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38回国会参議院1961/05/23

農林水産委員会 第47号

発言数
170
登壇者
13
会派数
5
開催日
1961/05/23

会議録

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動を報告いたします。  昨二十二日付、岡村文四郎君辞任、その補欠として木島義夫君が選任されました。   —————————————

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 農業基本法案(閣法第四四号、衆議院送付)、農業基本法案(参第一三号)、農業基本法案(衆第二号、予備審査)、  以上三案を一括議題として質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。

千田正無所属クラブ

○千田正君 私からまず質問いたしますが、三章の中の十三条の点をちょっと聞きたいと思います。これは、ここに書かれておりますところのいわゆる農産物の貿易、外国から入ってくる輸入品に対しては、国内の農業を保護する上から、関税の調整あるいは輸入の制限等をもって国内の農業を保護する、まことにけっこうなことでありますが、ただ今日に至っては、日本は一人で貿易するわけにいかないのでありまして、いわゆるガットに加入しておる国としての処置がなされなければならない。ガット加入という問題と、この十三条によるというと、日本だけで保護政策をやる場合には、関税の調整や、あるいは場合によっては輸入を制限するということが強行できるようにここにはうたってありますが、ガットとの関係はどういうふうにお考えになっておられますか。かりにガットに加入しておってこういうことが十分に自主的にやれるかどうか、こういう点をお伺いしたいと思います。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 十三条の考え方は、ガットの精神にも合致していると、とう思います。まずその後段でございますが、緊急の場合に競合いたします外国農産物等の輸入によりまして価格が低落し、その他予見しなかったような事情の変化によりまして、農産物の輸入がふえ、国内における生産に重大な支障を与え、または与えるおそれがあるような場合、そういう緊急な必要がある場合には、ここで申しておりますように関税率の調整、輸入制限その他必要な措置がとれるわけでございますが、これはガットの十九条にも大体同じような規定がございまして、事前または事後に協議をするということで、こういう措置がとられることになっているわけでございます。  それから前段の継続的に関税率の調整をいたしましたり、あるいは輸入制限等をやるという場合でございますが、これは関税率の改定につきましては、ガットの関税交渉を行なった後にやれる、また輸入制限その他の必要な措置についてはガットの二十五条の義務免除、ウエーバーの規定によりまして、締約国の承認があればできるということになりますので、十三条の思想はガットの精神に合っているということだと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 昨日の聴聞会においても、一つ将来の問題として課題をわれわれは提示されたような感じがしたのでありますが、それは日本の農業の行き方として新しい国営開墾、あるいは県営その他の面からいって酪農への切りかえをやった。同時にまた開拓の大部分というものは政府の酪農振興政策に対応してその方向へ進んできているのだが、もしも今のような開拓政策を続行されている限りにおいては、とても、将来外国の農産物等が入ってくる、特に酪農製品としての乳製品等が入ってきた場合に、これと競争してやっていくということは容易なことではない。それで、これに対して政府側としては何か考えているのか。あるいは現在のような状況のままに移行されていくのだとすれば、酪農を主体とする開拓農というものは、農民というものは非常に前途が暗い。これに対して何かはっきりした指導あるいはめどをつけてもらえないかという声があったのでありますが、われわれとしましても、これはよほど考えなければならないのじゃないか。国際的に見ましても御承知の通り各国の、いわゆる酪農国としての東半球における豪州あるいはニュージーランド等は、もうヨーロッパ大陸に向かってその製品を輸出することはほとんど不可能になってきた。かといって、アメリカ大陸にももちろん行けない。今ねらっているのは、この東南アジアを中心とした、さらに日本という方向に向かって豪州あるいはニュージーランドその他の国々は、乳製品の輸出を企図して、何回となく折衝している段階です。こういうことに対応いたしまして、私は国内の開拓農その他がいわゆる農林省の指導によって酪農へ切りかえつつあった今日の政策をどういうふうに一体考えて、ちょうど幸いに農業基本法が提出されている今日の段階において、現時点においてどういうふうに考えておられるか、その点をお伺いしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) お尋ねの点ごもっともであります。私どもはこの貿易政策におきましても、われわれがこれから奨励していき、計画的に進めようとする酪農製品等につきましては、当分自由化は行なわないという立場で今日進んでおりまするし、その反面、ただいまお話しになりましたような酪農関係に対する関税の問題に関しては関税率を引き上げる・三五%ないし四五%という格好で保護しようとしておりますし、さらに国内における関係におきましては、基本法が通過の暁におきまして、酪農、畜産等を奨励して参るについて、それぞれ必要な個所、適地においては、土地の造成、牧野草地の改良等に関しては積極的に政府がこれを助成し、これに対する施策を講じていくことを考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それでは第四章の方に入ってお尋ねいたします。第十六条、これは先般も農林大臣にお伺いしたのでありますが、「自立経営たる又はこれになろうとする家族農業経営等が細分化することを防止するため、遺産の相続にあたって従前の農業経営をなるべく共同相続人の一人が引き継いで担当することができるように必要な施策を講ずるものとする。」、この十六条は土地構成の上からいって、非常にこれは大きな問題としてわれわれとしては考えざるを得ないのでありますが、きのうの聴聞会などを聞きますというと、「なるべく」というような言葉は取ってもらいたい、もうはっきりこうするのだということをしてもらわぬというと、なかなか土地という問題をめぐり、かつまた遺産相続等をめぐって、家庭的ないろいろな悲劇や紛争が絶えないおそれがある、それでむしろ「なるべく」というようななまぬるいことを考えないで、農業経営をやる、専業をやる者に対してはこうするのだという、はっきりしたあれを打ち出してもらいたい、こういう声が強いのであります。先般、農林大臣から私の尋ねたことに対してお答えをいただいたのでありますが、次の国会、あるいは近い将来において、相続その他に対する特例法を考える用意もしておる、こういうふうに伺っておりますが、この十六条に対してもう少しはっきりしたお答えを私はいただきたいと思う次第であります。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 私も千田先生と御一緒にそういうお話を昨日伺ったわけでございますけれども、相続というまあ基本的な人権にもかかわる問題、そうしてただいまの均分相続の原則があるわけでございますから、やはりこの均分相続の原則と調和を保ちながら、農業経営そのものが分割されないで、なるべく一人の人に相続をされたらいいという考え方が基本の精神でございます。従いまして、「なるべく」と申しましたのは、均分相続の原則に反するようなことを法律上強制するというようなことは、なかなかとりにくいと思うのでありまして、まあそういう意味で「なるべく」という言葉を使っております。実際問題といたしましては、農業資産が分割されないで一人の人に相続されていく、受け継がれ、承継されていくというような方法をいろいろ考えて法案としてまた御審議を願うということを検討しております。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) ちょっと訂正しておきますが、先ほど酪農製品について関税を三五%ないしと言ったように思いますが、四五%のこれは誤りでございまして、現在三五%であるのを四五%に引き上げたのであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 これで大体私は終わろうと思いますが、二点お伺いしたいと思います。第十七条に協業の問題があるのですが、この間私は東北地方へ行きましたところが、十七条に関連した問題として農民の声としましては、どうもその二町五反以下の、あるいは一町歩以下の土地を所有している、五反歩、三反歩等を所有している兼業農家、あるいは国鉄の職員であったり、役場の職員であった者でも、どうしても放したくない。そこでこれは自分らのいわゆる米びつなんだからこれは離したくない。ただ、こういうことを政府はやってもらいたいということは、県営であるとか、あるいは国営であるとかいうような大きな土地改良によっての新しい開墾、そういう所へ、たとえば部落ぐるみの共同作業をやりたい、五十町歩、三十町歩を目標として果樹園を共同でやりたい、あるいは酪農を共同でやりたいんだ、むしろ三反、五反歩の土地そのものは放したくないんだ、やはり米びつとして自分らはとっておきたいんだ、そのかわり共同化とか協業化とかいうような問題は、そういうふうにして新しい土地が造成された方へいって、われわれの共同生活をやりたいんだ。まあいわば余剰能力を持って共同をやりたいんだと、こういう声が非常に強かったのでありますが、こういうような問題に対しては何らか施策を考えておられますかどうか、その点についても伺いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) お尋ねの点については、今までも時おりお話を申し上げているように、御指摘のような場合があると思います。そして従来から持っておるのはとっておきたい、そして自分で耕したい、そして新たに造成されておる所へ、たとえば酪農畜産の経営を一緒にやりたいという希望があるということを私も聞いております。で、従来ときどき言っておるように、そういうふうな場所に新しい草地、牧野というものを造成していく。たとえば国有地の払い下げ、あるいは使用権の設定というような場合、あるいは部落有のそういうふうな土地、こういうふうなものをばらばらに離さない方がむしろよくて、そこに共同で牧野、草地を持たしたり、あるいは共同で使用権の設定を認めてそしてやらせるということは、場所によって全国一律にはいきますまいが、そういうことは認めていきたい、かように考えておるわけです。

千田正無所属クラブ

○千田正君 最後に一点。私はこれでやめますが、第五章の農業行政機構の改革につきまして、これはきのうもいろいろ聴聞会等にありましたが、農業団体そのものに対するいろいろな批判も出ておりました。それから農林省としても、この農業基本法、いわゆる新しい憲法または憲章に値する、すべきところの農業基本法が、かりにこれが通過したならば、これに対応して政府の行政機構というものははっきりと確立した方向を持っていかなかったならば、法の目的は達成されないんじゃないか。そこで、現段階としては私はきわめて貧しいんじゃないかと思うのでありますが、構想としてはどういう構想を持っておられるのか。行政機構の改革、確立というような問題に対して、農林大臣としましてはどういう構想を持っておられるか、この点について御返事いただきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) この農業基本法の制定に伴って新しい方向に農政を打ち出してこれを農業者に対して指導、誘導していくという上におきましては、中央並びに地方を通じてこれが指導、あるいは技術指導、あるいは経営指導その他をやっていくについて、相当な統一ある方向で総合指導をやっていくことが必要だと思います。そういう意味におきましては、まず地方におきましては、各局がばらばらに指導するということでは困るのであって、いつも申しますように、各局は、農業というものを新しい方向に向かってそれぞれが長期見通しの上に立って指導さるべき事柄について総合計画の一環として分担していくというような形になるように、一つ地方の行政機構も考えてみたいというのが、一つの考え方でございます。同時にそのことは、地方において地方庁並びに市町村という末端が、これがどういう形にそこへ普及改良指導員、あるいは技術指導員、あるいは機械の指導というような形を持っていったらいいのかということについて、同じような意味でこれが行政機構を考えなければいけない。またそれに関連して、中央の指令がほんとうに徹底して実行に移せるような形に持っていくにはどうしたらいいかというようなこと。それが県庁でやったらいいのか。あるいは農林省の、地方庁の一つの総合的な機関が必要なのかというようなことについて検討をいたした上で改正を加えていきたいと思います。同時に、そのことは行政機関というものだけでなくて、行政機関の指導なり、助長は、当然に農民の方々に直接触れる農業団体というものの動きというものが大きな問題になるわけでありますから、行政機構と結びついて、またその関連においてどういう形に農業団体があったらいいのかというようなことも含めて研さんを加えていきたいと思いまして、法案成立後は、直ちにその問題と取り組んでいくつもりであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 もう一点だけ。このうちで特にきのうの課題になったのは、どうも農業災害の補償というような面が確立しておらない。それに非常に不安を持っている。今のような農業災害の補償であっては、これでは新しい農業基本法が施行されたとしても、農民としては安心して就業できない。農業補償制度というものの改正によって、新しくその農業を守ろうという基本的な精神の表われを、どういうふうにして表わしていくか、こういう声が、農民の間から強い強い要望があったのでありますが、この農業補償制度の改革ですね。こういうような問題につきましては、大臣において何か構想を持っておられますか、御所信を承りたい。これで私の質問は終わります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) この点は、まことに恐縮にたえぬ問題でありますが、農業災害補償制度に関しましては、御承知のような経過で、昨年十月に超党派的な委員会もできて答申を得たのであります。その答申に基づいて種々調整いたしました案が、いろいろの事情で提案の時期がおくれておりまして、最近ようやく国会に提出されたような形であります。会期も切迫のおりから、なかなか法案をたくさんかかえて困難ではありますが、一応は現在提出した法案の内容によって御審査を願い、できれば会期中に成立を見たいと思うのでありますが、もしこれが不幸にして継続審議ということになりましても、現在の形における災害補償制度の組合関係における人件費、事務費の全額国庫負担とかいうようなことは、新しい法律の改正を待たずにこれが七月から進めていけるような形にしておりまするし、継続審議が行なわれて、あるいは臨時国会ということになれば、今ねらっておりまする法案の施行期日は大体来年の二月になっておりますから、そういう点では間に合うのではないかと思います。しかし、この提案しておりまする法案の内容にはまだいろいろ御意見もあるようでありますから、これ自体が完全しているものとも考えませんが、特に建物共済等の関係におきましては、法案の内容になっておりませんが、しかしこれは別途農林省の中に建物共済一元化に関する懇談会を作りまして、すみやかにその結論を得ますれば、それがあるいは臨時国会なり通常国会には間に合っていって、大方の御希望に沿うことができるのではないかと、まあかように思います。現在の提案している法律と、今農林省が置こうとする懇談会、委員会の結論を待ってする建物共済に関する制度というものができますれば、やや御期待に沿うのではないかと、かように考えております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 構造改善の問題について若干大臣に御質問申し上げたいと思います。その前にちょっとお願い申し上げておきたいのですが、一昨々日からの委員会の審議、特にこの前の生産政策あるいはまた価格、流通対策等に対する質問に答える答弁の中に、何かしらこれは私だけの印象かもしれませんが、いわゆる農業憲章といわれ、あるいはまた第二の農業改革といわれるこの農業基本法の審議に対して、その審議の中における政府の答弁としては、何かしらそういう農業基本法の中における生産政策に対するほんとうの力をこめた答弁がなされていないのであって、従来の農政の中におけるいわば農業生産の問題、あるいはまた価格政策に対する答弁と同じような答弁に聞かれてなりません。たまたま価格政策、選択的拡大というそういう方向の中から出ております価格政策の問題に対しても、少しも従来の価格政策と何ら異なっていないというそういう印象を受けたのでありますが、たまたま畜産局長の答弁の中からそれが基本法の中身としての価格政策に対する答弁らしいものが若干見受けられたのでありますが、しかし、その他の政策の問題に対しては基本法の中身としての答弁らしいものが聞き取れなかったことは、私は非常に遺憾でありますが、私はしろうとでありますが、ただいま申し上げます農業構造改善の問題について、基本法としての立場から一つ御答弁を願いたいのです。  そこで、まず最初にお伺いしたいのですが、御承知のように農業基本法の第一条の中には、これは農業の今後のあり方を規定するという建前から、だからといって、農業内部、農業自体のものとして考えられないということ、そういう考え方に立って、これは国民経済全体の中から考えなければならぬ、そういうことで第一条の中にも、国民経済の発展に即応して、そういう言葉が使われておるようであります。私どもは実際から言うと、もちろんこれは国民経済と関連なしには、農業の発展というものは考えられない点もあるかもしれませんが、しかし、今日大きく農業の曲がりかどに対処するというそういう立場から政府のいうところのいわゆる農業憲章だというそういう訴えの仕方をしておるわけでありますから、そういう意味から申し上げますると、むしろもっと農業自体という立場から、農業の内部からいわゆる今後の所得をどうしようか、生産をどうしようかということに考えられると思うのでありますが、残念ながらそういう面には明確な点が出ていないのであります。ところが、たまたま構造改革になりますると、構造改善の中には全然他産業の云々ということに関連がなされていない。国民経済の発展に即応するという建前からいうならば、当然私は農業改善、構造改善という問題も、私はいわゆる国民経済全体という面からいって、他のいわゆる特に今日国民経済の中における問題としての二重構造という問題に触れなければならぬのですが、そういう二重構造の是正ということですか、これは池田さんから言うと、日本経済が高度成長を遂げていくにつれておのずと二重構造が解消されるだろうということを言われるかもしれませんが、私どもはそういうふうには考えていない。やはり農業の構造改善・構造政策を行なうためには、他産業における二重構造の是正、日本経済全体の中におけるそういう二重構造の是正ということが、強く主張されなければならぬのにかかわらずこの農業の基本法の中には構造改善という大きな点については、全然他産業の二重構造という問題には触れていなくて、これだけはぷつんと切り離して農業の内部からとして、農業の経営と土地所有という問題に重点を置いて構造改善というものがなされているので、私としてはその点が非常にわからないので、その点について大臣から一つ明確に御答弁を願いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたしますが、御指摘の点は第四章の農業構造の改善等という章の中では、国民経済の中にあっての農業をどうするかということを書いてないじゃないかというお尋ねのように思いますが、私はその点は第二条ではっきり書いておる。第二条の第一項各号に農業の構造の点に触れております。それを今度具体的に農業の構造というものだけを取り出して第四章に書いておるのでありますから、この二条と四章は一緒になってごらんをいただきたいと思います。従って農業の発展ということは、一面においては、農業の内部において、これが他の産業との間の生産性の格差というものを是肥してよりよく発展させる、そのこと自体が国民経済全体の上によい寄与を与えるのであって、農業が他の産業に比べておくれておるということは、結局自分も、農業もだめならば今後日本の国民経済、産業の発展にも非常に悪い影響を及ぼすということでありまするし、同時にまた、農業の経営をよくするに対しては、特に第四章では家族農業経営を中心とし、それを近代化することを書き、そして第十七条におきましてはこれが共同経営と申しますか、そういう場合もあり得るし、また中間的に共同組織による共同によって生産性を高め、あるいは所得率を増すということがすべて農業それ自体の発展を意味し、またそのことが他産業との間における均衡を得しむると同時に、国民経済の上に大きな寄与をなすゆえんであると、こういう考え方を持って進めておるわけであります。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 何かしら、政府は都合のよいときには、国民経済全体の中から、あるいはまた今後の国民経済の発展に即応し、社会生活の発展に云々という言葉を使っておるのですが、私はいわゆる構造政策、構造改善というものは、この基本法の使命としておるいわゆる農業の所得をふやして、増大せしめて、これによるいわゆる他産業との所得の均衡をはかるということが、何といっても私は農業基本法の最大の目標だと考えておる。この目標遂行のためのいわば生産増大政策であるとか、価格流通政策というものも一つの柱になっておると思うのですが、私の考えから申し上げますと、もちろんそれも柱でありましょうが、何といっても、私は構造政策としての構造改善というものがこの目的遂行のための大きないわば手段である。所得均衡というものがいわば目標、目的であるとするならば、構造改善はその手段であるといっても過言ではない、そういうふうに考えておるのです。同時にまた、このことは政府自身もそういうふうに解釈されておるのではないか、そういうふうに私は判断しておるのですが、そういう解釈に対して大臣の御意見はどうですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) もちろん、お考えの点は私どもは否定いたしません。農業というものの生産性を高めていって、そして生産の増大をはかる。それがためには構造改善をいたしますし、また農業技術の高度化あるいは機械化というものをやっていくということが、生産を高めるゆえんであるのでありまして、そういう点からのお話ならば、ちっとも私どもは否定はいたしませんし、同じ考えを持っておるわけです。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 そこで、私はまたもとの話に返るようですけれども、政府は、いわばそういう日本の農業のいわゆる曲がりかどに対処するということで、農業基本法を作られた。しかし、だからといって政府の立場からいうと、農業内部の問題としてだけ、あるいは農業自体としてのみ考えられないという、そのことについても私はわからぬわけではないのであります。そう考えますと、特に私は、大臣からも今答弁があったように、構造改善というものはその目標に沿うための大きな手段として考えられておるのですから、そうだとするならば、さきにいう国民経済全体の発展に即応するという建前からいうならば、一番大きな柱である構造改善というものに対して、私はやはり他産業との面も考えなければならぬし、日本経済全体の中で、特に今日の二重構造の是正というものを強く表面に出していかなければ、政府の考えておられる構造改善としての問題はなし遂げられないのではないか。特に今までいろいろ衆議院や、こちらでも一昨日も農業生産等の問題、価格等の問題も出ておって、あるいはそのときに、たまたま仲原さんの方からもいわゆる何といいますか、構造改善の問題が出されて、一面からいえば、しかしいかに構造改善を考えられても、他産業の今後の状態を十分に考慮しなければならぬだろう。政府は零細農は追い出すというようなことを、いびり出すというようなことは言っていないようですし、私もそういうふうにはとりたくないのですが、しかし、実際において農家の就業人口が都会の他産業に流れるということは、現実として現われておるのは零細農業である。これがあるいは五人未満のそういう零細企業あるいは臨時工そういうふうな面に、劣悪な労働条件のもとに飛んで行くしかないという。しかも、それでもなおかつ農業の生活よりも幾らかましだというそういう考え方であって、やむにやまれずして、心よく他産業に流れるのではなくて、苦しい状態の中から、現状の中からより何とか打開できるだろうというので、都会の方にそういう劣悪なる労働条件にもかかわらず、あえて飛んでいくわけです。これは私は政府としても、必ずしも心よく行っておるとは思うまい、またそういうふうに積極的に行けということもできないだろうと思います。そう考えますと、農家の人口は確かに減っておるかもしれませんが、農家戸数の減少はそれほどにいっていないということ。現実の立場から見ましても、ほんとうに政府が考えるならば、もっと他産業のそういう就業条件をよくするということを考えなければならぬし、特に私は二重構造の是正という方にむしろ力を注がなければならぬだろう。そうすると、やはり政府は今日の農業構造政策というものは農業内部のものだけでなく、それは農業外部の問題も考えてそうしてこれは国民経済全体の中から考慮しなければならぬにもかかわらず、構造改善の問題についてだけは農業内部の問題としていわゆる土地所有と農家経営の問題だけに割り切ってこの構造改善を進めようとしておるのに、私は納得がいかないところがあるのです。もう一度農林大臣の御説明を願いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) 第四章の各条だけをごらんになりますと、そういうような気持がするかもしれませんが、私は先ほど申し上げましたように、第一章において総則ではっきり大きく大上段に振りかぶって、第一条で経済の成長発展云々ということに即応してこういうことをしなければならない。第二条におきましては前条の目標を達成するために必要な施策を総合的に講じなければならないということの中に、第三号に農業構造の改善ということが入っているわけです。しかしてこれらの問題を総合的に施策を講ずるということでありますから一、二、三、四、五、六、七、八というようなものは相互関連をしてくるということを、はっきり申し上げているわけであります。しこうして、これらの総論的に書いた事柄を、それぞれの条章において必要なる部面を浮き彫りにして書き上げたわけでありますから、当然農業構造の改善等に関連いたしまして、就業人口の他産業へ移動という問題が出て参りますが、今御指摘のように、現状においては、なるほど大河原さんのおっしゃるように、必ずしも農業から外へ出ていく人が快く出ない、今よりも少しでもよくなりたいといって出ていくのに、その出ていく場所が賃金が低くて困っているということでございますが、しかし私どもはこれを実行いたしますについては、第二条の七ということと関連をいたし出ていかれる方々の今後における職業訓練、技術訓練というものを与えて、適当な職業に就くようなことができるようにすることを一面考えると同時に、全体的には他産業の高度成長に伴って、その力における雇用条件もよりよく高めていくことによってそこに収容するというような方向とタイアップして行なわれることであります。先ほど私はお答えを落としたのでありますが、千田さんのお尋ねの中にも機構の問題をどう考えるかという問題について、中央におきましても、これが農林省だけでこの大きな仕事を受け持っていくことができない面が出てくると思う。つまり労働省関係あるいは厚生省関係、運輸省関係あるいは建設省というようないろいろな多くの関係を持つ、そのおのおのの立場において農村発展のために、国民経済全体を発展させつつ、農村がその方に連関を持ち得るように施策を総合的に立てていく。そこで、大河原さんの御指摘のように今、外へ出て行ってもなかなか、ほかの部門においても賃金が悪くて困っているじゃないかということ、それは一部私は是認いたします。しかし、そういうことは今後の発展によってそういうことのないように、他産業の方面における賃金体系というものをよりよくしていくということ、それにはこういうものと密接な関係を持っていくようにしなければならないと私は思います。ぜひそうやっていかなければならない。そこに農村だけの力で解決のできない問題がある。他産業との関連において農業、農村がよりよくなるのだ、その方向へ持っていきたいというのが、私どもの考えでございます。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 大臣の御答弁はわかるのですが、そこで一つこれは池田さんにでもお伺いした方がいいと思うが、所得倍増を唱えていわゆる日本経済の高度成長ということを言っている場合に、その高度成長のためにいろいろな施策がとられると思うが、その高度成長によって、今後のたとえば七%二であるとか、あるいは九%といういわゆる高度成長の今後の進み方によって、やはり一番問題となっている今日の日本の経済における二重構造というものが、その高度成長の発展の中で解消できるものであるかどうかについても、私はよくわからない。しろうとでわからないが、大臣これを簡単でいいから一つお答え願います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) これはこまかい議論をしていると時間がありませんが、私はこう思います。これは私はたびたび言っている。農村だけで解決できない、というのはやはり他産業第二次、第三次産業というものもそうだと思う。やはりその方の高度成長をするということに応じて農産物等の生産物がよりよく売られる、需要面、消費面が広がる、その方の発展があるところに生産物が需要が伸びる、ということはやはり農村がよくなるわけですね。また反対に、農村がよくならなければ、他産業から農村への売り込みといいますか、消費物資等の関係が売れない、内地における消費水準が高まらない、こういうことであります。その意味においては、今日、御承知のような形で世界の驚異的になっております。今日までの日本の経済、産業の高度成長の部門の方への就業労働人口というものが、そこに要求されていくということは、どうしたってその方の産業部門をしっかり発展させることであり、その方が発展することによって、産物需要というものがふえて参りますし、高度成長をやっていくというと、そこから農産物なり畜産品、酪農品というものの需要がふえてくると思うのであります。同時にまた、この生産は、第二次、第三次産業の方からは、肥料部門においても、農機具部門においても、あるいは衣料その他の日用必需品というものが、やはり農村がよくなっていくことによって私はよりよくなっていく。こういう意味においては、今日の場合において、なるほど将来をいろいろ考えますと、問題は必ずしもそう楽観的にすぐいかぬ場合があるかと思いますが、少なくとも今日の日本の状態から見て、総理が、いわゆる十年間において日本の産業経済の発展が平均して七・二%伸びていく。これが最近の二、三年の状況から見て、少なくとも十年のうち最初の三年ぐらいは九%くらいで伸びていくであろう。そのことは十年の平均で七・二%といいますと、今後の場合においては、ある場合には六・二%くらいになるかもしれません、平均的に七・二%になるが、そのうちの最近三年間においては、これを平均九%だと見ても過剰ではなかろう、こういうことで私ども見ておりますし、またこれはぜひ農村をよりよくするためにも、他産業の高度成長をさせなければいけませんし、それに一つの政策を集中的に考えるということは、同時に農村の対策にもなり、またそれに即応して農村が負けないようになるように応じた政策を立てていくところに、両々相待って日本の国民生活全体が発展し、農業、農村が発展していくものと、かように考えております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 大臣の答弁非常に具体的でいいのですけれども、大臣が時間がないというのですから、わかりやすく簡単に御答弁いただきたいと思います。大臣、時間がないのですか。——それじゃ一つその問題については、私はさらに、別な考え方を持っておるのですが、この問題だけで時間を取ることはいけないと思いますから、構造改善の中身に入って御質問申し上げたいと思いますが、構造改善の中身といたしまして、いわば二つの柱を立てて、一面には家族経営による、家族中心による自立経営農業をできるだけ多く促進せしめていくのだということと、それから法案の内容の中には、自立経営がなりがたいものがあるということはうたってないが、いま一つの柱としては協業組織、協業経営ということを出しておるわけです。この二つの構造改善の柱が出ておるのですが、私はなぜ日本農業を二つの分断した形の中で、協業組織と家族経営の自立経営農を立てていくのだ、この二つのものに分断した意味がわからないのです。この点一つ大臣からお答え願いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) なぜ二つに分けたかというお尋ねですが、これを二つに分けたということよりも、むしろ私どもは日本の農村、農業者の考え方、気持というものを考えながら、また外国における農業経営の実態というようなものを考えながら、やはり原則は農業者が自立するような形に育成して、そうして家族経営でいくことの行き方、経営形態が私はよいのだ、こういうふうに考えたわけです。これは農村にも実体的に合うのじゃないか、こう考えてみたわけです。その次に、しかしそれだからといって、これは皆さんも御承知の通り、一足飛びに土地をみんな広げて持たせるということは困難でしょう。しかもまた、そのことは必ずしも土地面積をよけい持ったから収入が増加するということじゃなくて、また土地面積がよけいなくても、自立し得るような経営形態の経営構造の改善ということでよほど進め得るということもありますが、いずれにいたしましても、どっちの形をとるにしても、家族経営の自主経営というものが、全部一度にいくことはできない面もあり得る。また、自立経営し得る家族経営ができたとしても、それがより所得を上げるために、作業の一部を共同してやるということも起こり得るであろう。しかし根本において、原則的には家族経営をいたしますが、その際において、共同組織による共同・つまり土地、機械というような農業資産というものの所有権を第三者、法人に移して、そうして自分らは形式的にはその法人の労働者の形になって経営するいわゆる共同経営という形にまで徹底的に進むということについては、よほど農業者自体の希望に沿ってやることが必要であろう。気持としては自作農、自立農家、家族経営というものを原則としていきつつ、できるだけ農業だけでやるような形を進めていく。しかしこれらが、希望して、今申しましたように経営まで共同によってやっていく、こういうようなことが希望ならば、その希望に沿ってやっていこうということを考えて、こういうふうに分けたわけです。しかし、誤解のないように申し上げますが、よくこれが、中間的に従来からやっておる共同組織による共同ですね、つまり従来から、農業者が家族経営をやっていますが、あるいは機械の共同所有によって、耕すことを共同にしたり、あるいは加工施設を農協の共同施設でもってそこで生産物の共同加工をしていくというような共同ですね、これはどんどん進めていくつもりです。それに対して、今度も農業近代化資金助成法案等によりましても金が出ますし、また農業金融公庫を通じて財政資金も貸し付けるというようなことも考えておるというようなことはやっておりますが、どうもそれを徹底した共同経営というものとごっちゃにして、何もかも政府案が否定しておるようによく言われますが、それはございませんので、私どもはあくまで農家の意思にまかして、やりたいという部門は、繰り返して申しますが、土地あるいは機械、家畜というようなものの所有権を全部離して、あるいは使用権を離して法人に渡して、自分らは形式的に法人の労働者になってやるという徹底した共同経営というものは、農業者の気持に従って助長していきたいということで、原則と例外といってはおかしいですが、そういうふうに書き分けておるわけです。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 わかりました。そこで、ただ池田さんあたりの協業組織あるいは協業というものに対する考え方が、きわめて大臣と、単なるニュアンスの違いではなくて、何か池田さんの出しております政府の窓か何かの中には、協業組織なり協業経営という問題は、全く何と申しますか、いわば補完的なものである、問題にしてない、つけ足りだというふうに考えられておって、その点については周東農林大臣と考え方が違っておるように思ったので、そういう点でお聞きしたわけです。  そこで、大臣にもう一つお尋ねしたいのですが、この協業の問題について、一体協業組織なり協業経営に織り込まれる農家の対象を、どういうところを考えておられるか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) その前にお答えいたしておきますが、総理とちっとも食い違いはないのです。総理はたびたびの機会に申しておりまして、やはり家族経営の自立経営農家を育成するのだが、その自立経営農家でも、場合によっては協業といいますか、先ほど申しましたような共同経営までいきたいという希望があるならば、そういうものは、そういうふうにしたらよかろうということを言っておりますから、私との意見の違いはございません。  お答えいたしますが、ただいまのは、どういうところを対象にしておるかというお話でありますが、ただいま申しますように、一つは自立経営農家でも一部作業の共同ということは起こりましょう。先ほど千田さんのお尋ねにもありましたように、自分が従来から持っておる耕地は、人に貸さないで自分で耕したい。しかし、これからやる畜産経営、酪農経営というものは、草地、牧野等は、むしろ共同でもって、そこで共同経営をしていくところまでいきたいという希望があればそれはどうか。そういう点は慎重に、地域によって違いますが考えてもいいだろう。もう一つは、総理もよく答弁いたしておりますが、兼業農家、あるいは自立に至らない零細農家でも、それが共同経営まで持っていくことが、より収獲もよくなるし、生産性も高まる、また希望があるというなら、これを対象とすることにちっとも否定はいたしません。ことに兼業農家というものは、よく私たちの案について誤解されておりますが、兼業農家というものは、つぶしてしまうような考え方で誤解をしておる向きもありますが、こういうものについては、むしろ私どもは、従来とかく兼業農家と申しますと、農外所得の多い方が、自分の食糧だけ取ればいいというわけで、土地の効率が低くなります。もっとこの土地を利用したなら、その土地からもっと収入が上がるだろうというような考えもございます。そういうようなことも考え合せますと、土地の効率を高める上においても、兼業農家の、農地を使っての農業部面をより高めるために協業ということを希望されればそれを行ない、そうして、ある兼業農家は、主として農外所得の方面において一生懸命働いてもらうし、兼業農家の一部は大いに農業として働いてもらうと、こういう形で効率を上げたらどうかというようなことも考えております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 そこで、さらにお伺いをしたいのですが、ちょっとこまかいことはやめまして、いま一つわからない点でお聞きしたいのですが、非常に政府は家族経営を今後育成強化していく、しかもできるだけ多くの家族経営を作っていこうという問題でありますが、私は今後の、そういう二町五反を中心にする、あるいは二町五反以上の家族経営を盛り上げていくと、そういう考え方の中身はわかるのですが、ただしかし、今後五年なり十年後において、私は、相手国の貿易自由化にさらすための云々ということは言わなくとも、貿易自由化はしばらく遠のいても、しかし、いずれにしても国際的な競争の中に日本の農業も溶け込んでいかなければならないと思うのです。そういう場合のやはり二町五反を中心とする家族経営が、これで十分かどうかということは、もちろん十年先でないとわかりませんが、私は不安を感ずるのでありますが、その問題はいいんです。ただ問題は、政府が非常に考えておられる家族経営というものを考えましたときに、一面には農業基本法という問題が法案として出てくる前に、農林漁業問題調査会の中に底流、思想として出ておる問題は、やっぱり今後の日本の農業は、従来のようないわゆる農本主義の立場に立ったり、あるいは半封建という言葉を使ってないでしょうが、われわれから見れば、今までの農業の中には、いわゆる家を中心とする半封建の要素があったと思うのでありますが、そういう農業から脱却せしめて、今後はやはり経済合理主義の上に立った農業も企業として立っていかれるように、さらに私なりの言葉をつけ加えて言うならば、資本主義経済全体の中に織り込んで、そうしてもうかる農業にしていくんだ、企業として成り立つようなそういう農業を作るんだと、そういう底流が、思想が農業基本法の中にあるわけでありますから、そういうことを考えますると、いわば従来のような家族経営ということではいけないというような私は印象を受けるのですが、そういう経済合理主義の上に立った企業として成り立つ農業を考えていくならば、むしろ私どもはそれはなかなか困難であるけれども、全体的ないわゆる共同経営というものが、むしろ近代的なそういう農業形態になるんじゃないかと思うのですが、むしろ政府の考えておる家族経営こそは、そういう経済合理主義に立った、農業とはかけ離れた、矛盾した、一歩後退的な要素になるのではないかという点も私は考え方の中から出てくるのですが、これは一つ大臣からお聞かせ願いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) その点は私どもは、大河原さんのお話ですが、そう考えないのです。どうも私ども自民党が政策をとりますと、一生懸命に農業の近代化、技術の高度化というものを考えて、農業が従来のような、過剰労働をつぎ込んで狭い土地でやっておる形を、何とかして変えたいという気持を持ってやっておるのですけれども、やはり保守党だから昔のような農業経営に終始するのじゃなかろうかというようなお気持が出るのもごもっともでありますが、私どもはもっと進んでいるつもりです。家族経営ということになれば、それはもう近代化も、技術の高度化もできないのだという断定を下すのは早いと思う。もとより機械の利用等につきまして、法人経営にしていくというようなところまでいくのがいい場合もありましょうけれども、私は先ほど申し上げた、しかし日本農民の気持を考えますと、必ずしもそうもいかないということは、私はこの前も亀田さんのお尋ねでしたかにお答えしたと思うのですが、逆に今中堅になって農村に将来踏みとどまって改善していこうという四Hクラブの同人が二十五万人おりますね。若い十五才以上二十才、二十一才以上二十五才、二十六才以上三十才というものが中心となっておる青年です。これらの報告を聞き、実験を見ましても、やはり徳島の一例のごときを見ますと、八反歩の土地に合理化し、機械化した畜産経営を取り入れた農業を営むことによって、家族労働力二人で大体実収入二百五十万円を得られているという例も実験的に示されております。こういうことで、全国的にそれだからしかりということを言うのじゃないのですが、あるわけですから、私はその法人化した協業経営までいかなければ、近代化も高度技術化も入れられない。協業とか近代化できないということも断定できないと思うのです。これはこれからの農業の指導上に大きな私は責任にかかる問題でありますが、私は必ずしも協業の形でなくっちゃならぬと思いませんし、また先ほどから、所得倍増計画に現われておりますが、二町五反というものは一つの目標でありますけれども、二町五反でなければ自立経営にならぬのかということも、私も地方的には一がいに断定できない。それは地方々々の事情によって異なることは言うまでもないのでありまして、ここでは二町五反であるが、別場所では一町でも経営の改革によって自立経営となり得る可能性を持つのであります。今のお問いについては今申し上げた通りでありますが、協業経営の方がより近代化し得るということだけに断定しなくても、家族経営でも、それに機械化をし、また技術の高度化をやることによって十分に新しい農業が進められると思います。ただその際に、私が先ほど申しましたように、家族経営であっても、それらが機械の共同所有、共同設備ということにして、お互いにかわるがわる使うというやり方もよろしいし、それをやることについて、より耕地をうまく利用するについて、耕地の集団化、あるいは合理性による、交換分合による集団化というようなものをやりつつ、そうして機械を共同に利用するというところまでやっていける部門もございますので、一がいにこれは右と左と、極端な論をもっての議論はできないのじゃないかと、こう思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 じゃ最後に二、三分、恐縮ですけれども簡単に聞きますが、そこで確かに僕は、聴聞会を開いておって、内容が十分わからないままに一日も早く農業基本法を通してもらいたいという、それだけ私は農業の今日当面しておる曲がりかどに対処したいという、このままでは困るからという気持があるから、農業基本法の内容を十分わからないでも、農業基本法を早く通せ、早く通してもらいたいという意向はあると思うのですが、ただ問題は、そういうことになって期待をかける人が相当多いようですが、われわれは相当慎重を期さなければならぬと思っておりますが、そこで先ほど来申し上げたように、他産業との所得均衡という問題が一番大きな目標になって、それに到達するための手段としての構造改善政策が盛られておるわけですが、もしこの際、そうすることによって今政府としても他産業に人口が流出することを非常に期待されておる。積極的な離農政策をとらないまでも、そういうことを政府が期待されているのですが、もう実際からいって、そういうことからいって、ことし、来年ということで、今困るから農家を離れようとしておったとたんに農業基本法を出して、今後はこれによって農業の所得を増大せしめて他産業との所得均衝をはかっていくのだという、これに期待をかけているために、出て行こうと思った農家が他産業に流出しない、せっかく政府がこの構造改善、他産業への人口流出を考えた構造改善が行なわれないで、所得がことしより来年、再来年というふうに幾らかでも所得が増大するということになりますと、所得均衝が先か構造改善が先かという、私はここに非常に問題があると思うのですがね。同時に構造改善に先に手をつけるということになると、なかなか構造改善も思わしくない。構造改善ができなければ所得も増大しないのかと、こういうことが出てくるのではないかと思うので、そういうことが肝心なことだと思うので、所得均衡ということとそれからそのための手段と言われるべき構造改善というもの、これはどういうふうに、いわば目的と手段であるが、これは簡単に考えられないところがあるのだ、これをどういうふうに調整していくかという問題を考えているのですが、これ一つだけ聞かしてもらいたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) この間からもお話しておるように、所得均衡ということはうちに隠れております。他産業との所得均衡せしめるということを主張しているのであります。所得ということに関しては、もちろん生活の均衡についての重要な要素でありますけれども、私どもは生活を均衡せしめるということは所得だけではいかぬものがたくさんある、こう思っておる。所得以外の農村の環境の改善なんということなんかはたくさんありまして、それとあわせていこうと考えておりますので、所得即均衡、生活の均衡ということにはならぬということをまず申し上げておきたいと思います。それから私どもはいろいろとお話ございますが、あくまでも農村、農業における生産性を高めつつ所得を増大するわけであります。所得と生産を増大していく、その結果所得はふえていく、こういうことに考えておりますので、その間におきまして今のお話のように生産性の向上については、他産業に移動する農業就労人口というものをこれを私は現実の問題として率直に認めていかなければならぬのでありまして、今日における状況は、むしろ私は日本の産業全体において、あるいは農業の内部的な改善において非常によい現象であると思いまするし、その現象を認めつつ、移動する人に対してはよりよきところを得て職場を得るように、先ほど申しましたように技術訓練なり、職業訓練あるいは職業紹介というものをしつつ、移動した場合における所得をよりよいものにする努力と並行して、私は農村内部のことを考えるべきであって、すべて総合的にものを考えていけば、私はある程度よくなるのではないかとこういうふうに考えております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 一つ大澤さんに。今の大臣の御答弁があったのですが、私は大臣の御答弁でよくわからないことがあるのですが、当初農林当局としてはこの構造改善といわゆるこの所得均衡という問題を相当強く取り上げられたようであるし、基本問題調査会の中でも取り上げられたようですが、その当時農林当局としてのいわゆるこの二つの問題、所得均衡とそのための構造改善という問題が取り上げられたときに、私の記憶、何か見たのですが、そのときに農林省としては構造改善をやりながら、構造改善を積極的か徐々かわかりませんがね、構造改善を行ないつつ所得の増大をはかっていくのだ、こういうような見解が当初述べられておったと思うのですが、大澤さんおわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) その前に構造改善と申しますことは、知っていただいておると思うのでありますけれども、第二条の三号に書いてありますように「農業経営の規模の拡大、農地の集団化、家畜の導入、機械化その他農地保有の合理化及び農業経営の近代化」。こういうふうなことをするのが農業構造の改善こういう意味であります。そういう農業構造の改善の一つの柱として先ほどおっしゃった自立経営の育成ということがあり、もう一つの柱として協業の助長ということがあるわけでございますが、いずれそのことによりまして農家の生産性、農業の生産性を上げ、農業従事者の生活もよくしようということでございます。従いまして、自立経営ということの、十五条、ここに定義が書いてございますが、こういうことで他産業従事者と均衡する生活を農業従事者が営めるようにする、農業だけでそういう生活ができるというようなものを自立経営こういってここへ到達しようということで到達目標として考えておるわけでございまするから、またその自立経営になり得ないもの、これはあるいは自立経営であってもさらに所得も上げ、生産性も上げるという場合には協業組織あるいはさらに進んで先ほどお話が出た、協業経営、こういうものにまで発展するという道も開いてあるわけでして、そういうことをあれこれしている農業改善ということは、究極のねらいは、第一条でねらっておりますようなふうに、農業なり農業従事者を持っていくということのために、そういうことをするために農業を担当するものについてのことを書いているわけでございますので、先生おっしゃるように農業構造の改善ということのねらいは生産性も上げ、あるいは所得あるいは生活の均衡もねらうのだということでもあるのだということが言えると思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 私、言葉足りなかった点があるかもしれませんけれども、私ほんとうにお聞きしたいと思ったのは、さっき大臣の答弁でよくわからぬので、たまたま農林当局から出された何か書いたものを見たのですが、いわば構造改善が先なんですね。構造改善をはかりながら所得の増大をはかっていく、そういう見解が述べられておるのですが、それを簡明に一つお聞かせ願いたいということを言ったわけです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) その通りだと思うのです。第一条で先ほどもお話がございましたように「国民経済の成長発展及び社会生活の進歩向上に即応し、」ということは、国民経済の発展に、他産業がどんどん伸びていくのに、それにおくれをとらないように、またそういう他産業を含めて国民経済が発展するということが、農業のこういうことができるモメントでもある。そしてまた、そういうふうにすることが農業が国民経済、社会生活に寄与するゆえんでもあるということで、こういうことが行なわれると思うのです。ですから、そういう基礎の上に農業構造改善をして第一条の目的を果たすようにしていくのだ、こういう意味で構造改善をすることによって、第一条の目的が達成せられるというふうに御理解願っていいと思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 そこで先ほども大臣に御質問申し上げたのですが、今のようないわゆる他産業における、まあ池田さんや大臣は、現状のような高度成長が進めば、他産業における受け入れ条件というものもよくなってくるだろうという一応の期待をかけられておるようですが、先ほども言ったように、確かに人口は減ってくるけれども、農家戸数は減ってこないというこの現実の姿は、やはり今日の二重構造なり、この一重構造の底辺になっております特に中小企業あるいは零細企業、こういうところにやむなくして人口が行っているんだという、そういう現実の姿を考えたときに、積極的に政府が考えられているような離村はできないのではないか、挙家離村というものはできないのではないか、というふうに考えているのですが、その場合に、あなたの今のような見解だと、構造改善を行ないつつ、そのことによって所得の増大をはかっていくんだ、やがては所得の均衡ということはあり得るのだということですが、今のような状態ですと、今政府の考えておられるようないわゆる構造改善というものが思わしく発展しないのではないか。構造改善が進まないということになると、一方から言うならば、所得の増大ということもなかなか望めないのではないか。そういうことを私は考えたから、いわゆるこの構造改善政策と所得の均衡というものをどういうふうに調整していくかということを先ほどお聞きしたわけなんです。それに対するもう一ぺん御見解を伺いたい。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 今一つの問題として御指摘いただいた労働力の移動の問題、これも確かに経済成長の過程で出てきた、またこういう農業構造の改善をやり得る契機の一つだと思います。そこで、そういうことができないならば、こういうこともできないのじゃないかというお話だと思います。先ほどもお話ございましたように、農業から出る労働力というのは、低賃金の二重構造の底辺に出てくるのだ、一たび不況になったら戻るような、そういうものであって、そういうことじゃ、こういう農業構造の改善もできないんじゃないかというお話だと思いますけれども、先ほど大臣からもお話ございましたが、倍増計画というような考え方でも、ああいった成長発展の中でいわゆる経済の二重構造というようなものを解消していこうという考え方があるわけでございますし、また現実の問題といたしましても、農業から出ていく労働力の就職先というものが、必ずしも底辺ばかりでなく、たとえば製造工業の中の金属工業というような部門への流出というものが、徐々に割合としてはふえている。あるいはまた、新職者の初任給というようなものが、ほかの給料の上がりよりはよけい上がっているというようなこともあり、あるいはまた、小規模産業の賃金というものは格差はございますけれども、徐々にその格差というものは少ずつは詰めているというようなことで、いわゆる二重構造、二軍賃金というような問題についても、解消の方向に向かっているわけでして、私どもそういうことも解消するというような努力をしながら、資源全般についての流動を、いろいろな意味で円滑化していくという施策とも相待って、こういう農業構造の改善をしていく、こういうことでなければならないと思っております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 今の高度成長の中で徐々に二重構造が解消されるという御意見、それは一応政府の方々の御意見でありますが、私は私なりの立場から考えまして、今のような高度成長という、その高度成長のための今のようないわゆる工業投資が重点であるという立場からは、むしろ二重構連というものは解消されないで、二重構造のひずみというものはますます深まってくるのではないかという見解も持てるわけです。ですから、むしろ高度成長というものと二重構造の解消というものは、いわば二律背反のものではないか、そういう見解も出るわけですが、そうの点はしばらくおきまして、そこで話を変えまして、いま一つお伺いしたいのですが、農地信託の問題ですね。農業協同組合にいわゆる離農者の農地が信託されるというのですが、その場合、信託された農地の処置というものがどのように処置されるかということ。これは私は不勉強の点で、まだ十分でない点もあるのですが、一応政府の方でも積極的に家族経営を盛り立てていくんだということですが、同時にまた、家族経営でやれる農家の方々も、必要によって協業の中でやらせるというのですが、協業はもちろん農地取得ができるわけですね。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 協業組織、つまり法人が農地を取得できるかという問題ですが、この基本法の第十七条に書いてございますが、この思想を受けて、ただいま別に農地法の改正と農業協同組合法の改正を願っておるわけでございまして、農業協同組合法の改正で、農業生産法人という新しい制度を作り、また現在あります有限会社あるいは合資会社、合名会社というようなものについても、一定の制限のもとに土地の取得ができるということで農地法の改正もやっておるわけでございます。そういうことで、そういう法律が成立いたしましたならば、第十八条の信託の制度、これもただいま御審議願っている農業協同組合法の改正の中で規定をしておるわけでございますが、ある人が農村を離れて都会で仕事をしたいという場合には、農地の信託事業をやる協同組合に信託をいたしまして、それで売り渡しをしてしまうか、あるいは貸付にするか、どちらかの信託をするわけです。そうした場合に、農協はそれを受けまして、あとへ残った人の構造改善に資するような形で売り渡しなり貸付をする、こういうことでございますから、個人経営という場合もございましょうし、あるいは共同経営という場合もあると思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 そこなんですよ、僕が聞きたいところは。いわゆる信託された農地の取得というものは、政府では積極的に家族経営を盛り上げていきたいというのですから、できるなら、そういう信託された農地というものは家族経営の方に持っていきたい、それが政府の見解だと思うのですが、同時にまた、もちろん協業の方では、絶対耕地面積は少ないし、今後協業組織あるいは協業経営においてやる場合には、現状では農地が不足しておるのですね。その場合に、一定の土地、一定の部落において、何戸かの挙家離村によってこれだけの土地が信託されているのだから、ぜひそれは協業の方でもらいたいという協業の立場と、それから一つ自分は二町五反以上の、あるいは十町以上の家族経営の農業をぜひなし遂げていきたいのだから、信託された農地をおれの方によこしてくれないか、それは売り渡す場合と貸し付ける場合があると思うのですが、いずれにいたしましても、そのようないわゆる信託された農地に対して、片や家族経営の方々がよこしてくれ、片や協業の方へこれをよこしてくれといった場合のそういう処置は、どのような処置をつけるかという、具体的にそのことをお聞きしたい。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) どちらでなければならぬということはないと思うのであります。普通の場合は、どちらでなければならぬということはないと思いますけれども、それは信託を受けた農協の判断で、構造改善にこの方が最もより資するではないかということでどちらかへいく、こういうことになると思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 その場合、信託していった、離農された方の意見で、おれの残した農地はぜひ協業の方に一つやらしてもらいたいという本人の意思等があった場合には、協同組合等ではどういう、それはもちろん厄介だと思うのですが。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 協同組合が広い立場で判断をして、最も構造改善に資するようにという措置がとれるために、特定な人に渡してくれというような条件づきの信託というものは禁止をしております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 そうですか。わかりました。そこで兼業の問題ですが、今日第一種兼業と第二種兼業とありまして、むしろ中農よりもっとすばらしい所得を取って、このままの姿でいいのだという、そういう兼業の姿もあるのですが、しかし私は、日本全体の今後の農業を考え、あるいは今後の国際的な競争というものを考えたときに、個々の立場から言うならば、経営、いわゆる生活が安定していくという兼業があろうと思うのですが、しかし全体の農業の姿から見ると、個々人の兼業農家はやれたとしても、日本の全体の農業の立場からいうならば、これは好ましいことではないと思うのですが、しかしその場合に、兼業農家が積極的に、あるいはまた法律の指示するところによって積極的に協業の中に入っていかなければならぬというそういう行政指導も、あるいは今後出るかもしれませんが、しかし、おれはそういう協業の中に入っていけない、しかしだからといって今後一本立ちの家族農業にならぬでもいいのだ、現状の姿でもいいのだという場合には、それはそのままで兼業農家として放置しておくという考え方ですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 兼業農家、ことに第二種兼業農家というようなものだと思いますけれども、こうしたものがおっしゃるように農業という立場からは、生産を上げたり、りっぱな農業をするということになかなかなりにくいという意味で、好ましくないということはおっしゃる通りだと思います。しかし、それはむしろ逆に社会的な観点から見れば、そういう形でりっぱな生活よい生活ができるという意味では、むしろ好ましいということも言えると思いますが、ただ私ども今おっしゃったように、それだからこそ農業の立場から、そういうものはみな土地を出して協業にいってしまえとか、あるいはもう農業をやめてしまえというようなことはとれないと思うのです。しかし、長い目で見た問題といたしましては、ただいまでも五反以下というようなところに第二種兼業農家が多いわけでございますが、五反以下の農家が二百万戸前後あったと思いますが、それが耕している農地というのは、全体の六百万町歩の農地のうちのわずか一割程度、そういうものが兼業農家の手で農業をされているということは、実際問題としては、農業の中の問題としては長い目で見ればそう大きな問題にならないのじゃないかとこう思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 時間も過ぎているようでありますから、いま一つだけ聞きたいと思うのです。所得倍増計画の中に出ている農業の問題の中に、いわゆる経過的非自立経営農業、これが出ておりますね。これは今後どういうふうに、たとえば十年なら十年後にいわゆる経過的非自立農業というものを、どういうふうに形作っていくのですか、それを一つ伺いたい。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 倍増計画で言っております経過的非自立経営農家、これは一部のものは自立経営になるだろうし、一部のものは非自立経営になるだろうという考え方と思いますが、これはただいまでもたとえば面積で申しまするならば、五反から一町という程度の農家は、この前の三十年のセンサスと三十五年の農業センサスと比べますと、そのうちのあるものは自立農家になり、あるものは経営規模を拡大いたしまして一町五反とかあるいは二町というような大きな規模のものになり、あるものは面積を放して五反以下の第二種兼業農家になっているというような、いわば両翼に分かれるというような形をとっていると思うのでありますが、こうした傾向は今後も続くと思います。ただいまでも今申し上げた五反から一町という程度のところが、むしろ農家の生活としても谷間になっているわけです。かえって兼業機会が多くなり、そのために農地を手放して、寡少の農地で農業を続けようということで、放したものが、あと今度は自立経営になろうという人の手に渡って、そうして右と左へ分かれて、いわば自立経営農業と、ほかの兼業と相兼てやるというようなものとに分かれていくということになろうと思います。そういうことをまた倍増計画でも言っているのじゃないか、こう思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 午後は大臣出られますか。私は時間でやめますから、これで質問を打ち切って午後から申し上げます。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 午前はこの程度として、午後は一時から再開いたします。  それでは休憩いたします。    午後零時十五分休憩    ————・————    午後一時三十二分開会

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、農業基本法案(閣法第四四号、衆議院送付)、農業基本法案(参第一三号)、農業基本法案(衆第二号、予備審査)、以上三案を一括議題として質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 午前に引き続きまして、簡単な問題を御質問申し上げたいと思うのですが、これは所得倍増計画に乗せられました十年後の日本の農業の問題についてですけれども、これは小さい問題ですから、大臣でなくてもいいと思いますが、今後十年後において家族経営による自立経営農業の所得を粗収入、粗収益において百万、家計費において六十万から七十万ということが出されておるのですが、もちろんこれは一応のめどでしょうけれども、この場合、先ほど協業の問題について大澤さんにお聞きしたかったのでありますが、時間が一ぱいになりましたから避けましたのですが、この場合に、協業に参加されておる個々の農家の粗収入、これはどの程度考えられておるか、これだけ簡単にお聞きしたいと思います。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 所得倍増では、平均二町五反くらいの農家が十年後に粗収入百万円ぐらい上げるであろうというようなことをいっておりますが、協業については特に粗収入がどのくらいになるかというようなことの推定はしておりません。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 推定しておらないということは、どういうことかわかりませんが、しかし一応このような構造改革によって所得を増大せしめていこうということですから、いわゆる多角経営による自立経営だけは、そのようなめどが立てられて、百万を取らしてやろう、そういうような考えのときに、当然私は、やはり一翼をになっている、協業に参加している個々の農家についても一応のめどは出されるべきだと思うし、出すべきだと思うのですよ。どういうわけでこの協業の場合は考えられていなかったのですか。だから僕たちは、何か日本の農業を二つに分断せしめて、一方では富農を作り、一方では貧農に突き落としていくというようなことになるのではないかということを、これはイデオロギーの問題ではなくて、実際の面に想定されたから、そういう意味で今お聞きしたのですが、この場合に協業に参加した農家の収入の面が、全然考えられておらないということはおかしいのではないか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 協業の場合は、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、たとえば農機具を共同に持って共同使用する、あるいは田植えを一緒にするというようなことから、ある経営の一部門、たとえば果樹なり、畜産なりを、土地なりあるいは農機具等を出資して共同経営の形でやる、あるいはまたさらに範囲を広げて、農家の経営全体を共同の経営に移すというような非常に幅の広いものです。従いまして自立経営の場合には、十五条にいっておりますようなことが言い得るわけですけれども、協業と申しますると、いろいろな形があるわけでありますから、どういう協業が、どのくらいの粗収入を上げるのかというようなことは、なかなか言い得ないのではないか、こう思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 私は今の答弁では、ちょっと納得できないのですが、それはそれとして、これと関連がありますからお聞きしますが、第一条の中にもありますように、農業と他難業との比較ができるようにしたい、そういう考え方ですが、これは私どもも一応どの国に行っても、農業と工業が同一水準であるということになっているということは、あまり聞かないのですが、しかし均衡ということは、あくまでも均衡、つり合いのとれたということですから、どういうふうなつり合いをとるということが考えられるのですか。たとえば工業を一〇〇とした場合には、農業はその何パーセントであるかというような一応のめどが考えられておると思うのですが、日本の場合、農業と工業との間の均衡のとれた所縁の度合いというものはどの程度であるかということを、ちょっとお知らせ願いたいと思うのです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 生産性の問題の御質問だと思いますが、他産業と農業との間の生産性の開き、たとえば今それをこの間も申し上げたようないわゆる労働生産性ということで計算をいたしますと、大体三割ぐらいということになっておろうかと思います。しかし、この生産性の開きが三割あるいは四割という、どういうことが本来あるべき格差なのかというようなことは、なかなかこれは言い切れないことじゃないかと思います。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 それでは大臣にちょっとお伺いします。これは前に千田委員の方からもあるいは出たかもしれませんが、午前中おそくなって聞かなかったのですが、昨日の私どもの聴聞会の中でいろいろと質問なり御要請があったんですが、その中で特に非常に農家の方が心配されておるのは、貿易の自由化ということなんです。非常にこれは一様に心配されておった点ですが、農業基本法が出される前に、なぜこういう問題をもっと基本的な問題として考えてくれなかったかという意見があった中で、特にその人は開拓に従事しておる方なので、もちろん政府が表面には農作物の問題については慎重を期さなければならぬということを言っておるが、しかしこれも時期の問題もあるだろう。いつまでも慎重という態度をとっていられるかどうかということについては、非常に不安であるということの中から、いわゆる今後のこの貿易自由化の問題に対して非常に心配をされておるわけなんです。たまたま大臣は、衆議院の答弁だか何だか、書いたものを僕は見たのですが、その中では大臣は、私は国内農業の保護という建前から、農作物の生産事情が競争に耐え得るような事態までは延ばしていきたいのだ、こういうお話があったわけなのですが、農作物の生産状態が競争に耐え得るような条件といいますか、事態というものはどういうことをさされておるか、私、一応参考のためにお聞きしておきたいと思うのです。非常に農村の方々が心配されておるのです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) それは日本の農業者の方々が、日本で作った農産物が不出に外国の安い農産物の輸入によって、販売その他に対して不利な立場に置かれないようにする、このことがまず第一に必要になってくるわけですね。その意味においては、内地の農産物が外国の安い農産物に負けないように生産性を高め、反収を上げ、そうして外国の農産物に対抗して、内地の販路において負けないような形になるように育成していくということを考えているわけです。それから問題は、私どもはまあ自由化計画に基づいて最近に大笠が必要なる保護措置を講じつつ七月一日を目ざして自由化されるのですが、これになりましても大体六〇%ぐらいしか農産物の自由化が行なわれないわけです。その他の問題については、当分これは他の農産物について自由化を行なわない方針で進んでおります。しこうして、この国際情勢に基づいて、いろいろ日本に対して自由化を迫るという問題は、やはり一面には外貨保有量の問題が問題になってくることは、御承知の通りであります。その面から見ると、いつまでもがんばっておることはちょっとほかの外国の事情と比べて、日本がいつまでも防げないという格好はあるのですが、しかし別途いろいろな事情が起こりまして、次の問題はガットの規定による承認ということが行なわれますね。そういう場合においては、さらに日本に対しての輸入制限という措置もとれるのじゃなかろうか。いずれかの形での施策を講ずることができるということが私どもの考えです。その間にできるだけ急いで、内地の生産性を高めて、生産費を低くしつつ、しかし総量において手取りがふえるように、外国の農産物に負けないように、ことに、そのことは国産の製品がよりよく生産されるように、従って輸入を防遇するということが、一つの日本経済に審与する大きな点ですから、そういう面を考えて、内地の生産に関する品種改良とか、技術の改良とか、あらゆる面で改良をはかっていきたい。こういうように思っております。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 話はわかるのですけれども、私どもが心配するのは、一つは時期の問題でもあろうと思うのですが、一応大臣もそれまで延ばしていきたいということですから、当然時期的な問題もあるだろうし、ガットの承認にいたしましても、今のように相当向こうでも強く要請されている現状でもあるということを考えたときに、いつまでそういうガットの承認を求めるのだということで延ばしていくことが、政府自体において可能かどうかというそういう問題と同時に、また一面には、生産性の向上をはかりながら農家の所得をはかっていくのだといっても、いかに生産性を高めようとしても、その前に時期的な問題があって、貿易の自由化ということが、また大臣が考えられているような生産事情が国際競争に勝ち得るような事態になるまでといっても、その以前に私は強く要請されたために、それ以上に延ばすことができないということになった場合にどうなるか。結局は貿易自由化という風にさらされるのではないかということを考えるとき、生産性向上の過程において、そういう冷たい風にさらされるということになったら、こういうふうに心配されるのです。これは私だけの心配ではないと思うのですが、私はガットの承認は得られるものだろうかどうかという見通しも、しっかりした見通しを立てておくべきではないかと思うのです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) お話しの点ごもっともです。これは日本だけじゃないんですね。外国におきましても農業国におきましてやはりガットの承認を、国内事情を十分了解した上で取っている実情です。日本だけが欧州共同市場を形成している各国における農産物保護に基づく関税なり輸入制限をしておるということの例外で、日本が押しつけられるとも思わないのです。その点では日本もいろいろな努力をいたしつつ、かつ日本の農家の事情から見て、保護しなければならぬ事情はよく説明することによって、ガットの承認を得るということは、あたかも他の国が承認を得ていることと同じ形だと思う。それはいろいろ心配することは当然でありますけれども、常に日本は許されないという前提に立っていくこともいかがかと思うのであります。これはわれわれの努力かと思うのであります。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 そういう心配と、いま一つの考え方が心配になるのですが、これは私は今年の正月でしたか、前の農林次官の渡部伍良さんの年頭のあいさつかなんかに出ておったのですが、それはこういうことなんです。農作物に対して国が慎重な態度をとって、貿易自由化にさらすということは簡単にやらないが、しかし、一面には農業機材といいますか、農機械といったものが安く国内に入ってくるのだ。一面にはそうすれば安い農機具を輸入することによって安上がり農作物を期待できるのではないか、生産性も高まるのではないかと、こういうことが考えられる。だからといって、安いものが入るからということで、農機具ばかりを輸入されるわけにいかないのだ。当然それに付随して農作物の輸入ということも当然考えられてくるのだということが発表されておったのを私は見たことがあって、こういう方面からも心配されて、そういう大臣が考えられておるような、生産事情が許される事態までということを言っておられぬのではないか、実際問題として。農業機材が入ってき、これとあわせて農作物の輸入ということも当然早急に行なわれるのではないかという心配も、そういう事情の中から出てくるのですが、そういう面に対する何か対策といいますか、考え方がありましたらお伺いしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) それはお話しの点ごもっともで、この貿易自由化が世界的の大勢になっておることは事実です。また、そのことが日本の不利だけでなくて有利な面もあることは御指摘の通りだと思うのです。しかし、ただいま申しましたように各国とも貿易自由化をやっていながら、その国の事情に基づいてその国の農産物保護ということはやっておる実情であります。そういう点については、日本の特別事情をよく説明し、了解させて承認を求めることもできると私どもは思うのです。現状において外貨保有高の現状からして、もう日本はあまり輸入制限等をやる必要はないじゃないかという要求があるに対しても、やはり先ほども申しましたような酪農製品のごときも、これはまだ自由化されておりませんし、まだこれは当分続けていくつもりですから、そういう事柄を考え、見合わせまして、これはあとう限りの努力をして農業者に不利を与えないようにし、また先ほど申しましたように輸入制限措置のほかに、関税を引き上げるというようなことで農業者の保護を考えるとか、いろいろの手は私はガットを通じても打てると思うんです。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 昨日長野県へ参りまして、十人の直接生産に携わっていらっしゃる諸君からいろいろ意見を聞きました。そのときに、大体十人の諸君が共通的に希望されたお話は、価格問題と教育問題という二つに私はあったと思うんです。そこで、価格問題につきましては、今まで私もお尋ねいたしましたし、他の委員からも繰り返しこのことについては質疑がございましたが、昨日リンゴ生産をやっていらっしゃいまする壮年の方から具体的に例を出して、非常に心配をしておるんだというお話もございました。それは、昭和二十九年に単位当たりのリンゴの平均価格が五十五円であった、ところが昭和三十三年には同程度のものが四十一円に値下がりをしておる。で、この間に生産の量としては、三〇%ぐらい生産量はふえておる。ところが、ただいまの成長部門として果樹が指向されておるということから、昭和四十二年には大体二十九年対でありますると二九〇%、約三倍に伸びるということが予測せられると、こうなりますると、昭和二十九年——昭和三十三年の間における三割の生産増に伴い価格の上に現われた現象が、こういうことであるとすれば、四十二年の結果は非常に心配でたまらない。こういうことに対して、基本法は一体どういうふうに始末をしてくれるであろう、こういう点にあったと思うんです。そこで、結論的には私どもしばしば申し上げました生産費を補償し、所得均衡の観念に立つ価格形成というものが約束されなければ、ただ単に成長部門だとか、選択的拡大とかということだけで、その方向に全力を傾注するわけにはいかないという心配を、非常に多くの人が持っておることがはっきりした。これ、一体どういうように考えたらいいのか。そこで問題は、長期見通しに立つ需要の関係から、生産の調節をするということに発展するかと思います。あるいは生産費を低減するような諸施策が講ぜられまして、価格は低下しても、所得としては影響はないんだというように考えていくのもあろうかと思いまするが、不特定多数のこの農家の生産の上に、そういうことは口では言いまするが、実際問題としては非常にこれはむずかしいと思う。で、この不安を何らか解消してやるということが、当面としては本法成立のために非常に重要なポイントになりはせんかと思う。これが一点です。  それからもう一つは、教育の問題についてこれは非常に議論されました。それは最近の長野県における情勢から申しますると、もうほとんど青少年で農業に残る人がなくなっちゃった。この状況をずっと取り進めていくといたしますれば、長野県における将来の農業生産というものは、非常に労働力も老化いたしまするし、質の悪い労働になるということで、おそるべき不安が現われるであろうと思う。そのためには、何といたしましても農村に労働生産性の高い人材をとどめておくということが非常に大切なんだ。その基本法にも、そういうことについて「施策を講ずる」と言っておるが、ほんとうに魅力を持って農村にとどまる人材を養成するという点について、一体何を考えてくれるだろうかという問題を盛んに指摘されておりましたが、この二点についてまず一つ大臣の御所見を伺いたいと思います。非常にむずかしい問題ですから、そう簡単に手のひらを返すように、こうやるというお答えは出ないと思います。出ないと思いますが、一番この問題が十人の諸君共通に心配し希望されておった点ですから、どんなことを考えておるかお伺いしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) まず、第一のお尋ねにお答えいたしますが、なるほど従来は需要という面を考えずに生産が進められておった面が多分にあります。私はよく言うのでありますが、蚕糸対策あたりで、どうも売れなくなった、大いに桑園を整理するというような行き方、これはやむを得ずとった処置かもしれませんが、同時にもっと蚕糸の需要増加の方面に対して手を入れる必要があろうし、またその需要増加に沿うて生産を進めるということが一つの行き方である。ともすると、従来は、景気がいいからふやせふやせということでふえたものが、また影響を受けております。そういう意味からいうと、やはり今度の問題におきましては、果樹等について、輸出カン詰になって出ていくというものはどういう形で伸びるか、その方面への品質のものを増加するとか、国内でも現実において消費が伸びるというものを考えて、それに相応した形に生産指導していくということが、私は根本に必要だと思うのです。その政策をとりつつ、やはりくだものも御承知の通り天候等に支配される関係上、ある程度の見込みを立ってやっても、なおよけいできる場合もあろうし、反対にできない場合もあろう。こういう場合において、価格をどういうふうに安定させていくかということについては、十三条の規定等によって、それぞれ必要な場合において、保護制度を作る必要があれば作っていこうというのが今の考え方です。私はくだものがいいからといって、何でもかんでも、どんなくだものでもというわけではなかろうと思うのでありまして、内地における需要の伸び方、外国への輸出カン詰等における原料として生産するもの、こういうものが地域別にどういう指導をしていくかというところに、今度の総合計画を立てていって、そうしてそれに相応して、そして必要があれば価格の安定政策を考えるということが必要になってくるんじゃないか、たくだものの価格は、桃は何ぼの価格を支持する、あるいはナシはどうすると、こう言いましても、これはなかなか、何だか抽象的な言い方ですが、それはほとんど私は不可能だと思います。ことに腐敗性品である果実というものを、どういうふうに指導していくかということは、これは非常なむずかしさがある。おそらくそういう場合においての需給調節というものが、生産後において起こるとすれば、豚とかというものと同じように、あるいは乳製品と同じように、カン詰を作って供給量を調整するというようなことが必要になってくるかもしれません。しかし、これはただ今思いつきで言うてはいけないのでありまして、これは果実の生産というものについては、従来と違って、需要というもの、それは国内の需要と外国の需要というようなものをかみ合わせつつ生産を指導していくことをまず第一として、その後における経済事情によって、価格をどうしたらいいかという具体的の問題が起これば、その品目別に考えていかなければならぬじゃないか、こういうふうに思っております。  それから第二は教育の問題です。これはお話しの通り、ここで思いつきのことを簡単に申し上げることは避けたいと思います。しかし、たびたび問題が出ておりますように、また私ども痛感しておりますように、今後における農村に、農業技術なりあるいは機械の技術というようなものを習得し、あるいは農業経営というものをいかなる形にあるべきかということ、いろいろなものを指導するために、やはり農業教育というものが非常に必要になってくると思うのです。で、実はあちこちから問題が出ていますように、各県の農業高等学校は、生徒が入る人が少なくなって、先生がどうも仕方がなくなって、地方から俸給だけ出してつなぎとめるのに一骨だということを聞いております。こういう問題を通じつつ、農村にしっかりと腰を据えて、残って、農業を推進しようとする者に対する農業教育をどういうふうに今後していくか、またはそれに関連して、県内における農業高等学校の制度をどういうふうに持っていくかということについては、今日文部省とも寄り寄り御相談をしているようなわけでございます。何か成案ができますれば、次の段階に御審議願うようになるかと思います。これは予算上の措置、法制上の措置、いろいろ伴うわけであります。真剣に今農業教育問題については検討をいたしておる最中であります。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 前段のは、今大臣のお答えで抽象的にはその通りでよくわかるのです。それ以上には言えぬと思いますが、その後の、桑園、桑の数字をあげて現実の問題として詰め寄ってこられると、改善を何とかしてやらぬと非常に不満感が残る。というのは、申し上げましたように、リンゴは昭和二十九年には五十五円しておりました、昭和三十三年には四十一円に二〇%相場は下落しました。その間における生産の伸びは三〇%であった。ところが、今長野県における状況は、果樹というものは成長部門だ、長野県としては選択的拡大ということで、おそらく地方庁も農業団体もであろうと思いますが、非常に奨励をしているので、昭和四十二年には約三〇〇%近くも生産ができるというような状況になっておるのだ。四カ年間か、五カ年間のうちに三〇%生産が伸びた。これはもう事実なんです。結果です。その間において国民の生活水準も上がってきて、くだものを需要するようになってきた。需要の増加はあったわけです。にもかかわらず、値段としては二割下がりました。こういう事実に立って現にずっと進行しているのを想定すると、昭和四十二年には約三〇〇%の生産になる。その場合、一体価格はどうなるかということを、これはわからぬことではありまするが、非常におそろしくて、安心してリンゴ作というものをやっておれなくなるような心配がある。こういうことに対して一体どう始末がしてもらえるのだろうか。私は抽象的なあれとしては、その間に肥料の値段を下げるとか、農薬の値段を下げるとか、生産費そのものの低下をはかりますことも一つだと思います。それからさらに技術の練磨によって、向上によっていいものを作るというようにすることも一つだと思います。そういうことをやりましても、こういうように伸びていくという実態をこのままにしておいたのでは、きわめて福沢君の言わんとすることは、最後は生産過剰になって目もあてられぬようになる。ですから生産調整ということが、非常に問題が強く取り上げられてこぬと、選択的拡大は、成長部門だということにおどってしまって、ずっといってしまうということでは大へんなことになる、こういうことを一つは言っておると思います。  もう一つは、今度の麦対策等に見ますように、まきつけてしまったあとで需要が伸びないことだから、買い上げ制限をするとか、あるいは価格は据え置きにするとかということも出てきている。今後も成長部門だとずっと言われておっても、行き詰まってくると麦と同じような措置が講ぜられるんじゃないか。くだもののようなものは、十年二十年という期間を要する作物だからそういうように言われても困ってしまう。こういうようなことが切実な叫びとして出ている。どう考えてやったらいいか、こういう連中は、今度の基本法ではまじめにやっていただきますれば大丈夫ですよということを言ってあげませんと、安心して政府の施策なり、団体の奨励なりに乗ってこないという心配を私は非常に受けた。何か名案がございますれば、一つお示しを願いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) 私は、名案とおっしゃいますけれども、この基本法でもって、すべて政府の力だけでどうするということは、私はなかなか困難だと思うのです。今お話しの中にも出ましたように、また私はこの前からたびたびいろいろな機会に言っておるように、青果物のごとき最も主体性の強い、いわゆるデュアラビリティ、耐久性の少ないものについては、よほど私は生産者の側も考えなければならぬ。だから、私が先ほどからも言っておるように、果樹、蔬菜といったようなものについては、ある程度においては自己生産調整といいますか、これが農業協同組合という農業者の団体によって一つ考えられていくのが、一つのこれからの時期ではないか。今御指摘のように、今日までにおいてもこれは政府が勧奨したのでも何でもないのですが、大いにリンゴがもうかるといってどんどん作ってきた、青森、長野、至るところの県が実際に作っているようです。そうすると、ある程度市場の関係で需給状態のバランスがくずれてくるということになったり、あるいは多量にできて腐敗しそうだから、早く出そうとして競争になってくる、出荷競争になるというところから、値段が落ちてくるということもあるわけです。そういう点はお互いに双方が協力して、理解し合ってやっていかないと、農業基本法ができたから、そういうものはあと何ぼでも作って、あとは価格をどうしてくれるかということでも私は困るのじゃないかと思う。あくまでも、私は先ほど申しましたように、農業者に対してこの法律ができますれば、一つの見通しを立てながら、しかもそれは地域的に見通しを立てながら、青果物、野菜等については誘導して行き、そこへ生産者の団体等による自己調整というものが必要になってくるのじゃないか。私はリンゴとかああいうふうなものについては、大よそ東京市場に出る長野、青森リンゴというものは、どれだけ出荷されておるか、これは一目瞭然にわかるわけです。幸いにしてこれは国の方でもそういう統計が集まっておるようです。そうすると、それは長野と青森のリンゴはどういう形に東京市場に出ておるか、しかも、東京市場の年率何%上昇しておるかということもわかっておる。そうすると、おのずからその地域別における出荷を、まずどういうふうに東京声場に出すかということになりましょうが、しかし、根本的に見れば生産というものに対してお互いに話し合って、この販路の開拓を別途すると同時に、東京市場に向かっての出荷を調整する。すなわち、それに相応した生産を、自己調整するというようなことをやっていかなければならぬ。それに必要なる政府は助成なり指導はやって参りまするし、また、そういうふうなことをやりながら、ある場合においてリンゴというものをいかなる形で貯蔵、保管して、そうして市場における供給量を調節しつつ価格を安定させていくかということも、私は将来考えていいと思います。ところが、リンゴにおいては、かつてはリンゴはだめだと言ったが、このごろはある程度の貯蔵ができるようになって、いつまでにどの程度の出荷をする、どの面を考えて共同保管を必要とするかということが今後は考えられていかなければならぬと思う。そういう面を私どもは考えていって、ともにともに、生産者と国とが一緒になっていかなければ、農業基本法ができたら最大の薬であって、何ぼ作ることも自由だ、作っておいてあとは価格は補償しますというわけには私はいかぬじゃないか。もっとも、果実、蔬菜等に対する関係は、よほどそういう点に対する理解を求めながら、生産指導、出荷指導、経営指導というものが今後の大きな問題になる。そういう面にもまた農業教育という本のに入っていくので、生産に関する技術の指導、教育ということ以外に、農業経営という経営学というものがやっぱり必要なんじゃないか。これも市場と結びついて、市場にも統計市場調査報告、状況調査というものがやはり農業団体によってしっかりつかまえられていくという、あらゆる制度が総合的になっていかないと、ただ価格だけの問題でもって維持していかなければならぬということを考えていくことは困難じゃないかと思う。これは私は、森さんは十分その点は御承知の上で聞いていらっしゃると思いますけれども、私はそういう面を総合的に考えていくべきであって、御設例の三十二年、三十三年の関係で生産がこれだけ伸びて価格はこれだけ割った、こういうことになるから、まず価格は安定政策、補助政策、支持政策をすぐ立てるということに飛んで考えるのはまだ早いと、かように考えます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 最後に価格の安定ということにはなりますけれども、それがゆえに幾らにするということを福沢君が要求したんではないと思うんです。成長部門として長期見通しの事情というものが一応公表せられる。それに従って選択的拡大ということで、適地適産の作業が進められていく。長野県としてはリンゴの適地だということで、成長部門という政府のお示しに従って選択的拡大というので、何か聞きますと、大体現在は国民一人当たりが十八キロぐらいリンゴを食べておるわけです。アメリカあたりになると四十一キロぐらいになるだろうという見当でずっと寄木を植えて増殖をしてきたと。ところが、それが成長部門の宣伝が行き渡るものですから、それで計画以上に植えちゃう。ところが、長野県ばかりだといいけれども、福島県でも栃木県でも始めると、こういうふうになってくると、そこでいよいよ生産過剰という正体が十数年後に起きちまう。そのときにそれが不要な価格の低落を招来する、こういうことになるんじゃないか。それを何とか考えてもらわぬといかぬ。だから、リンゴを五十五円にくぎづけしようとするとかそういうことでなしに、あるべき姿の正当な価格というものが維持されるように考えなければならぬ。そのためには、生産の調整ということが九条にもうたわれておるんですから、そういうことについて政府がほんとに本腰を入れてやってもらわぬと、自分としては一生懸命政府の施策に協力しているつもりなんですが、あっちこっちで始めると参っちゃう、こういうことなんですね。これに対する押えは、現在の産業は自由ですから、押えるということはこれはできない。もし押えるとすれば、そこにまた補償という問題が起きる。その辺にむずかしさがあると思う。それを心配しているんですよ。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) それは、私はお話しよくわかるのですが、第一段は、一つは生産の自己調整から始まると思うんです。しかし、お話しのように、くだものとか畜産が今後伸び得る余地がある生産農産物として見て参ります上からは、そのおのおのについて、リンゴかナシか、あるいは輸出用としては白桃ということがかかってきて、それらについては、全体の伸びが年々伸びて十年先はこうなる、そうすればおのずからお話しのようにどういう地域に適地適産で増殖をはかっていくかということは、指導的立場に立っていく必要があろうと思います。やり方は十分考えてやらなければいかぬ、こう思います。リンゴはもう何ぼでもどんどん植えるんだということになると、これはお話しのように、長野、福島、山口の方もありますが、青森と、いろいろなところでリンゴ、リンゴと言い出すと、これがどうも競合して安くなる。ここらは、私は、自然に今日まででもそういうことが起こっておりまするし、幸いに基本法ができれば、そういう面に対する各地における生産増殖の割合を、指導的にもある程度のめどをつけさせることが必要じゃないかと思います。ただし、これについてはいろいろ自由経済のもとにおいていろんな事情、困難な点もあると思いますが、これらのことを指導しつつ、なおかつ勝手に作って勝手に下がったと言われても、これに対する処置は自分らがみな負わなければならぬ。ある程度指導によっていくということについて、なお経済上の大きな変動によって非常な損をするという場合については、この間からたびたび出ているように、ある種の救済措置を講ずるということも起こってくるわけです。やはり大きなめどは私は示すことが必要だろうと思います。これが新しい農政の行くえだと思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そうしますと、最後は、これはまあ現政府としてはそういうことをお考えになるというお答えはできないと思うが、結論的に私は作付統制というところまで発展しなければ、収拾つかんのじゃないかと思うんです。長期見通しに立ってリンゴならリンゴはどれだけの生産が期待されるのか、需要にマッチする。そこで、その数量を生産するためには適地適産ということで一応の指導が行なわれる。その指導の通りにまじめにやった人が、かえってアウトサイダーのために迷惑をするという結果になったのでは大へんですから、そういうところは生産を抑制するというような統制的な行為まで入っていかないというと、福沢君が言っておったような希望というものは達成ができないということに発展していくのではないか。自由経済だから、一応政府としては指導するけれども、指導の線をはずれて勝手にやるやつは仕方ない、こう言っておると、政府が適地適産と思って指導したところの人が迷惑をしてしまう、こういう結果が起きるわけですかね。その辺は非常にむずかしいと思うんです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) これはよっぽど考えてみなきゃならんと思いますよ。この法律ができたら全部政府にオンブするということだけじゃいけない。私は、今のような形である程度の指導目標、いろいろな指導をして参ります。しかし、自分でこれはいいからといってその指導に乗らずにどんどん作っていく。これは農家の方も責任を負わなきゃならんと思います。農家に対してはある程度指導上大局的にわからん点があろうから、一つの目標なり指導はするけれども、それでも乗り越えてやるかやらんかは、農家にあるわけですね。それをどんどん統制しなければよけいになって困るというふうなお話もごもっともですが、私は今戦時中のような統制経済をやっていって作付統制をするという意思はございません。しかしながら、これは現実の指導として農家の方に、これだけ農業品は要るんだ、カン詰めなら白桃ならどんどん伸びていく、これを岡山と広島でおもにやってもらいたいというような指導は私はしていっていいと思う。それを乗り越えて、ほかがいい、わしも抜けがけでやっていこうといって、みなが迷惑をするというようなことは、国民的に考えさせるように農民を指導していかないと、農民という方々はもうなんにもわからない人であって、政府の言うことを聞いて動いているので、経済の事情はわからんでよろしい、統計も見んでよろしいというようなことに農民を育てていっちゃいけないと思うんですね。こういうことはむずかしい問題でありましょうけれども、農家を啓発していき、ほんとうの農政、自分らが自分らを守るということをやっぱり自覚さしていってやっていかないと、工場生産と違う点はそこにあると私は思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 この問題は非常にむずかしい問題で、そういう切実な要望がございますので、本法の運営につきましては、幸い第九条に「農業生産の調整等必要な施策を構ずるものとする。」、こういう規定がございますので、自由経済原則に立つ立場におきましては、統制ということはこれはおそらく不可能であろうと思います。か、しかし、ここに九条に言う「調整」とは、やはりこれは福沢君が希望いたしておりますように、国家経済、国民経済の関連から政府では長期見通しを立てて農民に生産を要求されると思います。その要求が完全に果たされていくということについては、かなりこれは高度の指導が加えられなきやならんと思う。それを放任しておきましたのでは、かえってまじめな農民諸君が迷惑をこうむるという結果が生まれると思う。この辺は、もうこれ以上やっておりましてもいけませんので、善処を願いたいと思います。  そこで、きょうの主題になっております四章、五章でお伺いいたしますが、第二十条で工場の地方分散ということが出ておると思うんです。このことは、日本経済全体の高度成長を達成して参りますためには、非常に大切なことであろうと思いまするし、また、自立農家を育成するという観点から申しますと、そういう方面にある程度農村の生産労働力が吸収せられまして自立農家がまとまっていくというようになることでありますので、よく抽象的には理解はできまするが、農村に工場が出てくるという結果は、今でもすったもんだが起きておる。工場の種類によりましては煤煙だとかいろいろの問題、農業生産物に非常な害毒をもたらす、現にそれは大きな問題になっておるんですね。今後工場が全国的に地方農村に分散せられてくるというと、そういう問題が一つ起きると思うのです。今もってこの問題は未解決であります。工場から農業生産民に危害を与えておる各種の問題については、今もって未解決である。これを解決する具体策を持ちませんというと、広く農山村に工場を分散するということは問題が残ると思うのですが、これに対してどういうようなことをお考えになっておるのか、今まではいろいろ言われておりまするけれども、私は具体的な対策というものは立っていないと思うのです。法律はできましたが、調査中とか何とかかんとかで、じんぜんと日を送っているというだけで、ほんとうに農業生産の上に危害がなくなっておるという姿というものでない。今後それが非常に増加していくということを心配をするのです。結果としては賠償の問題、その他の問題も非常な問題が起きて、これはそのことのために指導陣営が忙殺されてしまうという問題が起きると思うのです。必ず起きると思うのです。それは一体どういうように事前に始末をするということになりましょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) この点は御指摘のように、今もって工業と農業、水産業の国民経済に及ぼしておる比較研究によってどちらをとるかというような問題も、私は将来研究していかなきゃならない。そういう場合に、もし他の工業の方が国民経済に寄与する点、増進のためにいいとなれば、むしろ農業生産事業が工業に移っていくかわりには、そのかわりにそれに対して補償をする、あるいは優先雇用の道を新規の工場にとらせるとかいうような方法が新しく考えられなくちゃならぬと思います。同時に、そこまでいかないでも生産は続けられるが、損害を与えるという程度であれば、これはそれに対して従来種々の法律ができておりますから、この基準が早く設定されることをもって、補償、損害賠償という程度で進むべき部分もあろうと思います。こういう点はお話しのように、未開発地域において、あるいは農山村地帯において工場の誘致をしてくれということは、農村地帯の要求でもあるわけです。その点は今後において農業に与える影響面というものは十分私どもは対策を立てていきたい、こういうように考えて、水産業等に関してはむしろ場合によっては特殊な地域においては工場の設置というものに関しては、許可制度をとるというような必要もあるのじゃないか。これはまだ研究中ですから確定してはおりません。そういう守るべき地位は守り、それ以外のところにやはり考えられるべきものは考えつつ、補償制度なり、優先雇用制度というものを考えられないかということも研究の対象になっております。しかし一がいに害毒を与える工場ばかりもないので、まず考えられることは、この間も申しましたように、農産物加工ということにおいて、くだものの輸出に関して、できるならばくだものをなまのままで、品質が下がるものは、むしろそれをカン詰に加工し、あるいはジャムにいたし、ジュースにいたし、これを国内あるいは輸出方面に向けていって、付加価値を増加するという工場の関係に農村工業を持っていくということが必要な点であり、また畜産というものは、伸ばす方からいえば、豚というものは国民に対して蛋白、脂肪を供給するものとしては私は一番手っとり早いものだと思う。しかしこれをなまのままでといいますか、肉のままで食べるか、ハムに加工していくか、ソーセージにするかということが、今度は非常に社会構造が変わってきた点であり、非常にインスタントの食料として、即席食料というのでだんだん出てきますことは、価格というものとにらみ合わせつつ非常に需要が伸びているわけです。こういう加工工場というものを、農村自体に農家の段階で持つか、あるいは他の産業資本会社の方から出てきて工場を作るか、いずれにしても加工工場というものを誘致するということは、必ずしも農業に害毒を及ぼさないものもここにあるわけであります。まず私どもはそういう点は優先的に考えていく、そうしてできれば農産物の加工によって所得を上げることを考えるということが必要であろうと思う。そういう工場がそこに誘致されるということは、その周囲における蔬菜というものの売り上げというものが非常に大きくなることは、各地における、工場が出てきた地域における現実の姿だと思う、そういう方、面は考えて措置をいたしたいと思っております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そういう善意なものはいいのですが、   〔委員長退席、理事櫻井志郎君着席〕 現在税法の関係から固定資産税というものが市町村運営の税収の主力をなしている、それに次いでおそらく国の交付税、交付金がまた主力をなしていると思います。この税の建前については、この地方の自治体という観念からは、基本的にはまだ研究しなければならぬ問題が残されていると思いますが、現行税法のもとにおきましては、今大臣のお話しのように農産物加工というような工業よりも一般的な工業といいますか、そういう工業の方が市町村の運営という面だけから申しますると都合がいい。ところが市町村合併の結果、地方行政の上における政治力というものが、農民の手からむしろ非農業者の手に私は移ったと思うのであります。以前の農村でございますれば、純農村等におきましては、農民という同じ方向に属する人がその市町村の運営の衝に当たっておったと思いますが、市町村合併の結果は、広区域になりましたので、おおむね農民の手から非農民の手に市町村の運営の実権は移っていっていると私は見ております。そういう結果は必ずしも大臣おっしゃられました方向ではなくて、工場誘致ということが、市町村の税収というものを多くするという一点だけに集結をして取り進められているというのが、私は現実だと思うのでありますが、そうなりますと、ともいたしますれば企業のために非常に被害が与えられるということは、これはもう町村のためというような別の観点から抑えつけられてしまっているという空気を見るのです。文句を言えば、それは町の発展のために、市の発展のためにお前たちは文句を言うかということで、農民の叫びというものは、ややもすれば抑えられがちである、政治的に。そのことは非常に私は問題でもございまするし、将来工場の地方分散ということが取り進められるという過程におきましては、しばしば繰り返されて発生をしてくるであろうと思うのであります。そのことをこの基本法はよほど慎重に見守ってやらなければならぬ、こう私は思う。そういう点について無計画であってはならぬと思うのです。そんなことについて一体構想がおありであるかどうかですね。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) この二十条には、簡潔に地方における工業等の振興に関して必要な施策を講ずるということで、地方工業の分散ということを書いております。従ってこれに基づいて私どもは農村の生産物をより高く売るためにも、加工工業というものをみずからの手で設けるということも考えまするし、またある意味においては、所得の増加にも関係するわけですが、先ほど申しましたように農村にその他の工業というものが誘致されることによって、農外所得の獲得にもなり、またその地方における蔬菜園芸というものの需要増加というようなものにも関連をいたすことにおいても、工場の誘致というものが一つの考え方であり、工場が誘致されることにおいて今御指摘のように、なるほど地方における固定資産税等の収入ができ、町村財政がよくなれば、半面、町村民の租税というものが軽減される機運を与えるととにもなります。また、そのことによって農村が非常によくなり、一つの工場が置かれることによって、その工場に勤めて技術を習得するということにもなって、よりよき職場を与えられるということにもなる。私はその意味においては、工場の誘致というものは、御指摘のように、害毒を流すというものに対する、害毒といいますか、   〔理事櫻井志郎君退席、委員長着席〕 農作物に害を与えるというようなものについては、それについての補償問題を考えながら、また先ほど言ったようないろいろな将来の問題を研さんしながら誘致をいたすことは当然でありますけれども、それらに関して慎重な態度をとるということは当然でありますけれども、私はそのことを考えることは必要だが、工場の誘致というものが農村の発展に寄与するものが多い、こういうことを考えてこの法律ができておるわけでありまして、いろいろ御指摘のような心配はないとは申しませんし、その心配に対しては十分これから施策をとることによって、その施策は何かということは、それぞれの地方にいかなる工業を誘致するかということで、私は、対策を立てていくべきだと、かように考えております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 どうもすらっと正面だけ見ておりますと、けっこうなことのように思います。現に地方に分散されている工場のために、農業生産の方にはいろいろな問題が巻き起こっておる。さらに農民も、市町村行政の上に要望いたしますることも、工場の進出等によって、市町村の運営が税収の面から非常に都合がよかったということで押えつけられておる。こういう事例もあちらこちらにはたくさんございます。それからそういうことによって、まあ質実剛健ということは今言ってはいかぬかもしれませんけれども、そういうような伝統的な農民の気持というものが非常に変わっていくということも、これは大切な、見のがしてはならぬ問題だと思うのです。ですから、工場の地方分散という点については、ただ単に日本経済の高度の成長をはかるためには農村が犠牲になるというようなことにならぬように、十分一つ注意をしていただきたいと思うのです。私の見ておるところでは、今までも日本経済の成長発展にそういう面ではかなり、私は、農村は犠牲になっておると思うのです。目の先、賃金がもらえて非常によかったというようなことは、ないとは言いませんが、それらの多くの人々は大体、社外工か臨時工で、ほんとうに社員として定着をしておる、職場が与えられておるものじゃないというように見ております。そういう点については、いやしくも工場が地方に来るということであれば、その犠牲が農民の上にしわ寄せされるということははっきり覚悟して、社外工や臨時工であってはならぬというくらいのことは、これは要求するくらいの、何か、制度といいますか、これはむずかしいことですけれども、考えてもらわぬと、ちょっと賃金をもらってよかったということは、それはほんとうに安定した賃金ではないということに私はなる危険性があると思いますので、この点は十分一つ御留意を願いたいと思います。  それから二十一条に、環境の整備をやる、これはもう非常にけっこうなことなんで、文化的な生活が営めないところに、農村の生活を忌避していくという面があろうと思いますので、環境の整備ということは、青少年の諸君が農村にとどまって国の要請にこたえるように生産にいそしんでいただきまするためには、すみやかにこれはやらなければならぬことだと思います。これは方向としてはいろいろな問題が考えられまするが、今一番農村でこういう点から指向されます問題は、今までも政府が取り上げてきておりましたけれども、水道の問題と道路の問題、それから、私は通信の問題だと思うのです。そこで、道路の問題は、これは道路整備新計画が立ちまして、農村の方にも漸次及んでいくと思いますから、これは別の問題といたしまして、水道の問題について、今までも厚生省を通しまして、いろいろ助成等の道も行なわれておりますが、こういうことをさらに急速に拡充をして思い切ってやっていくということが必要だと思うのです。  それから通信の機関としては、有線放送の施設が各地に進んできました。ところが、これが予算委員会のときにも、郵政大臣にお尋ねいたしましたけれども、現在の公社の経営に属しておる電話に非常な影響があるからということで、農村の有線放送電話施設は、非常な制約を受けておるのです。こういうことがいつまでも要請されるということでは、環境整備をするということとは逆な結果が生まれてくると思いますが、こういう点については、本法実施の暁におきましては、そういうような、われわれとしては納得のできないような制約というものは取りはずすということが可能であるのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) 二十一条の環境の整備についてお尋ねでありますが、御指摘のように、この中には、道路あるいは水道、上水道のみならず、下水道の問題を考えておるわけです。屎尿処理の問題を一体どうするかという問題が今後大きな問題になります。それから上下水道の整備、それから今御指摘の通信の関係、無電話部落の解消、それからこの中には無電灯部落の解消というようなことも考えております。それから電気の、動力関係において、今私は研究を命じておりますが、かつて山村に大きな電気会社がなかなか電気を引っ張ってくれない。そういうところには、点灯並びに動力関係においても考えてやらなければならぬのじゃないか。それならば、簡易な施設で、農業協同組合等あるいは市町村が持ってやる発電なんというものを、昔のように農林省がこれを指導許可していく、こういう面についても考えていく必要があろうと思いますので、農林省と通産省の間で調査の関係で百五十万円ほどあったと思いますが、何か相当予算を組んでおります。これなんかも、そういう面の整備をやろうという一つの前提でございます。  それから、今の通信の問題でありますが、これは有線放送というものができて、あれは、たしか受信の方、受ける方はいいのですが、ところが今の有線だけでは、自分から発信する方はちょっと制限を受けておる、こういう関係を、一般的な電話に結びつけて考えていく必要があろう、これは郵政大臣もすでに踏み切っております。私どももそういうことを考えながら、無電話部落の解消ということも頭に置いておるわけであります。こういう点につきましては、その他こまかく書いてございますが、各省がこの法案実施の暁におきましては、農村の発展のために、他の省が農村関係の問題に予算を組み、考えを入れてくれる、ここに総合計画を立てたい、こういう考えで政府は今相談をいたしております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 最後に、有線放線電話の今の取り扱いでは、別に法律のような規則はございません。ございませんが、一つの農村で役場とか駐在等もございまするような中心地点は、おおむね市街的な構成をしておるわけですね。そういうところにも農民は所在するのですね。全村で考えますと、大した普及はしておらぬ。だけれども、中心地点が相当普及しておる。そこでやりますというと、普及率が戸数に対して一七%ですか、以上ございますと、その町村には有線放送電話施設は認めないということがあるのです。そういうことでは、これは問題にならぬ。同時に、かりにその一七%以下でございましても、その構成されておる市街地の中だけは除外区域にする。その中にやはり組合員がおったりして、同じ組合員であっても、その地域の人たちだけは、その恩恵に浴し得ないという不公平があるのです。これは理屈ではなしに、現実なんです。こんなつまらぬことは、郵政大臣も踏み切っていらっしゃればけっこうでありますが、これはすみやかに、そういう規則にも、法律にもない、ただ一般電話の普及に支障があると、端的に言えば、公社の方が損をしてしまうから、そんなところにやられては困るということだと思いますが、そういうことは一つやめてもらわぬと、環境整備をやるのだという基本法にお題目が上がっておっても、その恩恵に浴し得ないという人たちが残ったのではおかしいのですが、これはそういうように処置していただけるものと、こう考えてよいと思いますが、どうでしょう。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 不合理な面は矯正するように持っていきたいと、こういうように思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そういう方向で一つ整備をしていただきたいと思います。  その次に、二十一条に、基盤の整備、開発をする、そうして最後に助成をやると、こういうことが明確に規定されておるのですが、ここで自立経営をやって参りまするために、あるいは協業経営をやるために、基盤の整備、開発をするのですから、その基盤の整備、開発の結果が、経済的に成り立つ条件のものでなければならぬことは、これはもう当然だと思うのです。ここで指導、助成を行なうという助成の範囲は、開発なりあるいは整備に要する費用というものに対して、収益から換算をしたギャップの部分だけは、国家が全部助成するということのように私は伺うのでありますが、今までの農地の開発その他の助成規則をはずれて、所得を均衡せしめるように持っていこうと、そのために自立農家なり、協業というものを育成していこう、それに必要な基盤の整備ということについては、どこまでも所得の確保ということが目標にあるのですから、収益換算のワクをはずれた農地の開発、整備ということは存在をしないと、理論的には思うのです。でございますから、その助成ということがここにはっきり言われておる以上は、その食い違う部分だけは助成をしてやると、そういうように理解をしたいと思うのですが、これはそういうことでしょうね。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 構造改善事業としてやります農業生産基盤の整備、その事業に要する助成は、普通の土地改良等とは別個の助成をしたらどうかと、こういうお話だと思いますが、今後の構造改善事業の動かし方ということについては、いろいろ問題があると思いますけれども、研究はして参りたい、こう思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 研究はもちろんしていただかなければなりませんが、研究の結論がそこに行かぬことには、これは経済的に成り立たない整備をやらせてみたり、済経的に不合理な開発をやらせてみたりということになって、問題はあとに残っちゃうと思うのです。これは予算との関連の問題ですから、予算を十分取っていただけますればいいと思いますが、予算を取るには、その基本的な観念が整理されませんと、予算を取ることにはいかぬと思うのです。ですから、収益から換算をした合理的な開発あるいは整備ということをやらせるのだ、それに必要な経費というものは国がめんどうをみてやる、こういうことになると思いますが、そうじやないのでしょうか。そうでなければおかしいと思うのです。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) 今の御質問の点でございますが、理論的に詰めて参りますと、先生のおっしゃるようなことも当然出てくるかと思います。今の私どもやっております、たとえば土地改良でありますとか、そういうものの補助率は、先生のおっしゃるように、きめがこまかいといいますか、そこまでは至っておらぬことは事実でございます。先生のおっしゃるようにして参りますれば、所得が相当上がるものについては、たとえば補助率を下げますとか、そうでないものについては上げていくとか、いろいろなもう少し改善をやる必要があろうかと思います。現実に北海道等につきましては、三十六年から水稲と畑作につきまして補助率を変えたというようなことがございます。この問題は、いろいろ影響もございますので、もう少し、今やっております補助率についての改善につきましては、これは検討して参りたいというふうに思っております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 それから十五条でしたかに、家族経営で自立経営が成り立つようにするのだと、その中に正常な家族の数で正常な能率を上げていく場合においては、そういう条件で完全に就業ができる、そうして所得が他産業と均衡する。その所得の均衡とはということに対しては、繰り返し御説明がありまするように、大体百万円見当まで持っていこう。その場合に、通常の耕種農業では二町五反程度のものが目標になっているようですが、この二町五反というものは、百万円という所得の面だけから考えて二町五反ということが一応出てきたのか、正常な能率を上げた正常な労働ということが前提でこういう結論が出てきているのか、どっちか、両方とも勘案してそうなっておるのだということなのか。と申し上げまするのは、今後健康的にして文化的な生活を営むことができるようにするということでございますれは、理論的には、農家も一日八時間労働で正常な能率を上げるということになると思うのです。といたしますると、おのずから一カ年間の労働時間というものは見当がつくと思うのです。そういう想定される労働で二町五反というものをやれば百万円の所得になる、こういうことなのか、そういう基礎計算はどこに置かれておるのか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 倍増計画で、二町五反で粗収入百万円ということを言っておるわけでありますが、そういう非常に大胆な推定をしておって、何時間どう働くのだ、どういう作物を作るのだというようなこまかい計算はしていないように私ども承知しております。私どもは、自立経営という場合に、今森先生のお話でも引用されたわけですが、この二町五反というのが、私どもの基本法をやる場合の自立経営の十年後の目標の姿なんだというふうにはおとりにならないでいただきたいと、こう思うのです。もちろん、倍増計画で大胆にああいうことを言っておりますことは、私どもいろいろな施策を進めていく場合の一つの参考にはなると思いますけれども、あれが即われわれの基本法の目標だというふうには考えておりません。ですから、今お尋ねの自立経営の定義を十五条でしておりますけれども、あの場合に、正常な能率で年間どのくらい働くのだというような計算はないわけでございます。ただ、私ども自立経営という場合に、正常な能率で年間どのくらい働くというようなことを言います場合には、外国の例でありますとか、あるいは他産業従事者の年間の労働時間でありますとかいうようなものが、一つの参考にはなろうと思いますけれども、他産業従事者は大体年間平均しますと二千四百時間ぐらい働いておるわけであります。それから諸外国の自立経営というようなものを考えました場合にも、まあ少ないところは二千時間くらい、多いところは年間三千時間、二千七百時間くらいと考えておりますが、大体まあ二千四、五百時間というような辺が見当じゃないかと、こういうふうに思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そうしますと、正常な能率を発揮するような近代的な仕組みになっておるといたしますれば、通年二千四百時間前後勤労することによって、所得は大体他産業に均衡するようなことになり得るのだと、こういうように理解してよいかどうか。もちろん、その経営規模は、耕種農業の場合と畜産の場合と温室栽培の場合といろいろ異なりますので、経営規模二町五反歩、これは固定いたしません。それはいろいろなあれがあると思います。あると思いますが、大体二千四、五百時間というものの正常な能率を上げた労働ということが前提となって、今後の施策というものは進んでいくのだと、で三人労働力のある場合には大体八千時間弱という労働をすると、その労働を完全消化していく経営形態というものが好ましい姿だと、こういうふうに理解していいかどうかということなんです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) ただいまお尋ねの年間どのくらいの労働時間であろうかということは、むしろここに書いてございます「ほぼ完全に」ということの理解のための一つの材料になろうかと思います。そこで、今お尋ねのようなことで、ほぼ完全に正常な能率を発揮しながらと、こういうことになりますと、正常な能率というのは、この間お話ししましたように、これは仲原委員からのお尋ねでお話し申し上げましたように、まあ普通言われますことは、単位面積当たり、あるいは家畜一頭当たりの投下労働時間というようなことで計られると思いますが、そういう投下労働時間が、まあ平均以上のものなのか、あるいは技術水準で申しますならば、普通以上の技術水準で普及によって、普及可能なものというようなところが見当になろうと思いますが、そういう正常な能率を発揮しながら、「ほぼ完全に就業する」こういうことで、今おっしゃられたように他産業従事者と均衡のとれた生活ができるような所得が得られるような、そういうことをまあ自立農家について考えております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 逆に聞きますと、農村生活で、健康で文化的な生活を営むために想定し得る年間労働時間は二千五百時間であるというふうにいえるかどうか。逆に聞きますると、今基本法でいろいろ考えていくときに、やはり労働問題を考えなければならぬと思います。ですから、あるべき正常な能率を発揮しながら、文化的な健康な生活を営むというこれは一応前提があるのですね。そういう前提に立って考えた場合に、農村における正常な労働時間というものは、通年二千五百時間ぐらいが正しいのだと、そういうことを目途として営農計画を考えていくべきであると、こういうように理解していいかどうか。これは今後構造を考える場合にもむろん基礎になると思うのです。そういう科学的な何か理論づけたものがございますれば、一つ公表して下さい。で、私が想像いたしておりまするところもそういうことなんです。大体一年の労働時間が、うるう年は違いますが、普通の年は八千七百六十時間なんですね。その八千七百六十時間から睡眠の時間と食事の時間を一日十時間として引きますると、三千六百五十時間ですから五千百十時間残る。この五千百十時間を全部働けません。これはいろいろな公民として、国民として、地方民として当然いろいろな集会だとか、修養、娯楽の時間だとかありますから、そういう時間を、僕の郷里あたりで三十四、五才程度の営農の中心になっておる、まあ高等農林学校卒業程度の諸君の労働日誌からずっと推察いたしますと、農協の総会だとか、部落の集まりだ何だかんだありますね。そういうものを引いていきますと、大体二千四、五百時間程度はそういうような働けない時間といいますか、があるのです。五千百十時間というものからそれをとりますと、年の平均二千六百時間くらいになる。だから二千四、五百時間というのが一応私の計算では出てくるのですが、そういう何か、今度の営農において所得均衡という線に持っていきまするために、そうして「健康で文化的な生活を営む」という前提に立って考えた場合に、何か役所の方でそういう理論的なものがあるかどうか。ありますれば、それを基礎にして営農計画なり構造なりというものを考えていかぬというと、ただむやみやたらと法律案件をふやしていっても、老朽労力でやるときは自立じゃございませんから、もちろん機械を入れて近代化することは断然です。当然ですが、自立農家ということでありますれば、家族の正常な労働力を完全消化するというところにあると思うのです。だからそういう理論的なものがないというと、進めていくのにも進めようがないのじゃないかと、こう思うのですが、何かございませんか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 私、時間数を申し上げましたのは、ほぼ完全に就業しているというのは一体どういう状態なんだろうかということについて、たとえば時間で表わせば、先ほども幾つかの例を申し上げましたが、二千四、五百時間になるのじゃないか。それからまた今の森先生の八千時間からのいろいろの考え方で差し引いてこのくらいになるのじゃないかということだから、また二千四、五百時間になるのじゃないか、ほぼ完全にということがなるのじゃないかということが、あるいは数字としては言えるのじゃないかと思いますけれども、しかし数字をあげて、これがそうなんだということはなかなかむずかしいと思います。そうしてこういうほぼ完全に就業する状態が、非能率な状態であって就業しているような規模であるならば、自立経営農家ということは言えないのだと思うのです。そういう意味で、正常な能率を発揮して、正常な家族構成ということは別にございますけれども、今言われたような意味で、ほぼ完全に就業するならば、所得というか、生活均衡ということが他産業従事者ととれるというような、そういう規模の農家の自立経営というのだということを言っているわけです。これはまことに抽象的な概念であって、いつかもお話し申し上げましたように、営農類型というようなものを自立経営育成の一つの施策として打ち出していかなければならないというふうに私ども思っておりますが、なかなかむずかしいことではありますが、そういう方向で考えていきたい、こう思っております。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 関連、今の農村の農民の働く時間ですがね、農林省の方で、現状の農業経営において、農家一人当たりどのくらい一日平均で働いておるかということがあるのですね。これは東北、北陸のような単作地帯とか、近畿、中国のような多角経営とか、地区によって非常に違いますけれども、大ざっぱに日本の農民は一日平均どのくらい働いている、こういうのがあるはずですね。一応私はまず現状認識の意味でお示しいただきたいということと、それから森先生の御質問を私はそんたくしますと、今よりも農民がよけい働くようなことのないようにという意味じゃないと思うのです。私はむしろ、これから御発表があると思うが、平均してみれば、意外に今の日本の農民の働く時間は少ないと思う。それは要するにグラウンドがないから働けない、いろいろな条件に制約されて。だからそのグラウンドを整備して、働く時間をもっとよけいできるようにしてやるのが農業基本法だと思うのですが、そういう意味合いで非常に重大な質問だと思う。この点は繰り返して申し上げますが、現状どのくらい農民が働いているか、それから理想数字の一日八時間なら八時間、農民が働く時間を、その差が一時間なり二時間あるとすれば、それを八時間に上げるためにはどうしたらいいかということに具体的になってくると思うのです。これらの点について私の申し上げたことにピントを合わして御答弁願うことが、同時に私は森先生の希望じゃないかと思うので、関連して申し上げます。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) いろいろの調査があるわけでございますけれども、たとえば昭和三十三年の農家経営調査で申しますと、規模別で出ておりますけれども、〇・三町以下、これは労働単位にしまして〇・九六人になりますが、労働単位の労働就業日数が百七十六日、千五百七十四時間、それから少し飛ばしまして、〇・五町から一町までは労働単位としては二・一八人ですけれども、就業時間が二百十七日、千九百四十六時間。それから基本問題調査会で、一町から一町五反層から一町五反から二町層の間、これがもし面積でいうならば現状自立経営に近いものだという表現を用いておりますけれども、これで見ますと、一町から一町五反のところが二・七一人の労働単位で二百四十一日、それから一・五町から二町までが三人ちょっとで二百五十五日、この辺の時間を見ますと、時間は一町から一・五町が二千百五十時間、一町五反から二町が二千五百七十時間、大体二千二百時間くらいの平均になります。二町以上になりますと、三・三八人ですが、二百七十日として大体二千四百時間というような数字が出ております。それから、いろいろな調査がありますが、昭和三十三年の専業兼業別に見た農家経済の概要という調査でございますが、これで見ますと、専業は労働単位としては二・五人、それから第一種が二・五人、第二種が一・五三人、労働時間は専業が二千五百四十二時間、第一種が二千五十二時間、第二種が千七百八十五時間というようなことが出ております。大体そういうことでございます。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 あらためて資料を求めるのではございませんが、そういうのがあるのならば、一つ参考に私はそれをいただきたい、こういうふうに思うのです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 後ほどプリントにして差し上げます。

大河原一次日本社会党

○大河原一次君 関連質問がちょっとずれましてピントが合わないことになってしまいましたが、先ほどの工場分散の問題につきまして、私もやはり森委員と同じような心配をしておるし、昨日の私どもの聴聞会におきましても、一部の人から、工場の分散ということを考えてもらいたい、工場の誘致、設置を望んでおる状態なんですが、私はこういう面は、先ほど大臣はマイナスの面もあるかもしれないがプラスの面もあるというようなことを言っておられましたが、私は今後の農業基本法がきめられて、その中に出てくるいわゆる協業、協業の中におけるいわゆる合資会社、あるいはまた合名会社、そういったものをむしろねらって工場分散というものが行なわれてくるのではないかということ、こういうところに私は今後の心配が出てくるし、ますます工場分散というものが行なわれるのではないかと思うのですが、この場合、これは私は政府の考えている構造改善というものと矛盾してくるのではないかというふうに考えている。矛盾するというよりは、構造改善計画がくずれてくるのではないかと思うのです。私は政府の構造改善計画に対しては意見を持っているのですが、これを私は立場をかえて政府の場合でいうならば、いわゆる構造改善計画がくずれてくるということは、すなわち地方に対する工場分散が行なわれれば、ますます兼業農家がふえてくるのではないかというふうにも考えられるし、同時にまた、自宅から通ういわゆる、いうところの下宿農業というものがどんどんどんどん出てくる可能性がある。そうなればますます私は皆さんの考えられている構造改善計画というものがくずれる危険性がある、矛盾があるのではないかと思うのですが、こういう点に対しては、大澤さんはどういうふうに考えられるか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 初めにお断わりしておきたいのですが、構造改善というようなことを含めまして、私ども、計画を立ててここへ持ってくるのだというやり方をするわけではないので、いろいろな条件変化に応じて手を打っていく、こういうことだと思うのです。これはしばしばお話し申し上げた点なのですが、そういう意味で構造改善をするということのためには、今までの日本の農業経営というものが、零細な、そうして非常にばらばらな分散した土地の上で行なわれているということが一つの特徴であり、しかも、いわゆる過剰労働といいますか、慢性的な過剰人口が滞留して、非常に過投労働のもとの農業が行なわれつつあるということだと思うのです。そういうことが、少ない人間で、広い土地で能率を上げるという農業経営にならなければいかぬわけですが、そういうことのためには、今までいる人が減っていくという、経済成長の過程で農村から都会へ出ていくという、そういうことがあるからこそ、構造改善ができるわけです。またそういうことがスムーズに行なわれるようにいたすについては、いろいろ手を打たなければならないので、そういう手段の一つとして、工場の地方分散ということも考えられるわけです。ですから、過剰であって多過ぎる労働が投下されていたものが、工場が分散されることによって、その工場へ出て働くということは、むしろ構造改善を進める一つの契機になるのではないか、決して矛盾するということではない、こういうふうに思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 今のその点が、私ももう少し追い詰めたかったのですけれども、工場が農村地帯に分散すると、それによって工場に就業の機会が与えられるということはわかります。わかりますが、それによって自立農家といいますか、正常な能率を発揮して、正常な家族の構成で、所得を均衡せしめるような自立営農をしていくために、そのことがプラスになるかならぬかということなのです。そこで、そういうような兼業農家的な存在が出てくることは、土地の生産力というものは低下すると思うのです。やはり国土を完全に利用して、完全に生産を上げていく、土地の生産性というものを高度に上げていかなければならない。そのことと、そういうような兼業的な存在というものとがどうなるのか。同時にまた、そういうような来襲的な存在として工場に就労する人の能率は一体どうなるのか、私はそういう調査はございませんが、だれかに聞いた話なんですが、ソニーかどこかで調べた統計によりますると、専業に従事している工員の能率と農村からバスや自転車で通ってくる兼業農家の労働力というものとを、ラジオなりテレビなり、そういうものを作る工場で能率を比較すると、一六%ぐらい通勤工員の方が低いということなんですね。そうすると工場側から見ても能率が低いのですから、それに完全な労賃を払うというわけにはいかんと思うのです。じゃ農村の方はどうかというと、これは正常な労働力というものが賃金を求めてよそへいってるのですから、そういう労力で土地を管理していくのですから、土地の生産性というものも低下してくる。両方とも国家的にはマイナスじゃないか。そういうことが工場の分散によってさらにずっと進んでいくとすれば、これは国全体の経済から考えてもマイナスになるのじゃないか。そうして工場の分散ということを考える場合には、分散計画というものがあって、この地点は工場地帯、この地点は農業生産地帯というものに分けることがどうかと考えてみますると、そこが今申し上げたように地価の問題があり、あるいは税金の問題があり、いろいろな問題があって、現行の制度あるいは経済のもとでは、そういうような工場計画というものを立てて推進するということには非常な困難性がある。そう考えますが、非常にむずかしい問題なんですけれども、国土を完全に利用して農業生産性を上げて農業労働力というものを完全に消化して、その農家の所得というものを他産業に均衡せしめるという基本法の目的を達成しようとすれば、やはり僕は工場計画というものも立てなくちゃいかぬのじゃないかという感じを持つのです。そんな点どうなんでしょうか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 非常に広範な重大な問題と思うのですけれども、方向としちやそういうことでなくちゃいかぬと思いますが、ただ今おっしゃいましたように、工場分散によって兼業農家がふえることがいいことじゃないじゃないかというお話し、それからソニーの例をお引きになられて、農村から通ってくる工員の能率が悪いという問題、あるいはそういうことがあるかもしれません。しかし、農業の立場から考えるならば、問題としては、兼業農家の能率が悪いということは、確かに問題だと思います。これは午前中大河原先生だったと思いますが、お話があった点でございますけれども、しかし農業という立場から見たら、マイナスかもしれませんけれども、社会的な問題として考えるならば農業外の所得と農業から上げる所得、兼業農業からの農業所得と農業外の兼業所得からあげるものでよい生活ができるということなら、社会的にはいいことじゃなかというふうに思えるわけです。もう一つ、これも午前中申し上げたのでありますが、兼業農家が持つ農地というものは、ただいまでも、たとえば五反以下の農家二百万戸前後のものが持ってるものは六百万町歩のうちの一割程度ですから、農業からしてもそう大きなマイナスがそこへできるというふうにもあるいは言えないのじゃないかということも午前中申し上げたわけですが、兼業農家のふえるという問題はそういうふうに考えております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 それは兼業農家だろうが何だろうが、所得が上がって農民だけが他産業に均衡した生活ができればよろしいということであってはならぬじゃないですか。もちろん、これは農民に犠牲をしいるということは、絶対にあっちゃならぬと思うのです。犠牲はあってはならぬけれども、やはり農民も国全体の経済の発展に貢献寄与するという目的は、どこまでもこれは達成しなければならぬ。そのために犠牲をしいられると、これは反発しますよ。犠牲はあっちゃならぬけれども、農民さえよければ国土の利用なり土地の生産性は下がって参っていいんだという理屈は成り立たぬと思うのです。国土の完全な利用による土地の生産性というものは、どこまでも伸張すべきである。そういう前提に立って農民の犠牲なしにいかなければならぬと思うのです。土地の生産性は低くなっても、農外収入があって所得がふえればそれでいいんじゃないか。そういうことがあってはならぬのじゃないですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 先生おっしゃる通りだと思います。私申し上げたのは、そういう矛盾なんかあるということを申し上げたのでありますが、そういうことは兼業農家から土地を取り上げるというようなこと、あるいはぜひどうしても協業しなさいという強制はできませんけれども、兼業としてやっている農地については、協業の形で能率を上げるとか、あるいはまた信託というような新しい制度ができるならば、信託して専業的に農業をやる人が自立経営としてりっぱに成り立つような構造改善に役立つような使い方をしていくという方向への指導をしなければならぬと、こういうふうに思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そこで、日本の経済の高度成長のために、農村に工場を分散するということは、否定いたしておりません。いたしておりませんが、無計画にそれが推進されていくと、土地の生産性というものを高めることに非常に大きな障害を持ち来たすのではないか。工場の分散というものが僕はいかぬというのじゃないんですよ。それはけっこうだ。けっこうであるけれども、それが無計画に進んでいくというと、土地の生産性というものを低めていくという副作用が起きやせんか。それであってはならぬ。そこで工場の設置計画といいますか、地方分散計画というものが考えられてしかるべきではないか。それを考えてくるというと、今度は固定資産税の問題、工場が誘致されてくると地価が上がるというようないろいろな問題がからまってくるから簡単にいかぬと思うのです。多くの日本農業というものが国民経済、国家経済の伸展に寄与するということであればそういうことも考え、それによって生ずるマイナスはこの基本法によって国がめんどうを見てやるということがあってもしかるべきじゃないか、こう思うのです。そういうようなことはとの基本法では考えられないかというのです。また考えなければいかぬのじゃないか、こういうことなんです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 工場の地方分散と申しますか、という問題によって起こるいろいろなことがあると思いますが、そういうことの農業側に不利のないようにやはり解決をしてやっていくということの態度は、私は必要だとこう思っております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 それが肯定されれば、現行の固定資産税の税法改正をするというところまで踏み切れますか。それをやりませんと、工場がどんどん入ってこなければ税金は取れない。取れないから工場誘致ということが、非常に政治的に要請されておるんですよ。その税法の問題を解決してやらぬというと、問題の解決には私は現状ではならぬと思うのです。そこまで総合的な施策をするというなら、この法律は他省とも連絡を取って考えていくべきだというように理解していいかどうか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 固定資産税の問題からだけ工場の誘致が行なわれるということは、私なかろうと思いますけれども、もしそういうことがあれば私は検討をしていかなければならない問題の一つだと、こういうふうに思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 私も固定資産税というだけで申し上げるのではございません。地方に行って新しい合併市町村等で市会なんかで工場誘致の問題が論議されておる。その論議の話を聞きますると、おおむね市町村運営のための税ということが中心ですよ。それはもう否定できぬと思うのです。それに関連してもう一つは、遊休労働力が賃金化されるという機会が与えられるということもあります。その辺はよく一つ実情をお調べ願って、そういう点まで一つ解明をしていただきたいと思います。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 この問題は特別取り上げて言うほどの重大な問題ではありませんが、幸い固定資産税の問題が出たから、大体農林省というものは税金にどういう考えを持っているんだか、僕は非常に一つの疑問を持っている。と申しますのは、専従者控除についてずいぶん長い間問題としておりましたが、それがようやく白色申告も所得税においては片づいてきた。それを地方税に敷衍する場合に、これも幾らか取り上げられたような形が出てきておる。ところが、こういうものをやっていく際に、農林省として少しも積極性がないんですね。いずれも農民団体もしくは農民の方から強い声が出てきた。そこで今問題として一つ考えてもらわなきゃならぬことは、地方税のうちの現実に固定資産税を計算しますときには、実際農地の現実の価格というものは、これは収益を中心にして今考えられているのだろう、こう私は思うのです。米の価格を算定する場合でも収益を中心にしておられるが、小作料の算定の場合も収益というものを中心にして土地価格を逆算的に考えておられる。ところが、農地法によって小作料をきめるときにも大体収益を中心にして、農地局長来ておられますから、あとで聞きますが、三万円ぐらいで見ておられるのではないか。ところが、実際の価格を固定資産税として定めますときには、その資産評価対象価格はその地方の売買価格ですか、そういうものを標準にしますと、十万円なり十五万円になる。こういうものを放置しておくということは非常におかしいですよ。収益の三倍ぐらいの価格を日本国民の税率の基本とするごときは、私はこれはとんでもない間違いだと思う。どうして農林省はこういう税の負担の矛盾に対して積極性を持たないんだ。おかしいことです。いろいろ農業には保護政策をとっているから、それぐらいのことはがまん近いというなら、これははっきりしておりますからわかりますが、こういう点はこの基本法の社会保障の問題と結んで、私は十分考えられなきやならぬ点じゃないかと思います。

松岡亮農林省農林経済局参事官

○説明員(松岡亮君) ただいま税制に対する農政の方の側からの、何と申しますか要求の仕方が少し足りないじゃないかというお話でございましたが、清澤先生も御指摘になりました専従者控除につきましては、すでに御指摘の通り七、八年来努力を続けて参ったのであります。昨年の税制懇談会におきましても、農林省側としてはその点について大いに主張をいたしまして、ようやく実現の運びになったわけでございます。  それからその次に御指摘になりました固定資産税につきましては、ただいま固定資産税の評価方法について調査会を作りまして、現に検討中でございます。大体結論が出たのでございますが、その際におきましても、全体として固定資産の評価を時価主義によるという意見が強かったのでございますけれども、農林省側としましては、これは直接農林省がその席に出るわけではございませんが、その際には農村においては時価主義をそのまま適用することは、いろいろ米価の算定や、あるいは農地価格の関係から見ましても無理がある、その点は修正してほしいということを強く説明いたしまして、現実は時価主義であっても、農地の評価につきましては、それ相応のやり方をする。現在資料を持っておりませんので、具体的に御説明できませんが、そういう考え方でまとめられたのでございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 今の小作料算定のときには、収益を中心にして逆算した土地価格が出ていますね。それは幾らになっておりますか。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) 今大体一万二千円ぐらいになっております。固定資産税は今参事官から答弁がありましたように、大体三万五、六千円ぐらいの評価になっております。固定資産税につきましては、今もお話がありましたように時価主義によるということにはなっておりますが、これは現在の農地の売買が三反とか五反という買い足しのようなことになっておりますので、全体の利益を若干よけい見まして、少し高い価格で買ってもいいというような形で売買が行なわれておりますが、現在の売買の価格というものは正常なものではない、これを修正してやるべきだというような意見が出ておりまして、実行になりますのは、だいぶ先のことで昭和三十九年からでございますので、その間にまた種々相談をしていきたいというふうに考えておりますが、国定資産税で出ました結論が、そのたびに評価額を変えることによって固定資産税をよけい取るという意味のものではございません。もしもそういうことになれば、税率を考えたらいいじゃないかというような結論になっております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 それでは前へ戻りますが、その正常な家族の構成で正常な能率を発揮して、ほぼ完全に労働ができるということを前提として自立農家というものを考えていく。その場合における営農の内容がさまざまでありまするから、一がいには参らぬことでありますが、その営農の内容に即して適正な規模を与えてやらなければ自立はできないということになろうと思うのです。そのために二十一条は基盤の整備及び開発などいろいろなことについてやっていこうというふうに宣言をされたわけでございまするから、先刻お尋ねいたしまして、ほぼそういう方向で措置をしようというような御回答をいただきましたので、重ねてお尋ねをする必要はないかと思いますが、ここに言う、基盤の整備、開発云々ということに対する助成というものは、そういうことを前提として経済的に可能な構造のでき上がるような助成を考えるということだと思いますが、もう一ぺんその点を確認をしておきたいと思います。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 先ほども御説明を申し上げたと思うのでありますが、二十一条で言っております農業構造改善事業、これは農業構造改善と申しましても、なかなかむずかしい問題があるわけでありまして、そういうことを、ここに書いてありますように、農業生産の基盤の整備及び開発とか、家畜の導入ですとか、あるいは機械その他農地保有の合理化をするとか、環境の整備をするとかというようなことを一体としての事業として進めようということ、そういう事業を進める場合には、ここにありますように助成をしていこう、こういうことでございますけれども、その中で個々のものにどういう補助を与えていくか、どういう助成をしていくかということは、先ほど農地局長が答弁されましたように、芸のこまかい、必ずしも補助率になっていないということ、そういうことで今後検討をしていこうと、こういうことでございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 どうも全部検討々々であとへ譲られていくのですから、その辺が農民諸君としては、何となしに心もとないという感じを持つと思うのです。しかし、私は今ここで結論を出そうとは思いませんが、その検討の結論というものは申し上げておるような方向が実現されるように持っていっていただきませんと、これは非常に大きな問題があると思うのです。そういう心がまえで一つ善処を願いたいと思います。  先へ進みまして、先刻大河原委員からもお尋ねがございましたが、信託制度の問題、十八条です。ここで農協が農地を信託されまして貸し付けをする場合、あるいはそれを自立農家に売り渡しをしようという行為をするわけですが、売り渡しをするという場合における価格につきましては、先日農林大臣に収益価格から考えてやらなければいけませんよということを申し上げたら、それに対して、一応もっともだからそういう方向に従って研究をしようという御答弁があったと思う。総理大臣は、いや、それはだめだ、おれは自由経済論者だから五十万でも百万でも相対ずくで売買が行なわれる、そこへ政府が介入しようというような意図はないということを繰り返してはっきりとおっしゃった。ここに二つ食い違っているのですがね、これはどうなんでしょうかね。確かに一つの自由経済のもとに置かれているのですから、売買ということについては、自由におやりなさいということでいいと思うのですけれども、農業生産の目的として取得される土地がそういうことであってよろしいのがどうか。それでこの基本法の自立営農なり所得均衡という目的を達成するための基盤としてふさわしい存在というように思考し得るかどうかということも、私は疑問があるのです。その辺はどうされますかね、売り渡しの場合。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 農地の価格の問題だと思いますが、信託で考えております場合も時価で処理をしていくという思想でございます。確かに今の時価は収益というようなことを考えたら高いという面がございますけれども、ある経営がほんの一部の買い足しをするというようなことで経営全体とするならば、そういう地価の中でまかない切れるのだというようなことで、買い足しだということで、地価が今申し上げたように収益を中心としたものでないというような高い値段を示しておりますけれども、これから今後の地価というものを考えた場合は、なかなか予想はむずかしいと思いますけれども、いろいろの調査によりまして、必ずしも高騰一方という傾向ではないようであります。むしろ持ち合いあるいはまた下がっているというようなところがあるそうです。ことに富山の公聴会でもそういうような下がっているというお話があったそうです。そうした今後の地価の動向というようなものも見きわめていろいろ施策は考えていかなければならない、こう思いますが、さしあたり、信託で土地の価格の問題は時価による、こういうふうに考えております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そうしますると、今言ったように、将来の地価がどうなるかということ、これはだれしもわからぬことでありますけれども、この行為が行なわれるその瞬間におきましては一応計算はできるのですがね、その瞬間だけをとらえて考えれば。そのときにもやはり収益価格というものは問題ではない、自然の相対価格というものでやるのだ、そういたしますと、営農としては全然経済的にペイしないものをとるということになるのですから、そういうものを与えることそれ自体は、自立農家を育成するという観念にならないと思います。そういう土地は他日の値上がりを期してそれを他に転売しようということで、ほんとうの自立農家たらんとしてそういう収益性のない土地を取得するということは常識では考えられないのです。それはおかしいのじゃないか。自立農家を育成するために農協が信託制度によって土地の売買のあっせんをやり得るといいますか、それは営農を目的としないものだということまでやるということはおかしいと思いますが、それはいいですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 信託の制度を考えましたのは、一方に土地を手放したい人がいる、すぐには売れないというような場合、あるいは究極的には手放したくないのだけれども、手放さないでそのまま人に貸してあるのでは不在地主になってしまうというようなケースを避けて、土地を流動化しようということがねらいでございます。ですから、同時にその土地を残った人の構造改善のために使うということがねらいでございますから、今申されたような営農しない人に土地を渡すのだというようなことには、この制度としてはならないわけであります。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 私はその前段の方の貸し付けは今まだ論議はしていないのです。「又は売渡しに係る」と、その「売渡し」の方の話を申し上げているのです。「売渡し」ということは甲が売りたい、農協が中へ入って置いたい人に売るわけでしょう、その場合に、その価格というものが、以前における営農の対象の基盤としては経済的に首肯し得ないこの制度でやるということ自体が、所得を均衡せしめるために農業基盤の拡大をするという目的には沿わないのではないか。それをごく一部で一町歩で現に経営しているものが一反とか二反とか、何かの都合で手に入れた方がいいという場合は別です。しかし今ここで考えておりますのは、相当の面積というものを離農する人から農協が預って、それを落ちついてやっていこうという人に売り渡してやろう、こういうことが精神だと思うのです。その場合にその土地の価格がその時点における農業生産物の価格と対比いたしまして当然問題にならぬというようなことをやるというと、そういう行動をとるということは、この法律の趣旨ではないということになると思うのです。そういうことまで期待しているのですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 先般来からお話がございますように、地価が高いということは、農業構造改善を進める一つの障害、確かにそうだと思います。しかし先ほども申し上げましたように、高い地価ではあるけれども、一部の買い足しだということで、経営全体の中ではその高い地価も消化されておるというようなことで、今までは解決されておるわけですが、今後も信託の場合もあるいはそういうケースになるかとも思いますけれども、信託で土地が流動化するのがどのくらいになるか。あるいはまた今後の地価がどのようになるか。信託でたくさんの土地が流動化するということになれば、地価も下がるというようなことも考えられます。そういうふうな推移も見て適切な施策をやっていかなければならない、こういうように思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 くどいからあまり言いたくありませんが、推移を見て考えるのではなくて、その時点においてそういうことがこの法律の期待することかどうなのかということなんです。そういう収益から考えて、とうてい経済的に成り立たないというものをあえて買おうとする人は、おそらく僕は農業経営の基盤として取得をするという観念ではなくて、多少の余裕金があるから、その余裕金運用の手段として他日の値上がりを期待するということにおける土地の取得であろうと、こう思う。そういうことまでこの農業基本法はやらせるということなんですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) そういうことはあってはならないところでありまして、構造改善のために土地は使用されると、こういうことが目的でございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 だとすれば、その場合にその構造改善をやって営農が成立するような価格において、その行為が行なわれるように政府としてはめんどうを見てやるということにならなければおかしいと思うのです。そいつを時価主義だとおっしゃると、そこに食い違いが起きてくると思うのです。農林大臣はごもっともだから研究しようとおっしゃっている。総理大臣はあくまでも自由主義だからだめだとおっしゃっている。そこに食い違いがあるので、農林省の考えはどうなんですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 農林大臣は研究しようと、こう言われたそうでありますが、私どもも今後の推移を見て適切な手を打つように研究いたしたいと、こういうふうに思います。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 これは平行線ですから、この辺でやめますが、ほんとうにその問題を解決していきませんと、これは幾ら言っても、自立農家を育成するとか何とか言っても、問題にならぬと思います。十分一つ御研究を願いたいと思います。  それから前段の方の貸付ですね、この場合は現在は自分の所有している土地は売りたくないと、しかしその土地を耕作をする意思もないと。そこで農協にその土地を信託する。農協はそれを他の営農するという希望の人に貸付をすると、こういうことだと思うのです。だからそこに時間的な制約があろうと思うのですね。無期限に貸してしまうということになればこれはまあ問題にならぬ。時間的な制約というものがあろうと思うのです。その時間的な制約は、一体どうお考えになりますか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 貸付の場合は五年以上の期間を考えております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 そうしますると一応五年というのが出たわけです。と、Aという農家が、五年間は一応耕作する意思はございませんから、信託いたしますと。それを今度はBという農家が五年という期限で借り受けて、そうしてその拡大された農地というものを対象に営農計画を立てる。五年たったらそれを返さなければならぬということであって、一体自立農家たり得るかどうか。五年間だけはいいのですよ。五年たてばその耕地を返さなければなりませんね。そこでまた転落していく。その問題をどう処理するのか。そしてまた農地を拡大した場合には、それに見合う農機具その他のずっと施設を全部やると思うのです。そういうものは五年間できちゃんと償却が済んでしまうようなすっきりした計画が立てば、これは経済的に損害はないと思う。そんなうまい調子にいこうはずはないと思うのです。そういうことがこの貸付信託制度というもので期待し得るかどうか。信託制度を開くということは、調子はいいんですが、だんだん考えてみると、そこにどうも実際上の効果というものが、売り渡しの場合にもこれは営農の対象としては問題にならぬのじゃないか。貸付の場合にもそういう制約のために、借り受ける方が私は簡単に乗ってこられないということになると思うのです。そういう心配を持つのですが、そんな心配は要りませんということなんでしょうか。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) 御質問の点は、私はそういう心配は全然ございませんとまでは言い切れぬと思います。が、大難審議官が申しましたように、期限は五年以上ということにいたしております。上の方何年とは切っておりません。これは私どもとしますれば、なるべく長い期間をつけますことが、先生のおっしゃいますように借り受けた方は経済的だということは当然でございますので、ある程度長い期間をつけることは望ましいのでございますが、これをあまり長くいたしますと、目的の信託がなかなか出ないという問題もございます。それで一応信託規矩で五年以上ということにするつもりでございますが、これは先生が御心配になるような点もございますので、農協が中に入りまして、期限が切れる前に、次の作付に移ります前に、信託の委託者と相談いたしまして、これはもっと期限を延ばしてもらうことができるかどうか。あるいは譲り渡し信託にするかどうか。どうしても返さなければならぬかどうかというようなことを、農協が中に入ってもらってよく相談して、なるべく借りました人の経営が安定するように、次の期間についても何らか考えてもらうというようなことを、農協が中に立ってやっていってもらうということを考えようじゃないかということで、農協の指導でよくそういうことはやってみたいというふうに思っておりますが、先生のおっしゃいますことは、全然心配ございませんというわけにはいきませんので、その辺は指導で何とかうまくやっていくことを考えたらどうかというふうに思っております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 非常に農地局長簡単に考えていらっしゃるようですけれども、五年以上という期限は切られましても、これは更新をすることはもちろん認めていると思うのです。ですから信託者から見ればまず五年という年限を切っておいて、そうしてそれでまだ自分が耕作する意思がなければまた更新をすると、こういうことになるのは当然であると思うのです。初めから五年以上だから三十年にいたしますなんという人は、まあ、おそらく、農地局長のようなりっぱな人でなければないと思うのです。普通の観念ではそれはないと思うのです。そうすると、借り受ける者から見れば、計画上は五年ということで考えざるを得ないのですね、建前上。そうすると、その五年という期間でその土地を耕作するに必要な労働力を整備すること、それに必要な農機具その他を整備することをやって、五年間にそれがきちんとそういうものが済んで、もし返済をしなければならぬというときには、何らの経済上負担はないというようなすっきりした営農というものは、私にはわかりませんが、そういうことは農業経営上可能なことでございましょうかね。私はそうそれは簡単にきちんきちんと整備をしては決算報告を出していくというような調子には、農業経営というものはいかぬのじゃないか。もしそうだとすれば略奪農業で、五年間は無肥料で荒らしほうだい荒らしてやれということになる危険もあるのです。もしそうだとすれば、これは信託する人はなかなか容易に応じないし、客観的に考えても、せっかくの国土を荒廃せしめるということになるのですが、これは大きな問題だと思うのです。やはり愛護していかなければならぬ。愛護していくとすれば、なかなかそう簡単に、五年間できちんきちんと決算をしてやるということにはなりかねる。心配がないとは申しませんがというのじゃなしに、逆じゃないですか。心配が大部分で、その心配のないという場合はごくまれであると思います、こういうことじゃないですかどうですか。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) 信託の規定を作りまして農地法で特例を認めようという前提になりましたことは、これからの経済成長の問題を考えて、農業の就業人口の問題を考えて、従来農地法というものがそういうものに対してある制約になっていたという前提条件から出発しての問題でございます。それで先生のおっしゃいましたように、たとえば五年は貸したが、あとはまた返してもらって農業をやるというようなことが原則じゃないかというふうの御質問でございますが、この規定を考えました前提が先ほどのように、就業人口はたとえば減るだろう、またほかの経済成長というものは相当伸びるのだということになりますと、その辺のところは、先生のおっしゃいますように、必ずしも、帰って来てまた自分で耕作するのだという例が多いか、そうでない例が多いかという判断でございますが、私どもとしましては、これからほかの産業が伸びてくるということであれば、帰りましてまた五年たったら農業をやるという例の方が少ないのじゃないかというふうに実は考えております。しかし、そう言いましても、先ほど言いましたようにこれは具体的な問題としますれば、また帰って来てやりたいという人があることはこれは想像できます。しかしその問題につきましては、なるべく農協等に入ってもらいまして、借りた人の経営が安定をしていくという指導を信託についてはいたしていきたい。どうしても万やむを得ざる場合には、その借りた人につきましてその人が労力といいますか、機械等の整備をするというような問題がございましょうから、これは農村の中でいいますと、農協あるいは農業委員会というようなものが、いろいろな関係者と相談の上で、その農村の中でまた共同経営でございますとか、いろいろな過剰投資にならぬようなことというようなことを、これは当然考える必要があると思いますが、これは、現実の問題としましては、指導その他相当にやはり力を入れませんと問題があるだろうということはわかります。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 局長のおっしゃるようになることはないとは言いませんし、そういうことを期待はしますがね、五年以上とこの信託制度に関する規定ができますれば、現在の一般的な思想といいますかね、そういうものでは、私は五年となると思うのです。更新を認めぬとなれば別ですがね、更新は可能なんですから、まず五年。そうすると、その借り受けた人から見れば、あの人は五年たったってとうてい帰ってこないと思いましても、五年たてば返すということを前提に計画を立てざるを得ないわけですわね、これは約束ですから。そうすると、私の申し上げましたように、せっかくの耕地を荒廃に帰せしめるということになる危険がありはせぬか。五年たったら返すのだという、これは法律上の行為ですからね、いやとは言えませんし、だとすれば、万が一返すというときに、土地を肥やして、りっぱなものにして上げて土地を返して上げたんじゃ、つまらぬ。これはいいかげんにやって、略奪農業やっちまえということになる。そのことは、国全体から見れば非常に大きなマイナスになりはせぬかということなんです。その押えがこれではできぬじゃないか。そういう善意なことばっかり考えておっちゃいかぬので、農村の実態というのは、そんなものじゃないと思うのですね。だから、むしろこの貸付制度というのはきわめて例外的な存在であって、後段の方の「又は売渡し」、こっちの方に主力を置くべきではないか。主力を置くとすれば、収益換算価格で取り運びをせぬことには、この農業基本法の目的に沿うような農地の移動ではなくなっちまう。これは、道路敷地や学校敷地に売ることを期待して農地の移動が行なわれる。そういう場合には、農業収益換算価格でなくても、これは可能なんです。そういうあっせんというものを、農業基本法に基づく信託制度としてはやるべきじゃない。私は、それはやるべきではないと思うのです、そういうあっせんだったら。ただし、形式上は出ませんね、表面には出ません。出ませんが、私は、実態が、そういう価格の面から、そういうように結論してもいいと思うのです。米や麦や野菜を作ってどうなる、それに引き合わない価格で買うという人は、これは農業基本法にいう営農者たらんとする人ではないと判断していいと思う。そういう面にこの基本法が働くということは、基本法としては邪道を歩いていくのじゃないか、こうなるのじゃないか。邪道を歩かせぬようにするためには、収益換算価格でやってやらなければならぬ。その収益換算価格でやったものは、工場敷地なんかに、ちょうど農地解放のときのようなことになっちゃって困る。そのときの押えはまた別にやればいいと思う。それくらいのことは考えてしかるべきであって、それを考えなければ、この農地の移動ということについての信託制度というのは生きてこない。こう思うのですが、どうですか。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) 今先生の御質問は、おそらく貸付信託より、売り渡し、譲渡信託の方が多いのじゃないか、そういう前提に立てば、農地の価格の問題をもっと研究すべきだという御質問だと思います。これは初めて行なう試みでございますので、どういうふうにやっておりますか、これだけが労働改善の大きなきめ手でもございませんが、私どもとしましては、おそらく最初の動きは、譲り渡し、譲渡信託よりも貸付信託の方が多いのじゃなかろうかと実は予想いたしておりました。といいますのは、今までは、都会へ出て働こうというような場合には、どうしても、不在地主というようなことで買収されてしまうというようなことで、なかなか出れなかった人が、やはり将来には所有権は場合によっては返ってくるのだという前提で、貸付信託というような前提で、出て行く人が私は多いのじゃなかろうか。今先生おっしゃいましたように、すぐに売って出てくるということは、農村の実情その他からしますれば、すぐに売るということよりも、将来は返るかもわからぬ、返る可能性があるのだというような貸付信託を最初やられまして、そのあとで売るというようなことに私は切りかわるという実例が多いのじゃないかというふうに実は考えております。ただ農村といいましても、都会近辺といなか、いろいろ純農村では違いがあるのでございますが、私どもの予想は、実はそういう予想をいたしております。  それで価格の問題でございますが、先ほど大澤審議官から答弁がありましたように、私どもの現在の考え方は、やはり農地価格というものは、もう少し長い目で見る必要があるのじゃなかろうかというようなことで、価格統制とか、価格統制を今しようというようなことは実は考えておりません。問題は二重価格というような問題になりますが、これも試算いたしてみますと、三十四年ころは五万二千町くらい有償で動いておりますが、これを今の農地法の一万二千円くらいと十七、八万という差額を考えてみますと、五、六百億になってくるというような問題もございまして、農地の問題、価格の問題、非常にむずかしいのでございますが、現在は、私の方といたしましては、この問題はもう少し長い目で検討いたしたいというのが、われわれの態度でございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 それは伊東局長、おかしいじゃないですか。一ぺんは離農して都会へ出て行くが、その連中が帰って来ることを前提として物事を考えていくのじゃなしに、出て行く人は社会保障制度も充実いたしましょうし、就労なんかについても最賃その他を整備して、安心してやっていけるようにいたしまし、よう、行く人はおいでなさい。その人を迎え入れることをしょっちゅう考えておるという態勢ではないはずなんで、それは、一ぺんは出て行くが、帰ってくることはしょっちゅうこの法律は期待をしておる、こういうことになるのですか。そうじやないでしょう。行く人に対しては、社会保障を万々するから帰っていらっしゃるなというのが前提なんで、万が一帰ってくる人のためにどうということであっちゃならぬと思うのですがね。これは大澤さんどうですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 帰ってくるとかこないとかいうことじゃなくて、この制度の利用のされ方は、こんなふうに予想されるのじゃないだろうかというお話だったように私聞いております。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 議事進行。今ちょうど私は議事進行で、委員長に申し上げようと思ったことが出たんですけれども、この今第四章をやっておりまして、私がその質問を実はやろうと思っておることの一つに、十九条ですね、「教育の事業の充実」これはこの基本法で非常に大切な項目なんですね、教育の問題は。そこでこの教育の問題をお尋ねしたいのですけれども、これは農林大臣にお尋ねしても片づかない問題なんで、文部大臣に来ていただかないとお答えができないわけですね。それから第二十条は、これは労働大臣、厚生大臣に来ていただかないとわからない。通産大臣もあります。その他、今あげたのは全部というのじゃないのです。例をあげたんです。そこで、今、森委員からもお話があったように、農林省の答弁を聞いておると、出したものがまた社会保障制度の不備のため、あるいは最賃制の不備のために農村に戻ってくることを前提にして考えていられる。ますます私が今、労働大臣や厚生大臣呼んで聞かなければならないような事態になってきたわけなんです。そこで、委員長も、今森委員と政府委員との質疑応答を聞かれていると、これはやっぱり呼ばなければならぬということがおわかりになったものと思うのです。従って理事会で御相談下さいまして、関係の大臣に来ていただきまして、とくと一つ御質問をしたい、こういうふうに思いますから、よろしくお取り計らって下さい。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 理事会で協議いたします。

東隆民主社会党

○東隆君 私は今森さんの質問に関連をして質問をいたしますが、信託問題ですね、これは期限を付されて五年以上とこういうようなお考えですが、私は今の農地制度は自作農主義を中心にされておると思うのです。それで信託制度によりますと、これを合法的な不在地毛を実はこしらえておるのじゃないかとこう考えるのです。そういうような意味で、私はこの信託制度によってこの合法的な不在地主をなくするために、逆に期限を付して、そうしてその期限後には当然不在地主でない在村地主にする、そういう形をとる自作農主義を貫徹させる方が適切でないかとこういうふうに考えるわけです。私どもの方の案では、今の問題は第十三条の三号に「農用地の権利移動の適正を期するため、農業協同組合が一定期間内の農用地の信託を引き受けることができるようにすること。」とこういうふうに規定をしました。その意味は、信託に付して、そうして外へ出ていく人に五カ年なら五カ年という期間を、帰ってくるなりいろいろな事情がありましょうから、その権利を保有させるのだと、そういう意味に解釈をしているわけです。これは所有権の問題その他に拘束を加えたり、いろいろな問題が起きてくるかもしれませんけれども、そういうふうに解釈をする方が適正でないかと、そういう考え方を持つのですが、これは今森さんの質問と関連をして、私は森さんの考え方は、今言ったような考え方でないかと、こういうふうに思うのです。この点は、農地法の基本的な考え方から私は割り出していくべき筋合いのものでないかと、こういうふうに思いますが、この点はどうですか。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) お答えいたします前に、先ほど森先生にお答えした中で、帰ってくることを前提としておるのかというお話でございましたが、いささか弁解いたしますれば、森先生の御質問で、五年という期限がある、そうしますと五年たてば契約の更新をしないとか、取り上げるとか、あるいは売ってしまうとかいろいろなことになるのではないか、そうしますと、借りている人の経営が不安定になるんじゃないかという御質問であったと思います。そういうことで、たとえば五年ということで五年たちました場合に、借りている人にその土地がいかなくなるという場合はどういう場合だろうかということを考えてみますと、帰ってきて自分が自作するのだという、ほとんどそういう場合だろうと思います。あとは売るというようなことでありますれば、その人が借りて耕作をしているのでございますから、それは大体当然その人に土地が渡るということになろうと思いますので、その人に土地が渡らないで、別なところにいくという場合にはどうだろうかということを想定しますと、帰ってきて自作をしたいのだということだろうというふうに理解をいたされますので、私は先ほどのような答弁をしたのでございますが、これ全般の考え方は、信託をやりました前提の経済条件といいますか、ゆえんは先ほど申し上げましたように、貸した人が帰ってきてやるということを前提としているのではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。  東先生の御質問でございますが、不在地主じゃないか、認めたような格好になっているじゃないかということでございますが、従来不在地主として、従来の農地制度で排撃されました不在地主というものは、これは高率小作料を取って、自分で労働はせぬで商い地代を取っていたということ、あるいはそういう地主に非常に農地が集中されていたというようなことがあったのでございますが、今度の農地法では、いわゆる小作料の問題は、これは信託をいたしました場合にも、これは統制小作料というものが前提になっておりますし、所有権は、実は農協に信託いたしますれば、所有権は農協に移ります。農協に移りました上で、農協がある農家に貸し付けたり、あるいは譲り渡しをするわけでございますが、しかし、信託契約で将来はそれは貸し付けでございますれば返るということになるわけでございますが、所有権は一応農協にあるわけでございます。しかし農協が所有権を持ちましても、従来のようなそこに農協が膨大な土地を持って人に貸し付けるという形は、あるいはそういうことが出ましても、従来の地主とはこれは違いまして、統制小作料で最も農業構造の改善に適当な人に貸していくということでございますので、農協に所有権が集中するという形になりましても、従来のものと質的に違うということで、私どもはこういう制度でどうだろうかというふうに考えたわけでございまして、所有権は都会に出た人が持っておるんじゃないという法律構成にはなっているのでございます。

東隆民主社会党

○東隆君 今のお答えで了解をするのですけれども、しかし、自作農主義の問題から参りまして、私はやはり外に出ていくものは、これは合法的な私はやはり所有権を持っていると、こういうふうに考えます。合法的ですよ。従ってそういうような意味から、耕作者に土地が与えられるような機会を一定の期限を付してやれと、そういうことは私は善政でないかと思います。それが正しいやり方でないかと思う。だから耕作をする者に重点を置いての考え方から見ていく方が正しいのではないか、ことに農地法は自作農主義を中心にお考えになっておるのだから、その点からいって耕作者に土地が与えられる機会を五年なら五年と、こういうふうにやる、こういうことが法律を作る上においての一つのやり方でないかと思う。それを無限に延ばしていくと、先ほど言ったように、森さんの言われたような形が出てくる。こういうので、私はどうもこの信託制度をお取り上げになった考え方には、農地法の基本的な考え方から逆の考え方に来ておるのじゃないか、こう考えるので、これは議論が分かれるところでしょうから、もう一度お伺いします。

伊東正義農林大臣

○政府委員(伊東正義君) 御質問でございますが、農地法では、まあ自作農主義という言葉じゃございませんが、今の農地法は農地改革の制度、成果を維持していくという前提になっておりまして、先ほど申し上げましたように、不在村の地主をなくす、あるいは小作料を統制しますとか、あるいは在村の地主でも小作地の保有は制限しますというような農地制度改革の成果を維持しておるわけでございます。そのねらいは、やはり働く耕作者の労働に対しまして正当な収益が供されるということが前提になっていると思います。その場合に、まあ手段といたしまして農地を耕作者がみずから所有するのが望ましいのだということをいっておるわけでございますが、今度の農地法の改正におきましても、先ほど申し上げましたように、耕作者の地位というものにつきましては、小作料の問題、その他従来の土地制度には戻らぬという規定につきましては、これを改正をしないで農地制度改革の成果はそのまま維持するという前提に立って、そういう規定は一切いじっておりません。ただ、今先生のおっしゃいましたこういう信託の場合でも、耕作者に所有権を与えるのが一番いいのじゃないかという御意見でございますが、これは譲り渡し信託等でありますればまさにその通りでございますが、全部そういうことにいたしますと、やはりよく言われますように、農地法というものがやはりそれは就業労働の移動の制約をするということになるおそれもありますので、貸付信託という規定を置きますが、しかし、これは決して耕作者の地位を、所有権をたとえば五年間期限を切って所有権を与えますれば、安定するのだ、五年たてば別だというような問題でなくて、私どもから見れば、それは五年という期限が切ってありますれば、将来また戻ってくるかどうかという不安があるということはわかるのでございますが、その点は指導によりまして小作権を保護していく、小作料も統制小作料でやっていくということでありますれば、所有権を全部持ってしまわなければならないとは考えておりませんので、現在の農地法の許容範囲で認めていいのではないかという前提に立ちまして、貸付信託という点も認めるわけでございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 この問題はこの程度にいたしまして、その次にこの二十二条に「国は、農業構造の改善に係る施策を講ずるにあたっては、農業を営む者があわせて営む林業につき必要な考慮を払うようにするものとする。」こう言っておりますが、ここで同じように沿岸では漁業があると思いますね。農業を営む者があわせて営む漁業についてとなぜ入らぬのか。林業だけをここに取り上げて漁業というものをどうして取り上げられなかったのか。これは相当の理由があると思いますが、その理由を一つ承りたい。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) おっしゃる通り、漁業はここでは特に取り上げませんが、他の一般の兼業等も同じような取り扱いをいたしております。特に林業について農業構造の改善というふうに取り上げましたのは、林業が農林と同じように土地の上で行なわれているということがございますけれども、もう一つは、林業一般の基本問題と申しますか、基本対策と申しますか、基本問題調査会の答申というようなものもだいぶおくれて出ましたので、農業よりはおくれておりますけれども、農業の自立経営というようなものの育成を考えます場合には、農業だけで自立経営にはなり得ないけれども、同じ土地で林業を一体として考えるならば農業だけで自立経営になり得るものと同じような形が考えられるわけです。そういう意味で、同じ土地の上で行なわれ、またわが国の農業を行なっております者の七割ぐらいは、同時に山林を所有しておるわけです。また国有林というようなものについても、国有林の国土保全とか、その他の立場はもちろん考えなければなりませんけれども、農業を行なう人に、国有林の一部を開放して農業と一体として自立農家と同じようなものになり得るというようなものが考えられるわけであります。そういう意味で林業は特に農業構造改善という場合に特別の措置をして農業と一体と考えましょうということで取り上げたわけでございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 林業というのは、絶対に土地の上に営まれる業であることは間違いありませんが、沿岸における漁業の場合にも、土地の上に行なわれる養殖漁業というものがあるのですね。ですからこれは特に基本法で第二十二条をお入れになりましたのは、自立農家として合わせて行なう農林水産業については総合的に見てやることがふさわしいんだという考え方から出発したんじゃないんですか。今取り上げて聞きますと、審議官がおっしゃるようにこうなってしまいますと、理屈をつけなければならぬからそうおっしゃるのだと思いますが、こういう考え方で出発しました基礎というものは、一つの正常な家族の中に行なわれている業が、農業なり林業なりという形になっている。しかし、それの主たるものは農業であるという場合には総合的に見てやることが、所得を他の産業者と均衡せしめるという目的を達成するためにはふさわしいからというので考えられたのであって、ここで漁業を落としたのは別段深い意味も何もない。ちょっと忘れた格好だということじゃないのですか。そういうことじゃないんですか。沿岸における漁業というものは、やはり総合的に見てやるということが正しいんじゃないのですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) ただいま申し上げましたように、ほかの産業、一次産業でありましても、ほかの産業は農業からみれば兼業ということになるわけですが、今申し上げたような意味で林業は同じ土地の上で生産も行なわれるしということで、農業と一体した考えで自立経営というようなことを目標として育成をはかったらいいじゃないかという意味で、林業だけ特別にこういう考え方をしたわけでございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 同様の考えに基づきまして土地の上に行なわれる沿岸漁業等についても、養殖的なものなり副業的に行なわれて、農業が主である。合わせ営むという場合には総合的にみてやるということの方が、その農家にとっては非常にふさわしいことになると思いますが、そうはならぬでしょうか。これはいろいろな資金の場合とか、いろいろな場合にそういう問題がずっと重なってくると思うのです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 林業は農業と違いまして、特に最近の林業の場合には肥培管理をいたしますとか、あるいは従来のように非常に太い材木でなきゃ売れなかったものが、むしろ小径木の方の需要が強くなるというようなことで、農業的に肥培管理の林業をやるというようなことにもなってきているわけです。同じ土地の上で農業と一体として経営もやり得るわけです。漁業なんかとその点は非常に違う点だと思いますが、そういう意味で農業と林業と合わせて自立経営というようなものを考えるべきであるという考え方でございます。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 それでは東委員からの御質疑があるそうでございますから、まあお尋ねをいたしますればいろいろございますが、この辺で私の質問は打ち切りたいと思います。最後に一点だけお伺いいたしますが、何条でしたか協業の問題が取り上げられている。協業の姿がだんだん進んで参りますると、多年農民諸君から要望されておりました法人の問題に発展していくと思うんです。その場合に、本会議でも御質問いたしましたが、大臣から御答弁なかったんです。ここで法人を作るということについては賛成でございますし、別に問題がございませんが、農業法人というものの数の多きを欲するということではなくて、真にその目的にふさわしい仕事をやり得る法人を作るということにねらいがなけりゃならぬと思うんです。その場合に一番大切な問題は、何といっても私は資金の問題だろうと思うんですね。その資金が十分に供給されませんと、せっかくの法人もその機能を十分に発揮するということにはなりかねると思うんです。ところがその金融の面になりますると、遺憾ながら有形的な信用というものがおもに考えられるということでございまするために、零細な農民諸君が法人に結合されましても、その信用力というものは、金融上非常に薄いというように私は見ておるのであります。しかしながら、農業経営をやっております限りにおいては、それぞれ土地を持っておるわけですから、土地というものが担保といいますか、金融上の対象に供せられるということになりますれば、零細な経済的には困難をしている農家でありましても、金融上の信用力を確保するのには相当なものがあると思うのです。そういうことを考えて参りますと、ここに今生まれ出でんとする法人は、少なくとも保証責任組織か、私は理想としては無限責任組織が適当だと思います。非常に法人を作ることには支障があると思います、そこまで持っていくことには。がしかし、そういうことを考えてやることが、生まれ出る法人のためには非常に親切な行き方である。また、そこまで精神的にもはっきり結合するということになって、初めて法人の目的を達成するということにもなると思うのです。下手をやりますと、わずかな有限責任のために、まあ一ぺんやってみようというような軽い気持でして、それが仕事に失敗する。その結果農協を中心としての金融機関に将来悪影響を与えるということになる危険を私は感ずるのです。そういうことをお考えになっておらぬと思いますが、そう考える御意思はございませんでしょうか。

酒折武弘農林省農林経済局農業協同組合部長

○説明員(酒折武弘君) 現在の生産法人は有限責任制ということで提案しておりますが、これは無限責任にいたしますことは、おっしゃる通り債権者保護なり、あるいは融資の促進という点では望ましいことであろうというふうに考えておる次第であります。しかしながら、一方におきまして無限責任制をとるということは、むしろ組合員の責任が過大になるというふうな点で、どうも生産組合を結成しにくくなる、結成したがらなくなる。かえって生産組合を作るというような傾向が促進されないという点の心配がある。また、あるいは結成したものにつきましても、新たなる加入がなかなか促進されないというような点がある。そういうふうな心配がございますので、有限責任としたわけですが、御意見のような信用力強化という点については、有限責任の場合におきましても組合の連帯保証制というようなことを採用いたしまして、連帯保証の判を押すというようなことで、一面の解決はできるのではないか、こういうふうに考えております。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 今度この法律によって作られます法人に対しては、国としてもいろいろな保護助長の政策をとるわけですが、まあこの法律ができませんでも、有限会社組織なり、その他をやろうとすれば、現行法規のもとでやれるのです。ただ農地制度の問題だけが問題なのです。やれるのです。そういう勝手におやりになる方は、おやりになればよろしいわけです。で、国が非常な保護助長を加えていこうとする場合には、いやしくも生まれ出た法人というものが、完全に育っていくということを親切に私は考えてやらなければならないと思うのです。そのためには、その組織員の団結というものも強固でなければならぬと思うのです。そのためには有限責任よりは無限責任でやれば、その始めた仕事に対していかなる困難があっても、これは石にかじりついてもやっていくということに当然なりますね。有限責任のように、しくじったら放ってしまうというような軽い気持にはなれないのです。それが一つ。それから私はさっき申し上げました、たとえば連帯保証という制度があるにいたしましても、組織自体がそうなっておればそういう制約をする必要はないのです。だから、そう考えてやることの方が親切だと私は思うのです。しかし、いやな人は何も入らなくていい。自由に現在の法規に基づいて、農地制度の問題だけ多少緩和をしてやって、自由におやりになればいいのです。それに対しては、国としてはいろいろなことに対して十分な保護助長はしない。保護助長をする限りにおいては、その法人というものは完全に育てていくのだ、それには徹底した資金の供給もやれば、その他のこともやってやるということで意義があると思うのです。なぜそう考えていかぬのか。できぬからいかぬというのではなしに、これからできるものについてはめんどうをみてやる。そのためにはお前たちしっかり固まってこい。こういうように固まってくるなら、今後助長してやろう、国民の血税を投入してやろう、これでいいと思うのです。やれないというのではないのです。そういう農地制度をちょっと変えれば、現在の法規でもやれるのです。有限会社でも何でもやれるのです。しかし、国が血税で保護、助長をしようというのには、相手の組織の強化なこと、その組織員の団結も固まって、全財産を投げ出してやりましょう。そこで血税で援護をしてやろうということも、国としても当然でございましょうし、お金の使い方としても、そうでなければならぬと思うのです。税金で取ったやつを補助するのですから、その仕事の途中で投げやりなものをやっちゃいかぬ。それにはそういう見通しをつけてやっていいのじゃないか。

酒折武弘農林省農林経済局農業協同組合部長

○説明員(酒折武弘君) ただいま森委員の御意見は、無限責任を原則にして、いやな者は有限会社でも作らしたらいいじゃないか、そういう御意見のようでございます。私の方の考え方は、できるだけ生産組合を作りやすいようにさしてやりたい。そうしてその信用力については連帯保証というようなことで、やむを得ない場合にはカバーするというふうなことの方が、農民のためには親切じゃなかろうかというふうな感じを持っているわけであります。

森八三一参議院同志会

○森八三一君 私は逆の意見を持っておりますから、これ以上農協部長と討論しても、平行線すでからこれで打ち切りますが、どうも考え方が少し平行しているので、もう少し私は真剣に協業というものは、途中で中断をしないようにしっかり育てていくように考えたいと思います。そのためには無限責任でやれば、途中でやめるなんということはできません。有限であれば、失敗したときには、それでおしまいです。そのためにかえって物事を強固に進めていくということには支障がある、こう私は思う。これは意見になりますからこれ以上申し上げません。他にもございますが、東委員から御質問があるそうですから、私はきょうはこれで質問を終わります。

東隆民主社会党

○東隆君 今、森委員から協業の問題で新しくできる農業生産協同組合は、無限責任にした方がいい、こういうお話しでありますが、私もこれには賛成をします。それでこの問題は、五人以上の者が集まればできるようなふうなことになっておるようであります。一戸でも五人くらいは十分にあるところもありますし、二戸集まったら大てい五人くらいになる。従って無限責任でまとまらないようなそういうような農業生産協同組合ならば、私は有限責任の農業生産協同組合もできない。だからこの程度のものでまとまる、組織をすることができるのでありますから、私はやはり無限責任で作って、そうして十分に受け入れ態勢を作ることができる、こういうふうなものを作るのが、これが私は農村では正しい行き方じゃないか、こういうふうに考えるわけです。私はまだ農林省の方でこれに踏み切れない理由は、農協とそれから生産農協との一段階を考えて、組合員としての農業生産協同組合、こういうふうに考えておられるから、私はそういう点が出てくると思うのですが、私はもう一度昔の産業組合時代の農事実行組合のような簡易法人を部落に作る、そういう考え方を一つもう一度考え直すと、私はこの無限責任の生産農業協同組合というようなものはきわめて簡単に考えられるし、有限責任の会社やあるいは合名会社、あるいは合資会社と肩を並べていく意味においても、私は無限責任のものをこしらえた方が力が十分に入って農協としても、自分の組合員として十分に力を注いでいくことができる、こういうふうに考えます。そんなような意味で、これは一つ、きょうは時間がございませんけれども、十分に一つ検討をしておいていただきたいと思います。この意見は私は、大きな農業基本法を将来動かしていく上において基本的なものになろうと思います。農村における組織的な活動を進めると同時に、経営を非常に近代化する意味においても、私はこの二段階のやり方を考えられれば、今の問題は相当合理性を持ってくる、こういうふうに考えますが、これは一つ研究を願いたいと思うのです。私は二章、三章のことで少しお聞きをいたしたいことが残っておりますのでその点についてお聞きをいたします。昨日福島へ行っていろいろお話を聞いたうちに、どうも政府の案には「できるだけ多く」とか、あるいは「ほぼ完全」とか「なるべく」とかというような非常に不確定な言葉があるのだが、これを一つもう少しはっきりした言葉にしたらどうか、こういう言葉がありました。私は計画経済の立場と、それから自由経済の立場からこういうような言葉が出てきたのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、私はこの基本法を進める上に、たとえば第八条の場合において、先日質問をしたお答えには、相当数字的に表現をするのだ、この長期の見通しは相当数学的に表現をするのだ、こういうお話があったわけです。それで数字でもって表現をされると私は「ほぼ完全」にとか、あるいは「なるべく」とか、そんなようなことはこれは出てこないのでありまして、やはり的確な表現と、こういうことになろうと思います。そのような意味で長期の見通しということを、私どもの方の見方からすれば、相当これは具体的なもので、数字をもって表現をすると、こういうことになりますると、私どもがある程度想定をしておるところの計画と相当近寄ったものが出てくるのじゃなかろうか、こんなような気が一応するのでありますが、この点どれぐらいの開きがあるかということをお聞きするわけには参りませんけれども、ある程度私は計画という言葉をお使いにならないでこういう言葉を使った意味は十分にわかりますけれども、関連法規がたくさん出てきて、そしてそれによってやる仕事はほとんど基本計画であるとか、あるいは何とか計画というやつがみんなついてくるのじゃないか。たとえば今度出ました例の水資源開発促進法案なんかにも、基本計画という言葉が出て参ります。森林法の中にも基本計画という言葉が出てくるその他各方面のものを考えて参りますと、みんな計画という言葉が出て参るわけです。それで関連法規その他には、そういうような言葉を平気でお使いになっておって、そうして基本法になると計画という言葉をぼかしてしまっている。私はこれでは少し責任がないのじゃないか、国の責任をぼかすために逃げているのじゃないかと、こういうふうに考えます。この点毎度お伺いするようですけれども、どの程度の近似性があるか、それを一つ確かめておきたい、こう思うわけです。長期の見込み、それから数字的に表現をされている見込み、それから基本的な計画、そういうようなわれわれが考えておるものは、これはぴたっとその通りに当てはまるものじゃないのですから、だからそういうものとの違いですが、これはそう大きな開きがないようにも考えるのでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 倍増計画でも一つの見通しをやっておりますし、今後基準年に対して、十年後には米ですとか、大麦裸麦、小麦、そういうものがどのくらいの生産になるであろうかという見通しをしております。また基本問題調査会でも、同じように十年後の見通しをしております。私どもが基本法が通った場合に、長期の生産見通し、需要見通しをしようということは、大体ああいうものが出るのだというふうにお考えいただけばいいと思うのです。従いまして、これからあとのことを過去のいろいろな材料から考えるわけですから、出てきた数字というのは非常に幅の広いものだということは、倍増計画をごらんになられても、あるいはまた基本問題調査会の見通しをごらんになられても、そういうふうにごらんになると思うのでありますが、まあ大体ああいうようなものが出るというふうにお考えをいただけばいいのだと思います。

東隆民主社会党

○東隆君 あまりはっきりしませんけれども、その問題は私はこの程度にいたします。そこで、農業生産に関連をして参りますと、現行の農業協同組合は、実のところをいうと、流通の面に非常に中心が置かれております。従って生産の方面についてはほとんどタッチしておらない。しかし相当進んだ組合では、生産の方面にも十分に考えて、そうして生産資材の配給その他も考える、こういうようなふうにしてやっておるのでありますから、見様によっては、ある程度自主的な生産の方面においても統制をするような形をとっているところもあると思うのです。そういうふうに考えて参りますと、この農業生産の第二章の面において、私は農業協同組合をもう少し出して、そうして自主的な統制、資本装備の増大であるとか、農業生産の調整、あるいは技術の周度化、こういうようなもの、これらの農業生産の基盤の整備関係、こういうようなものを主として中心になってやるのは協同組合なんだから、だからこれをもう少し重視される必要があるのじゃないか、これを重視しないで、そうして単に農業生産のいろいろな施策を掲げてみても、私は意味をなさぬと思うのです。そんなような意味で私はこの農業生産の条項の中に、私は十二分に農業協同組合が自主的な調整をやり得る、こんなような規定をやはり入れるべきでないか。政府の案によりますと、十二条から十七条の間に、はじめて農業協同組合関係が出てきておる。総則の前の方の場合には、農業協同組合ではなくて、農業従事者及びその他の農業団体、こんなふうな表現をされておるので、これは農業協同組合ではなくて、いろいろな農業関係の団体を総括して言われておるのであって、私はもう一歩農業協同組合を、生産の調整その他の方面にもはっきりとうたうようなことをやらなければ、ほんとうの意味の選択的拡大生産であるとか、長期の見通しのそれを円滑に進めていく、そういうようなことはできない。こんなような気がいたして仕方がございません。そこでもう少しはっきりとうたうべきでないか、こういう考え方を持っております。そのために、私はその条文を、第二条の国の施策のところに、三項くらいにして、はっきりと書いておいて、そして全般についての農業協同組合系統の力強い中心になって、軸になってというような体制を作り上げることが、農業基本法に命を吹き込むことではないか、こういうような考え方をいたしておるわけです。この点は現行の農業協同組合法に中心を置かれたかどうか知りませんけれども、流通の合理化、その他の面に農業協同組合を初めて出してきておる。こういうふうにしか考えられませんので、生産の方面における農業協同組合の役割を、どの程度にお考えになっておるのか、もし農林大臣が言われるように、農業協同組合の自主的な活動に大いに待つのだ、こういうのなら、はっきりと一つ条文の中に入れた方がいい。こういう気がいたしますので、この点を一つお答えを願いたい。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 構造改善という問題につきましても、あるいは流通、あるいは価格というような問題につきましても、協同組合が果たす役割は、非常に大きいのでありますが、同時に生産についても、技術指導でありますとか、ここにあります生産調整というような問題については、協同組合大いに働いてもらわなければいかぬと思います。そういうことは単に協同組合だけがやる問題ではありませんけれども、協同組合が大きな役割を果たすと思います。それであればこそ、協同組合も含めて団体を整備して、こういう仕事がしっかりいくようにということを二十四条にもうたっておるわけであります。また関連法律としても、協同組合の合併というようなことにつきましても、あるいはその他の改正も問題として取り上げて御審議を願っておるわけであります。

東隆民主社会党

○東隆君 その問題は、私たびたび質問して相済まぬように思うのですけれども、しかし生産と流通、これは非常に切っても切れない関係があるし、従って適切な流通の面における合理的な流通を確立するためには、やはり生産の面も十分に考えなければならぬ。この面から私はまず始めなければならない。だからうしろの方だの前の方に、単に農業団体、こういうふうに規定をされておりますけれども、これでは私は非常に弱過ぎると思う。だからやはり農協を中心にしてやるような態勢を一つ作る必要があるのじゃないか。こういう考え方をいたしておるわけであります。第十二条の実は条文は、小林委員が、非常に何か意味がわからぬ、こういうようなお話がございました。私もこれを読んで相当疑問を抱いておるわけです。それで私どもの方は、この条文に関連をして、農畜産物の流通の合理化等とそれから市場の整備、それから農業用資材の生産費及び価格の引き下げの問題、それから農業用資材の協同生産の助長、こんなような項目に分けて、そうして相当個々の問題を取り上げておる。政府の案を読みますと、たとえば農産物取引の近代化、こういう問題は意味がはっきりして参らぬのです。一体どこでおやりなるのだか見当もつきませんが、この問題、それから農業関連事業の振興、こういうようなもの、それから農業協同組合が出資者等になるのは、これは共同会社のようなものをお考えになっておるのか、これもどうも見当がつきませんし、どういうような意味をここに持たしているのか、私はあくまで農業協同組合が参加をするとか、役員を送るとか、そういうような場合は、生産者農民が発言権を確保する、こういうような意味で私はやるべきでないか、こういうような考え方を持って、私どもの方はそういう意味を貫いておるつもりでありますけれども、政府の案を見ますと、どこか途中でもってはなはだ言葉が過ぎますけれども、ぼけておるような、そんな気がいたして仕方ないのであります。そこで今申し上げましたような言葉ですね。その意味を少し解明をしてもらって、この第十二条をはっきりさせていただきたい。こう思うわけです。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 一つは、農産物取引の近代化ということと思いますが、これは取引につきまして、取引機構ですとか、あるいは取引のやり方というものを近代化する。市場設備を拡充いたしますとか、あるいは市場を開設するとか、農産物の規格や、検査の制度を整備するというようなことで取引を近代化するという意味でございます。  その次の農業関連事業の振興、これは小林委員からもお話がありました点でございます。農産物の加工でございますとか、あるいは農業資材の生産、あるいは農産物の、また農業資材の販売等とか、農業に関連いたしまして、農業の発展のためには、その発展が必要だというような事業を振興していく、こういうことでございます。  次の農業協同組合が出資者等となってということでございますが、これは制度的に農業協同組合会社というようなものを考えて新設するということまでは、今は考えておりませんで、出資者になりましたり、あるいは、先生おっしゃられたように、役員を出すとか、あるいはまた、その会社が、事業が作った品物を長期的に協同組合が買う、あるいは農民が生産したものを原料として長期的な契約でそこに売り込むというような関係がある場合にはこうだ、という意味でございます。

東隆民主社会党

○東隆君 農産物取引の近代化ですね。これは、この問題は、前のいろいろな農林大臣の説明では、たとえば流通の過程においていろいろ卸売市場その他の数字、そういうようなものも十分に考えなければならぬ、いわゆる例の見通しの場合ですね、そういうような点、それから穀物取引所、あるいはそういうようなものをお話しありました。しかし私は、そいつももちろんこれに関連していると思いますが、農産物の検査制度であるとか、それからそういうようなことを、農産物取引の近代化ですか、私は何かそれならもう少し具体的に書いてもいいように思いますが、何か別な意味を持っておるのじゃないですか。これ全然切れているわけですね。農業協同組合系統の販売、とこで言いますと、(「農業協同組合」と総称する。)が行なう販売、購買等の事業の発達改善、」、こうコンマが入っておるのですね。そして「農産物取引の近代化、」……、この「農産物取引の近代化」というのは、「農業協同組合又は農業協同組合連合会が行なう販売、購買等の事業の発達改善、」に引っかかってくるわけですね。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 協同組合またはこれこれが「行なう販売、購買等の事業の発達改善、」、そこで切れるわけです。

東隆民主社会党

○東隆君 そうすると、これは、もし簡単に書くとすると、「農産物の流通の合理化及び加工の増進並びに農業資材の生産及び流通の合理化を図るために、たのようなことをする。」とかりに書いて、「一、農業協同組合または農業協同組合連合会が行なう販売、購買等の事業の発達改善、二、農産物取引の近代化、三、農業関連事業の振興、四、農業協同組合が出者資等となっている農産物の加工または農業資材の生産の事業の発達改善」、こういうふうに書いて、その前の方に、「必要な施策を講ずるものとする。」、こんなふうな表現になるわけですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) そういうことです。

東隆民主社会党

○東隆君 私は、はなはだこれは相当いろいろな広範なものを含んでおるので、なかなかこれを読んだだけで理解ができないと思いますので、これはもう少し何とかわかりやすくしていただきたいような気がするわけです。それからその次に四章の方に入りますが、先ほど福島の話で申しました、「できるだけ多くの」、「ほぼ完全に」、それから「なるべく」というような非常に不明瞭な言葉がある、こういったのは、これは第十五条と第十六条にその言葉があるわけです。私は、農業構造の改善というような、そういうような問題をひっさげておる場合に、もう少しここはほんとうに明瞭な、明確な表現をお使いになった方がいいのじゃないか、こう私は考えております。そこでこの十五条で、「家族農業経営が自立経営」と、こうして、自立経営をカッコして定義をここに下しておられるのでありますが、自立経営というのは、私は簡単に言えば、ここでは農業だけを意味しておるように考えるのでありますけれども、そうだとすると、農業の粗収入から農業の狭義の経営費だけを差っ引いた農業所得でもって農家が生活ができ、多少の蓄積ができるような農家が私は自立農業と、こういうふうに考えますが、そういう意味にここの自立経営というものを理解してようございますか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 自立経営と申しますのは、農業だけでそういう、他と均衡のとれるような生活ができるような所得が得られる、こういうことでございます。

東隆民主社会党

○東隆君 そうすると、ここで定義を下されておるような意味ですと、「ほぼ完全に」という言葉がありますけれども、家族構成、それから経営面積、そういうようなものをほぼ想定をされておるのじゃないのですか、この書きっぷりでありますと。そうじやないのですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 「ほぼ完全に」と申しましたのは、農業というものは、年間三百六十五日全部働くというわけにいかないので、先ほどのお話にも出ましたように、二百五十日程度ということもございます。そこで、そういう言以外のときには、他の仕事をするということもあり得るわけで、そういう意味で、「ほぼ完全に」と、こういったわけでございます。

東隆民主社会党

○東隆君 そうすると、一〇〇%近くまで農業に従事をする、そうしてごく少数はほかの仕事に従事してやるのだが、農業所得では生活ができない、しかし農外所得によっては生活ができるのだ、こういうようなものも自立経営と、こういうふうにお考えなんですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) まあ基本問題調査会でも、一町五反層の程度が自立経営に近いものだ、こういうことを言っておりますけれども、自立経営といえども、今申し上げましたように、兼業収入ということはあり得るわけです。しかし大体そういうものを考えなくても、農業の所得だけで均衡がとれるようなもの、こういうことでございます。

東隆民主社会党

○東隆君 私どもの方は、実は兼業農家の場合ですね、兼業農家の場合を考えたときに、兼業農家というものは、俗に飯米農家といわれておる。それで、飯米農家は非常に生産が低いのです。低位の生産農家です。そこでこういう農家をたくさんこしらえることは、国のためにもあまりいい方法でない。こう考えますので、そこで、その兼業農家を一つ高位の生産農家にするためにはどうしたらいいか、こんなような考え方で主実のところを申しますと、その人が、その兼業農家が、その土地から所得を上げておった程度以上の所得が上がるようなふうに耕作ができるような態勢を作ればいいじゃないか、そのためには生産農業協同組合のようなものを作って、そしてその耕地を高度に利用するとか、こういうようなことによって十分にその兼業農家を養うことができると同時に、高度の生産を上げる、そんな態勢を作ればいいじゃないか、こういうような簡単な考え方でありますけれども、そういうことを考えて生産農業協同組合、こういうのを考えたわけです。これは私はある意味においては兼業農家を解消することにもなるし、それから相当な効果を上げるようなことにもなろうと、こう考えておりますが、その場合には、農業によって自立というわけにはいきません、そのものは。しかし協同組合の単位の一つの経営単位としての自立という方面にはこれは十分に役立つと思うのです。だから私は自立経営というものを、個々の家族農家を中心にしてお考えになっておるから私は問題になるんで、今後生産農業協同組合であるとか、農業法人というようなものができるのでありますから、従って自立経営というのはそういう意味でなくて、私はそういうような共同経営をやっておるものの経営単位が自立できると、こういうふうに広義に解釈をした方が、個々の自立経営というのは、私はこの農業基本法を作って、そうして協業の促進その他を進めていくんですから、私はそういうような意味からいって、そういう見方をされた方がいいんじゃないか。それでここでは家族農業の目立と、こういうことを言われておるのは承知をいたしておるのですけれども、私はもう一歩広義に解釈をして、自立経営というのは、共同経営の単位においても自立ができるんだ、こういうふうにお考えにならぬければ私は目的を達しないんじゃないかと、こういうふうに考えますが、この点はどうですか。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) ここで言っております自立経営というのは、家族農業経営としての自立経営ということを言っておるわけであります。そこで、これはもうしばしば農林大臣等からお話があった点でありますけれども、そういう自立経営になりがたいものがあるわけです。他の兼業所得によってでなければ生活ができないというものがあるわけです。そういうものは協業というような形で農業の面では生産性をさらに上げていくと、農業から出る所得も上げていくということの指導はもちろんやるわけです。そういうことによってさらに兼業のための条件も出てきて、兼業収入もよけいになるということで自立経営と同じような生活ができるようにということを考えておるわけです。そういうものを自立経営と呼んだらどうかというお話だと思いますが、ここではそういうものは自立経営と呼ばないで、家族農業経営について自立経営ということを考えておるわけです。

東隆民主社会党

○東隆君 私は自立経営になり得ないもの、それが十分に立っていけるような、そういう姿に作り上げれば、私は満足せなきゃならぬと思う。だから共同経営、生産農業協同組合等を作って、そうしてそれがある程度の経営単位で、それは面積だけじゃないですよ、資本を投入してそうして酪農の部面も入れるだろうし、いろいろなことをやるかもしれない。そうしてその経営の単位でもってこれが自立できる、そういうものも含めてお考えになった方が、農業基本法の目的にかなうのじゃないか、こう思うわけです。それで個々の農家も家族農業が自立できるのだと、こういう面で非常に私はむずかしい問題が起きてしまっていたし方がない。それで政府の言われる協業という形を持ってきて、そうして自立農業とか自立経営になる、こういう形を考えた方が私はいいと思うのですが、これはそういうふうに読みかえてもそんなに不都合な気がしないのです。この第十五条をそういうふうに読みかえても、そこの自立経営というものを、自立していない家族農業経営、それが自立経営になるように育成する、こういうふうに書いてある。この自立経営というのは家族農業経営を近代化したら、普通の今までの生活とそれから経営とがごちゃごちゃになっているのが私は完全に分離されて、そうして経営と生活が分離する、そういうふうになってくるのです。その経営というのは、私は必ずしも共同経営のような形態とそんなに違わないものだと、経営という面が。だから家族農業経営の近代化という言葉を今の家族農業そのものをずっと変わらない形のものだ、こういうふうにお考えになれば違って参りますけれども、私は家族農業経営を近代化したら、これは生活とそれから経営は完全に分離する。だから分離された形態の経営という部面と、それから何人かが共同してやっているところの経営は、これはそう違ったものでない。ことに五人くらいでもってやっておる経営というものは、経営が分離されるのに比較してそんなに違うものにならぬ。そういうふうにすると、私はここで自立経営というものを農家が自立していけるという、そういうふうに解釈をしないで、農業で自立できるのだというふうに解釈をすれば、私はそんなに大きな区別がつかない、こう考えるのですが、この点はどういうお考えですか。この前もお聞きしたけれども、経営とそれから生活というものと、家族農業経営を近代化するという言葉を真正面から考えれば、私は企業的な農業経営というものに移行するのだろう、こう考えるわけです。そうすると経営と生活というものは分離する。だから農業経営を共同でもって、五人くらいでもってやるのとそんなに違わない、そういうことが考えられるのですが、この点どういうふうに割り切っておられますか。家族農業経営の近代化、で、政府のいわれるように私は、いつも政府はもうかる農業というと語弊がありますけれども、そういうことをねらっているのだ、そう考えてみると、私は、だんだん経営と生活が分離されて、ことに専門の養豚をやるとか、養鶏をやるとかというふうになってきたら、完全に経営と生活と分離される、そういう点についてどうですか。経営という面を中心にして考えると、そちらの方が自立経営の面を考えているのですが、私はその面にはそんなに大きな開きをつける必要はないと思うのです。非常に広大なものに、大きなものになればこれは別ですよ。だからその点私はそんなに区別立てをして、そうして家族経営を踏襲していくという、そういう考え方は経営の近代化にはならない、こういう気がしてならないのです。この点は、落ちつくところは一体どこに落ちつかせるつもりか、一つお聞かせ願いたい。

大澤融農林大臣官房審議官

○政府委員(大澤融君) 御質問の意味私取り違えておったらば申しわけないのですけれども、私の理解した限りでお答えいたしますと、基本法の考え方としては、家族経営と協業、この二つのことをいっておるわけです。その家族経営というものは、近代化してできるだけ多くのものを自立経営にしていこうということでございまして、経営と生活ということを考えます場合に、家族経営の中でも経営管理というようなことが、はっきりした形を整えて参りますならば、経営単位としての農家、消費単位としての農家というような分離が行なわれるということはあり得ることだと思いますけれども、その農家経営という形での農業から得た所得で生活をするという意味で結びつきがあるわけで、極端な場合、協業経営というようなことを考えた場合、農家の人たちの生活と経営ということとは完全に分離されるわけでありましょうけれども、農家経営の場合でも、経営管理というようなことが整備されてくれば、そういう形はあり得るということは言えるのじゃないか、こう思います。

東隆民主社会党

○東隆君 落ちつくところを一体どこにお考えになっているのか。経営と生活とを分離しない形のものを中心に考えておるのか。自立経営という場合、私は自立経営というのは、経営と生活を分離して、そうしてやっていくやり方じゃないかと思うのです。ことに選択的拡大生産というようなことを中心にしてやりますと、非常に換金作物農家がふえて参ります。食糧を作らない農家というものができてくるわけでありますから、従って今までの情勢と非常に変わってくる。だから、農家の大部分は水田を作るからというわけで、生活とごっちゃにしておるというなんですけれども、私は近代化という言葉を使ってやる場合に、これは相当はっきりさせて自立経営という場合には考えていかなければならぬと思います。そうすると、小さな五人ぐらいでもって協業をやっておる経営、これは生活とは完全に分離されますから。それから自家の場合においても、専門的な農業をやるから完全に分離される。だから私は分離されることを前提においておやりになるのではないか、こう考えるわけです。だから何かいなかの小売商人のように、自分のところに売っているものを生活に回してしまって計算のできないような、そんなやり方をやるような農業、そんなことをお考えになっておるのじゃないと思う。だからはっきり分離して、そうしてやるのだとするならば、自立経営というものは、小さな生産農業協同組合のようなものと、それから自立的農家の単位の一個でもってやっている経営、これの区別というものはそうつかないような形になる、こういう気がするわけです。農業所得によって生活をするのですから。だから共同経営の場合におけるものも生活をするのです。だから私はそういう意味で、おのずからそんなにその区別をつけなくていいんじゃないか、こう考えているわけです。それをあまり截然と分けられると、何だかこういう農業基本法の中の家族農業経営というようなものが古めかしいものになってくるのじゃないかという感じがして仕方がない。そういうことを望んでいるのじゃない。そういう気がいたしますから、これは何回お聞きしても結論は出ないようですけれども、私の質問の仕方が悪いかもしれませんけれども、しかし企業的な農業をお考えになっておるとするならば、生活と経営を完全に分離した方がいい。それから経営というものを、自立経営というものを考えるならば、私は共同経営の形の単位、経営の単位から考えるものも、それから個々のものも、これは同じだ、こういうような気がして仕方がない。だからそんなに大きな区別をする必要ないでしょう、こういう見方をしています。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 本日はこの程度にいたし、散会いたします。    午後五時十八分散会    ————・————

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