内閣委員会 閉会後第3号
- 発言数
- 256 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/09/11
会議録
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る八月一日、山本伊三郎君が辞任され、秋山長造君が選任されました。同月九日、秋山長造君が辞任され、山本伊三郎君が選任されました。一昨日、松本治一郎君が辞任され、安田敏雄君が選任されました。本日、横川正市君が辞任され、鈴木強君が選任されました。 ——————————
○委員長(吉江勝保君) 次に、委員の異動に伴いまして、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないます。互選は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。それでは私より山本伊三郎君を理事に指名いたします。
○委員長(吉江勝保君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、富士演習場に関する件の調査を進めます。 政府側出席の方は、藤枝防衛庁長官、林調達庁長官、加藤防衛庁官房長、沼尻調達庁不動産部長、小宮山不動産部次長の方々でございます。 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
○山本伊三郎君 それでは私は、現在、現地で相当問題が緊迫している北富士の問題についてまず質問したいと思います。二つの問題で、防衛庁長官並びに調達庁長官にお尋ねしたいと思います。 その一つは返還の問題です。去る八月一日の当委員会で、私が、九月に入れば沖繩のアメリカ海兵隊が演習に来る、従って、それまでに解決ができるかどうか、この点を押したところが、両長官は、それに対して万全の手を打つ、こういう答弁をされておるのですが、それのいわゆる皆さん方の答弁と違って、今日まだ解決しておらない。これに対して防衛庁長官並びに調達庁長官はどういう考えでおられるか、どういう具体的な努力をされたか、この点を一つまず冒頭に両長官から御答弁を願いたいと思います。
○説明員(林一夫君) 政府としましては、昨年来から北富士演習場の問題については、地元の御納得を得て米軍の演習ができるように問題を解決するように努力して参ったのであります。最近に至りまして、八月二十二日に基地問題等閣僚懇談会を開きまして、演習場の使用方法等につきまして、極力地元関係者の入会慣行を尊重する方針をとるが、立ち入り制限を伴う場合の地元関係者に対する林野雑産物の補償等については、関係市村、また、各入会組合相互の関連もあるので、それらの代表者からなる協議機関を作りまして、政府関係機関と協議するよう勧奨しました。また、交渉にあたりましては県が立ち会うとか、県が仲介あっせんするという、県にそのような協力をとってもらうように依頼することなどを決定したのであります。その翌日、二十三日でございますが、私が山梨県に参りまして、この趣旨を県の当局に説明いたしました。この方針によりまして国と県及び地元との円満な意思の疎通をはかって、県に対しては、北富士演習場の使用に支障を来たさないように地元民の説得に努めることを要望した次第でございます。幸い県及び関係地元組合のほとんどの方々の御理解を得たのでございますが、忍草入会組合だけが難色を示しまして、特に政府に直接疑問点をただすことを希望されたので、八月二十九日から三日間にわたりまして、調達庁において県の立ち会いのもとに、特に詳細な説明をいたした次第でございます。けれども、ついに忍草組合の方々の御理解をいただくことができなかったことを非常に遺憾に思っております。政府としましては、忍草の補償をめぐる各関係入会組合間の意見の相違を調整しまして、お互いの対立しておる感情を解きほぐして、円満な解決をはかりたいという趣旨から、先ほど申しました地元協議機関が九月の八日に結成されたとの報告を受けているのであります。このような協議機関を通ずる話し合いによりまして、本問題解決への手がかりといたして、今後御協力をいただくよう努力して参りたいと、こういうふうに考えております。
○国務大臣(藤枝泉介君) 今までの経過はただいま調達庁長官から申し上げたようなことでございます。いずれにいたしましても、地元の組合の中に、十分に政府との間の意思の疎通が今までにできませんでしたことを非常に残念に思っておりますが、今後さらに精力的にその他地元との意思の疎通をはかりまして、円満な解決に努めたいと考えておる次第でございます。
○山本伊三郎君 今、林長官から今までの経過の説明が若干あったのですが、私も実はこの問題については非常に憂慮をして、現地にも行きました。しかし、私が見てきた感じじゃなくして、十分認識した立場に立って考えると、防衛庁は、特に北富士梨ケ原の問題についての認識が私は誤っておると思う。というのは、今度の現地で知事が会長になって協議会を作ったということも新聞紙上で見ました。しかし、忍草、新屋の直接この北富士梨ケ原のあれによって生活を確保してきた人を、最もその重要な関係のある人を除いては、かえってあの協議機関の存在は、今後の問題をもっと複雑困難にならしめると私は見てきた。で、この忍草の皆さん方の、農民の皆さん方の意見は、私はもう率直に聞いて参りました。問題は、返還と入会権の問題ですが、これについての防衛庁、調達庁の認識というものは那辺にあるか、私は疑いたいのです。従って、単に補償ということだけでこの問題を片づけようと思っても私はだめだと思う。やはりその返還のこれに対する政府の今日までしてきた努力の成果、現実にはまだアメリカから返還されないけれども、それに対してどれだけの努力をしたかということは一つも見えていない、まだやっていない。これではいかに政府と地元の農民と意思の疎通をはかろうと思ってもだめだと思う。この点について、私はこの八月一日も林長官にお尋ねして、非常に不満であったのですが、一体政府は、その後特別に北富士演習場の特別委員会も設置しておるのだから、それについての経緯を農民にほんとうに、この前江崎長官が文書で返還に努力すると言ったその事実を、どこに誠意を表わすかということを私は農民に示すべきだと思う。それを示さずしてああいう協議会を作っても、よけいその紛争をかえって荒立てることになって、決して一歩も前進しないと思うが、従って、私が質問したいのは、返還についてアメリカ当局と話し合いを進めてどういう経過になっているのか、ほんとうに返す意思がおありになるのかどうか、政府としてはどういう態度でこの返還に対して対処しようとするのか、それをはっきりとここで答えてもらいたいと思う。簡単でよろしいです。
○説明員(林一夫君) 富士演習場の返還につきましては、この前にも申し上げましたように、米国から返還を受けまして自衛隊の施設といたしまして、必要なつど米軍に使用させるということで米軍に返還の提案をした上、鋭意折衝を続けて参ったのであります。米軍といたしましては、現在のままの形で使用したいというような強い要求があり、交渉が難航しておったのでありますが、最近に至りまして、日本側の要求に対しまして米側も理解を深めまして、具体的な条件につきまして調整がつくならば返還に応ずるというような段階になっているのであります。従いまして、近いうちに地元関係者とこれらの諸条件につきまして打ち合わせをする運びとなる予定になっております。
○山本伊三郎君 その点が私にはちょっと納得できない。返還するについてアメリカがいわゆる条件がある、アメリカ軍の立場からいえばそういうことを主張できるけれども、日本政府の立場からすれば、そこにはすでに——あとで質問いたしますけれども、入会権の問題もあり、従って、返還された後において、日本国政府は、あるいはアメリカと地位協定なりあるいはその他によっていろいろ話し合いをされても、返還するときにこういう条件でなければ返さないというととは、私はアメリカ当局としては言い過ぎではなかろうかと思う。そういう条件は政府としてどう反駁されておるか、その条件を地元農民がのまなければ、永久にこの返還ということは実現しないということに、結果はそうなると思うが、その点についての見通しなり政府の考え方を一つ聞いておきたいと思う。
○説明員(林一夫君) もちろんこの返還を受けまして自衛隊の施設にするというときには、地元関係者といろいろな条件についてこれは打ち合わせることになるのであります。現在米軍と話し合いを進めておりますのは、主として米軍との関係におけるいろいろの条件について話を進めております。そのようなこともありまして、米軍の方も理解を深めて参ったのであります。そのような条件が整い、また、今後地元関係者との話し合いがついたならばこれは返還を実現するという、こういうように私どもは考えております。
○山本伊三郎君 それではこの前の一日の答弁より若干進んだような答弁ですから、それではそういう話が出たのはいつであるか、それから今後何日か何カ月後に政府としては返還の完成ができ得る見込みであるか、この点をちょっと聞いておきたい。
○説明員(林一夫君) 米軍との折衝は、昨年から、先日も申し上げました富士演習場特別委員会というものを設けまして、返還の問題についていろいろ折衝して参ったのであります。だんだんそれが熟して参りまして、具体的な条件について両者の間に調整がつくならば返還に応ずるという向こうの意向を表明しております。ですから、具体的な条件の調整ということに現在努力いたしておる次第であります。
○山本伊三郎君 僕の尋ねておるのは、そういう抽象的な問題ではなくして、いわゆる向こうの方は、ある程度条件といいますか、そういう言い分を聞いてくれれば日本にこれを返還する、こういうことになっておるという先ほどの答弁であったのですね。従って、この前はそこまでいっておらない、日本の自衛隊が使用するということで返還するという、そういうことの答弁であったと思う。これはアメリカが言っているとか、そういうことでなくして、今の場合はそういうことでなくして、何らかの条件で地元の農民と話ができれば返還に踏み切るというアメリカ当局の話であった、こういう答弁なんです。従って、それはいつごろ、八月の何日の特別委員会にそういう話が出たのか、こういうことですね。
○説明員(林一夫君) 私の先ほど申しましたのは、米軍との間に具体的な条件について現在折衝しておるのでありますから、そういう条件について調整がつくならば、米軍の方としては返還に応ずるという段階にきておるわけです。従いまして、近いうちに地元関係者とこれらのただいま申しました諸条件、具体的ないろいろな条件について打ち合わせをするというようなところまで進んでくると思うのであります。
○山本伊三郎君 それじゃ私は長官の答弁はきわめてまああいまいというか、無責任だと思う。それじゃ具体的に聞きますけれども、アメリカ軍はどういう条件で話で進めておるか、その条件を聞かしてほしい。
○説明員(林一夫君) 米軍との折衝の具体的な内容につきましては、ちょっと国際信義上この際申し上げかねると思いますので、遠慮いたします。
○山本伊三郎君 もちろんこれは若干外交問題を含んでおるけれども、大半は内政問題、地元の農民の生活権をこれは左右する問題ですから、それが国会で言われても国際信義に反するというようなアメリカ当局であると私は理解しないですね。しかも、実はこの八月十七日にアメリカ大使館、ライシャワー大使からは、地元農民に対してこういう親切な文書の回答まできておるのですよ。これを読みますけれども、必要なところだけ読みますが、「本官は当該問題の法的処理に関する行政機関として、日本国調達庁が充分な解決に達すべくあらゆる努力をかたむけつつあるものと確信する。よってその解決のため貴下の変わることなき友好が与えられるであろうことを望む次第である。」こういうライシャワー大使からの実は手紙が届いておる。従って私は、アメリカ当局も、この問題については、きわめて日本の農民の生活権に影響が多いということで関心を持っておると思う。従って、アメリカがどういうことを希望してどうだと、こういうことを農民が理解しない限りは、いかに農民が、いや、まかしておけということでは、これは解決にならぬと思うのですが、どういうアメリカの真意であるか、それを一つまず聞かしてもらいたいですね。
○説明員(林一夫君) 先ほど申しました具体的条件というものの中には、まあ、たとえば立ち入り日をどうするかというようなこととか、あるいは観光シーズンのときには演習をどうするというような、ことにその他の条件いろいろあるのでありますが、そういうようなことについて話し合っておるわけでございます。
○山本伊三郎君 どうも僕はこの問題に対する調達庁、政府当局の誠意は見られないと思うのですよ。アメリカ軍がそういう主張、今言われたたとえばという言葉がついておりますが、そういうことを言うこと自体が、ほんとうに返還に踏み切っておるかどうかという、むしろ私はアメリカ軍を疑いたいようなことだと思うのですね。今度返還になれば、逆にアメリカの海兵隊が使うことになれば、これはこちらのを借りて使うということになるのだから、主客転倒してしまうのですね。それを何か依然として自分の演習する権利だけは確保しておいて、そしてまあ日本に返してやろう、名目上だけ返そうというような意図にもとれるのですが、それは違いますか。その点一つ、これは防衛庁長官から答えてもらいたい。
○国務大臣(藤枝泉介君) 今おっしゃったような意味ではない。まあアメリカ側にもアメリカ側の希望はございましょうけれども、こちらといたしましても、できるだけ地元の農民の利益を守り、あるいは今例として申し上げましたが、観光時においてはその演習をしないというようなことについて日本政府としての意見もあるわけであります。それを詰めておるということを申し上げておるわけでございます。
○安田敏雄君 ただいまの山本委員の質疑の中から、自衛隊に返還をすることが目的だ、そしてあとで随時米軍に期間を限定して使わせるのだと、こういうことを米軍当局としても特別委員会の中で了承しておる。そしてその具体的な問題については今後調整するのだ、こういう御答弁なんですが、昨年の江崎長官の公約は、演習場を早期返還する、入会慣行は尊重するということで、これは地元民に公約したことなんです。そこで、これは山梨県であるとか、その他の関係市町村に公約したことではないわけなんです。ですから、先ほどの山梨県に協議会を作ることを勧奨して、その中で問題を処理しようという問題とは、これは明らかに違っているわけなんです、そうでしょう。その点の確認を一つ御答弁願いたいと思います。
○説明員(林一夫君) 今度基地問題等閣僚懇談会で了解をいただきました方針によりまして、地元関係者の協議機関を作る。県の調整によって協議機関を作り、それで各関係組合の意思の疎通をはかっていくということは、主としまして林野雑産物の補償関係についてでございます。そういうような問題につきましては、やはり地元各入会組合の、あるいは関係市町村の相互に関連する問題でございますから、まとまった協議機関を作って、お互いの意思の疎通をはかっていくということが公正をはかる意味において適当であるという考えのもとに、県のあっせんによってこのような協議機関を作ることにしたのであります。まあ全面返還——返還の問題というようなことについてそこの協議会でやるというような趣旨ではないと思います。演習場に関するすべての問題についてこの協議会で相談していただけば非常にけっこうなことでございまするが、あの趣旨は、今申しました林野雑産物の補償というような、お互いに関連がある事項について御協議いただくということでございます。
○安田敏雄君 私その点については答弁が了解できないです。昨年の江崎長官との公約は、あそこの返還というものは自衛隊の演習場とするための返還だと、こういうように受け取れるわけなんです、その後の政府の地元との交渉の結果。そういうことでよろしゅうございますか。
○説明員(林一夫君) 昨年の御発言の返還の意味は、米軍から返還を受けまして、それを自衛隊の演習場としまして、必要なつど米軍に使用させるという意味の返還でございます。これはその前からそういうような考え方を政府が持っておりました。そのときにそういうような発言があり、その後も同じ考え方をずっと持続しておるのであります。このような点については、十分に地元の方々にも説明を申し上げて、大方御納得をいただいておるはずでございます。
○安田敏雄君 そうしますと、私の考え方では、返還ということは、米国がわが国の施設区域を使用する諸条件を定めた地位協定でこれが規律せられる問題だと思うわけなんです。しかるに自衛隊の使用ということが、一体その返還問題に介入するということはどういう理由に基づいてそうなってきたのか。わかりますか、そういう点が。返還と自衛隊の使用という問題は違うんですよ。地位協定によって初めていろいろの諸条件がきめられるわけなんです。ですから、そこへ自衛隊に返すんだという、そういうような取り扱いをするということは、何かそこに矛盾がありはしないか。もしないとするならば、どういうわけでそういう問題が出てきたか、そのよりどころを一つ御説明願いたいと思います。
○説明員(沼尻元一君) 富士演習場の返還問題については、日本政府といたしましては、東富士、北富士を一体としてこの返還方を交渉しておるわけでございますが、このような交渉をするに至りましたいきさつは、昭和三十二、三年度におきまして米地上部隊が大量に撤退する、そして米軍は今後は海兵隊がこの富士演習場を使うことになるだろう、そしてその使用度は従来よりも少なくなる、そういうことが米側からこちらの日本政府に言われてきたわけであります。ちょうど自衛隊といたしましては、この富士演習場をより効果的に使いたい、自衛隊としては富士演習場に対する必要性は非常に強まっておったわけであります。そういうことから、日本側といたしましては、この富士演習場は米軍施設でございますが、これを日本側に返還を受けて、そして自衛隊の施設にする、しかしながら、米軍も海兵隊が使いたいということでございますので、返還を受けた後に海兵隊には必要なつど使わしてあげましょうというようなことで返還交渉が始まったわけでございます。その返還交渉の過程におきまして、米軍は、米軍としては今のような形において米軍としては使用したい。日本側に返還して自衛隊の施設として云々という形でなくて、形は今のままのような形で使いたいというような意見がだいぶ当初は強かったわけでございますが、日本側としては、ぜひこの返還を受けて、そうして自衛隊の施設にしまして、日本としての自主性と申しますか、主体性を確立して、そうしてまあいわば自衛隊が主人となって、米軍はお客さんにするというような格好で将来の使用をしたいということで交渉をしておったわけでございます。ところが、非常にまあ交渉が難航いたしまして、で、昨年の八月、北富士につきましても返還要望が強く出て参りました。そこで、この返還交渉を早急に実現いたしたいというようなことから、昨年の八月末には富士演習場の特別委員会というようなものを合同委員会の下部に設けまして、そこで米側と鋭意折衝を続けて参ったわけでございます。その過程におきまして、まあ最近では米軍としては、日本側の事情がそのようであるならば、米軍が、自衛隊の施設となった後においての使用の条件、そういうことについて話し合いがつくならばお返ししましよう。日本側としても、返還後におきましては、たとえば登山道の問題とか、先ほど長官からお話がございました観光シーズンの緩和だとか、あるいは立ち入り制限の緩和だとか、そういうことをこの際に米側との間において解決したいということで、詰めた話をしているわけでございます。一応そういう点につきまして、交渉、話し合いがつきましたならば、それをもとにいたしまして、地元側関係者と、自衛隊の施設にするための諸条件について話し合うというふうに考えているわけでございます。地元関係者や何かとの話がつきましたならば、米側との間において返還についての最終的な話がまとまる。まあその間において地元側としては、日本政府に対しましてもいろいろ諸条件が出てくるでありましょうが、そういうことを消化して、地元との間において話し合いがついたとき、米側との話し合いも最終的に固まるというふうに考えているわけでございます。
○伊藤顕道君 どうも答弁を聞いておりますと、また不可解なんですがね。昨年八月、時の防衛庁長官江崎長官と忍野村忍草の代表との約束、それは繰り返し申し上げられているように、いわゆる入会慣行の承認と早期返還ということが約束されているわけですね。そこで、自衛隊との約束ならば自衛隊返還ということは考えられるけれども、忍野村忍草の代表との約束で、江崎長官が極力努力する、そういう二つの項目について極力努力する。これは忍野村忍草代表との約束である。それは今自衛隊に返すというようなことについては、あとでこれは勝手に意味づけているのではないか、こういう節が考えられる。ここのところはどうも不可解です。ここのところははっきりさせていただきたいと思います。それと早期返還ですよ。ただ単なる返還でなく、早期返還ということが特にうたってあるわけだ。従って、この返還についても、返還の時期ですね、時期については早期ということが特にうたわれておる。もう昨年の八月から現在までも一カ年以上を経過しておるわけです。これでは早期とはいわれないわけです。これはもう防衛庁なり調達庁は、まことに責任重大といわなければならないが、一年以上たって早期といえますか。先ほど山本委員からも指摘があったように、この早期返還に即応すべく、防衛庁、調達庁が誠心誠意どのように具体的に努力したのか、そういうことが答弁の中には含まれていない。従って、了解できないわけです。この二つの点について、それぞれこれは非常に大事な問題だと思うので、関連として特にお伺いしたい。
○説明員(林一夫君) いわゆる江崎発言の返還の意味は、これは繰り返し繰り返し御説明申し上げました通り、米軍から返還を受けて自衛隊の施設にして、必要なつど米軍に使用させるという意味の返還でございまして、このようなことが米軍との間に妥結点を得る唯一の解決策である、そのようなことで、そのような返還を米軍に提案し、努力して参ってきておるのであります。従来、昨年九月からこの返還を特に促進する意味におきまして、合同委員会の中に富士演習場特別委員会という委員会を作りまして、そこで米軍と継続してこの具体的な諸条件の調整について研究して参ってきておるのであります。先ほども申しましたように、それがだんだんと米軍の理解を深めまして、とのような具体的な諸条件が調整がつくならば米軍としても返還に応ずるというような段階に立っておるわけであります。返還問題につきましては、昨年来そのような委員会を何回も開きまして、大いにその促進に努力いたしておるような次第でございます。
○千葉信君 議事進行について。委員長に私は御注意申し上げたいと思うのですが、北富士の演習場の問題については、非常に問題が多くて、いろいろな角度から究明しなければならぬ点があると思います。ところが、先ほどの安田君の質問に対して、不動産部長ですか、お答えになりましたけれども、質問の趣旨をはき違えておるのか、知っていてわざと答弁にならない答弁を繰り返しているのか、これじゃ全然質疑は進まないと思う。安田君の質問しましたのは、その北富士演習場の返還の問題については、これはその成り立ちについては、米軍との地位に関する協定から出発するものだから、これと自衛隊があとから使用する問題とはおのずから違うと思う。その違うものを政府の方では密着して考えておるようだが、一体自衛隊がすぐ使用するという法理論的な根拠は何だと聞いておる。それに対して部長の答弁は、ただ単なる事実の羅列だけですよ。あれがこうだった、これがああだったなどということを答弁しておる。一体これは質問の趣旨を知っていて答弁しているのか、ないしはまたごまかしているのか、私は委員長はそこで聞いていてわかると思う。まじめに答えておるのかふざけているのか、全然答弁になっていないということはわかると思う。そういうときには委員長はちゃんと答弁者に対して注意を与えるとか、これじゃ答弁にならぬから、調達庁長官が答えなさいとか、議事進行上の有効な措置を委員長がとらなければ、きょうの議事は進みませんよ。従って私は、最後の結論としては、そういう委員長の措置を要望するとともに、さっきの安田君の質問に対して、調達庁長官からあらためて答弁してもらいたい。
○委員長(吉江勝保君) 私もちょっと感じたので……。伊藤理事が発言をされたときに、安田君がさらに質問をされるだろうと、こう思ったのです。それで関連だと思って伊藤君に発言を許したのです。なお、安田君が多分続行されるだろうということを期待いたしております。
○千葉信君 委員長は有能だから注意しなくてもいいだろうけれども、そういうことはわれわれから議事進行がなくても、さっさとやってもらいたいと思います。
○委員長(吉江勝保君) こちらから発言があったので発言を許しましたが、なお、安田君が発言されるならば発言を許します。
○千葉信君 私の議事進行の発言の中で、さっきの答弁ではだめだから、安田君の質問についてこの際林長官に答えなさいということを言っておるのですから、委員長がそれをオミットして次の質問に入らせるということはおかしい。
○委員長(吉江勝保君) 多分私は安田君が言われるだろうと思っておりましたが、それでは千葉委員の発言に対して、答弁を政府に要求いたします。
○説明員(林一夫君) 先ほど不動産部長から、返還の問題の経過についてお話し申し上げました通り、最初から米軍に対しまして返還を受けるということは、やはりこれは米軍としても、この演習場は非常に大事な演習場である、従って、現状のまま使いたいというような強い希望があったのであります。また、自衛隊としましても、この演習場はやはり重要な演習場であるというような考えのもとに、まず米軍から返還を受けるについては、自衛隊が使い、また、米軍の要望に応じて米軍にもそのつど使用させるというようなことで返還の折衝をして参ったのであります。昨年江崎長官が発言された際も、そのような折衝の過程における発言でありまして、返還の意味は、やはり米軍の返還を受けて自衛隊の施設にし、必要なつど米軍に使用させるという意味の返還であったのであります。先ほど不動産部長が申し上げた通りであります。
○安田敏雄君 私の方は、簡単に申し上げますと、基地における、演習場における返還するとかしないとかいうこういう問題は、施設区域を使用する諸条件を定めた地位協定があるわけですが、その地位協定で規律される問題なんです。ところが、自衛隊の使用が、そういうような問題の中へ、返還という問題にどういうわけで介入してきたかというよりどころをお聞きしたいと、こういうわけです。これについて一応簡単でよろしゅうございますから、御答弁を願いたいと思います。それを明らかにされて経過を聞くならばいいのです。
○説明員(沼尻元一君) 当時のいきさつから申しまして、やはり日本政府としては一応米側に返還交渉をするにつきましては、こうこうこういうわけで返還してほしいという交渉をするわけでございますが、その内容としては、この富士演習場は将来自衛隊の演習場に日本政府としては使いたい、そういうことから返還してほしいということがこの交渉の出発点でございますが、むろんこの返還は政府間同士の交渉でございまして、日本政府に返還させるにつきましては、どういう理由で返還させるかという内容を米側に申し込むわけでございますが、ただ忍野村が返還要求しているから返還してほしいというようなことで交渉しているわけではございません。この富士演習場をめぐる関係住民は非常にたくさんございまして、この東富士演習場についても御承知のような問題があるわけでございます。そういう点から返還要求をしたわけでございます。
○安田敏雄君 自衛隊に使用させるのだということが返還問題の中に入ってきているわけなんです。それはよりどころはどういうことかということを聞いているわけなんです。どこにそういう考え方が出てきたのか、地位協定で規律されなければならない問題の中にそういうものが飛び込んでくるということ自体が納得がいかない。事実の経過だとかやりとりだとかいう問題を私は聞いているわけじゃないわけなんです。こういう点が答弁がいかないとするならば、一応……。(「だめだ」「それがはっきりしなければ、次の質問ができない」と呼ぶ者あり)
○説明員(林一夫君) 米軍に対して返還要求した理由でございますが、先ほども申し上げましたように、米軍として非常に重要な演習場であるということで、米軍は現状のままこれをどうしても使うというような強い希望を持っております。ところが、早くこれを返還してもらいたいというような国内的の要望もありまして、そのためには、まず返還を受けて自衛隊の施設にする。で、必要なつど米軍の要望を入れて使用させるという根本的な理由のもとに返還を要請したわけであります。
○山本伊三郎君 実は答弁が安田委員の質問に合っていないんですよ。実は地位協定第二条の何項に相当してそういう話を進めておるのか、その根拠はどこにあるかということを尋ねておる。いきさつは皆知っておるのだから、それを一つ聞きたいと思う。その結果によってこちらは幾らでも尋ねたいことがある。
○説明員(沼尻元一君) 地位協定の二条2項からいたしましても、「日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また」云々「合意することができる。」というような規定もございまして、この返還を要求する場合には、日本側としては、この米軍の施設は、普通の場合、軍の使用度があまりないようだ、日本側としてはこうこうこういうために使用したいので、ぜひ返還してほしいというようなことを交渉するわけでございます。富士演習場につきましては、従来のところ、地上部隊が使わなくなり、海兵隊の使用というようなことになって、使用度も少なくなるのであるから、これを日本側に返還してほしい、そうして日本側はこれを自衛隊の施設として使いたいという非常に必要性が強いので、ぜひ返還してほしいというようなことで、返還の理由としてそのようなことを述べて交渉しているということでございます。
○安田敏雄君 今の答弁、林長官とただいまの答弁ですね、これは私があとで聞くことについての答弁なんです、これから聞かんとするところの。ですから私は、まずその返還という問題の中へ、いつ自衛隊の使用を許すかという、そういう問題が介入してきたかということを聞いているんです。そうしてそのよりどころですね。法的なよりどころは何によってそういうように考えてきたかということなんですよ。
○説明員(林一夫君) 米軍に使用させるということは、これは最初米軍に提案したときに、返還があるのであれば、返還後自衛隊が使用し、そのつど米軍に使用させるということで米軍に提案しているのであります。そうすることが米軍の同意を得る最もいい解決策である、こういうふうに考えてそういうことになったのであります。今の法的根拠はただいま説明しました通りであります。
○千葉信君 さっきからだいぶ質疑応答が迷路に踏み込んだようなんです。すっかり低回しているわけです。委員長すっきりと質疑応答を取りまとめる自信があれば別ですがね。そうでなければ、少し皆の頭を冷やして答弁する必要があると思うので、休憩にしたらどうですか。
○山本伊三郎君 私は、千葉会長が言われたが、頭がのぼせたのじゃなくして、しいてそういう答弁をしていると私は理解している。わかっているのだけれども、私はそういう言いのがれを答弁していると思う。というのは、今の不動産部長ですか、第二条の2項を引用されましたが、これはそういう趣旨じゃないと私は考える。問題の点は、第3項の「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」、こういう前提で問題が出てきていると私は見ている。返還ということの前提がなければ、第2項でそういう検討する問題はない。一体日本国政府は、北富士のこの施設区域は返還の必要があるという前提で、この協定によって私は交渉されていると思いますが、それは違いますか。そこが問題だ。
○説明員(沼尻元一君) 返還という意味は、たとえば現在においても、普通の場合だったら、返還というのは、この所有権までも相手に返すというようなことに誤解されがちでございますが、現在としても米軍が施設区域の所有者であるとか、そういうことにはなっていないわけでございます。米軍が返還するという意味は、ここでこの米軍のこの富士演習場が、現在においては四六時中施設区域というふうになっておるわけでございます。これを自衛隊の施設にするということは、自衛隊が将来この施設区域の主人公になる、そして米側はお客様的な立場で使うという、そういうことを内容としたものでございます。
○山本伊三郎君 それは部長の答弁はいいですよ。この第3項に自衛隊が云々ということは、そういうことはうたってないし、要するに、合衆国軍隊が日本国政府に返す、しかも、それは施設及び区域、いわゆるまあこれは法律上占有権になるかどうか知りませんが、そういうものを返還するということを規定してある。それに日本国政府が返してもらった後ですね、ちょっとわかっておりますか。返還の後自衛隊が使うかどうかは、これは日本国政府が決定したらいいのでしょう。それをアメリカ軍が自衛隊に使わすということが前提で返すということは、われわれ地位協定違反であるという断定に立っておるんです。しかも、かりにアメリカ軍がそう主張しても、日本国政府はそういう主張をすべきでないかと思う。かりに向こうの方はいろいろの条件を出してきても、この地域は日本国政府に返してもらいたい、その上で自衛隊が使うかどうかは内政の問題であるし、国内法で規定してやっていく。そうすれば、あとで私が質問しようとする入会権の問題も、これもはっきりしてくるわけですね、その点を私聞いておるんです。安田委員も聞いておる。その点はっきりと調達庁長官から答えてもらいたい。
○説明員(沼尻元一君) この点に関しまして誤解があるといけませんから、私から説明さしていただきたいと思います。米側は、返還を受けた後、自衛隊の施設にすることが条件であるとか、そろいうことを米側として申しておるわけではございません。これは日本側の方から自衛隊の施設にするために返してもらいたいという、返還の理由をそこに求めて交渉しておるわけでございまして、米側としては、返還後も、今までのようでない一時使用、随時ときどき必要なつど使わしてもらう、使わしていただきたいということを条件にしておるわけでございます。従いまして、自衛隊の施設にするかどうかは、今後地元の関係者なんかと協議して、その御了解のもとにそういうことにするということに国内的な運びはなるわけでございます。
○山本伊三郎君 不動産部長の答弁は、防衛庁長官もあるいは林長官も、それはそれで確認しますね。いいんですね。答えて下さい。
○説明員(林一夫君) その通りです。
○山本伊三郎君 そうすると、アメリカ当局は、そういう条件、自衛隊用にするとか、そういうことは一切言っておらない、こういう答弁ですね。それは確認していいですね、今の答弁で。
○説明員(沼尻元一君) 自衛隊の施設にするためにぜひ返還してほしいということを申しているのは日本側でございます。
○山本伊三郎君 それでは、アメリカ軍はそういうことは一切言っておらない。日本国政府が、いわゆる自衛隊にこれを使用したいという意思のあるということは、これは先ほどから言っておられるので、そうすれば解決が早い。まず返してもらいなさい。そういうことを言っておらなければ返してもらわなければならぬ。そして日本国政府は、自衛隊が使いたいんだという希望は、これは国内法に基づいて地元の農民といろいろの権利の問題もあるから話をして、そうしてこの問題を解決しなさい、そうすればこれは一挙に解決しますから。この点私の言ったことに間違いがあれば、あなたの答弁は間違いであるから……。この点どうですか。
○説明員(沼尻元一君) 米側としては、この演習場を海兵隊の演習場として使いたいという強い希望を持っております。従いまして、米側としては現在の形で使いたいというのが当初の非常に強い主張でございましたが、しかし、国内事情もあるから、一応こういう形にしてほしいということで、米側もそういう点についての話し合いがつくならばというところまできておるわけでございますが、一応米側は返したわ、しかし、使えなくなるかもしれぬという形では米側との返還交渉はまとまらないわけでございます。米側としては、やはりその返還すると同時に、将来米側にこういう条件で使わせてあげますというようなことが保証されないと、この返還交渉はまとまらない、そういう性質のものと存じます。
○鈴木強君 僕はちょっと席をはずしておったので、ぼけておったら委員長注意して下さい。私が不思議に思うのは、今のような不動産部長のお話は、調達庁でも長官が確認されておるようです。しからば、さっきも長官がお話になったように、入会組合が四つあるんだが、そのうち忍草組合は言うことを聞いてくれぬ、こういうような手前勝手なことを言っているんですが、その忍草部落の住民が、今日決死隊を組織して反対しているという事由の中に、やはり私は、前の前の長官ですか、江崎長官が、返そうという約束を天野さんという人とやっているんですよ、部落の代表と。ところが、それ以後ちっとも進展がない。進展があるどころか、逆にまた来て演習を始めるというようなこと、しかも、地元の人たちに対する納得はいろいろの形でやったようですけれども、問題がその点にかかっているんだろうと私は思う。なぜ返還してくれないんだ。あのとき江崎さんは政府の閣僚の一人であるし、かりにその人が個人で天野さんに会ったとしても、その防衛長官としての責任は非常に重大であるし、そのことを信頼して忍草の人たちはおったと思う。それが裏切られたということが、やっぱり今日忍草部落の人たちを怒り心頭にせしめている私は原因だと思う。今の不動産部長の言うようなことの了解が、もし当時の江崎さんとの間にあって話がされたとすれば問題なかったと思うんだが、その後藤枝長官にかわっておるけれども、私はその政策というのは、岸内閣、池田内閣といえども踏襲しているものだと理解するんですけれども、その点についてなぜできないんですか。こういう約束をしておきながら、手前の約束を果たさないでいて住民の反対を押さえるというようなことは、ちょっと片ちんばではないでしょうか。そういう点われわれ納得できるような筋を説明してもらいたいと思う。
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉江勝保君) 速記を始めて。
○国務大臣(藤枝泉介君) 昨年のこの地元の部落の代表者と、当時の防衛庁長官との話し合いにつきましては、その後しばしば当委員会でも出ましたような、そういう了解のもとにお話が進められたということを私は聞いてもおりまするし、その当時の情勢として信じております。従いまして、それが何か地元の方々との十分な意思の疎通がないためにこういう問題が起こっているのははなはだ残念でございます。従いまして、その辺は地元の方々と十分意思の疎通をはかるような努力をいたして参りたいと考えております。なお、返還につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、早期という言葉は先ほど伊藤委員からおしかりもありましたが、まさに早期でなかったのでありまするけれども、その見通しはつきかけておるという状態でございます。
○鈴木強君 もう一回。さっき不動産部長のお話で、あとの方を確認されたので、そのことについて質問したいのですが、当初この自衛隊に使わせるときのいきさつというものは、安保条約との関係もあるし、行政協定との関係もあるでしょうが、いずれにしても、一たん日本に返してもらって、そうしてそれをどう使うかということについては、日本政府が独自の立場で検討してきめる、これが筋だと、こういう答弁をされたわけですね。ところが、その最初の不動産部長のお話をちょっと私聞き違ったのかもわかりませんけれども、そうでなくて、自衛隊に使わしてもらうということを条件に出せば米軍から一応演習場を返してもらう、あるいは使用を禁止してもらうとか、そういうふうなことをやりやすいために出したというふうにとれたのですけれども、私はその方が今までの経過から見ても当たっていると思うのですよ。大体ジョイント・ユースなんという言葉を使って地元の人たちに理解をしてもらうというようなことを言っているけれども、ちっとも理解してもらわないために、ちっとも理解してないうちにジョイント・ユースで自衛隊が使い始めた、こういうことがあるのでしょう。そういうことを既成事実としてあなたが答弁しておるのだが、実際にはそうでなくて、自分の都合のいいようなことをして、アメリカ軍と折衝するための便法としてやったのじゃないか、こうわれわれは理解せざるを得ない。だからあなたの答弁は詭弁だということを指摘しておきたい、これはどうですか。
○説明員(沼尻元一君) 先ほども申しましたように、自衛隊としては、この演習場をぜひ自衛隊の演習場にしたいという強い希望を持っておられましたので、その線に従って、米側から一つ自衛隊の施設にしたいのだが、返してほしいということで交渉したわけでございます。
○山本伊三郎君 不動産部長の答弁は、われわれとしては納得できないのです。まあ事務的に経緯を説明されておるということになれば別ですけれどもね。今問題になっているのは、江崎長官のいわゆる文書による回答を通じて、それを返還するかどうか、それの経緯をずっと進んでおるのですね。経過の説明について私は聞いておりません。あなたもせっかく来られたのですから、熱心にやっておられる方ですから聞いておきますが、少なくとも林長官が責任者である以上は、この問題をどう解決するかという熱意を持った態度で進んでもらいたいと思うのですよ。われわれが見ても、北富士のあの平穏な村落に、だれも、もうああいろ問題を起こそうと考えている者はないでしょう。地元の農民の純朴な話を聞くと、われわれはほんとうに胸に迫るものがありますよ。先祖代々からあれによって生活してきた人が、アメリカ軍の演習地なるがゆえに、旧陸軍のいわゆる演習地のときでも、入会権はもちろんのこと、桑園まで許されて、そうしてりっぱに生業をされておったのですよ。それが日本は負けたからどうかと言われるかもしれませんが、しかも、講和条約が発効して今日もうすでに十年になるのですね。それに返還の問題で自衛隊が使うの何のと言ったら、アメリカ軍はあれを何か必要なときに使いたいのだ、使いたいのだが、民間に返してしまうと使えないから、自衛隊に返すのならいいだろうと、こう言っておるのだろうと思う。おそらくあなた方が日本政府の意向だと言っておるけれども、もちろん自衛隊に必要でございましょう。防衛庁の諸君もたくさんおられますけれども、あれを演習場にしたいという希望もあるかもしれない。しかし、自衛隊の演習場になった場合とアメリカ軍が接収しておる場合とは、条件が全部違うのです。従って、われわれが言っておるのは、とにかく日本政府は地位協定第3項によって返してもらいなさい、返してもらった後に自衛隊が使いたいというのならば、地元農民といろいろ話をして、そうしてその上できめたらいいじゃないかというのがわれわれの主張でしょう。筋が通っておるでしょう。自衛隊がいかぬということはこの際言っておらないです。地元の農民の希望もそういうところにあるのですよ。それを自衛隊が何かと出してくるから問題になる。返還をするかどうかということだけの問題です。これは不動産部長にそういう責任がないですよ。政府の責任です。その政府の責任が先ほどからいろいろ言われているけれども、あの文書はだてや何かで出されたもんじゃないと思うのですが、今後一体藤枝長官あるいは林長官は、いつごろにこの問題の解決ができ得るか、その点のめど、こういうものをまず明らかにしてもらいたい。それが今北富士で問題になっておるあの紛争の解決の一歩前進の足がかりであるということをつけ加えて、その答弁を求めます。
○説明員(林一夫君) 返還を早期に解決してもらうようにわれわれは大いに努力して参ったのであります。先ほども申しましたように、特に返還の問題につきましては、富士演習場特別委員会を開きまして、具体的な条件について折衝を進めてきたのであります。最近に至りまして、米軍側の了解を深めまして、先ほど申しましたような立ち入りの問題とか、そういうような具体的な条件がみんな整えば、米軍としては返還に応ずるというところまで参ったのであります。さらにこのような条件を詰めまして、また、地元側の御了解を得て、早期に返還をしてもらうように努力を続けておるわけであります。また、富士演習場の現在の紛争と申しましょうか、紛争は、私どもとしましてもできるだけの手を尽くして努力をして参ってきておるのであります。先ほど来から申し上げております通り、入会組合のお互いの気持が一体となりまして、対立感情を捨てて、みんなで相談していくというような気持になれば、その問題の解決も進展するのではないかという期待を持っておるわけであります。そういうようなところに重点を置いて協議機関の設立を県が中に入りまして進めてきておったわけであります。まあそのような国と県と地元、地元と県と国とのその相互の問の意思がもう少し疎通し合う、全体として疎通し合うというような態勢を作って、円満にこの問題を解決しなければならないと、こういうふうに考えて、そのような方向で努力を重ねておる次第でございます。
○鈴木強君 御努力をいただいておることについては、私も国民の一人として感謝しますが、今の長官のお話も一つの筋ではありましょうが、今日の時点においてそのことだけでは私はなかなか解決ができそうもないと思うのですね。もともと事の始まりが、あなたがどういうふうに強弁しようと、地元との折衝については、非常に私は筋違いとは言いませんが、もう少し慎重な態度であってほしかったということを今でも私は感じておるのです。当時防衛庁のある幕僚が山梨に参りまして、知事室か何かで話をして、よかろうというようなお話があったということも私も聞いておりますけれどもが、それよりももっと大事なことは、当時直接の入会組合もありますし、地元にはいろんな団体もあります。自治体もあるわけですから、そういうところに、県庁に行く前に、十分に事前の打ち合わせをして、地元の人たちも理解をした上で手続をおとりになればよかったと思うのですが、そういう手続上の問題についても、私は多少のというよりか、かなりの問題があったと思う。そういうことが今日の問題がこじれる大きな原因になっていると思う。あなたが言われるように、静岡の東富士のように、県一体となって国と話をする、そしてそこに一つのルールを設け、条件を出して解決していく、こういうような道が、残念ながら、私の郷里ですけれども、山梨の場合は出てない。そういうことが今申し上げましたような問題に当初原因があったということを率直に考えておいていただきたいと思う。それできょうから米軍がポンポンやり出すと、こういうふうなお話もあったようですが、新聞紙上の報道によると、きょうはやめて、何か延期したようなことをいわれておりますけれども、私はもう少しどうでしょうか、あなたの今の一つの策も一策だと思いますけれども、もっと積極的に米軍とも話をして、少なくともあそこは富士山ろくですし、当時オネスト・ジョンを使うときは、アメリカの国防省筋では、日本人にとれば富士山というのは神様のように崇拝している一つのシンボルの山じゃないか、その富士のふもとでオネスト・ジョンをぶつ放すということは日本人の感情をそこなわすのではないかという、こういう一つの世論が出たことを新聞報道によって承知しているわけです。ですから、もう少しアメリカに対して現在の実情を理解してもらうことによって、少なくともそういうトラブルが一つの方向に向かって解決するという目途がつかない限りは、私は米軍の今度の演習については、やっちゃ困るというくらいのやはり強い態度でもって日本政府がアメリカに当たらなければならぬし、それは何も私はそういうことでけんかをしてくれということではなくて、深い理解を求めれば、私は民主主義の発達しているアメリカですから、われわれの意見をてんで問題にしないということはないと思うのです。わかればそういう態度もとってくれると思うので、一面そういうようなやはり対外的な対米交渉というものももっと強化してもらって、何とかこの事態を円満に解決するような努力を積極的にやる必要があるのではないかと私は思うのですけれども、ですから、あなたは一つ勇気を持って、この問題の解決するまでは演習は困るというふうな申し入れをアメリカにやってもらいたい。これは私の強い意見ですけれども、そして当面する問題の解決に全力を注ぐ。われわれもまたもちろん責任の一端はあるわけですから、協力をいたしますが、そういう強い態度でこの問題の解決に当たってもらいたいと思いますが、これはどうでしょうか。これは防衛庁長官からもあわせてお答えをいただきたいと思います。
○説明員(林一夫君) 御承知のように、米軍よりは、東富士及び北富士演習場において八月三十一日から九月三十日まで演習を行なうという通知が来ておるわけであります。そして政府としましても、この演習が円満に実施できるよう地元の説得その他努力してきたのでありまするが、現在まだ米軍が演習ができるような状態になっていないのを遺憾に存じております。私どもといたしましては、今後ともすみやかに米軍の演習が実施することができるよう、引き続いて地元の説得に当たる努力を続けていきたいと、こういうように考えております。いろいろ方法があろうと思います。私どもの考えられるあらゆる努力を払って、米軍の演習が早く実施できるように努力を続けていきたいと、こういうふうに考えております。
○国務大臣(藤枝泉介君) いろいろ手段はあろうかと思います。考え得る最良の手段をもちましてこの問題を円満に解決したい、さように努力を続けて参りたいと思っております。
○鈴木強君 私は林長官の答弁を聞いておりまして、非常に情なく思うのは、なるほど八月三十一日から九月の終わりまで米軍は演習をさせてもらいたいと言ってきたでしょう、これは事実でしょう。しかし、あなたそういう演習をするという通知を受けたときに、それでは日本の北富士、東富士を中心にした受け入れ態勢はどうなのかという分析をあなた方はやられたのですか。こういう問題があるのにかかわらず、まあいいでございましょうというような回答を出したか出さぬか私は知りませんけれども、そんな情勢分析の自分の甘さをたなに上げておいて、こういう分析をやらないで、いよいよ来たら演習できない。何千人か知りませんけれども、米軍が来たでしょう。そういう人がじんぜん日をむなしうしてきょうもあしたも待っているということに対しては、これはアメリカの方では、何だ、やれると思って来たのにお前らけしからぬと言うかもしれないが、もう少し私はこういう事態の認識をアメリカに話せばわかると思う、私はアメリカを知っておりますから。そんなにむやみやたらに民主主義を踏みにじってもやろうというわけじゃないですよ。だから、こういう事情がありますから、どうぞ問題が解決するまでは多少延期してもらいたいという事前の折衝ぐらいはあなたのところでやるのはあたりまえですよ。それをやらないで、できるようなことを言っておいてできぬから、一生懸命一日も早くできるようにやるのだと、責任のがれもはなはだしいですよ。そんな優柔不断なことでもってやっているからこういう事態になって、国会でまた論議しなければならぬのです。もう少ししんのある、根性のある態度であなた方が米軍と話してみたら、それはわかると思う。今までそういう努力をしたのですか。そういうふうな地元の空気も向こうに伝えたのですか。そういうこともやらないで、何でもかんでも早く解決するのだ、それは早く解決するのも、納得の上でやるならいいのだが、そう簡単に一日や二日でやろうといってできることじゃないでしょう。あそこに人がすわり込んでも実弾を撃ちまくるというようなことができますか。それでできなければ、警察官を持ってきて、四百名で引きずり出すというような、そういう暴力行為で住民の要求を退けるというようなことはふらち千万です。しかも、さっき私が言っているような約束を政府がしておりながら、まあ約束には早期とか短期とかあろうが、少なくとも早期という言葉を使っている以上は、それから何年たってもそういうような約束を果たさないで、今とこで何でもかんでもやろうということは、これはどっちが間違っているか、これは世論でよくわかる。私は説教がましいことを言うのじゃないが、そういうふうなもう少し大局的見地から周到な配慮をしておくべきであったにもかかわらず、そういう点について怠慢があったのじゃないか、私はそういう点を責めているんです。もう少し勇気を持ってくれなければ困る。せっかく来てもらったのだから、これこれこういう事情でできないから困る。われわれも誠意をもって解決する、御期待に沿うようにするから、まあ十分解決するまでは鉄砲だま射つことはやめてくれ、これが言えないのですか。私はやってくれという強い希望を含めてあなたに聞いたのだが、そういうことについては何も答えていない。どうですか。
○説明員(林一夫君) 私どもとしましては、この演習が円満に実施できるようにいたさなければならないわけです。そのために日夜努力しまして、地元の御理解をいただくよう努力を続けてきたのであります。今後ともさらに一段と努力を続けまして、演習が早く実施できるような状態を作りたい、こういうふうに考えております。
○伊藤顕道君 どうも答弁を聞いていると合点がいかないのですね。調達庁長官の御答弁を聞いておりますと、主体をアメリカ軍の演習に置いているわけですね。何とか早く演習が実現できるように地元民を説得して云々ということですが、そういうことになると、日本の国が、あるいは日本人がいかなる犠牲を払っても、アメリカの軍の利益のためならばやむを得ない、それでいいんだ、そういうように受け取れるわけですね。これはまさに逆だと思うのですよ。やはり問題を解決すれば、おのずからある条件で演習はできるようになるかもしれぬ。そういう根本的な問題を解決しないで、ただ米軍の便宜だけを考えて、日本並びに日本人の犠牲を考えないということはふらち千万じゃないですか。ここに問題があろうと思う。従って、調達庁としては、まず問題の解明に最大限の努力をすること、そうしてそれまでは無期延期してもらう。米軍に交渉して解決するまでは無期延期してもらうという心がまえで交渉あってしかるべきだと思う。先ほど山本委員からも質問があったが、両長官からは何らそれに答えていないわけです。先ほどの調達庁長官の御答弁を聞いておりますと、条件が整えば米軍は返還すると言っているというような意味だけで、見通しについてはどうかということについては答えがないわけです。これは関連がある問題ですが、とにもかくにも、一体いつごろ返還できるのか、条件が整えば米軍は返すと言っているということであるならば、その条件は大体いつ整うのか、こういう推定がつけば、いつどの程度に返還できるということの見通しは、専門家である防衛庁、調達庁としては、当然推察がつかなければならぬはずです。そういうことを一つお伺いし、また、米軍に対して、先のように、問題が解明するまでは無期延期してもらう、こういう交渉ができるのかどうか、とうていそういうことは交渉できないのかということ、こういう点についても態度を明かにしていただきたいと思う。そういう弱腰でなく、当然に要求するところは、当然日本を代表して、そして日本人を代表して強硬に交渉してしかるべきだと思う。そういう心がまえがない限りは、とうていこの問題は解決しないと思う。その二つの点についてお尋ねしたいと思います。
○説明員(林一夫君) 返還の問題についての米側との折衝は、先ほど申しましたように、富士演習場特別委員会というものを設けまして、早く妥結に達するように努力をいたしておるのであります。従いまして、もろもろの条件が整えば向こうは返還に応ずるという態度に出てきておるのであります。そのような具体的な条件がだんだんと整っていくと思うのであります。それがいつごろに整って、条件について地元と話がついて返還が実現するかというようなことにつきましては、はっきり期日を申し上げることはできないと思います。
○伊藤顕道君 はっきりした目標は言えないということですが、仕事をやるのに何か目標がなくて仕事をやっているわけじゃないでしょう。大体めどというものをおいて、そのめどを目標として最大限の努力をする、そういうことでなければならぬと思う。めどがないということはないと思う。従って、もしそういうことが言えないとするならば、調達庁としては大体いつごろにめどをおいて実現するよう最高度の努力をする、こういうことは言えると思う。めどというものが仕事にはある。ただ漠然とやっておるわけじゃないでしょう。めどをおいて、そのめどまでに完全に解決し得るよう最大限の努力をする、どういうことでなければならぬ。仕事には必ずめどというものがあるはずだ。従って、そういうことが言えないとすれば、一応調達庁としてはいつごろにめどをおいて最高度の努力をして解決をはかりたい、こういうことを言っていただきたい。それといま一つお伺いしておったわけです。米軍に対してどのような具体的な態度で今後交渉されるのかということについてもあわせてお答えいただきたい。
○説明員(林一夫君) 条件の妥結のめど、返還のめどというお話でございますが、最近に至りまして、条件が整えば返還に応ずるというように理解が深まってきたのであります。今後さらに何回となく折衝しまして、なるべく早くそのめどを立てたいと思います。なるべく早く実現するように努力したいと思っております。 もう一つの、米軍に対して演習を取りやめるように話し込んだらどうかというお尋ねのようであります。先ほども申しましたように、私どもはなるべく早くこの地元の方々の御理解をいただいて、円満に演習が実施できるようにいたしたいと目下努力しておる。その方法にはいろいろあると思いますが、さらに重ねて最大の努力を傾注して、まず地元の御納得をいただきたい、こういうふうに考えておる。
○伊藤顕道君 少しも私のお伺いしておることについての御答弁とは受け取りがたいのですがね。私は二つの問題として聞いておるのは、どのような心がまえでアメリカに交渉されるかということに対して、できるだけ早くとか、そういう表現で努力しておる、先ほど申されたように、米軍の演習ができるように、地元民とも話し合って説得してと、同じことを繰り返しておるわけです。そういうことを聞いておるのではない。そういう考え方ではだめだから、そういう考え方をかなぐり捨てて、新たな腹がまえで、一つこの問題を解決するまでは、無期延期までしてこの問題を早急に解決する、そういう交渉が米軍に対してできるかどうかということを伺っておるわけです。心がまえを伺っておるわけです。
○説明員(林一夫君) 私どもの心がまえは、地元の方々の御納得を得て円満に解決し、この演習が早く実施できるように努力をいたしたいと、こういうふうに考えております。そういう努力を継続していきたいと、このように考えております。
○伊藤顕道君 地元民と話し合って、納得してもらって演習ができるようにしたいということを繰り返しておられるわけですが、地元民が納得する一つの条件は、早期返還ということです。入会慣行の承認ということは、要約すれば早期返還にも通ずるわけです。早期返還すれば入会権の尊重は当然実現されるわけです。従って、そういう意味からいえば、早期返還ということなくしては地元民は納得しない。だから弾丸の降る中を、生命の危険を感じながらも祖先伝来の土地を守らなければならんということで、生活権を守るためにすわり込みを敢行する。そういう死を決して決意を固めての行動をとっておるわけです。そういう忍草の代表に対して、説得、納得という方法はほかにございますか。早期返還以外にはないわけです。早期返還によってすべては解決するわけです。自衛隊云々の問題はその後の問題です。そういうことなくして、ただ単に早期返還なくして地元民は納得しません。そういう認識でおるからこの問題はなかなか解明されない。今この段階で早期返還なくして解決の方法がありとお考えになっておるのか、そういうことではこの問題はとうてい解決しない、この点はいかがです。ここが問題点だと思う。ただ単なる説得で、どのような説得力が調達庁長官におありか存じませんけれども、この基本的な問題が解明されないでは、断じて地元民は納得いたしません。こういうことは明々白々の事実じゃないですか。だから死を決してすわり込みを敢行しようとしておる。現にしておる。この点を重ねてお伺いしたい。
○説明員(林一夫君) 先ほども申し上げましたように、返還についてはずっと努力しておるのであります。米側も最近理解を深めてきておるのであります。まあいろいろの条件があるのであります。そのような条件が整えば返還に応ずるというところまできておるのです。それで今すぐというようなことは申し上げられん。だんだんにこのような条件が整っていく、そうして地元関係者とこれらの条件について打ち合わせをしていくというようなことが、だんだんとそういうことができる時期が接近してきておると私は考えておる。いつごろそれが実現できるか、あるいはいつごろをめどにしておるかというようなところは、今のところめどは立たないと、こういうふうに申し上げるよりほかはないと思う。 ただ、米軍がそういうような理解を深めてきて、条件が整えば返還に応ずるというところまできておるわけであります。今後大いに折衝に努力を重ねまして、早くこの条件が整って返還が実現できるようにさらに努力を続けたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○伊藤顕道君 米軍に対しては……。
○説明員(林一夫君) 米軍の演習のことでございますが、これは先ほど来申し上げておる通り、われわれとしましては、演習場が円満に使用できるような状態に早くするように、いろいろの方法を講じまして地元の方々に訴えておるわけであります。これこそ早く一つ解決しまして、円満に米軍が使用できるような状態を実現したい。こういうふうに念願しておる次第でございます。
○伊藤顕道君 今の長官の御答弁を聞いていますというと、前は米軍の演習が早くできるようにという、そういうお答えであった。今度は少し変わってきて、米軍の演習のできるような状態を早く作りたい、少し変わってきたのですが、そういうことを何も追及する意味はございませんが、結局もう条件が整えば米軍は返還するというところまできておる、そういうことを繰り返し言っておられるのですが、それでは、私もここで何もきょうあしたに返還が実現するように努力すべきだということを言っておるわけじゃない。非常にこれは困難な問題もあろう、だからその条件が整えば米軍も返還するということを言っておるのだから、調達庁としては、条件が整うのを一応どの辺にめどを置いて努力しようとしておるかということを伺っておるのですが、それについては言えないというのですが、仕事のめどがなくて仕事ができますか。調達庁も計画を立ててやっておるのでしょう。無計画でやるのではないでしょう。計画を立てる以上、めどというものは当然出てくるわけです。それをどの辺に置いてやるかということ、何年何月何日ということを伺っておるのじゃない。大体何月ごろにめどを置いて実現のために最大限の努力をする、そういうこと。そうしてそれがめどのつくまで米軍の演習については、これ実弾射撃をやれば日本人に対して相当な犠牲があるわけです。米軍の利益のためには日本人はどうなってもいいというお考えではなかろうと思う。米軍の利益のためには日本人がどのような犠牲をあえてしても、これはやむを得ない、差しつかえない、こういうお考えではないと思う。そうだとすれば、この問題解決のためには延期してもらった方がいい、そういう交渉がなぜできないのか、調達庁長官が日本人を代表して、日本を代表して交渉するのにそういう心がまえがどうして持てないかということを重ねてお伺いする。この二つの点についてさらにお伺いしたい。
○説明員(林一夫君) この返還の問題についての米軍との折衝でございますが、先ほど来申しました通り、今具体的な諸条件について調整中でございまして、なかなかこの条件の調整ということは、いつごろまでに終わるかというようなことは申し上げられないような内容でございます。なるべく早くこの調整を終わって返還の方に前進したいと、こういうように考えておるのであります。いつごろまでにできるかというめどは、今のところは簡単には申し上げられない、こういうように考えております。 もう一つ米軍の演習のことでございますが、先ほどから申し上げておる通り、何とか早く一つ地元の方々の御協力を得て、円満に演習場が使えるように、しかも、早くそういうような状態になるように努力をしておるのであります。まあそのためにはいろいろの方法が考えられ、われわれも日夜その点について苦心をしておるのであります。なるべく早く一つこの問題も解決して、早く演習ができるような状態を作りたいというふうに考えております。
○安田敏雄君 どうも答弁が納得いかないのですがね。私、前に戻りますけれども、いろいろの条件の調整がつかないからまだその返還というところまで話し合いが進んでおらぬ、こういうことを言っておるわけなんです。しかし、聞くところによりますというと、米軍が富士に演習場を必要としていることはよくわかっている。しかし、ときたま来て、そしてあそこで演習することができ得るならば返還してもよろしいという米国の意図が、新しい意向が要望されているわけなのです。そういう米国の立場であって、それに条件をつけておるのが日本側なんでしょう。自衛隊の演習場としなければならないということを言っておるのは日本側なんです。ですから、米国側の方では条件を提示しておらぬ。期間限定の演習をすることができるならば返してもよろしいという申し入れをしておるはずなんです。ですから、それを日本側政府が率直に受け取って、わかりましたと、私はそういうことになりますれば、結局地位協定上の返還ということになって、条約協定上の施設区域であることが解除されるわけなのです。そこで初めて今度国内的の問題となって、今度は期間限定の演習をアメリカ軍にさせるか、あるいは今度自衛隊に使用させるかということは、その解除されたあとの問題になる。そういう経過があるということをわれわれは聞いております。ですから、これを米軍の期間限定の使用の申し出に対してどういう態度をとっておるかということをまず明らかにされたい。何か先ほどの長官の答弁の中では、これは伊藤さんの最初の私に関する関連質問の中で、アメリカ側の方が提案してきたら、条件を提案してきたらということを、ちょっとあとで速記録を見ればわかりますが、あった。また、調達庁のほかの人の方からは、日本側から提案してとまあ言っておりますが、その後の答弁の中では、明らかに自衛隊の使用ということを、演習場にするのだということを日本側から提案しておる。それで、もっていろいろの条件が整備されなければという理由がどうしても納得がいかないわけなんです。そこら辺の真相を一つ率直に御説明願いたいと思うわけです。
○説明員(林一夫君) 返還の問題につきましては、先ほど来から申し上げておる通り、この富士演習場は、米軍の演習場としても非常に重要な演習場であります。現状のままどうしても使いたいという強い希望を持っております。それで自衛隊としても、もちろんこれは大事な演習場でありますということで、この返還を交渉するについては、まず自衛隊に返還を受けて、そして米軍にも必要なつど使わせてやるということで米軍と返還の折衝をしてきておる。そのような折衝の経過で、その折衝の具体的な条件につきましても、先ほど申しましたような、たとえば立ち入りの問題とか、あるいは観光シーズンにおける演習場の条件などについて折衝しておるのであります。
○安田敏雄君 私が聞いておるのは、米軍が新しく、最近、特別委員会か、あるいは日米合同委員会かは知りませんけれども、富士演習場は米側にとっても必要なんです。従って、年がら年中使うわけでなくて、ときたま期間をきめてそこに行って演習をするということが可能ならば、これは演習場を返還してもいいという新しい意向を表明しているわけなんです。もし自衛隊に使わせるということを米国側が言ったとするならば、これは自衛隊も使ったりするということが前提で返還するというようなことを、かりにアメリカの方が言ったとするならば、これは内政干渉の疑いも出てくるわけなんです。ですから、おそらくそういうことは言わないと思う。従って、期間を限定して演習をするのだという提案をしているわけですから、それを率直にそういう事情があったかどうかということをはっきり言ってくれればいい。ですから、むしろ自衛隊に使わせるのだということは、日本側の方からそこへ出しておるわけなんです。日本側が出すとするならば、これは返還問題とは別個の問題のわけなんだ。それを演習場返還の問題へからんで話をするということは、どうしても私としては納得できない。筋が通らない。ですから、その辺の米側の新しい提案について、それは事実であったのか、あるいはそういう意向がきたか、こういう点を率直に一つ御説明願いたいと思うわけでございます。
○説明員(林一夫君) 先ほど来申しております通り、自衛隊の施設として使いたいというもちろん防衛庁の希望もあった。けれども、米軍としましては、この富士演習場というものは非常に重要な演習場でございますので、これを使いたいという強い意思があったわけでございます。この返還を受けるについては、やはり自衛隊もこれを希望するということで、まず自衛隊がこれを使うということで、そのかわり必要のつど米軍にもこれの使用を許すということで返還の折衝を続けてきておったわけでございます。途中でこういうような新しい付加条件がついたというわけではございません。
○安田敏雄君 米側があすこの所、北富士の演習場、東富士もそうですが、必要だということはよくわかっておる。必要だということはよくわかっておるが、だからこそ米側が必要に応じて、年間のうち——まあ国際情勢の変化もありましょうが、そういう必要性に迫られてときどき期間を定めて使うということができ得るならば返してもよいという新しい提案をやっておるわけなんだ。だから、率直に政府がそれをそのまま受け取って返還の方向へ努力すべきなんだ。それを、自衛隊が希望しておるから、すなわち、政府が自衛隊に使わしたいからということで、そしてその条件が整わなければ返還はむずかしいというようなことをみずから言うのはおかしいですよ。これは返還の後に自衛隊の問題は当然くるのに、それは地位協定ではっきりきまっておるわけでしょう。地位協定で施設区域であるということが解除されれば、それは当然普通の国有地になる。国有の普通財産になるわけなんだ。そこで初めて今度は地元との間におけるいろいろの権益の問題が出てくるわけなんだ。そういうようなものを、最初米側のその好意的な意向にもかかわらず、日本政府が、無理にそこへ返還のでき得ないような条件を入れて、そして問題を紛糾させるところにこの返還の困難性の問題が生じておるという工合に解せられるわけなんです。そこら辺のところの、率直に米側の意向の真相を十分に——確かに新しい提案をしてきているはずなんです。それはないのですかそういう提案は、米側から。
○説明員(林一夫君) おっしゃる意味の新しい提案というのはちょっとわかりませんですが、別に新しい提案をしてきているわけではないのでございまして、自衛隊がこれを使用し、米軍にその必要のつど使わせるということは、この返還問題というか、返還を受ける上において最も妥当な方法であるということで折衝を続けて参ったのであります。特に新しい条件がその間に加わったというようには私どもは考えていないのです。
○安田敏雄君 それならば、米軍が、自衛隊の演習場としなければならないということを、その方がいいのだという、慫慂しているということに基づいているわけですか。米側が、自衛隊の使用を前提とするということでなければ困る、こういうことを言っているわけですか。
○説明員(沼尻元一君) 米側としては、この返還をしたあとにおいても、必要なつど使わしていただきたい、そのための諸条件を言っておるわけでございますが、しかし、日本側としては、先ほど来、自衛隊の施設としたい。ところが、米側が返還してしまったあとに、たとえば米側としては、現在とあまり変わらない形で将来演習をときどきやるときに、演習ができるようなことにしていただきたい。そうするためには、返還を受けて、これが工場地帯になってしまうというのでは、演習場にするというようなこともわれわれとしては約束を米側に対してもできないわけでございます。従いまして、自衛隊の施設にしたいということは、日本側のこれは要望でございますが、これはしかし、現在の形を変えることでございますので、そういったことを日米両政府間できめてしまうという性格のものではないのでございまして、ある程度返還の諸条件が固まりましたならば、それをひっさげて、地元と、自衛隊の施設にしたいということ並びに米側の使いたいという新しい諸条件等について、地元関係者とそういう点も話し合った上、そうして話し合いが整ったあと、米側の要請にも応ぜられるというようなことになるわけでございます。
○安田敏雄君 何かどうも納得がいかないのですが、どうも返還に事寄せて、自衛隊の演習するということを暗黙のうちに既成の事実を作っていこう、何かその陰には、アメリカの権威のもとでもって、その国民のいわゆる批判を押さえていこう、こういうような気がしてしようがないのですよ。これはまあ私の主観だか知らぬけれども、ですから、アメリカは自衛隊云々を言っていない。問題は、あそこの演習地が使えればいいわけです。ですから、そういう状態の中で返還の約束をして、初めてその県なり地元民なり、特に返還の公約をした忍野村に、アメリカが期間使用を限定したい、どうだ、こういう話です。自衛隊に使うなら、そこで初めていわゆる国内法に基づいて自衛隊に使わせるのだ、これについての権益問題はいろいろな困難な問題があるけれども、それは今後の協議の上でしましょう、こういう態度でいけばすっきりしてこの問題は片づくわけです。ところが、アメリカ側では何の条件も提示しない。ただ演習地が使えればいいのだという、そういう中で日本政府が自衛隊に使わせなきゃ困るといって、みずから困難ないわゆる条件を提示しておるわけなんです。しかも、そういうような経過については、少しも去年からことしまで公約したことについての忍草村民に折衝もしておらぬ。もししておったというならば、防衛庁の前で四月二十七日から二十九日ハンストをやった。しかも、その過程において政府の誠意が披瀝されないということで、今度は五月の八日から、毎年周期的にやってきます九月の演習に備えてすわり込みをしたわけなんです。もう百二十日近くすわり込みをしているわけです。政府がただいま答弁のような意図を持っておるとするならば、この百二十日の間に、私たちはこういうような率直に言って意見を持っておる。また、米側もそれを了承しておる。だから、一つ五月八日以来の、やがて九月の演習期がくれば緊迫化する。そういう情勢の中では、この百二十日間を何もしないで政府当局は送ってきたわけなんです。それで、いざ演習の通知を受けてびっくりして、今度は九月一日から演習が始まるというのに、八月の二十九日から三十一日と三日間努力をしたといっても、それは努力にならぬ、客観的に見て。こういう経過から見ますというと、どうしても日本政府が、自衛隊という問題、国内的な問題に固執して、そういう困難な条件をみずから作り上げておる。裏を返せば、これはうんと裏を返して悪く解釈すれば、アメリカ軍からそういう要請があったから、それをつくろうために、国内干渉だ、内政干渉だというようなことを避け得る一つの道を皆さんの方ででっち上げようとしておるというようにしか受け取れないわけなんです。少しも何ら努力をしておらぬ。ですから演習場問題は紛糾していくわけです。従って、先ほど伊藤委員の言うように、ああいうきつい質問が出るわけなんです。問題の一番起きておるところの地元民の方に向かって何とか納得させようさせようとする。協議会を作るにいたしましても、一番困難なところを抜いて、そしてあとは補償料だけ何とかしてすぐ使う、民生安定策だけ何とかして頼もうというところだけ、これは協議会を作るのはいいですが、そういうところだけ相手にして、一番問題の忍草、新屋については、何らこの五月以来、せっぱ詰まるまで交渉しておらぬ。ですから、そういう経過から見るならば、政府みずから、調達庁みずからが紛糾を作り上げておるわけなんです。ですから伊藤委員が、そういう態度を一変して、そうして問題の早急の一つ処理を米軍当局に要請して、話し合いがつくまでは演習は中止させるんだ、こういう態度が必要なんだと思う。また、そういうことをやってこそ早くこの返還問題が——どうなるかわかりませんが、最終の一つ見通しがついてくる、こういうように考えるわけです。ですから、米国が新しい提案という問題ではなくて、従来からだというならば、自衛隊なんということをそこへ織り込んでいくということ自体が問題の紛糾を生じておる。また、返還という地位協定上の問題からすれば、国内的なそういう問題、これは国有地なんですから、返還が出れば今度国有地で、自衛隊に使わせたければ、国有地に対して今度は地元民の長年の権益であるところの、いわゆる利用した収益についての問題については、話し合っていけばそれは問題の解決がつくわけです。私はそういう態度であってほしいと思うわけです。こういう点についても、まあ長々と申し上げましたが、防衛庁長官からも調達庁長官からも、親切な一つ答弁をお願いしたい、こういうように考えるわけであります。
○国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど来お答え申し上げましたように、この富士演習場の返還につきましては、今、安田さんも御指摘になったように、米軍が今後限定使用をいたしたい、それを確保してもらえるならばということなわけです。従いまして、その米軍の限定使用を確保するような方法は、これは日本政府として考えなければならないわけです。その中には、場合によっては関係の方面との協議も必要な面があろうかと思います。ただ、何分にも、残念ながら、そうした問題の意向が判明して参りましたのが最近のことでございます。従いまして、それに基づいて、御承知のように、八月二十二日に基地問題等閣僚懇談会を開きまして、そういうことを前提としてああした処置をやってもらいたいということを地元に伝えたような次第でございます。従いまして、今後の問題といたしましては、今御指摘もありましたが、一番問題のところを除いて、そのほかのなにをしようというようなことでございませんので、十分問題の所在の点に焦点を合わせまして、そして問題を解決していくという方向で今努力をいたしておる次第でございます。
○説明員(林一夫君) この問題は、先ほどから申し上げましたように、このような返還の問題ということはこういう問題であるということは、るる地元の方々にも説明申し上げてきたのであります。まだ十分に御理解をいただいていないのはまことに遺憾に思っておるのであります。今後こういうようなことについても十分御理解をいただきまして、早くこの演習場問題が解決できるように、一つお互いに意思を通じ合って努力して参りたいと、こういうふうに考えておるのであります。で、先ほどの協議会の方法が、入会補償だけに限ってというようなお話なんでありますが、まあ民生安定の問題につきましては、これは県においてこれをとりまとめて国の方と協議をする。入会補償も、各地元組合の相互に関連するようなものは皆で相談し合っていくというような仕組みでございまして、もう皆があのような仕組みのもとに、ほんとうに気持を通じ合って、県のあっせんのもとに国と話し合っていけば、おのずから打開の道があると、こういうふうに私は考えておるわけであります。今後ともそんなようなことで大いに努力を続けていきたい、こういうふうに考えております。
○安田敏雄君 その公約、江崎さん個人じゃないですよ。長官当時の公約ですから、これは政府の公約なんだ。従って、その公約をして一年以上たっておるのです。ところが、早期返還についての約束が行なわれておりません、忍草農民に対して。忍草部落と江崎長官とは公約したわけなんだ。ですから、それがもちろん早急にといっても相手のあることですから、なかなかそれは解決つかぬかわかりませんが、そういう解決つかないならつかないなりの経過というようなものが、こういう演習の情勢の緊迫の中ですわり込みをやるという情勢が明らかになっておるわけなんです。去年もあの闘いが行なわれたわけなんですよ。それで江崎長官もああいう公約をしたわけなんです。ですから、一年以上たったその公約を迫っての闘いのわけなんだと私は思うわけです、すわり込みだろうと思うわけです。ですから、政府が無理にそういうアメリカ側の率直な意向を受けないで、それで自分の方で自衛隊にこれをしなければ、何かアメリカ軍にあすこを使わせることができないだろうというような疑心暗鬼な政治的な態度というものは、これはぬぐい去らなければいかんだろうと思うのですよ。そういうところに問題が激化するわけなんです。ですから返還をさせて、そしてそのあとで自衛隊が使うならば、国内法に基づいて、はっきり国際法と国内法の立場を明らかにして問題の処理をすべきじゃないか、こういうふうに考えているわけなんだ。そういう態度で事に臨めば、問題は新しい方向へ転換していくのじゃないかというように考えて私は申し上げたわけなんです。しかし、このままいつまでも長く——もうあしたにもあさってにも演習を開始するかもわかりません。山梨県当局から地元に対しては、十一日から十六日までは立ち入りを禁止すると、こういう通知があった。で、県内の警察隊を四百人ぐらい、警視庁の機動隊までも動員してくるのだという、こういう緊迫した状態があるわけです。ですから、そういう返還の話が難航するというならばそれでもいいから、あの演習の現実の問題を処理していくためには中止させていくとか、話し合いがつくまでは延期させるという、そういう態度で、再度地元民でなくて、米軍の方へ向かって、私は日本の国民の政府であるというならば、その方に向かって、米軍の方に向かって、交渉していくということ、そうして問題を平穏にこの緊迫した事態をおさめるということがほんとうの政治のあり方だというように判断するわけなんです。そこら辺のところをはっきりと私は心がまえを一つもう一度——先ほどから何でもかでも演習させなければならぬ、地元民を説得するのだ、こういうことを言っておるわけだけれども、それでは事は済まない、こういうように思うわけです。御答弁をお願いしたいと思います。
○説明員(林一夫君) この問題を円満に解決するように昨年来努力はしておる。別に政府がその間何もしなかったというわけではない。いろいろの方法でもって努力はしてきたのであります。遺憾ながら現在の状態に立ち至っているのであります。何はさておき、早くこの事態を円満に解決しまして、まあ演習が円満に実施されるような状態を作り出すということが私は大事なことである。もちろんそのためには、やはり地元の方々の御協力をどうしても得なくちゃならぬ、この御協力を得るにはいろいろの方法があろうと思うのであります。地元の方々、県、国、一体となって何らかこの円満に解決する方法を見出して、早く万事が円満にいくような状態ができるようなことを期待しておるわけであります。 何しろ、先ほど来からいろいろ申し上げましたように、地元の方々の考え方と私どもの考え方、いろいろ違った点があったのであります。そのような考え方の違い、ことに返還の問題だとか、あるいは入会慣行の問題などにつきまして、るる説明は尽くしておるのでありますが、まだ十分御理解をいただいていないような状態であります。今後ともそういうような問題についても、大いに御理解をいただくように努力いたしますとともに、さしあたっての問題について、早く解決できるように十分努力したい、こういうふうに考えております。
○安田敏雄君 何か米軍が絶対だというような印象を受けるのですね。新安保条約というものは、そういうように屈辱的な問題じゃないのでしょう。世間一般にいうとなると、日米対等だということを政府はよく言いふらしているわけです。しかし、アメリカ軍があそこの演習場をほしいことはよくわかっておる。ところが、地元にそういう困難な問題が発生しておって、きわめてこれは人命に関係する問題であるし、あるいは地元民からいえば、入会権とか、あるいはそういういろいろ権利に関係する問題なんです。そういうようなところへもってきて、非常に困難な情勢が国内でアメリカの使用せんとする目的地にあったという場合には、むしろこれはアメリカ軍の方に、ちょっと地元の方に困難な問題があるから、ですから日本政府としては、演習を待っていただきたいというくらいのなぜ要請ができないか、そのくらいの要請は当然してしかるべきだろうと思う。しかも、そういうような要請をしないで努力しよう努力しようと言ったって、それはとても容易じゃない。協議会の問題は今後の問題なんです。今の事態に対してどうおさめるかという立場に立つなら、もちろん地元民の説得も必要だろう。しかし、逆に米軍の方に向かっても懇請をしていくという、こういう態度がない限りにおいては、事態の収拾というものは、これはとても大へんなんです。こういう点について一つ簡単でいいですから、腹がまえをお答え願いたいと思う。
○説明員(林一夫君) 米軍に対して弱いじゃないかというお話でございますが、米軍との折衝は、先ほどのその返還の問題につきましても、もちろん大いにこちらの強い意思を示してやっておるのであります。この演習場の問題につきましても、われわれは大いに努力しまして、米軍に対しても、これは早く使ってもらおうじゃないか、地元の方々についても、早く一つ御理解いただいて解決していただきたい、こういうふうに考えております。そのためには、やはり全部が一緒になって円満に解決するということが最も大事なことであると、こういうふうに考えているわけです。その点を一つ御了解をいただきたい。
○安田敏雄君 もう一つ。自衛隊で使わせるということが、かりにあなたの方でも前提で、それが中心的な条件として認められるならば返してもいいということなんですが、現実にその定められた地位協定の規定からいきますと、自衛隊が使うということが幾ら前提条件になっておっても、これは返還すれば、勢い国有財産として、あすこの土地は国の手に返えるはずなんですよ。そうでしょう。その場合に当然発生するのは、あすこにあるところの政府は入会権を認めないということを言っておりますが、入会慣習というものは必然的に生きてくるのです。ですから、そういう場合であってさえも、はたして政府の言う通りに、そういう利害関係がある地元民にとっての重大な入会権という問題をめぐっての、いわゆる利用権益に対する、収益に対するところの話し合いが進まなければ、これはどうにもこうにもならぬわけです。ですから、あえてそういう自衛隊云々という条件をつけるということは、これはちょっと政府としてもおかしいあれなんです。幾ら条件をつけても、必然的にそこへ出てくるわけです。アメリカ軍の期間限定使用の問題にしても、やはりそういうことをすれば、地元住民に対しての了解を求めていかなければならぬことになるわけです。ですから、そこら辺のところをはっきり筋道立って一つ十分対処していただきたいということで終わります。
○山本伊三郎君 締めくくるわけではないのですが、安田委員の言われていることについて、林長官は、きわめて答弁を避けておると思うのです。これはやはり林長官では無理だと思うのです。国務大臣である防衛庁長官にはっきり一つ具体的に答弁してもらいたい。問題を二つに分けて、返還の問題は論議し尽くされているので、この問題は一応今後の問題といたしまして、ただいま現地で問題になっているあの紛争ですね、すでに決死隊という名前がついてやっているのですが、それできょう十一日に演習を始めるということで、非常に現地が興奮というわけではないが、非常に緊迫しているのです。この問題について具体的に尋ねますが、こういう問題でアメリカ軍といえどもやろうという気持はないと思うのですが、幸いに合同委員会の富士演習場の特別委員会がありますから、この委員会にかけて、一応の話がまとまるまでアメリカの演習を待ってもらいたい、こういう申し入れをしてもらいたい。大事な問題です、人命にかかる問題ですから。これができないとなればその理由、この点をはっきりと防衛庁長官から一つお答え願いたい。
○国務大臣(藤枝泉介君) 問題は、現在問題が起きておることの当面の解決だと思います。そこに焦点を合わして、精力的に解決に努力をいたしておる次第でございます。今後もその方針であります。なお、あとにおあげになりました点につきましては、十分いろいろと具体的にどうと私の口からお答え申し上げかねるのでありますが、この問題を円満に、しかも、不祥事なく解決するための最良の方法を考えて努力をいたしたいと思います。
○山本伊三郎君 藤枝長官の答弁としては、それ以上言えないということも私は推察いたします。しかし、今の答弁から私は非常に善意に解釈して、まあ流血の惨とはいいませんが、そういう問題を起こさないということについて政府は万全の努力をするということは、言いかえせばああいう問題、すわり込みをしておるのにアメリカ軍が実弾を発射したりするということは、これは避けるべきである、こういう考えでおるということを言われたのでないかと思うのですが、そうとっていいですか。
○国務大臣(藤枝泉介君) 具体的にそうとってよろしいか、よろしゅうございますと私の口から答えさせないでいただきたいと思うのでございます。私は、地元にいろいろな不祥事の起こらないような方法を最善の努力をいたしてとりたいと思っております。
○山本伊三郎君 大体返還の問題については一応終わったのですが、もう一つの大きな問題ですね、ここで問題になった入会権の問題です。これについて正式にこの前にやられた事情を聞いておりますが、私が内閣委員になってから、入会権については個人的に調達庁に聞いておるけれども、公式に聞いておらないので、ここで聞いておきますが、忍草区の入会権については、大正四年三月の十六日の大審院の判決に籍口して、入会権はないんだという立場で今まで臨んできておるように思うのですが、その通りであるかどうか、まずそれを聞きたい。
○説明員(林一夫君) 今の入会権の存在の問題でございますが、国有地上には入会権が存在しないという大審院の判決、これが一つの根拠になっております。
○山本伊三郎君 それならば大正四年三月十六日、だいぶ古い話ですが、その当時の大審院の判決が出された経緯、係争の問題になったその問題点、そういうものについて今回の忍草村の係争に該当するかどうか、私は非常に疑問を持っておるのですが、当時の大正四年三月十六日の大審院の判決についてのよって来たった経緯なり判決の趣旨、そういうものをちょっと防衛庁から聞いておきたい。
○説明員(沼尻元一君) 現在問題となっております富士演習場の梨ケ原は国有地でございまして、国有地に入会権が存するかどうかということは、明治初年の地租改正以来、これは非常に争われた問題でありますが、その地租改正以来、政府としては、長い間一貫して、国有地に対する入会権の存在というものをまあ肯定する立場に立っていないわけでございますが、現在の通説並びに判例もまた政府と近い立場にある。で、政府がこのような態度をなぜとってきたかと申しますと、その明治初年の地租改正の際、官有地に編入せられた土地の上にかつて存在した入会権は、官有地編入処分の確定によって消滅した、そしてこの地について村民がたきぎを取るとか草を刈るとか、そういう入会権、それが地租改正処分の確定によって消滅したというような趣旨が判例であり、そして通説もまたこれを支持しているように見受けられますが、こういった点から、この梨ケ原の国有地も、その線から申しまして、やはりこの入会権を肯定するということは、なかなか政府としてはむずかしいというふうな態度で従来参っておるわけでございます。
○山本伊三郎君 私からこれをいわせると、大正四年の大審院の判決を、今不動産部長がいわれたように、地租改正による官有地編入によって、かつてこれは古い話、僕らが生まれていないころの話ですが、明治五年の六月五日の大蔵省達七十六号によるこういう達から一応出ておる。地租改正を手がけたのは明治五年の正月だと思うのですがね。そういう意味において、民法上からいくと二百六十三条、いわゆる共有の性格を有しておるところの、もっと具体的にいうと、準所有権を有しておるところの入会権に対する判例なんです。従って、それを官有地と民有地と区分するというのが、地租改正上の必要に迫られた大蔵省の達になっておるのですね。そういう関係の判例だから、民法二百九十四条の「共有の性質を有しない入会権」についてまで拡張解釈をして、ちょうど忍草の諸君がいっているようなあれまでこれを当てはめることは私は無理だと思う。私はこの説をとっておる学者のことはいいません。それが証拠に、大正四年三月十六日以降、官有地、今の国有地の入会権を実質に認めてきている。その以前は、もちろん官有地でも入会権があるという判決はたくさんありますよ。保安林に編入されたところでも入会権があるという判例は出ておる。それは大正四年以前です。そういう判例の経緯というものを考えて、実態を考えずに、大正四年のあの判決が有利な判決であるから国有地に入会権を認めないのだという一方的な政府の解釈に私は承服しがたい、今日までずっときているのだから。そういう点についてどう考えられるかということと、この前私は、これは直接忍草の諸君に聞いたのですが、調達庁で林長官と会って話をしたときに、入会権という権利は認めないけれども、事実行為として認める、こういっておられるのですね。これも事実であるかどうか、この二つの答弁を願いたい。
○説明員(沼尻元一君) 入会の問題につきましては、ただいまのようないろいろな説があることは私たちも十分承知しております。しかしながら、いろいろそういう問題の経過をたどりながら、大正四年の連合部の判決ということで、一応最高の最終的な当時としては判決がなされたわけでございまして、そしてこの説が、また学説は分かれておりますが、通説はそれをまた支持している。また、日本の行政官庁の多くが、たとえばこの問題について最も利害関係を持っているのは大蔵省、国有財産を総括的に処理する官庁、あるいは林野庁、そういうところが最も大きい関心を持っておるわけでございますが、そういう官庁といたしましても、従来これを肯定する立場をとってない。そこで、調達庁がたまたまこの補償ということ、忍草の補償をしておるわけでございますが、その補償をめぐって、その根拠として入会権を肯定しているのだという立場は、調達庁としてはなかなかとりがたいという事情にあるというところでございます。
○山本伊三郎君 答弁がそういうことじゃなしに、あとの答弁を、林長官と会ったときに、事実行為として認める、入会権という権利は認めぬけれども、事実として認める、こういう答弁をされたというじゃありませんか。そういうことは事実ですか。
○説明員(林一夫君) 国有地に入りまして林野雑産物を採取する行為について、採取することが演習のためにできなくなった、そのできなくなったために生ずる損害に対して補償をしておる、その補償する根拠は何だということで、それは立ち入って採取するということは一つの事実行為である。別にこれは入会権に基づくものではないと、こういうふうに申し上げておるのであります。
○山本伊三郎君 それじゃ若干専門的になるかもしらぬが、入会権の論争を先ほどしたのですが、大蔵省云々とかどうとか、そういうことは僕は聞いておらぬ。当面これは調達庁が地元民に対して補償をし、また入会権の係争があるのであるから、先ほど私が申しました共有性のある入会権、民法第二百六十三条、これと地役権に属すると称せられる共有性のない民法二百九十四条の入会権について、これをどう区別して認識しておられるか、それをちょっと聞いてみたい。
○説明員(沼尻元一君) 判例の趣旨によりますと、その山に入って木を切ったり、その他所有権に近いようなそういう入会慣行の場合は、当時これを民有地に編入する、その他草を刈るとか、そういう程度の入会、こういうものは、この改正処分によって入会権を消滅したのだ。しかしながら、いろいろ問題があるので、そういう点については、そういう関係者に対して貸付をしたり、いろいろなことを自後やっておるというようなふうに私は読んでおるわけでございます。いずれにいたしましても、この問題はいろいろ説があるわけでございますが、私たちとしては、いろいろ説のある中で、やはり大審院の連合部の判決というようなことになりますというと、やはり三権分立の思想からいっても、行政府としては、そういう司法の最高機関の下された判決を現在尊重せざるを得ない、このように考えます。
○山本伊三郎君 私は先ほど申したように、大正四年といえば、だいぶ古い話です。そのときの判決の問題になったのは、あなたがいわれているように、地租改正によるところの民有地と官有地、廃藩置県で非常に混乱しておったので、官有地と民有地をはっきりしなくてはいかぬという一つの問題があったのです。それが政府の大蔵省の達となってきておる。そういったことです、私の言っているのは。大審院の判例だから、すべてを——悪い言葉で言うと、みそも何も一緒にするということじゃなくして、これは地元住民には直接大きい関係があるのだから、私が言うのは、今の忍草の問題は、民法二百九十四条の共有性を有しないものであるということから、入会権が私は認められておるという断定をしているのです。そういう断定をしておる。それが証拠に、大正四年以後、ずっと陸軍の用地になっても、現実には入会権を行使しておるのです。しておる事実がある。大体入会権というのは慣習ですよ。権利として、民法でその権利を取得してどうこうじゃないのです。慣習からできたものが入会権という権になっているのですよ。事実行為を認めて権利がないといって、それは一体どういう解釈になっているのか、私にはわからないのです。従って、私は、共有性のある入会権ということについては、私は、国有地である以上これはできない。しかし、共有性のない入会権は当然あるものだと私は断定しておるのです。またそういう学者のほとんど今日通説になっておるのですね。そういう問題を明かにせずして——返還の問題も一つの柱です。入会権の問題も一つの柱です。地元民はこれを非常に守っておる。地元民はどうですか、あすこで芝草を刈って、そうして堆肥を作って、あるいは馬や牛に餌をやって長い間生活をしてきているのです。この慣習が入会権だと考えておる。その通りなんです。それ以外に入会権がありますか。共有性のない入会権といったら、事実行為以外どこにあるのですか、それを教えてもらいたい。
○説明員(沼尻元一君) 国有地の上に共有の性質を有する、あるいは有しない場合においても、入会権というものは国有地の上には存しないのだということがこれまでの政府としてとってきた立場であり、それが連合部判決や何かにも同趣旨の判決をされておる。ただ私たちは、従来忍草区民その他の周辺の農民が草を取っておったという事実は十分尊重して、これは権利だということを認めるということとは別問題といたしまして、それから演習場になることによって草が十分取れなくなった、そのことによって生ずる損害は、これは私たちとして補償すべきだ、そういう私たち現在補償をしておるわけでございます。従いまして、従来草を取っておったという事実を尊重するという建前に立って事務を処理しておるわけでございます。
○山本伊三郎君 僕は事務処理の答弁を聞いていない。それじゃ政府当局に聞いてみましょう。問題がここにあるのですよ。入会権といったら、これは譲渡するわけにいかないのです、入会権の性格は。この部落からはずれてしまえば、当然その人はその権利を消滅してしまうという性質のものなんです。生活に必要だから、ここに共同して入り会って芝やあるいは毛上を取って、そうして生活をしておるのです。それがいわゆる入会権です。私の言う共有性の有しない権利はそれが基礎なんですね。そういう立場に立てば、事実行為として今までずっとやってきておれば、これ以外に何に該当するのですか。今まで何十年かやってきたことの違法性を追及して賠償できるのですか、国が入会権というものを認めない以上は。憲法が変わったから、前のことは今の政府は知らないと言うかしらないけれども、そういうことができますか。逆に言えば、入会権のない所に立ち入って芝草や毛上を刈っていけば、これは一つの窃盗罪にもなるのではないか。国有財産法から言ってもあるのですよ。それはできないのですよ。というのは、入会権というものはそういう性格なんです。だから私は入会権があると言って主張しておるのですが、大審院の判決があるから、調達庁としては大蔵省に言いにくいけれども、政府としてはそういう考えを変えられないかどうか、事実の問題としてもう一度長官にお伺いしたい。
○説明員(林一夫君) 山本さんは、長い慣習そのものが入会権だと、こう断定しておられるのでありますが、私必ずしもそうではないのじゃないかと思っております。ただ長い間そこに入って、そうして林野雑産物を採取するという、そうした慣習というものは、これは国としても尊重していかなければならない。それが権利であるとかというふうに、こう断定はできないのじゃないかというふうに思うわけなんです。
○山本伊三郎君 それでは防衛庁長官に聞きますが、あなたなら法律の大家です。民法二百九十四条の、いわゆる地方の慣習によるという入会権は、それ以外に条件はないですよ。しかも、明治三十四年から三十八年までの判例は、すべて国有、官有地に対しても入会権があるという判例が出ておるのです。たまたま地租改正による問題が起きたので、大正四年の六月十三日の大審院の連合部の判決ではああいう判決が出たのだが、判決の出る係争の問題の焦点が私は違うというのです、忍草のような状態は。しかし、判例の文言を読むと、やはり入って行って草を刈ったらいかぬということは出ますよ。出るけれども、やはり問題の性格が違うので、しかも、その後ずっと長い間あすこの入会権というものをひとしいものを認めておった。戦前の日本の政府は、あなた責任ないと言うでしょうけれども、ずっと陸軍用地のときから認めておったのですよ。地元の人は入会権だという考え方であの梨ケ原に立ち入って、いわゆる毛上を切って生活しておったのです。だから慣習以外に、その条件というものは、私は共有性の有しないやつを言っているのですよ。そういう場合に、ほかの条件はどういう条件が必要ですか、ちょっとお教え願いたい。
○国務大臣(藤枝泉介君) どうも法律に弱いものですから、十分な御納得をいただけないのかもしれませんけれども、一つは国有地であるという面、そうして国有地であるがゆえに、慣習、慣行として認めている。もちろん御指摘のように、それはお前は窃盗だからというようなことで追い出すべき性質のものでは私はないと思います。当然国としても、その長年の慣行というものは尊重していかなければならぬものだと思うのでありますが、そういう国有地の中でそういうものがあったから、それは即入会権だとまでは断定できないのではないかというふうに考えるわけなんです。
○山本伊三郎君 法律論争は、そういうことであれば私はやめますが、それではもっと具体的に言いましょう。あるいは戦前の、いわゆる忍草の住民諸君が、当時の陸軍省の経理局長ですか、名前は忘れましたが、問題があって、それは正式に国から認められてやった。新憲法になったから日本政府はそういうものを認めないというわけでないと思う。大正四年のそれよりはるかに前の大審院の判決をたてにとって言われている。私は昭和二十年前のことを言っておるのですがね。入会権として認めてきておる。たまたま敗戦になって、進駐軍が接収したために演習場になったから、地元農民には一言の断わりもなく、そのまま接収されてしまった。そうして今返すか返さないか、返還の問題が問題になっておる途上に、入会権がない、こういう政府の出方なんです。どちらが無理ですか。一私は、当然入会権は性格的、本質的にはあるのだ、ただ要するに、あのときは占領行政であったから、一時すべての行政が中断されたから、その間はやむを得ないとしても、講和条約が発効した後においては、当然昔の入会権という条件をつけるのがいやなら、昔のままのものが忍草の住民にあるという、これは常識的な判断でないですか。法理論はやめましょう、どうですか。
○国務大臣(藤枝泉介君) 陸軍省の経理局長の点は、私まだつまびらかにいたしませんが、当時もそういうことで長年あすこに入って林野雑産物を採集して生活をいたしておるという、その慣習を認めたのではないかと思います。従って、それが国有財産の窃盗だとか横領だとかということにはならないという問題だと思います。現在におきましても、その長年のあすこへ入っての採草その他をする慣行を尊重いたしまして、従いまして、その慣行が遂行できないために生ずる損害につきましては補償をいたしておるというのが現在の政府の立場でございます。
○山本伊三郎君 これはきょうの委員会における藤枝国務大臣と私の論議は、将来解決してくれると思うのです。私は、慣行以外に、法文を見ましても、入会権は民法二百九十四条の場合は私はないと思います。また、条文に載っていない慣習によるほか、本章においては地役権のことをいっているのですね。地役権はもっときつい権利ですね。そういうことをいっている。それは慣行は事実行為であって、入会権でないという論争はやめますが、ここで明らかになったのは、私は入会権があるという論である。皆さんが言うている慣行を認めるということ自身が入会権であるという断定なんですね、入会権はそういうものである。ただ要するに、あなたの方は国有地であるから、これは行政措置としてそういうものをやる、入会権同様なものをやっているのだ、こういう意味ですか。私からちょっと教えたようですから、この点一ぺん聞いておきます。法律の根拠がなければ……。
○説明員(林一夫君) 入会慣行に基づいて採草をやっているわけです。その採草は、やはり先ほど私が申しましたように、私は事実行為と、こういうふうに解釈しております。これはもちろん事実行為でありますが、多年あそこに入って採草をやっているという一つの慣行があるわけです。その慣行によってそういうようなことをやっているわけです。それが権利であるかどうかということが問題になる。私は権利とは考えない。これは一つの事実行為だ、こういうふうに解釈しております。
○山本伊三郎君 そこが一つはっきりしておきたいのです。もちろん法文をたてに入会権を主張している。あなたは事実行為として認めている。この間はもう平行線で、おそらく将来論議をつけるには、これはもう大審院までいかなければ、判決をくつがえさなければいかぬと思うのです。現在でもそういう通説になっているのです。あなたの方は、僕に対する納得する答弁は、政府は大正四年の大審院の判決を基礎に言っておられるのだから、事実行為というものは、われわれは入会権だ、それ以外にないという、その御答弁がはっきりしていない。そういうことはわれわれ考えられないということだ。 そこで、問題をもっと前進しましょう。事実行為として認める、それは先ほど防衛庁長官が言われたが、現在アメリカが接収して、演習場があるから採草もできないから、要するに、それに対する補償をしているのだ、こういうことですね。そこで聞いておきますが、そういう考え方からいくと、あの補償というものについては、やはり今までの慣行というものが基礎になっているという、それは間違いないですか。
○説明員(林一夫君) 今まで長い間の慣行として、あそこに入りまして採草をしておった。ですから、そういう慣行に基づく行為が演習のためにできなかった、そのために損害が生ずるから、その損害に対して補償するという考え方です。その慣行を尊重するということになります。
○山本伊三郎君 慣行を尊重するということは、従来の要するにやってきた行為そのものを認めるということなんですね。そうすると、権利があるかどうかは論議は別としても、事実的には変わらないことになりますね。かりに向こうが返還されてもとの土地になれば、やはりそういう慣行は認めていかなければならぬ立場になると思いますが、その点どうですか。
○説明員(林一夫君) これが今後返還されて自衛隊の施設となりましても、その慣行というものは、これは尊重するということになります。従って、たとえば採草ができなくて、そのために損害が生じた場合においては、それを補償するということは、これは従来と変わりはない、その慣行を尊重するということであろうと思います。
○山本伊三郎君 それなら、もう私の入会権があるという断定を皆さんがされても、もう実質的には変わりないということに事実私はなると思う。そこで、それなら今度地元の解決策としてあの協議会を作られていろいろ出発されたようですが、しかし、そういう基本的な政府の考え方に立つならば、私はああいう協議会を作ること自体が問題ではなかろうかと思うのです。私は具体的に言いませんが、現実に慣行の被害を受けておるところが除外されて、それ以外の、実際のところ、もう入会権の慣行を必要としない住民の多いところの人を包含してやっておられるというところに問題が今度出てきておるのじゃないかと、私は今度行って初めてわかりました。そういう点はどうですか。
○説明員(林一夫君) 協議会に忍草が出てこなかった、参加しなかったということは、協議会の目的を達する意味において、きわめて残念なことで、やはり全部が一緒になりましてそういうようなことについて協議するということがおそらくあの協議会の趣旨であろうと思います。そういうような意味におきましても、あっせんに当たりました県も、忍草に行きまして、大いに協議会への出席については勧奨しておるようであります。やはり全部が一緒になってこういう問題を協議するということが必要ではないかと私どもは考えております。
○山本伊三郎君 私は、地元でそういうあっせんの労を知事がとるかどうか、これはまあ一応私は善悪は言いませんが、今まで私と質疑応答していた政府の答弁から察すると、そういう考え方の基礎に立ってやろうということであれば、この協議会は静岡の東富士と違って、よけい問題を紛糾さすんじゃないかという私は気もする。というのは、あのずっとメンバーの中には、補償を受ける——補償ですよ、民生安定とか、そういうものは別です。補償を受ける権利のないというところも相当入っておるのですね。そういうものを一緒にやって話をするとなれば、これは当然問題が紛糾すると、私はしろうとであるけれども、常識的に判断できるのですね。従って、そういう場合の解決の方法というものは、やはり先ほど言われたように、事実行為に対する慣行を認めた補償をやるのだという基本的な立場に立たれるならば、そういうものを理解さすために、やはり分離するとか、かりに分離しなくても、全部のものにそういう認識を与えておく必要がある。そうでなければ、私は山梨県の知事がどれほど努力しても、おそらくかえって逆の方にいくという私の感じですが、調達庁の感じはどうですか。
○説明員(林一夫君) 私の感じは、先ほど来申し述べました通り、やはり林野雑産物の補償というようなことは、関係入会組合の相互に関連する問題でございまして、そういうような問題でございますから、やはりこういう組合が一緒になって話し合っていく、お互いに意思を通じていくということが大事なことであろうと私は考えております。
○山本伊三郎君 それは林さん、ね、それは一般論ですよ。北富士へあんた行きましたか。それはあなたの係の人がよくご存じですがね、そういうことは。私は二日しか行っておりません。内閣委員会の出張では行きましたが、あのときは初めてでわからなかった。今度行っていろいろ聞いたり調べますると、そう簡単にあなたの言っているように一般論ではいかないのですよ。そこが東富士と北富士の相違点なんです。それを認識せずに、ばく然と一般論でやられたらだめですよ。かえって紛糾さすだけなんです。従って、調達庁としては、先ほど何回も答弁されたように、慣行の事実を認めて、準入会権のようなもので補償しようという基本線がある。これはもう一つの尺度があるのですからね、これはまあはっきりするのです。それ以外に民生安定とか何かによっていろいろやるということであれば、それは一つ分離した形でやはり調達庁の態度をきめない限り、私はいかないと思う。私は、これはこれ以上言いません、これはあなたの方の責任ですから。私は親切にそれまで言っておきます。従って、私は最後の質問になりますが、この入会権の問題と返還の問題とは二つの柱ですから、返還の問題は先ほどいろいろ言われましたが、相当前進している印象を受けました。しかし、入会権の問題も、やはり地元住民をはっきり納得させなければ解決しない、こういう実情ですから、これに対して調達庁としては政府に相当了解を得るような働きかけをしなければならぬと思う。たまたま藤枝国務大臣がおられますが、単に一般論、常識的な判断じゃなくて、入会権の問題を積極的に政府としては突き進めていく、解決の方向に進んでいく努力をする考えがあるかどうか、その点一つ伺っておきます。
○国務大臣(藤枝泉介君) 最初に、その前にお断わり申し上げておきますが、私どもが協議会を勧奨をいたしましたのは、今、山本さんと私どもと質疑応答をいたしたような趣旨を一般にわかってもらうということも実は一つのねらいであることを御了解いただきたいと思うのであります。 それから今回の問題につきまして、入会に関する問題につきましては、十分本日の委員会でも申し上げたような政府の趣旨を地元に御納得いただくような努力を重ねて参りたいと思っております。
○山本伊三郎君 重ねて言っておきますが、北富士の問題は、もう初めから十年がかりの問題です。従って、早くこれは解決せぬといかない。で、先は返還の問題ですが、入会権の問題で法律論争はもうやりませんが、政府もその点は十分考えて対処せぬと、今一時政治的の解決はできても、将来、藤枝大臣がこう言ったけれどもということで、あなた自体の名声にもかかわることになるかわかりません。十分この点については配慮してやってもらいたい。それから地元の住民も非常に現在緊張しております。政府としても十分気をつけてもらいたい。 それともう一つは、これはまあここで言うべき問題ではないが、要するに、いろいろ話をする場合には、内部的には非常にやはり対立的な感情がないとも限らない。調達庁は、新聞で見ると、協議会の代表以外とは話をしないというような発表をされておる。されたかどうか知りませんが、利害関係がある忍草の人にはもう直接話をしない、協議会を通じてしか話をしないというようなことを私は聞いておるのです。そういう事実があるのかどうか、これを最後に聞いて私の質問を終わりたいと思います。
○説明員(林一夫君) 八日の協議会におきまして、調達庁の者が、協議会を通じて話し合うというようなことを言ったことを聞いております。その意味は、協議会を通じたものでなければ相談に乗らないとか、あるいは話し合わないという意味ではないのでございます。協議会というものがせっかくできた、みんなで一つ意思の疎通をはかって、その場でもってきまることもあるし、あるいは協議会のあっせんによって、また組合同士で話し合うこともあるというようなことで、いろいろ弾力的な話し合いの方法があると思うのです。協議会を通じてだけとか、あるいは協議会できまったことでなければ話し合いに応じないという意味ではないと私は解釈しております。
○山本伊三郎君 これは、私は解釈するという、そういうことではなくて、私は政府の方針を聞いておるのです。これは大きく地元を刺激すると思うのですね、ああいう問題になると。不動産部長も、みな現地に行った人はたくさんおりますが、従って、今長官の言われていることは政府の意向であればよろしい、それは当然だと思う。協議会にそんな法律的権限を与えてないはずであるから、長官も言われたことであって、できれば協議会を通じて意見を述べてくれれば好ましいという意向であればよろしいのですが、しかし、協議会を通じなければ交渉も何も話をしないというようであれば問題であるから尋ねたのですが、政府の意向としてそういうふうにとっていいのですね。
○説明員(林一夫君) ただいま説明したような政府の考え方です。
○安田敏雄君 協議会の問題ですが、そこにおいでになる不動産部次長の小宮山さんが言ったわけなんですが、新聞を見ますと、こう書いてあるわけなんです。これは新聞だから信用してもいいわけですが、事実かどうかは別として、協議会の中で質問が出て問題が出たわけです。その協議会を窓口にするか、協議会に入らないものの交渉に応じるかという、こういう論議で協議会が結成されるかどうかということまでいったわけですが、その際、こういう答弁をしているわけです。「協議会を対象に国が交渉相手とする考えだ。協議会に不参加の団体との交渉は今後受けつけない方針なので」と、こう書いてあるわけです。そこで、忍草、新屋の両組合にも加入はしてもらいたいという、こういうことなんです。しかし、これはあとの問題なんです。事態は、その協議会以外には受け付けないということで、みんなが了承して、そしてその協議会を結成する運びになったわけです。ですから、忍野、新屋とも、今後問題があったときには折衝するのだということにあのときになれば、これは協議会は結成されなかったように思われる情勢があるわけです。ですから、今後協議会でなければ交渉しないのか、忍野、忍草、新屋に対しても、その問題の発生したときには交渉するのか、そこのところを明確に、簡単でいいですから、一つ御答弁願いたいと思います。
○説明員(林一夫君) 協議会の趣旨は、先ほど申しましたように、県のあっせんによって、みな寄り合って相談をしていくという考えで、それならば政府としましては、協議会できまったものでなければ交渉しないかというと、そういうことではない。なるべく地元の方々が意思を通ずる機関を作ったのだから、ここでみんなで話し合って、そして県と話し合うというようなことが一番いいんじゃないかということであのようなことを勧奨したのであります。今後は、なるべくならみんな一緒になって話し合っていくというふうにしていただきたい、こういうふうに考えております。
○安田敏雄君 そうしますというと、協議会に入れない事情があった場合、しかも現地に問題が発生した場合においては、忍草、新屋とも交渉に応ずる、どういうことを確認していいわけなんですね。
○説明員(林一夫君) もちろんかりに忍草の組合方が県に来まして、一つこういうことを聞いてくれというような陳情がある場合に、私どもはこれはもちろん陳情を受けるということはいたしますけれども、入会補償というようなもの、相互に関連あるものはお互いに話し合っていこうという趣旨でございますから、なるべくならみんな一緒になって話し合うというようにするのがあの趣旨でございます。もちろん最初に申しましたように、単独に県に来られて、私どもから話をしないという意味ではございません。
○安田敏雄君 そうしますと、さっきの入会組合権の問題になるわけですが、補償を受ける人の資格の問題があるわけです。補償を受ける資格の人が政府と慣習に基づいて交渉をしようという場合に、これを協議会に入ってないからといって受け付けないわけにいかぬでしょう。受け付けないという態度に出るなら、県を通さなければ受け付けない、好ましくないということをあくまでも言うならば、これは入会慣行というものを否認するという立場に立つ。先ほどから入会権は認めないけれども、入会慣行は認める、入会慣行を認めれば、補償を受ける資格がある人が交渉する前に、なるべくこれを協議会でやってもらいたいということは、ちょっと筋が通らぬような気がします。矛盾するでしょう。はっきり答弁して下さい。
○説明員(沼尻元一君) 先日の基地問題等閣僚懇談会を通じて、あのような協議会を作ることを勧奨し、お勧めするというような表現を使ってございますが、このような表現をいたしましたのは、従来、ただいま長官から話がありましたように、いろいろ組合間の相互関連もございますので、そしてこの調達庁の従来の補償を通じまして、どこの組合には多いとか、あるいはこちらの組合には少ないとか、いろいろな御批判もございますので、私たちとしては、やはり皆さんに、でき得るなら多くの人が不満のないような方法で解決いたしたい、調達庁の補償を通じて、それが各北富士入会組合間の対立を激化するというような方法でいけば、われわれとしてもまことに山梨県に対しても申しわけない、県民に対しても申しわけない、そういうことから、何とかこの協議会というものを自主的に山梨県が作っていただいて、そこで皆さんのお互いに利害を調整していただいて政府に当たっていただく、そういうことが、将来のことを考えましても、円満なる全体的な解決ということに役立つのではないか、そのように考えまして、そういう協議会を一つ自発的に作っていただいて、そういう機関を通じて政府と話し合っていただきたいというようなことをこれはお願いしたわけでございます。しかし、これは政府としてはこういうものを作れとか、そういうことを言う立場にはもちろんございません。それはあくまでもそういう皆さんの利害をそこで調整していただくということを、それのみをむしろ考えているということでございます。
○安田敏雄君 おかしいのですよ。今まで北富士に対して、かりに補償の問題があれば、それにとってきた政府を代表する調達庁の行為というものは、正しいいわゆる補償を払ってきたわけなんです。決して今まで不当な補償を払ってこないだろうと思うのです、それは国民の税金を使うことですから。ですから、そういうような立場をとれば、将来できるだけ協議会を作って、それが円満な発展をしていく、強固なものになっていく、忍草も新屋も入っていくことが望ましい。これはしかし現在入っていない過程の中で大きな問題が現実に起きた場合に、協議会にないから、協議会に入っておらぬから、忍草、新屋とは交渉しないということなのか、それとも交渉するのか、イエスかノーかということをはっきりしていただけばいい。協議会の性格とか、協議会の今後の問題とかを聞いているのではないのです。ですから、忍草とは交渉しないのかどうか、問題が発生したときに、もししないという態度ならおかしい。じゃ入会慣習というものは何で尊重するかという問題が出てくるわけなんであります。で、補償の資格だって出てくるわけです。こういう問題ははっきり答えていただきたいと思うわけなのです。長い答えは要らぬですよ。
○説明員(林一夫君) もちろんこれはそういう協議会という姿が非常に好もしいということでございまして、もし協議会でどうしてもまとまらないというようなことがありまして陳情したいという場合においては、私ども……。
○安田敏雄君 いや、陳情ではないのです。おかしいのです。協議会でまとまらないことがあればというようなことを言っておりますが、忍草と新屋は協議会に入っていない。その入っていないままに——それは入ることが将来望ましい。そのことは政府も県も努力すればいいことなんです。関係団体も努力すればいいことなんです。しかし、その入らない過程において問題が発生したときに、入会慣行を尊重するという忍草部落あるいは新屋部落に対して、政府が協議会を通じた交渉においてまとまらなければおかしいということは、どうも合点がいかない。ですから、そういう場合には陳情があれば、あるいは請願があれば、申し出があればお相手して一つ事態の解決に当たる、こういう態度であれば、それは了解できますけれども、はっきり一つ。簡単でけっこうですから。
○説明員(林一夫君) なるべくなら忍草組合、新屋組合が協議会に入っていただいて、全体で入っていただくのが好ましい姿であろうということであのような趣旨の協議会をお勧めしたのでありますが、どうしてもそこできまったことでなければ受け付けないという意味ではないのであります。もし陳情等ございますならば、もちろんこれはお会いして、その趣旨をお聞きすることは当然のことでございます。
○安田敏雄君 そこで、先ほどの入会慣行の問題に入りますが、私が去る五月十一日の委員会で、前の丸山長官に入会権の問題について質問したときに、ただいま論議があったように、「政府では、大正四年の判例以来、官有地に関する入会権という物権、権利を認めておりません。」、こういう答弁があったわけなんです。で、丸山長官から林長官になったわけですが、これと変わりないわけでございますか。
○説明員(林一夫君) 変わりございません。
○安田敏雄君 そこで、それでは、なお、さかのぼりまして、昭和三十年の六月二十四日、これは私は全然出ておりませんが、記録を見ますと、同じく内閣委員会で行なわれた福島長官の当時の答弁があるが、この趣旨とも変わりはないでございましょうか。
○説明員(沼尻元一君) 福島長官時代においても、入会権を肯定するというような答弁はしていないはずでございます。
○安田敏雄君 それでは、当時の速記録から拾ったわけですが、福島長官はこう言っているわけなんです。国有地に入会権があるかどうか、学説は分かれている。また、大正四年の入会権を否認した大審院の判例もある。そのあと、われわれとしては入会の実質を承認したがらないで、これはあとお金を、国のいわゆる財政を支出しなければならぬから、会計検査院のことも考慮しなければならない。そこで、いわゆる入会権があるということを逃げるために使わないのではなく、使わない方が会計検査院につかまらないで済むからである。入会権の慣行ということで何とか払おうという精神で払っております。従って、権利を借り上げるとか買い上げるとかいう手続の仕方をしないから、借り上げる契約はおのずからできない。実質的には入会権の阻害された部分のめんどうをみておる、こういうように大審院の判例もあるからということを言っておる。学説は分かれておるということを言っておる。ところが、今度の答弁はもっと強固なんです。大正四年の判例にすっかり固執しているわけなんです。こういう点を考えましたときに、非常に開きがあるわけなんです。同じかといえば、ただいまの答弁とは非常に違うじゃないか、今の内容が。こういう点一つどうしても食い違いがあるわけなんですね。要するに、会計検査院のおしかりを受けるから入会権というものは認めるわけにいかぬ、借り上げるとか買い上げるということはできない。ですから、慣行について支払う大審院の判例もあるから、こう言う。大審院の判例は絶対よりどころにはしておらぬわけです。なお申しますと、大正四年の判例があるから認めませんという今の調達庁の態度と、入会権を認めたいけれども、判例があるから認められないのですという態度とは、非常にニュアンスが変わってくるわけです。同じ政府の答弁でありながら、そういうように開きが出てくるというところに、われわれとしてはどうも納得がいかない。こういう点についてお考えを聞きたい。当時の福島長官の答弁は尊重するというならば、大正四年の判例に絶対にこれを固執するという理由もないわけです。
○説明員(林一夫君) 福島前々長官の今の解釈でございますが、やはりそういう官有地には入会権がないということは、そういう学説もあるし、また、反対の学説もある、また、大審院の判決もあるし、反対の学説もあるというふうに言っておられるようなんですが、もちろん私どもも、官有地に入会権があるかどうかということについては、学説が分かれておるということはよく存じております。その肯定の学説もありますし、また、大正四年の大審院の判決もあるということで、いろいろの事情を考慮して、私どもは官有地には入会権がないという解釈をずっととり続けてきておるわけです。おそらく多少のニュアンスの違いがあるかもわかりませんが、福島長官時代と同じ解釈であろうと私は考えております。
○安田敏雄君 私は、入会権のあるなしの法理論につきましては、ここでは避けます。しかし、大正四年の判例というものは、長野県における官有地と民地の区分のときに起きた問題なんです。北富士の問題とはずっと経過が違うということなんですね。北富士の実態というものは、あれは問題になるのは、最初官有地、すなわち、当時の御料地に編入された。それがあとで下賜されて県有地となり、また、陸軍演習場のときにこれは国有化されたわけです。それからあとで米軍が接収したというような、こういう経過をたどっておるわけです。ですから、そのときの条件というものは、大審院の判例と北富士の問題とは違うわけです。法理論の問題はよしますけれども、そこで、最近は入会問題を研究している学者の説を見ますと、これは国有地でも入会権があるということを皆かなりきめつけるようにしているわけです。学説上いろいろ分かれておるというととは、それは旧憲法下における学者はあるいはそう言うかもしれませんが、非常にそういう学説が強くなってきておる。特に最近の判例を見ましても、千葉県と青森県の地裁においては、国有地に入会権を認めるという下級審の判例も出ておるわけです。ですから、こういう最近の動きを見たなら、やはり入会権の問題が難関にきておる、演習地とからんで難関にきておるという、こういう情勢があるならば、もっと前進して問題を考えなきゃならぬと思うわけです。特に最近の情勢では、まあ最近ということはありませんけれども、大正四年の判例のじぶんには旧憲法下であったわけです。そこで、新憲法のもとにおいては、国有財産のあり方と私有財産の尊重という点において、旧憲法時代とは大きな差が出てきているわけです。そういう意味で下級審にそういう判例もあるから、問題を解決するならば、政府が過去の古いからの中に閉じこもって物事を固執する、こういう考え方であっては私はならぬと思うわけです。ですから、もっと一歩前進して一つ政府は考えていただきたい、こういうことを要望するわけです。いずれ私はこの問題については、あらためて入会権の問題についてはやりますが、やはり政府としてはもっと前進した考え方をしてもらいたい。新憲法下にあっては、いわゆる財産権とかそういう物権といったものは、きわめて尊重されるという形が出てきておるわけです。ですから、その大正四年のワクの中で物事を考えるということは、これはあなた近代政治をやろうとするところの政府の態度としてはどうしても納得できない、こういう点を一つ御考慮を願いたいと思いますが、一つ御答弁をお願いしたいと思います。
○説明員(林一夫君) 私どもも、入会権の問題は調達庁として十分に研究して参ってきておるのであります。現在のところの考え方はただいままで申し上げた通りでございます。もちろん研究というものは今後も続けて参るつもりでございます。
○安田敏雄君 委員長……。
○委員長(吉江勝保君) 午後再開しますから、そのときにしてはどうですか。
○安田敏雄君 もう少し……。
○委員長(吉江勝保君) あとどれくらいありますか。
○安田敏雄君 あと簡単な問題が二点ばかりありますから……。
○委員長(吉江勝保君) どうですか、午後やりますから、また午後発言を許しますから……
○安田敏雄君 では、この入会の問題だけ一つ。
○委員長(吉江勝保君) ではそれだけ。
○安田敏雄君 それでは、なおこの入会権の問題については大審院の判例がある、最近においては、千葉県、青森県に判例がある、こういうことで、裁判も戦前、戦後と二つに分かれている、上級、下級の別はあっても。従って、私どもはこの点の勉強をしたいと思う。そういう意味で、これは次回でもその次でもいいですから、入会権の問題について学識経験者を呼んで、そうしてわれわれも参考に意見を聞きたいと思う、学識経験者に。そういう問題については、でき得ることならば、ああいう入会権の問題で長い経験をしている富士山麓の農民も含められるならば含めていただいて、そうして委員会で参考人として来ていただいて意見を聞きたいと思うわけです。こういう点について委員長は委員会の運営を計らっていただけるかどうか。もし計らっていただけるとするならば、その方法とか、あるいは時期とか、あるいは参考人の問題等につきましては、委員長理事打合会でおきめいただきたい、こういうふうに考えているが、委員長の答弁を願います。
○委員長(吉江勝保君) お諮りいたします、いずれ委員長理事打合会で。
○安田敏雄君 取り上げていただけますね。
○委員長(吉江勝保君) 取り上げます。
○安田敏雄君 その問題は。
○委員長(吉江勝保君) はい。 午前中の質疑は、この程度にいたしまして、午後は三時に再開することとして、暫時休憩いたします。 午後二時十五分休憩 午後三時二十八分開会 ————・————
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員の給与に関する件の調査を進めます。 まず、八月八日、人事院から提出された一般職の職員の給与についての報告及びその改定についての勧告について、入江人事院総裁から説明を聴取いたします。
○説明員(入江誠一郎君) それでは、国家公務員の給与に関する報告及び勧告につきまして御説明させていただきます。 人事院は、去る八月八日国会及び内閣に対しまして、一般職の国家公務員の給与に関する報告及び勧告をいたしました。もっとも、国家公務員の給与は、昨年の勧告の実施によりまして相当改善されたのでございますが、例年のごとく、本院が、本年四月現在におきまして、全国の民間事業所約六千、その従業員約二十五万人の給与調査を行ないましたところ、その給与が約七・三%公務員の給与を上回っている新たな官民格差の存在いたしますることが判明いたしたのでございます。 ことに民間の初任給は、昨年に比べまして約一〇%以上も上昇いたしており、また、賞与等の臨時給も大幅に増加いたしている実情にございます。 他方、総理府統計局の調査によりますと、東京及び全都市における昨年四月から本年四月までの消費者物価は、いずれも五・一%の騰貴を示しておりまして、また、同局の家計調査における本年四月の一世帯当たりの家計の消費支出金額は、昨年四月に比べまして東京では八・八%、全都市では九・三%の増加を見せております。 なお、本院が毎年算定いたしておりまする東京における独身男子十八歳程度の標準生計費につきましても、以上のような物価及び生計費の動きを反映いたしまして、本年四月におきまして月額九千八百二十円に達するものと見込まれている次第でございます。 以上の諸事情を総合勘案いたしまして、かつまた、最近における新規学卒者の採用が困難なる傾向にありますこと及び科学技術振興の必要が特に顕著でございますこと等の事情に基づきまして、今回次のような勧告を行ないました次第でございます。 すなわち、第一は、初任給与の改善、係長等の中級職員以下の給与の引き上げ及び科学技術関係職員の給与の改善に重点を置きまして各俸給表の改定を行ないました。その結果を全職員一人当たりに平均いたしますると、約七・一%の給与改善に当たることとなります。 第二は、民間の賞与に相当する特別給につきまして現在年間三カ月分でございますが、これを三・四カ月分に増額し、その配分は、六月及び十二月にそれぞれ〇・二月分といたしました。 第三は、科学技術振興の趣旨と大学卒公務員の採用の困難に応じますために、初任給調整手当の支給につきまして、その増額拡充を行なうことといたしました。すなわち、科学技術振興の趣旨に沿いまして昨年設置されました初任給調整手当の支給限度額現行二千円を二千五百円に引き上げますとともに、別に、現行の初任給調整手当の支給対象とされていないものにつきましても、支給限度額千円の初任給調整手当を支給し得ることにいたしました。まだ、研究職俸給表につきましても、その等級構成を改めまして、研究能力に応じて適正な給与を支給することができるようにいたしました。 なお、通勤手当の支給限度額につきましても、民間の実情にかんがみまして、現行の最高支給限度額六百円を七百五十円に引き上げることといたしてあります。 以上、今回の報告及び勧告につきましてその概略を御説明申し上げた次第でございますが、この勧告が実施される場合におきましては、新たに定員化される見込みでございますところの職員も含めまして、給与法の適用される公務員の数が約四十四万人になりますので、それにつきまして、年間おおむね、俸給表の改定に対しまして約百二十二億円、期末手当の増額に対しまして約四十三億円、初任給調整手当及び通勤手当の支給限度額の引き上げ等に対しまして約二億円の経費を要する見込みでございます。 次に、勧告の実施期時につきましては、この勧告の基礎となっておりまする官民給与の較差が昭和三十六年四月を基準といたしておりますことから見まして、本年五月一日といたしました。何とぞ、国会におかれましては、この報告及び勧告を御審議下さいまして、すみやかに適切なる措置をとられますよう切望いたします次第でございます。
○委員長(吉江勝保君) 以上で説明は終了いたしました。 これより質疑を行ないます。関係当局より出席の方は、小平総理府総務長官、佐藤総務副長官、増子公務員制度調査室長、入江人事院総裁、瀧本給与局長でございます。 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
○鶴園哲夫君 この人事院勧告の内容につきましての問題はたくさんあるわけでございますけれども、ごく要点だけに限りまして、人事院より、むしろ政府に対しまして、この勧告をどういうふうに検討されたかという点について伺いたいと思います。 で、その前に、この勧告につきまして、政府として態度を決定しておられるように報道されておるわけですが、その態度の決定の主たる内容について、どういうような態度を決定しておられるのか、まず伺っておきたい。
○説明員(小平久雄君) お答え申し上げます。ただいま御説明のありましたような勧告が八月の八日に政府の方にもなされましたので、これを受けまして、政府の関係事務当局におきまして慎重に検討をさせて参ったのでございます。しこうして、九月の六日に関係当局の事務的な検討も大体終了いたしましたので、大蔵、自治省、それから給与担当大臣である福永労相、これに官房長官と私が加わりまして、一応そこでいわば下相談をいたしました。その結果、ただいま御説明ありました勧告の内容につきましては、これをおおむね妥当である、かように意見が一致をいたしました。内容につきましては、これを勧告の通り採用いたそう。ただし、実施の時期につきましては、いろいろ見解の表明がありましたが、その際におきましては、結論を得ることができませんでした。そこで、越えて八日の閣議におきまして、この勧告全般につきまして閣議の議題といたして相談をいたしたわけであります。その結果、勧告の内容につきましては、先ほど来申します通りの方針で、これを全面的に受け入れて実施をいたそう。ただし、実施の時期につきましては、これを十月一日から実施をいたすということに閣議の決定を見た次第でございます。以上が従来の政府当局におきまする経過の概要でございます。
○鶴園哲夫君 内容に入ります前に、実施時期の十月一日というようにきめられました理由、これをちょっと伺いたいのですがね。
○説明員(小平久雄君) 実施の時期を十月の一日と閣議が決定いたしました理由は、大体次の三点に要約することができると存じます。すなわち、公務員の給与改定問題につきましては、政府といたしましては、公務員行政からの立場からだけでなく、広く国民経済全般の情勢とにらみ合わせ、大局的に判断する必要があり、かりに五月にさかのぼって実施するとすれば、この場合には、改正法等の施行時に、約半年間にわたる増額分の追加支給として、一時に国、地方を通じまして数百億円の財政支出を行なうことになりますが、このような措置は、現在の経済情勢から好ましいものではない、こういうことが第一の理由でございます。第二には、給与改定を過去にさかのぼって実施することは本来好ましくないことであり、ことに五、六カ月もさかのぼり、また、将来にわたって慣行となるようなことは極力避くべきである、これが第二の理由でございます。第三といたしましては、人事院の勧告が大体年次的に行なわれることにかんがみまして、給与の改定も年次的に行なうことが望ましく、今回も昨年の改定期日の一年後である十月一日からこれを行なうのが適当であると、大体以上のような理由から、十月一日から実施するということに閣議の決定を見た次第でございます。
○鶴園哲夫君 この実施の時期の問題につきましては、あとほどもう少し論議することにいたしまして、内容に入りまして若干伺いたいんですけれども、人事院の今度の勧告の内容については全面的に受け入れるという態度でありますが、実施時期は別としまして、内容的には全面的に受け入れるということでありますが、まずその第一点の七・一%という引き上げ率につきまして伺いたいんです。これを妥当と見られるかどうかという点について伺いたいと思うんです。御存じのように、人事院がこの勧告の中でも示しておりますように、消費者物価指数の上がり工合、あるいは生計費の上がり工合、勤労者の本業収入の上がり工合というものを見ました場合に、昨年よりもはなはだしく上がっておるわけですね、大へんな上がり方である。昨年は物価は一年一カ月の間に三・三%、ことしは一年の間に五・一という上がり方。さらに生計費にいたしましても、昨年は一年の間に一・六%の上がり方、ことしは一年の間に九・三%、大へんな上がり方ですね。さらに本業収入の上がり工合も、昨年は一年の間に六・四%、ことしは実に一一・三%という上がり方。で、これの関係を見ますと、昨年が、物価の上がり工合、生計費の工合、勤労者の本業収入の工合等から見て一二・四%という額上げ、ことしはこんなふうに大へんな上がり方を示しておるにかかわらず、これが七・一%という額に終わっておるという点、この点について問題をお感じにならないのかどうかという点をまず伺いたいと思うんです。
○説明員(小平久雄君) 政府といたしましては、七・一%の引き上げということが妥当かどうかということにつきましては、人事院がその専門的な立場におきまして、主として民間給与との比較との関係から七・一%が妥当であると、こういう勧告をなされました関係上、人事院の立場というものを尊重いたしまして、その七・一%をそのままやることがよかろうと、こういうことに決したわけでございます。なお、詳細につきましては、公務員制度調査室長から答弁をいたさせたいと存じます。
○説明員(増子正宏君) ただいま長官から申し上げたことのほかに、特につけ加えるべきものはないかと存じますが、七・一%の改定率が結論として人事院から出されましたのは、先ほども勧告の趣旨につきまして人事院から御説明がありましたように、いわゆる官民の給与の比較から出て参ったわけでございまして、いわゆる較差としましては七・三%、基準内給与において七・三%ということを基礎にいたしまして、その他科学技術振興でありますとか、あるいは初任給の引き上げ、あるいは中級、下級職員の改善に重点を置くというような考え方に基づきまして俸給表の改定等が行なわれまして、その内容が御指摘のように七・一%の改善ということでございますので、従来から人事院がとっておりました比較の方法、あるいは俸給表の作成の方向からいたしますれば、この結論は妥当なものであるというふうに考えられたわけでございます。
○鶴園哲夫君 その問題は別に伺いますが、私が今あげました消費者物価の上がり工合とか、あるいは生計費の上がり工合、あるいは勤労世帯の本業収入の上がり工合、これはいずれも人事院が勧告する場合に引用いたした総理府統計局で発表いたしている数字ですけれども、これらの問題につきましては考慮する余地ない、考慮の必要ないという立場をとっておられるのか。考慮する必要はない、物価はどんなに上がったって。倍の上がり方ですものね、七割くらい上がっているんですから。生計費にいたしましても大へんな上がり方なんですね。そういうものは別問題だ、民間との較差はどれだけあるんだということによって考えるのだ、こういうお考えですか。
○説明員(増子正宏君) ただいま御指摘の点でございますが、これらにつきましては人事院からあるいは御説明があろうかと思いますが、私どもの承知いたしております限りにおきましては、従来におきましても、いわゆる物価指数の比率に即応して給与を上げるというやり方ではないように承知しているわけでございます。生計費等につきましても、俸給表の水準の策定におきましては、その過程におきましていろいろな角度から検討するわけでございますが、民間の給与にいたしましても、主として生計費の上昇の関係でございますとか、あるいは物価の関係というようなものが総合的な観点からある程度はそこに反映しているわけでございます。そういう意味合いにおきまして、従来から民間の給与との比較というととろに重点を置きまして、物価の趨勢でございますとか、生計費、あるいはおあげになりました勤労者収入のいわゆる本業収入の増加率等も、もちろん総合的な観点から判断されまして、その上で結論が出て参るというふうに考えているわけでございます。
○鶴園哲夫君 この点はまたあらためてやりますが、次に、これに関連いたしまして、人事院が東京都におきます標準生計費というのを出しておるわけですね。この人事院の東京都におきまする標準生計費を見てみますというと、一人世帯の場合におきましては一年の間に一二・七%上がっている。去年の勧告のときには九・八%上がっておりますのが、ことしは一二・七%、二人世帯は一二・七%、三人世帯は一二・四%、四人世帯は一二・一%という上がり工合、昨年の勧告の場合は大体九%ぐらい上がっています。ことしはどの世帯をとりましても、一二%をこした上がり方、生計費は。その場合に七%という上がり方では、あと一二・何パーセントという上がり方と比べますと五%低いのですね。これは公務員はがまんしてくれ、がまんせい。つまり消費生活を明確に押さえるという方針なのかどうか。生計費は明らかに出ておるのですから、昨年は九%ぐらいの上がり方ですが、生計費は大体九%、それに対して一二・四%勧告だったのです。ことしは一二%を上回っておる、一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯ととりまして。その場合に七・一%しか上げないということは、五%ぐらい、これは消費を節約しろ、消費を押さえろ、消費生活を押さえろ、こういう強力な御趣旨があるのかどうか、伺っておきたいと思います。
○説明員(増子正宏君) 特に公務員の生活水準あるいは消費水準等を押さえるという考え方がないことにつきましては、すでに従来の人事院の作業過程におきまして、あるいは勧告の内容につきまして、人事院からしばしば御説明のあった通りでございまして、私どももそういう観点から検討いたしたわけでございます。
○鶴園哲夫君 まあその答弁はわかるわけですけれども、実際の問題として人事院が出しておりますこの標準生計費、この生計費のはじき方につきまして、私どもははなはだ不満なんですが、百歩下がって人事院のこの標準生計費を見ました場合に、いずれも一二%をこす生計費の上がり方ですね。その場合に七・一という形で押さえられますと、生計費は一つうんと節約してもらいたい、押さえるのだということに結論としてはならざるを得ない。それをお認めになりますか。
○説明員(入江誠一郎君) あるいはこの問題は勧告いたしました当局として御説明申し上げた方が、あるいは適切かと思いますので御説明さしていただきますが、御存じの通り、人事院といたしましては、従来ともさようで参りましたが、先ほど来御指摘の物価でございますとか生計費でございますとか、もちろんこれは生活上の重大問題でございますけれども、これらが民間給与にどういうふうに反映しておるかということを一つの観点にもいたしまして、民間給与を基準にして公務員の給与を考える、そういたしておるのでございます。ただまあ今日の十八才の独身男子の一つの、まあ言葉は適当でないかもしれませんけれども、新制高校卒業程度の者の最初の一種の保障賃金と申しますか、これにつきましては標準生計費を勘案いたしましてそのままこれを持っていく。あとは大体において民間給与に反映されたあらゆる問題を考えながら民間給与と合わしていく、そういうふうにやって参っておるわけでございます。今度の勧告もその趣旨で貫通してございます。
○鶴園哲夫君 勧告の趣旨は、今、入江総裁がおっしゃいましたように理解をいたしております。ですが、そのことが、結論としては今私が申し上げておるように、五%程度の、あるいは五%を上回る程度の消費の抑制ということを現わしておるということにならざるを得ないというふうに思うわけですよ。ですから、政府が人事院の勧告を検討されまして、結論としては、今のこの標準生計費からいって、その程度の抑制、切り下げという見解に立たれているのかどうか、これを伺っているわけですが、ですから、その点そうじゃない、そうであるというふうにお答えいただければけっこうなんです。数字的にはっきり出ているわけですから、そうでない、そうである、結論的にはこれは五%以上切り下げる、抑制するという立場だと思うのですよ。そのことが、先ほど申し上げましたように、消費者物価の上がり工合とか、そういうものはまあ総合的に出てくるのだというお考えだと思うのですね。その点を一つ総務長官にはっきり伺っておきたいと思うのですがね。
○説明員(増子正宏君) 先ほどから申し上げておりますように、公務員の給与の水準等が一般的な消費水準を引き下げるという意図で作成されているというふうには考えていないわけでございますので、今回の勧告の内容につきまして妥当であるというふうな結論が出ましたのも、もちろんそういう趣旨をもって、つまり生計費等の切り下げというようなことを全く念頭に置かずに結論を出したわけでございます。 なお、先ほど御指摘がありました点は、昨年は生計費の上昇等は九%程度であったのに、ことしの改定は一二・四%であったということを御指摘になったわけでございますが、逆にことしは生計費の上昇がどの階層を取ってみても一二%以上になる。それにもかかわらず七・一%の引き上げということで、まあいわばマイナスというような御指摘だったと思うのでありますが、その論法でいきますと、昨年は生計費の上昇以上の給与改定が行なわれた。むしろこの際は、上げ過ぎであったというような御指摘になるのかと思うのでございますけれども、その際におきましても、つまり昨年の場合におきましても、必要以上に公務員の生計費を伸ばすという意図でなかったことは鶴園先生も御理解されたと思うのでございます。と同様に、今回その数字的な関係が逆になりましても、その上に公務員の生活水準を引き下げるという意図でないことは、その点からも御理解いただけるのではないかと思うわけであります。
○鶴園哲夫君 少しばかり回りくどいお話ですけれども、去年はどの世帯を取りましても、大体九%ぐらい上がっている。それに対して一二・四%という上がり方をされたのは、所得倍増というお話もあって、幾らかその所得というものを伸ばしていこうというお考えであったろうと思うのです。と見なければならんと思います。ところが、ことしは一二%をこしているにかかわらず、それを七・一%に切るというのは、結論的にはそうなるのですが、これは要するに生計費というものを切り下げる、押さえるというふうに解釈せざるを得ないのです。そう思うのです。ですから、総務長官は何かそれで……そうじゃないですか、結論的にはそういうことになってしまっている、遺憾ながら。だって公務員は全部これに入るのですから。一人世帯から五人世帯の中に全部入ってしまうのですから、各世帯の生計費も全部出ているし、上がり工合も出ているのですから。
○説明員(小平久雄君) その点につきましてはこの勧告の中にもございますが、消費者物価の点では、全都市いずれにしても五・一%の騰貴を見せておる。それから家計の消費支出金額は、昨年末に比べて東京では八・八%、ことしは九・三%上昇、こうなっていますが、これはその消費金額、まあ消費の増大と申しますか、そういう関係からこういった率が出ておると思いますが、この勧告自体につきましては、先ほど来人事院なり公務員室長から答弁がありました通り、別だんこれを七・一%の引き上げによりまして消費生活を積極的に押さえようとか、そういう考え方は全然ない、ただいまの建前上そういう考え方はない、かように考えております。
○鶴園哲夫君 くどいようですがね、昨年は私が申し上げておりますように、九%ちょっとくらいの上がり方、どの世帯をとりましても。そして一二・四という引き上げをやった。ことしは一二%を上回わることになっている。それに対して七・一%ですから、どのような意味からいっても、結論的には公務員の消費生活というものについては押さえるというふうに強い線を出されたものというふうにどうも理解せざるを得ないのですが、これはまあこの点は一つ問題を残しておきましょう。これはどう御答弁になっても、どうも切り下げておられるから、この点を残しまして、なお、これに関連して伺いたいのですが、前からこの国家公務員法の六十四条に規定しておりますように、俸給表の場合においては、まず生計費と民間の給与の工合と、その他人事院が必要と認める事項といろことで俸給表ができることになっている。その場合、その生計費というものを完全にオミットされた形でというと語弊がありますが、相当これにあまり重きを置かないで考えられますから今申し上げたような矛盾に逢着するというふうに思うのです。一体この今の人事院の俸給表の作り方について、政府としてはどういうふうに考えておられるのか、これを一つ伺っておきます。生計費、民間の給与その他人事院の考える要素という、生計費がまっ先に上がっておるわけですよ。ところが、どうも人事院の方では、いつもその民間の給与だけでものをおっしゃる。ことしなんかも歴然としておる。それが政府も何かその影響を受けてそういうような説明をされますが、法律の建前はそうじゃないのですね。これはどういうふうに政府は考えておられますか、念のために一つ伺っておきたい。
○説明員(小平久雄君) 政府といたしましては、人事院が法の定むるところに従いまして、忠実にその趣旨をくんで勧告なさったものと、私もさように考えております。
○千葉信君 そうではない。さっきの答弁とこれは違う。
○説明員(入江誠一郎君) これは国家公務員法の関係の解釈の問題になりますので、人事院からお答えいたしたいと思いますが、これは御存じのごとく、ただいま御指摘のごとく、生計費、民間給与その他適当な条件となっておりますが、まあしかしながら、やはり御存じのように、公務員の給与をきめますときに何を基準とするかという問題が一つございまして、これは多少余談になりますけれども、御存じのように、公務員の給与というものは、民間給与と別個の基準によるべきだという一つの議論もあるわけです。これはまた一面から言うと、その議論は、むしろ民間給与は上がっても、公務員の給与は上げなくてもいいじゃないかという議論と、民間の給与は上がらなくても公務員の給与は上げてもいいじゃないかという両方から出ますけれども、とにかく、しかし何か一番支柱をなす基準がございませんと、政府が、国会なり、国家公務員の集団なり、納税者と一般国民に御納得願えませんので、そこで何を基準にするかという場合に、やはり民間給与、政府は公務員の雇用者として、民間でこれをされておる一つの状態と、一つの労働市場といいますか、関係において、まあそれに準じて給与を出していただくという一つの観点が一番中心の基準としては適当ではないかということで、御存じのように、これは人事院ほとんど創設以来と申しますか、十数年にわたりまして民間給与というものを基準にしてやっております。生計費につきましては、法律の条文は、御指摘のように、一番最初にございますけれども、新制高校卒の初任給をきめるために標準生計費をきめまして、そうしてあとは全然趨勢を考えないわけではございませんが、先ほど来の物価とかその他の問題も、すべて民間給与に出ておりますものを基準といたしまして、それが一番すべての方面に、賃金はやはり納得の問題でございますから、納得を願えるゆえんでないかということで従来からできるだけやって参りまして、ことしもそれを踏襲したわけであります。
○千葉信君 関連。どうも入江さんの答弁を聞いておりますと、自分たちのものの好みで問題を左右しておる傾向が答弁の中にはっきり出ておるのですがね。さっきの本年度の物価の上昇の工合に応じてどう賃金改定をしなければならぬかということについての人事院の考え方として、物価そのものが、たとえば消費者物価そのものが民間賃金にどういうふうに影響をしたかということをとらえて、それによって自分たちの給与改定の問題を考える、こういう答弁をされる。それから今の答弁も、賃金を上げるには一体どういうふうな基準でやるかということについてさまざまな意見を吐かれました。前の答弁も今度の答弁も、結論から言うと、法律を無視した答弁です。ちゃんとあなた方が公務員法によって給与改定等の基準になる俸給表の改定をどうしなければならぬかということについては、はっきり基準が出ておるのです。あなた方の好みや主観で問題を左右することができないくらいはっきりとこの法律に明文があるのです。そうすると、その明文というものは、第一に生計費、それから民間における賃金、その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められる、ここに法律ではっきり規定されておることを、あなた方の主観でもってああでもないこうでもないと言うからややこしくなる。人事院としてはどうして賃金改定の問題を取り上げたかという、その場合の答弁としては、法律にはっきり明定されておることを尊重した答弁でなければ、国会の答弁としては通らないのです。今度の給与準則の規定を見てごらんなさい。
○説明員(入江誠一郎君) これはよく御存じの通り、その生計費、民間給与その他というのは、ずっと前からその規定がございますが、さればと申して、かりに毎年生計費、民間給与の順序をあっちこっちもできぬだろうと思います。たとえばその年によりまして生計費が低いということもございますし、民間給与に比べまして。あるいは民間給与が生計費に比べて低いことがある。そこで、かりにどちらか高い方に、その年その年によりますと、これはやはり一般としては納得されないのじゃないかと思います。やはりこれはこういう調査でございますとか、一つの基準はその年その年に変わりませんでやって参るということが適当だという前提に立ちますと、人事院といたしましては、従来からまあ相当長い期間やって参りました基準に従うことが適当だと思いますので、かりにその年その年によって変える、これはどうしても一般の納得が得られるのではないかと思います。いかがでございましょうか。
○千葉信君 あなたそういう答弁をするから問題がややこしくなってきます。あなたの前の総裁はそういう答弁をしておりませんよ。法律にちゃんと明文のある事項を人事院は守ったと答弁しています。あなたは自分の主観でもって、今聞いておりますと、どっちか高い方の基準によってやるか、あるいはそのときそのときの情勢によって人事院で手心を加えることができるような解釈の仕方をしている。そうじゃなくて、公務員の給与をどうするかということについては、こういう基準によれということをはっきり法律で明示しておるのです。規定しておるのです。その度合いをどの程度に勘案するかは別として、こういう法律の条文にやっぱり人事院としては従うという態度をとるべきです。それ以外の答弁をしようとするから問題がややこしくなる。野党から突っ込まれたりするのです。その点やっぱり人事院としては、まず第一に法律をはっきり守るという態度をとって、勧告する場合にその基準をはっきりしておかなきゃいけない。それを狂わしたり、そのときそのときの主観で答弁してみたりするから野党が承知しないという格好になるのです。はっきり生計費とか、あるいは民間給与の関係も考慮した。しかし、生計費の関係から見ると、民間賃金の工合はどういうふうに例年と違う状態にあるから、従って、その考慮する度合いは違うけれども、基準については人事院としては考慮するという答弁をすべきです。それをやらぬから筋の通らぬ答弁になって、いつまでたっても論議が蒸し返される。考えて答弁して下さい。
○説明員(入江誠一郎君) これは決して私個人がことしとっておる見解じゃございませんので、現に昨年も生計費は九%前後、それに対してやっぱり民間給与を基準にして出しましたので、民間給与を中心にといいますか、重点を置きましたのは、決してことし初めての問題ではございませんので、よく御存じの通り、従来からとって参りました一つの先例を踏襲しておるわけで、決して法律の精神を軽く見ておるわけではございません。
○千葉信君 それならそれで、一番最初にこの問題についての鶴園君の質問に対する答弁としては、物価がどれくらい上がっているということをちゃんと数字を列挙して、それをあなたはそういう物価の上昇の状態がいかに民間の賃金に影響したかという、その度合いによって今年の勧告の基準にした、こう答弁するから、だから問題になってくる。もっと法律を尊重する立場に立って答弁すれば、問題は何も蒸し返されずに、すっかりこちらはそれで了承するのです。説明の仕方が悪いのです。
○鶴園哲夫君 この点は、従来からこの委員会において非常に問題になっておる事項なんです。従って、人事院に対しましても、それから政府に対しましても強く要望いたし、さらに検討してもらいたいのですが、人事院が生計費というものを非常に注意深く、また、大へんな労力を使って計算されるわけです。ところが、その生計費は、わずかに十八才独身の青年という八等級二号俸、五千人しかいないところと結びついておるだけ、あとは生計費というのは結びつかない。にかかわらず、六十四条には生計費がまっ先にあがっている。かつて人事院も二人世帯までは俸給表に結びつけたのですが、その後一人世帯になってしまって、まことに生計費というのは、法律上はまっ先にうたわれておるけれども、公務員の給与を算定する場合には、わずかに五千人いるところの八等級の二号俸としか結びついていない。こういう実情にある点を政府並びに人事院に注意を一つ喚起をいたしておきたいと思うのです。いずれにいたしましても、この問題の結論は、やはり昨年の所得倍増という考え方から、ことしはどうも公務員の生計費というもの、あるいは消費生活というものを切り詰める、思い切って切り詰めるという結論にどうもこの上がり方はなっているということになると思います。ですが、それについて御発言がありますれば、次の機会に伺っておきたい。今までの答弁の中では、それに対して、そうではないと口ではお答えになっておりますが、現実にはこういうふうに数字的に現われております。もっと理論構成を明らかにして御答弁いただきたいことを要望いたしておきます。 次に、この七・一%について、もう少し別の角度から伺っておきたいのですが、これは勧告の出ます前の七月三十一日の内閣委員会だったと思います。入江総裁に対しましても特に私注意を申し上げ、考慮をしていただくように申し上げたわけです。それは人事院は御承知のように、四月しか調査しない、残念ながら。あとは調査はないわけですよ。一年のうちに四月しか調査されない。それで民間の給与の上がり工合の実態というものがつかめるかどうかという点について、私どもは非常に不安に思っておる。それが今年は非常に露骨に現われたわけなんです。それは四月から五月というのは、毎年ですが、給与が下がるわけですね、四月から五月にかけて下がる。下がりますのは、これは五月というのは連休が非常に多うございますからして、民間の場合はやはり日給制が多いですから、どうしても四月でベース・アップ、あるいは賃金が上がりますけれども、五月は働く日数が少ないわけですから、五月分の給与というものは下がるわけです。これは例年そうです。これは労働省の毎勤統計で明らかです。ところが、五月が一%ぐらい上がっておる。つまり四月は六・六%で五月は七・五%、約一%上がっておる。これは民間の春闘相場と俗にいわれるものが四月、五月に形成されたということを明らかにしておるというふうに判断をされるわけです。その点については人事院もやはり認められておる。否定はされない。ベース・アップをし、あるいは賃金が上がった。ところが、五月に働く日数が少ないから下がるというのに、逆に一%上がってしまった。この労働省の毎勤統計の数字を見ますと、四月の働く日数というのは二四・三日ある。五月は二三・三日、ですから一日少ない、働く日数が。ですから、賃金は上がりましても、四月より一日少ないからどうしても下がる。ところが、働く日数が少なくて上がったのだから、五月にはどうしても民間の場合には賃金が上がったと見なければならぬ。下がるのが上がったから往復ですから、三%くらいの差になってしまう。三%の差ができると、これは大へんな数字です。これは官民の較差に直しますと大へんな較差になる。おそらく五%、六%の較差になってしまう、三%の較差というのは。そうしますと、七・一%ではなくて、もっと大きな額を考えなければならぬ。しかし、残念ながら人事院というのは四月しか計算しない。労働省ははっきり出しておる。そこで私は人事院に対しまして、先ほどの国公法の六十四条、生計費、民間の給与その他人事院が考える事項によって俸給表を作るということになっておりますから、その第三番目の人事院が考慮するというその事項の中に、今年は五月が逆に上がってしまっておるという要素を頭の中に十分に入れて公務員の給与を考えてもらいたいという要望をいたした。しかし、どうもその点については考慮が払われていない。この点について政府としてはどういうふうに考えておられるのか、これでいきますと、おそらく春闘相場といわれるもののほぼ半分くらいのもの、はっきりは言えませんが、半分くらいのものが来年公務員の勧告の中に現われる、こういう事態になっておる。これを入れますと、今まで私が言ったような三%くらいの較差というものをプラスしますと、先ほどの生計費と矛盾がなくなる、あるいは消費者物価というものとの間にそう矛盾がない俸給表というものができるのですよ。この点についてはどういうふうに考えておられますか。政府としての見解を伺っておきたい。
○説明員(増子正宏君) 私どもが検討いたしました限りにおいてお答えを申し上げるわけでございますが、ただいま御指摘がありましたのは、例年ならば四月より下がる五月が若干の上がりを見せておるということでございます。これはどういう理由であったかという分析はいろいろ可能だと存じますし、また、御指摘のように、いわゆる春闘相場が五月にもかなり影響を現わしたというふうにも、もちろんそういうことも考えられるわけでございますが、それでは実質的の春闘相場というものが五月で全部終わってしまったのかどうかということも、これははっきりいたさないわけでございます。ある作業によりましては、もっとあとまで、六月、七月というふうな時期に現われるということもあるわけでございまして、民間給与の調査時点をいつに定めるかということは、非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。お説のように、春闘相場というようなものに非常に重点をおきますと、一切が完了した時期でないとなかなか正確にはそれをつかめないという点があるわけでございます。 なお、人事院が四月を実施期日と選びましたのも、御承知のような経緯で三月から四月に昨年から改まったわけでございますが、もちろんこの実施時期は必ずしも固定されたものではないわけでございます。人事院の判断によって今後ともあるいは変更可能なことであろうかと存じますが、ただ、その変更を御説のような意味で今後考えていくかどうかということは、一つ問題であろうかと存じます。いずれにいたしましても、特に政府といたしまして四月が適当であるか、あるいは五月についてはこのような事象が起きたから、今回はこう考えるべきであるというような検討はいたしていないわけでございます。そういう角度からではなくして、先ほどから申し上げておりますように、人事院のとりました作業内容、あるいはその結果いろいろの角度から検討いたしまして結論を出したわけでございます。
○鶴園哲夫君 これは人事院は、先ほど申しましたように、一年に四月しか調査しない。ですけれども、労働省は毎月詳細な調査をやって発表している。政府機関の発表している数字が明らかにある。それで見ますと、これは室長も御否定にならない、あるいは人事院も否定なさらないように、明らかにことしは四月と五月が民間が相当上がったということをはっきり示している。例年下がるのに、ことしだけは上がるわけですから、その点をどうして人事院が考慮できないのか、国公法の六十四条によって、人事院が配慮する要素の中にこれはどういうわけで入り切らなかったのかというように私は思うのです。これでは俗に言う春闘相場——これは春闘相場といいましても、六月にはね返る分もあり、七月にはね返る分も、もっと端的に現われたのは、ことしは四月、五月というふうに現われておる。例年ですと大体四月ですから、若干ずれる面もありますけれども、しかし、まあ重要な問題ではない。今年は非常に重要な要素としてこういうふうに出ているわけですから、その点を人事院が配慮できなかったという点について、しかも、これは事前に私この委員会において何回となく申し上げたはずなんです。私は、人事院の今度の勧告について、説明のしようによりましては、人事院は七・一%ということで各方面からだいぶやかましく言われているけれども、実は春闘相場の半分しか上げなかったのですぞ、この労働省の統計を見てごらんなさい、大体春闘相場の半分しか上げておりません、生計費はこんなに上がりました、物価もこんなに上がっておりますけれども、昨年と比べましてうんとそれを圧縮した形で賃上げを勧告しているのですと、こういうふうな説明も可能である、私はそう思うんです。
○説明員(入江誠一郎君) この問題は、今御指摘のように、勧告前に鶴園さんから、そういうふうにしたらどうかというお話もございまして、これはしかしなかなか御存じのように、その人事院の調査は、いわゆる各民間の給与とその職種、年令、経験年数を同等とするものを合わせまして、いわゆる平面的と申しますか、調査をするのでございまして、労働省のは、御存じのように、一つの賃金の趨勢を毎月のを出しているわけでございまして、元来が労働省のものと人事院のは統計の基礎が違うわけでございますが、しかし、それはさておき、やはりこういう統計でございますから、一つの基準としますものが確定数字でございませんと、一つの見込みとしてそこへ出しますことは、非常にまたこれむずかしいと思います。こういうものを、ちょっと先ほど申し上げた問題と同じで、毎年やはり一つの同一方針でやりませんと、今年はかりに五月が上がりますから五月を見込む、それじゃ先ほど御指摘のように、五月が下がりましたときそれじゃ見込めるかと申しますと、これは見込めませんので、やはり大体この賃金というのは、現在のところでは、一年間を通じては上がって参っておりますから、それを一年間の趨勢を四月で押さえまして、そこで調査をいたすわけでございます。もし御納得をお願いできませんようなら、給与局長から技術的な問題を御説明さしていただきますが、一つの見込みで何らかそこへ付加していくということは非常に困難じゃないかと思います。これはやはり五月から来年の四月までのものを来年四月で反映させる、そういうふうにさしていただくより実際問題として非常に困難じゃないかと思います。
○鶴園哲夫君 これは七月の三十一日も政府に要望いたしました点ですし、これはどう言いましても、今年は非常に変わった形になっているわけですから、これは非常に変わった形を、人事院がしかもその変わった点を十分指摘をいたしたわけです。それは総裁も御存じの通り、瀧本さんも御存じの通りなんです。それを見込みとか何とかおっしゃいますが、国公法の六十四条にいう人事院の考える要素というものの中に入るという主張を私はしたわけです。そうしなければ、結論的に言いますと、今年の春闘相場の半分しか公務員の場合はみなかったという結論になる。人事院はそれに対して、私のところは四月しか調査いたしませんからいたし方ありませんとおっしゃるにはあまりにも大きな問題だから、私は何回もこの点を追及したわけなんです。結論的に言えば、ことしの公務員の賃上げというものは、春闘相場の大体半分ぐらいの程度のものをみたんだという結論になる。これはもう否定できないと思う。いたし方ない、四月の調査だけしかお考えにならないのだから。そこで、私が先ほど申し上げたように、各方面からこれについては批判がある。人事院の勧告については、非常に行き過ぎておるという批判もある。ですが、それに対する答弁としては、私二つりっぱにあり得ると思う。一つは、春闘相場の半分しかみてないんだということがこの労働省の統計ではっきり出ている。もう一つは、消費物価もこう上がっておりますし、生計費もこういうふうに上がっておりますが、これはうんと押さえてありますという二つによって、それに対するりっぱな説明が成り立ち得る。そういうような勧告をされたのでは、公務員としては、これはまことにたまったものじゃないと私は思うんですがね。生計費の問題についても、政府としましても今後答弁できにくい、できない、今の問題について答弁できないんじゃないですか。結論は、春闘相場の半分しか大体認めなかったということと理解したい。それでよろしゅうございますか。
○説明員(入江誠一郎君) なお給与局長に補足させていただきますが、この春闘相場の半分と、こうおっしゃいますが、実は大体御存じのように、かりに五月——労働省の調査で見ますと、四月を一〇〇といたしまして、五月が一〇〇・八、〇・八上がっておるわけでございます。で、まあ先ほど来の問題と関連いたしまして、かりに消費支出で考えますと、前年は四月が一〇〇でございましたが、五月は九七・二と下がりまして、今度は六月になりましてまた回復いたしまして一〇〇・一となっております。それから東京は四月が一〇〇、それが五月は一〇一・三になって、六月はまた下がりまして一〇〇・二、それから消費者物価は四月を一〇〇にいたしまして、五月は九九・四、それから六月が一〇〇・一、私どもといたしましては、もちろん民間賃金を中心にいたしておりますので、別に消費者物価、あるいは消費支出が下がりましたことが——今なかなか東京は御存じのように、五月に賃金が上っておると思えば消費支出が下がっておりますとか、まあそれは御指摘のように、毎月勤労統計がまあ五月はいつも下がるのでございますが、ことしは上がっていること、これは確かに一つ特色と申しますか、特色でございますけれども、なかなかこれをとらえて一つの確定数字に何らかのそこに積算していくということは非常に困難な問題じゃないかと思うのでございます。
○説明員(瀧本忠男君) 毎月勤労統計で五月が大体下がるのが普通であるが、ことしは五月が四月に比べて指数が下がっていない。で、このことを七月三十一日に御指摘になりましたことは、私も十分記憶いたしております。ただ、先ほど裁総から御説明申し上げましたように、人事院の調査というのは、これは鶴園委員からも御指摘ございましたように、四月分についてやっておるということでございまして、それらも毎月継続してやっておるわけでございません。これはやりようもないわけでございますが、従って、四月分についてしかわからない。それであるからこそ毎月勤労統計あたりを参考にして直したらどうか、明らかに五月分の方が高くなっておるというのは注目すべき現象ではないかという御指摘があった。そのとき私も申し上げたのでございまするが、これは毎月勤労統計の指数というものはいろんな要素がこここに入ってきております。ただいま御指摘のように、春闘の結果上がっておるという要素も、これも否定できないと思う。で、また逆に、月間の働く日数というものが四月、五月と違うということによってもまたこれは違ってくるでありましょうし、そのほかいろんな要素がここに入ってくる余地があると思います。従いまして、春闘によって、ただいま半分だという大まかな目の子的な推定をされたわけでありますけれども、人事院が勧告いたしますときには、やはり十分われわれとして、とにかく説明がし得るような分析の結果に基づかなければならぬ。ところが、現在の毎月勤労統計というものがそれほど分析にたえ得るかといいますと、私は必ずしもそうは言えない、いろいろ見解の相違というようなことで、残る余地が多分にあるのじゃなかろうかというように思う。従いまして、この四月分について調査するということでございまするならば、やはり四月分の確定数字というもので、これを一つの基準にするということにせざるを人事院としては得ない。これはやはり技術的な観点から、それ以上の操作をやる場合に、やはり推定とか推量というものが入って参りますると、これは従来人事院がやって参りましたことと違うわけでございます。そこを第三の要件で考えたらどうかという御指摘がございまするが、これはその点になりますると、いろいろ見解の違いといいうこともあるかもしれませんが、第三の要因というものは、われわれの考えによりますると、ある一定時点の賃金の状態なり、あるいは生計費の状態というものを考えます際に、資料が足りない、賃金なり生計費の資料が足りないというような場合には、それを補足する手段として、何らか他のものを導入して参るというようなことが第三の要因であろう。この第三の要因につきましては、多少用いまする場合にどの程度の限界で用いるかという問題は残ろうと思いますけれども、やはり四月現在で比較するという前提でございまするので、五月分に現われた賃金をそこに導入して参るということは、やはり第三の要因で考えるべき問題ではないのではなかろうか。少なくとも四月現在で比較するという現在の建前でございまするので、これは技術的にも、五月にそういう要因があったかもしれない、あるいはあったであろうという推定は、これはできます。できますけれども、それがどれだけあったのかというようなことは、なかなかこれは技術的な限界をこえておる問題のように、われわれ現在力も足りないせいもあるでありましょうけれども、思えるわけでございます。そういう関係から、やはり四月分ということで勧告させていただいたわけでございます。 なお、先ほど総裁からも申し上げましたけれども、もう一度申し上げますと、昨年は五月分が九八・七、四月を一〇〇といたしますると。毎月勤労統計の数字が、昨年は九八・七という数字になっておりまして、ことしはこの四月分を一〇〇といたしますると、五月が一〇〇・八、ここだけ見ますると、これは相当の違いのように見えるのでございます。ところが、一昨年の状況を見てみますると、四月を一〇〇といたしますると、五月は九九・七、こういうことで、この五月が落ちるという、これは確かに落ちております。一〇〇より九九・七の方が低いのでありますから、落ちてはおりますけれども、〇・三ぐらいの落ちというものが、これがどういう要因によったかということは必ずしも言えないので、昨年の六月を見てみますと、一〇一・五というようになっておりますので、これはあまり動きがなかったとむしろ大勢的には考えるのがいいのではないか。去年の九八・七というのは、これは多少異常な数字だったというようにわれわれ思っております。で、ことしの一〇〇・八という数字も、ちゃんと四月と五月を比べまして、今おっしゃるような結論をこの数字だけから導くのは、多少われわれの観点からいたしますれば無理があるのではなかろうかというような感じを持っております。
○鶴園哲夫君 だから、ことしが非常に特異な現象であるということは、総裁も瀧本局長も認めておられるので、確かに大へんな特異な現象なんですよ。昨年は、おっしゃったように、一三%落ちている。四月から五月へ一・三%落ちている、下がっておるわけです。ことしは四月から五月へ〇・八ふえたんですよ。下がるのが上がったんですよ。往復加えますと二%前後になっちゃったんですよ。そうしますと、私が大体半分というのは、三月から四月にかけて大体三・五%上がっておる、この毎勤統計では。それから四月から五月には、今申しましたように、往復あります。下がるのも上がるのもありますから、二・何%は上がるわけですよ。だからほぼ半分というんですよ、私は春闘相場を。ですが、人事院としては四月を対象にしてとられる。従って、四月しかわかりません。労働省の毎勤統計については、人事院の検討にはたえがたい点もあるかもしれない。あるだろうという点で四月しかとれないし、比較的の見込みはなかなか困難であろうというお話でありますが、しかし、そのことが、結論的に私が言うように、今年の春闘相場でのほぼ半分近いものが来年に回されてしまったということに結論はなってくる。まあその点を一つ申し上げまして、従って私は、今度の勧告の七・一%という問題については、非常に大へんな問題を含んでおる。生計費の問題からいっても消費者物価の問題からいっても、大へんな問題があるし、今申し上げました民間の上昇の工合についても、非常に問題点を残しておるという点を一つここで指摘をいたします。 次に、そういう勧告を何で五月一日になさらないで十月一日になさったのか。先ほど十月一日になさった理由が三点ほどあげられましたけれども、どれを見ても理由にならない。この理由がつくというふうにお考えになると私ちょっと解せないのですが、さかのぼるのがおかしいとおっしゃるのならば、これは五カ月分ですよ。かりに人事院が言うように五月からだとすると、五、六、七、八、九、五カ月分ですよ。この五カ月分というのは〇・三五月分です。七・一%の額上げですから、五カ月分ですから大体〇・三五月分、それだけのものが処理できないというふうには思えないんです。公労協の場合には、今年の三月末に〇・五という特別手当を出しておる。これは公務員が十月一日から上がった等の関連もあって、さかのぼるわけにいかぬけれども、〇・五という期末手当を出された。何がゆえに、公務員にはさかのぼるというのがむずかしいならば、〇・三五ぐらいの手当を今年にかけて出すという考え方を出されても何も差しつかえないのじゃないかと思う。その点伺っておきたいと思います。理由はないんですよ、これは。さかのぼるのが好ましくない、どうもこれはおかしいんですね。理屈ないんですよ、三つとも。いかにも持って回わったような理由ですが、理屈がない。直せば〇・三五月分だから、その〇・三五月分は公企体の場合においては出したじゃないか。それがなぜ公務員の場合にその措置ができないのかという点を含めて、一つ政府に御答弁をいただきたいのですが。
○説明員(小平久雄君) 先生のようなお考えも出るかと思いまするが、先ほどるる申し上げましたような事情のもとに、またあるいは申し上げましたような結論に達したわけでございまして、まあ政府といたしましては、給与の改定ということが数カ月さかのぼって行なわれるというようなことは、過般の事情から好ましくないと、こういう結論に至ったわけでございます。
○鶴園哲夫君 私は、そのさかのぼるのは非常にむずかしいというようなお考えであるとするならば、これは〇・三五月分ですか、五カ月分の上がり方は。それを三公社五現業と同じように処理できませんかと言っているのです。ですから、私先ほど勧告の内容についても大へんな問題が、これはこんな勧告はおかしな話であって、それすら五月一日にさかのぼるのはできないと、それは十月一日だとおっしゃる理由は理屈にならないでしょう。しかし、困難であるとおっしゃるなら、さかのぼるのはおかしいとおっしゃるなら、三公社五現業と同じように、期末手当をことしに限ってふやされたらいい。〇・三五カ月分なんです。公企体に対して〇・五出されたのだから、この程度の処理ができないというのはおかしい。黙っているから、おとなしいからそれでいいんだというお話であるとすれば、これはまた別問題ですが……。
○説明員(小平久雄君) ただいま申し上げました通り、これは先生のお考えのようなことも、なさろうと思えばできるということになるかもしれませんが、たとえば一時金の形において出すといたしますれば、やはり実質的には五月にさかのぼって給与改定することと同じ次第になるわけでありまして、いずれにいたしましても、すでに決定を見、支給の済んでおるものについてさかのぼるのは妥当でないと、こういうことに相なったわけでございます。
○鶴園哲夫君 いや、五現業の場合はできるけれども、国家公務員の場合はできないというその理由を聞きたいのですよ。
○説明員(小平久雄君) ですから、先ほど来申しておりますように、先生のおっしゃられるような方法も、これは全然考えられないことは私もないと思います。しかし、政府の考えといたしましては、それがそういう方法をとることが妥当ではないと、こういう結論に達したわけでありまして、特に数カ月さかのぼると、もちろんその差額だけを一時金の形において支給するといたしましても、数百億円を全国では要するわけで、そういうことが好ましくないと、こういう見解に立ったわけでございます。
○鶴園哲夫君 それは私理由にならないですよ。五現業の場合はなさったが、公務員の場合はなぜできないのかという理由を承っておるのですから、好ましくないということでは、それは閣議決定のことを繰り返しておられるだけにすぎないのであって、そうではなくて、五現業の場合はことし前にさかのぼるという関係もむずかしいので、これは年度を越しますから、そこで三月末に〇・五月分という期末手当を出した。その場合は公務員はゼロでした。ですが、今度の場合においてさかのぼるというのはむずかしいとおっしゃるなら、〇・三五ということしに限っての期末手当をお考えになったって、何もおかしいことじゃないのじゃないか。どういうわけでできないとおっしゃるのかということを聞いておるのです。しかも、その数百億要るというのはどういう理由です、そんなに要らないでしょう。〇・四月分でここに書いてある四十三億ですから、どう考えてみても、地方公務員入れても数百億円にならないでしょう。地方公務員を含めてみても、数百億なんてならないのですよ。数百億というのはどの程度のことを言っておられるか知らぬけれども、〇・四カ月分で四十三億、公務員の場合は。それを地方公務員に広げてみても数百億という金にはならない。
○説明員(小平久雄君) ただいまの答弁のうち、数百億と申し上げましたが、数百億という表現があるいは妥当でないかもしれませんが、おおよそ概算いたしてみますというと、約四百億ちょっとこすぐらいになるかと思うわけであります。 それから〇・三五カ月分を一時金で出したらどうか、政府職員の場合になぜこれが出せないのかと、こういうことでございますが、この点は先ほど来申し上げております通りでありまして、閣議におきまして、こういう給与をここで一括支給するということは各般の情勢から好ましくないと、こういう結論に至りました。これはまあ見解の相違とでも申しますか、ということになるかとも思いますが、はなはだ答弁を繰り返すようで恐縮でありますが、その間の事情を御了承願いたいと思います。
○鶴園哲夫君 要するに、五現業の場合はできたけれども、国家公務員の場合はできない、その理由は特にない。あるとすれば——何かおっしゃいましたけれども、これは理由にならないと思うのです。ですから、五現業の場合はできたけれども、公務員の場合はできないというだけのことにすぎない。それはどうも理屈としておかしいし、納得できない。加えるに、先ほど来、私七・一%額上げにつきまして、口をすっぱくしてこれはおかしいということを言っている。この勧告ですら五月からやらない、十月というお話、とてもこれは納得できないし、説明にならないと思うのですが、これはいずれ検討してもらいたいと思うのですが、先ほど申し上げました勧告の内容も含めて、答弁になっていないのですから、含めて〇・三五の問題についても検討してもらう。それは理屈がないのですから、納得できないのです。そういうふうに要望を申し上げたいのですが、よろしゅうございますか。
○委員長(吉江勝保君) 承知しましたと言ったらどうですか。
○鶴園哲夫君 承知しました——それでよろしゅうございます。 ついでに申し上げておきますが、期末手当を例にとりますと、これは明らかに昨年の六月に〇・二民間の場合は出ている、昨年の六月に。言い直せば昨年の上半期に〇・二出ているのだということですね。それを人事院としてはことしの六月に〇・二という主張だろうと思うのです。それを政府としては、今のままでいきますと、来年の六月に出そうとしている。二年おくれますね。こういう点はどういうふうに苦労しておられますか。苦労のほどを承りたいのですが、二年おくれるのです。民間の場合は昨年の六月出ておる、あるいは昨年の上半期出ている。それを政府としては来年の六月ないし上半期に出そうとしておられる。二年おくれるのですが、こういう点について頭は痛くないものかどうかと私は思っておるのですがね。こういうふうに公務員を侮辱してはどうにもならないと私は思うのですがね。侮辱ですよ、こういうのは。まあ、財政の立場とか、いろいろ御主張もございましょうけれども、こういうふうに侮辱されたのじゃ、公務員としてはたまったものじゃないですよ。〇・二カ月にも非常に問題があるのですけれども、そこら辺はどういうふうに苦労しておられるのか、悩んでおられる精神状態を聞きたいのですがね。
○説明員(小平久雄君) この点につきましても御指摘のような問題があるわけでありますが、これまた先ほど来申しておりまするような建前におきまして、十月以降において実施いたしたい、こういう結論になっております。
○鶴園哲夫君 この問題につきましても、私はやはり公務員を侮辱するというのじゃなくて、もっとやっぱり考えていただきたいですね。その意味で一つもう一ぺん閣議で御検討いただきたいのですがね。だめですよ、こういうことじゃ。どうします。これだけ足げにされていて、勧告ですら非常に不満がある。むきつけに言って非常に不満がある。今の期末手当につきましても非常に不満ですよ。それすら来年に回してしまうという考え方ですね、二年おくれになる。それを政府は平然とやられるという心臓は、その精神状態というものは、これはどうも理屈がつかないですね、もう一ぺんこの点を考えてもらいたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。さっきの問題とも一緒ですから、考えていただきたい。もう一ぺん検討してもらう、いかがでございますか。
○説明員(小平久雄君) せっかくの御要請でございますが、すでに閣議で方針も決定いたしたことでございますので、これをあらためてまた検討するということは、はなはだ困難であると、かように考えております。
○鶴園哲夫君 この期末手当につきまして、政府にもう一ぺん意見を伺っておきますが、これは私この内閣委員会で始終問題にいたしておりますように、この期末手当のやり方については、非常に重大な欠陥があるというふうに私どもとしては見ているわけです。それは工員と職員との平均で出されるわけですね。御存じのように、職員の場合は、去年は民間の場合は四・ ○六月分です。職員で出せばいいんですよ、公務員は。ところが、それを切り下げるために工員を加えまして平均されるわけですね。工員は〇・六三月分ですよ。平均して三・四八という数字を出される。どういうわけで工員と職員と合わせて平均して公務員と比較しなければならぬのか。人事院の場合におきましては、今の人事院の所管の公務員は四十万、今回定員に繰り入れる者を含めて四十四万といっておりますが、その四十四万のうちの工員と称せられる人はきわめて少ないのですよ。一万ぐらいだというふうにいわれているのですが、さらに民間の職員の場合におきましては、社員とかあるいは従業員という形で、判然としない面があるのですよ。ですから、この職員というのは公務員と比較していい立場にある人たちであるし、どういうわけでこれを平均して比較なされるのか。一体公務員というものは、工員の期末手当を当てにしてものを考えたり満足をしたり不安を抱いたりしているのかどうか。職員との関係で公務員は不満を感じ、低い低いと言っているわけなんです。これはどうも人事院が悪いですね、引き下げるためにこういうふうに出されるのは。そういう点について政府の見解を一ぺん伺っておきたい。
○説明員(増子正宏君) ただいまの御質問の点でございますが、これは鶴園委員もよく御承知だろうと思いますけれども、人事院が、今までいわゆる特別給の算出の仕方につきまして、この委員会におきましても、しばしば御説明申し上げておるところでございますし、その趣旨に従いまして今回も私どもその結果を検討しました結果、一応妥当なものであるというふうに判断したわけでございます。
○鶴園哲夫君 私はこういう理由でおかしい、矛盾がある、大きな問題だというふうに指摘しておるわけです。それに対しまして妥当であるというお話では、理由を述べて妥当であるというふうに伺いたいのです。
○説明員(増子正宏君) その理由を特に申し上げませんでしたのは、この算出の仕方につきまして人事院がとっております考え方は、鶴園委員が十分御承知であるというふうに考えたからでございますが、私の理解しておるところで申し上げますると、民間の調査対象になっておりますものにつきまして、何が工員であり、何が職員であるかということにつきましては、人事院が特別に定義をいたしておるわけではないわけでございまして、それぞれの事業場あるいは企業におきまして、内部的に職員、工員という別を一応いたしております実情からそういう数字が出て参るわけでございます。従いまして、人事院としましても、特に職員、工員という区別をいたしまして、その上で何らかの結論を出すというような意図的なものではないというふうに私どもも理解をいたしておるわけでございます。 なお、内容に入りますれば、もちろんいわゆる民間のボーナス、公務員の場合の期末手当につきましては、その性格なり、あるいはあり方をどのように考えるかというようなことが従来から非常に問題でございます。たとえばある会社、ある企業等、個別的なものをとりますと、いわゆる職員という中におきましても、相当職務に対応して期末手当にも差がある。必ずしも一律ではないというような支給の方法が考えられるわけでございます。それから、なお、その内容におきましては、いわゆる収益の分配といいますか、いわば会社の企業の業績を職員にも還元するという意味で、純粋のボーナスというようなものももちろんあるわけでございますが、そういう点になりますと、公務員に対しまして支給いたしますいわゆる期末手当は、民間のそういった趣旨は必ずしもそこに取り入れにくいわけでございます。そういうような意味におきまして、公務員の期末手当をどこまで民間の実際のいわゆるボーナス等に合わせていくかというようなことは、従来から論議されておりますように、非常にむずかしい問題であろうと思います。で、人事院は、私どもが承知いたしておりますところでは、そういう性格等もありますので、期末手当、いわゆる特別給の支給額の算定につきましては、俸給表のように、精密な職種対応というようなことではなしに、大体大まかに全体の傾向というものを把握して、それに基づいて公務員の金額を考えるというふうにやってきておるわけでございまして、私どもの検討の結果におきましても、期末手当等の今申しましたような性格から見れば、現在の人事院の算出の仕方も、まずやむを得ないといいますか、現状においては妥当であろうというふうに考えたわけでございます。
○鶴園哲夫君 今の室長のおっしゃいますように、人事院の調査は、職員とか工員という区別は、その事業所の呼び名によって区別している。従って、工員の中には職員は入りっこない。ですが、職員の中には従業員とか社員という形で入る可能性は十分ある。ですから、この職員というのは公務員に該当すると言って何ら差しつかえない。職員というのは公務員に該当する。それならこの職員と公務員と比較すればいいじゃないかということを私は言っている。その場合に、個々の企業をとるというと、職務によって一律ではないというようなお話、これは公務員の場合においては民間とその意味では違いますから、これは一律でよろしいというのが私の論拠なのです、理由なのです。一律でよろしい、そして比較はこの職員となさい。職員と比較しますと一挙に上げなければなりませんからね、大へんでしょうそれは。どういうふうにされるか大へんでしょう。〇・三五だって前にさかのぼらないとか、あるいは〇・二だって二年ずらそうという魂胆の政府ですから大へんでしょうが、大へんな問題があるのだと、そういう結果出た〇・四すらどうも考えられないということでは、これはどうも公務員は踏んだりけったりですね。もう一ぺん伺いますが、先ほど申し上げました〇・三五というのを公労協との関係で再考慮してもらいたい。公労協といって、これ公労協出しますと、あまりいい話じゃないのですけれどもね。しかし、政府に納得していただくには最もいい例だと思って申し上げておるのですが、再考慮してもらいたい。もう一ぺん総務長官に、あれぐらいは再考慮していただきたいと思うのですがね。検討不十分ですよ、総務長官。どうも人事院が勧告を作られるというのですけれども、はなはだ検討不十分、それをうのみにしておいて処置ないですね、これでは。ですから検討してもらいたいのですがね。これは検討するということになっていましたね、さっき総務長官は。考慮するのですね、そうでしたね。
○説明員(小平久雄君) 先ほどの答弁を繰り返すことになりますが、閣議におきましてもいろいろな角度から検討いたしました結果、先ほど来申しますような結論になったことでございますので、これを再び閣議において検討するということは困難であろうと、かように実は先ほども御答弁申し上げたわけであります。
○鶴園哲夫君 ちょっとおかしいですよ、今の答弁は。さっき考慮すると言った……そうですが、おかしいな。いずれにしても、結論としましては、これはどうも理屈にならないね。そんなこと政府できめられてはかないませんね、そっけないですよ。そういうものをるる述べられましても納得できないのですよ。さらに七・一%の問題につきましても二つの点から申し上げたのですが、はなはだ私どもとしては納得できない御説明のように承るのです。これらを含めて、もう一ぺん臨時国会始まりましたら、一つ四つに組んで論議したいと思います。はなはだどうもあれですが、これで一つ委員長私のやつは終わります。
○山本伊三郎君 それじゃ簡単に、時間も過ぎたから。 今、総務長官が、閣議で決定したということで、それがもう全く法律案が決定したような答弁ですが、私はそう理解しておらない。そこで、もう繰り返して申しません。実は、この前の迫水氏が担当大臣のときに話したのですが、先ほどから聞いておると、今の公務員の給与はこれで妥当だという印象を与える答弁ばかりなんです。給与の改正案が閣議で一応了解されたように新聞紙上聞いておるが、まだ法律案が出ておらない。そこで聞いておきたいのですが、迫水大臣に、実は私特に常識的に聞いたのですが、私はまあ大蔵省や各省を歩いたり、また、あなたの職場をいっても、新しく大学を出た人に聞いてみると、それはもうとてもいけないという、そう大きい不満ではないけれども、そういう意見が給与の点で出ておることは事実なんですよ。それで聞きますが、総務長官は、どういう経緯か知りませんが、人事院総裁、戦前入られたときに迫水長官は、私入ったときに七十円もらったと、こう言っておられるのですがね、あなた入られたときに幾ら初任給おもらいになったか、ちょっと。
○説明員(入江誠一郎君) 迫水国務大臣とは大体同時に入りましたので、七十五円でございます。
○山本伊三郎君 それがまあ大体私が国会図書館でだいぶいろいろと探してみて、その当時帝国大学へ行ったのですが、官立大学を出た人が七十円ないし七十五円で入っております。七十円ということは調べております。それから私立大学を出た、早稲田とか慶応なんかを出た人は、六十円から六十五円という記録があるのですね。それで大体合うておるのですが、それを今の大体物価の倍数かけたら幾らになりますか。ちょっと私頭悪い、計算できませんから、ちょっとあなたから。
○説明員(瀧本忠男君) まあ物価の倍率と申しますか、かりに三百倍いたしてみますると、二万二千五百円ということになります。ただまあその当時といろいろな情勢が違っておりまするので、そのときの倍率で出したものが今適正であるかどうかということは、大へん問題があろうかと思います。
○山本伊三郎君 三百倍というのは、それはあなたの大体考えだと思うのですが、この間の政府の発行しておる何か政府の窓口ですか、何かそういう雑誌で発表しておるところによると、三百二十倍、それから東洋経済の発表しておるやつは三百八十倍、こういう数字が出ておるのです。従って、今言われたように三百倍にしても、大学出といったら二万以上こさなくちゃいけない。これははっきりわかります。そこで、今あなた言われたように、その当時と諸条件が違うというが、経済上の諸条件、皆さん方の生活と関係する諸条件が違うというのはどこですか。どういうところが違うから、昔は二万一千円に相当するやつをもらっておっても、今は一万三千円程度でいいのだと、こういうことの諸条件が違う点はどこにありますか。
○説明員(瀧本忠男君) いいとか悪いとかいうことは私はまあ申し上げないのでありますが、ただ、公務員の給与をどういうふうに考えるかという場合に、人事院といたしまして勧告の際に考えます場合……。
○山本伊三郎君 勧告じゃないのです。今の、そのときの二万一千円もらっておっても、なおかつ今よりも悪いのだというような印象を与える答弁だから、私はそのときの方がよかったと思っておるのだが、そのときの悪い諸条件というものはどういうものがあったか。
○説明員(瀧本忠男君) 私が申し上げましたのは、たとえば当時七十五円もらっておった者が、まあかりに三百倍とすれば二万二千五百円になる。で、この二万二千五百円という数字が、現在かりに公務員の初任給として決定することが妥当であるかどうかということには問題がある。その当時よりいろいろ社会の一般情勢なり何なりが変わってきておりまして、そういう条件の中におきましては、これは問題があるということも申し上げたわけであります。
○山本伊三郎君 私は、まあそういうことを、人事院の立場から今度出した勧告は妥当性があるということを説明しようと言われているのですが、それは今鶴園君が聞いたから、私は聞いておらない。そのときの事実によって、これはほんとうの実際の証明書が、人事院総裁、事務をやっているのですから、従って、その当時の初任給で入れば現在二万円以上もらわなければいかないということになっている、金額から言って。そうすると、今の入っておる人は非常に生活が苦しいということは認めますか。その点はどうですか。これは総務長官どうですか。今の言われた数字から見て、あなたそう思いませんか。これは小学校の生徒でも大体わかる数字ですがね。七十五円人事院総裁は初任給もらった、大学出て。今のそれは一万三千円ないし一万四千円。そうすると七千円以上違うのですね。違うのです、数字は。そうすると、生活は困っておると私は見るのですけれども、それは困っておらないという総務長官の考えであるかどうか、これ聞いておきます。簡単な答弁です。
○説明員(小平久雄君) 単に数学的な計算あるいは比較をいたせば、現在の方が苦しいということになろうかと思いますが、しかし、生活の問題はきわめて複雑なものですから、全般的にだれもがそうだというわけにも参らぬかと思います。
○山本伊三郎君 総務長官、これはお互いに今国政——私はまあ国政のちょっと端しくれに携わっておると思うのですが、物事はやはり率直に考えていかないと、これは人事院の説明書にも、最近における新卒の入手が非常に困難だということが説明書きになっておるのですね。これはいわゆる政府の国家行政水準のやはり低下を来たすと私は思うのですよ。今日僕は各省を回って見ても、不平は言っておる人はさすがないと思いますが、実際に昔のような形で責任をもってやるには、やはり生活の不安があると、私はこう見ておるのですね。従って、人事院勧告を出されるのは非常にいい。出されるのはいいが、実際今の公務員というものは、戦前と比較してまだまだ低いのだという認識を私はまず持ってもらいたいというのが私の質問の要点なんです。これでいいのだ、これでいいのだということでは、ほんとうのこの公務員が実際働く場合には力が入らぬと思うのですよ。しかし、実際の問題、これはまあこの前佐藤大蔵大臣のときだったと思いますが、この質問すると、日本は敗戦によって経済の基盤が非常に脆弱になっている。従って、しばらくしんぼうしてもらいたいのだという答弁があったんですね。そういう気持が、政府の閣議においてこれを決定、法律を出す認識があって、閣僚がそういう気持でこういう法律案の決定を閣議でされるのかどうか。これを実は私は聞きたい。遠回しに言いましたけれども、そういう点どういう感じですか。総務長官、一つ聞きたいと思います。
○説明員(小平久雄君) 公務員の給与につきましては、先ほど来るる説明がありました通り、主として民間給与との比較において人事院が勧告をされたわけであります。今回の勧告の一つの大きな特色は、特に初任給につきまして民間との開きをなくすると、こういう点にねらいがあることは御承知の通りでございまして、今回の勧告を実施することによって民間との均衡もとれ、従って、官公署におきまして新しい公務員を採用することも、従来ほどの困難ではなくなると、かように私どもは考えております。
○山本伊三郎君 総務長官はどういう認識でおられるか、今後臨時国会で相当あなたとも論議しなければいかぬと思いますが、民間との給与の比較は、それは先ほどから鶴園君がいろいろと追及いたしましたが、民間の給与の実態というものは、私は率直に言って悪いと思うのですが、人事院においても、ほんとうの正体、実情というものは把握できないと思うのです。これは人事院といえども、民間の給与簿の調査権もない。依頼するという程度のことしかできない。ただ、政府でやれる官庁というのは国税庁だけですよ。そういう不利な立場でいろいろ苦労されておる人事院の苦労というものはわかります。これは民間の給与と比較してこれでいいのだというようなことで、閣僚——総務長官は閣僚かどうか知りませんが、そういう考え方で公務員の給与を簡単に扱ってはいけませんぞ、こういうことを私は言っておるのです。やがてこういう点も臨時国会あたりに明かにいたします。従って、せんじ詰めると、結論としてはいろいろ説明されるけれども、戦前の給与から比較して今は低い、まだ戦前に復帰してないということだけは明かにできると思うのです。どういう事情があろうとも、そういう事情ははっきりと、これは政府だけじゃなくて、認識してもらいたいと思います。私はそれだけ言っておきたいと思います。これは答弁要りません。十分総務長官も、その点は関係大臣、新聞で見ると佐藤通産大臣なり、あるいは藤山経済企画庁長官あたりは、どうもえらい不服のようなことを言っておられるのを新聞で見ますけれども、大体頭が違うと思います。どうか一つ、実力者であるけれども、勇気をもって進言してもらいたい。 それから、最後にちょっと聞いておきます。これは暫定手当の問題です。これは前の国会からいろいろ問題になっておるのですが、総裁は、大体この人事院勧告が済めば、暫定手当の段階的解消と申しますか、これについては予算の編成までに何とか間に合わすために勧告をするという、そういう言質があったのでありますが、この点についてどうですか。
○説明員(入江誠一郎君) ただいま御指摘のように、暫定手当につきましては、この勧告が済みまして、もちろん前からいろいろ研究いたしておりますけれども、さらに十分研究を進めたいと思います。ただ、今お話しの予算編成に間に合わすようにということはお引き受けできますかどうか、この点は前にお尋ねのときにも、確信もありませんので申し上げておきませんわけでありまして、その点は予算編成に間に合わすようにできますかどうか、現在もここでお約束いたしかねると思います。
○山本伊三郎君 入江総裁、この議事録を調べてもらったらわかると思いますが、それはもう執拗にこの問題は、私は何もこの前の国会だけじゃない、私はこちらへ来てからずっとやっておるのです。ようやくあなたから、そこに非常に不合理の点がある、従って、暫定手当も、これは何とか解消しなければならない、こういうことで、あなたは言われぬけれども、私の方から、一度に一五%最高のやつを全部なくすることは無理だろうから、やはり段階的にやるべきであるということについては、考慮するという答弁があったと思うのです。それについては、来年度からわれわれとしては実施しなければならないということで追及したら、大体あなたもその考え方でやるということを言っておられた。従って、来年度になると、これから考えてみると、やっぱり政府が予算編成に影響するから問題があるのだから、それまでに勧告しなければならないということで、やはり十二月ごろやるだろう、われわれが追及したら、努力するという答弁があった。そこですよ、あなたが誠意があるかどうかということをここではっきりしておきたいのですが、暫定手当によって、非常に地方に行くと人事交流上問題がたくさんあるのです。あなたも聞いておられると思う。従って、来年度は全面解消には相当費用も要るからむずかしいが、やはり一歩前進した姿をあなたは出すということについて、今まで答弁があやふやになっていますよ。その点ではっきりしてもらいたいと思うのですが、来年度から実施してもらわないと、われわれとしてはおさまりません。
○鶴園哲夫君 関連して。今、山本委員の質問しておられますその暫定手当について、それから寒冷地給について、私は十一月に勧告されるものだと思っておったのですがね、違いますか。
○説明員(入江誠一郎君) まあこの問題は、確かに御指摘のように、山本さんからもたびたび寒冷地手当の問題と関連してお話がございました。また、委員会におきましても、非常に衆参両院を通じてこの御要望があって、一再ならず何とか解決する方向に一つ努力いたしたいということは申し上げております。ただ、これはまあお言葉を返すようでございますが、来年度予算に間に合うようにとか、あるいはいついつまでということは、ただいまのところ、ちょっと申し上げかねますので、それは今までたしかそういうことは申し上げなかったと思います。まあしかし、これは申し上げなかったか申し上げたかということは、これは速記録を見なければわかりませんけれども、たしかあの前回の七月の、先ほど春闘相場の問題で鶴園さんから御要望のございましたあの最後の委員会でも、たしかこの暫定手当と寒冷地手当の問題につきましては、山本さんからお話がございました。ことに寒冷地手当につきましては、私はなはだ申しわけなくも、本委員会の決議の関係もはなはだ気がつきませんで失礼いたしたのでありますが、ただ、勧告の時期につきましては特に申し上げなかったことを記憶いたしております。その点なお一つ……。
○山本伊三郎君 それは議事録を見ればわかるのだから。しかし、そういう時期を表明しなかったとか何とか、私はもうここで論争したくない。もうそういう方向は、これはあなたたびたび言うておられるのですね。そうすると、来年度からこれは実施してもらわんと、来年度もこのままいくということでは、これは承知できないのです。従って、来年度実施するとなれば、あの新予算によって考えなくちゃいかんのだから、だからそれまでの間にやるという方向は、いつやるという日にちまではそれは言えんでしょう。だけれども、来年度から実施するというあの既定方針は、今またあなたあやふやにしてもらったら、これはもう承知しませんよ。その点どうなんですか、勧告を。
○説明員(入江誠一郎君) 大体の方向は、もちろんたびたびお答え申し上げた通りでございますが、この席で、来年から実施できるようにということをはっきりお答えいたすことは、まだいかがかと思っております。
○山本伊三郎君 もうあなた、そういうことで僕は発言するたびに何かあとずりするような態度じゃ、われわれもう信頼できませんよ。できないならできないその理由を言われて言われるならいいけれども、あなたの態度を見ていると、何かそのときだけうまくまあごまかしたらいいということではないと思うけれども、そういう答弁のように思われるのです。やらなくちゃならんということは、あなたたびたび言うておられるのです。それを来年度からやるとか何とかははっきり言っていない、じゃ一体いつからやるのですか。人事院の勧告ですよ、勧告をやって初めて政府は考えるということになるのですよ。それをその前提条件の人事院がそういう態度じゃどうするのですか。いつから一体やるのです。
○説明員(入江誠一郎君) 決して申し上げるたびにあとずさりをいたしますとか、そういうことは毛頭ございません。これは非常に山本さんが先頭に立たれて、もう衆参両院を通じての御要望でございますから、われわれもなるべく早く結論を得たいと思っておりますのでございますが、ここでいついつまでということはまだ申し上げかねます。決してこれはあとずさりするわけじゃございません。今後も一つもちろん十分努力したいと思っております。
○山本伊三郎君 きょうはそれでは引き下がりませんよ。それはもうこれで何回となしにあなたに執拗に私は尋ねておるのですよ。それをこの段階になってとやかく言われることは、われわれとしては了解できないのです。この前は、この春の国会では、この人事院勧告があって四月の調査をやらんといかんので、非常に手不足である、それが済めばこれはやりたいという——僕は議事録を調べたらわかると思うが、そういうことを言われたので、われわれもそれは了解する。人事院勧告よりも先に出すべきだというわれわれは主張であったのです。だから、一体あなたの方は本年中にその勧告をするという意思がないのですか、その点だけはっきりしてもらいたい。本年度ではない、本年中にです。それをはっきりしてもらいたい。
○説明員(入江誠一郎君) もちろんたびたび申し上げます通り、給与の勧告も済みましたから、できるだけ努力いたすつもりでおりますし、すでにわれわれは考えておるのでございますが、ただ、いついつまでという時期をこの際明示はいたしかねます。
○山本伊三郎君 いついつまでと私は日にちまで切れと言っていないのです。われわれはもう来年度から実施してもらわぬと困るということですから、それが来年度から実施するに間に合うような形でできるということだけ言ってもらったらけっこうです。それは何も本年に限ったことではない、政府の都合もあるでありましょう。そういう点で一つ……。
○説明員(入江誠一郎君) 御要望の点は十分胸にたたみまして努力いたしたいと思います。
○山本伊三郎君 そのあいまいな答弁、また次にくずれてくるのですよ。要望のあった点について努力するということは、私の言うことについては了承したという答弁ですか。それをはっきりして下さい。
○説明員(入江誠一郎君) 暫定手当の解消の方向に一歩でも進めたいという点につきましては、これはまあ御存じのように、方法論は別といたしまして、御要望に沿うようにわれわれは勧告したいということは申し上げておる通りでございます。ただ残る問題は、勧告をいっするかと、こういう時期の問題になりますので、時期の点は今日の段階におきましてお答えいたしかねる、そう申し上げておるのです。
○山本伊三郎君 根比べになるか知りませんが、勧告の時期がいつになるかわからない。しかし、一歩を進めたいという前提がある。しかも、非常に言葉は丁寧に私の要望をいれて、こういうことがあるのです。一々これは裁判官じゃないから、言葉を分析して判断するのはむずかしいのです。従って、私の率直に言っているのは、もう早くからあなたはわかっていると思うのだ、心の中で。ただし、政府当局がいるから、非常に気がねして言えないというなら別ですが、そういう人ではないと思う。従って、来年度から実施するという既定方針の上に立って考えておるのだ、それだけ聞けば大体それで私もわかる。
○説明員(入江誠一郎君) この時期をお答えいたしかねるということを申し上げておるので、来年度から実施し得るようにと申せば、おのずから時期がきまってくるわけでありますから、そこが問題で、もちろん決してそれじゃお話の通りいつまでもほうっておく、そういう考えを持っておりません。時期をこの際に明示いたしますことは差し控えさせていただきたい。
○山本伊三郎君 そういうことで時間がだいぶ延びたのですがね。あなたの言われることは、ますます私から見ると不信の念が高まってくるわけですね。来年度から実施するかどうか、その点もわからない、こういうようにわれわれはとれるのですがね。今までの経緯から見たら、そういうことはなかったですよ。われわれとしては、もう来年度から実施されるものだという考え方で今まできておって、きょうは念のために押したと、これはそういうことになっているのです。われわれがここで実は質問する場合に、はっきりとイエスかノーか、こういう点までやらなければおさまらぬということになると、私はそこまでは思っておらない、あなたを信頼しておるから。しかも、勧告時期を明示するということは、これは無理だと思います。しかし、大体来年度から実施するという形でわれわれは考えておって、しかも、われわれの方の考え方では、いわゆる十一月から十二月までに勧告するのだという、そういろ総合的な判断で答弁をされておるというふうに理解しているわけです。それが今となると、どうもあいまいになってくる。人事院総裁、あなたは一体四十何万からの公務員の信頼が今のところあなたに集っているのですよ。それにしては、あまりに私は国会における答弁はあいまいではなかろうかと思うのですね。ただし、これは費用の点もあるのだから、政府がどうするか、これはまた別ですよ。財源の問題点がいろいろ出たが、それはどうするかわからぬ。あの暫定手当の不合理ということを人事院は認めた、そして勧告するのだということは、これは事実上事務的な作業の日数さえわかればやらなくちゃならぬじゃないですか。そういうわれわれ理解をしておるのですが、それでもやらないのですか。それどうです。
○説明員(入江誠一郎君) まあこの問題は、御存じのように、従来におきましては、その方向は政府の給与担当大臣もお認めになって、総務長官もお認めになっておるわけで、別段政府に気がねしてどうこうと、そういう問題ではございません。まあしかし、やはり暫定手当をどういうふうに解消に持っていくかということは、これはやはりもちろん先ほど山本さんの方から御指摘ございましたように、一度に一挙にということ、これは困難でございますけれども、ここはなかなかやはり相当な経費も伴いまするし、重要な問題でございまして、そこをまあ経費が要るからどうということは別にいたしまして、われわれ技術的にも十分一つ自信を持っていたしたいと思っておりますので、決してまああいまいに申しておるわけじゃございませんけれども、期日を今はっきり申し上げるということは差し控えさしていただきたいと思います。
○山本伊三郎君 これはまああなたののど締めて言わすという問題じゃないし、やはりあなたが言わぬとなれば、何回やったって、十二時までこれやっておっても同じことが繰り返される、私はそれでもいいと思うのです。しかし総裁、私はまああなたの腹はわかっておると思うのですがね。特に総務長官も見えておるから私は執拗に食い下がっておるといいますか、大体人事院の言われることは了解しながら、途中で曲がってくることが往々にしてあるのです。これはやはり財源の問題がかかっておると思うのですね。だからこの問題については、私はこれ以上は追及しないが、われわれとして来年度これが実現しないとなれば、これはもう人事院そのものよりも、政府に対しては相当私は追及したいと思います。御存じのように、これは総務長官に聞いておいていただきたいと思うのですが、三級地からゼロ級地にかわると、大体普通一般に三千円以上違うのですね、上の人は別として。だから、今の政府は地域的格差是正といっているのですが、まあ都会にいる者といなかにいる公務員では、これだけでも三千円以上の格差がある、これはもう人事行政上非常にガンになっている。おそらく全国の人事委員会の事務局長会議でもその問題が出たと思う。これは非常に大きい問題なんですが、たまたま大きな政治的な問題になっておらないのですよ。地方では非常に困っておるですね。そういうことをわかりながらそういうふうに答弁をあいまいにされることは、私はきわめて不満ですよ。しかし、はっきりわかっているから、あまりこれ以上追及しますと、かえってあなたの答弁はだんだんあいまいになっていくと思う。従って、これは別の機会で追及せねばいかぬ。われわれとしては議事録を調べますが、来年度から実施する、おそくとも十一月、十二月までに勧告をするという了解のもとにあったということにわれわれ理解しておりますから、その点で人事院も一つ勇気を出してやっていただきたい。政府も、実はこの問題で勧告すれば、またあなたの方でも問題になると思う。その点は十分考えてもらいたい。 最後ですが、総務長官、あなた総務長官になって内閣委員会に来られて、非常に御迷惑と思うのですが、なかなか内閣委員会は問題がありますから、その覚悟で一つ今後当たってもらいたい、かようにつけ加えて私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十九分散会