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38回国会参議院1961/04/25

大蔵委員会 第21号

発言数
56
登壇者
7
会派数
4
開催日
1961/04/25

会議録

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。  製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、以上両案を一括議題とし、順次、提案理由の説明を聴取することにいたします。

田中茂穂自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(田中茂穂君) ただいま議題となりました製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案につきまして、提案の理由とその概要を御説明申し上げます。  まず、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、日本専売公社製造たばこの最高価格を定めている価格表の一部を改正するものであります。  その概要を申し上げますと、葉巻たばこについては昭和二十一年以降販売している国産のものは「アストリア」だけであり、最近は相当数量を輸入品に依存しておりますが、戦前における国産葉巻たばこは九銘柄の多きを数えたこともあり、またその販売数量も輸入品を含めた現在の販売実績を相当上回るものでありましたので、葉巻たばこの今後の需要の増加を考え専売益金の増収をはかるため、昭和三十六年二月一日から高級葉巻たばこ「パンドール」を、同じく三月十五日から中級葉巻たばこ「グロリア」をそれぞれ試製して販売中であります。「パンドール」及び「グロリア」はいずれも売れ行きが良好と見込まれますので、今後継続して販売するため、これらを価格表に追加しようとするものであります。  また、現在販売中の葉巻たばこ「アストリア」の型式は長さ及び太さの両面から規定されていますが、今回太さという表現を改め、「パンドール」及び「グロリア」と同様に中央部の外周という表現をとることにいたしました。   —————————————  次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例に関する法律案について申し上げます。  政府は、今回シンガポール自治州政府との間に所得税及び法人税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため、別途御審議を願っているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提案することとした次第であります。  以下この法律案の内容について簡単に御説明申し上げます。  まず第一に、配当所得に対する所得税の税率の特例を定めることとしております。すなわち、現行の所得税法では、非居住者または外国法人が日本法人から支払いを受ける配当に対する所得税の税率は二〇%になっておりますが、今回の条約によりますと、シンガポールの居住者である個人または法人が支払いを受ける配当で日本国内にある恒久的施設に帰属しないものに対する税率は一般的に一五%をこえることができず、特にシンガポールの法人が日本法人の議決権ある株式の二分の一以上を直接または間接に所有しているときには、一〇%をこえることができないこととなっておりますので、この条約の規定を受けて、この法律案では、これらの場合における所得税の税率を前者にあっては一五%、後者にあっては一〇%とすることにしているのであります。  第二に、シンガポールの租税の徴収につき必要な事項を定めることとしております。今回の条約によりますと、租税条約によって認められる軽減その他の特典がこれを受ける権利のない者によって享受されることがないようにするために、日本、シンガポール自治州両政府は相互に相手国の所得税または法人税を徴収することができることになっておりますので、これに基づき、わが国におけるシンガポールの租税の徴収は、シンガポール自治州政府からの嘱託に基づき、国税徴収の例によって行なうこととする等、所要の規定を設けることとしているのでございます。  最後に、今回の条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしておるのであります。  以上が製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案についての提案の理由及びその概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 補足説明及び質疑は後日に譲ります。   —————————————

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 次に、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は、順次、御発言願い  ます。  政府側よりは田中大蔵政務次官、小熊経済課長が見えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 前のこれに関連する法律の審議のときにも議論が出たのですが、電力会社の資本組み入れが非常におくれている、資本組み入れの比率が非常に低位であるということですが、これは理由は一体どこにあるのですか。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 電力会社の資本組み入れの率は、ただいま御質問がございましたように、非常に低いわけでございます。これは、電力会社は総資産中におきます固定資産の比率が他の産業に比べまして非常にウエートが重いわけでございます。それにつきまして再評価をいたしたわけでございますが、これに見合うところの収益率と申しますか、それが料金が押えられておるというような関係もございまして、なかなか資本へは組み入れることができないというのが現状でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 電力会社の資本の組み入れがなかなか困難だということを逆に解釈すると、あなたが今言われておるように、利益率が低いということもあるでしょう。そういう意味で配当の問題も出てくるでしょうけれども、そうすると、いつまでもこれは電力会社の場合には資本組み入れが低いというままで推移するんですが、そういう考え方はいたし方ないとしているんですか。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 電力会社は現在配当が一割でございます。従いまして、この資本充実法によるところの配当制限には直接かからないわけでございますが、ただいま先生のお話がございましたように、この再評価積立金というものは早晩には、最終的にはこれは廃止いたしまして、そうして何らかの措置をとらなければならぬわけでございます。ただ、現在の状況を見ますと、企業全般といたしましても再評価積立金の資本組み入れというものが低位にあるわけでございます。今までとった措置も、あるいは今回とる措置も、その最終的な処理に至るまでの一つの暫定措置として考えておるわけであります。従いまして、電力会社、あるいは電力会社のみでなしに、たとえば私鉄というようなものにつきましても、今後の問題につきましては早急に検討いたしまして、そうしてどういうふうな対策を講ずるかということを真剣に検討いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは初めて出された問題ではないし、資本の組み入れというものが非常におくれているということは、これは今指摘されるまでもなく、前々から議論をされているところなんで、今大蔵省の方で検討をしてどうするか考えたいというようなことは、これは非常におかしいのじゃないかと私は思うのですかね。  そこで、調査室の方から出されている資料を拝見すると、再評価差額というものは一兆三千四百三十五億というように出ておりますが、これは間違いないですか。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 間違いございません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは資本組み入れが実際におくれている場合に配当の制限をするということで、まあ積極的に企業資本の充実をはかりたいという大蔵省の趣旨ですけれども、しかし、法律改正によって配当制限の適用を現実に受ける会社というのは、資料によると九十六社しかない。こういうことでありますれば、この法律が実際にどれだけの効果を企業資本の充実の上に発揮をするかという点では、疑問が出てくるのではないかと私は思うのですがね。その点、いかがですか。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) ただいま御指摘のように、再評価積立金の資本組み入れのために、配当制限を強化いたしまして、資本組み入れを間接的に強制するわけでございます。これによりまして、ただいまお話のございました直接適用を受けるところの会社というものは大体その程度の数でございますが、これによりましてどれだけの効果があるかという御質問だろうと思いますが、もちろん、あらゆる会社が該当するわけではございません。中には成績のよい会社もございまして、自主的に再評価積立金の資本組み入れをはかっていくということはもちろん考え得るわけでございます。われわれといたしましては、最高のレベルというよりは、むしろ低いレベルのものをそういうふうに間接的に強制いたしまして、まあ抱き合わせ増資というようなものに踏み切りまして自己資本の充実をはかっていく。もちろん、相当成績のよい会社もございますが、これは今までも成績がよかったのであります。従いまして、そういうものはますますそういうような態度で臨むということを期待しておるわけであります。  なお、今回の措置といたしましては、従来ございませんでしたが、相当程度再評価積立金の資本組み入れも促進された、すなわち再評価積立金の八〇%以上を資本に組み入れたというような会社、あるいは資本金に対しまして再評価積立金の残額が一割にも満たないというような、そういうような非常にウエートが少なくなった会社、こういう会社につきましては再評価積立金勘定というものを廃止いたしまして、そうしてそれを商法上の資本準備金に組み入れることができる、こういうような道も開いたわけであります。そういたしますと、もう相当成績がよくてそこの段階に至ることができるというような会社でございますると、再評価積立金勘定というようなものによって自分の企業の経理につきましていろいろな制限を受ける、こういうようなことのないようにしようというわけで、そういうような商法の本然の姿に立ち返るということを希望する、それによって抱き合わせ増資その他によってもう一段と飛躍いたしましてきれいな姿になる、こういう措置も考えられるわけであります。そういう意味でございまして、一方成績の悪い方につきましては、配当制限を強化していく。それから、ある程度成績のよいものにつきましては、ますます促進して再評価積立金勘定というような終戦後における特殊な事態の際に発生しましたそういう特別な勘定をなくしていける、こういうような促進の意味も含めましてそういう措置をとっております。そういうことによりまして、あわせまして自己資本の充実ということがはかっていける、そういうふうにわれわれとしては期待しているわけでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 電力の場合の再評価積立金の残額は三千七百七十億円というのはわかりましたけれども、業種別に大体額の多いところから順次どの程度の残高を持っているか、差額を持っているのか、お示しを願いたい。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) これはちょっと調査が古いので恐縮でございますが、三十五年の九月末現在で申し上げます。大きいので申しますると、再評価積立金の残額は、鉱業、これが四百二十億五千六百万円、それから繊維業が三百七十四億七千五百万円、それから化学工業が三百七十八億七千八百万円、第一次金属が八百八億六百万円、電気機器が二百五十一億八千万円、輸送用機器が二百二十八億六千四百万円、それから陸運業が四百十三億四千五百万円、これは各業界におきます各業種別の再評価積立金の残額で大きいものでございますが、これはもちろん会社ごとの多寡がございますので、一社平均その他にしますといろいろなニュアンスが出て参りますが、グロスで見ました場合の再評価積立金の残額の大きいものの例でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 四十年まで法律の適用をする、そうして四十年以降新たに考えるのですが、四十年と区切りをここで設けた理由はどこにあるのですか。四十年までには再評価の組み入れもほとんど終わるのではないかという見通しがあって四十年というふうにきめられた、どういう根拠なんですか。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 当初申し上げましたように、今回の措置も一応の暫定措置でございまして、今回の措置によって全部最終処理が完成をするというわけではございません。しかし、われわれといたしましては、なるべく企業の自主性によりまして、そうして再評価積立金勘定が漸次なくなって本来の姿に返っていくということが望ましいと考えておるわけでございます。そういうような意味合いをもちまして、現在の再評価積立金の組み入れの状況を見ますと、まだ電力とかそういうもの、電力というようなものを除きましても、四〇%程度しか組み入れられておらないわけでございますから、すぐ最終処理を考えるというのは適当な段階ではない。従いまして、われわれといたしましては、ほかの特殊な企業を別といたしまして、その他の企業といたしましては、もう一ふんばりすれば最終処理ができるという段階へもっていきたい、そのめどといたしまして一応三年間というふうに考えたわけでございます。  この配当制限の措置は三十二年から始めまして、当初は三年間の暫定措置だったわけでございます。その次に二年間の措置だったわけでございます。それから今回考えておりますのは三年間の措置と、こういうふうに考えておりますが、その三年間の措置のうち、初めの二年間とあとの一年間というものを、配当制限の程度というものを変えまして、第一次段階と第二次段階に分けまして、最初の二年間の第一次段階では、ある程度現在までとってきた措置につながるように若干強化しながら、ある程度それを強化するというような方向で進み、それから最後の一年間におきましては、さらにそれを強化するというような方向で考えまして、当初われわれといたしましては、二年間程度の措置にいたしまして、それで一年目と二年目でさらに強化していくという方法も一応観念的には考えたわけでございますが、再評価審議会の委員のメンバーからなる懇談会におきましていろいろ御審議を願ったわけでありますが、企業の立場といたしましては、結局は増資の問題にからむものでありますので、毎年々々増資ということは、これは会社によってはあり得るかもしれませんが、そうしょっちゅう増資ということもなかなかむずかしい。従って、一応将来の見通しを示していただいて、そして最初の二年間というものはある程度準備期間というような意味を含めまして一定の措置を考える、それからその次にもう一段階考える、こういうふうにした方がスムーズにいくということでございます。われわれといたしましても、三年間程度の措置であるならばいいんじゃないかというふうに考えたわけであります。従いまして、三年間のこの措置によって、普通の企業であればもうちょっとすればもう最終処理の準備ができるという段階に、各産業は大体そういう水準までいくのじゃないか、こういうことを目途として、ただいま申し上げましたような三年間の措置を考えたわけでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 補足説明を実は聞かなかったから、そのときにあるいは説明されたか知りませんけれども、資本の組み入れがおくれている場合には、配当制限をもって資本の組み入れを促進しようという考え方は、従来の法律よりさらに積極的なシビアなものに今度はなってきたと思うのです。そこで、もっとその拘束力の強いものにしたという根拠は一体どこにあるのですか。それは、その当初の計画というか、目標というか、そういうものよりかなり資本組み入れがおくれているということから、この際もっと締めつけて、配当制限を強化して、資本の組み入れを増加させようという考え方でなされたのか、あるいはもっとほかに目的があるのですか。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 再評価積立金の資本組み入れの促進は三十二年から始まりましたが、その際も一応配当制限という措置によって間接的に強制していく。まあ企業といたしましては、資本組み入れができないのであるならば配当率を下げて配当制限を免れる、こういう措置と、配当を維持したいのであれば再評価積立金を資本に組み入れる、こういういずれかを選択する方法が考えられるわけであります。われわれといたしましては、三十二年から三年間の措置と、それから三十五年から二年間の措置と、二つの段階を経て今まで至ったわけでございますが、その実績を見ますと、確かに再評価積立金の資本組み入れにつきまして、配当制限を設けあるいはそれを強化した段階におきましては、資本組み入れがぐっと伸びておるわけであります。それとあわせて、抱き合わせ増資によって増資の促進というものがはかられておるという実績は確かにあるわけであります。  ただ、その場合におきまして、その後たとえば三年間の措置あるいは二年間の措置でございますと、その前の年にそういう措置が行なわれて、あとの三年間なり二年間というものは全然行なわれないわけではございませんし、そういう再評価積立金の資本組み入れ措置というものは、もう配当制限を受けない立場でございますから、比較的少ないと、こういうような格好になっておるのが過去の実績でございます。従いまして、われわれといたしましては、まあこれをさらに強化していくということはただいま先生のおっしゃった通りでございます。また、その強化の仕方も、これはまあ増資が行なわれて参りますと、おのずから配当率そのものも下がって参っておりますから、そういう関係から申しますと、現在の配当制限というものは事実上は配当制限をしていないのと実質的にはそう変わりはないと言ってさしつかえないわけでありまして、配当率大体年一%かその程度ずつは下がってくると、こういうことも考え得るわけであります。そういう意味から申しまして、その配当制限はそういう観点をも考えまして、さらに組み入れ比率の段階区分というようなものは、現在の三割、五割というようなことによって配当制限率が変わっておりますが、それを三割、五割、さらに七割、それから第二段階になりました場合には四割、六割、八割と、組み入れ区分というものもさらに強化いたしまして、そうして総合的に促進をはかって、しかも自己資本の充実をはかっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは非常に初歩的な質問なんですがね、その再評価積立金を資本に組み入れないことによって、企業の方としてはどういう利益を得るのですか。それを渋る理由ですね。基本的にどうしてそれを渋るのですか。何か、しない方が企業にとっては利益であるから渋るのでしょう、企業にとってはそれはその経営の健全化には役立たぬわけですけれども、しかし企業としては、そういう法律まで設けて、それを強制しなきゃならないことになっているが、どうして法律まで定めてやらざるを得ないのか。企業としてはやらない方が得な面があるわけですね。どういう点でやらないのか。それから、税の関係もあるのでしょうし、いろいろあるのでしょうが、その点、簡単に指摘していただきたいのですが、どの点とどの点と。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 一番最初に申し上げられますのは、資本組み入れによって配当負担がふえるということでございます。従いまして、収益力が一定であるとするならば、配当率を下げないと配当ができない。そうすると、ほかの企業とのバランスからいって端的に申しますと、ほかの企業が若干収益力が強いと、自分の企業としての成績が端的に外部に出しまう。それは競争関係から申しますと好ましくないという問題があるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 税制の問題から考えたら。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 税制の問題といたしましては、もちろん、これは配当いたしますと、それだけ税金がかかる。一割の配当をするとなれば二割の原資が必要だ。これは先ほど申し上げました収益力との問題でございますが、幸いこの点につきましては、今度税制の改正によりまして、三八%が二八%に下がるというような面もございますので、まあそういう意味では若干抱き合わせ増資と、むしろ再評価積立金の資本組み入れによる抱き合わせ増資ということもだんだんやりやすくなるということも言えると思います。しかし、それはあくまでも各企業全般の問題でございます。まあそのほかにもいろいろあるかと思いますが、一応思いついた点はその程度でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 過去のインフレによって資産の帳簿価額が実際の価額に反映しない。そのために適正な減価償却が行なわれないということが、との再評価積立金を資本に組み入れさせる一つの理由になっていますが、どの程度までそれがこれまで行われてきておるか。これはさっき大矢君が、大体昭和四十年ごろに大体インフレ価額の再調整がつくという見通しでやっておられるのかどうかという質問があったようでありますが、どの程度までそれが進んで、どの程度までそれをやらなきゃならないのかですね。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 企業資本の充実法の対象になる会社は、御承知と思いますが、資本金が五千万以上の会社、それから五千万未満でも三千万円以上の会社で再評価の限度額が一億をこえる会社は、一応強制再評価でございます。その強制再評価をする場合の限度は八〇%で押えられておるわけです。八〇%以下は、少なくとも八〇%は再評価をしなきゃならぬ、こういうことになっております。従いまして、その面におきましては、資産を再評価することによりまして、ただいま先生のお話のありましたように、そのノミナルな利益というものを出さないで、適正な減価償却をして、それによって内部留保を堅実にする、こういう目的は一応達せられたわけでございますが、その場合に生じました再評価差額というものを、これを本来は、収益力がそれに伴っておるならば、その際におきまして資本そのものを修正いたしまして、そして株主の方に対する株主勘定の修正も本来はすべきであったわけでございますが、ただいま申し上げました、一番の問題でございます収益力に伴う配当をどうするかという問題もございまして、とりあえずは再評価積立金勘定ということで、そういう商法の特例を設けまして、そこに積み立てておいて、そして収益力が増加するに伴いましてそれを資本に組み入れていって、最終的に再評価積立金勘定をなくして、資本そのものの修正を完了する、こういう建前でございます。  この資本充実法のただいま提案しておる問題といたしましては、もちろん二つの要素があるわけでありまして、適正な減価償却をするという問題がございます。適正な減価償却をしないものについては配当制限をする。従いまして、税法上の普通償却範囲額の九〇%未満の償却しかしないという場合におきましては、これまた配当制限を受けます。今まで一五%であったのを、今回、三年間のうちの初めの二年間につきましては一二%に配当制限をする、それから最後の一年間につきましては一割をこえる配当をしてはいけない、こういう配当制限をつけているわけでございます。これはただいま先生の御質問になった趣旨の、適正な減価償却をするというものを確保する一つの手段であります。それからもう一つの問題は、先ほど大矢先生から御質問のありました、四十年までに再評価積立金の資本組み入れを促進していくというのは、先ほど申し上げましたように、その段階で全部がきれいになるわけではございませんが、少なくとも特殊の産業を除きまして一般の産業につきましては、大体もうちょっと努力すれば最終処理まで持っていけるという段階までこぎつけたい。そのための一つの配当制限というものを考えておるような次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは一つの、渋るということは、何というですか、税金をまけさせる手段になってきているというようにも思われるのですよね。脱税とはいわないですけれども。そうすると、組み入れない。だから、組み入れれば税金を安くすると政府が言えば、そういう措置を講ずれば組み入れを促進するという、一つの圧力をかけているような傾向がなかったのですか。そうでしょう。そういうふうにしないと、やはり税法上も損だから渋っている。そうすると、まあ、大蔵省の方ではそれを促進させるために、課税面でそれを調整するということになれば、それで促進されるという面もあったんじゃないですかな。そういう点はどうなんですか。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) その点に関しましては、税金を渋るということは、こういう意味で再評価積立金の資本組み入れがおくれているという面はほとんどないんじゃなかろうかと考えております。で、やはりこれはまあ今の企業の特色でございますけれども、資本と経営の分離というような姿から、経営者としては、できるだけ配当率を高くしておくことによって、まあ自分たちの功績というものを誇ると、極言すればそういうような傾向がなきにしもあらず。また逆な場合に、いえば、いいときもあるけれども一悪いときもある。悪いときに急に配当率を下げるのはいやだから、できるだけ余裕をとっておこうというような気持もある程度支配しているかと思いますが、まあいずれにしても、そういう意味で、資本金が小さい方が配当率が高くできて、かつ、経営者の、いえば能力が十分やっているように見えるというような形が、戦後の企業の傾向としてかなり出ておるわけでございます。  で、再評価積立金は、ただいまも御説明申し上げましたように、実質的には企業の資本ですでにあるわけであって、それだけの資産による稼働力というものが当然予想されるわけでございますが、それを資本金という姿に出さないで積立金という形にしておけば、配当率の上からいえば、それだけの分は高い率でできるというような、多少イージーな経営ということも考えられる。まあ私どもの立場としては、企業経営があくまでも真実の姿に沿うて、配当率なり収益率なりというものが、その企業の資本の実態に沿うて正確な姿で表わされる、そしてまあそういった意味で健全な経営が行なわれるということが、最終的には理想でございますので、この資本組み入れのそこに、そのものの、むしろそういうような観点から企業の実質的な資本をはっきり表に出し、そしてそれが、それによっていろいろな評価も行なわれるというような姿になるのが望ましいというふうに考えておるような次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 で、この組み入れるときは増資という形をとるわけでしょうね。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) さようでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 結局はね、その増資は、それは株主に対して無償譲渡になるのでしょう。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) さようでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうでしょうね。ですから、無償譲渡するのだから、何もそれで、配当率は下がっても、率は下がっても、配当額はふえるのですよ。もちろん額はね。ですから、率ということはそう僕は関係ないと思うのですがね。その点、さっきは——なるほど資本金は小さいけれども、率は大きいですわね。しかし、今度は再評価するでしょう。資本もふやすでしょう。で、配当の率は下がっても、株主にとっては配当の額はむしろふえるのですからね。ですから、そこのところは、配当率というものばかりえらくこだわっているような点があったように思うのですけれどもね。株主からいえば、もう率よりも額が問題なんですからね。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) その点についてはまさにお説の通りでございまして、客観的に考えれば、再評価積立金ができれば、それだけ全部増資して、たとえ二分の配当でも、三分の配当でも、その資本に従ってやるのが適正だ、まあわれわれの立場としては当初そういう構想で進んできたわけなんでございます。ところが、現実問題といたしましては、やはり株式は転々流通いたしますし、また同じ業種の間で、あの会社は二割配当やっている、この会社は一割配当しかやっていない。たとえ資本金が多くなって、前から株を持っていた人は、まさに同じ配当額をもらっていることになるとしても、そのときのあれとしては、ああこの会社のやつは株価が百五十円で、こいつは七十円しかしないというような、まあいえば、ずっと継続して持っている株主の立場からいえば同じであるにもかかわらず、現実にはむしろそういうその時点々々の姿が、やはりまあ世上評価されがちだというようなことから来ているのじゃなかろうかと、われわれとしては推測しているわけでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 関連して一つ。まあ現在の株価の利回り等から勘案して、三分をわずかこえるぐらいのところで、まあ今も実際に行なわれているわけなんだ。それでも、なおかつ、この株価というものは、一部の斜陽企業を除いては、かなり高い水準なんですね、現実問題としては。ですから、その一つには、やはり過小資本ということとも関連がありますが、品薄ということが最大のやはり原因でしょう。だから、三分やそこらのほんとうに低い利回りでも、株がどんどん上がっていくということなんですから、むしろその配当が下がるとかなんとかということを懸念してこの増資がおくれても、資本組み入れがおくれても仕方がないというような考え方ではなくて、もっとびしびしと締めつけるような方向でこの資本の組み入れをやらしても、それほど私は株価に対する影響というものは現われてこないのではないかと、このように株価の面から考えた考え方を持つのですが、今、木村先生のお話のように、一つには確かに配当率は下がっても配当そのものは一定の利益がある限りは同じで、当然この積立金による増資というものは株主に返るわけですから、いささかもこれは株主所得においては変わりはないわけですから、そういう面から考えていくと、もっと政府は、資本の充実をやるというのであれば、再評価積立金なんていうあやふやなもので置いておくのではなくて、どしどし資本に組み入れさせるという方向が必要なのではないか。配当制限を今度新しい法律改正でやるというなら、もっと徹底してやってもさほど影響ないのではないかという気がするのです。しろうとの考えでしょうかね、私の今考えているような考え方は。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) その点は私どもいろいろ考えてみたところでございますが、そして普通の状態ならばそういうことも可能なわけと思うのでございますが、一方現在、この再評価積立金の資本組み入れという形における、いわば積立金から資本への移しかえということのほかに、実質的な増資ですね、これは非常に必要になってきておるわけでございまして、で、実質的な増資という点を考えますと、やはり相当現在の配当率が、いわゆる株の利回りの三分とかなんとかいうととじゃなくて、やはり一割以上といったようなある程度高度のものでないと、次の増資がしにくいという点が一つと、またそういう増資をたくさん控えているところからいうと、その際に、かりに一割の配当をしているとしても、さらにこの再評価積立金の資本組み入れを一割なり二割なり抱き合わせてやることによって、実質的には新しい払い込みの分においては利回りが一二%程度に当たるとかなんとかいうような形で、有償増資を推進するという意味からいうと、持っている再評価積立金を一どきに吐き出してしまうということはいろいろ支障があるというような、具体的な増資をする場合の立場というものもあるのではないかと思います。極端に申しますれば、たとえば今の電力会社のような場合に、巨大な積立金がある、これを一度に全部資本に組み入れてしまえば、それは電力の配当は今の収益からいけば二分とか三分とかいうわけになると思います。そうすると、次の有償増資はもうできなくなってしまう。当分の間できなくなってしまうというようなふうにもなって参る。そういった現実的な立場が、私どもとしても一どきにそこまで強行するのを多少ちゅうちょさせる点があるわけでございまして、そういう意味で、すでに二回少しずつ程度を上げてきたわけでございますから、それによって、ある意味からいえば増資もかなり促進されてきたような経緯もございますので、あと三年間こういうような形で配当制限を加えることによって順次資本組み入れを進めていくという形で、その次にはできれば最終処理というところまで打ち出せるように、まあいわば企業の自発的な気持と合わせながら進めていきたいというような感触で処理いたしておるわけでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 年々増資をしておりますね、有償無償を合わせて増資をしていますが、その増資の総額に対して積立金によるところの無償増資というのは、全体的な増資の中で、有償無償を含めて全体の増資の中で再評価積立金を使っての無償増資というものは、どれくらいの比率になるのですか。できれば金額と比率を教えていただきたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それと関連して。再評価積立金の資本組み入れの場合の増資は、無償増資ばかりでないのですよ。利益の中からの増資ですね、これまでの利益の蓄積の中からの増資による無償もあるのでしょう、必ずしも再評価積積立金による無償増資だけでなく。ですから、そういう無償増資をみんな目当てにして買っているのでしょう。いわゆる増資含みと言いますね。ですから、それまでも含めての割合を出していただきたい。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 第一の質問でございますが、昭和三十四年、三十五年、最近の例を申し上げますと、これは全体の姿でまず申し上げますが、これは暦年で申し上げますが、三十四年の一−十二月末で有償が千七百五十六億、それで無償の方が二百九十二億、こういうことでございます。比率で申しますと、有償対無償の割合が一六・七%でございますが、増資額全体について申し上げますと一四・三%。それから三十五年でございますが、これも暦年でございますが、有償が三千四百六十八億、それから無償が四百三十億ございまして、有償対無償が一二・四%、有償無償合計額に対する無償の割合が一一%程度になっております。ただ、これは総体でございますから、有償増資のみやったものもございますし、それから抱き合わせ増資をやったものもございます。そのうちの抱き合わせ増資の分だけを取り上げて計算いたしてみますと、有償が千八十八億、それに抱き合わせた無償が二百六十八億、これが三十四年でございますが、従いまして、有償無償抱き合わせ増資の場合における有償無償の割合というものは二四・七%、それから抱き合わせ増資の総額に対して無償の割合は一九・八%、約二〇%、それから三十五年におきましては、今言ったような第一の数字が千五百七十億、有償千五百七十億に対しまして無償が三百九十七億、それから割合といたしましては、有償対無償が二五・三%、それから抱き合わせ増資全額に対しまして無償の率が二〇・二%と、こういうことになっております。大体両年平均いたしまして、抱き合わせ増資分についていいますと、有償対無償の割合というのは大体二五%程度、抱き合わせ増資全体に対しましての無償の割合というのは二割程度、こういうことになっております。  それから、第二の問題でございます。ただいま木村先生のおっしゃいました点は、要するに商法上の資本準備金の資本組み入れの問題だと思います。御承知のように、最近公募という問題がだいぶ行なわれて参っております。五十円額面のものを、これは百五十円とか二百円ということで公募ができるわけでございます。そういうような場合に、額面超過金、いわゆるプレミアムは商法上これは資本準備金に入れるわけであります。それで収益がついた段階でそれを資本に組み入れまして無償交付をする、こういうことになるわけであります。ただ、公募の行なわれましたのが去年、おととしあたりから行なわれたわけでありますが、去年あたりから非常に盛んになって参っております。プレミアムそのものを、資本準備金そのものを資本に組み入れまして無償交付するという例は、まだその緒についた段階でございまして、最近ソニーが九千万円ですか、それを資本勘定に組み入れまして、そうして無償交付するということでございまして、具体的な統計を持っておりませんが、そういうプレミアムを獲得したものを株主へまた返してやる、こういうやり方は非常にけっこうな方法だろうと思うのでありますが、これはまだ大体その緒についたという段階でございまして、まだ具体的な統計といいましてもほんのわずかなものだと思います。現在はそういうような状態でございます。今まで行なわれておりましたのは、この提案されておりますところの再評価積立金の資本組み入れというのが頻繁に行なわれておったのです。いわゆる再評価じゃない、本来の商法上のプレミアムつきの発行による資本準備金の資本組み入れというのは、今後漸次行なわれてくるのじゃないか、このように考えておるのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この今後の傾向はどうでしょう。三十四、三十五ですね、割合は少し——まあ金額はふえてきていますがね。金額はふえていますが、割合、まあ比率は低下していますが、今後の見通しはどうですかね。その無償増資ですね。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) 具体的に企業がどういうような無償増資をやるか。これは再評価積立金の方の分でございますか。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうです、そうです。この法律が……。

小熊孝次大蔵省理財局経済課長

○説明員(小熊孝次君) この法律が通りますと、まあ相当行なわれるのじゃないかと思います。まあこれはちょっと、個々の具体的な会社の態度いかんに実はよるわけでございますが、先ほどちょっと触れませんでしたが、現在の提案しておる法律の仕組みでございますと、たとえば再評価積立金の資本組み入れ比率が三割未満であれば一割をこえる配当ができず、五割未満であれば一割二分をこえる配当ができないというような、そういう配当制限をしておりますが、 そのほかに、それを免除する規定といたしまして、資本金に対しまして再評価積立金の残額というものがウエートが少ない場合は、配当制限を免除するという規定もございます。今まで二割五分以下であれば配当制限を免除する、これを強化いたしまして、最初の二年間は二割未満の場合は配当制限を免除する、それから次の段階には一割五分未満の場合は配当制限を免除するということになっております。会社といたしましては、再評価積立金の資本組み入れをやりますか、あるいは有償増資を相当やりまして配当制限を免れるか、こういう両方の手が実はあるわけでございます。そのいずれをとるか、まあ企業の立場といたしましては、この有償増資が相当進みまして、再評価積立金の残額が、組み入れ率は比較的少ないけれども、そのウエートが非常に小さくなっておるというようなことであれば、有償増資をやりまして再評価積立金の残額のウエートを総体的に少なくして配当制限を免れるという問題もございますので、いろいろなやり方があると思いますが、いずれにしても、まあ増資の促進効果というものは相当あるものだとわれわれは考えておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう一つ。資産の譲渡の際に、資産譲渡の場合ですね、名目所得に対して課税される、そのことは非常に不合理があると思うので、名目所得に対して課税されるわけなんですか。この参考資料にあるのですがね、資産譲渡の際に名目所得に対して課税されるということになっておるのですが、そういうようになっておるのですか。名目資産ではないですか。——譲渡した場合だな、ああそうか。それは帳簿価額に対して課税するんじゃなくて、インフレートをされたその資産に対して課税されるということになるのですか、そういう不合理が、こういう……。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) あるいはちょっと私御質問の趣旨を取り違えているかもしれませんが、名目所得の問題はむしろ、この資本充実のための、資本に組み入れました以前のいわゆる再評価の問題じゃなかったかと思います。それで、再評価ということ自体が、いえばインフレによって貨幣価値が下がったために、実際の帳簿価額と現実の価額とは非常に開きがある、その場合、そういった建物にしても、そういった資産を売却すると、帳簿価額が五万円のやつが百万円に売れた、その差額九十五万円が利益だということになってはいかぬということで、企業に対して再評価を認め、そうして当時の物価の倍数で算出された再評価率をかけまして、そして帳簿価額を改めさせたという経緯でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そういうことですか、わかりました。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 ちょっと関連して。今木村さんの質問した事柄と同じ事柄なんですが、インフレートされたから名目所得に課税される不合理がある、これを是正しなければならないと、こういうわけですが、しかし、これは法人のみならず、すべて個人でも同様になると思いますが、個人の場合は救済措置はどういうふうにされておりますか。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) 個人につきましては、同様にもう十年になりますが、当時再評価を認めたわけでございますが、個人の場合におきましては、個人の不動産等についても、自分のうちに帳簿価額というものはそもそもないのが普通でございます。そういう意味で個人の場合の、営業をやっているものは別でございますが、そうでない普通の個人の建物、土地というようなものについては、法定再評価と申しますか、法律上当然に再評価されるということで、当時の物価の倍率でもって算出された額で、たとえば五万円のものを百万円に売ったという場合でも、その法定再評価額が五十万円になれば、百万円に売ったといっても、五万円のものを五十万円に売ったまでの差額は、これはインフレによる名目価値の増加にすぎない。これについてはごく軽率の、たしか三%くらいだったと思いますが、再評価税だけをとって、それをこえる、再評価額をこえる部分が譲渡所得税の対象になる措置をいたしまして、現在はそれが引き続いておるような状況でございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 これは、私はここに資料を持ってきておりませんから、的確な質問は実はできるわけではないですが、ただ最近地方への工場進出等がはなはだしいものがありまして、そうした場合に、この市町村等が仲介をして一定の工場団地を作る。これは強制ではないにしても、しかし全体の連帯調和からしても、一人だけが反対をするということはいかないという立場ができてきた場合に、まあそこが私も資料を持ってきて、ないですけれども、かなりの譲渡所得税がかけられているのです、現実に。ところが、この場合はもし住宅ならば、これは一定年限のうちに、大ていはその年が原則だけれども、その年のうちに買いかえるという場合には、これは特別の措置があって税金がかからない。これは減免される。ところが、住宅以外のところではなかなかそうはいかないというのが現状でしょう。ですから、あなたの今説明されたのは、もう当然に再評価されておるというけれども、その面では再評価が十分でないのではないか、どうですか。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) その点は、実は私どものちょっと職分の外に出ます税の方の主として問題だと思いますが、それはごもっともな御質問でございまして、大体資産再評価法ができましたのは昭和二十五年でございます。ところが、昭和二十五年の価格の構成から参りますと、一般物価は二十五年のときには二百四十倍ぐらいに戦前に比べて上がっておりました。土地の方は五十倍ぐらいしか上がっていない、その当時に再評価額を作りましたときに。それから、たしか二十七年にもう一度改正をいたしておりますが、要するに一般物価の上がりに比べて土地の値上がりはおくれておった。これは地代家賃統制令とかいろいろの関係があったと思いますが、そういったような関係で一般物価に比べて土地の値上がりがおくれておりましたので、そういう意味で、現在できておる再評価の基準が土地については少し辛過ぎる。むしろ土地は、その再評価を行なった後に土地の価格が単独にどんどん上がっておる。何と申しますか、おそらく今では普通物価以上に土地の方が値上がりしておるというような形に相なっているかと思います。そういう意味で、土地については現在行なわれておる再評価の限度額があるいは客観的にいえば低いのではなかろうか。つまり、土地の値上がりが当初おくれておったために、そうしてそのおくれておった段階で今の再評価法が作られた経緯から見て、そういう点が相当あるのではなかろうかという感じがいたしております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 これはまだ質疑が続きますから、別にきょうすぐ解決しなくともよい問題ですが、これも一つ調べていただきたいと思うのは、土地の評価については、経過的にはあなたが今おっしゃった通りだと私も承知しておりますが、ところが、その後の土地の値上がり、そうしてまた一方工場分散あるいは工場の進出、こういうことになった場合に、ほとんどそれがいなかの個人持ちが集団的に工場に売ったという場合ですね、それらを見るというと、私の調べではずいぶん、東北のような僻地といわれる所でも一千倍、大都市近郊ではほとんど一万倍になっておると私は承知しておるのです。そうすると、他の物価は四百倍くらいということですから、四百倍と一万倍との開きというものは、おそろしい開きがあるのだが、具体的には、一つの団地が作られるために、いやがおうでもと言えば言い過ぎですが、実際問題はいやがおうでもという形で自分の土地も手放さざるを得ない。そのかわりに自分の子供の住宅をその隣接地に作るという場合には、これは現実には何の恩典もない。片一方は譲渡所得になって、二百四十倍が修正されて三百倍くらいになっておっても、ところが、片方は一万倍にも値上がりしておりますから、譲渡所得はおそろしい額になってくる。ところが、今度その隣接のところはやはり一万倍かになった土地を買わざるを得ない。今度は税等が新しい取得した価額に対してかけられる。こういうことになっておるのですから、私の結局質問の趣旨は、法人にこうした措置を講ずるならば、やはり個人にも、不当な利益を得るというあれは別としておきましても、今例にあげたような正当に取得せざるを得ないような場合に追い込まれた個人に対しても、同様な措置を講ずべきじゃないかと、こう考えておりますので、今別に答弁できまりをつけるということでなく、これらも次の機会に調べておいてお答え願えれば幸いだと思います。

吉田信邦大蔵省理財局次長

○説明員(吉田信邦君) ただいまの問題は主として土地の問題でございまして、これは現在法人についてもやはり同じ再評価限度でいっておりますから、法人の場合でも個人の場合でも、売った場合に譲渡所得といいますか、法人の場合には普通の法人税の対象になる収益の形で来るわけですが、その点は同じことなのでございます。  それで、今お話のございました土地の価格の値上がりというものをどう考えるかということが、むしろ税の立場からこれは真剣に取り組まなければならないところだろうと存じております。そういう意味で、これは土地の値段の問題はいろいろな点で問題があって、たとえば固定資産税の評価額が安過ぎるというような問題もございますれば、いえばあまりにも土地の値段が上がり過ぎているために、また同時に、他方からいえば、土地の値段を押えようという各種の法的措置が強く生き残っていた関係上、そういう意味で非常なアンバランスが起きておるというのが現状だと思います。おそらく税の立場からすれば、その場合に、ほかのものについてはほとんど値上がりがかりに四百倍なら四百倍という状況で、土地だけがかりに千倍上がるとすれば、その四百倍をこえる分はいわば思いもかけぬもうけというような性格を一般的には持っておるわけですが、そうい意味でそれが課税の対象になるのはあたりまえじゃないかというのが、一つの常識的な従来の税制理論から来る考え方であろうと思います。しかし、同時にまた、そうやって税がかけられれば、土地収用その他の場合には、その税がかけられるということでまた買収価格が上がるという反作用もあるということも事実であろうと思います。これは主税局としても現在いろいろ検討している問題の一つと存じますが、またこの点につきましては、適当なときに主税局から説明するようにさせていただきたいと思います。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 今の法律には直接関係がございませんが、本委員会においてずっと前に問題になり、私が取り上げたことがある閉鎖機関のうち朝鮮銀行、台湾銀行の問題ですが、これは当時も私が指摘しましたように、銀行の役員等には当時たしか私の記憶では特別な手当等を出して、これがいかなる根拠で出したかわからずじまいになっております。ところが、一方においては、預金者には何かわからぬうちに三分の二支払って三分の一はたな上げ、こういうことになっておって、そして多分朝鮮銀行の場合は、その不動産銀行ができる場合にその金は積み立ててあるはずなんです。たしかあのとき五億か六億だったと記憶しておりますけれども、その金は今現在でも残されておるはずであります。  そこで、私がこの際資料を要求しておきたいのは、こうした朝鮮銀行、台湾銀行等が、株主はたしか三十倍ぐらいには見込まれたんだろうと思のです。従って、役員が一番恵まれて、株主がその次、一般預金者は切り捨てられた、そういう格好になっているはずなんです。でありますから、その後閉鎖機関の、特に朝鮮、台湾両銀行の処理はどうなっているのか、その預金者はどう保護されているのか、こういう資料を一つ出していただきたい。  もう一つは、外地における生命保険の関係でありますが、これも多分十分の一以下しか補償されない、こういうことになって、何か株主、役員というものと加入者というものとは、おそろしい待遇の、といえばおかしいけれども、補償される較差があり過ぎる、こういうふうに承知している一わけですが、それを調べて、次の委員会までに提出していただきたい。それから質疑いたします。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) よろしゅうございますね。

田中茂穂自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(田中茂穂君) ただいま天田委員から御要望のございました閉鎖機関に関する種々な調査資料につきましては、早急に連絡をとりまして、提出させます。

大竹平八郎参議院同志会

○委員長(大竹平八郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会    ————・————

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