農林水産委員会 第56号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/06/07
会議録
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農業近代化資金助成法案(閣法第一〇八号)、農業信用基金協会法案(閣法第一一一号)、農林中央金庫法の一部を改正する法律案(閣法第二〇三号)、以上いずれも予備審査の三案を一括議題といたします。 それでは、以上三案について御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
○植垣弥一郎君 きのうの当委員会で、農業近代化資金の利率についてお話し合いがありました。その件について伺いたいと思います。金利を安くする事柄は方々で希望していることでありますから、当然のことでございますが、いろいろの制約があって実行がむずかしいんだという意味の政府御答弁を聴取しておりますが、これはやりようによっては、金利が三分にも四分にもまだ安くなるという結果になるような方法が考えられます。しろうとですからよくはわかりませんけれども伺いますが、この資金は家畜の導入、農作業の機械化等農業の生産施設等の整備拡充にかかるものの資金でございますが、これらの家畜なり、機械なり畜舎その他の設備等に対する償却年数を短縮することによって、ただいま私が申しました目的を達することができるんじゃないかと思うわけであります。早めに償却する方法を考えていただきまして、その償却が支出に認められ、またその支出が生産費に加算されて、米麦のごとき政府買い上げの品物とか、その他農産物価格安定法による指定農作物だとかというものの価格をおきめになるときに、その償却金額がコストに入るわけですから、自然に農家の方へはいい採算になると思うのであります。そこでお伺いいたしたい事柄は、先刻申し上げましたような機械なり、設備なり、家畜なりの現在の生産費に認められる償却は、その償却年数がどういうふうになっておりますかどうか。それからまた、それの償却年数が短縮できるかどうかということをお示し願いたいと存じます。
○政府委員(坂村吉正君) 御質問の御趣旨はごもっともでございまして、現在におきましても、新しいいろいろ合理化のための機械、大きな機械でございますが、そういうものを入れまする場合について、償却等につきましては、租税特別措置法である程度の年限の短縮というようなことで措置を講じておるのでございますが、これらの措置がどこまで広げられるかという問題につきましては、まだ十分に検討はいたしておりませんけれども、そういう御趣旨で今後償却等の面で相当有利に扱えるというものがあるようであれば、そういう点は十分一つ検討をいたしてみたいと思っております。現在は新しい機械等を入れまするための償却について、特別な、特殊のものについて優遇の措置を講じておるというような状況でございます。
○植垣弥一郎君 ただいまも申し上げました償却期間の年数を短縮して、結局間接ではあるが、利子の補給にもなり、利益になるんだという点は十分に御了解願えましたですね。
○政府委員(坂村吉正君) そういう御趣旨で、私どもも十分検討いたしたいと思っております。実は先般の税制改正のときにも、農業用の固定資産の耐用年数を二〇%従来に比べて短縮をしたという特別の措置を講じたわけでございますが、こうした問題が今後の近代化、資本装備の高度化の場合におきましても、非常に必要であろうと思います。いろいろの面から必要であろうと思いますので、検討いたしたいと思います。
○植垣弥一郎君 その機械なり、建設物の種類別償却年数というものは、ただいまおわかりになりますか。
○政府委員(坂村吉正君) ただいまその資料を持ち合わせがございませんので、今必要であればすぐ資料を取り寄せてお答え申し上げたいと思っております。
○植垣弥一郎君 ただいまお願いしました資料は、別段急ぐものでもございませんから、おついでのときにでも、委員会にお届け願えればけっこうだと思います。 それから、こういうことを伺っては愚かの至りでどうかと思いますけれども、この近代化資金の対象になるものに、農地の集団化等土地保有の合理化ということがございますのですが、この農用の土地の償却の件ですが、これは、土地は償却はされないと思いますけれども、土地を価格に見積もり、それの利息に相当する金額は、生産費の一部に加わってお取り計らいになられておるものでしょうか。
○政府委員(坂村吉正君) これは、近代化資金の対象は土地の取得については対象にいたしておりません。農家の資本装備の高度化ということで、いろいろの施設を改良していく、こういうことをねらいにしておるのでございまして、たとえば農舎であるとか、畜舎であるとか、あるいはサイロとか、それから機械類の、原動機、排水機、耕転機、そういう農具関係というようなもの、それから、たとえば果樹振興法でも問題になっておりましたように、果樹の植栽、果樹振興に乗っからないような果樹の植栽のための資金だとかというような、それから綿羊、ヤギのような動物の購入資金、こういうようなものを対象にしておるのでございます。
○植垣弥一郎君 農用土地をある価値に見積もって、その価値に対する金利というものは、とにかく生産費の要素にはなっていないということですか。
○政府委員(坂村吉正君) 農産物の価格をきめておりまするものは、米麦等でございますが、それも直接私の所管ではございませんので、正確にお答え申し上げられませんけれども、価格をきめます場合には、利子等も中に入っておるのじゃないかと思いますけれども、確めましてからお答え申し上げたいと思います。
○植垣弥一郎君 そのことを伺いますのは、最近、特に農業が他産業の収入と比較されることが問題になっているわけでありまして、他産業にしろ、農業にしろ、その所得というものを見る場合には、収支のことがやはり考えられるわけなんです。農業から見た他産業のほとんど全部は、土地代についても利息を払うとか、またそのために要した資本費に対する配当をするとか、他産業はどこでもその土地投資に対する利息というものの支払いが経費に見られて、収支が立てられておるわけです。しかるに、農業だけがそういうコストの算出方法をとらないでおるということに考えられるんですが、実際はどうなっておるんですか。
○政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通り、今後農業の近代化を進めまして、農業の従事者が他産業の従事者と均衡ある生活水準が得られるようにというようなことでいろいろの施策を進めていく場合におきましては、当然かかりまする、たとえば資本利子であるとか、その他の経費が織り込まれまして、しかもそれで収益が上がると、こういう考え方でいかなければならぬと思うのでございまして、現在の価格の計算方法におきましては、どの程度の利子等を織り込んでおりますか、具体的には私今つまびらかにいたしておりませんけれども、現在の価格におきましても、当然そういう費用などは含まれて価格決定が行なわれているというふうに私は考えております。
○植垣弥一郎君 私が伺いたいと思う事柄はこれで終わりでございます。
○東隆君 私は、ただいま植垣さんの質問されたことを中心にして、農業基本法の方で実はお伺いをしたわけです。それは、経営と生活を分離するのかと、こういう点で質問をいたしましたところが、これにははっきりした答弁をもらうことができなかった。それで私は農業を企業として見るのが自立農業経営でないかと、こういうふうに考えたものですから、この点を実は質問をいたしました。それで企業として農業を考えた場合でありますと、先ほど申しましたように、資本に対しては利子を要求しますし、労働に対しては適正な労働賃金と、それから経営からは利潤が出てこなければならぬ。それで資本の方は土地と普通の投資と、こう二つに分かれましょうけれども、その場合に土地に対しては、私は地代を要求して差しつかえないのだ。そういうふうに考えて参りますと、自立経営というのは経営に対しては利潤、それから利潤もそう大きな利潤でなくて、ある程度の適正な利潤、それを含めたものでなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。そういうふうな意味で、私は農業、近代化資金の関係でもって対象になるものは、第二条の三項の、「この法律において「農業近代化資金」とは、」と、こういうところで、そこのところに「当該農業者に対して貸し付ける資金(畜舎、果樹棚、農機具、農業用道路その他の施設の改良、造成又は取得に要するもの、果樹その他の永年性植物の植栽に要するもの及び乳牛その他の家畜の購入に必要なものに限る。)」と、こういうふうに前提を置いてやってあるわけなんです。従って、これについての適正な計算方法をやはりお示しになっておく必要があるんじゃないか、こういうふうに考える。で、今の考え方からいって、償却その他についてやはり相当お考えになっておく方が適正でないかと思うんですが、そういうような計算から参りますと、私は金利が非常に高いという結論が出てくると思うんです。私はそれの計算をすればするほど、この金利では成り立っていかないと、こういう計算ができてくると思うんですが、この辺のところを計算おやりになりましたか。
○政府委員(坂村吉正君) 御質問の御趣旨はごもっともでございまして、実は一例をとってみましても、たとえば農地を拡張するというようなことで農地を買いましても、現在一反当たり十五万円とか二十万円とかしておるというような状況でございまして、それだけの金を払って、それに対する利子を払った場合に、ほんとうにそれじゃ農業経営がそれを償却してやっていけるというようなところまでこれはいけるのかどうか、これは非常に今後の問題としてむずかしい問題であろうと思うのでございます。そこで、たとえば土地の取得資金等については、自作農維持創設資金をとりあえずは運用いたしまして、あれを拡張いたしまして、そうして、まあこれは五分でございますけれども、これを拡張してとにかくやっていこうと、こういうふうに考えるのでございますけれども、今後の問題といたしましては、どうしてもやはり土地の取得、経営の拡大というようなところに対しての金融の措置を、特にその通りのものを考えなければ、なかなか目的に沿わないというようなところが出てくるのじゃないかというふうに思われるのでございまして、この問題は衆議院でもいろいろ御指摘がございましたので、今後検討しなければならぬという問題に相なっておるのでございます。また、これらの施設につきましては、ここに取り上げてありますようなものは、お配りしてありまするかどうかわかりませんが、政令の指定です。政令で規定することになっておりますので、政令で一体あらゆるものを施設については拾い上げまして、必要なものを拾い上げて、それを対象にしておるというふうに考えておるのでございます。そこで、それらの耐用年数というものは、十分おのおの個々に考えまして、それで一々あまりこまかく分類をするわけにも参りませんので、たとえば十年であるとか十五年であるとかいうようなことで分類をいたしまして、そうしてその耐用年数等に応じた償還期限等をきめて参りたいというふうに考えておるわけであります。今までは政府の原案が十年以内ということを原則としておりましたものですから、大体十年を原則にいたしまして、共同利用施設については十五年の償還期限というふうに考えておったのでございまするけれども、衆議院の委員会の方でも一応修正がございまして、法律の条文を十五年以内というような立法にするということになりますれば、最高十五年、それから十年、それから七年というふうにずっと耐用年数に応じた償還期限をきめたいということになっておるわけでございます。
○東隆君 私は償却の年次とそれから償還の年次を一致をされては、これは非常に問題になろうと思うのです。それで今お話しになったように、その耐用年数と償還の年数を一致せさるような、そういうお計らいでもって年次をきめられると非常に仕事がしづらいのじゃないか、それで償却年次はコストの方に落とすとすれば、これはやはり短くしなければならない、それで、そこの関係は通り一ぺんのやり方でもってやっていけば、ますます経営の面では、金を借りた方では苦しくなるのです。その辺は今お話しになったことでもって通されると、共同経営等の場合に、相当大きな農具を導入しまして、そういうような場合に計算で、コストで落としていく場合にはいいのですよ。だけれども、その年次と償還の年次を合わせるというふうにされると、これはとんでもないことになるのですから、今お話しになったのをちょっと聞くと、そういうふうに聞こえますが、その点はどうなんですか。
○政府委員(坂村吉正君) 耐用年数とそれから償還期限とぴっちり合わせるという意味ではございませんので、施設によって耐用年数等を考慮いたしまして、償還期限を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。実際問題として、農業経営がどういう工合に進んで参りますか、いろいろの近代的な装備をいたしました場合の経営状態等を実際問題としては、現実に動いていくものでございますから、見なければならぬと思うのでございまして、その場合に、とにかくあまり無理な償還でないようにと、こういう趣旨でこの償還期限等を考えて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
○東隆君 昨日、改良資金その他のものを含めて一応いろいろ工作をされておるようなお話だったのですが、従ってその分については金利の安いものもあるのだと、こんなようなお話もございましたが、大よそどういうようなものを一応お含みになっておるのか、その概略をお聞きしたいのです。
○政府委員(坂村吉正君) この近代化資金の制度に従来の制度を取り込みましたものは、一つは有畜農家創設資金でございます。それからもう一つは、農業改良資金のうちの施設資金でございます。で、有畜農家創設資金は、金利は従来も七分五厘でございまして、これは国の利子補給が全額の利子補給でございまするので、これの条件を悪化させませんように、そのままこの分については全額、こういうふうに考えておるのでございます。それから農業改良資金は、御承知のように技術導入資金というものと、それから施設資金と、二つに分かれておるのでございます。そこで、技術導入資金といいますのは、昔の新しい技術を入れるための補助金を、融資にかえたものでございます。これはほとんど県と国の金で、無利子で貸しておる。ですから、従いましてこれはちょっと性格が違うものですから、この無利子のいわゆる技術導入資金ははずしまして、従来通り農業改良資金として残しておきますけれども、施設資金は、いろいろの施設を、たとえば畜舎を入れるとか、堆肥舎を作るとかというものに対して、農業改良資金でやっておったわけでございますが、これは大体金利は、従来は八分から一割くらい、施設資金については。利子補給をいたしましても八分から一割くらいのものでございまして、そこでこれをここに取り込んで七分五厘で貸す、こういうふうに持っていったわけでございます。ただ、農業改良資金の中の施設資金の中で、特別に安いものが一、二ございまして、それは耕地、防風林の造成の費用でございますが、これは今まで五分五厘でやっておったわけでございます。どちらかといえば、土地改良に近いような仕事でございます。それからもう一つは、農林大臣の定める規模をこえない規模の農地または牧野の改良造成ということで、これは工事費が十万円以内、非常に小さい土地改良でございます。これは農業改良資金の施設資金の中でやっておったわけでございます。これについては、やはり土地改良をあわせまして五分ということで今まで貸しておったわけでございます。従いまして、この二つのものは五分五厘と五分ということで、従来と同じような仕方で取り込んでいく、こういうふうに考えておるわけでございます。
○千田正君 この近代化の問題は、他産業との格差をなくすというのが、いわゆる農業基本法の原則なわけでありますから、それに付随してくるところの近代化資金助成法案と私は考えておるわけでございます。それで局長に伺いますが、他産業で、こうした意味合いの助成が出ている産業は何かということと、そういう方面に出しているところの金利は、これと同じように七分五厘でいっておるかどうか。どれとどれがそれに該当しているものだということを伺いたいのです。
○政府委員(坂村吉正君) 今までこういう性格のものは、各省調べてみますと、個々にはこまかいものはございましょうが、大きな制度といたしまして目につきますのは、中小企業の近代化資金だろうと思います。中小企業の近代化資金といいますものは、御承知のように中小企業の施設の近代化のための特別な資金制度でございまして、ことしは三十億の国の資金をこの中小企業の近代化のために使う、こういうようなことで、ことし大きく発展をいたしましたわけでございますけれども、これは条件は無利子でございます。まあこれと、この近代化資金といろいろ比べまして、いろいろの御意見もあるところでございますけれども、農業の場合におきましては、先ほど申し上げましたように、農業の新しい技術導入のための資金につきましては、農業改良資金の技術算入で、無利子の金を、これはずっと数年前から貸しておるわけでございます。それからそのほか施設に対する低利の金利といたしまして、農林漁業金融公庫で三分五厘から七分五厘の範囲の金利で、平均利回り五分五厘というもので、これはことしも六百億というワクで、そちらの方はやっている、こういうようなことでございます。それよりもある程度、だから条件が幾らか落ちますけれども、中期的な性格のもので、しかも系統の金を使っていくというようなものに対する助成を講じまして、やっておる、こういう性格のものでございまして、中小企業の近代化資金とはちょっと性格が違うのではないかというふうに考えておるわけでございます。それから一般に国の何といいますか、政府機関のような姿で金融をしているものがございます。それは御承知のように中小企業金融公庫、それから国民金融公庫、それから開銀というようなものがございますけれども、中小企業金融公庫の金利は現在九分でございます。それから国民金融公庫におきましても九分、それから開銀が今まで九分三厘でございましたけれども、ことしから利下げをいたしまして、八分七厘というようなことでございます。これらに比べますると、ここでいう系統の金を使うという建前の近代化資金においても、これらの面では相当安くなっているというふうにいえるのではないかというふうに考えます。
○千田正君 説明はそういうことになるのでしょうが、しかしこれは単独立法ではなくて、農業基本法という本来のいわゆる憲章みたいなものを今度通過させて、その農業基本法に基づいて、農業の格差をなくしていこうじゃないか。そのためには、相当将来の収入をはかり、かつまた農民の生活の水準を高くしようという意味において、農業基本法というものが出たのでしょう。それに即応してこういうものをやっていくとするならば、その原則にのっとるためには、七分五厘というのは僕は高いと思う。そういう意味で私は高いと思わないかということをあなたに聞きたい。私はあくまで、農業基本法という立法の精神に基づいたならば、金貸しじゃないのだから、ほんとうだったら、これはただで貸してもいいくらいなんです。他産業との格差をなくすためのあれならば、格差をなくす、一定の年度になって格差がなくなってから、そういう金利をある程度取るということならまだいいですよ。
○政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通りでございまして、農業の他産業との格差をなくすというためには、相当徹底した資金の制度もこれは考えなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。そこで、しかしながらその融通資金の融通措置といいますものは、必ずしも一本でやっていいはずはないのでございまして、先ほども申し上げましたように、一面においては国の直接の融資機関としての農林漁業金融公庫というものがあるのでございまして、これはそちらの方で相当の低利の長期の金はこれを充実して拡大していく、こういうことを考えておるわけでございます。この金利が先ほど申し上げましたように、最低三分五厘、最高七分五厘というその金利自体については、これはいろいろ農業の今後の、これからの近代化の進め方いかんとも関連をいたしまして検討しなければならぬ問題はあろうと思います、全体といたしまして。しかしまた一面、その低利な金を直接融資をするという面は、そちらを充実していったらどうかというふうに考えておるわけでございます。それと相待ちまして、農業協同組合という自主的な団体が相当金を扱っておりまするから、これも、組合員としての農民に還元融資をするということが、農民の農協の自主性を尊重しながら、なおかつこれを助けていくということに考えました場合には、これは無利子にするとか、あるいは非常に低利なものを急に持っていくというようなことは、実際問題として無理なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○千田正君 局長の言うこともわかりますが、それならばその取り扱い機関であるところの農業協同組合、まあそれを通じてやらせるのですが、これにはどれだけの責任を持たせるのですか。これの貸付金の回収に対しては……。
○政府委員(坂村吉正君) なかなか今までの農協の貸付の状態を見ますると、非常に担保を取らにゃいかぬとか、あるいは役員の全体保証をやるとかというようなことで、非常に貸付金というもの自体にもいろいろ問題がありますわけです。そしてそういう信用力の非常に低い農民に対する金融でございまするから、ここに御提案しておりますように、債務保証協会を作りまして、これに国や県からも出資をいたしまして、国や県がその信用力の強化をはかっていく、こういう考え方をとっておるわけでございます。しかし、これを農協が取り扱い機関としてやっていきます場合に、全然これは無責任で、そうして債務保証は全部国や県が中心になった債務保証協会というものがあるから、それだからやったらいいじゃないか、こういうようなことでも、農協の将来の金融につきまして適当でないというふうに考えておりますので、大体二割程度のものは農協でも自分の責任に背負い込む、こういう姿にしておきたいというふうに考えておるわけでございます。
○千田正君 なぜこういう質問をするかというと、この間、私の町村で土地改良をやった。ところが土地改良をやったんだが、農民に十分に納得させないでやったために、その土地改良を請け負った土木業者に支払う金が十分出ないので、受益者であるところの農民が各自負担することもできないから、農業協同組合からとりあえず借りて、そうしてその土地改良組合におさめてもらいたい、こういう問題が起きた。ところが、農業協同組合は、これ以上農民に出すということは、農業協同組合の自衛の立場からいって、赤字が増加するだけであって、そのせっかく黒字農協、まあ黒字とんとんでいっているところが、これ以上貸し付けることによって赤字がふえるような結果になることをおそれるから貸さない、ある程度しか。そのために、当然安く土地改良されるであろうという期待をしておった農民が、自分たちの組合の結成された農協からは、金が借りられない。仕方がないから、金貸しから金を借りて、土地改良におさめて田植えを始めたという現実があるわけだ。ですから、せっかくあなた方が親心をもって、こういう、金はまあ十分に使えるんだ、あなた方は共同でやるならば使えるんだというて、農業協同組合から借りて使いなさいというても、現実の問題として、その農協が責任をほんとうに感じて、組合員の幸福のために出してやるかどうかという問題は、私はそう簡単じゃないと思います。ということは、まあ二割くらいは背負い込むという、責任を負うという態勢で政府に対応して農協が取り扱うでしょうが、それ以上オーバーして、それじゃ、その村なら村、町なら町というものの農協が背負わなければならないというときは、おそらく拒否するのじゃないか、こういう懸念を私は持つのですが、そういうことは杞憂にすぎないですか。
○政府委員(坂村吉正君) 仰せの通り末端ではなかなか、上の方でいろいろ制度ができましても、末端の農協がほんとうに金融につきましてはネックになっている面が相当あると思います。ですからこの点は、今後やはり一面におきましては農協の整備と、それから貸し出し態勢というものを、農協にきちんとやっぱり作らせる、これを強力に指導しなければいかぬと思っております。そういうような意味からいたしまして、農業協同組合合併法等を御可決をいただいて、今いろいろ準備をいたしておりまするし、また、今後農業協同組合中央会等におきましても、そういうような意味で貸し出し態勢の整備と、農協の体質改修を中心にして強力にやろうということでいろいろやっておりますわけでございます。そういうようなことによりまして、とにかく農民に金が農協を通じて流れるように、急にはなかなか完全なものができるとは思いませんけれども、だんだんこれはしんぼう強く、やっぱり農協の態勢をそういう工合に指導していかなければならぬのじゃないかというふうに考えておるのでございます。そこに一つ最善の努力をいたしたいと考えております。
○千田正君 もう一つ、これはこの間、私は今度のフェーン台風ですか、火災と台風を見舞いに三陸地方を歩いて参りましたが、その現実として、せっかく共同で作った建物、あるいは自分たちが政府なり農協から借りて農機具を購入したり何かしたものがやられて、全然もう何もなくなってしまった。支払い能力がないわけです。しかし、支払期限がもう迫っておる、こういう問題が出た場合に、これを近代化資金で出された資金に対して、こういう天災等によってこうむった損害の場合の償還期限の延期とか、そういうことは考慮されるのですか、されないのですか。
○政府委員(坂村吉正君) 災害の場合におきましては、現在も農林漁業金融公庫のものが相当多いのじゃないかと思いますが、農林漁業金融公庫におきましては、災害のための融資を特別にこれは予定して、そのつど融資をいたしておりますし、また、今まで貸したものについての条件緩和でございますが、そういうような点は具体的な相談で条件緩和を今までもやって参っております。そこで、今度の場合におきましても、当然そういう措置は農林漁業金融公庫にとらせるようにというつもりで、今、災害の実態等を調査をいたしておりますわけでございます。また、この近代化資金におきましては、今後の問題でございまするけれども、これが実際運用いたされました場合におきまして、おそらくそういう問題が出るのじゃないかと思います。それはまたその運用の状況等によって、十分それらの問題に対処ができますように検討いたしたいと思っております。
○千田正君 もう一点、これはかつて開拓地にあったことでありますが、御承知の通り、開拓なんというものは、そう簡単にできないので、いろいろな意味における借金を背負い込んでいるわけですね。時たま冷害であるとか、霜害等によって作物が全然だめになった、あるいは疫病の流行によって家畜が倒れた。そういうとき、さて金を政府が冷害対策、霜害対策で資金の融通をはかったのでありますが、農林金庫や何かを通じて貸付をしよう、貸付のワクがきまった。たとえば青森県に幾ら、岩手県に幾ら、そういうふうに貸付のワクがきまったのだけれども借りられない。なぜならば、今までの借金が相当あって、その利子を払わなければ、お前たちの信用度がないから貸さないのだ。政府がせっかくワクをきめても、資金を多くしてやっても、借りられないから返した、過去にそういうことがあるのですよ。借りられないから、われわれはせっかくのあれだけれども返すのだ。何億という金が政府の金であっても、ほんとうに受益をすべきところの農民の手には渡らないで、途中の金融機関の利息にそれが充当されて、そうして冷害対策にも霜害対策にもならないわけです。これじゃせっかく政府が考えたことも農民の幸福にも、あるいは農家の経営の振興にも何らの役にも立たない。そういうことは過去にあったわけですから、そういうことのないようなことを私どもは考えたいのですね。こういう問題が、この近代化資金も従来の借りておった借金がたまって、この農家そのものの信用度がないというものにはこれは貸されぬというわけですか、どうなんですか。
○政府委員(坂村吉正君) 大体原則的に申し上げますれば、これは近代化資金の場合におきましても、今までの借金の負債のために、負債を返しまするために、整理しますために、こういうような金を使う性格のものではないというふうに言えると思うのでございます。どちらかと申しますれば前向きの資金でございまして、今後近代化を積極的に進めていくための資金であるというふうに考えるべきじゃないかというふうに考えております。従いまして今までの負債の整理であるとか、あるいは開拓者のように、これは特に信用力が低いわけでございますから、こういうようなものは、おそらくこの近代化資金では今後もなかなか乗っからないであろうというように感ずるので、これらの問題は農林漁業金融公庫という機関で政府の直接の融資を大体軸といたしまして、いろいろ考えて参りたいというふうに考えておるわけでございます。また、開拓の今までの現状につきましては、いろいろ問題がございましょうし、この問題につきましては、具体的には農地局の方でも開拓者の何とか改善のためのいろいろ施策を考えておるようでございます。
○千田正君 そうしますと、これは開拓農民はこの近代化資金を借りるべきところの対象には含まないということですか。
○政府委員(坂村吉正君) 必ずしも開拓農民であるから含まないということで考えておるわけではございませんで、開拓農民といえども、今後その経営の近代化をはかっていくようなためにこの資金を借りて、そうして農業経営の近代化をはかっていくというような状態のものであれば、当然これは対象になるというふうに考えておりますけれども、開拓者を相手にしたための特別なそのための条件等をここに置いて、そうして開拓者を目的とした資金制度ではございません、こういう趣旨で申し上げましたわけでございます。
○千田正君 局長の言うことはよくわかるのだが、言いかえれば、簡単にしていえば貧農には金を貸さぬということじゃないですか。
○政府委員(坂村吉正君) 貧農が自分の経営を拡大し、近代化していくために貸す、こういう資金であろうと思います。
○千田正君 貧農に、農業協同組合でさえも金を貸さないような貧農にも貸しますかね、これに対して現実の問題として。
○政府委員(坂村吉正君) そういう現状でございますので、これはその農業協同組合にまかしておいたのでは、農業協同組合からも金がなかなか出ない。そこで政府と県が金を出しまして債務保証をやって、貧農といえども金が借りられるようなそういう制度にいたしたいということを考えておるわけでございます。
○千田正君 大体言うことはそうでしょうが、私はこいねがわくば貧農の人たちに格差をなくして、同時にその借り入れ等にむずかしい手続等があるようだったら、農民は借りませんよ、とても。おそらくまた農民それ自身が、隣のおやじには十分な土地もないし、こういうことをやりたいのだ、果樹園をやりたいのだ、あるいは養蚕を拡張していきたいのだ、卵の乾燥所を作りたいのだといっても、それは気持だけはわかるのだけれども、実際それならば借りるという場合になってはなかなかむずかしいでしょう。だから手続においてもあまりむずかしくないような方法で貸し出ししなかったならば、なかなか借りられないじゃないか、そう思うのですが、その点はどうですか。
○政府委員(坂村吉正君) 全く同感でございまして、今までもいろいろの制度が、手続が煩瑣なために、なかなか農民に利用されなかったという点が多いわけでございまして、この点はこの近代化資金におきましては、相当総合的な弾力的な運営ができますように、それから農民の側におきましても、手続ができるだけ簡単にということで、そういう考え方で運用いたして参りたいと思っております。できるだけ簡素化していくということが、これはこの制度の信条だと考えておるわけでございます。
○青田源太郎君 今のお話に関連してこの保証協会のことちょっとお尋ねしたいのですが、実は今千田さんからこの貸付のことについてお話が出たわけですが、この保証協会は主として近代化資金の保証のみをするのですか、それとも他の資金の保証もできることになるのですか。
○政府委員(坂村吉正君) これはこの法律の条文にもございまするように、保証協会では近代化資金のための保証と、それ以外の一般の金融に対する保証、両方の仕事をやるというふうに考えておるわけでございます。
○青田源太郎君 そこで、実はこの農業資金というものがほとんど系統資金をもって貸し付けをするということに重点が置かれていると思うのでありますが、この融資機関に銀行というようなことが書いてあるが、これは実際問題として銀行がこういうような融資機関となって事実やれるようなお考えがありますか、ちょっとお伺いしたい。
○政府委員(坂村吉正君) 近代化資金の場合におきまして、近代化資金を取り扱う場合にも、地方銀行の金も扱わしてくれぬかという要望も地方銀行からだいぶございましたけれども、これは今の近代化資金を作ります趣旨からいたしまして、農協の金を使うのだということが趣旨でございますから、そういうような意味で、これは今の段階では適当でないというような考えで、近代化資金の方にはそういう考えは入れていなかったわけでございます。しかし債務の保証の方におきましては、従来も各県に財団法人の債務保証協会がございまして、これがその債務に対する保証をやってきておるのでございます。そういたしまして、その債務保証協会を大体原則として今度の新しい信用基金協会に引き継ぐという考え方をとっておるのでございますので、そこでそのうちには近代化資金のための保証の仕事と、それ以外の債務の保証と両方があるわけでございますので、そういう意味におきまして、地方銀行等から金を借りた場合に、その債務の保証をしてもらうというようなケースもないでもないというような状況でございますので、それもとにかく一応そういうような道も開けてあった方が、農民にとっては便利じゃないかというような意味で入れてありますわけであります。
○青田源太郎君 保証協会出資はですね、そうすると組織員とならなければいかぬのじゃないかと思うのですが、銀行、そういった金融機関も、何ですか出資をさすというのですか。その点はどうなんですか。
○政府委員(坂村吉正君) この内容は、出資者は主として保証を受けようという借り手です、金を借りて保証を受けようという人が大体中心になろうと思うのでございます。そういうような意味からいたしまして、地方銀行等を出資者とするという考え方はございません。
○青田源太郎君 そうすると、連合会がそういう趣旨なればあまり出資はせなくてもいいという御意見ですか。
○政府委員(坂村吉正君) 非常に、言葉の問題でございまするけれども、実はそれは県と、それから信連等がこれは大体中心になりましてこの保証協会は運用していくと、こういう考え方でございまするので、大体系統からいいますると、信連等は相当大きなウエイトをもってこれに対する出資をしてもらわなけりゃいかぬだろうというふうに考えておるわけでございます。と申しまするのは、農業協同組合系統の系統金融を主体とした、要するにそれのための債務保証の機関でございます。本来からいえば、信連等が自分の内部で、農業協同組合系統の内部におきまして、債務保証その他いろいろの施設を講じまして、そうしてどんどん金が貸せる、こういう態勢を築くべきでございまするけれども、それが農協の現状ではなかなか十分にはできませんので、国や県が援助する、そういう姿になるわけでございまするから、信連等は非常に大きな大株主になるのが当然ではないかというふうに考えております。
○青田源太郎君 私は、この出資は配当もせないし、そうして脱退も事実上保証があればできないというようなもので、あまりこの出資はありがたがらないと思うのです。そこで今おっしゃられるように、農業の信用連合会は系統金融機関としてそういう役割を果たすのだから出資を持て、そうして大いに農林金融の融資をやれ、これは事はわかるのでありますが、そういう県と政府の保証、いわゆる利子補給のある金をそういうような商業銀行が融資をする場合に、何ら出資をしていないのにその銀行に対して利子補給をするというような考え方は、少しこの基金協会のいわゆる農林金融系統金融というような理念に反するのじゃないかと考えるのですが、この点いかがですか。
○政府委員(坂村吉正君) 仰せの通りでございまして、地方銀行等から金を借り入れます場合に利子補給等をすることは、これは適当でないと思っておるのでございまして、この近代化資金にはそういうことは考えておりません。系統の金を使う場合に限って利子を補給するというように考えております。
○青田源太郎君 銀行の金は全然ないのですか。
○政府委員(坂村吉正君) ありません。
○青田源太郎君 そこで、そういうふうに各県なりあるいは国が保証協会に基金を出していただくのはけっこうでありますが、この協会の組織が従来の、現在の保証協会は、これは今申します通り、社団法人であって、そういうようないわゆる出損金であるから社団法人になっている。今度の場合も出資というふうに考えられておるけれども、事実はこれ配当がないわけでありまするので、このような協会は私は財団法人にすべきであると、こういうふうに考える。というのは、今度のようなこの協会の組織でいくと総会をやるというようなこともやらなくては仕方がなし、またいろいろの検査というようなこと、あるいはその他にいろいろの複雑な問題が多々あると思うのであるが、これを財団法人にすれば、そういうような協会の運営が非常に簡単にいくということを私もど考えるのでありまするが、こういった点についての考え方を一つお聞かせ願いたいと思う。
○政府委員(坂村吉正君) 御質問の中で、従来の債務保証協会は社団法人だというお話でございまするけれども、これは全部財団法人でございます。お言葉の誤りではないかと思いますが、全部今までのものは、全国二十八ございますが、これは財団法人でございます。こういう性格の協会は財団でいくのがいいのか、社団でいくのがいいのかいろいろ問題があろうと思います。そこで、しかし実際問題として性格は、やはり基金を中心とした運営でございまするので、やはりどうしても性格としては財団的なものにならざるを得ないのじゃないかというふうに考えるのでございますけれども、この信用基金法におきましては、その両面を取り入れまして、今後いろいろ近代化資金がどんどん拡大をしていかなきゃならぬというような場合におきましては、債務保証の機能もどんどん伸びるわけでございますから、そういう意味で基金等もどんどん増資をしていきますから、大きくしていかなきゃならぬというような情勢があろうと思うのであります。そういう点を考えますると、むしろやはり構成としては社団的なものに構成をしておく方がそういう意味からいいますれば便利じゃないか。しかし実際のその運用面におきましては、やはり一部財団的な性格を持っておるのでございまするので、やはりその金に応じたある程度の発言権というようなものもなければ、現実問題としては増資等もなかなかできないだろう、こういうようなこともございまして、そういう点も両方取り入れまして、法律上の外形的な組織といたしましては社団の構成をとり、ですから会員があるわけでございます。出資を別にいたしましたものの会員があるわけでございます。で、会員の一人一票という農業協同組合の精神に沿いました一人一票という議決権を持ちまして、そのほかにやはりこれだけの金を中心にした団体でございまするから、出資の口数に応じた議決権も一つ与えて、そうして運用していったらどうか。こういうような趣旨で、この点は衆議院の委員会で修正されたところでございまするけれども、そういうような趣旨で運営されますことは、両面が入りまするので、社団としての性格、財団としての運用の面、両面が入りまするので、こういう種類の団体といたしましては適当じゃないかというふうに考えております。
○青田源太郎君 その協会の、私、議決権の問題で、そこでわれわれは財団法人のものがいいと思うのでありますが、出資の口数のいわゆる権利になると、この協会の組織は国が四分の一、県が四分の一と、合計過半数は県なり国がいつも資金を出しておると、そういうことで実際民主的にやるにしましても、各農業従事者の出資金というのは、必ず過半数以下というようなことに組織がなると思うのであります。そうすると、従来のようなやはり制度金融でもほんとうの、今千田さんの言われたような必要な資金が十分に円滑に貸せられないというのが、やはりこの官僚金融といいますか、そういうようなお役所的なようなことがあって、仕事にかかるのに相当審議するとか、あるいはそういう県の出先の意向によって適正な資金が融資できないというようなことがしばしばあるので、私どもはこの協同組合の精神によりまして、出資の多い少ないにかかわらず、一会員は一個の権利というようなことで、この口数権利というようなことは、私はこれはほんとうの民主的にやる議決権の行き方でないとこう思うので、できれば農業従事者がやはりそういう一個、一つの権利で、会員としての数によって自分の希望ができれるような、この協会を運営するというのでなかったら、今のような議決権で、口数の一個の権利というような議決権であれば、従来のようないわゆる制度金融の行き方と何ら変わらないというような杞憂がある。そういうふうに県なり、いわゆる国の方で主導権を持っておられる関係上、やはりこの出資の増額というようなことも非常に困難が起こるのじゃないか。こういう点を私は考えておるのですが、いかがでしょう。
○政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通りの御意見も、もっともの御意見だと思います。で、政府案といたしましては、初めに一例で申し上げますると、たとえば全体といたしまして千二百口、とにかくありました、一口一万円でありまするから千二百口と言いますると千二百万円でございまするが、そういうことで仮定をいたしますると、この県の出資が半分でございます。もちろん国の補助金を得まして、半分は国の補助金を得ますけれども、県の出資として出ますので半分、六百口、それから大体信連が大株主でありますから、残りの半分は信連が持つと、こういうふうに仮定いたしますと、信連が三百口、残りの農協が三百口というようなことになろうかと思うのですが、そういう場合に口数だけの議決権ということで、初めの政府案は考えておったおけであります。そうすると、県は六百票、信連が三百票、それからその他一票づつ一口づつ持っておりますところの農協は一票づつ、合わせて三百票というふうに考えておったのでございますが、これで大体金の運用という点からいいますれば、こういう方が合理的じゃないかというふうに考えておったわけでございまするが、いろいろ農協の一つの組織との関連もございまするし、衆議院でも御意見もございまして、衆議院の方での修正は、そういう口数による票数と一人一票とをかみ合わせようと、こういうことになったわけであります。そういたしますと、県では今の例を申しますと、六百一票持つわけです。六百票は口数の六百票、一票は一人一票の一票で六百一票、信連が三百票に対しまして一人一票の一票が入りますから三面一票になるわけです。それから農協の方は一口ずつ持っておりましても、とにかく三百票ございまして、そのほかに一人一票の三百票が入りますから六百票になる。そうすると農協と信連とを合わせました、いわゆる農業団体といいますか、民間の票が九百二票になるわけですね。それから県の票が六百一票、こういうふうな姿勢になりまして、これならば相当運営の上からいいましても、県の独裁ということにはならないのではないかというふうに考えまして、そういう修正が行なわれたわけでございます。
○青田源太郎君 そこで私どもは、この農協の貸し出しの伸張しない、いわゆる隘路を、この保証協会の設立によって、十分の貸し出しが発揮できると思うのでありますが、そこで貸し出しに対するこの債務保証の額が、いわゆる保証額の八〇%というようになっておるようなわけであります。そうすると、その二割に対するところのいわゆる損害危険率というのは、貸し付けの機関がやらなくてはならない。こういうことになると、全国に相当、単協によりましては三分の一にも近い不振組合がある。それで貸し付けをして、その二割をその貸し付けた単協が責任を負わなければならぬという点から、私は単協が出資、あるいはこの基金の造成ということに非常に進まないという現状であるので、そういうふうに国も資金を出し、県も、あるいはわれわれ系統団体あげてそういう基金をこしらえろというなら、百パーセント私は債務保証をするというのが本質であろうと思うのでありますが、この点いかがですか。
○政府委員(坂村吉正君) 現在のこの法案におきまする制度におきましては、おっしゃる通り八割の保証をやろうということで考えておるわけでございます。それは農協の系統金融を主体にした金融でございますから、農協が全然無責任になってしまうというようなことは、貸出機関としてどうであろうかということが一つの問題でございます。そういうような意味におきまして、むしろ農協陣営からのいろいろの議論は、こういう制度を作ることは農協の自主性を害すのじゃないか、こういうような御意見の反対さえもありましたわけでございます、一時は。そういうような意味からいたしましても、やはり農協というものは、自分の金を貸す以上は、一部の責任を持って、それを軸にいたしまして今後農協が貸出態勢をきちんと整えていく、これだけの態勢を作ってもらう必要があろうと思うのでございます。むしろ農協の態勢ができますれば、外からそういう債務保証をするような、こういう信用基金協会のようなものは要らなくなるという方向に持っていくべきじゃなかろうかと、将来の問題として私はそういう工合に考えるのでありますが、今の段階では、とにかく農協は自分の自主性を尊重してもらいたい、こういうつもりでございます。
○青田源太郎君 大へん高遠な理想をお聞きしましたが、なかなか実際はそうでないのであります。私はこれでよろしいです。
○委員長(藤野繁雄君) それでは三案についてはこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(藤野繁雄君) 農業災害補償法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(閣法第一八三号、予備審査)を議題といたします。 本案の提案理由の説明は、去る四月二十七日聴取をいたしました。この際若干の補足説明を求めます。
○政府委員(坂村吉正君) それでは農業災害補償法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきましては、この前提案理由の説明を申し上げておりますが、それにつきまして補足いたしまして御説明申し上げます。 この提案理由のときにも申し上げましたように、現在農業共済の料率の決定は、農業災害補償法の百七条でございまするが、百七条におきまして、五年ごとに改訂をすると、こういうことになっておるのでございます。しかし昭和三十二年におきまして、その災害補償法の一部を改正いたしました際に、農作物につきましては当分の間三年ごとに改訂をする、こういうことを附則で直しましたわけでございます。そういうようなことでいろいろ災害の実態、農作の実態等が非常に目まぐるしく変わって参ります状況でございますので、五年間同じ料率で据え置くことは、これは適当でないというふうに考えまして、この料率改訂の期間を三年に短縮をいたしたわけでございます。そういたしまして、昭和三十五年でちょうどその三年目が切れるわけでございます。しかし一方におきましては、御承知のように農業災害補償制度の抜本改正を計画いたしまして、すでに国会に提案をいたしまして御審議をいただいておるのでございます。農業災害補償法の改正案と農業保険事業団法案、こういうようなものが提案をいたされまして御審議をいただいておるのでございまするけれども、そういう関係でその新しい制度によりまして、昭和三十七年の米作から新しい制度を実施したいというような意味で、新しい制度におきましては、当然料率の調査をいたしまして料率の改訂を行なうわけでございます。ですから間が一年の間でございますし、またいろいろな料率を改訂いたしますにつきましては、非常なやはり手間と時間を要するのでございます。そういう関係からいきまして、一年間でありまするから、従来の料率をそのままとにかく使わしてもらいたい、こういう考え方のもとにこの料率の三年間という、三年で改訂するというものを延期をしてもらいたい、こういう考え方の法律案でございます。そこで、今まで政府案としましては、「農業災害補償法の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。」ということで、これは三十二年の法律でございますが、その附則で、先ほど申し上げましたように、「附則中第五項を削り、第六項を第五項とし、第七項を第六項とする。」案でございまして、この内容は第五項というのが当分の間料率改訂は三年で料率改訂するという内容を書いておりますのが五項でございます。ですから、それを五項の当分の間三年で改訂するということを削りますと、農業災害補償の本則に戻りまして、五年間ということが生きて参るわけでございまするので、自然的にそれを削れば、あと二年間は料率を改訂しなくてもいいという、こういう内容になりますわけでございます。しかし、一面農業災害補償法の抜本改正の方の法律案におきましては、三十七年から新しい料率を作って、この制度を施行するという内容になっていますので、当然実際問題としては三十六年一年間だけ延期される、こういう結果になりますので、その法律改正案を提案したのでございまするが、衆議院の委員会の方におきましての修正は、これはこのままの法律改正をやったのでは、法文上は二年間延びるということじゃないか、このようなことの御意見もございまして、そういう誤解を起こさぬようにということで、この附則第五項に、三年とあるのを四年とする、こういう工合に委員会の方で修正をいたされたわけでございます。ですから、従いまして三十六年まで、三十五年で終わるべきところの料率をそのまま三十六年に適用ができると、こういう内容に直すわけであります。どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
○委員長(藤野繁雄君) 本案に対し御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
○東隆君 私、北海道の場合を考えますと、実は一年延ばされることによって、北海道は料率改訂でだいぶ負担が多くなるのじゃないか、こういうような考え方を持つわけであります。それは、最近北海道は冷害、凶作がないものですから、従って、この計算から参りますというと率は下がってくるのじゃないか、こういう考え方を持っておったものですが、この料率を一年延ばすことによると、だいぶわれわれの方はたくさん負担をしなければならん、そういう問題があるのですが、これは何かその計算を適正にすることができると大へんいいと思うのでありますが、この点が一つ。 それからさらに大きく災害補償法を改正される面から考えますと、異常災害の場合に、今度は形が変わった形になってくるはずです。そういうようなことを考えて参りますると、両方の法案を通して見ますと、だいぶ北海道の方は、この農業災害補償法について非常に大きな負担をするように変わってくるのじゃないか、こういうことを想定をするものですから、ことし限りの問題ではありますけれども、しかし料率の改訂を一年延ばすことによって、せっかくいい年を三年間続けたのでありますから、これを有効適切に一つ料率の方面に反映をさしたい、こういう考え方を持たざるを得ないわけです。だから、この点何か救済をする方法がございますか。
○政府委員(坂村吉正君) 仰せの通り、料率を改訂をいたしまする場合に、過去二十年の危険率を基礎にいたしましていろいろ計算をするのでございます。従いまして、現行の料率は昭和三十一年までの、昭和三十一年以前の二十年の危険率が中心になって計算されております。今度改訂いたしまするとしますと、昭和三十四年までのものが、この危険率が入り込むわけでございます。そういう工合にずれて参るのでございますが、そこで、たとえば一例を申し上げますると、全体としては、災害が全体として下がって参りましたから、料率も下がるのが当然だ、こういうようなわけでございます。たとえば伊勢湾台風等をこうむった県におきましては、非常に大きな危険率が入り込んで参るわけでございます。そういう関係で、あるいは県によっては非常に上がるところと下がるところ、そういうことが出て参ります。北海道の場合はどちらかといいますれば、下がる方向にあるのであろうと思いまするけれども、なかなかその北海道の中におきましても今度の新制度でいろいろ考えて参りまして、町村等に個別化して参りますると、それらの中で新しい制度ではじいて参りますると、ずっと高いところと低いところがあるのじゃないかというふうに考えておりますが、どちらかといいますれば、北海道は農業災害補償法の恩恵を全面的に受けているところであろうというふうに思うのでございまして、料率等についても、あまりの農民の御不満等もあまり少ないのじゃないかというような感じがいたします。それと同時に、事務費等につきましても、北海道ははっきり覚えておりませんが、本年は全体の事務費が増額をいたしておりまして、事務費の配分についても十分再検討いたしまして、そういうような関係から北海道は今まで非常にしわ寄せが行っておりましたけれども、今までの二倍の事務費が出ております。そういう関係で農民の負担等におきましても、これは従来と比べて相当減るとも増高することはないというような状況でございまして、一年の問題でございまするから、一つ何とか御了承を得たいというふうに考えておるわけでございます。
○東隆君 あとの方でお述べになった事務費その他についてだいぶお考えのようでありますが、そいつは私はまだ聞いておりませんけれども、一つその方面は抜かりのないように御配慮を願いたいと思います。
○委員長(藤野繁雄君) いいですか。本案についてはこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(藤野繁雄君) オリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の建設のための日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律案(衆第五六号、予備審査)を議題といたします。 まず、提案の理由の説明をお願いいたします。
○衆議院議員(島村一郎君) 提案者といたしまして一応御説明申し上げます。 ただいま議題となりましたオリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の建設等のための日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律案につきまして提案の理由を御説明いたします。 オリンピック東京大会の開催については、かねてから国会といたしましても、数次にわたりその準備促進について態度を明らかにして参ったのでありますが、この趣旨に沿い、同大会の馬術競技のために使用する諸施設の整備をはかるため、日本中央競馬会の行なう競馬の開催及びこれに関する国の納付金について特例措置をいたそうとするものであります。すなわち、わが国における馬術競技の健全な発達に寄与することをもその任務とする日本中央競馬会が、オリンピック東京大会に協力することは適当であると存ぜられますが、三年後に控えました大会を支障なく開催いたしますには、同競技に使用される諸施設、設備を手抜かりなく建設、整備いたす必要があるのであります。しこうして必要施設の建設、整備には多額の資金を必要といたしますので、昭和三十七年一月一日から三年間、全競馬場を通じて年二回の範囲内において、農林大臣の許可を得て臨時に競馬を開催し、その競馬の国庫納付金についてはその全部または一部を免除することとし、これに上りオリンピック東京大会の馬術競技に使用する諸施設の建設整備をはかろうという目的をもちまして本案を提出いたした次第であります。 何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○委員長(藤野繁雄君) これで提案現出の説明は終わりました。 本案に対し御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
○千田正君 御趣旨はけっこうですが、これを作られた後に、オリンピックが終わったあとは、これはどういうふうに使用されますか。
○衆議院議員(島村一郎君) もちろん、日本の馬術がオリンピックだけで終わるものでもございませんし、そのためにも使用されますと同時に、もし余裕がありますれば、これをバレーボールの競技場にするとか、いろいろな方面の施設にあてていくというのが考え方でございます。
○千田正君 予定されているものの土地というのは、どの辺になりますのか。それから競馬は年三回普通やっているのですが、そのうちの何日かを限ってこれに充当させるのですか、あるいは通例行なわれるいわゆる府中の競馬であるとか、中山競馬というのを、何日かを続いて継続さして開催して、その売上金、交付金のうちからそれをさいて充当させるのですか。もう一つ第三点は、オリンピックが終わったあと、ただいまのお話であると、バレーボールその他の競技場に使うというけれども、管理はどこがやるのですか。
○衆議院議員(島村一郎君) 前後いたしまするけれども、管理は日本中央競馬会が管理するということに相なります。
○説明員(金丸光富君) 競馬の臨時競馬につきましては、競馬法第三条の第一項に基づく競馬以外に、年二回、府中と中山を予定いたしまして臨時に競馬をやる、こういうふうに考えております。
○堀本宜実君 そうすると、今まで定期に開いておる回数をふやすのではなくして、一日だけの余分の収入を当てるというのか、一日特に日をふやすのか。もしふやすとすれば、今までの日割りというものが、既定の競馬計画というものに狂いを生じ、変更を行なわなければならないことになるのではないかと思うのだが、その割合はどういうふうになりますか。
○説明員(金丸光富君) 今度の臨時競馬は、先生も申されましたように、あくまで第三条第一項の通常の競馬のほかに臨時に二回をやる、こういうことであります。その結果が、従来やっておりました競馬の開催回数とどうなるかという関係につきましては、明年度以降の競馬の開催計画は、日本中央競馬会が、競走馬の出走可能頭数でございますとか、あるいは施設の処理能力でありますとか、あるいは業務の処理能力といったものを勘案いたしまして、明年度以降の事業計画を立てますので、それが具体化したときに、それとの関連の上で総開催数はどうなるかということがきまって参ろうかと思います。従って、今、それが本年度に比較してどうなるかということは、具体的にはちょっと明白ではございません。あくまでも第三条の競馬以外にやると、こういう考え方でございます。
○堀本宜実君 そうですか、わかりましたが、私は以前に競馬のことについて調査をしたことがあるのですが、案外競馬というものの、競走馬というものは限られたものであります。そうして全国にあります地方競馬を含めて、中央競馬の開催日というものがそれぞれ日割りをしてあって、なかなか一回の競馬を割り込むということになりますと、全体の日本の競馬計画というものに大へんな日割りの変更が行なわれる、でなければいけないのでありますから、それが今までは、そういうことができるかということの調査をいたしたことがあるのでありますが、今までの調査では、でき得ないという、不可能であろうということに考えられておったのでありますが、事オリンピックに関しまする問題でありますので、私は趣旨は賛成するのですが、そこで全体の競馬計画というものをにらみ合わせて、これを一回ふやすということが私は大へん困難ではないか、こういうふうに思う。また困難であるということは、他の競馬に大へんな計画の支障を及ぼすわけです。たとえば土曜から日曜にかけて行なわれることが、その競馬場の収入に至大な関係を持つ、また出走馬を、他の競馬場が済んで、終了後に続いて他の競馬場に移送をする場合の移送計画というようなものに大へんな支障を来たしますので、もとより今回のこの計画なり法律で、これを規定するということはけっこうだと思うのだが、他の競馬開催者とあらかじめ協議をしておかなければ、法律ができたから直ちに競馬がスムーズに行なわれるというふうには私は考えられない、それについての考え方を伺いたいと思います。
○説明員(金丸光富君) 先生ただいまおっしゃられましたように、確かに競馬全体の計画とのにらみ合わせというものも、十分考えなければならないと思っておりますが、最近競走馬の数が非常にふえて参っております。先生がお調べになった時期はいつか、私もわかりませんが、最近の競走馬の増加傾向というのは、ずいぶん馬の数もふえて参っておりますし、中央競馬につきましては、開催日数が、開催日がそういうふうに土曜、日曜、祝日以外には開催いたしておりませんので、地方競馬との調整あるいはその他の馬の移送計画その他につきましては、十分先生の御趣旨も尊重いたしまして、そごのないようにやりたいと思っております。
○河野謙三君 ちょっとお伺いしますが、この施設はだれがやるのです。施設の施工者ですね、責任体はどこにあるのですか。
○衆議院議員(島村一郎君) これは申すまでもなく日本中央競馬会がやることに相なるのであります。
○河野謙三君 そうすると、これから出た利益金はオリンピックの組織委員会と申しますか、オリンピックの主催団体には関係ないわけですな。
○衆議院議員(島村一郎君) 仰せの通りであります。こちらでは金にはタッチしません。
○河野謙三君 そうしますと、この施設はオリンピックが終わったあとはもちろんですが、終わる前も同じですが、この施設は所有者はだれですか。中央競馬会の所有になるのですか。
○衆議院議員(島村一郎君) 仰せの通りであります。
○河野謙三君 そうすると、ちょっと私解せないのですがね。競馬会にこういう特例でこういうオリンピックという一つの舞台を借りて、自分の財産をふやすわけですね。自分の財産ということは、私だけの考えじゃおかしいと思うのですね、オリンピック開催のための資金であるならば、この資金はあげてオリンピックの組織委員会の中において適当と思われる施設をして、そして終わったあとで、あらためて中央競馬会でそれを買い取るとか、また国有にするとか、そういう形でなくて、自分でオリンピックの土俵を借りて、開催日をふやしてもうけた金で、自分の財産をふやすということになることは、ちょっと私はおかしいと思うのですが、どうでしょう、そういう議論はございませんでしたか。
○衆議院議員(島村一郎君) ただ私どもの考えといたしましては、なるほど競馬会の財産がふえるということも考えられるのでありますが、その財産が全部競馬会でのみ使うようにはならないのだろうと思います。それはなぜかと申しますと、将来の馬の調教なり、あるいは選手の養成なりをして参らなければならぬ。そういうものにも十分役立たせられるのだろうと思います。なるほど財産は向こうが取得しますけれども、使用するのはあながち競馬会だけではなく、こちらの選手養成や何かにも使われるというのだというように考えておるのであります。別にそれらの問題は、今まであまり問題化していなかったのでございます。
○河野謙三君 どうもしかし、オリンピック便乗型だと思うのですが。オリンピック馬術大会に使用するために施設は必要ですよ。その施設を作るために競馬会に特例を設けて、競馬の開催日数をふやしてもうけた金でその施設を作る、同時にそれはその施設は競馬会そのものの財産であるということは、どうも私はオリンピック便乗型だと私は思うのですよ。競馬会が目的遂行のために必要であるならば、競馬会の日常の経理の中において当然施設すべきであって、必要なものであるならば、これは私はこういうものは、オリンピックというものがこなければ、競馬会そのものの目的遂行においては必要ないから今までなかったわけなんです。単に一週間とか半月の間行うところのオリンピックのためにこれは必要なものであって、競馬会そのものの目的遂行のために必要じゃないでしょう。必要であるなら、国がこういう特例を設ける必要はない。競馬会の経理の中において、農林省で認めてやらしたらいいと私は思う。この施設を作ることは私は反対じゃない。ただ手段方法が私は悪いと思うのですよ、そうじゃないですか。同時に、私はこの際申し上げますが、オリンピック施設というものは、その場だけの、別の例で言えば婚礼の振袖のように、そのときだけ使って、あとは一生死ぬまで用はないのだというような施設になりがちなんですよ。こういう幾ら金ができたとはいえ、まだ貧乏である日本で、借衣裳ならいいけれども、三越に行って婚礼のお振袖を、たった一晩使うのに何十万円という金をかけてお振袖を作るだけの手段なんですよ。私は島村君の言われるような、多少そういうことに関連はありますが、従来の国体の例でもそうでしょう、各県で国体という全国的の規模の国体をやるために、府県が借金をして国体をやる。国体が終わったとたんに全国の大部分の府県の施設というものはペンペン草が生えるんですよ。こういう批判があるわけです。だから、私はオリンピック開催ということは、国民の世論として盛り上がっておりますけれども、また反面、こういう貧乏な国で、それでも正式なことをしてオリンピックをやる必要があるか。先ほど申しましたように、婚礼の振袖のようなことをやる必要があるか、やるなら借衣装でやったらいいじゃないかという批判も私はあると思う。その批判に私は答えながらオリンピックの開催を遂行しなければいかん。そういうような、こういう馬術の施設を、オリンピックの馬術の施設ということに名をかりて、そうして競馬会の一つの財産をふとらせるということは、どうも手段方法が私は悪いと思う。私の意見なんですが、その開催した金を組織委員会なら組織委員会にやって、これを有効適切に使ってもらいたい。そうして、終わったあとはそれは国有財産である。そうして国がこの財産を競馬会に払い下げるなら払い下げる、こういう回りくどいけれども、そういう方法をとるべきだと思う。自分のところで開催権を持って、オリンピック施設の名のもとに開催日数をふやして、そうして施設を作る。何のことはない、オリンピックが済んだら競馬会の財産がふえただけではないか、こういうことはおかしいと思うのですが、農林省どうお考えですか。
○櫻井志郎君 今の河野さんの御質問に私も合わせてお尋ねしたいのは、ただいまの提案理由の説明にありましたように、その競馬の国庫納付金については、その全部または一部は免除することとし、私は競馬のことは一つも知らないのですが、当然義務づけられている国庫納付金、その全部または一部を免除する、そうして作るということであるなら、かりにオリンピックに使ったあとは、当然国庫に納付されるべき性質の資金で作ったものとすれば、それを国に寄付するとかというようなことが当然考えられていいのではなかろうか、これを合わせて伺います。
○説明員(金丸光富君) ただいまの御質問でございますが、今回のオリンピック東京大会の馬術競技の施設を作る場所は、馬事公苑に作るということに相なっております。馬事公苑の現状は、日本中央競馬会の所有地でございます。従いまして、そこへその他のものが施設をするということになりますというと、将来管理上いろいろ不都合もあろうということが一つでございます。それから、オリンピックの各種競技に必要な施設につきましては、大体国でありますとか、あるいは東京都等の地方公共団体が考えるというようなことが、大体考え方としてあるようでございます。そこで、日本中央競馬会の場合につきましては、国に納付する、納付いたしまして国が直接やるということも一つの方法かと思いますが、納付金を免除しまして、その納付金相当額で必要な馬術競技施設を作らすということは、また一つに考えてみますと、国が競技に必要な直接施設を作ったということと、同じ変形的な形でやられるのだろうと思います。国がやります場合には、今申しましたように、馬事公苑の施設は競馬会の所有地でありますから、国がそこにやるということになりますと、将来管理上もめんどうがあろうというようなことで、競馬会に国庫納付金を免除いたしまして、馬術競技に必要な施設を作らして、それをオリンピック東京大会の開催当時におきまして、組織委員会に無償で貸与する、もちろん国庫納付金を免除して作らした施設でございますから、従いまして、その施設の大会終了後におきます用途につきましては、先ほど島村先生から御答弁がございましたように、十分公共的な用途に使うように考慮いたさなければならないというふうに考えております。 それから櫻井先生の御質問の点につきましては、「全部又は一部を納付することを要しない。」という、「一部」となっておりますのは、国庫納付金免除相当額と必要経費とに差額が出ました場合には、必要経費を上回る国庫納付金相当額は当然に国に納付すべきものだということを規定いたしたものであります。なお、国に寄贈したらいかがであるかという御質問の点につきましては、先ほども申し上げましたような御趣旨から御判断をいただきたいと思います。
○河野謙三君 重ねて申しますが、私は一つの経理上の形式論になるかもしれませんけれども、国がその納付金を免除して、その浮いた金でやるわけですね。だから、国の金において施設をして、オリンピックが終わったら当然それは国の所有に——当然国の初めから所有である。そしてオリンピックが終わったならば、それをこの中央競馬会なりその他に適当な価格で払い下げてやる。また同時にそのときに、これは競馬会に対して払い下げる条件として、バレー・ボールその他適当なものにこれを使う場合には、国の方に優先的に貸し付けるとか、使用を無料でさせるというような条件をつけたらいいのであって、どうも私は一ぺん一回り、国の所有に帰してそれから競馬会にいくと、これを一回り回さぬとこういう特別の法律によって競馬の開催日数をふやして、そうして税金を免除してそして施設をした、それは初めから競馬会の所有のものだということは、少し私の言い過ぎかもしれませんけれども、オリンピック便乗型のもっとも悪いやつで、オリンピックの馬術競技に名をかりて、競馬会が何といったって財産がふえるのじゃないか、これがなければできないのじゃないか。オリンピックの名のもとに財産をふやすのじゃないか、どうも私はそういうふうに少し独断かもしれませんけれども思えてならないのです。
○田中啓一君 ちょっと関連質問。私はそんなにおかしくないと思うのでありますが、たしか現在の日本中央競馬会というものは、この法律が改正された場合にも、一文の財産も分解されないでそのまま国庫に帰属する、こういうことになっておると思います、日本競馬会法そのものが。従って、国といい、中央競馬会といい、ちっとも違いがない。でありますから、便乗するもしないも、便乗する人間はどこにもおらない、そういう私は性質のものではないかと思うのでありまして、日本競馬会の何といいますか、体制といいますか、本質上こういう行き方でいくのは妥当なものではないかと、こう私は思うのでありますが、所管省の方の御意見はいかがでございますか。
○説明員(金丸光富君) 田中先生おっしゃられます通り、日本中央競馬会は全額政府出資の特殊法人でございます。従いまして、その財産がふえました場合におきましても、競馬会が解散いたしますときには、その財産の帰属につきましては法律をもって定めるということになっております。従って、その方針をきめるときはどうやるかは別といたしまして、全額政府出資の特殊法人でございますので、その趣旨から申しまして、当然日本中央競馬会を解散いたしますときには国に帰属するという形に相なろうかと思います。従いまして、今、田中先生がおっしゃいましたように、日本中央競馬会という民間の団体ではございませんです。そこら辺は田中先生のおっしゃったような考え方を私たちも考えております。
○河野謙三君 私は非常に乱暴な意見だと思う。実体論はあなたの言う通りかもしれませんよ。しかし、一つの日本競馬会といえば特殊法人か何かになっておるでしょう。そうじゃないですか。
○説明員(金丸光富君) さようでございます。
○河野謙三君 そういうものと実体が同じであるからといって、国とそういうものを同じにして、同じかまの中でどんぶり勘定でやる、そういうことで一体この問題に限っては大蔵省でそれを認めますか。そういうことが私は政府の考え方なら、この競馬会に限らず、日本の国全体にこれに似通ったものがたくさんありますよ。それが折り目を正しくしないで、ただ実体論だけでいくのだということなら、そういう方針を政府の方針として声明して下さい。
○政府委員(安田善一郎君) 御質問の点は、大蔵省と十分の打ち合わせの上、衆議院の農林委員会でも、主計官でございますが、この法案でけっこうということでございました。
○河野謙三君 今、局長のおっしゃったことはあれですがね、そういう今方法を監督課長が言われたように、中央競馬会も国も同じだと、一つに考えていいんだという田中さんの御質問に対して同調されているのですが、一つでいいんですか、これは。それはあくまで実体は同じのものであるけれども、形式は二つのものでしょう。形式を一体省略してやるなら国会なんか要りませんよ。国会は形式を尊ぶところにいろいろ国会を運ぶにめんどうな点があるのですよ。われわれはむしろ町の人間としてこんな形式論をやるのはいやなんです。いやだけれども、しかし、国会というものはそういうところではない。この問題に関しては形式論を抜きにして実体論でいくのだとおっしゃるなら、これも一つの方法だと思う。今後農林省はそういう方針で一切がっさいやられるのですか。
○政府委員(安田善一郎君) 中央競馬会の国庫納付金の使途及びその予算との関係は、財政法、会計法及びその他の関係等からいたしまして、一般的には納付金は国庫に納入すべきものでありまして、納入された金は歳入となり、必要経費は歳出予算を組んで国会の議決を経る、こういう原則に従うべきことは当然でございます。これは大蔵省が言うところも同様であることはもちろんであります。今回は特に中央競馬会に特別競馬をこの法律のように農林大臣の許可を受けた限りにおいてさせまして、年二回でございますが、また時限立法も臨時の特例としてだけやらせまして、その目的も広い意味の畜産業振興でもあるが、その中の狭い意味の競馬及び馬術奨励という中央競馬の現行法で認められておりまする事業を将来もできて、そのための施設になるものという限定をいたしまして、特にオリンピック大会のいろいろの施設を、物的な施設で財産が保存されるものに限る、そういうふうにして特例をお願いをしたわけでございまして、一般的な財政上、会計法上のことは河野先生の御指摘の通りであります。
○衆議院議員(島村一郎君) ちょっと御参考に申し上げますけれども、今度この競馬によって得た金を資金として設備しようという計画の中には、覆い馬場が一番大きな施設がございます。覆い馬場と申しますと、競馬会としてはふだん必要のないものであろうと思う。昔ならば騎兵学校等にございましたけれども、今では宮中に一つあるだけでほかにどこもない。ところが、日本で馬術を奨励しようとか、馬術選手を出そうということになりますと、結局そっちが専用することになりまして、競馬の方のかけてやる方にはさっぱり覆い馬場は役に立たないと申してもあえて過言でなかろうと思うのであります。それでありますから、オリンピックが済みましてもあとのあいたやつはどうするのだということになりますと、そういう方面に専用されると申しても過言でなかろうと、御参考までに申し上げます。
○河野謙三君 これは私の意見になりますけれどもね、私はこういうふうに考えているのですよ。オリンピックの馬術の競技をやるための施設を作るために競馬の開催日数をふやすと、そして収入をあげる、そうしてその金でオリンピックの組織委員会の方と相談して、競馬会とは関係なく国が施設をしてやったらいいじゃないか、そうしてオリンピックが終わったあとで、その施設の中で競馬会が本来の目的のために必要なものは競馬会にそれを払い下げる、その他のもので、もしバレーとかその他でいろいろ必要があれば、その種の団体に一括して体育協会なら体育協会、こういうものに貸与するとかいうことにしたらいいんじゃないかと私は思う。いずれにしても一ぺん国の収入によって国が施設をして、そうしてそれを済んだあとで競馬会に必要なものは競馬会に、適当なものはやはりその他の団体に払い下げてやる、貸与してやる、こういう形にした方がいいんじゃないか。今、島村さんのお話のように、この施設にしても、そのあとで必ずしも競馬会が必要としない施設まで作るわけですね、今後。そういうものも一つの国の財産かもしれませんけれども、そういうものも競馬会の所有にしておくことはないじゃないか、だからあげて国の施設によってやって、済んだあとはそれを適当に一番目的にかなった方面にそれぞれ貸与、払い下げしてやったらいいじゃないか。この方が私ははっきりしているんじゃないかと、こういうふうに私は思うのですよ。いずれにしても冒頭に申しましたように、オリンピックの馬術開催のためにこの施設をするということには私は何も反対ではない。また、その財源として何か競馬場をよけいやってやらなければならぬ、これもよくわかります。ただ手段において私は少し意見が違う、こういうことを申し上げておるのであって、まあこの場に至って、会期末をあしたに控えて私がどうだこうだといっても仕方ないけれども、私は常日ごろオリンピックについては冒頭に申しましたように、オリンピックの名にかりて便乗するように現在出ておる、そして道路を作るとか何とかいうことは幾ら便乗してもいいけれども、あと使いものにならぬようなものをたくさん作って、オリンピックが終わったらこの貧乏な国でペンペン草はやして遊ばしておくということは慎まなければなりません。またそういうことをやれば、私もスポーツ関係者の一人でありますけれども、スポーツそのものが国民の一部から非難されることになるわけでありますから、それらの点も御考慮の上この問題をよくお考えにならなければいかぬ、私はそれぞれ国民の世論に大いに応援してもらいたいと思うという意味合いから、こういったものをもっと慎重にやってもらいたい、こういうことを申し上げているのです。
○東隆君 この競馬場、十二カ所あるわけですが、これに二回以内ですか、それであまり収益の上がらぬところは一回あるいはやめておるようなところもあるように聞いておったんですが、そうだとすると、当然収益の上がるところをふやす、そして先ほどのお話では競争馬も非常にふえてきておる、こういうことを考えますと、同時に開催をするときもあり得るんじゃないか、まあこんなようなことが懸念されるのですが、そういうようなことになるのですか。
○政府委員(安田善一郎君) この法案にも書いてありますように、全競馬場を通じて年二回限りでございます。各競馬場につき二回ではないようにいたしております。また収益が予定ぐらい上がらなくちゃいけませんので、他とつながらないよりか、重ならないように編成しなくちゃいけません。現在までの中央競馬の開催の仕方では、予定される通常の競馬の外で行なわれる見込みでございます。
○東隆君 先年競馬場の改造ですか、増設をおやりになったときには、たしかよその方の回数を減らして中央の方を増加して、回数をふやしてそして収益を上げることによって改造したように記憶をいたしておりますが、何か回数を中央の方をふやすなんていう、そういうようなことになるようにも考えますが、そういうわけじゃないのですか。その三回のうちですか。二回と書いてありますが……。
○政府委員(安田善一郎君) たとえば三十六年について見ますと、競馬会の事業年度は一月——十二月の暦年でございますが、三十三回で二百十五日、これは法律で許されておる範囲内でございます。それの外で行なうのが法案に盛られておるところでございますが、昭和三十年の日本中央競馬会の国庫納付金等の特例に関する法律によりまして、中央競馬会のスタンドその他が荒廃したのを数カ年かかりまして整備する等、その財源も、国庫納付金を国庫に納めないようにしてその財源にいたす法律でございましたが、それも同様にいたしたい。また中央競馬会が土、日、祝祭日以外は開催しないように自主的にいたしておりますが、その原則もほとんど破らないでできる見込みでございます。
○東隆君 今のは年に三回以内開催をするわけですね。ところが収益を上げるためには非常にいい場所をお選びになるはずですね。そうすると、すでに、中山、東京等は回数三回になっておると思うのです。それにプラスふやしていくのか、こういう問題なんです。
○政府委員(安田善一郎君) お尋ねの通りでございまして、そういうような競馬場の開催回数にプラスして開催するということであります。
○委員長(藤野繁雄君) 本案については、この程度にいたします。 ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤野繁雄君) 速記始めて。 —————————————
○委員長(藤野繁雄君) 中央卸売市場法の一部を改正する法律案(閣法第一九〇号)、家畜商法の一部を改正する法律案(閣法第一九二号)、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(閣法第二〇二号)、以上いずれも予備審査の三案を一括議題といたします。 まず、三案の提案の理由の説明を求めます。
○政府委員(井原岸高君) ただいま上程されました中央卸売市場法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。 青果物、魚介類、肉類等いわゆる生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかりますことは、生産者の所得の向上の上からも、また一般消費者の利益を増進する上からもきわめて重要であります。これら生鮮食料品は、品質が変化しやすく、多様であるという商品の特性から、通常、卸売市場において価格の形成と物資の集散が行なわれ、卸売市場が流通機構における中枢的な地位を占めている実情にあります。 そこで政府は、中央卸売市場法に基づき、中央卸売市場の育成及び指導監督に鋭意力を尽くして参りましたが、最近における生鮮食料品の流通の実情において中央卸売市場を初め広く生鮮食料品の卸売市場についての対策を確立する必要が痛感され、一昨年三月臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法が制定されたのであります。同法に基づいて設置された臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会におきましては、一年間にわたり慎重に調査審議を重ねた結果、卸売市場対策の基本方針及び卸売市場対策に関する措置について答申がなされたのであります。政府といたしましては、この答申の趣旨に沿って、生鮮食料品の卸売市場の整備改善を進めるべく諸般の措置を講じて参る所存でありますが、同答申を具体化するための立法措置といたしましては、中央卸売市場法を改正して、中央卸売市場の開設及び整備の計画的推進をはかるための規定を新たに設けるとともに、中央卸売市場における業務の適正かつ健全な運営を確保するため現行規定を整備強化することが必要と認められますので、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、中央卸売市場の開設及び整備に関する計画の樹立及びその円滑な実施をはかるための措置についての規定の新設であります。すなわち、農林大臣は、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかるため必要があると認めるときは、中央卸売市場の開設及び整備に関する計画を定めることができることを規定するとともに、この計画の適正かつ円滑な実施をはかるため必要がある場合には、その計画に定められた地方公共団体に対し開設及び整備に関し必要な勧告をすることができることとし、さらに、右の計画に基づいて必要な助成措置を講ずることといたしております。 第二に、中央卸売市場における卸売業務の適正かつ健全な運営を確保するための規定の整備強化であります。その一は、卸売業者の兼業の届け出についての規定の新設でありますが、中央卸売市場の卸売業者の性格にかんがみまして、卸売業者が卸売業務以外の業務を営む場合におきましては、そのことにより本来の業務の適正かつ健全な運営に支障を生ずることのないよう監督に万全を期する必要がありますので、卸売業者が兼業を営もうとするときは、事前にこれを届け出ることといたしたのであります。次に、現在、中央卸売市場の卸売業者の間における合併、営業の譲り受け等につきましては、私的独占禁止法の適用除外規定が設けられておりますが、これを、中央卸売市場の卸売業者と類似市場の卸売業者との間における合併及び営業の譲り受けにつきましても拡充し、中央卸売市場を通じての集中的な取引に資することとしております。このほか、新たに卸売業務の許可に際し付帯条件を付し得ることとすること及び卸売業者に対し必要により業務等に関する改善措置命令を発し得ることとする等監督規定を整備するとともに、売買方法に関する規定の改善をはかっております。 第三は、中央卸売市場指定区域の周辺地域の卸売市場に対する改善措置に関する規定の新設であります。最近における生鮮食料品の流通範囲の拡大の傾向にかんがみ、中央卸売市場指定区域の周辺の一定地域の卸売市場につきましても、その業務が中央卸売市場の業務と密接に関連するものにつきましては、必要に応じ、これら周辺地域の卸売市場の開設者または卸売業者に対しその施設または業務方法に関し必要な改善措置をとるべき旨の勧告を行なうことができることとし、中央卸売市場を通じての生鮮食料品の流通の適正円滑化に資することといたしたのであります。 第四は、中央卸売市場審議会の設置であります。さきに述べました中央卸売市場の開設及び整備に関する計画の樹立、これに基づく勧告等中央卸売市場法の施行に関する重要事項を調査審議する機関として農林省に中央卸売市場審議会を設置し、学識経験者の意見を十分取り入れて同法の適確な運用を期すこととしております。 以上がこの法律案の主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。 ————————————— 次に、家畜商法の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明いたします。 近年家畜の飼養と畜産物の生産は、国民生活水準の向上と農業経営改善の必要に伴いまして急激な増加を示しておりますとともに、また今後におきまする農業の成長部門といたしまして畜産の飛躍的な発展が期待されておることはすでに御承知の通りであります。しかしながら、家畜の取引過程につきましては、いまだ十分な近代化と合理化が行なわれているとはいいがたい状況にありまして、今後畜産農家が適正は生産の成果を収得し得るようにし、畜産の一そうの振興をはかりますためには、この取引過程を改善し整備することが緊要であると考えられるのであります。 政府におきましては二、三年来家畜取引の改善対策に関しまして関係学識経験者の意見も取り入れつつ総合的に検討を加えて参ったのでありますが、家畜商の地位の向上、家畜市場の整備確立、生産者団体の共同事業の推進及び家畜の取引資金の融通の円滑化、食肉市場の整備等の措置を講ずることが必要であるとの一応の結論に達するに至りました。このうち家畜商の地位の向上に関しましては、家畜商自身及び一般の要請も強いところでございまして、また現在の家畜取引、なかんずく大家畜の取引は農業団体がある程度行なうもののほか多くの部分は家畜商の手を通じて行なわれておりますので、特に家畜商の行なう取引の公正を確保することがまことに重要性を有するのであります。このことは、畜産の飛躍的な発展と畜産食品の消費増大のためきわめて緊急の時務であると考えられるのであります。現在家畜商法により免許を受けている家畜商は全国において約七万人おりますが、これらの家畜商におきましても最近とみに自覚を深め、その地位の向上につき自主的努力をするとともに、その趣旨に即するような関係法規の改正の要望が高まってきている趨勢であります。政府といたしましては、これらの事情を勘案検討いたしまして今回家畜商法の一部改正法律案を提出することといたしたのであります。 改正の主要点は三点でありまして、第一に家畜商につきましてその行なうべき家畜取引の業務に関しまして必要な知識に関し適切な講習会の制度を設け、この講習会の課程を修了した者またはその者をその家畜取引の業務に従事する使用人その他の従業者として置いている者に対して家畜商の免許を与えることとしたことであります。なお、現在すでに免許を受けている家畜商については所要の経過措置を認めることにいたしております。 第二に、家畜商は一定額の営業保証金を供託しなければ営業を開始してはならないこととし、家畜商の信用を補完してその経済的社会的地位の向上をはかるとともに、家畜商の取引の相手方の保護をはかることとしたことであります。なお、営業保証金の額につきましては、その家畜商の家畜の取引の業務に従事する者の人数が一人であるときには二万円とし、その従事する者の人数が一人をこえる場合には一万円にそのこえる人数を乗じた額を二万円に加えた額とし、営業上必要最小限度の信用補完措置をとることとしたことであります。 第三に、家畜商に家畜取引に関する帳簿を備え付けさせるとともに、都道府県知事が必要に応じ、その職員をしてこれらにつき検査を行なわせ得ることとしたことであります。 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明申し上げます。 わが国の畜産は、近年国民生活の向上に伴う畜産物の需要の増大にささえられ、また農業経営の改善上の要請からめざましい発展をいたしております。しかして、今や、わが国の畜産も逐次農業経営における零細副業的地位を脱しつつありまして、家畜の飼養規模、飼養管理の形態も漸次拡大ないし改善されつつあります。このような趨勢に即応いたしまして、政府としましても家畜の改良増殖につきましては、昭和二十五年に制定されました家畜改良増殖法の適切な実施とその他の措置により極力努力をして参ったのであります。しかしながら、わが国農業の発展特にその中における畜産の振興が重要な課題となっております現在、家畜改良増殖法の施行の経験と最近における家畜の改良増殖の技術的進歩その他に照らしましても、家畜の改良増殖に関する法制としましては、現行法の諸規定のみをもってしては、刻下の要請を満たすのに不十分となっていると考えられるのであります。すなわち、家畜改良増殖技術の進歩に即し家畜の改良増殖関係の法制を総合的、体系的に整備するとともに、その適切な運営その他の措置によりまして、家畜の改良増殖の成果を効率的に農業者にもたらし、畜産の発展とあわせて農業経営の改善に貢献する必要が痛感せられるに至っております。そこで今回家畜改良増殖法の一部改正を行なうことといたしたのであります。 以下、改正法律案の重要な点につきまして御説明申し上げます。 まず第一に、家畜の改良増殖が極力総合的かつ計画的に効率よく行なわれることにより畜産の振興をはかり、あわせて農業経営の改善に資する趣旨を明らかにするため、この法律の目的につき所要の改正をすることといたしました。 第二としましては、国及び都道府県が家畜の改良増殖の促進施策を積極的に行なうべき義務を定めることとし、その施策においては家畜の改良増殖の成果である優良な資質を有する家畜の農業経営に対する導入を助成指導し、かつ、今後における有畜農業経営の改善の方向に即し有効に貢献することになるように努めることといたしました。さらに、別途農業近代化資金融通制度の創設が行なわれる等に伴い、今般有畜農家創設特別措置法を廃止することとなっておりますので、この事態に対処しまして家畜の導入その他につきまして時代の要請に即した有畜農家育成に関する基準を農林大臣が定め、家畜の改良増殖に行なうための援助、指導は、その基準に沿って行なうことといたしておるのであります。 第三といたしましては、農林大臣が家畜の飼養管理及び利用の動向並びに畜産物の需要の動向に即して、家畜の種類ごとに、すなわち、牛、馬、綿羊、ヤギ、豚その他政令で定める家畜につきまして、その改良増殖に関する目標を定め、かつ、これを公表しなければならないものとし、この目標に即して、都道府県知事は、その管轄する区域内の家畜の改良増殖に関する計画を定めることができるものといたしました。しかして国は、都道府県に対してその家畜改良増殖計画の実態に必要な援助に努めるものといたしたのであります。 第四に、家畜の凍結精液の利用の実用化に伴い、種畜及び家畜人工授精に関する規定の整備をいたしました。すなわち、現行の種畜及び人工授精に関する規定は、人工授精が緒についた当時に制定されたものであるため、凍結精液の利用を予想しておらず、この点において不適切なものがあると思われますので、この点の整備をすることといたしたのであります。 第五に、家畜登録事業に関する必要な規制を行なうことといたしました。家畜を登録して、その血統、能力、体型を明らかにすることは、家畜の改良増殖を促進する上にきわめて重要な事業であり、わが国においても古くから行なわれており、昭和二十三年に制定されました種畜法には家畜登録に関する規定がありましたが、これにかわる家畜改良増殖法制定の際は、当時のやむを得ない諸事情からその規定を設けられませんでした。しかし、すでに述べました今後における畜産の重要性にかんがみまして、家畜登録事業は、今後の家畜の改良増殖の方向によく適合し、公正に運営される必要がありますので、所要の規定を設けたのであります。すなわち、家畜登録機関の登録規程は、農林大臣の承認を要することとし、登録規程がさきに述べました家畜改良増殖目標に即したものであり、かつ、公正に家畜登録事業を運営するに十分なものであることをその承認の要件とすることにいたしました。また、これに加え家畜登録機関に対する国の助言、指導その他必要な援助及び農林大臣の監督に関する規定を設けることといたしました。 第六といたしましては、農林省に家畜改良増殖審議会を置くことといたしたのであります。この審議会は、学識経験者をもって構成し、家畜改良増殖目標その他家畜の改良増殖に関する重要事項につきまして農林大臣の諮問に答え、また意見の具申を行なうものであります。 以上が本法案の提案理由及び主要な内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤野繁雄君) 以上で三案の提案理由の説明を終わりました。 それでは、続いて中央卸売市場法の一部を改正する法律案の補足説明を願います。
○政府委員(坂村吉正君) それでは、ただいま提案理由の御説明を申し上げましたが、これに対しまして補足的な御説明を申し上げたいと存じます。 まず、今回の改正の要点は、先ほど申し上げましたように第一に、中央卸売市場の開設及び整備を計画的に推進するための措置について定めることでございます。第二に、中央卸売市場における卸売業務の適正健全な運営を確保するための措置を整備強化することでございます。第三に、中央卸売市場の周辺地域における卸売市場に関する改善措置について定めることでございます。第四に、中央卸売市場審議会を設けることでありまして、以上のほか、この際若干の規定につき所要の整備を行なうことといたしております。 次に、これらの内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、中央卸売市場の開設及び整備を計画的に推進するための措置でありまして、これに関する改正部分は、第七条ノ二及び第七条ノ三の新設並びに第八条の改正であります。中央卸売市場は、大正十二年に中央卸売市場法が制定されまして以来現在までに、六大都市を初め十八都市に開設されておりますが、生鮮食料品の全国流通上必ずしも十分とは言えない状況であります。また、既設の市場につきましても人口の増加、設備の老朽化等により整備を要するものが多々認められる実情にあります。そこで、今後中央卸売市場の開設及び整備を計画的に進めるため、第七条ノ二を新設いたしまして、農林大臣は、生鮮食料品の適正円滑な流通をはかるため必要があると認めるときは、中央卸売市場の開設及び整備に関する計画を定めることができることとしたのであります。この計画におきましては、計画の期間、中央卸売市場の開設及び整備を必要とする都市及び中央卸売市場の名称、取扱品目の設定または変更、設備の新増設等に関する事項につき定めることといたしております。それとともに、計画の樹立を適正に行なうため、農林大臣は、計画を定めようとするときは、中央卸売市場審議会及び関係地方公共団体の意見を聞かなければならないこととしております。次に、右の計画の適正円滑な実施をはかるための一つの手段といたしまして、新たに第七条ノ三を設けまして、農林大臣は、その計画に定められた都市の区域を管轄する地方公共団体または中央卸売市場の開設者に対し、中央卸売市場の開設または整備に関し必要な勧告をすることができることとしております。なお、この場合におきましても、勧告の適確を期するため、中央卸売市場審議会の意見を聞いて行なうこととしております。さらに、中央卸売市場に対する助成措置として現行法におきましても、第八条に、農林大臣は、開設者に対し所定の設備につき補助金を交付することができる旨の規定がありますが、これを右の計画に定められた都市の区域を管轄する地方公共団体または中央卸売市場の開設者がその計画に基づいて所定の設備の新増設等を行なう場合に補助金を交付するという措置を講ずることに改め、計画の実施に資することとした次第でございます。 〔委員長退席、理事櫻井志郎君着席〕 これにつきましては、三十六年度におきましては九千万円の補助金の予算をとっておるのでございまして、初めは昭和三十五年度において三千万円の予算を新たにとりまして、これに基づいて昭和三十五年度におきましては三中央卸売市場に対しまして補助金を交付した、こういう実態になっておるのでございます。今後この問題は、政府の内部におきましても十カ年計画をもってこの中央卸売市場の整備をはかっていく、こういうようなことで、十カ年にわたりまして補助金の交付等を行なっていきたい、こういう考え方で計画を進めておる次第でございます。 第二は、中央卸売市場における卸売業務の適正健全な運営を確保するための措置の整備強化でありますが、これに関する改正部分は、第十条ノ五ノ二及び第十四条ノ二の新設並びに第十条ノ三、第十条ノ六、第十四条、第十五条ノ二、第十七条及び第十八条の改正であります。その一は、第十四条ノ二といたしまして、卸売業者の兼業の届け出についての規定を新設したことであります。最近一般に企業経営は多角化に向かいまして、卸売業者につきましても兼業業務を始めるものが多くなる傾向にありますが、中央卸売市場の卸売業者は零細多数の生産者、出荷者から生鮮食料品の委託を受けて販売を行なう者であるという性格にかんがみまして、兼業業務を営む場合には、そのことによりまして本来の業務に支障を生ずることのないよう特に留意することが必要であると考えられます。このような観点から、第十四条ノ二におきましては、卸売業者は、兼業業務を営もうとするときは、その兼業業務に関する事業計画を添えてその旨を農林大臣に届け出ること、兼業業務を追加しようとする場合、届け出事項を変更しようとする場合も同様の届け出を要することといたしまして、兼業業務に関する状況を十分掌握して兼業業務を営む卸売業者に対する監督に万全を期そうとするものであります。その二は、第十五条ノ二の卸売業者の合併等に関する私的独占禁止法の適用除外措置の改正であります。これは、従来中央卸売市場の卸売業者の間における合併、営業の譲り受け及び取引条件に関する協定につきましては、過当競争の防止及び適正健全経営の確保という観点から私的独占禁止法の適用が除外されておりますが、この措置を同様の趣旨から中央卸売市場の卸売業者と中央卸売市場指定区域内において中央卸売市場類似の業務を行なう市場の卸売業者との間における合併及び営業の譲り受けにつきましても拡充するため、同条の規定を改正しようとするものであります。すなわち、類似業者と卸売市場の中の卸売業者が合併する場合におきましても、私的独占禁止法の適用を除外をいたしまして、類似業者を中央卸売市場に引っぱり込んでそうして整備をしていく、こういうことに資そうという考え方でございます。その三は、右のほか卸売業者に関する監督規定等の整備といたしまして、第十条ノ五ノ二を新設いたしまして、卸売業務の許可に際しましては、必要に応じ条件をつけることができるものとすること、第十七条を改正して、卸売業者の業務または会計に関し必要に応じ改善措置を命ずることができる旨の規定を設けました。また、第十八条の卸売業者に対する行政処分の一つとして、法律違反行為等を犯した役員の解任命令を加えること、第十条ノ三の卸売業者の欠格条件に右の解任命令にかかる役員で一定期間を経過しないもの等を加えることといたしております。こういう者は欠格条件として卸売業者の許可を受けられないというようなことといたしております。その四は、中央卸売市場における売買方法に関する規定の整備であります。現行法では第十四条におきまして、中央卸売市場における売買は、せり売りを原則とし、その例外として業務規程で定める特別の事情がある場合を定めておりますが、生鮮食料品の実情に即しまして公正な取引が行なわれることとなるようこの規定を改正しまして、公開による競争的な価格形成方法として、せり売りの方法と同列に入札の方法を扱うことが適当であるというふうに考えましたので、せり売りと入札との両方の原則を加えることといたしまして、例外的となる場合を法律に明記し、さらに、その場合における売買方法の基準を命令で定めるということにいたした次第であります。 第三は、中央卸売市場の周辺地域における卸売市場に関する改善措置でありまして、これにつきましては第二十三条ノ二を新設しております。最近生鮮食料品の流通範囲は輸送事情の改善等により拡大の傾向にありまして、中央卸売市場の周辺地域の卸売市場につきましても中央卸売市場と業務上密接な関連を持つものが見られ、中央卸売市場の機能を完全に発揮させるためには、このような卸売市場につきましても農林大臣が必要に応じ改善措置を講ぜしめる道を開くことが適当と認められるのであります。このような趣旨から、第二十三条ノ三におきましては、農林大臣は、中央卸売市場指定区域の周辺の地域で、農林大臣が指定するものにおいて開設される卸売市場であって、その施設が一定基準をこえるものの業務が流通上中央卸売市場の業務と密接に関連する場合におきまして、当該中央卸売市場の業務の適正健全な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、当該周辺地域の卸売市場の開設者または卸売業者に対しその施設または業務方法に関し必要な改善措置をとるべき旨の勧告をすることができる、こういうこととした次第であります。この点は中央市場一般の問題につきましては、全体に一般的な卸売市場の取り締まり法規を作ってもらいたいという要望が非常にありましたわけでございますが、これにつきましては、水産物の産地市場の問題につきましては、まだ結論を得ませんので、水産庁の方で鋭意検討中でございます。一般の地方の都市の卸売市場につきましては、現行法では厚生省の衛生取り締まりの取り締まりを受けておるということでございまして、ただいま幾つかの県では県条例を作って、これの取り締まりをやっておるという県もございまするけれども、一般的な法規がないわけでございます。従いまして今後の問題としては、一般の卸売市場の取り締まり法規というものを整備すべきであろうというように考えておるのでございますが、今度のこの卸売市場法の改正に関連をいたしまして、中央市場を今後どんどん全国的に拡充して参りまする場合には、その周辺地域につきまして、全体の流通上から必要がある場合には、改善措置の命令ができるということにしておきますれば、一部この御要望にはこたえられるんじゃないか、こういうような意味で特にこの周辺市場の問題を取り上げました次第でございます。 第四に、第二十三条ノ三として新設する中央卸売市場審議会について申し上げます。さきに述べましたように、中央卸売市場の開設及び整備に関する計画の樹立並びにそれに基づく勧告につきましては、中央卸売市場審議会の意見を聞いて行なうことといたしておりますが、これらのほかの中央卸売市場法の施行に関する重要事項につきましても、必要に応じ中央卸売市場審議会の調査審議を願うこととし、学識経験者の意見を十分取り入れまして、中央卸売市場法の運用に適確を期するため、農林省に中央卸売市場審議会を設けることとしたのであります。また、審議会はこれらの事項に関しまして、自主的に、農林大臣に意見を述べることができることといたしております。審議会の組織につきましては、その性格にかんがみまして、委員五人以内で組織することとし、これらの委員は、学識経験者のうちから農林大臣が任命することとなっております。なお、このほか審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定めることといたしております。 最後に、以上のほか、この際若干の規定につきまして所要の規定の整備を行なうことといたしておりますので、この点について御説明申し上げます。その一は、中央卸売市場の分場設置の取り扱いの改正でありますが、現行法では、第二条後段の規定によりまして、中央卸売市場の開設後位置を異にする市場を設ける場合には、分場設置の認可を受けなければならないということになっておりますが、取り扱い品目を異にする市場相互間等におきまして一方を必ず分場として取り扱わなければならないというのは、市場の名称としても適当でなく、また開設者の管理組織にそぐわない場合がありますので、第二条の後段を削除することといたしまして、これらの取り扱いは、開設者に業務規程で定めさせることによって、第四条の規定による業務規程の変更の認可にかからしめることといたしたのであります。従いまして、たとえば芝浦等のような場合に、あそこに肉の中央市場を作ろうといった場合に、今までの規定では分場と言わざるを得なかったのでございますが、肉の中央市場ということが言える、こういうような形に直しましたわけでございます。その二は、第三条第一項の業務規程で定めるべき事項として、右の分場設置の取り扱いの改正に伴い新たに中央卸売市場の位置及び面積を加えることとともに、前述いたしました売買方法に関する規定の改正とあわせまして、中央卸売市場における売買方法を加えることといたしております。 このほか、今回の改正に伴いまして、第二十五条及び第二十六条に規定する罰則に必要な改正を行なうとともに、経過措置として、付則によりまして、改正法の施行の際、現に開設されている中央卸売市場における売買方法その他業務規程で定めるべき事項につきましては、改正法の施行の日から一年間は従前の例によることといたしました。改正法の施行の際、現に兼業業務を営んでいる卸売業者で、当該兼業業務を引き続いて営もうとするものは、改正法の施行の日から三十日以内に当該兼業業務に関する届け出をしなければならないことを規定いたしております。 以上が中央卸売市場法の一部を改正する法律案の概要でございます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
○理事(櫻井志郎君) 以上で補足説明は終わりました。 本案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○森八三一君 中央卸売市場法の一部改正、御説明ございましたが、今問題は、市場における取引というものが、ほんとうに公正に行なわれるということにあろうかと思うのです。そういう点から申しますると、今度の改正はまだ十分でないという感じがいたします。神田市場におけるかつての、市場のある一卸売業者が、非常に不幸なできごとに逢着いたしました当時のことを考えますると、もう少し核心に触れた改正というものがあってしかるべきではないかと思うわけでありますが、そんな点について何かお考えがありますればお伺いをしたいわけであります。
○政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通り、中央卸売市場法の問題といたしましては、市場内における取引が適正、公正に行なわれて、生産者の利益にも合致し、消費者の利益にも合致し、そうして公正な値段がきめられる、こういうことが一つの、一番大きな問題であろうかと思うのであります。そういう意味におきまして一面におきましては施設の整備はもちろん必要でございますが、これが今まで国の力があんまり入ってないわけでございますので、そこで施設の整備に重点を一つ置いて施設を整備していこう、こういうことと、それから内容の、いわゆる取引方法、それから卸売業者に対する監督、そういう問題を少し強化をいたしまして、そうして取引が公正に行なわれるようにと、こういうことで考えた改正案でございます。もちろん市場法の問題といたしまして十分であるとは考えておりません。しかし、まあそういう現在までのいろいろ問題がありまして、中央卸売市場審議会におきましても、いろいろと審議をされて参ったところでございますので、少なくとも一歩二歩を踏み出して、そうして流通の改善は、消費地における需要の非常に主要なる部門でございますので、その部門が合理化され、改善されることを期待して考えました改正案でございます。今後いろいろ全体の経済の動きと、生鮮食料品の流通の動き、生産から消費に至りますまでのいろんな動きがあろうと思いますのでございますが、それらに応じまして今後の問題としては、まだまだ検討する問題はあろうと思いますが、一歩前進という意味で御了承得たいと思っているわけでございます。
○森八三一君 これではまだまだ十分ではないので、今後基本的な問題についてはやっていかなければならぬ問題が多々あるというようなお話でありますが、ただいまのところでそういうような、今後改正すべき基本点とお考えになっているその点ですね、こんな点は今回の改正には盛り込まれておらぬけれども、今後こういう点に一つメスを入れて、しっかり一つやらなければならぬというような、お考えになっておりまする構想ですね、そういうものをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(坂村吉正君) 農業基本法におきまするところの農産物の流通の合理化、こういうような問題から考えましても、今後流通の問題を取り上げまする場合に、やはり主体は何といいましても、その生産者から消費地に至るまでの生産者の出荷態勢というようなものが相当中枢になってくる問題であろうと思うのでございます。そういうふうな意味で、たとえばそれらにつきましての出荷態勢を強化して、あるいは場合によったら突っ込んでは、それによって必要に応じて生産調整までできるとかいうようなところまで、問題は発展するんじゃないかと思いまするけれども、そこが非常に流通問題として大きな問題であろうと思うのでございます。そういたしまして、この中央卸売市場という問題は、そういう青果物あるいは魚が消費地に来ました場合、消費地においての取引の場でございます。ですから取引の場におきましては、今までの慣例からいたしますれば、生鮮食料品はここで一緒に集めて、そしてそこで公正なせり売り、あるいは入札の方法で競争で値段を公正にきめていく、こういうことで、ものの性質上からも一番適当だと、こういう工合に従来から来ているのでございますので、その方法を根本的に変える必要はあるまいと思うのでございます。そこで、その中で、それでは卸売人とそれから仲買い、小売りというような者が入り込んで、そこでいろいろ取引が行なわれるわけでございますから、その場合にやはり一番中心は卸売業者や仲買業者に対する監督の問題、それからひいてはいろいろ業態が脆弱なために、そのためにいろいろ生産者や消費者に迷惑を与えるというような問題、そういう点を今後もっと積極的に入り込んで、それを強化していくと、こういうところが大体大きな問題になるんじゃないかと思っておるのでございます。ですから、そういう点は今度の改正におきましても、できる限り織り込むようにいたしておるのでございますけれども、今後とも運用上も十分一つそういうことに心を注ぎましてやって参りまして、今後の将来の問題につきましても、十分そういうものを基礎にいたしまして、一つ考えて参りたいというふうに考えております。
○森八三一君 結局、生産者は市場の卸売業者に対して無条件で委託販売をしておるわけですから、その委託者が真に公的な立場に立って公正な取引をやっていくというような建前をはっきりさせぬ限り、現在のように卸売業者自体が産地まで出向いていって、いたずらに値引きとかいうことによって、自己の営業を拡大していこうとする利益追求の機構をこのままにしておいたんじゃあ、私は問題の根本的解決にはならぬのじゃないかという感じを持つんです。現状における市場を視察いたしましても、そういう感じを深くするんです。そういうような点についてもう少しメスを入れることをお考えにならぬと、ただこういう設備をどうするこうするという問題ではなくて、もう少し核心に触れた問題を取り上げていかなければ、ほんとうに生産者も守られませんし、消費者も守られぬという感じを深くするんですが、どうして今度の改正にそういう問題が取り上げられなかったのか。その辺のいきさつがありましたら一つお伺いしたい。
○政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通りでございまして、そこが一番大事な問題であろうと思います。ですから、従いまして卸売業者というものの性格は、どちらかと申し上げますれば、非常に公共的な色彩を持っておるというふうに考えていいんじゃないかと思うのでございます。そこで場所によっては、あるいは市町村等の公共団体が直接卸売事業をやるというようなところも、これはないではございませんけれども、じゃあ必ずしも現在の経済機構の中でそういうものがはっきりとした形で作り上げられるかどうかということになりますると、それは非常にむずかしい根本問題でありますので、とにかく現在の機構、経済の状態を一応まあもとにいたしまして、その上でできる限り政府も、それから開設者も監督を強化して、そして生産者に御迷惑がかからぬようにやっていくと、こういうことで、とにかく一歩でも二歩でも踏み出そう、こういう心がまえで発足をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○森八三一君 そうしますると、今度の改正によって監督を強化するというのですから、この市場における卸売業者が産地に対して値引き競争をやるような、前渡金を渡すだとか、あるいはリベートを特別に出すだとか、こういったようなことは監督上禁止をなさるといったようなことになりますかどうか。それからまた、市場において仲買人、小売人等に卸売業者から渡す場合にも、手数料の歩引きをするとかといったようなことで、自分の、卸売業者の営業を拡大しようとするがごとき、公共的な性格にもとるような行為というものは、全部禁止するというところまで突っ込んでの監督を強化されるということでありましょうかどうか。
○政府委員(坂村吉正君) 現在におきましても奨励金等、そういうようなものにつきましては、業務規程でこれは承認を受けなければならぬということで、これは昭和三十三年でございまするか、法律改正のときにそういうことになったわけでございます。そういたしまして、運用しておるのでございまするが、こういう問題は、いろいろ市場の手数料の問題等とも関連をして参ります。現実問題といたしまして、私どもも手数料は今蔬菜が一割、それからくだものが八分、水産物が六分、こういうようなことで運用されておるのでございまして、この手数料の姿を見ますと、これはずっと魚や蔬菜の荷物の非常にまあ少ないときにきめられたもののようでございまして、非常に今荷物がふえておるような状況で、はたしてこの手数料でいいのかどうかということが問題でございます。現実にいろいろ調べて調査をしてみますると、これがまた生産者との結びつきがございまして、たとえば手数料を下げるということになりますと、今まで生産者にまあ奨励金や何か歩戻しをしておった。それがこういう問題が起こりますと、生産者からむしろそういう問題についての反対が非常に強いわけです。これを突っ込んで参りますと、非常に痛しかゆしの問題がございまして、この点は今後の問題としても十分慎重に調査検討いたしまして、そうして何らか対策を考えたいというふうに考えておるわけでございますから、そういう生産者の方でも非常にこの問題については逆の問題が起こってくるというような実情にあるので、なかなかむずかしい問題でございまするが、従いまして機械的にこれを全部今やめろ、こういうような指導をすることは、あるいはむずかしいかもしれませんが、できるだけその方向で、方向といたしましては、節減というような方向で考えていきたいと考えております。
○森八三一君 生産者に問題があるとおっしゃるのですけれども、私が地方へ参っていろいろ直接生産者の声を聞きますると、そうではないのですね。役所は生産者と思っていらっしゃる方が、実は生産者じゃないのですね。ですから、ほんとうに市場に要する諸費用というものを、生産者が明確に承知をし得るような態勢に置くということが、公正な取引を行なわしめる基本だと思うのです。市場の方からその出荷団体の要する費用というものが逆に還付されてくるというような姿で、生産者は一体どれだけ自分たちの品物を処理してもらうために費用を負担しておるか、ちっともわからないというところに問題があるのです。ですからほんとうの、生産者が一体自分の生産物を処理するためにどういう経費がどうかかっておるかということは、さっぱり不明のうちに処理されておるというのが実態なんですよ。ですから、そういう点を明確に生産者にまではっきり計算上わかるという態勢をとるということが、問題の解決に私は一番裨益する面が多いと思うのです。それを考えて参りますると、今局長もお話しになりましたように、現在の一割とか八分とか、六分とかいう手数料は問題にならぬ、それは極端に切り下げなければならぬと思うのです。それを切り下げることが、現在の市場における卸売業者、あるいは仲買人、あるいは生産者と称する一部の人たちの反撃にあって、どうしても手がつかぬというところに、もやもやした問題がある。その問題に手を触れぬ限り、私はこういうようなことをやりましても、これが悪いとかということじゃないのです。これによって市場における公正な取引が確保せられて、それが生産者のために、消費者のために非常に裨益するという結果は出てこないと思うのです。全然ゼロかと言えば、ゼロじゃないと思いまするが、ほんとうに要求するような結果というものは生まれてこない。もう少し明朗に取引ができるという形をとるべきだと思うのです。そういう点に一歩踏み込まぬと、これはもうまるきりやらぬよりはよかった程度のことで、大して中央市場法の改正をいたしましたかいということはないと思うのですが、そういう点に近く手をおつけになりますか。これは下手すると、いうと首をかけてやるくらいの大きな問題になると思う。それくらいの勇気をもっておやりにならんというと、基本法ができましても、生産者が成長部門として選択的に拡大していく品物の生産物の公正な価格というものは維持されぬということになると思うのです。
○政府委員(坂村吉正君) 全く同感でございます。先ほど申し上げましたように、生産者らしい声が非常に強く、生産者のような顔をして強くこれは出て参るのでございます。これがなかなか始末に負えない問題でございまして、これらの実態をほんとうに調査をいたしまして、そうして生産者がほんとうにこういうことによって利益になるのじゃないかということがはっきりいたしますれば、私はやろうと思えばできないことはないだろうと考えておりまして、これは前々からいろいろ勉強をしておりますけれども、なかなかそこまで手がつかない現状で、まことに申しわけない次第に思っておりますけれども、今後も十分一つ勉強いたしまして努力をいたしたいと思います。
○東隆君 今の問題、私は是正をするのに、運転資金に相当する部分は、公共性が強ければ強いほど私は国が出すべきでないか、もし卸売人に出すことがむずかしいのならば出荷の団体、出荷をする団体に私は低利資金を融通する、こういうような形をとるべきでないか。そうしてそれには私は法律によってできたものと、申し合わせによってできたものと、こういうようなふうに相当階梯をつける、こういうようなことをやるべきじゃないか。こんなようなことを考えて、そしてできるだけ中間の経費を省いて消費者にも安い価格によって配給をされる、こういう態勢を作らなければいけない、中間におけるマージンが膨大なものになってくると、中央卸売市場におけるものもあわせて大きくなるということは、私は農畜産物、ことに中央卸売市場で扱うものについて、私はそういう点に問題があるのじゃないか、こう考えるのですが、その点はどういうような方向になっておりますか。
○政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通り、中央卸売市場におきまする卸売業者といいますのは、先ほどから申し上げましたように相当公共的な仕事をやるわけでございまするから、これらの運転資金等についても、特別な何らかの措置を講ずる必要があるという点は一面から考えられるのでございます。しかし現実問題といたしまして、それらの問題を考えてみますると、たとえば卸売業者にいたしましても、上場株であって株価が相当、百五十円もしているようなところへ、はたして現実問題として政府から何らかの低利の資金の融資ができるかということになって参りますと、現実にはなかなかそこはむずかしい問題でございます。ですから、従いまして、そういう面はやはりたとえばこの法の改正案にもございますように、兼業関係等も一つはっきりいたしまして、そうして卸売業者の実態もはっきりと掌握をして、そうして監督を厳重にして、卸売業務として、はたしてどれだけの経費があればいいのか、こういうようなことがはっきりいたしますれば、おのずから方向としてはついてくるのじゃないかというふうな感じもするのでございまして、そういう市場の問題というものはまだそういう段階でまことに申しわけないと思っておるのでございまするが、今までそういう程度に何といいまするか、控除されていくというふうに言っていいのじゃないかと思うのでございまするし、このたび、この法改正を契機といたしまして特にこの実態の把握をし、今後こういう方向に持っていくようにいたしたいと考えております。また、出荷団体に対する補助というようなものも、これも戦前はいろいろありましたわけでございます。出荷団体の助成がいろいろと講じられておりましたけれども、現在は大部分が農協を主体にした共同出荷ということになっておるのでございまして、そういう関係からなかなか出荷団体に対する助成措置を講ずるというような問題もむずかしい問題で、実現がなかなかできていないという状況でございます。しかし、一部には出荷調整のためのいろいろ協議会の費用であるとか、そういうようなものは予算の上でも組んでおりまして、出荷面についてのそういう調整機能に対するある程度の助成の措置は講じておるのでございますが、今後基本法との関連等におきましても、そういう点に相当力を入れまして、青果については振興局でございまするけれども、魚については水産庁でございますけれども、そこで十分出荷問題に対する対策を考えていく、こういうようなことに相なっておるわけでございます。
○東隆君 私は申し合わせの団体等によって出荷団体と、それから卸売人との関係、この関係は、私はこの関係が大きければ大きいほど不明朗なものになるのじゃないか。従って、農協を中心にしての場合は、金融の面その他においても生産物金融は、農業協同組合を通してこれはなされますけれども、卸売人と申し合わせの出荷団体との関係は、これは直接卸売人との間の問題あるいは銀行その他との関係、従ってそこに問題があるのじゃないか、それから中央卸売市場に十分に生産者の考え方を反映さす意味においても、そういうような商業的な申し合わせ団体、そういうようなものの介在は、私はやはり問題を起こしてくるのじゃないか。従って、中央卸売市場のような場合には、その系統をはっきりさして、そうして、農協による出荷、こういうようなものを強力に助長する態勢を作っていかなければ、独占的な大きな企業があるのだし、それとの対抗上からも、私は問題があろうと思うので、そういう点十分に考慮をしなければならぬ問題だと私は考えておるわけですが、水産物になってくると、こいつはますます激しくなってくるのじゃないかと、こういうふうに考えるのですが、この点はどうですか。
○政府委員(坂村吉正君) 全くお説の通りでございまして、農産物については大体考え方としては、農協中心の考え方でございます。水産物については漁業中心の出荷態勢というものが強化されることが必要であろうと思うわけでございます。十分そのための措置を今後とも検討して参りたいと考えております。
○東隆君 審議会ができるようでありますが、これは五人でありますが、人選その他、それから対象は農林水産物を含むものとお考えになりますか、そういう考えと、配分その他についても、人数からいってもだいぶ簡素強力なものを作り上げるようですが、その中身はどんなふうになるのですか。
○政府委員(坂村吉正君) この審議会は非常に生鮮食糧品の取引市場の問題と言い得まするように、時々刻々活発な動きをしている問題でございまするから、これについては農林省の相談役というようなつもりで常時いろいろ相談をしていってもらう、このようなつもりで考えておるわけでございます。たとえば取引所の問題なんかにつきましても、取引所審議会というようなものがございまして、これは五人でございまするけれども、これがいろいろ取引所の問題についても農林省、通産省の相談相手になっているということで、そういうような意味から言いまして、そういう仕事の知識経験を持った公正な、りっぱな人で、相談相手になるような人をお願いしたいと思います。
○河野謙三君 ちょっと一言だけ。先ほど森委員の質問に答えられて、将来に向かっての改正の方向はより公共性を強化したい、こういうことをおっしゃいましたが、そこで、私は一つ伺いたいのですが、現在の市場の資本構成、株主なら株主、どういう人が株主になれない、またどういう資本構成はいけない、こういう何か制約がありますか。
○政府委員(坂村吉正君) 現在のところでは、特に制約はございません。
○河野謙三君 そうしますと、これは単に東京だけじゃないでしょうが、監督の官庁である東京都、この東京都の都会議員が市場の構成メンバーの中に入っていることは、許されているのですか。
○政府委員(坂村吉正君) その実態は、たとえば東京都の都会議員が株を持っているかどうか、そういうようなところまではよくわかりませんけれども、これは会社の株を持つことについての制限はございません。あるいは持っているものもあろうかと思います。
○河野謙三君 それじゃ後刻でいいのですが、資料で私はもらいたいのですがね、現在そういう都議会議員とか、国会議員とか、また大阪の府会議員であるとか、また中央卸売市場に関係ないけれども、地方の場合各府県の職員とか県会議員とか、こういう者が市場に関係している実例がありましたら、それを私は見してもらいたいと思うのですがね。古いことですが、私の頭に残っているのですよ、今はおりませんけれども、国会議員が卸売市場のボスであったとか、都会議員が卸売市場のボスであったとか、しかもそれが一つならいいけれども、三つも四つもまたをかけて、そうして適当のことをやっている。それがやっぱりひいては、いろいろ過去において問題を起こした根源をなしておったということがあるわけですね。過去において問題がなければいいけれども、問題があったものぐらいは、いかにむずかしいからといって、この際このときに改正案を出すなら、その問題くらいを取り上げたらいいじゃないかと私は思うのですけれども、しかし、資料の要求を待つまでもなく、そういうものは絶無であるという、ここでお答えがあれば、これはいいのですが、どうもそんなものがあって、そうして一方において坂村さんが公共性を強化しなければいかぬとか、またこの種の改正をやられても、私は意味ないと思うのですよ。そういう点はどうです。過去においてはあったことは私の記憶にありますよ。国会の中にはそういうのがおりましたよ。そういう点は、やはり坂村さんとすれば政治的のいろいろ圧力とか、何とかいっていろいろとやりにくいと、こういうことですか。そうであれば、農林大臣、政務次官おられれば……。せめて改正案を出す以上は過去の実績に徴していろいろ問題があった点くらいは、全部片づかなくてもその中の一部にでも手を触れて改正しなければいかぬと思うのですが、坂村さん、そういう関係は今ありませんか。私が求めた資料は。
○政府委員(坂村吉正君) 現在のところ詳しい調査はございませんけれども、国会議員が直接関係しているというものはないんじゃないかと思っております。もちろん、県会議員とか、市会議員とかいうようなものが直接関係しているものは各地にございます。ございますが、これは市会議員とか県会議員が関係して悪いことをするというふうに選良を考えるのもどうかと思います。そういう調査はなかなかできないわけでございます。今後そういう事例を少なくする、あるいは資料としては相当時間をかけないとなかなかできないかと思いますが、現在のところでございます資料では、大体資本構成を見てみますと、こういう状況になっております。青果物では役員が持っているのが三〇%、それから社員のものが持っておりますものが一二・五%、それから仲買人の持っているものが六・七%、小売人が持っているものが五・九%、生産者が五%、その他のものが四〇%、こういうような内容になっております。それから水産物の場合においては、役員の持っておりますものが二〇%、社員が一〇・七%、仲買人が八・九%、小売人が〇・六%、生産者が二六・七%、その他が三二%、水産物では非常に生産者が出資者になっておるというのが多いというような状況でございます。青果の場合には、これは非常に少ない状況でございます。
○河野謙三君 重ねて一言申しますが、私が言うまでもなく、こういうものは資本構成を正すことが一番大事だと思うんですよ。その上に立って初めて公共性というものがあり得るのであって、血液を直さないで幾らかさぶたをむしったって、それから三日もたてばまたできますよ。六〇六号の注射をして血液をきれいにしなければできものはなおらないんです。私が悪口を言うと、この改正案は、できもののかさぶたをむしっているようなものであって、一カ月や二カ月はいいけれども、またかさぶたができますよ。その改正案を出して、またかさぶたを取る、こんなことをやっておったってしようがないんで、今私は一つの例を申し上げたんですけれども、市場の公正が乱されたという実例はたくさんある中で、私はこの国会に籍を置いて一番遺憾に思うのは、国会とか、都会とか、市会とか、県会とかいう面からこの公正な市場が乱されたという実例は、あまりにも多過ぎるんですよ。この点に目をふさいで、目をおおって、そうして今言うように、できもののかさぶたを幾らむしったって意味がないんじゃないか。まあ、むしらないよりむしった方がいいと思うから私は賛成するけれども、坂村さんはなかなか、いつもあなたは目下考究してとか、目下案を練るというけれども、私はあなたにいつか言ったけれども、あんを練るというのは菓子屋ばかりなんで、あんこをそろそろ出してもらいたい、こういうことを重ねて私はあなたに申し上げておきます。
○理事(櫻井志郎君) 本案についてはこの程度にいたします。 —————————————
○理事(櫻井志郎君) 自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案(衆第六〇号、予備審査)を議題といたします。 まず、本案の提案理由の説明を求めます。衆議院農林水産委員長代理田口長治郎君。
○衆議院議員(田口長治郎君) ただいま議題となりました自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 自作農維持創設資金融通法は、農地改革の成果を保持するため、金融面を通じて自作農の転落防止、農業経営の安定向上をはかることを目的として昭和三十年に制定せられ、自来、農業者に対し、農林漁業金融公庫を通じ、利率年五分、償還期間二十年以内、据置三年以内の貸付条件で、農地または採草放牧地の取得、維持もしくはその細分化防止等のために必要な資金の融通が講ぜられてきましたことは、御承知の通りであります。 しかして、本法の制定後、漸次その融資ワクは増額され、昭和三十五年度までに維持資金三百六十一億円、取得資金百十一億円、相続資金三億円が融通され、農業経営の安定向上のため、特に災害を受けた自作農の経営と家計をその破綻から救済する上において大きな役割を果たして参っているのであります。 しかしながら、一面におきましては、現行制度の内容と運営の状況を検討いたしますならば、貸付ワクが少ないとか、融資手続が繁雑であるとか、経営不振農家が融資対象から除外されがちであるとか、災害対策資金としては貸付条件が実情に沿わないとか、今後改善を要する問題点を数々包蔵していることはいなめないところであります。 過般、農業基本法案が衆議院において審議せられました際におきましても、農業基本対策を確立し農業の生産性の向上と所得の向上を実現するためには、当然、自作農維持創設資金を含む農業金融制度のあり方を根本的に画検討する必要のあることがしばしば指摘せられたのであります。 また、去る三月三十日、農林漁業金融公庫法の一部改正案を可決いたしました際におきまして、委員会が自作農維持創設資金の貸付条件の改訂について全会一致の決議をいたしましたのも、さきに述べました趣旨によるものと信ずるのであります。 従いまして、自作農維持創設資金融通法に対しましては、現下の農政をめぐる諸情勢に適合し得るよう早急に改正を加うべきものと考えますが、この際は諸般の都合により、従来からの懸案事項となっておりまする貸付限度額の引き上げについては、取りあえず農林漁業金融公庫の業務方法書を改訂することとして、法律事項としては、北海道の農家負債問題の解決に一歩前進する方向に範囲をしぼって、同法の改正問題を取り上げることとしたのでありまして、この点委員各位の格別の御理解を賜わりたいと存ずるものであります。 御案内のごとく、北海道の多くの農業者は、過去数年にわたる冷害等の災害その他の原因によって多額の固定化負債をかかえることとなり、農業経営の維持安定にせっかく努力しているのでありますが、かかる状態より一刻も早く、できるだけ多くの農家が立ち直るよう援助いたしますためには、北海道の農家に対し三十六年度に貸し付ける自作農維持創設資金の貸付条件を、この際最小限度緩和することが必要であると認め、ここに本案を提出することにいたした次第であります。 以下本案の内容について申し上げますと、昭和三十六年度に限り、北海道の農業者に対しましては、この法律により貸し付けられる資金については、その償還期間が現行二十年以内とあるのを二十五年以内に、また据置期間が現行三年以内とあるのを五年以内に、それぞれ延長して、貸付条件の緩和をはかることといたしたのであります。 なお、三十六年度の貸付資金に限定しました理由は、次の機会に本制度の抜本改正が行なわれるであろうことを含んでの措置であることは申し上げるまでもないところであります。 以上が本案を提出した理由及びその内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
○理事(櫻井志郎君) 本案については、この程度といたします。 —————————————
○理事(櫻井志郎君) 次に、去る三月十四日提案理由の説明を聴取いたしました畜産物の価格安定等に関する法律案(閣法第一四〇三号、予備審査)、また先ほど提案理由の説明を聴取いたしました家畜商法の一部を改正する法律案(閣法第一九二号、予備審査)及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(閣法第二〇二号、予備審査)の三案を一括議題とし、順次補足説明を求めます。
○政府委員(安田善一郎君) 委員長の御指示に従いまして、まず畜産物の価格安定等に関する法律案につきまして若干補足説明を申し上げます。 まず、全体の構成について申しますと、本則と附則とからなっておりまして、本則は、総則、安定価格等、畜産物価格審議会、畜産振興事業団、雑則及び罰則の六章からなっております。 まず、本則におきましては、第一章ではこの法律案の目的と価格安定措置の対象となる畜産物についての定義を規定し、第二章ではこの法律案による畜産物の価格安定措置を行なう場合の基準となる安定価格の設定、安定価格の実現に資するための農林大臣または都道府県知事の措置並びに生産者団体または乳業者による措置について規定しております。 第三章におきましては、安定価格に関する重要事項を調査審議するものとしての畜産物価格審議会について規定を設けております。第四章におきましては、この法律案を施行するために必要な畜産振興事業団の設置、組織、業務、運営等について規定を設けております。 第五章及び第六章は、この法律案を施行するために必要な雑則及び罰則についての規定であります。附則におきましては、畜産振興事業団の設立、酪農振興基金の解散並びにその権利及び義務の引き継ぎその他この法律案の施行のため必要な経過措置、関連法律の一部改正等について規定を設けております。 次に、各条項について御説明申し上げます。 まず、第一条では、この法律案全体の目的を述べております。この法律案の直接の目的といたしましては、「主要な畜産物の価格の安定を図る」ことと「乳業者等の経営に必要な資金の調達を円滑にする」ことの二つがあるのであります。この二つの措置によりまして、「畜産及びその関連産業の健全な発達を促進し」、あわせて「国民の食生活の改善に資する」ことがこの法律案の窮極の目的であります。 畜産物の価格につきましては、従来とも外貨割当制度による輸入の調整、牛乳乳製品の価格指導、学校給食への供給、肉畜の出荷調整事業等の措置によって極力その安定をはかって参りましたが、これらの措置では必ずしも十分ではなく、最近における畜産物の需要の増大に対応するための国内生産体制を確立するためには、一段とこの面の措置を強化する必要があると存ずるのであります。 また、従来酪農振興基金の行なってまいりました乳業者等に対する債務保証業務につきましても、同基金の発足当時とは牛乳乳製品の需給事情も異なりまして、 〔理事櫻井志郎君退席、委員長着席〕 むしろ今後は、著しい生産の増大が期待されます牛乳乳製品の処理製造のための設備の新設または改良のため必要な資金の借り入れについての保証のウエイトが大きくなるものと考えられるのであります。 このような措置を講ずることによりまして、農業の一環としての畜産の健全な発達をはかり、農業経営の合理化及び農業所得の増大に資し、さらに畜産の関連産業の発達をも促進しようとするものであります。なお、このような目的にあわせまして、最近における国民食生活の高度化の方向に沿いまして、栄養価の高い畜産物を多量に、しかも安定した価格で消費者に提供し、その食生活の改善に資しようとするものであります。 次に、第二条におきましては、この法律による価格安定措置の直接対象となる畜産物について定義をいたしております。すなわち、この法律案におきましては、その畜産における地位、国民の食生活に占める役割、価格安定措置からみました効率、適応性等を考慮しまして、さしあたり指定乳製品としましてはバター及び脱脂粉乳を、指定食肉としましては豚肉を対象といたしております。なお、乳製品の原料乳につきましては、乳製品の操作等を通じてその価格の安定をはかろうといたしておりますので、ここでその定義をいたしているのであります。 その他の乳製品や食肉につきましては、必要な事態に応じまして政令で品目の追加ができるよう規定いたしております。 次の第三条は、この法律による価格安定措置を講ずるに際しましてその基準となります安定価格の設定について規定いたしております。 すなわち、第一項は、農林大臣は、毎会計年度、その開始前に、原料乳、指定乳製品及び指定食肉につきまして、その範囲内に価格を安定させようとするそれぞれの価格安定帯の下位の価格を定めることとし、これを安定下位価格と呼ぶことといたしております。次に、同じような考え方で指定乳製品及び指定食肉について安定上位価格を定めることといたしております。原料乳につきましては、この法律案におきましては、直接その安定上位価格を目標とする措置はとっておりませず、指定乳製品の安定上位価格を通じて間接的に規制される仕組みとなっておりますので、原料乳につきましては、安定上位価格は定めないことといたしております。 第二項は、安定価格をいかなる段階におけるものとして決定するかについて規定いたしております。すなわち、原料乳及び指定乳製品におきましては生産者の販売価格といたしております。原料乳の生産者販売価格は、原料の受け渡し場所によりまして、現実の取引におきましては種々の段階のものがあり得るのでありますが、生乳の生産者団体による共販体制の方向、指定乳製品の安定価格との関連等を考慮しまして指定乳製品の製造所渡し価格として決定する予定であります。また、指定乳製品の生産者の販売価格につきましては、価格安定措置の効果の観点から見まして、指定乳製品の生産者を直接の対象といたしておりますので、いわゆるメーカーの工場出し値について定めることとしているのであります。 次に、指定食肉につきましては、その大量の取引が現に行なわれ、また、その価格形成についても適正な措置がとられていると認められておりますところの中央卸売市場における価格について定めることといたしているのであります。 第三項におきましては、安定下位価格及び安定上位価格の機能ないしは意義について規定しているのであります。すなわち、安定下位価格は、その価格を下って原料乳、指定乳製品及び指定食肉が低落することを防止することを目的として定めるものであり、安定上位価格はその額をこえて指定乳製品及び指定食肉の価格が騰貴することとを防止することを目的として定めるものといたしているのであります。 第四項におきましては、安定価格の決定に際して考慮すべき事項を規定しております。安定価格の決定に際しましては、原料乳や指定食肉にかかる肉畜の生産者、指定乳製品の製造業者及び消費者の立場をそれぞれ考慮し、今後の成長産業として期待される畜産及びその関連産業の合理的発達の条件となり得るような価格でなければならないと存じます。そのためには、原料乳、指定乳製品及び指定食肉の生産条件、すなわち生産費、販売価格の水準、その変動状況、生産規模、合理化の可能性等及びその需給事情、その他一般の経済事情を総合的に考慮いたしまして、それらの生産及び消費が安定的に発達し得るような水準で定める意図であります。なお、安定価格の決定に当たりましては、広く利害関係者及び学識経験者からなります畜産物価格審議会の意見を聞いて適正に決定いたすよう、第五項において定めております。 第六項におきましては、このようにして定められた安定価格は、公表することといたしまして、生産者に対しては、当該年度における計画的生産の基礎とし、消費者にとりましても、その食生活について安定感を与えることを期待しているのであります。 次に、第四条でありますが、この条におきましては、当該年度における安定価格の決定後、物価その他の経済事情に著しい変動を生じた場合にはこれを改訂しうることとし、安定価格の適正を維持しようといたしております。この場合におきましても、畜産物価格審議会の意見を聞くとともに、改訂された安定価格についてもこれを公表することといたしております。 次に、第五条についてでありますが、この条は、農林大臣または都道府県知事の原料乳の価格に関する勧告の規定であります。原料乳の価格維持につきましては、原料乳を直接に畜産振興事業団の買い入れ対象とせず、第四十三条第一号の規定を働かせ、指定乳製品の買い上げを通じて間接的に維持する仕組みとしております関係上、乳業者が原料乳の生産者に対し、安定下位価格に達しない価格を支払っておりますような場合には、農林大臣または都道府県知事は、当該乳業者に対して、その支払価格を少なくとも安定下位価格に達するまで引き上げるべき旨の勧告をすることができることといたしまして、原料乳の安定下位価格の維持をはかろうとするものであります。第二項におきましては、この勧告をしたときは、その旨を公表できることとしまして一般世論に訴えてその実現を期することといたしております。 次の第六条の規定は、生乳生産者団体、乳業者、指定食肉の生産者団体の行なう指定乳製品または指定食肉に関する自主的調整事業に関する規定であります。 第一項は、生乳生産者団体が、原料乳の価格が著しく低落しまたは低落するおそれがあると認められる場合に、その価格を回復しまたは維持するために、その構成員の生産する原料乳を原料とする指定乳製品の生産に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。生乳生産者団体の生産に関する計画におきましては、生乳生産者団体が、自己所有の施設によって指定乳製品を生産する場合のみならず、他の乳業者に委託して生産する場合をも対象といたしまして、このようにして生産された指定乳製品は、第三十九条の規定により畜産振興事業団に売り渡すこともでき、または第六条第二項の規定による保管または販売の計画の対象とすることもできることといたしております。この生産の委託につきましては、第三十八条第一項第三号の規定によりまして畜産振興事業団がそのあっせんを行なうことができることとし、畜産振興事業団があっせんしてもなお乳業者が、正当な理由がないのにその生産の委託に応じないときは、第六条第五項の規定によりまして、その生乳生産者団体の申出によって、当該乳業者に対し、その委託に応ずべき旨を指示することができることとして、その生産計画の実行性を補強いたしているのであります。 第二項におきましては、指定乳製品の価格が著しく低落しまたは低落するおそれがあると認められる場合には、この項の各号に規定する乳業者、生乳生産者団体等が、みずからもしくは他に委託して生産しまたはその構成員の生産する指定乳製品について、自主的に保管しまたは販売することについて計画を作成し、農林大臣の認定を受けることができることといたしております。この計画につきましては、第三十八条第一項第四号の規定によりまして、畜産振興事業団が、その計画実施に要する経費につきまして助成ができることとしているのであります。この規定は、従来酪農振興法第二十四条の四にありました乳製品の保管計画についての規定を、この法律案による価格安定措置と調整したうえで取り入れ、従来の国の助成も、価格安定措置ということで畜産振興事業団の業務に一元化したものであります。 第三項の規定は、第二項と同趣旨によりまして、指定食肉の保管または販売に関する計画について規定したものであります。この計画につきましても、畜産振興事業団が、その実施に要する経費について助成いたすこととしておりますことは同様であります。 第四項の規定は、以上三つの計画についての農林大臣の認定についての規定であります。その認定基準につきましては農林省令で定めることといたしております。この認定と安定下位価格との関係について申し上げますと、畜産振興事業団の買入措置によってもなおその価格が安定下位価格を下回る場合はもちろん、安定下位価格に至らない段階におきましても、安定下位価格にまで低落するのを防止するために、または価格に急激な落差を生ぜしめないようにその価格を平準化することを目的とする場合も含むことを予定いたしております。 第五項の規定は、生乳生産者団体の指定乳製品の生産に関する計画の実施につきまして、農林大臣が乳業者に対し委託に応ずべき旨の指示をすることができる旨の規定でありますが、この規定につきましては、第一項について御説明いたしました際にもすでに申し述べたところであります。 第六項の規定は、第一項から第三項までの計画は、畜産振興事業団の業務と関連がありますので、農林大臣が認定しようとする場合は、畜産振興事業団の意見を聞くことといたしておるのであります。 次に、第三章は、畜産物価格審議会に関する規定であります。 安定価格は、広く学識経験者の意見を聞いて決定することが適正であると考えまして、この審議会を設けることといたしたのであります。 まず、第七条から第九条までにおいて、その設置及び権限、組織並びに会長について規定いたしております。 第十条は部会の規定でありますが、これは安定価格が、原料乳及び指定乳製品と指定食肉との二つの大きな分野に分れますので、場合によっては審議会を分けて審議することが適当と考えて、部会を設けることができることといたしておるのであります。 次の第四章は、畜産振興事業団について規定いたしております。 第十二条は、畜産振興事業団の目的に関する規定でありまして、同事業団は、「主要な畜産物の価格の安定及び乳業者等の経営に要する資金の調達の円滑化に必要な業務を行なう」こととして、この法律案に規定する措置の重要部分を担当する旨を定めているのであります。 第十三条から第十五条までは、法人格、事務所及び定款に関する規定であります。 第十六条は、事業団の資本金に関する規定であります。事業団の資本金のうち政府出資金は十億円といたしておりますが、これは、附則第四条第一項の規定によりまして、事業団の設立に際して政府が出資する五億円と、附則第六条第一項及び第二項の規定によりまして事業団が酪農振興基金から政府出資金として引き継ぐ五億円との合計額であります。資本金としましては、このほかに酪農振興基金から引き継ぐ政府以外の者の出資金と、事業団の成立後に政府以外の者が事業団に出資する金額が加わることになるのであります。 この資本金のうち、酪農振興基金から引き継いだ政府出資金五億円と政府以外の者の出資金は、すべて債務保証業務にかかるものとして、第四十八条の規定によりまして区分経理をすることといたしておりますので、価格安定業務に属する資本金といたしましては、さしあたり五億円でありますが、附則第十一条の規定によりまして当分の間債務保証業務の勘定からの繰入金をも財源とすることといたしております。なお、今後における対象畜産物の生産の増大その他の事情に応じまして、当然事業団の資本金につきましても増額を必要とするものと考えられますので、第二項におきまして、事業団は資本金を増加することができるとし、第三項におきまして、その際は政府が事業団に追加して出資ができることといたしておるのであります。 次に、第十七条から第二十一条までの規定は、債務保証業務にかかる政府以外の者の出資に関する規定でありまして、従来の酪農振興基金における場合と同一の扱いといたしております。 第二十二条の登記に関する規定、第二十三条の名称の使用制限に関する規定及び第二十四条の民法の準用に関する規定は、同種団体に共通な例文であります。 次に、第二節は、役員等に関する規定であります。 第二十五条は、役員に関する規定でありまして、事業団の業務の重要性と多様性に対処するため、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内のほか副理事長一人を置くこととしております。なお、同条第二項の非常勤理事七人は、従来酪農振興基金において、政府以外の者の出資との関係等で置かれていたのを、事業団運営の事業団運営の適正化の観点から第三十条の兼職禁止の規制を加えて引き継いだものであります。これらの役員の任命は、第二十七条第一項におきまして、農林大臣が行なうことといたしております。 次に、事業団の業務の性格にかんがみまして、第三十条において、役員が営利事業に関係することについて制限を設けるとともに、第三十四条におきまして役員及び職員の秘密保持義務を規定し、第三十五条において役員及び職員の刑法その他の罰則の適用上における公務員たる性質について規定しているのであります。 次に、第三十六条は、事業団の評議員会に関する規定であります。 これは、事業団の運営特に具体的な業務につきまして、それが適切に行なわれるように出資者及び学識経験者の意見を反映するためのものであります。 その評議員の任命は、第三十七条の規定によりまして、広く出資者、生産者、流通業者、消費者等の中から適正な者を農林大臣が任命することといたしております。 次に、第三節は、事業団の業務に関する規定であります。 第三十八条は、事業団の業務の範囲を規定しております。第一項各号のうち第三号と第四号の業務につきましては、第六条の規定の説明に関連して申し上げたところでありますが、第一号及び第五号の業務につきましては、この条の第三項におきまして、第三十九条から第四十六条までに規定するところに従って行なうことといたしておるのであります。 第二項の需要増進に関する業務につきましては、従来酪農振興基金が飲用牛乳及び乳製品について行なっておりましたものに新たに食肉を加えて事業団の業務としたものであります。 次に、第三十九条は、事業団の行なう国内産の指定乳製品及び指定食肉の買い入れに関する規定であり、第一項は指定乳製品の、第二項は指定食肉の買い入れに関する規定であります。指定乳製品の方は、乳業者、乳業者の組織する中小企業等協同組合または生乳生産者団体の申し込みによりまして、みずから生産しまたは他に委託して生産したものを安定下位価格で買い入れることとし、指定食肉の方は、適正な価格形成が行なわれる制度となっております中央卸売市場においてその安定下位価格で買い入れることといたしております。なお、当分の間は中央卸売市場以外の市場であって、価格が公開性を有し、その形成も適正に行なわれていると認められるものにつきましては、農林大臣が指定し、中央卸売市場と同様の取り扱いをいたすこととし、その旨を付則第十条で規定しております。 次に、第四十条は、輸入にかかる指定乳製品、指定食肉及びその他の食肉の買い入れにに関する規定であります。この法律案による価格安定措置のねらいとしては、原則として国内産による長期的需給均衡を目途といたしておりますが、一時的に国内産が不足し、指定乳製品または指定食肉の価格が安定上位価格をこえて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められる場合において、事業団がその価格の騰貴を抑制するために必要な数量の当該指定乳製品または当該指定食肉を保管していないときは、事業団は、農林大臣の承認を受けて、必要な限度において、輸入業者の輸入した当該指定乳製品または当該指定食肉を買い入れ、第四十一条の規定により売り渡すことによって、価格騰貴の抑制をはかっているのであります。なお、指定食肉の価格騰貴の場合には、海外の市況等によりまして有効に指定食肉を輸入することが困難な場合には、これに代替する食肉で政令で定めるもので輸入されたものを買い入れることができることといたしております。この政令で定めるものとしましてはさしあたりは牛肉を考えております。 次に、第四十一条の規定は、原則的な売り渡しに関する規定であります。指定乳製品または指定食肉の価格が安定上位価格をこえて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められる場合は、事業団がその保管している指定乳製品または指定食肉を売り渡すことによってその価格騰貴を抑制することといたしておるのであります。その売り渡し方法といたしましては、指定乳製品につきましては安定上位価格を基準とする一般競争入札の方法により、指定食肉につきましては安定上位価格を基準として中央卸売市場において売り渡す考えでありますが、場合によりましては、売り渡し品の用途、転売価格等につき政策的に規制する等のため、随意契約その他の方法によることが必要なことも考えられますので、そのような場合には農林大臣の承認を受けて他の方法によることができる旨をただし書で規定しております。 次に、第四十二条は、特別の事由がある場合における売り渡しに関する規定であります。事業団の保管数量が一定の数量をこえ、または保管期間が一定の期間をこえるに至ったような場合には、第四十一条の規定による売り渡しが困難なこともあり得ますので、そのような場合には、事業団の管理上の問題も考慮いたしまして、指定乳製品または指定食肉の価格が安定上位価格をこえて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められない場合においても、農林大臣の承認を受けて、原料乳及び指定乳製品または指定食肉の時価に悪影響を及ぼさないような方法で売り渡しができることといたしております。 次の第四十三条の規定は、一定の理由があるときは、事業団は買い入れまたは売り渡しをしないこととし、価格安定措置の適正化を期しておるのであります。 次の第四十四条は、事業団が保管する指定乳製品または指定食肉の保管中における品質保持のため新しいものと交換ができることとするものであります。 次に、第四十五条は、乳業者等に対する債務の保証に関する規定であります。この規定は、従来酪農振興基金法第二十九条第一項に規定されており、それに基づいて酪農振興基金が行なっておりましたものをそのまま引き継いで規定いたしております。 次に、第四十六条の規定は、事業団の業務の委託に関する規定であります。事業団の業務に関係する地域が全国にわたりますが、その業務の性質上継続的ではありませんので、全部を事業団が直接処理することが困難でありまたは経費がかかり過ぎるというような場合には、買い入れ、交換、売り渡し及び債務の保証の決定を除き、実務的な処理を他の適当な者に委託できることといたしておるのであります。 次は、第四十七条の業務方法書に関する規定でありますが、業務方法書の記載事項は細目にわたりますので農林省令で定めることといたしております。また、業務方法書の作成は、付則第三条第二項の規定により事業団設立の際にすることとなっておりますので、この条の第二項及び第三項におきましては、その変更に関する事項について規定しておるのであります。 次に、事業団の財務及び会計について申し上げます。 第一に、第四十八条におきまして、債務保証業務について特別の勘定を設けることといたしました。さきに申し上げましたようにこの事業団は、一つには畜産物の売買業務を、もう一方ではいわば金融業務でありまする債務保証業務を行なうこととされているのであります。従いまして、この両業務の経理を区分して整理いたしましておのおのの業務の損益が明確に把握できるようにする必要がありますので、債務保証業務にかかる経理を他の業務のそれから区分するという形をとることといたしております。政府がすでに酪農振興基金に対し出資いたしております五億円と酪農振興基金が解散されるときまでに政府以外の者から出資されると見られる約二億円弱合計七億円弱の金額及び事業団設立後政府以外の者から出資される金額は、この特別の勘定においてその取り扱いが行なわれることとなるのであります。 第四十九条から第五十七条までは、他の同種の団体に準じまして事業年度、収支予算、事業計画、資金計画、決算、損益の処理、借入金、予裕金の運用、役職員の給与、退職手当の支給等について必要な事項を規定しております。 次に、第五十八条と第五十九条は、事業団に対する農林大臣の監督について規定しております。すなわち、第五十八条第一項は、事業団は農林大臣が監督するということを明記いたしまして、同条第二項により農林大臣は、この法律案を施行するために必要があると認めるときは、事業団に対して業務上必要な命令を発することができることといたしました。 第五十九条は、他の同種の団体に準じまして、農林大臣の報告徴収、立入検査の権限を規定しております。 第六節の補則は、事業団の出資者に対する通知または催告の必要手続、定款等の書類の備付け及び閲覧、解散等についての出資者の地位に関して規定いたしております。 第六十三条は、農林大臣が指定乳製品の生産等に関する計画を認定する場合の基準を定める場合、事業団の定款や業務方法書の変更認可をする場合、収支予算や事業計画の認可をする場合等には大蔵大臣と協議しなければならないという規定であります。 次に、第六十四条は、農林大臣が、この法律案によりまして畜産物の価格安定に関する各種の措置を実施いたして参ります場合に必要とされる生産費、輸入価格、在庫量等の調査を可能とするための報告徴収及び立入検査の権限を規定しております。この規定は、他の価格安定法、需給調整法等に準じた規定であります。 第六十五条から第六十九条までは、罰則の規定であります。 最後に、付則におきましては、第一にこの法律案の施行日を原則として公布の日とすること、第二に畜産振興事業団を設立して、酪農振興基金を解散し、その一切の権利及び義務を事業団が承継すること、第三に酪農振興基金法を廃止すること、第四に事業団について同種団体に準じた税制上の優遇措置を講ずること、第五にこの事業団の業務を行政管理庁の調査の対象とすること、第六に酪農振興法第二十四条の四の国内産の乳製品の保管の規定を削除すること等をおもな内容としております。 以上が畜産物の価格安定等に関する法律案の概要でございます。 次に、家畜商法の一部を改正する法律案につきまして、若干補足説明を申し上げます。 まず、改正の主要点につきましては、(一)家畜の取引の業務に関する講習会の受講終了を免許の要件にしたこと、(二)家畜商の営業保証金の供託についての制度を設けたこと、(三)家畜商に家畜の取引に関する帳簿の備付及びこれについての立入検査に関する規定を設けたことの三点であり、その他の改正点はこれらの事項を関連して、免許の資格要件、取消要件等につき、必要な規定の整備を行なったことであります。以下これらの改正の主要点について御説明申し上げます。 まず第一点は、家畜の取引の業務に関する講習会に関する制度についてであります。現行法では、家畜商に簡単な免許制度を実施し、その結果現在のところ約七万人の家畜商につき免許が行なわれております。若干の免許手数料(使用人がいない場合は五百円、使用人がいる場合には千円以内)さえ納入して申請すれば、禁治産者、準禁治産者、禁錮以上の刑に処せられその執行を終わった日から二年を経過しない者等でなければだれでも免許を与えられることになっており、この結果、家畜の資質、家畜の衛生、家畜の伝染病、家畜取引の関係法令を初め家畜の取引の業務に必要な知識をほとんど持たない者であっても、家畜商の免許を与えられて営業できることとなり、取引に関する事故や紛争を起こす場合もあって、このことが家畜商個人またひいては家畜商業界の地位をおのずから低めている実情でもありました。そこで今回の改正に際しては、講習会に関する制度を設け家畜商の資質の向上をはかることにいたした次第であります。すなわち、第三条第二項の免許の資格についての現行規定を改正し、農林大臣の指定する者(畜産関係の大学、または全国を区域とする法人で家畜の取引の改善をその目的中に含むものであって講習会の開催能力を持つと認められるもの。)が行なうかまたは都道府県知事が行なう家畜の取引の業務に関し必要な知識を修得させることを目的とする講習会の課程を修了した者またはその者を使用人その他の従業者として置く者に対してでなければ、家畜商の免許を与えないこととしたことであります。 第二にこの免許資格の整備と関連して免許申請者の保護を、はかるため第四条の二の規定を新たに設け、都道府県知事に原則として毎年一回を常例として講習会を開催しなければならないこと、ただし、農林大臣が指定した者が行なった場合には都道府県知事は必ずしも行なわなくてもよいこととし、また講習会を開催した者はその講習会の課程を修了した者に対し修了証明書を交付しなければたらないことといたしたことであります。 第三に講習会の受講修了を免許の要件としたことの主旨が実際の取引を行なう者の資質の向上をはかることにあり、従って、免許を受ける家畜商のみでなく、取引の業務に従事する従業員にも受講修了をさせる必要にかんがみ、第十条に第二項及び第三項を新設し、家畜商に対し、受講修了をしていない者をその取引の業務(農林省令で定める取引契約の締結等の行為)に従事させてはならない義務を課するとともに、講習会の受講修了をしていない家畜商は、みずから家畜の取引行為を行なってはならないことといたしたことであります。なお、この講習会につきましては、付則第三項で既存の業者は、一年以内に受講修了をし、その受講修了をした証明書を添えて免許を申請し直さなければならないこととなっており、またこれと関連して付則第五項で都道府県知事に法施行後十月以内に講習会を開催すべき義務が課せられております。なお、この講習会につきましては、都道府県において条例で一定額の手数料(おおむね五百円以内)をとって行なうこととなりますが、この講習会の実施方法については政省令でその細目を定めて、その公正円滑な実施を期することとなっております。 右政省令では、おおむね講習会課程(家畜伝染病の種類、見分け方、家畜の疫病の見分仕方、家畜の品種、損徴、家畜衛生、家畜取引等についての関係法令等)日数、場所、開催方法、修了までの課程、証書の交付の方法等を規定する方針であります。 次に主要な改正点の第二は、家畜商の営業保証金の供託に関する制度についてであります。家畜商の知識の欠除に基づく家畜取引上の事故または紛争につきましては、講習会に関する制度を実施することにより、その減少をはかることが可能でありますが、一部の家畜商が取引についての知識を有しながら他人に迷惑をかける場合もあり、この点講習会の実施のみでは十分ではないので、家畜商の信用能力を最小限度において補完して家畜の取引の安全を確保するとともに、事故が生じた場合には、家畜商の取引の相手方の債権の保護をはかることを目的として営業保証金の供託に関する制度を設けたことであります。従って、講習会に関する制度と営業保証金の供託に関する制度とをあわせ活用して家畜の取引の公正を確保し、家畜商の地位の向上をはかることといたしたわけであります。営業保証金に関する規定は第十条の二から第十条の七までと付則に若干ございます。 まず、第十条の二は、家畜商の供託義務、供託をした旨の都道府県知事に対する届け出義務、届け出以前の営業開始の禁止について規定しております。供託をする場合の具体的な手続等につきましては、別途供託法等の関係法令で定められているところであります。 第十条の三におきましては、営業保証金の額につきまして、その家畜商の取引の業務に従事する者の数が(免許を受けている者がみずからも取引の業務に従事するときは、その者をも含めて)一人であるときには二万円とし、一人をこえる場合には一人増加するごとに一万円をこれに加えた額とする旨を規定いたしております。供託すべき営業保証金はこの第十条の三第二項において、現金に限定することなく、国債、地方債等の有価証券でもこれに充て得ることを定めております。この有価証券による供託を認めているのは、供託者の便宜を考えたからであり、この場合、営業保証金に充てることのできる有価証券の価額は、その種類によっては流通性換金性等から見てその証券の額面金額全額がそのままの額として受け入れられない場合もあるので、農林省令で定める一定割合を乗じて得た額として取り扱うよう考えております。 第十条の四におきましては、営業保証金の還付について規定されております。営業保証金の還付とは、供託した営業保証金により家畜の取引上その債権を有する者が取引上の弁済を受けることをいうわけでございますが、本条はこの還付について、請求権者、請求のできる事由等を規定しているわけであります。この場合請求権者は、家畜商と家畜の取引契約を締結した相手方であり、請求の事由は、家畜の取引により債権を生じたことでありますが、この法律の施行前に行なわれた家畜の取引契約により生じた債権につきましては、これを対象とすることは実際の取引に相当の混乱を来たすおそれがあるので、付則第十二項で対象から除外しております。なお、還付の際の請求方法等については、還付を受けようとする者が還付請求書に一定の添付書類を付して供託所に提出をすることになっておりますが、その詳細につきましては、別途供託関係の法令で定められているほか省令で定めることとなっております。 次に第十条の五におきましては、営業保証金の不足額について、家畜商の供託義務を規定しております。この供託義務が生ずる場合として法は従業者数を増加したため追加して供託する必要が生じた場合及び供託金が還付されたため、その還付された額を補てんして供託する必要が生じた場合をあげております。 次に第十条の六におきましては、営業保証金の保管替えについて規定しております。供託を行なう際住所地のもよりの供託所が管轄の供託所となりますが、管轄の供託所は一たん決定した後は変わらないので、家畜商が住所を移転した場合には、家畜商の取引の相手方の還付請求または家畜商の取り戻し請求は、移転前の住所地のもよりの供託所となり不便であるので、営業保証金の保管がえを行ない管轄の供託所を変更できるようにした次第であります。この保管がえは手続上の関係から、現金のみにしか認められておらず、有価証券の保管がえは認められておりません。従って有価証券による供託を行なっているときには、移転後の住所地のもよりの供託所に新たに供託を行なった後、移転前の住所地のもよりの供託所から供託金の取り戻しを行なわねばならないことになります。 最後に第十条の七におきまして営業保証金の取り戻しにつき規定しております。取り戻しとは、供託者が供託所から営業保証金の払い戻しを受けることをいうわけでありますが、本条は取り戻しのできる場合として (一)家畜商名簿の登録が消除されたとき、(二)家畜商がその従業員を減らしたため供託金の額が営業保証金についての法定額をこえることとなったとき、(三)住所地を移転したため新たに供託を行なったときを掲げ、このそれぞれにつき、取り戻し権者、取り戻すことのできる額を規定しております。 なお、この取り戻しを行なう手続については、この条の第四項以下で当該営業保証金の還付請求権者を保護するために、取り戻しをしようとする者に還付請求権者の存否を確かめるための公告する義務を課しているほか、供託関係の法令またはこの法律に基づく省令で定められることになっております。 以上が営業保証金に関する規定の概要であります。 このほか、付則第八項から第十一項までにおきまして、既存業者についての供託義務、供託した旨の届け出義務、その届け出がない場合の免許の取り消しについて規定しております。この場合、既存業者は、改正法に基づく免許を一年以内に受け、その免許を受けた後、農林省令で定める一定期間(一月程度)以内に営業保証金の供託を行なうことになっております。 改正点の第三は、家畜取引に関する帳簿の備付及びその検査についてであります。現行家畜商法では第七条において、免許制度の適正な運用をはかるため、正当な事由がなくて一年以上家畜の取引を行なわない者には、免許の取り消し等の措置がとれることになっておりますが、この場合現行法では家畜商が取引を行なったかどうかを確認する方法がなく、法の適正な運用が支障を受けていたと考えられ、また今回の改正で講習会の受講修了以外の者を家畜の取引の業務に従事させてはならないこととなり、取引の従事者を確認する必要があることとなったので、免許制度の適正化をはかるためには、家畜商に帳簿の備付を義務づけ、これに一定事項の記載を義務づけることといたしたのであります。すなわち、第十一条の二の規定を新設し、家畜商に、事業所ごとに帳簿を備え付け、これに取引のあったつど、その年月日及び場所、その取引頭数、取引に従事した使用人氏名等を記載させるとともに、第十一条の三の規定を新たに設け、都道府県知事に対して、その職員に家畜商の事業所に立ち入り、帳簿書類を検査させる権限を認めることとしたのであります。 以上が改正の主要点についての簡単な説明でございますが、以上の主要な改正点に伴い必要となった関連の改正点が若干ございますので、以下これにつき簡単に御説明申し上げます。 第一には、第一条の目的の変更でございます。まず、免許制度と並び営業保証金についての新たな規定を明記するとともに、これらの制度の目的に関しその趣旨を明らかにすることといたしました。第二には、第三条第二項の免許資格の改正に伴い、第四条の免許を与えない者についての該当要件を拡充し、現行法では家畜商が禁治産者等に該当する場合をあげているのに対して、これに(一)講習会の受講修了者が一人もいない家畜取引関係の事業所を有する者、(二)講習会の受講修了者を置いているが、そのすベてが禁治産者等現行法の免許を与えない者に該当する家畜取引関係の事業所を有する者を加えたことであります。第三には、第六条の免許証の交付に関し、改正前には、その交付数についての規定がなく、農林省令で家畜商に対して正本一通を、家畜の取引に従事する使用人があると手は、その数に応じて副本を交付することになっておりました。しかし、第十一条において家畜商の免許証の呈示義務があるので、これとの関係から法律上も家畜の取引の業務に従事する者がそれぞれ免許証を所持し、取引の相手方の呈示要求に応じ得るようにしておくことが適業であり、従って、家畜商に対してその取引の業務に従事する者の数に応じて免許証を交付するよう法を改めた次第であります。第四には、各改正趣旨点に関連して、第七条の免許の取り消し及び業務の停止事由を拡充したことであります。すなわち、従来は、家畜商が「免許を与えない場合」に該当するとき等がこれに当たっていたわけでありますが、今回は(一)この「免許を与えない場合」それ自体が拡充されたため、これに伴い免許の取り消し等の事由が追加されたこと、(二)取引の業務に従事する使用人として講習会の受講修了者を置いている者が当該使用人を置かなくなったとき、(三)家畜商が帳簿の備付または記載義務に違反したとき、(四)家畜商が講習会の受講者以外の者を家畜の取引業務に従事させたとき、または講習会の受講修了者でない家畜商がみずから取引行為を行なったとき、(五)家畜商が営業保証金の供託またはその不足額の供託義務に違反したときの(二)から(五)までのそれぞれの場合を免許の取り消し等の事由に加えたことであります。 以上のほか、右諸改正に伴う字句の整理、条文の整理、罰則の整理等であります。 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。 まず本則におきましては、第一に、わが国における畜産の発展、その農業に占める地位の向上及び必要性に対処するとともに、最近におきまする畜産技術の進歩等に応じまして、家畜の改良増殖を一段と計画的かつ効率的に実施して畜産の振興をはかるとともに、あわせて農業経営の改善に資する趣旨を明らかにするため、目的に所要の改正を加え、第二に、家畜の改良増殖に有効な事項を極力総合的にかつ体系的に促進することとし、その実施に際しては農業経営に家畜の改良増殖の成果である優良な資質の家畜が適正かつ円滑に導入されることになるように努める旨の規定を設けることといたしました。第三は、家畜の改良増殖を計画的に行なう趣旨で、家畜改良増殖目標の公表、都道府県家畜改良増殖計画の作成等に関する規定を新たに設けることといたしたのであります。 第四には、凍結精液の利用の実用化に伴い種畜及び家畜人工授精に関する規定を補正して整備することといたしております。第五には、新たに家畜登録に関する規定を設けることとしました。すなわちこれは家畜登録事業の公正な運営を確保するため、家畜登録事業についてその登録規程を農林大臣の承認制とするとともに、その業務について援助し監督すること等の規定を設けることといたしました。第六には、新たに家畜の改良増殖に関する重要事項を調査審議するものとして、農林省に家畜改良増殖審議会を設置運営することにしたのであります。第七には、この法律案を施行するために必要な雑則及び罰則について所要の規定を設けております。なお、付則におきましては、家畜登録事業について、その登録規程が農林大臣の承認制となることに関し、その他この法律の施行のため必要な経過措置、関連法律の一部改正について規定を設けております。 次におもな改正規定について逐条説明を申し上げます。 第一条は、すでに申し上げました本法の目的に関しまして改正法律案の全体に着目しまして所要の改正をしたのであります。 第二条は、家畜の改良増殖を促進する義務と家畜の改良増殖が農業経営改善に資し、農業者にその成果を得しめるための家畜の導入等に対する措置に関する規定であります。すなわち、第一項におきましては、現行法でも国及び都道府県は家畜改良増殖に有効な事項を促進することといたしておりますが、この改正法律案におきましては、その趣旨を包括的にそのまま引き継ぐとともに、家畜の改良増殖の促進事項のうち、その重要事項を極力具体的にまた体系的に法文化してこれを明確に確保することといたしました。従って従来の「第二章以下に規定する事項以外であっても」を削除することといたしました。第二項につきましては、国及び都道府県が家畜の改良増殖に関する各種の施策を進めていく際に家畜の導入をいかに円滑に進めていくかについて規定いたしております。すなわち、新たに国及び都道府県は家畜の改良増殖上必要な各種の施策を講ずるにあたっては、改良増殖の成果である優良な資質の家畜が農業経営に適正かつ円滑に導入されるように努めるとともに、家畜を取り入れた農業経営の発展に資するよう努めるべき旨の規定を設けることとしたのであります。しかして優良な資質の家畜が農業経営に取り入れられ、この飼育が行なわれる場合、これらの家畜がわが国の畜産経営の発展の方向に即した形でその優良な資質が十分活用されるのでなければならないのは当然なことでありまして、これが措置を円滑に実施するために家畜を導入するにあたっては農林大臣が定める「有畜農家育成基準に準拠」することとしたのであります。第三項につきましては、有畜農家育成基準の内容等についての規定であります。有畜農家育成基準とは、現在及び将来のわが国農業における畜産発展の動向及び施策に照らしまして家畜の改良増殖の目標及び農業経営の現状及び将来の発展方向並びに家畜の改良増殖の成果を考慮いたしまして、家畜の飼養規模、家畜導入にあたって考慮すべき立地条件等について定めることといたしているのであります。 これまでのわが国の畜産経営は、副業的な経営が大部分を占めていたのでありますが、畜産物に対する旺盛な需要に刺激され、一般的には自然的、経済的、社会的条件により、経営の形態等により多くの差がありますものの、従来の飼養規模に比べて多頭数飼養の有利性が次第に認識され、普及されつつある状況であります。また、これと同時に適切な農業生産の発展をはかり、農業経営の近代化等を中心とする農業構造の改善のためには、合理的な畜産の導入及び経営の育成、発展を確立しまして畜産の振興がはかられることが、今後のわが国農業の発展のため最も必要なことの一つとして要請されているのは御承知の通りであります。有畜農家育成基準を定める場合には、無畜農家の有畜化を一段と適切に進めますと同時に、単なる副業的有畜農業経営から多頭数飼養による主畜経営またはこれに準ずる経営に移行することが必要であると考えられます。従いまして国としても農業者がこの基準に沿って従来よりも拡充した援助指導を行ないもって家畜を取り入れた有畜経営による農業の発展を進めていくことを助長したいと考えておるわけであります。 次に第一章の二につきましては、家畜の改良増殖に関する目標、家畜の改良増殖計画等に関する措置について規定しております。 第三条の二につきましては、農林大臣の定める家畜改良増殖目標の公表及びその目標の内容等に関する規定であります。今後におきまして畜産を適切に伸長して参ることは、まさに重点的な国策の一つでありますので、今後の家畜の改良増殖を計画的、能率的に行なうための国の目標を重要な事項について定めますとともに、国民一般特に農業者に理解と協力を求めるとともに、都道府県が家畜改良増殖計画を立てるときのよりどころにしたいと考えている次第であります。第一項は、改良増殖目標を定める家畜は、牛、馬、綿羊、ヤギ、豚について定めることといたしまして、その他の家畜につきましては、必要な事態に応じまして政令で追加ができるように規定いたしております。 農林大臣は、家畜改良増殖目標を定めたときは、これを公表することといたしておりますが、これは、国及び都道府県の関係者のみならず種畜業者、家畜の飼養者である農業者等広く関係者に周知徹底をはかり協力を得る必要があるためでございます。 なお、家畜改良増殖目標を定める時期及び目標期間につきましては政令で定めることといたしておりますが、たとえば五年ごとに十カ年先までの目標というように家畜の性質、畜産技術等を考え、かなり長期的なものとしてこれを立てる所存であります。第二項は、家畜改良増殖目標の内容について規定しているのでありますが、家畜改良増殖目標は、家畜の種類ごとに畜産物の需要の動向及び畜産経営の発展の方向に即して産乳能力、産肉能力、体型、頭数あるいは耐暑性、耐寒性等地域性に応じた家畜の特性等について定めることといたしておるのであります。第三項におきましては、家畜改良増殖目標は、かなり長期にわたる家畜の改良増殖の基本方針を定めるものでありますから、学界、実際家を通じ、民間の有識者の意見を聞いて慎重を期するため、家畜改良増殖審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。 次に第三条の三は、都道府県知事の定める家畜改良増殖計画に関して規定したものであります。すなわち第一項は、都道府県知事は農林大臣の定める家畜改良増殖目標を達成するため、各都道府県によりその実情に応じ、しかも農林大臣の定めた家畜改良増殖目標の方向に即応して家畜改良増殖計画を定めることができることとしたものであります。第二項は、この計画に盛り込むべき必要な事項を定めたものであります。第一は都道府県としての家畜改良増殖の目標でありまして、方向としましては、国の目標に即するものであると考えますが、その都道府県としての自然、経済、社会の事情が加味されるものと考えられます。第二は計画の期間で、国に準じて一応十カ年ぐらいを考えております。第三は種雄畜の配置、利用及び更新に関する事項であります。種畜というのは、現行法では、牛及び馬については種雄畜全部、牛、馬以外の綿羊、ヤギ及び豚については人工授精用のもののみをいうことに規定されている関係もあり「種付け又は人工授精の用に供する家畜の雄で、優良な血統能力及び体型を有するもの」といたしたのであります。第四は、都道府県の種畜場、民間の生産家の施設等の生産施設、家畜人工授精所、家畜人工授精を行なう種畜場等の家畜人工授精施設、その他有畜営農指導所、畜産基地農場、畜産試験場等の家畜改良増殖施設の整備拡充計画に関してであり、第五は産乳または産肉等の能力検定事業の実施計画等に関してであり、第六は講習会、共進会等の開催または設置の方針、開催基準、計画等の記載を期待しており、第七は、以上のほか関係試験研究の計画に基づく指導計画等についての事項を考えております。第三項は、都道府県知事は、家畜改良増殖計画を定めようとするときは、畜産に関する専門的知識または経験を有する者の意見を聞かなければならないこととしてありまして、これは、大学関係者、畜産及び農業団体の関係者、民間のブリーダー等が加わることを期待しているのであります。第四項は、家畜改良増殖計画は、国の場合と同様、広く関係者の理解とこれに基づく協力を期待しているものでありますので、その公表について規定しているのであります。 次に第三条の四につきましては、都道府県知事の定めた家畜改良増殖計画の実施に必要な国の援助について規定しているのでありまして、都道府県に対しましては、国の所有する種畜の譲与、無償貸付または時価よりも低い対価による譲渡もしくは貸付、種畜の購入に要する経費の補助、乳牛及び豚について行なう能力検定事業の実施に要する経費の補助、畜産研修施設の設置及び講習会開催に要する経費の補助等の助成措置を講ずる所存であります。 次に第一条の五につきましては、種畜に等級を付する場合、家畜人工授精所に係養する種畜の規格を定める場合に農林大臣または都道府県知事は、家畜改良増殖目標またはこれに即して定められた家畜改良増殖計画の趣旨に沿ってその達成に資するものとなるように努めること並びにその他家畜登録事業、家畜改良増殖審議会等に関する各条項を運用するにあたっても、改良増殖目標、もしくは改良増殖計画の達成に資するように努むべきことを規定しているものであります。 次に第二章の種畜及び第三章の家畜人工授精の規定の整備であります。これは、近年家畜人工授精技術が著しく進歩し精液を凍結して保存する技術の研究が進み、わが国においてもこれが実用化の機運にありますが、昭和二十五年現行法を制定した当時は、このような技術は想定されておらず、結果的には凍結精液の利用をはばむこととなるような規定がありますので、これを整備いたしたのであります。すなわち、第一にこの法律で家畜人工授精とは、牛、馬、綿羊、ヤギまたは豚の雄から精液を採取し、処理し及び雌に注入することをいうのでありますが、他方第四条第一項の規定により家畜の雄は、農林大臣が毎年定期に行なう検査を受け、種畜証明書の交付を受けているものでなければ、種付(家畜人工授精を含む。)の用に供してはならないことになっております。この第四条第一項を解釈いたしますと、種畜でないものは、精液の採取の用に供してはならないことはもちろん、その精液を処理することも、雌へ注入することも禁止されることになりますので、種畜から採取した精液を凍結保存した場合、その種畜の死亡または廃用後その精液を雌に注入することは、すでに種畜でなくなっているものの精液を注入することになり、第四条第一項の規定に違反することになります。 そこで第四条第一項中「種付(家畜人工授精を含む。)」を、「種付け又は家畜人工授精の用に供する精液の採取」に改めるとともに、第五条及び第九条の規定を同様な趣旨で改め、精液採取時に種畜であれば、精液注入時には、その種畜がすでに死亡、廃用等になっていてもその注入は違法ではないことを明らかにし、凍結精液の利用が円滑に行なわれることを期したものであります。 第二に、凍結精液等貯蔵精液を利用する場合には、雌畜に注入するときまでにかなりの時日を経過することもあり、また精液が幾人かの手を渡ることがありますので、現行の第九条第四項の種畜の飼養者は、その家畜人工授精用精液の注入を受けた雌の飼養者に対し精液採取証明書を交付しなければならないという規定は、種畜飼養者に過重な義務を課することとなります。また現行法では、別に家畜人工授精師が精液証明書、授精証明書を発行することになっておりますので、人工授精用精液の注入を受けた雌の飼養者に対する精液採取証明書の交付を種畜の飼養者に義務づけなくとも、家畜人工授精の利用に支障はないものと思われます。従いまして、第九条第四項から「精液採取証明書」を削ることといたしました。ただし、家畜人工授精師が、家畜人工授精用精液を採取し、検査した後その場で雌の家畜に注入する場合のことを考え、その注入を受けた雌の家畜の所有者から精液の採取に関する証明書を要求されたときは、家畜人工授精師は、正当な理由がなければ拒んではならないことを第十三条第四項として規定した次第であります。 第三章の二は、家畜登録事業に関する規定であります。家畜登録事業は、その運営よろしきを得れば、優良家畜の作出、不良形質の淘汰等に役立ち、家畜の改正にきわめて大きな役割を果たすものでありますので、これが今後の畜産の向かうべき方向に即して公正に運営されることを確保するために規制を加えることとしたのであります。 第三十二条の二の第一項におきまして、家畜登録事業を行なおうとする者は、登録事業の実施に関する規定(「登録規程」という。)を定めて農林大臣の承認を受けなければならないものといたしました。第二項は、登録規程において定めなければならない事項を掲げてあります。第一は登録する家畜の種類であります。第二は登録の種類及び方法でありますが、これは、登録にどのような段階を設け、いかなる方法で登録するかは改良を能率的に進める上に重要でありますので、これらについて記載せしめることとしたのであります。第三は、審査の基準に関する事項であります。第一項でも触れておりますように登録は、家畜を一定の基準で審査をいたしましてその判定に基づいて行なうものでありますので、その基準が家畜改良増殖の向かうべき方向に即し、適切なものでなければなりません。第四は、登録手数料であります。登録事業は、主として手数料収入によって運営されておりますが、他面手数料が高過ぎる場合には、家畜飼養者に過重な負担を課することとなりますので、これが適切な水準に定められる必要があるので、ここに掲げたのであります。第五は、家畜登録簿に関する事項であります。家畜登録簿は、家畜登録の締めくくりであり、また基礎であるのみならず家畜を交配し、あるいは導入する際の重要な資料であるので、これは適確に作成され、容易に利用できるものでなければならないと存ずる次第であります。第三項は、登録規定を変更する場合にも農林大臣の承認を受けなければならない旨を定めております。第四項は、登録規程の承認及びその変更の承認の基準に関する規定であります。家畜登録事業は、今後の家畜改良増殖の方向に沿い、公正に運営されなければなりませんが、反面登録団体の自主性を尊重する必要がありますので、その登録規程が家畜改良増殖目標に即するものと認められない場合及び家畜登録事業の公正な運営を行なうのに適切でない場合を除き承認をすることといたしました。第五項は、家畜登録事業の廃止の場合の届け出に関する規定であります。家畜登録事業を廃止しようとする場合、それまでの登録簿、その他の関係資料の散逸を防止する必要があるため、あらかじめ農林大臣にその旨届け出なければならないことといたしました。 次に三十二条の三は、家畜登録事業の公正な運営を確保するための国の援助について規定しております。 第三十二条の四は、業務規程違反の場合の必要措置命令に関する規定であります。 第三十二条の五は、法令違反の場合、家畜登録機関に対し、業務の停止に関する規定であります。第二項は、農林大臣が家畜登録機関に対し業務の停止命令を行なう場合、これを公正に行なうための相当な予告期間をおくこととするとともに、処分にかかる者が意見を述べる等の機会を与えるための措置等聴聞に関する措置を規定したものであります。 第三章の三は、家畜改良増殖審議会に関する規定であります。家畜改良増殖目標を定め、また家畜の改良増殖に関する重要施策の企画、遂行にあたっては、広く学識経験者の意見を聞くことが適切であると考えまして、この審議会を設けることといたしたのであります。まず、第三十二条の六から第三十二条の九までにおきまして、その設置、権限、組織及び会長について規定いたしております。第三十二条の十は、部会の規定でありますが、これは、家畜の種類ごとにその改良増殖技術は分化している面が少なくなく、また改良増殖上の問題点も家畜の種類ごとに異なる面がありますので、部会を設けることができることといたしております。次に第三十四条に一項を加えましたが、これは、さきに述べました家畜登録事業の公正な運営をはかるため、農林大臣の報告徴収権に関して規定したものであります。 第五章の罰則のうち第三十八条及び第四十条の規定を改めましたが、これは、新たにこの法律に家畜登録事業に関する規定等が加わったことに伴い所要の規定を加えたものであります。 最後に付則におきましては、第一にこの法律の施行日を公布の日から九十日以内で政令で定める日といたしました。付則第二項から第四項までの規定は、現在家畜登録事業を行なっている者は、この改正法が施行されてから一年以内にその登録に関する規程につき農林大臣の承認を得なければならないものとする等の経過措置を定めたものであります。付則第五項は、家畜改良増殖審議会の設置に伴う農林省設置法の改正に関する規定であります。 以上が家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の概要でございます。
○委員長(藤野繁雄君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。 暫時休憩いたします。 午後五時八分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 ————・————