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38回国会参議院1961/03/02

農林水産委員会 第11号

発言数
69
登壇者
10
会派数
2
開催日
1961/03/02

会議録

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(閣法第九八号)、果樹農業振興特別措置法案(閣法第九九号)、及び開拓融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第一〇〇号)、以上いずれも予備審査の三案を一括議題といたします。  まず、三案について順次提案の理由の説明をお願いをいたします。

井原岸高自由民主党農林政務次官

○政府要員(井原岸高君) ただいま、提案になりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  農林漁業金融公庫は、その設立以来八年、農林漁業の生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金を融通して参っております。この間公庫の貸し付けて参りました資金の総額は、昭和三十五年度末において約三千二百億円、その融資残高は、約二千百億円に達する見込みでありますが、昭和三十六年度におきましては、前年度に引き続き、重要農林漁業施策に即応して、農林漁業の生産基盤の強化と経営の安定に必要な資金の融通を行ならうととし、資本金の増額、新たな業務として林業経営の維持及び改善に必要な資金の貸付等の措置を講ずるため、本法律案を提案した次第であります。  以下、農林漁業金融公庫法の改正の内容について御説明申し上げます。  第一点は、資本金の増額であります。昭和三十六年度における公庫の貸付予定計画額は六百億円でありまして、前年度に比較して八十三億円の増加となっておりますが、この六百億円の貸付を行なうための原資は、年度内の資金交付所要額を勘案いたしまして、一般会計からの出資金九億円、産業投資特別会計からの出資金八十億円、借入金といたしまして資金運用部から二百六十八億円と簡易化命保険及び郵便年金特別会計から五十七億円並びに回収金等百五十億円、合計五百六十四億円となっております。以上の通り、政府が一般会計および産業投資特別会計から八十九億円を出資することなっておりますので、現行の資本金に関する規定を改正することといたしたのであります。  第二点は、公庫の新たな事業として林業経営の維持及び改善に必要な資金の貸付を加えることであります。林業は、その性格上特に長期かつ低利の資金を必要とするものであり、従来とも公庫は造林資金、伐採調整資金等の長期低利資金を融通して参りましたが、今回さらに農山村においてみずから森林の経営を行なっている者に対し、その森林の保全管理、造林のための土地の取得等その営む林業経営を改善するために必要な資金及び疾病等の原因により、林業経営を維持することが困難となった場合におけるその林業経営を維持するのに必要な資金を公庫が貸し付けることができることとするよう、所要の改正を行なうものであります。  第三点は理事の増員であります。公庫は従来四人の理事をもって業務を執行して参りましたが、事業の拡大に伴う事務分量の増大に対応し、その執行をさらに適正にいたす必要がありますので、理事の定数を一名増加する必要があり、所要の改正を行なうものであります。  以上が、この法律案を提案する理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いいたす次第であります。  次に、ただいま上程されました果樹農業振興特別措置法案の提案の理由を御説明申し上げます。  今後のわが国農業の発展に大きな役割を果たすことが期待される部門の一つとして、果樹農業があげられていることは御承知の通りでありますが、最近における果樹農業の急速な成長は、これを裏づけているものと思われるのであります。  いまその粗生産額についてみますと、昭和二十五年度に比し、昭和三十四年度はおおむね三倍に近い伸びを示しており、農業総生産額中に占める割合も約五%という大きな比重を持つに至っているのであります。また、今後の見通しにつきましても、果実の需要は大幅に増大し、これに見合ってその生産の拡大が見込まれるのであります。  このような趨勢にある果樹農業を今後さらに安定した発展の軌道に乗せ、国民経済の成長発展に即応した農業生産の選択的拡大と農業経営の近代化に資するためには、国及び都道府県による各般の施策が講ぜられなければならないと考えるのであります。  特に将来の果樹農業の健全な発展をはかるためには、流通、加工等の改善合理化と並んで、果実生産の安定的拡大を目標としつつ、栽培適地において合理的な果樹園経世を確立せしめることが必要と考えられるのであります。このためには、果実の長期的需給の動向に即応した適正な果樹の植栽と果実の生産を誘導するとともに、今後の果樹園経営の合理化の方向が、生産から販売にわたって集団的にかつ一貫して行なわれるようにすることにあるのにかんがみ、その基礎条件である樹園地の集団化と効率的な機械、施設の導入等を計画的に推し進めることが緊要と考えられるのであります。  この法律案は、右に申し述べました趣旨に基づき、果樹についての長期見通しを立てるとともに、合理的な果樹園経営計画に基づく樹園地の集団化及び農作業等の共同化を積極的に推進する等果樹園経営の基盤の確立のための措置を講ずるほか、果実の流通、加工の合理化に資するための指導措置等を講じ、果樹農業の健全な発展に寄与しようとするものであります。  次におもな内容について御説明申し上げます。  まず第一に、果実生産の安定的拡大に資するため、農林大臣は、果実の、需要の長期見通しに即して、主要な果樹の種類ごとに、植栽及びその果実の生産についての長期見通しをたて、これを公表することといたしております。  第二に、果樹農業者の集団または果樹農業者が構成員となっている法人が、その果樹園経営の合理化をはかるため果樹園経営計画を作成しようとする場合に、国及び都道府県がこれに適切な指導を行なうこととするとともに、当該経営計画について都道府県知事の認定を受けた者に対し、農林漁業金融公庫からの植栽資金等の貸付並びに国及び都道府県による助言指導等を行なうこととしております。  第三に、国及び都道府県は、果樹農業の健全な発展並びに果実の流通及び加工の合理化に資するため、生産、流通、価格等に関する情報の提供、果樹農業君に対する優良苗木の供給の円滑化のための援助、その他果樹農業の振興のために必要な援助を行なうように努めることといたし、またこれとも関連して果実の生産、販売等についての報告を徴収することができることとしております。  第四に、果樹農業の振興に関する重要事項を調査審議するため、農林省に果樹農業振興審議会を設置することといたしております。  第五に、以上と関連して、附則で農林省設置法及び農林漁業金融公庫法に所要の改正を施しております。  以上がこの法律案のおもな内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。  続いて、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。  戦後の開拓事業もすでに十五年を経過し、現在約十五万戸の農家が開拓地において農業経営を続けております。これら開拓農家のうちには、一部安定的な経営を確立している者もありますが、反面、営農の基盤がいまだ十分に整備されず、経営不振に悩んでいる農家も相当あるのであります。  政府としましても、開拓地における営農の現状にかんがみまして、その振興をはかるべく昭和三十二年以来、開拓営農振興臨時措置法に基づき、営農振興対策として諸般の施策を実施いたしておりますが、昨年からは、開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法によりまして、政府資金についてその償還条件を緩和する措置を講じているのであります。なお、現在実施いたしております営農振興対策について、その目標及び実施の方策に関して再検討すべきであるという意見もありますので、開拓営農振興審議会を設置して、振興対策の方策をいかに改善すべきか御審議願っております。政府といたしましては、審議会の結論ともにらみ合わせ、改善を加えるべき点については改憲を加えて、振興対策の促進をはかって参りたいと考えておりますが、開拓者の営農も逐次伸張を見せておりまして、経営資金に対する需要も増加して参っております。  開拓者が必要とする営農資金のうち、農畜舎、大農具、大家畜等の基本的施設については、開拓者資金融通法による政府の貸付金及び農林漁業金融公庫資金を融通することになっておりますが、肥料、飼料、農薬、肥育牛、その他中小家畜など、短期、中期の資金については、開拓融資保証法により債務保証を行なって、系統機関からの経営資金の融通が円滑になされるよう措置して参っております。  開拓融資保証制度の仕組みといたしましては、中央及び各都道府県の開拓融資保証協会が開拓農協の債務を保証する建前になっておりまして、中央開拓融資保証協会の資本金五億九千五百六十二万円のうち、四億九千万円は政府が出資いたしております。しかし、開拓者の資金需要の増大により、現在の資本金による融資ワクでは不十分でありますので、昭和三十六年度において、中央開拓融資保証協会に対する政府の出資金をさらに五千万円増類して、資本金総額を六億四千五百六十二万円とし、融資ワクを増大して営農資金の融通を一段と拡充し、開拓者の資金需要の増大にこたえて開拓地における営農の確立を促進しようとするものであります。  以上が開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 以上で三案の提案理由の説明は終わりました。三案については、本日はこの程度にいたします。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 農業基本法案(閣法第四四号)及び農業基本法案(衆第二号)いずれも予備審査の二法案を一括議題といたします。  両案について順次提案の理由の説明をお願いいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) 農業基本法案につきましてその趣旨を御説明申し上げます。  申し上げるまでもなくわが国の農業は、過去幾世代にわたって、国民食糧その他の農産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等、国民経済の発展と国民生活の安定に寄与して参りました。また農業従事者は、この農業のにない手として多くの困苦に耐えながら、その務めを果たし、国家社会の重要な形成者として他の産業従事者とともに、国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきたのであります。  しかるに、わが国経済の発展の過程において、農業は、自然的経済的社会的制約のため、他産業との比較において著しい生産性の較差を表わしております上に、また近時産業経済の著しい発展に伴って、農業従事者と他産業従事者との間において生活水準の較差が拡大してきております。  他方、国民生活の向上とともに農産物に対する需要にも変化が生じ、澱粉質食糧よりも蛋白質食糧等の消費増大の傾向が現われてきたこと、また農業から他産業への労働力移動の現象が見られ、農業就業人口は減少し始めてきたこと等農業と農業を取り巻く条件の変化はまことに著しいものがあります。  このようにいわば農業が曲りかどにきているという事情を背景にして、産業、経済の重要な一部門として農業も国民経済の成長発展に即応して他産業におくれをとらないように生産性を向上し得るようにするとともに、農業従事者も他産業従事者と均衡する生活を営み得るようにすることが強く要請されております。  それゆえ、農業及び農業を取り巻く条件の変化と、農業ないし農業従事者のあり方を考え、その調和をはかって、この際農業の向こうべき新たな道を明らかにし、農業に関する政策の目標を示し、これに基づいて諸般の施策を進めて参りますことは、農業及び農業従事者の重要な使命にこたえると同時に、公共の福祉を念願する国民の期待にこたえるゆえんであると考えるものでございます。これがこの法案を提出いたしました趣旨でございます。  次に、法案の主要点につきまして御説明いたします。  まず前文におきまして、以上申し述べましたような趣旨を明らかにしておるのでございますが、第一章総則におきましては、第一に、国の農業に関する政策の目標は、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように農業の生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営み得るようにすることを目途として農業の発展と農業従事者の地位の向上をはかることにあるものとしております。  第二に、この目標を達成するため、国は、農業政策のみならず、政策全般にわたって必要な施策を総合的に講じなければならないこととしておりますが、この際重点的に配慮すべき方向づけとして(1)農業生産の選択的拡大、(2)農業生産性の向上と農業総生産の増大、(3)農業構造の改善、(4)農産物の流通の合理化、加工の増進及び需要の増進、(5)農産物の価格の安定及び農業所得の確保、(6)農業資材の生産及び流通の合理化並びに価格の安定、(7)近代的な農業経営の担当者たるにふさわしい者の養成及び確保と農業従事者及びその家族がその希望と能力に従って適当な職業につき得るようにすること、(8)農村の環境整備等による農業従事者の福祉の向上の八項目を明らかにしております。これとともにこれらについての施策が画一的でなく、地域的に自然的経済的社会的諸条件を十分考慮して行なわれるべきものとしております。  第三に、諸施策を実施するため必要な法制上、財政上の措置を講じ、また農業従事者が必要とする資金の適正円滑な融通をはからなければならないこととしております。  なお、施策を講ずるにあたっては、農業従事者等の自主的な努力を助長することを旨とするものであることを男らかにしております。  第四に、政府は、毎年、国会に、農業の生産性及び農業従事者の生活水準の動向とこれらについての政府の所見を含む農業の動向に関する年次報告を提出し、またこの報告にかかる動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を提出しなければならないこととしております。  以上が総則のおもなる内容でございますが、第二章ないし第四章におきましては、農業生産、農産物等の価格及び流通、農業構造の改善等に関し必要な施策の方針をそれぞれ明らかにすることといたしております。  すなわち、農業生産に関する第二章におきましては、農産物の需要及び生産の長期見通しを立てて公表すること、農業生産の選択的拡大、農業生産性の向上及び農業総生産の増大をはかるため、右の長期見通しを参酌して生産に関する施策を講ずること、農業災害に関する必要な施策を講ずることについてそれぞれその方針を明らかにしております。  農産物等の価格及び流通に関する第三章におきましては、まず重要な農産物について、農業の生産条件、交易条件等に関する不利を補正する施策の重要な一環として、その価格の安定をはかるため必要な施策を講ずることとし、さらに価格安定の施策の実施の結果を総合的に検討して、施策の万全を期していくこととしたほか、農産物の流通の合理化等についての施策、輸入農産物との関係の調整、農産物の輸出の振興について必要な施策を講ずることとしておるのであります。  農業構造の改善等に関する第四章におきましては、家族農業経営の健全な発展、協業の助長、兼業農家の安定などに重点を置いております。まずわが国農業のにない手としての家族農業経営の近代化をはかってその健全な発展をはかるとともに、できるだけ多くの家族農業経営が自立経営になるように育成するため必要な施策を講じ、また協業を助長して家族農業経営の発展、農業の生産性の向上、農業所得の確保等に資するため、農業協同組合組織のほか新たに農業生産法人の道を開くなどの施策を講ずることによって、家族農業経営とその協業組織が相並び相補いながら、農業経営の近代化に資するようにしたいと存じております。そのため、農地についての権利の設定または移転の円滑化のため農業協同組合が農地の信託を引き受けることができるようにし、また近代的な農業経営の担当者たるにふさわしい者の養成、確保等のため教育、研究、普及の事業の充実等をはかることとしております。さらにわが国家族農業経営の過半は、いわゆる兼業によって家計を維持安定させている実態にかんがみまして、その家計の一そうの安定に資するとともに、農業従事者及びその家族がその希望と能力に従って適当な職業につき得るよう就業機会の増大その他の施策を講ずることといたしております。  なお、農業構造の改善は、土地条件等の整備を基盤として、農地保有の合理化、農業経営の近代化等を総合的に行なって初めて実効を期し得ることも多いと思われますので、そのため必要な施策を講ずることといたしております。  次に、第五章におきましては、農業行政に関する組織の整備及び運営の改善と農業団体の整備についての方針を述べております。  最後に第六章におきまして、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、内閣総理大臣または関係者大臣の諮問に応じ、この法律の施行に関する重要事項を調査審議するための機関として、総理府に、農政審議会を設置することとし、その組織等について必要な規定を定めております。  農業基本法案の内容は、おおむね以上の通りでございまして、この法律は今後の農業の向かうべき道、農業従事者の進むべき目標を示すにありますので、これに基づく具体的な施策は、基本法の趣旨により今後にわたって法制上、予算上等の措置をとる覚悟でございます。とりあえず三十六年度につきましては、予算案にすでにその趣旨を取り入れておりますが、まだ関係法律案につきましては当面措置すべきものについてすみやかに提案いたしたい所存であります。  何とぞ慎重御審議の上、この農業基本法案をすみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。

北山愛郎日本社会党

○衆議院議員(北山愛郎君) 私は提案者を代表して、社会党の農業基本法案について、提案の趣旨及び内容の概要を御説明いたしたいと存じます。  わが党が農業基本法の検討を始めたのは昭和三十三年であり、その後三回にわたって、草案要綱を発表し、広く各方面の意見を聞いて、検討を重ね、いよいよこの国会に提案する運びとなったのであります。  従って、この基本法案は社会党の農業に対する基本政策を整理し体系化したものであり、この原則を具体化するための多数の関連法案とともに、一体として、社会党の農業政策の集大成をなすものであります。  わが党の農業基本法案と同時に政府からも基本法案が提出せられました。政府案は農業を資本主義自由経済の中に組み入れ、独占資本中心の経済成長計画に農業及び、農民を従属せしめようとする基本法であり、われわれの案は、農民の立場に立って、その利益を守り、強力な農業発展政策を行なわんとするものであって、両者の相違は明白であります。  農業の行詰まりと農政大転換が叫ばれつつある今日、いずれの基本法が兵に農民のためのものであるか、いずれの農業政策が、明るい民主的な社会を作ることができるかを、十分に御審議を願い、国民もまた真剣に検討されているよう切望いたすものであります。  以下わが党の農業基本法について、内容の主要な点を御説明申し上げます。  まず前文の中に本法案作成の根本的態度を打ち出しておりますが、第一に、わが国の農業が今日なお過小経営の形で、土地利用その他の生産条件が立ちおくれ、農村の生活文化が前近代的状態にあるのは、農民の責任ではなくして、昔から時代の支配層によって搾取され、抑圧され続けた結果であるという認識に立って、これらの歴史的な悪条件を除去して、農民の所得と生活を豊かにし、都市と農村の文化的格差を解消することは国の政治の責任だと考えるのであります。この点は政府案の前文にあるように、農民の果たしてきた、任務と使命が今後においても変わることなく続けられることを期待する態度とは異なり、農業及び農民の過去における被抑圧者としての試練と困難を再び繰り返してはならないとの決意に基づいているのであります。  第二に、戦後において、農地改革や農村民主化によって一時向上した農民の地位が低下し、他産業との所得格差が開いて来たのは、大資本の支配力の復活によって、生産、価格、流通などの経済上の圧迫を受けたからであり、それゆえに、農業を自由経済に組み入れ、貿易の自由化によって国際競争にさらすことは、比較的大きな農家の自立をも困難にするものであり、農業の発展はこれによって阻害されると考えるのであります。  この点は政府案が、他産業の高度成長に即応し、依存しつつ、農業の部面にも資本主義経済の合理性を浸透させ、農業経営を企業として自立し得る経営型態に再編しようとし、保護、農政の後退を示していることに対し、対照的考え方に立っているのであります。  われわれは以上の見地から、国が従来より一層の積極的態度をもって、計画的に、農用地の拡大、土地条件の整備を行ない、共同化による経営の拡大と近代化を進め、農畜産物及び農業用資材の価格流通面の適切な施策を行なって、農業の発展と農民の地位と生活向上を固く期待しておるのであります。  われわれは農業生産を拡大し、自給度を高め、農民の所得と生活の水準を他産業のそれと同一の水準にまで向上させようとするものでありますが、そのためには第一に必要なことは農用地の拡大であります。農用地をふやさずに零細経営の改善と畜産、果樹の振興は不可能であります。政府の基本法はほとんど農用地の拡大に触れず所得倍増計画も、十年後の農用地は依然として六百万ヘクタール、すなわち現状維持であります。  わが国の農地の全地面積に対する比率は耕地一五%、草地四%計一九%にすぎず。英国の八〇%、フランス六二・七%、イタリア六九・四%、米国五六・八%。インド五一・五%及び山国であるスイスの五二%に比してきわめて低いのであります。  社会党は、当面、畑と算地三百万ヘクタールの開発を行なって、農用地の率を三〇%に引き上げようとするものであります。このため土地利用高度化の諸原則を第八条に規定する通り国土実測調査を推進し、土地利用計画、利用区分を定め、農用地とすべきものについては、国有地は払い下げまたは貸し付けをし、民有地、公有地は買収または利用権の設定などにより農地を拡張して、農民及びその共同体に利用せしめようとするものであります。  土地利用計画については、あわせて水の利用をも考慮し、また林業との調整に留意することは申すまでもありません。  また土地所有形態については、第九条に規定するようにこれを耕作する者が所有するという原則を貫き、土地所有と農業労働の分離を排除することといたしております。  耕作者の所有も個人が持つ場合と共同で持つ場合とありますが、農民自身の自主的な意思によって、農地に関する権利を共同で保有するよう漸進的にこれを指導する方針をとるものであります。  社会党は農地の地主的所有や資本家的所有は排除しますが、意味のない国有を考えていないことは、現在の国有地についても農地に転拠すべきものは、これを農民に売り渡しまたは貸し付けの方針をとっておることにも明らかであると存じます。  次に経営形態について、われわれは経営規模の拡大、零細経営の解決は、基本的には共同化、共同経営によるものとし、農業協同組合の下に農民の農業生産組合を育成しようとするものであります。言うまでもなく、われわれは急激に、また強制的に共同化を進めようとするものではありません。経営の全部または一部の共同化を認め、共同施設や共同作業など共同組織の奨励と並行しつつ、共同化の方向に進めようとするものであります。  しかし、現在の条件の下で、共同化の推進は強い国の助成なしには進めることはできません。生産条件の整備はもとより、価格流通面でも保護政策を、とってその所得を確保しながら、共同経営へ前進する諸施策をとる必要がありますので、われわれは共同化が真に農民の現実の利益をもたらすことを保証するため、別に、農業生産組合法案、農業経営近代化法案を作成し、共同化への営農設計、技術指導、各種の助成措置、低利資金の貸し付け、機械の貸与、税法上の特典などの措置をとるとともに共同化に伴う農用地の造成、土地改良、農地の集団化事業は全額国費負担とするなどの措置をとろうとするものであります。  また経営の近代化、共同化を進めるため、各都道府県内の地区に、農業サービス・センターを輝き、また都道府県の中央部に、国営の農業機械ステーションをおいて、 ヘリコプターなどを装備し、大型農業機械の補給、修理、教育講習の当地たらしめようとするものであります。  以上については、本法案第五章に規定するところであります。  次に価格、流通、加工の問題についてでありますが、農産物の価格安定は、農民所得確保の、重要な一環であります。われわれの基本法は現在の食糧管理制度を維持改善し、生産費所得補償方式のもとに農産物価の安定をはかろうとするものであります。  また、農産物需要の拡大のためにはその最大の消費者である勤労者の賃金所得を豊かにしなければなりませんので、第十五条には特に勤労階層の所得水準を高め、国民食生活の改善指導を行ない国内需要を積極的に増大すると規定しておるのであります。この点農民は労働者の賃上げ闘争の被害者ではなくして受益者であると言わなければならないと存じます。また、農産物の生産、出荷の計画化を指導し、農協などの共販事業を強化し、公営卸売市場の整備などの流通面の合理化をはかるものであります。同時に、農産物の輸入を抑制し自給度を嵩める措置をとり、また農産物の輸出、海外市場の開拓などに努めることといたしております。これらの点は、第十六条ないし第十八条に規定するところであります。  畜産、果樹、園芸の振興に伴い加工事業の重要性は増大して参りますが、これをなるべく農民の手で行なわせることは第十二条に裁定するところでありますが、このため農産物加工振興法により、農協またはその出資による農産公社を設置し、特に農畜産物の簡易加工と農村消費への還元などを進め、あわせて農村食生活改善に資し、また、農民が単なる原料生産として他の資本からの圧迫を受けないような措置を検討し、また農協の共販体制の強化や農民と他の資本による加工企業との団体交渉など農民の地位と権利を高めることと考慮いたしておるのであります。  次に、農業用語資材については、第十九条、第二十条に定める通り肥料、農薬、農機具、家畜飼料、電力石油などの安価な供給を確保するため、この生産、流通の規制などを行ない、必要によって、これらの生産、輸入、販売などを国営または国家管理に置くことを定めております。  次に、畑地、草地農業の振興と畜産、果樹、園芸農業の発展をはかることは当然のことでありますが、その中心は酪農であり、われわれは米と並んで牛乳が農産物の新しい柱となるように、酪農経営の安定をはかるため、昨年の総選挙前故浅沼委員長が発表した牛乳法案を準備し、牛乳の生産と消費の拡大をはかり、国民一人牛乳三合を実現せんとするものであります。  牛乳法案は、乳牛の導入、増殖草地の改良、酪農経営の指導、消費の拡大などを規定するものでありますが、特に牛乳の生産者価格については、農家の生産費を補償する方式をとり、必要によって国が補給金を支給するなど思い切った対策によって、米を作っても、乳をしぼっても農業経営が安定するような措置を目標とするものであります。  その他第八章には、災害防除、災害復旧についての国の責任を明らかにし、災害による損失補償については、これが完全に補償されるよう十分な措置をすることを定めておるのであります。  また第九章には、農民の権利と地位の向上には農民組合その他農民の自主的組織を育成することとし、同時に農産物の価格決定に参加する権利を認めております。  特に社会党の基本法第十章に強調しているのは、農村の生活文化の向上であり、都市と農村の文化的格差の解消であります。衣食住の生活改善、ことにおくれている農村住宅の改造と部落生活集団化を推進し、交通、通信、電気、水道、文教、保健、社会保障の諸施設を整備するため別に、農村生活近代化法という立法措置を準備中であります。農村の前近代的住宅様式、草葺屋根などの解消、不良老朽住宅の改造などは政治の盲点ともいうべき問題であり、都市の住宅政策はあっても農村住宅政策がなかった欠陥はすみやかに改めなければなりません。また、農業従事者の六割は婦人であり、婦人はさらに重い家事、育児の仕事を担当し、農村の婦人労働ははなはだしく過重でありますので、その軽減と婦人の地位の向上について特に強調いたしているのであります。  以上申し述べた農業の生産、需給、流通、価格、経営の改革はいずれも国の責任と長期の農業計画に基づき、実行する必要がありますので、政府は長期農業計画並びにこの年次計画を国会に提出してその承認を受けるものとし、また計画に必要な予算金融措置を義務づけて、計画の実行を確保することといたしておるのであります。   また、政府の諮問機関として、農政審議会を設け、農業計画の議決及び必要事項を政府に建議する機関とし、その中には農民の代表を含めることといたしております。  以上は本案の主要な内容でありますが、これは社会党の農業政策の基本と方向を示したものであり、この原則を実現するためには多数の関連法案を必要といたしますので、本法案に引き続いて、主要なものはすみやかに国会に提案し、われわれの農業政策を明らかにいたしたいと存じますので、あわせて御審議を願いたいと存じます。  今日の曲り角にきているといわれる農業問題を解決する道は国が従来以上の責任をとり、前向きの施策を進めることが必要であり、政府の基本法のように、他産業の成長を頼りにして、農業を弱肉強食の資本主義の競争に投げ込むことではないと信じます。  ことに、最近の経済の動向は、アメリカ経済の不況、ドル防衛などの影響で、政府の高度成長政策の前途は楽観を許しません。国際収支の悪化、引き締め政策によって、所得倍増どころか、都市に移行した農村人口が農村に逆流しないとは、何人も保証し得ないと存じます。  この情勢の中で、われわれの農業それ自体の発展によって、農民の所得と生活を高めようとする農業基本法案の正しさを確信し、各位の理解ある御審議と御賛成を期待するものであります。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 以上で両案の提案理由の説明は終わりました。両案については、本日はこの程度にいたします。   —————————————

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 森林火災国営保険法の一部を改正する法律案(閣法第四七号)を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記をつけて。  それでは暫定休憩し、午後は一時から開会いたします。    午前十一時二十一分休憩    ————・————    午後一時二十六分開会

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  森林火災国営保険法の一部を改正する法律案(閣法第四七号)を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 きょう資料がなければ簡単にお答えいただいてけっこうなんですが、人工造林における病害、病虫害と言わないで病害、あるいは病虫害でもいいんですが、それともう一つは、鼠害、ネズミあるいはウサギ等の被害とでもいいましょうか、動物の被害、何かそういうものの統計がありますか。あったらその数字をお聞かせいただきたい。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) これらに対する統計は、人工林だけというふうには実はなっていないのでございますが、天然林も合わせて被害面積等の調査はいたしておりますが、損害額も一応の調査はできておりますが、これにいわゆる生長阻害というようなものが入っているとか入っていないとか、いろんな問題がありまして、統計上も非常な不備な面もありまして、的確なものではないというふうには考えますが、一応ありますので、御説明いたしたいと思います。  病害につきましては、被害面積が八百三十三ヘクタール、それから損害額が百二十八万円、それから虫害は被害面積が五十八万八千ヘクタール、損害額が十一億三千七百万円、それからネズミによる害は被害面積三万八千町歩、損害額が一億四千八百万、それから野兎によるものが四万七千町歩、損害額が二億一千百万円、その他の獣類による被害が、イノシシその他でありますが、被害面積で二万九百町歩、損害額が六百五十四万円というふうになっているのであります。これは三十三年度について調査した、もの、であります。これの人工林、、天然林別の内訳というふうな点は、実は明確になっておりませんのでお含み願いたいと思います。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 これは天然林、人工林合計したものの被害相定額、そこでそうだとすれば、おおむねその中で人工林はそのうちの何パーセントとか何とか、そういう推定はできますか。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) お話しの通り、これは天然林、人工林合わせたものの被害の見込みでありますが、これを入工林、天然林にそれぞれ分けたというようなものはないのでありますが、おおよその見当からいきますと、被害面積におきましては人工林、天然林大体まあ半々程度のものじゃなかろうかというふうに考えております。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 まあ非常に大ざっぱに見て三十三年だけでいいましても病害、虫害、獣類の被害等合計いたしますと約十億近い金になる。非常にざっぱに見てそうだ。また人工造林だけで五億見当、まあ人工造林がだんだんふえれば、被害も漸次大きくなるということも推定できるのではないかと思いますが、そこでそうした被害を防除するために、あるいは三十三年、四年、一五年あるいは六年というふうに、どの程度防除のための予算を組んでおられるか。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 森林病害虫等の防除のために投下しております事業費と国庫の助成額というものを申し上げますと、三十五年度におきましては事業費を四億四千七百万円、これに対します国費が二億三十八万五千円、それから三十六年度におきましては事業費が少し減少いたしておりますが三億七千五百六万八千円、それに対する国費が一億七千十三万七千円という工合に相なっております。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 今の長官からのお話の資料では、病虫害、獣類被害等被害が増加の傾向にあるのか、あるいは減少の傾向にあるのかですね、三十三年の被害だけを言われたのですが、傾向としてはどうですか。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) この駆除に要します予算の中で割合大きい部分を占めておりますのが、御存じのようにマツクイムシの経費でありますが、これは年々まあ減少の傾向にあるのであります。で、全体といたしましても、ふえるというふうな傾向にはないように考えます。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 防除に対する政府の補助だけで、防除事業がどうなっているかということは言えないと思いますが、三十五年度に比べて三十六年度予算案を見ますれば、林野庁の組む防除事業費が四億四千から三億七千に減っておる。減っておるということは、減らしていいということであったのかどうですか。長官でなければ課長でもけっこうですよ。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) これが三十五年度に比較しまして三十六年度減少いたしました一番大きい理由は、三十四年度におきます伊勢湾台風というようなもので相当大きい被害木を生じた関係で、三十五年度におきましてはこれに対する駆除を行なわなければならないということで、特別の大きい予算をそれに組んだという経緯と、北海道におきます野ネズミの発生というものが三十四年度、五年度続きまして今までになく異常発生だったというような原因で、これに対しまして特別の駆除費を計上した、そういうものが三十六年度におきましては一応そういう事情が消滅したというふうな関係で、予算として減少をみたという経緯になっております。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 防除事業費、三十五年度の防除事業費は異常な防除事業費であった、こういうふうに了解していいわけですね。だとすれば三十四年度に比べて三十六年度はどうなっておるか、三十六年度の事業費三億七千というのは、三十四年度はそれに見合うものは幾らであったか。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 三十五年度におきまして先ほど申し上げました国費二億円という中には、先ほど申し上げましたような事情に基づく予備費が三千三十万円ばかり入っております。三十四年度におきましては事業費が四億二千六百三十五万円、国費が一億九千三百四十一万円でありますが、この一億九千三百四十二万円の中には、以上の野兎、伊勢湾台風の関係で予備費を流用いたしましたものが三千九百六十二万円という関係になっております。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 そうしますと、三十六年度の事業費で三億七千、国費で約一億七千ですか、それがおおむね妥当な駆除費、こういうふうにあなたの説明からは一応私はそう了解しておきます。そこで、その駆除費をもってやっていけば、今後の造林に関する他の生物の被害、病虫害、獣類の被害等がおおむね拡大しない、こういう見通しが立ちますかどうかですね。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) この三十六年度におきまして国費で一億七千万という防除の予算で、害虫等の駆除が十分に行なわれるというわけにはなかなかいかぬかと思っておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、従来におきましてはこの害虫ごとにそれぞれ駆除の予算をきめなして、それで運用していくというふうな実態であったのでありますが、最近におきましてはその予定しないような害虫等が発生するというふうな事情もありますので、この国費の中で約二千万円ぐらいを突発害虫駆除費というような名目に改めまして、突然まあ従来考えていなかったような害虫、あるいは地域というふうなものに発生しましたものを機動的に、著しく蔓延しないうちに非常に有効的にやれるようにという意味で、そういう突発害虫駆除費というものも設定いたしてやっておるわけでありまして、こういうものをうまく活用して、害虫が発生しましても、初期の段階で十分効果を上げるような運営をいたして参りたいというふうに考えております。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 農業災害、農作物の災害補償等については、だんだん技術が発達してくるから、病虫害防除というものは、これは一つ妥当な方法を講じていけば、被害の防止も可能であるし、従って扱い方は別途に考えていこうという考え方は、これは出るわけですが、あなたの方の人工造林においての、従来火災に関してだけ保険制度はあった。そこで法律改正をやって、気象災害も入れていこう、その考え方についてはもちろん賛成なんですが、病虫害、あるいは獣類の被害というものは、現在の時点においても、将来においても保険の対象として考える必要が全然ないと思われるか、ないと思われるならそれの理由、考え方ですね、ぜひお聞きしたい。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) お説の通り、これは農業等と異なりまして、森林におきます病虫害等の駆除というものは、なかなか場所の関係等もありまして困難だというふうな関係にあるということは、お説の通りでありますが、ただ、この病虫害等で被害を受けまして、もちろん防除もできるだけやるわけでありますが、そういうものによりまして、まあ最も大きい問題として考えられるものは、成長阻害というような問題が考えられるのであります。この成長阻害というようなものをとういうふうに評価し、見ていくのかというような点、それがまた相当の粘度を持った調査によって、一体どういうふうに具体的に計上できるのかというふうな問題につきましては、はなはだ残念ながら、林野庁としても、現在の段階で資料的なものも、きわめて不十分な形でしかないというふうな現状にありますので、この保険等の制度に、こういうものを乗せまして、一体どういうふうに保険というものが運用できるだろうか、成り立つかどうかというような点につきましての検討も、まだほとんどしてないというような状況にあるわけであります。私たちといたしましても、今後こういうふうな点も十分一つ研究していきたいというふうに考えております。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 私もそれは保険に取り入れたらいいのだ、あるいは取り入れる保険技術としてはどうだという考え方があってお尋ねしたのではないのです。ただ、今の防除予算と、それから現実に受けているそれらの病虫害、あるいは獣類被害等から考えられる成長阻害等からいって、もっと防除予算を拡大して、できるだけそうした成長阻害を排除していくという確信が立つなら、保険の上で考える必要はないのだ、こういうことは、はっきり甘えると思うのですが、予算の方はいろいろ伊勢湾台風その他の関係があって、でこぼこがあったのだという御説明ですけれども、何かしら、私の今長官から聞いた数字だけでいうと、被害防除について、もっと意欲的なものがあっていいのじゃないかということが言えるのではないかと思うのです。そこで、成長阻害の算定基準とでもいいましょうか、そうしたものが非常にむずかしいので、保険に入れるための技術上の問題について、この際成案が成り立たないから、従って今の場では保険ということは考えられないのだという御説明のようです。そこで将来の問題としては、保険の方にこの問題を取り上げることが可能であり、もしくは可能である場合に、その方がいいということか、もしくはそうした成長阻害を起こすもろもろの原因を排除するための必要な措置を強化するか、どちらかを一つ意欲的に展開していってもらいたいという希望を添えて、私の質問を終わります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今の櫻井さんの質問について、長官は答えられておるのですが、人工林の被害の状況というものは、天然林と一緒になっていてわからないと、こうおっしゃるけれども、あなたの方で出した林業統計要覧には、民有林の人工林の災害による被害状況という中にはっきり被害額が出ておるんですよ。だからわからないのではなくて、わかって、統計としてはある。これはどこの調査か知りませんけれども、統計は出ておるのですよ。それによりますと、今桜井委員の心配している問題が出ているわけなんです。そこでお伺いしたいのですがね。病虫害の被害について、統計は三十一年度までしかこれには出ておりませんが、まさしく三十四年は天然気象災害の非常に多かった年でありますが、三十三年の出ている統計だけによって私の調べたところによると、病虫害の害が、被害額からいって二十六億三千四百万なにがしというふうになっております。そして今度この気象災害として取り上げようとしている、保険に繰り入れようとするものの被害が二億六千七百万ですか、約十分の一の被害なんですよ。そういうふうな三十三年の統計をやってみるとそういうふうになっておる。従ってこの病虫害の、野鼠、野兎を含めての病虫害の被害が気象災害の約十倍の額になっておる。それに対して今長官がおっしゃるように、三十五年度、三十六年度のこの病虫害防除の予算というものが一億七千万であるわけです。三十五年も三十六年も一億七千万のようでございます。しかも、これは損害に対して補てんをするというものではなくして、あくまでも防除費の事業費、あらかじめ防ごうというための経費であるわけですね。もちろん発生したものに対して防除することも含まれますが、そういう性格の補助金として一億七千万、事業費で四億幾ら、あるいはここの三億七千万ですか、そういう説明であったわけなんですが、そうしますと、これは病虫害で出ました損害に対しては、今のところ何らの保険措置もなければ補償措置もない、これか実態ですよ。ですからこれは櫻井委員のおっしゃるように、将来保険の中に入れるか、さもなくばこの被害がなくなればいいのですけれども、被害の状況を年々見ていますというと、一定した傾向というものはちょっと見出せない。その年によって多いときもあるし、もう倍以上になっておるという状態で、一定した傾向だなんというものは抑えられないような状況にあるようです。従って、これは科学的に相当の防除をやれば、だんだん減っていってなくなってしまうというような性格のものではないようであります。でありますから、やはり急激に風水害があったり何かいたしますと、その翌年は害虫の発生が非常に猛烈で猛威をきわめる。こういうようなことで、気象災害と病虫害というものは、やはり切っても切れない因果関係を持っておる、そういうふうに思うのです。従って、どうしても病虫害の防除費だけでは完全ではないんじゃないかというふうに思います。従って、これは私は何らかの方法を考える必要があるのではないか、このように思います。従って、これは櫻井委員からの意見もあるようでございますから、十分一つ検討をしていただきたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ちょっと関連して。病虫害の被害ですね。先ほど長官のお答えになったのと何かだいぶ違うような感じを今受けたのですが、その点はどうなんですか。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 先ほど北村先生のお話しになりましたものと私が申し上げたものと、だいぶ違いがあるように、実は私も気がついたのでありますが、この点、もう少しよく調査させていただきたいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今のやつは統計要覧にはっきり出ているのですよ。私はゆうべこれを一生懸命読んで調べてきたのだから、だからあなたの言っていることと違うのだ。だからこれは、ないのじゃない、数字があるのですよ、ちゃんと。だからその点は一つ検討してもらって……、

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 委員長、ちょっと速記をとめて下さい。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 実は今の違いで、はなはだ申しわけないのですが、当初に申し上げましたように、成長阻害というようなものをどういうふうに見るのかというようなところで、実は半分になっているような数字が出たんじゃないかというふうに考えておりますので、その点、もう一ぺんよく調査をさせていただきたいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 これは大事な問題ですから。農業の方は病虫害が今適用になっておる。そしてこれは確かに被害の査定をするのにむずかしいです。むずかしいですが、農業の方は、これは適用になっておるわけです。でありますから、私は被害の内容からいっても、三十三年度の例からいって、今保険に入れようとする気象災害よりも、病虫害の方が十倍の被害額になっておって、その十倍のものが何も行政的に措置されない。ここに問題があると思うのですよ。だから、この点は一つ調査して、どういう対策をとられようとするのか、一つ、次の機会でようございますから、答弁をしていただきたいと思うのです。  それから次にお伺いいたしたいのは、気象災害の三十四年度、特に三十四年度が気象災害が大きいわけなんですが、これについて、私は、天然林と人工林別の被害面積、それから被害の石数、被害額、これは数字の問題ですから、すぐお答えになれないかもしれませんけれども、おわかりになっておったら、一つお知らせ願いたいと思います。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 先般資料としてこちらに提出しましたものの三ページにあるのでありますが、これは人工林についてだけ掲上いたしたものでありまして、天然林につきましては、これには掲上いたしておらないのでありまして、これの調査も概要はできておると思いますので、資料として提出いたしたいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこでお伺いしたいのは、今度の法案では人工林しか適用にならないわけですね。それは、被害額の査定というものが非常に困難だということもわかるのでありますが、気象災害を新たに適用するということになりますと、凍霜害、それから雪害というものは、幼令林に非常に多く出てくるのでありますけれども、風害、水害というのは、これは人工林でもあるいは天然林でも相当な被害が出てくる可能性は十分あるわけです。特に風害等には、二十九年の災害ですか、あるいは伊勢湾台風等において相当被害が出てきているわけなんです。従って、気象災害を入れるということになるというと、人工林だけの保険ではなしに、天然林についてもやはり災害というものは相当出てくるのでありますから、入れるべきじゃないか、こういうような感じがするのです。従って、どうして、この風水害というものが出てきたのに、天然林というものが対象に考えられなかったのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) お説まことにごもっともでありまして、昭和二十九年の洞爺丸台風のときにおきましても、北海道でも天然林が非常に大きな被害を受けた。造林地は比較的被害が少なかったという事態も現にあったのでございまして、天然林等についても、その必要性があるのではないかということは、私たちもそういうふうに一応考えておるのでありますが、御存じのように、この火災保険が出発いたしましてから、やはり造林投資というものをやる、そういうものを火災等の災害から守ってやるというふうなところを目的として出発したというような関係もありまして、風水害の造林地だけに適用するというふうな段階におきましての検討におきましても、やはり従来からの天然林に対しまする火災自体の統計の問題、それから事後におきます風水害等に対する天然林の横雪の調査、評価といいますか、そういうふうな点についての非常な困難性、むずかしさというような点からいたしまして、実は天然林に対します信憑すべき資料というふうなものを持ち合わせていないというようなところからいたしまして、人工林だけを対象にする、この段階におきまして人工林だけを対象にするというふうにいたしたわけであります。お説の点、今後の問題としまして十分検討して参りたいというふうに考えます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 先ほど私資料で要求したのも実はその点なんで、人工林に一体三十四年災ではどのくらいの被害があったのか、損害はどのくらいであったのか、天然林にはどのくらいあったのか、このことなのです。それで資料を要求したわけですが、今までのこの火災保険の趣旨が、人工造林地の災害によるその跡地の更新、跡地の植栽ということを考慮に入れて保険というものができておる。最初の目的はそういうふうなことだったということを聞いておるわけなのですが、今日この林業の考え方が拡大造林、こういう方向に変わっているのでありますから、従って天然林は災害を受ければ、そのまま天然林で放っておくというわけではないのであって、今後の積極的な施策として天然林を人工林にかえていく拡大造林の考え方というものが、当然今日考えられておるのでありますから、そういうことを考えますというと、現在の天然林が将来人工林にかわっていく、こういう可能性は災害を契機として当然起こってくるわけなのです。そうしますと、これはそういう天然林というものに対して、その災害後における造林の拡大ということになれば、当然この保険というものを適用してしかるべきではないか、こういう感じがするのです。従ってこの点は今将来の問題として検討されるということでありますけれども、何かしら、考え方が消極的で、昭和十二年から続いたものを、風水害、今度気象災害をちょっと入れようという程度で、積極性というものが、災害というものに対して保険で乗り切っていくという積極性というものが見られないのじゃないか、こう  いった感じがするのです。従ってこの点は十分一つ検討をしていただきたいと思います。  それからもう一つこれは天然気象災害が入ったのでありますから、私は名古屋の木場における製品の被害ですね。これは相当額に上っているのじゃないかと思う。従ってこれも一つ資料を出してどのくらいの被害をこうむっているのか、そうしてこの製品を積一んであるものが、海水で流れたりなんかして被害をこうむるわけですけれども、これも私は金額にするととてもばかにならないものではないかと思うが、それに対して一体どういうふうな救済措置が講ぜられたのか、被害は被害で被害のありっ放しで損をしたと、こういうことで終わってしまったのか、その点一つ今直ちにというのもあれですから、資料で出していただきたい。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 製品と申しますか、丸太というか、風水害のために流されるというような問題、あるいはまた貯木場等に置いておりました丸太が、高潮のために流失するというような問題が伊勢湾台風のときにはあったのでありますが、今記憶しておりますのは、名古屋港におけるラワン材等の貯木がたしか百万石程度のものが流失いたしましてこれの集荷に四億何千万という金がかかったということを記憶いたしておりますが、その他の山における丸太等の被害につきましては、いずれ資料をこちらに提出いたしたいと考えておりますが、これらのいわゆる被害につきましては、流木というような問題ではないのでありまして、一般のいわゆる動産という形のいろいろな損害保険という制度もあるわけでございまして、そういうものによる損害てん補を考えていかなければならないというふうに考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 これは私は保険に入れるか入れないかという問題は、検討の要があると思うのですが、これは製品になったもので風水害ということになると、相当な額に上る被害を受けることはしばしばあることなんです。でありますから、これはやはり何らかの方法が考えられるべきじゃないか、こういうふうに思いますので、一つこれも資料が出て被害がどのくらいあるのか、問題にするほどでないのかどうか、これは資料をいただいてからもう一ぺん質問をしたいと思います。  それから次にお伺いいたしたいのは、先ほどもありました被害林町の被害状況の問題なんでありますけれども、ここでお伺いしたいのは、三十三年度の火災による被害額、火災による被害状況なんですが、それについて大体被害の総数は民有林で三十三年度が千二百九十四件で、被害面積が五千六十ヘクタール、それから焼失の材積が八万七千二杵二十三立方ですか、それから損害額が二億一千八百万、これに対してこの年の火災保険に加入しているもの、そのときの被害の填補の実績でございますが、それが件数が七百に十一件、面積で七百十七ヘクタール、損害額で三千六百八十万、それから支払額が一千九百六十七万ですか、こういう状況になっているのです。そうしますと、民有林の三十三年度の火災の被害状況に対して、この国営保険でもって填補をしたものは、今言ったような数字なわけです。そうすると、件数では大体六割弱のものが填補を受けている。それから面積ではわずかに一割四分弱、損害額については一割七分、支払額に至っては、一割に満たない。従って三十三年度の損害額に対してこの国営保険で支払っている額というものは、被害級からいくというと一割程度しか効果を上げていないということ、それ以外に加入していないのももちろんあるわけでありますから、そういう点からいくというと、この国労保険の暫及度というものが非常に低いのではないか。これは私はどういう理由でこういうことなのか、一つ御説明願いたいと思いますが、それにはまず国営保険以外に民常保険もあるようでございますから、その民営関係の保険あるいは森林組合が行なっておるというふうにも聞いておるわけなんですが、そういうものとこの国営保険との状況がわかるような資料を一つ出していただきたいと思いますが、この被害の状況と被害の填補した実績とを見ますというと、先ほど申したように非常に低い率になっておりまするので、国労保険というものの存在意義というものが何か疑われるような感じがするのです。従ってこの点について御説明を願いたい。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 昭和三十二年度におきます民有林の林野の火災の被害は、件数にいたしまして千二百九十四件だと思います。被害面積が五千百一町歩、被害の金額が二億一千八百万円というふうになっておるように考えております。それと先ほど御質問の損害填補の額は、国営保険におきまして三十三年度に千九百六十七万円、民営の森林火災保険におきまして支払いました保険金が千二百四十万円、森林組合のやっております共済保険によって支払いましたものが十二万八千円というふうな工合に相なっているのであります。国営保険の加入の状況は、当初に資料として提出いたしましたように、三十三年度におきまして百四十一万町歩が国営保険に加入いたしておりまして、全体の造林地面積に対して約三割程度のものが加入しておるという状況になっております。これに対しまして、契約の件数は約七万件という形になっておるのでありまして、一作当たり二十町歩という平均になるのでありまして、この一件と申しますのは、森林組合あるいは町村等の単位で取りまとめて一件というふうな形になっておるのが非常に多いのでありまして、一作当たり四十人強の人がそれに関係しているというような点からいたしまして、国労保険の一人当たりの平均の加入面積は四反歩強というふうな状況になっておるのであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 実情はそういうことだということなんですが、三側程度の加入がある、そして民営の保険に入っている者もある、こういうことなんです、が、民営と国営と森林組合の共済保険、これとの区別はどういうことなんでしょうか。この保険は完全に保険料金だけで運営されている、国からは一銭も金が入っていないわけです、事務費に至るまで。そういたしますと、これは国営でやっている意義というのがどういうように違うのか、国営でやっていなければならないのか、そこら辺のところがどうも区別がはっきりしない、そういう点で普及率等も悪いのじゃないかというふうに考えられるのですが、この普及率が低いということはどういう原因によるものであるか、それをお伺いしているのです。それで農業関係はものによっては強制加入がある、あるいは漁船関係等の保険について調べても、これは国が再保険をやっている点もありますが、普及率は相当いいわけなんです。従ってこの森林火災保険だけは国営保険でありながら、他の農林関係の保険とちょっと違っているようでございます。そういう点で一つどういうことで普及率が低いのか御説明を願いたい。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) 先ほど申し上げましたように、造林面積に対しまして三割程度加入しておるわけであります。従来におきましては、火災だけを対象にしてきたというような関係からいたしまして、二十年生未満というような幼令林に対します保険加入が全体の八割強で、残りが二十一年生以上の壮令林であるというような関係になっておるのでございまして、火災によります損害というものは、やはり若い山に対する危険というものが非常に大きいというところから、火災だけを対象にいたしますと、壮令林等の加入が非常に少ないというふうなことがこれの大きい原因であるように考えておるのであります。が、今後風水害等を対象にいたしますと、壮令林等がこの制度によって救われるという面も、効果も非常に大きいということにも相なって参りますので、今後そういう面を十分に徹底いたしましていきますならば、その加入率というものは相当増加するというふうに期待しておる次第であります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今の点は、もう一つお伺いしておかなければならないのは、国営でやらなければならないという理由は何なんでしょう。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) この保険は、昭和十二年から始まったのでありますが、当時におきましての森林の火災に対する保険というふうなものは、幼令林等に対する一般の保険というものは、やはり先ほど申し上げましたような危険が非常に多いというふうな関係から、民間等でも全然取り扱ってこなかったというふうな点からいたしまして、国営で民有の幼令林を対象にして保険をしていくということを始めたわけであります。で、壮令林等を対象にして保険を始めるということは、昭和二十七年からそれまで拡大するということに相なったわけであります。この成立の当初におきましては、国営でやはりやっていかなければいかぬという大きい趣旨が、考え方があったのであります。が、現在の段階におきましては、この御提出いたしました資料にもありますように、火災だけについて見ますと、その事故率というものはどんどん減少しているわけでありまして、ぜひとも、国という形でこの火災だけを対象にしていきますならば、今後ともどうしても続けていかなければ、民間等ではやり得ないというふうな性格ではないのではないかというふうな段階にも来ておるように考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今事故率がどんどん低下してきておるということのようでございますが、幼令林の事故率は確かに下がっておるようです。しかしながら、今度気象災害を入れるというと、これは事故率がどんどん下がってくるというわけにもいかないのではないか。突発的な三十四年の災害のように、非常に大きい災害が出てくる可能性がある。そういう点から、保険というものがそういう災害、突発事故のために必要なんですから、この保険の意義というものは、私は確かに重要になってくると思うのであります。そこで、問題なのは、今度の保険料率の問題なんですが、何か林野庁の、農林省の機関として、この森林火災保険の協議会かなんかでもってこれを検討されたようでございますが、その報告書の中では、資料の中にあるのですが、現行火災保険料率の引き下げ可能程度で新種の事故の引き受けを行ない、完全保険方式による方針はきわめて妥当である、こういったような報告が出ておるようですが、ところが、三十六年度、新しい保険が、気象災害が加わるわけですが、それについて保険の料率を見ますというと、二十七年から三十年、三十三年と逐次料率の改訂をいたしまして引き下げを行なってきておるわけです。ところが、今度三十六年度これを一〇%程度引き上げる、こういう問題が出ておるのであります。これに対して、いかようにこの検討をされたのか、一昨日の質問の中でも、この資料によりましても、年々歳々この保険は黒字を出して、今日積立金が九億円を突破しておる。そういうことで、経理内容としては黒字の経理をたどってきておるのですが、一〇%の料率を上げなければならなかったという理由ですね、しかもこの調査会ですか、制度協議会ですかの報告では、料率の引き下げをやることの限度において新しいものを加えるのはよろしい、こういっておるのですが、そこら辺はどういうふうに尊重されたのか。何のためにこの協議会に林野庁は諮問をしたのか、まあ検討してもらったのか、正式のものでないようでございますから、あれですが、そういうような意見が出ておるのに一〇%の料率の引き上げをやったということについて一つ御説明を願いたい。

山崎斉林野庁長官

○政府委員(山崎斉君) この調査会におきましては、林野庁といたしまして、いろいろと過去六年間の損害、それのいわゆる実損金額というようなものを十分提出していただき、また評価方法等につきましても、専門の方々の御意見を聞きまして、こういうものがほんとうの保険というものの性格を持っておるだろうかどうか、保険設計というものにほんとうに入るような性格のものかどうかというような点を中心にして、いろいろと御検討を願ったのであります。で、この事故率等も火災におきましては林令込みで〇・八幾らというふうな事故率に相なりますし、風水害に対しましても〇・七幾らというふうな事故率に相なるのでありまして、火災と風水害というようなものの料率の計算をいたします場合に、その危険度というようなものをそう大きい違いを加えないで料率を考えていきました場合には、この調査会の答申にもありますように、大体現在程度のものでいけるのではないか。方向としてはむしろ下げるというようなことも考えてどうだろうというような点で御答申をいただいたわけであります。この風水害と火災等の従来におきます調査の結果、この火災におきますと、昭和十二年から二十年もの長い統計というものを基礎にして進んで参っておりますし、風水害につきましては、まあ過去の六年というようなものがこの資料になっており、かつその年による偏差というものも、風水害に対しましては非常に大きいというような点からいたしまして、料金を決定します場合には、それぞれ安全率の見方というものが相当違わなければいかぬじゃないかというふうな点に立脚いたしまして検討いたしました結果、お話しのような、平均いたしまして一〇%程度の値上がりというものは考えなきゃいかぬというふうな結論になった次第であります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 ただいまのことは、まあ風水害、気象災害が加わったから、確かに気象災害の事故率が林令込みで〇・七六三というのですか心、この事故率が加わってくれば、確かに今後のこの特別会計の運営というものも従来通りにいくかいかないかということは、もちろん考えられるのです。しかしながら、ここで見ますと、三十四年度のこの資料によりましても、保険料の収入が大体二億円、損害の填補額が一千五百万何がし、それに業務費が九千四百八十七万ですか、そういうふうなことで、積立金が九億と累増しておって、いっている。まあそういうような状況で、これを見まして保険料の収入二億に対して損害填補がわずかに千五百万何がし、業務費が九千四百万かかるというのですね。しかも、今度の予算を見ますというと、この点業務費がさらにふえて一億三千万ということのようです、ことしの予算では。それじゃ私は、ちょっと見ましても、国営保険というのはどうも役人式な非能率的な、事務費ばかりよけいかかる不健全な経営の内容じゃないか、こんなような感じがするのですよ。とにかく損害填補の額の七倍も八倍もするものがこの業務費でかかるなんというのは、こんなものはやめちまった方がいい、人件費にただ繰り入れた方がいいような感じがするのですね。どうもこれは農業の関係、漁船の保険の関係を見ましても、納得がいかない。私の調べた三十六年度の予算案によりましても、農業関係の災害補償法による再保険、これについても業務費というのが約一億七千五百万ですよ。もうほとんどこれは百億近い金を動かしているわけですから、政府の金だけでも百億以上でありますから、それに対して森林保険特別会計ですね、これはわずか一億かの保険料が入ってくる中で、一億三千万が事業費なんですよ。一体こんな保険の運営なんというものは、民間の保険会社なら、これはつぶれちまうのじゃないかと私は思うのだが、こういうばかげた保険というものがあるのかないのか。これはちょっとどうも理解に苦しむところなんです。漁船再保険の方はこれは業務費がわずかに三千七百万です。森林保険はその十分の一ぐらいしか仕事をやらないで一億三千万の金がかかる、業務費にね。これはだれが見たって、この予算を一つ見て、私は大蔵省がよくこれは今度九千万のやつを一億三千万に四千万もふやしたものだと思って、実は感心して見ておるのですけれどもね。この点を一つ御説明願いたい。

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕

藤野繁雄自由民主党

○委員長(藤野繁雄君) 速記始めて。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私のやつは、今度まあ法律改正をされるわけですが、同じく法律改正をされるなら、もう少し現行法を基本的に研究をしてもらって、被保険者が喜ぶような、そういう格好に思い切ってしてもらったらどうかという感じを持っているのです。で、この保険の加入率が非常に悪いといったようなこともいろいろ論議がされておるわけですが、私もいろいろなところに欠陥があると思う。たとえば、ちょっと国営保険法を見てもらいたいのですが、それの十九条ですね、今度の改正では何ら手をつけておらぬわけですが、保険契約の解除という点があるのですね。これを見ると、「保険期間中危険が著シク増加シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保険契約ノ解除ヲ為スコト」ができる。こんなことが書いてある。これはべらぼうな規定で、危険が近づいてきたと言うたら、政府はその契約を解除できる、そうして解除した後に火が移ってきて燃えた、そしたら政府は責任がない、文字通りからいけばそういうことになる。これは昭和十二年ごろの、ああいう世相の中でできた国営保険法だから、はなはだそういう点が今の考えで見たら、全くこれはむちゃな規定だと思います。だから、こんなものを取ってしまわなければ、それは安心して保険者は入ってきませんよ。こんなところはもう気がついておられると思いますが、とにかく昔の保険という考え方は、特別な事故というものは保険から除外していく、こういう考え方があった。だけれども、現在じゃ生命保険にしても、少々のことは、ともかくも全部払っていったって、結局は保険の会計というものは持っていくんだ、これも統計的に出ているんですね、だからこまかい、そういう病気を隠しておったとか、そんなことは言わない、ところが政府がやっておる保険は、危険が近づいてきたら契約が解除できる、実際上そういうことは政府もやるまいと思うけれども、それでは何のために保険に入っておるかということになる。そうしてこれによると、その危険が近づいてきたら、被保険者の方から政府にそのことを通告しなければならぬ、こうなっておる。省令によると、それは文書によって知事を通じてやる。そんなばかげたことを被保険者がわかるもんじゃないでしょう。自分の山を一々見張っているわけじゃない、自然発火の場合もあれば、たばこの火で燃える場合もあるでしょうし、だからこんなことはいち早く、その法律を改正するなら十九条を削除するというふうにしなければ、近代的な装いじゃないですよ。これは政務次官どうですか、別にこまかい問題じゃない、大まかな問題ですよ。

井原岸高自由民主党農林政務次官

○政府委員(井原岸高君) いや、全くお説の通りでございますので、検討いたしまして、そういう面については訂正いたすようにいたしたいと考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 政務次官、きわめてあっさりと欠陥をお認めになったから、まあ非常に私も多とするわけですが、一つぜひ研究をしてもらいませんと、おそらく、その大きな保険会社がやっておる民営のやつですね。民営の保険会社にだってそんなことはないと思う。それを二つ比較したら、やはり民営の方にみんな行ってしまう。一つ部長の方から……。

大野文夫林野庁指導部長

○説明員(大野文夫君) この十九条につきましては、先生もお話しのように、まことにごもっともと存ずるわけでございまして、これは当時やはり付近に演習場ができたりなんかいたしまして、延焼されることもあるというようなことで作ったような経過があるのでございますが、実際にこういうことをやった実例は、結果的にはないわけでございまして、ただ民営の方にも、たしかこれはあったように記憶しておるのでございますが、これは十分に今先生の御指摘の点よく検討いたしたいと思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 もう一つおかしいところがある。第十五条ですね、これもちょっと一つついでに見てもらいたい。免責の規定があるわけですね。これによると、政府は左の場合には損害を填補する責任がないと、こう書いてあって、一、二、三として三のところに、「損害ガ、戦争其ノ他ノ変乱、地震又ハ噴火二因リテ生ジタルトキ」その場合には責任がないと書いてある。これはちょっとおかしいですわね。原因が何であろうと、ともかく火事で焼けたらそれは保険に入れてやらなければね、保険を払ってやらなければ。こんなこともきわめて前時代的ですね。これも一緒に御検討願えませんか。

大野文夫林野庁指導部長

○説明員(大野文夫君) 十五条の三項の損害が、「戦争其ノ他ノ変乱、」ということでございますが、これはただいまの商法の六百四十条に、戦争変乱による免責という項がございますので、それを援用してここに載せてあるわけであります。それと、先般衆議院の農林水産委員会で、森林火災国営保険法案を御採択いただきました際に付帯決議が出ておりまして、その際にも保険事項に地震及び噴火による災害を加えるということをすみやかに検討しろという御趣旨のことがございました。これをすみやかに検討して参りたいと、かように考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 商法の場合は、たとえば主として取引上の問題ですからね。取引上の問題が戦争その他のことによって激変すると、こういうことは当然予想される。そういうことを一つの不可抗力の問題として責任を追求しないということは、これは考えられるのです。だけれども、これはともかく火事による、そういう社会的な原因による経済事情の上げ下げ、変動と、そういうことと性質が若干違うわけですからね。自然的な現象の一つなんです。だからそれがいかぬというのだったら、たばこの火で燃えた場合もいかぬということになる。これはやはり人為的な原因なんだ。だからたばこの火はいいけれども、戦争のやつは工合悪いというのは、こういうこまかいことを言わないのが最近の保険なんです。だからそれなんかもさっそく抜いてもらいたいですね。それから、なるほど衆議院の方の委員会でも、地震及び噴火による災害と、こういうのが付帯決議についているくらいなんです。これは地震あるいは噴火そのものによる被害のことを事故原因にしろと、こういうておるわけです。ところが、ここに書いてあるのは地震または噴火による火災ですね、この法律に書いてあるのは。この法律では火災だけしか問題にしてないのだから、だから衆議院のここへいくまでに、まず火災だけについても、地震や噴火というこんなことは早う除いてもらわぬと、ずっと見ますと目ざわりになってしょうがない。まあ一つ十九条と一緒に十分研究してもらいたいと思う。できればこちらで修正案を作ってこの一部改正にさらに加えてもいいわけですからね。政務次官、まあ首かしげられるけれども、こんなことはもう当然なことですよ。参議院のこんなえらい人がたくさんいてそんなことを見過ごしてこの修正案を通したなんというたら、あなた、保の険の専門家からお互いが笑われることになっちゃう。一つこれもぜひ、これを通す前に部内の統一見解を一つ明らかにしてほしい。

井原岸高自由民主党農林政務次官

○政府委員(井原岸高君) 御質問の点ごもっともだと思いますので、部内の方でよく研究いたしまして、結論を出したいと存じます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 保険の払込金あるいは損害の填補額、その差額として生ずる利益金あるいは積立金、こういうような点については、先ほどから北村委員からもだいぶん御指摘がありまして、私も全くその通りだと経理内容については感ずるわけなんです。それでやはり国営でやってるわけですから、   〔委員長退席、理事櫻井志郎君着席〕 できるだけ被保険者のためになるようにあらゆる面をやっぱり検討してやってほしい。できれば、若干の事務費の補助なんかが一般会計からも出るくらいにして、そしてやっぱり森林を育てていく、そういうことをもっとはっきりすべきだと思う。しかし、国による事務費の補助などを行なおうとすれば、なおさらこの経理内容について、なるほどこれなら国庫の補助を若干してもいいというふうに思われるようなものじゃなきゃいかぬですわね。で、私は、大蔵省が何も文句言わないというのは、これはただ何も国には損害をかけておらぬから、これは黙って見ているんだと思うんです。しかし、多少でも、大蔵省がそういう森林を一つ保護しようという立場で事務費を幾らかでも出していく、こういうふうなところまで進むようになれば、当然これは、この内容については相当容喙してくると思いますね。だから、そういう意味では、この保険の被保険者は私は非常なやっぱり損をしておると思うんです。だから、ぜひこの一部改正をされる機会に、もう少し全面的に、国営保険として恥ずかしくないようなものにやっぱり仕上げてほしいんだね。そうせぬと、どうもこれは何でもない法律だと思っておったんだが、よく見ると、なかなかこれは直ちに同意しがたいというような感じを持たされるわけなんだ。同意しようも仕方がないというのは、実際こっちも進退窮するわけでして、そういう点はどういうふうに、政務次官、お感じですか。こまかいことじゃない、こういう大まかなことですがね。

井原岸高自由民主党農林政務次官

○政府委員(井原岸高君) 積立金が十億残っておる、国からは一切国費を出していないというようなのは、国営保険の趣旨に沿わないんじゃないかという御趣旨、ごもっともでございます。まあその条件を基礎にいたしましてと申しますか、そういうことで、今度は気象災害を保険の対象としたわけでございます。これは私しろうとなりの考え方で、多少役所の連中の見解と違うんですが、私は、気象災害という統計をここでとっていますけれども、今までは保険の対象になっていない、保険料を加付されないものですから、多少の災害等を別にかれこれあげるようなこともなかったんじゃないかと思うんです。従って、これが保険金加付の対象になるということになれば、相当この統計以上に額がふえてくるものではないかというような気がするのであります。私は十億の積み立てが今ようやくできているのでございますが、それではたしてまかなえるかどうかということについて、この役所の答弁ではそうなっているが、実は私自身も非常にこう何だかそこに割り切れない一つの問題をかかえているわけでございますので、この一年か二年間の間に大体まあその実態も現われてこようかと思いますので、私はむしろそういうことで国費を事務費だけでなしに相当国が金をつぎ込まなければやれない、一方まあ保険金の料率を上げるなんということはちょっと考えられないことでございますので、まあいましばらく一つこの状況を、実態を一つ把握して、おっしゃるようなふうに、国費を出さないでもなおやれるじゃないかというような場合でございますれば、事務費等は当然全額にしますか、あるいは半額にしますか、国出すようにしなければならないのじゃないかというようなふうに考えていわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから積立金の問題ですがね。これがまあ年々ふえてきて、多い年には一年間で二億もふえている年があるわけですね。二億までいかぬでも、一億五、六千万円、こういう金は、これこそ全く被保険者がどこの世話にもならないで出している金でして、先ほどから問題になっている森林に対する病虫害の防除とか、やるべき仕事がたくさんあると思うんです。何かもう少しこの積立金の運用の仕方ですね、こういうものがまた適正に行なわれておれば、まあどんなものでも多少の積立金はこれはなければいかぬのですから、幾らか情状酌量されるわけだ。そこでお聞きするわけだが、こういう積立金というものは、何かそういう森林事業とこう結びつくような格好にでも若干でもなっているかどうか。これは事務当局から。

大野文夫林野庁指導部長

○説明員(大野文夫君) 積立金の使用につきましては、一応大きく申し上げますと、異常災害が発生した場合の準備金になっておりまして、そのほかに防火宣伝の、防火予防と申しますか、防火予防のための経費を出しております。あるいはこれは従来火災保険でございまして、防火だけでございまして、今後におきまして、これは風害とか水害は、これはほとんどそれを防災するという手段がなかなか講ぜられないかもしれませんが、先ほどお話になりましたその他の、早害、そういうものにつきましてはある程度これができるのではないか、かように考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうしたらその積立金の今おっしゃったような使い方ですね、今までの実績を、これは明日でいいですから、資料として一つ参考に出してもらいたいと思います。  それからもう一つは、無事戻し制というものが廃止されているわけですけれども、これは私そういうものを勝手に廃止して知らん顔をしているのは、多少法律上問題があるのじゃないか。で、それは森林火災保険特別会計法ですね、この特別会計法の第二条には、本会計の収入並びに支出という項目があるわけですが、その支出の項目の中にやはり無事戻し金という項目が一つあるわけなんです。それで無事戻しをやめて知らん顔をしているということは、ちょっとこう特別会計法の関係からいって少しおかしいじゃないかという感じするのですがね、これはどういう経路でそれを廃止したのか。それを廃止すれば、当然特別会計法の第二条も修正して法律を直しておかなければいかんわけですね。これはそのうちにすぐ復活するというような含みなどもあって、特別会計法はそのままに支出項目に無事戻というものを置いておるのか。そこら辺の気持を話していただきたい。

福森友久林野庁造林保護課長

○説明員(福森友久君) 無事戻し制度は、二十七年度の新しい契約のものからにつきましては、二十七年三月制定されました法律の二十五号によりまして無事戻し制度はこれが廃止になっております。しかし特別会計法の方で無事戻し金の項が削除されておらないのは、それ以前に契約されたものの無事戻しのそれがまだ現行残っておるということでございます。

櫻井志郎自由民主党

○理事(櫻井志郎君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二分散会

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