社会労働委員会 第34号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/06/06
会議録
○委員長(吉武恵市君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。 この際、委員の異動についてお知らせをいたします。六月五日付をもって徳永正利君が辞任され、江藤智君が選任されました。 以上御報告を申し上げます。 ———————————
○委員長(吉武恵市君) それでは国民年金法の一部を改正する法律案及び児童扶養手当法案を一括して議題といたします。両案はまだ予備審査でありますが、衆議院社会労働委員会において修正をされておりますので、委員会における修正点を、この際、便宜上政府から説明を聴取し、両案の審議を進めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。それでは政府から御説明を願うことにいたします。
○政府委員(小山進次郎君) お手元に差し上げてあります資料の中の国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案要綱というものがございます。一枚刷りで非常に簡単なものでございます。先ほどお話がありましたように、この三点について衆議院の社会労働委員会で一応おきめになりましたので、その内容を御説明いたします。 第一点は、障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金の受給資格期間の短縮をおきめになったのであります。障害年金を初め、これらの年金の受給資格期間は現在の制度では三つきめでございます。一つは十五年以上納めでおればもらえるというのが一つでございます。その次は拠出期間が五年以上ある場合においては、その五年以上の拠出期間がその人の被保険者期間の三分の二以上になっておればよろしい、これが第二でございます。それから第三には、引き続く三年間の被保険者期間の全部が保険料の拠出期間で満たされているか、あるいはその半分が拠出期間であり、残り半分が免除期間であるというような場合にはよろしいと、こういう三つのきまりがあるわけでありますが、これに加えましてさらに、被保険者期間が一年以上の場合におきまして直近の一年間の全部が納付済み期間で満たされておればこれに障害年金や母子年金や準母子年金や遺児年金を支給するというように改められる御決定になったのであります。このきっかけになりましたのは、今回御審議をいただいておりまする政府提出の政府案におきましては、制度が発足いたしましてから、つまりことしの四月一日から三年間たつまでの間は、この障害年金などに要求されておりまする三年間という期間を経過的に短縮する仕組みを規定したのであります。規定の仕方はややややこしゅうございますが、簡単に申し上げますと、一年以上たったならば、三年に満つるまでの間は、その期間は全部拠出期間で満たされておるか、あるいはその半分が免除期間であり、残りが拠出期間であるというような場合には、三年間たつまでの間は、障害年金やその他の年金に対する受給資格期間が満たされるものとして取り扱う、ただしこの場合の年金額はやや減額をする、そういう意味の経過規定が置かれたのであります。この経過規定について衆議院の社会労働委員会でいろいろな角度から御検討になりました結果、与党、野党すべての方々の共通の考えとして、これはこんな経過措置をしないで、やはり恒久的な措置をする必要がある、なお、金額も減額をしないで普通の場合と同じにする必要がある、こういうようなお考えを持たれたようでございまして、その結果がこのような修正に表われたわけでございます。この修正がありました結果、当初の改正案で経過措置というふうに考えました場合には、原価でおよそ百億程度のものがふえるという予想でありましたのでありますが、この修正措置の結果これが二百四十億程度にふえることになりました。毎年の予算額に直しますと、大体十三億強に当たります、その程度の規模のものになるわけでございます。こういうふうに一年間という期間が経過措置から恒久措置に直されましたので、従って経過措置について改正案が規定しておりました幾つかの関連条文はすべて削除する、そういう内容の調整をされたのであります。 それから第二は、遺児年金の額の引き上げをされたのでございます。現在の制度では、遺児年金は父または母が納めた保険料に基づいて父または母が受けるべきであった老齢年金の額の四分の一という規定の仕方がしてございます、ただしこの四分の一の額が年に直して七千二百円、月に直しますとちょうど六百一円になりますけれども、この六百円を下るようなときは六百円とする、こういうきめ方になっておるのであります。その結果どういうことになるかと申しますと、その資料にありまするように、結果といたしましては三十年未満の拠出である場合は、その四分の一といいますと、すべて月六百円以下になりまするので、三十年未満までは一律に月六百円、言いかえればそういう最低保障の額をきめまして、第一子が六百円、第二子以降の一人について四百円ずつ加算していく、こういうきまりになっておったのであります。これについてもずいぶんと御意見がございまして、そもそもこういった遺族年金系統の年金額のきめ方としては、本人が受けるべきであった老齢年金の半分というのがまあ大体原則と考えてよろしい、それを国民年金の場合において、ことさら四分の一というふうにしておることは保険財政上の事情があるということを除いてはあまり意味がない。のみならず額があまりに少な過ぎる、こういった御意見がこれまた与党野党の方々共通の御意見として非常に強く出て参ったわけであります。その結果、かねてからこの問題について、これは遺族年金の普通の考え通り二分の一にすべきであるという、そういう支配的な考え方に従って、修正の内容をおきめになったのであります。その結果、最高額の場合には二万一千円ということになったのであります。御承知の通り、二十五年の拠出で老齢年金は二千円になりますのでその半分というと、二十五年でちょうど千円ということになります。従って、拠出期間が二十五年よりも少ないという場合には、すべてこの遺児年金の額は月千円を割る額になりまするので、それではせっかく額を引き上げようとした趣旨が達せられませんので、これも最低保障額を設けまして二十六年未満の場合はすべて月千円とする、こういうような改正にされたわけであります。その結果、第一子が月千円、第二子以降月四百円ということになりまして、遺児年金の額もやや体をなして参ったのであります。この金額はかりに子供が二子おりますと、第一子が千円、第二子が四百円で合わせて千四百円、これを子供二人に分けまして七百円ずつをおのおのがもらう、こういうことでございます。決して長男が千円で次男が四百円というわけではないのであります。ただ計算上の基礎がそうなっているというだけのことでございます。 それから第三点は、福祉年金の本人所得の制限についてかなり大きい緩和が行なわれることになったのであります。現在の制度によりますというと、福祉年金の受給権を持っておりまするものでも、その人の所得が年十三万円をこえているときには支給停止ということになっているのでありますが、この場合にもしその人が義務教育終了前の子供をかかえておりまする場合は、子供一人について一万五千円ずつを十三万円に加えて、先ほど申し上げました十三万円というものを考える。従って、子供が一人あれば十四万五千円をこえた場合に支給停止になる、こういう仕組みになっていたのであります。この点について今度御審議をいただいておりまする政府提出の改正案は、一人一万五千円というものを単に子供にとどめないで、孫でありまするとか、あるいは兄弟まで、弟や妹まで及ぼすという措置をとることに案の内容をきめているのであります。これは年をとった方で孫を養っておられる方もあるし、また、今度準母子年金ができることに伴いまして、弟や妹を養っていかなければならぬという場合もありますので、子供だけでは気の毒だというので、孫と弟妹ということをこの一万五千円の対象に加える、こういう案になっておったのでございます。これに対しましてさらに衆議院の社会労働委員会でいろいろ御検討になりました結果、一万五千円というのはいかにも気の毒だ、特に現在の所得制限のきめ方が比較的母子世帯にきびしいと言われている現状からしても、この際に母子世帯に一番響くような本人所得の制限緩和をぜひやらなくちゃいかぬ、こういうような強いお考えからいたしまして、この一万五千円というのを三万円に引き上げるということをおきめになったのであります。これも社労の皆さん方の御意見が大体そこに帰着したわけでございます。 この改正によりまして、実は福祉年金部門におきまして当初見込んでおりましたよりもさらに少なく見ましても一億五千万足らずの支出が必要になるわけでありますが、これはすでに組まれておりまする国民年金関係の予算の中の予備費でまかなえるということで、政府側といたしましてもこれには御同意申し上げるということになったわけであります。 なお申し落としましたが、遺児年金につきましては先ほども申し上げました内容の改善によりまして、従来よりも約四割費用がふえることになりました。しかし、遺児年金は全体として規模が小そうございますので、これでもって原価で約二十億程度、毎年の予算に直して換算をいたしますと約一億一千万程度というような響きの出る修正内容になるわけでございます。御修正になることをおきめになりましたのはそういうような点でございます。 なおこれとともに、これもお手元に差し上げてありますが、国民年金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を、これは衆議院の社会労働委員会の全員一致でおつけになりました。これは委員会として御決定になったのでございます。この内容のうち特に若干いきさつのあるものだけをかいつまんで御報告申し上げたいと思います。 いきさつのありまするものは、主として大きい二の各項目に関係がございます。大きい二の一は、「保険料の免除を受けた場合にも、少なくとも納付した場合と同様の国庫負担を付することとし、保険料免除を受けたものの年金額を引き上げる全期間免除のものにも年金を給付すること。」かように御決議になっております。この決議内容は、国民年金の性格から見ますというと、非常に大きい意味を持った決議の内容でございます。ここで言われております意味はこういうことでございます。御承知の通り、国民年金制度に対しては政府は相当の国庫負担をいたしておりますが、国庫負担のやり方といたしまして、納められました保険料相当額の二分の一を保険料の拠出時において国庫から入れる、こういうきめ方になっておるのであります。そういうふうにして入れました国庫負担を含めまして、年金の条件をきめます場合において、おおむね納められました保険料にほぼ比例をして、若干の例外はございます、年をとった人々にやや有利になっておるとか、あるいは免除を受ける人々に多少有利になっておるという点はありますけれども、おおむねの傾向としては、納めた保険料にほぼ相応ずるような年金額のきめ方になっているわけであります。この事実に対しまして、非常に強い御批判が、これは主としてかねてから野党の方々に強かったのであります。少なくとも保険料を納めることのできるものには二分の一程度の国庫負担がつく。ところが、貧困なるがゆえに免除を受けたという人々に対しては、国は何にも国庫負担をつけないという結果になって、従って、物事を非常に単純化して考えても、六十五才になってもらう三千五百円というものの中には三分の一、つまり千百何円かの国庫負担分が入っているはずだ、そうだとすれば、その分だけは保険料が貧困なるがゆえに納められなくて免除になった人にもつけるべきじゃないか、こういうようなお考えであるわけであります。その考え方を非常に強く立張されました。その程度ではもちろん十分とは言えないけれども、最小限度そこまで持っていかなければ、この制度によって所得が多少なりとも再配分の方向に向かって調整されていくという機能が出ないじゃないか、こういうことで非常に強い御主張がされました。この点については厚生大臣はもちろんのこと、総理大臣に対しても強く御質問がありまして、その結果、方向としては、将来そういう方向を目ざして改善をしていくべきだということについては、政府側もそういうふうに考えるという御答弁を申し上げたのであります。そういう背景をもちまして1の条項は特に入れられたのでございます。この項目は非常に大きい財政上の影響を持っているわけでありまして、かりに制度の対象になっておりまする人に、非常に機械的の話しでありますが、毎年三割だけ確実に免除者がある。その免除者にここにいわれておるような国庫負担をつけるということになりますと、おそらく四十五億前後の金を毎年一応用意するというだけのかまえをしなければいけまいという大きい意味を持っている問題でございます。 それからあとの点はそこに書いてありまするように、特にいきさつとして申し上げるほどのことはないのでありますが、小さい3の本人の所得制限の十三万円を十五万円以上に引き上げるということが特に金額として明示されましたのは、これも主として野党側の委員の方々の強い御主張が背景になっているわけでありますが、御承知の通り、今度の地方税法の改正によりまして寡婦とか老齢者とか、障害者は所得が十五万円に達しない場合においては、市町村の住民税をかけてはならぬということになったわけであります。つまり従来十三万と規定されておったのが十五万というふうに改められたわけであります。そうだとすれば、それとのつり合い上、これは早急に福祉年金の所得制限の金額もそこへ持っていくべきである。こういうような考えから特にこの点が金額として明示された、こういうようないきさつでございます。 大へん雑な申し上げ方でございましたが、以上のような経過でございます。
○委員長(吉武恵市君) 次に、大山児童局長。
○政府委員(大山正君) 児童扶養手当法案について衆議院の社会労働委員会におきまする修正及び附帯決議について御説明申し上げます。お手元に衆議院における児童扶養手当法案に対する修正という三行か四行ほどのガリ版刷りのものがございます。 衆議院における児童扶養手当法案に対する修正 児童扶養手当法案の一部を次のように修正する。 第九条第一項及び第十三条第二項第一号中「一万五千円」を「三万円」に改める。 この点は、ただいま国民年金につきまして、小山年金局長から御説明申し上げましたのと同様の理由でございますが、児童扶養手当につきましても、本人の所得制限といたしまして、前年度の所得十三万円、それに生計を維持している児童一人につき一万五千円ずつを加算するということになっているのでございますが、その一万五千円を国民年金におけると同様三万円に改めよう、こういう御趣旨の修正でございます。修正点はその一点だけでございます。 次に、附帯決議でございます。お手元に「児童扶養手当法案に対する附帯決議」という半枚の、半分に切りました資料でございます。 児童扶養手当法案に対する附帯決議 一、政府は、本制度の実施にあたっては、その原因のいかんを問わず、父と生計を同じくしていないすべての児童を対象として、児童扶養手当を支給するよう措置すること。 二、政府は、児童手当又は家族手当につき、世界の諸状勢を研究しながら将来これが実現につき努力すること。 この第一点は、この児童扶養手当の支給対象となります児童の範囲、その支給要件につきましては、法案の第四条の第一項に列記してございまして、主たる対象は、いわゆる生別母子世帯における児童が対象になるわけでございますが、そのほかに死別母子世帯における児童あるいは父が廃疾の状態にある場合、あるいは父が生死不明である場合というのを法律の各項に列記しておりまして、その他これに準ずる児童で、政令で定めるものというように細目はさらに政令で譲ってあるわけであります。ここで問題になりますのは、たとえば父が母や子を遺棄しているような場合、あるいは父が長期間拘禁されているというような場合がやはりこれに準ずるのではあるまいか、あるいはまた、ここには法律上父であり、子であるという関係が要求されているわけでございますが必ずしも法律上そういう父と子の関係にない場合であっても、たとえば事実婚の関係でありますとかあるいは未婚の母といったような母子世帯につきましても、やはりこれを支給すべきではないかというようないろいろ問題があるわけでございまして、この附帯決議の第一の御趣旨は、そういうような場合、原因のいかんを問わず、すべて父と生計を同じくしていないような児童を対象として、これを扶養している者に手当を支給すべきである、こういう御趣旨の御決議であると考えるのであります。 第二点は、今回の児童扶養手当は、ただいま申しましたように、生別母子世帯を中心としこれに準ずるような特殊な状態にある児童を扶養している場合の手当でございますが、この第二項の御決議は、そういう特殊な場合だけでなしに、一般的に児童を扶養している世帯につきまして児童手当あるいは家族手当といったようなものを世界の多くの国が現在実施しておりますので、そういう情勢を研究しながら、わが国においても将来実現に努力すべきだ、こういう御趣旨の御決議であろうかと存じます。 それからなお先ほど申し落としましたが、先ほどの修正点につきましては、本年度の予算といたしましては約八百四十三万円ほどの増ということでございまして、既定の予算の範囲内でまかなえるものと考えまして、政府といたしましては、この修正につきましてはやむを得ないという旨のお答えを大臣から申し上げております。 以上でございます。
○委員長(吉武恵市君) それではこれ により両案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○坂本昭君 今両局長からの御説明でほぼよくわかりました。 この際、概括的なことについて少しお尋ねをしておきたいと思います。 まず第一に、国民年金の方でございますが、現在の加入率といいますか、四月以来拠出制の国民年金に対して登録の書類を出し、あるいは手帳の交付を受けた数がどの程度であり、それからまた、掛金の納付の状態がどういうふうになっているか、あるいはまた、その印紙を具体的に各市町村で張っている状態がどういうふうになっているか、その拠出制年金の四月一日からの実施の状況について御説明いただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) 加入の状況につきましては、現在手元にまとまっておりまするのは四月末日現在のものでございますが、これは総数で千七百三十二万人でございます。それで率に直しますと、全体で目標にいたしましたものに対して八五%をやや上回っているという程度の内容でございます。 それから内容的に申し上げますと、強制加入の部分が大体八五%程度になっております。それから任意加入の方は、それは年をとって人の任意加入と、主としてサラリーマンの奥さんに多い若年任意加入、この二口に分かれますが、この両者がかなりきわだった違いを示しております。年をとった人々の強制加入の方は、たしか数が百七万程度になっておりまして、これは昨年の八月に私どもが実際に調べて希望をとったものに比べますと、一一二%で、これはかなり好調でございます。これに反しまして、サラリーマンの奥さんを主とする若令任意加入の方は、昨年の八月私どもが申し込みをとったものに対しまして、まだ七五%足らずしかいっておりませんので、これは目標には若干まだ間がある、こういう状況でございます。加入のその後の状況はもう四、五日たつとつかめると思いますが、まあ全体の傾向を申しますと、比較的実施を中心にしてあった現地のややとげとげしい空気は、四月になってから非常に少なくなって参っております。それまで模様を見ておった人々の中に集団的に加入するという人がだいぶふえて参っておるようであります。ただ、これもそういう個々の連絡は受けますけれども、これが何十万というふうに数の上でまとまって出てくるというところまではいってないようでありますが、傾向としてはそういう傾向に向いておるようでございます。 それから保険料の徴収の方でございますが、これは四月の末の状態で市町村に渡しました印紙の額はほぼ十億程度のでものでございます。この十億程度の印紙のうち、市町村が即納しました、つまり代金を即納いたしましたものが四割程度、それから代金はあと払いという、そのあと払いのやり方をとっておりまするのが六割程度でございます。この市町村に渡りました印紙が、実際上個々の被保険者にどういうふうに回っているか、また、その検認がどういうふうに進んでいるかということについては、部分的な状況は私ども随時聴取しておりますけれども、御承知の通り、保険料の納入期限は七月ということになっておりまするので、まだ全体をつかむところまでいっていないようでございます。いっておりません。ただ大体の傾向を申しますというと、少なくとも届出をした人々に関する限りは、比較的徴収について集める方が手間をかけさえすれば割合に楽に納めてくれるという傾向が見られるようであります。しかし、この徴収の方で手を尽くすという条件が実はなかなかむずかしい条件でありまして、場合によってはそれだけ市町村段階で仕事がふえているという形になっておりますので、あながち楽観はできない、まあ大まかな感じを申し上げますというと、もちろん悲観をしたり、あるいは悪いといってあげるような材料は一つも出てきていない、しかし、もう大丈夫だといえるようなものももちろん出ておらぬ、まあいずれにしても二月ぐらいの推移を見ないというと、全体の判断はまだまだできかねる、こういうような状況でございます。
○坂本昭君 四月以来、この拠出年金に対する拒否運動の姿が漸次緩和されてきて、当局としては相当の希望を持ってこの拠出年金の加入と、さらにこの年金制度の完成を期待しておられるようにうかがわれましたが、今の、この四月以降ですね、四月以降だんだんそういう拒否運動が緩和されてきた一つの理由といいますかね、当局の側ではどういう理由に基づいて国民がだんだんと支持するようになってきたか、それらの点についてどういう見解を持っておられるか、この点について少し具体的な所見を一つ説明いただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) 大へんデリケートなむずかしいお尋ねであれなんでございますけれども、まあ率直に申し上げたいと思いますが、やはり根本的には制度についていろいろ批判的なお考えを持っておられる人々と、それから制度を企画し進めておりまする政府との間の考えの幅が詰まってきたことにあると思います。それでつまり現在の制度のうちのどこを直していかなくちゃならぬかという点について、もちろん程度については相当な違いはございますけれども、大きな方向についてはかなり一致したものが見られてくるようになったと、まあその代表的なものは、先ほど特にいきさつを申し上げて御報告申し上げました免除に対する扱いの問題でございます。こういった問題について、方向としては大体目ざす方向がほほ一致してきた、残る問題は、どういう順序と方法でこれを直していくか、まあこういうようなことに問題を詰め得る条件ができてきたというふうに、おそらく今まで極度に批判的な立場をとった人も考えてくれるようになった、同時にまた、制度の施行に当たっておりまするものも、これに手をつけるのが五年先、十年先というふうに考えておったのが、とてもそんなことじゃいかぬ、これはもっと早い時期に手をつけねばいかぬというふうに腹を逐次固めてくるようになってきた、まあ大まかに申し上げますと、私はそういうようなことが全体の空気というものを逐次やわらげてきている基本的なものだと考えております。
○坂本昭君 それは一つの御見解だと思うのですね。御見解だと思いますが、私は実を言えば拠出年金を拒否する運動の先頭に立って具体的にずっとやってきましたし、また、今後もやっていきたい、それも反対のための反対ではなくて、この年金制度をよくするために反対をしている。従って、そういう点で見ますというと、今の御見解ではまだ不十分な点がだいぶあると思うのです。それは、この年金の問題はおそらく日本の政府の、特に民主化の点について非常におもしろい問題を提起したと思うのです。少なくとも法律ができて、そうしてその法律の施行前に政府自体が法律の改正をやろうというようなことは、私まあ立法的に特に調べたことありませんが、おそらく前代未聞ではないかと思うのです。そしてそういう動きというものが、こういう一つの国民運動の中から政府に批判、反省を求めて、そうしてその結果改正されるようになってきた、従って、今後ともに民主的な政府というものは国民の要望に従って逐次改めていく必要がある、従って、どういう点に問題点があるかということを正確に把握していくということ、これが非常に大事だと思うのです。私はおととしこの国民年金法が制定されたその直後からいなかの山村をずっと回って来まして、その間に、特に、山村の人たちの考えが次第に変わってきていることを痛切に感ずる。最初は全然理解がなかった、大体日本の国民というものは、お上のものは何でもいいという考えを持っておったのであります。これはまあよらしむべし、知らしむべからずという長い日本の政治の伝統の中からそういう考えがつちかわれてきたのだと私は思いますが、そういう国民がだんだんとの法律を見、また、世界の社会保障というもののあり方を検討することによって、新しい理解と新しい、自分自身が、国民自身が主人であるところの政治、そういう理解に立ちながらだんだんと考えが変わってきている。その中で具体的にこの年金法について申しますというと、やはりまず第一は金額の点だと思うのですね。何といってもこの年金の額の問題、さらにまた、掛金の額、今日のこのフラット制の問題、それから特に年令の問題、六十五才からという年令の問題、さらにまた、このいわゆるかけ捨てといわれておった問題、それから積立金の問題、これらについて政府が少しずつ改正を企てられているという、そういう政府自体の反省を私も認めることにやぶさかではありません、ありませんが、おそらく今後さらに国民の理解というものは深まっていくと思います。特に自分自身のふところから掛金を何がしか支払いをする、しかも御承知の通り、ことしの四月一日からは国民健康保険も全国的に強制実施になっている、この国保の強制実施と、拠出制年金の実施とが重なって出発したということは、私は制度としては非常に重大な、何といいますか、隘路があると、そう思うのです。むしろこれは、私は、政府自体としては時期を若干誤ったのではないかとさえ思うのです。私自身の見解をもってするならば、やはり医療の問題を先に解決をして、国民健康保険の方を十分な土台の上に置いて、それから後今度は年金を実施すべきではなかったか、それがたまたま社会保障を急ぐのあまりに、形式にとらわれ過ぎて、同時に強行実施をするということになったことが、やはり今後の国民年金の進め方の中で新しい問題を出してくるのではないか、それは今のところ八五%の加入率である、そして、しかし実際に印紙を張ったのが、これは先ほど即納四割といいますけれども、これは市町村に配ったのであって、加入した国民が十億円のうち四割を払ったという意味がどうか、その辺あとで説明していただきたいのですが、実際に、つまり四月以降拠出年金の納付せられた金額が幾らあるかということも、あとで御説明いただきたいのですが、この掛金を納め始めると、最初の一、二回はいいでしょうが、あとになると、国民健康保険と両方の支払いのために、私は相当な負担が国民にかかってきて、さらにこの問題は深刻な国民の反省を促し、さらにこの国民年金の問題に対して私は新しいまた一つの運動を展開するのではないだろうか、そういうふうに私は考えている。特に年令の問題などまだ農民の人たちはぴんときておりません。お役人の人たちが五十五歳から恩給の権利を持っている。農民の人たちは六十五歳でないと正式な権利というものももらえないのだ、こうした差別についての正しい理解も少ない、しかし、だんだん積立金の問題などについても理解が深まってきているのです。従って、そういう中から私は今後ともこの国民年金の、特に拠出制の問題については問題点が幾つも横たわっておる、そういう点を十分に把握して、そしてそれに対する私は政府として、それぞれに応じた対策を講じながらこの日本の社会保障を、所得保障を完成していく必要があろうと思う、局長からは、先ほどの保険金の実際に納付された金額の具体的な数をお伺いしたいと思いますが、その前に次官に、こういったふうな問題があるので、今局長の指摘されたような考えでは、私はまだ国民年金の拠出制というものはなかなか進行していかないと思うので、政府として今後どういうふうに国民の要望に沿ってこれらのことを、特に附帯決議はいろいろの点が指摘されております。それについての政府としての心がまえをまず伺っておきたいと思います。
○政府委員(安藤覚君) 坂本先生の御質問に対して年金局長からお答えいたしたわけでございますが、確かに年金局長の申しておりましたことも、進展した一つの大きな原因ではございましょう。また、これに対して御批判をお加えになりました坂本先生のお考えというものは、もっとより根本的なところに出発いたしておりまして、それに基づいての私の見解を表明せよとのお言葉でございます。なるほど先生の御指摘のように、国民健康保険、あるいは年金というものが相重なりますと、ある一軒の農家においては相当な金額になり、そのことが同時に、一方働き手が多くて収入が多いという家庭でありまするならば、まあ泣く泣くぐちを言いながらもということでございましょうけれども、働き手が少なくしてけっこうな金額になるという家庭が相当多かろうと思う。ずいぶん大きな負担になるであろうと存ぜられます。これらの点については、制度を進めていく上において、あるときはやはり掛金の問題に手が触れられてくることも考えなければなりますまいし、また、あるときは給付の金額について相当年限を経ました形において考えていかなければならないであろうと、こういうふうに存ぜられるわけであります。いずれにしましても、このことは、ますます激しくなっておる経済競争のもとにおいて、そうしてこの社会保障制度をもって、その間にはさまって苦しい思いをせられる人々の救済をしていこうということでありまする限り、そう一そうのこれに努力を捧げて万全を期していくと、こういうことをお誓いするほか道はないだろうと、かように考えるわけであります。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほども申し上げましたように、即納の四割というのは、市町村が印紙を受け取るときに、これに対し国に対して納めたというのが即納でございます。それが個々の被保険者にどの程度渡っておるか、あるいは検認の状況はどうなっているかはまだわかっておりませんと申し上げたのは、そういう趣旨でございます。これは七月以降になって初めて確定いたしますので、やはりきっちりわかりますのは八月の十日ごろになると思います。なお、先ほど来のお話、実は私根本的には坂本先生と問題の意識はほぼ同じつもりであります。おそらく、ここ一年内に国保との競合関係を心配し出して騒ぎ出した人たちに比べれば、立案に当たった私自身が三年前にこのことを一番心配して、そのことのゆえに厚生省当局はこの問題については極度に慎重論をとったわけでございます。対象の三割というものは、もう免除と覚悟していかなければならぬということには、現実に免除があるかないかということよりも、それだけの腹がまえをしていかなければ、競合していく状態のもとでは無理ができるぞということと、それから免除の線も相当高く考えておかなければいかぬ。それは国民年金の保険料だけ徴収するというなら、これは免除の線は実はもうちょっと低くても、取って取れないことはないと思います。しかし、国保との競合関係を考えれば、やはり国保をまず成立させなくちゃいかぬという問題の考え方が、ああいう態度をとらせたわけでもありまするし、また、免除の実際の扱いの場合でも、かりにあの基準からいって納められると思っておっても、現実の問題として、国保の保険料を納めたために国民年金の保険料が納めにくくなったという場合は、それはこちらの方が下がって免除しなさい。まあ言ってみますれば、そういう意味で、まだまだ国民年金は国民健康保険と同じように完全な所得再配分という姿を持たせて進めるには少し時期が熟さないと、そういう配慮があって、いろいろな措置をとって、個々の問題についてはおそらく坂本先生の意に沿わないことも相当多いと思いますけれども、根本の考え方は、むしろ問題意識から言えば同じだという気持でございます。
○坂本昭君 特に、医療の場合は、掛金をかけたら翌日からそれが実施される。しかし、この年金の場合は、まず一番多い老齢拠出年金の始まるのは十五年後になってくるから、当面の池田内閣の所得倍増の十カ年の中で支給されるいわゆる拠出制の額というものは、福祉年金の場合はともかくとして、一般の老齢拠出の場合には、これはほとんどないのではないですか、ごくわずかではないですかね。だから、一番問題は、やはり積立金の問題になって参ります。そうして積立金の方は、十年の間に相当巨額に積み立てられる。これについても、実際は問題があると思うのです。それは、この七月に第一回どの程度掛金の納付があるか問題ですし、さらに第一回を納めても、第二回からどの程度納めるかも問題だと思うし、それから、初年度は納めても、二年目、三年目にどの程度納めるかということも問題であるから、最初厚生省が計算をされたような積立金の額になるかどうかは問題としても、とにかくあの積立金というものは現実にはほとんど国民大衆の中には生きてこない金になる。もちろんそれは福祉年金の事業団とか、そういう点から、皆さん方としてはいろいろな新しい事業を考えになってはおられるでしょうけれども、やはりこの積立金の問題などはだんだんと農民の人たちにも新しい自覚を促しているので、そういう点では、積立金の問題についての現段階はどうなっているか、これについて一つ次官から伺っておきたいと思う。
○政府委員(安藤覚君) ただいまの御指摘の点につきましては、御趣意等を厚生大臣は強く胸に体しまして、大蔵省、総理大臣等に要望申し上げて参ったわけであります。そうして、大蔵省の回答は、これに対して厚生大臣のいまだ満足するところにはなっておりませんので、これについて、官房長官が両者の倉見の一致を見るべき案を作成すべく努力いたしておる次第でございます。
○坂本昭君 今の問題について事務当局から御説明いただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) 国民年金の積立金の問題につきましては、この金が国民の生活内容を直接向上するような使途に使われなくちゃいかぬということが基本線であるという態度を終始堅持して参っておるわけであります。そういう基本線に対しましては、今度の財政投融資計画をきめますときにおきまして、そのまま認めて実施しようと、こういうことになりまして、そういうようにするためには、従来のように財政投融資の内容があのように組まれておったのでは、これがはっきりしないというので、御承知の通り、資金運用部資金法を改正いたしまして、使途別分類を設けて、国民年金の積立金はもちろんのこと、性質上これと同じ厚生年金の積立金と、それから国家公務員共済の長期部門の預託金これを合わせまして、年金資金等と一括をして、資金運用部資金の中でこの金がどこへ行くかという使途を明らかにするということをいたしたわけであります。これは単に使途を明らかにしただけでなく、使途をきめる場合におきましても、これらの金を国民の生活向上に直結するような使途に振り向けるということにいたしまして、とにかくいろいろ非難のありました大企業の助成に向くというような疑いを起こしやすい使途には一切向けないということにいたしたわけであります。これはすでに予算委員会にも資料として提出されておりますものでごらんをいただいておるわけであります。問題は、こういった仕組みで一応私どもが昨年以来主張しておりましたことは最小限度実現はされたのでありますが、何としてもこれは国民から見ると説明を必要とする若干のわかりにくさがあるわけであります。それで、ただいま政務次官が言われましたように、もっとこの点を簡単明瞭にわかる仕組みにしたい。それには、国民年金や厚生年金からの預託金は、一応全部、資金運用部の中に年金特別勘定というのを設けて、そこへ一括して入れる。入れたあと、これをどう運用するかということについて、ただいまの使途別分類というものを働かしていく。そうすれば、運用の仕組みについて、国民に対して回りくどい説明をしなくてももう一目瞭然わかってもらえるようにする。国民との関係においては一目瞭ということが一番大切だというのが、これは厚生大臣の非常に強い信念でございまして、それを非常に強く主張しておられる。それに対して大蔵大臣としても趣旨はわかるけれども、ということでなかなかことしのところはまた踏み切りがつかないままになって、目下官房長官の手元において調整をされている、こういうことでありますが、この問題についても、実は先ほどの附帯決議には直接出ない問題でございましたので御報告申し上げませんでしたが、社会労働委員会においていろいろ御質問がございましたが、厚生大臣もその点明瞭にお答え申し上げましたし、さらに総理大臣も、「私もこの問題については学者を呼んで意見を聞きました。その結果、およそ歴史の流れというものはいろいろ質問された方々が言っておられる方に向いているというふうに感じております。私は歴史の流れにさからうようなことはいたしません。」こういうようなことを言われたということでございましたので、あわせて御報告を申し上げます。
○坂本昭君 この積立金の問題は地方議会の人たちがだんだんと理解を深めてきています。そして彼らが理解すればするほど、今回も上水道あたりの起債の中にだいぶ取り入れられておりますけれども、非常に理解が深まれば深まるほどこの国民年金の拠出制と関連して私は新しい問題を起こしていくだろうと思うのです。今度の積立金の扱いについて厚生大臣が非常に熱心に活躍せられたことについては、私もその間多くの陳情団体を厚生大臣のところに、あるいは官房長官のところへ直接御案内しましたので、大蔵省出身の官房長官あたりも非常に熱心にその間いろいろと奔走された等のいきさつもよく知っております。ただ、まだ明らかにされていないことは、一応その特別ワクを作って使途を明らかにし、それはもちろん当然のことであって、その次の問題は、この金は、これはもちろん国の国庫負担が二分の一つきますけれども、その国庫負担のつく原資といえども、これは国民の税であって、国民自身の拠出したものであって、この金の使い方について新たな運営委員会、あるいは協議会を作って、その中に国民の代表も入れる、使途を明らかにするのみならず、その使途を明らかにするための運営の衝に国民の代表を入れるということが私はもっと必要である。そう考えるものであります。御承知の通り、資金運用部資金法も今度一部改正になって、委員も数が減りました。減りましたけれども、まだ、たとえば厚生年金保険のように五千四百億も積み立てられているにかかわらず労働者の代表というものは入ってない。そしてこれらの問題については、数年来労働者の側から強い要望が出ているけれどもまだ解決されてない。そこで今度は、国民年金の方はさらに膨大な数字をかかえて、また、その積立金の積み立てられていく金額も速さも非常に速い。そういう中でこうした積立金を積み立てる側の代表、こういう人たちがこの運営協議会の中に入るような仕組みというものがまだ考えられていない。これらについて次官がどういうふうにお考えになるか、また、具体的に事務的にどういうお考えを持っておられるか、一つこれは局長からそれぞれお答えいただきたい。
○政府委員(安藤覚君) お答え申し上げます。 大臣はかねて来、先ほど年金局長も申しておりましたように、使途を明瞭にする、これがすなわち年金制度というものを運用していくということそれ自体は行政である。しかし、この年金制度に対して進んで拠出しよう、納付しようという意欲を起こさせるそのことが政治だ、こういうふうに考えてくるときに、今坂本先生の御質問になっておられました点についてはっきりとした線を出すこと。そうしてなるほどこういうふうにしてわれわれの周辺の者に、われわれの生活向上のために、環境整備のために使われるのか、また、国全体としての平和産業のためにかように使われるのかということが説明なしにそのもの一本で納得のできるような方向にしておくことがなくてはならぬのだというようなことが強く信念として抱かれまして、ただいまの運用委員会というようなもののあり方などもあわせ考えられまして、もっぱら折衝で、大平官房長官にその努力を願っておられる次第でございます。
○政府委員(小山進次郎君) 先生仰せの通り、今度改組されることになりましたが、従前の資金運用部資金運用審議会については、特に年金制度の側から見ますと非常にこれは言い分が多かったので、この点について国民年金の積立金問題を検討いたしておりました国民年金審議会においてはかなり痛烈な批判をしたわけであります。おおむねそういう批判を入れて今回改められることになったわけでありますが、従前委員は十二名でございましたけれども、十二名の中の半数以上が各省次官なり、あるいは日銀総裁、いわば役人で占められておったわけであります。また、会長は内閣総理大臣というようなことでありましたので、これではどうも困るのじゃないかという主張をいたしました結果、人数においては十二人というのが七人に減ったわけであります。それは従来のような仕組みでありますと、いわば役所側で相談をしてきめたことをただ形の上で追認するというようなものになってしまう。資金運用問題といったようなものをじっくり審議をしていくためには、あまり大人数ではいかぬということから七名という人数になったのであります。七名というのが絶対的な人数であるかどうかということにはもちろんいろいろ意見はあり得るのでありますが、趣旨はそういうことで減らしますという考え方を取ったわけであります。それから会長の問題につきましては、これもいろいろの意見があったようであります。案外民間側からかえって会長は従来通り総理大臣がよろしいという御意見もあったようでありますが、これはやはり厚生省側の、あるいは行政管理庁も同じ考え方を取ったようであります。それはやはり諮問機関という性格から見てもこの際総理大臣でない方がよろしいということで、七人の委員の中からこれは互選するということになったのであります。そういうことで仕組みも変わって、そこで実質的な審議をする問題は、この実質的な審議をする委員に各制度の事情というものが十分反映しなければならぬという問題があるわけであります。これについては将来の問題を考えますと、実は厚生年金、これについで続いて国民年金というのが非常に発言力を持ち得る状況にあるわけであります。現状においては遺憾ながらまだまだ郵便貯金が圧倒的に大きいわけであります。そういう事情もありまして、年金側だけでなく、郵政省側の要望というものも考えなければいかぬ。いろいろな要望がかち合いまして、今人選の調整をしているわけであります。その場合に、先生がおっしゃったような考え方で委員を選ぶという考え方も一つあると思いますが、やはり問題の性質上、労使という考え方ではなくて、公平に見てそれぞれの制度の要望というものを国の全体の経済発展と考え合わして、十分反映さしていくことのできる知識と見識を持った方ということが、最小限度これは必要であろう。そういうようなことで、今各省側から思いつきの人を出して、交渉し合っているところでありますが、限られた人数でおさめなくちゃいけませんので、なかなかその調整に手間どっておって、まだ新しくきめられた資金運用部資金運用審議会では、委員の決定を見るまでにいっていない。先ほど政務次官が申し上げましたように、厚生大臣のかねてからのお考えに従って、今、強い考え方でそれぞれ人選問題に対処しておられると、こういう状況でございます。
○坂本昭君 今の御答弁で、どうもまだきわめて不満足な点があるのです。それは二点ありますが、まず第一点は、郵便貯金が一兆億をこえておりますけれども、これも資金運用部資金に預託されていますが、これは郵便貯金というものと、それから厚生年金保険の積立金あるいは国民年金の積立金と、何か同格に、同一視して扱っておられる考え方自体が、これは基本的に間違っているのじゃないか。郵便貯金は郵便貯金でいいんです。これは大蔵省に預託されている方が、私は筋が通っていると思う。そうしてこれが大企業に使われたって、これについて私は何とも申しません。しかし、年金の積立金というものは、これは失業保険の積立金、あるいは労災保険の一これは正確にいって、積立金というと語弊があるかもしれませんが、これらのものと郵便貯金とは、質が全然違うということです。この正しい認識を持たないというと、厚生省当局が大蔵省と折衝する場合に、私は十分な力とならないと思う。これは次官に、誤解のないように申し上げておきますが、私は確かに、今の政府の国民年金運動を全面的にこれを取りつぶすために一生懸命やってきたんです。しかし、それは、社会保障をなくし、年金制度をなくすためにではなくて、もっといいものを作る、もっといい法律改正をやっていただきたい。その中で、この積立金の問題は、非常に大きな問題で、私は、この積立金は、大蔵省から取って、厚生省に何とか持ってきたいという点では、おそらく皆さん方の御賛同を得られると思うのです。でありますから、そういう点で、いろいろ私の申し上げる意見については、十分な御検討をいただきたいのですが、まず郵便貯金とこの年金の積立金とは違うということが第一点であります。 それからその次の点は、年金の積立金の所有権の問題であります。これは当委員会でも、前に少し議論したことがあります。法制局の意見も聞いたことがあります。これは衆議院の社労で、こういうことが審議されたか、検討されたかどうか知りませんが、だんだんと積立金の所有権については、新しい考えが生まれてきているのです。それは、この厚生年金の積立金は、労使がともに出し合って積み立てられたもの、そうしてこれはだれがもらうかというと、一定の条件の後、特に一定の年数の後に、受け取るのは、労働者のみが受け取る。これは企業主の方は、受け取る権利はないのです。労働者のみが受け取る。それから国民年金については、もちろん政府も二分の一負担をしますけれども、その二分の一といえどもこれは税金でございますから、これは国民の側の出したものであって、それを受け取る者は、あくまで農民や中小企業の人が何年か後に受け取る、あるいは失業保険の積立金が現在九百四十億くらいありますが、これも労働者が失業した場合に受け取るのであって、雇い主は受け取る資格も権利もない、従って、だれが将来受け取るべきものであるかという考えからするならば、これらはすべて労働者やあるいはお百姓さんや、商売をしている人が受け取る資格と権利を持っているのであって、たまたまそれが、その条件に達するまでは、いわば預かって積み立てておくという性質のものであります。従って、今回、衆参両院で社会党から、国民年金に関連する法律案がたくさん出まして、そうして、その積立金の運用については、われわれは、事業主の側ははずしてしまったのです。それは、事業主の側には、これを運用するところの権限というものは、法的にいってもないはずだ。これらの権限があるのは、これは労働者の側であり、農民のだけしかないのだ。これは一部の法律専門家の中には、そういう意見が実は通っているのです。そういう考え方があるのです。何もわれわれが牽強附会の説を申し上げているのじゃなくて、そういう考え方もあるのです。でわれわれは、そういう立場では、この積立金について、厚生省は大蔵省に、もっともっと厚生省自身が強い意見を述べていただいてもちっともかまわぬどころじゃない、述べてもらわなければならないし、さらにそれは厚生省が述べるのじゃなくて、国民年金については、農民の代表がそういう意見を言うべきである。実はそういう考えを持っているのです。従って、今、あなた方の述べられた点では、郵便貯金の性格と、それからこの積立金の所有権の性格、そういう点でどうも大きな食い違いがある。そうしてこのことは、この年金の問題だけじゃなくて、日本の社会保障の基本的な問題の中で、非常に大きな問題をこれから出すだろうと思う。それは、医療保険についても同じなんです。きょうは実は、大臣あるいは次官に、中央医療協議会の問題あるいは臨時医療報酬調査会のこともお尋ねしたいと思っておったのです。で、先ほど速記をつけない機会に、若干、次官の御意見も伺ったのですが、医療問題についても、今日医療保険の保険金を出すものは、企業家、それから労働者、被用者保険の場合は、労働者、国民健康保険の場合は農民と、それからまた、国庫負担があるわけです。しかし、それを出すのは、出してそうしてそれを受け取るのは、労働者であり、農民である。そうして、それらの金は、あるいは積み立てられたり、あるいは医者に対して支払いをされている。ところが、現在、医師会がこの単価を引き上げて、医師の収入をふやしてもらいたいという交渉の対象はどこかというと、厚生省であり、場合によれば、自民党の三役である。私はこれは非常に不合理だと思うのです。当然今のこれは、年金の積立金とは性格がちょっと違いますが、やはり医療保険として拠出されたところのものであります。その額が足らない場合には、それをふやしてもらいたいという医療担当者側の要求を直接に交渉する者は、被用者保険の労働者であり、また農民であってしかるべきであって、私は、そういう点では、日本の今日の医療保険あるいは医療行政あるいは政治一般が、まだ民主化されていないと思う。そういう点では、イギリスのような、いわば組合管理主義といいますか、労使の中でだんだんと作られていったところの、組合的な医療の管理運営といった行き方が、日本にももちろん今日ございますが、まだまだ不十分である。たとえば国民健康保険についても、それぞれ各地には運営協議会があるけれども、こういう大事なこの医療費の問題などにあたっては、いつも農民や労働者というものは、のけものになっている。そういう点で、今後の日本の医療についても、従来の行き方を根本的に変えなければならぬじゃないかという考えを、私たちは持っておる。このことはこの積立金問題についても、基本的な問題として取り上げなければならない、そういうふうに考えているのです。非常にごたごたと申し上げましたが、この際、次官並びに局長から特に御意見を伺っておきたいのは、郵便貯金の性格と積立金の性格を、同じようにお考えになっておられる皆さんの見解は、私はおかしいと思う。さらに今の所有権の問題ですね。これはまあ法律的には非常に問題点が起こると思いますが、一応厚生省として、どういうふうな積立金というものに対して考えを持っているか、その考えに基づいて、これは大蔵省との折衝というものは行なわれなければならないと思う。その二点について、この際承っておきたいと思います。
○政府委員(安藤覚君) ただいま御指摘の、郵便貯金というものと、厚生、国民両年金というものとの性質について、全く考えを異にすべきものだということでございましたが、これにつきましては、厚生大臣から、先ほど来問題になっておりまするこれらの積立金の使途の問題について、折衝せられる段階において、厚生大臣がるる陳述せられましたる御所見を承りましたところによりますれば、郵便貯金と、そして厚生、国民両年金との性格は、全く別なものであるという建前において、すなわち坂本先生のお説のごとき建前において、交渉を強くしてこられたことを承っておりまするので、おそらくこの大臣のお考えのあり方は、年金局長も十分承知いたしておると存じますから、この大臣の意図のもとに、すべてを考えておることであろうと存じますが、先ほど、もし先生がさようなふうにお受け取りいただけなかったとするならば、年金局長の言葉の足りなかったことであろうと存じますので、あらためてこの点を、年金局長に一つ答弁させることにいたしましょう。また、今度積立金の所有権の問題であり、そしてその運営については、積立者のみによって運営すべきであるという御所見に対しましては、この点まだわれわれどもの間において、あくまで先生のお説のところまで煮詰めておりませんので、これに対して明快なお答えを申し上げることのできないことを、はなはだ残念に存ずるわけでございますが、ただこの場合、これらの問題を含めて、先ほど坂本先生もお述べになりました、われわれがこの国民年金の問題についてはよりよきものを作るために、現行制度に対しては反対をしてきたものである。その運動を続けてきたものであるというお言葉でございましたが、これもごもっともな御見識とも存じますが、すでにこの国会におきましても、いろいろ御指摘いただきました、過去の法律に対して、改むべきところのものを、政府側からも積極的に改めましたし、さらにまた、これに続いて、朝野両党から、さらにさらに補足立法についても、こういう点を改正しようという御要望に対して、そのお声に耳を十分傾けまして、御同意申し上げて、先ほど来説明いたしましたような改正も、行なわれてきました。今後におきましても、ますますそういった方面において、諸先生方の御意見等も受け入れて、よりよきものにいたしていきたいと、かように存ずるわけでございますので、この段階に参りましたならば、先生一つ積極的に、これをさらに立て直してやろうという、これは私の口から申し上げることはちょっとなまいきかもしれませんけれども、先ほどからの先生のお言葉を聞いておりますと、お願いせずにおられませんので、このことを一言お願い申し上げるわけでございます。
○坂本昭君 事務的に御答弁いただく前に、もうちょっと念を押してお尋ねしておきたいのですが、私は積立金を、労働者なり農民者のみで管理せよというところまで言ってないのです。これはILOの社会保障に関するいろいろな条約の中にも、もう触れていまして、積立金の運営については、労働者あるいは農民——国民年金の場合は、労働者や農民の代表をこれに参画させなければならないというような言葉も、すでにあるのですね。 日本の場合には、そういう代表が全然加わっていないのです。私はむしろ、それのみとはこの際申しませんが、むしろ重点を置いてやるべきだということを申し上げて、それについての御答弁を求めておったので、局長からは、若干それについての少し事務的な具体的な御意見を、この際承っておきたいと思います。
○政府委員(小山進次郎君) ただいまも政務次官から申されましたように、郵便貯金が資金運用部に資金を預託する関係と、それから国民年金なりあるいは厚生年金が、資金運用部に預託する関係、これはもう根本的に違うという考え方は、先生仰せの通りで、むしろそこのところをはっきりしなければ、われわれの今までのやり方が悪いという主張が出てこないのであります。これはもう先生も常におっしゃっておられる通り、大体簡単に申し上げますと、二つあるわけでございます。 一つは郵便貯金の場合は、とにかく貯金をする、しないということについては、当事者に完全な自由があるわけであります。ところが、公的年金の方は、いやであろうと何であろうと、とにかくどうしても納めなければならぬという関係において徴収される金であるという点において、両者には一つ根本的に違う点がある。それからもう一つ、郵便貯金の方は、預け入れてもらう場合に、利息幾らというふうにきめて、預れ入れを受けるわけであります。この金を国の資金として使っていく場合の態度としては、要はそういった約束をした利子が、確実に支払いができるだけの運用利回りがあればいいわけであります。やや逆説的な言い方をすれば、あまりにもうけ過ぎてはいかぬわけなのであります。ところが、公的年金の方は、そういうわけじゃないのでありまして、これはもともと年金の給付内容をよくしようということで、積み立てるわけでありますから、もしほかの事情さえ許すならば、なるべく高い利回りで、運用することが望ましいわけであります。簡単に申し上げましても、たとえば運用利回りが、一分違って参るという計算がとれるといたしますと、これで給付内容が、ほぼ二〇%から二五%程度引き上げることができる。これはもう世界のどこの年金制度でも、そういうほぼ定説に近いものになっているわけであります。日本で厚生年金や国民年金に当てはめてみましても、そのくらいの割合になるわけであります。それだけ積立金の運用利回りをどうするかということが、非常に大きい意味を持つわけであります。従って、資金運用部に対して公的年金を預け入れます立場としましては、一方においては、この金が、拠出者側から見て筋の通った使い方をしてくれにゃ困るという要請があると同時に、他方においては、これをむやみやたらと低い利回りで運用するということをしてもらっては困る。これだけに犠牲を負わしては困るという要求があるわけであります。そういうような点から見まして、郵便貯金とは非常に違うのだ。ところが、従来の資金運用部のきまりというものは、郵便貯金がその資金源のほとんど全部を満たしておった当時のでき方なり、運用の習慣でやってきている。そうしてそれにつけ足して、公的年金もあわせて扱っているという態度になっている。それが困るということが議論の出発点であったわけでありまして、今後ともそういう年金側の立場というものを、貫徹していくようにしていかなくちゃいかぬ、こういう考え方であります。先ほど申し上げましたのは、そういうふうに両者違いがあるわけでありますけれども、われわれの方が資金運用部の資金の運用について自分たちの資金の特性というものを十分生かした運用をしろということを言える立場にあると同じように、やはり郵便貯金の制度を代表するものも零細な大衆の金をお預りしているわけですから、それはまたその制度の立場から見てそれにふさわしい主張というものが当然あり得る、その点においては両者は一致し得るわけであります。内容は一致しませんけれども立場としては一致する。従来のように、一たん預かったならばもうこれは銀行預金と同じなんで、大蔵省が思ったり使えばいいということでは困るというその点では一致する、こういう意味で申し上げたつもりだったのでありますが、言葉が足りませんでしたようでありますが、そういう考えであります。それから積立金の所有権がどこにあるかという問題、これはもちろん先生がおっしゃったのも純粋に法律上の問題としておっしゃったのではなくて、いわばその法律のもう一つもとにある、いわば発言権の問題として従来のように、この金が徴収をされてどこかに預けられるというと、金を出した者には全然発言権がないみたいな扱いになっておるのはけしからぬ、本来的に発言権のある者はだれかという御議論だと思うのであります。そういう御議論としては先生の御議論もあり得ると思いますけれども、ただしかし、どうもそう言ってしまうのは少し強過ぎるというような感じがするわけであります。それで現在厚生省がとっておりまするものは、教育者も含めた広い意味における制度の立場を代表する者に相当強い発言権を与えるべきじゃないか、そうして資金運用部に預託された金は単なる預金ではなくて、いわば信託財産として考えてほしい、こういうふうに運用してほしい、ああいうふうに運用してほしいということは、制度の立場からして当然あり得る要求だという考え方を現在の資金運用部の運用において容認をすべきである、こういうような考え方で現在主張している、こういうような事情でございます。
○坂本昭君 今の積立金の問題について、これは所有権あるいは管理権と申しましたらいいですか、私はこういう問題はまだ法律家が純粋に十分な検討を加えていないと思うのです。私自身もまだ考えが十分練れていません。しかし、法律専門家の間に所有権というか、管理権というか、そういう点ではこれは明確に労働者、農民のものだというふうな意見も出つつあるということは率直に言えるので、今局長の言われたような単なる発言権というような弱いもの以上にさらに強い意見が出つつある、私はこの点についてはもう少しわれわれ自身も法律的な理念を明確にし、同時に、ILOでもうすでにこのファンドについては労働者が参加すべきである、という非常に強い規定もILOの条約の中に盛られておる、そういうことからいっても、私は単なる発言権、そういう弱い考えで当局がこれを理解されるのでははなはだ私は不満であります。労働者、農民には発言権はある、しかし、これを管理する資格と責任はこれは政府当局にだけしかないんだということでは、これはわれわれとしては納得しがたい。われわれはあくまで労働者、農民のものであり、そしてその窓口は厚生省として一つの行政の窓口を通していっておるから、同時に、厚生省がこれについて世話をしていただくのだ、そういう点で言っておるのであって、決して小山さんにこれを全部おまかせしょうという意味で言っているのではなくて、これは賢明なる小山さんには一つおまかせいたしたいが、同時に、労働者、農民の代表をこれに入れてお互いにこれを十分に管理運用していこう、そういう段階になってくればわれわれも喜んでこの年金に対して協力もするし、これは何も年金だけではない、医療保険についても同じことが言える、そうしてこのことが現在中央医療協議会における三者構成などについても、われわれは今度の三者構成については労働者の側の意見を強く出すということについてはまた不十分であったのです。しかし、われわれとしてはそういう見解を持っている。そういうことで今あわせて述べたのであります。どうかこの点、今の管理権あるいは所有権、これについては単なる発言権以上のものだということだけは私は明らかにしておきたいと思います。何かその点について御見解があれば……。なければ何か関連質問がおありのようですから、一つ関連質問を言っていただきたい。
○藤田藤太郎君 私は、どうも大臣もおいでになって聞いていただきたいことなんですが、問題はこういうところにあるのだと思うのです。小山さんは、年金をよく努力しておることについては私は敬意を表する。しかし、私は、今坂本さんの言われたように、郵便貯金、簡易保険、これはやはりよく出てくる利回りの高いこと、利益がより拡大するという目的を持っている貯蓄です。これが資金運用部の中へ入れられて、もう一つは今年金並びに失業保険の積立金が今年中に千百億円になる。三十五年度九百四十四億円の積み立てのうち八百五十億が資金運用部の中にそのままいっている厚生年金の積立金が五千四百億円ぐらいある。こういう金をそれではどこが使うのかということが問題になってくると思うのです。どこが使うのではなしに、このような金が大蔵省の窓口でもよろしい、厚生省の窓口でもよろしい、より有効に国民生活を引き上げ、国民福祉に間に合うところにこの金が使われているかどうかというところに問題の根本がある。使われていないところに、労働者が積み立てたものの権利というものが無視されているところに今問題があるわけです。ここにイギリスのこの種の積立金の運用の問題がございます。イギリスの例を見ると、大蔵省が資金を集めて国債委員会できめている委員は、下院の議長、大蔵大臣、控訴院長、英国銀行総裁、最高裁判所の事務総長、この五人が資金の運用について責任を持っている。ところが、イギリスは何といっても金融は国営、国家管理なんですね。そうして経済の面からいって、たとえば生産性と賃金上昇率、物価横ばいということ、生産性、賃金上昇率が同じであって、物価横ばいという方針をとっている。しかし、現実においてサービス料金が上がっている。この中で賃金上昇率の方が高い。これだけ国民福祉が守られているという政治的、社会的事実、この政治的、社会的事実に対して資金が集中的に、このような資金が具体的な福祉の面にもいくでありましょうが、国民の生活福祉を上げていくというところにこの資金が集中されていくというところに意義があるのです。そういう取り上げ方をしないで、イギリスは大蔵省の、大蔵大臣の指示によって国債委員会がこの金を処理をしているのだ、こういう見方をしてはお間違いだということを私は言いたい。これが第一点です。だから、イギリスの今日行なわれる政治の母体が那辺の状態で進んでいるかということとあわせて、この種の一兆円近い、——今は一兆円もありませんけれども、たとえば厚生年金、失業保険、まあ今年の国民年金の積み立てが四百億といたしましても、六千億からの積立金がこれだけ三つそろえてあるわけです。これがどういう工合に国民福祉の方に使われているかいないかというところに問題がある。これがほんとうにすなおに国民福祉、生活向上のために使われておったら、私は大蔵省で使おうとどのような民主的な機関を作って使おうと、そこに問題が出てこないでしょう。ところが、今日の日本の状態というものは、生産性が非常に上がってコストがダウンしておるのに、賃金上昇率が少ない。五三対三七という状態であって、物価はまだどんどん上がっているという状態、経済が成長すれば国民がよくなるんだというようなものの考え方だけで、利益や所得というものがそういうところへ集中される。そういうものを中心に、また、そういうものを保護するところに、こういう資金が使われているというところに私は、問題があると思うのです。だから、厚生大臣の管理にして福祉に使え、年金の問題しかり、厚生年金の問題しかり。ここで議論をいたしましたが、失業保険の千億からの積立金をどうしてくれるんだというような議論が私は出てくるところだと思う。これはいろいろ議論は私はあるところだと思いますけれども、こういう種の積立金というものは、国民福祉に直結するというところに、どういう道筋によってもっていくかというところを根本的に考えて、そうして年金、福祉年金、拠出年金と国民の所得保障をどう進めていくか。これには保険制度を進めるなら積立をする仕組みにならざるを得ないと思うのです、無拠出にせぬ限り。そうしたならば、その膨大な資金が那辺のところに使おうかという心がまえが、どういう工合にして国民の生活水準を上げていくかという、そういうところへどうしたら一番すなおにいけるかという私は心がまえを小山さん初め厚生省では持ってもらいたい。この積み立ての利率を高くして、より利回りをよくするんだというような考え方のものではないと思うのです。第一義的には年金とか厚生年金とか、そういうものの経済だけを見ていったら、それは五分より五分五厘の方がいいし、五分五厘よりも六分の方がよりいい。この勘定の中ではよくなりますよという理屈はつくけれども、私はそういうものじゃないのじゃないかと思うのです。だから、ここにたとえば総理府の社会保障制度審議会、それから資金運用部資金運用審議会、それから厚生省の国民年金審議会の資金運用についての考え方が、こう三つ出て参っております。しかし、私はやっぱり厚生省はその根本の問題について、そうしてこの問題の心がまえをきめていただかないと、私はこれにかけておる人の、今坂本さんが言われた不満は、私は解消することができないんじゃないかということを思うのです。だから、そういう心がまえをぜひ持ってもらって、その上に立ってどこの筋道からこの資金をどのところに運用することが一番いいんだ、たとえば今の設備投資とかそういうところへいくなら堂々と私は注文をつけていく。単に利率の五分を上げてもらうとか、五分五厘を六分に上げてもらうとか、六分のやつを六分五厘に上げてもらうことによって、こういうところにピントを合わせないで、全額の金がそういう筋道に続いていくという、そういうところに皆さん方は大きな注文を、厚生省は管理者でありますから、そこへ大きい注文をつけて、この金が生きていくという筋道をつけてもらわなければ、国民の不満というものは私は解消しないと思う。この根本の問題を一つどういうお考えをもっておられるか聞かしていただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) ただいま藤田先生が仰せになったことは、いろいろ複雑な議論をして参りました結論として到達せざるを得ない一つの考え方なんであります。そう申し上げると、いかにもある場合にはいいことを言い、他の場合は他のことを言うというようなことになりますので、若干説明を必要といたしますけれども、ただいま先生が仰せになったような使途というのは、住宅とか、あるいは上水道、下水道といったような、生活環境の整備の施設とか、社会福祉の施設とか、そういうようなもの、あるいは文教施設、こういうようなもの等になるわけでございます。それでこういったようなものは、元来低利資金でまかなわなくちゃならぬ性質のものでございます。これを通常の民間金融で調達をいたしました資金でまかなうということは、まあできないということ、これは何としてもこのような使途をまかなっていく資金を調達しなくちゃいかぬわけでありますが、調達の仕方としては、非常に厳格な議論をしますならば、むしろ半ばこれは税金的色彩の強いもので調達した方がいいという議論が一つ出てくるわけであります。そういうふうな考え方からいたしまして、相当税金の方からこちらへ振り向けるという考え方もあるわけであります。そうして振り向けて、一般の民間で調達されるような性質の金と合わせることによって、低利資金として運用していく、こういう考え方が一つあるわけであります。ところが、もう一つの考え方としましては、そういうことで調達をするということになると、一般の財政収入の中から、相当多額を毎年財政投融資の方へ振り向けなくちゃいかぬということになってくる。こういうことで、なかなかむずかしい問題が別の面において出て参るわけであります。ちょうどここにほぼ国民全部が対象になっているような制度があって、その制度からある程度資金が自然に集まってくるとするならば、そういう資金を使うことによって、今のような目的を達する道もあろうじゃないかという考え方がもう一つあるわけであります。そういう考え方をその段階においてとるということになると、今度は年金制度の立場というものが、やや不当に無視されることになるわけであります。元来高い利回りで運用して、給付内容をよくするということで、いわば先ほどの坂本先生の御議論から言えば、国民からお預かりしている金を不当に低く、国民のためになるからということで使う、いいことであるからいいんじゃないかと言えば言えるわけでありますが、そこにやはり一つ抵抗するものがあるわけであります。そこで議論はもう一回ぐるっと回りまして、そうは言っても、それじゃ一般の税金の方を入れて、それを調達するということになるとどうかという議論まで戻って、行きつ戻りつした結果、とどのつまりは、やはりその点はほどほどに考えていかにゃいかぬのじゃないか。一面においては高い利回りで運用するということも考えなくちゃいかぬけれども、他面においては、結局年金制度の発展というのは、国民全部が所得を増していくというような、地盤がつちかわれていかなければ発展せぬということにもなるんだから、そういう方にもやはり目を向けるということが必要であろう、まあこういうようなことで、いろいろ積んだりくずしたりした結果、先生のような議論に今のところ大方の気持はいっているわけであります。それで、そういう考えの表われといたしまして、先ほど申し上げましたように、私は年金の資金を資金運用部を通じて国家資金として使うという点は、これはのまざるを得まい。しかし、この金の使い方については、年金を拠出する立場から見て、相当のこれは注文をつけにゃいかぬということで、使途別分類というものを法律によりまして特に設けることにして、この金がどこに使われなくちゃいかぬか、また、どこに使われているかということを明瞭にするようにしたわけであります。今年はすでに御報告申し上げているのでありますが、住宅、生活環境の整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業、こういう使途に国民年金、厚生年金の積立金の増加額千四百四十億の四分の三はこの使途に振り向ける。残り四分の一は国土保全、災害復旧、運輸通信、地域開発、道路というものに振り向ける。これによりまして基幹産業の助成とか、輸出振興といったような使途には一切向けない、こういうふうなことにすることにして、先生が仰せになったような考え方を実現していく。なお、前段の国民の生活に直結する使途の四分の三の中で、特に全体の二割五分だけは直接に、もっとじかに被保険者の利益に還元するようにということで、まあ従来通り還元融資として扱う、このうちの一部を最も効率的に運用していくということで、今回年金福祉事業団というものを作りまして、そこを通じて運用していく、こういうことにしようとしているわけでございます。従って、根本の考え方は先生仰せの通り進んでいるわけであります。明年以降のやり方といたしましては、予算の編成時期に、これはいずれ八月になると来年度予算の論議が始まりますが、この時期に厚生年金、国民年金については昭和三十七年度に集められると予想される資金の見通しを立てまして、これらの資金をどういう使途に振り向けてほしいという要求書を作って大蔵省に提出することにいたしております。この要求書はそれぞれ国民年金審議会及び社会保険審議会で相談をしてまとめてそれを提出するという考えであります。大蔵省はこれをもとといたしまして、来年度の資金計画を作っていく、当然その後において予算折衝と同じような資金の運用、使途に関する折衝があり、そうして最終的には資金運用部審議会の議を経て、そうして予算と同時にきまっていく、大体こういう段取りで今後仕事を進めよう、この点も政府部内ではほぼ一致しております。残った問題は、先ほど坂本先生の御質問にありました資金運用部審議会の委員の具体的な人選をどうするかという問題が残っている、こういうところまで進んでいるわけでございます。
○藤田藤太郎君 私はその心がまえを、社会保障の柱というのは医療保障とそれから所得保障なんです。これは社会保障の原理の根本をここで言う必要も皆さんにはないと思うのです。しかし、社会がそういう困った人やまた一般的な保障を高めていく社会の責任、個人の責任ではないということで高めていくというならば、今日のような社会状態、経済状態ならば、私はやはり国がより多く負担をしていくということでなければならぬと思うのです。だから、そうでなければ貧富の格差というものは縮まるものではない。福祉国家にもならないと思うのです。だから、今順次小山さんは委員の問題にまで触れられました。しかし、それだけ膨大な金というものが今日まで掛けた、要するに積み立てた人の何らの意見も注入されずに、勝手に使われていたと言われればそれまでですけれども、そういう形で私は使用されてきたところに、今のわれわれの権利の問題があるのじゃないかということになってくるのです。だから、私はこういう制度をお作りになる厚生省としては、単に直接の福祉事業に今後は向けていこうということでなしに、貧富の格差を縮めるのには、国民福祉を高めるのにはどうすればいいかという要求が当然国の資金計画にも、政策にもあってしかるべきだと私は思うのです。ただそのものだけ、保険経済だけを見て、今度はこうやりますだけでは私は解決されない問題であると思うから、先ほどのような一つの例をとって私は申し上げた。そういう私のような心がまえが厚生省になければ——単に保険経済、利率を高くして預かった金だからよくしたらいいんだ、より少しでもよくなったらいいんだというそこの銭勘定に問題の重点がいくようになってはいけないのではないか。むしろ資金が足りないのならば、社会保障の建前に立って国が負担を増額していけばいいんだ。そういう性質のものではなかろうかと私は思う。二五%の問題は年金福祉事業団について、より直接に一ぺん検討しようというお話でございます。それからそれまでの七五%の問題についてもそういう注文をつけていくんだ、こういうお答えがございました。しかし、今日までそれじゃどうしてきたかという問題については、私はその問題にまで触れられていないと思うのです。だから、今日までの積み立ての金も、厚生省は、私の今言ったような心がまえで、国の仕組みもそういう工合に、あの厚生白書の冒頭に掲げられるようなことをあらゆる面で、厚生大臣はそれを実現するために突き進んでいくというかまえ、そういうものを守って、それを実現するように努力されるのが年金局長並びに厚生省であろう。厚生行政としては、これは与野党の議論をする場は少ないと思うのです。だから、そういう筋を通してもらわなければ、心がまえというものがいつもなければ間違いが起こりはぜぬかということを言いたい。具体的には、一般社会保障の根源に立って、今のような政治経済の状態ならば当然もっと国の負担をふやして——年金といったって、これは何でしょう、三十五年たって、四十五年たって三千五百円、これでは生活はできないわけですから、衆議院の附帯決議をずっと見てみても、根本的にこれを検討しなければいかぬということがいわれて、われわれもそういう議論をしたいわけです。まだ今運用の問題だけをいっておりますけれども、そういう心がまえを持っていただかなければいかぬし、それはどうしても、国の大きな仕組みというものは変えられない。われわれの納得するようには変わりませんから、これはやっぱり積み立てた人の意見が十分に入るような資金運用部の委員をそこに入れるとか、具体的なこの運用の審議会を作って、それが具体的に、これとこれと注文をつけて要求して、それが実現できるような、厚生省のかまえというものを、僕はぜひともとってもらわなければいかぬのじゃないか、こういう工合に思うわけです。ぜひ一つ、これは次官も、大臣と御相談願って、この年金、こればっかりじゃないですよ、厚生年金もありますし、この種の失業保険の積み立てもあるわけですから、そういう問題について、もっと総合的に一つそういう問題を、郵便年金の問題もございます。この積み立てもございます。だから、それはぜひそういう格好で考えていただきたいということを、これに関連した問題だけを私は申し上げておきます。
○政府委員(安藤覚君) 坂本先生の御質問に関連せられまして、藤田先生からのだんだんの御意見の吐露もございまして、 〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕先ほど来承っておりまして、わけても、厚生省のこうした問題に対する根本の心がまえとしての点について、御意見の展開がございました。厚生白書の冒頭の文書等についても御言及ございました。たまたま厚生白書は、中山前大臣のころに作られたものではございましょうけれども、古井大臣とされましては、そのことについて何ら異議をさしはさみ、意見を異にされることなく、あらゆる面からみずからのものとして受けとっておられるようであります。しこうして、これを作成し、起案いたしました厚生当局におきましても、よもや文書はこう書いたが、実際はこう考えているということはあり得ないことであるし、あり得せしめてはならぬことだと、かように存じておりますが、なお、ただいまの御意見の点を、今後われわれも意に体しまして前進していきたいと、かように存ずるわけであります。
○政府委員(小山進次郎君) ただいま藤田先生の仰せになったことについて、簡単に、先ほど申し上げたことでありますが、やや回りくどく申し上げましたので、結論を申し上げたいと思います。 先生がおっしゃるように、従来はともすれば還元融資というもののワクを多くするということで問題を何とか片づけようというふうな傾向があったという点については私どもの省としては非常に反省をしているところであります。還元融資のワクはワクで相当取らなければいかぬ。しかし、問題はそれを二割取るか、二割五分取るかということで尽きるわけじゃなくて、資金全体がどう使われるかということを絶えず問題にしなければならぬ、こういう考え方であります。この点は先ほど来申し上げたように、先生と同じ考え方に立っているわけであります。 それから第二の問題としましては、先ほど私が申し上げたのは、将来そうしたい、あるいはそうする考えだというふうなことを申し上げたのでなくて、今年からそうなることにきまっておりますということを申し上げたのであります。繰り返して申し上げましたように、資金運用部資金の使途別分類は、本年度の財政投融資計画と一体をなすものとして決定を見たものでございまして、これはすでに先生方のお手元にも予算審議の際に提出してある資料でございます。その際に、先生の仰せの通り、実は厚生年金について今まで解決のつかなかった問題を一挙に解決をつけたのであります。国民年金の金だけではなくて、厚生年金の金も一緒にこうしたすっきりした仕組みで運用する。残る問題は、おそらくすでに預記されている四千億をこえるものについてどうするかということでありますが、これはすでに貸付先がきまっておりまするので、いずれ七年たちますと逐次返ってきますので、厚生年金はもうある程度成熟しておりますから、毎年若干ずつ資金が返って参ります。これはもちろん来年度以降この年金資金の中に繰り入れをいたしまして、逐次すっきりした使途に振り向けていく、こういうことになっておるのでございます。
○相澤重明君 だいぶ専門的な話を聞いておって興味が深いのであります。一つ二つの運用の問題で聞いておきたいのですが、先ほど年金局長が言った、今年からこの資金運用部資金の使い方について二千四百億と言ったのかね。幾らだったですか。
○政府委員(小山進次郎君) 千四百四十億と申し上げました。
○相澤重明君 その千四百四十億の四分の三が、住宅とか、生活環境とか、厚生とか、文教とか、中小企業とか、農林漁業ということだね。そうすると、そのうち中小企業関係にはどのくらいいきますか。
○政府委員(小山進次郎君) ただいまの金額の総計が千七十八億で、そのうち中小企業に振り向けられるものが二百五十二億でございます。
○相澤重明君 そこで、ことしの三月七日だったか、衆議院の予算委員会で、大蔵省、厚生省、労働省、それぞれの答弁があったのだけれども、その中で、その資金還元で労働金庫に還元をするということについて、最終的に水田大蔵大臣が、運用の中で検討をする、あなただの、労働省の方では、先ほど藤田委員や坂本委員の質疑を通じての意見のような考え方に大体意見は一致した。最終的な運用をどうするか、こういうことで水田大蔵大臣は、十分その趣旨を体して検討するということを予算委員会で言っておったと思う。これは三月七日だったと思うのですが、そこで、それについて、新年度になったわけですから、四月以降のその取り扱いについて、厚生省はどういうふうにその意見を大蔵省と話をなされておるのか、その点わかったらちょっとお話をいただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) ただいま先生仰せの問題は、年金福祉事業団の資金を取り扱う金融機関の中に労働金庫を加えるかどうかということでございまして、先生のおっしゃる通りこれは予算委員会の分科会でいろいろ御検討願った問題でございます。大体厚生省としての事務的な腹がまえはほぼ整理されておりますが、何分問題は、目下衆議院の社会労働委員会で今ちょうど御審議を願っていただいているきわめてデリケートな問題でございまして、先ほど来申し上げていることで考え方はわかっていただけたと思いますが、結論はまだ申し上げられない実情になっております。
○相澤重明君 ちょうどそれでは幸いなときにタイミングがよかったというか、与党の皆さんも理解のある人が多いし、安藤政務次官も出席しておるのだから、政務次官今のような事務当局としては長年の懸案事項でもあるし、また、今回のこの事業団を発足させるについても基本的な考え方も意見が一致しておるわけだ。そこでその衆議院の社労でやっておるとすれば、わが方の社労においてもその政務次官の答辞いかんによっては満場一致きまるわけだね。ちょうどタイミングがいい。ここで与党の加藤理事にもお骨折りをいただいて、この際一つ次官の答弁を願って、一つ大綱だけでもそういうことをおきめいただければ大へんありがたいと思う。私はきょう来てちょうどお話し聞いておって、はああれはいいことだということで気がついたのだがね、その点、次官いかがでしょう。
○政府委員(安藤覚君) 相澤先生のせっかくの御質疑でございましたが、私といたしましては、実は少しと言いたいが、あまりにも荷が重いのでございまして、まことに申しわけございませんが、これはデリケートなことを申し上げるのでございますけれども、やはり与党内においていろいろ実は意見の調整が目下行なわれている最中なんでございまして、その席に出ましては、私与党の一人としては自由に発言をいたしておりますけれども、やはりこういう立場に立ちますと、ちょっとそれを申し上げるのはいかがと存ぜられますので、加藤先生あたりからもしばしばお教えもいただいておるような次第でございます。その辺のところよろしく御了察を願いとう存じます。
○藤田藤太郎君 関連して、これは安藤さん、これは年金福祉事業団法が来たときの議論だと思うけれども、これは今それくらいの程度しか言えないかしらぬけれども、労働金庫の問題は一切ことしは解決するということになっているようだ。中小企業退職金事業団も、それを約束してあがったというような格好で、この種の労働者の金庫にその窓口がないなんていうことを今時分そこでおっしゃるのがおかしいと僕は思っているのだがな、しかし、関連だからこのくらいにしておくけれども。
○小柳勇君 これまだ問題が煮詰まっていないので、ただ気づいた点だけを言っておきたいのですが、最近大蔵省の理財局からきれいなパンフレットをもらいまして、これで資金運用部のあらましというものの話が書いてある。その中には厚生年金の金の使い方などについて実にりっぱに書いてあります。私は大蔵省の理財局というものが中心になって金の扱いはしておられるでしょうけれども、政策面についてはさっき藤田委員や坂本委員の言われた通り、当然厚生省の方が大きく発言しなきゃならぬものだと思うわけだ、ああいうものは御存じだと思いますけれども、大蔵省の理財局などもそういう考えにもつと先行して、あるいはもっと大きな柱をああいうパンフレットなどには入れるべきだと思うのです。そういう面についてお気づきの点があれば局長から聞いておきたいと思います。
○政府委員(小山進次郎君) 私もそのパンフレットを見ましたのですが、先ほど来申し上げておりますように、昨年以来厚生年金と国民年金を含めまして、資金運用の問題につきましては、全体的に厚生省側としてはいろいろはっきりした意見を述べているのであります。それでこれはそう申し上げると少し甘いというふうな御批判を受けることになるかもしらぬと思いますが、少なくとも従来の資金運用の方向に対しては相当反省を与えることができたと思っております。従来とかく国民経済の成長率を高めさえすればいいという考慮が資金運用の面においても働き過ぎておったのでありますが、そういうようなことよりも、むしろ国家資金の運用の場合にはもっと考える問題がありはしないか。おくれた生活環境の整備とか、あるいは先ほど来お話があった格差を是正する施策にもっともっと低利資金を振り向けるという方に資金運用の重点を向けていくべきじゃないかということを、昨年以来資金運用部審議会においても非常に強く主張し続けてきたわけであります。本年度におきましては、その点かなり現われて参りまして、このパンフレットもそうでありますし、それからことしの予算がきまったときに、これは大蔵省側が各新聞に説明をしました内容でも、意識してそういう方面に資金運用の重点が向いている。「従って」と言ってつけ加えておるのでありますが、だからもう生まれかわったんですと、こういうふうなことを言っているのでありますが、そこのところは別といたしましても、少なくとも方向としてはそちらへ向いているということが言えると思うのであります。私ども先ほど来申し上げましたような資金運用部審議会の仕組みをさらにきちんとすること、それから年金資金の運用の手順についてはっきりした段取りをきめていくこと、つまり毎年資金の拠出者としてどういう方向にこれを運用してほしいかというその内容をはっきりして世の中の人にも知っていただくということを通じて資金運用の問題について一段とよくしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○相澤重明君 この今までの御説明を聞いて、従来大蔵省が統一して堅持してきたこの金融政策というものに、大衆に還元をしなきゃいかぬと、こういう厚生省、労働省の強い意見というものが漸次浸透しつつある、こういうことはまことに喜びとすべきものと私は思う。従って、この今日までの厚生省、労働省の努力を私は多としたい。そこでせっかく仏作って魂入れずではこれは役に立ちませんから、あとは委員長もお帰りになることだろうし、今の労働金庫の資金還元の問題については、その筋を生かして一つ高野博士や加藤理事と私どもの方の藤田、坂本理事ともよく御相談をいただいて、ちょうどタイミングのいい時期でありますから、一つ当参議院の社会労働委員会でもその方向にいくように一つ御決定を願いたい。また、政務次官として、一つ大臣にも報告をして、そしてやはり大蔵大臣の独善的な考えでなくて、労働大臣、厚生大臣も国務大臣ですから、同格ですから、そういう意味で広い今までの考え方が通るように、事業団を作ったいわれ、その運用の仕方、こういうものについてりっぱに成長するように一つ御努力いただきたいと思います。従って、取り扱いは私は委員長、理事に御一任したい。ぜひ御努力をいただきたい。こういうことでこれは、動議として、私どもの立場から委員長にお願いをしたい。一つよろしくお願いいたします。
○坂本昭君 積立金の問題から関連されまして幾つか出てきましたが、若干今の問題について締めくくっておきたいと思うのですが、特に年金福祉事業団の問題については、きょうは審議をする予定にはなっていませんでしたが、結局この事業団の使命というものも、積立金に対する正しい認識のもとにこれは出発されなければならない事業団であって今ここで話が出てくるのも当然なことだと思うのです。ただそこで、今ちょっと次官しぼられましたけれども、これはどうもわれわれの承知しておったこととだいぶ違うのであって、労働金庫についてはこれは問題がないはずであります。労働金庫についてはこれは今さらここでしぼられたら、これはちょっと問題であって、あらゆる政府提案の法律案についてどうも私たち非常に今までと違った見解を持たざるを得ないのですね。これはもう一ぺんはっきりと、労働金庫についてはこれはもうはっきり確定されたものであると私は考えている。ただ、もう一つの問題は、労働組合に対する融資の問題です。これが問題になってくるのですね。これは率直に言って、労働組合が福祉以外のことに使うのではないかという懸念のもとに与党の中でいろいろと問題が起こっているということであって、私は労働組合がこうした年金の積立金を、これは福祉のために積み立てたものであって、福祉のために労働組合が使う以上においては当然これは許さるべきものであり、私はこの法律の中に明示してもよろしいし、それができなければ政令の中に明示をする、このつまりあとの点が問題になっていると私は考えるのです。従って、この点は、この際労働金庫については私は明確であり、あと労働組合の場合にはこれに若干形容詞がつくか何か説明がつくかして、これが福祉のために使われるならば労働組合のそういう福祉のための団体のためには当然融資をしてもよろしい。私はそう理解をしているので、その点については、この際次官から責任を持った答弁を一ついただきたい。
○政府委員(安藤覚君) 先ほどの相澤先生の御質問をさらに坂本先生から分析なされましてのお尋ねでございまして、私自身として、先ほど申し上げました与党との調整ということでございましたが、その点につきましては、やはり与党との調整が最後段階にまだ参っておりません。与党側におきまして調整がありましたときにおいて当方としてもこれに応ずるの態勢をとっていきたいと、こういう考え方でいるわけでございまするので、せっかくその方面は推進いたしたいと存じております。
○坂本昭君 それでは、事業団の問題はきょうの委員会の審議からはずれておりますから、これ以上はお尋ね申し上げません。 そこで元の問題に返りまして、先ほど来関連質問の皆さんからも御質問がありましたが、要は社会保障というものは、明らかに厚生白書でも指摘された明暗二相の今日の日本の二重構造をなくしていく、そのために所得の再分配という具体的な手段をもってなくしていくということにある、そういうふうにお互いにこれは考えながら、そこでこの国民年金の場合には、当然問題になるのは積立金と、それから各種の年金に対する支給金額、この二つが問題になってくるわけであります。そうしてそのウェートについてはまさに両方とも同じウェート、そうして今回衆議院でいろいろと修正されましたのは、これらの支給金額について逐次修正されようとしてこの具体的ないろいろな事項があげられてきたわけであります。でこのことはきわめて不十分だという不満な気持を持っておりますが、これは逐次切りかえ、改めて、支給額をふやしていく。同時に、積立金の問題については、まだ先ほど来の局長の答弁では、財政投融資本来の目的のために使われ、同時に、これが景気調整の一つの装置としての役割を果たす、これは確かに経済的にはそうでありますが、少なくとも厚生省の当局者でこれを扱っている人としては、こういう経済的な立場だけではわれわれとしては納得できないのです。そういう点では、これは繰り返して議論してもなかなか結論がつかないので、先ほど来局長も資金運用部審議会の内容をだんだん変えてきた、それでその人選のためにいろいろと折衝しているということでしたが、この七名の人選に対して具体的に当局の皆さん方がどういうことをしておられるか、これを一つ御説明いただきたい。 それからもう一つは、たまたま出ました年金福祉事業団、私は同じ小型の今の融資の年金積立金の扱いの問題であって、これについてもどう運営するか、どう配分するかということは、同じ問題が出てくる。先般当委員会では新しく労働省の方で作る雇用促進事業団、これについては衆参両院において附帯決議もできましたが、当委員会でも特にこの事業団について運営の問題が非常に議論されまして、これが民主的に運営される、そのためには、労働者側の代表も入り、また、事業主の代表も入って運営しなければならぬということが出てきたのですが、この年金福祉事業団の運営については、資金運用部資金運用審議会と同じ形で、これは、今審議していることじゃないのですが、積立金本来の趣旨からいって、皆さんとしてはこの運営に労働者の代表、あるいは農民の代表を具体的にどういうふうに送り込むおつもりであるか、この二つについて、これは少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(小山進次郎君) 資金運用部審議会の方は七名の委員でございますが、いろいろ折衝しておりますのは、大まかに言って、七名の割り振りを、たとえば年金側の事情を心得ておる人を何名ぐらい、それから純粋な財政経済という立場からの人を何名ぐらい、郵便貯金とか何とかの事情を心得て反映するような立場の人を何名ぐらい、こういうことでいろいろ可能性について話し合っているというようなことでございまして、具体的な人数、その他についてはまだ申し上げるほどの固まりにいっておりません。 それから年金福祉事業団の運営についての問題は、私どもの気持としては、これは資金運用部審議会よりももっと強い度合いにおいて拠出者といいますか、あるいはそういう立場の人々の意向を反映させる仕組みを考えるべきだと、片方は何といっても大きい国の経済との関連がありますから、そこのところは相当やはりわれわれとしても考えにやならぬという気持を持っておりますが、年金福祉事業団の方にはそういう色彩は非常に薄いわけであります。公正に背後の事情を反映し、それらの資金がほんとうによく配分されるということが必要なわけでありまして、そういう角度から考えるならば、もっと考えられなくちゃいかぬ。それで具体的にまだ何人ぐらいでどういう仕組みでというところまでは問題が正直のところ詰まっておりませんけれども、大まかな考えとしては、おおむね先生がおっしゃったような種類のものを作っていくという気持で考えるべきじゃないだろうか。そういうことで今いろいろ関係している方面と調整しておりますが、これはおそらく仰せの通りに運ぶと申し上げて間違いないわけであります。
○坂本昭君 なお、この際伺っておきたいのは、今の積立金の問題については、国民年金審議会とそれから社会保険審議会が厚生大臣の諮問にこたえて、いろいろと積立金運用に対する答申の義務があると思うのですね。ただ、その答申のウエートあるいはこの二つの審議会が国民年金、厚生年金積立金の配分等に関してどの程度まで権限があるか。そうしてまた、将来はこの権限をどういうふうにふやしていきたいか、それらについての御意見をこの際聞かしていただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) 形の上で権限というものを議論することになると、これはかなり窮屈なことになると思いますが、しかし、いずれにしても、両審議会ともそれぞれの制度に対して全般的に審議してもらう審議会でございますから、実質的には当然相当立ち入った審議をしてもらうべきものだと思っております。 それで、具体的には先ほども申し上げましたように、毎年国民年金につきましても、厚生年金につきましても、予算要求と同じような工合に、来年度の資金運用をこうしてくれという計画を出す手順をきめております。従って、その計画を作る場合においては、それぞれ国民年金審議会なり社会保険審議会等に十分御相談をして、要求の内容を固めて臨みたい、そういうふうな過程を通じまして大きく意向を全体の資金運用の面に反映して参りたい、こういう考えでございます。
○坂本昭君 これは労働省所管の今の失業保険の積立金を使っての労働福祉事業団の問題について同じことが言えるのであります。労働福祉事業団の仕事については、労災病院、これは労災保険審議会がある。それから今回新しく雇用促進事業団ができましたが、これについては職業安定審議会がある。そうしてこの両方ともの審議会は、労働大臣がこれを諮問を受けることになると同時に、両審議会は労働大臣に対して直接いろいろなそこで建議をすることができる。先般来われわれは労働福祉事業団の運営が必ずしもうまく行っていなかった。従って、労災病院のストライキも行なわれたし、あるいは雇用促進のための、職業転換のための職業訓練、こうしたものもうまく行っていないのじゃないか。従って、労働大臣としてはこれらの両審議会の意見を率直に受けて、たとえば、事業団の運営が悪いときには事業団の理事長の任命は労働大臣、それからまた、雇用促進事業団の副理事長の任命も労働大臣です。しかし、理事長の運営が悪い場合にはその審議会の意見をいれて、労働大臣としては適切な処置をするということも必要でないかということが、実はこの委員会では議論されたのであります。私は同じことがこの膨大な積立金の問題にあたってはこの国民年金審議会と社会保険審議会についても言えると思うのです。 そうして、これはあらためて厚生大臣に伺いますけれども、従来この審議会というものを、私は行政当局はとかく軽視していると思うのです。この軽視のために民主的の運営が行なわれなくて、間々世間に官僚的だとか一方的だとかいう非難を受けているので、少なくともこの積立金については厚生省として両審議会の意見を十分聞く。そうしてそれに従って厚生大臣としては責任を取ったこの積立金の運営管理をしていく、こういう建前を従来よりも一段と明確にしていただきたい。で、一応きょうは、次官にその点の御見解を聞き、さらに大臣に対してはその旨を伝えていただくと同時に、次の機会に大臣に直接お尋ねいたしますが、今その点についてこの際、一応御所見を承っておきたい。
○政府委員(安藤覚君) ただいまの坂本先生の審議会に対する私どもの態度につきまして、従来とかくこれを軽視する風があって、そこに官僚独善あるいは権力的というような非難の声があったとのお話でございますが、審議会を設けて、そこに自分の独自の意見で決定しかねるより多くの方々の意見を聞こう、そうしてこれを政治の中に、行政の中に織り込んでいこうという心がまえにおいて、すでに設けられておることでありますから、この審議会の答申について、また、そこに現われた御意見について十分に耳を傾け、これを実践に移す熱意がなくちゃならぬということは当然でございまして、この点につきましては、あるいは時に官僚の隠れみのに使われているだなどという御批判もいただかないではありませんけれども、いずれにしましても、先生の今お話になりましたところのものは十分に身につけて今後処していきたいと存じますると同時に、きょうの先生のその御意見は、いずれ他日先生みずから大臣にお出し願うにいたしましても、きょうのところはきょうのところとして、私から御報告申し上げるということを申し述べさせていただきます。
○坂本昭君 それで国民年金の問題について、次に伺いたい大きい点は、積立金の問題と、各種年金の支給額の問題であるということを申し上げましたが、非常に大きな問題として、池田内閣では所得倍増の十カ年計画を立てておられる。その中で十カ年の所得倍増の中で、もちろん拠出制の年金は今にわかには始まりませんが、福祉年金その他のものはそれぞれ支給されておる。その十カ年計画の中でどういうふうな支給金額の改正を行なうおつもりがあるかということ、その問題をまず伺っておきます。
○政府委員(小山進次郎君) ただいま仰せになりました問題は、社会保障全般についての十カ年計画の問題として現在いろいろの角度から検討しているわけでございまして、まだ確定的に申し上げる案まではいっていないのであります。いろいろの可能性については検討しております。非常に機械的な議論をする人は、単純に二倍にしてここまで持っていくのだというような議論をする向きもあるわけでございまして、あるいは先生そういった書きものをどっかでごらんになってそれが厚生省の持っている計画だという御推定かとも思いますが、ただこの問題は、申し上げるまでもなく、年金額をどうするかということをほんとうに実行いたしますためには、その裏づけとなる保険料と国庫負担はどうするかということについて少なくとも現段階においてわれわれが見てこれなら実行できるという計画の裏づけがなければ、これは十カ年計画と申しましても実は十カ年計画としての体をなさぬわけであります。そういう意味合いにおいてなかなかきめかねているということでございますが、いろいろの可能性は検討しております。それから福祉年金につきましても、これはやはり根本的には生活保護の基準がこの十カ年計画の中においてどういうふうに作られているかということが大きく関連してくるわけであります。これについてはごく大まかに申しましても、もし社会保障の十カ年計画に何らかのプラスの作用を持たせようとするなら、もし一般の所得が二、三倍になるというのであれば、生活保護の引き上げ率はそれより多くなければならぬわけであります。そうしなければ所得の格差というものは縮まらないということ。つまりその問題についてはまあ厚生省はいわば何もしなかったにもひとしいという結果にもなるわけであります。そういう意味においてそれは相当勇敢な引き上げの内容を持ったものでなくちゃならぬ。これはまずだれが考えても十カ年計画の骨子になるものだと思います。そうして参りますと、福祉年金部門についてはおそらく一般の引き上げの倍率にほぼ近いものが含まれるという可能性はあり得ると思いますけれども、いろいろの関連問題がございまして、たとえばその間に私どもやはりある時期になりましたならば、支給開始年令を逐次引き下げるということも検討すべきだと思います。これと年金額の引き上げをどうからみ合わせていくか。両方一時にやるということはなかなかむずかしいわけなんでありまして、両方からみ合わせつつ十年間のうちに支給開始年令も福祉老齢年金については引き下げて参りたい。年金額も上げて参りたい。そういうような意味でこれもいろいろな可能性を検討しておりますが、まだこういうふうにきめましたというように申し上げるところまでは行っておりません。ただ考え方について、これはお前たち一体どういうふうに考えるかということでありまするならば、私どもの気持から言いますと、八分通りくらいまでは検討を一通りした。これをどういうふうに全体との関連で調整してきめていくかということが残っている。こういう段階でございます。
○坂本昭君 今の小山局長の御答弁の大体は私は正しいと思うんです。特に十カ年の間に所得倍増される中での厚生省がどういう考えを持っているか。確かに二倍以上のものをもってのぞまなければ、これは所得の格差を縮めることにはならない。そういう点でこの大まかな筋としての局長の方針は正しいと思うのですが、もう今日十カ年計画が公表されてる中で厚生省のこうしたものに対する具体的な数字、一応の試案でもよろしいが、ある程度出されてきても差しつかえないと思う。従って、それは八割程度までできてるということでありますが、一応試案としてこれを出していただきたい。いつごろ出していただけるかということを一つ伺いたいことと、それからもう一つ一般の所得が倍になった場合に、福祉年金の場合には二倍以上に引き上げなければならぬ。そうした場合に支給の年令を六十五才、あるいは七十才からずっと引き下げていく。そうした場合の根拠になるものはあくまで所得の格差を縮めるという立場に立っていきますから、それは年令と同時に金額の上昇、それは両方結局年令を下げるということは対象人員がふえるということであり、それにかける金額でありますから、結局この予算の問題になりますが、一番の問題になるのは所得の再配分をどうすれば格差がどう縮まるかという計算だと思う。で、ただ福祉年金の場合は生活保護を基準として、これは二倍以上にふくらまさなければならぬという単純な数字計算ではなくて、あくまで日本の社会保障、所得保障、そして国民所得の再分配という立場で計算をするならば、おのずからその計算をされた数というものもある程度私は出ておってもいいと思う。少なくとも現段階においてどの程度分配されてるかという数はあっていいと思う。従って、これは最初にお尋ねしたことと関連しますが、そうした具体的な数をわれわれの検討の資料のために出していただきたい。で、これは事務的なことでありますので、大体その作業がいつごろできるかということで、局長から伺いたいと思います。
○政府委員(安藤覚君) 局長からお答えいたさせますけれども、今の御質問が二つに分かれておりまして、第一の、この十カ年計画についてのまとまった、コンクリートされた試案とでもいうべきものをいつごろわれわれに見せるかというお尋ねでございました。これにつきましては、審議室において目下鋭意作業を進めております。先ほど年金局長から答えましたように、大体七、八割のところまでは進んでおるということでございまして、ただ、われわれ自身もまとまった報告は聞いておらぬほどでありまして、断片的なものであります。なお、省の中における省議ともいうようなものにかけて十分練るというところにもいっておらないようであります。審議室だけのものも大体大まかにきめられてきているということです。これを今後十分、各それぞれの機関にかけてまとめ上げますまでには、やはりまだ七月のうちでは無理なんではないかと存ぜられます。しかし、それらのものは、いよいよ試案として御批判をいただける自信が持てる段階に至りましたら、遅滞なくお手元にお届けしまして御批判をいただくということにいたしたいと、かように存じております。 なお、次の問題につきましては年金局長からお答えいたします。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど私の申し上げ方がやや不正確だったようでありますが、私が八割程度と申し上げましたのは、私の関係する年金については、まだ計画をきちんと書いてはおりませんけれども、設計を書く前の頭の整理はほぼ七割程度はしているつもりです、というので申し上げたわけでございます。従って、こういう問題についてはどうだという地ならしはほぼ自分としてはできたつもりだと、まあこういうことで申し上げたつもりでございまして、全体の計画は、ただいま政務次官が言われましたように、これは八月から九月になってまとまると、こういうことでございます。 それから福祉年金について、これが実際上所得再配分にどれだけの役割をしているかという計算したものがあるかということでございますが、これはございません。それから、年金制度を作りますときに開発銀行の調査部に委託しまして、国民年金の現在の制度が所得再配分の上においてどれだけの役割をしていくかということを、相当厳密に計算してみたことが、ございます。これはまあ、気持としては若干あるといいましても、まだまだその現在の国民年金制度の、それも福祉年金について、これが現実に所有再配分の上において、数字の上でこれだけ働いていますといったようなものでないことは、どうも残念ながら申し上げざるを得ないと思います。また、十年間に一体それがその程度のものになるかといえば、私はまだ無理だと思います。で、先ほど申し上げましたのは、福祉年金なんかよりも、やはり生活保護をこの十年間のうちにどうするかということが社会保障十カ年計画のかなめだという考えだ、ということを申し上げたわけでありまして、それを固めつつ、一方福祉年金をそれと調整もつくものにしていくと、こういう考え方でございますが、仰せの通り、できるだけやはりこの十カ年間の間に上げられるところまでは上げていきたいという気持においては、もうみんな同じ考え方を持っているわけであります。
○坂本昭君 私は、この十カ年の間に相当いろんなものが変わると思うんです。ですから、今の局長さんのお考えでは、これは間に合わなくなるんじゃないかという私は印象を受けている。そのころにはもう局長さんは局長でなくて、もうずっと偉くなっておられて、関係をしないかもしれないが、私は、この十年の間に相当変化があるので当然検討しておいていただきたいことと、それからもう一つ、それに関連して、やはりこの保険金の問題、現在の百円、百五十円のフラット制が私はやはり変わって賦課制に変わらざるを得ないのではなかろうか、そういったこともこの十年の間に取り上げていくべきではないかというふうに考えていますが、これについて事務的に何らかの検討をしておられるか、その点も一つ伺っておきたい。
○政府委員(小山進次郎君) 結論から申し上げますと、私もこの十年間のうちに、現在のフラット制は、所得比例的な保険料の徴収、それから給付についてはやや差等はつきまするが、やはりある程度今と違った形の年金額というものに移っていくに違いないと思っております。作業の方は、将来計画の今規模をいろいろ検討しておりますが、一通り規模が固まりましたならば、これを差等のついた保険料の徴収で組み立て、差等のついた年金額で組み立てをしたらどうなるかということを、次に検討いたしたいと思っております。おそらくそういうものを含めて最終的に厚生省が十カ年計画を申し上げることができる時期が、八月ないし九月、こういうことになると思います。
○坂本昭君 それではあと各委員から御質問があろうと思いますが、少し大まかなところだけ、きょう議題になった点だけをお尋ねしたいと思います。 次に、児童扶養手当法案の大きな問題についてお尋ねをしたいと思います。まず第一に伺いたい点は、日本の社会保障の中で今回新しくできた児童扶養手当法というものが、どういう役割を果たすだろうかということであります。特にこれは新しい試みでありますけれども、もちろんこれはねらいとしては、母子年金の特に生別問題、こういうものがうまく解決されないために一応出されてきた法律案であろうと思いますが、しかし、外国では家族手当の問題あるいはILOのいろいろな取り扱いの問題、そういうこともありますので、それらとの関連において一つ今回のこの法案の果たす役割、さらに外国の事例を通して家族手当の問題とからみ合わせて、将来これをどういうふうに扱っていくおつもりか、それらもあわせて一つ総括的な御説明をしていただきたい。
○政府委員(大山正君) 今回の児童扶養手当法案はただいまお述べになりましたように、主として生別母子世帯を中心といたしました制度でございまして、国民年金法におきまして、死別母子世帯には母子福祉年金が出るにかかわらず、生別母子世帯には出ない、この欠陥を補うということを主とした目的とした制度でございます。しかしながら、お話がありましたように、世界各国におきましては、大体三十八カ国と私ども承知しておりますが、児童手当あるいは家族手当ともいうべき制度がございまして、わが国の社会保障のうちいろいろな面の制度ができておりますが、この児童手当制度あるいは家族手当制度という面が一つ大きく抜けているのではないかというふうに、私ども考えるのであります。この点につきましては、一昨年の国連の総会で採択されました児童権利宣言におきましても、将来多子家庭、多くの子供を持っている家庭については、公においてそれの負担をすることが望ましいというようなことがうたわれております。あるいはまた、ILOの百二号条約の中にもあります。また、先般閣議決定されました所得倍増計画の中におきましても、特にわが国の賃金制度との関連におきまして、今後児童手当制度を検討して、生産の向上に資すべきであろうということがうたわれております。そのような意味合いにおきまして、今後私どもといたしましては、いろいろな見地から一般的な児童手当制度というものをぜひ検討して参りたい、かように考えているのでございまして、たまたま今回の児童扶養手当法案はその先がけ、その一部であるというふうにも理解し得るかと、私どもは考えるのでありますが、まだ一般的な児童手当制度からはほど遠いものでございますので、今後さらに検討して参りたいと思います。その検討の方法といたしましては、厚生大臣の諮問機関であります中央児童福祉審議会におきましてもこの検討をすべきであるという答申がございますので、同審議会の中に数人の専門家の方にお願いしまして、基礎的な検討を始めていただきたい、こういう考え方でございます。
○坂本昭君 これは今度の資料の中には、今の外国の事例の資料が全然ないのですが、一つこれは委員会に配布していただきたいのですが、いただけますか。
○政府委員(大山正君) 私どもの方の今、手元にありますのは、まだきわめて簡単な資料だけでありますが、その程度の、現在得られております程度の資料をお配りいたしたいと思います。
○坂本昭君 それではなるべく早く一つ各委員の手元へ御配布をいただきたい。 それから次に伺いたいのは、今度のこのために予算を二億四千万円程度お組みになりましたが、その計数の基礎になっている生別母子世帯の数約六万世帯、それから孤児の数一万六千名ほど、これらの数字を得られたのは、これはいつ現在の数ですか。
○政府委員(大山正君) 生別母子世帯につきましては、御承知のように、母子世帯の一斉調査は昭和三十一年に行ないました以後行なわれておりませんので、これにつきましては、本年度ちょうど五年目になりますので、また、新しい調査をしようと考えておりますが、今までにあります資料は昭和三十一年のものでございます。そこで私どもといたしましては、死別母子福祉年金——死別を主たる対象としております母子福祉年金の支給見込み数に対しまして、昭和三十一年にとりました生別と死別と死別の割合、これを基礎にいたしまして見込みを立てたわけでございます。従いまして、資料としましては昭和三十一年をとりましたが、今日現在の数を一応見込んで作りました数字でございます。それから孤児につきましても古い資料をもとにいたしまして、現在見込まれる数に修正いたしまして数を得たのでありまして、母子世帯につきましては五万九千八百九十五世帯、孤児数につきましては一万五千九百六十九名、ただいまのは世帯数で申し上げましたが、対象となる児童の総数で申し上げますと、十二万六千七百七十五名、こういう計算をいたしております。
○坂本昭君 それでは次に伺いたいのは、予算の点でございますが、この予算の中で、都道府県分として事務の委託費が八百五十一万円程度ありますが、その単価と、その内容について御説明いただきたい。並びにもう一つ、郵政事業特別会計への繰り入れとして二百二十七万六千円あがっておりますが、これも内容について一つ御説明いただきたい。
○政府委員(大山正君) 事務委託貴といたしましては、都道府県の関係で、いろいろ集計その他のための賃金の費用を二百三万三千円組んでおります。それから府県の職員の旅費といたしまして百二十九万九千円、それから府県の庁費といたしまして、これはいろいろな様式その他の印刷製本でございますが、百一万一千円でございます。それから市町村の事務取り扱いの交付金といたしまして、一件当たり五十五円という基礎で四百十七万二千円組んでおります。これを合計いたしまして八百五十一万五千円になります。それから郵政事業の特別会計への繰り入れは一件当たり三十円という基礎によりまして二百二十七万六千円を組んでおるのでございます。これらの基礎になりました数字は、おおむね母子福祉年金に準じたものでございます。
○坂本昭君 次に問題になるのは、これはこの前の国民年金法ができるときにも問題にした言葉ですけれども、今回も、廃疾という言葉を使っておるのですが、この廃疾という言葉は改めたがいいと思うのです。この前のとき、国民年金をかえる場合に、最後に福祉年金という言葉に変えることと、廃疾ということを身体障害と変えろと、この二つのことをやかましく言って、きょう欠席しておられるけれども、勝俣委員が、廃疾の方は、直したら全部引っくり返ってしまうから、かんべんしてくれというので、福祉年金というのだけ私どもの方の修正を通していただいたのですが、今回の児童扶養手当のところには廃疾という言葉が出てきておるのですが、廃疾という言葉は、はなはだ悪い言葉であって、どこまでも身体障害というふうに直して扱っていただきたい。これは言葉の上の点でございますけれども、とりあえず、まずこの点について御説明いただきたい。
○政府委員(小山進次郎君) 今度の改正の場合も、実は先生おっしゃるように直してあったのでございます。ところが、内閣の法制局といろいろ折衝してみましたが、どうもお前のところだけそう直されても調子が悪い、こういうことであります。それじゃ一体いつになったら、これ直るのだということになったわけでございまして、結局それをやりますためには廃疾という言葉を削るための一つの共通の法律を作りまして、いろいろな法律にある廃疾を全部削るということをしなければならぬわけであります。それで私どもの試みといたしましては、いずれ落ちついたならば、どこかでそういうことをしなければならないということになりますと、やはり通算について私どもが音頭をとったと同じように、いずれ私どもの方で音頭をとって、各制度の協力を得て、しかるべき時期に改めるようにいたしたい。何分、私どもの現在置かれておる状況がそれだけの余地がございませんので、今回は手をつけることができなかったわけでございます。従って、ほかの制度に関係のない限度においてこれを直すということができる部門は直していったらいいという考えで臨んでおるわけであります。おそらくこの手当法の方も、ほかとのからみ合いでということで、内閣の法制局の方でそうなったものだと思います。
○坂本昭君 これは新しい法律だから、こういう新しい法律を作るときには、もうこれは身体障害という言葉をやって、ことに身体障害という言葉の意味については、古い言葉の意味とだいぶ考えが変わってきておるのです。たとえば身体障害者雇用促進法を議論した場合に、この中に心臓弁膜症も入り、あるいは胃切除をした患者も入り、さらに精神薄弱者も入る。大体外国の立法では、身体障害——インバリッドという言葉には非常に広範な意味が入っておるのですね、日本の場合も私はそういうふうに統一していっていわゆる廃疾というような非常に古い言葉は除くべきだと思う。今度の一番最初に提案理由の説明を聞いたときに、父が廃疾であるということがちょっと出てきたものですから、また、この言葉を使って、ずいぶん不用意だなという印象を受けたのです。これについては今後厚生当局としても気をつけていただき、それからさらに今これは局長から、落ちついたというんですが、いつが落ちつくかわかりませんが、これは統一的にこの言葉を抹消するために次官として特に御努力いただきたい。
○政府委員(安藤覚君) ただいまの坂本先生の御提議に対しまして極力努力いたすようにいたします。
○坂本昭君 で、この父の廃疾というところで問題になるのは、第四条の別表のところであります。別表のところを少し御説明をいただきたいと思うのですが、それはまずこの別表は何を基準にして作っておられるかということ、それからこの廃疾の中には今申し上げました身体障害の中には精神障害も入っている。たとえば精神薄弱あるいは精神障害あるいはこれは身体障害の中に内臓疾患として結核が入っているということは、これはもうこのごろは常識になっているようです。その場合結核の扱い、これはこの別表の中に、十と十一に精神障害、それから十一には「長期にわたる高度の安静」と、こういうのが出てきております。これが具体的にはどういうふうに扱われていくか。たとえば長期にわたるといっても、どの程度寝ておればお父さんがこの身体障害者として児童扶養手当を受けることができるかということ、ことに第四条の一項の五には「政令で定めるもの」とあります。この「政令で定めるもの」という言葉の意味ですね。これなど少し厳格にこの際説明をしておいていただきたい。
○政府委員(大山正君) まず別表でございますが、別表の一号から八号までは国民年金の一級の障害をとったものでございます。 〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕 それから九号から十一号までは厚生年金の一級障害をとったものでございまして、これらの九号、十号、十一号の内容につきましては現在厚生年金でやっておりますのを受けて運用するようにいたしたい、かように考えております。従いまして、十一号の期間につきましては、やはり厚生年金と合わせまして三年とすることが適当ではあるまいか、かように考えております。 それから第四条の五号の政令でございますが、ここで考えられますのは、一つは、父が遺棄している場合でございます。父が母と子などを遺棄しましていくような場合は、やはり四号までに準ずる場合と考えていいのではないか。それから父が長期間にわたりまして拘禁されているということで、実際にその世帯の生計を維持することができないというような場合も準ずる状態というように考えてよろしいのではないかと思っております。それから事実婚関係に基づきまして父が子を認知しておらない場合、これは一号から四号までの表現であります父という表現に入りませんので、これはしかし、実際問題としては、救わなくてはいかぬ場合が多いと思いますので、これもやはり準ずる場合に考えてはどうか。もう一つは法律婚あるいは事実婚を問わずそういう婚姻関係でなしに子供がある場合、いわゆる未婚の母といいますか、そういうような場合もやはり実際問題としては生別、死別に変わらない気の毒な場合もあるからそういうものも入れるべきではないかという議論と、そういうのはいろいろ問題があるから、この際に入れない方がいいのではないか、という議論でございますが、先ほど申し上げました衆議院の社会労働委員会の附帯決議等におきましても、そういうものは原因のいかんを問わずすべて入れるべきだ、という御決議もございますので、私どもといたしましては、これらを十分考えまして検討したい、かように考えております。現在、この政令で問題になります状態として私ども考え得るのは以上のような場合でございます。
○坂本昭君 もう一つ伺っておきたいのは、今度取り扱うのは、義務教育終了以前の十五才以下になってきますね。それは第三条に用語の定義としてありますが、これは別のところで実は児童というのは十八才以下というふうに定められておるので、十八才以下というふうになぜすることができないか、それについて説明いただきたい。
○政府委員(大山正君) これは御承知のように、国民年金におきまする死別の場合の母子福祉年金がやはり義務教育終了前の児童を生計維持している場合でございますので、それに合わせて特にこの法律では義務教育終了前の者だけを児童として対象にすることにいたしたのでございまして、この点は、死別よりもこの場合を特によくするというのもいかがかと思いますので、その均衡を考えましてこのような表現にしたのでございます。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始め て。 それでは暫時休憩をいたします。 午後五時四十九分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 ————・————