建設委員会 第29号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/18
会議録
○委員長(稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 まず、建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。
○田中一君 建築協定の実効というか効果というものを、今まで上げた例があるならば、これは一つ全国的に、どこでどういう建築協定をやってこうなったということを、一つ出していただけませんか。
○政府委員(稗田治君) 建築協定を作りました実例でございますが、沼津市の本通、横浜市の福富町、この二件がございます。沼津市の内容について申し上げますと、有効期間を定めまして認可のあった日から十年間、それから建築物に対する基準を設けてございまして、一つは共同建築とすること。それから壁面でございますが、所定の壁面を後退すること。所定の壁面でございますが、定まった——どの壁面もいうわけじゃございませんけれども、所定の壁面を後退する。一階を三・七五メートル後退する。それから一階の階高をそろえる。三・五メートル。それから広告物を制限するというようなことが、建築物に対する基準として内容となっております。で、なお、この協定の違反に対する措置といたしましては、協定代表者が違反者に対しまして、工事の施工停止を請求し、かつ、必要な是正措置をとるよう請求しなければならない、違反者が前記の請求に従わない場合には、代表者はその強制履行または違反者の費用をもって第三者にこれをさせることを裁判所に請求するというようなことが、協定の違反に対する措置としまして、協定の中にうたわれております。まあ沼津市の協定の内容だけでございますけれども、大体そういうようなことになっております。
○田中一君 そしてその実効はどうでしたか。実効というのは、実際の効力があったのかないのか。
○政府委員(稗田治君) この協定につきましては、沼津市におきましても、横浜市におきましても、完全に効力を発揮しまして、街区の体裁を整えているわけであります。
○田中一君 沼津市の場合は、何戸——戸というか、何店舗というか——がそれに加入しておったのですか。
○政府委員(稗田治君) 戸数は、ちょっとただいま資料がなくて申し上げにくいのでございますが、沼津市の場合も、横浜市の福富町の場合も、いずれも防火帯を造成する場合に、軒並みに連檐しておる各建築主の協定によるものでございます。
○田中一君 そこで、強制履行と、自己負担によるところの改造等の訴訟を起こした場合ですね、どれくらいの効果があるということを考えるわけです。そのために、むろん訴訟になれば、ここで共同建築というようなことが前提になっておるならば、全体の工事に支障を来たす場合もあると思う。で、実際の強制力というか、それが裁判できまるということになると、時間はうんとかかる。で、そういう裁判にかけないでもいけるような方法はないものかな。
○政府委員(稗田治君) 現実の問題といたしましては、沼津市本通の場合も、横浜市福冨町の場合も、防火帯を造成しようというので、全部の権利者が合意をしまして、すぐ工事に着工してでき上がったものでございます。従いましてお互いの全員の合意で作りました申し合わせでございますから、これに違反したという実例はまだないわけでございます。協定でございますので、一応公法上の罰則は受けないわけでございます。従いましてあとの協定内容を保持するということにつきましても、協定の中にその制裁事項というようなものをうたうという制度になっておるわけでございます。
○田中一君 これは建築街区の場合でも、建築協定というものがなされなければ街区というものにならないわけですね、事実において。しかし街区法の中にも、財災街区法の法律の中にも、脱退者があるとか、未加入者があるということもあるのであって、防災という見地からすると、たとえば左右とも六階だ、しかしまん中は三階だというと、その三階と六階の間のそれというものが煙道になるわけですね。火災の場合を考えても、高潮の場合を考えても、それは水路になるわけです。従って実際に防災街区というものを作る場合には、建築協定がなされなければ実効が薄いのです、効力が薄いのです、ということも言えるわけなんですね。そういうこと。 それからもう一つは、都市美の観点からみても、これは当然そういうことをしなければならない。ところが大体において今までは、そういう建築協定というものは、効果ある利用応用というものがされなかった。どこに欠陥があるかという点を考えなければならないと思うのですよ。幸い沼津にしても横浜などにしても、防火帯の造成のために国からも補助金が来ている。あるいは資金も当該行政庁のあっせんでおそらくきているのじゃないかと思います。そういう場合にはこれはまとまる。そういう場合のまとまり方というものは、別に建築協定というものはなくてもまとまるわけなんですよ、実際言うと。しかしまとまらない場合はどうするかということを考えると、これは相当建築家に対しても相当な、芸術、技術に対する規制はありませんけれども、何らか考慮しなければならない点があると思います。私はかつて今から何十年前だったか、白木屋ができたときに、ああいう建物は危険ではないか、また建築物の社会性というものを説いたものです、当時新聞記者だったが。建築家が自分の好き勝手に妙な——国民というものは見ることを強要されるのです。建造物を見ることを強要されるのですよ。そこに建築物の社会性というものが相当考慮されなければならない。醜悪なる建築をされてもこれは自由だということで、基準法に合えば認められるわけですよ。たとえばだれが見ても醜悪なものをPRの手段として作る者があると思うのですよ。そういう点で建築家も僕は相当考えなければならぬと思うのですよ。そこで建築協定というものをずっと見ると、建築そのものに対する協定になっているけれども、都市計画というものに触れてこなければならぬと思うのですよ。その点基準法上の建築そのものということじゃなくて別な面で考慮されることがありますか。
○政府委員(稗田治君) ただいまの御意見まことに同感でございまして、街区を形成していく場合に、建築協定ということによりまして街区全体の合理的利用をはかるということは、都市計画上からも特に必要なことでございます。私は法律の名前は正確に存じておりませんけれども、ドイツの建設法とかいう法律には、街区に建ちます建物の形まで一応公法上の立場から決定されまして、その通り建てるということになっておるように聞いております。従いまして将来そういう形が望ましいというように私も考えているわけでございます。この防災建築街区造成法の立案のときも、いろいろまあ現行の都市計画法の中にそういう形を織り込みたいということで、十分検討をいたしたのでございますけれども、御承知のように日本の都市計画法の内容というものがまだそこまで、都市の街区の形成を建物によってどういうふうに埋めていくかというところまで、こまかくできていない状況でございますので、まあ一応将来の問題としまして、今回はなお検討を要するということで見送ったわけでございます。 なおこの都市に建ちます建物につきまして、建物の意匠設計上の問題でございますが、個々の設計をする建築家の方々がもっと自分の設計する建物でなしに、ただいま仰せのように建築物の社会性といったような観点から建物を設計いたしまして、全体としての街区の造成美を発揮していくということが当然必要かと思うわけでございます。これらにつきましてはやはりいろいろ法律の制限として行なう限度というようなものもございますので、建築士会等を通じまして、やはりめいめいの建築屋さんが自覚をして、そういうような気運が醸成されていくというようにわれわれも努力をいたしたいと思っております。
○田中一君 都市の建設ということになると建築屋さんは建築の立場から都市計画を考える。土木屋さんは土木の観点から自分のところを中心に考えるということになりがちなんですよ。総合したものが出てこないわけですね。まあ東京大学の高山英華君なんかでも、その建築家の立場からものを考えておられるようだが、やっぱりそうしたものの研究機関というものがなければならぬと思うんですよ。いわゆるこれにせよということでなくて、やっぱり指導という形ですね、国の責任ですから。それでたとえば建築研究所、または土木研究所でそうしたものを研究している部署がありますか。あるいは総合的にそれらのものをまとめて将来の——まあ既成市街地に対してはもういろいろな問題がございます。いろいろな問題があるけれども、新都市に対する考え方というものを総合した夢を持っていいと思うのですよ。これは強制すべきものでないかと思うのですけれども、夢を持っていいと思うのですよ。われわれの時代はもう今日、明治も九十年くらいになったらしいけれども、われわれの世代はいいけれども、次の世代に相当考慮されなければならぬ問題があると思う。まあ丹下君なんかはいろいろな意味の一つの考え方をいろいろ矢つぎ早に発表しておられるけれども、しかしそれはそれとしてわれわれはそれの中に、そういう五十年、百年計画のそういう都市が生まれるまでの間は、われわれはやっぱりそういう社会に住まなければならぬ。まあ改良と新しい夢というものを持たなければならぬと思うのですが、国の機関としては、そういうことを今まで研究しまた総合的にまとめたことがありますか。
○政府委員(稗田治君) 建築研究所の第一部で、部長は新海部長でございますが、ここは都市計画という観点から、建築部門を研究いたしておるわけでございます。御説のように、都市計画と申しますのは、もはや建物、上物と一体として考えなければならない時期になっておると思います。そういうような観点から、建築研究所の方でいろいろ研究を重ねておるわけでございます。
○田中一君 そうなると、土木研究所にはそんなものはないのですか。
○政府委員(鬼丸勝之君) 土木研究所におきましては、直接都市計画施設として研究をしているものはございません。ただ御承知のように、下水道等は土木研究所におきましても取り扱っております。
○田中一君 一つのプランができ上がると、それによってプランを作るのは、建築技術家が作っているのですね、現在では。それであと道路なり下水なり、あるいは橋なり何なりでも、それについてこい、そういうことになっているわけだね。そこに私は問題があるのじゃないかと思うのです。やはり総合したものがなければならぬと思うのです。土木屋、建築屋だけでいいというのじゃない、交通学者も必要ならば、あるいは経済学者も必要です。むろんこれにはもっと高度の思想からくるところの計画性というものが——建築学者には建築的な立場を、土木学者には土木的な立場を担当してもらわなければならぬけれども、やはり都市計画審議会等は、改良主義的なプランじゃなくして……単なる改良にとどまると、それも既成市街地を見ながらやると、既成市街地からおそらく一歩も出ないという結果が多いのじゃないか。各大学でやっておる専門に研究している人たちは、これは実現しようがしまいが、自分の一つのアイデアとしてぽんと出せるからいいですけれども、政府の中にそういうものがなければならぬと思うのです。私は長い間、建設大臣の権限でできる高度地区の設定ということをしろ、ということを十年くらい今日まで要求してきております。これは建設大臣の権限でできるのだから、防災街区という形でここに出ておりますけれども、その以前の面としては、基準法内におけるところの行政措置として建設大臣ができることをしていないということを、再三長い問指摘してきたわけであります。どうやら今度は市街地改造事業なりあるいは防災街区なりで、そうした形のものが徐々に生まれるわけであります。十年たっております。今日から十年前と、今日と日本のすべての社会の発展というか、向上というものは非常なものでしょう。昔の明治時代のおそらく何十年に値いするような工合で進んできております。建築協定というものが、そうした意味の背景を持ちながら実施されるということにならなければ、やはり裁判だ、裁判だというのじゃなくて、政府がそういう一つの確固たる一つのアイデアを示せば、法律、裁判によらずして従ってくることなんですよ。そういう点が一つおくれているのじゃないですか。政府としてそういう施策がないということがガンになっておる。都市計画になると、今度は逆に土木でも道路でも河川でも、何でもなくなって計画屋に移される、建設省の場合に、今度は今の計画を、これから都市局になるのだろうけれども、建設大臣どうです。そういう点について、あなた在任中に、いろいろな問題をこうして国会で通してありますので、これらのバックボーンを作るつもりでもって、そうしたものを一つ残していきませんか、政策を。今までのような都市計画だけではだめだということですね。うっちゃり放しになっているものがたくさんあるのですよ。都市計画審議会にもいい学者もいるし、いい実務家もいますが、やはり目が現在のものに離れずしているということだと思うのです。何かそういうようなものをあなたのまあ法律問題じゃなくて、あなたの中でもって一つ作っていきませんか。そうせぬと、数々の法律が今度この国会で通りますけれども、一体どうすればいいのかというと、やっぱり建築屋は建築的に、土木屋は土木的に、経済学者は経済的に、交通学者は交通的にものを見ていこうというきらいがあるのですよ。私は党内でもよく言うのですけれども、やはり都市計画というのは政治家の役目だというのです。都市計画というものは政治家の役目なんです。これは一建築屋、一土木技術屋にまかすべきものではない。そこに政治的な背景がなくてはそれはまとまらないということを言っているんですが、どうでしょう建設大臣、たとえば今の建築協定の問題にしても、究極は裁判でその決定に服する、建築協定という法律に準拠するところの私契約ですね。強制力はないわけですから、それで建築協定というものが今まで実施したところは、沼津、横浜、二つの地区にとどまっている。これすら全部国からの補助金、または当該行政機関の融資によってなされているものが多いとなると、今後私有財産、自分の持っている財産というものを他の者に制約されるなんということは容認できない。ことにまた自由経済の中では、PR、広告ということが一番大事になっている、異をとらえて人目を引こうという思想は当然あるわけなんですよ。特に広告の問題にしても、とっぴな広告を出すことによって自分の商品が売れるという傾向にありますし、屋外何とか物という法律もありまよ。それらのものを総合して何らかのアイデアを検討する機関が必要じゃないか、そうでもなければ幾らやっても、法律できまります、裁判できまりますということでは、これはとうてい建設大臣が考えられているような都市はできません。時間がかかる、そのうちにやはりいろいろな、われわれも難くせをつけようと思えばいろいろな盲点が出てくる。そしてそれがいつまでたってもまとまらぬということになると困ると思うのです。何かそういうものは考えられませんか。今聞いてみると建築研究所には新海悟郎君がそういうものを担当している。公共用地の取得の調査会を作るよりも、そういうものの調査会を作った方が大いに歓迎されると思うのですよ。どうですか建設大臣。
○国務大臣(中村梅吉君) まことに貴重な示唆をいただいて、私どもも大いにそういう方向に努力をいたしたいと思いますが、御承知の通り建設省は行政機構としましても部門別の縦割りでございまして、どうも総合的なそういう建設省全体としての担当業務を見ますと、別の角度からいろいろな構想を練ったり、掘り下げた検討をしたりするということが、どうも十分に動かない状況にあります。今回御審議をいただいております新しい部局の新設等できましたら、こういう中に、一つ今御指摘をいただきましたような点も、これから内部構造を考えまする場合に考慮に入れまして、できるだけ総合的な施策の練れるような道を講じて参りたいと思います。
○田中一君 ぜひそうしてもらわなければ、幾ら法律をいじっても効果は上がらないということです。やはりそうした思想的な背景というものをもう見せながらやっていく。高度地区の指定なんかは当然どんどんすべきだと思う。してしまわない、それをしないで防災街区をここに指定する、あるいはこれは都市改造法でやるんだ、こういうものを出す前に、この地区は高度地区として、何階なら何階以下のものは許可しないということで指定区域にしてしまうのですよ。怠慢なんです、歴代の建設大臣の怠慢なんですよ。それには補佐するところの官房長、局長あたりの怠慢があるかもしれない。そこまでは追及しませんが、大臣が腹をきめてやるならできることなんです。ことに東京に選挙区を持ってる中村建設大臣とすればおわかりになるはずなんだ。一応高度地区の指定をしておく、だれが見てもこれはしなきゃならぬということがわかってくるんですから。そうしてそれに防災街区なり、あるいは市街地改造法を適用するというような形で持っていけばいいわけなんです。そこで抵抗が少なくなってくるのです。指定して三年、五年たってるうちに観念してしまう。なるほどそうしなきゃならないものだと思うのです。そこまでこなければいかぬ。それは指定なさい。建設大臣が指定して、ほんとうにそれがそうでないというような形になったら取り消せばいいんです。これは建設大臣権限でできるのです。と思いますが、どうです。住宅局長、大臣と相談してみて下さい。権限でできるはずじゃないですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 御承知の通り、今も相談したんでありますが、この指定をいたしまするのについて、今の制度としては、御承知の通り地方公共団体の申し出によって、こちらが検討をして指定をするという建前になっておるわけでございます。この点は従ってそういうような東京とか大阪とか、特殊の地区につきましては、まあ建前は地方団体の申し出でありますが、こちらの方の行政指導と、いろんな面において密接な関連を持っおりますから、できないわけではありません。そういう一つ課題につきましては、真剣にそういう関係方面と協議をしまして、進めるように考えてみたいと思います。
○田中一君 地方公共団体の申し出ということは法文上の問題であって、民主化されている方法なんだ。どんな場合だって本省でここのところこうしたらどうか、ということを言わなければ動くものじゃないんです、負担の問題がある。それは地方公共団体の負担の場合じゃない、個人の負担の問題があるからなかなかきまらないと思う。そこでそういうものを地方公共団体が申請したがるような制度をやっぱり設けることなんですよ。そうしてたとえば東京の高速道路の八路線にしても全部隠しておいて、それで、すぽっと出そうというところに、今までの、知らしめない古い政治のあり方を、今まで現在でも踏襲してるんですよ。三年も五年も前からちゃんと知らしめておけばいい。そうしないで突如としてこれはこうするんだ、ああするんだというから抵抗が強いのです。抵抗をゆるめるためにも、そういう今大臣が言ってるような行政指導をやる、負担の問題も五年も六年もかかって計画的にやるならば何らかの方法があると思うのです。それが防災建築街区の指導のはずなんです。今ここで指定しますよというのでなくて、前もってこれは当然すべき地区であるということを言って申請させて、手続は申請させるわけですわね。しかし建設大臣がやっぱり最後の決定権を持ってるんですから、これはそういうような措置を、これは住宅局長も一つ考えてほしい。それから計画局長おらぬけれども鬼丸官房長から一つ話して下さい。そういう指導をしなければ、幾ら急速にものを進めようと思ってもこれはできません。まず最初にそうなるのじゃなかろうかということを予知せしめるような、指定しておくことが必要です。どうも法をめぐらすことは名人です。そうして突如として公共用地の取得に関する云々という法律を出して、最後にはしようがない、これをやっちまえということになって、強権的なところに片寄る。もう建設大臣も非常に民主的な方なんですから考えてもらいたい。 それから、先だっての委員会で留保しておりました問題について、一つ建設大臣から答弁していただきたい。それは申し上げますと、第一の問題は、これら建築基準法による行政指導なり取り締りなんというものが、その各地区の行政部面における欠点がないかという点であります。いたずらに取り締まるのがいいというものじゃない。犯罪、いわゆる違法をさせないようなことをするために行政機関はあるのです。従って、たとえば東京都の例をとりましても、東京都はそれらの部局の定員に満たない職員でやっておる。なぜならば役人なんかになるばか、ばかという言葉はないかもしらぬけれども、いまどき役人になるのはちょっといません。よほどどうかしておる男が役人になる。優秀なのはどんどん高給、高い賃金に流れていくのです。ことしだって、建設省で採用する者だってそれこそうまい言葉を言わなければついてこない。一年たったらすぐ任官させるということをいうとついてくる。しかし、なかなかそうはいかない、今は労働組合ができているからそう簡単にいかないことになる。従って、東京都の整備局、これなんかでは職員が定員に満たないのですよ。なり手がないのですよ。こんな低賃金でだれがくるものですか。そこにやっぱりあなた方の方の行政上の欠陥があると思う。それで規則を侵したとか法律を犯したとかいって、やたらに処分しようなんという考え方は、その前にまず反省すべきものがあると思う。せんだっての委員会では、住宅局長も建設大臣もそれらに対する実際の認識と反省がない。そうした反省とそれをどうするかという問題を考えて、その上に立ってこうしょうということなら認められますけれども、いたずらに違反事件を作るための法律改正では、これは認めがたいということです。一体東京都その他の行政庁でこの法律を施行するための定員というもの、それから現在の職員というものはどれほどあるか、それがみな充足されて十分か、そういうことをまず第一に答弁願いたい。私は十分ではないと思う。東京都なんか全部充足していない。きのう僕は、こいつこんなことを言って、とまた反撃されては困るから、さっそく東京都の方に問い合わせにいったところが、どうも来手がございません、なるほど不適格者なら来手がたくさんございますが、適格者でなければ困るからどうにもなりません、こう言う。きょうはいい気になって質問しているのです。大阪府、また横浜、神奈川県はどうでございましょう、これを聞きたいのです。
○政府委員(稗田治君) 特定行政庁の機構が不十分ではないかというお尋ねでございますが、最近、非常に建築工事量が増加して参りまして、ことにこの耐火構造等、中間の検査等も非常に数多くしなければならない建物も増加しておるわけでございます。そこで建設省といたしましては、機会あるごとに機構の整備強化を地方公共団体に説いて参ったわけでございます。たとえて申しますと、昭和三十四年五月二十九日でございますが、次官通達によりまして、従来の法施行の状況は必ずしも十分でない面もあるので、新たに制度による事務量の増加等も考慮して、法改正を機会に機構、要員、予算等の整備拡充に努めるようということを要望しておるわけでございます。また三十四年の五月二十九日付でございますが、局長名をもちまして法改正を機会に、本庁はもちろん出先機関の機構、人員、機動力等の整備増強に留意しまして、確認事務の迅速化というようなことにつきまして十分努力するように、特に従来不十分のきらいがございました現場検査の励行をはかるように努力されたい、というようなことも通牒をしておるわけでございます。 三十四年に基準法が改正になりましたので、その機会に御承知のように手数料等の改正もございましたので、地方公共団体としても歳入がかなりふえてくるという見通しで、われわれはこの機会に整備をしてもらいたいということで、地方公共団体に通知をいたしたわけでございます。法が施行になりましてから約一年ぐらい経過しておりまして、法改正に伴う条例等も逐次やっておるわけでございますが、ただいまお述べになりましたように、建築技術者というものが最近非常に払底しておりまして、採用がなかなかむずかしくなっておるわけでございます。そこで、しかしできるだけ努力して地方公共団体の方も人員の増加をはかっておるようでございますが、まだ十分ではございません。そこで、大いに人員の不足を機動力によって補おうというので、ジープを買いますとかあるいはスクーター、モーターバイク等を揃えるというようなことによりまして、各県、五大市等も大いに能率化をはかってやっておるわけでございます。 なお人員についてでございますが、各個の特定の行政庁個々にわたっては、私、資料を持っていないわけでございますが、五大市等を含めまして、建築基準法の担当職員の数というのは全国で二千百三十九人でございます。確認の申請の件数でございますが、四十四万七百六十三件というような件数になっております。従いましてこれを実際に完全実施していく定員というようなことを考えますと、まだ十分定員まで充足されていないというのが実状でございます。やむを得ず機動力を増しまして能率化をはかっておるという状況でございます。
○田中一君 自分の方の手薄を機動力云々でいいということじゃないだろうけれども、そういうことを住宅局長が大臣にちょっと耳打ちでもしておかないで、この間のようにどうにも万やむを得ないからこうするのだという答弁じゃ、これは納得ができない。これは地方公共団体は、全部地方公共団体独自の財政でやっているのですから、本省からどうこうということはできないでしょう。三十四年に二度も通牒を出してその徹底方をはかっていてもなお足りない、そうして、そうした現場の調査なんかしないから、つい安易に流れて違反建築ができるということになると思うんですよ。だからもう三十四年以後の確認申請なんというものはますますふえていると思う。規模も大きくなっていると思う。先般参議院の当委員会の各委員の良識によって、確認手数料というものを値上げしたんですよ、逆に。それがやはりよかったということを住宅局長も言っているけれども、何ならもっと上げようじゃないですか、三十億、五十億程度のものは今まで確認手数料二万円だけれども、十万円ぐらいにしようじゃないか、五十億以上の仕事をする人たちからたくさん手数料をもらってそうして人員をふやして、そうして不正を起こさせないように国民を指導するのが法の執行の役目なんです。もうこれは参議院の建設委員の良識がそこまでいったのですから、今度おそらくあなた方の方で五十億以上の申請に対しては十万円、こう持ってくれば、これは参議院の建設委員は全部喜んじゃいますよ、だれも五十億以上の事業に関係している方はないから大丈夫です。そういうところに不十分さがあるのです。建設大臣はそういう点については今後どう指導をしていくのか、そうしてそういう弱い通牒じゃなくて、そういう罰則規定なり、善良な第三者、ことに建設工事の下請者、あるいは職人という者は全部日雇いの賃金労働者なんです。こういうものにまで累が及ばないというような形をとるためには、やはり正しい行政をしなければならぬ、そのためには防犯ということの方が先行するのだということです。そういう犯罪をなくするということを先行するのだということです。それにはまず不十分な行政機関の機構を整備しなければならない、ただ機動力といったところが、幾ら住宅局長、機動力、機動力と言うけれども、あれは仕事をするのは昼なんです。ジープに乗ろうが自動車に乗ろうが歩く方が早いんです。東京なんか歩く方が早い。幾動力を使う方がおくれるのです。機動力というのは不要です。おくれるためにジープに乗る、おくれるために自動車に乗るということになっちゃう。東京都なら、たとえば市内の築地の現場に行くと言ったってこれは歩いた方が早いんです。自転車で行った方が早いんです。だからそんなもんじゃ一番申請の多い、工事の多い既成市街地における監督はできないわけです。監督というか、現場の調査が。これは建設大臣一つ今後こういう方法でいくという答弁をしてもらいたい、そうして、第一の問題はあとで申し上げるように、自分の方はこの法律でもって、防犯的という立場でもって、人員を完全に充足させるということ、一つこれをまず御答弁いただきたいと思うのです。
○国務大臣(中村梅吉君) 今住宅局長から御説明申し上げましたように、過去二回にわたって通達等はいたしているようでございますが、さらにこれは手数料の問題等もあるようでございます。この点につきましては一つ検討いたしまして、とにかく各地方行政機関がそれらの人員を充足し、法律の的確な運用ができるように、一つわれわれとしましては最善を尽くして努力いたしたいと思います。
○田中一君 第二の問題は、どの程度の現場の従事者に対して、この相手方として取り扱うという点、だれも現場におらないで、それこそ臨時のニコヨンというか、職業安定所から一日連れてきたような、非常に軽易な仕事しかしていない者もおるわけです。けれども監督官の方はわからん、何者が何者か、それに向かって強い態度で臨む、そういうことであってはならぬと思うんですよ。それで計画的に違反建築を行なって——これはきのうも、おとといも住宅局長といろいろ個人的に話し合ったんですが、そうして、すぐ売ってしまって逃げるという悪質な者がいるんですよ。これは詐欺でも何でもないんだ。ただ建築基準法違反、そういうことにとどまる。これは罰金なんか払ったって何でもない。建蔽率の足りないところへがばっと大きなものを建てて、そうして逃げてしまえば、建築主がかわってしまえば、それに対する取りこわしの問題は、これは容易なことじゃないです。そうすると、結局善良な者がひどい目に会うということになるわけです。私は、場合によったら、各都道府県に命じて不良建築業者のリストを作らせたらどうか。仕事がまずいということじゃないのですよ。あえて法を侵そうという計画のもとにやっているものは出すべきですよ。私はこれは記憶にあるんですが、昭和の初め警視庁時代に、警視庁で違反建築の軽微なものは別にして、悪質な違反建築を行なった設計業者、それから建築業者のリストを新聞で発表したことがあります、そこへは頼まないように。私はそのくらいにしていいと思うのです、むろん社会悪を醸成する者に対しては、社会的な制裁という言葉は非常に強いけれども、国民に知らしめるということをしてもいいと思うのです。どうも最近、建築行政くらいなまぬるい、どうにもならないものはないですよ。それは、建築基準法そのものが、建築物とか建築、これの基準ということを規定している。これは社会との関連性というものは、あまり中心に見ておらないのです、今度の建築基準法は。これになる前の市街地建築物法は、これは市街地建築物法としての社会性というものをうたってあるけれども、私は、今日の建築基準法というものは、アメリカ式な大ビルディングを中心としたところから出発する法体系だと思う。これは不十分です。ことに日本のような既成市街地、幕末以来の、明治以来の市街というものが、自然発生的に膨張した当時におけるところの建築基準法というものは、建築業者への法律というものは、こういう形のものでは不十分です。根本的にこの建築基準法の立て方を変えなければ、国民生活にマッチしたものにならない。技術的な違反だけがつかまるということになっているわけなんです。こういう点について、どの程度までそういうものが影響するかという点を、これは一つ具体的な例でやってほしい。私は下請でございます、私は親方に頼まれてやったのでわかりません、親方はだれだ、親方は、下請から言われてやったんです、こういって、お前も共犯者だぞということでもってやられちゃかなわぬですよ。またそうした末端の軽労働をやる者を抱き込んでやる悪質な者もいるわけです。計画的な者もいるわけです。あえて違反を侵すやつもいるんです。しかしそれだからといってそういう者をつかまえて、絞め上げて共犯だということではこれはならぬと思う。その点をどういう運用をするか。またそういう行き過ぎに対しては——行き過ぎはないとはいえないです、その場合に、建設大臣としては、どういう工合に指導していくかということです。これは非常に危険です。そういう点の、今申し上げたような全面的な指導運営について見解を伺いたいのです。そうして、これは現場の単なる従業員なんですからだれでもいいわけです。それでこれは罰則がなければいいのです。罰則がなければ注意を与える、帰ったら親方にそう言っておけ、親方には、元請のところへ行ってそう言っておけということになれば済むのだけれども、こういう罰則を適用するということになりますと共犯ということになる。それは荒っぽいやつが多いですから、何言ってやがんでえというのでのこぎりを持ってかかってくる、監督官に向ってハンマーを持ってかかってくるかもわからない、短気な連中が多いのですからね。一つそれを具体的に議事録に残した方がいいと思う。なるべく詳細に、こういう措置をとります、いろんなケース、ケースで、こういう場合はこうする、こういう場合はああしますといって議事録に残しておいて下さい。法律を作るあなただって建築部長をしたことがあるじゃないですか、実態を知っているはずだよ。法律ばかり扱っているわけじゃない。具体的にこういう場合にはこうする、ああいう場合にはああするとか、この法律の場合には適用範囲はこうしますというように、職人が安心して現場にかかれるような措置をやはり考えなくちゃいかぬです。罰則がなければかまいませんよ。はっきりと共犯としての罰則があるんだから共犯ですよ。これはだれもかれも現場にいた者が、一々共犯と思われたのじゃかないませんよ。私が言っているのは一番悪い例を言っているのです、悪質な例を言っているのです。悪質な現場に善良な者が行かないとは限らないのですよ。そういうふうに具体的にやって下さい。住宅局長は指導課長も全部知っているんだから……。
○政府委員(稗田治君) 第九条第十項の改正につきまして、その適用の関係あるいは運用の方針ということについて、もっと具体的にはっきり説明をせよということでございますが、三十四年の改正によりまして、この九条の十項という規定が入ったわけでございますが、これは非常にしぼられた場合でございまして、一つは、法令の規定に違反することが明らかな工事中の建築物ということが一つ。それから緊急に必要があるとき、こういう場合に従来の規定でございますと予備通知でございますとか、あるいは通知を受けた者が公開による聴聞会等を要求すれば、それらの聴聞会等の手続も経なければならぬわけでございますが、そういうことをいたしておりますと工事が進捗してしまうわけでございます。それで工事の施工停止の命令を、今申しましたような予備通知とか公開聴聞とかいうようなことをせずに、さっそくとめられるようにということで三十四年に改正をいたしたわけでございます。で、この場合の工事の停止命令を受ける相手でございますが、建築物の建築主または当該工事の請負人、これは請負工事の下請人を含むということになっております。それから現場の工事監理者、これらの者に対しまして、急いで工事をとめるということが、二、三の複雑な手続をしないで命令ができるようにというように改正をいたしたわけでございますが、今回追加いたしたわけは、この場合におきましても、今、命令を渡そうという相手が現場にいないというときに、工事に従事しておる者に対しまして作業の停止を命ずることができるようにいたしたわけでございます。そこで、法令の規定に違反しておるということが明らかであって、かつ緊急を要するというようなところで、二つの要件による場合に押えられるわけでございます。何でもかでも違反の場合に緊急を要するとはいえないわけでございまして、たとえて申しますと、道路上に建物を建築するというような場合がございます。これは普通の通行に使用されておる道路状態になっておりますと、そのような場合は当然少ないわけでございますけれども、区画整理の道路でございますとか、あるいは買収の終わった計画道路というようなものはまだ舗装が不十分でございまして、一応なわ、あるいはくいだけで境界を明示しておるというような場合がございます。そういうところへ不法に建物を建築するというような場合、こういうのは急いでとめないと、完成してからではなかなか……、除却処分もできますけれども、非常にまた費用も莫大になるわけでございます。 それから御承知のように、建築基準法は国民の生命、財産、健康を保護する、あわせて公共の福祉を増進する、こうなっておるわけでございますが、たとえば配筋工事、鉄筋工事等につきましてコンクリートを打ち出しておる。見ましたところが鉄筋がろくろく入っていない。これは打ち上げてしまえばあと、はつってまた鉄筋を入れ直す。莫大な、法の規定に合わせるためにいろいろ手直しをするのが非常な経費を要することになるわけであります。そこで、鉄筋が不十分であるのにコンクリートを打っておるというような場合にもすぐとめられるようにと、こういうようなことでございまして、まあ具体的な例と申しますといろいろたくさんございますけれども、たとえば基礎工事のような場合で、非常に危険であるというような基礎工事が行なわれる場合がございますし、また擁壁を設置しているけれども、すぐさまこれがくずれて災害が起こることが予想されるというような場合もございます。また防火地域の中であるいは準防地域の中で、木造の建物の三階建を建築しておるというような場合も、当然これは規定上許されないものでございますので、これも工事を急に差しとめなければならないというようなことでございます。大体そういうように非常に差し迫って工事の進捗を押さえる必要がある、という場合だけに限って行なうわけでございます。その場合におきましても建築主、請負人あるいは下請人、また現場の監督者というようなものに第一義的に命令を出すわけでございますが、たまたまそういう受け取る相手がいない場合に、そうかといってみすみす鉄筋が不十分であるにもかかわらず、コンクリートを打つのを看過するというようなこともかえって国全体としては非常な損害にもなると思いますので、そういうような場合に作業員、従事員に対しましても作業をとめる、こういうわけでございます。 また、お尋ねの趣旨に、善良な従事者が、請負人あるいは建築主の責任で、当然実施されなければならない正規の構造法等につきまして、労務者として何も知らずに従事しておったものが、やたらにその方の側だけから工事の規制というものが強行される、という危険があるのではないかということでございますけれども、その点につきましては、われわれもそういった不当に工事従事者というものが圧迫されないように、十分この運用につきましては特定行政庁にも通牒等によりまして指導して参りたいと思っております。
○田中一君 基準法の違反でその違反者を捜査してつかまえた例はありますか。
○政府委員(稗田治君) 昨年の暮れからでございますが、次官名をもちまして建築物の防災指導ということで通達を出してございます。これは目的からいいまして防災指導ということをうたっておるわけでございますが、要するに、大いに法律を守ってほしいという運動でございますが、そこで年二回この防災週間を今後定期的に設けるということで、そういう催しのルールを定めたわけでございます。その際、警察庁の方にも建設省といたしまして連絡をとりまして、先ほど先生がお述べになりましたような非常に悪質な業者と申しますか、建築主と申しますか、申しにくいわけでございますけれども、不法建築物を建ててすぐ売却して逃げてしまうというような者がございますので、なかなかこれは基準法の担当者としての権限ではその捜査が困難でございますので、警察庁の方にお願いをいたしまして、警視庁の方で相当それらの点につきまして御協力を願っておるわけでございます。それによりまして、はっきりつかまえられたと申しますか、そういう例につきましてはまだ私、詳細にわからないわけでございますが、警察庁が全面的に捜査方面は協力していただくようになっておるわけでございます。
○田中一君 私はこうした取り締まりを強化する、不正建築をなくするための施策に対しては決して反対じゃないのです。当然すべきだと思うのです。しかし、いたずらに何にも知らない人を脅さなければならぬというようなこと、それから基準法、これはおそらく住宅局長にしても指導課長にしても建築屋なんだ、建築行政を長い間やっているのだから、このままではいかぬじゃないかという気持が多分にあるのじゃないかと思うんですよ。これは十分に一つ検討して下さい。ただあなた方の先輩であり先生方であるところの、もう七十くらいの学者たちが、やっぱり自分でかって使用したところの高さの制限なんというと、これはもうそれに固執しちゃってどうにもならないのですね。たとえば一つ日本にこういう地震があったじゃないか、またあるのじゃなかろうかということになると、どこまでもそうしたものを中心にものを考えている。異常な発展を遂げているところの世代というものを考えずして、考える余地がないくらいにこちこちになって、私は建築行政、ことに建築技術というものに対する行政を制約しているのじゃないかという気がするのです。まあ学者の名前はあえてあげませんけれども、そういう点についてもやはり国民のための法律なんだから、その点は十分に今後どうするかとい問題については、日常住宅局長考えてほしい。そうしてさっきの大臣の答弁がありましたから、何ももう言いませんけれども、単なる建築行政でなくして、要するに、都市行政というものにまで発展した考え方をもっていただきたい、こう思うわけです。私はこれで質問をやめます。
○木下友敬君 一つだけお尋ねしたいのですが、別表の第二に、「原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が百五十平方メートルをこえるもの」と、下にカッコして、「(日刊新聞の印刷所及び作業場の床面積の合計が三百平方メートルをこえない自動車修理工場」と書いてありますが、この自動車工場と書いてありますが、この自動車工場を商業地域内に制限を緩和された理由を説明して下さい。私はむしろこれは制限すべきだと思っておるのが緩和されたので、げせないところがあるから説明していただきたい。
○政府委員(稗田治君) 最近の自動車交通の発達にかんがみまして、自動車の修理工場でございますが、これはやはり交通の要所々々に相当の数が分布されることが必要だと考えておるわけであります。そこで、従来商業地域におきましては、作業場の床面積が百五十平方メートルということで押えられておったわけでございます。ところが、この道路運送、車両法、通輸省の所管でございまして、自動車の修理工場につきまして適正な規模ということも奨励しておるわけであります。それは路面駐車をして修理をしないように、屋内で全部作業をするように、こういうような観点から五、六台程度自動車を収容して修理のできるというのを最低基準にいたしておるわけであります。そこで今回面積を三百平方メートルといたしました理由は、今の自動車が五、六台入るという道路運送車両法の運用の基準に合わせたわけであります。 なお自動車の修理工場でございますが、ここで商業地域に建築させようという自動車の修理工場につきましては、これはほとんど部品の取りかえをする自動車の修理工場でございまして、そういう修理工場と販売店と一緒になっておるのが多いわけであります。従いまして、かなりサービス業的な色彩もあるわけであります。そういうような観点から、相当市街地に、自動車交通の発達にかんがみまして、分布が必要でありますけれども、住居地域までそういうものが建設されるというのもこれもまずいのではないかということで、商業地域にそういうものが分布されるということを考えたわけであります。 なお自動車の修理工場にほかのつまり公害を発生するような業態がつけ加わるものがございます。たとえばアセチレンガスをもちまして金属の工作をするとか、引火性の溶剤を用いまして塗料を熱を加えて乾燥または焼つけをする。また〇・七五キロワットをこえます原動機を使って塗料の吹つけをする。また三台以上の研摩機によりまして、金属の乾燥研摩を原動機をもって行なうというような業態につきましてはこれは商業地域に全部許されていないわけであります。従って自動車の修理工場におきましても、部品の取りかえ程度の自動車の修理工場が、三百平方メートルまでは許される、こういうことになっておりまして、近所が迷惑する、あるいは災害の発生のおそれが多いというような修理工場につきましては、従来通り今申し上げたような業態が付加されるものにつまきしては、建築できないということになっておるわけであります。
○木下友敬君 以前百五十平方メートルで規制した、その理由はどうなんですか。
○政府委員(稗田治君) この都市計画の施設としまして、建築基準法による用途、地域があるわけでありますが、住居地域、商業地域、準工業地域、工業地域四つの段階に分かれておるわけであります。そこで住居地域におきましては、作業場の床面積が五十平方メートル、坪数にしますと十五坪でございますか、そういうものまでは住居地域にはできることになっているわけでございます。そこで商業地域におきましては、それの三倍の百五十平方メートルの作業場の床面積をもつ工場等につきましては、建築できるという作業場の床面積からの制限ということで、一応そういうふうにきまっておったわけでございます。準工業地域になりますと、今度は作業場の床面積には全然関係なくなりまして、作業の業態だけで準工業地域に建てられないで工業地域だけに建てられるという業態が、この用途地域できまっておったわけでございます。そういうように、一般に商業地域におきましては、作業場の床面積は百五十平方メートルまでということできまっておったわけでございます。 これはなぜそれじゃ百五十平方メートルとか、五十平方メートルということになったかと申しますと、建築基準法以前に市街地建築物法というのがございまして、そのときには馬力の制限で押さえておったわけでございます。住居地域内は三馬力というようなことで押さえておったわけでございます。商業地域は——ちょっと馬力は以前のことで忘れましたけれども、馬力数で押さえておったわけでございます。ところがいろいろ進歩して参りましたので、作業場の中に馬力数だけで押さえるというよりも、周囲の環境に影響があるというのは、工場自体の規模ではないか、規模で押さえるということであれば、床面積で押さえるのが至当である。そこで床面積の、今の五十平方メートルあるいは百五十平方メートルといいますのは、当時の普通の工場での馬力数に対応する床面積ということで、こういった床面積を定めたものでございます。
○木下友敬君 以前は百五十平方メートルで規制していましたが、これはやはり商業地とか住宅地にそういう工場があれば、いろいろの今のアセチレンガスとかそういうものの直接の害だけでなくして、たとえば騒音を発するとか、また塵埃を捲き起こすとか、そういうようなことも意味されて、健康上の問題、環境上の問題などで百五十平方メートルという制限をしただろうと思う。それを今度三百にゆるめていく、以前は百五十で規制しておったものを三百にゆるめるということの理由としては、非常に交通が激しくなってきて、そういう工場が分布されていた方がいいという見解だ。そうして六台ぐらいは一度にやれるのがいいという見解ですが、その六台ぐらいやれるような規模になした方がいいという方が、ほんとうは百五十、もっと百でも規制したいということに勝ったわけなんですね。今の時代の要求が、人間の健康という意味のために百五十という規制があっわけです。健康その他のことで百五十という規制があったのを三百にするというのは、そういう規制をした昔の理由というものよりも、今の現代の要求の方が非常に打ち勝ってきた、こう解釈しなければしょうがないでしょう。商業地域内にはほんとうは百五十でも広過ぎるという考えもあるわけです。それを三百までゆるめていくというからには、人間の健康とかあるいは商業都市の形態とかいうことよりも、今の要求が、自動車の修理をしなければならぬという要求の方が打ち勝ったというわけなんですか。
○政府委員(稗田治君) 従来百五十平方メートルに押さえておりましたのは、面積で押さえておりました分につきましては騒音とかあるいは悪臭とか、あるいは火災が起こり易いという要件は入っていないわけです。できるだけそこを商業的な用途で、全体を商業的に発展させようという地域性の目的から規模を制限しておったわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、単なる部品の取りかえ程度の工場でございますが、これは自動車の販売店と一緒になっておりまして、自動車のアフターケアといったような形で現在行なわれておるわけでございます。従いまして、自動車の販売店等はやはり商業地域に多いわけでございます。かたがた自動車の交通が非常に発達して参っておりまして、そういった部品の取りかえ等につきまして、一々工業地域まで行かなければそういう修理工場がないというのも、今日の自動車交通の実情から申しまして合っていないのじゃないか、というような観点から今回ゆるめたわけでございます。 なお、商業地域という性格でございますが、基準法による商業地域と申しますのは、必ずしも商店街という意味で指定されているわけではないわけでございます。相当の面積にわたって指定されております。もし、商店街等の隣に自動車修理工場がきて、自動車の交通等によりまして商店街が衰微するというような危険があるというような場合におきましては、基準法に特別の用途地域をまた商業地域内にかぶせることもできるようになっております。そうして、特別の用途地域をかぶせまして、その特別の用途地域の中ではいわゆる自動車の修理工場も排除する、ということも可能になっておるわけでございます。
○木下友敬君 わざわざ今百五十を三百にされるためには、百五十では非常に不便だ、時勢に合わないということのデータがあるだろうと思う。たとえば東京都内の現状からいっても、百五十を三百に緩和しなければならないという要請のためには、何かそういうふうな現実がちゃんと一目瞭然とわかるように、これではいけないというようなりっぱなデータはございますか。あるならば東京においては百五十あるいは百五十以上で現在見のがされているものがあるだろうと思う、実際は。そういう見のがされているものを見のがしているよりも、法律できちっと三百まで許した方がいいという見方も入ってくるかもしれないから、そういうデータがあって、何町にはどのくらいの工場がどうであるということがあるなら、それを資料でもらいたいと思う。というのは私は実際自分自身困っておる、近くに自動車の修理工場があって、そういうものはほんとうはどこかに持っていってもらいたいと思っておるくらいなのに。商業地域内にこういうものを広げていくという行き方にはどうも賛成できないから、その要請が非常に痛切な要請であるかどうかということを知りたいのと、現状ではいけないということの理由をもっと的確に知りたいために、そういう資料があれば、今東京都ではこれほど困っておるということがあるならばそれを知りたい。 それからもう一つは、部品の取りかえ程度のものだと言われるが、実際はそうではないと思う。それ以上のことをしておる所も私は百五十以下の所でたくさんあるだろうと思う。そういうことを一つ詳しく話して下さい。
○政府委員(稗田治君) 今の最後のお尋ねでございますが、百五十平方メートル以下で、回りに騒音なりあるいは引火性の溶剤を使わないということに は何ら保証がないわけでございます。基準法の方ではたとえばそれが五十平方メートルの作業場でございましても、先ほど申し上げましたような騒音を発するとか、火災の危険がある、悪臭を発するというようなものにつきましては、それはその項目で規制を受けまして建てられないことになってしまうわけでございます。百五十平方メートルの床面積というのは床面積だけの制限でございまして、業態が悪いものは初めかな建てられないわけでございます。今度もそれは緩和いたしていないわけでございます。 それから現在の状況でございますが、御承知のように、建築基準法の用余地域でございますが、元の市街地建築物法の用途地域を受けてきたものでございますけれども、戦争中に全部用途地域等の規制というものが停止されたわけでございます。戦後に建築基準法が施行になりましてから、ようやく復活いたしてきたわけでございます。従いまして、その間にいろいろの工場が住居地域、商業地域等にも、戦争中の空白の間に建ったわけでございます。それが用途変更等がされまして、自動車の修理工場になっておるのもございます。御承知のように、建築基準法は地域の制度がきまり、法律が施行になるというその次元におきまして、以前には遡及しないことになっておるわけでございます。従いまして、現在住居地域あるいは商業地域等に、あるいはこの制限よりも規模の大きいものもあるかと思いますが、それは不適格な工場としまして、法律の制限は受けないわけでございますが、今後の増築とかそういうことにつきましてある程度の制限を受ける、こういうことになっておるわけでございます。 それから今回、道路運送車両法等で適正な規模の自動車修理工場にいたしたいということは、一つは道路交通法等の路上の駐車の禁止というようなこととからみあって、従来商業地域等におきまして作られておりました自動車修理工場が、作業場の面積が少ないために路面駐車をして修理をしておるというのが相当多いわけでございます。そこで、道路交通法等の関係もございますので、運輸省といたしましては、路面駐車で修理をするというようなことをなくし、適正な規模の修理工場にいたしたい、そういうような道路交通関係のことも伴っておるわけでございます。従いまして、これは運輸当局からも今日そういう路面駐車をやめさせたいと思っても、基準法の制約で増築ができなくなっておるというようなことから、相当強く要望もあったものでございます。 なお、自動車修理工場の分布状況につきましては、東京都の一覧表ができておりますので、先生のお手もとにお届けいたします。
○木下友敬君 先生のお手もとでないので、資料として出していただきたい。 そういう、これを緩和しなければならぬような非常に不自由な状態にあるということを認識するために、百五十を三百にしなければならない、私はこれはほんとうに路面上に駐車しているというのは苦々しいと思って、やめてもらいたいという気はあるのですよ。しかし、商業地域内で自動車修理の工場を許す、三百に広げるということは、これはもう私自体の経験からいって困っているわけですし、これは板金の作業も入りますか、かんかん板の金を叩いてそうしてフェンダーの修理をするとか、あの高い音を出すのは、これは三馬力とか何とかいうことで規制される問題でなくて、人間が叩いてやっておる、あれは相当騒音がひどい。あれを商業地帯でやはりやらしていくという考えですか。私はあのタクシーの会社で、あれはスチーム・クリーナーといいますかね、電気で蒸気を起こしてそして自動車を洗っておる。あの音でさえ、これが住宅地であると非常に困っておる。ところが商業地帯だから人間は寝ていないんじゃなくて、商業地帯というのは商売をするけれどもそこが住宅にもなっておる。そういうところで大きな騒音の出るというようなことを今より緩和して許していくということは、どうもおもしろくないと思うから私こう言っているんだが、その点をもう少し一つ説明してもらいたい。
○政府委員(稗田治君) この地域性の用途の制限でございますけれども、やはりある均衡というものがあるわけでございます。そこでただいま手動によりまして、板金と申しますか、金を延ばすという作業でございますが、これは自動車修理工場でなくとも、現在商業地域では禁止されていない作業になっておるわけでございます。住居地域では禁止になるわけでございますけれども、商業地地域ではほかの工場でもそれは許されておる作業になっておるけでございます。従いまして、自動車修理工場の場合だけそれを制約するというわけにもいかないわけでございます。要するに、この路面駐車で現在相当交通に支障を与えたような形で、自動車修理工場が商業地域内にございますのを、家の中で作業して交通を円滑にするということの要請からそのようなことになったわけでございます。今後まあ自動車交通はますます発達して参ると思うのでございますけれども、まあ自動車のそういったアフターケアと申しますか、部品の取りかえといったような修理工場につきましては、かなりの数が必要ではないかということは予想されるわけでございます。どれだけ必要かどうかという予想の数字等につきましては、現在われわれとしては持っていないわけでございますが、なお運輸当局やなんかとも、今後の運用につきましては十分打ち合わせをして参りたいと思います。
○木下友敬君 私はもうこの商業地域内に、百五十を拡大して三百平方メートルまで自動車工場を拡大されるということには、もうどうしても賛成できない。むしろこういうものはもうほんとうの部品を取りかえるということだけのものに規制していくのが本筋であって、路面の駐車ができない、やっては困るというんだから、その方はその方として取り締まりを厳重にして、工場はむしろ商業地帯とかあるいは住宅地帯の中にはないようなふうに方向を持っていくべきであるのに、業態の制限ということの方はそのままにしておいて、そして工場を広げていくということを許すということは、これは私は逆行だと思うのです。先ほども言いましたように、事実私自体困っておる、ほんとに、がんがんやられて。板金の仕事なんかはほかの工業でも制限されていないから自動車の場合だけを制限するわけにはいかない、というあなたのお話もわかるけれども、むしろ自動車の工場の方からでも、進んでそういうものはさせないように、どこの一部分からでもそういうおかしなことは取り除いていくというふうに進んでいってもらいたいと私は思うから申し上げているので、こういうふうな方の悪い方面にゆるめていくというようなことには私は賛成できない。今までの御説明では私はどうもこの百五十を三百にゆるめたということには賛成できません。
○委員長(稲浦鹿藏君) ほかに御質問の方ございませんか。 ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(稲浦鹿藏君) 速記をつけて下さい。 ほかに御発言もないようでございますから、質疑は終了したものと認め、討論を省略して、これより直ちに本案の採決を行ないたいと存じますが、さよう取り計らうことに御異議こざいませんですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(稲浦鹿藏君) 御異議ないと認めます。 建築基準法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(稲浦鹿藏君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。 なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。 —————————————
○委員長(稲浦鹿藏君) 次に測量法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回までに説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言下さい。 なお、政府側から、官房長のほかに国土地理院の富岡総務部長、武田企画監査室長が出席いたしております。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(稲浦鹿藏君) 速記つけて。 じゃ、御質疑の方は順次御発言下さい。
○田上松衞君 条項について若干お聞きしたいのですが、その前に、どだいこの測量法は条項の並べ方といいますか、あるいは法律はこんなものかもしれませんけれども、特に感じることは、一般国民の立場から、どうもこの並べ方がおもしろくないのですよ。まるで、口をきわめて言うならば何かしら思いつき、考えつきのものを拾ってあそこにぶち込んだ感が非常に強いわけです。私どものわかりやすくしてもらいたい点は、これはまあ国民の立場からですが、たとえば測量業者というものはどういう資格を持つものでなければならぬかというようなことをきめ、測量業者はどういうような権限を持って、あるいはどうしたときに義務というものをしょわされるものであるかということを知り、さらには注文いたします者の立場をいろいろ擁護、保護することのために、これこれのことをしなければならないというようなことをきめて、そうして最後に、国はこれらについてこうしたまあ国民の立場を考えての、何か立場の保護をする、たとえば具体的にいうならば、こういうことをやった場合にはこういう罰則があるとか、注文者の場合には、こういう場合にはこういうようなことの道を開いて上げようというようなことが並べられて、初めてしっくりわかってくるのですよ。ところが、まるで、ところどころにちょびちょびと思いついたようなことが書かれてあるというようなことがたくさんあるわけです。ところが、これは今言ったって始まらないから、これは今後いろいろ改正されるような機会があった場合には、大臣の方ではこの点に一つ十分考慮を払っていただいて、国民がわかるようなことに、わかりやすい方向にですね、条項を並べるようにしてほしい、こういうことをこの機会に特に希望しておきたいと思うのです。私がいろいろな法律を比べてみまして、この測量法ほどこんなに何かしら、特に痛感することは、注文者の立場についてまるでところどころに言いわけみたいな程度に何か色目を使ったような程度にやって、魂の抜けた条文がたくさん見られる、これは思いつきである、考えつきである、こういうことをするのではないかという感じが強くしますので、私どもはこれに対していろいろ説明し、納得させる方法についてもどうも引つくり返し引っくり返し、ページをあそこを探し、こっちを探ししなければならないというような工合になってくるので、この点をこの機会にお願いをしておきたいと思います。 以下きわめて簡潔に質問しておきたいと思うのでありますが、御答弁の便宜に資するために、条項を追ってただした方がいいと思うのです。第五十五条の四の定め、登録手数料を納めなければならぬことになるわけですが、これは政令にゆだねるわけでしょうけれども、これは手数料はどのくらいですか。
○政府委員(鬼丸勝之君) 登録手数料は三千円程度にいたしたいと考えております。
○田上松衞君 五十五条の六に進みまして、建設大臣が登録を拒否する場合があるわけです。この場合すでに納めたところの登録手数料の三千円というものはこれは返されることになるのですか、払いっぱなしになるのですか、どうなるのですか。
○政府委員(鬼丸勝之君) これは登録の審査の事務に要する経費に充当されるものでございますから、拒否されましても返還いたしません。
○田上松衞君 五十五条の十一、測量業者が登録をいわゆる消除された場合には非常ないろいろなことがあるわけです。が、この場合に消除された測量業者が、あるいはみずからだけでなくしてあとの継承人にも及ぶ問題ですけれども、それが注文者に消除されたことを通知する場合においては、登録が消除される以前に締結された請負契約については、測量を引き続いて実施することができる。こういう工合になるわけなんでしょう。この場合にあまりにも注文者の立場を考慮してないいき方ではないか。わかりやすくその二項にも触れますけれども、注文者が契約を解除するという場合は、測量業者の登録の解除の通知を受けた日、または登録が消除されたことを知ってから三十日以内に限って、その測量の請負契約を解除することができるだけでありまして、要するに結論からいいますると、ついこれを知らなかったという場合には、どんどん取り消された測量業者あるいはそれの継承者から測量されてしまうことになるわけです。このことはあまり注文者に対しての考慮がなさ過ぎるのじゃないか、こう考えますが、その点について御見解をいただきたいと思います。
○政府委員(鬼丸勝之君) 第五十五条の十一の測量業者が登録を消除された場合における測量上の措置でございますが、これはいろいろ考えました結果、こういう案になっておりますのは、私どもとしましては、第一義的には注文者の立場を十分考えてやらなければならないということを念頭におきまして考慮いたしたのでございます。従いまして第一項の規定の消除される前に締結された契約による分に限って、消除された業者あるいはその一般承継人は引き続いてやらせるということにいたしましたのは、せっかく注文者がすでに契約をしておるというものを、消除された業者でありましても、必ずしもそれが不適格のように消除された場合とはいえませんので、まあたとえば前条にございますように、かりに登録の有効期間が過ぎてしまったというような場合その他、実質的な業者としての能力上不適格の場合だけの消除ではございませんから、実際の契約をしたときには能力も相当あるとみて注文者は契約しておるわけでございます。そこでそういうものは引き続いてやらせた方が注文者にとっても便利ではないかということで、第一項の規定を置きまして、ただしかし注文者が登録を取り消された、悪いことをして取り消されて消除されたというような業者に対しては、もうやらせたくないというような場合には、さらに注文者の立場を十分考慮していくということで、二項の規定を設けたのでございます。従いまして、通常は注文者の方では登録の消除を知るという場合が普通でございます。で、知ったときから三十日以内あるいはうっかりして消除を知らなくても、通知を受ければ三十日以内に契約を解除すれば、注文者の立場は十分救われるのではないかというふうに考えたわけでございます。ただこれをあまり長く放置しておきますると、消除された業者がどんどんやってしまう。やってしまった結果、注文者の方でも逆に困るようなことにもなりますから、三十日以内ということでこの規定を設けたような次第でございます。
○田上松衞君 私が冒頭申し上げたように、思いつき、考えつき、はったりとかが並べられてあるというのは、まさに今のようなことをさして申し上げておるわけなんです。今官房長が言われたのは、この面では一応注文者の立場に立って考慮を払ったかのように聞こえる。あと指摘しますが、あとになってくると次々にそのことがだめになってしまうことにとられてしまうわけなんです。その前例として申し上げましょう。第五十五条の十二の規定では、建設大臣は、登録業者、登録簿等の閲覧を公衆にさせなければならぬことが義務づけられております。そこで、その方法はもちろん政令できめることでしょうが、どういう方法によってこれをさせるか、具体的な方法をお伺いしたい。御答弁が私の質問いたしまする条項に沿っていただきたいことのために、例を申し上げまするけれども、他の場合のことをいろいろ考えてみるんですよ、たとえば不動産の公売ないし競売、あるいは裁判所の差し押え、こういうような場合がたくさんあります。こういうことを公衆の閲覧に供するということになるわけですが、これらの実例を考えてみますると、役所の一カ所あるいは裁判所の一カ所、しかも網を張ってまっ黒けになったようなガラス窓の中にあって、こんなものを公衆の閲覧だといわれてしておるのですが、みんな知らないですよ、それを。もっとわかりやすく言うならば、すでに競売に付されたような物件を、とんでもないところの一角にただぽっと掲げてあるだけで、公示したのだという立場をとっておることのために、知らない善良な市民がとんでもない問題にひっかかるというおそれがたくさんあるわけです。これは実例で申し上げます。私はもういやになるほど、三十余年問いろいろこういう紛争問題について、実務にタッチしておる立場からこれを申し上げたわけです。やはりこれと同じような閲覧の方式をとられるなんということになりますると、あとで申し上げ、あるいはこの前に申し上げたような、注文者の被害というものが非常に大きくなってくるおそれを感じますので、この具体的な公衆閲覧の方法を一つお示し願っておきたいと思う。
○政府委員(鬼丸勝之君) 第五十五条の十二の登録簿等の閲覧に関する問題でございますが、これは建設業法等の例に準じまして、政令におきまして登録簿閲覧所の必要な事項を規定いたしたいと考えております。それで閲覧所につきましては、大体、国土地理院の出先でありまする地方測量部というものが全国八カ所ございますが、ここに設けることと、それから都道府県知事の所轄にいたしまして、都道府県庁に設けさしたいと考えております。で、先生の御指摘のように、登録簿等を一般国民、特に測量業者に仕事を発注するであろう関係方面に、広く随時見てもらえるようにいたしたいと考えておりますが、ただこの測量業者は、今回この法律で規定されるものは、非常に小さな個人の住宅地、宅地の測量でありますとか、小道路の測量等は業としない業者でございまして、従って注文者は国、地方公共団体、その他の公団、公社等の政府関係機関とか、あるいは電力会社等の大会社でございますから、こういう関係方面には別途、この法律の趣旨内容につきましては、また十分PRをいたしたいと、かように考えております。
○田上松衞君 条項の中にないことですけれども、この機会にあわせてお伺いしておきたいのですが、今の登録簿あるいは申請書の添付書類等こういうようなものは、もちろんその登録申請者並びにこれを監督いたしまする官庁方面等を対象として、なされることでしょうけれども、この場合にむしろ私は、登録を拒否したりあるいはその後業務を取り消したりしたような者に対しまするものを、公衆に知らせることがいいのじゃないか。法文をずっと見てみますと、これはいずれも登録申請者に対して通知することをもって足りることにしておりますので、その点が非常に不十分だと考えるのですが、これは将来の問題ですが、大きく注文者を擁護する立場から考慮される余地はないかどうか、これは見解をお聞きするだけでいいのです。
○政府委員(鬼丸勝之君) この法案の上におきましては、測量業者が登録を取り消されたような場合には、もちろん大臣から知事には、閲覧の関係もございますので、通知をいたしますことになっておりまして、そのほかまあこれは先生の今おっしゃったように、法律を離れての問題といたしましては、非常にたとえば悪質なことをやって取り消し処分を受けたという業者につきましては、まあ測量を大きくやっている関係方面に、別の機会に知らせるというようなことを別途検討いたしてみたいと思っております。
○田上松衞君 そこで初めに官房長に、私はさっきの答弁に対して、注文者の立場というものがあまりにも軽視されておるんだ、それを聞きましょうと申し上げたのですが、それに触れておきたいと思うのです。 五十六条の二で申し上げましょう。元請負人があらかじめ注文者の書面によって承諾を得た場合には、これはその請け負った測量を一括して他人に請け負わすことができる、こういうことになるわけですね、逆にとりますと。そうでしょう。そうしますると、注文者は、元請負人というものに対しては信頼をしていた。それだから、次へ渡される人の立場というのは何らの知識も持っていないけれども、面識もなければそれらの人格を知る方法もないのだけれども、とにかく元請負人を信頼してしまっておったから、そこで場合によって自分のところでできぬ場合には、私が請けるけれども、ほかの方へこれをまかす場合があるぞといわれても、それを簡単に、そんな危険を感じないからよかろうというのでやっちまうわけなんです。そこでその中の一つとしてお聞さしますが、文書によって承諾を得た場合というのは、何か証書の取りかわし、あるいは郵便等による内容証明等が必要なんですか。単なるはがきくらいの程度のものでも、文書による承諾というものに解していいのですか。どうなんですか。
○政府委員(鬼丸勝之君) 第五十六条の二の一括下請負の禁止の条項の二項におきまして、「元請負人があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合」には、一括下請負をやってもよろしいということになりまするが、これは書面による承諾でございますから、注文者の承諾ということがはっきりいたしておりますれば、書面の形式等は別に問わないというふうに考えております。ただ後日紛争になりませんように、注文者がたとえば自分の氏名を書いて捺印をしておるとか、承諾の意思がはっきり間違いのないというものでなければならぬというふうに考えております。
○田上松衞君 あとでもう少しこのことを詳しくお聞きしますけれども、その前にさっきから繰り返して申し上げますように、いろいろなところでいろいろな条文を突きまぜてあるから非常に質問の仕方も、従って御答弁を受ける範囲も妙な工合になってしまっているのは困るのですけれども、それで途中の問題になりますけれども、五十六条の三の規定、これはどういう場合を想定してされたのですか。
○政府委員(鬼丸勝之君) 測量業者以外の者に対する下請負を禁止いたしましたのは、いわゆる測量業が他の事業と違っておる特殊性がございますので、これを測量業として注文者が発注した限りにおいては、測量業者以外の者に下請させるということは、技術的に見ても当を得ないということからこの規定を設けたのでございます。
○田上松衞君 測量業者以外の者が測量ができないことは初めからわかっておるのであります。こんなことは縛りつけてあるのですから、それをさらにわざわざ条項を作って、この中にそれをしてならぬというようなことをする、何か別に意味があるんじゃないですか。そういう場合にどういうことがあり得るだろうと想定をされたかをお聞きしているわけなんです。そんなことは初めから測量業者はかくかくでこういう資格を持ってなければいかぬ、これでなければ大臣がこれに対してこういうような認可をしないのだ、それ以外の者はできないということは初めからわかっていることなのに、ことさらここに五十六条あたりに持ってきて、さらにこれを繰り返して測量業者以外の者に測量さしてはならないなんていうのは、これはまるでむだな条項じゃないのかと考えるのですが、何か別個にこういう場合があるということを想定された意味があるのかどうか、こういうことなんですよ。
○政府委員(鬼丸勝之君) 今の点はそうむずかしい意味を持っておりませんので、あまり御懸念には及ばないと思いますが、第五十五条の十四に無登録営業の禁止の規定がございまして、測量業を登録を受けないでやっちゃいかぬというふうに規定しております。この規定と照応するものでございまして、測量業者というものは、これは登録を受けたものでございますから、それ以外にもぐりの業者にやらせるおそれがあるということを心配しまして、この規定を明確にする意味で設けたわけでございます。もぐりにやらせないという趣旨で設けたのでございます。
○田上松衞君 いよいよ私、指摘しましたように、どうでもいいような文句がもっともらしく書かれてみたり、ここに並べられている、だんだんこれが深くなってしまうのですよ。五十六条の四について考えてみます。注文者はこの場合には、測量業者に対してその変更を請求することができる旨を規定したと、さっき官房長いわれたような前の条項、考えたのだということをここでまた繰り返していっているんですよ。ところがその内容たるや何だ、あらかじめ書面によって注文者の承諾を得て選定した下請負人については、この限りではないと、またここで非常に危険な、全然注文者の立場を救済していないのですよ、ここでは。繰り返すようですけれども、初めに甲というところの請負業者を信用してかかってしまう、だけれども前のときには一括のあれですが、この場合具体的な個々の問題に移ってくると、今度はあらかじめ私がどこかへ旅行することがあるかもしらん、だからその場合には下請にやらせるからというようなことをする、どっこい不適当と認めた場合はどういう場合かというと、これは前の業者というものがとんでもない業者だ、信用は一応しておったけれども、あるいはその後において不正な申請によって資格を取っちまった男であったとか、あるいは前科があったとか、そういうこともあとでばれちゃって取り消されちゃったと、こういう者がこの場合に当てはまるわけなんですよ。従ってとんでもない請負業者に頼んじまったということでしたと、あるいはこの場合は下請業者の場合でしょうけれども、下請業者というものはさらにどうもおもしろくない、いかさま者だ、不適当だと考えた。そこでそれは大へんだというのでその変更を請求するが、しかしどっこい前に書面によって承諾しちまっておけば、どうにもならぬということになってしまうでしょう、これではまるで一ぺん引っかかっちゃったらいやおうなしに進められちまうということになるわけですよ。これについてはどういう工合に理解すればいいのです。
○政府委員(鬼丸勝之君) 第五十六条の四の規定の本文は、これは一括下請の場合でなくて、下請人が一部下請をした、下請業者が一部下請をしたという場合にむしろ適用される条項でございます。で、そこでただし書で先にも規定がございましたように、注文者があらかじめ承諾をしてきめておる場合には、これは注文者自身にも責任がございますから、一種の契約上の約定で、はっきりしておる場合には、そこまで変更の請求を認める必要はないではないかということで、このただし書きが設けられたのでございますが、この条文全体としましては、非常に注文者の立場も考え、また業者の立場も均衡をとって考えた親切な規定でございまして、建設業等に比べますると、非常にこれは親切に、また苦心して立案をいたしたものでございますので、その趣旨を御了承いただきたいと思います。
○田上松衞君 お話のような言葉じゃ、この場合はごまかされないのですよ、これは、それは言葉だけのことであって、何か絵にかいたぼたもちみたいに、大切な面が皆抜けちゃっておるんですよ。このことは、前段の建築基準法なんかの問題なんかよりか、もっと実際永久の測量物件に関する土地等の問題に関することですから、もう少しお聞きしなければならぬのですが、お約束した時間が過ぎましたから、私は質問を後日に留保いたします。
○委員長(稲浦鹿藏君) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会