決算委員会 第7号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/02/22
会議録
○委員長(佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。 昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算、同じく特別会計歳入歳出決算、同じく国税収納金整理資金受払計算書、同じく政府関係機関決算書を議題といたします。 本日は文部省の部の審査を行ないます。 なお、念のため申し上げますが、文部省関係の不当事項は検査報告第百七十六号より百七十八号まででございます。 まず、会計検査院より説明を求めます。
○説明員(保岡豊君) 検査報告の四十四ページ、四十五ページについて説明いたします。 まず、補助金でございますが、昭和三十三年度における公立小中学校施設整備補助金及び公立諸学校危険校舎改築費補助金の経理の実態に関しまして宮城県外七都県の学校三百十九校につきまして実地検査をいたしました結果、事業主体が国庫負担金の申請にあたりまして、その配分の基本となる保有坪数を過小にしていたなどのため、国庫負担金を除外すべきであると認められたものが東京都外神奈川、三重、兵庫の各県につきまして五事項、百五十四万七千七百円ありまして、そのうちおもなものは左の二件であります。 すなわち百七十六号は、東京都の中学校でありますが、図書館等八十四坪を保有坪数に計上しなかったものであります。 百七十七号は、兵庫県の中学校でありますが、校舎二十五坪を保有坪数に計上しなかったものであります。 次に不正行為でありますが、東京教育大学で架空の非常勤職員八名に対する関係書類を作成いたしまして、これに基づきまして支払われた現金を領得したものであります。 以上簡単でございますが、説明を終わります。
○委員長(佐藤芳男君) 次に、文部省より説明を求めます。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 昭和三十三年度文部省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。 まず、文部省におきましては、昭和三十三年度予算の執行にあたりまして、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項二件、不正行為一件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存ずるところであります。 今後経理事務の厳正な執行につきまして、さらに一層の努力をいたす所存であります。 次に、決算の内容を御説明申し上げます。文部省主管の歳入につきましては、歳入予算額九十四億七千五百七十六万円余に対しまして収入済額九十四億五千百九十三万円余であり、差引二千三百八十三万円余の減少となっております。 収入済額の増減のおもな内訳は、官業益金及び官業収入における増加額六千七百九十七万円余、雑収入における減少額九千百九十一万円余となっております。 次に、文部省所管の歳出につきましては、予算額千五百八十六億四千六百四十二万円余に前年度からの繰越額十五億九百三十九万円余と予備費使用額一億九千百七十三万円余を加えました予算現額千六百三億四千七百五十四万円余に対しまして、支出済額は千五百八十三億七千七百五十八万円余であり、その差額は十九億六千九百九十六万円余となっております。このうち翌年度に繰り越した額は十一億千九百三十五万円余で、不用額は八億五千六十万円余であります。 支出済額のうち主要な事項は、義務教育費国庫負担金九百五十億二千百二十二万円余、国立学校運営費四百一億二十三万円余、文教施設費九十四億三千八百四十九万円余、育英事業費四十三億九千四百四万円余、科学技術振興費二十二億七千五百四十九万円余、準要保護児童生徒対策費三億五千四百八十八万円余、スポーツ振興費二億二千二百七十八万円余、私立学校振興費九億五千九百三十九万円余、青少年対策費一億四千五百六十八万円余となっておりますが、詳細につきましては、すでに提出いたしております昭和三十三年度決算の説明に記述しておりますので御承知願いたいと存じます。 次に、翌年度繰越額十一億千九百三十五万円余について御説明申し上げます。 財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越の金額は、十億三千七百七十万円余でありまして、その内訳のおもなものは、文教施設費につきまして、用地の選定、気象の関係、設計の変更により工事施行に不測の日数を要したため年度内に支出を終わらなかったもの、また、国立学校運営費につきまして、研究用原子炉設置に関する計画、設計等につき最終的結論を得るに至らなかったため年度内に支出を終わらなかったもの等であります。 財政法第四十二条ただし書の規定による事故繰越の金額は、八千百六十五万円余でありまして、その内訳のおもなものは、社会教育助成費の青年の家整備費補助金につきまして、敷地の変更、設計の変更等により不測の日数を要したため年度内に支出を終わらなかったもの、また、科学振興費の科学研究費交付金につきまして研究設備の設計変更等により不測の日数を要したため年度内に支出を終わらなかったもの等であります。 次に、不用額八億五千六十万円余でありますが、その内訳のおもなものは、国立学校運営費において職員の定員充足がおくれたため人件費を要することが少なかったこと等により不用となったもの、国際地球観測年事業の一部である南極地域観測事業において第二次越冬観測が実施不能となったことにより不用となったもの等であります。 次に、文部省におきまして予備費として使用いたしました金額は一億九千百七十三万円余でありまして、その内訳のおもなものは、国立文教施設災害復旧、公立文教施設災害復旧、南極地域観測事業等であります。 以上昭和三十三年度の文部省所管一般会計の歳入歳出決算につきましてその概略を御説明申し上げた次第であります。
○委員長(佐藤芳男君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○千葉千代世君 文部省にお尋ねいたしますけれども、不当支出金や、職員の不正行為などにつきまして、ずっと調べて参りましたところが、各省のうちでは文部省がかなりそういう被害が少ないように見受けられますけれども、反対に予算の流用面が目立っているようでございます。例をあげますと、国立大学の付属病院を見ますと、職員の旅費の不足二百九十四万円の全額を教育研究旅費から流用しているわけなんですが、研究者冷遇の現われのように考えられますけれども、このような職員の旅費に必要な分は別途考慮して予算に組むべきではないかと思います。 もう一つは、病院と同じように一般大学についても、たとえば国立学校の場合でも、ここに三千五百九十九万円というほとんどの額が職員旅費の方に流用されておりますですが、この二点についてお尋ねいたします。
○政府委員(安嶋弥君) 教官研究旅費から職員旅費への流用の問題でございますが、これは御承知の通り、いずれも第八日でございまして、科目の性質が旅費の類ということになっております。従いまして職員旅費と教官旅費との間の流用は、これは部局限りで行なわれておる流用でございまして、各大学が学校の運営上やむを得ない場合には、これらの目の間において適宜流用をやっているのが実情でございます。ただ御指摘のように、職員旅費あるいは教官研究旅費が十分でないということは確かでございまして、近年毎年改善を加えて参っておるのであります。今後は実情に即しますように、職員旅費、教官研究旅費の予算積算をいたしておりますので、この種の流用は今後はかなり少なくなると考えております。しかしいずれにいたしましても、当初見積りました予算が実態に必ずしも合いませんので、やむを得ず流用するというとともあり得るかと思いますから、今後はできるだけこの種の流用は少なくなるように努力をして参りたいと考えます。
○千葉千代世君 全額ないしそれに近い額がこのように流用されるということは、予算を組む当初から流用もやむを得ないという考えがあったんではないか。まあ盛れるものならどこにでも盛っておいて、あとは自由に校内で融通をしよう、そういうような予算の組み方があったとすれば、これは非常な問題でございますので、重ねて、予算を組む場合の調査の不足とか、そういう点について具体的にございましたら……。
○政府委員(安嶋弥君) 確かに御指摘のような点があるわけでございまして、最初から流用することを前提に予算を組むというようなことはもちろんないわけでございますけれども、従来の実績にかんがみまするとき、教官研究旅費から職員旅費への流用が若干行なわれておるということは御指摘の通り事実で、ございます。従いまして私どもといたしましては、必要な職員旅費は所要額を計上いたすということで、近年徐々に改善を加えて参っておるわけであります。 それからなお、教官研究旅費から職員旅費への流用でございますが、これは先ほど教官の研究をまあ押えるのではないかというような御趣旨もございましたが、これも近年二割ないし三割の増額をはかって参っておりまして、徐々に改善されておる実情にございます。
○千葉千代世君 重ねてお尋ねいたしますけれども、この教官研究旅費でございますか、その旅費の使い方についても、たとえば教授の方が多くて、助教授、助手というように、だんだん職階的に旅費の使い方に差があるように聞いておりますけれども、その辺については一人平均幾らと組んでおるのではございませんでしょうか。助手さんなどにはほとんどいっていないという現状を実は聞いているものですからお尋ねいたします。
○政府委員(安嶋弥君) 教官研究旅費の積算でございますが、これは三十三年度の単価を申し上げますと、講座制の場合、これが一人一万六千八百円になっております。教授一万六千八百円、それから助教授が一万三千五百六十円、講師が一万三千五百六十円、助手が九千六百円ということになっております。それから学科目制の場合でございますが、教授が一万一千二百八十円、助教授、講師が六千九百六十円、助手が四千二百円という積算になっております。ただ積算はこのようでございますけれども、実際の執行の問題といたしましては、これは各大学が、文部省から配当いたしました予算額の範囲内におきまして、学会出席の必要性、それから研究旅行の必要性その他の事情を勘案いたしまして、適宜旅費を支給しておるというのが実情でございます。
○千葉千代世君 単価はわかりましたけれども、これがやはり積算基礎だけであって、大学へいきますというと、大学自体の運用の中で操作されているようでございますけれども、操作の場合に、たとえば学部によりまして、大へん政治力のある学部長さんでございますと、それに早く旅費を使われてしまうというようなことを聞いているわけです。具体的にいえば、教授の方が研究会に遠くおいでになるとか、そういう場合には、選考いたします場合に、やはり大へん政治力のある部長さんのもとの教授さんが多くしょってしまう。そうするとそこのもとにおります助手の方はほとんど旅費については何らあれを受けていないということを聞いているのですが、そういう具体的な例を御存じでございますか。
○政府委員(安嶋弥君) ただいま御指摘のような事例は私聞いておりませんが、この旅費の予算の執行の問題につきましては、これは文部省から大学に配当いたしまして、大学が自主的にワクの割当その他の執行をおやりになっておるわけでございます。ただこれは予算の積算はこういうふうになっておりますけれども、機械的にこの通りやるということが、必ずしも実際に即さない場合も少なくないかと思います。でございますから、この学部あるいは学科の間において適当な調整をされるということは、これは必要でもあり、かつ適当なことかと思います。たとえば一例を申し上げますと、文学部の英文学科に並んで考古学科というようなものがあるわけでございます。英文学科に比べて考古学科の方が発掘その他の関係で研究旅費を多額に要するという場合もあろうかと思います。そういう場合には、その実情に即した執行、配当をされるということは、これはやむを得ないと申しますよりは、むしろその方が適当ではないかと思います。
○千葉千代世君 会計検査院にお尋ねいたしますが、今のように、たとえば旅費の流用については、各省にまかしてあると、だからこういうふうな大量な流用が行なわれてもやむを得ないという御見解でしょうか。
○説明員(保岡豊君) 財政法三十三条の規定によりまして、その手続、大蔵省に対する手続などで、十分に流用が行なわれている場合には、私ども法的に差しつかえない。しかし先ほどのお話にもございましたように、なるべく流用のないことが望ましいと思っておりますけれども、われわれの方といたしましては、それについて当、不当は申しておりません。その流用されて後の予算の執行について検査をいたしております。
○千葉千代世君 今検査院のお話にありましたように、法そのものについては何らあれはないけれども、やはり予算執行の面について十分な配慮が要るように伺ったわけですが、先ほどの会会計課長さんのお話にも有りましたように、やはりこれは積算基礎というのは、ただだてにあるのではなくて、やはりこれが予算の執行面にこの趣旨に沿って行なわれるようにと、こういう考えを私は持っておりますので、この点は今後本年度予算の執行につきましても十分な配慮をしていただきたいと、こういう要望を付しておきます。 次に、科学技術教育研究費でございますが、昭和三十五年の八月十三日に行政管理庁が文部省に対して行なった勧告と、その基礎となった行管の大学における科学技術教育行政監察の結果の中に、こういうことがございます。大学は最高学府として学問の研究、教育の自主性が確保されるべきであるにもかかわらず、予算、経理の面からは一般行政機関同様の取り扱いを受けるために、大学予算の安定性、あるいは継続性を保ちがたく、教育研究上の隘路となっているので、独自の予算、経理制度を考慮すべきであると指摘しておりますが、勧告の中では、科学技術教育研究に直接必要な教官研究費、学生経費の充実と、予算の編成方法について検討が必要だと、こう述べてございますが、これに対する文部省、会計検査院の見解を伺いたいと思います。
○政府委員(安嶋弥君) 大学の予算におきまして、学生の教育用の経費と、それから教官の研究用の経費を区分すべきであるという御意見のようでございますが、具体的に申しまして、これは学生経費と教官研究費、この二つの問題になるかと思います。これは予算の目といたしましては、これはいずれも校費、一般官庁で申しますと庁費でございますが、校費として経理をいたしておるわけでございます。そこで校費の内容でございますが、これは御承知の通り消耗品費、光熱水料、備品費、そういったものが内容になっておるわけでございます。たとえば光熱水科に一例をとって申し上げますと、学生の経費の中に含まれる光熱水料、学生が使いますたとえば水道、それから教官研究費の中に含まれます水道料、これを区分するということは、これは実際上は私はきわめて困難なことかと思います。同じ水道料を学生用と教官用と分けることは非常に困難かと思います。それからもう一つ、ただいま申し述べましたような性質の金額でございますので、これは御指摘のように教日研究用と学生用に区分するというここになりますと、大学予算の執行におりる弾力性と申しますか、そういうものに欠けることになるのではないかというふうに考えられます。
○説明員(保岡豊君) ただいまの御説明のように、校費ということで一括されておりますので、われわれの検査をいたしますときにも、もっと細分されておりますと、これからこれに流用したのではないかということがわかりますけれども、その目の中で、今申し上げましたように弾力性を持たせてやるということでございますので、目の中で執行されている場合には、私どもそのまま検査をしておりますわけでございます。
○千葉千代世君 重ねて会計検査院にお尋ねいたしますが、毎年指摘されます国立大学の経理上の不当事項といいますか、その一因がやはりこういう点にあると考えられますので、会計検査院では、国立大学に経理上の問題がほかにございますれば、伺っておきたいと思います。このような事項に関連いたしましてございませんですか。
○説明員(保岡豊君) 今おっしゃいました校費が細分されていないという点について、不当事項は今までございません。
○千葉千代世君 次にお尋ねいたしますけれども、これは初等中等教育助成費の件でございますが、昭和三十三年度の文部省の歳出決算報告書によりますと、初等中等教育助成費の項の中に、特殊教育学校就学奨励費補助金というのがございますが、この中に七百九十四万円の不用額が発生した、その原因として、長期欠席等があったので不用になったと述べておりますけれども、文部省は年度内にどの程度これら長欠者の就学に努力したかということを聞きたいと思いますが、またその長欠の原因などについて、十分調査して適切な処置をとられたのかどうか、お伺いいたします。
○政府委員(内藤誉三郎君) 三十三年度決算で七百九十四万円の不用が出ました大きな原因は二つございます。一つは府県の申請額が文部省の予算より下回ったのがございまして、これが四百六十七万円、これは、府県でそれだけあればよろしい、こういうことでございましたので、約五百万近くは事実上不用になったわけでございます。それから第二点の、長欠のお話が出ましたが、休学、退学、転学等の理由で給食費が不用になったというのが、残余の額でございます。お話のように、盲学校、ろう学校等の就学は義務制になっておりますが、非常に就学率が低い。しかもなお家庭の事情等でやむを得ず休学、退学をせぜるを得なかったという事情でございます。
○千葉千代世君 特に特殊教育については、親御さんたち、父兄も一生懸命にやっておりますが、今伺いますと、各府県で申請と、それから長期欠席、あるいは退学等の場合に、的確な資料を早く作って、このお金を使う方途をやはりもう少し講ずべきじゃないか、こう考えておりますけれども、その点について文部省の方からやはり今後のお金の使い方について十分な指導をしていただきたいと、こう思っております。
○政府委員(内藤誉三郎君) 当時は貧困率は六割と押えておりましたが、最近になりまして非常に府県の方でも就学奨励に御努力されまして、本年度予算では七〇%を援護する、こういうことで、いたしたわけでございます。最近はその点は大へん改善されて参りました。
○千葉千代世君 その次に、学校保健費の項でございますが、要保護及び準要保護児童生徒保健費の医療補助でございますが、九百万円の予備費の使用承認を受けておりますけれども、六百二十七万円、約三分の二のお金を不用額としていますが、これらもやはり前同様何か予算の積算にずさんがあったのか使い方に緩慢な点があったのか、その点について伺います。
○政府委員(杉江清君) 三十三年度におきましては、医療費の補助を十月から実施することになっておったのでありますが、医療費単価増がありまして、そのために予備金支出をすることになりまして、その決定が十二月下旬に閣議決定されたのでございます。そういうふうなことがありまして、この円滑な実施ができませんでして、そのような残が生じたわけでございます。私の方も、文部省といたしましても指導もし、また地方といたしましても努力はしたのでありますが、何分にも短日月の間にこの補助金を処理しなければならない事情がありましたので、これを十分処理できなかったというのが実情であります。
○千葉千代世君 十二月にきまったためにこういうお金が不用たなったと、こうおっしゃいますけれども、それ以前に大体こういうお金の運用というものがあるんだ、だからこれを使いこなして、その効果をあげるようにという、こういうまあ事前準備と言いますか、そういうことを怠っていたのではないか。それからもう一つは手続でございますけれども、御承知のように、要保護児童と準要保護児童の手続が違って、学校でも大へんこんとんとしていて手数もかかる、こういうような点と二つがかね合わさっているのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(杉江清君) 三十三年度はこの保健法による医療費扶助の初年度でありまして、その地方におきましても、これは事務的処理等の手続におきまして不なれな点がございまして、そのためにかような結果になったわけでございますが、その後、その辺習熟もいたしまして非常に改善されていると考えております。
○千葉千代世君 これは現場の校長さんに伺いましたんですけれども、やはりさきに述べましたような保護児童の手続が二つになっておって、非常に仕事としては大事なことでありますけれども、手数がかかるということを伺ったわけですが、まあ将来、このような問題に対して民生委員、それから片方はまあ教育委員会と、こういうふうな二本建でずっとやっていらっしゃるおつもりなんでしょうか。これは厚生省関係とかち合って大へんめんどうに伺ったのですけれども、これを一本化していくということはできないでしょうか。
○政府委員(杉江清君) 一時そのような点についてまぎらわしい点がありましたが、厚生省とも連絡いたしまして、これを一本化の通牒を出しております。すなわちこの医療費の扶助の方が優先するということで、これは一本化され校長から支給される、こういうふうになっているのでございます。
○千葉千代世君 次に、科学振興費の件でお尋ねいたしますが、民間学術研究団体補助金の目でございますが、二百万円の不用額が計上されておりますが、まあその原因として国際胸部医学会議組織委員会に対する補助金が必要でなくなったためにと、こういうふうに述べられておりますけれども、この種の民間学術研究団体に対する補助金は極端に不足しておって、私ども陳情など受けます場合が、かなりこれが多いのでございます。それなのに、このお金が二百万も不用額になった。そうすると、これは国際胸部医学会議の組織委員会に対する補助金が必要でなくなった。そうしたならば、その次に必要な団体の補助金があるわけでございますが、そういう点に使用させるということはできないのでございましょうか。
○政府委員(安嶋弥君) 民間学術研究団体に対する補助金でございますが、これは御承知の通り、民間学術研究機関に対する国の補助に関する法律でございますか、そういう法律がございまして、それに基づいてまあ補助をしておるわけでございます。で、その補助金の算定の仕方につきましては、これは一定の方程式がございまして、その方程式に従って補助金を支出しているというのが実際の状態でございます。従いまして、ある団体に対する補助金に残余を生じたからといって、直ちにそれを他の団体に回すということはいたさないことになっております。
○千葉千代世君 今の組織委員会に対する補助金が必要でなくなったというのは、なぜ必要でなくなったのでしょうか。これがなかったからでしょうか。運営ができなかったからでしょうか。
○政府委員(安嶋弥君) これは、この事業は実施されたのでございますが、この事業に対する民間その他からの寄付金が非常に多額に集まりまして、国から補助する必要がなくなったというのが実情でございます。で、この民間学術研究団体に対する補助金は、先ほど一定の方程式があるということを申し上げました。それは所要経費とそれに対する収入、これを比較いたしまして、差額について補助をするという形になっております。従いまして、収入がたくさん出て参りますと、それに対する国の補助もそれにつれて少なくなる、そういう仕組みになっておるのでございます。
○千葉千代世君 民間学術研究団体としましては、この二百万円のお金はのどから手の出るほどほしいお金なんですけれども、その組織委員会が一般の寄付をもらって、それが余ったから要らなくなる、そうすると、寄付を募りますときの進行状態とにらみ合わせて予算を計上すべきではないでしょうか。
○政府委員(安嶋弥君) 確かに仰せのような点もあるかと思いますが、予算は御承知の通り実施の時期のかなり前に組むわけでございまして、その時期において、その団体の一般的に申しまして収入が幾らあるかということ、特に寄付金が幾ら集まるであろうということを推測することは非常に困難でございまして、結果的にこういうことに相なったのでございます。
○千葉千代世君 やはり二百万円というお金は非常に貴重なものでございますので、今後そういう場合には十分に検討して予算を計上していただくように要望しておきます。 それから、育英資金の返還でございますが、育英資金は特殊法人の日本育英会にまかせて運営しているように文教委員会で伺ったのですが、昭和三十三年度の年間二十二万人を対象に約四十四億が使われておる、こういうふうに書類にございますが、その中で、返還率が非常に悪いということでございます。昭和二十七年度の返還率が五四・一一%、三十三年度を見ますというと、五二・五三%となって、非常に悪くなっているのです。三十五年の九月は五六・八八%と、こういうふうに多少の差はございますけれども、特に三十三年度が一番悪いように出ておりますが、文部省としては育英会法を改正して強制的に返すような方法を講じたいということを文教委員会で伺ったわけですが、さしあたりこの返還率をどのくらい上げる考えでしょうか。
○政府委員(安嶋弥君) 育英資金の返還の問題でございますが、これは御指摘のような問題がございまして、このため最近におきましては集金人制度を設けますとか、あるいはその他徴収事務の強化ということに努力をして参っておるわけでございます。で、最近におきまする育英資金の返還状況でございますが、これが五二・五%でございまして、必ずしもいい率とは申せません。私どもといたしましては将来五カ年間にこの延滞の額を解消するように努力をしたいというふうに考えております。
○千葉千代世君 会計検査院としてはこの問題にあまり触れていないようでございますけれども、これはやはり育英会法という特殊な法律の中で運営されているから会計検査院としてはこれにタッチできないというのでしょうか。
○説明員(保岡豊君) 日本育英会につきましては毎年実地検査をいたしておりまして、検査に行っております。それでただいまお話のありました貸付金の返還につきましても、われわれ相談を受けまして、それについて意見を申し述べた——正式の意見ではございませんけれども、意見を申し上げたことがございます。で、われわれ関心を持って検査いたしております。
○千葉千代世君 文部省の今年の予算の中に育英資金の問題とか、特殊児童の問題とか、非常に骨を折られているわけなんですが、せっかく骨を折って出しましても、その返還率が半分というような状態では、やはり今後の運営に相当影響するのではないか、やはり返すという約束で借りたものは返させるということが建前ではないか。特別の事情のあるものは、これは免除の方法もございましょうけれども、各省の、たとえば大蔵省あたりで少壮事務官として大へん意気揚々としておる方が、お金を一銭も返してないということを聞いたわけです。何だいばった顔して自分は借金しているじゃないか、こういうふうに若い人たちは怒っているわけです。この間、文教委員会でも文部省にもそういう方がいるのではないかとお尋ねいたしましたが、私、お尋ねいたしますが、会計検査院にもそういう方が一ぱいいるようですが、どのくらいいるのでございましょうか。(笑声)
○説明員(保岡豊君) 私、今先生のおっしゃいましたようなことをいつも申しておるわけでございます。借りたものを返さない習慣をつけるということはよろしくない、また正直者がばかをみるようなことになってはよろしくないということをしょっちゅう言っておりますのに、会計検査院でだれがそれをもらっていたかということは、はなはだ今おっしゃられまして、私ひょっと思ったのでございますけれども、まだ調べたことございませんで、申しわけございません。
○千葉千代世君 私、また聞きでしかとした数字は存じませんが、二十七人いるということをちょっと伺ったのですが、一つお帰りになって早速お調べいただいて、その方の家庭事情がどんなであるか、返せるのに皆返さないからおれは返さなくていいんだというようなことでは公務員は相ならぬと思うのです。本来からいえばこれはやはり社会保障の一環として私は貸与でなくて給与すべきものだと、こういうことを考えていますので、これは今後の問題でございますが、現在までに現に借りて、就職できなかったり病気であったりして、どうしても返せないという方は、これは免除して差し上げるのは当然ですけれども、お金を借りて、いばっているというのはおまけでございましょうが、どっちにしても、平然としていられるというその神経でいる人が、会計検査院で国の会計検査をする、これは一番大事なところでございますから、やはりそういうふうに率先していただくことが、文部省に百人いるそうですが、そのほか大蔵省とかおりますので、だからそういう点についても、これはやはりお金の、国民の貴重な税金を使っていれば、それを返して、あとの人が一人でも多くそれに浴していく、こういうふうに育英会の運営についても監査にいらっしゃったならば、大体そういう点も一つ足元の点も御注意いただきたいと、こういうふうに考えております。 文部省に伺いますけれども、今までの貸与制度を給与制度に変えていただくというようなお考え、ございませんでしょうか。
○政府委員(天城勲君) 育英資金の重要性につきましては、われわれもいろいろな角度から研究を進めて参っております、諸外国の例も参酌いたしまして。貸与あるいは給与のいろいろな制度のあることも存じております。ただ今育英奨学生の実際からみまして、すべてのものに直ちに給与するということは国家財政やその他の点から私たちもそこまでまだ考えておりませんけれども、大学院の学生につきましては、研究者の後継者の養成というような考え方から、これについては案を立てて、いろいろ検討はいたしております。
○千葉千代世君 昭和十八年から三十三年の末までに約九十万人貸与して、その総額は三百三十五億に及んでおる。そうして今年度なお四十億くらいでしょうか、幾らですか、四十億くらいのまだ返還されていないお金があるんでございましょう。そうすると、やはりその原因が昭和十八年から二十六−七年までの情勢と、その後の社会情勢、雇用関係等もずいぶん違うと思いますが、とにもかくにも半分払われていない。しかもそれを返還させるのに今年の予算の中に、たとえば大阪なら大阪に事務所を設けて、東京もそうですが、その周辺にお金を催促する外務員を頼んで、そうしてその徴収をしたならば、それに対してリベートを出すというような、こういう方法で何か事業団体なみに——ございますね、集めて来たら幾らで出すとか、そういうふうなことまでして取らなければならないということと、払わないということと、何かそこに大へん問題が含んでおるように思うわけなんです。そういう意味でやはりこれは今までの貸与については、これはその規則に従って行なっていくということ、これは当然でございますけれども、今後の運営については給与に切りかえていった方が私はいいんじゃないかと考えておりますけれども、その点について重ねてお尋ねいたします。
○政府委員(天城勲君) 返還の状況が悪いから直ちに給与にした方がという御意見かとも思うのでございますけれども、返還の問題につきましては、御指摘の点、いろいろ問題もございますので、私たちの方もこの貸した金が返ってくれば、やがて後輩の育英資金にもなるという教育的な考え方を中心にいたしまして、いわば呼びかけて手を尽くしておるのでございますが、今までの制度からいきましても、この制度をある程度続けていって、返還の事務その他の工夫がうまくいけばよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございまして、せっかくその方面の努力を続けたいと、こう考えております。
○千葉千代世君 やはり家庭が貧しかったりして自分の勉学の希望が生かされない者とか、いろいろの事情もございましょうけれども、やはりこれは国の責任で貧富の差とか、それから男女の区別とか、それから国籍を問わないとか、こういう憲法の中にしるされております教育の機会均等、こういう精神を根本に踏んまえた育英制度というものが私は望ましいと思っております。ちょうど東京都の三十三年度の高等学校の生徒の受給者調べというのをここに調べて参りましたのですが、その生徒が公立学校の生徒で約十五万四千六百三十八人、そのうち七千百二十七人、四・六%という者が資金を受けている。私立学校は一・二%。その中でどこからお金を借りているだろうかということを調べてみた。そうしたら日本育英会から約六五%、それから東京都から二四・四%、これは遺児の資金とか、そういう方から特別に考慮して優先的にやっている。それから私立学校は学校自体から育英資金というような、名目は育英資金ではございませんが、奨学金とか、成績優秀な者に対して褒賞的にやっているものがございますが、それが六・一%、母子福祉資金から一・八%、市町村から丁三%、それから民間から〇・九%、個人から〇・五%、こういうふうに一、二、三、四、五、六、七と七種類の中から受けられていっておるわけです。その実情はやはり戦争で犠牲を受けた方の遺家族の子供、これを重点にしている。私は全額給与と、こういう中で特に遺家族とか、そういうふうな特別な困った方とか、これは優先的に金額保障、千円とか二千円ではなくて、少なくとも全額保障の建前で進めていかなければ、やはりいい資質を持っていながら、個人の責任で一つの家庭の負担だけではやり切れないという方がある。非常に国のためにも損ではないか。文部省が再三提唱していられます理工科系の学生の問題、特に国の産業の発展の裏づけになる工業課程の問題とか、こういうことに力を入れていらっしゃる。こういうことは非常に大事なことだし、私どもそれを望んでいるわけですが、それを進めていく一環の仕事として、学生の一人々々が安定した勉学状況におるということが一番大事じゃないか、こういうふうに考えておりますので、やはりこれは近い将来に給費制度に変えていく、こういうふうな方法をとっていただきたい。こういう要望を申し上げておきます。文部大臣にその件について——大へん今担当の方から伺いましたのですけれども、給費制に切りかえていくような御意思はございませんでしょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど官房長からも一応申し上げたわけでございますが、むろん貸費だけではなしに給費制度にするということも検討を加えつつあります。しかし貸費でなしに給費で徹定するかどうかとなりますと、いろいろ根本的に考えねばならない事柄もあろうかと思いまして、せっかく検討中でございますが、私は、まあ私見でございますが、両方併用できれば、そいつが最も、調節をとりながら人材育成ないしは社会保障の目的をあわせ達成するのによろしいのではなかろうか、こうは思いますものの、まだ三十六年度予算にそれをはっきり打ち出すまでに至っておりません。検討を加えたいと思っております。
○千葉千代世君 その次にお尋ねいたしますのは、社会教育助成費の項でございますが、この予算執行につきましていろいろ問題が起きまして、当委員会でも取り上げたことがあるやに伺っておりますが、社会教育特別助成金、この目の中に、六千七百万円の大半にわたる四千七百五十一万円が各種費目に流用されているようですが、これはやはり予算編成期と執行時の間に極端な事情の変更が起こったためでございましょうか。どういうふうな原因でございましょうか。
○政府委員(安嶋弥君) これは予算編成時とその後の間におきまして極端な事情の変更が起こったということではございません。実は社会教育特別助成費につきましては、この項の名称が表わしておりますように、特別な助成費でございます。これは対応いたしますものが、御承知の通り社会教育助成費ということで、一般的な社会教育に関する助成費があるわけです。これは、社会教育特別助成費は特別な助成費でございますので、予算編成後諸種の事情を勘案いたしまして、その事業ごとに予算の積算をいたしまして、大蔵省に協議をいたしまして、そしてその予算の中の各日にその予算を振り割っておるというのが実情でございます。この中身といたしましては、備考にも書いてございますように、各種の事業があるわけでございます。
○千葉千代世君 これはやはり年間計画によった予算でございましょうから、やはり計画に沿った予算の執行ということが私は建前じゃないか、こういうふうに考えていますのです、意地悪く考えれば、この目は当初から何か政策的に社会教育関係の金をプールするように予算に計上しておったのではないかと考えられる点もございますのですけれども……。
○政府委員(安嶋弥君) ただいま申し上げた通りでございますが、この目をごらんいただきますと、二百五十二ページに教育テレビ放送費、それから二百五十三ページに教育映画等製作費、録音教材製作費、それから教育テレビ放送番組考査委託費等がございますが、そのほかに日独の青少年の交歓会団員の派遣でございますとか、ヨーロッパの青少年の教育活動の視察の補助金でございますとか、そういったものがあるわけでございます。前者はこれはいわばまあ恒常的な事業でございますし、後者はこれはいわば臨時的な事業でございます。そこで、恒常的な事業につきましては、社会教育特別助成費からはずしまして、社会教育助成費なりあるいは本省費に組みかえる等の措置を近年は講じております。社会教育特別助成費の内容といたしましては、従いましてこの青少年の交歓でございますとか、海外派遣でございますとか、そういった臨時的なものに原則として事業内容を限定したいというふうな方向に最近はいたしております。
○千葉千代世君 まあ海外派遣その他については臨時的のようにも受け取れますけれども、やはりこれは突然にそういうことが起こるのではなくて、去年の仕事の引き継ぎから、ことしは年間の展望の中で、青少年教育をどうしようかと、こういうお考えがあったればこそ、予算に計上なさったのじゃないかと思います。そうすれば、やはり年間を見通してこういうものが大体要りそうだという想定のもとに組まれていなきゃならないのじゃないか。組まれてしまってから、これは臨時的だからこの中で流用は自由だというような予算の執行については、私は疑問があると思うのですが。
○政府委員(安嶋弥君) 御指摘の通り、こういった事業は、実は突然そういう場合が出て参るのではなくて、あらかじめ大体の見当はついておるわけでございますが、それにいたしましても、たとえばこの青少年の交歓団の派遣にいたしましても、人数をどうするかとか、あるいは期間をどうするか、あるいは経費の分担をどうするかといったような問題は、実はその事業を執行する比較的直前くらいにならないと確定しないというのが実際でございます。従いまして、予算積算の当初におきまして、その内容を明確に確定しておくということが、実際上非常に困難でございます。そういった関係から、そのつど立目をいたしまして予算の流用をいたしておるというわけでございます。
○千葉千代世君 説明はよくわかりましたですが、やはり今後予算を組む場合と執行の場合に流用が当然だというような組み方は避けていただきたいと、こういうふうに考えております。 それからその次に伺いますのは、大学附置研究所の項でございますが、二百六十三ページですか、研究用の原子炉の購入及び附属設備の整備費、この中に、目の中に二億の予算が年度中全然使われていない。一億円を翌年度に繰り越した。それで不用額になった。さっきの説明の中には、不用になった原子炉がある云々ということをちょっと伺ったのですが、これは関西原子炉が地元の反対か何かで設置がおくれたということを聞いているのですが、それが原因なんでしょうか。
○政府委員(安嶋弥君) そういうことでございます。
○千葉千代世君 そうすると、これやはり文部省が膨大な予算を取る場合に、まあ地元の折衝なりそういうふうな手の打ち方に何かそごがなかったでしょうか。
○政府委員(安嶋弥君) これはもちろんある程度のめどをつけて仕事にかかっておるわけでございますが、実際に土地の買収等にかかってみますと、そこに意想外の困難があったというようなわけでございます。最近は御承知の通り大阪府の泉南郡の熊取町に敷地を選定いたしまして、これは今買収の手続中でございます。
○千葉千代世君 そうすると、このときの一億円の不用額と、それから三十四、五とずっと続いておるわけなんですが、今年度の附属研究所の費用との関連ですけれども、今年度計上した中には、この前のこういうふうな不用分というものがあったけれども、それがずっと三十四、五、六、七と、こう一貫して織り込まれているのでしょうか。そのまま捨てっきりというわけじゃないでしょうね、一億円の金が。……これは三十四年度に関連したものがかなりあるようですから、その項のところでけっこうです。
○政府委員(安嶋弥君) 失礼いたしました。
○千葉千代世君 最後に一つお尋ねいたしますが、東京教育大学の不正でしょうか、「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」の中に東京教育大学で、昭和三十一年十二月から三十三年十二月の間に、係の者が非常勤職員手当をほしいままにしておったという、こういうことがございますのですが、この処分と、それからその後このお金は、どんなふうにして返還されているでしょう、その実情を伺いたいと思います。
○政府委員(安嶋弥君) 処分でございますが、これは文部省の説明書の中ほどもございますように、まず桜井某及び五艘某に対しましては、昭和三十四年一月二十九日付をもちまして懲戒免職の処分にいたしております。それからなおこの説明書の十五ページの五行目にございますように、桜井及び五艘は「東京地方検察庁より詐欺罪として起訴され、目下東京地方裁判所において審理中である。」という部分がございますが、この点につきましては、昨年の七月八日に判決がございまして、桜井につきましては懲役二年、五艘につきましては懲役一年半が課せられております。両名とも目下控訴中でございます。 それからなお被害金額のその後の処置でございますが、この説明書の一番最後に、被害金額は百八万七千百十五円であるということを書いてございますが、その後五艘から五回にわたりまして、二十二万一千円が弁償されております。しかしながら、これを元本に充当した分、あるいは延滞金に充当した分等を除きまして、なお百万千二百八十二円が国に対する損害賠償の額ということになっておりまして、この額につきましては、昨年の十月の二十四日付をもちまして、納入告知書を発行いたしております。これに対する納入が納入期限の二十日以内にございませんでしたので、昨年の十二月二十四日付で、損害賠償の訴訟を提起するように法務省にお願いをいたしまして、目下その手続中でございます。
○千葉千代世君 質問を終わります。
○委員長(佐藤芳男君) ほかに御質疑はございませんか。
○木下友敬君 重要美術のことでちょっと聞きたいのですが、何か文化財保存のことで、永仁の壷という事件がございましたね。あのいきさつは新聞で読んでおったけれども、文部省関係から少し詳しく経過を話していただければけっこうです。
○政府委員(安嶋弥君) ただいまその担当の政府委員が参っておりませんので、直ちに手配をいたしたいと思います。
○奥むめお君 幸い文部大臣がお出でになりますので、ちょっと伺いたいと思います。文部省の社会教育課で、婦人教育の予算が去年よりことし、おととしよりは去年というふうに、だいぶふえましたが、婦人教育というものに対する御方針を伺いたい。予算をおふやしになったくらいだから、よほどはっきりした見通しをお持ちになっておると思いますが。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一般に社会教育の面につきましては、文部省として、従来とも関心を持ち努力して参っておるわけでございますが、近来青少年の非行問題を考え合わせましても、やはり社会人としての婦人が、もっと教養を充実していただくという意味もございましょうし、婦人それ自体の社会的な見識の向上、充実等、本来の社会教育の対象としての問題を考えましても、もっともっと力こぶを入れていくべきである。そういうふうなことで、婦人学級などを設けまして努力し来たっておりますが、さらにそういう面を充実すると同時に、婦人の団体に対しましても指導助成等をしていきたい。そういう関係の予算も、実は他の面に比べますと、あまり潤沢でございませんので、えばれませんけれども、年々歳々その努力を積み重ねていこう、こういうことで参っております。 三十六年度につきましても、そういう考え方で、いささか努力を注いだつもりでございますが、何はおきましても、婦人教育について、社会教育面から特に努力を捧げるとするならば、機構を充実したからといって、それだけで事がなるわけではむろんございませんが、少くとも婦人教育課という最低限の組織を整備することから始め市して、今後、さらに一そうの努力をしたい、こういう気持でございます。
○奥むめお君 婦人団体の助成金を出すとおっしゃいましたけれども、婦人団体というのは、何でございますか。考えておいでになります団体というのは、何でございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的には、政府委員からお答えさせていただきます。
○政府委員(安嶋弥君) 婦人団体あるいは婦人教育に対する助成でございますが、内容的には、いろいろなものがございまして、たとえば婦人学級生大会の開催費の補助、これは府県に補助いたしております。それから婦人教育の研究活動の補助、それから婦人教育の国外研究活動の補助、これは個人の補助になっております。そういうものが大体内容でございます。
○奥むめお君 そういう補助は、地方自治体ではどれくらい持つわけですか。あなたの方で補助をお出しになれば、地方も幾らか出さなければ……。
○政府委員(安嶋弥君) 地方に対しまする補助金は、これは二分の一補助でございます。 なお、最後に申し上げました海外派遣に対する補助は四分の三でございます。
○奥むめお君 個人に対するもの……。
○政府委員(安嶋弥君) 個人に対するものは、四分の三でございます。
○奥むめお君 これは三十三年度の決算承認の外の問題でございますけれども、今度婦人課をお置きになったり、予算もだんだんふえてきておるので、ちょっと文部当局のお考えを聞きたいのですが、これは文教委員の方にいく問題だと私は思っております。 私の考えから言いますと、どうも文部省が、だんだん婦人関係の統制をとろうとしているというふうに考えるわけですね。そして文部省の方針で、いろいろおやりになるけれども、婦人会全体に及ぶ予算、婦人のほんとうの下からの教育という予算にはなりがたいという気持を持つのですね。一年に一回ですか、二回になるか知れませんけれども、指導者の練成会というものをなすってらっしゃいますけれども、東京へ集めて、そして三日なり五日なり会を持つというと、出てくる者というものはきまっておるのですね。その予算はきわめて少数の人の活用するものになってしまう。それだけの金を各地方で、動きのとれない立場にいる主婦達や婦人会の人たちに、これを全体に潤すような予算の立て方というものが私はあると思うのです。そこに何か文部省に婦人の指導というよりは、ちょっと意図が別なところにあるように感じられるのですね。 これは日本の婦人会というものが、戦後非常に自治的に自発的に動きかけたのが、十五年たちまして、だいぶワクをはめられて、大へん動きができにくいのですね。これは実情でございますので、ただ決算で私が問題にするつもりはございませんから、いずれ文教委員会へ出ますけれども、文部大臣が今おっしゃいましたように、婦人団体に補助金を出すとか、海外派遣に四分の三の補助金を出すとか、こういうようなことも、もう少し文部省として、あまり走り過ぎないように、十分日本の実情を御存じの上で計画を立てていただきたい。これが私の希望でございます。決算でございますから、よけいな時間をとろうと思いませんけれども、文部大臣におかれましては、特にその点で十分御考慮をいただいて、婦人議員の中にも非常に婦人会活動に熱心な人がたくさんいるのですから、少しそういう実情をお知りいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 格別お答えすべきこともないわけでございますが、ただその、婦人教育に関心を持ち努力していきたいと申し上げる意味は、ことさらなる、文部省が格別婦人会に対して、ある意図をもってどうするなどということは毛頭考えておりません。一般的に御婦人が、率直に申して男女同権と申しますけれども、社会的な常識なり素養なりというものが、必ずしも男女平等では、同じところまではきてないと率直に申せるかと思いますが、そういう意味で、自発的にある種の団体を婦人層がお作りなったとして、それに全国民的立場で接触いたします意味合いで、何か国費で手助けをすることによって、その自主的な団体の目的が、よりよく発展していくであろうというふうなことを期待して対処すべきものと抽象的には思っておりますが、具体的にどういう団体を作り上げて、こういうふうに持っていきたいという意図は、少なくとも私は持っていませんが、文部省に入りまして、社会教育局を通じての従来のやり方なり現状を感じ取った範囲内において、今御懸念のようなことはないと思います。またあらしめてはならない、そうう考えで参りたいと思っております。
○奥むめお君 一応これで終ります。
○委員長(佐藤芳男君) 木下君の御質問に対しまして、文化財保護委員会の清水事務局長が、もう二、三分でこちらに到着する見込でございまするので、それまでしばらくお待ちを願いたいと思います。
○千葉千代世君 文部省にお伺いいたしますけれども、ただいま奥委員の方から、婦人教育についての質問がありましたのですけれども、文教委員会で昨年伺った中に、婦人学級の交付金でございますが、昨年は一学級四万円と伺ったわけですね。今年もまた組んでございますね。文部省としては、各県にこのお金を配賦してあるのでございますか。
○政府委員(安嶋弥君) 婦人学級の委嘱費でございますが、単価は、ただいま御指摘の通り前年同額の四万円を三十六年度においても計上しております。これを各府県に配賦してあるかどうかというお尋ねでございますが、これはまだ配賦はいたしておりません。
○千葉千代世君 文部省の方としては、積算の基礎に一学級昨年は四万円組んだ、今年また組んである。今年は学級をふやしてあるわけです。そうすると私どもの考えでは、一学級当たり幾らと組んであれば、各県がアンバランスのないように、婦人学級をずっとやって、それに対して一学級当たり四万円このお金を下げるのか、こう思っておりましたところが、昨年の文教委員会ではお金を分けるのではなくて、文部省がそのお金を握っているのだということを聞いたのです。そうすると、これは官製の婦人学級で、ほんとうに県の自主性に沿って婦人学級が運営されないではないか、こういう懸念があって質問しておったわけですが、それに変わりはございませんでしょうか。
○政府委員(安嶋弥君) 配賦と申し上げましたが、これは予算の科目といたしましては、本省費でございまして、各府県に対しまする配賦は、これは支払い委任という形で行なっております。補助金ではございません。
○千葉千代世君 これは交付金という意味はございませんですか。
○政府委員(安嶋弥君) これは予算の目といたしましては、婦人学級庁費——婦人学級謝金という目でございまして、特に交付金とは申しておりません。
○千葉千代世君 謝金でも何でもけっこうですけれども、やはりこれはそうすると、県で婦人学級を運営しておって、これこれの講師をお願いした、運営については、これこれの経費が要ったと、そういう申請によってお金を出していく、こういう仕組みなんですか。
○政府委員(安嶋弥君) 三十六年度におきましては千四百五十四学級を積算をいたしておりますが、これは御承知の通り、市部につきましては一市一学級、それから郡部につきましては、大体郡部一・五学級という標準で予算を積算いたしております。でございますので、大体その標準をもって、各府県に何と申しますかワクを流しまして、そのワク内で各府県の具体的な事業計画が立つ、これに対して文部省が予算を配賦するということになっております。
○千葉千代世君 そうすると、各府県の郡市の数によって、それに四万円を掛けたものが配られている、こういうわけでございましょうか。
○政府委員(安嶋弥君) 私、直接その執行に当たっておりませんので、正確にそういう扱いをしているかどうかは十分承知いたしておりませんが、大体そういう基準で執行されているものと考えております。
○千葉千代世君 この件については、文教委員会で、またお尋ねいたしますので、文化財の事務局長お見えになったようでございますから、これで終わります。
○木下友敬君 大臣に先にお尋ねしますが、国宝の問題ですが、奈良などへ行ってみますと、お寺がたくさんあって、そこに重要な国宝がたくさんございまして、これは国でも相当保護をしていましょうが、また火災に対する準備などもしてございますが、その保存は、入場料でずいぶん補っておるという状態であるし、今のままにしていたならば、いつ火事で焼けてしまうかというようなおそれもあるし、この間も、ある寺で仏像を見てみたら、ほとんどもうその修理が非常に困難なほどいたんでおるというようなことでした。もっとほかのところでは、たとえば建物が国宝になっているようなものは、それはもう屋根も落ち、かわらも落ち、柱も朽ちておるような状態になっておるようなものがございまして、これはいつも文化関係の人から嘆かれておるようなところでございますが、ああいうものに対しては、何か文部省では一つ思い切った施策をして、たとえば唐招提寺なら唐招提寺にある国宝全体を国の所有にする、そうしてこれを保存するというような強力な施策が必要じゃないか、民間の一つのお寺にまかしておくというようないき方にも、私は考えを改めなければならんところがあると思うのですが、大臣は、この点どういうようにお考えになりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この文化財保護の行政が、御案内の通り文部省の中でお世話しておりますが、直接の責任を持った立場にございませんで、合議制の文化財保護委員会という文部省から、いわば独立しました権限を持った合議制の機関でやっておりまして、今のお尋ねに対して、責任あるお答えができませんけれども、ただ予算のお世話だけは文部省でいたしております。確かに御指摘のようなところに従来力こぶが入っていない、努力不足の点があろうかと推察するわけでございます。 御指示の通り重要な文化財を国が責任持って所有権も移して、これを保存するという必要性も大いにあろうかと思いますが、そういう経費も、何がしかはあるようでございますけれども、数千万円程度で、何ほどのこともできない。それをもう幾らかでもふやそうじゃないかというので、三十六年度は、わずかながら増額はされております。お話のような考え方も当然あるべきでございますし、そういう努力も続けていくべきものと思います。なお文化財保護委員会の事務局長見えましたから、詳しくはその方から、お聞き取りいただきとうございます。
○木下友敬君 今の大臣のお答えであれば、なおさら私はそう考えるのですが、文化財保護委員会というものが、外局になっておって、予算は取ってあげるけれども、直接のお世話はしない。現在がそうであるかもわかりませんけれども、文部省としては、これは外局にまかせきっておけばいいというものではなくて、やはり文化財ということであれば、文部省の仕事だ。 ですから、文化財保護委員会にまかせておっては十分にいかないというようなことであれば、こいつは機構を改革してまでも、文部省がもっと予算だけでなくして、国宝の保存とか、重要文化財の保存とかいうようなことについても、もう少し今度機構を変えて、本気に直接タッチできるように、またこういうところで、はなはだ大臣も率直な意見が述べられるように、委員会のことだから、行政面ではわからないというようなことのないように私はやっていくべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。そこに熱意を持ってもらいたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 現在の制度から申し上げますと、今申した通りになるわけなんでございますが、文化財保護法の建前が、文化財保護行政機構の面でも、何と申しますか、文部行政とは別個の系統に属せしめて、独自の立場でやった方がよろしいという考え方のもとに、現行制度になっておると存じますが、まあ今後の制度それ自体も考え直したらどうだという将来の研究課題として承りまして、関心を持たないわけではございませんから、研究課題にさしていただきたいと思います。
○木下友敬君 今非常に、まあ文化財と文部省との直接の関係が薄い、責任においても何か薄いというような感じを、今の御説明で受けるのですが、ちょうど警察行政は公安委員会がやるから、自民党とか政府は、この間のときやかましく直接言うわけにもいかないというような、それほど何か離れがあるような気がいたしますが、文化財保護委員会の仕事と文部省との関係は、なにですかあれほど離れておるのですか。私はもっとこれは直接、文部大臣が文化財保護委員会には直接命令もし、あるいは指図もしすることができるのじゃないかと思うが、そうではございませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今の機構は、そうなっておりません。しかし、今の機構が文化財保護行政としては、より適切なりという建前から、特別の考慮が払われて、今の制度になっておろうかと思いますから、いきなり今の制度がいけないのだというふうに、私自身も思っておるわけではございませんけれども、御意見として承りまして、今後の研究課題にさしていただきたいと申し上げるのは、その意味でございます。
○木下友敬君 それでは文化財委員会の方、あなたにお尋ねしますが、文化財保護委員会の運営については、直接文部省の行政面には全然関係ございませんか。
○政府委員(清水康平君) 文化財保護行政そのものにつきましては、御承知のごとく五人の委員によって構成されておるわけでございます。特に文化財保護行政におきましては、価値判断というような問題が相当ありますので、そういう意味合いで、合議制の行政機関ができたのだろうと思っております。 従いまして、事務局といたしましては、この五人の文化財保護委員会の方針決定によりまして、それを執行するというのが事務局の立場でございますが、先ほど大臣からお話がございました通り、予算の編成その他につきましては、文部省と大蔵省と折衝いたしまして、そして獲得いたしておるわけでございます。 従いまして次年度の予算の内容を見まして、次年度はどういう方針になるかということには、文部省もよく承知しておられるわけでありますが、日々の行政事務につきましては、文化財保護委員会という独立した外局がこれを扱っておる次第でございます。
○木下友敬君 これは大臣も言われましたように、この問題は、一つの課題として考えていこうということでございますから、私は考えてもらいたいと思うのですが、そこでこの間新聞で非常ににぎわっていました永仁の壷ですね、あの成り行きですね、あれはいつごろ重要文化財に指定され、そしてそれが発見されるに至ったか、間違いであるということが……。作者が、あれは自分が作ったのだといい出して、その後の経過がどうなっておるかということを説明願いたい。
○政府委員(清水康平君) いわゆる永仁の壷につきましては、私どもといたしまして、大へん恐縮いたしておる次第でございます。今日までの経過につきましては、要点を申し上げたいと思います。いわゆる永仁の壷といっておりますが、これは壷ではなく瓶子でございまして、永仁の銘があります古瀬戸瓶子というのが正しいと申しますか、私ども言っております名前でございます。この瓶子は、去る昭和三十四年の六月に文化財保護委員会におきまして、重要文化財に指定いたしたのでございます。古瀬戸につきまして銘のあるものは、御承知かと思いますが、清和元年、一三一二年でございますか、清和元年の銘のある瓶子がございます。これは昭和十二年に指定されたものでございます。ところがいわゆるこの瓶子、永仁の壷と言った方が通りいいと思いますから、永仁の壷という言葉を使いますが、永仁の壷は、銘が永仁年と書いてございまして、昭和十二年に指定いたしました清和の銘のある瓶子よりもまだ古い時代でございます。従いまして三十四年指定する前の文化財保護委員会専門審議会における審議におきましては、最古の銘文のある瓶子としまして、わが国陶磁史上の貴重な資料として考えられまして、指定いたしたような次第でございまして、この壷は御承知と思いますが、昭和十八年に、愛知県の春日井郡、詳しく字もわかりますが、春日井郡のある村から出土したといわれております。その当時は、中日新聞が報道いたしまして、その後昭和二十三年に、これはわが国最古の銘のある古瀬戸だというのでもって指定の候補に上がったわけでございますけれども、銘文の書き方について、もっと研究する必要があるというのでもって保留にいたしまして、約十年たちました間、その銘文などを調査いたしまして、それで去る昭和三十四年に指定になったというのでございます。 せっかく御質問ございましたから、ちょっと詳しく申し上げた方がいいと思いますので申し上げるわけでありますが、瓶子でございまするから、二つあるのが普通でございます。その一つがやはり永仁の銘がございまして、それがいつの間にか、どこへ行ったかわからない、たぶんこれは外国に出たに違いない、一つはここにある、これを何とか外国に出ないようにしなければならぬという理由もあったことも一つの理由でございますが、しかしながらこれにつきましては、地元の意見なども聞きまして、もちろんりっぱな作ではありますが、むしろそれよも日本の陶磁史上、文化史上、非常に古い銘のあるものだというわけで、これを指定いたしたのでございます。 ところが昨年の二月ごろから、古瀬戸につきましては、地元民に相当りっぱな研究者がおられますが、その方々の方から、あれは少しおかしいということで、いろいろ要望書が出て参ったのでございます。従いまして、文化財保護委員会といたしましては、昨年、前前からそういうことをいわれましたので、もちろん文化財保護委員会は、指定されてあるものも指定されてないものも常に調査研究する職務があるわけでございますが、そういうような要望が参りましたので、研究に従事しておったわけでありますが、昨年の九月ごろ虚心たんかい、行きがかりにとらわれないで、これを調査しようというふうにきめまして、今日までずっと調査をいたしておるような次第でございます。 調査には、文化財保護委員会の専門技官のほかに、博物館あるいは文化財研究所所員でその方面の研究者を集めまして、また民間の人も入っていただきまして、今日に至るまで、大体八回に及ぶ調査研究をいたしておるわけでございます。 それで調査の研究の内容を、調査方針といたしましては、とにかく古瀬戸のころの焼物を指定してあるものも指定してないものも、あるいは破片も、いわゆるいいものも、それからどうもおもしろくないようなものも、できるだけ多く集めました。大体形の完全なものは九十何点集め、破片も、これは間違いないもの、これはおかしいものと思われるものも全部を集めまして、今日、先ほど申し上げましたように、八回にわたる調査をしておるわけでございます。調査の方針といたしましては、特にこの永仁の壷が中心になるわけでございます。他との比較をしなければなりませんが、様式でありまするとか技法、銘文などについて調査比較いたし、あるいはその焼物の土、釉薬——薬でございますが、釉薬などの科学的調査、あるいは考古学的な調査もいたしておるわけでございます。 それでそのほかに、特に私ども今度の調査の中でも意を注いでおりまするのは、科学的調査をいたさなければならぬ、たとえばX線透視により内部を検査しますとか、あるいは釉薬を選び非破壊螢光分析装置で調べるとか、あるいは残留磁器の測定検査をするというような科学的な調査も現在しつつあるわけでございまして、ただいまのところ、ある方向に結論が進みつつあるわけでございます。この三月の下旬に、国宝重要文化財関係の文化財専門審議会が開かれる予定になっておりまするので、それまでに専門的な私どもの調査の結果をありのままに報告、諮問いたしまして、そこで審議をいたされましたその結果に基づきまして御答申あると思いますが、その御答申に基づきましてできるだけ早い機会に善処いたしたい、かように思っておるような次第でございます。
○木下友敬君 そこで、その永仁二年の銘のある瓶子が発見されて、重要文化財の委員会で、それが問題になったのは、いつであって、どういういきさつで文化財に指定しようかどうかといういきさつになったのか。あるいは骨董屋さんが持ってきて見せたのか、あるいは加藤氏自身が何らかの手で運動して、文化財保護委員会の目にとまるようなことをしたのか。その辺を一つ詳しく話して下さい。
○政府委員(清水康平君) 昭和十八年に愛知県の東春日井郡志段見村に出土したということが新聞に出ましてから、この壷は、いわゆる斯界の注目の的になったことは事実でございます。二十三年に、先ほど申しました一応これは指定の候補にあげてみようかということであげたのでございますが、銘文の点において研究する余地があって、それを調査の結果、三十四年に指定になったのでございますが、二十一年に、たとえば古瀬戸の展覧会を東京で開かれております。あるいはその後、日本陶磁名品展というようなものも百貨店などで開かれておりますが、その方面の専門家が見ましても、これは実に永仁銘のある瓶子としてりっぱなものであるということで、だれも疑いを持っておらなかったのでございます。もちろん文化財保護委員会といたしましては、その間数回にわたり現地にも参り、これは松留がまから出るというので、そのところへも案内をされた。それから現地の専門家にも聞き、専門技官としては、各方面の意見を聞き、そして専門審議会にかけたのでございます。 それから先ほど木下先生から指定についてお願いがあったかどうかというようなお話がございましたが、御承知のごとく、国宝、重要文化財の指定につきましては、一般の補助のように申請を必要といたしておりません。私の調査いたしましたところによりましては、永仁のいわゆるこの壷を重要文化財に指定してもらいたいとか、申請書が出たというようなことはございません。文化財保護委員会が、専門家の機関に、各方面の意見、展覧会などをいたした際にも、だれもこれについて疑いをはさんだ人はございませんので、その調査の結果、いろいろと専門審議会で審議し、審議の結果、三十四年に指定されたというのがありのままの事実でございます。
○木下友敬君 私の知った範囲では、愛知県の東春日井郡の松留がまというのは、この問題が起こるまでには、そういうかまが前にあったということが知られてなかったように聞いておりますが、文化財保護委員会では、そういうかまのあったことも突きとめておられたのですか。
○政府委員(清水康平君) 古瀬戸のかまは、御承知のごとく二百幾つもあり、その部分のあるものは、かま跡の名前とその場所がわかっておるようでございますが、文化財保護委員会の専門技官といたしましては、現地へ参りまして松留がまから出たというが、一体松留がまはどこかというところへ案内を受けまして、この辺だというようなことを言われて、そうして帰ってきたことは事実でございます。 それから、これも御承知かと思いますが、日本の陶磁関係の辞書といたしまして陶磁辞典というのがございますが、陶磁辞典の中に二百幾つかの古瀬戸の地図がございます。そこにも松留がまの場所が書いてある。それから陶磁辞典には、鎌倉時代の作品で永仁銘瓶子というのが出ているくらい、一般その方面の人が、これは鎌倉のものに間違いないというふうに思っておったことは事実のようでございます。 以上、要点だけ申し上げた次第でございます。
○木下友敬君 愛知県のその地方の人は、そういうことを言っておったし、また展覧会などで疑う人はなかったと、こういうことですけれども、文化財保護委員会なるものは、これは総元締めで、そこできめれば、これはもう大へんな価値をつけてもらうわけですから、相当研究もしてやられたと思うのですけれども、これは大きな失敗ではないか。しかもそれを作った人は、おそらくこれは故意に永仁の壷という字を入れて、そうして私も作品を見たのですが、非常にりっぱなものだと思う。おそらくその作品を、自分の名前で作られても相当の価格で売れる品物だと、こう思うのですが、それを本物がないからにせものでないというようなことも言っておりますが、故意に永仁の壷という銘を入れて、そうして売ったというのは、これはそれを金にかえてもうけるというつもりで、次々に作っておると思うのです。その数も、相当よけい作っておるようですが、そういうたくさん数が出たというようなことについては、委員会は何も考えなかったかどうか。そういう貴重な壷がたくさん国内に現われて、そうして相当有名な人が、これもまた同類のものを買っておる人がある。委員会としても、そういうことにも気をつけておくべきではなかったか、こう思うのですが、そういう点では手ぬかりはなかったのですか。
○政府委員(清水康平君) 最初に……。この指定につきまして私どもといたしましては、いたずらに他を顧みることなく、虚心たんかいに調査をいたしておるわけでございます。是は是、非は非といたしまして、改善すべきものは、今後慎重に改善いたして参りたいと考えておる次第でございます。 ただいま、いろいろ壷が出ておるが、何もそれを知らないでおる、何とかできぬものかというようなお話がございましたが、中には相当——九十何点集めたのでございますが、相当数、出土地がはっきりしており、そうして指定するしないは別として、はっきりしたものがございます。中には、これはいわゆる松留がまから出たのだと言われておるものも数点ございます。文化財保護委員会といたしましては、ちょっと年代は私忘れましたが、昭和三十年ごろから数年にわたりまして、日本の陶磁器の発祥の地ともいいます古瀬戸のかま跡の調査を、ほんの一部でございますが、やっておった次第でございます。どこのかまから、どういうものが出るかというものにつきましては、これは御承知のごとく、埋蔵文化財として届けがある、それについて善処いたさなければならぬと思う次第でございます。
○木下友敬君 さっき科学的な調査をしておるというお話の中に、土とか釉薬とか、そういうものを調べておると言われますが、一体指定をされるときには、そういうものは十分研究して、同類があれば、破片などについても釉薬の関係とか土とかは見て、よく調べて、そして指定されるものだと思うのですが、やはりこれを指定するとき、何か特殊なあやまちがあったのじゃないかと思うのです。しかも今あれが、これは自分たちが作った品物だということを加藤さんなど、弟さんですか子供さんですか、はっきり言っておりますが、それにもかかわらず委員会は、これはにせ物であるということの決定をなかなかしない。世の中の人は、これはもうにせ物だとみんな思っている。ところが委員会は何かこだわって、いつまでも、指定するときは指定しておいて、今度それはにせ物だというときには非常に念を入れている。初めもっと念を入れて、そして今度にせ物だというときには、もう少し手ぎわよく何か結果が出そうなものだと思いますが、何か自分たちが指定したことにこだわって、あなたは、しばしば虚心たんかいと言われますけれども、これは指定を取り消すというようなことについては、虚心たんかいでないように思うのですが、もっとすみやかに決定するわけにいきませんか。
○政府委員(清水康平君) お人の名前が出ましたから、私も申し上げざるを得ないのでございますが、地元の研究者から、まじめの要望書がございまして、それに基づきまして、私どももいきがかりにとらわれないで調査しなければならないということに踏み切ったわけでございます。その後今お名前が出ましたが、加藤唐九郎氏のお弟さんが、あれはおれが作った、一月たちまして、パリにおられる唐九郎氏が、いやおれがあれを作った、第三者は文化財へきまして、いやあれは加藤唐九郎氏の弟さんが作った、これは全部、一つの重要な参考資料になるわけでございますが、文化財保護委員会といたしましては、たとえこれがいわゆる偽作であったといたしましても、自分が作ったからということだけでもって、その措置をとるということは、軽々ではないだろうか、いろんなりっぱな作がありますが、中に自分があれを作ったのだと言われたときに、ただそれだけでやるわけにいかないのじゃないか。どうしてもこれには良心的に、まじめに調査研究いたしまして、そうして処置すべきだ。それはしかも価値判断でございまするので、事務的に結論を出して、すぐそのままやるよりも、やはり相当研究いたして、専門審議会に付議して、じっくりとそこで慎重に研究して、措置しなければならぬ、かように考えているわけでございます。 それから先生、先ほど科学的調査ということにつきまして、これも指定するときにやるべきでなかったかという御意見がございました。全くこの点は、率直に申しまして同感でございます。ただ、決して言いわけを申し上げるわけではございませんが、一般美術品の価値判断、認定というものは、御承知のごとく多年の経験、それから最後は鑑定する人の作品に対する直観という方が多いのでございますが、それだけに頼ってはいけない。ことに焼物は、むずかしいもののうちのむずかしいものにされておるのでございまして、今後十分注意していかなければならぬ。それで、たとえはこの焼物の表面を調査いたします非破壊螢光分析装置というような機械がなかったわけです。東京に、そういうものが一つあったんでございますが、来年度予算で、そういうものを購入いたしまして、そういう問題が起きた場合、贋造とか、模造であるとか、そういうものを検査して処置して参りたいと思っている次第でございます。
○木下友敬君 文化財保護委員会というのは、こういう文化財の総元締めであって、そこで指定したということになると非常に権威がつくわけでございまして、そこがぐらぐらしておりますと、われわれ博物館へ行ってみましても、どれが本物やら、どれがにせ物やら信頼ができなくなってしまう。ですから非常に私は自重してもらって、将来こういうことのないようにしてもらいたいと思うんですが、一番心配するのは、ほかにもあるかもわかりませんが、いわゆる永仁の壷の類似のものが外国に流れたという実例はございませんか。この中から外国に永仁の壷だとして、同じ人の作品が高い価値で外国に売られているということはございませんか。
○政府委員(清水康平君) いわゆる永仁の壷のようなものが、海外に出ておらぬかという御質問でございますが、指定する際に二つございまして、いつのまにか、一つがなくなってしまった、これは外国にいったんじゃなかろうかという心配を持ったことは事実でございます。その一つが、まだ内地のどこにありますか、あるいは外国にいっておりますか、判明いたしておりません。まことに残念でございます。
○木下友敬君 瓶子の問題は、このくらいにいたしまして、ちょっと国宝の問題で、さっき伺いたいと思ったんですが、国宝の非常に破損しているもので放置されているものが多い。予算を見ましても、今年度の予算は非常に少ない。再び得がたいものであるから、国宝の保存については、特に私は力を入れてもらいたいと思うんですが、私は実は知らなかったのですが、文部省がもっと文化財については、直接の発言権もあるし、あるいは文化財保護委員会の仕事についても、もっと強い力で文部省は臨み得ると思っていましたら、何か外局といえば縁遠いもののように、大臣自体も思っておりますが、国宝というものについては、もっと強力にいわゆる国の力で、個人の所有であるから、どこまで国が干渉するかということはむずかしいでしょうけれども、いくいくはこれは国のものとするくらいな、国有にするくらいな力強い施策をもっていかなければ、だんだん一つ減り、二つ減りしていくということが非常に心配なんです。 こういう点について、直接の責任者であるあなたの方では、どういう考えであるか。
○政府委員(清水康平君) 申し上げるまでもないことでございますが、国宝、重要文化財が私ども民族の文化遺産であり、貴重な国民の財産であることを考えまするときに、文化財保護委員会といたしましては、これを維持保存していくことが、最も大きな任務でないかと心に銘じているような次第でございます。 その保存といたしましては、今先生御指摘の通り、何と申しましても、保存のため一番大切なのは修理だと思います。特に日本のような、文化財が燃えやすく、こわれやすく、腐りやすいという文化財につきましては、なおさらと思うのでございまして、文化財保護委員会としましては、この保存と修理と修理したものを保存していく意味合いにおきまして防災については、年々力を入れている次第でございます。 本年度は、大体前年度と予算的に申しますと同じくらいでございます。前年度の中には、災害費が約三十万円ございますので、災害費を入れたものとしてこの前年度と同額、これを最も有効に行政上措置して参りたい、かように思っている次第でございます。
○木下友敬君 もう数年前から古墳などの発掘、これが非常に盛んに行なわれて、一つのまあ、悪くいえばはやりじゃないかと思うほど方々でやられておる。流行のように、まあ考古学的な勉強を多少したというような人でも、すぐ学生を引き連れて、そして古墳を発掘したりしておりますが、これは私は非常に危険なことだと思う。 一方また、トンネルの工事とか、そういう土木工事などでもこういう古墳等のようなものがこわされていくというようなことが、だんだん多くなってきたように思うのです。私も、しばしばそういう場所に行って見学するのですが、何かこれはもっと規制して、みだりに一みだりにというのは、みだりには現在もやっておりませんけれども、もっと厳重な規制をして、これを発掘するというようなことをしないと、今のままでは、半ば放任というような気持ちもあるのですが、もう少しきびしくやるというお気持ちはございませんですか。
○政府委員(清水康平君) 古墳、埋蔵文化財の発掘につきましては、ただいま御指摘のありました通り、まあ極端な表現を使いますと、興味本位と申しますか、宝探しのような面がもしあるとしたならば、これはよほど私どもは慎重に指導して参らなければならないと思っておるわけでございます。これを発掘いたす場合には、やはりその方面の専門家、また発掘の経験者が指導者になって発掘するように指導いたしておるような次第でございまして、ただ、あそこに古墳があるから、一つ掘ってみたいというようなものは、掘らないように指導いたしておる次第でございます。 それから考古学上の問題がございますが、これとの調整が非常にむずかしく、しかも大切な問題でございますが、その点につきましても、十分官庁と連絡をとりまして、慎重を期して参りたいと思っております。
○木下友敬君 よくああいうときには、小学校の先生であるとか、それから県の文教関係の方などの、その方面に興味のある、趣味を持っておられる方などが、そういうところに行かれますが、私の考えでは県、あるいは隠れた人はたくさんおるでしょうけれども、各県に、そういう方が一人も二人もおるとは考えられないのです。もっとこれは学問的に深い、造詣のある人がやるべきことであって、少し勉強した人が、すぐ指導者顔をして、これをやるとか、あるいは学校の先生などが学生を引率して、これの発掘に当たっておられるというのに私はしばしば出っくわすのですが、これは何か、そうされることが悪いことじゃないから、中央において、何かこの講習会をするとか、そういうことのできるような人を養成するとかいうようなことでもして、あやまちのないようにしないと、今のままにしておくと、私は将来に、長い昔からの歴史を、このブームで断層を作ってしまう、中断するというようなことになりはしないかと思うので、私は、すみやかに文化財保護委員会では、ああいうものの発掘をする人はこういう資格が要るのだと、だれでもが興味があるから、あるいは県庁に勤めておるから、そういうものについてのかなりの知識があるからというものが勝手にやってはいけないという、何か強い規制を作ってもらいたいと思うのですが、そういう面について、何かお考えございませんか。
○政府委員(清水康平君) 法制的な立場で申しますと、現在の学術上の発掘は、届出制になっておるわけでございます。ですから、法律でみたならば、この届出制をやめて許可制にしたらいいじゃないかということになるわけでございます。もちろん届出制とはいいますけれども、その前に文化財保護委員会としては、中止を命ずるとか、禁止を命ずるとか、停止とかいう措置がありますが、建前は届出制になっておりますので、それを許可制にするかしないか、各国はだいぶ許可制になっておるわけでございますが、その辺は、ただいま検討いたしておるところでございます。 いろいろ貴重な御意見を拝承いたしたわけでございますが、十分検討いたす所存でございます。
○木下友敬君 最後にお尋ねしておきますが、永仁の壷のいろいろ鑑定をした、認定をした、指定をした人はこれは委員長がやったんでしょうが、委員長は河井さんですかね、文化財保護委員会の委員長が指定するということになりますかどうか知りませんが、直接それを、これは重要文化財に値いするときめた人たちは、これがいよいよにせものであるということになりますと、何らかの措置を受けることになりますか、それほどのことはございませんか。あれは間違いだったというので済むものでしょうか。そこのところを一つ。どういう慣例になっておるか。
○政府委員(清水康平君) 重要文化財、国宝の指定は、文化財保護委員会が指定することになっております。 指定する場合には、その方面の専門家が寄っておりまする諮問機関である文化財専門審議会に諮問して、その答申に基づいて、文化財保護委員会が指定するということになっております。文化財専門審議会に諮問するためには、専門機関がそれぞれございますが、多年にわたって調査研究をし、それを専門家同士の会議を開いて、課長、その課だけの会議を開き、局議を開き、そして委員会にもかけ、そして付議し、そして答申があるわけでございまして、永仁の壷の結果は、まだ出ておりませんけれども、よきにつけ、あしきにつけ、その責任は文化財保護委員会にあると思うのでございます。専門審議会は、諮問に対しまして良心的にこれを審議して答申したということだけでございます。
○上林忠次君 文化財に関しましてお尋ねいたしますが、戦後、刀剣類が相当収集されまして、あの始末はどうなっているか、アメリカに分散したのも相当あろうと思いますが、もう十五年もたって、この際手がかりをつけて、これをまた回収するというようなことを考えておられますか。
○政府委員(清水康平君) 刀剣の話がございましたが、せっかくの名刀も、懦夫これを握ればということわざがございまして、外国に行ったものも二、三あるようでございます。指定されてあるものか、指定されてないものかは別にいたしまして、これは、どうも豚に真珠だからということはいえませんけれども、どうもこれは申しわけないからお返ししようと言って返ってきたものも、かなりあるようでございます。正確の数字、私まことに申しわけありませんけれども、覚えておりません。
○上林忠次君 昔から名刀というやつが、相当数アメリカに行っておるということを聞いております。で、今もお話がありましたように、われわれが持ってもしようがない、お返ししましょうというふうな御希望が出ているというようなこともちょいちょい聞いております。現在アメリカに行っているのだけでも五十振りばかりが、国宝級のやつがあるので、国宝になっておりますかどうか知りませんけれども、国宝に相当するようなものが五十振りもある。実は先年、先々年ですか、現在、専売公社におります佐藤という人が、何の用件で行きましたか、ほかの用件で行ったついでに向こうに名前が出まして、刀剣の大家が来たというので、あちこちの町から招待があって、いろいろ刀剣を鑑定してくれというような話で、相当数量の刀剣を見てきた。五十振りばかりあるのじゃないかというようなわけです。 これはあなたの方で相当目星のつくものが、もう数もわかっているかもしれませんけれども、この際やっておかないと、これは無になるのだ、向こうにいって、向こうの人間が持っていても、大した値打ちのないものだから、こういうふうな昔からの文化財を、日本としては今、再収集して、もとに返るものは、向こうの購買品はしようがありませんけれども、ふらふらしている中間品は、戦後のあの処置によって流れていったものは、今のうちに集めなくちゃならぬと私は考えております。 文部省はこれに対して、文化財保護委員会の方で旧刀剣類を収集するということについて、どういう御熱意があるか、これについて御意見をお聞きしたい。
○政府委員(清水康平君) 美術刀剣類が、外国に終戦後出ていることにつきましては、数字はちょっと忘れましたけれども、常に外務省を通じて連絡はとっておるわけでございます。今お話のことも、よく承知いたしておるわけでございますが、向こうの人たちの理解と、こちらの努力によりまして、相当程度返ったことは事実でございます。今後その方面の回収について努力いたして参りたいと思っております。
○上林忠次君 今の問題は、一昨年の問題で、相当希望者もあるし、日本にお返ししましょうというような気持も出ているときでございますから、手っとり早くやらないと、時がたつに従って、これは烏有に帰するということもございますので、今のこの時期に、文化財保護委員会としては、一つだれか人を派遣されて、刀剣の収集をやってもらいたい。この点一つ十分の御熱意で、今のうちに集めるということをお考えおき願いたいと思います。
○野本品吉君 先ほど木下さんからの御意見がありましたので、私も日ごろ、そういうことを考えておりましたから、重ねて私からも申し上げておきたいと思う。 それは、国土の総合開発だとか、あるいは縦貫道路だとか、いろいろそういう仕事が盛んにこれから起こってきており、将来もいよいよ盛んになる。そういうときに、それらの仕事が、多く経済的な効果ばかりに目を奪われて、そうして民族の文化的な遺産であるいろいろなことについて考慮することが足らないと私は思っております。 そこで、このことは、文化財保護という立場からいえば、非常に大きな問題なんで、これは文化財保護委員会と、それぞれの機関との連絡をとっておると言われますけれども、私に率直に言わせますというと、大体においてこの種のことで問題が起こったときに、文化財保護委員会というものは、既成事実の前に圧倒されておる、こういう傾向があるように私は思うのです。従って、あらかじめ十分な検討を尽くし、そうして一つの方針を打ち立てて、そういうような仕事によって、文化財というものが壊滅してしまうことのないようにという、もっと大きな方針を国としては立つべきだと、私はそう思うのです。 この点については、木下先生と私は全く同意見なんで、堂々たる経済開発、産業開発といったようなことも大事なことですけれども、その勢いに押されて、文化財というものが壊滅してしまうことのないように、大きな線を打ち出して、政府部内においても考えるようにしていただきたいと、心から私は希望するわけなんです。 こういうことについては、事前において、たとえば国土の縦貫道路というものの路線がこうきまった、きまりそうだということになると、その路線の上に、どういうものがあるかということにつきましては、工事が始まって、ぶつかってしまってから問題にするというのでなしに、あらかじめ保護委員会としては、その路線上の文化財その他のことについて検討を加えて、その路線の決定その他に有力な参考意見を提供すべきだと思う。そういうようにしておるのですか。
○政府委員(清水康平君) まことに適切な御意見を拝聴いたしたわけでございますが、私どもが一番苦労し、一番むずかしい問題は、ただいま御指摘の公共事業との関係でございます。いろいろな公共事業の計画がありますと、各庁と連絡をいたしております。たとえば史跡名勝天然記念物、建造物はどういう所だということを連絡をいたしておりますが、その際にも比較的、いろんな公共事業は、なるべくそこを避けようとしておられるわけでございます。ただ、古墳につきまして、道路を作っておると、りっぱな古墳が出てきたというときに、一番面くらうのでございます。ところがありていを申し上げますというと、日本の古墳は、一体どこにどういう状態であるかということがわかっておらない、少なくとも何々県のどこには、どういう古墳があるのだという古墳のいわゆる所在調査というものが必要であるという点で、年次計画で十件ずつ、毎年古墳の所在調査をいたしておるわけです。そこはぜひ公共事業としては避けてもらいたい。それ以外の所を掘っていたところが、出たという場合には、工事は一時中止していただきまして、記録をとり、写真をとったりして、保存に資しておるような次第でございます。 たとえば、東海道線の問題にきつましても、国鉄その他からも非常に理解と協力を賜わっておるような次第でございます。
○野本品吉君 それで一つ。実は先だって私は、かねて関心を持っておりましたので、飛騨の合掌作りをこまかく見てきたわけです。そこで、その前に松江で、例のラフカディオ・ハーンの遺跡がありますね、その両方を見たときに、いつも聞くのですが、手をつけられないように保存指定がされておる。あの大きなうちに、一体どれくらいの維持費が出されておるかということ、どれくらい出ておりますか。おわかりにならなければ、あとで調べて……、とにかく多くはないということはお認めになるでしょうね。
○政府委員(清水康平君) 飛騨の合掌作りについては、私全然記憶にないのでございますが、お寺とか神社はまだいいのですが、民家を指定した場合に、その管理維持費がどうなるか、そこに困難があるわけでございます。一たん指定いたしますと、窓を作るにしましても、御承知のごとく原状変更の許可を得なければならぬ、しかも維持費はどうするか、膨大な家はどうするかということになるわけでございまして、これもありていを申しますと、文化財保護委員会に今後課せられた一つの課題じゃないかと思うわけでございまして、具体的の今の御質問につきましては、調べまして、お答えをいたしたいと思います。
○野本品吉君 文化財保護委員会が、その必要を認めて、個人の住宅の保存、維持について責任を持たせ、また自分の家でも勝手に手がつけられないようになっているという点からいうと、少なくともそれも維持費に必要で十分な費用だけは見てやるようにしないと、これはどうも非常に気の毒だと思う。その費用が足らない場合には、おのずから、こんな大きな家を置いておいたってしょうがないから、半分壊しても大き過ぎてしょうがないほど大きいのですから、半分つぶしてしまえということになるので、私はこの前、小泉八雲のあの家を見たときも、今度見たときも、やはり個人の住宅、個人の所有の建物の維持保存を指定しているようなときには、それに十分なことをしてやらないと、指定の意味というものがなくなってしまうと、こう思うのですが。 それからもう一つ、これは大きな問題だから、私は今結論を求めようとはしておりません。実は学界でも大きな問題でありますし、私の県の群馬、それから委員長の県の新潟にも関係があるのです。尾瀬沼なんです。尾瀬沼の問題は、文化財保護委員会の立場と、それから電気事業者との間に非常に大きな問題になる。今結論が出ておらないようでありますけれども、いずれはこれは電気事業という観点からいくというと、幾つかの県に関係してくる。 そこであれを一体どうするのかということで、いろいろ御研究になっておろうと思うのですが、その後の研究の、結論はよろしいですから、経過だけを一つ承っておきたい。
○政府委員(清水康平君) 尾瀬の只見川の上流にダムを作りたいということは、二つの関係の会社が計画しているようでございます。文化財保護委員会にはまだ正式の申請も、連絡もございませんが、文化財保護委員会といたしましては、あの尾瀬、尾瀬沼一帯が日本の最も、あるいは世界的な湿原地帯であり、動物、植物の生態等から見ますと、非常に大切なところであります。しかし反面そういうものを尾瀬の非常に狭い部分でありまするけれども、建てようという御計画があるやに聞いておりますので、それが一体建った場合、どういう影響を及ぼすであろうかということは、専門審議委員、または専門機関も数次にわたって調査いたしておる次第でございますが、ここでもって、まだ結論を申し上げるところまでいっておりませんことを一つ御了承願いたいと思います。
○野本品吉君 この問題は、将来非常に大きな問題になろうと思う。 そこで文化財保護委員会のそういう研究と、一方電源開発の立場に立っての調査とが、一体どういうふうに進行しているかということが私どもの関心事なんです。そういう点からいっても、もうすでに私の見当では、尾瀬の水を利用して、これだけの電力を出そうじゃないかというようなことが具体的に進行しているのですね、しつつあるようです。そういうときに文化財保護の立場からも研究になっておると思うが、その両方の研究というものが、ちぐはぐになっていますというと、最後になると、最初に私が申しました経済効果ということが問題になってくるのだが、経済の前に、文化的な遺産というようなものが影をひそめていってしまう。それを私はいいたいわけなんです。 ぜひこの点についても十分御研究を願って、まあ、文化財保護という立場からも、尾瀬の一般が言っておりますように世界的にも珍しいあの湿原の自然というものを、どう守るかということについて、一段の関心を持って処理していただきたい。これで終ります。
○委員長(佐藤芳男君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もないようでございますから、昭和三十三年度決算書のうち、文部省関係の質疑は、これをもって終了いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十五分散会