社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 136 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/16
会議録
○委員長(吉武恵市君) ただいまより社会労働委員会を開きます。 まず、委員の異動を報告いたします。二月十五日付をもって江田三郎君が辞任し、その補欠として藤原道子君が選任されました。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) それでは労働情勢に関する調査の一環として、労働省関係昭和三十六年度予算及び一般労働行政に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○坂本昭君 このたび労働福祉事業団がいわば改組せられて、雇用促進事業団、こういう形になるということで、先般も若干お尋ねいたしましたが、この際、労働福祉事業団の財務及び会計のことについてお尋ねをして、さらにこの雇用促進を中心として新しく作られる事業団の、特に予算、また、その基本的な会計のことについてお尋ねをしていきたいと存じます。 最初にお尋ねしておきたいのは、働労福祉事業団が現在四条の規定によって政府出資並びに地方公共団体の出資による資本金、これがどうなっているかということ、それから二十六条、二十七条、二十八条に、一時借入金、それから交付金、それから余裕金の運用、こういう規定がありますが、その実情がどうなっているかという御説明を承りたい。
○説明員(村松伍郎君) お答えいたします。労働福祉事業団の資本金額は、現在は合計百六十八億七千八百万円であります。端数は切り捨てます。このうち地方公共団体の出資分が三億六千三百七十万であります。以上でございます。
○坂本昭君 あとの分、二十六、二十七、二十八条。
○説明員(村松伍郎君) それから借入金は現在のところは今まで全然ございません。 それから余裕金の運用は、普通銀行にのみ預けてございます。
○坂本昭君 その金額。それから二十七条の交付金のこともお伺いいたします。
○説明員(村松伍郎君) 余裕金は、三十五年三月三十一日の前年度の決算の締め切りの際には十五億六百万円でございます。預金でございます。これは政府が出資しました出資金の、年度末に出資されました関係等もありまして、それだけ繰り越された金でありまして、余裕金としましては、決算が赤字決算になっておりますので、余裕金はございませんで、わずかにこの引当金としまして、退職手当の引当金として七百八十八万四千円でございます。
○坂本昭君 二十七条の交付金。
○説明員(村松伍郎君) 交付金は、三十五年度におきましては六億四千八百万円でございます。そのうち失業保険関係が五億三千九百万円、それから労災保険関係が一億八百万円でございます。これが三十五年度の交付金であります。この交付金のうち失業保険の交付金は、総合職業訓練所の人件費その他の運営費に使われます。それから労災保険の交付金は、そのうち六千万円が事業団の本部の費用に充てられまして、あとの四千万円が看護婦養成、傷演者訓練所等に充てられております。
○坂本昭君 大体の概括はわかりましたが、この際、今の政府出資の百六十八億七千八百万円、あるいは地方団体出資の三億六千三百七十万円、これらの出資が何に使われているか、並びに今の交付金の年度別の内容、それから余裕金の内容についてもこれは一括して詳細な資料をつけて出していただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○説明員(村松伍郎君) はい。
○坂本昭君 次に、ただいまのことと関連して、あまり詳細なことまでは求めませんが、現在の労働福祉事業団、これがどういう施設を持っているかということ。それからまた、その施設には当然業務方法書に基準があると思いますが、その基準に基づいてどの程度まで施設ができているのか。基準以上のものであるか、あるいは基準に実は足りないかどうか、そういう施設の内容について概括的な御説明をいただきたい。
○説明員(村松伍郎君) 労働福祉事業団の設置運営しております施設は労災病院が三十一であります。そのうち建設中のものが三、建設予定のものが三でありますので、現在運営しておりますのは二十五であります。そのほか診療所が三、傷演者訓練所が二、看護婦養成所が五であります。そのうち建設中のものが一つございます。以上が労災保険関係でありまして、失業保険関係としましては、中央職業訓練所が一、総合職業訓練所が四十三、このうち三十八が現在運営しております。それから簡易宿泊所が十八、そのほかに建設中のものが二、労働福祉館が十一、建設中のものがそのほかに三、臨時宿泊所が一、及び労働者住宅が二であります。以上でございます。 それからこれらの運営につきましては、業務方法書に基準はごく概括的に作っておりまして、まあ一番大きなものは労災病院とそれから傷演者総合訓練所とありますが、労災病院につきましては、医療法の規定に基づきまして、厚生省の認可を受けて医療法の基準に従ってやっております。それから総合職業訓練所につきましては、訓練審議会に諮りまして労働省で設置運営の基準を作りまして、その基準に基づきまして運営しております。
○坂本昭君 それは業務方法書に基準として定められてあるのではなくて、それぞれの医療法だとかあるいはその審議会によってきめられているのですか。
○説明員(村松伍郎君) そうでございます。
○坂本昭君 それは当然業務方法書というものが作られておって、今度のたとえば雇用促進事業団の場合もそういうふうな基準ができるのではないかと思うのですが、そういう業務方法書の中で定められるのではないのですか。
○説明員(村松伍郎君) 業務方法書では労災病院の場合でいいますと、医療法の基準に基づく基準というふうに基準は大ざっぱには設けておりますが、具体的にはそれぞれの法的な機関にまかせてある、こういうことでございます。
○坂本昭君 そうすると、今ある労働福祉事業団の施設の内容は、それらの基準に照らし合わせて満足すべきものであるか、あるいはどういう点で不満足なものがあるか、その点を御説明いただきたい。
○説明員(村松伍郎君) 労災病院につきましては、国営の国立療養所とか国立病院等がありまするが、これまた医療法の規定に基づきまして、一定の定員その他設備の基準がございまするが、大体これらに比べましても現在労災病院の方は大体遜色がありませんので、労災病院につきましては大体満足すべきものと思っておりますが、総合職業訓練所の方は、これはごくここ数年来に急いで建てておりまするので、中の設備等につきましては必ずしも十分その基準まで完全に達しているとは申せませんので、年次計画を立てまして、そうして最終年度の五カ年計画の終わりますときには、その基準を全部満たすように予算並びにいろいろの措置を講じております。
○坂本昭君 今の五カ年計画というのは、発足以来の五カ年という意味だと思いますが、そうすると、それが三十六年度の予算には具体的にどういうふうに示されていますか。
○説明員(村松伍郎君) 既存の総合職業訓練所につきましては、三十六年度におきましては基準の八割を全部満たす、こういうことで予算を大体作っております。
○坂本昭君 次にお伺いしたい点は、労災法の二十三条に「この保険の適用を受ける事業に係る業務災害に関して、左の保険施設を行う。」ということがあります。それから労働福祉事業団法の十九条には、今のことに関連をして「施設の設置及び運営を行う」と書いてあります。従って、当然この労働福祉事業団が設置し、かつ運営をしている施設はこの二十三条の条件によって設置され、運営をされているはずでありますが、念のために伺いたいことは、現実に適用を受ける事業にかかわる業務災害に関して療養の給付を受けている者、つまり労災保険の対象となってこの労災病院に入院している者、これは一体何パーセントくらいありますか。
○説明員(村松伍郎君) 三十五年十二月現在の入院患者の総数は、労災病院二十五全部で六千三百二十二人でございます。このうち労災の対象となる者が二千八百三十三人、四四・八%であります。それから健康保険の対象となる者を御参考までに申し上げますと、三千二百五人で五〇・七%であります。その他が生活保護法、自費患者等でありまして、二百八十三人の四・五%であります。これが昨年の三十五年十二月の数字でございます。
○坂本昭君 このことはどうも労災法の二十三条の点並びに今の労働福祉事業団法の十九条の点に照らし合わせると、半分程度しか入っていないということではなはだ不都合だという印象を受けざるを得ません。これはこういうことについては労働大臣としては、今まで別に検討加えたことはないのですか。
○国務大臣(石田博英君) 検討を加えたことはございません。私はもっと労災保険関係が多いと実は思っておったのですが、しかし、実際私どもが数カ所見て回ったところによりますと、他の病院のないところが非常に多いように思います。そうなってきますと、つまり勢いこういう状態になることもやむを得ないじゃないかと思いますが、ただ、私の認識とはかなり違っておることは事実であります。
○坂本昭君 大臣の認識と違ったようなことで法律が行なわれておるということは、これは重大な問題で、そういう違った認識のもとに行なわれている事業団が、今度はさらにまた雇用促進事業団をやろうというので、これは相当慎重に検討を加えていただかなければならない点が出てきます。 では次に、この失業保険法の二十七条の二、これはもう少しこの点を明確にしていますから、さらにお尋ねいたしますが、失業保険法二十七条の二の中には、これは「政府は、失業の予防、就職の促進その他被保険者及び被保険者であった者の福祉の増進を図るため必要な施設を行うことができる。」こうしまして、「前項の施設は、被保険者及び被保険者であった者の利用に支障がなく、かつ、その利益を害さない場合に限り、これらの者以外の者に利用させることができる。」そうあります。このことは労働福祉事業団の今の十九条の二に、「失業保険法第二十七条の二第一項の施設のうち、政令で定める職業訓練施設、宿泊施設その他の施設の設置及び運営を行うこと。」このことと対応していると考えられますが、「被保険者及び被保険者であった者の利用に支障がなく、かつ、その利益を害さない場合に限り、」云々とありますが、一体今度は現在訓練施設の中であるいは宿泊施設、この中で先ほど私が労災について聞きました通りですね、この失業保険の被保険者及び被保険者であった者のパーセントはどれくらいですか。
○説明員(村松伍郎君) 総合職業訓練所以外の簡易宿泊所、それから労働福祉館、それから労働者住宅、これは全部失業保険の被保険者であります。これは失業保険の被保険者証を持ってこさせまして、それによって入れておりますので、その労働福祉館それから簡易宿泊所それから労働者住宅は全部被保険者だけに限定しております。これは内部の運営規定をそういうふうに作りまして被保険者のみに限定しております。それから訓練所につきましては訓練部長からお願いいたします。
○説明員(有馬元治君) 私から被保険者の利用率の問題についてお答えを申し上げます。総合訓練所はいろいろなコースがございますが、トータルいたしまして、来年度の計画といたしましては、延べ数で一万七千人の訓練をする計画になっております。これは総合訓練所の分だけでございます。そのうち基礎訓練が七千百人、専門訓練が四千九百人、駐留軍が七百二十人、定時制が六百五十人、炭鉱離職者が三千五百六十人、こういう内訳になっておりまして、大体被保険者であったものという角度から推定いたしますと、炭鉱離職者の三千五百六十人は、これはすべて被保険者であったものでございます。また、駐留軍の七百二十名もすべて被保険者であった。あと御承知のように、基礎訓練、専門訓練、このコースに比較的被保険者の入所する率が従来低かったわけでございますが、これもまあその年によっていろいろ違いますが、五%から一割見当の被保険者あるいは離職者が入ってきておる。総体の運営から申しますと、一万七千名の延べ数に対して約三割見当が被保険者であった者が入っておるとこういう推定をいたしております。
○坂本昭君 大臣も認識がだいぶ違っておったと言われましたが、私も実は労災病院などはもっとたくさん入っておったかと思っておったところが、調べてみると五〇%以下、それから今の訓練関係では、基礎訓練と専門訓練で五ないし一〇%にしかすぎないということは、この失業保険法やあるいは労災法の法の建前からいって、どうも少しおかしいではないかという疑問を持たざるを得ないのです。この労災法の建前としている人たち、失業保険法の建前としている人たちを見ておるのではなくて、そうでない人をかなり見ておる。そしてそのためのたとえば設備投資や運営費というものは、その労災保険法あるいは失業保険法に基づいた金によって運営されておる。私は、この点について非常に疑問を感ずる。その疑問を感ずる中でまた今度は雇用促進をやられようとする。そして今度はその中で失業保険金についてかなりの額を引き当てしたところが、大蔵省からかなり強いチェックを受けて縮小せられた。これは私は当然のことではなかったかと思うのですが、こういう現実に対して、大臣としては、こういう労災保険法あるいは失業保険に基づいて今の労働災害に対する対策あるいは失業対策あるいは転職訓練、こういうことをやることがこれだけで正当であるか、もっと別に考える余地がありはせぬか、その点の御見解を承りたい。
○国務大臣(石田博英君) この運営の実情、実は労災病院の場合において私は少なくとも五〇%をこえておるものだと——これは別に具体的に調査、私が聞き合わしたわけではありませんが、常識的にそう考えておりましたが、それより低いということは御指摘の通りであります。ただ、その場合先ほどもちょっと申しましたが、よく御存じの通り、他の病院、他の医療施設のないところに建っている場合が非常に多いということが一つと、それからもう一つは、あっても労災病院の持っておるような専門的な施設がないところが多いので、相当程度の健康保険その他の利用がある。これはやむを得ないじゃないかと思いますが、しかし、やはりそういう場合におきましては、財源その他はやはり他からも求むべきものだと私は思います。失業保険の運用金その他によって運営されております職業訓練所についても同様でありますが、これについて私は実はしょっちゅう若い人ばかり入り過ぎるじゃないか、中年以上の人ももっと入るように、また、入りやすいように指導すべきであって、どうも、受験してこないからやむを得ない、申し込んでこないからやむを得ないというのじゃなしに、申し込みやすいようにしなければならないと思います。これ第一点としても、その中年層以上の人が入りやすいように、たとえば寄宿舎等の設備をするにしても、家族と別れていく場合には、家族に対して別れていても、訓練期間中何とか処置ができるような方法をもう少し考えるべきでなかったかと思います。同時に、やはりこういう状態でありますから、一般会計がもっと負担すべきものだとも存じます。今回の予算折衝の場合は、微力で思うにまかせなかったのでありますが、今後この実情から申しまして、やはり一般会計がなおもっと負担すべき性質のものであると私は考えております。
○政府委員(大島靖君) この労災病院関係の点につきまして、坂本先生から御指摘の点はまことにごもっともでございまして、ただいま大臣から申し上げましたように、できるだけ労災患者の利用率を高めて参るようにいたしたいと思っております。一週間ばかり前に全国の病院長、事務局長の会合がございまして、私参りまして特にこの点、労災患者の優先につきまして病院長、事務局長の各位にお願いを申し上げておいた次第であります。今後とも高めて参りたいと思います。ただ、先ほど大臣から申し上げましたような事情、あるいは災害の発生が時期的に非常に浮動いたしますもので、従って、利用率のパーセンテージも時期によりましてかなり違うという点、さらに、単にベッドばかりじゃなしに、労災病院といたしましては、職業等の検査とか認定、こういうふうな仕事も総合的にやっておりまして、この辺も御了解いただきたいと思いますが、ただ、ただいま御指摘の点は、私どももできるだけ努力いたしまして、もっと利用率を高めて参るようにいたしたいと考えております。
○説明員(有馬元治君) 職業訓練関係につきましても、大臣の御方向につきまして細目の将来の考え方を御説明いたしたいと思いますが、現状は先ほど申しましたように利用率が低いわけでございます。私どもも、何とかその利用率を高めていきたいという考え方で、訓練法ができましてから以来、総合訓練所の業務の運営につきまして、もう少し多角的な業務運営を考えていこう、法律の任務もそういうふうになっておりますので、総合訓練所の業務の将来の運営の姿といたしましては、大体五年後を目標にいたしまして、現在の基礎訓練、専門訓練という形の訓練事業のほかに、技能の検定、それから中堅技能労働者の再訓練、こういった重要な使命が法律上課せられておりますので、この新しい業務を大体五年後には総合訓練所の業務運営の総体の約三分の一程度はこの方面の仕事に集中する。これらの仕事は全部被保険者であったものではなくて、現役の被保険者に対するサービスと考えるものでございます。それからまた、離職者に対する訓練のやり方につきましても、炭鉱離職者訓練を契機といたしまして、やり方の点あるいは設備の点、それからまた、前職をどう生かしていくかというふうな問題について現在根本的な検討を審議会にお願いをしております。これらの問題が解決いたしますと、離職者が入りやすく、また、離職者に対して訓練が能率的に行なわれるというふうなことになりますので、今後は基礎訓練におきましても、専門訓練の過程におきましても、離職者を相当程度入れていこう、少なくとも五年後には半々くらいの比率に持っていこう、こういう目標を立てまして、現在離職者訓練を重視しておるわけでございます。従いまして、五年後の業務運営の内容の比率から申しますと、総体において三分の二程度は現役の被保険者もしくは被保険者であったものが総合訓練所を利用する、こういうふうな状態を目標にいたしまして運営の改善をはかっていく予定でございます。
○坂本昭君 先ほどの大臣の御答弁は私は正しい考えではないかと思って、支持したいと思うのです。たとえば労災病院について、他から財源を求むべきだという考え、あるいは職業訓練所に対して、一般会計負担をもっとふやすべきじゃないかという考えは、私は正当な考えで、当然今のような、数からいってもわずか半分以下しか労災患者を見ていない。わずか失業保険の対象であった人が三〇%にしかすぎない。そういう状況のもとではこの点はもっと検討すべきだと考えます。 さらに私は、この点をまた別の角度から、もう少しお尋ねしたいので、次に伺いたいのは、労災保険組合ですね。労働者の災害補償の一体責任はだれにあるか。私は去年だいぶ議論をしたところですが、この際一応念のために労働者の災害補償の責任はこれは一体だれにあるかということをまず最初大臣に聞いておきたい。ずいぶん大臣は勉強しておられるはずですが。
○政府委員(大島靖君) 災害補償の責任は基準法によりまして、使用者にございますが、その責任を保険という仕組みで行ないますために、労働者災害保険の施設を設置いたしているわけでございます。
○坂本昭君 今の労働者災害補償の責任は使用者にあるにもかかわらず、去年の一部改正で国が負担することになりましたが、これは一体大臣どういう考えか。
○説明員(村上茂利君) 理論的な問題にかかわりますので、私から申し上げさしていただきたいと思いますが、これは先生御承知の通りでございますが、労働基準法上の災害補償責任は、使用者にあるわけでございます。しかしながら、労災保険におきましては、使用者は保険料納入の義務を負うだけでありまして、労災保険の保険給付につきましては、政府が責任を負うということになっておりますので、単に災害補償という言葉を考えました場合に、基準法上の問題、労災保険上の問題とございます。そのようにお考えいただいたらけっこうではないかと思うのでございます。
○坂本昭君 そうしますと、今の基準法上の問題と労災法の施行上の、行政上の問題とこう出てきますが、その中で国庫負担というものが出てきていますが、この国庫負担というのは、これは基準法上の問題じゃなくて、別の面から出てきているのですか。その点もう一ぺん尋ねておきたい。
○説明員(村上茂利君) 国庫負担につきましては御承知のように、基準法上の使用者責任という点から見ますれば、国庫負担とすべきいわれはないわけであります。しかしながら、過去におきまして、けい肺特別保護法などのような特別立法によりまして国庫負担制度が導入せられております。昨年の労災保険法の改正を契機といたしまして、従来けい肺特別保護法などの諸制度が一応給付面におきましては労災保険法に吸収せられたということに相なりますので、従来けい肺特別保護法におきまして認められておりました国庫負担というような制度もそのまま引き継がれた、こういうことに相なったわけでございます。
○坂本昭君 それでは労災法を施行するためにいろんな、保険金を集めたり、それを管理したりあるいは支払ったり、これは私は労働行政における一つの運営であると思う。でこの費用ですね。この費用は労働者の災害を直接補償することとは違って、僕は一つの労働行政だと思うのですが、この労働行政の経費はこれはだれが負担すべきだと思われますか。
○説明員(村上茂利君) 現状を申し上げますると、労災保険費つまり療養補償とか障害補償とかいうそういう保険費と、それからたとえば義手、義足の支給といったような保険施設費、それから業務取扱費、そのような保険関係の諸経費は全部含めまして、保険料率決定の際の必要経費として見込んでおるわけでございます。従いまして、保険料によってまかなう、こういう建前をとっておるわけでございます。
○坂本昭君 建前はとっているのですね。建前はとっていますが、そういう建前が一体正当かどうかという私は非常な疑問を持たざるを得ない。またあとこの問題については細部にわたってお尋ねいたしますが、大臣はそういう行政上のあるいは調査費だとかあるいはそういう面に働く人の人件費だとか、宿舎費だとか、庁費だとか、そういったものがこの労災法による保険金でまかなわれることをどう思われますか。
○説明員(村上茂利君) ただいま現状を申し上げたのでございますが、これには一応理論的な考え方もあるかと存じます。つまり労災保険制度は思想的な基盤としましては使用者の無過失責任というものがその基盤にあるわけでございまして、そういった点から発展いたしました保険形態でございまするので、失業保険とか他の社会保険とはその発展のいきさつが違っておるわけでございます。従いまして、必要経費を見る場合、だれが見るかという問題になりますと、使用者が保険料をもってまかなうべきであるという考え方が出てくるわけでございまして、そういう観点からこの労災保険業務に携わりますところの公務員の人件費その他一切のそもそもが使用者の災害補償という問題から出発いたしておりますために、全部使用者負担、こういう形をとっているわけでございます。
○坂本昭君 大臣の御意見は……。大臣は正論を吐かれるから……。
○国務大臣(石田博英君) 私もそういう経過とかめんどうな理屈は別としまして、起こりが使用者の無過失責任をこの保険制度が代行しているわけですから、従って、保険金の中で払うか、あるいは使用者が別の形で運営費を払うかは別としまして、やはりその元来が基準法上の基礎の責任を持っておる者が原則として払うべきものだと思います。ただ、もっと広い範囲における問題、労災保険の運営あるいは災害防止というような面になってくると、一般会計で見なきゃならぬ分も出てくると思いますが、使用者の無過失責任を代行するという意味においては、やはり保険の中で払うべきものだと思っております。
○坂本昭君 一般的経費をもってまかなわなければならない面もあるということを大臣も指摘しておられるが、現状においては、そういう面があまりにも少な過ぎると思わざるを得ないが、さらにもう少し議論を進めるために大蔵省の方に尋ねるが、今労災保険については使用者の無過失賠償責任論が出たが、実際を言うと、健康保険の扱い、厚生保険の特別会計を見ても、この中には、業務取扱費というものがあって、同じような扱いをされてやっている、だから別に無過失賠償責任論ではなくてやっている。これは不当だと私は思う。労働大臣自身も一般経費でまかなうべき面があると指摘しておられるが、この費用の予算の組み方について大蔵省の見解を承りたい。
○説明員(岩尾一君) 御質問は、労災の場合の業務取扱費とそれから厚生保険あるいは健康保険等の業務取扱費、これは法令で国が負担するということになっているので、一般会計から繰り入れをしている、その考え方でございますが、先ほど労働省の方で御発言になった労災保険は、あくまでも労働基準法の使用主の無過失賠償責任というものに基づいて使用者の責任を、たまたま国の方で会計だけを管理して適正に行なわれるように管理する、実態はあくまでも使用者のそういった保険をするということになっているわけです。これは一般会計で見るべき筋のものではない。一方厚生保険あるいは健康保険のようなそういった社会保険は、国全体が関与して、さらにある場合には、国から保険給付に対する補助金等を入れるという会計においては、法律もそういうものについて事務費は国で見ることによって適正に行なうとともに、それによる負担というものを一般の使用主に負担せしめないという形でやっている。失業保険もそうでありますが、そういったことで事務費については、国がめんどうを見る、そのかわり給付については、保険の方で見るという保険料自体の計算にも、そういう事務費を入れないで計算している、これはこれでいいじゃないかと私は思います。
○国務大臣(石田博英君) 誤解を招くといけないので申し上げますが、私は使用者の無過失責任を保険で補償するという意味においては、保険料で経費を支払うべきものだということを申し上げたのです。ただ、災害を防止するとか、予防するとか、あるいは現在の災害保険の制度、災害補償の制度それ自体に対しての研究、検討するというような関係のものは、これは間接的には労災保険に影響を及ぼすものであるけれども、こういう部門は一般会計で労働行政の一環として考えるべきものではないか、こう申し上げたので、直接的に使用者の無過失責任を代行するという範囲においては保険料で見るか、でなければ使用者が別途費用を出すか、何か使用者の方ですべきである、こう申し上げているのです。
○坂本昭君 主計官、その厚生保険特別会計の中の業務取扱費の問題、これは国民健康保険の場合は、これは別ですけれども、厚生保険特別会計の中の業務取扱費は、あれは別に一般会計からの繰り入れではないはずです。
○説明員(岩尾一君) 繰り入れております。
○坂本昭君 それは間違いないですか。
○説明員(岩尾一君) はい。
○坂本昭君 労災保険と同じ扱いではなかったかと思うが、たとえば三十六年度はどうなっていますか。
○説明員(岩尾一君) それではちょっと数字を申し上げます。厚生保険特別会計は御承知のように、健康勘定とそれから日雇健康勘定と年金勘定、さらに業務勘定と四つの勘定に分かれております。その業務勘定の方に一般会計より二十九億の金を入れております。
○坂本昭君 三十六年度ですか。
○説明員(岩尾一君) はあ、これが事務費に当たると考えてけっこうだと思います。
○坂本昭君 それでは伺いますが、この労災保険の積立金は今幾らになっておりますか、とりあえず。
○説明員(村上茂利君) 労災保険特別会計におきましては、特別会計法に基づきまして支払備金という制度と積立金という制度がありますが、支払備金を準備した上で剰余が出ました場合には積立金とすると、こういう建前になっております。ところが、現段階におきましては、まだ支払備金を完全に準備いたしておりませんので、いわゆる積立金というのは現在ございません。
○坂本昭君 それでは伺いますが、今積立金はないが、使用者から支払ってきた保険金が国庫の中に入って労災保険特別会計を作りますが、その際のこの金ですね、この金は一体だれの金になるかということと、これはあとで失業保険のことと直接関連してきますが、積立金ができた場合、この積立金はこれは一体だれの金、というと非常に変な質問になるかもしれませんが、これは使用者の金か国の金か、あるいは失業保険の場合だと、一体だれの金か、これについて労働省それから大蔵省、法制局、その三者からのそれぞれの御見解を承りたい。
○説明員(村上茂利君) 労災保険におきましては、支払備金というのがございます。これは当該年度に発生した事故に対する補償が次年度にもさらに引き続くという場合が多数でございます。たとえば病気になりまして、来年も再来年も……。その次年度以降の補償費の引き当てを準備する必要がありますので、支払備金というのを設けてございます。現状では約百三十四億程度の支払備金が保有できるような形になっております。会計別に申しますと、労災保険特別会計のお金でございますし、国庫でやるか使用者でやるかという点から見ますると、これは国庫に帰属するものでございます。
○説明員(岩尾一君) 今お話のございましたように、当然国庫の金だと思います。
○坂本昭君 もう一ぺん聞いてから、それから法制局に聞きます。失業保険の場合は、これは千分の十四で、使用者と労働者が折半に出し合って、さらに国が四分の一負担して、そして九百四十四億という積立金が運用原資としてでき上がっている。これはなるほど国庫のものには違いないが、もう少し法的に……。これを管理し、これをいろいろと動かす場合には、これは特別会計として大蔵省に運用原資は入っています。その場合に大蔵省は勝手にこれを使っていいものかどうか、この積立金の性格からどういうことが考えられるか、法制局の御意見を一つ聞かして下さい。
○法制局参事(中原武夫君) 所有権がどこにあるかという問題は非常に突き詰めて裏から言いますと、返還請求権があるかどうかという問題に振りかえられますと思います。その際に関係の法律によりますと、事業主が返還請求権を持つような性質のものとして保険料を納めるということは書いてございません。その使途は保険法と特別会計法にはっきりと規定されております。そういうことに使う金として政府が徴収いたしますから、その所有権がどこにあるかということになりますと、政府、国ということになると考えております。何に使ってもいいかということは、先生よく御承知のように、ちゃんと特別会計法で使途がはっきりとされておりますから、その法律に従って予算手続を経なければこれは使用できないということに法律上はなると考えられます。
○坂本昭君 そうしますと、今論じている失業保険と労災保険とはちょっと違っておりますが、この際関連してお尋ねしておきたいのは、厚生年金保険の積立金、あるいは今度できる国民年金の積立金、これらのことについてもおそらく今と同じような問題が起こってくると思いますが、その場合に、大蔵省には資金運用部資金審議会という組織があって、ここでこの積立金の配分、使用についていろいろと審議がされております。それでその積立金の性格によっては、その審議をする代表として、たとえば今の使用者が入る、あるいは被用者が入る、それらのことについて何か法的な、使用者は入る必要はないとか、この金はこういうものだから、別にそういうこととは問題外に扱ってもいい、そういう何か法的な根拠はございますか。法制局からちょっと説明して下さい。
○法制局参事(中原武夫君) 先生の御質問の趣旨がよくわかりませんでしたが……。
○坂本昭君 もう一ぺん申し上げます。 この積立金の場合に、今の特に厚生年金保険の積立金と国民年金の積立金、この積立金の管理、運用について、厚生年金の場合には使用者と被使用者とが入っております。国民年金の場合にはこれは国民だけだ、それでそれに国が半分負担金をつけるわけですね。だから所有権と申し上げたのは、あとで一体管理する際の権限がどこにあるか、そういう点で権限はだれにもない、国が権限をやるだけのことか、あるいはそういう場合に、厚生年金の場合だと使用者の方にはないのか、労働者側だけしかないのか、そういう議論が立てられるかどうかということであります。
○法制局参事(中原武夫君) 今のお尋ねは、法律問題というよりかは政策の問題のような感じがいたしますので、私の方から御答弁申し上げる筋合いではどうもなさそうでございますので……。
○坂本昭君 この労働福祉事業団の場合、この運営がすべて労災保険並びに失業保険の徴収金によってまず行なわれているので、私はこういうものを管理する場合には、現在のところは労働大臣が任命して、そうして実際を見るというと、労働行政に経験のあった人たちが一方的に任命されているように見受けられるのだが、こういうものの管理者、理事者の中に被保険者代表も入る権利があるのじゃないか、そういう権利はないのか、法的になくてこれは全部政策の問題だというなら別ですけれども、何らかそういうことを主張しても法的に通る余地があるのではないか、そういう考えを持ったのでお尋ねしたのですが、これはあくまで政策的なものですか。
○法制局参事(中原武夫君) 法律上そういうことを主張してはいけないという消極的な答えは出て参らないと思います。
○坂本昭君 それでは、先ほど議論しました点についてもう一ぺん戻りますが、特別会計の説明書の中の五ページに、業務取扱費二十三億というのが出ています。先ほど主計官の説明では、労災保険については、労災の特異性からこれは労災保険の特別会計から出て一般会計に繰り入れるものではないという説明でしたが、この内容についてちょっと説明していただきたい、業務取扱費の内容。
○政府委員(和田勝美君) 業務取扱費の内容について私から御説明申し上げます。 俸給に八億九千万円、委員等手当に六十三万円、公務災害補償費に百四十八万五千円、退官退職手当等に三千七百十四万一千円、諸謝金に千四百十万円、職員旅費九千二百七十三万円、滞納処分等旅費に五千二百八十八万円、赴任旅費、外国旅費、委員等旅費がありますが、その内訳は省きます。庁費に三億九千九百万円、おもなものをかいつまんで申し上げますと、大体そういう内訳でございます。
○坂本昭君 今のたとえば庁費はそれは労災に限った業務を取り扱うところの庁費ですか、その点内容を明らかに説明して下さい。
○政府委員(和田勝美君) 労災保険事業を運営していく上に必要な庁費でございます。
○坂本昭君 大蔵省にお尋ねしますが、これらの業務取扱費は労災保険特別会計から全部出すべきものであって、一般会計から出すべき余地は全然ないとお考えになりますか。
○説明員(岩尾一君) さように考えております。
○坂本昭君 先ほど労災病院の治療を受けている患者の実態は五〇%以下にすぎない。そういうことが明らかになっています。そういう中で労災法あるいは労働福祉事業団の法律の中でも対象となるものはきまっているはずです。それがそれ以外のものも行なわれる。そうしてそういう病院の運営に関係のある人たちの費用までが全部この労災特別会計でまかなわれなければならないとする、そういう根拠はどこにありますか。大蔵省にお尋ねします。
○説明員(岩尾一君) 労災病院等で実際の労災保険の被保険者以外の者が受診をしているという点は、それが目的ではないのでございまして、実際に被保険者のために施設されておる施設がたまたま利用ができるので、一般の方にも利用していただいておるというのが現状でございますから、費用の出し方といたしましては、あくまでも被保険者のための施設として費用を出しておるので、一般の人が入っているから一般会計で持てということではなくて、むしろそういった施設というもの自体がかなり余力があり、一般の人も入っておるということではないかと思います。
○坂本昭君 保険施設費の中には、たとえば災害医学研究委託費あるいは安全・衛生対策費、こういったものが入っています。これらは当然一般会計から私は見てもいいと思うのですが、この点は、主計官どういう見解を持っておられますか。
○説明員(岩尾一君) 保険施設費にございます産業安全関係とかあるいは労働衛生活動費でございますとかいろいろございますが、ここに計上しておりますのは、あくまでも労働基準法に基づく労災保険の立場に立って、必要な産業安全の研究あるいは労働衛生の研究ということにしております。立場を変えて、一般会計からも何らかそういう意味で、そういった一般的な意味での産業安全という必要があるのじゃないかという点があれば、それはまた別の問題だと思います。ここにありますのとは、性質上違った意味であると考えております。
○坂本昭君 たとえば労働衛生研究所という、あそこの研究費の内容なども、労災保険の特別会計から出ておるものが大半を占めておって、一般会計からのものが非常に少ない。私はこの労働衛生研究所は、これは新しい労災に関する疾病とか特殊な職業病だとか、そういったものの研究も当然行なわれるので、必ずしも現在の使用者がそれに責任を持つ必要はないものも、私は、研究の対象になっておるのではないか、それはもちろんその職業病が労災として扱われるときには、当然責任が出てきますけれども、そういうものについては、これは国が見るべきではないかと思うのですが、これは労働省の考えはどうですか。
○説明員(村上茂利君) ただいま労働衛生研究所あるいは災害医学に対する委託費等の御指摘があったのでありますが、労災保険の立場といたしましては、特に業務病の認定といったような問題が保険費の支払いと直接密切な関係を持って参ります。たとえばベンジン中毒であるとか、けい肺であるとか、鉛中毒であるとか、そういった医学的判断につきまして、労災保険の行政組織自体としてはそういった権威ある認定機関を持っておりませんので、労働衛生研究所というような機関の設置に関連いたしまして、労災保険の職業病の認定といった問題に直接関係のある研究をしていただくという意味で、労災保険で経費を一応負担するといったことが考えられると存じます。あるいはまた、災害医学につきまして、たとえば腰痛症などにつきましてどの程度のものが業務上の疾病とすべきかという点については、非常に困難な問題でありますので、広く関係機関の協力をいただきまして、そういった点についての研究を進めていくという必要が、保険費の支払いと関連いたしまして出てくるわけであります。そういった点から、労災保険特別会計におきましてもこのような経費を負担する理由がある、かように考えておる次第でございます。
○坂本昭君 どうもその点、私はもっと一般会計で見るべき点がたくさんあるのではないかと思うのですが、そうしなければ——労働省の予算を見るというと、ほとんど労災保険の特別会計と失業保険の特別会計だけででき上がっているという、そういった——まあ実質的にはそういうことでしょうが、どうもそういうことではほんとうの行政が行なわれない印象を受ける。 次に、労働福祉事業団への交付金の中で、病院と看護婦養成所の交付金がありますが、これは、この内容はどういうふうなことになっておりますか。
○説明員(村上茂利君) 交付金の内訳といたしましては、ただいま御指摘の看護学院の経費、それから傷演者訓練所の経費、それから労災病院につきましては、まだ未完成の、いわゆる非独立病院につきましての経費を交付金として見ているわけでございます。
○坂本昭君 運営費だけですか。
○説明員(村上茂利君) 交付金として見ておりますのは運営費でございます。新設等については出資金という形をとるわけでございます。
○坂本昭君 労働福祉事業団への出資金十四億、この十四億は政府出資というけれども、全部これは労災保険料で、別に政府自身が出資したものはいまだかつて一文もないと思いますが、そうなんでしょう。
○説明員(村上茂利君) さようでございます。
○坂本昭君 私は、少なくともこの労災病院については、労災病院の建物、この建物は先ほど来議論されたように半分くらいしか対象の人が利用していない。そういう観点から見ても、建物自体に対してこれは労災保険の特別会計以外に国自体がこの費用を持ってもいいのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。少なくとも労災保険の保険料は、これは災害の治癒を補償するもので、別に病院の建物を補償するというために私は集められた金だとは思わない。だから、そういう建物の設備投資については別途の出資をしてもしかるべきではありませんか。その点はいかがですか。
○政府委員(大島靖君) 先ほど来御指摘の通り、労災病院の労災患者による利用率がまだ低いという点はその通りでございますが、ただ、この病院の設置の目的はもちろんこの労災患者の治療ということでございますが、従って、この設置並びに運営の費用は労災保険費の支出によるべきものと考えております。ただ、結果として、現状のような点はなおもちろん御指摘の通りに不満足でございますので、先ほど来申し上げましたように、今後さらに努力いたしまして、労災患者の利用率を高めて参りたいと、かように考えております。
○坂本昭君 どうも労災病院の問題については、五〇%しか要らなくて、そうして今のような経営をやっていることは、どうも根本的におかしく思われるので、今の説明だけではどうも納得しかねるので、たとえばそれでは一〇〇%といわないまでも、七〇%、八〇%労災の適用患者を見るとして、もちろんそうなってくるというと病院の運営とか、いろいろな点も考えられなければなりませんが、たとえば労災の場合の単価は健康保険の場合の単価とも違ったやり方をとっているはずです。これについて何か一貫した労働省として診療報酬の単価を作っておられますか。
○政府委員(大島靖君) 労災関係の診療費につきましては、坂本先生よく御承知の通り、労災保険の発足の当初から、労災診療の特殊性という点からいたしまして、各地方におきまして、それぞれ地方の実情を加味いたしました特殊の診療費を定めて参ったのであります。その後、健保の単価の改定等の機会を通じまして、だんだん健保によることが多くなったのでありますが、ただ、今申しましたような労災保険診療の特殊性と、さらに税制の上からいたしましても、健保の関係とか、社会保険の関係と別個の取り扱いになっておりますような状況、そういう点で、なお現在各地方でかなりまちまちにきまっておる状況でありますが、でき得べくんばこれはだんだん均衡のとれた形になればしあわせだと考えております。
○坂本昭君 それでは全国各地の労災の単価の状態がどうなっておるかは、早急に資料は集めにくいかもしれませんが、わずか二十数個の病院ですから、なるべく早くこの資料を出していただきたい。
○国務大臣(石田博英君) ちょっと今のお話は、二十数個の病院でどう扱っているというのじゃない、各県ごとに労災保険の単価をどうやっておるかという御質問ですか。私の方の病院だけじゃないわけですね。
○坂本昭君 そうです。そういうことです。ちょっと私の方、失礼しました。各県、日本全国の各地における単価の問題です。 次に、先般予算の説明のところで雇用対策の経費として、これが第一に発展的雇用対策の推進に必要な経費として、これが四十七億三千万円、一般会計から十五億三千万円、それから失業保険会計から三十二億、こういうものが出ております。そうしてその内容について雇用促進事業団、それからあと一、二とたくさん——三つですか、ありますが、この一番最初に上がった雇用対策のうちに、合計しまして一般会計から十五億三千万円と、それから失業保険特別会計から三十二億というものが出ておりますが、非常にこれは読みにくいのであります。この内容を一般会計の十五億の内容、それから失業保険特別会計の三十二億の内容、これを一般会計と失業保険特別会計の面から少し並べ直していただいて、ちょっと説明していただきたい。
○政府委員(和田勝美君) 私から申し上げます。 失業保険の三十二億四百七十八万一千円は、雇用促進事業団の中にございます失業保険特別会計から出ております二十二億八千二百万と、それから労働福祉事業団交付金、出資金の六億八千三百万というのと、それから一般職業訓練所の中で新設分で機械分が失業保険から出ております六千五百万、それからもう一つは既設の一般職業訓練所の施設の更新が一億三千万出ております。それからさらに一般職業訓練所の拡充分の機械分として千五百二十七万九千円、それからこれらを寄せますと、三十二億四百七十八万一千円になる。それ以外の分として一般会計から出ております十五億二千九百九十一万九千円、こういうことになるのでございます。
○坂本昭君 今度の雇用促進事業団ですね。この雇用促進事業団に対して、当初労働省としてはどういう構想でどういう予算を組んでおられたか、ちょっと説明いただきたい。原案ですね。
○政府委員(和田勝美君) 当初組みましたのは、予算内容の概括的な御説明を申し上げましたときに、三十六年度におきましては、雇用促進事業団として七十一億の事業を計画いたしております。
○坂本昭君 その内容は、今度のこの要綱、先日見せていただきましたが、そのときの内容とどういう点で違っておりますか。 それから今の七十一億というのと、今度の実質四十五億ですか、それとの差は、何か計画の上における差か、それともただ金額の上の差であるか、その点もちょっと明らかにして下さい。
○政府委員(堀秀夫君) 七十一億の要求原案を作成したのでありますが、これにつきましては、一つはいろいろな施設あるいは人件費等に要します単価の面におきまして査定を受けた点が第一点でございます。それから第二点といたしましては、住宅関係におきまして、炭鉱特別会計は別といたしまして、一般用の住宅につきまして当初は約五千戸の案を作っておりました。これが七月から発足ということになりました関係もございまして、三千戸ということに初年度は査定を受けたわけでございます。それから訓練所関係等につきましても、私どもの方の原案と比べまして、ただいま申し上げました単価及び一部の施設につきまして査定を受けた、そういう関係がございます。それから炭鉱援護関係におきましては、当初の原案は一般会計からの補助金、それから石炭鉱業整備事業団からの交付金、こういうものにつきまして、現在の約十一億円に当たる部分が約十五億円という要求をしておりましたが、これも単価その他の面におきまして査定を受けました。また、前年度からの繰り越し分が生じましたので、それも合わせますと、今回の正式に決定になりました予算案におきましても、十三億五千万円程度の事業ができることになりますので、私どもといたしましても、この経費をもって初年度はまかない得ると、こう判断いたしまして決定をいたしたわけでございます。
○坂本昭君 あとでまた少しこの新しい事業団の内容について伺いますが、その前に大蔵省に伺っておきたいのですが、この失業保険の特別会計から今度の雇用促進事業団は運営されていくことになりますが、一番最初に少し質問をしまして、基礎訓練並びに専門訓練では大体五%ないし一〇%くらい、被保険者あるいは被保険者であったものの利用というものは五ないし一〇%くらいだということで、非常に少ない、全体として。たとえば駐留軍の離職者や炭鉱の離職者は、これは一〇〇%ですが、全体として三〇%程度、将来これはどんどんふやしていこうという考えですが、こういうふうな現実の中で、失業保険の特別会計をこういうところに多額に持ち込むということは私は不当ではないかと思う。この点については、大蔵省はどういう見解を持っておられますか。
○説明員(岩尾一君) 現在の失業保険の保険施設につきましては、雇用促進事業団の構想の前にあります労働福祉事業団でやっております総合職業訓練所等におきます実際の訓練施設は、むしろ一般の人が中心ではないかというふうに思っておるわけでありますが、これは先般国会で議決いただいております職業訓練法によりまして、総訓の運営その他については、訓練の立場からの規定がございまして、それに従って運営しておられるわけで、経費の性質から申しますと、今おっしゃいましたように、被保険者である人、あるいはあった人に対する保険施設であるのは当然だと思います。しかし、保険施設というのは、たとえば現実に移転給付のように、金をあげる、差し上げるというようなものでありましたならば、その辺の区別をしっかりつけることができますけれども、訓練所でありますとか、先ほど申しました病院でございますとか、そういうものは、とにかく施設を作ってそれを被保険者だけにしか使わせないというふうにはなかなかできにくいし、また、全体としての能率的な運営から申しましても、余力があればいろいろな人を入れていくのが建前ではないかと思いますので、そういう意味で一般の人も入っているというふうにむしろわれわれは理解をしておるわけであります。従いまして、雇用促進事業団ができまして、従来のそういった総訓の仕事を引き受けることになりました場合にも、やはり失業保険の保険施設でございますから、主体は、といいますか、目的はあくまでも被保険者である人、あるいはあった人に対する職業訓練を中心といたしますけれども、なお、その施設について余力があれば一般の人を訓練しても決して法律上おかしいというようなことではない。しかし、移転給付でございますとか、そういった直接給付するというようなことになりますと、これはやはり保険の立場からいきまして、保険施設とは言いがたいと思いますので、現在の事業団の中におきましても、そういった意味の金は一般会計から出すことにいたしまして、一般の施設については失業保険の方からの出資でまかなうということにいたしております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○国務大臣(石田博英君) ちょっと今のことで。今大蔵省からそういう御説明がありましたが、違法ではないと思うのです。違法ではないと思いますけれども、私はやっぱり何としても五%、一〇%という数は少な過ぎると思う。そういう性質のものは、むしろ学校でやってもらうのが元来ほんとうではないか。特に失業保険の金を使って主としてやるときには、やっぱり職業の再訓練というところに重点を置かなければならぬということは、私はおっしゃる通りだと思います。従って、その職業の再訓練というところに重点を置くようにこれから運営をしていきたい、そう思っておりますし、私は今までもどうも目的が違うじゃないかということを始終申しておりまして、お説のような方向にやって参りたい。しかし、他の一般的な雇用政策の上から言いまして、特に農家の二、三男の人たちを第二次、第三次産業に移す、移りやすくするという意味の職業訓練、これは主として一般職業訓練所でやっている面が多いのでありますが、総合職業訓練所もその目的を明確に持ってくるようになりますと、私はやっぱりその部分は一般会計から負担するように要求すべきものだと思っております。これは促進事業団が発足いたしました今後の問題として考えて参りたいと思います。これは先ほどの労災保険の場合とは若干性質が違う。労災保険の場合は、坂本さんのおっしゃることはごもっともでございますが、同時に労災保険の患者が、全国に病院が二十五しかないわけでありますから、厚生年金病院のお世話になるときもあるし、あるいは一般の健保のお世話になるときもあります。そうすると、その分は今度は労災保険の方で見るのがあたりまえじゃないかという議論もまた別に出てくるので、お互いに病院同士の近所づき合いということもありましょうし、患者の便利なようにやるということもまあございましょうから、これは病院の場合はそう明確に言えないと思いますが、訓練の場合は、目的が再訓練であるということにやはりあくまで徹して運営をしていく必要がある。そのほかに、新しい中学卒業生の訓練ということも目的の中に加えられていく。それがまた大きな面を持ってくるということになれば、おっしゃったような財源等の措置は考えていかなければならないんじゃないか、こう私どもは思っておる次第であります。
○坂本昭君 確かに大臣の考えは正しい、間違ってないと思うのですが、にもかかわらず、たとえば労災病院を例にあげましても、もし、じゃあ大臣の言うようなことならば、半分以下しか入ってないとするならば、そうして、あとの半分はいい施設がないから、ない地域だからやむを得ず見ているとすれば、そういう地域には労災病院は建てなくてもいいと思う、ほかの病院でもいいと思う、その辺の考えが労働福祉事業団の、たとえば労災病院を設置する場合に十分検討が行なわれていたかどうか。私は必ずしも正しくなかったと思う。そうして、こういうことは何も労働省だけが考えることではなくて、むしろ日本の適正な医療機関の配置というようなことで考えていくべきではないか。従って、この労働福祉事業団が労災病院を経営していくことについては、それはその正当性を否定するものではない、ないが、半分しかその任務を果たしてないという点で、私は多大の疑問を持って、これは何とかせぬならぬじゃないか。いわんや、今度、労働福祉事業団から職業訓練の面が雇用促進事業団に出ていってしまうと、あと残っているのは労災病院だけです。そうすれば、労災病院の仕事をするのが労働福祉事業団になってくる。そういう点を考えると、今のような行き方ではとてもこれはうまく運営されない。だから、当然今度の新しい雇用促進事業団をお考えの上には、こういう今の労災病院などの運営についても十分な検討と今後の見通しがあってしかるべきにもかかわらず、大臣も初めて認識を新たにしたというようなことでは、これは非常におぼつかないではないかということなので、これはまた別の機会に申し上げるとして、今の訓練所の方のことについて、大臣が、その一般会計から負担しなければならぬ面がたくさんあるということは、これは今後一つそういうふうに予算折衝をしていただきたいのですが、今、大蔵省は、たとえば移転費だとか資金の貸付という関係は、そういう直接のものについては、これはどうも失業保険の特別会計から出すわけにもいくまい。しかし、そういうことを大蔵省が言っていいかどうか問題だと思うのですが、そうなれば、一体五%か一〇%くらいの人が基礎訓練なり専門訓練を受けて、さあこれから移転をしたい、あるいは資金をもらいたいという場合に、事実上、これらの人には何もやることはできないということになる。
○国務大臣(石田博英君) 予算は組んである。
○坂本昭君 しかし、その予算は失業保険の特別会計から来るものじゃないですか。
○国務大臣(石田博英君) 一般会計から。
○坂本昭君 それはどれくらいありますか。
○国務大臣(石田博英君) 金額はあれですが、一般会計から。
○政府委員(堀秀夫君) 移転資金、職業訓練ということで、初年度は一億円を予定しております。
○坂本昭君 それはどっちですか、一般会計ですか。
○政府委員(堀秀夫君) 一般会計交付金を財源とするもの一億円を予定しております。なお、この雇用促進事業団全体といたしましては、炭鉱離職者援護に関する部分として、そのほかに一般会計から五億五千万円の補助金を予定しております。合わせまして一般会計からの補助金、交付金は六億五千万円であります。
○説明員(岩尾一君) 先ほどの私の説明でございますが、私の申し上げましたのは、被保険者でなかった人ですね、それから現にそうでない人、そういう人に対して訓練手当とか移転資金を出すのは、どうも失業保険としてはおかしいのじゃないか、失業保険法では移転資金を出すようになっておりますし、手当も出すようになっております。従って、そういう被保険者でない人に対しては、やはり一般会計で見る方がいいと思うけれども、施設については、これはどういうふうに利用するかということは第二段の間接的な問題になりますから、従って、施設については多少そういった点にゆとりがあってもかまわないのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。
○坂本昭君 それでは、もう一ぺん労働省にお尋ねしますが、今の移転費の一億というのが出ていましたが、移転費については、被保険者でなかったもの、それと駐留軍あるいは炭鉱離職者のような方、これは、それぞれ何名、幾らの予算を移転費と資金の貸付、この二つについて組んでおられるか、内容を説明して下さい。
○政府委員(堀秀夫君) 移転費につきましては、これは初年度でございまするから正確な推定はできないわけであります。実績を見てさらに検討いたしたいと思っておるわけでございますが、移転資金につきましては、約四千六百名分を予定しております。職業訓練手当につきましては、約千五百名分を予定しております。ただいま申し上げましたのは、一般会計からの分でございます。
○坂本昭君 それから別の方、特に駐留軍と炭鉱離職者、それは幾ら。
○政府委員(堀秀夫君) 炭鉱離職者につきましては、移住資金の支給予定一万三千人をそのほかに予定しております。駐留軍離職者の方々につきましては、これは失業保険の適用を受けられる方と、そうでない方とあるわけでございまして、そうでない方に対しましては、先ほど申し上げました一般会計で予定しておる約四千六百名の中に含めてあるわけでございます。それから失業保険を受けられる方につきましては、失業保険から移転費を支給することになっております。
○坂本昭君 それでは、大臣にこの際伺っておきたいのですが、雇用促進公団がいよいよ発足することになりますが、その中でやはり大きい柱になりますものは、炭鉱離職者の問題ということになりますが、今後、この事業団ができた場合に、特に今度、炭鉱離職者の援護関係から十一億ぐらい出てきます。相当な額が出てきますが、炭鉱関係の特別会計と、それから、それ以外の特別会計と二本建にして雇用促進公団の会計をされるおつもりがあるかどうか。
○国務大臣(石田博英君) 別途の会計として扱うつもりであります。それは石炭経営者からの五億五千万円の出資金がありますものですから、当然別途に扱うつもりであります。
○坂本昭君 この炭鉱合理化事業団の交付金は、これは通産省の予算で組まれたものですが、今後、炭鉱合理化事業団はこの雇用促進事業団の中に吸収されていくと見られますが、そうなのでしょう。
○政府委員(堀秀夫君) ただいま大臣の申し上げましたのは合理化事業団でございます。そこで、合理化事業団は本来の目的がございますので、これはそのまま存続するわけであります。合理化事業団からは石炭合理化の進行過程におきまして、石炭離職者の援護のために従来炭鉱離職者援護会に交付金をよこしておったわけであります。今度雇用促進事業団ができますると、炭鉱離職者援護会の方がこの雇用促進事業団の中に発展的に吸収されることになります。そこで、石炭合理化事業団からはこの雇用促進事業団あてに交付金を三十六年度からは交付するということになります。しかし、これはただいま大臣が申し上げましたように、そういう業界の金も入った援護費用でございますから、これは一般と区分いたしまして別途経理を行なう予定でございます。
○坂本昭君 そうしますと、今の炭鉱合理化事業団はこのまま続いていくんですか。その交付金は、これは三十六年度、三十七年度と続いていくと見られますが、その場合は、その交付金を出す責任の所管の省はどういうことになりますか。
○政府委員(堀秀夫君) これにつきましては、通産省と労働大臣と十分協議をいたすことになります。三十六年度のみならず、石炭合理化が進行する過程におきまして、すなわち法的に申しますれば、石炭離職者援護のための特別臨時措置法、先般成立いたしました臨時措置法は存続することになりますが、その間におきまして合理化事業団からの交付金は引き続いて交付される予定でございます。で、その関係につきましては、労働、通産両大臣の共管ということになるわけでございます。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記やめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○坂本昭君 そうすると、今のこの炭鉱合理化事業団からの交付金は、通産、労働の共管になりますが、炭鉱離職者関係の援護対策の中で、住宅関係、これもやはり共管になるわけですか。
○政府委員(堀秀夫君) 炭鉱離者臨時措置法に基づきまして現在は炭鉱離職者援護会の業務が規定されておるわけでございます。その部分を雇用促進事業団が受け継ぐことになりますので、その部分につきましては労働、通産両大臣の共管といたしたいと考えております。ただし、住宅面につきましは、これは住宅と申しましても二通りございます。すなわち炭鉱離職者援護会において従来から行なっておりました、たとえばパイプ・ハウスであるとか、それから住宅奨励金であるとか、こういう関係の業務は、従来通り労働、通産両大臣の共管といたしたいと考えております。しかし、一般対策の失業保険を原資として設置運営いたします一般住宅、一般宿舎の面につきましては、これは失業保険の保険施設でございまするから、これは労働大臣の専管という予定で作業を進めております。
○坂本昭君 そうしますと、この雇用促進事業団の法案の要綱を見していただいて大体の内容はわかったのですが、非常に、炭鉱離職者の扱い、それから一般に炭鉱離職者以外の人たちの転職訓練、二つ大きな問題が出てくると思うんですね。従って、この新しい事業団の中で、具体的にいって、機構問題は、これは従来も官庁の中にあるセクショナリズムも関連してなかなかむずかしい問題だと思う。で、一応、この法案の要綱についてこまかいことはもうお尋ねしませんから、特にその機構について、あなたの方では、この要綱に基づいてどういう具体的な機構を作って、で、今特別会計と一般会計に二つに分けるということはよくわかりました。それらの少し具体的な運営について、あなたの方の見解を一つ説明しておいていただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) この問題につきましては、先生御指摘のように、いろいろな問題があるわけでございます。特に石炭の労使の関係者からは、この雇用促進事業団ができることはまことに望ましい、望ましいけれども、これができることによってブランクが生じたり、あるいは石炭離職者に対する本来の援護が後退するというようなことがかりそめにもあってはならないという御要望があります。それはもうまことに当然でございます。そこで私どもはこの要綱を作成いたしまするにあたりまして、労・使・公益三者構成の職業安定審議会に諮問をいたしました。その結果いろいろな御議論がありまして、結局全会一致でこの要綱に御賛成という答申をいただいたわけでございます。そこでその機構の面に限定して申しますと、この雇用促進事業団は、この要綱の第二にございますように、法人といたしまして、主たる事務所は東京都に置く。従たる事務所を必要な地に置くことができる、こういうことになっております。そこで本部は東京に置くつもりでございます。本部の構成は、これは今、さらに細目はいろいろ作業をしておりますが、大体のところを申し上げますると、総務、経理担当のそれぞれの部門、それから一般面につきまして一般的な雇用促進援助業務を行なうと同時に、住宅等の建設管理を行なう部門、それから職業訓練を運営する部門のようなもので構成したいと思っております。 それから炭鉱援護面につきましては、従来の援護会同様に、二つの部を置きまして運営をするという考えでおります。 それから次に地方機構でございますが、現在炭鉱離職者援護会の支部支所、これが先生御承知のように、福岡それから宇部、平というようなところにそれぞれございます。また、支所が九州の各地にあることは御承知の通りでございます。これはそのまま雇用促進事業団の支部支所といたしまして存続をいたします。なおそれとつけ加えまして、大阪それから東京、名古屋というような主要な受け入れ地におきましても、そういう事業団の活動を行なうことが必要であると考えます。そこで東京におきましては、本部がございますから、ここで一緒に運営をいたしまするが、大阪それから名古屋に特にこの雇用促進事業団の支部を置きまして、そうしてこの炭鉱離職者それからそのほかの離職者の方々を受け入れる部門に対する呼びかけ活動というものを行なわせたい考えでおります。以上が大体機構につきまして私どもが考えておる内容でございます。
○坂本昭君 この前、労働福祉事業団の特に訓練所関係のことを前の委員会でお尋ねしましたときに、教材費の問題を初め、非常に運営上困難をきわめているために、財団法人職業訓練振興会というものが現実に作られているということを私は指摘をして、こういうことを十分見てあげなければこの職業訓練の実を上げることはできぬじゃないか。ただ、収益だけを上げることに終始してしまって、ほんとうの職業訓練にならない。現実においてもほんとうの職業訓練にはなっていない。ですから私は、いろいろな面で、実は今まであるところの労働福祉事業団には疑問を持っているんです。で、たとえば、わずかに三分の一以下程度しか失業保険の対象者を持っていない。そうして非常に運営に苦しいためにこういう振興会など作っているとするならば、あとの人件費の三分の二ぐらい国で出してやる。国で出してやって、そうしてあとの分を教材費などは、これはまあ三分の二を国で出して三分の一を失業保険の特別会計から出す、そこまでは言わないまでも、もっと現実に合った点に、楽な会計をもって運営しているならともかく、非常に苦しい運営をして、しかも職業訓練の実が上っていない。そこへもってきて今度は炭鉱離職者をたくさんかかえて、しかもそれが若い人ではなくて中高年層の人だとなれば、私はもっと徹底したことをやらなければ実は上がらないじゃないか。でありますから、最後に、この前、実は振興会のことにも触れたのです。これらの点について労働省としては、どういう考えをもっておられるか、私はこれらを解決しないとせっかく雇用促進事業団が 〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕 できても、また、から回りをやって実を上げることができないではないか、その点の御説明をいただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) お説の通り、まだいろいろ理想から申しますとほど遠い面があるわけでございます。私どもは、その関係は、これは先般も御説明申し上げましたように、職業訓練所の設置の五カ年計画を立てまして、今その拡充をやっております過渡期でございまするので、実際そちらの方に主力が注がれまして、一般の諸経費等についてまだ十分でない面が多々あるわけでございます。しかし、本年度におきましても、職業訓練に関する経費は、昨年度一般、特別会計両方合わせまして二十七億円程度でありましたが、三十億円余になりまして、約三億円の増加を見たわけであります。そこで、また特に、昨年度におきましては、炭鉱離職者の専門の訓練所を新設する関係が昨年度の二十七億の中には入っておりまして、その関係が今年は抜けておりますので、その分も考慮に入れますれば、さらに実増はもう少し多いわけであります。まだまだ不十分な点は御指摘の通り多々あると思いますが、私どもはそういう点を十分検討いたしまして、この職業訓練部門の拡充及び内容の整備が先生御指摘のような形で逐次進むように今後さらに努力いたしたい考えでございます。
○坂本昭君 最後に、失業保険の積立金を九百四十四億もたまらしておいて、そうして失業保険法の一部改正が出ますが、そういうふうな積立金をたくわえておいて、しかも失業対策というものは五カ年計画や六カ年計画ではかなわないですよ。もっと私は急速に迅速に、特に炭鉱離職者の再訓練などということは相当教材費が要ると思うのです。そうして教材費がないために訓練所は非常な苦しい運営をしている、そういうことがわかっているのですから、私は一般会計をもっと入れて、そうしてほんとうの再訓練ができるような方途をとってもらいたい、そういう点で私は、失業保険の特別会計それ自体にも疑念を持つし、幸いにして労働大臣は正しい考えを持っていますので、これはまた来年の予算折衝についても十分今から検討していただきたい、そのことを申し上げて、時間がきましたのできょうは終わります。
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十四分散会 ————・————