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38回国会参議院1961/06/02

大蔵委員会 第29号

発言数
83
登壇者
11
会派数
4
開催日
1961/06/02

会議録

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案を議題といたします。  まず、補足説明を聴取することにいたします。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) すでに今国会で御承認を得ましたシンガポール自治州との租税条約を実施するために、この法律案を提案しておる次第でございます。  シンガポール自治州との租税条約は、わが国にとりましては第七番目の租税条約でございます。東南アジア諸国との租税条約といたしましては、パキスタン、インドに次いでの第三番目の租税条約でございます。この条約の中に、配当についてでございますけれども、第六条に、配当についての課税は一五%をこえる税率で課してはならない、あるいは特定の場合には一〇%をこえて課してはならないという規定がございます。こういう条約の規定がございます場合には、すでにパキスタンとの条約について同じく実施のための法律を制定いたしましたように、一五%以下で何%にするかということを規定する法律が必要なのでございます。この法律案におきましても、パキスタンと同様に、条約に定められております最高の税率でもって課税するということをうたっておりますのが、この法律案の第二条の規定でございます。もっとも、措置法等でそれよりも低い税率が適用になる場合には、その適用があるということもただし書きでうたってございます。  それから、第三条についてでございますが、租税条約におきまして、シンガポール自治州との租税条約におきまして、その十五条でございますが、この条約においてそれぞれの軽減なり免除の規定を設けてございますが、それの恩典を受けるのはその恩典を受ける資格のある者だけが受けるべきであるという趣旨から、受ける権利のない者がそういう特典を享有することのないように、相手国の税金を自国の税金と同様に徴することができるという規定がございます。この規定を受けまして、第三条において、そういう場合には日本国の国税と同様の順位でもって徴収するということをうたったわけでございます。たとえば、短期滞在者につきまして、条約において相互免税をうたっております。この場合に、その短期滞在者は百八十三日をこえない滞在期間であるとか、あるいは自分の本国において課税を受ける場合に限るというような条件を設けてございます。そういう条件を欠いておるにもかかわらず、相手国の免税をたとえば受けたというような場合には、それを相互に通報いたしまして、これを自国の国税と同様に相手国でもって免れた税金を取りまして、そうして免除すべからざる税金でございますから、相手国に送ってやる、こういう趣旨でもって設けられた条項に対応いたしまして、この規定を設けた次第でございます。  簡単でございますが、補足説明といたします。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 今ちょっと御説明を承っておって、何か非常に日本が有利である、シンガポールに比較して有利であるという御説明でありますが、どういう点が有利なんですか。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) この条約につきましてわが国がどのような有利さを持っておるかということでございますが、条約全体につきまして、この法律案とは少し離れますが、御説明さしていただきますと、現にわが国からシンガポール自治州に進出しておる企業が相当ございます。その形といたしましては、支店を持っておるもの、あるいは現地法人を設立しているものもございます。反対に、シンガポール自治州の方からわが国に出ておる企業というのは、現在のところまだございません。それで、そういうわが国から向こうに進出しておる企業につきまして、たとえば、わが国から向こうに貸付金を出しております。それについての利子が発生するといたします。そういう場合に、向こうの税法でございますと、四〇%課税されまして、それでその残りがわが国の方に返ってくるという形になるわけでございます。その利子につきましては、条約の第七条で、ある場合に免除するという規定がございます。ある場合と申しますのは、ある一定の産業的事業——それぞれ条約にうたっておりますが、製造業であるとか、造船業であるとか、鉱業、そういった事業について貸付金を行なった場合には、それは相手国で免除される、こういう規定がございます。従いまして、そういう種類の貸付金についての利子はシンガポールでは課税されない、こういうことになるわけでございます。  また、条約の十四条におきまして、そういう免除が行なわれました場合に、わが国でそれじゃどういうふうに課税するかという規定がございます。向こうで利子がたとえば一〇〇発生いたしまして、本来ならば、四〇課税されまして、六〇というのが日本の企業の所得になるわけでございます。その場合に、わが国の現行法の建前から申しますと、一〇〇マイナス四〇の六〇が入って参っておりますけれども、日本の現在の法制のもとにおきましては、一〇〇を一応課税所得に算入いたしまして、そうしてそれに対して日本の法人税をかけてみまして、その法人税から、それを限度といたしましてシンガポールで払いました金額を控除するという、外国税額控除の制度がございます。そういたしますと、日本の法人について申し上げれば、現在のところ三八%という税率が原則でございますから、四〇%は引き切れませんので、二%部分は企業の負担になりますけれども、結局高い方の四〇%だけの負担で済むということになっております。それがこの条約によりますれば、一〇〇利子所得が発生いたしましても向こうでは課税がございませんからゼロでございまして、日本に来ますと一〇〇になる。それで条約の十四条の規定がなければ、当然一〇〇に対して三八%かかりまして、向こうで納めた税金がゼロでございますから、控除する税額がないから、日本の三八がかかるということになるわけでございますけれども、この場合には、特に従来パキスタン等で行ないましたように、みなし税額控除という制度を採用いたしまして、四〇向こうで免除されましたけれども、四〇というものは向こうで納めるべき税金をシンガポールの方で免除してもらったのでありますから、日本の税金を取ります場合には、それは納められたものとみなして計算するわけでございます。従いまして、一〇〇そのままが日本の企業に入って参りましても、やはり向こうで四〇取られたものとして計算いたしますから、日本の法人税はかからない、こういうことになるわけでございます。そういう点が非常に向こうに対する貸付金の利子について日本の企業にとっては有利なところではないかと思われます。  それから、同じく配当の場合でございますが、配当につきましても、すでに向こうに現地法人を立てておるものが、向こうにございます小会社から配当を受ける場合がございます。そういう場合、現在の法人税法の建前でございますと、同じように外国税額控除の規定が働くわけでございますが、この場合、やはり同じようにみなし税額控除の規定を設けてございますので、向こうで創始産業法というのがございます。ちょうどわが国の法人税におきます新規重要物産免税という法律がございます。五年間向こうの法人税を免除するという規定がございます。そういう場合は、それによって得られます法人の所得から日本に送られてきます配当については、同じくみなし税額控除をやりまして、向こうでかけられるべきであった免税された税金というものは支払われたものとみなされる。こういうことでもって、向こうがせっかく免除してくれた税金を追っかけて日本で課税するということがないようなふうに規定してございます。  そのほか、技術料——ロイアルティにつきましては、相互免除の規定がございますので、それについては本来四〇%かかるものが、向こうでは課税されないというような結果になります。  それから、船舶、航空機の問題でございますが、船舶所得につきましては、現在のところ、相互免税でもって、それぞれの国内法で免除しておる体制でございますが、航空機につきましては、わが国に外国の航空機所得に対して免除するという規定がございませんので、現に日本航空が現在週三回運航いたしておりますけれども、それについては課税されておるわけでございます。この条約におきましては、船舶所得、航空機所得についても相互的に免除するという規定がございますから、航空機につきましての所得も免除になる、こういうことに相なります。  そのほか、短期的な滞在者——学校の先生、政府職員等につきましても、従来の租税条約と同様な規定で相互的に免除するという規定もございますので、これにつきましても、相互の文化的経済的交流が促進されるものと思われます。  以上、簡単でございますけれども、この条約について考えられる利益というものについて御説明いたした次第でございます。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 何か、一五%ないし一〇%にこの条約で下がるわけなんですが、今ちょっと聞いておりますと、シンガポールは四〇%というようなこと、これは利子課税をする場合ですが、日本国でいえば所得税というともう少し安くて——段階的になるから大ざっぱなことしか言えませんが、少し安いと思いますが、諸外国は税法が違うかと思いますが、大体その税率としては高いわけですか、日本と比較してみて。それは総体的な話じゃなくて、今、七番目とおっしゃいましたが、今まで結ばれた六つの国ですね、それと、比較してみて、やはり日本よりも税率の高いということが言えるのですか。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) 日本の外国人あるいは外国法人に対する税率が高いか安いかという御質問と思いますが、一がいに日本の国のそういった種類の課税率が安いというふうにも思われないと思います。といいますのは、たとえばアメリカにおきましては同種の税率は三〇%でございます。あるいはインドとかパキスタン等になりますと、相当高い税率——日本の二〇%に比べまして、もっと高い税率を採用いたしております。それから、このシンガポールにおきましては、居住者に対しましては四〇%という税率が適用になっております。そういうものから比べますと、日本の二〇%というのは安いというふうにも考えられます。それぞれのその国本来の居住者に対する税率とも相関連するものとも思いますので、一がいには断定できないものかと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 それから、現在、支店なりあるいは現地法人を持っておるのは、日本は六つあって今度七つ目だと、こうおっしゃられましたが、私はまだほかの国にもたくさんあると思いますが、そういうよその国ともこれからだんだんとこうした条約を締結をする方向にあるのか、どういうようなことになっているか。これはまあ外務省ということになると思いますが……。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) このシンガポールの条約は第七番目と申し上げました。わが国といたしましては、できるだけ経済的に関連の深い国と早期に租税条約を締結いたしたいという希望を持っております。このほかにも、いろいろとわが国の方から働きかけまして、締結の交渉をやりたいということを申し込んでおる国が相当ございます。現にオーストリー、西ドイツ、スイスにつきましては、ただいま交渉中でございます。そのほか、特に東南アジア諸国とは関係がまた緊密でございますので、この国とも結びたいということで案を送りまして折衝をいたしております。特に、このシンガポールにつきまして条約ができましたのですが、マラヤ連邦におきましては、シンガポールとほとんど同じ税制のもとにございますし、日本とも関係が深いので、できたら早期に結びたいということも考えております。また、タイ国とも非常に関係が深いので、予備交渉もいたします。そのほか、相当数の国に対してはすでに交渉をいたしたいということを申し入れてございます。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 この本法の方ですが、これは何か五カ年の期間で、そうして自後一方通告で破棄ができるというふうにきめておるのですが、今まで、こういうふうに相互減免条約というものは戦前にも私はあったと思いますが、あるいはないかもしれませんが、この一方的に破棄通告というふうなことが、もし戦前にあれば、行なったことがあるのかないのか。一度締結されたものは、大体ずっとこう続いていくようなふうに了解していいということですか。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) この租税条約は、一般的に見まして戦後に発達いたしましたものでございます。アメリカが最も多くほかの国と結んでおるのではないかと思いますけれども、これも戦後にこういった体系をとったのではないかと私記憶いたしております。日本につきましては、もちろん初めてアメリカと租税条約を結んだわけでございますけれども、これが昭和三十年でございます。  それで、それぞれの条約につきましては、今御指摘になりましたように、ある一定期間を経過いたしますれば、予告を出しましてその翌年から実施をしないというような規定を設けてございまするが、現在までに締結いたしました条約としては、そういう予告をできる最小の期間といたしましては一般的には五年、たまたまインドにつきましては三年という例がございます。まあ一般的には五年という規定になっております。それで、アメリカ合衆国とはすでに三十年に結んだのでございますけれども、そのままずっと今日まで存続いたしております。われわれとしましては、よほどの事態がない限り、こういう破棄するという通告がないというふうに世界的な事例としても考えられるというふうに聞いております。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 最後に、私はアメリカとの関係でいえば、日本の方が損だろうと思います。不利になっておると思う。まあこれから、ヨーロッパ諸国から日本に対する投資も盛んになってくるだろうと思う。なるほどシンガポールとの間においては、あるいは東南アジアに対しては、日本は有利な地位にあるだろうと思いますけれども、逆に先進国に対しては、中進国家といわれる日本は不利な立場にある。しかし、世界全体の方向がそういう相互減免条約を締結してお互いに開発し合っていこうじゃないかというような方向にあれば、なかなかその国としても反対するわけにはいかないと思いますが、今何か、聞いておりますと、西独あるいはスイス、豪州というようなもの、あるいはイギリスなりあるいはフランス、そういうような国はまだ働きかけていないのですか、いるのですか。あるいは日本の方が言っていないのか。主として先進国家は向こうから働きかけてくるというのが普通だと思いますが、まあ外務省がこういうことに当たられておるのですが、しかし、あなたもそういうふうな点についてはお聞きになっていると思いますが、およその方向を一つお聞かせ願います。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) 先ほど申し上げるのを漏らしましたのですけれども、イギリスにつきましては三年ほど前からすでに交渉に入っております。二回ほどすでに予備交渉をやりまして、相当問題が詰まってきておりますけれども、なお二、三点で両方の合意が得られませんので、条約締結には至っていない次第でございます。欧州諸国その他工業の発達した国との租税条約の締結ということも、必ずしも一方的にわが国からのみ働きかけるというものじゃございませんで、双方に経済的な交流のあります企業がございますから、やはり租税条約を必要とする国は日本のみならず相手国も必要なわけでございまして、相互的にそういう利害を感じた国が初めて交渉をやろうかということになるのが従来の経緯でございますが、なお今後ともわが国といたしましては、できるだけの機会に経済的、文化的に密接な国とは広く租税条約を締結いたしたいというふうに考えております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 二、三伺いますが、さっき成瀬委員に対する答弁で例をあげられた利子所得の場合は、きわめて日本に有利であるということですが、ところが、説明を聞くというと、日本が有利というよりも、日本の法人ないしは個人が有利だというふうに聞こえるわけなんです。そこで、しからば日本全体が有利から不利か、こういうことになれば、日本が有利の場合は私は二つあると思うのです。ここに規定された一〇%ないし一五%という、これは最高額を本法条約においてはきめておりますから、そこを日本の方では最高にきめた。ところが、シンガポールの方ではその一〇%、一五%以内というこの条約の規定でありますから、かりに一五%のところを一二%にきめたり、一〇%のところを八%にきめるということも向こうとしてはあり得るのです。これはあり得るということですが、そういうことになれば、これは確かに日本の方が有利だと、こう考えられます。  そこで、伺うのは、日本ではこの条約に規定された最高をこの特例法できめたわけですが、向こうの動きについては、やはり条約ができてから受けて、やはり日本と同じように特例法を多分作るのだろうと思います。その動きについてはいかがですか。向こうはやはり日本と同じ最高にきめる動きであるか、そうでない、それよりも低くきめる傾向にあるのか。これは見込みですからね、見込みだけお答え願いたいと思います。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) ただいま御質問になりました配当の課税の問題でございますが、この点につきましては、実はシンガポールの課税は非常に独得な課税をいたしております。と申しますのは、法人が利益をあげまして、それに対しまして日本の法人税に当たります税率の四〇%がかかるわけでございますが、その税を払いましたあとの利益を法人から株主に払うわけでございまするが、そのときに完全な法人擬制説というものをとっておりまして、一〇〇法人が利益をあげまして四〇課税になります。それで六〇を全額配当したという場合を仮定いたしまして、六〇が株主に現実には配られるわけでございます。その場合受け取りました株主としましては、一〇〇配当としてもらったという計算をいたしまして、ほかの所得に上積みに乗っけまして、そうして納めるべき総税額を出すわけでございます。そうしてその全部の所得に入れられました一〇〇の配当については、すでに法人の段階で四〇の税金を納めておるということで、その受け取り株主の納めるべき税金から四〇という税金を控除いたすわけでございます。こういう完全な法人擬制説をとっておりますので、配当が法人から株主になされます場合に、配当そのものについてわが国のように源泉徴収を別に二〇%なり一〇%するということをいたしておりません。この四〇%が源泉徴収だというふうに考えておるわけでございます。従いまして、条約の第六条で言っております配当に対する課税の軽減規定は、シンガポールの現在の税制のもとにおきましては働かないわけでございます。わが国の税制におきましては、法人で得ました利益と、それに対して法人税が課税されてから株主に配られる配当というものに対する課税というものとを区分して考えておるが、そういう考え方をとっておりませんので、そういうシステムになっておるわけでございます。それで、この第六条に関します限りにおきましては、シンガポール自治州において将来法人の配当そのものについて課税をいたします場合のいわば保障となるにすぎないということになるわけでございまするが、わが国といたしましては、そのほかいろいろの条約上の有利さを考えまして、現在のわが国が二〇%を一五%に軽減するということ、しかもシンガポールにおきましては現在はこれに対応するものがないということを考えまして、こういう規定になった次第でございます。従いまして、シンガポールといたしましては、特にこの条約に基づいて配当の税率をいかにきめるかという問題は生じてこないわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 もう一つ、日本全体として有利の場合を想定いたしますと、要するに、日本からシンガポールへ進出している業者個人、こういうものと、シンガポール自治州から逆に日本に進出している法人もしくは個人、こういうものがどっちが多いかということで、日本の方が対比の場合に数が多ければ、これは確かに日本が租税上も有利であるとともに、さらにその租税徴収にあたって相互徴収を行なうというのでありますから、確かに日本政府の手もそれだけ楽になります。こういうことははっきりしておると思うのですが、今のところ日本からどういう形であろうと、法人なり個人なりがシンガポールでこうした法に規定する配当所得などを受ける数と、向こうから日本に来て配当所得といいますか、そういうものを受ける数と比較した場合に、どのくらいの違いになりますか。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) シンガポールの方からわが国に進出しておるという企業形態は、現在のところ全然ございません。向こうから来ておりますのは、技術修習者として参っておる者が若干いるという程度でございます。それから、シンガポールに進出しておりますのは、先ほどの日本航空のほか、商社、銀行の支店がございます。それから、向こうに現地法人を設立いたしましたのが現在のところ一社ございます。従いまして、金額的にははっきりどれだけ有利かということは、今ここで申し上げられませんけれども、この条約によりまして恩恵を受けるのはわが国の企業の方がはるかに多いということは言えると思います。

梶原茂嘉自由民主党

○梶原茂嘉君 シンガポールで現在の現行税制のもとで日本側に課税される総額といいますかね、大体どういう見当なんですか。年によって違うでしょうけれども、大体、まだいろいろの税もありましょうけれども、ひっくるめてどういう額になる見当ですかね。

中橋敬次郎大蔵省主税局臨時税法整備室長

○説明員(中橋敬次郎君) 現在向こうで課税されております総額というのはちょっと申し上げられませんですが、すでに日本航空が一九五八年に運航を開始しまして、一九五八年分として課税になっております額が百五十万円程度でございます。それから、現地で法人を設立いたしておりますものにつきましては、まだ建設中のものが大部分でございまして、ほとんど課税には現在のところなっておりません。ただ、本年からそれに伴います法人の利益が出る予定でございますし、貸付金についての利子の支払いも始まる予定でございます。あと、支店なりそういった現地法人について勤務しておる従業員についての所得税はもちろんあるわけでございますが、それらをひっくるめまして総額どの程度かということは、その数字を持っておりませんので、ちょっと申し上げられません。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 次に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取することにいたします。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○政府委員(藤枝泉介君) ただいま議題となりました北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案の提案理由について御説明申し上げます。  歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島につきましては、わが国固有の領土であるにもかかわらず、昭和二十年八月ソビエト社会主義共和国連邦により占領されて以来事実上同国の支配下にあり、わが国の施政権が及んでいないという特殊な状態に置かれております。このため、これら北方地域の地先の漁場において漁業を営んでいた旧漁業権者等その他北方地域の元居住者は北方地域に復帰することはもとより、その周辺の漁場において漁業を営むこともできないという困難な状況にあります。一方北方地域において旧漁業法に基づく漁業権または入漁権を有していた者等については、前述のような事情に基因するものではありますが、本土において戦後とられた漁業制度改革に伴う漁業権補償の措置をとることができないため、本土側の旧漁業権者等に比し不利な地位にも置かれております。  北方地域に関するこのような特殊事情及びこれに基因して旧漁業権者等の置かれている特殊な地位等にかんがみ、これらの者に対し特別の措置を行なうことにより北方地域に関する施策を講ずる必要がありますので、北方地域旧漁業権者等の営む漁業その他の事業及びその生活に必要な資金を低利で融通する業務等を行なう機関として北方協会を設立し、これに対し国が所要の資金の交付を行ない、もってこれらの者の営む漁業その他の事業の経営とその生活の安定をはかり、あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資するため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の内容について、概略御説明申し上げます。  第一に、この法律による特別措置の対象となる北方地域旧漁業権者等の範囲でありまして、その一は、北方地域の地先水面につき旧漁業法による専用漁業権またはこれを目的とする入漁権に基づき漁業を営む権利を有していた個人であり、その二は、北方地域において定置漁業権または特別漁業権の免許または貸付を受けていた個人または法人の構成員もしくは出資者たる個人であります。その三は、これらの者が死亡した場合における後継者であります。その四は、以上の者のほか、昭和二十年八月十五日まで引き続き六カ月以上北方地域に生活の本拠を有していた一般元居住者であります。  第二に、特別措置の実施の機関として北方協会を設立し、これに対しその業務の財源に充てるための基金として、十億円を国債をもって交付することとしております。この国債の償還期限は十年、利率は年六分としております。  第三に、協会の業務についてでありますが、その一は、北方地域旧漁業権者等に対する低利資金の貸付であり、これは個人に対する貸付のほか、北方地域旧漁業権者等と関係のある漁業協同組合その他の法人に対する貸付、その他北方地域旧漁業権者等の福祉の増進を主たる目的とする事業を行なう市町村への貸付をも予定しております。また、貸付の対象となる資金の種類には漁業その他の事業に必要な資金のほか、生活資金も含めております。その二として、北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるため必要な調査研究及び啓蒙宣伝を行なうこととしております。  最後に、協会の解散及び解散した場合における残余財産の処分につきましては別に法律で定めることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 次に、補足説明を聴取することにいたします。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○政府委員(大竹民陟君) ただいま総務長官から申し上げました通りでございますが、この法律案の趣旨及びその概要につきまして補足的に御説明申し上げます。  歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島及びこれらの北方地域には、もと約三千世帯の者が居住し、その大部分はコンブ、サケ、マス等を目的とする漁業に従事しておりました。すなわち、これら大部分の者は北方地域において旧漁業法に基づいて免許された漁業権に基づいて漁業に従事いたしておったものでありますが、さらにこの地域の専用漁業権につきましては、本土側の漁業会により設定されました入漁権に基づいて入漁いたしておりました本土側の漁民も多数存在いたしておるのでございます。この法律案では、以上の者を北方地域旧漁業権者等と称しておるのでございます。  本土におきましては、御承知のように、戦後、漁業制度改革が行なわれまして、これに伴い旧漁業法に基づく漁業権及び入漁権に対しまして補償金の交付による消滅の措置がとられたのでございますが、北方地域の地先漁場における旧漁業権及び入漁権につきましては、北方地域にわが国の施政が及ばないことの帰結といたしまして、漁業制度の改革が実施できませんでございましたため、補償金の交付は行なわれておりません。  北方地域の旧漁業権者等は、元居住者という観点から申しますならば、北方地域へ復帰することができないという状態にございます。旧漁業権者及び入漁権者という観点からいたしますれば、漁業権補償の対象にもなっておらないという状況でございます。さらにまた、北方地域の地先の漁場はきわめて優良な漁場でございますが、今日安全に漁業を営むことができないという特殊な地位等に置かれております。北方地域はわが国固有の領土でございますが、わが国の施政が及んでいない事情や、またこれに基因して北方地域旧漁業権者等がただいま申しましたような特殊な地位に置かれていること等にかんがみまして、これらの者の営む漁業その他の事業及びその生活に必要な資金を低利で融通する特別措置を講ずることとし、そのための機関といたしまして北方協会を設立し、これに対し国が所要の資金の交付を行なうことといたしたい、またあわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資して参りたい。これがこの法律案の大略の趣旨であります。  次に、この法律案の内容について概略御説明申し上げます。  まず第一に、この法律による特別措置の対象となります北方地域旧漁業権者等、これの範囲を具体的に申しますと、その一は、北方地域の地先水面について旧漁業法に基づく専用漁業権またはこれを目的とする入漁権を有しておりました旧漁業会または旧漁業組合の会員または組合員として、これらの専用漁業権または入漁権に基づき昭和二十年八月十五日において漁業を営む権利を持っておりました個人でございます。その二は、昭和二十年八月十五日において、北方地域におきまして旧漁業法に基づく定置漁業権または特別漁業権の免許または貸付を受けておりました個人並びにこれらの漁業権の免許または貸付を受けておりました法人の構成員または出資者である個人でございます。その三は、昭和二十年八月十五日まで引き続き六カ月以上北方地域に生活の本拠を有しておりました一般元居住者でございます。その四は、以上申し上げましたうち一及び二に該当する者が死亡いたしました場合には、その死亡の当時における配偶者、子供及び父母のうちに以上の場合に該当する者がいない場合に限って、そのうち一人の者が対象となるという仕組みになっております。  第二に、との法律による特別措置の実施の機関といたしまして北方協会を設けることにいたしております。これに対し、政府はその業務の財源に充てるための基金といたしまして、十億円を、償還期限十年、利率年六分の国債をもって交付することといたしております。北方協会は、この基金によりまして北方地域旧漁業権者等に対する低利資金の融通並びに北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるため必要な調査研究及び啓蒙宣伝の業務を行なう法人であります。協会には、役員といたしまして会長、副会長、理事及び監事を置き、主務大臣がこれを任命することといたしております。協会の定款及び業務方法書並びに財務会計上の主要事項につきましては、主務大臣の認可または承認を要するものといたしてございます。なお、協会の会長の諮問機関といたしまして、協会の業務の運営に関する重要事項を調査審議いたしますために、協会に評議員会を設け、評議員は北方地域の旧漁業権者等及び協会の業務に関する学識経験を有する者のうちから主務大臣が任命するということにいたしております。  第三に、協会の業務について申し上げますと、まず低利資金の融通の業務でございます。その第一は、北方地域旧漁業権者等に対するその営む漁業その他の事業またはその生活に必要な資金の貸付でございまして、これは協会が直接これらの者に対して貸付を行なう場合もございまして、またこれらの者が属しております漁業協同組合その他の団体を通じまして転貸という形をとる場合と、両方が予定してございます。第二は、北方地域旧漁業権者等がおもな構成員または出資者となっております法人の営む漁業その他の事業に必要な資金を貸し付けるということでございます。この法人といたしましては、会社組織のものと協同組合組織のものと両方を考えております。第三は、市町村に対する貸付でございますが、市町村が北方地域旧漁業権者等の福祉の増進をおもな目的といたします事業を施行するための資金が対象となっております。以上申しました資金融通の業務のうち、第一と第二につきましては、協会の事務の軽減をはかる意味で、金融機関に対しまして協会の業務の一部を委託することができるという道を開いております。次に、調査研究及び啓蒙宣伝の業務についてでありますが、この点につきましては、北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるため、必要な調査研究及び啓蒙宣伝を行なうことといたしております。  最後に、雑則的な規定についてでございますが、まず協会の解散及び解散した場合における残余財産の処分につきましては、別に法律で定めることといたしております。これは一般の特殊法人の解散の場合と同様な規定でございますが、将来北方地域の施政が回復いたしました場合に、協会の存立目的が達成され、協会が解散をするという事態が生ずることがありますならば、その場合には北方地域旧漁業権者等の利害について十分な考慮を払いつつ、協会の残余財産の処分等につきまして定めるようにいたしたいという考えでございます。以上のほか、協会の設立手続に関する規定、法律施行当初の経過規定等を設けております。  以上が本法律案の趣旨並びに概要でございます。補足説明を終わります。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より藤枝総理府総務長官、田中大蔵政務次官、大竹特連局長のほか、林田水産庁漁政部長が出席しております。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 私、この法案はむしろおそいくらいに思っておるのです。私が昭和二十八年に日本国会議員団団長としてソビエトへ参ったときに、特にブルガーニン、フルシチョフ氏と会見した際に、歯舞、色丹は日本の固有領土であり、ポツダム宣言にもヤルタ協定の内容にも問題になっておらなかった。だから、国交の回復する前であっても返還してもらいたいということを強く要望したのです。ところが、その点は、確かに日本の領土だと思う。しかし国交回復すればあなたの言われるように努めたい、今すぐはできない、いずれ国交回復後に考えようという回答を得てきたわけです。私は帰国してすぐ、時の内閣である鳩山首相に会見し、経過を報告し、この点を強く申し入れ、早く国交回復の努力をしてもらいたいということを強く要望したんです。国交回復の今日、依然として歯舞、色丹問題が未決であることを残念に思っております。この点はむしろ平和条約との関連もあることと思うのですが、さような経過のあることを十分御了承願いたい。  そこで、この法案に直接関係はないのでございますが、今のような経過から見て、施政権を持つ日本国として、この法案を出すのは妥当なるも、現時の事態からソビエトとの間に外務省を通して話し合いをしたこともございますか。この点を一つ藤枝総務長官からお聞きしたい。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○政府委員(藤枝泉介君) 実は、こういう措置をとることについて、外交ルートにおいて歯舞、色丹、あるいは択捉、国後等の問題について、ソ連側と話し合いをした事実はございません。ただ、この四島から引き揚げられた方々の現状というものを土台にいたしまして、かような処置をとることが妥当であると考えたわけでございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 私は、もちろんこの法案に対しては賛成です。けれども、実際問題として、政府でも耳に入っていると思うのですが、あの地の漁民は、現在ソビエトの監視船によって非常に不安を招いているわけです。漁業もなかなか思うようにできないという状態です。そういう不安な漁民生活を守るために特別措置法を設けることはけっこうですが、はたして本法実施によって漁民が安心して仕事ができるのですか。その点の見通しはどうか。私の考えでは、以上の経緯から見てみても、本法が実施されても大した効果はない、こういうふうにとっているのです。そういう点はいかがでございますか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○政府委員(藤枝泉介君) これらの島島の付近がいい漁場であるにもかかわらず、安定な操業ができない現状でありますことは、すでに御承知の通りでございますし、また日本側としては、これらの北方地域の漁業の安全な操業について話し合いたいということは、しばしばソ連側に申し入れておりますが、いまだ十分な話し合いができないという残念な状態にございます。そういう状態でございますから、今後この北方協会が資金を融通して、これらの人々が営みます漁業というものが相当困難な点もあろうかと存じます。その辺は水産庁の方から補足していただきますが、そういう安全な操業もできないような形に置かれているというような事態も含めまして、このような特別な処置をとりましたので、今後この資金を融通してやります漁業等については、十分それが生業として成り得るように、各方面から指導していきたいと考えている次第でございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 総務長官、私は趣旨は賛成なんですよ。当然今までやらなかったことはむしろおそいと思っております。今お話しになっておりましたように、それら問題をも含めて、これから努力すると言われておりますが、先ほど政府側の趣旨弁明によりますると、この機会に北方問題解決の促進をはかりたい、こういう趣旨弁明もありました。そうすると、今後北方問題解決に努力したいというのは、どういう範囲をさしておるのですか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○政府委員(藤枝泉介君) 北方協会でいたします調査研究、あるいは啓蒙宣伝と申しますのは、何と申しますか、これらの引き揚げた方々の身近な身の回りの、生活状態の調査等もいたしておりますが、さらに、そういう身近な問題を中心に考えておりますので、たとえば施政権の返還と申しますか、領土権の返還の問題でありますとか、安全操業の問題とかいうようなことは、これは政府の責任といたしましてやらなければならないものというふうに考えておるわけでございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 総務長官も忙しいから、あと一つだけで、総務長官に対する質問は終わりますが、単にこれは漁業問題としてだけでなくて、日ソ間における政治問題とも関連しておるわけなんです。これは野党の私が主張したからどうということでなく、ソビエトの代表者も歯舞、色丹は日本の固有領土として認めておるのですから、鳩山総理も右領土についても折衝されたと思うのです。それが未決で住民の不安の因であるとしたら、政府は責任がある。外交交渉を円滑にし、一日も早く解決するために努力しなければならない。特に固有領土であり、施政権があるわけなんですから、それが実際においては、安全操業どころじゃない、何もできないという状態なんですよ。実際問題としては、漁獲もできず、コンブ採取か帆立貝を養殖しているだけなんです。そういう事情にあるから、十分総理に相談をされて、この際住民、漁民の期待に沿うことが必要じゃないかと思うのです。本法とうらはらの問題ですから、特に強く要望しておきます。  次に、私が水産庁の方からお聞きしたいことは、本法の対象が歯舞、色丹、国後、択捉に限定されておるのですが、北海道全体としての漁民大会の決定を見ると、北海道全体の漁民生活が不安なんですね。今の四つの島だけでなくて、それと地域を同じゅうしておる宗谷並びに網走、その方面の底置網で生活している零細漁民は、これまた対象の四つの島漁民と環境を同じゅうし、非常な生活上苦悶を続けておるわけです。たとえば日ソ漁業交渉の結果、零細漁民は操業場を失っておるようなわけなんです。これら零細漁民に対する考え方をどうするか、本法と関連して当局は考えたことはありますか。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) 仰せのように、この四つの島だけでなくて、北海道におきましては最近ニシンがとれないというようなことによりまして、北海道の沿岸漁業は非常に困っておるような次第でございます。それで、水産庁といたしましては、沿岸漁業をいかにして振興するかということをいろいろ考えておりまして、次の国会には漁業法改正とか、いろいろそういうことも考えておるような次第でございますが、そういう基本的な制度の問題のほかに、沿岸漁業振興対策といたしまして、たとえば、そういう沿岸にはニシンが来ないわけでございますから、そこに投石と申しまして、大きな石をほうり込んで魚がそこにつくようにいたしましたり、あるいは魚礁というようなものをそこに作りましたり、いろいろそういうことによって魚ができるだけそこへ集まるような施設をいたしておる次第でございます。あるいはまた、そこに帆立貝の漁場が網走の方にあるわけでありまするが、そういうふうな方にも補助をいたしまして、いかだ式で帆立貝の種を作るとか、いろいろそういうふうな魚類を生息せしめたり、あるいは養殖をいたしましたり、そういうことについて施策を行なっておるような次第でございます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 今、漁政部長から、率直にそれを認めて、さらに政府としましては沿岸漁民に対する保護立法を来たるべき国会に提案したいと明確なる答弁があったのでございますが、急速に立案実施されなければならぬと思っておるんです。大企業は、漁業問題調査会の答申から見ても、相当優遇され安定をしておるわけなんです。いつも無視されており、今や零細漁民は漁場を奪われ、職場を失うわけですが、そうしてその失った漁民は生きるために養殖をする。しかし、その養殖をしても、なかなか思うようにいかぬ。現に日ソ漁業交渉の結果、特に網走や宗谷の沿岸漁民七万人は、協同組合を作って、サケ、マスの養殖をしておったわけです。ところが、今度は漁業交渉の結果、これらの諸君は四十五度線から入ることができない。大企業は大量に捕獲をするから、それは問題になるけれども、こうした零細な漁民が捕獲をする小量の問題などについては、日ソ漁業交渉の中で対象としていないと、石塚漁業協同組合長、小松町長等は代表として悲痛な陳情にやってきた。政府はこの点に関しどう反省しているのか。零細なる漁民、しかも数年間にわたってサケ、マスの養殖事業を起こし生活設計を立てようとしているのに、職場を失うような漁業交渉というものは、これはどうかと思うのです。こういう点について、むしろ長官から聞きたいのだが、日ソ漁業交渉に関係をされておる漁政部長であるから、その点答えてほしい。なお、その際に、こうした零細漁民の捕獲に対する問題や、あるいは意見はなかったのですか。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) 私、日ソ漁業を直接担当しておりませんので、詳しいことはわからい次第でございますが、零細漁民が川のそばで定置をやる、サケ、マス定置でございまするが、そういうふうなものは従来通り許されておりまして、それから今仰せのサケ、マスの養殖でございまするが、これは国営で現在実施しておりまして、北海道にサケ、マス孵化場というのがございまして、それが担当をしております。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 河川における捕獲はいいですが、四十五度線以北に入っちゃいかぬということになっており、網を使用する捕獲に対しては許されない。そうすると、この零細漁民はただ釣りばかりならよろしわけじゃないんですか、その場合に対しては四十五度以北に入ってもいいというので解釈していいんですか。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) こまかいことは私よく存じませんので、必要がございましたら担当者をお呼びします。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 じゃ、本日あがるわけじゃございませんから、次の機会に水産長官を一つ……。私はまあその点を一つお伺いして、特に今度の交渉の結果、北海道における零細漁民というのが職場を失って気の毒な状態にありますので、そういうことをお伺いするんでございますが、きょうは専門の係がおらないということでございますから、私はこの程度で質問は終わります。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 二、三お伺いしますが、まず、ただいまの野溝委員からも質問されましたけれども、この法案によりますと、「北方地域に関する諸問題の解決の促進を図るため必要な調査研究及び啓もう宣伝を行なう」、ところが、普通われわれが常識的に考えている北方地域に関する諸問題ということになれば、これは対外国との問題の解決がなければ解決とはいえないと思うのですけれども、総務長官はさっき——まあ帰りましたけれども、しかしそれについては、われわれが考えているような解決は、これは政府の責任であります、こういうことなんです。そうだとすれば、この法律の規定する「北方地域に関する諸問題の解決の促進」、これは一体いかなるものをさすんですか。どなたか答えてくれますか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○政府委員(大竹民陟君) 先ほど総務長官が御説明申し上げましたように、ただいまお話にございましたような領土問題の解決あるいは安全操業問題の解決、これは政府自身が責任を持ちまして直接努力をいたしていかなければならぬ問題でございます。こういうふうな団体といたしましては、政府が行ないますそういう仕事を内面から促進をして参りまするために、いろいろ協力をするというふうな問題があるかと思うのでございます。解決をいたしますことに資するためというふうに考えておるわけであります。先ほど長官からもお話がございましたように、主として身の回りのことにつきまして調査研究をいたしていきたい。今回の措置もその一つでございますが、これら関係者の生活の安定の問題につきまして調査研究をする。で、あるいは財産の問題につきまして調査研究をする、あるいは今後どのくらいの期間かかるかわかりませんが、この島が返ってくるということの時期までには、いろいろ身の回りの問題といたしまして調査研究並びに解決を促進して参らなければならぬ問題が出て参るわけでございます。それらの問題につきまして、そういう努力をいたしまして問題の解決を促進いたしていくと、こういう考えでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 今おっしゃる調査研究ですがね、これはそういう身の回りの調査を概略したから、北方における者は本土側の旧漁業権者に比して著しく不利であると、説明の中に。そういう調査研究の結果が出たから、よってこの法案を出したと、こういうわけなんです。そうだとすれば、そのほかの調査研究でなければならない。身の回りじゃない。それから、あなたのおっしゃる身の回りの調査研究がまだ不十分だから今後やるとするならば、それは北方協会でやらなくても、普通の厚生省でやっている調査であろうと、農林省でやっている調査であろうと、もっとそれこそ立体的にできる調査の機関があるのですよ。協会という政府機関以外のものでそういう調査を、もしするとするならば、それは大へんな人員を要するし、これは一体、そういうのじゃないはずなんですが、どうですか、今度それは。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○政府委員(大竹民陟君) ただいまお話のございましたように、生活関係の調査研究、これは一応政府といたしましてもやったわけでございます。これらの際におきましても、実は南方同胞援護会というのがすでにございまして、それで、政府といたしましては南方同胞援護会と協力をいたしまして、さらに地元にあります千島連盟と申しますか、千島から引き揚げてこられました方々で構成しておられる団体でございます。そういう方々の団体の御協力を得まして調査をいたしたわけでございます。一応のそういった意味の調査はあるわけでございます。今後、島が返還されますまでの間には、またそういった事情も違ってくることがあるわけでございます。それらの事情をよく把握をいたしまして、これを内外によく周知していただくというふうなことも必要なわけでございます。あるいは関係者の財産問題、財産の状況あるいは島にありました財産の状況というようなものも、ぼつぼつ手をつけまして、調査をいたしております。そういう問題につきましても、今後、さらに詳細にこういう資料を集めまして、帰島の際に備えて参りたい、こういう考えを持っております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 言葉は多いけれども、ますます変なんですね。しかし、島に置いてきた資産云々というのを最後におっしゃいますけれども、そういうものは、調査に行くことも、政府の機関をもってしてでも今できないのです。ですから、もし、調査をするといったって、かつて引揚者の調査をしたのと同じように、当人の聞き書きを集大成してみて、そごのあったものをちょっと直すという程度しかできはしませんよ、あなた。だから、これは特別に政府がその調査だけはさしてくれ、本来の国交回復とは別問題としてその問題だけはさしてくれとか、何かそこに政府の責任をもってやることが先行しなければ、それは他の機関においてはできるはずがない。のみならず、統計を作るということは、私が言うまでもなく、それは大へんな作業なんです。大へんな作業を、これを北方協会という民間団体か、あるいは政府の機関か、その中間みたいなものによってできるはずがない。もし、民間の方でできるならば、かつての満鉄調査部みたいなえらいスタッフをそろえて膨大な組織を持たなければ、これはできようはずがないですよ。これは農林関係ですけれども、かりに農林省にあれだけ統計調査部がありましても、あれでさえわれわれはまだその不備をずいぶん追及してきているわけです。ですから、これは調査研究という部分はつい書いてしまった程度のものじゃないのですか、どうなんですか。あと、もう一ぺん言いますけれども、最後にいろいろ周知徹底とかと言われましたけれども、その啓蒙宣伝の方はあらためてまたお聞きします。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○政府委員(大竹民陟君) ただいまお話のありましたような次第でございまして、北方協会でやります仕事の重点は、もとより貸付業務にあるわけでございます。こういう法人が成立いたします機会に、今後こういう法人にお願いをいたしましてやることが適当というふうに考えられるものがございますならば、調査研究もやっていきたい、こういう考え方でございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 それは、私どもはこの法案には賛成するつもりなんです。賛成するつもりだけれども、どうも日本人というのは最大級の言葉を使いたがるのです。だんだん質問していると、何のあれもありませんよ、この調査研究に至っては。ことに調査というものは、聞き書きでも調査になるのでしょう。しかし、日本人の概念からすれば、研究というものはそういうものじゃない。他人から聞いたからこれは研究だという話はあり得ない。ですから、こういうあらずもがなのことは、私はそうむずかしく法案というものは作るべきじゃないというのが年来の主張でありますから、こういうことを申し上げておる。特段のことがない限りは、こういうぎょうぎょうしい大上段に振りかぶったような文句はやめた方がいい。  それから、次に聞きますけれども、啓蒙宣伝とは、一体だれを対象にして啓蒙宣伝をやるか。これもまた北方問題の解決あるいはその促進ということになれば、これは国連にその啓蒙宣伝するか、あるいは関係国ですよ。まあソ連に言うなら、ソ連の方の言い分からすれば、それじゃアメリカとの仲では百七十五度線ですか、あれまでは制限されておる、そっちも何とかしろ、こういう言い分になるでしょう。だから、カナダ、アメリカにも啓蒙宣伝をしなければならぬという必要も起きてくるかもしれぬが、少なくとも引き揚げてきた人たちに対して啓蒙宣伝してみたって、何にもならない。だから、この啓蒙宣伝とは何を対象にして、何を啓蒙宣伝するのですか。

大竹民陟総理府特別地域連絡局長

○政府委員(大竹民陟君) ただいま御発言のございましたように、領土問題あるいは安全操業問題、これらは啓蒙宣伝と申しましても、根本の解決はもとより政府の責任でございまして、政府みずからが外交によって行なうべきものであると私どもも承知しております。ただ、北方地域の関係者が今日どういう状況に置かれておるか、北方地域の問題がどういうふうになっておるか、これはやはり国民といたしましても当然関心を持たなければならぬ問題でございまして、北方協会は関係者の集まりでございますから、自分自身に対して宣伝をする必要はもちろんございません。ややもいたしますと、国内での関心が薄れるということもあり得るわけでございまして、さような場合におきまして、国内の方々に問題をよく了解をしていただきたいという意味の啓蒙宣伝ということでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 ですから、そういうお答えなら、これもまた政府が今の機会にやればいい、そういうことでありまして、別段これもぎょうぎょうしく大上段に振りかぶる必要はさらさらない。私はそう思います。これは意見ですから、質問の際はやめておきますが、  次に、先ほどの説明の中で旧漁業権者というものの規定を説明されました。その中で「当該免許に係る漁業権の貸付けを受けていた者」、その「受けていた者」が分類されて、「その者が法人である場合には、その構成員又は出資者」、こういう説明をされました。その免許を受けていた者が法人である場合は、その構成員というのは当然出資者を含むものというのが普通の解釈です。かりにどういう法人でも、できる場合はまず定款が出て、出資者が出て、それから初めて使う人というのがそこへ出てくるのです。ところが、出資者は別にしているのだね。そういう概念は少なくとも日本の法律解釈で私初めてのような気がするのですが、どんなものですか。この場合だけ出資者を別にする。構成員じゃないのだ。出資者は別にした構成員というのは何をさすのか、昔でいえば、法人の構成員は出資者だったのです。しかし、商法の改正かなんかで概念は変わってきましたけれども、そういうものなんです。昔なら、普通の言葉でも、銀行に勤めている人を銀行員と言わず、銀行に勤めている者は職業分類にすれば商業使用人という分類だったのです。構成とは、出資した者が構成であった。ところが、その出資者は別なんだ。この法律解釈はどういうことになるのですか。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) この第二条の二項二号でございますが、これは定置漁業権と特別漁業権の場合でございまして、特に定置漁業権は法人が定置漁業権を持っている場合と個人が持っている場合と両方ございまして、その場合法人の場合におきましては、組合が持っている場合とか、あるいは会社が持っている場合とかいうふうに、いろいろその団体が違うわけでございます。その場合に、組合のような場合におきましては構成員とか、それから会社のような場合には出資者たる個人、というような使い分けをしておるわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 これを議論してもしようがないことなんですがね。組合の場合には構成員であると同時に出資者なんです。だから、その出資者だけを別にするというのはおよそ妙なんです。そうすると、組合の場合はいわゆる組合員、それが構成員である、会社の場合はその出資者なんだ、こういう解釈をこの法律でとっているとするならば、新しい使い分けだけれども、それはそれでよろしい。そうすると、そこに使われた者というのは全部保障されますね。そういうことになりますね、どうなんです。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) 使われておりましたような場合は、この二項の三号によりまして、そこに生活の本拠を半年以上持っておったというようなものはこれに該当するようにして対象にするようにしております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 そういうものはちゃんと「使われている者」とびしっと明示した方がいいんで、三項の場合は、「昭和二十年八月十五日まで引き続き六月以上北方地域に生活の本拠を有していた者」と、こういうことなんであって、これは一般概念で、法人に使われている者という解釈にしては少しあいまいです。しかし、今の答弁でちゃんと使われている者も保障されるのだということを確認してよろしゅうございますね。よろしいですね。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) 六カ月以上おりました者はこれの対象になるわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 それじゃ、それはそれでいいでしょう。  この協会が行なう業務のうち、必要な資金のほか生活資金も含める、こういうことを明示しております。そうしますと、生活資金というのは一般的には国民金融公庫、これにたよるのが今日までのやり方だった。そうすると、この北方地域におられた旧漁業権者、もしくは今の答弁による従事者、こういう方々は国民金融公庫も利用できれば、この北方協会からの生活資金の貸付も受けられる、こういうのか。あるいはまた、北方協会から借り受ける方が有利である、これは金利的に有利であるというものも一つであるし、借り受ける手続がきわめて簡単であるというのも一つであるし、あるいは資金が潤沢であるから申し込んで断わられるようなことはないというようなことも想像される、こういうことなんですが、その第一の国民金融公庫も利用できれば北方協会も利用できる、こういうのであるのか、私が二番目に例をあげたいろんな点で北方協会から借りた方が有利である、こういうことですか、またそのどっちでもあるのか、その点について一つ……。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) これは先生のおっしゃいましたように、北方協会からも国民金融公庫からも借りられるということでございますが、ただ、この北方協会から貸します場合は、一般の制度融資よりも少し有利な金利で貸し得るようにいたしたいというように考えておるわけでございます。たとえば国民金融公庫でございましたならば三分五厘くらいだったと思いまするが、これで貸します場合には、三分くらいで貸せるようにしたいというふうに考えております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 あなた、これは答弁そのままでよろしいですかね。そんなことはないですよ。国民金融公庫だったら、一割二分くらいにつきますよ。それで三分だの三分五厘だというのがあろうはずがない。私、それで今質問しようとさえ思っていた。ですから、北方旧居住者に特別な措置をするというのならば、せめても輸出入銀行の四分五厘くらいで貸してあげたい。それはもう政府から借りる十億自体が六分ですから、それを逆ざやにするとすれば、その予算措置は一体どうするかという問題になるのです。何か間違っていやしませんか。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) 国民金融公庫の——私ちょっと言い間違えましたのですが、国民金融公庫ではなくて、厚生省が一般に引揚者とかあるいは生活困窮者に対しまして生活資金としまして三分五厘の資金を貸し付けておる金融があるわけでございます。それで、その制度よりもなお五厘くらい安いところの三分程度で貸し付けたいというように考えておるわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 わかりました。それはまことにけっこうだ。まことにけっこうですが、そうすると、政府から借りを十億というものは六分ですよ。その六分のものを三分で貸してくれる。初めから私は政府の方も利息取らぬで三分というなら話はわかるのだが、片方は六分で、片方は三分で貸して、その利子補給はどうしますか。

林田悠紀夫水産庁漁政部長

○説明員(林田悠紀夫君) これは十億円の公債を交付することにいたしておるわけでございます。それで、それに六分の金利がつくわけでございまして、従って、六千万円北方協会が金利を受け取ることになるわけでございます。それで無利子の金で六千万円入る。従って、そういう金を原資にいたしまして貸し付けていくということにしておるわけであります。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 まことにけっこうな答弁です。それは大蔵省は間違いありませんね。逆に金を借りて利息は取るのだと、北方協会……。間違いないですね。

上林英男大蔵省主計局法規課長

○政府委員(上林英男君) ただいま御説明ありましたように、北方協会に対しまして十億円の交付公債を渡すわけであります。それを基本財産といたしまして、北方協会は業務を行なうわけでございますので、その公債には六分の金利を付することにいたしております。六分の金利をもらうわけであります。それによりまして貸し付けを行なっていくということでございます。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 質疑はなお後日に譲ります。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 次に、機械類賦払信用保険特別会計法案を議題とし、補足説明を聴取することにいたします。

上林英男大蔵省主計局法規課長

○政府委員(上林英男君) ただいま議題となりました機械類賦払信用保険特別会計法案につきまして、その提案の理由につきましてこれを補足して御説明申し上げます。  提案理由におきまして御説明申し上げましたように、中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興をはかるため、機械類の割賦販売契約による取引につきまして信用保険を行なう制度を確立することといたしまして、政府は別途今国会に機械類賦払信用保険臨時措置法案を提案いたしました。すでにその成立を見ておるわけでございます。この保険事業につきましては、他の政府の行なう保険事業と同様に、一般会計と区分して経理し、その収支を明確にするため特別会計を設置することが必要であると認められますので、ここにこの法律を提案することといたした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、この特別会計は機械類賦払信用保険に関する経理を行なうことを目的とするもので、通商産業大臣が管理することとし、一般会計からの繰入金に相当する金額をもって資本とすることとしております。なお、昭和三十六年度予算におきましては、一般会計より二億円の繰り入れを行なうことといたしております。  第二に、この会計の歳入は、保険料、保険金支払い後に納付される回収金、一般会計からの繰入金及び付属雑収入とし、歳出は、保険金、事務取扱費、一時借入金の利子その他の諸費としております。  その他、この会計の予算及び決算の作成、提出、利益及び損失の処理、余裕金の預託等について、おおむね他の特別会計と同様の規定を設けることとしておりますほか、この特別会計の設置に伴って必要な関係規定の整備を行なうことといたしております。  以上、この法律案の提案の理由について補足して御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 質疑のある方は順次御発言を願います。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 本法は機械類賦払信用保険臨時措置法、この法律を受けてできておるのでありますから、問題はその本法の方でございますが、この保険契約の保険金というのは、保険額が契約をした後に受け取るべき金額、そういうことですから、かりに百万円のものであれば、頭金が十万円なら十万円を引いた九十万円、それでその九十万円に対して五〇%の保険をつける。よって四十五万円。同じ百万円の場合に二十万円頭金を出すならば、これが八十万円だから、八十万円が保険価額になって保険金額は四十万円、こういうことですね。そうですね。

上林英男大蔵省主計局法規課長

○政府委員(上林英男君) 大体御趣旨はその通りでございますが、今たとえば百万円の機械でございまして、頭金が二十万円でありますると、八十万円が保険にかけられるわけであります。ただ、その事故が起きました場合の国が保険契約で負いますのが半分、要するに填補率五〇%でございまするが、その場合に五〇%の補てんを行なう。あと回収金がございましたときには半分々々で、あとの半分は割賦販売をいたしましたメーカー等が負うわけでございます。あと回収金がございますときには半分々々で負う、こういうわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 今の質問は実は次の質問——次の質問分もあなた今少し答えられたんですが、問題は、保険金の支払いを受けたある業者があったと、こういう場合に、保険金を受けたらもうそれでよろしいわというのでは、国としても困るし、当人も五〇%しか受けないのでありますから、さっき言う八十万円に対する五〇%、四十万円ということになれば、当人が百万円のものに対して総計六十万円しか受けないので、当該業者も四十万円損する。しかし、国の方も保険料は取っておるとはいうものの、あとそれが回収できないということではこれは困るということになるので、その代金回収の義務を当該業者に課しておる、こういうことですが、もしこれを一向に、もう過ぎたことだから、業者にすればさようなことで努力するよりも新しく製造した方がよろしいということも、業者としてはあり得ることなんです。あり得ることなんですが、義務を課したという義務は、何か特別な罰則でも伴いますか。それは罰則と私の言う意味はあれですよ、簡略して申し上げたのであって、必ずしも刑法上の懲役とかそういうものを意味するのではなくて、次の契約を政府の方で手かげんするとか、そういうものを含めておるのですが、どういうことですか、それは。

上林英男大蔵省主計局法規課長

○政府委員(上林英男君) 具体的には、この法律に基づきまして保険約款ができるわけでございまするが、その保険約款におきまして、法令その他契約に違反をいたしますときには契約を解除し得るような規定を置かれるのが通例でございます。この場合におきまする保険約款においても同様に考えておるわけでございます。従いまして、こういうような代金回収義務につきまして、著しくその代金回収の義務を怠るというような場合には、保険約款に基づきまして、場合によりましては契約を解除し得るというような道もあるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、すでにある程度のメーカー等がこれをやっておりまして、相当、そのあとこういう割賦賦払いをやります場合には調査もいたし慎重にやって参っておりまするわけでありまするし、また事故の起こりました場合におきましても、相当の回収率などを示しておる状況でございまして、そういうようなところからいいましても、また填補率五〇%でございまするので、直接自分のふところにも響くわけでございまするから、相当の回収の努力は払うべきものだと私どもは考えておるわけであります。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 ですから、刑法上の罰則はない。けれども、行政的には次の保険で手心をするなり解約するなり、何かのそういう処置ができると、こういうふうに解釈してよろしいのですね。  次に、この保険の種類ですが、これはここには工作機械、鍛圧機械、建設機械、こういうふうに三つに分類されておる。ところが、この鍛圧機械や建設機械の方は、およそわれわれが頭にすっとそのまま浮かぶ程度のものなんです。工作機械に至っては、これは種々雑多なんですが、これは全部含めるのですか、どういうことなんですか。工作機械の機種については政令か何かで指定するのですか。どういうことなんですか。

佐橋滋通商産業省重工業局長

○政府委員(佐橋滋君) 工作機械、ただいま御指摘のように、いろいろの種類がありますが、この機械類賦払いの保険に載せるのに適当だと思われるものをさらに区分をして指定する予定でおります。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 その予定はできておりますか。それで、何で指定します、どういう形式で。

佐橋滋通商産業省重工業局長

○政府委員(佐橋滋君) 一応案は持っておりますが、これは政令で指定をする予定でございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 先ほど法規課長の方からも答弁がありましたが、相当のメーカーという言葉が使われました。ところが、私どもの考えでは、相当のメーカーというだけでは困るのであって、これは小さいメーカーであっても、まあ一口でいえばドイツ式に完成品がやはり売れるように日本国としては育成していかなければならない、こういうふうに私どもは意見を持っておるのです。  そこで、お聞きしますが、それを大メーカーでなしに中小メーカーであっても、一人前にその専門々々の工作機械が、しかもいいものがどうしてできるか、ここが問題であります。それはこの法律とはいささか離れる私は例をあげるのですけれども、工作機械の一番基本的なものは定盤といいます。これはどんなに機械が発達したって、一番基礎的なものでありますから変わりはありません。これから私は万劫末代まで、どんな工場でも定盤だけは変わりないものだと思う。たとえば六フィートなら六フィート、それに三フィート、こういうようなものが、定盤というものがいかなる機械工場にもあるのです。要するにこれは平面な盤なんです、単なる。言ってしまえばそれだけなんです。ところが、この平面の盤といえども、なかなかこの正しいものが中小企業では確保できない。こういうことを法律を作る方たちは案外御存じないので、まあ重工業局長などはそういうことをしっかり頭に入れておいてもらわなければならない方なんです。なぜ定盤が平らにならないかといえば、鉄や鋳物がそれほど狂うということなんです。打ちっ放しのものが、六尺と三尺の定盤であれば、その高いところと低いところでは二寸ぐらい違っちゃう、三年も置いておけば。よってそのいい定盤を備えるということのためには、鋳物を吹いて、それを二年ぐらいほうっといて、荒吹きをして、そしてまた一年ぐらいほうっといて、ちゃんと仕上げなければ平らのものができない。鉄がそんなに狂うなんということは、案外法律を作る方の人は知らないのですけれども、問題の核心は実にここにあるのです。でありますから、中小企業機械製造業というものを育成するには、在庫融資という言葉がよくはやりましたけれども、滞貨融資でなくて、正常なる在庫融資をしなければ実はできない。そこで、大メーカーというのはどういうのかというと、そういうことをやっておるのです、現実に。鋳物を吹いて、最低半年ぐらいは外へ置いて、雨ざらしかなんかして、それから荒吹きというのをやる。どんな機械でも荒吹きをやって、それからまた二年も三年もほうっといて、初めて本仕上げをやる。こういうことによって全然狂いが出ないものができる。よってそれが外国へ送る場合には、中小業者の一つの旋盤をなにしたら、もし一部の部品が壊れたという場合に、その部品を持っていっても絶対に合わない。十の旋盤を作れば十とも全然別のものということにまあなる。講義のようなことにわたってあれですが、そういう事実を重工業局長あたりは御承知でありましょうから、今までも大企業を育成するならばこの法律だけで私は十分だと思う。そしてその対象になる中小企業は確かにこの賦払いで済むのでありますから、設備近代化に役立つと思う。けれども、逆に製造者自体が中小企業の場合は、そうした在庫投資に対して何らかの措置をとらなければ日本の機械工業の近代化ははかれない、こう思いますが、その点についてはどう考えておられるのか。

佐橋滋通商産業省重工業局長

○政府委員(佐橋滋君) ただいま御指摘のように、本法の適用を受けます売る方の側のメーカーというのは大企業ばかりでなくて、むしろ中堅企業以下の中小企業が非常に多いわけであります。これに対しましては、先般今国会で通過をいたしました機械工業振興臨時措置法という法律がありまして、こちらの方で、それぞれの工作機械の品種別にそれぞれ性能だとかあるいは適正規模だとかいうような合理化目標を作りまして、これに対して融資を実施をいたしまして、急速にそういったメーカーの方面での合理化といいますか、優秀な機械を作り得るような措置を講じて参りたい、こういうように考えておるわけであります。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 その別途の措置において、この機械のそれぞれの必要なる期間を寝せておこうという融資措置を講じておるんですか、どうなんですか。

佐橋滋通商産業省重工業局長

○政府委員(佐橋滋君) 今申しました機械工業振興臨時措置法は、それぞれの機械業者が設置をいたします設備の機械についての融資でありまして、ただいま先生御指摘のいわゆる在庫の、あるいは今ストックというような点については、この法律では見ておらないわけであります。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 もう一言。これはきょうあがるわけじゃないでしょう。とすれば、これはもともと与野党とも一致して、わが国の近代化、その方向にだれも異論がある者はまずない。ないんだけれども、案外基礎的なものを忘れてしまう。これは政治的にちょうちょうはっしと論戦を展開すべき筋のものではございませんので、そういう素材というものに対する認識を、私はときどき変わる政府などというのじゃなくして、重工業局あたりでしっかりつかんでおいてもらいたい。これはもう私の要望ですから、きょうのところはこの程度でとめておきます。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会

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