社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/02/09
会議録
○委員長(吉武恵市君) それではただいまから社会労働委員会を開きます。 まず、委員の異動を報告いたします。二月七日付をもって勝俣稔君が辞任し、その補欠として木暮武太夫君が選任されました。二月八日付をもって木暮武太夫君が辞任し、その補欠として勝俣稔君が選任されました。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) 労働情勢に関する調査の一環として、労働省関係昭和三十六年度予算に関する件及び一般労働行政に関する件を議題といたします。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○坂本昭君 昨年身体障害者雇用促進法ができまして、その後政令あるいは施行規則、それらのこまかい点についてまだ当委員会では詳細に承っておりません。従って、それらのその後の政令、施行規則の内容並びに特に諸官庁が雇用率を定めて身体障害者を雇用するということになったにつきまして、どういうふうに各官庁に通達を出したか、それらの実施状況、それらを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(堀秀夫君) 身体障害者の雇用促進法につきましては、先般の通常国会におきまして、法律が成立いたしまして、そこで労働省といたしましては、この法律に基づくところの身体障害者雇用審議会の委員を御委嘱申し上げまして、この審議会において法律の施行令及び施行規則、その他の重要問題につきまして熱心な御討議を仰いだわけでございます。そうしてその御意見に基づきまして身体障害者雇用促進法施行令及び身体障害者雇用促進法施行規則を制定いたしまして、これが最近全面的に実施になったわけでございます。 施行令、施行規則につきましては、お手元にお届けいたすようにいたします。 そこで、その内容でございますが、施行令におきましては、各官庁及び官庁に準ずるような公的な機関におけるところの身体障害者の雇用率を設定いたしました。これによりますと、身体障害者雇用率におきましては、原則として一・五%ということにいたしました。ただし、大蔵省の造幣局、印刷局、あるいは林野庁、郵政省、あるいは地方公営企業それから専売、国鉄、電電の現業的な職場を中に含むところにつきましては一.四ということにいたしました。いずれもこれは現在の身体障害者の雇用率を約倍にするという目標をもって設定したものでございます。 それからその次に民間につきましては、同じく施行規則によりまして、その雇用比率を原則として一・一といたしました。ただし、事務的な事業を行なう事業所につきましては一・三といたしました。それから民間でございましても、特別の法律によって設立された法人でございまして、役員の任命が内閣あるいは主務大臣により行なわれ、または、予算について国会の承認もしくは主務大臣の認可を受けなければならないものの事業所につきましては、これはこの国会におけるところのいろいろな御意見もございましたので、国に準じまして、現業的なところが一・三、それから事務的なところが一・五というように一般の民間会社に比べまして高い比率を設定いたしたわけでございます。 なお、それに続きまして重度障害の問題につきましては、さしあたり特定職種といたしまして、あんま師を指定いたしました。そして重度障害者の雇用率は百分の七十ということにいたしました。これは国関係におきましても、それから民間におきましても同様でございます。 以上のようなことをきめると同時に、施行令におきましては、労働省と各官庁間のいろいろな協議手続等をきめました。要するに、その内容につきましては、官公庁につきましては本年の四月一日を初めといたしまして、これから三カ年間すなわち昭和三十九年の三月末日以前にただいまの率以上に身体障害者雇用率がなりまするような計画を作成することといたしまして義務を負わせたわけでございます。そしてこの施行令におきましてこれらの各省庁がこのような計画案を作りました場合には、労働大臣に協議するということに特にいたしたわけでございます。結局この四月一日が初めてでございまするので、この二月末までに政府部内の機関は計画を作成して労働大臣に協議するということに相なるわけでございます。 それから市町村におきましては、都道府県知事に同じく二月末までに案を作りまして、事前に通知するということにしております。そしてこの四月から実施に入りまして、三カ年の間にだだいま申し上げました雇用比率を設定するように目下呼びかけておるところでございます。 次に、民間につきましては、公共職業安定所におきまして、今年来全国各地で説明会等も開催いたしまして、趣旨の徹底に努めました。これも同じく昭和三十九年三月末すなわち三カ年の間にただいま申し上げましたそれぞれの雇用比率に達するように努力してもらうということになるわけでございます。職業安定所におきましてはこのような啓蒙活動を活発に行なうと同時に、各主要な安定所につきましては、この特別の係を専任するようにいたしております。 以上が雇用比率の問題でございますが、それとあわせまして、適応訓練につきましても同じく施行令等におきまして基準を設けまして、そしてこれにつきましては三十六都道府県におきまして、現在は三百二十五名の身体障害者を対象にいたしましてすでに適応訓練を実施しております。職種といたしましては四十職種でございます。来年度におきましては、本年度の二倍の予算規模をもってさらにこの適応訓練を実施するというような計らいにいたしておるような次第でございます。以上のようなことを施行令それから施行規則等に規定いたしまして、それに基づいてわれわれとしては、その裏づけとして強力な運動を展開するように各官庁及び民間の事業所に呼びかけて身体障害者の雇用促進をはかっていきたいと考えるのでございます。
○坂本昭君 十二月一日に施行令と施行規則ができて、それからそれを各官庁と民間に呼びかけているというが、その呼びかけているという言葉じりをとらえるわけじゃないが、これは各官庁、民間の方にも文書を出していると思います。そうしてそれは十分知っていると思うのだが、現実はあまりそうでなさそうなんであります。そういう点がどの程度まで厳格に行なわれているかということと、それから今のような計画を実施するために、三十六年度の予算の中にどういう具体的な措置を作っておられるか、その点を承りたい。
○政府委員(堀秀夫君) この施行令、施行規則を制定するにあたりまして、次官会議及び閣議におきまして、関係各省庁におきましては積極的にこの問題に取り組む旨の申し合わせをしたところでございます。なお、さらにそれにとどまらずに、この雇用比率というのは最低のものでございますから、たとえば除外職種等につきましても法律で除外してあるからといって、そこに身体障害者を雇用しないでいいというものではないので、できる限りそういうところについても職場を広げるようにという申し合わせをいたしたわけであります。これに基づいて労働省から各官庁あてに文書でこの旨を通達いたしました。これは各官庁義務づけられているわけでございますから、現在労働省の職安局の方に各官庁からこの計画作成につきまして、すでにいろいろな方面から相談が事前に来ているところでございます。手続は法律で定められているところでありますから、その法律通り正確に実施するということで各官庁も了解しております。われわれもその線に沿って、各官庁にもしそれが実施されておらないようなところにつきましては、是正するように申したいと思っております。今のところ、そういう心配はないように思っております。 民間につきましては、これは要するに民間に対する普及が問題でございます。私どもといたしましては、これは各官庁のようなわけにはすぐには参らないと思っておりますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、本年になりましてから全国の各地においてブロック会議及び説明会を開催いたしまして、そこにおきまして、この法律及び政令、規則の趣旨を十分に徹底きしているところでございます。これは今後われわれにおいてさらに大いに努力を要するところだろうと考えておりますが、私どもは、との問題は単に法律、規則に基づく実施という形式的なことではなしに、その裏づけとして身体障害者の雇用促進をこのような機会に強力に推進して参りたいという大きな運動が各層に応がりますように、強く積極的に呼びかけていきたいと思います。 次に予算でございますが、昭和三十六年度におきましては、総計いたしまして身体障害者関係につきましては、一億五千七百三十八万一千円の予算を計上いたしました。これは前年度の三十五年に比べますと、約二千万円の増加でございます。
○坂本昭君 その予算の中で、雇用率を達成するための具体的な予算のことを聞いているのです。
○政府委員(堀秀夫君) 雇用比率の設定につきましては、一般の安定所の予算関係におきまして旅費、庁費等を計上しております。そのほかに、特に民間と協議しあるいは啓蒙宣伝を行なうという関係につきまして特別にプラス・アルファをしておるわけでございますが、身体障害者の雇用審議会等の関係におきまして約百万円、それから雇用率の適用関係すなわち民間の雇用状況を調査するというような関係におきまして約百二十万円、それから各職業安定所の職員の講習会等の関係で約二十二万円、それから職業安定所に任意登録を実施する関係におきまして約二十三万円、それから広報活動関係におきまして約七十万円、こういうような経費を計上しております。そのほかに作業設備の委託研究、それから作業補助其の委託研究、適職の委託研究等におきまして約七十万円、それから適応訓練関係におきまして約一千万円、その他いろいろ合わせまして、それと身体障害者の職業訓練所を整備中でございますので、その金等を入れまして一億五千七百万円を計上しております。
○坂本昭君 ただいまの御答弁を承りますと、昨年初めてできた身体障害者の雇用促進法についてこの二月の終わりには各官庁から計画書が出てくる。そして三カ年を期して、われわれの要望しておった雇用率に比較すると、格段低い雇用率でありますが、それにしても従来よりはかなり前進している。少なくともこの二月末には各官庁、それから民間から今申しました計画書ができてくるはずであります。従いまして、二月の終わりにそれらを統計せられて、三月には十分お見せいただくことができると期待しております。で、この結果によって、皆さんがあの法律を不十分ながらもとにかく実施するための努力と、それからまた、それに今伴う若干の予算ですね、それを来年度において十分有効に使っていただくことを期待しておきます。 で、この問題について、一言大臣に質問と要望を申し上げておきたいと思うのですが、今度の法律は、非常に今までにない新しい問題と要素を含んでおるので、特に官庁において率先して、これを雇用率を達成していただきたい。まず官がお手本を示さなければ、との法律の趣旨というものは民間に生かされない。しかもこの前審議された実情でわかる通り、実際のところは民間の方が雇用率がいいのですよ。中小企業や零細企業の方が身体障害者の雇用率がいいのです。ですからこの際は、官が率先して十分に実績を上げていただきたい。先ほど局長の話々聞くと、次官会議で申し合わせをしたということですが、どの程度の申し合わせをしたか、私は労働大臣の責任をもって官庁において実を上げていくという決意のほどをあらためて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 今坂木さんの御発言の趣旨を盛り込んで、官庁及びそれに類似する機関の雇用率は、民間より高くしておる。そこで、これはもう御承知の通り、官が率先しなければ成果は上がらないのでありますから、二月までに、いずれ二月末日までに各官庁の計画が出て参ります。その計画をわれわれの方で検討いたしまして、御趣旨に沿うように努力をいたしたいと存じます。
○加藤武徳君 ちょっと関連して。今の坂本委員の御発言に関連するのですが、労働省は民間の実態はつかめておらないでしょうが、官公庁の現在の雇用状況の実態は把握できておりますか、どうですか。
○政府委員(堀秀夫君) 大体把握しております。概要を申し上げますると、現在、国、地方公共団体におきまして雇用されておる身体障害者が、約二万七千人でございます。それから民間事業所におきまして、これは従業員が十人以上の事業所でございますが、七万五千人が雇用されております。すなわちその現在の雇用率から申しますると、国、公共団体等におきましては大体〇・七%程度、それから民間におきましては〇も六%程度が雇用されておるわけでございます。そこで、今度の措置によりまして、ただいま申し上げましたような雇用比率を設定いたしますると、国、地方公共団体において一万人以上、民間事業所において五万六千人以上の身体障害者の雇用を期待するということに相なるわけでございます。大体現在この雇用促進法の対象となる身体障害者の数が九十六万人程度でございまして、このうち新たに常用雇用者として就職することを希望する者の数が約八万人と推定しておりまするので、ただいまの措置によりまして大体その大半は、国、地方公共団体及び民間事業所十人以上のところに雇用を期待できるのではないか。これにさらに十人未満の事業所及び国、地方公共団体等におきまして除外職種と法律上なっております者につきましてもこれを促進を期待するということによりまして、現在身体障害者であって、常用雇用者として就職することを希望する方々には、私どもの協力によりまして、この三年間に一つはっきりした適当な職場を見つけ出して差し上げたい、こういう考えでございます。
○加藤武徳君 そこで、二月の末に各省庁の持ち込んだ具体的な案を見ないとはっきりした結論は用ないとは思うのですが、労働省の考え方としては、三カ年間に所定のパーセンテージに満つればいいという基本の考えですか。それともできるだけ早急にこのパーセンテージ以上に持っていきたい、かような考えですか、この点どうですか。
○政府委員(堀秀夫君) 私どもの考え方といたしましては、これはあくまでも最低の比率でございます。そこで、この目標率には三年の間でもなるべくすみやかに到達することを期待するという考えでございます。なお、その状況を見まして、これはとの委員会等におきまするところのいろいろ御質疑、御意見の趣旨あるいは附帯決議等でも、われわれ御意見を拝聴したわけでございまするが、ただいま一応設定いたしました率につきましても、さらに身体障害者雇用審議会等で十分議論していただきまして、適当な時期にそこまで到達すれば、さらにこれを改訂するというようなことも考えて参りたいと考えております。
○加藤武徳君 景気の変動もしばしばあることですし、官公庁については特に定員の問題があるわけです。そこで、三十六年度の国家予算並びに地方公共団体等の予算は、御承知のような膨張した姿だし、この中には相当定員の増も考えられておるわけだし、また、非常勤職員の常勤化もはかられておるわけであって、私は計画を検討なさる際に、かようなことも勘案をしながら、できれば早急にこのパーセンテージに満たせる、三十六年度でほとんどこのパーセンテージに近い形になれば、三十七年、八年ということにはあまり大きな期待は持たぬ、かような運用を希望いたします。 それから私は官公庁が率先しなければならず、なかんずく国会関係は特に率先して早くパーセンテージに到達をする、かような努力が要ると思うわけであって、特に国会の図書館等においては特別な措置をなされるお考えですかどうか、この点をお伺いします。
○政府委員(堀秀夫君) ただいまの御意見まことにごもっともでございまして、雇用率の達成につきましては、ただいま先生の言われましたような考え方とわれわれ同じ考えでありますので、そのような基本的考え方に立って今後努力して参りたいと考えております。それから国会関係、特に図書館関係等におきましては、これはお説の通り、適職が非常に多いと思うのでございまして、国会の事務局等に対しましても私どもの方からすでに申し入れております。国会の事務局の方からも私どもの方へ相談に最近も見えておられるようなことを伺っておりますので、私どもこの機会をとらえまして、一つ国会の事務当局にも十分に積極的な努力をやっていただきまするように強く要請し、御協力をいたしまして、身体障害者に適職が見出だされますように努力を続けたい考えでございます。
○加藤武徳君 先ほど労働大臣の所信ではっきりしたわけですが、各省庁の人事の実際担当者の意識は必ずしも高くないと見ざるを得ないわけであって、労働省としては、さらに御努力を願いますように希望いたしておきます。
○藤田藤太郎君 私も関連してお尋ねをしたいのですが、まず第一に、身体障害者の審議会というのはいつできて、そうしてどういう人が委員になって、そうしてどういう活動をしているのか、これを先にお伺いしておきます。
○政府委員(堀秀夫君) 身体障害者雇用審議会につきましては、この法律が公布されましてから直後に発足をいたしました。日にちはちょっと正確に記憶しておりませんが、大体七月ころだったと思います。なお、正確な日にちは後ほど申し上げます。そうしてその内容は、学識経験者、それから労働者代表、雇用主代表及び身体障害者代表から成り立っておりまして、会長には、労働科学研究所長の勝木新次先生がこの審議会におきまして選挙されたわけでございます。それに基づいて御委嘱を申し上げました。副会長は、身体障害者福祉審議会の副会長の川西実三先生にお願いしております。学識経験者といたしましては、このほかに新聞関係、それから大学関係、それから知事市町村関係、それから関係の各省庁関係でございます。労働者代表につきましては、総評、全労及び身体障害者問題について経験のある厚生省職員組合書記長の田中氏を御委嘱いたしております。雇用主代表につきましては、日経連及び商工会議所等からの推薦に基づいて三人を御委嘱しております。そのほかに身体障害者代表といたしまして三団体から三人の方にお入りを願っております。そうしてこの身体障害者雇用審議会は発足早々、私どもからこの法律に基づいて制定しなければならない政令、規則案等についての御審議を願いまして、このため発足早々でございまするが、非常な熱心な御討議をお願いいたしまして、いろいろな会合を、合わせてたしか前後七、八回お開きになりまして、それに対して意見を労働省に御答申になりました。これに基づいて私どもはこの政令及び規則を制定したわけでございます。 なお、今後の問題といたしましては、国会の附帯決議等にもありますいろいろな、さらに今後第二段階として進めていかなければならないような問題につきまして、この審議会におきまして御検討を願い、それに基づいて私どもは適当な措置をとる考えでおります。
○藤田藤太郎君 そこで問題になるのは、今一般的にはあんま、マッサージとか、身体障害者になった人がそういうところに入っておられるのが多いのですけれども、しかし、それとてもなかなか問題を残しているという格好だと思うのです。だから、具体的に今行なわれている——やはり一番先にこの法律ができて、官庁、民間に二月末までに計画ができて、今加藤さんのおっしゃったように、三十六年中に今の計画を実施するように努力せよというお話がありましたとともに、今一番大きく一般的に今日まで行なわれてきたのは、あんま、マッサージとか、そういう方が多いと思うのです。そこらあたりの指導を今どうしているかということを一つ聞きたいと思うのです。 それからもう一つは、外面的な障害者ばかりでなしに、内部疾患的な要素の身体障害者についてほどう考えておるのか、ここ二つ聞きたい。
○政府委員(堀秀夫君) 一般問題につきましては、先ほども申し上げた通りでございますが、重度障害者の関係につきましては、さしあたりあんま、マッサージ関係を指定したわけでございます。これに基づきまして厚生省当局と私ども相談をいたしまして、各病院、診療所、及びあんま等につきましては施術所がございます。これに対しまして、このような法律の規定に基づきまして、身体障害者の職場確保をはかりまするように、指導をして参る考えでございます。 なお、この重度障害の問題につきましては、さしあたりあんま、マッサージ関係を指定いたしましたが、そのほかにさらに適職があるのではないかという問題がございます。これは先ほど申し上げました第二段の問題といたしまして、重度障害者に対するあんま、マッサージ以外の適職の問題につきまして御討議を願う予定になっております。それを聞きまして、私どもは善処したいと考えております。 それから第二番目は、内部疾患等の問題でございまするが、これも同じく第二段階の問題といたしまして、実はたとえば外見的な障害がなくても、内臓等に障害のある方、あるいは精薄等の方につきまして、これもこの身体障害者雇用審議会におきまして、引き続いて御議論を願うということで、すでにお願いしてございます。 以上の二つの点につきましては、今後身体障害者雇用審議会の御検討を願った上におきまして、その御意見に基づいて私どもは善処する考えでございます。
○藤田藤太郎君 まあ後段のやつは、それは坂本委員から質問があると思います。 前段の問題で、あんま、マッサージというのは今の行政の上からいくと厚生行政の中に入る。しかし、そこで働いている労働者といいますか、働いている人は労働基準行政の中に私は入れなければならぬ要素がたくさんあると思う。というのは、たとえば数の上からいっても、雇い主がおって、多いところは五十人も雇っている。こういうところがあります。だんだんと三人、五人、五十人もおることろ、六十人もおるところというところがあるわけですけれども、その勤務状態というのは、つまり一般の病院なんかですと、一応の規律がある、労働時間の規制がつくとか。しかし、今このマッサージの免許を持った人、持たない人を含めて、マッサージを担当している者が大体八万ぐらいおるだろうという推定である。そういう人は労働保護的な要素というものは何もないと私は言いたい。病気になっても、健康を保護する保険制度はない。それからもっと根本的なことは、あんまの需要と供給で始まるわけでしょうが、もうほとんどその身体障害者であり、一般の健康体でない人が徹夜作業に近い状態で就業を行なっておるということです。だから基準法の面から見て、婦女子の深夜作業、それからオーバー・タイムの規則の問題がありますけれども、そういう規制の監督行政の内輪にはすっぽり入っていないというのが、監督行政としては一つも現われていないというのが現実ではないか、私はこう思うのです。だから、そういう面を、今の身体障害者雇用促進法の身体障害者に職場を与えて働いてもらうという、この法の根本的な精神からいけば、やはり衛生観念からくる厚生行政の問題がありましょうし、労働者保護の面からの基準保護行政というものをもっと私は徹底しなければならないのじゃないか。だから、労働時間の規制ですね、深夜作業をどの程度に限界を置くか、これはあんまさん自身、あんま業自身の規律によって需要者の規律が出てくるんじゃないか、いつでも夜中の二時でも三時でも呼んで、来るという、そういう格好で需要と供給が行なわれていると思うのです。だから私は、こういうことこそ労働基準監督行政によって時間の規制、就業の規制、そういうものを明確に私はやるべきじゃないか。身体障害者が主として作業されているこの法律から言っても、そこに問題の中心が今日置かれているというなら、私はそれを明確にすべきじゃないか。それともう一つは、私は何といっても政府、国全体の施策とするならば、その人たちの健康管理をどうするかということは基準監督行政の立場から、厚生行政の中で保険制度をどう確立するかということだろうと思う。私はここで問題にしなくとも、そういう打ち合わせ、連絡、そういうことを私はやるべきではなかろうか、こう思うのです。 それから最近一つの例でございますけれども、具体的に時間規制の問題については、労働者に自然全国的な固まりができて、自分自身で保護する立場にありますけれども、やはり問題になっているのは健康管理、保護制度なんですね、で、そういうのに、たとえば雇われている人は、健康保険で任意包括というような格好の認定を労働基準局が下すことによって、集団作業とか何とかによって任意包括的に下すことによって、健康保険への加入もこれは前提ができるわけなんです。そういう点が非常にあいまいな状態で今日放置されているということで、そとで働いている人が、なお困っているという具体的な面があるわけなんですから、私はそれを含めて今の考え方を聞いておきたい。
○政府委員(大島靖君) ただいま御質疑のありましたあんま、マッサージと基準法の関係、全般的に申しまして、あんま、マッサージの関係に全般的に基準法の適用があるかどうか、一がいにちょっと申せないわけなんです。ただその一方におきまして、免許を持っております者が、ある特定の家に住み込んでと申しますか、下宿したような形で、自営のような形でやる場合もありましょうし、あるいはあっせんのような形でやる場合もありましょうし、また、ただいまお話のようなかなり大規模に雇用をして、免許のある者を雇って営業しておる、こういう形のものがございましょうが、基準法の適用のありますのは、一番最後の場合です。こういう場合もかなり見受けられるわけです。で、基準法の適用になりまする場合を考えてみますと、やはりただいま御指摘の労働時間の問題、あるいは休日の問題もあるし、それから、ことに賃金等につきましては歩合制といいますか、その辺で中間搾取の問題も出てくるかもしれない。こういう関係につきまして、先年来、東京の基準局におきましては、あんま、マッサージ関係者に組合を通じましてとの基準法の適用のあります部分についてのみ監督的指導を実施いたしたのでありますが、三十二年にその関係者全部を集めまして講習会——集団指導を行ない、また、三十三年におきましては、基準法のテキストを全員に配付、同じく一斉休日の指導もいたすと、こういうことで、基準法の適用のあります部分につきましては、こういうふうな監督と申しますか、基準法に基づく指導、また、そういう組合を通じまして、一斉的に行ないますような休日とか、基準法に沿うような慣行にする、こういうことに努力しております。なお、ただいま御指摘のような問題、基準法の適用のあります部分につきましては今後とも努力を続けて参りたいと、かように考えておる次第であります。
○藤田藤太郎君 その努力をして、より的確な指導をしていただくということはけっこうでございますが、しかし、実際上の今のあんま、マッサージの運営というのは、個人が営業をやっているところはほんとうに微々たるものです。三人であるとか、五人であるとか、十人であるとか、ほとんどが今日の状態では雇用関係にある。身体障害者ばかりじゃありませんけれども、そういう状態にあるわけなんです。ところが、その基準法の六条の関係にも入ってくる問題が一つあります。しかし、ここでは今問題にいたしませんけれども、時間の規制というものは私はやはり相当力を入れてやってもらわなければ……、それは朝から出て来て徹夜して、とにかくそこで寝さして、自由の時間やら、何もなしに、とにかく縛りつけられているという状態がほとんどじゃないかと私は思うのです。だから、その労働時間の規制の問題は、基準法に照らして私は厳格な監督行政をやってもらいたい、こういうことを思うわけであります。それから私は、その規律条件から今の健康保険の施行条件というものが生まれてくると思うのです。そういうものを確立してないから保険管理や健康管理というものが全然どこへも取りつく島がない、雇われて働いていながら国保の中に入っているというのが私は一般的な現状じゃないかと思うのです。だから、私は、やはりそういう工合にして雇用関係を持って雇われていて、特にひどい長時間労働や、賃金の面においても六条関係に現われておるような状態が置かれておって、まだ健康保険の関係においても置き去りにされるというのは少しひどいじゃないか——これはあんまの一般論でございます。そういうところへ一番適役として、身体障害者の雇用促進の中の第一の適職としてそこへ指導をするということに私はなると思うのですね。なると思うが、一般の健康体でない、そういう身体障害者をそういう渦のような中に私はほうり込むことになると思う。私はこういうものを直していくことが政治なんだと、こういう工合に考えている。だから身体障害者がこういう適職についてももらうために大いに指導してもらうということが一つ、しかし、その受け入れ態勢、状態というものは、監督行政、厚生行政の面から的確に、一般人以上に保護をするという建前が、私はその前の、受け入れ前段というものを直さない限りいかぬのじゃないかということを特に考えるわけでございますから、その点はこの計画書が出て、一般の病院とか、そういうところは時間の規制があっていいわけですけれども、そうでないのがほとんどですから、そういうところへの指導というような問題については、その前提を直すというところに私はやはり力を入れて、適職配置という問題を考えていただきたいということを強く申し上げておきます。だから、重ねて私はお願いしておきますが、ここへ、その時間規制の問題、賃金の問題、そういうものの調査を、今すぐ聞かしてくれといったって無理でございましょうから、一定の日限をはかって、そういうものを一つここへ資料として、あなた方で調査をされて、全体を行政上把握するためにもそういう調査をやってもらって、その結果を、私たちは私たちなりに把握をいたしておりますけれども、それがやはり保護行政の根幹になると思いますから、そういうことも一つやってもらいたいということをお願いしておきます。
○坂本昭君 ただいまの堀局長の答弁の中で、一点、少し解しかねる点があるので確かめておきたいと思います。それは、この法律の審議のときに、内部疾患の問題等、実際言うと、まだもっと審議したい点がたくさんあったんですが、あのときのああいう状態で、はなはだ遺憾ながら今日のような状態になったんですが、当時内部疾患の扱いについては身体障害者の審議会で決定をする、はっきりした堀局長の答弁があった。しかも、今聞くと、七、八回きわめて熱心な審議をやった。やったけれども、まだ何か結論が出ていない。結論が出ていないところで、各官庁、民間には通達を出して、二月の終わりには計画ができる。これは一番大事な点を抜きにして二月の末に計画を出せといったって、これは非常に私は問題点があると思う。先ほど加藤委員も、与党からも、特に官庁の問題については先日来問題にしておられた。ところが、この官庁の場合は、内部疾患、特に結核の回復者の問題が私は非常に出てくると思う。そういう点を明らかにしないで、まだ審議会の結論を見ないままに二月の終わりに計画を出させるということは、それは結局内部疾患を除いたままでの計画書を出すということにほかならないではないか。この点一つぜひ明らかにしておいていただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) その問題につきましては、国会の御審議、十分われわれその当時拝聴したわけでございます。審議会を開きまして、こういうような国会の附帯決議及びその追加すべき問題点というものについても御報告を申したわけでございます。この政令、規則関係等にもいろいろな問題がございまして、非常に御熱心な御討議を願ったわけでございますが、この内部疾患の問題についてはまだ結論が出ておらないわけであります。私どもといたしましては、この内部疾患の問題は非常に重要であるという認識は、前から申し上げた通り、変わっておりません。私どもといたしましては、この審議会においてなるべくすみやかに結論を出していただく。それと同時に、この各官庁の計画は、結局時期、いつの時期にどのぐらい身体障害者を採用する、そして雇用の比率を達成するというのが中心になるわけでございますが、要するに、その中身に今の内部疾患者をどのように入れるという問題でございます。従いまして、私どもといたしましては、まずこの二月末に出てきますのは総ワクでございますので、その総ワクについての討議を受けて、それに対してわれわれとしての意見も言ってみたいと考えておりますが、この雇用審議会におきまして結論が出ますれば、すぐ追加いたしまして、各官庁にもその旨を連絡いたしまして、この総ワクの中に内部疾患者を入れるという問題について善処を求める方針で、いずれにいたしましても、なるべくすみやかに結論を出していただくように私どもとしては努力をいたします。
○坂本昭君 これは非常に現実的な問題として重要なんですよ。この点を明らかにしておかないと、民間でも官庁でも困ると思う。今局長の答弁によると、なるべくすみやかにということなんですね。これはもう少し明確にしていただけませんか。いつまでに——年度内なら年度内には結論を出させる。これは私は議論をしたって果てしないと思うんです。十回も二十回もしなくても、一、二回この検討をし、あるいは、特に内臓関係の専門家を呼んで検討すれば結論出ると思います。ですから期日を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(堀秀夫君) これはお話でございますが、やはり医学的な問題、技術的な問題、非常にからみ合っている問題でございます。従いまして、私どもとして、ただいまこの席におきましていつまでということをちょっと申し上げるわけには参りません。参りませんが、御趣旨は十分われわれ理解しております。私どもも同感でございますので、なるべくすみやかに促進するというところで、本日はごかんべん願いたいと思います。
○藤田藤太郎君 ちょっともう一つ基準局長にお聞きしておきますが、さっきの私が申し上げました雇用関係ありやなしやという問題で全部ネックになって、そうして次の健康保険その他の条件が出てきていない。だから、ほとんどが雇用関係になっているわけですから、だからそれを明確にして、政府管掌の国民健康保険に加入できるような条件を私は作るというためにも、そこのところあたりを早く一つ明確にしていただきたい。そうでないと、非常に地方で困っているというのが現状ですから、ここで私はどうこう言いませんから、また、時間をおいて明確に聞きたいと思いますが、きょうは問題として提起しておきます。雇用関係というものを明確にして、そうして次の保険の問題が実現するような条件について考慮してもらいたいと思います。
○政府委員(大島靖君) ただいまの問題、この例のいわゆるあんま業者等個々に調べて参りますと、その契約関係が、今言ったような雇用労働者の関係になるか、使用従属関係であるか、その辺が明確でないことも多いのでありますから、ただ先ほど申しましたように、東京都でやりました場合は、東京都鍼灸組合というものと連絡いたしまして、一斉休日やりましたり、さらに就業規則を作らして、私どもも今手元に持っておりますが、就業規則、かなりはっきりした労働条件についての規定を盛り込んでおります。こういう形で、あんま、マッサージの組合と十分連絡をとりながら、また同時に、厚生省の関係方面とも打ち合わせをいたしたいと思いますが、そういう関係で雇用関係の有無について十分調べますとともに、そういうありますものについては一つ適切な措置を進めていきたい、さように考えております。
○坂本昭君 次に、今回労働省で起案しておられる雇用促進事業団の問題について最初に大臣に伺っておきたいと思います。今度雇用促進事業団の計画を立てておられるやに承りますが、まだわれわれには法の要綱もお示しいただいていない。しかし、予算では約三十五億円計上されておって、そのほか合計すれば四十四億ぐらいの実質的な予算になる。それからまた、人事についてはすでに石炭離職者援護会の会長が理事長になるとかというようなことも出ておって、かなり具体的な問題が出ていると思うので、私は二つ大きな面で伺っておきたい。一つは、どういう目的で、どういう内容でやられるかという点が一つ。従って、もし準備しておられるならば、要綱の程度は一つお示しいただきたい。 それから第二点は、これは当然現在ある労働福祉事業団の中の職業訓練部門とそれから炭鉱離職者援護会の部門とを吸収した格好でできると思いますが、当然今度の新しい事業団法で職業訓練部門が前進することを期待して、こういうものをやっておられると思う。しかし、現実の訓練部門の中には人の面においても物の面においても、あとで私説明し、また、質問したいと思いますが、非常に多くの問題点を持っている。非常に不十分な点が多い。だから、そういう不十分な点が今度の新しい雇用促進事業団法の中でどういうふうに改善されるか、そういう点について明らかなめどを持って立法し提案されない以上は、きわめて不十分なものとならざるを得ないだろうと思う。従って、まずこの目的を明らかにしていただくことと、それからまた、具体的な内容というものはすでにあるのですから、それが具体的にどういうふうに改善されるかという大まかな点について大臣から御説明いただき、それからなお要綱のこまかい点については所管の局長から御説明いただきたい、まあそういうことで御質問いたします。
○国務大臣(石田博英君) この公団の最大の目標といたしますところは、現在あります、雇用問題の上にある地域的、年令的あるいは技能的アンバランスを是正するということ、そのために労働力を流動性を確保するということが最大の目標であります。それにあわせて石炭あるいは駐留軍その他政策的なあるいはまた、経済情勢の変化発展というものに伴って生じて参りまする失業の問題について、これに再就職の機会を与えるために職業の訓練をさらに強化するというところにございます。そうして同時に、今までもやっておったわけでありますが、現在までの各自治体単位の職業紹介事業、これをさらに広域な職業紹介事業を行ないますための所要の援助、たとえば移住資金等の支給を含めて所要の援助を行なうというところが大きな眼目でありまして、事業の主体は地域的なアンバランスを是正いたしますための労働者の移動用の住宅の建設と、それから職業の再訓練を行ないますための、あるいはまた、技能的アンバランス是正のための職業訓練を行なうということにまあ重点があるわけであります。で、現在関係各省との間に意見を調整中でありまして、まだ要綱というべきものができておりません。しかし、これは予算に関連をする法律案でありますので、あとう限りすみやかに、要綱だけでなく成案を得なければなりませんので、少なくとも今月下旬には成案を得るように目下準備を進めておるところであります。 それから人事について何かきまっているようなお話でありましたが、まだ全然考えておりません。しかし、全然考えていないということは今坂本さんがおっしゃったことを否定するという意味ではございませんので、これも念のために申し上げておきたいと存じます。それから職業訓練を拡充強化しますために特に人の問題、指導者の問題に難点があることは御指摘の通りでありますが、これは本年度から中央職業訓練所を設置いたしまして、そこで指導者の養成に着手する段取りであります。 それから物の面ということは、多分設備、それから同時に教材用の機械その他、教育用の機械その他のことの御指摘だと思うのでありますが、まだ完全に整備されていないということは、これは何しろ進行過程でありまして、それは言えると思うのでありますが、しかし、設備及び機械等につきましては、でき得る限り最も新しいものを採用する、同時に、現在の日本の特に中小企業の実態をも考えまして、中小企業に就職した場合、中小企業に現在ある器具についても間に合うように両方勘案して最善の努力を払っておるつもりであります。 なお、要綱はできておりませんけれども、事業の内容及びその事業に伴って計上してありまする予算につきましては職業安定局長から説明いたさせます。
○政府委員(堀秀夫君) 雇用促進事業団につきましては、ただいま大臣から申し上げましたような基本的な考え方に基づいて準備を進めております。この七月一日発足を目途といたしまして所要の手続を進めたい考えでございます。 内容につきましては、初年度は四十四億円程度の事業規模を見込んでいるわけでございまして、まず第一番目に、就職希望者で移動いたしまするものにつきまして住宅を設置いたしたいと考えておりますが、この関係におきましては、大体炭鉱及びそれ以外のものも含めまして五千世帯、五千戸分を初年度に確保いたしたいという考え方で進めておるところでございます。それから、そのほかに港湾労働者等につきましては、港湾労働者用のアパートを設置いたしたいと考えます。これは初年度四百人収容のアパートを考えております。それから次に、移動いたしまする際に、その移転費につきまして支給いたしたいと考えておりました。これに対しましては、炭鉱離職者につきましては従来まで行なっておりましたような基本線で支給をいたしまするとともに、炭鉱離職者臨時措置法の適用を受けられないところの、それ以外の炭鉱離職者それから駐留軍その他の必要な離職者で移動いたしまする方には失業保険の移転費に準じましたところの移転費を支給するという考え方でおります。 それから次に、職業訓練につきましては、これは二つの面があるわけでございます。第一番目は、従来から進めておりまするところの、わが国経済の基盤となる必要な技能労働力の育成をさらに拡充強化していくということと、それと同時に、産業構造等の変化に伴いまして生ずるところの離職者に対しまして転職訓練を活発に積極的に実施いたします。この二つをあわせて進めていきたいと考えておるわけでございますが、この転職訓練を受けまする方に対しましては、従来は炭鉱離職者に限られて職業訓練手当が支給されておったわけでございます。また、その額も非常に足りないというような御意見があったわけで、一日二百三十円程度でございます。これをこの雇用促進事業団の発足に伴いまして三百円ということに引き上げまして、それと同時に、炭鉱離職者以外の他の転職訓練を受ける離職者の方々に対しましても、その生活を保障する見地から同額を支給して参りたいと考えております。これと並びまして、職業訓練所にこの事業団の予算をもちまして必要な地域に訓練寄宿舎を設置するという考え方をとっております。 それから以上のほかに、一般的な雇用促進に関するところの問題といたしまして、特に最近問題になっております中高年令層、あるいは身体障害者等の、いわゆる就職活動をいたしますに際しまして、ハンディキャップのある方々に対しまして、やはり就職の際に雑費がかかるわけでございます。そのような就職の際に要するところの雑費につきまして、この事業団が貸付を行なうということも考えておるわけでございます。また、この委員会等におきまして御指摘がありましたところの孤児あるいは遺児あるいは片親児童等につきまして、これは最近おかげさまで各業界におきましても、逐次理解は進んでおりまするものの、やはり金融関係その他におきましては、やはり一般の児童に比べまして、その就職に際して、まあ表面は差別待遇はしないとは申せ、事実問題といたしましては、なお差別的な取り扱いがされておるというような事例を聞き及んでおるわけであります。その根本はやはり何か問題がありましたときにその保証人がいないというような点がやはり一つの難点になっておるように聞き及んでおりますので、この事業団におきまして、そのような片親児童あるいは孤児、遺児等につきまして、身元保証を行なうというようなことによりまして、その雇用促進をはかるというようなことも考えておるわけでございます。 以上のほかに、従来炭鉱離職者援護会において行なって参りましたところの事業は、この事業団にさらに積極的に統合を進めて参るつもりでございます。その関係の援護につきましては、これは御承知でございますので省略さしていただきますが、以上合わせまして初年度におきましては、大体四十四億円程度の事業規模をもちまして進めて参りたい考えでございます。
○坂本昭君 大臣の御説明でその目的とするところは了承いたします。確かに現段階において、今のような目的をもって事業団を発足するということは悪いことではないと思う。しかし、今度の事業団の中の問題として、地域間あるいは産業間のアンバランスを是正するために、また、その労働力の移動を容易にするためのいろいろな手段を講じられる。しかし、一番の重点は、この転職訓練にあるのではないかというふうに伺われる。そうするとやはり今まであった職業訓練部門、この部門が充実されるということが今度の事業団の一番大事な目標になる。で、今大臣の説明を聞きますと、たとえば今度できる中央職業訓練所で指導者の訓練をするアイデアはよろしいです。アイデアはよろしいが、現在今あるこの訓練部門で何が困っているかというと、いわゆる教導の数の不足なんです。一体教導の数の不足ということが今の中央職業訓練所の訓練によって確保されるという目安があるかどうか、つまり教道というのは指導員です。教導と呼んでいるのでしょう、あなたの方では……。教導の数の不足なんです、指導者の……。これが確保される目安があるか、まずその点一つ大臣に伺っておきたい。
○国務大臣(石田博英君) これはもちろん絶対量、絶対数の不足ということも言えるわけであります。一般に技術者が非常に不足をしておりますから、絶対数が不足ということは言えるわけであります。そこで、その絶対数の不足を緩和するために中央職業訓練所で教導を養成するわけであります。もう一つは、やはりそういう教導を確保しておきますためには給与、待遇、その他の検討を当然しなければならぬと思っております。それとあわせて所要の数の充足に向かって進むつもりでありまして、それが養成されれば完全に充足されるかどうかという御質問でありますが、不足を充足するために中央職業訓練所を設置をしておるので、充足できるように努力をいたすつもりであります。
○坂本昭君 いや、今教導の数については職業訓練法の施行規則の中で、基礎訓練の場合に第一表で十名に一名、専門訓練のときには第二表で、若干条件は違うようですね。一年目は十人に一・一、それから二年目から五十名に四と、だいぶ数は違っておるようです。しかし、それでも今私が調べたところでは、現在基礎訓練だけで八千四百五十名おる。八千四百五十名の訓練生がおれば十人に一人といえば八百四十五名の教導がおらなければならぬ。ところが、現在でも教導は三十五年の十月に六百五十名しかいない。これではほんとうの職業訓練ができるはずがないのです。だからといって今度中央職業訓練所でこの教導を養成するというけれども、間に合いますか。むしろこれをやっておいて全部の準備ができてからこの事業団を発足するならいいが、七月一日から四十四億かけてやろうというのに、その一番最初から転職訓練をやる教官を養成してこの配分をするというような、そんなのんきなことをやっておいて、とても私は仕事になるはずはないと思う。労働大臣そこで居眠りをしておる間に仕事が進むということにはいかないのです。これをどうするか。これは一番深刻な中心的な課題であると思う。これをどうされますか。
○国務大臣(石田博英君) この雇用事業団は、もちろんその職業訓練が一つの大きな目標でありますが、それだけでなく、やはり移動用の住宅の建設というものも予算上あるいは計画上大きな重点をおいておりますから、その職業訓練ばかりでないということを申し上げておきたいと思います。 それから今のお話でありますが、それは確かに人を確保するに非常に苦んでおります。苦んでおりますが、しかし、人が足りないからといって訓練の仕事をしないわけにはいきませんから、と同時に、現在の状態においても、なお訓練所を終了した者に対する需要が非常に強いですから、やはり足りないなら足りない分を充足するためにいろいろな諸般の方法を講じております。たとえば給与の問題については、今度は特別の手当を給付し得られるような予算的措置をも講じておりますし、そうしてまた、給与の改善もはかっておりますが、それから中央職業訓練所におきましての訓練も、これはもちろんこれから訓練をする教導を養成するのですから、今すぐには間に合わない。間に合わないけれども、それだからといってその先生ができ上がるまでの間訓練をしないというわけにも参りません。そこで急速に間に合わせ得られるように一方において努力をしながらも、現在の要請においてやはり職業訓練を実施するということを並行してやっていこうと思っております。 それから教導を必ずしもそれだけで獲得するのではなくて、やはり関連事業所その他からの応援等も考えて、でき得る限り充足して参りたいと、こう思っておるわけであります。
○坂本昭君 大分労働大臣苦しい答弁だと思うのですがね。今のようなこういう時期に、先ほど言われた中高年者あるいは身体障害者その他炭鉱離職者に対して転職の機会を与える、それからまた、技能を向上させるための訓練、非常に意義が重大だと思う。だからその中で指導者になる人は私は高給をもってこれを遇する、そのためのこれが事業団でなければならぬ。それがまず数の面においても足りないという点、これは今特別の手当を支給するということですが、きょうは時間の関係もあって、これはまた法案が出てきた場合に検討いたしますから、その点は一応省略して、先ほど大臣が説明された中で、機械整備が不十分だということを率直に言っておられました。確かに機械整備の充足の実情を見ると、施設整備の状況について、これは現在ある労働福祉事業団の状況をもってしても、今の総合整備率というのは五二%——半分しか整っていない。現在、半分しか整っていなくて、それでまた、この大事な時期に、事業団に発展してやろう、その事業団に発展する際に、では半分しか整っていない五二%をこの際一〇〇%にしてやろうというならば、どこか予算に出てきているはずですが、どうもそんなものは、先ほどの局長の答弁を聞いても出てきていない。それで労働大臣も顧みて他を言うような、アパートができるとか、建物ができるとか、建設大臣みたいなことを言っておられる。私は、こういうようなことでは、幾らこの事業団を作っても、ほんとうの転職訓練にはならないんじゃないか。また、機材の整備についてなかなか大臣はいいことを言われた。そのいいことを言われたのは、新しい機械であるということと、それから新しいだけではいけない。中小企業の実態に沿うということですね、これが非常に大事なことだと思うのです。ところが、どうも、去年も当委員会でも各所を見て回りました。見て回ると、大ていいい所ばかり見せるのですね。しかし、実際は機械がよ過ぎて、今日の社会の実態に合わないような機械が遊んでいるような場所もある。そうしてそういう点、なぜそういうことになるかというと、結局、現在ある労働福祉事業団が中央で一括して購入して、新しい機械だぞ、これを使えということで配分する。もらった方は、新しいことは新しいが、その地域の中小企業の実態に合わぬから、そんなもので訓練を受けたって間に合わない。こんな実態が今度の事業団で改善される見通しがあるか、この点、一つ労働大臣の決意を伺っておきます。
○国務大臣(石田博英君) この職業訓練法は、御承知の通り、私が前に労働省におりましたときに提案いたしまして、御審議を得て成立いたしたものでありまして、そのときを初年度といたしまして、五カ年計画で、全国五十カ所に整備するという計画でありました。それが今第三年目であります。従って、現在、各地に建設中のものが三年目でありますから、一〇〇%の整備をし得ないことは御了解いただけると存じます。あるいは建物ができて機械が間に合わないとか、あるいは各所要の科目等の目標数まで達していないものもあります。あるいはまた、そういう建設途上でありますから、管理その他があと回しになっているもの、そういういろいろなものがありますが、これは五カ年計画の第三年目である。本年度は昨年の二十七億に加えて三億増加いたしまして三十億といたしているわけでありますから、この整備は促進されると思っております。これは今申しましたように、計画の年次によって整備していかなければなりません。一ぺんにやればいいじゃないかということのようでありますが、それは予算の問題もありますし、それから先ほど御指摘の人間の教導の問題もあります。それから機械の問題は、確かに御指摘のようなことがありまして、最近は大企業ではいわゆる企業内の職業訓練をやっておりますので、職業訓練を終わった人の需要というものは、どちらかと言えば中小企業に向けて、中小企業の技能の低いところを補っていく、中小企業の必要とするところの技能労働者を供給するということに重点があるわけですから、それだけ中小企業が現在使っておる機械その他というものになれさせる必要があります。従って、現在では新しい機械と同時に、現状において使用されておる機械もあわせてなれさせるように、両方並行して訓練をさせるように目下指導いたしておるところであります。なお、その計画及び予算の内容については、職業安定局長から御説明させます。
○政府委員(堀秀夫君) まず第一番目の、先ほどの指導員の問題もあわせて申し上げますが、指導員が不足しておるということについては二つの面があるわけでございます。一つは、指導員の定員が実情に対して足りないという問題でございます。第二番目には、定員はあるけれども、実際いろいろな問題で、その指導員が充足されないという面でございます。第一の問題は、これは予算の問題であります。第二番目の問題は、同じく予算の問題でありますが、これは主として待遇を改善すれば、現在技能労働力が非常に不足して困難な実情でございますが、なお改善を見る余地があるわけでございます。 そこで、第一番目の定員の問題につきまして、三十五年度と三十六年度を比較して申し上げます。総合訓練所におきましては、昭和三十五年度の指導員定員は七百九十一名でございます。それに対しまして、三十六年度は一千二十一名といたしまして、二百三十名を増員することにいたしました。従いまして、現在の定員の三割増をはかったわけでございます。それから一般の訓練所につきましては、昨年度千六百三十八名でありますけれども、千七百十六名にいたしました。これも八十名ばかりの増員になっておるわけでございます。これはさらに年次計画で進めて参りますけれども、私どもは、この定員の増によりまして相当な指導内容の充実がはかられるのではないか、このように考えております。 第二番目の問題といたしまして、待遇の問題がございますが、これは、従来指導員に対しましては特別の手当が支給されておりませんでしたが、これを七%程度支給するということに、この事業団発足を機会にいたしたわけでございます。もとより、これは一般の民間技術者に比べましてまだまだ足りない点もございまするが、まずわれわれとしては、現在なし得る最大限をやったんだ、今後さらに努力はいたしますけれども、この待遇改善によりまして、その方面も相当の期待ができると思います。 第三番目に、これは機械の充実と関連がある問題でございますが、現在機械施設等が充実しておりませんために、やはり人手がかかる。指導にも人手がかかるという面がございますが、これは、機械設備の合理化、近代化によりまして、指導員の指導を充実さしていくということによりまして、その方面も合理化が期待できると思うわけでございます。 そこで、機械化及び施設の整備の問題になるわけでございますが、ただいま大臣が御説明申しましたように、五カ年計画でやっております。着々とその新設が進んでおるわけでございます。そこで、過渡期でございますので、現在は、その施設に対する機械の整備、これは、建物をまず建てる、しかし、機械は入らないというようなものがまだ相当あるわけでございます。そういう面につきましての充実を五カ年計画でやって参りたいと考えております。昭和三十六年度におきましては、大体中央総合、それから一般を合わせまして、職業訓練関係は三十億程度の予算を計上いたしております。昨年度に比べて三億の増加でございます。これによりまして新設を行ないますと同時に、機械そのものの充実につきましても、相当の手当はいたします。しかし、御指摘のごとく、これはまだ十分とは申せません。従いまして、私どもは、残りの年度におきまして、この整備につきましてさらに充実をさしていくという考えでおるわけでございます。 以上のようなことに並びまして、中央職業訓練所につきましては、東京の小平に建設中でございましたが、おかげさまでこの四月一日から開所の運びになりました。開所いたしますと同時に、訓練指導員の養成を積極的に開始いたします。ただいまこの準備を進めておりまするが、これによりまして、指導員の質の改善向上には相当役立つのではないか、このように考えておるのでございます。
○坂本昭君 今局長から説明がありましたが、今の説明を伺っておって、大臣に一言御警告申し上げたい点がある。それは、職業訓練所の実際の機構、運営の内容を実際労働省でははたしてつかんでおられるかどうか。去年御承知の通り、労災病院のストライキがありました。約二十の病院が全国的に初めて統一のストライキをやった。これは大臣にも御質問申し上げた労働福祉事業団の見ておるところの労災病院であります。この病院の運営について相当幾つか問題点がある。その一つの中には、そこで働く、つまり労災病院の場合は教導ではなくて医師が中心になる。その医師が低い賃金のもとに雇われておる。そのために非常な不満が出て、この去年来の病院ストのはしりをやったわけです。そのときに私たちが初めて知ったのは、労働福祉事業団の幹部の人たちの、たとえば給与の問題、退職金の問題、この人たちは非常に高い給与をもらっている。退職金もやめたら労働組合の方は四百万円もらうとか言っておったのですが、あとでよく調べると二百万円だった。いずれにしてもべらぼうな退職金をもらっている。そうして高給をはんでおる。ところが、実際に働いておる労災病院の医者はどうかというと、三万円とか四万円というところでほんとうの中型の医者が働かされておる。そこでこの労災病院のストライキが機縁になって去年の秋から年末、さらに現在に至る全国的な病院ストというものが行なわれておる。もっと私は実態を把握していただかなければならないと思う。たとえば今教導の問題について、定員の待遇、結局定員が満たされないのは待遇が悪いからですよ。私はその待遇の中で、何ですか、七%の手当、二万円だとすると千四百円ですね。こういう二万円の給与で千四百円の手当で一体これでいいかということですね。私はこういう点で、この事業団の、現在ある福祉事業団の運営が非常にまずいといって、これだけを非難するのじゃないのですよ。それよりもあの労災病院のストのときに、労働大臣は労働災害に対して責任を持つのは、これは最終的には国が見なくちゃいかぬ、だからいろんな面で労災保険のもちろん保険金で見なければならぬが、国としてはそれに対して責任を持ってこの経営に対してはいろいろとこれを見ていきたい、見ていかなければならぬと思う。そういう意見も述べておられたし、今度のたとえば転職者の訓練についても、これは単なる事業団の任務ではなくて、国としてやらなければならない任務だと思う。私は、この事業団に対してもっとほんとうに仕事のできやすい条件を作ってやらなければ、幾ら新しい事業団を作ったって、単なる古手の役人のうば捨て山になるとしか言えないと思うのです。そんなことであっては、厚生省にも労働省にも次々と事業団ができるが、そんなことをわれわれは全面的に支持するわけにはいかないのです。何かそれは古手の官僚が行ってそこの地位につくのをこれはとめやしませんよ。しかし、その経験を生かしてほんとうに事業が進むようにしてもらいたい。たとえば、もう時間の関係で次の法案のときにまたこまかく検討していきたいと思いますが、今の人の面では教導の面が一番基本的ですが、さらに各訓練所の管理者の任務、これは労災病院でも同じことがわかったのです。労災病院の事務長は病院経営のしろうとばかりです。だからちっとも病院としてのうまい経営ができていない。それでは職業訓練所長の方はどうかというと、職業訓練所のベテランか経験者が行っているかというと、ほとんど行っていない。私は、これは次に一つ資料を出していただきたいと思うのです。どういう人が一体所長になっておるか。結局この職業訓練を必要とするのはまず職業訓練所の所長なのですよ。所長の職業訓練をやって、それでやらないと正しい訓練ができないという状況ですね。だから、こういうあり方で新しい事業団を作っても私はこの転職訓練の実は上がらないのじゃないか、これを率直に心配する。 それからまた、先ほど大臣も触れられた機材の整備のほかに、運営上教材費の問題が一番困っているのじゃないかと思うのです。つまり職業訓練をやれば、たとえば自動車の部品を作ったり、机を作ったり、腰かけをこしらえたりすることでしょうが、そういう教材費というものを一体どういうふうに見ておられるか、これは非常に大事なことだと私は思う。ところが、現在はこの教材費というものは、国からも見てもらえない、それから事業団でも見てもらえない。だから結局何ですか、財団法人職業訓練振興会という法人がこの教材費を見ておる、結局教材費を見るということは、教材費よりもプラス・アルファした収益を上げなければならない。そうして職業訓練機関ではなくて収益を作る機関になっているということです。これは厚生省の結核についても後保護施設、これは各県に後保護指導所というのがある、今ここでも相当深刻な問題が起こっている。しかし、これはいわば教材費の方はまだ若干見てもらっている。ところが、労働省の方の一番大事な教材費ですね、この方は見ていないということです、こういう点をほったらかしにしたまま新しい事業団で訓練をやったって、苦労するのはしろうとの所長さんが苦労して、そうしてこの訓練生はほんとうの訓練を受けられないで、たとえば机なら机を、売れる机を作ることしか訓練を受けない、なるほどそれは売れる机を作れば将来企業へ移ってから役立つかもしれません。しかし、ほんとうは木工なら木工の基礎的な訓練、さらに専門的な訓練をするのが訓練所の任務である以上は、やはりそういうことに対して相当な準備を、予算的に組んだ上で事業団を発足していただきたい。言えば幾つも問題点がありますが、実は今申し上げた労災病院のストの行なわれたような、ああいう基本的なことを一体大臣はどう考えられるか、さらに今のような教材費というような運営について基本的な隘路がある、これを解決してあげなければ、大臣が希望していられるほんとうの転職者訓練というものはできない、そういう点について大臣としての御見解をこの際承って、そうして皆さんのその法律案要綱の定まるまでお待ちしたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 労働福祉事業団でも、あるいはまた、今度の雇用促進事業団でも一緒でありますが、やはりこれは第一線に立って直接仕事をしてくれる人の処遇に重点を置くということはこれは全く同感であります。従って、雇用促進事業団については、第一線で働く人々の待遇改善ということに主力を注いで、たった七%とおっしゃいましたが、これは当然のことですが、一般公務員のベース・アップ一二・四%を上げたその上でであります。それからほかの一般公務員に準ずる手当はみなついてその上へ上がるわけですから、それはその上に上げてみたところで、一般の民間と比べればなお問題があることは十分承知しております。しておりますけれども、しかし、同じような官庁及び官庁に準ずる機構としてその上に上げる待遇というものは、そうむちゃくちゃにできないので、現在のところは七%上げたということが、われわれとしてでき得る限りの優遇処置を講じたつもりでおります。 それから教材費の問題でございます。これは実は私も方々の訓練所を視察して歩きまして、一面においては、今、坂本さんの御指摘のような感じを持ったのと、もう一つ逆と言ったら変でありますが、逆の感じを持ったこともある。というのは、自動車の塗装なんかを訓練をするところでは、実際市中に依頼すれば、その三倍くらいかかるだろうと思われるくらいの安いほんとうの実費で、いわゆる教材費を負担するということでやっている。これはむしろもっとあまり市中のものと懸隔を生じますと、それを結びついた業者だけが特定の恩恵にあずかる。たとえば一定の自動車会社が、いつでも教材を、自分の自動車を出すということになりますと、ほかの自動車会社との間に塗装費にえらい差が出てくるのじゃないか、従って、でき上がりがそう変わらないものであるならば、何も遠慮することはないじゃないかということも考えたことがあります。しかし、これはあくまで教材としてやるわけでありますから、従って、一般のところのように仕上がりの期間というものを、訓練をしつつ上げるわけですから急がせるわけにはいかない。それから何と申しましても訓練中の生徒がやることですから、一般の人がやるように完全にはいかないというような諸条件を勘案して、あの現在の状態でやっているという説明を聞いて、一応納得をしたわけですが、今の教材の問題では私は両面があると思うのです。特に基礎的な訓練をする場合の教材というものは、それ自体そういう収益と言ったら語弊がありますが、実費といえども徴収できないということでもありますから、結局それをもあわせて、今度はそういう仕上がりのものからかせぐというわけになりますから、非常に問題はあると思います。問題はあると思いますが、現在の詳しい実情は私もよく承知しておりませんけれども、それを現在の実情の上からどう仕分けしていくかということはさらに検討させたいと思います。問題は確かに分類して考えれば御指摘のようなことがあり、片方において当然実費徴収さえもできない、他面においては市場価格よりもものすごく安く教材を提供しているという名のもとに行なわれているという実情である。その両方勘案いたしまして成果の上がる方法を考究したいと思っております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記とめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて。
○藤田藤太郎君 私は、まず基本的問題を一つ先に聞きたいと思います。住宅費——五千戸建てるという表示が出ていますが、単価はどうなっていますか、それを聞かしていただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) 単価はこれは五千戸と申しますと、実は内容は世帯用の鉄筋アパート、それから単身用の鉄筋アパート、それから移動用のパイプ・ハウスというようないろいろな分類になっているわけでございます。そこで単価の問題でございます。大体鉄筋アパートのことにつきましては……。
○藤田藤太郎君 この予算書に書いてある順番に言って下さい。全世帯二十五万というものは幾らの単価か、みな順番に書いてありますけれども、その順に言って下さい。一世帯の単価。
○政府委員(堀秀夫君) 単価は、世帯用につきましては建物が一世帯八・五坪、そういたしまして四十八万五千円程度でございます。そのほかに土地につきましては、坪当たり一万円という単価を見込んでおります。これは平均でございまして、国有地、市有地等で無償で利用できるものがございますから、ならしまして、このようなことになるわけでございます。以上のほかに事務費等がございます。 それから単身用のものにつきましては、一室二坪程度といたします。そうしてこれは千五百人分でございますので、合計いたしまして一億五千九百四十八万円でございます。結局これを千五百で割りますと一人当たりの単価が出てくるということになります。計算は後ほどいたしまして申し上げます。それから以上のほかに、土地につきましては、やはり坪当たりの単価一万円というふうな見込みをしております。そのほかに事務費をつけております。 それから次にパイプ・ハウスでありますが、パイプ・ハウスにつきましては、世帯用につきましては、一棟五世帯収容のものを予定しております。これが一棟当たり百二万四千八百円でございます。それから単身用につきましては、一棟二十人収容のものを考えております。これは一棟当たりの単価が五十八万七千円、大体以上の通りであります。
○藤田藤太郎君 それから大臣にお伺いしたいのです。雇用事業団をお作りになって四十四億の予算を取って、雇用促進のために、一番最初に言われた雇用就労の流動性、その他訓練の所要の援助とか、炭鉱、駐留軍の特に今離職の激しいところの援護の問題、こういうことを総合的にお考えになるという努力をされてきた。私は、炭鉱離職援護法の当時、さしあたってこの援護法によって移住資金とか、または訓練ハウスの問題を緊急な措置としてお作りになり、今度は雇用促進事業団ということで、全体の雇用促進のために事業団をお作りになるという趣旨で少し内容が違うのじゃないかと思うのであります。今度は国の経済の中で雇用をどう伸ばしていくかということに転換してきている問題だと思う。きょうは議論はいたしませんが、日本の労働力の配置をどうするかという問題が前提にならなければならぬのじゃないかと思うのです。だけれども私はきょうは議論はいたしません。 ただ私は、きょうお伺いしたいのは、こういう工合に住宅を五千戸もお建てになるほかに、港湾労働者の住宅を五百戸も建てる、だから流動性のために関係して必要だとおっしゃれば、これはそれなりにそうですかという答になると思うのです。しかし、こういう世帯建設というのは——世帯の住宅建設五千戸という膨大なもの、もっと実際には今の日本の住宅の不足は三百万と言われておりますが、そういう不足分の補充をしなければならないが、これはそういう住宅の建設ということは国の施策の中で、たくさんの住宅建設の計画のある中で、総合的な国の施策の中で住宅の問題はおやりになり、そうして労働者保護というのが国の、一切の施策の中において最優先するのだということを大臣が今までおっしゃってきているのでありますから、そういうふうになぜならなかったということが一つございます。だから、具体的にそういうふうにならない理由という問題ですね、資金の問題、そういうことを考えてくると、主たる経費が失業保険の積立金というような方にウエートがいってしまうわけだが、私は、それはそれなりに理屈があると思います。きょうは長くなりますからやめますが、だからそういう今の内閣の事態というのは、住宅建設なら建設の、建設省の関係なら関係という工合に、労働省が施策を立てて、これだけは労働行政上必要だから五千戸、一万戸を作れ、それを実施させていくというところに力が入って、訓練の問題はむろん、そこらじゃできない問題、労働行政の問題ですから、そういう工合にもっとたくさんの金を使うといいますか、そういう工合にして、訓練、それから再雇用や新しい機械化の需要にこたえて新しい技術者を養成するというところがむしろ雇用促進事業団の中心、これに伴う住宅というものは、国の総合的計画で五千戸でも足らぬ、一万戸でも足らぬという、こういうところにいくのが私は筋じゃなかろうかという感じを持っておるわけです。まあ今日まで努力されたことについて何も決して否定をするわけではございませんけれども、そういう感じを持つのです、一つ。
○国務大臣(石田博英君) これは予算折衝の過程においても、今藤田さんの御議論が一番大きな問題でした。確かにおっしゃる通りです。ただ、私どもの方で、どうしても雇用事業団で作りたいと思っておりますのは、住宅公団あるいは金融公庫等で建設をいたしております住宅と使用目的が若干違うわけであります。こっちの使用目的は、長期にわたって恒久的に住む住宅を建てるのではなくて、逆にいいますと、人は使いたい、仕事はたくさんある、ただそこに出かけていっても住むところがない、使う方で建てるといっても、第一は、急に間に合わない。それから従来の従業員の住宅も十分でないのに、新しく来る人のために、たとえば石炭援護会から援護金が来たからといって新しく来る人のために優先的に建てるわけにもいかないというような事情もございますから、そういう事情で短期間、恒久的な住宅は建設省を中心とする住宅計画でやっていただく。しかし、雇用の変動に伴います、つまり家さえあれば、当分住むところさえあれば仕事があるのだというような、一定期間の住居の問題を解決するための建設というので、およそ一年間程度を目標にしております。それから住宅の問題で、絶対数の足りないことは御指摘の通りですが、たとえばどうやらこうやら間に合うとしても、家族別れ別れでは二重生活になってしょうがない。そこで、そういう状態を処理するのにも、やはりこの事業団で住宅を持って、そしてそれを背景に広域職業紹介をやる方が成果が上がる。そういう考えで私どもはやはり本事業団で労働者移動用の住宅というものは、長期のものはもちろん住宅公団、金融公庫で考えてもらうことなんですが、短期のものはやはり私どもの方でやるべきだ、こういう考えで各方面の御了解を得たわけであります。ただ、今単価等について説明がありましたが、それは性質はそういう性質のものですから、本事業団でやる、建設される住宅というものは耐用年限がそう長いものをそう必要としないのじゃないか。それよりは特に東海、名古屋の地区というものは非常に勤労者の不足を来たしております。住宅さえあればすぐ相当数が仕事が見つかるわけでありますから、そういう意味で、むしろ単価はそう高くなくて、耐用年限がそう長くなくても、数をもう少し伸ばす方法はないかということを検討をさせておるような段階でございます。
○藤田藤太郎君 大臣の言われた公団の趣旨は、緊急にできるだけ短い期間で就職するからこういう住宅を建てる。これは私はその面において否定しておるわけではない。それは必要だからお建てになる。だけれども、お建てになる住宅を労働省が何も管轄せぬでもいいじゃないか。労働省の労働行政の要求によって建設省でそういう趣旨の住宅を建てさせればいいじゃないか。だから御都合主義に、私たちから見ると御都合主義に、ここに基金があるからこれを使って住宅を建てるんだ、国の総合的な住宅計画の一貫性がないのじゃないかという気がする。これはまあいろいろ事情があったということですから、私は、きょうはこれ以上追及いたしませんが、どうもそういう感じがするわけです。もっと移住手当であるとか、失業者の救済であるとか、訓練の増強であるとかいうところに雇用促進の趣旨、住宅を含めて趣旨があるわけですけれども、そういうものは国の一貫した住宅建設の中に要求して、五千、一万という工合に作っていくというところにあるのじゃないか。この労働省自身が住宅を建てる、炭鉱のように一時的な現象が出るところにおいては間に合わないところでありますから、そういうことはできないけれども、国全体の雇用促進をやるということならそういう工合に総合計画というものが出てきていいのじゃないかという工合に、僕はそう考える。議論はきょうは時間がありませんからやめておきますが、そういう点は、私は、もっと労働省は国の政治の中で強くなってもらいたい。もっと要求を、経済全体の中で、労働者の保護行政というものがもっと重要な私は役割を果たしてもらいたいということもつけ加えておるわけですから、これはいずれまた議論をする機会があると思いますが、ちょっと一言申し上げておきます。
○村尾重雄君 この機会に、大臣並びに関係者に要望申し上げておきたい。また、御意見があれば伺ってもけっこうと思うのですが、それはほかでもありません、いわゆる簡単な問題なんですが、私にとれば非常に重要な問題と考えておるのですが、中高年層の就職の問題なんです。先ほど安定局長の説明の中に、今度の雇用促進事業団の中にこの問題を十分考えておるようなお話もありました。しかし、この法案が生まれた経過的な順序を追って措置を見てみると、そうした中高年者の就職の問題について、どの程度成案を持っておられるのかということについては、私は疑問に思うのです。ところが、私から今くどくど申し上げるまでもなく、最近の人命の延長から、特に五十五才の定年制ということが非常に最近問題になってきておる。おかげで労使間の非常な努力で、これがたとえ一年でも二年でも延ばそうということでやられておるところもあれば、まあ五年を目標として六十年定年制延長ということで、五カ年間の延長をしようとしておる努力がされておるわけですが、最近、景気の反映を受けまして、われわれに一つ就職あっせんを頼みに来ても、小学校、中学校、高等学卒及び弱年労働者というものは非常にこれは話しよいのですが、定年をこえられた人の再就職ということは非常に最近困難な事情にあるのであります。この点私からくどくど申し上げるまでもないことだと存じますので、この中高年者の就職あっせんといいますか、就職というよりか、広く失業問題として扱って、単に仕事のあっせんということじゃなしに、再訓練だとかあるいは住宅及び移住資金だとかあるいは資金の貸付というような面にわたって、この雇用促進事業団の仕事全体にわたってお考え願うように私はしていただきたいということを要望申し上げて、これについて御意見お持ちでしたら、お伺いできればけっこうだと思います。
○国務大臣(石田博英君) 御指摘のように、今の雇用問題の中で一番大きな問題で、いわゆるきめ手を探すのに骨が折れるのは、中高年層の就職の問題と、それから中小企業の人不足の問題であります。中高年層の就職の問題につきましては、私が昨年七月就任早々労働省の雇用政策の一つの重点として取り上げるように事務当局に命じまして、その第一段階として中高年層で十分就職し得られる職種の調査を目下急がせておる段階であります。従って、その調査のでき次第——これは私どもの方だけじゃなく、日経連その他の御協力を得ているわけでありますが、調査でき次第いわゆる職業紹介事業の中にもその調査を織り込んでいきたい、言いかえれば若い人でなくて、中高年層で間に合う、その方がむしろ都合がいいというような職種については、職業あっせんその他の場合においても中高年層を雇用してもらうように、職業定安所等を通じての努力をやっていくということであります。しかし、この問題の背景をなしておりますものは、御承知のわが国独得の雇用制度、いわゆる封鎖的雇用制度、あるいは年功序列型賃金にあると思います。しかし、これは長い歴史の上にでき上がったものでありまして、一ぺんにどうこうということはこれは非常に困難でありますが、この賃金体系、雇用制度、それ自身の検討も並行して行なっていかなければならないと思っております。それから私どもの方の職業訓練所では、決して年令の制限をいたしておりません。私が自分で実見をいたしました経験では、五十五歳の定年で終わった人が職業訓練所に——特に荒尾の職業訓練所の第一回の入所者の中に二名おりまして、若い人とまじって非常に一生懸命勉強しているのに非常な感動を覚えたことを記憶しているのでありますが、こういう人たちはやはり職業訓練の機会もあるわけでありますので、特にそういう機会を作り出すことに努力をしていきたい。これは問題を拾い上げ、問題の原因を探求することはできても、それを処理する方法というものはよほど思い切った方法を講じないというと、非常にむずかしいのでありまして、その思い切った方法はやはり職種の調査をして、私どもの職業紹介事業を通じまして、経営者側の協力を得て現実に処理していくということ以外にはないのだ。そうして年月をかけつつ、今の雇用制度、賃金体系というものの検討も——これはまあ相当年月を要する、こういうふうに考えておるわけでありますが、むずかしいことは承知いたしておりますけれども、この雇用促進事業団の一つの大きな課題として取り上げて参りたいと存じておる次第であります。
○藤田藤太郎君 私は、資料をお願いしたいと思うのですが、今の雇用促進事業団の今まで話された、だいぶ固まっているようですから、要綱を至急に一つ出していただきたいということが一つです。 それからもう一つは、最低賃金の今の現状、賃金法適用からくる現状についての資料、業者間協定がどう動いているか、その賃金がどういう工合の位置を占めているか、最低賃金法に基づいて四十八万の適用があったが、それはどういう工合にその賃金指数の中で賃金法の最低賃金がきまっているか。それからこれに関連した家内労働工賃の問題ができているか、できていないか。できていたら、その指数というものの資料を一つ至急に出していただきたい。よろしいですか。
○国務大臣(石田博英君) はい、承知しました。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記やめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) それでは速記始めて。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) この際委員の異動を報告いたします。 二月九日付をもって赤松常子君が辞任し、その補欠として相馬助治君が選任されました。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 暫時休憩をいたします。 午後零時二十五分休憩 ————・———— 午後一時四十五分開会
○委員長(吉武恵市君) それでは午前に引き続きまして会議を開きます。 社会保障制度に関する調査の一環として、厚生省関係昭和三十六年度予算及び一般厚生行政に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○竹中恒夫君 次官にお尋ね申し上げたいと思うんですが、主として今回の医療界の現状に対する厚生当局のお考え方をお聞きしたい。考えてみますのに、過去の厚生行政がずいぶん私は無理があったと考えております。あるいは表現のしようによっては、失敗があったとさえ、私言えると思うのです。そうした無理の累積が今日の事態をかもし出したと考えられるわけですが、これは新聞紙上等にも書いてありまするように、十年来の医療関係者と厚生省との感情的な対立があったということは、われわれだけでなしに、第三者のジャーナリストでもはっきりそういうように指摘しておるところで、厚生行政を進める上において、こういう行き方はこの機会にぜひ改めなきゃならぬと私は思うわけなんです。特に今回のあの両医師会の抗争状況というのをよく考えてみますというと、従来のような単なる医療費の引き上げと簡単には受け取れない向きがございます。と申しますことは、国民皆保険となりますと、医師の収入はもう保険経済においてのみ生活しなきゃならぬというわけであって、従来のように、少々医療保険において.犠牲を払っても他に生活の手段があるんだというような寛容な気持で医療保険に取り組んでおった昔と違いまして、非常に逼迫した事情があるという認識が厚生当局にあるかないか。あるいはあるといたしましても、きわめて、最初に申しましたような感情的な点から言い、あるいはそういうものに対する認識に、私は、欠くるところがあることが、今日話し合いの場を失った一つの理由でないかと考えられるわけです。現在の医療保険制度の保険制度間における開業医の不満ということですね。今の皆保険という保険制度は無理な保険制度だから、開業医の不満ということが問題であり、生活水準が非常に総体的に下がってくる。いろいろな関係からしまして、医療報酬費が低い関係上総体の生活が下がってくる、こういうような問題が一つあります。また、一面医療の官僚統制ということをまあ医療担当者は言うわけでございます。あるいは当局からいえば、官僚統制でないのであって、一つの制度として規格的に診療をやらなければならないというような御説明のようですが、受ける側からすれば、医療を官僚が統制をする結果になっているというような感じを持っていることは、これは率直に私は言い得ると思うわけであります。しかもその間に医療保険制度の運営は保険財政という塩のに重点をおかれまして、保険財政の破綻を来たしては何もならないということで、病気をなおすということでなしに、健全財政ということに重点をおかれた医療行政が今まで行なわれているということは、これは厳然たる事実であるわけであります。そういう考え方のよってくるところは、やはり国がそういう場合は援助するということに対する熱意程度ということによって、私はそういうことが左右されてくると思うのであります。明らかに医療というものは国民の保健衛生の見地からして十二分にやってやれということであるならば、保険財政ということが従になるわけですが、そうでなくして、まず与えられた収入の中でものをやれ、流行病がはやれば患者さんが一カ年間に予想外にふえる場合もあるでしょう。病気の予定コースにない病気をなおすのですから、変動があるのは当然であるのにかかわらず、このワク以外に出てはいけないのだということであれば、官僚とすればやはり何らかの方法で規制せざるを得ぬと思うのです。行政を担当する第一線の人は、ここらは政治的な配慮をしてやらなければ、私は、医療を正しく遂行できないというような感じを持つわけなんですが、そこで、そういうような過去の無理なる失敗が累積して、現在一日休診とかあるいは厚生行政に対する非協力というようなことが新聞にも報じられておりまして、いわゆる実力行使の段階に入ってきた、非常に社会不安をかもし出し、国民のために私は一大不幸であると思うのですが、これの収拾は行政指導の立場にあくまでもあられるのですから、やはり大局的な見地に立脚して、従来の厚生省と両医師会の感情的な対立ということでなくて、やはり大きな見地に立たれて私は当局が指導なさらぬといかぬと思うのです。きょうは大臣おられぬからこれ以上申し上げませんが、大臣の新聞談ですからよくわかりませんけれども、あるいはひとり相撲をとっておるとか、あるいは何を怒りておるのかわからぬというような挑発的な記事が出ておりますがね、これは私は古井厚生大臣の真意を信じておりますけれども、そういう新聞に出るということは何らか似通ったような考え方が記者会見で漏らされたということだと思うのです。何とかこういうことに対しまして、基本的に厚生官僚の立場でなくて、高い視野から大臣なり次官はどういうように今後指導していくか、両医師会に対して、あるいは厚生部会に対しても臨むかという大きな意味の御決意なり方針をまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(安藤覺君) ただいまの御質問にお答えさしていただきます。御質疑の中にお述べになりましたように、この国民皆保険の実現を期していきます途上におきまして、保険団と医師団との間の意見の相違あるいはこれにまつわっての厚生省と意見の相違等々からさまざまなトラブルの歴史を重ねて参りまして、御承知のように、医療制度審議会も、現実には一年有半にわたって開くことができないという姿になっております。このことは大臣御就任以来非常に国民のためにも、また、皆保険を実施する直前の現実においても遺憾きわまりないとしておられるところでございまして、よって来たるべきこの現実までの原因につきましては、いろいろとそれぞれのお立場でごらんになりまして、御意見なり御批判がございましょう。大臣は大臣としての立場においてはっきりしたものを握っておられると存じます。しこうして、ただいまお話のごとく、皆保険の姿にあるとはいえ、少なくとも現憲法下におきまして信仰、言論、思想そして職業の自由は保障されねばなりません。皆保険のことそのことが直ちに職業としての医家の生活に対して、その憲法の保障するところのものをぶち破るがごとき、抑圧するがごときことがあってはならぬと考えられるのであります。従いまして、お説のようなことについては十分に単なる行政としてでなしに、政治としてこれを見きわめていかなければならぬし、施策をしていかなければならぬと考えておる次第でございます。わけても医療技術というものが人間対人間の関係においてなされることが非常に多うございますので、単なる法規一片によってこれを処置していくということはいかがであろうと思うわけでございます。また、国民の生命と財政とがいずれが重いかというようなことにつきましても、完全に保険財政が破綻してしまうというあり方も許されないでありましょうけれども、しかし、そこには生命が大事であるということがだれでも考えられることでありますので、これらの点を論じて参りますれば、あるいは制限診療の緩和とか、自由診療の範囲の拡大というようなことにもなりましょうけれども、それらの点においても十分政治的な配慮をされていかなければならないであろうと考えるわけであります。
○竹中恒夫君 医療保険に対しまする基本的なお考えをただいま次官から承りました。非常に私満足に思うわけです。どうかただいまの御答弁の通りの考え方をいついつまでもお持ちになって、部下の御指導なりあるいは政治をなさる上において反映をさしていただきたいと思うわけであります。 そこで私、これも直接大臣に申し上げなければならぬ筋合いのものなんですが、このことは次官を通じて大臣に御伝達願いたいのですが、先般大阪においでになられたときに、記者会見をなさって、それが新聞に出ておるのですが、社会保障制度の長期計画並びに医療保障の大改革ということについての談話の発表がございました。内容は、私はしさいに、新聞で検討したわけなんですから、直接大臣の御意向を聞いたわけではございませんが、新聞紙上のあの内容によりますと、まことにけっこうなお考えでございまして、傾聴に値し、共感の深いものでございます。従いまして、私はあの通りのお考え、今のいろいろなトラブルとは別に、あくまでもそういう長期的にしかも医療も合理的にやるんだというお考えを発表なさいましたことについては敬意を表しますが、ここで私が特にお願いしておきたいことは、せっかくのそうした非常にわれわれが傾聴に値する考えでございましても、従来の例を見ますと、歴代の厚生大臣が、やはり御承知のように、任期というものがございますので、ある時期がくれば更迭なさるわけで、そういたしますと、更迭なさるとせっかくの今の古井厚生大臣の傾聴すべき考え方が一たび大臣のいすを去られると厚生行政に対する発言権が非常に弱まってきておるということが過去の厚生大臣の方々の実情であるわけです。そこで私はせっかくそこまでいい考えをお持ちいただいて、そしてしかもあの信念的な大臣でございますので、この際任期中にこういう万人が見ても非常に歓迎するようなこの案に対しては、至急に青写真を作り、設計図を作り、レールを敷いてもらって走りだすということでなければ、私はおよそ意味がない、画餅に帰すると思う。あの内容の中に、医療費を取り上げましても、これから問題にしようとする制限診療の問題にしてもすべて解決することになっております。非常に私は、あれは卓説であろうと思われるわけでありますが、これが口頭禅になって、ただ旅行先の大阪で気楽な気持でしゃべったということでなくて、そういうお考えがあるならば、何とか在任中にぜひレールを敷いてもらいたいと思うのですが、それの見通しなり決意のほどを実は御本人から承りたいわけですが、当然次官としてもこういうことに対しましては御同様であろうと、また、同様でなければならぬと思うわけですが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(安藤覺君) まずもって、ただいまの御質疑の内容は、間違いなく大臣にお伝えをいたします。しかし、この場合、私の大臣における考え方について、存じ上げている限りを御紹介申し上げて、答弁にかえさせていただきますならば、大阪における、厚生関係における社会保障の長期計画という発言におきましては、あれは間違いなく大臣の思想であり、かつまた、あれを実現することに非常な熱意を持っておられます。特にただいまのような御共鳴のお言葉をいただけば、大臣も一そう勇気を持って乗り出すでございましょう。ただ、申しておりますことは、この長期計画というのは一朝一夕にはなかなかできがたいのであって、相当の時間を要することであるから、今ここに十日の間に作成して出せとか、あるいは一カ月の間に出せとおっしゃいましても、それはできないことであろうけれども、必ずや、このお話のごとく、せめて青写真、あるいはレールでも敷いておくというようなことについては、何らかの端緒をつかむべきであろう、かように私も考えているわけでございます。 なお、この点は重ねて申しますが、よく大臣にお伝えいたしておく次第でございます。
○委員長(吉武恵市君) 厚生大臣は間もなく出席されるそうでございますが、予算委員会が二時二十分ごろから始まるそうですから、あまり時間はございませんけれども、必ず出席するそうでございます。
○竹中恒夫君 では次に、これは政務次官にお聞きするのは筋違いと思うのです。事務次官なり保険局長に聞きたいのですが、今までお聞きしたのは、まあ基本的な対策を聞いたのですが、医療対策についていろいろ私は考えなければならぬ点が、当局もあろうと思うのです。現状の分析をどういうようになさって、どう受け取っておられるかということ、先ほど申し上げましたように、相当今回の両医師会の結束、決意というものは非常に深い。しかも長期交戦というふうなことが新聞等にも出ており、私も深憂にたえないのです。相当今までのような考え方で厚生当局が物を処理されたならば私はいかぬと思う。十二分に話し合いを必要とするのですが、昨日も社会保障制度審議会における中医協の問題等があった。その点はまたあとで質問いたしまするが、そういうふうに具体的に、このもつれた時局を収拾するには、もっともっと率直に事務当局の方も虚心たんかいな気持で話し合う必要があろうと思う。今回の引き上げ一〇%とか、病院格差問題とかいろんな問題がございまするが、そういうことについて両医師会にどれほどの話し合う努力をなさったのか。ただ、新聞紙上にアドバルーンを上げて反響を見るというような、従来の厚生省の行き方では私はいかぬと思うのです。今までの多くの厚生行政を見ておりますというと、何か考えがあったときには、一応新聞に発表して、アドバルーンを上げる。そうしてその両医師会の反響なり抵抗状況を見て、自分の最初考えたものに近いようなものにやはり持っていくというような、何かそれこそ診断をしてものを考えるというような行き方は、私はこの際とらない。そこまで問題がもつれてくれば、一切そういう過去の行き方をやめて、もっともっと率直に話し合いをする必要があると思うのですが、一体今までどういう話し合いをなさったのかということと、今後そういう話し合いをするのだという決意があるかどうか一応お聞きしたい。
○政府委員(安藤覺君) 事務次官なりあるいは保険局長なりというお言葉もこざいましたが、今おりませんようで、私から私たちの関しましたことについてはお答え申し上げたいと存じますが、大臣におかれましても、私におきましても、一応、武見会長さんとも、また、太田副会長さんとも、表だってではなしに、医師会のお考えになっておられるところ、また、ある場合においては、われわれどもの考えておりまする点等についてもいろいろとお話し合いをする機会は数度にわたって持ちました次第でございます。しかしながら、私の存じております限り、また、私自身におきましても、あの医療費値上げ予算に関しまして、あれの内容の分配とかいうようなことについてはあくまでも医療制度審議会へかけて、そこの専門家たちのまとまったお話を受け取っていたしたいという建前を取ってきましたので、医師会側の御要望なさるところのものに対して明確なお答えができないことは事実でありますが、いずれにいたしましても、数度にわたって、われわれどもといたしましては御意見も承り、われわれの意見も述べさしていただいたようなことでございまするが、今後におきましても、なおそうした態度は続けていきたい、かようなふうに考えておるわけでございます。
○説明員(山本淺太郎君) 補足して申し上げます。 今回の医療費改定の問題でございますが、申すまでもなく、医療費の改定ということは診療担当者にとって、先ほど政務次官のお話の通り、また、竹中委員の御指摘の通り、皆保険になりました場合におきましては、社会保険の診療報酬が、いわば診療担当者の死命を制するというような重要な役割を持っております。また、同時に、半面被保険者の負担とか、あるいは国家財政にも非常に大きな作用を持つ、本質を持ちますことにかんがみまして、事務当局といたしましては、今日得られるあらゆる資料を用いまして合理的な、より合理的な結果が出るような作業をすることに努めて参った次第でございます。大ざっぱに申しますと、昨年の九月以来保険局におきましては文字通り昼夜を分かたず連続の作業をいたしまして、いろいろ資料が古いといったようなことのために、この作業は予想外に困難を呈しまして、昨年の暮れにまで及んだ次第でございます。その間、大部分につきましては一応ほぼこういう試算でいいのではないかというめどもついたものもございますけれども、先ほど言いましたように、この医療費の問題は及ぼすところきわめて重大であるという関係もございまして、新聞等に部分的なものが漏れるというようなことになりますというと、また、そこに非常にいろいろの誤解等が生ずることをおそれまして、極力外部に漏れないように作業をいたした次第でございます。もちろん、御指摘のように、診療担当者及び保険者団体あるいは被保険者の代表の方々にも、いずれ試算がまとまりましたあかつきにおきましては、いろいろと御意見をお聞きし、終局にはただいま政務次官がお述べになりましたような中央医療協議会にお諮りいたしまして、ここに出ておりまする各方面の代表の方々及び公益の学識経験者に縦横無尽に御論議していただいてきまる筋と考えておったのでございますが、事務当局の試算がようやくまとまりましたのが、先ほど申しましたように昨年の暮れでございます。それで、とりあえず自由民主党の方にもいろいろ御説明をしなければいかぬというようなことで、実は山中委員会に臨んだ次第でございますが、その際には、厚生省の考えを述べる余裕がございませんでしたために、ただいま御指摘のような、事前に関係の団体に御相談するというような手順には参らなかった次第でございますが、先ほど政務次官がお述べになりましたように、この問題は、厚生大臣としてはいわば白紙の立場で臨みまして、昨日、社会保障制度審議会に諮問いたしまして、おそらくは得られるであろう新しい組織といいますか、機関にお諮りいたしまして、竹中先生のおっしゃったような診療担当者の御意見等も十分に聞かしていただきまして、最終的にまとまるものがまとまると、こういうふうに考えているのでございまして、気持の底には、ただいま御指摘のような趣旨は十分今後も体していきたいと考えている次第でございます。
○相馬助治君 関連して。安藤政務次官にお尋ねしますが、数度にわたって武見医師会会長等と話をしたと、こういう御答弁ですが、竹中委員の質問は、党と医師会がプライベートに話したかなんということを聞いているのではなくて、いつでも医療費の問題については、厚生省が官僚を中心としていろいろ積算の基礎をきめて、計画案を立てて、そうして発表して、発表してからいつでも問題を起こしてお医者さんが騒ぎ立てるという、患者の感覚からいたしますれば、何ともやり切れないような問題が起きて、問題を紛糾させて今日にまで至っているので、だから今度は、厚生省としては医療関係団体と話し合いをしたのかと、こういうふうに竹中さんが聞いている。何かプライベートにしゃべったかなんというのではなくて、機関として話したかと聞いている。そうしますと、あなたは、数度にわたって話したと言うが、数度にわたってどういう機関で話したのですか。自民党にものを聞いているのではなくて、厚生省にものを尋ねている。− 竹中さんも私も尋ねているのですが、どういう機関で、いつ、どんなことを何回しゃべったのですか。
○政府委員(安藤覺君) 私、御質問の趣きをはき違えてお聞き取りいたしましてお答えいたしました。御指摘のような意味合いにおきましては、いまだ話し合っている事実を私は存じません。私が、先ほどお話し合いをしたというのは、ある厚生省という機関を通して医師会という機関とお話し合いをしたというのではなくて、厚生大臣である古井喜實という——肩書は持っておりますけれども——いう人が医師会会長の武見さんとプライベートにお会いして、いろいろ御意向のほどを伺ったり、こちらの考え方なども述べたということでございまして、形の上において正式の会議を持ってというような意味においては話しておらぬと思っております。
○相馬助治君 そうだと私も思うのです。今、保険局次長が、コンクリートされないうちにいろいろな計画案が漏れると、騒ぎ立てられてかなわぬという中には、医師会も、歯科医師会も、薬剤師会も入っているわけなんです。こういう人たちに騒がれてはかなわぬというふうに官僚の方は考えていて、次官や大臣の方は、医師会の会長さんやいろいろな人を呼んで話をしても、もともとそれは考え方の基礎が食い違っているのであって、そうして竹中委員が指摘するように、大臣や政務次官の任期は短く、厚生官僚の任期きわめて長いというこの段階の中では、いつでも同じことをやっているということを心配して竹中委員が質問をしたと私は思うのです。私は関連質問ですからこれは批判いたしません。そうすると、確認しておきますが、今度のことについての医師会、薬剤師協会、歯科医師会等には正式には話し合いは何ら持っていなかったということだけ私は承知して、関連質問だからやめておきます。
○鹿島俊雄君 ただいま保険局次長の答弁の中で、昨年末まで医療費算定の問題について検討を加えてきた。これは漏れると非常にまずい、物議をかもすというので極秘でやってきたというのでありまするが、ところが、あなた方御承知の通り、新聞紙に病院と診療所に格差をつけるというようなデータを発表しております。これは、はっきりと保険局長が報道関係に発表しておる。この事実は、あなたの答弁とだいぶ違いがある。その点についてはっきりと答えていただきたい。
○説明員(山本淺太郎君) お答え申し上げます。 保険局長が厚生省の記者クラブで発表したことは私も存じておりますが、これは先ほど申し述べましたように、医療費改定の試算がおおむねまとまりまして——特に当初の政治情勢からいたしますと、医療費の改定は来年度の当初予算に組む、組まなければならぬということが非常にはっきりいたしまして、その明年度予算に計上する一つの額のめどといいますか、それは幾らにすべきかということを試算いたさなければならなくなったわけでございます。従いまして、保険局長は、記者団の強い御要望がございまして、明年度予算の積算の基礎を申し上げたのでございまして、そのような時期は、先ほど私が申し上げましたように、外部に漏れることを、極力そういうことのないように作業を進めた終末の段階でございまして、いわゆる作業の過程において厚生省の保険局長が発表したというものでないということだけ一つ御了承いただきたいと思います。
○鹿島俊雄君 過程において発表しない。しかしながら、これらのそれに関連する事柄がしばしば新聞紙上に発表されておる。それについては、漏れたというような答弁なら了承しますが、終末になったので過般の病院、診療所格差を発表したというが、さようであれば、終末においてまず関係団体に諮るべきものであると思うのであります。にもかかわらず、それらを全然無視しておいて、これを一般大衆に発表するという態度は少なくとも納得できない。従って、これをあくまでも妥当な発表だったということをあなたが固執する場合においては納得できない。そこに大きな矛盾がある。そこのところを保険当局は十分に考えておかないと、ますます今後の収拾については円満なものが私は得られないと思う。こういう点についてなお重ねて私ははっきりと聞きたい。終末の状態において発表したというが、あの病院と診療所に格差をつけるというがごとき発表によって、大多数の個人診療所に大きなショックを与えておる。今日混乱の原因がここにあるということを言っても私は過言でないと思う。こういう政治的配慮をもって事務当局が発表しているかどうか。これについて私は次長並びに政務次官の見解も承っておきたいと思います。
○政府委員(安藤覺君) 御指摘の点につきましては、私自身が、その後における医師会のあるいは歯科医師会等々の関係団体の御不満の様子等も見ておりまして、まことに私の方において適正でなかったということを感じまして遺憾に存じておる次第でございます。もしあれがせめてもに保険局の試案としてこういうものができたのだというような前書きでもついておりますれば、まだよろしかったのでございましょうが、今承りましたような発表というような形になったものでございますので、まことにその点は遺憾に私存じております。今後におきましては、これらの点についても私たち熱意を持って当局に態度を指示していくようにいたしていきたい、かように存ずる次第であります。
○鹿島俊雄君 政務次官の誠意についてはよくわかりますが、重ねて山本次長にお尋ねしたいことは、今私が質問したような事柄を当然医療協議会等においてこれを発表し、あるいは諮るべき事項と私は考える。にもかかわらず、これらの機関を全然無視し、また、関係団体の意見も徴せずして発表したということはきわめて遺憾である。政務次官はその点を認められておるが、次長に——私はきょうは局長がおらないので詳しくは次回に譲りますが、次長に重ねてその点を私ははっきりと聞いておきたい。そういう発表をしたことは妥当であるかどうかということにつきましてはっきりと聞いておきたい。次長の答弁を求めます。
○説明員(山本淺太郎君) ただいま政務次官がお述べになりましたので、加えて申すことはほとんどございませんが、十分留意していきたいと存じます。 ただ一言、釈明になりますが、厚生省におきましては、各部局とも予算要求をいたします際に、各項目にわたりましてこういう積算でこういう事業内容をやりたいという詳細な記事を出すという慣例になっておりますことによりまして、世の注視を浴びておりました医療費の改定の問題でございますので、幾ら上げるのだ、それはどういう積算によってやるのだということを強く要望されましたために保険局長が発表したことと考えておりますが、ただいま政務次官のお述べになりましたような趣旨を体して考えていきたいと存じまするし、また、私個人といたしましても、発表の仕方等にただいま御指摘のように、非常に誤解を一般に与えるような表現もあったのでないかと、事務局におきましても反省をいたしておるような次第でございますので、何とぞ御了承をお願いいたしたいと思います。
○鹿島俊雄君 重ねてもう一言。そうすると保険局において、当局は病院、診療所の格差をつけるということは考えておらない、かような考えでありますか、どうでありますか。
○説明員(山本淺太郎君) 格差という日本語の一般的な通念はいろいろあると思いますが、差別待遇をするといったような意味の格差ということは毛頭当初も現在も考えておりません。ただ、これは全く事務の考えにすぎませんが、大臣は白紙の立場で臨むと言っておられますので、今そういうことを考えておるというわけではございませんが、当時の保険局長が発表した気持の底には、現在病院の収支というものが非常に苦しいという状況が強いというようなことでそのようなニュアンスの発言があったのだ、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
○鹿島俊雄君 答弁は了承しませんが、質問は保留して他に譲ります。
○竹中恒夫君 両委員が関連質問で、私が各論でお聞きしようと思ったことが議論にだいぶ出たのですが、従ってまた、蒸し返すかもしれませんが、御了承願いたいと思います。今の御答弁の中で、次官に一言申し上げてみたいのですが、プライベートで御指摘になったお二方と会われた、これは非常にけっこうですが、プライベートで会われるということがあるならば、薬剤師協会も歯科医師会もあるわけなのです。やはり関係諸団体にそれぞれお会いいただきませんというと、誠意というものが正しく公平に出ない、こう私は思う。今後そういうことのないように一つ十二分にお考え願って、積極的にあなたの方から会見を申し込む場合もあるでしょうし、あるいは関係団体から会見を申し込む場合もあるでしょうけれども、同様なテンポでやっていただきませんと、一方の団体は問題を知っておったのに一方の団体は知らなかったということでは、これまた物議をかもしますので、十分御戒心願いたいと思います。 それから今の次長の御答弁ですが、差別待遇をしない格差というものは一体どういうものか、私は了解に苦しむ。あなたは前置きとして日本語はむずかしいとおっしゃったので、そういう言葉じりはつかまえませんが、やはりそれほどデリケートな問題です。差別待遇はしないというが、では何が格差だと反問したいほどこれは非常にデリケートな問題でして、相手方を挑発する言葉ですから、新聞に発表なさる場合におきましても、十分に御戒心願いたいと私は思う。特に鹿島委員が今指摘したように、ものがコンクリートされるまでに外部に発表されると非常に刺激、摩擦が大きいという御配慮はわかります。わかりますが、コンクリートする前に関係団体の意見を一応お聞きになる必要があると思う。正式な土俵としての中央社会保険医療協議会に諮問することは当然です。そこに出す前に関係団体の方に、当局としては、こういうことについてはこういう考えを持っている、お前さんの方はどうかということを、やはり十二分に御協議なさらないということが、歴代いつでも問題が悪化する原因だろうと私は思う。やはり秘密保持は秘密保持で必要でしょうが、軍機保護でもないわけですから、何もそういうことが、かりに漏れたところで、関係団体より先にほかが知っておったというような漏れようはおもしろくはありませんが、関係団体へ言ったから漏れたという方が、私は事態の収拾がしやすいと、従いまして、秘密保持が官庁で必要であるならば、その建前においてもちろん順序としては、関係団体の意向を聞くという心がまえがなければいかないと思うが、どうですか。
○説明員(山本淺太郎君) 十分お言葉のほどを体していきたいと思います。
○竹中恒夫君 次に、お聞きしたいのは……。
○委員長(吉武恵市君) それでは厚生大臣がお見えになりましたから……。
○竹中恒夫君 大へん同じようなことになりまして、同僚議員に申しわけございませんが、一応この機会に大臣に対して私お伺いいたしたいと思う。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと竹中委員に申し上げますが、先ほども申し上げましたように、厚生大臣は予算委員会に二時半の約束をしておられるそうでございます。でありますから、時間が非常にございませんので、大事な点を簡潔にお願いをいたします。
○竹中恒夫君 大臣にお伺いいたしますが、先般大臣が大阪に出張のみぎり、記者会見をなさった記事が新聞などに出ております。従いまして、新聞記事でございますので、私は、その信憑性についてはあまり確信を持ちませんが、しかし、そのニュアンスなり考え方の大かたは出ておったように思います。で、それについてここでお聞きするわけですが、先般、大阪でお述べになりましたのに、社会保障制度に対しまする長期計画ということについて相当具体的にお述べになったように新聞に出ておるわけでございます。同時に、医療保障の大改革ということにつきましても現在の、今の問題は別として一つの考え方としての大方の行き方についてのお考え、構想の一端が出ておったのを承知いたしておるわけでございます。その内容は、私拝見いたしまして、非常に傾聴に値するものであり、全く共感を深うするものでございますが、ここで私がお尋ねしたいことは、そういうお考えが事実であるかないかということが一点、もう一つ大事なことは、かりにそういう抜本的なわが国の社会保障なり医療保障というものを正しい姿へもっていくのだという大きな決意をお持ちになるとすれば、よほど重大な覚悟を持たなければ、これはなかなかできないと思うのですが、従いまして、今までの例から考えますというと、歴代の厚生大臣が社労委員会等でいろいろと理想なり抱負をお述べになられまするが、やはり任期がございますので、せっかくのお考えが一つも行政面に反映してこないというのが現実の姿でございます。非常に私は残念に思う。古井厚生大臣が五年、十年と大臣であられることを私は望むわけなんですが、やはりそうもいかぬ事情もあろうと思うのですが、従いまして、せっかくそういう高遠なお考え方、国民が双手を上げて歓迎するような考え方を、この際せめては青写真なり、設計図をお作りいただきまして、御任期中にレールを敷いて走り出すということでなければ、もとよりこれだけの問題ですから、短時日にできないことは承知いたしまするが、レールに乗って走り出すのだというレールを敷いてもらいませんというと、古井さんがおやめになったら、その考え方を今度は厚生省におっしゃっても発言力というものはきわめて厚生行政の上に反映が薄いわけです。大臣であられることによって発言権が如実に行政面に現われるわけでございますので、そういうお考えがあるかないかということと同時に、そういうことについて、ではよし、何とか自分の任期中にほかの仕事は別としてこの問題についてはレールを敷こうという決意があるのか、信念的な大臣であられますので、私非常に期待を持っておるわけなんですが、明快な御回答をいただきたいと思う。
○国務大臣(古井喜實君) 大阪の記者会見のことが記事に載っておったようでありますが、大体は私がしゃべったことを正直に書いておったように思っております。それで、今度の予算を組んでみましてもつくづく感じましたことは、どうも一つ一つよいことには相違ないけれども、行き当たりばったりにものに取り組んでおるような感じがしてならぬのであります。で、そういう行き方も、ある時期まではよいだろうと思うのです。何でも、一つでも二つでもよいことだったら実現していくという行き方も、ある段階はよいだろうと思いますけれども、きょうの段階になりますと、予算も全体として相当大きくなってきましたし、いろいろな問題が頭は相当出してきたわけでありますから、もうそろそろこの一つでも二つでも行き当たりばったりというふうに考えないで、全体的に、体系的に社会保障という問題を考えて、そして今までのことも振り返って検討してみる。くいはたくさん打ったけれども、乱雑になっているかもしれないし、そういう辺を今までのことも全体としてながめてみる、それから将来に対しても、よその進んだ国の制度等とそろそろ同じようになる努力をしてもよい時期だと思いますので、何が日本としては欠けているのか、日本のまた実情から言って何が急を要するのか、そういうことも検討をして、順序緩急も考え、これも長期的な計画的な立場で実現していくようなことを考える時期になったのではないだろうか、そういう方面にこれからむしろエネルギーを使わなければならぬじゃなかろうか。私も、きょうでもそうでありますけれども、今までの懸案を解決するということに正直なところ精一ぱいでございまして、たまっておる仕事の解決にもう全力を尽くしても足らぬような実は実情であります。きょうもそうでありますけれども、何とかたまったものを解決した上に、今度は前向きに体系的な整備と計画的な前進を考えるということに早くいきたいものだ、この懸案や予算のきょうの問題が大体のめどがつけば、それに今度は本格的に取り組んでみたいものだという気持が私も強くいたしますので、そのことを申したのであります。私は、ぜひそういう努力をしてみたいという気持があのときも、きょうも同じように強くあるわけであります。そういう状況であります。
○竹中恒夫君 これも大臣のおられる間にお聞きしたいと思うのですが、予算書によりますと、一〇%の医療費引上げに対する財源として七十四億何がしの予算が計上されております。巷間伝えられるところによると、あるいはまた、常識的に考えまして、一応七十四億円というものの予算が決定すれば——三月一ぱいにならぬと決定しないわけですが、決定すれば、コンクリートされた七十四億円で医療費の引き上げをまかなうという考え方が一応だれでも考えられるのですが、一月十八日の自民党内で予算がいろいろと論議されて厚生大臣との間に決定なされた翌日の新聞に、池田総理の、中央社会保険医療協議会の決定を見るいとまがなかったので、とりあえず考えられる数字を載せた、こういう新聞談話が出ているわけであります。私は、こういう立場でありますから、直接総裁なり総理にお会いして、じかに聞いたわけじゃないが、その表現は、必ずしも七十四億円に限るのじゃないのだ、こう受け取れるのですが、予算折衝の経過から、大臣としては、どういうふうに受け取り、大蔵大臣とのやりとりの結果、どういうふうになっているか、その点をお聞きしたい。
○国務大臣(古井喜實君) 池田総理が申しましたこととぴったり一致もいたしませんけれども、総理の言ったのは少し大づかみ過ぎると思いますが、幾らか私も共通の気持を持つ点もあるのでありますが、まるでつかみ金を載せたと、それほどまでには思っておりません。もともと申せば、先に医療協議会を開きまして、そこで審議をして、幅と方法をきめた上で、これをもとにして予算を組むのが筋道だと私は思います。そうしたいと思ったのです、去年から。しかし、どうにも医療協議会がそこまでの運びにいきませんので、さらばといって医療費の引き上げを一年延ばすということもできないと考えたので、ともかくも、厚生省の事務当局で手の届く限りの資料をもとにして、どれだけの医療費の引き上げをこの際考えるべきかという数字を出しましたのが一〇%というものになっております。それをもとにして予算を組むほかはない、こういうことでそれをもとにして予算を組んだわけであります。しかし、今申し上げたように、医療協議会も開かずにやったことでありますし、また、法にきめた通りに医療協議会にかけたいのでありますから、そこで筋を通して医療協議会において御審議の結果、これではどうも足りないと根拠をもっておっしゃるならば、経過が経過でありますから、考えることはこれは考えなければなるまい、方法論は、私は、いつも申しますように白紙であります。医療協議会という場があるのにこれを使わぬで勝手にきめるということは、今の制度の法の建前を無視するものだと思います。筋を通したいのであります。そこで、どうきまっても一向異存を申しません。けれども、これは、これからの私としては白紙の問題でありますから、幅の問題についてもそこで審議された結論を見まして考えるべき点があったら考える、こういうことをするのが筋道上あたりまえじゃなかろうか。ただ、ルール、筋道をはずれてそれ以外の場において上げるとか下げるとかということは、私は、好まぬのであります。そこで、今度は、医療協議会というものがよいにせよ悪いにせよ動きませんから、これが実情ですから、きょう始まったことじゃない、長い間そういうままにほうってあったのですから、私も困っておるのです。動かぬ車に乗って歩けと押しつけられて、私も困っておるのです。これが円満に動けるようにいかないものかと、こう考えますので、医療協議会を動く車になおせないかということを実は勇気を持って取り組んでみようと決心をしたのであります。きょうは何とかかんとか片をつけましても、将来さもなければ同じことを繰り返すほかはないと思いますので、実はこの医療協議会の問題にも取り組むということにいたしたようなことでありますが、考えのもとは今申した通りのことでありますので、十分の時間がなくて意を尽くしませんが、私の考えを一応申し上げたのであります。
○委員長(吉武恵市君) 竹中委員に申し上げますが、予算委員会がもう始まったそうでございまするので、あとは次回にお回しいただきまして……。
○竹中恒夫君 ではけっこうです。 続いて、では次官並びに次長にお尋ねしたいと思います。今の医療界の状況をごらんになって、何が問題点か、争点がどこにあるかということの御認識が一体どこにあるか、私は、お聞きしたい。まあ私どもの考えでは、両医師会としては、医学の進歩、医療の本質を守るということにおける制限診療あるいは治療指針の問題、差額徴収問題等具体的に出てくると思うのです。制度上の問題としては、中医協の問題あるいは支払い方式、事務の簡素化あるいは各種医療保険に関係を持った総合調整、関係法規のこれまた総合調整のことがあると思うのです。人権問題としては、昨年のような監査の行き過ぎとかあるいは個人指導に対する方法等についても相当問題があると思うのです。それから医療報酬金についても御承知の通り、いろいろな問題点があると思うのですが、こういうような問題点の中で、予算に関係のない事柄で、直ちに実行し得る問題がずいぶんあると思う。 まず第一に、次官にお聞きしたいことは、予算の伴うことで新しいことをこの場で要求いたしましてもそれは無理なんですから、予算の伴わないもので、対人関係で、医師の人格を信頼することによって医師会、歯科医師会の争点になっておることが解決できる問題はすみやかに解決すべきであろうと思うのですが、その点についてのお考えを承りたい。また、できないならば、どういうわけで行政上できないのだという理由があればそれも承りたいと思います。
○政府委員(安藤覺君) ただいまの御質疑に対しましては、先般、大臣の命を受けまして、私、世田谷の医師会のたまたま診療費請求のための準備行為としての事務の整理をなさっておるところへ見学させていただきました。思うにまさる繁雑な事態をお見受けいたしました。私自身といたしましても非常に驚いたわけでございます。その実情等も逐一大臣に御報告申し上げました。しかるところ、大臣から保険局長に対して、ただいま先生御指摘のような意味において、予算を伴わない法律改正というようなことに及ばぬでも、大臣の指示によってなし得る簡素化というような問題があると思うから、それらの点を問題点を取り上げて一応私に示してくれということを御要求になりました。その回答も近く出ることでありましょうし、先生の御要望のごとき線に沿っていくことと存じております。
○竹中恒夫君 まことにけっこうなお考えで、ぜひさよう御実行願いたいと思います。 次に、中医協の問題でございますが、昨日、社会保障制度審議会に、医療費の支払い方式に関連して中医協の問題が諮問されたようであります。私よく理解ができないのですが、あれはもとより総理の諮問機関でございまするが、場合によっては厚生大臣が諮問してもいいということになっておるのか、なっておらないか、よく存じません。あるいは了解の上でなさったことは当然でしょうが、そういうことを問題にするのでなくして、あの審議会にどういうことを諮問なさったのか。新聞の記事によりますというと、中医協の改組を諮問し、あわせて医療費の算定基礎を答申してくれ、二つ諮問したような新聞記事もございまするし、あるいは中医協の改組とか何とか言わずに、全然白紙でやって、今回のような医療費の問題を、いつまでも今の制度では工合が悪いから、一つ円満に将来いくように、何とか医療費算定についていい方法はないかという諮問であったのか、その点をお聞きしたいのです。
○政府委員(安藤覺君) お答え申し上げます。社会保障制度審議会に厚生大臣から諮問いたしました内容は次のようなことでございます。「社会保険等の適正な診療報酬を定めるため採るべき方途について「社会保険等の適正な診療報酬を定めるため採るべき方途につき、貴会の意見を求める。」これに対しましてさらに大臣から説明を申し上げました。その説明は、「国民皆保険の達成にともない、医療保険等について今後検討すべき問題は多岐に亘ると思われるが、とりわけ、適正な診療報酬をいかにして定めるかは、わが国社会保障制度推進の上から、きわめて重視すべきであることはいうまでもない。もともと、診療報酬は、医学医術の進歩と国民経済の推移に照応して合理的に定められ、関係者はもとより、ひろく国民全体が納得するものであることが必要であると考えられる。 政府は、本年七月一日から、社会保険診療報酬の改定を予定しているが、今回の診療報酬改定の円滑な処理を図ることをも含め、医療保険等の確立と前進に資するよう診療報酬を定める方途につき、貴会の意見を求めることとした次第である。 おって、本件については、二月末日までに答申が得られればしあわせである。」こういう説明をつけておられるのでございます。 なお、一言申し添えておきますれば、その席上における質問応答等の場合におきまして、大臣は、ただいまお言葉にもございましたように、白紙で臨んでいるということを申しておりましたことをつけ加えておきます。
○竹中恒夫君 よくわかりましたが、そのお考え方で二月の末日という期日を限って回答を求められたということですが、だんだんとそれから先のテンポを考えてみますというと、相当私は疑問が出てくるわけです。それは、今の質問の本質とは変わってくるわけなんですが、当初あなたの方では医療費の引き上げは四月一日実施だということを、公約と申しますか、新聞にも発表なさったわけなんです。で、それが延びた理由を私は承りたいのです。で、今度は、自民党の政調会ではいろいろな事情がよく当局にわかられたのでしょう。五月一日からということでまた新聞の発表があったわけです。われわれも一月くらいやむを得ぬのだろうと思って読んでおりましたら、いよいよ十八日の予算決定のときには、どなたにもお断わりなく七月一日だというように、全く切り捨てごめんの一方的な御都合によって発表なさった。そうすると、今御諮問なさった医療費の算定基準、あるいは算定方法というものは、なかなかそう簡単に私は決定するものではないと思う。二月末日までの答申の期限を切られれば、それに間に合わすようなものしか私はできないと実は考えるわけです。それから答申に基づいて法律改正なり新しい法律を作るわけですから、国会で、衆参でこれは論議するということになって、それにきまって今度は中央社会保険医療協議会というものにかわってその場で審議なさるのやら、あるいは中央社会保険医療協議会というものを、一体これとの関連においてはどういう取り扱いをなさるのやら、全く今のところただいまの御報告だけでは、われわれには理解ができない。従いまして、質問を整理しますが、四月を五月、七月に延ばした理由、そういうことを一方的にして国民に対していいのかということ、それから白紙で——何でも白紙白紙とおっしゃるが、白紙ですべてのことを、そういうことをなさって、七月に間に合うのかどうか。こういうような点が、私は、この医療協議会に対しまする、きのうの諮問に対しまする疑問点であります。御解明願いたいとおもいます。
○政府委員(安藤覺君) 四月一日と約束しておきながら、七月一日に勝手に変更したことはいいと思うのかということでございますと、これはまことに遺憾なことに存じます。ただ、その変更された事情について私に答えよというお言葉でございますが、この変更された事情につきましては、事務的な手続もいろいろあったでございましょうし、大臣御自身がいろいろそれぞれ折衝なさっている間にお考えにならねばならぬこともあったろうと思います。不幸にして私それらをつまびらかにいたしておりません。まことに申しわけございませんが、この点については、他の機会において大臣から直接お聞き取りを願いたいと存じます。 さらにまた、今社会保障制度審議会にこのことをかけて、七月一日に間に合うかというお言葉でございまするが、これにつきましては、二月末日に回答を得ました暁において、さらに検討を加えますと同時に、これを法文化して国会の御審議をいただいて、実現する次第でございまするが、極力できる限りの努力を続けまして、これこそもし七月一日の実施に間に合わぬというようなことになりましては・重ね重ねのことで申しわけございませんので、あくまでその実現を期するようにいたしていきたい、かように考えておられ、私もまたお手伝いするつもりでおります。
○竹中恒夫君 事務局、あるのですか。
○説明員(山本淺太郎君) これは大臣のお気持の憶測でございますので、ただいま政務次官のお話のように、直接大臣がよろしいと思いますが、私ども間接に承った範囲のことにつきまして若干申し上げますと、大臣といたしましては、先ほどお述べになりましたように、当時におきましては、現在の中央医療協議会にかけなければいかぬという基本のお気持でございまして、その中央医療協がなかなか動かないというような現実がございますので、おそらく当時としては、診療担当の方々にも円満に出ていただけるような工作にある程度時日がかかるのじゃないかというような御判断が一つにあったと思います。それから幸いにしてそういう審議機関が動き出すということになりますと、従前の診療報酬の改定の際の審議の経過から見まして、やはり二、三カ月はかかるというようなことも御判断せられたのではないかと思います。それから言うまでもございませんが、診療報酬が変わりますというと、これを官報に告示いたしまして、医師の方々、歯科医師の方々は申すに及ばず、基金の事務職員等が全部新しいものを知るという期間が必要でございまして、これも従前の例でございますと、やはり一月以上かかる。まあそういうようないろいろ判断を積み重ねられまして、七月一日というふうにせられたのではないかと思いますが、予算の最終段階でそのようになったと承知いたしておる次第でございます。
○竹中恒夫君 四月が五月になり、七月になったことについては、大臣の意向はよくわからないがという前提でまあ承ったわけなんです。医療協議会に両医師会が出られないからということによるということになりまするというと、責任が両医師会にもあるようにも聞えるのです。また、反面おっしゃったように、新しい行き方をした場合は、一月ぐらいの準備期間が要ると、これは当然ですが、それは四月であっても七月であっても同じなんです。だから一向に私としては今の御答弁では納得がいきにくいのですが、時間の関係もございまするので、次の質問に入りたいと思うのです。 次にお伺いしたいことは、医療費を一〇%引き上げれば妥当だという結論になられた、その根拠を御説明願いたいと思う。両医師会の方では三〇%ということを主張しておる。その三〇%の根拠を僕らは聞いて知っておるのですが、当局は一〇%でいいのだ、当時そういう問題になった格差問題等もあわせて、個人開業医は一〇%でいいのだというような結論を出されたことについてのこれは資料が必要と思いまするので、大まかにここで御説明願って、あとは詳細な資料をいただきまして、あらためて再質問することにします。一応何を根拠に一〇%になったかということを概略御説明願いたいと思います。
○説明員(山本淺太郎君) 今回の医療費の改定にあたりましては、言うまでもございませんが、でき得れば、なるべく新しい最新の医業の経営実態調査資料といったものを把握いたしまして、それに基づきまして検討することが望ましいのでございますが、とのような資料が得られない現状におきましては、やむを得ず次の方法によることといたした次第でございます。すなわち昭和二十七年の実態調査の資料をもとにいたしまして、これに医療施設調査、あるいは患者調査、あるいは家計費調査、毎月勤労者調査、物価指数等の今日得られまする各種の調査資料の最も新しい計数を用いましてスライドいたしますとともに、これによっては不十分と思われる項目もございますので、それらの項目につきましては、医療機関を適正に運営するために必要な数字をできるだけ補足いたしたつもりでございまして、それを積算いたしました結果、総医療費について一〇%の引き上げが一応予算の積算のもととしては妥当ではないかということで、一〇%の予算措置をいたした次第でございます。
○竹中恒夫君 一応御説明としては、聞いておれば筋が通る順序を踏んでおられるわけなんですが、医業の経営実態というものをつかんでおられない、二十七年当時のことを考えておられるということなんですが、二十七年当時と今の個人開業医の経営実態というものが、それこそ格差といいますか、差は非常に大きいものがあることを御存じないのでしょうか。私は少なくとも官公立病院はいざ知らず、官公立病院は赤字が出ましても国なり団体がこれに対して適当に穴埋めをするわけなんですが、個人開業医は絶対に赤字は出せない、絶対に出せない、家族を養い、子弟を教育する上においては。従って、二十七年当時の、自由患者があり、同時にあの当時の、社会的な経済的諸条件下において営んでおる当時の経営の実態と、絶対に赤字を出せないというときには、三人の看護婦が二人になり、そして一人になり、あるいは看護婦がなくなってしまって奥さんがかわってこれに従事する、月末には診療報酬金は事務員でなしに坊ちゃんが三日、四日、夜通しかかって書くんだと、こういうような経営の実態の調査をどうスライドされたのか、私はそういう点に大きな疑点を持つわけなんです。すなわち家族の労働の換算をどういうふうになさったのか、従業員等の通算、あるいは時間外勤務、夜通しやったというようなことについてどの程度の考慮を払われてのこれは結論なのか、そういう点がおわかりであるならばお聞かせ願いたい。こまかいことはあとで資料としていただきますが、考え方としてそういうことを考えたのであるというのであればお聞かせ願いたい。
○説明員(山本淺太郎君) お答え申し上げますが、ただいま先生の御指摘のような点は、十分個々のところで配慮いたしまして、そのような趣旨で必要な計数を集めるように努力したつもりでございます。 私から言うまでもなく、二十七年調査は、二十六年の診療報酬改定の直後のことでございますので、比較的医業経営としては安定しておった——比較的安定しておったのではないかと思われる時期の一つではないかと思われるのでございますが、その当時の状況から、ただいま御指摘のように、医業経営がもろもろの面において大きく変わっていることは十分考えなければならないところであることは承知いたしておるのでございます。従いまして、たとえば一例をあげますというと、個人立の院長先生、すなわち開業医の方々の生計費一つを取ってみましても、三十三年当時とは相当違った、医師の医業が十分成り立つような配意でもって指数を求めるということで、一例としてあげますならば、毎月勤労者統計というものの賃金のスライドでなくして、当時医師が占めておりました所得は、国民階層の上で非常に高い高額の所得を取っておられたわけでございますので、そういう高額の所得を取っておられた者の賃金指数の特別の上昇率を用いて今日のあるべき姿を考える、貯蓄率におきましてもそのような配意で考えていきたい、また、ただいま御指摘のございましたように、患者さんが非常にふえておるということも数字で想定できますので、そういう患者の増に対応いたしまして、医師なりあるいは従業員の労働過重というものが相当加わっておるという点も考えなければいけない、あるいは施設の拡張というようなもの、あるいは機械といったようなものにつきましても相当の改善がはかられておられなければならないという認識に立ってスライドをいたしておるという次第でございます。
○竹中恒夫君 私が質問しましたのは、こういうこともあわせて御説明あってけっこうなんですけれども、今日の開業医の経営実態調査の上から言うて、家族の、専従と言っていいほどの労働をしておられるお医者さんの奥さんやお嬢ちゃん、そういうことに対する当然これは事務費なり、あるいは医業の補助者としての、従来なら看護婦さんとしての経費が二十七年にはあったと思うのです、そういうことが今の御説明には入っておらない。労働時間もありましたが、労働時間の延長もどういう労働時間の延長かわかりません。医師だけの労働時間の延長なのか、家族も入っておるのか、そういう点がつまびらかで断りません。データがなければあとでまた資料をもらってから再質問しますから、この点一つ問題を次に進めたいと思いますが、その中に、当然自由開業人として自己危険保険をしなければならない、官公立の病院のようなわけじゃないのですから、自己保険の費用も要れば、当然老後の保障というものも考えなければなりません。あるいはこの格差の問題に関連して実は議論したかったのですが、こういう個人開業医であれば、やはり対社会に対する交際費というものも当局の考える程度でいいのか悪いのかというところにも私は議論があると思う。特に著しい問題は、病院側との間に大きな格差ができるということでありますが、少なくとも、赤十字にしても、あるいは国立病院にしても、病院自体には出資金がないわけです。個人開業医は何百万という出資金を出しており、出資金に対する減価償却なり、あるいは借り入れの利子ということも当然今日においては考えてやらなければ、合理的な医療費の算定ということはできないと思う。また、二十七年から開業している人だけのことを考えて、新しい保険医のことを考えてやらなければ適正な報酬金というものも算定できないと思う。そういう点で格差問題の議論をかりにするとすれば、相当私ども異論を持っておりまするが、あわせてそういうことも資料をお出し願うときに、格差問題についても、こういうわけでこうなったのだという疑点がわれわれにもわかるほどの精細なデータの御資料をこの際に要求しておきたいと思いますので、委員長においてこの点はお取り計らいを願いたいと思います。 その次の問題点は、これは次官にお尋ねしたいのですが、一〇%がいいのだ悪いのだということは一応別として、社会保険の医療費というものは、一体これはどういう性格のものなんでしょうか。医療費というものが、国民の生活にもちろん直結している。従って、公共料金あるいは公共料金に準ずべきものか、あるいははっきりこれは公共料金だとおっしゃるのか。やはり医業の本質から考え、従来の自由開業医制度を一ぺんに踏み切る場合において、相当この点が問題になると思うのです。なぜこういうことを申し上げるかと申しますというと、日本銀行の昭和二十五年の調査ですから間違いないわけですが、公共料金と目される電灯料、ガス料、水道料、あるいは鉄道、電車、バスというようなものがここに詳細ございまするが、大まかに申しまして、こういう公共料金が、昭和二十五年を一〇〇とした場合に、昭和三十五年は大体一六〇から・一七〇なんです、公共料金と目するものが。今回鉄道料金がかりに上がれば一九〇になりますが、一応一七〇程度なんです。とりわけ、まあこの中で見ますというと、はがきが二五〇になっております。昭和二十五年を一〇〇としてはがきが二五〇、一番ひどいのは新聞が六九〇、あるいは雑誌が二四三なんです。こういうものが国民の生活に直結したものであり、政府のいわゆる公共事業として、あるいは新聞等はそうではございませんが、いずれにいたしましても、公共的な性格を持ったものの価格変動なんです。この場合に、医療費の上昇率を見てみますというと、今回の一〇%を除けば、昭和二十五年を一〇〇としたら一二四なんです。鉄道よりも、郵便料金よりも上昇率が少ない。ただ、この上昇率だけでもちろん議論はできませんよ、いろいろな要素がありますから。それは僕わかっておりますが、一応公共料金の上昇率をこの十カ年間振り返って見た場合、これだけの相違があるんだ。そこへもってきて、今度は一〇%でいいんだとおっしゃれば、まあこれでやっと一三〇になるのです、一〇%としても。そういうことで、話し合いもせずに、切り捨てごめん的に一〇%ときめたんだということで、十二分に納得させていない。われわれは白紙なんだ、医療協にかけるのだ、しかし、一〇%だ、点数でいくのだという、衣の袖からよろいが見えるような今の現状で、はたして医療行政がうまくいくか。こういう抗争が巻き起こって社会不安を招くのは当然だと思うのです。医療料金というのは、公共料金なのか、あるいは政治価格ですか。こういう鉄道、郵便等は事業税も営業税も納めなければ、公共料金以下の低額であれば、二八%はときどき問題になりまするが、むしろ非課税であるべきであるとさえ僕は思う。従って、医療報酬金というものが一体どういう性格のものなのか、お考えをお漏らし願いたいと思う。
○委員長(吉武恵市君) 厚生当局にお聞きしますが、竹中委員が先ほど御要求になりました資料の内容はおわかりになりましたか。
○説明員(山本淺太郎君) わかりました。
○委員長(吉武恵市君) 出せますか。
○説明員(山本淺太郎君) 努めてこまかく出したいと思います。
○政府委員(安藤覺君) お答え申し上げます。はたして医療というものが公共料金と比較して同一のものであるかどうかということについては、同一なものであるとお答えすべく、多分にまた異質のものであろうとも考えられますので、割り切ったお答えはいたしかねますが、いずれにしましても、社会保険の基本となりまする取りきめの料金でもありまするので、そうかといって社会保険という立場だけにとらわれて考えるわけにも参りません問題と思います。そこで、今お示しになりましたようなはがきであるとか、新聞であるとか、電灯であるとかいうようなものの料金の上昇率というものと、今ここで一〇%上げても一三〇にしかならぬというお言葉でございましたが、との数字の上から申しますと、まさしくずいぶん大きな開きになって参りまするけれども、これと医療費と、数字だけで引き合わせてこれは誤りであると断定もいたしかねるような気持もいたす次第でございます。
○竹中恒夫君 もとより、この上昇率だけで私は議論しようとは思いません。思いませんが、やはり医療費を算定するときには、こういう国家的ないろいろな料金、公共料金の上昇率等も当然考えあわせなければ私はいなけいと思う。事、人命に関することだから、公共料金よりも国民の立場からいえば安い方がいいのだから、しんぼうしろという考えであるならば、これは政治的な権力価格なんだ。それならば、それのように医師をほかの面で優遇しなければならぬと思う。ただ、いたずらに、そういう国民生活に直結しておるからということで押えつけるということではいかぬということを私は言いたい。先ほど、高額所得者云々がございましたが、これもデータをもらってから議論しますが、一体、高額所得者とは、どういう程度の人が高額所得者なのか、何を標準にしておられるか、月給取りを標準にしておられるのか、あるいは、中小企業家を標準にしておられるのか、自己資本を持たない大会社の重役を標準にしておられるのか、よくわかりませんが、少なくとも、開業医というものは、先ほど申し上げましたように、五百万円なり千万円なりの資金を投じての所得でございますから、それを考えての報酬金でないと、医療関係者は得心せぬと思うのです。 次の問題は、厚生保険特別勘定、健康勘定の問題なんですが、私は最初、厚生大臣が勇ましくおっしゃったのは、医療費を引き上げるについては、国民に迷惑をかけない、保険料率も変えない、保険料も上げない、患者負担もできるだけさせないのだ、しわ寄せしないのだ、政府みずからがやるのだという、まことに勇ましいお考えであり、われわれとしては歓迎すべき考え方であったと思うのです。社会保障制度の予算が、六百三十六億円、それだけふえたじゃないかということで衆議院でも議論になったようでありますが、そうたくさんふえたわけでもない。特に社会保険関係で百億円程度ふえております。ふえておりまするが、その中で七十四億円というものは、医療費引き上げの財源ですね。ここで私がお聞きしたいことは、一〇%医療費を引き上げれば、政府所管の健康保険では概算七十億円要るという、この配付されたデータですね、七十億円要るのだ。それに対して政府は一体何ぼ出したのか、三億円でしょう。従来の五億円に対して八億円、単価引き上げに要する引当金としては三億円。一〇%引き上げるのに七十億円要るのに、わずか三億円出して医療保険なり社会保障は後退しないのだと池田さんも言われるし、厚生大臣も言われますが、政府所管の健康保険に対して七十億円のところを三億円をお出しになってわがことなれりというような考え方は、どうも僕は得心がいかない、その点を御説明願いたいと思います。
○説明員(山本淺太郎君) お答え申し上げます。ただいま御指摘の政府管掌の健康保険につきまして、医療費が一〇%上がりまする場合におきまする引き上げ増分は、ただいま御配付申し上げましておりまする資料に明らかな通り、約六十九億余でございます。これに対しまして、新たに値上げ分に対応いたしてはわずかに三億ではないかという御指摘でございますが、御承知のように、政府管掌の健康保険は、過去におきましていろいろ御迷惑をおかけいたしましたような赤字を持っておったのでございますが、現在、幸いにいたしまして、約二百十五億程度の積立金を、黒字を持っておるような状況でございます。従いまして、この積立金と申しましても、しょせん、保険料の集積ではございますけれども、ともかく、現実におきましては、これだけ積み立てておるということでございますので、ほかの保険との均衡を考えまして、三十億程度の積立金くずしを行なうことといたしまして、他は標準報酬の伸びによりまする自然増収で大体まかなわれるということで、医療費値上げに対する気持を若干入れまして三億、これはもとに五億がございますので、われわれは十億をほしかったのでございますが、財政の都合で八億に削られ・対策分の内訳としては三億という補助金が考えられるということになった次第でございます。
○竹中恒夫君 まあ事務当局を責めても仕方がないんですがね。気持の上で——さっきも心の中でとか、いろんな答弁にならぬ表現をなさって答弁しておられるんですがね、気持の上ではどうあろうとも、形が出てこなければだめなんです。今のお話の二百十五億円という積立金は、一体何なんです。保険料でしょう。保険料の集積でしょう。医者から言わせれば、制限診療をしたことによって赤字が出るということで、昭和三十年前後にやかましく言われて、赤字対策としてのいろんな診療の制限がそのままにおいておかれて、不自然な形で、先ほど申し上げました保険財政重点主義的な医療保険行政の結果の集積のこれは積立金なんです。決して医者がやりたいという治療をし、患者が求める治療をせずして出てきたこれは積立金なんです。これは言葉をかえて言えば、患者に迷惑をかけぬとおっしゃるが、患者がためた金なんです。患者の保険料によってためた金なんです。一つも国の金は入っておらない。それからもう一つ言いたいことは、そういう金を充てる、保険財政が健全だから充てるというような考えであるならば、医者側からいえば、十二分な医療をどんどんしてやらなければ、金が余ればますます国民がしわ寄せされるというような感じを被保険者は持つと思うんです。それからもう一つのことは、今まで二十九年、三十年、三十一年ごろは、国が国庫補助を三十億円しておられた、政府所管の健康保険に対して。だんだん積立金がふえてくるからというので、補助金がなくなってきた。三十億が二十億になり、二十億が十億になって、大きな後退をしてきたんです。あの当時三十億円出された、当時二カ年間出されたんですが、その当時は六十億円の赤字があるというので、赤字対策として出したんじゃないということを思い出してもらいたい。あの当時の赤字は、別途会計で資金運用部資金から七十億円か六十億円借りてきて、赤字対策費は別に借りてこられて、なおその上に、当時の池田大蔵大臣、あるいは当時の厚生大臣の答弁によれば、赤字があるから、ないからというんでなくして、当然医療保険の円満な発達のために国が三十億円ぐらいのものは出すんだ。従って、将来黒字になって出さないんだというような国会答弁はありませんよ。従って、あなたのおっしゃるように、今健保勘定の保険財政がゆとりがあるから国は出さないんだというような消極的なことであってはいけない。あくまでも政府所管の健康保険を模範として他の関係の医療保険を引っぱっていこうとするのには、スタンダードの政府所管のものはもっともっと国が助成してやらなければいかぬと思う。特にこの際私が指摘したいと思うことは、組合は御承知のように、標準報酬料金も一万円以上高い格差があるわけです、被保険者の平均賃金が、ふだんの賃金が。そうすれば、保険料も同率に——組合関係の保険の財政というものはきわめて豊かなんです。中小企業を中心とした政府所管の健康保険の、賃金が安いから、それの千分の六十三である保険料も安い。保険財政は非常に苦しい。この苦しい政府所管の健康保険に三億円お出しになって、今回組合の方にも、二億五千万円のうち一億五千万円というものは引き上げ財源だというのでお出しになっておられる。との按分比例から考えてみても、私はおかしいと思う。もっともっと政府所管の健康保険には、政府みずからが救援の手といいますか、助成をしなければ、私はこれは発展しないと思う。もっと中小企業を育成する、中小企業の労働者をかわいがるという温情的な気持がなければ、今おっしゃったような保険財政がいいのだから出さないのだというならば、使わなければ損だということになってくる。もっと国が力を出してやらなければいかぬと思うんです。どうですか、そういう点は、次官としてどうお考えになるのですか。
○政府委員(安藤覺君) まことに御指摘の点につきましては御共鳴申し上げる点もございます。ことに今話題の中心になりました点等につきましても、先ほど厚生大臣に御質問がありまして、大臣みずからここでお答え申し上げましたが、今までのように、そのときそのときの、一口に申しますれば、出たとこ勝負といいますか、財政がこういうゆとりがあったからこうするとか、ゆとりがありそうだからこれをやるというような行き方でなしに、あくまでも計画性を持って、そうして長期の案を立てていくべきではないかという熱意を持っているということを申し上げたのでありますが、先ほどの昭和三十二年における三十億の繰り入れの問題のときの考え方、そして今次長が答えましたような考え方というものが、やはりそのつどそのつど的なものになっていると思います。こういう意味合いにおきましては、先ほど御指摘もありましたように、やはりあくまで長期の見通しのもとに、長期の計画性を持ったものを立てていくことがなくてはならないのじゃないかということが考えられるわけでございます。
○竹中恒夫君 一貫性がないということは私はなはだ遺憾でして、三、四年前には岸総理、池田大蔵大臣、時の厚生大臣、こういうようにおっしゃって、で、あくまでも社会保険というものについては国が力をいたすのだ。今日は、今言ったような御説明であるというようなことは、全く国民を愚弄したものであり、無定員を露呈したものだ、当然私は責任を追及したいとさえ思うのですが、しかし、あなたに関連したことじゃないので、これ以上言いませんが、ただ、あなたにお聞きしたいことは、今事務当局が言うように、実は予算は三十億円要求した、削られてやむを得ずこうなったんだ、それは事務当局の考え方はわかります。少なくとも三十億円、五十億円出そうという熱意を持っておったんだから。しかし、これはやはり大臣なり、次官がまあ十二分に考えてもらいませんと、七十億円金はふえるのに三億円出していいのだというような考え方を持たないようにしてもらいたい。先ほど大臣に質問したのは、七十四億円がコンクリートされたのかといって聞いたのには、ここにも私は含みがある。もし将来出し得るならば、補正予算なりあるいはこの範囲内において操作できるとすれば、三億に限ったことでないと思うんです。もっともっと誠意を国民に示してやって、医療保険の円満な発達を期してもらいたいということが、私のこの問題に関連する質問の要点であったわけであります。 続いてお聞きしたいことは、組合関係に対しては国保の中央会にしろ、健保連合会にしろ、各日はいろいろありますが、相当二億五千万円なり、あるいは国保連合会にこの間も医療費引き上げ引当金として十億円出しておられる。当然国から助成なさることはけっこうだ。私はそこでお聞きしたいことは、社会保険の関係団体として保険者側にだけそういう配慮をなさって、医療関係者としての医師会、歯科医師会、薬剤師会等にやはり研究なりいろいろな意味における保険の問題についての研究討議等を行なうことが必要と思うんですが、補助金をもちろんお出しになるといっても要らぬと言うかもわかりませんが、考え方としては同じ公平に扱わなければいかぬと思うんですが、そういう点どうなんですか。
○説明員(山本淺太郎君) 予算に国保団体連合会にいっております補助金がございます。これはいわゆる普通の団体の助成金といったものではございません。で、先生つとに御承知のことと思いますが、被用者保険については、現在支払い基金というところで審査支払いをいたしておるのでございますが、国民健康保険につきましては、その支払い基金で審査支払いをいたしませんで、都道府県の連合会が全く支払い基金と同じような審査支払いをやっておる、そういう経費でございまして、一般の団体の助成金ではございません。それから組合につきまして事務費が出ておりますが、これは法律にもございますように、本来国が行なうべき仕事を組合がかわってやっていくという法律の建前に応じまして、実質は事務費のごく一部でございますが、そういう理念を形に現わす意味において組合に事務費が流れておるものでございます。従いまして、一種の助成的なものでももちろんございません。それから後段の診療担当機関に保険診療の上からいろいろ研究費等を考えていくべきでないかというお考えにつきましては、十分傾聴に値するお考えだと思いますので、いろいろ上司とも今後御相談して考えていきたい、こういうように存ずる次第であります。
○竹中恒夫君 国が当然行なうべきことを、事務をやるのだから、金を出すのだ、これはわかるのです。医療担当者の場合においても、当然厚生省なり府県の県庁でやらなければならない保険医の指導を、多額の予算を計上さして指導をやっておるわけです。で、従来においてもごく一部に指導員をお出しになったことを覚えておりまするが、やはり相当これは思いつきでなしに、計画的に、年次的にこういうことも考えていただきたい。傾聴に値するとおっしゃったのだから深くは言いませんが、当然保険医の指導監査は当局の責任なんですからね。それを両団体やっておるとなれば、これに伴う費用は、両医師会の予算に見合う相当額の補助はすべきであるという建前を僕は言うておるわけなんです。はたしてそれをお受けになるやならぬやは私存じませんが、考え方だけを申し上げておきます。 それからなおもう一つ、今の問題に関連してお伺いしたいのですが、国保の方では調整交付金というものを今度も六十五億円ほど出しておられる。健保組合に対して二億五千万円の金を出しておられるについては、弱小組合の医療費引き上げに要する手当金として出しておられる。そういうものに、弱いところに出すのは私はわかるのです。国保の調整交付金というものは、そうでなくて、一定の保険料が入った、しかも定められた給付をしたという、つまり標準の、標準以上のものでなければ調整交付金が渡せない建前になっておるのです。こういう点に対してふだん行政的な立場で仕事をしておられるあなた方は矛盾を感じないか、不便を感じないかという点なんです。私はちょっとこれはおかしいと思う。国保でも困ったときに、いわゆる保険組合と同じように弱い組合を助けるというのはわかるのですが、調整交付金に関する限りは六十五億円も出しておりながら、標準以上の組合でなければ出せないのだ、もちろん保険料の徴収の怠慢等を考えられての考えではあろうと思いますがね。どうもちょっとその点が矛盾がある。同じ金を出しても矛盾があると思うのですが、その点どうお考えですか。
○説明員(山本淺太郎君) 健康保険組合等に対しまする今回の医療費引き上げに伴いまするテコ入れば、御指摘のように、きわめて少数の弱小組合でございます。二つの頂点にございます労働組合と弱小組合、約八十ばかりの組合でございます。これは弱小と申しまして非常に恐縮でございますが、保険経済上非常に弱っておる、そういう意味の弱でございます。それからただいま御指摘の国民健康保険につきます十五億円は、調整交付金とは別に、今回の医療費引き上げに伴います対策として考えたい。別でございます。従いまして、これをどういうふうな配分の仕方をするかということはまだ現在きまっておりませんで、いろいろ各方面の御意見や財政当局とも打ち合わせて具体的な配分方法を考えたいという現在の気持でございます。
○竹中恒夫君 もう一つだけで終わります。大へん私時間をいただきましてありがとうございました。最後に一点、重要な点で次官にお伺いしたいのですが、今回の医療費引き上げの結果悪影響が一つ大きくあるのです。ということは、国民保険に関する予定された給付として往診なり歯科の補綴をやることになっておりますが、ところが、医療費を引き上げることによってその予定をやめられたかあるいはきわめて消極的になられたか、新聞等によりますと、これをやめたと書いてありますが、そういう医療保険の後退ということを考えて医者は医療費の引き上げを考えておりません。あくまでも医療の内容が充実し、国民に大きな幸福をもたらすという条件でなければ、ただ医者が医療費さえ上がったらいいんだという今運動をしておるわけではない。歯科の補綴が後退をする、往診ができないのだ、それをすれば保険経済が脅かされる、医療費の引き上げでいいかげん脅かされるにかかわらず、なおそういうことは新しい施策としてはやらない方がいいというような指導をされるという態度については、私は相当問題があると思うのですが、その点はどういうことになっておるのですか、お伺いしたい。
○説明員(山本淺太郎君) 御指摘の点は、私どももきわめて重要な問題だと考えております。御案内のように、これまでは本年の三月末日までをもちましてそのような給付制限は撤廃したいということで、都道府県並びに市町村等と詳細な懇談等もいたしまして、そのような趣旨が実現するようにいろいろ相談し合ってきたところでございます。しかるところ、医療費の問題が起きまして、総体におきましては、国保に対する影響はそう大きくないと思うのでございますけれども、数多くの市町村の中には、やはり財政的に相当困難をきわめておるところもございますので、そういうところについてしゃにむに撤廃を迫るということは保険財政上できがたいというところも相当聞くわけでございます。従いまして、しばらくの間、当分の間そういう給付の制限をすることができるという政令を撤廃する法的な措置はしばらくおきまして、行政的な話し合いによって、ただいま御指摘のように、一日も早くそのような給付制限の撤廃が実現するように行政指導は強く推進していきたい、こういうふうに考えております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて。 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 それではこれをもって閉会をいたします。 午後三時四十三分散会