予算委員会 第25号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/19
会議録
○愛知委員長代理 これより会議を開きます。 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び同政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。 ただいま参考人日本銀行総裁山際正道君がお見えになっておりますので、この際参考人に対する質疑を許します。井手以誠君。
○井手委員 日銀総裁は御多忙のところありがとうございました。最近国際収支がますます悪くなって参りますし、設備投資の行き過ぎが顕著になって参ったのであります。これは物価の騰貴とともに非常に重大な問題でございまして、その対策が各方面から強く要望されておるのであります。その対策は今日きわめて急であると考えておるのであります。従いましてこの予算委員会におきましては、一貫してその点に論議が集中いたしました。昨日は池田総理から設備投資に若干の行き過ぎがあることを認められて、あなたの方の、日銀の金融政策の調整を要望されておったのであります。私どもはかって積極政策からなべ底景気という苦い体験を持ちます。その苦い体験を再び繰り返さないことが、予防することが、私ども政治家の任務であると考えておりまするので、かねがねこの経済問題について重要な役割を持っておられるし、再三警告を発しておられる日銀総裁に対して御意見を承りたいと思うのであります。 時間がございませんのでかいつまんで御質問申し上げるわけでありますが、第一には国際収支、第二には設備投資、第三は買いオペの問題、第四は公定歩合、その四点についてお伺いをいたしたいのであります。まず現在の経済情勢に対する日銀総裁の御見解、それと悪化しつつある国際収支、けさのラジオ報道によりますと、四月の総合収支も赤字になるのではないかという放送があったようでありますが、日銀における国際収支の見通しをまず第一に承りたいのであります。
○山際参考人 お答えをいたします。最近の国際収支の動向に関しまして、日本銀行ではどうこれを見ておるかというお尋ねと拝承いたしました。 御承知の通り国際収支の関係は、経常収支の面において本年に入りましてからかなりな赤字が継続いたしております。幸いにいたしまして計数がまとまりました段階において資本取引の方の黒字がございました結果、なお総合収支においての黒字を最近まで続けておるわけでございます。 そこで私ども国際収支の見方といたしましては、いかなる原因、事情に基づいてかような現象が起きておるかという点の原因の分析が非常に大切と実は考えております。まず重要視すべきは経常収支の方にある。これは基本的にはウエートが私は資本取引よりも大きいと考えております。そこでその経常取引の収支においてこの中心をなすものは、やはり輸入の動向並びに輸出の動向でございます。 〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕 最近の数字から見ますと、御承知のように輸入の水準が相当な高水準をずっと維持いたされております。その原因を検討いたしますと、要するにこれはなお季節的なないしは一時的な原因というものも相当あるように思います。しかし一面には国内経済の急激なる成長に伴うための物資の輸入という点もございます。日本の経済構造から申しまして上半期に輸入が集中し、下半期に輸出が伸びていくという性向は従来持っておったわけでございます。今や上半期もちょうど終かろうかという時期に参っておるわけでございますが、それらの原因から考えまして私ども最も注意いたしておりますのは、思惑的輸入があるかどうか、あるいは自主的な輸入にとどまっておるかどうかという点でございます。この点はただいま御指摘がございました昭和三十二年の当時と比べますと、私は思惑的輸入は、輸入の高水準にもかかわらず、現在発生しておらぬと実は考えております。御承知のように最近はいろいろ自由化対策の措置が進行いたしております。その関係において一時的に輸入に増減を来たすということはあり得ることであります。ことにこの四月からは輸入の制度は自由化の切りかえが行なわれまして、そのためにやや輸入に一時的に片寄った点もございます。かれこれいたしまして輸入が高水準を保っておるのでありますが、これに対して私どもは一番心配いたしておりますことは、輸出が比較的ふるわぬということでございます。 そういうふうに国内もしくは輸出産業のための建設的な輸入が進行いたしておるのはいいのでありますけれども、それが現実の輸出として現われてきておるかどうかという点が実は問題であります。この輸出の需要は単に日本の国内事情ばかりではございませんで、相手国の事情によるところがかなり大であります。 御承知の通り昨年来引き続いておりますアメリカの不況というものは、とかく日本の輸出の伸長を妨げておったわけでございます。どうやら大体において世界は、アメリカの不況は底を入れたろう、これから時間的な経過は相当かかるかもしれないけれども、漸次上昇をたどるものと思われるというのが大体一致した意見のようでございます。このこと自身は日本の輸出貿易については好材料でありましょうけれども、しかし相当の時間がかかるということが一つの問題であります。 なおヨーロッパ関係におきましては共同市場の方が漸次固まって参りました。あるいはまた東南ア市場等の関係におきましても、輸出を急速に伸ばしていくためにはなかなかこれは相当困難が多いという事実は、率直に申して実は考えざるを得ないと思っておるのであります。 そこで輸入水準の点において、国内の成長の度合いが国際貿易のバランスの点に著しく均衡を失して、しかもそれが長期間継続するとなりますると、これは大きな国際収支上の基礎的な問題になろうかと思いますが、目下の段階におきましては、私はこの輸出の伸長についてあらゆる努力を払って進んでいきまするならば、逐次その効果も現われてくるであろうと考えておりまするし、その効果と、一面においては国内の経済成長の度合いというものを勘案いたしまして、現在の段階においては非常に注意を要する段階ではありまするけれども、それが基調的にもしくは継続的に大勢をすでに決定したとは実は考えておりません。 輸出の増進について私どもが一番懸念いたしておりますことは、国内の成長が早過ぎますと、ないしはその成長が国際収支との均衡を十分とっておりませんと、とかく業者の輸出意欲が鈍るということでございます。苦労して輸出をいたしまして、各国との熾烈なる競争のもとに利益を上げるよりも、手近に国内需要に応じた方が簡単でもうかるという関係に立ちますならば、輸出意欲はつい減退せざるを得ないという結果になりますので、さようなことが生じますと、これは輸出の将来に対して非常な問題を生ずると実は思うのであります。従いまして私どもといたしましては、この両者の内外の権衡を失わないように、たまたま上半期はそういう理由でやや権衡を失しておりまするけれども、それは季節的な一時的な理由は十分あるからして、これらを十分注意しながらも、経常的にその輸出意欲というものを燃やすような立場において施策を進めて参りまするならば、やがて国際収支も均衡を回復するであろうし、そういたしますれば、そこに安定した経済成長が続けられる、かように考えておるわけでございます。 幸い目下のところでは、御承知のように、国際的信用も高まって参りまして、存外資本取引の方で日本に対する信用が増加いたして参っております。それらの関係がございまするので、貿易の方で赤字を生じましても、国際収支全体といたしましては、どうやら大した基調的変化を認めずして経過しておりまするけれども、しかし前段申し上げましたように、やはり国際収支の見方といたしましては、経常収支に重点を置くべきことはもう基本でありまするからして、どうしてもこの改善ということに今後力を入れていかなければならぬ。その要点といたしましては、今申し上げました通り、内外のバランスを考えて、内部が繁栄するために輸出意欲が減退するというようなことがないように、それらの努力を続けまして、輸出水準を引き上げることによって、経済を拡大しつつ、しかも国際収支も安定的に持っていこう、こういう基本的な考え方でいきたいと考えております。
○井手委員 総裁がただいまお答えになりました経常収支がきわめて重大であるということ、国内の成長が早過ぎると輸出を阻害するという二点については、私は全く同感であります。 そこでお伺いしたいのは、輸出がはたして政府が言っているように伸びるかどうかという問題、ただいまもアメリカ、欧州共同体のお話がございました。アメリカの不況というのは、私どもは構造的なものであると考えておるのであります。過去のものはいわゆるV字型、今回はケネディ大統領も申しておりまするようにU字型、まあU字型というのは上品に聞こえるのでありますが、言葉をかえて言えば、なべ底型とまあ兄弟分とも言えるのであります。今度アメリカの景気が上向きになるのは、ずっとスローでいくではないか、のろいではないかというのが、これは日本側の観測ではなくて、アメリカの当局の観測でありまするから、私は、下期に簡単に伸びるとは考え得ないのであります。これは私は、私だけではなくて、多くの人の見解であろうと思うのであります。そこで、そういうことを考えて参りますと、政府でも昨日、経常収支において二億ドル前後の赤字はやむを得ないであろうという答弁があったのでありますが、やはりこの数字的な見込みを立てるということは、また対策上きわめて重要でございますので、この際お伺いしたいのは、そういうアメリカ、欧州などの情勢を勘案いたしまして、この上期において、経常収支、総合収支において大体どのくらいのお見込みを日銀は持っておられるのか、この点をお伺いしたいのであります。
○山際参考人 国際収支のうちの輸出関係の、ことにその前途の見通しの問題でございます。 私も、アメリカの市場の回復は、回復には向かいまするけれども、お示しのように、V字型に行くということはなかなか情勢はむずかしいのではないかと実は思っております。むしろ、上がりまするけれども、相当の期間は経過しつつ、徐々に上がっていくだろうと実は思っております。日本の産業経済構造からいたしまして、先ほど申し上げました通り、輸出が下期に集中しがちでございます。それで、輸入期、輸出期という観点からいたしまして、この下期において、日本全体としてある程度の輸出の増進を見込み得るということは、私もそう考えております。ただ、それはアメリカの市場の情勢はそうでありましても、他地域がどうであるかという問題も関連いたします。全体と相待ちまして、まあ政府の方で、下期は輸出期に当たるので回復を期待されておるということにつきましては、方向としては私どもさように考えてはおります。 ただ、今おっしゃいました通り、上半期の国際収支の結果がどうであるかという点は、実はなお上半期は五月、六月を控えておりますので、五月、六月の情勢は、なかなかこれは注目を要すると私は思いまするけれども、実績についてどの程度ということの数字は、これはまだ申し上げ得る段階ではないと思いまするが、いずれにいたしましても、輸出努力をこの際一そう続け、一日もすみやかに輸出を振興しなければならぬという点については、その必要は私ども同様に痛感をいたしております。 御承知のように、最高輸出会議というものもいろいろと今輸出の見込み等について御努力になっておるように思いますので、やがてその成果が示されるだろうと考えておりまするが、私どもといたしましては、前段申し上げましたような事情に基づきまして、この輸出の増進によって国際収支のバランスを回復するということに努力の方向を向けるべきである。民間団体等におきましても大体同じような考え方で、この輸出マインドと申しまするか、一般的に輸出を増進する努力を続けるという考え方は、最近漸次強くなって参っているように思いまするので、おそらくは今後は、輸出の増進について、どの程度かそれは程度は測定のしようでございますけれども、漸次改善の方向をたどるであろうと期待はいたしております。
○井手委員 総裁の御答弁はきわめて慎重でございまして一もちろん慎重でなくてはならぬと思いまするけれども、この機会というのは、時期的におきましてもこの予算委員会という場所の立場からいきましても、私は、総裁一がかねて持っておられる対策、お考えをお示しになる絶好の機会であると考えますので、以下の質問に対して大胆に一つお答えをいただきたいと希望いたすのであります。 次に承りたいのは、設備投資であります。本年度の政府の見込みは三兆一千四百億円であった。それが、今各方面からの希望を集計いたしますと、三兆六千億円にも上るのであります。この設備投資の旺盛というものが輸入を促進しておりますることは先刻も総裁がお話しになった通りでありまして、これはやはり何とかして押えなくてはならぬと思うのであります。池田総理は、日銀の金融政策によって調整したいということを昨日も申されたのでありますが、総裁は、この三十六年度における設備投資がどのくらいであるのが適当であるとお考えになっておりますか。三兆一千四百億の当初の予定、それが三兆六千億になっておる今日、どの程度が適当であるとお考えになっておりますか。またこれを調整するのにいかなる対策が必要であるとお考えになっておりますか。池田総理は、あなたの方の日銀の金融政策に期待をされておりますが、過去の例から申しましても、私は、金融政策だけでは十分であるとは思えないのであります。総裁もまた、新聞紙を通じて、行政指導の必要であることを力説されて参りました。そこでお伺いしたいのは、本年度の設備投資はどのくらいが適当とお考えになっておりますか。また、金融政策、いわゆる窓口指導というものはどのようになさるおつもりでございますか。また、行政指導を行なうとすれば、いかなる行政指導を行なうのが適当であるとお考えになっておりますか。以上の点についてお伺いをいたしたいのであります。
○山際参考人 ただいまのお尋ねの、本年度の設備投資はどの程度が適当であるかという点でございます。実は私どもの所管だけで申しまして、広範囲にわたる設備投資の全貌を金額的に表明することは非常にむずかしい立場にございます。政府は、経済企画庁を中心として各省庁を統合されまして、詳細な資料に基づいて、いろいろと投資計画を見込んでおられます。私どもには残念ながらそれだけの資料が実はございませんので、まあ政府のお調べになりましたところを基礎にいたしまして、判断の材料といたしておりますが、御指摘の通り、最近やや設備投資が政府の御計画ないしお見込みに比べてスピードが早過ぎるのではないかということは、私は資料と申すよりも、取引の実感においてさように感じまするので、何とかこれを政府のお考えの通りのテンポでいくような程度にまでは、スロー・ダウンと申しますか、させることが必要ではないか、と実はかねがね考えておりました。 私どもの関連におきまして、かような急速な設備投資に見合うだけの資金を安定的な条件のものに調達していくということは、なかなかむずかしゅございます。そういう関連もございまするので、これは一つ政府のお考えの大体の範囲内におさめるようにお願いしたいと実は思っております。むろん金融政策の及びます限度においては、資金の供給等についても適当な調整をいたしまして――実は御承確の通り、窓口指導等を通じてなかなか民間の要望通りにはいっておりません。平たい言葉で申しますれば、やや締めぎみに進んでおりますので、そのためにいろいろと苦情を申す者がございますけれども、全体としての感じはさようなことでございますので、これはやむを得ないというところで、本行の使命としてその程度の押え方をいたしております。 ただいまも御指摘がございました通り、金融政策の方は、どっちかと申しますとやや事後的な問題になりますので、金融機関の窓口にいろいろと現実の資金需要が参りますときには、すでにもう仕事が始まってしまって、決済をどうするかという段階において銀行に来ることが多いのであります。でありまするから、なるべく経済秩序を乱さずに円滑にこの目的を達成するためには、やはり事前に、最初の段階において少しずつ調整をするということが必要ではないかと思うのであります。 政府はいろいろお見方もございましょうけれども、最近承りますと、産業合理化審議会の方においても、その成長スピードが適当であるかどうかということの御審議が始まっておるように承っておりまするし、また経済審議会の方においても総合部会を設けられて、全体の成長の度合いがはたして政府のお見込みとどうマッチしておるかというような点をお調べになるということも伺っておりますので、われわれはその成果に大いに期待を実はいたしておるのでございます。全般的問題として、極力金融政策は行き過ぎを押えるという点で考えておりますけれども、申し上げましたようなその性質から申し、また個々の事業につきまして日本銀行が一々施策するという二とはとうてい不可能でございます。おのずからその限界がございますので、その範囲内においてはできるだけ安定的な成長に寄与し得るようにということを実は本旨としてやっておる次第でございます。
○井手委員 重ねてお伺いしたいのは、設備投資は政府の計画に近い数字に押えることが妥当である、数字をあげますならば、三兆一千四百億円近いものに押えることが、国内の成長が早過ぎるのを押える意味において必要である、かように私は承ったように思いますが、さようでございますか。またその点とあわせて、政府は行政指導が特に必要かどうか、この点をかねがね総裁は強調されておりますので、お伺いしたいのであります。
○山際参考人 御承知の通り、今、日本の経済は全体としては自由経済機構のもとにございますので、これは政府といえども、計画経済、統制経済ではございませんから、お立てになった計画ないし見込みをその通り持っていかれることはなかなかむずかしいと思います。要は、一応立てられた見込み通りいけば、大体において経済諸条件の均衡は保持し得るだろうというお見込みが前提になっておると思うのであります。従って、その前提たる事項にプラスが加わってくれば、おのずからもっと成長スピードがあってもいいし、もしマイナスの面が加われば成長スピードを落とさなければならぬというように、非常に弾力的な、変化しやすい条件のもとに立っての問題であろうと実は思うのであります。でありまするから、これらの計画につきましては、常時経済界の動きを御注視願って、適度に一つ御調整を願いたいということを私は政府に対しても申し上げました。 その理由は、今日実際問題といたしまして、一つの事業、ことに大きな資本を要する事業については、政府の認許を要する。たとえば外資の導入について、外資委員会その他の為替管理法上の手続を経なければならぬとかいうように、いろいろと御配慮を願う段階が事実上私は多いと思います。それらの段階において少しずつお考えをお示し願えれば、今申し上げましたようにいろいろ変化しやすい外部の条件に適応した設備投資を計画できる。かように考えます意味において、民間ではなかなか全体の計画がどうなっておるかということがよくわかりかねますので、政府の御勧告でもごあっせんでも何でもよろしゅうございますけれども、お願いしたらどうかということを実は申し上げたわけでございます。
○井手委員 大臣もうしろの方にだいぶおそろいになりましたので、発言を非常に遠慮なさっているような気がいたすのでありますが、遠慮は要りません。非常に重大な段階でございまして、きょうの御発言はきわめて重要であると考えますので、あとの質問については、一つ重ねてお願いしますが、大胆率直にお答えを願いたいと思います。 次にお伺いしたいのだが、この五月から六月、政府の推定によりますると、対民間収支は千三百二十億の揚超になっているようであります。この金融逼迫に対して、一部、特に大蔵省方面では買いオペをやってはどうかということで、買いオペの出動説が唱えられておるのであります。おそらく総裁の方にもその話があったかとも思いますが、この買いオペに対する総裁のお考え、また、これをやってはたして操作がきくかどうか、てこ入れになるかどうか、その点もあわせてお伺いをしたいと思います。もしおやりにならないとするならば、いかなる対策を持っておられるのか、この点もあわせてお伺いをいたしたいのであります。
○山際参考人 ただいまの、六月の国内金融市場の繁忙化に対する方策いかんというお尋ねでございます。 第一に私ども考えておりますのは、政府の財政支出がなるべく財政の収入のときと見合って、あまり大きなギャップができないように、政府財政自身において御調整を願いたい。たとえば六月初めに大きな法人税の引き揚げがございますけれども、同時に交付金の支出ということも六月初めに行なわれると聞いております。財政自体においてなるべくそういう調整的な御処置を願いたいというのが第一点。それから次には、現実の資金需要が季節的期末の関係においてきわめて短期の要請でありまするならば、私どもは、それに見合う貸し出しその他の方法でよろしいと実は考えております。 買いオペの問題ということは、新規のことではございません。昨年も実行いたしました。それは情勢次第、また資金の量の工合などを勘案いたしまして決定すべき問題だと考えております。今まだ、その時期は少し余裕がございまするので、それらのいろいろな問題を、たとえば政府財政支出の均衡といったような問題をできるだけやっていただきまして、それらの上で、健全な資金需要に対しては、貸し出しその他の方策において資金を供給するということにいたしまして――実は、買いオペをやるかどうかという問題は、政府からはまだ何もお話を承っておりませんし、私の方でもまだ議を尽くしておりません。これはいま少しく、時の経過また事態の推移を見守ってから決定いたしたいと存じまするが、いずれにいたしましても、諸般の経済情勢から考えまして、ここで一般に金融をゆるめるという感じを与えるような方策は資金供給上おもしろくないと私は感じております。これは客観情勢との見合いの問題でございますから、いま少しく先にいって決定すべき問題だと考えております。
○井手委員 最後のお言葉の中で、買いオペはやらない方がいいのではないかというように私は感じたのでありますが、あなたは金融については総本山でございますから、現在の情勢で大体見当がつくと思いますが、現在の経済情勢から見て、また諸般の情勢を勘案いたしますると、買いオペが必要であるかないか、端的にお答えをいただきたいのであります。重ねてお願いをいたします。
○山際参考人 いかなる対策をとるかにつきましては、御承知のように、私の方で、内部的にもいろいろ政策委員会その他の機構もございますが、まだ私は諮っておりません。私自身の考えでは、今の段階で集められる資料に関する限りにおいては、さような、どっちかと言いますとこの段階において適当でないと思われる金融緩和の影響を与えるような措置は避けるという意味で、おそらく量的に申しましても貸し出しの方法でこれは経過し得るのではないか、そうしてまたその資金は、月を越せば相当額還流するのじゃないかというふうに判断いたしております。今申しましたように内部的に済んでおりませんので、確たることを申し上げるわけには参りません。
○井手委員 大体の総裁の御意向はわかりました。大体において反対の意向のようでございます。 あと一点お伺いいたしたいのは、公定歩合ついて上げろとか下げろとかいろいろな意見がございますが、きょうはもう総裁の意見を聞くだけで、私の意見は申し上げませんが、この景気調整に果たす金利政策の重要性から公定歩合は今のままでいいとお考えになっていますか。その辺のお考えを最後に承りたいのであります。
○山際参考人 今だんだん申し上げました通り、私は諸般の情勢から考えまして、今日公定歩合引き上げの必要が随時基調的に生じたというふうには見ておりません。それよりも前にいろいろな打つ手がございまするから、それらの手を十分に考えて行き過ぎのないようにいたしていきまするならば、せっかく今国際競争力をつけようという意味で金利も比較的負担を軽くしようという方策をとっておりまする際、他の方法をできるだけ行使いたしまして、公定歩合による方法は最後のものとしてとっておきたい考えでございます。 さような次第でございまするから、御承知のように最近国際収支の問題にいたしましても、日本はこの両三年来相当経済力がついておると私は考えております。国としても経済力がついておると思いますので、政策の急激な変更をしないでも、ある程度の時間とある程度の措置を講じていきまするならば、なだらかに方向の変換は可能になっていると実は思いますので、相なるべくはさような措置で急変のない限りは進んでいきたい、かように考えているのが現在の心境でございます。
○井手委員 日銀総裁山際さんありがとうございました。日銀の持っておる重要な役割から、本日私やや物足りない感がいたしました。正直に申しまして遠慮なさっている感がいたしたのであります。どうぞ重大なときでございますから、警告すべきものは警告する、言うべきものは堂々と言って、あやまちのないように一つ十分確信を持って金融政策に当たられまするように希望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○船田委員長 それでは山際日銀総裁御退席を願います。まことにありがとうございました。
○井手委員 ただいままで私は日銀総裁に対して国際収支のこと、設備投資の問題等々を承りました。その総裁の意見によりますると、まず国際収支の点からお伺いをいたしますが、輸出の点が一番心配されておるようであります。私は先刻も申しましたが、総理はアメリカの景気はV字型に急激に上昇していくということを言われるのでありますが、アメリカの今回の不景気というのは、失業者が五百六十万、長期の失業者が非常に多い。遊休施設が多い。これを上昇させるにはよほどの努力と時間が要るということを、ケネディ大統領初め多くの関係者が申しておるのでありまして、当局が言っておられますように、下期に簡単に上昇するとは私は考えないのであります。この点が私は今後の輸出対策上一番大事な点である、かなめの点であると考えるのであります。下期には大丈夫だといつもおっしゃいますが、それでは通産大臣にお伺いいたします。下期になりますと、どういう理由でどういう根拠で、どういう品物が伸びていくのか、この点をお伺いしたいのであります。抽象論では話になりませんので、具体的にお聞きいたします。
○椎名国務大臣 アメリカの景気の見通しについては、ほとんど意外に回復が早いということがいわれておるのであります。ただいま対米輸出が少し鈍化しておりますが、これがだんだん回復して参ることを予想しておるのであります。 それからヨーロッパの方の輸出の見通しでございますが、これはすでに相当動いております。品物は雑貨、繊維、それから軽機械、そういうものがおもなのであります。 アメリカ景気の回復とともにいろいろな連鎖反応と申しますか、ヨーロッパの買気も今後だんだんそれ以上に伸びていくというようなことをわれわれは期待しておるのであります。 それからプラント輸出は、これは東南アジアを初めとする低開発国、これも去年よりも伸びております。今後延べ払いの条件緩和等によりまして、この方面がより以上に状況がよくなって参るということをわれわれは期待し、またこの方面に相当の努力を払いたいと考えておるのであります。ことしになりまして一月-四月、これは輸出の伸びが五%程度でございます。年間を通じてわれわれは一〇%以上を期待しておるのでありますが、この一〇%以上の輸出の伸びは可能である、かように考えております。
○井手委員 一〇%の輸出の伸びは不能であるか、可能でありますか、ちょっと私耳が……。
○椎名国務大臣 可能であると考えております。
○井手委員 ちょうどきのう、私の宿舎にアメリカ大使館の文化交換局の方から情報が入ったのであります。その情報によりますと、こう書いてあるのです。信頼度の高い経済調査事業をもって知られているマグロー・ヒル社、その調査によると、米国工業界の本年の設備投資は三百五十三億五千万ドルとなる予定で、これは昨年の投資額より一%低いのである。さらにこの投資計画は、この三カ年の毎年の投資額はほぼ今年の投資計画額にひとしいということになっている、こういう情報がアメリカ大使館の方から入っておるのであります。そしてまた所得倍増計画の立案に参画された稲葉秀三氏は、アメリカの総生産はうまくいって二%程度であろうと、最近各方面の新聞、雑誌に論文を寄せられておるのであります。このように考えて参りますと、いわゆるU字型を少し広げますと、これはなべ底型になってくるのであります。だから先刻も私は兄弟分だと申しておるのであります。日銀総裁は、私の質問に対して、従来のようにV字型では上昇しません、これはその通りでございますということでございます。そうなって参りますと、下半期は大丈夫だ、アメリカの景気がよくなれば輸出はどんどん伸びると政府はおっしゃっておりますが、私はそう甘く見るべきものではないと思います。 そこで端的にお伺いしますが、通産大臣、あなたは一〇%の伸びは可能であるとおっしゃいましたが、それではどの製品とどの製品がどういう理由で伸びていくのか。アメリカには、きのうの新聞でございますかまた輸入制限の運動が始まっておる。日本から輸出しておりまする繊維製品あるいは雑貨類を考えますと、この輸入制限の動きに敏感なものは対米輸出の大体六割に達しておる。それらを考えると私はそう簡単に下期は大丈夫だとは言えないと思う。それじゃ何と何と伸びますか。
○椎名国務大臣 そう判こで押したように何と何が伸びて何と何が引っ込む、こういう工合にいくものではありません。それは常識的じゃないと思います。アメリカの景気を非常に悲観しておられるようでありますが、私もたしかこの間――区々たる数字にこだわるわけじゃないけれども、商務省が十日に発表したところによりますと、最近の国際収支の関係は、これをもし年間に引き伸ばしていくと十億ドルのマイナス、去年から見ると約三分の一、前年同期の趨勢は、これを一年に引き伸ばすと三十五億ドルのマイナスということになっておったやつが、非常に改善されておるということを発表しておるのであります。悪い数字ばかりを拾ってお考えにならないで、アメリカの最近の上昇傾向というものはやはり現われておるのでありますから、これによって私どもは対米輸出も改善されるものと考えておる次第であります。
○井手委員 私は何も悪い数字ばかり並べておるのではございません。心配だから各方面の数字を私はここで披露申し上げておるのでございまして、あなたのようにいい数字ばかり私は申し上げないのであります。大体いつごろからどういう理由でどういう品物が伸びるかということが明らかでなくては、下期は大丈夫でございます、十月からは大丈夫でございますとは言えないはずです。しかしどうも通産大臣はこれ以上は答えられないようでございますから追及はいたしません。 そこで通産大臣、日銀総裁は輸出の振興、輸出の増進に特段の努力が必要であるということを重ね重ねここで強調された。政府ももちろんそれはお考えになっておるでありましょうが、それではその国際収支の均衡を保たせるためには、どういう輸出の振興策をお考えになっておりますか、特段の振興策をお考えになっておりますか。
○椎名国務大臣 従来と本輸出振興策につきましては、いろいろな施策を講じて参ったのでありますが、従来の施策をさらに強化するということがまず第一であろうと思うのであります。 最近の情勢から申しまして、低開発国に対する支払い条件の緩和、これがヨーロッパの先進国においては非常に緩和して参っております。これらに拮抗するためにも、今後関係各省と十分に協調、協議をいたしまして、できるだけ支払い条件の緩和ということをはかりまして、そうしてブラント輸出の伸展を期して参らなければならぬと、かように考えておるわけであります。それからインドに対する直接借款のようなものをさらにそれ以外の地域にも拡大する必要があるのではないか。またしばしばこの委員会において論議の種になりましたが、輸出資金量の拡大ということも、できるならば考えていきたい。それから低開発国との取引が片貿易になりますから、なるべくこっちも物を売るけれども、向こうからも買ってやらないと伸びません。その意味においていわゆる第一次産品の買付をやりやすくするようにいろいろな助成、協力、いわゆる経済協力をやって参る。たとえばタイ、ビルマ等の米はなかなか日本の事情からして従来通り買うわけに参りません。しかるに飼料等は多々ますます弁ずという状況でありますから、その飼料の点に着目して、これを国際商品にし得るように、保管でありますとか、乾燥でありますとか、そういったような施設を講ずれば、相当りっぱな国際商品になり得る。日本もこれを買うことができる。こういう状況にかんがみまして、そういう方面に手を伸ばして助力をするというようなことが、今後ますます必要になるのではないかと、かように考えるわけであります。 なお輸出保険の問題につきましては、相当従来とも業界から喜ばれておる制度でございますけれども、さらにわれわれはあらゆる方面に商機を拡大する意味におきまして、輸出保険の強化ということも考えなければならぬ。 いろいろな施策をそれぞれの――アメリカ方面に対してはいわゆる秩序ある取引、ヨーロッパに対してはまたヨーロッパなりのいろいろな施策が必要である。その地域々々に適切な施策を強化して参りまして、輸出振興をはかって参りたい、かように考えております。
○井手委員 私は通産大臣の今申されたその程度の振興策ではこれは非常に心もとないのであります。国際収支、輸出振興策については、もう何回もここでも論議されましたから多くは申し上げません。一つふんどしを締め直してしっかりやってもらいたい。大へんなことになりますよ。 次に、企画庁長官にお伺いをいたしますが、先刻日銀総裁は、国内の成長が早過ぎてはいかぬということを繰り返し力説されました。これはもうあなたも御承知の通りです。そうして三十六年度の設備投資は、そのときそのときのプラス、マイナスの条件にもよろうけれども、最初御計画なさった数字に近いものが適当でございましょうという意見でございました。今あなたの方でまとまっておりますのは大体三兆六千億円あるいはそれをこえるかもしれません。企画庁長官もまた先日、地方銀行でございますか、会長なり専務理事を呼んで、輸出振興と設備投資についての協力を要請なさった。池田内閣は表では非常に強いことをおっしゃっておりますけれども、おそらく腹の中ではずいぶん御心配なさっておると私は思う。だからこそあなたが銀行協会の会長をお呼びになったと私は考えるのであります。企画庁長官、一体この間きめた所得倍増計画で三十六年度の設備投資は三兆一千四百億円が適当であると算定されて出されたものである。それが急激にふえて、そのために輸入がどんどんふえて国際収支の均衡が破れるという事態になっておる今日において、どういう対策をあなたはお持ちになっておるのか。設備投資はやはり三兆一千四百億円に近いものに押えようとなさるのか、押えようとすればどういう対策をお考えになっておりますか、その点をお伺いしたい。
○迫水国務大臣 このごろ設備投資が少し高過ぎるのじゃないかという議論が非常に活発でございますが、それは何によって過大であるというふうに判断をしておるかといいますと、今お述べになりました所得倍増計画の四十五年度の見通しが三兆六千億、もっともこの三兆六千億というのは三十三年度価格で計算をしておりますので、本年の価格で計算している本年度の設備投資と比較することは、物価が上がっております関係上、そのままでは比較はできないのでありますが、その点と三十六年度の見通しで三兆一千四百億円という数字を私たちは出しておる。これを基準にして、それよりも多いじゃないかというのが論拠のようでございます。 そこで、一体どうしても三兆一千四百億にとどめなければならないのかどうかという問題でございますが、三十五年度の見通しにおいて二兆八千億余りの設備投資と考えておりましたが、それは実質的には精算すると三兆になっているのじゃないかというふうに考えられます。従って、基準が上がってしまったところから出発しているとすると、三兆一千四百億という一応の見通しをそのまま固執するということは、私は必ずしも当を得た処置ではないと考えておるのであります。従って、事柄は実質的に見るべきでございますが、こういうような経済が高度成長する場合、ことに技術革新が行なわれ、自由化を控えているというときには、幾分か投資が先行するということは当然のことだと思っておりますし、また設備投資の累年の増加の割合も、昭和三十四年が三十三年に対してたしか一二%くらい、かりに昭和三十五年を三兆としますと主十四年に対して三八%くらい増加しておるのでありますが、かりに本年一般にいわれておる三兆六千億にしましても約二〇%の増加でありまして、いわば設備投資が増加しておるという趨勢はすでに峠を越しておるというような感じもいたします。そういうようなことから申しまして、必ずしも現在の設備投資が非常に高い水準にあって、これをどうしても押えていかなければならぬのだということをいきなり結論づけるのは、私は早過ぎるのじゃないかと思うのであります。 しかしとにかく全般的な感じとしまして、スピードが上がり過ぎている、もう少しゆっくりやってもらってもいいのじゃないか。ことに本年の設備投資の中には面接生産力になりません土地の造成であるとかそういうものも含まれておりまするしいたしますので、数字そのものを根拠にしていろいろ論議をして、一体幾らのところに押えるのがいいのかという議論なかなかできないと思います。そこで、経済審議会の力をおかりしまして、総合部会というものを設けまして、二通りの方法、つまり、昭和四十五年の目標年次を基準にして逆算をして――所得倍増計画では中間年次の数字を出しておりませんので、いろいろな仮定を設けながら逆算して、昭和四十五年に三十三年度価格で二十六兆になるということを前提とした場合には今の設備投資の数字はどのくらいにあるべきか、これは非常に推定をたくさん入れたものでありまするが、同時に、今度は逆にいきまして、昭和三十五年度が三兆となった場合に目標年次においてはどうなるだろう、その中間においてはどういうところがいいだろうかというようなことの計量的な研究に着手をいたしまして、そういうものを一応これから見比べていって、大体現在の設備投資の量は金額的に見てこの辺が適当じゃなかろうかというような基準がつかみたいと思って、現在努力を始めているところでございます。ただ全体的な感じとして、スピードは確かに早い、もう少しゆっくりしてもらってもいいのじゃないか。ことにいろいろ聞いてみますと、元来企業設備というものは当該企業が自己保全の立場からよく考えて、将来の需要供給のところや何かを考えていくべきであるのにかかわらず、何か競争的なもの、あるいは需要の見通しが非常に甘いようなものも中には含まれているような感じがするものでありますから、それは通産省が合理化審議会等の線においておのずからそこに忠告を与えるし、また銀行も資金の融通の際にそういうものをよく審査してやってもらう、そうして、いわばそういう行き過ぎた、確たる根底のない設備投資の増高に対してある程度の押えをしていく、こういうような処置が必要じゃなかろうかというのが現在の考え方でございます。
○井手委員 企画庁長官、もう少しはっきりしたものをおっしゃると思っていたのに、成長が少し早過ぎるようだから少し押えなくちゃなるまいという、そのくらいのなまぬるい言葉でどうしてこれを押えることができますか。昨日も総理は、これは行き過ぎがあるから押えなくてはなるまい、日銀の金融操作をお願いしようという話がある。数字ばかりではどうにもならないとおっしゃいますけれども、三兆一千四百億円、これは基礎があって作られたはずですよ。根拠があってそういう数字が出ているはずですよ。どんどん生産設備がふえて、そうしてそれが三十七年度、三十八年度に稼動し出してごらんなさい、設備が動き出してごらんなさい、生産過剰になりますよ。三兆六千億で設備が行なわれますと、総生産は、稻葉さんの推定によりますと三〇%ふえなくちゃならぬ、そのためには国民消費は二〇%ふえなくちゃならぬという数字まであげられておるのであります。あなたは、銀行の会長を呼んで、銀行の方に押えてくれと頼む。頼んでおいて、これは少し早過ぎるから何とかしなくちゃなりませんという程度で、どうですか、それで済みますか。三兆一千四百億とかあるいは幾らとかの数字というものは根拠がないのですか。なるほど三十五年度は三兆円になったでしょう、幾らか予定よりもふえておるでしょう。しかし、その割合で伸びる関係からしますと、三兆二、三千億円で済むはずです。目標を大体定める。三兆六千億じゃいけない、これじゃ多過ぎる。今石油などの商業関係にまで手を入れた設備投資あるいは自動車界、これは明らかに過当競争が起きているのです。あなたは自由化に備えて合理化の設備がだいぶあるとおっしゃいましたけれども、その合理化資金というものは全体の設備投資の一割から一割五分程度であるといわれておる。とにかく自分側の市場を独占しよう、今の市場を確保してさらに拡大していこうという競争が今起こっておることはあなたは認めておるはずです。そうやるならば、三十六年度は三兆四千億円、三兆三千億円くらいで押えよう、そういう根拠を持たなくてどうして企画庁長官として勤まりますか。長い答弁は要りませんよ。決意をおっしゃって下さい。
○迫水国務大臣 先ほどの御質問は三兆一千四百億に大体近づけるつもりかという御質問でございましたから、三兆一千四百億を基礎として、それで押えつける意思はございませんと、こういうことを御答弁したつもりでございます。それが今三兆六千億でとめるつもりなのか、三兆四千億でとめるつもりなのか、結局数字を言えというお話でございましょうけれども、私はここで数字を言うということはできないと思うのです。 問題は、その設備投資によって将来非常な過大なる生産が起こって需要供給の関係が生産過剰になるかどうかという問題なのでありますが、稲葉君の計算自身も私は相当の疑問があると思います。かりに言われておるように三兆六千億に設備投資がなりましても、私は三十七、三十八年度において非常なる生産過剰が起こって日本が恐慌状態になるというふうには考えておりません。従って三兆六千億をめどにして押えるかどうかという問題は今考えておりませんので、先ほど申しましたように経済審議会においてもう一ぺんよく検討し直してみて、一つの基準ができるなら、その基準を目安に置いてさらに金融機関等にも協力を要請したい。現在の段階においてはとにかく早過ぎる状況であるから、個々の企業についてよく精通している当該企業者あるいは金融機関、若干は通産省等において善処してほしいということを希望しておるのでありまして、御質問が数字についての御質問でありましたから、そういう答弁をいたした次第であります。
○井手委員 たとい所得倍増計画が目安であっても、数字を中心としたものでなければならぬことは、これは当然です。数字もでたらめである。これでは所得倍増計画もあったものではございません。たとい目安といっても、少なくとも池田内閣の生命に関します。大体の目標を立てていく、それに向かって、若干の異動はありましょうけれども、三十七年度にはこのくらい、四十年度にはこのくらいという目安を立てて総合的な施策を講じていく、片ちんばにならないように総合対策を講じていくというところに、私は所得倍増計画の生命があると考えておる。それでは一体通産大臣はどうですか、あなたが主管でございましょうが、合理化審議会においてどのくらいに三十六年度の設備投資を押えようとお考えになっておりますか。あなたの方は数字に強いでしょうからお伺いをいたします。
○椎名国務大臣 合理化審議会の資金部会には、すべての設備投資の問題をゆだねておるわけではないと思っております。この間よく設備投資が非常な過剰ではないかと言われた鉄鋼の問題につきまして、三十六年度を大体調整をしたのであります。少し以前に昭和四十年までの希望計画をとったところ、非常に膨大なものでございまして、それが新聞に出て設備投資が過剰であるというような論議を巻き起こしたのでありますけれども、実際問題はそうではなくて、今申し上げたように、三十六年度の設備拡張計画というものを鉄鋼界においていろいろ検討して、通産省の方に意見を求めると申しますか、調整方を求めると申しますか、求めて参ったのであります。それによりますと、大体まあ二〇%だったと思いますが、一五%か二〇%くらいの上昇率でございまして、しかもこれをしさいに吟味してみますと、三十五年度の上半期と下半期では非常に上昇率が飛躍しておる。三十五年度の下半期からいうと、三十六年度の設備投資計画というのはほとんど横ばいの状況であるのであります。そういうことでございまして、世間が騒ぐほどそう設備投資の競争が行なわれて、またたく間に生産過剰といったような問題をはらむようなしかけが今行なわれつつあるというようなことではないのであります。大体産業界の人たちも十分に責任を持って、自分の置かれておる経済環境はどういうものであるか、また多額の資金を投じてはたしてそれが妥当であるかどうかというようなことを、長年の間の経験によって検討して、そうしてまあ大丈夫というようなところをやっておるのでありまして、産業界の知識も相当進んでおる。そういうものに信頼して、われわれは要すればこれを多少調整する、あるいは勧告するというようなことに進んでおる次第であります。
○井手委員 関係者を信頼してというお話がありました。どうも総理の言いぐさがうつったような気がいたしますが、財界、経済界あげて、ごく一部を除いて、あとはほとんどの人が今日の事態を憂慮されておると思うのであります。どうも企画庁長官も通産大臣も確信を持っておられぬようである。 そこで私は総理にお伺いをいたしますが、けさ、総理がおいでになります前に日銀総裁にここに来てもらいまして、国際収支、設備投資、あるいは買いオペなどについての御意見を承ったのであります。それによりますと、国際収支については、何といっても経常収支が重要であるということ、今国内の成長が早過ぎておる、そのために輸出が伸びないということは、これは重大な問題であるから、輸出の振興には特段の注意が必要であること、さらにアメリカの景気は底はついたけれども、過去のようにV宇型には上昇しないというお話がございました。すなわちこれを一言で申しますならば、今の高度成長よりも安定成長が必要であるというふうに私は受け取ったのであります。今通産大臣や企画庁長官のお話を聞きますと、ちょうど池田総理のお言葉のように、長い目で見てくれという考えのようでありますが、私どもが心配しますことは、資本家においては、それは十年、二十年長い目で見ますと、ずっとそれが成長していく。のこの歯のように山あり谷ありがあるかもしれませんけれども、長い目では成長していく。しかし私どもが最も心配しなくてはならぬのは、その落ち目のときにこうむる中小企業あるいは働く者、そういった犠牲者をいかにして犠牲を少なくするかという用意を講ずることがお互いの責務であると考えておるのであります。長い目で見れば成長する、これはけっこうだ、その次景気になった時分には、ただちに過剰設備が稼働してくれるようになるから大丈夫だというお考えのようであります。それでは済まぬと私は思うのであります。資本家、事業家はそれで済むでしょう。しかし政治家はそれでは済まぬと思う。こういう状態にあるときに、総理はあくまでも高度成長が必要であるとお考えになっておりますか、この際国民の不安を除くために、将来そういう反動が起こらないように予防措置を講ずるために、安定成長の方に少し考え直そうというお考えであるのか、その点の見解を承りたいのであります。
○池田(勇)国務大臣 高度成長か安定成長か、こういう問題でございますが、私は高度の安定成長でございます。安定成長というのをどうとるか、英米におきましては二%ないし三%、あるいは四%のときもありましょうがおおむね二、三%、それからイタリア、フランスの方では四、五%という状況でございます。ドイツにおいては八%程度――今はちょっと落ちております。どれが安定成長か、どれが高度成長か、これはなかなかきめかねます。しかも日本の一人当たりの国民所得、生活状況はこれらに比べましてよほど低い。私はこの日本の経済力、国民の生活を、できるだけ国民とともに早く――無理をしてはいけませんが、早く上げたいというのが私の考え方であるのであります。 しこうして、設備投資の問題につきましていろいろ私は議論を聞いておりますが、所得倍増計画の昭和四十五年度の三兆六千億ということについての批判をまだしておられぬようであります。私は所得倍増計画のあの分につきましては、一応参考でこういう構想と言っておりますが、私の見る目で昭和四十五年に日本の設備投資が三兆六千億でいいか悪いが、これをまずきめなければ議論にならぬと思います。そうすると総生産は二十六兆円といっております。三兆六千億ならば一二%の設備投資になります。一二%くらいになるでしょう。一二%の設備投資と申しますと、今の二十数兆円を出しておりまするドイツ、イギリス、これを見ましょう。イギリスは総生産が二十四兆円、ドイツは二十三兆円、ドイツの設備投資はこの日本の十年後の状態に近いときに設備投資を何ぼしているかといったら、二兆八千億でございます。一一%。イギリスはどうかといったら一兆八千億、八九%。二兆円でございます。こういうところから考えて、十年後の三兆六千億というものがどうかということについても相当疑問があります。しかも私は日本の国民生活を誤りなく安定をしながら高度に成長させていこうというときに、この三兆六千億がウナギ登りにずっと四十五年まで続くわけのものじゃない。今十五兆六千億と見まして三兆円なら二〇%でございますが、ドイツの一二%やあるいは欧米先進国の一〇%足らずのところに比べると、かなりきついことは私はわかります。しかしそれをしも私はまあできるならばやっていこうということは、国民の生活を彼らの生活水準にまで早く無難にやっていこうというのでございまして、私は高度の安定成長をやっていきたい、こういうのが私の悲願であるのであります。従いまして、いろいろな議論はございます。私は山際君の考え方は私と大体似ておると思っておりまするが、それは銀行家としての言葉の使い方と、政治家としての言葉の使い方はある程度のニュアンスはありましょうが、考え方において差はない、そういうつもりで言っておるのでございます。 だからこれを要するに昭和四十五年の三兆六千億がよくて、ことしの、三兆何ぼになるかわかりませんが、これは押えようがございません。今のように金融家や事業家の反省を求めると同時に、また全部が反省し過ぎて設備投資を押えてくれると、電力なんというものは大へんなことになります。これはもう私はどんどんやっていかなければならぬと思いますが、そういうふうなところであまり取り越し苦労をして――それからことにアメリカの景気が、V字型とかU宇型とか、これを議論してもなかなか大へんなんですが、私の見るところでは、今年の二月を底にいたしましてからの三月、四月の統計の上がり方は、V字型の上がり方でございます。しかしこれからどうなって参りますか、ケネディの施策にもよりましょう、国際情勢の変化にもよりましょうが、私は心配ごとばかりいってやるよりも、これで行きましょうという、この前向きの格好が高度安定成長に必要なことであるのであります。行き過ぎがわかった分はもちろんあらゆる手段を講じて押えていくことは当然でございますが、大体私は過去の実績、そして世界の情勢を見ながら、三兆一、二千億から三、四千億ぐらいが適当ではないか、三兆六千億というものも、正確な根拠があるわけではございません。いろいろな集計でございます。これは財界の人の常識で、少なくとも日本の財界人は、私は世界の財界人に劣らないほどの知識と、何と申しますか、世界情勢に対する判断を持っておると考えておるのであります。
○井手委員 総理は取り越し苦労はどうかというお話でございますが、私は、ころばぬ先のつえということが私ら政治家としては大事だと思う。事業家としてはそれは投機的なこともあるでしょう。しかし政治家としてはやはり安全な道を選ぶことが、私は自分だけならともかくも、国民をかかえておる場合にはその方が大事であると考えております。総理は、今井手君は四十五年度の三兆六千億は考えていないのかと、こういうお話しですが、それははなはだ奇怪な言葉だ。あなたの出された所得倍増計画の四十五年度の目標、すなわち設備投資の額は三兆六千億、これを先にきめなくちゃわからぬとおっしゃるなら、それじゃ所得倍増計画というものは修正なさるおつもりですか。自分できめて国会にもお出しになっておる。その三兆六千億円という四十五年度の目標、これがどうきめるかによって違うのだ、これが大事だ、こうおっしゃる。自分が示したものがこれがあやふやなことでは私どもはこれは安心して審議されません。なるほど目安だとおっしゃいます。計画経済のような計画の目標ではないかもしれません。しかし目安であっても、所得倍増という国民を喜ばせた目標でありますならば、これはかなり信用度の高いものでなくてはならぬと思う。それが、自分自身がそれはどうかわからぬということでは、これは私どもは安心して審議ができないのであります。総理はドイツやイギリスの例をとられましたが、総理もお読みになっておるでしょう、一カ月ほど前出されましたイギリスの経済白書に何と書いてあります。ときには引き締めの措置が必要である、これは成長を達する方針と矛盾するものではないと強調しておるのであります。ときには引き締めなくてはならぬ、成長ばかりではいけない、引き締めることは成長政策と矛盾するものではないという意味です。あなたは高度安定成長だと一得々とおっしゃる。そんなたなぼた式のことが簡単に言えますか。しかし議論になりますから、私は今日は多くは申し上げません。締めくくりの質問でございますから、多くは申し上げませんが、あなたはあくまでも高度成長で行こうとなさる。私どもはかつてのような犠牲があってはならぬから、心配のあまり注意を申し上げておるのであります。おそらくこの秋口には臨時国会が開かれるでしょう。そのときには大体の見当もついてくるでしょう。私ども社会党の心配、池田内閣の楽観、はたしていずれが正しかったかは、秋ごろになりますと、勝負はつくでしょう。私はその秋までお預けにしておきたいと思う。 次に大蔵大臣にお伺いいたします。三十五年度の税収でございますが、第一次、第二次の補正をやりましても、なお相当の増収が見込まれるようであります。三月までの資料はこの間いただきましたが、四月、五月に徴収されるものを含めて、私は一千億ぐらいあるのではなかろうかと思いますが、どのくらい見込まれておりますか。
○水田国務大臣 四月末までに自然増九百二十五億円でございます。
○井手委員 五月にも若干入ると思いますが、それを加えましてどのくらいになる見込みですか。
○水田国務大臣 あと十億か十五億くらいだと思います。それから予算の不用額の整理をいたしますと、剰余金は大体一千億はこすかと思っております。
○井手委員 三十五年度は第一次、第二次補正をやって、なお一千億の剰余金ということになりますと、当初に比べますと、これは五千億近い剰余になるのであります。そこでお伺いしたいのは、一千億の剰余これはほとんど自然増収でしょうが、三十六年度には三千九百三十億円の自然増収が見込まれました。それは第二次補正で大体とんとんということで、おそらく政府はあの補正予算を出されたのだろうと思いますが、その後さらに一千億ということになりますと、当然そのはね返りというものがあるだろうと思います。今までの大蔵省で計算なさっている基礎によりますと、私は一千五百億くらいすでに三十六年度において見込まれると考えておりますが、いかがでございましょう。
○水田国務大臣 三十五年度の自然増は、大体今申しましたように、五月末で九百四十億円前後と予想しております。この見込み狂いは、もう井手さん御承知の通りに、当初経済の伸びの見通しにおきましても、私どもは生産の伸びを九九%と見ておったのですが、三十五年の実績は二三%をこえるということで、一二%以上の誤差があったということは明らかでございますし、これに伴って生産、雇用、賃金、物価、いろんな税収に関係のある経済指標が全部大幅に上回っておるということでございますので、それに伴って税収が大幅に多かったというのが三十五年の実情でございますが、この傾向がまだ現在もやや続いておりまして、成長率というものも割合に高いという状態でございますから、今の傾向でいきますれば、三十六年度にも若干の自然増は当然見込まれると思いますが、この額が幾らになるかということは、今のところまだわかりません。
○井手委員 一千五百億は三十六年度の自然増収が私は現在においても見込まれると思いますが、大蔵大臣からはっきりした数字は言えぬでしょうから、以心伝心で承っておきましょう。 そこで大蔵事務当局にお伺いをいたしますが、所得倍増計画によりまする税収の伸びは、年率幾らに計算されておりますか。私が聞いたところでは、一割程度だと思っておりますが、私が今日お伺いしたいのは国税の分であります。四十五年度には国税、地方税合わせて二倍半近い、いやそこまでありませんけれども、二倍以上の伸びが予想されておるのでありますから、おそらく国税は年率一割二分程度ではなかろうかと思いますが、当局からお答えを願いたいと思います。
○村山政府委員 お答え申し上げます。所得倍増計画におきまする目標年次の租税収入は、国税と地方税を合わせて計算されておりますが、その場合の前提になっておりますのは、国民所得が三十六年以降年率七・二%で伸びる、その場合、税収の伸びは、それに対して弾力性がたしか一・三八だと思いますが、結果といたしまして九・九%くらいの伸びを年々示すであろう、こういうふうに割り切った前提で計算されておるわけでございます。
○井手委員 国税は。
○村山政府委員 ですから国税と地方税と合わせて、すべて弾力性を計算されておるわけであります。
○井手委員 地方税の伸びが国税よりも低いのでありますから、おそらく国税の伸びは年率一割二分程度ではなかろうかと私は考えております。それは大蔵省から承った数字でありますが、そういたしますと、大蔵大臣、あなたは年々減税するという公約をなさいましたが、一兆七千億前後のこの国税税収が年々一割二分程度ふえていく。そういたしますと、三十五年度は特別でございますけれども、少なくとも高度成長を主張し力説される池田内閣でございますから、また最近の経済状態を考えて参りますると、自然増収は今後毎年相当額予想されるのでありますが、それに対してどのくらい減税をなさる考えでございますか。自然増収の半分を減税なさる考えでございますか。二千億円とすれば、千億円ずつ毎年減税するというお考えでございますか。年々減税するというのは、そういう意味で私は承っておりましたが、一兆七千億円程度の国税に対して毎年一割二分程度の増収がある、その増収のどの程度を減税なさろうとお考えになっておりますか。
○水田国務大臣 これは前にも申し上げましたように、国民所得と税負担の比率をどのくらいに保つのがいいかというような問題も提起されておりますので、やはりそこらの見合いにおいて適当な減税をやりたいと思っております。
○井手委員 国民所得との割合、それはこの前もあなたがおっしゃったように二〇・五です。きまっております。だからこれは数字が出てくるはずです。その場合にどのくらい、自然増収のうち半分くらい減税なさろうというお気持でございますか。二〇・五の率を押えて参りますと、当然それは減税しなくてはならぬことになります。それはどうですか。
○水田国務大臣 それはこの前も申しました通り、これに厳格な比率があるわけではございません。本年度の率を見ましても、二〇・五以上になっていることでございますので、私は前にも申しましたように、二一%前後までの税負担というのはそう不当なものじゃないのじゃないかと考えております。これは税負担の割合でございますが、実際は、国民所得に対する税負担の割合が多い方が先進国というようなことにもなっているのが実情でございますので、なかなかむずかしい問題で、何%とこれはきめるわけにはいきませんので、日本の伸び方、それから政府のすべき施策、いろいろなものとからんで、そうしてしかも、今大体常識的に言われております負担率というものをこれは勘案してきめるべき問題だと思っております。
○井手委員 税の負担率が商いのが先進国だとおっしゃいますが、国民は税を払えるほどの負担力を持たないのであります。多くの者は持たないのであります。それを考えなくちゃなりません。池田総理は今にやっと笑われて、わが意を得たりという気持のようでしたけれども、国民全部の所得を引き上げるという政治をやらなくては負担力は上がりませんよ。 そこで私は、時間の関係もございますから、次に補正予算に移ります。今度の補正予算は三月末の仲裁裁定を基礎として組まれたものであります。ところがこの補正予算は、大体三月の末にはあらかたの見当がつけられて、四月の八日にはほぼまとまっておるのであります。閣議決定直前になってから国会対策の都合上今日まで延ばされておることは、これは周知の事実であります。そういたしますと三十六年度予算が発足したと同時にこの補正予算がきめられておるといっても過言ではないのであります。ところが予算書を見ますと物件費の節約、予備費の充当、借入金、剰余金、その他で充てられておりますが、厳格に組まれたはずのこの三十六年度予算が成立してから一週間そこそこのうちにこれほどの物件費が節約できるものでしょうか。そんなに甘く大蔵省が物件費を組まれたものだとは私は考えたくないのであります。これはどうでございましょうか、そんなに甘く物件費というものは組まれたものですか。予備費というのはそんなに甘く余裕を持って組まれたものでございますか。その点をお伺いいたします。
○水田国務大臣 そう甘く組まれたものではございませんが、しかし御承知のように今度は相当財源に無理な措置をしなければ財源捻出がむずかしかったものでございますので、二%程度の物件費の節約は可能であると思って、この節約額を組んだのでございます。
○井手委員 それでは電電公社の総裁、国鉄総裁その他にお伺いをいたしますが、おいでになっておりますか。――専売公社の予備費は前年度同様十三億を組んであるのに十一億出されておる。電電公社は前年度同様予備費は十五億計上されておるのに十億充当されておる。きのう春日委員から郵便貯金特別会計などの全額充当がここでお話しになりました。ほとんど残っておりませんが、これで大丈夫ですか、電電公社も国鉄もほとんど予備費がなくなって大丈夫ですか、災害があっても。電電公社はあと五億しか残っておりません。これで大丈夫やれますか。
○大橋説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の通り、三十六年度の十五億の予備費のうちから十億充当されたことは事実であります。過去の数年間の実績によりますと、特に伊勢湾台風のような大きな損害があったときは格別でありますが、普通の年においては大体五億程度でおさまっておるようであります。その過去の経験からまずこの程度でよかろう、かように考えております。
○井手委員 そうすれば伊勢湾台風というような大きな災害が起これば別であるけれども、三十六年度の当初に十五億というのは十億ばかり多過ぎたということですね。そうですか。
○大橋説明員 もちろん予備費のことでありますから――将来予想せざる損害が生じた場合の予備費でございますから、正確に計算は今日からできるわけはありませんけれども、過去の大体の経験からまず五億程度のものでよかろう、かようなことでございます。
○井手委員 私はこれ以上意地悪くお尋ねはいたしません。これ以上多くは申しません。大蔵大臣、あなたの腹の中は私はよくわかりますよ。国民は何と言っておるでしょう。今度の四百十八億の補正予算、これが一般会計からは回さないで、特別会計においてもほとんど前のままの数字で、部内の操作でまかなわれておる。四百億円以上もそんなにうまく年度早々やれるものであるかという疑惑を持っておるのですよ。大蔵大臣は三十五年度が九百六十億の増収であるとおっしゃった。三十六年度もかなりあるであろう。私は千五百億と申しましたが、あなたはおっしゃられませんでしたけれども、相当あるはずである。そうであるならば三十六年度の自然増収を当てにして私は一般会計から堂々と繰り入れるべきではないかと思うのです。こんな小細工をするよりは。おそらく秋には補正予算が組まれるでしょう。これで足らぬことははっきりしていますよ。社でも国鉄でもあるいは郵政省でもどこでも、大蔵省の今度のやり方に満足しておるとは考えません。私はここでおそれるものは、そういう公社なり政府というものが何百億という金が簡単に出るのかというその疑惑が心配なんです。政治に対する国民の不信というものが、四百十八億の財源を部内で操作なさったその簡単なやり方よりは私は害が大きいと思うのです。大蔵大臣、これは一たん出されたものですから、これをどうこう私は本日は申しませんけれども、こういうことは二度となすってはいけませんよ。あなたは大体おわかりでしょうから多くは申しません。こういうことは二度となさらないようにして下さい。
○水田国務大臣 これは二度とするなということは無理だと思います。と申しますのは、私も予算というものに対する国民の信頼をつなぐということは非常に大事なことでございますので、これだけの財源が移流用によってすらすらと組めたということでございましたら、一体何をやっておるのだというような不信が出ることをおそれましたので、苦しい財源の操作をそのまま出して国会の御審議を願ってはっきりさせることが、やはり予算に対する国民の信頼性をつなぐゆえんだと考えて、一部の移流用でまかなえる会計も中にはあったかもしれませんが、やはりそうすべきものでない、全部補正予算の形で御審議をお願いしたということでございます、それだけ決してすらすらと出たというものではございませんで、国鉄のごときはベース・アップを実行するために借金するというようなことは、今の実情から見てもやりたくないということでございましたが、利用債、縁故債を二十億も増募するというような苦しいことまでやっておるのでございまして、絶対すらすらといいかげんに捻出ができたという財源ではなかろうと思います。またそうかといってただいま御指摘のありましたような予備費の問題にしましても、これはある程度必要であるから計上はしましたが、しかしいろいろ国会からも御要望もございましたので、若干のべース・アップは次に来たるべきものであることはわかっておりますし、ある程度それに対する私ども考慮もしなければならないといったようなこともございまして、財源の一部は中にあったとしましても、それをどういう形で移流用して、そうして完全実施をすることに骨を折ったかというこのあとも十分御審議を願うことが意味があると思って出したのでありまして、むしろそういう措置を政府がとっておることの方が、予算に対する信頼をつなぐゆえんであろうと考えてやった仕事でございます。
○井手委員 すらすらといっていないというやりくりの苦労は私はわかりますけれども、国民から見ればすらすらとえらく簡単に、事もなげにやれるものだな、国の財政は、公社あるいは政府の予算というものは、どうにでも細工ができるものだなという疑惑が起こることを心配して私は申し上げておるのであります。仲裁裁定があった以上は、きのう石田労働大臣がお話のように、これは当然やるべきことで、私はその点についていろいろ申し上げておりません。やるべきなら堂々と一般会計から――しかも金は自然増収が見込まれておるのですから、それは一般会計から繰り入れてやるべきであると私は主張申し上げるのであります。これは不思議な話ですよ。今、四月一日から発足した三十六年度予算が、すぐやりくりができる。 そこで、会計検査院お見えになっていますか。――大澤さんでしたか、あなたの著書も持って参りましたが、剰余金というものは、決算が完了しなくては処分ができないというようにあなたは書いております。そういうふうにおっしゃっておるようですが、そうでしょうか。間違いはないと思いますが、念のためにお聞きします。
○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。ただいまの御質問は、各年度の剰余金は決算が完了しなければ処分できないのじゃないか、こういうお話だと思います。 各年度の剰余金は、それが確定いたしますると、その半分は国債の償還財源その他に充てる、あとの半分は――これは簡単で、いろいろな経過はありますが、あとの半分は将来の財源に充てる、これは法律上の一つの要請でありますが、しかし年度が経過しました歳計剰余金は全部翌年年の歳入に充てられる、こういうこともになっております。
○井手委員 私がお伺いしておるのは――翌年度に繰り入れることはできます。確かにこれはできます。年度中であれば見込みで繰り入れられますが、その年度の場合は、それは三月末までは見込みとして入れることができるでしょうし、また三十五年度の剰余金は三十六年度に繰り入れることができるでありましょう。しかし繰り入れる場合は決算が完了しなくてはできぬはずです。あなたの本にもはっきりそう書いてある。もう三十六年度になってから見込みで入れるべきことではないと思う。これはだれの著書を見ても、だれの意見を聞いても、その通りです。あなたもそうおっしゃっておる。そうでしょう。
○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。三十五年度の歳計剰余金を翌年度三十六年度の歳入に繰り入れるのは、三十五年度の決算の完了したときのその剰余金が繰り入れられる、こういうことになっております。
○井手委員 それではっきりいたしました。 国鉄総裁にお伺いをいたします。総裁がお見えになっておらねば大蔵大臣でけっこうです。今会計検査院の事務総長からお話がありましたが、翌年度に繰り入れる場合には決算が完了しなくては繰り入れることができない。翌年度に繰り入れることはできるけれども、決算が完了しなくては繰り入れることができないということがはっきりしておるわけであります。そこで資産充当される国鉄関係の五十八億円、三十五年度の剰余金、それに前からの六億円を加えた五十八億円、これでまかなわれておる。これはただいまの会計検査院のお話と違うのです。これはおもしろくないことですよ。どうですか。
○水田国務大臣 いわば国鉄にとっては内部留保の取りくずしでございますので、そういう意味からいって確かに感心したことではございませんが、御承知のように国会にすでに現在の当初予算によってはこの裁定を完全に実施することは、資金上、予算上不可能であるというのが実情でございましたので、一応その承認を求めることを私どもはやっておきましたが、しかし政府の方針としてどういうやりくりをしても完全実施をするという方針で財源捻出にかかったものでございまして、公募債を多くふやすという処置までとる以上は、五十八億円の見込み剰余金がこれ以上になるかもしれませんが、見込めるものをここで収入に繰り入れるという措置もやむを得ない。そうしたければ国鉄の計画した事業の遂行に差しつかえるという事態でございますので、あえてこういう措置をとったわけでございます。
○井手委員 仲裁裁定を完全実施するということと財源の調達を法を犯してあるいは不当なことでもやむを得ないということとは違うんですよ。あなたは内部留保とおっしゃったけれども、まだ資産にはなっておりませんよ。決算が完了しなくては資産になっていないのですよ。こういうことは二度としてはいけませんよ。私は今度も少し文句を申し上げたいと思いますけれども、時間もだいぶ迫っておりますから、こういうことを二度となさらぬならこれでおさまりたいと思いますが、どうでしょう。
○水田国務大臣 見込みである限りはこれを繰り入れることも違法ではないという話でございましたが、しかしさっき申しましたように、この種のことは避けたいことと思っております。
○井手委員 法制局長官、またうしろからいろいろ言ったようだけれども、これは違法ですよ。決算が完了しなければ資産に充当できませんよ、資産になりませんよ。会計法違反ですよ。(「四十一条違反じゃないか」と呼ぶ者あり)はっきりしておるじゃありませんか。しかも今こちらから話があったように、日本国有鉄道法の第四十一条、これはどう書いてありますか。四十一条によりますと、余った金は特別に積み立てなくてはならぬと書いてある。欠損があった場合は積立金から補てんをする、利益があった場合は積み立てていく。そして国鉄の経営を健全にしていくというのが四十一条の精神であると私は考えておる。またこれを作ったときもそう説明されておるのです。
○石原政府委員 技術的な問題でございますから、私からお答え申し上げます。財政法の第六条につきまして先ほど会計検査院からお話がございました、前年度の剰余金の処理につきましての規定は、企業の特別会計を除きます一般特別会計、これにつきましては同様の規定がございます。ただ企業特別会計並びに公社におきましては、企業経理を行なっておるものでありますから、財政法六条に該当いたします規定はございません。それにかえてただいまお話のありました国鉄法について申しますれば四十一条の規定があります。利益金は積み立てる、欠損が出れば積立金をくずすという規定であります。従いまして今回の三十五年度において見込まれます剰余金、利益金、これは決算が完了いたしましたところで積立金に相なるわけであります。しかしながら今回資産充当いたしておりますのは、ごらんになりますように工事勘定の財源であります。従いまして金は工事勘定に使うということでありまして、積立金と申しますのは申すまでもなく勘定科目でございますから、従ってそれが資産として残る。従いまして今回資産充当ということで五十数億の金を工事勘定財源に充当いたしましてももちろん積立金になるわけでございますから、四十一条に違反するわけでは毛頭ございません。それから資産充当の経理をいたしますのは、先ほど大蔵大臣がお答え申し上げましたように、現在において見込まれまする剰余の金、資産充当という言葉が、不用資産の売り払い代等が含まれまするために誤解を生じやすい点はございますけれども、これは持ち越し現金を工事勘定の財源として使うということでございますから、これももちろん法律の禁止するところでも何でもないのでありまして、ただ現実にどれだけの金が余るかということは、昨日来お答え申し上げておりますように、現実に数字がきっちり締まりますのはまだ若干の時日がかかる、こういうわけでございます。
○井手委員 財政法、会計法は特別の規定がなければこれは公社にも適用されるものです。特に公社においては四十一条がある。まだ決算が完了しないのに剰余金として処分すべきものではないのですよ。そこまでは至っておりませんよ。まだ資産にはなっておりません。充当すべきものではございません。きのうも運輸大臣から九月にならなくては決算は完了いたしませんと言われた。九月になって決算が完了する。そして資産の方になるならば、これは充当することもできる。まだわからぬのですよ。決算が完了してはいないのですよ。そういうことでは承知できません。 そこで国鉄いらっしゃいますか、ちょっと副総裁。今度の仲裁裁定によって、あなたの方の兼松理事の新聞発表によりますると、いわゆる新五カ年計画の五カ年の間に八百億ばかりの資金不足が生ずるということが言われておるのでございますが、その通りですか。
○吾孫子説明員 お答え申し上げます。今度の仲裁裁定によります人件費の膨張は単年度では二百億でございますので、千億ほど人件費の負担が五カ年間ではふえてくるわけでございますけれども、今度の五カ年計画の将来の収支を策定いたします際には、人件費の増加ということもある程度見込んでおりましたので、ただいまの私どもの試算では、五カ年の間に当初予想しておりましたよりも人件費の負担がふえて参ります分は、六百億ないし七百億ぐらいであるというふうに試算いたしております。
○井手委員 定期昇給分は新五カ年計画で組んである。これは私は承知しております。しかし仲裁裁定というのは、きのうの論議を通じても、これは五カ年の間にまた一回か二回かあるかもしれません。予想しなくてはなりません。定期昇給分とは別ですよ。そうなりますと、今おっしゃった七百億くらいは不足するということでございますか。
○吾孫子説明員 お答え申し上げます。三十六年度の予算としては定期昇給分だけしか当初見ておりませんでした。しかし五カ年間の全体の収支を検討いたします際には、単なる定期昇給だけでなく、ある程度一般の勤労者の所得増加に見合う給与水準の向上があるものという前提に立ちまして、ある程度の人件費増というものを考えておったわけでございます。
○井手委員 それでは兼松理事の新聞発表、あれは間違いでございますか。その点と、それでは五カ年計画には定期昇給を含めて幾ら予定をされておりますか。
○吾孫子説明員 お答え申し上げます。兼松理事の新聞発表とおっしゃいますけれども、実はあのときの新聞記事は、私どももその翌日見てびっくりしたようなわけでございまして、あとからいろいろ事情を聞いてみますと、あらためて新聞発表というようなことをやったわけでもございません。ただ事前にと申しますか、記者クラブで雑談のような形で兼松理事が話をしましたことを適当に編集されて新聞に御発表になりましたので、国鉄当局として何も発表したわけでもなし、また兼松理事が話をいたしましたことも、これも新聞発表というようなことで申したのではございません。また必ずしも新聞記事に書かれております通り彼が話したのでもない点もございますので、その点は御了承いただきたいと思います。 なお五カ年間の人件費の見通しということにつきましては、四・五%の定期昇給のほかに、若干の余裕というものを、過去のベース向上の実積並びに国民所得倍増計画において想定されております勤労者の所得の増加の伸びというようなものを勘案いたしまして、おおむね四・五%の定期昇給分を含めまして六%ぐらいの増加があるという見込みで、収支を検討いたしておった次第でございます。
○井手委員 急ぎますので、それでは五カ年計画の中にある自己資金、これには狂いはないということですか。 それからもう一点お伺いしたいのは、その結果五カ年の間には運賃の再値上げはしない――これは参議院かどこかでも言明があったようでありますが、この機会に一つはっきりとした言明がいただきたいのであります。いろいろあなたの方の経理については疑惑がある。いろいろ聞きたいことがありますが、時間がございませんので結論だけお伺いいたします。五カ年間は絶対に運賃の再値上げはしないか、あるいは割引を何とかするという話もございましたが、それもないのか、あわせてお答えが願いたいのであります。
○吾孫子説明員 お答え申し上げます。今回の仲裁裁定による人件費の増加というものは、私どもが新五カ年計画を策定いたしました際に考えておりました予想よりは、率直に申し上げまして相当額が大きくなっておりますので、新五カ年計画遂行の所要財源の上において、これが相当な圧迫になってくるということは争えない事実でございます。しかしながら私どもといたしましては万難を排して新五カ年計画を遂行するつもりでありますので、今後なお一そう増収並びに経費の節約ということに努力をいたすつもりでございますが、しかしそれでも新五カ年計画をこのまま予定通り遂行いたしますためには、若干借入金の増額等も御考慮願わなければ、御協力願わなければならないかと思っております。しかしそういう面の御協力が得られますならば、また国鉄自身の増収努力、経費節減努力によって財源を生み出すことによりまして、運賃の改定とかなんとかいうようなことなしに、この新五カ年計画を遂行いたすつもりでおるわけでございます。
○井手委員 端的にお伺いします。借入金が得られるならばという前提をあなたは持たれる。大蔵省の了解が得られるならばということになっておるようでありますが、あなたの方としては、計画遂行中の五カ年間は運賃の再値上げはしないという、この点をもう 一回はっきりおっしゃって下さい。
○吾孫子説明員 先ほど大蔵大臣の御答弁にもございましたように、三十六年度の補正予算におきましても二十億程度の借入金の増加をお考えいただいたようなわけでございまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように増収努力、経費節減というようなことで極力そういう御迷惑はおかけしないように努力いたすつもりでおりますけれども、率直に申し上げまして、ある程度の借入金の増額ということは今後五カ年計画を完全に遂行いたしますためには、そういうような御協力もお願いしなければならない場合が出てくるかと思います。しかしながら運賃の改定というようなことにつきましては、この新五カ年計画遂行の過程においてそういうことを再びお願いするというようなことはできないものと覚悟して、この五カ年計画の遂行にかかっておる次第でございます。
○井手委員 それでは時間が参りましたので、あと一問だけにとどめておきたいと思います。恐縮です。 石炭対策でございますが、通産大臣、昨日もまた福岡県の田川郡方城炭鉱でガス爆発が起こりました。まことに残念なことでございます。政府は予備費から炭鉱災害対策費として三億七千万円の支出で緊急対策を講ぜられておるようであります。しかしこれは衆参両院幾多折衝が行なわれた結果通産省でもおそらく最低の金額であろうと存じますが三十一億五千万円、労働省の方において二億五千万円の要求が大蔵省にあっておる。それはきのうも話があったように、大蔵大臣は熱意をもって当たりますという言明があっておるのでありますが、きのう発表になりました終閉山対策費に幾ら第二次を予定されておりますか。またそれに伴う労働対策費はどのくらい考えられておりますか、お伺いいたします。
○椎名国務大臣 昨日方城炭鉱のガス爆発によりまして、死者一人、重傷四人、軽傷六人、計十一名の被害をこうむりましたことにつきましてはまことに遺憾に存ずる次第であります。これは三菱鉱業株式会社に属する炭鉱でございまして、労務者が千二百名、月に一万三千三百トンの出炭をしておる炭鉱でありまして、ガスの状況は悪い。従って甲種炭坑に属するものであります。原因につきましてはただいま係官が現地に参りまして、あらゆる角度からその原因を調査中でございます。以上御報告申し上げます。 炭鉱の災害対策費の予算でございますが、三億七千万円、これは予算措置でありまして、このほかに中小企業金融公庫から十億円、日本開発銀行から四億円、総計十七億幾らの対策費が用意されたわけでありますが、今御指摘の通り終閉山の対策がまだ残されておるのであります。これにつきましてはただ目の子で従来考えておりましたけれども、実際に終閉山の具体的な山を至急調査いたしまして、そうしてそれの具体的な対策を立てたいという考えから、約三百万円足らずの費用でとりあえず実態を調査することになっておりますので、その上でこの終閉山対策というものの計画を立てたいと考えております。
○井手委員 現在の炭鉱保安の状況から申しますと、これは急速にまた相当の費用をかけてやらなくては、これは大へんなことになると思うのであります。次々に起こっては、これは大へんです。三十余億円というこの金額は大蔵大臣も全部完全に了承したというわけではありませんけれども、おおむね了承された金額でございますから、一つ炭鉱保安対策については第一次のほかに第二次、第三次を用意しておるということでございますので、すみやかに労務対策をもあわせて一つ対策を立てられますように強く要望いたします。 ほかにいろいろ質問の要項もございましたけれども、時間が参りましたので、以上をもって私の質問を終わることといたします。(拍手)
○船田委員長 これにて質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○船田委員長 これより討論に入ります。正示啓次郎君。
○正示委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び同じく政府関係機関予算補正(機第1号)の両案に対しまして賛成の意見を申し述べたいと存じます。 申し上げるまでもなく、右の補正予算両案はいずれもいわゆる公労法、すなわち公共企業体等労働関係法の適用を受ける国の経営する企業及び公共企業体の職員の給与の改善に伴うものであります。すなわち造幣局、印刷局、国有林野事業、アルコール専売事業、郵政事業、郵便貯金、簡易生命保険及び郵便年金の七つの特別会計並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の三つの政府関係機関の各予算における給与費等を追加するものであります。これら公共企業体等の職員の給与につきましては、去る三月二十七日公共企業体等労働委員会の仲裁裁定があり、政府におかれましては右の裁定を検討の結果、公労法の精神を尊重してこれを完全実施することとせられましたことは御承知の通りであります。今回の補正予算は右実施に伴うものであり、その総額約四百十八億円に上るものでありますが、われわれもまた今回の政府の措置がきわめて適切であると信じまして、満腔の賛意を表するものであります。 すなわち政府が公労法の精神を尊重して誠意をもって仲裁裁定を実施することが健全な労働慣行を確立する上においてもまたきわめて重要でありまして、この点に関し、さきに労働大臣が争議による社会不安を避けるため、職権によって仲裁申請を行ない、しこうして政府が裁定は完全に実施するという態度を終始堅持して、賃金に関する紛争に締めくくりをつけたということは、まことに時宜を得た措置であったと申さなければなりません。 ただこの際一、二の事柄につきまして深く思いをめぐらすことが現下内外の情勢に照らして特に大切であると信ずるのであります。 すなわち、その第一は、健全な労働慣行の確立ということであります。御承知の通り、昭和三十一年の公労法改正以後は、政府は全部の仲裁裁定についてこれを完全に実施しております。それにもかかわりませず、組合側におかれては依然として違法行為があとを断たないのはまことに遺憾にたえないのであります。申すまでもなく、公労法はその第一条において、法の目的及び関係者の義務を明記しておりますが、そこに示された「労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整」または「企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護する」目的、並びに「主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない」義務、こうした法律の明文が政府と労働組合の双方によって誠実に守られなければならぬことは当然であります。凡百の法律を作るばかりが能ではありません。まず法律を守るりっぱな国民であることが大前提であると信ずるのであります。 何とぞ、われわれ国会がまず率先いたしまして、政府とともにただすべきはただして、もののけじめをつけ、また組合員の諸君におかれましても、りっぱな法治国民として守るべき節度を堅持されるよう切望してやまないものであります。(拍手) 第二は、給与改善と業務能率の向上という問題であります。われわれはもとより財政経済力の拡大伸展に伴い給与が改善されることにつきましては大賛成であります。しかしながら、これにはおのずから前提条件が成就されなければならないこともまた当然であります。現に今回の補正予算につきましても、一見無理かと思われるまでに相当御苦心をなさいまして補正予算を組んでいることは、この委員会における質疑応答にも現われておったところでございます。そこで、給与の改善は常に企業経営の合理化、業務能率の向上と相伴って行なわれなければならないことは言うまでもないのでありまして、いわゆる高能率、高賃金こそは、わが党の施策の最大の眼目であることはあらためて申し上げるまでもないのであります。この目標の達成によりまして初めて所期の経済発展、所得倍増の過程において諸般の格差解消も漸次実現せられるものと信ずるのであります。 最後に指摘しなければならないことは、さきの公務員のベース・アップといい、今回の現業職員の給与改定といい、いずれも相当巨額な財源を必要としながらも、なおこれを可能ならしめたことは、ひとえに経済成長政策の成果にほかならないという点であります。しこうして、公務員と並んで広く民間諸企業におきましても、相当大幅な賃上げが実施せられ、生活水準の全般的な向上が実現せられつつあることは、まことに慶賀にたえないのであります。このような事実こそ、所得倍増、経済成長の諸施策が決して、いわゆる一部少数の人々のためのものではなく、広く国民一般大衆のためのものであることを、私は何よりも雄弁に物語っておると信ずるのであります。 最近ここ一、二カ月間の国際収支の動き等からして、ともすると、成長政策そのものを云々する声が一部にあるようであります。もちろん国際収支、特に輸出入等の経常収支の数字の動きに対しましては、常に細心の注意を払い、また輸出増進のためにはあらゆる施策を講ずることのきわめて大切なことは申し上げるまでもありません。また経済の成長過程におきまして、いたずらに私利、私欲に走る思惑者または便乗者、その他いわゆる井の中のカワズ式な大局を見失った過当競争者等は、厳にこれを排除しなければならないことも申すまでもないのであります。 これらの点につきまして、今後とも一そう十分なる注意を払いつつ、ますます堅実な経済の成長発展の施策を進められますことを衷心希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○船田委員長 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 私は日本社会党を代表して、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)につき、意見を付して賛成の討論を行ないます。 今回の予算補正は、昭和三十六年三月二十七日の公共企業体等労働委員会の賃金に関する裁定、いわゆる仲裁裁定を実施するため、関係の七特別会計、造幣局、印刷局、国有林野事業、アルコール専売事業、郵政事業、郵便貯金及び簡易生命保険及び郵便年金、及び三政府機関、すなわち日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社について、裁定の実施に必要な措置をとるために行なわれたもので、仲裁裁定の完全実施は政府の当然の責任であり、かつ義務であって、何人も反対を許さないものであります。 しかしながらその財源措置については幾多の疑義があり、ことに赤字経営と称し、国民多数の反対をけって運賃値上げを断行した国鉄が、三十五年度剰余金五十八億円を今になって公表し、まだ決算も完了していないのに財源に充て、郵政予算もまた五十九億九千万円の他会計からの繰り入れをはかるなど、余裕金について国民の疑いを新たにするような措置については厳に戒むべきであります。しかもまた物件費の節約六十八億五千二百万円、予備費を削ること九十五億八千四百万円というに至っては、所得倍増を一枚看板とする池田内閣が、当然予期し得たはずである給与引き上げに対して、一片の愛情も配慮もなかった証拠であり、三十六年度の当初予算のずさんと乱脈を語る以外の何ものでもございません。 さらに、今回政府提出の予算補正案が、政府関係機関予算並びに特別会計予算のみにとどめておる点であります。経済成長と所得倍増に重点を置く政府の施策が、よしんば資本の増大には成功しても、国民所得の格差が容易に解消できないことは、今国会の論議においてすでに明らかにされております。まして経済成長と景気の変動が常に多くの犠牲者を生むことは資本主義経済の鉄則であります。自由主義思想の生んだ、最大多数の最大幸福などという考えではすでに古い。最後の一人まで健康で文化的な生活を保障することに近代政治の念願がかけられねばならないのでありまして、当然社会保障政策が重要なものとなって参ります。 わが党はさきに医療費一〇%値上げに伴う国庫負担、生活保護基準二六%引き上げ、母子福祉資金貸付額増加、社会福祉及び保護施設職員給与一五%引き上げ及び増員、小児麻痺対策費増額、原爆医療対策費増額、失業対策費増額、学校給食費等を含む社会保障関係費二百億、及び石炭鉱山保安関係費十五億五千万円、計二百十五億五千万円の、本年度中に必要を認められる最小限度の一般会計予算の追加を求める動議を提出しましたが、大資本育成のためには昨年度すでに第二次までの予算補正を行ない、今日また自然増収一千万円が見込まれるというのに、政府及び与党は理不尽にこれを一蹴し去ったのであります。 すでにまた昨十八日、福岡県方城炭礦でガス爆発があり、死者一名重傷者十一名を出しております。何とかは死ななきゃなおらないといいますが、一体何度言ったらわかるのでしょうか。両院の決議となった石炭保安対策促進を、党利党略の前に捨て去って顧みなかった政府及び与党は、この新しい犠牲者の前に深くみずからを反省すべきものであります。(拍手) 以上、強い警告を付して、この予算補正に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
○船田委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 私は民主社会党を代表して、政府提出の本年度予算補正案に対する態度を表明したいと存ずる次第であります。 すなわち、政府案は本年三月二十七日に公労委が行なった仲裁裁定の予算措置を行なうものでありまして、わが党は政府案が裁定の完全実施に忠実なる点には大いに賛意を表するものであります。私たちはこれを仲裁裁定に対する政府のよき慣例として確立されんことを要望いたし、その意味におきまして政府案の趣旨に賛成するものであります。 私たちは、このように政府案の歳出面につきましては全面的にこれを支持し、政府原案に対して賛成の態度を表明いたすものであります。しかしながら、政府案の歳入面について、また政府が補正を行なわなかった石炭鉱業の保安施設の整備費や医療保険に対する国庫負担の増額等の問題点につきまして、政府案に対して非常に不満を有するものであります。 政府案の最大特徴は、七つの特別会計及び三つの政府関係機関会計のそれぞれにつきまして、一切一般会計予算よりの財源の補給を受けていない点であります。ここで政府案は二つの大きな問題点を内包しておると言わざるを得ないのであります。 第一の問題点は、それぞれの公共企業体会計が仲裁裁定の完全実施に要する財源を自己調達せんとしているところに無理が生じておる点であります。国鉄会計におきましては、資産充当五十八億円が財源として計上されておりますが、当初予算においては約十七億円しか計上されなかった資産収入が、何ゆえに当初予算執行後わずか一カ月半の今日において、一挙に六十億円近くも計上し得るのか、国鉄資産というものはかくのごとく年度の途中においても必要さえあれば幾らでも直ちに財源として活用し得るものなのか、もしかくのごときものならば不用不急の資産はできるだけ売却してその財源をもって赤字補てんを行なうべきであります。この方針によって値上げを食いとめるか、または最小限度に押えるかの努力を払うべきであるのであります。これが公共企業体として国民に対する当然の責任であり、国はこのような方針のもとに公共企業体の運営が行なわれるよう指導監督を行なうべきであると存ずるのであります。 ところが、国鉄会計についてこれを見ますならば、このような資産充当の問題、このほか災害予備費並びに退職引当金の流用の問題等につきましては、財源調達方法としては非常に穏当を欠く点多きことを残念に思うのであります。これでは政府のいう国鉄経営の健全化とは逆行する予算措置であると言わざるを得ないのであります。 また、郵便貯金特別会計と簡易生命保険及び郵便年金特別会計がそれぞれの予備費の金額を財源として計上している点は、財政法第二十四条の規定する予備費の性格を破壊するものでありまして、このような無理な自己調達はこれを取りやめて、必要金額は率直に一般会計予算より供給を仰ぐべきであります。これが今回の補正における最も適切なる編成方針なのであります。 ここで第二の問題点として、政府は何ゆえに一般会計予算よりの財源の補給を行なわなかったかという問題が出て参るのであります。すなわち、政府は今後における一般会計予算の歳入の自然増収の伸びについてこれを今から先食いしていくだけの確信を全く持っていないのであります。政府の所得倍増計画の構想が第一年度である本年度早早よりくずれつつあることは、私がここで申し上げるまでもないのであります。 最近の貿易収支における赤字連続が夏ごろまで継続することは必至であり、この過程において国際収支の資本勘定についても現在の黒字基調が失われていくおそれが強いことはすでに定説となっておるのであります。 また最近の設備投資の増加傾向について、政府部内にすら強い警戒論が生じており、このような設備投資の増加が輸入のスケールを拡大し、これが貿易収支の悪化の最大原因となっている事実もすでに万人周知のところとなっておるのであります。私はこの際政府に対し、いたずらに既往の計画を固執することなく、見通しの誤りを率直に修正すべきであることを申し述べ、これを強く政府に要望いたす次第であります。 なお、政府案につき最も遺憾にたえない点は、本院が三月三十一日に全会一致をもって決議した炭鉱災害防止に関する決議を軽視しておる点であります。最近相次いで発生する大規模の坑内災害によって多数のとうとい犠牲者を生じているのであります。このような不祥事の防止こそ全国民の要望するところでありまして、参議院本会議におきましても、本院同様の決議を行なっておるのであります。特に三月三十一日における参議院予算委員会における決議は、今国会の会期中に必要とする予算上資金上の措置をとるよう政府に要望する決議を行なっておるのであります。これに対して大蔵大臣は約三十余億の予算案を目下検討中であると答弁しております。通産省当局も一般会計予算補正の要求として約三十一億円の予算要求案を立案し、これを執行するための石炭鉱山災害防止緊急措置法案の立法も行なわれておるのであります。このように政府は一たんは国会決議を尊重して石炭産業の災害防止のための予算計上に努めたのでありますが、これが突如として三億七千万円程度の予備費支出にすりかえられたのであります。これは明らかに国会に対する政府の公約違反でありまして、明らかに国会決議の軽視であると言わざるを得ないのであります。私どもはこの意味におきまして、今回の政府案に対しては大いに異議を申し述べる点が多いのであります。 しかしながら、わが党はこれらの必要経費の支出は引き続いて予備費流用を行なうよう政府に要望し、秋の臨時国会において本格的な予算補正を行ない、これが執行に必要な法案もあわせて提出するよう政府に要望いたす次第であります。 最後に、政府が今回の予算案提出に際しまして、ガリオア、エロア資金の処理につき、国民に対して明快なる説明を全く行なっていない点につきまして、わが党ははなはだしく不満の意を表しまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
○船田委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。(「だめだ」と呼び、その他発言する者多く、離席する者あり) 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 〔「そんな前例はないよ」と呼び、その他発言する者多し〕
○船田委員長 起立多数。よって、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)はいずれも原案の通り可決いたしました。(拍手、「総理がいないじゃないか」と呼び、その他発言する者多し) 委員会報告書の作成につきましては、前例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼び、その他発言する者多し〕
○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○船田委員長 この際お諮りいたします。 閉会中審査の申し出及び閉会中の委員派遣に関する件につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際暫時休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時十八分開議
○船田委員長 ただいまより引き続き予算委員会を開きます。 先刻昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)外一件について採決いたしたのでありますが、宣告に徹底を欠いたきらいがありますので、確認のためあらためて採決いたします。 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)の両案について採決いたします。 両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○船田委員長 起立総員。よって両案はいずれも可決いたしました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十九分散会