予算委員会第二分科会 第6号
- 発言数
- 248 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/03
会議録
○北澤主査 これより会議を開きます。 前日に引き続き昭和三十六年度一般会計予算中文部省所管について質疑を行ないます。大原亨君。
○大原分科員 きょうは次の諸点につきまして文部大臣に御質問いたしたいと思います。 第一番目は、文部省が管轄いたしております不動産の中で、広島県の厳島に文部省道路といわれておるのがあります。これは他に例があると思うのですが、この問題を中心といたしました若干の問題。第二は広島大学に併置されることになりました放射線医学研究所の問題。第三は、授業料の値上げが非常に大きな問題になりましたが、私学に対する財政上の措置の問題。これは小、中、高等学校に至るその実態と考え方について。第四は、これは日の当たらないところなんですが、盲ろう学校の寄宿設備、特に寮母の問題、第五番目に、文部大臣の御軍門のILOの問題。これを逐次質問いたして参りたいと思います。 まず第一番目に、広島県の佐伯郡の厳島に、いわゆる文部省道路というのがぽつんとあるわけです。これは地方の自治体、その他関係者が、一体これはどういう経過で、だれが責任を持って、どういう目的で持っているんだろうか、こういう問題について関係者も疑問に思っておるところであります。このいわゆる文部省道路なるものは、これは約六キロくらいあるかと思うのですが、そしてその末端に約三万坪近い平地があります。これはどういう経過をたどって文部省の管轄に入ってきたのか、最初にこの点について伺いたい。
○清水政府委員 御承知のごとく、厳島全体が史跡名勝に指定されておりまするので、私から経緯を申し上げたいと思います。 厳島の北西の方になりましょうか、富浜砲台というのがあります。これは、御承知のごとく、日清戦争のときに、向こうの軍艦が来るかもしれぬというのであそこに砲台を作った場所でありますが、その富浜砲台と、そこへ荷物などを運ぶ道路と申しますか、交通路、それが約三万四千坪ばかりあるわけであります。それから包ヶ浦というところと、そこまで行く道路が一万一千坪、合計四万五千九百五十九坪というものが国有財産になっておるわけでございます。これは、御承知のごとく、全島が大正十二年の三月に内務大臣において史跡及び名勝に指定されたわけでございます。その後大正十五年の八月に、国有財産として軍から内務省に移管された次第でございます。その後、昭和三年に、記念物行政を、従来内務省でやっておりましたものを文部省に移管することになりまして、それに伴いまして、昭和三年に文部省にその国有財産が移管されておるのでございます。そしてその管理につきましては、御承知のごとく国有財産でございまするので、国有財産法上の管理者としては広島県知事でございます。なお半面文化財保護法が去る二十五年に施行されまして、文化財保護法上の管理団体は広島県ということになっております。 以上でございます。
○大原分科員 これは、財産の登録は文部省、文部省のものであって、管轄と管理は知事がやる、こういう御答弁ですか、ちょっと聞こえなかったのですが……。
○清水政府委員 文部大臣所管の国有財産でございまして、管理者は広島県知事ということになっております。
○大原分科員 こういうのは文部大臣管轄の国有財産で、その管理者は知事だ。特にこの厳島は、文化財保護委員会との関係がありまして、非常に関係者が多いわけで、複雑なわけですが、そういうのは他にもございますか。
○清水政府委員 文部省所管の国有財産は相当あると思いますが、そのうちで国有財産法上の財産と文化財保護法上の財産が一緒になっているのが大体百二十件ばかりあるかと記憶いたしております。言いかえれば、重要文化財あるいは史跡名勝天然記念物である国有財産が大体百二十件くらいあるのじゃないかと今のところ記憶しております。
○大原分科員 私、現地へ参ってみますと、その道路並びに約三万坪の広い土地、平地でありますが、これが昭和三年以降放任状態になっております。これは国有財産ですが、そういう問題について今まで経費を出して補修したとか、管理についていろんな手当をしたというふうなことはありますか。
○清水政府委員 厳島は御承知のごとく史跡及び名勝になっておりまするので、そこには谷もあり木もあり、いろいろございましょうが、先ほど来道路云々のお話がございましたが、道路そのものではございませんで、背砲台へ物を運んだ通路でございます。そこに、あるいは木がはえておったり草がはえておったりというようなことがあるのでございまして、特に道路を引くために金を出したとか補助したということはないと記憶いたしております。
○大原分科員 国の経済全般から考えてみましても、厳島全体は林野庁の風致保安林か何かだと思います。そして文化財保護委員会も非常に大きな発言力を持ち、文部省の財産でもある。しかも知事の管理ということになっておるのですが、−実際上はあの厳島の島を保存するためにも道路が要るわけですし、実際そこには道路があるわけです。だから、そのことを私もうちょっと突っ込んで質問したいけれども、その前に一つ聞きたい。文部省はどういう目的で財産として保有し、また将来とも保有するのか。簡単にいえば、これは地元の自治体か他へ移ってしまえばよろしいわけです。文部省の道路が実在しておる以上は、今申し上げたような事情があるわけですけれども、やっぱりそういうことが問題になるわけです。目的は何ですか。
○清水政府委員 約四が五千坪に相当する砲台といわゆる通路が国有財産になったという経過を申し上げたわけでございまして、国有財産でなければならない、国有財産であったがゆえに史跡名勝に指定したというわけのものではございません。
○大原分科員 私は方向を変えて質問いたしますが、もう少し財産を文化財として、文化財保護委員会が原状変更その他について監督するのがよろしいと思います。これは当然ですね。きびしく監督しなければならぬが、管理の責任者や財産の保有者については、この際かえるか、かえないとすれば、現実にあの道路は、今の文化財の管轄上管理上必要なわけですから、その方向に沿うように、文部省としてそれぞれ分野がたくさんわかれておって複雑ですけれども、その点は明確に考え方を統一する必要があるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○清水政府委員 史跡名勝天然記念物でございますから、それ自体に意味があり、そういう立場から指定されたわけでございます。しかし文化の発展、経済の進展に伴いまして、たとえば砲台の跡に文化的な施設を作るとか、あるいは道路を作るとかいうような問題があります際には、それぞれの手続をとっていただきますれば、私どもといたしましては、史跡名勝天然記念物の保持に支障のない限り、その遡行に沿いまして御協力いたしたいと思っております。
○大原分科員 それでは財帳の保有は文部省であっても、使用目的で文化財保護の趣旨に反しないものであれば、どんどん計画を立ててやってもらいたい。そのことについては文部省としても協力する。それで文化財保護委員会でなしに、文部省関係で管轄している主管局長、課長はどなたですか。そちらの方のお考えを伺いたい。
○安嶋政府委員 厳島の道路が文部省所管の行政財産になっておりますのは、これはもっぱら史跡名勝としての指定があるからでございます。従いまして、その扱いにつきましては、文化財保護委員会の御意向に待ちたいと考えております。
○大原分科員 清水事務局長のお話しになりましたのは、文化財保護委員会が財産を保有しているのですか。文部大臣が財産を保有しているのでしょう。
○安嶋政府委員 国有財産の所属といたしましては文部省の所属でございます。
○大原分科員 文部省が持っている場合には、文部省の了承その他がなければ原状の変更——補修とか管理とか拡大利用とかいうことについてはできないでしょう。だから、文部省が持っておられる以上は、非常に所有関係、管理関係は複雑なわけですよ。お役所仕事ではなかなかはかどらぬから、ここで一応出してすっきりしたいと思ったのですが、とにかくあの島のすそにずっとある道路は、実際上島を管理する上において必要なわけです。それが文部省が道路を持っておって、その上に文化財保護委員会のいろいろな規制があるために、これは原状変更をする際には非常にややこしい手続が要るわけです。どこにいっていいかわからぬので、手続をしたりしているうちに迷宮入りするわけです。その点を私はすっきりして、島の風致の財産保管の上からも、あるいは林野庁の管轄のそういう保安風致林の管理の上からも——観光客その他が参っておりますが、三万坪の平地があるわけです。あそこをキャンプ場その他に利用する人もおるわけです。そうすると、自然にそこを人が行ったり来たりするわけです。だから、そういう点については、そういう利用されている現状を個々ばらばらに見ないで、たとえば青少年の教育施設とかその他について、海岸ばたに平地で三万坪あまりもあるわけですから、キャンプもできれば海水浴もできる。しかも厳島は午後九時ごろになれば——ほとんどキャバレーがあるとかなんとかいうところじゃない。売春婦がおるわけじゃないし、これは非常に清浄な地域として、島もあるいは文化財保護委員会も協力しているわけですから、非常に環境がいいわけです。普通の観光地とは違うわけです。だから、そういう趣旨に沿うて、しかも文部省が所有しておる趣旨に沿うよううな活用方法はないものだろうか、こういう感じを強くするわけです。その点について、どこからどういうプランを出して、しかもその財産を、どこが保有しておってもよろしいから、しながら、しかもそういう補修もやったり、あるいは手当をするような計画なり、そういう仕事を進めていくについては、どこか責任を持ってくれなければいかぬわけです。それは文部省なんですか、文化財保護委員会なんですか。
○安嶋政府委員 ただいま申し上げました通り、文部省の行政財産になっておりますゆえんは、これはあの土地が史跡名勝として指定されておるからでありまして、それ以外の公用目的はないわけであります。従いまして、文化財保護委員会の方の御意向に従って、文部省といたしましては、あの財産を管理している、こういうことです。
○大原分科員 それでは文化財保護委員会にお尋ねいたしますが、文化財保護委員会といたしましては、これを史跡名勝であるということを頭に入れながら、積極的に社会教育施設その他の施設にするという計画が出て参りましたならば、文化財保護委員会といたしましては、財産を私する、そして原状を変更する、そういうことでない限りは、協力されるわけですね。
○清水政府委員 文化財保護委員会といたしましては、史跡名勝天然記念物の原状を変更する場合は、それが文化的な施設でありましても、あるいは青少年のためのもろもろのものでございましても、原状変更として処置いたすわけでございますけれども、今申しましたような文化的な施設であり、史跡名勝に支障がないと認められるものにつきましては、その線に沿うて善処し、許可すべきものは許可いたして参りたいと思っております。
○大原分科員 もう一つ、文部省は、これは道路は通路だと言われるのですが、旧砲台の通路があって、砲台の台地が三万坪ばかりあるわけです。そういうところだけぽつんと文部省が行政財産として持っておるわけです。だからそのことをやはり考えます際に、今申し上げたように、たとえば県とか地元がいろいろな計画を立てて、文部省が、施設の目的によりましては、的にこれに対して協力する、こういう場合もあるでしょうが、たとえば原状だけで、現にそういうふうな文部省が持っておる財産については修理をしたり、あるいは持っている目的ということはないけれども、とにかく化かして使われるようなそういう財産の使い方をすることは、国全体としての大きな方針から言えば、当然すべきだと思うのです。私は長い間ずっとほったらかしておるということはおかしいと思うのですが、そういう点について、やはり補修費その他について実際に分配をして、そしてそういう持っていることが全体として役に立つような、そういうやり方について予算の執行上御考慮いただけますか。
○清水政府委員 道路を作りますとか、あるいはそこにたとえばユースホステルを作るというような問題は、趣旨において個人的に私何も共存はないのですが、その問題は文化財保護委員会の問題ではございませんので、そういう申請がありました際は、史跡名勝に支障ない範囲内において線に沿うて処置いたしたいと思っておるわけでございます。
○大原分科員 どこですか、文部省に聞くのですか。
○清水政府委員 もしそれを道路法上の道路にいたしますとか、新しい道路を設置するということになりますと、これは文部省でもないようでございます。それからユースホステルとかあるいは青年の次とかいうことになりますと、文部省ということになると思います。
○大原分科員 それから、たとえば三万坪の平地には、相当古い木がある。これは臼砲台地ですけれども、旧砲台は役に立たなくなりました。そういう木材などを処理いたしまして、そして整地をしたり、たとえばキャンプ場その他の施設をする、そういう場合はいかがですか。
○安嶋政府委員 先ほども申し上げました通り、これが文部省の行政財産になっておりますのは、史跡名勝であるために、文部省の行政財産になっているわけであります。従いまして、文化財保護委員会の方におかれまして、そういう使用が史跡名勝としての保存上差しつかえないという御判断でありますならば、私どもの方におきましては、 一般の国有財産の使用収益の基準に照らしまして処置をするということになるかと思います。
○大原分科員 もうちょっとお聞きしますが、水が流れ、洪水その他によりまして原状を著しく変更している。実際上いろいろな手続その他がややこしくて補修ができない、こういう状況もあるわけです。だから、財産を持っているという責任に基づく最小限度の管理、そういうことについては予算の運営上考慮していただけますか。全然持っているだけでほったらかしでしょうが。何もしない。そんなことは、国全体やあるいは地域の住民あるいは観光その他の観点から考えてみて合理的でないですよ。これは官庁のセクト主役ですけれども。だから、持っている以上は、持っていることに伴う最低の管理上の若干の措置をしていただきたいと思います、話し合って。
○安嶋政府委員 セクト主義のようでまことに恐縮でございますが、再三申し上げております通り、文部省の行政財産になっておりますのは、史跡名勝として指定されているためでございます。従いまして、何と申しますか、その目的、用途に支障があるということでございますならば、それは文化財保護委員会の方においてしかるべき措置をされることが適当かと思います。
○大原分科員 それでは、今の点についてあなたの方で……。
○清水政府委員 国有財産のそこに道路を作るとか、いろいろな施設をするとかということにつきましては、これは文化財保護委員会の特に史跡名勝として関係のない問題でございますから、文化財保護委員会でそれを作るとか補助をするということは、文化財保護委員会の職務内容からいって範囲外だと思っているわけであります。
○大原分科員 どうもおかしいですね。主査、おかしくないですか。 そこで、大臣にお尋ねします。今原状はおわかりいただいたと思う。経過は、細い道路が六キロくらいあって、三万坪の平地があるわけです。旧砲台、史跡名勝だから文部省の財産になっているということですが、そこだけ文部省がぽつんと持っているわけです。だから、地元からは財産の移管をしてもらいたいという要望もあったのですが、これは拒否したわけです。その儀に及ばず、こういうことになりました。だから、文部省が持っている以上は、そういう環境のいいところですから、もう少し文部省が政治的に積極的な案を出して、どこから出すかいろいろあるでしょうが、出して、やはり行政財産として、持っている目的、国全体の目的、こういうものを生かすようにしなければ、今お話を聞かれたようにどこが大体管轄しておるか、どこに行ったらどういう措置をしてくれるかわからないわけです。大臣、それに対して今どうこうということではありませんけれども、原状についていろいろとあなたの御感想と——将来そういう積極的な案を立てて活用した方がいいのじゃないか、今ハイキングその他をやっているわけですが、あぶないわけです。非公式にやっておる。設備もないし、三万坪で非常に広いところですし、島でそんなところはない、砲台の跡ですから。だから、大臣としまして、この問題につきまして、原状の処理の方向について御所見を伺いたいと思います。
○荒木国務大臣 先ほど来の質疑応答で、お示しの文部省所管の行政財産がどうして文部省所管となり、現状に至っておるかということは一応明らかになったと思います。御承知の通り、文化財保護行政は、文部省の外局として文化財保護委員会がこれを管掌する。文化財保護行政の実態については、文部大臣が積極的に指揮監督権等はございません。ただ文化財保護委員の人選をして国会の御承認を受けるということと、それから文化財保護委員会で文化財保護行政上、こういう予算が必要だという概算要求書を作られて、それを文部省所管概算要求に一括して大蔵省に届け出る。そうして文部省の官房が文化財保護委員会の事務局長と一緒にその予算の成立に協力する。それ以上のことは文化財保護行政それ自体にタッチできない。これはまあ性質上特定の行政目的が温存することを避けるための用意周到な行政組織の建前であろうかと思います。それはそれでもちろんけっこうでございますが、それであるがゆえに、同じ文部省のもとにありながら、何かしらんお互いが責任のなすり合いをしておるようなふうにお感じになるかと思いますが、これはどうもやむを得ないと思います。 そこで問題は、お話の通り、たとえば広島県地元として三万坪のあの平地を何かに活用したらばよかろうというお考えがあり得ると思うのです。財産そのものの移管は、文化財保護委員会の決定はノーということであったとすれば、それを前提に、しからば所有権は国にあるにしても、その空地をもっと有効に文化財、史跡名勝を傷つけない範囲内においてもっと活用する道はないかという地元のお考えが一応あり得ると思う。それはそれとして、文化財保護委員会に地元の意向を伝えて、手続に従ってこんなふうに利用したいが、どうだというお申し入れをなすったならば、文化財保護委員会で、今事務局長が申しますように、文化財保護行政と矛盾しない、史跡名勝をそこなわないと判断すれば、けっこうでござると、その案画が成立するかと思う。 もう一つは、せっかく文部省所管の国有財産でありながら、行政系統からいえば、文教行政それ自体、いわゆる文部省の所管範囲とちょっと別系統のものではあろうけれども、幸い国が保管して、文部省が保管しておる以上は、たとえば青年の家を各都道府県にせめて一カ所ずつは作りたいという計画で進んでおることも御案内ですが、もしまだ広島県にできていないとすれば、せっかくああいういいところがあるから、目的も青少年の自己研さんの場所として、いわば昔流にいえば、修業道場みたいな神聖な、有意義なものだから、それで美観をそこなわない、名勝史跡に影響なさそうな雑物を置いて、そうしてお示しの通り、非常に清浄無垢な土地でもありますから、ふさわしいじゃないかということを文化財保護委員会ではない、文部省プロパーの立場から県と一緒になって——これは補助金を差し上げるわけですけれども、その補助金を受けて、県があそこへ建てたいという案件となって、文化財保護委員会にどうだという申請が出てくる形になる。そのときは、文部省自体としましては、そういうものができることはけっこうだと思うから、補助制度までさせているわけだから、文化財保護委員会に、県からそう言ってきているようだが、支障がない限りは、これはよさそうに思うがどうだという側面的な協力をするということによって、そういうものができることもあり得ると思います。いずれにしましても、そういうところを、いかなる方法、手段であれ、史跡名勝それ自体でなしに、他の目的に利用しようとするならば、どうしても文化財保護委員会の判断で、よろしいという決定がございませんと、何にもできないという筋道になっておろうかと思います。ですから地元がそういう筋合いをよく御承知下さって、文化財保護委員会にお話しになるのもけっこう、私どももまたせっかくそういう国有の土地があるならば、土地の取得代金も要らぬくらいで、安上がりでいいものができるという角度からでも、あそこを予定して一つこんなことをしたいということを構想することも当然あり得ると思います。今までそれがございませんでしたわけでしょうが、そういうことで、文部省に限らず、名勝史跡をそこなわない方法での利用の仕方ならば、厚生省所管の仕事もございましょうし、その他運輸省の観光施設でもあり得ると思いますが、その理屈は、村立関係は同じ道理だと思います。そこで繰り返し申し上げますが、地元の案画について、それが私どもの立場でもっともだと思うならば、促進するでありましょうし、国自体の立場から、こういうふうに利用したらと思うことがあれば、たとえばさっき申し上げたようなことを案画するということもありましょうし、めんどうなようですけれども、そういう筋道を正して解きほぐせば、むずかしい問題じゃないと心得ております。先刻来の事務当局の話は、それぞれの所管の立場だけを申し上げて、結びつきのことを言うことは、相手のなわ張りに手を染めることになるから、その失礼を考えてお話し申し上げないために、何だか知らぬ、すげないことになっておるように、はたで聞いておりまして思ったものですから、蛇足ながら、くどくなりましたが、以上申し上げてお答えといたします。
○大原分科員 たとえばこれが町とか県の所有財産でありましたら、立っておる木は、風致に影響ない限りは間伐いたしましたりその他で、道路の手直しなんかできる。実際に即してやることができるわけです。だからそういうことの問題、あるいは最低限度の財産保管上の問題は、史跡名勝だからというようなすげないことを言わぬで、それだけのことでなしに、空気みたいなものでなしに、現実にそういう道路があるのですから、そういう問題を含めて、そしてさらに、今大臣から御答弁いただきましたけれども、三万坪あるのですから、関係者でそういう環境にふさわしい積極的な案を出して、そして文化財保護委員会と本省との関係において、一つ緊密に、その点ははねかけ合うことなしに協力していただいて——これは前に宮沢次官のときも、宮沢次官は広島出芽ですから、このことはよく知っておられる。これは党派とかそういうことでなしに、やはりそういう財産を生かして使うべきだと思いますので、その点につきまして二つの当面の問題と、それから今、建設的、積極的な計画の問題につきまして、私の方から要望いたしておきますので、大臣といたしましても、その点につきましては、関係部局を督励していただきまして、遺憾のないようにしていただきたい、その点、よろしゅうございますね。
○荒木国務大臣 よくわかりました。たとえば法隆寺にいたしましても、江戸城の史跡等にしましても、風雨にさらされて荒れほうだいでよろしいということで運営しておるようではございませんので、必要なる維持修繕等はやっており、またそれに必要な予算も乏しいながら一応あります。それと同じように、御指摘の厳島の史跡、あるいは名勝保存という建前でもって国有財産の最小限度の補修は国が責任持ってやるべきもので、ただそこまでかゆいところに手が届くような補修予算がなかったために放置されておることかもしれません。ともかく文化財保護行政の末端の一応の担当者は広島県教育委員会だと存じますが、具体的には地元で広島県教育委員会の担当の人たちを督励していただいて、もしすでに配付された予算の範囲内でできるものならば、してもらうし、とてもそんな余裕はありませんというのが現実であれば、必ずや文化財保護委員会で清水事務局長が三十七年度予算の概算要求としてその部分も含めて出してこられることと思います。そうだとすればそれの成立に誠意を持って協力する責任が当然あると心得ます。
○清水政府委員 三万坪のところ、あるいは道路を作ることそれ自体につきまして、文化財保護委員会といたしましては、史跡、名勝、天然記念物に支障ない限りは異存はないつもりでおります。その線に沿うてもし申請があれば内容を審査して許可すべきものは許可いたしたいと思っておるわけでございますけれども、そこにユース・ホステルであるとか道路を作るとかということについての予算の補助ということは検討を要する問題でございまして、 ユース・ホステルとかそういうものを作る場合は文化財保護委員会の問題でございませんし、道路を作るという問題も別でございます。その点はお申出があれば許可するかしないかはその線に沿うて処置をしたいと思っております。
○大原分科員 第二の問題ですが、関係者の努力によりまして、本年広島大学に放射線医療研究所ができることになったと思います。私はこれに関連いたしまして、官庁のセクト主義を言うわけじゃないのですが、その点は国務大臣である荒木文部大臣が閣議その他において調整をしてもらいたいと思うし、運営その他において大所高所から御理解をいただきたいし、関係官庁において連絡をとってもらいたい、こういう意味においても申し上げるのですが、科学技術庁に千葉県の稲毛に放射線総合医学研究所ができておるのであります。これは経過から言いますと大体文部省と厚生省の主管争いということはないけれども、放射線の影響について研究するのはどこが研究するのかという問題は非常に議論になった問題でありまして、それは科学技術庁が主管をすることになっておるわけであります。 それで私が最初にお尋ねしたい点は、科学技術庁の関係局長にお尋ねをいたしますが、稲毛の放射線総合医学研究所——放医研というのは、今日どれだけの予算を使われて、どういう現状にあるのか、現状を中心としてお話しをいただきたい。
○杠政府委員 お答え申し上げます。 今日まで約二十億円の予算を支出しておるのであります。人員は二百九十四名でございまして、そのうちいわゆる医者は約二十人、ベット数は、本年度は五十ベットでありますが来年度から百ベット用意することにいたしておりまして、ほぼ施設関係等は一段落いたしております。
○大原分科員 その研究所のおもなる研究部門と研究目的、たとえばこういうことなんです。放射線総合医学研究所というのは放射線の影響を研究するのか、放射線で治療なんかを積極的にやる方面に重点があるのか、そういうことを含めまして、研究部門の中身を 一つ御答弁いただきたい。
○鈴木説明員 お答えいたします。 設置法に示されております放医研の業務の内容は三つに分かれておりまして、一つは放射線が人間に影響する仕方はどういうわけでどういうふうに影響するのかという基礎的な研究でございます。第二点は、その放射線を今度はうまく利用いたしましてガンその他の病気を直していく、それが第二でございます。第三は、原子力の時代になって参りますと放射線の影響を取り扱う技術者が非常に不足しておりますので、そういう技術者の養成訓練を行なう、その三点がおもな内容でございます。
○大原分科員 第一の基礎的な部門は放射線の影響の研究ですから、たとえば広島、長崎に原爆が落ちましたけれども、当時約三十万人、死んでおって、現在約三十万に近い放射線を受けて注意を要する人々がおるわけです。そういう人々の影響の研究については、今日までまだ店を開いたばっかりで日が浅いから——いつだったか中曽根長官は大きなほらを吹かれましたけれども、そんなことは大したことはないと思いますが——今日までにそういう部面の研究をやられたことがありますか、またやられるおつもりですか。
○鈴木説明員 先ほど局長から御説明申し上げましたように、従来内部の施設その他の建設に追われておりまして、研究面は必ずしも十分に進んで参っておりませんけれども、最も基礎的な面、つまり徴弱な放射線が長年人間に蓄積するとどういうことになってくるか、それの細胞の段階あるいは遺伝的の段階、そういうようなごく基礎的な研究は進めております。
○大原分科員 広島、長崎などの放射線の影響を受けまして、当時死んだ人があるだけでなしに、現在国民の中に三十万人に近い人が、放射能の影響でありましょうが、遺伝的ないわゆる増殖機能に対してまで影響があるというような人々があるわけです。正式の経過からいいますと、あなたのところはそういうことを研究することになっておるのですが、それを研究する考えはないのですか。
○鈴木説明員 広島、長崎のああいう不幸な原爆の影響を受けられた方々も、それはある意味で申し上げますと、非常な研究のデータを提供するものではございますが、放医研が今まで直接、広島、長崎の患者さんを対象として研究をしたということはございません。もっぱら動物を使ってごく弱い放射線を使っての影響しか現在まだ調べておりませんけれども、今後内容も充実し、研究陣も整って参りますれば、そういう広島、長崎の関係も当然やってしかるべき問題であろうと思っております。
○大原分科員 二十億の金を使ってやっているのですよ。これはあとで文部省の関係にも質問いたしますけれども、その予算に比べれば非常にたきい。三分の一ずつにしましても大したものです。大体どういうふうに使っているのですか。
○鈴木説明員 二十億のうちのほとんど大部分は建築関係でございまして、新たに千葉に土地を設け、そこへ全然何もないところへ建物を建てて参りましたものですから、二十億のうちの半分以上は施設の関係でございます。それから中に相当優秀な機械類も備える、たとえばヒューマン・カウンターでありますとかリニアアクセラレーターといったような最新式の機械、おのおの一億以上もするようなそういう機械を備える、それが主でございまして、研究費は人件費を含めて、およそ数億円の範囲内でございます。
○大原分科員 この前中曽根長官の見えたときに、文部省と公衆衛生局、この三者に出ていただきまして質問を一、二回やったことがあるのですが、中曽根長官は、広島、長崎も、その放射能の影響を研究する責任範囲というものは、科学技術庁においてやって、放医研がやるのだ、こういうことをはっきり、言った記録があるのです。それははったり答弁だったのかもしれぬが、あなたの方はそういうことは全然やっていないじゃないですか。そういうたくさんの金を使って、たとえば科学技術の研究費は、政府は非常に予算を使わないと思うのです。医大とか文部省関係になるとますます使わない。実際しみったれている。経過からいいましても中曽根長官の答弁からいいましても、私はそんなものじゃないと思うのです。全然そういうかまえがない。 念のために聞きますが、来年から使う百のベッドというものは、どういう人を入れるのですか。
○杠政府委員 先ほど研究部門の関係で申し上げましたが、大体三分の一ずつ予定しておりまして、百ベッドのうち三分の一は原爆関係というふうに御承知願っていいかと思います。
○大原分科員 大臣もお聞きいただきたいと思うのですが、広島、長崎に落ちた二発の原子爆弾で三十万人の人が即死したわけです。そしてその影響というものは今日なおあって、造血機能とか増殖機能というものに非常に多面的に深刻な影響を及ぼして、健康がむしばまれているということなんです。だから私どもは、ここでは国際法上の議論その他はいたしませんけれども、やはり国としては当然軍人草履その他に劣らないような特別の人道上の立場に立った措置をすべきであるという御答弁、厚生大臣もそういう御答弁をいたしておる。そういう観点からいたしましても、現在そのために、たとえば結婚をなげうったとか、十九才の娘さんが世をはかなんで原爆病院で首をつって死ぬとか、白血球が二万数千というのがつい一、二カ月で最近は十一万になった、こういう異常なことになっておる。そういうことについては、どこにも国が責任を持って治療の研究をするところがないじゃないですか。広島、長崎にABCCという機関があって、厚生省は何らの自主性なしに、予研の支所の職員が両方で二十数名協力いたしておりますが、人件費だけで研究費もなければ旅費も何もない。人間を出して協力しているだけです。私は決してこの研究がむだであるということは言わないけれども、民主的に公開されても人道のために役立つならばいいと思うが、そういう角度で私どもは批判をし協力もいたしております。それにいたしましても、その検査はどういう被爆地の者がどういう影響を受けておるという統計的なことであって、治療研究その他については全然ないのです。国が責任を持ってやっていない。だからこれがどこまでやるのだということになると、二つの個所が今まであった。その第一は、科学技術庁の放医研で二十億もかけてやっておるのですから、この基礎部門を活用してもやれますと中曽根大臣は言っていた。これは各局長も見えておったわけです。しかしながら今聞いてみますと、中身がないという。将来その点は留意してやってもらいたいし、研究機関が競合するということは必ずしもマイナスじゃないわけです。あらゆる角度、あらゆる部面において研究機関がそういう点は競争してやっても、科学技術部門ですから一カ所だけでやる必要はない。おそまきながらこういうことがやかましくなって、原爆病院ができたりいろいろいたしましたが、治療しながら研究するというところはないわけです。そこで、科学技術庁の実態については、この問題について今御答弁ありましたけれども、将来の問題といたしまして質問は保留いたしますが、とにかく、そういう経過からいいましても——これは東京にも二千名近い放射線の影響を受けている人がある。広島、長崎は軍都でしたから、軍人軍属も多い。その家族の方々も多い、そういう方々が全国に分散しておる。そこで局長にお尋ねしたいのだが、広島、長崎のこういう放射線の影響は日本だけしか受けてないわけだ、ビキニその他ありましたけれども。だからこれは国が責任を持ってやるという基礎的な面において科学技術庁において当然やるべきだ。そういう面において、将来のそういう研究の分野、方針等における具体的な議事録を調べて一つ今までの答弁の結果をまとめて、科学技術庁でお考えになった所見をまとめていただきたい。科学技術庁、これは後の機会に私の方から追及いたしたいと思いますがよろしゅうございますか。
○杠政府委員 けっこうでございます。
○大原分科員 けっこうというのは賛成であるという意味だろうと思います。 そこで文部省の方なんですが、来年度当初予算に盛られました放射線の医学研究所の予算金額と構想を、大まかな点でお話し願いたい。
○岡野説明員 来年度予算において計上いたしておりますものの構想を申し上げますと、この研究所は、二年計画で、八部門の研究部門をもって完成いたす計画でございまして、三十六年度ではそのうち四部門を設ける計画でございます。なお広島大学におきましては、御指摘のような原子爆弾の放射能による障害に対して徹底的な医療方法が確立されていない現状でございますので、実は昭和三十三年度に医学部の付属に原子放射能基礎医学研究施設という施設を設けたわけでございます。ここに二部門すでにあるわけでございますが、これを今回その研究所に併合いたしまして、四部門をもって本年度発足し、来年度さらに四部門をもって完成いたしたい計画でございます。なお必要なベッド五十床を設置いたしたいわけでございます。予算といたしましては、研究所の予算と病院の予算と合わせまして五千百三十二万円でございます。
○大原分科員 五千百三十二万円というのは、四部門を作る初年度の研究所の予算と病院の予算ですね。病院というのは、研究所へベッドを設けるのですか。
○岡野説明員 ベッドは、研究所の付属病院として運営したい考えでございますが、初年度は実は建設費を計上しておりませんで、建物関係は三十七年度予算に計上したいと考えます。
○大原分科員 この研究所は医学部に属しているのですか。広島大学に属しているのですか。
○岡野説明員 従来の研究施設は医学部付属でございましたが、今度それを改めまして、広島大学の付置研究所といたしたわけでございます。
○大原分科員 私はしろうとですから質問するのですが、その研究部門の中には、たとえば物理関係とか原子力理学関係、化学関係、そういう関係の研究部門とも協力できるような仕組みになっておりますか。
○岡野説明員 そういう協力ができるようにいたすために大学に付置したわけでございます。研究部門におきましても、血液学あるいは優生学であるとか病理学、それらについては医学以外の分野の理学関係の方々の御協力が得やすいように付置研究所にいたしたわけでございます。
○大原分科員 原爆被害の実態を研究したりすること等については、広島大学だけではできませんが、しかしたとえば統計上、社会的な研究部門、そういう部門の教授などが協力できるような仕組みになっていますか。
○岡野説明員 部門においてはそういう調査もする予定でございまして、そういう分野の研究部門も中にございます。
○大原分科員 どういうのですか。
○岡野説明員 疫学とか……。
○大原分科員 私はそういう点は、総合大学に付置される総合研究機関としての役割を果たすようにやられることが、広島大学のような文部省関係の研究機関の特殊な存在を伸ばしていく、こういう面において果たす役割が大きいと思います。その点はお答えになりましたので私は重ねて御所見は伺いません。 それでは続いてお尋ねするのですが、初年度はわずかに五千百三十二万円というのですが、来年度は幾らですか。
○岡野説明員 全体で約四億という計画をいたしております。そのうち来年度建物関係を約一億八千万円にいたしております。
○大原分科員 大蔵省の方は年次計画ということを了承いたしておりますか。大蔵省に一つ……。
○佐々木説明員 大体全体の計画は了承いたしております。二年度で一応八部門完成、それに見合う経費を二年間にわたって計上いたします。その予算は、初年度は先ほど申しましたように約五千百万円であります。来年度は全体を見ましてから、私だけできめられませんから、その査定を見ましてきめることになると思います。大体文部省からの四億円の規模ということを了承しております。
○大原分科員 四億円という規模については大蔵省の方は了承されておる、こういうことであります。それでこれは広島の病院に一億円かけてやりましたね、広島、長崎に一億円ほどかけてやったわけですが、その病院と研究所の関係はどういうふうになっておりますか。
○岡野説明員 病院は、御指摘のように余剰農産物の扱いでもって広島に建設をすることになっております。建物の予算がそれでまかなえることになっておりますから、それを使うつもりでございます。三十七年度の建築費と申しますのは、研究所の方の建物の予算を要求しているわけでございます。
○大原分科員 病院と研究所の関係はどのように運営されるのか、こういう点について……。
○岡野説明員 病院の中の五十ベッドをこの研究所の付置病院として扱う、特定のものだけを扱うということでございます。
○大原分科員 研究所の主任教授は何名ですか。
○岡野説明員 主任教授は、教授のクラスが八部門、と申しますと教授が八名、助教授が八名という形になるわけでございます。
○大原分科員 それは今の定員以外に……。
○岡野説明員 初年度は四部門でございますから、四名の教授並びに助教授が四名、助手が九名、助手は部門によって多い部門もあるわけでございます。そういう構成でございます。
○大原分科員 大臣に要望いたしたいのですが、この研究所は非常に期待される重要な問題であります。私が心配いたしましたのは、大蔵省の方で四億円の予算でも削られるのではないかといううわさを聞きましたけれども、今お話のように大体出すようなお話です。しかしこれはたとえば稲毛の放医研に二十億円注ぐのは悪いとは言わないけれども、全体から見たら、やはり大学へそういう研究所を作る方が生きてくると思うのです。スタッフも充実しやすいし、それからいろいろ関連した病院経営のあるいは他の部門との関係もつきやすいし、非常にいいことだと思うのです。ですからこれはやはり事務的な計画でなしに、一つ思い切った計画を立ててもらって、これを充実してもらいたいと思うのです。科学技術庁の放医研の二十億円に比較いたしまして、さらにこれは現地の要望等も聞いて充実してもらいたい。戦後十五年で着手するのはおそいわけでございます。たとえば死体を解剖いたしまして、どういう障害や現象を起こしているかということにいたしましても、貴重な資料はほとんど散逸しているという状況でございます。この点については今でも民間やその他各公立病院等に分散して、それぞれ専門の研究者がおられるわけですが、それらを統合する研究センターといたしましても、科学技術の分野においてももちろん努力をしてもらいたいけれども、特に文部省の広島大学の研究所が一大中心となってやっていただく、こういうことを特に要望いたしたいと思いますが、大臣の御所見を伺いたい。
○荒木国務大臣 お説の通り着手するのがおそすぎたと思います。しかしどうやら三十六年度に着手できましたことを御同慶に存じておりますが、この研究所に幾ら金額がいくかわかりませんけれども、大原さんと同じ気持でおります。世界一のりっぱな研究所であらねばならぬ。ことに広島に設けられましたゆえんのものは、不幸ではありましたが、いわば人体、実験的な結果が現地にある、また初めその面については暗中模索でありましょうが、今日まで十数年間専門家が直接生死の関頭に立つ人を見て、既存の医学知識がさらにその面から練摩されていると思いますが、蜂谷博士を初めとして広島大学の先生たちにも日本でトップ・レベルの経験を持たれたその道の方々がたくさんいらっしゃると思うのですが、そういう人的な面におきましても適切でもありまするし、同町にまた申すまでもなく、広島大学に付置されたこの研究所というのは、あくまでも放射線医学という範囲での真理を探求し、学閥的に原理を探求していくと同町に、その道の人材の養成もはかるということが主目的であろうと思います。そのことが同時に付属病院を通じまして、其体的な患者の治療にも今日の状態で医学的に治癒できるというよすがにもなり、さらにこれは望ましいことでないことは当然ですが、世界的にも今度の広島の研究所の成果が不幸な人に役立っていくことだけでも意欲的には念頭に置いて構想さるべきものとも思います。いずれにしましてもそういう真理を探究し、人材を養成し、不幸なことが万一あった場合にも万全の措置が講じ得る、その素地を作るというのが使命であることさっき申し上げた通りであって、もっともっと充実していくべきもの、ただ文部省の立場だけから申し上げますと、大学の自治という厳粛なものがありまして、広島大学からこういう内容、設備、構想でやっていきたいという構想それ自体が理想的なところにたどりつく一歩々々を意味する内容でございませんと、それはこうしたらいいじゃないかという立場にないものですから、これは観念的なことではございますけれども、その意味では広島大学が厳粛な気持で緻密な案画をして、今後の拡充措置についても真剣に、国家的に全国民的な与望にこたえ得るような厳粛さで今後に処していただきたい。それに相呼応いたしまして予算面においても御協力すべきものだ、そういうふうに心がけていきたいと思います。
○大原分科員 私は四億円のそういうワクにとらわれないで、一つ大臣のせっかくのあれもありましたので、将来人道上の問題として世界で最も権威のあるそういう治療機関として充実してもらいたい、そのことを大百御同感いただきましたので、要望いたしたいと思います。特に現地の人々一番不満に思っておったことは、治療に即して研究がなされていない。非常に観念的な、放射線の影響がどうだの、あるいは遺伝的なものが動物実験をやりますと出てくるが、人体には影響がない、こういういろいろあることから、そういう点においてはやはり現地にりっぱな総合的な研究機関が建つということは、千葉県に建つことよりも非常に大きな意味があるし、データも多いわけですから、だからそういう点で今までの研究成果を結集する意味からも特にそういう構想をもって進めていただきたいと思います。これは重ねて御答弁いただくことはいたしませんが、ただいまの御答弁の趣旨に従いまして関係部局を督励され、あるいは大蔵省との関係におきましても十分働きかけていただきたいと思います。要望いたしておきます。 第三点ですが、時間もだんだん迫って参りましたので簡潔に御質問いたしますが、私学振興に対しましてイギリスやフランスやあるいはアメリカ等いろいろなことを調査いたしましたり聞いてみますると、やっぱり日本においては私学教育に対する考えというか、あるいは財政上の措置というか、こういう点が足りないのではないか。今年若干の増額はありますけれども……。占領当時からノー・コントロール、ノー・サポートです。そういうことで統制も支援もしないといういろいろな原則が言われてきたかと思うのです。しかしながらやはり教育の面においては内容的にはともかくといたしまして、教育という大きな社会的な機能において、この私学が負担をしている面が多い。そこで教育の機会均等その他の問題を含めまして、やはり希望者が官学一本ではできない。こういうことからやはりどうしてもそこに殺到する、こういうことです。だから教育の機会均等という面から見ても、金がある者が私学へ行くということではない。いろいろな条件その他の問題からそういう要求が出ているわけです。だから私は私学に対する基本的な考え方というものをやはりこの際検討して、そして国として財政上予算上の措置も講ずべきではないか、こう思いますが、総括的にいかがでしょう。
○荒木国務大臣 抽象論としてはお説ごもっともだと思います。
○大原分科員 今小・中・高等学校を通じまして、公立の学校の生徒一人に対しまして、大体どれくらいの予算支出をいたしておりますか。
○内藤政府委員 これは文部省の調査したところによりますと、小学校で公費で支弁しているものが一人当たり一万六千三十六円、中学校で二万三千三百六十三円というような状況でございます。高等学校につきましては全日制三万二千二百九円でございます。定時制の場合が二万七千六百三円。大学の調査は手元にはございません。
○春山説明員 国立大学関係の年額一人当たりの経費は、文科系におきましては学部によって違いがありますが、大体六万円から十五万円くらいの程度でございます。実験、実習を伴う学部につきましては大体三十万から、医学部のような学部がありますので六十万くらいの幅がございます。
○大原分科員 私立学校の義務教育の実態、特に中学校を一つ抜き出して質問いたしたいと思いますが、全国の私立学校の中学校における生徒数は何名ですか。
○福田政府委員 中学校は大体二十万でございます。
○大原分科員 全部の何%ですか。
○福田政府委員 大体パーセンテージにいたしまして四%弱だと思います。
○大原分科員 私学について抽象的には、大臣はもう少し財政措置をすべきだ、こういう御答弁ですが、特に中学校などは、国立、公立、市町村立の学校では収容数の関係で定数等の問題があるわけで、それが二十万人も新制中学校では私立学校が負担をしておるわけです。だからやはり授業料問題その他いろいろな経費の問題があります。そういう観点からいたしましても、そういう面も特に取り上げてやる理由はあると思うのです。当然国がやるべき義務教育について、いろいろな条件等はありますけれども、そういう私立の中学校に対して特別な義務教育であるという面で財政措置、こういうことは理屈も通るし当然だと思うのです。もしこれがなければ公立が、要るのですから、義務教育ですから、その点はきわめてはっきりしておると思うのですが、私立のそういう義務教育関係に対する助成措置がございますか。
○福田政府委員 おっしゃいますように私立学校の受け持っております中学教育につきましては、義務教育でありますので、数は少ないけれども私は非常に重要なものだと考えております。従いまして助成についても中学校については実際上特に重要視いたしておるわけでございまして、たとえば産業教育振興法に基づきます施設、設備の補助、あるいはまた理科教育振興法に基づきます理科教育の補助、こういうものについては特に中学校を重視して、私どもは予算の配分をいたしておるわけでございます。そのほか、御承知のように、私立学校はただいま仰せになりましたように、建前といたしましては自主経営ということを根本にいたしておりますので、従って、一般の施設、設備につきましての、あるいは経常費につきましての助成ということは、私立学校振興会を通じてこれをやるという建前になっておりますので、従って、私立学校振興会の貸付金の貸付の際特にそういう面は優先的に考えるというなようなことをいたしておるわけでございます。 それから、また、これは中学校だけではございませんけれども、最近の教職員の待遇の改善あるいは設備の充実というような点からいたしまして、これは国だけでそういった私立の小、中学校の助成ということを考えるばかりでなく、地方におきましてもやはり相当考えてもらわなければならぬ面がございますので、都道府知事のもとにおきまして、そういった方面に対する施設、設備の助成あるいは待遇の改善に必要な助成というものを従来からお願いしておるわけでございます。学校を含めた額になりますが、昨年度におきましても、いろいなろ助成を合わせますと大体十億程度の助成金が各都道府県から出ているような次第でございます。
○大原分科員 義務教育関係、特に中学校に対しまして、委託費とかそういうことのはっきりした法的な根拠はないでしょうけれども、とにかく特別な措置をするような産業教育とか理科教育というのは、公立も何も同じですが、私立にも及ぼしているということですね、これは間違いないと思うのです。特に義務教育であるから、それに対しては委託質的なもの、特にそれを対象としたものを、私学振興ということだけでなしに、やはり義務教育なんですから、それをかわってやっているのだという形を制度的にはっきりすべきじゃないですか。そういうことはないのですか。
○福田政府委員 これは御承知のように、過去におきましては、私立学校法の制定以前におきましては、そういった委託的な経費というような観点からいたしまして、私立の小学校、中学校に対しまして、ある県ではあるいは東京都みたいなところでは相当な助成をいたしたわけでございます。ところが、その後私立学校法が制定されましてからそういう関係の経費を合理的にするという見地に立ちまして、助成金に振りかえたわけでございます。従って、そういう役務教育を受け持っております私立の小、中学校の多くある府県におきましては、おっしゃるような趣旨も含めまして、教職員の待遇改善費あるいは設備の充実費、教材の充実費というような点から、相当な助成をいたしております。私ども、従来の助成が高等学校を含めまして必ずしも十二分だというふうには考えておりませんで、従来は富裕団体ばかりでなく、この地方交付税の対象になりますところの都道府県におきましても、大体標準団体に、基準財政需要額の中に三百万円ばかりの都道府県の助成費を積算基礎として入れておったわけでありますが、今後は、自治省と相談いたしまして、それを大体三倍程度にふやしていきたい、こういうような考え方をいたしておるわけであります。ただ、岡から補助金を出すということだけでなく、地方団体においてそういった血を十分手厚くしてもらいたい、そういう趣旨で、そういう措置をとりたいと考えておるわけであります。
○大原分科員 私、お願いしておきますが、各都道府県別に、特に義務教育は、無償とするという、憲法にもあるのですから、場所々々によって事情の違う点もありましょうけれども、高等学校の問題も含めまして、一つ資料をお出しになっていただきたい。各都道府県でどのような助成をしておるのかという資料を一つ出していたただきい。 それから、第四の質問ですが、端的に御質問いたしますけれども盲ろう学校の寮母は、文部省の基準によりますとどういう基準で定数化されておるか。盲ろう学校においては寮母は三十四時間労働であります。だから、ここは比較的日に当たらない、教育行政の陰の場所です。寮母さんは非常に苦労をしている。二十四時間勤務と同じで、非常に問題が多いと思うのですが、私はこのことだけを質問いたしておきまして、あとは後の機会に譲りたいと思うのですけれども、寮母の定数基準、現状というものについて伺いたい。
○内藤政府委員 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律によりまして、寄宿しておる児童、生徒につきまして七人に一人の割で見ております。現在のところ千三百五十六人がおるわけでございます。
○大原分科員 この定員は充足をされておるわけですか。それともう一つは、七人に一人という寮母の定員はこれで足りておるわけですか。どういうことなんですか。
○内藤政府委員 この定員は、今申しましたように七名に一人になっておりますが、実際の人員を調べてみますと千三百五十六名でありまして、九人に一人ぐらいの割で、まだ充足されておりません。
○大原分科員 充足されていない理由はどういうことなんですか。
○内藤政府委員 これは定員と申しましても、実は地方財政交付金の中でこれだけは見るという趣旨のものでございまして、義務教育国庫負担法は御承知の通り府県が出たものの半分を見る、こういう建前になっておりますので今申し述べたような数字になっている。これは盲学校、ろう学校、いろいろ事情があろうと私は思うのです。あるいは大きな学校につきましては多少受け持ちの数が多いのではなかろうか、各県の事情で財政上あるいはこういう措置がとられておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
○大原分科員 基準財政需要額の方をふやしてもらいたいという希望なんですが、特にお願いしたい点は、勤務の実態を調査してもらいたい。基準法なんかまるきり無視されておる。労働基、準法というものは全然関係なしに運営されておる。それが実情である。それはやはり財政的な理由からだけでなしに、大所高所からやっていただくことが必要であるから、その実態把握について特に留意してもらって、またこれは後の問題にしておきますので、将来どのようにすべきかという問題を含めまして、小さな問題を一つ申し上げましたが、しかし盲ろう学校というのは、父兄にいたしましたら負担は多いわけです。盲ろう児ができてきましたら、とんだ不幸です、精神病その他も同じですけれども。だから、そういう際には国が、教育の機会均等の建前からも、国家保障の建前からも十分見ていくべきだと私は思うのです。そういう面において、やはり父兄の負担に転嫁されたり、あるいはそういう仕事に従事しておる人に対しまして過重な労働を深するということはよくない。これは一つの見捨てられておる例です。盲ろう教育全体も大切な問題ですが、親にとってはかけがえのない子でありますから、特にそういう面でこういう問題について留意をしてやってもらいたい、こういうことを要望いたしておきまして、実態把握をもう少し進めていただきたい。私も具体的なデータをもちまして、後に文教委員会で御質問いたしたいと思います。 それから時間もだいぶ迫って参りましたが、最後に、教育の中立性という問題がILOに関連いたしましていろいろ議論されております。ILOの問題は今度、ILOの条約が出るのですから、その際私はあらゆる角度から議論をいたしたいと思いますが、教育の中立性という問題について、大臣はどういうお考えを持っておられるか。
○荒木国務大臣 特別変わった考えを持っておるわけではございません。教育基本法に示すような、政治的に教育の場がそこなわれてはいけない、右であろうと左であろうと、あらゆる政治的な影響から教育の場を中正、に守っていくべきもの、かように心得ております。
○大原分科員 戦争前の教育に対して、教育の中立性という観点から文部大臣はどういう批判、反省を持っておられますか。
○荒木国務大臣 戦前の教育は帝国憲法の趣旨から出まして、天皇親政の立場から行なわれておったと思います。私もその当時の教育としてはよくわかりませんけれども、おそらくは子供たちの幸福をひたすら念願する角度で教育は行なわれておったと思いますが、今教育基本法にいうところの政治的に中立であるという角度から戦前の教育を批判する能力は、ちょっと私持ち合わせがございません。
○大原分科員 教育の中立性ということは、相手の児童や生徒、学生の人格、人権を尊重する。だから自主的な批判力を持った人間を作っていく、こういうことにおいて制度上、教育上の配慮をすべきである、こういう点が、一つの問題の中心である、こういうふうに私は考えます。一つの問題としては……。たとえば、教師自体がどういう思想を持つとか、あるいはどういう私的な生活や行動をとるとか、こういうことは別に、教師が教壇に臨んだ際に、そういう一つの結論をつけるというようなことでなしに、資料として提起をしながら、相手の、幾ら小さくてもその人権、批判精神を尊重していく、こういう点に私は教育の中立性の論点はやはり集中されていくべき問題である、そういうように思いますが、この議論に対しましては、大臣、いかがでしょう。
○荒木国務大臣 子供たちが自主的な判断を持つように育てていくということは、これは当然の教育目標かと思います。ところが戦後の教育のあり方を一国民として見ておりますと、すべてとは申し上げませんけれども、民主教育の名のもとに子供たちが本能のおもむくままに行動することが自主性を発揮することであるがごとく誤って教育された子供たちが相当あるように私は思うわけでありまして、その自主性の尊重、批判力の育成ということ、そのことはだれしも異存はないと思うわけですが、その場合に、何としても感じやすい年ごろのがんぜない子供たちですから、教師個人の政治的な見解あるいは政党所属等は自由であるといたしましても、観念的には自分自身の政治的、思想的な考え方等はその人個人のことだから別だとは申しますものの、その人が教壇に立って感じやすい生徒児童に教えるわけでございますから、御当人が意識しないままに、知らず知らずの間に片寄ったものの考え方を教え込むおそれがある。当然懸念されることだと思うのでありまして、概念論としてのそれとこれの区別はわかるにいたしましても、教師たる立場の人は人一倍その点を厳粛に考えて行動してもらうという条件が成り立ちますれば、さしたる影響もなかろうかと思っておるのであります。とにかく特定の政党を支持したり、あるいは特定の思想の価値判断を一方的に先入主として影響させる、持たせるというがごときことのないことを、私は子供にかわって念願しておるような気持でございます。
○大原分科員 それは個々の場合にいろいろな問題は出てくると思うのですが、原則的に国の行政という場合に、やはり生徒児童の自主的な批判力と社会人としての行動、こういうものを考える際に、教師自体が自主的な人格を持たなければいけない。この自主的な人格というのは何かというと、自分で意見を持っているということです。自分で考えを持っているということです。そういうことじゃないですか。そういう教師の人権を尊重されないで、民主教育の確立はできないでしょう。
○荒木国務大臣 教師である個人が、いかなる思想を持ち、政治的理念を持ち、政党に所属しようと自由である、それはその通りでありますが、しかし、それはあくまでも教育の場に持ち出してはいけないということも鉄則なわけですから、それが教育基本法にいうところの教育の場を通じての教育の中立堅持の要請であろうと思うわけであります。教師個人の思想ないしは政治行動を制約するということはあり得ない。しかし小・中学校ないしは高等学校については、法律、制度の定めるところに従いまして指導要領ないしは教育課程等が定まるわけですから、その線を逸脱して片寄った方向に意識的に子供を持っていくという自由は、教師には許されていない。個人としてはまた別ですけれども、いやしくも学校という教育の場を通じてそういう偏したことは、右であれ左であれ、断じてやるべきじゃない。そういう制約は教師である限りは当然に負っておる。個人的な場においてはおのずから別でございます。
○大原分科員 憲法二十八条が勤労者の三権を保障いたしました理由、社会的な自由、社会的な、基本的な人権、こういう問題と、教師の基本的な人権との問題についてはどういうお考えですか。
○荒木国務大臣 憲法の保障する基本的人権としての労働三権は、一般的に国民全部が持つわけでしょうけれども、教師という特殊な勤労に従事する者は、おのずから教師なるがゆえの制約はやむを得ない。これも行政措置でどうなどということはもちろん許されるべきではない。憲法の趣旨にのっとった国権の最高機関を通じて、国民の意思としてきめられた法律上の制約を受けるという立て方で日本の制度はあろうかと思いますが、一般的に労働者、勤労者というものが憲法上労働三権を保障されておることは言うをまたないところであります。教師は教師としての制約が法律上あらねばならないという考え方のもとに現行制度がある、こう心得ております。
○大原分科員 この問題は、議論をしていけばたくさんのことがあるわけですが、きょうはそういう議論をいたしません。が、やはり憲法二十八条は、市民的な自由と一緒に、集団的な自由権といたしまして近代法は勤労者に保障しているわけです。その保障している意味は、教育における中立性と何ら矛盾しない。自主的な団結権と教師の中立性は矛盾しない。こういう観点を持っているわけです。このことは歴史的に正しいわけですから、そのことを政策的に変更しようと思ったって無理が出てくるわけです。いろんな摩擦が出てくるわけです。あるいは事志に反する結果が出てくるのです。だからそういう点は基本的な問題ですから、文部大臣としていろいろな発言をされる際に、私は十分留意してもらいたいと思う。これはILO条約その他の問題等に関連をいたしまして、立法上の問題といたしましても、これは議論が今国会にあるはずでありますから、その機会に譲りたいと思います。 それからもう一つは、これは最後ですが、最近のILOの結社の自由委員会におきまして、御承知のように日教組の問題が取り上げられました。政府を代表いたしまして文部省の今村課長が日教組の提訴に対する反論の資料を携行したのです。これを一体いつジュネーブに持っていかれましたか。
○内藤政府委員 二月三日に当地を発ちまして、二月二十八日に戻りました。
○大原分科員 それは向こう側の事務当局側の話によりますと、主文と説明資料がついているということですね。
○内藤政府委員 正式に文書で送りましたのは、ILOから一月の十五日に政府の見解を出してほしい、こういうことでございましたので、大へん急ぎまして全部翻訳をいたしまして、それから反論を作ったわけですが、日本文だけどうやら十五日までに間に合うようにお送りしまして、翻訳に時間がかかりましたので、政府の反論は二十四日にILO事務局に届いたということを聞いております。
○大原分科員 それは一月二十四日ですか。
○内藤政府委員 さようでございます。
○大原分科員 これはきょうは徹底的には議論はいたしませんが、それが二月二十一日にILOの結社の自由委員会の議長の手元に出ておる、事務局に出ておる、こういうふうに労働大臣は答弁いたしておるのですが、いかがですか。
○内藤政府委員 それは誤解であろうと思いますが、一月の二十四日に事務局に到達したと私どもは通知を受けております。二十一日に関係者に配付されたかどうか知りませんが、結社の自由委員会の方々に事務局から報告書があるいは二月の二十一日に届いたのかもしれません。と申しますのは、二十三日、二十四日の両日にわたって結社の自由委員会が開かれたわけでございますので、その前に関係者には資料が配付されるものと思います。
○大原分科員 もうちょっとお尋ねするのですが、二月の十七日に政府資料がILOに出された、そういうふうに向こう側は言っておるのです。今村係長は二月の三日に行きまして、送られたのを受けまして、資料を持ってあららこちら歩かれたのじゃないですか。
○内藤政府委員 主文は一月の二十四日に到達したわけでございます。 それから主文に伴う付属資料がございますので、付属資料が若干おくれまして、これも英訳いたしまして、ILO事務当局に届いたのが二月の十七日と記憶しております。
○大原分科員 それでは念のために聞いておきますが、これは大切なのでもう一回、二月十七日にILO事務当局に届けたのは英文ですね。
○内藤政府委員 英文でございます。
○大原分科員 それからもう一つお尋ねしたいのです。これはお願いしたいのですが、御承知のようにILOは労、使、政府の三者構成です。だからそれぞれ資料を出しましても、会議へ付しますと、資料がそれぞれのルートを通じまして出てくるわけです。日本文の資料を、主文と参考資料を私いただきたいと思いますが、いかがですか。
○内藤政府委員 本件はILOで審査中の事案でございますので、審査が済むまではこれは極秘になっておりますので、提出しないことにいたしたいと思います。
○大原分科員 それは審査が済むというのはいつです、どういう段階なんです。
○内藤政府委員 これは三月の七日から十日まで理事会がございまして、その理事会で何らかの決定があろうかと思うのであります。その決定に基づいて、かりにこれが五月の総会に延びますれば、五月の総会が済んで事案が解決しないと、外部に公表するわけには参らぬと思います。
○大原分科員 このほかにILOには、日教組に関係いたしましたものが八十七号条約に関係したものと一緒に、政府の通達、池田書簡というふうに向こうでは言っているそうですか、それが総理大臣の書簡として行なっているということについて、文部省は御承知ですか。
○内藤政府委員 文部省は承知しておりません。
○大原分科員 私が資料を出してもらいたいということは、この政府の文書は外務省か労働省から出すのでしょう。その中に荒木文部大臣のことを荒木副大臣、荒木失言問題をめぐりまして荒木副大臣というふうに書いてあるという。ジュネーブに行かれれば荒木さんは副大臣で、次官になり下がっている。そういうことはあるのですか。荒木失言というのは国際的にも大きな問題らしいけれども、そういういろいろな情報が伝わっているから、その資料は国会でILOを審議する際にはいただきたいと思う。外交文書でも、こんなものは、公然と政府が反論いたしたのですから、持ってきて翻訳するという手はありますよ。ありますけれども、そういうことでなしに、政府は第三者機関だから、少なくともその文書は外務省が出したのでしょう。当事者としての文部省が出したのではなく、外務省の名前によって出したのでしょう。これは間違いないでしょう。
○内藤政府委員 さようでございます。
○大原分科員 だから政府は第三者なんですから、国会において慎重審議するといたしまして、私はこれは外交の秘密文書というようなものではないと思う。労働大臣は検討してからお答えする、こういうふうに言っておりますけれども、出せないというふうな趣旨のものではなく、特に国会においてそういう議論をする際には当然出すべきである。ILOの結社の自由委員会ではいわゆる百九十七号ケースというのがある。全逓の四条三項の問題がある。それと一緒に日教組の団交拒否の問題は百九十七号ケースで取り上げている。だからこの問題については、今度の提案の内容につきましても、たしか討論がなされ、八十七号条約と一緒に取り上げられる一つの傾向にあるのですが、そういう文書についてお出しいただくということは、実質上は文部省が書いたのだし、文部省は対外的な責任問題で一存ではできぬと思うが、当然国会においては出さるべきである。政府は第三者機関で、政府が出したのですから、それをそう秘密だから問題がどうこうということはないでしょう。だからそれは私どもの方に資料をお出しいただくのが当然だと思うのですが、いかがですか。
○内藤政府委員 本件がILOの事務局で係争中の事案であり、審理中の事案でもございますので、これを外部に公表するのは時期的に考慮しなければならぬ。その事案が済んで後に適当な時期に発表することは差しつかえないかと考えておるのでございます。
○大原分科員 それではきょうILOの問題等につきまして一つ文部大臣に質問しようと思ったのですが、時間が来ましたから、きょうは分科会における私の質問はこのくらいにしておいて、また別の機会がありますので、そのときに質問いたしたいと思います。以上で終わります。
○北澤主査 長谷川保君。
○長谷川(保)分科員 私は同僚諸君が質問しましたところを縫って、質問をあまりしなかった点について五点ばかり伺ってみたいと思うのであります。 第一点は、予算書にありまする準要保護児童の四%という数字であります。教育の機会均等と人材開発という項の中の三、文部省の方の事項別表の三ページのところにございますが、この要保護児童についてはこれを三%と見る。準要保護児童については四%と見る。なるほど前年から見ますと非常な御尽力をいただいたということになるのでありますけれども、私はこれが実態と非常に違うというように思うのであります。要保護児童の方は大体において生活保護を受けておりまする人口の比率から見て参りまして、大体これで行けるかと思うのでありますが、準要保護児童の方がどうもこれでは実態と合わないというように思うのであります。この積算をして参りました基礎はどういうことになっておりますか、お伺いいたします。
○内藤政府委員 これは文部省の昭和三十二年度学校給食調査及び昭和三十二年度教科書給与調査の資料によりますと、教科書の補助を受けているもの、学校長が教科書の給与を必要とすると認定したものの、割合というもので四・一%という数字が出ております。これは三十二年度で古いわけでございますので、文部省としてもこの四%で確実にいいかどうかという点については若干の不安がございますけれども、ともかく前年度二%のものを一躍倍にふやしたわけでございます。これでともかく実施してなお不十分でございましたらさらに来年度以降において増額いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○長谷川(保)分科員 三十二年度の統計というのはちょっとおそれいるのでございますが、現場の先生方からよく耳にいたしますことは、この準要保護児童の適用者が実際の数と非常に違って先生方は非常に困るということをよく聞くのであります。事実そういう点が多いようであります。ことしの厚生白書を見ますと、厚生白書の三十四ページにあるのでありますが、これは毎年四月に実施いたします厚生行政基礎調査からとってきておりますけれども、これによりますと、これもあまり新しいものはここに出ておりませんが、三十四年四月現在ですでに百六十万世帯、六百八十五万人という数字があるのであります。これがこういうように書かれております。被保護階層とほぼ同程度の消費水準にある低所得者数というのがあるのであります。今回御承知のように生活扶助が一八%保護基準が上がりました。そうしますと被保護者も厚生省の方で推算いたしますと約三十万ふえるようであります。いわゆる落層という言葉で書いてありまするのを見ますと約三十万人ふえるようであります。同様にこの数が上がりますと、準要保護児童と考えられるものもまた上へ上がるわけです。つまり、生活保護基準が上がりますから、それと自分でかせいでおるけれども、ほぼ同じ程度の生活水準にしかないというボーダー・ラインでありますから、保護基準が一八%上がるとしますと、この準要保護児童というものもまた上がるわけであります。もちろん準要保護児童といわれておる世帯の中から今の下の方へ落ちていくものもございます。これは今の被保護者のあるいは落層といわれる階層の数が非常に多いのでございまして、少し上げると非常に数が多くなるのであります。その点が厚生省が二六%要求したけれども、ついに大蔵省が二六%上げ得なかった大きな理由であると思います。少しパーセントを上げますと非常に数が多くなる。従って全体の予算というものが非常に多くなるのであります。そういう事情がありますから、こういうところから押えて参りますと、私はこの生活保護一の準要保護世帯というものは、ここに書いてある数よりもよほど多くなるのでありますけれども、それはともかくとして、もし百六十万三千世帯六百八十五万人という数字にいたすといたしましても、これは七・四%くらいに当たるのではないかと考えられる。厚生行政基礎調査から推してきた数字であります。この数字を見て参りますと、現場の先生たちが申しまする困るということ、この予算が少なくて困る、実際はもっと多いのだということと思い当たるのであります。でありますから、今三十二年度の調査から推してきたということで一応これでやってみて、来年また様子を見るということでありますが、こうなりますと現場の先生が非常に困りますし、現場の先生が非常に困るばかりではありません。事実児童就学の機会均等というものがそこなわれるわけであります。この点は非常に問題がここに残っておると予算書をずっと拝見しながら考えたのであります。こういう点は実際において就学ができないということになりますと、重大な段階になるわけでありますが、もし実態にそぐわない場合には何らかの措置をなさいますか。
○内藤政府委員 従来保護児童が二・五%、それが厚生省の保護基準を一八%引き上げたのに伴いまして三%、これが一点でございます。それから従来の準要保護児童の対象が二%を四%に上げたのであります。そこで従来は四・五%が対象になっておったので現場では大へんお困りになったと思うのでございますが、今回は四・五を七に引きあげたわけでございますので、三%と四%を合わせますと七になる。ですから現場の先生の御不満は大部分解消するのではなかろうかと期待しておりますが、先ほどお述べになりました厚生省の調査によりますと、大体保護児童を合わせて一〇%くらいという数字が一応出ているわけであります。しかし私どもの三十二年の調査によりますと保護児童四%という数字も出ておりますので、本年は前年度よりはだいぶ前進しましたので、これで一つやって、なおかつ不満がありますれば翌年度以降において解消いたしたいと考えておるのであります。
○長谷川(保)分科員 今お話しのように、厚生行政基礎調査の方からお尋ねして参りますと、準要保護、要保護児童、合わせて一〇%、私の計算でも大体そのくらいになるのでありますが、一〇%ということでございますと、学校教育法から申しましても、あるいは義務教育という立場から申しましても、こういう義務教育を受けておりまする生徒、児童におきまして、教育が受けられないような状態にしておくということは、絶対にしておくべきでない。これは額からいっても、大した額ではありません。もうあとせいぜい三億円か四億円入れれば、これは解決するのではないか。今年度にプラスしてせいぜい——今年度は昨年からふえているのは十億円くらいだったのでありますから、大した額ではございません。この間も同僚野原委員からお話がございましたように、この間は給食の問題であったと思いましたが、隣りの者は給食が受けられるのにこっちは給食が受けられないという子供が廊下へ出て見ておるというようなことがあってはならないのでありまして、ことにこういうような義務教育を受けさせるということ、大体一〇%くらいという数がわかっておりながら、これを要保護三%、準要保護四%、七%ということでおくということは、いかにも無情なように思う。この底上げということ、二重格差を解消するということが、今度の内閣の政策の大きな目標になっておりますけれども、その場合にこの底も底の一番不幸な諸君を上に引き上げる。せいぜい私が指摘する点から申しましても、もう三%上げればいいわけでありますから、それをそこまで引き上げるということが、まず何よりも最初になすべき文教行政だと思うのです。こういう点、なぜこのままにしておかれるか、いかにも無情に感ずるのでございます。同時に愛情がないように感ずるのであります。いたいけな子供たちが教育を受けることができない、そこにいろいろな不幸が起きてくるようなことがあってはならないと思うのであります。これは私の娘のことですが、私の娘は二年間学校へ弁当を二つずつ持っていった。どうして二つ持っていくのか、私はスポーツばかりやるから腹が減って、それで持っていくのだと思っておったのです。母親は毎日二つずつ持たしておった。そうして後になって学校の先生から事情を聞いたのでありますが、やはり準要保護児童というようなのがおりまして、非常に不幸だ。ことに母親が違っておって弁当を持ってくることができない、それで二つずつ持っていった。きたない子でみんなからきらわれていたから、先生に頼んで自分の隣りの席に置いてもらって、そっと弁当を食べさせておったということがわかりまして、私もびっくりしたのでありますが、そういうような不幸な子供というものを残しておいてはいけない、これはやはりすべての子供に教育の機会均等ということを、ことに小学校、中学校の子供というものはそういうことにはしないで、教育が受けられるようにあらゆる努力をしてあげる。ことに準要保護児童につきましても教科書その他の配給はちゃんとしてあげるというようなことにしてほしいと思う。今お話のようでありますけれども、様子を見てあげるというようなことでなしに、これくらいのものは何でもないのでありますから、大臣はこういうようなものに対しまして、特別な方策を講ずべきだと思うが、その点大臣の御所見を承りたい。
○荒木国務大臣 長谷川さん御懸念いただく通り、要保護はもちろんですけれども、準要保護児童の点で救済漏れがあるとするならばこれは申しわけないような気持がいたします。いうことが出てくるであろうことをおそれますけれども、今前年度二%を四%にどうやら引き上げ得たことで一応満足せざるを得なかった。露骨にいえば予算折衝に負けまして申しわけなく思っております。年々歳々努力を続けまして一人でもそういう救い漏れがないようにしなければならぬ事柄だということは肝に銘じておるわけでございます。今後の努力に待たさせていただきます。
○長谷川(保)分科員 一応大臣の御答弁を了といたしますけれども、主計官いらっしゃいますか。——今お聞きのようなこと、私は政府といたしましてもこういうようなことを残しておくことは恥だと思うのです。文部省としてはもちろんこういうようなことを残しておくことはやるべきでないと思う。今お話を伺いますと、予算折衝で倍になったからということで、負けたということでありますけれども、こういう点は子供の基本人権の問題でもありますから、何としてでも来年はこういうことのないようにしてもらいたいと思う。ことしも補正予算等で何とかしてもらいたいと思いますし、できれば予備費を支出しても満たしてもらいたいと思うのでありますが、主計官はどういうお気持でこれを削ったのでありましょうか。
○佐々木説明員 教育の機会均等と申しますか、みんながひとしく、金持ちであろうと貧しい人の子弟であろうと、ひとしく楽しく教育を受けるということがわれわれの念願でありまして、予算編成のときもそのことを考えまして、低所得階層と申しますか、そういう貧しい人々の子弟たちが教育を受ける障害になるものを排除するという予算措置につきましては、大蔵省といたしましても最大の努力を払いまして、予算書で御存じになれると思いますけれども、要保護階級の予算におきまして十六億を三十二億と、大体倍額程度にふやしました。これは予算の今までの経過は先生御存じだろうと思いますが、まさに画期的な増額であります。財政計画でも非常に苦労したと思います。ただし、実態が完全に理想形態になっておるかどうかということについては、いろいろ見解があると思います。ただ、私どもはこういうものを調査する場合に非常に問題になりますのは、基礎的な正確なデータに基づいて予算を作る、これは私どもがやはり国民の血税を扱うわけでありますから、ほんとうに正しい基礎的なデータに基づいて正しい予算を組むということを念願としております。そこで、私どもといたしまして今の四%の問題でありますけれども、いろいろ要求がありまして、一応今まで私ども大蔵省と文部省とで調査いたしました実態が先ほど言った古いデータではございますけれども、一応四・一%でありますか、四%内外という数字が出ておりますので、それに従わざるを得なかった。しかし、これで私どもほんとうに正しいかどうかということはさらに調査しなければならぬと思います。従いまして、今後あらゆる調査能力と申しますか、調査機構を動員いたしまして、ほんとうにただいま先生がおっしゃっておるように全体で十%前後になるのか、それとも三十二年度の七%にとどまるのかどうかというような点、さらに調査いたしまして善処いたしたいというふうに考えております。
○長谷川(保)分科員 予算委員会でありますから、私は主計官にことに申し上げるのでありますけれども、およそ切っていい予算というものと、切って悪い予算、経費というものがそれぞれあると思うのです。こういうようなたぐいのものは、民主主義社会においては、最も重大な基本的人権の問題としても切るべきものではないと私は思います。今のお話のようにデータがしっかりしていないから仕方がないということであれば、これは大臣に申し上げるまでもなく、文部省が三十二年のデータなんといろ、そんな古いデータでおやりになるというようなばかなことはないのでありましても、し三十二年のデータしかないなら、今言ったような厚生行政基礎調査を調べれば、そこに毎年四月にやるデータが出てくるわけであります。でありますから、これは何と申しましても文部省の怠慢だと私は思います。怠慢だと思いますが、これは何としてでも一つすぐ改めてもらいたい。ことにことしの予算を見て参りますと、校長の管理職手当というものがふえております。ちょっと記憶しておりませんが、一億円近くふえていたのではないかと思います。これにはいろいろ御意見もありますけれども、そういうものはふやさなくても教育ができないわけではないけれども、こういうようなかわいそうな準要保護児童の子供たちの教育費がないというようなこと、一〇%と思うけれども、七%見二一一%は切っておけなんということは、大よそ今日の時代の政治としてはあり得べからざることであり、ことに、この内閣が二重格差をなくそう、日陰におる者を上に底上げをしよう、こういうことを目ざしております限り、断じてこういうことはすべきものではないというように思うのでありまして、こういう種類のものが各省にありましょうけれども、特にこの点予算書を読んで参りまして私が強く感ずるところでありまして、次の予算におきましてはぜひ改めてもらいたいということと、それからさらに、文部省は、三十二年の調査なんということではなくて、すみやかにこういう問題についての調査をなさるべきであり、もし文部省で調査する費用がないならば、ほかにも幾らも調査する機関はあるのでありますから、そういうものを十分お調べになって、こういうようなところで問題をいいかげんにごまかして処理するようなことのないようにしてもらいたいということを、強く要望する次第であります。 時間もあまりありませんから、なるべく簡単にお聞きするといたしまして、次は、先般も同僚野原議員からお話のありました点で、なおお尋ねの足りなかったところを少し伺いたいと思うのであります。先般も公立学校等におきまするやみ教師の問題が出ましたが、私はきょうは直接文部省の御関係の国立学校の関係で、やみ教師の問題についてちょっとお伺いをいたしたいのであります。先般私はある父兄からこの話を聞きまして、さっそく調べに参りました。そうすると、ただ単に私が調べに参りました学校だけではなくて、全国に相当数あるということが雑誌の印刷物にありまして、それを私は手に入れました。残念ながらその印刷物を国に忘れて参りまして、きょうここに持ってこなかったのでありますが、もし御答弁が不満であれば、いずれ文教委員会でさらに伺ってよろしいと思うのでありますが、端的に事例を一つ申し上げます。 私が調べに参りましたのは、静岡大学の教育学部の浜松分校の付属中学校であります。この学校に参りましたところが、この中学校にやみ学級があるわけであります。この学校は、終戦後何とかして父兄がこの付属の中学校をりっぱにしたいというので非常な努力をいたしまして、当時その計画につきまして父兄が二派に分かれまして、いろいろな問題を起こしておったのでありますが、一応それが片づきまして、今はりっぱな学校ができました。まず敷地を購入するにつきましては、これは文部省の方から全額補助をいたしたように伺っております。しかし、建てました校舎の費用——鉄筋コンクリートのりっぱな校舎ができておりますが、校舎を建てる費用は全部父兄の寄付でいたしたのであります。そうしてその結果やみ教室ができている、やみ教員ができているという状態でありまして、この先生たちはいわゆる恩給もつかないというような形にあり、この教員の給料は父兄たちで出している、こういうような実態なのでありますが、一体こういうような事態が全国にどれくらいあるのでありましょうか、伺いたいのであります。
○村山説明員 御説明申し上げます。やみ学級とおっしゃいますのは、付属学校におきますいわゆる予算超過学級のことだと存じます。付属学校の学級数は、申すまでもないことでありますが、予算で定められておりまして、予算で定められました学級数に従いまして運営する建前になっております。ところが、ただいま御指摘のように、多数あります付属学校の中で、ごく一部のものでございますが、予算に定められた学級数をこえました学級を持って運営しているものがございます。これは主として中学校にございます。中学校で、約十ばかりの中学校にあるのでございますが、これの成因を考えてみますと、付属の中学校はもともと、新制の中学校ができましたときに従来の筒等小学校を基幹として作ったものでございますが、そんな関係で、もともと基礎となる学級数が二学級ないし四学級ぐらいしかなかったわけでありまして、非常に小規模の学級でスタートせざるを得なかったのでございます。学校を運営しますには、何学級が適正であるかという点につきましてはいろいろ議論のあるところでございますが、全体で二学級とか四学級ではとても満足な教員配当もできませんので、とりあえず中学校につきまして六学級にするという目標で文部省としましては整備をして参ったわけでございます。ところが、父兄の要望、地元の要望その他の事情がございまして、文部省の予算措置をする以前に六学級に近い学級数を事実上持って運営して参ったものが出て参ったわけでございまして、それらの学校の中には、文部省で六学級分の予算措置をしたにもかかわらず、それまでに持ちましたところの予算外学級を六学級にさらに積み重ねて持っているというような事態が今日まで継続しているものがあるわけでございます。 御指摘の静岡大学の浜松分校の付属中学校も同様な事情でございます。現在この学校は、二学級平均の合計六学級が予算に定められているところを、さらに学年当たり一学級をふやしまして九学級、三学年を九学級で運営しております。このような事態は、学級数が少なくては学校運営上困るとか、地元の要望があるとか、そういう事情は事情といたしまして、予算に定められた学級数以上の学級を事実上持つということは望ましからざる事態でございますので、文部省といたしましては、学級数の運営につきましては、予算で定められた学級を厳守するように従来もしばしば申して参ったところでございます。しかしながら、遺憾なことには、現在十ばかりの中学校におきまして予算超過学級があるのは事実でございまして、それにつきましては、一面におきまして予算厳守を指導いたしますとともに、他面、今まで申しましたように、付属学校としてはある程度の規模の学級数を持ちませんと、本来の使命でありますところの教育研究の実験学校としての運営といったような面に十分でない面もございますので、ほんとうに学級増加が必要な場合には、検討の上、このような措置をとりたいという工合に考えておるわけでございます。
○長谷川(保)分科員 全国で十学校ほどそういうところがあるというお話でございましたが、私の見たのではもう少しあったように記憶しております。今、資料がないのでわかりませんが、お宅の方が正しいかもしれません。いずれにいたしましても、申すまでもなく、学校教育法の五条では、学校の設置者は、その設置する学校を管理し、その学校の経費を負担するということになっているわけでありまして、ことに義務教育でございますからそれは当然なことであります。今も村山さんからお話のように、教育上——私もそこの学校を見に行きまして校長に教育上どうなんだといって聞いてみたところが、校長としましては学生の実習のために、どうしても二学級もしくは四学級ということでは困るのだ。どうしても大体三学級ずつくらいはなければ困るのだ。これくらいないと学生の手がすいてしまってどうにもやれぬのだ。ですから父兄の強い要望のもとにこういうことになってきているし、自分たち学校の当局としてもそれは非常にいいことだから、こういうように父兄にやってもらったのだ。校長としては、このことがもし悪影響を及ぼしてしかられては困るというので、私どもにはあまり言いたがらないのでありますけれども、しかし実情はそうなのだ、こういうことです。教育上そういうことがどうしても必要だということであれば、私は当然これは積極的にそうすべきだと思うのです。それを父兄や学校当局がそうしたいというのにいわばつけ込んで、本来学校の設置者であるところの国が費用を持たないでPTAに負担させるということはあり得べからざることだと思うのでありますが、この点、大臣いかがでしょう。
○荒木国務大臣 お説の通り、あり得べからざるものであると思います。それがどうしてあり得べからざるものがあるかということは、先刻の説明で一応わかるような気がしますが、第一は大学当局それ自体が、PTA等の要望があろうとも、その要望が熾烈であればあるほど、率直にそのことを文部省に連絡をして、十分相談の上やるという努力も欠けておったのじゃなかろうか。私のこれは想像でございまして、当たらなければおわびをせねばなりませんけれども、そういうところに問題があるとすれば、そういうことに対しても、今後十分大学当局とも密接な連絡をしつつ、これからそういうやみ職員が出ないように、ほんとうに必要ならば一緒になってまともなものを作るように努力すべきものと思います。
○長谷川(保)分科員 これはどう考えても、今中学校が急増して対策を立てなければならぬときでありますから、どこに作ってもいいわけですが、大蔵省の方からの金の出しようがどうしても違ってくるという点があるかもしれません。しかしいずれにしても義務教育費国庫負担法等によって、これは何にしても、地方公共団体が作るといたしましても、国が半額は補助し、さらに残りはまた交付税で出すという形になるのでありますから、こういうような義務教育の生徒の教育の費用を父兄に押しつけて一さらに教員諸君の身分もこれは困ったことになるわけです。もちろんやみ教師でありますから恩給はつかないという形になって参ります。非常に困った問題になりますし、明らかに法律違反という形をやっているわけです。ですから文部大臣も、法律を尊重することは非常に好きな方でありますから、まず文部省自身が法律を守ってもらいたい。そうしてこういうようなことをすみやかになくするように、今のやみ学級、やみ教室というものを直ちに正規の学級にし正規の教師にするようにあらゆる努力を願いたい。余分なことをしておるならそう申しませんけれども、結局これは、もしこの付属の中学校がなければ当然町の学校に入る。また町の学校の方は、御承知のように、しばらくはすし詰めをがまんしてもらうというような状態になるわけでありまして、従って結局どこかでやはり解決しなければなりませんし、将来中学生が減ってくるときになれば、こういう教育大学の付属学校というものがモデルの教育を十分するということになるならば、一教室の生徒の定数も当然もっと減らして、ほんとうのいい教育ができるように、またそれに全国の公立学校がならっていくようにしなければならぬわけでありますから、この点は一つ至急配慮するようにしてもらいたい。それから同時に大蔵省の方でもそういう点を考えて、そういう法律違反を国立学校がやっておるというようなこと、文部省自身がやっておるというようなことはすみやかに解消してもらいたいと思うのであります。 公立学校の話が出たので、予算でちょっとわからない点があるので教えてもらいたいのでありますが、それは、事項別表の六ページに、国立学校等の施設整備というのがありますが、その備考欄に、特定財源施設整備というので四億八千八百万円というものがありますが、これはどういうものですか。寄付等で出されるのですか。私この項目を初めて見たので、私が今まで見なかったのが悪かったのかもしれませんが、この点をちょっと伺います。
○福田政府委員 これは従来大学が持っております資産を提供いたしまして、たとえば一例をあげますと、名古屋大学の元八高跡の校地、校舎が必要がございませんので、これを処分いたしまして、そうしてその身がわりとしての分を予算に計上いたしまして整備をする、こういう趣旨のものであります。特定財源というものはそういうものであります。
○長谷川(保)分科員 わかりました。 第三の点でありますが、社会教育文化の振興予算の問題であります。同じく七ページの裏に、社会教育文化の振興というものがございますが、この中に、青少年団体活動促進あるいは婦人教育研究集会、成人学校等いろいろなものが載っておりますが、この地域青年活動助成、青少年団体指導者研修等の費用、あるいは婦人学級、婦人教育指導助成、その中の婦人教育振興助成、外国派遣というようなものがあります。こういうような青年団体や婦人団体への助成補助というのはどういうようにしておりましょうか。実態を伺いたいのであります。いわばどういう基準で補助をしているのか、その基準等を伺いたいのであります。
○齋藤(正)政府委員 第一点の青少年団体活動促進費でございますが、これは実は表題がわかりにくいのでありまして、この中身はそれぞれの府県内の、主として勤労青少年が県内、県外を旅行しながら指導者相互の交歓をし、あるいは農業青年でありますれば他県の農家に泊まったり、あるいは共同施設を見たりして勉強して歩く経費でございまして、その県内旅行あるいは県外旅行を、指導者を置いて班を作って旅行をし、研さんをする。その二分の一を文部省で補助いたして、二分の一を県で見る、こういう経費でございますので、この点は一般の団体助成の問題ではございません。
○長谷川(保)分科員 そうするとこれはもう県に一切をまかせているわけですね。
○齋藤(正)政府委員 人選、指導、計画等は県の指導でやっております。
○長谷川(保)分科員 そうすると婦人教育振興補助はどういうふうにやっておりますか。
○齋藤(正)政府委員 婦人教育振興は、一番大きいのが婦人学級の開設というようなことでありますが、第二番目の(イ)でありますが、婦人教育振興補助と申しますのは、主として婦人学級等を指導いたしますための府県の職員の指導旅費であります。あるいは調査のために要する経費でありますとか、そういう事務的なものでございまして、このところは団体自体に対する助成金ではございません。
○長谷川(保)分科員 次の外国派遣、欧米十六人となっておりますが、今までもすでにやられているようですが、こういう人選はどういうようにしてやられますか。
○齋藤(正)政府委員 本年度は十名でございますが、明年度は十五名にいたしたい。本年度の基準といたしましては、地域別に見まして地域婦人団体の幹部でございまして、大部分の方が全国の地域婦人団体連絡会の副団長をしておられるような方、もう一つはそういう団体活動という観点から離れまして、広く婦人教育という観点から人選したわけでございます。
○長谷川(保)分科員 十人行かれたということでありますが、また三十六年度は十五人やろうということでありますが、やられました十人の方々の氏名、地位等を伺いたいのでありますが、時間もないようでありますから、これはあとで資料でけっこうです。 問題は、そういう場合にとかく文部省の御用団体的なものに補助をされ、あるいはそういうような傾向の婦人たちが人選されるといううわさが相当あるわけです。それでこういう点は、民主主義社会でありますから、私はいろいろな考え方があっていいと思うんです。むしろ時の政府と反対のような考え方をする人をこそこういう方面に——もし政府に自信がありますならば、むしろ割合反対するような意見を持つ人をも人選をしていくというような形もとるべきではないか。そういうところに個々の多くの異なる意見が出て参りまして、ほんとうに正しい民主社会が発達するだろうと思うのです。ところがどうも官僚諸君にすると、とかく自分たちの言う通りになってくれる人、そういう活動をする人を選ぶ傾向が多過ぎると思うのです。また事実そういう非難があちこちにあると思います。婦人団体の補助にいたしましても、とかくいわゆる御用団体への補助をして、ひどいことになるとそれが選挙に活動をするというようなことになる。このごろはよく選挙の最中に婦人団体の幹部がすっぽり一網打尽に縛られることがあります。私の地方でもそういう諸君があります。こういうものに国費が使われるということは不届ききわまることでありまして、政府の意見と反する人々も国内には少なくとも三分の一はあるのでありまして、そういう諸君も税金を払っておるのでありますから、そういうような御用団体を人選して補助するというようなことは厳に慎んでもらいたい。教育ということは日本の将来のことを考えるわけでありますから、将来のことをも深く考えて、逆に政府の意見に反するような人をもむしろ選んでやる。政府の意見に反する団体にも無差別にこれは出すという形にしていきませんと、いよいよ独裁国家なんということになって参りまして、あぶない話にもなってくるのでありますから、そういう点をこまかく伺っておきたいと思うのでありますが、時間も昼めしどきをだいぶ過ぎておりますから、この点はまたあらためて詳しく伺うことにいたしましょう。 ところでこの項目にあります純潔教育、これはどういうふうにやっておるのですか。
○齋藤(正)政府委員 純潔教育につきましては単に性教育という関係だけでなく、精神的、肉体的に男女の関係がどうあるべきかという観点に立ちまして、数年来資料を出しております。ここにあります予算は、引き続き明年度も純潔教育に関する資料を出しまして、社会教育の各分野のそれぞれの団体のリーダーたちが、一つの目安として利用し得るような資料を編さんしたい、そういう経費であります。
○長谷川(保)分科員 純潔教育費八十二万円。これは日本じゅうの純潔教育をやらせるのに八十二万円というのは、雑誌だけかもしれませんけれども、いかにもこの方面に力が入ってないというふうに思われるのであります。いずれにいたしましても私は、やはり民主社会の根本をなします性生活に対するきちっとした純潔というものがなければならぬと思うのであります。これは中共などに先年参ってみましても、なるほど離婚ということが比較的たやすくできるのでありますけれども、しかし、一夫一婦という点は実に厳格に守っておる。また売春婦等は絶対いないと言って——いろいろ言われますけれども、私が直接各地を回ってきたところ、絶対いないと言って差しつかえないというような事態であって、やはり純潔教育というものには十分に力を入れていかなければ、ほんとうのよき社会は出てこないと私は思うのであります。いかにも予算が少ないと思う。この点気になりましたので伺ったのでありますが、こういう点についても十分な御尽力をしていただきたいと思うのであります。この点時間もあまりないようでありますから、こまかい点は文教委員会等で伺うことにいたします。 それから同僚議員諸君からもいろいろ伺われたのでありますが、私立大学の授業料の値上げ問題が学生諸君の間に非常に大きな問題となりまして、その後政府も今年度の対策に私学振興会費その他のもの、学校の補助金等をある程度増額をしておることは認めるのでありますが、しかし依然として私立大学の授業料の値上げ問題はほとんど何も片づいておらぬというように考えられるのであります。何ら好転しておらぬように考えられるのでありますが、この点最近の情勢はどうなっておりますか。
○福田政府委員 お答え申し上げます。私立大学の授業料問題につきましては、よってきたる根本の原因はいろいろあると思いますが、今回の授業料値上げの幅は、私どもが想像いたしておりましたよりも若干大きいのであります。従いまして、いろいろ値上げの実態を調べてみましたところ、国家公務員のベースアップに相並んで私立大学の教職員のベースアップをするという問題が根本でございますけれども、そのほかに、やはり私立大学といたしましては、いろいろ施設設備の充実もしなければならない、あるいはまた学科、学部の増設もしなければならないというようないろいろな必要の面が重なりまして、大学におきましては、大体二八%程度というような、かなり想像いたしておりましたより高い率になっておるわけであります。これは従来にない幅でございますが、それに対しまして、主たる財源が、御承知のように授業料その他の学生納付金でございますので、従って学年納付金をある程度上げて、そうしてベースアップその他の資金に充当するというような考え方になっておるわけであります。従いまして、私どもとしてはやはり私立大学といえども、あまり学生の負担過重になるような点は避けたい、こういうような考え方からいたしまして、従来の施設設備に対する補助、あるいは私立学校振興会からの融資というようなものをできる限り増額して参りまして、そして大学自体の経営の面におきまして施設設備に充当すべき資金に若干の余裕ができてくれば、それが間接にはね返りまして経常費の方に回っていく、こういうような面もございますので、できる限りそういった施設設備あるいは振興会の貸付金の面を増額していきたい、こういうようなことで、三十六年度予算におきましても、政府予算におきましては、大体十億以上の増額をはかって参ったわけでございます。 ところで、この授業料の値上げの中で、先ほど申し上げました主要なるベースアップの資金でございますが、私どもの一応の推算によりますと、大体大学におきまして、約二十七億くらいのベースアップの資金が要ると考えております。ところでこの中で、御承知のように、私立大学におきましては年々、ここ数年間、授業料をアップしておりますので、従って、これが学年進行に伴いまして全体の経費としては相当収入が増加していくという面も一面ございます。従って二十七億円の中で相当部分は従来の授業料順上げのこの増収分でもまかなえるという面もございますので、それや、今申しました国からの助成金も合わせまして、全体としては、十分ではございませんが、ある程度私立大学の経営の資金としてはまかない得る方向にきているのではないか、こういうように考えるのであります。ただ、御承知のように、私立大学の経営といたしましては、時期的に資金の繁忙がございますので、たとえば三月にどうしても資金が必要だというような場合におきましては、私立学校振興会の経常費の貸付金を短期に融資をいたしまして、そうした応急のつなぎ的な資金でございますが、貸付によってこれを救済していこう、こういうような考えでございます。従って全体としては足りないと思いますけれども、方向としては、授業料値上げの問題は、ベースアップのみを考えますと、それほど上げなくてもまかない得るのではないか、こういうように私どもは考えておる次第でございます。
○長谷川(保)分科員 それにもかかわらず、どうも授業料の値上げ、入学金の引き上げ等は少しも変わっておらぬように私は承知をいたしておるのでありますが、この点変わったのですか。この文部省の措置によって、そういうことがなくなったのですか。
○福田政府委員 この授業料値上げの問題は、かなり時期的に早く決定いたしましたために、と申しますのは、三十六年度の学生募集との関係もございまして、上げるべき大学は制令に早く、昨年の暮れから上げるということを決定いたしております。従ってそういう決定をした大学はその通りにやるわけでございますが、全部の大学が授業料値上げをいたすわけではございませんで、相当大学は今年度は見送りというような状態になっておるわけでございます。
○長谷川(保)分科員 しかし授業料値上げを発表した学校は少しも変わっておらぬよう私は思うのです。だから問題は、私はこの点をやかましく申したいのは、教育の機会均等という点がかなり大きくくずれてくる。だからアップを発表いたしました学校がほとんど何も変わっておらぬ。早い時期に発表したからということでは、これはひどい目にあいますのは学生、諸君でありまして、大学生の六割五分を私学にお願いをしておる状態からいたしまして、そこに学んでおりまする全大学生の六割五分というものは大体においてこのひどい目にあう諸君であります。今まででも、この前も文教委員会で伺ったことがあるのでありますけれども、育英会からの奨学金等々におきましても、私立の方が率からいうと非常に少ない。これが今回のアップによってまた非常な困難に陥るということがあっては、教育の機会均等ということはできないと思います。この間も同僚諸君からいろいろ私学の経営についての御意見がありましたから、あまり詳しいことはお聞きいたしませんけれども、ほとんど今度の予算は、なるほど私学振興会への出資も五億円ふえて八億になったというようなこともございますけれども、こういうような文部省の措置というものが、何らこの私学におりまする学生諸君の教育の機会均等ということにつきましては言うに足りないものであって、そういう問題の、官公立大学との間のギャップを埋めておらないということになりますと、文部省の措置というものが足らないということになるわけであります。それだから、そういう点についてこの際一歩も前進をしておらぬというように考えられてくるわけで、なるほど理振法や産振法等によりまするいろいろな措置は少し進んでおります。少し進んでおることは見えますけれども、しかし教育の機会均等という方面で、今の授業料の方から見ますれば、文部省の措置というものは私学の学生諸君にほとんど何らの影響を与えておらぬ。この諸君の機会均等を実現するという線に向かって少しも進んでおらぬというように見えまするし、また教育の内容におきましても、今日の予算では全く国公立の大学と比べて内容が非常に違っておるということになっておるのでありまして、こういう点を、大学生の六割五分を私学にお願いしなければならぬとするならば、その学生諸君に対しまして、もっと積極的な態度をとらなければならぬのじゃないか。言いかえれば、今回の予算では非常にふやしたと言うけれども、事実においてはほとんど何も影響がないような事態になっているのじゃないか。この点もう一度考え直さなければならないのじゃないかということを、この予算書を見まして考えるのであります。今申しますように、私は文部省の措置というものがほとんど功を奏していないように思うのでございますが、その点いかがですか。
○福田政府委員 御承知の通りに、現在この授業料の値上げについて、文部省がこれを規制するとかいうようなことはもちろんできないわけでございます。従って大学当局におきまして、授業料の値上げをやりたいということをどうしても押えるわけには参りませんが、しかしながら、先ほど申し上げましたように、学生の負担が過重にならないような方向においては、大学当局におきましても十分努力して下さるものと考えております。また私立大学の協会等におきましても、そういった面についてはいろいろと日ごろから研究いたしておるわけでございます。従って、今仰せのように三十六年度については、必ずしも十二分だということは申し上げられませんけれども、私どもはそういう政府予算なり、あるいはその他いろいろな措置が、学生あるいは父兄の負担過重にならないような趣旨において、これが使われるということが非常に望ましいのでございます。そういった趣旨においてこの予算の執行をやりたいと考えておりますが、現在私立大学におきまして、大体三分の一程度は授業料を値上げしないということをはっきり言っております。従って、募れあたりには、三割以上も値上げしなければならぬというような声もちらほら聞かれたのでありますが、しかしそれもある程度二割程度に押える、そういう自粛をした大学もございます。そういった意味で、十分効果は上がらなかったとおっしゃいますけれども、若干そういう点は大学協会その他団体を通じて響いているのじゃないか、私はかように想像いたしております。
○長谷川(保)分科員 育英会の貸付金を見ますと、昨年よりも八億円ふやすようであります。これはまだまだ足らぬと思う。もっとうんとふやしてもらいたいと思うのでございます。しかしこの配分について、今申しますような私学関係と官学関係、ことしはどういうふうな配分をしようというのですか。
○内藤政府委員 今大学局長が参っておりませんので、私からかわって答弁させていただきますが、国立大学と私立大学について、差別はいたしておりません。原則的には同じ基準でやっておるわけでございます。
○長谷川(保)分科員 しかし、おのずから私学分はこれ、国立分はこれというように分かれているのじゃないか。この前伺ったら、国立分が非常に多くて、私学分が非常に少ないのですが……。
○内藤政府委員 結果においてそういう事態が起きているわけでございます。と申しますのは、まず第一に、父兄の経済状態を調査いたしまして、経済状態に基づく要素と、それから学校における優秀性という要素とを加味して算定いたしますと、同じ基準で当てはめましても、結果においては国立大学の関係者の方が多いという数字が出ておるわけでございます。
○長谷川(保)分科員 私は教育の機会均等ということを考えていく場合に、今申しましたような私学は私学としての立場というものを尊重しなければならぬ、これは当然のことです。この間も同僚議員が申しましたように、教育方針についてくちばしをいれなければいい。教育方針というものにくちばしをいれなければ、私学の自主性というものは保てるのだ。従って、ことに育英会の面では十分この方面に金を出したら、教育の機会均等は少しでも実現していくのじゃないかという話がずいぶんこの間からもあったわけです。私も全く同感です。だからこういうような文部省がある程度の措置をしたけれども、私学の入学金やあるいは授業料がアップされていくということであって、たださえ苦しい私学に勉強しております者がよけい苦しむ。またそういうことであれば、どうも大学へ入ろうと思ったけれどもやめたという諸君もあるわけであります。もちろん、貧しくとも非常に優秀な諸君もありますけれども、貧しいためにアルバイトその他に追われまして成績の優秀でない諸君もあるわけであります。従って育英会の貸付金、こういうものについて私学の学生に対して十分特別に重点を置いて配慮するということも私はすべきだと思う。もとより、今国公立におります人々に対する育英金というものが現状で満足という意味じゃない。もっとふやさなければならぬと思いますけれども、同時に、今言うような方法で私学の学生に対して機会均等を少しでも進めていくというような方向をとれば、今のように授業料を三分の二の私学は上げていくというような事態の中で、少しでも事態に即した仕事ができるのじゃないか、教育の機会均等に少しでも近づいていけるのじゃないかと思うのでありまして、こういう点も十分配慮してもらいたい。また大体において育英会の貸付金というものはこれでは足りない、もっと大きく考えて——大体官僚諸君は官学出の諸君が多いから私学に対しては案外冷談であるというようにも考えられますけれども、こういう点は一つ大蔵省とも話し合って十分考えていただきたい。 なおいろいろ伺いたいこともありますが、時間もありませんし、昼を過ぎて人権をじゅうりんするようでありますから、一応私の質問はこれで終わりまして、いずれまた文教委員会等でお伺いいたします。
○北澤主査 野原覺君。
○野原(覺)分科員 この第三十八国会もちょうど会期の半ばに達したわけでございまして、衆議院の予算委員会も大詰めにきたわけでありますが、文部省としてはこの三十八国会にどのような法律案件を提出されるのか、もうすでに決定しておると思いますので、委員会で採決した面をも含めて全体について一つ申していただきたいのであります。
○内藤政府委員 すでに衆議院の文教委員会で議決されたものには、義務教育の諸学校の就学奨励に関する国庫補助の法律案、それから盲聾学校の就学奨励に関する法律案、この二件が文教委員会を通っております。それから文教委員会に提案いたしましたものの中に、学校教育法等の一部改正の法律案、それから国立学校設置法の一部改正の法律案、国立工業教員養成所の臨時設置等に関する法律案、これがかかっております。予算関係の法律案は文部省は全部済んでおります。 なお、これから提案を予想されておりますものの中に、高等学校の定数の標準に関する法律案、それから教育職員免許法等の一部改正、日本育英会法の一部改正の法律案、体育の普及奨励に関する法律案、学校法人の紛争の処理に関する法律案、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案、こういうものが含まれております。
○野原(覺)分科員 そこでこれから提出する案件については、これはすみやかに出されることと思いますが、その中で学校法人の紛争の処理に関する法律案、これはまだ出しておりませんね、いつ出しますか。
○福田政府委員 ただいまお尋ねのございました学校法人の紛争の処理に関する法律案でございますが、これは目下検討中でございまして、できればなるべく早い機会に提案いたしたいと考えております。
○野原(覺)分科員 これは大臣にお尋ねしますが、目下検討中ということは、この案件を国会に出すかどうかということを含めて検討中でありますか。
○荒木国務大臣 出すつもりで検討をいたしております。
○野原(覺)分科員 そうなりますと内容のいかんによっては出さないこともある、こう受け取っていいのですか。
○荒木国務大臣 検討が済みますれば出したいと思っております。
○野原(覺)分科員 これらの法案は私はすみやかに出してもらいたい。ということは、いつも会期のまぎわになってから——衆参両院で審議しなければならぬ関係もありますので、審議の期間をなるべく長く置くということが議会としては大事なことであろうと思うのでありまして、これは一つすみやかに出して下さるように希望を申し上げておきたいと思うのであります。 そこで予算についてお尋ねをいたしたいのですが、義務教育費国庫負担金関係であります。これは申し上げるまでもなく教員の給与費と教材費から構成されておりまして、教員の給与費は千三百二十五億二千五百万円が予算書に記載されております。この義務教育費国庫負担金の中で、校長の管理職手当が七%から八%に一%引き上げられておるのですが、これはどういうわけですか。
○内藤政府委員 実は校長が七%、教頭が七%で、同率でございましたので、校長の職務の重要性にかんがみまして差等をつけたわけでございます。
○野原(覺)分科員 そういたしますと教頭は七%で、校長は八%、こういうようにしたいというわけでございますか。
○内藤政府委員 さようでございます。
○野原(覺)分科員 これは同僚長谷川議員からも指摘をされたのでありますが、この種の管理職手当が、私ははたして一%上げなければならぬくらい緊急のものであるとは考えないのであります。そこでこの点について重ねてお尋ねをしたいと思いますことは、管理職手当は半額は国庫負担でございますから、地方の分を入れると総計はどのくらいになりますか。
○内藤政府委員 約二億でございます。
○野原(覺)分科員 それは小学校、中学校、高等学校、それから教頭、主事一切ひっくるめてでございますか。
○内藤政府委員 これは義務教育国庫負担法の関係でございますから、小学校、中学校、盲学校、ろう学校の分でございます。
○野原(覺)分科員 そこで次にお尋ねしたいことは、教材費についてであります。義務教育の教材費は十七億八千九百万円計上されておりますが、この単価はどういうことになっておるか、その積算の基礎になる単価を御説明願いたい。
○内藤政府委員 小学校標準規模三百人におきまして生徒一人当たり二百二十円、中学校は三百人の規模につきまして三百五十円、こういうことであります。
○野原(覺)分科員 この単価は去年、前年度は幾らでしたか。
○内藤政府委員 前年と同額でございます。
○野原(覺)分科員 そういたしますと、教材費の単価というのは前年度と同じだということになるわけですね。そこでこれは文部大臣にお尋ねをしたいのですが、計数をお持ちでなければ事務当局からでけっこうでありますが、PTAが学校の維持管理その他に多額の負担をいたしておるいわゆる父兄負担の問題であります。この父兄負担は全体でどのくらいになりますか。一人の一年間の負担及び国全体の総計、こういう点について御説明願いたい。
○内藤政府委員 大体二百億と推定をされておるのでございます。その中にはいろいろございまして、一つは校舎の建築費の補助がございます。それから一つは教材関係でございます。特に理科設備あるいは中学校の技術家庭科等の設備も含まれております。それから今お尋ねの校舎の維持修繕費に要する経費もございます。また学校給食等の人件費等がございます。生徒一人当たりの計算は、今ここに持ち合わせておりませんが、後ほど提出したいと思います。
○野原(覺)分科員 これは文部大臣からお聞きしたいのですが、年間二百億父母が教育に関しては二重の税負担をやっておることになるわけでございますが、これに対しては文部大臣はどういうお考えを持っておられますか。
○荒木国務大臣 先般も文教委員会でお答えしたかと思いますが、今申しました通り、年間約二百億のPTA負担があるということは好ましからざることであることは間違いございませんので、何とかこれを早く解消したい。おおよその目標として、五年間ぐらいにはPTA負担はもうなしにやっていけるようにいたしたい、こういう考え方でおるわけでございまして、三十六年度予算案概算要求につきましても、今申し上げましたような気持で概算要求案は作った次第でございます。一日も早く解消する目標で、今後も努力いたしたいと思っております。
○野原(覺)分科員 教育費の父母負担についてすみやかに解消したいということは、歴代内閣の文部大臣がばかの一つ覚えのように委員会で繰り返してきたのであります。一つも解消されない。これはもういつもこういう質問をいたしますと、これはいけない、解消しなければなりませんと一言いながら、一つも解消されない。解消されないどころかふえていっている。これが今日までの政府の文教政策なんだ。大臣に重ねてお尋ねいたしますが、昭和三十六年度の予算で父母負担を軽減するための予算措置はどこにどうお組みになっていらっしゃいますか。
○荒木国務大臣 具体的なことでございますから、正確を期する意味で政府委員からお答え申し上げます。
○内藤政府委員 昭和三十六年の四月一日から地方財政法の改正が施行されますので、この地方財政法の改正の中に校舎の維持、管理、修繕費が含まれておるわけでございます。それとPTAが負担しておる給食費あるいは学校図書館司書のようなものがあるわけでございまして、こういう経費を解消することが第一でございますので、これは地方財政計画の中で本年度学校の維持修給費につきましては三十一億ほど見込んだわけでございます。それから人件費につきましては、学校の給食婦その他の職員がおりますので、この関係で約十億近くのものを見まして、約四十億程度のものを地方財政の交付税の単位費用として引き上げたわけでございます。それから残りますのが、教材費関係でございます。学校の設備につきましては教材費の関係は据え置きましたが、当面科学技術教育の振興ということが急務でございまして、また学校の実態を見ましても、理科の設備の充実ということが強く叫ばれておりますので、理科の振興法に基づく補助金を前年五億五千万を八億に増額いたしております。それから技術家庭科が三十七年から発足することで中学校は今日まで非常に努力いたしておりますが、これも前年の倍に増額いたしまして、三億をちょっと切れておりましたが、本年は一躍六億六百六十万というふうに、双方合わせまして五億五千万以上を増額しておるわけでございます。
○野原(覺)分科員 そのような努力をされました結果、それでは三十六年度のPTA負担は何割削減されるべきであるというお考えを持っておられますか。
○内藤政府委員 少なくとも四分の一以上は解消されるものと期待しております。
○野原(覺)分科員 PTAの負担が四分の一以上減額されることが至当だということであれば、そのことの実現のために文部省はどのような具体的措置をおとりになるお考えですか。これは政治的な問題ですから大臣にお伺いいたします。
○荒木国務大臣 予算措置から当然出てきますことは申し上げるまでもないと思いますが、交付税の基準として配付しましたものは、とかく末端において影が薄れる傾向があるやに承知しております。これは自治省とも関係がございましょうし、各都道府県を通じまして、影が薄れないような措置を、いつどういうことをやればいいか、ちょっと私も今思いつきませんけれども、目標はそういうところに一応置いて趣旨の徹底をはかるべきだと存じております。
○内藤政府委員 すでに十二月三日でしたか、文部次官名をもちまして、学校の維持修繕費及び人件費に対しては、地方財政法が改正になって、これらは父兄の負担に転嫁してはならない、こういう法律が出ておりますから、この趣旨を徹底してありますが、さらに今後も通達なりその他の方法によりまして十分指導して、父兄に転嫁されないようにいたしたいと考えております。なお本年度予算に計上されました増額分につきましても、その点は特に明記いたしまして、父兄の負担が一日も早く軽減されますように努力を続けたいと思います。
○野原(覺)分科員 荒木文部大臣は先ほどの私の質問に対して、PTAの負担はこれはいかぬのだから、すみやかにこのようなことがないようにしなくちゃいかぬ、こういうことを言われたのですから、私は、そのことが単なるごあいさつではなくて、そのあなたのお考えを実際に実現していくためには絶好のときだと思うのです。地方財政法が改正されて、しかも今内藤局長から御説明がありましたように、交付税の面では四十億、その他の面においても文部省としてはまことにわずかではございますけれども、予算措置をとった、絶好のときでございますから、教育委員会その他に対して、私はこれは半ば強制的でもいいと思う。こういう間違った教育費の負担が慣習的に行なわれておるというようなことは、はなはだよろしくないのでございますから、相当強硬な態度で教育委員会その他に働きかける御決意はございませんか、大臣。
○荒木国務大臣 先ほどお答え申した通りの心がまえで徹底をはかりたいと思います。教育委員会それ自体、都道府県それ自体の努力ももちろんですけれども、市町村におきましてももちろんのこと、自治体を通じてその趣旨が徹底されねばならないかと思いますと同時に、PTA自身も、子供かわいさではございましょうが、ただやいやい言って必要以上の経費、負担すべからざる経費を進んで負担したいような気持もわからぬではございませんが、PTA自体も私は考えていただかなければならぬ点もあろうかと思いますから、そういうことも含めまして趣旨の徹底をはかりたいと思います。
○野原(覺)分科員 内藤局長、あなたは僕の趣旨を徹底さしたい、これは当然のことなので、そこでやはり四分の一程度は減額さるべきだという通達を一つ出すべきだと思うのです。出す決意がありますか。
○内藤政府委員 この地方財政法の改正について、教育費に対する住民の税外負担の解消について、という文部次官名をもちまして十二月三日に通達を出しております。こういう方面の経費は当然今後はPTAに転嫁してはならない。残されたのは教材、教具等の設備関係がおもだと思いますが、これにつきましても十分趣旨の徹底をはかるようにいたしたい。ただ四分の一ということが実情に合うかどうかですが、私の方で計算しますと、二百億のうち今回地方財政の方の交付税で見たのが四十億、それから先ほど申しました負担金で五億五千万、地方負担を入れますとこれも十億をこえておりますので、この残りの分についても交付税で措置して措置済みなのであります。ですから五十億は一応財源措置がしてあることになるわけでございます。先ほど四分の一という数字を申し上げましたが、四分の一どころでなく、もっと解消されることを期待しておりますので、この法の趣旨が完全に実施されるような通達をさらに出したいと考えます。
○野原(覺)分科員 もう四月一日の新しい学年度は目の前にきておるのですが、あなたの今申されましたような事柄について、今日まで何らかの措置をとられましたか。
○内藤政府委員 地方財政計画がきまったのはつい最近でございまして、まだ交付税の法律案が国会に上程されてないのではなかろうかと思いますが、私どもは十二月三日にこの趣旨のことをすでに通達済みでございますし、財源措置につきましては今後すみやかに通達をいたしまして、一そうこの財源の裏打ちのあることを明確にして趣旨の徹底をはかりたいと思います。
○野原(覺)分科員 私は地方財政計画の中で考慮されたことに対しては敬意を表しますけれども、教材費の単価が依然として前年度と同じであるということは大きな不満を持つのであります。これはPTAの経費というのは、ほとんどが教材費に持っていかれておる。そうして今度地方財政法の改正によって、あの政令を見てみますと、職員の給与は持っちゃいけない、建物の維持と修繕は持ってはいけない。だから建物を新たに建てるのは持てることになる。それから教材費も持てることになっている。あれはざる法なんでねす。いやしくもPTAの金で教育がなされてはいけないという、そういう理想的な状態に持っていくためには、若干の問題はありましょうとも、背水の陣をしくくらいの決意でやらないとこれはとても解決されない。内藤さん自身もお認めのように、PTAは二百億だ、五十億の予算措置があるから四分の一とはそう簡単には参りますまい。それはあなたが認めておられる通りなんです。私はそうはいかぬと思うのです。これは教材費にまた出されますよ。それからまた校舎の建設ということになりますと、これは文部省にお尋ねをいたしますが、単価は前のままでしょう。これはどうなっていますか。
○福田政府委員 単価は従来通りでございます。
○野原(覺)分科員 建設費は上がっておりますか。従来通りというのは、前年度通りあるいはその前の年度通りという意味かと思うのですが、今日建設費は、木造、鉄筋坪当たりどのくらいかかるのが相場だとお考えですか。
○福田政府委員 これはいろいろあると思いますが、私の使っております補助単価といたしましては、三十六年度単価は、たとえば小学校の校舎でございますと、鉄筋五万六千二百円、木造二万七千二百円というようになっておるわけでありまして、その他中学校等もそれと同額でございます。最近若干労賃等の値上がりはいたしておりますけれども、補助単価として、他のいろいろな場合を考えますと、この程度で一応私の方はいけるというように考えておるわけでございます。
○野原(覺)分科員 いかに木造といえども、二万何千円かで私は今日建築はできないと思っておる。従って、単価等についても依然として据え置きにいたしましたために、先ほどの五十億は差引ゼロになりますよ。PTAの負担は減りはしませんよ。大臣を初め文部当局は甘い考えを持っていらっしゃるじゃないかと思うのです。あなた方が本気でPTAの負担を減らそうと考えておるならば、今年度の文教予算にはもっとPTAの負担を減らすだけの誠意のある予算措置がとられてもよかったんじゃないかと思うのです。政府においても、特にこの単価の問題は、学校校舎の問題がございますから、文部関係の予算が一番大きいのです。ところが、予算措置は、わずかに地方財政計画に譲っただけで、教材費は依然として据え置く。それから建物の単価は据え置きだ。建物が上がっておるということになれば、市町村が負担をしなくてはならない。ところが市町村はそういう負担にたえられませんから、PTAに泣きついてくる。PTAの父兄はみな反対なんです。最近はこのことがよく理解されてきておるのです。教育費というものは間違いだ、反対でありますけれども、PTAの役員さん方は、やはり子供の教育ということであると、これはどうにもならぬじゃないかというので、泣く泣く、多いところは何万円、少ないところでも何千円を月賦で納める、そういう措置をとって今日の学校がまかなわれておるわけであります。こういう点で、私はきわめて残念にたえないのです。それで、片一方日教組対策を強化するというお考えで、校長の管理職手当は二億円も出す。先ほど長谷川委員が子供の給食の問題をお尋ねしておりましたが、今日、準要保護とか要保護以外の子供がたくさん給食を受けることができないということは世間の常識であります。私も先般お尋ねをしましたが、具体的な数字はまだ持っていないようでありますから、そういうような方面にまず力を注ぐべきではなかったか、PTAの負担を軽減する方面に力を注ぐべきではなかったか。予算のとり方が、何だか知らぬが、私どもとしては、一体本気で文教問題を考えておるのだろうかと思われるような節がたくさんあるわけであります。で、私は、その一つとしてお尋ねをいたしますが、教科書の補助率は二分の一になったのでございますが、前年度は幾らでしたか。
○内藤政府委員 八割補助でありました。
○野原(覺)分科員 大臣、それが今度は五割になったのです。これはどういうわけです。
○内藤政府委員 準保護児童の対策費を全部一律に二分の一負担にしたわけでございます。これは別に父兄負担とは直接関係ございませんで、地方財政の問題になりますので、あと残りの二分の一は交付税の方で措置いたしたわけでございます。
○野原(覺)分科員 父兄の負担に関係はないと申しますけれども、せっかく八割の補助でいったものを二分の一に引き下げたということは、私はいかがなものであろうかと実は考えておるのであります。 そこで、この予算書を見てみましたら、最後のところに教育会館の建設が書かれておりますね。金もないのに、教育会館を建てるために五億円の債務負担行為でやられるようですね。だから、これを建てるのがどういうわけでそんなに必要性が迫っておるのか私は理解できませんが、御説明願いたい。
○内藤政府委員 教職員の研修ということは非常に大事なことでございますし、文部省でも研修関係の予算を約一億組んでおるわけでございます。特に先生方の研究集会をいたしますにも、従来から、ある場合は小学校、ある場合は大学その他を借りておるわけでございますけれども、学校の事情等もございましてなかなか借りられない。こういうような状況もございますし、また先生方の研修は特に大事でございます。と申しますのは、この三十六年四月から小学校は教科書も全面的に改定になりますし、中学校では三十七年に全面的改訂になりますし、高等学校は三十八年からということで、先生方の研修も、これからいよいよPRの段階を過ぎて本格的に研究活動を進めなければならぬ。こういう意味で、教育界には従来そういう場所がなかったというのは遺憾に思うので、たとえば都道府県の会館にいたしましても、町村会館にいたしましても、都市センターにいたしましても、私学の会館にいたしましても、大体すべて整備されておるにもかかわらず、公立学校を中心にした教育会館がなかったことは、むしろおそきに失しているのではなかろうかと思うのでございます。
○野原(覺)分科員 建てる場所はきまったのでございますか。
○内藤政府委員 まだ確定はいたしておりませんが、実は文部省の隣に敷地がございますので、大体そこを予定はいたしております。
○野原(覺)分科員 この種のものは、それは建物を建てて必要がないとは言いません。どんな建物だって必要なんです。しかし私は事の緩急を考えた場合に、もっとほかの面で考えていく必要があるのではないかと実は思うのであります。 次にお尋ねをしたいことは、衆議院で法案を上げます場合に、よく附帯決議を付して上げておるのですが、私は五年間ばかり文教委員会には関係をして参りましたが、その附帯決議の数は実にたくさんあったと記憶しております。しかもこの附帯決議は社会党、自民党、与党も野党も満場一致で実は上げてきておるのですが、これがどの程度まで尊重されておるのか疑わしいものがあるわけであります。いつでございましたか、たとえば昭和三十年の七月、佐藤觀次郎委員長のときに、危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案が審議をされまして、自民党の永山君から附帯決議の動議が出されて、四項目があげられておりますが、この四項目の中で、危険校舎の合理的な年次計画を立てること、これは局長にお尋ねしますが、立てておりますか。
○福田政府委員 御承知のように、危険校舎も含めまして公立の文教施設につきましては、昭和三十四年度から五カ年計画を立てまして、その整備に着手いたしたわけでございます。
○野原(覺)分科員 それから幼児教育の重要性にかんがみ、公立幼稚園の危険校舎をもすみやかに国庫補助の対象とするよう措置すること、私どもは特にこの点には重点を置いて決議を上げたのでありますが、これは今説明されました危険校舎解消の五カ年計画の中に公立幼稚園をも含めて出されておりますか、お尋ねします。
○福田政府委員 もちろん幼稚園の園舎の整備も含めておりますが、ただし幼稚園につきましては、現在の五カ年計画の中におきましては、幼稚園の園舎の新、増築についてこれを補助するというような建前で計画をいたしました。
○野原(覺)分科員 その他私は附帯決議をどういうものを上げたか、実は調べたいと思ったのでございますが、時間の関係等もあってこれは十分できなかったのです。そこで義務教育諸学校施設費国庫負担法の国の負損すべき割合について、これは法律がいろいろ規定しておるのですが、たとえば公立中学校の屋内運動場は、新築、増築の場合には二分の一を国が補助する、こういうような施設費国庫負担法が出されておりますが、屋内運動場で見てみますと、公立の小学校にはないのですね。中学校にはその二分の一を補助するけれども、小学校の方には補助がない。それから不正常授業の解消、公立学校は二分の一の補助だが、小学校の方は三分の一だ。こういうふうに比率がまちまちなんですが、これはどういう理由でこうなったのか、私も理解に苦しむのでありますけれども、法律がそうなっておる。そこで私どもはかねてから中学校も小学校もこれは義務教育の学校で、差別すべきではないのであるから、屋内運動場について中学校に二分の一の補助があるならば、小学校の方にも補助をしたらどうか、不正常授業の解消が二分の一であるならば、小学校の不正常授業解消も三分の一の比率を二分の一に改めてはどうか、こういうように考えておりますが、大臣はどのようにお考えでありましょうか。
○福田政府委員 ただいま御質問のございました小学校の屋内運動場の問題でございますが、これは御承知のように五カ年計画を設定いたしました当初に、小学校につきましては、戦災を受けた小学校の屋内運動場の復旧ということのみに一応計画を限定いたしておりますので、現在の五カ年計画の中には一般の屋内運動場の整備についての負担は除外されている。しかし今おっしゃいましたような面で、私どもといたしましても、屋内運動場は戦災校ばかりでなく、一般の小学校においても必要、であろうと考えておりますので、今後五カ年計画が一応終了いたしました後において、さらに今後の問題としてこれを検討してみたいと考えております。 それから小学校の不正常校舎の補助率の問題でございますが、これはいろいろ御承知のことと存じますが、昭和二十八年に公立学校設置国庫負担法でございますか、これが制定されましたときからのいきさつでございまして、大体小学校においては三分の一というようなことになっております。これを現在の義務教育諸学校施設費国庫負担法に吸収します際に、やはり同じ補助率でそれを引き継いだわけであります。私たちといたしましても、やはりこれは義務教育でございますので、できれば二分の一にこれを引き上げたいというような要請も持っておりますけれども、それよりも現在小学校の校舎の問題につきましては、御承知のように地域的な社会増の問題が非常に多いのであります。従って五カ年計画に従いました整備のやり方につきましては、もちろんその補助率の引き上げということも大事でありますけれども、それよりも私たちは現在の社会増にいかに対処してこれを整備していくかということに重点を置いているわけであります。従って五カ年計画設定当初に予想されなかった、たとえば公団住宅の新設による小学校の整備あるいは工場の誘致等いろいろな人口の増加によって小学校の校舎を整備しなければならぬものが相当全国的にございますので、その社会増をまず整備いたしまして、その後に十分この問題も研究したいということで、決して補助率を上げることをなおざりにしているわけではございませんが、そういうことで今後検討していきたいと考えております。
○野原(覺)分科員 社会増に対しましては、この前の委員会で私質問いたしておりますから、私も局長のようなお考えでよかろうかと思うのでありますけれども、このような補助率が中学校と小学校と違うのだ、中学校には二分の一も出して、小学校には屋内運動場は一文も出さぬのだ。こういう筋の通らない法律というものは、やはりすみやかにすっきりさした方がいいのではないかと私は思うのであります。この点は検討されるということでございますから、一つすみやかな御検討を文部大臣にお願いをしておく次第でございます。 それから次は、義務教育費国庫負担金の減額問題で大蔵省の主計官にお尋ねしたいのですが、結論から言いますと結局減額されないで済んだ。昭和三十六年度予算の編成に際して政府は財政調整の名目のもとに、いわゆる富裕府県に対する義務教育費国庫負担金の減額をはかって、このために三十億円であったと思いますが、一次、二次、三次と減額をやってきました。たとえば教育面では東京は七億、大阪は十三億、愛知は四億、神奈川が六億。特に大阪のごときは、すでに今日まで十何億かこの政令によって頭をはねられておる。その上に十三億も減額されたのではたまったものじゃないというので、この予算編成の激しいさなかに猛烈な陳情を私ども受けたのであります。荒木文部大臣は、このことに対しては相当決意を持って大蔵省に折衝されたと私は承っておるのでございますが、いずれにしても最終段階では三十億円は削減をされないでこれは終わりました。そこで大蔵省に私質問したいことは、端的に言って来年はどうなるのかということです。ことしはもうこうしてもとに戻したけれども、来年はまた削減しようと考えておるのか考えてないのか、まずこの点からお聞きしたい。
○佐々木説明員 義務教育費国庫負担の富裕府県に対する削減、これは私どもの査定の第一次案では、査定案から今先生おっしゃったようなことになったのでありますが、最後には今御説明のように復活したのでございます。その際の考え方は、いわゆる地方財政問題からきているのでありまして、むしろ今一番補助金の中で大きい義務教育、公共事業——公共事業としては未開発の補正をする場合の財源調整の問題と二つを取り上げまして、この二つの手段を通じて地方財政の財源調整をやろうじゃないかという大蔵省の考え方で出発したのでございます。従いましてこの問題は、来年度以降の地方財政の財源調整をどうするかという問題、今後さらに検討されると思いますけれども、その問題と関連してやらなければならない問題でございまして、私どもは来年これを削るとか削らないとかどうするという立場は、今後一年間さらに地方財政の財源調整問題の一環として考えらるべき問題だという指示を受けております。
○野原(覺)分科員 地方財源の調整を義務教育に持ってくるということはいかがなものかと私は思うのですよ。地方財源は調整されたらよろしいです。富裕府県と貧乏府県があるならば、それは中央としては大いに調整をしなさい。しかしながら法律は、義務教育費国庫負担法という法律を作っておる。義務教育に関しては国が半分を持つのだというのが、この法律のできた精神なのだ。それを地方財源の調整のために義務教育費を持ってきてやろうとしたところに、私どもが反対をした問題点があるわけであります。そこで、あなたは今の私の質問に答えていないのだが、本年度限りということで一応三十億は削減しないことにしたのか、それとも本年一年検討をして来年は削減されるおそれもあるわけでございますか、一つ大蔵省の考え方を明確に言っておいて下さい。
○佐々木説明員 地方財政の財源調整の問題として来年度以降どうなるかということですが、ただ今回の折衝の過程におきましては、来年度これを削るとかどうするということは別に言っておりません。従いまして先ほど申しましたように、来年度以降のことは未定の問題になると思います。
○野原(覺)分科員 三十億が復活したのは、義務教育費に地方財源の調整を打ってきてはいけない、義務教育費国庫負担法の精神から見てこれは問題があるというお考えでこの復活ができたのかどうか、これを文部大臣にお尋ねいたします。
○荒木国務大臣 大蔵省との折衝は別といたしまして、別といたしましてという意味は、今おっしゃるようなことを将来のことまで考え合わせて話がきまったというわけではないということでございますが、ものの考え方としては、義務教育費国庫負担法に基づいて原則的には国が半分持ち、半分を公共…体が持つという建前であるはずですから、従って富裕府県について財源の調整をするという、国家財政切り盛り上の要請はまた別途あろうと思いますが、それは他の事柄で調整されるべきであって、義務教育費国庫負担法の趣旨に照らして、その趣旨を根本的に抹殺するような結果になるような調整の仕方というものは許されざることである。法の建前からいって私はそう思うのであります。最高限度額をきめるということになっておると承知しておりますが、それはあくまでも富裕府県なるがゆえに勝手気ままに経費をふくらませて、富裕府県でないところと不公平になってはいけないからということが立法趣旨と心得ますから、端的に申せば、精算額を全国平均したその平均額以下になるような富裕府県に対する国庫負担額の減少というものは、法の趣旨を乱るものではないかという気持を持っておりますが、そういう建前で、文教をあずかる文部省たるもの今後も大蔵省と折衝すべきである、かように考えております。
○野原(覺)分科員 時間もありませんから簡単に終わらせたいと思いますが、ただいま国庫負担金の減額問題についての文部大臣の御所見は、私も全く同感であります。これはどうか一つそういう御所信のもとに、今後においても文部省当局は大蔵省に当たっていただきたい。ややもすれば富裕府県だというので、義務教育費国庫負担法がどういう法律であるかも忘れて、ただ財源調整のみに目を奪われて、教育の問題がなおざりにされておる従来の大蔵省の考え方に、私は実は大きな不満を持つのであります。いずれまた文教委員会答において、荒木文部大臣の教育に対するいろいろなものの考え方と申しますか、そういう点についてお尋ねをする機会があろうかと思うのであります。文部大臣に御就任なさってから第一番目に荒木さんが談話を発表されたことは、教育基本法の改正ということであった。私は荒木さんにも、いやしくも大臣としての所信があって、あのようなことがしょっちゅう言われておると思うのでありますから、基本法を変えるというようなことを言うと社会党が騒ぐから、物情騒然となるからというので、最近はすこぶる低姿勢をおとりになられて、基本法の改正ということにはあまりお触れでないようでありますけれども、私はやはり自分の信念でお進みになられた方がいいと思う。だから国会でいろいろ質問がありました場合には、私は勇敢に御答弁なさった方がいいと思う。今日の教育基本法が、かつて清瀬文部大臣が言われましたように、日本人の教育になっていないというようなことも言われておるわけでございますから、こういう点もいずれまた一つはっきり大臣としては、あなたの御信念を曲げることなく教育に当たっていただきたい。私どもは、あなたの考えが問題があるとすれば、また私どもの考えを申し上げて、徹底的にやはり論議をかわして参らなければならぬかと思うのであります。この点について大臣のお考えを承っておきます。
○荒木国務大臣 教育基本法が制定されました経過、その当時の環境、ことに刷新委員会における審議途上の事柄等を総合判断いたしまして、占領中でもございましたから自由な発言も許されなかった。国会においてしかりでございましたことから考えまして、独立を回復してすでに十年の今日、日本人みずからの教育基本法という気持を全国民的なものにしたらいかがであろうか、そういう意味で再検討すべき課題であると今でも思っております。それ以上のことは政府全体として、あるいは政党政治といわれておりますが、与党との意見も十分に戦わせて、具体的に進行をはかるとならば、そのことに慎重を期して、しかる上での問題であるはずだ。かように考えておるような次第でございまして、私の私見などというものはかりにありましても申し上げるべきじゃないし、また場所でもない、こう考えておりますから、御質問のたびごとに同じことを繰り返して率直にお答え申しておるような次第であります。
○野原(覺)分科員 どこをどう変えたらよいかという大臣のお考えはお持ちでございますね。
○荒木国務大臣 私はこれを再検討すると仮定しましても、相当本格的なといいますか、慎重に検討したい。手だてを整えて再検討の場を作るべきだと思います。もしその委員にでもなしていただくことになると仮定すれば、乏しくとも私見を申し上げる機会を与えられるかとも思いますが、私見がよしんばありましても、申し上げる値打ちがないと思いますから申し上げません。
○野原(覺)分科員 私は、その点がいかがなものかと思うのです。あなたが教育基本法を再検討しなければならぬ、こういうお考えでございますから、実はここに問題がある、この条文に問題がある、私はこのお考えがあって再検討の方針と申しますか、方針が悪ければそういった御所信を持たれておると思うのであります。ところが、衆参両院でいろいろこの問題は重要に考えてお尋ねをしておるようでありますが、最近はとみに口をおつぐみになられておっしゃらないのですね。私はやはりこれはいかぬと思うのです。ほんとうに日本の教育を前進させていくためには、それぞれ自分の持っておる信念をぶちまけて、この点がいかぬじゃないか——もとよりそれは教育基本法が改められるときには、中央教育審議会等に諮問をされる、あるいは適当な審議会が持たれる、あるいは国民の世論の審判を受ける、国会で審議をする、こういう過程をとることは当然でありますけれども、再検討の必要があるんだという限りにおいては、ここが問題だ、この点がいかぬのだというお考えがおありでなければ、教育の憲法ともいわれるものに対して再検討ということをおっしゃるはずはないと私は思うのでございます。いかがでございますか。
○荒木国務大臣 御案内の通り、憲法そのものすらも、法律に基づく憲法調査会という機構を通じて再検討されつつあるわけであります。憲法の趣旨にのっとって教育基本法が定められたことは確実でございますが、その教育基本法も、憲法の改正すべきかいなか、そのままでいいかどうかということも含めて再検討されると同じ意味において、教育基本法が再検討さるべき一つの課題であることは間違いないと私は今でも信じております。どこがどうだということは、これはやはりその道の権威者によって初めて自信のある意見が国民にかわって出されると思うのでありまして、その結果に基づき改正すべしとならば、その改正すべしとする案が政府提案か何かで国会に出されて、国会を通じて全国民にかわって皆様方に御審議願う、そういう順序を経て再検討さるべき一つの課題である。しかし、いかなる方法をもって、いつからどうするのだということになりますと、一文部大臣という立場だけですべてをきめるわけにもむろんいきませんから、先ほど申し上げましたような気持でこの問題とは取っ組んでいくべきものだ。繰り返し申し上げますが、よしんば再検討の結果、現行教育基本法と一字一句違わない、そのままでよろしいということであるとしましても再検討の価値がある、かように思うわけでございます。
○野原(覺)分科員 それならば、あなたのおっしゃることは円検討でも何でもないのですよ。声を大にして教育基本法についてはお触れにならぬ方がいいと私は思う。あなたが言われるようなことならば、すべての法律が再検討されなければならぬのです。しかし、教育基本法は改められるべきだ、こう断言をされる限りは、どこをどう変えるのだ、どこはどうあってもらいたいのだというお考えがあってのことだろうと私は思うのですよ。いかがですか。だから、どこをどう再検討すべきだというお考えをお持ちでしょう。おっしゃって下さい。私ども勉強したいと思う。教育基本法の前文のどこをどう変え、あるいは条文構成をどうするとか、ここのところはやはり問題がある、これはどうも日本人の教育にふさわしくないといったような、あなたのお考え方があっての上で、教育基本法についての再検討ということが出てくるのでありますから、少なくとも、どう一体変えた方がよいとお考えですか。これはお述べになってもらわなければ、私一人じゃないです。荒木文政とは教育基本法を変える文政じゃないかという声が国民の中にも商い。これは一つお述べになって下さい。
○荒木国務大臣 それはおっしゃるように、占領中にきめられたあらゆる法律は再検討すべきだと私は思います。なぜかと申しますと、申し上げるまでもなく、法律案であれあるいは予算案であれ、すべて原案を作るときからGHQのアプルーヴァルをもらわなければ政府案が提案できなかった。国会に出されましても、審議の途中において、その原案を修正しようという動議が出されようとするならば、動議が出される前に、動議提案者と同道して、当該委員長が、当時ありました外事課の外国語のうまい人と一緒にお堀ばたに参りまして、その修正すべき案とその理由とを英語に翻訳したものを持っていって、そうして担当オフィサーのアプルーヴァルをもらって、初めて休憩前に引き続いて委員会を再開いたしまして、そういうことがまるでなかったかのごとく、舞台裏のこととして速語録に載せないで審議を始めて、動議の提案理由の説明を求め、賛否を問うてやるというがごときやり方であったわけでありますが、憲法審議についてもしかり、教育基本法の審議についてもむろんしかりであった。もとより教育基本法は枢密院会議の議も経て政府案を作るというような慎重さがあったし、教育刷新委員会のそうそうたるメンバーの方々が、国民にかわって教育の基本線を宣明するという憂国の情から、教育を憂える立場から真剣に御検討を願った経過を経ておることも承知いたしておりますが、それにしましても、今申し上げるような環境のもとにおいては、原案作成者それ自体が言うべきことを言い得なかった。こんなことを盛り込むとすれば、アプルーヴァルがとれまいとする頭の中の戦いであったとは思いますけれども、そういう言いたいことも言わない、盛り込みたいことも盛り込まない、消極的な範囲内の原案が出て、そして国会審議という、慎重審議されたとは思いますが、その審議の途上国会において修正をせんと欲しても、アプルーヴァルがもらえないであろうと当然予想されるがゆえに、そういう手だてもなくして通過したことは確かだと私は存じます。そういうことですから、そのときの環境、成立過程等を考え合わせただけでも、大事な基本的な法律であればあるほど、日本人みずからの自由なだれにも気がねのない今日の事態において、国会を通じて再検討をしていただく。その原案を作るについても、努めて慎重さを期したやり方でもって原案を作って、国会の御審議を仰ぐという手だてがあってしかるべきじゃなかろうか。その慎重なかまえで検討しましても、なおかつあのままでよろしいという結論が出たとするならば、その結論が出たことそれ自体が再検討の目的を達し、全国民に一点の疑いのない、われわれみずからのものだという確信を与える効果があろうかと思います。そういう意味で、私は再検討すべき問題だ、こう申し、また現にその意味においての必要さは自分としてはかたく信じておる次第でございます。
○野原(覺)分科員 占領中の法律はすべて再検されなければならない。そういう意味の教育基本法の町検討であって、文部大臣としては、基末法のどこをどうしたらよいというような私見はお持ちでない、このように私受け取ってよろしゅうございますか。
○荒木国務大臣 ふつつかな私見はないとは申しませんが、そういうことを公言することそれ自体が意味をなさない、御遠慮すべきことだ、そういう資格もない、こう思っております。
○野原(覺)分科員 放言じゃございませんよ。これは分科会で審議しておるのです。私ども文政を担当しておる者は、文政審議の担当の責任のある者は、国民に対して、基本法はいけなければいけない、ここはこうすべきじゃないかということを、真に私どもは審議をしなければならぬ。あなたはその委員会で御発言なさるのを放言だなんて考えておられたらとんでもないことだ。私はただいまの御答弁はいかがなものかと思うのです。だから、あなたにないではないというならば、どこですか、出して下さい。
○荒木国務大臣 発音が悪かったので、お聞き違いのようでありますが、公に言うという公言と申しました。放言はむろんこういうところでなすべきじゃないと思います。先ほど申し上げた通りでありまして、私は、敗戦、占領軍が存在しておるという、当時国会はむろんありましたけれども、国会以上の権力が上にあって、先ほど来くどくどと申し上げましたように、アプルーヴァルそのものが国権の最高機関的な状態のもとに、憲法でも、教育基本法でも、学校教育法でも、その他もろもろの法律が、占領期間中そういう形で法律となっておる。そのことだけを考えて再検討する値打がある。これは国民的な立場において考えまして、一党一派とか、荒木文政の荒木何がしとかいうものの趣味でなくして、国民全体の立場から、独立国日本のみずからの見識において当然に再検討さるべき課題である。教育基本法が重大であればあるほど、他の重大さにおいてはそれ以下である法律がたくさんあるといたしましても、重大であればあるほど、再検討することによって、全国民みずからのものとするという努力がなさるべきである、そういう意味で申し上げるのであります。
○野原(覺)分科員 占領中の法律は全国民みずからのもの、大臣のお言葉をおかりして申し上げますが、全国民みずからのものにはなっていない、占領中の法律によって今日日本はいろいろな行政をやってきている、政治をやってきておるのでございます。憲法初め。そうすると、占領中のそういうものは全国民みずからのものじゃないのだ、こういう断定をあなたはお下しになられるわけですか、重ねてお尋ねします。
○荒木国務大臣 形式的な効果からいきますれば、全国民のものになっていると思います。信念的にどうだと言われれば、全国民のものにまだなっていない。そういうふうに考えるわけであります。と申しますのは、同じことを繰り返しますけれども、占領中の国会は、国民の信託を受けて国会の場に臨みましても、一人々々は全国民にかわって国会の場で真剣に行動されたことは疑いもないことですけれども、その信念、その良心的な努力の結論として現われる国会の意思は、GHQによって押えられたわけであります。わずかに実質的な影響のなさそうなところがアプルーヴァルがもらえるというような経過をたどって審議されております。経過を見ましても、真の意味の、信念的に全国民のものであるということが言いかねると思います。その意味において今申し上げたのであります。
○野原(覺)分科員 非常に重大な発言であります。いずれこの問題は、私は慎重に速記録を拝見しまして後日またお尋ねしなければならぬと考えるのであります。 それからまた、私との問答の中で、文部大臣は憲法調査会にお触れになっていらっしゃるのであります。憲法調査会は憲法改定のための再検討をしておるのだ、私が了解しておるところでは。私どもこの調査会に国会で反対をして参った。予算委員会でも、歴代の首相にも質問をしてきたのです。そのときに、政府の一貫した答弁としては、憲法改正を目的としたものではございません。改正してよいかどうか、一体どうなのかというその辺を調べるためにこれは設けるのでありますということに、提案の趣旨も答弁もなっておる。ところが文部大臣は思い込んでいらっしゃるのであります。これは憲法改正のためだ、憲法は変えるのじ、そのためにこの調査会はできているのだということであれば、これもまた私はよほど慎重に速記録を拝見した上で検討さしていただきます。これで終わります。
○荒木国務大臣 憲法調査会の設置趣旨は、野原さんと同じように理解しております。私もしばらくではございましたが、憲法調査会の委員をしておりまして、そういう趣旨であることは万万承知いたしております。先ほどもそういう趣旨で申し上げたとは思っておりません。
○野原(覺)分科員 なっておりませんよ。
○荒木国務大臣 そういうはずがないと思っております。そんなことがもしありとしますれば、言葉の使い方の不十分な点があった結果でしかあり得ないと思うわけですが、繰り返し申し上げますが、憲法すらも改正すべきかいなかということを対象として検討されつ つある、それと同じ意味において教育基本法も再検討さるべき探題である。よしんばそれが再検討した結果一言半句現行教育基本法と同じであるということになるとしても、再検討の価値があったんだということになるであろうという趣旨のことを一貫して申し上げておりますから、もしお聞き違いがあったとすれば、以上のことで御理解をいただきたいと思います。
○北澤主査 以上で昭和三十六年度一般会計予算中、文部省所管についての質疑は終了いたしました。 これにて昭和三十六年度一般会計予算中、外務省、文部省、厚生省及び労働省所管、同じく特別会計予算中、厚生省及び労働省所管についての質疑は全部終了いたしました。
○北澤主査 お諮りいたします。本分科会所管の予算両案に対する討論採決は先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤主査 御異議なしと認め、さよう決します。 これにて本分科会の議事はすべて終わりました。分科員各位の御協力を感謝いたします。 これをもって第二分科会を散会いたします。 午後三時二分散会