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38回国会衆議院1961/05/16

予算委員会 第22号

発言数
265
登壇者
11
会派数
2
開催日
1961/05/16

会議録

船田中自由民主党

○船田委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)及び同じく政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。河野密君。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、近く行なわれるであろうと報道されておりまする池田総理の渡米問題に焦点をしぼって、主として外交問題をお尋ねしたいと存じます。  なお、いろいろな問題につきましては、同僚諸君よりそれぞれ御質問を申し上げることになっておりますので・私はもっぱら外交問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  私の質問の要旨はプリントにいたしまして差し上げてありますので、この順序に従って御質問を申し上げるのでございまするが、私はその中で、最近特に注目を浴びておりまする日韓問題について、張勉政権に対する政府の考え方等に警戒をする意味の質問をすることにいたしておりました。たまたまけさのラジオ放送並びにテレビ放送あるいは新聞の号外によりまして、韓国にクーデターが起こったということが報道されましたので、ちょうど予定しておりました問題でありますので、この際その問題の御質問をまずまっ先にいたしたいと存ずるのであります。  新聞の号外、ニュース等によりますると、けさ韓国に軍部のクーデターが起こって一切の権利を掌握した、こういうようにいわれておるのでございます。先般ちょうど自由民主党の代表者並びに外務省の担当の局長が韓国を訪問して帰ってきたばかりであります。昨日はこの席上におきましてその成果について報告、質問がなされたばかりであります。それらの問題の報告等におきましては、何らこういう点についての示唆も暗示もなかったのでありまするが、突如としてこういう事態が起こりました。これに対して外務省が現在持っておられるところの情報を一つ御発表願いたいと存じます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 韓国におきまするお尋ねのクーデターに関する情報でございまするが、御承知のように、われわれの方といたしましては先方に代表部あるいは大使館がございませんし、いわゆる公電をとるによしないわけでございますが、新聞その他を総合いたしますと、まずAP電で、これはすでに御承知でございましょうと思いますから、省略いたしますが、張都暎中将、これは陸軍参謀総長でございますが、この人が軍事革命委員会の議長に指名されたということが伝えられております。またクーデターの理由といたしまして、反共統一体制を強化する。「一、軍事革命委員会は韓国の反共的立場を強化する。二、国連憲章を支持し、対米協力を強化し自由を守る。三、腐敗を一掃する。四、国民を飢えと悲惨な生活から救い出す国民経済を建設する。五、共産主義に対する闘争を強化することによって朝鮮を統一する。六、革命完了後文民による新たな政治が発足できる。」ということを言っておるということでございます。なお、UPIの電報でございますると、「クーデターは綿密な計画でなされ、秘密もよく保たれている。ソウル市内は夜明けまでには正常の状態に帰っているが、ほとんどすべての町角に歩しょうが立っている。マグルーダー米第八軍司令官兼国連軍司令官は指揮下の全軍隊を警戒態勢下におき、事件に巻込まれないよう全米軍を兵営や軍構内にクギ付けにするとともに、さらに全部下指揮官に保安措置を強化するよう命令した。」こんなふうにAP、UPは伝えておるのであります。  われわれといたしましてはこの韓国の革命につきまして、クーデターにつきまして、他国の内政につきましてとかくの批判をすることは差し控えたいと存じますが、韓国におきまして一日も早く秩序が回復いたしまして、事態が安定することを望んでいる次第であります。  なお日韓会談が今次の革命によりまして影響を受けるかどうかということにつきましては、今のところまだ、今朝四時のできごとでありますので、今の情報では何とも申し上げることはできませんが、影響を多少受けるといいますか、日程その他についてのズレが出るということは、これはやむを得ないことかと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 日韓会談等の問題につきましては後刻お尋ねいたしたいと思いますが、こういう事態が起こるであろうということは、われわれ門外漢としても想像にかたくなかった。韓国の情勢、政情その他の動きからいたしまして、韓国に何らかの変動が起こるのじゃないか。幸か不幸か存じませんが先月は辛うじて事なきを得たというような状態であったのであります。そういう際において、政府が日韓会談等について考えておられることが非常に甘いのじゃなかったかということをわれわれはしきりに言っておったのでありますが、この点について政府としては、こういう情勢を察知することについて万全であったかどうか、こういう点はどうでありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 韓国の軍隊は非常によく訓練されておりますし、まじめな軍隊であるというように聞いております。今回野田団長以下自民党の方々が行ってこられましても、さような印象を受けてこられたようでございます。むしろわれわれが一番問題にいたしておりましたのは、昨年の四月革命以来できました張勉政権が、従来の李承晩政権によるところの非常な独裁、これを民主的な方向に切りかえる、その過程において幾つかの方法を経ねばならぬのであります。その立法の過程におきまして、いろいろ反対勢力等との間のいざこざが、あるいは一周年を待たずして四月革命の再来のごとき状況になるかもしれぬという点につきましては、いろいろと懸念はいたしたのであります。しかしようやくこの危機も乗り越え、いろいろな法律関係のものを整備いたしまして、いよいよ経済関係の開発ということに乗り出す段階になったのでございますから、隣国のわれわれといたしましては一衣帯水の地でもございまするし、できる限り韓国経済の伸長、また韓国の民生に寄与するということをもって、われわれは自由を愛し、平和を愛する国民としての務めを果たすべきである、かような気持で見ておりましたわけであります。むしろ韓国の新政権によりまして獲得された自由、言論、集会、結社の自由というものがいろいろな紛淆を呼ぶ一面もあるわけであります。そういう点から、その政権についてとかくの論のあることはもちろん承知しておりました。しかしわれわれといたしましては、隣国の政情が安定し、しかも経済が繁栄していくということを望むという気持で、この問題をあたたかく見守ろうではないか、こういう気持で折衝いたしておったわけであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 外務大臣にお尋ねしますが、今の外務大臣のお話でありますと、張勉政権の政治方針というものを日本政府としては大体支持する、こういうような考え方である、さればこそ日韓会談等も行なわれたのである、従って今度のクーデターそのものは、今まだ十分に全貌はわかっていないにいたしましても、この限りにおいては望ましいことではない、こういうふうにお考えなんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日本に対して好意を持つ政権というものに対して、われわれも好意を持つのは当然だと思います。張勉政権は親日ということを大きな柱に打ち立てておったことは、御承知の通りでございます。しかしそのことについて、韓国の国内でいろいろな意見があるということも、これはまた韓国の国内の事情でございますし、また今回のクーデターは親日ということが柱になって行なわれたということではないと思います。その韓国の国内の事情について、われわれがとかくの意見を差しはさむ、どういうやり方がいい、悪いと言うことは内政干渉にわたることでございますから、一切そういう批評は差し控えたいと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 今度の韓国のクーデターが、私は極東における最近の情勢と無関係であるとは考えられないと思うのであります。御承知のように、あとからお尋ねをいたしますが、現在アメリカのジョンソン副大統領は東南アジア旅行の途次にあります。南ベトナムにおいては、南ベトナムに対する軍備の拡充に対して積極的な支援を与えるという共同声明を発表しております。同時にその直後において、南ベトナムにおける共産ゲリラ隊に対抗する訓練されたアメリカのゲリラ部隊を送り込むということを決定いたしております。次にフィリピンに参りまして、それから台湾に参りまして、御承知のように台湾においては、台湾政権をあくまでも支持する、中共の承認はやらぬのだということを声明したと報道されております。それから香港に参りまして帰ることと思うのでありますが、今回の朝鮮における軍部のクーデターというものが、こういう極東の大きな動きというものと何らかの関係があるかないか、これが私は非常に重大なポイントであると思うのでありますが、政府はどういう御見解でありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ただいまのお話によりますと、アメリカのジョンソン副大統領が韓国を訪問し、それからあと東南アジアの各国を回ったことと関連して今回のクーデターを見るというふうな御質問のようでありますが、そういうふうには私は見たくないのであります。ジョンソン副大統領が行って、今度のクーデターと何らかの関連を持ったのではないかというようなことは、私は考えません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は関係があると申しておるのではありません。その行動とどうというように、直接結びつけようというのではないのですが、アメリカの極東政策というものが最近大きく変わりつつある、その変わりつつある方向とは何らかの関連があるのじゃないか、こういうことを聞いておるのでございまして、これは私は日本として決して軽々に看過すべき問題ではないと思うのでありますが、この点くどいようですがもう一ぺん御答弁を願いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は今回のクーデターとアメリカの副大統領の訪問が何ら関係を持つものではないし、韓国のクーデターは韓国自身の問題であって全体の動きとは関係がない、かように考えます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 具体的にお尋ねいたしますが、現在朝鮮におきましては南北統一の問題が起こりつつある。この二十日には、学生が板門店におきまして南北統一の会合を開くということになっておりました。去る三日前の十三日には、京城市内におきましてデモが行なわれた。これに対して張勉政府はこのデモを禁止するという方針をとったにかかわらず、このデモが行なわれた、こういう事実があるのでありますが、こういう事実と今回のクーデターというものは何らかの関連があるというふうにはお考えにならないのでありますか、どうでありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 民主主義の国におきましては、言論、集会、結社また行動の自由があるのでありますから、デモというものはどこでもあるわけだと思うのであります。別にそのこととこのクーデターを関連づけていろいろ考えてみる必要も私はないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 それでは外務大臣にお尋ねしますが、これはもとより非常に秘密のうちに計画されたと申しまするが、外務省の担当の局長がその数日前に韓国を訪問して、その報告は何という報告でありましたか。報告を受けたんですか、受けないのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 報告を受けております。報告によりますると、韓国におきまする一般の空気、今度の訪問によりまして受けました印象は、政界、財界、言論界、まあ学者層だけは会わなかったようでありますが、ほとんどすべての階層と意見を交換した、その空気は、いまだかつてないほどの日本に対する親愛感にあふれておったということでございまして、先方も日韓会談をこういう空気のうちにまとめてみたいという気持にあふれておるというふうな報告を受けております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 親日的な空気がどうこうということは別といたしまして、韓国の政情そのものに対して、はたして日韓会談をやり得る情勢にあるかなかったか、それは当然政治家としても担当の局長としても判断すべき責任があると私は思うのであります。それが判断できないでほかのことを幾ら報告しても、それは報告がむだじゃないかと思いますが、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 周囲の国とできるだけ友好な関係を結んでいこうということは、われわれの不動の方針でございます。その関係を結ぶ過程におきましていろいろ先方と問題について意見を交換しあるいは議論をして、わが方の立場も鮮明し、また先方の考えも聞くということは当然のことでございまして、そこにクーデターが起きるかもしれないから何もやらないということではいけないのじゃないか。またそういうものが起きないことをもちろん望むわけでございますが、起きたからといって何も日本政府の責任でも何でもないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は、他国にクーデターが起こるかどうかということを別に探索しろとかそういうことを言っておるのではないのであります。その国の政情が安定しているか安定していないかということは、いやしくもその国を訪問して、今お話のように学界を除いて、政界、財界あらゆる階層の者と会談をする機会があったならば、その国の政情が安定しておるか、これを会談の対象として差しつかえないかどうかということは当然わかるべきものである、政治的感覚によってもわからなければならないはずだ、それがわからなかったならばどうかしておると言わなければならぬと思うのであります。現に、私たちは朝鮮問題に対する専門家ではありませんけれど、われわれがちらちらと耳にする情報だけでも、私たちはこの張勉政権が安定しておるとは考えておらなかった。現にその安定していないと思われる節としては、張勉政権のもとにおいても依然として汚職のあとが絶えない、こういうことが国民の不満を買っておる。あるいは農村を中心とする窮乏が非常に蔓延しておる。こういう事実を見て、張勉政権というものはきわめて不安定なものであると私たちは判断をしておったのであります。でありますから、私も質問の要綱を差し上げるについて、日韓会談を進めるについて張勉政権をどう評価するんだ、政府の評価が聞きたい、あぶないじゃないか、こういうことを書いて差し上げておいたのでありますが、それが、きのう差し上げて、きょうはすでにクーデターが起こっておる、こういう事実について、私は外務当局として、あるいは外務省の担当の局長として、あるいは政治家として、そういうことは私は責任を感じなければいけないと思う。その点どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 政権はできるだけ強固なものがいいと思います。しかしそれが強固であるかどうかということをこちらで勝手に判断して、そうしてどうも不安があるから一切つき合わぬというようなわけにはいかぬと思います。その事実によって、政権がそこに現実にあるという事実によって、その政権との間にいろいろ交渉を持つというのは、これは外交の常識だと思います。  クーデターがあったのになぜ気がつかなかったという御質問でございますが、そういうことが最初からわかるようならクーデターは成功しないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は、外務大臣にクーデターの片棒をかつげ、秘密を守れということを言っておるのじゃない。そういうクーデターの起こるところ、およそ政情の不安というものがある。政情の不安に対する評価、見方というものがすでに不十分じゃないか、韓国そのものに対する見方が足らないからして、月夜にかまを抜かれるような事態を生ずるんじゃないか、こういうことを私は言っておるのであります。これは私たちが、専門家ではないけれども、韓国の事態を見るについて、やはりあなた方よりはむしろ実情に即する見方をしている、大衆に接触する見方をしておるから、われわれの方が正しい見方をすることができるんだ。そこにあなた方が反省しなければならぬ、私はそういうことを申し上げておるのです。外務大臣どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は、さっきから申し上げておりまするように、韓国と一衣帯水の間にあるわが国としては、できるだけ善隣友好の関係を持ちたい、こう考えておるのでございます。向こうが瑕疵が多少でもあればつき合わぬということで済まぬと私は思う。韓国の民衆も、私どもはかなり前からいろいろな関係を持っている民衆でございます。韓国の国民大衆にも平和と繁栄の光を及ぼすように隣国のわれわれとしてもできるだけしたいということでありまして、この交渉を、予備会談をしたということが、一体責任を感ずるとか反省をとかおっしゃいますけれども、これは私は、お言葉でございまするが、承服できないのであります。やはりわれわれは、かりにあなたの御質問に百歩譲りまして、調印をしたその翌日こうなったということならば、おっしゃる通りだと思いますけれども、十分に先方といろいろな意見をかわす、これが何で悪いかと実は思うのでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私の申し上げるのは、そういう政権を安定政権なりと考え、その安定政権という前提のもとに、政府が日韓問題を最近は積極的にお進めになろうとしておる、その態度がいけない、こういうことを申し上げておるのであります。韓国の政権は、われわれから見ても安定していなかったじゃないか、そういうことはわかっておったじゃないか、そういうことを申し上げておるのでありますが、ただ押し問答をしておってもむだでありますから、私はこの順序に従いまして質問を進めたいと思います。  先ほど申し上げましたように、私の今回の質問は、主として池田総理の渡米、その任務というものにしぼってお尋ねをしたいと思うのであります。本国会の終了後、池田総理は米国訪問の旅行に出発されるということでありますが、これは間違いないでしょうね。その日程も六月の十七日と発表されております。日本国民は、池田総理がどういう意図を持って訪米せられるか、その目的を明らかに聞いてはおらないのであります。しかも、昨日も上林山君の御質問にもありましたが、一般報道機関の報道するところによると、過般の連休の際に、池田首相以下側近者が会同して、訪米準備のための勉強会を開いたといわれておるのであります。またすでに終盤を迎えた本国会におきましても、国会審議を通じて、たとえば防衛二法案は池田総理渡米の関係上、これはどうしても通さなければならないんだとか、どういう法案は対米ゼスチュアとして欠くべからざるものなのだ、こういうことがいわれておるのでありまして、いわば訪米の問題が大きな政治問題となっておると言わなければなりません。国民としては、具体的に何も内容を知らされることなく、ただ鳴りもの入りで訪米々々と宣伝されておるのであります。すでにこの訪米においては国民は苦い経験を持っておるのでありまするから、何か重大な事態がこれによって起こるのではないか、何か日本が大きな負担を負うのじゃないかということを、国民は心ひそかに心配をしておると思うのであります。そこで、私は、その国民の気持を代表する意味において池田総理に御質問をいたしたいと思うのであります。  先ほど多少触れましたが、現在の国際情勢はきわめて微妙な段階に立っております。ラオスの問題を中心とする国際会議は、現在ジュネーブにおいてその前途が予測を許さない状況でございます。先ほど申し上げましたように、ジョンソン米副大統領は、現に東南アジア訪問の旅行中でありまして、その使命はきわめて重大であるといわれております。五月五日の記者会見において、ケネディ大統領は、私はこの旅行をきわめて重要なる任務とみなしており、帰国後ジョンソン副大統領からなまの報告を受けるのを心待ちにしておる、こう言っておるのであります。キューバの問題、ラオスの問題等、このところ黒星続きといわれるケネディ外交が、何らかの起死回生の手段をねらっているだろうことは、南ベトナムにおける軍事援助を約した共同コミュニケによっても表われていると思うのであります。こういう空気の中で池田首相は訪米されるのでありまして、池田訪米によって何を持ってくるか、国民は少なからざる不安にかられておると思うのであります。うっかり乗り込んでワシントンからとんだものを背負わされては困る、ミイラ取りがミイラになっては困ると国民は危惧しておるのであります。その一方、しかし国民としては、池田首相がせっかく訪米されるならば、ぜひこれだけのことはやってきてもらいたいという希望を持っております。その複雑なる気持、この国民の気持を池田首相はどう判断されておるか。私は、この国民の気持の理解の上に立って訪米をするならば、訪米をするという、その池田首相の所信を一つ承りたいと思うのであります。  まず率直に承りたいと思うのでありますが、今回の池田首相の訪米の主たる目的は何でありますか、何を目的として、何を意図して訪米されるのか、これを国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。巷間伝えられるところによると、新防衛計画の策定であるとか、あるいはこれに対する米国の援助の要請であるとか、あるいは東南アジアに対する日本の協力義務の問題であるとか、こういうことが主要な任務の一つであるといわれておりまするが、これはどうでありまするか。われわれは、かかることはあり得ないことを望むのでありまするが、池田総理に率直に池田総理訪米の目的、意図、これはどういうところにあるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 昨年暮れの大統領選挙によりまして新しくケネディ政権が成立いたしました。従いましてわれわれといたしましては自由国家群の一員として、自由国家の諸国と常に緊密な連絡と申しますか、意思の疎通をはかる必要があることは当然であります。そういう場合におきまして新政権ができ上がったので、私はケネディ並びに米国政府の要人とひざを交えて自分の所信あるいは世界情勢に対する彼らの考え方を話し合うということが目的であるのであります。従いまして今どういう問題について所信を聞くか、またこちらから話すかということは、ただいま検討中でございます。アイテムはまだきまっておりません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 この訪米はアメリカ側の要請によるものでありますか、それとも日本側の申し入れによるものでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 アメリカ側から来られたらどうかという内意がございまして、私も行ってみたいという気持があったのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 アメリカ側の要請によって行かれる、そういうことでありますから、私たちは国際情勢のこの微妙な中において、今すぐ行くことがはたして日本のために得策であるかどうであるかということを懸念いたしまするが、これはアメリカ側の要請であるとすれば、この日程等は変更は絶対にでき得ないものである、こう考えられますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 初めはもう少し早かったのであります。しかし国会その他のことを考えまして六月の下旬ということにいたしました。私は日程を変える気持はございません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 次にお尋ね申し上げまするが、今総理大臣の御説明によりますると、アメリカ側の要請によって、日本もそういう気持があるから渡りに船と乗ったのである、しかし行くについて会談のどういう題目を選ぶかということはまだ決定をしておらないのだ、こういうお話でございます。ただ世界情勢に対して理解を深めるのだ、あるいは両国間の緊密なる関係を強めるのだ、あるいは経済問題についてお互いに話し合うのだというようなばく然たるものであってはならないし、そういうものであり得ないと思うのであります。少なくとも池田総理の今回の訪米については、私はアメリカ側においても相当の用意をして待っておるであろうし、日本側としても私はこの会談に臨むには相当な決意を持って臨まなければならない問題であろうと思うのでありまして、そこで池田総理にお尋ねをいたすのでありまするが、単なるそういうおざなりな、月並みなことでなくして、具体的に中国問題について隔意のない話し合いをする必要があると思うのであります。これは当然池田総理は中国問題についてお話しになるはずだと思うが、これはどうでありますか。  それから第二に沖繩、小笠原の施政権返還の問題、これは当然日本側としてこれを要求すべき筋合いになっておると思うのでありますが、これはどうでありますか。  また第三番目に外交政策の基本方針というものについて話し合うべき筋合いであると思うのであります。特にこれは最近アジアの情勢が非常にこんとんといたしております。先ほどお聞きになりましたように朝鮮において新しくクーデターが起こったという事態がある。そういう事態の中においてわれわれが顕著に見受けられることは、中立を要望する声というものが一面において高まっておるのでありますが、こういう問題について当然これは会談の中に取り入れるべきものと思うのでありますが、総理はどういうふうにお考えになりますか。  中国問題について隔意のない話し合いをする用意がありますか。小笠原、沖繩の施政権の返還を要求する用意を持っておるか。あるいは中立政策について話し合いをする、外交の基本政策について話し合いをする考えを持っておるかということを承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、ただいま問題をはっきりきめておりません。しかしお話しのような点は、わが国にとりましても、またアメリカにおきましても重要な問題でございまするから、そういう方面にまで話はいくのではないかと思って、そういう問題につきまして検討を加えておるのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 これは話がいくかもしれないというのでなく、私は日本として、日本の総理大臣として、この際アメリカに行かれるならば、われわれとしては少なくともこの問題については話し合いをしてもらいたい、こう思うのでありますが、どうでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 まだまだほかにもたくさんございます。会談の日は、ただいまのところ到着した当日と、一日置いた日だけ、時間はまだきまっておりませんが、せっかくでありまするから、できるだけ多くの問題につきまして率直に話し合いたいと思っております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 まだまだたくさん問題があると言われますが、総理が考えておられるたくさんの問題とは、どういう問題ですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 経済問題、日米経済問題、特に国際経済に関する問題、いろいろな点があると思います。私は韓国の問題なんかも話に出るのではないか、今度のクーデターがなくても話題になる問題じゃないかと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私もそういう問題は当然問題になるべきであると思う。しかし私が今申し上げたような点は、これは日本側から積極的に話を出すべき筋合いだと思うのであります。  そこで次にお尋ねいたしますが、最近のケネディ政権の外交政策をどう判断しておられるかということであります。ケネディ政権が出発をいたしましたときに、彼は静かなる外交あるいは話し合いによる外交、弾力性ある外交というようなことを提唱いたしたのであります。新聞記者との会見におきましても、軍縮交渉の再開の用意がある、あるいは国際緊張緩和のためには交渉によって共通の基盤を発見できることに希望をかけているということを、彼は最初の新聞記者会見で申しております。そういうように、ケネディ政権が出発しましたときには、世界に何か明るい希望を与えるような感じがいたしました。いわゆるニュー・フロンティア精神と申しましょうか、そういうものによって、何かこの国際情勢の中に一脈の清新な気持を吹き込むのじゃないかというような感じがいたしたのでありますが、そのときに彼は、キューバ問題に対しては積極的な意図を示しておりませんでした。またラオスについても、このラオスの中立を切望するというようなことを、彼は新聞記者会見で言っておったのであります。中立主義に対して寛容でなければならないということを彼は申しましたので、われわれもケネディ政権の外交方針が中立政策に対して寛容な態度をとる、ここにケネディの新しい方向があるのだ、こういうような感じがいたしたのであります。ところがその後に起こった御承知のキューバの亡命軍逆上陸の失敗、あるいはラオスの情勢の変化というようなことのために、出発当時のケネディ政権の外交方針は大きく変わったと思うのであります。去る四月の二十一日の全米新聞編集者協会における演説において彼はこう言っております。どこの国境も突破されておらず、一発のミサイルも発射されていないのに、一枚岩の情け容赦のない謀略がその支配力を拡大しつつあると、共産主義に対して最大限の言葉を述べて共産主義の浸透を警告しておるのであります。同時に、この際に彼は新聞の自主検閲を要求したというので報道陣から相当批判されておることも御承知の通りでありますが、そういうふうに出発当時のケネディ外交というものは最近大きく変わってきたということが言えると思うのであります。このケネディ外交の変化というものに即応して、今日の極東の情勢というものが動いておるのではないかということを私たちは懸念いたすのでございます。このケネディ外交の変化というものに対して、池田内閣においてはどういうふうに判断をしておられるのでありますか、こういうことは全然関知しないというのでありますか、承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 ケネディが大統領選挙中に演説されたこと並びにその後における教書、またお話のような点は私も存じております。河野さんのケネディ外交変化についての御意見を承っておきますが、私は、ケネディ外交がどうなった、こうなった、どうなるだろうということにつきましての意見は差し控えたいと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私はケネディ外交に対する批判をしろというのじゃない。ケネディ外交の変化に応じて、それを日本の政治の上に考えなければならない問題はすぐ起こってくるから、これをどういうふうに変化したと思うか思わないか、そういうことを聞いておるのであります。批判をしろというのじゃない。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 いい悪いの問題でなしに、変化した、しないということ、それもやはり私は批判のうちに入ると思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私はこれは批判でも何でもないし、事実の認識の問題だと思うのでありますが、ケネディの外交について、その出発当時から今日に至るまでの言論の跡、行動の跡というものを跡づけた場合に変化が看取される、こういうふうにお考えになりますかどうか、この事実の認識を承っておるのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は今までの事実をずっと頭に入れまして、ケネディ氏の気持も聞いてみたいと思うのが、今回の訪米の目的の一つでもあるのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そういたしますと、少なくともケネディ外交の路線というものが一つの行動半径を持っておる、変化をしてきておる、こういう事実も頭の中に入れておやりになる、こういう意味ですね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 各国の首相はいろいろ言っておられます。しかしその事態々々に応じての処置が初めの基本方針と変わっておるかどうかということは、これは批評になると思うのであります。従いまして、そういう問題につきましては、ケネディ大統領と会いましてから十分そういう点も聞いてみたい。変わっていないか、変わっているのか、どうするのかということは、私は今度会見する一つの目的であると思うのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は率直にお尋ねしますが、勉強会を開かれたのでありますから、そういうケネディ外交の路線というようなものについても十分勉強して、その勉強の上に立っていかれる、勉強をしておられる、こういうことでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 連休三日のときの分は、大体三時間ないし四時間ぐらいでございまして、問題が非常に多いのでございますから、ケネディ外交の批判なんかはあそこでは話題になりませんでした。私自身で検討いたしております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私たちの判断するところによりますと、ケネディ政権が出発した当時の方向というものは、東西の緊張を緩和する方向に役立ちたい、何か緊張緩和の方向にいきたいという点がはっきりしておったと思うのであります。ところが最近になりますと、先ほど来たびたび申し上げましたように、南ベトナムにおけるところのてこ入れのことを考えてもわかりますように、体制を強化して局地戦争に対処するんだ、こういうことをはっきりと打ち出してきたと思う。特にキューバの問題が起こりましてからというものは、この局地戦争に対処するために、事が起こってからではおそいのだ、だから起こらない前に局地戦争に対処するために体制を強化しなければならぬのだ、こういう方向が積極的に出てきたと思うのであります。その一つの現われが、私はジョンソン副大統領の東南アジアの訪問となって現われたものだと思うのであります。その第一の成果は、先ほど申し上げましたように、南ベトナムにおけるゲリラ部隊に対する一つの対抗措置というものに具現されておると思うのであります。こういうように見て参りますと、南ベトナム、台湾、フィリピン、南朝鮮に対する軍事援助をさらに強化して、共産主義の浸透作戦に対決しようという方向を強めてきた、こういうふうに見なければならないと思うのであります。こういうような情勢というものがケネディ外交のときにはっきりと現われてくる。こうなりますと、この場合に池田総理がアメリカに行って話し合いをする場合において何が出てくるかということは、おそらく想像にかたくないと思うのであります。その出てくるものがはたして何であるかということは、私は日本国民としては十分警戒をしなければならない問題だと思う。こういう情勢の中で訪問されるのでありますからして、その訪問されることが今日本にとって得策であるとお考えになるのか、あるいは訪問する以上は、そういう情勢にもかかわらず十分なる決意を持って言いたいだけのことは言うんだ、こういうことで行かれるのか、そこらの心がまえが私は非常に重大だと思うのですが、これを総理はどうお考えになっておるか承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 ケネディ大統領の外交政策は話し合いで弾力を持ってやる、こう言っておったことはお話しの通りであります。また前と違って全面紛争でなしに、局地紛争ということにも対処しなければならぬということは就任当時から言っておることで、キューバ問題以前からの問題でございます。だから世界の情勢を見ながら弾力的にやっていく。また最近新聞の報ずるところでは、フルシチョフとの会談も考えておるように聞いておるのであります。これは新聞報道であります。大使に親書を持って行かすとか、いろいろ努力をしておられるようでございます。  しこうしてこういう情勢のときに行くことはどうかというお話でございますが、世界の情勢がどうであろうとも、アメリカ大統領とひざを交えて話し合うということは私は必要なことである、こう考えておるのであります。もちろん会談にあたりましては、私の意見は率直に国民を代表して申し上げるつもりであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 非常な決意を持って行かれるのだということであります。会談は、今お話によりますと二日ということでありますが、二日の会談のあとには当然共同コミュニケを発表されるのでありまして、日本としましては、この日本の外交政策の将来というものに対して非常なこれはワクがはめられるような結果になるので、この点は十分警戒をしなければならないことであると思うのであります。  そこで私は池田総理に率直にお尋ねしたいのでありますが、日本政府としては、この会談に臨まれる際についての外交方針というものを私は当然はっきりしてかからなければならないと思うのであります。ただアメリカ側の意見を聞くんだとか、打診してみるんだというようなことでなしに、日本の考え方をこちらから積極的に出して、日本国民の希望、願望というようなものを表面に出して、私はむしろ日本側からアメリカの反省を求めるというような態度こそが望ましいのではないか、こう思うのであります。と申しますのは、これは世界共通の考え方であると私は思う。もしそれに反対されるならば、その反対される人だけの見解だと思うのでありますが、世界共通のアメリカ外交に対する批判というものは、アメリカ外交というものは実に幼稚なんだ、アメリカ外交というものは非常に拙劣なものだということは、私は国際的な評価であると思うのです。そういうことを率直に言うか言わぬかは、これは池田総理におまかせしますけれども、そのアメリカ外交が金を使って軍事援助をやって、それにもかかわらず、至るところで反米勢力というものを生み出して、元も子もなくしておるという、アメリカ外交がきわめて拙劣なものであるということは、これは世界共通の評価であると私は思うのであります。そこでわれわれはただアメリカ外交方針というものに追従するのではなくして、ほんとうにわれわれの願望を積極的に述べて、そうしてアメリカ外交に対して、その拙劣だといわれる点の反省を求めるということが私はこの際一番必要なことではないか、こう思うのであります。特に東西両陣営の接合点であり、核武装の谷間にあり、原子爆弾の洗礼を受けた唯一の国である日本国民の切実なる希望であるところの積極的なる中立政策というものをアメリカに理解せしむるということが、私はこの際の最も必要なことではないか、こう思うのであります。アメリカにおきましても、昨年の安保改定当時におきましては、日本に対する理解が非常に薄かったように思うのでありますが、最近においては日本に対する理解も深まり、アメリカの有識者の間にも日本の真情というものの理解が深まりつつあるように見受けられるのであります。この間読みましたウォルター・リップマンの中立主義に対する論文なんかもその一つの現われだと思うのでありますが、幸いにして、政府の中にも野にあるときからいろんなそういう点に理解のある意見を発表しておりましたチェスター・ボールズが国務次官になっておりまするし、日本の大使もライシャワー教授がなられるというようなことで、私は日本に対するアメリカの考え方というものも変わりつつある、また変わらせなければならない、こう思うのであります。そういう意味合いにおきまして、この会談を通じて池田総理から日本の立場、日本の実情から見たアメリカ外交というものに対する率直なる見解を述べていただきたい。日本の国民は積極的な中立政策というものに対して非常な期待を持ち、またそれによってこの東西両陣営の冷戦の中に介入したくはない、いわんや熱い戦争の片棒をかつぐようなことをぜひとも避けなければならないという、この率直なる気持を私は池田総理にこの会談を通じて表明していただきたいと思う。積極的中立政策と申しますると、池田総理は中立政策は幻想であるとかいうように、総理自身も非常に理解を欠いておられたのでありますが、最近はそうでもないと思うのでありまして、極東の情勢から、中立に対する再評価というものが上がりつつある。ほんとうに共産勢力の浸透を防ごうとするならば、そういうものに対処しようとするならば、これは積極的な中立政策というものが必要であるということが、ウォールター・リップマンの論文をかりるまでもなく、かつて前々からわれわれが主張してきたところでありますが、この点について池田総理はどういうふうにお考えになりますか。私は、この点を積極的に外交方針として打ち出すべきである、アメリカの反省を求めなければならぬだろう、こう思うのでありますが、依然として従来の考えのままでありますか、承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私の外交方針は、施政演説その他でたびたび申し上げておる通りでございます。さきの総選挙におきましても、あの考え方で総選挙をやって参り、私は中立主義はとらないということを国民に公約いたしておるのであります。私は国民の大多数は私の外交方針を支持して下さっておるものと思います。ただ、中立主義はとりませんが、世界の平和に対してわれわれはどういう手を打ったらいいかというふうな問題につきましては、十分考えなければならない。根本の考え方は、私は中立主義はとらないのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 中立主義を日本がとらないにいたしましても、現在次第に極東の地域においてわき上がりつつある中立に対する要望、自分の国の安全を守るためには中立をとらざるを得ないとだんだん考えておる。最近はタイも南ベトナムもあるいはその他の諸国においても、朝鮮の今度の問題の中にも、中立主義の問題が含まれておると思いまするが、そういう点について、次第に広がりつつある情勢についてはどうお考えになりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 各地いろいろ事情がございましょう。中立主義をとりたいという国が出ておるのは共産主義の浸透であるという考え方もあるやに聞いております。いろいろ問題がございます。またソ連の衛星国といわれる国におきましても、中立主義的なムードも全然ないとも考えていない。その原因はいろいろあると思うので、一がいには申されません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 これは意見の違いでありますから、これ以上あれしてもむだだとは思いますが、私は池田総理がそういう考え方をするのは非常に偏狭であると思うのであります。しかしこれは見解の違いでありますから、その点はそれだけにしておきましょう。  先ほど冒頭にお聞きいたしましたように、また池田総理もみずからおっしゃいましたように、日韓問題も当然今度の会談の課題になると、こういうふうに言われておりましたが、この日韓問題につきまして、先般政府の与党もわざわざ使節団を派遣されたのでありましたが、この日韓問題の重要な点はどこにあるかと申しますると、私は南朝鮮における政治情勢をどう判断するかという問題にあると思うのであります。朝鮮の政情が、きょうのクーデターの勃発によってもわかるように、きわめて不安定であった。その不安定であった韓国の情勢をわれわれはあるがままに認識して、そのあるがままの認識の上に立って日韓会談を進めなければならないのだ。しかるに最近自民党その他におきましては、日中問題よりもむしろ日韓問題が先だというような方向をとられたのでありますが、私は池田総理にお尋ねしたいのであります。先般自由民主党の代表の方が韓国に行かれましたが、あれはどういう意図によって行かれたのでありましょうか。またその派遣というものは池田総理自身は関知されておったのでありましょうか、無関係であったのでありましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 隣国朝鮮の経済的、政治的問題につきましては、われわれとしても十分承知しておく必要があると思います。同僚からお話がありましたときに、けっこうではないですか、こう言って私は賛成いたしたのでございます。できるだけたくさんの人、また各界の人と意見を交換し、また韓国の経済事情、民生事情も十分調査してきてもらいたい、こう私はお願いしたのでございます。さきに小坂外務大臣が行かれたときに、張勉氏からメッセージをもらっておりましたので、野田団長に私のメッセージも委託し、十分韓国訪問のことは承知いたしておったのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 自由民主党が日中問題よりも日韓問題が先だというように態度がお変わりになった——全体であるとは考えませんけれども、そういうムードが強く出てきたというのはどういうところにあるだろうか、これが問題じゃないかと私は思うのであります。日韓問題を重要視するということは、むろん日本と韓国の関係を正常化したいという多年のあれには違いありませんけれども、それはもう今までずっと戦後長く十数年続いておることでありますから、それが急に最近になって日韓々々ということが取り上げられてきたのには何か理由がなければならぬ、こう思うのでありますが、その理由は一体どういうところにあるのでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 御承知のごとく、中共の問題につきましては、日本と中共の問題だけでなしに、世界的な重要な問題になっておるのであります。それから、韓国の問題につきましては、世界的の問題というのは、そこまでもいっておりません。しかも日本と韓国との歴史的の関係から申しまして、また昨年の政変がありましてからも、韓国における日本に対しましての感情も前とはよほど変わって参りました。また一方におきまして、韓国の経済状態が必ずしもおもしろくない、われわれは隣国としてこういう問題を十分知っておく必要がある、こういうので同僚を調査に出したのでございます。中共問題をおろそかにするというわけではないのでございます。これは世界的の問題で、われわれも十分検討しなければいかぬ。韓国の問題はまた別の意味におきまして、日本として十分調査をし、いろいろ検討すべき重要な問題と考えましたので、訪韓に対しまして了承いたしたのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私が、日韓問題に与党が熱中するのを非常に不思議な感じを持って見る一つの理由は、先ほどから申し上げておりますように、ケネディ政権における極東政策の方針というものが変わってきた。それはできるだけ静かなる外交でいこうという考え方というものから、局地の体制を強化して、そうして局地戦争に対応する体制を整えよう、こういう方向に変わってきた。その場合にラオスの情勢は、御承知のように失敗した。だから今度は南ベトナム、台湾、南朝鮮、こういうようなところにてこ入れをしなければならないという方向というものが強く打ち出されてきたと思うのであります。その一つの現われとして見てもいいと思うのでありますが、朝鮮駐在大使のマコノギーが極東担当の国務次官に任命されておるのでありまして、これも一つの現われであると思います。そういうように南朝鮮というものを非常に重要に考えて、次に問題が起こるであろう南朝鮮というものにてこ入れしなければならぬのだ、こういうように私はあらゆるものから察知できるのであります。その察知できるところに、自由民主党の諸君が、朝鮮だ、朝鮮だといって朝鮮に大挙してお出かけになる。そうして実際の実情はあまりごらんになってこないで、月夜にかまを抜かれたと申しては非常に失礼だけれども、そういう情勢しか御判断にならない。これは自分の目で極東を見ないで、自分の目で南朝鮮を見ないで、だれかのめがねを借りて見ている結果だと私は思うのであります。私はそういうことをやめなければならぬ、ここに朝鮮問題の一番大きな焦点があるのじゃないか、こう思うのであります。その点はどういうふうにお考えになりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げた通り、人のめがねを借りてあれしておるわけでもなんでもございません。私は極東における日本の立場から、そうしました韓国との関係等から考えまして、十分韓国の事情を検討、研究する必要ありとして韓国訪問に賛成いたしたのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 これは私の先見の明を誇るわけでもなんでもないのですが、おととい私が質問をしようと思って書いておることに、すでにもうそのことに触れておるのです。アメリカがいかに朝鮮問題を重視しておるか、マコノギー朝鮮大使を極東担当の国務次官に任命したことでもわかります。従って朝鮮問題を重視し、これが南ベトナムやラオスの二の舞を演じないようにとあらゆる努力を払うものと思われます。それにもかかわらず、南朝鮮の事態はきわめて険悪であり、張勉内閣の施政に対する国民的な不満は高まりつつあると言われます。マコノギー自身も、ソウルを去るにあたって、張勉内閣の施政がもっときれいであるべきこと、代議政治がもっと賢明で忍耐強く運営されなければならないという忠告をしたと言われております。これによっても、南朝鮮の事態は決して単純なものではありません。これを救う道は中立政権以外にないと言われておりますが、日本政府の現状認識を承わりたい。同時に日韓問題の打開についていかなる態度をもってアメリカに折衝せんとするのか、その方針を承りたい、私はこう書いてあるのであります。どうでありますか、私どもこれだけのことはわかるのであります。行ってみてわからぬ、そういう政治的感覚じゃ私は情けないと思うのですが、池田総理は、願わくは、こういう政治的感覚でなしにアメリカに行っていただきたい、こう思うから私は質問をいたしておるのであります。今読み上げましたところについてどうお考えになりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 いろいろ見方もありましょう。結果から申しますと、河野先生の烱眼には敬服するところがございます。(拍手、笑声)

河野密日本社会党

○河野(密)委員 次に私はお尋ねしたいと思いますが、今度の訪米の中心課題というものは、言うまでもなく中国問題であるはずだと思うのであります。池田総理は、就任当初に、中国問題についてしばしば前向きの姿勢で日中関係の打開に当たりたい、こう申して参りましたが、その首相の言う前向きの姿勢とは、今日までの経過によって見ますると、今日以上に関係を悪化せしめないという消極的な意味であって、日中の国交関係を打開して、ひいて世界的な課題である中国問題の解決に一役買おうというほどの積極的なものではないということが明らかにされたのであります。これははなはだ残念なことであります。しかし日中関係にまだ深い関心を寄せておる間はわれわれも了とするところがあったのでありますが、最近になりますと、今申し上げましたように、日中問題よりも日韓問題であるというように、むしろこの問題を等閑に付するかのような傾向が見られるのは、はなはだ遺憾にたえないのであります。中国問題は、私が申し上げるまでもなく、国際上の重要課題であるばかりでなく、日本にとりましては最大の課題と申してもいいのでありまして、日本としては、これを自主的な立場から、アメリカに対して、アメリカの中国政策の変更を求めるという意味において積極的な発言をしなければならないと思うのであります。  そこで、先ほどから承っておるのでありまするが、池田総理に端的にお尋ねいたします。池田総理は積み上げ方式でというようなことをしきりに言われておりまするが、中国は承認すべきものである、こういう前提の上に立って早晩承認はするのであるけれども、しかしその承認は段階を追わなければならないから積み上げ方式をとる、こういう考え方であるのでありましょうか。ただ漫然と積み上げ方式をとって、承認するかしないかということはそのときになって考えるのだというような意味でありましょうか。私は前の考え方であると思うのでありますが、中国を承認すべきものであるけれども、しかしこれは段階を追う必要があるから積み上げ方式をもってするのだ、こういう趣旨でありますか、お答えを願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 中共承認とかあるいは国連加盟の問題につきましては、私はここで触れることを差し控えたいと思います。ただ今まで積み上げ方式と申し上げておりましたのは、主として経済問題、貿易問題でございます。先般貿易がほとんど中断されまして、配慮物資程度で交流が行なわれる状態であったのでございまするが、これは日中双方の利益でない。私は政府間貿易協定までは今のところはいきませんけれども、民間におきまして十分有無相通じ、両国の利益増進になるように積み上げ方式でいきたい、こういこうとを申しておったのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 池田総理は本年二月十八日の外務委員会に御出席になりましたときに「北京政府ととにかく内政不干渉で、そうしてお互いの立場を尊重し、友好の関係を増進していきたい、こういう気持を持っております。」こういうふうに述べておられるのであります。これが私の調べたところによりますると、池田総理が最も明確に御答弁になった点でありまするが、これは貿易の問題ではございません。今申し上げたように、中国との国交の問題でありまするが、国交の増進をしていきたいと、こう考えたいと言っておられますが、その増進されるという意味は、中国承認を早晩やられるという前提のもとに立っておるのだと、私はこの文章からそういうふうに判断をいたしたのであります。今の御答弁によると、その点をきわめて不明確にされておりまするが、中国承認は早晩やらなければならないことではあるけれども、それには積み上げ方式というものが必要なんで、順を追うていくのだ、こういうふうにお考えになりまするか、承りたいのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 隣国でございまするから、仲よくしていくという考え方は当然でございます。そのことを言っておるのでございまして、今国際的に問題になっております中共の国連加盟あるいは承認ということにつきまして積み上げでいくかどうかという、この問題についての意見は差し控えたいと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 では池田総理に率直にお尋ねいたしますが、今日日本から見た場合において——これはよその国のことはおいて、日本から見た場合において、中国を承認した場合においての支障というものはどういう点にありますか。また中国を承認した場合におけるプラス、マイナスを一体どういうふうに判断されておりますか、これを承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 これは他の委員会で申し上げましたごとく、われわれは台湾政府と平和条約を結んでおるのであります。そうして中華民国と戦争し、中華民国と平和条約をやっておる。中華民国というのは、今国連の一員としておるわけであります。しこうして片一方には、二つの中国ということはあり得ないという考え方が、両者に強くあるのであります。こういう立場で見、こういう情勢において、今までの日本の立場を考えますときに、この問題につきましては、私は今結論は申し上げかねる、こう言っておるのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 次にお尋ねしますが、中国問題で重要な問題は、中国の国連における今池田総理が御指摘になりました代表権の問題であります。この代表権の問題は、おそらく今度の池田総理の訪米の際の一番大きな題目になるものと思いまするが、池田総理はこの代表権の問題についてどういう態度でお話し合いになるつもりでありますか承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 ただいま検討中でございまして、結論を出しておりません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 これはしかしそういう検討中というようなことでは済まされないと思うのでありますが、それでは結論はいつお出しになりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 いつ出るか検討中でございますからわかりません。ただ私が申し上げましたごとく、貿易問題に関連いたしまして、政府間協定ということが承認につながると思われるので、ただいまそれはしないということは国会で申し上げております。将来国連におけるこの問題がどうなるかということは、日本の考え方もきめなければなりませんが、やはり自由国家群また世界全体の人の考え方も十分検討して結論を出すべき問題だと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 小坂外務大臣にお尋ねしますが、この中国代表権の問題は、今週の国連総会において当然議題となるものでありまするが、これについては日本政府としてはいっその態度を決定するのでありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ただいま総理大臣がお答えになりましたように、目下慎重にこの問題と取り組んでおります。いつそういう結論を出すかということにつきましては、今総理大臣がお答えになりました通り、そのうちに出します。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 次にお尋ねしますが、アメリカは朝鮮事変という歴史的な関係がありまして、この中国承認ということについては非常に強い反発をしておることは、私はよくわかると思うのであります。しかし、このアメリカの対中共態度というものも、これは曲がり角に来ている。これもまた世界の識者の世論の認めるところでありまするが、これはアメリカに対して、私は日本の方からむしろアメリカの外交政策というものの転換のきっかけを作ってやるというくらいの態度でもって臨むべきものだと思うのでありますが、この点についての総理の考え方を承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 御意見は承っておきますが、私が今アメリカの外交態度に対してどういう意見を言うかということは、ここで申し上げるわけには参りません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 それでは私、従来政府の国会を通して言われていたことを確認をしながら、一つ政府の見解をお尋ねしたいと思います。政府はこの国会の中の答弁を通じて、中国問題については大体こういう態度を表明しておったと思うのでありますが、第一は中国が提示しておる三原則については、日本としてはこれに抵触した覚えがない、こういう答弁をしておられます。それから日本側と中国側の国交の問題については、内政不干渉、話し合い解決、冷戦緩和、こういう三原則で中国側と折衝したい。台湾政権というものは、これまでは中国の代表者として認めておった。従って中共政権を中国代表として認めるためには国際的な考え方に立たなければならないのだ、こういう点を国会を通して確認しておられたと思うのでありますが、この点は間違いないと思います。そういう考え方の、歯切れの悪い立場でありますけれども、そういうような立場に立っておるという前提で、ここで私がお尋ねしたいのは、従来は中華民国の中に二つの政権があって、その一つである台湾政権というものを相手としてきたのだ、日本はその立場をとってきたのだ、こういうのでありますが、しかし今日の国際情勢あるいは中共の実際の力、そういうものからして北京政権というものを正当な中国の代表政権として認めざるを得ないような情勢になってきた、こういうことにはお考えになりませんか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 従来われわれが言っておることを御引用になりましたが、その点で一点だけ、われわれは中共に対して接触を保つ場合、相互の立場を尊重する、そして内政に相互に干渉しないということが望ましいことであることは申すまでもありませんが、そういうことを言っておるわけでございます。そこで、現在の中国の大陸において支配権を現実に中共政府が持っておるということは、これは事実としてその通りだと思います。ただこれをどう扱うかということに関連いたしまして、先ほど総理大臣からもお話がありましたようにいろいろな関係もあり、かつこれを世界的な諸情勢の中で問題を把握しなければならぬ、こういう点があるということを言っておるわけであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 次に、世界の情勢というものも次第に変わってきて、国連においてはこの秋には北京政権を承認するという決議案が通るという情勢に大体ある、こういうふうに世界の各国は判断しておるようでありますが、この点についてはその通りにお考えになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この点については十分に検討してみないと、にわかにそうとばかりも言いかねるところもあると思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 これは昨年の秋には八票の差でもってアメリカの決議が通ったのでありますが、一年たな上げというものも昨年限りであって、国連の情勢から見て、ことしは間違いなしにこれは中共の代表権が認められるであろうというのが、外交通、消息通の異口同音に認めておるところであります。こういう点は御確認になるかということでありますが、今のお答えはとても不明確であります。  その次に、アメリカのケネディ政権は、最初は弾力性ある考え方をいたしておったと思うのでありますが、最近になりますると、非常にかたくなになってきた、こういうふうに考えられるのであります。中共問題をこの際アメリカ側に持ち出して、どういう結果が得られるかという点については、どういう判断をしておられますか、承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 中共問題をアメリカに持ち出して、どういう判断をアメリカがすると思うか、こういう御質問でございますか。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 中共問題を持ち出した場合に、アメリカはどういう反応を示すかという……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 大統領がですか。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 ええ。それをどういう判断をするかという……。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 これは向こうさんの気持でございますので、今ここで申し上げかねるのでございます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほど私がお答えしたのについて、今、確認されたようなお話がありましたので、もう一度明確に申し上げておきたいと思います。  例の中共のたな上げに関する決議案の扱い方でありますが、これは第六回総会には、賛成三十七、反対十一、棄権四、第七回総会には、賛成四十二、反対七、棄権十一、第八回総会には、賛成四十四、反対十、棄権二、第九回総会には、賛成四十三、反対十一、棄権六、第十回総会には賛成四十二、反対十二、棄権六、第十一回総会には、賛成四十七、反対二十四、棄権八、第十二回総会には、賛成四十八、反対二十七、棄権七、第十三回総会には、賛成四十四、反対二十八、棄権九、第十四回総会には、賛成四十四、反対二十九、棄権九、第十五回総会、すなわち昨年の総会には、賛成四十二、反対三十四、棄権二十二、この棄権が非常にふえたということが問題になっておるわけでございます。しかも賛成票が二票減った。であるからこの次の総会には必ず代表権問題は結果は見えておる、こういう見方には、私は必ずしもその通りにいえない、こう申しておるのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私はこの中国問題そのものを池田総理に御質問したのでありますが、次にお尋ねしたいのは、この中国問題に対するアメリカの態度というものが最近非常に硬化をしておるように見受けられる。その硬化をしておるように見受けられるときに、アメリカとの会談をすることは、時期として非常にまずいのではないかという点を実はお聞きしたいのでありますが、この点は変更する意思もないというように言っておられますから、抜き差しならない問題であろうと思います。しかし、それにもかかわらず、私たちはアメリカが非常に中国問題等について硬化をしておる際に、はたして中国問題を持ち出す機会があるかどうか、あるいは持ち出したとして、これにわれわれが期待するような反応を示すであろうかという点について、非常な危惧の念を持つのであります。と申しますのは、先ほどから私が言っておりますように、この中国問題について、どうしても日本としてはアメリカの外交政策に一つの大きな転換を要求せざるを得ない、こういう立場から申し上げておるのであります。そのためには、今の時期ははなはだ適当でないのじゃないかという感じがいたしまするが、この点はどういうふうに判断されるか、これを承りたいのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 アメリカの意向がどうであろうと、また世界の、ことに自由国家群の意向もわれわれは十分に考えなければなりません。従いまして行く時期をこれによって左右することはいかがなものかと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 その点については非常に自主性を強調されますが、それならば中国問題を持ち出すかというと、中国問題についてはまだ考えておらない、こう言うと、行くこと自身が非常に自主性を主張されるようでありますが、中身は何にもないということになることを私たちは非常に懸念するので、この点を申し上げたわけであります。  次にお尋ねを申し上げたいのは、沖繩、小笠原の施政権返還の問題であります。沖繩、小笠原の施政権返還の問題は、これは日米会談の重要なる課題の一つになると思うのであります。当然これは取り上げられることと思いまするが、池田総理、どうでありますか、日米会談において、この沖繩、小笠原の施政権返還の問題を主張される用意がありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 従来日米会談におきまして、この問題は常に出ておると承っております。私も機会をとらえまして、この問題について話し合ってみたいという気持はございますが、この問題をどうしても話しするんだという結論はまだ出ておりません。気持としては話し合いしたい。従来もやっておる問題でございます。沖繩、小笠原返還問題ということになりますと、時期の問題があるわけでございます。いろいろ私は今の極東の情勢からいって検討しなければならぬ問題だと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 従来もこの問題を持ち出したと言われますが、小坂外務大臣は、本委員会であったと思いますが、昨年の九月の十二日にハーター国務長官とこの問題を話したということを報告されております。一体今までにこの問題でどういう交渉をされたのでありますか、その経過を明らかにしてほしいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 昨年私がアメリカへ参りましたとき、ハーター国務長官と会談いたしました。その中で今の問題について触れたわけでございます。われわれといたしましては、従来から施政権の返還の要求がある、この問題についてアメリカ側の善処、考慮を要望いたしたのでありますが、御承知のごとき東西冷戦のさなかにありまして、現在沖繩の占むる国際的な重要性というものにかんがみまして、直ちに施政権の返還というようなことについては同意するわけにはいかない、しかしながらこの問題については沖繩の住民は日本の国民であるから、われわれとして重大な関心を持つことは十分アメリカ側も了として、その線に沿うてその福祉の向上に協力するということについては先方も理解を十分示しておったわけでございます。その後におきまして、御承知のように内閣の藤枝総務長官の担当下におきまして、長官自身沖繩にも行かれ、また今年度の予算等におきましてはいろいろな配慮をいたしたわけでございます。その後琉球の大田主席も二度にわたって東京へ来られまして、私どももお目にかかりまして、われわれのできる範囲の協力をするし、またアメリカ側においても沖繩住民の福祉を増進するということについて十分な配慮あるべきことを期待いたしておる、こういう状況でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 施政権返還の問題を施政権返還の問題としてまっ正面から話をしたのでありますか。お会いになった機会に、ただ施政権の問題も考えてくれという程度のお話し合いなんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 会いまする前にトーキング・ペーパーを出しておきまして、その中にその問題をアイテムとして取り上げておりました。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 先般沖繩の代表が見えられまして、池田総理もお会いになったことと思うのでありますが、この施政権返還の問題については、沖繩九十万の島民の非常な熱意を代表して見えられました。そういう意味合いにおいて、今度の訪米の会談の中には当然この施政権返還要求の問題が取り入れらるべきものである、またその覚悟をもって池田さんもおいでになることだと私は確信いたすのでありますが、われわれとしては、国会においてもこの施政権返還の問題の決議をしたいということで、先般来折衝をして参りましたが、この党と党との折衝はまだ妥結に至らないようであります。しかしわれわれとしてはこの施政権返還の問題に対する院議をもっての決議をぜひしたい、こういう熱望を持っておるわけであります。私は、池田さんもこの施政権返還の問題について当然これは持ち出さるべき筋合いのものである、こう思うのでありますが、もう一ぺん一つはっきりとお答え願いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 沖繩島民は日本人であり、われわれは潜在主権を持っておるのであります。従いまして施政権が早く返ることを熱願するものでございまするが、しかし今までの条約上の義務その他から申しまして、私はその決議をすることが適当かどうかということは、よほど考慮しなければならぬ問題だと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 では、今度の会談には当然その一つの課題としてこれをお取り上げになるつもりでおる、こういうことは了解してよろしゅうございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 先ほど申した通りで、従来も出ておりますし、私もそういう考えを持っておりますので、問題として取り上げたいという気持でおります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 別に選手として送るというわけじゃないのですけれども、会談に臨まれるのでありますから、一つ歯切れよく、やるならやるとおっしゃっていただきたいと思うのです。  そこで私はお尋ねしたいのでありますが、この沖繩、小笠原の施政権返還はどういう立場でもってこれをお求めになるか、お答えを願いたいと思います。どういう根拠に基づいて施政権返還を要求するのでありますか、政府の立場を一つ聞かしていただきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これは御承知のように、平和条約の第三条におきましては、われわれは沖繩、小笠原についてはこれを信託統治にするということについて、アメリカがイニシアチブをとることに反対しないということになっておるわけでございます。しかしこの条約上当然に読み取れますことは、それではアメリカはいつまでに信託統治にせねばならぬかという義務を負うものではないということでございます。これは話し合いの結果、日本の潜在主権、レジデュアル・ソヴレンティといいますか、そういうものをアメリカは認めておるということでございます。そこでそういうことを認めるならば、やはり日本国民である沖繩の島民に対しても、これはわれわれとしても十分、潜在主権であっても、その国民をしあわせにするということが日本政府の願望として当然のことではないか、こういう立場で話すわけでございます。ただこれでは御承知のことと思いまするが、われわれが同様のことを主張したい島は北方にもあるわけでございます。歯舞、色丹、国後、択捉、この総面積は大体八千四百平方キロだと思います。これは沖繩、小笠原に比べまして約四倍近いものでございまして、われわれはそうしたわれわれが本来当然に持つべき領土権については主張すべきものである、かように考えております。ただこの東西冷戦のさなかにあり、しかも日本の持っておる実際の力というものとの関係もありまして、意のごとくならざる点はお互いに遺憾というほかはないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 沖繩、小笠原の問題が平和条約第三条の問題であることは言うまでもございませんが、この沖繩、小笠原の問題について政府が今まで国会を通して言っておりましたことを私が集約してみますると、大体こういうふうに政府は考えておるようであります。この沖繩、小笠原の施政権返還の問題については、たびたび今まで外交交渉は進めてきた。昨年の九月十二日に小坂外相がハーター国務長官と外交交渉を持った。それから、その際に、アメリカには平和条約に基づいて国連に信託統治を提案する権原を与えられてはいるけれども、アメリカ側は提案する意思を持っておらないのだ、こういうことを確認した、こう言っておりまするが、アメリカは国連に対して、平和条約第三条によって与えられておるところの信託統治を提案する権原を行使する意思は持っておらないのだ、言いかえるならば、平和条約に基づく権原というものを行使しないのだ、放棄したと申しましょうか、そういうふうに解釈されると思うのでありますが、これは小坂さん確認されたのでありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 平和条約第三条に基づくところのアメリカの権原、権利、これを現在行使するような状態にない、こういうふうにアメリカは考えておるように私は感ずるのであります。さればといって、それではこの平和条約上の権原をアメリカは放棄したかということになりますと、そうは言い切れないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 非常にあいまいでありまするが、この平和条約に基づいて国連に信託統治にするということを提案する権原を与えられておるが、その信託統治にするという提案をする場合においては、日本はこれに何らの異議を申し立てることはできない、申し立てることをしないのだというのが、平和条約第三条のあれだと思うのですが、アメリカはこれを行使する権原を持っておるが、これは実際に行使しておらないし、これからも行使する意思がない、私の聞いたところによれば、小坂さんはそういうように言っておられるように見受けられる。今の言われることは少しくあいまいでありますが、そうじゃないのですか。ただあなたがそう判断したというだけなのですか。向こうがそう言っておるのじゃないのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私がそう感じるのでありますが、この第三条によりますと、日本国は、これらの琉球、小笠原に対しまして、合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度のもとに置くこととする国連に対する合衆国のいかなる提案にも同意するということになっております。ただ、こういう提案が行なわれ、かつ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの島々の行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする、こういうことになっておって、この後段の状態が続いておるわけでございます。従って、この状態があるからといって、前段の権利をアメリカが放棄したというふうには言い切れないということであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 現在続いておることは間違いないのです。続いておることは間違いないが、これをいつまでにやらなければならぬという期限もむろんないけれども、しかしアメリカは、ただ続いておるという事態は、あなたがわざわざハーター国務長官に会わなくてもみんな知っておるのですよ。それをあなたがハーター長官に会って話をしたところによると、アメリカは国連に信託統治にするという提案をする意思を持っておらない、こういうことをあなたが言われるから、そこで初めてそれが問題になり、ニュースになり、それが一つの課題になるわけなんです。それは違うのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 現在アメリカが国連の現状を見て、沖繩、小笠原を信託統治にするということがはたして沖繩住民の利益に合致するものであるかどうかということは、東西の冷戦の現況から見てあまり適当と思っていない、こういうふうなことを私は感じ取った、向こうもそういうことを言うたのだ、私もさように思うのであります。東西の冷戦がなくなった場合には、これはまさに日本の希望というものに沿うことになると思いますけれども、現状においては、施政権の返還要求をしても、われわれは条約上の義務によって、アメリカの履行を迫るということもなかなかできぬ立場にございまするから、やはり先ほど申し上げたように、沖繩の住民の幸福をわれわれもできるだけ協力してはかっていく、そういう情勢と同時に、東西の対立の緩和をすることを望みつつ、そういう施政権の返還がなし得る日をできるだけ早く持ち来たらすように努力する、そういうことだと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 どうも小坂さんも、アメリカへ行く日が近づいてくると、言葉が非常にあいまいになってくると思うのですが、あなたが予算委員会あるいは外務委員会で述べられたことを抜き書きしてみますると、大体こういうことになるのです。重複いたしますが、昨年の九月十二日にハーター国務長官との間で外交交渉を行なった。これは事実としてあなたが述べておるところである。アメリカは平和条約に基づいて国連に信託統治を提案する権原を与えられているが、これを提案する意思は有しないとあなたは判断なさったのだけれども——向こうは有しないということをはっきり言った、こう言っておるのであります。そうして日本としては、アメリカがこの権利を行使せずして施政権を返還することを希望するのだ、こういうことをあなたは言っておられる。それから国際情勢が許すに至れば、アメリカは返還することは間違いないと自分は思う、こういうふうに言っておる。これは今も言っておられる。この返還のためには、アメリカとの間に相対的な交渉が望ましいのだ、こういうことをあなたは言っておられるのであります。これが私があなたの言われたことを抜き書きした要点であります。こういうことをあなたは言っておられるのでありますが、これは間違いないでしょう。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ただ一点だけ違うと思います。それは、向こうが言ったということは、私は言わぬと思います。私はそう感じたと言っているので、今言っておることと少しも違わないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 向こうが言わないのをどうして感じたのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 そういう敏感さがないと外交は勤まらぬと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 どうも外務省の判断はあぶないですからね。そうすると、これによって判断をすると、あなたは大体、沖縄施政権の返還の問題はアメリカ側の好意に期待する、あるいは恩恵に期待する、恩恵待ちというか、好意待ちという以外にはやりようがない、こういうふうにお考えになっていると思われるのですが、その通りですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は、この問題はやはり話し合って実態をそういうふうな方向に持っていくことが一番いいのだと思います。力ずくで奪うという形では私は解決しないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そこで、池田総理にお尋ねしたいと思いますが、相対ずくで話し合いをするということで、話し合いで解決すればそれに越したことはないのでありまして、沖縄九十万の人々の考え方もあるし、日本国民の熱望も、沖縄を返してもらい、施政権を返してもらいたいというところにあるのでありますから、そういう背景の上に立って、アメリカにこれはしっくりと交渉し、アメリカの同意を得るようにするということが外交交渉の要諦であろうと思いますが、この点について努力をなさるおつもりでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 従来の政府が努力して参りましたことはお話しの通りであります。そして私の考え方も申し上げた通りでございます。日本国民である沖縄島民に対してわれわれ施政権を持ちたいという熱望に変わりはございません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私の聞いているのは、歴代政府が努力をしたように私も努力をいたしますという抽象的なものではないのです。今度行かれるということが目の前に迫っておる。今度の交渉でこれを持ち出して何らかの成果を得るように努力をなさるか、こういうことを聞いているのでありまして、この点に対してただ抽象的なことでお答えにならずに、今度の場合に具体的な事例として一つお話し願いたい。自分はこうやってくるつもりだ、そのことをお話し願いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げた通りに、この問題を出そうと思っております、こう申し上げたのであります。しかしその結果をどうこうということは今申し上げかねます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 持ち出してこの問題については相当に交渉をするつもりである、こういうふうに承りました。この点は私はぜひ日本国民の意思でもありまするから交渉をしていただきたいと思うのであります。先般沖縄の代表者がいろいろな要求を持って見えましたが、あの要求に対しては、池田総理、あるいは小坂外相でもけっこうですが、どういうふうにお考えになりますか。あの要求には施政権の返還の問題、あるいはその施政権返還ができないまでにおいては、国会の中に沖縄代表者をオブザーバーとしてでも置いてほしいとか、そういういろいろな要求があったと思うのですが、この要求に対してどういうふうにお考えになりますか。それらの要求を体してそのどれかでも実現するように今度の交渉をなさるつもりでありますか、これを承りたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私も代表の方三名とよくお目にかかりまして、その気持も伺い、非常に気持のよい話し合いをいたしておるのであります。私もできるだけ誠意を持ってそのお考え方を検討いたしまして、実現できるものはできるだけ実現するように努力していきたい、かように考えております。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 できるものはできるようにということでなくて、具体的に一つ承りますが、ここに書いてありまするのは、施政権返還を首相訪米の際の議題に取り上げること、これはよろしいですね、一つずつ確認して参りましょう。  それから琉球住民の代表を国会に参加させること、この交渉はどうです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 この前、この委員会かどうか、琉球代表を国会に入れるかどうかという問題は、外交上の問題のみならず、国内法上におきましてもいろいろ問題があるのでございます。私はこれを話題にするかしないかまだ結論を出しておりません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 その次には、日本からの教育指導委員の派遣継続ということがありまするが、これはどうでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 これはさきに教育者を派遣したと記憶しております。今後におきましても、その事績にかんがみまして、私はできるだけ希望に沿いたいという気持でございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 第四番目にミサイル・メースの持ち込み反対ということを要求しておりますが、これはどうですか。これは私は日本としても当然考えるべきことだと思うのですが。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 核兵器の沖縄への持ち込みにつきまして、これをやめろということを私はアメリカに言う気持はございません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 この核兵器の沖縄持ち込みの問題につきましては、これはいろいろ問題があろうかと思いますが、とにかく沖縄の住民の代表がこのミサイル・メースの持ち込みを反対してほしいという要求を持ってきております。この沖縄住民の意思を向こうに伝えることは私は当然なすべきことであると思いますが、いかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 沖縄住民の考え方がああだ、こうだということは、私は言うにやぶさかではございません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そうしますと、沖縄住民の代表が今度の会談に取り上げてほしいと言って参りました四つの項目については、これは伝達をし、その中のあるものについては実現するように努力をするんだ、こういうふうに了解してよろしいでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 教育問題、教師を送る問題については、従来やっているところでございます。今の核兵器の問題につきましては、ここでお約束することはできません。住民の意思は伝えまするが、私の方からどうこうと言うわけにはただいまのところ参りません。その他のお尋ねの問題につきましてはお答えした通りです。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 沖縄に核兵器を持ち込むについてはとやかく言われないというその理由、根拠は、これは沖縄における施政権を日本が持っておらないからだ、こういうことにあるわけですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 大体そうでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 安保条約適用範囲の問題等々の問題にもからんでくるのでありますが、しかしこれは私は今ここでこれ以上追及しようとは思いません。  以上われわれの希望をいれまして、今度の日米会談と申しましょうか、池田総理がアメリカに行かれてアメリカと交渉をされる上において、われわれとしてはこういう問題を取り上げてほしい、こういう点の希望をも入れまして御意見を承ったのでありますが、以上の点を通観してみまして、今度の会談において取り上げるべき重要なる問題は日韓の問題、ところが日韓の問題は韓国においてこういう事態が起こったということで、必ずしも今日が適当な時期であるかどうかわからない。あるいは日中の問題、日中の問題は現在アメリカが非常に硬化をしておるというような事態において、はたしてアメリカ側がすなおに日本の立場、日本の主義というものを聞くだろうかということについては 非常な懸念がされるわけであります。さらに日本国民の願望である沖繩、小笠原の施政権の返還の問題は、これはわれわれとして当然今度の会談において取り上げてほしい問題でありまするが、これまた極東の情勢の変化の中において、われわれとしては非常にアメリカの態度が硬化しておる際であるから、色よい返事といいますか、そういうことは期待できないような感じがいたすのであります。それにもかかわらず、今日アメリカと日本との間において会談をするということになりますると、その結果は、日本の希望するようなものはあまりいれられないで 日本の希望しないような結果が出てくるのではないかということが非常に懸念されるのでありますが、この点そうじゃないんだというような自信がおありであるならば、私は池田総理からその点をお聞かせ願いたいと思う。どうもそういう日本側が希望するような問題は、一つずつ取り上げてみても、アメリカ側からいい返事をもらうことは期待できないのではないか、こういうふうに思われるのでありますが、どうでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は、アメリカ側からいい返事をもらうために行くのじゃございません。日本の利益のため、世界の平和のため話し合う、こういうことでございますので、結果がどうであろうとも、日本の主張を向こうへ申し伝え、向こうの考え方を聞き、そうしてともに世界の人類の平和と幸福をはかろうというのが念願でございますから、この問題は聞いてくれるか、聞いてくれぬだろうかという問題じゃないと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 非常に抽象的ですが、私たちが、今申し上げました日中の問題を解決する、あるいはアメリカの中国に対する考え方の転換を求めなければならぬのだ、あるいは沖繩、小笠原の施政権返還の問題をこの際解決してもらいたいのだ、こういう話し合いをしてほしいというのは、決して世界の平和に反対することでもなければ、あるいは国民の幸福に背馳することでも、人類の目的に反することでも何でもない。今、池田総理がお考えになっておる世界の平和に寄与するとか、人類の目的にどうという、その高遠なる問題というのは、それでは何ですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 われわれが自由と平和を守って、ともに助け合う、こういうことでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 自由と平和を守って、ともに助け合うというのは、どういうことをなさるのですか。具体的に申しますと、どういうことになるのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 われわれは共産主義に対抗し、ほんとうに自由な、そうして経済の成長で民生の安定をはかる、こういうことでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 問題は、自由とかなんとか抽象的なことを言われるが、経済の成長だとか、国民の繁栄だとかいうようなことのために何でアメリカへ行かなければならないか、話し合いをしなければならないのですか。私は、政治家が往来するのは、あるいは親善のためというならばそれでもよろしい。しかし、何らかの政治的な目的があって行くならば、われわれとしてはこういう懸案を解決するのだ、こういう問題を処理するのだということで、その処理の方法、処理する題目、それが即自由と平和というものに貢献するかしないかということをお互いに判断すべき問題である。それをただ自由と平和のためだというような抽象的なことですべてが解決する、私はそういうものじゃないと思うのです。いかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 具体的の問題はなくても、新政権とわれわれとが話し合いをすることは非常に有効なことと私は考えておるのでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 そうすれば、ただ儀礼的に行かれるという意味ですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 単なる儀礼じゃございません。いろいろ日米共通の問題、世界の経済発展の問題等々ございますので、そういう問題についてお互いに意見を交換するということでございます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私たちは、少なくともそういう総理の言われるような目的を達成するためには、最小限こういう具体的な懸案を解決するための話し合いをすべきだというふうに言っておる。その話し合いをするために今の時期は非常に適当ではないように思われるが、総理の判断はどうであるか、こういうことを言っておるのでありますが、それをただ自由と平和のために話し合うのはむだじゃないというようなことでは、お答えにならないと思うのです。今の時期というものは、われわれの要望するような事態を生み出すためには非常に適当でないように考えられるけれども、この点はどうだろうということです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 話し合いの時期について適当、不適当ということをおっしゃいますが、私はいかなる時期におきましても、新しく発足した新政権と話し合うということは必要で有効だと考えておるのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は非常に卑近な例を引いて恐縮でありますが、夫婦げんかをしたところに行くよりも、そうでないときに行った方がよいし、いろいろな場合もあるでありましょう。非常に相手が頭に血が上っておるときに行くことがはたして適当であるかどうかということもあると思うのであります。そういう点を私は言っておるのであります。われわれが懸念することがないということを、あなたがここではっきり言われれば、私はそれでけっこうですけれども、そうでないならば、われわれの言うことも十分お聞きになることが必要だろうと思うのですが、どうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 先ほどお答えした通りでございます。これは意見が違うのかもわかりません。私は向こうから来てはどうか、それでは参りましょうというわけで、国際情勢がいろいろ変わっておるが、変わったから行くのをやめるとか、もっと違ったときに行くとか、こういうことはいかがなものであろうかと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 私は行くのがいけないとかいいとかいうことはちっとも言っておるのではないのです。今行ったならば、そういう私たちの判断するところによれば——これは日本の外務省の判断よりはわれわれの方が正しいと思うのですが、世界の情勢から判断をしてみて非常に険悪な情勢であるし、キューバの問題あり、ラオスの問題あり、あるいは朝鮮の問題ありというときで、アメリカは冷静なる批判のできないような状況にあるのじゃないか、こういうふうに思われるので、その際に行かれるというならば、それ相当の覚悟を持って行かなければならないと思うのだが、それははなはだあれだけれども、その問題々々について私たちがお尋ねをしたところによって、それが十分にそういう腹がまえができておるとわれわれには判断できないがどうだろうか、こういうことをお尋ねしておるのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 御心配はありがとうございますが、私は一応問題につきまして十分の結論を出して、話をするつもりでおります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 御心配は御無用と言うならば、それでは一つその池田総理の腹の中で出ておる結論を発表していただきたい。聞かせてもらいたい。それを聞いた上で、われわれは御心配がないかあるかを一つ判断いたしましょう。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は、問題につきまして今検討中で、結論は申し上げかねます。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 結論は申し上げられないし、御心配は御無用である、それでは独裁政治ではないですか。何のために国会政治をやるのですか。独裁政治じゃないですか。あなた自身だけの考えておることが絶対に正しくて、ほかの者の言うことは問題にならないのだ、こういうことであるように聞こえるのでありますが、そうなんですか。それだったら独裁政治じゃありませんか。それでは韓国の政治だ、張勉政権だ。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は独裁政治でも何でもございません。国民の信任を受け、国会の指名によりまして首班を受けておるのでございます。しこうして問題の中共問題につきましては、はっきり所信を言っております。中立主義はとらないのだ、しかし中共の承認とか国連加盟の問題については、ただいま検討中でございます、こう言っておるのであります。行く前に結論が出るか出ないか、これは将来の問題であります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 結論を持たないで中共問題、中国問題あるいは施政権返還の問題等について話をされるならば、今の時期というものは、国際情勢から見て、わわれれの判断するところによれば、非常に適当でない時期に行かれるのだから、よほどの覚悟を持って行かれなければならないはずだと思う。その覚悟のほどを聞きたいのだ、こう言うのでありまして、これは私は当然のことだと思う。与党の諸君は、その結果について責任を負いますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は内閣総理大臣としての資格で、責任を持って参ります。そうして適当な時期かどうかということと覚悟の問題とは違います。適当であろうが不適当であろうが、国民の代表としていく以上は、あらゆる場合にもしっかりした覚悟で行かなければならぬことは当然であります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 それじゃ最後にお尋ねしますが、池田総理は出発に際しまして、少なくとも国会において自分はこういう考え方を持っていくということを表明になりますか。今のお話であると、ならないようなお気持だと思うのですが、なりませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 外交問題を自分はこういう考えだといってこっちで発表して、そして向こうと話をするということがいい場合もありましょうし、またよくない場合もございます。私は先ほど申し上げましたように、総理としての責任におきまして、こういう問題につきましては、その時に及んで善処いたしたいと思います。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 それでは出発される際に、国会は開かれておりますが、国会に対しては何らの意思表明をなさらないつもりである、こういうふうに了解してよろしいですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 五月の二十四日までの国会で私はそういう決意と申しますか、交渉のアイテム、そしてそれに対する態度を五月の二十四日までに出す考えはございません。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 五月二十四日までと何も切る必要はないじゃありませんか。五月二十四日、会期が延長になったら問題はまた別である、そんな子供だましみたいな論理を弄するのは、一国の総理大臣らしくないですよ。そういう五月二十四日まではどうという、まるで子供だましじゃありませんか。どうですか、与党の諸君、聞いて子供だましの議論じゃないですか。われわれはもっと大きな政治をお互いにやろうということを言っておるのです。いやしくも総理大臣であるならば、何もアイテムを一々この国会に承認を得よとか、そういうことを言っているのではない。少なくとも出て行かれる前には、国会に対して自分は今度はアメリカに行くがというような所信の表明があるかないか。なさらいなつもりならば、なさらないつもりだとおっしゃっていいじゃありませんか。五月二十四日まではどうとか、そんなつまらぬことをおっしゃらないで、やらないつもりなら、おれはおれの信念でやるのだから、やらないのだ、こうおっしゃればいいじゃありませんか。しかし自分としてはできるだけ国会に対してもみんなの意見を聞き、あるいは国会にも態度を表明しながら行きたい、場合によれば野党にも話し合いをしたいのだ——あなたはこの間テレビ放送で言っておったじゃないですか。野党の代表者とも会いたいのだ、党首会談もやりたいのだ、こう言っておられた。何のために党首会談をやりたいのですか。やらないのですか。党首会談をなさらないのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 国会中と言われるから、私は申し上げたのでございます。会期延長になれば、またそのときに考えなければなりません。しかし私は先ほど申し上げましたごとく、国会で、こういう問題をアメリカへ出して、そしてこういう結論でやっていくのだというようなことは、場合々々によってよほど考えなければならぬことだ。私は今のところそういうふうな結論を出しておりません。  それからテレビのときにあれしたのは、行く前におきまして、いろいろな問題につきまして、野党の党首の御意見を聞きたいという気持は持っておるのであります。その機会が得られるかどうか、できるだけそういうことで努力してみたい、こう考えておるのであります。

河野密日本社会党

○河野(密)委員 どうも私もあれですけれども、総理の五月二十四日までの今会期中と言うから、五月二十四日まではやらない、五月二十四日が過ぎればわからぬ、これは全く愚にもつかぬ答弁じゃないかと思うのです。そういう答弁は、これから、一国の総理だから一つやめてほしいと思うのです。今お話のように、国会に表明するかもしれないし、あるいは表明しないかもしれない、野党の党首等の意見も聞きたい、私はその態度でなければいかぬと思うのであります。総理自身が、おれだけがオールマイティである——日本の憲法によれば総理の地位というものは広大無辺であります。オールマイティです、ほんとうに何をやろうとも。そのかわりにアメリカが日本を支配しようとする場合に、ほかのものはみんなほおっておいても、総理大臣だけを支配すれば日本を支配することができる。それほどの重大な地位にあるから、私はそれは重大なことですよということを言っておるのであります。そういう点はあなたも十分お考えになって、マコノギーの言い分ではないけれども、政治というものはきれいであって、同時に忍耐を要する、代議政治というものは忍耐深く賢明にやらなければならぬ、これが私は代議政治の要諦だと思うのであります。そういう意味におきまして、ぜひともこの国会の中において、皆さんの意見も聞かしてもらって、皆さんの御意思に従って私も行動して参りたいというくらいの話はあってしかるべきであるし、野党の党首に対してもその意見を聞きたいというのが私は当然なすべき筋合いのことではないかと思う。われわれは、あなた方はどうお聞きになるか知らないけれども、懸命にそういう問題について、国家の前途というものをほんとうに真剣に心配するからわれわれは申し上げておるのであります。私は先ほども申し上げましたように、アメリカの外交政策というものはほんとうにまずいと思うのであります。なってないと思うのであります。外交政策であれだけの金を使って、あれだけの軍事力を傾注して、至るところにおいて反アメリカの勢力だけを作る役割をしておるじゃありませんか。私の経験を一つ申し上げて御参考にしたいと思うのですが、私はエジプトのナセル大統領と会ってきたときに、アメリカ大使館で私の意見が聞きたいというから私は説明に参りました。そのとき私は第一に、アスワン・ハイ・ダムの援助を打ち切ったなんてばかなことじゃないか、アメリカはなぜアスワン・ハイ・ダムの援助を打ち切ったのだ、あれをしたらいいじゃないか、こういうことを私は進言してやりました。そうしたら、アメリカはその後、私の進言でなったかどうかは存じませんけれども、アスワン・ハイ・ダムに対する援助というものをそれから復活いたしました。そういうふうな事例もあるのであります。そういうふうにアメリカの外交より私たちしろうとの見る見方というものの方が正しい場合があるのです。なぜかといえば、失礼な言い分だけれども、あなた方は要人ばかりを見ておられる。われわれは国民の下層と申しますか、国民大衆の気持というものをものの判断の材料にする。そこに情勢の判断に対する違いがあるわけであります。私は、そういう意味において、池田総理ももう少し謙虚な気持でもって、われわれの言うことを聞いていただきたいと、こう要望いたす次第であります。  大へん無礼があったかもしれぬが、無礼の段は池田さんと私の長い間のあれでありますから、これはお許しを願うことにいたしまして、これは一つ真剣に、ほんとうに国家の百年の大計に関する問題だから、お互いにもう少し真剣に、私はこういう日米交渉、日米会談というものは取り扱っていきたい、こういうことであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)

船田中自由民主党

○船田委員長 午後一二時十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十九分休憩      ————◇—————    午後三時四十二分開議

船田中自由民主党

○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。横路節雄君。

横路節雄日本社会党

○横路委員 去る三月四日の予算委員会で、昭和二十四年三月以前のアメリカから日本に対する援助物資の総額につきまして、一般の輸入物資と援助物資との仕分けをして出してもらいたい、こういう私の質問に対しまして、椎名通産大臣から「目下その作業に従事している状況でございます。事外交上の非常に重要な資料にもなりますので、その点は、すべての取り扱いについては慎重を期して参りたいと思います。いろいろ御要求もございましたので、そういう点を十分に考慮しつつ、なるべく早急に取りまとめまして今国会に提出するよう努力してみたいと考えます。」こういう答弁があったわけです。  そこで、一つ通産大臣に私は最初にお尋ねしたい点があるのです。三月八日に、この予算委員会に通商産業省から資料を出した。この資料は私が出していただいたのですが、委員会における私たちの審議を非常に無視していると思うのです。三月四日は相当時間をかけて、通産省で二月十一日に出してきた資料は、アメリカの経済科学局から出した資料で、それはだめなんだ、だから通産省で仕分けをしたものを出しなさい、そこであなたの方では出します、こういって、三月八日に委員部を通じて出してきたものは、依然として同じものを出してきた。一体こういうやり方というのがありますか。今まで予算委員会でいろいろ資料要求をして、委員会で答弁されて、それを出すのに通産省のようなこういう出し方というのはいまだないですよ。こういうやり方は一体どういうのです。  委員長に申し上げますが、三月八日に予算委員会に提出資料として私の要求に応じたかのような態度で出してきたこのガリオア、エロアについての資料は、二月十一日に出してきたものと同じなんです。こういうものを出しておいて、いかにもこれで通産省が仕分けをして出したかのような、そういうことをされるのは、私はしごく怠慢だと思う。これは委員長、ごらんになっていると思う。通産大臣、この点はどうなんですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 三月四日に、衆議院の予算委員会においてあなたに今言われたようなことを申し上げた、その後に出した、こういうのですか。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは通産大臣はこれを御存じないのですね。だれが出したのですか、だれが出したのです。衆議院予算委員会提出資料、昭和三十六年三月八日通商産業省、一、米国の対日援助額について。この資料は一体だれが出したのです。今の通産大臣の御答弁ですと、自分はそういう資料は承知していないという。承知していないものを何で出すのですか。しかもこれは新聞にでかでかと発表されて、新聞の扱いはいかにも三月八日に、私の要求に応じて、通産省は出したかのような印象をみんな受けた。これは一体だれが出したのです。通産大臣は全然御存じないと言う。だれが出したのですか、だれか責任者一つ答弁して下さい。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 前に、二月何日かにお渡しいたしましたのは、正式にお渡ししたのではなかったのでありますが、三月八日に委員会の御要求によりまして正式に出したものが今御指摘のものでございます。そのときにはまだ集計の整理が終わっておりませんので、その当時集計整理の終わらない、従いまして一部司令部の統計数字によるものをそのまま出したようなことになっております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 二月十一日に出したのは正式な資料ではないのですか。私はここに持っているのですよ。衆議院の予算委員会提出資料、昭和三十六年二月十一日、部厚いものが出ているじゃないですか。何がこれが委員会の正式の提出資料ではないのですか。同じものを出しているんじゃないですか、一体どういうのです。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 二月十一日の日付の入っておりますのは、横路先生の御要求によりましてお渡しをいたしましたけれども、これは所定の部数を出しておらなかったものであります。三月八日に出しましたものが、委員会の所定の部数を提出いたした内容のものでございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 三月四日に委員会で資料提出の要求をして、三月八日にあなたの方で出した資料は、これは今お話のように二月十一日、私に出した資料と同じものなんです。それをもっと簡略にしたものなんです。私に出したのは、各一つ一つの物資についてその単価、数量、総体の金額、年次別に出ているのです。三月の八日にあなたの方で出したのはただ全体のトータルを出しただけなのだ。こういう点は非常に遺憾です。今まで通産省はあるいは予算委員会であまり資料の要求その他がなかったので、私はそういう点はもっと慎重にやってもらいたいと思う。  次は通産大臣にお尋ねしますが、私が三月四日に相当時間をかけましてあなたにいろいろとお尋ねをして、あなたの方で先ほど私が読みましたように、二十四年三月以前のものについては一般の輸入物資と援助物資との仕分けをして出します、これはできたのですね。これは通産大臣できたわけですね。この点はぜひあなたに——先般予算委員会の理事会でも与党の理事の諸君も、委員長も了承しておられるし、きのう私たちの党の川俣理事から、予算委員会において資料提出要求についても委員長の方からあなたの方に話があって、そこでまずあなたにお尋ねしたいのですが、仕分けはついたのですね。金額は幾らになっておりますか。あわせて文書で出してもらいたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 重複いたしますが、私はこの前お約束した文句をもう一度読み上げます。「事外交上の非常に重要な資料にもなりますので、その点は、すべての取り扱いについては慎重を期して参りたいと思います。いろいろ御要求もございましたので、」以上私が申し上げたような「そういう点を十分に考慮しつつ、」、というのは、外交上の重要な資料でありますので、すべての取り扱いには慎重を期さなければならぬ。そういうことを考慮しつつ、なるべく早急に提出するように努力したい、こう申し上げた。そこでただいまあらためて御要求がございましたが、一応日本側において持っております資料につきましてあらゆる角度から厳密な検討を加えまして、一応整理はその限りにおいては終了いたしました。しかしただいま申し上げるように、すでに日米の外交交渉の重要な資料になっており、外交交渉も始まっておるというこの段階におきましては、しばらくの間一つ提出の儀につきましてはお待ちを願いたい、かように考えます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、今あなた三月四日のあなたの答弁を読み直しておりますが、「なるべく早急に取りまとめまして今国会に提出するよう努力してみたいと考えます。」あなたの方でこの国会中にいろいろと資料を整備検討してみたが、まとめることができなかった、だからせっかく今国会に出すようにと思って努力をしたができませんでしたので、一つどうもやむを得ません。こういうのなら別です。ところがあなたの方はできたというじゃないですか。今のお話でできたというじゃありませんか。できたというならば、こういうふうに早急に取りまとめまして今国会に提出するよう努力するというのだから、できた以上はこの国会に明らかにしてもらいたい。この答弁はそうですよ。なお、いつできたのですか。ぜひ一つここで、あなたの答弁は今国会に提出するように努力する。できなければ仕方がないが、今答弁のようにできたわけですから、ぜひここで明らかにしてもらいたい。いつできましたか。それから第二点は、ぜひ出してもらいたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 ついこの間できました。  それで「いろいろ御要求もございましたので、」というその次に「そういう点を十分に考慮しつつ、」というのは、私の真意は事外交上重要な資料であるので取り扱いについては慎重を期したいと思う、そういうことを考慮しつつ、「なるべく早急に」こう申し上げたのであります。ただいまこの返済問題について日米両国の間に交渉がその緒についたばかりの現段階におきましては、国会の提出はしばらくお待ちを願いたい、こう申し上げたのであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それじゃ通産大臣にお尋ねしますが、それは絶対出さないのですか。いつかと言ってもう国会も間もございませんが、いつお出しになるのですか。どういう状態のときに出すのですか、通産大臣。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 外交折衝の上に差しつかえない段階に達しましたならば、お出ししたいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 総理大臣にお尋ねしたいのです。総理大臣、今お聞きのように、私はこれは仕分けは困難だと思うのです。あとでいろいろ通産大臣にお伺いしますが、しかし今通産大臣のお話では仕分けはした。仕分けはしたということは二十四年三月以前のものについての金額は明らかになった、こういうわけです。私は、今通産大臣から総理大臣お聞きのように外交交渉に入ったんだから総体の金額は言わない方がいいのだ、こういうことを言うが、そうではないと思う。外交交渉に入ったのだからこそ、ここで数字を明らかにして、政府としてはこういうように援助物資についてはわれわれは受けたと思う、これこれによってこうなっていると明らかにされて、その点を国会を通じてわれわれとの間に——われわれというのは国民を代表して、国民が不審に思っている点をこの国会を通じて明らかにして、そのことが私は池田内閣としても今おやりになっている外交交渉というものはやはり国民の世論を背景にした外交交渉になると思うのです。それを今外交交渉に移っているから数字については絶対に言えない、こういうやり方は秘密外交そのものですよ。なぜ国民の世論、国会を通じてこの点を十分論議をして、あなたたちの主張があればその点は主張を繰り返せばいい。そうすることが私は国民の世論を背景にした外交交渉であると思う。今の通産大臣のお考えというのは、そういう意味では池田内閣というものはやはり秘密外交なんだ、こういう印象を国民全般にどうしても与えると思う。総理大臣どうですか、私はここでその金額を明らかにして、やはりわれわれとの間に十分論議をしていくことが大事だと思うのですが、いかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 通産大臣が答えましたごとく一応こちらの手にある資料につきましては検討を加えて、それをもとにして交渉を始めておるのでございます。御承知の通りに向こうは向こうの数字がございましょう。こちらは一応向こうが置いていった資料を集計したのであります。こういう数字の問題のときに、これは秘密外交とか、公開外交とかいうものでは私はないと思います。それで数字の検討をし、また数字によりましていろいろ話を進めておるときでございますから、私は交渉上今ここで発表するということは国のために相ならぬのではないかと思っています。もちろん交渉に支障のない場合におきましては発表にやぶさかではございませんし、またこの問題を御審議願うときにおきましては、十分な資料をごらんに入れて御審議願うことになると思うのでございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 外務大臣にお尋ねをしますが、たしかあなたの新聞における談話だと思うのですが、池田総理が渡米する前に、お話しによりますと、六月十九日にワシントンでケネディ大統領にお会いするそうだが、その前にこのガリオア、エロアについての返済は調印を済ませたい、たしかそういうふうにあなたがおっしゃっているのを私は新聞で拝見をしたわけです。この点はやはりそういうような外交交渉の進め方ですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 御承知のようにだいぶ長い懸案でもございますし、解決すべき時期だと政府として判断いたしておるわけでございます。従って総理大臣が行かれた際に、やや事務的な問題もございますから、そういう点を詰めてみる、さらに政治的な観点からも交渉が終了することができればそうしたい、かように考えております。しかし何分にも相手方のあることでございますから、私どもはさような気持でできるだけ早くこの交渉を完了したい、かように思っておりますけれども、先のことは今から断定することは困難だと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の外務大臣のお答えは、池田総理が渡米される前にできれば調印を済ませたい、総体の返済の金額についてはしっかり煮詰めておきたい、こういうお考えですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 できればさようにいたしたいと考えております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは通産大臣にお尋ねしますが、それでは一体、総体の金額というのはいつ発表なさるのですか。どういう状態で、いつ発表するのですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 外交交渉上支障がないというときに……

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の通産大臣の御答弁は、調印を済ませたあとに数字を発表する、こういうわけですか。通産大臣、どうなんです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 関係閣僚と十分に話し合いまして、支障がないというときに発表したいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 外務大臣、実は与党ではそう言ってないかもしれませんが、国民全般はこう言っているのですよ。あなたの方で四億三千万ドルとかりに返済がきまれば逆算して十七億八千万ドルでございました、四億八千万ドルが返済ときまれば逆算をして十八億五千万ドルでした、五億ドルときまれば、逆算をして十九億二千万ドルでした、あなたの方はこれから外交交渉するためには、あとの方の返済の金額が一体幾らになるだろう、それによって先の方の総体の金額は幾らであったかというのを逆算して一つ発表しようというので、あなたの方ではできないのだ、こう言っているのですよ。そうでなければ、一体幾ら向こうから援助物資が来たのかということはこの国会を通じて明らかにすべきじゃありませんか。今の通産大臣の答弁を見ても、それはおそらく調印前はしないということでしょう。調印前はしないということですから、今私が言ったように、総体の金額については国民に知らせるのは、国会に知らせるのは返済の金額がきまってから逆算をしてやろう、数字は何ぼでもいじれるでしょうからね。そういうようにみんなは言っているのですよ。そうではなしに、あなたの方でいうならば初めから援助の総額はこれだときまっているのだ、そこでこれこれを差っ引いて、こういう方式でやるのだ、当然私は国会を通じて国民の前にそれを明らかにすべきだと思うのです。外務大臣、その点はどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 われわれの方は実はお話とは全く逆に考えております。さようなことは全く考えておりません。大体われわれの方といたしましてはこれくらいの援助を受けたものと考える、それからこういう控除項目はこれは至当であろうと考える、またこれはどういうふうに、たとえば西独方式なども一つの参考になると思いまするが、そういうことをすればこうなる、また、これこれのものは控除するものがその以後においても考えられるのではないか、従ってこれだけのものを返済妥当と認める、こういう筋道を立てて申しておるわけであります。しかし何事の外交交渉の場合にもそうでございますが、これこれの数字を提案をした、交渉の過程においてその数字を発表するということはないことでございますので、通産大臣も言われておりますように交渉が完了し、そして当然これは国会の御審議を願って、そしてその債務額を確定するということは、国会の御審議を経た後でなければできぬわけでございます。その過程におきまして十分説明をさしていただきたいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣にお尋ねしますが、二十四年三月前のものはあなたの方で仕分けをしてわかったということですが、アメリカ側から日本政府に対して、何年何月の品物についてはこれこれであるぞ、これだけの金額であるぞというようなことを何か向こうからお知らせがございましたか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 ないと心得ております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の通産大臣の答弁はどうなんです。二十四年三月までのアメリカから日本に対するガリオア、エロアの物資についての数量はわかっておるけれども、金額については何ら知らせがないと今答弁があったのですよ。金額については何ら知らせがないものを、一体何で仕分けをしてこれだけの金額であるとわかるのです。通産大臣、どうなんです。今あなた、そうおっしゃったじゃありませんか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 いや、全体の金額はこれこれであるという知らせがあったかというふうに私はとりましたので、それはない、こうお答えしたのです。

横路節雄日本社会党

○横路委員 全体の金額については幾らであったかという知らせばないわけでしょう。通産大臣にお尋ねしますが、貿易資金特別会計の中では、アメリカからどれだけの援助があったかということはわかりますか。通産大臣、この点はどうなんでしょう。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 この間差し上げた資料によってアメリカの総司令部の方でこれこれのなには二十四年の三月以前十一億なら十一億、それ以後の金額は幾ら幾ら、それはございました。それはございましたが、別に今度の調査について特にアメリカの方から申し入ればなかった、こういう意味であります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、そういうように私の質問をはぐらかして答弁しようとしたってだめですよ。今秋があなたに聞いておるのは、貿易資金特別会計でアメリカからどれだけの援助があったかということはわかりますかと聞いておるのですよ。——委員長、だめですよ、こんなことで時間を……。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 どうもあなたのおっしゃることがはっきりしない点がありますが、こちらの残置資料の中に金額のはっきりしない部分があるかというお尋ねならば、それはございます。はっきりしたものもございますが、はっきりしないものもある。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、私の質問をよく聞いて下さい。貿易資金特別会計でアメリカからの援助総額は幾らであったかということがわかりますかとお尋ねをしておるのですよ。通産大臣は貿易資金特別会計というのが何なのかおわかりにならないのですか。一体どうなんです。——何です、総理大臣の出る幕じゃないです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私の出る幕ではないとおっしゃいまするが、何分にも十数年前のことでございまして、そのときのことを全部が全部今の大臣が知っておるわけでもございますまい。従いまして、私は少しくらい知っているかもわからぬと思いまして、一応は通産大臣にお答え願うつもりでございましたが、内閣閣僚の一人として、お答え申し上げます。  御質問の、貿易資金特別会計にどれだけガリオア、エロアから入ったかという問題は、これは御承知の通り、向こうからガリオア、エロアを持って参りまして、そうして日本国内で売りまして、その金は貿易資金特別会計に入りまして、輸出、輸入の補給金にいたしております。貿易資金特別会計は、ガリオア、エロアの資金ばかりではございません。多分当初において数千万円を入れ、その後十億円を入れたと思います。それから二十五年か六年ごろに、総計四百億円余り入れておると思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、十何年も前のことですからと、こういうので総理大臣がわざわざ御答弁に立ったわけですが、私が聞いているのは、その二十四年三月以前というのは、貿易資金特別会計という袋なんです。貿易資金特別会計の中で、それだけで日本側としては操作したのだ。だから私があなたにお尋ねしているのは、その貿易資金特別会計の中で、アメリカから受けた援助物資は幾らであったかということは、おわかりになりますか、こう聞いたのですよ。ほかのことを聞いたのではない。わかりますか、わかりませんかと聞いている。どうなんですか、通産大臣。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 残置資料で検討しまして、一応その集計は整理はいたしましたが、ただいま申し上げるように、申し上げることはできません。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、うしろにおられる方は通商局長ですか。補佐の責めがちょっと私は足りぬと思う。——企業局長ですか。私がこのことを言っているのは、二十四年三月以前のものについて、日本側の統計というものは何でわかるかといえば、それは貿易資金特別会計の資料でなければわからないわけです。いいですか。そんなことは、私が言うよりも、通産省の方で調べているはずなんですよ。その貿易資金特別会計の中で、二十四年三月までアメリカから援助物資を受けた、それらについては、一体金額が幾らであるかということはわかりますか、わかりませんかと、こう聞いているのですよ。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 アメリカ側の資料では、たしか十一億いっている。こう言っておりますが、しかしこちらは、残置資料からいろいろ調査をいたしまして、二十四年の三月以前の援助金額というものを整理したのでありますが、その集計は一応できております。できておりますが、それは申し上げられません。何べんも申し上げております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 どうも通産大臣は、二十四年三月までの貿易資金特別会計というものの性格その他について、十分おわかりでないようなんですね。通産大臣、いいですか。私が今聞いているのは、二十四年三月までの日本の受け入れという袋は、貿易資金特別会計という袋しかないのだ。だから私は、その袋では一体向こうからきた援助物資が幾らであるかということは、わかるのですかわからないのですか、こう聞いているのですよ。あなたは、前の方の石油箱か何かにあったものを仕分けをしたとかしないとかいう話をしているが、そうではないのですよ。今度おわかりでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 それではもう少し詳しく申し上げます。二十四年三月以前の、貿易資金特別会計の中には、商業物資と援助物資と両方あります。それでその当時の貿易庁の係は、電話一本かければ、受け取った物資が商業物資であるか、あるいは援助物資であるか、それはわかったはずなんです。しかしながら今日からいうと、資料が非常に不十分であってはっきりとわからない。そこでそのうちで、あなたの言われる援助物資の総金額が、どれくらいであるかということを確認する作業を今までやったわけであります。やりました結果、われわれはそれは全部について確信のある数字をつかんだとは言わないが、少なくともこれだけは援助物資であるという額を把握したのであります。それは、いろいろな残置資料を検討した結果、そういう結論を得ております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 いや通産大臣、私の言うことを聞いて下さい。私はきょうは、二十四年三月までのものを、あなたの方で御苦労をして仕分けをしたと言うから、それでお尋ねをしている。しかし今あなたの御答弁では、必ずしも正確とは言えない、大体のものをつかんでいる、そういうお話ですね。今のは、正確とは言えない、しかし大体のものはつかんでいる、こういうことですね。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 はっきりと確認するまで検討をして、一応整理を完了いたしました。正確とか不正確という言葉はあいまいですから、よく私の申し上げることを聞いていただきたいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 そこで私が繰り返して聞いているのは、日本側で確かなものは何かといえば、それは貿易資金特別会計なんです。繰り返して言いますよ。それでは、その貿易資金特別会計の中では、アメリカからの援助物資のそれぞれの金額が幾らであるということについては、わかるのですかわからないのですかと、こう聞いている。今度おわかりでしょうね。今あなたが言っておるのは、アメリカがどこかに置いていった、石油箱にどんどん詰めていったその紙を、一枚ずつ拾ってやってみたという作業をあなたが話している。私はそのことはあとで聞きますよ。しかし今私の聞いているのは、貿易資金特別会計というのは、二十四年三月までの日本側の機関なんだから、袋なんだから、それが唯一の袋なんですから、その中で援助物資のそれぞれの額が幾らか、おわかりになるのですか、ならないのですかと聞いている。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 二十四年三月までの貿易資金特別会計そのものからは、援助総額はわかりません。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、初めからそう言えばいいのですよ。そこで今あなたの話では、二十四年三月までのものは仕分けをしたと言うが、二十一年の十二月から二十三年の六月までは——今あなたが言った資料ですよ。今度は貿易資金特別会計ではないのですよ。その資料は、第八軍の経済部が作成をして、日本の輸出入数量報告を経済科学局が集計して統計した、この数量報告には、価格は記載されていないのですよ。価格が記載されていないものが、何でわかるのです。いいですか。二十一年の十二月から二十三年の六月までは、第八軍の経済部が作成をした。そしてそれは日本の輸出入数量報告を経済科学局が集計して統計したが、右数量報告には価格は記載されておらないのです。価格が記載されておらないのに、何で一体、援助額が幾らであるということがわかるのです。それは全然ございませんよ。私はここにその写しを持ってきているですが、価格なんてきめてないです。全然価格のきめてないものを、何で一体総額が幾らであるということがわかるのです。ここにありますよ、私の資料が。今持ってきていますよ。金額なんてないですよ、そういうのは。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 お説のように、価格の記載されていないものがあります。それは日本側に有利なようにあらゆる資料から検討いたしまして推定数字を出したのであります。多く使われたのは向こうの決算書であります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、今の御答弁で、金額については記載されていないでしょう。金額について記載されていないものをあなたの方では推定したというのです。それは何で推定したのですか。それは今通産省が推定したのですか。もう一度申し上げますよ。二十一年の十二月から二十三年の六月までは第八軍の経済部が作成した。それは日本の輸出入数量報告しか記載されていない。ここにも一部その覚書の写しがあります。金額は記載されていないです。その金額が記載されていないものを、一体何できめたんです。今あなたのお話によると、われわれが推定したのだという。それは今推定したのですか、通産省が。いつ推定したのです、それは。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 実際の作業に従事した当局から答えます。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 御説明いたします。ただいま通産大臣から御説明がございましたことを補足いたしますが、二十四年三月以前に確かに資料はございます。御指摘のように、それは一時八軍あるいは司令部が作ったものだと思われます。これは大部分価格の記載がないということを申されたのは、これは大部分ということでございまして、その中には価格の記載があるもの、あるいは総司令部あるいは総司令部とワシントンの陸軍省との往復文書その他によりまして価格が明瞭に記載されているのもございます。残余の価格の記載のないものにつきましては、ただいま通産大臣から御説明ございましたように、米国陸軍省の決算資料に基づきまして、その単価で計算いたしました。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今お話ございましたが、大部分というお話ですが、大部分といっても、今私がここに申し上げましたように、二十一年の十二月から二十三年の六月までというと、それこそ大部分なんだ。二十一年の十二月から二十三年の六月まではアメリカの第八軍の経済部が作成をした。それは数量だけだ。価格は記載されていない。今、あなたの方では、その点については決算報告書その他でやったというが、そういう意味ではあなたの方はあくまでもそれはよその資料だ。あなた自身の方の資料ではない。  次に、通産大臣にお尋ねしますが、これは、輸入物資とそれから援助物資との仕分けは何でつくのですか。それが明らかになるように、この点については、援助物資についても商業輸入の取引も同じで一体品物を受けているじゃありませんか。この点はどうなんです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 根本的な性格から言いますと、ガリオア資金でアメリカで支払って、そして物だけをこっちへ送ってくるものが援助物資で、それから、こちらの方で総司令部に設置された機関、すなわち、今の輸入商みたいな機能でありますが、外貨を保有してそこで支払いをする、これが商業物資ということになっておりますから、その当時から言いますときわめて簡単にこれは援助物資、これは商業物資ということがわかったはずであります。しかし、その後の資料が不十分でございますので、これはいろいろな残置資料等を基礎にして、これが援助物資であるか商業物資であるかというその疑いの多い部分について深く検討を加えて、そして最近において作業を完了した、こういう状況であります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣にお尋ねしますが、当時の貿易庁では、このアメリカから二十四年三月までに受けた品物について、これは援助物資である、これはいわゆる商業輸入のものであるという点の仕分けは当時ついておったのですか。貿易庁としてはどうなんです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 事務当局から……。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 お答えいたします。ただいま残っております貿易庁の関係資料につきましては、お説の通り、貿易庁の資料のみにては援助なりや商業物資なりやは明確でないものが多うございます。しかし、貿易庁の資料につきましても、司令部からの引き取り指令書あるいは八軍からの放出指示書の文面を見ますと、これが援助物資であることがわかるものもございます。  また、援助物資と一口に申し上げますが、これは、ガリオア、エロアによる援助物資と、さらに、日本におりました各部隊が放出いたしますいわゆる軍払い下げ物資というものもございます。この軍払い下げ物資は、その都度各地区の終連に連絡がありまして払い下げいたしておりますが、これについては、受領の際に価格がおおむね明瞭になっております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 どうぞそこにいて下さい。それでは、軍の払い下げ物資の総額は幾らでしたか。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 お答えいたします。これは私がお答えすべきことではなくて——総額の重要な一部になっておりますので、私からはお答え申しかねます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 ちょっとおかけになっていて下さい。今あなたは、この軍の払い下げ物資については全部金額が明示されておった、こういうのであるから、私は今あなたに、それならば軍の払い下げ物資のトータルは一体幾らになっているか、金額は。前の援助物資、商業物資については、今あなたが言ったように、当時の貿易庁ではその仕分けがつかない、その金額はわからない。それを今あなたの方では、推定してやった。しかし、今あなたの御説明で、軍の払い下げ物資については金額が明示されている。それならば軍の払い下げ物資についてはトータルは幾らであったのですかと聞いている。なぜお答えできないのですか、そういうことが。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 お答えいたします。ただいま私がお答え申し上げましたことをちょっと誤解があったのではないかと思いますが、私は、軍払い下げ物資につきましては、当時価格がはっきりしているものが多かったということを申し上げている次第でございまして、全部ではございません。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは、今のお話では、軍の払い下げ物資についても全部に必ずしも金額が記載されていたわけではない、従って総額についてはわからない、こういう意味ですか。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 当時の貿易庁においてはそうだったと存じます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 そこで、あなたに、軍の払い下げ物資のトータルは一体幾らになったんですか、こう聞いておるのです。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 ただいまの御質問は、軍払い下げ物資の総額は幾らになったかという御質問だと存じますが、先ほど来通産大臣から御説明がございました通り、援助物資の総額というものは、軍払い下げ物資とガリオア、エロアの援助物資、この二つで成り立っておりまして、これは総額の重要な部分をなしておりますので、私から申し上げかねる数字でございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣どうですか。重要な構成の分子ではないでしょう。あなたの方で何ぼと踏まれますかこれから聞きますが、二十四年の三月までのものですね。あなたの方で私の方に出したアメリカの資料は十一億ドルともいう。それならば私はあなたにお尋ねしますが、そのときにアメリカの方では軍の払い下げ物資の金額は幾らと計算をされているのですか。

平岡広助通商産業技官(企業局賠償特需室長)

○平岡説明員 ただいまの御質問は、アメリカ側が二十九年以来の日米交渉に際しまして、幾らということを示しているかという御質問かと存じますが、これは私からお答えすべき筋の数字ではないと存じます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それでは通産大臣にお尋ねします。幾らになっておりますか。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 今回の場合に特に米国政府からそのようなものについての数字の示しはございませんが、前に軍司令部の統計では約六千六百万ドルが二十四年三月までの数字だと承知いたしております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 私が通産大臣にこのことをお尋ねしたのは、あなたの方で、軍の払い下げ物資については金額は明示してある、その他のものについては明示してないという答弁をするから、金額を明示したものの総体の額は一体どれだけかと聞いてみると、六千万ドルちょっとだという。金額を明示してない方は今まで出た方で約十億ドルだとか十一億ドルだとかいうわけです。だから全然金額を明示してないものの資料というものは、それだけ多くの推定を含んでいるということなんです。そのことを今私は申し上げている。今のお話で、当時の貿易庁としては、援助物資、それから一般の商業輸入の物資についての仕分けはできていない、それから軍の払い下げ物資以外については、なるほど数量は示されているけれども、金額は示されていない、従ってそれはあくまでも推計だ、こういうことになるわけです。  そこで、私は、通産大臣にその次にお尋ねをしたいのですが、アメリカ側が日本に対して持ってきた援助物資というのは、私たちの承知しているところでは、アメリカ国内の価格にいろいろな利益あるいは運賃、保険料その他をかけて日本に持ってきたのだけれども、そのときの日本に持ってきた運賃というのは、その直前の戦前に比べて大体五倍から十倍くらいの運賃をかけておる。しかも、日本に来た物資というのは、アメリカで非常に割高に買って、そうして日本に売られたわけだ。これはこの間私はこの委員会で指摘をしたわけです。ですから、アメリカから買った物資についてはアメリカの業者、しかもそれは余剰の農産物その他であることはこれまた明らかである。そのものについてそういう買い上げ方をアメリカ側が一方的にして、貿易資金特別会計とは全く縁もゆかりもないわけです。そうして日本の国内にはそれを売ったわけです。一体総額は、お答えしないと言うからあとでだんだん聞きますが、十億ドルないし十一億ドルというが、その金は結果的には見返り資金特別会計に受けるその前の貿易特別会計の中には一体幾ら受けたのですか。もう一度申し上げますよ。見返り資金特別会計の直前の、貿易資金特別会計ではないですよ、貿易特別会計の中には一体幾ら受けておったか。貿易特別会計の中には二十四年三月以前のものについてはあるのですか。私たちが承知しておるところでは、貿易特別会計には全然受けていない。これは一体どういうのです。全然受けていなければ、貿易特別会計に受けて、そうして援助資金の見返り特別会計に受け入れていくものが二十四年三月以前のものについては一つもないのだ。一つもないというものを、何であなたの方でこれから——すでに外務大臣がアメリカ大使に渡された金額が十七億ドルですか十八億ドルですか、あとでお尋ねしますが、極端に言えば全然一銭も受けていない。それは一体どうなったのですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 商業物資と援助物資と一緒に一括して貿易資金特別会計の方で受け入れたのでありますから、その点は今から言うとはっきりしない。

横路節雄日本社会党

○横路委員 いや、通産大臣、先ほどは貿易資金特別会計のことをお尋ねしたのですが、今私がお尋ねをしておるのは、その次の段階の貿易特別会計ですよ。一体貿易特別会計に貿易資金特別会計から受けたものがありますか、こう聞いておるのです。

西原直廉大蔵事務官(理財局長)

○西原政府委員 お答え申し上げます。貿易資金特別会計から貿易特別会計には二十四年度に八億三千七百万円引き継いでおります。ただいま申し上げましたのは資金だけでございます。これ以外に負債とかあるいはその他のものもございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、今大蔵省側から答弁があったように、貿易資金特別会計から貿易特別会計に受けたものは、金額としては八億幾らだという。一体この貿易資金特別会計の中で、あなたの方では十億ドルと言うか、十一億ドルと言うか、どう言うかは、大体そこらで煮詰まった数字を言うだろうと思うのですが、それにしては貿易資金特別会計から貿易特別会計に八億しか受けていないというのはどういう理由なのですか。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 お答えいたします。当時は御承知のように国内の価格は、大部分の物資がマル公価格で売買されております。それに対しまして海外から入れます物資につきましては、別途向こうの価格とドル相場で、その当時は複数レートであったと思いますが、そういうことで計算をされております。従いましてその間に出入りのものの国内価格と海外から持ってくる価格の間には差がございました。その差は今お話しの貿易資金特別会計で回転をしながら使ったというところにそういう差が出てきておるかと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、私はお尋ねしますが、二十四年三月までのものは外貨については総司令部の中の外貨勘定でやったわけです。日本政府は全く関知していない。日本政府はただ品物をもらってきて国内で売って、その代金が貿易資金特別会計に入ったのです。このドルと円とは全く無縁なのです。全く関係がない。全く関係がないのに、こちらのものを今調べて——総司令部の中のいわゆる外貨勘定についてはどうなっているか全然わからぬ。このドルと円とは無縁のものである。縁がない。それを今あなたの方でこのドルを出して、一体十億だとか十一億だとか、あるいは九億というのかもしれませんが、それだけ援助を受けたということは、日本のあらゆる政府の機関からは全然タッチもしていないし、わからないことではありませんか。タッチもしていないし、わからないことを何で今さらそれを十億ドルだとか十一億ドルだとか、やれ九億幾らになりました、こう言って、なぜ一体、総体の金額を二十四年四月以降のものにプラスするのです。全然縁がないじゃありませんか。縁とはゆかりがないという意味ですよ。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 そのゆかりのない円とドルとの関係で今度話をつけようというのでありますから、それで非常に苦労してただいま仕上げているのであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、今言ったようにドルと円とはゆかりがないのです。そのゆかりのないものを何で結ぶのです。この点は大蔵大臣、私は少なくとも政府側はこの問題については、二十四年三月以前のものについては御承知のようにドルと円とはゆかりがないのだから、しかも援助物資と一般の商業輸入の物資との関係も仕分けもつかない。しかもアメリカから買った物資については非常に割高になっている。ですから二十四年三月以前のものについては仕分けはつかないし、そういう意味でこれは今回の交渉からははずす——私は前に、大蔵大臣はそういうように何だか腹をきめていらしたというので、大蔵大臣について敬意を表していたのです。この点は大蔵大臣はどうですか。私は国民全般としてはそういう点についてはひとしく全体がそういう考え方を持っているのではないかと思うが、大蔵大臣としてのお考えはどうです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いずれにしましても援助物資を私どもは一応債務と心得て、この返済の交渉を始めております以上は、やはり援助総額が大体どれくらいであったかという総額の確認をすることは、交渉の端緒としてまず必要でございますので、そのために苦労して何年間かこの数字の確認に努めてきたということでございます。今おっしゃられる通り、以前のものはわかりませんし、貿易特別会計に引き継いだものはわずかですし、スキャップ勘定から今度は外貨を引き継いでおるのは約二億ドルくらいで、それ以前のものは総司令部が置いていった資料からこれを推定する以外には方法がないということでございますので、通産省は今までかかっていろいろの資料から、金額まで入れて大体日本はこれだけの援助を受けたということは確認できるという数字の算定に今まで苦労しておるということでございます。やはりどれくらいの援助を受けたかという、日本側で確認できる数字というものをここで確定しなければ、交渉に入るにあたってこれは工合が悪いと思いますので、やはりそこから入るべきものだと思っております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 これは大蔵大臣やはり大かたの数字ですね。今大蔵大臣からお話のように、きちっとした数字でないというと語弊がございますが、大かたの数字というか、大まかな数字というか、そういう点はまだはっきりしたものではないのでしょう。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 大まかの数字というのではなくて、私の聞いておりますところでは、これだけは確かであると通産省がはっきり確認できる数字というふうに理解しております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 その金額は大蔵大臣も御承知なんですか。何かこれは閣議で決定されたのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 閣議で決定したわけではございませんが、通産省からは聞いております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の金額については、きょうの質問の時間を通じてなおさらに確かめていきたいと思うわけです。私がこのことをお尋ねしているのは、小坂外務大臣がライシャワー・アメリカ大使に対して、去る十日の日に申し入れといいますか、交渉についてなされていなければ、私はあまり深く立ち入ってお尋ねをしようとは思わなかったのです。しかしどの新聞を見ましても、去る十日午後二時半に外務省にアメリカ大使をお招きして、そうしてあなたの方では解決の方式、返済の金額を明らかにしている。しかもそれに対しては、返済金の使途についてはわが国の希望を述べたという、その述べた内容についてもお話がある。それがゆえに私はあなたにお尋ねをしているのです。  なおこれについて直ちにはね返りがございまして、アメリカ国務省のスポークスマンのホワイト氏は、十一日の記者会見で、日本の対米債務返済について日本側の提案は驚くほど低いが、この問題について実際的交渉に入れるのは喜ばしい、こうなっている。そこで私はあなたに一つお尋ねをしたいのは、昭和二十九年に第一回の交渉をやりましたね、第一回の会談。このときの総体の金額と、今度お示しになっ金額とは、まず向こうから借りたという点については同じなのですか。違うのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 違います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 そうすると今の外務大臣の答弁で違うという。そこで二十九年のそのときの金額について、私たちもそれぞれの調査を依頼をしてここに出していただいた数字があるわけです。それをちょっと今あなたに読んで、この数字で大体間違いがないのかどうかをお尋ねをしたいと思います。二十九年のガリオア援助額は、アメリカ側の提出資料によると、ガリオアは十八億五百万ドル、プレ・ガリオアは一億二千九百万ドル、それから軍の物資といいますか、これが六千万ドル、合計十九億九千四百万ドル。余剰報奨物資が三千九百万ドルで総計二十億三千三百万ドルであったといわれている。二十九年のときは大体そうですが。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 二十九年のときは、そうした非常に具体的なことでなくて、大体そんなことじゃないかというような話し合いをしながら応酬をして、結局そのまま交渉を続けることになっていて今日まで延びておる、こういう状況でございますから、私どもはこの点は参考にならない、かように考えまして、新たなる観点に立って提案をいたしております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今私が読み上げた数字については、二十九年アメリカ側から一応は提示されたわけですね。この点はどうなんです。もう終わってしまったことですから……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今度は日本側として、この問題を解決しよう、こういう希望を述べて提案をいたしましたので、私どもは従来のいきさつというものにこだわらずに、従来のわれわれの検討いたしました資料に基づいて交渉に入る、しかもガリオア、プレ・ガリオアあるいは余剰報奨物資等といろいろな分け方をしないで、一本の形でこれを考える、こういうふうに交渉の妥結方法も考えたらどうか、かような気持でおります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 この十一日の記者会見で、アメリカ国務省スポークスマンのホワイト氏が、日本側の提案は驚くほど低い、こう言われたのですが、この点について私は二つお尋ねをしたい。  一つは、今の二十九年のときのアメリカ側提案は二十億三千三百万ドルである。従って今回去る十日の日にアメリカ側に示した金額はこれよりもおそらく低いのだろうと思う。この点が一つ。それから、これはあとで日本側の算定方式についてお尋ねをしますが、そのときの日本側の算定方式は、総額の二十億三千三百万ドルから行政費の八千六百万ドルを差し引いて、西ドイツが返済をしたときのあの利率三三・一七八%をかけて、それから二十一年、二十二年に一般会計から支出した沖繩、朝鮮向けの特別の資材代金を引いて、それからその次には朝鮮、沖繩の輸出代金をさらに引いて、この金額が五億五千万ドルであるといわれている。それが当時岡崎外務大臣から示された金額である。そこでホワイト氏が、これは驚くべき低い提案であるということは、一つにはアメリカ側が当時示した二十億三千三百万ドルよりもはるかに下回った数字であろうと思う。それからもう一つは、そのときのアメリカ側の算定方式は、総体の——いろいろここに計算方式がありますが、アメリカ側は六億四千三百万ドルであったが、しかし岡崎外務大臣は五億五千四百万ドルを提案したが、今回の十日の外務大臣の提案はこれよりも低い。だからそういうように言われているのではないかと思うが、この点いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 二十九年当時の交渉は、昨日も触れましたように、いろいろないきさつがございましたが、われわれの方としては西独方式というものを機械的に適用することなく、やはり日本の経済の実情その他環境等も十分勘案してこの問題を考えたいということでそのままになっておるわけでございますから、今回は一つ、先ほど申し上げたように、新たなる観点に立って、先ほど通産省から非常に御苦心の跡を披瀝されましたのでありまするが、非常に苦労してわれわれの作りました資料を根拠といたしまして、そしてわれわれの考え方を述べて提案をいたしております。驚くほど低いというのでありますから、これは先方が期待したよりも低いのであろうと思います。しかし先方については、十分日本側が進んで提案をしてきたという気持を了としている言葉もございます。私どもは私どもの考え方を強く先方と交渉して参りたい、かように思っておる次第でございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 外務大臣、去る十日の日にあなたの方でお示しになられた総体の金額は幾らなんですか。私は返済についての金額は、今ここであなたに幾らにするのかどうかは、私の方であとで一つ一つ聞いていきますから、ただあなたの方で示した援助総額であるというのは一体幾らなんです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 昨日もお答えいたしましたが、外交交渉の重要な部分でございますから、これは後ほどきまりましてから十分に御説明をさせていただきたいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、どうですか。三月四日私ども本委員会に対してここで答弁されて提出を約束された。今あなたから何べん聞いても、アメリカの第八軍の払い下げ物資約六千万ドルについてはある程度金額については明示されているが、その他の総体が約十億ドル以上のものになるのかもしれないが、これらについてはほとんど推定の金額である。それを今あなたの方では仕分けをして総体の金額を出すというのだから、当然一つここで示してもらいたい。その総体の金額だけぜひ出してもらいたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 たびたび先ほどから申し上げるように、ただいまの段階では数額を示すわけに参りません。

横路節雄日本社会党

○横路委員 通産大臣、ぜひ出してもらいたい。なぜ出せないのですか。もう一度言って下さい。なぜ出せないのですか。あなたは出すと約束しているじゃありませんか。たとえば四億三千万ドル返すとか、四億八千万ドル返すとかということについては、これはあとで私から外務大臣に一つずつお尋ねをしていきます。しかし総体の金額は幾らであったかということについては、通産大臣一つここで答弁して下さい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 私の前回申し上げた速記録をごらんになったと思いますが、事外交上重要な資料であって、すべての取り扱いについては慎重を期さなければならぬ、そういうことを考慮しつつなるべく努力いたします、こういうことを申し上げたのでありますから、ただいまの段階においては外交上の支障のある段階でありますから、それでお待ちを願いたい、こういうわけであります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 議事進行。ただいまの通産大臣の御答弁は、今まであなた方と交渉した立場からはきわめて意外な答えだと思うのであります。この前の三月四日の約束は、私はそこであなたといろいろお話ししました、資料が整わないからまだ出せませんということでした。その際、与野党の理事がいろいろ協議しました結果、その結論として、あなたがお答えになったことは、前の方に外交交渉の云々はありましたけれども、資料が整ったならば——資料の整うということはこの国会中に整うかどうかわからないかもしれないけれども、整ったならば提出しますという約束をはっきりしてあるはずです。それは先刻も横路委員から当時の速記録をお読みになったはずです。しかも先日来の当委員会における理事会の申し合わせ並びに委員長からの申し出、さらに本日は午前中大平官房長官を呼んでいろいろと交渉いたしました結果、誠意を持って総額くらいは場合によってはお示しをするように、こういう話が進んで参りましたけれども、結論としては、政府でもさらに研究をいたしまして御趣旨に沿うように打ち合わせをいたしますということで、午前中の理事会の打ち合わせは終わっておるのであります。だから、この前も速記録に書いてあるように、通産大臣は資料ができたならば当然提出するのがあたりまえじゃございませんか。私は委員長にお願いをいたしたいのであります。それは、午前中にも申し上げました国会法の第百四条によって、私どもは当然の任務として資料の提出を要求いたしたのでありますが、政府はこれに基づいてその資料を提出する義務があると私は思うのであります。私どもは外交交渉のことについてもわかります。しかし、すでにアメリカに対してその資料は出してある。出さない前ならばそれは私も考えますが、すでに出してある今日においては、総額ぐらいはお示しなさる方が政府の交渉の立場からいっても私はいいと思う。どうぞすみやかにこの機会に援助総額くらいはお示しを願いたい。資料を提出願いたいことを強く要求をいたします。

船田中自由民主党

○船田委員長 委員長といたしましては、政府に今お示しのことを再三通告をいたして、要求してございます。なお、この質疑応答を通じてその点を明らかにするということが本日の午前中の理事会の結論でございますから、どうぞ質疑応答においてその点を明らかにしていただきたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 重ねて発言をいたしますが、ただいま委員長からお話しのように、文書としては出しにくい——私どもはあくまでも文書として提出を願いたいのでありますけれども、文書としては出しにくい、しかし質問の中でぜひ必要だということになれば、全部御質問の趣旨に沿うかどうかはわからないけれども、できるだけ趣旨に沿うようにいたしますというお答えがあっておる。ただいま委員長がお話しの通りです。総額がお示しができないはずはございません。私どもは総額が幾らで、そして日本側の返済の金額は幾ら申し出ましたということまでは、聞こうとは考えておりません。それじゃ、委員長、横路委員の質問に対して、いいですか、総額程度のものはお示しなさるよう取り計らいができますか。もしその約束ができますならば質問を続行いたしましょう。それを取り計らってもらいたい。

船田中自由民主党

○船田委員長 政府の答弁によりまして明らかになっていると思いますから、政府の答弁をよくお聞きを願いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 先ほど来お答え申し上げております通り、この通産省において一応調査いたしました総額は、外交交渉上非常に重要な問題でございますので、いましばらく提示を御猶予願いたいと思うのでございます。御質問によりまして、できるだけのことはお答え申し上げたいと思いますが、総額をここで——文書でなくても、答えによっても同じでございます。もうしばらく御猶予願いたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 その総額というものは、すでにアメリカ側には渡っておるのですよ。出さない前ならば、外交交渉云々のこともございましょう。新聞にもずっと報道されておる。それがどうして国会に示されないのですか。私は多くは申し上げません。ただ今までのいきさつから見ましても、当然出すべきですよ。速記録にちゃんと書いてあるのです。なるべく早急に取りまとめまして今国会に提出するよう努力してみたいと存じますと書いてある。はっきりしておる。努力した結果が、資料がまとまったといっておる。資料ができて印刷されておるのですよ。資料ができたことは先刻もお話しになった。出せないはずはないですよ。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 速記録の写しをもう一度申し上げます。「事外交上の非常に重要な資料にもなりますので、その点は、すべての取り扱いについては慎重を期して参りたいと思います。いろいろ御要求もございましたので、そういう点を十分に考慮しつつ、」——いいですか、「考慮しつつ、なるべく早急に取りまとめまして今国会に提出するよう努力してみたいと考えます。」こういうことでございまして、外交交渉の段階においては、あるいは慎重を期したいということを、この文言の中に含めて申し上げたつもりでございます。さよう御了承願います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 当時、そこで与野党の理事が話し合ったのは、そういう意味じゃございませんよ。この国会中に——当時は会期延長のことはあまり考えておりませんでしたが、この二十四日までにはたして集計ができるかどうかという心配を、あなたはなさっておったんですよ、通産大臣。そういう心配があったから、なるべくという文字を使ったのですよ。これは愛知さんもよく御存じです。そのときに横から、隣にいらっしゃる外務大臣から外交交渉云々のことの話も出ました。だから外交交渉のことがあるから慎重を期するという文字がここに載っておる。その通りです。その資料を作ることについては、外交交渉のことがあるから慎重を要する。それは私ども理解をいたしておりますけれども、急いで資料を取りまとめてこの国会に提出するということは、これははっきり約束なさっておるはずですよ。これは外交交渉云々があるから、出すかどうかわからないという意味じゃございません。すみやかに出して下さい。

船田中自由民主党

○船田委員長 議事進行についての質問はこの程度にいたしまして、質問を続行して下さい。

横路節雄日本社会党

○横路委員 委員長、私は、これまでの質問というのは、午前中の理事会で、文書にしては提出はできない——いいですか、委員長、私は委員長に聞いているのですよ。文書にしては出せないけれども、私の質疑の中で総体の金額については明らかにしたいと思う、こう言うから、私は聞いてきたんですよ。そういうように言ったじゃありませんか。だから私はいろいろと聞いてみた。全然それを——これは外務大臣の意見が強いのかどうか知りませんけれども。先ほど言ったように、援助物資については、特に、二十一年の十二月から二十三年の六月までは、数量だけあって金額はないんだから、それを推定して書いたと言っている。第八軍の軍の払い下げ物資については金額はあると言った。それについてはたかが六千万ドルなんだ。だから私は全体の金額は幾らですかと聞いた。午前中の打ち合わせもあるし、官房長官のああいう答弁もあったから、私は今までできるだけ静かに聞いておった。一体総体の金額が幾らであるかということについては、全然お答えないじゃないですか。これではだめですよ。委員長。だから委員長、総体の金額について、委員長の方から政府の方に——しかも外交交渉に移して、金額を示したじゃないですか、これからやるというのではなくて。理事会の申し合わせと違いますよ、委員長。委員長に言っているのですよ。

船田中自由民主党

○船田委員長 委員長から、今朝の理事会のことを申し上げますが、今朝の理事会におきましては、総額を幾らという、総額を必ず示すということを官房長官が言われたのじゃないと、委員長としては了解いたしております。従いまして、それは委員会における委員と政府との質疑応答において疑義を明らかにしていただきたい、こういうことで了解を得ておるわけでありますから、従って質問を続行していただきたいと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今、委員長から午前中の理事会についてお話がございまして、この質疑の中で金額を明らかにしていきたい、こういうお話だったのです。この質疑の中で金額が何が明らかになりましたか。何にもならないじゃありませんか。これでは一番最初に、この補正予算に関する委員会が開かれる前に、私から理事会で、この資料提出で非常に時間を食っては、せっかくの委員会の審議もうまくないからぜひ出してもらいたいと言って、理事会は満場一致了承したじゃありませんか。きのうはまた川俣理事からこの点について、本委員会で動議も出されて、委員長も了承したではありませんか。私の方も返済の方式といいますか、利率何ぼで何年据え置きで、何十年で、そうして返済する金額は幾らだというようなことを聞いておるのではない。その点を明らかにされることは望ましいが、せめて総体の金額だけはぜひ明らかにしてもらわなければならぬ。またそういう意味で理事会も満場一致了承せられ、きのうの委員会もそういう運びにしたわけです。これは委員長、理事会の申し合わせと違いますよ。

船田中自由民主党

○船田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後五時十二分休憩      ————◇—————    午後五時五十八分開議

船田中自由民主党

○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  次会は明十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会

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