外務委員会 第5号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/02/28
会議録
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、本院の先議として先般提出されております、航空業務に関する日本国とベルギーとの間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を一括議題といたしまして、提案理由の説明を承ることにいたしたいと思います。
○政府委員(津島文治君) ただいま議題となりました航空業務に関する日本国とベルギーとの間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 わが国とベルギーとの間の民間航空協定締結のための交渉は、ベルギー側の要請に基づき、一昨年二月から東京で行なわれ、その結果協定案文について合意が成立いたしましたので、同年六月二十日に東京においてこの協定の署名を行ないました。 この協定は、わが国とベルギーとの間に民間航空業務を開設、運営することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件を定めますとともに、両国の航空企業が実際に業務を運営する路線を定めているものでありまして、従来わが国が米国、英国、フランス、スイス、インド等との間に締結した航空協定と、形式においても内容においてもほとんど同一であります。この協定の締結により、わが国及びベルギーの航空企業は、それぞれ相手国の領域に対し、双務的かつ平等の立場において乗り入れる権利をもつこととなるのみならず、両国間の政治、経済及び文化上の友好関係も一そう促進されるものと期待されます。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次に、ただいま議題となりました航空業務に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 わが国とドイツ連邦共和国との間の民間航空協定の締結につきましては、昨年ドイツ側より交渉開始の申し入れがあり、わが国といたしましても、本年末までにドイツを経由する欧州線の開設を計画しておりましたので、政府は、この要請に応じ、昨年九月からボンで交渉を行ないました。その結果協定の案文について合意が成立いたしましたので、本年一月十八日にボンでこの協定の署名を行なった次第であります。 この協定も、ベルギーとの間の協定と同様、さきに締結された米国、英国、スイス、インド等との間の民間航空協定と同じ目的と意義を持つものでありまして、その形式においては従来の協定と異なる点もありますが、内容的にはほとんど同一であります。この協定の締結により、わが国及びドイツの航空企業は、それぞれ引手国の領域及びその領域を越えての民間航空業務を開設運営することができるのみならず、日独両国間の政池上、経済上及び文化上の友好関係も一そう促進されるものと期待されます。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。 ―――――――――――――
○委員長(木内四郎君) 次に、予備審査として送付されております、国際電気通信条約の締結について承認を求めるの件を議題として、提案理由の説明を承ることにいたしたいと思います。
○政府委員(津島文治君) ただいま議題となりました国際電気通信条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、現行の一九五二年の国際電気通信条約を改正する目的をもって、一昨年十月からジュネーブで開催された国際電気通信連合(ITU)の全権委員会議において作成されたものでありまして、わが国も全権委員を派遣して新条約の審議に積極的に参加し、一昨年十二月二十一日に他の八十四カ国の全権委員とともにこの条約に署名を行ないました。 この条約は、国連の専門機関の一つである国際電気通信連合の基本文書であり、現行条約と同様、国際電気通信連合の構成、目的及び組織を定めるとともに、電気通信に関する一般規定、無線通信に関する特別規定等を掲げており、現行条約の実施の経験にかんがみ、今日の事態に適応した改善が加えられております。 この条約は、本年一月一日に発効し、現在までに批准を行なった英国、スエーデン、スイス等八カ国の間においてすでに効力を生じております。今回新たに連合の管理理事国に選任されたわが国といたしましても、この条約の当事国になることによりまして、電気通信分野における国際的地位をさらに向上せしめ、かつ、この分野における国際協力に積極的に寄与することができますとともに、わが国の電気通信業務の伸長発展を期待することができると考えられます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(木内四郎君) ただいま説明を聴取いたしました条約三件の質疑は、これを後日に譲ることといたします。 ―――――――――――――
○要員長(木内四郎君) 先般すでに提案理由の説明を伺いました、日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
○佐藤尚武君 その審議に入る前に航空問題についてでございますが、そのうちに、今委員長が言われたごとく、本審査に入るのでございまするが、その際、日本と諸外国との航空の現状、それからまた、欧州方面との将来の日本航空の発展をどういうふうに発展させていこうかというようなことについて、適当な係の方から説明を求めたいと思うのですが、それを一つお考えに入れておいていただきたいと思います。
○羽生三七君 賛成です。
○委員長(木内四郎君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(木内四郎君) 速記を始めて。 ただいま佐藤さんからお話のありました補足的の説明は、次回に、先ほど提案理由を伺いました本審査二件を議題として審議を進める際に、政府から求めることにいたしたいと思います。本日は、ただいま申し上げましたように、ただいま御説明を伺いました条約三件に対する質疑は後日に譲りまして、ただいま申し上げました文化協定二件を議題として質疑を進めたいと思います。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 この文化協定については、条文の上から見て、特に何も問題があるとは思いませんが、実体的に、この両協定を結んで、どういうことが直ちに起こってくるのか、また、現に起こっている問題を処理するために協定を必要とするのか、その辺を補足的に一つ説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(中川融君) ブラジルとの文化協定及び連合王国との文化協定二条約案の御審議を願っておるのでございますが、これは、いずれもそれ以外の今まで結んでおります約十の文化協定と同じ内容でございます。ただいま御指摘のありましたように、ブラジルと連合王国のものとを比べますと、若干表現等に違いがございますが、これは、ブラジルの分の方がこの文化協定によって行なう活動が少し制限的になっております。それは、両国との文化的の交流の実際的の状況等からこのようになっております。ごらんになりますと、たとえば、証明書はお互いに同等の効力を認めるというように、お互いでいろいろ検討していこう、両方とも第五条でございますが、いろいろ資格証書でありますとか、学校を出たときの証善導がございますが、イギリスの方の分は相当広く書いてございます。イギリスの方の分で申しますと、学校で出すものばかりでなく、政府が出されるというようなものも入っておるのでございますが、ブラジルの方は、学校で出す証書だけがお互いに同等の効力を承認するように、今後可能性を検討するというようなことになっているのでございます。これらが違っておりますのは、ブラジルの方が、どうもそういう証明書を日本の人に出すということについて、あまり自由に出すのがどうか、たとえばお医者さんでありますとか、弁護士であるとか、そういうものの資格証書までも、たとえば日本でそういった資格があったものがブラジルでも同じ資格を持つということは、日本人がたくさんブラジルに行っているような事情から、ブラジルとしては、やはりこれは慎重に考えなければいかぬというような考慮があるようでございまして、これらについては大体同じようなことを規定しておるのであります。これは、従来の協定でも同じ問題があるのでありますが、文化協定というのは、一つもその協定自体ですぐ動くという規定はないのでございまして、この協定は、今後両国が文化の交流をできるだけ促進するためのいわばベースになるというだけでございまして、実際にやることは、検討するとか、あるいは奨励するとか、便宜を与えるというようなことが書いてあるのでございます。これは、文化協定全体に共通する問題であるのであります。この十幾つかの文化協定に基づきまして、各相手国との文化交流にどの程度資するかということは、その年の予算できめました経費に応じまして、外務省なり文部省なりで協議をいたしまして、現実にこの具体的のプログラムをきめていく、こういうことになるわけでございます。 それでは、現実にブラジルないし連合王国とどの程度の文化活動を予定しているかということでございますが、ブラジルの方から申しますと、今一応予定しておりますのは、サンパウロの国際美術展へ参加すること、あるいは日本図書展の開催でありますとか、あるいはサンパウロの映画祭に日本の映画を送りまして、日本映画祭というようなものを予定しております。このようなことが今一応予定されているプログラムでございます。しかし、この協定ができますと、できるだけ、予算の範囲内で、文化人とか、学者及び留学生等が交流する道を積極的に開きたいと思うわけでございます。なお、現在リオデジャネーロには文化会館というものがございます。なお、サンパウロに文化普及協会というものがございます。この二つの文化交流団体の活動を促進したい、かように考えるものでございます。 また、イギリスとの間におきましては、ここ四、五年の間に相当文化関係の交流が盛んになったのでありまして、約三年ほど前には、日本の古い美術の粋を集めましたものが欧州各国を展覧して歩きましたが、これがイギリスにおきまして相当の名声を博しまして、日本文化の紹介に非常に役立ったのでございますが、すでに、文化協定を待たず、このような文化活動が行なわれております。しかし、今後さらにそれを共通の基盤において進めていきたいというふうに考えているのでございます。今、イギリスとの関係で一応予定されておりますのが、版画の棟方志功さんの展覧会を開く、あるいは禅――仏教の禅宗でありますが、その禅の絵がございます。禅宗関係の古い絵がございますが、こういうものを集めました展覧会を開く、あるいは日本の学校の子供が書きました絵を――これは、すでに一年ほど前にも、日本の小学児童が書きました絵をイギリスで展覧いたしまして、好評を博したのでございます。この小学児童の絵の展覧会というふうなものもやっていきたい。さらに、日本の映画、これは各国において非常に今好評を博しておりますが、この映画祭をイギリスでも開くというようなことを考えております。それから、エジンバラで毎年国際映画祭がございますが、エジンバラの国際映画祭へ日本が積極的に参加すること、また、ローヤル・バレー団というのがイギリスにございます。これは、マーゴットフォンティーンというバレーの名手を、日本にも参りましたが、これをまた日本に招待するというようなことを一応考えているのでございます。日英関係は、日本としては非常に重視しているのでございまして、今後ぜひこの文化協定をもとにいたしまして、日英文化交流を促進したいと考えている次第でございます。一応、簡単でございますが……。
○羽生三七君 この協定が成立する以前においても、自由な文化の交流があったと思うのでありますが、こういうことは、もちろん異議のない、賛成する問題ですけれども、特にこの協定を結ぶことによって、結んだ方がいいにきまっているけれども、結ばない場合の不利益といいますか、障害、結んだことによって得られるプラス要因、どういう違いがあるのか。それは、予算上で何か援助してやるとか、何かそういう点が大きな条件なのか。どういう点でしょうか。
○政府委員(中川融君) 文化協定がなくても、もちろん文化交流は常に実施しなければいけないわけでございまして、外務省としても、常に相当心がけてやっておるのでございますが、やはり文化協定ができますと、共通の基盤ができたと申しますか、同じ大蔵省に予算を請求するにあたりましても、おのずからこちらの外務省として請求しやすいということが、まず第一に対内的にはございます。また、限定された予算でありますから、それを分けるにあたりましても、おのずから文化協定のある国に対しては自然分け得る分量が多くなる。従って、その国との文化交流は、やはり文化協定がない場合に比べて、得る方が促進されるということが対内的にございます。なお、対外的には、文化協定というのは、一つは、単に文化の交流ということだけではなくて、その国との親近関係を増すという、目に見えない一つの政治的な効果があるわけでございます。やはり文化協定を特に作る国との間柄というものは、政治的にもある程度の緊密関係に立ち、今後も積極的にその緊密関係を増進しようという国との間に文化協定を作るというところに相当大きな値打があるのでありまして、たとえば、イギリスの場合について見ますと、やはりイギリスと日本との関係が、この間の戦争以後相当冷たい関係が続いたのが、いよいよ通商航海条約の交渉も始まり、同時に文化協定を作ろうということに踏み切ったこと自体が、相当政治的に大きな意味合いを持つということになるのでございます。 なお、イギリスの立場あるいはブラジルの立場といたしましても、日本と大体同じことでございまして、文化協定によって予算がこのために特につくという――そのこと自体からはないわけでございますが、積極的な意欲というものがおのずから出てくる、そういうところにねらいがあるのでございます。もちろん、今後混合委員会というものが両国との間にできまして、その混合委員会が一年あるいは二年に一回ずつ会合いたしまして、そこでプログラムを作るわけでございまするから、従って、従来に比して文化交流がよりひんぱん、また積極的になるということは、当然想定されるところでございます。しかし、われわれとしては、そういう具体的な文化交流以上に、むしろ両国の親善関係がこれによってシンボライズされるということがねらいになっておるのであります。目に見えるもの、目に見えないもの、双方の効果が出てくると思います。
○委員長(木内四郎君) 他に御質疑はございませんか。
○佐藤尚武君 今の羽生委員の御質問に関連しておるようなことでありますが、この文化協定を結ぶということによって、イギリスと日本との関係が親近さを加えるというような今局長の御説明であったのであります。イギリスでは、これは、私は単に新聞等でばく然と読んだだけの話でありまするけれども、今までは、非常に日本人にとって不愉快な映画がときどき上映されるというようなことがあったらしいのであります。ロンドンのピカデリーなどで、戦争中の日本兵の残虐行為などが、非常にえげつない看板を掲げて上映されておったとかいうので、日本人は非常にそれを見ていやな気持がしたというようなことが報道されておったのであります。そういうようなことは、この文化協定を結んだあと、そういうことのないように情勢が緩和されていくものであるかどうか。この協定それ自身には、そういうような相手国の感情を悪くするようなことはやらないとか何とかという、そういう規定は一切ないようでありますが、それにかかわらず、この協定を結んだがために、実際面において、そういったような国交に悪い影響力を及ぼすような文化活動をやらないということになり得るものであるかどうか、その辺の御説明をつけ加えてお願いしたい。
○政府委員(中川融君) ただいま佐藤委員の御指摘になりました通り、この協定自体に、相手国にとっていわば不利益なような、あるいは相手国が感情を害するような映画とか何とかを作らない、上映しないというような規定はないのでございまして、この協定それ自体からそういう効果が直接出てくるということはございません。しかしながら、われわれとしては、この協定を契機といたしまして、両国間の感情がより親密になってくる、ほぐれてくるということを期待しております。そういう関係から、そういう排日映画というようなものはあとを絶つであろうということを十分期待していいであろうと思っておるのでございます。現実問題といたしまして、御指摘の映画が上映されましたのは、約五年前であったかと思いますが、その後排日映画式のものはイギリスでは出ておりません。このごろいろいろイギリスで作られます映画、戦争を舞台とした映画は、戦争ということはあるけれども、お互いの人間の感情には変わりはないという意味でのむしろ映画にだんだん変わってきております。御指摘になりました、あれは流血等の惨事とかいうような題の映画でございましたが、そういう映画自体に対しても、これは相当イギリス世論の批判がございまして、戦後十数年たったにかかわらず、なおああいういやなことを思い起こすような映画を今でも作っておるという、いかに商魂たくましいとはいえ、そういうのはよくないじゃないかという論が、相当新聞、雑誌等にも出ていたのでありまして、あれを契機として、その後はそういう映画もなくなり、また、本等も、そのころまでは、昔の戦争の思い出を書きました本も出て、相当広く売れた本もあったのでありますが、その後は、大体むしろ日本文化を紹介するような本、こういうものが非常にこのごろたくさんイギリスでは出てきているという状況でございますので、文化協定それ自体からそういう効果が直接出てきたわけじゃございませんが、文化協定を作ろうというような空気になってきたということは、同時に、イギリスにおける対日感情というものが、峠を越したということをやはり物語っているのじゃないかと思います。もちろん、これで混合委員会ができますと、そういうところで、いろいろまたそういう面についての注文等も出し得ると思います。佐藤委員御承知のように、イギリスの法制から見ますと、映画というものを政府が積極的に統制したり禁止したりするような実は法的基礎はないわけでございまして、いかに政府に話しましても、世論が変わってこなければ、そういうことはやり得ることができないわけでございますが、この文化協定を契機といたしまして、そういう政府のいわば指導による世論の動きというものがやはり変わってくるということを十分期待していいのじゃないかと考えております。
○羽生三七君 これを実際に適用する場合に、たとえば、イギリスとの関係で、「東京においては委員長を含む三人の日本国の委員及び」云々とあるわけですし、それから、ブラジルとの関係でも、「各委員会は、五人、すなわち、一人の委員長並びに日本国政府が任命する二人及びブラジル合衆国政府が任命する二人」と、こういうふうになっておるのですが、こういう場合はどういう人選になるのか。それから、こういう委員会、つまり文化交流を促進するための委員会というのはどういう構成をとるのか。この委員会、ここに条文に掲げられておる委員会がおやりになるのか、何か別にそういうための特殊な、国内的な、条約と直接つながるわけではないが、国内的の何らかの交流促進委員会を設けるのか、この条約に定められた委員の構成やメンバーはどういうことを予定しているのか、国内的には、これだけで、ほかに問題はないのか、つまり、条約上の規定だけで、他に特定の国内の委員会は作らないのか、その辺はどういうことになるのですか。
○政府委員(中川融君) 今、文化参事官が参りましたので、文化参事官からお答え願いたいと思いますが、条約の上で私から簡単に御説明いたしますと、混合委員会をどういうふうにして構成するかということでございますが、御承知のように、これは大体二つ委員会ができるのでございまして、日本にできる分と、向こうにできる分と、二つございます。日本にできる分につきましては、日本側から出す委員は、原則といたしまして、外務省から一人、文部省から一人、民間有識者から一人ということで出すしきたりでございます。それから、ここに日本でできるものについては、イギリス側あるいはブラジル側から出ますのは、原則として大使官の人が出るということになります。また、先方にできます委員会、たとえばロンドンでありますとか、あるいはリオにできます委員会、これは、それと構成が大体逆になるわけでありまして、日本側は主として、人がおりませんので、大使館の文化関係者等が出ますし、向こう側からは、やはりそれぞれの所管省の人あるいは民間人が出るということになるのが例でございます。また、その委員の任命につきましては、特に別に法制その他の処置はとりませんで、外務省から委嘱するという形をとることになるのでございます。
○羽生三七君 委員長という場合はどうなるか、混合委員会の委員長は。
○政府委員(中川融君) 委員長は、東京でできますものにつきましては、日本側の委員の中から委員長を選ぶ。現地でできますもの、向こうでできますのは、向こう側から委員長を選ぶということになります。
○羽生三七君 両方から委員長を選ぶわけじゃないのですね。締約両国間で一人の委員長を選ぶわけじゃないのですね。
○政府委員(中川融君) つまり日本でできますときは、日本側から三人、イギリスあるいはブラジルから二人ということに構成されますから、委員長は当然日本側から出る。現地の場合はそれの逆になるわけでございます。
○加藤シヅエ君 日本からよく歌舞伎が行くとか、文楽が行くとか、あるいは特定の映画が外国に行くとか、あるいは外国からその国の文化的なものが何か日本に来るというような場合に、この協定というものと一々関係のある何かの形で持つのでございますか。それとも、そういうものは協定ができても全然持たないで行く場合もあるのでございますか。
○説明員(高橋明君) お答えいたします。 理論的にお答え申し上げますと、協定のあるなしにかかわらず、国際間の文化交流というのは望ましいわけでありますので、日本から歌舞伎が参りますとか、あるいはロンドンのロイヤルバレーが参りますとかというようなことは、文化協定があるからやるとか、ないからやらないということではなくて、一応それとは無関係に行なわれるのでございますが、文化協定でこういうものを盛んにし、便宜を供与するというような奨励規定になっておりますのは、そういうことが起きましたときにも、この方面で認められております範囲内で、できるだけそれに可能な援助、便宜供与をして、ますます盛んにしたい、こういう関係では、文化協定とのつながりが出てくるわけであります。
○加藤シヅエ君 私は、こういう文化協定によって両方の国の文化交流をさらに盛んにするという、そういう意図は大へんけっこうなことと思うのでございます。今、外務御当局の御説明でも、特にどうこうということがなくても、その協定両国間の政治的な親近感というものを増す上にやはり非常に役に立つ。そういう目的もあるというような御説明を伺いまして、それも大へんにけっこうなことだと思うのでございますけれども、さらに、もう少し文化交流というものに今日では積極的な意義を持たす必要のある時代になっているのではないか、こういうふうに私は思うのでございます。それは、たとえばソ連圏の方の国から文化的なものをソ連圏でない国に、まあ日本のような国によこしましたような場合には、それが古典的な演劇であろうと、あるいはサーカスのようなものであろうと、どんなものであっても、その国のイデオロギーの宣伝に積極性を持たしている。そしてその国の予算の非常に大きな部分を計画的にそういうものに持たせて、そしていわゆる自分の国のイデオロギーの輸出はしないと申しますけれども、そういうような意義は十分に持つ効果が現われている。そういうふうにやっていると思うのでございます。それに対しまして、単なる文化協定というようなわけで、まあそのつどの思いつきで、日本のお能であるとか、歌舞伎であるとか古いもの、あるいは小学校の子供の作品であるというような新しいものを、あまりはっきりした目的というものを持たないで、お互いに交換しているにすぎないというような文化協定だけで甘んじているということは、あまりにも消極的過ぎるのではないか。やはり日本というものが、もし文化的な交流をする必要があるなら、やはり何かそこにもう少し広い深い計画性、そして目的というようなものを持ってやるということを今日は考えなければならない。私はこういうふうに思うのでございますけれども、この文化協定というようなものが今問題になっているときに、外務省当局などでは、もっと積極的なものを将来お考えになるというような、今までそういうお考えによって何かお話し合いがあるのですか。将来そんなことを考えていらっしゃるということがおありになるかどうか。それを伺いたいと思います。
○説明員(高橋明君) ただいまの御説は、まことに同感でございます。できるだけ国際間の親善友好を促進するために、お互いにいいものを交流し合うということは、ほんとうにけっこうでございまして、できるだけそういうことに努力して参りましたし、今後もいたしたいという考え方でおるわけでございます。しかしながら、この政府で面接企画いたしますような文化事業、こういうようなものは、おのずから予算の制約を受けるわけでございます。最近は、逐年その文化関係に支出されます予算も増加して参りまして、前よりはよくなりましたけれども、まだ何分にも十分という段階ではないと思います。しかし、その与えられました予算のワク内で、できるだけ効果的な、有効と思われることをやっていきたい。また、御承知のように、文化交流の仕事は、基本的には民間ベースでの交流が相当盛んであるべきでありますし、また、現に盛んに行なわれているわけでございます。そういうものは、予算を使わないでも、政府でできるだけの便宜供与をいたしまして奨励するというようなことで、民間の交流事業もできるだけこれを盛んにするように今後もやっていきたい。こういうふうに考えているわけでございます。
○加藤シヅエ君 今の御答弁は、現在の実情の御説明にすぎないと思うのでございますけれども、こういうようなことは、もとより政府だけでできることではなくて、民間の方々の知恵を大いに拝借しなければできないことでございますから、まあ民間を含めた審議会というようなものでも作って、もっと大きな規模で、そしてそれに政府が予算の裏づけをすることに御努力を下さるというような形ででもやっていかなければならないものかもしれません。私は、将来にもう少し、そういうようなことで、積極的に外務省なんかがやはり中心になって、民間の知恵を借りながらそういうことをするというような積極性を持たす必要があるということをこの際申し上げておきたいと思うわけでございます。
○笹森順造君 今、文化協定の締結で、二つの国との問題を審議しているわけでありますが、文化協定が両国の間にあるとなしとにかかわらず、両国の国民の相手国をほんとうに理解してもらう根本となるものは、何としてもその国の教科書が相手国をどう一体説明しているかということが従来とも非常に問題になってきておったわけでありますが、私どもは、日本が紹介される意味で、ずいぶん不満足なものを過去において持っていた。この問題に対しては、むろん外務省もそうでありましょうが、文部省も、今までいろいろと骨を折って、それを適切なものに直してもらうために、いろいろな方法を講じてきたことも承知をしておるわけでありますが、現在において、なおやはりこれらの点で私どもは不満足なものを感ぜざるを得ない。こういう意味で、日本のむろん歴史を知ってもらうことは当然でありますが、現在の日本の姿というものがずいぶん歪曲された絵なり、あるいはまた文章なりが風俗習慣として出ておるということを今でもときどき散見するような状況なんですが、これらの点について、現在において、この文化協定を結ぶについて、特に外務省の方で、どういうような判断に立って、たとえば英国における日本に関するそういう小学校の、あるいはまた中学校あるいはそれ以上の学校の教科書で出ておるか、あるいはまた、ブラジルの方で、どういう工合にそれが表われておるかということについて、具体的にもしも私どもに説明して下さることができるならば、この際承りたいと思います。
○説明員(高橋明君) 諸外国で出ております教科書等のうちで、日本に関します記事、そういうもののうちで、まだ遺憾ながら間違った記事、あるいは古い統計とか数字とかが使われておるというのが往々にしてあるわけでございます。そういう場合に、これを正しまして、現在の日本の正しい姿を伝えるようにする方法といたしまして、直接申し入れをするというようなことも考えられないわけではございませんが、その方法より、積極的に現在の日本の姿を、たとえば写真とかあるいは統計その他パンフレット、図書、こういうようなものを積極的に配布供給いたしまして、そこで向こうの関係者の手によって自発的に訂正をし、日本の正しい姿を向こうの教科書の上にも表われるようにするのがより適当と考えまして、現在やっておりまするのは、そういう考え方で、こういう記事が今後少なくなる、そしてなくなるように現在努力いたしておるわけでございます。このために、先ほどもお説がありましたように、こういうような仕事を政府が直接やりますと同時に、民間の方の御協力を得てやることもきわめて有効なことになりまするので、国際教育情報センターという民間の団体ができまして、その方で世界各国の教科書、図書等を取り寄せまして、そしてそこに何らかの誤りがないかというようなことをよく調べております。そこにそういうものがありますれば、今申し上げたような方法で、これの矯正に努めているわけでございます。そういう団体が幸いございますので、外務省の方でも、その団体の活動をさらにりっぱに拡大していくように、予算の点におきましても御配慮をお願いしているようなわけでございます。
○笹森順造君 続いてもう少しだけお尋ねしたいと思うのですが、今のお話で、おもに民間団体におけるそれらに関心を持って世界各国の教科書を集めている、それに対して外務省ができるだけの協力あるいは援助、助成を与えて、そして是正をするようにしている、こういうようなお話なのですが、なお、外務省自体としても、いろいろな新しい日本の姿を表わしたような説明したものが出ているようでありますが、最近において、そういうようなものを特に両国――両国ばかりじゃありません。今文化協定を結ぼうとしております両国のみならず、どういうものを年々どういうところに現実出しているかというようなことがありましたら、はっきりその名前と、それから出している場所等がお答えできればお答えを願いたいと思うわけでございます。
○説明員(高橋明君) お答え申し上げます。 そういうような趣旨で、積極的に政府の方でも、幸い在外公館を世界各国に持っておりますので、在外公館を通じて啓発、宣伝に努めているわけでありまするが、具体的にどんなことをやっているかというお尋ねでございますが、大体簡単に申し上げますと、日本関係の図書、レコード、それから写真、映画フィルム、その他日本の陶芸品、人形、その他日本の性格を象徴するような、生花とか、日本の茶器というようなものもございますが、そういうものを配布いたしております。そして図書は、大体各公館平均数で申し上げますと、百五十冊程度、レコード約五十枚、映画フィルム、これは所によって違いまするが、平均いたしまして三十本程度、こういうようなものを現在配付いたしております。これは各在外公館に手持ちいたしまして、そしてそれを機会をとらえて紹介しているわけでありまするが、向こうの関心のある学生とか教授とか、その他の人々に無料で提供をするというようなパンフレット類、たとえばジャパン・オブ・ツデーという、これは英文及び仏文、最近ではスペイン語版もできておりまするが、それからファクト・シースと申しまして、ごくわかりやすい日本のあらゆる分野にわたる状況、産業経済、文化、人口、食糧問題、こういうようなものをわかりやすくいたしましたカタログ式のファクト・シース、そういうものを作成いたしまして、これを各公館を通じて各国の方々に無料で頒布いたしております。
○笹森順造君 諸外国の在外公館、つまり日本の在外公館、大使館なり領事館へ行ってみますと、ずいぶん日本のことを説明する本、かたい本もあるし、そうでないものもありますが、この中には、外務省自体が出したものでなくて、民間の人が発行しているものも、それ相当にたくさん出しておるようでありますが、これらの利用を一体外務省はどういうような態度で利用しておるのか。これをどういう工合にしてあるいは奨励し、活用しておるのか、その方針はどうなんですか。その点の方針を一つお聞きしておきたいと思います。ずいぶんそういうものがまぎれ込むといいますと語弊がありますが、そういう雑誌だとか本だとかを持って行って、大へんいいものもあるが、また、そうでないものもあるだろうが、それらの選択なり利用する方針はどうしておられるのか。私ども見て、これはいいなと思うものもあるし、どうかなと思うものもときには散見するんですが、それらに対してどういうふうな方針をとっておいでなさるか、ちょっと御説明願いたいと思います。
○説明員(高橋明君) もちろん、政府で刊行いたしておりますパンフレット、図書類のものは、きわめて予算が限られておりまして、民間の方にかなりいいそういった資料ができております。そこで、民間の方で出ました日本関係のりっぱな図書あるいは刊行物、こういうようなもので、日本の実情を紹介するのに適当である、きわめていいものであるというようなものは、予算をいただいておりまするそのワクの中から買い上げまして、在外公館に送りまして、そうして外においてこれを活用するようにいたしておるわけであります。それは、場合によりましては寄付を受けますこともございます。これは自発的に寄付をするから大いに活用してくれというようなお話もたまにございまして、そういうものをいただきまして、これを活用するというようにやっておるわけでございます。今後も、民間の方でできますそういういいものは、与えられた予算の範囲内で買い上げて、これを活用していきたいという考えでございます。
○笹森順造君 ほかに御質問のある方もあるようですから、私、簡単にお尋ねして、簡単にお答えを願いたいと思います。二点だけお願いします。 国内における国際文化活動に関して、現在やっているもので、外務省が助成している団体、それはどういうもので、しかもどういうような工合にそれを見ているかという点。それからもう一つ、最後に、英国からいろいろなものを私どもはもらうのですが、イギリスはこう考えるとか何とかというようなことで、盛んにイギリスの宣伝をするようなものももらうのですけれども、英国は、現に日本に一方的に、日本がやっている以上、英国の文化活動というものを一方的にPRをしているんだというような印象を受けてならないのですけれども、英国はどういうことをやっているか。また、これに対応して日本がどれだけのことをしているか。この二点を簡単に御説明を願います。それで私の質問を終わります。
○説明員(高橋明君) 御質問の第一点でございまするが、現在文化関係の民間団体で、外務省の方で予算的にもめんどうを見まして、その活動を支援しておりますのは、一つは、御承知のように、国際文化振興会でございます。国際文化振興会は、戦前からございます団体で、戦前は、なかなか十分の予算をいただきまして、海外でもその名前が通っている団体でございます。しかし戦後、全体の財政の状態の関係で、政府の補助金もきわめて圧縮されまして、活動もおのずからどうしても十分でなかったのでございまするが、このところ、だんだんと民間の文化交流というものが盛んになりますのと相つれまして、予算の方も少しずつ増額を御承認願いまして、たとえば、昨年アメリカとの日米修好百年祭に際しましては、歌舞伎をアメリカに派遣いたしまして、またその前には、日本の雅楽を初めて紹介いたしました。まあそういうような、またその他日本の文化を紹介する図書の出版、特に美術方面の、日本の伝統的美術の紹介、図書の編集、編さんというようなことも、これはまあ例示的に申し上げましたが、そういうような仕事を最近できるようになって参りました。 また、文化事業の一つでございまする、各国の日本留学生の受け入れ機関でございまする国際学友会というのがもう一つの団体としてございます。これは、御承知のように、東京には新宿の柏木に本部がございまして、関西にも支部がございます。これは大阪でございます。それから、九州博多にやはり九州支部ができました。それぞれ東京、関西並びに九州に留学します外国人学生の宿泊施設及び日本語の教育等というようなことに当たっているわけでございます。これも、御承知のように、日本に参りまして勉強をしております外国人学生は、東南アジアの学生が非常に多いのでございまするが、これも、今後もだんだんと日本に留学したいという希望がふえる傾向にございまして、この受け入れ施設であります国際学友会の施設も、現在の状況ではまだまだ不十分で、今後増設をしていかなければならないと思いますし、また、東京、大阪、九州だけでは足らなくて、ほかの地区にもやはり今後はふやして参らなければならないと考えておるわけでございますが、大体直接文化交流関係の仕事をしています団体としましては、この二つでございます。 それから第二点でございますが、御質問はたしか、たとえばイギリスが日本にやります文化活動が一方的であって、日本がそれに対して十分にこたえていないではないかという御質問でございます。各国との実情に応じまして、それぞれ効果的な事業をやるようにいたしております関係で、必ずしも同じような分量と申しますか、向こうが二つのことをやったから、こちらも二つやるというわけにはなかなか参りませんので、場合によりましては、先方がたくさんの事業をいたしましたのに対して、こちらがその三分の一くらいしかないということもあり得ますので、あるいはそういう御印象を持たれたかと思いまするが、たとえば、イギリスを例にとりますれば、日本の古美術展がロンドンで行なわれましたほかに、文化人の招聘計画といたしまして、美術館の関係者を日本に招待するとか、あるいは留学生をこちらに招聘する。もっともこの留学生も、先方が呼んでおりますのは、大体年十二、三名であります。それに対しまして、日本が呼んでおりまするのは一名ないし二名でございますから、確かにそういう意味では非常にバランスがとれていないというお説は、全く残念ながらその通りでございますと申し上げるわけでございます。
○鹿島守之助君 日本とブラジル合衆国の間の文化協定のこの前文に、「国際連合憲章の高遠な理想」云々とあるし、それからイギリスと日本と、グレート・ブリテンそのほかの方にないのですが、その区別はどういう点でございますか。
○政府委員(中川融君) 一番先にも申し上げました通り、イギリスとブラジルの文化協定、大体似てはおりますが、いろいろ表現その他には違いもあるのでございますが、ただいま鹿島委員の御指摘になりました、前文の国連憲章を引用している点、そのことも違う点の一つでございます。これは、日本としては、文化協定に別に国連憲章を引用する必要も考えていないわけでございますが、結局、先方との交渉過程におきまして、先方の希望等も入れて、こういう案文になったというふうに承知しております。もちろん、文化交流を促進するというのは、国連憲章の高邁な理想に合致することは当然でございまして、入れると入れないによって一つも差異はないとわれわれは考えております。
○鹿島守之助君 私は、何だか入れると入れないで運用の上に大きな差が出てくるような感じがするのですね。たとえば、われわれが了解している文化といえば、芸能文化と生活文化、この二つに大きく分けられるのですね。芸能は歌舞伎、お能を派遣する、こういうものは芸能文化で、生活とは全然関係がない。しかし、いろいろな生活状態を向上させるために、日本の産業の紹介だとか、そういうフィルムにしても生活に即した、そういうようなものは非常に日本の文化、たとえばいろいろな芸能活動におきまして、お能やそういう歌舞伎を持って行っても意味がないから、日本の生活のあり方、日本の生産、日本の産業は世界の驚異の的でございますけれども、そういうものを見れば、向こうでも習うところがあるだろうし、日本の輸出増強にもなるだろう。国際連合憲章のこういうものを見ると、歌舞伎の腹切りとかチャンチャンバラバラみたいな、ああいうようなことは、むしろ戦争ものなんというものは連合憲章に違反するので、運用の仕方によっては私は、差があるように思うのですが、いかがですか。
○政府委員(中川融君) いろいろ御意見をお伺いいたしておりますと、あるいは差も出てくるような気もいたしますけれども、われわれとしては、もとより平和国家、文化国家としての日本のあり方を要するに海外に紹介するというのが、文化活動の最も大事な使命であると考えております。従って、意識的にチャンバラ映画とか、そういうようなものは出す考えは一つもないのでございまして、この前文に国連憲章を引用しているといないにかかわらず、運営においては一つも変わりない行き方でいくつもりでおりますので、現実においては差異はないように思います。
○鹿島守之助君 まあ国際連合憲章の入っているのは……。普通、文化といったら日本の歌舞伎とか何かをいうが、おそらく社会党さんなんかにすれば、マルクス主義による文化というのは、ああいう芸能文化は否定してかかっているのではないか。マルクスあたりは、そういうものは過去のブルジョアジーのもので、新しく来たるプロレタリア文明には全然抹消してかかってしまう。市民社会を通ずるいろいろな方法は、国連憲章を入れるべきである、そういう方向に運営は持っていくべきものじゃないでしょうか、私は大きな差が出てくるような気がするのですが、いかがですか。
○政府委員(中川融君) お説まことに御同感でございまして、国連憲章が前文に入っているといないにかかわらず、運営といたしましては、国連憲章が前文にうたわれていると同じようにやっていくつもりでございますので、結果におきましては、鹿島委長のお説の通りに運営していくつもりでございます。
○羽生三七君 議論するつもりはないけれども、今、鹿島さんの御意見で、社会党左派で文化を否定するようなことがあったが、そういうことはない、そういうばかなことは。われわれこそ真の文化推進者だと思っているが、それは議論になりますから、速記録に残るといけないから、明らかにしておきます。
○鹿島守之助君 生活文化は社会党の最も重点を入れるところだけれども、芸能文化はどうですかね。
○羽生三七君 芸能文化は、古いバレーなんか、一番おそらくそういう点ではわれわれの方が推進しておるのではないでしょうか。そんなことは全然関係ないのです。イデオロギーは関係ないことです。
○井上清一君 文化協定を結びます場合に、いつもこれは入っている。たとえば、資格証書その他の証明書は、他の文化協定を結んだ相手国においても同等の価値を認め、また、そのいろいろ限度等についても研究するというようなことが、いつも文化協定を結ばれる場合には入っておりますけれども、実際的にはどうも空文になっているような感じがする。ことに、今度はイギリスとの文化協定が結ばれるのですが、英国あたりは、医者の資格については一番やかましいので、日本の医者の資格については、全然イギリスでは認めないというようなことになっている。それからまた、今度ブラジルでも、文化協定の第五条にはりっぱに書いてあるのだけれども、このごろは、農業移民だけじゃなしに、商工移民、あるいはまた、自由業の移民なんかも今後相当期待されるわけなんで、日本の一体医者……、たとえば弁護士とか何とかは、これは言葉の関係でいろいろ困る場合も出てくるだろうと思いますが、医者などは、日本の資格が当然ブラジルにおいても私は通用すべきものだと思う。現在ブラジルに医者が行っておりますけれども、在留邦人の診療等はできるけれども、向こうの人の診療なんかはできないように私は聞いておりますが、せっかくこういう文化協定を作ってみましても、資格とかあるいは何とかいうものが認められないというようなことじゃ、どうも文化協定を作った意味がない。で、こういう問題については、この文化協定の大筋の方針に基づいて、個々のいろんな折衝がなされなきゃならぬと思うのですが、こういう点について、私は従来外務省があまり努力をしてないんじゃないかという感じがするのですが、これらの経緯に関して、一つ御説明を承りたいと思う。
○説明員(高橋明君) この学位、資格証書の同等性承認の規定でありますけれども、この規定は、一方の国におきまして小学校、中学校、高等学校とか大学というような教育の機関から与えられますところの学位とか資格証書とかいうものは、現在の両国の建前から申しまして、直ちに一方の国ではそれがそのまま有効であるというようには認められておらないわけでございます。それでは、たとえば日本とブラジルとの関係におきましても、井上委員から御指摘のように、非常に不便な点もあるというわけでございますので、これをできるだけそういう不便を除くために、どういうふうにしたらこれをそういう方向に持っていけるかということを一つ両国政府と関係者の間においてその道を研究しようというのがこの規定の趣旨でございまして、この規定によりまして直ちに、たとえば日本の医者が向こうで開業ができるということにはなっていないわけでございます。そこで、現在までに、この規定がほかの文化協定にもございまして、規定があるけれども、これが何ら援用されていないという御指摘でございまするが、現在までこの規定に基づきましてある程度話し合いを始めましたのは、パキスタンとの関係でございます。それで、パキスタンの方では、まず学校の関係を取り上げて参りましたが、これを文部省の方にも相談いたしまして、どういうふうにしたら、そういうようにこの規定の趣旨を生かして、現実に実施ができるような段階になるかということを現在文部省で研究していただいております。そのほかの国に関しましては、まだこの規定の実現化について話し合いということはございません。今まで話し合いがありましたのは、パキスタン一国でございます。そういう実情でございます。
○井上清一君 ただいまの御説明で、規定にはうたわれておるけれども、実際はどうもあまりこれが実現を見ていないという御説明だった。私は、今後日本の移民を奨励する意味において、こうした点を十分一つお考えを願い、こういう点で移住に支障がないようにぜひとも御努力を願わなければならぬと、こう思うのです。それと同時に、これは、双務的になりますと、非常に事がめんどうになるかもしれませんが、とにかく日本のような学術文化の非常に進んだ国の資格というものが相手国においても相当高く尊重をされる。また、そうした資格が十分認められるということは、とりもなおさず日本の国際的な地位が高まることでもございまするので、どうぞこういう点についてぜひ一つ外務省でも努力を願って、日本の資格というものが世界的な立場において十分通用するように、一つ御努力を願わなければならぬ。こう私は思うのです。 その次に、第六条の(a)の第五項の「ラジオ、レコードその他の機械的複製手段」ということが入っておるわけです。これについて、これは条約局長に一つ承りたいのだが、これは一体著作権との関係はどうなっておるのか。「機械的複製手段」というのはどういうことを意味するのか。こういう文句は今まで入っていない。今度は、「ラジオ、レコードその他の機械的複製手段」ということが入っておるのは、著作権との関係においてどういうふうにわれわれは理解したらいいのか。 それからもう一つは、文化協定を結ぶ場合に、著作権みたいに、つまり二国間の条約ではなしに、多数国間のいろいろな文化的な条約があるわけです。たとえば著作権条約なんかはしかりなんですが、著作権条約に加入しておる国と加入していない国があるわけですね。それから、たとえば衛生的な麻薬なんかはこの中に入れるのはどうかと思いますが、麻薬に関する条約をこの中に入れるのは適当であるかどうかわかりませんけれども、少なくとも広い意味においてそうした国際条約に対して協力するというような、何というか、考え方がやはり文化協定などにも私は現われていいのではないか、現われなければいけないのじゃないかというように思うのですが、たとえば「レコードその他の機械的複製手段」というものがあるわけなんだけれども、これと著作権との関係は一体どういうことになるかということを私はちょっと承りたい。
○政府委員(中川融君) 複雑な問題でございますので、担当の係官から説明いたさせます。
○説明員(井口武夫君) 実は、詳細な点に関しましては、文部省の著作権課でやっておりまして、担当官が来ておりませんので、私限り知っておることを申し上げますけれども、この「機械的複製手段」と申しますのは、テープレコーダーのようなものでございまして、著作権条約そのものには直接関係ございません。レコードは、これは著作権条約の対象になるというように考えております。それで著作権条約とこの文化協定との関係でございますが、基本的には、日本と英国、あるいは日本とブラジルとの関係は、一九二八年に結ばれたベルン条約のローマ規定及び一九五二年のジュネーブの万国著作権条約という関係において規律されております。その条約のワク内でこの第六条の二項に基づきまして、それぞれの政府は相手国の文化の理解のために翻訳、複製を奨励するということになっておる次第でございます。
○井上清一君 テープレコーダーによる複製手段というのは著作権法に触れるか触れないかというのが非常に問題になっておる。国内におきまして、これは著作権に触れるという見解になっていると私は理解しているのですが、国際的にこういうことは差しつかえないのですか。
○説明員(井口武夫君) 実は、ベルン条約、一九二八年のベルン条約では、これは具体的に著作権保護の対象になる事項が列挙してございまして、この二八年のローマ規定では、テープレコーダーというものは入っておらなかったわけでございますが、五二年のジュネーブの万国著作権条約では、保護される著作権の対象が例示的に列挙してございまして、国内法に従ってやるということになっておるわけでございます。従って、国によっては、テープレコーダーを著作権法の対象にしており、国によってはしないということになっておると思いますが、さらに詳細は、実は専門家がここにおりませんので、その点は後日お答えしたいと思います。
○井上清一君 あとで承りますが、日本においてはなっているのですよ。
○説明員(井口武夫君) そうですか。ただ、英国とブラジルとがそれを認めていなければ、二国間においては、テープレコーダーは保護の対象にならないわけでございます。
○委員長(木内四郎君) それでは、今の説明は、あとから担当官に一つ説明してもらうことにして……。
○鹿島守之助君 今のブラジルにおける医者の問題は、現実の切実な問題なんです。医者がいないために、ずいぶんみんなも迷惑するし、われわれのような、あちらで事業をやる者が、生きる者が死んでしまうということもあるのですが、これは現実の切実な問題で、文化協定か通商航海条約あたりに入るのかわからないのですが、外務省においても、切にこの解決をお願いしたいと思います。 それからもう一つ、文化協定に、私うかつに「国際連合憲章の高遠な理想」が入っておるのを知らなかったのですが、あるのとないのと、外務省で、今まで締結された中で、「国際連合憲章の高遠な理想」というのが入っているのといないのと、どのくらい数がありますか、今まで結んだ協定で。
○政府委員(中川融君) まず第一点でございますが、ブラジルにいる日本のお医者さんのことは、これは外務省としても非常に重要に考えておることでございます。今回の文化協定では、遺憾ながら、お医者さんの開業の免許に関しては、実は五条の適用がないのでございまして、学校で出す証明書だけでございますので、この文化協定だけではできませんが、通商航海条約との関係、さらに大きく移民を出す関係というようなことから、ぜひこれは、今後も強力に交渉したいというふうに考えております。 第二の御質問の、文化協定の前文に国連憲章を援用している文化協定が、日本に結ばれたことがあるかというお尋ねでございますが、私の知る限りでは、十ほど文化協定がありますが、前文に国際連合憲章を援用したものはないように思います。今回のブラジルが最初でございまして、これは、決して国連憲章の趣旨に反して運用するというつもりじゃなかったわけですが、従来そのような規定はなかったのでございます。今回のブラジルとの協定に特に入りましたのは、むしろ先方がこういう案を希望いたしまして、従ってこれが入ったという実情でございます。しかし、運営につきましては、もとより入ったと同じような心がまえでやることは当然でございます。
○鹿島守之助君 私も、将来ぜひ入れてもらいたいと思います。これは私個人の希望です。
○佐藤尚武君 先ほど鹿島委員の御質問、非常に重要な点に触れておったと私は了解いたしたのでありますが、それに対する外務当局の御説明は、その重要点には触れていないというふうにお聞きいたしたのでありますが、それで私は、同じ趣旨に基づく質問になろうと思いまするけれども、これを敷衍して、いま一度外務当局の御説明を願いたいと思います。日本がたとえばアメリカに歌舞伎団を派遣したというような場合には、純粋な芸術の紹介としてのみこれを派遣しておるのであって、日本のそういうような文化的活動というものには、何らほかの意味をもってしての活動が伴わない、純粋の芸術紹介という意味での活動にとどまるわけです。ところが、外国から日本に来る活動の中で、そういうふうに、日本流に、純粋な活動にばかりとどまるというふうに限られていないということにわれわれ注意しなければならない。たとえば、共産圏側からするいろいろな文化活動がありますが、これには、必然的にイデオロギーに基づいた活動が一緒についてくる。純粋な芸術方面の活動ばかりじゃない。それを、文化交流は奨励しなければならぬというような考え方から、文化交流という名のもとに、そういったようなイデオロギーに基づく活動が一緒についてきて、そうしてその結果、そういったような片寄った活動に便宜を与えることになるという結果をもたらすというのであっては、これはよほど考えなくちゃならぬ問題です。端的に申しまするならば、二、三年前でありましたが、中共からえらい歌劇団が日本に来たことがある。そうしてまた、世界的に有名な俳優もやってきた。そういう際に、巷間に伝わる風説としては、私は何もその真相は知りません。知ることはできなかったのである。ということは、当局の調査というか、意見というものが何もその節発表されていなかったからして、真相を知るわけにいかないのでありますけれども、巷間行なわれておった風説によりますというと、莫大な資金が同時に日本国内につぎ込まれた。そうしてその資金が片寄った政治活動、片寄った労働運動等に使われたと称せられておったので、これは、その事の真偽は、私は繰り返して申しまするが、知るよしはないのでありまするけれども、かりにそういったような風説が真であるとするならば、もしくは真に近いとするならば、これは日本としては非常に考えものであって、文化交流、すなわち芸術方面の交流だけならば、むろんそれは共産圏から来るにしろ、どこから来るにしろ、われわれは純なる気持でこれを受け入れるにやぶさかではないけれども、その裏面にそういったような活動、イデオロギーに基づく活動が行なわれる、そうしてそれが日本国内での片寄った活動に寄与するということになるというのであったら、これは軽々しく、文化交流であるからといって、まじめに受け取るというわけにいかない。当然そうなければならぬと思うのであって、そういう点について、一体外務省がどういうふうなお考えでもって処せられておるか。その文化交流ということをどう考えておられるか。また実際に対処しておられるか。私は、単に外務省の力ばかりでは足りないのであって、これは保安関係の当局との密接な関係を保たれて、そうして善処されるべきが至当であるというふうに感ずるのであります。そういう点についての外務省の御意見、今までやられたことなどについて御説明を願いたいと思います。
○政府委員(中川融君) 今の御指摘になられました点、外務省としては常々注意しておるところでございます。従来文化協定を結びました国、約十カ国ございますが、それらの国との間では、そのような思想的な、あるいは政治的な文化の名に隠れた思想的、政治的な攻勢ということは、特に懸念する必要もない事情にあったわけでございますが、今後さらに文化協定あるいは文化の交流等を進めていく国の範囲が広がりますと、自然そういう思想的な、あるいは政治的な攻勢というものがその裏に隠されていないかということを懸念しなければならないわけであります。これらの点につきましては、佐藤委員の御指摘の点、十分考慮して進めていきたいと考えております。
○佐藤尚武君 先ほどの条約局長の御説明で、文化協定がない国との間の関係においても、文化交流はできるだけ順調に、かつまた潤沢に行くように努力するんだというような御説明があったと記憶いたします。そうであるとすれば、今の局長の御説明によれば、将来文化協定を新しく作る場合には、私の言ったような点に対して注意をするということでありますけれども、文化協定がなくても文化交流が行なわれておるとすれば、その個々の場合にあたってやっぱり御注意なさらなければならぬものだと私は考えるのでありますが、いかがでございますか。
○政府委員(中川融君) 佐藤委員の御指摘の通りでございまして、私の言葉が不足でございましたが、文化交流を実施するにあたっては、常にその点を心がけて、注意してやっておるつもりでございまして、今後もやりたい所存でございます。
○委員長(木内四郎君) 他に御質疑がございませんか。――なければ、本日はこの程度にいたしたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二分散会