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38回国会参議院1961/05/16

内閣委員会 第26号

発言数
202
登壇者
16
会派数
3
開催日
1961/05/16

会議録

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  五月十二日、一松定吉君が辞任され、石原幹市郎君が選任になり、十三日、平島敏夫君が辞任され、一松定吉君が選任されました。   —————————————

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  政府側の出席の方々は、石田労働大臣、三治官房長、有馬職業訓練部長でございます。  御質疑のおありの方は御発言願います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 二、三労働大臣に、また、こまかい点は関係局長にお尋ねしたいと思いますが、政府の国民所得倍増計画は、各般にわたって今後の見通し並びに計画を立てておるわけでございまして、雇用の近代化というところを見てみますと、「完全雇用の達成と豊かな生活の保障とは、近代国家に課せられた終局的な政策目標である。」、こう掲げております。そこで、わが国の労働力の過剰、あるいは不完全就業者の多数存在しておるという、この経済の後進性を解決することが計画の最終目標であるとうたっておるわけでございます。  そこで、まずお尋ねしたいことは、政府の所得倍増計画に対応する雇用計画、失業対策と申しますか、そういうものがあるのかどうか、あるとすればどういう計画性を持って完全雇用達成のために努力されていかれようとするのであるか、まずそれを承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 所得倍増計画の最終年次であります昭和四十五年におけるわが国の雇用構造というものは、私どもは一定の形を描きまして、その一定の形に向かって諸般の施策を進めつつあるわけであります。近年経済界の好況を反映をいたしまして、就業希望者と求人とのバランスは漸次好転をいたして参っております。しかし、その中に多くの困難な問題を内包しておることは御承知の通りでありまして、まず年令的なアンバランス、地域的なアンバランス、それから技能工の著しい不足、さらに先ほどお話になりました相当膨大な数に上る低賃金層の存在、この低賃金層の存在の中には、一つは中小企業と大企業との賃金の規模別格差、さらに臨時工、社内工、日雇いというような不安定な雇用関係にある人々の存在であります。また同時に、雇用構造自身が、現在におきましては、なお依然として自営業者、家族労働者等を多数かかえているのでありまして、この雇用構造の近代化もまた漸次進行させなければならないものと思っておる次第であります。  そこで、年令的、地域的なアンバランス及び技能工の不足等に対しましては、職業訓練部を訓練局に昇格いたすようただいま御審議を願っておりますが、そのほかに雇用促進事業団を設置いたしまして、積極的にそのアンバランスの是正に努め、労働力の流動性を確保して参りたいと思っておる次第であります。  それから低賃金層の問題特に中小企業に見られます規模別賃金格差、賃金だけでなく、その他労働条件の格差の縮小につきましては、中小企業の労働者に対する特別の制度及び施策を講じて参るつもりでありまして、たとえば最低賃金制の実施あるいは中小企業従業員退職金共済制度の普及、さらに中小企業の勤労者のための住宅、これは産業労働者住宅は、従来大小の規模別でなく、一括して予算に計上されておりましたが、本年からは三百人以下のものは七千戸、それ以上の分を七千戸というふうに、中小企業ワクを明確にいたしました。また、福利厚生施設の建設に対しましては、厚生年金の還元融資の特別ワクを設定をいたしておるようなわけであります。  それから社内工、臨時工、日雇い等の問題につきましては、これは主として労働基準法上の工場の監督の強化をいたすことによりまして、同一の労働をいたしておるのに、単に雇用関係が違うということだけで低い労働賃金を押しつけられているというような状態の改善に努めて参りたいと思っております。臨時工、日雇いという制度は、制度それ自身は必ずしも悪いものではないと思うのでありますが、ただいま申し上げましたように、雇用条件の違いということだけで低条件を押しつけられているという状態は改善しなければならないと思います。その背景をなしておりましたわが国の間断のない労働力の過剰という現象は、最近漸次改善されてきておりますので、これは基準法の実施と相待ちまして所期の目的を達成いたしたいと思っている次第でございます。  昭和四十五年におきますわれわれの考えております目標につきましては、ただいまから事務当局より説明いたさせます。

三治重信労働大臣官房長

○政府委員(三治重信君) 所得倍増計画における最終年度の昭和四十五年度における就業構造の一応の推計は、第一次産業で一千百五十四万、これはおもに農林業でございます。それから第二次産業で一千五百六十八万、第三次産業で一千八百八万、それにさらに運輸、通信で三百三十九万で、合計四千八百六十九万人というふうに推計されております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 今、官房長からお話になったのは、所得倍増計画の就業構造第5表をそのまま説明されたようでございますが、この第5表は、基準年次の取り方というものが、たしかこれは昭和三十一年、三十三年を基準にして、昭和四十五年はこうなるのだ、こういうことだろうと考えますが、私のお尋ねしたいことは、昭和三十五年度というもののあるいは資料がなければ三十四年度でけっこうですが、この昭和三十四年度を基準にして見た場合に、昭和四十五年度の目標は、第一次産業で今御説明のように一千百五十四万といたしましても、昭和三十四年から昭和四十五年の間、第一次産業からどれだけの離農者が第二次産業その他に出ていくのか、さらに第二次産業の四十五年度の目標が千五百六十八万でございますが、どういうところからこの人員の充足というものがなされていくのか、こういう点について三十四年ないし三十五年を基準にして、今後十年間に第一次産業、農村からどの程度の離農者が移動するのか、こういう点です。今の数字に基づいて、もっと計画的に詳細に御説明を願いたいと思うわけです。

三治重信労働大臣官房長

○政府委員(三治重信君) 三十四年度を基準にして参りますというと、三十四年度で大体第一次産業が千六百万人、それに対して、先ほど申し上げました千百五十四万人になりますと、指数として七二%になるわけです。従って、それだけの数がおもに農村の二、三男、新しく農村に就業するものがそこへ就業しなくて、第二次、第三次産業方面に転業する、農村に滞留しなくて出てくるという格好になる。従って、減るのは主としてやはりリタイア、老齢ということによって減っていくのでございまして、ただし、その実際農業に従事しているもの、現に就業しているものが、さらにどれだけ少なくなるかという問題につきましての細部の資料については、ちょっとここに持ち合わしておりません。  それから第二次産業は、千七万人から千五百六十八万人になりますので、一五六%になります。約六割の増加になります。これはただいま申し上げましたように、主として新規のやはり学卒の増加というふうに推定されます。  それから第三次産業が、三十四年の千二百四十万人を基準にいたしますというと、一四六%になりまして、約五割の増加になります。それから運輸、通信二百十七万人が三百三十九万人として一五六%になります。合計といたしまして、三十四年度が千五十八万人でありますので、約二割の増加というふうな構造になりまして、おもに第二次、第三次産業、運輸、通信を三次に含めまして、三次産業で増加するのは、やはり全体としての新規の学卒雇用が主として増加していく、その部分がほとんど第二次産業、第三次産業に入っていく。従って、第一次産業は補充分が少ないということと、さらに一部は若干の離農も考えられるというふうなのが大体の構造であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 今御説明の、たとえば第一次産業を昭和三十四年千六百万と見るというのは多過ぎると思いますがね。これはもっと第一次産業の就業人口というものは少ないと、こう見ておるわけですが、千四百五十万から千五百万程度ではなかろうかと、こう見ておるわけですが、今の千六百万というその資料はどこの資料なんですか。

三治重信労働大臣官房長

○政府委員(三治重信君) これは労働力調査による大体の年間の平均数字でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 経済企画庁等で立てられた所得倍増計画の資料と、あなたの方の使っておる資料というものは同じやつなんですか。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) ただいま官房長から説明しました数字は、経済企画庁経済審議会で推計をした産業別の就業者推計の数字でございます。農業就業者につきまして、もう一つ農林漁業基本問題調査会の推計数字がございますが、これは年度が一年ずり下がっておりまして、先のは三十四年の推計でございますが、三十五年の推計といたしましては千四百九万、若干減った数字の推計がございます。われわれはこの経済審議会の推計数字を使って訓練の長期計画、雇用の対策を講じている次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 かりに今の労働省の使っておられる数字をもとにしてみますと、その間に雇用者の増大というものは千九百二十四万から三千二百三十五万人に増大し、四六%から六六%に大きくふえていくことになるのですが、この大きな新規の雇用労働者に対して、今提案されております職業訓練あるいは技能者の養成、再訓練、また、もちろんこの雇用労働者の中には学卒者が多くを占めると思うわけでございますが、学校卒業者の学校教育面における訓練という点から見たとき、新しくふえる雇用労働者というのは、十年後、技術の面、あるいは技能の面等々から見たときに、どういうような状態になっているのか、これを一つ御説明願いたいと思うのです。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) 今の職業訓練、それから学校教育における技術教育の面での技術者の養成、この二つが、今後の産業の成長に伴います雇用労働者、あるいは一般職員というものの中に、どの程度養成の数をふやしていかなければならないかという問題でございますが、私どもの立場におきましては、第二次産業の建設業、あるいは製造業、これを中心といたしまして、第三次産業の面におきましては、運輸、通信事業をこれに加えまして、この三つの産業を中心にいたしまして、雇用労務者——職員とか技術者を除いた、いわゆる七割程度の比率を占めます一般の労務者の今後十年間における増加の推計をいたしたわけでございますが、三十四年はこの労務者が八百四十三万人ございましたが、これが十年後には千三百二万人に増加するであろう、従いまして、差額の四百五十九万人というのがネット増になるわけでございます。そしてこの十カ年間における減耗補充を考え、このネット増を考えますと、その間において六百九十五万人の雇用労務者の増ということになるわけでございます。この六百九十五万人の雇用労務者の増に対して、訓練ではどれだけこの技能者が必要になるか、こういう推定をいたしたのでございますが、従来の技能者の、雇用労務者の総数の中に占める比率から推定いたしますと、四百十七万人の技能者の養成が必要になるのでございます。しかし、この四百十七万人という膨大な数字を、十カ年間において急速に人材養成するということは、施設の面、あるいは先生の面、特に先生の面からの大きな制約がございまして、なかなか四百十七万人を一気に十カ年間に養成するということは困難でございますので、従来の過去のベースを基調にいたしまして、われわれとしましては、この十カ年間に百五十五万人の新規の熟練工ないし半熟練工の養成を長期計画として樹立したのでございます。このほかに、百八十一万人のすでに雇用関係にある労働者の再訓練ということをこの十カ年間に行ないまして、新規の養成訓練と再訓練と合わせまして三百三十六万人の養成並びに再訓練の計画を樹立したものでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 今問題になっておって、衆議院の文教委員会できょう採決するとかしないとか新聞で見ましたが、五年制の工業高等専門学校の設置ですね、これを中心とした学校教育法の一部改正法が出ているわけですが、こういうような学校の設置による養成というのは、今言ったように、先生の数の制約とか、あるいは施設の制約とかいろいろ伴って、なかなかこれ目的達成には相当困難が伴う、こう見るわけでございますけれども、この間、前の委員会のときでございましたか、こういう学校を通じての養成は約四十四万人程度とか、こういうことであったように記憶いたしておりますが、そうしますと、学校教育による技術者養成並びに職業訓練機構を通ずる技能者の養成、あるいは再訓練等々やりましても、今の説明では、十年後、目標に対して相当数技能者が足りない、こういうようなことになると思うのですが、この点についてはどういう処理を考えておられるのか、承りたいと思います。   —————————————

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 質疑の途中ですが、委員の異動について御報告いたします。  ただいま安田敏雄君及び千葉信君が辞任され、大和与一君及び吉田法晴君が選任されました。   —————————————

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) 所得倍増計画で、学校の技術教育におきまして、今後十カ年間に増員をすべき目標数は、大学の理工系において七万人、工業高等学校において四十四万人、そうしてわれわれの方の訓練において約七十万人の増員を予定しておるわけでございます。この七十万人の増員を見込んだ総数が、先ほど申し上げました百五十五万人でございます。従いまして、現在の訓練規模を約倍にふやす、拡充するというのが十カ年の長期計画の考え方でございます。それでもなお技術者、技能者が不足するのではないかというふうな御意見でございますが、これは十カ年の産業の発展に伴いまして、技術者、技能者の需要の推計をどういうふうに見るか、理想的な形で需要をはじきまして、その需要に対しまして完全な充足を期するということになりますと、現在の学校における技術教育、われわれの訓練におきましても不足するというふうな感じがいたしますけれども、いろいろな諸制約もございまして、最小限度の需要はこの長期計画で充足していこう、こういう考え方で長期計画を樹立したわけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 労働大臣にお尋ねしますが、先ほど大臣のお答えは、すべての問題について一通り答えられておるので、これから尋ねようということも、その中にほとんど含まれておるように聞いたわけですけれども、今後産業構造が高度化していく、さらに、また特に第二次産業の中の製造業、製造業の中でも重化学工業が拡大されていく、こういうことになって参りまして、産業構造の大きな転換というようなことになって参りますと、当然先ほどお話の中にもありましたが、一時的、部分的にはある産業等において失業が起きてくると当然予測されるわけでございます。まあ現在のところ、構造的な危機をかかえておるのが石炭産業であろうと考えておりますが、また別の観点から、一時的失業者として予測されるのが駐留軍労務者であると、こう見ておるわけです。今後日本の産業構造の高度化に応じて、あるいは技術革新の進展に応じて、どういう産業に雇用面から見て不安が予測されるか、そういう産業に対する政府の雇用転換等については、どういう考え方でおられるのか、これを一つ大臣から承りたいと思うわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 石炭、それから駐留軍関係の離職のほかに、さしあたって私どもが予測しなければならないのは、貿易の自由化に伴います影響産業であります。われわれは、おおよそその影響を受ける産業に従事いたしておりまする労働者の総数を百五、六万と考えておるわけでございますが、そこから具体的にどれだけの雇用上の変動が生ずるかということは、まだ正確にはつかんでいないのであります。まあ一般的に申しまして就業構造も変わり、あるいは産業構造が変わって、近代化して参ります途中に、雇用の変動は当然考えなければなりません。その雇用の変動をでき得る限り摩擦を少なくして行なうのが労働行政の責任であると考えておる次第でありますが、具体的な施策といたしましては、ただいま準備いたしておりまする職業の再訓練、転職訓練、こういうものを強化いたしますほかに、新しい労働力の需要地に労働者移動用の住宅を建設するということも行ないたいと思っております。また、こういう産業構造の変化、進歩によって生じまする雇用の変動は、主として中年層、相当年令層の高いところに生じて参ります中高年令層の就業を開拓いたしますために、中高年令層の適職調査をいたしまして、これは完了いたしております。百二十種あまりについてこれを指定をいたしまして、まず、政府関係機関から一般民間産業にまで、中高年令層の適職については、これを優先的に採用するように呼びかけておるのでありますが、しかし、単純なモーラル・サポートを期待するだけで所期の成果が上がらない場合におきましては、職業安定行政の面におきまして、行政上のもっと積極的な指導を考えなければならないのではないかと思っております。それから、そういう産業構造の変化、経済の近代化、技術の革新というようなものによって雇用の変動が生ずることは、企業者自身ができ得る限りこれを早く察知すべき、早く考慮に入れて準備すべき問題であると思っております。そういう事態が生じてからその離職者の対策を講ずるというのではなくて、そういう事態が生ずるであろうと推定せられる早い時期において、現にその職業に従事している間に転職訓練等を行なっていく、また、労使間の話し合いを早い時期に始めていくというふうなことが必要であろうと存じておる次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 まあ抽象的にはその通りだと、こう思うのですが、よくわかるわけですが、先ほどお話の中にありました労働市場の封鎖性、この問題について、もっと日本の労働市場が流通化されて、横に横断的に広がっていく、移動を円滑に進めていく、結局このことが今後最も大事な日本の雇用政策面における問題だと考えるわけなんです。生産性の低いところから高い生産性のところに移動するという場合も予測されましょうし、ことに、また先ほど今後の就業構造の変化の中にありましたように、第一次産業からその他の方に新しい労働力の移動ということも予測されましょうし、また、今後の工場の計画的な配置、分散等を通じて、あるいはまた過度に集中化した都市から地方の中小都市への移動ということも予測されましょうし、こういうように今後の日本の労働市場の流動性、移動の円滑化、こういう点からながめましたときに、先ほどお話の中に住宅政策というものを取り上げていたわけでございますが、ことに、また職業安定所の今後の広域職業紹介面における役割、こういうものが非常に重大になってこようと考えるわけで、そこで、特に私は広域職業紹介という、今後の職業安定機関の果たす機能というか、これについて、どのように今後のそのような新しく予測される事態に対処する態勢を確立されようと準備しておるか、この点一つ具体的に承っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) わが国の労働市場の封鎖性の背景というのは、やはり一般的に申しまして、労働力が今日まで継続的に過剰である、それから雇用制度それ自身が封鎖的である、また、終身雇用制度、それから賃金体系が年功序列型の賃金体系であるというようなことから、それが相互に関連をいたしまして現在のような労働市場の封鎖性を生じておるのだと思っておる次第であります。ただ、これが最近における経済界の大きな変動、進歩に伴いまして、まず第一に、労働力の一般的、経常的な過剰という状態が改善されつつございます。それから年少労働者に対する需要が非常に高まって参りました結果、その年少労働者の初任給賃金というものが、かなり上がって参りました。従って、その年功序列型賃金体系というものにくずれを見せつつあることも想定されるわけであります。こういう一般的な大きな変化の中で、職業安定行政はどうあるべきか、私は、やはり原則的に、単に事務的な取り扱いをするというよりは、やはりこの雇用状態全般を通じて見た上に立った社会政策的な取り扱いが必要になってくるように思われます。たとえば身体不自由者に対しましては、政府は政令をもって各産業に一定の割合の身体不自由者を雇用していただくようにお願いをいたしております。また、先ほど申しましたように、年少労働者が非常に不足しておるのに、中高年令層の就職難が現在なお深刻であります。こういう場合におきましては、中小企業の今の中高年令層の適職に対しましては、年少労働者の紹介はこれを差し控えて、中高年令層の紹介に主力を注ぐというような、つまり社会政策的な使命観を持った運用が第一に必要であろうと思います。  第二には、最近におきましても、広域職業紹介ということに重点は置いて指導をいたして参りましたけれども、地域的な偏在、アンバランスの存在ということが依然として解消いたさない今日におきまして、さらにこれを広域職業紹介を強化していく必要があると思っておる次第であります。すなわち、各職業安定所単位といたしましては、それぞれ社会政策的な考慮を十分はかるように指導いたしますとともに、その横の連絡を強化いたしまして、広域職業紹介に重点を移行していきたい、こう考えておる次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私のお尋ねしたのは、その最後の広域職業紹介の今後の果たす役割というものが非常に大きくなってきているように見受けますので、しからば具体的に広域職業紹介というものをもっと円滑に、総合的に、全体的に進めていく上に立って、何か機構上の改革とか、あるいは拡充とか、そういうととも考えておられるのかどうか、これをお尋ねしたいわけです。地域的なアンバランスがあることもそうでしょうし、学卒者や、あるいは若い労働力が不足して、中高年全層が過剰であるということもそうでありましょうし、こういう問題を解決するためにも、やはり広域職業紹介というものが非常に大事な機能を果すたことになるわけでございますが、その大事な機能を果たさしむるために、しからば今の職業安定行政等において編成がえをするとか、あるいは再検討をするとか、そういう点があるのかないのか、これを承っておるわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) この労働行政機構が、特に末端におきまして非常に多元化されて現在おります。この機構それ自体の一元化という問題が今私どもの大きな研究課題の一つでありまして、この改善にまず第一に努力をいたしておるのでありますが、その中の一つといたしまして、職業安定行政の改善ということが当然考えられなければならぬと思っております。  それから、相互間の連絡の強化、その他の広域職業紹介の成果を上げますための具体的措置、現在は相互の連絡を密にいたしますとともに、新しく生まれます雇用促進事業団等においても、その援助的役割を果たさせようといたしておるのでありますが、しかし、ただいま申しましたように、労働力の地域的、年令的アンバランスを是正いたしますためには、さらに広域職業紹介についての機構上の研究は必要であろうと思っておりまして、先ほど申しました労働行政の一元化と関連をいたしまして、研究をいたさせておるところであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 労働市場の流通性を確保するためには、私は、今言ったような、政府においてなすべきもろもろの施策とともに、先ほど大臣のお話にありましたように、今日の日本の企業の中における雇用関係の近代化をはかることが、これは大切だと思うわけなんです。ことに、先ほどお話にありましたように、年功序列型賃金、あるいは終身雇用制度、まあこういうようなことが労働市場の封鎖を促しておる大きな原因でございまして、従いまして、個別企業における、民間企業における雇用の近代化、あるいは労務管理体制の近代化、さらに今後の賃金体系等についての再検討、こういうことが必要になってくると見ておるわけで、同一労働同一賃金の原則ということが確立されますならば、当然また日本の労働運動の面においても、新しく企業別から産業別組織の方向に進展すると、こう見ておるわけです。この点は企業の内部における問題でありますけれども、同時に、また政府の労働政策の面、あるいは政府の賃金政策の面から大きな影響を受ける問題点だと、こう考えておるわけですが、そこで承りたいことは、産業構造の高度化、あるいは生産性の増大、技術の革新、まあこういうことで当然所得分配の構造についても、だんだんこれは変わりつつあるし、変わらざるを得ない、こう考えておるわけです。今後政府といたしましては、このような生産性の増大に伴って、あるいは企業の近代化に伴って、どういう賃金政策をもって指導されていこうという御方針であるか。まあ賃金政策に限らず、今後の所得の分配構造等については、どういう考え方で政府としては指導されていこうとするのか、この辺を一つ承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 現在の日本の各企業内におきまする賃金制度というものは、お話の年功序列型賃金、これは先ほどから御議論のございましたように、労働市場の封鎖をもたらしております。しかし、これはやはり先ほどからも申し上げましたいろんな客観条件と、それから歴史を背景にしてこういう制度がありますので、そのもの自体を、立法手段とか、あるいは行政指導とかいうものによって、にわかにこれを改めさせるということは困難であろうと思います。ただ、私どもは、日本のいわゆる賃金統計、賃金調査というもの、賃金のあり方というようなものについての研究が、まだきわめて不十分であるという見地から、役所といたしましては、数年前、私が初めて労働省へ参りましたときに、賃金の基本調査というものを始めました。今その調査を続行中でございます。賃金それ自身の問題は、基本的には私はもっと根本的な問題をとらえて調査研究をいたしまして、その土台の上に立つべきものだと思っておるのでありますが、一般的に経済界の進展、生産性の向上の中で所得の分配はどう行なわれるべきものか、私は、生産性の向上を通じて勤労者の賃金、所得が増大をしていくことを大きく期待をするということが基本線であります。ただ、わが国の場合は、特に経済の底が浅く、企業間におきまする収益差という問題もあります。また、問題になっております規模別の生産性の差、賃金の差というものがあるのでありまして、それぞれに具体的な施策が必要であると思っておる次第であります。生産性の向上はもちろん賃金に分配さるべきでありますが、そのほかに、やはり大衆への還元も考えなければなりませんし、あるいは資本の蓄積も考えなければならないと存じます。  それから規模別の生産性の格差縮小という点につきましては、やはり親企業と一本となった縦の関係を確立いたしまして、従来のごとく、技術指導だけでなく、労務管理上の指導もあわせて行ないますとともに、同時に、原価計算その他におきまする下請企業の労働力の計算につきましても、親企業が十分な理解を持った態度に出てもらうように期待をいたしておるのでありまして、すでに日立製作所その他を中心といたしまして、ぼつぼつこの体系ができつつあるわけであります。そういうものを通じまして、中小企業の賃金格差、規模別賃金格差の縮小に努めて参りたいと思っておる次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 この間の委員会でもちょっと質問が出たわけですが、今の大臣のお話で、考え方の基本は理解できましたが、やはり生産性の向上に伴うて、その利益の成果の配分を妥当に規定していくということは、これは政府ではなくして、むしろ一般民間の企業、あるいは経営者、あるいは資本家、こういう人方の正しい理解なしにはこれはできないと、こう思うわけです。私は、先ほど申し上げた終身雇用制とか、あるいは年功序列賃金をだんだん改めていくという問題これも一挙にできることではなくして、やはり経営者や企業家の理解と協力なしに、摩擦なくしてだんだんこれを改善することはできないと、こう考えておるわけです。ところが、今日の一般の民間経営者、企業家というものはどういう考え方に立っておるか、この点についてわれわれとしてはいささか疑問を持っておるわけです。  そこで、端的に伺いますが、四月二十日でございますか、日経連の総会において、前田専務理事がこれを演説しておるわけです。この中で、この春闘における大幅な賃金値上げというものは、明らかにこれは経営者が労働組合にねじ伏せられた屈服賃金である、こういうような不満を堂々と述べておるわけです。これも「池田内閣の倍増ブームとか物価値上がりブームとか次々と連鎖反応的に起きる賃上げのブーム、こういう中でなんとはなしに理屈抜きでできあがっている一つのムードというものの中で獲ち取られたところの経営者の屈服賃金といえるであろう。このような屈服賃金を余儀なくせられた事情はどこにあるのか。これはさかのぼれば、昨年十月の公務員の給与にたいする一二・四%というとてつもない人事院の勧告に端を発しているのである。この一二・四%という数字は民間賃金との振り合い上、これだけを上げるべし、という数字である。」一体民間の何に比較してこういう数字がはじき出されたのか、こういうわけで、大いに池田低姿勢や石田労政に対して不満と批判を向けておるわけでございますが、これに対して石田労働大臣は、またそれを反駁するようなあいさつをなされておるわけです。このやりとりを見まして、石田労働大臣のこのあいさつの内容というものは、われわれは、なかなか権威ある内容であいさつをされておるのだという感じを受けるわけですが、日経連と政府が大事なこういう賃金問題について衝突し、ぶつかったというととは近来見ないことで、珍しいことです。そこで、労働大臣にお尋ねしたいことは、この前田さんの見解というものに対して、大臣は、あなたのごあいさつの中にある通りの基本的なかまえをもって今後とも対処されようとする決意であるのかどうか、これを一つ承りたいと思うわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) それは申すまでもないことでありまして、公開の席上においてごあいさつを申し上げた、所信を披瀝いたしたのでございます。さらに申し上げたいと思いますが、よけいなことでありますが、私は、元来そういう席上で、自分で原稿を書いて、あるいは人の書いたものを読んだことはございません。その原稿だけは、私が自分で書いて、そうして自分で何度も直して読み上げたものでありますから、私の基本的な考え方でありまするし、もろちんこれから変える意思もございません。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 さらに池田総理もその日にあいさつをなされておりますが、そのあいさつの中にこういうことがあるわけです。「二十七年から三十四年までの間、生産性は年平均七・六%向上しているが、賃金の上昇は五・六%である。生産性向上が賃金上昇を上回っている国は日本とイタリアだけで、こうした国ではコスト・インフレの状態を来たすことはない。生産性の向上した分は資本の蓄積や物価の引下げに充てられることはもちろんだが賃金の健全な上昇こそ所得倍増のもとをなすのである。」これを見ますと、今日の日本の産業の生産性向上から見た場合に、労働者の賃金引き上げというものはまだ低いのだということをはっきり言われているわけで、従って、所得倍増計画を達成するためには、やはりこれは一方においては設備投資を盛んにすることであり、一方においては消費をもっとふやしていくことが大事であるということは、これはまあ経済的にもそう言えるわけでございまするが、総理のような考え方で、なお生産性向上に賃上げは追いつかぬということは、これは現実もその通りだと思うのです。この点について石田労働大臣も総理大臣と同じ御見解であろうと考えまするが、一つ承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 総理の述べられたその言葉通りの見解を持っております。ただ、その際、問題は二つあると思うのです。賃金の値上がりがコスト・インフレの原因になるという議論、その議論は、つまり現在行なわれている賃金の値上がりというものはコスト・インフレの原因にならぬ、それは生産性の上昇率が賃金の上昇率を上回っている限りにおいては、これはコスト・インフレの原因になる心配がないのだ、つまり賃金の上昇率が生産の上昇を上回っているような状態になればコスト・インフレになりますけれども、日本とイタリアはまだそういう状態がないのだから、現在行なわれている賃上げというものはコスト・インフレにすぐ結びつくのだという見解が間違いなのだというととが一つであろうと思います。それはその通り私も考えております。  それからもう一つは、生産性の向上の成果というものの分配は、先ほどからのお話にありました通り、それは賃金の上昇と同時に、大衆への還元、あるいは資本の蓄積という方に向けられていくのでありますから、私は、生産性の上昇は、そのまま賃金が上がらなければならないのだということにはならない。やはり生産性の向上に伴って賃金は上がっていくべきものだが、それはすべてが賃金に向けられるということではなく、大衆にも還元されなければならないのだ、こういうふうに第二点を考えている次第であります。  そこで、まあこういう賃金問題に対する一般的な考え方、私は、経営者の中にも、だんだんと労使関係、賃金関係というものに大きな変化が行なわれつつあると思いまするが、私どもの方といたしましても、労務管理講習会を昨年度から始めまして、すでに全国で二万名の中小企業の労務担当者の講習を終わりました。ことしはさらにそれを拡大していくつもりでありまして、一般の労務管理についての理解を深めていきたいと思っております。しかしながら、なお経営者の中には、原料や労力を安く買うと同じように、賃金もまた安く買うことが、その経営者としてのいい腕の見せどころだというふうな考え方が根底に残っていやしないかということもまあ否定できないと思います。それから、企業の目的は、株主に対してその配当を多くやっていくということ以外に、やはり自分の従業員を他の従業員に負けない待遇をし、その従業員に将来への希望と現在の安定とを与えていくということも企業者の責任であると思っております。そういう基底的な考え方に、私は、先ほどお読み上げになりました論争の中に若干の違いのあるように感ずることを残念に思いますが、それを是正すべく努力をしたいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 大へん大臣の御答弁は、私は満足でございます。そこで、大臣の四月二十日のあいさつの中に、非常に適当な表現で述べておられる点は、われわれとしても非常に意を強うするわけです。「次に公労委の仲裁裁定の民間賃金への影響をいう向きに対しては、過去および現在の事実として、公共企業体の賃金は民間の賃金を追いかけているのであって、その逆の関係にはないという点を指摘いたしたい。また、公共企業体等の賃金と比較する賃金は、今日の処では格差の縮小に努力しなければならない中小企業の賃金ではなく、同種同規模の企業の賃金である。そしてこの仲裁裁定を政府が完全実施するのは、その内容が政府にとって好ましいとか満足であるからではなく、仲裁裁定だからである。内容の如何を問わず裁定に服すということは、単に仲裁のみならず、公共企業体等労働関係安定の生命である。」この点は私は非常に同感でございまして、先ほどお聞きしますと、事務局で書かしたのではなく、大臣みずからが筆をとって書いて、何べんも手を加えられたというので、さらに意を強うするところでございますが、この夏になりますと、今度はおそらく人事院の勧告という問題が具体的に出てきょうと考えるわけです。言うまでもなく、人事院は、当然その果たさなければならぬ機能、役割上、七月か八月には、民間給与の上昇、物価の動き、経済上の変動等を通じ、公務員関係の給与に関する当然の責務を果たさなければならぬと考えまするが、予測される人事院勧告等についても、仲裁裁定と同じように、当然の本来の人事院のあり方から見まして、また、政府と人事院の関係から見まして、公務員法の精神に照らして政府はこれを尊重し、これを実施すると、こういうことになるものと考えておりまするが、こういう点について、この際、労働大臣の御所見を承っておければありがたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 昨年行なわれました勧告につきましても、政府は、これを尊重いたして参りました。従って、政府として、将来とも人事院の勧告を尊重するという態度に変わりがないと思います。思いますと申しますのは、直接私の所管でないからであります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 まあ私は所官でないから、その程度でやむを得ぬと言えばそれまででございますが、尊重するというよりも、できれば労働大臣が仲裁裁定に示されたこれくらいの強いやはり決意というものを、人事院勧告についても、建前上これはりっぱに実行するのだ、こういうくらいの一つ決意というものは内閣全体としてあってほしいと思うし、ことに、まあ直接の所管ではなくても、労働大臣からそれを承ればありがたいと、こう思うのですが、どうでしょうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 労働三権の制約を受けております労使間の問題の処理として、第三者機関の意見を尊重するという一般的方針、これはしばしば申しております通り、私どもの基本的な態度であります。ただ、公共企業体労働委員会の仲裁の制度と、それから人事院勧告とは、法律上の立場が違うことは御承知の通りであります。それからもう一つは、やはりこれは私の所管でございませんので、どうもそれ以上のお答えは私のいたすべき問題ではないと考えておりますので、ごかんべんを願います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 その点はその程度にしまして、そこで、先ほど大臣の、今後のあるべき賃金、特に中小企業における賃金格差解消の問題等についてよく理解できましたが、現在のこの最低賃金法ですね、これは言うまでもなく、業者間協定の最低賃金ということになっておりますが、そろそろこのような経済発展の段階になって参りますると、また先ほどお話のように、中小企業も系列化されつつある状況でありますし、いろいろな点から、また、さらに中小企業においては、特に新規労働力の雇用すらも困難になってきつつあるということを振り返ってみますと、最低賃金法等については、あらためて再検討すべき時期にきていはせぬだろうか、もっと客観情勢に即した——業者間協定等でなく、たとえば賃金審議会等を中心に、第三者的な機関を中心として、公正妥当な最低賃金の設定ということが必要な時期になってきているのではないだろうか、こういう感じを持つわけでございますが、労働大臣の御所見を承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 現行の最低賃金法は、御承知のごとく、業者間協定だけではないのでありまして、他に三つの方法も規定されております。しかし、実際は業者間協定がほとんど大部分を占めて運用されていることも事実であります。それで、政府といたしましては、この現行最低賃金法によりまして対象となりまする労働者数が二百五十万程度になることを一応の目標としてこの普及に努力をいたしております。その目標年次は、三十六年を起点といたしまして三カ年という考えであるのでありますが、現在の進行状態から見ますると、三カ年を待たずしてその目標に達せられるのではないかと考えております。私どもは、その普及の過程を通じまして、問題点を拾い上げて改正に着手したいと考えておったのでございますが、しかし、ただいま御指摘のように、現実にもう他の客観的情勢というものが非常に移り変わりつつございます。従って、現行最低賃金法についての検討を始めたいと考えておる次第でありますが、しかし、さらにここで御理解をいただかなければならぬことは——とは申しますものの、なお最低賃金という制度そのものについての理解が普及されておりません。やはり一般的にこれが普及されることと相待って行なっていかなければ、法律のみ先行する結果となるのでありまして、また、これによって現実に中小企業等に大きな摩擦を生じますことも望ましくないのでありますから、現実を見つめつつ問題点を拾い上げていきたいと思います。特に行政的措置としてすみやかにやれることはやりたいと思っておるのでありまして、現在、もう早い時期にきめられました二百円以下という最低賃金は、もうすでに価値を持たなくなりましたので、これを急速に変えるように指導をいたしております。現在は大体二百三十円から二百六十円という程度が、今作られているものの非常に中心的なものになりつつあるのでありまして、現実的にそういうところに持っていくように行政指導を強化いたしまして、それを通じつつ法改正の検討もいたしたい、こう考えておる次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 時間の関係もありますので、私、今度また先ほどの問題に戻りますが、今、雇用促進事業団法というものが衆議院の方で委員会の審議にのせられているようでございまして、今回の法案を見ますると、局に昇格するわけですが、雇用促進事業団法等の成立を待って、実際の技能者の養成であるとか、あるいは地域間、職業間の労働力の移動の問題であるとか、就職の援助の問題、こういうことは雇用促進事業団が当たるようになるようでございまして、そこで一つこの際お尋ねしておきたいことは、結局、雇用促進事業団が、かりにできるとすれば、福祉事業団の中の仕事をこちらに持ってくるということになるわけですね。そこで、まずお尋ねしたいことは、福祉事業団が発足して何年になるか知りませんが、この間から労災病院で、だいぶあれは何の問題か知りませんが、賃金問題で長いストライキをやっていたわけです。ようやく中労委の調停かあっせんか知りませんが、中労委が中に入ってあっせんによって解決したようでございます。これはどういう原因で長期の争議が続いたのか、その原因を御説明願いたいとともに、これはやはり私の察するところ、福祉事業団の所管している、たとえば総合職業訓練所等におきましても、職員の待遇、身分の問題等について非常に低いという実態があるのではなかろうか、こういう感じを持つわけです。ことに職業訓練所等における指導員の給与の問題は、民間企業におけるそれと比べますと、これは非常に低いように見受けるわけです。今後技能者養成ということをりっぱに完遂いたしますためには、ことに訓練所等における指導員に人を得るということが一番大切なことではなかろうか、こう考えるわけです。そういう点から見ますと、総合職業訓練所とか、あるいは一般の職業訓練所等等がございますが、こういうところにおける指導員の待遇、身分等についてはどういう指導方針をとっておられるのか、これを承っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 労働省の監督下にございます福祉事業団の労災病院の争議が長引きまして、いろいろ御心配をおかけいたしましたことは残念に思っております。その争議の原因等は、これはいろいろあげることができると思いますが、まず第一に、一般的な病院に見られるような、いわゆる労使関係の複雑さというものがまずあげられると思います。  それから第二点は、これは賃金の問題でございますが、その賃金の問題は、私は、やはり政府関係機関といたしまして、一般の公務員の賃金の上昇率との関連を考えなければならないのでありまして、福祉事業団当局の行ない得る措置にも、当然そういう限界がございまして、非常に問題の解決がおくれる、片方の方ではそういう事態を認めないというふうに、要求の金額に大きな懸隔があったことは事実だと思います。幸いに解決をいたしましたので、今後とも労使関係の安定に努力をいたしたいと思っております。  それから、今後できます雇用促進事業団、この中における職業訓練、この指導員の待遇の問題でございますが、現在指導員の不足ということが、職業訓練の普及、拡充の大きなガンとなっているのでありまして、従って、その待遇等につきましては、極力努力をいたしているのでありますが、現在、総合職業訓練所の指導員の平均給与ベースは二万七千四百七十五円でございます。一般から比べまして、他の公務員等から比べまして、決して低くはないのでございまして、他の公務員に付せられていない手当といたしまして、実習作業手当約千五百円を付加しておる次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私は、今、労働大臣のお答えにありましたように、今後の職業訓練行政をほんとうに身のあるものにするかいなかということは、第一線に働いておるこの訓練指導員等に人を得るかどうかという問題であろうと見ておりますので、この点については、大臣の御答弁だけで私は満足しましたと引き下がるわけにいきません。これは私たちがいろいろ出先を歩いて、訓練所等におきまして話をしてみたり、いろいろな実態を聞いてみますと、相当問題があるような印象を強く受けたわけです。この点については、さらに一つ福祉事業団、あるいは今度雇用促進事業団ができるでありましょうが、そういうところを通じ、万遺憾のないように御努力を願いたい、このことを強く希望申し上げておきます。  さらにもう一つ、炭鉱離職者については、臨時措置法に基づいて緊急就労対策事業が実施されておるわけです。ところが、一般の失対労務者については、今回日額五十二円の増額がありましたけれども、緊急就労の炭鉱の離職者についてはどうなっておるのか、この点。  さらにもう一つ、一般の失対事業に働く諸君は、夏、それから年末、それぞれ期末手当にひとしいものが支給されておりますけれども、緊急就労対策事業に出ておる炭鉱離職者については、このようなものは予算上措置がなされていないわけです。去年の年末にこれが問題となって、労働大臣の方にも全国から訴えがきたはずです。三十六年度予算措置がとってあるかどうかは私まだ確かめておりませんが、ないはずです。これはいろいろ雇用関係が異なるとか、いろいろな問題があるかもしれませんよ。しかし、炭鉱離職者のために、特別法まで作りまして特別措置をやっておられるわけですが、現実の面においては、賃金の面において、あるいは期末手当支給の面において、むしろその他と比べますと、低いというか、均衡を失しておる状態にあるわけで、この点について労働大臣はどのように考え、また、どのように今年は善処されようとする準備であるか、承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 緊急就労は、従来八百五十円でありました予算単価を二百円上げまして、千五十円といたしております。  それから期末手当の問題でございますが、これは田畑さんご自分でもおっしゃっておりましたが、雇用関係が一般の失対と違うのでありまして、請負に出しておるわけでありますから、労使双方の関係で処理をしていただくのが建前でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 あと一、二分で終わりますがね、御心配のようだから。  それで、今の点は大臣に特に私は考えていただきたいのは、二百円上がったこともお聞きしておりますが、雇用関係の点から見て、期末とか年末の一時金の支給は困難である、こういうお話でございますが、千五十円の中に期末手当に準ずるものが含まれているか含まれていないかということで、これは含まれておるならば、そういう形で指導なされば、他の一般失対労務者と同じように、炭鉱離職者についても特別の措置が年末あるいは夏にはできるはずです。その点がどうなっておるかということを一つお考え願いたいと思うのですね。  それから、最後に質問申し上げたいのは、非常にけっこうなことでございまするが、技術、技能の国際交流を進めていかれる、これは非常にけっこうなことです。ところが、けっこうなことでございますが、予算措置は一体どこにこれはとってあるのか、貿易振興及び経済協力費として、ことしの予算を見ますと、五十八億余をとっております。その中に技術者等海外進出促進事業費あるいは海外技術者受入研修事業費、こういうのがございますが、これは通産省の所管になっておるわけです。また、技術協力実施委託費、これは外務省の所管になっておりまして、さらに予算書の中には、海外経済協力基金として五十億出ておりますが、どれに該当するのか、労働省の今後の技術の国際交流は、予算書の面から見るとどれに相当するのか、また、これはどういう構想で今後進めていかれる方針であるであるのか、これを承っておきたいと思います。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) この国際交流の問題は、予算としましては各種の交流計画の中に包含されておるわけでございます。一番大きな計画が、御承知のように、コロンボ計画でございます。それから、そのほかに中近東計画、あるいは中南米技術協力計画、こういった交流計画の予算の中で技能者の交流を実施していこう、こういう考え方でございます。そのほかに、インドネシアの賠償計画の中でも交流を実施していきたい、かように考えておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この間、農村から流れ出るといいますか、職業訓練のことにつきまして伺ったのですが、もう少し問題があるように思いますが、御存じのように、昨年三十五年度に農家子弟職業訓練所、これは十四カ所できることになっておりまして、ことしまた新しく十八カ所、三十二カ所の農家子弟職業訓練所ができるわけですが、農業基本法との関係で、今後最盛期になりますというと、年間に八十万、百万という、若い層でなくて、中年層あたりの人たちが農業から転出しなければならないというようなことに相なると思うのでありますけれども、その場合に、農家のそういう方々の転業訓練は、今作っておられる三十二カ所の農家子弟職業訓練所、この方向でやっていかれるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 従来までございます一般職業訓練所、それから総合職業訓練所におきましても、すでに現実に半分ぐらいは農村の子弟であります。子弟というとひどく言葉があれですが、年令制限をいたしておりませんので、でき得る限り中年層、あるいは相当年令の高い人も入りやすいようにしたい。その入りやすいようにいたしますための具体的な方法といたしまして、たとえばクラスを変えますとか、あるいは訓練時間を変えるとかいうようなことも今検討をいたさしておるところであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私の伺っておりますのは、従来農家から出てくるそういう方々に対する訓練というのは、一般職業訓練所、あるいは総合職業訓練所、こういう所で半分くらい、ですから二、三万というのがあったわけです。ですが、昨年から新しく農家子弟職業訓練所というものが設置されておる。ですから、今後出てくる農家の子弟の職業訓練については、その農家子弟職業訓練所という方向でやっていかれるのか、すなわちそれ拡大していかれるのかということを伺っておるわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) それを拡大していくことを農家子弟の訓練の中心といたしていくつもりであります。ただ、それだからといって、ほかのものにいけないというわけのものでもなく、また、そういう年令や前職等の制限をきびしくつけるという方針ではございません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この三十二カ所できます農家子弟職業訓練所、これは一カ所大体定員が百名ぐらいだと思っております。ですから三十二カ所できましても、しれておるわけですね。三千とか四千とかいう数字だと思うのです。さらに、かりに一般職業訓練所、あるいは総合職業訓練所等において消化するにしましても、その数は限られておるものだというふうに思うのですが、農業と工業というのは最も離れた職業なわけです。その農家の人たちが八十万なり百万なりというものが出てくるというような場合に、今のようなお話では、これはなかなか出にくいのではなかろうか、あるいは職業訓練というものは行ないがたいのではないだろうか、言うならば、ほんとうの臨時工的な存在として流れ込んでくるのではないだろうか。従いまして、私どもはこの点に非常に心配いたしておる大きな理由があるわけでありますが、今のようなお話では、この三十二カ所の農家子弟職業訓練所は、かりにふやすにしましても、たかが知れている。そうしますと、どういうふうに考えておられるのか。私の感じとしましては、そういうような農業から出てくる者に対しては、どうも労働省の職業訓練所の中では十分考えていらっしゃらないのではないかという懸念をいたしておるものですから、再度重ねて伺います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 農家子弟職業訓練所は、主として農村に作っておるのでありますが、しかし、農家の子弟の中の相当大きな部分は、実は事業内の訓練の中へ吸収されていっている分が非常に多いのであります。もちろん全体といたしまして、農家子弟職業訓練所の数、科目、定員というものは非常に不足であります。従って、これを急速に拡大したいと思っておりますけれども、しかし、平均三千二百人程度ではないだろうかというような数字ではございませんので、あとでその点は御説明いたさせます。これはどんどん普及さしていきたいと思っております。ただ、並行して職業訓練所というものの実態、制度、そういうものの普及宣伝がまだまだ必要なのでありまして、実は、はなはだ申しわけないのでありますが、科目によってはどうも定員に満たない科目もまだございます。そこで、極端な話をいたしますと、職業安定所の失業保険を受け取りに来た人たちに対して勧めるというようなことまで実はいたしておるのでありまして、訓練所に入らないと、結局今申しましたような臨時工的な過程のところへ流れていくのでありますが、そういう関係の需要も案外あるものでありますから、実は、ただ施設を増設しただけでも事が済まない問題であります。同時に、指導員の不足ということも考えなければならないのでありまして、指導員の充足と訓練所の内容、設備、制度等の普及とあわせて、同時に、設備、定員の拡大にも努めていきたい、こう思っておる次第であります。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) 私から補足して説明申し上げます。公共訓練の一年間の訓練定員は、ことしが約六万人でございます。この四九%が、過去の推計からいたしますと、農村の二、三男の子弟でございます。従いまして、約三万の数字が出るわけでございますが、事業内の訓練も、昨年の実績は約六万人でございますが、ことしはこれが七万人程度に増加いたします。公共訓練より以上に事業内の訓練の方は農家の二、三男の子弟が学卒者として工場に吸収されておりますので、この事業内の訓練の七万近い総数の半数以上は農家の二、三男というように推定されております。そのほかの学卒者は訓練所を経由しなくとも、直接引っぱりだこで就職しております。問題は、残された農村の中年層の対策としての離職者訓練、こういうことが一番問題だと思いますが、これについては先ほども大臣からお話がありましたように、これから本腰を入れて、いろいろ子供の訓練と違った点がありますけれども、これらの難問題を解決しながら本腰を入れて取っ組んで参りたい、かように思っておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 一般職業訓練所、あるいはその事業内訓練所、そういう所で農家の子弟をというお話でありますが、これは従来から、自然な形で農家から流れ出ている者に対する職業訓練であるわけです。これからのものは政策として出てこなければならない。八十万なり百万なりという数字が出てこなければならない、そういう数字が新しくつけ加わってくるわけです。それに対して事業所の事業内訓練所とか、あるいは一般職業訓練所というようなものでは私は解決していかないと思う。なお、今作っておられます農家子弟職業訓練所というのは、わずか三千や四千の人間しか訓練ができないということであれば、どうも私は大きな政策である農業基本法との関連における職業訓練というのが、どうもオミットされている疑問を持っておるわけです。たとえば今後十年間に職業訓練を受ける人を十三万五千とかにしたいということですが、これでは成り立たぬわけです。七十万、百万流れてくるのですから、十年後に十三万じゃどうにもならないのじゃないか、こう私は思うわけなんです。ですから、そういう今の農家から政策的に流れてこなければならぬそういう方々の職業訓練というものがどうも労働者の職業訓練の中には抜けているのじゃないかという気がしてしようがないから聞いておるわけですが、今の御答弁の中ではまだ抜けている。伺いたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 農家の農業人口が二次、三次産業に移ってくる現象は従来からずっとございまして、従って、そういう現象の中で公共職業訓練、事業内訓練にただいま申しましたような実数が入っていっておるわけでございます。で、昨年度から特に農村に設けましたのは、つまりその農村で住居移動をしないで、そのままの所で訓練を受けやすいようにという考慮からいたしまして、これは主として、もちろんその主力は従来の農業人口を対象といたしておるわけでありますから、これが数が少ないという御指摘でありますが、これは数が少ないことはその通りだと思います。従って、これはこれからの農業基本法の実施に伴いまして出て参ります数字を正確につかんで、そうしてさらに計画を拡大していきたいと思っております。ただ、この計画の拡大の過程においてわれわれが考えなければなりませんことは、一つには指導員の不足の問題、指導員の充足と並行していかなければならない問題と、それからもう一つは、訓練を受けるということを奨励、指導するということと二つあると思います。それとあわせて行ないつつ、農村の二次産業に移ってい人々に対する職業訓練に努力いたしたい、積極的にこれを拡大強化していきたいと思っておる次第であります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、今の大臣のお話、あるいは職業訓練部長のお話を承っていますと、農業基本法というものが持っておる非常に大きな重大な内容というものに対する理解が不足しているんではなかろうかというふうに思うわけです。大臣のお話を聞きましても、あるいは訓練部長のお話を聞いても、これから大きなものに取っ組みたいというお話です。そういうなまぬるい話で農基法と取っ組まれるお話なのかどうか。私は、こういうような計画ではとうてい処理できない問題だ、訓練部を局にする、中は変えない、人数も六十名だというような組織で、一体新しく圧倒的な勢で政策的に農家から出そうという、それに対する政府自身の職業訓練がはなはだお粗末であるし、ないんではないか、私はそういう印象を受けておるわけです。これからこの大問題と取っ組みたいというお話なんですね、当然私は、提案される場合においても、そういうものを大きな問題としてやっぱり取り出して理由の中に出てくるものと、こういう期待をしておったんですけれども、局の新設については、何らそういうことに触れておられない。これは今後十年にわたりまして大きな変革ですから、それに対する認識が、どうも私ははなはだ不十分であるし、不可解ですね。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 職業訓練局は、主として企画立案を行ないますので、実際上の仕事は雇用促進事業団がいたします。従って、仕事の規模の拡大に伴います人員増は、雇用促進事業団とあわせてお考えをいただきたいと存じます。  それから農村の問題でありますが、ただいま申しました、昨年から開始いたしておりますが、それは十分ではございませんが、これは農村に作って農家の子弟を訓練しようという新しい試みであります。ここに住んでおる人を、その住だ状態で訓練を受けてから二次産業、三次産業に行きやすいように、訓練も同時に受けやすいようにという配慮から新設をいたしました。これはこれから漸次拡大をいたして参ります。しかし、現在までありまする職業訓練所、これも今計画的に拡大しつつあるわけでありますが、この約半分はやはり農家から毎年入ってくるわけでありまして、さらに本年は、主として建設業関係の専門訓練のために、千葉及び愛知県に専門訓練所を設置いたしました。この訓練所は、先ほどから申しております通り、一つには指導員の養成と相待っていかなければなりません。そこで、指導員は本年から中央職業訓練所におきまして指導員の養成に着手をいたしました。これも順次拡大をしていくつもりであります。それからもう一つは、やはり何と申しましても普及に努めていかなければなりません。そういう状態とにらみ合わせつつやっていこうというのでありまして、今までなんにもしなかったものを急速にこれから考えていこうということではございません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 何べんもそのお話は承るわけでありまして、今やっておられますのは、今の経済情勢の中の、あるいは農村の実情の中から自然に流れ出てくる人たちの訓練をやっておられるわけなんですよ。これから政策として出てくる人たちの訓練をやらなきゃならない、それが七十万、八十万、最盛期になると百万という数字になるということは明らかだと思うんです。それに対する施策というものは全く考えられていないのじゃなかろうか。私は、これは当然国の政策としておやりになるんですからして、職業訓練局の中に農村訓練部みたいなものができて、抜本的な政策が行なわれるというようなことになってこなけりゃならぬのじゃないか。私どもは、この農基法によってはみ出てくる人口というものが、これは農村、都市にあふれる、それが臨時工的なものとなり、あるいは失業者的なものとなって低賃金の層を作っていくんじゃないか、厚い層を形成するんじゃないかという心配をしておるわけです。今のお話のような訓練のお考え方では、私どもの考えておることがそのまま的中するように思うんです。工業とは最も離れた農業なんですから、それに対してやっぱり訓練をしなければ、どうしても臨時工にならざるを得ない。しかも、年令の高い層が出てくるということになるわけでありますから、その辺のお考えがはなはだ私は不十分だと、こう思っております。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) これは私の直接の所管ではございませんが、私の理解をいたしておりまする農業基本法では、意識的に、計画的に農業人口を排除していくというふうには理解をいたしておりません。  やはり二次産業、三次産業が有利になり、そこで人を欲するようになるから、自然にそちらへ流れていくものというふうに理解をいたしております。そこで、その流れていきます数字は、今一年に七十万、八十万という御指摘がございましたけれども、私はおよその計算でありますが、縮減される四十五年度においては、現在千六百万前後の就業人口が千百五十万程度の就業人口になる。その四百五十万の滅は、三百数十万はこれは引退や死亡、そうしてそれ以外に新規学校卒業者の農業参加というものが百数十万というふうに見ますと、純粋に二次産業に移って参ります数は二百万あるいは二百二十万、年間によりまして二十二、三万人程度と考えている次第であります。しかしその年間に見まして二十二、三万、こういう程度から見ましても、現在の職業訓練機構、それは現在の機構では、公共職業訓練所関係で三万数千それから事業内訓練で三万数千、それから新たに出て参ります職業専門訓練所その他農村子弟職業訓練所を加えますると、七、八万の訓練がいわゆる現在の状態からいって農村向けに行なわれていくわけでありまして、しかし、なお不十分と存じまするので、その拡大に努めたい。特に当該農村地帯における職業訓練所の拡充には努めて参りたいと思います。思いますが、これはやはり指導員の養成と相待っていかなければならないと考えている次第であります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 これは農業基本法の問題になりますけれども、で、今の農家就業員千六百万、それを十年間に三分の一に減らす、こういうのですから、千百万という数字になるのじゃありませんか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 所得倍増計画におきまする雇用構造、就業構造の変化では、三十一、三十三年を基準年次としまして、約手六百六万か七万の農業就業人口だと記憶しております。それが昭和四十五年には千百五十四万ぐらいになるものといたしております。その差は約四百四十四万でありますが、これはこれから先は正確な数字ではございませんが、大ざっぱに申しまして、三百五十万程度は引退あるいは死亡、それから新規に学校卒業者から第一次産業に入って参ります者が百五十万、それを四百五十万から引いて足せば、残る者は二百二、三十万人、それを十年間においてそれが二次産業、三次産業へ移動していくのが所得倍増計画であります。従って、年間二十万程度、こう考えるわけであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それは、今、労働大臣のおっしゃったのは経済審議会の中の的場小委員会の答申内容なんです。それじゃないのですよ、池田総理のおっしゃるのは。大へんな違いですよ。それは池田総理のおっしゃるのは三分の一にするというのです。農林省はびっくりして、これは逆じゃないか、的場小委員会もそれなんですよ。池田総理のおっしゃるのは三分の一にするというのです。何べんも発表しているわけであります。千六百万というものが三分の一になるんですよ、的場小委員会というのは、これはオミットされて、だからそこら辺の理解が非常に私は不十分だと思うんですね。だからおかしいですね、ちょっと。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 総理が演説会その他において、あるいは本院の答弁において、農家の人口縮減というものについて、今三分の一とおっしゃったか、四分の一減らすとおっしゃったか、正確には記憶をいたしておりませんが、しかし、閣議において採択をいたしまして、そうしてそれを基本として諸般の施策を立てておりますのは、経済審議会で決定をいたしました所得倍増計画でありまして、その所得倍増計画に載ってある数字は、政策の基本としておりまする予測数字はただいま申し上げたところでありまして、それに従って、労働省は立案をいたしている次第であります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 池田総理は、最初三割にすると、こういう発表をされた。農林省ではびっくりして、それは逆じゃないか、三割減らすんじゃないかというのでやりましたところが、あと言い直して、三分の一にする、こう言い直した。だから、三割三分くらいが残るということになるわけです。その後に的場小委員会の問題が非常に出て、さらに一橋大学の大川さんが、そんなものは絶対できない、農林省が言うように、三分の一減らすんだ、こういう新聞に発表までしている。御存じのように、一橋大学の大川さんは、経済企画庁の研究所長ですが、その名前ではなく、大学教授という名前でやかましく論ぜられたことは御存じの通りなんです。その中でも、依然として三分の一にするんだというふうに言っておられるわけですよ。二町五反程度にするんだと言っておられる。ですから、今的場小委員会のその話では私は納得できない。なお、それが閣議決定になったとすれば、これは池田総理があれだけ言われたことを変更されたものというふうに私は見なければならないと思います。これは別の問題にいたしてもよろしゅうございますが、しかし、問題は、かりに労働大臣がおっしゃるような話であったとしましても、今のような理解では、また、今のような職業訓練の実情では、これは私どもが心配いたしているような、どうも都市に低賃金の層というものが停滞する、厚い層が停滞する、こういう懸念を非常に濃厚にするわけです。当然農業基本法との関連で、職業訓練局というものは、はっきりとした政策を出しておかなければならぬのじゃないだろうか。その点については全く欠けておる。これからこの問題と取っ組むのだ、やれ教導員の不足がどうというようなお話では、これはとうてい私どもの方としては理解ができない。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 総理の御発言について私がお答えする筋ではないと思います。ただ私は、閣議において決定をいたしました所得倍増計画に従って労働省としての訓練計画を立てているのであります。それから、これから研究をするということを申しているのではありません。現状でなお不十分だと思いますから、さらに拡大について努力をしたいと言っているのであります。従って、閣議で決定されました所得倍増計画で想定せられまする二十万ちょっとこえるくらいの年間の第二次、第三次産業への移動者、これを対象といたしまして農村で訓練を——現在農村向けとして考えられております数字が約七万くらいに年間なるわけであります。しかし、そういう情勢で、まだ相当の差がございますから、これについて拡充の計画はさらに進めて参りたいと思います。思いますが、しかし、それは制度及び設備をにわかに拡大をいたしましても、指導員や、あるいは制度、内容の普及——現在のところ、科目によってはまだ定員に満たない科目もございますので、こういうものの普及に努めていかなければなりません。そういうものとあわせてやって参りたいということを申しているのであります。これからやろうということを言っているのではありません。  それから、われわれは、やはり都市に低賃金層、臨時工の層が停滞することを非常におそれるのであります。これは臨時工あるいは日雇いその他の制度の問題と関連いたしまして、基準法上の監督を強化して、臨時工、社内工というもののあり方を変えていこうとは思っておりますが、しかし、そういう過剰労働力が無背景に都市に流れ込むことは、これはわれわれも非常におそれるのでありまして、訓練所に入って訓練を受けて定職につけるようにしたいと私どもは思っております。ただ、二十数万と申しましても、全部が訓練を必要とするというのではなくして、あるいは制度上の訓練を受けないでも雇用の機会が得られる人も相当多いのであります。特に三次産業の面においては、運輸、通信業を除いては、特に訓練が必要というわけのものでもないことを御理解いただきますと、年間二十万程度と想定せられまする第一次産業から第二次産業、第三次産業へ移る者の訓練計画といたしまして、七万程度のものを年々予想しておりますことは、そう過小な数字ではないと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 まことに持って回ったような苦しい答弁だと思うのです。ですから、やはりこの問題に、先ほど職業訓練部長がお話のように、労働大臣が先ほど言われましたように、本格的にこれから一つ取り組んでもらいたい、こういうふうに思います。とうてい私としては今のようなお話では納得できない。今、ですら毎年三十万という数が流れ出している、自然の形で。それは主として学校卒ですが、流れている。それを大体五万ぐらい、三万ぐらい訓練しておられるというけれども、これから政策的にといいますか、私は政策的だと思いますが、政策的に流れ出る人口というものが二十万という話では、それはとうてい農業基本法なんか達成できませんよ。そういうことではまことに微々たるもので、その程度は自然の勢いで流れています。そんなもので農業基本法なんというのはできっこない。私はそう思っておりますが、いずれにしましても、少なくとも、これは工業と最も離れた農家の青年、あるいは中年層という方々が流れてこなければならない問題でありますから、もっとこれは本格的に職業訓練局で取り扱われるように、強く一つ要望申し上げておきたいと思います。  次に、今度は若干内部に入りまして伺いますが、時間が過ぎましたですね。ちょっと長引いたのですが、とても今のようでは簡単にいかない。この公共職業訓練所、これは一般職業訓練、それから特殊職業訓練、それと総合職業訓練、これを通じましてみまして、問題が二つあるような気がするわけです。私は、ここでは総合職業訓練所、これを例にとって申し上げますが、先ほど以来、大臣のおっしゃるように、教導員が非常に不足している、足りない。今後また拡充されるにしましても、一番問題は教導員の不足だということじゃなかろうかと思う。御存じのように、今日現在におきましても非常に不足している。従って、職業訓練法施行規則によりますと、教導員一人が十人を受け持つということになっておりますが、三十人受け持ったり、あるいは四十人を受け持ったり、あるいは五十人受け持ったりしている。そういう意味からいいますと、これは非常に不足しておる。今後特に技術者、これが深刻な払底の状況にある中で、いよいよこの職業訓練の指導員の不足というものが大きな問題になってくるのじゃなかろうかと思うのでありますが、一番大きな原因は給与が低いということになるじゃなかろうかと思います。先ほど大臣も、指導員の平均賃金といいますか、あるいは総合職業訓練所でもよろしゅうございますが、平均賃金は二万七千円というお話でありましたが、これはどうも私どもいろいろ検討いたしております数字からいいますと、納得いかない。一般に賃金の水準を言う場合には、本俸と家族手当、暫定手当、この三つを含めて、それが二万七千円であるとおっしゃるのですか、とうてい理解できないですね。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 昨年のベース・アップの分を加え、しかも、本年から新しく追加いたしました実習手当を加えて二万七千四百七十五円に相なります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 実習手当なんかを加えまして平均賃金とされると困ります。公務員との比較その他から見まして、私は困ると思うのですよ。ですから、やはり本俸、それから扶養手当、それに暫定手当を加えた数字でお話をいただかないと困る。なお、超過勤務手当なんかも、公務員に比べますと非常に少ないですね。これは公務員と比べまして、はなはだしく低い、お話にならない低さにありますね。これでは一体教導員というのはどういう職というふうに見られているのか。私は、教導員というのは、もっと職種としてはっきり確立をしなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、どうも労災関係の事務職員と同じような職種に見ておられるのじゃないか。これはやはり教導というのは御存じの通りです。御存じの通りの職務を持っておるわけです。非常に大きな任務を持っておるわけですから、従って、私は、労災病院の事務員と同じような職務の扱い方では、これはどう言ったって賃金問題は解決しない、こういうように思っておりますが、そこら辺につきまして考え方をちょっと伺っておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 実習作業手当を除きますと、二万五千九百四十三円であります。しかし、指導員の不足及びその職務の重要性にかんがみまして、実習作業手当というものを本俸の百分の七、本年から新たに加えたわけであります。いわゆるそれを除きました平均給与が一般公務員のいう平均給与であります。しかし、実習員の職務というものは、御指摘の通りの職務でありますから、近い将来はやはり特別俸給表を作るべきものだと思っておりまして、その準備中であります。  それから超過勤務の問題でありますが、これは学校の教員と同じようなものでありまして、授業時間が終われば済むわけで、超過勤務それ自体がほとんどないのであります。それを御理解いただきたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 超過勤務していないというお話でありますが、としますと、これは私は重大な認識違いじゃないかと思うのです。訓練部長に聞きますが、超過勤務はしませんか。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) 原則として、年間千八百時間の訓練時間内の訓練におきましては、超過勤務がないというのが原則でございます。ただ、例外的に、たとえば左官あるいは配管というような工事につきまして所外実習をいたします場合に、所定の勤務時間を越えるということはままございます。これに対しては、若干といいますか、正規の超過勤務手当を出すように指導しております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 今所外訓練の場合とかいうお話がありまして、また、労働大臣は、その実習訓練手当を出すというお話でありますが、そういう問題で相当超過勤務をしているんじゃないでしょうか。あるいは教材費を集める、あるいは明日分あるいは一週間の訓練の計画を立てる、あるいは職業のあっせんをする。実習収益をあげるためにも、種々資材の購入や、あるいはそれの販売や、大へんな私は超過勤務の実情にあると思う。建前はわかりますが、実質上はそういう形になっておるのじゃありませんですか。従って、教導員が非常に給与が低くて、おまけに労働過重に陥っているという実情にあるのじゃありませんでしょうか。従って、私の要望いたしたい点は、この超過勤務手当の点についても十分考えていただかなければならぬのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでございますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) この指導員というのは、本質的に学校の教員と同じ仕事をするわけです。従って、その俸給その他は、先ほど申しましたように、特別俸給表というものを作ってやらなければならないと思っております。それから、その経過的な処置として、実習作業手当というものを本年からつけたわけであります。そういうふうに教員に準じた特別俸給表というものを至急作りたいと思っております。現在のととろでは、まあ比較をいたしましても、正確には比較をしたわけではございませんけれども、なお教員の方が若干いいんじゃないかと思っておりますので、特別俸給表を早く作るよようにいたしたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 事業団たくさんございますし、公団たくさんございますが、今の通念としましても、公務員より二割程度高いのが常識になっておるわけですね、公団、事業団とかの給与は。そういう観点から見ましてでも、先ほどお話のように、ちょうど公務員と同じような水準にあるわけですね。ですから今大臣のおっしゃいますように、教導員の俸給表というものを、この職種に合った俸給表というものをお作りになるという話でありますから、一つ十分期待をいたしましてこの問題は終わりたいと思います。  もう一つの問題は、総合訓練所の運営の問題でありますが、予算の問題でありますが、これは政府の方で、事業団を通じまして職員の給与を支給している。これは政府の支出になっている。それから、あとは実習収益、これと都道府県の委託訓練費、こういうもので総合職業訓練所というものが運営されているわけであります。問題は、給与だけ支払って訓練費がない、教材費がないということが非常に大きな問題じゃなかろうかと思っております。この実習収益が、訓練の教材なり、そういうものになっているわけですけれども、このために職業訓練自身が非常にゆがめられているのじゃないか。御存じのように、職業訓練の基準は労働大臣がお示しになって、地方の産業とにらみ合わせて、地方の実情にマッチした職業訓練計画を立てることになっている。しかし、その職業訓練計画というのは大体二、三カ月で御破算になるのです。実行できない。それは教導員が不足しているとかという問題もありましょうし、あるいはどうしても実際もう訓練費に行き詰まるので、実習収益に入らざるを得ないという、非常に片寄った訓練計画が行なわれる。私は、職業訓練所の一番大きな問題点は、訓練費を何ら支給していないところに問題があるのじゃないか。もっといろいろ掘り下げて伺いたいと思いますが、時間がないので申し上げておきますが、この実習収益で訓練をやっているというために、指導員が非常に苦労をしておられる、これは一般職業訓練所の場合におきましてもこのことははっきり指摘できるのじゃないか。特に一般職業訓練所を見ました場合に、駐留軍の離職者訓練は、これは御承知のように、一人当たり一万二千円という訓練費が出ております。炭鉱離職者の場合におきましても、年間一人一万二千円という訓練費が出ております。それ以外のものについては訓練費は出ていないのであります。ですから、これはもう訓練費が要るために実習収益に入らざるを得ない。それで金を取りながら、金をもうけながらといいますか、金を幾らかでも手に入れながら訓練をやっているという意味におきまして、一般職業訓練所も総合職業訓練所も、非常に問題があるのじゃないかと思っておりますが、そこら辺の御見解を伺いたいと思います。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) 訓練事業費の問題でございますが、御指摘のように、駐留軍、炭鉱離職者の場合には訓練期間が六カ月以下の非常に短期でございますので、これは基礎実習だけで訓練期間を終了する、従いまして、応用実習段階におきまして若干でも実習収益を上げるという余地がありませんので、全額国なり都道府県がめんどうをみているようであります。しかしながら、一年以上の訓練期間になりますと、半年間の基礎実習課程を終わりまして応用実習の段階になりますので、できるだけ実習をやりながら収益も上げていくという考え方で訓練所を経営いたしております。若干の実習収益を訓練事業費の見返りに充当いたしているわけであります。ただ、御指摘のような心配もございますし、われわれも訓練が目的でございますので、収益を上げんがために訓練を邪道に導くということがないように、この限界については厳に指導を加えつつ実習収益を上げさせているわけであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 この実習収益訓練というのが非常に阻害になっている、訓練費がない、資材を買うにしても何を買うにしても金が要る、それにはどうしても実習収益を上げなければならない。これは二カ月たったら、基礎訓練をそこそこにして、収益になるような机を作るなら机を作るという作業にならざるを得ない。基礎訓練そのものはくずれてしまうのです。ですから私は、今六カ月だから一万二千円払っておるのだ、炭鉱離職者の場合。あるいは駐留軍離職者の場合は一万二千円払っておる。しかし、それ以外のものは一銭も払っておらぬ。そうして実習収益を教材費に充てていくのだという考え方では、これは公共職業訓練自体に大きなやはり問題を生じてくるのじゃないかというように思っておりますので、これもこの程度でおきます。おきますが、問題点だけを指摘しておきたいと思います。  さらに、この実習収益の問題に関連して、財団法人職業訓練振興会というのがありますね。これが実は訓練費がないので、従って、教材費を提供するということで訓練所に金を貸しつけているのです。それをどうしても訓練所は返さなければいかぬ、あるいは指導員は、あるいは訓練生は返さなければならぬ、利子も払わなければいかぬ、あるいは振興会の運営費、あるいは人件費も払わなければいかぬ、だから元金にプラス四〇%利子等を含めて返さなければならぬ、こういうことが行なわれている。しかも、これは振興会の金貸しは訓練所をその支所にしている。これは訓練生というものをどう考えているのか。これは一種の搾取機関ですよ、ただ働きの訓練生を利用した。こういう弊害が出てくるのじゃないかというふうに私は思うのです。従って、この財団法人職業訓練振興会がそういう金を貸しつけて、そうして四割の利子を取ってやらしている。これは無理ですよ、こういうことでは。承りたいと思います。

有馬元治労働省職業安定局職業訓練部長

○説明員(有馬元治君) 職業訓練振興会は昨年から発足いたしまして、訓練生の福利厚生と、それから今御指摘ありました実習材料の購入、製品の販売、こういった訓練事業に付帯するような事業を一手に運営いたしまして、合理化、能率化をはかろう、その半面、訓練所の負担を軽くして、所長以下の職員が本来の訓練に専従できるようにしよう、こういうねらいで発足しているのでございますが、御指摘のような資材の購入あっせん、それから製品の販売という点につきましては、いろいろと欠点もございますので、本年度からは、その面の事業は、原則として振興会はタッチしないようにして、従来通りの運営に戻して、若干中央統制で一応した方が全国的に非常に安く購入できるというふうな資材がございましたら、まあ一括購入あっせんをするという例外的な任務を担当するという程度にいたしまして、主としては訓練生の福利厚生という本来の目的に従って事業を運営させるように改めさせましたので、御指摘のような御心配は今後なくなると思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 まだこの問題についてお伺いしたい点もありますけれども、だいぶ時間もたちましたようですから、恐縮でございますから、この辺で終わりたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 簡単に二、三お尋ねします。  一つは、今度の国会でたくさんの法案が出ておりますが、所得倍増に伴うというきまり文句がたくさん法案にある。私は大臣にお尋ねいたしますが、この倍増計画というものは十年で倍になるというのだけれども、それを総理に予算委員会でずいぶん聞いても、それはまあだんだんと、はっきりは言えない、そうなると思う、そうせなくちゃならぬ、そういうことを言って、もう一つは、一年、二年、三年目の具体的な計画を出しなさい、こう言っても返事がなかったわけですが、現在内閣では、倍増計画というものは一年ごとの青写真ができているかどうか。それはいつ公表することができるのかというのが第一点です。  それから第二の点は、今出された法案も、これに伴ってやはり十年計画があるわけなんです。だから一年目に何をする、二年目に何をするという、その具体的な計画をちゃんと持っておって、その上できょうここに提案されておるかどうか。なければ、これは次の機会に出してもらいたいと思う。これが第一の点。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 経済政策全般としての問題は、これは私の所管ではございません。所得倍増計画の中で、計画最終年の昭和四十五年における雇用、就業その他の構造を示しております。その示された構造に向かって私どもは訓練計画を立てていくわけでありまして、その訓練計画には年次のものがございます。こまかいものが御必要でございましたら御説明をさせます。私の所管はその範囲であります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 第二の点は、経済が順調の場合に所得倍増があるだろうというのですが、今後資本主義経済の中ですから、必ず景気変動があるわけです。不況がくる。先ほど鶴園委員から、訓練に対する見通し、計画性、具体性が甘いじゃないか、不十分じゃないかということが非常に強く指摘をされたのですけれども、私はもっと深く言って、これは必ず失業が起こると思うのです。そうすると、今ここで考えておられる、政府がめんどうをみている労働者というのは、これはまだいい方ですが、相当これはめんどうをみて、技術を持つわけですから、そういう人はやはり優位に立つわけです、力があるわけですから。ところが、全体から考えて、そのほかの労働者は、ずいぶんとしわ寄せされて失業者がうんと出てくる。その場合に、これはほうっておいてはいかぬ、こういうことになってくると思うのです。そこで、大臣がさっき最低賃金のことをちょっと触れたのですが、きょうの問題として二百二十円ないし二百六十円と言われたことは、今の時点で最低賃金法に対する一つの基礎的な数字であるのかないのか。最低賃金法というのは、それじゃ一体具体的に本国会なり次の国会なりに出そうとしておられるのか。ぜひこれは社会党の案も十分一緒に検討されて、りっぱなものを早く作ってもらいたいと思うのです。しかし、これは最低賃金だけじゃだめなのであって、そういうふうな非常に不況がきた場合に、失業保険の問題なんか起こってくる。現在の失業保険の手当じゃ、これは問題にならぬ。そうすると、そういうときに、一体今政府が考えておる政府案に近い農業基本法が通るとすれば、これはもう今からその若い衆を農村に帰すわけにはいかぬ、こうなります。そうすると一体どうするのだ。そのときに私は、やはり政府としての施策は今から十分に考えておかないと——これは決して夢ではないのですよ。経済不況というのは、国際的な経済に関連があるから、あるいは来年くるか、二、三年うちにくるかもわからぬ。そういうときの政府としての、あるいは大臣としての、具体的にそういうときに国民の一人としての労働者が失業している場合に、やはり国全体の中で何とかして生きていける、そうして新しい転機を見出す、こういう具体的な指針なり施策なりはやはりお持ちになっていなくちゃならぬと思うのですが、それはこまかいことは別として、大綱について大臣のお答えをいただきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 最低賃金法の問題でありますが、二百三十円ないし二百六十円という数字は、現在各地で決定をされておりまする最低賃金の一番大きな割合を占める現実的な数字でありまして、基本的にそれを基準として普及するとか普及しないとかいう意味のことを申し上げたのではありません。  それから、現行最低賃金法の検討でありますが、先ほど田畑委員にもお答えをいたしました通りに、私どもはこれから三カ年に二百五十万に普及するということを一面の目標としつつ、その中で問題点を拾い上げていきたいと考えておりました。しかし、現在の状態では、その二百五十万に三カ年かからないと考えられるようになって参りました。それから、客観的な諸情勢の著しい変化がありましたことから、法の運営を行なっている間に問題点も新しくいろいろ出て参りました。従って、そういう問題も拾い上げて検討せしめておるととろであります。その検討の過程におきましては、もちろん社会党案も参考に利用さしていただきたいと存じます。  それから、経済の見通しの問題であります。これは見通しの問題でございますが、私は、昭和の初期に見られたような大きな景気変動というものは、将来起こらないと考えております。これは見通しの問題でありますから、私の見解を申し上げます。その理由は、欧米諸国におきましては、漸次中産階級が中枢を占めるようになりました。わが国においても次第にそういう傾向が強くなってくる。そうしますと、購買力というものが大きく変動する、一小部分の人に偏在しておるということがなくなってくる。いわゆる大衆購買力が一定の安定を保ち出す。従って、私は景気変動がないと考えておる次第であります。これは議論にわたりますが、ただ、経済政策の進展、技術の革新、あるいは産業構造の変化というものに従いまして雇用の変動は生じてくることを考えなければなりません。そこから一時的離職者、失業者というものが発生してくることは当然考えてお  かなければならぬ問題でありまして、その雇用の変動を摩擦なからしめるということが労働政策の一つの大きな基本であります。それには現行失業保険制度というものの検討も命じております。また、同時に、そういうことによって失業の多発地帯に対する集約的な特定政策の実施も政府としては検討をいたしておるところであります。あるいは職業訓練の普及によりまして、技術を多く持たせるということも必要であります。これら、さらに労働力の移動を容易ならしめ、流動性を容易ならしめる政策を講じたい。これは雇用促進事業団を中心にやって参る所存でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 もう一つ。職種別に仕事の内容を検討しておられるというお話でありましたが、これは大臣が前の内閣のときからおっしゃっていることで、これはいつ結論が出るのか、出た場合に、労働省だけの案じゃ、なかなか所管者は問題があると思うのです。現在も横の連結をとりながら結論を急いでおるのが、もしその結論が出たら、これはもう私ども、給与に対して相当重要な要素になると思うのですが、その点はどうなのか、この点をお尋ねしたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) これは問題は二つ、どちらの意味か知りませんが、二つ答えさしていただきたいと思います。  一つは、中高年令層の適職の調査、これはもうすでに完了いたしております。そうして約百二十種類あげまして、これは日経連を通じて、経営者団体にもこれは伝えておりますし、先般、政府関係機関の責任者を私が招致いたしまして、そうしてこれらの職については中高年令層を採用するように要望いたしました。そうして協力を約束してもらいました。ただ、本年度の採用はすでに終わっておりますので、明年度からの実施になると思います。  それからもう一つの意味の職種別の賃金の問題、これは私は前におりましたときから、ぜひこの賃金の正確な統計調査、こういうことの結論を出したい、これは念願をいたしておりまして、昭和三十三年度から予算措置を講じて今日に至っております。まだ結論を得ておりませんけれども、各省間の連絡調整をいたしておるのでありますが、それ以前に、とにかく統計的資料の収集というものが必要である、それを今やっておる段階でございます。

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ないですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。村山君から、委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見は討論中にお述べを願います。  なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。

村山道雄自由民主党

○村山道雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております労働省設置法の一部を改正する法律案に対して、修正の動議を提出いたします。  修正案を申し上げます。    労働省設置法の一部を改正する    法律案に対する修正案   労働省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則中「昭和三十六年四月一日」を「公布の日」に改める。  次に、その理由を申し上げます。この法律案の附則では、「この法律は、昭和三十六年四月一日から施行する。」とありますが、四月一日はすでに経過してしまいましたので、「この法律は、公布の日から施行する。」というように修正する必要がございます。よって、ここに修正案を提出する次第でございます。  以上の修正部分を除く原案に賛成をいたしまして、私の討論を終わります。

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより労働省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました村山君提出の修正案を問題に供します。村山君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって村山君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  午後は一時三十分に再開することとし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩    ————・————    午後二時十一分開会

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  政府側出席の方は、池田内閣総理大臣、西村防衛庁長官、林法制局長官、丸山調達庁長官、加藤官房長、海原防衛局長、小幡教育局長、小野人事局長、木村経理局長、塚本装備局長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 私は、防衛の大綱について二、三総理にお伺いしたいと思いますが、与えられた時間がきわめて短いので、簡にして要を得た御答弁々いただきたいと思います。  ことに号外がございますが、韓国のクーデターについて、との問題に関連して、まずお伺いしておきたいと思います。  フランスのアルジェリアのクーデターといい、この今朝の韓国のクーデターといい、われわれは、対岸の火災視できないような様相が日本にもあるのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけです。たとえば、御承知のように、統幕を強化して、文官優位の原則を侵害するような措置をとろうとされておるということ、あるいはまた、師団改編によって間接侵略に備えようとするような措置をとっておられること、こういう一連の傾向が今後さらに強化されますような場合には、日本においてもこういうようなことが、いわゆるクーデターは起こり得ない、絶対に起こり得ないということは、どなたも保証できないと思うわけです。そこで、この点についての総理の所信のほどをまず承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、クーデターのような非常手段は絶対に防止しなければなりません。そういう考え方で、民生の安定と、国民の福祉上昇に全力を尽くしておるのであります。わが国におきましてこういうことが起ころうとは、毛頭私は考えていないのであります。しこうして、御質問の、防衛庁設置法の改正等につきまして、文民優先の原則は、はっきり私は守っていっていると考えておるのであります。また、師団の十三個師団編成がえは、わが国の地形、また、現状から申しまして、それの方が効果的である、こういう考えのもとに御審議を願っておる次第でございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 文民優位の原則はあくまでも保持していきたいと、こういう意味の御答弁でございますが、それではお伺いいたしますが、憲法第六十六条の「文民」の解釈によりますならば、政府は、自衛官をもこれに含ましめておるわけです。言いかえれば、自衛官は武官ではなく、文官だとしておられるのです。これは憲法第九条で、自衛隊は軍隊でない、こういうことしか言い得ないことから出ておる言葉だと思いますが、そこで、武官のいない防衛庁において、文官優位ということは全く意味がないではないかと言わざるを得ないわけです。軍隊による政治優先ということは認められますけれども、実際の自衛官の力をどうして今後抑制していくか、こういう問題が残るわけです。この点についての所信を明確にしておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、文官優先と言ったのは、政治が先である。私は、良識的に民主的に自衛隊を運営する場合におきましては、政治、そうして文民がこれを主として取り扱うべきである、こういう考えでおります。憲法の改正につきましては、法制局長官からお答えいたさせます。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 現在の自衛官が、憲法六十六条でございますか、にいう、いわゆる「文民」にあらざるものとは従来解釈しておらないわけであります。これは自衛隊法ができましたときからそういう解釈でやっております。で、やはり今の自衛隊というのは、昔の軍隊とはやはり組織も違います。機能も若干違うわけでございます。そういう意味において、そうでないというふうに考えておるわけでございます。で、また自衛官の地位から申しましても、昔の軍人の終身官といったものとまた違うわけでございます。普通の公務員と同じような地位を持っております。そういう意味においては、まあ、あそこでいう文民でないものとは考えておらないわけでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 まだこの点については納得したわけでございませんが、時間がございませんので、他日またこの点について十分追及することとして、次に進みたいと思います。  次に、第二次防衛計画について、要点だけお伺いしておきますが、新聞報道によりますと、五月二日に国防会議の議員懇談会が開かれまして、防衛庁のこの案に対する原案についての検討がなされ、その大綱が発表されたわけですが、一方、私が当内閣委員会において、去る二月に、この防衛計画の進捗状況について伺いましたところ、西村長官からこういう御答弁があったわけです。五月末、おそくも総理が渡米される前には決定を見たい、そういう御答弁があったわけです。こういう御答弁と、この状況から推して、この国会の会期中に、会期中にです、この第二次防衛計画が決定せられるものと私どもは信じておるわけですが、この点間違いないかどうか。せっかく国民の総意を代表して、私どもは国会の場で審議をやっておるこの国会で、この防衛の重要な大綱についての審議がなされ、そうしてこれが最終的に国防会議で決定せられる、こういうことでなければならないと思うわけです。ところが、ややもすると、従来の例によりますと、なかなかもって、国会閉会直後にこういうような重要案件が決定せられておる苦い経験をわれわれは持っているわけです。そこで、この点について明確な態度を一つ承っておきたいわけです。この国会中に、ぜひこういう防衛の大綱ともいうべきこういう重要案件については、国民の目の前でぜひ結論を出し、そうして国民の前で一つ堂々と決定していただきたい。国会が終了した直後に、これを国民の目をおおうてこれを決定するがごときこそくの態度に出ないように、この点きわめて大事であるので、この際一つそういう点を確認しておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 第二次防衛計画につきましては、防衛庁におきまして鋭意検討を加えておると聞いております。防衛庁の結論がいつ出るか、まだ私は聞いておりません。しかし、防衛庁の結論が出ましても、これは国防会議にかけなきやならぬ問題でございます。私は、その運びがどういうようになっているかは、まず防衛庁におきましての進捗ぶりを聞くよりほかにないと思いますが、まだ聞いておりません。お話しの通り、第二次防衛計画というものは、これは大事なものでございますので、私は、やみからやみというふうな考え方は毛頭持っておりません。十分審議をいたしまして、そして適当な機会に国会にも報告いたしますし、また、それによりまして予算審議も願わなければならぬわけであります。十分検討を加えて決定すべきものと考えております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 私がお伺いをしたい要点は、今せっかく国会開会中であるから、防衛上の大綱というべきこの重要な案件については、ぜひ国会開会中に結論を出すべきである、こういうことについての総理の所信を伺っておるわけです。従って、この国会開会中にぜひ結論を得たいとか、あるいはそうはできないとか、その点の御答弁が抜けておるようです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 第二次防衛計画は三十七年度からと心得ております。従いまして、この国会開会中に結論が出るかどうかは、私は今申し上げかねるのでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 先ほどから申し上げておるように、この第二次防衛計画は多年にわたる防衛上の重要大綱であるから、私どもとしては国民の目の前で、すなわち、その総意を代表して審議検討しておるこの国会の場で、開会中にやってもらいたい、こういうことを要望しておるわけです。従って、総理は、この線を十二分に体して一つやってもらいたい。これ以上時間をかけられませんから次に入りますが、一つその点は十分頭に置いていただきたいということを重ねて要望申し上げておきます。  次に、十三個師団の改編に関連してお伺いをしておきますが、去る一月に、国防会議において第二次防衛計画はまだ決定をみていない。今もお話が出たように、いまだ決定をみていない。この決定をみていないにもかかわらず、この師団改編のみが特にそれから抽出されて決定をみておる。その理由はまことに不明確であります。言いかえれば、政府は、本年度の整備は単年度計画に基づくものであって、第二次計画ではない。ただし、との単年度計画は第二防次衛計画の基底となって、基盤となって引き継がれていく、こういう意味のことを防衛庁では強調されておるわけです。明らかにこの師団改編は第二次計画の根幹そのものであると私どもは見ておるわけです。この防衛二法案で師団改編を大きく打ち出しながら、しかも、本年度はわずかに一億八千五百万、このわずかな予算しか組んでおられない。これは新しい司令部設置のために必要な費用の見込みだけであって、昭和三十六年度、三十七年度、両年度で師団を改編する、こう言っておきながら、師団改編の根本であるいわゆる火力装備については、四十二年度以後になるという意味の衆議院の答弁があったわけです。これはまことに不可解であって、第二次防衛計画は済んだとしても、まだ師団改編の問題は残っておる、こういう点からみて、政府の掲げておる目的以外に、意図するところは必ずあるのではなかろうか。また、そういう点がうかがわれるわけです。これを具体的に申し上げますと、昨年の安保条約問題で、旧安保にあったいわゆる治安条項は削除されておるわけです。こういう点、それから安保条約反対の国民の声におびえて、間接侵略に対するいわゆる国内の治安警備、こういう点の強化にその意図があるのではなかろうか、こういうふうに当然考えられるわけです。この点について明らかにしていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今回の師団改編は、兵力量の増加とか、あるいは装備、艇数をふやすものではない、単に用兵上の目的から、また、日本の地形等の関係を考えまして、既定の人員でいかに効果的にするかということが目的であるのでございます。そうして、これは第二次防衛計画とは関係ございません。先ほど申し上げましたような趣旨によりまして、なるべく早く効果的に効率の上がる方法に変えたまでのことでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 今おっしゃっただけではどうしても納得できませんけれども、時間がございませんから、さらに次回に追及することにして、次に、核兵器についてお伺いしておきたいと思います。  今回の衆議院の内閣委員会におきまする答弁を調べますと、核武装についてのあなたのお答えが出ているわけです。これを見ますと、自衛の範囲内ならば、自衛力に必要な程度の核武装を憲法は積極的に禁止しているわけでない、こういう旨の御答弁があったわけです。この憲法上自衛に必要な程度の核武装とは、おそらく小型核兵器をさしているのではなかろうかと一応私思うわけですが、この点まず確めておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 憲法上、自衛ということが認められている場合におきまして、ごく純理論的に考えました場合に、ほんとうに自衛のための核兵器は憲法上持てるか持てないかという理論の討議になりますると、私は、持てないということはない、こういう結論が出ると思います。しかし、われわれは政治的に考えまして、核兵器は持たないと、こう申しておるのであります。理屈はこういう理屈も成り立つ。しかし、実際問題としては持たない、こう申しておったのであります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 私が伺っている点は、自衛上この程度の核兵器なら持てる、この自衛上持てるその程度というものは、一体小型核兵器をさしているのではないのですかと、こう伺っているのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、小型にもいろいろなものがございましょうが、理論だけの問題で、実際問題としては持ちませんと、こう言っている。従いまして、政治的には、それがどの程度のものであろうとも、問題にならないと考えております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 私が伺っているのは、今まで前の岸総理はこういう表現であったわけです。小型核兵器は、自衛上使うのなら憲法違反にならない。ただし、私は政策上使わない、こういう意味に言っておったわけです。この小型核兵器についてのお答えとして、そこで私がお伺いしているのは、岸総理は小型核兵器という表現でなさっているわけです。あなたは、自衛のためならこの程度は憲法上認められる、この程度のという、この程度は何をさしているのか。たとえば小型核兵器をさしているのではないのですかと、こう伺っているわけです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) それが自衛の範囲内ということが前提でございます。そうなりますと、どれが小型とかどうこうという問題ではありません。憲法上は、理論的には自衛のためならば核兵器が持てないという結論は出し得られない。しかし、政治的にはこれは持たない、こう言っておるので、岸さんと大体私は同じ考えであると思っております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 それでは岸さんと大体同じなら、先ほど岸さんの言ったような、小型核兵器については、自衛のためなら憲法上違反でない、しかし、政策上持たない。従って、岸さんは、その範囲の核兵器というものは小型核兵器をさしている。あなたは小型核兵器をさしているのかいないのか、イエスかノーかでいい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、理論的には小型とかあれとかという問題ではないと思います。それは具体的な問題としたら小型という問題になるかもわかりませんが、理論的には、自衛のためなら自衛に限られております。これが憲法上の問題だと思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 それではさらにお伺いいたしますが、その範囲はどれをさしているか、まだはっきりいたしませんが、いずれにしても、普通の核兵器でなくして、小型になってくることは理論上当然言えると思う。ところが、御承知のように、この核についてよく検討いたします。特に、また防衛庁の出しておる一九六〇年の防衛年鑑に、専門家が、いわゆる防衛庁の研修所の高杉一等陸佐がこういう点を指摘されておるわけです。小型核兵器は、発熱量あるいは爆圧については相当低下するけれども、放射線効力についてはあまり低下しないということを強調しておられるわけです。そうだとすると、あなたが今繰り返して言われた、いわゆる自衛のために核兵器を使ったという前提に立てば、まず甚大なる被害を受けるのは日本国民、日本人自体であるわけです。たとえ自衛のために使っても、たとい小規模にしても、放射線効力についてはあまり変わらぬということを専門家が指摘されておるわけですから、こういう論理を進めていくと、たとい自衛のためにこれを使ったとしても、甚大な被害を受けるのはまず日本人それ自体であろう、しかも、国土狭小で、人口非常に稠密の日本のような場合には、たとい小型といえども、総理の言われる自衛のための程度の小型の核兵器といえども、事、放射線効力に関する限りは、非常な威力を発揮するわけです。これは、このような、国民に甚大な悪影響のあるこういうようなおそるべき兵器をすら憲法上は認められるということは合点がいかないわけです。こういう点について重ねて総理のお考えをお伺いしておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、憲法論として言っておるのでございます。そういうふうな被害が考えられるから、政策的に、政治的に持たない、こう言っておるのであります。憲法論につきましては、関係当局から、具体的の問題につきましてはお答えさしていただきます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 憲法上これは違反であるから持たないというならはっきり話がよくわかりますけれども、政策上持たないということになれば、内閣がかわれば政策が変わるでしょう。あなたも永久に総理大臣になっているわけではない、従って、次の内閣がかわって、この現在の政策に、さらに一歩加えたらどういうことになりましょう。政策は、内閣がかわるごとに、あるいは変わらぬ場合もあるでしょうが、変わる場合もあり得るわけです。こういう点を国民は非常に憂慮しておるわけです。政策が変われば、ただ憲法上違反でないけれども、政策上は持たない、その政策を生み出す内閣がかわるたびに変わるわけです。また、変わり得る公算があるわけです。そういう不安な政策によってどんどん変えられていく。現に岸さんの表現とあなたの表現では、もう変わっておる。それではついでだから申し上げますけれども、自民党首脳の皆さんの、この防衛に対する構想についても、ずいぶん食い違いがある。たとえば河野一郎さんは、自衛隊は必要ない、アクセサリーの程度で十分だ、そういう表現を使っておられるわけです。あるいは、また、石井光次郎さんや大野伴睦さんは、核兵器は所有すべし、所有論。それから岸さんについては先ほど言ったよう、そうしてあなたはこういう表現をも言っておる、日本の防衛費はアメリカの百分の一、英国の十分の一、そして日本のいわゆる国民総所得の二%、これは問題だと、だからアメリカから供与を受けたらいいじゃないか、こういう意味のことを前におっしゃっておりますが、こういうふうにして、内閣がかわるごとに総理のお考えも変わりましょうし、同じ自民党内閣といっても、自民党の首脳の皆さんの間でも、この防衛の大綱に対するお考えはこんなに食い違っておる。これはむしろ自民党の総裁としては責任があろうと思うわけです。こういう問題ともからめて、あなたはどういうふうに責任を感じておられるか、非常に不統一、食い違いが多いと私どもは見ておるわけです。この点に対してどういうお考えを持っておられるか。

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 伊藤君、大体持ち時間がきております。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、自民党の総裁として、内閣総理といたしまして、はっきり申し上げているのであります。内閣の考え方、自由民主党の考え方は、私が今申し上げた通りでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 それでは、時間がないからこれでやめておきますが、以上いろいろ伺ったわけですけれども、一つ  一ついずれも納得いかないわけです。従って、ここで要望を含めてお願いしておきますが、きょうの点も、わずかに一時間というようなことで防衛の審議を始めるということについては、私ども一同、非常に憤慨しておるわけです。従って、最初と最後には、どうしても総理に来ていただくということでございましたけれども、きょうは大体自民党の理事の要求で、最初は二時間ということを、あなた方の都合で一時間にしたんだから、この代替は近いうちに必ずとっていただきたい。総理自体も進んでこれに出ていただいて、審議の過程においては、どんどん進んで出席してもらいたいということを最後につけ加えて私の質問を終わります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それでは、防衛二法案の審議に入ります前に、池田総理に一つ確認をする意味において答弁を求めたい。  それは一九五二年の三月六日に、当時の吉田総理大臣が、当参議院の予算委員会で、自衛隊の憲法解釈でこういう答弁をされておる。自衛戦力は違憲にあらず、これは代表的な吉田総理大臣の国会における自衛隊の憲法解釈。長官が言っておりますが、長官は省きます。次に、一九五五年の一月二十二日に、鳩山総理大臣、当時総理大臣は、衆議院本会議においてこういう代表的答弁をされておる。自衛のためなら軍隊を置いても違憲ではない、こういう答弁をされておる。これまでの大体表現を見ると、憲法第九条の解釈を、きわめて消極的に遠慮がちに言っておられる。次に、この前の総理大臣であった岸さんが、一九五七年の五月七日に、参議院の当内閣委員会でこういうことを言っておられる。自衛の範囲内で核兵器の保有もよし。こういうことで年月がたち、自民党内閣がかわるごとに、いわゆる消極的な答弁から積極的なもの、もうすでに岸さんに至っては、憲法論議は別問題であるという解釈をしておられるのであります。  そこで、私は確認だけしておきます。追及はいたしませんが、池田総理は、現在憲法解釈上、自衛隊をどういう考え方でおられるか。歴代内閣はこう言っておるのですから、あなたはどういう憲法上の位置づけをされるのか、それをちょっと聞いておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 自衛のために必要なものならば、憲法第九条におきまして禁止しているものではない。従いまして、言いかえまするならば、自衛のためならば差しつかえない、こういうことでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そうすると、今までの歴代総理大臣の、いわゆる鳩山さんの言われた考え方とよく似ておるのですが、それで、そう解釈していいですね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) だれと似ているかどうかは、私はっきり確かめておりませんが、私の考え方は先ほど申し上げた通りでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 それはそれで確認しておきます。  そこで、私は、今までのようなそういう憲法論議でなくして、実は自衛隊の統率指揮関係から一つお伺いしたい。御存じだと思いますが、旧憲法では第十一条で「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と憲法上はっきり規定されております。第十二条では、「天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム」、こういうことで、はっきりと憲法上いわゆる軍の指揮系統、そういうものは確立しておるのです。しかし、現在の憲法では、先ほどから私が言ったように、きわめてわれわれ社会党は、憲法上違憲だと言っておるのですが、今、池田総理が言われたように、解釈上違憲でないという解釈だと言われる、解釈上の問題だけなんです。そうすれば、現在指揮系統というのは、防衛庁設置法と自衛隊法とのみによってこれが規定されておる。防衛庁設置法の第十二条ですか、自衛隊法の方にも、第七条にそういう文言があるのですが、それで私は聞きたい、これも確認する上のことですが、日本の自衛隊の指揮統帥系統は憲法には言っておらない、法律以外にないのですが、憲法にあるのかないのか、その点だけ先に一つ。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは旧憲法時代は、陸海軍のことに関して、今おっしゃったように、いろいろの規定があったわけでありますが、現行憲法において、自衛隊は第九条に違反するものではない、政府の解釈はそう考えております。この自衛隊の指揮権といいますのは、結局いわゆる行政、立法、司法という国家の作用のどこに属するかと言えば、もちろんこれは行政作用と考えます。行政作用でありますので、現在の憲法では、行政権は内閣に属するということになっております。従って、いわゆる行政権の根源は内閣にあるわけであります。その内閣が具体的なそれぞれのいろいろの行政権を、たとえば、あるいは総理大臣の権限とし、あるいは各省大臣の権限とするということは立法にまかされておることであります。それで、現在の自衛隊法あるいは防衛庁設置法を今御指摘になりましたが、結局、指揮権は、自衛隊法の第七条で、内閣を代表する総理大臣が最高指揮権を持つ、かような考え方で立法されております。これは行政権は内閣に属するという憲法の建前から出ておる、かように考えます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 今、法制局長官が言われましたが、それは自衛隊を作った後において行政権だとして解釈されておる。先ほど伊藤委員が述べられましたように、韓国のクーデターの問題なんかあるのですが、現実の問題として、今の自衛隊、いわゆる軍隊でないというが、これは軍隊と呼んでいいと言っておりますが、自衛隊というのは、私は危険とはいいませんけれども、武器を持っておる、これが一つ間違えばどういうことになるかということをはっきり皆さん方は認識されておると思う。これは一般行政権の中に考えておるのだからということで国会答弁では終わると思うのです。しかし、今後この指揮系統というのは、きわめて僕はあいまいになってくる、その点について私は追及しておる。そこで、私は聞きたいけれども、法制局長官が助けられるのはいいのですが、現在の各国の憲法の中において、そういう軍の編成なり指揮系統をうたっておらない国の憲法はあるのかどうか、参考までにちょっと教えていただきたい。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 大体の国の憲法は、軍隊につきましては、今の最高指揮権、あるいはその指揮権をだれが持つかということを書いておるのが普通かと思います。こまかい問題、編成等について書いてあるのはあまりございませんが、その指揮権というようなものについて、あるいは統率者というものを、たとえば君主にするか大統領にするか、そういうところを書いておる例が大体普通の例だと思います。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 その通りだと思うのですが、私は、きょうは時間がないので、この点もう少し掘り下げて総理にも追及したいのですが、これは皆さん方きわめて簡単に、このままでもいいのだと言っておられますが、問題が起ったときに収拾のつかないようになりますよ。一般行政権と同じような考え方で自衛隊を指揮系統においてやれると思ったら大間違いになりますよ。この二法案の改正の中に、統合幕僚会議の権限をふやそうとしておられますが、やはりそういうものは一面に出てくる、将来。そういう点から私は注意を喚起しておきます。  そこで、私は、もう一つの問題に移ります。  富士演習の問題の関係でございまするが、この問題については、実はいろいろ問題があるのですが、まず第一に池田総理に聞いておきたいのですが、昨年の八月に沖繩の海兵隊が演習に富士山麓に参りました。その当時いろいろ言われておりましたが、この富士演習場にきた沖繩の海兵隊、これは第七艦隊に所属しておる海兵隊でありますが、これがラオスに実は派遣された、こういう情報がある。こちらへ演習に上陸したときに、日本政府としては、ラオスに派遣されるという前提で演習を実施されたということをお知りであったか、この点を聞いておきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、具体的の問題は存じませんので、防衛庁長官からお答えいたさせます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 富士で演習いたしましたのは、確かに沖繩の海兵隊でございますが、それが別にラオス出兵の意思で演習するのではなくて、海兵隊としての普通の演習でございますす。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あなたは国会でそう言って、それはそれでいいかもしれないが、今の国際情勢から、はっきりとラオスに派遣するという前提で沖繩の海兵隊がきてやられたということは、これは世界周知の事実なんです。あなたは知っておられるかどうか、私はそういうことを言っていないと思う。そういうことで実は国民が納得するかどうかという問題なんです。そういう点を政府が知っておるか知らないか、それだけしか聞いていない。知らないなら知らないでいい。政府としてそういうことを知らない、そういうことはないというなら、はっきりないと言ってもらいたい。これはおそらくアメリカの軍の関係の人じゃないから言えないと思いますが、それだけ言っていただいたらけっこうだ。そういうことは知らなかった、また、そういうことはないのだ、そういうことだけちょっと言ってもらいたい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 先ほど申し上げましたように、この場合は普通の海兵隊、マリーンの演習でございまして、それ以上の追及はわれわれも必要ございませんし、また、米軍としても、日本に特に知らせる必要もない、それは第七艦隊所属のマリーンでございますから、この第七艦隊の機動力は広範にわたる場合もございます。従いまして、特別なる訓練でない、ことに富士においてやりましたのは、やはり通常の訓練と何ら変わっていない訓練であるということを申し上げたいのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私はそういうことを聞いていない。知る必要はない、関知する必要はないということでなくて、現在韓国でああいう問題が起こって、アメリカの軍隊は、日本の在日米軍が行くかどうか別でございますが、あなたは防衛庁当局としても、また、総理大臣としても、そういう問題を知っているか、知らなかったというならそれでいいのです。関知しないということは、そういうものを全然日本が知らなくてもいいということなんですか。そういう一つ違えば日本の安全をも脅かすような問題を知らないなら知らないで、総理大臣どうなんですか、あなたは御存じなかったのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、どこの演習場をだれがどう使っているかということは、具体的には存じません。ただ、日本の施設におきまして、駐留軍がその施設を利用するということは安保条約で認めているところでございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 わかりました。そういうことで総理大臣が、これは時間がないのだから追及できませんが、一国の総理大臣ですよ、その総理大臣が、日本の、しかも、霊峰富士のもとで海兵隊が演習している、それは一体何のためにやっているのだ、こういうことに何らの関心を持たずに、安保条約でやっているのだから、勝手にアメリカ軍がやっておるのだ、こういうことで総理大臣が逃げられるというなら、それはそれでいいでしょう。そういうことで将来やっていかれるというなら、私はこれ以上追及しませんが、いずれあらためて私はやります。  それから次に、具体的な問題について伺います。これは実はこの前のときに、防衛庁長官、あるいは丸山長官に追及したのですが、御承知のように、昨年の三十五年の八月九日、今申しました沖繩の海兵隊があそこで演習するという際に問題になったやつですが、忍草区の区長から防衛庁長官に対して、そのときは江崎長官でしたが、文書をもって返還をしてもらいたいという要請書を出した。それに対して、江崎長官が文書をもって、努力するということを回答されておる。越えて本年の二月一日、あなた池田総理がみずから代表と会って、その席上、西村長官も立ち会いながら、努力いたします、こういうことであの問題は一応落ちついたのであります。ところが、今日まで実はすでに六カ月以上終わっておるんだが、その返還のめどもつかないというので、御存じのように、北富士では、再びまあ実力行使と申しますか、それに対する返還の抗議の行動が起こされておるんですが、池田総理は、そういう代表者に与えられた誓約と申しますか、約束をどういうことで守りつつあるか、やられておるか、その点一つお答え願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 防衛庁長官並びに関係当局からアメリカ軍と折衝をさしておるのであります。私も一度お会いし、日本に返してもらうという交渉を一度したことはございます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 具体問題ですから、私からも総理の御答弁に補足を申し上げます。  御存じの通り、富士の演習場と申しますのは、向こうから見ますれば、北富士と東富士と分けられないような富士演習場でございます。富士演習場として向こうは一応扱うということは事実でございます。ただし、日本の国内におきましては、東富士、北富士演習場というのであります。また、御存じの通り、東富士につきましては、政府との間に協定ができております。北富士は、不幸にいたしまして部落間がまだ十分なる調整がついていないようでございまして、主として返還せよ、あるいは補償を高めよ、こういうような状況に現在立っております。  それから返還の意味は、これは先般の委員会でも申し上げましたように、日本国にただ漫然と返還するのでなくて、あくまでも自衛隊な通してという含みで、江崎長官時代から、返還の意味は自衛隊に返還する、そして米側は共同使用の立場に立つ形、地域協定、こういう思想のもとにずっと折衝をいたしておると思います。従って、自衛隊の使う面、それからアメリカ側との共同使用の面、それから地元側のそれに対するいろんな各種の条件、これらを調整して初めて三者の意思が統一してこの問題は解決する。これに関して日本側の国内的にできる問題については、先般申しましたように、東富士側については、行政的にできるものは早急に解決しようじゃないか、北富士側につきましては、補償等の調整がはかれる面ははかっていきたい。同時に、共同使用の使用時間等につきましては、あるいは面積等につきましては、米側と十分に調節をはかっていく。このように、相手があって、要求がそれぞれありますから、それぞれの要求が調節をされて解決される。われわれは誠意をもって米側とも交渉し、御承知の通り、合同委員会の中の施設委員会、その中に富士の演習場をめぐる一つの小委員会等も調達庁の手をもっ作っておる状況でございまして、誠意をもって当たっておりますが、一口に申しますれば、それぞれの立場の要求がありますから、それを調節せねばならぬ、これが実際の現在までの姿でございます。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 今、防衛庁長官は、まあ重大な言葉だと思うんですが、新しい安保条約、あるいは地域協定の中に、いわゆる施設を利用して、それを返還する場合に自衛隊に返すというようなことが、これはどこにありますか。ちょっとその条文を教えてもらいたい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 私の言葉は十分でないかもしれませんが、返還という言葉は、東富士の場合には一番はっきりしておると思いますが、返還を日本が受けて、自衛隊がこれを使っていく、その自衛隊が使う場合においてかくかくの協定をしようじゃないか、これが東富士側の協定の実際でございます。同時に、昨年江崎長官の返還の意味におきましても、返還は返還でございますが、返還の内容においては、言いかえれば、その後において自衛隊がこれを行使する、こういうことは当然その中へ含まれておる意味であの返還とい言葉を使っております。切り離せないのです。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 私が聞いておるのは、日本政府のいわゆる施策として、あの返還されたものを自衛隊に使うんだということは、これは日本政府の政策です。今問題になっておるのは、アメリカから日本に返還される際に、自衛隊に使うのだということが問題になっておるようであるから、そういうことが地域協定なり、日米安全保障条約なり、新しい条約についてそういう条項があるのかどうか、これを聞いておるのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 私は、条項の問題ではないと思うのでありまして、現在アメリカ軍が専有しておるのであります。どうにでもできる状態である。これでは困るからというので、返してもらいたい、返してもらうときには、相手としてはいろいろの考え方があります。それを、その土地側の返せという要求をのませるには、それの対象としては、これを自衛隊に使わせて、地域協定に基づく今度は共同使用に自分は下がりたい、従って、関連を事実上して参るわけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 まあそういう兼ね合い等が……。しからば、この地域協定なり、あるいはその他の条約、交換文書の中にそういうものはないのです。これは向こうが専有しておるのだから、それを返してもらう場合に、そういう条件をつけられるということもやむを得ない、こういうことですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 私は、ですから法律的には、観念的には切り離すことはできると思います、観念的には。日本へ返すということと、それから返したらどう使うかということは日本の施策だ、これは明らかにそうなりましょう。ただ、実際使っている者の立場からいえば、返さないといえばそれまでであります。そういう権利もあります。向こうは使用するという権利を持っているのですから。しかし、それに対して、こっちはこういう状態でいって、共同使用でいこう、また、向こう側もそれを望むような、そういう妥結点を探していかなければ交渉にならない、これは御理解いただけると思うのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 そういうあいまいな地域協定じゃないですよ。向こうの方がもう使用しなくなれば、条件をつけてこれは返還しなければいけないのですよ。そうなっておる。あなたの言うようなことならば、日本人が日本の土地を使ってやる場合には、それはそういうことを言えるかわからない、専有しておるのだから。しかも、これはもう条約によってやっておるのだから、アメリカがもう使わないということならば、これは返還しなければならぬでしょう。そういうものを何らか向こうが使っておる以上は所有権が発生しておるように、返還をする場合には向こうの意のままにしなければ返さない、そういう印象を受けるのですが、そういうことじゃ重要な問題ですよ。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 向こうが使いたくないというならば、私はそういうような説明は申しません。向こうでは現状のまま使いたい意欲が強いのであります。しかし、われわれとしては、地元民の考え方等も十分に考慮いたしまして、なるべくフリクションのない形においてすべてをやっていく。しかも、安保の精神を向こうも生かしたい、こちらも生かしたい、こういうならば、私は、交渉としてそういう形が出てくるわけであります。言いかえれば、米軍側に下がってもらって、言いかえれば共同使用の形、地域協定の形まで下がってもらう一わけであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 あなたの言われることを聞いていると、向こうの方が使いたがっておると言うけれども、もうすでに数年前から実際使っておらない。ただ、問題は、先ほど申しましたように、海兵隊がきて、それで使い出したのです。従って、私が言いたいのは、政府が、日本のこの狭い土地ですから、要らなくなれば返してもらうような努力をしなくちゃならぬと言うのですよ。それをあなたの言うことを聞いておると、いかに地元の農民が生活上必要であって返してもらいたいと言っても、アメリカ軍が返すという意思がなければ、使わなくても返さなくていいという印象を私は受けるのですが、そういうことですか、これははっきりしておいて下さい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) なるほど地域協定の中に、不必要とあればということとか、いろいろそういう交渉はできる権利はありましょう。ありましょうけれども、アメリカ側といたしましても、御存じの通り、海兵隊がむしろ頻度を上げて使っておるのが現状であります。むしろ皆さんの立場からも、アメリカは使い過ぎるじゃないかという声があり、地元からもそういう声が出ておるのであります。使ってないとは申せません。むしろ米軍の真意は、できれば現状のままでいきたいのが真意です。しかし、それを政府として返還さして、しかも、それには、その交渉の過程において、地域協定による共同使用の方が、よりわれわれとしては国民の意思に沿うじゃないか、こういう考え方のもとに調達庁は合同委員会を通して交渉している、こういうふうに考えております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 もう時間がないから、最後だから、もう一度……。歯がゆい、だから追及したいのだが、時間が制約されておるが、これは池田総理も聞いていて下さい。地元の人はそうとっておりませんよ。あなた方が言っていることをまつ正面に受けて、一日も早く返還されて入会権も復活して、われわれ農民の生活もある程度よくなるという希望を持っておった。それを、今の話を聞くと、アメリカ軍は自衛隊に使わさなくちゃ、自衛隊の使用にならなければ返さないのじゃないか、政府自身がそういう考え方でおる、私はきわめて不満ですよ。不満というより、そういうことで地域協定をどういうことで結んだか、それ自体に問題があります。時間がきた以上、あまりやると将来影響するから、この点については今後大きい問題になりますからね。私は、防衛庁長官がそう言われて、池田総理はよく聞かれたと思う。前に約束したのです、地元の農民と約束したのです。約束した人がそういうことでいいかどうか、私はその点を追及します。もう一回答弁を願って、私はこれで終わります。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) これは先ほど申しましたような、東富士、北富士、これは国内的には分かれております。米側から見ますれば富士演習場でございます。しかも、東富士につきましては、御存じの通り、自衛隊に返還になったらという協定までできておる。そこで、われわれは、あの当時の返還という意味も、米軍との間に話し合いがついたら自衛隊に移す、そのかわり共同使用で、言いかえれば制約をする、米軍の使用方を。その間に今度は地元の諸条件を十分に入れていく、これが大体の考え方であります。特に北富士につきましては、大部分は県有地であり、国有地であります。従って、そういう形ははっきり出て参るだろうと考えます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 まず最初に、先ほど伊藤委員からも若干質問がありましたが、韓国のクーデターの問題について、政府は静観していくのか、あるいは何らか今後事態の変化に応じて対処していくのか、この点について承りたいわけですが、つい二、三日前、与党の野田団長を中心とする韓国訪問議員団は帰って来たわけです。ことに、また、外務省の伊關アジア局長も同行して、相当な成果を上げたやのごとくわれわれは新聞で見たわけです。ことに九月以降の木会談を開くについては、今回の与党の議員団の訪問は、相当政府の今後の外交施策にプラスしたようなことも見えておるわけでございまするが、そういうさなかに、けさ突然ああいうクーデターが起きたということは、少なくとも今後の政府の外交上におきまして、相当の蹉跌を来たしたと見られないでもないと考えます。少なくとも、日韓正常化の上において遺憾な問題が勃発したと、こう見るわけでございまするが、この際、総理は、この事態に対してどういう態度で臨まれようとするのか、承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今朝起こりました韓国におけるクーデターは、まだ詳報が参っておりません。軍司令官の声明は先ほど見ましたが、あくまで反共でいき、そうして国連憲章を守り、腐敗の政治を排除し、そうして民生の安定と向上をはかる。しかも、力を強くして南北朝鮮の統一をはかるのだと、こういうようなことを声明しておられるのであります。私といたしましては、今回の事変を十分見守って、善処すると申しましても、これは他国のことでございますから、今どういう措置をとるということは考え得られぬことでございます。事態の推移をしばらく見守りたいと考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 近く池田総理が訪米されるにあたりまして、いろいろ議題とか、その他国際情勢、アジアの情勢についての意見の交換分析をなされて、大よそこういう問題をケネディ大統領と話をしよう、こういうようなことについてわれわれは新聞等で見るわけでございますが、この中にラオスの問題、あるいは南ベトナムの問題があるわけです。ことに対中共問題については、一番重要な問題であるとわれわれは考えておりますけれども、池田総理の前向きの姿に対して、与党の中では非常に慎重論が最近強くなってきておる。そういう一つの現われが、韓国との国交正常化についての最近の大きな動きにもなっておるやにわれわれは見るわけでございますが、もちろんわれわれ自体も、国交正常化については、大いにこれは進めるべきであると考えまするが、こういう事態の中においてこのようなクーデターが起きたということは、これはわれわれとして非常な大きな注目すべき問題であると考えておるわけで、今後の政治、外交の面から見ましても、重大なこれは問題であろうと考えるわけです。ことに、これは私つまびらかにしておりませんが、日本にあるアメリカ陸軍の兵力は、朝鮮にある第八軍のやはり一部の中に入っておる。あるいは空軍にいたしましても、南鮮、日本、沖繩を中心とする第五空軍の指揮下に入っておる。こういうことを考えてみましたとき、私は、今回の事件というものは、これは相当重大な問題であると、こう考えておりまするが、一つ総理においてもこういうような点についてどのように考えておられるのか、もう一度承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 何分にも今朝のことでございますし、そして韓国におきましては、今戒厳令をしき、通信を統制しておりますので、情報をつまびらかにまだいたしておりません。従いまして、今後情報を得、事態の推移を私はしばらく見守りたいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 その点はその程度でとどめまして、次に私はお尋ねしたいことは、先ほどこれまた質問にお答えがございましたが、第二次防衛力整備計画について、国防会議の議長であり、自衛隊の最高指揮官である総理大臣が、今防衛庁内部で検討しておるのだ、検討しておるようだというような態度でこの問題に取り組んでおられまするが、いささかこれはわれわれとして納得がいかないのです。ことに今回の渡米というのは、新安保条約下のもとで初めて総理が行かれるわけです。新安保条約の第三条を見ましても、締約国は、それぞれ憲法上の規定に従うことを条件としながらも、自衛力を維持し発展させることを約束しておるわけです。これはアメリカから強制されてそう義務づけられたのじゃないのだという答弁でございますが、少なくとも、新安保条約後初めて池田総理が渡米される。今日の極東の情勢、先ほど申し上げたラオスやベトナムの情勢、ましてや韓国のような事情を考えた場合に、私は、当然日本の防衛力のあり方等についても、ケネディとの話し合いにのるものだと考えておりまするが、この点は総理はどのように考えておられまするか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) ケネディ大統領との会談の内容、問題点につきましては、まだ結論を出しておりません。何分にも時間的の相当の制約もございますし、また、意見を交換すべき問題も多いのでございまして、今、日本の防衛問題につきまして意見の交換ということは行なわれるかどうか、今決定をいたしておりません。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 防衛庁関係の随行者は連れて行かれないのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 参りますのは、私と外務大臣と島参事官、そうして宮澤参議院議員 これだけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 すでに私は、衆議院の段階におきましてのいろいろ質疑応答を読んでおりますと、政府の答弁は、昭和三十四年七月、当時の赤城防衛庁長官の第二次防衛力整備の構想に基づく答弁がなされておるわけです。五月一日の朝日新聞を見ますと、この中にも、五月の末ごろまでを目標にして、政府部内でも第二次防衛力整備計画が急がれておる、こう書いてありまするが、政府部内でどの程度この整備計画が今日熟しておるのか、作業が進んでおるのか、これを承っておきたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(西村直己君) 第二次防衛力整備計画は、御存じの通り、一月五日の国防会議におきまして、防衛庁においてすみやかに成案を得て、そうして国防会議において慎重審議する、こういう決定を政府として統一的に持っております。従いまして、私ども所管の防衛庁におきまして、現在作業を進めておるのであります。もちろんこの作業は、ただ防衛庁が独自に身勝手にやるわけには参りませんので、関係の省とそれぞれ事務的にある程度の打ち合わせをしながらやっておりますから、従って、その間に意見の調整が必要でございますので、すみやかにと申しましても、時間がかかるのが現状でございます。ただ、全然めどなしにやっておるわけではございませんので、私どもは五月末か六月初めくらいまでには、少なくとも防衛庁の成案を得たい、こういうことで作業をいたしております。その内容はどういう方向でいっておるかと申しますと、この委員会でも、すでにちょっとお触れいたしましたが、三十六年度の単年度における防衛費の増強、これに相次ぎまして、第一次計画等におきまして骨幹ができましたが、それに対する整備関係と申しますか、質の充実ということをはかって参りたい、これが主眼になります。しかし、それと同時に、多少やはり新しい施策も加えて参りたい、これらが大体の基本的な構想でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 第二次防衛力整備計画がまだできていないといっても、現に十三個師団の編成を政府は提案されておるわけです。これほど大きな軍の編成権の問題でございまするから、当然これが骨格となって第二次計画は作られておるはずで、もうすでになしくずしに第二次整備計画が提案されておる、こう見ても差しつかえないと私は思うわけです。私は、この際、率直に総理にお尋ねしたいのでございますが、総理は非常に数字に明るい方で、自由経済というものの常に見通しを立ててやっておられるわけでございます。そこで、防衛庁長官からは、しばしば承りましたが、一体今後の日本の防衛力の整備というものは、国民所得の中でどの程度のパーセンテージを考えておられるのか、この点について一つ率直に承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 防衛計画を、国民所得の何パーセントがいいかということは、一応議論はせられますけれども、私は、それにとらわれることはいかがなものかと思います。やはり漸増の方針で、国内の民生安定と経済の復興を見合いながらやるべきことであって、二%がいいとか、今の一・四%で十分だとか、なかなかそれは言い得られないことでございます。私は、防衛庁の予算につきましては個々に検討していって、そうして最少限度必要なものを選んでいく、それが国民所得の何パーセントになるかということは二の次の問題だと考えます。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 時間がないので、全部中途半端に終わりますが、ただ一つだけその点に関連して総理にお尋ねしたいわけですが、西村防衛庁長官が、奥野信太郎氏との対談で、「政府の窓」という中で申しておられるわけです。この西村防衛庁長官の見解を総理はどう見られるか、これだけ率直に承りたいと思うのです。それによりますと、たとえば、これは率直に申しまするが、「世界中で日本くらい国防費の低い国はないです。政府のそういう方面の関係者でも、日本は国防費が安いから栄えているという人もあるのです。」これは総理自身ですよ、ここに載っておる、こういうようなことを言われたのは。たしか最近の本会議でそういうふうな答弁をなされましたが、これは総理自身です。「確かにその通りですけれども、しかし、アメリカの援助もだんだん少なくなるでしょう。西ドイツなどは、国民所得の七%くらいの国防費を使っていますが、日本は一・四三%くらいです。こんなに差があるのです。そうしてまだ国民は国防に無関心である。」まあこういうようにいろいろ言われておりますが、この防衛庁長官の言葉に私は賛成とか反対とかいうことを言っておるわけじゃございません。この防衛庁長官の見解に対して、総理はどのように考えておられるか、これを率直に承りたい。  それから、ついでにもう一つだけ承りますが、特にシヴィリアン・コントロールという立場から、防衛庁長官といたしましては、今のような防衛庁の機構のもとにおいて、重要な局長以下が各省からの寄せ集めで、まあ出世の一段階として来ておるような機構のもとでは、シヴィリアン・コントロールがうまくいくはずはない。やはり今日の自衛隊の成長の度合いと予算の面を見ても、あるいは今だんだん成長していく自衛隊の内部の姿を見ても、これは国防省に昇格をさせて、形式、実体を整えるととが大事だ、こういうようなことも防衛庁長官は別のととろで述べておられます。国防省昇格の問題、私は自分の意見を差しはさむことなく、ただ長官のこの考え方に対し、総理はどのように考えておられるか、それを率直に承っておきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 防衛庁長官から正式に意見は承ったことはございません。しかし、お話の通り、私は、自衛隊費はできるだけ少ないことを望みます。また、わが国の防衛に必要な最小限度は出さなければならぬと考えておるのであります。外国人が、日本の経済発展は防衛費が少ないことが一つの要素だと言っておる、私もこれは認めます。ドイツなんか予算の四分の一、あるいは三分の一近く使っておるのではないかと思います、敗戦国のドイツが。そういうことを見ますと、日本の防衛費というものは、予算に対しての割合は非常に少ない、これは事実でございます。しからば、少ないからこれをよそ並みにふやすかという問題につきましては、先ほど申し上げましたような、民生の安定、経済力の強化ということが必要でございますので、私は、これはどの程度の経費かということにつきましては、先ほど申し上げた通りでございます。防衛庁長官はいろいろ専門的にお考えになりましょうが、しかし、この問題は、やはり国防会議できめる、そうして個々の予算につきましては、大蔵大臣の発案によって閣議できめる問題であるので、防衛庁長官の御意見も十分聞き、全体を見ながら適当な措置を講じたいと思います。  なお、防衛庁の機構の問題を長い目で見てどうするかということにつきましては、私自身も検討しておるところでございます。国防省とするかどうか、あるいは庁内の人的構成、あるいは仕事のやり方等々、今後検討していきたいと考えております。

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 速記つけて。  他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。   —————————————

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 次に、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  両案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  なお、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきましては、お手元に配付いたしましたように、衆議院において修正されております。  政府側の出席の方は、迫水国務大臣、増子公務員制度調査室長、入江人事院総裁、瀧本人事院給与局長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 今出ております法律案に関連をいたしまして、三点ほど伺いたいと思います。  第一点は、けさほどもこの委員会におきまして、田畑委員の方から労働大臣に質問があったのでございますが、四月二十日の日本経営者団体連盟の第十四回総会におきまして、前田専務理事が報告を行なっております。同じ席上におきまして、池田総理のあいさつがありました。さらに石田労働大臣のあいさつが行なわれております。そこで、この問題につきまして、国家公務員の給与に問題を限定いたしまして若干伺いたいわけであります。これは政府の給与政策、あるいは人事院の今後の勧告に非常に重要な影響があるのではないか、こういう懸念をいたしますので伺うわけであります。  前田発言の内容は、御存じのように、春闘ではどうも高額の賃金をかちとられた、これは経営者の屈服賃金だ、そのよってくるところは仲裁裁定である、さらにさかのぼるならば、これは昨年の十月の人事院の勧告にある、こういうことではコスト・インフレになるおそれがある、こういう指摘であります。これに対しましては、池田総理は、生産性向上を上回わって賃金がきまっていない。いつも日本では下回わっているのだ、生産性の向上に見合って健全に賃金が上がっていくということは所得倍増の遂行に役立つのだ、合致するものだ、また、さらに具体的に裏づけをされておりますが、要するにコスト・インフレにはならないのだ、こういう見解を述べておられるわけです。けさもこの点の指摘があったのでありますが、これについて給与担当大臣である迫水さんはどういうふうにお考えになるのか、伺いたいと思います。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 私は、全く池田総理大臣と同様に考えます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 人事院の入江総裁の御意見を伺います。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) ただいまの御質問の要旨は、人事院が日経連の前田専務に非常に影響されはしないかという御懸念からの御質問かと思いますが、人事院といたしましては、日経連のどなたがどういう発言をされるにかかわらず、公務員法の精神に従って勧告をいたしたいと考えておるわけでございまして、その発言の内容につきましては、別段申し上げる必要もないのじゃないかと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 次に伺いますが、この前田発言は、先ほど申し上げましたように、昨年の人事院の勧告がその遠因だ、こういう指摘を行なっておりまして、これに対しまして池田総理は、公務員の人事院勧告、あるいは三公社五現業の仲裁、これは民間の賃金を追っかけているのだ、こういうあいさつをしておられる。さらに石田労相はあいさつの中で、公共企業体の賃金は民間の賃金を追いかけているのであって、その逆の関係ではないということを指摘しておられるわけですが、これについて給与担当大臣の御意向を承りたいと思います。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) その点も全く池田総理大臣の御見解の通りだと思いまするし、また、石田労働大臣の発言も正しいと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 総裁の……。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) 人事院の勧告につきましては、池田総理大臣並びにただいま給与担当大臣のお話しの通り、民間賃金並びに生計費を基準として勧告いたしておるのでございまして、この点は人事院の勧告が不適当であるものと考えておりません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 次に伺いますのは、もう私ども従来から、人事院の公務員給与に対する考え方は、右顧左眄しているのじゃないかというような感じを持っております。日経連等の顔色をうかがっているのじゃないかという疑問を持っておったのです。また、政府の給与政策も、そういうような疑問を持って見ておったわけでありますが、今回ああいうような非常に激しい調子、高い調子で政府の攻撃が行なわれるということになりますと、どうも私どもが考えておったようなことが正しいのじゃないかという疑問を持っておるわけなんです。あれくらいの激しい調子で攻撃するならば、平生はいろいろな形で強い圧力なり、あるいは巧妙な発言等によって人事院や政府等に対して日経連の意見の反映を行なっておられるのじゃないかという懸念があるわけでありますが、そういうことは政府としても、人事院としてはないというふうに考えておられますか、この点を伺います。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) そういうことは全くございません。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) この点は、御存じの通り、日経連が人事院の勧告につきましていろいろ批評がありますということは、今に始まったことでもございませんので、むしろ率直に申しますると、日経連の発言によって人事院がどう考えるかということをお聞きいただくことが、むしろ意外に感ずるくらいでありまして、もちろん人事院といたしましては、その発言にどうこうというふうに左右されることはないと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 もう一つ伺っておきますが、あの非常な激しい非難なり攻撃というのは、やはり政府の給与政策なり、あるいは人事院の給与の政策なり、それから給与の考え方に対する効果をねらっているのじゃないだろうかという懸念がするわけでありますけれども、ああいう発言に政府なりあるいは人事院がとらわれるものではないということをはっきり明言してよろしゅうございますか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) その点ははっきりああいうものにとらわれたり何かするものではないということを申し上げられます。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) 人事院も全く同様でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 次に伺いますのは、人事院の民間給与の実態調査、これは今始めておられるわけですが、その実態調査につきまして、私どもといたしましては、五十人以上の企業をとることは妥当性を欠くという点を主張しつつきたわけであります。それは三つの理由をあげているわけであります。その一つは、政府はどういいましても最大の雇用者である、日本における最大の雇用者であるということは間違いないという点が一つ。それから公務員も、確かに五十人や六十人や百人の職場もありますけれども、これは決して孤立分散して単独で存在しているのではなくて、指揮、監督、命令、服従という関係で、有機的に統一された組織体としてあるのだ、これが第二番目の理由。第三番は、学歴、経験年数、あるいは年令構成、こういう意味からいって、五十人という企業をとって比較するということは非常に妥当性を欠く、こういう点から主張してきたわけです。今回この日経連の総会の席上で石田労相があいさつをしておられますが、そのあいさつの中で、労働大臣は、公共企業体の賃金と比較する民間の給与は、中小企業の賃金ではないのだ、同種、同規模の民間の賃金と比較しているのだ、こういうことを述べておられるわけです。これは人事院の従来の給与の考え方と根本的に対立するものじゃないかというふうに思うのです。人事院としては五十人以上の企業を調査される。しかし、労働大臣のあいさつの中で出てくるのは、中小企業の賃金ではないのだ、同種、同規模程度の賃金と比較しているのだ、こういうあいさつを述べておられるわけですけれども、これは人事院と労働大臣との間に非常な大きな食い違いがあるように思うのです。その点の総裁の御意見を承りたいと思います。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) 労働大臣がどういうお話をされましたかということは別問題といたしまして、人事院の民間企業の比較につきまして、五十人以上にいたしまするか、あるいは大企業だけをとりまするか、そこは御存じの通り、非常に問題があるところでございます。しかしながら、やはり公務員の賃金というものを納税者に納得してもらいますために、一面五十人以上でも大きい、もう少し中小企業も参考にすべきじゃないかという議論もございますし、ただいまの御指摘のように、大企業を中心にすべきだという御議論もございまするので、人事院といたしましては、やはり現在五十人以上の民間企業を参考にして公務員の給与を考うべきものだと考えております。もっとも、この点につきましては、御存じのごとく、五十人以上と申しましても、いわゆる企業別だけではございませんので、事業所別もございまするから、大企業の地方の支店というものも含んでいるのでございます。また、やはり比較的小企業を比較いたします場合にも、これは御承知のごとく、職務と責任の度合いというものを参考にいたしておりますので、必ずしもその小企業だけが、そのまま反映するというわけではございませんので、まあその点は御了承を得たいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 人事院も、昨年の勧告を見てみますというと、従来の五十人以上の企業のとり方も、いささかでありますが、前進をいたしまして、小規模の五十人から九十九人までの規模の経営が減っているように思います。逆に、五百人以上の企業が若干でありますが、ふえておるという傾向にありますが、ここで今の人事院の考え方と、それから三公社五現業、同じく国家公務員である五現業に対する労働大臣の考え方には、はっきり矛盾がある、こういう点をお認めになりますかどうか。労働大臣は、同種、同規模の賃金と比較をしておるのだというお話、人事院は今お話のように、また、天下周知のごとく、五十人以上の企業をとって国家公務員と比較をしておられる、ここに明らかに差があるということ、その点をお認めになるかどうか、これも明らかだからお認めになると思うのですけれども、念のために伺っておきたいと思います。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) 人事院といたしましては、ただいま申し上げましたような見解なり方針でおりますわけでございまして、労働大臣の御見解がどういうものか、正式に伺ったこともございませんので、この際いかんとも申し上げられません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 そういうあいまいな返事をしておるから、公務員の給与に対する人事院の見解というものがぐらぐらすると私は思うのです。日経連のタイムスを見ましてもはっきり出ておる、新聞等にはっきり報道されている。この労働大臣の考え方と、人事院の十年とってきたこの考え方というものは、明らかに違うという点をお認めにならなければ、自分のやっておられることに自信がおありだろうから、差があるということをお認めになってしかるべきじゃないかと思う。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) ただいま御指摘の点は、新聞記事でございますとか日経連の御発言、その部分だけが、かりにその通りでございますとすれば、それはもちろん労働大臣が大企業と現業を比較しておるのだと言われた部分につきましては、人事院の見解と違っておることは事実でございます。しかし、民間企業との比較とか、あるいは給与の比較問題というのは、非常になかなか複雑な場合もございますから、単に労働大臣が、われわれが考えますような民間企業との比較において、現業の給与を大企業と比較すべきものとか、あるいは比較したのだと言われたものか、あるいは特別な部分を取り上げて言われたものか、そこが明瞭でございませんので、給与の比較について、現業の給与は民間の大企業と比較したものだということを必ずしもここで私が断言することはできないと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 おかしいな、話が。迫水国務大臣に伺いますが、労働大臣は今申し上げたようなお話なんです。ですが、従来人事院の態度は、これは五十人以上の企業をとって、それとの関係で公務員の給与を比較する。従って、ここに明らかに差があるということをはっきり認めていただきたいと思うのです。認めなければしようがないでしょう、事実なんです。私は人事院の答弁には非常に不満です。そういうふしだらな答弁がどうしてできるのですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) これは私が口を出したり御答弁をする範囲外の問題じゃないかと思うのですけれども、せっかくのお尋ねでございまするから、私のまあ私見といっては何ですけれども、申し上げたいと思いますが、公労法の対象になっておりまする人たちは、これは生産に従事している人たちなんです。公務員というのは、必ずしも生産でなしに、そこのところでただ雇用の規模という問題だけを取り上げて、当然公労法の対象になる人たちとの給与をきめる基準と、いわゆる公務員給与をきめる場合に参照すべき民間給与というものと同じにしなければならぬという理屈はないのじゃないかなと私は実は今思いながら聞いておりました。ただ、石田労働大臣は公務員のことを言っておられるのでなしに、公労法の対象になる人たちのことを言っておられるのであって、人事院総裁の方は公務員のことを言っておられるのでして、それを同じベースで矛盾があるとかないとかということは、ちょっと成り立たないのじゃないかなと思いながら聞いておりました。私は、まあこれ以上個人的な意見を申し述べることは差し控えたいと思います。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) なお、この機会にちょっと補足さしていただきますが、もちろん御質問の御趣旨はそういう点でないと存じますが、この点は十分御存じのことでございますけれども、大体現業関係の給与というのは、われわれ人事院が勧告いたしますように、どこそこの給与と比較してきめるという問題できまっておるわけではございませんで、団体交渉、労使双方の主張がございまして、それが団体交渉によってきまっておるわけでございます。その問題は、仲裁委員会で団体交渉をきめます場合に、どういう要素を取り入れるかということは、これはいろいろ複雑な要素がございますと思いますが、少なくとも民間給与が、人事院の給与勧告のように、非常な要素になって裁定をされておるものではないのではないかとこれは想像されます。そういう意味におきまして、労働大臣が——これはまあ労働大臣の御発言をわれわれとやかく申し上げられませんけれども、公共企業体なり現業の給与がかくあるべきだという、一つの労働大臣の御希望なり御見解を述べられる、これはまあ別問題でございますけれども、少なくとも現業関係の給与が、人事院の給与勧告のように、民間給与のどの部分を基準にすべきかという問題に関連して、公共企業体その他は民間の大企業、人事院は公務員と小企業では、少しそこは食い違っておる点があると私は思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 迫水国務大臣の御答弁は、差はあるようだ、しかし、その差というのは、国家公務員と現業による公務員との問題だというお話ですが、私は、結論としては差はあるというふうにお認めだと思う。人事院の総裁の今の御発言は、何か持って回ったようなお話ですが、しかし、これは確かに人事院の民間給与の調査の仕方と、それから労働省の考え方、調査といいますか、とらえ方といいますか、やり方、考え方には大きな差があるということは認めます。しかし、少なくとも人事院が、同種、同規模のものと比較していないことは、これは明らかです。それを否定なさるわけじゃないと思うのです。あるいはまた労働大臣は、民間の同種、同規模のものと比較したいというような希望は述べていないのです。はっきりしているのです。ですから、人事院としても、これはやはり対象の考え方が違うという点をはっきりすべきじゃないですか。それぐらいの自信があって人事院としてやっておられるのだろうと思うのです。あるという御発言をなさればいいと思うのですよ。もう一ぺん伺いたい。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) こういううことを私から申し上げるのは、かえって失礼に当たるわけでございますが、御存じのごとく、現業の給与は、別に労働省できめられているわけじゃございませんで、これは申し上げるまでもなく、仲裁委員会できめられているわけでございます。ただ、まあ労働大臣が、一つの国務大臣としていろいろそこに御見解があることは、これは別段といたしまして、人事院といたしましては、どこまでも公務員の給与はかくあるべきだという一つの観点に立ちまして公務員と民間給与を比較する場合には、やはり大企業のみならず、五十人以上に及んだ部分までも参考にすべきものという見解を持っております。

瀧本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(瀧本忠男君) なお、人事院の民間給与との比較につきまして、私から多少補足さしていただきたいのでございまするが、今規模のことを非常におっしゃっているのでありますが、われわれは一つの事業場の平均賃金というようなことを問題にしているのではないので、これは御存じの通りでございます。なぜ一つの事業場五十人というのをとっておるかと申しますると、それ以下の規模になって参りますると、職務内容が非常に捕捉しがたいということがあるわけでございます。まずわれわれの従来の経験によりますると、五十人以上のところでありますと、大体公務員と比較する場合に、たとえば会計の係でありますとか、庶務の係、あるいは経理といったような仕事をやっておりまする場合に、公務員の職務内容と同じに比較し得るようなものがそういうところではとり得る。従って、調査いたします事業場は五十人以上でございまするけれども、われわれは五十人の事業場の平均賃金を問題にしているのではない。国家公務員と大体職務内容が同様でありますものを民間において全部捕捉しよう、こういうことでやっているわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私はそういうことを聞いているのではなくて、五十人以上のものを対象にして考えていらっしゃるでしょう。簡単なんですよ、三公社五現業の場合は、これは団交権できまる。しかし、めどとしては、労働大臣がおっしゃるように、同種、同規模程度のものを目当てにしているとおっしゃるのだから、この点については差があるじゃないか、調査のやり方とか、あるいは方法とか、そういう問題に差があるということを伺っているのではないのです。その点は明らかじゃないですか。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) 先ほども申し上げましたことを繰り返すようになりまして恐縮でございますが、労働大臣のその発言そのものは、もしその通りで受け取りまして、現業の給与を大企業と比較しておるということであれば、人事院は公務員法の趣旨を参酌しまして、調査方法としましては五十人以上を比較しておるのでございますから、その意味においては違っているかもしれません。しかし、それだからと申して、現業関係の給与は大企業と比較して決定されておるかどうかということは、この際簡単には申し上げかねるかもしれません。また、人事院の調査というものは、これはまた一つの技術的な方法でやっているわけでございますから、そこだけをつかまえまして、現業は大企業、人事院は小企業を含むということを認めるかということにつきましては、これは簡単にはそう割り切れないのじゃないかと存じております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 あんまりくどいようすから、これはこれだけにおきますが、もう一つ伺いたいのは、今人事院が調査を始めております。全国的に約六千の事業体をとって調査を始められておるのですが、しかし、日経連の総会におきまして前田発言があってからしばらくしまして、新聞の記事によりますというと、民間では人事院の給与調査には協力しない、したくない、こういうような発言が出てきているというふうに報道されているわけです。従来も若干そういうような傾向があったのでありますが、特に前田発言を契機としまして、協力したくないという空気が出ているということが報道されている。今調査に入っておられるわけですが、従来とも、私ども非常に不完全な調査だというふうな懸念を持っておりますけれども、いよいよそういう空気が出て参りますと、人事院の給与の勧告の重要な要素でありまする調査が、陰に陽に抵抗を受けて、いよいよ不明確不正確な調査になるのではないかという懸念を持っているわけでありますけれども、それらの点について人事院としてはどういうふうに考えておられますか。

瀧本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(瀧本忠男君) 今、鶴園委員からの御発言でありますが、われわれは目下調査に入っておりますけれども、実地調査に係員が事業場に参っております。しかし、今までのところ、そういうふうに調査を拒否されたとか、非協力であるという印象を全然持っていないのでございます。で、今まだ緒についたばかりでありますが、まあ私の感じでは、従来通り同じように協力していただけるというような印象を持っております。また、これは十分調査票あるいは依頼状等も、ずいぶん苦心いたしまして民間の協力を得るような方途を講じておりまするし、また、われわれの調査結果を事業場に結果表を還元するというような方法によりまして、民間の方々の御注意を十分引くというような方途も講じております。調査に支障を来たすということは全然予想しておりません。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 四月の二十日に日経連の総会がありまして、四月の二十五日の新聞に、人事院の民間給与調査に協力するのをやめようという声が上がっておるというふうに出ておるわけです。で、確かに今調査しておられるわけですから、一切局長がやっておられるわけじゃないし、県の人事委員会がやっておるわけですが、その模様が今すぐ伝わっておるとは私思いません、入ったばかりですから。ですけれども、陰に陽にそういう気持がありますと、やはりそういう問題が起こってくるんじゃないか、不正確なものが出てくるんじゃないか、露骨に協力しないとか何とか、そういうことはしまいと思いますけれども、陰に陽にいろいろな形で不明確な調査になってくるんじゃないか、不正確な調査になってくるんじゃないかと私は心配をしておるわけです。先般、私、若干の民間の贈与なりという問題と、あるいは厚生費等々に対して伺ったときも、人事院総裁は、なかなかそういうようなことは人事院の調査ではむずかしい点があるというようなお話を伺いましたが、この発言以来、こういう状態では相当私は不正確になってくるんじゃないかというふうに懸念をしておるわけですけれども、そういうことはないのですか、簡単な御答弁でありますが。

入江誠一郎人事院総裁

○政府委員(入江誠一郎君) 現在の段階におきましては、給与局長から申し上げました通りで、そういうことはないと存じております。なお、一つそういうことがありましては、これは困りますから、十分注意をいたし、また、努力もいたしたいと思います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私が申しておるのは、これは人事院が来たら断わるというようなことではないだろう。しかし、こういう拒否するというような発言をなさると、これはやっぱり相当大きなところだろうと思うのです。日経連の中に入っていらっしゃるとか、関東経営者協会に入っていらっしゃるとか、そういう経営者の方々がこういう発言をなさったんじゃないかと思います。そこで、いよいよ大きな企業については、なかなかむずかしくなるというふうに考えなければならぬのじゃないかという心配をするわけですが、従来とも、どうも不正確だ不正確だとわれわれは思っておるのです。いよいよ不正確になるという懸念を持っておるという点を申し上げておきます。

瀧本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(瀧本忠男君) 不正確になるとおっしゃるのでありますが、われわれは事業場へ行って、そうして、たとえば聞いて書くというようなことではないのでございまして、事業場には、労働基準法に従いまして、賃金台帳というものができております。それをわれわれの方の係官が写し上げるということでございまするから、結果が不正確である、あるいは人事院が今度出した結果が、これは非常に不正確だというようなことを言える筋合いのものではなかろう。まあ調査に当たりまして、事業場のなるべく迷惑にならないようにわれわれずいぶん注意してやるのでありますし、また、現に東京都内でやっておるところもございまして、そういうものにつきましては、人事院の職員が直接やっておりますので、そういう経過は私も聞いておるのであります、地方まで聞いておりませんけれども。ここでただ頭の中で考えたことを申し上げておるわけではないのでありまして、現に調査に出て参った者の感想を私聞いておるのであります。そのことに基づいて申し上げておるのでありますが、これは不正確になるということは私はない、このように存じております。

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 速記を始めて。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 今の瀧本さんのお話ですが、従来も拒否される所があったのでしょう。

瀧本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(瀧本忠男君) それは六千という非常に多い事業場でございますから、そういう所もございます。また、拒否されたというようなものにつきまして、従来調べてみますると、本社で一括やっているというようなことで、その個々の出先の事業場で一々やらぬでも、本社でやってくれればいいじゃないかというようなものもあるわけであります。で、そういうようなことで、絶無であるとは申さないのでありますけれども、そういう拒否の事業場につきましては事情を究明しまして、本社に連絡をとるなりして、出先でも応じてもらえるようにしてもらえるような努力もいたしておりまするし、また、ある特定の事業場で、従来から何回か拒否したというような所につきましても、われわれの方の係官、あるいは相当の責任者を派しまして十分説明もし、御協力も得るというようにいたしましてやっているのでありまして、まあ例外的にあるというぐらいな程度でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 どうも長くかかりますが、六千幾らの調査をやるのですが、そのうち、大体五分ぐらい不的確なところが出てくるのでしょう。五%ぐらい出てくるのでしょう。ですから、そういうものがふえやしないか。さらに今回はいろいろな調査をやっておられますね、ちょっと広げた形の調査をやっておられますね、そういう問題について不正確になりやしないか。さらに、また大きな企業が何らかの形で十分なやっぱり協力をしないという形になってくるのじゃないか、こういうことを私は言っているわけです。

瀧本忠男人事院事務総局給与局長

○政府委員(瀧本忠男君) 従来調査ができないで不的確であるというものが、御指摘の通り、あるパーセントあるわけでありまするが、これはわれわれが事業場を押えまする際に、昨年の十月という時点に押えてあるわけであります。で、調査をやりまするのは、それから半年あとになるのでありまして、その間にまあいろいろな事情で、たとえば五十人の常勤従業員がおったのが、それが切れるというような問題があるわけでございます。そういうようなことで、調査の的確でない事業場が出てくるというととがあるわけでございますが、まあ御心配のようなことが全然ないとは申しませんが、しかし、例外的にある。従来あった程度には今回も出てくるかもわからぬのでありまするが、それも十分従来の調査拒否の事業場というようなものが例外的にございましたが、そういう所に対しても、いろいろな方法によりまして協力方を要請しておりまするし、また、そういうものが毎年調査の事業場に当たるということもないのでございます。従いまして、われわれとしましては、大体において調査がスムーズにできるというように思っておりますけれども、御懸念の点がございまするので、まあ目下調査中でありますので、今後一そうそういうことのないように努力いたしたいと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 もう一ぺん念を押しておきますが、明らかに協力しないでいこうじゃないか、こういうような記事が出ておりますから、従って、こういう面については十分善処さるべきだ、それが先ですよ、何とかかんとか言っても。  これで終わります。

吉江勝保自由民主党

○委員長(吉江勝保君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会    ————・————

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