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38回国会参議院1961/02/07

地方行政、法務委員会連合審査会 第1号

発言数
395
登壇者
23
会派数
4
開催日
1961/02/07

会議録

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) これより地方行政、法務委員会連合審査会を開会いたします。  両委員長の協議によりまして、まず私が委員長の職務を行ない、後刻法務委員長と交代いたすことになっております。何とぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。  まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  治安に関する件について調査のため、本連合審査会に東京都公安委員会委員長堀切善次郎君の出席を要求することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決しました。  なお、その手続等につきましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう取り扱うことに決します。   —————————————

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) これより治安に関する件を議題として質疑に入ります。  順次発言を許します。井川伊平君。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 私は自由民主党の法務委員を代表いたしましてお伺いを申します。時間の制限もありますので、自分の意見というものをあまり加えないことにして率直にお伺いいたしますから、お答えもその点につきまして簡明直截にお願いを申し上げたい、かように存じます。  質問の第一点は、直接犯行に関係のある点であります。小森一孝なる犯行少年の犯行の動機は何であったかについてであります。すなわち、中央公論の十二月号掲載の深沢七郎氏の「風流夢譚」のいかなる部分が本件犯行の動機に直接関係があるのであるかという点であります。なお、右のほかに何らかの動機があるのかどうか。もしあるとすればそれらの点について承りたいと思います。一応この点です。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 調べはまだあのどの部分という具体的な部分についてこまかいところまで行っておりませんけれども、彼の供述によりますと、全体として皇室に対する大へんな侮辱であるということで、あの作品について非常な憤慨をいたしておりますことと、さらに新聞等があの問題を全く取り上げない。従って、国民があのようなけしからぬものが出ておるということについて非常に認識がない。これは誰かがこれをもっと大きく問題にすべきである。それについては自分が犠牲になってもそういうことにしたいというようなことを述べておるのでございます。なお、作者に行かないで社長に対しまして、攻撃を加えたということにつきましては、作者の所在が、週刊誌等でどこにいるか、隠れているというようなことであるから、これはなかなかわかるまい。なお、映画の例をとりましても、非常にひどい映画を作ったという場合であっても、作ったのは監督だが、それを利用をして利益を受けるのは社長である。その意味において、今回のあの小説についても、経済的な利益を受けるのは社長である。その意味で社長もけしからぬのだというようなことを述べておるようでございます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 犯行の目的は何であったかということをお伺いいたします。すなわち、殺傷自体が目的である場合もございましょうし、他に何らかの目的を達するために傷害等をなすのであるという場合もあろうと思うのであります。本件はどういうような目的を達成するためにこの犯行が行われたのであるかを第一にお伺いいたします。なお、報道されておるところでは、犯行少年は初め嶋中鵬二氏を殺す考えであったのであるが、不在であったためにその目的を達せず、夫人と手伝の丸山かねさんを殺傷したというようでございます。そうしてみますと、今お伺いする目的は、この犯行少年が第一に考えた嶋中鵬二氏を殺そうとすることによって達せんとする目的は何であったか、また、夫人や手伝いの女を殺傷して達せようとした目的は何であったかを詳細に分けてお伺いを申します。  付加してお伺いをいたしておきますが、この犯行少年が嶋中夫人や手伝いの丸山かねさんを殺傷しようとすることについて、一般人として考えられる合理的な目的があったとはわれわれは考えにくい。もしそうであるとすれば、この少年の精神は健康状態であるかどうかがすこぶる疑問である。こうした点につきましての御調査になりました結果等につきまして詳細承ります。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 第一の点は、嶋中鵬二社長に対しまして攻撃を加えるつもりでありました点は、先ほども一部申し上げた通りでございます。つまり、あのような、彼に言わせれば非常にけしからぬ文章を載せて、そのために利益を得たということで、嶋中社長に対してただでおくことはならないというまあ感じ、同時にまた、先ほど申しましたように、世間が、あの問題について一般の新聞等が取り上げない、ああいうけしからぬことが横行しておるのを一般が見のがしておるということで、事件を起こすことによって、これが明らかになることを望んでいたようにも申しておったのであります。家を襲いましたのは、もちろん嶋中社長自身を刺すというつもりであったと言っております。本人はその後も社長はずっと家におったのではないかという疑問を持っておるようですが、門があいて中に入っておりましたときに、お手伝いさんと女中さんが出て参りまして、大声を上げ、まあそれについて奥さんのところに行ったようであります。従って、彼は社長を刺すつもりで行きましたけれども、そこに奥さんがおられることを認識し、しからばということでとっさに奥さんに対して刃物を向けたようであります。その後、お手伝いさんの丸山さんがこれを防ごうとしてかばわれた。これを刺したことは 彼はどうも今のところでは全く認識がないようでございます。つまり無我夢中であったようであって、そういう形で、お手伝いさんを刺したということについてはわからなかったということを自供いたしておるのでございます。  なお、精神的な状況でございますけれども、逮捕の当時は非常に興奮をいたしておりましたけれども、その後、落ちついておりまして、今のところ、医学的な鑑定ではございませんけれども、警察の見るところでは精神異常とも思われないのでございます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 ただいまのお答えからいたしますと、社長に対しまする殺人行為のこの犯罪を、同氏の非行に対する制裁という目的及び一般国民をしてこの内容を知らしめるという、この二つの目的でこの犯行をしようとしたのである、こういう趣旨でございますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 調べの中で述べておりますことを分けて申しまするならば、そういうことになると思います。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 次に、この犯行の行なわれました当時の嶋中家の戸締まりの状況についてちょっとお伺いしておきたいと思います。最近では、日中でありましても、多くの場合に玄関は締め切っておき、呼び鈴によって玄関をあけるようにしている向きもあるようでありますが、本件は夜の九時十五分ごろのできごとでございます。しかるに、玄関が全然締めてなく、犯行少年が玄関で声を出したときに何人もこれに応じて出ようとする者がなかったようでありますが、はたしてそういうような事情であったかどうかについて承りたいと存じます。私ども考えてみますれば、時は夜のことでありまするし、また警察の方々も十数回にわたって嶋中家を訪問していろいろとお話もあったようであるから、そうした戸締まり等についてのお話もあったのではないかとも考えられるが、どうでございましょうか。  また、嶋中鵬二氏は、昨年十一月二十八日以来、数度にわたって右翼の者の多数の訪問を受け、相当きびしい脅迫を受けておる事実は伝えられておる通りであると思いますが、これらの点から、昼夜を通じまして嶋中家といたしましては、戸締まりを厳重になさるべきであったとわれわれは思うが、特に戸締まり等について手抜かりがあったのではないか。もしあったとすれば、どうしてそのような手抜かりが行なわれておったかについてお伺いをするとともに、そういうような戸締まりの不完全であったということも、警察の張り込みがなかったということとともに大きな過失の一つであるように本員は考えますが、こういう点につきましての実際とお考えをあわせて承っておきます。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 嶋中社長邸につきましては、平素非常に戸締まりをよくしておられると聞いておるのでございます。たまたまその直前に奥さんがお帰りになりまして、家人が出迎えられ、一緒に奥に入られて、最後に子供さんが残って戸締まりをされる番になったわけでありますけれども、それが中から押すところを押さなかったのでございますか、不十分だったのでございますか、そういうことで玄関のかぎがかかっていなかったというのが事実でございます。一部に、戸締まりがなかったことが非常な過失であるかのごとく、警視総監の談話等が出て誤解を受けたのでございますが、私ども責めをそういうところに帰するつもりはございません。しかしながら、戸締まりがちょうどその時期にいつもと違ってしてなかったということは、これは事実でございますし、まことに残念であったと思うのでございます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 次には、質問の第二点でございますが、本件の事犯につきましての責任の問題につきまして言及したいと思います。総理大臣の責任に関しまするお考えは、先般本会議で承りまして、われわれは了承いたしておるのでありますが、法務大臣、国家公安委員長、都の公安委員長、警視総監、警察庁長官等の方々のお考えにおきまして、この職務を通じて責任があるというお考えを持っておるのか、あるいは責任はないというお考えであるかを承りたいと存じます。なお、この私の伺っておりまする責任ということは、職務上の過失の有無とは切り離してお伺いをいたしておるのであります。職務上の過失の有無についても、同時にお伺いを申し上げます。  さらに、左記のごとき事実についてはどうかという点を具体的に申してみますが、伝うるところによると、深沢家から、日時のことはわかりませんが、何でも訪問者があって脅迫をされた、そういう趣旨におきまして告訴をいたしている事実があるようであります。その結果、その訪問者を当局は調べておるようでありますが、軽犯罪にもならない、こういうことでこれを不起訴にしておるようであるが、こうしたことについて、今日顧みて何らかその局にありました者として過失及び責任ともにあるように考えられるが、どうであるか、こういうことをお伺い申します。しかしてなお、このことは深沢家の問題でございますが、深沢家に対してそういうことがあるくらいであるから、本件の嶋中家につきましても十分の措置をとらねばならぬのに、深沢家のそうした問題をなおざりにするような態度がやはり嶋中家の問題についてもあったのではないか。あったとすれば、それはやはり過失及び責任の問題を生じてくるのではないかという点をお伺いしたい。  また、中央公論の本社に対しまして、昨年の十一月の二十八日、それから三十日、十二月の二十三日、十二月の十五日、十二月のこ十八日及び本年の一月の三十日におきまして、いろいろの右翼団体の方々が相当多数、あるいは多数でないこともたまにはありますが、ともかく、こういう方が次々と訪問をいたしまして、いろいろと難問題を持ちかけ、脅迫をいたしておる事実は歴然たる事実のようであります。そしてこの脅迫の内容については相当きびしいものがあるようでありますが、おもなきびしいものはどういうものであったかについてもお伺いを申したいと思いますが、こういう事情であるとすれば、中央公論の社長の身辺というものは十分に保護を加えねばならぬということはわれ人ともに考ごうることであるように考える。そうであるとすれば、その警備は、社長の住宅に対しても特別に取り計らわれなければならないように考えるが、十数回にわたって訪問して話をしたというその程度ではいかにも物足りないような気がいたしますが、この間の詳細なる事情を承りたいと思います。言いかえれば、深沢家よりの告訴の問題中央公論本社に対しまするこのような数重なる暴力団の脅迫等の行なわれている事実に徴し、特に嶋中家の本宅の方を保護する特段の方法を講じなかったことが過失でもない、責任もないと言えるのか。あるいはそれらがあるというお考えであるかの具体的の問題につきましても承っておきたいと思うのであります。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいまの事実関係につきまして私からお答えをいたします。第一は、深沢家に対しまして脅迫に行った場合に告訴があったということでございます。これは一月二十一日に深沢家から一一〇番の電話がございまして、見知らぬ男がやってきたというようなことであったのでございます。パトカーがすぐ二台参りまして、すでに立ち去ったその男を発見いたしまして職務質問をいたしました。これは大東塾に属する山崎某という男でございますけれども、当時の言動ないし持ち物等から見ましても、危害を加える目的ということではないと判断をされたと申しますか、それが証明できるような状態ではございませんでしたので、身元もわかり、厳重説諭して帰したという事実はございます。これは告訴ではございません。  なお、中央公論社に対しまして数回にわたっての抗議の状態でございます。これは御指摘のように十一月二十八日以来、団体で申しますと九団体、五十五名ほどの者が七回にわたって抗議をいたしておるのでございます。中には一名で行ったというような場合も三回含まれておりますけれども、八人、八人、十人、なお、この三十日のごときは、部屋に入りました者だけでも二十五人を数えるというような状態で、大ぜいのときには、特にやはり相当に乱暴な言葉つきで抗議をいたしておるのでございます。ことにその三十日の状態におきましては、御承知のように日比谷公会堂におきまして、赤色革命から国民を守る国民大会というものが開かれ、その途中においてその代表者ともいうべき者が抗議に参っておるのでございまして、警察官の報告によりましても、相当どぎつい言葉を使って抗議をいたしておったのでございます。これに対しまして社長は、掲載したことは自分ははなはだ遺憾であったということを述べられまして、なお、その旨を三月号——一月号にもすでに載せたのでございますけれどもなおそれで満足しないということで、三月号に載せるということをお約束され、さらに中央公論廃刊その他のことにつきましては、一存で答えられないので、二月六日に答えるという答えを当時されたのでございます。そういうことで翌日の帝都日日新聞等を見ますと、その大会をやりました側から見ましても、その非を認めるということが書いてあって、次の回答を待つ状態にあったわけでございます。そういう一連のことを考え合わせまして、嶋中社長宅に対しまする警戒が不十分ではなかったかというお尋ねでございますが、結果から申しますと、張り込みをしておくというようなことであったならば避けられたかと思うのでございますけれども、お言葉の中にもありましたように、所轄署も私服員、制服員が十三回にわたりましておたずねをし、ないし、電話で変わったことがないかということをお伺いし、いずれもそういうことにつきまして変わったことがないという御返事で、ただ一月二十一日のときに、最近、夜電話がかかって御主人は在宅であるかということで、留守だと答えると、そのままぽつんと電話を切ることがあるということをお聞きしたわけでございます。三十日にも社長にじかにお電話で異常の有無をお伺いし、お宅の方には異常がないような御返事を聞いたように聞いておるのでございます。そういうことで、一方、中央公論社に対しまする抗議は、別段これを避けるということなしに受けておられるわけです。それに対して社長は答えをしておられるわけでございます。そういう状態でございまするし、家の方に格別の異変がないということでございまするので、お宅の方に張り込みをするというまでには至っておりません。なお、地元の派出所——、交番でございますが、この交番には特に命令が出ておりまして、警らに重点を置くということで、一日六回、七回警らをいたします場合に、嶋中家に特に重点を置いて、その地点を厳重に見張る。また、パトカーの警ら路線を特に指定いたしまして、これが一日六回ないし七回嶋中家に停車をして視察をするという措置をとらせておったわけでございます。事実関係につきましては私からお答えをいたしました。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 事件の経過、内容等につきましては、ただいま警備局長から御説明申し上げた通りでございます。私どもこの事件に対しましては、いかような事情がありましょうとも、まことに遺憾だと存じております。ただ、手続上どうだというお問い合わせに対しましては、当時の状況から見まして、ただいま御説明を申し上げました通りに、格別の手落ちはなかった。ただ、結果から見ればいろいろの御批評もこれは生まれるであろう。また御批評に対しても十分反省しなければならないことと考えております。  責任問題そのものにつきましては、国家公安委員会が最終的に結論を出すということに相なるわけでございます。ただいまのところ、まだ状況をよく説明を聞いておるという程度で、今度の問題につきまして、正式に結論を出しておるわけではないような事情でございます。なお今後とも、いずれにしましても、これは十分警備局のあり方、あるいは増強等考えまして、こういうことのないように十分に細心の注意をいたすことが責任をとるゆえんでもあると、こう考えております。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 ただいまの御答弁の、今後こういうことがないようにするという言葉についてでございますが、この場合も現実に張り込みをしておればこのことがなくて済んだ、してみますと、今後これに類似の事柄が勃発した場合に、こういう場合には張り込みをするのか、せぬのかの心がまえを承りたいと思います。もし張り込みをするのだということになりますれば、今回張り込まなかったことは過失ではないか。過失であることを率直にお認めになったお言葉ではないようでありますが、今後は張り込みをするということになると、この間の張り込みをしなかったことは、自分たちの落ち度であるということになると思いますが、この点について過失の有無をはっきり承ります。そうして将来に対してどういうようにこういうことをするのかということを承ります。  それから特に総理にお伺いをいたしたいと存じますが、いわゆる「風流夢讃」というものを私も詳細に読んでみましたが、これを読みますと、どうやら刑法のきめておるところの名誉に関する、あるいは侮辱に関する規定などを通じまして違法性があるように考えられますが、この点をどうお考えになるか。もし違法性をそこに認めるのだということになるとすれば、それに対して総理大臣といたしましては、何らか適当な手を打つべきではないか。言いかえれば、何か法において総理大臣だけに許されているところの方法をとって、この違法者に対する制裁を当局をして呼び起こさすようになすべきではないか。もしそうしないのだとするならば、違法性が全然ないというのか、違法性はあるけれども、それは別な計らいで他に何か考えようというのでありますか、こういう点につきまして御心境を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、ただいま「風流夢譚」の内容を検討し、これが刑罰に適するか適しないか、あるいはまた他方、皇室のあり方、皇室と国民との関係等々を考えまして、今慎重に検討と申しますか、考えておるのでございます。従いまして、他の場合にも質問を受けましたが、私のみが告訴し得る立場にありますので、この事案に対しましての意見を今ここで申し上げることは差し控えたいと思います。私は十分考えまして、自分の信ずるところに向かっていきたいと思いますので、ただいま「風流夢譚」の内容につきまして、私の意見を申し上げることは、適当でないと、しばらくお待ちを願いたいと思います。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) お尋ねのうち、張り込んでおけば助かった、ああいうことがなかったということであるから、今後ああいう場合に張り込むかという御質問でございます。これは結果から申してまことに遺憾なことでございまして、今考えて、あそこに張り込んでおったならばあるいは防げたのではなかろうかと思うにつけましても、あれと同じような危険な状態には、今後できるだけそういった張り込みの手段等を用いましても防ぐ努力をいたすつもりはございます。しかしながら、御承知のように、浅沼事件の後におきましても、各政党の幹部の方々あるいは労働組合の首脳部の方々につきましても、あの当座相当に濃い警護を申し上げたのでございます。今この事例をとって考えましても、昨年の十一月から今までの期間、お宅に警察官を何人か張り込ませるということを考えますと、一つには、これは警察といたしましても、非常に広い範囲の警護ということで手を非常にとるということになりましょうし、また逆にそれぞれの方々から考えますというと、これはお宅に相当期間警察官がいるということについて、これは大へんな御迷惑にもなるわけだと思うのでございます。さらにまた、必要によりましては、外出をされるときに、直接に警護をするということも、事情により、お人によってはあり得るわけでございます。そういうことを考えますと、今後予測される場合に、全部御家庭にまで張り込めるというふうに、一がいにそういうことを申し上げることはこれはとうていできまいかと思うのでございます。事情をよく考えまして、そのときの事態に応じて、危険の度合いに応じ、また逆に警護をいたします方のお気持もあるわけでございます。そういう方によく警察でわかっております事情を御説明し、御納得をいただき、よく御理解をいただいた上で、そのとき必要な警護を申し上げるつもりでございます。ただ、今まで考えておりましたように、一方、話が進行いたしておりますそういう際に、またああいうことが起こるというような、いわば警備常識で考えております範囲をもっとこえて警備をしなければならないということは、これは痛い経験でございますけれども、今後はさらに今までよりも広くそういう意味で考えていくことは必要と思います。従いまして、警護等につきましても、今後御理解をいただいて、今までよりもっと手厚い警護をいたすようにするつもりでございます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 ただいまのお話はだんだんと甘い言葉で包みましたようなお話で、要領を得なかったと私は思いますが、そのお話の初めの方に、張り込んでおけばこのことはなくて済んだのだ、そしてそれは遺憾なことである、という御趣旨のお話があったが、私はそれは確かにそうであろうと思う。もしそうであれば、あれと同じような関係の場合には、今後も張り込むのであるということにならねばならぬと思いますが、その点はいかがでございますか。念を押しておきます。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 警察の任務は、国民の生命を守るということが職責でございますから、あとう限りの能力を発揮をいたしましてお守りするのが当然だと思うのでございます。結果が起こりましたので、私ども心から、張り込んであればよかったというふうに考えるわけでございますけれども、しかしながらここで、あれと同じということが一つの問題でございます。今のように、いわば警備常識から申しますと、思いがけないところに起こるということでございますから、それを考えて非常に広い範囲を考えて、いやしくもそういった情報がある限りはお宅に張り込ますのだということをここで申し上げるというようなことは、これはどうも私どもの今の警察の能力をこえる問題だと思うのでございます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 国家公安委員長にただいまの点についてお伺いをいたしますが、今のお話によりましても、結果から見て、張り込んでおけばよかったのだという事実はお認めになったようであります。しかるに、事実は張り込んでいなかったのであります。これが過失になるか、ならぬか、あるいはその点について責任があるかないか。明細に伺います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) ただいま申し上げましたように、この問題につきましての十分な検討は、国家公安委員会におきまして今後はっきりといたしたいと思っておる状況でございます。従いまして、この国会での今の井川さんの御議論、御意見というようなものも十分紹介をいたしました上で検討をいたしたいと思います。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 次に、後方関係の問題につきまして質問をいたしたいと存じます。今日までの調査では、背後関係があると認められる状態かどうか。あるいは現在ははっきりしないけれども、認められそうであるという予測は持てるかどうか。この点につきましてお伺いをいたします。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいままでの調べでは、本人は、自分がやった、一存でやったと申しておるのであります。しかしながら、本人は十七才の少年でございますし、なお、その事件の当日まで大日本愛国党におったわけでございます。また、今回の「風流夢譚」に対します抗議にも参加をいたしておるわけでございます。そこでそういう影響を受けた疑いもございますので、十分調査をいたしておる状況でございます。ただいままでのところ、具体的に決定的なことを申し上げる段階ではございません。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 後方関係に若干の関係はあると思いましてこの際承っておきますが、被告は犯行後逃走しようとする意思があったかなかったかの問題であります。われわれ考えてみますれば、頭髪を刈り込んでおるというような事実等から考えまして、逃走しようとする意思があったのではないか、こういうようなことを一応考えられるのでありますが、他に何らかこの少年が逃走しようとする準備であると認められるべき何ものかがあったかなかったか、詳細に承りたいと存じます。なお、それに関係がありますが、逮捕いたしました当時、現金をどのくらい持っておったか。逃走するとすれば旅費等も要ることであろうと存じますが、こういう点はどのくらい持っておったかという点、それからもう一点は、愛国党にこの少年がおりました当時、平素においてどういうふうな待遇を受けておったか。あるいは生活の模様はどういうふうな生活をしておったか。特に金銭的な待遇はどのようであったかという点、こういう点を承ります。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 本人が逃走する気持があったかどうかということでございますが、逮捕いたしましたときに、本人の手持ち金はほとんど皆無にひとしい状態でございました。なお、頭を坊主にいたしましたことも、人を刺したらば、昔から要するに頭を坊主にするのだというようなことを述べておるのでございまして、人相を変えて逃走するつもりであったというふうには思われないのでございます。所持の金の問題でございますが、彼は一月三日に入党いたしまして、二月一日までおったわけでございますが、その間、東京におります間、ビラ張りなどいたしまして、大体足代が五十円ぐらいかかるところを百円もらうということで、若干の金が残り、なお、新島に十日ほど行っておりますが、この間は百円ぐらいずつもらったようでございます。従って、いろいろ使いまして千五百円ほどになっておった。それをナイフを五百円で買い、げたが百四十円、その他昼食、夕食、散髪代等で千二百円ほど使って、残りを持っておったというような状態であるわけでございます。党におりますときの状態は、今申し上げたような状態で、食事はもちろん経費を出すわけじゃございませんけれども、今のような足代の実費をもらうというような程度であったように記憶しております。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 次に、別の問題でございますが、こうした事案を根絶せしめなければならぬということについては、先ほども申しましたように、言うまでもないことであるが、有効適切な将来の対策というものがほんとうにあるかないかというこの問題については、十分な検討をせねばならぬと考えられます。先般の本会議におきましても、対策のうちに非常な効果があるように取り上げられております刃物の所持の禁止といったような事柄でございますが、これはこうした事犯にも全然効果がないと断定するのは言い過ぎかもしれない。しかし、酒を飲んだり何かのはずみでとっさに人を刺す、殺すというようなけんかの用具に供されるといったような、こうした犯罪を防ぐためには、刃物の所持を禁ずるというようなことは非常に有意義なことである、効果の多いものであると考えられますが、しかし、自分の身を犠牲にしても彼を倒すのだというような強い決意に基づいて行なわれる犯行につきましては、刃物の所持を禁ずるのだといったような事柄、あるいは特殊な刃物をこしらえる、そういうようなものに刃物の製造をしないようにするのだというような、そういう指導や宣伝では、こうした犯罪には大きな効果は期待できないと思うが、当局のお考えはどうであるか。もし絶対的に効果がそれで上がらぬとすれば、他に名案があれば、その名案を承りたい。もし他に的確な名案がないとすれば、現在は何らの名案もなしに時間を過ごしておるということに帰するのじゃないかと考えますが、こういう点につきましてのお気持、お考え、こういうものを承りたいと思う次第であります。それは人を殺すに足る刃物というようなものは、飛び出しナイフだけではなしに、あるいはそうした類似のものだけではなしに、いろいろあろうと存じます。各家庭においても、人を殺すに足る凶器はどこの家庭にもあると存じますが、こういうものを社会から全部なくしてしまうということの不可能であることは言うまでもないのでありますから、私はあえてこの質問をするわけであります。私自身が考えますのに、こうした犯行を根絶することについては、いろいろの点が考えられると存じますが、まず、そのうちの一つとして考えられることは、こうした犯行のうしろには培養の温床、こういうものがあるように思われる。ゆえに培養の温床というものをなくしてしまうにあらざれば、こうしたような犯行を世の中から根絶するということは困難であろうと思いますが、こういうような培養温床の機関というものを根絶する何らかのよき方法があるか、現在の法制のもとにおいてあるかどうか、あるいは法律の改正によってその目的を達し得る何らかがあるかどうか、こういう点についてお伺いをしたいと思います。また、この犯行の動機を調べてみれば、先ほども御説明がありましたように、中央公論十二月号の一創作に誘発されておることは事実のようでございます。ゆえに、こうした犯行をなくする他の一面においては、こういうような犯行を誘発するようなはなはだしい非社会的な表現であると一般的に解されるものについては、これを禁ずるような、あるいはこれに対する制裁を与えるような何らか手を打つべきではないか。それには現在の破防法、そういうものの適用だけでよいのか、あるいは適用する意思があるのかないのか。さらに物足らぬ点があるとすれば、どういう点であるか、こういう点をも、これは法務大臣あるいは総理大臣等にお伺いをいたしたいと、かように思います。  もう一点、警察権の範囲を現在の程度にしてよろしいのか、犯罪の行なわれます前において、犯罪あり、あるいは犯罪を起こすに足るであろうという深い認識を持てる特殊の者、たとえばこの男は必ず刃物を持っているに違いない——けさの新聞等によって見ましても、都内に刃物を平素所持しておる者の数は大体当局はつかんでおるようで、だから、人を見れば刃物を持っているやいなやという見当はつく。しかし、現在の警察権としては、貴様、刃物を持っているなら出せと、あるいは見せろ、あるいは持っているかいないか答えろとこれを強要することはできないだろうと存じますが、こういう点につきまして、犯罪前において、これらの刃物を持っている者に対しまして何らか適当なる手を打つということが、こうした犯罪を根絶せしめるために絶対的に必要だとするものがあるかないか。現在の法律のもとにおいて十分なる努力をすれば必ず根絶してお目にかけるのだという自信を持っていけるか、あるいはそうではなしに何らかそこに新たな手を打たしてもらわなければ困るのだ、われわれの力の及ばぬ点があると、こういう点につきまして忌憚のない御意見を承りたいと存じます。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 最初のお伺いで、今の刃物の禁止運動を強化するとかなんとかいうことではとてもこの予防にならぬじゃないか、こういう御説でございます。これはごもっともでございます。これも一つこういったものの予防措置の一環としてやっておるわけでございまして、同時に、私ども、こういう運動を起こすことによりまして、できるだけ青年の環境あるいはこういう暴力に対する気風をなくしていこうと、こういう運動の一端とも考えてやっておる次第でございます。  なお、この背後温床の絶滅について現在法規的にどうかという点につきましては、どこまでこの手を加えればいいのだという限界につきましては、なかなかむずかしい問題があろうと存じますが、私どもは、でき得る限り現在与えられております法規を十分に活用することによって、この背後のいわゆる暴力の温床を断ちたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、誘発的な反社会的な表現物あるいは文書等について規制を加えられないか、これもただ程度によるわけでございまして、そのことが直接にいろいろなものをいわゆる扇動教唆するということに相なれば別でございまするが、ただ一般の作品というような形で出ました場合には、なかなかこれを法的に取り締まる方法も非常に困難である。やれば別途に他の方法を考えなければなるまい、こういうわけでございます。  それから予防上の問題につきましても、私どもは現在はでき得る限り今与えられた警察権限の範囲内におきまして十分な効力を上げ、それには今後警備の方法、犯罪捜査の方法等につきましても、さらに反省し、拡充もしてゆくということ、それからもう一つ、今の社会環境をぜひよくして、特に青少年にこういう殺伐な気風をなくしてゆくという両面から成果を上げたい、こう考えておる次第でございます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 破防法の問題についてお答えいたしますが、委員のただいま仰せられますような、いわゆるこうした犯罪を培養するもとをなくするという意味で、いわゆる危険な団体等に対して破防法を適用してその行動を制限しますとか、あるいは解散を命ずるとかいうようなことも十分に考えてみたいと思っておるのでございます。しかしながら、現行のあの破防法の規定によりますと、非常に条件がむずかしくできておりまして、そのためにはたして今回そうした団体であるかどうかという問題につきましてはなお十分検討を要します。その他のこれに関係のあるなしにかかわらず、危険な団体については、破防法の見地から平素でき得る限りの努力をいたしまして、そうしてその内容あるいは実情等の調査に当たっておるのでございますが、これもなお一そう意を用いて参らなければならぬと思っております。いろいろな新しい立法についての問題につきましては、犯罪の捜査の過程において、あるいは公安調査庁におけるこうした調査の過程におきまして、常に現行法の不備な点がないかどうかについてはいつも研究をいたしておりますが、ただいまのところ、まだこうした法案を出すとか、あるいは現行法令にどういう修正を加えるかということについての結論を得ておりません。以上お答え申し上げます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 特に総理大臣にお伺い申しますが、ただいま公安委員長のお話にもありましたこの犯罪を誘発した原因ははっきりしたが、類似の誘発をするようないろいろの表現がある場合に、これを規制するところの法律、これは憲法十二条に基づく法律の制定ということにもなるかと存じますが、こういう点につきまして、総理の心からなるお気持を聞かしていただきたい、かように存じます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 言論、結社の自由は民主主義の根本でございます。しかるところ、その自由を振り回すと申しますか、行き過ぎた自由はこれまた民主主義をこわすものでございます。そこで、その範囲、程度につきましては、やはりこれはものさしでどうこう言うわけにいかないので、国民の良識を発達さして、そうして全体としてこういうものを排斥するという観念を起こすよりほかに私はないと思います。具体的にどういう問題がどういうふうな方法でゆくかということは、これは一つのこれからの研究問題でございまして、今の現行法におきましても、先ほど法務大臣が答えましたように、破防法の適用になるかならぬか、なかなか今のところはあれにそっくり当てはまるようにはならないんじゃないかという考えでございます。今後どういう法律を設けるか、また、どの程度のものをこしらえるかということにつきましては、慎重に検討しなければ、ただいまのところ結論は出ておりません。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 一言補足さしていただきます。今の、たとえば刃物などを持っておる際に、これはあぶないという予見があるから、これを何とかすることができないかというお尋ねに明確を欠きましたので申し上げますが、これはどうも何か刃物を持っておるので危険じゃないかというだけの状況では、御承知の通り、今いかんともするわけに参りません。危険な状況が現実に出てこなければ、これは手が出せない、こういう点では現在一線の警官は非常に行動的に苦慮をいたしておるという状況で、でき得ればもう少し能率が上がる方法をやってほしいという要望が非常に強く下にあるということを御報告申し上げます。

井川伊平自由民主党

○井川伊平君 私の質問は、以上をもちまして一応打ち切ります。   —————————————

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 加瀬完君。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 今次の事件の中心は、今質問の方がおっしゃられましたように「風流夢譚」の内容とか、張り込みがあれば事件が防げたとかいうことでは私はないと思います。昨年以来、公然とテロが行なわれ、しかも、このテロを別に奨励する団体が横行しておるにもかかわらず、何ら政治責任が明確にされておらない、こういう点にあると思うのであります。そこで私は、このような観点から質問をいたします。昨日の衆議院の委員会で総理大臣は行政一般の責任は首相にあるが、警察行政の管理運営の責任は国家公安委員会にあり、首相とは関係がない、こういう御答弁をされたと新聞に出ておりますが、この通りに了解してよろしゅうございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 行政一般の責任は総理大臣にございます。ただ警察の中立性ということから、特別の委員会を設けまして、それにこの行政を一任しておく場合がある。従って、そういう場合におきまして、すなわち、国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会が警察行政を持っております。こういう点につきましては、総理大臣はその範囲において責任はない、いわゆる指揮監督権がない、私はきのうそう答えたのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 指揮監督権と行政責任というものは違うと思います。指揮監督権がなくとも、行政責任の所在というものは明らかな場合がございます。あらためて伺いますが、警察行政の最終的責任が総理大臣にはないとお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 警察行政の具体的な行政、いわゆる管理運営につきましては、総理大臣は責任はないと心得ます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最終的警察行政の責任はおありですか、ありませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 一般行政のうちの警察行政についての責任はございますが、直接の具体的の問題についてはございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 行政組織法上からいえば、「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。」と書かれております。警察行政もまた他の行政と同様に、憲法第六十五条による行政権は内閣に属し、内閣がその最終的責任に任ずるということには変わりがないと思います、これはお認めになりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) それは認めます、憲法に書いてあることですから。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それならば、行政組織上の主任大臣が、国家公安委員会については、総理府の長である総理大臣であるわけでありますから、当然最終的な警察行政の責任は総理大臣におありになる、これをお認めにならないわけには参らないと思いますが。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) ちょっと質問の点がわかりかねますが……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 行政組織上の主任大臣は、国家公安委員会の事務に関しては総理大臣でございますから、従いまして、最終的警察行政の責任というものは、総理大臣がお持ちにならなければならない、こう解釈するのが当然だと思いますが、お認めになりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 前段のお言葉がよくわからないのですが、あなたのおっしゃるのは、憲法上、総理大臣が所轄する、こう書いてあるから、その点から出ておると思いますが、その所轄するということは、私は警察法規とか、あるいは警察関係の予算、これを総理大臣が持っているということだけで、具体的の運用につきまして、指揮監督権のないことは、警察法で規定してあることでございます。詳しくは法制局長官からお答えいたします。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは加瀬委員よく御承知のことと存じますが、警察法では、国家公安委員会は内閣総理大臣の所轄のもとに置くということが書いてございます。そういう意味において、いわゆる行政機構ということからいえば、これは総理府に属するわけです。その意味において、いわゆる主任大臣——内閣法でいう主任大臣は総理大臣でございます。しかし、これは同時に、その「所轄」という言葉の使い方でございますが、これはご承知の通りに、こういう国家公安委員会のような行政委員会を作った場合において使う実は法令用の用語でございまして、つまり行政委員会というような合議体の機関に対しては、かりにそれが総理府に属しても、上級機関である内閣総理大臣は具体的な指揮監督権は持たない。ただ、いわゆる財政法等の上からいって予算についての総括的な権限はございますけれども、そういうものを除いて、警察行政について、国家公安委員会に対してああしろ、こうしろというような権限はないと、こういう気持を表わした規定でございます。これはまた行政委員会の性質から申しまして、上級機関の指揮監督を受けるものであれば、わざわざ行政委員会を作る必要はないです。行政委員会を作って合議制によって行政をやっていくというのは、要するに、上級機関の指揮監督を受けさせないという趣旨から出ているのです。それは憲法の行政権は内閣に属し、あるいは内閣総理大臣が内閣を代表して、行政各部の指揮監督をする、こういう規定との関係いかんという問題になってくるのですが、これはやはり一般の憲法の解釈といたしまして、行政の特殊の分野において、いわゆる政治的中立性を非常に必要とする部面、あるいは非常に技術的な部面——公務員の試験みたいなものですが、技術的に全く公平中立を要する問題、こういう問題は、いわゆる合議制の行政機関を作って、そこが独立してやるということを認めることは、憲法に違反しないというのが一般の憲法解釈でございます。学説でございます。従いまして、そういうものを認めても、これは憲法違反ではない。憲法には六十五条、七十二条の規定がありましても、そういう特殊の分野において、そういう行政委員会ができた場合においては、やはり総理大臣の指揮監督は及ばない、かように考えられております。  それから、いわゆる行政責任の問題でございますが、広い意味の、大きい意味の政治責任は別でございますが、行政上の責任というものは、指揮監督権とうらはらのものだと思います。指揮監督できないものについて責任を負えといっても無理なことだと思います。そういう意味において、責任というものは私はないと、かように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総理大臣が国家公安委員会並びに警察に対し指揮監督権がないということはございます。それは警察法が普通な状態で施行されておりますときは、一時停止されておりますわけです。たとえば警察法の七十二条並びに七十五条のような緊急事態が生ずる場合は、当然総理大臣の指揮監督権は復活するわけです。従いまして、公安委員会というものがありましても、公安委員の任命あるいは警察庁長官の任命あるいはまた警視総監の任命は、これは他の都道府県の警察の本部長の任命とは異なりまして、総理大臣の承認を必要といたしております。なお池田さんが閣僚でございましたときに、現状の警察法の改正が出たわけでありますが、その政府の提案説明の中には、治安遂行の能率化と、政府の責任の明確化と、二つの目的をねらってこの改正案を出すんだ、こう説明された。さらに説明を加えますと、国家的な考え方が現状の公安委員会では出ないので、国家公安委員会に政府としての責任の明確化を打ち出すために改正をするんだ、こう言っておる。そうしますと、現状の警察法の状態におきましては、これは総理大臣の最終的行政責任というものは明確に打ち出されなければならないものだと解釈するのは当然であります。そうじゃありませんか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) いわゆる緊急事態における内閣総理大臣の権限は、これは警察法に明記してございませんから、これは当然でございます。その場合に内閣総理大臣の権限が働くことはこれはもう言うまでもございません。それから、いわゆる国家公安委員会の人事あるいは都道府県の警察本部長、特に警視総監でございますが、これに対する人事についての総理大臣の権限、これはもう警察法に書いてございますから、その範囲において総理大臣は権限を持つわけでございます。それと、一般的な警察行政の具体的な運営についての指揮監督権とは、これは別問題でございます。人事権があるから、一々警察に対してああしろ、こうしろということは、これは言えないわけです。つまり、人事権を通じての発言権はございますけれども、それ以上のものは何もないと思います。私はそれが行政委員会の特色だと思います。いわゆる二十九年の警察法の改正のときに、内閣の責任を明確にするということはもちろん言われたわけでございますが、その意味で、これはいわゆる国家公安委員長に国務大臣を置くということがその一つであったわけでございます。国務大臣をもって充てる。国務大臣をもって充てて——その以前か国家公安委員会担当の国務大臣というものはおられたわけでございますが、そのときに制度化して委員長にしたわけでございます。これについても非常に議論があったわけでございますが、ここにおいて国家公安委員会と内閣との連絡はとり得るということになるわけでございます。しかし、委員長の権限は、御承知の通り、委員会を代表するという権限だけでございまして、つまり委員会における表決獲はないわけであります。これは、委員長が国務大臣であって、それが委員会をあまり強く動かすということは、やはり警察の中立性からいかがかということで、あのような規定になったのであります。で、委員は、御承知のように、五人でございますから、普通の場合には問題は起こりませんが、かりに委員が一人欠席した場合に、つまり四人の場合に、可否同数の場合に委員長が裁決権を持っておる。それだけは委員長は持っておるわけでございますが、これ以外を除いては表決権は持っておりません。委員が一人欠席した場合を除いては、裁決権の出てくる場面もないわけでございます。そういうふうに委員長に国務大臣を入れましたけれども、そういうふうにして、いわゆる内閣の影響力の及ぶのは非常に制限されております。つまり、そういうように、これは内閣との関連を持たせるという意味で国務大臣を充てたわけではございますが、それと、いわゆる内閣総理大臣が国家公安委員会の職務の遂行に対してああしろ、こうしろという権限を持つということとは、全然別問題でございます。いわゆる行政責任——加瀬委員の行政責任と言われる意味がよくわかりませんけれども、普通の意味の行政責任というのは指揮監督権とうらはらのものと思います。非常に広い高度の意味の行政権は内閣に属するという、あるいは内閣総理大臣は内閣の首班である、あるいは国家公安委員会が総理府に属する、そういう広い意味の行政責任、これをおっしゃるのなら、これは別問題だと思いますけれども、それは指揮監督権とうらはらの問題ではないわけで、もっと政治的な問題だと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたのおっしゃることは、私の質問を若干そらしておる。私は指揮監督の行政権というものが総理大臣にあるとは一言も言っておらない。国家行政組織法の十一条は、御存じのように、「各大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。」、この主任大臣は国家公安委員長じゃありません。総理大臣です。従いまして、総理大臣が予算の編成関係事項、法令案等の提出権というものを持っておる。警察法の基盤になる大きな意味の警察行政権というものは総理にある。従いまして、具体的に言うならば、浅沼事件以来ひんぴんとして起こるテロ問題 こういう問題に対して、犯罪の対象の捜査主体が警察であるから、総理大臣は全然責任がないということが言い得るか、具体的にどうですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) 今おっしゃいましたように、いわゆる総理府関係の政令についての主任の大臣は、これは総理大臣でございます。従って、国家公安委員会は総理府の外局でございますから、その政令についての主任大臣は総理大臣であります。その意味において、法律案の起案も——これは総理大臣が主任の大臣でございますから、そういう意味において 得度を改廃するとかなんとかいう問題に関しましては、もちろん総理大臣が権限を持っておられるわけでございます。しかし、私が先ほどから申しているのは、警察行政——行政運営上における責任いかんという問題についてお答えしておるわけであります。そういう意味においては、指揮監督権はないし、それに対して責任は国家公安委員会が最終的に負う。これは警察法をごらんになればわかりますように、警察法五条には、国家公安委員会はこれこれに関して警察運営の責任を持つということが書いてあります。それから三十六条でありましたか、要するに、警察法第二条にいう警察責任は、都道府県の区域については都道府県公安委員会が負うということが書いてございます。これは要するに、そういう警察運営の責任は、一般的に都道府県公安委員会、それから特殊の問題については国家公安委員会、こういうふうに、実は責任者が明確に書いてあるわけであります。今おっしゃったような政治的な問題は、これは別問題だと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私が具体的に伺っておりますのは、浅沼事件以来テロが公然と行なわれておる。しかも、これを是認奨励する団体も横行しておる。これをどうするかという問題は、これは公安委員会の問題のみにとどまらない。政治の責任として総理が担当する分野ではないか。しかも、地方の本部長であるべき警視総監が特別に総理大臣の承認を要するという警察法の精神は、首都に対する治安というものが総理にも関係深いということを裏書きしておる以外の何物でもないではございませんか。こういう具体的な事件というものを少なくとも最小限に考えても、総理はこれに対する公安なり、あるいは行政の基本的な指導方針なりというものを閣議に出して相談の座に上せる当然の責任があるわけなんだ。そういうものも全然ないとおっしゃられるのかということを先ほどから伺っているのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これは、治安その他一般行政につきましての一般的な広い意味のなには総理大臣が持っておるのであります。それは初めから申し上げておる通りであります。従いまして、今後ああいうテロ事件の起こらないようにいろいろの施策をすることにつきましては、もちろん私も考えなければいけません。これは、単に警視総監及び警察庁長官の問題ではない。国政全般として私は考えなければならない問題だと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 行政責任がもう総理にあることは明白になりましたので、それでは昨年以来ひんぴんと起こるこのテロ事件に対してどういうように総理は政治方針を具体的に打ち出したか、その内容をお聞かせいただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) それは関係各大臣、すなわち、法務大臣あるいは警察関係の担当大臣に、警察行政のあり方、また順法精神の普及徹底等々各般の事態につきまして、適当な処置を強化するように申しつけておりますし、また自分といたしましても、高い視野におきまして、いろいろ思慮をめぐらしておる次第であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国家公安委員長、法務大臣に、ただいま総理のお述べになられた点で、具体的にどういう要請なり指示なりを受けて、また具体的に行政的などういう方法としてこれを計画され、あるいは実施しておられるか、なるべく具体的にお話を願いたい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) ただいま総理のお話の通り、暴力を徹底的に排除すべくそれぞれの措置をしろと、こういう御指示は常に受けておるところでありまして、これを端的に申し上げますれば、今の警備力を増強いたしまして、そうしてこの警備力を機能化して、それぞれのたとえば犯罪の温床になる各種団体については内偵を十分にいたし、さらに監視を厳重にする、さらに被害を受ける危険ありと思われる方につきましては、十分なる保護をとる、こういう方法を端的にはいたしておるわけでごいます。なお同時に、これは世の中のいろいろな風潮上、気風からも起こってくる現象が非常に多いのでありまするから、青少年協議会あるいはその他の団体等を動員いたしまして、こういう暴力排除に対する、気風の一掃に相努めてきたわけでございます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。法務当局といたしましては、這般のあの不幸な事件につきましての捜査に当たりましては、峻厳なる態度をもって臨み、また、そのよってきたるところをきわめようと、あらゆる努力をいたしております。そうして、これによって得たところの資料によって、現行法に不備があるかないか、あるいは、さらに新しい立法等の必要があるかないか等の研究も怠らないように努めておるわけであります。また、破防法の適用の問題に関連いたしまして、こうした危険なる団体について、特に幾つかのものをマークいたしまして、これについて従来よりもさらに一そうの情報の収集等に努めまして、間違いが未然に、起こらないように努力をいたし、また、破防法を適用していくことの間違いなからんことを期する努力もいたしております。あるいはまた、刑罰法規の適用等に当たりましても、あるいは日本のこうした凶悪なる犯罪に対しての処罰が、外国の例に比べまして軽過ぎるのじゃないかというような点も反省させられましたので、この点もいろいろと資料を集めまして研究いたしまして、いずれこの問題につきましては、われわれ近く刑事部長、検事を招集いたしまして、そうして従来のわが国の法に許されたる範囲内においての刑の適用の問題についての標準を反省する余地があると考えて、研究をさせることにいたしております。それによって大いに努力をいたそうと、あるいはまた、一昨年七月以来われわれの省内に設けていただきました犯罪総合研究所、こうした方面におきましても、特にこうした凶悪犯についてのいろいろな研究をいたし、また、青少年犯罪が凶悪犯、粗暴犯におもむいていく傾向が多うございますので、これらについての研究にもおさおさ怠りなく努めておる次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法務大臣に端的に伺いますが、少年犯とかなんとかいうことは別にして、今まで例にあげられたようなテロの問題について、右翼テロの問題について、特別に立法をしろという指示を、あるいは要請を総理から受けたか、あるいはそういう考えはあなた自身おありになるかどうか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 総理からは、こうした問題については、常に研究を怠らないようにしておけというようなお指図でございます。われわれといたしましては、その態度をもって十分に研究を続けているわけでござい一まず。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法務大臣、あなたが十分に研究していなさる間に、同じような事件が何回も繰り返された。もう研究の段階ではなくて、はっきりと政府が政治責任において対策を天下に表明すべき段階だと思う。何かおありですか、具体的にお示しいただきたい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) まだお答えし得る程度の結論を得るに至っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは具体的に伺いますが、浅沼事件のときに、このようなテロをもたらす基盤は右翼であり、右翼の活動を活発にさせるものは右翼の資金源である。そこで、この資金源について、適当な時期に十二分の説明をするという政府の御見解なんです。きのう刑事局長ですか、若干の御説明がありましたが、これ以外には何かわかっておりませんか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) きのう関係当局と打ち合わせの上発表いたしましたあの資料並びに公安調査庁から昨日一応情報によって得ましたところの調査資料を、衆議院の連合委員会へ提出いたしました。そのものはございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 きのう発表した以外のものがありましたら御提示いただたきい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 承知いたしました。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは今のはお出しになるのですね。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま私が申し上げました公安調査庁の資料は、もうすでにお手元にお届けしてあるそうでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 資料は、今御指摘の資料もございませんし、私の質問は、きのうの御発表のほかに、もっといろいろ資料があったら全部御提出いただきたい、こういう要求です。

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 資料はあるそうですから、配付をさせます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この中には、きのう新聞発表によりまして報道されているものすらもございませんよ。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) きのう衆議院で政府委員から御説明申し上げましたものは、別途口頭であの席に申し上げましたのでございまして、書類ではお届けしてないのでございます。お手元に届きました書類の中に、「右翼団体の資金活動の概要、公安調査庁」と書いてあるのがございますが、これを別途資料で差し上げた次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは具体的に伺いますが、自治大臣安井謙氏の名前で、政党、協会その他の団体の収支に関する報告書、いわゆる政治資金規正法による報告書が出ております。その前の石原国務大臣の名前でも出ております。昭和三十四年七月一日から十二月三十一日までの右翼と称せられる団体に対する資金の収支と、昭和三十五年上半期分の安井さんの名前で出された収支との間には、いろいろのおもしろい相違が出ております。この点も具体的に御説明をいただきたい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 今、その一括した資料を整えておりますから、局長をもって詳細説明いたさせたいと思います。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 私どもの方では、何が右翼団体であるかということは承知いたさないのでございますが、けさ警察庁の方から新聞に発表されましたその右翼団体といわれるものにつきまして、先ほど調べてみたのでございますが、それについて申し上げますと、右翼団体といわれているものの中で、政治資金規正法によって届出のあるものと、政治団体として届出のないものと、二通りあります。届出のあるものだけが私どもの方の関係になるわけでございますから、それについて申し上げますと、まず大日本生産党。これにつきましては、昭和二十九年の十月に政治団体として届出がなされております。この収支状況は、昭和三十四年の上期に、端数は切り捨てますが、二百六十四万円、下期が三百五十七万円、それから、昭和三十五年の上期に三百六十八万円、下期の分はただいま集計中でございます。  それからその次に、国民社会党という団体がございます。これは、昭和二十三年九月に政治団体として届け出られております。昭和三十四年の上期が千九十八万円、下期が七百九十万円、それから三十五年の上期が千百八十三万円という収入の届けでございます。  それから、その次が護国団というのがございます。これの政治団体としての届出の日は、昭和三十四年の四月になっております。昭和三十四年の上期の収入の届出が四十八万円、下期が百四十五万円、三十五年の上期が百八十八万円となっております。  それから次に、大日本愛国党でございますが、これは、二十七年の二月に政治団体として届出がなされております。これにつきましては、三十四年の上期が六十四万円、下期は報告はございません。三十五年の上期に百八十万円報告がございます。  それから次が松葉会、これが三十四年の二月に政治団体として届出がなされております。三十四年の上期が二万六千円になっております。これはまあ上期は少なくなっております。それから下期は三十七万円になっております。三十五年の上期の分は報告がなされておりません。  それから次は、義人党というものがございますが、これは、三十五年の九月に政治団体として届出がなされておりますが、収支報告はございません。  それから次に、大日本独立青年党というのがございます。これが昭和二十七年の一月に政治団体として届出がなされ、三十四年の上期に四百五十万円、下期は報告がありません。三十五年の上期が二百万円となっております。  それから次は、大日本菊水会というのがございますが、これが三十四年の五月に政治団体として届出がなされております。三十四年の上期が十万円、下期は報告がありません。三十五年の上期が三十九万円となっております。  これだけが政治団体としての届出がなされております。あとの分は届出がございません。  以上です。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 今おあげになりました団体で、数字の明確になっておりますものは、いずれもほとんどが三十四年に比べて三十五年の上期がふえております。このふえた原因はどういうところにありますか。警察庁の方から説明をいただきます。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 経費がふえていることにつきまして、私どもにその原因を御説明するだけの材料がございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは対象として御調査になったか、ならなかったか、その点お伺いしたい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 警察としては、調査をできるだけいたしておりますけれども、そのふえたことがどういう原因に基づくかということをここでお答えをする材料はございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、法務大臣に伺いますが、あなたは、資金源について適当な時期に詳しく説明するとおっしゃった。説明をなされるからには、三十四年から比べて三十五年が非常にふえている、そうすれば、ふえた原因、理由というものも分析されておると思いますから、ここで御説明いただきます。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 過日、本会議におきまして、適当なる時期にお答え申し上げると申しました点は、昨日政府委員をして御説明いたさせました、例の先般の浅沼事件に関連いたしましての大日本愛国党、これの収支内容の問題についてでございます。この点、私は、公安調査庁の方面からの一般的な情報による収支収集につきましては、別途お手元にも差し上げましたその資料によって御説明を申し上げたいと存じたわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 浅沼事件が起こった当座ならば、今の御説明もその通りだと一応認めることもできると思う。しかし、ああいう事件が起こって、その後も同様のケースが行なわれてきて、そのもとは右翼の資金源の豊富によるもだという一部に説もありますし、法務省自身も、資金源については詳しく調査報告すると約束をしておってからもう三カ月たっておる。それで、ここに報告されたものすらも説明できないというのはどういうわけですか。しかも、政治資金規正法によって届け出たもののその内容すらも調査できないということはどういうことですか。あらためて伺いますが、政治資金規正法違反の数々が私の調査によるとありますけれども、政治資金規正法に違反しておる内容をも、しかもそれが右翼の問題であるにもかかわらず、何ら調査を今までしておらない、こういうことですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 当該大日本愛国党の問題につきましてのただいまの御質問の、前年、本年との比較等につきましては、事非常に詳細な点にわたりますから、事務当局をして説明いたさせます。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) お答えいたします。  この提出いたしました「右翼団体の資金活動の概要」という中の三枚目の裏に掲げてございます。ここに一応一番問題になりまする寄付金の問題について考察をいたしてみているのであります。それからその裏で、「政治資金規正法による各団体の届出」もちろん私どもは、昨年来の問題の推移にかんがみまして、資金問題が重要であることは、皆様以上に承知しているわけであります。従って、そこにどういう問題があろうかといったいろいろ苦心をして調査しているのであります。その一つの方法としては、もちろんこの資金の届出の政治資金規正法という一つの法令があって、相当届け出られておりまするから、それを参考にして見ているわけであります。見ているというと、ただいま御指摘のごとくに、この数個の団体の中に、若干例外はあります、三十四年よりも三十五年が減っているという例もありますが、これはごく二、三でありまして、おおむねの団体は確かにふえているのであります。なぜふえているかという問題でありまするが、これは、私の察するところでは、やはり活動の内容が若干活発に一なってきているということが一面あろうかと思います。たとえば、出版の活動であるとか、あるいは左翼団体の活動の活発化に比例して右翼団体の活動が活発化する、これは事柄の当然の発展でありまして、そういうことはあろうかと思います。そしてまた、届出の誠意さというような問題も若干そこに関係があるのではなかろうかと思っているわけであります。これは、届出が虚偽だなんていうことは、ここで私は責任をもって申し上げることはできません。法令上の届出者の自主的な責任の問題でありまして、役人である私が、こういうお席で、そういうことがうそだということは断言いたすことはできないのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この報告によると、大体一カ月の平均収入は幾らということを出しておる。一カ月の平均収入は幾らということを出せるからには、少なくも通常一口数百円から最高一万円程度となっているのがおおむねであるなどというでたらめな報告はできないはずです。なぜならば、一例をあげれば、護国団に対する寄付は、五万円、六万円という口も何口かあります。政治資金規正法の届出によって出ている、そういう公にされている数字の内容すらも説明しておらないということでは、私どもは、これでそのまま十二分に調査が届いているものとして受け取れますか。あわせて伺いますが、政府委員のいずれからでもいい、きのう発表された以外に関係会社はありませんか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 検察庁の捜査によりましては、昨日私から御説明さしていただきました通りでございます。ただいま御質疑の中にございました点でございますが、昨日浅沼事件の関係で、背後関係の捜査の一環として資金関係の捜査をいたしたのでございます。その内容は、捜査当局が確認したものでございまして、自治省で所管しております政治資金規正法による報告の結果ではないわけでございます。そこで、自治省に照会いたしましたところが、政治資金規正法に基づく報告書を出しておりますのは、現在大日本愛国党だけであります。しかも、三十五年度は、上半期のみが出ている状況でございます。それで、昨日私が説明しました全アジア反共青年連盟の関係、及び防共挺身隊からは、いずれも報告書が出ていないということでございます。そこで、御承知のように、政治資金規正法におきましては、その報告書が内容が虚偽にわたります場合には犯罪が成立するわけでございまして、大日本愛国党につきましては、同法の規制の対象になっておることは明らかでございますので、その報告内容と捜査の結果確認されました内容との間にどのような食い違いがあるか、また、食い違いが虚偽の報告に基づくものであるかどうかというようなことが問題になろうかと思います。そういう事実が確認されるということに相なりますれば、責任者につきまして所定の刑事責任を追及することに相なるかと存じます。また、他の二つの団体につきましては、これは政治資金規正法の関係で一応対象からはずれておるのでございますけれども、それらの団体が、調査の結果、その綱領その他から見まして、この政治資金規正法のいわゆる団体ということに認定ができます場合におきましては、これまた一つの政治資金規正法上の容疑団体ということに相なりまして、捜査といたしましては、その面につきましても刑事責任の所在を追及することになろうかと思いますが、それらにつきましては、今後の捜査にかかっておる次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、お話を伺っておって、一体右翼の資金源というものをほんとうに政府は調査をするという意欲があるのかどうか、疑わしく感じます。と申しますのは、今御説明に引例をされました政治資金規正法の報告の中にも、大日本愛国党だけではなくて、たくさんの団体が入っておりますよ。一体右翼の資金源というものを、どういう打ち合わせのもとに、検察庁なりあるいは警察当局なり、あるいは公安調査庁なり自治省なりはおやりになったのか、あらためて伺います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 浅沼事件の背後関係、特に資金の状況でございますが、これは、参議院法務委員会におきましても、できるだけすみやかに及ぼし得る範囲において状況を明らかにしたいということは私どもの考えでございまして、終始そういうことを申してきたわけでございます。しかるところ、あの事件の捜査にあたりまして、関係者あるいは被疑者等の宅、事務所等から押収いたしました書類等によりまして、資金の状況はある程度わかったわけでございますが、しかしながら、その金がはたしてどういう趣旨で出されたものであるか、それからまた、真に、その書いてあるように、何何会社から出してあるものかどうか、そういうような点の裏づけ捜査をしてみなければ、その右翼団体を支持するために出した金であるかどうかということはわからないわけでございます。従いまして、それらの裏づけ捜査に多大の時間を要したのでございまして、この捜査にあたりましては、検察庁も警察当局も、双方協力いたしまして捜査に当たった次第でございまして、そういう関係から、裏づけ捜査の点の適否につきまして慎重に検討いたしました結果、昨日御発表といいますか、説明を申し上げることになった次第でございまして、協議をしたとか、あるいは今まで考えておったとかいうようなことは、右のような次第から長引いたのでございまして、他に何ら他意があるのではございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 具体的に伺いますが、護国団、国民社会党本部、大日本独立青年党、大日本愛国党、大日本菊水会本部、昭和三十五年一月一日から昭和三十五年六月三十日までの寄付の内容はどこから出ていますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 詳しい内訳につきましては、わかり次第御報告いたしますが、たとえば、大日本愛国党につきましては、党費、党員の分が百二十万円、新聞の売り上げが六十万円というような報告になっておるわけでありまして、それからその他の分につきましても、主として幹部の寄付とか党費といったような形のものが多いのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 政府は、右翼の資金源については、責任をもって調査発表するとお約束をなさったわけでしょう。従いまして、私どもよりもはるかに綿密に、それぞれの機関で発表に耐え得る調査ができておらなければならないはずだと思うのです。今の安井さんの御発表だけでは、一体何カ月もかかって十二分に犯罪を防止するという意味から御調査をなさった内容としては受け取れません。これは、法務省でも警察庁でもけっこうです。具体的にその出所を明らかにして下さい。総額は出ておりますからわかります。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これは、自治庁の方に届出のあった方について申し上げたのでありまして、この分については届出の通りです。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 私の方で担当いたしておりますのは、事件がつまり犯罪事件として取り扱いました分につきましての背後関係の捜査においてわかった事項を御説明申し上げておるわけでございます。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 実は、たとえば護国団につきましては詳細報告が出ておるわけであります。しかし、これをここで読み上げますと、ずいぶん時間がかかるのでございます。千円、二千円というような小口、よければ読みますが、これだけ出ておるわけです。そういう状態でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 関連して、竹内刑事局長にちょっとお尋ねいたします。  寄付金というのは、その内容が二つあると思う。ほんとうの意味の寄付金もあろうかと思いますけれども、その寄付金を取る手段方法において、かなり怪しげな手段方法がとられておるものも、一応寄付金と見られる節もないではない。私は、この寄付の内容をどういうふうに当局がつかんでおるのか、その点をはっきり尋ねなければならない。昭和三十三年、言論に対する右翼の圧力というものが巷間非常に問題になったときがあります。このとき、警視庁の公安二課は全力をあげて各調査したのですが、新潮社の週刊新潮、筑摩書房の「三人の放火者」、光文社の「三光」、春陽堂の「みんなが知っている」、日活の映画「孤独の人」、新東宝の「明治天皇と日露大戦争」、それぞれ右翼の暴力が言論や映画界を弾圧したいろいろの事件がありましたが、当局の発表によると、双方話し合って円満に事を解決したと述べられております。円満に事を解決したという内容は、光文社の「三光」という小説は、絶版にするという証文を取って、そうしてこれが円満に解決したということになっている。春陽堂の「みんなが知っている」というのは、これは、護国団がやっぱり絶版にするのだという約定を取って円満に解決したということになっています。新東宝の「明治天皇と日露大戦争」、あるいは大映の「日本破れたり」という映画等については、護国青年団等が百万円の金を取った。あるいは五百万円の金を取って円満に解決したというふうに言われている。すなわち、これらの百万円あるいは五百万円というのは、円満な解決という形式的な条件で、寄付という名目でこれが出されていたに違いがない。このようないろいろな条件をつけての円満解決というものが、たまたま形式的に寄付という形に持ち込まれるということは考えられるのです、これは、今までの例から見ても。だから、寄付という内容をあなたの方でどういうふうに調査されているのか。何の理由があってこういうものに寄付しなければならなかったのかという事情も、この際、あなたの捜査された範囲において、あらためて一つ公表してもらいたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ただいま御指摘のように、金の授受がありましても、その金がどういう趣旨で渡されたかということはきわめて大事なことでございます。お示しのこういう事件につきましては、結局刑事事件にならなかったためか、私どもの方には報告が参っておらないものですから、そのいきさつを確かめておりませんけれども、今回の浅沼事件に関しましては、その関係を明らかにすることもまた、確かに右翼テロを防遏する一つの方法であると私も信じております。従いまして、資金関係につきましては、今御指摘のような点に立ち至って捜査をしてもらうように要請した次第でございます。その結果によりますと、強迫にわたって、要するに強喝してしまったというような事案だとか、あるいは債権取り立て等に籍口して、頭をはねて金を得たといったような事案等につきましては、それぞれ刑事処分をいたしたのでございます。しかしながら、金は出したが、まあ恐喝には至らなかった。しかし、右翼の団体の主義主張に賛同して、それを支援したというところまでいったものは、捜査の結果によりましてはないわけでございます。それらはいずれも、これは悪い習慣かとは思いますけれども、おつき合いでというようなことで出しておるというふうに見られる案件でございます。捜査の結果によりますると、そういうことになっておるのでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 政治資金規正法によるものすら調査が行なわれておらない。従って、この届出以外に多額の資金が当然あるいは不当な手段で入手されているかもしれない。こういうものを完全に調査してこそ、国会での約束を全うしたということになると思う。そういう意味での、今高田委員が指摘したような内容をも含めての広い調査は行なわれておらないと認めてよろしいのですね。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 先般の浅沼事件に関しての、関係のございました三団体については、十二分の調査をいたしてございますが、その他の一般のいわゆる右翼団体のうち危険と認められる、あるいは破防法の調査対象にしております団体が五つばかりございますが、そうしたものについては、十分な調査をする権限がございますけれども、その他のものについては、現行の法令の定めるところでは、情報によって調査をするという程度のことしかできないのでございます。  以上、お答えいたします。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、護国団を例にあげます。護国団の昭和三十五年上半期は、先ほど御指摘がございましたように、百八十八万四千五百円、口数は十五口となっております。内容は、株式会社日立製作所五万円、東京芝浦電機株式会社三万円、富士製鉄株式会社六万三千円、野村証券三万二千五百円、東京電力株式会社三万円、日清製粉三万七千円となっております。これ以外にも、百八十八万を集めるためにはたくさんあるはずですから、自治省は一部分しか発表しないで、多くのものはみんな省いておる、こういうことになりますか。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) 私どもの方で官報なりその他に公表しますのは、一口三万円以上の分に限って公表するようになっております。しかし、その他の三万円以下のものにつきましても、閲覧の請求がございますれば、私どもの役所では見せる、こういう建前になっておりますので、おそらくその三万円以上の分だけがお目にとまったのだろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、今の審議の資料になると思われるものをあらためて御提出をいただきたい。

松村清之自治省選挙局長

○政府委員(松村清之君) それでは、少しきょうは間に合いかねますけれども、至急資料を作りまして御提出申し上げます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あとの方もおりますから質問を続けますが、昭和三十四年の下半期は、やはり同じ団体に日立製作所から三万円、その他富士製鉄、鐘淵化学、三和銀行、関西電力、東京電力、東京ガス、八幡製鉄から三万円ないし十万円出ております。そこで、これらの会社はどういう名目でこれを出したのか、公安調査庁その他調査がございますか。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) おおむねの形態は、寄付金ということに相なっておるわけであります。ところが、それぞれの団体では機関誌を出しておりまして機関誌の賛助金あるいは広告代というようないろいろなものがここに含まっているようであります。それらの点につきましては、ただいま調査中でございますが、どの部分が賛助金で、どの部分が広告代、その区別はなかなか困難でありまして、要するに、ただいま申し上げました複雑な要素がそこに入って、そういうものが寄付されておるというふうに考うべきものかと考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、支出についての調査はできておりますか。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) 支出につきましては、一応政治資金規正法によって届け出たものについても支出のことが出ている。それは、お求めがありますれば申し上げてもよろしいのでございます。さらに、その御疑念の点は、それはほんとうかどうか、さらに何かそこに隠されているものがないかどうかというような問題に相なるかと思いますが、その点につきましては、ただいまそれらの政治資金規正法による届け出たものとどういうふうに違うか、何が実態であるかという点について調査中でございまして、ここでもって終局的に申し上げる段階には至っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私が伺っているのはそうではない。支出目的が、たとえば工作費とか、援助費とか、人件費とか、いろいろな名目で出されております。従って、右翼を調査するというならば、その支出目的がどういう内容によって使われているかということを分析しなければ、金が幾ら入ったか出たかの調査では、所期の目的は達せられないと思う。そういう内容が調査されておるかどうかということです。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) 私どもの調査の今日まで進めて参ったことの大よその額は、たとえば愛国党、護国団においては、おそらくこれとそう著しく違っていないものであろうと思うのであります。従って、この支出の問題でありますが、この中にあります人件費、旅費、印刷費、通信費、食糧費、借室料及び雑費と、こうありまするが、これらは、やはり大体こういうようなところに使われているものであろう。人件費と申しますのは、そこに専従の者がおるわけでありまして、これに対して給料的なものを支払うとかいうことが行なわれるわけであります。旅費と申しますのは、これは、諸種の活動をいたしまして、そこに旅費を支給して行なわせる、こういうことになるわけであります。印刷費と申しますのは、その機関誌、あるいはビラ、伝単等の印刷物がある。まあこまかく申しますとこういうような説明に相なるのでありまして、このようなものは、一応の見当はつけておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、国民社会党が、千百八十三万円のうち四百十三万六千五百円を工作費というものに使っている。それから大日本生産党が、二百三万六百二十三円を組織工作費というものに使っている。この工作費なり組織工作費なりというのは、内容はどういうことをしておるのか。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) その工作費ということは、私は、団体の組織を拡充するための費用である、それは、言葉は両方とも違っておりまするが、大体そういうふうなものであろうと考えているわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから、その内容はどういうことをやっておるか、この二つの団体は。それを御調査になっておるかどうかということです。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) この組織を拡充するということにつきましては、率直に申しまして、左も右も大体同じでございまして、会議を開き、印刷物を作り、そうしていろいろなことをやるということになるのでありまして、そこらの点は御想像をお願いいたしたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはおかしいです。テロの横行の背景には右翼がある。右翼を強力にするものとは資金源である。そこで、資金源を調査しなければならないというお約束を政府はなさった。そこで、その資金の中で、いろいろ支出を見ていくと、工作費なり、組織工作費なるものがある。これがどういう内容のものかということを分析しない限りにおいては、われわれは、あなたのおっしゃっただけの概要の説明では、政府の約束した説明を十分にわれわれは承ったというわけにはいかないのじゃないか。公安調査庁でありますから、もう少し工作費を使っての工作をしている内容というものをここで明確にされなければ困る。それを伺いたい。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) これは、同じことを繰り返すようになりまするが、要するに、組織を拡大する費用なのであります。そういたしますると、出張して会議を開き、あるいは遊説をし、あるいは印刷物を作って配っていくとかいうようなことに相なると思うのであります。それが、たとえば何月何日どこでどんなことをやったかというような問題になりますると、これはまだ資料も手元にございませんし、詳細なことは申し上げかねますが、筋はそういうところでありまして、ここで御理解をいただきたいと思うのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 では重ねて伺いますが、その四百十三万の工作費あるいは百二十万の援助費、三百九万の旅費、こういうものが、われわれが今心配して議論をしておる右翼のテロというものは全然無関係に使われているという証明があなたはできますか。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) それは大へんむずかしい問題でありまして、因果関係ということになりますると、考えようによりましては、もちろん非常に広い原因結果が出て参ろうかと思います。さりながら、たとえば、最近における昨年末の河上さんのケースあるいは浅沼さんのケースあるいは今度のケースというような問題は、直接の原因にそういうものが直接ぴたりと合う、それがゆえにそうなったのだというふうな結論は、私は出て来ないと思うのであります。もちろん私どもも、破防法ないしはその他の法令というものは、調査上の限界があるわけでありまして、それ以外の点は、率直に申しまして、要するに自由な活動の範囲なのであります。自由の活動の範囲でありまして、それを私ども治安当局に全部調べろとおっしゃられても、それは不可能なわけでありまして、それは左に対しましても全く同様でありまして、われわれはそれを両方とも公平に扱わざるを得ないわけでありまして、そこでまあできるだけのことはしておるわけでありまして、そういうふうに私は考えるのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あの右翼の資金源を調査して発表するというのが、政府の国会での約束なんですよ。あわせて左も調べますというようなことはそのとき言っておられない。だから、私どもは、今例に出しておりまするように、国民社会党というのは、これは行動右翼ではないかもしれませんけれども、たとえばこういうものが出ておりますが、この内容は御調査になったのか。護国団にはこういう内容が出ておりますが、この人件費というものは何に使われたか、まだ出ておらない。政府の方では、行動右翼として指定をしておるたくさんの団体もある。そういうものの一体資金源あるいは資金の使い方というものはどう調査をなされたのか、こういうことを聞いておる。約束された点の答弁を求めておる。新しくここに質問を展開しているわけではない。左も右も同じだというふうなことはない。あなたがわからなかったら、総理大臣を出されてもよい。はっきり、約束をどう果たされているか、それを答えてもらいたい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 昨年秋の委員会、その他この間の本会議等においてお答え申し上げました点は、犯罪に関係いたしましたあの三団体等についての内容について調査の上御説明申し上げます、こう申し上げておったのであります。なおさらに、それに加えて、便宜われわれの方で、公安調査庁で調べております特別な団体についての分を別途資料で差し上げたような次第に相なってございます。右翼団体であれば、何でもかんでもみな詳しく調べて、そうしてそれをお手元に差し上げるとか、国会で御説明するということのお約束はしてないのでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなた方が、きのうの衆議院の委員会で、活動右翼二十三団体に、警察庁が監察強化を指示した、こういう御発表をしておる。少なくも二十三団体のうち特に行動右翼と指定された何団体かについても、これは浅沼事件に関係のあるなしにかかわらず、資金源なり資金の使い方なり、その行動の内容なりというものは調査されておらなければならないはずなんです。それをしてないというなら、この委員会をやったって意味がないから、調査してから出直しましょう。あなた方出直しなさい、調査して。委員会を侮辱している。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 私の方で提出いたしました資料について言及がございましたので、便宜私からお答え申し上げます。  警察が出しました行動右翼と申しますのは、国家的な、民族的な思想を持ちます団体のうちに、その思想を普及いたしますといいますか、そういうことが、単に言論によることなしに、行動に出でる場合のあります団体をそこにあげたわけでございます。しかしながらそれも、警察といたしましてこれを捜査をいたしますのは、いずれも犯罪が発生をいたしました後においてこれを捜査し、ある団体の犯罪に対しまして、これを資金を援助したというのでありまするならば、その資金の援助が犯罪に直接関係あるということにおいて捜査をいたすのでございます。なお、私どもがそれ以外の調査によって承知をいたしましたものを公表いたすということは、これは差し控えたいと思うのでございます。申すまでもなく結社の自由ということが認められ、それによって結社を持っておるのでございまして、そういう団体につきましてその団体が任意発表いたします、ある三十八条に、「都道府県、公安委員会は、都道府県いは届出します、政治資金規正法のような届けに出ておるものは、もちろん公に政府がすることは何らかまわないと思いまするけれども、その内容に立ち至って、その団体の意に反して警察が調べたということを公表することは差し控えたいと思うのでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 二つ伺います。あなたがたは、発表はできないけれども、十二分に資金源について、あるいはその使途については研究が、調査ができておる、こういうことなんですか。これが一つ。  もう一つは、政治資金規正法で届け出でてある内容に作意なり過誤なりがありとすれば、これを調査する責任というものは当然政府にある。提出されておるものについて、さらに、こういう時期でもありますから、問題の団体については、その資金源が届出の通りのものかどうか、調査をされたかどうか。この二点。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 警察において十二分に調査が届いておるなどという口幅ったいことを言う状態ではございません。わかります限りのことにつきましては、御指摘のように、規正法の届出と違っておるものは違法でございますけれども、これについて、目下違反だということで手続をするという段階になっておるものはないのでござます。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) 公安調査庁におきましては、破防法の観点から調べられる限りのことは調べる、こういうことになるわけであります。これはもう当然のことでありまするが、それで、その観点から、そこに提出いたしました「資金活動の概要」というものは、それらの調査の結果から得ましたものをごく抽象的な言葉で結んでいたしたわけでございます。そのように御承知をいただきたい。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、総理に伺いますが、今の私どもの質疑の間から、どうも政府は、右翼の資金源については、調査をする熱意があるとは私どもは認められない。しかし総理は、この前のお約束のように、もっと右翼の資金源というものを徹底的に御調査をなさって、国会に御報告をして下さる御意思があるかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) やはりその調査につきましても、警察の方は、犯罪が起こったと見られる場合、そしてまた、破防法関係につきましても前提があるわけでございます。のべつにどんどんどこへでもというわけには参りません。従いまして、あなた方の方で、こういう調べをしてくれ、ああいう調べはどうだということを具体的に、質問応答でなしに、一つおやりになったらいかがでございますか。そうしないと、今ずっと聞いておりましても、だいぶちぐはぐのようでございます。私は、やはりお互いに、こういうもののこういう点はどうだろうか、警察の方も公安調査庁の方も、何らそういうことにつきまして、適法なやり方についてはここで拒否するわけでも何でもない。やはりお互いに話し合って調査をするべきものだと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、せっかくの総理のお言葉でありますから、総理にあとで御報告をいただきます。  自由民主党の三十五年上半期の政治献金は四億四千七百八十三万、このうち一億一千三百六十五万、これが件数は三百十六件で、負担金、補助金、交付金というもので支出されております。一部では、安保改定のために多額の推進運動資金が自民党から支出されたと言っておる。そこで、私はやみに流れたものを究明するような質問をいたしません。一億一千三百六十五万というものは三百十六件、どういう内容で負担金、補助金、交付金として出されたのか、一応私は疑惑を持ちますから、この内容について後刻文書で御説明をいただきたい。  それから、公安調査庁に伺いますが、大日本愛国党、これは事件に関係がありと言われておる団体でありますから、これは他団体と異なりまして、人件費というものを政治資金規正法の届けの中には計上してない。この経理内容をお調べになっておるかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 自由民主党の経理につきまして、昨年の上期におきましては、私はその責任者でございません。従いまして、当時の責任者と打ち合わせまして処置いたします。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) お答えいたします。  この大日本愛国党の政治資金規正法による届出の中には、人件費は確かに掲げておりません、その理由いかんというのでありますが、私は、次のように考えておるのであります。実はあの団体は、赤尾党首の独裁的な団体なのであります。そうして多くのものはその家に泊まり込んで、そうして食事をし、そうしてまあいわば一族郎党というような、まことにそういう感じで動いている団体であります。従って、固定的な給料、もし赤尾党首自身が自分の給料というのをやるならば、それがあるいは人件費に当たるかもしれませんが、そういうよう意味で、ほかのある組織をもって、そうして理事であるとか、あるいは会長であるとかというようなもので、それに対する相当の費用、あるいは書記であるというようなものをきめて、それに対して給与を払うというような意味においての人件費はまあないと考えてよくはないか、そういう意味でこの人件費というものがここにあがっていないのではなかろうか、こういうふうに一応考えて見ているわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 考えての御想像ですか。御調査の結果の御発表ですか。私は、調査をした結果を御発表いただきたいとお尋ねしている。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) これは、調査の結果による判断であります。そう無責任なことを申し上げているつもりではないのでありまして、大日本愛国党の運営の実態がどうかという問題について調査をし、その調査の結果、ここに出ておるのがそのようなものであると判断したのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、人件費は一銭も払っていないと認めてよろしいですね。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) ほかの、たとえば理事であるとか、あるいは書記であるとかいうものを専任して、組織的にできている団体と比べての人件費というものはないであろう。まあ自分の生活とその党の生活と一体のようなものでありますから、たとえば農家においても主人が給料を払うとか、人件費というものが出てこない。しかるに、会社においては明瞭に人件費が出ておる。たとえ話を申し上げますと、そのようなそこに関係があって、人件費というものはないと考えても差しつかえないのではなかろうか、私はこう考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、その経理内容をあなたはご存じでしょうから、大日本愛国党の経理の種目別内容を説明されて、こういうわけで人件費はなくてもいいんだと御説明して下さい。どういう内容からこの御判断が出たのか、私にはわからない。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) どうも私の今までの申し上げた説明が不十分で、御理解をいただけないのは遺憾でありまするが、その説明は、私から見ますると、今までで尽きておるわけであります。それ以上のことはまた繰り返えすことになりますから、差し控えたいと思うのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたわかっているのか、ほんとうに。私は、今までの政府の閣僚並びに政府委員の御説明では、政府が約束された右翼資金源の調査というものに熱意を持って当たっておることは認められません。総理大臣も、あとで資料を御提出下さると言うし、それからさらに、新しい資料によって私どもは究明しなければならぬ問題もありますので、一つ公安調査庁に、生産党以下いろいろ述べられた右翼団体の三十四年と三十五年と比べて三十五年が非常に収入がふえているのはどういう原因によってふえたものか、この内容を資料として御提出をいただいて、別の機会にまた質問をすることにいたします。一応保留いたします。   —————————————

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 相馬君。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 今回の問題について、資金関係その他警備上の問題については、同僚議員からかなり突っ込んで質問が行なわれましたので、私は、特にこの問題をはらんでいると思うところの、また運営上、制度上相当考えていかなければならぬと思われる公安委員会の運営、そしてその責任、そういうものを中心にして若干の質問を行ないます。  まず第一に、都公安委員会長の堀切さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、今回の事件に対して、どのように堀切委員長はこの問題を把握されているか、一応所見を承りたいと存じます。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) このたびの事件につきましては、被害者に対しまして、まことに残念なことで、非常に遺憾に存じておる次第であります。東京都の公安委員会といたしましては、御承知にように、委員会の組織になっておりますので、この問題につきましては、去る三日に委員会を開きまして、詳細に当局の説明を聞き、それを了承いたしまして別れたような次第であります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 その報告を聞いて、了承したということの具体的内容は何を意味しているのですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 警察の当局者といたしまして、できるだけのことはやっていたということを了承いたした次第であります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 そうすると、端的に申せば、ああいう状況のもとではやむを得なかった、もっと突っ込んで言うと、当面とるべき責任はないと、こういうことを含んでおるのですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 責任の問題につきましては、これは国家公安委員会の方で決定されることでありまして、国家公安委員会の方からわれわれの方にその同意を求めてこられることになっておりますが、まだその連絡はありませんので、われわれの方では、それに対して、特別にはまだ相談はしていないわけであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 警察の、この際警視庁の運営管理について遺憾の点ありとは、現段階では都公安委員会は判断していないということですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 委員会といたしまして、遺憾の点が全然ないとまでは考えておりません。ただ、いわゆるその責任者の責任というところまでいく問題であるかどうかということにつきましては、まだ委員会として十分に相談をしておりません。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 この警備の配置の問題、それから今後とるべき理想的な警備の姿、そういうようなものを含めて、警察の運営管理について直接の責任を持つ者は警視総監だとわれわれは判断をいたしておりまするが、その運営管理について、公安委員会自身は責任を持つとお考えですか。そういう具体的なことは警視総監にまかせておくのだから、できてしまったことを報告を聞いて、それを判断すればよいという御態度ですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 警視庁の管理につきましては、公安委員会が責任を持っているわけであります。ただ、公安委員会といたしましては、警視庁管理の方針を定めまして、その方針に基づいて、警視総監をしてこれを執行せしめるということにいたしております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 警視庁の運営管理というのと警視庁が持つ警察権のそれらを含めての運営管理ということについては、非常に違って参ると思いまするが、公安委員会というものが警察の運営の意思決定者であるというふうに御判断しておりますか。別に意思決定者という積極的意味は持っていないという御判断ですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 意思決定ということは、ちょっと微妙なので、ちょっと了解いたしかねますが、警察の管理につきましては、公安委員会が責任を持っているわけであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 わかりました。警察の管理について、権限とそういう責任を持っているということはわかっているのですが、私のは、もう一歩突っ込んで聞いているのです。というのは、一つ具体的に示してお尋ねいたします。  たび重なる右翼暴力が行なわれた。そこで、警備計画というものをもちろん警視庁は持ったはずです。それからまた、この問題については、今の民主警察の精神を生かして、いわば公安委員会の制度を生かして、住民の協力等についても、やはり警視総監は考えられたと思うのです。こういうふうな計画内容を公安委員会が議題に供したことはございませんか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 今のような計画につきましても、その内容の説明は聞いて、これを了承しておるわけであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 そうすると、警察運営の意思決定者としての職責を持ち、それを果たしていると、こういうふうに了解してよろしいですか。それともまた、説明を聞いて、ああそうかと言っただけだという意味ですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 意思決定という言葉がちょっと微妙な感じをいたしますが、それをただ聞いて、そうかと言っているわけではありません。その計画の内容についても、われわれはこれを警視庁の、警察のやはり管理の大事な仕事として考えているわけであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 この法律が、当初公安委員会の制度ができたときの考え方は、明瞭にやはり住民の協力ということを考えて、民主警察、近代国家としての使命を果たすという意味でできてきた制度です。後に二十九年度の制度で、国家公安委員長が大臣というような変更はあったけれども、精神はやはり生きていると思うのです。そうしますと、公安委員会というものは、法律上の権限と他位は、国の政治全体から見ると、内閣と国会とを両方持っているように、性格的にいうと、私は判断するのですが、私の判断は誤っておりますか。あなたはどうお考えになりますか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 公安委員会の制度は、警察の民主化に努めるのがその目的の一つであることは、実は今日も変わりはない、明瞭なことであると思います。ただどうも、政府と議会との権限を一緒に持っているのかどうかということは、ちょっと比喩になりますので、何ともお答え申し上げかねます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 公安委員長として、あるいは比喩をもって答えろということは無理かもしれませんが、内閣の法制局長官どうですか。法律上の権限、地位の問題。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) これは、警察法をごらんになりますと、第三十六条でございましたか、都道府県警察というものを置いて、都道府県警察は都道府県の区域における警察法第二条の責務をまあ持つということが書いてございます。そのあとの条文に参りまして、その都道府県警察に対しては、「都道府県公安委員会は、都道府県警察を管理する。」ということが書かいてあります。で、その管理のもとに都道府県警察本部、この場合には警視庁が置かれる。そういう意味で、管理するということから申せば、いわゆる都道府県警察全般にわたっての権限を持つと、こういうふうに私は思います。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 これは、警察法に明らかでありますように、二十条を見ると、「都道府県会安委員会は、都道府県国家地方警察の運営管理を行う。」と、こういうように明瞭に出ている。運営管理とは何んだというと、元に戻って、二条に、「この法律において運営管理とは、左に掲げる事項に係るものをいう。」というので、「公共の秩序の維持」とか、「生命及び財産の保護」とか、「犯罪の予防及び鎮圧」と、こういう、それから交通とか、いろいろなことが、たくさん書いてある。そうしますと、公安委員会の持つ権限、それは非常に大きなものだと思うのだが、どうですか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) ちょっとお言葉を返すようでございますが、今の運営管理云々のことは、実は古い警察法のことでございまして、現在の警察法は。ちょっとその書き方を改めておるわけでございます。しかし、事柄の内容はそう違っておりません。そこで、御説のように、今の第三十八条、新しい現在の警察法で申しますと、第警察を管理する。」とあるわけであります。この「管理」という意味は、古い警察法でいう行政管理と運営管理と、両方含んでおると思います。つまり、人事等について一部国家公安委員会が持っておるという部面がございますが、そういう部面を除いての人事権あるいは組織権、それから今の警察権運営に対する指揮監督権、こういうものを持っておるわけでございます。しかし、もちろんまあ実際行動機関として警察本部があるわけでございますから、警察本部に相当の範囲がもちろん委任されて行なわれておるわけでございますから、総括的な権限は、もちろんこれは都道府県公安委員会が持っておるわけでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 この法の解釈のことについては、私も独断でなく、これは参議院のさる機関のところへ行って事実借りてきたことで、確かめてきたのですが、これは、あるいは私が若干研究不足の点があるかもしれませんが、これは、国家公安委員会については、そういう精神も生きていると思うのです。私が問題にしたいのは、一体この公安委員会というのが並び大名みたいにちょこんとすわっているだけだと世上うわさされている。これは非常に困ったことであるので、私はよきものをねらって建設的質問を今試みているわけなんです。  それでお尋ねいたしたいけれども、この都の公安委員会は、警視総監に対して、交通の問題でもいいでしょう。それからその他社会の風教のいろいろな矯正の問題についてでもいいでしょう。また差し迫っては、こういう警備の問題について積極的発言をされたことがありますか。こういうものについて調べろ、こういうものに対して計画を出せということです。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 一々事例をあげることはできませんが、それはもうよくあるわけであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 そうしますと、御承知のように、河上事件、岸事件、そうして浅沼事件というのが、形は突発的に現われておるけれども、一連の関連をもって現われてきておる。ですから、今度の事件をしばらくおいて、この段階で、都の公安委員会は、警視経監に対して何らかの積極的意思を表明して、その万全を期することの意思を発表された事実がありますか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) ただいまの点につきましては、たとえば、警視庁といたしまして、この新年度から、右翼関係の力を大いに見るという計画をしていたのでありますが、それを一日も早くやろうじゃないかということをこの間言ったことがあります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 私は、警察というこの今の制度の中において、恒久的に予算を見て直さなくちゃならないというものが本質的にあろうことはわかりますけれども、ああいう事件が起きて、しかも愛国という美しい名前を冠して、そしてきわめて反愛国的なテロが行なわれて、近代国家として日本の権威を内外に失墜しておるようなこの事件に対して、しかも、東京にこのことが起きておるということに対して、私はあとで安井委員長に聞くのですけれども、さしあたり都の公安委員長としてもっと積極的に何らかの手を警視総監に打たせるべき問題と思うのです。しかし、それについてはそういう話し合いをしたと、こういうお話でございますが、それでは、あなた方の要請に対して警視総監のやったことはおおむね妥当と見ますか。今の制度の中で、今の予算の中でやむを得ないと見るのですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 大体において妥当であったと思います。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 大体に、妥当なことをやっておるうちに、現実に一人の人間が刺し殺されたというところに問題があると思うのです。これは単なる殺人ではない。殺された人はなるほど中央公論社の社長のうちの手伝いであり、また、刺されたのがその奥さんであるけれども、事件の筋から見ると、一党の総裁である浅沼さんが刺されたということも、右翼暴力という背景のもとに行なわれておる。一少年の思いつきではない。今度もそういう背景のもとに行なわれておるということについては同断であると思う。そういうふうに考えると、一体警視総監の言明として最初は不可抗力説を唱えられたようだが、そのうちに、警察に責任はないとは考えないで、反省すべき点は反省するというふうにおっしゃっておるようですが、これら一連の警視総監の発言を公安委員長はどう判断をされ、今後これをどういうふうに指導していくつもりですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 警視総監の進退のことにつきましては、これは、国家公安委員会の直接の仕事になるわけでございまして、われわれの方では、同意を求められた場合に、同意するかどうかということをきめるわけであります。ただいま御指摘になりましたことにつきましては、これは不可抗力というのは、ちょっとそう言われたかどうか存じませんが、そういうことは少し言葉が過ぎたのじゃないか、反省すべき点は反省するということは至当なことだと思っております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 制度上は、国家公安委員長が警視総監の身分について考えるということは、私もわかっておりますが、だからといって、都の公安委員会はこれをほうっておいていいという理屈にはならない。従って、むしろ進んで、警視総監は全く罪がない、責任をとる必要がない、理由はかくかくしかじかだという見解も一つの見解でしょう。また、こういう問題についてはこういう点は遺憾である。従って、国家公安委員会としては、判断される場合に、われわれの意見としてはこういう意見であるということを上申するという必要が私は事実上あると思うのですが、それについては、現在やっておりますか。また、やらないとしたら、今後やるつもりはありますか。また、そういうことは必要ないとお考えですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) それは、国家公安委員会の権限に属しておりますことについては、やはりその方にまかせまして、われわれの方でそれに積極的に働きかけることは、どうであろうかと考えます。これは、委員会としてまだそういうことを決定したことはありませんが、私だけの意見でありますが、そういうふうに考えております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 実に微妙で、私たちの意見ということが出ましたが、この委員会は個人の意思というものでなくて、委員会の総合された意見が委員会の意見だと思いますが、ちょっと個人的にこの問題について総監と話されたことはありますか。たとえば、今度のことはまずいな、お前、いいところでやめた方がいいじゃないかとか、あくまでがんばれとか、話したことはありますか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) そういうことについては、話したことはありません。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 それは、話さないことの方が、公安委員長として職務に忠実であるというふうにお考えですか。話さない方が正当だとお考えですか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) いろいろお考えはありましょうが、それでよかろうと思っております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 私は、公安委員会が問題をはらんでいるということは、そういうことを実はさしているつもりなのです。  ちょっとそれでは質問を進めまして、警視総監にお尋ねいたしたいと思います。先ほど来問題にいたしました警備計画その他について、公安委員会の議題に供して、何回か最近研究され、その意見を徴した事実がございますか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えいたします。「風流夢譚」の問題については、公安委員会にも御説明申し上げ、いろいろ論議もございました。また、今回の事件が起こりましたあと、これも公安委員会に直ちに御報告申し上げてあるのであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 公安委員というものが、むしろ警察官出身者というような特殊な知識技能をもっている人でない人をもって組織しているというところにこの公安委員会の妙味もあるということは、私存じておるつもりです。しかしながら、相次ぐ右翼テロの問題に対して、警視総監は、明年度のことにしても何にしても、こういう予算ではどうにもならぬ、またこういう点はこういうふうにしてもらわなくちゃならぬということの積極意思を公安委員会に発表し、あるいは公安委員会を通じて国家公安委員会の方に申し出で、あるいは内閣あるいは政党等にも働きかけることを予想して、そういう積極意思を申した事実はございませんか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えいたします。公安委員会議のつど、いろいろな問題につきまして御意見もありますし、また私の方からも予算の問題あるいは人員の問題、あるいはこういうような問題を防ぐためには、警察だけでなくて、いろいろな面でこういうことをやってもらわなくちゃいけないというようなことなど、いろいろ話を出しております。また、ただいま右翼のことをお尋ねでございますが、右翼の関係につきましても同様でございます。なお、予算関係につきましては、都庁関係、都議会関係、あるいは国家関係につきましては警察庁あるいはその他の面につきましていろいろお願いをしておるという状況でございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 お仕事はきわめてむずかしいと思いますけれども、その警備計画、それから住民協力、そういう問題に問題をしぼって、何か画期的なというか、前の制度その他を反省して、改めることは改めて、新たなる方法で右翼テロに対しては対応しなくちゃならないというような構想をお持ちですか。それとも、与えられた制度の中で、まあまあやって当分いこうと、こういうことですか。総監の一つ腹を聞きたいです。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 右翼の関係の事件の防止につきましては、これは申すまでもございませんが、特に力を入れて、いろいろな面の考慮をいたしておるのでございます。しかしながら、警察の限界というものもございます。従いまして、なしたいことも人員の不足のためになせない。あるいは権限上そこまでは行き過ぎるということもございますございますが、そういう限られた条件のもとにおいて、できるだけのことはやっておるつもりでございます。最近特に気をつけておりますのは、関係の団体あるいは個人の面における個別的な調査、内偵、視察というようなものを特に深く進めていくという意味合いの努力を、もちろん従来もやっておりまするけれども、さらにこまかくやっておることが一つ。それから、右翼関係の対象になるような面における警戒警備、これも相当幅広くいたしまして、その面における警戒措置の徹底という面、また刃物の取り締まり等に力を入れるというような、直接的にはそういうようなことをやっておりますけれども、何といいましても、一般的な暴力的なムードといいますか、そういう問題とも非常に関係がある。また、少年の問題とも非常に関係がある。あるいはマスコミの問題とも非常に関係がある。いろいろな関係する問題が非常に多いのでありますから、関係方面からいたしまして、それぞれそういう方面におきましてのできるだけの御配慮を願うという意味の広い努力というものも、及ばずながらできるだけやっているつもりでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 できるだけやるけれども、いろんな都合でやれないというようなことの中には、制度上ですか、資金上ですか、支障は何ですか。右翼の調査なんかに対して、今の警察陣容をもってしてはとてもだめだということですか。それとも教育し直せば今の人員でやれるということですか。金が足りないからどうにもならぬということですか。法律改正が必要だということを意味しているのですか。どういうことですか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 一言で申し上げますればただいまおっしゃったことの全部でございます。もちろん限りがございまするから、限りのある中で全力を尽くしておるものでございますけれども、人員の面におきましても、東京都内だけのことで申し上げますと、人口も年々三十万以上ふえている。交通状況も御存じの通りである。また、犯罪も一般的にふえておる。少年問題もあるということで、いろんな面に警察官の不足を生じておるのでございます。従いまして、そういう面で、自然右翼関係におきましても、できるだけの強化をいたしておるし、今後右翼課を新設しまして、さらに拡充することを急いでおりますけれども、そういう面に対する人員を全体との関係でもっともっとほしいという状況でございます。予算についても同様、また立法関係につきましてもいろいろございますが、先ほどちょっと話の出ました、刃物を持っておるかも知れないと思われる者に対する職務質問の権限というようなものは、現場の警察官がぜひともそういうふうにしてほしいという熱望を持っておるのでございます。その他いろいろございますが、おっしゃったことの全部について悩みがあるということを申し上げたいと思います。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 同じ質問を警察庁長官にしたいと思うのですが、そういう問題について何か大きく矛盾をお感じですか、警察庁長官。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 私も、警察庁長官といたしまして、全国の警察の調整に当たっております関係から、第一線の警察官の苦労あるいは悩みというものを身に覚えるわけでございます。ただいま警視総監の話されたような不十分な点ということは、毎年々々予算の要求におきましても強く要望いたしておるわけでございます。最近ある程度そういう点が認められて、逐次改善されて参っておりまするけれども、できるだけ人員、予算あるいは装備というような点について御協力を願いたいと思います。ただ、私どもは、やはり限られた国の財政の中における警察の占める範囲というものもあると思います。従いまして、われわれといたしましては、与えられたものによって、先ほどお話のありましたように、教養等についても十分心をいたし、さらに装備も、与えられた予算の中で最も有効な方面にこれを活用するというような配慮をいたす、そういうことで、われわれとしては、われわれが今直ちになすべきことは、やはり与えられたものにおいて最もこれを有効適切に駆使していくということでございます。しかしながら、中央におりますると、地方のただいまの話のような要望が非常に熾烈でありますので、そういう点につきましては、また政府、国会等の十分の御理解をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 今の与えられたものの中においてやっていくほかないということは、事実問題としてそうでしょうが、それじゃお尋ねいたしますが、いろいろ支障ある中から問題が発生するであろうということを予想しながらも、左翼関係に対しては、盗聴器なんかを巧みに取りつけて情報を探るというような、なみなみならぬ勇気と努力とを持っておやりになっておると同じような調子で、具体的に愛国党に対しても何か手を使って、いわゆるそうした意味の積極的内偵等を、浅沼事件以降でよろしいですから、おやりになりましたか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 具体的言動の度合いに応じまして、また客観的な可能性の状況に応じまして、いろいろな方法で情報を取るわけでございます。しかしながら、ある具体の団体に対しまして、どういう方法で情報を入手しておるか、どういう接触をしていくかということは、これは、捜査上の機密でございますから、申し上げられません。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 私も一般論としてはそうだと思うのです。ところが、愛国党の場合には、はっきりとその綱領を掲げて、そうして任侠の精神を持って、そうして身をもってその実現をはかるというようなことを言っておる。これは、ただ文句上身をもってということは、普通の場合言う言葉ではあるけれども、この団体の場合にはやはり違う意味を持つと思うのです。従って私は、ある日はからずも新橋で赤尾敏氏の演説を聞いて非常に驚いたことがある。そういうような録音その他というものを持って、具体的に研究しておりますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 警察としては、集められる資料は集めて検討いたしております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 私は愛国党について今聞いているのです。その他の団体のことはしばらくおくとして、国を愛するという美いし名前を冠したこの団体によって、反国家的な、反愛国的なことが行なわれて、近代国家としての日本の権威を内外に失墜している。現内閣でも、ずいぶんこれは迷惑な話だと思う。また革新的な立場に立つ者に至っては、これは別な意味での恐怖を感ずるわけです。そういう意味から、愛国党に対しては特にマークして何かをやっておりますかということを私は聞いておる。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 在来のいろいろ実績にかんがみまして特に注意をいたしておりますけれども、これからも見ていくのでございますから、具体的な方法についてはお答えいたしかねます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 一般論としては、具体的なことに答えられないというても、事は秘密に属することもあるし、警察の権限を行使する上からも微妙なものもありましょうし、これは、犯罪捜査上の事なんかでしたら、そういうことを言われても引き下がるのが、下がる方が常識ですが、現にこの団体からこういうふうに頻発して事件が起きているというこの事態を見たときに、ああそうか、それは機密に属しているのだから話せないと言えば、それはやむを得ないのだと、こういうふうに判断できないのです。従って、愛国党について尋ねているのだが、これに対しては、何か特殊な内容を示さなくても、特殊な方法なり見解をもってこれをマークしているかどうかということを私は聞いているのです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほどもお答えいたしました通り、特別に注意をいたしておるということを申し上げておるのでございます。特殊な方法とか、どういう方法とかということについては、お答えをいたしかねます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 私は、非常に問題だと思うことは、あなたの方から出た資料を見ても、犯行の朝、ちゃんと総裁に訣別の辞を述べて、二月一日午前十一時赤尾に会って、このような運動は自分の性に合わないから、いなかに帰りたいからやめさせてもらいたいと申し入れて脱党しておる。この団体が任侠の精神をもって組み立てられておる、ここに問題がある。これは簡単に勘ぐることは許されないと思いまするけれども、とにかくこういう一連の動きの中に、私は実に重大な問題をはらんでいると、こういうふうに考えるので、その質問を再三にわたってしたのですが、まあ一つ私の質問した趣旨は、十分注意してもらわなければ困るということを含んでいるのであって、その趣旨を体されて今後当たられることを私は特に希望をいたすものです。で、この資金調査というような問題について、加瀬委員から非常に突っ込んで聞かれましたですけれども、この愛国党のいろいろな大衆的行動、演説会、その他、それらはいずれも合法的に行なわれているのですから、今までの経緯から見て。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 演説会等におきましては、おおむね条例の届け出をいたしております。合法的でない場合には、これを事件として立てて検挙をいたしておるのであります。昨年一年間で同党が起こしました警察的な事件は三十三件に及んでおるのでございます。これは条例違反、道路交通取締法違反、あるいは公務執行妨害というようなことでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 このたび二度目の捜査を行なったということですが、これは前の捜査が失敗したということですか。新たなる事態に基づいて二度捜査をする必要があってやったことを意味するのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 被疑者の調べの段階によりまして、さらに捜索の必要を生じましたので、再び捜索したのでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 これは一般的に不手ぎわだとお考えになりませんか。家宅捜索のやり直しなんかというのは不手ぎわだとお考えになりませんか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 一般的に申しますならば、一回で済むことが望ましいのでございます。しかしながら、犯罪事実を疎明をいたしまして、それに関係があるものだけについて押収捜索をいたしますのでございます。その後の取り調べにおきまして、さらに必要ができましたときに、あらためて疎明をいたしまして令状をいただくことはままあることでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 第一回の捜索がはなはだ手ぬるかったという世上うわさがありますが、さようにはお考えになりませんか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 捜索に参りました警察官が先生と呼んだとか、非常に丁寧な態度であったというようなことが報ぜられておるのでございますが、捜索そのものがそういう意味で手ぬるかったというふうには聞いておりません。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 先ほど申したと同じことですが、どうか一つこういう不祥事件に対して、発生している場所がはっきりしているのですから、一つしっかり考えていってもらわなければならぬと私は思うのです。で、進めまして、一つ安井国家公安委員長にお尋ねしますが、こういう問題につき当たりまして、あなたは今の公安委員会制度というものについて、何か矛盾等をお感じになっておりますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 御承知の通り、今の警察制度は、いわゆる政治的中立を守るということを非常に厳正にやるような仕組みになっております。従いまして、たとえば政府なら政府が一つこうしたいというようなものを、端的に末端まで行動へ現わすというような点につきましては、これはそういう意味からの能率は必ずしもよくない、こういうふうには考えております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 二十九年度の改正によって、いわゆる国務大臣が国家公安委員長になるということになって、あなたは二枚看板で今日お仕事をやっておるわけです。そうすると、この制度は、少なくとも責任内閣という制度の中において、内閣とのパイプもうまく通ずる、こういう責任があなたにあるのであろうし、同時に、この公安委員会の制度の置かれている基本的精神によって、民衆との間のパイプもうまく通ずるというあなたは二つの責任を持っていると思うのですが、この両者について責任上どんなふうに考えておりますか。やるだけのことはやったのだけれども、こうなってしまったというふうなことですか。それとも、内閣に対してこういうことを危惧して、閣議その他においてこういう発言もあったというようなことでもあれば、それを聞かせて下さい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これは先ほどもちょっとお答えしたかと思いますが、要するに、暴力を追放するという点につきましては、総理からも閣議等でしばしばの強い御要請もございます。また、そういった趣旨を十分に国家公安委員会へも反映をいたすという役割はいたして参ったつもりでございますが、結果としてこういう問題が起こりましたことにつきましては、非常に申しわけないと思っております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 さきの委員長の山崎氏は、この種の問題について無過失責任論の立場に立って、自分は過失はあろうとは思わないけれども、とにかく警察の権威のためにも、公安委員会の権威のためにもやめるのだと言ってやめられたわけです。これに対して批評がいろいろあろうと思いまするが、これと参照して、あなたは今度の事件をどのように当時のものと差別ありと考え、また山崎氏の心境と隔たるものが何であるかということについて、さしつかえなかったら心境を一つお漏らし下さい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 先輩の心境をあれこれ御推測することはいかがかと存じますが、私が今置かれております立場からは、警備力を強化をいたしまして、さらに反省すべきいろんな警備の具体的な方法、犯罪防止といったものにつきまして、今後全力をあげてこういった問題の絶滅を期するということが私に課せられておる責任であるというふうに考えております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 さきに山崎氏があっさりとやめられたこの心境は、少なくとも一党の党首が刺されたという重大事件に対してやめられたのであって、その責任感、公人としての態度は、まあこれは私はりっぱであると思うのです。しかし、今にして思うと、これは死屍にぬちうつようにも思うけれども、あっさりとやめられたものだから、その点に対する追及が徹底的に行なわれなかったために、全部山崎氏が罪をしょって、もう問題は解決してしまったようなつもりにみんながなって、与野党ともなって、そうして、またしてもこういう事件が起きて、今さらのごとく、やはり浅沼事件というものが徹底的に、超党派的に、またあらゆる感情等を捨てて、内閣総理大臣が先頭に立って、この善後措置をすべき問題であったということが、教訓的にわれわれにわかってきていると思うのです。  そこで、山崎さんは、あの場合、岸さん、河上さんの問題と重なって、三つ目であるからやめた。それで、もうこれでおしまいなんだという考えをすれば、安井公安委員長の場合には、初めての問題だからそれで済むとも思うが、ずっと重なってきたということになると、山崎委員長の負う責任よりも、安井公安委員長の負う責任が、個人としてあなたに気の毒だけれども、事の筋道からいうと重いようにも考えられる。同時に、国務大臣としてそれだけの責任を内閣総理大臣に負わなくてはならないようにも考えられる。これらについての御見解はどうでしょうか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) お答えいたします。どっちの責任が重いか軽いかという問題につきましては、私がとやかく言う筋ではございませんが、私は、現在の段階におきましては、こういう問題の絶滅を期すべき最大の努力をするのが職責を務めるゆえんであると思っております。しかし、これは第三者の批判は別でございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 少なくとも、その御発言を私は重視します。しからば世上の批判は別として、しばらくこの職責にとどまって、かかる不祥事件を二度と重ねないとする国家公安委員長としての具体的方策に何ですか。また、何を閣議において要求して、池田内閣をしてさせようとしますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これは非常に絶滅を期するというのも、右から左への即効薬というような形のものはなかなかない。しかし、何と申しましても、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、今青少年の間に、非常に命を軽からしめるような気風が充満しているというような事実がございます。これを社会的にも払拭していくという点に、あらゆる機関を動員をして一方やって、しかし、単に警察だけの仕事でもないと存じますが、同時に、警察当面といたしましては、先ほど申し上げましたように、警備力をさらに強化もいたしますし、また、今までの警備力のあり方というものについての十分な反省もいたしまして、改良すべきもの、改善すべきものをどんどん取り上げて参りまして、そうして具体的には今の温床になるような、あるいは危険と目される人物を徹底的にマークして、また危険を受ける人に対しては、十分な保護の手当てをいたす、こういうことになろうかと思います。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 警察当局の責任者に対する措置ですね、これについては、衆議院その他の委員会において事態を調査して、その上善処したいということですが、だいぶ時間もたちましたが、何か新たなる心境に立ち至っておりますか。御決意がありますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これもちょっと申し上げましたが、いわゆる手続上の活動自身については、特別の手落ちというものは、これは一応なかったという常識になろうかと思っておりますが、これは今後いろいろな国会等の御議論も拝聴いたしまして、そうして、さらに事態の内容あるいは結果から見た検討を十分いたしまして、国家公安委員会としてこれは一つ決定をみたい、こういうふうに考えておりますので、国家公安委員長は、御承知のように、委員の五人の方の採決前に結論的な意見を申し上げるのもいかがかと、はばかられるわけでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 もちろん合議制であるから、国家公安委員長としての意思を述べることは、はばかるということは了解いたしますが、都道府県の公安委員会と違って、それと違って、国家公安委員長のやはり権限は大きいと思うのです。奇数でもって構成されておるこの委員会において、あなたの意思というものは、やはり若干オールマイティに近いと思うのです。私は、小倉警視総監が、その立場からやるだけのことをやったのだけれども起きたということは、私は本音だろうと思うのです。実を申せば、だれがその警視総監の位置にいても、あるいはあの問題は起きたかもしれない。しかし問題は、だからといってこの問題は、起きるものが起きたのだからといって、どこにも責任を負わさないで済まされる問題ではないのです。具体的に申しまするならば、今の責任内閣論からいえば、内閣総理大臣がその罪を負えという議論も成り立つでしょう。しかし、この種の事件で、一国の内閣の総理大臣がそのたびにやめたら、どういう問題かということにもなってくると思うのです。ですから、ここにも問題がある。しかし、だれかはこの問題について私は責任をとる必要がある、それが折り目を正すことだと思う。あとの問題の発生を防ぐことだと思う。犠牲者は出ます、私はそう思う。一体だれがこの責任を一応負ってほこりをかぶって野に下って、そうして国民に対して謝罪すべきものであると国家公安委員長はお考えですか。うやむやには済まぬ問題だと思うので私は尋ねるのです。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 先ほども申し上げましたように、今だれがと、こういう具体的な問題については言明をはばかるところでございまするが、今、相馬委員の非常にるる御意見のございました点は、私も誠意をもって承り、十分今後の参考と申しますか、資料にいたしたいと存じます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 この際、法務大臣に二、三点尋ねたいと思います。  浅沼事件のあと、山口二矢少年に対して、これを賛美して、あるいはこれを神に祭るべきであるという一部の意見すら出たということを、われわれは新聞その他で聞いておりまするが、法務大臣は、そういう事実、その動き、その後の経過等について調査されて、資料としてお持ちですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 私も、新聞紙によりましてそうした言説が行なわれたことを承知いたしまして、まことに行き過ぎた言論であり、残念なことであると考えました。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 このこと自体は、事、青年に及ぼす影響だけでなくて、一般の社会人心に及ぼす影響、それが非常に大きいと思うのでありますが、遺憾であるとお考えの大臣は、これに対して何らかの手を打つことを事務当局その他にお命じになりましたか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) その問題につきましては、会議の折りに、こうした言説に対して十二分の注目を払うように相談をいたしております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 私の勉強の不足もあろうと思うのですが、今度の嶋中事件について、私は、法務大臣に重大な責任ありと思って、これを追及しようと思っていろいろ調べてみたのだが、どうも引っかかりがなかなかつかない。犯罪として起きたそのことについての責任はあなたに追及できるが、なかなかむずかしいということは知っておる。しかし、山口二矢なる少年は、自殺して亡くなって刑罰の対象にはならなかったが、その行動自身が、他の第三者によって賛美されて生きてくるということ、これは犯罪予防という立場から、あなたはこれは徹底的に手を打たなければならなかったと思うのですが、今の答弁は、はなはだ不満です。何か事務当局その他で手を打っていた事実があれば聞かして下さいよ。そういう事実がない、答弁をすることがないというなら、きわめて怠慢でありますから、強くしかっておかなければなりません。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 先ほどもお答えいたしましたように、まことに行き過ぎた言論であり、残念なことであると考えますが、この点につきましては、その後の行動等について注目をし、いわゆる破防法等の適用、運用の面において十二分に監視をし、調査してということのほかには、現行の法令上律すべき道がないと私は考えております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 結論的に言うと、破防法を適用したのですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 適用しておりません。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 適用しようと思ってねらっているというのですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 犯罪に関係あるかどうか。ことに今回の事件の関係もございまするし、従って、この点については十二分の峻厳なる態度をもって調査を進めております。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 十分に峻厳な態度をもって慎重に考慮中にこういう問題が頻発しているわけですね。そこに問題があると私は指摘をしておるのです。それで、これは法務大臣、事務当局からでもよろしいから、答えさせて下さい。愛国党のように、直ちに実力に訴える傾向のある右翼団体の名前をここで教えて下さい。右翼団体と申しましてもいろいろある。ちんぴらやばくち打ちが、名前がないので適当に名前を作って、バッチを作って見せかけ上の右翼団体であると称している無思想のものもある。しかし、曲がりなりにも  一つの思想をもって、行動綱領を決定しているものもある。私はそのあとのものを聞いている。行動に訴える危険ある右翼団体というものをマークしていたら、その名称をここで言って下さい。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) お答えいたします。本日お手元に公安調査庁からの参考資料として提出いたしました「主要右翼団体一覧表」というものがございます。これがこの第一面の五団体が破防法上の調査をいたすということにいたしまして、調査を施行している団体であります。その意味において、これらがお尋ねのような暴力的の行為、何がしかのそういう行為に出る可能性がやや濃厚である、こう考えるのであります。次のページから以下のこれが二十余りありますが、これらの団体はファースト・ランクではないのですが、その次にやはり一応動向は注視しなければならない、こういう団体であります。この資料で御了承をいただきたいと思います。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 最後に、一点お尋ねいたしますが、右翼と申しましても、団体が形成されて、その団体的の活動をしているものは、もう顕著にこれはわかりますが、私たちがしさいにこれをながめて参りますと、何らの団体も主宰していない、何らの団体の構成員でもない、しかし、きわめて広範にして強力なる影響を持っている人物もおる。こういう個人についても抜かりなく調査をし、その動向は資料として当局はお持ちですか。

關之公安調査庁次長

○政府委員(關之君) その点は大へん問題がデリケートの問題に相なるわけであります。私どもは公務員でありまして、国会できめられた法によって動く、従って、調査あるいは動向注視の面も、公安調査庁においては破防法、警察の方におかれては警職法、警察法、検察庁においては刑事訴訟法等というような限界においてわれわれは調査せざるを得ないわけであります。従って、あるいはお尋ねの委員さんの願の中には、広範の右翼が全部われわれの手によって調べ得る、あるいは右翼の人物の方を調べ得るというふうにお考えかもしれませんが、その点は私どもから見ますると、とうていそういうことはできないのであります。特定の刑事事件に関連するとか、あるいは破防法上の破壊的容疑団体に関係するとかというような線が明瞭に出てきた場合に調べ得るわけであります。この点は私どもが法の運用として、やみくもにどんどこどんどこやって、そうして、かりにこれが裁判所の問題になりましたときには、かえってこれはマイナスになるわけであります。法を正しく中正に施行いたさなければならない点は、これは右に関係しようと左に関係しようと、同じ問題であると思っておりまして、そういう点は、そういう限界のあることを御了承いただきたいと思うのであります。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 以上をもって、答弁には不満の点もありますが、私は質問を中止しますが、最後に、委員長に、私はこの会の運営上尋ねておきたいことがある。公安調査庁や、警察庁から、きわめて貴重なこういう資料が配られた。政府委員からの発言によって皆さんが気づいて、何かを出せと言って、これをそろそろ出してきた。これは何時ころ到着して、出すことのおくれたのには、何かしさいな理由でもあったのですか。運営じゃないが、これは委員長にお尋ねしておきます。

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) お答えします。資料が参っているということは、委員会の始まる前に聞きましたが、後刻配ってよかろうというふうに簡単に申し上げたのは無念でございます。すみやかに資料は配布をするようにいたします。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 そうすると、運営上の欠陥を委員長は認めて、今後かようなことがないとおっしゃるわけですか。

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) さようでございます。

相馬助治民主社会党

○相馬助治君 注意して下さい。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 相馬さんの発言について関連さして下さい。相馬委員の発言中、二点ほど私の納得のいかない点がありましたし、きわめて重大な発言であると思われますので、お許しを願いたいと思います。  堀切都公安委員長、それから警視総監、もう一つ三輪警備局長、この三人に対する質問。質問の要旨は、嶋中事件に関係して、警備上の計画並びにその方法、これはおおむね妥当であったという答弁を堀切委員長はされております。また、警視総監もこれとほぼ同様の趣旨の答弁をされているわけです。この御発言は、私ども了承のできない点でありますが、一体今回の嶋中事件の第一線の責任者は、何としても警視総監であり、同時に、都の公安委員会そのものが負わなければならない第一線の責任者、その方が妥当であると言うことについて私はふに落ちません。嶋中邸は新宿区でございますが新宿区の十年前の人口は二十八万四十三名であります。これに対して警察官の配備人員は千二百二十三名であります。ところが十年後の今日、新宿の人口は三十九万十二人に伸張しております。これに対して警察官の配備人員は千九十四名、すなわち百二十九名も警察の配備が少なくなっている。人口がふえたことに対して、警察官の配置人員がこのように減っている。このような一体配備計画というものが、はたして妥当であるのか。こういうような配備計画の中で、おおむね妥当であるという結論がはたして一体生まれるのか。警視庁の全般の管理の面について、当然責任を負わなければならない都公安委員長の御答弁としては、私は了承できない。これは単に新宿のみならず、東京都の千代田区における、中央区における、港区における人口の比例に加えて、すべての二十三区全部が、警察官の配置人員がはなはだしく減少している。一体これで万全というような御答弁ができるのか。都の治安維持に対して妥当であるという結論がはたして出るのか、責任のおありになる御答弁とはどうしても考えられない。私は、この警備計画をお立てになったそのものは、一体どこに責任があるのか、こういう警備計画ではたして妥当であるのか、数字をあげて、この数字に基づいて御答弁を願いたい。なかんづく、新宿区における警備体制がこれでいいのか、こんなバカげたことが許されていいのか、責任は一体政府のどこにあるのか、こういう点を明確にお答え願いたい。  第二点は、先ほど三輪警備局長の御答弁の中に、行動右翼と言われるものは、犯罪の発生した後でなければ、これは捜査はできないという答弁をされておる。私は一応この御答弁は了承したいと思います。しかし、この右翼の蠢動というものは、今初めて起こったものではない。しかも警察官の任務は、最低私どもの身体あるいは財産、そういうものの安全を維持しなければならない。従って、警察官は犯罪の予防という面においても重要な責任を負わされているはずです。しかるにもかかわらず、犯罪が発生した後でなければ何もできないという意味の答弁がされておりますが、これは警備局長の御答弁としては、はなはだ妥当を欠く。この点についての釈明を求めたい。以上です。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えいたします。その前に先ほどの相馬委員からの御質問の中にもございましたが、今回の事件につきまして、私が申しました言葉について、相馬委員は、私が初めは不可抗力と言っておきながら、後に責任なしとしないというふうに言ったとおっしゃった。また、ただいま、今回のとった措置は妥当であるというふうに私が言ったと、今、高田委員からおっしゃいました。いずれも事実と違っておるのでございまして、私は、今回の事件の措置につきましては、不可抗力というようなことは、今回の事件のみならず、申しておりません。いやしくも警視庁の管内におきまして起こりました事件につきましては、すべての事件につきまして、治安に責任ある私どもの責任だと思っておるわけです。でありまするから、不可抗力というような言葉は、今まで用いたことはございません。今回の事件につきましては、私はやはり警察が責任をほかの事件と同様に持っておる、かように考えております。ただその措置についてどうということにつきましては、今日の限られた警察力の中で、また予想される状況の判断の中で、できる限りのことはやったと、こういうふうに思っておる。ただ結果的に見て反省すべき点は反省すべきである、かように申したのでありまして、その点一つ言葉の点を御訂正をお願いいたしたいと思います。  それから御質問の、二十六年当時、新宿区においてこれこれの警察官の配置があったのに、今日はこれこれに減っておる、これは人口がふえていろのにおかしいじゃないかという、御質問でございます。これはなるほどそうでございます。その事情を御説明申上げますと、警察官の定員につきまして、御承知のように、二十九年でし方か、全国的に減少の措置がとられました。その点が警視庁の場合にも響いてきているのが一点でございます。二十六年当時、警視庁は、都内二十三区だけで二万四千五百八十八名でございます。ところが、現在は二十三区のみならず、いわゆる三多摩と申しますか、都下を含めまして、東京都全体で二万五千七百五十六名でございまして、二十六年に比較しますと全体の警察官の定員が減っておるのでございます。それから最近は通信員の拡充、あるいは自動車等、機動力の拡充ということを非常に行なっておりまして、二十六年当時にはわずかな数であったパトカー等も、今日では三百台近くにもなっておる、また白バイも非常にふえておるということで、そういうような機動力の活用という面に非常に力を入れまして、その方面に人員を振り向けておるわけです。従いまして、過去におきましては交番が中心になりまして、いろいろ警察の警らその他の警戒をやっておりました地域におきまして、交番に配置されておる警察官の数は減ったけれども、そのかわりにパトカー等を充実して、そのパトカーの運用によって、過去におけるより以上の機動的な警察活動をやっておる、こういうようなことで現在やっておるのでございます。その影響がございます。  それからもう一つは、御承知のように、都内におきましては、いわゆる郊外地域にどんどん人口がふえております。その方面にかなり警察官を持っていかなければならない。かようなことで、御指摘のように、事実上警察官の数というものは、新宿区において、御指摘の通り減っておると思うのでございますが、これは機動力の強化その他の面で大いに補充いたしまして、誤まりのないようにいたしたいと思いますが、何といいましても、全体的に見まして警察官の数は相当窮屈になっておるのが実情でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ちょっと……。

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 答弁をしてからどうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほどの私のお答えの中に、行動右翼につきましても、犯罪が起こらなければ何もできないというのはおかしいではないかという重ねてのお尋ねでございます。先ほどその問題に触れましたのは、いわゆる右翼団体の資金というものについて、警察が調べて報告ができるかというようなことに関連をいたしまして私のお答えをした中の一節だと思うのでございます。前段に行動右翼、何らかの暴力行為に出るおそれのあります団体につきましては、その後重ねて何回もお尋ねがありましたように。方法は申し上げるわけにいきませんけれども、特に注意をして、事実上、事前から調査をいたしておるのでございます。ただ資金の点につきましては、私ども公表いたし得ますものは、これはそれぞれ結社の自由ということでやっておられる自由の団体でございますから、みずから発表されるというようなものを除いて、その意に反して、私どもが何らかの方法で知り得たものを公表するのは差し控えた方がいいのではなかろうかということを申し上げたのでございます。その場合に、犯罪に関係をいたしまして、その団体の犯罪に資金が援助されたというような場合に、その資金援助そのものが犯罪に関係するわけでございますから、警察としてそれを取り調べ、検察庁に送るその過程で発表するということもあるということを申し上げたのでございます。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) ただいまの御質問は、警視総監から申し上げた通りでありまして、それで御了承願いたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 機動力を増加させるという御説明では、これは納得いかないのです。私は、この警備計画については幾多疑問の点がありますが、時間がないからゆっくりは申しませんけれども、新宿区のようなところは、おまわりさんが三百六十人の住民に対して一人、板橋区のようなところは、千人の人口におまわりさんが一人です。しかも私は板橋区に住んでおりますが、中仙道、川越街道を、毎度あの非常な交通繁雑のところで、ほとんどおまわりさんは交通の方にばかり回ってしまって、住民の治安という問題については、ほとんど手をつかねておる状態、あき巣もつかまらなければ、かっぱらいもつかまらない。暴行は続発しておる。こういうような人口比例、そういうようなことがもっともっと科学的に配備されてこそ私はほんとうの意味の東京都民の生命を守る道ではないかと思います。機動力を増加するというような簡単な御答弁では、この人員配置では何としても納得がいかない。再検討の用意がございますか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 確かに板橋方面におきましても警察官が不足しておるということは、まあお説の通りでございます。比較の問題でございますが、警察官の配置につきましては、人口ということも重要なその配置の際の基準でございます。ただ、そのほかに犯罪の発生状況、交通の状況、いろいろな警備対象の状況というような面が、相当強い基準となって織り込まれております。そういうような関係で、今御指摘のような割合になっておると思いますが、新宿区等は、盛り場という関係における特殊な増員配置という面もあるのでございます。さような実情でございますが、ただ板橋方面は最近非常に犯罪も多いし、交通関係も多いのでございまして、その点はさらに全般的に検討をする際に考えて参りたいと、かように考えております。   —————————————

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 大谷瑩潤君。

大谷瑩潤参議院同志会

○大谷瑩潤君 先ほどから同僚委員より、今度の少年事犯に対しまして、その責任所在等に対し、峻烈なる御質問が続いておりましたが、私は、このあとにもたくさんそういう方面の御質問があろうかと思いますので、それよりも、もっと根本の問題に対しまして御当局の御意見並びに今後の御決心を承っておきたいと思うのでございます。時間がございませんので簡単に申し上げますので、あるいは言葉の足らぬ点があろうかと考えまするが、どうぞお察しの上で御回答を願いたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたいのは法務大臣でありまするが、今おいでにならぬようであります。ですから、第二の公安委員長にお尋ねすることを先にいたしたいと存じます。御承知の通り、戦前と戦後の思想は非常に変わって参りまして、われわれ明治時代、大正時代の者から考えますると、非常な社会情勢その他が変わってきておるように考えるのでございます。しかも、この思想の点につきますると、左右両極端なる考え方が対立いたしておりまして、その結果、今度のような、事、皇室の問題に関係があるというようなことになりますと、この右翼団体といわれるような方面からの行動が、はなはだわれわれ民主国家としては了解に苦しむようなところまで進んで参るようでございます。しかしながら、よく考えてみますると、天皇陛下のお気持というものは、そういうようなテロ行為にまで持っていって、そして皇室問題を解決してもらいたいというようなお気持はさらさらないと私は考えるのでございまして、全く天皇を庇護するあまり、天皇をむしろひいきの引き倒しに持って参っていくような形になってきておるように思うのであります。しかし、昨日でしたか、毎日新聞に、今度の問題に対しまするアンケートによっていろいろ統計をとられたのが図解されておりましたが、あの「風流夢譚」をおもしろく見たという者は、わずかに一五%あまりであります。非常に不満に感じたというようなことを答えられたのが約三四%であったことを記憶いたします。そういうような工合に、たくさんの国民分間には、非常に不満を感じ、激高し、そうして右翼的なテロにまでこれが発展していくというような人たちもおられるのでありまするし、また、興味をもってあれを読むというような人たちもおられる。これから先もいわゆるこの対立は、そう急になくなるとは私は考えないのでありまするが、この小森少年の犯罪を契機にいたしまして、これから将来こういう問題が絶対に起こらないというようなことは、おそらく委員長もお考えになることはむずかしいんでないかと考えまするが、言論の自由という上から、いろいろ社会を調刺したような小説なり論文なんか出まして、もしもそれで直接行動に移るというようなことになりましたならば、これは二度繰り返すということはまことに憂慮にたえない次第でございまして、こういう場合におきまするこれから先の防犯に対処する処置、あるいはお考えを伺います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 仰せの通りに、私どもも、ああいった文芸作品に対する反発としてテロが行なわれたということが、皇室御一家の御本旨ではあるまいという御意見につきましては、私どもも全くそうであろうと思います。しかし、同時に、いかなる理由がございましょうとも、暴力ということは絶対に排撃しなきゃならない、こういう目標のもとに、今後も強くあらゆる対策を進めていきたいと思っております。しかし、御指摘の通りに、今日の世相の実態から申しましても、これは非常に困難なことであると思いますが、困難ではございましても、これにつきましては、警察の警備力の方はもとより、同時に、また各方面の有識者、良識等を動員いたしまして、この暴力を防ぎ、あるいはそういう機運をなくすという運動に今後邁進して参りたい、こう思っております。

大谷瑩潤参議院同志会

○大谷瑩潤君 それでは法務大臣にお伺いいたしたいと思います。  私は、実は十二月の十五日、法務委員会でこの「風流夢譚」を取り上げまして、法務大臣に御質問申し上げたのでございました。しかし、そのときは御就任になりまして間もないことでございましたから、さだめし御用意がないと思いましたので、ただ御感想だけを伺うことでとどめておいた次第でございました。ところが、不幸にしてこれが発展いたし、しかも少年によって、何の関係もない家庭の人が殺傷されるというような事態にまで発展いたしましたことは、私といたしましても、非常に遺憾に存じている次第でございます。しかし、現在の憲法が施行されている日本の現状といたしましては、「風流夢譚」のごときものは、いわば一つの妄想に過ぎないものでございまして、私どもとしては、小説的な価値があるのかないのか、それすらも実は判断に苦しんでおるような次第であります。しかしながら、事、皇室に関係しておりますだけに、これが非常に大きな反響を呼んだということは、これは否定することのできない事実であると思うのでございます。これにつきまして、憲法の第十二条には、御承知の通りに、自由と権利が保障されており、この自由を守るためにわれわれ国民は努力をしていかなければならぬということがうたわれております。しかしながら、その自由を守っていくために、それにただし書きがついておりまして、公共の福祉のため利用するということに対しましては、責任を負うていかなければいかぬということが規定されておるのでございます。今度の小説を見てみますると、全く小説そのものは、読者の大向こうをわっと言わせて、そうして人気を出そうというような事柄、あるいはまたこれを載せました出版会社はそれによってたくさん売り出そうというような利益本位になって、これが利益の追求でもって販売されたように思われるのでございます。これは私は非常に不幸なことであって、しかも、それが皇室の現在の皇太后あるいは天皇、皇后、皇太子、皇太子妃というような方々のお名前を現実のまま表わして述べてあるところに私どもは非常な、何と申しまするか、不快の感を持ち、皇室侮辱あるいは名誉棄損というようなことにまで考えられるような工合に刺激を受けたのであります。しかしながら、これに対しまして、今申し上げるような、乱用してならないというような工合に法律で規定されておる以上は、法務大臣として、まずこういう小説を書いたり、あるいはまた出版をされるような方々に対しまして、御注意、勧告をおやりになる御意思があるかないか。ということは、私の考えまするのに、勧告でありまして、別に禁止ではないのでありまするから、これを書いたような人たちは、憲法にこういう規定があるということを知らなかったんじゃないか、何んでもかまわぬ、言論は自由であるから、何を書いてもいいんだ、何を出版してもいいんだというような程度で発表されたんじゃないかと思いますので、この際、一応勧告をされる必要があるのではないか、こう考えますので、その御意思があるかないかを伺っておきたい。ただし、二十一条には、表現の自由を保障すると書いてございますので、あつものにこりてなますを吹くというたとえもございまするが、この事件がこういう工合に発展してきたということから、言論の自由を許されておる、世界にも珍しい日本のこの自由の尊重されておる憲法によりまする言論を抑圧されたり、あるいはまたそれに対しまする何か法でもってどうこうしようというようなお考えをお持ちになっては、私はこれは非常に遺憾であると思うのでございまして、言論の自由ということと、そうしてこういう乱用という点をはっきりお分け下されて、乱用の面には勧告を与え、また言論の自由は尊んでいただくという御意思があるかないかを伺っておきたいと思うのであります。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。ただいまの御質問の中にございましたように、昨年の暮れに法務委員会におきまして御質問がございました。あのときには、私まだあの作品を読んでおりませんでしたので、何ともお答えしかねたのでございます。その後私も読んでみまして、非常に私は不愉快に存じました。まことにまた残念に感じました。なるほどわれわれ国民は、言論の自由を保障せられておりまして、そうしてそれにつきましては、それこそ民主主義の育って参ります基本的な一番大事なこれは問題であると考えるのであります。しかしながら、言論もやはり節度が必要であります。ただいまも御指摘になりましたように、憲法の上におきましても、お互いにこの自由を行使するのには、国民の公共の福祉に反しないように利用しなければならないという一面がございます。そうした面から見ました場合に、どうもやや行き過ぎな点があるのではないかというような感じを私も持ったのであります。しかしながら、文芸作品のいわゆる法的評価の問題になりますと、私といたしましても、今直ちに右とも左とも断定的なことを申し上げることは遠慮さしていただきたいと思うのであります。しかしながら、全く私がこうした問題に抱いた感想は、今申し上げたことは率直にその通りなのであります。そこで御質問のこの作品をものされた方に対しまして、法務大臣として何らかの干渉と申しますか、御注意と言いますか、そういうことをする意思があるかというお話でございますが、おそらく私は、御本人とされては、その後のこの世上の成り行き等にかんがみまして、十二分に反省をしておられであろう、こう私は思うのであります。また、法律的に今これを考えて見ましても、法務大臣としてこれに注意喚起云々のことは、いかがかと考えますので、そうした意思はございません。  次に、出版をせられた方、あるいは、またこの作品を公にせられ、それが自分の利益のためにおやりになったのじゃないかということについて、どう考えるかという御質問でございますが、これはあるいはそうでないかと思われる節もないことはございませんが、しかし、これまた法律的に解釈をいたしますと、どうした御意思であるのか、これは私といたしましては、今、法務大臣の立場として、直ちに利益のためにああしたものを発表し、あるいはああしたものを出版したのだということを断定することは、ここで申し上げることを遠慮さしていただきたい、こう思う次第でございます。

大谷瑩潤参議院同志会

○大谷瑩潤君 最後に、総理に一つお尋ね申し上げたいと思いまするが、さいぜんから同僚諸君の御質問を伺っておりますると、この右翼団体に対しまする御当局の御答弁が、何だか明確を欠いているような点が感じられるのでございます。この暴行を行ないました少年の背後には、何か右翼団体がそれを示唆したというようなことが予想され、また、その右翼団体のうしろには保守政党の何かが動いているというような連想を持たしめるようなお答えが——お答えというよりも、世間でそういう連想を抱くような人があるのでありまするが、その連想を持つということは、保守政党の方々の御答弁の工合がはっきりせない、明確を欠くというところに私はそういう連想が起こるんじゃないかと思いまして、保守政党のために、まことに遺憾に感ずるのでございます。私はこの際、この問題とはとんでもない離れた問題が、先般神宮問題の取り扱いに対しまして、総理の御所見と申しますか、御声明が出ました。私もそれも拝読いたしたのでありましたが、あの中にも、今申し上げたような工合に、神宮を国有化するごとくでもあり、また、そうでもないようでもあり、また神宮の行事を国家行事とされるような点もあり、また、ないよう点もあり、最後の結びに参りますると、特別の御存在であるからして、これは特別に考えなきゃならぬという工合に結んでおいでになったように記憶をいたすのでございます。ところが、こういう問題がわれわれ宗教界の者からいたしますると、非常にまた頭痛の種になっておるというようなことでありまして、常に御当局の御答弁がはっきりせないというところに、私はそういう誤解が——私は誤解だと思いますが、誤解があちらこちらに起こるのだと思うのでございます。こういうことから考えますると、先ほども安井国務大臣に申し上げました通り、むしろ右翼思想のために皇室が御迷惑になるというような点もありますので、おそらく今度の問題にいたしましても、陛下のお考えというものは、たとえ自分の告訴する代行のできる者は総理大臣であるとお思いになっておるかもしれませんけれども、その総理大臣に、この作者を告訴せい、してもらいたいというようなお考えはさらにないのじゃないかと拝察をいたしておるのでございます。そういう点から申し上げますと、さいぜんどなたかにお答えになりました通りに、告訴するかせぬかは今研究中であるというお話でありましたが、可及的すみやかにその意思表示をしていただくわけには参りませんかどうかをまず承りたいと存ずるのでございます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) こういう問題は、よく考えまして、できるだけ早い機会にいたしたいと思います。

大谷瑩潤参議院同志会

○大谷瑩潤君 最後に、もう一つ総理にお願いやらお尋ねやらを申し上げたいのでございまするが、私も正月早々九州地方へ法務委員会として視察に行って参りました。このごろの各裁判所等におきまする少年犯罪の数、その質等も悪くなりまして、その量のふえたことは、驚くばかりの数字になっております。今ここでその数字をあげる必要もないと思いまするが、これにつきまして、私の個人の考えでございまするが、少年がかくも犯罪に悪質になり、量がふえるということは、要するに、家庭におきまする教育、家庭教育の欠除ということが大きな原因をなし、ひいては社会に今日まで貢献してきておりました宗教、情操教育というものが無視されてきておるというところに、少年犯罪が非常に悪質になってきて、人の命をとり、人の血を見るということを何とも考えなくなってきておるのではないかと思うのでございます。ある評論家は、仏教は一殺多生と申しまするか、一人が犠牲になって多くの者を助けるという思想があるということを言われたのを私はラジオで聞きましたが、われわれ仏教徒といたしましては、そういうことは絶対に釈尊の教えの中にはないのであります。全くすべてのものが幸福に、すべてのものの生命を尊重し、すべての人間の人権を尊重して、そうして互いに平和なる家庭を作っていく、社会を作っていくというところに、この仏教の精神があるのでございまするから、私といたしましては、この宗教というものの情操を何とか社会に再起すると申しまするか、みなぎらしていくというような方法をとっていただきたいと思うのでございまするが、総理のお考えといたしまして、宗教情操並びに家庭教育に対しまする御意見を聞かしていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話しの点、まことにごもっともでございます。私は、小さいときから両親の関係、また家を持ちましてからも、家庭の教育、ことに家庭内におきまして、宗教心の植えつけと申しますか、子供には常にそういうことをいたしておるのでございます。ただ私は、家庭並びに宗教心ということのみならず、やはり学校教育につきましても、十分反省しなければならぬ点があるのじゃないかと思います。敵か味方かというふうな考え方が子供にみなぎっておるような行き方は間違いである。私は、この問題につきましては、家庭並びに学校における問題、そして宗教というものは、子供ばかりでなしに、国民全体が、ことに政治家に私はそういうことが必要であると考えておるのであります。  なお、さきの質問にございましたが、質問ではないと思って答えなかったのですが、この際一言さしていただきたいことは、こういう問題が起こりますのも、やはり政治の姿をよくしないからだ、こういうことでございます。御質問にありました、保守党が右翼団体に対して金銭的にいろいろな疑いがあるようであります。私は、総裁就任以来、厳にこれは排除いたしまして、そういこうとは絶対にさせないようにいたしております。また、してもいないことをここではっきり申し上げたいと思うのであります。

大谷瑩潤参議院同志会

○大谷瑩潤君 終わります。   —————————————

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 亀田君。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私は、今までの同僚の質問と重複しないように、大きく分けて二つの点にしぼってお尋ねをしたいと思います。  一つは、今後の対策になりますが、これは最後に総理にお尋ねをしたいと思います。その前に、警察と右翼団体との関係、警察は右翼に対して非常に甘い、こういうことがほとんどまあ定評のようになっておりますが、そういう観点から、具体的に今起きている問題についてお尋ねをしていきたい。すなわち、現在小森が逮捕をされて調べを受けているわけですが、私たち専門家の目から見ますと、これほど世間が、背後に隠れたものがある、こういうふうに見ている問題について、どうして小森だけをつかまえて調べているのか、もっと突っ込んでいうならば、この愛国党の総裁の赤尾氏を逮捕して、そうして調べるべきじゃないか、結論的にはそう考える。赤尾だけではない。赤尾並びにその回りに相当数の人がおるはずです。その諸君も全部逮捕して、そうして腰を落ち着けて本格的な調べをやるべきじゃないか、肝心のものを外においといて、そうして小森少年だけを追及しても、こんなことでは私は世間が要望しておるその要望にもこたえることにならぬと思う。どういうふうにこの点を一体警察当局は考えておるか、明らかにしてほしい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 小森少年の背後関係につきましては、先ほど他の委員の方からのお尋ねもございました。本人は十七歳の少年でございますし、犯行の当日まで愛国党におりました関係もあり、また、この「風流夢譚」の抗議には、常時行っておるということでもあります。そういうことで、その関係について疑いがありますので、捜査をいたすことは厳正に捜査をいたすつもりでございます。しかしながら、もとより逮捕をいたしますということにつきましては、これはそれ相当の証明をいたす必要があるわけでございます。ただいま捜査の段階で、小森の自供の方から、あるいはまた従来のそれを取り巻くいろいろな言説の方から、両面の捜査をいたしておるところでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 背後関係があるだろうということで捜査しておる、ここまではあなたの方で言われる。しかし、まだ逮捕できるほどの条件がそろわない、そういう意味のようです。しかし、そこが問題なんです。罪を犯したと疑うに足りる条件ですね、刑事訴訟法の百十九条「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」これは決して検察官が起訴する、そういうはっきりとしたものでなくていいわけなんです。疑いを持って調べて、そうしてそれが発展しなければ釈放していいわけなんです。また、普通の集団的な事件等についても、相当広範囲に、悪質な問題については、やはり逮捕をしているわけです。従って、私は、この問題については、もうすでにそういう手を打ってやっぱりやるべき条件があるのだということを主張したいのですが、あなたの方はないと言うのですから、若干具体的に一つ問題を掘り下げてみたいと思う。一つ一つの問題を明らかにしていけば、これはやはり赤尾総裁もこの際逮捕しなければならぬというふうになるはずです。第一にお聞きしたいのは、あなたの方で押収した物件ですね、これを明確にしてほしい。それは物と文書ですね、どういう文書を押収したか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 捜査のやり方についての御批判でございますが、警察といたしましては、ただいま鋭意捜査をいたしております。そのやり方につきまして、しばらく警察のやり方におまかせをいただきたいと思うのでございます。いかようなものを捜査し、いかなる人のいかなる点を調べておりますかというようなことにつきましては、現在捜査進行中でございますので、ここでお答えをすることは差し控えたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いかなるものを押収したかといったようなことは、ここで発表されても、何ら捜査に差しつかえない。押収された赤尾総裁の方がちゃんと知っとるのですから。しかも世間が疑惑を持って、これもまた山口二矢と同じように、単独犯ということでうやむやに終わってしまうんじゃないか、おそれておるわけなんです。この国会の場において、しかもそんな捜査の必要上、別に有害とも思われないことについて、そんなことまで含めて一切しばらくまかしてくれ、そんなことを言ったってここの場は通りませんよ。明らかにして下さい。私は、私も専門家ですから、実際の捜査上これは差しつかえあると思われるようなものにまでは容喙しないつもりです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 押収をいたしましたものは、私の手元にあります報告によれば、パンフレット、メモ、ノート等、本件に関する物件十件でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 もうちょっとゆっくり聞かして下さい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 押収いたしました品目につきまして、私の受けております報告は、パンフレット、メモ、ノート等、本件に関する物件数十点と聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 このパンフレットというのはどういうものか。それから、ビラ、ポスター、こういったものは押収していないのか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えします。今おっしゃったのも当然含まれておると存じますが、ただいま手元に資料がございませんので、お答えできません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはですね、事前に私はこの捜査の状況について詳細に知りたいからとあなたの方へ通告してあるはずなんだ。そんなものを用意して来ないなんということはないわけです。しかもポスターですね、ポスターがどうしてさっきのお答えの中に入るのですか。パンフレット、メモ、ノート、三つおっしゃったのでしょう。その中にどうしてポスターが入るわけですか。私はなぜこういうことをお尋ねするかといいますと、愛国党の内部には特異なやはり雰囲気があるわけなんです。そういうことがポスターにもちゃんと表われているわけです、私たちが新聞等で散見しても……。本気にこれはたくまれたものだというつもりで皆さんが捜査をやっているのであれば、当然そういう関係のパンフレットやチラシなども差し押えるべきなんです。それを二回も捜査に行かれて、どうもチラシだとかポスターなどが入手されておるのかおらぬのか、どうもはっきりしませんね。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 先ほどお答えいたしましたように、当然入っていると存じます。パンフレット、メモ、ノート等……。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その「等」に入るんですね。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 等、物件数十点。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そのパンフレットというのは、中身はどういうものですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 大へん準備が不足で恐縮でございますが、そのパンフレットの内容を私今承知をいたしませんので、さっそく取り寄せます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ポスターの中身も承知しませんか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいま承知いたしておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これほどの大問題になっていることについて、押収したパンフレットなりポスターなども見ておらない。こういうことでは、ここへ出て来ての答えというものは、これは間接的にだれかから聞いて、そうしてお答えになる。そういう重要な問題は、責任者みずからが現物を見て、そうして自分たちの多年の経験を生かして努力するくらいの熱意がなければだめですよ。  次に移ります。小森の使用した刃物ですね、これは何日に小森が入手したか、入手した店などはすでにわかっておるのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 二十九日に入手いたしまして、その場所は、浅草の店でございますが、その店の名前が必要でございますれば、今調べます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 わかっておれば、別に具体的にお聞きするまでは必要ありません。そういたしますと、小森が二月一日に犯行をやった。その日の午前十一時に総裁と最後の話をして別れておるわけですね。そのときには、すでに小森は刃物を身につけておるわけなんです、そうでしょう。そういう状態で小森が赤尾氏と話をして、表面上は愛国党を脱党するのだ、こういうことになっているようですが、どういうふうにこういう点を見ておりますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいまのような点も含めまして、疑いが強うございますので捜査をいたしておるのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この点が、やはり共犯関係の疑いとして非常にこれは強いわけです。赤尾と別れて外に出てから刃物を入手したというのではない。すでに身につけておるわけなんです。赤尾という人はなかなか宗教的な人のようですが、そういう人ですから、相手の小森がそういうものを持っておるかおらぬかぐらいのことは、起居を共にしておれば、これは第六感でわかるはずなんです。実際は第六感じゃなしはっきりとわかっているでしょう。わかっていないとしても、そのときは、もう何かやるという決意で話し合っているということは、もう物的にこれは明確なんです。  それから次にお尋ねしたいのは、一月三十日に国民大会が行なわれておりますが、その際赤尾はどういう演説をしたのか、これをここで、警察ではメモをしておられるように私は聞いておる。だからその通りに一つ明確にしてほしい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 私の聞いておりますところでは、この通り読み上げるのでありますか……。「野依氏は戦前戦後を通じての天皇中心主義者で、われわれも全力をあげてこの運動を応援したい。今や赤の勢力は保守党内にも入ってきており、自民党は本年中にまつ二つに割れるだろう。また、その勢力は皇室の中にまで入ってきている。その証拠は、ロシアの革命記念日に天皇の名で祝電を打っている。こんなばかなことはない。政府も警察も今回の問題についてはノー・タッチである。これをこのままだまっていたのでは癖になる。一大国民運動を起こさなければならない。先ほど野依氏が本日の集まりは少ないと言われたが、これだけいれば頼もしい。ヒットラーが最初同志を集めた時にはたった七人ではなかったか。新しい国作りをし、共産主義に転落するのを命にかけても阻止しなければならない。共産主義は日本の民衆を不幸にする。日本の世直しのために生きている限り一生懸命にやるから皆さんも協力願いたい。」ということを聞いております。同じことが主催者であります帝都日日新聞によりますというと、「今回の大会は野依社長が主催されたもだのが、本来なら全国の右翼団体が、いきり立って開かれる性質のものであり、われわれの力不足からこれが逆になったのは、恥ずかしいことである。野依社長は戦前、戦後を通じ一貫した皇室中心主義者だ。今回「中央公論」の問題でだまっておれなくてのろしをあげられた。われわれも全力をあげて戦いたい。右翼には個々の問題ではいろいろ考えの異なることもあるが、天皇を尊ぶ点では共通している。左翼勢力はいま、新聞、労働者、学者に蔓延し、宮内庁内部にさえも怪しげな手が差し伸べられている。それは、共産圏の代表国であるソ連の革命記念日に天皇の名で祝電が打たれているという事実だ。天皇は御存じかどうか、これはおそらく側近の役人がしたばかげた行為だ。今回の中央公論のやったこのふざけた行為をだまっていれば、癖になる。このままでおさまりはつかない。池田首相も、警察も当てにならない。これは国民裁判で死刑にすべきである。政府、宮中の役人もだめ、新聞もだめ、だから皆さんの力で国民が立ち上がるのだ。ヒットラーは七人でワシントンは十三人で、木陰に集まって立ち上がったのだ。日本の国を救うために「中央公論」をやっつけるために、今日会場にお集まりの皆さんが立ち上がれば「中央公論」なんか問題にならない。日本の世直しは、日本人独特のやり方がある。チベット、ハンガリアの悲劇を繰り返すな。私は命をかけてやり遂げる考えだ。」というようなことであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから、その大会の途中で、二十数名中央公論社の方に代表を送った、その代表の中に小森もまじっていた。この代表者の諸君が中央公論社で相当激しい言葉を使った、こういうことですが、それはどういう言葉を使っておるのか、その点を明らかにしていただきたい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) いろいろこれは要点を書いたものでございますけれども、ふまじめなやつだ。思い上がっている。首でもくくって死ぬべきだ。国民を侮辱している。言論の自由には目に余るものがある。国民をなめている。思い上がったなまっちょろい考えだ云々というようなことを言っているようでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その警察のメモの中には、リンチを加えてやる、こういう意味のことは載っておりませんか。中央公論社でも、あるいは国民大会における演説でも。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 国民裁判をもって死刑にすべきであるということが新聞に出ておるのであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 新聞じゃなしに、私が聞いておるのは、警察の方から人を入れてメモをさせておるわけでしょう。そのメモには載っておらぬかということを聞いておる。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) そのメモにはその点が載っておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから次に、本件の事件が起きまして直後に、赤尾氏が談話を発表しております。まあ正式に発表したものか、記者の皆さんの質問に答えたという程度のものかわかりませんが、これはしかしテレビにも出ておるわけですが、これは警察の方でちゃんとおとりになっておると思いますが、どうでしょう。おとりになっていたら、その点もここで読んでもらいたい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 私の承知しておりますとこでろは、今回のことも民族を生かすために必要な粛清であるという意味のことを述べたのでありますが、手元に録音したものはございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 大へん警察の方としては突っ込みが足らぬですね。だれでも、この事件は山口の場合以上に、この背後関係というものが強いと、こう見ておる。そういうものを突きとめようと思えば、いろんな状況というものをこう具体的につかんでいく必要があるでしょう。事件直後に関係者がしゃべった言葉なんというものは、きわめてこれは大事なんです。それから二、三日しますと、やはり社会の反響といったようなことも考えて、多少はそこに色がついてくる場合もある。事件直後に赤尾氏のしゃべったことは、もうきわめてはっきりしたテロの肯定なんです。現在でも、それはまだテレビの会社の方にはあると思いますが、そういうものをもっと整理しなさいよ、整理を。  それからもう一つ、これも新聞等ですでに指摘されておりますが、小森が犯行後げたにかえております。このげたの入手場所というものは現在明確になっておるのでしょうか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) はっきりいたしております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 どこですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 私、先ほどからあまり何といいますか、はっきりしたお答えできないような状態で、現に私が知らない点もたくさんあるのでございますけれども、これはおしかりを受けるかも存じませんが、国会で、今捜査中の個々の事件につきまして、どういう証拠があるか、どういう調べをしておるかということまで立ち入っていただきますことは、実は進行中の捜査に非常に影響があるのでございます。これが済みまして、御期待のような結果にならなかった場合に、おれが考えたようにやればもっとよくいったのじゃないかというおしかり、御批判はいかようにも受けますけれども、ただいま進行しておりますものにつきまして、どういう証拠があり、どういう調べをしておるかということの個々のお尋ねについては、私は警察としてお答えすべきではないというふうに考えるのであります。御了承願います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 一般的にそういうことを言う必要がないです。個々の問題について差しつかえあるものはおっしゃったらよろしい。警察だってときどき間違うのですから。それから、ハンカチを小森が持っていたようですが、それには歌が書いてある。これは小森の自筆であるかどうかということはすでにわかっておりますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 自筆でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはいつ書かれたものです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その点についてもお答えいたしかねます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それからもう一つ、そういう関係事項としてお尋ねしますが、愛国党の本部には山口二矢神社建設忠霊顕彰会、こういう看板を掲げておりますが、これはそういう神社を作るために何か運動をやっているのだと思いますが、具体的にはどの程度のことがやられておるのか、つかんでおるでしょうか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 慰霊祭などをやるために集まって、あの当時動きましたが、その神社建設の具体的な動きはまだないようでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 大体関係事項を以上にいたしますが、そこで、今私が指摘したような点をあれこれ総合してもらえば、これはやはり赤尾に教唆されてやっておる、こういうふうに考えるのがこれは普通じゃないですか。あなたの方で明確にお答えにならなかった点もありますけれどもね。まあそれはそれ以上は追及しませんが、刃物の入手の時期といい、愛国党に入党して一カ月、そうして総裁にあいさつをして別れてから十時間ぐらいでこの犯行をやっておる。そのハンカチの歌を書いた時期は明確でないようですが、自分が書いたハンカチであれば、これは当然想像されることは、総裁と別れる以前に書いておる、大体私はそうだと思う、その時期は今明示されませんけれども、それに間違いないと思う。だから、これは擬装的な脱党なんです。それを打ち合わせておるわけなんです。こういう者を逮捕しないで、そうして小森だけを追及しておるというようなこういうかまえが私はいけないと思う。今からでもいいから一つ即刻逮捕して、ほんとうに腰を入れた捜査をやるべきじゃないですか。決して検察官が起訴をするほどに明確な条件がそろわぬでも警察の段階としてはいいわけなんですから、どうしてそれをやらない。逮捕の請求を裁判官に出したけれども、裁判官がこうこうこういう点が不備だということで戻したというなら、それはまた皆さんの態度としては一応私たち了承してもいい。そんなこと聞かない。どうなんです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 捜査の途中において、ある人に逮捕状を出すかどうかということについて、かような席で御批判は御批判として承りますが、お答えをする限りではございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 だって、たとえばこの間、二月六日の毎日の朝刊に載った世論調査ですか、これを見ても六五%以上の人が、これはもう背後関係があると、こういうふうに意見を出しておるじゃないですか。あとの人だって何も背後関係はないと言っているわけじゃない。ただわからないということを言っておるだけなんだ。六五%というものは、これは世論調査ではめったに出てこぬ数字なんです。自民党さんが多数だといったって、そこまでは言っていない。六五というような数字は大へんな数字なんですよ。世間がそこまで関心を持っているのにどうしてそういう努力をしないのです、努力を。これはまた秘密で答えられないとおっしゃるかもしれませんが、ただいまそろっただけの材料ででも、私は裁判官にやはり皆さんの立場としては交渉し努力すべきだと思う。それがない。これはしかし検察官も今日すでに参加しておる時期ですから、一体、最高検は先だって地検の方に背後関係等の捜査について厳重に注意しておるようですが、注意だけしたってだめです、具体的に手をつけなきゃ。ほかの何らかの団体で——こういう仮定を申し上げてははなはだ悪いのですが、何かの団体がほかの行動に関連してでも、いやしくも重要な人物が死んだといったような事態が出た場合に、今の警察なら相当広範囲にわたってすぐ引っぱりますよ。なぜこれに対してやれない。法務省あたりはどういうふうに監督しておるのです。こまかいことはいいのですが、こういう大もとをはっきりやらなきゃだめですよ。法務大臣どう考えています。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 私といたしましては、検察当局に対しまして、本件について十分に綿密なる峻厳なる調査をするように連絡をしてございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 調査というものは、その調査の仕組みが一番大事なんですね。調査できぬような状態にしておって命令だけしておったってだめですよ。そうして新聞等に出るところによれば、世間からは被疑者だと見ておる人に対して先生々々だなんて、ばかげた話はないですよ。だから法務大臣、私、今警察当局にこう若干の問題点について質疑したわけですが、あなたもおそらく、それは赤尾も関係ある、そういう公算が相当あるという感じは持たれると思うのです、あなたも。そういう感じ持ちませんか、あなた。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 私のただいまの御質問に対してのお答えは遠慮さしていただきます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 遠慮する必要ないですよ。こういう重大な問題に、あなたはね、検察庁法上指揮権を持っているのですからね。この捜査がほんとうにこう世間が納得するようにやれるかどうか大事な問題ですよ。こういうときにおけるあなたの指揮権というものは大事な問題でしょう。私たちもあなたのそういう指揮権発動が誤らぬようにと思って、国会としてもこれは行政に対するやはり監督権があるわけなんです。そういう立場で聞いているわけですからね。それはどこかその辺の町でだれか知人から法務大臣、実はどうなんだと、こんなことを聞かれても、あなた軽々しく言えないでしょう。ここで私あなたに正式に聞いておるのです。もっとはっきり言って下さい、はっきり。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 私は御承知の通りしろうとでもございます。従って、検察当局の従来のやり方等に対しましても信頼をしておりますし、本件につきましても、ただいま申しましたような連絡をすれば十分に気をつけてやってくれる、かように信頼しておるのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そういう答弁では世間は納得しませんよ。あなたが最高責任者である。部下の者が正当にやってくれると信頼していると、そんな普通の問題について言っていいことを、こういう重大な問題についてそういうことを言ってちゃだめです。法務大臣としては、こういう問題について、みずからの判断ができないなんて、それは落第ですよ。しろうとだとおっしゃいましたが、こういう事実問題の判断というものは、案外、しろうとの方が正確なんです。そうなんですよ。たとえば陪審制度といったようなことも盛んにあるでしょう。日本にはないけれども、しろうとなんです、出てくるのは専門家が関与するのはその事実を確定したあとの法律の適用の問題、そういうところでは専門家というものは大事でしょう。だけれども、実際の事実の認定というものは、このしろうとの判断というものを、そんな下のものと考えるのはそれは間違いだ。あなたはしろうとでありましても、いやしくも法務大臣、そうしてこれを何とか公正にやるべき立場にあるのですから、わかっておるけれどもちょっと言いにくいと、こういうことと、人にまかしておるというようなことと、これは全然違うわけですからね。取っ組みが足らぬわけですよ。私の気持としては実際大へん残念でありまして、こういう捜査のやり方、この場ででもあなたに実際お願いをして、そうして法務大臣としての指揮権を発動して、そうしてもう少し逮捕すべきものはやはりつかまえて、おのおの別なところに置いておいて、そうして追及しなければ追及にならぬじゃないですか。共犯なんというものは考え方一つの問題でしょう。共犯の追及にはおのおのを勾留するということはきわめて大事なんです。今からでも心を一つ入れかえてやれませんか、実際のこと。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまのお言葉に対しましては、先ほど私がお答えした通りでございますが、なお、御意見として十分に参考させていただくことにいたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 参考と言いましたが、単なる一つ参考といったようなことじゃなしに、真剣に一つ検討して、やはり亀田君の言う通りだということになれば、断固としてやってもらわなくちゃ困るのです。  もう一つ警察の方に聞きますが、小森の身柄ですね、これは留置しておるわけですか。外部との接触というものはどういうふうに扱われておりますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 接見を禁止いたしております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは弁護士との接見も禁止しておりますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) できる限り接見していただかないようにいたしております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それはおかしいじゃないですか。できる限りとは何ですか。では、具体的に聞きますが、現在まで、先ほどのお答えですと、一般の諸君との接見は禁止しているようだ。ところが、弁護人との接見はそうでもないような印象を受けたのですが、事実はどうなんですか、実際は。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ただいまの弁護士との接見交通の問題でございますが、法律上は、亀田委員も御承知の通り、接見禁止の処分がありましても、弁護士との交通接見は、これは禁ずるわけにはいかないのでございますが、ただいま警備局長からお答えになりましたように、そういう法律制度のもとではありますけれども、できるだけ接見を遠慮していただいて、現実のところはまだ接見をしてはいないというふうに聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 だいぶ時間が経過したようですが、弁護士はまだ一回も会っていないのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 会っておらないように聞いております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いつまでも会わさぬというわけにこれは制度上いかないわけですが、しかし、ほかの事件等でもわれわれが経験するのですが、最初の一週間や十日は弁護人といえども接見をとめている場合があるのです。これは刑事訴訟法の解釈としては多少問題はありますけれども、しかし、そういう問題のあるような運用をやってるわけなんです、ほかの場合に。こういう事件の場合にこそ、多少その辺はゆがんでもいいからきつくやっていくという腹でやらなければいかぬですよ。今後ともそういうふうにやってもらいたい。そういたしますと、幸い小森との接見は禁止されておる。これがいつまでも禁止するわけにいかないのです、制度上、今指摘があった通り。そういうことになりますと、せっかくの赤尾総裁との関係といったような点が非常に追及しにくくなるのです、当然。だから、そういう面から見ても、これは一日も早く赤尾総裁初め、相当関係者がある、それらを全部引っくくってしまいなさい、必要なんです、これは。実体的な要件のほかに、そういう必要性という面から見たってあるわけなんです。法務大臣の先ほどの一つ参考にして善処したいということを十分二、三日のうちに実をあげてもらいたい。こういうことをやっておるから警察と右翼の関係というものはいろいろ誤解されるわけなんです。せんだっての東京地裁の六月十五日事件のときに、石井一昌被告人が警察と一緒になってあの行動をとったんだ、これは堂々と公判廷でしゃべっておる。検察官の方は盛んにそういう点を打ち消すように法廷で主張なさっておるようですが、私はあの六・一五事件が起きたとき現場におりました。そのときの警察官の非常に消極的な動き、そういう点は実際に目で見ておる。あまりしゃくにさわったから警視庁にもそのとき抗議に行ったくらいですが、あの石井被告人のああいう公判廷における発言、なるほど、これでわかったという感じを、私は実は六・一五事件における警察のああいう消極的な動きについての疑問をそれで晴らしたくらいです。こんな事例はあっちこっちにある。だけど、まあ済んだことよりも今かかえている問題ですね、これをしっかりやってもらわなければやはりだめだ、こういうことになるんです。  最後に、それでは総理にお尋ねいたします。こういうテロ行為に対する対策をどうするか。いろいろな意見が出ております。総理の方でも政治的な責任というものはある、そういう立場から今後いろいろ考えていく御意見は私たちもお聞きしておるわけですが、しかし、一番重要な問題は、一般に指摘されておる通り資金源をどうして断つか、こういう点ですね。少なくともこれは重要な一つの要素になる。断つこと自身については、総理もこれは反対されないですね。ただ、その断ち方ということになりますと、なかなかむずかしい点があろうかと思います。そこで、私は一つ提案をしたいと思うのです、あなたに。私もいろいろ実際に考えてみたんですが、なかなか名案がない。そこで、こういうことを考えた。この際、テロ行為取締法、こういう単独立法を決意されたらどうか。その中身は、思想の異なった者に対する殺人行為を行なうおそれのある個人、団体、こういうものだけを対象にした立法です。それを御承知のように左右の暴力だとかいったようなばく然とした表現等を用いますと、はなはだ立法しにくくなる、そしてまた現在の社会の要請にも私は必ずしもそういうことはこたえることじゃないと思う。どんな立場に立っても、思想的な問題を普通の暴力とかそんなものじゃなしに、いわゆる殺人ですね、これによって処理していく、これはいかぬということは、もうだれでもこれは異議がないと思うのですね。だからそこにしぼったものを考えてほしい。そうして、当然そうなりますと、だれがしからばそういう対象をきめるのかということになれば、第二の問題としては、適当な審議会というものが必要になろうと思います。そういうところで対象を明確にしていく。そういうふうに対象を明確にした上で、二つのことをきめてほしい。その第一点は、一切の財政的な援助をこういう個人、団体に対してはさせない。これはもう新聞広告だとか、そういう名目のいかんを問わずこれを禁止する。違反した場合にはこれは処罰する。それから第二には、そういう団体等から財政援助を求められた個人、あるいは会社でも同じことですが、個人あるいは会社、そういったようなものは、必ず警察または検察官の方にこれを届け出る義務を課する。隠しておってはいかぬのだ、隠しておったことがばれた場合には、やはり処罪していく。私の申し上げるこういう二つの点は、現在のこの憲法下では、何かこう個人に対して非常に重い義務を課するような感じもあるかもしれませんが、しかし、最初に申し上げたように、ともかく思想問題をテロ、こういうことによって処理しようという、それに対する援助は、私はこれはもう社会的には殺人の援助だと思う。だから、そういうふうに考えれば、多少この個人に対する義務が重いような感じがありましても、私は国民全体は納得すると思うのです。そういうふうにして全部の人がそういう義務を負っていかなければ、なかなかほかに解決できる見通しというものは出てこないと思うのですね。総理大臣がそういう強い気持で一つ問題に取っ組もうということになれば、私は非常に全体の姿勢というものが変わってくると思う。総理大臣のそういう強い決意だけでも、今までないしょでいろいろ援助しておったような個人、法人等に対する大きなやはり制約にもなりまするし、そこら辺のところを総理大臣、どういうふうにお考えになるか。いろいろな考え方を検討されておられるようですが、私の到達した一つの結論は、そういうところにあるわけなんですが、総理の考え方を率直に一つお聞きしたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 暴力排除、ことにテロ排除につきましては、いろいろ考えております。御意見の点は承りましたが、これは重要な問題でございますので、内閣といたしましても、また、わが党もほかの党ともいろいろ今後相談していかなければならぬ問題と思います。今、あなたの御意見はすぐ結論を出すわけには参りません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 昨日、衆議院で警察側の方から暴力団体の状況を説明されております。本日も若干質疑応答の中でありましたが、ともかく、非常に物騒と思われる団体が二十二はある。文書になって出ているのです。それから千人ぐらいの者は暴力をやる心配がある、こうも説明されておる。そのうち百名ぐらいの者は凶器を持ってそういう行動をやる心配がある。しかも、これらの者は東京におるのだ、こういうことが警察の方から出されておるわけです。はなはだこれは物騒なことですよ。だから、もちろん私が今突然こういう具体的な提案を申し上げて、すぐそれに対するお答えははなかなかぬずかしいと思いますが、現実がそういう状態なんですから、総理の方で真剣に一つ検訂願って、はっきりした態度を出してほしいと思います。問題がここまで社会的に世論というものが盛り上がり、そういうテロ行為に対する批判が出ておるのに、それでも何もなされなかった。あるいはなしたとしても、何か左右の暴力というようなことで、どこに焦点があるのかわからないといったような措置を講じて、それで終わったというようなことでは、国会等でせっかく論議しておることが、今度は逆にマイナスになると思うのです。取り上げた以上は、やはり世間が納得するようにぴしっとした一つ結論を出してもらいたいことを要望しておきまして、だいぶ時間が過ぎましたので私の質問を終わります。(拍手)

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 議事進行。国会法に基づく国政調査でこの連合審査をやっているのですが、私、本日発言する機会がありません。それで、同僚委員の発言によって調査がスムーズに進むことを期待しておるものであります。しかるに、どうも私不快に感じますことは、警察制度の問題、責任の問題等については警察行政の中立性を言い、また、政府と責任関係において独立しておると言っておりながら、その質疑の過程を見ますと、警察当局も何か政府なり、野党なりの立場に立って攻防戦でも展開しているような、そういう気持で防戦これ努めるというような態度に見える。国政調査でございますから、総理大臣が任命しておる警察庁長官以下の政府委員とか説明員とか、こういうような形で私はこの委員会にその方々が出席しており筋のものとは考えない。法律案を審議するにあたって国務大臣を補佐するための政府委員なのであって、調査の際においては、警察庁長官なり警備局長なり、証言的な立場で事実関係をこの国会に述べればいい。もしも、警察当局において行政上の判断を要するならば、それは最高責任者である警察庁長官が答弁に当たるべきである。ごらんなさい。都の住民の生命、財産を保護する立場にある、治安の責任者は都の公安委員会だと言われていながら、堀切さんはこの事件起こった管轄の公安委員長でありながら、何ら事件の経過なり捜査の状況について述べることなく、ただ単なる参考人なんだ。そして、警視総監の方は、警察行政の一環として説明員なり何なりという資格でここへ御出席になっておる。こういうようなこと自体が、警察制度のあり方としてすっきりしないものが見受けられる。直属長の堀切さんの管理に服するのが警視総監。そうして、警視総監の指揮のもとに今日捜査が行なわれているのに、堀切さんは他人事のようにあっちの方をごらんになっておる。一生懸命ここでお話しになっておる。また、警視総監が直接事実関係を述べることを要求される場合に、警備局長が、これに対して全部買って答弁している。その答弁は、警視庁に対して指揮権は警察にはないのですから、連絡調整なり、しいて言うならば助言です、内部的の。だから、報告を重要事件だとしてとるなら、こういう報告が来ておるというだけの答弁にとどまるんだ、警備局長は。しかるに、あんたは、事々に自分の判断を加えて答弁される。また、これは捜査上の秘密であるから答弁できないなどと言う。そういうことは警察当局の最高責任者である警察庁長官の柏村さんが協議し判断して、お答えを遠慮させていただきたいと言えばいい。どうもこういう点が不明確で不快です。多分これから休憩になるだろうと思うんですが、皆さんも忌憚なく事実関係はお述べになるし、判断の問題は最高首脳部において責任をもって判断の問題としてお話し願えばいい。われわれは調査しておるんですから。一応この点だけはお願いして、委員長もその運営については注意してもらいたいと思う。どだい法制局長官は、警察法が変っても管理という中には運営なんというのは含まれるなんて今ごろ言っている。あの当時、警察本部長以下を国家公務員として国家公安委員会の任命にした当時における提案の理由は、さっきも相馬君が言うた通り。今までの警察では責任が政府は持てない。責任を持ちたい持ちたい、持ちたいから国家公安委員長を国務大臣にするんだ、こういうことで提案して無理押しにこの制度が通ったんですよ。通った暁をごらんなさい、実態を。堀切さんと警視総監の間は、どこに運営管理の姿勢というものが国会の前に現われていますか。単なる人事的な、あるいはその他の管理だけであって、警察の治安捜査、そういうようなことに対する指揮権は今日実態としては公安委員会にはないのですよ。あなたは知っておって、法律的に適当なことを言っているのです。まあ、これは余談ですから、あとで当該委員会でやりますけれども、少なくとも国会の国政調査にあたっての政府なり、あるいは中立性を持っておる独立機関である警察当局なり、公安委員会なり、それぞれの権限に基づいて答弁させるようにお願いをしておきます。

増原恵吉自由民主党

○委員長(増原恵吉君) 御発言の趣旨了承いたしました。  暫時休憩いたします。    午後七時一分休憩    ————・————    午後八時二十九分開会   〔法務委員長松村秀逸君委員長席に着く〕

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ただいまから地方行政・法務連合審査会を再開いたします。  増原委員長と交代いたしまして、私が委員長の職務を勤めさせていただきます。よろしくお願いいたします。  休憩前に引き続き治安に関する件について質疑を続行いたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。大森創造君。

大森創造日本社会党

○大森創造君 時間もだいぶおそくなりましたから、簡潔に御質問を申し上げます。  小倉警視総監にお尋ねいたしますが、最近になってから同じ東京都内で四つの重大事件が起きておりますが、一つずつお尋ねいたします。浅沼刺殺事件について、あなたは警備上の手落ちがないとお考えですか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えいたします。浅沼事件につきましては、当時もいろいろ御説明を申し上げましたが、警戒措置について、所轄の丸の内署並びに本庁関係が協力をいたしまして、相当の警察官を出しまして警戒に当ったのでございます。当時の状況、すなわち、いわゆる安保闘争がおさまりまして、その後、政局も変わり、選挙を間近にいたしまして相当情勢が落ち着いてきておった時期でございましたが、突如としてああいう事件が発生いたしたのであります。当時の情勢、また事前におきまして具体的な情報というものもございませんでした関保上、警備措置につきましては、最善の措置を講じたのでございます。しかしながら、事後の反省といたしまして、一、二の点におきまして、たとえば会場内の整理といいますか、演壇の方へ近づいて行く者をそこで整理するというようなことにつきまして、当時の主催者側の整理員の整理にまあやや安心してまかしておったというような点がございまして、もっとそういう点は警察でしっかりやらなければいけなかったというような点、反省すべき点は一、二ございました。

大森創造日本社会党

○大森創造君 岸総理大臣が総理官邸で傷を受けたという事件、それから社会党の河上顧問が刺されたという事件、今度の事件この三つについても、同様の御見解ですか。すなわち警備上の責任はどういう程度にお考えですか。さらに言えば、十分の手段、方法を尽したけれども、手が及ばなかったというふうにお考えですか。もう一回、あとの三つの事件ひっくるめてお答え願います。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えいたします。いずれもまことに遺憾な事件でございました。ただ、ただいまのお話の三つの事件、これはいろいろ事情が違いますので若干申し上げますが、最初の河上さんの事件、これはあの安保闘争の最中におきまして、請願の受付所内において起こった事件でございます。請願書の受付内におきまして請願署名者の中にまぎれ込んできて急に河上さんを刺したという事件でございまして、この際の警察官の配置は、なるべく請願所内に警察官は入らないようにというような御希望もございまして、河上さんの事件につきましては、まことに遺憾な事件ではございましたが、警察といたしましては、何ら手を施す余地がなかった事件でございます。  それから岸総理の傷害事件、これもまことに遺憾に存じておりまするが、これは自民党の新総裁の祝賀パーティが官邸内で行なわれまして、そのパーティの際に出席された総理が、パーティの所から玄関の方に行かれた、その際に事件が起こったのでございますが、この際の犯人は、そのパーティに出席する記章を偏用いたしておりまして、自民党員と同じような状況で、また自民党の方たちと話をしながら……。そういうような、要するに自民党の関係者と同じような状況のもとにおいて岸総理に接近して、急に岸総理を刺した、こういう事件でございまして、まことにこれも遺憾な事件でございましたが、警察といたしましては、なかなかこれはとめることは困難な事件であったというふうに存じております。従いまして、河上さんの事件、岸さんの事件、この二つはやや状況が違うのでございます。  今回の事件につきましては、詳細には申し上げませんけれども、先ほど申し上げましたように、今日の限られた警察力のもとにおいて、また事前において予想された状況のもとにおきましては、私は最善の警備措置をいたしておったものと、検討の結果、承知しておるのでございます。しかしながら、実際に起こった事後の検討におきましてどうかということになりますれば、これはいろいろ御批判もあると思いますが、私は最善の措置を事前においてはとっておった、かように今日も存じておる次第でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 今の御答弁を要約しますというと、警備上の責任はある、十分の手段方法は尽くしたということでございますが、しかし、これは結果論かもしれないが、四回とも手落ちがあったということになります。そのことはお認めになる。そこで、私が申し上げたいことは、十分な手段、方法をとった場合に、しかし、上手の手から水が漏れるのたとえのように、それでもああいう事件が起きてしまった。だから、総理大臣は政治的な責任はとっても、あなたは警備上十分やったのだら、都の公安委員会に対して辞職届を出すほどの責任に該当しないというふうにお考えですか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えいたします。私は、先ほどお話のございました四つの事件は、いろいろ事情が違うと思います。ただいま申し上げました通り、中には警察の何ら措置する余裕のなかったという事件が、河上さんの事件あるいは岸さんの事件においては大体そういうことが言えるのではないかと思います。ただしかし、こういうような事件が相次いで起こっておるということ、この現実の事実に対しましては、私は治安の当局者として当然遺憾に存じておる次第でございます。ただ、今回の事件について申し上げますならば、私は今回の事件について進退をどうするという考えは現在ございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 今回の事件については、警備上の手落ちは若干あるが、しかし、やめるまでに至る責任は感じないという御趣旨に承りましたけれども、それならば、一回、二回、三回、四回となった場合に、性格は同じとお考えですか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) ただいまお答え申し上げましたように、私はそういうような現実に事件が起こっておるということにつきましては、衷心から遺憾に存じております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 この前の浅沼刺殺事件の際には、自民党内部、政府部内において、いわゆる山崎国務大臣が政治責任をとったということになるのでございますが、これは閣内の事情あるいは政府部内の事情もございましょう。総理のお考えもあったに違いないと思う。ところで、今度四回目のこういう事件が発生したについては、総理はいかがお考えか。前回は、高度の政治責任を山崎国務相がとったのであるけれども、今度の場合、いかがお考えか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私の監督権内にない方々の進退につきまして、私が何も申し上げるわけには参りません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 小倉警視総監その他警察部内の人事の問題あるいは行政管理の問題については、先般総理から話があった通り、直接指導監督の権限はない、政治的には中立である、それはその通りだろうと思う。また、そうでなければ非常にあぶない。しかし、今度の問題について都の公安委員会が、あるいは国家公安委員会が、どういう事情かわかりませんが、責任をとる必要がないという一応の結論が出た場合に、当事者はこれは私はまるっきり別だと思うのです。たとえば、具体的に名前を申し上げますが、小倉さんにしても、その他の方々にしても、制度上はやめる必要はない。総理が心中どう考えようと、国会がどういう動きをしようと、そのことに超然としておられる。それはわかる。形式的にはわかる。しかし御当人が、これがやめるのが妥当であるというふうに判断された場合には、これは問題は別だ、立ち入ったことを申し上げますが、その際における御当人の心境を、どう表明するかという基準はどこにあるとお認めになりますか。——つけ加えますが、これは抽象的過ぎてわかりにくいかと思いますが、私は世論だと思います。世間の声だと思います。世間の声が、総理が政治的な、行政的な責任を感ずるということで、その内容は、予算を充実させるとか、あるいは破防法をどうの、あるいは凶器所持をどうのということを言っておりますが、それだけで済むと思うか。人事の問題について、警察の人事について、どうお考えか。現状のままでいいと世論を判断されるかどうか。柏村警察庁長官と警視総監にお答え願いたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) お答え申し上げます。私また警視総監等警察の幹部の人事は、国家公安委員会がこれを支配しておるわけでございます。そういう法律上の問題でなしに、私どもといたしましては——まあ私だけの考えを申し上げますならば、こういう重責をけがしておる立場上、常に自分の出所進退という点はわきまえてゆきたいというふうに考えておるわけでございます。政治の圧力とかなんとかいうことでなしに、政府のお考え、また国会の模様あるいは世論の動向、すべて総合的に判断いたしまして、退くべきときはいさぎよく退き、また、いろいろの批評はあっても、踏みとどまって職責の遂行に邁進すべきものと信ずるときはそういうふうにいたす覚悟でございます。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) ただいま警察庁長官から申されました通りでございまして、警視総監としての進退につきましては、同じような気持で慎重に考慮の上、誤りのないように期してゆきたいと、かように常々考えております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 警察庁長官と警視総監から率直なお答えを承りましたので、この問題に限ってはこれ以上深追いをいたしません。まさしくその通りだと思います。国会の意のあるところを察し、世論の動向を察して出所進退をきめるのが、下っ端の警察ではありません、十分責任ある立場の方々の進退のあり方だろうと思います。この問題については、今のお答えを了として今後のあなた方の態度を見守ることにいたします。  ところで、ちょっとくどいようですが、さらにこういう問題が四回あったのだけれども、深沢七郎氏は、現在戦戦きょうきょうとして後悔もしているが、この種の問題が、一人一殺主義を唱えていて、先ほどからお話のように百人も凶器を持っている人がすきをねらっているという場合に、十分の手段方法を講じても事件が四つできた。今後の予防措置、今後できないという保証は、警察当局にあるかどうか、具体的に示してもらいたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 昨日衆議院の連合審査会におきまして、まず凶器等を持って人に傷害を与え、あるいは殺人を犯すというような危険を持つ者が百名ほどおるということを申しましたが、これはやはり常にそういうふうな危険をはらんでおる、常にそういう意図を持っておるという意味で申したのではないのでありまして、そのときの情勢により、いろいろとそういう人たちの気持も変転するわけでございます。しかしながら、ともかくも相当数の危険な分子がおるということでありまするし、ことに団体に加入しなくても、たとえば今度の小森少年にいたしましても、すでに愛国党に入党する前にあの小説を読んで非常な憤慨をしておる。右翼団体に加入してある程度相当の影響を受けたということは常識的に考えられまするけれども、そういう団体の影響を受けないで、個々に凶行を敢行するというような者も絶無とは申せない現在の社会情勢でございますので、われわれといたしましては、できるだけそうした危険分子の発見に努め、また発見した者については、これを監視する、また、ねらわれる人々についての警護をするということにはできるだけの努力をいたすつもりでございまするけれども、ただいまお話がございましたように、今後は絶対に起こさないということを、私ここで断言するような勇気は持ち合わせておりません。できるだけ努力をいたすということを申し上げておく次第であります。(「心配だな」と呼ぶ者あり)

大森創造日本社会党

○大森創造君 ただいまの答弁、警察庁長官としての答弁は、私は不適当だろうと思う。一体あなたがそういうたよりない御返事をされたならば、国民はどう思うか。これは事実上はどうあろうとも、腹を切る、絶対に起こさせません、それでも起きたならば、断固たる処置をみずからにおいてとるというのが、私はあなたの立場だろうと思うがどうですか。もう一回御答弁願いたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) お答えいたします。私もそういう覚悟で臨んでおりまするけれども、客観的に現在の世相を見て、私がここで絶対起こさないと言ったから起こらない筋のものではない。そういう危険はあり、即効薬というものを直ちにここで提起せよと申されても、提起しにくい状態であるということを率直に申し上げたのでありまして、芝居がかった話を私はしたくないと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私が芝居がかったとかなんとかいうことじゃなくて、四回もこういう事件が起きた。そのつど十全な警備をやった、それにもかかわらずまた起きた、今後どうなんだという不安が全国民にある。その際に、もう少ししっかりした、どっしりした答弁をしてもらいたいと思うんだが、それでいいんですか。あまりに正直——その正直さ、率直さをもってもう一つお伺いしますが、話題を変えまして、あなたはその率直さでいい、自民党と、あるいは現政府と、それから右翼暴力団とのつながり、(「とろくさい、)とを言ったらあかぬぞ」と呼ぶ者あり)とろくさくない。このつながりがおありとお考えか、ただいまの率直さをもってお答え願いたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 率直に申し上げますが、自民党と右翼とのつながりがあるとは考えておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 六月十五日に新劇人に対してなぐり込みをかけた。私の見るところによるというと、安保闘争以来、私の知り得た情報では、右翼暴力団の資金源が豊富になった、今までよりは豊富になったということを聞いておる。洋服もりっぱになったし、それから機動力も倍になった。それから、その他先ほども同僚の議員から言われましたけれども、安保の際に、石井某なる人間が公判廷で、警察がやれと言ったといとを公然と言って、とにかく、具体的にここで一々の事例を言う時間の余裕はありませんが、あるいは去年か一昨年も花輪を出したような事情がある。池田総裁が総裁になる前には、宏池会から若干の金が流れた。あれやらこれやら、さらに日本の保守党、自民党のおい立ちから考えて、右翼とのつながり、これが全くないと思いますか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 私は現在あると考えておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 現在の保守党の歴史的、さらに構造的に見て、これは総裁以下、この問題に対する態度は、選挙の粛正と同じように及び腰であろうと考えます。なるべくはれものにこうやく、この場をのがれればいい。江田委員長代行が本会議で申し上げましたように、公職選挙法の問題にしてもそうです。やろうと思えば、法律の制定ではない。総理自身、断固たる処置を具体的に示すということがこの際大事だと思う。これにはやはり自民党内部、現在ヤジをかけているような人を含めて、少し血を出さなければなりません。泥をかぶらなければならぬのであります。そのお覚悟はございますか、総理に。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 自民党と、少なくとも私が総裁である自民党と右翼とのつながりを云々されるのは心外でございます。私は厳にそれを慎んでおります。なおまた、宏池会の話が出ますが、これは宏池会が私を応援するということで、宏池会の内情につきましては、私は存じません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 柏村警察庁長官並びに総理の話は、総理は再三にわたって、政治の姿勢を正す、さらにうそはつかないとおっしゃいました。それから柏村警察庁長官も、率直に、正直におっしゃるという、その信頼の上に立って申し上げますが、もう一回くどいようですがお尋ねいたします。自民党と暴力団とのつながりは全くないとお考えですか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 私はないと考えております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これ以上押し問答をしても始まりませんから、これは一つ大方の御判断にまかせます。国民全体の世論のおもむくところにまかせます。  ところで、今度は具体的にこの間の嶋中邸事件のことについてお尋ねいたします。一体、二月一日に嶋中邸を訪問した小森が一番先に会ったのは、お手伝いの方と、それから奥さん、それでああいう事件になった。嶋中氏が現われたらどうなったとお考えですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) お答えいたします。仮定の問題ですから、想像でございますけれども、本人は社長を刺すつもりで行ったのでございますから社長に危害が及んだことと想像いたします。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 議事進行。今、同僚の大森議員が社会不安の問題で一生懸命真剣に質問をしておるわけでございますが、何か向こうさんの方の席でろれつの回らないような野次を飛ばしている。(「ろれつは回っておる」 と呼ぶ者あり)いや、回っていない。そういうのは不謹慎きわまると私は思う。率直に言って、今、国会の外では、国民はこの国会の審議をどういう気持で見守っておるか。それを考えたならば、ああいうヤジは飛ばないはずだと思う。これからもしああいうことが二回も三回もあったら、委員長が注意して下さい。注意して聞かなければ、退場を命じて下さい。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これは、奥さんとお手伝いの人は嶋中鵬二氏と同居人であります。よその家にいた人ではございません。たまたま出て来たからああいう結果になったのでありまして、嶋中鵬二氏が現われたならば、これは刺殺されたに違いない。その意味からも、警備上の手違いはあったと思うのだが、その時点において、嶋中鵬二氏自身はどこで何をしておりましたか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 社長は大日本印刷におられたということであります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 肝心の当人をそのとき警察は警護をしておりましたか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 社長御本人につきじかの警護はいたしておりません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 それは手落ちとお認めになりませんか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) お宅に張り込んでいない結果、今度の事件が起きましたということにつきましては、先ほど来何べんもお答えした通り、もしそうであったらば避けられたかもしれないと思うのでございます。同様に、もし社長に危害が及んだということでありますならば、同じ問題が起こると思います。ただし、繰り返して御説明いたしております通り、社長に対しまする右翼団の抗議は、社長が会社で会われて、そうして社長としては十分回答をしておられるわけでございます。なおその中で、即答をされたものもあり、日を限って答えをされる約束をされたものもあるのでございます。先ほど申しました通り、最後に抗議に行きました者の取材をいたしております帝都日日新聞の朝の新聞にもその非を認めたというようなことで、つまり、抗議に対する事態が悪化しておるという状態でなかったわけでございます。そういうことで、御本人の御希望もあり、また警察の判断もそうであったわけですが、御本人について、常時身辺警護を直接につけるというまでになっていなかったのでございます。これは手落ちと申しますか、今日の状態で、浅沼さん以来、与党、野党の方々、その他の方にも必要といいますか、そのときの状態に応じまして警護をつけておるのでございますが、それが御家族に及び、さらに広い範囲に及ぶということになりますと、実際問題として、すべての方に直接警護を四六時中おつけするということは、今の警察の力ではできまいかと思うのでございます。そういう意味で、事情を判断をし、必要な際に必要な方に警護をつけるということになろうと思うのでございます。仮定の問題でございますので、その当時、印刷会社におられる社長に直接の警護をつけておかなかったのは、警視庁の手落ちであるというふうに私はお答えいたしかねると思うのでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 問題を変えまして、小森少年は二月一日に犯行を犯すその前に赤尾氏と会った。最後の別れを告げたのだろうと思います。調査によってそのときの問答を御存じありませんか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいままでの本人の自供によりますると、もうこの運動は私の性に合わない、郷里に帰るということを言った。ところが党首は、それは意思が非常に弱いじゃないかということで、思いとどまるように言ったけれども、一時間何がし話をした結果、ともあれ脱党をするということにしたのだということを自供をいたしております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 脱党して、二月一日に犯行を犯したのでございますが、先ほど公安調査庁次長からの答弁がございましたが、一体、人件費が払ってないといっても、小づかいを渡した、所持金は何ぼ、その所持金は赤尾氏個人から一番最近、犯行を犯す直前に、一番近い日時に幾らもらったか、御存じですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これも先ほどお答えをいたしましたが、東京におります際に、ビラ張り等に行きます場合には、足代がほぼ五十円かかるときに百円もらう、それが若干たまったと申します。また、十日ほど新島に行っておりましたが、その間は日に活動費百円をもらったと申します。そういうものが当時千五百円ほどあったようでございまして、それを刃物、げた、理髪代その他に使って、ほとんど手に残っているものはなかったような状態でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 先ほど亀田委員の質問に対してお答えになったのでございますが、一月三十日に中央公論社打倒国民大会というのを日比谷でやっております。そのときにも、二十何人かの人が中央公論社へ行って抗議をしている。抗議ではない、脅迫です。数度にわたる中央公論社に対する度ぎつい抗議、深沢七郎氏、前の竹森編集長に対する抗議、一番極端な言葉を用いますと、お前たちは命があると思うかというようなことを繰り返して言っております。これは脅迫罪になりませんか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) そのときの状態により、そういう言葉が使われて脅迫罪になることもなり得ると思います。そういう点につきましては、今後も一つ一つ調査して、脅迫罪として、事件に当たっていくつもりでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 今後の調査の進展いかんによっては、脅迫罪の要因をなすかもしれないし、あるいは破防法の改正云々ではなくて、現在の破防法についても該当する事案が出てくるかもわからないと思います。そこで、さらにお尋ねしたいんでありますが、政治資金規正法の問題、選挙のときの届け出た金額、届け出られないやみの資金収入支出があるとお考えですか。それともどうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 各団体とも、できるだけ正確に出しておるものと思います。やみのものがあるかどうかということは、ここではお答えいたしかねます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 法務大臣と竹内刑事局長にお尋ねいたしますが、昨日の衆議院の法務、地方行政の連合審査会において、田中伊三次氏の質問に対して、あなた方お二人は、現段階においては、どうしても政治資金規正法に報告のあったものですら、現段階ですよ、きのうの段階では発表できない、不適当であるということをお答えになりましたが、それは事実でしょうか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。きのうお答えいたしましたのは、田中伊三次さんに対してのお答でなくて、社会党の木原津与志委員の質問に対して応答した問題であります。昨日お答えいたしました趣旨は、なお調査中の点がございますので、なお、この段階においてはお答え申しかねるということを最初お答えいたしました。再三にわたってさようお答えしたのでございます。しかし、それから現場におきまして警察当局ともいろいろ打ち合わせいたしました結果、そのときまでにわかっておる問題については、発表してもよかろうという関係当局との話し合いができましたので、それによりまして政府委員をして答えさした次第でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 どうも私は誠意が足りないと思うのですが、きのうは私も聞いていたのですが、確かに木原津与志氏の質問に対して、当初は実にもっともらしい顔をして、あなたと刑事局長は、どういうことがあっても現段階では発表の限りでない。不適当な事情があると警察庁、警視庁の一部の人が言ったので、これは発表する段階でない。どんなことがあっても発表しないようなことをおっしゃいましたが、帰ってみると、三十分たってから今度は発表している。得々と発表している。それは今お話のように、警察部内で打ち合わせて発表してもいいということになった、これはうそです。木原氏の質問が急であって、それからあれほど竹内刑事局長が約束して、二月前には発表できるだろうということを追求された。自民党を含めての理事会、これが紛糾をして休憩ということになったので、事態が容易でない、また、失言したら大へんだということで、今度は方針を変えたのであります。そうでしょう。お尋ねいたします。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。真相は違います。私は事務当局から聞いておりました通り、なお発表の段階ではないという意味においてお答えをいたしておりました。なお、なぜそれではその段階ではないかということについて重ねて御要求もございましたから、重ねて刑事局長と打ち合わせましたところ、警察当局との間におきまして、発表の時期について、まだその段階ではないということになっておるのです、ということであったのであります。従いまして、それを重ねての御要望もございましたので、その場において打ち合わせをさせまして、その結果、よかろうということになりましたので、お答えいたした次第でございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 これも、のらくら問答ではらちがあきませんから、私の判断を申し上げます。従来しばしば委員会において国会議員が質問をするときには、こちらがいいかげんに質問するというと、その場限りの答弁で糊塗しようとしている態度が政府一般であります。そればかりではございません。きのうにしてもそうです。まずここらでいいだろう、ここらでほおかむりして済ませるだろう、そう思ったに違いない。いわゆる官僚の巧妙な頭でそういうふうにお考えだったが、ところが、だんだん自民党を含めて、理事会が散会、休憩ということでごたごたしますと、これは先ほどの信念がくるりと方向を転回して発表をするということになった。これはきのうのあなたの説明も含めて、政府部内の国会に対するあり方だと思います。これは国会軽視だ。先ほどどなただったか、柏村警察庁長官か三輪警備局長でしょう。亀田議員が、いわゆる証拠書類、ポスター、そういうものに対しての答弁を求めたところが、あなたは、こいつは捜査中であるから、これは不適当であるからと言うて、あなたはおじぎをして下がられた。ところが亀田議員は、私はくろうとだ、そういう問題については発表してもいいじゃないかとたたみかけたら、その次にとろとろと本音が出てきた。それと同じじゃないか。今後こういう問題については、率直に、そして初めから議院というものを慎重に考えて答弁されることを望みます。これより以上は私は申し上げませんが、これは一つの悪習慣です、国会を軽視する、形式的に考えて。あとは、ここから退場して大臣室にでも行くというとあの質問はあすこらでよかったのだとへらへら笑っているのではないか。こういうことはもっと以後慎んでいただきたい。  それからもう一つ、だからこの問題は、人が現に殺されているのですから、罪とがのない人が殺されているのですから、これは非常事態です。非常事態の心がまえで、多少あっちこっちに選挙に出てきて、差しつかえがあろうとなかろうと、それより以上大きな立場でものを言い、犯罪防止の立場から、政治資金の問題なんか、これはその段階々々で発表されてもいいと思う。きょうは、きのうの当初の勢いはどこへやら、午前中からずっと発表されておりますが、今後は政治資金の問題にかかわらず、一方、追い詰められると、実はこうでございますということでなくて、最初から答える用意がありますか、法務大臣。法務大臣というものはそういうことをしっかりやらなければならない立場におありだろうと思う。もう一ぺんはっきりお答え願いたい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。また、私の名誉のためにもあなたに申し上げます。ただいまの私に対しての御批判と申しますか、どうもあたっておりません。私は、全く部下の言を信じまして、そうして真相はその通りと考えてお答えをしておりました。もし私が部下の言をさらに追及しないでお答えしたことが軽率であるというそしりを受けるならば、これは甘んじて受けます。しかしながら、部下も、そのときにおきましては、関係の当局との間におきまして打ち合わせをずっとして参っておったのであります。私自身も、なるべく早い機会に、適当な時期にお答えしょうというので、参議院においてもお答えしておりましたし、衆議院においても、またさよう答えておりました。この点もあなたは、みずから私が適当に議会を軽視していいかげんな答えをしておるというふうに御判断をなさるならば、全く当たっておりません。この点私のために私は弁明を申し上げておきます。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) ちょっと関連。ただいま植木法務大臣のお答えの通りでありまして、実は私もこれは証言いたします。と申しますのは、私に植木大臣から、警察と事務当局の間でまだ話が折れ合ってないようで困っている、こういうお話があったので、私からさっそく事務当局に行って聞きました。ところが、なるほど話に食い違いがあったようで……。それじゃそれでいいじゃないかということで出したのであります。一般的な御批判は別といたしまして、この問題につきましては植木大臣のおっしゃる通りであります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 法務大臣と安井国家公安委員長お答えの通りと私も了承いたします。ただそのことが、いかにも従来岸総理大臣、あるいは池田さんになってからも、閣僚の答弁がそうではなくて、ここまでにしておこうという態度があからさまにみえる事例が幾多あります。私に誤解される要因はあなた方の方にございます。そこで、今後はそういうことのないように、まあないというからあなた方にはないと思います。これは一つあなた方を含めて、政府部内に御注意を申し上げます。  それからもう一つ、公安委員会というものを、私は都道府県を見て参りましたが、どこでもそうでございますが、さっき小笠原委員からも発言がございましたが、どうも公安委員制度そのものが、本来のあり方、機能をしていないような感じがいたしますが、国家公安委員長はいかがお考えですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 今の御質問は、要するにその制度が悪い、こういうような意味でございますか。もう一度恐縮ですが。

大森創造日本社会党

○大森創造君 都道府県の公安委員の人選などを見ておりますと、そう言ってはなんですが、あなた方には非常に恐縮なんですが、どうもシーズン・オフのキュウリみたいだ。これを注釈しますと、シーズン・オフのキュウリは九月か十月のキュウリでありまして、下の方が太くなって、へたの方が黄色くて、だれも手をつける人がいない、そういう人事をされているというのが普通の都道府県の公安委員会だ。それを警察本部長が私などに、ほんのお茶飲み話をしておりますときにそういうことを言っている。全国大体その通り。シーズン・オフのキュウリというのは、私の知っている警察本部長が言っております。シーズン・オフのキュウリ、まことに適切な表現でありまして、疲れたキュウリ、そういうことであるから、今度の問題についても実は連関がある。警視庁の方で警備計画を立てた。それについての積極的な発言も何もない。ただ参考に、権限だけは外から見るというとえらそうな権限を持っているようだが、その実は、今申し上げましたように、シーズン・オフのキュウリだ。そういうことについていかがお考えですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 御批判は自由でございますが、国家公安委員にいたしましても、都道府県の公安委員にいたしましても、これは正式にそれぞれの議会の承認をとっておる人事でございます。御承知の通り、こういう人事は、与野党とも相当に協議をいたしました結果通るのが普通常識になっております。そういうような意味から、今選ばれております公安委員がそれぞれの特徴を持って、なるほどこれは警察の専門家じゃありません。警察の専門家でないということに、これは先ほどもどなたかお話がありましたように、特徴があるのでございます。これが委員会におきまして、その地区あるいは国全体の警察の運営の大綱、本筋を全部きめたわけであります。そのきめられた事項によって、その管理のもとで警察庁長官なり警視総監なり本部長が、それぞれ有能な機能を発揮しておるのでございまして、そういう御批判は当たらないと私どもは思っております。

大森創造日本社会党

○大森創造君 安井さんのお答えになったことは、形式はその通りだと思います。しかし実情は、あなたは中央の偉いお方だから、地方へ行きましてもほんとうのことを言わないでしょう。確かにお話は、県議会、都道府県の議会で同意を与えるということでございますが、しかし、そういうものの中からまず、いわゆる現在の都道府県議会の議員に最大公約数的な人物が選ばれる。最大公約数の人物ということになりますが、これは政治的に中立で穏当な、穏やかな、まことレスペクタブルな人物ということになると、さっき申し上げたようなことになる。これはいわゆる政治の問題で、ここで形式論議をしてもしようがありませんので、これはあとでその点をお考え願いたい。現実はどこまでもそうなんです。ここらに問題の一つがあると思います。  そこで、時間がありませんから、だんだんはしょって申し上げますが、私の村で学校の校長が、火事があったときには県の教育委員会は左遷するなり右遷するなり、人事の異動なりを行なう。それは火事をしでかしたということについての責任の所在です。放火であっても、それが行なわれます。一回、二回、一カ月おいて、またもう一回火事があった、新築してもう一つあった。十分な管理監督をしていても、校長はやっぱりやめるのが常識ですが、安井さんいかがお考えですか。これは出過ぎた責任感だと思いますか。どうでしょう。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 地方で学校が焼けて、校長がやめるのかどうかということについては、ちょっと一般的に私から御返事のしようがございません。

大森創造日本社会党

○大森創造君 私の申し上げるのは素朴な意味で、学校の校長が十分の注意をしながらも放火があった、あるいは過失によって火事になった。それが再度にわたるときには適当な責任をとる。今度の問題に比べてどうかというふうに私は考えたのであります。  最後に私は申し上げますが、この事件の論議にあたって、これは総理にお答え願いますが、左右の暴力ということをよく国会で論じられる。左側が何か直接のテロ行為に訴えたことがございますか、総理大臣。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、事実あるなしでなく、観念上、左右であろうが中であろうが、暴力は絶対いかぬという意味であります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 今度の事件に結びつけて考えますと、深沢七郎氏の著作の内容いかん、これが誘発したような論議が相当の比重を占めているように見受けられますが、それはそういう事情はあっても、具体的に発生する事件は、中央公論社という言論機関が、現実に出版の自由、言論の自由を侵されているという犯罪事実を構成している。これが現実の問題、目の前の問題。この場合の国会の論議としては、当然比重が右翼の暴力というところになければならないと思いますが、その点についてはいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはっきりいたしませんが、もう一回砕いてお話し願いたいと思います。

大森創造日本社会党

○大森創造君 従来の国会の論議でも、ことに自民党の方などは、私どもは今度の中央公論社の問題にしても、現実に殺傷事件があって、それは言論出版の自由に対する犯罪が現実に構成されている。国会としても警察としても、そのものの取り締まりに重点を置かなければならぬと思いますが、それをあたかも前段の、左右の左の方にも相当な比重を置くような、そういう態度がある。審議の態度、質疑の態度はまずいと思いますが、どうでしょうか

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今回の問題につきまして、非行少年が右翼団体に以前に属しておったということは認めます。しかし私は暴力というものは、左右であろうが何であろうが絶対にいかぬということだけでございます。

大森創造日本社会党

○大森創造君 言葉通り聞けばその通りでございますが、私が政治問題として、これが一般の言論、あるいは国民全般に与える影響が、現実に毎日新聞に対する襲撃事件 それから浅沼さんの刺殺事件、今度の嶋中事件、河上顧問の問題、岸さんの問題、全部右側の暴力が具体的に行なわれているときに、それを誘発することに力点を置き過ぎるようなものは、ここの問答ではけっこうですが、一般の国民に対する影響が悪いと思うが、国家公安委員長はどうお考えですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 暴力は、今総理のおっしゃる通り、左であろうが右べきものであるということは間違いございませんし、また、その暴力が、今直ちに言論の自由を封鎖するような方向へ私どもがそれを何とかしておるというようなことは、毛頭ございません。また、先ほどちょっとお尋ねの、左には暴力はなかったかという問題をお尋ねになりますれば、かつて国会の構内に乱入されて、どんどん入るというような例も、これはないわけじゃございません。しかし、今それがあったから右が許されるとかどうとかというような問題を決して私どもは考えていないのでありまして、いかなる理由がありましょうとも、ああいった暴力というものにつきましては、今後われわれは、思い切ってこれの絶滅をはかるように、あらゆる努力をいたしたい、こう考えておるわけであります。

大森創造日本社会党

○大森創造君 結びの言葉を一つ申し上げますが、さっき一番最初に、柏村警察庁長官と小倉警視総監の御答弁、これは私は大事に胸にしまっておきます。今後の国会の論議、あるいは世論の動向などを考えて、誤まりないような進退をおとり願いたいと思います。  それから、この問題の解決は、どうしても政府自民党が今までのような態度でなく、少し血を流す、仲間からけが人を出すくらいの気魄がほしい。あと何回事件が起きてもこのままで、国会でのらりくらり問答をやって、そのままでけり、そしてたまにヤジでもやってそのままでけり、そういうことではならない。また、そういうことが落ちだろうというふうに国民は不安を持っております。どうも憎まれ口はききたくありませんが、某有力大臣などが、三年か四年前の衆議院の選挙のときに、事務長が逃げ回って、今もってまだ現われてこないという事件が、現に内閣の有力閣僚にあるとすれば、そういうところで政治の姿勢を正すとか、あるいは政界の浄化をやるとか、今度は暴力を絶滅するなんということを申しましても、声なき声は信用いたしません。これは少し思い切った措置をやってみる、自民党内で多少反対があろうとも、けが人が出ようとも、断固やるというお気持が国家公安委員長なり、総理なり、あるいは警視総監にないというと、この事件は私は解決しないと思う。そのことが間違っている、そう思います。世論の動向、これを察知しないのはばかな政治家です。善処をお願いしまして私の質問を打ち切ります。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 私は、ただいまの大森君の質問の中で、非常に重要な問題が一点ありましたので、関係閣僚並びに柏村、小倉両氏に重ねてお尋ねをいたしておきたいと思います。  ただいま国民が非常に不安にかられておりますることは、自己の意思、自己の主張に反する特定の人物が軽々しくあやめられているという風潮がだんだんと国内に醸成されておるのであります。これは今回問題になっておりますテロ事件はもとよりでありまするが、そのほかにも、一面識もないような国民が簡単にあやめられる、こういう風潮というものは、国民に非常に大きな不安を与えておるわけであります。この不安を除去するということが、今日国会並びに行政府に課せられた最も大きな責任でなければならないと思います。これを解決するということに不退転の決意をもって当たるという、そういう決意がなければならぬと思います。ところが、先ほど大森君の質問に答えられて、柏村長官は、ただいま凶器を持って人をあやめるおそれのあり得る人物が百名ばかりいる、そういう条件の中で、今後テロ行為を絶対に再び起こさせないようなそういう決意、そういう具体的な方策があり得るか、こういうお尋ねに対しまして、あなたは、努力はするが、そういうことがあり得るかもしれぬ、こういうお答えであります。これは実にゆゆしいことでありまして、あなたの一言を全国民がテレビなりラジオを通じて聞いておるわけでありますが、どういう気持がするでありましょうか。そういうふぬけた態度で警察庁の長官がおるということに対して国民は黙っておられるでありましょうか。まことに遺憾なことであります。しかも、河上氏、岸氏、浅沼氏が相次いで刺され、倒され、そうしてそのつど世論は、あげて警察当局の責任を追及したにかかわらず、あなた方は、十全の警察としてとり得る措置をとってきた、こういうことによって今日まで責任をとっておいでになりません。そのとっておいでにならない根本的な思想というものは、こういうところにあるからであります。起きてもやむを得ない、あり得る、こういう思想をあなた方は持っておいでになるからこそ、突き詰めた責任をとろうとしないのであります。私は、これは厳重なるあなた方反省をせられてしかるべきだと思う。  そこで、重ねて柏村長官に伺います。それから東京都の治安の最高責任をもって毎日実行に当たられておる小倉総監にも伺います。さらに東京都の公安委員長、国家公安委員長、総理大臣、その順序で、全部この問題について私の今申し上げたことが間違っておるか、あるいはあなた方の言っておいでになることが、はたして国民の信頼を得るか、これをはっきりさしていただきたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 先ほど私が申し上げたことが、あるいはお耳にさわったかと思いますが、私は、全力を尽くして、こうしたテロ行為の撲滅を期して参る所存でございます。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 警視庁といたしましても、こういうような暴力事件の絶滅ということで、全力を尽くして努力をいたして参る覚悟でございます。私どもの責任は非常に大きいと思っております。警察の諸君も、私は、昨年以来非常に一生懸命ほんとうに苦労してやっております。私は、この機会に、警察官の諸君の気持を幾らか代表して申し上げますが、こういうような事件が起こってくるということは、まことに残念なことであります。何とかしたい、この事件が起こってくるこの遠因、近因いろいろある、そういうような遠因、近因についていろいろな問題があるのでございます。そういうような問題について、やはり各方面において、どうか積極的に、また緊急に対策を立てていただきたい、こういうことが警察官一同のほんとうの念願でございます。だからといって、私は警察の責任がどうこうということでは絶対ありません。そういうような各方面の積極的な御努力、御配慮と相待って、警察官といたしましては最大の力をふるってこういうような事件の根絶に努めて参りたい、かように考えておる次第であります。よろしくお願いいたします。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 公安委員会といたしましても、こういうことのないように、全力を尽くすように警視庁職員に対しまして要望している次第であります。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、私どもは、これは全力をあげて暴力の絶滅を期して努力をいたしておるわけでございます。たまたま柏村長官が、今日の現状につきまして、赤裸々に、警察も一生懸命にやるが、同時に、全体のこの世の中のそういった風潮をなくしていきたい、こういうことのあまり言われた言葉が誤解を招いたとすれば、それは誤解でございまして、決してゆるんでおるとか、あるいはどうしようとかいうような、他に転嫁しようというようなつもりではないことを重ねて明言いたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 内閣総理大臣といたしましては、テロはもちろん、あらゆる暴力、この絶滅を期さなければいかぬ、その意味におきまして全力をあげて努力をいたしたいと思います。ただ問題は、警察当局の責任ということと、また、われわれを初め、全国民が責任をもってこれをなくするように努力しなければならぬと私は考えます。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 私はけさからずっと警察当局、公安委員会の質問に答えられる態度、その内容を拝聴して参りましたが、何か警察組織に足らないところがある。小笠原君も先ほど指摘をいたしました通りに、そういう制度上の欠陥があるのではないか、また、警察の組織の有機的な活動力という点において何か欠くるところがありはしないか、こういう現組織に対する若干の疑問を残すに至りました。と同時に、亀田君が質問をいたしましたように、であるからこそ今日現に凶器を持って、時至らば人命をうかがおうという人が現にいるということを警察当局が立証しているのでありますから、そういう不安の中に、当局を初め、全国民が生活をしているわけでありますから、従って総理大臣の御答弁としては、この際、人命をあやめるというこの問題一点にしぼって、緊急にどういうような対策を立てるか、こういうことをやはりお示しになるということが、国民に私は不安を一掃させる最も大きな近道だと思います。最も早い近道だと思います。そういう意味においては、総理の御答弁は、はなはだ不親切であります。私は、大へん失礼でありますが、そう申し上げざるを得ない。きょうはもう時間がありませんから、私は次の機会に譲りますが、緊急に、この人の命、われわれの社会において一番尊重せらるべき人の命をねらうこの行為に対して、どういう政府は新しい具体策を立てるか、これを具体的にお示しを願いたいのであります。この点は、きょうはあるいは無理かもしれませんが、その決意だけでも一つ表明をしていただきたい。緊急な時期にそういうものを具体化すると、その決意だけでもお示しを願えれば、国民はさぞかし安心をするであろうと思います。これがなければ、こういう委員会を幾ら衆参両院で開きましても、国民を安心せしめることにはなりません。ますます不安を高めるだけであります。政府は何をしているか、警察は一体どういう態度であるか、不安を高めるだけであります。そういうことで政治というものがあってよろしいでありましょうか。私は、総理大臣の真摯な御答弁を願いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) この問題につきましては、今回の事件が起こる前におきまして、一カ月ぐらい前から、わが党におきましても、犯罪防止基本対策要綱というものを検討いたしまして、きょう総務会で決定したような状態でございます。しかし、今回の事件が起こりまして、あの程度のものではまだ足りないのではないか、もっと根本的にやらなきゃいかぬのじゃないか、こういう考えをもって、私は、さきの本会議におきましても、政府としても考えまするが、国会議員諸君におかれましても一つお考え願いたい、ともにともに一つりっぱな対策を講じようじゃないかということを申し上げておるのでありまして、決してじんぜんその日を過ごすという考えは持っておりません。直接の責任はなくとも、行政全般についての私は責任者でございますから、十分考慮して善処いたしたいと思います。   —————————————

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) この際、地方行政委員の異動についての御報告申し上げます。  本日付けで小柳牧衞君、館哲二君辞任。小沢久太郎君、高橋進太郎君が選任、以上であります。   —————————————

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 資料の要求をしたいのですが、こういう資料は出せるか出せないかわかりませんが、注文だけしておきます。それは、最近の右翼の動向にからんで、新日本協議会なるものの存在というものが、かなり注目される存在になってきておるようです。私は、この構成はわかりませんが、一説によれば、特定政党からかなりの資金が出ておる。また財界、また右翼と思われる学者、これらのものが強い組織をされておる。中心人物は元の旧内務大臣、あるいはまた現在政界におられる方、それから大手筋の社長、それから大学の教授等々があげられておる模様でありますけれども、私は、不幸にしてこの協議会の主要メンバーを知る機会がありません。いろいろ疑問のある団体であることは、非常に各方面から注目されております。私は、この際研究してみたい気持が強いのでございますので、もしこの指導的なメンバーをずっとお載せいただいて私どもの参考にすることができたならば、大へんしあわせと思いますが、これについて御善処方をお願いしたいと思います。  それからもう一つは、法務当局の入管関係の方にお願いをしたいのですが、外国人の登録については、整備された登録法でもって行なわれておりますが、台湾からおいでになっておる方のうちで、傷害、暴行、殺人、こういうような前歴を持っておられる方、特に最近三年間におけるこういう前歴を持っておられる方がどのくらい日本に来ておられるのか、これも大へん疑問に思われる節もございますので、この資料を提出をしていただきたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) ただいまお尋ねの団体につきましては、これは右翼であるとかなんとかいう御批判は別といたしまして、全然行動的に危険があるとか、暴力的な危険があるといったような存在ではないのであります。これはちょっと警察の手で資料を調べて、これを御提出するという筋合いのものではなかろうと思いますので、御了承願います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 国家公安委員長に誤解がないように私申し添えますが、私は、これを暴力団体だと言っているのでは決してない。ただ最近のいろいろの問題の中に、この協議会の名前がしばしば出てくるのです。私は、この協議会はどういう方が指導していらっしゃるのか、どういう方がどういうことをなさっているのか、誤解があるならば、むしろ解いてあげるべきだという気持すら持ってしる しかし私は不幸にして指導的な人物の名前を知らない。ですから、もし御存じで、お差しつかえがなければお知らせをいただきたい。お差しつかえがあるならば、これはけっこうでございます。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) これは安倍源基さんが主宰しておられる研究団体でございます。従いまして、これを差しつかえがあるとかないとかいう問題以前に、警察が今調書を調べてお出しするというふうな性格の問題じゃなかろうと思いますので、御了承願います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。台湾から入国した者のうちで、過去において狂暴なる犯罪等を犯した者の状況がわかるならば調べて出せというお話でございますが、多分入国管理局の方で一通りの調べはおそらく可能だろとう思いますから、取り調べまして善処いたします。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ほかに御発言もなければ、本日はこれをもって散会いたします。    午後九時四十四分散会。

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