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38回国会参議院1961/06/02

建設委員会 第35号

発言数
152
登壇者
8
会派数
3
開催日
1961/06/02

会議録

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  公共用地の取得に関する特別措置法案を議題といたします。  これより質議を続けます。  本日は、参考人として元公共用地取得制度調査会会長飯沼一省君、同じく委員櫛田光男君が出席されております。  参考人の方におかれましては、御多忙中のところ本委員会の急な御依頼にもかかわりませず御出席下さいまして、まことにありがとうございます。  それではこれから質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言下さい。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 ちょっと参考人の方にお聞きしたいと思いますが、この法案を審議するにあたりまして今までたくさんの参考人の方々から口述してもらい、いろいろ私どもも貴重な参考意見を承ったわけなんです。そういう中で若干参考人の方も含めて疑問を感じた点がございまするので、これらについて一つ御解明をいただきたいと考えるわけなんです。  最初に、今度の法は前の土地収用法と比べまして一つの大きな特徴として、事前のPRが規定されておるわけですが、このPRを行なわなかった場合に処する規定というものが発見されないわけなんです。このことはずらっとあとになって来まするところの、任意協議による現物給付等の場合におきまする努力義務がございまするが、これもやはり同じような意味において、その努力を怠ったという場合にはどうするかという問題も、あわせてこの際どういう工合にこれをお考えになっておられるのか、まあそこからお聞きしたいと思います。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) PRをよく徹底させるということ、これはこれまでもむろんその趣旨でやられておったろうと思うのでありますけれども、今度の特別措置法におきましては、特にその点を重要視しましてこういうような規定が入ったわけでございます。これはそれぞれ行政庁の間の監督の関係、指導の関係等によりまして、おそらく御心配のような点はないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。現物支給の問題につきましても、執行します事業の重要性からかんがみまして、当然起業者なりまた地方公共団体等において、そういう仕事をせられるものであろうと考えるのであります。この法律の地方公共団体またそれから起業者一体になって事業の推進に努めたい、というのがこの法律の趣旨でございます。そういう点、大体私はうまくいくのではないかとそういうふうに考えております。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 後段の四十六条、四十七条と法文にありますが、これに関すことは抜きにしまして、この際PRの問題を主としてそこに重点を置いてもう一ぺん繰り返してお伺いします。こういう工合にして私、不安に考えまする一つの事例を申し上げまするならば、前の収用法の中で、今飯沼さんは今までも十分そういうことをやっておっただろうと言われるけれども、そうでない実例を私どもは知っておるわけであります。これはちょっと聞きようによると誤解を受けるかもしれませんけれども、私は、その根底をなすものはPRいたしまする側の人々が同じ官庁の人でありながら、中央と地方とにおけるとの間の相違からして、中央の考えるようなことをやってくれないおそれを感ずるわけなんです。一つの例を申し上げますならば、たとえば佐久間ダムの事実上の工事の例を一つ考えてみると、あのことについては、これはあとで建設省側にお聞きする事項が入りますけれども、それはあと回しにいたしまして、あの事業を行ないますることのためには、起業者は普通に私どもがほんとうだろうかと思うような大きな公共補償をさせられてしまっております。大へんなものなんです、これは。公共補償——具体的に言うと道路をつけかえさせられるとか、鉄道をつけかえさせられる、橋を新設させられた。これらがおもな問題。そうしてその問題が解決しない限りにおいては、あそこの知事は水をやることを一つ留保しておくというような問題に引っからんで、まるで公共団体である県みずからが、悪い言葉で言えばごねをやったわけなんです。あとで少し、さっき建設省の方にお聞きすると言いましたが、私ども聞き及んでいるあれは、これらに対する補償だけで約百億だといわれておるんですよ。そういうような大きな問題がある。もう一つの例を申し上げますと、熊野川の開発に関するいわゆる縦貫道路、こういう問題にも引っからんで、これらは一般個人が対象でなくして、やはりそこの知事、まあ県ですから知事といいますか、これが対象になってしまっておるわけなんです。ここでも悪い言葉で言いますならば大きなごねをやってしまっておるということですね。非常に私どもおそれておる点は、一つのこういう特別措置法ができますると、力の弱いところの個人々々の立場における一般国民というものは、何といってもやはり公共のためだということで、それから世間にもいろいろ遠慮しがちで、不服ながらどうにかこれに従っていくということはあるだろうけれども、一番こわいものはそうした公共団体だと実は考えるわけです。そういうような公共団体、そういうところに人々を使ってPRをさせるなんというようなことは、これはとてもじゃ、ないが思いも寄らぬことだと、こう考えるわけなんです。これはPRに事実上あたっていく人々はどういう人々であるかということからお聞きしないと、あまり質問が飛躍してしまうかもしれませんけれども、私は実際問題としてはやはり都道府県に頼んでする場合が相当あるだろう、こう考えるときに、そういうような連中をたよりにしてやって完全なPRをするなんというようなことは思いも寄らぬことじゃないのか。非常に表現がまずいけれども、心配しておる点はおわかり願えると思うんですが、そういうところに不安を持って質問を申し上げておるわけなんです。だからPRは完全に行なわれるだろう。従って怠った場合にはどうするなんというような規定を設ける必要もないことだろうと、お考えになることはあまり甘過ぎるんじゃないか。こういう点からお伺いしておるわけなんです。重ねて一つ御所見を承っておきたいと思うんです。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 佐久間ダムの例をお引きになりまして、道路のつけかえ、鉄道の問題等お話がございましたが、ダムの建設につきましては、今お話のような道路、鉄道等が水没する場合がしばしば起こるのであります。それに対してやはりそれにかわる施設をしなければならぬということは、これはもう申すまでもないことでありまして、至るところで行なわれておるわけでございます。ただそれが、これもやはりしかし一つの程度の問題でありまして、その鉄路なり鉄道をつけかえてもらいたいということを要求することそのものが悪い、というわけでは私は決してなかろうと思うのでありまして、問題は良識によって両者が話し合っていくということが一番望ましいわけでございます。そうすべての府県、市町村がみな不当な要求をしておるものでもないのではなかろうか。これはやはりすべての方面、公共事業の重要性ということから考えまして、あまりにみなどの市町村でも府県でもそういうことをやる、というふうに考えることば少し考え過ぎではなかろうか。大へん考えが甘いという御批評もございますけれども、私はそういうようなことがだんだんなくなりまして、適正公平な土地の買収なり収用が行なわれるようになるものと考えておるわけであります。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 この問題についてはお互いの考えの甘いか辛いかの点においての相違がございまするから、これはむしろ、何といいますか、議論になるようなことになってしまいますからこの程度にとどめまして、次の質問に入りたいと思います。  この審議会の方で認定されまする場合に、ほかの問題についてはそれぞれの収用法の期間を短縮するように、特別措置法では三分の一ないし半分に、こういう工合に縮めておるわけなんですが、ところが審議会の方でなしまする範囲の仕事については特段期日をここに規定してない。従って特定事業の認定の告示後にこんなに縮めてみたところで、その以前の問題についてもう少し、この特別措置法の趣旨から考えまして、ここで期間を設けて急ぐようにしなければ、この点意味がないのじゃないかと考えるのですが、これについて期間を設けられなかったのはどういうことですか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) つまりお尋ねの趣旨は、事業の認定をするまでのその時間をなぜ規定しなかったかというお尋ねだと思いますが、これは事件によりましていろいろさまざまであって、一本の規定でこれを律するということは、私は困難ではなかろうかと思います。ことに今日の土地収用の制度は、まずどこまでも、できることならば、両者の話し合いで問題を片づけてもらうことが一番望ましいことであるという建前になっておりますので、起業者と土地収用者、関係人の間で十分話し合ってもらう、こういうことが望ましいわけでありますので、問題の性質によりまして中にはわずか一坪、二坪の場合もありましょうし、あるいはまた何十万坪というような非常に広い面積の事業をやらなければならぬというような関係もありますので、これを一本にしぼって法律の上で規定するということは、そういうような意味から申しましてもちょっと無理ではなかろうか、そこは起業者の仕事を進めて参ります上のやり方にまかしていいのではなかろうか、こういうふうに考えます。

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) 参考人の方の御了承を得たいと思いますが、本会議が始まりまして重要法案の採決がございますので、しばらくここで休憩したいと思います。まことに申しかねますが午後一時半まで休憩いたしたいと思います。御了承願います。  暫時休憩いたします。    午前十時五十三分休憩    ————・————    午後一時四十一分開会

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  参考人に対する質疑を続けます。御質疑の方は御発言願います。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 飯沼さんにさっきお聞きしておった点は、私の表現がまずかったことのために、苦干おわかりにくい点があったと考えまするし、しかし大体においてお答えにおいては了承できておるわけですけれども、念のためにこの際申し上げておきたいことは、私がさっき申し上げたのは、特定公共事業の認定をいたす場合に、公共用地審議会の議を経なければならぬのでございまして、認定以前の審議会の審議期間を、本法の趣旨にかんがみてこれを規定する必要がないだろうか。審査はずるずる幾らでもやっておいて、そうしてあとになってから、事業の認定の告示をやった後において、どんなに縮めてみたところで、結局通算すればかえって同じようなことに返ってしまうようなことになったら、これは何にもならないのじゃないか、そういう気持でお伺いしておったわけなんです。大体はわかりましたけれども、ことさらにその点を規定しなかったことについての経緯といいますか、あるいは飯沼会長さんのお考え、これを重ねて一つ承っておきたいと思います。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 事業認定をするために非常に時間がかかるというととがありはしないか、こういうお尋ねのようでありますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、問題の性質によりまして非常に簡単な問題もあり、複雑なむずかしい問題もあるわけでございます。いよいよ土地収用法を発動するにつきまして、それだけの権限を与えるにつきましては、やはり十分な調査を必要とするだろうと思うのであります。従って法律の上で一律に、すべて何カ月の間にこれを事業認定をしてしまわなければならぬということは、事実上私は少し無理ではないかと思われるのです。従って調査会におきましても、それらの点についてはほとんど問題は出ておりませんでした。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 次に移りますが、収用に対しまする緊急裁決、これはまた本法の大きな特徴だと考えるわけです。むしろ中心的な制度だろうと感ずるわけです。この場合、仮住居の請求を認めることになっているわけです。ところが実際においてこれは非常にけっこうですけれども、この場合、現実問題として仮住居の用意がなされておるだろうかどうだろうか。言いかえるならば、これは実行可能であろうかどうかという不安を若干持つのですが、この場合にはどういう御用意をされるということになるのでしょうか。その点承りたい。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 近ごろだいぶ地方公共団体による住宅政策などが進んでおりまして、昔に比べまして、むしろこういう制度を作りましても、かなりそうむずかしいものではないのではないか、十分にでき得るものではなかろうかと考えております。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 そういうふうにただ見ておられるだけのことで、何かそれに対して特別にこれこれの用意をしようという、その具体的なお考えはお持ち合わせありませんか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 特にどうということは私考えておりませんけれども、いろいろな事業が行なわれておるわけでありますから、その場合々々に応じまして、あるいは公営の住宅なり、あるいはまたその他のものにいたしましても、こういう規定ができますれば、私は地方ではあらかじめそういうつもりで準備をこれからしていくことであろうと考えます。法律の上でどういう施設をしろというまで規定するということはちょっと困難ではなかろうかと思っております。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 もう一点お伺いしておきたいのですが、この地方の収用委員会等がこのままの、今までのような機構のままで、今度の特例法にもタッチするということになりますと、あのままでは少し荷が重過ぎるのではないだろうか、わかりやすく申しますと、いろいろここへ資料をいただいておりますけれども、結局はこれはまあ地方議会に諮ってやることでしょうけれども、形の上では知事が任命してしまっているということなんです。こうなってきますると、さっきお伺いいたしましたような熊野川であるとかあるいは佐久間ダムであるとか、こういう例に見るごとく、対象にされる相手が公共団体であった場合、いわゆる県であったような場合には、その長が任命したところの収用委員会がどんなに力を出そうとしてみても、実際問題としてこの任命者の立場があることですから、ほんとうに良心的の公正な独立の考えを打ち出すことはできないというような羽目に陥るのではないか。この前、先般申し上げましたように、たくさんの参考人の方々から意見直聞いた中でも、どうも実際問題として地方における収用委員会が収用法の精神をそのままいかすことができない、骨抜きにされちまうというような形があるというような貴重な意見を聞いたわけなんでありまするが、こういうようなことをいろいろだぐって考えてみますると、やはりその任命権の上に無理があるのではないか。従って、これはむしろこの地方の収用委員会の構成あるいは任命というものに対して、何か再検討を要する必要ないだろうか、こう考えるわけですが、これについてのお考えをお伺いしたい。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 現在の各府県にあります収用委員会の実際の状況を見まして、その構成の上で質の上から申しまして知事の任命であるから、たとえば府県関係の事業等において、府県知事の意思に沿わないような裁決をするおそれがないかというお尋ねのようでありますけれども、現在では私はそういう心配はないと思います。別に知事の任命でありますけれども、それによって委嘱をしておるというような人たちが委員になっておるわけではないのでありまして、公正な意見によって私は裁決が行なわれておると思います。その点は私は心配はないのではないか、ただ問題は仕事の分量の問題であります。これからは非常に仕事でもふえて参りますと、現在の機構では果して十分に消化し切れるであろうかどうかという心配がございますので、それで調査会としましても、答申の中に収用委員会の事務局というような問題にも触れまして、もう少しこの辺を強化していただきたいという意見を付けといたわけであります。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 まだ若干残っておりまするけれども、他の委員諸君もいろいろ聞かれたい点があると思いますから、一応参考人に対する質問はこの程度にいたしておきます。

田中一日本社会党

○田中一君 ちょっと關盛局長に聞いておきたいのですが、この答申案に対する諮問の内容はどうなっていますか。それを資料で出してほしいのだが……。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 建設大臣から調査会に諮問をされました諮問事項は、公共用地の取得困難な現状にかんがみ、その取得を一そう円滑かつ適正に行なうためにはいかなる制度上の改善をはかるべきかという事柄でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 飯沼さん並びに櫛田さんにお伺いしますが、御承知のように昭和二十六年にできた本法の土地収用法がございます。土地収用法によらずしてこうした特別立法で律した方がいいとお考えになった根拠ですね、それを伺っておきます。結論としてはここに出ておりますが、どういう話し合いというか、審議がなされて、そういう結論になったか。いわゆる土地収用法の中にそうした特例を盛り込んだ方が、法体系としてはよろしいのではないか。ことに今回の法律が時限法でなくして、特別措置法とはいいながら恒久性ある立法の仕方をしているものと思うんですよ。時限ではございません。それならなぜ土地収用法というものに対する全面的な改正によって、この今の諮問に答えなかったかという点を伺いたいんですがね。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 立法の仕方としては今お話のように、土地収用法そのものに手をつけまして規定をするという方法もありましょうし、あるいはまた特別法を作ってやるという方法もあろうと思います。しかし調査会におきましては特にその点について多くの議論は出ませんでした。やはりこの特別な立法をしていこうということで進んだわけであります。やはり特別措置法という法律を作って規定した方がわかりいいのではないか。また土地収用法そのもの全体につきまして再検討してみるという必要もあろうかと思いますけれども、しかしこれはとうてい時間が許しませんでしたし、まず公共事業がおくれておる、おくれておるという批判にこたえますために、緊急なものについてこういう特別な立法をする、この方が私はわかりいいのではないか、こういうふうに考えます。

田中一日本社会党

○田中一君 この諮問にはなるほど広範な範囲のものを含まれるような形なんです。ことに時限的にいつ幾日までに出してくれということはない。ただ設置法の中では少なくとも一年間になっていたから、三月三十一日になっておったから、調査会そのものは解消されるべき運命にあったかもしれませんけれども、諮問にはなんら時間を切っておらないわけです、この諮問には。そうするとこの諮問の内容に対して各調査委員が受け取った受け取り方にあるいは相違があったのかどうか。三月三十一日までにやれということは諮問に書いてありませんけれども、そういうような含みをこの諮問の文章以外の口頭で何かのものがあったのか。あるいは自分たちの任期が三月三十一日に切れるからそれまでにしなければならぬのだというお考えになったのか、その点はどうなんです。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 別に諮問に期限は切ってありませんでしたけれども、しかしお話の通り設置法に調査会の期限というものが限定されておりまして、その期限内に何らかのとりまとめをしたいという考えから、まとまるものだけはまとめまして、その他のものはなお将来こうこうこういう問題について調査をし研究する必要があるということを、調査会の答申案の中で申し上げたわけであります。

田中一日本社会党

○田中一君 櫛田さんと御両名の御出席を願ったのですが、今の飯沼さんのお話は、これは会長という立場で御意見が述べられているのか、どちらでしょう。元会長としての立場で御意見を述べられたのかどうか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 大体において会長としての立場で申し上げておりますが、また問題によりましては、お断わりいたしまして私個人の考えということを申し上げておきます。

田中一日本社会党

○田中一君 そうしますと、櫛田さんは会長が言った言葉に対しては、私が同じ言葉、同じ質問を続けた場合には、あなたは元会員であった立場で答申案というもの、そのものを支持する形で御答弁なさるという試みなんですか。それとも個人の御意見をお述べ下さるということなんでしょうか。どっちでしょうか。

櫛田光男元公共用地取得制度調査会委員

○参考人(櫛田光男君) お尋ねの件につきましては、私はこの調査会の委員でもございまして、それからまたこの答申に賛成した当人でもございます。従いまして、この答申につきまして申し上げたいと思いますが、個人の意見というのは、特にございましたらお断わりして申し上げますけれども、大体においてはもうこの答申案自体につきまして申し上げたいと思っております。

田中一日本社会党

○田中一君 まあ飯沼さんは会長だからおそらく御自分の御意見はあまり吐かないで、とりまとめの方に回ったものと思います。櫛田さんの方はまた文案の委員長だと聞いておりますが、やはりとりまとめの方に回ったのかもわかりませんけれども、少なくとも櫛田さんの場合、この答申案——それはむろん結論として全会一致か、あるいは多数決かで賛成されて案文が出たものと思いますけれども、櫛田さんとしてはこれに対して一つも自分の意見がなくて賛成だという態度できょうお見えになっていらっしゃいますか。

櫛田光男元公共用地取得制度調査会委員

○参考人(櫛田光男君) 調査会の途中におきましては、私もいろいろな意見も申し上げたことはございます。その中で御採用になったのもありますし、あと回しになった問題もございます。いろいろ皆さんと御討議を重ねました結果、この答申が現在においては最善のものと認めまして賛成したわけでございます。私のこれから申し上げますのは、大体これにのっとって申し上げるのが現在の意見になると御了解願いたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 おのおのの任期が三月三十一日であるから、それまでに答申を出さなければならないというお考えを出すのは、これは全会一致でございますか。あるいはその中で、どなたか、これは重大な問題だから一つ任期をもう一年延長してもらってやろうじゃないかというような議論はなかったでしょうか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 調査会ではそういう意見は出ませんでした。

田中一日本社会党

○田中一君 關盛君にちょっと伺いますが、初めから三月三十一日までに調査をしていただきたい、答申をしていただきたいということが、三月三十一日までの調査会の期限ということに考えておったのですか。これは実は昨年この設置法を出すときにも、十分にそういう点を確かめておきたかったのですけれども、残念ながら自民党さん単独審議で、これをお通しなすったものだから内容がわからないわけなんです。そこで伺っておくのですが、それはどういうことだったのですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 公共用地取得制度調査会の存続の期限につきましては、法律で明定せられておりましたので、各委員の方々も、また建設省も時限的な調査会であることは承知いたしております。しかし、用地取得問題、公共用地の制度改善問題は、これをいろいろな角度から御討議をしていただかなければなりませんし、また制度の運用等につきましても不可分の関係がございますので、こういう点について各委員の忌憚のない御意見を聴取して進行しておる過程におきまして、ただいま会長さんがお述べになりましたように、急ぐものは一つ特別措置で早くやるべきじゃないかというふうなことに、全体の方々がそういうふうな取り運びになったというのが、われわれ事務局としてそこで参画いたしておりました経過でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 では關盛君にお願いしますが、この調査会に諮問された案文はここで拝見しました。そうすると、これに付随していろいろな資料を提示したものと思います。問題点等を示したものと思います。その資料を一括ちょっとお出し願いたいと思います。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) ただいまお尋ねのありました資料につきましては、差し上げたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 提案された資料というものは全部——省議とまでいかなくても局議でもいいから確認されたものですね。それは今これからお出しになる資料は、政府の考えられておる一つの案として責任が持てる資料でございましょうね。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) もとより過去の実績でありますとか、いろいろな現状につきましては、いわゆるその通りの資料でございます。それからまた関係各省あるいはまた起業者、あるいは関係方面の土地等の取得によって損害を受ける方々の意見等も、関係の団体からそれぞれ委員会の席上において、会長がヒヤリングをやっていただきまして、建設省から出したもののほかに各方面の要望なり、また取りまとめについての必要な資料を調製されております。従って建設省の方から出しましたものは、従前の土地収用法の実施運営を担当いたしております関係上、必要な資料を提出いたしております。その後の資料等は、調査会の委員の方々がお述べになりました見解を逐次取りまとめつつ、御審議をまとめていただく便に供したい、こういう次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 答申の7、これが答申にかかわらず政府の採用するところとなるということに対する御批判というか、これに対する考え方はどういう心境でいらっしゃるか、櫛田さんから先に伺いましょう。

櫛田光男元公共用地取得制度調査会委員

○参考人(櫛田光男君) ちょっと今聞き漏らしたのですが、もう一度……。

田中一日本社会党

○田中一君 七ページのIIの7です。

櫛田光男元公共用地取得制度調査会委員

○参考人(櫛田光男君) それが……。

田中一日本社会党

○田中一君 これが、この考え方が現在出されておりますところの法律案の中には盛り込まれておらないという点につきまして、あなたの考え方というのですか、批判と申しますか、何と言ったらいいでしょうか、感懐と言ったらいいですか……。

櫛田光男元公共用地取得制度調査会委員

○参考人(櫛田光男君) 答申の中のIIの7が法律案の中に盛り込まれていないことについてお前はどう考えるか、どう感じるかというお尋ねかと存じます。この7ができましたとき、前の方の関連におきまして、どうしても最後まで土地所有者、関係人の調査を、収用委員会が現地調査をする場合に、これを拒んで妨げたときには裁決ができないようなことになる、そういったときにはどうしてもしなければならぬことになるのだが、どうであろうかという問題からこうやったのでございますけれども、その後法律案に盛られない事情につきましては、いろいろ法律上むずかしい問題があるやに聞き及びました。それで私がこの7を書きました、またこれにつきまして御賛成を申し上げましたときに、法律的にあるいは訴権であるとか、そういった問題についてそれほど込み入った、立ち入った考えをいたしておりませんでしたので、あるいは政府御当局において、あるいは法制局等において専門的なお立場から、一方的なお立場からこれをおはずしになったということについては、むしろ現状においてはそれでよかったのじゃなかろうかと、そういうふうに感じております。私自身としてはこまかい点、立法技術的な点、あるいは法律的なこまかい点につきましては十分に考える余裕がなかったと申しますか、そこまでは及ばなかったのだと、そういうふうに感じております。

田中一日本社会党

○田中一君 飯沼会長以下少なくとも十数人の方々が、日本のこうした問題について最高なる権威者であるというように建設大臣も認定して任命をしたもの、委嘱をしたものと思います。その方々が時間がないとかどうとかでもって、少なくともその原案が抹殺されるような答申が出たということに対しましては、国民の一人として非常に意外に思うのです。また日本のそうしたりっぱな方々のその権威が失墜するのじゃないかというようにも考えられるのです。時間がなかったからということでは済みません。時間がなかったら時間をかければいいのであって、少なくとも国民としては私はこの条文はない方が非常にいいと思います。あるよりはない方がいいと思います、私自身の国民としての感じ方を申しますと。しかしこういう答申案が出て、それが諮問したところの政府ですね、政府の代理者であるところの建設大臣がこれを最後には削除したということに対する責任というものは、若干あるのではないかと思うのです。その点一つ、これはきびしい追及、あるいは的はずれの追及かもしれません。国民としては少なくともこういう答申案を出した、こういう答申をしたというのに法律案としては削除された、一つ責任はないと言えぬと思うのです。また責任を感ずる、責任を負わされるような性格のものでないこともわかっておりますけれども、学者としてはこれはやはり多少とも何らかの考え方がなければならぬと思うのですが、これは飯沼さんどうお考えになりますか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) あるいは私の考えが間違っておるかもしれませんが……。

田中一日本社会党

○田中一君 いやあなたの考えは間違ってございません。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) いろいろ調査会、審議会はございますけれども、その答申がすべて政府の方で採用されるものとは私は考えておりません。いいものであればおとりを願う、しかしもし間違っておれば、悪いものであれば採用されぬということが、私はこういう種類の調査会、審議会等の行き方ではないかと思います。もしすべての問題について答申通りにしてもらわなければならぬということになりますと、答申をするにつきましても、大へん窮屈なことになりまして、私は自由な調査会、審議会等の意見が述べられないのではなかろうか、この7をきめました場合には、きわめて私ども常識的に、あまりこまかい訴訟法上の法律理論に通じませんので、せっかく土地所有者なり関係人の利益を守るためにその調査をしたいというのに、それを拒む、何べんも拒むというようなことであれば、みずから自分の権利、利益を放棄したようなものではないか、そうだとすれば、できるだけの資料の範囲で裁決をしても、かりにこれが土地所有者、関係人に不利益であっても争うことができないということで、常識の上から見てもあたりまえのことではなかろうか、というような考えからこの7が出てきたわけでありまして、政府の方で御採用になりませんからといって、それで責任を回避するわけではありませんけれども、非常に不都合だというふうには私ども考えておりません。

田中一日本社会党

○田中一君 ちょっと議事録ないので、せんだって加藤参考人からこの点について伺ったのです。この場合、拒み、又は妨げるということは、これを排除するのはやはりこの法律によるところの制裁があるわけです。現行法の土地収用法にそれに対する条文があるわけです。それでやればいいのです。かりにもしどうしても暴力でやるならば、おおむね執行妨害は成り立つのです。刑法もあるのです。いろんな法律がございます。収用法においても処罰する方法がある、それはあえて不利益云々ということをあげようとしたのは、これはその法律が実施されない、たとえば公務執行が妨害されても、それに対する対策がないんだという理由でこういう条文を入れようとしたんでしょうか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 処罰の方法はあるかもしれませんけれども、しかし裁決をする上に希望するような資料は得られないわけです。結局裁決はできない、それがない限り現在の法律では。そこでこういう考え方をしたわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 お前が不利益になるから言うことを聞けと、こういう、何といいますか、よくやる手ですよ、好きな女の子を何とかいって手なずけるようにするには、懐柔策としてやる手ですよ、そんなつもりだったのですか、ごうすれば相手は言うことを聞くと思ったのですか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 別にそういうことを考えたわけではありませんけれども、とにかくみずからその調査をしようという方はその人たちのための利益をはかろうと、利益が侵害されないようにしようということでやっておる仕事を、それを拒むということになれば、かりに不利益な裁決がありましてもどうもそれを争うことができないというのは、きわめてあたりまえの方法ではなかろうかという考えからこういう答申をいたしたわけであります。

田中一日本社会党

○田中一君 計画局長、なぜとの答申を採用しなかったか、一つ説明して下さい。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 調査会におかれましては、先ほど飯沼前会長からお述べになりましたような経緯でこの事項が答申されておるわけでございますが、争うことができないという、つまり言葉の内容につきましては、法律技術上これをいかような立法事項として解釈するかということにつきましては、いろんな立場の規律の仕方が考えられるわけでございます。よく外国でもクリーン・ハンドの原則という言葉が使われてございますが、そういう人たちは結局訴訟が許されないというふうな考え方の立法政策もあると思いますが、要するに収用委員会といたしましては、完全な調書を添付してもらわなければ手続が進んでいかないわけでございますが、簡易調書につきましては職権調査をやる、その職権調査の上で瑕疵が補填されることが、今回の特別措置の内容になっておるわけでございますが、そういう場合におきましては最小限度収用委員会が裁決をいたすまでの手続は、この部分についてはたとえ瑕疵がありましても手続を進めてもいいんじゃないかというような解釈が一つ。それから訴権を奪ってもいいんじゃないかというような、争うことができないというのは、一番最初に申したクリーン・ハンドの原則のような考え方、それをまともに解釈しまして訴権を奪うんだ、こういうふうに解釈するという解釈論も成り立つわけでございます。それで実はそういういろんな問題の疑義も出て参りますので、全体としての考え方は、収用委員会が裁決されるまでの手続が一応進められるようにしよう、というのが委員の方々の最大の答申の線でありましたので、また訴権を奪うというような強烈な思想でもなかったのでございますので、現行法の法律上の取り扱い方といたしましては、これをこのままどちらの方法で取り上げるかということについても、解釈論上もいろいろ見解が分かれるところでございますので、関係各省とも協議いたしまして、政府といたしましては立案の上におきましてはこれを落とすことにいたした次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 飯沼さん、との答申はやはり反対といいますか、買収交渉を最初に行なった場合に承知をしない者にのみ適用しようという考え方に立っておったのか、この答申というものがあるいは全面的にその事業そのものに一網かけて行なうという考え方に立っておったのか、どちらですか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) これはやはり公共の用に供しなければならぬ土地を取得いたしますためには、原則としてはやはり協議で相談のまとまることが一番望ましい、しかしどうしても相談のまとまらぬ場合に法の定めるところによってそれを強制収用する、現在の土地収用法がそうでありますように、この特別措置法においてもやはりそのやり方を踏襲いたしまして、できるものならば相談でまとめて参りたい、まとまらぬものについてこの法律を適用する、こういう考え方でできております。

田中一日本社会党

○田中一君 初めからかけた方が早くていいじゃないですか、初めから収用委員会にゆだねて、ゆだねながら交渉をして取り下げてもできるでしょう、それはねらい方はどっちなんです。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 最後の話がちょっとわかりませんでしたが、初めから収用法を……

田中一日本社会党

○田中一君 適用して、そうして話し合いは向こうからくるか、こちらからいくか話し合いは進んでいますよ、そうしてその部分だけ取り下げるんです。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 実際問題といたしまして一般に土地収用法を適用するということを、土地所有者なり関係人の側で何といいますか、いやがっておるですね、土地収用法ということを言い出しただけでももう相談がうまくまとまらぬ、こういう話を始終実際その局に当たっている人たちから聞くわけでありますが、これは無理もないことであろうと思うのでありまして、そういうような実際の人情の上から見ましても初めから土地収用法をかけるということはどうかと思いまするし、それからまた起業者が法律を適用する意思のないのに、この法律を頭から強制的にそれにのっとらなければならぬということも、決して私は適当な方法ではないのではなかろうか、やはり協議でまとめることが一番望ましいことで、やむを得ない場合に限ってとの法律を適用する、こういう建前でゆくのがいいのではないかと考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 この答申の第5の「今後検討を要する問題」、ここに「評価鑑定制度の確立、補償基準の作成」これが今後検討する問題としてあげられておりますけれども、国民としては買収しようとする者がつける値段というものは安いもんだという、これは通念です、ことに資本主義社会ではそういうものなんです。また売り込む者は初めは高いんだと、これも通念です。そこにやはり不信感があるわけですね。それからこれは補償基準というものがありますが、補償基準というものは補償する場合のいろいろな買収の条件、そうしたものがどうした形で買収されるのかということがわかる、これによって買収で買い取られる方はふところ勘定ができるわけなんです。買い取る方からこれこれの基準で、これこれの計算でこの値段で売ってくれと言っても、まずこれを疑ってみるのが資本主義社会なんです。そうするとやはりここにあげられている評価鑑定制度というものができて、公正な第三者の妥当なる価格というものが出て、この人ならば正しいものを見出してくれるだろうという信頼感が、買おうとしてくる者に対してよりも確かにそれに対する信頼の方が強いと思うんです。そこでこれらの制度を、まあ国民から国民の財産というものを収奪しようという場合に、手続の問題よりもやはりここに一番の重点が置かれなければ、飯沼さん、櫛田さん等が慎重に審議されたこの答申というものが完全に実施されないと私は思うんですよ。せめて今後検討を要する問題としてこの二つの問題が掲げられたことは、皆さん委員の方々の非常な良識を高く評価するわけなんです。しかしなるほど調査会は解消になりました。その際に検討すべきものとして、これは行政府にまかせようという考え方でこれはあげられたものなのか、あるいは自分たちが、もしももう一つ評価鑑定制度調査会とか、あるいは補償基準制度調査会とかいうものが持たれたならば、この調査会そのものの性格がそう変わってくるならば、同じようにこれらの答申をなされた考え方を織り込みながら自分たちがやってもいいというような論議はなかったんですか。それともまた、もしそういうものが持たれるならば、自分たちも参加して国民の財産権を、少なくとも正当な補償という形のものをするための努力をしようという考え方に立っておったのか、その二つの問題。これだけ言いっぱなしで政府にまかす、政府がおやんなさい、建設大臣がおやんなさいと、あるいはあなた方がやってもいいという考え方に立っておったのか、その点を一つ。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) これを書きましたときは、どういう方法でこれをきめるべきかというような点までは触れておりませんでした。もし政府の方で、特にそういう諮問機関みたいたものを作らずにお作りになろうというのであれば、それでも私はけっこうだと思います。もしそうでなしに何か他の調査機関を作っておやりになろうというのであれば、それもまたけっこうだと思います。いずれにしましても私ども実際収用委員会の仕事をしておりまして一番頭を痛めるのは、この評価鑑定の問題、補償基準が何かほしいという問題であります。ぜひこれは今後も、なかなかむずかしい問題でありますけれども、その方の検討を進めていただきたいということを政府に申し上げた次第であります。

田中一日本社会党

○田中一君 飯沼さんは全国の収用委員会の会長でしたね。そうでしたね。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) はあ。

田中一日本社会党

○田中一君 切実にこの問題をお感じになっていらっしゃるんだろうと思いますが、この二つの問題が解決されなければ、こうした答申が出、今回の特別措置法案が出ても、完全に国民が納得するような形で実施されないのではないか、という危惧はお持ちになりませんか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) こういう評価鑑定の制度が確立し、補償基準もしっかりしたものができますれば、収用委員会の仕事は非常にたやすくなりますし、また公正な裁決がそれによってできるだろうと思いますが、しかしこれがなければ動かないとまでは私は考えておりません。現に各府県の収用委員会がそれぞれ相当の案件を毎年裁決をいたしておりますが、中には訴訟に持ち込むものもありますけれども、しかし大体において、とにかく現状のもとにおいては、最善の努力をして最も正しいと思われる評価が、各地方において行なわれておるわけでありますから、これがなければ全然動かぬとまではまあ言い切れないのではなかろうか、こういうふうな考え方であります。

田中一日本社会党

○田中一君 収用委員会が動く動かぬの問題は、動くんです、内容がどうあろうと動くのですから。しかし正しく動くか動かないかの問題です。正しい評価鑑定がされるかということですね。一つの法律なら法律できまっておる基準があればこれは非常に楽なんです。ないところに、権力を持っている行政官が、——これは公共用地ですから、行政官が一方的な自分の意思を押しつける危険は多分にあるのです。それが今回ここに載せられた答申に入っておる事業のうち、この評価鑑定を一方的に自分だけでしたものもあるし、あるいは評価鑑定人というものを設定してやったものもあるでしょうと思います。しかし補償基準というものは持っていないところが多いのです。その場当たりの相手次第の売り買いになっておるわけですね。この収用ということを言っておりますけれども、収用委員会にかける前のことが原則でございますよ、今飯沼さんおっしゃっているように。その際に、売買交渉ですから、がんばりの弱い者からは安く買うし、がんばるやつからは高く買うというのが現状なんです。それは正しいか正しくないかは別にして、納得するかしないかは別として、とにかく収用委員会が動くことは事実です。動いているのです、一方的に、そういう動くように権威づけられているのですから。現に今までの土地収用法の裁決例をずっと調べてみると、反対している者は大体損をしております、収用委員会の場合には。絶対に反対という者に対する判決は、必ず要求した側の、申請側の方の価格で押しつけられている。それから協力すると、だからもっと高く買ってくれという場合には、協力料的なプラス・アルファがついている。それから自分の方からこれで買ってくれと、それが申請側よりも五割高いものを要求した場合には大体その中間で裁決が下っている、つぶさにこの判決例をずっと調べてみますと、大体そういう傾向になっております。まあ少なくとも飯沼さんも長い間収用委員会をやっていらっしゃって、そういう事実は御承知だと思うのです。それがIIの7だったかな、二の五の7か、二の二の7だったかな、そういうものを織り込もうとしたことだと思うのです。とにかく、まあ全部競べませんが、大体拾ってこう見ると、そういう判決が下っているのが多いのです。従って、その中にはあなたが織り込もうとしたところの例の利益の放棄、請求権がなくなるのだというような考え方が現実にこの今までの裁決の例から見ますと現われておるのです。ですから先ほどのあなたのおっしゃっているようなことは、あなた方の経験からいってそれを織り込もうとしたということだろうと考えますけれども、私はそういう基準等がないために、人間ですから感情が入り込む余地が多分にあるのじゃないか。収用委員ですよ、収用委員に感情が入ることが多分にあるのじゃないか。いわゆる財産権の評価の問題、それは公益の方にウエートがかかり過ぎていく傾向があるのではないか。なぜならば収奪される者は一人の個人、あるいは十人かわからぬ場合もあるかもしれませんが、公益というのは少なくとも日本民族全部でございます。それを除いた全部が受ける利益でございます。という場合は、どうも対等であるべきものが公益重点に収用委員会の判決はそういう裁決が下されるように私は見受けられるのです。従って、この鑑定制度または補償基準というものを明らかにしなければ、こういう答申が出、答申を参考として出た法律というものに対する国民の反撃は、私はもっと強くなってくるという危険を感ずるのです。そこで、補償基準並びにこの評価鑑定の制度を急速に、この法律の実施と同時にこれらのものの結論が出ることの方が望ましいとお考えになっておりますか。あるいはそういうものがなくても、今まで通り何ら基準のない買収交渉というものであっても、お互いの間に了解したならそれでもいいんだというお考えに立っておりますか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) この評価鑑定の制度、並びに補償基準については、早くできれはこれにこしたことはないと思います。しかし、私から申し上げるまでもなく、これは非常にむずかしい問題だと思います。評価鑑定の制度をどうするか、それから補償基準を作るにいたしましても、果してどういうものができるのか、それを見さえすれば、収用委員会が裁決をする場合にすぐ何か答案が出るようなそういうものは、私はそう早くできないのではなかろうかということを考えております。従って、この法律が出ましても当分私は今まで通りのやり方でいくよりほかは仕方がないと考えますが、しかし収用委員会の実際の状況から見まして、収用委員会がそのように感情をもって裁決をするというようなことは、私はこれは考えられないことでありまして、公平な裁判官と同じような気持で裁決をいたしておるのが各府県の収用委員会の実際の状況だと考えます。当分はやはり今までのようなやり方でいくことはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えます。

田中一日本社会党

○田中一君 しかし事実、感情が入らぬと言ったところが入るものなんですよ。たとえば筑後川の下筌ダムの問題にしても、もうとれはけんかです。飛行機と望遠鏡で測量して、貴様たちぶったたいてやるからというようなことを、部長とか局長とかいうような者がマイクでぶつかって、これはもうそうなると感情ですよ。これじゃ正当な冷静な買収交渉がありようがないのです。たとえば汚物の一滴でもこの辺に、顔へでもくっついた公務員は、これは勘忍ならない気持になるものなんですよ。これは買収交渉の場合ですよ。だから感情がないという前提に立って国家公務員を見なければなりません。これは法の執行者であるという形で見なければならぬと思うのですが、それでもまだあるということです、たくさんありますよ。たとえば今度、先般も新聞で御承知のように、建設省の地建の労働組合が大量馘首処罰されました。多分に中に感情が入っております。また民間のわれわれはそろばんでよく利害をはじき合いますけれども、国家公務員の場合は職階制ですから、点かせぐためには何でもしますよ。いやここにいる、そこにいる国家公務員はそういうことはない、いい人ですよ。それが多いわけです。そういうまた感情が入らないと言っても入るものなんです。だけどどうしても入る余地がないという制度を作るということが一番正しいと思うのです。今、飯沼さんも困難だとおっしゃるけれども、困難だからしないというわけじゃないでしょう。今法制局の方で言われているように、この法律の二十二条に公共用地審議会で調査するということをここにうたってありますが、私はこれが困難であろうとも、これは結論が出て、それによってこの公共事業、この答申された内容の事業が行なわれるならば、社会党が政権とりましても自民党以上に公共事業どんどんやりますから。だからまあもう少し内容は変わりましょうけれども、あえて反対を示すわけじゃないのです、今の傾向からいって。しかし、そういうものなしで相変わらず今のようなこの収用者、起業者に対する不信感というものがここまで増大して、一方取られる財産の価値というものが上昇の一方です。土地の例をとりましても、がんばっていれば地価は上がるのだということは間違いないことなんです。その土地に対しては地価の抑制というものをはかりながら、妥当なる買収交渉並びに収用委員会の裁決が持たれるような制度にしなくちゃならぬと思うのです。相変わらず現在のままの国民の財産の買い取り人が、今までのような形だけでこの法律を適用したならば、今までの困難がこれでもって、一挙に屈辱——まあ国家公務員にすれば屈辱もあるでしょう、屈辱的な暴言を吐かれた人たちに、これによって一つ仕返しをしてやるという気持は、やはりどこかの心のすみにはあるものなんです。それみろという気持、そうしてますます国民の行政権に対する不信感というものは高まるのではないか、という危険を感ずるわけなんですがね、これ、櫛田さんどうお考えになります。私が今申し上げているような、その点はそんなものはないと、そういうものは櫛田さん自身が、おれは感じないというお考えでしょうか、それともそういうもの多少ともあるかもわからぬというお考えなんでしょうか。

櫛田光男元公共用地取得制度調査会委員

○参考人(櫛田光男君) 大へんむずかしい御質問でありますが、私自身、土地収用特別措置を適用するまでもなく、何か両者の間でうまく事前にPRその他の方法を十分に徹底させまして、また地方公共団体その他もそれに十分協力をいただいて、それでその土地の方々の御納得をいただいて円満にお話し合いが済めば、それにこしたことはございません。それでだんだんと起業者の側においても、私存じておる限りにおきましては、PRの方法その他が大へん最近数年前とは比べまして進んでいるように存じます。住民の方々の御理解を得る点についても、相当従来とは変わった方向に、全体の大勢といたしまして向かっているのじゃないかと思います。ただ具体的にいろいろなケースがございまして、非常にむずかしい場合には、先ほどおっしゃいましたように感情的な対立にまでなって、大へんに困ったことだと思っておるわけであります。この法律、特別措置法ができましたからといって、その対立的な感情をさらに激化させるというふうなことは私はないのじゃないかと、むしろこの特別措置におきましては特にこの事前のPRでありますとか、そういった点を特別措置の緊急性の内容にかんがみまして、むしろ少し何と申しますか、事前の措置というものを従来よりも広く起業者に義務づけておりますし、これが大体ちゃんといきますならば、むしろおっしゃいますようなことが、だんだんと大勢として解消に向かう方向に何とかいかないものか、という希望を含めて私は感じておる次第でございます。お答えになりましたでしょうか。

田中一日本社会党

○田中一君 Iの1、この事業指定ですね。特定公共事業、これ答申案よりも法律案の方が一つふえておるようでありますが、これに対する感じ方はどうです。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) これはできるだけこういう特別措置でありますから、適用される事業の種類は公共性並びに緊急性の高いもの、強いものにできるだけしぼろうということで調査会の案はできておるわけでございます。しかしこの答申が出ましたあとで政府の方でまたさらに検討されました結果、その公共の度合い、緊急性の度合い等においてこれに変わらないものとして、さらに一つ付け加わったようでありますが、これは別にそれだからどうこうということは私としては考えておりません。

田中一日本社会党

○田中一君 そこでこれに指定してありますところの事業でも、どれもこれも皆それを認めるというわけじゃないようになっておりますけれども、どういう程度のものが緊急性と申しますかが、あるんだとお考えになるのですか、たとえば程度の問題ですよ。たとえばこれでいいとか、アメリカ駐留軍が要求するものが抜けております……そういう点は論議になりましたか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 別に特に論議はございませんでした。

田中一日本社会党

○田中一君 IIIの公共用地取得審議会、これは建設大臣が任命する者でいいんだというようになっておりますが、私どもはこういう者こそ国会の承認を受けて任命する方が妥当ではないかというように考えるのです。むろん飯沼さんが会長になっておられるところの調査会も、これは議事録には残っておりませんけれども、せめて社会党が推薦する委員を二人ぐらいは入れて下さい、そうなれば一応われわれの考えもそこに入るから賛成してもいい、という態度を明らかにして折衝したものです。おそらく前の大臣であったと思いますが、大体こうした制度は、まあ国会に出しますところの法律案でございますから、大体野党からもその比率によってそのくらいは出ていいと思うのです。その口約束を關盛君がしたものと思ったら、關盛君はおれじゃないと言って、そのうちに關盛君は外国に行っちゃったから、これは關盛君じゃないかもしれませんが、とにかくそういう口約束をしておるのです。それをあえてわれわれの野党の意見を聞かずに任命してしまったわけなんです。従って、今度の公共用地取得審議会にも当然国会の承認ということになった方が権威づけられてよいのではないかという気がするのですが、あなたの答申には「内閣の承認を得て建設大臣が任命する」ということになっておりますが、私が申し上げたようなそこまでの考え方は一ぺんも出なかったですか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 調査会ではそういう議論は出ませんでした。他の行政関係のこういう諮問機関と同じような考え方からいたしまして、従来土地収用法の仕事を扱っておられます建設大臣の諮問機関で、建設大臣任命でいいんではなかろうか、こういうことで特にその点は問題はございませんでした。

田中一日本社会党

○田中一君 私が今申し上げたような考え方、内閣任命で国会承認ということの方がよいとお考えになりませんか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) こういう問題は、特に国会の承認を受けるというまでの必要はないのではなかろうかと私は考えます。

田中一日本社会党

○田中一君 たとえば国有鉄道にいたしましても経営委員は国会承認になっております。NHKですら国会承認になっております。国会承認になっているものはたくさんございます。ことに国民の財産権に対する方法をきめるのであるから、われわれの意思も反映していいんじゃないかと思うのです。われわれというのは国会の意思ですね。まあこれは見解の相違です。これはどうにもなりませんが、収用委員会もこれで強化されたというお考えなのですか。どういうお考えだったでしょう。私の考え方としては、こうして非常に現在あるところの土地収用法から比べまして強くなっております。緊急裁決、補償裁決等々行なわれるわけですから、第二段の機関があってもいいではないか。たとえば中央収用委員会というのが持たれて、一番詳しいのは地方収用委員会が詳しいのですが、しかしまだそこで解決つかない問題があるなら、中央収用委員会というものを作って、それに最後の提訴ができて、その裁決できまるというような制度が好ましいのではないかという考え方に立っておるのですが、その点は政府から資料としてそういうような案が出てこなかったのか、あるいはそういうことは問題になりませんでしたか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 調査会におきましてはそういう議論は出ませんでした。ただ各方面の意見を聞きました際に、そういう中央の収用委員会というような案が幾らかあったと思いますが、しかし、現在の状況のもとにおきましては、各地方の収用委員会だけでいいのではなかろうか、もしその裁決に対して不服があれば訴願なり、訴訟という道が開かれておりますから、その方がいいのではなかろうか。かりに中央委員会を作ってみましても、ほとんど案件が一年にどのくらい出てきますかというような状態ではなかろうかと思いますが、現在では特にどうしても中央の委員会を作らなければならないというまでの必要はないのではなかろうか、こういうふうに考えます。

田中一日本社会党

○田中一君 それは飯沼さん、あなたの御意見ですか、それとも論議があって結論づけられた御意見なんですか。

飯沼一省元公共用地取得制度調査会会長

○参考人(飯沼一省君) 調査会の結論としてそういう点を明瞭に議論をされたわけではありませんけれども、中央委員会を作ったらどうかという意見を採用しなかったということは、委員の皆さんがそういうふうに考えておられたのではなかろうか、半ば私の推測でございます。

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) ほかに参考人に対する質疑はございませんですか。——他に御質疑もなければ、参考人の方に対する質疑はこの程度といたします。  続いて政府当局に質疑を続けたいと思います。参考人の方におかれましては、午前午後を通じて、長時間にわたりまして御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  それでは、政府側に質疑の方は、順次御発言を願います。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 計画局長に質問いたします。補償についてですが、この前から参考人の方々からもいろいろ言われたように、土地の補償の前の土地の評価基準がないのだ。これについてこれは幾人からもたびたび聞かれたことではあるけれども、的確なまだ御回答がつかめていないわけなんです。評価の基準をどこに求めるかということについて、大臣からもこの前お聞きしたけれども、ただまあこういうこと以外にはないのだというようなことで言われたけれども、参考人の方々さえもこの点についてはどうも心配が多いというような意見が、ほとんど一致して出ておるわけでございまするが、あの参考人の意見等をお聞きになったあとに、何か一つ置き場についてお考えになったかどうか、お伺いしておきます。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 公共用地の取得問題というものは、適正な、公正妥当な評価によって行なわなければならないので、確かにお話のように、補償基準というものをはっきりあらゆる事業についてきめるということが必要でございます。土地収用法の場面になりました場合につきましては、土地収用法の七十条以下の損失補償の規定がございまして、なおこの損失補償に関する規定の中で、八十八条に掲げてございますような、通常受ける損失の補償、この範囲等につきましても裁決例等でいろいろな例がかなり出ておりますが、こういう問題については、通常受ける損失の範囲並びにその対償の度合い等もありますので、これは具体のケースごとに、もとより場合が違いますけれども、この法律の施行後におきまして公共用地審議会が設置されますので、それの業務の一部としてこの問題と取っ組んで行こうという考え方になっております。  なお、各省が実施いたしましたり、あるいは各起業者が実施いたしております契約による実施の補償基準等につきましても、それぞれの規定を持っておりますとはいえ、内容的にもバランス上も検討を要すべき点がございますので、この問題は土地収用法及び各関係各省にまたがる問題でもありまするので、政府全体として検討をすべきことかと、こういうふうに考えております。

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) 質疑はちょっとこれで中断しておいて、資料の説明を願います。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 前回の委員会におきまして御要望がございました資料につきまして、お手元に差し上げてございますとの資料は、適用事業に該当する起業者が持っておりますところの補償基準といたしまして、建設省、国有鉄道、道路公団、首都高速道路公団、電気事業者、工業用水道事業者、それから地下鉄、帝都高速度交通営団、これだけの関係の起業者の分が補償基準としてお手元に差し上げてございます。  それから第二は、収用委員及びあっせん委員の名簿につきまして資料を差し上げてございますが、収用委員の名簿につきまして、恐縮でございますが訂正の部分をここで訂正させていただきたいと思います。収用委員の名簿の第二ページでございますが、第二ページの一番下欄のところに、第二ページは一番下に宮域県の収用委員の名簿が載っておりますが、一南隆春さんという方が宮城県の収用委員の最後の委員でございまして、岡部秀温さんとの間に線を引っぱっていただきたいと思います。岡部さんからは秋田県の収用委員ということになりますので、線をお引き願いたいと思います。それから第二一の訂正個所、十二ページでございます。十二ページの宮崎県の収用委員の方のワクが福田さんから始まっておりますが、一番最後のところでございますが、大原友幸さんから宮崎県の収用委員でございますので、大原友幸さんと森彦市さんの間に線を引っ張っていただきまして、福田さんの上の線は消していただきたいと思います。会長は福田甚二郎さんでございます。これが収用委員の名簿につきましての御訂正をお願い申し上げる——それからちょっとまたおくれまして恐縮でございますが、収用委員の名簿の八ページをお開き願います。八ページの中ごろからちょっと下に兵庫県がございまして、この会長さんは岩崎さんでございますが、この頭に〇が抜けておりますので、〇を御記入願いたいと思います。  それから次は、適用事業に関する収用法の適用件数につきまして資料を差し上げてございますが、その資料は、事業認定につきましては、全事業に関係するものと、それから適用事業に関係する部分の三十五年度に関するものを差し上げてございます。それから、裁決につきましては、同様に裁決のありました適用事業関係のものを掲げてございます。それから、係属中の訴訟の内容につきましては、二件お手元に記入して差し上げてございますから、御了承をお願いいたしたいと思います。  以上で資料の差し上げてございますものの事項の御説明を申し上げた次第でございます。

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) それじゃ資料について御質疑の方は、お述べ願います。

田中一日本社会党

○田中一君 まず、収用委員の名簿について伺いますが、土地収用法では六十一条に委員の除斥の規定がありますが、たとえば青森県の人の例を見ますと、県の町村会長などは、これは該当する事由もあるものと思いますが、これはどうですか。そういう人は除斥の規定で審議に加われないということになるのだろうと思いますが、これは事業の起業者であった場合はそうなるんですが、あえてそういう者を入れているんですか。それからここに会社重役になっておりますけれども、会社重役等は電鉄会社等に関係する者もおそらく含まれているんだろうと思うんです。これは、全部見ますと、そういう人もいます。岩手県の例をとっても、紫波町長が入っておったりしますが、これは一体除斥の規定があるから審議に加わらないでいい、というような考え方でそういう者を知事が任命しているものなんですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 法律上は、この収用委員の資格者を選考いたしまして任用するわけでございますが、ただいまのように当該委員が除斥事項に該当する場合は、これはもとより審議に参画できませんので、それはそのような処置で差しつかえないと思っておりますが、県内の収用委員の適格者を見まして選任されたものと考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 これは何の商売をしておってもどういう事業をしておっても、たとえ無職であっても、六十一条の委員の除斥の規定にかかる者はあると思います。思いますが、あえて公共団体の職員を入れぬでもいいのではないかという気がするんですが、そういうことに対する制限はありませんから、ただ除斥の規定があるにすぎないんですけれども、そういう点は今までどういう工合に指導しているんですか。極端な例は、岐阜県における羽島市の助役がなっておる。静岡県においても藤枝市の助役がなっておる。三重県などは鈴鹿の市長がなっておる。あえてこういう人たちを入れないでも適格者がいるんではないかと、こう思うんですが、その点はどういう指導をしてきているんですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) この収用委員の選任につきましては、法律でその選任の人の基準を明定化いたしておりますので、この規定に基づきまして知事が選任をいたしておるわけでございますので、この規定通りにやるということを、われわれといたしましても指導をいたしておる次第でございます。この経歴等につきましては、収用委員であった人が、その収用委員であったことが結果ではなくて、その後の現在の地位がこうなったというふうな場合もあろうかと思いますけれども、なるべく公正な人を選任されるように知事さんにお願いをしておる、こういうのが現状でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 石川県などは北陸電力の石川の支店長がなっておる。それから・たしか電鉄会社の社長が一人なっておるのがありますよ。やはりこういうのは除斥の規定があるからあってもいいじゃないか、というようなへ理屈は言わないで、行政指導で当然、この収用法に適用する事業の執行者は、除外するのがいちばん好ましいのではないかと考えますが、どうですか、法律にそれがないからかまいませんということなんですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) この収用委員の方々が、起業者といいますか、あるいは電気事業者でありましたり、こういうふうな肩書を持っておられる方がたまたま出ておられますが、こういう人たちの経歴上・学識経験という立場から知事が選任されたものと思っておりますけれども、この人選につきましては慎重に取り扱うように今後も指導して参りたいと思っております。

田中一日本社会党

○田中一君 収用委員は、これは任期がなかったですね。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 法律では任期は三年ということになっております。

田中一日本社会党

○田中一君 どこだったかな。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 第五十三条の規定でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 それならば、やはりどうも、たとえばここにあるように、これは職業は会社重役になっておるけれども、前歴は私鉄の常務、これはやはりその私鉄が事業を行なうときには、関係はないといえば関係はないけれども、どうも関係のあるようなにおいがします。そういう者は、やはり避けた方がいいのじゃないですか。今の答弁だけじゃ、どうもはなはだ納得しないような気がするのですが、どうです。どういう指導をしておるのですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) 土地収用法の法律の規定によって、公正な選任を行なうように絶えず指導いたしております。

田中一日本社会党

○田中一君 われわれが、どうかと思うような、首をかしげるような人たちが、収用委員になっているじゃないですか。ことに山口県では、松尾守治さんは、元、下関市長であって、洞海港務局副管理者をしておる。会社重役というのは、何か内容はわかりませんけれども、前任が私鉄の常務であって、現在会社重役というのも、これもちょっと、ことさら隠してやっているのじゃないですか。大分県では、立木勝さんは、県の総務部長だ。県だって事業を行なう。で、県議会の承認を得るのでしたね、たしかこれは。それで、大体任命は、県議会では政党政治ですから、与野党からの推薦というものが大体含まれておりますか。そういう議会の承認を得ておりますから、与野党というか、政党的な色が公平に任命されておるかと聞いているのです。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) その点は、各都道府県の議会との関係につきましての関係は、よくその消息を明らかにいたしておりませんが、われわれの、この表の中で明らかに申し上げられますことは、大阪の収用委員の名簿がございますが、この府会の議員の委員が三人出ておられますが、これにつきましては、自民、社会、民社、それぞれ一名ずつというふうな選任をされておる例もあります。

田中一日本社会党

○田中一君 あっせん委員、ちょっと開いて見て下さい。徳島県の池田町の道路改良工事、このあっせん委員三名は、県会議員並びに全一都県の職員、これは国道か何かわかりませんが、改良工事は。何か、県会議員並びに県の職員だけがあっせん委員で、話がどうも、うまくいくはずないじゃないですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) このあっせん委員の名簿は、あっせんの申請のありましたものの中で、あっせんの成立したものの報告がありますので、そのあっせん委員を掲げたわけでありまして、あっせんの結果、徳島県の改良工事のあっせんが効果を生じた場合でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 だから、県会議員並びに県の職員だけでやれば、その公平な判断というものが、県中心の判断しかされてないということだと思うのですよ。県の職員は知事が任免権を持っておるわけですから、だから五人なんかやる必要はない。一人でけっこうですよ、県の職員は。そういうような・どう見ても、あっせん委員会の制度というものは、そういうものじゃないはずなんです。県会議員並びに県の職員である者を、あっせん委員にしろというのじゃないのです。私はこの徳島県に、第十五条の三にある学識経験者がいないとは理解できないのですがね。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) この池田町の改良工事は町道でございますので、町会の方々ではないのでございまして、このあっせん委員は。県の職員があっせんに参画いたしておりますが、これはおそらく知事さんは町道の改良工事について公正な立場であっせんができるというわけで、専門的な立場の者を探しまして、県の職員を入れたのではないかと、こういうふうに考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 あなたから、そういう説明を聞かぬでもいいです。あなたはわからないのだから、自分が追及されるような答弁はしやしないのだから、それよりも、こういう形のものであっては、やはりあっせん委員なり、収用委員なりに対する、われわれが、こういう人選から見ると、はたして公正に行なわれておるかどうかということに疑問を持つようになってくるのですよ。  私どもは、公共用地取得のための事業をはばもうというつもりで質問しておるんじゃないのです。公正に行なわれるかどうかということが疑問があるから伺っておるんですよ。もっとも關盛君は法律を作る方で、何も実態を知らないのだから、こういう資料がどうして出たか知らないわけですから、それをあなたに追及するのは酷かもしらぬけれども、少なくとも指導の面において、だれもが納得するような人選というものが望ましいと思っているんですよ。しかしこれは、あなたが任免するのじゃない、都道府県知事が任免するのですから、それが、そういう形のものに、この表を見ても、そういう疑問があるから、的確な指導をして間違いないようにしなければならぬと思うのですよ。奈良県の国道新設、阪奈道路の問題にしても、奈良電鉄の監査役があっせん委員になっている。これは取引がすぐできるじゃないですか、あなた方に有利にするから、この次にはおれのときには頼むぞということになる。そういうにおいのするものは避くべきであるということです。その人は、りっぱな人であるかもしれぬけれども、自分の職務が奈良電鉄の重役であるならば、何らかの取引が行なわれないとは限らない。そういうものは避くべきであると思うのですよ。収用委員の権威のためにも。  どうお考えになりますか。将来、どういう工合に指導していこうと思うか、ほんとうに聞いておきますよ、建設大臣に聞いておきます。そういう場合に……。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) いろいろ田中さんから、私もここへ着席しまして御意見を拝聴いたしたのでありますが、まあできるだけ公正な人選をし、またあっせん委員等にいたしましても、世間の納得するような、いい人選をしてもらうことが望ましいのでありまして、この点は、今拝聴いたしました貴重な御意見等を、これはやはり県の知事が任命する制度上のものでありますから、建設省として、あまり出過ぎてもよろしくないのでありますが、何かの方法で、一つ世間の納得するような理想的な人選に努められるように、一つ私どもとしましては、通達か何かの方法で努力をいたしたいと、今拝聴しながらそう思っておったような次第でございます。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 今の問題に関連してですが、さっきも飯沼参考人に別の角度でお伺いしてみたわけですけれども、一向私ども納得するような的確な御答弁にはならなかったわけです。  そこで大臣に質問いたします前提として、この際関係当局の方から、私が今申し上げようとする、一つの例にしようとしている問題ですから、特にはさんでお聞きしておきたいんですが、佐久間ダムの建設に関するところの般補償と、公共補償との割合は、どうなっておりますか。これを御承知ですかどうですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) ただいまお尋ねのございました佐久間ダムの建設に伴いまして支出されました補償費、これは公共補償費を含めました補償費でございますが、電源開発の方からの資料によりますと、九十二億九千万円ということになっております。この九十二億九千万円のうち、公共補償に相当する部分が七十三億九千二百万円、ですから、全体の一般補償を含めました補償費の総額に対しまして、公共補償費の占める比率が約七九%、こういうことになっております。一般的に公共用地取得制度調査会で述べられました統計によりますと、電源開発等のダム建設の場合におきましては丁全体の一般補償と公共補償を含めました補償費という言葉を用いますならば、それに対応する公共補償が七割、三割の比率であるというふうに述べておられます。こういう状況になっております。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 そこで大臣にお聞きするわけですよ。今御答弁がありましたように、実際には補償費の総額の七九%というものが、佐久間ダムの例に見るところの、いわゆる公共補償の割合なんですね。そこでどうしてもお聞きしておかなければならぬ。一体こういうような公共補償費を大きくすれば、この問題は非常に重大な問題であると考えておる。これは別な問題としておきますが、気持だけ申し上げておかぬとしっくりしないかもしれませんから申し上げます。  私どもが承知する範囲では、とにかくこういうようなもとを作ったということは、静岡、愛知、長野、この三県の知事が例の天龍川、あるいは東三河ですか、これらの総合開発計画に関係して、知事がもっているところの、いわゆる水利権の許可権をたてにいたしまして、いろいろもめたわけなんですね。これは個々に原因があるわけなんです。地元町村でも橋梁であるとか、学校であるとかというような、いわゆる公共施設をどんどん出しまして、うまくこれを獲得してしまっております。あるいは飯田線の補償、つけかえ工事費、それがまた過大な金額に達しているわけなんです。その他道路のつけかえであるとか、こういうものが主になって参るわけですが、こういうことをうまくごねたものは、いわゆるさっき申し上げました三県の知事が、これをやらしているということなんですよ。こういう場合において、今田中委員の指摘されましたもろもろの、これにタッチする機関が、知事によって任命されるということであるならば、こういうものに対抗する力が事実上できないんじゃないかということなんですね。実際には任命している知事が背景になって、こういうことをやらかすのですから、そこへ対抗して、いやそれはいかぬのだ、実際には一方の公正、妥当な補償費というようなものを割り出すのは、ただ、そうした被収用者側だけの問題——それは個人であろうと公共団体であろうとを問わず、それだけの利益の擁護というだけでなくて、一面には、これから影響を受けまするところの全国民の立場を考えてやらないと、ほんとうの公正・妥当ということにはならないはずなんだ、こういう意見をもって当たったとしても、どっこいそうはいかぬ、知事から任命された立場であるなら、その主張は、どうしても無形の圧力と言いますか、それに押されちゃって、できないんじゃないかということなんです。そこに私はこの問題の非常に複雑なる、困難な結果を生み出す事情というものが生まれてくる、こういうことを心配いたしますので、これらの今言う、特に地方の収用委員等の任命というものについては、国家機関がこれをするというように、都道府県知事にまかせないで国家機関が任命し、あるいはこれが大きくここに関与できるような方法をお考えにならないといけないんじゃないかと思う。言われるところの——これは見方がいろいろ違っておりますけれども、ごね得なんていうものは、被収用者にはないんだという意見もあり、いやあるのだという意見もあり、その真偽は別といたしまして、少なくともこういうような非難される、あるいは懸念されまするあれを防ぐのには、ここから考えなければならぬと思うのですが、これについて、大臣の一つ御所感をお伺いしておきたい。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) まあ今、田上さんからいろいろ御意見を拝聴したのですが、実はこれは、見方の問題なんでありますが、いろいろな公共事業、公益事業につきまして、用地取得その他補償の問題等、これはきわめて所在住民の利害と重大な関係がありますので、私どもの見方といたしましては、やはり中央に取り上げるよりは、地元住民の利害を最もよく承知いたしておる県単位の収用委員会であることが、考え方として望ましいのじゃないだろうか。ただ問題は、その人選の適正を期するということは、これは先ほど来お話がありましたように、最も重要なことでございますが、かような角度に考えておりまするような次第でございます。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 田中君に済まないと思いますから、この点について希望を申し上げておきます。  私が申し上げた要点は、大体おわかりになったであろうけれども、言葉をかえて言いますならば、この特別措置法は、確かに一般国民には、まあ悪い言葉でいえば、押しつけて効果を求めることが多分にできるであろう。けれども、地方公共団体等に対しては、弱くなるのじゃないか。こうであっては、国民の疑惑が解けないことになるから、その点に留意されて、やがてこれの実施にあたっては、十分な御配慮をお願い申し上げておきたい、こう考えるわけです。  これで質問を終わります。

田中一日本社会党

○田中一君 この資料の鳴子ダムの問題ですが、この経緯を説明して下さい。そうして現在の土地収用法はむろんのこと、今回の特別措置法で、こういう問題をどうするかという態度をきめなければならない。  大体、収用委員会の裁決があったにかかわらずそれに対する抗告をまたしておるということになると、訴訟を起こしておるということになると、際限がない。国民にごねろということをここで教えているのです。鳴子ダムの訴訟問題は、国民にごねろ、収用委員会のいうことをきくな、もっととれるぞということ……。逆にこの場合には、そんなに払いませんよ、もっと安くしてくれと訴訟を起こしている。ここにはっきりと国は——むろんこれは法律上の手続を踏んでおるので、違法ではございません、ございませんけれども、このように、これもごね得の一つです。政府自身がごね得の一つの見本を示しておるということになる。この実態が、どうであったかということを詳しく説明してもらいたい。これは特別措置法が出た場合には——現在も土地収用法がある、なるほどあるけれども、この特別措置法の出た場合には、どうするかということ、並びにこの訴訟に対して、国は訴訟中だから裁判の決定を待って、それをするということなのか、あるいは取り下げて収用委員会の決定に服すという態度なのか、この点を一つ明らかにして下さい。国は少なくとも法の執行者ですから、国民に範を示さなければならない。御見解を伺います。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) ただいま田中先生から御質問がありましたのは、鳴子ダム建設に伴う蟹沢発電所関係の問題かと存じますが、概要は——蟹沢発電所と申しますのは、荒雄岳鉱業株式会社という会社が持っておりまして、江合川の鳴子ダムの上流の地点に位置しております。自家用発電所でありますが、この発電所の敷地は、高橋さんという方がお持ちになっておりまして、これを荒雄岳鉱業株式会社は、借りておったわけでございますが、その土地が、鳴子ダムの建設によりまして水没することになったわけでございます。そのため発電施設と、その敷地を買収するということになったわけでございますが、土地並びに物件の所有者と補償額について協議が成立いたしませんために、土地収用法に基づきまして収用手続を行なったわけでございます。その結果、昭和三十二年の三月に、発電施設及び敷地につきまして収用の裁決がございまして、裁決の額は、概略発電施設等につきましては、四千四百六十万、敷地については約百三十五万というふうな裁決があったわけでございますが、この裁決につきまして、起業者側におきましても、その補償金額について不服がございまして、土地収用法百三十三条の規定により、訴えを提起いたしております。また土地の所有者からも、やはりその裁決を不服といたしまして、訴えの提起が行なわれておりまして、両方の訴訟が、ただいま参考資料として御提出申し上げました鳴子に関する係属中の訴訟事項として記録されておるわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 だから、どうしようというの。これは、どちらが訴訟を起こしているの、起業者が起こしているのでしょう。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) 起業者側からも、補償金額について不服があるということで、収用法百三十三条による訴訟を提起しておりますし、土地の所有者からも不服があったということで訴えが提起されておる、両方から訴えが行なわれております。

田中一日本社会党

○田中一君 荒雄岳鉱業の方は、これは、起業者が訴訟を起こしているのでしょう。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) ただいまお配りしました資料の、係属中の土地収用法関係訴訟というのの二枚目、鳴子ダム関係というのがございます。そのうちの裁決取消請求事件というので、当事者、原告が荒雄岳鉱業株式会社、被告建設大臣という訴えが一つでございます。次のページをめくっていただきますと、損失補償金不服申立訴えというので、これは原告が国でございまして、被告は荒雄岳鉱業株式会社とあって、この二つの訴訟でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 土地に対しては原告が起こしているのですか。さらにその土地の方の、申し立て人の方の額、収用者の方の額、第一回の裁決幾らになっていましたか、これがここに抜けている。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) 原告が荒雄岳鉱業株式会社の訴訟事件につきましては、発電施設及び発電用水利権を収用したことに対しまして訴訟が行なわれておるわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 それの裁決は幾らでしたか。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) 裁決額は、発電所につきましては、収用委員会の裁決額は、先ほども申し上げましたように四千四百六十七万、こまかい数字まで申し上げますれば七千五百四十四円ということになっております。

田中一日本社会党

○田中一君 この表を見ると、2の方が四千四百六十七万七千五百四十四円という裁決額になっていますが、2の方ですね、これは原告が国です。被告が荒雄岳鉱業なんです。従って、これは国が起こしている損失補償金不服申立事件なんです、この分は。前の方の原告が、——これは裁決取消請求事件です、こいつは。  そうすると、訴訟の方は国が起こしているのじゃないですか。訴訟の方は、原告が国になっていますよ、これは。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) 補償金の不服申立事件につきまして、原告は国でございます。全体につきまして裁決が適当でないということで取り消しを要求しております訴訟があるわけでございます。それは、原告が荒雄岳鉱業株式会社でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 そこで、この損失補償金不服申立事件といううちの収用委員会の裁決に服さないという根拠、これは何かと伺っているのです。そうして、また今回の特別法で、こういう強い規制をしようという場合ですね、この訴訟事件に対して、原告は国なんですから、国はどういう態度をとって臨むか。裁判の結果を待つというのか、あるいは訴訟を取り下げるというのか、どっちなんです。少なくとも収用委員会の決定に服すという態度が望ましいのですよ。どうしますか。これは志村君じゃ困るな、大臣でなくちゃ。

志村清一建設省計画局参事官

○説明員(志村清一君) この訴訟事件につきましては……

田中一日本社会党

○田中一君 志村君、君から聞かぬ。君から聞かないよ。大臣から聞くよ。どうする……

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) どういたしましょうか。その訴訟を起こすに至ったいきさつ、私も実はかねがね、前の議会でしたか田中委員から、鳴子ダムの問題が出たように思いましたので、さっそくどういういきさつで、一体国は訴訟を起こしたのか、よほどやむを得ざる事情があったのかどうかということを聞いてみたのでありますが、その方から先に、ちょっとつけ加えさしていただきます。  それによりますと、まずこの発電所の価格の問題ですが、収用委員会では四千四百六十七万ということであったわけですが、この算定の基礎は、この発電所が売電をしておりまして、そうして年間純益というものを基礎として算定したと、こういうことなんですが、当時の実情は、発電による利益は全然なかった。それで、従って利益がある発電をしておったものという基礎の上に立って算定した補償額が四千四百数十万ということになったので、正しくこれを査定をするならば二千七百七十四万ほどになるのが正当なんだ、こういうことが一点と、それから土地の、その敷地に関する問題につきましては、土地の上に発電所に関した建物等があったので、用地全体を宅地として収用委員会は算定をした。ところが実際には、宅地は一部分であって、他に山林があり原野があり、あるいは川欠というのだそうですが、私も初めての言葉でわからないのですが、一般民有地が川にくずれてしまって川の底が川の一部になっておるのが川欠というのだそうですが、そういったような区域がある。これらも、この山林原野から川欠になったものまでを、一括して宅地として認定をして宅地としての評価をしておる。こういうようなことのために、実際に即しない差額が出ておる。これを、このまま支払うということはできないから、供託をすべきものは供託し、また権利者から支払い要求があったので、こちらの認定した金額は、支払いを収用法の規定に基づきまして支払いをして、あとの差額を供託をして訴訟しておると、こういうような話でございます。  元来、なるほど公的の機関である収用委員会が、補償裁決をしたものに対して、国が、どうも不服であるからというので訴訟を起こすということは好ましい事柄ではないと私も思うのですが、しかし収用委員会というのは、第三者的な裁定機関でございまして、これは本来の本質からいえば、当事者の双方から不服がある場合には不服を言い、また訴えもできると、こういうのが、まあ本質的な建前だと思うのです。そこでまあ大ていの場合は国としはそんな訴訟は起こさないでしょうが、この場合には差額があまりにも大き過ぎたと、また認定の基礎にだいぶ違いがあると、こういうようなことで、やむにやまれず裁判を起こしておるということでございます。  従いまして、実はこの訴訟をどういう方法かで、すみやかに——相手方も迷惑しているでしょうから——解決する道があるかということについても検討を加えたのでありますが、金額の開きが大きいこと、それからそういう算定の基礎に、相当の相違があるということ、これらからみて、国としても起こした訴えを途中で、一般民間の訴訟のように妥協をしてしまうということは、かえって明朗性を欠くということにもなろうと思いますから、結果的に私ども、実は従来の経過を扱って参りました事務当局から報告を聞いた私としては、やはり公正なる、もうここへきたら、裁判所の御判断を願う以外にはないのじゃないか。若干そのために時日がかかって、相手の当事者に御迷惑がかかるかもしれませんが、まあこういう訴訟になったのは、これ一件だそうでございますから、やむを得ないケースとして、今日実は考えておるような次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 少なくとも法律によって、法律の手続によって任命されておる収用委員会が裁定を下したものに対して、例外であろうと何であろうと、一つの異議の申し立てというものが、起業者の方から出るということです。これは、まあ法律を実施する行政官としてでなく、起業者としての国ですね。これは好ましいことじゃないと思うのです。もうその収用委員に対する否定にならざるを得ないですよ。これは非常に——私は、こいつはなるべく言いたくないのですがね。言いたくないというのは、そんなに行政というものがいいかげんなものだという印象を国民に与えたくないから言いたくないのですが、しかし、こうして今度は、先取りしてしまうという——物件を先取りしてしまうというような法律ができ上がるわけなんですから、この際は、こういうものに対する措置を明らかにしなきゃならぬと思うのですよ。これは物件は、まだ収用してないでしょう、収用しているのですか。これは水没しているのですか、していないのですか、これは。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) すでに水没いたしております。

田中一日本社会党

○田中一君 水没しちゃって、五年もたっているのにかかわらず、清算されないとなれば、今までは金利をつけて払うなんていう法律はないわけです。おそらく訴訟を起こしている金額も、そんなものじゃないと思う。やはりここに示しているように、二千七百万程度のものが妥当だとして訴訟を起こしているのだと思いますが、こういう行き方を一方にしておいて、そうして国民の権利を守るんだとか何とかいったところが、そうはならないですよ、こういう事例があると。  だから、さっきも飯沼参考人が言ったのは、こういう強い法律を作ると、ますます国民はこれに従わないというのですよ。合法的な闘争が激しくなるというのですよ。いい例を見せているのは、この事件です。訴訟を起こしておるのだからやむを得ませんということだけでは済まないですよ。この訴訟は、いつごろ済むのですか。その見通しはいかがですか。そうして、この裁決文をすっかり見ると、当然、委員会が、大河原旭、須藤義明、それから藤本滝也という人々に鑑定を依頼しているのです。ちゃんと手続をしていながら、その裁決が不服だということを起業者が言うのでは、それはもう信用できませんということなんです。なるほど金は国民のもとですから、幾らでもあるでしょう——国民は、実は、そんな金は持っていないのですよ、ことに水没するような人たちは。ことに農村においては激しいです。訴訟をするにも、訴訟をする金もない人が多いのです。下釜ダムの室原さんは別です。資金がだいぶあるということです。収用委員会の裁決が下って、その裁決が不服だといわれたのじゃ、国民はたまったものじゃないです。ましてや物件というものは、もうとられてしまっているんですよ。住んでいた家はぶちこわされているんです。今このように水没している。どうにもならない既成事実を作って、今度また国が提訴をする、原告になる。これを解決なさい。これを解決する方が先決です。それには話し合いをするんです。けんかを売っているのは国じゃないですか。収用委員会の裁決は、当然守らなくなって、訴願の道もありますけれども、話し合いの公共事業を行なうということを口で言っていながら、こういう訴訟を起こしているということになれば、弱い者、貧乏人、智恵のない人たちは、全くもみくちゃになってしまうんですよ。例外だなんていうことはあり得ないですよ。同じことです。少なくとも一億七千万の要求をして四千四百万にきまったわけです。国が二千七百万で申し立てをしている。この問題を解決しない以上、国民の不信感というものは抜けきらないです。これを解決しないで、そうして今度の法律をそのまま実施しようということは許されないことである、許すことができないです。あやまちは改めるに、ちっとも遠慮は要りませんから。私は何も荒雄岳鉱山から変なものをもらっているわけじゃないですよ。自分のなにで言っているんじゃないです。何も依頼を受けたことはありませんよ。法をほんとうに信頼されるように行なおうとするには、こうした問題を解決しなければだめです。それは、弁護士は一番ほくそえんでいる。何といったってお互いに金持ちだから、いつまでもやっていけるが、しかし物件は水没している。こうしたことに、今度の法律でもって強制しようとしている。今度の法律は、私は、大臣から、これはどうするかという答弁がなくちゃ、どうしても抵抗します。今度の火曜日の閣議でもって、これをきめていらっしゃい。閣議の問題ですよ。こういうことをしているから、政治に対する国民の信頼というものを失っているんじゃないですか。とんでもないことですよ。これは中村さん、あなたが閣議に持ち出しても、決して恥ずかしい問題じゃないですよ。あなたが良心的な政治家である以上、片方には、これを強制しようとする、現在あるところの土地収用法以上のものをもって収奪しようとする。しかし一方においては、こうして収用委員会の裁決に対して異議の申し立てをしているという、これは何とか解決しなければならぬ。そうしなければ、実際にこういう法律を作っても、国民の抵抗は強まるばかりです。これは内容を、こうなっているから、どうしようかということくらいは……。そうすれば、あなたは、選挙に楽々と当選しますよ。これはもう一つ何とか態度を明らかにして下さい。それは訴訟を待つばかりでございますといっても、訴訟を取り下げればいいんです。あなた方がいつも言っている話し合いができるのです。お前の方でも、これは一つがまんしてくれ、おれの方も、これを認めるからということで、円満に解決するのです。  おそらくこの荒雄岳鉱山なんというものも、これは長年訴訟をやったのじゃ、とても続くものじゃないです。その施設は全部水没しているということになれば、とんでもない話ですよ。これは大臣から何らかの答弁がなくちゃ、ここでひっかかっちゃう。答弁求めます。ほんとうに国民から信頼される政治を行なおうとするならば、態度をきめて下さい。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 確かに国が起業者である場合に、収用委員会の裁決に対して不服の訴えを起こすということは、好ましいケースではないと、私も精神的に確かにそうだと思います。  ただこれは、言葉を返すようで申しわけないのですが、田中先生、土地収用法の制定に際しては、非常にいろいろお知恵をしぼられて、土地収用法を生んだ方のお立場でございますが、収用法には、やはり被収用者の側も、関係人も訴えを起こすことができると同時に、起業者の側も訴えができることになっておりますし、またその場合には、差額の支払い請求があったら、自分の見込み額を支払って、あとは供託して訴訟ができるということになっているものですから、制度上からは、これは違法ではないと思うのです。ただ問題、考え方として、精神的に、どうも国自体が——他の起業者であれば別ですが、国が起業者の場合に、訴訟を起こすということは好ましいことじゃありませんから、よくよくの場合でなければ、すべきものでないと、私も、この点は全く同感に思います。  ただ、今度の特別措置法制定にあたりましては、実はこういう点も議論になりまして、特別措置法を適用する事業については、起業者が収用委員会の裁決した補償額に不服があって訴えを起こす場合でも、差額の供託は許さぬ、やはり全額を払っておいて争え、こういうことに除外規定を設けまして、この差額を供託して争えるという、要するに基本法である土地収用法の特例を織り込んだわけでございます。従って、今度の御審議を願っております特別措置法でやる場合には、たとい起業者が不服がありましても、収用委員会の裁決をした金額は全額払っておいて争う。争うなら、あとから争う、こういう建前に実はしたわけでございます。  で、今の問題でございますが、こういう先ほど申し上げたような見解の相違から、訴訟を国としては起こしたわけでございますから、示談ということも、民事訴訟は、最終まで争うことが、必ずしも双方の当事者にとって得策でありませんから、適当な段階で示談をするということは、私もいいと思うのですが、ただ、そうするには、やはり、だれから見ても公正な示談であったという認識を受けるためには、裁判所が現地調査をするとか、鑑定人に鑑定を求めるとかいう、十分な資料ができて、裁判所の腹がまえができたころに、裁判所から、過度の争いを続けないように、裁判所の腹がまえに基づいて和解勧告でもしてもらって、そうして、和解の勧告に基づいて、双方が裁判所を中心に話し合ってつける和解ならば、これは公正の観点といいますか、妥当性というものが出てきますから、まあそこらの進行状態は、私もよく知りませんけれども、争いは争いとして、妥当性が見出せる段階があれば、そういうふうな方法を、こちらとしても裁判所に要請し、裁判所の手によって和解なり示談なりを勧告してもらって進めるということもいいと思うのですが、ただどうも、早く解決したい一心で、また妥当性を欠き、あるいは、見る人によっては、せっかく起こして争っておきながら、公正な手打ちをせぬでないかという御非難等も起こってはなりませんから、まあそこらの状況を見計らって、われわれとしては、結末について善処をいたしたいと、こう考えておるようなわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 關盛局長、これは、あの訴訟は、一審だけで決定するものじゃないだろう。やっぱり最高裁までいくんだろう。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) この訴訟には、二つございまして、損失補償金の不服の申し立て、国が実施いたしております訴訟と、それから荒雄岳鉱業株式会社が、裁決の取り消しの請求にかかる訴訟と、二つございます。で、会社の方が実施いたしております原告の訴訟は、目下東京高等裁判所に控訴されておって、係属中でございます。との事件と、補償金の不服申し立ての事件が、訴訟の取り扱いといたしましては、関連をしているように見受けます。国の方がもとより、提起されましたのが三十二年六月十二日でございますから、損失補償の不服申し立て事件の訴訟提起は非常に古いのでございますが、その後におきまして、荒雄岳鉱業の方から、裁決取り消し請求事件の訴訟が提起されておりまして、これが控訴審になっておる、こういう関係でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 そうすると、これは最高裁までいけるのですか。

關盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(關盛吉雄君) これは、いずれにいたしましても、訴訟提起の関係は、性質上は最高裁までいけるわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 建設大臣は、これは仙台で行なわれているところの補償金の訴訟については、一審で服するつもりですか。また上告するつもりですか。これが、判決が少なくとも、あなたの、国が二千七百万で出しておる申し立てが、それが二千七百万以下にならなければ——それまた以下にならなければ、また今までの行き方、考え方ですと、上告するということにならざるを得ないと思うのです。で、最高裁までいくつもりですか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) まだ補償金に関する訴訟は一審にあるようでございます。で、私どもとしては、それは訴訟というものは、全面的に自己の主張が正しいと思っても、達成されるものとばかりは期待することは無理でありますから、判決の理由等にもよりますが、理由が納得でき、この辺が、まあがまんすべき程度であるという場合には、しいて控訴の道をとらない方がいいのじゃないか。しかし、どうしても納得がいかないと、判決理由自体も、まだこちらの正当なりと信ずる点を十分認識していただいていないということであれば、やはり公益の代表として、ことに国が起業者である場合には、考え方としては好ましいことじゃありませんが、やはり国の税金なり、公共の資金によって行なっている事業でございますから、公共の利益のために、控訴してまで争わなければならぬという場合もあり得るかと思いますが、そこらの点は、どうも予断をして、ここで結論を申し上げることは、ちょっといたしかねるようなわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 この法律が、今度の特別措置法が成立して、これを実施する場合ですね。どういう態度です。今言う通り、今あなたが言っているような態度で臨むのですか。それとも、収用委員会の裁決は、とりあえず服すと。むろん土地収用法が親法になっていますから、これによって手続するけれども、まず服すという前提に立って考えておられるのか。おれの考え方に間違いがあるならば、みんな服さなければ、みんな訴訟を起こしてやる。おれの方は、金はふんだんにあるのだという態度をもって臨もうとするのですか。これは重大なことなんですよ。冗談じゃないのですよ。国民に信頼される政治をしようじゃないかということです。態度を一つ明らかにして下さい。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) これは、確かに、他の起業者である場合は別として、国が起業者である場合には、法律の制度としてできておる、公正である、この、国が信頼すべき機構としてできておる収用委員会の裁決に対しては、努めて裁決の結果を尊重するというのが考え方として基本でなければならないと思います。  しかし、これも全国広いことで、どこの収用委員会で、どういうことが起こるかもしれませんから、絶対にやらないということは、法律上も制度上もあるものですから、私どもは言いかねますが、ただ先ほども申し上げましたように、今度の特別措置法では、万一起業者か裁決に不服があって訴訟をする、補償金に不服があって訴訟する場合でありましても、きめた補償金は、今度は全額払わなければならぬ。今までのように、全額払わないで、一部を、自分の考えと相違する部分を供託できるという規定の適用を除外しまして、全額払わなければならぬ。払っておいて、争うべきものは争わなければならぬ、こういう建前にいたしておりますから、今御指摘のような、当事者に非常な迷惑をかけるということは、大半除却されることになってくると思うのです。

田中一日本社会党

○田中一君 その際、金利はどうなんです。過払いを受けた場合には、金利はやっぱりつけて返すのですか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 過払いをした場合ですか。

田中一日本社会党

○田中一君 向こうが余分にもらった場合には、訴訟の結果ですよ、余分に払った場合には、訴訟の結果余分に払った分は、間違えた場合には、その金は返さなければならないでしょう。その場合には、金利をつけて返すのでしょうか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) この場合には、当然裁判所が、支払いの義務ある者に対して裁判所が判決において金幾ら、及びいついつから支払いの日に至るまで幾らの利子を付して支払うべしというのが、裁判所の通常の判決でありますから、これはもっとも、大ていの場合どの判決でも非常に低い法定利子でありますが、まあ裁判所の判断にまかせる以外にはないと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 足りない場合には、金利をつけて払うのでしょう。これは法律に明示してあるね、その場合。それで余分に受けた場合には、金利をつけて払うのですか。裁判所が命令すれば、金利つけなければならないのですか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) その裁判の結果、支払額がもっと過小になった場合、減額された場合、その差額については、裁判所がどういう支払いを命ずるか、これは裁判の判断によると思います。

田中一日本社会党

○田中一君 まあ少なく払った場合は利子をつけるということになっていますね。じゃあ余分に払った場合は利子をつけないと法律に書いたっていいじゃないですか、収用委員会でもってきめた額をもらっているのでしょう。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(中村梅吉君) 今のお話は、緊急裁決と最終的な補償裁決との場合の差額のように伺いました。そうだとすれば、この場合には、この法律は双方とも金利をつけるという建前になっております。

田中一日本社会党

○田中一君 この荒雄岳鉱業蟹沢発電所水没の問題で、収用委員会での裁決には、会長伊澤平勝、委員三島保は回避されたので、本裁決には関与しない、回避したということができる条項は、土地収用法のどこにあるのです。回避する、棄権する……。

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) 速記とめて。   〔速記中止〕

稲浦鹿藏自由民主党

○委員長(稲浦鹿藏君) 速記を起こして。  本日は、この程度で散会いたします。    午後四時三十四分散会

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