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38回国会参議院1961/03/23

文教委員会 第13号

発言数
69
登壇者
8
会派数
2
開催日
1961/03/23

会議録

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。開会前の理事会におきまして協議いたしました結果、本日は、まず昭和三十六年度文教関係予算及びその他当面の文教政策につき調査を進め、次いで国立学校設置法の一部を改正する法律案の審議を進めることに決定いたしました。  以上、理事会決定通り審議を進めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう進めて参ります。    ——————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) それでは昭和三十六年度文教関係予算及びその他当面の文教政策を議題といたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 前回の委員会で二、三の議員から質問されました、九州大学の入試問題にからむ一件の御報告をまずお願いいたしたいと思います。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 前回の委員会で御説明申し上げましたが、その後九州大学の関係者に来てもらいまして、事情を調査いたしましたので、その結果について御報告申し上げたいと思います。  九州大学の入学試験におきまして、生物の問題で、稲を題材とした遺伝に関する問題の文中に、澱粉の沃度反応の色を取り違えた個所がございました。この誤りは、問題の提出者が日ごろフィルターを通して顕微鏡を見ておった、でその見る色を、肉眼で見る色と誤った錯誤の結果によるものでございます。試験の開始後に監督の教官によりましてこの誤りが発見されましたが、出題者の確認を得たときには、すでに一部の受験者が試験場から出ておりましたため、試験実施中には訂正が行なわれなかったと言っております。なお、このたびの試験で生物を選択した者は、全体の受験者が約五千三百名でございましたが、そのうちの約千八百名でございます。この点につきましては、大学といたしまして生物の試験終了後直ちに出題委員を招集いたしまして、問題の誤りを確認いたしまして、その措置を協議いたしました。そして三月七日にこの措置について公に発表したわけでございます。ところが、その後、この生物の問題が事前に雑誌に掲載されていたということが判明いたしまして、三月十一日に至りまして、ただいま申しました生物の第三問とほとんど同じ形で、受験雑誌に掲載されていたことが判明いたしました。大学といたしましては、試験の実施委員長が生物の出題委員を集めまして、二つの問題の同一性ということについていろいろと検討いたしました結果、この二つの問題は異なるものということは言えない、同種のものであるということを認定したわけでございます。大学当局といたしましては、生物を選択した受験者の間に不公平が生じないようにという点に主眼を置きまして、その防止の措置についていろいろ検討いたしました。大学の推計学の専門教官も加えて慎重に検討をした結果、一応措置といたしましては、生物の第三間の得点は一応除外して、一問二問の合計得点を基礎として、推計学的処理によって第三問の成績を推定する、なおその際第一問及び第二問の合計得点と、第三問の得点とのいろいろ相関関係、あるいは第三間の難易度、難易度と申しますとむずかしい、あるいはやさしいというその難易の度合い等も勘案いたしまして、推定に誤りなきを期したようでございます。こういった作業によりまして、生物選択者の全体の得点を算出いたしまして、それによって受験者の順位をきめたわけでございます。以上のような作業を行なうために、合格者の発表が予定日から一日おくれまして、三月十六日にその発表を行なったわけでございます。その結果、合格者の数といたしましては、千四百八十二名という数字になりました。これは募集人員が千四百三十名でございましたが、これに比べまして五十二名の増加ということになっておりますが、九州大学は例年合格者の中から、一部入学取り消しということが実際にございますので、若干例年募集人員を上回って、合格者を採用しておったようでございました。大体三十五年度におきましては三十一人というのが募集人員を上回った合格者数ということになっておりますので、三十一人の例から申しますと、五十二名から三十一名を差し引きました二十一名程度が、実際との生物の問題の影響から、受験者の不利を防止するために、ボーダー・ラインの者を救済したその結果の増員分であると見ることができると思っております。なお、大学当局では、非常にこの点につきまして遺憾の意を表しております。今後このような事態をなくすために、実情をもっと詳細に調査して、措置を行ないたいということから調査委員会を設けまして、一昨日からとれに関する徹底的な調査を行なおうといたしております。なお、入学試験の実施委員長であります大学の教養部長は、進退伺いを提出いたしておりますし、実際、問題の作成に関係いたしました教授並びに講師は、辞職願を出しているわけでございます。なお、いろいろ大学当局といたしましても、父兄及び受験者に与える影響ということを考えまして、努力をしてきたわけでございます。現在におきましては受験者、父兄、また高等学校側も大学当局のただいま申しましたような事後措置に対するいろいろな努力を考えて、一般的には世論も大体静まりつつあるようであるということを言うております。なお、文部省といたしましては、先般のこの委員会のお話もございましたので、とりあえず国立の第二次校に対しまして、どうかこういうふうな誤りを繰り返してもらわないようにということで、試験実施上さらに入念な注意を払ってもらいたいという指示をいたしました。なお、九州大学における関係者の責任につきましては、先ほど申しましたような大学当局の実情調査の結果を待って善処いたしたいと考えておる次第でございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大体実情はわかりましたが、大学当局が遺憾の意を表したということですが、大学当局としては現段階においてどの点とどの点に大学当局側の手落ちといいますか、失態というものがあったというふうに表明して  おりますか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 先ほど申しましたように、生物の問題、この設問の条件に誤りがあったということが一つでございます。それと、それから大学当局としては、ことに入学試験の関係のあるような先生については前々からそういった、たとえば雑誌に関係したような場合にも人の疑惑を招くようなことはしないようにということも注意をいたしておったということを言うておりまして、おそらく私どもといたしましては、この生物の問題の誤りと、それから先ほど申しましたような雑誌掲載、ことに疑惑を招くような事態を出来したということについての点であろうと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大学の入学試験問題は、新聞等によりましても、私も自身九州大学に調査に行って参ったのでございますが、単にある教授とか特定の問題作成者というのが作業を進めても、しかるべき委員会を通過した問題として認定するということですね、それがもしほんとうだとすれば、田中教養部長あるいは当該教授、講師、これだけに責任をしわ寄せするという大学当局の考え方に私は問題があるのじゃないかという気がするのですが、その点についての大学側の見解はどうですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 私どもこの入試の実施委員長である教養部長から一応の説明を聞いたわけでございますが、確かに仰せのように、入試問題につきましてはそれぞれ出題委員というものを設けてやっておりますし、また実施について全体の実施委員会というものでやっておることも事実でございます。しかし、何と申しましても問題の出題責任者というものと、それから出題委員の中にはこれをいろいろ批判検討するというような委員とあるようでございまして、いわゆるその問題の出題についてのはっきりした責任者というものは、今回のような誤った問題の提出については当然責任を負わなければならぬというふうに大学当局としては考えておるようでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 問題作成者と目されておる当該講師が問題を受験雑誌に依頼されたのは昨年の六月であるという主張をいたしておりますし、またその問題を雑誌に載せても九カ月の間載らなかったために没になったと考えて、入試問題としてはきわめて優秀な問題であるという考え方に立ってそれを載せたと、大体このような見解を述べておるようですが、そのことに関する大学当局の把握はどうですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 私どもの調査によりますと、ただいまのお話のように、この雑誌社の方は昨年の六月ごろ教授に依頼して問題を作成してもらった。で、教授は講師にその問題をまかせたような形のようでございます。その作成してもらった問題がたまたま本年の三月号に掲載されたということは事実のようでございますが、大学当局としては従来から問題作成の際は慎重にして、特にただいま申しましたような受験雑誌に対する原稿の送付等によりまして疑惑を招くような行動は一切注意してもらいたいということを前々から申し合わせておったということを言うておりました。そういう点が大学当局としては問題になるのではなかろうかと思っております。これらの処置につきましては、私どもとしては特に大学当局にこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという指示的なことはいたさないで、大学当局の御判断を待っているわけでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大体報告でわかりましたが、もう一点だけ確かめておきたいのは、私自身も多少なり入学試験には関連を持ってきた経験を持っておるんですが、かりに問題がミスであっということは許されないとしても、問題作成者あるいは、この場合は別ですけれども、入試結果の選考委員とか、こういったものを、大学であれ高等学校であれ、どういう問題であろうとも、外部に漏らすということは、このこと自体が、あの人が選考委員であったとか、出題者であったということがわかってくると、今回の事件についてはもっと別の問題が生じましょうけれども、将来の問題としても作成者あるいは選考委員を外部に発表するということは、問題のいかんにかかわらず、私は入試の厳正、公正という立場からして、好ましくないと思うんですが、田中教養部長が問題作成者あるいは出題責任者の教授ないし実質に問題を作成した講師等の名前を漏らしたのか、あるいは大学の最高責任者の学長が漏らしたのか、あるいは本人が自発的にこの問題を私が作りましたと名乗り出たのか、わかっておればお聞きしたい。もちろん「螢雪時代」には当該教授の名前が載っておりますが、それがかりに載っておっても出題責任者であったかどうかということは、あくまで大学当局としては個人の名前は厳秘に付すべきだったと思いますが、その点どういうふうに大学当局は見ておりますか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 確かに雑誌に出題した場合の出題者としては教授の名前が出ておるわけでございます。なお、この問題につきまして私が最初に存じましたのは、これは新聞の記事でございまして、その新聞の記事には教授並びに講師の名前が出ておったように思います。大学当局からの報告では、ただいま申しましたような講師が出題者ということで話が出て参っておる次第であります。もちろんただいま冒頭にございましたように、入学試験を厳正に執行するという建前から申しますと、事前にあの大学ではある学科についての出題者がだれであるとか、あるいは入学試験の実施委員がだれであるというようなことが外部に漏れますことは、私どもあまり好ましいこととは思いませんが、かような問題が出まして、それがいろいろ社会の批判を受ける場合に、そういうことがあとから調査の結果わかってくることは、まあ私どもとしてはやむを得ないことと思っておるわけです。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 私お聞きしている趣旨は、かりに出題問題の内容をミスした、あるいは雑誌掲載といういきさつがあった、こういうことがあっても、問題のミスをしたことはいろいろ大きな問題があると思います、そのことは大学当局内部で出題の問題の適否あるいはミスについて処置すべきことであって、父兄その他一般の方に出題者を事後といえどもわからせたということは、九大の入試の厳正という点からいってもこれは好ましくないと思うのです。そういうことを学長がやったのか、それとも田中教養部長がやったのか、本人が自発的に間違いは私ですという発表の仕方をしたのか、私は大学当局の責任者が父兄の追及に、あるいはマスコミの取り上げ方に負けて出題者の名前等を外部に発表したとすれば、これは本問題の本質論とは別個に、入試の厳正、今後の大学の自治等と関係して大きな問題だと思うのですが、その名前発表の責任者はどこにありますか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 先ほど申しましたように、某受験雑誌に出ている実力テストの問題の作成者は、これははっきり具体的な名前が出ておるわけでございます。それから今回の大学の入試については、おそらくは新聞等のニュース担当者からの追及でそういうものに対する返事を拒否できなかったというようなことではなかろうかと思っております。また、具体的には教授並びに講師が辞職願を出したというようなことも具体的な事実としてございまして、そういった点から出題者の名前が出たものと私は思っております。事柄が社会的に批判を受けなければならぬような事態になりました場合に、これは事前にそういうことが漏れるということとは違いまして、事後にそういう名前が出たということはいろいろまた問題も起こりましょうが、この事態では私はやむを得ないのではなかろうかと思っておるわけでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 最後に一点だけ。  先ほどちょっと見解の表明があったように聞いたのですが、この問題をめぐって当該大学に対して現段階においては、文部省としては大学の自主的な決定といいますか、大学の自治にまかせるという立場をとって、何らの措置はしないといいますか、自主的にまかせるというふうに答弁があったように聞いておりますが、私はそれが当然なことだと思うのですが、現段階においてはそういうお考えですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 入学試験の具体的な実施方法なりあるいは出題に関係することは、御承知のように大学の自主性に属する範囲のものと私ども思っておりますので、この今回の事件の収拾と申しますか、関係する責任、あるいはこれに対する措置ということについては、先ほど申しましたように、大学内に実際の実情の調査委員会を設けて徹底的に調査する、その結果を待って大学当局としても措置をきめたいと言っておりますので、私どもとしてはこれを信頼いたしまして大学当局の判断にまかせるようにいたしたいと思っております。

近藤鶴代自由民主党

○近藤鶴代君 九大のことに関連して……。  先ほど局長さんの御説明を伺っておりまして、私が聞き損じたのかどうか、ちょっと疑問の点があるのですけどね。その出題が非常に適当でなかったということがわかったのはもう採点をする前でございますね。そういたしますと、その採点のときにその問題を出さなかった問題として処理をするということが一応されたわけなんですね。——そうでございますね。そうしますと、それでもなお水増しで人を入れなければならないというのはどういう根拠になるのでしょうか。そこがちょっとわからないのですけれども、もう一ぺん説明して下さい。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 実はこの措置につきましては二段階の段階がございまして、最初その生物の問題が間違っておったということがわかりました事態では、ただいま申しましたように、第三問には配点をしないで一間、二問だけで採点をしようということで措置をし、作業をしていらっしゃったわけでございます。ところがその後に、先ほども御説明申しましたように、同じような問題が某受験雑誌に出ておったということがわかりまして、これは初めに申しました問題の誤りという要素だけではなしに別の要素が加わったということから、その受験雑誌を見た人あるいは見ない人いろいろ差異が出てくるということも考えられますので、それらの点を考えまして最初の措置とは別に、第二段階の措置といたしまして、結局一問、二問の得点から第三問の得点を推計すると、そうしてその推計の点と実際の点とを比較いたしまして、ボーダー・ラインにある者について不利にならないように措置をするということを九州大学の当局はやったようであります。

近藤鶴代自由民主党

○近藤鶴代君 そうしますと、そういう問題が雑誌に出ておったということが一問、二問にも影響があるという考え方なんですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 一問、二問が影響があるというよりも、第三間の得点をどういうふうにしたら最も公平であろうかと、一間、二問に直接——第三間の問題が受験雑誌に出ておったからといって、一問、二問の得点は影響を直接は受けないわけでございます。第三問の得点をどういうふうにすれば一番受験者に不公正がないか、不利がないかという点を九大当局は非常に懸念をいたしまして、結局一問、二問の得点から第三問の得点を一応推計をして、その推計と実際の現得点とを比較考量して、境界線上にある者を不利にしないようにしよう、こういう措置のように思います。

近藤鶴代自由民主党

○近藤鶴代君 どうも私は頭が悪いからよくわからないのですけれどもね。一間、二問がどんなによくできていても三問ができない人もあるし、一問、二問ができていることが三問にいい配点をするという材料にはならないと思うのです。そこで、第三問の採点を全然見ないということで、すべての人に当たれば一応それで公平なんだから、その上のことを考えるという必要があるのか、どうも私にはそれがよくわからないのです。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) これは、九州大学当局としては、推計学の専門家である教官も加えて慎重に協議をした結果、そういう措置をとったわけでございます。ことに第一問と第二問の合計得点と第三間との関係についてはいろいろなむずかしい要素の関係があるようでございまして、いわゆる相関関係の点、あるいは難易度の点の要素も十分考えて、第三間の得点の、いわゆる推定得点の採点に誤りなきを期したと言っているわけでございます。

北畠教真自由民主党

○北畠教真君 九大問題に関連しまして、全国の大学に注意を喚起するためにもう一つ質問をしたいと思います。二、三日前の新聞に、九大と同様に東大でもミスがあったのだ。ついては水増しの入学を許したのだというようなことが載っておりましたが、東大の問題はどういうふうになっておりますか。簡単に一つ説明を聞きたいと思います。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 実は東京大学の入学試験問題について疑義があるということが新聞にも掲載されておりましたので、昨日この事務の関係者を呼んで調べたのでございますが、その結果について簡単に御説明申し上げますと、三月九日に実施されました第二次試験——東大は、第一次試験、第二次試験というふうに分けてやっております。第二次試験の社会科の世界史の問題の中で、これは相当たくさん問題が出ておりますが、その中で、第二次世界大戦後のアジア、アフリカにおける民族運動に関する問題が出されております。その中で、一九五六年戦後における最初の黒人独立国として、ガーナが誕生したことを解答すべき部分があるわけでございます。これについていろいろ異説がございまして、三月十九日付の新聞紙上等で、各方面の意見が出されたのでございます。東京大学といたしましては、入試問題の作成につきまして、各教科並びに科目ごとに、学科主任の推薦または学長の推薦で、出題委員を選出、委嘱しているわけでございます。委員の中には、問題の出題担当者と、それからそのまとまった問題案をいろいろ検討し批判する、あるいは助言する者とに分けられておるようでございまして、問題の校正——印刷の場合の校正でございますが、問題の校正並びに納入された問題の検閲についても、それぞれ分担をきめて厳正を期しておると言っております。新聞に掲載されました疑義につきましては、大学当局も、表現の一部に不備な点があったということは認めておりますが、新聞で報道されましたように、正しい答えのない問題であったとは思っていないと言っております。しかし、大学当局としても、受験者に対する影響も考えまして、入学試験委員会の際に、出題委員その他関係者の参集を求めまして、いろいろ検討いたしました結果、問題の設問の正しい答えはガーナであるけれども、スーダンという答えも正解に準ずるものとして取り扱うという措置をきめたようでございます。このような方針に基づいて、必要な範囲内の問題を、全部を再点検いたしまして、委員会でその措置を相談し、いわゆる及否のボーダー・ライン上にいた三名を、合格者として追加するという措置をとったのでございます。なお、東大当局としては、このたびの入学試験の合格者の発表にあたりまして、入学試験委員長である教養学部長が、これについての措置を新聞発表を行なっているような次第でございます。

北畠教真自由民主党

○北畠教真君 ただいま大学のいろいろな措置に対する話は一応わかりましたけれども、及第等は数が少ない、水増しと言われますけれども、水増し入学をやったということは大学側の出題に不注意があったということはいなめない証拠だと思っております。つきましては、出題の件とか、あるいはいろいろな問題については大学の自治にゆだねるということは建前といたしましても、受験生並びに父兄に大きな影響を及ぼす。悪くいえば悪影響を及ぼすような出題の仕方、これは十分学校としても注意をしていただかなければならぬと思っております。特に間違いではないけれども、学説が分かれているというような問題をお出しになることが、一つの大学の不注意に基因していると私は思うのでありますが、そういうことが以後たびたび重なりますと、ただいまも申しましたように、受験生並びに父兄に対する疑惑、一般の信用を失墜するというようなことにもなりまするので、全国の大学の自治はもちろん尊重いたしていかなければならぬのでございますが、かかる失態の起こらぬような文部当局の今後の処置に関して、どういうふうに思っておいでになるか、お答えを願いたいと思います。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 先ほども、御質問に対するお答えの中でも、申しましたのでございますが、とりあえずの措置としては、第一期校はもう済んでおりましたので、第二期校の入学試験実施に際しては、そういったいやしくも誤った出題というふうなことのないように、この際特に注意をしてもらいたいという指示をしたわけでございますが、文部省としても、個々の大学に特にどうということよりも、やはり全体として大学の入試問題作成に当たっては、注意をしてもらわなければならぬと思っております。入学試験の実施につきましては、例年文部省で、具体的に各大学で出されました問題等も集めまして、いろいろ検討して、その結果を大学に流しているわけでございますが、これはむしろ誤りということよりも、高等学校教育との関連その他の点を考えての検討でございます。こういう誤りを犯した大学当局に対して、行政的な措置をどうするということは、文部省としては考えておりませんが、全般的に慎重にやってもらうという意味で、注意を喚起するということは、もちろん書面を通してもやりますが、大学長会議の際等にも、文部省として、特に学長さんに対して、また責任者に対して、話をするような措置をとって参りたいと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 関連質問。お伺いしますがね。教育大学にも、入学試験に関して、何か問題があったように聞いているのですが、そういう事実がありましたか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) ただいま手元に具体的な資料を持っておりませんが、教育大学で、歴史の入学試験の問題の中に、疑義を生ずるようなものがあったように記憶をいたしております。これはその答えが天平であるか、あるいは別の時代であるかというような点について、多少学説が分かれているということのようでございます。これはいわゆる歴史家と、それから美術史家との間に、学説が分かれているというようなふうにいわれている問題であったと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 これは私、先ほどから各委員から話が出ておりますが、間違いの起こらないように注意を喚起するというような措置以上には、現在のところ手がないのかもしれないけれども、どうもこう今回の入学試験に関して、ひんぴんとという言葉はちょっと過ぎるかもしれませんが、問題が発生しているということは、私は何らかのそこに傾向といいますか、そういう間違いを引き起こすような傾向とか原因とかいうものが考えられるのではないか。単に偶然に間違いがあっちこっちに起こったということでは、納得がちょっとできかねるわけです。その傾向に対して、それを十分考えるような、検討するような注意の喚起でなければ、一般的に間違いの問題を出さないようにしてくれというような、子供じみたような話では、再発を防止できないのではないかという感じがするのが一つ。  それからこういう間違いないしは間違いに似たような問題の処理は、推定があるのか何か知りませんが、とにかく結果は水増しということで問題を解決しているわけですね。どうもしかし国民の側から見ると、この水増し入学で問題を解決したということは、理解が困難でないかと、推計学上こうしたのであるといったようなことは、国民はあまり納得しないのではないか。何かこう場当たり式な、問題をばさっと伏せるために、便法的に水増しといったようなことで、その場限りで問題を防いだのではないかという印象がどうも一般的にぬぐい切れないのじゃないかという感じがするわけです。そういう水増し入学で事の落着をつけたことに対して一体、大学の方を担当しているあなたの立場からいって、問題をどう把握しておるか、見解を聞きたいのです。この二点。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 誤った問題が出題されたという点でございますが、確かにまだほかにもあるいはミスプリント、これは数字の誤りというようなはっきりしたものもあるようでございまして、こういう点については、私どもいわゆる校正の際の注意喚起というようなことはこれは必要だと思います。ただ、先ほどお尋ねの中にもございましたように、学説がいろいろ分かれておるような問題、こういう問題についてはよほど慎重にしてもらわないと受験者も迷いますし、また高等学校の先生方も非常に疑惑を持つわけでございますので、こういう点にはよほど厳重に警戒して問題作成をやってもらわなければならないと思います。先ほどお話にもございましたが、何らかの傾向ということでございますが、そういったいわゆる学説の分かれているようなものは、慎重にしてもらうということは一つの行き方であろうと思います。幾つかの大学で本年度の入学試験に誤りがあったということは、私ども関連性があるというふうには思っておりませんが、いずれにいたしましてもそういった、たとえば学説の点等のことにつきましては、私どもとしても入学試験の協議会等で今後さらに学識経験者の意見も聞いてみたいと思います。なお、この入試の誤まった問題が出題されたことに対する解決の結果でございますが、まあ水増し入学で安易に事を解決するというお言葉でございますが、大学当局としては、まあ出来いたしました客観的な誤った問題提出ということを、具体的に入試の合否ということと関連さして考える場合に、相当慎重には検討しておるようでございますが、できた結果が募集人員よりも上回わっておるという結果になったということでございまして、ただ水増し入学をさせればというような気持で事を運んでいるようには思っておりません。ただ、それでは募集定員まで合格させないような結果が出た場合にどうかということも考えられますので、まあ大学当局としてさしあたってのこの問題を解決する措置としては、やむを得ないものではなかろうかと思っておるわけであります。

北畠教真自由民主党

○北畠教真君 ただいま米田委員から言われましたので、私の申すことはなくなったのでありますが、最後に私、推定の方法によって水増し入学をやったというようなことが社会に大きな影響を及ぼしておるということを強く申し上げたいのであります。いろいろ日本の文教に対して問題が内在いたしておるのでございますが、種々批判もあり、社会的にある程度りっぱな文教政策が日本において行なわれておるというふうには考えられておりません。そういうさなかに入学試験問題でいろいろ一般の疑惑を招くとか、あるいは不安を与えるというようなことがあっては、将来の日本の若い人たちの教育に大きな蹉秩を来たす一因になるのじゃなかろうかと考えられてならないのでございまして、今後もちろん大学の試験に対して文部当局があれこれ直接に措置をやるということは慎むべきでありましょうけれども、こういう面について非常に強く各大学に、念願ではなくして、指示をしていただきたい。注意を喚起していただきたい。こういうふうに私思っております。これは私一人の意見ではなくして、各委員の方も、そういうふうにお考えになっておると思いますが、この点文部省が自治の侵害ではなくして、侵害せない程度において各大学に慎重なる態度を持って今後入試問題に善処していただくように、何らかの大きな注意を喚起していただきたいと思うのですが、この点もう一度重ねて御答弁を願いたいと思っております。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 先ほど来申しておりまするように、このたびの事件が受験者並びに受験者を持つ父兄等に非常に大きなショックを与えたことは私は事実だと思います。大学当局もまたもちろんこのことを解決するために事後措置といたしまして大へんな努力をされたことは事実でございますが、やはりこういうことが一度起こりますと、まあ不安と申しますか、懸念を持つのが当然でございますので、私どもとしては大学当局がこの事後措置をさらに慎重に適切に行なわれるということを特に希望しておるのでございますが、これと同時に、文部省といたしましてもやはりこれは個々の大学にこの措置をどうせよということではございませんで、全体的に入学試験の実施について特段の注意を払うように今後具体的な措置も検討いたしまして、注意喚起をするようにしたいと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 関連して、二、三問伺いますが、政務次官に伺いたいと思いますが、私はあの九大のダブル・ミス事件は最も低級で悪質だと、こう考えているわけです。しかし、若干起こった当時は同情的な面も一面私は持っておったわけですけれども、しかし、その後新聞を拝見していると、東大にあった。それから簡単なミスプリント程度でもあるいは長崎大学、あるいは山口大学、あるいは札幌医大、目についただけでも次々と報じられているわけですね。九大ほど低級にして悪質でなくても、数字を間違えただけでも私は相当重大だと思うのですよ。想起するのですが、かつては入試問題の漏洩事件等があったわけですね、その後秘密主義を守るということから秘密々々ということで、そういう扱い方も出てくるかと思うのですけれども、しかし、そういうことが理由にならないと思うのですね。大学のみならず、高校学校の入学試験についても新聞だけでもずいぶん報じられているのですね。たとえば岐阜もミスがあった。熊本にもあったというふうに報じられている。高等学校の入試についても。これは九大のあの問題が報じられてから、ここにもある、あすこにもあるという報道が報ぜられるようになって、国民の目にこういうふうにうつるのか。九大ほどのミスはないかもしれないが、それ以外のその程度のミスというものは例年あっているのかどうか。それによって私の考え方も変わるわけなんですが、これは例年どうなのか。その点、高等学校も関係がありますので、政務次官からお答えを願いたいと思います。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○政府委員(纐纈彌三君) お答えいたします。先ほど来各委員の皆様方から大学の入学試験問題につきまして、まあ悪質な、間違った出題をされたり、あるいは学説の決定してないような問題を出されたり、その他いろいろの問題で受験生に不安を抱かせ、また父兄の方においてもまた問題にされておりますることは矢嶋さんのお話しになった通りであり、文部省といたしましてもまあ非常に実は関心を持っておるような次第でございます。先ほどこういう傾向があるんじゃないかというようなことを米田委員からもお話があったようでございますが、御承知のように非常に大学以下高等学校、あるいは中学もそうでごさいますが、入学試験が非常にむずかしくなっておる。そこで新聞等を拝見いたしましても、どうもどうして志願者の多数をけ落とすかということに試験問題の重心が置かれているというような批判もあるわけでございます。従いまして試験官の方、出題をされる方々におきましても相当問題の選定には苦労されていることもわかるのでありますが、さような意味合いからして、ややともすればひねくれた問題を出される傾向があるんじゃないか、ということを私自身としてそういうことを考えておるようなわけでございますが、私もかつては先ほど矢嶋さんからもお話のような漏洩問題があったり、あるいは間違った問題が指摘されたということで今までも問題になったこともあるようでございますが、過去の問題につきましては詳しいことは私もはっきり申し上げかねることでありますが、そういうことが問題になっておりますが、昨年は今伺ってみまするというと、そういう事件はなかったということでございますが、今年は先ほど矢嶋委員からもお話のあったような意味合いにおいて、いろいろの大学で問題が起こっておるということはまことに文部省としても遺憾に考えておるわけでございます。従いまして先ほど来皆様方の御要望もありまするように、こうしたことが将来起こらないようなためには局長からもいろいろその方策について御説明も申し上げておるわけでございますが、さらに皆様方の御意向も体しまして、われわれもこの問題につきましては、もとより大学等につきましてはその自主性を尊重しなければなりませんので、これに細部まで深入りをして指示をするということはあるいは行き過ぎかもしれませんが、少なくともこの大事な入学試験、しかも最近の情勢から申しますと、七〇%程度はどこの有名校におきましてもほとんど浪人組が入っておるというようなことの情勢になっておりまして、自然入学試験というものが非常なむずかしいことになっておりまするので、なおさらそういう機会に問題の提出というようなことについても非常な私は注意を要することであろうというふうに考えるわけでございます。従いましてそういう趣旨のもとに今後とも十分文部省としても適当な措置をとって指示もいたしたいというふうに考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 例年の現象でなくて、本年に限ってだという答弁ですね。ミスプリントにしてもあるいは誤った問題にしても、提出された以上はどんなに水増し云々をやっても、完璧な解決でないと思います。これは三善、四善の策であって、一たび問題が提示されて、限定された時間内に多数の生徒諸君が答案と取り組んだあとにおいては、これは修正する方法はないと思います。私は一大学に起こった問題ならばそう重大に考えないですが、大学の入学試験にさらに高等学校の入学試験で、新聞紙上に報ぜられるだけでもあれだけの誤りがあったということは、これは私はわが国の文教の最高の府としての文部省は責任が私はあると思う。これは私は追及せざるを得ないですね。これは一大学にあった場合は、それは自治が尊重されなくちゃならぬですから、とやかく文部省から過ぎたくちばしを入れるべきではなくて、大学みずから私は責任を感じて適正な措置をとるだろうと思います。私はそれを見守っていきたいということもこの前意思表示をしておきました。しかし、先ほど申し上げましたように富山大学で云々ということも聞いております。いろいろの大学であり、さらに高等学校でも行なわれているとなると、わが国の文教の最高府ですから、文部省は当然総括的な責任を感じられなくちゃならぬと思うのですね。この点について政務次官どういう見解を持っているか、承っておきたいと思います。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○政府委員(纐纈彌三君) 先ほど私が御答弁申し上げました点につきまして、矢嶋さん少し受け取り方を誤っておられるようなんでございますが、私は今までなかったということは申し上げておりません。ことに前からもう新聞その他において漏洩の問題とか間違った問題があるということは承知しておりますが、たまたま昨年はそういう問題が起こっていなかったようだということを申し上げましたわけでございます。今お話のようにまことにこれは重大問題でございますから、われわれ文部省といたしましても先ほど来くどく申し上げておりますように、入学試験というものは非常にむずかしくなってきているのでございまするし、なおさらそういう際にこういうような問題の起こりましたことは非常に遺憾でございまするので、十分そういうことのないような措置を、具体的にどうするかという問題も、まだ私どもとしては先ほど局長から申し上げた程度のあれでございますから、十分一つ文部省も検討いたしまして、そういったようなことを再び繰り返さないような方法によって出題もしてもらうということに一つ努力をして、その意味においての指示をいたすようなことにいたしたいと考えている次第でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 私の質問に対してお答えいただけないのですがね。その点ピントを合わせてお答えいただきたいのですが、私はわが国の文教の最高の府の文部省に責任があると思うのです。これだけ多く行なわれていったら、その責任を感ずるか感じないかという点については、政務次官答弁されないということは非常に遺憾に存じます。問題は非常にむずかしい、教育的に考えてこの問題が適当かどうか、高等学校教育あるいは中学校教育との関連において適当かどうかという問題もありましょう。しかし、そういうことと私はこれは違うと思うのです。これだけ大学なんかにおいて、高等学校なんかにおいてミステークが行なわれるということは、受験者はもちろんのこと、さらに父兄、一般国民に及ぼす影響等考えますときに、国の文教の最高の府としては私は責任感じなくちゃならぬと思うのですね。感じているとか、感じていないとか、この点明確にお答えいただきたいと思う。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○政府委員(纐纈彌三君) 先ほど来非常に遺憾な問題だということを私も申し上げており、従って今後そういうことのないようにしたいという努力をいたさなければならぬということを申し上げておるわけでございます。もとより文教全体の問題から見ますれば、こういうような傾向にありますることは、ほんとうに残念なことでございます。しかし、出題の問題、試験問題等につきましては一応学校の方面でやっておりまするので、直ちにそれが、もとより悪いことでございますが、これを何とか直すという意味において、文部省としてもそういう誤りを再びしないというような意味においての責任は、文部省も感じておるというふうに考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 いずれ文部大臣にもただしたいのですがね。今の場合、荒木文政が、一面だけを非常にながめて、それに重点を及ぼしているという結果は、私は統轄的に全部の文教行政の面で落度が出てくると思う。そういう反省は当然持たれなくてはならぬと私は考えます。だから、これほどの事態が起これば、文部省としては深刻に反省して対策というものを当然講じられなくてはならぬ。そういう意味で私は伺ったわけです。  最後にもう一間は、資料の提出と質問ですがね。まず質問は、水増し入学については文部省に事後報告があったかどうか。あれは——大学予算を組む場合に学生費の単価がございますね。その単価によって大学の予算を算出するわけですが、その場合の基礎数に入れて、大学予算の配分についても当然配慮されるものと思うのですが、事後収拾策の一つとしてその点を伺います。  それから資料提出は、初中局長お見えになっていませんが、国立、公立の大学、それから国立、公立の高等学校の本年度の入試問題について、内容的な誤り——これはミスプリントも含めます、そういうものが何件あって、どういう事後処置をされたかということを文書をもって本委員会にできるだけ早く提出をしていただきたい。今、国立の第二期校が試験を済む段階ですから早急に整理できると思いますから、そういう資料を大学学術局、並びに初中局で整えられて委員長を通じて本委員会に対して提出していただきたいと思います。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) お尋ねに対してお答え申し上げますが、学生経費はその学校の学生生徒の現員をもって、現員に基づいてそれぞれ大学へ予算の配賦をするということをいたしておりますが、募集定員より実際の現員が多ければその現員に基づいて学生経費を配賦する予定であります。  なお、ただいまお求めの資料につきましては、できるだけ早く調製して御提出申し上げたいと思います。    ——————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  なお、本件につきましては、去る三月二日、文部大臣より趣旨説明を聴取いたしております。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 前回の大臣の提案理由の説明並びに説明書の中を読んでみますと、短期大学の中に付属学校を設置する、こういうことが出ておるようですが、この付属学校に対する基本的な考え方が現在の六・三・三・四という学制のあり方に対してある程度変革を加えて、いわゆる専門学校設置という構想といいますか、こういうものにつながる考え方から付属学校の設置ということが、宇都宮、長岡、宇部の三つの大学設置問題とも関連してくるのですが、そういう構想を文部省自身が持っておるという気がするのですが、どうですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 今回の設置法の一部改正におきまして国立の短期大学に付属学校を設置する、設置することができるというふうにしたいと思っておりますが、これは具体的に申しますと、久留米の工業短期大学に付属の高等学校を設置するということでございます。御承知のように、工業短期大学は技術者、中堅技術者の養成を目標として発足しておるわけでありますが、従来からこの技術に関する教育といたしましては、二年制の短期大学では十分でない。何とかしてやはりそれに付属の高等学校を設けまして、高等学校の段階と、短期大学の段階と連携させた教育をしてもらいたいという要望が、産業界のみならず一般にもあるわけでございます。この要望にこたえるために今回工業高等学校を久留米の工業短期大学に設けたいということでございます。ただ、これは六・三・三・四のシステムに変革を加えることにつながるのではないかというお尋ねでございますが、直接的には、これは現在の六・三・三・四のシステムのワク内において実施をするのでございまして、付属の工業高等学校は、御承知のように、高等学校の教育課程に基づいて教育を行なう、短期大学の方は、短期大学の設置基準の制約の中で教育を行なうわけでございます。ただ、実際具体的なやり方といたしましては、御承知のように高等学校の教育課程には幾つかの類型がございますので、上の方の、短期大学の方の教育課程にできるだけ近い類型のものをとるということによりまして、ある程度連携のある教育を実施するようにしたいというふうに考えておるわけでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 考えられておる学校の年限とか、課程については、そういう配慮が行なわれておっても、実際は短期大学、それから高等学校とこの中間的なところで先ほどもあなたの答弁があったように、現在の実業界のいろいろな諸要求、これにこたえていくという一つのねらいがあると思うのです。そうすると、どうしてもそこの発想の中には、いわゆる教育の必要な段階という観点から設置されるということよりも、むしろ何といいますか、短期技術養成機関で、すぐ実業界に役に立つ人間を安直に養成していく、こういったねらいが出てくると思う。そのことがやがては私立学校にも、工業高等学校の設置等が動き、そうしてやがては三年制の短期大学等も考えられてきたりして、現実の必要に応じて学校を設立ないしは付置していくという考え方が、学制の基本的なあり方をこわして先ほど言ったように、中間的な養成機関としての専門学校的な構想と、どうしてもこう必然的につながってくる可能性を持っておるし、またそれはある程度現在の池田さんの所得倍増、経済成長理論からして描かれておると思うのですが、文部省自身もそういう構想があるのではないですか、再度お尋ねします。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 大学の技術関係の学部の卒業者は、従来高度の技術教育を受ける、高級の技術者になるということで社会に出ておるわけでございまして、産業界と申しますか、社会的に短期大学程度の技術教育を受けた者を中堅技術者として受け入れたい、養成してもらいたいという要望は、大学教育の四年制の大学卒業者とは別に相当な要望があり、また具体的な需要があるわけでございます。この要望に基づいて国立といたしましては、久留米の工業短期大学を作り、また昨年は北見の工業短期大学を設置したわけでございますが、このたびの付属の工業高等学校は、現在の教育制度、学校制度の基本的なあり方、基本的な制度のワクの中で社会の要望に応じたいということでございまして、短期であるから特に安手な安直な技術者養成をやろうということというふうには私ども考えておりません。現在の教育制度のワクの中でできるだけ社会の要望に応じていくという態度でこの付属高等学校設置ということにしたわけでございます。もちろん社会的にはこういう程度ではまだまだ不十分であって、もっとこの五年制の教育機関としても五年間一貫した、充実した教育を行なうような制度を作るべきであるという要望がございます。ございますが、現行の制度のワクの中でその要望にできるだけ沿うようにするとすれば、この付属工業高等学校設置ということ以外には私どもはなかろうと思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 だから問題があるのです。いわゆる四年制の大学を卒業した工業関係の人間、これが言葉は悪いのですが、実業界のある部分から毛ぎらいされて、短期大学ないしは工業高等学校出とそこに低賃金、徒弟養成制度の思想があるのですよ。どんな工場でも賃金ということを抜きにしていけば優秀な技術者、原則的には小学校出よりも中学校、中学校出よりも高等学校、高等学校出よりも大学四年制を出た人間がその工場でいろんな部門の作業に従事するということは好ましいはずなんです。その際に一つの問題になってくるのは、大学出の方が高等学校出よりも賃金が高いということなんです。ここに必要だ必要だと言われながらも低賃金、徒弟制度の根本思想があるのですよ。だから社会の要請という現実の姿はわからないことはありませんけれども、むしろ文部当局としてはこの久留米工業短大に付属高等学校を設置することによって一つの従来の基本的学制のあり方に対するテスト・ケースを作っていく。ここから学制改革ないしは今言いましたような専門学校構想、こういったものを底流に描いてあるんじゃないかという気がするのです。むしろ私は大学学術局としては、四年制の大学を卒業する者を、施設を充実してもっと多く卒業さして、四年制の工業大学、あるいは国立大学の工業部を卒業した人間が、いわゆる必要な産業部門の主要パーセンテージを占めていくということの方が、池田さんの経済成長理論からすると遠大な構想としては当然だと思うのです。やはり私は先ほど指摘したように、どうしてもその底流の中に学校制度の改正というのが、荒木大臣が言った教育基本法の改正の問題とつながって、同じ構想の中でこの問題は現われておるような気がするのですが、もう一度御答弁お願いします。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) この五年間を相当程度連携のある教育をしたいということにつきましては、すでに相当前から、これは社会的な要請と申しますか、実業界の要請として出ているわけでございまして、いわゆるフォアマンの養成ということがいわれておるわけでございます。確かに企業をとってみますと、技術者の職務の分野といたしまして四年制の大学を卒業した高度の技術者でなければできない分野もございますが、そうでなしにいわゆる中堅技術者——フォアマンの受け持つべき職務の分野もあるわけでございまして、こういうものに着目されてそういった要望が相当強く出ておるわけでございます。この要望にこたえるためにこの付属の高等学校をつけて五年間の教育をしようということでございまして、実はこういったシステムをとっておりますものは、すでに公立の短期大学や私立の短期大学には事例があるわけでございます。なお、考えの発想といたしましては、先ほど申しましたように、すでに前々からそういった要望があることに対してこれにこたえるということでございまして、従ってただいま問題となっておりますところのいわゆる所得倍増計画ということと直接関連してこれが考えられたということではないのでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 短期大学で一つのカリキュラムが組まれておる。それに対して一般の高等学校から入学してくるものが、いわゆる何といいますか、すぐ実社会の要求にこたえるような技術訓練よりも、むしろ人間としての一般教養の方が主になっておる。そこで付属高等学校を作って、ここで原始的な言葉ですけれども、金づちとスパナを持ってすぐ役に立つような技術教育をやっておる。そうして二年間の短期大学で養成し、仕上げていく、こういう構想がどうしても法案の趣旨説明、それからまた後に出てくる、何といいますか、工業教員としてのあれの中に教職課程の免許状をとらないでもいい、こういった発想を一連としてながめてみますと、やはり今局長が言われたように、中堅技術者というか、あまり一般教養を身につけたくともハンマとスパナを持ってすぐ役に立つような人間の短期養成と、こういった点につながっておるような気がするし、北見工業短期大学の際に同趣旨の意見を前国会の際に述べたのでありますが、今度新たに設置される宇都宮工業、宇部工業、長岡工業、それぞれの短期大学にも同様の考え方があるような気がするのです。  私はきょうは時間の関係もありますので、次回に譲るとしまして、次に進みたいのは法案の「第三条の表大阪大学の項中「工学部」を「工学部基礎工学部」に改める。」、このように書いてありますように、工学部と基礎工学部との対比と申しますか、比較と申しますか関連は、どういうことなんですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 大阪大学には御承知のように従来から工学部がございまして、工業技術に関する教育研究ということを目標にしてきておるわけでございますが、最近これも産業界等、あるいは学術分野におきましても工業技術ということのほかに、工学そのもの、科学的な基礎理論、工学に関する面に終始した教育を行なう必要があるということが非常に強く要望されておるわけでございます。単に現在ある技術についてのいわゆる教育研究ということでなしに、今後将来基礎的な方面に着目しまして、できれば新しい技術を作ったり開発する能力を育成するということに方向を求めるべきではないかということがいわれておりまして、こういうことに重点を置きまして大阪大学では数年前から基礎工学部というものを作りたいということを言っておったわけでございます。文部省としてもこれを取り上げまして一昨年以来予算の要求はいたしたのでございますが、基礎工学部としては認められませんで、学科の増設ということだけが一部昨年度認められておりました。明年度の予算にははっきり学部として学科の増設をすることが認められましたので、その点をはっきりさせまして御提案を申し上げた次第でございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 基礎工学部に関する構想については別に異議はございません。ごもっともだと思いますが、そのことによって大阪大学の工学部そのものの内容が、基礎工学部の方に工学理論の方は取り上げられておる、こちらの方が何といいますか、弱くなっているというような傾向はございませんか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 先ほどのお答えの中で一部申し上げましたが、昨年は基礎工学部の中に含まれるべきものの中の一部を工学部の中に学科として付設いたしましたのですが、本年度は予算的には基礎工学部が認められましたので、昨年増設しました学科一学科についてはこれを今回の基礎工学部の方に移すということにいたしておりますが、それ以外の点については従来の工学部の中からこちらの方に転換するというものは現在として考えておりません。従って従来の工学部を弱体化させるというような結果には私はならぬのじゃないかと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 基礎工学部が常置されて、大阪大学の工学部は先ほど言ったような技術工学部という傾向が強くなりそうな気がするのですが、まあただいまの御答弁で大体わかりましたので、次回までに工学部と基礎工学部にそれぞれ設置される大体の主たる科目といいますか、出していただきたいと思うのです。  次に質問を進めたいと思いますが、提出法案の第四条に、広島大学原爆放射能医学研究所の設置ということですが、これに関してまずお尋ねいたしたいのですが、国立学校設置法の第四条の2ですか、「前項に掲げる研究所の外、国立大学の教員その他の者で当該研究施設の目的たる研究と同一の研究に従事するものに利用させるため、国立大学に、左表に掲げる通り、研究施設を附置する。」と、こういうことですが、「国立大学の教員その他の者で」ということは、大体従来はどういう人々がこの研究機関を利用しておったのですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 国立学校設置法の四条第二項の、「前項に掲げる研究所の外、国立大学の教員その他の者で」という点でございますが、これはいわゆる私ども共同利用の研究所と称しておるものでございまして、それぞれの大学に付置はされておりまするけれども、その学問の性質上あるいはその研究の規模等からいうと、大学所属の職員だけで研究するということではありませんで、国立のその他の大学あるいは民間の、いわゆる私立の大学も入りますが、民間の研究者もこのこれらの研究所では加わって研究ができるという趣旨から、いわゆる共同利用の研究所が置かれておるわけでございます。「その他の者で」と申しますのは、従って民間の、私立大学の先生あるいは民間の研究機関の研究者という者も入るわけでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 局長は小説「氾濫」をお読みになったと思いますが、あの中に出てきますように、冬民間工場の中に研究機関を置いて、それぞれ研究をやらせておる。従ってただいまおっしゃったような用語の範囲内でなくて、民間のいわゆる諸企業の中の研究機関の人も利用するということが実際にあるのじゃないですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) これは御承知のように現在できておりますのは宇宙線観測所、原子核研究所、物性研究所、それから基礎物理学研究所、たんぱく質研究所、これだけが出ておるわけでございます。これらの学問の分野は非常に特殊専門的なものでございまして、一般的に民間の企業のいわゆる企業内の研究機関の研究者が直接一般的にこれに加わるということはないと思います。ただ、やはりたとえば原子力関係というようなものをやっております企業の中で、特に原子核の研究等ですぐれた業績のあるような人がまれにこういう共同利用の研究所の研究に参加するととはあろうと思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 従来もそういう事実があったということですね。第四条第二項の一、二、三、四、五つの研究所あるいは観測所ですね、これに関して従来も私が指摘したような、「国立大学の教員その他の者で」の中に、民間の研究機関その他が包括されると思いますけれども、企業の発展のために特殊な研究に従事している人たち、そういう者がこの研究機関を利用した事実があったということですね。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) その点につきましては、私はたとえば民間企業の研究機関におりましても非常にそれらについての専門家がありまして、こういうところで共同研究をするにふさわしい人がある場合には、参加することがあろうと申したのでありまして、具体的にこれらの研究所でいわゆる研究員として入っておりましたかどうかということにつきましては調べてみなければちょっと的確なお答えはできませんが、もし必要でございますれば次回のときまでに調査いたしましてその点についてはっきりしたお答えを申し上げたいと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 今回同種のもので新たに設置されたものは名古屋大学のプラズマ研究所ですね、これに関しましても同様の危惧は持つのですが、先ほどの、すでに法律の中にあります研究所とプラズマ研究所に関する研究の大綱と申しますか、一応私次回までに出していただきたいと思います。なぜ私がこのことを気にしているかと申しますと、これも先国会の際に私自身も大臣の所見をただしたのですが、東京大学に工学部関係であったと思いますけれども、研究施設が不足するというために産業界の知名の士が相寄って数億の寄付をして、東京大学の中に研究施設を作るという問題がありました。その際にも私はなるほど国立大学の予算が不足するために民間から寄付を受けるということは、単に国立大学でなくて、義務教育の場合でも従来行なわれたことですけれども、このことが今の何といいますか、民間企業のあり方からいって、国立大学の自主的な研究体制というのが侵されてきて、施設を寄付したところの当該企業体なり、あるいは寄付された諸団体ならが自分の企業発展のために研究費を大学教授に出す、それを直接教授が研究していく、こういった形になってくると、研究そのものは学問的にりっぱであっても大学の研究、学問の自治というものが寄付を受けたために侵されてくるという危険性ができてくると思います。新たに設置されるプラズマ研究所も共同利用の研究所であるし、先ほど申しました五つの研究所、観測所等も同様のものでございます。従ってここの中に設置されるものについては大した疑義を持たないんですけれども、従来の文部大臣の答弁のように、国立大学であってもどうしても予算の関係でその研究施設が不十分である、こういった事態が生じると、先ほど東京大学を指摘したような現象が出てくる。その際に、企業の直接的な課題であるところの研究が、研究費を与える、あるいは施設を寄付すると、こういった形の中で行なってこられるとすると、大学の自治、研究の自由というものが次第に侵されてきて、国立大学が企業の一つの、何といいますか、研究施設機関のような形になることを心配するんです。そこで、先ほど申し上げましたように、プラズマ研究所はもちろんのことですけれども、すでに設置されている五つの研究所に対しましても、従前いわゆる純粋の民間研究、学者の機関でない企業的な研究者の利用度等についた、次回まで資料をぜひとも出していただきたいと思うんです。  それから、先ほどお尋ねした広島大学の原爆放射能医学研究所ですね。これと科学技術庁にある放射線医学総合研究所との関係についてお尋ねしたいんですが、しろうとから考えると、似たような施設のような気がするんですが、その対比について簡単に御説明願いたいと思います。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 放射線医学総合研究所は、これは科学技術庁設置法に規定されております。それによりますと、「放射線による人体の障害並びにその予防、診断及び治療に関する調査研究を行うこと。」それから「放射線の医学的利用に関する調査研究を行うこと。」それから「放射線による人体の障害の予防、診断及び治療並びに放射線の医学的利用に関する技術者の養成訓練を行うこと。」、こういうことを規定いたしております。従って、この放射線医学総合研究所は、いわゆる放射線全体に関する医学的な研究をするのでありますが、このたびの広島大学に設置したいと思っております原爆放射能医学研究所は、「原子爆弾の放射能による障害の治療及び予防に関する学理並びにその応用の研究」ということでございまして、先ほどの放射線医学総合研究所が放射線医学一般というのと違っておるわけでございます。原子爆弾の放射能に関する特別の部門は、放射線医学総合研究所には置かれていないわけでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 科学技術庁の放射線医学総合研究所は、いつ設置されたのですか。大よそでいいです。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 三十三年ごろであったと思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 なるほど、局長が説明するように、こちらの方は「原子爆弾の放射能による障害の治療及び予防に関する学理並びにその応用の研究」と、こういう用語を使って区別することは可能であるかもしれません。しかし、実際に学問の分野に入りますと、専門的なことはわかりませんけれども、「障害の治療及び予防に関する学理並びにその応用の研究」ということになってくると、勢い放射線一般の研究と必ず学問の分野においてはダブってくると思うんです。全く無関係にそれが成立することはあり得ないと思うんです。どうも、広島大学にこれを作られることについては異議はないんですけれども、私感じますのは、科学技術庁にできて、これがじゃんじゃんやっておるか、ぼんやりしておるか、そいつは知りませんけれども、こっちができたから、広島大学は、原爆が落ちた中心地だから、お株をとられては大へんだという点から、何といいますか、大学のセクトから設置されたような気がするんです。やはり、でき得べくんば、いずれかに総合した、こういう日本が世界でただ一カ所原爆を受けたあれですから、幾つも研究機関を設置することもいいんですけれども、世界に誇り得るような総合的な研究機関に統合して、個々の研究所を別に設置していくというよりも、総合研究所を拡大強化していくということの方がよろしいという判断に立つんですが、局長のお考えはどうですか。

小林行雄文部省大学学術局長

○政府委員(小林行雄君) 御承知のように、原爆の放射能障害につきましては、現在まだ決定的な医学的な方法が確立されておりません。で、文部省としても、従来、広島大学の付属の研究施設といたしまして原子放射能基礎医学研究施設というものを昭和三十三年に設置いたしまして研究をやってきたのでございますが、今回この研究施設をさらに拡充し整備するということにいたしましたわけでございます。これは、御承知のように、原爆放射能は、一般のいわゆる放射能と違いまして、一般の放射能に比べて格段にその威力が強い、そうして被害が非常に多くの人に及ぶという特徴がございます。また、いろいろな放射線が原爆からは飛び出しますが、特に非常に力の強い中性子線というものが大量に出ると言われております。また、原爆だけの特徴といたしまして、第二次的な誘導放射能というもの、あるいは放射性の下降物の影響というようなものをいろいろ調査しなければならぬというように言われております。私、専門家ではございませんのでよくわかりませんが、原爆には特別な放射能としての特徴がある。従って、放射線一般として放射線医学総合研究所というようなところで御研究にはなっておりまするけれども、特定の問題として原子爆弾の放射能による障害の治療あるいは予防というものをやはり徹底的に研究する必要があると認めて今回の御提案になったわけでございます。文部省としては、決して大学側だけのいわゆるセクト的な考えでこれを設けようとするつもりはございません。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 これについては私全くしろうとですから、そういうふうに効能書きを越中富山の薬売りのように並べられると、なかなか反論の根拠がないんですけれども、どうもいろいろ二、三の学者に聞いてみても、科学技術庁なら科学技術庁、広島なら広島に——今おっしゃったように原爆と一般放射能はそれは学問的にはいろいろの相違点がありますけれども、この提案の法律の中に書かれておるような予防にしろあるいは治療にしろ、ほんとうに研究していこうとするためには、原爆放射能だけの研究では不足だというのは、これはもうほとんどの学者が認めておるところですね。だから、片や大学、片や技術庁と、こういう点がどうも私は学者のセクトあるいは文部省のセクトから出たような気がするんですが、この点に関しても当該新たに設置される研究所の内容と、特に教授、助教授、講師等についてはそれぞれ専門部門、科学技術庁についても同様のものを提出していただいて次回の審議に資していただきたいと思います。  私の質問は以上で終わります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 この法案と取り組むはらごしらえをきめるために必要なので一間だけいたしますが、政務次官にお答え願いたいですが、新聞紙上で報じられている高等専門学校に関する法案は内閣提出の形ではこの国会には出ない、かように了承してよろしいかということ、それから既存の短期大学の北見、それから新設される宇都宮ほか二つの短期大学には、久留米の短期大学と同様に、付属の工業高等学校を設ける方針なのか、設けない方針なのか、この二点明確にお答え願います。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○政府委員(纐纈彌三君) お答えいたします。第一問は、今、政府提案として出したいという考えのもとに進んでおりますが、まだ全部の手続を完了いたしておりません。一応そういう考え方を持っております。  第二の問題は、御承知のように、久留米に認めましたが、あとの短期大学につきましては、一応付属を認めたいという希望を持っておりますが、御承知のように来年度の予算には計上はいたしておらない状態でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 最後の一問ですがね、政府なり文部省の工業技術者養成計画の方針というのは明確でないですよ。私はこの法案はそれが明確にならなきゃ審議できない、文部大臣がおいでになっていないですから。省内でもう一ぺん協議してお考えをはっきり整理しておいで願いたい。これはこの法案が内閣提出で、さらにまた高等学校のが内閣提出で、久留米には、付属高校を設けたが、他のには設けない、設ける、そんなことが明確になっていないで、一体工業技術者の養成計画をどうあるべきか、どうしようという考えでおるのかということが明確でない、はっきりしていないです。そういうことで立法府はこの法案と取り組むことはできない。この法案は他にも問題がありますけれども、そういうことで審議をしていく以上は、提出者である内閣の方針というものが明確にならなきゃならぬと思いますので、この次まで失礼ながら頭を洗い直してきていただきたい、お願いをしておきます。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 他に御質疑ございませんか。——本日の審議はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十一分散会    ————・————

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