社会労働委員会 第17号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/30
会議録
○委員長(吉武恵市君) それでは、ただいまから社会労働委員会を開きます。 この際、理事の補欠互選を行ないたいと存じますが、御異議ございませんが。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。委員外転出のため欠員となりました前理事坂本昭君の補欠互選を行ないます。その方法は、便宜上成規の手続を省略して、委員長の指名とすることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんが。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。それでは理事に坂本昭君を指名をいたします。 ——————————
○委員長(吉武恵市君) 国民年金法の一部を改正する法律案(閣法第一一七号)、通算年金通則法案(閣法第一四八号)、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案(閣法第一四九号)、国民年金法案(衆第四号)、国民年金法の施行及び国民年金と他の年金との調整等に関する法律案(衆第五号)、国民年金の積立金の運用に関する法律案(衆第九号)。以上の六法案を一括して議題といたします。 これより提案理由について御説明を願うのでありますが、閣法第一四八号及び第一四九号以外の法案については、議院の会議においてすでに趣旨説明を聴取いたしてありますが、審査の便宜上、全法案について提案理由の説明を聴取することにいたしたいと存じます。 まず、閣法第一一七号、閣法第一四八号及び閣法第一四九号の各法案について、厚生政務次官より説明を願います。
○政府委員(安藤覺君) ただいま議題となりました国民年金法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 国民年金法は、昭和三十四年の第三十一国会において成立いたし、福祉年金の支給に関する部分は同年十一月から実施されたのでありますが、拠出年金に関する部分は、昭和三十五年十月からその適用事務が開始され、本年四月から保険料納付が開始されることになり、これによってこの制度が全面的に実施される運びになる次第であります。 国民年金制度は、すでに御案内のごとく、社会保障制度審議会における全会一致の答申に基づいて策定されたものでありますが、これに対し、各方面から種々改善の要望が寄せられたのであります。政府といたしましては、すなおにこれらの要望に耳を傾け、関係審議会の意見等をも徴し、慎重に検討を重ねました結果、現段階における国の財政事情等を勘案し、この際実行し得る最大限度の改善を行なうこととし、本改正法案を提出いたした次第であります。 以下、改正法案のおもな内容について、御説明申し上げます。 まず、拠出年金に関する事項であります。 第一に、老齢年金に六十五才から支給が開始されるのでありますが、この開始年齢を早めることができないという希望が強いのにかんがみまして、六十才に達すれば、老齢年金を繰り上げて支給する道を開きたいと考えたのであります。 第二に、保険料の免除を受けるなど、保険料を納めた期間が足らないために、老齢福祉年金しかもらえない人人に対して、新たに、特例的な老齢年金を支給する道を開こうとするものであります。これにより、これらの人々は、六十五才から七十才までの間老齢福祉年金を受けられるようになり、七十才から老齢福祉年金を受けることと相待ち、低所得の人々に対する所得保障が一段と手厚くなるわけであります。 第二は、祖父が死亡して祖母と孫が残り、あるいは父が死亡して姉と弟妹が残るというような、母子世帯に準ずる世帯に対し、母子年金の例によって、準母子年金を支給しようとするものであります。 第四は、障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金について、従来これを受けるためには三年以上保険料を納めていることが必要であったのを改め、制度発足時の加入者については、一年以上納めておれば支給が受けられるようにその期間を短縮しようといたすのであります。 第五は、死亡一時金制度の創設であります。すなわち、年金が受けられる年令に達する前に死亡したという場合に、いわゆる掛け捨てにならぬよう、保険料を三年以上納めておれば、その遺族に対して、保険料を納めた期間に応じて、五千円から五万二千円までの死亡一時金を支給するという改正であります。 次には、福祉年金に関する改正について申し上げます。 第一は、拠出年金における準母子年金と同様のことを、福祉年金についても、準母子福祉年金として考えようという改正であります。 第二は、母子福祉年金に対する支給制限を緩和する改正でありまして、現行制度では同一世帯に二十五才以上の子がおれば、原則として福祉年金の支給が停止されるのでありますが、今後は、その子供に、一定額以上の所得があるときに限り、支給停止をしようというのであります。 第三は、福祉年金の支給制限について、一昨年の伊勢湾台風に際して制定された特別措置法の内容を恒久化し、災害を受けた場合に特別の考慮を払うことにいたしたのであります。 その他、拠出年金及び福祉年金に共通する改善事項といたしまして、 第一に、従前から身体に障害がある者に、拠出制度加入後新たな身体障害が生じましたときには前後の障害を併合して障害年金または障害福祉年金を支給できるようにし、 第二に、年金を受ける権利が確定しながら、これを受け取る前に本人が死亡したという場合には、未支給の年金を、その遺族に支給するようにいたすのであります。 以上の改善事項は、原則として、本年四月一日から施行することといたしております。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。 —————————— 次に、通産年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案を御説明申し上げます。 ただいま議題となりました通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明申し上げます。 国民年金制度が創設され、本年四月から全国民がいずれかの公的年金制度の適用を受けることとなったのでありますが、今まで厚生年金保険、船員保険、各種共済組合など多くの公的年金制度が大部分相互に関連もなく創設され、実施されて参りました関係上、一つの制度において年金を受けるに必要な資格期間を満たすことなく他の制度に変わった者につきましては、いずれの制度からも年金制度による所得保障が行なわれないという欠陥があったのであります。従いまして、真に全国民に対する年金による所得保障の体制を確立するためには、一方において公的年金制度の適用を全国民に及ぼすとともに、他方において各制度の間の資格期間の通算措置を講ずることが必要とされていたのであります。今回の両法案は、各公的年金制度におきまして、その制度における本来の老齢年金または退職年金を受けるに必要な資格期間を満たしていない場合においても、各制度の加入期間を通算すれば一定の要件に該当する者に対して、通算老齢年金または通算退職年金を支給することとし、国民が老齢または退職に際しあまねく年金を受けられる道を開こうとするものであります。 次に、両法案による通算年金制度の概要を御説明申し上げます。 まず第一に、通算年金の支給要件でありますが、通算年金は、各公的年金制度の加入期間を合算して二十五年以上であるか、国民年金以外の被用者年金の加入期間を合算して二十年以上である者に対して、国民年金におきましては六十五才から、被用者年金におきましては六十才から支給するものであり、この二十五年という資格期間は、経過的措置として、制度が発足する本年四月一日現在において三十一才をこえる者につきましては、その者の年令に応じて十年から二十四年までに短縮することといたしております。 次に通算年金の額でありますが、通算年金の額は、国民年金におきましては通常支給される本来の老齢年金の額を元として年数に応じて定められた額、被用者年金におきましては厚生年金保険において通常支給される本来の老齢年金の額と同様の水準の年金額を保障することといたしました。 第三に、被用者年金におきます従来の脱退手当金または退職一時金との調整であります。通算年金の支給に必要な費用は従来の脱退手当金または退職一時金の原資をもって充て、この際特に保険料を引き上げる等の措置は避けるものといたしました。しこうして各共済制度におきまして財源に余裕のある場合は、その限度において従来の退職一時金を存置することとし、さらに通算年金を受けられなかった者に対しては、返還一時金または死亡一時金を支給することといたしております。 なお、本制度開始後一定期間内に退職する者等に対しましては、経過的措置として、本人が特に希望する場合には、従来通りの脱退手当金または退職一時金を支給する二とができるものといたしました。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。 ——————————
○委員長(吉武恵市君) 次に、衆第四号、衆第五号及び衆第九号の各法案について、衆議院の発議者から御説明を願います。
○衆議院議員(八木一男君) 私は、日本社会党を代表いたしまして、わが党提出の国民年金法案、国民年金法の施行及び国民年金と他の年金との調整等に関する法律案、国民年金の積立金の運用に関する法律案の三案について、一括して、提案の理由、趣旨並びにその内容の大綱を御説明申し上げたいと存じます。 この三法案は、大蔵委員会に付託されております一般国民年金税法案、労働者年金税法案、国民年金特別会計法案と一体不可分の関係にありますので、御説明中、他の三法案にも及びますことをあらかじめ御了承おき願いたいと思います。 申し述べるまでもなく、現在の国民年金法は、昭和三十四年、第三十一国会において成立し、同年十一月一日施行、昨年三月三日より、その無拠出部分、すなわち福祉年金の支給が、開始され、本年四月一日よりその拠出年金の部分の、保険料徴収が予定されております。 そのうち、福祉年金につきましては、きわめて、不十分であり、給付要件等に、相当、不合理な点もありますけれども、とにもかくにも、今まで、年金制度に関係のなかった老人、母子家庭、障害者に年金が支給され、これらの人達の生活を幾分でも明るいものにしたことは一つの大きな前進というべきでありましょう。このことは国民の要望にこたえ、自民党内閣よりも先に、何回も、国民年金法案を提出して、無拠出年金制度発足の原動力となったわが日本社会党の喜びとするところでありまして、われわれはさらにこの制度を急速に飛躍的に改善すべきものと考える次第であります。これに反して、拠出年金制度に関して、現行法は、はなはだしく不十分であるばかりでなく、その組み立てば、きわめて不合理であり、社会保障の名にそむくものでありますがゆえにわが党は審議当時、これを強く指摘し、その意味をもって政府案に反対したのであります。この拠出年金の保険料徴収の時期が近づくに従って、国民各層から強烈な批判が燃え上がり、拠出年金制の抜本的改正、その改正の実現までの拠出制実施延期等の声は、ほうはいとして、全国に高まるに至ったことは、各位の御承知の通りであります。 この世論に、ろうばいした政府は、幾ばくの改正意図を発表いたしておりますが、その内容は、改正を要する本質的な点には、全々触れておらず、死亡一時金等給付金額増加も総体から見ますれば九牛の一毛にしかすぎない僅少なものでありますために、政府の行なわんとする拠出年金制に対する批判の声は、ますます高まり、厚生省の高圧的なやり方をもってする必死の努力にかかわらず、その登録は本年二月十五日現在全国で七三%、特に東京、大阪等の六大都市においてはわずかに平均三〇%前後の状態であります。 元来、国民の大きな期待と、完全な理解のもとにその協力を得て発足すべき国民年金制度において、このような状態の発生したことは全く現行拠出制年金の重大な欠陥によるものでありまして、それを根本的に是正するためにわが党は、本国民年金関係の六法を提出したわけであります。 従って、提出の具体的な理由を御説明申し上げるためには、現行法、特に、拠出年金制の欠点を指摘することが最も必要と存じますので、以下要約して申し述べて見たいと存じます。 まず第一に、現行拠出年金制の最大の欠点は、その組み立てが社会保険主義で貫かれ、社会保障の精神と全く相反する点がある事であります。 その一は、定額保険料主義であります。このために、保険料は大衆にとって割高に相なります。 その二は、年金支給額が、拠出期間比例制によっていることであります。このような制度では、割高な保険料を納入することの困難な、すなわち、年金をより必要とする国民大衆はきわめてわずかしか年金の支給を受けられないことに相なります。 その三は、老齢年金受給資格がきわめてきびしいことであります。通常の場合二十五年間、免除適用を受けた人でも十年間の保険料実際納入がなければ年金を支給されないことになっており、これでは年金保険料納入が最も困難な、そして、年金を最も必要とする人に年金が支給されないことに相なります。 その四は、受給資格に達しない人々に対する保険料返還制度、今回の政府改正案では、特別年金という期限付減額年金制度となっておりますが、いずれにいたしましてもそれらの制度の要件は最もきびしく、大部分の人が、その適用を受けられないことであります。保険料納入期間と、免除期間の合計年数が三十年に満たない人の保険料は、この制度の適用がなくすなわちかけ捨てになることであります。 政府は、掛け捨て反対の世論にびっくりして、死亡時の掛け捨てには、死亡一時金という、一時しのぎの制度を作ることによって、批判を避けようとしておりますが、最も過酷な生存時の掛け捨てについては、本質的な対処をしようとしておらないわけでありまして、この点は、まさに、社会保障の名において、生活困難な大衆から収奪をするものであります。 その五は、現行法の免除制度が、対象者にとって実効がほとんどないことであります。政府は、国民の批判に対して、免除制度をかくれみのに使っておりますが、この免除は実に無意味なものであります。元来免除を考えた場合、免除が、保険料実際納入と同じ効果を持つものでなければ意味がないのでありますが、現行法の免除は、そうではなく、保険料を実際に納入した場合のように、老齢年金額を増大する要因にはならないのでありまして、従って、免除を受けましても保険料強制徴収を受けないというだけのことであり、貧困な国民大衆がその部分だけ年金制度から締め出されるということに相なるだけであります。さらに、ひどいことは、この免除期間には、国庫支出がされないことであります。具体的に考えてみますれば、六十五才、月、三千五百円の場合、そのうちの三分の一、すなわち月一千百六十六円の原資は一般会計から国庫負担として出るわけでありまして、保険料実際収納可能な、中間層以上の人はこの国庫負担を自分のものとすることができますが、最もこれを必要とする人々には国庫支出分も支給されないという結果になります。社会保障の一つの大きな柱である年金に対する国庫支出は所得再配分という性質を持つべきものでありますが、この場合それとは全く逆な作用をするわけであり、金持の土持ちに用いられることに相成っているのであります。 以上五点を要約して考えれば、現行拠出年金制は、なき、浅沼委員長がなくなられる寸前まで国民に訴えられたように保険制度として組み立てられているのであって、社会保障では断じてないのであります。社会保障なら、その給付を必要とする人に、必ずその必要の度合いに対応する給付がなされなければなりません。保険料納入困難なすなわち年金が特に必要な人の年金が減り、支給がなくなるのでは社会保障ではないのであります。それらの人が年金の支給を受けたいがために、苦労して納めた貴重な保険料が、わずかのところで息が切れて、要件に達しないばかりに、政府に没収されたり、大切な国庫支出が、所得再配分の逆になったりする欠点は収奪であり、金持の土持ち政策であって、断じて許すことのできないものであります。このように、組み立てが全く不合理である点が、現行拠出年金制度の最大の欠点でありますが、それ以外にも大きな欠点が、枚挙にいとまがないのであります。 第二に、指摘しなければならないことは、年金額があまりにも僅少であることであります。月三千五百円というのは、現行制度立案当時の生活保護基準一人分を大体の基準とし、わが国の経済成長をきわめて過少に、すなわち年率二%と見、さらに大事をとって年金額は、一・五%ずつ増大すべきものとして計算して四十年後に三千五百円という金額を設定したわけであります。その金額実施がさらに五年延ばされて国民が四十年間保険料を納めて、四十五年後に現在の生活保護を受けている人々と同じような意味の生活がやっと保障をされるというのでありますから、全く所得保障の名に値しないことは明らかであります。 経済成長九%を豪語する池田内閣としては、後日年金額を改訂するというような逃げ言葉は許されないのであって、この目標年金額は、ただいま直ちに改訂されなければならないと信ずるものであります。 第三の点は、老齢年金開始時期のおそ過ぎることであります。六十五才という開始年令では、生活が困難で苦労した人の場合残念ながら早く年をとり、長生をする人が比較的少ないことから見て適切ではありません。もちろんそのような状態は急速に是正されなければなりませんが、そのころには、各産業ともオートメーション化が進んで年配の人はある程度で生産点を若い人に譲ってもらわなくてはならないし、従って、六十才ぐらいは完全な老齢保障が必要な時代がくるわけであり峯す。これらの両面からして、六十五才開始は断じて不適であり、六十才開始にいたすべきであります。 第四は、貨幣価値変動に対する処置、すなわち、スライド規定があいまいな点であります。戦後のインフレの苦い経験を持つ国民は、現行法のようなあいまいなスライド規定では、安心して拠出年金制に協力できないのはむしろ当然であります。 第五は、障害年金及び母子、遺児、寡婦年金等の年金の内容のきわめて貧弱なこととその適用要件が過酷きわまることであります。死亡時のかけ捨てに対して政府が死亡一時金制度を作ろうとすることは、ないよりはましでありますが、元来死亡時掛け捨て論は、現行法の遺族年金の不完全、不十分なことからきた議論であり、遺族関係の年金について根本的に改正をしないところに大きな怠慢があります。 第六は、通算制であります。政府は今回、通算年金通則法、通算年金制度を創設するため、関係法律の一部を改正する法律案を提出して、この問題を解決しようといたしております。この改正点は、自民党政府としては比較的努力したところが認められまするが、完全なものとは断じて言い得ないのであります。以上二法を施行した場合でも、公共企業体共済組合二十年拠出の人の場合の年金額が、標準の人であれば年十四万四千円であるのに対しまして、同十九年と厚生年金保険一年とが通算された場合、期間は同じ二十年で約六万四千円の少額であります。同十九年と国民年金六年とが通算された場合、合計二十五年間納入されているのに、その年金額はわずか六万九千円ということであります。 このような点から見ますれば、途中職業転換の人の利益が大きく侵害されることは一目瞭然でありましょう。 第七は、積立金運用の問題であります。社会保障制度審議会、国民年金審議会の答申を無視し、特別勘定を作ろうとしないのみか、厚生年金の新しい積立金を合わせて二五%は還元するという宣伝をしながら、福祉資金に直接に用いられるものは、それよりはるかに少なく、被保険者団体に還元されるものは話しにならないほどの少額であります。これに反して資金の大部分は依然として大資本に、特に、軍需に関係ある産業に融資されているのでありまして、このような政府の態度は全く国民を愚弄したものと言わなくてはなりません。 現行拠出制には、以上のように、枚挙にいとまがないほどの欠点があり、政府の数点の改正点も、その本質的な欠点を補い得るものではありません。 これに対してわが日本社会党の国民年金関係の六法案は、以上の現行法拠出制の欠点を一切解決し、全国民に期待を持って迎えられる内容を持つものであります。無拠出年金においても現行法の欠点をなくし、その給付を飛躍的に増大する内容を持つものであることを、正しく御理解いただきたいのであります。 以下わが党六法案の内容について簡潔に御説明を申し述べたいと存じます。 本案の内容は、大別して、特別国民年金と普通国民年金の二つの部分で構成されております。特別国民年金はいわゆる無拠出年金であり、現行法の福祉年金に相当し、普通国民年金はいわゆる拠出年金でありますが、労働者の年金制度を含んでおりますることが現行法との大きな相違であります。 まず最初に、特別国民年金の方から御説明申し上げます。 これは、さらに養老年金、母子年金、身体障害者年金の三制度に分かれており、おのおの現行法の老齢、母子、障害の三福祉年金制度に対応したものであります。 養老年金は、本人の年収十三万円以下の老人に支給されるものでありまして、六十才から年一万二千円、六十五才から年二万四千円、七十才から年三万六千円を支給することを基本といたしております。ただし、七十才未満の老人には年収三十六万円未満の家庭の場合に、七十才以上の老人の場合には年収五十万円未満の家庭の場合に支給することとし、そのうち、世帯収入の少ない方に基本額を、多い方にその半額を支給することと相なっております。基本額で現行法と比較してみますると、六十九才現在で、現行法では支給額ゼロであるのに対しまして、本法条では通計十八万円となるわけであります。七十二才現在の比較では、現行法三万六千円、本法案二十八万八千円と、大きな開きがあることを御理解いただきたく存ずるものでございます。 母子年金は、年収十二万円未満の母子世帯に年三万六千円、多子加算は一人当たり年七千二百円とし、年収十八万円未満の世帯にはそれぞれの半額を支給することにいたしておりまして、もちろん、準母子家庭、生別母子家庭にも支給いたすわけでございます。現行法と本法との違いは、まず、現行法に対し本法案が、年金額及び加算額が三倍であること、第二に、現行法では、子供が十六才をこえれば適用要件がないことになっておりまするが、本法案では、二十才に達するまでは要件たり得ること、並びに、現行法では、所得制限が約十三万円であるのに対し、本法案では十八万円でありまして、その制限が緩和されていることであります。わが党案の内容が心あたたかいものであることを御理解いただけるものと信ずるものでございます。 身体障害者年金は、年収十二万円未満の身体障害者に対し、一級の場合は年四万八千円、二級の場合は年三万六千円、三級の場合は年二万四千円、配偶者並びに子女に対して支給される加算は、等級にかかわらず、家族一名につき年七千二百円ずつ支給することに相なっており、年収十八万円未満の障害者にはそれぞれその半額を支給することに相なっております。現行法は障害者に最も冷酷であり、二、三級障害には支給せず、内科障害の場合は一級でも適用しておりません。家族加算もございません。所得制限がきつ過ぎます。これらの欠点を多分に持っているわけでありまするが、この欠点をすべて本法案で解消しようとするものでありまして、支給金額より見ても大きな違いがあるのであります。すなわち、一級障害、家族三人の場合、現行法では年一万八千円、本法案では年六万九千六百円に相なるわけでありまして、その間に大きな差がありますことを御理解いただきたいと存じます。 —————————— 以上で特別国民年金の御説明を終わり、次に、普通国民年金、すなわち、拠出年金について申し上げます。 この制度は、一般国民年金と労働者年金に大別され、それぞれ老齢年金、障害年金、遺族年金の給付がございます。主として老齢年金給付につき御説明を申し上げることとし、まず、一般国民年金より申し上げます。 —————————— この制度は、すべての自営業者、無職者に適用されるものであり、言いかえれば、労働者本人以外の全国民が対象となるものでありまして、その対象者は、現行国民年金法の対象者と大体において見合うものであります。年金額は全部一律で、制度が完成した場合は六十才から年八万四千円であります。この六十才開始、年八万四千円は、現行法の六十五才開始、年最高四万二千円とは、金額から見て大きな開きがあるのでございまして、かりに六十四才現在で比較すると、現行法ゼロ、本法案通計四十二万円であります。六十七才現在では、現行法最高十二万六千円、本法案一律六十七万二千円と、数十万円の違いがあることを明らかにいたしておきたいと存じます。六十才開始を基本といたしてございまするが、この場合、もし本人が六十才より早く、また、おそくから支給を受けたいと希望する場合、五十五才から六十五才までの間において、希望の年からそれぞれ減額あるいは増額した年金を支給することができることにいたしてございます。国は、この八万四千円の年金給付の五割を一般財源から負担し、支払いの年に特別会計に払い込みます。また、別に、特別会計で積み立てておくため、対象者の属する世帯より一般国民年金税を徴収いたします。拠出期間は二十才から五十四才までの三十五年間、税額は大体一名平均月百六十六円に相なる計算であります。国民健康保険税の場合と似た方法で、均等割五、所得割三、資産割二という割合で徴収することになっておりますので、収入、資産の少ない人は、ずいぶんと安くなる見込みであり、さらに、納入困難あいは不可能の人については減額あるいは免除をすることにいたしております。免除は、五人家族の場合において、月収一万七千円、すなわち年収二十万四千円以下の場合適用することにいたしておりまして、現行法で政府が考えておりまするものよりは、はるかに範囲が広いのであります。減額の範囲は、五人家族の場合、月収二万二千円、年収二十六万四千円以下の場合であり、これまた相当の該当者が見込まれております。特に申し上げておかなければならないことは、何回減免を受けた人でも、極端な場合は全期間免除適用を受けて一円も年金税を納めていない人でも、六十才になれば、他の人と同じ金額の年金が無条件で支給されるということであります。このように、所得比例の年金税、完全な減免制度によって、現在のような拠出年金制度に対する疑惑、批判、反対の根拠の主要な部分が解消されるものと信ずるものであります。 障害年金の場合は、一級、年八万四千円、二級、年六万三千円、三級、年四万二千円が基本額でありまして、現行法よりはるかに多額でありまするとともに、現行法と違って、内科障害にも支給するわけであり、現行法のように、給付を受けるには三年以上の保険料納入後の原因によるものでなければならないというような過酷な要件は一切ないことを明らかにいたしておきます。 遺族年金は老齢年金の半額、すなわち、基本実額は四万二千円、子供一名につき一万四千四百円の加算をつけることに相なっております。現行法の母子年金よりはるかに多いのであります。また、現行法では、遺児年金は母子年金より年金額がはるかに少なく、寡婦年金は適用要件がはなはだしく過酷でございますが、本法案では、それらの遺族がみな母子と同様の給付を受けるわけであり、さらに、男性の遺族にも支給の道を開いているわけでございます。 以上、一般国民年金全般についてさらに申し上げておきたいことは、年金額に課税がないこと、並びに年金額が、消費者物価または生計費のいずれか一方の一〇%以上の変動の際に、それに応じて必ず改定されることであります。現行法第四条の規定がはなはだしくあいまいでございまするが、本法案のごとく、はっきりと規定してこそ、国民は信頼して拠出年金制度に協力してくれるであろうと、かたく信ずるものでございます。 —————————— 次に、労働者年金について申し上げます。 本制度は、あらゆる職種の労働者本人に適用せられるものであって、五人未満の事業所の労働者、日雇い労働者、山林労働者等にも適用されます。老齢年金は六十才から支給されることが原則でありまするが、炭鉱労働者、船員、機関車労働者等は五十五才開始といたしておりますことは、現行厚生年金保険と同様でございます。老齢年金額は、制度が完成された場合、一般国民年金と同額の八万四千円を基本額といたしまして、それに標準報酬額に比例した金額が付加されます。その金額は、現在の賃金水準では平均年六万三千円になる計算でありまして、合計平均年十四万七千円に相なります。従って、将来賃金水準が上がった場合には、この平均額が上昇いたします。 労働者年金法案に規定されております労働者年金税は、もちろん標準報酬の高低に従って定められております。一般国民年金の場合より年金額が多いのでありますから、年金税はある程度高くなりますが、この場合、使用者が半分以上負担することに相なっておりますので、労働者負担はあまり重くなく、平均して月二百円程度でございます。低賃金労働者の負担は、標準報酬が少ないために、右の平均よりはるかに少額になることは当然でございます。国庫負担については、実質上一般国民年金と同額程度が確保されるようになっており、その他、拠出期間、繰り上げ減額年金、繰り下げ増額年金制度、非課税及びスライド、免除、また障害、遺族給付については、一般国民年金と同様の内容あるいは仕組みになっております。そのほか、特に申し上げておかなければならないことは、通算方法について完全な方法がとられることであります。本国民年金法内の両制度間はもちろん、既存の年金との通算の場合も、途中の職業転換、制度転換によって、一切損をしない仕組みになっておることを明らかにしておきます。 以上、一般国民、労働者、両年金制度について申し上げましたが、そのおのおのの年金税は、減免に対する国庫補てん分を加えまして、厚生大臣の管理する国民年金特別会計において積み立てることに相なっております。この積立金は、当然受給資格者のものであるとの観点に割り切って、その運用の方法を定めてございます。すなわち、積立金のうち相当の部分を福祉施設建設等のために運用することとし、その中で受給資格者の団体に対して貸し付ける道を大きく開くことにいたしてございます。残部は、全部の予定利率六分を維持するために、資金運用部に七分で貸し付けることにいたしておりまして、必要な資金運用部資金法の改正もこの中に入ってございます。資金運用部のこの資金の運用につきましても、国民の福祉に役立つ方面に用いるべき旨の規制を加えることにいたしておるわけでありまして、軍需産業資金に用いられるようなことは断じていたさせないのでございます。実際の運用については、国民年金積立金運用審議会において審議決定した方向に従い、厚生大臣が行なうことにいたしてございまして、この審議会の構成は、一般国民年金、労働者年金の受給資格者の代表おのおの五名、学識経験者五名、官庁代表三名という、使用主代表を加えない画期的な構成にいたしてございます。 以上が本国民年金制度の内容の大綱でございます。本法の施行期日は昭和三十六年四月一日、年金の支払い開始及び年金税の徴収開始は同年十月一日からでございます。 国民年金法施行に要する一般会計よりの経費は、平年計算にいたしまして、その第一年度約二千百二十四億円であり、その内訳は、養老年金約千三百三十億円、母子年金約三百十六億円、身体障害者年金約四十五億円、国民年金税減免の補てん分約二百十億円、普通国民年金の障害並びに遺族年金の給付に関する国庫補助金、労働者年金の使用主としての国庫負担分等約百十億円、年金支払いに要する事務費約六億円、労働者、一般国民、両年金税法施行に要する経費約百二億円であります。以上の国庫支出の大部分が賦課方式でございますので、国庫支出は自後逐年逓増をいたします。本年金制度完成時、すなわち、四十年後には年約九千億円に達し、それ以上は大体増加を停止し、平準化されます。 以上のごとく、国庫支出は相当の程度に達しますが、その最初の金額は、最近の財政状態から見て、政府が社会保障をほんとうに推進しようとするならば直ちに実現可能であり、後々の支出増も、財政上はいささかも心配のない程度であります。と申しますのは、各位の御理解のごとく、わが国の経済が逐年拡大し、国家財政もまたこれに従って拡大するからでございます。ただいま各党とも経済拡大に自信を持って、おのおのその成長率を発表いたしておるわけでございまするが、かりに、故意に各党の態度よりはるかに控え目に、すなわち、明治以降のわが国経済の成長率四%で考えてみますると、この率でわが国の経済が拡大すれば、四十年後には約五倍に相なりまして、同じ率以上で財政が拡大し得ることは当然でございますが、これも大事をとって同率と見て、約十兆の財政のワクが考えられるわけでありまして、相当の減税でワクがそれよりも縮まったといたしましても、九千億円くらいの程度の国庫支出はきわめて容易なことでありまして、それが全国民に対するものである限り、その支出は国民に理解賛成されるものであると信ずる次第であります。 以上、大体の御説明でございまするが、賢明なる同僚各位には、この国民年金関係六法案が、国民から批判を受けておる現行法の欠点のすべてを解決し得る内容を持ち、憲法第二十五条の精神をほんとうに実現することのできる社会保障に徹した案であることを、しかも、政府がほんとうに社会保障を進める決意を持てば直ちに実行容易な案であることを、御理解いただけたと信ずるものでございます。それとともに、このような案であってこそ、所得保障という本来の大切な目的を果たすとともに、他の重要な面に非常な好影響を与えるものであることも、あわせて御理解いただけると信じます。すなわち、本制度を通じての所得再配分によって、国民生活の不均衡が相当程度是正され、これによって継続的な有効需要が確保されることによって、諸産業の振興安定に資するところ大なるものがあるわけでございます。このことは、雇用の増大と安定を招来するものでございますが、さらに、完全な所得保障によって、不完全就労を減少し、労働力化率が低下するという、好ましい効果の面も加えまして、完全雇用への道を進めるものでございます。さらに、十分な年金制度は、雇用労働力の新陳代謝を促進し、鉱工業生産力を増大せしめるとともに、農業、中小商工業の経営権を若き世代に移すことによって、その近代化、協同化への原動力となるわけであります。以上の諸点もあわせ御理解をいただきたいと存じます。 以上、きわめて簡単でございましたが、本六法案に関する重要な点の大綱を御説明申し上げた次第でございます。 最後に、心からお訴えを申し上げたいと存じます。すべての国民は、よりよき年金制度の確立を熱心に求めております。憲法は、健康で文化的な、ほんとうの社会保障制度を推進する義務をわれわれに与えております。しこうして、老人、身体障害者、母子家庭等の生活上の苦労をなくし、他の国民の将来の不安を解消することは、政治の当然進むべき方向であります。社会保障は、社会保険というような半端な制度でとどまるべきものでなく、ほんとうの意味で完成さるべきものと信じます。およそ、社会保障を一回でも口にした政党や政治家は、現状を打開し、その飛躍的な前進をはからなければ、政治を担当する資格はないものと考えます。私たちは、このような考え方で、心身をすり減らしつつ努力を重ねて、あらゆる観点から徹底的に検討した結果、本六法案を提案いたした次第でございます。与党の各位にも、一政党の立場を離れ、現行法政府改正案にこだわることなくして、国民の立場に立って、本六法案を十分かつ急速に御審議賜わりたいと存じます。しかる後、衆議院より回付の後においては、参議院の各党派の皆様方が満場一致御可決下さいますことを、国民の名において強く要望を申し上げまして、御説明を終わる次第でございます。
○委員長(吉武恵市君) 次に、各法案の細部についての補足説明を要する点がございましたら、政府委員あるいはその他から御説明を願います。
○政府委員(小山進次郎君) お手元に差し上げておりまする資料によりまして、簡単に若干の点を補足させていただきたいと思います。 まず、国民年金法の一部改正でございますが、これはお手元に国民年金法の一部を改正する法律案に関する参考資料というのを差し上げてございますが、これらの二番目の国民年金法の一部を改正する法律案を要綱というのをもとにいたしまして、簡単に補足説明をさせていただきます。 要綱の第一は、改正の目的でございまして、先ほど御説明を申し上げた通りでございます。 第二に、拠出年金に関する改正事項をまとめてございますが、(一)が老齢年金の繰り上げ支給でございます。これは先ほど趣旨を御説明申し上げました。この金額は年令によって違って参りますが、たとえば六十才のときから受給を希望するということになりますというと、男子の場合はおおむね基本額の六割強程度になる見込みでございます。おおむね自後一才ずつあがるに従いまして一割程度ずつふえるということになるはずでございまして、男子と女子とによって違いが出る仕組みでございます。いずれこれらは政令によって規定される内容になっております。 それから次が特例による老齢年金でございますが、これが今回の改正におきましていろいろ工夫された点でございまして、この制度で、保険料の免除は受けたけれども、保除料の拠出をした期間の短かった方々に、何とかしてなるべく老齢年金を支給することができる道を開きたいというので、かような制度が作られることになったのでございます。この制度によりまして、拠出期間は短かったけれども、免除期間が非常に長かったというような人々は、例外なく年金が受けられる。六十五から七十までの間拠出年金を受け、七十から福祉年金を受けるということによりまして、実質的には六十五からほかの拠出期間の長かった人と同じように年金が受けられるという仕組みにしたわけでございます。これにはもちろん経過的な特例が加わって参りまするので、たとえば七十八条の部分の改正と相待ちまして、十年間のうちで四年間だけ保険料を納めさえすればこの種の年金が必ずもらえる。また、十年間のうち四年間全部納めなくても、一年間納め、三年間が免除であったというような場合も年金が受けられる、こういうふうな仕組みになっております。これが年令の一番高い人の場合でございまして、自後逐次年令が下がるに従いまして、この保険料の免除期間と納付済み期間とを合わせた期間というものの要件は長くなっていると思いますが、いずれにいたしましても。ほとんど全部の人々が、よほど意識的に保険料の納入をサボらない限りは年金はもらえるという結果になっているのでございます。 三番目は、準母子年金の創設でございますが、これは国民からも、また、諸先生方からも非常に御要望の強かった制度を今回作るということにしたのでございます。準母子年金に含めます範囲は、いろいろ検討を重ねました結果、準母に当たる人々の死亡者との関係は、配偶者であったか、あるいは直系血族であった、つまり父親または祖父であった、あるいは子供であったというような関係の者に限る。それから準母と準子との関係は、兄弟姉妹関係であるか、あるいは直系血族関係であるか、いずれかに限るというようなことにいたしまして、整理をすることにしたわけでございます。これによりまして、母子年金には入らないけれども、ほぼそれに準ずる状態にある者ということで、年金によってカバーされることが期待されておりました人々が救われるということになったわけでございます。 第四番目が障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金の受給資格期間の経過的短縮でございますが、これらの受給資格期間は三年以上ということになっておりますが、制度発足の当時において三年を求めますと、三年間たつまでの間はこの種の年金が実際に出ない。実際の要望に合いがたいということになりますので、この期間を経過的に短縮いたしまして、ことしの四月 一日に被保険者であった人の場合は一年以上ということに短縮している、こういう改正でございます。ただし、金額は三年の受給資格期間を見た人と同じようにするわけには参りませんので、おおむね七割から六割程度の間において減額をいたしましたものにする、こういう内容になっております。ただし、遺児年金はもともとの額が低うございますので、これは三年以上の場合と同じ金額とする、かような内容でございます。 それから五番目が、死亡一時金制度の創設でございますが、これは先ほど御説明を申し上げました通りの内容でございます。一番短い三年以上五年未満というのが五千円、三十五年以上というのが五万二千円、これは保険料が百円のグループであると百五十円のグループであるとを区別いたしません。両方を加重平均いたしております。また、期間も五年ごとに区切っている、こういうような仕組みになっております。 それから次が福祉年金に関する事項でございますが、第一が準母子福祉年金の創設、これは拠出制度における準母子年金の創設と見合うものでございます。両者の違いは、拠出年金の場合には、子供に準ずる者、つまり準子の年令が十八才以下ということになっているのでありますが、準母子年金の場合はこれが十五才以下と、ちょうど母子年金の場合の子供と同じ年令になっているという点が違う点でございます。 それから第二が、二十五才以上の子供と生計を同じくしている場合の母子福祉年金の支給制限を今回撤廃することにした点でございます。先ほど御説明があった通りでございます。これも先生方からの大へん強い御要望があり、国民もそれを希望し、また、事実実施いたしました結果、母子福祉年金についてだけこの種の届け済み制限を置くことはやや公平に反するという実情になって参りましたので、これは撤廃をするということにしたのでございます。そうして母子福祉年金についての所得関係の制限は、老齢福祉年金やあるいは障害福祉年金と同じように世帯主に当たる者、つまり母親と一緒に生活をしている子供の収入がそれと同じような基準をこえておったならばその場合支給制限をするということにいたしまして、全部の調子を合わせることにしたのでございます。 それから第三は、災害による特例を恒久化することにしたわけでございます。これは伊勢湾台風の際に設けられましたあの災害特例を、単にああいった災害の場合に限らず、また、災害が起きた場合に特例的にやるということではなくて、どんな場合でもほぼ同様の事情の場合には自動的にそれが発動し得るようにするというので、あの際に御制定をいただきました内容をほぼそのまま恒久的な制度の中に取り入れたのでございます。 それから最後に、拠出年金及び福祉年金に共通の問題でございます。 第一が、廃疾の併合認定でございますが、これは今までの保険制度のルールによりますというと、保険制度で考えられまするところの障害というものは、その人がその制度に入った後の障害に限る、こういうことになっていたのであります。従って、それをそのままやりますというと、片手をなくしておる人が、国民年金制度に入っていて片手を失った場合は、片手を失ったものとして障害年金関係の認定をしているということでありますが、事実は、その人は両手を失なっている、こういうことになるわけであります。この点につきましては、国民年金制度の趣旨からいたしまして考えて参りたいという気持からいたしまして、制度発足前に持っておりました障害は、制度が発足後の障害と合わせて認定をして取り扱いをする、かようにいたしたわけでございます。この点において、この種の問題についこの一つの原則を大きく前進させる考え方をこれに取り入れたわけでございます。 それから第二が未支給年金の支給範囲の拡大であります。これは「支給範囲の拡大」と書いてございますが、実質はほぼ未支給年金制度というものをこの際新しく開いたということと同じほどの拡大でございます。これはたとえば老齢福祉年金なんかを受ける人が、実際に支給されるときを待っておったところが、不幸にして途中でなくなられたという場合に問題になりましたあの問題を、全面的に解決をしようという制度でございます。これは今回他の制度と同じように、そのときまでにもらうべきであったものは、その人の遺族にここで定めた順序に従って支給をしていくということにしたのでございます。 それから第三が死亡の推定でございますが、これも福祉年金をやりました結果、この種の規定が必要だということを痛感したのでありますが、夫が家出をして行方不明になっている。隣近所ではもう完全に死んだと扱っているし、どうも死んだと認定した方がよろしい。しかしながら、失踪宣告による手続をとるには、まだ完全な条件が満たされていない。一方残された母子は非常に困っている。そういう事例が家出の場合だけでなく、よく漁に出た場合の問題として起きて参ったのでございますが、そういうような事情からいたしまして、これは船員保険法その他にありますような比較的簡易な推定制度を設けて、この法律の給付をする面においてだけ、これを死亡したものとして取り扱って給付をしていく、こういう制度を設けよう、こういうわけでございます。 それから施行期日は先ほど御説明をいただきましたように、四月分からということになっております。従って、未支給年金は四月一日以後支給されます。それ以外の年金については、次の月の初日からの分、つまり五月一日以降の分が支給される、かような内容になっております。 それから次に通算関係の二法案につきまして若干補足説明を申し上げたいと存じます。お手元に、通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案参考資料というものを差し上げてございますが、このうち関係部分を参照いたしまして申し上げたいと思います。目次のところをごらん願うのが一番手っ取り早いと思いますので、これによって御説明申し上げたいと思います。この通算問題の起こりは、国民年金制度の創設ということでございます。これは昭和三十三年の五月に国民年金制度に関する答申が社会保障制度審議会から行なわれたときにおいて、すでに国民年金制度の実施をするならば、各年金について通算制度というものを考える必要があるという意味のことが出ておったわけでございます。そういう事情からいたまして、引き続いて社会保障制度審議会では、どういうやり方でこれをやったらいいかということを御研究になったのでありますが、それを取りまとめまして答申をいただいたのが、この目次の中の六の「年金制度の通算等について(社会保障制度審議会答申)」これでございます。十九ページにございます。これはいわゆるじゅずつなぎ方式による年金通算というものを提唱した答申でございまして、これがまあ通算問題についての基本的な考え方を示した内容になっております。これが三十三年の十月に答申されたものでございます。この答申以外それまで通算のやり方については、この審議会の答申に盛られましたじゅずつなぎ方式のほかに、たとえば外ばき二重加入方式と称しまして、今の年金制度の底にさらに一つの共通な制度を設けて、それによって実質的に通算するという仕組みがいいとか、あるいは内ばきの二重方式といって、その外側に設ける関係の制度を、それぞれの制度の基礎部に置くということで考えたらいいというような考え方とか、ほかに持ち分移管方式とか、いろいろ取り下げておったのでありますが、とにかくこの答申によりますと、今後はじゅずつなぎという方式で通算を考えていくことが一番適当だということに、関係者の間の最大公約数的な意見が示されるということになったのであります。そういう事情がありまして、三十四年四月に当国会におきまして国民年金法の御審議を願いました際に、当委員会で附帯決議をおつけになり、その際に三十六年四月一日からは必ず通算制度を実施するように、ということを御提唱になったのでありますが、その際にお考えになっておりました内容も、このじゅずつなぎの方式をやる、こういう内容でお考えになっておったわけであります。三十四年の四月に国民年金法が成立をいたしましたので、政府部内におきましては、直ちに福祉年金の施行準備とともに、この通算問題の調整に取り組んだのでございます。そうして三十四年の七月に次官会議で通算問題を早急に進めていくという申し合わせをしたのでございます。これが、目次の八番目の「公的年金制度相互間の通算調整に関する措置確立の促進について」というのでございます。これによりまして通算問題は関係する制度も多いし、関係する者も多いので内閣の審議室が中心になって、関係各省の関係者を網羅した公的年金制度協議会とでもいうべきものを作らせて、そこで作業をさせ、最終の目標は三十六年の四月一日に間に合うようにする、こういう申し合わせが行なわれたのであります。自来この協議会におきまして、いろいろの角度から検討を続けられました結果、三十五年の十一月ごろに一応最終案に近い結論が得られたのであります。これが「公的年金制度における期間通算制度要綱」という目次の四番目のものでございます。これで大体内容が固まりまして、それをさらに確認をする意味で、三十五年の十二月に閣議決定が行なわれたのでございます。「公的年金制度相互間の通算制度実施に関する件」という閣議決定がこれでございます。これは目次の五番目のものでございます。これに基づきまして、関係法案の調整をいたしました結果、共通部分を通算年金通則法案に盛り、これを実施するために必要なそれぞれの法律の改正を一本の法律にまとめるということで通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案というものが出されたわけであります。 以下のような経緯を経まして通算制度を実施するための法案としてこの二法案が調製され、御審議を仰ぐ、こういうことになった次第でございます。 中身につきましては、すでに先ほどの説明にも尽きております。今までもしばしば話題に出ておるところでございますし、若干技術的な点にわたる点が多うございますので、省略さしていただきます。 以上でございます。
○委員長(吉武恵市君) それでは、各法案に対する質疑は、次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 では、本日はこれにて散会をいたします。 午後零時一分散会