予算委員会第二分科会 第5号
- 発言数
- 270 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/02
会議録
○北澤主査 これより会議を開きます。 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算中労働省所管について質疑を行ないます。好原質君。
○野原(覺)分科員 労働大臣にお尋ねをしたいのでありますが、まず第一点は、労働省は、聞くところによりますと、労働基準法を実施するについて極秘の通牒を出して、その極秘の通牒に基づいて行政指導をされているということを聞いて私は驚いておるのであります。しかもその極秘の通牒の文書を、私聞きましたから拝見したいと思って労働省のある人に要求をいたしましたところ、それにはナンバーを打っておる。ナンバーの一番はだれだ、こういうように登録をされておりますから、こういうものをうかうかあなたから議会で出されたときには私は大へんなおしかりを受ける、こういうのであります。官庁が極秘の通牒を出されるということは、それはある場合にはあり得ることではございますけれども、憲法が規定しておる労働基準法の完全実施のために、労働基準法を実施させるための行政指導に一体そのような秘密行政があってよいものかどうか、私は実に大きな疑惑を持っておるのでございますが、この点についてどういうことになっておるのか、大臣から承りたいと思うのであります。
○石田国務大臣 その極秘というものの取り扱い、御質問の御趣旨の内容についてのこまかい具体的なお答えは事務当局からいたさせますが、私は、それは事務管掌上、指導上他に漏れて困る性質のものは役所の行政上あることは承知しておりますし、ある部分においてはやむを得ないと思っております。しかし、それが行政の本質にわたるようなことについて私はそういうことをいたさせた記憶はございません。
○大島政府委員 ただいまの野原先生の御指摘の問題は、基準法による監督実施の運営の方針につきまして大体年度当初に指示をいたすわけでございます。この点を御指摘になっておられることと思いますが、極秘にいたしておりますのは、監督を実施いたしますにつきまして重点の置き方ないしその順序ないしはいずれこの使用処分の問題が出て参りますので、その使用事件の処理の仕方、扱い方、あるいはその順序、こういうものについても触れておりますので、そういう関係でこれが部外に知れますと、監督取り締まりの対象者にもわかり得るわけでございますから、そういう関係で監督の実施上不都合が生ずるおそれがあります。そういう関係で秘密雷類にいたしております。さように御了承願いたいと思います。
○野原(覺)分科員 重ねてお尋ねいたしますが、これは局長でけっこうでございますが、毎年度、年度の初めに労働基準法の実施についてはその種の通牒を出されるわけでございますか、お聞きします。
○大島政府委員 毎年基準行政運営の基本方針につきまして、大体年一回くらいは全国の地方の基準局長の会合をもちまして、私から詳細指示いたすのでありますが、その指示と同じ内容になるわけですが、その年度一年度の監督の実施の基本方針というものを示すことにいたしております。
○野原(覺)分科員 基準法の実施は、基準法という法律があるからその法律に基づいて実施したら私はよいのではないかと思うんです。どうも労働省の基準行政のあり方を考えてみますと、その基準法で規定しておる、たとえば時間であるとか、あるいは安全に関する規則であるとか、そういうことについて、何かしらもう一つそういった秘密通牒でいい加減とは申しませんけれども、これをゆるめる。せっかく法律が一日八時間と労働時間を規定しておるのに、何県の機業地においては九時間もやむを得ないとか、あるいは十時間もやむを得ないとか、あるいは深夜の労働時間にしてもそうなんですね。こうなって参りますと、一片の秘密通牒によって私はこれは法律が踏みにじられておるのじゃないか、こういう心配があるから実はお尋ねをしたのであります。その辺はどうなんですか。
○大島政府委員 今野原先生御指摘のような問題がございましたら、その点については特に秘密にいたしておるというような関係はございません。ただ基準法を実施いたしていきますについて、何しろ対象となります企業が約二百万もございます実情でございますから、これに対して限りある私どもの基準監督の能力でもって全般に及ぼすわけにいきませんので、従ってその間軽重というわけではございませんが、順序の先後もございますし、特に現在においてどの業種に重点を置いてまず最初そちらから固めていく、こういった関係もございます。そういう関係での指示をいたしておるわけでございます。基準法をゆるめるとかそういう感じの問題は私ども指示はいたしていないのであります。ただ野原先生もよく御承知のように、中小企業の労働条件の問題につきましては、基準法の実施は必要ではありますが、なかなか困難な事情があるわけでございまして、これをわれわれとしては何とかして一日も早く労働基準法の線に持っていかなくちゃならぬ。ことに私ども現在全力を傾注いたしておりますのは、この二、三年の間に中小企業の労働条件というものを大幅に上げて参りたい、できるだけこの基準法の線に近づけて参りたい。この手段方法について私ども今全力を傾注して検討もし、実施もいたしておるわけであります。その関係からいたしますと、何と申しましても非常に対象が多いものですから、私どもとしては、この集団指導と申しますか、業種全体について全般的に持っていく。個々の事業所を対象にするというよりも、やはり公正競争の見地から全般的に持っていく。一つの事業所でやりにくいということでも、全般的にやりますと、これが非常にスムーズにいくというような関係も利用いたしまして、一日も早く中小企業の労働条件というものを基準法の線に持ち上げたい、こういう努力を今懸命にいたしておるわけでございます。
○野原(覺)分科員 じゃあお尋ねしますがね、もちろん昭和三十一年の四月二十三日といえば石田さんが労働大臣であったわけではございません。これはそうだろうと思うのです。昭和三十一年の四月二十三日付基発第二百四十一号、労働基準行政運営の方針についてという極秘の通牒を出されておるのであります。この極秘の通牒の中身には是正基準ということが述べられておる。私は今局長が御説明になられました、実は労働基準法の本質に抵触するようなことをやってはおりませんということでありますけれども、労働基準法の実施については、基準法違反の事業場があれば、これを是正して指導するというところにあろうと思うのです。悪質なものは摘発して検挙する、送検する、こういうことだろうと思うので、私はことしはたとえば機業地だ、ことしは零細工業だとか、何月は中小企業だとか、もちろんそういうやり方についての指示、通牒というものは、それは出されても悪くはないと思いますけれども、何かしらそこにこの基準法の実施について何かこのやり方を見ておると、釈然としない面を実は感ずるのであります。そこで局長にお尋ねしたいことは、暴発第二百四十一号の、この行政運営方針は今日もなお石田労政の中で生きておるのか、どうなっておるのか。そうしてこの運営方針にはどういうことをお書きになっておられるのか、場合によってはぜひとも私どもは拝見をさしてもらいたいと思いますが、これは社労の委員会なり、予算委員会に提出できますかどうか、この点についてお尋ねします。
○大島政府委員 ただいまの是正基準の問題でございますが、これは御承知の通り昭和三十二年の臨時労働基準調査会の答申の中にも出ておりますように、労働基準法の施行につきまして、ことに中小企業の実情の困難さと関連いたしまして、できるだけ早く中小企業の実情というものを基準法の線に持ってこなくてはいけないけれども、そのやり方について漸進的にやる必要がある。こういう御答申があったわけでありますが、それにも関連いたしまして、労働条件を持って参ります場合に、労働基準法の線に一挙になかなかいきがたい場合も多いわけです。そういう場合に、だんだん段階的に、この基準法の方へできるだけ近づけて参る。こういう線で監督の実施をやって参ります場合のことをいうわけです。現在のところ、繊維産業の問題につきまして是正基準の方式を用いてやっておりますが、現在繊維産業の労働条件については、私といたしましては最重点を置いております。近い機会におきまして、労働基準法の線まで持っていけるものと確信いたしております。
○野原(覺)分科員 なお私の質問が残っておりますが、資料の提出ができるかということと、今日もなお生きているかということをはっきりさせてもらいたい。
○大島政府委員 行政運営方針については、毎年度、一年間の問題についてお出しするわけであります。従って、その中で生きておるものもありますし、また新しい年度によって更新されていく部面もございます。なお資料につきましても、先般社労の委員会におきましても御要望があったわけでありまして、私も、別に特に御提出して都合が悪い点もないかと思ったのでありますが、あらためて確かめてみますと、さっき申しましたように、司法事件の処理の関係の部分が非常にたくさん入っております。この点ばまことにどうも申しわけないのですが、この点ちょっと御提出申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思っております。ただ全般について特に出すと都合が悪いという、そういう問題ではないのです。そういう関係で、一つ御遠慮させていただきたい、かように考えます。
○野原(覺)分科員 労働大臣にお尋ねをしますが、私は場合によったら関係議員には極秘の判を押して渡してもらいたいと思うのです。労働省の基準監督の関係のお役人はみな持っていらっしゃるのですから、しかも労働行政を審議する国会議員にそれが出せないということは、われわれはどうかと思うのです。社会労働委員会が正式にこれを要求しているということも、社労の諸君から聞いておるわけでございますが、労働大臣のこれについてのお考えを承りたい。
○石田国務大臣 私は、実は御指摘の書類を知りません。まだ読んでおりませんが、しかし基準法の運営についての私の根本的考え方は、前回にも就任早々明確にしたのでありますが、世間でよく、中小企業の実情にかんがみて日本の基準法は進み過ぎている。従って、進み過ぎているから、その実情に合わせるように基準法を改正しろという議論がある。しかし、私は反対である。進み過ぎているならば、おくれているものを進んでいるところへ近づけていく努力が必要である。しかし、その努力は摘発や検挙、そういう方針に重点を置かずして、やはりあくまで誘掖指導によって経営者が納得するような方針で進んでいくべきものである。しかし、それでどうしても納得しない、是正せられないものについては、遠慮なく法の適用を行なうべきものであるということを、私は各地において申し上げているのでありまして、現在もその方針は堅持いたすつもりであります。従って、その通牒が、ただいま私が申し上げますことと反するものであれば、それは生きていないのでありまして、私はなお念のために見てみたいと思います。ただ、基準法の適用ということは、御承知のように、やはりある意味においては一種の検察事務であります。そこで、その検察事務を取り扱う場合、その進行中の与件、あるいは特に重点を置いて摘発しようとしている事件、そういうものについての内容ということは、やはり担当者以外には出さない方がよろしかろうと思います。なおこの点については、私は書類を見、そして出し得ない事情等についての説明を聞いた上で、私の責任において御返事申し上げたいと思います。
○野原(覺)分科員 労働大臣、あなたは読まれたことがありますか、基発第二百四十一号を。
○石田国務大臣 あなたはお話し中であったのでお聞き漏らしかもしれませんが、私はその通牒を読んでおりません。その通牒の中でどの部分が生きておるか生きてないかということになれば、それは先ほど申し上げました私の基準法運営上の基本方針に背馳しておるものならば生きていないものと考えますから、生きていないような処置をとります。 そこで、具体的にその通牒についてお答えを申し上げますならば、私は読んでおりません。読んでおりませんから、その内容が具体的に私の考えに全部合致しておるか、部分的に背馳しておるかということについて私は判断ができない。従って読んだ上でどの部分を生かし、どの部分はどうするかということを決定したいと思っております。 それからこれを御要求によって出すか出さぬか、またどの範囲において出していいか悪いかということは、この法律運営がある面において、あるいは相当強い面において検察事務を取り扱っておるわけであります。従って進行中の事件、あるいはこれから摘発しようとする事件について、その具体的内容、方針等が明らかにされることが都合の悪い面もあると思います。そこで基準局長がどの点をとらえてこれを公開することをはばかるべきものと考えておるか、そういう点につきましては、私が書類を見、説明を聞いた上で、私の責任においてお答えを申し上げたいと存じます。
○野原(覺)分科員 石田さんは第一次池田内閣から労働大臣をお続けになっていらっしゃるのです。もうかなりの期間がおたちなんです。しかもあなたの労働大臣のもとにおける労働行政の基準行政としては、実は基発第二百四十一号、昭和三十一年のこの是正基準の通牒によってなされておるわけです。これは今生きておるということなんです。だから労働大臣があなたの方針に反しているか反していないかを今から検討される、その検討されることはけっこうでございます。これはぜひしてもらいたいと思うのですが、あなたが知らないうちにやっぱりこういうものは生きてどんどんやられておりますから、私はただいまの御答弁はいささか納得できないものを感ずるわけであります。しかし、そういうことをやりとりしても一時間がたつだけでございますから、あえて申し上げませんが、どうか一つすみやかに中身を検討されたい。基準法の場合には基準法に基づいて実施すべきである。せっかく労働者の労働条件を高めるために国際的な考え方からあの基準法というものが生まれてきておるわけです。それが日本の中小企業の実態はこうなんだからという、あまりにも現実にこびるとは申しませんけれども、現実に順応しようとするのあまり、せっかく国が法律で定めておるものがゆるめられておる点がないとは言えませんよ。基準局長は、本質についてはそういうことばありません、事の軽重を云々というようなことを答弁されておりますが、私はこれから具体的にお尋ねをいたします。 その具体的な質問の前に、労働大臣に重ねて要望しておきますことは、中身を検討されて――私ども国会議員は労働行政についての審議の義務と権利がございます。だからあなたがこれをお出しにならないということであれば、われわれは石田労政については信頼ができないのであります。そういうことになりますと、事は大へんな問題に発展いたしますから、そういうことについてはどなたよりも御通暁なさっておる労働大臣のことでございますから、御賢明な御判断をされて、すみやかに予算委員会なり社会労働委員会に御提出されるよう、私どもは要望をいたしておく次第であります。 具体的に、第一点は基準局長の機業地の問題が出ましたが、大島さん、機業地における是正基準はどうなっておりますか。
○大島政府委員 機業地、ことに繊維産業の中小企業でありますが、この労働時間、ことに女子、年少者、要保護労働者の労働時間の問題については、非常に困難な問題がございまして、年来の懸案であったわけであります。ただ年少労働者、女子の深夜業の問題、これについては私どもとしましても、ぜひともこれは一刻も早く絶滅いたしたい。こういう考えで実は昨年来私どもとしては懸命の努力をいたしております。現在の状況といたしましては、全般的におおむね私どもの所期する方向に進みつつございます。ただ地域的になお一、二困難な点があるのでございますが、この点につきましては当該府県の基準局並びに県の労働部と協力いたしまして、同時に通産省当局の協力も得まして、現在最後的な努力をいたしております。先般も綿工連の責任者が参りまして、これに協力の意を表明して参っておりますので、私ども最後の努力を続けまして、一日も早く基準法の線に持っていく、こういうことに努力を続けて参りたいと思います。
○野原(覺)分科員 お尋ねしておりますことは、具体的に実は聞いておるのであります。機業地の石川県、福井県、富山県、こういうところにおける一日の労働時間を実際基準監督署が指導される場合には、その目安を何時間に置いて指導をせよと基準局長は御指示になっておりますか、これをお尋ねします。
○大島政府委員 現在機業地の指導につきましては、私どもといたしましては、指導の原則といたしまして週休制の確立、深夜業の撤廃、実働九時間の線で指導いたしております。
○野原(覺)分科員 時間は一日八時間じゃないですか。
○大島政府委員 女子労働者につきましては、超過勤務につきまして制限がございまして、一日二時間、週六時間、年百五十時間の制限がございます。この間であれば超過勤務をいたしていいわけであります。これは年間を通じての話でございますから、そのときどきで非常に違ってくるわけなのですが、大体こういう線で参りますれば、ほぼ基一準法の線に近づけるのではないかと思っております。しかし基準法違反の線につきましては、さらに一段の努力をいたしまして、これは個別企業、さらに個別労働者の問題になると思うので、全般の指導といたしましてはこういう方針で臨んでおります。さらに具体的な個別企業、個別労働者については、基準法の線に沿うようにできるだけの努力をいたして参りたい、かように思っております。
○野原(覺)分科員 そうなりますと、何も是正基準を設ける必要がないと思うのです。一日八時間、十八歳以上の女子については基準法の六十一条でございますか、時間外労働が一日二時間、週六時間、それから年には百五十時間、こういうことなんですね。そうなりますと、一日八時間で、あなたは一日十時間という御指導をされますと、超過時間が週六時間以上になりますよ。一日二時間の超過でしょう。そうなると、この点はどうなりますか。
○大島政府委員 今申し上げましたのは、一日九時間労働と申し上げたわけであります。ただ基準法の規定によりますれば、一日二時間、週六時間、年間百五十時間という制限内ではいいことになっておるのであります。これが今言ったような方式になっておりますものですから、それじゃ一日平均幾らかということの計算がなかなかできないわけであります。従来各機業地におきましては実働時間が非常にまちまちであった。それを逐次私どもの方としましては努力いたしまして、十一時間を十時間に縮め、十時間を九時間に縮める、こういう努力をいたしております。現在のところ一日九時間労働という基本的な原則をもって努力をいたしております。これでもなかなか困難な事情があるのでありますが、昨年来の努力によりまして大体今御指摘のありましたような機業地については大体実現できるのではないか、こういう見通しを持っております。なお、その他の機業地につきましては、かなりの困難さがある場合がございます。これは野原先生よく御承知だろうと思いますか、その点につきましては、私どもは最重点を置きまして昨年の暮れあたりからやっておるわけでありますが、さらに今年その努力を倍加いたしまして一刻も早く基準法の線に持っていきたい、かように考えております。
○野原(覺)分科員 それじゃお尋ねします。大阪の泉州の機業地、これは是正基準でどのくらいに押えておられますか。
○大島政府委員 大阪の泉南地方の機業地は、機業地全般を通じまして非常にこの関係におきましては困難な地域であります。ただ私どもとしては、この地域で先ほど私から申し上げましたような原則の確立をいたさないと、これがほかに波及するおそれが多分にあるわけでありまして、私どもの努力の最重点はここに置いておるわけであります。従って、その努力の目標はさっき私から申し上げました週休制の確立、深夜業の撤廃、一日九時間労働、こういう関係で今せいぜい努力をしております。
○野原(覺)分科員 私の質問に対する御答弁がなされていないと思うのです。一体何時間がここでは認められておるか。泉州の機業地では、大阪の労働基準監督局でどういう是正基準で指導しておるかということであります。
○大島政府委員 ただいま申し上げましたように、やはり同じく一日九時間ということで指導いたしております。
○野原(覺)分科員 これは間違いありませんね。
○大島政府委員 一日九時間で指導をいたしております。ただ先ほど来お話の出ておりますいわゆる是正基準方式というものは、大阪については特にできていないわけです。従って現在泉州においてやっております指導は、やはり全国と同じ歩調で、週休制の確立、深夜業の廃止、一日九時間制、こういうことを機業地全般を通じまして全国一律にこういう線に持っていきたいということで指導をいたしておるわけであります。
○野原(覺)分科員 十八才に満たぬ者は就学時間を入れて一日七時間、週四十二時間、これは局長御承知の通りです。泉州におきましては、一日十四時間の労働が強制されて、何らの摘発もされないで黙認をされております。これは非常に重大な問題で、私はあとで実は労働省の予算と関連をしてお尋ねをしたいと思うのです。そういう実情なんですよ。大阪は直ちに連絡がつきますから、調べて下さい。業者の圧力の強いところは、この是正基準によって基準法が大いに曲げられてきておるのです。これも私はあとで実は触れてみたいと思うのでございますが、基準監督署というのは、今日業者に対して実に弱いのです。だから、業者の言いなりとは言いませんけれども、業者の圧力に押されておりますから、せっかく労働者の労働条件をよくするために設けた基準法というものがめちゃめちゃになっておるのです。そこでこれは石田労働大臣のもとで、富山県の労働基準局でございますが、ここは敢然と労働基準法を守らなければいかぬというので、是正基準を受けつけていない。隣の石川県と福井県は是正基準を設けてやっておる。一日十時間。富山は基準法通りにやらねばならぬということになっておる。そこで問題は、石川、富山、福井というこの機業地は同一問屋の系列工場が多いために、問屋の圧力が実は富山の工場にきておる。そこで今度は富山の工場から富山の基準監督署にはね返ってきておるのです。こういう事実が出てきておる。だから私は、この是正基準というものはきわめてよくないと思うのです。実情に適合させなければならぬという労働省の御苦労のほどはわかりますけれども、現実に順応しなければならぬという考え方のあまり、せっかく国が定めた労働基準法が曲げられて、これを正しく実施させなければならぬと考えておるまじめた監督官、まじめな局長が今日苦境に立たされておる。この現実を御認識であるかどうか、私はこれを承りたいのです。
○大島政府委員 ただいま御指摘のありましたように、機業地の労働時間の関係につきましては、従来各地でかなりまちまちでございました。それをなるべく早く基準法の線に近づけたいということで努力をいたしておったわけでございますが、ただ現実の問題といたしまして、かなり不均衡があるわけです。従ってそういうことでは隣県あるいは近接の機業地でやはり競争上の関係もありますので、全国一律の形で持っていきたいということで、昨年秋以来、先ほど来申し上げたようなこういうような三つの原則において全国統一的に持って参りたい、かように考えて努力をいたしておるわけです。ことに御指摘の大阪の泉州地方につきましては、従来かなり労働条件の悪い点がございましたので、私どもとしましては昨年来努力の最重点をここに向けておるわけです。もちろん名古屋地区につきましても非常に困難な問題があったわけです。これにつきましても、業者の団体の協力を得られるようになりましたし、大阪地方につきましても、先刻申し上げたような綿工連の協力態勢もできましたし、また近々大阪、名背景、並びに通産当局との連絡の会合を持ちまして、さらにこの監督と指導を強化して参りたい、こういう予定にもいたしております。
○野原(覺)分科員 岐阜県と愛知県は隣りの県です。そして問屋は、ほとんど同じです。ところが是正基準はどっちですか。何か木曾川を一つ隔てて、川向こうは十時間、こっちの方は十二時間、こう言われていて、今濃尾地方では問題が起こっておりますが、これは説明員からでもどなたからでもいいが、私は調査している。十二時間は岐阜県ですか、愛知県ですか、どちらですか。
○大島政府委員 私ども承知しておりますのは、従来岐阜県が十一時間、愛知県が十時間という線で努力いたして参っておったと思うのであります。詳細については、なお調査して御報告したいと思いますが、ただ全般に、今申し上げましたように、そういう不均衡な状態では業者の競争上もいかがであろうかということで全国的に一律の形で、こういうふうに持っていきたいというような考えで努力いたしております。
○野原(覺)分科員 労働基準法というのは、全国の労働者に均一の労働条件を課す意味で作っておる。ところが労働省が昭和三十一年以来このような是正基準を設けたために、都道府県間の格差というものがひどくなってきておる。まじめな監督官が苦境に立っておる。同じ労働者でありながら、川一つだけ隔てて向こうが十時間で、こっちが十一時間だ、それからこの泉州のごときは十八に満たない子供たちを、法律は週四十二時間でなければならぬとうたっているのにかかわらず、毎日十四時間働かしておりますよ。泉州を徹底的に調べてごらんなさい。毎日十四時間も働かして、賃金は何千円です。私はこういう鬼のようなやり方に実は非常な憤慨を感じておるのです。こういう現実にありながら、労働省はその摘発をしようとしない。黙認しておる。実にこれは大へんな問題だと思う。せっかく労働基準法という法律がありながら、その法律は守られていない。一体どこに労働行政があるのかと言いたい。ILOがなんだとかかんだとかいってやかましく言いますが、まず足元から固めて、日本の労働者の生活の安定、労働条件の向上をはからなければならぬ。そこで私は基準監督署に参り、地方の基準局に参りまして、いろいろ実情をお尋ねしてみたのであります。ところが実情をお尋ねしてみますと、無理からぬ点があるのであります。これは労働大臣に御答弁願いたいのでございますが、基準監督官の一人が受け持っている事業場数というものはどれだけございますか。これは全国平均、最高、最低で一つお出し願いたい。
○大島政府委員 現在基準監督官の総数は二千三百八十六人であります。基準法の適用事業場が大体百三十七万ございます。従って今私計算は持っておりませんが、この監督官の数で適用総数を割りますと一応の平均の事業場数が出るわけであります。
○野原(覺)分科員 そうなりますと、一人の監督官が受け持つ事業場数というものは、全国平均で約六百に近いようでございます。ところがこれは全体の平均だから意味がないのです。問題は、それぞれの基準監督署がございまして、その監督署の具体的な場合に問題が出てくると思うのです。しかしながら、一応話を進める上から申し上げますが、東京では一人の監督百が一千三十一の事業場を受け持たされておるのであります。千三十一も受け持たされて何の監督ができますか。これは労働時間だけの監督じゃないのです。工場の安全から衛生状態から、一切を基準法に照らして監督をするのに、一人が千三十一事業場を受け持たされておる。私はこれはまことにひどい話だと実は思うのであります。最低は長崎でございますが、これは一人が三百四十七。そこでお尋ねしたいことは、最高の、一人の監督官の受け持っておる事業場は、どこの監督署でどれだけでございますか。
○大島政府委員 今、個別の数字を持っておりませんので、いずれ調査いたしまして御報告申し上げたいと思いますが、ただ基準監督官による監督の実施、これは年間を通じまして、全部の事業所をシラミつぶしに回るということはとうてい不可能でございます。大体現在のところ監督を実施いたしております事業場の数は、年間大体二十四万事業所の監督を実施いたしております。ただ私どもが現在非常に苦心をいたしておりますのは、全般百数十万の事業所のうち大多数、約八割から九割が中小、零細企業でございます。この関係についてシラミつぶしに回ることはできませんので、集団指導という方式をとってやって参っておるわけでございます。一つはなるべく数多く基準法の線に沿わして参るということ。もう一つは一事業所だけにしいるのじゃなしに、業界全体が同じ水準に参るという公正競争の見地からいたしまして、集団指導という方式をとって、全般をなるべく早く向上させたいと思って努力をいたしております。
○野原(覺)分科員 説明員もおられますから、ごく大体の数でいいのですが、東京亀戸の監督署は一人の監督官がどれだけ事業場を持っているか御答弁願いたい。
○大島政府委員 ただいまちょっと詳細の資料を持っておりませんので、後刻調べまして御報告申し上げます。
○野原(覺)分科員 これが最高であるかどうかわりませんが、これはものすごい事業場であると私は聞いておるから、正確に記録に残したいと思ってお尋ねしたのであります。 そこで次にお聞きしたいことは、これは集団でやるとか何とか仰せられますが、私は、ほんとうにまじめに基準法の実施ができておるかどうか見ようとすれば、この限られた監督官ではございますけれども、機動性を与えておかなければならぬと思います。基準監督署には、監督官のためにどれだけの機動的な御配慮をなさっておりますか。一人が千ぐらい持たされておるのですね。そうしたらてくてく歩いて行くのですか、バスに乗るのですか、電車に乗るのですか、そこら辺の御配慮はどうなさるのですか。
○大島政府委員 ただいま御指摘の基準監督実施にあたりましての機動性の確保、この点は私どもも非常に重大な点だと考えておるわけでございます。その意味から申しまして、できるだけ乗りものを確保したいということで、三十六年度予算におきましても約百台近いスクーターの予算をお願いいたしております。そのほか若干の自動車類等についても予算をお願い申し上げておるわけであります。仰せの通り機動性の確保が非常に重大でありますので、予算の面におきましても、今後ともこの点については努力をいたして参りたいと思っております。
○野原(覺)分科員 監督官は二千三百八十人おる。初めて百台のスクーターが予算に頭を出してきたのです。これは労働大臣どう考えますか。今までは中古の自転車一台もないところがあった。そうして五百から千、これがお前の監督所だ、こう言われている。実際こういうやり方というものは、いいかげんに監督せいよ、自民党内閣は業者とはなれ合いでなければならないのだから、あまりきびしくやるなよ、これはそういうふうな皮肉にとられても答弁のしようもありませんよ。労働基準法はいいかげんにやったらいいのだと言わんばかりの措置じゃございませんか。ジープ、オートバイもない、自転車だけ。初めて百台のスクーターを購入できるように措置をするという。労働大臣はこのことをどう考えます。
○石田国務大臣 御自分で皮肉ったとおっしゃった部分についてはお答えをしないことにしておきますが、私は、今の監督官の監督の対象事業場の数が非常に多い、負担が重いという事実は同感であります。しかしそれを補いまするために、やはり集団指導というものがかなりの効果をおさめているとも思っております。 もう一つは、先ほどから御議論になりました繊維業における問題であります。これは私の理解しておる範囲では、今まで各地方でまちまちでございました。まちまちであればいろいろ問題がございますので、今度ただいま申しました三原則にのっとりまして、全国同じ基準において基準法に近づける努力をしようといたしたのであります。泉南地区におけるそういう事件につきましては、かねてからあの地域が非常にむずかしいおくれた地域であるということを私も承知しておりまして、それだけに重点を置いて指導しておるのでありますが、依然として直らない部分につきましては、さらに強固な態度をもって臨みたいと思っております。 それから機動性の問題、これは今日においても決して十分なものとはもちろん思っておりません。しかし今度初めてスクーターをつけたのではなくて、ジープ、オートバイその他については、私が記憶しておるのでも、前回私が労働大臣をしておりますときも予算要求をいたしまして、ある部分計上されたように記憶しております。その後逐年増加して今年度の分が百台、こう私は承知しております。
○野原(覺)分科員 労働大臣、あなたは現場を知らないのですよ。あなたは予算を要求されたのかどうか知りませんが、現場の監督署に行ってみなさい。あなたが何台要求してどこにどれだけ置かれたのか知りませんが、ありませんよ。機動性の乗りものは何もないのですよ。そういうことを御答弁されては私ははなはだ困るのであります。どうですか。
○石田国務大臣 絶対数の不足は、先ほどから言うている通り絶対数は非常に不足でありますので、さらにその充実に努めたいと思っておりますが、逐年整備して参っております状況については、今基準局長より説明いたさせます。
○大島政府委員 本年度の予算で新規にお願いいたしております分、私スクーターと申しましたが、オートバイが八十台、特殊自動車が十九台、合計いたしまして九十九台の要求をいたしております。これは業務機械化の経費といたしまして、三十六年度の予算で総額五千八百万円の予定をいたしております。これは昨年度に比べまして千六百万円の増加になる。この中にはもちろん特殊自動車、オートバイ以外の機械化の経費を含んでの問題であります。現在の保有台数につきましては、今調べさしておりますから後刻申し上げます。
○野原(覺)分科員 これは若干あったかもしれません。しかし今度の予算で、三十六年度の膨大予算で百台です。二千八百人ですから割算したら二十八年かかりますよ。三年か五年たてば使えなくなっちゃう。こういうことを考えますと、私は一体本気で労働基準法を守らせようとしておるのだろうかということを疑わざるを得ないのです。こういう予算はスクーターの一台ぐらいは一人の監督官に与えて、十分機動性を発揮して巡視をし、指導ができるように一これは国の予算から見たならば大した予算じゃありませんよ。本気で基準法を守らなければならぬという熱意があるならば、私はこのくらいのことはしなければ監督官はかわいそうだと思う。できはしない。まじめな監督官は労働省に対して腹を立てておりますよ、一体おれに何をやれというのだとやけくそになって回らぬ監督官が多いのです、できぬじゃないかというので。現状はさぼっておるわけではない、やりたくてもできないのです。これは一つよく考えてもらいたい。そこでもう一点旅費について局長にお尋ねいたしますが、一日幾らの旅費を組んでおりますか。
○大島政府委員 基準監督官の旅費につきましては総額約三千七百万円の予算をお願い申し上げております。なおこの監督旅費のほかに、検定検査の旅費その他監督旅費として共通的に使用をいたします経費につきましては、本年度約五百万円の増加をお願いいたしております。
○野原(覺)分科員 三千七百万円というような数字を聞くとたくさん計上しておるような印象を実は受けるのですが、問題は現実に一人が一日行動をしたら一体幾らもらえるかということなんです。一日の旅費を聞いておるのです。これは正直にお答え願いたい。
○大島政府委員 一日分と申しますよりも、予算の積算の基礎といたしましては年額、月額で積算いたしておるわけでありますが、監督旅費の単価といたしましては年間三万二千九百円、月額といたしましては二千七百四十一円が積算の基礎になっております。
○野原(覺)分科員 監督官がぐるぐる回るのが月額二千七百四十一円、三十で割れば九十円、百円に足らぬのです。これは日曜もあるじゃないかと仰せられますけれども、現実には監督官は一日行動したら署長から旅費を幾らもらっておるとお考えですか。予算はこうありますけれども、九十円より少ないのですよ、七十円です。これは調べて下さい。だから、大阪の熱意のある監督官がどうもあすこはおかしい、どうもあすこの安全性は問題がある、深夜業を年少労働者にやらしておる、一ぺんやってやろうと、こう考えても、三つ回っても十回っても一日に七十円ぽっきりですよ。労働大臣、これはひどいものじゃないですか。予算の面、人員の点から一人には何千、亀戸のごときは事業場は三千をこすと思うのです。一人に三千の事業場を持たして予算を七十円で監督せよといったってできますか。だから予算の点からも、人員の点からも基準法はいいかげんにやれということです。そして三十一年の基発二百四十一号によって是正基準まで設けていいかげんにやりなさいということで、悪質な業者から拍手かっさいを受けておるのが今日の労働行政です。労働者を一体どうしてくれるのです。私はほんとうに真剣に考えてもらわなければならぬと思うのであります。この点について労働大臣の御所見を承っておきたいと思う。
○石田国務大臣 機動性を保つための旅費その他につきまして御指摘の点は十分われわれも考慮しなければならない問題だと思います。ただその適正基準の問題は、そういう意味で行なっているのではなくて、今まで各地がばらばらに指導をし、そのために労働時間その他についてもばらばらでありましたので今度、先ほど申しました三つの基準にのっとって全国一律に監督を強化しようというのであります。従ってこれからはその点については全国一律の基準にのっとって監督の強化をはかっていきたいと思います。機動性の問題その他については十分御意見を拝聴いたしまして善処いたしたいと思います。
○野原(覺)分科員 時間もありませんから、委員長に私もできるだけ協力したいと思いますが、大事な問題でありますのでもうしばらくお願いしたいのであります。次にお聞きしたいことは、監督年報の問題です。この監督年報の御報告は何年度までなされておるか、お伺いいたします。
○大島政府委員 監督年報の作成につきましては、現在できておりますのが三十二年まででございます。三十三年と三十四年の分につきましては現在集計して印刷に回しておりますので、近くでき上がると思います。この点若干年度を越しましておくれておりますのは遺憾でございますが、現在督促いたしまして、できるだけ早く作るようにいたしたいと思っております。近くでき上がります。
○野原(覺)分科員 これは大事なことでありまして、三十三年のがまだできていないというようなことでは――もう三十六年ですね。どういうわけでそうなったのですか、一つ局長から率直にお聞かせ願いたい。
○大島政府委員 もちろん御指摘のように、これは毎年作成すべき筋合いでございます。ただ三十三年の分につきましては、集計が諸般の事務の都合でかなりおくれましたが、それとあわせて三十四年度の分が進行して参りましたので、これを一括まとめて作成いたしたい、こういう都合になったわけであります。三十三年のおくれの分につきましては、私どももはなはだ遺憾に存じております。今後やはり年間一度ということで期日に間に合わすように作成いたしたいと思っております。
○野原(覺)分科員 私は労働基準行政に協力して実は申し上げておるのですから、もっと突っ込んで正直な御回答が願いたいのであります。それじゃ事務上の怠慢でおくれたのか、予算措置が十分でないためにそういった統計その他の作成ができなかったのか、この点は官紀の粛正その他にも関係があるし、あるいは国の予算の措置等についても問題がございますから、私はこれを大きく重要に考えております。どちらですか。
○大島政府委員 予算につきましては、印刷経費でございますので、必ずしも多額を要するという問題ではないわけなんでございますが、ただ今申しましたような各種の集計のおくれからそういうことになりましてはなはだ残念に思っております。今後は必ず年一回作成するようにいたしたいと思います。
○野原(覺)分科員 やはり監督年報というものはすみやかに報告して、そうして国民からも、それから国際的にも、日本で労働基準法を労働者のためにどれだけ守っているか、そういう批判を受けなければならない性質のものであることは、局長よく御承知の通りであります。これは労働大臣にお聞きいたしますが、ILOの八十一号があるのです。もうすでにILOの八十一号は一九五三年に批准をされております。工業及び商業における労働監督に関する条約、これを批准をしておるのです。このILO八十一号に日本の労働省は違反をしているのです。これは国際的に信用を非常に失墜しておることじゃないかと私は思うのです。八十一号には何と書いておるかと申しますと、その八十一号の第二十条に「中央監督機関は、」これは日本の場合には労働省であります。「その管理の下にある監督機関の業務に関する年次一般報告を公表しなければならない。」「その年次報告は、当該年度の終了後適当な期間内に、いかなる場合にも十二箇月以内に公表をしなければならない。」という制約を実はしている。いかなる場合にも十二カ月以内に公表しなければならぬというならば、三十三年度のものが公表されなければならぬし、三十四年度のものももう十二カ月以上経過しておるわけなのです。ところが三十三年もできていない。三十四年もできていない。そうして「年次報告の写は、公表後適当な期間内に、いかなる場合にも三箇月以内に国際労働事務局長に送付しなければならない。」となっております。発表してから三十三年のを三カ月以内に送付しなければならぬ。それから三十四年のも送付しなければならぬ。監督年報についてはILO八十一号違反をやっておると思うのです。これは労働大臣、どうお考えですか。
○石田国務大臣 三十三年の分については、ただいま基準局長が御説明申し上げましたように、まことに遺憾に存じます。しかし、手続がおくれたり、いろいろな事情がありまして要求の時間におくれても、これはやむを得ませんから、全力をあげて間に合わせるようにしたいと思います。それから三十四年度は、年度終了が三十五年三月三十一日でありますから、期限は三十六年の三月三十一日であります。現在のところまだ一カ月ほどあるわけでありますが、もちろんそれに間に合わせるように全力を上げさせます。最悪の場合は概要でも報告ができるようにいたしたいと存じます。
○野原(覺)分科員 こういう国際的な法規があるにもかかわらず、このようなことがなされていない。このことは優秀な局長のもとでできないはずはないと私は思うのです。大島さんは私も個人的によく知っております。こういう優秀な局長のもとでできないというのは、簡単に事務上の問題だけで終わらぬのですよ。監督年報というのは、一切の統計を集めなければならぬ。事務的な統計を集約しただけじゃできないのですね。予算が足らぬからできないのじゃないと思う。確かにこの種の予算が非常に少ない。基準監督局に対する予算はおよそ問題にならぬのです。一体労働大臣は労働基準法を守らせようと考えておるのか、どうでもいいと考えておるのか、私どもは実は疑いにたえぬのであります。このことをお尋ねいたしますと、あなたは、守らせようと思っております。どうせこういう御答弁をするに違いございませんから、そういう愚問は発しませんが、これは十分お考え願いたい。 そこで病院ストの問題ですが、病院ストについては、あのストライキの原因、労働条件がどうであるかということを労働者は積極的にお調べになったことがございますか。昭和何年に全国的に病院の労働条件をお調べになったのか。
○石田国務大臣 病院は、私どもの方でかねてから基準法適用の重要事業所の一つとして取り上げて参りました。その調査、監督をいたしました実情につきましては、ただいま基準局長からお答えいたさせます。 それから昨年の秋病院ストが起こりましたときに、ちょうど私は労働大臣をいたしておりましたので、直ちに厚生省に対しまして、病院の経理あるいは労務管理その他について適切なる指導をしてもらうことを含みといたします労働行政上の連絡をとりました。同時に私といたしましては、病院の従業員の給料等と他の事業場における労働条件その他についての比較調査も命じておりますので、あとで御報告をいたさせます。 この病院ストの原因につきまして、私の総括的な認識から申しますと、まず一般的に申しまして、労務管理というものが各病院にほとんどないと言っても過言でない。就業規則もなければ、あるいはもちろん組合がないところが多いわけでありますから、労働協約というようなものがない。さらに労務管理の責任者が事務長であるか、病院長であるか、あるいは開設者であるか、その間の関係が明確でない。それから経理が極端に言えば大福帳みたいなところが多いのでありまして、組合との間で団体交渉を行なうのにも、その基礎となる材料を見出しにくい。また一般的に見まして、これはあとで数字を申しますが、病院の従業員の賃金を中心とする労働条件というものが、その教育の程度、責任の程度に比較いしたまして適当でない。それから少人数ずつの多くの職種がありまして、その間の人間関係が複雑である。医師相互間、医師と看護婦、あるいは看護婦相互間、あるいは看護婦、医師とそのほかの医療技術者との関係、しかもそれぞれが少人数ずつ参加しているというところに人事関係の複雑さがあると存じます。それと全般的にやはり人事関係その他労務管理の理解の仕方が低いものでありますから、その結果どうしても他の一般の中小企業に存在する未成熟な労働関係と似た現象がある。組合結成即要求、即争議、争議即職場占拠という形に進みがちである。それから経営者側も、これを労働問題として第三者あっせんで平静に話し合いで解決しようとする前に、ろうばいをしてしまって措置よろしきを得ないばかりでなく、これを民事上の法律問題として解決しようとする傾向があるというようなことが私はあげられると思います。何よりも労働条件向上の基礎である、医療費の問題は目下議論されておりますが、しかし金だけ上がっても適切に使われなければ何にもならぬわけであります。従ってほかに、責任の所在を明確にし、就業規則を作り、労使関係を確立する努力というものが払われる必要がある、こう私は認識をしておる次第であります。
○大島政府委員 病院、診療所の基準法に基づく監督実施の概況を御報告申し上げたいと思います。 昭和三十二年度におきましては約五百事業所につきまして監督を実施いたしておったのであります。ことに病院、診療所の労働条件の問題が重要性を帯びて参りましたので、三十三年度におきましては二千七百事業所、三十四年度におきましては二千七百七十一事業所の監督を実施いたして参ったわけでございます。この監督実施をいたしました結果、違反の状況でございますが、特に目立ちますのは女子の労働時間の関係の違反、この違反率が一八%程度に上っております。それから女子の休日関係の違反、これが一六%程度に上っております。なお衛生関係、について、やっておるのじゃござい乗せんか。その点どうですか。
○大島政府委員 ただいま申し上げました監督実施の回数は二千七百七十一件と申し上げたのでありますが、このほかに申告に基づきまして監督を実施しました数は年間三百六十二件ございます。これは先ほど申しました二千七百七十一件のほかのものであります。
○野原(覺)分科員 この点は申告だけでやるのではなしに、最近はおそらく病院ストが起こって世人の関心も高く、なりましたから、積極的に監督をされておると思いますが、抜き打ちでも何でもいいから、私どもしろうとが見ても病院の勤務条件、労働条件は問題があるようです。深夜業がなされていても超過賃金が正確に払われていない。これはやはり積極的に徹底的にやっていただきたい。そうすることによって病院ストも避けることができる。病院ストがあのような形で起こってきたのは、私は労働省にも一半の責任があると思うのです。病院の労働者がどういう状態に置かれていたかということについての平素の監督指導が十分行なわれていない。これはまた先ほどの予算と人員に引っかかって参りますが、この点は一つ十分お考えいただかなければならぬかと思うのであります。そこで、もう簡単に終わりますが、もう一点は大事な問題で基準協会の問題です。大臣は御承知かどうか知りませんが、警察には防犯会協あり、労働基準局には基準協会あり、これは各府県にあるのであります。この基準協会というのは何のためにあるのか、何をするのか、構成はどうなっておりますか。これは大臣もしくは局長から、いろいろ問題があるように聞くからお尋ねしますが、詳しくお述べいただきたいと思います。
○石田国務大臣 先ほどの病院の基準法上の監督実施が二千七百数件というのは、こちらが自発的にやった検査でございます。申告に基づいたものは三百数件、これはまた別でございますから、積極的に三十二年度、三十三年度とやって参ったつもりでおります。ただ、先ほど申しましたような原因がございます。この原因については、もちろん私どもは責任がないと申しませんけれども、専門的部門が非常に多いのでありまして、厚生省におかれては、今度それについての懇談会を設けられて適切な指導をされるということでございますので、それに期待をいたします。私どもの方は、どうも専門的な部門が多くて、病院のためだけの専門監督官を作ればいいかもしれませんが、そうも参りませんので、専門的な指導は厚生省にお願いをいたします。 それから基準協会でありますが、存在しておりますことは知っております。詳しい構成内容については私は全部知りませんので、これは基準局長からお答えをいたしますが、ただ私が自分自身で関係をいたしましたことでは、前回三十三年から三十三年にかけまして労働大臣をいたしておりますときに、問屋街の週休制をかなり強力に指導をいたしまして実施したことがございます。そのときに、横山町と馬喰町方面の問屋街の内部的指導にあたりまして、基準協会が取りまとめのために非常に努力をいたしてくれました。このために、御承知のようにあそこは当初は若干のアウトサイダーがありましたけれども、現在は一軒もなくなりましたし、そのほかの労働条件の向上、宿舎施設等につきましてもかなり向上したように思っております。
○大島政府委員 基準協会につきましては、各地におきましてその構成なり活動の状況は非常にまちまちでありますが、総体的に申し上げますと、基準法の発足の当初、労働基準法の何たるかが一般に行き渡らないような実情からいたしまして、各会社、工場が寄りまして協会を結成いたしまして、基準法の普及ということをまず当初の目的に掲げたように記憶をいたしております。その後、各地によって違いますが、全般的に共通いたしておりますのは、基準法関係の各種の雑誌とか出版物を通じて普及徹底して参る、ないしは講習会等を催して普及の促進に協力して参る、こういうような一般的の活動状況になっておると承知いたします。
○野原(覺)分科員 この構成は事業主団体でございますね。そういたしますと、うたわれておる協会の規約と申しますか、そういうものはきれいにできておる。今局長が申されましたように基準法の普及なり宣伝なり労務管理の近代化というようなこともうたっておるように私も承知をするのであります。そうして、どこの都道府県にもほとんどこれは置かれておるようであります。ところが、事業主の構成する団体でございますために、この協会は金はかなりあるのです。そして基準監督署は、先ほど申し上げましたように中古の自転車一台くらいしかない状態です。ひどいものです、それは。大臣は現場の監督署を一ぺん抜き打ちにでもいいからお調べになったらいいと思う。建物は実に雑で、どこでもひどいのです。一日の旅費は七十円、こういうことでございますから、監督署に金が足らないからというので、この協会が監督署にいろいろな名目で援助をしておる事実がございますが、大臣御承知ですか。局長からでもけっこうです。
○大島政府委員 基準法施行の必要な予算措置については、もちろん先ほど来お話しのようにまだまだ十分でない点はございますが、とにかく実施をいたして参りますについての必要な経費については国家予算をもってまかなっておるつもりなんです。ただ、御指摘のような点につきましては、私も詳細存じませんが、講習会をやりますような場合、あるいは役所でやってもしかるべきものが、基準協会の名において行なわれるというような場合もあると思いますが、要するに本来基準局でやるべきことは基準局の予算でやるべきものだと存じますので、今後とも私どもなるべく詳細に調査をいたしたいと思いますし、そういう形で進んで参りたいと思います。
○野原(覺)分科員 監督を受けるものが監督するものに対して金を出したら、監督はできないのであります。しかもこれは明確に法が規定しておるのであります。非常に重要な問題なんです。防犯協会と警察の問題は、数年来やかましく取り上げられましたから、最近は粛正の一途をたどっておるようでありますけれども、この基準協会は何せ事業主が構成しておって、金は相当出せる関係にもございますし、監督署には金が足らぬというような点もあって、基準監督署が主催しなければならない講習会、講演会、そういうようなものもこの協会におんぶをする。そこまではよいのでございますけれども、いろいろな名目で実質的に金銭上の支援を受けておるという事実があるとするならば、これはゆゆしい問題であります。そこで基準協会の会計報告なんかいろいろ調べてみますと、これは問題が問題でございますから、会計上は、帳面づらはきれいにできております。しかしながら、実際は監督署が貧乏しておるものだから、事業主団体におんぶをしておるという点があるようであります。私はこの点はもう少し資料を的確に集めて、そういう事実があるとすれば大へんでございますから、できるならば早い機会に労働大臣にもお見せをして御善処してもらわなければならぬと思うのでございますが、この点きょうはこの程度にしておきまして、労働大臣の所見だけ承っておきたいのであります。
○石田国務大臣 警察と防犯協会との関係以上のものだと私は思っております。防犯協会と申しましても、入っているものが全部が全部被監督者じゃない。ある部分は警察に保護を受けるわけでございますが、労働基準監督署と業者との関係は、純然たる監督、被監督の関係でございますので、そこから監督署の当然なすべきもの、あるいはそのほか理由のいかんを問わず、の寄付行為をされるということは、監督行政に非常に支障を来たすことと存じます。従って、そういう関係につきましては今後一そう監督を強化いたしまして、御心配のことのないようにいたしたいと存じます。ただ、講演会、講習会というようなことを協会が主催して行なうという場合に、役所の方がこれに対して協賛するという関係、これはやはり基準法を普及するという点では効果がある面もございますので、そういう点の区別はいたさなければなりませんが、相互関係は防犯協会と警察の関係以上のものだと考えて、そういう趣旨にのっとって厳重に取り締まって参りたいと思います。
○野原(覺)分科員 質問したいことがもっとたくさんあるわけでありますけれども、限られた日程の中で分科会が開かれておりますので、私は残念ですがこの辺で終わりたいと思うのであります。 最後に労働大臣に申し上げておきたいことは、ダンプカーが最近非常に事故を起こしておるのであります。このダンプカーの事故も、よく私ども調査をしてみますと、労働大臣もその責任は負わなければならぬのではないか。鉄筋ビルがどんどん建っていく。そのビル工事のために請け負わされている下請、これは御承知のように建設工事をやる何々組というのは、ほとんどみんな基礎工事だ、内部工事だといって請負にやらしておる。その請負の下にまたいろいろな請負制度があるわけなんです。たとえばコンクリートを請け負った者は、骨材屋に請け負わせる。骨材屋は砂利業者と砂業者からできておる。砂利業者は採取業者とトラック運搬業者からできておる。その下に労働者がいる。だから労働者は採取業者から搾取され、砂利業者から搾取され、骨材屋から搾取され、コンクリート業者から搾取され、そして今度は一番上の何々組の建設業者から搾取されておる。こういう労働条件等も私は労働行政の中ではもっと厳正に取り締まってもらわなければなるまいかと思うのであります。しかもこれらを雇う雇われ方を見ますと、職業安定法違反の疑いがあるのです。そういうことがあるものですからノルマ制をしいられて、あの和歌山の紀ノ川の砂利を大阪まで持っていくのに、これは大島局長よく御承知のように、一日に二往復しかできませんけれども、一往復して二時間、三時間ぐらいつつ走って、まあ四百円か五百円の賃金だ。二往復では千円だ。それでは一ぱい飲む代もない。女房に渡す金もないというので、三往復やって、真夜中までつつ走る。ゴー・ストップがあろうと何があろうとつつ走るのです。そこでこういう労働者の雇用のその根底にまでメスを入れないと、あれを単にダンプカーの違反だ、交通違反だと簡単にきめつけられないものがあるわけであります。こういう点も私は労働行政の大きな責任であろうと思う。時間がないから、このことは詳しくは申しません。 そこでもう一点重ねて申しておきたいことは、亀戸で数年前、深夜に一人の少女が髪を機械に巻き込まれてなくなった。そこで労働省はあわてて、深夜業をやっておる、けしからぬじゃないかといって、新聞でも大きく取り上げられたことがあるのであります。少女であります。真夜中に髪を巻き込まれて無残にも死んだ。そこで亀戸の基準監督署から、それっというので基準監督官が出向かなければならぬ。深夜であります。乗りものは何にもない。自転車もなかったというのです。一人で何軒も受け持たされておる。やむを得ぬからこの監督官は電車とバスを利用してその事業所に行きましたら、すでに警察が跡片づけしてしまったものですから、その工場を指導しなければならぬ監督官の役目を果たすことができなかったのであります。問題は非常に多いのです。私はいずれ今後労働行政のあり方をじっと拝見さしていただきますが、拝見をしながら、全国各地におけるこれらのみじめな状態が的確に指導されていないという具体的な事実を石田さんにも一ぺん提出いたしまして、御善処を願わなければならぬと考えるわけであります。これらの実情を総括して、もう一度労働大臣の基準行政に対する御決意、御熱意のほどを伺っておきたい。今日までのようなやり方ではお話にならぬ。一日七十円の日当で何ができますか。それからたった百台のスクーターを三十六年度に持っていって、何が一体できるとお考えですか。こういう点を私は重ねてお尋ねをして質問を終わりたいと思うのであります。御所見をお述べ願います。
○石田国務大臣 基準法の実施についての私の考え方は先ほどるる申しました。中小企業の実情と基準法との間に現在一般的に懸隔がある事実は認めますけれども、進んでいるものをおくれている方向へ妥協して近づけようということは誤りであると考えます。やはりおくれているものを進んでいるところへ近づけるような努力をしたいと存じます。そういう考え方で基準法の実施に努めて参るつもりであります。それに伴ないましての具体的な事例その他につきましては、一つ御遠慮なく御指摘を願いたいと存じます。それを十分参酌いたしまして、遺憾なきを期したいと思っておる次第であります。 それからダンプカーの事件を中心にお話がございましたが、土建業者の特に雇用関係における構成、これは日雇い労務の問題、臨時工、社外工の問題とも関連をいたしまして、なかなか複雑でございまして、私ども理解しがたい点も非常にあるように存じます。これについても積極的な検討を加えまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
○北澤主査 羽田武嗣郎君。
○羽田分科員 私はごく簡単に一点だけ大臣にお尋ねをいたしたいのでございます。 私、まず第一に前提といたしまして、国家公務員、地方公務員及び三公社、五現業というのは、法律でもって罷業権を認めていないと存ずるのでございます。まあわかりきったことでございますが、一応あらためて大臣に承っておきたいと思います。
○石田国務大臣 国家公務員、地方公務員及び三公社、五現業の従業員の、それぞれのいわゆる労働三権における関係、若干の違いがありますが、罷業権についてはただいま羽田さんお話しの通りであります。
○羽田分科員 しかるに本年の総評のスケジュール闘争といたしまして、国労それから全逓、全電通、そういうものが三月の二十日過ぎに一斉に半日ストライキをやる。全逓あるいは全電通の方はやや引っ込みまして、職場大会とかあるいは実力行使とかいうふうに、今まで通りのような言葉にやや引き下がったと思うのでございますが、国労ははっきりと完全に半日ストライキをやる、法律をじゅうりんしてはばからない、こういうことを明瞭に打ち出して、そして着々と準備を進めておる。こういうことに対しまして、労働大臣としてどういうようにこれらの者を説得して、法に従う、順法の精神を明らかにしてやらせる、こういうようにして正しい行動に出せしめるかというような御苦心、まあそれは国鉄については国鉄総裁なりそういうような直接のものがございましょうが、労政を所管せられる大臣として、どういう態度でお臨みになり、どういう対策でお臨みになっておるか、それを承りたいと思います。
○石田国務大臣 国鉄その他いわゆる三公社、五現業に対する態度は、一言にして申しますと、公労法の順守であります。国鉄その他三公社、五現業は、公労法によりまして争議権は禁止されておりますが、しかしその代償といたしまして、これらの従業しておる人々の労働条件は、公共企業体労働委員会の仲裁裁定を労使双方が守るということによって保障されておるわけであります。しかし、御承知のようにその中に、予算上、資金上不可能な場合云々という例外規定があるのでありまして、昭和三十二年以前まではこの例外規定が適用されることがしばしばでありました。予算の最終的な審議権は国会にあるわけでありますし、それから三公社、五現業の労働問題が、きめられた予算のワクの外へ出る場合におきましては、これは当然国会の議決を待たなければならぬことは言うまでもないことであります。しかし公労法において、一面において争議権を与えないかわりに、他面において仲裁裁定を労使双方が完全実施するというのは原則でありまして、予算上、資金上云々というのは例外規定であります。この例外規定をひんぱんに適用することは、やっぱり法律の精神からいって間違いであると私は思います。従って昭和三十二年、私が労政を担当いたしましてから、仲裁裁定は完全に実施するという方針を堅持いたしまして今日に至りました。政府は仲裁裁定を完全に実施するという公約をし、それを実行に移すことを背景といたしまして、国鉄に対して公労法を無視するような行為のないように厳重反省を求めつつあるところであります。従って、ないように期待をし、またないように努力をするのでありますが、万一にも法律を無視するような行為が事実行なわれた場合におきましては、厳然たる態度をもって臨む方針であります。また実際行なわれないといたしましても、公然と国法無視を揚言しておるという態度はきわめて遺憾でありまして、わが国の自由にして民主的な労働運動を発達させ、それを通じて国際信用を高めるという上におきましても、またILOの精神を尊重するという建前から申しましても、これはきわめて遺憾なことであると存じます。従って実際とは別に、この公労法無視の態度については遺憾に存じまするし、その行為が行なわれた場合においては、先ほどから申しましたように、公社、現業当局は厳然たる態度をもって臨むだろうと思います。しかし現在中心になっておる賃金の問題につきましては、今まで公社、現業当局はいろいろな関係がございまして、団体交渉の場合いわゆるゼロ回答を出しておりました。これは今日、特に公務員のベース・アップが行なわれてしまったという現在の段階、そのほかの諸般の事情を考えた現在の段階から申しまして、私は今回もゼロ回答をもって公社、現業当局が臨むということは、やはり誠意のある態度とは言えないと思います。従って、労働大臣といたしましては、できるだけ諸般の事情を考慮することに努めまして、現行の予算の範囲内において最大限の誠意ある態度を示すように誘導をして、それに必要な措置をいたしておるわけでございます。しかしその場合話のつかなかった場合におきましては、やはり公正な第三者、公共企業体労働委員会の調停仲裁によってきめられるのが法の示すところであります。その場合、仲裁裁定は完全に実施するということを重ねて申し上げるのでございます。 そこで政府は、償金の上昇については基本的に今回の場合におきましては認めるべきものである。その金額は、第一次段階においては団体交渉できめられたい、話がつかない場合においては仲裁裁定の完全実施で臨みたい。つまりこういう方向で臨んでいるのでありますから、何を好んで法を無視した行為を行ない、そうして国民大衆に迷惑をかけるのか、私はその真意を疑うものでありますが、しかしわれわれが誠意を尽くしていく過程におきまして、国労その他関係者内部における良識ある人々の御努力によって、事態を平和裏に解決するように努めて参りたい、こう思っておる次第であります。
○羽田分科員 ただいまの、労政の最高権威である大臣のお話によりまして、よく事情がわかりました。まず賃金のベース・アップもある程度は認むべきである。団体交渉でできなかったらば仲裁裁定でやるべきである。その仲裁裁定については、昭和三十二年に大臣が御就任のとき以来、必ず政府が実行をする。こういうふうにはっきりとしたお態度であり、もしこれにもかかわらず、いわゆるストライキというものを正面切ってやる場合においては、厳重なる処分をなさる。こういう条理を尽くされたお話を承りまして、私も安心をいたすのでございますが、何といいましてもいわゆる総評の諸君のトップ・バッターとして、この三つの組合の諸君が、ことに国労の諸君が、完全に法律を無視してストライキをやるということを宣言しておるということは、これはすみやかに取り消しをさせるということがまず一番大事なことではないか、ストライキをやるという宣言を取り消させるということに一つ御努力をいただきたいと思いますが、これについて大臣のお考え方を承りたいと思います。
○石田国務大臣 これはお気持においてはよくわかるのでありますが、法律上は公労法にはそういうようなことをする方法はないのでありまして、自主的な良識の判断によって御解決を願うのであります。 それからただいまの羽田さんの御発言中、誤解があるといけないと思いますので、ちょっと訂正をさせていただきたいと思いますが、不幸にして公労法違反の行為が行なわれた場合、その当事者に対する処罰は私がやるのではありません。やはり国鉄当局者がやるのでありまして、その点は誤解のないように願っておきたいと存じます。 しかし繰り返して申し上げますが、私は現在の時点におきまして、諸般の情勢を見たとき、公社現業の人のある程度の賃金上昇は当然認めらるべきものだと思います。しかしその程度は、第一に団体交渉、第二には公正な第三者によってきめられるべきも一のでありまして、そういう法律の建前があり、政府がそれを認めらるべきものであるということを明らかにし、それに対する努力をしているときに、あえて法律を無視する行為に出ることは、私は世間の世論が許さないと思う。世論の許さないところに労働運動は決して育たない。私は労働運動を行なっておる当事者の方のためにもああいう宣言はまことに悲しむべきことであると存じます。しかし政府は尽くすべき義務を尽くし、法規を正し、乱した者に対しては厳重な態度をもって臨むということを重ねて申し上げておきたいと存じます。
○羽田分科員 大臣の懇々たるお話でよく事情もわかりました。とにかく幾たびも繰り返すように、法律を無視するということを表看板に正面切って打ち出したということは、わが国の労働運動史上においてすこぶる重大なることだと思います。そういう春季闘争に対しまして、大臣の御健闘と御指導よろしきを得られんことを切に希望いたしまして、私の質問を終わります。
○北澤主査 田口誠治君。
○田口(誠)分科員 二点にわたってお尋ねいたしたいと思います。 そのうちの第一点は、憲法十四条と労組法五条二項四号との関連でございます。御承知の通り憲法の十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という点が明確にされておりまして、平等の原則というものが打ち立てられておるわけでございます。ところが労働組合法の五条は、これは労働組合を運営する憲法であるところの、すなわち規約を決定する場合に、法内組合である労働組合であればこれこれの条件を満たさなければならないという条項が羅列してあるわけでございますが、そこで問題になりますことは、この十四条と関連をいたしまして、労組法の五条二項の四号には、「何人も、いかなる場合においても、」云々と、ずっと羅列してありまするが、憲法に明確になっておりまするところの政治信条ということが入っておらないわけなんです。それで、いろいろ団体はありますけれども、今日では労働組合は民主主義の労校であるといわれておるくらいに民主的に運営しなければならないし、それから憲法の精神も尊重しなければならないわけでございますが、憲法において平等の大原則が打ち立てられておるにもかかわらず、労働組合を運営するところの規約、すなわち憲法ともいわれる規約に、これこれの条項を必ず入れなければならないといって明確にされておるその中に、政治信条ということが抜いてあるということなんです。この抜いてあるということは、どういう理由であるかということがお尋ねをいたしたいわけなんです。それでどうしてこういうようなことをお尋ねするかと申しますれば、よく労働組合を作って規約を作る場合に、憲法とこの労組法の関係を照らし合わせてみて議論になっておりますることは、労働組合は経済団体で、労働者が団結して自分たちの生活の向上や労働条件の改善をはかるところの団体であって、それを行なうためには自主的に一つの規約というものを作って、規約にのっとって運営をしなければならないのだ、そうなりますと、ここで労組法で政治信条というものは抜いてあるということになりますれば、これは考え方によりましては、社会党の方は労働者の味方であるが、自民党の方はこれは資本主義政策をとっておられるのだから、利害相反するということから、自民党に入党しておられるような労働者でもおったような場合には、自主的にその人は労働組合に入れなくてもいいのだというような解釈をされる人もあるわけなんです。もう一つは、民主的に最も労働組合は運営しなければならない団体であるのに、もし労働組合の中に破壊的な行為をするような団体が世の中にあったような場合には、そういうような団体に入っておる労働者は除外しても、これは憲法違反にもならないのだ。労組法に基づいてやれば憲法違反にもならないのだという解釈をされる方があって、非常にこの点についてわれわれが質問されても回答に窮するわけなんです。それでこの点につきまして、明快にこうした法文をお作りになった経緯について御説明をお願いいたしたいと思うわけです。
○石田国務大臣 組合法の法文を制定いたしました経緯と、この間における質疑その他につきましては、事務当局からあとでお答えをいたさせますが、私の理解をしておる範囲内で申し上げたいと思います。私は、憲法の規定は国と国民との関係を規定したものでありますが、この労働組合法の五条以下の規定でありますが、これは私はこういうふうに理解しております。労働組合というものは、基本的に入る入らないは個人の自由なんで、強制されるべきものではない。それからこの場合において、政治的信条を云々ということは、労働組合の場合は、従って政治信条の相違によって組合を違える場合、組合組織が違ってくる場合もあり得るのだという考えで作ったのではなかろうか、こう思っております。ただあなたのお話のように、社会党は労働者の味方で、われわれは資本主義政党であるから、労働者と利害が対立するというお話がありましたが、私ども一としては、決してそう思っておりません。資本主義体制のもとにおいて、十分労働者諸君の利益を守り得るものであり、守るのが労働省の役目だと思っております。
○田口(誠)分科員 あとから専門的なことは事務官がお答えになると思いますが、なお、私の質問に対してお受け取り方がちょっと違っておったと思います。私の申し上げたことは、憲法で大原則ができていれば、今の世の中で民主的な大きな団体である労働組合を運営する規約を作る、すなわち労働組合の憲法ともいわれる規約を作るときに、労働組合法に政治信条というものをわざわざ抜いてあるというところに大きな疑問がある。なぜそういう憲法の大原則にのっとって第五条の二項の四号にも入れてないのか、何かここには下心があってお抜きになっておるのか、そういう点を承りたいと思うわけです。なお、私は社会党であなたは自民党じゃ、そういうことではなしに、労働組合を作るときに、こういう条項があるから、労働者と経営者というのはいつも利害が相反していろいろやっておるのだから、相反するようなところへ入っておる人たちはやはり除外した方がいいだろうというようなことから、規約に除外をするということを書いても労働組合法五条二項四号の違反にはならないわけです。ところがこれは突き詰めていけば、やはり憲法違反ということになると思うのです。そういうようなこともありますので、そこをお間違えのないように、一つすなおに御説明をお願いしたいと思います。
○石田国務大臣 私は、この五条の二項の四号は、先ほど申しましたように、政治的な信条によって労働組合の組織が違われ得る可能性があるということから抜いたのではないかと私は思うのでありますが、私はこの法律が制定されたときの責任者でもありませんので、その法律制度当時におけるこの項目についての質疑応答、解釈等につきましては、あとで事務当局からお答えをいたさせます。私の理解はそういうふうに理解をいたしておるのであります。 そこで今のお話は、経営者あるいは経営者的立場にある者が労働組合に入る場合、それを除外し得られるという解釈のもとでこういうものを置いたのじゃないか、具体的にはこういう御質問でございますね。
○田口(誠)分科員 いや、答弁の最中でございますが、ちょっと把握していただきたいと思います。経営者とみなされる着は労組法で組合から除外する、これははっきりしていますね。ただ経営者でなしに一介の労働者であって、思想が資本主義政策に賛成をして、わかりやすく言えば自民党に入党しておられるような方に対して、そういう人はわれわれの目的と反するのじゃないか、だから規約にもそういう人は除外するように書いても、労組法には違反をしないのだからいいんじゃないかというような理論がたまたま出るわけです。だから、私はこの憲法の十四条と労組法の五条二項四号の、この政治信条が労組法のみ抜いてあるという点がここに明確にならないと、全国的にそうした点については非常にいろいろと動揺される面があると思うので、これはやはり労働大臣の方から明確にお答えになるか、あるいはまた事務官――その当時、制定されたときにおいでにならない方もあろうと思いますけれども、しかしながら勉強はずっと前からのことを専門にしておると思いますので、事務百の方からお答えになってもよろしゅうございます。その点どちらからでもよろしゅうございますが、一つ明確にお答えを願いたいと思います。
○石田国務大臣 今事務当局からお答えをいたしますが、経営者的云々という書案はむずかしい例であります。具体的例をあげて参りますと解釈がめんどうになりますから、具体的事例というものは別にいたしまして今事務当局から説明いたします。
○冨樫政府委員 御承知のように終戦血後にできました労働組合法には、このような規定はなかったわけでございます。数年後、労働運動の実情にかんがみまして全文改正が行なわれて現行法ができたわけであります。当時私は直接でなく間接にしかタッチしておりませんが、私どもの理解しておる限りにおきましては、先ほど大臣が申しましたように、憲法の規定は国と国民との関係において、国が国民を法律の前において差別待遇をしないという重点になっております。一方憲法のほかの条章によりますれば、勤労者は団結の自由を有すとなっております。その団結の自由というものは、要するに極端にいえば好きな者が自由に団結をするという権利でございます。従いましてその面からいえば、このような政治的信条のみならず、人種とか性別ということも抜きにするということは考えられるのでございます。しかしながら、労働者が団結によりまして主として経済上の地位の改善といったようなことが目的とせられるということで、社会的世界的通念からいいまして、こういう差別が行なわれることはよろしくない。ILO条約の解釈から申しましても、団結の自由というのは野放図の自由ということでなく、社会通念上認められる機能発揮のためのルールというものをある程度法律で擁護し、裏づけてやることは、その国の実情に応じて差しつかえない、こういうことになっておるわけでございます。ただ政治的信条につきましては、この組合法の冒頭にも書いてございますように、主として経済条件の維持改善を目的とするということで、いわゆる政治的偏向はよろしくないと思いますが、ある程度関連して政治活動ということも当然に認められておる。従って政治的信条によって自由に自分たちはこういうものを作るということまで禁止することは、法律としては行き過ぎだろうという建前でこういうふうに規定いたしましたので、ただいま先生のおっしゃったような趣旨を陰の陰で考えてやったということは毛頭ございません。
○田口(誠)分科員 ただいまのお答えでは、従来の労組法ではなかったけれども、途中で必要を感じて政治信条の条項を抜いたというお答えなんですが、これは労働省なんかにおいでになる方だと割合大ざっぱにものをお考えになって、そうぴんとこないかわかりませんが、各県の地労委の委員を推選する場合にその組合の規約を出します。その規約の中に「何人も、いかなる場合に」という書き方をしなくても、「この組合はいかなる場合にも」というように書いたとて、この組合ということははっきりしているのだから、こんなものは当然通るのですけれども、やはりこの通りでなければ通らないというのが実態なんです。これはどこの労働組合の大会のときでも、この労組法の五条二項の四号通りに規約に盛られておらないところは、やはり盛り込んでもらわなくては地労委の委員の推選に困るのだというような注文が出るわけです。そのくらいこの労組法に準じて労働組合は運営されているのですから、従って前にはよかったが、途中でどうも政治信条を抜いた方がいいように考えられたから改正をしたのだというお話ですが、これは私は先ほどの話を変えまして、わが社会党は民主的な政党でございますので、そういうことはございませんが、もし他に幾分規約、綱領、そういうようなものに一つ暴力的な革命主義を盛り込んだような政党ができたり、いろいろしたような場合には、やはりそういうような党員は入れぬ方がいいのだというように解釈はされるわけなんです。それはなぜかといえば、終戦後、労働組合ができて労組法ができた。労働組合を作ってから、有名な二二闘争とか、あるいはレッド・パージがあったり、いろいろなことがありました。そういうような経過をたどって労働組合法が改正されたとするなれば、やはりそういうような一つの団体を除外するようなことを実際にその労働団体というものがやっても、これは憲法十四条の違反にならないのだというような指導がこの労組法になされておるのだ。こういうようにどうも理解されてしょうがないのですが、それでどうして変えなければならなかったのか、そして前とあととどう違うのか、そういう点についてもやはり明確にしていただきたいと思います。
○冨樫政府委員 この法律は、前の法律の全文改正として昭和二十四年にできたわけです。私のさっきの申し上げ方が不足でございましたが、前の法律には、人種、宗教、性別、門地云々ということは全部なかったのです。このうちに政治信条があったのを抜いたのではございませんで、何にもこういう制限がなくて、全く自由ということでございました。ただそれじゃ憲法の団結の自由があまりにも野放図であり、労働運動の目的とそれに基づく民主制というものが、どうも乱雑になる。この全文改正の主たる目標は、労働組合の自主制、責任制、それに合わせて大事な原則として民主制というものの裏づけ、ルールを作ろうということが目標でございました。従いまして、だれでも勝手に団結ができる。従って逆からいうと、きらいな者は排除できる。こういうことにつきまして乱雑ではいけませんので、ここに書いた限度のことは社会的機能、社会的目的、そうして組合本来の経済主義、民主主義からいって必要であろう。ただ政治的信条につきましてまで法律で拘束することは無理であろうということで、特につけ加えなかったということでございます。
○田口(誠)分科員 昭和二十四年前は憲法通りで全く自由であった。ところが改正後は政治信条だけは抜いて、これだけが窮屈になっておる。だから、それを抜かねばならなかったということ、窮屈にしなければならなかったということ、これを窮屈にしなければ、労働組合の民主的な運営ができないとか、あるいは何とかかんとか、その辺に何か労働省としてそうした意見があってお抜きになったと思うのでして、私はその点をお聞きしたいのです。だからそれを明確にしていただければ、私どもはやはり労働組合を結成するときの指導をする場合に、ちゅうちょせずして、民主的な労働組合としての組合の結成をさせて、運営の指導がしていけるわけなんですからして、その点を一つ明確にしてもらいたいのです。言葉の数は多く要りません、その点だけはっきり。
○冨樫政府委員 これは率直に申しまして、当時、一方におきまして司令部の指導を受けたわけでございますが、特に政治信条が――従来白紙のところに新たにこういう条件が入ったのに、政治信条が入らなかったことは、日本の労働運動の戦前以来の経緯にかんがみまして、政治信条の極端に異なるものも法律的に無理に一本になるというようなことは、かえってそれを法律で拘束すること、それによって組合内部の政治的紛争、従ってまた分裂といったような組合平和にかえって阻害を来たすこともあり得るだろう。従って法律で政治信条の異なるものもしいて一緒でなければできない、そういうものが入ってくることを断われないということまで法律で規制することはいかがかと思う。こういう趣旨と私ども了解しております。
○田口(誠)分科員 その改正をするときには、連合国、アメリカの方が幾分介在をされたように考えられますが、この介在をされたことは、おそらく今の資本主義を主張される人たちを抜くとかどうとかいうようなことはおそらく頭になかったと思うのですが、その他の方をこれはさしておると思うので、現在政党は自民党と社会党と共産党とありますのが、思想にはアナーキスト、トロツキスト、いろいろありますが、団体としてはその三つしか今大きい政党はございませんが、そうしますと、そういうような経過をたどって、下部の方で解釈に困って、ああだこうだというようなことを、やはり今もってこの規定をそのままにしておくということも、考える時期が来たのじゃないか、こういうように考えますので、あとの答弁はもちろんいろいろ研究はしていただけると思いますので、そういうことの改正を含めて研究をしていただいて、必要の場合には改正をお願いしたいと思いますし、また改正のなかった場合には、次の国会でそういう経緯をお伺いする場合もありますので、その点よろしくお願いをいたしたいと思います。 第二点の質問に移ります。第二点の質問は、労働組合は相互扶助というような考え方の上に立って、各県に労働金庫を作って、そうして実際に困った人たちには金を貸し、またそこへ貯金をして、相互扶助し合っておるわけなんです。そこで今労働金陣として一番大きな痛手をこうむっておることは、各事業主、各会社が社内貯金をやっておるということなんです。労働金庫の場合は、銀行法に基づきまして、定期でも六分一厘とか二厘とか、そんなものですけれども、社内貯金の場合には、一割というようなところもあるし、それ以上もあるわけなんです。そうすれば労働者は少しばかりの残ったものをどうかしてふやそうとすれば、自分たちが作った労働金庫であっても、そちらの方へ入れずに、やはり社内貯金の方へ積んで利子で利益を得ようとするのは、これは労働意識からいえば、そういうことは間違っておると思いますけれども、一般的な人情的な面からいって、そうしたことがなされておる。それで私のお伺いいたしたいことは、いまだにもってそういうことが、なされておるということは、もちろんこれは一方的になされておるのではなくて、労働組合の代表と協定をして、基準局へ届け出をして、それから実施をされておるのでございますけれども、ただそこで私が大きく疑問を抱くことは、御承知の通り、これは何年前でございましたか、保全経済会不正事件がございまして、ちょうどあの当時に出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律ができたわけです。それでこの法律の二条には預かり金の禁止について規定をいたしております。これはその内容を読み上げますと、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」こういう規定になっておるのです。そこで「他の法律に特別の規定」とは、これは質屋さんとか、こういうようないろんな法律があって、金融のできる人もあるのだから、こういう人を除いたものは事業としてやってはいけないということなんです。そうすると、今の事業所でやっているのは、ほかの事業をやっておって、ただ金融は事業ではないということは言えるかもわかりませんけれども、この業という解釈は、すなわち反復継続的に毎月々々同じように金額を積むということ、預かるということは業ということになるわけなんで、そうしますると、この出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の二条には完全に違反をしておると思うのですが、この点の解釈を承りたいと思います。
○大島政府委員 ただいま御指摘の問題、基準法の十八条との関連でありまして、この点業者の関係につきまして非常に解釈が複雑なもので、今関係省において打ち合わせをいたしております。なお結論についてはいましばらく御猶予を願いたいと思います。
○田口(誠)分科員 複雑ということは、おそらくこれは法律的にいっても、今ここで一億円なら一億円預かっておるんだ。ところがそれは出資の受入のあの法律に違反をするから、もうやってはだめなんだといってぽんといかれると、その事業主が経営のできないような場合には、経営のできるような範囲内に徐々に出させるとか、ある程度期間を持たせるとか、こういうことはできるようになっておるのです。その他のことはできないわけなんで、今のお話のように、そうした業者の方と話し合いをしておると言われるけれども、話し合いの余地が私はないと思うのです。話し合いの余地があるという話し合いは、何があるかということをやはり説明を願いたいと思うのです。
○大島政府委員 今御指摘の法律の第二条と、基準法十八条の関係につきまして、私今申し上げましたように、今関係省で打ち合わせをいたしておりますので、結論についてはいましばらく御猶予を願いたいと思います。
○田口(誠)分科員 それ以上の追及質問はいたしませんが、お打ち合わせをなさってみますということは、今申し上げましたような法律に違反をしておることだし、それから、そうかといって、今すぐやめよという命令をした場合には、相当事業の運営に支障を来たすというような点もあるので、そういうことをさせないという原則の上に立ってその処理をいつどういうようにしたらいいかということについて御相談をなさっておるのか、その他のことか。その二つのどちらかということをはっきりしてもらいたいと思います。抽象的に言ってもらってもわからないです。
○大島政府委員 ただいま申し上げましたように、両法律の関係につきまして、不特定云々の解釈につきまして打ち合わせをいたしておりますので、その法律的な結論を待ちまして、基準法の精神といたしまする労働者の保護に遺憾のないようにいたしたい、かように考えております。
○田口(誠)分科員 私は代議士は新米でございますから、政府の答弁がああいう答弁でいいものかどうかということに疑問があるのですが、打ち合わせ中だ、努力しますということは、大体その努力目標というようなものはいつまでにそういうような結論を出してやられるのか。こういう点をやはりはっきりしてもらわないと、私たちのような新人にはちょっと困るわけなんで、次の通常国会までとか、臨時国会までとか、いろいろそれはあると思いまするが、そうも長いことこれを何百時間も相談をせんならぬような内容のものじゃないと思う。ただこの場の質問を逃げるために言われちゃ私は困ると思うので、その点は一つまじめに御回答を願いたいと思いまするし、労働大臣もこういう点についてはやはり責任をもって善処してもらわなくては困ると思います。
○大島政府委員 なるべく早急にいたしたいと思います。そんなに長期間を要する問題ではございませんので、なるべく早急に解決いたしまして、今御心配になっておりますような問題のないように努力いたします。
○田口(誠)分科員 労働大臣からもこの点を明確に約束してもらいたい。
○石田国務大臣 ただいま御質問の趣旨は、出資の受入の法律と基準法第十八条の二項の規定との関連において、二項の規定の行為を行なうことは出資の受入等に関する法律の中における不特定多数云々というところに抵触するのではないかという議論と承っておりました。そういう点についての解釈上の調整をいたさしているわけでありますが、これは、今基準局長の話した通り、そうむちゃくちゃな時間を必要とするものではございません。その間の意見調整をできるだけすみやかにいたしたいと存じます。
○田口(誠)分科員 大臣ともなると割合にものは大ざっぱにお考えになるのでそういう御答弁になると思いますけれども、基準法からいたしますると、今お話しになった点は、両方が協定書を結んでやればやれるということになっておるけれども、私はそういうことをすることが今申しましたところのやみ金融の取締まりの法律に違反をする。だからその点のところをよくやってもらわなくては工合悪いと思うのです。これは違反になることははっきりしておりますよ。これはどの条文をどう横からながめても縦からながめてもはっきりしております。労働基準法の場合は、経営者と労働者の両方が協定を結んで、基準局へ届け出をして、許可を受ければ、それはやれるということになっております。もう一つは、貯蓄組合法に基づくところの貯蓄組合を作ってやればやれるということになっておりまするけれども、この貯蓄組合の場合でも私は大きな疑問があると思います。今実態を申しますると、今までは約束をしてやっておったけれども、これはもうやめましょうというので、破棄通告した。これは労組法の協約の効力を失する条項に基づいて、通告してから九十日間たてば効力が発するということで、九十日たってもまだどこにどうなっているかわからぬが、ずっと続けられているということです。やはりこういう利害関係を持つものであるならば、法律で明確にさっといってもらわなければ、ぐずぐずと解釈やらいろいろやってもらっておっては、実際に下部の方では困るわけなんです。これは経営者の場合でも、その点はやはり明確にしてもらって堂々とやりたいと思いまするし、労働者の方としましても、今言ったような法律違反というような不明確なままにこういうものを争点として残してやっていることは、これは労使の紛争をいつまでも招いていることになりまするので、労働省は労使の紛争をなくして、円滑に正常化さして産業経済の発展に寄与させるという方に指導されるのが当然であろうと思うのであります。だからそういう上からいっても、こういうものに今まで手をつけないというのはそもそも間違っておると思う。まあこれ以上この点については質問いたしませんが、強くその点を要望いたしまして、また次の機会に私は御質問をいたしたいと思いますので、今申しましたような線で努力していただけるかどうかということだけを一つ御答弁いただきたい。
○大島政府委員 ただいま御指摘また御心配いただきましたことのないように、一つ早急に解決いたしたいと思います。
○田口(誠)分科員 それでは質問を終わります。
○北澤主査 井堀繁雄君。
○井堀分科員 時間の都合もありますから、ごく簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。私は、労働省の予算を拝見いたしまして、幾多の疑問を感じております点をお尋ねをいたしたいと思います。 今度の池田内閣の重大な国民への公約でありまする新長期経済政策遂行の上に、労働行政の占める地位はきわめて大きくなってきたと思うのであります。ことにこのことは、日本の労働行政に対して、国際的にもまた国内的にも、大きな転換を要請されておるとも見られるのであります。そういう点で、ここにあげられておりまする労働省の予算の全体で分析いたしてみますと、この政府の基本的な方針とマッチしておられると思う点が、私どもに納得ができないのであります。具体的に一、二あげてお尋ねをいたしますと、この政府の長期計画の大きな政策のよりどころを五つに分析してわれわれに説明をいたしておるようであります。その中で一番私ども関心を強く持ちまするものは、国際経済の中に日本の経済成長を大きく期待しておりますことは、これは与野党を問わず、全国民の大きな希望の的であると思うのであります。これを成功させるかどうかということは、ひとり池田内閣の政策の可否を問うだけではなくて、日本民族にとって重大な結果を及ぼすことになると思いまするので、慎重に政府もこの実施計画を進めてもらわなければならぬと思うのであります。そういう意味で、重要なポイントと思われる点をごく短い時間にお尋ねをいたしますので、御答弁もぜひ一つ急所だけお述べいただけばけっこうだと思います。 その一つは、今度労働省の予算の中にちょっとその片りんを現わしておるのでありますが、言うところは、の増大あるいは労働の質的改善をやる、あるいは労働の適正配置という言葉を使っておるのでありますが、予算の上で見てみますと、莫大な総予算の中で、この重要な転換策に用いられておりまする全額は、わずかに十五億二千余万円にすぎないのであります。しかもそれをさらに分析してきますると、この国会に新しく提案をされておりまする雇用促進事業団に大部分が期待されておるようであります。私は、このかぼそい計画でこのような大規模な政策転換を、しかも十カ年計画の初年度に昭和三十六年は入るのでありますが、こういう点から見ていきますと、どうもまゆつばだという感じが強くいたしてなりません。もちろん初年度でありますから、その後十カ年のうちにどういうように転換を遂げられるかということについても、多少まだわれわれはお尋ねをして明らかにしなければならぬかと思うのでありますが、こういう状態の中ですぐ考えられまするのは、この雇用の問題につきましては時間を要しますので多くはお伺いいたしませんけれども、この十五億二千余万円の中で、新しく今度計画されておりまする雇用促進事業団については、また他日お尋ねをすることにいたしまして、この点は保留をいたしておきますが、そこで、これと国際関係の問題について私はお答えを願っておきたいと思います。というのは、この国内的な政策を遂行していくためには、どうしても国際的な競争の中で問題が起こってくると思うのです。これは他の場合にもお尋ねがあったようでありましたが、たとえば国際競争に打ち勝っていくためには、二つの条件を満たさなければいかぬのじゃないかと思うのであります。 その一つは、やはり日本が国際的な高い信用を得るための措置が、労働行政の中で強くとられなければいけないのじゃないか。これは説明するまでもありませんが、現在先進国におきましては、この問題に対して異常だと思われる力を注いでおるようであります。きょうの新聞でも拝見できまするように、アメリカのケネディ政権が第一に取り上げて参りましたのは、やはり国際労働の関係に対する異常な動き方を見ることができると思うのであります。北欧の各国におきましては、もう古くからこの点に多くの精力が注がれてきた。ところが日本の場合は、残念なことには、国際関係の上で見られるのは、何か日本の政府と日本の労働団体が、国際舞台において泥試合をするかのような印象を強く諸外国に与えておると思うのであります。この点の欠陥を私はすみやかにこの初年度において改めていく具体的な処置が望ましいと思います。この処置についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、具体的には、私は二つの点についてお答えをいただきたいと思うのであります。 一つは、先進国がそれぞれとっておりまするように、これは日本の労働組合の責任もあると思いますが、労働組合がそれぞれ国際的な場所、たとえばILOの事務局のありまするジュネーヴや、あるいはアメリカやその他のヨーロッパに代表者を常置させて、労働団体との交流をはかるはもちろんのこと、国際的な経済、政治その他についての連絡、啓蒙の活動というものがやはり常時行なわれてこなければ、国際的な労働者の地位や信用というものを高めることはできないと思うのでありまして、このためには政府も、労働団体のこういうような意欲的な動きに対して、具体的、積極的な援助や協力というものがこの際やはりとらるべきではないか。それから政府の政策の中で、先進国でとっておりまするものを見ますると、国々によって多少の違いはありまするが、二、三の例を見ますると、労働運動の高い経験者、労働運動者の中から、そういう人々を労務担当者として、あるいは担当官として各地に駐在させて、常時国策遂行あるいは国際的な労働関係との間の提携を強めておるということは、これはもうかなり前から行なわれておるのでありまするが、最近、非常に活発になってきているということは、これはきわめて重大なことではないか。こういうものに対する労働省の予算は一向に変化が認められない。従来国際労働課がわずかに連絡機関を保つといったような状態以上に出ていないと思います。これは政府の政策の中にも強く主張しておりまする輸出競争力を強化していくための大事な一つの、第一に打っていかなければならぬ政策ではないかと私は思うのでありますが、この点に何らの処置が行なわれておりません。この点に対する労働大臣のお考えを一つ伺って、なお一、二質問をしてみたいと思います。
○石田国務大臣 わが国が諸外国に対して輸出競争力を増大して参って、それによって日本の経済力の伸張をはかって参りますためには、まず国際信用を高めることが必要である、この御意見は全く同感であります。そのうらはらとして、何かあれば労使の紛争がすぐに国際場裏へ持ち出されるという傾向、これは遺憾なことだと存じます。やはり国内でお互いに話し合って処理するような努力をしなければならないと思いますので、労働行政の上においても十分な反省と努力をしたいと思っております。それについての予算的措置が少ない、不足である、こういう御指摘でございます。これも私は決して十分なものとは存じておりませんので、さらに一段の努力を続けて御期待に沿うようにしたいと思っております。
○井堀分科員 今私のお尋ねいたしました二つの具体的なものに対する見解を伺っておきたい。つまり労働組合の人を海外に常設の人々を送ろうという計画に対して、政府はどのような具体的な援助協力をなさろうとするか。もう一つは、ILOやその他の重要なポストに労務担当官あるいはそれに匹敵するような経験者を日本から送るという御意思はこの際ないのかどうか。
○石田国務大臣 前後のことは、一つの十分な研究課題だと存じます。ただ労働組合運動それ自体の役割の問題、それからもう一つは外国へ政府の費用で出ていくという場合における身分的政治的関係、諸般の点を研究しなければならない問題が多いと思いますが、やはり諸外国に対して日本が労使ともできるだけ同じ歩調をとり、国内における労使間の問題、あるいは政府と労働者、政府と使用者間の問題というものは、できるだけ国内において処理する政策をとるという態度をとっていくことを前提として進めて参りたいと思っております。 それからいわゆるレーバー・アタッシェのようなもの、現在でもできるだけ出しておるつもりでございますが、本年は一名増加させるべく努力をいたしましたけれども、関係官庁との話し合いがちょっと時間的に不足しておりましたものですから、本年は増加できなかったのでありますが、後段の点はあらゆる機会を見つけて実現に努力をしたいと思っております。
○井堀分科員 あなたと議論するつもりはありませんけれども、国際的な信用を高めるということを具体的にやることは喫緊な問題なんです。それは具体的でなければならぬと思うのですが、あなたの御意見を伺いますと、日本の労働団体が国際舞台で争いをかまえていることは適当でない、国内の問題は国内で片づけたいということのようでございますが、私もその範囲内においてはそうだと思うのです。しかし国際的な性格を帯びておる問題は、やはりいやが応でも出ていくわけなんです。ところが、私の判断は誤っておるかもしれないけれども、日本が国際的な高い地位を得ながらも、実際はその言語や風俗あるいは地理的な条件によって、国際的な交流に非常な不便があるということは認める。だからこそ、その障害を積極的に乗りこえる政策がより必要になってくると思うわけです。われわれがたまに労働団体の国際的な会合に出ましても、第一言語が不自由ですし、それに日ごろつき合っておりません。ですからいろいろな実情について相通ずるというような機会がないのであります。こういう点では、労働団体も近ごろ国際的に非常に活発な活動をしてきておるのであります。それは闘争力を強めるとか、あるいは資本家との備えにするといったような階級的なものよりは、今日ではもっと高い、すなわち世界の平和や世界の人類に貢献しようという福祉活動の方に国際的舞台が転換しておるということは言うまでもないのであります。そういう時代に乗りおくれておるということが言えるのじゃないか。私はその一つを補うためには、すみやかにそういう状態に接近する機会をより多く作っていくということを政策の中で取り上げていかなければならぬ時期がきておるのじゃないかということを申し上げておるのであります。今のようにこういう状態をいつまでも続けて、地位だけは高く評価されて、実際活動においては廃園に閉じ込められているような形において、今や国際的な舞台において労使関係の問題を論議しなければならぬという場合においては、それがゆがんだ形で、ひずんだ形において出ていくということは、現象的にやむを得ぬと思う。だからそれを改める具体的な措置が必要になってくるのじゃないかという意味で、以上二つの点に対して政府の具体的な見解をお尋ねしたわけであります。つけ加えていただければなおけっこうだと思います。
○石田国務大臣 先ほど申しましたように、御趣旨においてはまことに賛成であります。接触を深めていくことは結局理解を深めることでありますし、日本側の労働運動ということだけでなく、相手方、諸外国に日本の実情を知らしめるためにも必要なことだと思います。ただそれが今度具体的にされる場合のその援助の内容については、検討を要すべき点がございますが、御趣旨については全く同感であります。特に後段のレーバー・アタッシェのようなものを増設していくことについては、私どもも本年度も具体的な努力をいたしたつもりでおりますが、今後ともそういう努力をしたいと思っております。
○井堀分科員 もう一つ、国際的な関係でよく例が出るのでありますが、これから国際的な舞台においてどうしても一番先に問題になるのはテープ・レーバーだと思う。テープ・レーバーなんといわれることは日本民族にとって非常に迷惑しごくだという感情の点においては一致するのでありますが、現実の問題においてはたしてテープ・レーバーでないという抗議を一これはこの間本会議でも労働大臣が、名目賃金の比較の中において、そうではないという主張をされておりましたが、これはきわめて根拠のない主張でありまして、今きっとその統計を読まれるだろうと思うのですが、その統計は実にあやしげなもので、それ程度しかないということでありましては、これは心細い次第であります。問題は、名目賃金の比較ではなくて、今国際舞台においては問題になっておるのは実質賃金の比較であります。たとえば国際的な労働機関の中では、IMF――世界金属労働者同盟のごときは、もう四年も前に、金属労働者だけではありますけれども、実質賃金の調査をいたしまして、しかもILOの理事会に実質賃金の調査を建議いたしておりますことは顕著な事実であります。その場合に、私は日本の比較は非常にむずかしいと思う。お米を主食にしているというような違いもあるでしょうし、いろいろ違いがあると思いますけれども、私は、今労働省が用意しなければならないのは実質賃金の比較だと思う。こういう点について用意がないと、だろうと思うというようなことを言っていたのでは、池田内閣の今の長期計画なんというものはちっとも推進されないだけではなくて、大きな弊害を残す危険がある。また同じ統計を読まれるかもしれません、少し斬新なものが出てこなければならぬと思っておったのでありますが、おそらくないかもしれません。もしおありでしたら伺いたい。
○石田国務大臣 本会議で読み上げました統計は本会議の速記録をごらんいただきたいと存じます。私は、日本の労働賃金は全体として満足すべきもの、あるいは決して高いものだとは考えておりません。しかしながら、同時に、特にいわゆる中小企業、農業労働の他に見られる潜在失業者と申しますか、不完全就業と申しますか、そういう人々の賃金水準のごときは早急に改善を要すべきものだと考えております。そういう点については鋭意努力したいと思います。ただ、円とドル貨の換算、それを一ドルと三百六十円という数字そのままで世間に表現されることは、これは実情と違うのじゃないかということが一点、第二点は、賃金外給付とでも申しましょうか、福祉施設の負担というものとの給付関係というものが、今おっしゃいました実質賃金という中に入ると思うのでありますが、そういうものは諸外国においては主として労働組合で行なわれているものが、会社で行なわれているという場合が非常に多いのでありますから、そういう勘案から考えていきたいと思っております。そこで一ドルを三百六十円とした場合に、日本とアメリカとの関係は一〇〇対九六〇くらいになるわけでありますが、それでは円の実質購買力というものを考えました場合に、これはこの前本会議でも申しましたように、一昨年の統計で三百六十円が約二百円になります。それから一九五二年でありますと、百九十円くらいのところであります。これは統計上こういう数字が出ておりますが、アメリカに実際滞在しておる人々が一ドルというのは大体百円だ、そういう印象で帰ってくる人もあるわけであります。従って一ドルを三百六十円という換算にすることは、私は実情に沿わないのではないかと思いますことが一点。それに関連をいたしまして、いわゆる消費者物価水準というものも違う。もう一つ生活内容の調査をいたしてみました場合に、たとえば、これは取り上げ方がへんぱであるとおっしゃればそれまででありますが、繊維の消費率は日本はアメリカ一人当たり十五・五に対して七・九キログラムでありまして、イタリアの六・三よりは多く、フランスは九・七、イギリス、西ドイツは十一・七と十一・五であります。それからテレビの普及率は、日本はアメリカの次であります。そうして西ドイツ、フランスを上回っております。それから電気洗濯機の普及率も、日本はアメリカの次でありまして、西ドイツ、フランス等を上回っているのであります。それから今度は逆に悪い方を考えると、動物性蛋白質の摂取割合とか、あるいは住宅の狭小率とか、あるいは下水の普及率、道路の舗装率、こういういわゆる公共的な――動物性蛋白の問題は公共的ではありませんが、公共費で負担すべき部分についての施設が、日本は非常に悪いのであります。そういうふうに見て参りますと、アンバランスというものがございます。極端に言えば、パリの水道の水は飲めないけれども、日本の水道の水は飲める。しかし自動車の普及率はパリの方が日本よりもうんと高いとか、あるいは水洗便所がなくても日本ではテレビを先に買うとかいう文化上のアンバランスはございます。しかし、そういう数字を見てみますと、必ずしも全体的にテープ・レーバーだというて極端に攻撃される性質のものでもないという数字も出て参るのであります。それでなお一時間当たりの平均賃金というものと実質賃金の比較、それは貨幣賃金比率に対して消費者物価の比率のものを加えまして、換算をいたしました数字は、日本を一といたしまして、米国は五・二、英国が一・八、西ドイツが一・七、フランスが一・二、イタリアが一・一こういう数字が出て参るのでございます。従って私は、先ほどから繰り返して申しますように、日本の労働賃金が商いということは決して言っておりません。同時に特に相当数の低賃金層の存在ということも重大な問題と考えておるわけでありますが、しかし現在アメリカで日貨排撃の基礎として、日本の労働賃金が低い、テープ・レーバーのものを買わないという宣伝にわれわれは対抗し得る材料があるのだ、こういうことを申し上げているのであります。
○井堀分科員 数字でありますから数字でまたお尋ねするのが本来なのでありましょうが、私は用意がございますが、時間のお約束もございますから、またの機会を得たいと思うのでありますが、ただこの機会に労働大臣に要請をしておきたいと思います。本会議やこの機会、その他の機会でも何回か労働大臣は、国際賃金比較の問題に対して日本のために大いに弁じ立てておることについて、そのお気持はよくわかるのでありますが、残念なことには、そういうことで外国のテープ・レーバーへの攻撃を食いとめることができるというお考えは少し甘いと思うのであります。それから材料もわれわれはもっと持っておるわけでありますが、問題は、やはりこの際日本の実質的な生活内容はそんなに低くないんだという主張をされようとするならば、それに見合うような国際的なデータを持つべきだと思うのです。それから同時にその裏打ちをするためには、自主的に組織されている自由な労働組合の援助がなければ国際的な信用を維持することはとうていできない。世界の先進国ではこれを言っておる。日本の場合は、政府が一生懸命力んでみても、一番世界的に信用の高い組織労働者のそれに対する反駁が出て、日本の国際信用はがたっと落ちておる。あるいは迷わせておる。私は、労働政策は今の労働省の性格の問題にも通ずるので、これをお尋ねしようと思ったのでありますが、時間がありませんので伺えませんが、何か日本の労働省は、労働団体との間の対立的な中を泳いでおるような印象を一般に与えておる。特に国際的にはそういう印象が高い。労政局なんていう名前もよくない。むしろ福祉局あたりにした方がいいと思うのです。労働省というものは、少なくとも国際的な舞台においては、日本の労働事情を正確に把握すると同時に、その労働事情は、今のような、統計資料を見ましてもきわめて間に合わせ的にかき集めたような、どっかから突っつかれるとすぐくずれるようなものであってはもちろんなりません。同時にその信用を維持するためには、今日民主社会においては組織労働を無視して国際的な信用なんかはあり得るものじゃありませんから、もっと日本の組織労働、労働組合の協力を得られる部分があるはずです。そういう点誤っておるのじゃないか。データも何か労働者に対して安くはないぞ、しんぼうせいというふうに押しつけるような、経営者側の意思を代表するかのような印象を与えるようなデータの出し方はいけないと思う。もっと労働の生産性を引き上げて労働の資質を高めるためには、こういう賃金のあり方でなければならぬといったような意味での数字であれば、多少乱れておりましても日本の組織労働の支持が得られるのです。こういう点に大きな間違いがあるのじゃないかと思ってお尋ねしようと思ったのでありますが、その御用意ができていないようであります。深く反省していただかないと、今池田内閣がせっかく計画をいたしております所得倍増の基礎になります国民総生産を引き上げていくとかいう場合に、問題がここからもくずれてくるのではないか。なお、国内的なものにつきましては、予算全体を見ますると、もういずれを見ましてもこれでいいのであろうかという前に、とても無理じゃないかと思われる点がたくさんあります。私は予算委員会の場合にもお尋ねをいたしまして非常に残念に思っておりますのは、日本の労働実態をもう少し正確に数字の上で把握してもらうと同時に、それはあくまで労働者の地位の向上によって、あるいははなはだしいアンバランスを直すという形において労働省は答弁なさるべきではないかと思います。ほかの省との関係などについてもお尋ねして参りました。労働省の政策を遂行していくためには、たとえば労働力の移動を円滑にするという政府の政策は、一つには物質的に、一つには精神的に、その物質面におけるたとえば住宅や交通事情の問題、あるいはあなたも言われましたように、生活環境の大きな問題であります環境衛生の問題などについてもお尋ねをしてみたのであります。いずれもばらばらであるのみならず、むしろそういう政策をはばむ現状ばかりがたくさん出てきておるのであります。こういう際でありまするので、私はぜひとも労働省の性格をもう少し前向きに改める必要があると思うのであります。これは印象でありますが、具体的にいろいろあげて議論をしていけば結論は一つ出ると思うのですけれども、さっきもちょっと冗談に触れましたように、労働省が、労働組合や労働者全体に対する保護については、これはあり方はいろいろあると思うのですが、最も大事なことは、個々の労働者の人格を守っていくと同時に、組織労働-近代社会においては、やはり組織労働を尊重していかなければなりません。その組織労働に対しては、どうも摩擦の面が出てきている。もっと労働者の福祉なんかについて積極的な意欲が閣内において燃え上がってくるという感じが出なければいけない。それが革新政党の場合でありまするならば比較的低調でもいいかもしれません。保守党内閣における労働省の役割というものは、どこの国においてもそうであります。絶えず強い抵抗が行なわれてくるという感じが労働者に受けられなければならない。どうも日本の労働大臣というのは、ストライキのときに表に出て、まあまあと押えるような感じを受けておりますが、特に従来の労働大臣には見られない手腕と力量が高く買われております石田労相でありますから、きっと腹の中には、そういうものに刷新したいという意欲がおありと思うのでありますが、残念ながら予算の上では私は知ることができませんが、しかしそういうものに対して、こうだという御見解がありますならば、私ではなく、国民に一つそういう計画を明らかにする用意を聞かしていただきたいと思います。
○石田国務大臣 労働省のあり方について、労働省が組織労働に対して対立的、対抗的ではないか、そしてもう一つの点は、統計資料その他が、労働者に不利な統計資料をとる、こういう御質問でありますが、私は労働省の本質的なあり方というものは、どうも労政の面だけが表へ出ているようなあり方は、労働省の本来のあり方ではない。やはり基準行政なり職業安定行政なりという実質的な内容を持つものがもっと世間では注目され、労働行政の中心でなければならないと思っております。予算の面あるいは人間配置の面においては、九十数パーセントはそっちの方へ向かっているわけです。実質はどうもそうでなく見られる点を遺憾といたします。 それから労働組合、組織労働との接触あるいは組織労働との協力関係というようなことは、鋭意私どもの方も努力をいたして参りたいと思っております。しかしこれは相互関係である点が非常に多いのでありまして、私個人といたしましては、決して対立的な関係や、偏見や、予断をもって臨んでいないことを明確にしておきたいと思います。 それから統計等の資料でありますが、この統計等の資料の出し方、特に今の国際賃金水準についての統計の資料の出し方は、私は繰り返し申し上げておりますように、日本の賃金水準がこれで満足であるとか、高いとかという前提に立ってものを申しているのでもなければ、その内容に複雑な他の要素を含んでいることも私は承知して申し上げておるわけであります。そういう前提の上に立って、現在アメリカ等に起こっておるような事態は、しかしそういう前提の上に立ってもなお事実をゆがめている面もあるんだということを申し上げていることを明確にしておきたいと思います。賃金水準を上げなければならず、特に賃金格差、あるいはまた農業労働に見られるような悪条件、あるいは臨時工、社外工の存在、そういうものの改善に努めていかなければならぬということは申すまでもない次第でございます。労働省のあり方は、先ほどから申しましたような線に沿って努力をしている次第でございます。
○井堀分科員 時間がありませんので、あとは一つ私の方の考えだけ述べておきますから、もし御意見がございましたら簡単に伺っておきたいと思います。 一つは予算の中で、さっきもちょっと触れましたが、雇用の拡大や労働の資質の改善あるいは労働力の適正配置などに対する政府の大きな方向と、予算の金額を見てみますと、わずかに十五億二千余万円、それから失業対策関係などにつきましても非常に楽観的な ように私は感じます。というのは、完全失業者の数が減ってきたからという ことに何か安心をされて、失業対策事業に対しては後退したような傾向が数字の上でもわかりますが、この中でわずかに二百六十六億五千余万円しか組 んでおりません。これなんか確かに私は時代に逆行する数字だと思います。 それから中小企業の労働対策については、日ごろから石田労政が非常な意欲を用いられている点に対しては、敬意を表するわけですか、中身がどうもございません。予算を見てがっかりしたのでありますが、中小零細企業の労働対策として打ち出された中に、労働条件の改善、労働福祉の問題、労務管理の適正化やあるいは最低一賃金の問題、退職共済や労働時間の適正など、大へんたくさんの項目をあげておりますにもかかわらず、数字はわずかに二億三千余万円を組んでおるにすぎないのであります。その内訳を見てみますと、またいずれもこれはほんの申しわけの数字のようにしかならぬのではないかと思われますが、こういう問題についてはもっと大きい予算を割愛できなかったであろうか。 第四の問題は、労使関係の安定のための経費が四千余万円組まれておりますが、これなんかも思うように進行できない。ことに私は産業災害対策については、政府の予算内容を見ますと三千余万円の新しいものをちょっと組んでおるだけです。こういうことでは羊頭狗肉ではないか、看板倒れではないかという感じが強くいたします。というのは、政府の政策が前進していくと、産業構造の改革や改善などがだんだん進められると思うのでありますが、そういう問題を当然処理していくための労働行政の中では、産業災害及び職業病に対する対策というのは、斬新的なものを打ち立てていかなければならぬと思うのであります。こういう点について見ますと、わずかに三千余万円新しいものを組んだにすぎぬのでありまして、たとえば労災保険の特別会計に四千余万円……。 〔私語する者多し〕
○北澤主査 静粛に願います。
○井堀分科員 じん肺など長期傷病者補償費五億七千万、あるいは一番大切だと思われるもので、割合軽視されておりますものは産業災害及び労働衛生の研究機関に対する態度というものが、諸外国の先進国に比べますと非常に冷淡なようであります。たとえば二つの研究所に対して五千余万円と、四千余万円の労災特別会計に支出が行なわれておるという程度であります。あるいは婦人青年労働に対する問題なども多くの問題が残っております。家内労働の問題は、ここらに大きくしわ寄せされてくると思うのでありますが、言うことと労政行政の中に盛られております予算の数字とは、あまりにも懸隔があるというふうに思われますので、長期計画でありますから初年度は多少控え目になったかもしれませんが、こういう点にはぜひもっと積極的な数字が盛り込まれて、納得できるようになすべきものではないかと思われるのであります。 時間の関係がございますのではなはだ不得要領に終わったのでありますが、私は労働行政がこの際池田内閣にとっては一番大きな役割を果たす、正面に立っておると思いますから、以上お尋ねをいたし、かつは要求をいたしておきたいと思うのであります。
○石田国務大臣 今いろいろ御指摘の点につきまして、もとより国会の予算要求額あるいは予算獲得額が十分なものとは存じません。しかしその与えられた予算の中で最大限の効果が上がるように努力をしたいと思います。また次年度予算その他の折衝につきましては、労働行政の重要性にかんがみまして、さらに一段の努力をいたしたいと思います。
○小林(進)分科員 議事進行について。――大臣の診断書も出ておりまするし、お工合も悪いようであります。質問はやはり予算に関連いたしまして相当重要な問題が残っております。残っておりまするが、しかしこれは人権問題であり、病気で質問にたえざる大臣をここまでくぎづけにして審議を進めることもどうかと考えますので、大臣の病気が全快されるまでこの分科会は一つ延期する、こういうことできょうはやめていただきたいという提案をいたします。
○北澤主査 質問を継続したいと思います。大臣の病気もあることですから、なるべく簡単にお願いしたいと思います。小林進君。
○小林(進)分科員 私は社会労働委員会のレギュラー・メンバーでございまするから、労働問題に関する諸般の問題は、いずれ社会労働委員会で一つゆっくりお伺いをいたすことにいたしまして、きょうは実は緊急な問題についてほんの十分間ばかり大臣にお伺いいたしたいと思います。決して意地悪いような質問ではございません。御健康の点も十分考慮いたしましてやりたいと思いまするから、一つ的確な御答弁をいただきたいと思うのであります。 それは、ほかでもございません、病院ストの問題でございます。実は東邦医科大学の付属病院で昨年の十月以来ストライキが起こっているのであります。これが二月二十七日付で、三十名の、われわれに言わせれば不当解雇の通告であります、そういう通告が発せられて、また事態が新しい段階に突入をいたしました。この、ここに至るまでの労働省側の処置、経過並びにこれに対する御所見等を承っておきたいと思います。
○冨樫政府委員 経過等についての御質問でございまするので、私からお答えを申し上げます。 昨年来の病院ストのうち、東邦医大は、率直に申しまして、全学連の学生の方々なども昨年参加されたりして、相当鋭い対決をしておられたように見えます。その結果、いろいろのいきさつがございましたが、特に特異な姿といたしまして、昨年末に病院側が患者の減少ということで三つの病棟を閉鎖いたしましたところ、その一病棟を組合が占拠したという、何と申しますか、争議の中心議題からの派生事件が起こった。こういう問題はすぐエキサイトして、かあっとなるのでございますが、そういう問題を不幸にして惹起いたしました。で、われわれも憂慮し、特に東京都の労政機関にもいろいろ心を配るように注意しておったのでありますが、幸いにして、先月の十八日でございましたか、東京地裁の和解的あっせんに基づきまして、病棟占拠問題はまず円満に解決いたしました。二十一日から団交再開の運びになりまして、われわれもその成果を期待しておったのでありますが、おっしゃいましたように、一作々日付で、われわれにとりましても、突如として幹部三十名の解雇通達が出されまして、ちょっと意外な感じを受けたのであります。こういうことで、従来の経緯をも含めまして労使関係がエキサイトする、こじれるということは、従来の中小企業の経験からしてもそうでございまするので、事態を千分に調べて、できるだけ善処したいと思っておるのでありますが、目下解雇事由等につきましては、抽象的に、正常なる労働運動のワクを越えたという一般理由のほかに、解雇された職員について個々の理由等があるようであります。目下労働本省、東京都の労政機関と一緒になってその実態を調査中でございます。
○小林(進)分科員 これは、私は問題は二つの省にわたっていると思うのでございます。唯一は、実はあなた方の労働基準局長やあるいは労政局長がこの委員会に出て下さるならば、私の査問は終わったのです。あなた方を一生縣命探したが、行方不明でいない。いられないから問題を半分きょうへ持ち越したのです。しかしこの問題は、少なくともベッドが五百床あって、そうして外来が一日八百名、こういう規模の病院、これは医療法に基づくと、少なくとも看護婦は百八十名を要する。ところが、現実には百二十名しかいない。そのうちまた二十三名看護婦を含めて首切りを行なったのでありますが、これは医療法に基づく病院管理の面からいってもめちゃめちゃですが、そういうことを今日まで医療の監督に任ずべき厚生省当局もなおざりにしておった。これは厚生省医務局の責任は免れない。けれども、厚生省は反省をいたしまして、早急にこういう医療法上の不備の点は責任を感じて処置いたします、これは明確な返事をなさいました。労働省としては、去年の八月にここでは労働組合が結成をせられて、いわゆる過重労働の問題あるいは低賃金の面でのベース・アップの問題というような、当面逼迫する問題をひっさげて労働委員会に提訴した。委員会は、組合側の要求を全面的に認めたわけではないけれども、少なくとも百八十名の定員に対して少な過ぎる、労働が過重過ぎる、労働管理もよろしくないという一応の前提があったものとみなされたのでしょう。さしあたり五十名の看護婦を増員せい、ふやしなさい、こういうあっせんをしているわけだ。ところがその後経営者は五十名増員せよという増員を一名もやっていないじゃないか。あっせんを土足にかけて依然として過重な労働をしておりますから、それにたまらなくなって、組合が十月の十八日、今はやりの病院ストの皮切りをやったわけです。一番苦しいものが一番先に苦しい声を上げるのです。悲鳴を上げるのです。悲鳴を上げてストライキ行動に移って、その結果、あなたもおっしゃるように、これに対抗して、病院側は昨年の暮れの十二月二十三日ですか、十二月の半ばについに病棟を二つだか三つを閉鎖した。そこで組合はいわゆるすわり込みをやった。占拠というか、すわり込みというか、それは言葉の問題だが、われわれに言わせればすわり込みをやった。これに対して相手側はすわり込み排除のいわゆる仮処分の提訴をした。ところが仮処分に対して裁判所側は、これはやはり話し合いをしてやるべきである、こういう勧告をしたわけだ。裁判所側の勧告に基づいて組合側はすわり込みを解除しました。あなたの言われる占拠をやめた。そして赤旗をしまった。そして平和のうちに団交を進めていこうじゃないかという態勢に入ったのでしょう。そのときに、いろいろの経緯はありましょうけれども、今日の首切りを行なってきたのであって、この間においてこういう労働委員会あたりのあっせんを拒否した経営者側の態度に対して、労働省は一体どういう見解をお持ちになっているのか。特にはなはだしいのはあそこに労働基準局があるでしょう。この病院にはこういう過重な労働が行なわれているのを基準局は一体今日まで監督しなかったのですか。それから就業規則もない。戦後今日に至るまで、こういう四百五十名から四百九十名、五百名くらいいるような大きな職場において、そういう就業規則一つさえできていないものを黙認してきた、放任してきた、これは私は労働省側の大きな責任じゃないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
○冨樫政府委員 基準法に関する違反取り締まり等につきましては、基準局長からお答え申し上げますが、仰せになりましたように、私どもといたしましては、大臣が昨年以来声明、要請されておりますように、この種の事件は、ともかくいろいろ経緯がありましても、第三者機関によって解決することが一つの路線であるという建前から申しまして、この第三者の調停、あっせん等を尊重して解決するということは、仰せの通りでございます。われわれといたしましても、都の労政機関と協力して、その線に沿うべく陰に陽にやってきたつもりであります。まことに不幸にしてこういうことになったことは、力及ばざるところであったと率直に考えます。特にここ数日来、いわゆる病棟問題が解決してようやく団交に入ってやれやれと思ったときに、こういう解雇が出ましたことは、衷心より私どもとして遺憾に存じております。一顧の裏の裏までよく調査いたしまして、できるだけの善処をさせていただきたいと考えます。
○小林(進)分科員 私はこの問題については、今日まで労働管理やその他の面において労働省が何らの処置をしておらないその怠慢を責めている。いま一つは、これは労働大臣が厚生省の医療行政に対しても一応の忠告ですか、与えられているように、病院の労務管理に対する未熟の点、いわゆる封建的な管理制度で、ところがそういう忠告が与えられているものを、労働省のそういうものを無視して経営者が一方的にやっている行為です。あなたは全学連が入っているということをちょっと言われましたけれども、それは争議が起これば、全学連だけではありません。他の組合がストに入れば支援に行くのは、これは世界の国際的労働慣行です。弱いものが団結する、弱いものに支援に行くのはあたりまえです。その中に全学連の学生が二名入ったか、五名入ったか十名入ったか、それを特異な現象のように引き出してきて、そうして一方的に馘首する理由にするということは、私は今日置かれている労働行政自体、労働省、それ自身を土足にかけた、実に思い上がったやり方ではないかと思う。 なお、話の内容の中には、聞けば病院の中で組合がビラを張った。それは組合はストライキに入ればビラを張ったり、チラシをまきますよ。そのビラやチラシをまかれたために病院がよごれた、そのよごれたものを清掃する代金が百八十万円かかる。その百八十万円のいわゆるよごれ賃を組合に請求してきておる。それを組合が払わなければ分割請求して、各組合員の俸給からそれを差し引くというようなことで、どうかつしている。一体そういうことは許されるのですか。
○冨樫政府委員 ただいま言われました清掃につきまして、清掃代の請求をするというようなことをどういう根拠でどういうふうにやっておるか、そういうことも含めて全部調査しておりますが、調査の結果に基づきまして、法的に取り締まるところは厳重に取り締まります。
○小林(進)分科員 厳粛にやりますね、取り締まりますね。それだけは忘れませんよ。
○冨樫政府委員 はい。そのほかに労使関係という観点から円満解決という両面から最善の努力を一尽くします。
○大島政府委員 ただいま御指摘のありましたような賃金差っ引きの問題につきましては、至急調査いたしまして、処置をいたしたいと思います。 なお、全般的な病院の基準監督、労務管理の指導につきましては、先刻申し上げましたように、昨年暮れに全国に通牒をいたしました。また二月一日には地方の基準局長、労働部長に私から厳重に指示をいたしまして、全般的な労務管理の指導監督を強化することに一意努めておりますが、今後とも努力をいたしたいと思います。
○小林(進)分科員 何だか赤い紙で催促がきましたからやめますが、しかしあなたは通達をやったと言われますけれども、これは監督するのは結局大田労働基準監督署ですか、それは一体具体的に何をおやりになったのですか。どういう就業規則をお作りになられましたか、どういうようにそういう不当な労働行為を提訴されますか、お知らせを願いたいのです。
○大島政府委員 病院、診療所、非常に数多くございますので、全般として一様に監督を行なうことはちょっと困難かと思いますが、総合病院としての監督実施については現在私承知いたししませんが、至急に調べたいと思っております。 なお、こういう問題のありますものについては、なるべく早く是正させるように努力いたしたいと思います。
○小林(進)分科員 ともかく今申し上げましたように、労働委員会があっせん案を出す、あるいは裁判所がそういう勧告をしている。労働組合側は正しくそれに服しているにもかかわらず、経営者の方でそれを一つも実行しておらぬ。していないで、しかも抜き打ちに――こういう争議の最中、あっせんの最中、平和団交を行なわんとする最中、そういう最中に抜き打ちに三十名も首切りをするということは、――私は国会で年末からこれを論じて、そのために厚生大臣も厚生省も何回も苦労をしている。こういうことを、やるのは、これは労使関係というだけでなくて、それ以前の人権闘争でもあり、国政に対する重大な侮辱であると考えておりますので、きょうはあなたの至厳なる態度をもって臨む、また早急に調査するように指示するということを聞いて、私は胸をおさめました。あらためて明日またその結果について、どういうことをおやりになったか社会労働委員会で拝聴することにいたしまして、本日はこれで一応終わることにいたします。
○北澤主査 大原亨君。
○大原分科員 きょうはILO二十六号に関連をいたしまして、最低賃金の問題、あるいは青年婦人労働の問題、それとILO関係の若干の基礎的な問題について質問しようと思ったのですが、大臣がからだの工合が悪いということでありますので、きょうはこれから、私どもがいろいろと国会で審議をしていきます際に非常に大切な問題であるILO条約の問題に関連をいたしまして、二、三の点を御質問申し上げたいと思います。 井堀議員からも、日本の労政のあり方についていろいろ議論がありました。国内の問題につきまして、ILOの舞台においてこれを持ち出していろいろ討議することについて、各方面からの若干の意見があるようであります。ひどい意見になりますと、国外で論議をすることは国辱であるなんという暴言を吐く責任者がある。特に公労協の労使問題等に関連をいたしまして、藤林会長のごときは、記者団会見という対外的な発表においてそういう発言をいたしております。私は、およそ私どもがILOの舞台におきまして、国際的な常識に従って、労働保護の問題や基本権の問題あるいは社会正義の問題、これを基礎として国際平和を守るという、国連のILOに賦課いたしました問題を論議する際に、それぞれ許されたルートやあるいは手続、場所等におきましてこういう論議をすることを、中労委会長の藤林君が頭から否定をされることは重大な問題であると思う。この点に関しまして、労政のあり出力といたしまして、最高責任者である労働大臣の方から、ILOの認識と、このような言動に対する所見のほどを簡潔にお伺いいたしたいと思います。
○石田国務大臣 一般的に、できるだけ国内で問題を処理して、ILOのお世話にならないで労使関係が改善されていくことはけっこうだと思います。しかし、それぞれ主観的な立場から国内において問題が処理せられない場合において、国際的な視野に立った判断を求めていこうとすることはやむを得ないことだと存じます。従って法規上は、またわれわれ行政上の建前としては、正当な手続で行なわれた問題について、これをとやかく批判すべきものではないかと思います。 藤林さんの御発言については、私は実は承知しておりませんし、また批評すべき立場ではないので、これに触れたくないと思います。 それからILOの組織、それに対する日本政府の態度というものについては、しばしば申し上げました通り、私はやはりあとう限りの努力を払って、ILOの条約なり勧告なりの求める線に近づけるように努力をすべきものだ、こう考えております。また、それぞれ各国において特殊の事情がございます。歴史の問題あるいは環境の問題、経済情勢の問題その他からいって、それぞれの特殊の事情があるのでありますから、その特殊の事情について日本政府が主張しなければならぬことは、全力をあげて、その主張が国際的な理解を得るように努力すべきものであると考えておるわけでございまして、私どもはその方針に従って行動をしておるつもりであります。
○大原分科員 ただいまの労働大臣の御答弁は、このように解釈してよろしゅうございますか。あなたは、藤林会長が対外的にマスコミを通じて意見を発表された、そういうことについて内容を確かめたならば、それが自分の所見と逢えば自分の意見を発表する、ILOにおいて正当な手続において堂々とこの問題を国際的に討議の舞台に上せていくということは当然のことである、こういうふうにお考えになっているのだが、その藤林会長が発言をいたしましたことについて、中身がわからないから、それに対する見解を述べない、こういう御答弁でありますか。
○石田国務大臣 私は藤林会長の発言がわからないということも一つの理由であります。それから根本的にやはり中労委は独立した立場であります。その藤林さんの御意見については、私が反駁したり批評したりする立場ではないと私は思います。ただ私の考えはどうかということをお聞きになりましたから、先ほどから申しましたように、一般的には国の中のことは国の中で処理すべきが正しいと思います、しかしそれが処理できない場合、適法で手続されたものについては、われわれはこれはどうともすべきでないばかりでなく、私は、それぞれ主観的に自分の立場が正しいし、国際的視野の上に立ってその批判を受け、その協力を得て自分の主張を通そうという方法に出られることはやむを得ないことである、こうお答えいたしました。後段がいかなる場合にもおける私の考え方であります。
○大原分科員 今まで、特に戦争前がひどかったのですけれども、戦争前において日本的な特殊性をたび重ねて国際的に日本は主張いたしまして、ILOの批准協力についてサボタージュをいたしました。そのことは日本の国際信用につきましては、非常な大きなマイナスであったと思うのであります。だから、日本的な特殊性、特に低賃金の特殊性というものを、岡内においてその事実を隠蔽して、これを正当化するために、ILOにおいて非常に消極的な態度をとったということは、これは日本のILOにおける一つの国際的な評価になっている。私は、こういう点については改めていく必要があると思いますけれども、労働大臣の所見を伺いたい。
○石田国務大臣 私の申しました特殊性というものは、ただいま大、原さんの御議論のような意味の特殊性ということをさしているわけではありません。そういうことを特殊性として取り上げることは、労働行政上間違いであります。
○大原分科員 私、きょうはやや突っ込んで御質問をいたしたいと思ったのですが、時間がありませんから結論だけ申し上げます。二月の二十二日、二十三日にILOの結社の自由委員会が開かれたことは御承知の通りであります。政府の代表も出られたわけでありますが、そこで非常な大きな問題として、取り上げられました問題は、新聞でも報道されておるし、私どもも想定できるのですが、池田総理大臣がこのILOの事務局長にあてまして書簡を送っておられると思う。これは八十七条約の批準に対する日本政府の見解を表明された、そういう書簡であるというふうに私は理解をいたしておる。これは事実でありますか。
○石田国務大臣 それは池田総理大臣が施政方針の演説においてILO条約の批准についてこういうふうな内容の演説をしたということをILO事務局長に通達をしたのであります。そのことをさしていらっしゃるのだと思います。
○大原分科員 そのいわゆる日本政府の書簡通達をお出しいただけますね。
○三治政府委員 今お話になっていましたのは、日本政府の態度ということで、今度の国会におきましては総理大臣の施政方針演説の中にこういうふうにかくかく言われておりまして、政府としてもこの方針で努力、準備を進めていますということの通信だけでございますので、それは所信表明の中のILOに関するものを一言、ほかには何も書いてございません。お出ししてけっこうでございます。
○大原分科員 それからもう一つ、日教組あるいは国鉄が結社の自由委員会に提訴いたしました問題について、日本政府の方から反論等、付属資料が出ておると思いますので、資料もお出しいただきたいと思いますが、お出しいただけますね。
○三治政府委員 今までの反論は、先日文部省から日教組のあれについての政府の見解を送りましたのですから、これはおもに文部省所管になりますので、今ここで労働省の方として出す出さないということはちょっと申し上げかねます。それから労働省の方といたしましては、先ほど申し上げました総理大臣の国会における所信表明の中の文言の通知以外は別にあらためて出しておりませんので、御了承願います。
○大原分科員 労働大臣にお聞きしたい。労働大臣は、この前のILOの討議で、正式なルート、あらゆる処理は表面は外務大臣であるけれども、実質的にはあなただという御答弁ですが、これは労働大臣の方から、政府の資料なんですから、主管省は外務省にいたしましても、お出しいただく。これはILOの結社の自由委員会ではみんなが持っている資料たんですから、忍は日本の国会議員がそれについて公正な第三当である場合、その資料が手に入らぬということばないと思いますが、大臣で一つ御処置いただきたい。
○石田国務大臣 ILOに対する先般の文書というものは、原則的には外交上の秘密文書扱いになって出さないのが例だそうであります。文部省関係の分は文部省の方でILOの事務当局の了解を得た部分についてこれを公表したものと承っておるのであります。実質上そういう経過にございますので、私が今ここで出す出さないということをお答えいたす立場ではございません。
○大原分科員 ちょっとそれはおかしいと思うのです。日本の政府が反論の主文と趣旨書をジュネーブにお送りになったことは事実です。あなたがうなずいておられる通りです。だからそういう問題について取り扱いの問題等を含めまして、八十七号を含め結社の自由委員会において討議されたことも事実でしょう。これは結論の出方は別にいたしまして、一応の討論に上せたその経過がどのようなものであったかということを確認されておることも事実です。だからそれはもちろん入手する方法その他はあるのですが、私は正式に国会で審議いたします際に十分に参考にいたしたいので、この資料を出してもらいたい。これは普通の外交文書とは違うと思う。ILOの慣習によりますと、文書の取り扱いによりますと、ILOに対しましては皆さん方はそういう討議に上せる前に国内で公表するのがいけない、こういうことであります。その議論は私は一応の筋だと思います。しかし一たん上程いたしまして正式に事務局が受理いたしまして、そうして委員会にかかっておるのですから、その点につきましてはお出しいただいてけっこうじゃないか。労働大臣で責任ある措置をとっていただきたい。
○石田国務大臣 これはなお私どもの方で研究いたしますが、手続から申しますと、外務省を通じて出される外交文書であります。従って先般文部省の関係のものがILOの事局当局の了解の上で出たのでありますが、それ以上のものをどう取り扱うか。たとえば今討議に上されたということをどう解釈するか、従来の慣例、外務省の意見等をしんしゃくいたしまして取り扱いをきめたいと思っております。今ここで出す出さないということをお答え申し上げる立場にはないのであります。
○大原分科員 事務総長に対する政府の通達あるいは書簡につきましては出していただく。資料が正式に向こうの手元に行きました以上は、これは三者構成で論議をするんですから当然伝わってくるんです。くるんですが、そのことについてとかくの評判がある。それは政府の文書の中に、副大臣の荒木何がしが失言しておるからというようなことが日本では問題になっておるけれども、これはこれこれだというふうに弁明がついておったりする。ジュネーブでは荒木文部大臣が副大臣ということになっておるのじゃないかという話が伝わっておる。そういうことではお互いに誤解を生ずるから、私はそういう主文とか資料等につきましては正式に出してもらいたい、そういうふうに要望しておきます。
○石田国務大臣 御希望は承ります。ただそれをお約束できる立場に現在のところ私はないことを繰り返して言明しておきます。
○大原分科員 これが最後ですが、結社の自由委員会におきまして一応の結論が出たことについて、結論のとり方についていろいろな議論があるようです。しかし池田総理大臣の国会における演説、そしてそれを政府の対外的な正式態度として文話として出しましたことについては、ILOの結社の自由委員会の討議の内容をいろいろな方面から私どもが調査をいたしておりますと、相当ウエートの高いものである。対外的には一昨年は倉石労働大臣がILOに行かれて今にも批准をするようなことを言っておる。従って今度はいよいよぎりぎりになって参りまして、五月の期限の国会ではILO八十七号条約は批准をされる、こういうふうに国際的には判断をされている。そのことは非常にはっきりしております。私は、そういうことを希望する、期待する、勧告とかいう議論は別にいたしましても、これは早急に結論が出てくるものではないかと思う。こういう情勢の中におきまして八十七号条約をすみやかに国会に出してもらいたい。その提出の準備、見通しそういうものについて責任ある御答弁をいただきたい。これだけ聞いておきます。
○石田国務大臣 ILO八十七号条約批准案件は、国会に提出をいたします。目下その案件について調整中であります。提出時期はあとう限り早く、十分皆さんの御審議をいただく時間的余裕を持たせてすみやかに提出したいと思っております。
○北澤主査 赤松男君。
○赤松分科員 政府の所得倍増十カ年計画の中に最も重要な当面の貿易の自由化の問題あるいはドル防衛措置の問題、そういう影響からくる日本経済及び雇用質金の問題等については、今まで全然明らかにされていないわけであります。先般社会労働委員会におきましても、労働大臣からいわゆる労働行政に関する方針が説明されましたが、遺憾ながらその中におきましてもその点は全然触れておりません。予算委員会におきまして当然これらの問題が議論されなければならないと考えておりますが、きょうは労働大臣に主として雇用賃金の立場から質問をしたい、こう思っておりましたが、聞くところによりますと何か非常な高熱で、とうていこの席にいることが許されない状態だということを聞きましたので、大へんお気の毒なんで、従いまして、この労働大臣に対する質問は遺憾ながら社会労働委員会に譲るといたしまして、休憩後のこの分科会におきましては、経済企画庁の長官を呼んでいただきましてその点についての質問をしたい、こう思っておりますから、よろしくお取り計らいをいただきます。
○北澤主査 午後三時半まで休憩いたします。 午後二時二十一分体感 ――――◇――――― 午後三時三十八分開議
○北澤主査 再開いたします。 質疑を続行いたします。赤松男君。
○赤松分科員 この際政府に二、三お尋ねしておきたいことかあります。それはさきに政府が所得倍増計画を発表いたしまして、さらにこの三十八通常国会の再開にあたりまして労働行政について労働大臣から、三点を柱として進める所存である、第一は経済の高度成長をささえる積極的な雇用政策の推進、第二は中小企業労働者の福祉増進、第三は労使関係の安定、この三つの柱を中心として労働行政を進めていきたい、こういう説明があったわけであります。ところがここに一つの柱が欠けていないか。それはこの計画が立てられたのは、言うまでもなくアメリカの国内事が大きな変動を見ない前に立てられたものでありまして、その後ケネディが大統領に就任する少し前の段階すなわちアイクが退陣をするその直前に大きな事情の変化が起きたわけであります。その事情の変化は、政府も御承知のように第一はアメリカの貿易自身はその帳じりは黒字であります。しかしながらアメリカの経済及び財政の上に重大な影響を与えたのは対外援助あるいは軍事政策であります。従ってそこから三十億ドルの赤字を埋めるために域外買付の打ち切りとか、あるいは削減とか、また特需その他に対する手心を加えるとか、また積極的な貿易自由化に伴うところの貿易攻勢を一行なう、そういうかまえ、つまり昨年ガットの際にアメリカの方から強く日本に要求されましたのは、貿易の自由化の問題だったことは世間周知の事実であります。私のところの資料によりますと、対米依存度はきわめて高い。これは戦前一九三四年から六年まで、北米に対する輸出は一六%、一九五五年になりまして二五%にふえ、さらに一九五九年に至っては、わが国輸出の三三%を占める大きな比率を占めておるわけであります。言いかえれば、輸出の三分の一をアメリカに依存をしておる。しかもその輸出の大半は、日本の中小企業を中心とする商品が占めておるわけであります。こういうようにアメリカが好むといなとにかかわらず、大きな財政上、経済上の転換をやらなければならぬという事態に立っておるわけでありますけれども、ここでお聞きをしたいのは、アメリカの対外援助、これは軍事政策を含めてのそれでありますけれども、その対外軍事援助の変化に伴って、日本の雇用の面にはどういう影響が現われておるか、また近き将来どういう変化が現われてくるか、これが一つであります。いま一つは、貿易の自由化に伴って、すなわち三年間八〇%、おそらく九〇%くらいまで進められると思うのでありますけれども、その自由化に伴って日本経済、なかんずくアメリカ輸出に依存をしておる日本の中小企業、この中小企業に働く労働者の雇用、賛金、これは中小企業だけではありません。全体の雇用、賃金の面にどのような影響を与えるか、現に与えつつあるかどうか、また今後どのような変化が起きてくるか、こういう点についてこの際政府の所信を明らかにしていただきたいのであります。
○迫水国務大臣 御質問の最初の方のアメリカが軍事援助を縮減するとかそういうようなことによる雇用に関する影響というものは、私のところではちょっと勉強しておりませんので、お答えをいたしかねます。もし勉強する必要があるならば、私のところでも至急いたしますが、大体これは労働省でやっておると思います。 それから第二の貿易自由化によるところの日本の雇用もしくは賃金に関する影響でありますけれども、御承知のように貿易・為替の自由化というのは、昨年の六月にその大綱をきめまして、その線に沿うてやっておるのでありまして、この自由化大綱をごらんになればわかりますけれども、自由化によって日本の産業というものは極度に――極度という言葉はちょっと行き過ぎでありますが、ひどい影響を受けないように、日本の産業をこわしてしまうことがないようにという前提でこの自由化大綱はきまっておるのであります。いわゆる所得倍増計画を立てますにつきましても、この自由化計画というものは織り込んで考えておるのでございますから、この貿易自由化によって、アメリカが今度ドルの防衛をやる、その他のことによって特に雇用の関係あるいは賃金の関係に影響があるというふうには私は考えておりません。
○赤松分科員 そのあとの方の答弁につきましては、まさにナンセンスの答弁だと思いますので、後ほどお伺いすることにして、その前段の特需の縮小あるいは軍事援助の削減、そういうものからくる国内の産業、企業に与える影響、それに伴って発生する雇用、償金に関する影響、そういうものが、これは労働省の所管であるから、経済企画庁の方ではわからない、こういう答弁はおかしいと思うのです。当然こういうような影響を見込んで計画というものが立てられておることは自明の理であります。もしそういう点の影響というものが全然企画庁の方でわからないということになって参りますと、御承知のように労働省は労働行政をやる、そして労働者にサービスをする行政機関であります。従いまして、労働行政に専念する労働省は、むしろこういう問題よりもその発生しました失業の問題あるいはそこからくる労使の問題、そういう問題に関する行政上の手当をしていくのが労働省の任務であるのであります。ところが経済企画庁の方では、その影響が十分わからない、これははなはだ不見識と言わなければなりません。重ねてこういう点につきましてどうお考えでありますか、お尋ねしたいと思います。
○迫水国務大臣 赤松さんのお話でございますけれども、ただいまのお話のような点は、私どもは通産省なりあるいは労働省なりからそういうような資料を受け取って、それに基づいて総合調整をしたり、あるいは計画を立てるという立場でございまして、どうしてもそういうことの御質問は労働省なりにしていただく以外には今の政府の仕組みではないのであります。
○赤松分科員 実は労働大臣がここにおられまして、そして御両所に質問するとはっきりするわけでありますけれども、実は労働大臣かぜをひきまして、非常な高熱で先ほど帰ったわけであります。不本意ながら実はあなただけに質問をしているわけでありますけれども、経済企画庁というものは、単に経済企画だけではなしに、常に雇用、賃金等の展望を持って、それを科学的に、計画的にちゃんとそういう展望に基づいて計画を立てていくというのが経済企画庁の仕事ではありませんか。これが経済企画庁の仕事ではない、労働省の仕事である、しからばお尋ねしますが、現に駐留軍におきましては、駐留軍労務者の雇用の上に非常に大きな変化が現われつつあります。これなど労働省の所管に属することだ、それはそうではなしに、労働省の所管に属する仕事は、この駐留軍の労使の関係の中から生まれてくる、先ほど言ったように、失業の問題とかその他こういう労働行政について行なうのが労働省の仕事であって、私の聞いているのは、その仕事をうまくやったかやっていないかということを聞いているのではないのです。要するに特需及び軍事援助、そういうものを削減するという基本方針が、すなわち政策転換としてアメリカにおいて明確になりつつある。これはアイクからケネディ、すでに数次の声明においても明らかであります。具体的にその影響は沖繩その他にも現われつつあるわけたんです。これが日本経済の中で雇用、賃金の上に一体どういう影響をもたらすか、これが答えられない経済企画庁ならばやめなさい。そういうアメリカ国内の政治、経済あるいは財政、そういった全体の動きを常に展望しながら、それに基づいてさまざまな国内計画を立てていくということが経済企画庁の仕事じゃありませんか。この点はいかがですか。
○迫水国務大臣 経済企画庁はカレントの仕事をしておるのではありませんで、十年間なら十年間という長期の見通し、計画を立てておるところでございまして、その間にはいろいろな事態が起こって参ると思いますけれども、それをならしていけば大体こういう傾向でいくだろうという見通しを立てるところが経済企画庁の役目でございます。たとえて申しますると、特需の問題もございます。現在特需の関係は約四億ドルでありますけれども、所得倍増計画の目標年次においては、それが一億ドル見当になるだろうという前提でそろばんをはじいておるような次第でございますが、その間にそれが具体的に、今労働者にどのぐらいの失業が出てくるであろうか、あるいは労働者の賃金にどのぐらいの影響があるであろうかということは、まあ私にやめろとおっしゃいましたけれども、そんなものは要らないとおっしゃいましたけれども、それまでは経済企画庁の仕事ではないと私は思っております。
○赤松分科員 それならばあなたの認識では、労働省というのは一体どういう仕事をやるのですか。たとえば特需なりあるいは軍事援助なりそれの変化の平信というものを労働省が展望して、それに基づいてさまざまな対策を立てていくというのが労働省の仕事なんですか。
○迫水国務大臣 具体的に今日ただいまアメリカの方がどういうように軍事政策を変えて、日本からどういうふうに兵隊を引き揚げていくであろうかということは、この見通しを立てるところは外務省かもしれません。あるいは防衛庁かもしれません。しかし具体的にその問題が起こってきたときに、それが労務の上にどういう影響が出てくるかということは、それはもう労働省がやるべき仕事の本体だと私は思っております。
○赤松分科員 それでは労働省にお尋ねしますが、私が先ほど来質問をしておったような、そういう見通しについて労働省はお考えになっておりますか。
○堀政府委員 ドル防衛措置に伴う影響でございますが、この点につきましては、実は内閣の審議室を中心といたしまして、外務、通産、調達庁、それから労働省も参加いたしまして、一体どの程度の影響があるものであろうかということを内部的に目下検討しておるところでございまして、その際におきまして私どもの方におきましては、外務、通産もしくは調達庁の力の見通しといたしまして、どの程度のドル防衛に伴うところの削減があるであろうかということの前提がはっきりいたしませんと、それが結局雇用にどの程度の影響を及ぼすかという点がはっきりいたさないわけでありますが、ただいままで会議等を通じまして私どもの得ております資料によりますれば、まだそこまでの推定が、外務、調達あるいは通産省等においてなされておらないわけでございます。ただ一般的な傾向として、推定として申し上げられますることは、外務省あるいは通産省あるいは調達庁の説明によりますれば、まずわが国に対する影響としていろいろなことが考えられまするが、各種の域外調達にりきましては、すでに三十六年度分の発注が行なわれたものもあり、さしあたって三十六年度における影響は比較的軽微にとどまるのではないか、こういう説明でございました。またもう一面におきまして、直接の影響といたしまして米軍人、軍属の家族等の削減あるいは引き揚げというようなことに伴いまして、駐留軍関係等の労務者、これが減少するというようなことが直接の影響になってくるわけでございます。この点につきましては、私どもの得ております資料によりますれば、現在間接労務者、直用労務者、特需労務者等を通じまして、昭和三十五年の十二月におきまするところの在籍当数は、間接労務者が五万八千百人、直用労務者が二万五千人、特需労務者が七千一五百人、合わせて八万六百人でございますが、これがさらに一月から三月にかけまして、間接労務者が二千百人、直用労務者が五百人、特需労務者が五百人、合わせて三千百人減少する、こういう見通を立てております。ただそれが今後どのようになるかという問題でございますけれども、調達庁等の説明によりますれば、在日米軍人、軍属等の家族の削減は、昭和三十七年の六月まで漸進的に行なわれるということでございます。従いまして私どもの方としてはその見当を早くつけてもらいたいということを要望してみる状況でございます。ただいまのような状況でございますので、私どもの方といたしましては、しかしどのような影響が具体的に生ずるかということは、ただいま申し上げました前提を持たなければ作業がしにくいものでございますので、職業安定機関の渉外活動を強化いたすとともに、雇用促進事業団――これは法案を提出いたしましていずれ御審議を仰ぐことになるのでありまするが、これ等の協力を通じまして労働力の流動性の促准、転職のための訓練あるいは移動の際の離職者用住宅の確保というような体制を整えまして、これによってあとは具体的な前提の確立を待ちまして、私どもの方はそれに応じて労働力の流動性の促進、離職対策を推進していきたい、こういう考えでございます。
○赤松分科員 今お答えのように、たとえば一例をあげると、域外調達については、これは三十六年度についてはすでに発注済みのものもある、中には発注を予想されておるもので、中途において変更されるものもあるかもしれません。そうしてそれが雇用関係に及ぼす見通しを述べられたわけでありますけれども、これは労働省というよりも、今言った雇用審議会で各省が集まりまして、そうしてそれぞれ情勢を検討して出されました一つの見通しであると思うのであります。従いまして、経済企画庁の長官のように、それは労働省の所管だからおれの方はわからない、こういうような無責任な答弁というものは許されないと思うのであります。 そこで私は重ねて政府に要求しておきますが、このドル防衛措置に伴う変化については全然ないとは言えません。なければマッカーサー大使がアメリカ本国と種々打ち合わせをして日本政府に申し入れをするというような措置はとらなかったはずなんです。つまりドル防衛措置については、できる限り日本経済に影響を与えないように努力しましょうということを彼は声明し、政府にも申し入れておるわけであります。従いまして、その影響が皆無であるということはだれも考えておりません。おそらく政府も考えていないと思うのでありますけれども、それに対する明確な見通しがないといたしますならば、今後情勢を十分分析して、その見通しを立てて対処していただきたいと思います。ただ私は、この際、政府のそういう展望がないということにつきましても、一面無理もない点もあると思うのであります。というのは、アメリカ自身の、たとえばアイクの場合ならばアイクの際に大体これくらいなドル防衛措置をやりたいという、その概要を当時発表しました。しかし、ケネディになってからはまだ一般教書は発表されただけで、これに関する具体的な案というものは示されておりません。対日政策というものは示されていない。従いまして、今ここですぐに実害について述べろ、とこういいましても、これは無理であるということは十分私ども承知いたしております。ただ、この影響は見のがすことはできない。つまり政府の所得倍増計画の中にそれが何ほどの影響を与えるかわかりません。わかりませんが、少なくとも全然影響がないということは言えないのであります。従って、早急にこの点についての政府の対策を立てて発表していただきたいということをこの際要求しておきます。 それから、次に、今長官の前段の御答弁でありますけれども、貿易自由化に伴って日本経済に与える影響はきわめて少ない、こういうことをおっしゃった。私は、これはもう迫水さんよく御存じだと思うのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、昨年ガットの会議におきまして、アメリカ側から強く要求をされました。その当時、日本政府としましては相当あわてた問題であります。しかしながら、国際的な諸情勢、またアメリカ等の強い要求もありまして、貿易自由化に昨年踏み切りました。そして、当初は小刻みの自由化をやろうと考えておったのが、アメリカとの関係からとうていそれが許されないということから、大規模な自由化へ踏み切ったわけであります。そこで、私は、先ほど申し上げたように、一九三四年から三六年までの対米貿易というものは全貿易額の一六%、一九五五年ではこれが二五%、さらに五九年においては三三%を占めておる。この三三%を占める対米輸出、これは通産白書で示された数字でありますけれども、日本にとりましては、これだけの三三%の輸出市場というものは、これは非常に大きな依存度を示しておると思うのであります。そのアメリカの経済の変動によって、あるいは政策転換によって、日本に対する、日本品の輸入を一阻止していこうということ、逆にアメリカのものを日本なり東南アジアに出していこうという、二つの側面を持っておると思うのです。現に、その初めの方は、御承知のように繊維関係の商品については非常に強い、ボイコットとまではいきませんけれども、それに近い抵抗が今アメリカにおいて行なわれておる、これは御承知の通りであります。その他、日本商品の輸入につきましては相当強い抵抗が行なわれておる、これを心配いたしまして、全労会議の滝田議長がただいまアメリカに参りまして、近くは大統領と会談をするという運びになっておるようでありますけれども、いずれにいたしましても、この繊維商品の対外輸出がある程度削られるということになって参りますならば、日本の繊維企業に与える影響というものは、これは少なくありません。同時に、それが、日本の繊維労働者の今強く要求しておる町同短縮の要求とか賃金引き上げの要求とかいうものと真正面からこれは衝突する。そうして逆に合理化が進められていく、あるいは解雇が行なわれていく、そして、雇用市場が繊維の部門においてはだんだん狭められていくということはだれしも考えられることであります。先ほど来言ったように、今対米輸出の主たるものはほとんど中小企業であるということからいって、あなたの御答弁のように、その影響が非常に僅少であるということは言えないと思います。この点についていかがですか。
○迫水国務大臣 私は、為替・貿易の自由化というものが日本の経済に及ぼす影響が僅少だというような、先ほどはそういう答弁をしたつもりではなかったのでして、非常に重大な影響を与えればこそ、政府としては非常に慎重な考え方をしまして、昨年六月に貿易・為替自由化計画大綱というものを決定いたしまして、そして、国内に対する影響というようなものもよく勘案をして、漸を追うて自由化を進めていくという方向で、その計画の大綱に従って現在これをやっておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたのは、この自由化によって生ずるところのいろいろな影響が、たとえば中小企業なら中小企業に確かにあるにいたしましても、所得倍増計画の中にはその影響も全部織り込んだ上で、たとえば雇用の増大というようなものについて十年間で千三百万人増大するのだ、そういうようなことは計画をいたしておりますということを今申し上げたのでありますから、その点は御了承願いたいと思います。 それで、今お話になりました日本からのもろもろの輸出製品等に対するアメリカのいろいろな抵抗は、これはお話の通りきわめて重大なものでございまして、まあ、私、人の役所の仕事だ、人の役所の仕事だと申し上げましたのは、あるいはお気に入らなかったかもしれませんけれども、これは現在通商産業省の通商局でこの問題にもっぱら取り組んで勉強いたしておると思います。私の方の立場といたしましては、そういうものによって出てくるところの結果を総合いたしまして、当面の国際収支の見通しをつけていく、こういう立場が私どもの立場でございます。
○赤松分科員 所得倍増計画の中にはすでに貿易の自由化に伴うところのさまざまな影響は織り込んである、こういう御答弁でございますね。それならばお尋ねをいたしますが、ここに政府の資料がございますけれども、貿易の自由化によって非常に影響を受ける労働者数の推計でありますが、鉱業、製造業、食料品、パルプ、化学、鉄鋼、非鉄金属、機械、電気機器、輸送用機器その他合計この常用労働者が六百二十八万一千四百十五人、これに対しまして直接悪影響があると予想される労働君の数は百六万三千六百人、こういうふうに発表されております。これはいかがでありますか。
○迫水国務大臣 その問題につきましては、石田労働大臣が毎回いろいろな機会に答弁をしておられる問題でございまして、その数字というのは、貿易・為林自由化が昨年計画されました当時におきまして、労働省がいろいろ計算をいたしまして、貿易・為林自由化によって影響を受けるような業種に従事している労働者の総数をそこに示したのだということを石田労働大臣は言っておられました。従って、その百六万といいますか、その数字は、同じようなことを通産省でも計算をしたものが一ぺん新聞に漏れたようでありましたが、労働省と若干違う数字が出ておったそうであります。しかし、石田労働大には、決して、それが全部解雇してしまったり失業してしまったりする数字ではないのだ、それは影響を受ける業種に働いておるすべての労務者といいますか、従業者の数をそこに示したのであるということは、いろいろな機会に石田労働大臣が明確に答弁をしておられます。私、当時はもちろん当局ではございませんので、よく平信を知りませんけれども、石田労働大臣の答弁をそうかと思って私も聴取して、そう了解をして考えておる次第でございます。
○赤松分科員 私も、何も今言った産業の常用労働者の一六・九%の者が全部これで首になるだろうということを言っておるのじゃないのです。この百六万の人が影響を受ける。通産省の計算によれば百三十六万人が雇用市場から追っ払らわれることになるだろうということを言っている。それで百六万が少なくとも影響を受けるということは事実なんです。解雇されるかどうかは別です。別ですけれども、影響を受けるということは事実だ。そうすると、こういうものは今の所得倍増計画の中にちゃんと織り込まれておるかどうか、こういうことなんです。
○迫水国務大臣 話の、ベースが、赤松さんと同じ、ベースに立っての話がちょっとできないような感じがするのですが、ただいまの数字は、たとえば通産省の方で百三十五万人失業すると書いた新聞発表がたしかあったようですが、一拳に自由化した場合にはそういうことが起こるかもしれないということであったように私は了解いたしておりますが、今労働省の数字も百六万の人が影響を受ける、あるいはそのうち若干の人が失業をするかもしれない、こういうようなことでございまして、それは所得倍増計画における伸びというものにプラス・マイナスの中に入っておるのでして、その百六万のうちの幾人が解雇され、失業して、それがどういうふうに計画に載っているかという立場では私は御説明はできません。全体的としては影響を受ける、同時にまた影響を受けない方面にそれが流れていくということで、全体的の計算では十年間で千二、三百万人犀川が増大をする、そういう計画になっておるわけでございます。
○赤松分科員 それならお尋ねしますが、先ほど申し上げた工業、製造業、食料品、バルブ、紙、化学、鉄鋼、非鉄金属、機械、電気機器、輸送用機器等に、具体的に各産業別にどのような悪影響を受けるか。これを一つ具体的に説明していただきたい。これは当然所得倍増計画の中に入っているはずですから……。
○迫水国務大臣 具体的にそういうものがどう影響するかというその数字は労働省の作った数字でございますので、当然その御質問にお答えするものは労働省であると思います。私、先ほどから申し上げていますように、うちの方は全体的な部面に立っての計画でございますので、今御質問の点、すなわちその数字の説明は数字を作った担当の労働省からお答えをすることをお許し願います。
○赤松分科員 それじゃお尋ねしますけれども、先ほど言ったアメリカに対する輸出三三%の中で食料、飲料、繊維製品、薬剤、化学製品、非鉄金属、あるいは金属製品、機械類、雑貨、こういったものが大半を占めているということはお認めになりますか。
○迫水国務大臣 それは統計の示すところでありますから……。
○赤松分科員 それならこれらの産業部門に具体的にどういう影響が現われて参りますか。
○迫水国務大臣 御質問の趣旨がよくわからないのですけれども、アメリカの今度のケネディさんのとるであろうところのもろもろの政策あるいはアメリカの労働組合などが、たとえば日本の毛織製品に対して抵抗しておるような、いろいろなことがアメリカにおいて起こるであろう、その起こるであろう影響は、今申されました各業種にどういう影響が起こるか、こういう御質問ですか。(赤松分科員「そうです」と呼ぶ)それは私の方で答弁する立場でなく、これこそ通商産業省の――人の省のことばかり言うなとおっしゃるかもしれませんけれども、実際これは通商産業省の通商局の所管の話でございまして、それまで私の方ではとてもできません。
○赤松分科員 所得倍増計画の中にちゃんと貿易の自由化の影響が織り込まれているとおっしゃっているじゃありませんか。そこで私は対米輸出は三三%、三三%のうちに占める主たる製品はこれですかと言ったら、これであります。その通りですという。しからばこれらの産業部門に具体的にどういう影響が出てくる見通しかといったら、それは通産省の仕事だ、私は知らない。それなら所得倍増計画には貿易の自由化の影響を全然織り込んでないということになる。
○迫水国務大臣 貿易の自由化で影響の出てきますのは、主として輸入の面だと私は思っておるのです。今赤松さんの御質問は輸出の面の御質問でございまして、しかも当面今どういう影響があるかという御質問になりますと、これは私の方の考え方ではございません。従って、アメリカの方の状況が、もし所得倍増計画において想定したアメリカの立場よりも非常に極度にシビアになりまして、一つの貿易上の見通しを変えなければならぬような状態がかりに起こったとしますれば、そのときには各省から資料を集めまして、私どもとしては所得倍増計画の若干の訂正をしなければならぬ場面がくるかもしれませんけれども、当面今日本の輸出に対して昭和三十六年度中にどういう事態が起こるであろうが、御質問では、三十六年度というよりも、もっと手前のような感じがするのですが、それはそういっては悪いのですが、それこそ通商産業省の仕事でして、うちの方の仕事ではございません。
○赤松分科員 三年間で八〇%もしくは九〇%の貿易自由化をやる、すでにその計画は立っているわけです。何も三十六年度だけを言っているわけじゃない。それで、そういう影響をちゃんと見込んで所得倍増計画を立てております。このようにさっき長官は言われたのですけれども、今聞けば、いろんな影響が具体的に現われてきた場合には、所得倍増計画を修正してもよろしいという御答弁です。ここで私は特に注意を喚起しておきたいことは、先ほどあなたがお認めになった対米輸出の商品の中で、一例をあげますと、たとえば自動車などはどういう状態であるかといえば、トヨタなどは今非常に防衛態勢をとっております。これは輸出だけじゃない。御承知のように、トヨタはロスアンゼルスは販売所を設けまして、そしてアメリカで今自動車の販売をどんどんやっておりますけれども、しかしこれは逆にまたアメリカの自動車が日本に入ってくるという影響もあるわけです。この両面を考えて、今トヨタ自動車の方では下請工場をあの周辺に集結しまして、そして非常に近代的な、独占資本らしい合理化をやっておるわけです。これなどは、トヨタ自動車をごらんになればわかるように、トヨタ自動車というのは一貫作業ではありません。周囲はほとんど下請によって囲まれている。トヨタ自動車の本体というものはきわめてわずかです。またミシンにたとえていえば、たとえば一万人の従業員を使っておる。ところがそのミシン会社に属しておる職員は実際は八百人で、その八百人がセールスマンあるいは機械の組み立て、こういうものに従事しているわけです。あとはほとんど三十人、五十人というような零細中小企業に依存している。当然貿易の自由化が行なわれてくる、少しでも影響があれば、これらの下請工場はたちまち吹っ飛んでしまう。そういうことをトヨタ自動車なども予想して、今下請の締めつけをやっている、いわゆる系列化を急いで、そして合理化を進めておるわけであります。だから、あなただけなんです、影響が具体的に現われれば計画は修正してよろしいなんてのんきなことを言っているけれども、現に日本の産業は多かれ少なかれそういう影響を受けておる。 そこで、あなたは、こういうような影響によって出てくるところの失業問題とか、そういうものも全部計画の中に織り込み済みであるという先ほどの答弁でありましたが、しからば、私は重ねてお尋ねしますが、三十四年の五月に雇用、審議会が計算したもので標準生計費がある。この標準生計費は、御承知のように、十四才から十九才までは男女とも六千円。二十才台は男一万円、女八千円。三十才台で男が一万六千円、女は八千円、四十才台で男が二万円、女が一万円、五十才から六十四才で男が二万六千円、女が八千円、六十五才以上は男女とも六千円。これは標準生活費を基準とした、いわゆる低所得者でありますけれども、この生計費の基準を成年男子、独身者が独立して生活できる水準に置く場合には一体どのくらいな数字が出てくるかといえば、男は百十四万人、女が二百二万人、計三百十六万人。生計費の基準を、男女及び年令別に、平均的な扶養家族を含めて、家族の生活ができる水準に置く場合には、男が四百九十二万人、女が二百四十七万人、計七百三十八万人、そうして就業構造基本調査の男女、年令、階級、職業、所得階層別雇用者にあてはめる場合には、基準未満の者が九百十六万人、うち六千円未満の者は三百三十五万人という数字がこの雇用、審議会において出されておる。そうすると、この九百十六万人の低所得者層を所得倍増計画の中で雇用市場に引き入れる、その具体的な見通しを一つ述べていただきたいと思うのです。これも労働省とおっしゃいますか。
○迫水国務大臣 それはうちの計画局長から数字を申し上げることにいたします。
○大来政府委員 ただいまの点でございますが、倍増計画の計算の過程で、一応新規労働力の供給と、経済成長に見合いまして二次産業、三次産業等の雇用が増加するわけでございますが、それから労働需給関係をはじいて参りますと、かなり不足ぎみの傾向が出て参りまして、まず低所得者層にその影響が出てくる。大体企業規模別の賃金におきまして、五百人以上の賃金を百といたしますと、一人から五人程度の賃金が現状では三割五分前後というところになっておりますが、そういう需給関係の影響等から見まして、十年後には大工業について、少なくともそれに対比いたしまして四割五分くらいまでいくだろう。その場合には、一人ないし五人層の平均賃金は二万一千円程度になるだろうという推定をいたしておるわけでございます。
○赤松分科員 それなら聞きますけれども、政府はこの雇用市場に十分入っていないところの約一千万人に近い潜在失業者、われわれは潜在失業者と呼んでおります。それが適切であるかどうかは別として、潜在失業者と、さらに政府の計画によりますと、農村人口の六割を雇用構造の中に引き入れていく、こういうのです。そうしますと、これを年次別に、この低所得音階層を雇用構造の中に入れていく、一方では農村の人口をやはり雇用構造の中に入れていく、その二つの層を雇用構造に入れる年次別計画というものを、この際明らかにしていただきたいと思います。
○迫水国務大臣 赤松さんに申し上げますけれども、私どもの方の所得倍増計画は、申さばマクロ的な方向でもって考えておりまして、従って積み上げ方式でないのです。すなわち所得倍増計画というのは、おおむね十年後、あるいは十年以内かもしれませんが、国民総生産が倍増した場合における雇用の姿、あるいは賃金の姿をマクロ的に想定をしておるものであります。従って年次計画というようなものを立て、逆に積み上げ方式でやっているのではないので、どうも赤松さんの御質問のベースがうちの所得倍増計画作成のベースと違っておる。うちはマクロ的、赤松さんの方はミクロ的にくるものですから、どうも話がとっつかないのじゃないかと私は思います。従いまして、そういう労働の方の年次別の問題がかりにできるとしますれば、それは、また労働省と言っておこられるかもしれませんけれども、労働省の方が重点になって策定をしていくことになるのではなかろうかと思います。
○赤松分科員 どうもあなたの言っていることを聞いておるとさっぱりわからないのですが、あなた方の方は蜃気楼だ、僕のは弁証法だ。私は、経済なり産業というものは、いろいろな質と量がからみ合って弁証法的に発展すると、こう思うのです。従って一定の計画は持たなくちゃならぬ。その計画に達するまでには、やはり年次計画をちゃんと立てて、その計画目標を実現するように、あらゆる部門において努力する、これがほんとうの行き方ではないかと思うのですが、しかしあなたの御説明によると、一応十年後の構想を設定しておいて、そしてそこへ行くか行かないかわからないけれども一と、こういう説明なんですね。従って私は今の説明を聞いておって、政府としては、この潜在失業者ともいうべき一千万人に近いところの低所得者階層、これを雇用構造の中に持っていくところの年次計画がない。さらに農村人口を雇用構造の中に入れていくところの計画もやはりない。従って、初めは、十年後には賃金の倍増だと、こう池田さんは言っておいて、途中でそれを改めて、所得倍増にすりかえた。そして最後には、国民所得を云々ということを言っておる。これではもう今言ったように、雇用、賃金という、非常に重要な生産力の基礎になるものについての配慮が全然ないということになるわけであります。先ほど言ったように、実は労働大臣もあわせて質問したいと思っておったのですが、病気のためやむを得ないと思います。委員長は先ほど、このあと文教関係の質問に入るそうで、三十分というのをだいぶんオーバーしましたし、他の分科会でもあなたを要求されておるようでありますので、はなはだ残念でありますけれども、これで私はあなたに対する質問を打ち切ります。
○迫水国務大臣 解放をしていただきまして、非常にありがとうございますが、ただ私、そういうことを言っていいか悪いかわかりませんけれども、私どもの方の所得倍増計画というのは、どこまでも自由主義の社会を前提としての計画でございます。従いまして政府の関与し得る部分については、いわゆる計画的な面が非常に多くて、こういうふうにやっていくという計画的な部面が多いのですけれども、民間経済の部門については、その予測と誘導と表題にちゃんと書いてある。従いまして今赤松さんのおっしゃいましたような、申さば私が今から二十年前にやりました統制経済当時の、戦力増強計画というようなものから見ると、今度の所得倍増計画というのは、私自身、何か物足りないような感じがしますが、それは自由主義経済の持つ当然の属性であると私は考えております。従いまして計画経済ではなしに、計画というのは一つの見通しを立てて、道しるべを――従って通しるべという言葉を盛んに使っておるわけですけれども、大体こういう方向に行くんですよということを示しておるのでございます。今おっしゃいましたように、いろいろな計画がないじゃないかということが最後の結論で、それで私が帰らなければならぬということは残念だと思うのですが、そういう計画は、労働省なり各担当省が逐次持っていくものと私は考えております。
○赤松分科員 それは、自由競争の上に立った資本主義というものが、計画経済とか官僚統制をやってもうまくいかないということは、すでにあなた自身が戦争中御経験なすったすばらしい歴史的な経済がここにあるわけですね。それで再び池田内閣が所得倍増計画というようなことを言い出しまして十カ年計画を立てております。いみじくもあなたは、これは積み上げ方式ではない、十年後こうなるのだという一つの夢を持たせるのだ、こうおっしゃったが、今の資本主義経済機構の中で、そういう十年後の計画経済を予想するということはおよそナンセンスだと私は思う。そんなことはできるわけがないじゃありませんか。独占の間だって、不均等の発展もあるし、そこに猛烈な競争もやっておるし、独占企業自身を押えるにしても、独占を背景とする政治権力がどうしてそんなことができるのですか。労働組合の弾圧ならできるけれども、独占を規制するということはとうていできるわけはないのであります。従ってあなたは一番損な役割を引き受けて、池田さんがとんでもないことを言い出したのを結局蜃気楼に作り上げなければならぬ。そうやっておるうちに矛盾が随所に出てきた。それはあなたよりもうしろにおられる大来さんがだれよりも一番よく御存じなんです。今経済成長期だと言われておるので大へんいいのですけれども、間もなくこの矛盾は随所に露呈して参ります。どうぞお気をつけになって下さい。 時間がありませんから、先般社会労働委員会でわが党の大原委員から非常に重要な憲法二十八条に関する問題が提起をされまして、これがILOの問題と関連して論ぜられたわけでありますけれども、これは私が労働委員長当時、あるいは昭和二十三年でしたか、公労法ができて以来、社会労働委員会で一貫して論議をされて参りました問題であります。こういう点についていろいろ申し上げたいのだが、労働大臣がいませんからこれは社会労働委員会に譲りますが、せっかく労働省から来ているのですから、何にも質問しないというのもまずいからこの際一点だけ基準局長に聞いておきたいことがあるわけです。 これは労働省の立場からだけ問題を処理できないことは、私は万々承知しております。むしろ運輸省その他も含めてやらなくちゃならぬ仕事なのですけれども、御承知のように、昨年の暮れからずっと例のダンプカーというものの事故が依然として頻発しておるわけです。あの事故の頻発の原因はいろいろあるでしょうけれども、やはり何といいましても労働条件が明確でない、依然請負制で非常に乱暴な雇用関係ができ上がっているというところにも大きな問題があると思うのです。東京都の基準局でもって相当深くその内容を追及しておられるようでありますけれども、今日なお明確な対策というものが出てこない。もちろん労働省は、このダンプカー従業員を指導する立場にもございませんし、そうやれということは無理だと思うのでありますけれども、たとえば私ども今の最低賃金制に反対しております。しかし労働省が最低貨金制をしがなければならぬと言った理由の一つは、やはりそこにあったと思うのです。過酷な労働条件を改善して近代的な労働条件あるいは雇用関係に変えていくというねらいの一つは、やはりそこにあったと思うのです。今の最低賃金制には反対ですけれども、労働省の考え方の中にはそれがあったと思うのです。従って私は要求はしませんけれども最賃法というものを作ったならば、どうしてダンプカーの業者などに、最低賃金を作らせるような勧告をするとか、あるいは行政指導をするとかしなかったのであるか、これをまず第一にお尋ねしたい。 第二にお尋ねしたいのは、運輸当局などにも非常に重要な責任があると思うのでありますけれども、政府部内においてこれが対策のために十分な連絡協議が行なわれたかどうか。実はこのことは私どもの考える以上に子供を持っている母親が非常に心配しているのです。この乱暴なダンプカーにいつ大切な子供をやられるかもわからない。あるいは電車に乗り汽車に乗っても、ダンプカーの運転手は平気で言っておりますよ。こわいのは国鉄の貨車だけだ、あとはこわくないと平気で言っていますよ。これは私は労働者自身が悪いのではなしに、そういう形で使っている使用者にも責任があると思う。もう一つの問題は、これも港湾労働法の際にもいろいろ問題になるのですけれども、第一企業能力のない企業家が無理にそういう企業をやっている。従って支払うべき賃金も十分支払われていないというような状態もここにあるのじゃなかろうか、こう思うので、労働省というよりも、政府部内においてこれに関する対策が立てられているかどうか。そういうことが今まで論議されたかどうか、これを明らかにしていただきたいと思います。
○大島政府委員 ただいま赤松先生御指摘のダンプカーの事故が最近頻発いたしまして、この点まことに遺憾に存じておるわけであります。私どもの方の基準行政の立場といたしましては、昨年七月に全国に通牒いたしまして、この方面の監督、また労務管理の改善ということについて全国的な指示をいたしております。さらに暮れから今年にかけて非常に頻発いたしましたので、あらためてトラック、特にダンプカーに重点を置いて取り締まりを実施するように指示いたしております。二月中に監督いたしました業者の数は約三百数十事業所であります。この中で東京、神奈川、千葉、埼玉、この近辺に特にダンプカーの関係が非常に多いものでありますから、この関係の労働条件、労務管理の状況について、監督の結果わかりました点を一応集計いたしたのであります。その結果によりますと、まず雇用形態で申しますと、常用が大部分でありまして、臨時日雇いは六%程度であります。それから賃金については日給制のものが六%、月給制のものが九四%であります。月給制の場合、この調査の対象になりましたものでは、最低が一万三千五百円、最高が二万六千四百円ということになっております。固定給が八九%、歩合給が一一%であります。さらに歩合給の割合でございますが、最低の場合でも一四%程度を歩合給でもらっておりますし、一件に至りましてはほとんど大部分が歩合給であったという状況であります。労働時間は八時間から九時間に至りますものが約三分の一、十時間程度が四〇%、割増賃金の支払いのないものが約三割、十八件ほどでございました。大体大まかに概括して申しますと、そういうふうな労務管理の状況になっております。私どもとしましては、ダンプカーの事故に労務管理ないし労働条件というものがいかに関連するかという問題について、ことにことしになりましてから特に大きな事故を起こして新聞にも出たようなダンプカーの事故について、さらに詳細な調査をいたしたのであります。これによりますと、その事故を起こした当人の労働時間については大体八時間ないし七時間半というような実績が出ております。賃金の額につきましては、その年令に比しましてかなり高い額が出てきた。十九才、二十才、二十一才、二十二才程度の者で、これが二万一千程度ないし一万数千円の数字が出ております。そういう関係で本年になりましてから大きな事故を起こしましたケースにつきましては、直接その当人の労働時間が事故と関係したとは思えないのでありますが、ただここで私ども一番注目すべき問題として考えますのは、やはり賃金の額よりも賃金の形態、すなわち歩合給といいますか請負給といいますか、ことにノルマがかかります場合、回数のノルマが一番問題ではなかろうかと思います。それから同時に労務管理全般についての基本的な体制といいますか、規律といいますか、そういう点が非常に重大ではないかと思うのです。年内に入りまして調べましたケースは、すべて踏み切りの前で一たん停車をしなかったわけなのでありまして、この点当人が若いとかあるいは不注意ということもありましょうし、同時に職場における一つの規律と申しますか、けじめのつけ方、こういう点も、これは産業安全全般の基本的な問題でありますが、そういう点も非常に関連するのじゃないかと思います。今後とも御指摘の通りこのダンプカー関係についてはさらに引き続き監督を厳にいたしたい。ことに就業規則の基本的な問題、就業規則の制定、今申しました賃金のノルマ制、こういう点に重点を置いて取り締まって参りたいと思いますし、また基準法違反でなくても、こういう公衆に迷惑を及ぼす問題につきましては、強い指導を加えて参りたいと思います。 なお政府部内の連絡につきましては、昨年の暮れ閣議決定をもちまして内閣に交通対策本部を設置いたしました。その中に交通安全部会というものがありまして、私どもの方の労働次官も参画いたしております。今申しましたような労務管理と事故との関連において私どもの受け持つ範囲でありますとか、またそれについて警察関係その他あるいは建設省関係、そういう関係の協力を得て今後も強く進めて、ただいま御指摘いただきましたような点、さらに努力をいたしたいと思います。
○赤松分科員 事故の発生の原因とか、あるいは労働条件の内容とかいうことの御説明があり、今後さらに行政指導を強めていきたいという御答弁があったわけでありますけれども、ただ努力をしたいということだけでは困るのでありまして、具体的にどういうふうにやっていくかということを明らかにしてもらいたいと思います。
○大島政府委員 ただいま申し上げましたように昨年の夏以来ことに強く指導いたしておりますが、監督と並行いたしまして、今申しましたような基本的な労務管理の観念が経営者の方にまだ欠けている点が多いので、この辺の労務管理の基本的なあり方、そういうものについての経営者の基本的な態度を改めていただくような指導をいたしておるのであります。同時にまた各種の経営上の問題もある。先ほど御指摘になりました元請、下請の関係、そういう問題もございましょう。そういう問題の、こういう労働条件の向上とか労務管理の改善について隘路になって参りますような点については、元請、下請を含めてこの改善をはかっていく、こういう措置をとって参りたいと思います。
○赤松分科員 労働省としては、先ほど来言っておるように監督、行政指導という面でかなりやりにくい点もあると思うのであります。これは運輸省などの責任も大いに追及しなくちゃならぬ点でありますけれども、きょうは運輸省がおりませんから、どうぞこういう点については――事故がなお頻発しているんですね。しかも最近では、都内ではもう砂利の採取は不可能だ、不可能ではないけれども、だんだん少なくなってきたということから非常に遠い方面へ行く。従ってノルマが重なってくるということになるので、その危険度は増す一方だと思います。ぜひ、交通対策本部ですか、そこにおいて根本的な対策を一つ講じていただきたいということを希望して私の質問を終わります。
○北澤主査 以上で昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算中、労働省所管についての質疑は終了いたしました。
○北澤主査 次に、昭和三十六年度一般会計予算中文部省所管を議題とし、質疑を行ないます。帆足計君。
○帆足分科員 時間もございませんので、私は結論といたしましては、ただいまの学生生徒諸君に対する奨学資金をできるだけ増額いたしまして、若い学生諸君がインテリ・ルンペンのような環境から離脱することをもっと助ける必要があるということについて、これは文部省当局も十分御理解下さって御努力なされておると思いますけれども、一段とそれを私どもは推進いたしたいと考えまして、文部大臣の所見をただし、一段の御努力を要望いたす次第です。 平素外務委員に籍を置いておりますので、文部大臣に親しくお目にかかりますのは初めてでありまして、それであるにかかわらず多少えげつない御質問を申し上げて失礼と存ずるのでありますが、ただいままで本分科会は、企画庁長官に対しまして、生産増強、所得倍増について論議が行なわれておりまして、私もそれを伺っておりましたが、国家百年の計は、何と申しましても、人を育てるにあるということは、古くから言われておることでございまして、文教の仕事というものは、いわば民族の将来の風格を作るものでございますから、非常に重要で、他の大臣に比べて、これは一見識を必要とするものでございます。従いまして私ども文部大臣に望むところのものは、やはり一つの教育哲学なり風格なりを持たれておられまするならば、いわゆる桃李もの言わねど下おのずから道をなすということで、教師も学生諸君もおのずからその指導を尊重するというような気風が生ずるのでなかろうかと思いますけれども、文部大臣の御経歴からすれば、着実に官僚の御経歴を歩んだ方でありまして、そのような風格を望むことは、私は望む方が無理であろうと存じております。しかるに新文部大臣になられましてからの御論説を新聞等を通じて拝承しておりますると、少し強過ぎるものがありはしないか。私どもが今日普通持っておる常識から見まして、文部大臣の御主張は多少片寄ったりまたは強気に過ぎるのであるまいかと思われるふしがあるのでございますが、文部大臣は一体教育の当面の方針に対しまして、どういうような哲学なり教育思想なりに近いお考えを持っておられるか理解するに苦しむ次第でございますが、何かその方面の御著述や御論説でもあればこの席で拝承いたしておきたいと思いますし、また憲法、教育基本法、児童憲章など、原子力時代の生みの子といわれているこの偉大な方針に対して、もちろん現実はそこまでなかなか来ていないのでございますから、新憲法の精神なり教育基本法、児童憲章の約束した方向に実際を接近させるように骨折ることが私どもの任務と考えておりますが、文部大臣は、短い時間でそういう御質問を申し上げることは無理なことでございますけれども、どのようなお考え方を持っておられるか、一言をもって表現することは困難でございますけれども、一言御見識の一端でも御披露していただきたい思うのですが。
○荒木国務大臣 教育の実態について取り立てて申し上げる見識は不幸にして持ち合わせないのでございますが、お話の中にもありましたように、日本の教育が憲法の精神ないしは教育基本法を中心としまして一連の政治の制度に従って中正な教育が行なわれるような行政をするのが私の役目だと心得ております。
○帆足分科員 文部大臣は教育基本法の条章に対して、非常にこれはよい方向であって、よき指導方針であるという確固たる御信念をお持ちでございましょうか、重ねてお伺いいたしたいと思います。
○荒木国務大臣 もちろんその通りに考えております。
○帆足分科員 私どもが今までの文部大臣の御言動から受けておる印象からしまするならば、文部大臣は教育基本法の若干の部分に対してお気に召さないふしがあるのでなかろうかと思っておりましたが、それが誤解でありますならば御同慶の至りでございますけれども、私は文部行政の仕事というものは、たとえば明治初年でいえば森有礼とか、また文部大臣の適任者はどういう人かと問われるならば、保守政党であっても合理主義的に社会の進歩に貢献した政治家は多いのでございますから、たとえば後藤新平伯とか尾崎咢堂翁とか、またば政治家でありませんけれども福沢諭吉氏であるとか、そういう方であるならば、私はおのずから風格がにじみ出て、そうして学生諸君も教師諸君も師と仰ぐ、それはおのずからそうなると思うのです。しかし今日の諸事情のもとで、官庁出身の文部大臣が文教の長官になられておられるとするならば、それもやむを得ないことであって、そしてそれならば大上段にかまえて日教組に接せられたり教育の基本問題について多少どうかと思われるような独断論を発表せられるよりも、私はむしろ大臣に望みたいことは、子供たちにとって勉学するのに合理的なかつ健康な環境を作っていただく、教師や科学者たちに対して勉強しやすく、そしてよい教育をおのずから教え得るようなよき環境を作るように努力していただく。この行政の仕事というものは、非常に専門の手腕、経歴、見識を必要とするものでございますから、荒木大臣のような長い間行政機関におられた練達の方に私どもが期待するところのものは、むしろその方面のことではないかと思う次第でございます。 現在日本の科学者、それから大学教授は一そうそうでありますけれども、教育者の物心両面の待遇がよくありません。また子供たちの生活の環境もよくありません。卒業したときの初任給なども、後ほど申し上げますが非常に不合理な状況に置かれております。こういう状況、先ほども所得倍増などという生産力の進む姿について論議がなされましたけれども、大産業の生産は戦前の三倍にもなっておりますのに、かりに人口が戦前より三割ふえたにしてももう少しインテリ、学者、文化人または学生諸君の生活にゆとりがあってもいいのではないか。どこかこれは分配上にも間違いがあり、予算の組み方にも大きな間違い、病気の場所があるのでないかということを痛感いたすのでございます。そこでまず、平素痛感いたしておりますから率直に大臣にお尋ねいたしますが、学生諸君が年配の方々に比べて急進的であるというか、革新的であるというのは、これはいつの時代でも若い者は急進的であり、そうして生活力も衰えまた人生の体験を積み過ぎるくらい積んだ人たちは保守的な傾向になるということは、これは社会的政治的常でありますけれども、しかしわが国の学生運動などを見まして、私ども革新陣営におります者が見ましても、革新的学生諸君は学生諸君でアナーキーであるまいかと思われるふしがありまするし、保守的な凡俗な学生諸君は学生諸君でビート族とか太陽族とかいわれましてこれまた一種のマイナスのアナーキー。プラス、マイナスの違いはありますけれども、その精神状況は非常に不安定で、そして共産主義的という表現は間違っておりましてむしろアナーキスティックな傾向が強い。このように革新陣営においても学生諸君ともっと話し合ってそして社会の進歩の道に学生諸君が協力いたしますのにまじめに勉強をしながら自分の力量を通じて日本の進歩に貢献するように、着実な道を歩むことをわれわれは要望したいのでありますが、保守陣営はただこれにおびえて、時としては善良にして有能なむすこたちに対して嫌悪、反感すらも覚えておるというような不幸な状況になっております。文部大臣は一体その原因を、特に最岡学府、いわば日本の保守勢力の幹部候補生ともいうべき社会的地位にある日本の大学の学出たちの中に、非常にアナーキスティックな傾向が強いということに対して、その原因はどこにあるとお考えでありましょうか。お考えの一端を一つ承っておきたい。
○荒木国務大臣 学生が旧套を墨守する気持が比較的少なくて、急進的と申しますか、革新的な気持を持つ傾向にあるということは、私どもも、人間としてありがちな傾向であろうと思います。それがアナーキスティックな現われ方だという御指摘も、私もある程度肯定できるような気がいたすのであります。好ましいことではない、もっと正しい意味での情熱を傾けるような姿を望ましいと思うわけでございますが、その原因はなかなか簡単にはわかりかねる意味が多分にあると思います。私は一つは、毎度申し上げておりますが、日教組という団体の指導理念がその組合員の一人々々に倫理綱領という鉄則をもって臨まれるということが、知らず知らずに教育基本法の期待する厳正中立な、憲法の趣旨に基づき、教育基本法に基づいて中正な教育が行なわれねばならない場であるにかかわらず、知らず知らずに子供たちに影響を与えておるのではなかろうか、先生の言動が感じやすい子供たちにきわめて鋭敏に反映するということは、これは言わずも明らかなことだろうと思うのですが、その先生の集団がときとしては、いわば悪法は法にあらず式の言動をし、あるときは刑事事件に引っかかり、あるときは政行処分を受けねばならないというがごとき事例を子供たちに見せること、そのことは決して好ましいことではない。先生みずからがまずもって姿勢を正して、人間的な感化力を子供たちに与えていただくというがごとき正しい姿をとっていただたく必要があるのではないか。そういう面から、少なくとも一面のただ情熱のおもむくままに現状を快しとせず、手段、方法を選ばず、革新あるいは改革ということを現実の行動に表わす。たださえそういう気持があるのに拍車をかけている。そういう意味において、私は相当重要な原因の一つになっておると思うのであります。その他有史以来の敗戦ということをめぐりまして、よかれあしかれ民族それ自体が混乱し、自信喪失しておる。デモクラシーというものを与えられましたが、未消化のままに、なまはんかな、半可通の考え方で行動する軒もおれば、無理解な者もおるというふうなことで、そういうこともまた学校教育という場を離れましても、一般社会の受け入れ側において青少年をスポイルしておる。家庭におきましても、親が子に対するしつけということについて自信喪失して今日に至っておる。むずかしいイデオロギーや学問的なことを抜きにしまして、一年でも早く生まれた岩は、自分よりも若い者に対して自分の経験してきたいいこと、悪いこと、そのよしあしの判断たるやむろん、憲法の趣旨に従って判断されるべきこと言わずもがなでございますが、そのことが十分理解がないゆえに憶病もありましょうし、見当違いも起こり得たと思いますけれども、そういうむずかしいこと以外に、たとえばこんなことは人間としてすべきじゃないということは子供よりもおとなが体験を通じて知っておるばずですから、そういうことについてすらも、家庭において親が子供をしつけする、兄貴が弟にアドバイスするという誠意、情熱、努力とうものがなされなかった時期が多年続いて、今日といえども、それが十全であるとは申せないと思うのでありますが、そういうふうな人間的な良識が家庭内でも失われ、もしくは内心思っていても、それが表現されないがゆえに、みすみす子供たちが、青少年が方向を誤った言動をするという原因の一つにもなっておろうかと思うのでございます。その他組織的に研究しなければ申し上げかねる、私の知らない多くのことがありましょうけれども、乏しい私の常識から申し上げると、そういうふうなことを一応考えるわけでございます。
○帆足分科員 私は文部大臣のお考えの一端を伺いまして、意外と思うのですが、たとえば日教組の方針が悪いから学生の行動や運動なりがアナーキーになっている、それが重大な原因の一つであるというお話ですが、それほどの影響を子供に及ぼし得る教師ならば、これは偉大な教師と言うべきであって、実際は教育というものはそれほどの影響を及ぼすことは困難なのが教育であって、もし日教組にそういうような点があるとするならば、文部大臣の風格と御議論をもってそれを圧倒するような指導力を発揮されればいいことであって、たとえばラジオにお立ちになる機会もあるのですから、文部大臣の一言一行はそのまま後世に論語以上の不朽の文典として残るような演説をされればいい。ロシヤ革命の時代直後にルナチャルスキーという人、この人は自由主義的傾向の人ですが、文部大臣になったことがあります。このルナチャルスキーが一たびラジオのマイクに立つと、学校の先生たちはみんなアリがみつに集まるようにラジオに耳を傾けて聞いたということであります。私はそういうことを聞きますと、今文部大臣がいかに張り切って発言されても、元の御経歴等からされても商工省あるいは逓信省の属僚、官僚が文部大臣になられて何を言うかという程度の印象しか子供たちに与えないと思うのです。従いまして、そういう御経歴の文部大臣、個人としてはすぐれた御人格をお持ちであっても、そういう御経歴の文部大臣であられるならば、そういうことよりも、子供たちの環境をよくするために、その行政的手腕、力量を十分発揮していただく。子供たちは、やはり今一番精神的にこたえておりますのは、憲法を日本の政府が守っていないということです。憲法第九条に何と書いてあるか。これは日本人として文法の初歩を知っている人ならば、疑う余地のない言葉がそこに書きつらねてあるわけです。あるいはまた政界の一部が腐敗して、造船疑獄を初め多くの疑獄が横行するとか、指揮権発動などといういやらしいことが政治的に行なわれるとか、数々の敗戦後の混乱と頽廃の状況が子供たちに多くの悪影響を及ぼしておるのであって、特定の一団体のこれが偏向によってこういう情勢になっておるといちずに思い込むことも――おとめ心にいちずに思い込むということはありますけれども、五十男の文部大臣がそれだけ思い込んでしまって、そして文部行政において、われわれがもう病みたる者が薬を求めているように、今求めている子供たちの環境をよくする、先生たちの環境をよくすることに全力を注ぐ御熱意がわれわれに十分理解されるようになっていないということは残念なことだと思いますので、私ども文部大臣がせっかくの御在任中に何よりもまず子供たちの環境と教師たちの環境をよくすることに努力をされる、予算措置もそういう方向について全力を尽くされる、その御誠意が国民各層に理解されたならば、私は文部行政に対する国民の理解も、それから考え方も、認識ももっと深くなろう、こういう感がいたすわけです。文部大臣は一体今日の大学の教授、職員また諸学校の職員等の待遇を、これがアジアにおいて第一等の工業国、世界において有数を誇る能率的工業国の教師にふさわしい待遇とお考えでしょうか。私は大学に行くたびに、もうふんまんやる方ない思いがするのですけれども、一流の原子物理学者が――民営の営利会社の顧問になっている人などは別収入がありますけれどもそうでない人、研究室でもって学問の道に専念しておる人たちは、実に低い待遇であります。従いまして、戦前ならば、大学教授といえば、国から父が出て来ましても、一流の料亭で昼飯くらいは食うことができ、忘年会といえば、恥ずかしくないところで一緒にすき焼を突っつくこともできましたけれども、今の給与では、新宿あたりあるいは渋谷裏の豚の臓物か何か焼き鳥にしているような場所でしょうちゅうを飲んで、大学の教授諸君はうさを晴らしておる。こういう姿を見、他方には、もう不夜城を誇る大財閥、大資本家の豪華けんらんたるぜいたくの姿を見ますと、私は、文部大臣としてまずこの問題を解決すべきではないか。前に松田竹千代氏が文部大臣でありましたときに、私は科学者の待遇を見るに見かねるではありませんか、これは超党派的に一つ――昔は科学者というものは一種のプライドを持っておって、実業家と交際しても、そうさもしい思いをしなかったものです。しかし、今では科学者というものはほおがこけ、洋服はよじれ、そして何かなしに、従って、貧すれば鈍すというが、貧しげに見えるということは、まことに残念なことであると思います。松田さんは自分の在任中にもステップ・バイ・ステップだが、しかし、できるだけのことをしよう、そして大臣にお引き継ぎになる前後ころ科学者の待遇が少しよくなり、大学の教授の給料が、御両所の御努力によって少し上がったということを存じておりますけれども、現状では、私の親友など、同じクラスで育った友人が、大学のそれぞれの教授になって、五十前後になって枢要の地位を占めておりますけれども、まことに負しい生活だ。せっかく私が誘って一緒に飲もうと思っても、割勘というわけにいかぬのです。そうすると、われわれの方が、私は実業界に関係のあった人間ですから、多少は資金も出し得る。そうすると、何となしにわれわれの方が高ぶっておるような印象があって――ほんとうにわれわれよりもっと学識の深いよき友人たちに、こういう生活をさしておる。これではどうにもならぬではないかと痛感いたしますが、日教組と大論争なさるほどのエネルギーをむしろそちらの方にお向けになったならば、禅で言う大死一番で、案外局面が展開するのではないかということを、私は痛感いたしますが、特に大学教授、科学者、それから大学職員、その他一般の高等学校、小学校の教師諸君の待遇も含めて、大臣はこの辺が適当とお考えでしょうか。それともかくのごとき文化人、インテリ層の生活の悪いことは、現代における神話ともいうほど悪い待遇であることを痛想されておられるか、その点を伺っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 私の職責が、青少年の学校教育を中心としまして、環境をよくする方向に努力せねばならぬということは、私も心得ております。微力ながら全力を尽くすべきだ、そういう心がまえで今日まで参ったつもりでございます。今後首がつながっておる限り、同じ考えでいかねばならぬと自分に言い聞かしておる次第でございます。日教組と別に大論争しているつもりはございませんので、憲法ないしは教育基本法の精神に照らして、国民にかわって御忠言申し上げるつもりで言っておるにすぎないことを申し添えさせていただきます。 今の大学教授を初めとして、特に大学教授を例にとられましたから申し上げますが、人事院の勧告をめぐっていささかの給与改善ができたわけですけれども、これでよろしいとは毛頭思いません。私も学生時分を回想してみますと、大学の先生のところに遊びにいけば、おい、すき焼食いにいこうじゃないかといって誘われてごちそうになったことを思い起こすわけでありますが、大体今文部省として、大学教授の給与をせめてここまで上げたいということで、私が就任します以前から考えております一つの目標は、せめて戦前並みにしたい、私が承知しますところでは、大学総長などは、もとの大審院長よりは給与がよかったと記憶いたしております。給与が幾らであるのが、横の比較においてそれぞれ適当であるかは合理的には申し上げかねますけれども、一つの戦前の評価そのままがいいか悪いかは別としまして、大審院長よりは優遇されておった、相当優遇されておったと私は記憶しております。そこで、まあせめて裁判官並みに早くしたいものだという考え方が、この数年来文部省としての大学教授の給与に対する一つの目標であったと記憶いたしておりますが、私は、それだけではいけないので、最高裁判所の長官よりも――ひとしく一生をその道にささげる立場ではございますが、人間を育てていくという重大使命を持ち、しかも一生をこれにささげるという立場の教育者の最高峰ともいうべき大学総長などは、裁判官よりはもっと優遇されてしかるべきではないかということを、内部では座談的にではありますが申しておるのであります。繰り返し申し上げますが、今の程度でよろしいなどとは毛頭思っておりません。これまた今お話の通り、実際問題としてはステップ・バイ・ステップでなければ、一挙動でいきかねますものですから、年々歳々その努力を続けていって、日本の実力に応じて考えまして、納得のできる線まで引き上げる努力をすべきものと心得ております。
○帆足分科員 私は、今日学校の教師諸君の待遇が悪いことは、歴代の文部大臣にやはり責任があると思います。それを実現するだけの熱意と認識と迫力が足らなかったと言われても返す言葉がない。というのは、少しばかり低い程度ではない。全く言語道断です。それから、一番下の幼稚園、それから保母さん、託児所に至ってはもう地獄の姿であって、これは厚生省の管轄でしょうけれども、もう言うも涙語るも涙、もはやこれは文明国の現象ではなくて、人食い人種の国か何かの現象であると言っても過言でない。大学教授のことについて私がこれほど声を荒げて言いますのも、見るに見かねるからで、これは外国人からよく聞かれるが、私は日本は昔から神々の国であって、神話の多い国です、これも神話の一つとお聞き下さいと言うのですが、生産は戦前の三倍になっておりながら、そしてビルはあの通り櫛比し、夏は冷房装置、冬は暖房装置、しかも科学者、技師たちの待遇はかくのごとくですから、大学教授、高等学校、小・中学校だけでなく、託児所、保母さんのことにも思いをいたし、また一般の科学者がやはり同じようです。その飛ばっちりを横からも受けて、お医者さんもまた科学者として冷遇されている。健康保険の問題のほかに、科学者としての共同のアンバランスの中に入れられているという共通の現象もありますから、一段と大臣の御努力をお願いする次第です。 第二に、大学を出まして給与はどのくらいかというと、一万四千円前後です。大臣はこの給与をどう考えておりますか。子供たちの前途のためにお考えになったことがおありでございましょうか。戦前に比べてこれはどのくらいの給与になるとお考えですか。
○荒木国務大臣 私事を例にとって申しわけありませんが、戦前大学を出まして役人になったと仮定しまして、月給七十五円であったと記憶します。貨幣価値の倍率をどう正確に計算したらいいかちょっと申し上げかねますが、かりに三百倍としても二万円をこえるという状態で戦前はあったわけですが、それが今御指摘のような状態である、これまた私は、役人にしましても会社員も総体的には似たようなものかと思いますが、もっともっと考えられてしかるべきものというふうに理解しておるわけであります。
○帆足分科員 まことにその通りでありまして、昭和六、七年の不景気のどん底、痛ましき青春といわれた、そうして低賃金の国といわれた時代に、初任給は七十円か七十五円でした。今は倍率三百倍などと企画庁でいいますけれども、経済学者として私に言わせるならば、その数字は間違っております。人の生活は総合的なもので、エンゲル指数の小さなワクだけでなく、冠婚葬祭、住宅問題、それから土地の値上がりということを考慮に入れて考えねばならぬ。何となれば結婚せねばなりませんから。それを入れますと四百倍でも控え目です。そうすると七十円の当時の給料は、四百倍ですから二万八千円、税金も高くなっておりますから三万円、その三万円が地方では初任給一万円くらい、東京のまん中のよいところで一万四、五千円、こういう事情ですから、これも私は戦後における日本の病根の一つだと思う。生産は戦前の三倍にふえ、そうして人口は戦前より三割ぐらいしかふえておりません。しかるになぜわれわれの生活水準は戦前の半分であるか、この事実に対して文部大臣がまじめに検討されぬ限りは、学生諸君の心は常に私は動揺すると思います。このことについて一段の御注意を促しておきたい。 しからば今度は学生の生活はどうかといえば御承知のごとく大部分の学生諸君はアルバイトなしにいくことはできない。大学教授のむすこさんが地方へ遊学しても同じです。三等重役になっても、まだ奨学資金の助けをかりなければ子供三人をとても教育を受けさせられないという状態です。その学生のアルバイトは何かといえば、アルバイトはこれはルンペン的な仕事であります。学生諸君の肉体と心を実務によって陶冶するというような仕事はごくわずかでありまして、いわばインテリ・ルンペンを養成するような仕事、学生諸君がニコヨン、ルンペンの状況に置かれておるならば、その中に金持ちの子弟や恵まれた家庭の子弟が間にはさまっていようとも、全体としてそこに発生する雰囲気はアナーキズムが強硬に現われてくるということはこれは自然のことであって、日教組の罪でもなく、荒木文部大臣の罪でもなく、これは社会の不合理がそこに集中的に反映されておるものと思います。そもそも大学の学生というものは、どちらかといえば、これは経営補助者の予備軍であって、いわば士官候補生のような立場に立つものです。従って保守政党こそは大学卒業生をわが後継者として懇篤に、大事にして、教育費もかけ、そしてその物心両面の安定をはかべへきであるにかかわらず、その諸兄の士官候補生であるところの、そういうふうに現在組織づけられておるところの学校教育体制の中で、それらの青年たちがいわば若い身空であらゆる社会環境の貧乏からくるところの侮辱を受けておる、それらの学生諸君のアルバイトは決して学生諸君を養うに好ましいアルバイトではありません。私はどちらかといえば、高等遊民のような制度よりも、学生に対して実際的、実務的能力を教える、また一芸を身につけさせるということが必要でございますけれども、今日行なわれておるルンペン的アルバイトは、少数の例外を除きましては、学生を陶冶するような実務的役には立っておりません。むしろ学生に小さな利己主義、そしてちゃちな人生観を教えるということに寄与しておるわけであります。 青年たちを心身ともに陶冶することは非常に重要でありまして、人間は肉体を持っておりますから、訓練することなくしては成長するものではないのであります。しかしよき体系的な意味のアルバイト、また実務ならばけっこうなんですが、今日のような状況の中に学生をさらして、しかも病気になったときに、ほとんどこれに対する学生健康保険もありませんし、措置もない。学生が学生課へ身の上相談をしに参りましても、ほとんど学生たちに対して的確な健康指導もできないで、そして何の校長ぞや、何の学生課長ぞやということを、私はこの貧しい世の中で痛感いたしております。前に文芸春秋で、天野貞祐博士がわが子を結核でなくされた涙の記録というものを私は読みました。この高名な新カント学派の大学者先生が、結核病理について知らないことはマダガスカルのホッテントットとほとんど同じであります。陽性転化の何たるかも知らず、そして空洞の意味も知らず、最初の小さなリンパ腺の粒ができましたときの手当も知らず、こういう人に久しく二局の健児を、数カ年もまかしていたかと思うと、今でははだえにアワを生ずる思いがする。学校の校長先生たちは健康ということについて無知です。私は高等学校時代に結核にやられて、喀血しました。その療養期の私をつかまえて、体操の先生は、お前鉄棒に下がれ、すがって、そして一回転せい、一回転したら体操の点をやろう、しかし私はそれに対しまして、体操というものは状況に応じてからだを訓練するのが体操であるから、私は、結核の保養期においては――友達はみな訓練して愉快そうに体操している、しかしからだの弱い子は、クローバーの上にしばらく安静にして、それを楽しく見ながら、そしてよい空気をその時間は吸う、そういうことがほんとうの体操ではないかということを主張しましたら、何とか軍曹殿からもうぶんなぐられそうな勢いを示されましたので、それで退却しました。過去の日本の教育というものはそういうものでした。現在でも体育というようなことは形式的にいいますけれども、まだ子供の健康について配慮されるというようなことも非常に少ない。私は、教育者というものは、心理学あるいは医学の初歩の知識のないものは教育者にすることはできない、医学の初歩の知識と心理学だけは、相当の時間をかけてしかるべきであるとかねて考えております。子供たちの健康と病気と栄養についての十分な配慮すら行なわれなくて、そして、何の日教組の批判ぞやと私は言いたいのでございます。 時間がありませんから……。この国会議員というものは、大臣のお言葉を聞くより、私どもが代表しておる国民の声を大臣に申し上げて、中にはずけずけと御不快なこともありましょうけれども、その中からまたくみ取っていただくべきこともあるわけでございますから、苦い言葉もお聞きとめ下さいまして、施策の上に生かしていただくことを切に希望いたします。学生諸君のために徹底的な健康保険の制度と、それから学生関係の食堂その他につきまして、もっと栄養のある、すなわち健康管理と結びついた御指導、それから下宿についても問題があるわけですけれども、特にその中で学生健康保険のことにつきまして、文部大臣は何か深いお考えがありましょうか、伺っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 その必要性は抽象的に感じますけれども、深く検討を加えてこうしたらという具体策を持ち合わせておりません。検討していきたいと思います。
○帆足分科員 結核で倒れた子供たちを養生、大事にしなさいと言わなければ倒れるだけであって、これを救う力もないような学校行政で、私は子供たちから尊敬されるはずはないと思います。一たん学校に入ったならば健康のことだけは学校が責任を持てるというぐらいの体制を文部省が作るべきだ。その程度のことができていなければ、もはや日教組その他に対して文部大臣は指導的意見を述べる資格がないと言われても私は返す言葉がないのではないかとすら思うのでございます。 さて結論といたしまして大臣にお願いいたしたいのですが、奨学資金の制度がだんだん拡充されつつありますことは御努力のほどを感謝いたします。きょうも大蔵省の主計官に聞いておいてくれとお呼び出ししておきましたが、何も主計官を呼んで小言を言ったところで仕方がないのですが、しかしそれを通路にいたしまして大蔵省の人たちによく教えていただきたいと思います。元来奨学資金の大部分というものは返還さるべき性質のものでございますから、これは流動資金でありまして、これを出したからといって国庫が赤字になるものでもなければインフレーションになるものでもありません。従いまして第一に私がお尋ねしたいことは、全部合理的に回収できるならば平均して何割だけが損失となり得べきものであるか、または病気とか失業とか死亡等の特別免除で回収できないものが、今年度たとえば六十億予算を出すとすれば、観念的に勘定して何割が損失であって、何割が流動資金になるのか。私は大体今年度二割見当が損失になると伺っておりますが、そういうことでしょうか。
○荒木国務大臣 私も大体そのくらいの見当かと思っております。
○帆足分科員 しからば第二に、当然返還されねばならぬ資金が返還されていないという記事が始終出ますので、奨学金をもらえない学生諸君の気持から言えば、何てだらしないことであろうと不平の気持も起こるであろうと思います。私はこの返還方法につきまして二十年の適当な年賦または月賦にいたしまして、利子はつけず、そして自発的に返還計画を提出せよというような寛容にして理解のある文部省のやり方に対してはかねて敬意を表しておるものでございます。しかし一たんそれを申し出てきまったならば、病気、失業その他特別の事情のない限り、これは税金と同じような意味で多少苦しくても後進のために払わねばならぬことは当然でございますが、それが今日までてきぱきと行なわれていない。もちろん苛斂誅求を求めるわけではありません。正確に兼ね備わる免除規定が必要であることは当然ですが、もっと正確にとっていただきたい。または理由なくしてただ狡猾にして愚昧、目先の利益のために納めることをさぼるような人に対して延滞金利をつけることも私はやむを得ないと思っておりますが、文部当局としてどのようにお考えでございましょうか。
○荒木国務大臣 育英資金の問題について非常に御理解あるお話を承って、ありがたいような気持がいたすのであります。大体昭和三十四年度末までの学資貸与の総額が約三百八十四億であります。このうち返済時期の到来している金額が約四十四億円と相なっております。このうち実際に返済されたものが三十三億円でございまして、返還収納率とでもいうパーセンテージを申し上げますと五二・五%という状態に今日なっておるようでございます。 そこで、お説のように国民の血税が原資となって、これが回転していって次々に新しい世代の人にバトンが渡っていく仕組みのものでございますから、実質上から言えば税金と同じだというお説、私もそう思います。さりとて税金同様に苛斂誅求、国税徴収法の手続によってじゃんじゃんやっつけるという精神のものでもない半面も十分考慮において、しかも返還実績が上がるように努力していくということが目標であろうかと思うのであります。 余談にわたっておそれ入りますが、かつて育英関係に関係しておった方のお話ですが、中央線の電車の中で学生諸君がヨタ半分でございましょうが話しておるのを聞いておると、ある一人の学生が奨学資金を返済しなければならぬ、弱るなということを言っておる。そうしたら他の一人が、あんなものを返すばかがあるかという会話をしておる。まずそれが奨学資金を受けた者の全部の考えじゃむろんないのですけれども、ともすればそんなふうにルーズに考えられる。これこそ一つのムードがあるようにも見受けられます。その原因が何だと具体的に指摘もできませんけれども、これは取り扱っておる日本育英会のPRと申しますか、奨学金を支給するときの本人に対するPRあるいは心がまえ等の説得の仕方が十分じゃないということにも原因があろうとも思われます。そういうスタートのときからもっと厳粛に、しかも誠実にこれを履行するような心がまえを育成していくこともぜひ必要なことじゃなかろうか。今までやっているとは思いますが、もっとその点に真剣さを加えていく必要がありはしないか。さらに徴収返納率を高めるためには、集金制度を最近とっておるようですが、ある程度効果的だと聞いております。集金制度それ自体が将来にわたって一番いい方法とはむろん思いませんが、一種の徴収費用を出しましても、収納率を多くして原資を枯渇させないで有効に回転していくようにという心がまえで活用していくべき筋合いのものと存じております。
○帆足分科員 ただいまの大臣のお言葉の通りでありまして、私は多少その点ルーズであると思っております。由来わが国では借りた物を返すという倫理が多少薄弱でありまして、実際的でないくせに抽象的なことになると思考能力がなくて、たとえばミシンを借りた、くつを借りた、げたを借りた、こうもりがさを借りたというと具体的、日常的ですから返しますが、すでに書物を借りたということになるともうなかなか返さない、金を借りたらてこでも返さない。こういうような醇風美俗が濃厚でございますから、そういう社会心理学も十分御考慮になって、やはり返すべきものは厳粛な態度で返す、しかし初任給が戦前の半分なのでありますから、三万円もらう権利のあるものをだれかに収奪されて一万五千円しかもらえない、しかも生産は戦前の三倍になり、人口は戦前より三割しかふえておらない。この禍根はどこに流れていっておるのか、文部大臣が眼光紙背に徹してこの行き場所を探し出てたならば、保守政党としても一段と国民に安定感を与えることができるであろうと思う。私自身もこの点の勉強が不足でありまして、どこにその資金が流れていっておるのであろうかと始終考えておりますが、議員になりますと、雑務に追われまして勉強するいとまもなく、この正体を突っ込むことができなくて苦慮いたしております。これが日本の今日の病気です。この病根を直さぬ限り私は日本はよくならないと思う。かつてわれわれの青年時代に結核が最高の死亡率でした。私は福沢先生の、門閥は親のかたきでござるという言葉を借りて、結核は親のかたきでござるといって戦った時代がありました。努力の結果、もう結核は過去のものになりましたけれども、今では青年の最高の死亡率は自殺です。この一つのことを思っただけでも、文部大臣は日教組とけんかするひまなんかないのがほんとうである。青年の最高の死亡率が自殺である。これは一体何を意味しているか。また子供たちの最高の死亡率は事故です。それから平均年令が、しかるにもかかわらず、二十年も伸びて、かってわれわれはガンになる光栄に浴さなかったのが、五十男、六十男がうじょうじょ生き残ることになりましたために、ガンと心臓病が当面の課題となった、こういうことであろうと思うのであります。従いまして、子供たちに対しましても、初任給が少ないのですから、やはり無理な方法で苛斂誅求はできません。この点について、育英会が非常に思いやりのある態度をとっているという一面に対しては私は深く敬意を表します。しかし他面、大臣が指摘されるような、返すばかがあるかというような気分があることは事実でございますから、無理のない方法でこの回収については一つの筋を立てるべきであるまいかということを痛感いたします。もちろんそれを条件にして、私は新卒業生から苛斂誅求せよなんということを夢にも言うものでないことは大臣も御承知の通りであって、回収を完全にするということで、大蔵省当局もそれで納得していただいて、回収できてから奨学資金をふやすというような高利貸しのようなことを大蔵の方は言わずに、大蔵省の役人といえども、そうそうたる諸君は東京大学を出た人たちでしょうから、相当の教養もおありでしょうから、質屋の番頭のようなことを言わずに、そういう方針にすると同時に、奨学資金を、これは流通資金であるから、ワクを広げよう、そして子供たちをルンペン・インテリ日雇い稼ぎのような悪い環境から救おうということに一段と御協力を願いたいと思います。 最後にお尋ねいたしますが、それでは現在のところ、人数からいいまして、奨学資金をいただくべき環境にあり、申請した者のうち何割がまだいただけないでおるか。それから金額にして、むだなぜいたくはもちろん禁物ですけれども、アルバイトをしないでも済むようにするには、現在の倍くらいにふやせばいいのか、どのくらいにふやせばいいのか、当局の御専門の統計から御返答いただきたいと思います。
○西田説明員 現在の育英資金が学生の生活を安定させる上に、その採用のワクをどの程度に拡充すべきか、またその単価をどの程度にすることが必要かということにつきましては、学生の生活実態等から検討いたしておるわけであります。その場合に最も困難な点は、日本育英会の奨学金は、本人の優秀性と貧困の度合い、この二つを要件にいたしておりますので、その優秀性という点の限界点をどこに置くか、貧困ということは、比較的、必要な学資と家庭の経済負担力から一応推定ができるわけでありますが、かりに優秀性というものを、それぞれの高等学校なら高等学校、大学なら大学において、少なくともその上位の成績を占めるというようなことで見出を立てますならば、特に高等学校における採用率が非常に現在不十分である。志願者の状況から見ますと大体現在の採用のワクの三倍くらいございます。従って、そのような増額がわれわれとしては非常に必要ではないかという考え方を持っております。大学につきましては、現在のアルバイト従事者が全大学生の約四割でございます。従って能力を半分以上のものと考えれば、現在の採用率をそれほど急激に拡大する必要はないのではないか、かように考えております。 単価につきましては、これは個人個人の必要度が非常に違いまして、一がいに申せませんけれども、現在の高等学校千円、大学の二千円または三千円という単価は非常に不十分であることは申すまでもございません。しかしながら、これは一方におきまして、貸与金としての将来の返還能力を考えますれば、必要な程度まで全額を貸与するということは非常に困難になります。従って、その返還の隘路を一方で打開しながら、必要額を貸与するために、御承知の通り本年度から特別貸与制度というものに重点を置く予算の計上がなされておるわけでございまして、この方は、御承知のように相当高額を貸与しまして、そして一般奨学生と同額だけ返還すればよろしい、こういう制度がとられておるわけでございます。その面で今の金額の不十分な点を十分カバーしていくように努力したい、かように考えております。
○帆足分科員 時間も移りましたので、結論だけを一つ……。そういうことでございますならば、私は今の返還を、筋を立てて、しかも無理のないようにきちっといたしまして、そして現在の奨学資金をせめて倍くらいにでも、これは運転資金なんですから、惜しいことはないと思うのです。造船疑獄のように秀駒さんにみつぐわけではないのですから、育英資金でございますから、これはぜひともそういう方向に進んでいただきたい。 それから参考のために申し上げますが、私は先年ソ連、中国、朝鮮に行って驚きました。特に貧しい北朝鮮で驚きました。これは自民党の岩本信行君から報告が出ておりますから、社会党たる私から、別に社会主義国をひいきして申すことでないことは御了承願えると思います。金日成の支配する北朝鮮といえば、私は白頭山のパルチザンの国だと思って、私もおそるおそる参りましたところが、教育について一言申し上げますと、教育は高等学校まで全部義務教育です。そしてことしからは、高等学校は全部技術学校に切りかえました。将来俳優になる者も、新聞記者になる者も、裁判官になる者も、青年時代は必ず一芸だけは身につけておかねばならぬというので、非常に技術偏重であり過ぎるくらい、みな技術に……。一芸を身につけない者は人のたぐいでない。そうしてそれを生産的に、詩を作るより田を作るようにしよう。そしてその上で、裁判官にもなるし、芸術家にもなる。しかし何か一芸は生産に寄与するものを人として持っておる、こういう教育をしておりまして、これも強い印象を受けましたが、それよりも、学生が全部、授業料も学費も無料ということです。大学に入りますと二千五百円ずつ学校が全部にくれます。そうして寄宿舎も、病気に対しても、全部学校が全責任を負っております。北朝鮮は戦争のため無一文になって、一面焼け野が原になった国ですから、普通の社会主義国と違いまして、私は冗談に、物理学的、生物学的社会主義の国だと言った。というのは、地主もないのです。資本家もないのです。焼け野が原になりまして、そこで金日成はどう考えたかといいますと、人間は、貧乏人でも金持ちでも、とにかく雨にぬれて寝るわけにいかぬ。新たにアパートを大量生産で作る以上、住まいだけは家賃をただにしよう。だれでも住まねばならぬから、最小限度の住まいはただにしよう。だれでも、ミカンならたくさん食べる人も少ししか食べない人もいるけれども、お米だけは食いだめということはできないのだから、米だけはただにしよう。それから、貧乏人も金持ちも医者には必ずかかるのだから――一ただ貧乏人は手おくれになってかかるだけの違いだから、むしろ計算をやめてしまって、病院から会計をとってしまおう。病院に参りますと、会計がありません。あらゆる医療は全部無料です。それからもう一つは、教育は、天が授けた子供たちに対して、その能力に応じて教育をするのが任務であるから、これは全部無料にしようと、この四つだけが無料です。この四つだけは社会主義、他は全部能率給、極度の能率給になっておりまして、その才能に応じて、査定して能率給を支払う。私はこれもまた一つの尊敬すべき人類の実験であるまいかと思う。日教組の諸君が社会主義に対して心を傾ける。これはすべての労働組合が社会主義に対して心を傾けるわけです。資本家は資本主義に対して心を傾ける、これが普通の健全な状況であります。同時に労働組合は社会主義に対して心を傾けるのが、これが健全なる状況である。労働組合員であるのに、どうも社会主義は何となしに虫ずが走るというとすると、これは多少精神に軽い異常がある状況であります。大資本家でありながら、おれはスターリンがだれよりも好きだというと、これは変人であると言うべきでありましょう。従いまして、最近ソ連、中国、朝鮮などを見ますと、これらの人口が約十億あるのです。その十億の人口がヨーロッパ諸国と違う伝統で、そこではルネッサンスもなく、民主革命もなかったわけです。そういう国がその貧しさと野蛮な状況から一挙に解放されるために、幾多の先覚者、英傑が現われて、一挙に社会主義に進んだ。そのやり方を日本に適用しようと思っても、適用できるものでもなし、われわれ日本は、日本独自の方法で平和的に穏やかに進化せねばならぬということを確信しておるのでありますけれども、それはそれとして、それらの国において行なわれつつあることに対しては、否定的な面からだけ見るのでなくて、驚くべき尊敬すべき面もあることを、私は文部大臣に知っていただきたい。私どもの言うことは問題になさらなくても、良識ある英国人のドイッチャーという学者の「大いなる競争」という本が、一週間ほど前に岩波新書として出版されました。ソ連のことを書いております。これはすばらしい本でありまして、英国の保守党系の新聞からもこの名著に対しては耳を傾けねばならぬ、こういわれておるわけであります。御承知のように、ダレスのときのアメリカと、チェスター・ポールズ、スチブンソン、ケネディ大統領のアメリカは非常に変わってきました。従いまして、文部大臣のいちずにお考えになっておる今のお考え方に対しては――文部大臣といえども長い官僚生活をなされて、そのときは教育勅語が金科玉条の時代であって、旧憲法の時代にわれわれは育ったわけです。その旧憲法の時代に育ったベテランが、新憲法の時代の青年に対して大上段から説法するということは、なかなかな困難なことであると思います。現に、今の新憲法を二十年前の銀座で朗読したならば、序文を朗読しただけならまず懲役五年、終わりまで朗読すれば、三分後には憲兵隊に連行されて懲役十年になったでしょう。しかし大きな変化が憲法の上に起こった。昔は、文部省の廊下を歩くのは、私たち桃色の学生はこわかった。文部省の前をがたがたふるえて歩いた。文部省は国体の本義で、学生課と結託し、内務省と結託し、憲兵隊と結託して、精神的に軍国主義を鼓吹する場所であったわけです。それが今や百八十度の転換をし、文部官僚の諸君におきましては、八月十五日の変化に驚いて、ハンガー・ストライキでもされるかと思いましたけれども、皆さんの胃袋はきわめて健全で、一人の発狂する者もなく、民主主義に対して見事な外面的な転換をなされたことに対して、人間の生活力のかくも旺盛なことに対して敬意を表しておる次第であります。 どうか文部省の方々も、二十年前のことを思い出されるならば、そして保守党が今やよい意味の民主主義を身につけようとして御努力されようとするならば、やはり学生たちに対しても、歴史は動くのですから、謙虚な立場で文部大臣初め対処することが必要だと思う。今イデオロギーの論争をしようとすれば、社会党には学究雲のごとく集まり、とても哲学論争などで保守党はかなわぬのが当然だと思う。しかし実際上の行政ということになれば、多数党を持っておるのが現在の政府であり、そして非常にすぐれた能吏をたくさんお持ちでございます。そのすぐれた行政手腕をもちまして、子供や先生たちのために、健康にして合理的な環境を作ることにせっかく御尽瘁下さるならば、私たちと文部大臣との対立も多少は緩和されようと私は思うのでございまして、そのための一環として、どうか教師諸君、科学者、大学教授等の生活を今の倍に引き上げていただくことと、学生たちに対して物心両面の御配慮、特に奨学資金と健康管理についてのあたたかい御配慮を、この予算委員会の席上を借りまして、切にお願いいたしまして、質問を終わる次第でございます。
○北澤主査 田口誠治君。
○田口(誠)分科員 今、日本の教育に対して、国民がどうも納得いかぬという点はどういうところにあるかと申しますれば、日本には義務教育がしかれておる。ところが義務教育はしかれておって、満七才になれば、お金があろうがなかろうが学校に入れなくてはならないし、新制中学三年生までは出さなければならない義務があり、いわゆる強制されておるわけでございます。ところがその実、学校に対する政府の恵みというようなものは非常に貧弱なものであるわけです。それで地方自治体の力には非常に強弱ができておるわけです。わかりやすく申しますれば、大都会と中都会、町と山村、これは学校の設備等におきましては非常に大きな差がありますし、そして学校の設備に差があるばかりでなくして、先生の質においても、やはり先生の人事をやる場合にはそういうような点を勘案して人事をされる向きがあるわけでございます。従って同じ新制中学を卒業してみても、高校を卒業してみても、いなかで卒業した者と中都会で卒業した者、大都会で卒業した者に学力の程度に差ができておるというのが実態であるわけです。従って極端な話を申しますれば、仕事の都合で親たちがいなかから東京へ転勤を命ぜられた。子供を連れて転勤をするということになれば、高等学校の場合は一年間ダブらなければその学校へ入れないというような実態であるわけです。それでこういうような実態の中において義務教育をしかれておる。私は義務教育そのものに対しましては、これは非常にいい制度であり、賛意を表するのでございますけれども、そういう実態のできておるということに対しましては、非常に遺憾に思うわけです。従って私はこの点に対しまして、一気には十分な解決ができないといたしましても、何とか徐々に解決をしていかなければならないと思うのです。そういう点について、大綱的な面について文部大臣の御所見を承りたいと思います。
○荒木国務大臣 義務教育は読んで字のごとく、いやと言わせないという教育であります。である限りは、北海道だろうと東京だろうと、九州だろうと、山間僻地だろうと、どこでも持って生まれた能力が同じであるならば、義務教育を終わるときには、同じ能力を持って社会に出るということが理想であろうと思います。それが、御指摘のごとく学校差というものがある程度あることは否定できないと思いますが、これに対しましては学校施設その他私どものお世話すべき範囲のことについて原因が発見されることもございましょうし、また先生それ自体の勉強努力に原因するということもあり得るかと思うのであります。あるいはまた家庭における教育についての関心の度合いによっても違ってきましょうし、いろいろ原因は数えられると思いますが、結論としては、仰せのごとくそういう学校差等がないようにあらゆる点を検討いたしまして、私どもとしては善処していくべきものと心得ます。
○田口(誠)分科員 抽象的な回答でございまして、わかってわからぬようでございますが、解消することに努力するということになりますれば、これはやはり予算措置の関係もあると思うのです。たとえて申しますれば、やはり山間僻地の学校で、あまりにも校舎が貧弱であって、雨が降ったり雪が降ったりすれば、机や腰かけを横にずらして勉強せねばならぬような学校に対しては、これはやはり文部省当局は何とかこれに対しての助成をして、ある程度格好をつけられるくらいなことはすべきであると思うし、こういうような調査はしょっちゅう行なっていかなければならないと思うのです。 それで第一点には、こういうような方法も一つあるのですが、そういうような考え方があるかないかということ、それから義務教育でありますれば、まず順次強化していくといたしましても、少なくとも教科書くらいは無償貸与する、その次は必要学用品も多少貸与するということで、もう少し義務教育という名前に沿ったところの行政を行なったらどうかと思うのですが、具体的なものについて何かお考えがあったら、一つ御説明を願いたいと思います。
○荒木国務大臣 もっと具体的なことにつきましては、政府委員からお答えさしていただきます。
○内藤政府委員 僻地教育につきましては、へき地教育振興法がございまして、今施設関係につきましては、室等の整備をいたして、できるだけ僻地を優遇しておる処置をとっておるのでございます。また教材費につきましても、小規模学校につきましては、生徒一人当たりの単価を増額いたしまして、設備の充実をはかっていく。教員につきましては、教員住宅を作ることやあるいは僻地手当というような制度を設けまして、特別の優遇措置も講じて、できるだけ僻地教育の振興をはかっていきたい。こういう趣旨につきましては同感でございます。そのほか電源の開発をするための補助金とか、あるいはテレビの購入費の補助金を出すとか、あるいはスクール・バス等の整備についても補助をいたしておるような次第でございまして、あらゆる面から努力いたしまして、僻地の学校が差別されないようにいたしたいと考えておるわけであります。
○田口(誠)分科員 何年計画でこれを講ずるというような計画はお持ちにならないのですか。
○内藤政府委員 大体五カ年くらいで全部整備いたしたいと考えております。
○田口(誠)分科員 今秋の心配をして申し上げましたようなことは、五カ年くらいの計画を立てて、その期間において完全にしていきたい、こういうように受け取っていいわけですね。
○内藤政府委員 さようでございます。
○田口(誠)分科員 そこで次に移りまするが、昭和二十八年に理科教育振興法ができましたし、三十二年には理科教育及び自然科学研究の振興に関する決議案が超党派的で、万場一致で決議をされたわけでございます。従ってその線に沿って文部省の方では努力をされておると思いまするが、どういうような努力方法をとられて、どのように今日実績が上っておるかという点を、一つ明確にしていただきたいと思います。
○内藤政府委員 理科教育振興法ができた当時、昭和二十九年の小学校の設備基準は、基準に対しまして一七・五%、中学校が一九・六%、高等学校が二一・四%という率でございましたが、これが今日では大体四〇%、ものによっては五〇%近くにもなっておるわけでございます。金額も逐次増額をいたしまして、本年は前年度五億五千万でございましたが、これを八億に増額いたしたわけでございます。
○田口(誠)分科員 昨年五カ所に作られました理科教育センターですか、これは年々こうして作っていかれることはいいと思いまするけれども、ただこれが一部のものの利用で終わるということになりますると、せっかくの目的が水のあわになるわけでございまするので、十分そういう点について注意しなくてはならないと思うのです。それで一例を申し上げますれば、一つの市に六つも七つも高等学校がある。その中の一つの高等学校の校庭の中にその理科センターを作る。こういうことになりますると、その学校の独占のようになりまするし、これはお考えになればぴんとくると思いまするが、学生感情というものは、お互いに学校同士が何事についても競争をしたがるし、やきもちをやきたがるわけなんです。そこで一つの市に五つも六つも高等学校があるのに、一つの校庭にだけ理科センターができて、そこの子供さんだけはすぐ勉強ができるというような格好では、実際に作ってもらってもありがた迷惑というようなことになると思うのです。従ってそういう敷地をお選びになってこのセンターをお作りになるということになれば、何年かのうちにはどの高等学校にも全部お作りになるのか、それとも各県の重要都市に一カ所か二カ所くらい作るという予定なのか、将来の計画というものについて、そして今申し上げましたはなはだしく遺憾な実態について、一つ御意見を承りたいと思います。
○内藤政府委員 理科教育センターは、理科の先化の資質を向上するための恒久的な再教育機関でございます。今日まで科学技術教育の振興という点から理科学教育の内容改善をいたしておりましたが、特に教師の資質が十分でございませんので、五カ年計画で教員の再教育として実験観察講座を行なって参ったわけでございます。その五カ年計画がそろそろ完了いたしますので、これからは恒久的な機関として教師、特に理科の先生の再教育機関として試みるというので、昭和三十五年に初めてスタートしたわけでございまして、五カ所ほどきまったわけでございます。本年も大体五カ所の予算が計上されておるわけでありますが、これは原則として一県に一つという考え方でございます。できるだけ独立の場所に建てていただくのを原則にいたしておりますが、いろいろな状況等で場合によったら高等学校あるいは大学の校舎の一部が充てられることもあり得るわけでございます。その場合にも、これは全県下の理科教員の再教育という趣旨でございますので、決して学校の一部だというふうには考えていないのであります。たまたま敷地を一部さいていただくということはあり得ても、決してその学校のものではないということを御認識いただきたいと思うのでございます。
○田口(誠)分科員 その回答の言葉の内容については理解はいたしまするが、実際に一つの学校の構内にできておれば、理屈はどうあろうとも、これはその学校に理科教育センターができたということになるわけです。それから先生方が勉強されるのでも、また子供さん方が、おれの学校にはこういうものがあるんだという式でいくわけです。こういうことになりますると、これはありがたいような、迷惑なようなことになるわけです。従ってこういう敷地の選定というようなことについては、省の方で相当ワクをはめて、そうして建設をしなければ、かえって作って悪い影響を及ぼすことが今後できるのではないか。昨年初めてできたものがはやそういうような批判が起きておりまするし、相当錯覚を起こしまして、県に一カ所ずつというようなお話ですけれども、どの高等学校にもでかしてもらえるんだというようなことで、うちの高校にも作ってくれということで、早くも校長さんの方から請願書が出ているというようなことも事実あるんです。岐阜県においてあるわけです。こういうことでありまするから、敷地の選定ということと将来のこういうものの伸ばし方ということについてはよほど慎重を期してやってもらわなければならないと思うのです。大体全国的には五年くらいの計画で終わるんですか。
○内藤政府委員 五カ年くらいのうちには全国各都道府県に一カ所は設けたいと考えております。
○田口(誠)分科員 そういうような設備ができていろいろと先生も勉強され、先生の勉強につれて子供も教育されていくわけなんですが、やはり理科研究というようなものは、一つの実験を行なう場合があるわけです。そうすると、この実験を行なう場合には、一人ではできない場合がありますね。ほかの先生に来てもらってやるとか、あるいはだれか小使さんに来てもらうとか――小使さんではちょっと工合が悪いと思うのですが、私は正当なものとしては、まあ先生でなくとも、助手という名前のつく程度の方々がやはり必要であるんじゃないか、こういうように思うわけですが、そういうものを今後設けられるお考えがあるかどうか。
○内藤政府委員 御質問の御趣旨がちょっとはっきりいたしませんでしたが、理科教育センターの場合には、それに所要な教師のほかに、助手のようなものが置かれるのは当然でございます。ただ、学校教育の場合でございますれば、これは高等学校や小・中学校の理科教育の面でございまして、もちろん理科の先生が担任するわけでございますが、その場合に、必要に応じては、実験助手を考えなければならぬかと考えております。
○田口(誠)分科員 結局、従事するところの実習助手というのが、これはできるんですね。もうできておるんですか。
○内藤政府委員 小・中学校の場合には現実にはあまりございませんが、高等学校の場合には実習助手がおります。それから、センターの場合にも、当然実習助手は必要であると考えております。
○田口(誠)分科員 その身分はどういうことになるのですか。
○内藤政府委員 これは府県立のものでございますから、府県の公務員になるわけでございます。
○田口(誠)分科員 それでは、特に私の方からこの点で希望を申し上げておきますることは、やはりセンターを作る場合のこの敷地の選定ということ、これはよほど慎重を期してもらわなくては、作ってもらって迷惑ということになりかねないわけです。だから、この点は、三十五年度は初めてで失敗があったかもわかりませんが、これからは一つ失敗のないようにやってもらいたいということ、その点を希望申し上げておきます。 それから、次に、定時制高校の関係ですが、定時制高校は、できれば全日制で高校へ上がって勉強したいというのは子供さんの考えですけれども、家庭の事情から、どうしても就職をしなければならない。そうかといって、やはりある程度――ある程度ぐらいではない、まあ常識的に言われておる高校ぐらいを卒業した程度の学力を持たなければならないというので、定時制高校へ入られるわけですが、この定時制高校そのものが、それは自治体によってはいいところもあるかもしれませんけれども、全国的な面からいきましてどうかというと、全日制高等学校と比較しますると、いろいろな面についてちょっと冷飯扱いをされておるという憂いがあるわけです。こういう面から、やはり定時制の学校に対する補助金の増額というようなことにつきましては、これは必要であると思います。この点につきまして、今後を含めて一つ御回答を願いたいと思います。
○内藤政府委員 お説の通りでございまして、全日制の場合には老朽校舎に三分の一の補助が出ておりますが、定時制につきましては、定時制の設備費にも三分の一の補助が計上されておりまして、これが一億一千四百万、建物につきましては七千百八十万と計上されております。その他、定時制の教員につきましては、市町村立のものでも、県費負担教職員にいたしまして、県で人件費をまかなっております。その上に、さらに、定時制の先生方には、大へん御苦労をかけますので、定時制手当というものが七%ついておるわけでございます。それから、生徒につきましても、特に給食の設備費もいたしておりますが、今回新しく予算で小夜食の経費が無償で出されることになっておるわけでございます。いろいろな点につきまして全日制とは相当異なった扱いをしておるわけでございます。
○田口(誠)分科員 定時制の給食は、全国的にいって何%くらい実施しておりますか。実施していないのはどれだけあるかでもいいですが……。
○杉江政府委員 今までにおける完全給食の形の実施率は二三%でございます。明年度予算におきましては、その上に小夜食の予算が計上されておるわけでございます。
○田口(誠)分科員 まあ牛乳ぐらいというところですね、これはどのくらいありますか。
○杉江政府委員 ことしも小夜食としてのミルクだけの給食が認められているわけでございますが、それは全員という計算であります。
○田口(誠)分科員 この費用というのはどういう割になっておりますか。
○杉江政府委員 これはミルク一食一円八十一銭で計算されておりまして――これはあの輸入の脱脂粉乳ミルクで、特に安くなっておるわけでございます。それが一食一円八十一銭、その半額を国が補助をいたし、半額を地方公共団体で負担する、こういうことになっています。その経費総額は、国の補助金としては七千五百十三万八千円が計上されております。
○田口(誠)分科員 この点については希望を申し上げておきます。いずれにしましても、定時制に通う人たちは、仕事が終わって、もうあわてて手を洗って学校へ飛んでいく。食事をせずに行く人、あるいはそこらでパンをかじりつつ行く人、そうして夜食も食べて行ける人、まちまちございまするが、やはりそういうような実態でございますから、子供の健康上からいきましてもそうした面からいきましても、やはりもう少し補助の額を上げていただいて、そうしてミルクならミルクの量をふやすとかいろいろな――まあその方法はどういう方法でもよろしゅうございますけれども、この給食に対するところの助成をもう少しふやしてもらうように、今後努力をお願いいたしたいと思うのですが、この考え方につきまして何か御異議ございますか。
○杉江政府委員 そのような考え方で私どもも今後努力したいと考えます。
○田口(誠)分科員 それから、これはもう大体いいかどうかわからぬけれども、まだ心配しているところがあるのでお聞きするのですが、一般の場合の給食ですね、いろいろあれが打ち切りになるとかこれが打ち切りになるとかいって心配しておるわけなんですが、こういう心配は、これはうわさであって、心配はないのかどうか、その点一つ明確にしていただきたいのです。
○杉江政府委員 打ち切りのお話は、おそらく食管特別会計に繰り入れられておりまする十七億円の補助金のことだと考えますが、これにつきましては、今度の予算査定の過程におきまして、出初大蔵省から削減の意向が示されたのでございますが、その後折衝の結果、これは復活しております。それで、今後、一年後においてはこれを打ち切るのではないかという御質問の趣旨だと思いますけれども、まあ一食一円という積算に基づく補助金を継続するかどうかということについては、なお検討すべき問題があると思います。その点は今後私ども大蔵省、農林省以下関係各省とよくお打ち合わせしていきたいと思いますが、しかし基本の考え方は、学校給食は非常にいい成績を上げておる、これは今後普及、充実していかなければならぬ、そういう基本の考え方に立ちまして、いろいろな施薬を進めていく。この補助金の問題も、学校給食を普及、充実させていくための国の助成の方法として、これが最善の方法であるかどうかについて検討していきたい。なおほかにいろいろな方法も考えられるのではないか、そういうことを含めて今後検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
○野原(覺)分科員 関連して。大事な問題ですから、この機会にお尋ねしておきたいのですが、十七億円というのは、一人当たり何円になるのかということが一つ。もう一つは今局長から、文部省がもとより打ち切りに反対をされた、大蔵省が最後の段階になってやっと復活に応じたわけでございますが、これは最終段階で今年度限りということで復活されたものが、それともやはり給食は重要であるから、この種の削減をしてはいけないというので、食管会計の十七億が残されたのか、その辺の確認はどうなっておるか。大蔵省から主計官が見えておれば、大蔵省からもこれは御回答願いたいのであります。
○荒木国務大臣 予算折衝の過程の話は、今政府委員から申し上げたようなことでございますが、今も話に出ましたように、学校給食というものは続けていくべきもの、もっと普及率を固め、要すればもっとカロリーのことも考えていくべきもの、それだけの値打がある、こういうことでございます。ただ食管会計それ自体も問題をはらんでおります。また学校給食を輸入麦に期待して、それに対する値引きの効果をねらった一食一円の、五百グラム一円の補助という形式が、この通りで三十七年度以降もいくかどうかという方法論については、大蔵省と私ども必ずしも一致しない。で、これは今申し上げた通り、大蔵省、農林省等々と三十六年度十分打ち合わせをいたしまして、もっといい、もっと効果的な方法があるならば考えてみようじゃないか、もしないならば今の方法でいかざるを得ない、ともかく給食というものは続けていくべきものと考えておるわけでございます。
○佐々木説明員 学校給食制度、これは私ども考えまして、戦後行なわれた最も教育に効果ある制度だと思います。この点学校給食を普及するという熱意につきましては、大蔵省は文部省以上に考えていると思います。ただしその学校給食を進める方式といたしまして、国民の税金を使う場合、最も有効適切なる方法を考えなければならぬということが私どもの考え方でございます。従いまして、学校給食にはいろいろな助成策がある。たとえば今食管会計に一人一食、われわれの子供が一年間に二百二十五円という補助金を国民の税金からもらってやるという方策もあるし、それから学校に対していろいろな給食設備をやるという方策、それからおとといもお話がありましたように、欠食児童、そういう貧しい家庭があって、学校給食の費用さえ払えないような家庭がある。そういういろいろな問題がございます。そういう問題を解決して、学校給食を普及させるには、もっといい方式はどうかという点をいろいろ検討しました結果、少なくともこの前の査定の立場から申しますと、私どもがいただいている二百二十五円という補助金は、これを政府に返上いたしまして、それを低所得者、欠食児童、そういうものにむしろ還元してやるべきではないか、それから学校当局が当然やらなくてはならぬところの給食施設、そういうものをむしろふやして、われわれのもらっている補助金というものを御返上しようじゃないかというような考え方がわれわれにあったわけでございます。ただしそういう低所得者階層、こういうものにつきましては、欠食児童をなくすという補助が、むしろ一食一円ということではなくて、全額持つというような方式を考えなくてはならないのじゃないかというようなこと、さらに一般父兄負担の軽減ということも考えなければならぬし、どうすれば学校給食を安くできるか、そういうことをいろいろ考えまして、戦後十年間続いてきた食管会計の繰り入れ制度、十七億円をもっと有効に使う方法はないかということを御提案申し上げまして、それなら有効に使う方法があるかということで、いろいろな人、民間の人、関係各省協議して、最も有効適切に学校給食というものを普及する道を検討しようじゃないかという立場に立っているわけでございます。
○野原(覺)分科員 有効適切にするように検討されるということはまことにけっこうで、これは十分御検討していただかなければならぬかと思うのですが、あなたの御答弁を聞いておると、どうも私はふに落ちぬ点があるのです。これは食管会計の十七億の問題は、今度初めて出てきた問題じゃない。何かにつけて大蔵省は文部省に対しては予算の面で脅威を与えておる。私は文部省の皆さんがおるから申し上げるのではないのですけれども、の十七億だって査定の過程をじっと見ておりますと、第一次査定でも削除、第二次の段階でも削除、第三次もそうでなかったでしょうか。そうして最終的にやっとまあ、これは確かに荒木さんよくがんばったと思うのだが、うんと言ったのですね。ですからあなたはなかなかうまいことを申されますけれども、子供の給食費の負担、やはり民族の将来を決定する教育予算というものに対しては、もっと理解のある態度で大蔵省は臨むべきです。私は明日大蔵関係の分科会があれば、その他の件もございますから、水田大蔵大臣にかためて五つ、六つお尋ねしようかと実は今考えておったところであります。この点を要望して、関連ですからやめます。
○田口(誠)分科員 次には給食婦の関係ですが、この人たちの身分というものはまことにまちまちになっておるのですね。極端なもので申しますれば、一つの市で二十人の給食婦がいれば、市の方からそれでは二十万円やる、あとはPTAの方の援助でやっていけというようなことで給食婦が給与をもらっておるというような、身分上非常に不明確な状態のままになっておるところがあるわけです。そしてこれはまた割合にはっきりしておりましても臨時職が非常に多いわけなんですね。こういうものに対して何か原則的な考え方をお持ちになるか、一つ御回答願いたいと思います。
○杉江政府委員 現在の給食調理員の身分がいろいろあり、なおその中に、公費負担でなくてPTA負担のものが相当数いることは御承知の通りであります。給食調理員がこのようにPTA負担になっており、その身分もまちまちであり、また待遇も必ずしもよくないという状況はまことに遺憾なことでありまして、学校給食をうまく実施するためには、ぜひともこの点も改善しなければならないと考えまして、かねてから私どもも努力はして参ったのであります。これに関連いたしまして、先般、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案が成立いたしまして、この四月から、給食に従事する職員は、原則として市町村負担にすべきものだという原則が示されましたので、これによりまして、現在PTA支弁になっております職員の大多数は公費負担に切りかえられるはずでございます。またそのような指導をいたしております。 なお、この給食調理員の定数でございますが、直接には地方交付税積算の基礎として示されております定数は、現在九百人に三人ということでございますが、これでは私ども不十分と考えて、この引き上げを要望して参ったのでありますが、三十六年度交付税の積算の基礎においては〇・五人をふやすという了解ができておる次第であります。なお、この単価も引き上げられることになっております。これらの点についてはなお今後とも私ども十分努力して参りたいと考えております。
○田口(誠)分科員 臨時職を木採用化させるという、こういう指導の面についてはどういうお考えですか。
○杉江政府委員 臨時職員を本採用に切りかえる。これは身分がこのように公費負担に切りかえていかれます過程においては当然そういうふうにされると思いますし、私どももそのように指導したいと考えております。
○田口(誠)分科員 主査ともう十分間と約束してありますので、ちょっと急ぎます。これは防衛問題にも関係いたしておりますので、明日の内閣委員会で質問をいたしたいと思いますが、幸い大臣もお見えになりますので、ここでお伺いいたしいと思うのです。文部省の関係しておる病院――大体防音装置というものは今までずっと学校がおもであって、病院というようなものはあまり中へ入っていないわけなんです。それで、特にこの間の答弁では、国立というような表現をされましたけれども、これは公立というのを国立というように間違えて言われたのかもしれませんけれども、ちょうど私が明日内閣委員会で質問を続けようとするものに、各務原の飛行場のすぐ前の広っぱに公立教職員共済組合東海中央病院というのがあるのです。これは文部省の方からどれだけか補助もお出しになっておると思うので、関係があると思うのですが、文部省は学校の防音装置に対しましては、今までの数字の上に立って、他と比較して努力されておるという点はわかりますが、こういう病院関係についてもやはりそうした努力をされる必要があると思うのです。これは厚生省にも関係がありますけれども、文部省に関係のあるそうした病院に対しまして、同じような考え方で今後防音の装置に努力していくというお考えについては変わりがないか、その点を一つお聞きしておきたいと思います。
○福田政府委員 政府委員からお答え申し上げますが、ただいまお述べになりました病院が各務原のすぐそばにございます。私も実は昨年の夏その病院を視察して参ったのでございますが、当時はまだそういった飛行機による騒音の問題はなかったと記憶いたしております。最近までそういう問題は起こっておりませんが、ごく最近におきましてそういう問題が起きたように報告も来ておりますので、これにつきましては私どもといたしましても十分調査して、その上で必要があれば何らかの措置を訓じたいというふうに考えております。
○田口(誠)分科員 まだこの件で関連した質問がありますけれども、時間が制約されておりますので、一つ大臣のお見えになるときにお聞きしたいことを質問したいと思います。 御承知の通り岐阜県では県と教職員組合が専従制限の問題で一昨年から争って、今裁判所の方でやっております。ところが私らが考えてみましても、先生と県とが専従制限の問題であんなに争わなくとも、これは理屈を一言えば、当然憲法で保障されておる団結権の範囲内で組合を作り、自主的に専従者をきめて、そうしてそれぞれの市教委、町村の教育委員会の了解を得て今まで確保しておったのを、県がこれこれの数字しかまかりならぬというような式で出してきたのがこの問題でございまして、去年はまず減りました。そしてまた二年目のことしも四月から減るということになっておりますが、今裁判中でございます。そこで、こういう先生と県と争っておるというようなものは文部大臣の方でもう少し気を使ってもらって、この辺のところで、まあ去年は去年でそうなったのだが、ことしの分はこうだというぐらいのところで一つ解決するような方向に持っていくお考えがないのかどうか、従来の大臣の考え方からいきますと、県がそういう方針を出しておることに同調をして、まだねじの巻き方が多いようにわれわれとしても考えられたわけなんです。これはきわめて遺憾なことであると思うのですが、実際問題として今争っている問題について最後まで争わせて、白か黒か結末をつけさしてこの問題を解決させるのか、それとも早く解決される方法を文部省としてもお考えなのかどうか、この点を一つ文部大臣にお聞きをしたいと思うわけです。
○荒木国務大臣 組合の専従者というのは組合という特殊人格のいわば雇い人でございますから、有給の専従者があることが本来の建前からいけば例外的なことだと思います。しかし専従者は教育委員会の承認を得て置くことができ、現職教職員が専従者になれるという建前になっておるかと思いますが、それが何人でいいかということは組合対県教育委員会の話し合いできめるべき筋合いでございまして、自主的に協定が成り立つものと心得ます。それを自主的な立場で県の教育委員会と組合とが話をしておられる。それが争いとなって訴訟事件になっておるとするならば、それに対してそそのかしたり火消し役に回ったりすることそれ自体が、文部省としては私は慎むべきことだと思います。あくまでも制度に従って自主的な話し合いできめるべきもの、きまらないならば法廷において黒白をつけるということもまた一つの方法であるわけですから、そういうふうに心得ております。
○田口(誠)分科員 ちょっと文部大臣は前の経過からの御認識がないようでございますが、これは有給の専従ではなくして、教職員組合が自主的に、組合を民主的に運営する上においては何人要るのか、人数は何人要るけれども、予算の面で何人しか雇えぬじゃないかというので、数をきめるのです。そしてその数をきめたものを委員会へ届けて了解を得て、今までずっと慣行としてやってきておったわけです。ところが途中からひょこっと昭和三十五年は何名、三十六年の四月からは何名だ、これ以上は認めないというので出されてきて、そんなばかなことはないといって交渉をしようと思っても、なかなかこの話し合いというものはできないのであります。今大臣の言われることは、自主的に話し合いをすべきが妥当であると言われるが、全く私もその通りだと思うのです。その通りのことができなんだので、裁判まで持っていったということになっておる。結局外部から見た面では、先生と県教委が争っておる、県知事と争っておるというようなことは、これは非常に子供別持っておる親たちとしても好ましくないと考えておるわけなんです。こういう場合に、なぜ文部省という力のあるところが調停に立たぬのか、そうしてまた文部省が一方的なような、県に同調するような解釈の談話をなされてきておるというようなことを非常に遺憾に思っておるわけなんです。こういう点から、私は大臣に対しまして、早く解決する考え方がおありなのかないのかということを最後にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
○荒木国務大臣 そういう姿が早く解消することを念願いたしますけれども、さりとて文部省の立場から現に法廷闘争にまでなっておるものに対して、調停するなどということはやるべきじゃない、公正なる結論というものをゆがめるというふうに思いまして、別にどうしようとは思いませんし、またそういうことをしちゃいけないという権限を持ち合わせておるわけでもありませんから、先刻申し上げました通り、地方公務員法の定めるところに従って、県の教職員組合と県の教育委員会との話し合い、あるいは双方の自主的な相談によって訴訟問題を取り下げるなり何なりというのは、それ自体外部からかれこれ言うべき筋のものじゃないと考えております。
○田口(誠)分科員 これは調停という言葉を使ったから、そこにこだわりがあるかもわかりませんが、私は文部省としてこういう事態には当然これは最も公平な妥当な指導というものがあってしかるべきだと思うわけなんです。それでそういう指導をやられるお考えがないかということなんです。これは私先ほど調停という表現を使ったから何だか中へ入っていって両方を寄せてやる、こういうふうにお考えになったのかもわかりませんが、正しい指導をされる考えはないかということです。
○荒木国務大臣 県の教職員組合という一つの人格者に対して、本来組合対使用主たる県の教育委員会との間の話について指導をするという立場には文部省はないと存じます。言葉を返すようでおそれ入りますが、あくまでも自主的にきめらるべきもの、県民の代表たる県議会が条例を作るという権限は本来持っておるわけですから、その条例なら条例の内容が法に違反するかいなかということは、これは文部省が判定すべきにあらずして、もしそういうことに関して争いがあって法廷に持ち出されておるとすれば、これは裁判所の判断に待たなければ、法の具体的な解釈適用ということは文部省がかれこれ言うべきことじゃないと存じております。
○田口(誠)分科員 約束した時間が来ましたので、私は約束を守りますが、この問題につきましては、やはりまだ質問を保留をいたしておきます。
○北澤主査 それでは本日はこの程度にとどめ、明三月三日は午前十時より開会し、昭和三十六年度一般会計予算中文部省所管についての残余の質疑を行なうこととし、これにて散会いたします。 午後七時五分散会