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38回国会参議院1961/04/04

運輸委員会 第21号

発言数
154
登壇者
18
会派数
4
開催日
1961/04/04

会議録

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) ただいまより委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  昨日に引続いて質疑を行ないます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 大臣にお尋ねいたしますが、先般来本委員会でこの第一次五カ年計画と第二次五カ年計画との関係は若干質疑をかわされたわけでありますが、国鉄総裁も第一次五カ年計画は六七%の遂行率で、これは明らかに失敗であった。そのよって来たる原因についてはいろいろあげられておりましたけれども、何回かのいわゆる国鉄職員の賃上げ、仲裁裁定に基づく賃上げ、こういうものが大きく原因をして、思うようにならなかったという御答弁もあったわけであります。そこで私は、今次の仲裁裁定がすでに二十七日に出されまして、法律上定められておるところでは、大体あさってあたりは国会に出さなければならぬと思います。今までの説明によりますと、国鉄当局は約二百億という予算措置が必要だ、こういうことでございまして、今次の運賃値上げによるところの四百八十六億という金額と仲裁裁定の完全実施という二百億の金額とを思い合わせるときに、これはやはり第一次五ヵ年計画でそごを来たしたと同じような条件の中にあると思う。  そこで大臣にお尋ねいたしますが、今次出されました一〇%の基本給の値上げに関する仲裁裁定の実施について、これをどういうふうにお考えになっておるのか、さらにこれを次の五ヵ年計画との関連においてどういうふうに考えておるのか、一つ明確にここでお答えをいただきたいと思います。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げますが、先ごろ仲裁裁定によりまして、今度国鉄の方の支出が約二百億円増加するということについて、そういうことについて新しい五ヵ年計画というものに支障を及ぼすおそれがあるのではないかという御心配をいただいたわけでございまするが、ただいまこれの財源措置につきましては、せっかく国鉄におきまして種々慎重に検討をいたしておりますわけでございますが、私といたしましては、こういうことがありましても、第一次五ヵ年計画のときとは経済界の様相が著しく違っておりますことなどを考えまして、この仲裁裁定による国鉄の負担増というものが、新しい五ヵ年計画に影響を及ぼさないようにいろいろ努めたいという決心を持ってやりたい、こう考えておる次第でございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 大臣のお答えでちょっと私はふに落ちない点があるわけですが、仲裁裁定の完全実施については二百億という金額が必要だと言われております。ところが財源措置については国鉄で現在検討中だと、これは私は、この点がわからなくなるわけですが、二百億という膨大な財源措置が国鉄から捻出されるべき筋合いではない、またそれだけの余力もないと思います。すなわち予算上、資金上これは国鉄の財政状態としてはない、こう言っても決して差しつかえないと思う、国鉄があるとおっしゃればこれは別ですけれども。今までの審議の過程ではないと考えるのが私は妥当だと思う。そういたしますと、国鉄の財政の中で予算上、資金上これは仲裁裁定の完全実施をするために、ないといいますならば、これは政府が当然補正予算を組むとか、いろいろ措置を講ずべきだというふうに法律上もなっておりますが、この点はあくまでも国鉄の財源の中からしぼり出すのか、政府が別途これは法律に定められておるように明確に予算措置をするのか、その点一つお答えをいただきたいと思います。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 御承知の通り国鉄の本年度の予算におきましても、人件費につきましてはある程度上昇いたしますことは見込んでいますことでございますし、また予備費等も御承知の通りございますし、またいろいろ節約のできる点もあるように考えますので、今せっかくこれに対応する財源を検討中でございます。  繰り返して申し上げまするように、新しい五ヵ年計画にはこれの影響が及ばないように、新しい五ヵ年計画は既定通り遂行ができますように努力をいたす決心を私どもは持っておる次第でございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 大臣、何か勘違いされておると思いますが、先般来国鉄の人件費については、国鉄の経理担当の兼松常務理事からお話がございまして、人件費の上昇については、長期的な見通しとしては五%だけしか見ておらない、こういうことでございます。これは依然としてそういう実態だろうと私は判断いたしますが、予備費の点について言われましたけれども、たとえば値上げを前提にいたしましても、国鉄が三十六年度に組んでいる予備費は八十億しかないわけです。全部これを投入してもまだ百二十億足らない。それから合理化あるいはその他企業の経営努力によって捻出するといっても、これは従来のように二十億くらいが限界である。もうすでにこれは限界点に達している。こういうことになりますと、国鉄の財源からは今次仲裁裁定の実施については全然ない。第一次五ヵ年計画が失敗したのは、そういう面に失敗の点があったんであるが、今次はどうしても、従来のような論議の過程からいたしますと、第一次五ヵ年計画のような状態に第二次五ヵ年計画を置いてはならない。これは当然のことだと思う。その当然のことを当然のようにあらしあるためには、やはり法律に定められた点は明確にして、一体政府は予算補正をして今次の仲裁裁定を出すのか出さないのか、しかも、これは期日はあさってにもう限定されているわけです。今日の段階では、大臣は明確に答えられる段階だと思って私はお尋ねしているのです。  繰り返して申し上げますけれども、今日まで審議した過程では、国鉄の財政的な力においてはもう二百億という仲裁裁定の完全実施の財源はないという前提に立たなければならぬと思いますが、この点も一つあわせてお答えいただきたい。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 繰り返し同じ答弁をいたすようでまことにおそれ入った次第でございます。ただいま仲裁裁定によりまする国鉄の負担につきましては、財源をいろいろ検討中でございまして、まだここで的確に申し上げることができないことをまことに遺憾だと思う次第でございます。ただいま申し上げましたように、国鉄におきましても約六%程度の賃金が上昇するということも見込んでおりましたし、予備金もありますし、あるいはまた節約等いろいろのことをやって、何とか財源に対応するようにいたしたいということで今検討中でございますので、もうしばらくお待ちを願わぬとその結論を申し上げるわけにはいかぬと思うのでございます。しかしながら、御心配になりました第一次五ヵ年計画のごとくに、その成功を危ぶまれておらるる点につきましては、今回の五ヵ年計画におきましては、既定計画通りその遂行をいたしたいということを私どもは努力する決心でございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 残念か遺憾か知りませんけれども、ずっと大臣は検討中ということで繰り返されておるわけでありますが、これは今日までこの運賃値上げの問題をめぐりまして、本委員会で議論をする中で、国鉄はすでに新しい五ヵ年計画を実施する上において毎年約二千億の原資を必要とするが、国鉄の御意見としては、いろいろな借入金その他を加えてもどうしても五、六百億の金が足らない。そこで、運賃値上げに、大臣も趣旨説明の中にございましたように、利子のつかない、いわゆるここに何がしかの金が必要だ、こういうことで今回の運賃値上げというものを提案をされておるわけです。きのうも私も若干公聴会の席でそういう点の話をいたしましたけれども、私どもといたしましては、そういうふうに判断をいたしております。これはきのうの私の話した内容におきましては、大体四千七百十七億というのが三十六年度の損益勘定になっておって、その中から一千百八億という約四分の一の金額を新しく資本勘定の方に繰り入れておる、こういう力があるということになれば、従来言われておることがそのまま私どもは受け取れない。しかし、受け取れるにしても、受け取れないにしても、今大臣のお答えが繰り返して行なわれておりますけれども、私どもの印象あるいは国民の受ける印象としては、新しく二百億という仲裁裁定完全実施の予算が必要であるということは明確になっておる。それが何か国鉄の企業努力あるいは予備費ということを再三繰り返されておりますけれども、そういうものから出し得る力があるというふうな受け取り方をせざるを得ないわけです。ここで明確に、国鉄総裁もおいでになりますけれども、今私と大臣との質疑の中で、私どもはそういう印象を受けたと思いますけれども、この点は力がないものならない、あくまでこれは予算上、資金上、国鉄に経理上の力がないということを明確にして、政府にその予算上の措置を求めなければならぬ、こういうふうに考えておりますから、重ねて大臣にお答えをいただくと同時に、国鉄総裁も、この点は議論になっておることは十分おわかりになっておると思いますから、一つ明確に本委員会でしていただきたいと思う。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 仰せの通り今回の仲裁裁定によりまして、国鉄が二百億負担するということに相なりましたことは、まことに国鉄の経理の上から見れば苦しいのでございますが、目下いろいろと、ただいま申し上げましたように、その財源をどうするかということを検討しておるのでございます。どうぞしばらく御猶予のほどをお願い申し上げたいと思います。

兼松学日本国有鉄道常務理事

○説明員(兼松学君) かわりましてお答えさせていただきたいと思うのでございます。大臣がおっしゃいました通り来年度の――今年度といいますか、予算につきましては、五ヵ年計画にできるだけ影響のないように考えたいということで、財源の努力をしておるわけでございます。ところで予備費を使いますとか、あるいは一部のほかの経費を流用するということは、予算的には措置がとり得るということでございますが、長い目で見ますと、長期経営的にそれが経費として負担し得るかどうかということは、これは別な問題であろうと考えます。それで私どもとしては、今年度の予算――大臣の言われました通り、できるだけ影響を与えないように、今財源措置を関係方面とも御相談をしておるわけでございますけれども、三十七年度以降の問題になりますれば、今後の収入の状況と見合いまして、借入金その他の計画についてもあるいは変更が要るとか、いろいろな問題は将来にあるかと考えますが、ただいま予算上可能かどうかという問題につきましては、いわゆる予算措置の問題でございまして、長期の経営的なものとはいささか別であるかと考えますが、いずれにいたしましても、大臣がおっしゃいました通りに、私どもとしてもできるだけ当たらないような財政的な方法を、予算的な措置を十分考えておる段階でございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 大臣はしばらく猶予をしてくれ、こういうことでございます。これはさっきから繰り返して言っておりますように、きちんと法律上明確になっておりますから、この際明確にしなければならぬということを主張しているわけですが、国鉄の答弁はまた何かおかしいと思う一わけであります。予算上それはできないことはないような印象を与えているわけでありますが、予算上、資金上どうだ、できるならできる。できないならできないと、国鉄の予算の中でこの際特別な、すなわち一五%に及ぶ運賃の値上げをしなければ、国鉄の財政は五ヵ年計画をやれないということを今日まで主張している。それは十億とか二十億という金額じゃない。これは二百億という、今度の運賃値上げの約半分に及ぶ膨大な金額で、しかもこれは一年限りではなく、少なくとも仲裁裁定を完全実施するといえば先長く続く問題である。それを何かあるような、ないような不明確な答弁をせずに、この際予算上、資金上なければ――そうすると何か流用できるようなことを言っているが、そんな融通自在のようなものを出して、今日までの主張が筋が通るかどうか、その点を明確に再度御答弁を願います。

兼松学日本国有鉄道常務理事

○説明員(兼松学君) 先ほど申し上げましたように、経営的な見通しとしてはきわめて困難であるということは申し上げた通りでございます。ただ当年度の予算措置となりますと、財源に余裕ある一わけではございませんけれども、予備費の流用あるいは退職に当たる者を一部退職の措置をずらすとか、いろいろの方法を考えているということでございまして、経営的に見まして、二百億円というものが経常的に要るということは、長期的には非常に大きな負担であることは、先生御指摘の通りであります。当面の予算措置といいますのは、従って長期的な困難な問題とは別に、今年度の、三十六年度を、仲裁を尊重されるという方針で、どういう措置をとるかという予算上の問題でございまして、何と申しましても経営的には非常に苦しい問題であるし、それから問題点があるということは、御指摘の通りでございます。ただ重ねて申しますように、予算をどう出すかということは、三十六年度の仲裁実施にお金をどういうふうにして出すかということで、これは、たとえば不用財産を無理して売っても回すとか、あるいは不用と申しましても、全然不用ではないわけですが、合理化によってあるいは捻出する、退職金の一部を回して、そうして退職の方で少し制限してやる、いろいろな方法を講じて、とりあえず三十六年度にできるだけ影響を与えないように努力して財源は探しておるという事態を申し上げたのでありまして、長期経営的に見ますれば、二百億円の負担というものは大へん大きな問題です。それは問題点があるということは御指摘の通りでございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 総裁はお答えになりませんが、兼松理事の立場からいたしますれば、これは国鉄財政を担当している重役ですから詳しいと思います。しかし詳しいあなたの説明で、何か二百億という財源措置を国鉄財政の中から探し得る可能性のあるような、そういうニュアンスのある発言を繰り返されておるわけです。これは私が今あなたの言葉をそのまま受け取るといたしましても、たとえば予備費八十億という金額をここにあげておりますけれども、これは予備費は予備費として何らかの場合に必要であるということで、これは八十億というものは何ら根拠なしに組まれたものではないと思う。予備費は予備費として、一年間必要な場面が想定をされるということで八十億の予備費が組んであると思う。さらに加えて退職金を、何か退職を一年延ばし二年延ばしにしてやる。これは今年はそれは一年延、はしをされるでしょう。しかし、これは今初めてやる措置ではないわけです。過去の経験に基づきましてもそういうことがやられて、これは翌年非常な問題を起こした事実もあるわけです。そういうものをあらためてまたここに八十億に加えて幾ら、それから合理化、合理化といわれるけれども、合理化のもう限度も私きておるというのが一般の見方なんです。そういう合理化によって、国鉄にこれまた大きな疑惑を国民に与えるから、この際私は明確にしなければならぬと思いますが、国鉄の合理化といわれるけれども、合理化によって生み出す金が一体どのくらいあるか、常識的に考えても、仲裁裁定の完全実施に見合う二百億円という、膨大な合理化によって生み出される金額は国鉄の中にない。あらゆる面において、あちらを見てもこちらを見てもないからこそ、今回の運賃値上げになっているわけです。それを二百億の財源を出そうと思えばどっかから出てくるようなあなたは発言をされると、これは国鉄は余裕があるにもかかわらず、さらに国民に筋の通らない運賃値上げを求めておる、こういう問題になるから、間違ってはいかぬから、ないものはないで、予算上、資金上国鉄の財政ではいかんともいたしがたい。もしこれをするならば、五ヵ年計画にも、次の五ヵ年計画にも大きな影響がある。こういう気持に立って、強いその予算措置を政府に求めるというのが国鉄の態度でなければならぬと思う。これはあなたの言われるように、従来問題になったことを、いいこと悪いことを繰り返してやって、今年だけはそれでまかなうとしても、まかなえないというのが、今日までの議論からするならばまかなえないという結論になるわけですが、六日を控えました今日において、しかもそれが何か国鉄の財政の中から掘り出せば掘り出し得る、こういう印象を受けるわけですが、この際一つ明確に、どうなっておるのか、大臣は鋭意検討中だと言われるけれども、大臣の言われる検討中のうち、しばらく猶予をほしいと、こう言われるけれども、その猶予、検討中のうちに国鉄に二百億という財源を探すだけの、掘り出すだけの猶予ということになれば、これは重大な問題だと思う。新しい五ヵ年計画の実施とにらみ合わせて、もう少し明確に一つお願いをいたしたい。

兼松学日本国有鉄道常務理事

○説明員(兼松学君) 長期的には先生御指摘の通りでございまして、私どもも同様に感じております。ただ予算措置につきましては、当年度の三十六年度の補正予算をどうするかという問題につきましては、今政府当局におきましていろいろ御検討中でございますし、その中にはすでに成立した予算等との関連におきまして、いろいろ当年度のつなぎの苦労する方法を、私どもとしては今御説明申し上げました次第でございまして、長期的には今のそっくりそれを受け入れるということは困難で、長い目では資金計画の変更の問題は当然三十七年度以降にはいろいろくると思いますけれども、それにしても、五ヵ年計画はぜひ内容は実施していきたい。借金をふやすとか、その利子をさらに合理化で生み出すとか、いろいろなことを将来考えたいということは、全く先生御指摘の通りに、私どもは同じように考えております。三十六年度での措置につきましては、目下大臣の御説明の通りでございまして、政府当局においていろいろまた御検討いただいております段階でございます。なお、それが準備ができますのはなお若干の日時を要するのではないかと考えております。

中村順造日本社会党

○中村順造君 一つの問題を何回も何回も繰り返してやりたくないのですがね。長期的だとか、短期的だとか言われても、これはもう明らかなものでしょう。あなたの説明ですよ、二百億というのは。年間約二百億を要するというのは、国鉄の説明に基づいてこの二百億を必要だという前提の土で話をすれば、これはもうこの中から、ことしだけはそれではやれる見通しがあるというふうに受け取れるわけなんです。これは向こうきわめて長期的な問題ですが、ことしだけそれではしのいだら、来年はどうなるか、再来年はどうなるか、次の五ヵ年間に行なわれる、五ヵ年計画にどう影響するか。現実に第一次五ヵ年計画ではこれが影響して実施できなかったというのも大きな原因だという説明を今日まで繰り返されておるわけです。だから私は非常に心配になるし、特にもう六日に、大体国会にこの仲裁裁定の実施ということは予算的な問題を出さなければならぬ。きょうは四日ですけれども、そういう段階になってもまだ鋭意検討中だ、しかも検討中はいい、政府に強くこれを要請しておるということなら話はわかりますけれども、何か国鉄の財政の中でそういうものを予算の流用によって生み出せる、二百億という膨大な金額を生み出せるというような印象の前では、やはりこの運賃値上げを審議するには、私はそれだけの勇気がだんだんなくなるような気がする。私申し上げることはやめます、この問題は。大臣なりあるいは経理担当の常務理事からは明確な答弁がいただかれないということは、きわめて残念です。時間をかけて徹底的にこの問題はどうなるのか、もうあさってのきょうでありますから、したいのですけれども、私やめますけれども、総裁に、従来の第一次五ヵ年計画は明らかに失敗であったという先般の発言に対しまして、しかもその原因が数次の仲裁裁定にあった、こういうことでございますから、もう仲裁裁定が出されて一週間以上になっておりますが、新しい五ヵ年計画あるいは国鉄の経理全体の上でどういうふうに御判断をされておるのか、国鉄総裁から一つお答えをいただきたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 運輸大臣並びに兼松理事からお答えいたした通りであります。今日の第一次五ヵ年計画も、四カ年の実績を五ヵ年の予算に比較いたしますと六七%という、今日まで御説明申し上げました通りであります。四カ年の予算と四カ年の実績とを比較いたしますと八五%程度の実績に相なります。従って、これは一五%だけおくれております。その点においては失敗で、われわれの当初の経済発展の想定というようなものが少し甘かった、そういうようなところ――いろいろな原因から来きておりますが、そういうところからきております。従って新五ヵ年計画は、たびたび大臣からも御説明がありましたように、われわれとしては、どうしてもこれを実行しなければ、国民に対しては申しわけない。かたい決意を持って必ずこれを実行するという覚悟で進んでおります。ただ先ほどお話がありましたように、二百億という金をこの際生み出すことは、これは非常に困難であるということは、大臣からも、兼松理事からも御説明申し上げた通りであります。お話のありましたように、合理化というものも今日までも相当努力をいたして参っておりますが、合理化にも限度があるということもお話の通りであります。しかしながら、われわれ国民の皆さんに御迷惑であるにもかかわらず、やむを得ず運賃の値上げをお願いしなければならぬという苦しい立場にありますので、われわれ自身としては、合理化はもう限度に達しておっても、なおさらに他にも何か合理化の余地がありはしないか、もう一段の努力をしなければならぬのじゃないかということは、これは国民に対する責任といいましょうか、われわれとしては、どうしてもしなければならぬところだと覚悟いたしておりまして、今後もでき得る限りの合理化をいたしたい。これもかたくわれわれは決意いたしておるところでございます。  さて、今度の仲裁裁定によりまして大よそ二百億円という見当はついておりまするが、実際どれだけ要るか、正確な計数はまだ出ておりません。大よその見当は二百億ということでありまするけれども、正確な計算がまだできておりません。それで今鋭意その計算をいたしておるところであります。その計算ができましてから、正式のいろいろな御決定を願うことに相なると考えますが、それまでもう少し時をかしていただきたいということを申し上げておるような次第でございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 やめようと思いましたけれども、今の総裁のお話で……。私が申し上げておるのは、まあ大よそにしても、いずれにしても二百億円前後の予算が必要だ。これはその金額が幾ら明確に要るか、それがわからないから待ってくれということと、それから大よそ目安のついた約二百億の金額をどこから出すかということとは違うわけなんです。総裁は、まあ総裁という立場で、仲裁裁定の示された一〇%のいわゆる裁定実施ということが出されて一週間もたって、国鉄の中でこれが幾ら金が要るかということがわからないということ、これが事実とするならば大へんなことなんです。私どもはそういうふうには理解をしておりません。仲裁裁定の中に大きな疑義があったならばいざ知らず、おそらく、仲裁裁定の内容が明確だという判断に立つならば、もうすでに今日の段階ではこれを実施するために幾ら要るかという計算に一週間以上かかるということは、常識では考えられない。私はそのことを言っているわけじゃない。百九十億をこえるのか二百十億をこえないのか、そういうことを言っているのでなしに、総裁は合理化に対しては重大な決意を持って臨む、五ヵ年計画も前の五ヵ年計画のようなことでなしに、これも重大な覚悟で臨む、こういうふうに言われておるけれども、決意や覚悟でできないことなんです、これは。しかも、これは第一次五ヵ年計画においては失敗をしたという一つの前車の轍があるわけです。しかも、同じような要素は仲裁裁定の実施にある、こう言われるから、もうすでにあさっての時期においては、仲裁裁定がどういうふうに扱われるかということが、政府の方針がきまらなければならないのに持ってきて、そういうふうに言を左右にしてこの中身を明確にされようとしないところに、私がおそれるのは、一つには国鉄の中にはまだ探せば財源があるような印象を国民に与えて、その上に立ってまだ運賃値上げをするという印象を与えることをおそれる。一つには、国鉄の四十数万の労働者があれだけの涙をのんで、この不満にたえた仲裁裁定というものが、今もってどこからそういうことが実施をされるか、その見通しが立たない、こういうところに大きな心配を持つわけです。その点を私は重ね重ね大臣なり、あるいは国鉄にお尋ねをしておるけれども、言を左右にして答弁されない。なぜそういうことが明確にされないのか、明確にしてはならないのか、そういう理由があるなら総裁から一つこの際お答えをいただ「き」たい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 大体の数字が二百億であるということは申し上げた通りであります。計数の正確なる整理を今やっておるところだと申し上げた次第であります。  なお合理化につきまして、何か非常に余地があるように聞こえるというお話でありますが、それはそういう意味で申し上げているのではないのでありまして、合理化はもう十分やって参りました。しかし、もう十分やってきたから、今後合理化をしないと、こういうことでは国民に申しわけないと、だからでき得る限り、できない七にも、さらになお一そう合理化に努力をしまして、国民に運賃値上げという御迷惑をお願いする当局としては、できる限りの措置を講じて参るのが、これは当然だと考えまして、そういうふうに申し上げた次第であります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 裁定が完全実施ができるかどうか、けさの新聞なんか見ますと、やや心配な点もあるのですが、運輸大臣にお尋ねしますけれども、裁定というのは、あなたは昔のことは知らぬと思うが、裁定が出て完全に実施をされなかったのです。そうして政府がそれを完全に実施していないのに、組合の方の処罰だけをやってきた。これが従来の慣例です。最近になってどうやらまあ、あたりまえのことなんだけれども、裁定が完全に近く実施されてきている。こういうわけなんですが、裁定が出たときに担当の労働大臣と十分お話し合いをされて、裁定は必ず完全実施をしようと、こういう約束をされたと思うのですが、いかがですか。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 今お話の中で、お言葉を別にお返しするようなわけではございませんが、最近におきましては、どの政府も仲裁裁定を最近においては完全に実施しておりましたように聞いておりますわけでございます。今回も政府といたしまして、委員会に仲裁裁定を請求をいたしまして以来、この委員会で仲裁裁定が出ましたならば完全にこれを実施しようということを閣議できめておりますわけでございまして、私どもはこれを完全に実施するという閣議の話し合いの通りに実行をいたすつもりで、今日も参っておりまするわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 まあこれは不完全実施といいますか、約六百億ぐらいの貸しがあると思っているのですね。それで国鉄当局にお聞きしますが、現在も捻出に非常に努力されているというお話を聞きましたが、いつまでに政府にどれだけできるということを返事をしなければならないのか、その日時は何日までなのか、お聞きします。

兼松学日本国有鉄道常務理事

○説明員(兼松学君) なるべく早くいたしたいと、こう考えております。国鉄といたしましては、現在の予算、資金上は不可能であるということで、国会の方に手続をしていただくように政府当局にお願いをいたしておりますが、その後の手続その他がどうなりますかは、今大臣が御答弁になった通りでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、現在では国鉄としては、それをどうにも捻出ができない、こういうはっきりした立場に立っておられるのですね。

兼松学日本国有鉄道常務理事

○説明員(兼松学君) 現在の予算ではできないという私どもは立場で政府にお願いいたしております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうしますと、今のお話を聞いて、国鉄ではどうにもならないということになれば、政府がめんどうを見なければいかぬのですが――ちょうど大蔵大臣もおいでになりましたが、仲裁裁定について、国家全体からいってなかなか大へんだと思いますけれども、最近の特に裁定完全実施の例もあるわけですから、必ず――必ずという言葉は強過ぎるけれども、必ず完全実施をする、何とかまあ国鉄がどうにもならなかったら政府がめんどうを見るんだと、こういう責任のあるお答えを運輸大臣と大蔵大臣からいただきたいと思います。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 先ほど来御答弁申し上げます通りに、国鉄といたしましては、この膨大な人件費の増加というものは、経理上非常に苦しいのございますけれども、今これの財源を目下いろいろに検討をしておるわけでございまして、もうしばらく御猶予をお願いを申し上げたいと、こういうような考えでございます。詳細のことは、今国鉄当局からも申し上げましたように、今回の仲裁裁定による膨大な負担というものにつきましては、これに対処する財源をどういうふうにするかということを、しきりに検討をしておる最中でございまして、どうぞもうしばらく御猶予をお願い申し上げたい、こう考えておる次第でございます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 政府の方針は、もう御承知の通り完全実施するつもりで、(「つもりじゃ困る」と呼ぶ者あり)完全実施いたします。三公社五現業とも所要経費の計算も今やっておりますし、財源措置の点についても、それぞれ検討中でございますので、それを見てから、政府部内で相談の上で、国会の御承認をとるという措置をとろうと、今検討中でございます。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 関連して。今度の運賃値上げの骨子は、新しい国鉄五ヵ年計画にあるのですけれども、ここでわれわれの心配することは、第一次五ヵ年計画の失敗の原因の一つは、いわゆる思わざる仲裁裁定によって約九百七十億円の支出増を来たした、こういうことが第一次五ヵ年計画の失敗の原因の一つになっておるわけです。ですから今度の場合と同じように、将来にわたって、仲裁裁定によって、完全実施するということになって、思わぬ支障で第二次五ヵ年計画も失敗に終わる、こういうことがあっては大へんだと思うのです。で、新しい五ヵ年計画は、岡大臣ごらんになったと思うのですけれども、そういうような原因によって失敗することはない、遂行不可能なことはない、こういうことを言明できるかどうか、それを伺いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 国鉄総裁のお考えも、この財源措置を講ずる段階で、事業費に食い込んで計画を狂わせたくないというお考えのようでございますし、私どもも賛成でございます。そういうことのないように、どういう措置をとれるかということで、今国鉄当局も苦心中のようでございますので、私どもも国鉄から出されたものに対して善処するという方針で、今検討をお願いしておる最中であります。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 私の言っておるのは今度の仲裁裁定じゃない。これはまあ完全実施してもらわなければなりませんが、今後五ヵ年の間に、いわゆる政府の所得倍増によりましてこういうような問題が起こってくると思うのです。その場合に、第一次五ヵ年計画のように、こういう支出は予定しなかった、想像しなかったということでもって、再び第二次五ヵ年計画が失敗するということがあっては、これは大へんでございますので、そういう場合におきましても、政府としては十分責任を持って、工事費に食い込まないように措置をする。従って五ヵ年計画はそういうような原因によって再び蹉跌を来たさないようにする、こういう工合のことを約束ができますかどうか、大蔵大臣並びに運輸大臣から一つ所信を伺いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私どもとしましては、別段そういうことによって計画が狂わないような運営を望むということでございまして、先のことはちょっとわかりません。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 二百億のここへ支出が出るということは、そう簡単に措置ができないということは、御指摘の通り当然でございますが、繰り返し答弁いたしまするように、目下慎重にその財源を検討しておるのでございまして、国鉄の経営上あらゆる方面にこの二百億によってある程度の無理が来たるということは、これは当然だろうと思うのです。経理上はなかなかむずかしいと思うのですが、私としては、全力をあげて新五ヵ年計画の遂行に努力したいという決心であるということを、先ほど来申し上げておる次第であります。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 新しい五ヵ年計画については、今資料を要求しておりますが、今私がお尋ねしたことについては、私は非常に重大なる関心を持っておりますので、この資料がきてからあらためてお尋ねを申し上げます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 仲裁裁定の問題につきまして、私は問題を提起したわけでありますが、この問題についての質問を私は打ち切りたいと思いますが、ここで特にお考えをいただかなければならないという点がございまして、大蔵大臣も来ておられますので、一つ聞いておいていただきたいと思いますが、今大蔵大臣の御答弁では、今回の仲裁裁定は完全に実施をする、こういうようなお話がございましたから、これは間違いないと思うのです。私はそのことは信じてもいいと思うのですが、従来の仲裁裁定の経過を見ますと、これは運輸大臣は、若干、まだそういう面についてはことごとく知っておられるわけではないと思いますけれども、仲裁裁定の経緯から見ますと、従来は完全実施をしたことは一回もないわけです。金額を減らすか、あるいは実施の時期をずらすか、尊重する、実施をしたと、こういうふうな言い方をしておりますけれども、これは完全実施をしたということはないわけでございます。この点は労働者の側からいいますと、大体五百九十九億に見合う、いわゆる仲裁裁定不完全実施のために、当然上げらるべき賃金が上がらない。政府の言う公正な第三者の立場にある仲裁裁定が出されて、それを完全実施をしておらない。時期をずらすか、金額を減らすか、こういう実施の状況が今日まで続いたのであるから、これは五百九十九億という膨大な、いわゆるベース・アップをしなければならぬ金が上がらない。それだけの政府には負債がある、こういう判断に立っているわけです。しかも一方ではこの仲裁裁定の実施あるいは不完全実施、こういうものから国鉄当局は、従来のことを申し上げますと、みずから任免権がある。すなわち、権力を一方的に使いまして、多数の労働者に対する弾圧を下しておるわけです。今回の仲裁裁定の出るまでの経緯につきましても、大体同じようなことがやられておるわけでありますけれども、私はこの仲裁裁定の完全実施につきまして、かくも再三再四にわたって、まあ国鉄の意向なり、あるいは主管大臣の運輸大臣の御意向を聞かんとするのは、そういう当局の仲裁裁定の実施の状況の経緯がありますから、少なくとも、今、国鉄は新しい五ヵ年計画に取り組み、そのためには一五%の運賃値上げを提案する、ちょうどあたかもこの時期におきまして、国鉄の言う約二百億の財源措置を必要とするところの仲裁裁定が出される。それらの点を総合的に全部判断をした場合に、非常にこれは一つには、国民に対する疑惑を解かなければならない。一つには、やはり国鉄の中で働いておる、国鉄だけには限りませんけれども、三公社五現業の労働者は、この仲裁裁定の実施、特に従来やられたいろいろな、たとえば国鉄の経理にそのことを依存した、政府が責任を持って処理をしない、ややもすれば、そのことによって他の部門を圧迫する、こういう経緯がありましたから、私はこの点の問題を提起しておるのであります。  最後になりまして、国鉄の経理を担当しております兼松常務理事も、国鉄といたしましては、この財源の点については長期的に見ても非常に困難である、ことしについてはすでに予算三、資金上国鉄に能力はないという判断で政府にお願いをしておる。大和委員の質問に対しましてこういうお答えをしておりますから、私はその点は率直に認めますが、一つこの際、仲裁裁定の完全実施については格段の御努力をお願い申し上げまして、この点についての私の質問を打ち切ります。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 大蔵大臣にこの際、二つ三つお伺いしておきたいのですが、御承知のように、戦後の歴代政府が国鉄に対してとられました政策というものは、経営の責任一切を国鉄に負わせて、公共負担その他、特に戦災復旧のごとき、当然国家が何らかの措置を講じてやらなければならなかったような事柄についても、ほとんど今までは見ておらない。で、歴代の運輸大臣も、その任期がきわめて短くて、国鉄の内容を十分に知悉することなくかわっておられる。こういう状態で今日まで国鉄の経営というものはきたように私は思うのですが、その結果、ここに施設の老朽、殺人的な混雑を招来するということになってきたと思うのです。もちろん、そればかりが原因だとは思いませんが、それが根本的の一番大きな原因だと思うのですが、今回の灘賃法改正にあたって、当委員会において、また、過日の農林水産並びに商工委員会との連合審査の席しにおいて、各委員諸君と国鉄並びに政府当局との間にかわされた質疑を通して見ましても、従来の政府の国鉄に対してとってきた方針が何ら変更されておらないのではないか。もし、しいて言うならば、利子補給三億、それから運賃値上げを見越した傷痍軍人の無賃輸送に対する補償、しかし、これら総額を合わせても三億六千万円、まことに微々たるものである。こういう状況が今後も長く続くのではないかと思われますが、まず第一に、今後の国鉄に対する政府のそういう財政的な面において、どういうふうに池田内閣としてはお考えになっておられるか、これはもちろん総理にお尋ねすべきことでありますけれども、問題が財政に関することでありますから、大蔵大臣として一体、国鉄に対してどういうふうにお考えになっておられるか、その点を一つ最初に伺っておきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) この公共負担の問題は、非常にむずかしい問題だと私は思っています。で、国鉄の公共性というものにかんがみて、ある程度の公共負担は当然すべきものでありますが、この負担が過重のために国鉄の経営が困っておるのか、あるべき姿の運賃というものが保障されていないための経営の困難さであるか、ということがまず検討すべき一つの問題であろうと思いますし、また同時に、かりに、これが企業体でございますので、完全に民間企業体と同じような経営が許されるということであったら、まずこれを資本に直したらどのくらいになりますか、一兆数千億の資本金でありましょうが、この配当がない、国税というものは別に取っていない、こういうようなものを見て、あるべき姿にあったら、これだけの負担をほんとうなら民間ではすべきものを免除されておるから、公共負担も、このぐらいの公共負担ということは、当然国鉄の使命であるべきだというようなものも出てくると思いますので、その経営をやはり診断する基準というものを、私どもはここで立てて、はっきりとこの経営がいいのか、あるいは運賃が不当であるということになるのか、公共負担は、これは少し重過ぎるという結論になるのか、これを断定するのはなかなかむずかしいと思います。従って、私どもは、やはり事業体である以上、今後、一つの基準に基づいて、ものさしみたいなものをもってこの経営の診断をするというようなことをやって、その結果、公共負担をもう少し怪くするために国がこれだけ見てやるのがほんとうだとかいうような、いろいろなことが出たら、その通りにしたいと思いますが、今のところは、私どもは、今まで程度の公共負担というようなものは、国鉄のあり方から見て、これは当然負担していいのじゃないかというふうに考えておりましたが、しかし、まあ、いろいろ御要望もございましたので、傷痍軍人の問題とか、あるいは新線の利子補給というようなものはやりましたが、これはほんとうに合理的な診断に基づいてやったことか、そうじゃなくて、特に要望が多かったからこの二つをとりあえずやったということの性質のものか、これは、われわれはやりましたが、あまり自信のないことで、これはとりあえずはやっても、今後そういう方向で行くか行かないかということについては、ここでは、よほど国鉄経営に対する診断が私は必要だと思っております。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 まあ、あなたが、利子補給や傷疾者の負担について科学的な――そういう言葉は使われませんでしたけれども、科学的な根拠でなしに、要望が強かったからやった。これはほんとうでしょう。私もそれは認めますよ。正直でいいです。しかし、水田さん、そういう政府の考え方というものが、はたしていいかどうかということだと私は思うのです。おっしゃる通りに、公共負担が過重であるかどうか。それから国鉄という公共性の高度である企業が、この公共負担についてあまりとやかくいうということ自体が私もおかしいと思うんです。当然負わなければならない公共負担というものはあるはずです。しかし、今の状態でこれがはたして妥当か、あるいはもっと公共負担をさせてもいいのか、あるいはもうすでに過重に負担をしておるのかということになりますと、きのう公聴会で御出席をいただいた公述人の方々のうち、賛成意見を述べられた方が、御出席五名の中で在名あられたわけです。で、この三名の方々が、ひとしく、公共負担は重きに過ぎるということを言っておられたわけです。で、一例を見ても、たとえば、これは国鉄の資料です。定期旅客というものは、収入の面で参りますと、定期のお客さん、つまり学生定期とか通勤定期とか、定期券を買って乗られるお客さんが、運輸収入総額の一七%。で、一々切符を買ってお乗りになるお客さんが八三%もあるわけです。しかるに、人の数、お客の数からいうと、定期券を買って乗られるお客さんは実に六四%である、過半数なんですね、はるかにこえている。そして一々切符を買って乗るお客さんは三六%である。で、この六四%、つまり六割以上の定期券を買われるお客さんの収入が、わずかに総旅客収入の一七%にすぎない。これはどうしてこういう開きになったかといえば、明らかに法を越えたといいますか、――まあ法を越えたわけでありませんね、五割もしくは四割ということで法は押えておりますから、それをはるかに無視した割引率が適用されておる。学生のごときは九二%二ですか、九割二分以上の割引、つまり七分何厘かの運賃で運んでおる。これは明らかに国鉄が強要されておる運賃である。国鉄総裁が好んでこういうことをやっておるのではなくて、何回もこの定期運賃を公正な運賃に直したいという要望があったにもかかわらず、政府がこれを押えておる。従って、これを押えていくということは、当然政府が何らかの裏づけをしてやるべき責任があると私は思うのです。しかるに国鉄としては、こういう企業経理というものを全然無視した運賃で運んでおりながら、運ばせられながら、運ばせられることを拒否する力は持たない。しかし、それによって生ずるところの赤字に対しては糾弾をされなければならない。で、今度は運賃値上げを、しかもこの八三%の収入を負担しておる人たちにさらに重い負担をかけさせようとしている。これは非難の起こることがむしろ当然であって、私どもも国鉄の経営がよろしいとはもちろん考えておりません。また、運賃値上げも、何が何でも反対だというわけではありません。政府がやっておるから、これは何が何でも反対だということではなくて、経営もまずまずこれ以上改善の必要はなかろう、政府としてもまずまずこれ以上の手は打てなかろう、また、この程度は妥当だという考えに立つならば、私どもは決してこの運賃値上げに賛成することにやぶさかではない。しかし今のこの国鉄の経営の状態並びに政府のやり方については、どうしても直ちに国民に重い負担をかけるということには納得できないから、そこで政府の御方針を伺ったわけであります。で、先ほどの利子補給その他についての具体的な考え方であったかどうか、わからないとおっしゃっておられますが、少なくとも政府が、政府関係の最大の企業である国鉄、しかも日本経済にとってはきわめて重要な役割を持つ国鉄の経営についてでありますから、私はもっと政府が積極的に検討を加えられて、そうして経理面についての責任をむしろ政府がその一半を負うくらいの熱意を持って私は国鉄に臨まれたらいいのではないか、こういうふうに考えるのですが、今のお話ですと、一向に国鉄の経営に対しては、これだけの運賃値上げを押しつけておきながら、まあ政府が運賃値上げを押しつけたのか、国鉄から要求したのか、その点もこの間の予算委員会での質疑によりますと、多分に私は問題があると思うけれども、とにかくこの運賃値上げに直面して、なおそういう御方針であるということであるなら、これは私は政府として非常に国鉄に対しては怠慢ではないかと思うのですが、大蔵大臣として、この点もっと国鉄経営の改善について、閣内において積極的に運輸大臣と御協力をされ、あるいは場合によっては督促をされて、もっとだれが見ても納得のいくような姿にすべきであると私は考えますが、大蔵大臣としてはその辺いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) ちょうど今片岡さんがおっしゃられているように、この大きい割引をやっている人がきわめて都市中心の通勤者ということになって、全国のほかの人たちの方が割引はありませんし、運賃が高いので、だからこれは公共負担で、一つの政策によって押しつけられた運賃だ、もしかりにしたとしますれば、特に安くしているそのためのこの財政補助といいますか、やるというときには、特別に割引されている人へ補助して、そうでない、そのほかの一般乗客というものを捨てておくということにはいきませんので、そうなれば全部の乗客の運賃不足というものを一般国民の税金でこれを見てやるという問題になろうと思いますが、これはまた考え方によって、特に割引されていると今非難されているようなものへ、一般国民が税金でこれを補給してやるというような措置がいいか悪いかということは、これは大きい私は問題だと思います。やはり受益者負担という原則と同時に、独立採算制という原則の上の経営でございますから、その中で調和をはかっていくのがほんとうであって、運賃の問題を税金でこれを補給するというような措置は、私は理論的であるばかりじゃなくて、これはもう技術的な問題として、なかなか簡単にはできないことであろうと思っております。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 これは水田さんらしくない御議論だと思うんですね。この一般旅客は、個々の線について申しますと、これはここにも国鉄から資料出されております。柳ケ瀬線のごときは、三十四年度の年度の収入全体は五百六十二万六千円、それで納めた固定資産その他の税金が実に五百八十五万三千円、年間の総収入を上回って固定資産税その他を納めている、こういう線区が、今国鉄では経営されているんですよ。ですからね、その個々の線について私はとやかく言うのではありませんけれども、この国鉄の原価というものは、総合原価の方式をとっておられる。だからその個々についてはともかくとして、一応旅客についても貨物についても、国鉄全体としては原価をまかなうものということに説明がされておる。しかし、総合原価においてはなるほどまかなうのかもしれませんが、常識的にいっても九割二分をこえる割引などというものは、はたして許されるのかどうかということです。しかし、だからといって今これを直ちに原価をまかなう運賃にするということになったら、それでなくてさえ今値上がりムードで、さすがに皆さんも、池田内閣も国鉄以外の私鉄料金は一応値上げを押えなければならぬということになっているわけです。これがもし、この原価をまかなうように上げるということになったら、これはとんでもないことになるだろう。特に通勤定期のごときは、通学定期以上に問題が出てくると思うのです。あまりこまかいことを申し上げて恐縮ですけれどもね。通学定期というのは、一応乗車の運賃を払って、定期券を買って学校に通わせる力のある者が買ってやるわけです。ところが高校に行くことができなくて、中学で卒業して工場勤めをする、こういう子供は、その学生定期よりも高い定期券を買って通うわけです。ここにも非常に大きな矛盾がある。これはしかし、だからといって、私はすべてこれを同率にせよとかなんとかいうことを今一がいに申し上げるわけではありませんが、そういう点を一つ一つ検討していけば、まだいろいろな問題が出て参ります。けれども、いずれにせよ、通勤にせよ通学にせよ、とにかくあまりにひど過ぎるのではないか。だからこれを適正な運賃に引き上げようとすれば、非常な社会問題になってくる。そこで政府としてはどっこいこれは押えるわけでしょう。従って、国鉄の経営者が好んで抑えておる運賃ではない、政府の政策に順応するためにやむを得ずして押えておるのだから、これは政府として考えてしかるべきではないかということを私は申し上げておるのです。だからといって、この原価をまかなっておるところの旅客運賃を、それならばめんどうを見なければならぬという理屈は、少し私はへ理屈に過ぎぬじゃないかと思う。この際私は、公共的な負担として、今定期券を取り上げましたが、そのほかにも農産物あるいは水産物、その他石炭等、いろいろなところに公共的な負担を負わされておるわけです。こういう点についてもう少しめんどうを見られたらどうかというのですが、今この期に及んで、今日ただいまさればどういことにするとか、具体的にどうこうということにするとかいうことは、私は幾ら何でも要求できない。そういうことを言っておるのではありません。しかし、今後今までのようなやり方では、いつまでたっても、かりに今ここで運賃を値上げしても、木暮運輸大臣は、私の在職中には値上げしないと言われました。十河総裁もおそらく総裁の在職中は運賃値上げをしたくないと言っておられる。けれども私はもしこのままで、しかも物価が上がっていくならば、おそらくやことし一年、なおいって来年一年、必ず百来年ごろには赤字になる、運賃値上げをしなければならぬということになりますよ。そうでなければ、また五ヵ年計画は変えていかなければならぬ。これはきわめて明白だと思いますので、そういうことではなしに、やはり政府としてもう少し考えるべきだと考えますが、それでもなお大蔵大臣としては、今まで通りで、今後政府としての施策を何らか考えるというお気持にはなれませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) この間、ここにおられる企画庁長官とも私は相談したのですが、政府関係企業を同種の民間企業と比べて経営の合理化状態がどうなっているかというようなものを見る、やはり一つのさっき申しました診断の基準というものを政府は考えて、常にそれで見ながらいろいろ判断して、国がめんどう見ることが必要だというものに対しては、これはやってもいいと思いますし、そうじゃなくて、そこまでいっていない、まだこういう点に合理化の余地があるのじゃないかという結論がくれば、そういう経営の合理化もやってもらうというような、いずれにしても、政府が各政府関係企業の診断をできるような一つの基準を関係当局で今後検討しようではないかという話まで今出てきているところでございまして、やはり今後そういうようなことで政府が合理的ないろいろ施策をやっていくという方向にいかなければならぬものだろうと思っています。ですから、私一がいにこれはもう一切国がめんどう見ないとかなんとかいうのじゃなくて、今実際にその結論を出すほんとうの診断基準というものがないというところで、まあ、私どもはいろいろ困っているというようなことでございますので、これはそういうような前提で今後の施策は考えたいと思います。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 あまり議論を繰り返したくないのですが、具体的に資料がないというお話ですけれども、たとえば行政管理庁から国鉄の経営内容については監査が数年前に行なわれているわけです。それから最近においても、国鉄経営の経営委員会、国鉄諮問委員会等があって、それぞれそこから、今私が申し上げているような内容の意見が出されているわけです。特に公共性の負担が多過ぎるということが出され、しかも、これはこういう経営のやり方は今は日本だけである。アメリカでもイギリスでも西独あるいはフランス、イタリアでも、どこでもこういう前時代的なことはやっておらないということまで言われているわけなんですから、一つ具体的な資料は十分あるはずですから、この点はもう少し政府として親切に、身をもって国鉄経営というものに当たっていただきたい。国鉄を利用する国民全般が迷惑をするばかりですから、不公平のないようにぜひ一つ努力をしていただきたいということを要望しまして、ここで通行税の問題で一つ大臣の御意見を伺いたいのですが、現行運賃では、一等旅客に対しては二等運賃の倍額に、それに二割の通行税が積み重ねられているわけです。外ワクになっているわけです。ところが、今提出されておりまする改正案によりますと、国鉄の収入になるべき一等運賃は二等の一・六六倍、で、それに通行税を加えた額が二割になるように改正案としては出されております。この国鉄の今回の運賃値上げが、原資がなくて困るということで運賃値上げをするわけです。それに対して、政府からの新線建設その他でめんどうを見てもらいたいということもかなえられないというわけで、やむを得ずこの運賃値上げをするものだと私は理解しております。この通行税の総額は、大体二十億前後ではないかと思う。もし政府が公共負担その他についてめんどうを見られないというのであるなら、何で通行税ぐらい含められないのか。つまり、お客が国鉄に支払う金は一・六六倍、さらに通行税を加えたものですから、国鉄に入ろうが、政府にその一部が入ろうが、旅客にとっては同じことなんですね、旅客の財布から出るということについては。従って、むしろ通行税を廃止して、従来通り二等の二倍にしても、なお一等旅客にとってはその通行税分だけ従来に比べて率が――絶対値は別として、率は安くなるはずです。国鉄当局並びに運輸大臣の御説明によりますと、これは一等旅客をなるべく多く吸収するためである、航空機との関係等もこれあり、と言っておられます。しかし、航空方面に対する政府の補助金等を考えれば、そういう説明は、説明せんがための説明であって、必ずしも経営の衝に当たっている国鉄並びにその監督の立場にある運輸大臣が、本心からそういうことを考えて答弁しているのではないと私は思うのです。大蔵大臣として、なおこの程度の通行税はとらなければいかぬのかどうか。特に私が申し上げるまでもなく、通行税というものはかつての三大悪税の一つにもなっているものであります。この際、一つ思い切って通行税を廃止する。そして一等旅客の運賃は二等の二倍――従来通りにしたらいかがかと思うのですが、大蔵大臣はどうお考えですか。考えられるというよりも、むしろ私は通行税を廃止して、その分を、一等を二等の二倍ということにきめてほしい、こういうことです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まあ、通行税は各国でもとっている税金でございますし、ことに、乗りものに等級をつけているという以上は、最高の等級、一等あたりは若干奢侈性の強いものというようなことで、ある程度の通行税の課税というものは私は妥当じゃないかと思います。まあ、ほかは廃止しておりますし、この程度は、これは各国の例によってもある税ですから、私はいいんじゃないかと思います。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 どうしてもそれがやめられないというのなら、最低限私の方から譲歩して、これを還元したらどうか、国鉄のために。たとえばガソリン税等のごとくに、目的税といいますか、そういうことにして、この分を国鉄の新線建設なり、あるいは車両改善等に回されたらどうか。これもこまかいことになりますけれども、今一等と二等との差は、サービスの点においてはそう大して差はないように国鉄も説明しておられました、従来。しかし、私どもが乗ってみて、一等と二等の違いは、これは一・六六倍ないし二倍の運賃を払った程度の差ではありません。特に東海道緯線のごとき、乗ってみれば、車からしてどだい違うし、ボーイ、専務車掌の態度からして、ことごとく違っているのです。ですから、これはその程度のものはとってもよろしいのではないか、その額がどうこうと言うのではありません。私は、通行税は廃止すべきだと思うのですが、どうしても廃止できぬというのなら、せめてその額は少なくとも国鉄に還元する御意思はないかということです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私個人の考えとしましては、これは検討に値する問題だと思っております。十分検討に値する問題だと思っております。と申しますのは、この国会を通じてもそうでございましたが、やはり公共負担の問題が、国鉄の経営と関連して問題になっていますので、やはり国鉄の持つ、あるべき公共負担はどの辺までが限度か、それ以上は国鉄としては負担が過重であるというような問題を、やはりここで根本的に私どももいろいろの分析をやって考えなければならぬ問題だと思います。その一環としてそういう問題も私は将来は考えたいと思います。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 ぜひ一つ近い機会に御検討いただきまして、廃止をするか、そうでなければ、これを国鉄のために使う。私はむしろこの程度のものは国鉄のために還元すべきだと思いますので、そういうふうになるように御検討をわずらわしいたいと思います。  それからその次に、これは地方財政に影響することですから、むしろ自治大臣の御意見を伺うべきと思いますけれども、八十五億近い固定資産税が支払われておる。先ほど申し上げましたように、柳ケ瀬線のごときは、一年間の収入よりも払う税金の方が多い。能登線のごときも大体六割近くがこの税金になっておる。三江線は大体五割近い、宮原線も五割近い。こうして経営係数が六〇〇、五〇〇、四〇〇という、全く経営としては非常識なくらいに経営係数の悪い所でも、このような高額な固定資産税が納められておるわけです。こういう点は、せめて高度の運賃割引等のごとき公共負担の是正がなされない期間だけでも、こういう固定資産税のごときものは見合わしたらどうか。国鉄がもっと正常な状態で運営されるようになるまでは、もしくはこういう赤字線区については、少なくともやめるというふうにされたらどうか。これは専門家に対してはなはだ失礼ですけれども、法人税等においても、収益があがらなければ税金はかけられぬわけですから、明らかにこういう経営係数が一〇〇を越えるものについては、これは本来ならば課税の対象にはならないはずです。まあ固定資産税ともこれは違いますけれども、こういう点について一つ大蔵大臣として御配慮をいただきたいと思うのですが、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私はその配慮をしたくないのです。と申しますのは、これは経営力の問題じゃなくて、税理論の問題でございますし、応益課税であって、そして税の公平という点から見ても、民間会社でも、赤字会社でも固定資産税というものは払っている。国も自分の国有財産を持っている市町村については交付金を出しているというようなことで、国鉄の固定資産税といっても、実際は国が出している交付金と同じような性格のものでございまして、これを、公共性を持っているからという理由で、国鉄だけの固定資産税を免除するというような措置というものは、これは税の理論上からもとるべきものじゃなくて、また一つの企業体でございますし、経営がいい悪いにかかわらず、一般と均衡をとった税というものは、これは当然払うべきものだと私は考えています。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 おっしゃるように、赤字会社でも固定資産税は納めております。しかし、それらの私企業は、自分の利潤追求のために設備を行ない、経営をやっておって、先ほど私が申し上げましたような高度の公共負担というものはやっておらないのです。それならば、この経営係数が千百四十五あるいは六百三十九、こういうほとんど法外な悪条件のもとに経営をしいられておる線区が、赤字ですからということで定期運賃等を特別に経営に合うように引き上げることが許されるのか。これは現在四線区くらい特定運賃を作っておるようです。しかしそれとても決して原価を償うておらない。負おせるものだけは負わせておいて、取り上げるだけは世間並みだ、こういうやり方は私は不合理じゃないかと思う。現行日本国有鉄道法が改正される前は、御承知のように黒字になった場合には国庫に納める、あるいは平衡交付金として積み立てる。赤字になった場合には、そのかおりに政府が補てんをするということが明定されてあったわけです。しかるにこれが二十八年に改正になって、赤字補てんの方は消されて、黒字の取り上げの分については残っておるこういうきめ方をしたのはいろいろな理由があるでしょう。あるでしょうが、少なくとも公共負担ということが多分に考えられて私はこういう措置になったと思うのです。しかるにその黒字の方だけ、取り上げる方だけは冠してあるけれども、その赤字の原因となる公共負担の方については何らの措置がとられておらない。残されておらない。これは当然国鉄当局としても、運輸大臣としても、常業法などの改正をする前に、まず私はこういう問題を解決すべきだと思うのです。それもやっておらない。  私は大蔵大臣に重ねて伺いますが、一般の公共負担あるいは社会政策的な事柄に何ら関知しておらない企業と、このように高度な公共性を持つ企業と同一に考えてよろしいのかどうか、私は考うべきではないと思う。少なくとも正常な経営になるまでは、この赤字線区だけでも、たとえば経営係数三百以上とか五百以上とか、そういうクラスをつけることはあったとしても、このような悪い、赤字の経営の線区についてだけでも、私は何らかの措置を講じたらどうかと思うのですが、いかがですか、重ねて伺います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 公共性にかんがみて普通の固定資産税の二分の一程度の納付金ということでやっておりますが、これをしも免除しろということでしたら、これは早い話が、こういうものを納めておるために国鉄は困るのだから、たとえばその分を国からくれたいかという話なら、これは筋が通るかもしれませんが、国鉄は公共企業体であるからといって、国においても国の財産を持っている市町村に対してはこうした応益課税を払っておるということですから、国鉄だけが固定資産税を免除してくれというのは筋が通らぬ。一応固定資産税はこれは地方へ納めます。しかし国鉄の経理が困るのだから、経理について全体としてどうしてくれということなら筋が通るかもしれませんが、経営が苦しいから、私企業の赤字会社でも払っておる固定資産税を国鉄だけは払わないようにしてくれという話は、私は筋が通らないと思います。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 関連質問をしたいということですから……。公共負担その他について政府がしかるべき措置をとるということが、大蔵大臣によって是認されるのなら、私はこういう問題は持ち出さないのです。先ほど何とかならぬのかというお尋ねをしましたところが、それはお考えになっておられないということでしたから、私はそれならばということで、この通行税の問題が出てき、固定資産税の問題が出てきたわけです。ですから、あなたが今おっしゃるように、筋を通して、公共負担その他について全面的に考えるということであるならば、私はこういうこまかい問題に触れてこない。特別の具体的な問題について、私が一々例をあげてここでとやかく申し上げるまでもなく、これは当然大蔵省は運輸省と御相談になられる、あるいは国鉄当局との間に折衝されて、しかるべき打開の方法を考えていただかなければならない。そういうことをしていただく、あるいはこれから検討されるというならば、私の質問は取り消してもいいのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 先ほど申し上げましたように、今やはり国鉄の公共負担、これが重過ぎるかどうかというような問題はどうしても政府としても一ぺん検討して、確かに重過ぎる、それならば国がこれだけのことをしてやるのが至当だと、あるいはこの程度の負担はやむを得ないという結論が出るかもしれません。そうすれば、これは経営の問題であり、また運賃の問題ということにもなりましょうし、この問題はどうしてもやはり将来の問題として解決すべき問題だと私は思いますので、先ほど話しましたように、経営診断の一つの方法を確立して、それによって一つの尺度から見て結論を出して――将来政府はそういうことを絶対しないとかなんとかいうことではなくて、まずそういうことから始めて、私は解決策を考えたいと申しているのでございまして、絶対にこれを見ないとかなんとか言っておらないのであります。

小酒井義男日本社会党

○小酒井義男君 大蔵大臣御承知のように、この間の予算委員会で固定資産税の問題が出たときに、私この問題を取り上げて、政府の方でも考慮すべき点ではないかという質問を申し上げております。実はあのときに運輸大臣は、やはりこの点については努力したいということを、あるいは分科会でもおっしゃっている。ところが、私は別に自治大臣に質問はしなかった、答弁を要求したわけでもないのに、自治大臣は、それは困るということを言われた。あれが終わって実は廊下へ出たときに、これは名前はちょっと差し控えますが、ある大臣は、やはり地方が要望して、そうして国鉄のあまり好まない新線を建設させておいて、それからいろいろな金を取り上げるというのはこれは少し酷ではないか、こういうものはやめるべきだと僕も思うなと言って、私の質問に実は賛成してくれた人もあったのです。今お話を聞いておりますと、形の変わった形で検討することならしてもいいと、こういうような御答弁でしたが、それを検討したいただければ、私はまあいいと思います。  このほかにも私はこういう考え方を持っているのです。やはり国鉄の運賃値上げというような問題を、これを行なう場合には、まず国鉄の部内におけるところの経営努力というものが第一行なわれる。そうして国として行なえることをまず国として行なって、それでも輸送力増強のためには資金が不足であるから、金が足りないから、その分は利用者に一つ負担してくれ、こういうような形へ持っていくのが順序でなければならない。それが運賃値上げということだけで解決をしようというようなことになると、ここに問題があると私は思う。そういう点から、国としてそれではどういうことがやれるであろうかということで、いろいろ議論が出るわけなんですが、その一つの方法として、たとえば固定資産税の問題、今、片岡委員が私の要求しました資料に基づいていろいろ質問されておりましたが、この点でも戦後国鉄の建設審議会、あれの答申に基づいて建設をした新線であって、しかもそれが赤字路線である。こういうようなところは、やはり全体を対象にして考えていいのじゃないか、同時にこの同じ審議会の答申に基づいて建設をした赤字路線に対するところの建設費の利子も、これはやはり同じような考え方で検討をする必要があるのではないか、こういうふうに考えるのです。こういうようなところが、さしあたって今私の気がつく、国として最低限の国鉄に対して行なうべき責任といいますか、そういう問題点ではないかと思うのですが、その利子の点は一緒にやはり御検討を願う。これからの新線は問題ありませんが、この建設審議会の答申に基づいた建設ですね。その路線の極端な赤字、戦後の建設線をずっと見ましたところ、これは昭和三十五年度に営業を開始したところは載っておりませんが、それ以前に建設した路線の営業係数というものは、平均しますと二二四という数字が出ておる。極端なのは六百幾つというのがあるのですが、こういうのはやはり国の責任で検討をすべき性質のものである、こういうふうに私は考えるのですが、大蔵大臣どうお考えですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 採算のとれない新線をたくさん作ることが、国鉄の経理を圧迫していることは、われわれも十分承知しております。しかし、これは全体として見なければなりませんので、不採算線があるから――それは不採算線は作らないということにして、採算線だけで経営するなら、こんな楽なことはございませんが、全体として不採算線も入れ、特にそういうのが一つの培養線となって人は基幹路線に集まるのですから、それを作ったことが全くの赤字の原因であるかどうかということも簡単には言えませんし、国鉄の経理全体の上から考えることでございまして、一つ一つをとって、これは採算がとれないから国がめんどうを見るべきだというふうにばかりは私は考えられないと思います。

小酒井義男日本社会党

○小酒井義男君 大蔵大臣、今全体ということをおっしゃっているので、やはり国鉄の経理全体を見て、これから輸送力の増額をしていこうと思うと、実際やれないのですね。そのために運賃値上げをやるということになるのですから。ですから全体の中にそういうものがある、しかもそれが国鉄の独自の判断で建設をした路線ではないのだ。地方の要望があり、その要望に基づいてやられてきた、ずいぶん無理な路線があるのですよ。ですから、これは私は国鉄にそういう政治のしわ寄せといいますか、どう言ったらいいかわかりませんが、しわ寄せをするようなことで、国鉄の経営が苦しくなっておるということであれば、そういうものはやはり見る必要があるんじゃないか、こういうふうに私は思うのです。それで、ほかに黒字線があるから、赤字線があっても、これはペイしておるのだ。しかもこれから建設改良工事が国の経済成長に見合うように国鉄の力で実行し得るという状態であれば、私はけっこうだと思うのですが、それができないということで運賃問題があがっておるという実情ですから、そういう国民の要望、あるいはこれを国会が取り上げて、政府が取り上げて、そうして建設をして、国鉄に経営をさしていくという、こういう関係から見ると、もう少し親切な扱いといいますか、国として考えるべき余地は私はあるのではないかと思うのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) その辺を勘案しまして、今度は新線建設の利子補給をやるという措置をとりあえずとったわけでございます。(「三億や四億では困る」と呼ぶ者あり)

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 あまり少な過ぎるというと失笑を買うようなことになりますから、大臣ももう少し多額に考えていただきたいと思います。  二つあとお伺いしたいと思いますが、一つは、今まで伺っておったのは、国鉄に課せられた公共負担に対しての問題でありまして、日々欠損を生じていく問題についてであったのでありますが、今度はそのもとになる、たとえば都市計画に関連をして、どうしても国鉄が投資をしなければならないもの、あるいは通勤対策としてやらなければならないもの、踏切対策であるとか、こういう純然たる公共対策のための投資が五ヵ年計画では九百五十億と計上されております。これはこの九百五十億を投資してやってみたところで、これは国鉄の収入には何らの影響を及ぼさない、純然たる公共対策のための投資である。いわばこれは社会政策上求められるところの国鉄の投資である。こういうものをまで国鉄に負担させなければならないのか。これを結局運賃値上げによってまかなうということになってくれば、これは国民にこういう負担を課すということに――つまり国鉄利用者だけにこういうものを課するということになってくると思うので、先ほど来の大蔵大臣の御所見からいえば、これもまた筋の通らない話になるのじゃなかろうかと私は思うのですが、こういう純然たる公共対策のための投資であって、しかもそれによって何らの増収にならない、収入をもたらさないばかりでなしに、この投資によって作られました施設が維持されていくために営繕費等を――この投資をすることによって増収になるのじゃなくて、収入が得られるのじゃなくて、逆に今度は国鉄の方から年々この営繕費等を支出していかなければならない、こういった投資があるわけでございます。こういったものについては、政府としてもやはり考うべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) そういう問題もございますので、私は先ほど申しましたように、国鉄の公共負担の限度というような問題についても、これから検討に入りたいと思っておるわけであります。

片岡文重民主社会党

○片岡文重君 それではもう一つ同じようなことで、新線建設費も同じようなことが言えると思います。これは新線建設ですから、収入はふえて参りますけれども、民間における、たとえば製造工業等では、新しい製品ができるからといって、その製品を売り出さない前に、現在売っている旧式の製品を値上げをするというようなことは私は聞いたことがない。この新線建設費のための運賃値上げなんということは、全く同じことだと私は思うのです。新線建設をされて、その恩典に浴することになって初めて、これだけの金がかかりましたから負担して下さいということなら話はわかるのですけれども、サービス改善のために、あるいは新線建設のために、前もって、現在の低級なサービスを受けているものが、将来に予想される高度のサービスに対して、その資金を負担するというやり方は、私ははなはだ、不合理だと思いますので、これらもあわせてぜひ近いうちに御検討をいただきたい。特に具体的な資料ということでありましたが、先ほど申しました通りに、経営調査会、諮問委員会あるいは行政管理庁の答申等も数々あるわけでございますし、国鉄経営について在野の学者が真剣にこの問題については研究しておられますから、それらの人々の意見も十分に一つごしんしゃくいただいて、私どもが喜んで改善のために、あるいは国鉄の運賃値上げに賛成できるような一つ経営に、一日も早く国鉄がなるように、大蔵大臣としてぜひ近い機会に御検討をいただきたいということを御要望しまして、なお御質問したいことはあるのですが、同僚委員からございますから、一応私の質問は保留しておきます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 大蔵大臣と経済企画庁の長官にお尋ねいたしますが、私は三月の十日に本会議で党の代表質問をいたしたのでありますが、本会議の質問に対する答弁でありますから、そういう関係で非常に簡略にされた答弁だと思いますが、固定資産税の問題と、それから大蔵大臣にお尋ねしたのは国庫預託制度であります。これは先般、本委員会でも金丸委員から指摘がされましたが、本会議では大臣の答弁は、こういう制度は「国鉄だけじゃなくて、政府機関全般の現金管理制度については、私ども改善すべきものは改善したいと考えております。」、これが大臣の本会議における答弁でございます。具体的に、委員会でございますから、もう少し掘り下げてお尋ねいたしますが、例の国鉄の国庫預託については、大体一日平均残高百五十四億だ、こういうふうにいわれております。その中で四十億まで無利子、残りの金額については二分九厘三毛ですか、そういう金で政府が取り扱っておる。その中には何か国鉄が債券で集めた金も入っておる。債券で集めた金だといたしますと、少くとも七分程度の金がつく。そういたしますと、これは非常に不合理な面が出てくるわけです。国鉄が四十億まで無利子にして、それから残りの分については約百億以上の金になりますが、それもまた二分九厘三毛だ、非常に安い利子です。ところが、それが今言われておるように、債券で集めた金までそれへ入るということになりますと、これは大へんな不合理だと思いますが、議論の余地はないと思います。そこで本会議で、善処する、こういうお話でございましたから、重ねて一つ大蔵大臣のお答えをいただきたいと思います。  それから経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、これもまた本会議の答弁でありますが、本会議では、長官は、国鉄運賃の値上げはそう物価に影響はない。特に、私は、家計に及ぼす影響ということからお尋ねをいたしましたけれども、これもまたあなたのお答えでは、大体消費者物価に対しては国鉄の旅客運賃の引き上げによる影響は〇・一%程度であるからきわめて軽微である、こういう答弁がされまして、あたかも影響がない、こういうふうな印象を受けるような答弁をされております。しかし、これは先日委員会でいろいろ他の議員から質問をした場合に、実はこうこうだった、こういう長官の考え方が述べられたわけです。これは述べられた内容は、長官自身が御発言になったのでございますから御承知だと思いますが、実は政府は、国民所得倍増の初年度に当たる本年は、そういう運賃値上げというふうなことは望ましくなかった。やはり何といっても物価に影響し、まあ、消費者物価だとはお話がございませんでしたけれども、何といってもこれは影響するところが大きい。だから経済企画庁長官としては、来年は何とかなるかもしれないけれども、ことしは一つ差し控えてもらいたかった、けれども国鉄の現在の状況から見てやむを得なかった。こういうことを言われておりますが、そういたしますと、本会議の質問で、私に対する答弁は全く木に竹を継いだような答弁でありましたが、趣旨として、本会議の答弁と本委員会の長官の答弁とは、何か首尾一貫しておらないようなものが感じられるわけなんですが、この点をもう少し詳しくお答えをいただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 国鉄が債券発行その他によって長期資金を調達しておることは事実でございますが、この長期借入金の金利というものと、国庫の預託とか、あるいは繰りかえ使用のときの短期の金利というものは、これを比較してどうこういうことは妥当でないと思います。で、今、日歩八厘の金利というものは、これは国鉄が一時資金不足の場合には、国庫がそれを使用していいという金利と見合ってそういう制度に、まあ、政府全額出資の機関はそういうやり方を全部しておるのでございますが、やはり各企業からもいろいろな経理の弾力性というような問題とからんで、この預託制度について若干の改善を加えてくれという要望がございますので、今この間お答えしましたように、全般の問題としてそれを検討しておりますので、私ども何らかの改善をしたいと考えております。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 確かに私は国鉄の値上げをもう一年待ってもらえないだろうかということを、問題が起きました当時は切実に考えまして、そういうこともずいぶん言いました。それは当時新聞等に書かれておりましたが、国鉄の値上げというようなものが一つあるというと、きっと私鉄にも波及するだろう、バスにも波及するだろう、いろいろ要するにムード的な感じからいって、できるなら一年待ってもらいたい、こういうことを希望したのでありますが、しかし国鉄の現状をいろいろ説明を受けまして、どうしても早く五ヵ年計画に着手しなければ輸送全体が困ってしまうし、しかもそのためにはある一定の金額の、利子のつかない金がどうしても要る。それは国家で補てんするという方法も考えられないことはないけれども、そこになりますと、私も国の財政の中から補てんする筋は筋が違うという考え方を持っておりますので、どうしても運賃の引き上げによるほかはない、そこまでは理解をいたしました。さらにそのあとで、それならその範囲をできるだけ低くしてもらいたいということを希望をいたしまして、結局あそこに落ちついたのでありますが、その場合、一体それなら物価にはどれだけ影響してくるかということを試算をいたしてみまするというと、卸売物価、貨物の運賃が品物の値段に影響することは、これは過去のいろいろな経験から申しましても、また現在の生産性が向上しつつある現在におきましては、原則として生産性の向上によって吸収されて、卸売物価に影響することはまずあるまい、こういう判断が下せましたし、消費者物価に対する影響というものは、これは今御質問の家計費に対する影響でありますけれども、この家計費というものは、それぞれめいめい違うのでありまして、国鉄を利用して、生活をしておる方々にはそれだけもろに影響いたしますけれども、全般的にこれを把握するのには、どうしてもやはり消費者物価指数によらなければならないものでありますから、消費者物価指数に対するはね返りというものを計算をしてもらいました。その結果〇・一%の影響である、こういう結果が出ましたので、まあ比較的軽微であってよかったなあと、こういうふうにまあ思ったような次第でございます。従いまして、現在のような状態における国鉄の運賃の値上げは、物価に対しては、卸売物価並びに消費者物価に対して大きな影響はない、まあ許容し得べき限界である、こういうふうに考えておる次第でございます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 前段の大蔵大臣に対する私の質問は、まあ何とか善処する、総合的に善処するというお言葉がございましたが、そういうことになれば、私のこの不合理だという点はある程度その中で解消するのではないかという期待を持ちまして、わかりましたが、経済企画庁長官もずいぶん本委員会でもこのムードに対する論争はいたしました。それから過日の連合審査会でも、この問題は非常に取り上げられて、長い間時間をかけてされましたが、なるほど運賃が一五%上がったということで、これは従来運輸大臣もいつもそういうことを答弁で言われておったのですが、その運賃が、たとえば五月一日なら五月一日から運賃が上がった、その後における物価の値上がりというものがまさに〇・一%あるいはそれ以下かもしれません。しかし今経済企画庁長官がお話をされたムード、これは運賃が上がるということから、その他のものに大きく影響する。まあたとえて申しますならば、とうふが小さくなると、これは値段は上がらなくても実質的には値段が上がったことと同じことになる。この間の連合審査会では、材木が非常に上がった、こういう一つ、二つの例があげられて、やはり国鉄の運賃値上げに伴う全体の物価の値上げムード、こういうものからやはりこの消費物価に影響する、こういうことはこれは否定ができないと思うのですよ、私は否定はできない。そういたしますと、この運賃値上げというものが全体の物価の、特に消費者物価の値上げということについては、これはもうあくまで肯定をしなければならぬ。肯定をした上に立って、なおその上にこの新しい五ヵ年計画というものが必要かどうか、そういう判断をいたすべきだと思う。ところが、私は非常に不満でありましたけれども、本会議でありましたから、重ねて登壇するわけにも簡単に参りませんし、その際引き下がりましたけれども、長官の本会議のお答えと、それから委員会における論争の中のお答えは全然変わっておる、こういうふうに印象を受けましたので、この点をお尋ねしているわけですが、この消費者物価特に私が指摘いたしました、家計に及ぼす影響というものは、ある程度これは長官もお認めになっておる。こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) どうもやはりこれはムードの問題だと思うのでして、率直に言いまして、もし国鉄の運賃の値上げなかりせば、私は今の物価値上がりムードの対処策は、今日よほど楽だったと思います。思いますけれども、国鉄の運賃そのもの自体の物価に対する影響はどうかということでありますれば、先ほど申しましたように、御売物価にはほとんど影響はないだろうし、消費者物価に対しては、指数の上で〇・一%の影響があるにとどまります、こういうことを私はお答えせざるを得ないのでして、従って、国鉄の運賃が家計に及ぼす――まあムードを作るのについて、一つのファクターになったということは、これは私も認めざるを得ないと思います。そういう意味で、そのムードが若干家計に影響したのに一つの責任があるじゃないか、運賃の値上げも責任があるじゃないかとおっしゃられれば、私もそれはそうだと思いますけれども、国鉄運賃値上げ自身がどれだけ家計に影響をしているかということは、これは消費者物価指数によって計算すると〇・一でございます。こういう答弁をするわけでございます。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 どうも長官、この間うちから論争をやっておるのですが、どうもあなたは何でも数字でもって片づけようということですね、〇・一とか〇・一%とか。しかし、なかなか国民生活というやつはそうはいかぬものですよ。たとえば、きのうの新聞に企画庁で発表しておられましたが、最近の食料品の値上がりについて家計に及ぼす影響というものは、エンゲル係数における低額所得者には影響がない、高領所得者の方に影響がある。低額所得者の方に影響があるのは地代、家賃の値上げである。こういう結論だったのですね、新聞によると。私はあれを見まして、はたしてそういう数字でもって一体家計の尺度をはかられるということが、政治家としてどうかと私は思うのですが、確かに数字で表わすとそうかもしれませんが、今も中村君が、とうふは値段が同じでも小さくなったと、こう言う。なるほど、たとえばコロッケ三つ食ったのだが、高くなったから二つで女房はがまんしているということがあるのですよ。低額所得者ですよ。そういうふうなのは数字に表われてこないのです。ですから、何でもかんでも、〇・一だ〇・一だというので、人間の生活を尺度で、ものさしではかっていくというところに妙なものがある。それはなるほど今あなたのおっしゃったように、国鉄運賃の値上げだけとって、それが一体どんなやということは、大体計算ができるかもしれませんが、その平均のとり方自体も問題があると思うのです。どういう平均をとられたか、どういう計算をされたかということに問題があると思うのですよ。しかし私は、毎日論争しているのですけれども、国鉄運賃値上げというものをこんなに大騒動しているということは、これが生活費の何%に当たるかというようなことではないのですよ。社会心理に及ぼす影響、経済心理に及ぼす影響、こういうものが非常に大きいのであるから大騒ぎしているのです。ですから、どうもあなたの答弁をこの間うちから聞いているというと、国鉄運賃値上げが物価に影響するようなしないような、どうもはっきりしないのですね。その辺運輸大臣と少し違うのですけれども、運輸大臣はムードの根源になっていないとおっしゃる。あなたはムードの根源になっているとおっしゃる。ですから、きのうの発表も、はたして食料品の値上げが低額所得者には影響がないというふうにお考えになっているのですか、あれは。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 大倉さんのお話によるというと、国鉄の運賃が上がったから、とうふが小さくなるという……。とうふと国鉄の運賃の間に因果関係がまさにあるようなお話ですけれども、それも必ずしも私はないのじゃないかと、ちょうどそれはまあムードの話だと結局思うのです。私〇・一という数字を強情を張るわけではありませんけれども、全体的に影響がどのくらい出てくるかということを何かに表わさなければならぬとすれば、数字で表わす以外には方法はない。そうすれば、消費者物価指数に対するはね返りを見るとO・一、ただ事実を言っているだけでありまして、それだから国鉄運賃というものは上げてもいいのだという、その論証にはしていないわけです。ただ物価に対する影響というものは比較的軽微であるということを申し上げているだけなんです。  それから、さっきの食料の値上がりというのは、大体魚と肉なんですけれども、家計費の調査を五分位といいまして、一番低い階級が第一、第二、第三と第五位まである。第一のところは、やはり蛋白資源はあまりよけいとらずに、含水炭素をよけいとる計算になってくるものですから、お米の値段が上がっていないことによって――要するに比較的上がっているのは蛋白資源の問題なんです。蛋白資源の値上がりが響くのは、一番下の階級でなしに、まん中辺の階級によけい響いてくるということから数字を言ったのでして、それは数字は確かにそう出て参ります、エンゲル係数及びとっている食物の内容から見まして、そういうことでございます。(大倉精一君「生活自体はそういうことじゃないのですよ」と述ぶ)感じの問題は、これはまた別でございますけれども。

大和与一日本社会党

○大和与一君 国鉄の運賃の値上がりがムードを呼ぶだろう、しかし実際には〇・一というのは科学的なんだけれども。そうすると、今の公共料金をしばらくストップするということを聞きましたが、これはムードに対する、幻想としての処置ですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) たびたび申し上げておりますけれども、新聞等が、国鉄の運賃が上がったら必ず私鉄が上がるだろう、バスも上がるだろうというのを書きましたが、その当時運輸大臣は、便乗的な値上げというものは一切これは認めない方針であるということを、運輸大臣自身御声明になっておられたし、私たちもそういうように考えております。ところが、一つのやっぱりここに値上がりのムードが起こって参りますというと、私は、大倉さんがさっきムードの根源と言われた、その根源という言葉に少しこだわって、ファクターの一つと、こう言いたいのですけれども一つのムードができて参りますというと、どうも私鉄とかバスとかという人たちの話を聞きますというと、非常に安易に、値上げを申請したらそれが許されるのじゃないかというような印象を持っておるように私は思い始めました。これは非常な間違いなのでありまして、ことに単純に、ガソリンの値上げ自身がはね返ってくるから通貨を値上げする、こういうようなことでありますれば、ごく軽度の値上げはあるいは合理化されるかもしれないけれども、バス屋さんなんかの頭に考えておるような値上げは、それだけの理由からしますと認められない、それにもかかわらず安易に考えておられるらしい。世間的にもそういう感じが出てきましたものですから、いかに運輸大臣が便乗的値上げはこれを抑制する方針だと何べん言われても、どうもはっきりしない、徹底しないというような感じがしましたものですから、公共料金は当分の間という考えで、ほんとうに必要なものだけに限定する、それをよく研究し、まあ人々の必要なものについては、納得をするその時間を持つために、当分の間一切の値上げをしないという方針をきめてもらったわけです。

大和与一日本社会党

○大和与一君 あなたムードなんという言葉を使うから変な質問になるので、もっと正確に答えてくれれば、それによって質問するのです。私も国鉄の運賃だけが、そのムードが全体の物価に影響を及ぼすとは思わない。今度の国鉄の運賃だけにこだわらなくとも、全体の物価が最近上がっているのは間違いない。そのために国民生活をある程度圧迫する。こういう形の中で今後政府の施策として、一体これは自然的に、国民の中にはよくなってきたから、それくらいの負担力はあるんだとおっしゃるのか。あるいは一時公共料金はストップしたけれども、公共料金だけにとどまらないで、おそらくこれは国民生活に直結しておりますから、他の全部に及ぶことだと思うのです。そうすると、当分の間という言葉の意味合いは、運輸大臣にお聞きするのはやめますけれども、これはある程度期限がきたらそれも解消される、そうするとぼかっとあらゆるものが上がっていく、それがまた国民生活にはね返って生活が苦しくなる、それに伴って労働者なり、その他農民等の所得というものが、あるいは給与というものが上がるかといいますと、所得倍増なんと言っても、十年先はなるだろうという仮定であって、幾ら聞いても、池田さんはなりますとまだ言い切れぬわけです。そういう形の中で物価の値上がりというものが、その中にある運賃値上げというものも、国民生活に対するあまりいい現象ではないのだと、こういうように考えます。そこが私のお尋ねしたい一番のねらいなんですよ。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) これは上げずに済むならこれに越したことはないと、私もそう思います。しかし全体的な問題として、これは上げなければ、国鉄の機能が十分発揮できない。発揮できなければ、日本の国民生活の発展に非常にそれだけ大きな障害がある、大きな害が出てくるというのですから、これはやむを得ないことだと思うのです。それで、先ほどおっしゃいましたように、消費者物価というものは、こういう高度成長の場合には、これはどうしても上がっていく傾向にあることはやむを得ないことなんでありまして、これを下げていきます具体的な方法というものは、物の供給をふやして卸売物価を下げていくほかはありません。従って、物の供給をふやすために、これから大いに努力するわけでございますが、サービス料金のごときもの、あるいは公共料金のごとく、人件費の非常に大きな幅を占めているものは、これはどうしても上がっていくと思いますが、そのものが国民生活の内容に影響する部分というのは、所得のふえる割合よりもずっと少ない割合であるということは確実なんです。もう、どう計算しましても、最近においては国民生活の内容それ自身が充実していることは、まあ十家計支出がふえました中で、少なくとも六は生活内容の充実である、物価の上がったものは四くらいだというのが今のわれわれの方の計算でございます。従って物価が上がることは、傾向としてはやむを得ないと思うのですけれども、決してそれが国民生活を積極的に低下せしめる方向にはいかない、こう思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それじゃ運輸大臣にお尋ねいたしますが、昭和三十二年に運賃値上げをやったのです。そうすると、今度は私鉄が安くなったのですね。それでお客さんが殺到する。私鉄のターミナルあたりではとても人間がさばけない、輸送の混乱状態が起こったのですよ。そのために私鉄に運賃値上げを認めたかどうかは知らぬけれども、そういう事態が実際にあったのです。そうすると、やはり特に運賃を値上げするという場合に、交通全体のやはり大局的な、総合的な調整なり見通しを持たなければ、勝手にやって、そして片一方だけ発展して……。決してこれは値上げに賛成しておるのでも何でもないのですよ。なくても、交通全体の立場からいって、そういう具体的な経験があったけれども、今回の場合にそういうことになったらどうするのですか。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 今初めてそういうお話を伺ったものですから、私はよく存じませんですから、どうぞ鉄監局長から……。

岡本悟運輸省鉄道監督局長

○政府委員(岡本悟君) この問題につきましては、先般お答え申し上げましたように、従来運輸省といたしましては、運賃政策の見地から、並行いたしております鉄道の区間におきましては、相なるべくならばバランスのとれた運賃であるべきだという見地から、いろいろ実施して参りました。と申しますのは、これもしばしば申し上げておりますように、鉄道事業には、御承知のように相当大きな固定投資をいたしておるわけでありまして、運賃のバランスが非常に大きく破れておるために、その利用が一方に極端に片寄ってくるということは、これは好ましくないことは、だれにも明らかであると思うのでございまして、そういう見地から調整をしておりますけれども、しかしこの際、当分の間はそういうことにつきましてもよく様子を見まして、この間の閣議の申し合わせの線に沿いまして、その精神を尊重いたしまして、情勢の推移に十分気をつけまして、慎重に検討いたしたいと、かように考えております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 運賃値上げのことは別として、そういう交通上の混乱が起こった場合に、政府は全責任をもって処理する、そういうふうに確認していいですね。

岡本悟運輸省鉄道監督局長

○政府委員(岡本悟君) さようでございます。

白木義一郎無所属クラブ

○白木義一郎君 今長官から係数並びにムードの話が出ましたから、私の考えをお聞かせしたいと思いますが、実は私はゆうべムードの出どこへ行って参りました。焼き鳥屋とラーメン屋を見て参りました。すでに料金が五円ないし十円上がっておりました。こういうところから物価の値上がりのムードが明らかに現われてくるということを、大臣もまた長官も、過去の青年時代、青春時代、学生時代に帰って、そうして、いつもその気持を忘れていただきたくないと思うのでございます。で、われわれ人間の本能といたしまして、真夏の暑い盛りに自動車で町を走っておりますと、汗を流して道を歩いている人が愚かに見えるような錯覚を起こす場合がございます。それから、この鉄道のことにつきましても、われわれは宿舎から毎朝バスで送ってもらっております。非常にありがたいと思っておりますが、すれ違う市電には鈴なりでございます。非常に私はつらい思いをいたし、申しわけない感じを毎日味わっておるものでございますが、そのように焼き鳥屋のおやじも、何だ高くなったじゃないか、小間切れが小さくなったじゃないか、こう言ったら、運賃も上がることですし……。ラーメン屋では、チャーシューが薄くなったじゃないか、いや、運賃も上がりますしね、このようなところに端的にムードの根源がある。単に机上の計数だけで〇・一%の影響しかないと割り切らずに、その国民の実態生活、そういう点も絶えず責任者は考えて、全体観並びに部分観を見失っては相ならないと思います。特に大蔵大臣、国の金庫を預かる大蔵大臣が見えておりますが、もちろん、こういうことは千万心得て責任ある立場をとっていらっしゃると思いますが、念のために、一つ、学生時代に帰られて、そういうことも忘れては相ならぬ、このような態度で事を進めていっていただきたいと思います。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 答弁要りませんね。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて下さい。  二時三十分まで休憩いたします。    午後一時四十三分休憩    ――――・――――    午後四時二十八分開会

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) ただいまより委員会を再開いたします。  質疑を続行いたします。

中村順造日本社会党

○中村順造君 昨日、やや内容に入った質問をいたしまして、資料をお願いしたのですが、これは非常に見にくいのですが、これは資料は、またあとで一つ説明をいただいて、その上で質問をいたしたいと思います。  先般来、私はいろいろ第一次五ヵ年計画、第二次五ヵ年計画の実施につきまして、しばしば繰り返しましたが、合理化といい、あるいは近代化といい、あるいは新しい五ヵ年計画の策定の実施といい、ことごとくこれは、人を対象にして参らなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけです。きょうは総裁も出ておられますが、いろいろな計画が立てられ実施をされるにしても、そのことを実際に実行していくということは、やはり国鉄の四十数万の職員がそれをやっていく、当然のことであります。そこで、私はこういう面について、従来国鉄の経営の中で、すなわち四十数万の職員に対する協力態勢があったかどうか、こういう点について、私はそういう計画が実施される以前の問題として、まずお尋ねをしなければならんと思う。  昨年来、いろいろな総裁の諮問機関だとか、あるいは正規の監査委員会などから、そういう点も指摘をされているわけです。その点について、含までいろいろな事象が起きておるわけでありますが、午前中も、私は仲裁裁定に関連をして、その起きた印象の一部を申し上げたわけでありますけれども、こういう点について、総裁は一体どういうようなお考えを持っておられるのか。まず、それをお尋ねいたしまして、また、その中身について重ねて質問を行なっていきたいと思う。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) ただいまお言葉の中にもありましたように、仕事をするのは職員であります。職員には、努めて理解と協力を得るように努力いたしております。団体交渉などのほかに、懇談をする機会もできるだけ多く持ちまして、いろんな機会に、こういうことをやりたい、こういうふうなことをやれば、こういうふうな結果になるというふうなことを、でき得る限り職員の多数に理解してもらえるように今日までも努力いたして参りました。今後も、さらに一そうその努力を続ける覚悟でおります。

中村順造日本社会党

○中村順造君 せっかくの総裁のお言葉でございますけれども、事実は、そうなっておらないのではないか、こういう気がしてならないのであります。これは私は、なぜあえてそういうことを申し上げるかと申しますと、三月十五日の事態からいたしましても、これは、だれが何と言っても、あの事態に対する国鉄当局の考え方は、すなわち三十一日の予防措置である。こういう考え方が、従来の例から見ましても、同種事件に対する取り扱いの例から見ましても、これは明らかに、そういうことが言えるわけです。必要以上に、しかも時期的に見て、中村理事も来ておられますけれども、去る二十一日の委員会で言われたこと、こういう面を、ずっと一貫して考えてみますると、今総裁が、たまたま将来の国鉄の経営の問題として、私が申し上げたような人の和あるいは対人間関係、こういうふうな点については、できるだけ懇談等を続けていきたい、こういうふうな総裁のお考えの表明がなされたわけでありますけれども、事実は、そうなっておらない。これは二十三日の議事録を見ましてもわかりますけれども、何か国鉄は高いところの位置に立ちまして、ややもすれば、みずから持っておる――労務担当の中村常務理事の言葉をもって言うならば、任免権はわれわれにあり、わが方に任免権はある、こういう、きわめてわれわれの理解に苦しむ態度で一貫して臨んできておる。当時私どもの方の同僚議員からも、これは国鉄の権利の乱用だ、こういうふうに指摘がされておるわけでありますが、事実を私はきわめて抽象的に申し述べておるわけでありますけれども、具体的に申し上げなくてもわかると思いますが、少なくとも今日国鉄が、この労働者に対してとられておる措置あるいは考え方というものは、そういうふうに理解と協力を求める態度でない。これは何ぴとも、このことは容易に認められるわけでありますけれども、事、労使の関係でありますから、あえて総裁をわずらわすまでもないと思いますけれども、こういう点についてのお考え方を、全体として国鉄は、将来どう考えるか、こういう点のお答えを一つ重ねてお願いをしたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 合理化、近代化をやりますにつきまして、たとえば電化を進めるという際に、一番最初に私は、これは団体交渉の対象事項ではないけれども、先刻申し上げましたような考えに基づきまして、ぜひ組合の幹部の方にも知っていただきたいということで、組合の方では、だいぶいやがられたようでありますけれども、無理に出ていただきまして、合理化の、電化の最初の方針を決定いたしまする際に、無理に出ていただいて理解をしてもらったり、その後も、先ほど申しまするように、懇談の機会をできるだけ多く作りまして、そういうふうな方針でやっておるような次第であります。  私どもといたしましては、今申し上げたような趣旨でやっておるつもりでありますが、なおいろいろ不行き届きなところもあったかと思われますが、今後も、この方針で努力いたして参りたいと思っております。

中村順造日本社会党

○中村順造君 せっかくこの法律もございますから、私は、そう無理な面を強調する意思は毛頭ございません。しかし重ね重ね国鉄の総裁なり副総裁あるいは労務担当の常務理事の方から言われておるのは、団体交渉の対象であるとかないとかいう問題が、これは真に私は言っておるように、まさに法律的に開き直った言い方をすれば、その通りになるかと私は存じますけれども、そういうことじゃなくして、ほんとうに四十数万の職員の理解と協力を求めるということに、ほんとうの気持ちが、そういうところにあるとするならば、もう少し広い視野に立って、高いところから判断をして、あえて今まで指摘をされておるように、国鉄部内における多くの労使間の問題を解決する私はその誠意と、熱意があれば、できると思うのです。  しかし今言われておるように、この点は、団体交渉の対象でない、この点は団体交渉の対象だ、もちろんそういうことは、団体交渉がありますから、私の申し上げておるのは、団体交渉以前の問題として、すなわち今申しましたように広い視野に立って、そういう協力を求める、こういう気持があるかどうか。  もしあるとしまするならば、今回今まで、あったのかどうか知りませんけれども、私どもの判断では、私どもの見る目では、今までは、そういう気持はなかった、対等であるべき労使の中におきましても、国鉄の経営者は一段労働者より高い地位にあるというふうな錯覚を起こして、そのままそれが処理をされておる、こういうことでありますが、団体交渉の対象にならないものまで、私は団体交渉に乗せよ、そういうことは言っておるわけではありません。それ以前の問題として、そういう気持があるかどうか、具体的にそういう考え方を、それではどういうふうに一つ行動に移していくか、事実問題として積み上げていくか、こういう問題をお尋ねしておるわけです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 私の申し上げておることも、今お話のようなことを申し上げておるのです。団体交渉の対象事項は、団体交渉で取りきめております。その対象事項でないそのほかのことでも、なるべく職員の多数の理解を得ることが国鉄経営上、必要な大切なことである、こう考えまして、そういう機会をできるだけ多く作ってやっておるつもりであります。今後もやる覚悟でおります。

中村順造日本社会党

○中村順造君 その覚悟、御決意は、私はけっこうです。けっこうですが、事実問題として、労使の間に、若干問題が起きた、あるいは日鉄法か公労法か知りませんが、それに抵触をするような事態が、多少この部内で労使の間がうまくいかないために、そういうことがあった。こういう場合に、もう一方では信賞必罰と申しますか、すなわち必罰の方が先になりまして、たくさんの人を職場から追い、たくさんの人に厳重な処分を間髪を入れずにやる、こういうことで、今、総裁が決意を述べられましたけれども、その決意が、そのまま国鉄の経営の中に生きていくかどうか。  こういうことにつきましては、遺憾ながら、私どもが見た目では、左の手で頭をなで、右の手で首をはねるというようなことでは、これはうまくいくわけはないと思うのであります。五ヵ年計画の策定は、中身において、私はまだ議論いたしておりませんけれども、公聴会なり、あるいは連合審査の中で、そういうものの必要あるいは必要の度合いというものは、若干議論されております。しかし私の申し上げているのは、それ以前の問題として、一方で理解と協力を求めるという手を差しのべておいて、一方の手で首をはねる、こういうことでは、ただ決意なり、覚悟というものは、空念仏に終わる可能性がある。また今日まで一貫して、そういう気持はだれもなかったとは言えませんけれども、あったとするならば、そのことが、実施に移されておらない、こういうことでございます。  この点はどうなんでございますか。事実問題として、そういう形が現われておる。総裁のお考え方を聞きたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 別の機会に申し上げたこともあるかと思いますが、大ぜいの人が、打って一丸となって仕事する上には、共通の目標、広場というものがなければならぬ。それは、国鉄という企業を盛り立てて、これを健全にしていくということが、その広場だと思います。また大ぜいの人が、それぞれいろんな考えを持っておるのであります。いろいろの考え方、違った考え方を持っておるということも必要でありますが、何か一つ、よりどころがないといけない。それは法律というものが、皆さんの国会でおきめになった法律というものが中心になって、よりどころにならなければいかぬ。そうでないと、秩序、規律を維持することができませんから、それで共同動作がうまくいかなくなる。ここに私どもの非常に苦しいところがあるんであります。  そういう次第で、ある場合には、やむを得ず処分をしなければならぬということも起こってくるんであります。私は、これを非常に嘆いております。われわれの不徳――そういう違法な事態を起こさぬようにすることができなかったということは、私深く反省いたしておりますが、そういう場合が起こってきたときには、やむを得ず、その法律に従って処分をしなければならぬという場合も起こってくるんでありまして、これは非常に遺憾なことであります。できるだけそういうことのないようにということを、今後も努力をする覚悟でおります。

重盛壽治日本社会党

○重盛壽治君 関連して。どうも答弁が、少し違っていやしないかと思うのだ。私は、中村君の聞こうとするところは、やっぱり現われた現実に対して、ほんとうに総裁が今言うような、いわゆるあたたかい気持ちがあるならば、どう処置をしたか、またするように考えておるかということは、どうも、この前も私は申し上げたのだが、国鉄一家というと、これは悪い意味で言う人もあったが、私どもは、一体になって仕事を進めていく、ほんとうにいい代名詞だと考えている。国鉄というものは、一体になって、一諸になって仕事をしていく。理事者も、一線で働く労働者も、ほんとうに一体になって国鉄運営のために努力をしていく、そういう意味では、国鉄一家という言葉が使われておるように考えられる。  しかし、たまたまそういう事態が、だんだん薄らいできて、あるいはそれは、かつての一家というような言葉が封建的だということで、そうなったかもしれぬが、そうなっても、私はいつも言うように、人の和のないところに事業の繁栄はあり得ない。いわんや新しい五ヵ年計画を遂行しようというようなときに、法律でものをきめていく。もちろん法律は使っていかなければならぬが、法律は、万やむを得ざるときに使うことであって、いい法律は、これはどんどん使っていくことはいいが、首を切っていかなければならぬというようなことは、これはなるべく使わないことにすることがいいわけである。  ところが、先般の主・一五の闘争を中心にして、二万人からの大量処罰をし、その中で二十人近い首切りをしておる。一方ではどうかというと、三・一五ストをやろうという、そういう闘争の決定をしながらも、仲裁委の出したあのベース・アップを国鉄総裁、運輸大臣に言わせると、意外な数字だというけれども、私が、少なくて意外だと思ったら、あなた方の考え方は、多すぎて意外だったというふうに考えている。自分の給料が、大臣自体が三〇%くらい引き上げられたはずである。そのときに、国鉄従業員の給与が一〇%でいいかということを考えれば、これでは少な過ぎて心配だがという驚きなら私は納得がいくが、そうでない逆な驚きさえしている。従って、そういうことは、いわゆる従業員、労働組合の指導者としては、忍ぶべからざるものを忍んで、あの仲裁裁定をのんで、それはやはり国鉄をよりよくしていこうという、やはりみずからの事業を完成させるためには、当面この限度が了承しなければならぬのじゃないかという気持ちでのんだはずです。  ところが、この処分せられた者が、今後どうなっていくか。しかも、この国会の中で、通貨引き上げというようなことは、あらゆる日本の経済に悪影響を及ぼすからおやめなさいといっても、どうしてもやろうとする。どうしてもやろうとするときに、この内輪の態勢ができているか、できていないかということを私は中村委員は聞いているのじゃないかと思う。同時に、そういう悪い首の切り方をした者に対して、その後十河総裁はどう考え、どう処置をしたのか。事実的に処置ができなかったとするならば、どう処置をしようと考えているか。ここを私は聞こうとするのではないかと考えるし、私自身は、少なくともそこのところを、もう少し明確にしてもらわないと、どういうふうに総裁が答弁をしても、いわゆる答弁のための答弁を何百べんお聞きをいたしましても、新しい計画が、そういう考え方の中で、冷たい、法律を振り回してやろうとする中での国鉄の五ヵ年計画の完遂は断じてできない。このように考えているものですから、先ほど来、忍ぶべからざるものを忍んで処分をした、やむにやまれず処分したというならば、やむにやまれずやった処分の結果は、どのように指導しようとしているのか、その点を一応私はお聞きしたいのであります。運輸大臣も両方一つ御所見を伺いたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 繰り返して申し上げますが、国鉄の企業を盛り立てるという共通の広場で、みんながその基準に従って、法律で定められた基準に従っていくということでなければ、なかなかこの大ぜいの人が一致した行動をとるということは、私は困難だと思います。  それゆえに、国会でいろいろお作りになった法律に従って、われわれは行動するのほかはないと、私はこういうことを繰り返し従業員に理解を求めるように努力をいたしたのでありますが、不幸にして、従業員全部の理解を得ることができなかったということについて、私は深く反省して、今後も一そう、そういう努力を続けていきたい。そうしてみんなが一致して、ああいう不幸な処分なんというようなことをしなくてやっていけるように、今後も努力を続けていきたいと申し上げているのでありまして、それで御了承を願いたいと思うのであります。

重盛壽治日本社会党

○重盛壽治君 大臣のお話はあとで聞くが、そういうことは総裁に聞かんでも、私はわかっている。これは、皆が一体になって仕事をし、円満にやっていく、しかもその中には、一応の規律がなければならぬ。そんなことは、少なくとも国会議員でやってくる人間は、全部知っている。そういう中で、現実に現われた国鉄の問題、それからこの間の処分というような問題、将来どのように考えるのか、今までのやり方というのは、過去のことは私は十年も二十年も前の戦争前のことは知りません。戦争時代のことはよく知っているが、よくもまあ、あれほど一緒になって国家のために奉仕できたものだと思うほど、一生懸命におやりになって、その後だんだん先ほど中村委員が言われるように、何か上の方にすわっておれば、特別の権利があるやに錯覚を起こして、むしろ前線で働く従業員が、多数の従業員が国鉄運営のために、国鉄の輸送強化のために努力するからこそ、あなた方のような、りっぱなえらい理事者が必要になってくるわけであります。ほんとうに末端に働く人こそ、感謝をしなければならない立場にあるわけですから、そういう人たちが、たまたま要求をし、不満があったということで若干の行為、行動が行なわれても、それを、ただ法律のワクの中で――基準がなければならぬということはわれわれもわかっております。私どもも、決して五十万の人間ではないかもしれませんが、十万なり二十万なりの人間とともに行動し、ともに、そういう運動をしてきたものでありまするから、そういう基準が必要であるくらいのことはわかっておりますが、そういう中にも、やはり考え方、努力をしたいということでなくて、現実に現われたものの処置に対して、どういう方向を持っていきたいと、こういう一点がなければならない。  そういう、いわゆるあたたか味がなければ、どんないい計画をここでかりに――私とも反対でありますが、決定されたと仮定しても、これはうまくいかぬではないかということを申し上げておる。もう少し、総裁が踏み切って、たとえばこの間の問題は、このように措置をいたしたいと思います、運輸大臣は、こういうふうにしたい、そう言うくらいの考え方がなければ、やっぱり仕事は進まぬと思う。運輸大臣から所見を聞いておきたい。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) 先般のいわゆる国鉄の処分がございましたが、私どもとしては、ああいう処分の起こるような事態の発生しないことをこいねがっておるわけでございます。しかしながら、すでに国会によって決定された法律がございますので、その法律に違反したような場合には、これは処分を免れないということは当然でございまして、ただいま国鉄総裁が言われたように、社会においても、企業内においても、法を守るということが協力一致のもとであるように私どもは考えられます。  従って、処分を行ないますことは、きわめて厳正に適切に行なわれなければならないのでございまして、国鉄が行ないました処分も、またこの線によって間違いなく実施いたしたものと私は確信いたしておるのでございまして、今後こういう法律に反して処分を受けるような行動のなからんことを、運輸大臣としては心から祈っておるような次第でございます。

重盛壽治日本社会党

○重盛壽治君 関連だから、もう私はやめますが、それは大臣が、あなたが、これからそういう処分を受けることのないように祈っておると、それは、あたりまえのことでありまするし、もう一つは、国鉄でやったことが、これは悪かったとは言えないでありましょう。悪かったとは言えないかもしれませんし、その問題は、いわゆる不当馘首の問題は別の機会にお尋ねもし、また論争を申し上げたいと思いますが、少なくともやっぱり二・一五のときの処分の中には、三・三一の闘争を一つの目標として戦ってきておる中でやられたことであって、いわゆる先制攻撃という言葉がいいかどうかしりませんけれども、そういう意味も含まれた処分であったことは明瞭である。従って、そういうものはやっぱり両方が仲裁裁定をのんだというときには、本来いうならば、そういうものは即座に元に戻して、そうして新しい角度から一つ手を握っていこうじゃないかということになるのが、普通の企業である。一国鉄は、あるいは違うかもしらぬ。運輸大臣としては、運輸大臣の立場にありながら、公共料金の引き上げをしたい、けれども、国鉄だけは上げるんだ、その他はどうなってもいいというような感覚から出てくるとすれば、それは、今のようなことで、あるいはいいかもしれない。しかし社会通念といいますか、全般的に通用する考え方というものは、そういうお考え方であっては私はならぬのじゃないか。もしそれが、そうであるならば、こういう御答弁があってしかるべきだ。厳正中立にやったと考えるけれども、十分調査をして云々という言葉が出なければならぬはずである。それぐらいのお考えはないんですか。関連ですから、これでやめますが……。

木暮武太夫自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げます。そういう問題につきましては、十分国鉄をして実情を調査させて間違いのないよう、誠意を持って運輸省としては指導していくように努めたいつもりでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 総裁にお尋ねします。その前に、私はまだほんとうの質問は一分もいたしておりませんので、幾らでもあるんですから……十時間ぐらい。今、関連質問ですが、総裁が就任されたとき、言葉をよく覚えているんですが、一つには、自主権の確立された日本国有鉄道を作る、そのために労働組合の協力を求める、これをやるために、まあ俗な言葉で言えば、線路を枕に討ち死にする、こういう不退転の決意で御就任になったという、そういうことがあったわけです。  これが総裁のそのときの御心境で、非常に努力されておることは私も十分承知をしておりますが、それは総裁御自身の御心境だけではだめなんで、国鉄全体の全職員が、総裁の気持をくんで、正しい労使関係も、あるいは政府に対する決定的な抵抗もあわせ行なわれておれば、私はいいと思う。その点、そのときの御心境は、しかしなってみたけれども、なかなか容易でなかった、容易でないと、こういうふうな率直な一つ御心境を、まずお聞きしたいと思うのです。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) そのときに、今お話のような心境であったことも事実であります。今日も、なおその同じ心境でおることも事実だと申し上げていい。ただしかしながら、それは私の心境で、私の心境が、そのまま実行され得ない、そのままどころではなく、ほとんどわずかしか――わずかは実行されたかと思いますが、実行され得ないということが多々あります。これも事実だと思います。私はそういう点において絶えず反省して努力を積み重ねておるつもりでおります。今後も、そういうふうにしたいと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 二つに分けて、自主権の確立と労使の関係、二つに分けてお尋ねします。  自主権の確立ということについては、今までも、政府なり大蔵省なりあるいは運輸大臣なりに、ずいぶん努力されたと思うのですが、一番の隘路は一体どこか、一つか二つ、一番大事なところ、ずいぶん努力したけれども、どうしてもこの隘路を開いてもらわなければ、全国鉄の職員は救われぬ、こういうところがおありになると思うのですが、一つか二つおっしゃって下さい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) ちょっと一番の隘路というのは、非常に簡単なことのようでありますけれども、なかなかそれは困難で、国鉄の財政が、今日のように行き詰まっておる、これではできないのであって、私はこの行き詰まりを打開するためには、まず第一に、みずから反省して大いに合理化をやるべきである。ところがこの合理化にも、いろいろないわゆる合理化投資というものが要りますし、合理化に国鉄職員はもちろんのこと、国民も協力してくれる、それがなかなかできないのであります。  それから、先ほど来皆さんからお話のありますように、公共負担というものを、政府出資にしてもらう、あるいは割引も、ひどい割引を少し怪くしてもらうというふうなこともやるとしましても、なかなかこれは、もう困難であります。それらができないとすれば、非常に低位に押えられておる運賃を上げてもらうということしか残らないのでありますが、それも今日、こういうふうに皆さんに非常に御迷惑をおかけしておるということで、この財政力が、もう少し楽にならないというと、国鉄の自主性というものは容易に得られるものではないのであります。  同じ公社であっても、たとえば電電公社の方は、国鉄と比較いたしまして、財政が多少ゆとりがあるというところで、電電公社の方が、あまり皆さんからお小言をちょうだいしないで、まあ幾らか楽にやっていけるという状態で、私どもはうらやましく思っておるのであります。そういう点が、非常に困難でありまして、私も自主性をできるだけ獲得したいと念願いたしておりますけれども、心ばかりはやって、どうも成績が上がらんで非常に申しわけないと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それでは国鉄労働組合と、動力車労働組合を含めて、労使の関係ですが、これはまあ、いろいろと意見の合わない場合ももちろんあるのはわかりますけれども、しかし、今日まで、特に最近の労使の関係というものは、ともすれば当局が勢いに乗ってというか、勢いをかってというか、非常に処分をすることにきゅうきゅうとしておる、こういう結果が出ていると思うのです。  この前も資料を出していただきましたけれども、首切りその他ずいぶんございました。これは総裁は、あまり御存じないと思うのだけれども、たとえば新潟における、あるいは金沢の管理局における第二組合、あるいはその他のいろんな問題がありますが、これに当局の現場の指導者たちが、十二分に暗躍をして、労働者の分裂といいますか、組織を乱すということをやってきたことを私はこの目で見てきたし、この耳でも聞いてきたのです。一体そういうことを、総裁は御存じですか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) どういうことを、言われるのか存じませんが、私は、そういう事実はないと思っております。そういうふうな職員の間に分裂を引き起こすというふうなことをしないで、さっき申し上げましたように、共通の広場で法律秩序を守って、そうして協力していくように全力をあげてやっておるつもりでありまして、そういう分裂を来たさせるというふうなことは、私はやっていないと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それだから上意下達も、下意上達もできていないと思うのです。これはもう事実ですから、総裁だけ御自身御存じないかもしれませんが、相当の実例を私持っております。そこで、そういうことになるから、結局私は、この国鉄総裁が達人としての実力をお持ちになっていることはよくわかりますけれども、組織としての国鉄というものが、ほんとうにうまくいっていない。総裁の意思が、部下に徹底していない。一番初め中村委員も言われておるような人の和と申しますか、そこに一番重点があるのだけれども、それがうまくいっていないのじゃないか、そこに危惧を持つしわけです。  具体的にお尋ねいたしますが、副総裁でいいのですが、熊本で先般首切りがありました。いろいろ実情を聞いてみましたら、ある職場で、非常に照明が暗いのです。労働基準法に明らかに違反をしておるのじゃないか、こういう心配があるから、労働基準監督署に問い合わしてみた。そうしたら監督署が見にきてくれた、見にきてくれて、この照明では、やっぱりうまくないというので、注意をしてくれたもんだから、当局がそれを直してくれた。その戦いをしたのに、そこのやっぱり職場に関係のある者が首になったというのですが、こういう事実がありますか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) ただいまお尋ねのございました熊本の件でございますが、これは組合側の方で三月の三日、四日にわたりまして、熊本の操車場の構内の照明の光度が、労働基準法に違反しておるというようなことを理由にいたしまして、職場を離れて違法な争議行為を行なった事実がございました。そのために、貨物列車の運転休止が十七本、旅客列車の遅延が八本、延べ時分が九百六十二分、貨物列車の遅延が十三本、延べ時分二千六百七十三分というような結果を招来いたしました。これは明らかに公労法で禁止された行為をやったわけでございますので、この行為を直接指導した責任者の処分を行なったのでございます。そういう事実がございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 あなたの、これは自分の都合のいい方ばかり言っておってはいかぬですね。構内の作業をするのに、照明の最低は二十ルクスですか、ちょっと専門的でわからないのですけれども、その照明は、実際暗くてできないと、それに対して、労働基準法に対して明らかに違反するじゃないか。この違反を当局が認めるのだったら、それをまず認めた上で、これは申しわけなかったと、かえってあとの話をすればいいけれども、その方は全然触れないで、何百分と数字でごまかそうと思っても、こっちは驚かないからしようがないけれども、もっとはっきり、やはりその作業の内容について、悪かったら悪かったとおっしゃって下さいよ。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 熊本の構内の照度の問題は別に、労働省の方とも、いろいろ照会されたことも聞いておりますが、基準法違反というような事実はございません。また国鉄としては、国鉄自身で、いろんな角度から検討をいたしました操車場等の照度の基準というものをきめておりますので、その基準に従った照度を保っておるわけでございまして、だんだん改善していくということには、もちろん努力をいたしておりますけれども、熊本の操車場の構内の照明は、基準法に違反するというような事実はございませんです。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、熊本だけでなくて、長崎、折尾、鳥栖、こういうところが、みんな大体同じ条件だと思うのですが、ちょっと確認しておきますけれども、現在までの照明を、そのまま使ってやっておって、そして変更といいますか、変えることもしないで、そのままでやっておると、こういうことですね。そういう話は、全然なかったということですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 構内の照明設備等につきましては、従来も、逐次改善して参りましたし、今後も、改善はしていくつもりでございます。  しかし、たまたまこの三月の三日、四日に、違法な争議行為が行なわれました場所における照明というものが、法律違反の問題であったというようなことはございませんでしたというふうにお答えするわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 ちょっと話を変えますけれども、この基本給のベースアップについて団体交渉をおやりになったと思うのですが、これは、どの程度一生懸命にやったか、ちょっとお尋ねします。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○説明員(中村卓君) 職権仲裁が出るまでのお話でございますと一応、そう伺って、お答えいたしますが、数回やっております。それで、もう一応、これ以上は話が進まないから、当局といたしましては調停段階に持っていこう、持ち込もうというようなことをお話ししている途中において、労働大臣からの職権仲裁が出たわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 数回、どういう内容でやったかしりませんけれども、私はやはり、やや結果論的にいうと、もうこれは、どうせだめだからというので、あまり一生懸命にやらなかったのじゃないかと思うのです。それが、先ほど中村委員なり重盛委員から言われた次の段階の、あなたの方の不当処置とからんでくるのですが、一体公労法の第一条の二項に、最大限の努力を尽くさなくちゃいかぬということが書いてあるのですが、それだけ四、五回やったことが、それが最大限ですか、内容を、もっと詳細に言ってもらいたい。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○説明員(中村卓君) かなり精力的に団体交渉はやったはずでございます。それで、なお最後の段階におきましても、完全に打ち切ったわけではございませんので、さらに新しい提案なり何なりがあるという場合には、これで打ち切ったわけではないということも、はっきりそういう留保を、国鉄側としても申し上げておるわけでございまして、かなりわれわれとしては、誠意を込めて団体交渉をやったというふうに考えております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 しかし、それは私は、今まで長い間労働運動をやって、その事情には詳しい方でございますけれども、今までの経験から、慣例からいって、今回の団体交渉が、公労法第一条の二項にある法律通りの、ほんとうに最大限までやったということは、ちょっと常識的にも考えられないのです。それは、まあ口ですから、やらぬというわけにいかぬから、やったやったと言われるのかもわからぬけれども、私は、そこには相当最終的な、最高最善の努力をしたということが、どうも認められないのです。  それで次の質問をしますが、公労法第十七条ですね、これの一体違反の認定ということについて、その解釈をお尋ねします。十七条と十八条ですね。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 十七条違反の行為というのは、ここに書かれておる通りでございまして、「同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為」であります。  それで、たまたま今回処分の問題が起こったという場所で行なわれました事実を調べてみますというと、明らかにこれに書かれておりますような業務の正常な運営を阻害する意思をもって行動をされ、しかもその結果、業務の正常な運営が阻害されたという事実がございますので、私どもといたしましては、まことに遺憾でございましたけれども、やむを得ず処分をいたした、こういう事情でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 第十八条です。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 第十八条は、このような十七条に違反する行為をした職員は、解雇されるものとするということでございますので、解雇された方々は、この条文によって、解雇された一わけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 すると、解雇以外の処分を、日鉄法三十一条でやっているのは間違いじゃないですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 日鉄法の方の規定は、これは三十一条に、「職員が左の各号の一に該当する場合においては、総裁は、これに対し懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」ということになっておりまして、「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合」、あるいは「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、こういうような場合には、日銭法の三十一条で処分ができるわけでございます。また、処分をする責任があると思うのでございますが、実際問題について考えますと、公労法十七条で禁止いたしておりますような、業務の正常な運営を阻害するような行為というものは、同時に多くの場合、「この法律又は日本国有鉄道の定める業務」の規程に違反した場合」に該当する、あるいは「職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合」というのにも、多くの場合、同時に該当いたします。  従いまして、公労法十八条によって解雇することもあり得るわけでございますけれども、その態様によりまして、それらの行為は同時に、日本国有鉄道法第三十一条の規定にも該当するものでございますので、場合によりまして、国有鉄道法三十一条によって処分いたすこともあるわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 公労法の十八条は、解雇以外にはないのですね。何も書いてないです、解雇だけです。で、今の日鉄法の三十一条は業務命令違反といいますか、そういう形になると思うのです。しかしあなたも十分御承知の通り、三十五条に、「日本国有鉄道の職員の労働関係に関しては、公共企業体等労働関係法の定めるところによる。」と、はっきり書いてあるのです。  そうすると、一体この三十五条の労働関係というのは、どういうことですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 労働関係というのは、どういうことかということでございますが、今、学問的に、それの定義をするということは、今ちょっと手元にしっかりした材料もございませんので、はっきりしたことを申し上げにくいのでありますが、平たく申し上げれば、要するに労使関係から起こってくるその労使相互の間の関係ということであると思います。  それでしかし、こういう規定があるからと申しまして、およそいわゆる労働問題に関連した事柄に対しては、この三十一条というものの規定の適用が排除されるのかといえば、そうはならない。と申しますのは、すべての事実関係というものは、それにいろいろな法律の規定が適用されることは、しばしばあることでございまして、ここで申しております労働関係という条項に該当するような事柄が、また同時に、業務上の服務関係というようなことに、また該当するという場合もありますわけでございまして、この日鉄法の懲戒の規定というのは、服務上の問題について起こってくる事柄に対して適用されるわけでございまして、違法な争議行為を行なったという場合は、これは公労法十八条で、当然解雇されてもやむを得ない事柄ではございますが、その同じ事柄が、同じ事実が、服務上三十一条に該当するという場合もございますので、従来とも、事柄の軽重を考えまして、三十一条の方を適用しておるという例がたくさんあるわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 その労働関係のですね、正しい理論的なというか、論理的な解釈を第三者に納得せしめる内容がなくて、そしてあとの方だけは、三一一条を使っていいと、そういうことにはならぬと思います。  一体、それはあなたのお考えなのか、どこで、それをちゃんと認定しているのですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) これは従来とも、解雇処分あるいは懲戒処分について訴訟が提起されておるのがたくさんございます。裁判所でもって、もちろん最後の法律的な判断は下されるわけでございまするが、今、何月何日のどこの裁判所の判例がどうなっておるというものは、今手元に持っておりませんですけれども、その裁判所においても、国鉄の処分いたしましたことが、いわゆる不当処分であったと、法律違反の処分であったというような判決を下されたことは、今までなかったと思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 裁判は、現実の場合に即して裁判が行なわれておるのであって、私の聞いておるのは、法理論といいますか、今おっしゃった労働関係というきちんとした論理がなくて、裁判の判例とか事実はいいから、それは、一応よくも悪くも従いますけれども、しかしこの労働関係の一番初めやるときに、あなたなり、あるいはあなたの方の当局が、どこでだれときめて、これは三十一条を適用していいんだと――本来でいえば、労働関係なんだから。また次で質問しますから、あとのことはあとで言いますけれども、それが三十一条で、労働関係という内容は、論理的に、第三者を必ずしも納得せしめるに足らないけれども、しかし三十一条はおれの方で、これは適用した方がいいから使っていいのだと、こんなことは、あなたありませんよ。もしそうでなかったら、公労法第十八条は、解雇以外はないのです。これも厳密に論理的に、ぴちんと言えるなら、その論拠も必要なんですよ。その辺もはっきり言わないで、そのあとの方だけ、公労法は解雇だけだから、あとの方は処罰できないから、日鉄法の三十一条を適当に準用するということは、そんなことじゃ、第三者を納骨させられないと思います。  第三者を納得させる解釈を御説明いただければ、私は何も文句言わない。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 第三者とおっしゃいましても、なかなか大ぜいいろいろな方がいらっしゃいますから、全部納得していただくという御説明は、なかなかむずかしいと思います。公労法十八条はまさにお言葉の通り解雇だけでございます。しかし、この十七条違反に該当するような行為でございましても、同じ行為が、同時に他の三十一条にも該当するという場合はございます。これは場合によりましては、その同じ行為が鉄道営業法違反になることもあり得ますし、また刑法違反になることもあり得るわけでございます。  従いまして、まあ刑法を適用することやなんかは、これはもう、国鉄当局がやるべきことではもちろんございませんが、田本国有鉄道法と公労法の解釈につきましては、これは当事者であります国鉄当局として、これらの法律は、やはり守る義務もございまするし、また第一義にこれを解釈する権限と責任とがあるというふうに私どもは考えておる次第でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 では、ちょっと次に質問を進めて、国労、動労は憲法第二十八条で団結権、それを受けた労働組合法第一条の組合である、これは間違いありませんね。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 国労、動労が憲法上の組合かというお話でございますが、これは下級審の判例でございまするけれども、たしか東京地方裁判所第一審の判決だと思いますが、憲法上の労働組合だという判決だったと記憶しております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 もう一つ、単一組織の労働組合である、これもお認めになりますか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 国鉄労働組合、動力車労働組合というものを、法律的に厳正な意味において単一組合と断定していいかどうかということは、これは議論のあるところだと思います。議論のあるところだと思いますが、一応、単一組合と申して差しつかえないと考えております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、労働組合の中央執行委員長の命令というものはですね、これは全組合員に当然徹底するのがあたりまえですね。しかも全責任は、中央執行委員長なり中央指導部が負う、こういうふうになりますね、それが労働者側の立場。私が言おうとするのは、もちろん日鉄法第三十五条の労働関係というのは、これは、そうしたら当然労働組合員は、労働組合の委員長の指令が出れば、それに従うのは、これはあたりまえですよ。それを私は、労働関係と言って間違いないと思うのですがどうですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 公労法十七条は、職員及びその組合は、このような禁止された行為をやってはいけないというふうに書いてございまするし、第三十一条も、職員についての規定でございます。  それで、職員としての身分を持っている方が、これらの条項に触れる行為をした場合には、これらの条項が適用されるということは、組合の組織ということと離れまして、やはりその職員が、そういうことは禁止されているわけでございます。そういう行為があった職員が、この規定の適用を受けるということはやむを得ないことではないかというふうに思います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 職員であって組合員であることは認めるのでしょう。また三十五条も、職員の労働関係と書いてあります。しかし職員の労働関係というのは、一体労働関係となれば、これはやはり労使関係が生ずるから、そうすると、今私は念を押して、労働者側の立場というのは、さっき言った、ちゃんと言ったのです。そうすると、それが労働関係であるとすれば、この「職員の労働関係に関しては、公共企業体等労働関係法の定めるところによる。」と、明確に書いてあるのですから、そうすると、公労法の十八条を適用するか、そうでなければ、ゼロになるのであって、三十一条を適用することにならぬではないかというのが、私の質問の一つの焦点です。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 実は、日鉄法の三十五条という規定は、これができますときには、公労法の草案が、いろいろ審議されております際に、一緒に出てきた条項でございまして、この法律のできたいきさつは、先生もよく御存じの通り、当時GHQのいろいろサゼスチョンその他があったわけです。そういう際に、この三十五条で書いてある労働関係というのは、たしかレーバー・リレーションという言葉を使ってあったと思います。従いまして、職員の身分的な関係のことを言っているのではなくて、この労働関係というのは、レーバー・リレーションという意味であったというふうに記憶いたしております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 まだありますけれども、関連ですから、この辺でやめます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 大和委員なり他の委員から、関連質問をされまして、ずっと私聞いておったんですが、どうも、私が先ほど来問題を提起した、その精神がおわかりになっておらない。非常に副総裁の今の答弁のごときは。私は、申し上げておるのは、国鉄の将来の経営の問題として、このややもすれば、相反目する形になっておる労働組合との関係、あるいはこの人間関係、こういうものを改善しなければならないという趣旨から申し上げてておるわけです。  ところが、だんだん議論していくと、やれ裁判所によって判定を受けたとか、あるいは公労法十八条がこうなっておるとか、日鉄法三十五条、これはみんな解雇、首切りの話だ。これでは、私が問題を提起したことと逆になって、だんだん姿勢が高くなって、お前たちは、法律違反をやっておるから、こうなる、公労法十八条で、こうするとか、三十五条で首を切るとか、これでは、私が言っておるように、そういう考え方があるところに、これは先日の本委員会において、中村労務担当の理事も、問題があれば裁判所で話せばよい、こういう不見識な発言をしておるわけですが、私は、そのことは申し上げません。しかしそういう気持のあるところに、人間関係がうまくいくわけがない。特に私は、この発言の中で、じっと聞いておりますと、起こるような事態が起きたことは、まことに遺憾である。あたかも労働者だけが、その事態の全責任を負うような含みのある発言をされておるわけです。こういうことも、またあろうと私は考えまして、前の委員会で、団体交渉がまとまらなかったということは、労使双方に責任があるんではないか、先般来職員局長を本委員会に呼びまして、いろいろ内容を聞いてみますと、職員同慶が、この権威のある国会の委員会の中で、真相をややもすれば曲げる発言をしておる。これは議事録を見て、私は内容がよくわかったことで、これは、この前の委員会で、副総裁も率直にお認めになっておる、こういう事実があるわけです。  従いまして、このたとえばごく最近の例として、三月十五日のあの事態については、団体交渉が十時までにまとまれば、こういう事態が起こらないということが明確になっておるにもかかわらず、それを四時まで延々として、しかも聞く内容によると、これは、大いに労働者の主張を誤解をしておる、管理、運営の事項まで、どうしても一方的に実施を許さないというように主張したからまとまらなかった。事実は、そうでなかったということは、この前、副総裁がはっきりお認めになった。起こるような事態が起きたことは、まことに遺憾であるというなら、これは国鉄の経営者の側も、そういう責任があるということははっきりしておる。  さらに重ねて、私は聞いておりますと、やれ法律に違反をした。こういうことを言われておる。法律に違反をする、なるほど池田内閣は、総理大臣みずからが常に姿勢を正す、私はこの問題について、先日来政府の関係者とも会いましたけれども、姿勢を正すということは、再三言われておる。姿勢を正すこと、けっこうです。私も、この姿勢を正すことにいささかも反対をしておりませんけれども、ただ労働者の側だけ姿勢を正せ、それでいいのか。国鉄には姿勢を正す問題はないのか。こういう点につきましては、先般総裁もみずからお認めになりました。姿勢を正す点につきましては、私を含めて、十分姿勢を正します、こういう発言が、本委員会会でされておる。ところが、中二、三日おくと、すぐこういうことになって、あたかも労働者の姿勢だけ正せば、国鉄の労働関係はうまくいく。こういう印象を受ける発言を再三繰り返されておる。法律違反と言われる。  私どもは、なるほど公労法そのもの自体を、これは違憲の疑いがある。すなわち労働者の基本権、団体行動権を奪い取っておる。そうして、そのかわりに設けられた仲裁裁定というのを、けさ私が申し上げたように、完全実施されたためしがない、今日まで。こういう経緯をたどっておる中で、ただ労働者だけに姿勢を正せ、法律を守れ、私は今回、まあこの法律を守る守らぬの議論を、この委員会でする気持はありません。しかし、少なくとも法律と名のつくものを守れ、守らなければいかん。私ども解釈しておるように、公労法がきわめて労働者の基本権まで侵害しておるような悪法でである。けれども、あなたの立場から言えば、それは公労法といえども、悪法といえども守れ、守らないから解雇した。こういうことでしょう。悪法といえども、あるいは非常に効果的に利益のある法律といえども、これは法律としてあるからには、厳然として労働者も使用者も、これは守らなければならぬ。国鉄は、それでは今度も営業法の改正なども出されておりますけれども、常業法自体にも、私は多くの問題があると思いますけれども、こういうものを、一々守っておられるかどうか、これは総裁でなくてもけっこうですが、法律を守れと相手側に強調せられるなら、わが方も、みずから姿勢を正して法律を守る意思があるということがなければならぬ、現実に、また守っておらなければならぬと思う。こういう点は、明確に厳然、すべての法律に、国鉄は従っておるのか、守っておるのか、こういうことは、はっきり言えますか、この点は……。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) ただいまお尋ねの点につきましては、私どもも、先ほど総裁から御答弁のありましたそのままの気持で、姿勢を正して当たるつもりでおるわけでございます。  ただ、たまたま今おしかりを受けましたが、お言葉を返すようで恐れ入りますけれども、大和先生の方から個々の処分について、解釈はどうかというお尋ねがございましたので、それにお答え申し上げたわけでございまして、私も、たまたまめぐり合わせで、労働組合法規の関係にタッチするような機会が多うございまして、そのために、心ならずも大ぜいの方を処分するような羽目に陥ったことも何度かございましたが、いつもそのつど、もうこういうことは二度とやりたくないと思っておりながら、また同じようなことが起こってくるということを非常に残念に思っておるわけでございます。  先ほど総裁から御答弁申し上げたが、あの気持で、私どもも決して単に労働組合の組合員の方々にのみ法律を守ることを強要すると、自分たちは守らないというような、そんな考えは毛頭ございませんので、まあしかし、そういうようなお疑いを受けるようなことがあったといたしますれば、それは、私どもの不徳のいたすところでございますので、十分反省して参りたいと思っております。

中村順造日本社会党

○中村順造君 まあ決意だとか覚悟だとか言われますけれども、この十八条、あるいは三十一条の話が出たのも、これは、ただここで、こういう法律があるから、この法律はどういうことではない。やはり熊本の事件といい、あるいはいろいろ労使の中で起きた事象に対して、あなたの方が法律をたてにとって、それを適用したから、その適用の可否をめぐって議論になったわけです。  だから、私が申し上げたように、やはりあくまで対人間関係を和に求めて、そして国鉄の経営の中に、それを生かすということなら、少なくともそういうことが起こらない、起こさない。起きた事象については、きわめて残念ですと言いますけれども、三月十五日の事態等につきましては、これは明らかに内容については、妥結した内容については、これは何ら従来と変わりがないと言うなら、十時までにまとまったら……、法律の問題で、私はここで議論する気持はないと申しましたけれども、守る気持があると、こういうふうに言われております。しかし、きわめて古い法律で、あなたの方は守られないということを言われれば、そういうことになるかもしれませんけれども、今申しました常業法のごときは、あなたの方守ろうとしても守られないじゃないですか。公労法は、私どもは悪法だと思う。これは憲法に抵触し、すなわち労働者に与えられた二十八条で保障された基本権を剥奪をしておるという解釈に立っておるけれども、しかしそれでも、あなたは守れと言う。その十八条によって、処分をした。営業法も、やはり法律ですよ。これ守られますか、あなたの方守っておられますか。法律を全部守ると、姿勢を正して、今ある法律を全部守るということなら、営業法完全に守られますか、その点は、どうなんですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○説明員(吾孫子豊君) 私どもの立場といたしましては、すべての法律は守るべきものと考えております。営業法も、当然守らなければならない法律であると考えております。

中村順造日本社会党

○中村順造君 守ると言われても、できない法律があるのじゃないですか。これは公労法が、私はできない法律だと、今きめつけはいたしておりませんけれども、営業法の二十六条なんかどうです。これは、このまま守っておられますか。

岡本悟運輸省鉄道監督局長

○政府委員(岡本悟君) 営業法は御承知のように、非常に古い法律でございまして、明治三十三年に制定されたものでございます。  そこで、すでにこれも御承知のように、その当時の実情に即して制定されたものでございまして、いろいろな面におきまして、ある程度理想的な条文を盛られております。たとえば御指摘のような定員乗車であるとか、あるいは、当時きわめて進歩的な意見の方が主張されて、そういう条文ができ上がったことと存じますが、婦人待合室に男子がみだりに入ると罰金を課す。そういうふうなことが入っております。が、もともと、こういった法律は、御承知のように、時の経過に従いまして、あるいは情勢の変化に対応いたしまして、改正すべきものは改正すべきであろうかと存じますが、また同時に法律の解釈というものは、いろんな情勢を勘案しまして、解釈すべきが正しい法の運用であろうかと存じます。文字通り解釈する場合もございますし、あるいはその運用につきまして、一種の慣行的な運用というものもでき上がってくるわけでございまして、関係者は、その歴史的な慣行というものを尊重して、やはり運用していかなければならぬ――こう考えるのでございまして、この二十六条のごときはでございます。明らかに客観的な情勢に照らしてみますと、これは、もともとそういうことを求めること自体が無理だ、こういうふうな大きな客観的な情勢の変化がございますので、これはむしろ正しい常識をもって、解釈し運用すべきがしかるべきものと考えます。  もちろん先ほど申し上げましたように、情勢の変化に即応し、相なるべくならば、早い機会に、正しい運用にかなうように、法律を改正すべきが妥当であるとは存じております。

中村順造日本社会党

○中村順造君 鉄監局長の今のお答えは、私は納得できないのです。そういう議論が、もし正しいとするなら、私は、公労法にも客観的な情勢から判断をして、また事実の上から認定をして、あるいは基本的な立法の精神からいって、それは公共企業体で働いている労働者には、多分の私は言い分があると思う。もしそういうことが、言い分があり、客観情勢に照らし、あるいは立法の精神から照らし、当時の情勢判断、運用、こういうものを入れて、守る法律と守らない法律があってよろしい、こういうことになるわけですよ。これは私は、無理なことを申し上げているかしれませんけれども、これは、二十六条というのは、こういうことを書いてある。「鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ率中ニ乗込マシメタルトキハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」これは罰金は、五百円ぐらいになっているでしょうけれども、これといえども、法律として、あなた方が先ほど来言われているように、法律があるから処分をした、法律に照らして処断をする、こういうことが起こらないことが望ましい、こういうことを言っておられますけれども、それでは、いろいろ問題のある法律も、たくさんあるけれども、法律がある以上は、必ずそういうことはやるということならば、労働者だけが、これはやるべき問題ではない、今日ラッシュの状態で、これは厳密に言うたら、定員をこえて乗り込ましめるどころじゃないでしょう。ドアの外から、どんどんどんどん押し込み、人足を雇って、そうしてやっているでしょう。法律違反も、これは輪をかけた最たるものといえるでしょう。そういう道理があるにもかかわらず、一方で、今大和委員がお話になられたように、仕事場が暗いから電気を明るくしてくれという要求をした、なかなかきかぬ、結論的には、なるほど暗かったから直しましょう、よっぽどこれは、表彰されるべき筋合いのものです。若干、それがいうことを、どうしてもきかないから、汽車をおくらした、首を切る、十五日の事態については、そうでしょう。当然、近代化合理化について、総裁がしばしば言われておるように、合理化を強化しておる、進めておる。そのことについては、やはり労働条件に深い関係の問題が出ているわけだから、この問題については、この点は、事前に協議して、労使の意見を、一致するのは当然のことです。当然のことを、当然のこととして、午前四時にまとまった。一般の考え方としては、団体交渉がまとまって、事態が発展をしなくてよかった、こういう印象を受けているにもかかわらず、これに対して十二名という解雇者を出す。何百人、何千人という処分者を出す。法律をお前たちは守らない。法律論議をするのなら、私は議論をしなくても、事実からみても、鉄道営業法といえども法律ですよ。これを守ってないという事実があるでしょう。えりをただして姿勢をただして、法律を守るのは労働者だけだ。そうじゃなくて、やはり法律を守るということを主張されるのなら、労働者と使用者と、どちらが高いところに立つというのじゃなくて、あくまで対等な立場で、その気持にならなければ、将来の国鉄における人間関係というものはうまくいかない。今日では相ともに私が主張しておる反対の現象です。ややもすれば反目する、しかも相手の勢力が強ければ、その勢力を分断するための分裂工作をやっておるという議論がされている。この点は、どうですか。総裁、一つお答えをいただきたい。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) ただいま鉄監局長から申し上げた通りでありまして、私、それ以上のことを(「声が小さい」と呼ぶ者あり)申し上げる余地がありません。

中村順造日本社会党

○中村順造君 いやわからぬ――いや、私ちょっと聞えなかったんですが、そういうことはないと思うのですがね。都合がよくても悪くても、はっきり自分の信念として、明確に国会の委員会で、私は答弁をお願いしたいと思う。

岡本悟運輸省鉄道監督局長

○政府委員(岡本悟君) 先ほど私が、きわめて立法論的な御答弁を申し上げたのでございますが、解釈論的には、まあ二十六条も、しいて旅客を乗込ましめたときは云々とございまして、旅客の意思に反して乗せた場合ということになりますので、解釈論的には、意思に反しておりませんから、法律違反ではない。こういうふうな解釈が成り立つわけでございます。さよう御了承願います。

中村順造日本社会党

○中村順造君 私はね、鉄監局長、今のお答えは、これは漫画だと思うのですよ。実際国鉄のホームで、電車や汽車に乗る意思のない者が、電車に乗せられたということがありますか――あなたは、そう言われるけれども、これは、まじめな私は議論をする気持になれないのですが、間違って、国鉄のホームでもって、電車にも汽車にも乗る意思のない者が、鉄道の係員から電車、汽車に押し込められた。そのために鉄道係員が一万五千円か、千五百円の罰金、科料を受けた。そういうことが考えられますか。  そういうのでなしに、やはり法律といえども、今あなたの言われたように客観的にみて、あるいは情勢の推移をみて、あるいは事態の進展に伴って、守れない法律もある。あるいはこの公労法のごときは、多分に労働者の基本権を剥奪している。しかもその剥奪した代償が、今日まで金に――私はけさ申し上げましたけれども、換算して五百九十九億という仲裁裁定の不完全実施によって、労働者に損害を与えている。こういう事実からみて、公労法にも、多分の問題があるということを私は言っているわけです。これは今のような答弁をされたんじゃ、これは、天下の物笑いですよ。どうです、その点は。まあしいて答弁されるようですが……。

岡本悟運輸省鉄道監督局長

○政府委員(岡本悟君) お言葉を返すようで、まことに恐縮でございますが、法律にございますのは、しいてとございますので、つまりそれは、解釈論的には本人の意思に反して無理やりに乗せたときと、こういうことになるわけでございますが、強制の状態はないというふうに解釈いたすわけでござます。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記を始めて。  六時二十分まで休憩いたします。    午後正時五十一分休憩    ――――・――――    午後七時六分開会

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 委員会を再開いたします。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 先ほどの休憩前の委員会では、中村委員並びに大和委員から、五ヵ年計画の遂行にあたっては人的の関係が非常に重要である、こういうような観点から質疑をされましたが、これに関連しまして、先般職員局長並びに中村理事にお伺いしたときに、この問題に対しまして非常に重大な発言があったと思います。それは、今度の処分がいわゆる電光石火の処分をやった、早い処分をやった。早い処分は効果があったからやったのだ、こういう発言があった。効果があるから早くやったということは、これは人事関係として非常に重要なものだと思う。少なくとも処分ということは、人間が人間を処分することでありまするから、これは慎重の上にも慎重にしなければならぬ。にもかかわらず、早く電光石火にやるということは効果があった、こういうことでありまするが、どういう効果があるのか。どういう効果を期待して電光石火にやられたのか、これは一つ総裁からお伺いしたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 先ほど申し上げましたように、労使の関係は正常化して、共通の広場で、法律を中心にまとめようといって、それで十分に理解し合って協力するということが建前で、そういうふうにあるべきだ、私はそういうふうにしていきたい。そうするためには共通の広場で法律を守っていかなければならない、それで法律に従ってやむを得ず処分をした、こういうことを申し上げておるのでありまするが、効果があったというのは、そういうことを言っているのじゃないかと思います。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 実はこの五ヵ年計画に対しまして、資料に基づいていろいろお伺いしたいんですけれども、資料も非常に不十分でありますから、後ほどこの資料に基づいてもお伺いしたいんですけれども、その前にやはり何といっても、こんなりっぱな計画が立っても、先ほど中村君が言ったように、人的関係がうまくいかなければ、これは仕事はできませんよ。でありますから、総裁は常に人の和ということをよく言っておいでになりますけれども、たまたま、その衝に当たる部下の幹部に総裁と違った考え方の人があって、にわゆる早く処分するのは効果があるのだというようなことを強く言われ、あるいはまたNHKの妥結当時の放送もあったようでありますけれども、そのときの放送におきましても、今度の妥結については労働組合は困るだろう、こういうような言葉があったようですが、これもその当時中村君がお伺いしたところが、私は対抗意識を持っておりましたので、こう言う。しかも職員局長という、いわゆる人間関係の窓口である職員局長が、対抗意識をもって国鉄の職員は相対している。こういう現実の姿を総裁はどういう工合に考えるか、もし事実とすれば、総裁の人の和ということは、人の和のためにはどういう考えを持っておられるのか、こういうことについて一つ具体的な事実についてお考えを伺いたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 私の部下がいろいろ不穏当な言葉を使ったというお話を先日も伺いました。厳重に注意をいたしておきました。そういう不穏当な言葉を使ってはいけないということを厳重に注意いたしておきましたが、私の部下にもたくさんの人がおりますから、いろんな考えを持っておる者があるかもしらぬと思います。しかし国鉄の方針といいますか、国鉄としては今私が申し上げたような態度で終始臨んでおる次第でございます。

大倉精一日本社会党

○大倉精一君 それは、今の言葉は前前から聞いておるんでありますけれども、国鉄としてはという、これはもう総裁のお考えはそうでありましょう。とこころがやはり持ち腸持ち場の適材適所というものがあるのであって、特に人間関係、人事関係におきまして、特に重大なる関係がありまするので、いわゆる人間関係の窓口には人間関係の窓口にふさわしい人を配置しなければならぬ。そういうところにいわゆる対抗意識を持った人を持ってくるということは、必ずしも人事配置としては適当でない、私はかように思うんです。こういうところからよけいな紛争が起こってくる。そこからいろいろ処分は早いに起したことはない、不服があったら裁判所にでも行け、こういうことでは、あなたがおっしゃっておるように、私の孫とか何とかいうことは、これはもう話が全然通用しないと思う。こういうことから私は先ほどの大和君並びに中村君に関連をいたしまして、この問題を総裁がはっきりけじめをつけないと、五ヵ年計画というものの遂行も非常に困難だ、むずかしいのではないか、こう考えておるわけです。でありまするから適材適所の人間の配置ということ、こういうことがなければ、国鉄全体としてはということが言えないと思うのですけれども、重ねて一つ御所見を伺っておきたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○説明員(十河信二君) 私はできるだけ適材を適所に配置しておるつもりでありますが、今後もさようにいたしたいと考えております。

村上春藏自由民主党

○村上春藏君 私は質疑打ち切りの動議を提出いたします。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 多数と認めます。よって質疑は終局いたしました。(「動議成立々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見は討論中にお述べを願います。

天埜良吉自由民主党

○天埜良吉君 私は本案に対する修正の動議を提出いたします。修正案文を朗読いたします。   国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則中「昭和三十六年四月一日」を「公布の日の翌日」に改める。  以上であります。  内容につきましては、申し上げるまでもなく、四月一日が過ぎましたので、当然修正を必要とするわけであります。何とぞ本修正案に賛成されるようお願いいたします。  私は、自由民主党を代表いたしまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に賛成の討論をいたしたいと思います。  国鉄の輸送力は、わが国輸送力の動脈にも当たるものでありますが、その実情につきましては、今日すでに国民の輸送需要をまかない切れない状況のもとにあり、なお、所得倍増計画とも関連いたしまして、今後の経済発展の隘路とさえなるおそれがあると思われるのであります。このような輸送力の現状と今後の輸送需要の増大とに対処するため、国鉄新五ヵ年計画が策定されておるのでありますが、これはもう時宜に適した輸送力増強計画であると思うのであります。その内容は、昭和三十六年度を初年度とする五ヵ年間に、総額九千七百五十億円、平均年額千九百五十億円をもって東北本線、北陸本線等の主要幹線千百キロメートルの複線化や、主要幹線千八百キロメートルの電化や、電化されない区間の全面的なディーゼル化や、通勤輸送の緩和や、踏切設備の改善や、車両の装備や、東海道新幹線の建設等を行なおうとするものであります。この国鉄新五ヵ年計画の必要性については、何人も異論のないところでありまして、これが実施による効果について、国民は大きな期待を寄せているところであります。しかしながら、この九千七百五十億円の資金をどのように調達するのが妥当であるかという点については、これは……(聴取不能)の議論のあるところでありまして、国鉄の所要資金は二千百……(聴取不能)残りの千五百六十億円のうち、外部からの借入金四百二十五億……(聴取不能)運賃値上げにより一般利用者から……(聴取不能)運賃値上げは行なうべきではないという議論が対立しております。この点についての私の見解を述べれば、今日の国鉄の運賃制度は相互原価主義をとっている点を思い、また西欧諸外国においては、現在すでに公共負担の国家補償は実施されておりますけれども、わが国の交通事情は、これらの諸外国とは全く異なっていることなどから考えまして、政府出資ないしは補助により資金を調達することの実施は、いまだ時期尚早であると断ずるものであります。すなわち、わが国の国鉄の実情は、西欧諸外国における状態のように逼迫しているものではなく、国鉄自体の今後の経営努力に期待し得るし、また、他の交通機関の発展も国鉄経営に対しそれほど致命的な影響を及ぼすところまではきていないであろうと思われるからであります。また、設備改善とか通勤輸送対策の……(聴取不能)利子負担にたえない……(聴取不能)分に充てるための自己資金について、当然政府の一般会計からの出資ないしは補助に仰ぐ場合は、政府の予算の……(聴取不能)により左右される場合もあり、これは……(聴取不能)調達方法と言わなければなりません。従ってこのような形で資金の調達をすることは、企業体としては不健全な方法でありまして、これは安定した自己資金、すなわち運賃の値上げによる、運賃収入の増額により調達することが、最も妥当な方法であると考えるのであります。このような意味から、今回の運賃改定をこの程度の率で行なうことは、事情やむを得ざるものと思うのであります。  この際、審議の過程で問題となった論議を勘案し、特に次の諸点につき政府並びに国鉄当局の善処を強く要望するものであります。  第一点は、国鉄の経営上大きな負担となっている事項に、旅客運賃の高率な定期割引や貨物運賃の暫定割引や、さらにまた不採算の新線建設の問題などがあります。旅客運賃の高率な定期割引及び貨物運賃の暫定割引については、今回は急激な影響を避ける見地から据え置きとなっていることはやむを得ないといたしましても、すでにこの問題は根本的な検討を加えるべき時期に到達しているものと考えるのであります。また、新線建設の問題については、不採算の新線建設は抑制されるべきものでありますが、国家的な見地から不採算の新線建設が行なわれる場合には、根本的な政府の助成措置が講ぜられることが必要であります。政府は、とりあえず、今回新線建設の利子補給を行なわれることにいたしておりますが、まことに時宜を得たものと思います。過度に大きな公共負担の問題や、不採算新線の建設資金の問題は、近き将来必ず惹起される重要な問題として、政府関係当局におきまして真剣な検討並びに対策の樹立を要望する次第であります。  第二点は、今回の運賃改定が、一般物価や家計、すなわち生計に与える影響であります。この点に関しては、政府並びに国鉄当局は、価格に占める運賃の割合や、生計費の中に占める交通費の割合がきわめて低く、現在と値上げ後の場合とを比べてみたとき、旅客にしても、貨物にしても、その差は一定のきわめて小さいものであり、価格や生計費にさしたる影響はないし、また過去の運賃値上げ後の物価変動の経験より考察すれば、ほとんど物価には影響はないという判断に立っておりますが、私もまたこれと同様な見解を有するものであります。さらに私は、国鉄運賃が、戦後インフレ対策の一つとして、一般物価に比べてかなり低いところに抑えられてきている点等を認めるものでありまして、このような点から、国鉄運賃が客観的にまだ安いという感じを与えておるものと思います。そこで今回の運賃改定が、物価への影響や国民生活の安定を十分に考慮した最小限度の値上げにとどめられていることを勘案すれば、この運賃改定はやむを得ないものと認める次第であります。しかしながら、最近の物価上昇の雰囲気の中で、今回の国鉄運賃の改定の問題が世間に不安を感ぜしめている実情にかんがみまして、この際、政府当局の強力な物価対策の樹立と、実施の万全の策を特に要望するものであります。  第三点は、国鉄経営の合理化の問題であります。国鉄が公共企業体として真に合理化に徹した経営を行なっているかどうか、国民のきわめて深い関心の存するところであります。ことに、運賃の値上げにより国民に負担を要請している場合に、国鉄自体にその経営面で真剣な努力が払われなければならないことは、むしろ当然であります。先般国鉄が、土地や高架の使用料金とか、広告料金とか、構内の営業料金等の値上げを行なったり、また交通公社に対する切符の販売手数料を引き下げたり、また遊休財産の大幅売却の実施をしたり、さらにまた、地方線区の管理所制度を強力に推進している事実等を考察いたしますと声、国鉄当局の最近における経営上の努力が著しく大きいものであることは、十分に認められるところであります。しかしながら、国鉄はわが国最大の企業体であり、その企業は全国的に行き渡っておるものでありまして、批判の対象になる面もまだいろいろあるものと推察されますので、今後一そうの経営合理化への努力を強く要望するものであります。  第四点は、国鉄新五ヵ年計画の完全な実施の問題であります。国鉄の新五ヵ年計画は、わが国経済の飛躍的な成長に備え、国民生活や産業活動にとって緊急かつ欠くことのできないものであると思います。従って、この計画が緊急かつ確実に実施されることが必要でありますが、この点に関し、国鉄当局は、従来の五ヵ年計画の実施における貴重な体験に基づき、万遺憾なきを期する旨の決意を表明しております。私は、この計画の完全実施のために国鉄は全力を傾注すべきことを、また、政府においてはその計画が完遂されるように監督を行なうとともに、これに対し十分な援助を行なうべきことをここに要望するものであります。  要するに、今回の国鉄運賃の改定は、運賃法に定められている運賃決定の四原則にのっとって、国鉄の性格と使命や、わが国経済の成長と国鉄新五ヵ年計画との関係や、あるいは国鉄運賃改定が国民生活や産業活動に及ぼす影響等につき十分の考慮をめぐらして検討した結果、適当なりと認める次第でありまして、本案に賛成の意を表する者であります。

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

三木與吉郎自由民主党

○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。  八時まで休憩いたします。    午後七時三十一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕

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