん私どもとしては、この程度が充足されることを実は期待いたしておるのでございます。私学の実情からいって、発足時はそれでもなお過酷であるということでありますれば、その辺もさらに検討してみたいと思っております。ただ御承知のように、いわゆる教員も、施設設備もきわめて不十分な状態でスタートするということになりますと、先々のこともありますので、その辺については慎重の配慮が必要であろうかと思っております。
○矢嶋三義君 あと二問池田長官にお伺いしますが、この勧告並びに説明書の表現、あるいはしさいな数字とかいえば完璧のものじゃないと思うのですよ。しかし大筋としては、いかにも池田大臣らしい大筋が出ておって、その点は私は敬意を表します。 それで、十年後を目標にする科学技術振興の総合的基本方策に対する答申ですね、これは一年半ほど練ったと言われるのですが、なかなかよくまとめられていると思うのですね。従って私はあなたが在任中に予算的に、法律的に、この実現化に極力努力していただきたいことを御要望申し上げたいのですがね。三十六年度の予算編成期にあたって、これを尊重、重視したとは言いながら、そんなに私は生かされていないと思うのですよ。あなたが科学技術庁長官の時代に急速にこれの実現化に努力していただきたい。その中で特にあなたの御所見をきょう承っておきたい一、二は、この中に科学技術の基本法制定の必要が答申されていますね。この科学技術に関する基本法の制定、こういうものががっちりできますと、先進国に劣っている日本の態勢というものも推進されて参ると思うのです。きょう議論しているような問題も起こらなくて済むようになると思うのですね。この点と、この前あなたに最適任だといってお伺いしておきました、この勧告の中にもありました国際交流ですね。特に比較的に門が閉ざされている共産圏、ソビエトとの技術交流等については、あなたがその道を開くのに最適任だと思うのですが、そういう点、急速に推し進めていただきたい念願をこめて長官の御所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(池田正之輔君) まず最初の第一問でございますが、これにつきましては、科学技術会議の総合部会で基本法に関して今検討しておるのです。なるべくすみやかに案を練って成文化していきたい、かように考えております。 それから共産圏との技術交流については、これはごもっともなことで、私の考えとしては当然そうあるべきだという考え方から、現在共産圏のチエコから原子燃料公社の方に留学生を一人受け入れています。これもさらに拡大していきたい、かように考えております。
○矢嶋三義君 大蔵政務次官に対する最後の質問ですが、私きょうこの問題で、文部大臣いないけれども、文部省の人にかなりいやみ申しましたけれども、実情からいうと、気の毒の面があると思うのですよ。予算編成段階における文部省の置かれているウエートというものは、今の日本の政治の中で非常に軽いと思うのですよ。あなた方がいろいろ言われていますがね。私は軽いと思う。予算編成の場合でも圧力団体が、いろいろ圧力団体があろうけれども、弱い。圧力団体が強いのがいいと言っているんじゃないんです。予算の性格というものが曲げられている。だからこういう点は、予算の編成権というものは内閣にあるのだから、佐々木さんあたりも曲げられないようにがんばって、曲げられようとする上司を適正に補佐して、そうしてこういう問題が起こらないようにしていただかなければならぬ。これはまじめな話なんです。そうしてこの教育を重視し、この資源の之しい日本の経済発展と国民生活の向上に寄与させるために科学技術を振興させる。日本人は頭脳もいいし、勤勉でもあるのだから、法律的、予算的措置を講ずれば前途は明るいものがあると思うんですよ。そういう気持で大蔵省は私は対処してもらいたい。あなた方が予算編成段階にいじめられて、そうしてここで文部省の役人が私どもから幾ら小言を言われてもその問題は解決しない。文部大臣は日教組征伐ばかりやっているわけですから、こういう状況ではとても心配になってしょうがないわけなんですがね。私の意見と大体同感だと思うんですが、田中政務次官もう八月から来年度の作業は始まりますからね。御所見を承っておきたい。
○政府委員(田中茂穂君) 三十六年度の文教予算につきまして、ただいま矢嶋委員からさような御指摘を受けましたことを私非常に心外に思っております。過去においては、あるいは御指摘のような点があったかもわかりませんけれども、新年度予算につきましては、十分文教予算に配慮いたしておりますし、主計官にもそのことは十分含めてございまして、主計官も十分その点を体して査定をいたしたと、私はかように考えております。今後とも御指摘のようなことのないように十分留意いたしたいと考えております。
○矢嶋三義君 言葉を返すわけじゃありませんけれどもね。完璧にいっておればベビー・ブームに対する対策が足りないとか、あるいは科学技術者の養成云々ということは出てこないんです。私はその努力は認めますよ。佐々木さんは誠意をもって文部省の説明を聴取されたことは私は多としているわけですね。近視眼的に重箱のすみを見るというような格好で、世界的な視野から日本の教育、文化、学術、科学技術をどうするかという太い、抜本的なバック・ボーンみたいなものがないことを指摘しているんです。 最後に、池田長官ともなかなかお目にかかれないから、ちょっとはずれますけれども、最後に一言お伺いして、一時になりますから、終わりますけれども、科学技術に対するあなたの熱情と御努力は多とするわけですけれどもね。一つあなたの閣内における言動でどうしても理解できない点があるので、再度お目にかかれないのでお伺いしておきたいと思う。それは、あなた岸派を代表してILO八十七号条約の批准に反対している、最も反対している池田内閣の閣僚の一人だということなんですが、ほんとうですか。どうですか、もしほんとうとするとどういうところに理由があるのか。それではあなたの国際感覚というものが疑われ、科学技術の振興も達成されないのじゃないかと思いますので、それだけを伺って質問を終わります。
○国務大臣(池田正之輔君) どういうところからそういうデマが飛んだのか私はわかりません。反対したという覚えもございません。
○矢嶋三義君 賛成ですね。
○国務大臣(池田正之輔君) そう積極的に賛成したわけじゃない。というのは、率直に言うと、全体的なものの見方というものは、どうも日本の政治家に足りない。それを私は指摘したのです。
○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。 本件に関する調査は、この程度といたします。 本日は散会いたします。 午後一時一分散会 ————・————