社会労働委員会 第7号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/23
会議録
○委員長(吉武恵市君) ただいまより社会労働委員会を開きます。 まず、委員の異動を報告いたします。 二月二十二日付をもって古池信三君が辞任され、その補欠として高野一夫君が選任されました。
○委員長(吉武恵市君) この際、理事補欠互選の件についてお諮りをいたします。 委員外転出のため、欠員となりました前理事高野一夫君の後任理事補欠互選を行ないます。その方法は、便宜上、成規の手続を省略して、委員長の指名とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。それでは理事に高野一夫君を指名いたします。
○委員長(吉武恵市君) それでは本日は、労働情勢に関する調査の一環として、一般労働行政に関する件を議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。 本日御出席の政府側は、大島労働基準局長、谷野婦人少年局長、それから厚生省は永野看護参事官、植山母子福祉課長、江間医事課長の方々であります。
○坂本昭君 私たちは、労働ということを一番評価し、それを一番尊敬しているものであります。従って、同一労働同一賃金、こうした見解もわれわれのいわば一つの倫理観念として、また、われわれの人生観として持っているわけであります。 最近、従来抑圧されておった婦人の体力やあるいは精神力あるいは知力、こうしたものが解放せられて、その能力がとみに増加してきたことをわれわれとしては非常に喜ぶものであると同時に、婦人労働というものが非常に重要な意味を持ち、また、尊重せられるようになってきましたので、きょうは、特に婦人労働問題について担当の方々のいろいろの御説明を伺い、また、御見解を伺っておきたい、そう存ずる次第でございます。特に社会の第一線に働いておられる婦人の労働問題、たとえば教育あるいは看護あるいは保育あるいはまた、繊維産業とかあるいは弱電気産業、こうしたところに多くの問題が山積しております。従来労働省が、特に婦人少年局がここ数年来いろいろと行政上の業績を上げてきておられまして、たとえば婦人労働問題研究会あるいは働く婦人の家あるいは内職公共職業補導所、こうした点でだんだんと婦人労働問題に対する行政的な実績を上げておられることに敬意を表するものでございます。またあるいは、婦人労働者家族福祉に関する報告、こういったものが三十四年の十一月にも出されているし、あるいはホーム・ヘルプ制度などが次第に不十分ながらも充実せられつつある、そういうことについては敬意を表するものであります。 そこでまず、これは時間の関係もありますので、一括して婦人少年局長から御説明いただきたいと思いますが、それは四点ほどありますが、まず第一に、現在の婦人労働者の数並びにその推移、なるべく新しい統計資料で説明していただきたい。婦人労働者の数とその推移がどんなになっているか。 二番目に、それらを通じて婦人の雇用の状況たとえば全労働者の中で昭和三十四年、ころの統計を見ると、二九・九%、約三割程度の婦人労働者の雇用状況であります。これが現在どういうふうになってきているか、特に所得倍増や生産性向上等とからみ合わせて婦人の常用あるいは臨時あるいは日雇いの量がどうなっている、また、婦人の失業がどうなっている、婦人の雇用についての説明。 それから第三番目に、こうした婦人労働者が労働組合としてどういうふうに組織されているか。その組織率の状況。 四番目には、こうした婦人労働者の労働条件がどういう状態であるか、たとえば労働時間あるいは労働賃金、これらの中には昭和三十四年の労働省の説明によると、水産食料品の製造業などでは給与形態のはっきりしないところが四〇%もある、そういうような非常に調査のしにくい向きもあるだろうと思います。しかし、その後鋭意努力しておられると思いますので、こうした労働条件について、以上四つの点について統計的な御説明並びにこれに付随して労働省として持っておられる見解といいますか、こういう実情についてはこういうふうな考えを持っているということを一緒に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(谷野せつ君) ただいまの御質問の点についてお答え申し上げたいと存じますが、第一点の現在の婦人労働者の数並びに推移でございます。ただいま手元に持っております資料から昭和三十五年の婦人雇用労働者が六百十一万でございます。これが昭和二十三年のときと比較いたしますと、三百二十九万でございますから約十年あまりの間に実数は倍増している情勢でございます。 それから第二の点でございますが、婦人が全体の雇用労働者の中で、どれくらいの割合をもって雇用されているかという点についてお答え申し上げたいと存じますが、これは同年の三十五年におきまして二九・一%でございます。昭和二十三年のときにおきましては二五・八%でございますから、全体の雇用労働者に対する女子の増加割合は、男子をしのいで、非常に急激に増加をしているということが見られると思うのでございます。 それからこのように婦人が雇用市場におきまして男子をしのいで増加をいたしているのでございますが、一方婦人の雇用市場におきましては、どうしても年令の若い人が雇用市場に迎えられているという形でございまして、やはり日本の婦人雇用の一つの特色として、若年婦人が増加をしている一方の形態もございまして、やはり三十五才以上の五十才前後の婦人も幾分ふえているわけでございます。 このように婦人の雇用につきましては、いろいろ特色がございますのでございますが、次に、では婦人の失業についてどうであるかということについて申し上げてみますと、婦人の完全失業者の数は、今手元に昭和三十四年しか数字を持っておりませんので、あとで訂正さしていただきたいと思いますが、約二十五万人でございますので、幾分失業者が前年の昭和三十四年よりふえているという形でございます。やはり婦人の失業者と申しますと、どうしても若い人の間には割合に失業が少ないのでございますが、年配者になりますと、新しい職を得ることが非常に困難でありますために、失業者の中に年配婦人を多く持っているという情勢でございます。 それから第三の御質問の、どう組織されているかという点でございますが、婦人の労働組合に組織されております割合から申し上げてみますと、大体男子に対するというより、全体の組織に対しまして三対一の割合くらいになっているのでございます。それから婦人労働者の中で婦人がどう組織されているかと申し上げますと、やはり三〇%近い組織率でございます。で、労働組合の中におきましてはそのように組織されておるのでございますが、特に婦人問題が重要でございますので、組合が婦人部を作りまして、婦人問題に対する教育活動を実施しているような状況でございます。 それから第四番目の労働条件がどうかということでございますが、婦人の雇用労働者につきましては、労働基準法が施行されておりますので、労働基準法の施行によりまして労働条件はかなり上がってきていると思うのでございます。労働時間につきましても、時期の繁閑によりましていろいろございますが、時間外労働などに対する制限などもございますので、それほど労働時間が長いという問題も少ないと思うのでございます。 それから賃金につきましては、大体昨年の平均が——正確な数字をあとで差し上げたいと思いますが、全産業の女子の平均が大体一万二千円近いと思うのでございます。それから年間の全産業の男子の賃金に対する女子の割合、これは平均でございますが、これは昭和三十五年現在におきまして四三・五%という情勢でございます。女子の平均につきましては大体四二・三%前後を年次に平均いたしているような傾向でございます。 以上のような情勢でございまして、婦人労働問題といたしましては雇用がどんどん伸びておるのでございますが、日本の婦人労働者の持殊性といたしまして、若い婦人がふえているのにもかかわらず、年配者の就職が困難であるということの問題がございますし、一方労働条件といたしましては、労働基準法にきめられておる範囲におきまして、労働条件につきましては、以前に比べて見ますと、年々労働条件が上がっておるような形ではないかと思うのでございます。ただ幾分小規模の企業などにおきまして、労働条件などについて十分に女子の保護の問題を適用して参りますのに困難なような問題が残っているわけでございます。私ども労働省といたしましては、婦人の増加に比例いたしまして、ただいま先生がおっしゃられましたように、婦人独自の職業として確立させていかなければならない職業並びに最近の技術革新その他によりまして新たに増加の著しい職業におきます労務管理を通しての労働条件の改善の問題でありますとか、また、特に就職の困難な年配婦人に対する職業をどういうふうに考えていったらいいか、どのような職業を与えることができるかという点についても検討をいたしておりますし、またさらに、労働基準法にきめられております条件について婦人の特殊性の上から婦人の保護並びに地位の向上に対して両面から問題をとらえまして、どのような限度において保護をしていったらいいかという点について労働問題の研究会議などを通して、私たちの仕事の方針をきめるように、社会の皆様の御意見を伺いながら進めているような次第でございます。
○坂本昭君 ただいまの御説明の中でもう少し伺いたいのは、若年婦人労働者が最近ふえてきた、これは統計的に何か数字はわかりませんか。
○政府委員(谷野せつ君) ただいまちょっと数字を持っておりませんので、あとで先生のお手元に差し上げさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○坂本昭君 それではその際に、若年婦人労働者の増加が職種のどういうところにふえてきているか、その内容も一緒に資料につけていただきたいと思います。 それから次は、失業の婦人労働者が二十五万という昭和三十四年の数がありましたが、特にその中では若い人ではなくって、やはり中年層以上の失業婦人がふえてきておると思うのです。その中での未亡人の問題ですね、未亡人がどうなっているか、さらにまた、未亡人の就職の状況がどうなっているか、その点の御説明をいただきたい。
○政府委員(谷野せつ君) 日本の婦人の雇用の特色といたしまして、やはりどうしても若い婦人の方が好まれるわけでございますために、一たん就職いたしまして、何らかの事情によって職業をのいて再就職をしようとするときに、婦人労働問題としては、再就職の困難なような問題があるのでございます。従いまして、日本の失業者の多くの部分は、ほとんど三十才以上の年配婦人であると申し上げてもいいと思うのでございますが、今その失業者の中の年令その他につきまして、的確な資料をもって申し上げる準備をいたして参りませんでしたので、あとで申し上げさせていただきたいと思いますが、その未亡人につきましては、特に子供を持っておりましたり、さらにまた、一たん家庭生活に入って、職業的な訓練を受けておりませんために、就職をいたします場合の条件が若い人とは違って非常に困難なものを持っておるわけでございます。従いまして、私ども婦人少年局といたしましては、この婦人の職業問題の中で、特に未亡人の職業問題につきまして、前からこのことを調査を進めていたわけでございます。第一の段階といたしましては、現在の事業場にどれくらい未亡人が働いているかという点について調査をし、さらにどのような職業に働いているかという点について調査をいたしたのでございます。そのような結果に基づきまして、このような適職が年配婦人にはあるのであるということを公共職業安定所並びに使用者によくわかっていただくために、未亡人の職業に関する手引きを発行いたしまして、皆様に参考として差し上げながら、そのような方向に雇用を進めるように援助をいたして参りました。さらにまた、未亡人は特に職業訓練の機会を持っておりませんのと、職業に入っていくための心組みその他についての準備が足りませんために、簡単な職業訓練をすることによってこの労働市場の結びつきを容易にすることができ、また、就職後の適応も非常に円滑にいくと存じましたので、特に未亡人の適当であると思われるような職業を選びまして、たとえば家事サービスの職業補導施設のような補導所を設けることをお願い申し上げまして、現在それを実施いたしまして、非常に年配婦人のための就職機会を広げるために役に立っているわけでございます。またなお、未亡人につきましては、特に子供をかかえているあるいは生活の負担を負うているということのために、各種の社会施設を活用することによって就職を容易にすることができると存じますので、母子福祉資金貸付とか、その他生活の扶助の問題、その他について相談に乗りながら、職業補導あるいは就職の機会をお世話をして上げることができるような相談を婦人少年局といたしまして進める考えをもって、特に婦人少年局に、地方に婦人少年室協助員が配置されておりますので、この協助員に対して、いかに未亡人の職業の手引きをしたらいいかということについての手引き書を作りながら、詳細な今後この問題に対する考え方の向上をはかりながら、末端の福祉事務所あるいは母子相談員その他の皆さんと連絡をはかりながら、婦人少年局の婦人相談室協助員が未亡人の職業のお世話に対する活動をしていただくようにいたしたいと思っているわけでございます。
○坂本昭君 私は、その未亡人対策について、若干問題があるんじゃないかと思うのです。それは、婦人少年局のいろいろな予算の中でも、一番最初に未亡人等の就職機会の増大というふうに取り上げて、局としてたしか四千七百万くらいの予算を組んでおられますが、しかし、この未亡人対策というものを何か、非常に未亡人ということにとらわれているみたいで、従って、その内容が、たとえば内職の相談だとか、家事サービスだとか、ホーム・ヘルプ制度だとか、これは確かに年配の御婦人に対しては適職ではあります。しかし、今日婦人労働問題というのはそういうことじゃなくて、やはり職業訓練というもっと積極的な面が必要じゃないかと思う。そういう点で積極的な職業訓練の面が非常に欠けていると思うのです。この点については、私は、局長さんにもう少し主張していただきたい、省内において。それは、この問も、新しく雇用促進事業団ができる、従来労働福祉事業団が職業訓練をやっております。やっているこの施設の中に、基礎訓練と専門訓練に、失業保険に入っておった者あるいは入っている者の数はたった五ないし一〇%にすぎない。幸か不幸か、今日石炭離職者あるいは駐留軍の離職者があるために、全体としては三〇%程度を占めるということなんですね。私は一番問題は、未亡人の場合にはおそらく御主人は労働者として働いておった人が比較的多いのじゃないか、従って、この人は失業保険に入っておったと思う、まあ、入ってない人もあるかもしれませんよ。そうすると、失業保険法では、失業保険の被保険者であった者あるいはある者に対して、この失業保険金をもってあるいはその積立金をもって失業対策をせよ、職業訓練をやれということになっているのですが、この際、失業保険に入っておった者の被扶養者としての未亡人ですね、私は、そういうものの考え方をとるべきではないか。だから、今日の職業訓練所では若い人の基礎訓練とか専門訓練はやっているけれども、いわば中年の未亡人の方々にほんとうに積極的に職業訓練というものはどうもやってないと思うのですね。むしろこれは未亡人対策としてあなたの方で積極的に推進せられる必要があるのではないか、そういうことをお考えになったことございませんか。
○政府委員(谷野せつ君) ただいまの先生のお考えのように、婦人少年局といたしましては、局に婦人少年問題審議会がございまして、労・使・専門の方三者構成による委員会がございますのですが、この婦人少年問題審議会に特に未亡人の職業対策としていろいろ御相談申し上げているわけでございます。これは未亡人と申し上げましたが、まあ、未亡人等ということでございまして、必ずしも未亡人でなくて、年配の進んでいて、比較的就職のしにくい人の雇用の問題ということで御相談申し上げているわけでございます。で、先ほど御説明申し上げましたように、一応家事サービスの方、補導施設などを設けたのでございますが、それによって決して解決されるとは思わないのでございます。従いまして、職業問題を広い立場から未亡人の適職をこの委員会に御相談申し上げまして、現在適職となっていないものであってもその他の条件を整えることによって適職になり、また、職業を補導することによって適職になるような部門もあるのではないか。そういうものはどういうものであるかということを、この婦人少年問題審議会に御相談申し上げているわけでございます。で、一応昨年におきましては、未亡人の職業補導のための特別な配慮の施設をと思ったのでございますが、これは予算上実際のところ実現いたしませんでした。しかし、私どもはそれで決してあきらめているわけではございませんで、施設として大きいものを作りませんでも、その他の簡単な講習会その他におきましてやっていくことができるのではないかと思いますので、さらに適職を的確につかみながら、職業安定局の方にも申し入れまして、そうして職業補導施設の仕事として新しい職業訓練の分野を開拓していただくように、今後とも努力をして参りたいと思っているわけでございます。
○坂本昭君 この失業対策の中で、中高年者の問題はこれはもう非常に大きい問題だと思うのです。これはもうこれだけで私たちはまた別の機会に論じたいと思います。従って、そのためにも婦人労働者の失業者は三十才以上が多いということでしたが、その数ですね、年令的な数、おわかりになっておればまた一緒に資料としてお見せいただきたいと思います。 それから次に、先ほど雇用の内容について伺ったのですが、御説明がなかったのでちょっとお聞きしたいのは、常用、臨時、日雇いですね、こういうものが近年の婦人労働の雇用の中でどういう趨勢をとっているか。もし今お答えできなければ、一緒にその数も御説明をいただきたいと思うのです。
○政府委員(谷野せつ君) ただいま資料を準備いたしておりませんので、あとで、資料としてお届けして御説明申し上げさしていただきたいと思います。
○坂本昭君 そこで今労働条件の中で、一つ婦人労働者における低賃金ということ、男子の四三・五%ということは、これはもう明らかに低賃金ですよ。繊維産業やあるいは弱電気関係産業が今日このようにいんしんをきわめているときに、婦人労働者が男子の四三・五%にすぎないということは、私は明らかに低賃金だと思う。そこで婦人労働者の低賃金と、政府の今定められている業者問協定による最低賃金、この関係について皆さん方どういうふうに御検討しておられるか。実はこの間、産業別最低賃金決定状況の資料をもらっていますが、これには特に婦人というものはあげていないわけですね。あなたの方では婦人労働者という立場から、婦人労働者の低賃金、これに対してその実情がどうで、これをどういうふうに引き上げるおつもりか、局長さんの御意見を伺います。
○政府委員(谷野せつ君) 日本の婦人労働者の男子に対する女子の賃金の平均の割合が四三・五%と申し上げたのでございますが、これは平均賃金でございまして、労働者の年令でありますとか、経験年数でありますとか、あるいは仕事の種類であるとかいうことによりまして、女子は、大体単純な比較的経験を要しない仕事にたくさんの婦人労働者が従事いたしております関係上、平均といたしましては、こういうような数字が出て参るものであると思うのでございます。しかし、それであるからといって、婦人労働者が平均として低いということは、婦人労働者の全体の地位の問題からいえば、やはり問題であると思うのでございます。そうして私どもといたしまして、この婦人労働問題の本質から申しますと、やはり労働基準法にきめられておりますところの男女同一賃金の原則を基本といたしまして、一方におきまして基準局の法律施行をお願いいたしますと同時に、私どもといたしまして、この男女同一賃金の原則がもっと一般の皆様によく理解され、また、婦人の雇用に伴う社会的な偏見とか、差別的扱いに対する間違った伝統的な考え方というものも、同一賃金の原則を進めると同時に、社会的な理解を深めるための努力をいたしているわけでございます。 なお、以上のような男女同一賃金の原則を進めることによりますと同時に、また、婦人の賃金の平均として低いということは、比較的職業の単純なものに多く従事しているということにありますので、一方婦人の職業に対する考え方なども、就職の当初からよく理解していただくように、学校にも婦人の職業問題に対する考え方をお願いいたしますし、また、婦人会や両親などに対しましても、婦人の職業を選ぶときの問題のところから啓蒙をいたして、さらに婦人の賃金が上がるためには経験のある職業に従事しなければならないわけでございますので、女子労働者の自覚を促すためにも私たちは努力をいたしたいと思っているわけでございます。
○坂本昭君 今の局長の御説明、一応わかりますが、やはり今の場合、若年婦人労働者の単純な労働という点がだいぶ問題になると思います。これは先ほど若年婦人労働者の数、それから産業別、職種別のことをお尋ねしましたが、同時にこれが賃金ですね、賃金をつけて、それからそれが臨時であるか、常用であるか、それもつけて一つ一括した資料で出していただくと非常によくわかりますので、お願いしたいと思います。これはできますか。
○政府委員(谷野せつ君) ちょっと帰りまして、調べました上で、できる限り整えたいと思います。
○坂本昭君 それでは次に、婦人労働の、特に婦人の保護の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、労働省の発表されたものによると、女子労働者の母性保護の実態を知るために、二十七年以来毎年女子労働者保護の状況を調査しておられる。ただし、その対象が常時三十人以上を使用する労働基準法適用事業場としているため、三十人未満の小規模事業場における実態まで必ずしも知り得ないということで、これはむしろ婦人労働者の実態からいうと、三十人以下の方に私は重点があるのではないかと思うのです。それでとりあえずお伺いしたいことは、労働基準法が婦人保護の点でどのように守られているか、これは基準局長に聞かないで、婦人少年局長さんの御説明を承りたい。
○政府委員(谷野せつ君) 労働基準法の中の、女子に関係のある条文の法律の適用の上からお答え申し上げたいと思うのでございますが、現在どのように監督官によって摘発されて、違反が行なわれているかという点で申し上げてみたいと思いますが、男女同一賃金の原則につきましては、昭和三十四年でございますが、これはわずか十二件でございます。それから昭和三十年のころは五十件ほどございましたけれども、同一賃金につきましてはだんだん違反が減っておるわけでございます。それから女子の労働時間及び休日につきましては、同じ年月に四千七百十一件でございます。それから深夜業の禁止につきましては二千九百二十九件、危険有害業務の就業制限につきまして三百四十三件、それから坑内労働の禁止につきまして三十五件、産前産後の休養につきまして四件、生理休暇について八件、帰郷旅費について二件というので、総計八千四十四件というような違反がございます。基準法の女子の関係条文につきましては、だんだんに労働基準法に対する使用者の理解並びに労働者の理解も進んで参りますので、法律の施行は円滑になってきているのではないかと思いますし、一方、女子自身の主張もはっきりいたして参りましたので、労働条件をみずから高めるための自覚ということが進むことによって、この労働基準法の条件というものがだんだん守られていくことになって、違反は少なくなるのではないかと思うのでございます。
○坂本昭君 今の御説明について、実情がなるほどそれに沿っているかどうか、私はいろいろな問題点があると思いますので、今度は専門職の婦人の問題として、若干それらの点についてお尋ねしたいと思います。 それは、まず去年以来、病院ストというのが非常に社会的に大きな問題となってきました。この病院ストについては、これは看護婦さんたちの人権ストであるということで非常に社会の支持を受けたわけであります。で、これについて、まず労働省にお尋ねしたいことは、第一点は、病院における婦人労働者、特にこの際は看護婦に限定いたしましょう。看護婦の看護婦労働に対して監督がどういうふうに実施せられておるか、去年病院ストのことについて審議をしたときに若干の報告が出ておりますが、私は労働基準局として従来あまり関心を持っていなくて、ここ二、三年来関心を持つようになってきたということをその説明を聞いて感じておったのでありますが、婦人問題、婦人労働問題として、婦人少年局としてこの監督の実施について、特に看護婦の労働についてどういうふうに見ておられるかという点が第一点。 それから第二点は、この病院ストの中で一番問題になった点は、労調法の三十六条にある保安の問題になってくるのです。これはまあ一応所管はあなたの局と違うかもしれませんが、しかし、婦人労働問題として非常に大事な点であって、これについて婦人少年局としてどういうふうに基準局とも連絡をとり、さらに厚生省とも連絡をとりながら看護婦の労働条件の改善のために御努力をなされたか、また、検討を加えられたか。その二点をお伺いいたしたい。
○政府委員(谷野せつ君) 看護婦は婦人の職業問題から見ますと、最も専門的な職業であり、また、婦人に最も適している職業でございますと同時に、婦人の職業の中から申しますと、非常に婦人のパーセンテージの多い職業でございます。従いまして、婦人少年局におきましては、特に女子の職業問題としてこの看護婦の職業が婦人にふさわしく、さらにその地位を上げることが婦人の職業全体に及ぼす点からも大事であると考えているわけでございます。しかし、看護婦の問題につきましては、やはり従来からの雇用の姿が残っておりますために、それほど専門的職業に比例いたしましていろいろな問題が解決されているというわけではないわけでございますが、一体実情がどうであるかという点について、婦人少年局は、古いのでございますが、今から十年前に、病院及び診療所に働く看護婦の労働条件について調査をいたしたのでございます。その結果に基づきまして、婦人少年局といたしましては、一応看護婦の問題が、婦人の職業としてその地位を上げるためにどういうふうな方向において改善されていったらいいかというような点について、婦人少年問題審議会にお諮りいたしまして、今から、その調査の前後いたしております年代でございますが、女子の職場拡大方策の中の看護婦問題についての答申書ということについて労働大臣に答申をいたしたことがございます。このようにいたしまして、看護婦問題につきましては、やはり労務管理上の問題、労働条件の問題、あるいは看護婦としての職業活動の問題というような点について、一応問題点を解決されなければならない方向についての問題点についてまとめて、社会的にも御理解をいただくために、その答申書についてあちこちにお願いをいたしたわけでございます。たとえば厚生省に対しましても、私どもの答申がこのようであるから御努力願いたいという点について、かつてお願いをいたしたことがございます。以上でございます。
○坂本昭君 どうも婦人労働の中で、社会的にも、それからまた、内容的にも非常に大事な看護婦の労働について、労働省の検討や、あるいは研究が十分であったと思われません。十年前にそういうことを検討されておられたなら今回の病院スト——病院ストというものは、これは実態は看護婦ストなんです、白衣ストなんですよ。ですから、その点で私は再検討していただくと同時に、厚生省とも密接な連絡をとっていただきたい。 厚生省にお伺いいたしますが、あなたの方では、看護婦の労働時間、賃金、それをどういうふうに見ておられますか、その実情を御説明いただきたい。
○説明員(永野貞君) ただいま看護婦と申しましても、正規のいわゆる看護婦と准看とございまして、ただいま十五万九千八十五人ほどおりまして、この中の約十万人が看護婦でございまして、五万一千人が准看護婦でございますが、その労働条件は、施設の規模によって違うのではないかと思っております。 勤務時間は、大学病院、日赤関係が四十四時間でございまして、その他、国立病院、国立療養所などにおきましては四十八時間制をとっているのでございますが、国立病院や療養所におきます四十八時間というものは、ぜひ四十四時間にしたい、していただきたいというので、このための予算措置を国会の方にお願いしている次第でございます。 それから超過勤務でございますが、基準看護で三交代制をとっているところ、あるいは二交代制をとっているところとございますが、どこを見ましても、業務の申し送り時間、いわゆる夜勤から昼間勤務に移る者、昼間勤務から準夜勤に移る者、その申し送り時間というのが皆はみ出ている。いわゆる超過勤務になっているようでございますが、それでも一番多くっても十二時間、大体十二時間を越したことがないというのが、これが国立関係の調査ではそのようでございます。 〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕 それから産休の問題でございますが、よろしゅうございますか、産休の問題に触れましても……。国立病院、療養所などにおきましては、通勤者は全体の二九%で、そのうちの約三分の二が結婚しております。そして、看護婦全体につきまして、常に十七人に一人という割合で産休を取っている状態でございまして、年間にいたしますと、これは同じ資料でございますが、千七百四十二名でございます。そして、産休の代替要員は申請通りすべてしているのでございますが、ただし、これが賃金を支払われます関係で、あるときには人を得られなくて他の者がかわりをするということもなきにしもあらずということでございます。 それから給与の問題でございますが、施設別に調べてみましても、大体国立関係が一番よいようでございます。国立関係では、看護婦の平均年令が二十八・三才で、平均給与は、これは基準内の給与でございますが、一万六千九百六十一円でございます。准看護婦は平均年令が十九・八才で、基準内給与は一万一千三百四十三円で、ございます。これも他の施設はずっと下回っているような実情でございます。しかし、この国立はなぜこういいかと申しますと、勤務時間が週間につきまして四時間多いので、このことは考えに入れなければならないと思っております。しかし、この国立の看護婦の給与を、これは医療表第三表でございますが、他の職種と比べますと、その経験年数だとか、教育年限に比較しまして、昇給の率が十分でないということを、これは考えております。昭和三十五年度に厚生省で行ないました病院勤務の助産婦の実態調査の結果からいたしましても、やはり国立以外、特に、小規模の民間のところの給与が悪いようでございます。これにつきましては、人事院の方の資料がございまして、この民間の病院勤務看護職員の実態によりますと、看護婦の平均給与が一万二千九百六円、准看護婦が八千七百五十三円、これは基準内基準外を足したものでこのような状態でございます。以上でよろしゅうございますか。
○坂本昭君 どうも労働省も厚生省も、両方の説明を聞いても、どちらも実態を的確に把握しておるとは思えませんよ。それからまた、皆さん方が婦人労働者の味方として、婦人労働者の地位や、あるいは労働条件の改善のために非常に熱意を持ってやっておるように今の説明ではうかがわれません。もう少し一つ、ふんどしを締めてと言いたいところですが、ふんばっていただきたいと思います。特に、今の看護婦の労働条件についての御説明は、国立病院、療養所のような、国が監督しておる比較的よい所だけの説明であって、何も厚生省は国立病院、療養所の看護婦さんだけを監督しておるのじゃなくて、日本全体の医療制度の中における看護婦を見ておられるはずだから、もっとそういう面を的確につかんでいただきたい。特に、労働省でも、昭和三十四年の統計から、婦人労働者で御主人のある、結婚しておる人の数が、一七%から一六%ぐらいある事実、それからまた、一カ年間に出産した女子が女子労働者の約二%もあること、また、妊娠または分べんを理由として退職した者が、妊産婦の四一%にも上っておること、特に、小さい事業場ほど妊産婦に対する退職者の割合が高い事実、しかも、産前産後の休業の請求状態は比較的少なくて、労働基準法の産前産後の六週間という事実に合っていないこと、たとえば保健婦さんについて、全国の保健婦さんの統計で、産前休暇四週間以内の者が五四%を示しておる。特に、産前休暇のない人や一週間以内というような者が三一%を示しておる。こういう驚くべき事実が、保健所の保健婦さんでさえもこういう事実があるということ、私はそういう点で、もっと当局は実態をはっきりつかんでいただきたい。実態をつかまないというと、これからどうしたらいいかという結論は出てこないと思う。特に賃金も低い。そこへ持ってきて、労働の時間などが非常に多い。これらにはいろいろな理由があります。たとえば医療費が低くて単価を上げなければならぬ点もあるでしょうが、とにかく、現在のこの事実は、婦人労働者に対して正当な労働の基準を与えていない。そういう点がたくさんある。たとえば、今、永野参事官は、看護婦の定員については全然触れられなかったけれども、看護婦の基準看護を実施していない施設について要員を得る経費がないというのが二〇%、看護婦が得られない二一%、准看護婦が得られない八・三%、看護助手が得られない三・二%、こういうふうに人員を得ることができないという問題がある。こういうことから必然的に定員が非常に少ないという結果が生まれてくるわけです。私は、外国の、昨年一年かかっていろいろな事実を調べてみますというと、アメリカの場合、パートタイムとフルタイム合わせて、病床数に対する全部の看護婦の数は科によって違いますが、精神科の場合だと二・二床に一人、結核は三・二床に一人、それから総合病院の場合は一・二床に一人、産科のような場合は一・一床に一人、こういうふうに、日本の現実に比べたらはるかに看護婦——看護する人の数が多い。従って、それだけ看護の内容もよくなると一緒に、看護婦という婦人労働者の労働条件がよくなっていっている。こういう点についての検討が少しも加えられないで婦人労働問題が論ぜられているところに、私は非常な問題があると思う。 で、さらに私はこの際、保育所の問題について触れておきたいと思うのですが、一体労働者は、労働基準法の八条の中で、保母を十二号で規定しているのか、十三号で規定しているか。十二号は「教育、研究又は調査の事業」、十三号は「病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業」、保母さんについて十二号と十三号とどちらを適用しておられるか。これは私は、まず婦人労働の性質からいって、婦人少年局はどういう見解を持っているか。さらに基準局長さんが来ておられるから、それからあとで基準局長の見解を求める。婦人少年局から先。
○政府委員(谷野せつ君) 保母につきましては、これを労働基準法の八条の何項に適用するかという問題につきまして、私どもこの保母という性格において、実情がどうなのであるかということによって適用の範囲をきめられるべきでないかという考えに立っているわけでございます。たとえば、保母さんと申しましても、保育所の保母さんもいらっしゃいますし、それからまた、いろいろな収容施設の保母さんもいらっしゃるわけでございます。ですから、現地の監督官にその仕事の内容からどちらを適用していただいたらいいかという点におまかせいたしてございます。
○政府委員(大島靖君) ただいま婦人少年局長からお答え申し上げましたように、保母の業務の内容によって判断すべきものでありますが、ただ、原則的に申しますと、私どもとしては十三号に該当するものだと考えております。
○坂本昭君 原則的には十三号であるが、あとはそれぞれの施設の実情に応じて十二号、十三号として扱っていきたいというふうに今御返事を伺いましたが、厚生省に伺いますが、厚生省としてはどういうふうにこれを適用したいお考えか。それからさらに、保母さんの労働条件の実態について厚生省の御説明をいただきたい。
○説明員(植山つる君) ただいま両局長からのお話がございましたのでございますが、厚生省といたしましては、昭和二十三年五月七日基準局発六十九号をもちまして、「児童福祉法による少年救護院、助産施設、乳児院、養護施設その他これに類する施設は法第八条十三号事業に該当する。」という通牒を出してございます。それにつきましては、見解におきまして、母子寮、保育所、児童厚生施設はこれに入っていないということを、この通牒のときから見解を異にいたしておりましたものでございますから、この問題につきまして、今日まで労働管理というものが不十分であったということは大いに認めている次第でございます。そういう観点に立ちまして、今回は労働基準局の非常な御熱意ある御協力を得まして、実地の施設におきますところの、実地の時間における検査をいたしております。これは全国の労働基準局においてもその方法をしていて下さるものと存じますが、この一週間において東京都におきますところの施設の中を基準局監督官と同行いたしましていたしておりますような次第でございます。また、この時間の一この基準の問題とあわせまして考えられます問題は、児童福祉法が制定いたしましたとききめられましたところの最低基準の省令でございます。この省令は、保母一人に対して保育所の子供が何人という規定が行なわれて、担当児童数が規定されております。それで同時にこの基準局のこの実態調査とあわせますために、この一月から各施設全部にわたりまして最低基準の検討を中央児童福祉審議会の特別委員をもちましていたしております。その最低基準の検討の中に、基準法を尊重いたしますその精神を入れましていたしたいという考えをいたしている次第でございます。
○坂本昭君 保母さんの実態を簡単に。
○説明員(植山つる君) 保母さんは、現在資格のあります者といたしまして……。
○坂本昭君 労働条件の実態ですね。
○説明員(植山つる君) 三万四千九百五十四人いるのでございますが、給料におきますところの問題でございますが、三十五年度の当初におきますときに調査いたしますと、公営と私営におきましての賃金の差がございました、そういう面も勘案いたしまして、そのときの、平均は七千五百四十二円でございましたが、三十五年度十月に補正予算額の基本給の増額がございまして八千三百七十九円になっておりますが、三十六年度の予算におきまして七・五%の引き上げが見られました結果、八千九百六十六円という基本給の単価が出たようなわけでございます。そうした意味で少し年限はかかるとは思いますけれども、労働の最も大切な給与の問題につきましては、時間をかけまして徐々に増額し、公営と私営のその差額を、なるべくその格差を少なくいたしたいという考えを現在持っているわけでございます。 また、全体のその労働管理につきましては、十分のことはございません。労務管理がいたしておりません点を大いに認めるのでございますが、この保母職を専門職であるかということにつきまして、必然的にこうした給料がきめられるということが当然考えられるのでございまして、自治省ともこれまでもその保母職の職種の設置ということにつきましてはいろいろ交渉をいたして参ったのでございますが、何分看護婦とか、教職員等のように多数の数をまだ占めておりませんということと、特別なこうした職種を置きますところの理由がまだ薄弱だという点において、今日までそうした専門職的な職種ではなくして、行政職(一)というような体系をとっておりますというような状態でございます。以上でございます。 〔理事加藤武徳君退席、委員長着 席〕
○坂本昭君 それでは、時間の関係で大臣に二点だけお伺いいたします。きょうは朝から婦人労働問題を議論してきて、その中で特に専門職としての看護婦とそれから病院数とも関係があります。それからもう一つ保母、この二つのことを少し実態を聞いたのですが、両方とも非常に労働条件が悪いのであります。たとえば保母さんだと、お母さんは八時間労働、その八時間労働のお母さんが連れて来る子供をお母さんが出勤する前に受け取ってお母さんが帰ってからお返しするのですから、当然八時間労働よりも延びてくるというのはあたりまえなはずです。しかも今保母さんの三万四千人の基本給という言葉を使われたのですけれども、これは平均賃金なんですよ。平均賃金が八千九百六十円。八千九百六十円という数自身も今少し疑問があるのです。これは八千五百円ぐらいではないかと思われるので、これはあとで正確な数字を示していただきたいと思うのですが、いずれにしても八千九百六十円にしても、保母さんの平均年令、地域によって違いますが、三十才ちょっとこしたところだと思います。それから勤務年限も地域によって四、五年のところもあれば、五、六年のところもあります。しかし、三十才をちょっと過ぎだところで気力もあれば体力もある、そして経験もついてきた、こういう人達の賃金が九千円に足りない、こういう低い賃金で保母さんも大事な保育の仕事を預かっている。さらに看護婦さんは人命を預かって非常な苦しい生活をしている。私はこういう中で、労働省が婦人労働問題について労働基準法を的確に施行させるために行政的ないろんな面の指導、そういう面がはなはだ不十分であったと思う。たとえば監督について今まで何千件という数をあげられておりました。たとえば昭和三十五年度ですか、八千四十四件、その中に産前の休暇の違反が四件というような話がありましたが、たった四件の話ではないのですよ。実際言うと産前、産後の休暇も行なわれないために非常に健康を阻害し、あるいは流産とか早産とか、あるいは異常分べんとか、そういったものが非常に多い。二の際婦人労働問題に対して、労働大臣として労働基準法を的確に施行する、そして婦人の同一労働同一賃金という立場を確認して、その労働時間賃金について十分な方途をどういうふうにしてやっていくおつもりがあるか、まずその点を一点お伺いしたい。
○国務大臣(石田博英君) 看護婦及び保母の労働条件が他の産業に比べて劣悪であるということは、私は御指摘の通りだと思います。前に、昨年の秋に病院争議が勃発いたしましたときに、私は労働行政を担当いたしております立場から、直ちに厚生省に対して、まあ保安要員その他の問題とあわせて、この労働条件の改善等について、あるいは労務管理の体系の整備等について善処してもらいたいということを同時に中山厚生大臣に閣議の席上でも申しましたし、私どもの役所としても正式に繰り返して要請をいたしてきたところであります。これは私どもの方としては、病院ということは、かねてから重点企業の一つといたしまして、基準法の監督強化はいたしておりますけれども、しかし、今後ともその方針はさらに一そう強くやりたいと思っております。ただ、これはまあお話の中でもございましたように、必要な人員を確保し得ないという事情、必要な人員を確保し得ない背景は、やはり待遇の劣悪にあるわけでございますから、私は今後とも待遇の改善が一切の前提条件であるという認識の上に立って処理したいと思っております。 それから保母さんの問題につきましても、病院争議が起こりました直後、次に問題が起こるのは保育所その他の保母さん、いわば社会事業に働いておる人達の問題であるから、これは当然待遇改善の措置を講ずべきであるということを公式、非公式にも申しましたし、予算折衝においても、いわば七・五%の上昇について及ばずながら協力したつもりであります。この問題、今御質問の中にありませんでしたが、これは給与の原資の増額以外に、私は児童保護法と生活保護法との切り換え時期の問題、切り換え時期に生じます保護費の問題、これは私の記憶ですと児童保護法関係ですと、十八才までですと、事務費を加えると六千円ぐらいになるのではないかと思うのですが、生活保護費ですと二千円ぐらいになり、急に下がってしまう。と申しましても、身体薄弱児、身体不自由児の場合には十八才になったからといってほうり出すわけに参りませんから、その不足額というのは当然事務費、人件費の方にしわ寄せになる、そういうところからも検討を加えてもらいたいと思っております。 それからただいま文部大臣にもお願いをして、明日の閣議で議題にしたいと思っておりますことは、育英資金の貸し出しは、中学校、小学校の教員になった場合は返済の義務がなくなる、私はこういう場合、当然保育所及び社会事業の施設の従業員、保母さん等もその中に含まれるべきものだと思いますので、今度これはまあ仄聞ですが、仄聞するところによりますと、高等学校、大学の教員にまでその育英資金の返済義務を免除するというようなことも聞いております。その機会にこれも同時にやってもらう。閣議で明日実はそれを文部大臣に要請したいと思っておるような次第でありまして、八千九百円というベースは依然としてなお他の同種の婦人労働に比べ、しかも年令構成その他から考えて、あるいはその責任から考えて、私は依然として低いものだと思います。ただ、これはもう何事も一挙にはむずかしいのでありまして、今回一二・四%一般公務員の上昇に加えて七・五%上げましたのですが、さらに今後とも条件の向上に努めていきたい、特にいわば中規模企業が多いのでありますから、厚生施設、福祉施設等はほとんど見るべきものがないわけでありますが、そういうものをさらに合算をいたしますと、賃金はもっと高くなるのじゃないかということは御指摘の通りであります。
○坂本昭君 なかなか石田労働大臣は、厚生行政、文部行政まで広範な見識を持っておられて、まことにその点はけっこうでございますが、今後、婦人労働問題を扱う場合に、今私は看護婦と保母とを取り上げましたが、厚生省と労働省と、もっと密着して行政の実を上げていただきたい。いろいろな資料の検討あるいは行政の対策、そのことをお願いして、最後に先ほど議論した中で、未亡人の就職の問題について、これは婦人少年局としても非常によくやっておられますが、一つ私はその対策が、たとえば内職の指導だとかホーム・ヘルプの制度だとか、私たち悪いとは言いませんが、婦人もたれしも同一労働同一賃金という立場で、しかも今や解放された婦人たちに新しい職業につけるという、もっと職業訓練の面で積極的な施策をやっていただきたい。特に失業保険の加入者であった人の未亡人というような場合は、この間も申し上げましたが、現在失業保険の対象でない人の方が七割も職業訓練を受けている事実にかんがみるならば、こういう未亡人などは率先して積極的な職業訓練を受けるべきじゃないか、私はそういう施策こそ、この婦人労働の中における、これは特に未亡人だけをあげるのじゃないですけれども、全然未亡人というものが、ホーム・ヘルプとか内職とか、そういう人ほど小さい範囲に取り扱われている。この考え方では根本的に間違っている。もっと大きく特に中高年令層の婦人が失業者に多いという事実も指摘されましたので、そういう対策を特に職業訓練の面の上でとっていただきたい。そのことについての御見解を承っておきたい。
○国務大臣(石田博英君) これはこの前も御議論がありましたが、職業訓練の方では決して中高年令層とか、あるいは未亡人とかいう人を排除しているわけでは決してないのでありますが、実際問題としておいでにならないおいでにならいのには、これはわれわれが努力してもいかんともしがたい条件もありますが、われわれの方としては、やはり来やすいようにする努力が必要だと思います。これはこの前もお答えいたしました通り、私は現場に参るたびごとにいつでも中高年令層、あるいは婦人層の少ないことを指摘しているのであります。ただ、仕事のあっせん、職業訓練をいたします場合に、やはり社会の需要とにらまなければいけない。そういう点で今婦人少年局が特にこのホーム・ヘルプに重点を置いていることは、やはり現実的な一つの方法だと思います。でこの形態はやはり御承知の通り、だんだん変わってきておりまして、今までのようないわゆる住み込みの形というのはほとんどなくなってきている状態でありますから、そういう形式におけるホーム・ヘルプという仕事は、中年高年層の人にはむしろ向いている仕事でありますので、これはやはり私は現実に即した一つの方法だと思います。ただ、他の職種を探し、いわゆる社会的需要を起こし、そうしてそれに合うような訓練はぜひ進めていきたい。今のような実際上若年層がおもにたくさんいるという職業訓練の形態、それを失業保険の金でやるという形態は、やはり正しい道ではないということは、私も御意見の通りでありますから、そういう方向に指導したいと思っております。
○小柳勇君 労働大臣に緊急な問題だけ四点質問いたしておきます。 一つは、去る十七日、十八日、三池の離職者の問題を調査に参りました。現在緊急を要します就職者が千五十名ほど今なお失業状態であります。三月で失業保険の切れる者も多数おりまして、非常に焦燥の感にかられておりますが、現地をいろいろ調査いたしますと、三百五十くらいを職業訓練でやろう、あと三百くらいは自分で仕事を見つける。二百名を組合の責任とし、あと二百名を会社が責任を持つようにして、千五十名の就職を急いでいるようでありますが、二百名の組合の責任の問題については、われわれも各県連協力しながら早急にこれを就職せしめるように努力いたしますが、この会社側の二百名について就職あっせん手配その他非常に誠意がないというふうに漏らしておりました。従いまして、こういう点について労働大臣就任早々この問題に対決されたのでありますが、会社側に対して大臣がいろいろな手を打っておられると思いますが、その経過なり今後の御考慮なりをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(石田博英君) 今の、私も正確な数字をただいま持っておりませんけれども、私の認識では、職業訓練を希望される方はもっと多いように思うのです、私どもの手元に入っている数字では。問題はその職業訓練を荒尾だけでは収容できませんので、ほかに回さなければならない。そのほかに回した場合の手当てが一つあります。その二重生活に対する補充の問題。それから今御指摘の会社側の雇用審議会あるいは石炭離職者対策協議会等で会社側が約束し、また、私どもにも約束しておりまするその二百人の処理いかんという問題、これは御指摘の通り、なかなか進まなかったのでありますが、私は、本年の予算編成が終わりました直後から会社と交渉いたしまして、会社では今就職課というものを新しく設けて、約束通りに二百人については責任をもって善処するということであります。今までなかなか進まなかった事実は認めますが、現在その結果として会社も就職課という特別のセクションを設けて積極的に努力をしようとしております。それからちょっと速記を……。
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
○国務大臣(石田博英君) まあそういう方法をとっておるわけであります。 そのほか先月各地の求人数約四百五十くらいだったと記憶しておりますが、それを取りまとめまして現地に参りました。そうして現地で希望者と、労働条件その他の折衝をして、順次具体化するようにいたしております。今月またその残余の数字及び新たに出ました数字を持って現地に参りまして、個々折衝を開始してあっせんをしたい、こう思っておる次第であります。
○小柳勇君 あっせんの問題については強力に一つお進め願いたいと思います。 第二点は、同日荒尾の職業訓練所へ参りましていろいろ実情を調査いたしましたが、その中でいろいろ問題がございますが、第一の問題は、職業訓練で六カ月で一年分の訓練をやっております。従いまして、その教材費が一年分の予算でありますと、ずっとそれで通りますけれども、半年でやりますと教材費がどうしても足らない。特に消耗品代が足らないということを教官も生徒も申しておりますので、六カ月の訓練については一年分ということでは無理でございましょうが、できれば普通の一年分の教材の消耗品代を六カ月に支給してもらうように御考慮願えないものであろうか。それから同時に、せっかくりっぱな機械などが連合会などから寄付されておりますが、部品がたとえば一個十万円出せば買えるような部品がないために、りっぱな機械が教材に使えないという実情もあったようでありまして、それもこれも教材費の不足に集約されますけれども、そういうことでありますので、現地の所長にはわれわれもいろいろ言っておきましたけれども、大臣から特にこの点についての御配慮があっておればお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) そういうことも仄聞いたしておりましたので、先月担当の課長を現地に派遣いたしまして、そうしてその実情に応じて早急に措置をとりたいと思っております。特に後段の問題などは私どもから言えば、率直にすぐ言うてきてくれればいいのにという感じを禁じ得ないのでありますが、前段の問題は、これは予算とも相当関連があると思います。これはしかし、お説に沿うように措置を講ずるようにいたしております。
○小柳勇君 第三点は、自動車免許の問題ですが、職業訓練所に自動車整備科がございます。この自動車整備工になるには相当の年月が必要であるので、整備工になると同時に運転免許もとろうということで練習はしておるようでございますが、第一種の免許をとりましても、二種の免許をとるためには三年の経験年数が必要になる。であるから、せっかく免許をとっても、運転手として雇われないという法の制限でございますが、昨日運輸省、警察庁を調査いたしますと、一つの特例としては、公安委員会が特に免許した教習所を出た者は二カ年でよろしいという条例があるようであります。ところが、その公安委員会が免許した教習所がないということであります。そのほかについては一切やはり経験年数が三年必要であるということでありまして、これはこのような駐留軍離職あるいは三池炭鉱離職とか、自分の都合でないような国家的な政策による離職者について、何か特例を設けて一年なら一年教習所で勉強をしたならば、二種の免許もやろうというような特例でも作らなければ、せっかく職業訓練をやりましても、これは捨て金になるんじゃないかという気がいたしますが、大臣、この点、今後の御支援によって特例を作るように努力してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(石田博英君) これはまあそういう石炭、駐留軍、その他の離職者に対してできるだけの優先的な援護措置をとるという原則については、もちろん異存はございませんし、そういう方針で努力をしているつもりでございます。ただ、自動車の運転免許証ということになりますと、本人の就職機会ということだけではなくて、やはり交通の安全とか、他の第三者に及ぼす影響、他の一般公共に及ぼす影響も考えなければなりません。そこで、それについての監督官庁との意見の調整ということもいたさなければなりませんので、今、各官庁から集まっております石炭離職者の対策推進本部で、各省との連絡を強化いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。ただ、特に運転手の問題は、やっかいなのはよくおわかりの通り、本人の就職だけでなくて、最近、事故が非常に頻発しているという実情もありますので、そういう点も勘案しなければならぬことを御承知おき願いたいと思います。
○小柳勇君 最後は、地方財政の問題で、直接大臣の所管ではないかと思いますけれども、労働争議によりまして、大牟田市、あるいはこれは北海道でもこういう例がございましたけれども、税の減収及び鉱産税の減収などによって地方財政が非常に逼迫しておる。これは大牟田だけに限りません。今後も発生いたして参りますが、こういう場合に、これはストライキをやったのだからしようがないんだということでなくして、国として地方財政の再建のために何らかの配慮をしなければならぬのではないか、こういう気がするのでございますが、大臣も経済閣僚の一人として、その抱負をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 一般的な地方財政の問題については、これはどうも私どもお答えする範囲ではないと思いますが、私の所管をいたしております労働行政の範囲におきましては、失業対策事業についての高率補助の適用、それから緊急就労事業については、地方財政の負担すべき五分の一についての善処を自治省に要望いたして、今交渉中でございます。
○小柳勇君 大臣の担当のものについてはわかりましたが、なお、全体的な地方財政の逼迫についての国家的な配慮というものについては、一つ経済閣僚懇談会あるいは閣議の中で大臣から御発言願いまして、再考願いたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 経済閣僚懇談会には自治相は出席しておりません場合が多いわけでありますが、適当な機会に、法令上どうなっているか知りませんが、具体的な措置が最大限とれるように努力いたしたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○藤田藤太郎君 私は、今お話がありましたように、時間がないので、問題点だけ、その時間の範囲内で質問いたしますから、大臣にも御協力願いたいと思います。 それでお聞きしたいのは二点。一つは、労働時間の短縮の問題その他について。それからもう一つの問題は、失対労務者賃金その他についてお聞きをしたいと思うのです。 まず第一にお聞きしたいことは、それでは失対賃金の問題から概念だけ一つ聞いて、いずれあとで詳しく聞くことになると思いますが、今度の労働省の失対賃金を大蔵省に要求されたときに、生活保護法との関係のバランスをどういう工合に考慮されて要求されたか、これが一つ。 それからその結果として現われてきているのは、生活保護は一八%、失対賃金は一五・六%というところになっておるわけですが、これで生活保護者の最低保障と失対賃金との関係をどういう工合に見ておられるかという、まず二つ。
○国務大臣(石田博英君) これは、直接的には関連を持たせるべき性質のものではございません。事実問題といたしましても、今まで決して足並みをそろえて上がってきたわけではないのでありまして、それぞれの事情によって、時期及び上昇率が今日まで違って参りました。ただ、今回のように大幅に上げる場合におきまして、その両者の間に建前が違うと申しましても、現実的均衡というものは考えなければならぬことは、これは当然であります。それで、それをどこに置いたかと申しますと、三十四年の四月に、この前の前のPWを決定いたしましたときに、そのPWを決定いたしまして、それによって改定せられましたときから現在までの両方の値上がりを見てみますると、失業対策事業の方が二・何%か、正確にはちょっと……。賃金だけで見ますと、失対賃金が一〇・五九%上がっております。それから生活保護基準が八・七一%上がっております。このほかに、就労日数の増がございますから、従って、上昇率は一一%以上になるように思います。 そこで私は、心組みとしまして、二%を中心とするもの以上の差がつくことは困る、こういう建前で予算折衝に臨みました。現在一八%に対する一五・六%で二・四%でありますから、私はどうもちょっと不満でありますが、しかし、四拾五入をいたしますと二%の方になるので、二・四%の差ということになったわけであります。心組み及び実際はそうなっております。ただ、この際誤解を招かないようにお願いしたいことは、失業対策事業の賃金と生活保護の賃金との間に二%を基準とするもの以上の差をつけちゃ困るということは、決して生活保護基準をそれによって牽制した結果にならないように、そういうことを非常におそれて、また、そういうことにならないように極力留意をいたしておるのであります。
○藤田藤太郎君 今のにちょっと私理解ができなかったのですが、生活保護法は人たるに値するという憲法の原則に従ってできている問題であって、それで失対賃金は緊急失対法の中から賃金が出てきているわけですから、直接の建前が違うことは私が申すまでもありません。しかし、一方は勤労によって社会に貢献をしている、一方は残念ながら生活だけを維持しているということでありますから、勤労によって社会に貢献している人に対する報酬というのは、もう当然高い方がよい生活が維持できるというのが根本原則なんで、だから、そういう点からいっても少し問題があるんじゃないか。今のようなきめ方、今のような状態では問題があるじゃないかということを私は考えているから、ここでお尋ねをしているわけであります。なかなか今のような説明では、意欲的であることはわかりますけれども、結果論的にはどうもそこのところあたり、われわれが理解できないような結果になったようでございます。これまたあとで局長からお聞きすることとします。具体的な数字。 それではもう一つお聞きしたいことは、緊急失対法で、一般賃金の八〇から九〇という水準でやるということをきめているわけです、私は原則論をここで言うわけじゃありませんけれども、労働条件をきめるときには、だんだんと日本も努力して、労使対等の立場で賃金をきめるというところに持っていくのが労働行政じゃないかと私は思っているわけです。だから一般賃金の八〇%、九〇%で見るということに今日問題があるのじゃないか、私はそう思っているわけです。 もう一つは、それじゃPWとの関係はどうなのか。PWが、今進めつつある失対賃金との関係で今の法律に照らしてどういう工合になっているのか、そこらあたりの見解も一つ大臣から大まかに聞かしてもらって、あと事務当局から聞きたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 失業対策事業という事業の性質、雇用の性質等からまずお考えいただかなければならないと思います。これは法律的には特別職の公務員になっておるわけです。従って、これはやはり税金でまかなわれるべき性質のものでありますから、団体交渉によって決定すべき性質のものではないと思います。これは結局税金でまかなわれますから、団体交渉によって労使の当事者、特に使用者側の当事者が単独に決定し得ない。予算その他と関連がありますから、議会の議決を経なければならない性質のものであります。 そこで低賃金率の問題でありますが、この低賃金率は今回は最大限に考慮したつもりであります。 それからPW方式、これはいろいろ議論があると思います。議論があると思いますが、その議論の一つは、これは二年に一ぺんくらい改定されるわけですから、最近は一年に一回改定しているそうですが、そういうことから、その一年間の動きというものが一年ずつおくれてくるいう問題がやはり出てくると思います。従って私は、前に労働大臣をいたしておりましたときには、必ずしもPW方式によらないで、消費者米価の値上がりに伴って賃金を上げたことがございます。だから明白にそういう原因が出てきた場合には、そういう場合にはそういう措置を現実にとった例もありますが、やはり原則としては、現行法規によるのが私は適当である、こう考えておる次第であります。
○藤田藤太郎君 国の税金でまかなうから団体交渉というようなもの、またはその働いている人の意欲というものを全然無視するとはいいませんが、そういうものを考慮せずにきめる性格なのだという、その観念自身に問題がある。働いている者は労働力を提供するのですから、自分の労働力の生産を通じてそれの報酬を受けるという立場になれば、働く者からすればどこで働こうとも自分の労働力の価値といいますか、価額をこのようにしてもらわなければ困るという要求をする、これが私は労使の原則だと思う。ただ、今の失対事業というのは、国と地方自治体の財源で持ちますから、それが税金でまかなわれているというのが今日の日本の建前であります。ありますけれども、最終的には国会できめなければならないということであっても、労働者の意欲や要求や、自分の提供する労働の対価に対する問題に発言権がないという状態でおっかぶせるような、そういうものの考え方は、私は労働大臣に改めてもらわなければならないと思う。 それではもっと具体的に言いますと、公務員には人事院というものがありますし、地方公務員には、やはりこれも税金でまかなわれているけれども、団体交渉というところまで具体的に明確になっていないまでも、交渉をして労働条件をきめるというところまであるじゃないか。本来からいえば、私は全部はずして、団体交渉で私は労働者——働く者がその自分の労働条件をきめるというのが本来の姿だと思うのであります。だから、そういうやはり認識に立ってもらって、国家財源と予算の関係はどうかという接点をどこで見つけるかという、できるだけ働いている人の意欲というものが生きてきた形で労働条件をきめるという方向に労働行政を進めてもらわないと、今のような答弁では私はちょっと納得ができない、そういう意味からいって私は緊急失対法の十条ですか、一般賃金の八〇%や九〇%をきめなければならないということがやはり問題ではなかろうか、大いに研究しなければならない問題ではなかろうかと私は思っておりますが、そこの所見をまず聞きたい。
○国務大臣(石田博英君) 私は、そういう建前であるから労働者、働く人の意欲を無視したということではなくて、もののきめ方、考え方、建前はそうだということを言ったのであります、現実においては、希望や意見は十分聞き入れて最大限の予算的措置をしたつもりであります。 PWの方式についての問題は、先ほど私がお答え申し上げたように、問題がずれてくることがありまして、そういうずれてくる場合においては、私は現実に処置した経験もあります。今後も、そういう措置は必要な場合は考えたいと思いますが、現在としては、やはりPW方式と低賃金率はこれはやはりこの事業の性質から考えてやむを得ないものと考えております。
○藤田藤太郎君 そうするとなんですか、今の失対賃金というものは前段の面からいうと、現実の法律の建前に立っておられるけれども、運営の面においては十分意見を聞いてそうして生かすように努力してきている、こういうことですか。
○国務大臣(石田博英君) そういうことです。
○藤田藤太郎君 問題は、それ以上の議論は次に譲りますが、PWの発表はまだされていないと思うが、今度のはPWの発表は今日されていないと思いますけれども、そのPWの賃金と今の失対賃金との関係を私たち考えてみるときなかなか複雑になっているのじゃないかという気がするわけですが、だから今大臣が言われたように、PWイコール八〇、九〇の失対賃金ということだけではもう解決し得ない状態にきているのじゃないか、私はそう思っています。これは事務当局からでもいい、具体的なことは。
○政府委員(堀秀夫君) 御承知のように、毎年秋に労働省において屋外労働者の職種別賃金調査を実施いたしまして、その結果につきましてはいろいろ地域別、職種別の集計を詳細にいたすわけでございまして、目下作業中でありますが、その中で本年度の予算編成の過程においては、やはり全国的な関連の屋外労働者の賃金がどのように最近なったかということを織り込まなければ予算編成が不可能でありますので、屋外労働者の職種別賃金調査の中の重作業人夫と軽作業人夫等の関係の職種別について全国的な集計だけを取り急ぎまして、それをもとにして労働省から大蔵省に予算要求し、予算編成を終わったわけであります。 あとPWについては、目下統計調査の結果を地域別、職種別に詳細ただいま集計しておりますので、問もなくこの作業が終わりましたその上で、PWについても正式に四月一日から改定をすべく目下準備中でございます。
○藤田藤太郎君 そこで、私の見ているPWとの関係を申し上げてみますと、六大都市というか、都会周辺における今の状態の賃金というものは少なくとも六百円以下では働き手がないという状態ではなかろうかと私は思う、具体的に。しかも、農村地帯へ行くと反対に購買力の関係でまた違った要素が出てきているのじゃないか、だから、今日までのPWの賃金をものさしにして、じゃうまくいくのかどうかということを私は聞いているわけですよ。だから、今のような処置でせられたといいますけれども、相当問題があるんじゃないか。だから、根本的にやはり失対賃金というものの立て方について、だんだんと失対事業は生産という面から効果の上がる方式で指導されるでありましょう、それに応じてやはり労働者の意欲や要求というものが生かされた形で賃金というものがきめていかれないと、機械的にPWの八〇、九〇というような格好で賃金のものさしを当てていくというところに矛盾が今出てきているんじゃないか、私はそう思うのです。だから、単なる概念的な、法律がこうですからこうであるというような格好の問題の提起の仕方というものから乗り越えて、実態について失対賃金はどうあるべきか、失対事業はどうあるべきかという問題を私は考える時期が来ているのじゃないかという工合に思うわけでございますから、そういう点をお考えになる用意があるのかどうか一つ聞いておきたい。
○国務大臣(石田博英君) 先ほどから申し上げております通り、決して機械的に適用はしておりません。たとえば繰り返すようでありますが、消費者米価の値上がりのときは、PW方式によらなかったのであります。それから重軽作業率の適用あるいは低賃金率の適用も前回と同様の比率でやっているわけではないのでありまして、やはり低賃金率は最大限に考えましたし、重軽作業率についても現実の問題と比較をいたしますと、ずいぶん議論があると思います。議論があると思いますけれども、これも詳細の数字は事務当局から必要があればお答えいたしますが、やはり前年度と違った率を適用いたしておるわけであります。従って、決して機械的に運営はいたしておりませんが、基本的な方法としては、やはりPW方式によるのが現在のところ適当と考えております。この点については今申しましたように、弾力的な運営をしていく必要があることは申すまでもありません。また、やっております。
○藤田藤太郎君 この問題についてもう一点でやめておきますが、一つは一番最初に申し上げたように、生活保護法との関係で問題が出てきて、それなら働かぬで賃金だけもらおうじゃないかという反発が失対労務者の中に出てきているという問題が一つあるわけです。だから、失対賃金と生活保護法との関係というものは、私が先ほど言いましたような実態であるべきものだと思うので、適格審査、適格性という問題で少し問題があるのじゃないか、こう思う。それはたくさんの意欲があって、申し込みがあって、その中から適格者を選ばれるのでありますけれども、国の費用でやるのでありますから、選ばれるのでありますけれども、一つは事業効果、社会貢献という筋があるわけですから、国の予算との関係がありまするが、どうしてもたとえば四人の家族で夫婦子供二人、また、標準家族と言われている五人、子供三人にしてもよろしいが、主人だけしか働かせない、そして奥さんは働き得る条件が適格審査の中から生まれてこないということになると、私はやはり生活保護法との関係というものがここで生まれてくるわけですから、だからその賃金をこういう状態で現実はおきめになっているのですから、やはりその隘路は適格審査のところに問題があるんじゃないか。全部私はフリーにやれとは言いません。しかし、何らか適格審査のところで、国の財源にも関係しますけれども、そういうところに配慮をしなければ、生活保護法との関係というものが、むしろ働かぬで金だけもらおうじゃないかというところへ、この世論といいますか、意欲といいますか、そういうものがいくような気がするわけです。だから、その辺の考え方も少し聞いておきたい。
○国務大臣(石田博英君) もちろん働いている者と働いていない者との間の関係というものは十分考慮しなければなりません。従って、働かない方が働いている者よりも有利になるということであってはならないことは御承知の通りであります。ベースが違いますけれども、現在においても絶対額において違うことはよく御承知の通りでありますが、上昇比率もその点は考慮しなければならないことであると思います。そこで、先ほど申しましたように、昭和三十四年の四月のPW決定のときを基点といたしました調査、両方の差が約二%であります。失対事業の方が二%上がっている、ただ、それに労働日数の増加を加えますと、四%近くになります。失対事業の方が上がっている。しかし、労働日数の増加をいうものはそのまま賃金の増加、収入の増加というふうに端的に認められるべき性質のも一のでもないのでありまして、やはり働く日が、よけい働くわけでありますから、そういう意味を勘案いたしまして、現在の時点における結果として、それ以上の——二%を基準とするもの以上の差ができないようにという考慮はそこに出発いたしたのであります。その基点をもっともっと先に置きますと、もっと差が開いてきます。もっと失対事業の方の上昇率が高いわけでありますが、三十四年四月ごろを基点に考えるのが常識であろうと思って、そこを基点にしているわけでございます。 それから適格基準の問題は、これは確かに検討すべき問題であると存じます。しかし、藤田委員もおっしゃっている通り、野放しにはできない、そこをどうするか、なかなかむずかしい問題でございますので、検討すべき問題であることは私も同感であります。
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
○藤田藤太郎君 そこで私は、さっき具体的な例を申し上げたが、夫婦二人。子供三人というような場合には、いかにそこで大臣がうまく言おうと、それだけの収入で生活しなければならぬということになるわけだから、そういう意味から言っても適格基準の審査というものが、これは十分に配慮をしないと、具体的には個々の面では働かぬで金だけ生活保護法でもらおうじゃないかという、せっかく働こうとする意欲をなくしてしまうという危険がここに出てきているということを私は申し上げているのであって、十分な一つ配慮をしていただきたいと思うわけであります。きょうは時間がないからこれはやめます。 あと、簡単に、考え方について一つ聞いておきたいのは、労働時間の問題なんであります。これは議論すれば非常に長くなりますので、あまり深い議論はいたしませんが、私は労働時間の問題が日本の雇用問題と非常に関係していると思うのです。だから、そういう意味で労働時間の短縮ということが柱になって完全雇用という問題、労働力配置の問題が単に今の雇用者ということばかりでなしに、農業労働者の問題や零細企業、商店の問題の過剰労働力を、一人前の生活を維持しながら、どこに配置できるかという問題に関係して、労働時間短縮の問題というものは非常に重要な問題だと私は考えているのです。しかし、今まで肝心の労働省が労働時間短縮の問題であまり意見を出しておられない、積極的に。失業者のいない世の中を作るのだと言っておられるけれども、そういうことについて積極的にも……、消極的といいましょうか、意見を出しておられないというのは、私は不思議でしようがないのです。石田さんも今度は二回目の大臣をおやりになっており、いつもよく失業のないよい労働行政ということを言われますが、労働時間の問題に一言も触れられないのはどういうことか、私はそういうように思っているのです。だから、労働時間の問題について、労働省としては今後どういうように考えておられるのか、労働時間というものを短縮するために、どういう基本に立ってお考えになっておられるか、一つそれを聞きたい。
○国務大臣(石田博英君) 労働時間は短縮されていくことが望ましい、まず第一にこう思っております。これはしかし、私は、労働時間の問題について発言したことがないのではなくて、速記録をごらんいただけばわかると思うのでありますが、しばしば同一趣旨の発言をいたしております。ただ、その時間の短縮は段階的に漸進的に同時に生産性の上昇とにらみ合わせて進んでいくべきものだと考えております。そこで、現実における目標は何か。四十八時間の労働へ、四十八時間以上の労働はなくするのだということを現時点における直接的目標にしたいと思います。その場合特に問題になりますのは、中小企業における長時間労働であります。これについてはすでに週休制の実施、定時閉店の奨励というようなことを強力に進めておるのでありまして、これは前回私が労働省におりますときから強力に進めております。それから基準法、特に年少者あるいは婦人の深夜労働というものの取り締まりというものについては特に重点を置いてやりたい。さらに公衆に影響を及ぼすもの、トラックとかバスとかダンプカーとかいうようなものの労働時間、特に私どもの調査によりますと、交通運輸業の長時間労働が非常に多いので、この点の取り締まりに重点をおきたいと思います。そのほかいわゆる危険業に重点を置いていきたい。そしてとにかく現時点における直接的目標を、一つはただいままで申し上げましたような中小企業の極端な長時間労働の中止、それからもう一点は四十八時間以上の労働をなくするということに中心を置いていきたいと思っております。
○藤田藤太郎君 四十八時間以上の労働を四十八時間にしよう。これは基準法ができてから十何年たつのだけれども、そういう面の把握、それから基準法適用という監督行政の面では、監督官がだんだん減っている。五年に一回しか監督行政ができぬような状態にあると私は聞いておる、事業場ごとに。だから、いずれにしても、そういう意味で現実の問題として四十八時間以上働いておる人がたくさんあるから縮めよう、そういうことは、私は労働行政、石田労働行政としてこの失業をなくするという面との関連というものは、むしろ積極的でなく消極的な、今の法律をどうして守らすかという、ほんとうに今までやっていない問題について、かけ声——私なんかから言えばかけ声だけが前に進んでおる。具体的な労働時間短縮の問題について、労働省が雇用の計画等をどう関連を持たしていくかということについておやりになっているとは私は考えられない。 そこでもう一つお聞きしておきたいのですが、その時間短縮をしていく心がまえとして労働者の保護というところへ基準が置かれているのか、経済、購買力というような関係においてその問題を議論しようとしておられるのか、その考え方をお聞きしておきたい。
○国務大臣(石田博英君) それは当然労働者の保護が基準であります。できるだけ短い労働で、そして生活が保護され、そして余暇を十分持って人生を楽しみにいくような方向に持っていくことが、私はやはり人を扱うものの基本的な考え方だと思っております。しかし、この問題の進め方は、やはりILOでも同じ考えでありますが、段階的、漸進的に生産性の伸びとにらんでいかないと、他の経済界全体に影響を及ぼしますと、それはやはり間接的には労働者の保護にはならないのでありますから、やはり私は漸進的、段階的に進んでいきたいと存じます。そうしてそれによって生ずる雇用の伸びも当然期待をしなければならないと思いますが、雇用の伸びを直接的に期待するのではなくて、雇用の伸び自体はやはり一般的な雇用政策で処理すべきものと思っております。 それからかけ声だけだとおっしゃいますけれども、最近、この三年間における週休制、一斉閉店及び中小企業の長時間労働が減っておるという事実をごらんになれば、やはり具体的成果も、それは上を申せばきりがございませんが、具体的成果も着々上げつつあると考えておりますが、さらに一段拍車をかけていきたいと存じております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○藤田藤太郎君 さっきの生活保護法と失対賃金の数字を一ぺん言って下さい、それだけ聞いてやめますから。
○政府委員(堀秀夫君) 生活保護と失対賃金の基準の関係は、先ほど大臣から御答弁いたしました通り、建前は違うのでございますが、これをしいて比較してみまするならば、三十二年の四月一日から、双方の上昇率を比較してみますると、失対賃金は三十五年までに一〇・五九%の上昇でございます。これに対しまして生活保護基準は、三十二年四月から三十五年までに八・七一%の上昇でございます。これは失対賃金はその間において就労日数半日増という措置がとられておりまするので、所得増の見地から見ますると、さらにこれより二%くらい上昇率が高くなるということでございます。 以上のような関係になっておるのでございます。
○藤田藤太郎君 一八%と一五・六%を結果的には上げることになって、稼働日数もふえなかった。だが、現実の生活保護法の標準家族は一万一千幾らになっておるのですが、失対賃金は三百八十六円ですね、それとの現実の考え方はどうですか。
○政府委員(堀秀夫君) 御承知のように、三百八十六円というのは全国平均の労力費単価の平均数でございます。従いまして、これを東京に求めるかあるいはそのほかの地域に求めるかということによっていろいろな違いが出てくるわけでございます。これらの問題につきましては、この予算の平均単価だけはきまりましたけれども、私どもといたしましては、この四月に改定するように目下作業を進めておりまするが、これは地域別に、その地域におけるところの同種労働者の賃金であるとかあるいはそのほかのいろいろな事情を加味いたしまして、そうして各地域別に具体的な決定をいたすべく目下作業中でございます。生活保護につきましても、地域によりましていろいろな相違があると思います。従って、私どもただいまのところ生活保護と比べてどうであるというような数字は場所場所によりまして、そのところの状況によりまして違っておりますので、ただいま手元には持っておりません。もし必要ならば後ほどお届けいたします。
○藤田藤太郎君 出して下さい。
○委員長(吉武恵市君) よろしゅうございますか。速記ちょっとやめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて。 それでは本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 それではこれにて閉会をいたします。 午後零時五十一分散会