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38回国会参議院1961/05/30

農林水産委員会 第51号

発言数
182
登壇者
20
会派数
4
開催日
1961/05/30

会議録

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。杉山昌作君が辞任、その補欠として森八三一君が選任されました。   —————————————

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) この際、理事の補欠互選についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い理事が欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜、委員長から指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって理事に森八三一君を指名いたします。   —————————————

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 農業基本法案(閣法第四四号、衆議院送付)、農業基本法案(参第一三号)、農業基本法案(衆第二号、予備審査)、以上三案を一括議題として質疑を行ないます。  なお、本日は関係各大臣の出席を求めておりますので、時間の都合上御出席をいただいております大臣に対して、順次御質疑をお願いいたします。ただいま出席の大臣は文部大臣であります。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 議事進行について。文部大臣は、けさ十時から十一時まで御出席願う、こういうふうに社会党の方は聞いておりました。そうしてその時間に合わすように質問者の段取りをつけていたわけなんです。きょうは七人の大臣を呼んでいるわけでして、最初が狂いますと、大へんあとの段取りが違ってくるわけなんですね。十時から御出席願うということになっていたのですが、どういうことでこんなにおくれたのか。十一時までというと、もうすでに三分の二過ぎてしまっているわけなんです。その点と、それからもう一つは、当然おくれた分ですね、時間を延ばせるのかどうか。この点も一つ社会党として、ぜひ質疑に入る前に確かめておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) まず、おくれてまことに申しわけございません。実は閣議が十時二十分までつい延びまして、そのあと記者会見でつかまりまして、おくれましたわけでありまして、あしからず一つ御了承を願います。  なお、私だけの都合から申し上げますと、きょうは文教委員会が開かれる予定日でございますが、今、理事会開会中でございまして、その方から急遽出席要求されますれば、時間が延びることは差しつかえができるわけでございますけれども、そうでございません限りは、今御指摘のような時間までおりますことは、私としましては差しつかえございません。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 今回のこの農業基本法に関連いたしまして、文部省の所管する農業教育という点が非常に重要な意義を持つわけであります。そこで二、三文部大臣のお考えを伺いたいと思います。大臣、この法案をお読みになっておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一通り。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 この法律では、政府は今後自立経営農家というものを育成していくということを非常に強く強調しておるわけでありますが、それで今後の政府の考え方による自立経営農家というものを育てていくためには、その自立経営農家のにない手となる農民の資格、能力というものは非常に大切だと思うのです。技術的に見ても、あるいは技術者としての資格、能力あるいは経営者としての資格、能力というものを十分に備えなければならぬと思うのでありますが、今のこの一般的教育ではそういう資格、能力を備えた農民を作ることが非常に困難ではないかと思うのです。この点どういうふうに大臣お考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 確かに自立農家、近代的な前向きの農業の経営者という要件を従来のままの教育の場に求めることは、困難な意味があろうかと思います。もともと農業基本法の構想が閣議決定いたしまして、国会の御審議を願うようになりましたのは三十六年度予算編成後でありまして、厳密には農業基本法の施行に必要な基本的な考慮が文部省としても十分にあったわけではございません。今後に向かって農業基本法の趣旨に沿って遺憾のない施策を講ぜねばならない課題かと存じておるのであります。ただ、この農業基本法そのものに直接関係がございませんでしたけれども、かねがね日本の農業経営につきましてもだんだんと新しい考え方で、たとえば農業高等学校等におきましても、今後に備える専門教育内容というものを考慮に置かなければならないということで、高等学校の新しい教育課程にはその趣旨で検討を加えられたものがすでに決定いたしまして、実施する直前の段階にあるわけでございます。従いましてその意味におきましても、今後の問題ではございますが、御指摘のような考慮を十分に払いまして遺憾なきを期したいと思います。それ以前に義務教育の課程におきましても、一般的に科学技術革新の線に沿って技術教育が受け入れやすいような考慮をしなければならないということで、理科教育等につきましても十分重点を置いていかなければならないということから、今年度よりその新しい教育課程に基づいて義務教育課程も発足することに、現にもう発足しているわけでございますが、そういうふうなことを考え合わせまして今後万遺憾なきを期したい、かように思っているわけであります。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 今後の問題ですけれども、ただいま文部大臣のお話しの程度では、今後の農村の発展のための必要な教育というものは、十分できないのじゃないかと思うのです。そこで一つの考え方なんですけれども、最近工業方面で非常に技術者が要るということで産学共同ということで工業会社が学校に金を出してそうして教育をやっている、こういうことが行なわれておりますが、この考え方を農業教育にも及ぼしたらどうか。そこで農民は金を出すことができません、資本家と違って。そこでかわりに国が農民のかわりということで、農林省でもいいんですが、農林省が金を出して、この産学共同と同じ思想に立って農業教育をやる。そうして将来の農村のにない手にふさわしい人を教育するということをやったらどうかと思うんですが、文部大臣のお考えいかがでしょう。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 確かに御高説だと思います。政府としましては、農林省自体が産学共同の産の立場に立ってもらうことが便宜かと思います。同時に、それに相呼応いたしまして、文部省としましても、学校教育の場でこの農業基本法の趣旨に沿う努力をし、かつ実施面において新しい営農技術を身につけ、農業基本法の線に沿うような実際的な指導が農林省の担当だという、こういうことで有機的につながりを持っていかなければ効果が上がらないと思いますが、御説のような構想は、まさしく今後に向かっての一つの考え方だと思います。十分に参考といたしまして検討いたしたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 文部大臣もこのお考えに非常に同感されたのですけれども、産学共同の産に農林省が相当するということで、これは農林大臣にお尋ねしますが、農林省からそういうような予算の要求をされるというふうにしてもらいたいと思うのですが、文部大臣も積極的にそういう構想を今後強調されるようにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん、今申し上げましたような考え方で積極的に努力せねばならないと思っております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 そこで、この農業教育が今のままではどうしても農業高校を出た者、あるいはその他農村に残ることを期待されておる者も外に出ていってしまうわけんです。そこで、どうしてもこれは新たな構想に立って農村に残る新しい農村のにない手を育成するという考え方に立たなければならぬ。そこで、この一つの考え方として、こういう考え方はいろいろ問題がありますけれども、昔の師範学校等において行なわれたようないろいろの恩典を施して、そうしてある程度将来の義務づけもして、農村に残るというような制度をとる必要があるのではないかと思うのですけれども、文部大臣のお考えはいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御質問の要旨をあらかじめ承っておるわけでございますが、お説は、かつての師範学校について一部、二部というようなものがあったが、ああいう師範の二部みたような考え方で特に考慮をしたらどうかという御意向のように承りますが、ちょっと具体的にぴしゃっと私自身が理解できないままのことでおそれ入りますけれども、その類似の構想としましては、現在別科ですか、今二年課程の別科という制度がございまして、相当活用されておるようでございますが、これを三年課程を二年に縮めて実地に即した農業関係の基本常識なり、あるいは応用的な技術を身につけさせるという方向にもっと身を入れてやっていったらば、あるいは御指摘のような目的にかなうんじゃなかろうかということを念頭に置いて、この席に参ったわけでございますが、なおお気づきの点あらば教えていただければありがたいと存じます。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 私はその一部、二部、という点よりも、昔の師範学校のようなものを作れというのではないけれども、非常にいろいろの特典を与えて、授業料も取らない、あるいは修学の経費の相当部分を国が負担するというようなことをして、その結果、ある程度今度は就業に義務づけをするというような考え方はできるものかどうか、またそういうことはやる意思があるのかないのか。そういうことでもしなければ、実際問題として教育をしてもだんだん農業に従事する者はなくなるのじゃないかと思います。そういう点をお尋ねしておるのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま御指摘の意味におきましては、一般的に高等学校の問題を対象として考えますると、特に農業に従事する者に国が直接経費等を負担する形で教育育成をするということは、ちょっとどうかしらんと一応考えます。育英奨学の一般的な制度といたしまして、一定の能力、知力を持っておることと、家庭条件が貧乏のゆえに学校に行けないというふうな二つの要素を勘案いたしまして、奨学金等を貸与し、もしくは給与するという制度のことは御承知の通りでありますが、そういうことで極力御指摘のような必要性に応じるということが、今の制度のままでいきますれば、最大限度のことじゃないかと思います。それで、お話は、日本の農業というものが国民経済上に占める重要性、社会一般の農業に期待する立場におきましても、国民的に国家的に考えていいんじゃないかという課題であることは理解できますが、その具体的方法をさてどうするかということになりますれば、私は思いつきでしかございませんけれども、農業協同組合等の農家本来の団体の立場において特に資金を提供する、学費を立てかえる、あるいは貸し付けるというふうなことを考えることも一つの方法じゃなかろうか。また産学共同の産の立場に立つのだという意味において、農林省において農業基本法の趣旨を徹底する角度から、農業プロパーの必要性のゆえに何らかの考慮をしてもらって、お示しのような目的を達する方法があるいはあるんじゃなかろうか。いずれにしましても、そういうことをあわせ考えて、今後に向かって十分検討をいたしたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 今の文部大臣のお考えをさらに進めて参りますと、結局農林省でそういう新しい農村のにない手となる者の教育は、農林省所管の専門の教育機関を作ったらどうかと思うのですが、今の文部大臣のお考えによれば、そういうことをも否定されないような御意見のように拝聴するのですが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは一般論としますと、別になわ張り根性で申すわけじゃございませんが、国民に公平に教育の場を与えるというのが、教育の基本線でなければならぬと思うのであります。従って、学校教育法にいうところの小、中学校、高等学校というがごとき学校施設、設備の提供、それを通じて国民の一般的な、もしくは特殊の教育を施しますことは、やはり文部省が責任をもってやるべきことだと思うのであります。その線はくずすわけにはいかないと思いますが、ただそこに具体的に、今後の日本農業が直面します切実な課題という角度からは、今申し上げたことだけでは律し得ない部分が当然予想されますので、その実際的な必要性の点を農林省と相談しながら実効を上げるようにという考慮が、学科の上でもあるいは実習等の上でも十分取り入れらるべきものと存じます。そうして、たとえば、農業高校を卒業しまして、みずから農業に従事するに至った後に、さらに一種の社会教育的なあるいは現場教育的な立場から何をなすかということに農林省が主として今後力こぶを入れねばならぬという場面になってくるという相互関係を、有機的に、単なるなわ張り根性で自分のことだけで能事終われりという気持ではむろんなしに、建前は建前といたしまして、運用上は有機的なつながりを持ちながら、その必要に応じていくという心がまえ、そういう気持での検討が必要かと考える次第であります。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 今度のこの農業基本法では、農民の生活水準を向上、他の産業従事者と均衡させるということが大きいねらいになっておりますが、農村におけるこの一般教養、そういうものの向上のために、図書館とかあるいは公民館とか、そういうものの施設を拡充しなければならぬと思うのです。これに対して具体的にどういうただいまお考えをお持ちですか。積極的にどういうことをおやりになろうとしておるかということをお尋ねいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 図書館、公民館の拡充につきましては、これまた農業基本法の構想以前に、文部省としては従来努力し来たっております社会教育の施設の一環としての公民館の充実、あるいは図書館の拡充ということで取り上げておるわけでございますが、もちろん、全国に、各町村ごとに、あるいは町村合併以前の市町村の数は相当数ありますが、それに対して一体一カ町村にどのくらいあるかとなると、まだあまりいばれないのでございますけれども、従来はそういう角度から努力をいたしまして、かなりの配置数は実績として上がっております。三十六年度予算におきましても、大した金額じゃございませんが、従来以上に予算を御決定いただいて今それが配分中でございます。農業基本法との結びつきにおいて、すなわち今後の農村のあるべき姿に対応する、それこそ積極的に図書館なり公民館活動というものがその目的に応ずる効果を上げるようにという角度から申しますと、従来の通りではなかなか百年河清を待つといううらみもございまするので、三十七年度以降、予算措置といたしましては、うんと大幅に、かつまた内容も新しい要望に沿うような考え方のもとに充実していかねばならないと存じております。なお、現状の具体的なこと要すれば、政府委員から申し上げさしていただきます。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 現状は、また別な機会にお尋ねいたしますが、今文部大臣は非常に力強い御発言をなさいましたけれども、要するに、今まで相当やってきておるとおっしゃいましたけれども、それが十分でないことは、今お認めになった通りです。そこで、今回のこの農業基本法は、従来の農民の受けておるいろいろの不利を補正をして、そうして生活を向上させると、こういうことになっておりますから、どうか積極的、具体的な施策を三十七年度以降の予算に盛られることを期待いたしまして、次の問題に移ります。  そこで、今の教育の問題は、農村に残る方面の問題を申し上げましたけれども、今度のこの農業基本法によって外にも人が出る。その出る人に、また、出た者は農村に戻ってこないように、そういうようにしなければならぬことをうたっているわけなんです、具体的には。そこで、そういう出る人の教育ということが非常に重要な問題であります。そこで、この農村の新卒の人は、引っ張りだこだから、今どこにでも行くところがあるわけなんですけれども、二、三年前に卒業して残っている者、あるいは、さらにそれから前の人たち、そういう人たちの都会に出て就業する都会における就業の機会、これを有利にするためには、教育が非常に必要だと思うんです。そこで、職業教育あるいは技術教育を再教育をこれらの人にやらなければならない。そこで、この金は国庫の負担でやるべきではないかと思うんですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点は、その必要性は私もまさしく同感でございますが、さて、いきなりそれを国庫の負担において一種の再教育と申しましょうか、職能教育をすべきか、し得るかどうかということについてはちょっと私も即答いたしかねますけれども、何らか手を打つべき重要なポイントであることは間違いないと存じます。検討をさしていただきたいと思います。当面なし得ることを考えますれば、青年学級に入って勉強してもらうというふうなことが、さしあたり考えられるわけでございますが、今申し上げましたように、当然それを国が全部国庫負担でどうするということは、にわかに結論的には申し上げかねますので、御勘弁いただきたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 最後に一点。この基本法の第四条に「政府は、第二条第一項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」、こうあるわけなんです。そこで、この第四条は、この法律案の中で最も重要な点であるということで、政府自民党は大宣伝をされたわけです。また、総理大臣以下この国会における答弁も、非常にこれを強調されているんです。従って、文部大臣も、今私が申し上げたことに非常に同感をされたんです。数々の点同感されたんですから、それは、すべて第二条第一項の施策なんです。だから、あまり遠慮しないで、この法案をあまりよくお読みになっていないと思いますから、もう一度よくお読みになって、積極的に一つ予算を計上されるようにやっていただきたいと思うんです。従来と同じようにお考えになっておれば、ちょっと財政上困難でないかというお考えになるだろうと思いますけれども、この第四条というのは金看板なんだから、一つ内閣全体としてそういう気持になっていただかなきゃ困ると思うんですが、文部大臣はどういうふうにお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当初申し上げました通り、現在実施されております制度、ないしは決定しております予算というものは、当然に農業基本法と表裏をなしたような計画性をもって成立しておりませんので、端的に申し上げれば、あげて今後に向かって努力せねばならないという立場にございます。たまたま従来やっておりますことで、幾らかでもこの趣旨に沿うであろうことは、先刻来申し上げているようなことでありまして、いずれにいたしましても、今後に付してこの農業基本法の制定の趣旨に従ってあらゆる積極的な努力を関係省とも十分密接な連絡をとりながらやらねばならんと心がけたいと思います。

東隆民主社会党

○東隆君 先ほどから小林君の質疑がありましたが、それと多少食い違うと思いますが、お伺いいたします。  私は、長男教育をどうしたらいいか、こういう問題を中心にしてお伺いをするわけです。長男と申しましても、長男ばかりが農業をやるわけではございませんけれども、農村に残って農業経営を実際にやる者の教育は、私は非常にうとんじられていると、こういうふうに考えております。次男、三男は外に出ますので、いろいろな教育をされる。それは遺産の相続やそういうような問題に関連をいたすと思いますけれども、外に出る者は教育をされる。しかし、残っておる者は教育をされない。そうしてまた、教育をされる機会が非常に少ない。こんなような状態にあると思うんです。そこで、その長男をどういうふうにして教育したらいいか。義務教育のほうはこれはまず問題外にして、義務教育を終えた後の者がどういうような状態に置かれておるか、こう考えますと、私は寒心にたえないものがあると思う。  そこで、文部大臣にお伺いをするんですが、義務教育を終えた者が、二年なり三年なり自分のうちの仕事をやる。そうして農業の方面において労働の経験もその他の経験も十分に得た者が農業高等学校に再入学をする、こういうような場合に、義務教育を終えてすぐ農業高等学校に入った者と同じように机を並べてそうして三年の課程を終わる、こういうのは私は非常に酷なやり方じゃないかと、こういうふうに考えるわけです。昔師範学校なんかに一部制と二部制がございました。中学を出た者が二部でもって一年教育を受けた者は、これは一部の者と同じに待遇されます。こんなような事例がありましたが、農業の場合において、自分のうちで農業に従事をした、こういうような非常にりっぱな経験を持った者が農業高等学校に入るときに、もう少し課程を短くしてそうして同等の資格を与える、こういうようなことができるならば、私はこれは非常に大きな進歩ではないか、こういうふうに考えますが、その点はどういうふうにお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説は農村の実態に即して、具体的な問題としては切実なことでもございましょうし、効果的なことであろうということはわかるような気がいたします。ただ、にわかに百パーセント御賛成困難なような気持がいたしますのは、農業高校であれ、工業高校であれ、産業教育と申しておりますが、やはり六三三の一般的な後期中等教育とかいっておるようですが、一般的な学校の場でございますために、中学を出て農業の実際に携わっておるがゆえに農業高校の三年課程が一年で卒業したと同じ資格が得られる、あるいは二年で卒業資格が得られるということにいきなりやれるかどうか。これは一種の建前論でございますが、その意味においてなかなかむずかしいことではないかと存じます。ただ、これは今のお尋ねに基づいての直感的な御返事でございまして、検討してみないことには、最終的なことはむろん申し上げられませんけれども、一般論としますと、そこら辺に困難性があるのではなかろうかと一応考えます。ただし、さっきもちょっと申し上げましたが、青年学級が今お示しの御要望に沿い得る現行の制度の一つじゃないかと思います。高等学校それ自体としておっしゃるようなことができるかどうかということは今申し上げた通りちょっと疑問がありますので、検討した上でないと御返事が困難でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 関連して。今、東委員のお尋ねに対して大臣からお答えがありましたうち、社会教育の面において、特にそれが補助教育として非常に農村の場合は必要じゃないか、私はそう思います。それで青年学級、婦人学級というものが最近農村の社会教育の上に設けられて、そうして青年や婦人の自主性に基づいてある程度の指導をしておりますけれども、現実の問題としては非常に余裕がない。時間的余裕がないということと、せっかくわいたそうした勉強しようとする意欲に対する一つの水を向けるための、予算その他の面において十分じゃないために、あるいは講師を呼ぶとか、あるいはいろいろのものを見せるとかいうような、そういう面において予算が十分でない、こういう面においては一つの社会教育の面として文部省がもっと力を入れて活動を十分にさせるようなことによって、正規の勉強以外に補助的教育が十分に社会教育として発揮できるのではないか、そういう面を私は考えますので、その点を合わせてお答えいただきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 社会教育の重要なことはおっしゃる通りであり、また、文部省も従来ずいぶん以前から社会教育には考慮をめぐらしてきておると思いますが、ただ、今の農業基本法の制定されました後の日本農業ないしは農村、農民の直面しておりますところのまた、直面する必要のあるところの場に対しましては、そのまま応じ得ることをしていないことは確かであります。いわば青年学級にいたしましても、希望者があるようだから青年学級のことも考えねばなるまい、どちらかと言えば、消極的な受けて立つような気分であったろうと思います。しかし、今後、特に農村に対しまする青年学級の面あるいはその他の社会教育の面でありましても、農業基本法の目ざすところに相呼応しながらの意欲的な積極的な考慮、それとそれにふさわしい予算的あるいはその他の事柄にいたしましても、それにふさわしい実体を備えるように積極性が要請されると思います。そういう意味合いでもって、今後に対してあらゆる考慮と努力を払わねばならないと存じます。

東隆民主社会党

○東隆君 私は、学校を出た者は農村にとどまらないで外に出ていく、そういうことがこれは常に行なわれておりますけれども、どうしても農村に勉強した者が残る、こういうような態勢を確立するのには、今のようなやり方ではそれは無理じゃないか。従って、農村に残って多少の経験を持った者が、しかも向学の気持に燃えておる者が入る。しかもそういうような精神を持っておる者が行くのでありますから、二年も三年も、普通の者と同じに机を並べて同じ三年間を学習をする、こういうのは、これは私は非常に酷なやり方ではないか、こう考えるわけです。従って、もう少し短期のもので十分にそれと同等な資格が与えられるようなものを考えてしかるべきじゃないか、こういうことを一つ考えるわけです。それからもう一つは、それより以上の大学なんでありますが、大学のいろいろな例を見ますと、たとえば農業協同組合なんかに従事している者が、ある年限仕事をして、しかる後に大学に入って、そういう者が今度はまた元の職場に帰ってそこの中心的な人間になる、こういうような者が非常に多いようであります。そこで、大学の問題なんでありますが、私は全課程を終了しなければ大学を卒業できない、こういうような課程でなくて、必要な科目を勉強する、こういうような制度を大学の中に設けていいのではないか。これは教育の機会均等という考え方からいって、私は何も関係のないいろいろなものをみんな修めなければならない、そういうようなことでなくて、自分が最も必要だと考える科目を勉強する、こういうような制度が私は国の大学の中にあってしかるべきじゃないか、こういうように考えますが、この点はどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今第一の、義務教育を終わって農業に従事していて、向学心やみがたき人々がたくさんおると思いますが、その場合に、高等学校を考えても、先ほどもお話がございましたように、同じように三年間を是が非でも経過しなければ高等学校卒業の資格がない、従って、大学の入学資格もないということは酷じゃないかというお説でございますが、実際的にそういう気持も私もいたすのでございますけれども、やはりよく考えませんと御返答ができないと先刻申し上げた通りでございます。ただ、工業の方面では、たとえば義務教育を終えまして、ある企業体内に入って、そこで職場での一種の現職教育的な職業訓練を一般的に受けておるようでありますが、その場合に、高等学校の履修科目と同じもしくは類似のことが教わっておるならば、それを類似性の高等学校に籍を置いて勉強するという形をとります場合に、その職業訓練所でもって実習しましたことを高等学校の教育を受けたものとみなすというふうなことで相互の便宜をはかる、働く人々の立場に立って便宜をはかるという制度ができておるわけでありますが、それと似たような構想で、たとえば農業協同組合か、あるいは農業法人の協同組合施設等があって、あるいは農林省の試験場等で実施訓練等がございました場合に、農業高等学校の実習とみなしてそれだけ時間がセーブされるというような考え方のもとに相互相殺いたしまして、修了年限を短縮するという線が、あるいは出てくるのじゃないかとも思いますが、これも今後の検討に待たしていただきたいと思います。なお、大学について何でもかんでも四年間自分が希望しない学科までも勉強しなければならないのはおかしいじゃないか、希望する専門的なものを勉強していいという制度があってしかるべきじゃないかということも気持においてわかるような気がいたします。おそらくそれは現在では聴講生という制度があるようですが、それが曲がりなりにも一応その求めに応じ得るのじゃないかと思いますけれども、御指摘のような切実な求めには、今のままでは応じ得ないかもしれません。また短期大学がございまして、二年ないし三年の制度もあるようでございますから、これまたある程度おっしゃるような求めに応じ得るかとも思います。別途五年制度の高等専門学校という新しい制度を御審議をお願いしておりますが、これは当面工業だけでございますけれども、今後農業基本法との関連において、このことが、五年制の高等専門学校というようなものを作ることが日本の農村の将来のために適切であるということでありますれば、その考え方もまた一つの対策であり得るであろう、こういうふうに連想いたすわけでございますが、いずれにいたしましても、十分御高説を念頭に置いて検討しませんと、はっきりしたお答えができかねますので、その辺一つ御了承お願い申し上げます。

東隆民主社会党

○東隆君 先ほどの試験場その他で勉強したものを、一応の高等学校卒業の条件とみなす、こういうようなことを、これは一つ大いに研究をして道を開いていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきます。  それからもう一つは、大学程度の学校をことに農業関係のものが作りますと、たとえば農業協同組合関係の学校なんかでありますと、だいぶ短期間であるにかかわらず文部省の方から、大学の、何といいますか、制度からかどうか知りませんけれども、いろいろな教養科目を相当中につぎ込まれる。これは非常に短期間の間に学習をしなければならないというような場合に、専門的に非常に荷が重くなるのじゃないか、こう考えますので、これにはやはり特別な計らいがあってしかるべきじゃないか、こういうように考えるわけであります。具体的に申しますと、たとえば協同組合の短期大学がございます。その場合に、学科目を、非常にたくさんの教養科目をこれだけのものは必ずやらなければならぬ、こういうふうに文部省の方から指定をされておるのじゃないかと思います。そういうようなことでは私は専門的な方面を、短期間でありますけれども、深くやるという目的を達するわけにはいかないのではないか。それらの科目は、歴史もあり、いろいろな社会科学的ないろいろなものを含んでおるのでありますから、それを通して学ばせる、こういうような態勢の方がいいんじゃないか、こう考えるわけであります。そういう点について、今まで私は少し行き過ぎておるのじゃないか、こう思うのでありますが、この点はどうでございますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 結論的には、私も同じような疑問といいますが、悩みらしきものを感じておる現段階でございます。およそ学校制度というものは、まあ大学にいきましても、専門的な深い造詣を身につけさせるということと同時に、一般教養を通じて人間形成と申しますか、そういう目的にも応じなければならないという公式論的な立場において、大学の設置基準を初め、大学の教科課程等も制度づけられておるようでございます。確かにお話しのように、専門科目を通じて一般教養を高める目的も、教える先生の心がまえ次第では可能であろうと私も思うのですけれども、なかなか専門家に言わせますと、そうは参らない。一般教養は一般教養としてみっちり何時間というものを教えないと、技能者にはなり得ても、ほんとうのいい人間にはならないのだとしかられるわけでございまして、その相互の矛盾といいましょうか撞着が現在でもことごとに問題になるわけであります。たとえば五年制の高等専門学校の場合も、専門の科目をうんとみっちりと身につけさせようといたしますると、限りある年数の間に、一般的に要請される一般教養科目というのは、一日が二十四時間だものでございますから、どうしても端折らざるを得ない。端折りますともってのほかである、一大欠陥があるといってしかられるがごとき相互関係にございます。いずれにいたしましても、単なる感想を述べるにとどまるので申しわけないようですが、それを一つさらに検討いたしまして、名実ともに、一般教養の時間はセーブいたしましても、人間形成に欠陥のないようなやり方は何だということを、発見すべく検討さしていただきたいと思います。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) ただいま労働大臣が出席されております。同大臣に御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 労働大臣にお尋ねいたしますが、この農業基本法が、もし国会を通って立法化されますと、これは農林省だけでなく各省の御協力を得なければ実がならないということになりますので、労働省関係の分についてお尋ねするわけですが、特に私は第三十条ですね。「国は、家族農業経営に係る家計の安定に資するとともに農業従事者及びその家族がその希望及び能力に従って適正な職業に就くことができるようにするため、教育、職業訓練及び職業紹介の事業の充実、農村地方における工業等の振興、社会保障」云々と、こう二十条にあるわけですが、これは農林省ばかりでなくて、石田さんのおられる労働省、あるいは厚生省等も関係があるのですが、特にこの法案が通った場合に、この二十条に従って職業訓練及び職業紹介事業の充実、これを具体的にどうするかということ、具体的にたとえば北海道あるいは大阪、九州で、特にどこに職業訓練所を設けると考えているとか、あるいは予算はどう、こういうふうに具体的に一つお尋ねしたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 大体所得倍増計画の最終年に当たります昭和四十五年には、農業の就業人口が、現在の千四百万人前後から一千万から一千五十万くらいになるのじゃないというふうに想定されておるわけでございますが、その中で、志望離職をする人、あるいは逆に新規労働人口で農業へ参加する人等を加減いたしまして、差し引き昭和三十五年から四十五年の間に一次産業から二次、三次産業に転向される人口を二百二、三十万と私どもは大ざっぱに考えておるわけでございます。それらが安定した職業につくように、職業の訓練あるいは職業のあっせんをするのが、私どもの仕事と心得ております。そこで職業訓練の現況でございますが、現在公共職業訓練所の施設は、全国に三百三十カ所ございまして、約六万人くらいの子弟を訓練をいたしております。この中には、新規労働力人口の訓練、それから再訓練、転業訓練というものがいろいろ含まれておるわけでありますが、この中の大体約半数が農村からの出身者でございます。一方各企業内に、企業内の職業訓練所がありまして、私どもの方で補助あるいは指導等をいたしておるのでありますが、ここで大体七万人程度を一年間に訓練をいたしております。これのやはり約半数が農村出身者でございます。そのほかに、昭和三十五年から農村に特に農家の次、三男の子弟を対象といたします訓練所を三十五年度には十四カ所、それから三十六年つまり本年度予算において十八カ所新設をいたしておるわけであります。職業訓練をいたします場合、大体第三次産業に行く人は、これはまず訓練を一応必要といたさないのでありまして、そのほかに、たとえば年功とか、そのほか従来の形での技術を身につけるという形もございますが、現在のところは、今申した通り、合計しますと六万五千人くらいの現在の計画で、年間農家の子弟、子弟と申しましても、必ずしもいわゆる若い人とは限りませんけれども、大体訓練をいたしておるわけであります。しかし依然として若い人が多いのでございます。そこで、これを今後漸次拡大をいたして参るつもりでありまして、特に一番最後に申し上げました農村に近いところに、職業訓練所を増設して参りたいと思っております。これには、町村合併等によりまして校舎があいたところがございまして、そういうものをできるだけ利用いたして参りたいと思っております。ただ、現在これを急速に拡大いたしまするための一番大きな障害は、指導員の養成でありまして、指導員の養成も一面において本年度から職業訓練所におきまして着手いたしましたが、それと同時に、指導員の待遇につきましても本年度から独自の予算措置を講じまして、近い将来におきましては、教員その他に準ずる特別の俸給表等を設けることにいたしまして、指導員の確保に努めたいと存じております。また、指導員につきましては、学費給与制度等が目下予算的措置を講じておりますこともあわせて申し上げたいと存じます。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 労働大臣のお話を伺っておると、もっともらしく聞こえるのですが、実際今の職業訓練所は、現在の人でもう収容しきれないでしょう。現在の失業者諸君を収容しても収容しきれないというのが実情なんです。訓練所は余っておらんのですから、そうするとそこに何十万何百万がくるかわからないけれども、しかるに今大臣の御答弁の中にありました十何カ所、二十カ所設けたって、これは収容しきれる筋合いのものじゃないですよ。ですから、私は今の訓練所は、現在の失業者を収容しきれないのですから、当然この基本法の立法化に従って、新たに膨大な措置を設けなければならんと思うのですが、あなたのお話を聞くと、今これこれあって、これから十何カ所ふやして云々とおっしゃるけれども、それはとうてい、答弁としてはいいかもしれんけれども、現実の問題としてそれは不可能でしょう。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 先ほど申しましたように、三十五年度から四十五年の間、十一年間で二百三十万みているわけでありますから、年間第一次産業から第三次産業、第三次産業に移る者は二十万から二十二、三万であります。その中に毎年今約六万五千人ぐらいは現在の設備で訓練いたしているわけであります。もう一ぺん申し上げますと、公共職業訓練所で六万人収容しておりますが、そのうち三万人は農家の子弟であります。それから事業内職業訓練所で七万人訓練をいたしておりますが、これも約三万強、半分近い者が農家の子弟であります。そのほかに、それは各都市とか、地方でも、地方の中心的都市に設けてありますが、今度は農村に近いところに昨年度から特に農家の子弟だけを対象とする訓練所を設けております。これは昨年十四カ所、本年十八カ所、こういう数字でありますから、合わせますと六万五、六千ぐらいの数は現在の施設で訓練をいたしております。足らないものが十三万から十四、五万という、訓練の対象にならないものが、収容できない数が十三万から十四万ということになります。しかし二次、三次産業へ移る者は運輸及び通信を除きましては、まず特殊な職業訓練というものは現在要求されておりませんから、まず十四、五万全部を対象にしなければならないというわけではございません。しかしなお不十分であることは当然でありますから、私はこれからは農家に近いところに、町村合併等で余裕ができました校舎等を利用いたしまして、急速に農家の二、三男の子弟を対象とする者の訓練所を急速に増設いたしたいと思っております。それから現在の状態で収容しきれないのではないかというお話でございますが、実は、大へん残念なことには、特殊な科目においては定員より非常に多い応募がございますが、現在の雇用の状態ではいろいろの条件がありまして、わざわざ訓練を受けなくても雇用が行なわれている実情等もあって、実は必ずしもあぶれ切っているという状態ではございません。そこで私どもの方といたしましては、今度雇用促進事業団ができました場合、今までは石炭離職者だけに失業保険のない場合に訓練手当を支給しているのでありますが、これからは失業保険が訓練期間中延長されるばかりでなく、失業保険のない者にも訓練手当を支給するという方法を講じまして、むしろ私どもとしては現在の施設の利用度を高めると同時に、施設そのものを増大させるように努力をしていきたいと思っている次第であります。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 これは自治省の安井大臣に言うのが当然かもしれませんが、労働大臣は今町村合併によって校舎が余る、それを利用すると、こうおっしゃるが、全国的に見てこれから町村合併するのは全国で二つか三つしかありませんよ。それを利用するなんということは、まさかそう考えておらない、たまたま言葉のあやでそう言ったと思うのですが、それをあてにするなんてとんでもない話で、それは現実の問題として実際収容し切れないのですね。これは余っているというなら、僕はどこの訓練所でどれだけ余っているか具体的にお伺いしたい。しかしあなたのおっしゃるような実態ではないわけです。そこへ多くの人がやはり訓練所に入るということになれば、当然新しく何百か設けなければならぬわけです。  それからもう一つ大臣ね、あわせてお尋ねしたいことは、職業訓練所というのは就職じゃないのでしょう。訓練所へ入れたからといって、これは能事終われりじゃない。訓練所へ入れたあとどうするかという問題もあるわけです。あなたのお話を聞くと、職業訓練所へ入れれば、まさか能事終われりとお考えになっているわけじゃないでしょう。しかし訓練所へ入れたあと一体どうなるかということもあわせてお尋ねしたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) まず町村合併によって校舎に余裕が出てきたというのは、これから出てくるという場合をいっているわけじゃないのでありまして、現在町村合併をいたしましたために、旧町村に作った校舎で余裕があるところがかなりございます。そういうものを現にことしも相当利用いたしております。しかしそれだけではない、もちろん新設を必要とするのでありますが、そのことはこれからやる、もう町村合併終わっておるわけでありますから、これからやるものを相手にしているわけではありません。今まででも旧校舎のそういうものの利用がかなりできる状態でありますので、そういうことをしていきたいと思っております。それから訓練所は実はこれは私どもの方からいえば大へん残念なことでありますが、現在ある訓練所の各収容能力と、それから入所希望者との数は、あとで事務当局から説明いたさせます。  それから訓練所へ入れて卒業させればそれで終わりというわけではございませんで、もちろん就職のあっせんは当然いたします。ただし、この訓練所修業生に対する求人申し込みは、非常にいい状況でありまして、一例を申し上げますると、これは農村の問題とは直接関係はございませんけれども、例の三池炭鉱の跡始末で熊本県の荒尾にこしらえました訓練所、その訓練所の第二回生が去る二十七日の土曜日に卒業いたしました。百二十一名卒業したのでありますが、これは全部指名解雇者であります。これは二十二名か三名が自営希望、就職希望者が九十九名、そのうち二十七日現在において就職確定をいたしましたものが九十四名、五名が今遠隔地に交渉いたしておりますので、現在の時点においていわゆる雇用契約というものができたということはいえませんけれども、もう数日を出ないうちに雇用契約は完了する、つまり百パーセント就職が終わっておるのでありまして、訓練所の修業生は今ただいままで申したような状態であります。そういう意味で産業界の希望等をよくにらんで科目等を選定いたして参りますると、私どもの訓練所の修業生はまあ百パーセントの就職ができると、その卒業の時点においては九十何パーセントというような時間的なずれがあったり、たとえば自動車の運転手等でありますと、免状を取る期間が要ったりいろいろございますけれども、現在においては非常にいい成績を納めております。収容能力との関係は今事務当局より説明いたします。

堀秀夫労働省職業安定局長

○政府委員(堀秀夫君) ただいま大臣からお答えいたしましたところに補足をして申し上げますが、本年度におきまする公共職業訓練所への応募状況及び入所状況を申し上げますが、大体におきまして応募者は定員を上回りまして、一二〇−三〇%という状況でございますが、しかし実際問題として見てみますると、その応募される方の希望と、それから訓練所で実施しておりまする具体的な職種との間の食い違いがある関係もありまして、入所率は八五%程度という現状でございます。これはただいま大臣から申しましたように、応募者に対しまする、ほんとうにその訓練を受けて、あと就職するのに都合のいい職種があるわけでございますが、必ずしも訓練希望者の希望職種がそれにマッチしておらないという点もございます。それからまた、訓練所の現在における職種の編成等について、労働省の側といたしましても検討を要する面もございますが、そういうような点もございまして、入所率はただいま大体八五%程度であります。私どもは今のような観点から応募生に対するところのPR、普及、それから訓練内容の職種のさらに改善という点を検討しておりますので、これと合わせまして先ほど大臣が申しました職業訓練の拡張計画によりまして、農村からの希望者をできるだけ多数収容いたしますように努めておるところでございます。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 政策問答は農林大臣がやるのですから、この結果がどうなるかということを心配のあまり労働省にお尋ねしておるのですが、今大臣の答弁に補足して局長が答弁されたのですが、三井三池の問題に触れられたのですがね、そこまで僕は発展しようと思わなかったのです。たまたまあなたの方で触れたからお尋ねするのですが、指名解雇の分だけで千二百名、それが百名足らずしか就職できぬのでしょう、現実の問題として。局長、そこにいらっしゃるから大臣は知らぬとしても、局長から明確にお答え願いたいのですがね、あなたは言うことと、やっていることと違うでしょう。なかなかそういうりっぱなことをおっしゃったって、千二百名労働大臣がよろしゅうございますといって、経営者と労働組合がのんだ千二百名のうち、百名しか就職できないのでしょう。その就職した百名は、四百十一円という安い金額で就職しているのですよ、それが現実なんです。もし僕の言うことがうそだったら反駁してもらいたいのだが、それが現実なんです。それに職業訓練所云々ということは、これは大臣に僕は抗議するのでなくて、それが現実なんですからね、なおかつ何十万という農民の人がやめられて入るといっても、これは不可能でしょう。どこの訓練所に何名入るかということを、僕は具体的にお知らせを願いたい、具体的にどこの訓練所に農家の人が何名収容できますよということを。農村の子弟の主として今度訓練所を作りますといって、一体北海道のどこか、九州のどこか、本州のどこか、具体的に教えてもらいたい、具体的に。そういう抽象論でなくて、もし私の言うことが三池の問題なんかで誤りであったら、阿部委員の言うことは誤りですというてもらいたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 三池の荒尾の例を申し上げましたのは、私どもの訓練所の卒業生の、修業生の就職状況の例として申し上げたのであります。それから一番就職が困難だと予想されておった、いわゆる指名解雇者においてさえも、ただいままで申しましたような数字が出ておるということを例として申し上げました。それから三池の問題でありますが、三池の問題についての数字その他は、職業安定局長から御報告いたさせますけれども、それは荒尾だけで収容しておるわけではございません。荒尾で収容した場合の例、それから目下訓練中の人もございます。実はもっと早く訓練所に入所していただきたかったし、もっと早くいろいろな希望を言うていただきたかったのでありまして、私どもの方では現地に相談員を派遣してずっと常設しておるのでありますが、当初の昨年度中ぐらいはなかなかその決心がつかないと申しますか、ある意味においては、まあ保険金も多少あるとかなんとかいうような事情もあって、なかなか希望を申し出る人がほとんどなかったのであります。それが昨年度から組合側の協力もありまして、希望をだんだんと申し出ていただきましたし、また訓練所に入る人も出て参りました。そうして順次進行をいたしておる状態でございます。それから現在まで農村用の訓練所を作りました場所、あるいはこれから本年度作る場所、将来において考えておる場所等は、あとで書類をもって御通知を申し上げたいと存じます。それから三百三十カ所の収容能力等につきましては、これも書類をもって差し上げた方が便利じゃないかと存じます。ただ、先ほど申しましたように、訓練所に入る人と、それから私どもの方の職種と、入る人の希望と、それから準備しております職種との間の食い違い、それは現状認識その他の違いがありまして、非常な誤解がある面もございます。一例を申し上げますと、たとえば建設機械のオペレーターを養成します課目と、それから配管、自動車整備、こういうような三つの課目を訓練所に設けますと、自動車整備にずっと殺到して参ります。ほかの二課目にはなかなか入ってこない。しかし事実上収容及び賃金その他の条件から言えば、むしろ逆に自動車整備工以外の者が多い場合があっても、事情を知らないでそういう場合があるのでありまして、そういう点をこれから普及していかなければならない。それから今度は雇用促進事業団で訓練手当を出します。これなども訓練生を多数参加さしていただくのに役立っておりまして、現在の段階では、むしろ訓練生をバランスをとって補充するのに努力をしておる段階であります。しかし、ただいまお話がありました通り、私どもが所得倍増計画の中であげました数字から見ましても、これで十分だとは思えないのでありまして、大ざっぱに第二次産業、第三次産業に同じ数にいくとしましても、やはり十万程度の訓練ができるようにすみやかに増設したいと思っております。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 あとで文書でもってお知らせするのが都合がいいという御答弁ですが、大臣の方はあとで文書で知らせていただく方が都合がいいかもしれないが、僕はここで聞かなければ都合が悪いのです。それは大臣でなくてもいいから、局長からでも御説明をいただきたい。  もう一つ、荒尾の例だとおっしゃるからそれは追及しませんが、荒尾の訓練所の入所者云々とおっしゃるが、たとえば自動車運転手を養成するのでも、自動車があってもガソリンがない。大工さんなんか、指導員がおっても、かんなはあってものこぎりがない。こういう実態でしょう。これは自民党の理事の櫻井さんがいらっしゃるが、熊本県だから、あれは熊本県ですからこれは私より知っておられると思う。(「富山県だよ」と呼ぶ者あり)自動車があってもガソリンがない。大工はのこぎりがあってもかんながない。大工さんや、自動車の運転手を養成すると言ってもそれではとても話にならぬ。そういう所へ入ったってむだだから、そこまでいきたいのだけれども、いけないというのが現状です。大臣はその開所式に行って大演説をぶった。あなたは演説がうまいから皆が感心したというが、幾ら言葉がうまくたって中身がない話じゃだめだ。中身のない話はやめましょう。まずければまずいでいいのです。口先だけでうまいことを言ったって、中身がなければ話にならない。ですから私は、農村の方がいよいよこの法に基づいてどんどん百姓をやめるかわかりませんが、やめてくるときに、大体どこの訓練所に収容してくれるか、収容してくれて、しからばその仕事はどうなのかということをやはり懇切丁寧にわれわれにも明らかにしてもらいたいし、やはり心配している農村の人にも明らかにしてもらわなければならない。ただ賛成せい賛成せいと言ったって、中身がわからなければ賛成できませんよ。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) それは訓練所各地においていろいろな全部が全部円滑にいっておるとは、決して申しません。問題点はたくさんあります。その問題点の解決にはもちろん努力をしなければならないのでありますが、しかし先ほど訓練所を設けても中身がないとおっしゃいましたが、たとえば訓練所卒業生の就職率は、ただいま申しましたような就職率、それを申し上げれば、やはりそれ相応の成果をおさめておる、これが証拠であろうと私は思います。それから荒尾に自動車のガソリンがないというようなお話でございますが、まあこれは大工のかんながないというお話、荒尾にはそういう課目を今のところ置いておりませんので、荒尾の例ではございますまいと思いますが、しかし一般にそういう何もかにも円滑にいっているとは思いません。思いませんけれども、しかし全体として訓練所の卒業生の就職状況は、ただいままで申し上げた通りであります。しかし数から言いましてなお不足であることは、これはもう私自身認めております。さらに設備の増大、完備に努力をしていかなくちゃならぬことは申すまでもないのでありますが、現在の収容状況を申し上げるのには書類で出した方が都合がよろしいでしょうというのは、何しろ数が多くて親切に各個所の収容能力等を御説明いたしますよりは、むしろ書類の方が適当じゃなかろうかと言ったんで、ここで説明をしてよろしければどの程度の範囲、三百三十カ所の各収容所それぞれ五科目、三科目の項目がございますが、それぞれ全部収容能力をお話し申し上げるのでございますか。それよりまだ書類がよろしいと思うのですが。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 科目まで大臣説明しなくても……。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) いや、私でなくて、こちらで……。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 その大体現在ある訓練所で、それから大臣のおっしゃる十八また新設するとおっしゃる。それでどれだけの人間が、農村の方々が収容できるかということを、それをお尋ねしているわけです。それからもう一つ、四十五年までの計画ですから、私はお尋ねしたいことは、大体労働省として農家の人がおやめになって三十七年は何人と、三十八年は何人と、どのくらいの計画をお立てになっておられるものか。それをお尋ねしたい。

堀秀夫労働省職業安定局長

○政府委員(堀秀夫君) まず荒尾の状況を申し上げます。三井三池の特に九・九退職者の皆様方につきましては、この争議の解決の経緯等にかんがみまして、労働省といたしましては全力を上げてその転業をごあっせんするという態度でのぞんでおるわけでございます。現地に総合職業相談所を設けまして、具体的に各県から、受け入れ県から職業安定所の課長級が一月一ぺん必ず集まりまして、具体的な求人を持ち寄りまして、現地相談を実施しております。  そこで、現在までの状況でございまするが、九・九退職者は大体におきまして約千百名に上ることは御承知の通りでございますが、そのうち現在までに就職決定いたしました方の数が二百三十名でございます。それから他県に移住をされました方が、そのほかに百三十六名でございます。それから現在職業訓練所、これは荒尾を初め、大阪、小野田等の訓練所に分散して入所しておられますが、これらの訓練中の方々が二百名でございます。従いまして大体におきまして約六百名の方が現在すでに就職決定もしくは移住、あるいは訓練所に入所して訓練を受けておられる段階でございます。なおその残りの方々につきましては約三百名の方がさらに職業訓練所に入所を希望するということを出しておられます。合わせまして九百名、残りの二百名の方々につきましてはまだ希望の出ておられない方もございますし、それから自営業を希望しておられる方もございます。これらの自営業を希望される方につきましても、労働省が事実上各省の中心になりまして必要な援助を行なう。たとえば先日福岡においてタクシーを開業したいという希望がございましたが、これは福岡の陸運局等に話しまして、つい最近免許がおりまして、タクシーを開業したというような状況でございます。大体今のような状況でございます。いろいろもちろん現地におきまして工合の悪い点もあると思いまするが、私どもただいままで三池の第一組合の方々といつも接触しておりますが、第一組合の方々からは、労働省非常によくやってくれるという感謝をいただいているという状況でございます。私どもはこの感謝にこたえまして今後ともさらにその転業のあっせんに最善の努力を尽くしたいと考えるのでございます。  それからその次に訓練所の分布等でございまするが、これは先ほど申し上げましたように全国各地に分散しております総合職業訓練所は、これは大体まだ二、三の県におきましてできておらないところがございますが、それ以外の都道府県におきましては、全部中心的な都市に総合訓練所がございます。それから一般職業訓練所は約三百ございます。これは各都道府県の各地に分散して設置されているわけでございます。これらの公共職業訓練所の定員が本年度におきまして約六万人でございます。六万人のうち先ほど大臣が申し上げましたように、約三万人の方が現在農家の出身で占められている。こういう状況でございます。それから、そのほかに事業内職業訓練が約七万でございまするが、そのうち約半数は農家出身であると推定しております。それから、そのほかに昨年からの新たなる試みといたしまして、農村の周辺に特に農漁村次、三男対策を目標といたしましたところの職業訓練所を新設することにいたしました 三十五年度においては十四カ所を新設したわけでございます。これは大体農家出身を対象にしておりますので、特に申し上げますると、三十五年度におきまして新設いたしましたものは、北海道二カ所所、青森一カ所、岩手一カ所、秋田一カ所、福島二カ所、茨城一カ所、栃木一カ所、群馬一カ所、埼玉一カ所、静岡一カ所、愛知一カ所、長崎一カ所、こういうような状況になっております。それから、職種等につきましては、これはいろいろな職種がございまするので、この席で申し上げることは省略さしていただきたいと思います。それから、三十六年度におきましては、さらに十八カ所を新設することにしております。これは各都道府県から非常な御熱望がございまして、現在、希望はこの十八カ所を相当上回っておる状況でございまするが、これは農林省ともよく連絡をいたしまして、現地の実情を見まして、近くその場所は具体的に決定し、着工したい、このように考えておるわけでございます。それから、昭和三十四年から四十五年度にかけまして約十一年間に、先ほど申し上げましたように職業訓練の計画といたしましては約百五十五万人の職業訓練卒業生を出したい、こういうことで、大体その四十五年度辺におきましては現在の公共職業訓練所の数を倍にいたしたい、このように考えておるわけでございます。大体それで私どもの見込んでおりまするのは、これは今後農林省とよく御相談いたしまして、また具体的に練っていきたいと思っておりまするが、先ほど大臣が申されましたように、この農村就業者から十一年間に二百四十三万人の第二次、第三次産業方面への転業者があると考えておるわけでございまするが、そのうち、第三次産業を除く、第二次方面への転業を希望される方々につきましては、この百五十五万人の中の重点を置きまして、そして収容して参りたい、このように考えております。詳細の具体的な年次別の計画は、さらに農林省とよく御相談をいたしまして決定して、逐次実施して参りたい考えでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今、阿部委員の質問に関連して一つだけお伺いいたしますが、農村を対象にして三十五年十四カ所、三十六年十八カ所を新設をして、非常にまあ評判がいいようなことのようでございますが、これは、希望者はだれでも入れる、まあ数が多ければだれか選ばなければならないわけでしょうけれども、だれでも入れる、こういうことでやっておられるのか。それから、希望されておる人はどういう人なのか。先ほど次、三男対策と、こう言われたけれども、この希望される人の内容は、一体どういう人が希望してきているのか。それから、これは非常に大事なんでありまして、今、農林省が考えているのは、都市へ出ていく人はなるべく帰ってこないようにという考え方で、しかも職業訓練をして、そして自立経営農家というようなことで、農村人口が減っていくことに重点を置いているわけですから、これは新規の学卒者はもう普通に就職していくだろうと思うのです。従って、この職業訓練所に入ってくる人は一体対象が、やはり相当私は吟味されなければならないのでないかと思うんですが、そういう点についての配慮がなされているのかどうか、この点お伺いいたしたいと思います。

堀秀夫労働省職業安定局長

○政府委員(堀秀夫君) 十四カ所につきまして二十八職種の訓練を目下開始しているわけでございますが、これはこの場所を選定いたしますときに、各都道府県と十分御協議をいたしまして、農村地帯に設定したわけでございます。従いましてここに入っておられる方は大体もう全部、一〇〇%と申し上げると語弊があるかもしれませんが、大体において九〇%以上は農家出身の方であろうと考えているわけでございます。訓練期間は一年ということで実施しているわけでございます。従いましてその応募にあたりましては、大体その場所が農村地帯でございますので、私どもは制限はいたしておりませんが、事実上ここに入っておられる方は九割以上は農家出身の方々である、こういうふうに考えております。今後においてもこのような方針で進みたいと思います。それから今後におきまして、私どもはただいまお話しの中の学校卒業生の方々はただいま申されましたように大体そのままでも求人は非常に多い状況でございまするので、就職決定をしておられるわけでございます。しかし、ものによりましては、やはり訓練所に入った上で就職したいという方もございまするので、そういう学卒者も予定しておりまするが、今後におけるわれわれの重点は、やはり新しい学卒者でなくてむしろそうでない、今まで何らかの職についておられた、あるいは家庭におられた方が今後新しく就職したいという、いわゆる職業、転職希望者に重点を置いて参るようにいたしたいと思いまして、労・公・使三者構成の職業訓練審議会に対しまして、労働大臣からこのような考え方でいくのについて、このような転職訓練方式において今後どういう点に気をつけてやったらいいかという諮問をいたしております。来月中旬ごろまでにこの御答申があることになっておりますので、私どもはこの御答申を入れまして、この転職訓練計画というものに重点を置きまして推進して参りたい考えでございます。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 石田さんは、池田総理がアメリカに行ってお帰りになってからの内閣改造で功なり名を遂げておやめになるでしょう。(笑声)しかし、局長はまだ労働省においでになるでしょうから、あなたはここだけで答弁しても、これはほんとうですかと、あなたにあとでお尋ねしなければならないのです。三井三池の九百名は労働省が全力を上げましたから大丈夫だと、そうおっしゃっても、あとで安定局長があのときこう言ったじゃないかというようなことを僕は言いたくないけれども、労働大臣がこう言いましたといって袞龍のそでに隠れてあなた適当な答弁をしても承知しませんよ。(笑声)それからもう一つ、そこでお尋ねしたいのは、農村に訓練所を設ける、設けるとおっしゃるけれども、農村だって、純粋なもうたんぼしかないところに設けるわけでないでしょう。実際は農村であるかもしれないが、しかしそこが工業地帯とか、失業者の多いところに建てると僕は思うのです。そうすると、自動的に職にアブれた人から入れなければならぬという現実の問題が出てくるのではないですか。農村に建てるとおっしゃるけれども、農村に建てたから農家の人が入る、そんな甘い考えで、池田さんの経済政策より安定局長の考えはまだ甘い、こういうことになりますよ。具体的にどことどことおっしゃってみなさい。そうおっしゃったら、必ず純然たる農村でないところがあると思う。工場があったり、比較的全国的に見て失業者の多いところに、工場がつぶれたとかつぶれないとかというところ、そこに建てることになるわけです。あなたの答弁は全然僕はなっておらないとは言わないけれども、そういうようにならないだろうという見通しですね、僕の言うことがうそだったら、君の言うことはうそだと、純然たる農村へ建てます。実例は、北海道のどこと鹿児島のどこですと、具体的例をあげていただきたい。簡単に農村の真中に建つ筋合いのものじゃないでしょう。

堀秀夫労働省職業安定局長

○政府委員(堀秀夫君) この十四カ所、十八カ所につきましては、農村周辺に建てる予定で、現在、十四カ所は、現実に設置しておるわけでございます。もちろん、その農村のたんぼのまん中に建てるわけには参りません。従いまして、私どもの考え方といたしましては、農村周辺の小都市に建てます。そうして農家の出身の方々をこれに入れるという考えでやっております。そのために、この十四カ所、それから今後の十八カ所の訓練所につきましては、寄宿舎を必ず付置いたすことにいたしております。ここに現在収容してやっておるわけでございます。私どもは、この農村周辺の小都市にこれを設置することによりまして、そして具体的に希望者の多いような農村地帯からこれに応募していただきまして、そうして適職を訓練いたしまして、そしてこれを他の第二次産業に転業していただくという考え方で進みたいと思っておる次第でございます。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 今の九百名の問題について、これは私が責任をもって、中労委のあっせん案の条件として天下に明らかにしたことでございますから、私からお答え申し上げておきたいと存じます。私がやめるとか、やめないとかいう問題ではございません。これはやめようとやめまいと、労働省の継続的責任であります。御希望をおっしゃらない人、御自分でよそへ仕事に行かれた人、これは私どもとしてはいかんともしがたいわけでありますけれども、ただいま申しました九百名の諸君については、必ず全責任を負える確信を持っておる次第であります。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 希望をおっしゃらない云々といっても、石田さん、就職したと局長おっしゃるけれども、四百十一円平均ですよ。そうすると、東京でも大阪でも、暮らせっこないじゃないですか、そういうことでしょう。二十五日働いても一万二千円しかならね。一万何がしですよ。そうすると、親子三人か四人で、六畳一間借りても、とにかく家賃が四千円か五千円簡単に取られますよ。そうしますと、働きたいのだけれども、四百十一円じゃ働けないという、情けないかな、そういう現実の問題があるわけです。そう八百円も千円ももらっておる人はないのですからね、そこを考えていただかなくちゃならぬわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 四百十一円という数字は、どういう数字か、私は初めて聞く数字でございますが、今の荒尾の訓練所の修業者の就職先の賃金の水準とは違うと思います。それは、私どもの受けた報告はもっと高いものであります。それから日給ではございません。常用雇用として就職をいたしております。おそらく、私の推察でありますが、四百十一円というのは、全国の訓練生が訓練を終わったときの初任給か何かの数字じゃないかと思うのですが、これは、従来までは若年層が非常に多かったので、あるいはそういう数字が出ておるかもしれませんが、私の聞いた数字では、そういう数字は承知いたしておりません。  それから今の地方の小都市に最初作って、それからだんだんふやしていくより仕方がないと思います。十四カ所の分については、現に建っておるのですから、これは建っておる場所を申し上げて適当だろうと思います。十八カ所の分は、各県からの希望を調整しておる段階でありまして、今それをどこだかしこだと申し上げますのは、各県の希望の方が多いものでございますから、まだきまってございませんし、ちょっと場所を申し上げるまでにいかないと思います。  それから農村でなく、一般失業者の問題でありますが、一般失業者は、実は私どもは、訓練所に入ってもらうことをむしろ希望いたしておりまして、各職業安定所の窓口等に参りまして、失業保険を受け取られる方に対して、直接勧誘までいたしております。しかし、これは必ずしも御本人だけの事情でなく、私どもの方でも、たとえば年令の非常に違う人と一緒に訓練を受けるのはいやだというようなこともございますので、年令別に訓練時間をかえるとか、クラスをかえるとか、あるいは夜間の訓練を考慮するとかいう方法をとっていきたい。むしろ一般の失業者は、失業保険の給付期間のあるうちに訓練を受けてもらいたい。訓練所に入れば、給付期間はその期間だけ延びるのだということを、むしろ私どもの方は個々に勧誘をしているという状態であります。それから農村の者は入ってこないじゃないかという御議論でありますが、実際に私どもの方を出身別に調べますと、昨年作りました十四カ所は、九割ぐらいまでは農村出身者、それから公共職業訓練所でも、今の事業内職業訓練所でも、半数は農家の出身者であります。実際そうなんであります。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 関連しまして、簡単なことですが、今の訓練所の問題につきまして、今対象になっているのは農家ばかりでなく、一般の失業者に対しても、訓練所に入ることができるということになっておりますが、私は、特に農村の立場からお聞きしたいのです。なるほど、毎年々々新規学卒者が三十万あるいは四十万流れているが、これはもちろん全部訓練所に入れるというわけにいかぬでしょうが、そのうちの、先ほど説明があったかもしれませんが、何%かそういう訓練所に入って、入ることによって正式に就職される場合に、他に職業を求める場合には、もちろん訓練所に入ったということに対して、賃金等も違ってくるのではないかというふうに考えられますが、そこで私は、訓練所に入ってとられる農家の子弟はもちろんですが、それ以外のいわゆる挙家離村ということで、農家の方々が、相当年配の方もやめられて訓練所に入った場合の賃金の形態といいますか、そういうことが、訓練所に入っている期間はどのくらい入っておられて、そうして、その間の、訓練所に入っている期間の賃金というのはどの程度に考えておられるかということと、同時にまた、何カ月かの訓練所を経て、適当な場所に就職された場合の賃金というものはいかにあるべきか、そういう点に対する労働省の考え方がありましたら示してもらいたいということなんですが、私は、なぜこういうことをお聞き申し上げますかというと、大臣もすでに基本法の内容をごらんになっておって、御承知かと思うのですが、基本法のねらいは、先ほど北村君もちょっと触れられたように、とにかく農民の所得を増大して、他産業と、生活水準あるいは所得水準をもっと高めて、均衡せしめなければならないというところにねらいがあって、その均衡せしめる何といっても一番大きな柱は、構造改善政策ということで、自立経営農家を育成していくということです。しかし、たとえば二町五反なら二町五反、あるいは二町を中心とする自立経営農家を確立するためには、何といっても、政府からいっても、今日の第一種兼業農家あるいは第二種兼業農家という方々が、できるならば、ことごとく挙家離村という形になって都会に流れ込んでもらうことが期待されることだと思うし、また、そうなくては自立経営農家が立っていかないわけです。しかし、そうすれば、やはり政府としては、そういう方向に仕向けていくならば、やはり挙家離村のできるような積極的な離農政策を立てなければならぬわけです。もちろんそのように、法の指向するところによって、強制的には参らぬと思いますが、強制的でなくて、もっと積極的に、挙家離村をせしめるためには、いわゆる第二次産業あるいは第三次産業等に気持よくいけるような態勢を作らなければならぬわけです。そうすれば、何といっても賃金、給料という問題が一番中心になると思います。だから私から言うならば、他産業との所得の均衡を得せしめるということは、その生死のかぎというものは、一切あげて構造改善にある。この構造改善は、自立農家を育てていくということにあるのです。そのためには、何といっても一家をあげて離農していかなければならぬ、余った農地を自立農家に分け与えていくような方策にならなければならぬわけです。ですから私は、そういうことを考え、政府がほんとうにそれを望んでいるならば、いわゆる第二次産業等の、離農された農民の方々に対するいわゆる待遇といいますか、特に賃金の面をどのように考えられるかということは、当然考えなければならぬと思うのです。そこで、私はさしあたり離農される方々が全部訓練所に入ると考えませんが、とにかく訓練所に入ってる期間の間、その期間は何カ月かわかりませんが、その期間の賃金というものは当然、新規学卒者、いろいろありましょうが、離農された成人の方々はやはり今までのような家族がともに食っていかなければならぬわけですが、本人の賃金並びに家族のあれを養っていかなければならぬわけですから、この場合の賃金はいかにあるべきか。これを聞いておきたいと思うのです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 積極的な離農と申しますか、第二次産業、第三次産業へ第二種第三種兼業農家の人々、あるいは農家の次、三男の諸君が積極的に行けるように、また喜んで行って将来の安定を得さしめるように、訓練の問題、訓練を受けている間の処遇の問題、この二つだろうと思います。後者からお答えいたしますと、訓練を受けておられる方は、転業の場合、現在農業しておって転業する場合、あるいは現在農業に限らずほかの職業をしておって転業する場合、これは今度の雇用促進事業団の成立とともに一日三百円訓練手当を支給いたします。訓練期間は……。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 新規学卒者ですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 新規学卒者はだめです。これは違います。いわゆる転業者に対しまして。それから期間は半年と一年でございます。それからこの賃金のあり方でございますが、賃金は私はやはり別に一定にどれどれの職種は何ぼでなければならぬというようなきめ方まで、現在は考慮はいたしていないのでございますが、しかし、これは現在の一般の製造工業の賃金ベースのアップその他に従いまして、訓練を受ければ受けただけの有利な条件で就職をいたしておるわけでございます。ただ訓練を受ける受けないの問題は別として、今特に農家から、第一次産業から第二次産業にいく場合に、われわれが一番憂慮しなければならぬ問題は、臨時工とか社外工とか、日雇いとか、不安定な業種へ流れていくことを防止しなければなりません。さらに言うならば、日雇いとか、社外工とか、臨時工とかいうあり方自体を私どもは検討して、そこに落ちこぼれてたまっていかないようにしていかなければならぬと存じます。そこがひいては一般の二次産業、三次産業の賃金水準を高めていくゆえんに結局的になると思います。そうして私どもといたしましては、日雇いとか臨時工とかいう姿そのもの自体が私は間違いであるとかいうことは、必ずしも言えないと思います。ただ、それが低賃金で、同じ仕事をしていながら雇用条件が違うということだけで悪い劣等な労働条件をしいられておるというところに、私は一番問題がある。むしろ外国等に見られる臨時工、日雇い工という者は雇用が安定していないためにむしろ高い貸金を支払われている状態でありますから、そういう不安定な状態を改善していかなければならないだろうと思っています。これは労働基準法上の監督を最近非常に強化いたしまして、たとえば週休制あるいは年次有給休暇というような問題につきまして、年次有給休暇の問題のごときは、元来が日雇い制であるからそういうものは基準法の表面上の解釈から一応除外されるべきであるというような考え方がございましたけれども、これにつきましても、これはたとい日雇いでありましても、雇用状態がずっと継続しておる状態と認定される場合には、当然年次有給休暇を与えるべきものだという解釈を統一いたしまして、それを実施いたしており、週休制も同様であります。それから臨時工、日雇い工に対するあり方は、経済変動に対する経営者側の卑怯な逃げ道でありまして、そういうものの存存が、そういう形では許さるべきものではないし、それから非常に統計上不利なことは、常用雇用について規模別賃金格差はございますけれども、臨時工、日雇い工については規模別賃金格差が見られない。大企業においても中小企業においても臨時工では規模別賃金格差がないということは、非常に低い最低の賃金であるということにも逆になるのでありまして、私どもはこういう姿それ自体の改善に努力をいたしていくことによりまして、一般の賃金水準の上昇に努めて参りたいと思っております。  それからもう一つは、離農者についての職業の職業のあっせんでございます。今職業安定所というようなものでも、やはり結局地方の小都市でありまして、いわゆる純農村からはなかなか行きにくいのであります。そこで私どもの方で巡回職業安定所というものを設けまして巡回をいたさせておりまするし、それから全国各地に相談員の制度等を設けまして、積極的に出張して相談に応ずるというような方法をとっております。訓練所修了生その他につきましての賃金の状況は、安定局長からお答えいたさせます。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 私は今大臣からいろいろ詳しく述べられたのですが、特にその構造改善という問題を出したときに、池田さんはよく構造改善というものは、これは人為的でなく、あるいは政策的でなく、おのずと経済成長の発展によって第一次産業から第二次産業に流れていくのだ、これは先進ヨーロッパ国でもそういう実例が示されておって、日本においてもそういう時期に来ておって、これが自然の流れだと考えておるんだ。しかし私の考え方を言うと、日本の場合は自然の流れでなくて、あまりにも第二次、第三次産業に比較して今日の第一次産業としての農業は、非常に劣悪な状態に置かれておって、やむにやまれずいわゆる二十万、三十万の人口が流れていくので、決して喜んで離農するわけではない。しかも先ほど言ったように現在の農村人口が流れていくのは新規学卒者であって、いわゆるほんとうに農家をやめていくんだという人が割方少ない。だから農家戸数が少ないという現実の証明があるのです。ですから、政府がほんとうの構造改善を成しとげて、ねらいとするところの他産業との所得均衡をはかっていくというならば、その先進諸国みたいに積極的に喜んで離農できるような、そういう態勢、特に私はこの二重構造の是正という面を強く取り上げなければならぬのだということを私は前に言ったことがあるので、そういう面では都市においては先に高賃金になっているというけれども、まだまだ中小企業は、しかも大臣みずから言ったように、農村からの就職先というものは、これまた劣悪な臨時工であるとか、あるいはまた中小企業、五人十人以下のそういう中小企業の方に流れて行っちゃって低賃金で、これでは結局農業をやめるんではなかったと、離農した方々がかえって再び農村に逆流をする傾向が一部に見られて、私は東北で石田さんも秋田県でよくわかると思うが、そういう傾向が表われている。政府の言うような、これは経済成長の画然の姿であるといって楽観していることは非常に間違いであると考えて、いわゆる今後の離農対策をもっと真剣に考えるべきではないかと私はお聞きしたわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) まあ離農していくのは、第二次、第三次産業の方がその収入が高いというよりは、むしろ第一次産業の方が低過ぎるという問題、これは農業政策の問題に入りまして、私の所管でお答えする範囲ではございませんけれども、片方が低過ぎるから、低過ぎるよりやや高いところにいくというのでなくて、やはり全体が上がっていく形において問題を処理しなければならぬと思います。それからそういう形が人為的に計画的に行かせるのではなくて、やはり第二次産業のいんしんによって自然に流れていくという総理の答弁も全体としては私もそう思うのでありますが、しかし私ども労働省あるいは雇用政策を担当する者といたしましては、そういう流れの一般的見取り図というものを頭に描いて、そうしてその流れの中に必要な措置を講じていく。たとえば職業訓練の施設を増加していくにいたしましても、あるいは労働者の移動用の住宅を建設するにいたしましても、一応のそういう流れを見ながら、見取り図を描きながら、見取り図に合うように私どもは準備していかなければならない。私どもの担当する仕事は、やはり所得倍増計画の見取り図に合うような訓練計画等を立てていくつもりでございます。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 くどいようですが、三井、三池の九百名は大丈夫なんですね。それから四百十一円という僕の説に対してうそだとはおっしゃらないのですが、労働大臣は、私は聞いておりません、こういうことで、僕の数字を反駁なさるんですから、しからば幾らもらっているかということをお尋ねしたい、平均ね。僕の四百十一円、うそだとおっしゃいますから、幾らもらっているか、ここで明確にしていただきたい。  それから石田さん、あなた自民党きっての労働行政通でしょう。ですから、僕はあなたに抽象論でなく承りたいのだが、現在あらゆる工業が近代化、オートメ化されて、あらゆる工場がだんだん人間が要らなくなるんですよ。農村から人を連れてこなくったって余ってしようがない。ということは、新制中学あるいは高校生は足りないかもしれないが、三十五、四十になると使ってくれるところがない。そこへ持ってきて、この法案に従って農家の人に、あんたはやめてくれぬか、やめましょうといって人が出てくれば、これはダブル・プレーになってとんでもないことになる心配があるわけです。今でもとにかく人が余っておるんですから、ここで抽象論をやっておる今日現在、この時点においてさえ失業者が出ているのですから、工場がだんだんに企業整備され、人が要らなくなる。そうなったところに、とにかく離農した何十万かの農民の人が巷にあふれてくるということですから、第二次産業とか第三次産業で吸収なさるとおっしゃるけれども、しからばどういう産業が何千人とか何万人、端数は別として、収容能力があるかということを承りたいわけですよ。政策問答でなく、労働省は実際やられるサービス・センターですから、ただ口先だけでなしに、そういう点を承っておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 技術の革新、オートメーションの進行等によりまして、雇用が減ってくるのじゃないか。そこから雇用が減少したものと農家から出てくるものとダブるじゃないか、こういう御議論でございますが、これは抽象論でなく、具体的に申し上げてみたいと存じます。それは、生産性の向上と雇用の増大というものは、その数字通りには進行いたしておりませんけれども、やはり生産性の向上に従って雇用も増大しておるのであります。たとえば、昭和三十一年から三十四年までの経過、つまり三十一年を一〇〇といたしました場合の状態を申し上げてみますると、製造業総数におきまして、三十四年には一五〇になっております。約五〇%の生産性の伸びであります。それに対して常用雇用指数は一二四・五となっております。それから一般機械で申しますと、先に生産指数を申し上げますと、生産指数が一五六で、常用雇用指数が一二六・七であります。電気機械器具におきまして、三一三に対して一五九・三であります。それから自動車は一九〇・六に対し一二五・八であります。それから鉄鋼は一四一・一に対して一二〇・五であります。それから化学は一三九・二に対して一〇八・四であります。石油及び石炭製品が一五八・七に対して一一六・八であります。パルプが一三四・六に対して一二四・六であります。ただ肥料だけが生産性が一二二・七に対して、常用雇用指数が九四・五ということになっております。大体ここに出ておる数字はただいま申しました通りでありますが、一般的に申しまして、硫安関係の肥料関係と、石炭関係が生産性が伸びておるのに、雇用指数が減少しておりますけれども、他の産業全体といたしましては、今申しました通り、生産の伸びに従って雇用も伸びております。と申しますのは、一例で申しますと、たとえば自動車製造業のオートメーション化が非常に進行いたしまして、そうすると自動車一台に対する労働力人口というものは非常に減るでしょう。しかしながら、それだけ自動車の単価が安くなり、そうして自動車の製造台数が多くなるわけでありますから販売の人が要ります。また石油もガソリンもたくさん使うわけでありますから、ガソリン販売業に人が要ります。数が多くなれば故障も多いわけでありますから修繕業に人が要ります。あるいはまた運転手に人が要ります。私は生産性の向上、技術の革新は、雇用の増大をもたらすのは数字的現実であろうと考えておることを申し上げておきます。

堀秀夫労働省職業安定局長

○政府委員(堀秀夫君) 先ほど申し上げましたように、三池の九・九退職者の方々につきましては、すでに就職済みもしくは他府県への移転済みの方々が約四百名でございます。それに現在訓練所で訓練中の方々が二百名、それからさらに今後訓練所に入所を希望される方々が約三百人ぐらいであろうと考えております。これを合わせますると九百名ということになります。従いましてこの後訓練所に入所を希望される方々が問題になるわけでございます。私どもは荒尾の総合訓練所を初め、小倉、八幡、小野田、大阪というような、炭鉱離職者専門の訓練所を設置しておりまするので、希望の方々については、訓練所に必ず入所をお世話いたしたいと考えております。訓練を受けられて卒業された方々につきましては、幸い今までの就職成績が非常に順調にいっておりますので、私ども今後全力をあげてお世話を申し上げたい、このように考えております。なおそのほかの方々でも、自営業希望者等の方々につきましても、私どもできる限りのお世話をいたしたいと考えておる次第でございます。  それから次に賃金の問題でございますが、これはその職種によりまして通勤の方もありまするし、あるいは住み込みの方もございます。従いましてその初任給等で一がいにその条件を見分けることは非常に複雑な問題でございますが、最高の方は二万五、六千円ということになっております。それから低い方は四百円を割っておる方もございます。そういう方はただいまお話しのように初任給が少ないわけでございますが、これもこの例を見てみますると、住宅がついておる、あるいは部屋がついておるというような方々でございます。また逆にその賃金が非常に高くても住宅等もない方は、実質的にそれだけ減収になるわけでございます。私どもはそういう観点からいたしまして、今後私どもの努力すべき目標は一つは住宅をお世話するということであろうと思いまして、雇用促進事業団を設置いたしまして、そうしてこの離職者を収容する住宅というものに重点を置いて参りたいと考えておる。それからもう一つは、この他地域へ転出される方々に対しまして、あるいはその奥さんとかあるいは子弟の方々につきましても、あわせまして就職をお世話するようにいたしておりまして、三池の離職者の方々の子弟の方々につきましても、今まで相当お世話した例があるわけでございます。あわせまして、この炭鉱離職者の方々が他地域に動かれます際に、何と申しましても収入が少ないという点が大きな難点になっておりますので、そういう点をあわせまして、収入を確保する、あるいは実際の生活を維持するような方法を考えるということで、今後さらに努力したいと考えております。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 局長さんね、あなた二万五、六千円とおっしゃるけれども、そういう人は何万人の中に五名か十名です。それから百時間も百二十時間も超勤をやっておられるわけです。労働省が全力をふるってやったとおっしゃるんでしたら、僕らよりもう少し正確に調べてもらわぬと困る。それからうちを建てるとおっしゃるけれども、あなた御承知の通り、去年、おととしと、兵庫県と名古屋へ、十万も二十万もうちのない人がおるのに、五百戸、六百戸でしょう。ことし何戸建てるんですか。そういう御答弁では僕は満足しないわけですが、時間がありませんから、それはそれとして、最後に大臣にお尋ねしますが、大臣からいろいろ御答弁を聞いたのですが、さいせんの局長の答弁の中で、農家から大体三十七年度、三十八年度どのくらいおやめになるということは、これから農林省とお話し合いになるというような御答弁だったのです。私はもうすでに農林省なり、あなたの方なり、通商産業省とも話し合って、そうして三十八年度は幾らですよ、三十九年度は幾らですよ、しからばあなたの方でどれだけ引き受けてくれるのだという話が僕はもうできておるものだと思う。しかし、この法律ができると初めて、御答弁を承っておると、労働省が農林省と相談してこれから動き出す、こういうことになるのですね。それではちょっと危険じゃないか、こう思うのですがね。  それからもう一つ、労働大臣がとうとうとして、就職率がふえておりますと、こうおっしゃったのですが、これはあなたの資料ですが、確かにふえておりますね。ふえておりますけれども、年々、壮年、あるいは青年、あるいは少年が稼動人口の中に加わって、結局稼動人口がふえるから、確かに何%かふえているけれども、稼動人口がふえるぐらい就職率はふえておらぬわけです。これはあなたの方の統計ではっきりしておる。そうしますと、何%か、人はふえますよとあなたはおっしゃるけれども、確かに人はふえるけれども、働く人はそれ以上ふえているのですから、そうすると、実際こういう数字になって、これはもう失業者が完全に出る。潜在失業者は三百五十万もおるのです。こういうところに農家の人がおやめになったら大へんな問題になるということを僕は心配をしている。あなたのおっしゃる通り、これは就職率がふえて、農家の人がやめておいでになっても大丈夫であるならば問題がないのです。しかし、この場合は稼動人口がふえるのですから、そういうことになると、これは困ったことであるという心配に、もうこれは理論でなくて数字的になるわけですがね。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) さっきので、第一に申し上げておきたいことは、荒尾の訓練所修業生の賃金は基準内賃金を申し上げました。超過勤務等は入っておりませんから、それを申し上げておきたいと存じます。それから、何万人に一人じゃなくて、荒尾の訓練所の修業生は、一期、二期合わせまして三百人でありますが、そんなきわめて少数のものを言っておるわけじゃございません。ただ、今申しました通りに、住宅あるいは住み込みで食付、いろいな条件がありまして、必ずしも平均はとれないということであります。  それから、農林省の連絡云々の話でありますが、私どもは先ほども申しましたように、所得倍増計画の見取り図に従いまして、大体、年間二十二、三万程度のものが平均して実質的に第一次産業から第二次産業に移るんだというもとに計画を立てておるわけであります。しかし、その年次々々、あるいは具体的にどの地域にどういう訓練所を作っていくか、あるいはどういう職種の訓練を増加していくかという問題は、やはりその年次、そのときの経済的な流れというものを見なければならない。あるいは建築技術者が非常に不足をいたしておるなら、建設省と連絡をとりまして、あるいはまた、そのほかの技能者の職種が不足なら通商産業省その他とも連絡をとりまして、計画を年次々々に改めて作っていかなければならないのであります。三十六年度は先ほど申し上げたような計画であります。  それから、労働市場において新規労働力人口が増加しているんだから、雇用率が増加したって追いついていかないじゃないか。これはそれを現わすのは、具体的な数字は結局はいわゆる殺到率の問題、つまり求人に対する就職者の問題、それからもう一つは、完全失業者の動きというもので見ていくべきものだろうと思います。それから、不完全就業者の問題は、ほとんど捕捉しがたい問題でありますので、具体的な的確な数字というものは、なかなかつかみ得ない。ただ、現在は御承知のようにいろいろな条件から申しまして、賃金条件その他が改善されてきておりまするし、まあいわゆる規模別賃金格差も統計上縮小の過程にございます。そこで殺到率は三十四年度平均が二でありました。それが三十五年度平均は一・四になっておるわけでありますから、新規労働力人口の増加にもかかわらず、いわゆる殺到率は減少しておるということが言えると存じます。それから、完全失業者の推移でございますが、五九年におきましては、おととしは平均五十八万でありまして、五五年は六十八万でありました。ところが、六〇年、昨年は当初五十五万でございましたが、十月には二十八万と減少いたしております。そういう工合に、完全失業者は減ってきておるわけであります。しかし、それにもかかわらず、中高年令層の就職難というものが現存をすることは事実であります。若年層に非常に求人が殺到いたしまして、中年層、高年令層に対する就職難というものは依然として残っておることは事実でありまして、これにつきましては、労働省といたしまして、中高年令層の適職の調査をいたしまして、現在百二十余種の職種を、これを中高年令層の適職として指定をいたし、まず政府関係機関に対して、新規採用にあたっては、この種、職種について中高年令層を採用するように協力を求めております。それから、日経連その他、経営者団体に対しても同様の措置をいたしておりまするし、近くは職業安定所等におきまして、求人等について具体的な検討をいたしまして、これらの職種についての若年層の求人を中高年令層に振り向けるようにやっていく等の措置を講じて参るつもりであります。しかし、この背後には年功序列賃金、あるいは封鎖的雇用制度というような、いろいろなわが国の雇用制度、賃金制度、それ自体の特殊性からくるものもあります。また、社会保障制度というものが完備いたしておりませんので、従って、労働力の流動性というものを確保する要件も整っていないのであります。そういう点の整備と合わせて行なっていかなければならない問題と考えておる次第であります。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 もう一つ、大臣。技能者は本年は何名か、来年は何名かという具体的な相談があるのでしょう。この法案に従ってですね。そういう計画ですから、年次計画。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) ただいま、われわれは所得倍増計画最終年次におきまして、昭和三十五年度から二面三、四十万というものが動くのだ、そういうことで、われわれの訓練計画その他を立てておる次第であります。しかし、現在の年次においては、その訓練計画、それによって立てておるのでありますが、これから明年度、明後年度等の推移については、さらに農林省と検討を加えたいと思っておる次第であります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 大臣、答弁は座ったままでけっこうですから……。先ほど答弁の中で、臨時工、社外工という制度は好ましくない、誤りである、これを是正するように考えておると、こういう答弁があったわけなんですが、確かにそれはよいことであると思います。しかし、実際そのちょっとこれは的確な統計かどうかわかりませんけれども、雇用の実態というものは、ほとんど臨時工、常用工に対する臨時工の比率は、製造業を見ましても、三十一年度の八%四に対して、三十四年度は一一%九というふうに、臨時工が非常に多くなっているわけなんだ。そういう実態から見まして、はたして大臣の言うようなことが可能かどうか。要するに誤りであるということが是正できるかどうかということが、これは重大な問題になろうかと思うわけなんです。それから、もう一つは、今日の資本主義の経済情勢の中では、少なくとも雇用労働者だけでは、常用労働者だけでは、企業の拡大発展政策というものは望めないわけです。臨時工や失業者を対象にすることによってのみ、初めてその企業の採算性がとり得るというのが、今日の資本主義経済の状況であると思うのです。そういうようなことから、大臣のこの答弁では、好ましくないから臨時工や、社外工を減らすのだ、なくするのだということが、はたして実際の問題として可能かどうか。答弁としては、考え方としては、受け取れますがね。そういうことが労働行政としてはたして可能かどうかということが、これは将来の雇用問題として大きな問題になってくると思う。こういう点について、一つ確信を聞きたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は臨時工、日雇い工ということが、その制度自体として、一がいに間違いだということはできないだろうと思います。問題は、それが低賃金、低労働条件にあるというところに問題がある。同じような仕事をしていながら、雇用関係が違うということだけで、低賃金、低労働を押しつけられているところに、私は問題があると存じます。諸外国におきましても、先進工業国等におきましても、臨時工という制度がございますが、それは雇用が安定しておりませんから、そういう常用雇用より、日給その他においては高いのであります。元来そうあるべきものが、正しい姿だと思うのでありまして、私どもはその改善のために、やはり基準法上の監督その他を強化して参りたいと思っておる次第でありまして、その具体的なことについて、二、三、先ほどお答えを申し上げたのであります。  そこで、その臨時日雇い工の移動の状態でございますが、今おっしゃいました通り、三十五年の当初までは、確かに臨時工の割合が増加をいたしておりました。ところが、三十五年の終わりから現在にかけまして、それが鈍化の傾向にございます。だんだんと鈍化いたしてきておることを、申し上げておきたいと存じます。そこで私は、基準法上の監督を強化することと、それから雇用情勢の好転と相待ちまして、私は臨時工、社外工の現状を改革することは可能であり、またこれをなさなければならない。こう考えておることを申し上げておきたいと存じます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 それからもう一つの問題として、今日農村人口が、毎年三十万くらい減ってきておるわけなんです。しかし、農家戸数はほとんど減っておらぬという、こういう状況がみられるわけなんでございますが、大体農家の中の兼業農家数をみましても、昭和二十五年度あたりは大体五割、それから昭和三十年くらいに六割、昭和三十二年くらいになりますと、七割くらいというように、だんだん兼業農家がふえてきておる。兼業しておる人たちの大体六割くらいは、非常に農業が零細農であるということと、それから、ということで世帯主であるとか、長男が兼業しておる、いわば土地持ち労働者的な性格を持ってきておるわけです。こういう人たちが、その農業だけでは、非常に所得が低いからやっていけないというわけで、兼業しておるわけです。この人たちが、まあ今の基本法からいくというと、非常に将来問題になるわけです。従って、こういう方々は、これはあちらこちら農村を歩いて聞いてみましても、幾ら兼業農家になっても、私どもは土地は絶対放すことはできない。こういう考え方を持っておりますと、政府が言うような、所得倍増計画による将来二町五反の自立経営農家というものを、かりに政府案が通って、そういう方向へ推進していくにいたしましても、この土地の問題について、非常に大きな難関が出てくるわけです。そうすると、そういうところから、構造改善という問題が、くずれていくというおそれが出てくるわけです。そういうことのためには、結局今の、先ほど触れましたように、中高年令層の失職が、非常に大きいわけです。農村では、なるほど次、三男の対策は、先ほどいう職業訓練の充実によって、ある程度可能性はありましても、中高年令層について、特に土地を持っている、そういう世帯主であるとか、跡継ぎの問題が、非常にむずかしい問題に発展してくるわけです。そしてやはりそういう人たちが、臨時工だとか、社外工だとかというものから抜け出て、常用労働者になるという形を生み出さなければならぬ。非常にむずかしい問題だが、この点について、どういうようにお考えになっておりますか。聞きたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 兼業農家が減少するかしないか、土地を放すか放さないかという問題は、これはどうも、私がお答えする範囲ではないかもしれません。ただ、私の考えでは、兼業農家がふえてきたということは、言いかえれば、土地が縮小された、土地がふえるとかという問題でなくて、兼業すべき別の仕事が、新しい雇用が、不安定な雇用であろうと、そういうものが、農村近辺に起こってきておるということも、逆の関係から言えるだろうと思います。そうしてきますと、その兼業している先が、二次産業であるか、三次産業であるか、あるいは一次産業内部であるとか、たとえば農家が林業を兼業しているとかいうようなことは、これはさらに分析し、検討しなければならないと思いますが、一次産業である場合を除きました場合、私はやはり二次産業、三次産業の発展によって、それの収入が増加することによって、私はある程度可能ではないかとも、私どもの立場からは予想されますが、正確には、これは私の申し上げることではないだろうと存じます。  それから、そういう中高年令層が、大体臨時工、社外工的なものに流れるという傾向、それはおっしゃる通りだと存じます。それを是正する方法は、私が先ほど申し上げましたように、基準法上の監督を強化していく。そういたしますると、基準法上、常用雇用と大差のない待遇をしなければならなくなるわけでございますから、雇用を安定して、つまり、いわゆる安定した労働力の上に企業を打ち立てていこうということから申しますと、やはりそういう点から、常用雇用に転ぜざるを得なくなることも考えられるし、また経営者の方で、転ぜざるを得なくなるような施策を、これから私ども積極的に考究したい、こう思っております。先ほどから繰り返して申します通り、日雇い、臨時工というような、特に日雇いの場合は、その職種が大体限られております。建築業とか何とか、限られておりますので、そういう場合における雇用形態というもの、それから賃金形態というものの検討を、さらに進めたいと存じている次第であります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 もう一つ、基本法が制定せられるということで、選挙中は、私どもは農業人口切り捨て論ということで、いろいろアピールをしたのであります。ところがこれに対して、与党側の方の候補者は、すべて、あとでいろいろ文献を見ましても、実際に選挙の当面にあたっても、結局農村から人口が、自立経営農家を作って余る場合においては、工場を分散して、その工場にそれを雇用せしめるのだ、こういうことを、盛んに宣伝したわけなんです。しかし、この工場分散の問題については、これは後ほど通産大臣にも聞きたいと思うわけなんですが、そのことには触れませんけれども、現実に最近工場が、いなかに分散せられる。これはほとんど交通、運輸の関係で、重工業はいかないで、むしろ軽工業が多いわけなんです。そういう軽工業が進出した場合に、非常に賃金が安いわけなんですよ。たとえば五千円とか六千円の賃金で、比較的労働条件が低いわけなんです。悪いわけなんです。そういう観点からいきまして、将来工場分散、なるほど農村の今までの収入と同じぐらいの収入を与えるということになりますと、将来その経済成長下において、雇用が増大され、賃金が上昇していくというような都市の様相を考えましたときに、都市とそういういなかとの間における所得格差が、かえって増大するのではないかという疑点が、非常に出てくるわけなんです。こういうような問題について、分散した工場についてのいわゆる最低賃金の問題を、ただ重大に政府が考えて、業種別だとか、地域別の最低賃金の問題だけでは、これはとうてい処理できないという状態が出てくる。そうすると、結局今農村が収入がないから、都市へ来る。いなかの工場において、そういう分散した工場においても、きわめて収入が少ないから、都市へ集中するということになりますと、ますます大都市は混乱化してくる。集中化されて、そういうような問題に発展してくるのではないか。こういうふうに考えると、これは将来の労働問題に、大きな重大な関心事でなければならぬというように考えるわけなんですが、こういう点について、労働行政として、そういう分散工場に対する賃金のあり方の問題については、根本的に再検討を要する時代に入っているのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、この点についてのお考えを承っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 根本的な労働条件を劣悪にしておけば、たとえそれがどういう地方に分散されようと、いわゆる労働力はたくさん得られない。従って、これはもう好むと好まざるとにかかわらず、そういう条件に制約されていくことがまず一つでありまます。それからいわゆる企業の目標というか、企業理念、こういうものに私は変化がもうすでに来ておると思います。今日までの企業理念といえば、やはりたくさんの利潤を上げて株主によけいの、たくさんの配当をするということが最もすぐれた経営者、従ってその他の原料や施設を安く合理的に作ると同じように、労働力も安く長期に使えばそれはいい経営者だった。ただし、もう労働組合の発達や一般的企業理念の進歩によりまして、そういうものにはすでに変化が起きつつあると思います。しかしそういうことに期待をいたすより、労働行政としては具体的にやらなければならぬことがあることは、これは申すまでもありません。その具体的にやらなければならぬことといえば、もう一言にして最低賃金制の普及であり、改善であろうと存じます。そこで現行最低賃金法が完全なものとは私は少しも思っておりません。ただ、わが国の中小企業における労働に対する理解と、それから認識等から考えまして、やはり経過的なものとして、現行の最低賃金制というものの段階を経ることが必要であったと私は思っておるのでありますが、現在対象人員が七十五万になっております、私どもはこれを向こう三カ年で二百五十万にしようと思っておったのでありますが、もう三カ年を要さずして二百五十万になるだろうと思います。すでに各種の現行法の運用にあたって幾つかの問題が現在出て参っておるのでありますが、その問題点を拾いあげまして、明後日に開催されます中央最低賃金審議会に提示いたしまして御議論を願うことになっておるわけでありまして、やはりこの種の問題の改善は、私は最低賃金制の普及とその改善にある、それに向かって努力をいたしたいと、こう考えておる次第であります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 私の申し上げたのは、特に分散工場についての賃金のあり方について十分検討をしていただきたいと思います。  それからもう一点簡単ですが、この貿易の自由化によって、全産業の労働者の雇用条件というものは非常に悪化してくるのではないか、こういうことが貿易の自由化によって想定されるという問題も出てくるわけです。いわゆる雇用の不安定が出てくる、こういう点について御見解はどういうふうにお考えですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 貿易の自由化は、現在のところ大体六五%進行をいたしておるわけでありますが、当初貿易の自由化の問題がやかましくなりましたときに、その貿易の自由化によって影響を受ける産業の従業員というものを、私どもの方の調査では二百五、六万と踏んでおりました、その中でどれだけが雇用の変動を迫られるかということでありますが、現在の段階で、現在まで直ちに貿易の自由化によって雇用の変動に迫られたという事例はございませんが、これからはやはり予想しなければならぬと思います。それについてはこれから貿易の自由化が進行する過程に並行いたしまして、それにあわせて生じて参ってくる雇用の変動というものを摩擦を少なくして処理するということは、私どもの責任になります。たとえて申しますならば、非鉄金属等の鉱山におきましては、やはりもうそれに対する早急の対策を講じなければならない。要すれば経営者は早い時期において自己の企業に起こるであろう雇用の変動を予想し、労使の話し合いを進める、そして自己の企業に現在雇用されておる間に、次の新しい職に移るような訓練を行なうだけの時間的余裕を持っていくというような処置を講じていくことが必要であろうと存じております。通産省あるいはその他関係各省と連絡をとりまして、貿易の自由化の進行に応じて処置をとって参りたいと思っておる次第でございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 この問題は重要な問題ですから、質問なかなか尽きませんからまた後ほど。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 午前はこの程度とし、午後は二時から再開いたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩    ————・————    午後二時十二分開会

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、農業基本法案(閣法第四四号、衆議院送付)、農業基本法案(参第一三号)、農業基本法案(衆第二号、予備審査)、以上三案を、一括議題として、関係各大臣に対する質疑を続行いたします。ただいま植木法務大臣が出席しておられますので、同大臣に対する質疑のおありの方は、御質疑をお願いいたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 基本法の第十六条、大臣御存じのはずですね。この点について、簡単にお聞きいたします。現在までの、農地の共同相続人というものが生じた場合に、どういうふうな方針で、問題を処理するようにしておるかという点、実績ですね、結果としては大体どういうふうになっておるか。そういう点について、これは主として裁判所なりで、実際に事件として上がってきたものについてお聞きするわけですが、主としてその点、実情をまずお聞きしたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。農地の相続について、最近の実際上の実績は、どんなふうになっているかというお尋ねでございますが、まもなく事務当局が参りますから、詳細については、事務当局から、なおお答えいたしますが、私のざっと一通り聞いておりますところでは、おおむねいわゆる共同相続人間における協議によりまして、そうしてあとへ残って百姓をする者、その人に他の方にお嫁入りした者とか、他家に出てしまった弟さんとかが、権利を放棄する、あるいは話し合いの上で、同一人におおむね帰属しているというのが、大部分の実情でありまして、中にはその間の協議がうまくいかないがために、裁判所の問題になって、そこで裁判所の調停がある。その調停によって事がおさまったり、あるいはときには審判までいきまして、審判の結果話し合いがつく、決定されるというようなことも、あるように承っております。従いまして、おおむねの場合は、円満に現行法制のもとにおいても、均分相続という建前のもとで、しかもこれは円滑に運用をしてやっているのが普通の例であって、特殊の場合に、幾らかいざこざがある場合がある、かように承知しているのであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 大臣から、今大まかな傾向だけのお答えはあったのですが、事務当局から、この統計資料等があるのだろうと思いますから、結論を、あまりこまかい数字は要りませんが、集約的に、どういうことになっているか、数字で一つお示しを願いたい。

阿川清道法務省民事局第二課長

○説明員(阿川清道君) お尋ねの数字につきましては、法務省の方には、その数字は別にとっているわけではございませんけれども、現在の民法の均分相続制度のもとにおきましても、遺産分割の協議なりあるいは相続の放棄の制度がございますので、当事者の話し合いによりまして、自主的な解決で事が運んでおります。また遺言の制度も、昔のように、ある程度普及して参るような傾向にもございまして、この現行法のもとで、農地の相続の問題は、大体今までのところ、格別の支障を生じていないように、私ども拝察しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 もちろん、法務省と裁判所は、これは管轄が違うわけですが、家庭裁判所に持ち出された問題の解決ですね。農地の共同相続、農地の分割の問題等について、そういうものについての、争いになって上へ出たものだけでよろしい、そういうものについての結末というものは、どうなっているか。結末というのは、今ここで問題になっているのは、農地が分割されては困るという立場なんですがね。そういうふうにみんな話がついているかということなんです。そういう調査はないのですか、家庭裁判所関係で集計されたものは。

阿川清道法務省民事局第二課長

○説明員(阿川清道君) 裁判所の方には統計がございまして、たとえば相続放棄の申し立てを受理した件数が幾らであるとか、あるいは農地調停の申し立て件数が幾らであるという数字はわかりますが、その個々の内容が具体的事件に応じてどのような解決をみたかという内容の分類に応じた数字というものは、ちょっととりにくいと思いますし、現在そういうものまではございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはちょっと関連するから、大澤さんにちょっと聞きますが、そういう家庭裁判所等の問題にならないで処理されておるもの、そういうものについての何か統計といったようなものは、農林省の方などにあるのですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) これはいつか仲原委員のお話しで申し上げましたが、農林省自体ではとっておりません。いろいろの調査から見た相続放棄あるいはどういう形で相続しておるかという形の一般的な傾向は、いろいろな調査からつかめますけれども、その点も仲原委員に、この前お話し申し上げましたが、大体三つの型があるようですが、一つは相続放棄をして一人の人が相続するという形。それから均分相続をするというのが一つ。その中間の、一人の人が割合多く相続をして、そのほかの人は幾分か少なくしているというような大体三つの型があるようです。そして第三の型は比較的少なくて、一と二の型が大体多いのじゃないかというようなことが、いろいろな調査からは読み取れるようです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ところが、まあそういうことについての、裁判所側にも、農林省側にも、あまり的確な集計された統計というものはないようですね。そうなりますと、大体うまくいっておるといっても、実際にそうなのかどうか、これもはっきりしないわけです。ものごとは何でもいいように解釈しがちなものでして、何も根拠がないのに、そういうふうに言っても、ちょっと納得しにくい点があるわけです。それでそうして大体うまくいっておるものなら、ことさらに基本法などでこんなことを特に書く必要はないわけです、うまくいっておるのなら。だからそういう意味で非常に関係があるわけでして、お聞きするのですが、しかし、的確につかんでおらぬことを幾ら聞いても、お答えはできないと思いますが、そこで法務省としては、農地の分割を防ぐために一人に相続させる、こういう問題について、何か研究でもされておるのですか。全然そういうことは特に取り上げる必要はないということで検討などもしておらぬのですか。どっちです。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 農地の細分化をなるべくならば防いでいきたい。ことに、今回の農業基本法の基本的な考え方によって、いわゆる自立農家をこしらえる意味で、なるべく相当の面積を保有できるようにという考え方があることは十分承知しております。従いまして、これを制度の上でどうするかという問題については、われわれは専門の立場じゃございませんから、特別にそのための研究をしておるわけじゃないのでありまして、農林当局の意向も十分参酌して、そしてそれに対して何らか適切な方法があるかないか、暗中模索の程度であります。この条文の立案の際におきましても、当局から十分御説明を承り、そうしていわゆる現行の均分相続の趣旨を没却するような、そういうような方法によって十六条の実現を期そうとするんではないということは承知いたしましたので、そうならば、われわれとしては現行の均分相続の建前をくずさない以上、これによってこの条文に賛成してよかろうという態度で賛成をいたしておるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ法務省としては、あまりこの問題の取っ組みには積極的でないような印象を受ける。そして実際もそんなに不都合な事態はないんだというような認識に立っておられるようですね。そうすれば第十六条のごときものはこれは不要になるわけですね。ここに「必要な施策を講ずる」ということがちゃんと書かれておるわけですね。そこら辺どうも今のさっきからのお答えを聞いておって法務省としてはもうそんなこと大して必要とは思ってないんだというような感じを受けるのですね。これはどうなっていますか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) その点は少しあるいは御推測がどうかと思うんですが、われわれ法務当局としましては、今度の基本政策に従って自立農家にちょうど経営上適切な面積が得られるようにしたいという、その考え方には賛成なんで、しかしながら現行の制度において、相続制度において行なわれているこれで、今日までのところは特別な不都合もおおむねなしに、ときにはいろいろいざこざ問題が起こったようでありますが、おおむねなしにやっておりましたから、おおむね現行法の範囲内で諸般の施策を講じていこうというお考えであり、それに対してはわれわれも賛成をして、できるだけ協力をして参りたい。かような考え方でおるわけであります。で、現行制度のあくまでも均分でいくんだという建前そのものがいいか悪いかという問題については、自立農家を作り上げていくという面からみれば、それは確かに何か適当な措置が講ぜられんかということを工夫してしかるべきものであろうと、こう思いますから、農林当局ともよく一つ御研究願い、その研究の結果にわれわれは従って、しかも均分相続の建前をくずさないという方針で臨んで参りたい。こう思っておるのであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 どうも十六条の何は要らぬような感じがしますね。つまり現行法の民法の九百六条ですね。分割の基準、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の職業その他一切の事情を考慮してこれをする。」これは当然農業の場合には、この細分化がされないようにという考慮が、この条文の中で受け入れられるわけですね。そういう基準で家庭裁判所などでも大体努力しているわけです。だから現行法のワク内でということであれば、特に十六条のようなものは要らぬわけですね。現行法ではそれでも足らないんだ、もう一歩進めなきゃならぬのだということの必要性があるから、こういう十六条というものが出てくるわけです。だからそうしてみれば現在の相続法よりも一歩はみ出すものじゃなかったら必要がないものなんです。だからはみ出し方と言えば、結局は農業経営の対象となっているこの農地については、農業をずっと続ける人が相続をするのだ、このことをはっきりさせるのでなければ、これは何も必要ないわけなんです。こんな程度のことはさっきからも、御報告からも大体推測されるように、現行法上やられることだし、やられてもおるわけです。ただ、やられてもおるが、しかし中にはどうしてもいろいろ理屈を言うて、やはり、兄貴がこれだけ持っていくなら、おれにこれだけくれといったようなことになるのがあるから、ここに必要性がある。ところが、そのまれなものをとめようというのであれば、これは相続法の例外を認めていくということにならなければ、これ問題にならぬわけです。もちろん、それは憲法の二十四条との矛盾が出ないかどうかといったような関係はもちろん出てくるのです。しかしそれは、二十四条との関係等はまた別に検討をすべきだと思うのです。ともかく二十四条があるのだから、一切は相続法の例外をはっきりしなければならぬのだが、何か問題をうやむやにしておく、こんな十六条の程度ならば、大した意味のないことになってしまうのですがね。そういう憲法違反のおそれがあるといったようなことを追及されたら困るというようなことで、何か問題をことさらにぼやかしているような、私、感じがするのです。それから、私の見解では、一子相続というものを相続法の例外として認めても、必ずしも憲法二十四条に真向から違反するものである、そういうふうには、私は、ならないと思うのです。一子相続のかわりに、ほかの人に対する別個な権利を認めていくといったような操作の仕方はいろいろあるわけでして、憲法違反にならぬように、そこに立法上の工夫をすればいいわけですし、そういうことをもっと検討してもらわなければならぬわけです。そんな検討は、一体、されておるのだと思いますが、こういう条文ができた以上はされておるはずですが、もう少しざっくばらんにおっしゃって下さい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) その点は、仰せのように、特別な特例法ができる場合に、仮定の話でありますが、全然特例がいけないのだということが言えるかどうかについては、これはやはりその法律の趣旨にもよりましょうし、程度にもよるだろうと思います。しかし、ただいまのところでは、今、均分相続に対する特別な例外等を、はっきりと現行法と、相当趣旨が、何といいますか、限界の明らかになりかねるようなところをどうするかというような問題を、われわれ当局としては研究しておる程度ではないのでありまして、現行法の範囲内においてできるだけ適当な施策を考えよう。十六条の趣旨はこれは立案者の方からお聞き願う方が適切かと思いますが、われわれといたしましても、ここにも、後段にもありますように、「従前の農業経営をなるべく共同相続人の一人が引き継いで担当することができるように必要な施策を講ずる」、「必要な施策」が、それじゃ、どうかといえば、それはお話のように、将来、研究の結果、特別な法律をこしらえるということが起こり得るかもしれません。しかし、ただいまのところでは、均分相続に対しての基本的な、例外になるようなものをこしらえるというところまでは研究が進んでおらない。現行の均分相続の建前のもとで、でき得る限り、いわゆる農地が再分化されないような、共同相続人の一人が引き継いでいけるような限度においての施策をやっていこうということが、今日われわれが御相談を受けて、この法案に賛成をしておる理由なのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この農地の一子相続ということが憲法二十四条に違反するというお考えですか。この条文を離れて、ちょっと聞きます。それからもう一つつけ加えますが、一子相続の場合には、均分相続というものを否定することには必ずしもならないわけですね。これは、そういう意味で理解したい。この、ともかく固まっておる農地を分散させない、それだけのことなんです。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) その点は、御承知のように、あれは第一回の国会でございましたか、及び第五回の国会の二回にわたってこの農地等についての相続の特例法案が出たことがございます。しかしながら、それがいずれも当時、審議未了で成立に至りませんでした。ああした実際の法案が出たことからかんがみましても、必ずしも方法として、憲法のこの建前から、一子相続ということについても、適当な対策を講ずるならば、憲法の精神に何ら違反しないという場合も十分考えるべきじゃないか、こう思います。言いかえれば、たとえば農地そのものは一人の相続人が相続しましても、他の共同相続人に対しては適切なる、たとえば金を相続さして、そうして債務を農地を相続する人がしょっていくという建前だったと思いますが、ああしたことも考える余地はあり得るのだろう、こう思いますが、今のところ、それを直ちに、この基本法に関連して実行しようというところまでは議が進んでおらないように私は聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 大体そういうことで、第十六条に関連しての質問は一応、時間もないから打ち切りますが、これはもう少し積極的に検討してほしいと思うのです。相当要望があるわけなんです、これは。今までの実績としては、大体うまくいっておる、こういうことであれば、制度化しても大して摩擦が起こらないと思うことが一つと、それから、しかし、実績によってみても、やはりまれには、それをくずそうという現象がやはり起きておる点もあるわけなんですから、それに対する対策が要るわけなんですね、結局。だからそこら辺のところを必ずしも憲法の二十四条には矛盾しないのだ、立法の仕方によっては。そういうふうに考えておられるのであれば、もう少し現行法のワクだけで考えるのじゃなしに、積極的な立場で、一つ御検討をしてもらいたいと思うのです。私たちは、十六条が出ましたのは、おそらくそういう前向きの姿勢で考えておられるのだろうというふうに実は考えていた。ただ、憲法との関係があるから「なるべく」というようなことで表現をやわらげておく、しかし中身は相当前向きで考えておる、こういうふうに考えておったのですが、必ずしもそうではないようですが、この点を一つ、今後の農村の要望なども一つ考慮して研究を願いたいと思います。法務大臣に一つ考え方をもう一ぺん聞いて終わります。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの御要望につきましては、われわれといたしましても、今後とも十分農林当局と、実情もでき得る限り調査をしながら考えて参りたいと思います。ただ、今も申しましたように、先般第一国会、第五国会で出ましたあの特例法案のときにも純学者的立場からまっこうから反対論があったことも御承知だと思います。あるいは政党によってこれに対して強い反対を表示されたところがあることも御承知だろうと思います。従いまして、これを直ちにそこまで踏み切るかどうかについては、この経過等も十分研究いたしまして、そうしてしかも農村における特定の場合、割合い数は少ないとは思うのでありますが、そうした要請があることもまた一面われわれも承知いたしておるのでありますから、こういうことに対してもなお十分研究を続けたいと存じます。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 安井自治大臣が出席しておられます。同大臣に対する質疑のおありの方は、御質疑をお願いします。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 お尋ねいたします。この農業基本法の運用については、地方公共団体の役割は非常に大きいわけです。そこでこの第三条に、「国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。」と、こういうふうに書いてあるんですが、これはどの程度覚悟しておられるんですか、おやりになるという。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 農業基本法を実効あらしめますためには、どうしても地方自治体が非常に積極的な協力をしなければならぬと思っています。国の施策に準じて地方で持つべき分担をきめまして、十分の協力をいたしたいと、いたすように措置をしたいと考えております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 今あなたがそういうふうにおっしゃったことをほんとうに実行されるなら、この法律にはこういう施策を、準ずる施策をやるということは書いてあるけれども、その裏づけの法制上及び財政上の措置を講ずるということがないんですね。第四条には国はそういうことをやるような義務づけをまあやっておるわけですけれども、地方自治体の分については書いてないんですね。これは口だけなんじゃないですか。もしほんとうにあなたはおやりになるなら、閣議決定がこれになるとき、あなたはこれと同じ規定をこの中に入れられることを主張されるべきだったと思うんです。なぜこの中に入ってませんか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 自治体がこの法案の施行について完全な協力をいたすということは、ただいま申し上げた通りでありますが、この法律は今の政府のやるべき義務を一応規定しておるのであります。自治体はその精神に沿ってこれを十分活用するのでありまして、ここで格別言葉を、自治体自体の義務をここで負わなくても、当然これは準じて行なわれるものであろうと思っています。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 おかしいことをお伺いいたしますな。この法律は政府がやることだけであって、地方自治体がやることは書いてないと、こういうふうにおっしゃるんですか。あなた、これお読みになってますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 政府だけがやる法律だという意味じゃないのでありまして、自治体の個々のものにつきましては、この自治体でやるものの区分と政府でやるものとの区分を明らかにして、これに準じてやるというふうに書いてありますので、支障はあるまいと心得ておるわけであります。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 私が申し上げたからそうおっしゃったので、あなたはさっきは、この法律は国でやることが書いてあると、こうおっしゃったんです。まあそれはいいです。別に上げ足取るつもりはないんですから。それなら、あなたもそういうことを認められるならば、当然にこの少なくとも第四条に、地方公共団体は第三条の準用してやるということを書いてなければならぬはずなんです。これ、書いてないところを見ると、地方自治団体は、その義務を負うつもりはないのじゃないですか。うまいこと書いてあるけれども、実際はやるつもりはないのじゃないか。今おっしゃったようなことなら、当然これは入れなければ法律の体裁上もおかしいのです。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 御承知のように、第三条に自治体は政府の施策に準じてやるということがうたってあります。さらに二十三条におきまして、公共団体が具体的に協力するということもうたってありますので、私は自治体の協力態勢というものはこれで十分達せられるものと考えております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 これはあなた、協力態勢とかって人ごとのようなことを言われますけれども、協力態勢じゃないのです。これは自治体本来の仕事なんです。この第一条の目標の「国の農業に関する政策の目標は、」と、こうなっていますけれどもね。この間も私が申し上げたのです。これは国及び地方公共団体の農業に関する政策の目標はという意味なんです。ほんとうはそう書かなければならぬけれども、これでそういう意味を含むと、こういうふうに政府は答弁されているのです。だから、協力態勢などという考えじゃ困るのです。あなた自身の、あなた自身というか、地方公共団体自身の仕事なんです。それでですね、あなたそういうふうにおっしゃるけれども、この施策は、あなたごらんの通り、二条に、国はこういう施策をやると、その裏づけの法制的、財政的措置は第四条でこうやるといっているのです。だから地方公共団体もそれと同じに、第三条でこういう施策をやると、この法制的、財政的の裏づけはこうすると、こういうことが書いてなければならぬ。あなたのような考え方だもんだから、これは協力的な態度でいいという考えだから、これは抜けているんじゃないか。だから、みんなこれを見て、これは文章だけで中身は何もないのだということを言っているんですよ。あなたがこれを裏づけるようなことを言われるから、ますますあれしますがね、どうです。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これはまあ国の施策であるんでありまするから、第二条でも「国は、」と、その他各個所にも、法律でごらんの通り、「国は、」と、こういうことでやっております。従いまして、これは国が国の方針としてやるという仕事に対して、自治体はそれに十分な協力態勢をとっていく、こういうことがまあこの法律の建前、あるいはこの基本法を実施する建前からも非常に穏当なものだろうと思いますし、協力いたします限りは、決してこれはから念仏じゃございませんで、中身も十分に詰めて協力をいたすというつもりでおるわけであります。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 これはちょっとあなた、自分のおっしゃったことを撤回すると工合が悪いと思ってだんだん言われますけれども、ますますそうなると、この法律というものが、政府が宣明されたようなものでないということになってくるのです。この法律はもう全部の各省が協力して、協力というか、一致して、農林省が立案はしたけれども、一致してやらなければできないのですね。協力なんというなまやさしい考え方じゃだめなんです。まあしかしあなた、一たん言われたから取り消されるのは工合が悪いと思って、そう言われている気持はわかるけれども、そういうことではもう一度農林大臣によく聞かなけりゃならない、総理にも。そういうみんな閣僚があなたのような気持なら、これは意味ないんですな。人ごとのようなことを言っている。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) いろいろあるかもしれませんが、協力ということは協力一致という言葉にも通じるのでありまして、これは全く一体となってやろうという決意に違いありません。ただ、体裁上国が中心になってやるという方針を定めてある法律でありまするから、今のような体裁をとっておるものと心得ております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 これ以上この問題については申し上げませんけれども、これは明日総理大臣にとくと伺わなきゃいけませんな、こういうことでは。閣僚がちっとも一致協力態勢をとってないじゃないか。自治体はそういうことではだめだということを言っている。閣僚と地方自治体と違うのですからな。そこで、この法律は国と県の計画が非常に密接に一体となってやらなければならぬのです。それでどういうふうにしておやりになります、具体的に。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) さしあたって必要なことは、一つは財政措置であると思います、いろいろありますけれども。財政措置等につきましても、今度のこの基本法の施行を前提にしていろいろと国の予算も組まれています。これに対しまして自治省におきましては、地方財政計画の中にそれに対応すべきものは十分盛り込んで、相協力一致いたしましてできるように対策を立てております。なお、行政機構等の問題につきましても、あるいは今まで不十分なところがあれば今後直していこうとは思いますが、今のところその方面で特にこれをこうするというふうににはまだ考えておりません。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 財政的な裏づけの問題で、できるだけやるとおっしゃいますけれども、農業からの財源というのはないんですね、ほとんど。従って地方公共団体等が出そうと思っても、非常に抵抗がある。これが従来のいきさつですね。今後もそうだと思うのです。だからよほど強力な地方公共団体がこの法律の趣旨を十分考えて出すという強い決意がなければだめなんですよ。そこでどういうふうにして具体的にそういう点をおやりになるのか、それをお伺いしたいと思うんです。ただやるんだ、やるんだでは、これは何にもならんです。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 仰せの通り、国の施策が往々にして地方団体へしわ寄せになり、両者の関係が円滑でないために多少トラブルが起きるというような例が、今までないとは申せません。そういう点を今後特にこの農業基本法におきましては十分に配慮いたしまして、国のやるべき仕事の分野、地方団体のやるべき仕事の分野というものを明確にして遺憾なきを期したいと思っておるのでありまして、農業近代化の資金の利子補給であるとか、その他それぞれ国が出しますこの補給金、補助費等につきましては、地方財政計画の上からもこれに対応するような措置をとっておるわけであります。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 それから先ほど私聞いたのを誤解されたんですけれども、国と県の計画が密接でなければならぬというのは、たとえば選択的拡大というようなことを一つとりましても、たとえば国全体としては、米なら米はもう過剰な状態がやがて来るから、これを他に転換させたいというような気持がありましても、ある特定の地方ではそれは困るということがあるのです。従って国と県の考え方というものは相当食い違うわけなんです。かりに米の例をとりますれば、新潟やその他の諸県は、そういうことは絶対承服できない、こういうことになると思うのです。そういう点をどういうふうに調整されるか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 非常に専門的なうんちくでありますので、しろうとの私があまり立ち入った言い方はどうかと思いますが、個々のケースにおきまして、そういったような地方自治体には地方自治体自体の自治計画を持っておるわけでありまするから、全部何でもかんでも地方自治体へ方針を押しつけるわけには参るまい。それは地方自治体の実態に即して十分協調のできるように措置をしていきたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 あなたがそういうふうにおやりになりたという考え方なら、私は各地方公共団体、県なら県に国の職員を、たとえば農業構造改善指導官という、そういうこの法律を運用する専門の国の職員を各県に配置して、そうして国と県との計画を一体不離のものとして運用するというようなことを考えたらどうかと思うんです。おそらくこういう考え方は自治省は反対されるだろうと思うんですけれども、こういう画期的の仕事をやるには、そういうことでもやらなければうまくいかないんじゃないかと思うのです。これはどうですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) この地方の政治と国の政治とのかね合いというのは、なかなかむずかしい問題もあろうと思います。それはただ政策の能率を上げるという一点だけからいいますと、全部中央集権で地方へ全部指令を流して命令でやるというやり方が、一番即効的には効果があると思いますが、やはり自治体というもののあり方を十分尊重しながら、それぞれの団体の適応した施策に合わすようにやっていくということが大事であると思います。その意味では、県に直接農林省の直属機関を置いてやることがはたしていいかどうか、これは今後とも十分検討いたしてみたいと思っております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 あなたはすぐ国のあれが地方庁にしわ寄せをされると、国の計画を押しつけるというふうにおとりになるが、そうではないのです。地方の実情をよく国の政策に反映させるためにもそういうことが逆の観点から必要なんです。ところが、そういうことは自治省としてはおそらく反対されると思うのですね。そこで、今あなたは先ほど考慮すると言われましたから、十分考慮されて研究していただきたいと思うのです。  それからもう一つは、先ほどあなたちょっと触れられましたね、県の機構に。こういうふうな新しい大きい仕事をするのでありますから、どうしても新しい機構にならなければならない。それは今あなたこの法律をお読みになればおわかりになるように、今までの農業というのはまだ産業として、産業という段階に至らない点があるのです。だから特別にこれに対してみな力を合わせてあらゆる方面からこの農業を産業として成り立つようにするという努力が必要なわけです。従ってこういう意味合いから今までのような県庁の機構ではこの法律の運用ができないと思うのですね、相当思い切った機構改革が行なわれなければ。そういう機構改革を行なわれる意思があるのかどうか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 地方の行政組織につきましては、一応の基準は国で定めておりまするが、その個々の実体をきめるのは、その地方団体自体でありまして、これを、こういうものを置け、こういうふうにしろというふうにすべてを命令するということになりますと、これは自治体の活動の侵害になろうと思いますので、その扱いについては、非常に慎重な考慮が要ると思います。しかし今の御指摘のような点で、現在の機構で非常に不十分だ、非常に不適当だというものが出てくるようでありますれば、農林当局とも十分相談をして今後検討いたしたいと思っております。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。  建設大臣が出席しておられます。同大臣に御質疑のおありの方は御質疑をお願いいたします。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 実はこの基本法の第一条の目標を遂行するために第二条の政策が必要だということで第三条の第八号に、「農村における交通、衛生、文化等の環境の整備、生活改善」というような、以下云々というような項があるわけなんです、そこでことし政府が樹立いたしました道路整備五カ年計画、二兆一千億円でございますが、その内訳を見てみますというと、大体一級国道、二級国道、それからそれに次いで一級国道と二級国道に主力を置いて地方主要道路を最後に置いているわけなんです。従って県道、市町村道についてはこの道路整備五カ年計画は考慮が払われていないように内容的に思われるわけなんです。ところが、こういう農村の振興策としての農業基本法を政府が考えましたときには、当然この基本法に沿って地方の県道以下の道路が整備されないと、いわゆる施策の裏づけにならないのではないかという考え方が出てくるわけなんです。こういう点について特に農村にとって必要なのは、県道、市町村道が強化されないと、農村の文化とか、あるいはまた生産性の向上ということが非常に達成しにくいというような問題に逢着するわけなんです。この点について一つ建設大臣のお考えを聞きたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。実は五カ年計画の中身につきましては、最終的に閣議に付さなければならないことになっておりますので、目下その内容をわれわれが検討をあらゆる角度からいたしておる最中でございます。考え方としましては、今御指摘の通りでございまして、ただこの道路がどうなるのかと言われますと、まず五カ年以内に一級国道は全部改修及び舗装を完了いたします。二級国道はおおむね半分ぐらいまで達成できる見込みであります。こういうのが一つの標準の例示として一番簡単なものでありますから、そういう説明をいたしておりますが、もちろん国道だけに重点を置くわけではございません。ただ、国道は全国の主要地点を結んでおりますから、これを整備することの必要はもちろんございますが、そういう考え、御指摘のような考え方で地方道の重要性というものをわれわれは十分認識いたしまして、そういう関係で今一級国道については五カ年以内におおむね全線改修及び舗装を完了いたしますが、二級国道が半分ぐらいしかできないということは、国道にばかりに力を入れるということになりますと、地方道が手おくれになりますので、地方道の方に相当に分けたい、重点を置きたい。そのために二級国道は主要の地点だけしか五カ年以内に完了できまいという建前に立っておりまする次第で、今度この農業基本法が制定されました場合には、農村の振興をいたしますのに基本的に必要な道路整備について全力を注いでやっていきたいと思うのです。ただ、これには地方費の負担がどうしても地方道は入るわけでありますから、これについては自治省と十分協議をいたしまして地方財政との関係も見、あるいは地方の独立財源だけでなしに、交付金等の関係等もにらみ合わせまして、国自体としましては大いに一つ地方道の整備に力を注いでいきたいと思っておるようなわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 道路整備五カ年計画が、建設省を中心にして樹立したときにおいては、いわゆるその農業基本法の問題が、政府においても農林省の原案が作成中でもって、その時期的なズレが相当にあったろうと思うわけなんです。従ってそういう地方道に対しまして目を向けておらなかったという点はよくわかるわけなんです、そのときの情勢として。しかし、一級国道あるいは二級国道は国内における主要都市とあるいは十万なら十万以上の中都市を結ぶこれは確かに幹線だから強化しなければならないことはわかっております。しかし現実に都市と農村とのいわゆる環境における問題としての、いわゆる交通、衛生、あるいは文化等の問題を考え、さらに一番重要な問題としてのその所得を都市並みに均衡させようというような基本法の精神からいきますというと、道路の問題というものは非常に重要なウエイトを持ってくるわけなんです。そういう意味合いからいきまして、やはりその道路五カ年整備計画をある程度修正して、もっぱらただいまの小林委員の方からの、地方庁がこういう問題を遂行していく、やはり国と一致協力してやっていくという自治大臣の答弁があった上においては、地方道の問題の解決というものは非常に重要な問題なんです。特に農村と都市とを均衡させるという御点に立ちますというと、この整備というものは非常に急速を要しやしないか、こういうように思うわけなんです。実は一つの例をあげるわけなんですが、きょうも新聞にありました東北のああいう田老町だとか普代、宮古市、岩泉というような、いわゆる東海岸の方においては、去年津波を受けてことし一年目で強風の大火に見舞われたわけなんです。あの地方に行ってみましても、いわば国道に出るまでの間の県道が非常に整備がおくれているわけです。従ってあの地方で、沿岸でとられたたとえばサンマ類にいたしましても、地方道の国道へ持ち出すために、すでに府県道が悪い、地方道が悪いためにかえってその鮮度が落ちてしまって、結局市場へ出さないでサンマあたりも肥料にしてしまう、海ネコのえさになってしまう、こういうような問題があるわけなんです。ですからそういう意味におきまして、農村の生産性を高めて、漁村の生産性を高めていくという、こういう立場からいたしましても、いわめる地方の県道の整備というものは、やはり農業基本法がこういう都市との均衡を保つという趣旨からでき上がったものとするならば、当然建設の仕事も力を入れていかなければならぬだろう、こういうように私考えるのですが、この点について今後道路整備五カ年計画というものを、おそらく今の道路整備五カ年計画は前期五カ年計画で、十カ年計画というようなものもあるわけなんですが、そういう面からいって、後期五カ年計画あたりは相当大幅な修正をしていかなければならぬ、こういうように考えるわけなんですけれども、この点についてのお考えを一つお聞かせ願いたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 実は予算編成段階で、五カ年計画の総ワクが二兆一千億ということにきまりまして、その後御承知のように工業の地方分散の問題で新しい法律ができるようになり、また農業基本法の問題も登場して参りましたので、これらとにらみ合った道路整備計画にいたしたいということで、実はまだ成案ができ上がらないで、そういう中身も十分織り込んで、御指摘のような精神を織り込んでやっていきたい。それには従来から一級国道、二級国道等についての達成目標を申して参りましたが、これらにも若干の異同があるいはあるかもしれない、こういうような状態にあるわけでございます。できるだけ急速に成案を得まして、閣議決定で総体の配分量をきめたい、こう思っておるようなわけでありますが、お話しの趣旨は十分私ども織り込んで一つ成案を得るようにいたしたいと思っております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 それから、時間がないようですから、もう一点簡単にお伺いしたいわけですが、農村における生活改善の最も重要な問題としては、住居の問題がある、住宅の問題があるわけです。現在の住宅金融公庫の窓口がきわめて農村については非常に冷酷なように思われるわけです。その貸し出し手続その他は非常にめんどうなわけです。ですから、農村における中流以下の農家というものは、ほとんど住宅金融公庫からは締め出しのような状態があるわけです。これはよほど村で富農層でなければ、保証人その他の関係で裏づけがあって借りられないという問題があって、生活改善という問題に大きな支障を生じておるわけです。ですからそういう住宅金融公庫の窓口も、農村のいわゆる住宅改善の方向へ新しく目を向けていかなければならぬと思うのです。こういう点についての御所見をお伺いしたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 農村住宅が最近災害、あるいは暴風の場合もそうでありますし、それから例のチリ地震津波の場合等から見まして、やはり非常に腐朽したような住宅に災害が起こりますので、農村住宅の改良ということについてわれわれは考えをいたしまして、三十六年度予算編成でもこの点を主張いたしまして前進をしたようなわけでございます。従来はほんのわずか、住宅の新築と改築の資金が貸し付けられておったのでありますが、これはまことに微々たるもので、ことに農村の腐朽した建物に住んでおるような農家等は、改築をして新規に建てるというよりは、修繕をするという方が適切な面が非常に農村の実情から見て多いように思われます。さようなわけで、今年度から修繕費の貸付ということの新しいワクを取りまして、改築よりもむしろ修繕の幅を広げていく方が、農村の実情に沿うのではないかということで、修繕のワクを入れましたようなわけでございます。まだ初年度で頭を出したところでございますから、戸数としては四千戸ということになっておりまして、もちろんこれでは充実しないわけで、これを機会に頭を出したところで来年度から大いに力を入れて、農村の住宅改良ということにわれわれは力を注いでいきたいと思っている段階でございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 実はこの基本法で第二条の、ただいま私が申し上げましたところの農村における地方道と、それから住宅の問題は、農業構造の改善の問題については、重要な将来かぎを握っているだろうと思うのです。ですから結局政府内部における建設省の非常に役割というものは大きいわけです。これがもし失敗しますというと、農村における生活改善であるとか、文化の向上とかいうことは、ほとんど農業基本法ではうたっても、結局実現ができないという心配があるわけです。ですからただいまのような御答弁、十分実際の行政の面に反映さして、今後取り計らっていただきたいということを私は要望するわけです。その実績というものは、今後おそらくここにこういう第二条にはっきりした基本法案に趣旨がうたってある以上は、必ずやこれに対するところの農村の期待というものは大きいわけです。そういう意味において実は建設大臣に御質問申し上げたわけですけれども、十分一つ今後建設行政の上に力を入れてやっていただきたいということを要望して、時間がありませんから、私の質問を終わります。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 承知いたしました。極力努力いたします。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 小林君から時間を分けていただきましたが、ほんの一口でいいですが、最近共用等の問題も行なわれることを中心として、住宅をアパートにしたい、こういう新しいケースができている。作業場と住宅というものを全く別にしていきたい、こういう形がだいぶできてきているんです。現在あなたの方にそれで申請もでているだろうと思いますが、こういう点は一つ十分新しいケースとして考えていただきたい。従って都市の労働者などのアパートとはちょっと違った形が必要だと思うのです、面積やその他で。それから一つ研究して、その点も考慮していただきたい。ただ修繕だけじゃ問題になりません。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 御指摘の向きは、一つ都市については、げたばき住宅の制度が住宅公団にございますが、農村のそういうげたばき住宅のような方式のものについては、まだ制度上ございませんが、一つ研究をさせていただきたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 今、安田委員から話がありましたように、この法律の運用にあたって市町村道路の整備ということが非常に大切なわけなんです。そこでこのガソリン税を道路に使われるんですけれども、市町村道路にも多少スズメの涙ぐらい使われているようですけれども、これにもっと金を回す必要があるんじゃないかと思うのですね。この点一いかがですか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 地方道財源としては、御承知の通り軽油税の制度がございまして、一般道路と地方道の財源等に財源が分かれておるわけでございます。そこでガソリン税による道路財源、これは御承知の通り自動車の利用から見まして、都市が大部分ガソリン税を負担しますが、それは全国的に配分をされますので、たとえば東京で見ますというと、昨年度が多分東京都に還元されているガソリン税収入は二〇%前後じゃないかと思うのです。ことしはオリンピック関連道路や何かの関連がありまして、多少この還元額がふえたようでございますが、あとの分は地方の道路整備費として配分をされておりまするようなわけで、自治省が担当しております地方財源の分と、国の道路財源と今、制度上分かれておるものですから、今後この農業基本法でも成立いたしまして、運用していく上においては、一つ再検討をしなきゃならないかと思っております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 従来の点は、制度上そういうふうになっておりまするが、今後今お話しのように、相当考えていただいて、市町村道路に相当使えるようにやっていただきたい、またそういうふうに検討されるというふうに理解してよろしゅうございますか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 自治省と協議をいたしまして、道路財源につきましては十分検討いたしたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 さらに市町村道にも入りますけれども、さらに狭い意味の農道、そういうようなものの整備にも、このガソリン税が使われるというようにしていただかなければ、いろいろ実際の法律の運用上うまくいかないわけなんですね。それでトラクターや何かの使用というものは非常に多くなっているわけです。従ってそのガソリン税を、農道、狭い意味の農道さらには、今後農村の機械化を推進するにあたって、いろいろの政府は施策をやられると思うのです、サービスセンターとか何とか。そういうものを推進する費用にも使えるようにしていただかなければ、この法律の運用上うまくいかないのじゃないかと思うのですが、建設大臣はそういう点考慮していただけますか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) お話しの点は地方財源は一応府県に入りますから、県ならば県がその県下の状況に応じて、県道あるいは農道までどうするかというようなことは、県の配慮が中心になると思うのです。県としては、おそらくこの農業が機械化されていく、その機械化のためには農道も今度は整備もし、砂利も入れて、機械化に即した道路にしなければならないという必要性が起きてくれば、県も当然そこに眼を向けて関心を持っていくと思うのでありますが、国の方としましては補助する立場でございますから、それらの県の意向に対応して今後は対処していかなければならないと思いますので、重要な課題として、私どもも関心をもって進めて参りたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 そういうふうにおやりになるためには、今の法律の建前上は、法律を改正しなければできないのじゃないかと思うのですが、配分の点はさらにまだ具体的にはきりがあるでしょうけれども、そういうことができるように法律を改正していただかなければならないのです、そういう用意があるのですか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) この農業基本法が成立いたしますと、法律自体がいろいろな農村に関する重要な問題を要請いたしておりますので、この法律が成立して運用されることになりますと、当然にただいま御指摘の問題を初め、いろいろな問題について、制度の改善等が伴ってこなけれならないと思います。私ども現在政府に籍を置いている者といたしましては、この法律が成立いたしました暁には、最高度の法律の精神が生かされるように、諸般の法律改正、あるいは制度改正等をやることに活発に一つ協力をいたしたいと、こう思っております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 はなはだ建設大臣の強力な御発言なんですけれども、この法律は一体通るか通らぬかまだわかりませんけれども、かりにこの国会で、どの法律か知らぬが通ったとする。そうするとこの今の道路関係、ガソリン税関係の法律の改正は、いつごろをめどにして行なわれようと考えたらよろしゅうございますか、非常に期待して、今あなたのおっしゃったことは大へん共感を呼ぶだろうと思うのですね。そこで一体いつになるのか、内閣改造もこの七月に行なわれるというようなことも聞きますので、ちょっと念のために、大臣は御留任されるだろうと思いますが、いかがでございますか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) これは私どもはいつ退任するにいたしましても、国会には議席を持たしていただくつもりでおりますから、国会議員としてここで申し上げたことの実現には努力いたしたいと思いますが、まあいずれにしましても、この法律が成立をいたしますれば、所要の措置が、この法律を読んでみただけでもいろいろ関連をして参りまするわけで、政府としては法律が成立をし、施行をされましたら、直ちに諸般の準備にとりかかって、所要の他の関連法律の改正等あるいは制度の改正等について、次の国会にはこれは御審議を願うようにする責任があるだろうと私はこう思っております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 関連。先ほど安田委員からの質問があったのですが、それに関連するので、決して思いつきじゃないんですが、御承知のように例の国土開発縦貫自動車道路、これは三十三年かと思いますが、決定されているのですがね。その後の経過どうなっているかということです。特に基本法が制定されますると、この中にも入っているように工場の分散というものを相当強くうたっているわけなんですがね。こういう場合にやはり、特にまあ建設省としては、何か中央道という問題に対して快しとしてないという話も前にあったわけですが、そこで東海道線か、あるいは中央道かという問題も出ておるし、同時にまた東北開発のための東北道という問題もたまたま出ておったと私は記憶しておるのですが、その後不勉強で知っていないのですが、その後の経過ですね、今後どのような方針でいかれるかということを、今後の農業開発の問題もきわめて重大な問題でありますので、一言だけお聞きしておきたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 中央道につきましては、もう一億九千万円くらい数年間に調査費を投じて調査をしてきております。で、今年度も調査費が四千万円計上されておるわけでございますが、大体山岳地帯の気象条件、あるいは経済効果あるいは取りつけ道路を作るとすれば、北陸道とするか、東海道とするかという取りつけ道路の関係、こういったような綿密な調査を今年度なお進めますが、すでに調査が大体整っておりまする、たとえば東京から富士吉田辺までというものにつきましては、本年度内に実施設計を立てて、そして五カ年計画の中に相当量事業を実施するようにいたしたいと、これは東海道との関連もございますが、東海道と並行して中央道はやっていきたい、こういうように私は考えております。東北関係は昨年百五十万くらいでしたが、今年は四百五十万ばかり調査費がつきました。中国道関係が二百五十万ばかりですか、調査費がつきまして、いずれも経済効果あるいは航空測量、こういうような路線をどう選ぶべきか、こういう点について調査を進行させる予定にいたしております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今大河原委員からも質問がありましたが、この私のお聞きしたいのは、そうした新しい国土総合開発のもとに敷設するところの国道、いわゆる中央道あるいは東北道、そういう道路の建設のためにつぶれるところの農地を、一体どれだけ見ておられるのか、それから補償はどういうふうに考えられるのか、この点と、時間がありませんから重点的にお聞きします。それから過年度災害において、その災害の復旧をして、さらに防災のための堤防を作るとか、あるいは道路を建設するためにつぶれる農地が一体どれだけあって、すでにそれが補償が済んでおるのか、これから補償しなければならないのか、その点。それから、市街地造成のために東京都あるいは大阪のようなところが非常に最近郊外が発展してきますために、市街地に近接しておるところの農地が相当これは土地造成のためにつぶれている。これに対する補償の面あるいは想定されるところの農地がつぶれる地点はどのくらいあるのか、この点だけをお伺いしておきたい。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 中央道、東北道等につきましては、まだ路線もきまっておりませんので、中央道が一番先に実施設計をやるわけでございますが、実施設計もできておりませんので、せっかくのお尋ねでございますが、農地関係がどのくらい影響するかという点については、まだどこの役所でも正確な数字をつかんでいないと思うのであります。できるだけ路線としましては農地に関係なく河川に沿っていくとか、工事の難易等もございますが、そういう角度で路線決定をしていきたいという心がまえでおるわけでございます。その他災害関係あるいは都市発展に伴いまする農地の関係、これらはもちろん資料がございますが、私はあいにく今持ち合わせておりませんから、後刻一つ資料として差し上げるようにいたしたいと思います。それで御了承いただきたいと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 なぜこういうことを聞くかといいますると、東京と富士吉田までつなぐところのいわゆる道路建設に対しまして、たまたまわれわれは予算の委員としましてこの道路に想定されるところの土地の調査に行ったわけですよ。ところが、そこに往んでいるところの住民の皆さんは、片っ方は東海道線、あるいは鉄道、さらにまた今度の中央線というふうにどんどんどんどん道路ができ、あるいは鉄道ができ、錯綜してきて、われわれの耕地というものは次第々々にとにかくそういう設備のために圧縮されていくのだ、それに対する補償そのものに対して明確な指示がないのだ、そういうことであっては、われわれ農民というものは、いつでもそういうための犠牲にならなければならない、それに対してどうしてくれるのだ、こういうことが現地において、たまたま農民の緒氏に会いまして、そういう声を聞いたわけです。だから、今後一貫した日本の国十総合開発をやるという立場に立ちますというと、そうした農民の立場も十分考えて処置していかなければ、所期の効果が達成できないじゃないか、こういう点がありますので、建設大臣にその方針を伺ったわけであります。ただいま聞きますというと、十分な調査も完成しておらない、今進行中だ、こうおっしゃっておりますが、ぜひそれは現業官庁であるところの農林省と十分な了解の上にこういう問題の解決に当たっていただきたい、特にこの点を強調しまして、要望しておきます。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 大蔵大臣が出席されております。同大臣に御質疑のおありの方は、御質疑をお願いいたします。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 大蔵大臣、五分ばかりでいいのですが、簡単に一つ。お伺いしたい点がたくさんありますけれども、時間がありませんから御遠慮したいと思います。それは、この基本法ができまする原型案として、政府案としてですか、農林省案としてですか、一応試案ができましたので、現在のものを三次案とか四次案とか、こういわれておるのですが、そう何次案のできたときか、私は二次案だと思いますが、その際にその案というものが新聞等で出ました要綱を見ますと、農林省は、政府はその計画について見通しないし一カ年の計画について、その年度の計画を国会に報告し、これに予算的な措置をとらなければならない、こうなっておったと思うのです。われわれは非常にこれに対しては興味と共感を呼んで、今度は本腰の、いい基本法ができるのだ、こういうふうに実は考えておりました。ところが、選挙のもう終わるか終らぬ時分で、よくはっきりしませんが、私はそういう忙しいときで残念ながらその新聞の切り抜きを失ってしまいましたが、その新聞を見ますと、基本法について、その案について、大蔵省から非常な反撃が出た、そういう案を作られても、大蔵省としてはとても引き受けられない、そういう基本法を作られて川も引き受けられない、こういうことでもみにもまれて現在案になったと、こういうことを経過的に新聞等を通じてですから、大体うそはないと思うけれども、こうなんだと確定的には申し上げられません。そういう経過のあとでこの案を見ますと、せっかくの基本法制定の予算面につきましてははなはだぼやけておる。そこで昨日農林大臣が出席せられましたので、たまたま本法案の第四条に予算上の問題が書いてあります。第四条は「政府は、第二条第一項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」第二項はまた別に投融資のことが書いてありますが、ここで「法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」と義務づけられました。それは第七条がずっと二条から引き続きまして、そうして七条におきましては六条を受けて、「政府は、毎年、国会に、前条第一項の報告に係る農業の動向を考慮して講じようとする」というのでありますから、これからやろうとする「政策を明らかにした文書を提出しなければならない。」、これはもちろん国会だろうと思います。これはこの間、小林君が質問しまして、大体国会ということになっておりますが、こうした場合、この政府の提出せられましたこの計画は、第四条によって大蔵大臣は間違いなく予算的措置を講じられるかどうか。農林大臣は昨日、それは予算的措置を講ずるのである、こうはっきり言われましたので、大臣からいま一度口を通じて明らかにしていただきたい。こう思うのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは当然必要な施策に対する予算上、資金上の措置は、今後もちろん講じます。ただ今お話がございましたが、大蔵省が反対してというのですが、これは実際は、大蔵省の反対といえばいいでしょうが、大蔵省の反対じゃなくて私自身の反対でした。ということは国の施策について、必要な施策に国が予算上の措置を講じたり資金上の措置、財政上の措置を講ずるのは当然であって、これはやらなければならぬことであるのに、従来から国の財政の悪いときには十分国会その他の要望も満たせなかったということから、一時何でもいいから、もう官庁の査定を経ないで、法律で金額を、きめたり何かしてしまえば一番簡単だという風潮が国会にありまして、どの立法にも一つ一つそれをつけたことがありましたが、私、当時与党の政調会におって、こういう立法がどの法律についてもつくようになったらこれは大へんなことだ、国の予算の編成というものは国民の租税負担とか、あるいはそのほかの各般の財政需要というものを勘案して均衡をとってきめるべきものであって、個々の立法で全部予算の金額を縛るというようなことをやったら困るというので、長い間、私は与党でその文句を抜くことにきょうまで骨折ってきたいきさつがございますので、法律の中にそういう文句を入れることは必要がないということでがんばったのですが、これだけ大きい基本法を作るということと、特に今後の政治が相当農政中心の政治にならなければいかぬという事情がありますので、この法律だけは最初の案のように露骨に必要な金額を予算に計上しなければならぬという字もおかしいので、法制上財政上必要な措置をとるという程度で、まあこれだけの基本法だからこの原則を今度だけ僕に曲げてくれと言うから、これは私はやむを得ないというので曲げたのですから、本来からいったら私はこの文句は要らぬと、そういうことは立法例としては好ましくないという考えで私が反対した、そういういきさつでございます。しかし、必要な施策については金を盛ることは当然でございまして、査定官庁ですから要らぬと思われるものはびしびし削り、それが必要だと思うものについては、今後思い切って出したいと思っておるのです。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 これは大蔵大臣は非常に心配が過ぎると思うのです。ということは、それらのものを出すときには、常識のある人が審議会を持つのです。一応審議会にかけて出るのですから、日本の財政がひっくり返るような決して計画はしないと思うのです。その点は安心していいと思うのです。ですから出たものは、普通こういう場合、書くときは予算の範囲内において云々とこう書いてあるのですわ、どのものを見ましても。それで予算がないというので実際の問題はうやむやになってしまうのが多かった。だからそれが抜けて講じなければならないとなっておるのでありますから。特別なやはり考慮をもって、そうして十分計画進行に対して、またさっきの小林君の言いぐさじゃないけれども、大臣はやめられるかもしれませんけれども、あとに残る人が現在の農村の事実を認識してやっていくように一つ考えていただきたい。なお、こまかしい点がありますが、時間がないのでその点は北村君からやってもらいますからどうぞ一つ。

北村暢日本社会党

○北村暢君 ただいま法の第四条の、ことに財政上の措置を講じなければならないということについて、法案にうたうということは、もうあたりまえのことで、法案にうたう必要ない、私もこれはもう同感だと思うのです。ただ、私はこれはもう各委員から指摘されておるところでございますが、この法案の中に財政上の措置を講じなければならないということをうたっただけで、それで事足れりとするかというと決してそうではない。今大蔵大臣が言われた通り、査定官庁として要らないものはすっぱすっぱ削るのだ、こういうことなんです。従ってこれはやはりこの基本法を通す上において、政府の責任というものは明確にすべきでないか。これは一つは財政上の責任ばかりではない、いろいろな責任があるわけですが、責任を明らかにすべきじゃないか、こういう意見が非常に強く出ておるわけです。これは各委員から指摘されたところですから触れませんが、そこで、私は具体的に大蔵大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、こういうことを書いてあるからといって、なかなか安心ができないので、例を一つとって御質問申し上げますが、所得倍増計画の中における行政投資の問題について、これは予算委員会でしばしば指摘されて農林水産関係の産業基盤の行政投資として十年間に一兆円、全体の財政投融資が約十六兆に対して農林関係は一兆円、これは少なすぎるのじゃないか。こういうことについて与党からだいぶ意見が出て、これについては政府としても所得倍増計画の一兆円については、これは修正することもあり得るだろう、こういうようなことで意見が出ているところでございます。そこで、この考え方の中に倍増計画の一つの解説書の中でこういう文書が出ておるわけなんであります。「一方農林水産業は従来の実績からみればその構成比、伸び率ともにかなりの縮小がみこまれているが、これは農業の近代化、労働移動、二重構造是正という、この計画がねらう大きな構造変革に対応して、農業行政の方向が従来と質的に転換するためで、農業行政投資もかなり面目を一新するであろうことが期待されている。」こういうことでこの一兆円というのが実は出てきているのであります。従って、これの考え方の中において、今後の財政なりあるいは投融資の方向というものは、従来の農業の保護政策あるいは補助金というようなものをやっているというと、農業の生産性の向上、合理化ということは進まない。従ってこの際冷酷であるかもしれないけれども、農業の大きな曲がりかどとしてそういう従来の零細補助金というものは改めて、そして財政的にいってもそういう方向が縮小の方向に向かうのであるから、この財政、行政投資もこれも減ってもいいんだ、そのことが近代化にいき、生産政策に合致するものだ、こういう基本的の考え方から出ているのじゃないかと思うのです。この点について一体どのような考え方でおられるか、一つ大蔵大臣のお考え方をお伺いいたしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) この行政投資の倍増計画の一兆円の内容が、今あまりはっきりいたしませんが、私どもの考えているところによりますと、農業関係の行政投資というものはまだあそこでみている、あの範疇に入らないものが相当ございますので、そういうものを、今の予算の中にもありますが、そういう傾向のものを全部施策としてつぎ込むという場合には、あの額よりも私はもっと大きい額になると思っています。だから、あの計画の中で検討せいという意見がございますので、検討はいたしますが、実際の農業関係投資というものは、もっとあれよりはるかに大きいものになるだろうと、今のところ思っています。で、やはり今後の農政はこの基本法にうたってあります大体四つの大きい問題と並行してこの農業投資というものがやはりよほど進まなければ、ほんとうの農業問題の解決にはならないと思いますので、この予算を私どもは今後縮めていくというふうな考えは今持っておりません。

北村暢日本社会党

○北村暢君 まず、ちょっと言葉の整理をしておかないというと、ちょっと認識が違うというといけませんから、この行政投資というのは、これは政府の直接の投資と、それから補助金、これを行政投資というふうに理解しておりますが、それで差しつかえございませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) おそれ入りますが……。

北村暢日本社会党

○北村暢君 時間がございませんので、よく聞いていていただきたい。行政投資という言葉の解釈ですがね。それは直接政府または政府機関の投資、それから補助金を行政投資というのだ、こういうふうな理解で差しつかえございませんかということをお伺いしている。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 国の直接的な予算投資のほかに、農業近代化のための投資、農山漁村建設系統の費用と、それから農林漁業公庫を通じていろいろなされるもの、そういうようなものも、やはり農業投資のうちに私は入ると思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 それは行政投融資ということで、融資というのが入ればそういうようなものが入ってくるでしょうけれども、行政投資という中には入ってこないんじゃないかと、こういうふうに思うんです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 一兆円の中には入っていない、この計画の一兆円の中には入っていない。もっと狭義の行政投資を言っているので、こういうものは入っておりませんが、実際には公庫から貸していろいろな施策をさせて、それで将来返済していくにしても、農業に対する投資であることは間違いございませんし、こういうものも農業投資の中に入るべきものだと思うんですが、そういうものは全部抜けています。

北村暢日本社会党

○北村暢君 これは答申案には明らかに註釈が入っておりまして、投融資というのは、特に政府または政府関係機関の直接の投資、補助及び融資、こういうのを行政投融資というのだというふうに註釈がついているんですよ。ところが、所得倍増計画の方の行政投資というやつを見ますと、それと一致するものかどうなのか、はっきりわからない。それで実はお伺いしたわけなんですがね。そうでないというと、答申案と所得倍増計画との比較がわからないんですね。定義がわからないのでは比較はできませんから。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) その関係をちょっと次長から御説明します。

佐藤一郎大蔵省主計局次長

○政府委員(佐藤一郎君) 基本問題調査会におきまして取り上げております行政投融資というものは、いわゆる政府また政府機関による直接的投資、それから補助、それから融資、これらをカッコしまして便宜的に行政投融資というふうに言っているようであります。それから所得倍増関係は非常にそういう抽象的な規定づけでございませんで、従来から企画庁において取り扱っております大体行政投資の観念がございます。それによって一応の例示をいたしております。中央、地方の一般会計ないし普通会計それから非企業の特別会計というものから出ているところの投資額、それから愛知用水公団、森林開発公団、機械開発公団というような関係のものの投資額というふうにはっきりいたしております。ですから一般会計から出て参る行政投資と言いますと、御存じの農業基盤の整備というものが中心になろうかと思います。その他災害の関連工事もございますし、それから草地改良、林道、造林、漁港というようなものは全部入るわけであります。それに愛知用水公団のようなものが一応入るということで、両方の範囲は必ずしも的確に一致していないと考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこで倍増計画では、一兆円と言っておるけれども、これには林道、漁港が入っているものですから、ですからこれを除くというと、一兆にはならないので、これが八千九百億ですか、こういうことになるのですよ。ところが答申案においても一応このことは検討が加えられておるわけなのです。で、大体この政府の資金というものが概算されて、農業関係だけでやはりこれが一兆一千一百六十一億というものが試算せられております。これは計画的予測ということで出ている数字なのです。で計画的予測というのは、まあ三つ出しておりまして、単純予測と計画的予測とこれに修正を加えたもの、これの中で単純予測というのは、従来の財政の引き延ばしをやっていくというとこれが大体相当な額になりますので、これを単純に引き延ばすというと、私の計算したところによるというと、大体昭和二十五年の価格にして一年分でこれは二千七百八十五億、こういうことだろうと思うのですが、そういうような計算ではじかれているわけです。それを予測して政策的なものを織り込んで、予測しますというと、十年間でありますからして一兆一千一百六十一億、こういうことになっておる。で、これを修正をしたものについて実際にいろいろな政策面を織り込んだものを延ばしてさらにこれを修正する、こういうことで試算をしておるようでございますけれども、その修正したものはまだ出ておらない。こういうことになっておるんです。そうしますとですね、私の見たところでは、大体この答申においても財政の行政投融資、融資の方は除いて、行政投資の方は相当やはり今後金をかけないで、従来よりもかけないでいくという考え方が非常に強く出ておるのではないか。こういうふうに思うのでございますが、この点についてはですね、先ほど大蔵大臣から、いやそうでなしに今よりもこれは予算は減らすというようなことは絶対ないのだ。こういう言明がございましたから、私はそれを信用したいと思うのですが、しかしながら考え方としては、所得倍増計画の中でも私が先ほど申しましたようにあまり農林というものの保護政策をとって、そうして甘やかしていくというと、合理化というものはできないのだ。こういう考え方に立ってそうして効率を上げるためにおいては安い行政投資の中で最大の効果を発揮する。そういう点から言ってむだな経費というものはおそらくないだろうと思いますけれども、考え方からいえばこれを削っていく。例をあげて言いますと、価格政策の問題について、現在の麦にしても、米にしてもこれは構造政策を考える上において、実際に今のこの保護政策をとっていく、価格政策をとっていく、二重価格制をとるというようなことについてはですよ、これは改めないというと、いつまでたっても生産の合理化はできないじゃないか、こういう意見は確かにあるわけなんです。従ってこの農政の考え方から言えばですね、こういう補助金的な、二重性格的なものを価格政策においてもこれは切るべきだという意見が非常に強くあるわけなんですよね。そういう点からいくとですね、やはりこの所得倍増計画の基本的な考え方というものは財政は削るのだ、こういう方向にいく考え方というものが強く出ておったんだろうと思う。それをだ、大臣は単純に予算を削る意思はないのだ、こういうふうにおっしゃられても、私はどこまで検討されてそういう簡単に言われていいのかどうなのか、その点一つはっきり伺っておきたいと思う。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まあ、私どもは本年度の予算編成のときに、まあ基本法があるなしにかかわらず、この農政の今後進むべき方向というものを見通して、そのためにその方向に沿った施策は強化しなければならぬという考えで、ことしの予算編成にもすでに第一年度として臨んだわけでございますが、そのときの検討の結果、今年度の予算は結局他のいろいろの予算が非常にふえたようでございますが、実際問題言いますと、農業関係予算が昨年に比べて四二%ふえたのですが、大写しにならなかったのですが、実質的に予算がふえた部面は、ことしやはり農業予算だったと私どもは思っていますが、そのときの経験から見ますと、今後基本法もできましたし、その指示する方向に沿っての施策をやるということになりますと、農業予算は今おっしゃられたようにこの審議会がどういうふうなことを望んでおったかは別としましても、必要施策費というものは今後相当のものになるだろうというふうに予測しておりますので、農業予算を先に行ってだんだんに切るというようなことは事実問題としてこれはならぬと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 まあ、大蔵大臣のこの農業基本法なり農業政策についてのですね、その信念なり何なりというものは、あまりはっきりわかりませんからどうかと思いますけれどもですね、ことしの予算がふくれたといいましても、ことしの予算のふくれた大きな原因は、食管特別会計の三百九十億、それから大豆、麦対策、これらの三十億、四十億ずつ、こういうものが大きくふくれておるわけです。従ってこれらはですね、大豆対策にしても半恒久的にいくものであるということにはわれわれはちょっと予測ができない。やはり将来はこれは削っていく性格、消えていく性格のものである。麦対策にしても、これは永久に続くわけではない。これは消えていく性格のものである。こういうような点でやはりどちらかといえばですね、基本法の線に沿ってやはりこの合理化を進める性格の予算になっておると思うのです。従って一応この目的を達するならばですね、予算というものは減っていくんじゃないか。こういうことはことしの予算を見た中でも私は出てきておるんじゃないか、このように思います。従って、予算の額は確かに今年はかつてない戦後最大の予算でありますから、そういう意味においては、今大蔵大臣の言われた通りでございます。内容的に言えば私は必ずしもそういうふうになって変わっていない、やはり基本法の指向する方向の予算というものが性格としてやはり若干出ている、このように思っているのです。でありますからもう時間がございませんので、これはずいぶんやりたいのですけれども、どうも時間がございませんようですからあれですが、とにもかくにもそういうことで、今年の予算がふくれたからということだけでは、私はこれは問題にならないのであって、考え方としては、やはり基本法の性格からいえば、従来の保護政策というものは、大幅に転換をしていくのだ、こういう感じがしてなりませんので、お伺いしたのでございます。そこで具体的にそれではお伺いいたしますが、基本問題の答申案におきましても、農業における投融資が、ほかの投融資とは違って、やはり農業そのものの零細性、前近代的な性格、あるいは国民経済、社会生活における大きなウエイトを占めながら、二重構造の底辺を占めている農業に対して、これを二重構造を解消するためには、やはり相当の財政投融資というものが必要だ、こういうことは一応うたわれているわけなんです。従って、この点については、大蔵大臣も否定はなされないではないかと思うのでございますけれども、その中で今後の行政投融資の考え方でございますが、その中で私は一つお伺いしておかなければならないのは、従来のやはり農政の大きな柱というのは補助金、農林予算というのは補助金行政であったわけですね。この補助金行政というものが、補助金制度というものが今度の答申においても零細な補助金というものは整理をして、そして合理化しなければならない、こういうことがうたわれているのです。従って、補助金制度の問題について、大蔵大臣は今後一体どのように対処せられると考えておられるのか、この点を一つ、基本的な問題でございまするのでお伺いしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 補助金の問題については、今まで言われましたように、もうあまりに零細化しておって、政策的に目的を達しないものとか、統合すれば効果を上げるものとか、いろいろあって、その補助金の現在果たしている役割を検討して整理するというのが、従来から政府がやってきたところでございますが、補助金については、やはり方向はそういう方向でいきたいと思います。たとえば今補助金で、全国に対して一億円の補助金なんていう程度のものは、これは末端にいって補助金の役割はほとんど果たしていない。こういう種類のものが数種類あるという場合には、これをまとめてかりに一定の目的の補助金というものにした場合に、もうはっきり大きい効果を現わすというようなことも考えられますので、補助金はやはり効果主義に従って整理統合するのが私はいいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 大蔵大臣はやはり農業基本法というものはあまりわかっておられないですね。これは補助金もやはり、この基本法の根本的な考え方というものはやはり構造政策にあるわけですよ。でありますから構造政策に役立つ補助金は、これは残してもらわなければならぬ、こういう考え方が強く出ているのじゃないかと思うのであります。補助金の数においては、農林省が種類においてはもう一番ですし、もっとも今おっしゃられるように補助金の目的を達してないものすらもちろんあるわけです。そういうものを整理統合するなんというのは、これはもうあたりまえのことですね。今度の基本法があろうがなかろうが、これはやらなければならない問題だと思うのです。しかしながら、今度の基本法が出てきた中でこの補助金というもののあり方というものについては、私はやはり政府として確固たる考え方がなければならないのじゃないか、そういう今いったようなこの一般的な、役に立たない補助金はなくする、こんなことでは答弁に私はならないだろうと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) そういうことを言ったのじゃありませんで、今補助金というから、一般的に補助金に対してはこういう方向でいくといったわけですが、農業問題に関する限りこれは今いった補助金というのじゃなくて、実際には保護政策の意味を持ったいろいろの保護事業をやっておるのですから、これはこれとして今すぐに全部やめられるかというと、そうじゃございませんで、たとえば増産対策をするという、それが本質的なものだとさっきおっしゃられたような方向は推進しなければなりませんので、それをやるためには、土地改良とかいろいろの投資をやらなければならぬ、それをやっている間に一方それができてしまったらたとえばそれによって増収になり、農家の所得がふえるという場合があっても、その過程においては、やはり農産物の価格安定のための補助、保護ということは必要でありましょうし、当面私はやはり一方本筋的なそういう施策をしながら、その間農業の保護政策というものは並行してやっていかなければ農業はやっていけぬのじゃないかと思っておりますので、たとえば麦の問題にしましても、なるたけあの価格差を少なくするようにということは考えますが、一方かわるべき品種の増産に対する経費を同時に出していくということを一緒にやるのですから、経費はむしろ麦対策については二倍の費用がかかるということになるのですが、これは過渡期においては、私は今後の農政を考えた場合にやむを得ない、今後こういうような形のものが相当期間続かなければ農業は立ち直っていかぬじゃないかというように考えております。そういう意味の保護政策については、これは基本法にも触れておりますから、そういう必要施策は、これは措置をするというふうに考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 それから次にお伺いいたしたいのは、時間はどうですか、それじゃあと一点でやめますが、私は、金融の問題で、特に金利の、利子の問題です、これについてお伺いいたしますが、今度の、今の国会でも農業近代化資金ということで組合金融について二分の利子補給をして七分五厘の融資を三百億する、こういうことが出ておるわけでございますが、すでに金利は、日本の金利は、これは世界最高の金利である、どの国と比較しても日本より高い金利のところはない。これは中央銀行の割合においても、農業関係の金利にいたしましても、すべてそうでございます。従ってこれは少々、一厘や二厘の差ではないわけですね、各国と比較して、こういう高金利の政策をとっているわけなのでありますが、今後貿易の自由化等において国際農業と競争して逐次自由化も進めていくといった場合に、近代化資金ですら七分五厘というふうに高過ぎる。もっと安くすべきだ、おそらくこれは与党の諸君も賛成してもらえるかもしれない、五分くらいにすべきだ、こういうことは圧倒的な農民の声です。とても七分五厘の近代化資金では農業は採算がとれぬ、金利の下敷きになる、これはもう異口同音です。しかしながら、これは全体の金利体系の中で大蔵大臣としては農業だけそう簡単に金利を安くするというわけにはもちろんいかないでしょう。しかしながら、私は貿易自由化の問題と関連して、この高い金利を何とかしなければ、国際農業と太刀打ちするといってみたところで、これは今後の農業が今までの前近代的の農業でなくして、相当投資もやり近代化して、資本装備も強化する、こういうことになるならば、資本装備を強化するということになれば、自己資金というものはないのですから、圧倒的にこれは借り入れ資金によらなければならない。今の農業ならそうです。金はあるけれども、利子が高くて借りられない。一兆円からの組合金融、単協から信連、中央金庫まで合わせれば一兆円あるわけです。金はあるけれども借りられないという状態で、一体これをどういうふうに克服されますか。この金融について、第四条で金融の適正円滑化をはかることになっているのだが、一体どういう処置をとられるのか、この点をお伺いします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) その問題はきょうもあるところで話が出たのですが、かりに昔の農工銀行といったものがあった。それと同じように、もし今農民が農協に預けているあの預金の金利でもし預かったとしたならば、農業金融の利子は幾らになるかということになりますと、きわめて低利な、場合によっては資金を農村へ出せるということになるかもしれないが、今の農民の金というものは、三段階の金融機関の操作で、一番のコスト高の金になっている。農業に使いようがないような三階建の機構があるために、これを借りようとしても平均九分八厘という利子にならざるを得ないといったようなあの機構自身がいいかどうか、農民は自分の金を出して置きながら、農業系統の金が使えないで、農業金融機関はコールでかせいで農民に貸さないというこのあり方をまずやめて、国の財政資金だけにおんぶすれば、たとえば公庫に六百億今度出すのですが、その程度の金で、国の財政資金ばかりに依存すれば、今度相当増額して、農林公庫は六百億のワクですが、それよりももっと大きい農業資金というものがあるのですから、これを低利に使えるようにすることが、農業金融としては一番当面の問題だと思って、まずそういう情勢を馴致するために、政府は利子補給をやって、この資金コストを下げる誘導をまずやりたいという考えから、今年ああいう措置に踏み切ったのですが、まだお説のように私は高いと思う。政府が利子補給をやることをきっかけに金融機構の合理化、何かそこに工夫をこらしたら、もっと金利を下げて農民に貸せるということがありそうなものだというので、私は今農林大臣に特にこの問題の検討をお願いしているわけでございまして、工夫をこらせばもっと金利は下げられると思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 これは論議をすれば長くなりますから論議いたしません。しかし、もう一つお伺いしておきたいのは、先ほど言いましたように、国際金利として各国の金利との比較において、日本の金利というのは相当高いわけです。これは欧州各国と比べても約二分くらい高い、これは中央銀行の金利でそのくらい高いわけです。そういう点からいって、各国の農業関係の金利がここに表として出ておりますが、一目瞭然です。非常に高い。この国際関係からいくと、この農業の組合金融の問題については、これはいろいろ意見のあるところでありますし、また下げようと思えば下がると、こうおっしゃることはごもっともだと思います。ところが、この国際金利との関係、これを一体今後どうされるのか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これはやはり日本の割高な金利を、国際金利にさや寄せする必要はどうしてもありますので、自由化を前に控えて、私どもは一ぺん日本の金利水準というものをある程度下げることをやらなければいかぬという方針で、昨年の八月からこの問題にかかったのですが、なかなかむずかしい問題でございまして、日本の経済の伸びが急速でございますために、資金需要というものがきわめて旺盛で、普通の金利の理論からいきましたら上げなければならぬという情勢のときに、政府が政策的にこの水準を下げようとしたので、いろいろ厄介な問題がございましたが、ようやく貸し付け金利を下げ、同時に預金利下も下げて、また各資金間の均衡をとって、一段とにかくレベル・ダウンをしたのが、今度の政府のやった仕事でございまして、七、八カ月この仕事にかかりましたが、一応ここでレベル・ダウンができましたので、ここでしばらくいってから、時期を見てもう一ぺんまた下げることをやりたいと思いますが、資本蓄積のない日本におきましては、ほっておけば上がる方の要因ばかりが多いのですから、なかなかこれはむずかしいのですが、私どもはできるだけ日本の金利水準を機会を見て下げる方向に骨おりたいと思っております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 ちょっと一点だけ関連して。大蔵大臣にお伺いします。第四条の財政上の措置とは具体的にどういうことをお考えになっておりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 財政上の措置とは、予算より広い意味ということです。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 税法上の問題も入るのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 入ると思います。税法上の問題、それから国の財政資金。予算と言う方が狭い意味になりますので……。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 それは先ほど小林委員からも質問がなされたわけですが、ガソリン税がほとんど道路ばかりに使われておって、特に有料道路あるいは一、二級国道に使われて、地方にはガソリン税の還付がないということです。最近農村の機械化に応じて、近代化に応じて、農村でガソリンを消費する量が急速にふえてきたわけです。従って農民の諸君からガソリン税を取って、とにかくそういう方向に回すのは不当だ、むしろこれは農村の方に回すべきだ、もし回わさないならば、ガソリン税は農耕の面から削除しようということの、非常に声が強いわけなんです。これは地方へ行きますというと、与野党ともそういう声が非常に強いわけなんであります。こういう問題についてどういうように将来お考えになるのでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まあ、本来なら国の一般会計、一般会計で持つべきこの公共事業に対して、道路関係は特に特定財源をもってこれに充てるということにして、ガソリン税をもう道路財源に充てるということにして、現在やっておりますが、ですから本来は一般会計においてやっておったことを、特定財源でやっているということでございますから、たとえば今ガソリン税を使っている範囲外のもののいろいろな施策については、一般会計でできるだけの応援をするか、そうでなければ特定財源の中でこういうものもまかなう余裕が出てくるというなら、その特定財源を充てるということもよろしいでしょうし、これはやり方はどうにでもなると思います。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記をとめて下さい。    午後四時三十二分速記中止    ————・————    午後五時二分速記開始

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記をつけて。  暫時休憩します。    午後五時三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕

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