決算委員会 第8号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/27
会議録
○委員長(佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。二月二十四日高橋進太郎君が辞任され、その補欠として岸田幸雄君が選任されました。 ――――――――――
○委員長(佐藤芳男君) 昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十三年度政府関係機関決算書を議題といたします。本日は厚生省の部の審査を行ないます。 念のために申し上げますが、厚生省の部の審査を行ないます。念のため申し上げますが、厚生省関係の不当事項は、検査報告第百七十九号より第百九十五号まででございます。 まず、会計検査院より説明を求めます。白木会計検査院第三局長。
○説明員(白木康進君) 昭和三十三年度の厚生省所管掲記事項のあらましを申し上げます。 まず一般会計から申し上げますが、ここに掲げておりますのは、都道府県あるいは市町村に交付した補助金に関するものだけでございます。厚生省所管の補助金は、厚生省の一般会計歳出の七割近く、相当大きな部分を占めておりますばかりでなく、私どもの従来の検査の結果から見まして、特にこの厚生省の補助金交付について定めました交付基準が相当複雑でございまして、実際の適用面においていろいろの問題があるわけでございまして、こういった関係から、私どもの検査の結果も補助金について相当過誤の発生した経緯がございますので、そこに重点を置いて検査をいたしておるわけでございます。ここに掲げておりますのは、いずれも公衆衛生関係の補助金が大部分でございまして、保健所の運営費あるいは各種予防事業あるいは簡易水道とかあるいは屎尿処理施設等の施設関係の補助金、こういったものを中心に掲げておりまして、前年度よりも実地検査の進行率も幾らか増加しております。検査の結果ここに掲げておりますのは、補助金の返納を要する額が二十万円以上のもので合計十六件、金額で九百六十七万余円となっております。 まず、保健所費の補助金でございますが、これは、都道府県、一部特別の市がございますが、これらの事業主体が保健所を運営いたします場合の人件費あるいは庁費の三分の一を補助する建前になっておりまして、私どもの検査の結果、たとえば保健所の職員でありますところの薬事監視員あるいは食品衛生監視員など、地方交付税の対象職員となっておる者の人件費が、補助の対象として精算されておるという事態を指摘いたしております。 次に、結核予防費の関係でございますが、これは事業主体が行ないますところの結核予防のための健康診断あるいは予防接種、こういった経費、それから管下の市町村がこれらの予防事業を行ないます場合に、都道府県でその経費を負担するわけでございますが、これらの経費の二分の一を国庫が補助することになっております。検査の結果は、これらの予防事業に要した経費の算定を誤りまして、交付基準を定めております対象経費以外のものを含めて精算をしておるという事態でございます。 次の法定伝染病予防費の補助金はこれも事業費の二分の一を補助する建前となっておりますが、この補助金につきましては、ほかの場合も同様でございますけれども、特に厚生省がお定めになっておりますところの補助の交付基準が、経理の適正を期すという目的ではございますけれども、非常に複雑でございましてその関係から、事業主体においてもその取り扱いに種々の誤解やあるいは困難を伴う事態が見受けられるわけでございまして、ここに掲げております事項も主としてそういった関係に基づくものでございます。事態はいろいろございますが、たとえば伝染病院の専従職員でない者を専従にしたり、あるいは医療費とかあるいは運営費等において、伝染病予防事業以外のものが精算の対象となっておる。詳しい内容は省略いたしますが、いずれにしても交付基準がかなり複雑なために、いろいろな過誤が起こっておるわけでございまして、私どもの方でも、そのうち特に基準を改定し、あるいは取り扱いを統一する必要のあるものについては厚生省にお願いをいたしまして、なるべく過誤の起こらないような改善方についてお願いをいたしておるわけでございます。 次に簡易水道及び屎尿処理、清掃関係でございますが、これらの施設関係の補助金につきましては、従来の検査の結果かなり過誤がございますので、三十三年度は相当重きを置いて検査をいたしたわけでございますが、その結果は、事業主体におきまして設計が必要以上に過大なもので工事をいたしまして、そのまま精算されておる、あるいは設計通りの工事をしなかったために、予定の通水を行なう補助の目的を達していないというようなものもございます。一事項二十万円以上のものでここにあげておりますものは五件二百八十六万余円となっております。 これも内容の詳細を省略いたしますが、特に設計が非常に過大になっておるというようなもの、あるいは出来高が不足しておるという事態の内容を調査いたしますと、簡易水道あるいは屎尿処理という事業の性質上、事業主体で十分な技術員を持っていない、そういったことで設計等も全部業者まかせになっておることから、こういう事態が起こっておるようなものがかなり見受けられておるようでございます。これは、これらの施設関係の補助の改善のために、今後相当注意を要する点と考えております。 一般会計の補助金の関係は以上のような次第でございますが、三十三年度の特別会計について検査報告に掲げてありますのは、鹿児島県民生労働部保険課におきますところの不正行為の関係一件でございます。本件は、民生労働部保険課の徴収を担当しておる分任収入官吏が、事業主から受領いたしました健康保険、厚生年金保険、船員保険の保険料を国庫に納入しないで横領した事案でございますが、ここにも掲記しております通り、約五カ年の長期にわたって相当多額の金額が横領せられて、しかも相当の長期間発覚されておらないということでございまして、この種不正行為事案としてはまことに遺憾な事態と考えております。本件の態様として特に注意を要しますのは、事業主が滞納をいたしております分について、当局におきまして、事業主の滞納金の収納状況を、直接事業主との関係において調査をしなかった、そのために、この犯罪を行ないました収入官吏が、事業主から滞納金を受け取りながら、それを収納済みの整理をしないで横領しておった。こういったことが発覚をおくらした一つの原因だと思いますが、さらにこの収納官吏は受け持ち担当区域が長期にわたってその人だけに固定されておった、こういったことも原因になっておりまして、これは私どももその後の検査においても特に注意をして、そういった事故の再発の防止という点にも留意しておるわけでございます。 簡単でございますが、以上御説明申し上げます。
○委員長(佐藤芳男君) 次に厚生省より説明を求めます。
○国務大臣(古井喜實君) 昭和三十三年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算の概要について御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算額は当初予算額一千七十二億五千七百五十四万五千円に対しまして、その後、生活保護費、国民健康保険助成費等の不足に伴う補正追加額二十六億二百四十八万三千円、総理府所管及び大蔵省所管からの移替増加額一億三千六百十七万八千円、前年度繰越額十四億三千八百三十二万七千余円、及び災害復旧に要する経費として予備費使用額二億一千二十万三千円、計四十二億五千百一万三千余円を増加し、予算現額は一千百十六億四千四百七十三万六千余円となりましたが、これに対して支出済歳出額一千八十七億六千百八十六万三千余円、翌年度繰越額十一億六千六百五十六万九千余円、不用額十七億一千六百三十万二千余円で決算を終了いたしましたが、不用となりましたおもなものは、戦傷病者戦没者遺族等の援護費、結核対策費、母子福祉費、社会保険国庫負担金等でありまして、以上が一般会計決算額の大要であります。 以下特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。 第一は国民皆保険の推進とその基礎的条件の整備に要した経費であります。 (一) 昭和三十三年度は国民皆保険四カ年計画の第二年目でございますが、国民健康保険につきましては、大都市に重点を置き普及に努めました結果、三十三年度末の被保険者数は三千七百五十万人となり国民健康保険対象人口の七六%に達しました。また国民健康保険の財政力を強化し給付内容を改善する等のため財政調整交付金を御承認願いましたので財政状況は一段と向上し、いわゆる赤字保険者はさらに減少いたしております。 (二) 次に国民皆保険の基礎的条件整備の重要な一つであります医療機関の整備拡充につきましては、国立東京第一病院外四カ所の基幹病院の整備とその他の老朽不良施設の改善に十二億一千二百余万円を支出しました。公的医療機関につきましては、四千五百余万円をもって都道府県に基幹病院の施設、機能の整備を行なうとともに、僻地の医療については公的病院の出張診療所を新たに二十七カ所設置いたしました。 (三) さらに国民皆保険計画と密接な関連を持っております社会保険医療の報酬の合理化をはかり三十三年十月より診療報酬の平均八・五%の引き上げを実施いたしました。 第二は、結核対策に要した経費でありますが、国立結核療養所百八十一カ所の経営費を含めて百五十三億円を支出しましたが、結核予防法に基づく健康診断の実施にあたりましては、特に一般住民に対する健康診断を前年度より四百万人多い三千七百万人に実施いたしました。また、治療費につきましても公費負担による対象を拡充し、徹底した早期治療に努めました結果、結核による死亡率は前年度の人口十万人に対する四十六人から三十九人に著減して参りました。 第三は生活保護及び社会福祉の増進に要した経費であります。 生活保護につきましては、その被保護世帯数は昭和三十年度を基礎といたしますと本年度は八十八・三%になっております。扶助の内容によりましては必ずしむ減少しているわけでなく、特に医療扶助におきましては結核患者の療養期間の長期化及び精神病患者の収容増加等によりましてかえって著しい増大を示し、さきに申し述べました通り予算を補正追加した次第であります。各種扶助のうち金額では医療扶助が総額の五七%、人員では生活扶助が全体の四八%を占めております。 次に社会福祉に要した経費でありますが、まづ低所得階層の自立更生の促進につきましては世帯更生資金と医療費の貸付を行ない、世帯更生資金は申込額の五四%を、医療費は六〇%をそれぞれ貸し付けました。また、身体障害者及び転落婦人の更生保護の強化をはかるため新たに盲人ホームの設置、婦人更生資金貸付等の制度を実施いたしますとともに、前年度に引き続き更生援護施設、婦人保護施設の拡充をはかりました。 第四は、児童保護に要した経費であります。児童の生活を保障する児童措置を重点として保育所二百四十八カ所を新設しましたのを初め、……。
○相澤重明君 百四十八カ所ではないか、はっきりして下さい。
○国務大臣(古井喜實君) この点ちょっと……、あとではっきりしたところを申し上げます。 新たに児童遊園百九十二カ所を設置する等各児童施設の充実をはかり、またその施設への収容児童の給食費の増額、養護施設における教育費の増額及びこれら施設に勤務する職員の待遇改善を行ないました。さらに母子保健対策といたしまして本年度新たに母子健康センターの設置、また、未熟児の養育医療制度を実施する等母子健康対策の強化向上をはかりましたので、児童保護は一そうの充実を得たものと信じます。 第五は戦傷病者、戦没者の遺族等及び未帰還者留守家族等の援護に要した経費でありますが、昭和三十四年一月より関係法令を改正し、遺族年金と留守家族手当の増額、また、多年の懸案でありました動員学徒等の準軍属及びその遺族に対する障害年金及び遺族給与金の新設により制度の充実をはかりました。その結果従前の分と改正の分とを合わせまして六十六億七千六百余万円を支出いたしました。 第六は、環境衛生対策の推進に要した経費でありますが、簡易水道施設につきましては七百九十カ所を新設し、給水人口百三十二万人を新たに増加いたしました。下水道終末処理施設は三十三カ所、また、屎尿処理施設におきましては三十カ所をそれぞれ新設し、処理能力は著しく増大いたしました。これら施設の補助に要しました経費は二十億九千七百余万円であります。 以上、厚生省所管の昭和三十三年度一般会計の決算の概要を御説明申上げましたが、次に特別会計決算の大要について申上げます。 第一は厚生保険特別会計の決算であります。厚生保険特別会計につきましては一般会計より五十七億一千八百九十五万一千余円を繰り入れました。 まず、健康勘定の決算額について申し上げますと、収納済み歳入額七百四十九億八千九百六十八万九千余円、支出済み歳出額七百億九千九百九十一万四千余円でありまして、差引四十八億八千九百七十七万五千余円の剰余を生じ、剰余金はこの会計の積立金に組み入れました。昭和三十四年三月末の事業所数は三十一万六千七百五十、年間平均の被保険者数は六百八十九万九千人に達しております。 次に日雇勘定でありますが、決算額は収納済み歳入額四十七億六千八百十二万五千余円、支出済み歳出額四十七億二千八百七十七万三千余円でありまして、差引三千九百三十五万二千余円の剰余を生じておりますが、医療費の未払い三億五千二百余万円を勘案いたしますと三億一千二百余万円の赤字を生じたことになります。昭和三十四年二月末の事業所数は三万五千余、年間平均の被保険者数は八十三万余人であります。 次は年金勘定でありますが、その決算額は収納済み歳入額六百三十億六千五百十二万九千余円、支出臨み歳出額九十五億三千九百四万九千余円でありまして、差引五百三十五億二千六百七万九千円の剰余を生じております。この剰余金をこの会計の積立金に組み入れました結果、積立金の額は二千六百六十五億円に達しました。 次は業務勘定でありますが、収納済み歳入額四十億七千六百二十八万三千余円、支出済み歳出額は繰越額を含めまして四十億一千三百九十七万九千余円でありまして、差引六千二百三十万三千余円の剰余を生じておりますが、この剰余金はさきに述べた各勘定に按分してそれぞれの会計の積立金に組み入れました。 第二は船員保険特別会計でありますが、本会計につきましては一般会計より三億四千八百五十二万九千余円繰り入れまして、その決算額は収納済み歳入額六十六億五千四百四十七万四千余円、支出済み歳出額は繰越額を含めて四十六億八千六百七十一万七千余円でありまして、差引十九億六千七百七十五万七千余円の剰余を生じましたが、この剰余金はこの会計の積立金に組み入れました。本年度の事業状況を申し上げますと、年度平均の被保険者数は普通保険で二十万人、失業保険で十一万四千余人、また、保険給付につきましては疾病保険で三十二億四千七百万円、年金保険で七億五千七百万円、失業保険で四億四千二百万円であります。 第三は国立病院特別会計であります。 国立病院特別会計は一般会計より十四億二千七百九十八万一千余円を繰り入れまして、その決算額は収納済み歳入額九十四億四千一百九十三万一千余円、支出済み歳出額は繰越額を含めまして九十億八千二百九十四万九千余円でありまして、差引三億五千八百九十八万二千円の剰余を生じました。剰余金はこの会計の積立金に組み入れました。支出は全国七十六カ所の国立病院の経営に要した経費でありまして、本年度における入院患者の延べ数は八百六十三万人、外来患者の延べ数は七百二十二万人でありまして、病床の利用率も八三・六%になっております。 第四はあへん特別会計でありますが、その決算額は収納済み歳入額三億一千八百三十九万六千余円、支出済み歳出額二億五千四百五十五万二千余円でありまして、差引六千三百八十四万四千余円の剰余を生じ、剰余金はこの会計の翌年度の歳入に繰り入れました。本年度における事業状況は、アヘン四十七トンを購入し、四十五トンを売却いたしました。 以上で厚生省所管の一般会計及び特別会計の決算の説明を終わりますが、なお御質問に応じまして詳細に御説明申し上げたいと存じますので何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 次に、決算検査報告において、会計検査院より指摘を受けました事項について御説明申し上げます。 昭和三十三年度決算検査報告におきまして、厚生省が御指摘を受けました事項は、一般会計におきましては国庫補助金の経理が当を得ないこと、特別会計におきましては職員の不正行為に関する事項でありますが、いずれも会計検査院の御報告の通りでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。 国庫補助金の不当事項は補助金の超過交付によるものでございますが、そのうち保健所、結核予防、法定伝染病予防に関する補助金は、交付基準や算定方法が詳細にわたるため、補助事業者の事務処理の際に適用を誤りやすくその結果指摘された点も認められますので、事務当局にその合理化を十分検討いたさせるとともに、補助事業者に対する指導と監督をさらに強化徹底して行ない、これらの補助金が適正に経理されますよう努力いたす所存であります。 また、簡易水道施設費補助金等につきましては、補助事業者である市町村に国庫補助に不なれな面があったり、その事務処理におきましても熟達していないところもありますので、御指摘の点を十分反省するとともに、環境衛生の重要性からもこれら補助金が事業目的を完全に達成するよう指導監督をさらに強化して万全を期したいと存じます。 次に、職員の不正行為によって国庫に多大の損失を与えました厚生保険、船員保険両特別会計に関する御指摘は、まことに遺憾しごくに存ずる次第であります。不正事実も長期にわたりますので、本人はもちろん当時の監督責任者に対しましてもそれぞれ厳重な処分を行ないました。今後はかかる事故を再び繰り返すことのないよう業務監察を強化するとともに、部内の自治監査を励行せしめ牽制組織を確立して事故を未然に防止する方途を講ずる一方、被保険者の激増に対応して、ますます増大複雑化する事務の処理に対処する事務取扱体系を整備するよう研究を進め、万全を期する所存であります。 なお、先ほどの保育所の数はやはり二百四十八カ所の方が正確でありますので、配付資料を御訂正をお願いしたいと存じます。二百四十八カ所でございます。五ページです。
○委員長(佐藤芳男君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○木下友敬君 私は委員長にちょっとお尋ねしますが、大蔵大臣に出てもらうように頼んでおきましたが、何も御通知ございませんか。大蔵省からだれか来ておりますか。
○委員長(佐藤芳男君) 実は交渉をいたしたのでありますが、水田大蔵大臣は渉外事務のためほかへ出かけておりますので出席ができません。それで岩尾主計官の出席を見ている次第でございます。
○木下友敬君 お忙しいというのですから、注文通りに御出席願えぬことは間々あることですが、そういうときは礼儀としても、出席できないことをあらかじめ委員長から報告してもらい、そうしてかわりにだれが来ているくらいは言ってもらわないといけないと思います。では大蔵大臣に対する質問は後日にいたしまして、厚生省、特に医務局関係で厚生大臣及び医務局長にお尋ねしますが、昨年来日赤を初めとして病院従業者のストライキがひんぱんに行なわれておりました。一体、あの経過とか原因だとか厚生省医務局としては、どういう手を打ったかというようなことについて、この際少し説明を願っておきたいと思うのです。そうしてたくさんになるかもわかりませんから、簡単に一つ明瞭にやっていただくようにお願いいたします。
○国務大臣(古井喜實君) 病院ストの問題は昨年の秋以来まだ解決が十分ついておりませんので、苦慮いたしているわけであります。で、ストそのものにつきましては、労働省がこれに対して尽力をいたしている状況でございまして、その方面は主としてそちらの方で詳しくあるいは御説明申し上げるかと存じますが、私どもも大きに関心を持ちますのみならず、原因がやはり背後にあるところからこういう事態も起こるのでありますから、そこで私どもの方としてはその原因に対して対処する行き方を中心にやらなければなるまいと考えまして、一つには病院の経営管理というものがやはり十分整っていないのではないか、病院の設備なぞは整い、また医術も進んでくるわけでありますけれども、経営管理という面になるといわば旧態依然おくれている面がどうもあるように思いますので、これを改善することが一つの問題であろうと、こういうふうに考えまして、去年の暮れこの経営管理の問題に根本的に取り組みますために、実務家、専門家などのお集まりを請うて、病院経営管理改善懇談会を発足いたしまして、ここで今熱心にどこに問題があるか、どこをどうしたらいいかを検討していただいております。これは急いで結論を出してもらいたいという、期限を切って審議を願っておるところでございます。 いま一つは、やはり病院の経済、経営に苦しい点があるのではないか、これもどうも否定できないように思うのであります。それだけのためではございませんけれども、医療費の引き上げという問題に取り組まなければならないと、かように考えまして、とりあえず三十六年度の予算に御案内のように総医療費に対して一〇%引き上げる経費を計上いたしまして、これの具体化をはかろうと、こういう経済の点とそれから経営管理の改善の点と、二点を中心にして対処して努力している途中でございます。なお詳しいことは局長から申し上げます。
○木下友敬君 現在病院ストの経過は、これはおもに厚生省はしばしば以前も労働問題であるということを言っておられますが、その原因的関係から見れば、必ずしもそうは言えないと、こう思うのですが、現在どういう格好になっておるか、御説明願いたい。
○国務大臣(古井喜實君) お話のように原因は私どもの方に抱えておるわけでありますから、まあこれに立ち向かっておるわけでありますけれども、この争議そのものにも無関心でおるわけにはいかぬわけでございます。ただ法の上の立場も権限もなしに、やたらにいわば労使間の問題に介入いたしますことはどうかと思いますので、表に立っていないだけのことでございます。昨年の暮れ以来のストは、場所によって年末の一時金等の話がついたりして、一時一応おさまった格好になったものもございますけれども、しかし完全に解決がついたというところは少ないのでありまして、やはり給与の引き上げ問題というものが中心にからまっておりまして、まだ十分な解決を得るまでに至っていない状況であります。
○木下友敬君 医務局としては経営管理のことと、それから経営自体の問題、費用の問題など、この二つの柱で考えておるということでございますが、病院ストのおもな原因は賃金値上げの問題でございます。現在なお争議が続けられておるが、医療従業者、特に看護婦、レントゲン技師、検査技師などの給与が安いということはお認めになっておりますかどうか。
○政府委員(川上六馬君) 賃金が安いかどうかという問題は、実はなかなかむずかしい問題でございまして、ちょうど今ストを起こしておりますところの病院などにおきましても、病院の人員の構成なんかが違っているような面がありまして、その上に履歴、年令などの相違もございまして一がいに申せません。しかし、やはり中には国家公務員たる医療関係者の給与に比べますと、やはり安い者が少なくないわけでございます。(「うんと安いですよ」と呼ぶ者あり)
○木下友敬君 一がいに安いと言えない、まあそれはそういう言い方もあるけれども、年令だとか学歴だとか勤務年限とか、それによって給料の安い、低いはこれはあたりまえなんですよ、同じ条件下において、ほかの公務員などと比べて安いかどうかということを言ってもらわなければ。あなたの方で、病院の監督に当たっておる医務局の方で、争議はやっておるけれどもあの給料は安くはないのだというようなお考えだと、この争議の解決はまた非常に変わった色合いをとるだろうと思う。しかし直接監督をしておられる医務局としては、あの争議については一番もとが給与の問題であるから、現在のあの給与でいいかどうかということの考えをきちんと言ってもらわないと、そうでないと騒ぎは無理な騒ぎのような印象を受けるわけなんです。それでそこをはっきり一つ、あの給与は安いと思うとか、間には安いものがあるけれどもというようなことでなくして、私は全般的に安いという認識を持っておるから、特にあなたの言明を聞くわけなんです。それから率直に、安くないと言われるなら、なぜ安くないというその理由をはっきり言ってもらいたいと思うのです。
○政府委員(川上六馬君) 医務局がやっておりますことは、御承知のように医療法に基づき指導監督をやっておるわけでありまして、経営の内容に立ち入ることは許されておりませんので、実は病院でどういうような待遇を受けておるかということについては、実は正確な資料はないわけでございます。先ほど申しました意味は、今現在争議をやっておるところの賃金を調べるということもなかなか容易でありませんし、その場合、病院の何年度卒業の医師なり看護婦が国家公務員の給与に比べてどうかということはなかなか調べられませんものですから、先ほど申しましたように、正確にこれを言うことはむずかしいのです。これは労働省も同じような見解でございまして、総体的に見てやはり先ほど申しましたように安い人が多い、という印象を持つのであります。今お話のように的確にどうだと、こう言われますと正確にはお答えできない状態でございます。
○木下友敬君 私はこのごろ、厚生省の中の医務局というものの存在、医務局というものはあるんだろうかという気がしているのです。保険局はなかなか羽ぶりがよくて、厚生省というのはおもに保険局で、あるいは保険省と言った方がいいかもしれないというくらいなのです。大へんこれは失礼なんですけれども、医務局は一体何をしておるかと、こう思うのですが、病院とか医療問題の大体の大元締めというものはほんとうは医務局でなければならない。病院の経営、国立病院の経営というものがよくいっているかどうか、従業員がまじめに働いているか、安心して希望をもって働いているかということが、病院の成績に非常に関係があるが、これは医務局として常に考えていなければならないと思うのです。医務局の権限でないとかいうことでなしに、根本的にそこをつかまえて、これだのにまだ従業員が騒ぐのは従業員が悪いのだ、というようにきめつけていくくらいの勇気と確信がなくてはならないと思うが、あなたのは一つも……、何かよそごとのような気がする。経済問題従業員がどのような生活をしているか、安心しているか、まじめに働いているかということを常にあなたは監督していかなければならぬのに、その根本の問題をほうっておいて、そしてあとで病院の収入がどうだ、そうしてこれは金が足らぬからほかのところがらここへ国庫補助をしてやろうとか、そういうようなことでなしに、もう少し私は確信のある行政をしておかないと、いつまでたっても病院ストというようなものがやむときがないじゃありませんか。これを労働問題だけにゆだねた形は私はいけないと思うのですが、もう一度一つ答弁を願いたい。
○政府委員(川上六馬君) 現状はさようなわけでございまするが、やはり医療経営の実態を把握いたしまして、そして適切なそういう面の指導をやるべきだということを考えましたので、三十六年度予算におきましては、指導課のようなものを一つ作ってそういうような点をよく調査をして、経営管理についての指導をやっていきたいと考えているわけであります。
○木下友敬君 それでは尋ね方を変えて申しますが、私は今の給与ではとても従業員は安心して働くことはできない、何とかもう少し給与を上げてやらなければならないと、こう思うのですが、今の病院経営では給与を上げてやるということはできないのですか。
○政府委員(川上六馬君) 御存じのように、病院経営というものにつきましては、先ほども大臣から申されましたように、やはり経営管理が適切でないものが少なくない。なるほど最近医学、医術の進歩に伴いまして病院は建物設備等なかなかりっぱになりましたものが多いのですけれども、経営体として見るときには遺憾ながらまだ一般企業などに立ちおくれた面が少なくないと思います。今度のストにかんがみましてそういう意見もだいぶ出ておるわけでございますので、そういう面も改善すれば、経営管理の合理化によりましてあるいは冗費を節約し得る面もできてこよう。しかしまたそれだけではなかなか医療関係者の待遇改善もむずかしい、ということも考えておりますので、直接ストの解決のためというわけではございませんけれども、医療費の値上げがよい結果をもたらすものと考えます。
○千葉千代世君 関連質問。 今伺っておりますと、何かこう当を得ない御答弁なんですが、たとえば具体的にどういうことでこうなったのだかという、今、順天堂病院なら順天堂病院でストをやっておりますですね。そうすると、あそこでは一体経営管理の面でお医者さんの待遇の問題、それから職員の問題、看護婦の給料の問題、そういうふうな関連がどんなになっているのだろうかという、そういうふうな具体的な例を一つお示しいただいて、これは当を得ない、これは当を得ているのだろうか、そこの点のいい悪いというような点をやはり明らかにされませんと、ただ経営管理の面について当を得ませんということでは、私どもは納得できないと思うので、そういう点一つございましたら具体的な例をお示しいただきたい。別に順天堂に限りません、どこでもけっこうです。
○政府委員(川上六馬君) いろいろ組合から要求が出ているわけであります。その内容はいろいろでありますけれども、そのおもなものは御承知のように賃金の大幅な値上げ等であります。最低賃金の一万円あるいは三千円ないし七千円の一律の値上げ要求でございます。そのほかいろいろ一がいに経営管理と申しましたけれども、内容を申しますといろいろなものがある、経営が前時代的でいまだに大福帳式の経理をやっておって損益がよくわからないというようなものもございます。御承知のように病院は職種が多く医師が中心をなしているわけでありますけれども、医師が偏重されていてほかの職種の方が不快に思っておったりするようなことがよく言われます。そういう面では人間関係をよくしていかなければならぬということが言われております。 それから労務管理がやはり非常に未熟でありまして、労働協約とか就業規則というようなものがまだ作られていないところが少なくありません。 それから前後いたしましたけれども、先ほど申しましたような賃金の問題になりますと、給与体系がまだよくできていないところも少くないようです。
○千葉千代世君 まだはっきりいたしませんけれども、やはりこのストの背景について、まあおっしゃったような観念的なことがあるわけですね。具体的にそれならば賃金が低い、低いようだとおっしゃった、低いならばどのくらい低くて、最低賃金制なら最低賃金制を政府が出したけれども、あの賃金制じゃなくて、やはりこの業種別の問題とかそういう問題と関連してどんな立場にいるんだろうかというような、たとえば看護婦とお医者さんの賃金についてはどうなっているんだろうかというような、全部を直していきたいのですけれども、一ぺんにはなかなかむずかしい、抜本的な改正をすれば一番いいわけですけれども、当面のやはりストの解決策として賃金が少ない。このことは非常にまあ大きな問題なわけですから、賃金体系が今あまりよくないとおっしゃっているのですけれども、具体的にどんなになっているのでしょうか。たとえば公立と私立の問題、あるいは官立の問題、これらのやはり関係ですね。
○政府委員(川上六馬君) 先ほど申しましたように、そういう内容については私の方は調査をすることができませんのでございまして、それで、先ほど申しましたような程度に申し上げる以外にはないわけでございまして、大まかな話になりますと、ある病院におきましては、医師の待遇はかえって公務員よりもいいけれども、その他の職員は公務員に比べて悪い、看護婦なんか悪いというような面が多いわけです。
○千葉千代世君 それじゃあさっぱりわからないわけなんですよ、皆さんおわかりでしょうか、私、頭が悪いせいでしょうが、全然わからないのですが。 ちょっともう一ぺん、医務局長さんがこれをやはり具体的に、たとえばこういう病院ではこういうふうな点があるという大まかな問題をおつかみいただいていないと、労務管理はそれは労働省関係かなと、かようになってくる。そうすると、経営の問題については厚生省の所管かな、ばらばらでんでに、みんな、いや経営のまだ当を得ないとかいうことで表面を糊塗されてしまっては、抜本的にメスを入れるどこかに切っかけがなければいけないのじゃないでしょうか。医務局長さんというのはそういうことを知らなくてもいいのですか。おっしゃっていただかないとわからないわけです。ここは決算委員会で決算についての審議をするわけですけれども、当面起きておる問題とやはり関連がございますので、聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 局長からもなお答弁をいたしますけれども、私からも申し上げたいと存じますが、国立病院につきましては給与の現状がどうであるのか、それから経営、経済がどうであるのかということは十分知ることができるわけであります。国立病院における病院従業員の待遇がどうかという現状の点につきましては、これは大体公務員の扱いを受けておりますものですから、公務員の方が安い高いという問題に関連をしてくる問題になると思うのであります。おしなべての話であります。国立病院、それから赤十字や済生会のような公的な病院でありますが、これはたとえば赤十字にいたしましても、病院によって非常に違うのであります。病院ごとに一律一体、同じようなことになっていない現状であります。経済の単位が違う、地方別に違っておりまして、非常に差がついておるようであります。おしなべて申し上げますれば、悪いところはありますけれども、赤十字や済生会の関係などでは、病院従業者の待遇が民間に比べてむしろよい――悪いとは見えないのであります。赤十字などおしなべての話であります。そういう状況にありますが、たとえば、さて一般の民間の病院はどうかという点になりますと、これにつきましては、給与基準とか給与体系とかいうのは、全く各病院ごとの自由な問題になっておるわけでありまして、これを統制するとか規律するとかいうことはないのでありますから、病院てんでの話になっておるわけであります。でありますから、待遇のよいところも、悪いところも両方あるわけであります、よいところも、悪いところも。実情はどうなっておるかということにつきまして、私的の病院に役所が立ち入って、どうなっておる、こうなっておるということを平素調査をしたり調べに行ったりすることはなかなかできないのであります。困難なんであります。任意的に協力していただけるところはできるわけでありますけれども、一方的な権限でやるということはできないのでありますので、協力をいただきましてでないと実態がつかめないわけであります。そういうわけで、民間の方の関係はなかなか実態を正確につかむことが、こうでありますというふうにつかみますことがむずかしいのであります。そういうこともございまして、民間病院の実態調査というものをやりたい、これも法的には一方的にできませんので、協力、同意を得て、任意の協力を得てやりたいということで計画をいたして、三十五年度も現にそういう国の予算まで掲げてもらっておるのでありますけれども、これも不幸にして、医師会からの協力が得られない、協力を断わられてしまっておりますために、民間病院には実態調査もできないで今日に来ておるのであります。公的な病院だけは、せめて、せっかく予算をいただいておるのですから、もっとはっきり調査をしたいというので、この年度内にその範囲だけはやる手はずになっておりますけれども、そういうような困難な点が実はあるのであります。法的に一方的に調べるとか報告をとるとか、また、給与体系をある基準を設けるとかいうことはできないものでありますので、痛しかゆしのようなむずかしいところが実はあるわけであります。そういうわけでありまして、さっき医務局長申し上げましたように、ちょっと言えば、もっとちゃんとしたらどうか、当を得ていないじゃないかというようなお感じの点もあるかもしれませんけれども、事情まことにちょっとめんどうな点があるのであります。しかし、わかっておることは何でも申し上げなければなりませんから、局長からもまたわかっておる点を申し上げたいと思います。
○千葉千代世君 だんだん具体的になりましたのですけれども、私大へん失礼な言い分をしたのですけれども、私どもが聞きました範囲では、たとえば私立の病院でも相当大きいところでも、看護婦さんの例をとりますと、食費を払って自分の手に入るお金が二千円しかないとか、こういうような例も聞いたのであります。そういうふうな実態の中で、低いようなんだけれどもというようなことで言われたのでは医療行政は立っていかない。特に民間の病院について実態調査がないということで、これからしたいという、このことについては全く賛成でございますけれども、その隘路が協力を得られないという点にあるということを聞いたので、やはり医療行政のどこかにメスを入れていかなければ解決していかないんじゃないかという、こういうふうな問題で失礼を申し上げたのですが、そこでお伺いをしたいのは、今大臣から国立の病院については国家公務員並みの給与体系になっているから、公務員が上がれば上がると、こういうふうにそろっていくからというお話なんですが、今の国立の病院のたとえば医者なりその他職員について、公務員並みであるけれどもこれでいいのか、あるいは安過ぎるのかということを伺いたいと思います。というのは、私どもがもう六、七年前でしたか調査をいたしましたし、陳情なんかでいろいろ伺った中で、たとえば東大の例をとりますと、まあ病院の副手の方々――大学一般ですが、何にも手当もないんで、ずっと無償でしていらしたと、それから助手さんについては、ごく低い賃金体系だった。それで、副手についてもこれは当然にやはり報酬を上げなければならないという意味で、復活されて出てきたわけですね。そういうふうに副手、助手、助教授、教授と、こういうふうな段階がございますけれども、やはり研究費も足りないという中で、何としてもこういう問題を私は低いと思っているわけです。この前浅沼さんの解剖がございましたときに東大病院へ行ったのですけれども、待っている間に見たところが、やはり霊柩を入れたところなんですが、そこのガラスなんかみんな割れてしまって、大きな穴があいてしまっているのです。こういう中で一体これはほんとの研究ができるのかしらと言って聞いたんですが、管理している人に、これはガラスも入れられないんですか、こんなに破れて、こう言ったんですね。そうしたところが、それは係りが違いますと言うから、係りが違ったって同じ病院の中で、同じ大学の中であるならば、やはり一貫したものとしてここにこういうものがあるんだからと、何回くらいこれは大学当局の経理部なりあるいは学長なり、あらゆる面に予算折衝したのかと、大学がどういう資料で文部省に要求をしたのかしらと、こういう点を聞いてみても、途中でとぎれてしまうわけなんです。で、やはり私は、これは官立の病院であって、そういう経営の面ですけれども、もう一つは人的な問題についてもそれと同じような、どこかでパイプが詰まっているんじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。で、厚生大臣に、今の国立の職員の方々、医療に携わっておる方々の給与体系が、公務員並みであればこれでいいのか、悪いのか、あるいはもっと上げてあげなければならないとお考えになるかどうかということを伺いたい。
○国務大臣(古井喜實君) この公務員という立場、身分を持っておりますそういうお医者さんが、民間の人の待遇と比べてよいか悪いか……。
○千葉千代世君 いや、公立の病院にいらっしゃる方は公務員の給与並みだからとおっしゃっていましたですね。その公務員の給与並み、たとえば公務員の給与が今のままで少ないだろうか、もっと多くほしいんだろうかと、大臣としてもっと上げなければならないとお考えになるのかどうかということなんです。
○国務大臣(古井喜實君) まあこれは公務員全体の問題にも触れてくるだろうと思いますが、あるいはこれについてはやはりまあ今の見方はいろいろありましょうし、ことに民間の方のよいところに比べると悪い、悪いところと比べるとよい、こういったようなわけで、民間にもいろいろございますし、なかなかむずかしいことになるのでありますけれども、ここはやはり筋道として人事院が全体的に考えて、高いのか安いのか、こういうことで勧告すると、これを権威あるものと考えて、政府側としては処理するほかはないだろうと思うのであります。ただ問題を限ってこのお医者さん、医療従事者の問題にいたしますと、それは法的なああいう国立とか大学病院とかの場合、お医者さんの待遇は民間の開業医の方などに比べて、これもいろいろありましょうけれども、むしろそれは劣るのじゃないかと私は思うのであります。劣るのじゃないかと思うのであります。民間の方がいいという意味じゃありませんけれども、劣ると、大体論としてはそう思うのであります。看護婦さんの方は赤十字などは民間よりよいと言われておるのであります。民間よりはよいと言われておるのであります、かえって……。
○千葉千代世君 どのくらいよいのでしょう、民間の平均とそれから赤十字と……。
○国務大臣(古井喜實君) これも民間のとりょうでありますけれども、民間というのがいろいろありますので困難でありますけれども、まあ一通りのところに比べてみてかえってよいという大ざっぱな議論しかできないと思うのであります。民間にもいろいろございますから、しかしこれは大体よいと客観的に赤十字などは言われておるのであります、看護婦がですね。大学の病院の方は、私どもではどことあげて申しませんが、これはいろいろ事情があるようでありまして、教授、助教授、副手、それから専攻生、研究生――専攻生というのは間違っておるかもしれませんけれども、専攻生、研究生、ところが、教授、助教授、専攻生、研究生にはみんなそれぞれの地位があるのでありますね。副手というのは、これは公務員でもないし、さらばといって研究生でも専攻生でもないということで、身分のむずかしい、はっきりしないもののようでありまして、無給の人が多いようであります。無給で働く、これは身分もちょっとはっきりしませんが、従前から、戦前からありました副手制度が今日も伝統的に残ってきておるもののようでありまして、これはもう無給がむしろ普通であるというくらいで、待遇もくそもない状況であるようであります。これはいろいろな歴史から来ているのであります。で、大学病院のことはちょっとむずかしゅうございますから、文部省の方でないと私もどうもあぶなくて、詳しいことは私は十分存じませんが、大ざっぱなことを申し上げて、お答えにならぬかもしれませんが、おきたいと思います。
○千葉千代世君 今、公務員の給与が人事院できめるから云々とおっしゃったのですけれども、やっぱり人事院がきめるからにはあらゆるところから判断の資料をとってきめるわけなんです。してみますれば、厚生省なら厚生行政に携わっておる者たちの給与について、やはりこれは上げてほしい、ここはこうしてほしいというものがあったならば、これは人事院に当然にあらゆる機会を通して判断の資料を提供するということも当然の任務なわけです。そうすれば人事院がきめるからということで済まされていかないということが一つ。それからもう一つは、私大へんしつこく聞いて失礼なんでしたけれども、赤十字の方がいいということが言いふらされているのです、看護婦さんの待遇が……。ところが、実態を見ましたところが、なるほど当座の給料はいいかもしれませんけれども、長く勤めておっても、たとえば退職金でございますか、退職金とか年金とかそういうものについてはあまり恵まれていない。特にあそこで八十までですか、監督さんをやった山本さんなんか、八十幾つまでやって、あそこで楢山みたいに飼い殺しされている。そういうふうに老後の保障がございませんために非常な不遇にあって、そこであそこの看護婦さんたちが、これはいけないのだから、やはり老後の保障と、安心して生活できるということを要求して、第一番に看護婦さんたちがストをやっておるわけです。ところが、当面ちょっといいものですから、大へんいいように思うのですけれども、いい差というものはほんとうに少しでございます。私も今ちょっと金額を忘れましたのですが、そういう意味で、往々にして衝に当たっている上の方は、看護婦さんの給料がちょっといい、悪いということはあまり感じないけれども、やはり実際の医療行政を支えている十何万の看護婦さんというものは、どんな役割を果たしているかということ、そういう点で考えていった場合には、病院ストの背景になっているその中でやはり低賃金というものが非常に問題ではないか。この間も、私帰ろうとしたら、お茶の水の駅のところで、あそこの順天堂の看護婦さんが寒いのに白いのを着てマイクで皆さんに訴えている。訴えているのを聞いていて、私はほんとうに胸の底をえぐられたのですけれども、やはり三交代制も守られていないし、それで私たちはこれが不当な要求だろうかどうだろうか、訴え、自分で疑問をもって、私たちは今までこうしていていいのだろうかどうだろうか、自分たちが黙っていればやはりほかの人たちも上がらないのだから、一つ一生懸命やりますから何とか協力してくれといわれておるわけです。あの看護婦さんたちは、やはり病院の中の患者さんのそばで、誠心誠意お医者さんと一緒になって看護の分野で責任を尽くすことが本職なわけなんですが、それを外に立たすということを考えたときに、これはやはり順天堂の問題だけではなくて、今日行なわれておる医療ストの背景の中のやはり一番大きな軸じゃないかと思うのです。そういうふうな意味から考えて、私はこの低賃金の問題と関連して聞いたわけなんですが、ここは決算委員会でございますから、また予算委員会なり文教委員会その他で質問をして、いろいろお話し合いをしてみたいと思うのですが、とにもかくにも、医務局長さん、大へん失礼ですが、本腰を入れて、ここのところはどうなんだ、この点はこういうふうだから、今困っているのはどうだ、たとえば、厚生大臣がおっしゃったように、実態調査をしたいのだけれども、協力態勢が足りないのだ、足りないという隘路はどこにあるかというと……。まあ今盛んに対立して、自民党の三役と会ったり、党と話し合っていますね、会長さんが……。そうすると、ピラミッドの層というものが意外に広くして深く、しかもみじめな状態にいるということを、これは責めるわけではございませんが、お互いに私ども議員としてできるだけのことは究明し合って、摘出して早急に解決の端緒をつかんでいきませんと非常な問題になるのではないかと私は思いつめています。そういう意味で私は質問をしたわけです。これは要望だけしておきます。大へん失礼いたしました。
○野本品吉君 今いろいろ医務局長さんに社会党の皆さんから御質問があって、医務局長がお答えになっておる。私も聞いておって実はわからなかったのです。はっきりわからない。そこで、医務局というものはどういう局なんだかということを私ははっきりしておくことがこの際必要だと思う。そこで、この厚生省の設置法を見ますと、厚生省の任務として「一、国民の保健、二、薬事並びに麻薬及び大麻の取締、三、社会事業、災害救助その他国民生活の保護指導、四、児童及び母性の福祉の増進、五、社会保険に関する事務及び事業、六、国民年金に関する事務及び事業、七、人口問題に関する事務」、こうあるのですね。そこで国民年金については年金局がある、社会保険については保険局がある。児童及び母性云々については児童局というものがある。そうすると、この厚生省設置法の全体から見て、医務局というものは、どういう機能を設置法の建前からいって持っているかということを一応聞いておきたいのです。
○政府委員(川上六馬君) 御承知のように、医務局で所管いたしている仕事のうち医務行政としては医療関係者の身分の問題、医療施設の問題、歯科衛生及び看護業務が主なものでございまして、関係者の身分の問題ということになりますと、医師その他の医療担当者の国家試験、免許、養成等を行なっております。その一部のものは府県に委任いたしています。それから施設の問題につきましては、医療機関の整備や整備運営の指導監督をいたしております。特に医療機関に乏しいところには補助金を出して医療機関を整備していくというような施策をやっております。たとえば国庫補助をして僻地の医療の振興をはかっていくというようなこともその一つでございまして、そのほか多数の国立病院、国立療養所の整備、運営をいたしておるような状態でございます。
○野本品吉君 今の厚生省の任務というところに規定されている幾つかの項目があって、大部分のものははっきりしておるけれども、医務局のやる仕事というものは、まだ今お話を聞いても実ははっきり私の頭にはしてこないのです。そこでその次に、これも今の問題を話し合っていく上には、やっぱり土台として大事だと思うのだが、厚生省の権限という第五条の六番目に「職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。」と、こうあるのですね。この職員の任免及び賞罰その他職員の人事管理ということは、これは国立病院にも及ぶわけでしょう、それはどうですか。
○政府委員(川上六馬君) そうでございます。
○野本品吉君 第六番目の「職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。」、この厚生省の権限というものが国立病院に及ぶ、それがまあはっきりしたわけです。そこでこの権限が国立病院に及ぶということになれば、任免、賞罰は別といたしまして、人事管理という観念の中に、一体給与の問題その他がはっきりしないで、人事管理ができるかということですね。それはどうですか。
○政府委員(川上六馬君) それは国立病院ははっきりいたしております。
○野本品吉君 ほかの一般の病院がはっきりしない。
○政府委員(川上六馬君) そうでございます。
○野本品吉君 国立病院の方ははっきりしておる。それでは、国立病院の方ははっきりしておると、従って給与が適当であるか不適当であるかということについては、一応の御見解があるはずだと思う。そういう中で給与が悪いからということが、病院に働いておるあるいは看護婦の諸君、あるいはレントゲンの技術者の諸君から出ておるわけなんだが、それらのことはこれは今初めて出てきた問題で毛あるまいと思うのですが、それはどうですか。
○政府委員(川上六馬君) 国立病院と療養所に従事いたしておりますところの医療関係者の給与でございますが、これは医師は大へん悪いということが、従来いわれておりまして、採用難でありましたので私も人事院にたびたび参りまして、給与の改善方をお願いいたしておったわけでございますが、御承知のように昨年のベースアップによりまして一般公務員が一二・四%引き上げられたのに対して、医師はそのほぼ二倍に近い給与改善がなされたわけでございます。しかし、なお人事院が民間の勤務医師に比べまして調査したものを見ますと、なお医師の方は悪いわけでございます。それから看護婦の方は民間よりもだいぶいいわけでございまして、この点を私は今度のストなんかから見まして、国家公務員の看護婦というものは給与は一般の場合よりもだいぶよろしいと、そういうように考えておるわけでございます。先ほども一般病院の看護婦の待遇はどうかというお話がございましたけれども、そういう点では国家公務員たる看護婦に比べまして、その他の病院は概して悪いわけでございまして、これは看護婦の職業というものが心身を特に労する職業であるだけに、その待遇は今後改善していかなければならぬと考えております。その他の医療関係者は大体民間に比べて、国家公務員たるところのそういった医療関係者の職員というものは、まず遜色のないところにきたというようなふうに考えておるわけでございます。
○野本品吉君 これは大臣にちょっとお伺いしたいのですが、大臣御就任以来医療の問題に取り組まれ、しかも就任早々全国的な病院ストその他の問題が起こって、寝食を忘れて御努力なさっていることを私どもはよく承知しておりまして、心から敬意を表し、同時に一日も早くこの医療問題の根本的な解決を期待しておるわけなんですが、そこで私は今この設置法を持ち出しましたけれども、そのことについて大臣にお伺いするわけなんですが、やはり医務局の所掌事務というものが幾つか並べられておりますが、何といいましてもそのうちで一番大事なことは、二番目の、医療の指導及び監督ということではないかと思うのですが、これはどうですか。
○国務大臣(古井喜實君) 今医務局の仕事、任務の問題でございますけれども、先ほども申しましたように、国立病院の仕事があることはこれはさっき申し上げたようなわけでありますが、そのほかにお医者とか歯科医師、保健婦、助産婦など医療に従事する人間の問題、そのほかに医療機関を全国的に普及していく問題でありますね。無医地区を解消していくとか、そういうふうな問題がありますね。そこでもう一つ残った大きな問題は、医療内容の指導、監督の問題があります。ところがその点はだんだん医療内容が保険になってきたわけなんですね、皆保険ということになりまして。そこで医療内容の実際非常に大きな部分が保険になってしまった。そこで、この点は保険局がその保険という面からこれにタッチしていく、こういうことになってきまして、そこのところが実は肝心な医療内容の点が医務局と保険局と交差しまして、そして実際問題は、保険局の方が保険という方で経済を握っておりますし、割合強い。こういうことで、医務局の方が少し影が薄うなってしまった、その点は率直に申しましてこういうところがあるのでございます。しかし、そのために保険優先となりましたので、経済が先に立つ。ほんとうの医学とか医術とかという、いい医療内容を提供するという問題が少し弱くなってきたのではないかという、そこに問題がまた返ってきたわけでございます。医務局の本来の仕事の方に今日はもう一ぺん戻ってき出したわけです。保険ならもう経済の方が非常に強いですから、医療内容のいい悪いということも考えないわけではないけれども、それよりも経済の方が強い。医療内容をよくするという問題で、医務局にまた問題が返ってき出した、こういう実は現状なんであります。それで、ここのところが非常にむずかしいところでありまして、今日の医療の問題はどうしても結局保険というものと無関係には考えにくい。しかしながら保険だけで考えておった日には医療の内容が向上しない。両方の面から一緒にならぬと解決にならぬということにだんだんきましたもので、そこでこの保険局と医務局、医療の問題は共同責任でいこうじゃないか、こういうことを私も言っておるわけであります。そこにこなければならぬと思うのです。 ちょっと余談のようでありますけれども、今日のお医者さんの実力行使、一斉休診などの問題にいたしましても、やはり保険というものによる医療に対する不満が要するに根本だと思うのでございます。もう制限診療になるし、統制になるし、医学というより経済の方が中心になる、こういうことになって、保険による医療というものに対する自由診療を考える開業医の立場からいうと、どうも割り切れぬ。根本的に保険医療というものと自由診療的な考え方の衝突になってきておるように思うのであります。やはり保険ではありながらそういう要求をどうして加味するか、つまり自由診療のよさをどうして生かしていくか、あるいは官僚統制的なものをどうして緩和するか、あるいは経済だけでなしに、医学を尊重するということをどうして取り入れるかというところの調和を、これからこの道を見出していかぬというと、この根本問題はしょせんいつまでも繰り返しになるのではないか、私はそういう気がするのであります。そこで医務局の用事がもう一ぺん起こってきますし、またばらばらではなくて一緒の用事になってきますので、昨今も私のところで一つ新しい今後の医療のあり方についての総合企画をやる、直属の仕組みを考えてみたらどんなものだろうか、こういうことを考えてきたわけでありまして、保険もし、本来の医療プロパーということも考えなければならぬ、一つに調和しなければいかぬ。それが解決できなければ結局医療問題は行き詰まってしまうのではないか、こういうところでこれは非常にむずかしいところになっているわけです。
○野本品吉君 関連質問ですから、短くもう一つだけ。今までの大臣のいろいろなお話を承って、結局医療の問題が制度的にも、内容的にも、行政的にもいろいろな問題に突き当たっているということですね。そういう段階において、将来やはり厚生省、医療行政を担当する省の機構の問題とか、運用の問題とか事務分掌の問題とかいうものも合わせて、再検討を必要とする段階にきている、こう考えてよろしいですか。
○国務大臣(古井喜實君) 私は大いにその問題があると思っております。そこまで問題がきていると思います。そういう認識を持っております。
○相澤重明君 関連質問で今のをちょっと念を押しておきたい。さっきお話を聞いておったのですが、今の機構の問題で、それで根本的な検討を進めるということでいいと思うのですが、千葉委員なりあるいは木下委員が質問をしておった中で、局長の答弁が少し内気なせいかどうかわからんが、はっきりしなかったのだけれども、大体、大臣の答弁を聞いておるとわかるような気がするので、いま一つ確認しておきたいんだが、現在のこの医療従事員の給与というものは決して高くない。安い。こういうことが現在の社会問題を起こしておる大きな根本問題である、こういう点については厚生省としては何とかこれを打開していかなければいけないんだ、こういう考えに立つておるのだということは確認してよろしいですな。厚生大臣、答弁……。
○国務大臣(古井喜實君) そういう趣旨に私は思っております。ことに先ほど来お話に出ておりますけれども、看護婦さんなどの待遇の問題になりますと、まあそれぞれの病院や医療機関によって一様ではありませんけれども、まあいわば昔からのナイナンゲール精神、つまり尊い仕事であるから犠牲的に奉公しなければならぬ。その考え方は尊いところがあるのです。ありますけれども、これも度がありますんで、やはりそういう伝統的なものが大きく残っておるんじゃないか、今日にして考えてみますと。そういう点は特殊な事情にあるという認識を持たねばならぬじゃないだろうか、私はそういう気分的に気がするのであります。 でありますから、その意味では待遇などの問題も、そういう事情の背景を考えまして今後を考えなければならぬじゃないかというふうに私も思うのであります。
○相澤重明君 それから先ほどの医務局長の御答弁の中にあった民間の看護婦さん等の問題について、高い所、安い所あるいはどうにかというような話もあったけれども、これは資料的にももう明らかになると思うのです。大臣も、今日まで病院ストと言われた問題については、労使という立場からあるいはお医者さん、また看護婦さん、そういう人たちにはずいぶんお会いをしていると思う。当然、先ほど野本委員が言うように、厚生省の医務局としては、自分の所管の問題について、そうしてまた同時に国民の医療行政の問題については、何とかこれを解決しなければならぬという資料をそろえなければならない。国会に対する説明をするなりあるいは国民に対するところのそういう批判を受けるなり協力を求めるなり、そういう資料的な面でこれは明らかにしなければならぬ。これはなかなか納得できるものではないわけです。 そこで私は、これはきょう今すぐと言ったところで困難かと思うが、この次の決算委員会の際には、そういう民間とそれから日赤とあるいは国立とどういうふうに差があるのか。そういうふうな資料をそろえて提出してもらいたいと思う。これは私ども国会議員が厚生省の決算をする場合に、たとえば保険の問題、保険金がどうなる、積立金はどういうふうに運用しておる。あるいは先ほど厚生大臣が答弁された今のお医者さんの実力行使というものが診療報酬なり、制限診療なりというものとどういう関連があるか、こういう点を明らかにする一番いい資料だと私は思う。だから、そういう点について資料をそろえ、なるほどこれでは厚生大臣の苦労していることもわかるとか、あるいはいま少し国家財政の中から考えてやるべきじゃないか。こういうようなものもとの決算委員会を通じて私は明らかにされると思うのです。ですから、御努力は御努力として、先ほどの医務局長の答弁された中に、資料的に私はそういうものがそろえられると思うので、一つ資料を提出を願いたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(古井喜實君) できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと思います。ただ、さつきも申しましたように、民間の関係は実態調査もようせず、それから資料を出してくれといって要求することも困難であるような事情でありますから、この辺はどこまでいきますか、できるだけしかし御希望に沿うように努力をしてみます。
○木下友敬君 そこで、医務局としては今までの話を通じてもおわかりのように、全国の病院、診療所については、やっぱり監督の目を光らすと同時に、その業務が私立であろうと国立であろうと公立であろうと、順調にそうして確実に公益に反しないように行なわれておるか、ということにはしょっちゅう関心を持っていなければならぬ、その根底にはまた経営面がどうなっているかということを、医務局として非常に考えておかなければならぬと、こう思うのですが、局長の話を聞いておると、どうも経営内面まで進んで調査する権能がないということなんです。あるいはそうかもわかりません。権能のないところがあるのだろうと思うけれども、これは熱意があればどうしてでも調べられるですよ。さっき大臣は、日医の協力がないからはっきりした統計資料を得ることができないと言われた。これはごもっともでしょう。しかし、日医の協力を得られないということについては、これはあとでまたお話が出ることと思いますが、協力がなくとも厚生省医務局としては何とかしてこれを材料を得るようにしなければ、黙っていたんではいつまでたっても私はだめだと思う。大臣が発言された中には、非常にざっくばらんに言われて、私はなかなかいい大臣だと思いましたが、近来、医務局の影が非常に薄くなっておるというお言葉があった。それがまたもとに戻ってきた、戻さなければならぬということにお気づきになっておるということは、非常にいいことだと思うのです。誰が見ても今の医務局はほとんど医療行政について自主的な働きをやっていない、というふうに私は、委員の皆さんもみんな御賛成だろうと思うのです。そして言うことだけはときどき強いことを言うのです。たとえば病院経営について、これを合理化していかなければならぬ、どうも経営管理の面が不十分であるから、これを合理化していかなければならないというようなことも言っておられるが、私は一体、医務局が考えている経営の合理化というようなことの内容はどんなことを考えておるか。これだけはちょっと私、聞いておきたいと思う。
○政府委員(川上六馬君) もちろん医療機関は診療する機関でありますので、もちろんその目的を十分達し得られますような、経営管理の合理化を行なうことを建前にいたしております。先ほども病院ストの原因について申しましたように、医療経営の組織、人事管理、施設の管理、業務管理等の諸問題についていろいろと検討しております。特に、やはり一般企業に比べまして、先ほど申しましたような、経営面につきまして、今後力を入れていこう、と考えております。
○木下友敬君 あなたには質問しても、どうもこっちが気が抜けてしまいまして、話聞いておる間にこっちがわからぬようになってしまいますがね。大臣もこれは非常に何でしょう。この局長の話を聞いておられると、実際大臣、お骨折りですね。
○国務大臣(古井喜實君) いや、そんなことありません。
○木下友敬君 普通の場合は大臣に質問しても、大臣はおわかりにならぬことが多いとか、大筋だけを大臣がお話になって、局長がこれを助けるとかいうのだけれども、おそらく今の問題でも、合理化の問題でも、今局長が話しましたけれども、何のことだかわからない。そうすると今度大臣からそれを敷衍して、大臣が今度局長の立場に立ってこれを説明してもらわなければならぬというように思うが、ほんとうにあなた御苦労だと思う。一体古井さんが厚生大臣になられるまで医務局は何をしておったんだろうかと思う。たとえばとの病院の問題についても、管理の問題、経営の問題、そういうものを取り上げて何とかしなければならぬというようなことは、これはもう古井さんが大臣になろうとなるまいと、医務局は今までにやっておかなければならぬことだと思う。それを今まで、古井さんが大臣になって、初めてこういうことを言い出しておるのでしょう。まだ何もあなた、やっておらぬでしょう。たとえば僻地診療所の運営費の補助金、ああいうものでも一千一百七十万円でしたかね、取っておいて六百万円も残しておるでしょう。今ごろ無医村があったり、僻地の医療というものは非常に不満足な状態にあって住民は困っておる。せっかく予算が一千一百七十万円というものをもらっておいて、そのうちの半分以上残してしまっておるでしょう。医務局は一体何をしているのです。何もかも大臣が目を光らさぬと運営がやっていけぬというようなそういう医務局であれば、保険局が伸びてきたから医務局が縮んできたというのではなくして、医務局がせなければならないことをしないで、自発的に縮んできたから非常に影が薄くなったと、こういうことになるわけです。どうか私は、医療行政をしっかりやっていくためには、大臣を助けて、大臣に材料を提供し、企画もあなたの方でしていくくらいのことをしなければ、一体今度大臣がきて作られるという総合企画というものをやるために、そういう部局を作られるということですが、その中に医務局は入る予定ですか。医務局が入らぬのじゃないですか。それはもう大臣がどういうふうに認めておるか、その総合企画の中にも医務局なんか入れぬでもいいというお考えかどうか、あまりひどいと思う。
○国務大臣(古井喜實君) 私がさっき申しましたのは、今の保険体制というものも、ここまできたのでありますし、全国民保険体制ということで、医療についてはきたのであります。しかしながら、今のように、さらばといって内容がよくなっていき、改善されていかぬというと、保険を通しては国民はいい医療を得られないということになってしまいますし、よい医療ということを考えなければならぬ。そこで医務局的な考え方はもう一ぺん復活させなければならぬ。しかしそれは別々のものでなくて、一つの保険を通しながらよい医療ということに今度なりませんので、それが解決できぬと医療問題の根本が解決できぬと思いますので、私は、とりあえず、第一段としては、私どものところの、医療についての総合企画をやる直属の一つのものを発足してみたいと思っておるのであります。大臣直属の、どっちこっちでなしに、どっちこっちと言わぬで、例の直属のものを設置して、そこから一歩踏み出していきたいというような考え方でおるのでありまして、両方の要素は入れたいと思うのです。両方のものを入れたいけれども、別のものを発足していきたいと思っておるのが今の段階であります。
○木下友敬君 大臣の話で、総合企画の中にやはりこの医務局の部門に属する者も加えたものを作る。それは当然そうあるべきで、医務局というものがだんだん影が薄くなっていっては私は困ると思うのです。そこで今の合理化の問題について、医療経営というものを合理化するという考え方、一体ほかのところの合理化といえば、オートメーションをやって、そうして人員を減すとかいうようなことが合理化というようなふうに理解されるけれども、病院ではオートメーション的に診療をやるということはもちろんできないし、現在でも特に病院、診療所で、看護婦の定員などもきめられておりますし、合理化していくというのはどういう方向に進むかということの片りんを、こういう方向だということを一つ示してもらいたい。全然何も考えぬで合理化というかけ声だけするということは、むしろ私不安をもたらすもとだと思うから、何か今度合理化しなければならぬ、経理部門をもっと確実にやらなければならぬとか、そういう考えがあるならば――不合理なところがあるとかいうことがなければ合理化するという言葉が出てこない。そういうことからすれば、自然合理化するという方向は、少しくらいはこの席で示されると思うのです。合理化ということは、一体どういう方向を考えておるかということについてお話を聞いておきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 今のお話は、病院、診療所の経営管理の合理化の問題であろうと思いますが、これにつきましては、大ざっぱな感覚を申しますというと、いわば大福帳式に今までやってきているくらいな、それくらいな、大ざっぱな言い方ですけれども、病院、診療所が少なくないと思うのであります。それからまたお医者さんが、院長さんが責任者になっておるのでありますけれども、これは非常に医術の方では大象であるかもしらぬが、病院という一つの経営体の管理などについては不向きな人もおるわけですね。まるでそっちの方は赤ん坊みたいな人もおるわけであります。それならそれで、そっちの方を担当するしっかりした、しかるべき才能のある人間を配することを考えなければ、まるでその面はないがしろにされてしまうわけであります。けれども警察官の古手が事務長になっておるというような関係の赤十字病院だってあるわけであって、まるで経営とか管理ということに頭が全然使われておらぬというような、極端にいえば状況もなきにしもあらずだと思うのであります。第一根本から私はそういう感じがするところもあるわけです。この病院、診療所を見ますと、赤十字などにいたしましても、あれだけ大きな病院を持っていても、長い伝統、歴史で惰性的に動いておるようなもので、一つの事業体としての経営や管理というものに、どれだけきょうの時代に合うように考慮が払われておるか疑問なくらいに思うのであります。根本からそう思うのであります。事業体としての一体経営管理というような考慮が入っておるか、入っておらぬか、そとから始まるのであります。そうして人事管理の問題でありましても、設備の管理の問題でありましても、会計管理の問題にいたしましても、近代的にこれは管理する体制がまだ整っておらぬのですから、そこから整えなければならぬ。その辺から基礎的には私は始まるような気がするのであります。で、これをオートメーション式に、今の陣容を整理するとかどうというようなこんな段階じゃないと思うのでございます。むしろふやさなければならぬということになるかもしらぬと思うのです。こんな古ぼけた格好でどうなるのだ、こういうことで逆になるのかもしらぬと思うのです。 話は違いますけれども 、これを民間の会社などを見ますというと、どんどん会社の経営とか管理ということが改善していって、きょうよほど整ってきておる。病院はどうなんだといえば、まるで格好がついていないというようなうらみがあるのじゃないか。私はむしろ根本的に頭を一ぺんそっちの方に向けてみなければいかぬというような印象を持つのであります。でありますから、昨年の暮れからの経営管理改善の懇談会にいたしましても、実務経験者と、それから専門家や、皆集まってもらって基礎的に議論してもらおうじゃないか、病院というものはどういうふうに経営管理していかねばならないか、基礎的にどうやったらいいかということで始めておるのであります。大へん熱心にやってもらっておりますけれども、きょうまだ御報告申し上げる段取りに至っておりませんけれども、これもだらだらでは困る、三月一ぱいでやってくれ、こういう期限つきでお願いしていますから、やがてこういうふうにという考えもまとまると思いますし、皆さん方にも申し上げるととができようし、私どももそれを取り入れて実行するというような時期が遠からずくると思いますので、きょうはまことに大ざっぱなことしか申し上げるわけにいきませんですけれども、実情を御説明申し上げるにとどまります。
○木下友敬君 大ざっぱはいいですけれども、大臣は今の医療経営が大福帳的にやっておると考えられておるのは、非常にそれは時代錯誤でございます。今ごろ大福帳的なことで病院の経営はとてもできやしません。もっと病院を経営しておる人は、少なくも経理の面については、私は大福帳どころじゃない、企業家以上に、普通のほかの企業家以上に熱心に厳格にやっておると思うのです。これはお調べになっていただけばわかるので、明治時代のお医者さんならば大福帳ということがいえるけれども、今のお医者さんではとても、また病院経営は大福帳的にやっておったのでは、それは一日も立っていかないというのが現状です。 なお私は、大臣のお言葉で思い出したのは、あれは大正のころでしたか、こういうことが起こったのです。県立病院の院長というのは、これはお医者さんとしてはりっぱな腕を持っておるけれども、やはり企業体としてのそれを統帥していくだけの力はないようであるから、お医者さんの方はもう技師ということでいって、院長というものは普通文官から一つ持っていったらどうかということが厚生省の一角に出たことがある。私どもはそのときも非常に心配したのです。もしそういうふうにお医者さんたちは一つの技師にしておいて、そうして経営面は全く普通の古手の法科出の方がやられるということになったならば、それは大へんだということを非常に心配して反対の意見を発表しておりましたが、幸いにしてそれはなかったけれども、今日の厚生行政ではそれに類したことが起こってきておる。たとえば今日保険の問題などでも、あるいは医療行政の問題でも、日本医師会と対立が起こったりしている一つの原因というものは、医者というものの経営とかあるいは一般常識的な点などについて、厚生省が非常にこれを信用していない。全く官僚統制的に、そうして法科的な頭でこれを統帥していかなければ、医者にまかしておったらばいけないというような考えで医療行政をやっていかれるところに今日の弊がたくさん起こってきていると思うのです。たとえば一がいに今の甲表、乙表、これもあとで言いますけれども、この点数表には不合理なところがあるのだということを言うのです。これは大蔵省でも言う。そんならばどこが不合理かということをいえば、その不合理な点ということは、これは診療担当者以外にはわからぬはずなんです。法科出身の方が見られても、あのバランスを示した診療点数のどこが不合理かということを、そう簡単に不合理というような言葉で言うことはできないと思う。それが今日のような問題を起こしておるわけでありまして、もっと技術者というものの意見を十分取り入れて、それを技術面だけでなくて、経営面にも十分生かしていくというようにやっていかなければいけないと思うので、今日は合理化という方向にもっと医者という専門象、看護婦という専門家、薬剤師という専門家、歯科医師という専門家の意見をもっと尊重して、そうして病院診療所の経営を生かしていくということでなければいけないと思うのです。そういうことはまさかないと思いますけれども、大臣の考えの中には、将来、たとえば国立病院とか県立病院とかというようなものの経営者の最高責任者というものは、これは今日のようにいわゆる院長が技術者であるという形でなく、技術者はあくまでも技術方面の技師であるという考えで、ほかに経営の責任者が優位な位置につけて、その人が病院の医師、歯科医師、その他あらゆる従業員の総元締めになるというような、そういうお考えを持っておられないとは思うけれども、この点一つはっきりお考えを聞いておきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 病院は医療をやるためのこれは一つの事業体でありますから、どうしたって医療というものに対しての知識経験がある人が中心でないと、病院というのは全体としてよくいかないと私は思うのであります。その意味ではやはりお医者さんがいいと思うのであります、最高責任者は。私はそう思います。ただ一面、さっきも申しましたように、それでよいのだけれども、それなら病院ストが起こって、お医者さんの院長がストの解決にかけ合いができるか、まるでお話にならぬのもおるのであります。そういう面の欠けておる人もあるのであります。非常にすぐれたお医者さんでも、従業員の労務管理などに非常に堪能なものかというと、必ずしもそういかぬこともあるのであります。それは当然ありがちな半面なんです。ですから、それならそれで、そういう方面を担当する人間を配して補なう考慮を置かなきゃならぬ、一方に。お医者が責任者であるのがいいから、あと全部まかせきりでどうなってもいいという工合にはいかぬので、半面の補ないの考慮を置かなきゃいかぬということは、私がさっきも申し上げたのはそういう意味であります。全体の責任者は私はやっぱりお医者さんがいいと思う、事業体の性質上ですね。私はそう思うのであります。
○木下友敬君 先ほどの御答弁にも、今までの保険局などが言わなかった発言を大臣はしているのです。いろいろ今困難な問題が起こってきておるのは、保険局というものは経済面を非常に主としてやってきたからであって、自分はこれからは医学を尊重していかなければならないと思うという意味のこと言っておられますから、そういうことを発言される大臣であるから、もちろん医師でない者を病院長にするというようなお考えのないことは確かであろうと思ったのですが、今念のためにお尋ねしてはっきりした御答弁を得て、私はその点は満足に思っているのです。 そこで、医務局長の合理化に対する答えはきわめて不満足でございますが、一体、今のままでほうって置いてはいけないと思いますが、しかも、あの病院ストの解決というものは、労働問題ということに表向きはなりますけれども、やはりこれは厚生省として一番力を入れなければならぬ問題だと思いますが、一体あの見通しはどうなるつもりですか、病院ストの見通し。
○政府委員(川上六馬君) 見通しといいましても、なかなかむずかしいわけでございますが、また、病院ストの起とっております原因は、先ほども申し上げましたように、経営管理が悪いというような面、それから、人事管理につながっておりますところの給与、ひいては医療費の問題というようなことが問題になっておるわけでございますので、その経営管理の面につきましては、先ほどもお話ししましたように、経営管理懇談会でいろいろな分野の権威者の方に集まってもらって、今御意見を伺っておるわけでございます。この問題につきましては、先ほど詳しく申し上げませんでしたけれども、たとえば医者と管理者の関係をどうするかというような問題、あるいは管理者というものが、もっと経営管理についての知識を持っていなければいかぬのじゃないかというようなことで検討してもらっております。それによって今後指導していくとか……。
○木下友敬君 それは大臣が言った。見通しを聞いているのです。
○政府委員(川上六馬君) そういうようなことをやっていって、経営管理の不合理な面を今後是正するように指導していこうと考えておるわけであります。そういう面は、それによってだんだん改善されて解決の兆を見るように思うのです。 それから医療費も、この国会で承認され改善せられると思いますが、それである程度待遇が改善されだんだん解決されていくと思います。見通しといたしましても、いつまでにこのストを終息さすということもむずかしいわけでございますけれども、ストの原因というものをだんだん解消していこうということでなるべく早く終息させるように努力をいたしたいと思います。
○木下友敬君 いろいろ尋ねてみたが、局長の言うことはどうもわかりませんから、食事でもして、またあらためて元気をつけてやってもらわぬといけないように思いますので……。
○委員長(佐藤芳男君) 午前の質疑はこの程度といたしまして、午後一時三十分より再開をいたしたいと思います。 暫時休憩をいたします。 午後零時四十三分休憩 ――――・―――― 午後二時七分開会
○委員長(佐藤芳男君) これより委員会を再開いたします。 午前に引き続き厚生省関係の質疑を続行いたします。
○木下友敬君 医務局長にお尋ねをしますが、午前中申しましたように、医療行政についての医務局の努力が私足らないと思っているのです。ですが、一体どうですか、今度病院ストがあっておりますし、また一方では日本医師会と厚生省との間がもめておりますが、病院ストの方は労働省にまかせて、医務局はタッチしていないというような傾向がありはしないか。これを解決するためには、労働省にまかしておるのではなくして、病院の経営なり経理というものをいつも見守っている医務局としては、積極的にその中に自分の方から割り込んでいってでも、これを早期に解決するという努力がなされなければならないが、私はその努力があってないように思う。一体どれくらいの努力をしておられるか。傍観的な態度をとっておられるのじゃないかというような印象を受けておるが、積極的にこの問題の解決に当たっておるかどうか。当たっておれば具体的にどういうことをしているかということを伺いたい。
○政府委員(川上六馬君) 病院ストは、直接には労働省にお願いいたしまして、そして労使間の調停とかあっせんをやっていただくということを建前にいたしておるわけでありますが、しかし、ストの起こる原因につきましては、先ほどもお話がありましたように、病院の経営管理が悪い点があるとか、あるいは医療費が低いから待遇改善ができないとかいうような問題があるわけでございますので、そういう点につきましては、医務局といたしましても、保険局と一緒になりまして、そういう原因の解消に極力現在努めつつあるわけであります。 今までにおきましては、医務局といたしましては、各都道府県などに通牒をいたしまして、そうしてなるべくストが起きないように努力しております。御承知のように病院でありますから、ストの影響が患者の医療に及ぶということをおそれまして、なるべくストに持ち込まないように、労使双方が自主的な話し合いによりまして、問題を平和のうちに解決するようにということを言っております。そうして、どうしてもストを回避することができないというような場合におきましては、患者の医療にあまり支障を来たさないようにいわゆる保安要員などを確保し、事故を起こさないようにという指導をいたしておるわけでございます。
○木下友敬君 それは、そういう方針でもあり、公式的にはそういうことが言えるけれども、具体的にいつ、どういうことをほんとうに申し入れをしたかというようなことを一、二の例でもいいから、何月何日にはどこに行ってどうした、だれを呼んでこういう申し入れをしたということを少し話してもらいたい。
○説明員(黒木利克君) 直接には都道府県知事の指揮を受けまして衛生の主管部長が担当しておるわけでございますが、厚生省におきましては、第一にこのストの発生をいたしました東京都の衛生局長を呼びまして、詳細な打ち合わせをいたしたわけでございます。その後ストが全国的に及びましたので、ストが起こっておりまする地の衛生の主管部長あるいは主管課長を呼びまして、詳細な打ち合わせをいたしたわけでございます。 その内容は、従来、病院の経営につきましては、自由放任と申しますか、実体につきましては何ら介入はしない。ただ助言なりサービスを求められた場合に、こちらからサービスとしてやる、権限の背景なしにサービス行政としてやるというような方針で参っておったわけでありますが、そういう方針を踏襲いたしまして、そういうような紛議の介入になるようなことをいたしませんで、できるだけそういうような紛議を未然に防止するために、かねて管理者側と職員との間におきまして意思の疎通をはかりまして、何らかの不平不満、苦情があった場合には、それをストに訴えないで何らか話し合いによって解決をするようなことを従来指導して参っておったのでありますが、そういう線の指導を強化するようにしております。不幸にしてそういう争議が起こった場合には、衛生部局としては労働部局に十分に相談をして、協力を仰いで、これらの紛議の解決等について労働部局が積極的に乗り出していただくようにお願いをする。また、不幸にしてどうしても話し合いがつかない場合には、患者の生命に影響があると困りますから、保安協定をあらかじめ結ぶような指導を労働部局にいろいろお願いをする。あるいは保安協定を結ぶ場合におきまして、どういうような内容にしたらいいかということを衛生部局としても労働部局にいろいろ意見を申し上げまして、そういう面のいわゆる保安施設に遺憾のないようにするというようなことを各県ごとに今まで指導して参った次第でございます。
○委員長(佐藤芳男君) 木下委員に申し上げますが、厚生大臣は雪害に関する連合審査の委員会に出席中でありましたが、こちらへ約一時間程度の時間をさいていだだきまして出席された次第でございまするので、事務当局に対する質疑はその後にしていただきまして、これより大臣に対する質疑を行なわれることを望みます。
○木下友敬君 委員長のお言葉を尊重しまして、それでは今の質問を打ち切りまして、大臣に御答弁を願います。 大臣にお尋ねしたいのは、今、全国的な問題になっております日本医師会の一日休診を前面に出しました厚生省との対立の関係、このことについてであります。大臣が御就任になる前から、日本医師会と厚生省との間は、これはあまりおもしろくない関係になっておりまして、本来ならば、厚生省と日本医師会というものは最も緊密な協力関係になくちぁならないのが、坂田大臣のときの医療協議会のメンバーの問題からこじれて参りまして、自然今日のような状態にまでなってしまったということは、私どもも非常に遺憾に思っておるのであります。大臣もこの点御心痛のことと思うわけでございますが、日本医師会が、さきに昨年の八月十二日でしたか、出しました保険診療単価の一律百円引き上げ、制限診療の撤廃、甲乙二表を一木化すること、かつ事務を簡素化して、印地、乙地の差をやめてもらいたいというあの要望を出したのは、大臣も御存じの通りでございますが、当時、厚生大臣は中山さんでございましたが、この日本医師会の強力な申し入れに対してはきわめて冷淡な態度をとっておられた。なお、これは多少、私の表現の方法がまずいかもわかりませんが、あなたが大臣に就任されましてからも、日本医師会がこの問題を日本全国の医師に訴えて、また、社会に訴えて運動を展開したのに対して、日本医師会は一人相撲を取っておるのだというような表現をされたかに、私は今に記憶しておるのでございまして、案外、最初、あなたのような非常にりっぱな賢明な練達の士でさえこの問題を軽く見過ぎておられたきらいがありはしないか、こういうようなことを私は今さらながら憂えておる。ところが、これは私が申すまでもなく、医療というものは、国民にとって一番大事なものでございまして、今日のような状態にあるということは、他のいかなる問題よりも、社会不安を起こすということでは非常に慎重に取り扱わねばならぬことだと私は考える。 でありますけれども、これはなかなか今日まで解決されておらないということの一つの大きな問題は、先ほども話しました通りに、医務局というものは、これは病院、診療所のあり方、特にそれが患者にほんとうにサービスしておるかというようなことにまで頭を突っ込んでいかなければならない性質のものであるが、今の厚生省の行政というものの多くのウエートが保険局に置かれておって、保険局は、大臣もさっき言われましたように、保険行政をやっていく上に、経済というものの上に非常にウェートを置き過ぎておるというきらいがあるわけです。たとえば制限診療撤廃の一つの問題にしましても、経済とにらみ合わせればそうもいかない。あるいは竜価の問題にしましても、心の中ではもう少し上げねばならぬと思っておっても、実情はそうもいかないのだという内面的な悩みもあるかもわからない。私は、決して悪意で診療単価を上げることをこばまれるような厚生省ではないと思っておりますけれども、表面から見ました態度というものの中には、私には割り切れないものを相当感じられるわけであります。 この経済的な問題の一番奥にあるものは、私は、保険行政、保険のいろいろの種類がございますが、この社会保険の統一ができていないということに大きな原因があると思う。たとえば組合管掌一つ拾い上げて見ますと、私は数字をちょっと拾ってみましたが、一般に今医療費というものはどんどん、毎年々々医療費がかさばってきておるということをいわれておる。なるほどそうです。医療費が医学が進むに従って上がってくるということは、これは趨勢だろうと思うのですが、保険行政、保険組合の中でも、この組合管掌というものを一つ拾い上げてみますと、被保険者から集まってくる保険料の集まりの保険料の額ですね、これは昭和三十一年から昭和三十四年、この間を見まして、三十一年と三十四年を比較してみますと、保険料の集まり方を三十一年を一〇〇とすると、三十川年には一四四という大きな保険料が集まっている。ところが保険給付費、これは医療だけでなくして、一般に全部の保険給付費はどうかとしますと、同じ三十一年と三十四年と比較しますと、三十一年を一〇〇とすれば三十四年は一三五ということになる。保険給付の方の増し方が保険料金の集まり方よりもむしろまだ低いんです。ということは余裕があるということなんです。もう一つ事務費の方を見ますと、三十一年に一〇〇だったものが三十四年には一七〇になっておる。一番上がっているのは事務費なんです。これが今日の保険行政の目をつけなければならないところであって、ほんとうの医療あるいはその他の保険給付というものの上がり方はそれほど多くないのに、事務費の方は一七〇というような大きな数を出しておる。こういうことは当然皆さん方ももう御存じのことと思いますけれども、私は特にこの点をつけ加えておきたいと思うのですが、共済組合においても大体そういうようなところでございまして、さらに政府管掌の健康保険を見ましても、三十一年とこれは三十三年の比だけしかとつておりませんが、保険料の集まりを三十一年を一〇〇とすれば、三十三年は一三三。医療費の関係はどうかとしますと、三十一年が一〇〇であれば、医療費が一二七ということです。いつもどの例を見ましても、金の集まり方はだんだんよけい集まってきておる。であるけれども、医療費の方も増してくるけれども、医療費の増し方はそれほどでないというのが、数字の上で現われておる現実なんです。 そういうふうですから、金は余っているのです。たとえば共済組合でも、この四年間に共済組合でさえ六十三億という金を余しております。組合保険によりますと、これは非常にたくさん金が集まっておるわけでございまして、単に金だけではございません。金以外にいろいろの施設というようなもので、たとえば山の家とかあるいは保養とかいうもので保有されている財産というものは相当莫大なものなんです。現金をずっと集めましたこの四年間だけでも三百二十億、その他今申しましたいろいろの施設費などがどれぐらいあるか、これは私どもには計算ができないのでございますが、かつて衆議院の社労委員会で当局に資料を請求したことがございますから、よく計算ができていると思うのですが、後刻それは事務局の方から私は示してもらいたい。実際、含み資産というものがどれくらいあるか。ある方面では五千億あるというようなことを言っております。多少の違いはあっても、相当額の金額が残っているのではないかと思うのでございます。たとえば、三十三年慶を見ましても、施設費に出したのが二百五億というのが出ているのを見ましても、相当施設費というものが出されているだろうと思うのです。また、経営の内容を見ましても、保険給付のほかに、その他の支出というもので二百四十二億六千万円というような、その内容を詳しく調べておりませんけれども、その他の支出という一括した名前で出されているというような、非常に潤沢な出し方をしてある。こういうふうなことを考えると、私は今の政府管掌にしましても、あるいは共済組合関係にいたしましても、組合保険関係にいたしましても、十分倹約をしているせいではございましょうが、決して今医療費の支払いに困るという状態にはない。むしろ非常に多額の保有金をどの会計でも持っているというのが実情であろうと思うのです。ただその中で比較してみますと、組合の方が一番裕福であって、そうして政府管掌の方が一番貧乏であるということは言えましょう。なおさら国民保険の方がまた経済的には一番因っているということは、その被保険者の富の程度から見て当然のことであると思う。 そこで私は、こういう保険行政というものを円滑に、そうして問題をなるべく起こさないようにやっていくためには、こういうたくさんの種類の保険のあるものを一つ何とかして統一していくのが一番根本的な解決策じゃないかと思うのです。保険の建前から申しますと、お金持はお金持同士が集まり、貧乏人は貧乏人で集まるのだ。たとえば政府管掌の方は割合に富の程度の低いものの集まりであり、組合保険の方は割合、比較的に富の程度の高い人の集まりである、こういうふうになっているのが間違いであって、富んだ者と貧しい考とを突っ込んで、これがお互いに協力して助け合うというのが私は保険だろうと思う。お金持はお金持だけでやるのだということであれば、これは決して保険の本来の姿でないと思う。厚生大臣は今度は総合の企画室も作られるそうでございますが、そこでいろいろの企画をし、あるいは研究もございましょうけれども、大臣自身としては、一つの自分自身のお持ちになっている理想と申しますか、施薬というものがあると思う。この点についての大臣のお考えを伺っておきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 今各種の保険相互の間に非常な不均衡が起こっている点、何かこれを統一的に運営する道はないかという大事な問題に触れてお尋ねであったわけであります。そのことについて、まあ率直にお答えを申し上げたいとは思いますが、その前に、お話のありました医師会と厚生省の対立という問題でありますが、これはどうも多年の問題でありますけれども、いかにもまずいのであります。ともに協力して日本の医療の進歩をはかるべき立場にあるもの同士がいがみ合っておって、かえって進歩発達を阻害するような結果にさえなっているというととは、どう考えてもこれはおもしろくないと思うのであります。まあ多年の問題でもありますし、根源もありますから、そう言って右から左というわけにいきませんけれども、何とかこの問題も解消するように持っていきませんものには、将来も下手な繰り返しが起とる、こういうふうに私も非常に気を痛めておるこれは問題でありますから、との点はお含み願いたいと思います。 今のいろんな医療保険、組合また政府管掌その他、私もしろうとでありますけれども、いかにも均衡がとれてないと思うのであります。片方はひとりでに給料が上がるものですから――ひとりでにじゃありますまいが、給料がどんどん上がるものですから、自然掛金もよけい集まる。また会社にも力があるせいもありまして、本人十割給付のほかに家族にも十割給付を実際やっておる。その上に今の各地に療養所だというような設備もできたり、含み財産もできたりというような格好になっておるかのように見られる。ところが政府管掌になると、それほどにはいきませんけれども、近来は少し楽になってきました。少し前までは赤字で弱っておったおけですから。また、日雇いと国保になりましたらひどいことになってしまうおけであります。これはどうもひどいことになるわけであります。保険を相互にやろうというメンバーがメンバーですからそうなるはずであります。国保なぞは本人も十割給付じゃない、五割給付でがまんしなければならないという状況であるし、保険財政も、まあ赤字すれすれという線をよたよた歩いておるというような状況である。同じ国民でありながら、ふだん給料をよけいもらっている人は、医療もよけいいい医療をしてもらうのだ。ふだん収入の少ない連中は医療もまずいのだ。いわば、そっちもこっちもそういうような格好になってきておるということは、いかにも割り切れぬ点があると思うのでございます。 でありますから、たとえば制限診療の撤廃の問題を考えましても、撤廃すればそれだけ医療費が保険のワクの中で広がってくる。だれが負担するのか、これを考えてみると、国保なぞは一体だれが負担したらいいのかといったことになると、患者負担も大へんでありますし、それから、保険料で集めているワクの中でこれを返していくというのも容易なことでない。立ちいかなくなってしまうというようなことが起こってくる。組合保険の方はやっていけるのだろうと思うのですけれども、片方はやっていけなくなってくる。こういう辺は、まことにどうも一問題だと思うのです。何か全部の間に統一的に運営するようないい道がないものか、少なくとも被用者の関係は、雇われておる、働いておる人の関係は、何かそこに全体的な統一というか、調整というかはかれないものか。そうすれば残った国保の方なぞは、これは弱い立場の人として国が特別にめんどうを見る、こういうことで補えるかもしれぬが、何かここに全体的に調整を考えてみる必要があるんじゃないかということは、大きに私はそうだと思います。きょうまで急ぎまして、できるものからどんどん、どんどん作っていったものでありますから、全体をながめてみると妙なことになっているような気がするのであります。見直すべき段階にきたんじゃなかろうか。ただ事柄がいかにもむずかしい問題でありますので、あまりどうもふろしきだけ広げて軽率なことも申せませんから、じっくり考えてみて結論を出さなきゃなりませんけれども、一つの大きな問題点である、このことは私率直に申し上げておきたいと思います。
○木下友敬君 大臣も、このいろいろの保険がございますが、その種類の中で、組合管掌のものが一番裕福であるということはお認めになっておる。これは実数が示していますから、その通りでございますが、私は、大体保険の性質からいいまして、医療保険というものは、これは短期保険だ、長期保険とは違う。それだからこの短期保険でたくさんのお金を残していくということ自体誤りだと思うのです。かけた人の方にその掛金ははね返ってくるようなた保険の仕組みでなければいけないはずで、かけたけれども自分たちの在任中にはその恩恵には浴しないで、会社を出ていってしまう。その金はたくさん集まって、後進の人にはお役に立つけれども、自分の利益にはならなかったというようなあり方ではいけないだろうと思う。相当裕福でありながら、組合の方々も十分な医療を受けていないというのが現実なんです。たとえば家族が百パーセント給付をされておるといって、も、その点ではいいけれども、医療の内容ということからいけば、ほかの保険と同じ治療内容しか受けていないという不合理、そうして金は残っておる。ここには私は非常に矛盾があるのであって、大臣はこの点にも十分御留意になっておるようでございますし、おわかりになっておるようでございますから、おそらく、この組合の保険というものについては、何らかの大臣の理想なりを実現するに足る施策をお考えになっておると思うのです。何か手をお下しになると思うのですが、相変わらず研究だけで、そういう問題を提起しただけで、また次の大臣にいくということでは、ちょっとこれは困るのですが、いろいろ保険のあり方について、自分は何か一つ考えを持っておるのだというようなことのお話を承ることはできませんか。
○国務大臣(古井喜實君) これはさっきも申しましたように大きな問題点で、これが解決されなければ、日本の医療保障というものが全体として調和のとれたよいものにならぬと、解決されなければという認識は持っておりますが、そこで私としましては、大きな問題点に考えますが、まあ率直に申しますと、たくさん、それやこれや、私どもの手元にも相当骨のあるというか、むずかしい問題が積もっておりまして、それで、どれからどう片づけていくかに、順序についても頭を痛めておるところでありまして、いっときに、それもこれもといってかつぎ出しましてもやれるもんじゃありません。なるべくこの順序を誤らぬようにして、一つ一つ片をつけていって、行くところに行くようにしたいものだと思いますので、特にここで組合健康保険の問題につきましても、こうということまで申し上げるのは、ちょっとこの私としては軽率過ぎるように思いますので、まずここは一つの問題点、解決されなければ、要するに医療保険全体に問題が残ると、こういう認識でおるというところまでにさせておいていただきたいと思うのです。
○木下友敬君 大臣は非常に利口だから、大事なところはぼかしてしまうんだけれども、それは一番大事なところなんです。ほんとうはたくさんの種類があって、その内容が、裕福なところもあれば貧乏なところもある。それを一緒にするから、保険であるのに、金持は金持だけでグループを作っておるということが、これが保険の一番ガンなんだ。これを何とかするという意欲をもう少し示してもらわぬと、ただ問題を提起しただけで、そうしてまたそのうちにあなたは大臣の席を去っていかれるということでは、いつまでたってもこういう大事な問題を片づけていくということはないわけですから、非常に私はそれは今の御答弁は不満です。あなたの御答弁としてはまことに私は不満に思う。 時間がございませんから、一つの問題にこだわっておられないから、次々にテンポを早めて参りますが、昨年来日本医師会が出しておりますあの四つの問題、この一つ一つについて簡単に私質疑をしていきたいと思うのです。で、簡単でよろしゅうございますから、大臣自身の御答弁を伺っておきたいと思うのです。 まず甲、乙二表の問題が出ておりまして、これは今の日本医師会との確執のうちで大きな原因をなしておると思うのです。当時これは私ども内情を知っておりますが、甲、乙二表というものができなくて済むようなところまで話が行っていたのですが、ふとしたことから甲、乙二表というものができまして、いわゆる一物二価――一つの物に二つの値段がついておるという、同じ品物を、たばこならたばこを百貨店で買えば、これは百円だ、町のたばこ屋で買えば四十円だと、医療をたばこと比較すると非常に不謹慎ですけれども、わかりやすく言うために……。そういうふうな一つの物に二つの値段がついておるということは、私どもは不合理だと思う。これは何とか早く一本化しなければならないというのが、おそらく厚生省としてもお考えだろうと思う。どういう行き方で一緒にするかということで問題が起こっておるのじゃないかと思うのですが、大臣はどういう方向にこの一本化の問題を進めていこうと思っておるのか、このことをお聞きしたい。
○国務大臣(古井喜實君) 長い問題でもありますし、木下さんがよく御承知のようなこれは問題であります。物の道理としては、いかにも二つのものがあるということはおかしなことであって、考え方の問題として二つがあるということはいかにもおかしいことであって、一つになるべきはずのものだと思うのであります。この点に異論はありませんし、だれしもまたそうだろうと思うのであります。ところで今お話しのように、それなら乙表に一本化するのか、甲表中心に一本化するのか、あるいは両者を折衷して新しい一本化の案を考えるのか、ここになると、実際問題として非常に議論が分かれておると私は思うのであります。そこまで行きますと、事柄は一本ということに考え方はわかっておっても、分かれてくると思うのであります。もともと、一物二価と称するものが起こっておるのも、この点数、まあ考え方としては、点数は学問上の、医学上のランキングだともいわれますけれども、なぜああいう二つが起こっておるかと申しますと、実は同じたばこであっても、売る店々の経済を成り立たせるようにしたい、店の経済を成り立たせるようにするにはという経済的な考慮が入っておるから、甲、乙二表になっておると思うのであります。単純に医学上のランキングだけじゃないと私は思うのであります、現実の点数は。つまり開業医の方なら開業医の方の診療所の経済が成り立つには、やはり回転率の多い医療行為に相当な点がついておらぬと経済が成り立たぬ、単純に学問上のランキングだけで、経済は成り立たぬでいいのかというと、そうはいかぬ。採算が成り立たなければいかぬという原則が働いておると思うのであります。医師会の御説明の中の資料にもそういうことが書いてある。また、大病院となると、やはり大病院としての経営、経済が成り立たなければいかぬというような経済的な見地の考え方も入っておると私は思うのであります。そこにああいうふうな甲、乙二表が出てきておる背景があると私は思うのであります。そこでとれを、大きな病院でも、これでも経済が成り立たなければ、あの通りに従業員が悪い待遇でがまんしなければならぬ。従業員の待遇もよくしなければならぬ、しかも、成り立たなければいかぬ。一方また、診療所の方の経済も成り立たなければいかぬ。この経済が成り立つという問題を無視するわけにいかぬものですから、この問題がむずかしいことになってしまうのであります。 私は、これはやはりまあオーソドックスのことみたいなことを申しますけれども、医療協議会、話し合いの場といろものにおいて、それなら甲中心、乙中心ないしは両者の中間的な一本なら一本、考え方はあそこでもって一ぺん論じてみて、このいろいろな学識経験者や関係者がおるところで論じてみて、方角を一ぺんこなしてみる必要があると思うのです。そうでなしに甲だ、乙だと言ったのでは、結局おさまりがつかぬ。一ぺん方角を論じてみる必要があるんじゃないか、こういうふうに思いますので、一本化の方向に沿うて、方法論としては、医療協議会のごとき話し合いの場で方向を論じてみる必要がある。その上で多数の方の考え方をもとにして、一本化の線に沿うてどれを中心にするかと、こういうことを考えるのが一番いいと思うのです。私は甲中心とか乙中心とか、あるいは中間的なこととかということは、ここではちょっと申し上げませんが、論じてみて、方向をみんなで出してみたらいいと、こういうふうに今は思っているところであります。
○木下友敬君 今の大臣の答弁だと、ちょっと私迷うところがありますが、一方の方で大臣一物二価を認められておる。強力に認めておられる。同じたばこ一つにしても、百貨店の場合は、これを経営を成り立たせなければいけないから高くしなければならない。そうでない。ごく経営の規模の小さいところでは、安い値でもいいという例からいきますと、大臣は、これはどうしても一物二価というものはやむを得ない条件下にあるものだとお考えのようである。また、話をだんだん聞いておると、であるけれども、医療協議会などの場をもって一本化の線に進みたいというような御意思もあるように思うのですが、そこの困難な道で大臣も困っておるとは思いますが、一本化に進むということだけは、大臣はそういう熱烈な希望を持っておられると解釈 してもよいか。
○国務大臣(古井喜實君) 方向はそこになければならぬと、方向は一本化という方向でなければならぬと、一物二価なんという考え方は、方向としてはおかしいと、こういうふうに思います。ただ、私が申しておりますのは、今日なぜ甲乙二表ができているかという背景についてさっき申しましたが、診療所の経済も成り立たなければいけない、開業医の方の経済も成り立たなければいけない、病院の経済も成り立たなければいけないというような、経済的な原則が背景に働いているからああいうことに私はなっているのだと思うから、そこには実際問題として、今日の一つの背景、根底がありますから、そこで、方向はさっき申した通りであっても、そういうあっちの関係の人ともとこっちの関係の人とも論じて、これはやっぱり一本化という考え方をもとにしながら、どの辺にいくかということをこなしてみなければいかぬと思うのです。 私は、経済原則が働くのがよいこととか、悪いこととかということを申しておるのではありません。実際問題で、あの二つの表のできておる背景にはそういうことがあると考えておるのです。でありますから、乙表にいたしましても、なぜ初診料があんなに安いのか、五十円とか五十四円とか、なぜ安いのか。初診なんというのは、相当これは手数もかかれば、やり方によっては技術も要するし、大事なものだと思うのです。五十四円、あるいは乙表なら五十円と、これはどうして、学問上のランキングだろうか。あるいは心臓の手術をすると、こんな大へんな、何人ものお医者さんがかからなければできないようなむずかしい手術が、八千円とかなんぼとか、なぜそんなに低いのだろうか。これは学問上の、医学上のランキングだけだったら、私は理解できないと思うのです。どうしても私にはそう思えてならぬ。なぜかというと、やっぱり乙表が主として行なわれている開業医の方の側では、開業医のところで稼働率の多いものが高くなければ経済が成り立たないから、そういう方面は比較的に色がついておるけれども、そうでない方面は安くなっていると、こういう経済上の問題がいつでもここにあると解釈しなければ、私には読めないのであります、あの表が。そういう生きた問題が背景にありますから、考え方は考え方といたしましても、その辺を十分こなしてでないと、どっちの方面の一本化ということを、軽率に打ち出してしまうというわけにはいかぬと、一本は一本にしましても、ここを私は言っておるのであります。開業医は成り立っていくが病院はつぶれていいのか、病院は成り立ったが開業医はつぶれていいのか、非常な大きな問題だと思うのであります。これは学問だけの問題じゃないと私は思うのであります。そこに二表の間に大きな問題が私はあると思うのであります。そのことを先ほどは申し上げたわけであります。
○木下友敬君 ですから、大臣も今度医療費を一〇%上げるという予算をお取りになっておりますが、今までのままでは医療担当者の方の、あなたのたびたび重点を置いておると言われるその経済ですね、経済が成り立ちにくい状態にあったということはお認めになっておる。そこで、これを何とかして上げなければならないという御意思はお持ちである。それが今度の実態のもとになっておる、こういうことなんですね。
○国務大臣(古井喜實君) そうです。つまりその甲乙二表統一論は抜きにいたしましても、とにもかくにも、病院にしても診療所にしても、どっちにしても、経済はなかなか今の医療費では苦しい、こういうことはどうしてもこれは否定できないと思うのであります。これはやっぱり上げなければならぬという事由だと思っております。
○木下友敬君 私は大事なところはそこだと思うのです。大臣は率直に、今までの医療費は低過ぎて経営が困難であることをお認めになっておるから、それはあなたが大臣になってそういうことを発言しておられますが、保険局としてはそういうことはとうの昔わかっておるはずなんだ。経営困難にあるということはわかっておる。これを、医療担当者の方から請求があり要求があれば、初めてそこで何とかしようかと考えたり、あるいは少し値切ろうかというようなそういう態度がいけないのであって、これはちょうどほかの労働問題の場合でもそうでございますが、保険局というりっぱな局があってそうして日本の保険行政をあずかっておるならば、一体今の単価でいいか、今の医療費でいいかということは常に気をつけておいて、わかっておるはずなんだ。そいつを、要求のあるまではほったらかしておいて、要求が、たとえば三割引き上げの要求があったとすると、そのとき初めてそろばんをはじいて、そうはいけないから一割にしようとか、そういうような態度ですね、これは全く資本家的な態度なんです。そうじゃなくして、ほんとうに厚生省が医療行政を、保険行政を自分のものとして、国民のものとして育てていこう、運営していこうとするならば、常に単価というようなものについては、積極的な考えのもとから自分の目でそろばんをはじいて、りっぱな体系のもとに単価というものを出してこなければいかぬはずなんだ。相手から出してくれば、それを非難して、これをたとえばどうするというような行き方をするから、いよいよ問題はこじれてくると思う。この点について、私は厚生省の今までの行き方は間違いであった、非常に資本家的な考えで間違いであったと思うのですが、大臣はそれはどう思いますか。
○国務大臣(古井喜實君) 今度この一〇%引き上げという予算を組みましたのも、それはむろん去年の八月以来の要望があったこともありますし、そういうこともまた、直接の関係はとにもかくとして、病院の従業者の待遇がいかにも低い。その根底に経済の困難な点があるというようなこともあったことはありますけれども、けれども、来年度から医療費を引き上げよう、上げたいということを、ちょっと軽率であったか、大胆過ぎたか知れませんけれども、しかし出しましたのは、特別国会のとき私が衆議院の社労で言ったのが初まり、政府側としては、いや党の側としては初めてでありまして、これは私の直感というか、認識では、不十分だと、きょうの医療費では。こういうふうに思いますので、実はこうまでこの医師会などから強くおっしゃるよりずっと前に、特別国会で私は引き上げのことを言ったのであります。同時にまた、この一〇%というものも、それは多い、少ないの議論はありましょうけれども、この際の問題として、この厚生省の手元にある資料をもとにして検討しまして、論議はまだあとに残るにしても、手元の手の届く限りの資料ではこういうところだというので、いわば自主的に一〇%というものをはじき出したわけであります。これが今度の予算にたったわけであります。で、この幅の、足る、足らぬという問題は別個の問題といたしまして、考えるべきことは、やはりわれわれ自身として考えなければならぬ、足る足らぬの議論はありましても。というふうに私は思いますし、まあ厚生省、従来とてもそうあながち、やかましく言われて追い込まれてしまわなければ引き上げぬというわけのものでもなかったんだろうと、これは解釈をいたしておるわけでございます。
○木下友敬君 それはね、全く厚生省の保険局というところは、これは一般の資本家と同じ考え方であって、強力な要請がないと、医療費というものについては進んで是正していこうというような考えはないところと私は考えております。特別国会で大臣が医療費を上げようと自発的に言ったというのは、それは非常に殊勝な考え方です。従来の保険官僚にはそういうことは全然なかったことです。どうか大臣はその言われたことを忘れないで、自分で言ったことを忘れないで、今度は一つ、その一〇%というものが適正であるかどうか、これを、もうこの問題が起こってから相当になりますから、直感的ということでなくして、厚生省の手近にある資料だけでなくして、それはもっと詳しく研究してもらいたいと思う。 なぜかというと、この一〇%というような数は非常にあやしいものなんです。三十三年の十月に八・五%という医療費の引き上げがございましたが、八・五%という数はあとで出てきた数であって、単価を一円上げようというのが考え方であった。単価を一円上げるということを、今度はほかの方面から計算してみたら、それがちょうど八・五%に当たるということで、表に八・五%上げるということが出てきたけれども、これは少しも医療費というものを科学的に調べた結果八・五%が上がってきたのじゃなくして、つまり一円上げよう、これが一番普通の行き方ですね。さっきの考え方のような大福帳的な考え方-要求があればそれじゃ一円上げておこうというのが八・五%の行き方。今度の一〇%というもの、これが一一・五%であるとか一二%であるとか、何か端数でもついておれば別だけれども、一〇%上げれば十分であるという考え方は、これは少しも科学的な観点、要素から出てきた数字ではなくして、まあ騒いでいるから一割くらい上げておけ、一割だ、一割増しだというような安易な考えから出たこれは数字なんです。こういうことではとうてい根本的な解決のできる問題でなくして、どうか私は、大臣はこの際、あなたの任期中に、しかも、非常に早い機会に、今日本の保険医療問題は非常に危機に瀕しておりますから、どうかすみやかに甲乙二表の問題を、あなたの力で解決する努力をしてもらいたいと同時に、この医療費の一〇%値上げ、この問題をもっと強く研究してもらいたい。 さらに私は非常に残念に思うのは、この一〇%の引き上げについての予算を取られたときのいきさつですね。これはあなたの予算を取るための努力は、たとえ一〇%でも引き上げるとしての大蔵省との話し合いの努力は認めます。それが三〇%でなかったからだめだとは申しません。一〇%でも、とにかく話をまとめてとるようにしたのは、その努力は認める。大蔵省としても、この一〇%上げるのを、どういう形で一〇%上げるか、どういう基礎計算のもとに上げるかということを知らないで、ただ一〇%つかみで上げたということは、予算の作り方としては、これは非常に手落ちだと思う。まるで、おれの方にはとにかくこれだけよこしておけ、古井大臣が言うんだから、とにかくまあそれだけは認めてやれ、その計算の基礎は、積算の基礎はわからない、けれども一割ぐらいしょうがないという考え方で大蔵省が認めたというのも、これは今日問題が大きくなっておる一つの原因でもあると思う。少なくとも一〇%ぐらいとるならば、これはどういう形で、どういう基礎の上に一〇%という数が出てくるということを、もっとはっきりしておかなければいかぬ。 ですから、今日まず一〇%上げるのを、単価で引き上げようか、それとも点数表の改正で上げるかというととが問題になっている。初めからこれはその方がよかったとは言わないけれども、大臣が、もし大きな決意を持って、これは単価で上げるんだという強い意思のもとに一〇%をとってきておったなら、その意思を貫くべきであった。また、そうでない、これは単価を一円上げべきだというお考えでこの一〇%が出てきたのなら、それを押していくべきであったけれども、それがもう非常に差し迫ったときでもあり、大臣がいわゆる政治力を使って、この一〇%の引き上げというものを実現した。実現したことはいいけれども、その額が適当でなかった。またその積算の仕方が大蔵省にも納得がいかないで、大蔵省がこれを認めたというところに、私は今日の予算のぶんどりの行き方というのに不満を感ずるわけです。これが今日まで尾を引いておる一つの原因であると思う。 いつでしたか、一月の十一日でしたか、厚生省は、これは大臣が発表したことだろうと思うけれども、今度の値上げは、単価で上げるのでなくて、点数の改正をして、それによって医療費を上げていくんだということを言われたように私は記憶しておる。その点が、また医師会の非常に不満とするところで、今日の問題のもとになってきておるようにも思うのですが、あの予算の取り方について、厚生大臣として、また、この点は私は、大蔵大臣にも聞きたかったのですが、大蔵大臣見えておりませんが、一体、ああいう予算の取り方というものは、私よろしくないと思う。大蔵省もああいう要求の仕方で認むべきではないと、こう思うのですが、両省の方のお考えを一つ述べていただきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 今回の一〇%ないしその実現執行の方法の問題でありますけれども、これは他の機会にも、終始一貫私は同じことを申しておるのでありますが、普通の筋道から申しますと、医療協議会に初めに諮って、そしてどれだけの幅を考えたらよいか。またそれを具体化する方法は、単価一律引き上げでいったらよいか、点数是正でいったらよいか、方法論、これを審議をした上で、その意見を元にしたもので、予算を組むのが一番よかったと思うのであります。当初は、できるものなら、そうしたいと思いまして、去年の暮れ以来、医師会に、医療協議会に入ってくれないかっ医療協議会は、御案内のように、一年半以上寝てしまっておる。もとは、医師会が入ってくれないからであります。そこで何とか入ってもらって開いて、そして、そこで論議をしてもらったものをもとにして、予算を組みたいと思ったのでありますけれども、そこまでの運びにどうしてもいかない。 それなら、予算はもう期限がありますから、どうするか。医療協議会が済んでいないから、予算をもう見送ってしまうか、それとも、予算は一応組んで、あとで、順序は逆――あと先になりますけれども、医療協議会を開いて、はたしてこの一〇%で足るか足らんのか、ないしは、方法はどうしたら一番よいか、論じてもらってきめるか。つまり、見送るか、順序をあと先にするか、どっちかしかないと私は思ったのであります。けれども、どう考えても、この際、この医療費の引き上げということは、一年見送るということはできないと私は思ったのであります。でありますから、あとの道をとった。順序を逆にして、あとで医療協議会に諮って、最後的には固めてみたい、こういういき方をとったわけであります。そこに無理があったのであります。しかし、仕方がなかったのであります。私としてはそれ以外に道がなかったのであります。 そこで、じゃとりあえずにはせよ、予算を組むにあたって、それじゃつかみで、ただ腰だめで、一〇%がちょうどラウンド・ナンバーだからよいというわけでやったかどうかという点になりますと、必ずしもそうじゃないのであります。それは、仕方がありませんから、厚生省の手元で、手の届く限りの資料をもとにして積算をしてみたわけであります。つまり、診療所、病院の経営が成り立つようになるためには、どれくらいの不足があるか、こういうことを積算をしてみた結果が、たまたま一〇%という引き上げの幅になったわけであります。これは医療の実態調査が、昭和二十七年の三月にやって以来、できないでおりますから、仕方がない、この二十七年三月の医療実態調査をもとにして、その後におけるいろいろな、物価や、賃金やなどの上昇率をもってスライドいたしまして、そして、きょうの問題としては、どれくらいを埋めなければ足らないかという計算を出して、それで得たものがこの一〇%増――の引き上げということであったのであります。しかし、これは今も申すように、ただ厚生省の手元にあるものだけでやったものでありますから、医療協議会の論議を経ておりませんから、これからかけにやならんと、こういう順序が残っておるわけであります。で、ちょっとここの点に、私どもも不本意の点があるのであります。 で、病院が、診療所がなんぼだとかいうのは、これは――それでまあ点数合理化で行くのだとかいうようなことを、私は一度も言ったことはありません。予算の積算の基礎として、いろいろな計算をやっただけのことで、ほかに方法がないですから、厚生省としては。そういう計算は、あれやこれや、いろいろやりましたけれども、さて、その積算の結果出た一〇%引き上げというこの幅を、今度は実際的に一律単価引き上げでいくか、点数のひどいところの合理化でいくか――たとえば初診料があまりに安くないか、あるいは眼科や小児科は成り立たんじゃないか、あるいは病院の経営が、これでは成り立たんじゃないか、従業員の給料も上げられんじゃないか、そうすれば、入院料が安いじゃないかとか、こういうわけでございます。点数も是正しなくちゃいけない、不可能なんであります。そういうことを考えるか、一律引き上げでいくかということは、これはまだ医療協議会にかけておりませんから、論じてもらって、いい方にきめる。つまり、右でなきゃならん、左でなきゃならんということは、一つもきまっておらん。白紙の問題として論じて具体化する、こういうことにしなければ、順序というものは踏めないし、厚生省独断でやるべきものでもないだろう、こういう考え方でおる。 でありますから、今の、別に方法論を、点数合理化だけでいくとか、そんなことは、きめたことも、また、私自身として言ったこともないのでありまして、何か点数合理化にきまったそうだ、これはちょっと、いろいろそういう印象を与えておるのでありますけれども、誤まりであります。一〇%、積算するときに、いろいろな計算をやったというものがあるだけであるのでありますから、この点は今のように他の機会でも、ずっと同じことを申し上げておるのでありますが、繰り返して申し上げるわけであります。
○木下友敬君 医療協議会に、医師会が出てこなかったというのが、出てこないというのが、一番原因だというさかのぼったお話でありますが、さかのぼったとすると、当然理論的になぜ出てこれないのかというところまで、大臣は考えてものを解決していかなければならぬということを私は注意しておきます。 なお、ただいま厚生大臣からは御答弁がありましたが、大蔵省の方として、ああいう予算のとり方、私は不合理だと思うが、今までも、ああいうことを再々やってきたのか、あるいはこれからもああいうふうなことをやっていくかということを、一つ大蔵省の所見を聞いておきたいと思うのです。
○説明員(岩尾一君) 今回の医療費の値上げにつきましては、ただいま厚出大臣からお話がありましたように、本来ならば、方法あるいはその幅というものが、はっきりきまった上で予算に計上すべき建前だと思います。 しかしながら諸般の状況で、医療協議会等の開催もできませんし、そういった方法もわからない段階で、しかも予算にはどうしても計上しなければならぬという状態であったわけであります。従いまして実際に必要な医療費の増加というのは、どの程度であるかということを先ほど申されましたように、いろいろな資料によりましてはじいた結果、一割ということが、まあ大体、現在の医療費としての従来からの増加分というものを推定すれば、その程度になるのではないか、従ってその分を予算に計上しておいて、そして実際に、その方法が単価によるか、あるいは点数によるか、あるいはそれ以外の方法によるかという問題は、正当な機関において御検討を願っておるということで予算を計上した次第でございまして、これはまあ極端なことを申しますと、予算というのは、あくまでも前に計上するわけでございまして、たとえばいろいろな法律案につきましても、国会の審議できまっていく場合もございますし、細部にわたる方法まで、全部きめて予算に計上するのが建前でございますけれども、これができない場合に、やむを得ない措置として、総体の必要な医療費の増加分だけを計上して、方法はなおあとに検討を願うという形で処理をした次第でございます。
○木下友敬君 今、大蔵省の考え方も、予算のとり方は多少の幅を持っているようなお話もありまして、これは非常に私参考になるのです。一体八・五%を三十三年の十月に引き上げをしましたときには実際は予算はなかったのです、あのときは、しかし上げねばならぬようになったからあの八・五%というものは出てきたので、今度でも、ほんとうの適正な医療費は、どれだけ上げればいいかということがわからなければ、必ずしも一〇%というコンクリートなものを出さなくてもよかった。あとでも予算にないでも、とれないことはないわけなのです。それは乱暴だといわれるかもわからぬけれども、大臣自体が、そういうことを言っておられる。今一〇%という数が出ているけれども、もし医療協議会が開かれて、これが一五%だ、二〇%だ、三〇%だという線を医療協議会が出されるなら、それに自分は従うということをはっきり言っておられるように思うのですが、それならば、あながち急いで一〇%というのを無理にとらなくてもよかった、もっと研究してじっくり上げるなら上げる、八月末と言ったので、上げるには上げるけれども、ほんとうの数は、あとで検討するという態度をとられるのが、私はむしろよかったと思う。あやふやな基礎のもとに、あやふやというと、そんなことはないといわれるかもわかりませんが、二十七年の三月のあの調査の資料というものは、これは非常に不確実なものだということは、もう厚生省自体認めておると思うのです。これはほんとうの実態じゃないということを認めておるのです。それを使ってやったということにも異論があるわけですが、そういう点からいけば、私はむしろ大蔵省、厚生省がなれ合いで一〇%というようなところで、つかみ勘定でやられたところが非常に私は不満に思っておりますが、先に進みますが、しかし、これ以上もう時間がございませんから、大臣は、制限診療については、これは今のままではいけない、もちろんこれは、経済的な見地から制限診療というものが、これは行なわれていることは私ども承知している。保険局は、医療という問題につきましては、これは極端な言い方だけれども、人間の命とか、あるいは人間の労働能力というよりも、まず保険経済というものに重点を置いて考えているということは、これは明らかなことでございまして、あまりにも保険経済の方に重きを置くために、あるときには人命を尊重すべきことを忘れたり、あるいは早く手当をすれば、早くよくなる、むしろ経済的にも、その方が得ではないかと思われることでも、制限を作っているというようなきらいがございます。これはもう万人の認めるところで、制限診療というものはできるだけ撤廃しなければならない。これはもうむしろ原則であると思う。大臣もこれには異論がないと思いますし、何かで私も制限診療については、大臣が考えるということを言われたようにも思っておりますが、この制限診療に対する大臣の考え方を伺いたい。
○国務大臣(古井喜實君) ただいま制限診療のことについてのお尋ねでありますが、ちょっとその前に先ほどお話がありました予算の組み方の問題でありますが、前回の昭和三十三年に引き上げを八・五%しましたときは、ちょうどお話のように医療協議会で三十三年に、先に開いたのであります。その医療協議会の一応議を経たところをもとにして予算を組んだのでありますから、ちょうど本来の行き方をしたように思うのであります。今度も、その行き方をするのも一つの道であると思うのであります。けれども、さっきも申しましたように、考えてみると、そうすると、この予算にはずれてしまう、乗りおくれてしまう、いつ予算を組むかといいますと、補正予算を組むなり予備費を出すなり、当初予算には載らないということになってしまう。ところが補正予算という不確実な、あることかないことかわからぬというものに、この問題を預けるわけにはいくまい、相当な金額になるというものを、予備費というものに頼ることもできまい。そうすれば、今の行き方をすれば、あるいは一年ずれる、こういうことになりかねないと思いますので、その辺を考えたあげく、今の今度のような行き方をしたのであります。これは私は政治として、これ以外に道はなかったと自分でも思っているのであります。 なお、制限診療の問題につきましては、午前中も申しましたように、いかに保険の医療であるといいましても、しかし医学が進み、あるいは腕のあるお医者さんが腕を振う問題を否定するという問題も残る、つまり、いわば自由診療のよさというものを全然殺してしまりていくのが、満足な仕方かというと、どうしても、そこに割り切れぬものが残ると思うのであります。いい工合に、そこに自由診療的なよさというものと保険と調和させなければならぬという問題が、どうしてもこれは一つあると思うのですが、これがつまり制限診療を撤廃するとか、緩和するとかいう問題に触れてくる問題だと私は思うのであります。これは放って置くわけにいかぬ、大いに研究しなければ、解決を与えなければならぬ問題だと思っているのであります。
○木下友敬君 これは今お尋ねしないでも、もう大臣も、とっくに御存じのことと思いますが、今の保険診療担当者の事務というものが非常に繁雑であって、これはイギリスなどでもそうですが、イギリスは、患者さんに向かっている時間よりも、タイプライターに向かっている時間が長いということがあって非難されたことがございますが、今の日本の現状でも、ほとんどそういう状態になっておる。その事務の簡素化をせなければならないということは、これはもう当然のことでございまして、大臣も、これは異論がないと思います。どの程度に、どういう方法でするかということが問題であろうと思うのでございます。 それからまた、甲地、乙地というのがございまして、東京などと、それから大阪とかいうようなところは、診療費が高くて、いなかの方に行けば、いなかといっても、たとえば中級の都市に行けば、診療費が安いというようなことも、これもさっきの一物二価に類したことでございますけれども、今日では、かえってそういうことの差のあることは、むしろ不合理でございまして、交通も便利になっておりますし、だからといって、薬品の運送費などは、かえっていなかの方が高くついておるというようなこともあるので、甲地、乙地の差というものは、これは不適当だという考えには、だんだん話が、多くの人の賛成を得つつあるのではないかと思うのです。 事務の簡素化、甲地、乙地の撤廃というようなことについて、大臣は私が考えておるように、これをできるだけ早く希望に沿うような線に持っていく御意思があるかどうか、この点を一つ簡明にお話を願いたい。
○国務大臣(古井喜實君) いかにも保険の関係で、診療報酬請求事務というのが繁雑といいますか、事務負担が多い、聞いてみればみるほど大変なことだという印象を持つのであります。何とかこれは、軽減できるだけ軽減したいものだと思うのであります。先ごろ政務次官に、実情を見に行ってもらっておりますが、そういう気がするのであります。 甲地、乙地の地域差撤廃――これは考え方、方向としては、けっこうだと思っております。一時にやれるか、漸進的にやれるか、こういう問題はございますけれども、方角としては、撤廃という方向を歩くのがよいというように思っておるのであります。
○木下友敬君 今、医療協議会というものが壁にぶち当たって、一年半も開かれていない。これは、その構成がよろしくないから、構成を一つやりかえよう。かつて大臣は、これは一つ利益代表が出ているということが、円満な話し合いの場とならない、これが原因だということを発汗されておられる。 そこで、あの話から見ると、医療協議会には、将来は利益代表を加えない。端的に言えば、主として学識経験者あたりを連ねた医療協議会を作りたいというお考えがあったようであるのでございますが、今日では、大臣のお話をいろいろの機会に聞くと、その問題については、審議会の方に諮問しているので、全く自分には意見がないわけで、審議会の答申に従ってそれを尊重していくという一点ばりのようです。しかし、最初のほど、大臣は確かに、利益代表者を加えない協議会を作る方が合理的であるというようなことを発言しておられたことにかんがみますと、全くの白紙ではないと思うのであります。現在での心境を、あらためて一つお話を承りたい。
○国務大臣(古井喜實君) 医療協議会は、構成にも問題がありますので、お医者さんが出ておいでにならぬのもわけがあるように思いますので、一つ改組したい、こういう考えにきたわけなんですが、どういう形にするかということにつきましては、私は医療協議会が、けんかの場であっては困る。つまり、もう部屋に入るときから、けんかをする格好で飛び込んで、やってきて、そうしていがみ合ってしまう。そうして大部分の時間をけんかで費やしてしまう、そういう姿では困る。このことを強く考え、また、そういうことも言いました。どうしたらけんかの場でなくなるか、話し合いの場になるかという方法論になりますと、これはいろいろな考えがありましょう。利害関係者を抜きにしたという考え方もあろうし、しかしながら、利害関係者は入るけれども、今の四者構成という式のものを、別の格好にして、円満になり得るかもしれぬし、これは、いろいろあろうと思うのであります。ここは私は初めからどっちということに拘泥して考えておりません。当初から、ただもうけんかの場にしたくない、これだけは強く思っております。 で、きょうにいたしましても、何というか、厚生省の中で空気を吸っております私どもが、こういう案だ、ああいう案だということを原案をもって臨みますというと、自分では無色のつもりでおっても、そこにおのずから色がついておったり、片寄ったものがあってはいかぬと思いますので、それで社会保障制度審議会にお願いをする。あそこは御案内のように、各方面の関係の方もお入りになっておるし、国会――両院――からも与野党ともお入りになっておるというような関係で、一番いろいろな御関係の有識者がおいでになりますから、あそこで論じてもらえば、公正な案ができるのじゃなかろうか、こう思いまして、あそこで、とにかく論議して下さい。それを尊重してやりましょう。こっちは、先入観をもっては考えないことにしましょうという行き方をしておるのであります。
○木下友敬君 先入観を持たないといわれますけれども、初めの、その考え方は、確かにあそこがけんかの場となるというのはよくないので、利益代表者を入れないでやったらば一番よくはないかというようなことをお考えになった時期があったように私は思うのです。しかし、これはもしあったとしても、それははっきり訂正しておいてもらわないと、大臣の考えというものは、おそらく審議会にも反映しないことはない。すべてああいう審議会の中で、利益を代表すると申しますか、専門的知識、関心の強い者が特にいないということは、これはとんでもないところに走っていくおそれがあると思うのでございます。 たとえば、私は点数表を持ってきておりますが、この点数表を、私は大蔵大臣が来ておれば示したかった。二十四日でしたかの閣議で、大蔵大臣が、自分は単価で医療費を上げるということに賛成のようなうわさが立っておるけれども、実はそうじゃないのだというようなことを表明して、それはなぜかというと、今の医療費は非常に不合理が多いから、それを合理化するためには、単価を上げたのではいけないということを閣議で言ったということが新聞に載っておる。大新聞に載っておる。あのときも私は思ったのです。大蔵大臣が、あんな言葉を発言しておるが、今の点数に不合理があるということを言っておられるが、大蔵大臣が、そんなことを知っておるとは思わぬ、ほんとうは。あのめんどくさい点数表を見て、どこが不合理だということを大蔵大臣が知っておるはずはない。うわさには聞いておるだろう、あるいは常識的な知識として、世の中で、そういうことを言う人が多いから、それを受け取って言われた発言だと思うのですが、ああいうような専門家でないものが、これは不合理だというようなことを言い出すと、とんでもないところに話が行ってしまうおそれがあるので、医療協議会というものができれば、そこには必ず医療担当者というものがおらねばならないというのが私の考え方なんです。大臣は全く白紙で、これをまかしておると言われますけれども、むしろ私は、大臣の考え方は、当初医療担当者というものを抜きにしたものを考えておいでになったというような報道を受けておる。しかし、現在白紙であるということを言われますから、私はむしろ逆に、そういうものの中には、審議会の中には、やはり単に学識経験者というだけでなく、現実にその問題と取っ組んでおる担当者が入っておるのが、たとえ若干喧騒になり、あるいは議論に花が咲いてやかましい場面が出てくることがあるとしても、そういう人のおることが正しいあり方だと思うことを私は大臣に申し上げて、大臣は、審議会におまかせになっておるから、それには言わないと言われますけれども、大臣自身としてのお考え方は、一つはっきり訂正してもらって、利益代表などいない方がいいのだというようなことを言われた印象を、われわれに与えておることは、これはよくなかったというように、私は考えるものでございます。 そこで、もう話を先に進めていきますが、今大臣は、連合委員会の方から非常に呼びにきておるそうでございますから、私も端折って質問をいたしますが、これは非常に大事な問題ですから、ちょっと待っていただいて、現在医師会は、次々に一日休診あるいは保険医総辞退というような方向に進んで参りまして、国民の方も非常に不安を持っておられると思うし、私どもも、これは何とか解決しなければならないと、陰に陽に、この解決に私どもも努力しておる。 ところが、私は厚生大臣がどれくらいこの解決のために働いておられるかということに非常に危惧の念を抱く。現在では、私はむしろこれは表に出ている部分だけかもしらぬけれども、実際に医師会との間に立って、この問題の解決に当たっているのは、自由民主党の三役であるという印象を受けておる。新聞もその通りに報道しておる。厚生省自体が、日本医師会と会って解決の糸口を見いだそうとしておるとは受け取れない。かつて政務次官等が医師会を訪れていったけれども、面会を謝絶されたということはございましたが、その後大臣自体が、医師会長との面会の機会を求められたというととも聞かないし、また応じたということもないようで、自民党の三役が、もっぱらこれに当たって、また明日あたり折衝に当たるということを聞いております。だれか出て事の解決に努力してくれるということは、ありがたいことであるとも思いますが、一面これは、厚生省の無力あるいは無能、無誠意ということにも私なると思う。厚生省が少くもその方の専門的知識を持っておるし、責任も従ってあるものであるから、との解決のためには、厚生省が進んでやっていかなければならない。自民党の三役というのは、これはもう非常にりっぱな人であるし、また力量もあり、政治力もある人でありますけれども、厚生行政について非常に練達な方々の三人であるとは考えない。そこで話がもし解決されるようなことがあるとすれば、これは全く政治的な解決なんです。これは科学的な基礎の上に立って、こうでなくてはならないというようなことでの解決でなくして、ほんとうの非科単的な政治的な解決であろうと私は考えるし、この点が非常に心配なんです。二十五日には自民党の三役がまた保険連合会の幹部の方とお会いになっているが、その方はどうかというと、逆に三役が医師会と会って、そして政治的な解決をしてもらっては因るということを申し入れておる。これは、あるいは筋の通った言い方でないかと思う。私はこういう解決は、もしあなたが、厚生大臣が自民党の三役にまかしておいて、そこで解決せられたところに、厚生省がついていく、厚生大臣は、その方についていって、今度の解決を見るというなら、厚生省は、あってもなきがごとしで、せっかくりっぱな古井厚生大臣がおいでになりましても、厚生省という医療行政をつかさどっておるところは、何もしてない、何もできない、無能だということになってしまうおそれがあると思うのです。 そこで私は、三役が調停に当たっておるということは、これはありがたいことでもあるし、また、だれかがしなきゃならぬということはわかるけれども、それにゆだねてその成り行きを見ておるというような今の厚生省のあり方は、これは非常に無能だと思うわけでございます。今日の、医療担当者に、これだけの騒ぎを余儀なくさせ、また病院従業員は、一方においてはストをやるというような、こういうようになってきておるのは、これは大きくいえば、政治の貧困であることは間違いない、政治が悪い。ととろが、もっとそれを狭く考えていけば、これは厚生行政が悪いわけなんです。だから、すべてこういうものの責任は、理論的に厚生省が負わなければならぬ責任なんです。だからあなたの責任において、これを解決しなきゃならぬのを、いたずらに傍観的態度で……、傍観的態度でなくて、内面にはどういう運動をあなたがしておるか、私にはわからないが、もしあなたが、内面で働いておるならば、その働いておることを一つここで発表してもらいたい。いたずらに三役にまかして、その解決に従っていこうというようなことは、ますます医療担当者を初め、医療従業者、また全国民に疑惑を起こさせるもととなるから、この点を私は強く、あなたにみずから進んで解決に当たられることを望んでやまないのでございますが、これに対する大臣のとっておられる態度、あるいは考え方について、御説明を願いたい。
○国務大臣(古井喜實君) お話のように、今自民党の三役が非常にこの問題に対して尽力をしてくれておるわけであります。私の方で、お伺いをしているばかりが能とは思いませんが、今までの厚生省と医師会との間の長い過去もあることでありますし、今回の場合についても、党の三役が、せっかく尽力をしてくれているのでありますから、これ以上のことはないのでありますから、そこで、この尽力をしてくれておる間に、また私の方で別に手を出すというようなことをして混乱をさせるのが、収まりとしてよい結末を得るのによいか悪いかも、いろいろ考えてみなきゃならぬのでありますので、私は今、無関心でおるわけじゃございませんけれども、表立っての問題として、党の三役の尽力を多として、そのよい結果が出るのを期待しておるような状況であります。そっちこっちで――どうせ党と申しましても、政府と申しましても、政党内閣のことでもありますし、そっちこっちで手を出して、ちぐはぐなことになったりしても、かえって早く円満な解決を得る道かどうかも、これもよく考えてみなければなりませんし、というわけで、三役の尽力の結果を期待して、今待っておるという、そういう、まあ大筋でいっておるわけで、御意見はいろいろありましょうけれども、私としては、この態度が今としては最善だと思って、こうしておるのであります。
○木下友敬君 これは、とんでもないことですよ。今やむを得ないから、そういうことをやっているのだというお考えかもわからないけれども、厚生省に、これは責任がある。もしこれを政党の三役にまかせて、そこでせっかく御尽力を願っておるから、あっちこっち手を出して、かえってこんがらかすといけないから見ておるのだ、これじゃあなた、将来厚生省はどうしていきますか、厚生省がみずから、これは解決に当たるという強い決意のもとに、どんな困難があっても、やっていくのだということでなければ、問題がこんがらがってくれば、どうも党の三役に頼むのだ、党の三役がやっておることを見ておる、御尽力を感謝しておる、そういうような行き方では、厚生省は将来、日本医師会だけでない、いろいろの団体から、一人前の厚生省として取り扱われなくなってしまう、厚生省頼むに足らずということになるのですよ。厚生省と話し合いをしても、一つもまとまらぬときは、まっすぐ党にいって話し合えばいいじゃないか、現実、そうだろうと思うのです。厚生省と幾ら話したって話にならぬから、党と話した方がましだというのが、今日の日本医師会の考え方じゃないか。これは、私はその考え方は、そういう考え方があってはいけないと思う。そういう、党におまかせするという考え方は、これは古井厚生大臣としてはとるべき道でない。御意見はあっても、今自分は、そういうことをしておるということを言われますけれども、それでは将来厚生省は、何かといえば、問題がむずかしくなれば、厚生省は何もできぬですよ。これは一つ考え直して、党には頼んでおる、党がせっかくやっておるから、とてもありがたいけれども、厚生省としては、実際こういうことをやっているのだという、何か示さなければ、やってくれておるから、かえって手を出すと、あっちこっちになって、不都合が起きるかもわからぬからといって、これを傍観的態度に置いておくのは、これは私はよくないと思う。将来のために非常に悪例を残す。確かに残すのです、これは。 これについてもう一ぺん大臣の所信を伺いたい。
○国務大臣(古井喜實君) 普通の公式論から申しますと、お話の筋は、まことにその通りだと思うのであります。 しかし、これには厚生省対医師会という多年の、さっき来お話のこじれこじれた経過や事情もあるのであります。そこで、どういうふうにして今日の問題と対処するか、要するに一番成功する道が最善であるのでありますから、そこで私の方が、党に押っつけたわけでも何でもない。党としても、自主的に考えて、乗り出すべきが最善だと考えて乗り出しておるのでありますし、またやたらに党も乗り出すべきでない場合に乗り出すものでもないのでありますから、ことごとくこれが先例になって、悪例になるというものでもありますまいし、特殊な事情のもとにおけることでありますので、要するによい解決を得る道はどこかと、こういうふうに考えますときに、議論は、ことに公式論的には、議論の余地はないとは申しませんけれども、私はさっき申し上げた通りに、きょうのところでは考えておるところであります。
○木下友敬君 時間がないものですから、重ねてその問題を追及したいのですけれども、いたしませんですが、ですから、これからおそらく私は、今度の厚生省が、党三役にまかせ切りで、向こうから買って出た御心配でしょうけれども、それにまかして手を出さない、解決を進んでする意欲を持っていないということは、これは将来必ず悪例を残していく。これからも困難な問題は次々と出てくる。これは医療問題だけの問題でないと思うけれども、厚生省は相手にされぬという実例が出たときは、これは歴史的に古井厚生大臣が、そういう例を、悪例を作ったのだということを、一つよく記憶においてもらいたい。これは、厚生大臣は去っても、厚生省はなくならぬのだから、厚生省のお役人全体が、このことは肝に銘じて、今の不手際を、一つ自覚しておいてもらいたいということを申し添えておきます。 急ぎますが、厚生大臣に、これは館林医療課長がいたころであったと思いますが、厚生省は、かつて医療国営のことを考えたことがある秘密書類を私は持っておりますが、厚生大臣は、今日この医療の問題というものは、まあ世界各国を見まして、いろいろの形態がございますが、日本の場合、古井厚生大臣は、日本の医療をすべて国営に持っていくべきだと、これは非常に簡単な質問で、また御答弁も正確でないかもわからぬけれども、医療国営ということに対する大臣のお考えを伺っておきたい。
○国務大臣(古井喜實君) この問題は、私の頭には、きょう全然ありません。国営という考え方は全然、きょうそういう考え方を持っておりません。このことを申し上げておきます。
○木下友敬君 今のは、考えを持っていないというのは、医療国営をしたいという考え方は全然ない、医療国営を夢みてはいないというふうに解釈していいのですか。
○国務大臣(古井喜實君) その通りです。
○木下友敬君 念のため申し上げておきますが、こういう一つの案があるわけなんです。ほんの短時間でございますから、聞いていただきたい。 一、保険医を定員制にするとと。 二、保険医を準公務員化すること。 そうして固定給制にしまして、一切の手当等はないけれども、初任給は一万五千円、五十才になれば十一万円、ただし専門医制度がしかれて、専門医というものができた場合には、五十才の場合十五万円、大体平均五万円、これが給与の問題。二、退職金はない。三、死亡の場合は、弔慰金として百万円を贈る。 三、これは今日のような出来高払いでなくして、定額制にして、件当たり五十六点。これは六十五点という説もございましたけれども、落ちつくところは五十六点ということになっている。 四番は、開業医が、公的病院に紹介した場合には、リベートを出す。五分ではどうだろうかという意見も載っている。 五番目は、五年以内に、個人病院を、公的地区病院に吸収する。 六番目、病院は百五十床以上のものとする。これは当初五十床以上、百床以上というような意見がありましたけれども、結局は百五十床以上に落ちついたということになっている。 七番目、病院の医療費の会計は、これは別に病院基金というものを作る考えである。そうして病院に対する支払いは、出来高払いにする。 八番目として、病院公社を作って、運営する方法も考えられる。 九番目は、病院は、外来の取り扱いをやめない。依然外来もやっていく。いろいろ試算をしてみたが、三百床でようやく採算がとれることになるから、前述べた百五十床ということは、外来を取り扱わねば経営ができないから、外来は依然としてやっていく。 十番目は、オープン・システムはやらないという、これだけが、その場合の一つの案でございました。これは館林課長は、社会学研究会でしたか、そういう場所で、この話をしたという書類を、私はここに持っている。幸い大臣は、医療国営ということを考えておらないということを言われましたから、一応この問題は、その通りに信じまして、医療国営はない、こういうものと私は解釈しておきます。最後に……
○委員長(佐藤芳男君) 木下委員に申し上げますが、他の委員会の審議の問題もございますので、きわめて簡潔に、もうすでに五十分経過しておりますから……。一時間五十分になりますから。
○木下友敬君 最後に大臣にお尋ねしますが、所得倍増の問題、池田内閣の生命は、おそらく所得倍増論でしょう。これの功罪は別です。しかし私は、功もあるかもわからぬけれども、多くの罪もできてきつつありはしないかと心配している。しかし池田内閣から所得倍増というものをとったら、何もないということになるのじゃないかと思うから、まず池田内閣の看板として、所得倍増というものを考えた場合、厚生大臣は、一体この医師の所得――医療担当者の所得、これに関して所得倍増に沿うていく道は、どうであるか、厚生省は、どう考えているか。医師というものは、また医療担当者というものは、やはり国民であるし、また医療健康問題について、大きな役割を果たしている以上、所得倍増論から除外されるはずのものではないと思う。この医療関係者の所得倍増について厚生大臣は今どういうふうな考えを持っておられるか。このことを一つ御説明を願いたい。
○国務大臣(古井喜實君) むろんこの所得倍増の考え方は、医師の所得についても、適用されなければならないはずであるわけであります。 そこで、医師の医療が、自由職業というだけで立っていきますならば、それならば、一般的な政策の結果として、だんだん所得がふえていくという、こういう問題になってくるのでありますが、一方今の医療費、診療報酬という表のごとき拘束されたものがあるといたしますれば、これはそこの点にも考慮を払わなければ、医師の所得をふやしていくわけにいかぬのであります。そこまで考慮を払って、やはり所得がお医者さんの方も倍増の目標に向かって進みますように、これは考えなければならない、考えるべき筋のものであると思います。取り残されるべきはずのものじゃあり得ないのでありますから、当然そう考えなければならないものだと思います。
○委員長(佐藤芳男君) 木下君、簡潔に願います。
○木下友敬君 それは、あなたは、そういうけれども、これは本気で取り組んでもらわなければいかぬと思う。それは、所得倍増だからというので、これは平均して、ことに大資本家、独占資本家の方に所得は数倍してきても、そうでないものがたくさんあって、平均が倍になるのだということになるであろうとは思うけれども、それでも所得倍増というものが、との掛声が国民に与えている印象というものは相当強い。そうしたらまた厚生省としては、この医療を担当している医師の所得についても、どうしたら倍増するかということを、ほんとうは今から、実際その数字を出して積算していかなければならぬと思う。ことに大事な問題を今三役に任せておいて、おそらくあなたの方は、ひまと言っては悪いけれども、こういうことに頭を入れる時間があると思う。 そうすれば実際に医師の所得倍増、医療担当者の所得倍増というようなことについて、医療従業員の所得倍増というようなことについて、それこそ、そういうことでも、もっと力を入れて研究し、立案していくというふうに進めなければならぬと思うのが、それがなされていないので、今の御答弁では、そういうことが行なわれていないように思う。私は非常は遺憾に思うが、どうか一つ、きょう、もっと徹底的にお話する時間がないから、これで私は質問を終わりますけれども、医療担当者、医療従業員の所得倍増について、この際、具体的な一つ計画を立ててもらうように要望を申し上げて私の質問を終わります。
○委員長(佐藤芳男君) 厚生大臣に申し上げますが、連合審査の委員会の方との約束の時間がすでに所定よりも五十分以上経過をいたしましたので、委員会の審議の関係もありますので、直ちに退席をされまして、そちらにお伺いしていただきたい。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤芳男君) 速記を起こして。 ほかに御質疑はございませんか。――ほかに御質疑もないようでございますから、昭和三十三年度決算中厚生省関係に対する質疑は、本日は、この程度にいたしまして、後日続行いたします。 ――――――――――
○委員長(佐藤芳男君) 引き続き相澤君より緊急問題として質疑の申し出がございまするので、国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査の一環として、これよりこれを取り上げることといたします。
○相澤重明君 農林省、それから運輸省関係者、来ておりますか。
○委員長(佐藤芳男君) おられます。
○相澤重明君 本日の私の緊急質問は、日本の沿岸に多い漁民生活の問題について特に緊急質問せざるを得ない立場にありますので、御了解を委員長からいただいたわけであります。 まず第一に、私が農林大臣並びに水産庁長官にお尋ねをいたしたいのは、漁業法について、漁業法の第一条は、一体適正に指導監督がされておるのかどうか、漁業の民主化というものは行なわれておるかどうか、どういう点について漁業法の第一条について、一つ的確にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(高橋泰彦君) 漁業法の基本的な事項についての御質問でございますが、この漁業法に書いてありまする目的は、「漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によって水面を総合的に利用し、もって漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。」というような目的がございまして、漁業法の名条項は、これに従って規定されておりまするので、私どもは、その規定に従って運用しておるつもりでございます。
○相澤重明君 農林省が、この昭和二十四年の法律第二百六十七号の第一条の精神が、的確に指導監督をされておる、こういうことであれば、私は具体的にこれからの事案について、一つ御説明をいただきたいと思うのであります。 なお、これについては当然関係の条文で、運輸省にも関係がありますから、運輸省の港湾局長からも、一つ御答弁をいただきたいと思うのであります。 そのまず第一に、要約いたしますというと三つの大きな柱になると思います。先に申し上げますから・書いておいていただきたい。 第一は、昭和二十四年に、いわゆる明治時代に漁業法がありましたが、これを改革せざるを得なかった。で、漁民に漁業権というものは与えるべきである、これが法律制定の趣旨であります。従って、このいわゆる昭和二十四年の二百六十七号の精神というものが、はたして全国的に沿岸漁民にくまなく与えられておるかどうかという点と、いま一つは、その際に法律によって、二カ年間のいわゆる免許を与えない期間に対する漁業の補償問題、こういうものが当然生まれておったわけであります。これは施行令等も、皆さんも御承知の通り。 そこで今度は、組合を自営をした場合――いわゆる自営をした場合に、組合員が脱退、死亡した場合の取り扱い方というものを、どういうふうに監督官庁は指導しておるか。またその場合に、当然補償金等が残されておるものについては、その脱退、死亡した者に対しては、還元をされるべきであるが、これがいかなる形で行なわれておるかということを調査をしたことがあるか。第一。 第二の問題は、漁業協同組合の総会あるいは代議員会、理事会、こういうものについても、当然民主化された方途というものをとらなければならぬ。各条項が、この大きな法律の中にうたわれておる。この法律の中で、特に役員選考等については、選挙管理法がある。こういうものについても、あるいはそれに準拠するか等の問題を、地方都道府県知事に委任した場合の指導というものが、はたして適切に行なわれておるかどうか。 第三の問題は、国の財産、いわゆる港湾あるいは河川、こういうような国の財産が、いわゆる公共のために使用される、つまり漁業組合なり漁業組合連合会が必要であるといって、これを申請した場合に、これを認可する場合がある。この場合には、関係の条例がここに制定をされておる。しかしそれが、はたして適用をまって、その申請を同じくしておるかどうか。特に以上の三つの点が中心で、私がこれから御質問をいたすわけであります。 その三つの点を含めて、神奈川県の真鶴の港に対して――真鶴には、真鶴漁業協同組合が、自営として設立をされておる。ここにこの真鶴の歴史を申し上げるならば、昭和三十一年までは、これは資本家あるいは漁業組合員との共同経営、こういうような形で行なわれておったのでありますが、昭和三十一年以降、漁民の手による自営が行なわれておる。従って昭和二十五年から昭和三十一年までは、漁業協同組合と大田高之助という人の共同経営が行なわれておったことがある。しかしこの期間において、この大田高之助という人は、非常に利益をあげておる。しかし組合は、非常な損害を受けておる。赤字になっておる。こういうこともいわれておる。こういうことを一体、水産庁は、調査をしたことがあるか。 それから昭和二十四年に、この漁政が改革された。漁業法が新しく制定をされた。明治立法から制定をされたその趣旨に基づいて、今の漁業協同組合員が、死亡、脱退した場合に、一体どういう取り扱いをしておるか。今まで、この真鶴の漁業協同組合の話を聞くと、脱退をしたときにも、一万円しかもらえない人もおれば、あるいは翌年にさらに一万円分割して支払ってもらった者もある。しかし支払われない者もある。しかしこの法律に従えば――いわゆる昭和二十四年の法律に従えば、少なくとも漁業協同組合の財産管理、この場合の国家補償をもらった場合、あるいはその証券を出す場合、これは最高三十年になっておる。こういうようなことも、これは法律あるいは規則、施行令等で明らかになっておる。こういうようなことが適切に指導されておらないで、実際には、どこに金がいったかわからない、こういうような点が、真鶴漁業協同組合の中ではいわれるわけです。 それから第二の問題は、運輸省の問題でありますが、真鶴の港に、いわゆる網ほし場を、埋め立てをして作りたい、こういうことで、網ほし場並びに漁民の漁獲物の倉庫、こういう名称で、埋め立てを申請をされたようであるが、その埋め立ての申請の理由いかん。また埋め立てたその日時及びその内容、それについて明らかにしてもらいたい。 もしこれを一歩誤まるというと、国有財産というものを、結局は、一人のものの意思によって、そうして曲げられて、これをいわゆる取得をされるおそれがある、こういう問題については、国政の立場から、国家財政法上、これを許すことができない大きな問題である。従って、真鶴の港の中に網ほし場というもの、あるいはそれに関連した建物というものは、どういう理由で、どういう内容のものを以って、これは申請をされているか、こういうことを明らかにしてもらいたい。 第三点は、真鶴の漁業協同組合の内容について、水産庁から私の手元に調査したものを届けていただきました、委員長のところにもお届けになったと思う。この昭和三十一年から三十五年までの水揚高、出荷高、現物給与、計、こういうふうに歴年にわたって、私の手元に報告をされておりますが、私も決算報告書をここに持ってきているわけであります。これを見ると、大へん数字が違うのでありますが、特に私が問題にしたいのは、昭和三十五年の三月二十一百、この昭和三十五年三月二十三日は、この真鶴漁業協同組合の報告の中で、一回には大漁としてある、この大漁として報告されている中に数字が出ているわけでありますが、三月二十三日はブリ大漁、約一万二千尾、とう報告してある。これは業務報告書です。昭和三十五年一月一日から三十五年十二月三十一日までの真鶴漁業協同組合の業務報告書、それに対する農林省の水産庁から、私の手元に出されているこの資料、これも私は関係をして御質問をしたいわけでありますが、そういう点について、私から事前に調査をしてもらいたいという報告をしておいたわけでありますが、以上の三点について、関係者から、それぞれ報告を願いたい。
○政府委員(高橋泰彦君) まず最初のお尋ねは、漁業法は、漁民に漁業権を与えるという精神で組み立てているはずであるが、実際そのようになっているか、またそのように指導しているかどうかという御質問でございます。 これは漁業法制定当時、先ほど申し上げましたような第一条の趣旨で、組み立てられ、漁業権によって、それぞれ適格性、優先順位の規定によって、漁民の団体と漁業権との関係を詳細に規定してある次第でございます。 従いまして漁業権の種類によって異なるわけでございますが、たとえば共同漁業権というような漁業権につきましては、全部漁業協同組合だけが持っておりまして、その他の個人というようなものは、一件もございません。逆に区画漁業権のある種のものは、必ずしも漁業協同組合の優先規定がございませんので、そういう場合には、漁業協同組合の持っておる割合が、全部ではなっておりませんで、そのうちの一部が、漁業協同組合が持っておる、こういうことに相なるわけでございます。 ただいまの問題の定置漁業権でございますが、定置漁業権につきましては、これは漁業協同組合が、みずからこの漁業権を経営する場合においては優先するような規定がございます。もちろん例外的の規定もございますが、原則として漁業協同組合が、当該定置漁業権について経営したいというような申請が知事に対してありました場合には、原則として、その漁業協同組合に、この漁業権を免許するという建前の規定になっておるわけでございます。その結果、定置漁業権につきましては、これは昭和三十三年末の漁業権統計でございまするが、免許形態といたしまして、定置漁業権のその割合は、約二割前後が漁業協同組合に免許されておるような実態でございます。 それから、次の点は、この漁業法を施行する場合に、二カ年の間に、旧漁業権を全部取り消して、旧漁業権者に対して、補償を考えたかどうかというお尋ねでございまするが、これは、その通りいたしました。これは、その漁業制度改革、当時は、すべての漁業権を二カ年の間に取り消しまして、その漁業権に対する対価を、それぞれの権利者に支払いまして、漁業権証券というものを交付いたしまして、一応白紙に返し、白紙の海の上に、新しい民主的な方法で漁業権を再免許した、こういう格好にしております。 それから第三点は、漁業権行使の問題及び組合運営の問題につきましては、それぞれ漁業法及び水産業協同組合法で、おおむね総会その他の民主的な決定方式をとることが条項として規定されておりますし、また役員の選挙についても、それぞれ規定がございますわけですが、これが真に民主的に行なわれているかどうかという御質問でございます。この単位漁業協同組合の運営及び漁業権の行使につきましては、権限を地方庁に委任してあるわけでございまするので、直接の監督権限は、地方の知事さんにあるわけでございまするが、もちろん私どもとしては、これらの法律に基づく、これらの一番大事な点が、真に法の意図するように行なわれているかどうかという点につきましては、最も関心のある問題でございまするので、絶えず現地と連絡をとり、適切に行なわれているがどうかについて、絶えず適切に指導をしていくような方針で参っておるわけでございます。 次の点は、真鶴漁業協同組合の組合経理の問題でございまして、この組合が赤字になっているらしいが、調査したことがあるかどうかというお尋ねでございまするが、先ほど申し上げましたように、直接の監督なり報告なりは県知事がこれを徴しておるわけでございまするが、問題がありますれば、私どもは県知事から報告を徴する等の措置によって絶えず研究を続けておるようなわけでございます。 それから、先ほどの御質問に関連するわけでございますが、この漁業制度改革当時に、旧漁業権者に対して漁業権証券を交付したわけでございまするが、それらが組合員の死亡もしくは脱退等にからんで、それらの証券がどうなったかと、こういう御質問でございまするが、これは漁業権証券を特別準備金としたものにつきましては、死亡及び法定脱退をした者につきましては、持ち分は返還するように指導してございます。なお、自由な脱退につきましては、これは組合を強化するという意味もありまして、できるだけ返還を押えるように指導いたしております。 なお、具体的な御質問もございましたようですが、それにつきましては後刻お答えいたします。
○政府委員(中道峰夫君) お尋ねの真鶴港でございますが、真鶴港は公有水面埋立法によりますと乙号港湾ということになっておりまして、この埋め立ての免許は知事の権限に属するものでございます。この免許権者でありまする神奈川県に照会いたしましたところ、お尋ねの経緯でございますが、三十五年の三月五日に免許申請が提出されまして、出願人は真鶴漁業協同組合、面積は三百四十七坪、場所は真鶴町真鶴字宮前地先、目的は定置網張り立て作業並びに網ほし場、漁獲物乾燥場の造成ということになっております。ついで、三十五年の六月二十日に町議会が同意いたしまして、三十五年の七月二十二日に免許がなされております。さらに、三十五年の九月五日に目的変更の申請が提出されまして、これは定置網張り立て作業並びに網ほし場、漁獲物乾燥場並びにプール及び付属施設用地の造成ということに相なっております。三十五年の十月一日に免許命令書の変更の許可がおりておる状態でございます。
○相澤重明君 今の運輸省の答弁ですが、その当初三十五年の三月五日に申請をした申請の理由、それからその埋め立ての坪数、あるいは施設物、こういうものについてはわかりました。ところが、今の御説明の中でありましたように、目的変更の申請が三十五年の九月五日に行なわれたと。それは乾燥場等のさらにほかに、プールあるいは付属施設、こういうことなんですね。そうすると、このプールとか付属施設というものは、漁獲物に対するいわゆる魚をとるために必要な港としての施設、こういうふうに理解をしていいかどうかですね。この点いかがですか。
○政府委員(中道峰夫君) これは、ただいま申しましたように、県知事の権限に属する問題でございますが、われわれの方で一応照会いたしましたところによりますと、このプールは網を洗うために設けるものであるということと、なお、夏分比較的漁業が閉散な際に、これを水泳プールに利用したいというように聞いておるわけでございます。
○相澤重明君 これは、私ども決算委員会として重要なことは、国有財産の払い下げというものがいかなる形で使用せられるか、ここが私は一番重要な問題だと思う。それを対象に私どもはまた審査をしなきゃならんと思うのでありますが、申請の理由が、農林大臣の所管事項であっても、軽微のものについては都道府県知事に行政権を委任できる、これはその通りでいいと思う。ところが、ただ都道府県知事に行政権が委任をされたからといって、その趣旨に反するものについては、これは認めるわけには参らんと思う。これは明らかに国有財産の乱費だと思う。そこで、今の運輸省港湾局長のお話を聞いておるというと、プールを作って、そのプールは魚の網を洗うものだ、しかし、魚がとれないとき、漁がないときには、比軽的夏の暑いときには、水泳場に使ったらどうか、こういうような話だと思うんですね。これが、はたして一体漁の時期というものをいつに見ておるのか、それから、そういう考え方で網を洗うためのプールとして作ったものかどうか、ここがやっぱり議論の分かれ目だと私は思う。だから、これは今の運輸大臣の直接の監督下にない地方都道府県知事に委任をしておることであるから、なかなかここでただ単に問い合わせしただけでは私はわからんと思う。私は、この際、やはり国のそうした海面を埋め立てるとかあるいは河川を埋め立てる場合には、非常に重要な問題が生まれますから、実体を一つ運輸省は調査をしてほしい。私が聞くところによると、この魚の網を洗うというのは一つのいわゆる口実にすぎないで、実はもう最初からプールを作って金を取ることを考えておる。そうして子供は三十円とかおとなは五十円とかいうようなことをやって、そうしていわゆる事業外目的に使うことを主としておる。いま一つは、先ほどの付属施設と言っておるけれども、これは乾燥場というようなものではない。これはむしろ観光客の利用する食堂なりあるいはそういう施設に使おうとしておる。しかし、県がいかに県といっても、農林大臣にこのことは報告できない。従って一体この使い道は何かと聞かれたときに、まさか乾燥場を作るといって、ほかの観光施設を作るわけにはいかない、こういうことで当面を糊塗せざるを得なかったというようなことも聞いておるわけです。従って、港湾局長は少なくとも運輸大臣の所管の乙号港といえども、こういうことでは私は重要な問題が生まれるから、直ちに調査を行なってもらいたい。このことは水産庁も同じです。次長いいですか。水産庁も漁民のいわゆる水産漁獲物に対する使用のために作るべきものを、それを他にそういう転用する目的で、それを考えないで、そうして監督官庁の眼をごまかしている。こういうようなことでは、これは一体認めるわけにはいかない。もし、そういうことがあるならば、明らかにこれは違法であるという形で直させなければならないと思うのでありますが、その点を一つお答えをいただきたいと思います。両省から一つお答えをいただきたい。
○政府委員(中道峰夫君) ただいま申し上げましたように本港湾の埋め立てば県知事の権限に属する問題でございますが、なお、お話の御趣旨によりまして、実態を十分調査いたしたいと思っております。
○政府委員(高橋泰彦君) この案件は漁港ではございませんで、商港でございますので、直接の関係はないわけでございますが、しかし、ただいま先生から御指摘を受けましたように、漁業用ということでやったのが、そうではないというお話につきましては、関心を持ちますので、知事を通しまして真相を明らかにしたいと思っております。
○相澤重明君 それから港湾局長にいま一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、実は私が入手した資料によりますと、これは昭和三十六年の二月十五日の通知です。真鶴町漁業協同組合組合長、理事御守嘉一、この組合長さんの通知書で、三十六年二月二十八日の十時、明日ですね、明日の十時に真鶴会館で総会が開催をされる、こういう通知が出ておるわけです。この総会の通知書の中で第六号、第七号議案というのがある。第六号議案は固定資産の取得及び処分について。第七号議案は真鶴町真鶴宮前地先埋め立て承認について。これは委員長もお聞きの通り、先ほど港湾局長が説明いたしました宮前地先というのを埋め立てたわけです。そして漁民の網をほす場所を作るのだ、こういうことで三百四十七坪を埋め立てた、こういうことですね。ところが通知書には、これの処分について出ているわけです。しかし、これは明日はどうなるかわかりませんけれども、もしそういうことが……、せっかくこの国の財産を、軽微なものであるからといって、都道府県に委任をして、都道府県知事が申請の内容が明らかにならないで、これが漁業協同組合にいわゆる申請通りに埋め立てができたわけですが、埋め立てができたときに、これが個人にもし処分されたら一体どうなるのですか。網ほし場ということで埋め立てた、そして、その漁業協同組合の所有物にしようと思ったけれども、これをだれか漁業協同組合の役員の持ち分にしたいということで、もし総会で議決したらどうなるか。これは明らかに国有財産というものを詐取したことになる。こういう問題、私はおそらくそういうことは良識をもってやらないだろうと思うけれども、少なくとも水産庁としては、漁民の生活権の問題と、それから運輸省としては、これは国有財産の港を埋め立てたものが、それがもしこの宮前地先埋め立て承認について、これがもうでき上ったから、この際これが不必要であるというようなことで、もし処分されることになったら、私は大へんなことだと思います。そういうことはないと思うけれども、もしあると、これは大へんなことであるから、そういう場合には一体どうするか。これは仮定の問題であるけれども、私は総会の通知を持っているから、その点をこの際、特に両省からはっきりと確認をしておきたい。そういうことはない、国有財産についてそういうような処理はしない、こういうことは当然のことだと思うのだが、その点は両省の一つ御確認を願っておきたい。
○政府委員(中道峰夫君) ただいまお話の件につきまして埋め立て申請の目的が出ておるわけでございます。そこで目的変更の場合は、それの理由書をつけて県知事に申請をする。ただいまお話の点は、さらにこれを、その権利を譲渡する、こういうようなお話のようでございます。これは仮定のようでございますが、私どもも仮定としてお答えしなければならぬと思いますが、もしそういうような場合には、知事がその申請を検討いたしまして、これを許可すべきかどうかという判断をつけることになると思うわけであります。目的を変更して、あるいは権利を譲渡することによって港湾の管理者である県が、その港湾の開発あるいは利用について重大な支障を及ぼすような事態を惹起するということはないと、われわれは信じておるわけでございますが、それらの点につきましても、先ほどの点と合わせて実態をさらに調査いたしたいと思っております。
○政府委員(高橋泰彦君) この事件につきましては、ただいま運輸省当局から御説明のありました通りに、私どももやっていきたいと思っております。
○相澤重明君 それでは総会の通知にあったから私は申し上げたので、ないことを私は望んでいるわけです。もしあるとすれば、そういうせっかく国の財産を都道府県知事が承認をして埋め立てて、そうして漁民のための、漁業協同組合のための網ほし場が個人にいって、それから今度は賃貸料でも取られるようになったら、それは大へんなことです。そういうようなことを行なっては相ならぬので、よく調査をして、そういう違法性のある場合には、これを取り締まってもらいたい。 その次に、なお近ごろ頻々として海岸造成の問題が、工場等との問題が同時に起きております、各地方で。これは水産資源確保についての問題として農林省としては非常に大事な問題ではないかと思う。そこで水産資源保護法が昭和二十六年に立法化されて以来、非常に農林省としても努力をしていると思うのでありますが、この法律第三百十三号の精神というものが、ともすると都市近代化ということによって実はなおざりにされている、こういうおそれが多分にあるわけです。魚がとれないという理由も、こういう問題によって非常に大きくなっていく。勝手に埋め立ててしまう。ところが少し署名運動かなんかをやって、そうしていかにも合法的にこれはいいことだというくらいの調子でもって、実は漁民の生活権は次から次に奪われている、こういうことが沿岸漁業としても、とこでも起きている問題です。これに関連して真鶴、湯河原地帯の港、沿岸、河川、こういうものが最近頻々として埋め立てが行なわれているように私どもは考えておる。従ってきょうほ時間がないから、その点に深く私は追求いたしません。これは水産庁はすみやかに調べて、そうして報告をしてもらいたい。運輸省ももちろんそうです。そういう点があるかないか、これは運輸省の関係としては真鶴の港だけですが、特に水産庁は漁業問題には一番関係が深いわけですから、その点は特に調査をしておいてもらいたい。そこで具体的な例になるのでございますが、この私が先ほど水産庁から委員長の手元にお出しをいただいた資料によりますというと、現在の真鶴漁業協同組合の概要及び漁獲物の処理について、こういうことで三十六年二月二十五日付で出されておるわけでありますが、これを見ますと、昭和三十五年の漁獲高並びに水揚げ高の数字が載っております。約二千八百万円の水揚げ高があるわけでありますが、この昭和三十五年の三月二十三日というのは、先ほどのこの業務報告書の中でもブリ大漁約一万二千尾とこうなっておるわけでありますが、これを水産庁から出されたものでいきますと、給与不足分として支給したものが八百二十本、それから交際費として支給したものが二百五十二本、合計をいたしますというと、一万三千六百九本ということになるわけだ。そうですね。そういたしますというと、すでに一万二千本とこの業務報告に書いてあること、そのこと自体が誤まりである、こういうふうに私は思うのです。これは水産庁が神奈川県庁を通じて、私の手元にあなたが出した資料でも、この組合の業務報告書とは大へんな開きがある。その上に立って、私の方が地元の漁業協同組合員の人たちから聞いた話しによると、当日のいわゆる水揚げは約一万九千本近くあった。そこでこの水産庁から私の手元に出していただきました資料の中に、出荷をしたところが、東水が千本、あるいは横浜のマル漁が四百、マル浜が三百五十、こういうものが載っているわけです。ところが私どもの方で調べると、これは非常に広範囲に出荷をしておるわけですね。出荷先は、神奈川県外は沼津、静岡、浜松、豊橋、名古屋、京都、大阪、神戸、東京、伊東、熱海、宇都宮等の魚市場、県内は平塚、茅ケ崎、横浜等の魚市場、こういうふうに仲買人の出荷先というものがあると思うのです。そういうところに一体どのくらいのものがいっているのか、それで中にこれらの魚市場の人たち、あるいは自家出荷したもの、こういうもの、たとえば網代の魚屋さん等の数字も私たち拾ってみました。とういうものをみると、明らかに、自分が真鶴町漁業協同組合が出しておる数字は一万二千尾としてある。水産庁に報告してあるのは一万三千六百九尾となって、私の方で関係資料を調べるというと、一万九千尾近い数字が出てきてしまう。一体これはどうなのか。そこで私はお尋ねするのは、個々の数字はわかりません、調べてみなければ。それは一つあなた方の方の監督官庁で調べることにして、漁業法、法律の一体この七十四条の公務員の漁業監督というものは、一体いかに行なわれておるか。七十四条というのはどういう場合にあるのか。こういう点を水産庁から一つお答えをいただきたいと思う。
○政府委員(高橋泰彦君) ただいま御指摘ございました三十五年三月二十三日において、ブリがどれだけとれたか、そうしてそのブリがどこどこへ出荷されたか、これらの問題についてどう監督し、どういう見解を持っているか、こういうお尋ねでございますが、まず、この問題になりました三十五年三月二十三日におきまする、ブリが幾らとれて、それがどうなったかということにつきましては、ただいま刑事事件を起こしておりまするので、このブリの海の上から組合の出荷までの間における行方が少しおかしくなったというこの事件につきましては、しばらくそちらの方の当局の処理を待った上でやるのが適切であろうかと、こう考えている次第でございます。 なお、この種の事件についてどういう考えを持っているか、こういうことでございますが、漁業協同組合が定置漁業権を経営するというこの問題は、なかなか私どもの考えではなまやさしい問題ではないと心得ております。と申しますのは、いやしくも相当の金額を投じた一つの企業でございますから、この企業が適切に行なわれることは当然でございますけれども、まず第一段の漁獲物が海上から組合の帳簿に載るまでの間に、はなはだあいまいなことになっているということでは、とうてい組合がこのような資本のかかる漁業を経営するということは、非常に問題でございますので、従いまして、先ほど御指摘にありましたように、何とかして私どもは組合が生産活動に行くことを念願するものの一人でございますので、なおさらこの種の経理と申しますか、そのような事件についてはかなりな関心を持っている次第でございます。 ただ、念のためにだけ補足させていただきますと、海でとれた魚が全部組合の帳簿に載ることが理想ではございますけれども、この真鶴の事件についてもありまするように、やはり労務者に対するおかず代と申しますか、それから村のお祭りの場合に、その魚が必ずしも組合の共販を通さないで、部落の方々ないしは特定の方々にそれが分配されるという慣行も、これは遺憾ながらございます。私どもはこのような、とかく何と申しますか、表面に出ないような慣行は、必ずしも良風美俗だとは、私ども言いきれないと実は考えております。少なくともこのような資本のかかる漁業を経営する以上は、やはり経営自体も近代化することが私どもの念願でございます。従いまして、その点につきましては、とにかく組合の帳簿に載せて、その帳簿に載せたあとで、この問題がきれいにいかなくても、従来の慣行がありますれば、その慣行にもある程度お付き合いするということの方が、問題をフェヤーにする意味で、私どもとしては絶えず念願しているのでございますが、しかし漁村の実態は、先ほど民主化についての見解をただされまして、私どももそのように努めてはおりまするが、まだ残念ながらこの種のあいまいな慣行もございますので、その点につきましては、今後とも一そう解決に進んでいきたい、このような考えでございます。 それから漁業監督の問題でございますが、この点につきましては、もちろん法律の上での監督は知事にあるものでありまするが、かと言って、私どもはこの問題に無関心であっていいということにはなりません。従いましてやはり知事が法律の条項及び精神にのっとりまして適切なる監督をしておるかどうかにつきましては、私ども最大の関心を持って適切に指導するのが、これは当然の義務だと思っております。
○相澤重明君 漁業法七十四条の、公務員が漁業監督をする場合の法律施行令等がここにちゃんと載っておるから、農林省はよく知っているだろうと思うのですが、ともすると総会あるいは代議員会等に公務員の方が出張をされても、実は都内でもってお茶を飲んでしまう、あるいはせっかくおいでになったけれども、総会の席には時間が短くて他の方が長かった、こういうようなことでは実際の、せっかく行かれた場合でも、その内容を知ることができない。たとえば一つの例が代議員会なり総会において組合長自身が議長をやってしまう、それで自分で報告をして自分できめてしまう、こういうようなことは一体あり得るかどうか、これは明らかに法というものを実際には何にも知らない、またせっかく監督をしなければならぬ公務員がそういうことを適切に指導しておらない、こういうことに私はなろうと思います。すでにそういう事例も各所で私は聞いておるのでありますが、そういうことがあってはまことに残念ですから、今後はそういうことがないようにしてもらいたいと思うのだが、一体組合長が議長をやったり、あるいは自分で答弁して自分できめてしまうというようなことが、この法律の制定の趣旨からいって、一体許されるのか許されないのか、そういう点とこの公務員の監督指導、こういうものについて水産庁次長からいま一度答弁願いたい。
○政府委員(高橋泰彦君) まず私どもの、権限を有する公務員が総会の席に臨んでおっても、さっぱりどうもあまり役に立っていないという御指摘でございますが、私の考えではやはり一々総会に役人が出るようでは、これははなはだどうも何と申しますか、遺憾なことでありまして、私ども役人が総会の席に臨まなくても、総会それ自身が民主的に法の条項に従って運営されることを望んでおるわけでございます。しかしながら、実態は残念ながらただいま先生御指摘のように、なかなか法律をりっぱに作り、あるいは総会主義あるいは一人一票というようなことに書いてありましても、実態、特に漁村における封建性はまだまだこういう格好で残っておりますので、なかなか思うようには実際問題としてはなっておりません。その点ははなはだ遺憾でございまして、私どもも何とかしてそこら辺を近代化したいと思っておりまするが、これはやはり法律以前の問題も若干ございますので、その点はやはり若い組合員、青年グループというようなものを中心に、技術改良その他のところを通じて組合に関心を持たせ、そうした格好で組合が真にこの法律の目的通り行なわれるということに、今後とも努めたいと思いまするが、なかなか容易なことではないというふうにただいまのところは考えております。なお、組合長が議長になるということは望ましくありません。従いましてそういうことはしないようにということを極力指導してございまするが、まだまだそういう指導にもかかわらず、実態としてはそういうこともままあるようでございます。
○相澤重明君 大体五時で終わる予定ですから、時間がありませんからはしょって申し上げますが、そこで今の法七十四条の制定の趣旨というのは、決して干渉することを意味しておるものではない。ですから七十四条の公務員の監督というものは、何も干渉をすることではないのだけれども、もっと漁業の民主化と、こういうものについてあらゆる面から適切な省としての指導が必要ではないか、こういうことを言っているわけです。ですから今のあなたの答弁のように、都道府県知事に権限の一部が委譲されておっても、それが正しく指導されていかなければならぬわけです。そういう点について、特に地方の水産課長あたりに、こういう点は水産庁の方は指導されるべきだと私は思う。そうして都道府県知事がこういう法の精神というものを生かすように指導してもらい、あやまちのないようにしてもらう、こういうことが私は必要だと思う。そこで先ほどのお話しの三十五年三月二十三日の漁獲高の問題でありますが、これは水産庁が出した資料が、いわゆる本日の決算委員会に対してあなたの方から私に出していただいた資料が、漁業協同組合の業務報告と違うという点については、これは私はもう非常に問題だと思う。これはこのままあす承認されたら、そうしたら一体官庁に対する報告書というものは一体何だということです。 それからいま一つ私が問題にしたいのは、きょう時間があれば、農林大臣に出席を願いたいと言ったのは、日ソ漁業の問題を実は中間報告を聞きたかった。こういうのは、昨年の暮、皆さんも御承知のように、今年のお正月のかずのこを一つとろうとしても、これはなかなか高価なもので買い切れない。庶民の口には入らぬ。こういうふうに漁獲物自身についても非常に問題のあるところだ。だから日ソ漁業交渉もうまくやってもらいたい。国民がほしい蛋白質を早く一つ多くもらってもらいたい。こういう念願は国民全体が今政府がソ連の代表者と話し合っているときにみんな国民は大きな関心をもって見ているわけです。ところが今度は同時に日本の漁民がとっておる漁獲物が正規な市場に乗らないで、そうして自由勝手にこれが処分をされるということになったら一体どうなる。一体水産庁というものは何のためにあるか、農林省は一体どういうふうにするのか、こういうことが問題になってくる。やはり国民に、一人でも多くの食卓に、一人でも多くの国民に蛋白資源を与えてもらいたい。これはこの水産問題についての重要な漁業の問題であるし、また魚市場の問題であると思う。これをやみからやみに、魚はたくさん水揚げはあったけれども、やみからやみに行ってしまって、ちっとも市場に乗ってこないというのは一体どういうことなんです。こういう点をいわゆる水産庁の監督指導機関というものは一体どうするのか、こういう点についていま少し、時間がもうありませんけれども、簡略に一つお説明願いたい。市場に乗らない場合どうするのか。
○政府委員(高橋泰彦君) 漁獲物が市場に乗らないという問題をどうするか、こういうお尋ねでございまするが、私ども漁業協同組合がただいま共同販売事業というものを中心にして漁業協同組合の経済活動が伸びておりまするし、今後も伸ばしていかなければならないというふうに考えております。しかしながら、そのような考えにもかかわりませず、また全国沿岸にはもうほとんど漁業協同組合のないところはございません。全部漁業協同組合があるわけでございまするが、しからばそれらの組合員の漁獲した漁獲物が全部漁業協同組合の共同販売ルートを通っているかと申しますと、残念ながらそのようになっておりません。かような組合員がとった魚であっても、漁業協同組合の共販機関にかけないで、みずからこれを消費する、あるいは自分の家族を通じて農村に売るという事態もございます。従いまして漁業者と申しますか、漁業協同組合員と申しますか、それらのとった魚が組合の共同販売機関に全部かかると、かなり問題がこれもやりよくなると思いまするが、これらについては御案内のように強制することができませんので、やはり一つの組合運動として今後伸ばしていくしかないわけでございますが、しかし御指摘の御趣旨はよくわかりますので、今後とも、組合員のとった魚は少なくとも漁業協同組合の共販機関を通して、しかもそれが途中でおかしくなることなく、正確に漁業協同組合の共販機関を通して販売されるように、今後とも力を入れてみたいというふうに思っておる次第でございます。
○相澤重明君 答弁については非常にいいと思うのです、そうして指導してもらいたいと思うのですが、これが漁撈――魚をとる人ですね、漁撈従事者は一生懸命で海でもって品物をとってくる、しかし、それが陸へ揚がってしまうというと、一部の役員のために、一体どのくらい揚がっておったのか、あるいはどのくらいの漁獲高ができたのか――これがすなわち報酬になるわけですね、組合員のそれぞれの従事した労働の対価になるわけです。従って、それが適正に漁業協同組合に報告をされなければ、その対価の支払いができないわけでしょう。だから、一つには、先ほど申し上げた大きな観点からいけば、国民の蛋白源というものになる。それから二つ目には、今度は漁撈に従事した人の労働の対価というものを支払わなきゃならぬ。これがもうかる場合には当然配当が出るでしょう。もうからぬ場合には赤字になる。そういう点からいって、やはり漁業協同組合の経理にはこれは乗せなきゃならぬ品物ですね、共同ですから。そういうことはやはり適切な経理の指導というものをしなきゃならぬと思う。そういう面で私は一つここで水産庁に調査を依頼しておきたいのは、三月二十三日の水産庁に報告されたこの資料と業務報告書の食い違いというものは一体どうしたのか。それから、もっと他に出荷をしておるはずであるが、それがどうして経理上に乗らないのか。それはさっき言った、親戚へ持っていったとか、あるいは自分が家へ持っていった、そういうものを別に私は言っているのじゃないのですよ。少なくとも魚市場に出したものは当然協同組合の経理に計上されるべきじゃないか、それが水産庁の報告書になっていいんじゃないか、都道府県知事に出されていいのではないか、こう思うのです。こういうことを一つ調べてもらいたい。これは食い違いがあったから言うのです。それからきょうは時間がありませんから、これから私は申し上げたいことを申し上げて、次の機会に農林省の項がありますから、その際に一つ出してもらいたいのですが、この真鶴漁業協同組合の資金内容について中金から融資を受けているわけです。従って昭和二十五年以来共同経営をした場合がある。この場合、先ほど私が申し上げたように太田という人と漁業協同組合と共同経営をして、太田という個人は六千万円金をもうけた。ところが漁業協同組合は赤字になった。こういう同じ漁獲物を配分して赤字になる人と、黒字になる人が出るのかどうか、それから中金から融資を受けました資金はどういうふうに使われておったか、それから昭和三十一年以降今日まで中金から資金融資をしている内容について報告してもらいたい。系統資金でありますから、これについてきょう時間がありませんから、水産庁の方からよく調査をされて、次の機会に委員長の手元まで報告書を出していただきたい。これを要望して、きょうの私の質問は終わります。委員長確認して下さい。
○委員長(佐藤芳男君) ただいま相澤委員より資料の要求がございましたが、できるだけ早い機会に委員長の手元まで御提出願いたいと存じます。 ほかに御質疑ございませんか、――別に御発言もございませんければ、本件に関する質疑はこれをもって終了いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三分散会 ――――・――――