予算委員会 第20号
- 発言数
- 281 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/04
会議録
○船田委員長 これより会議を開きます。 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。赤城宗徳君。
○赤城委員 私は自民党を代表いたしまして、内閣に対して総括的な質問をいたしたいと思います。 まず第一に、政府の基本方針等についてただしておきたいと思うのであります。その方針の中に、日本は中立主義をとらない、こういうことについてはすでに再々声明もし、また一月三十日の本会議におきましても、池田総理は中立主義をとらない旨をはっきり答弁しております。さらに、昨年の十月三十日ですか、東京文京公会堂におきまして、池田総理は、自民党総裁として次のように演説しておるのであります。すなわち、「今世界の状態は、雪解けとか、過熱とかいっておりますが、いずれにしましても、東西の間における勢力の均衡が保たれております。ヨーロッパにおきましては、西ヨーロッパ側とソ連側との力の均衡が保たれております。極東におきましては、日本が軍備を持たない関係上均衡が保たれておりません。そこでわれわれは、アメリカの力をかりて、極東における勢力の均衡を維持して平和を保たんとしておるのであります。これが、アメリカと結んで極東の平和を確保するために中立主義をとらない第一の理由であります。第二の理由は、日本という国は非常にりっぱな国でございます。この世界中における最もりっぱな友だちがいのある国をだれがほおっておくものでございましょうか。AA諸国が中立を考えておる。あるいは非常な軍備を持ったスイス等が自分の力で中立を守っているということを考えて、日本も中立しようといったって、わが国はそのままほおっておかれる国ではない。これが、アメリカと一緒に極東の平和を守ろうとする第二の理由であります。また第三は、日本経済を拡大発展させ、われわれの生活をより以上にするために、だれと手を結んだらよいかということを考えなければなりません。ほんとうに日本が経済的に発展するためには、まずわれわれと同じような経済体系をとっておる自由国家群と貿易をして、それを拡大していき、第二次的にはソ連、中共の共産圏と貿易をしていく、とにかく日本経済を伸ばすためには、同じ考え方で自由な、しかも持てる国と手を結んでいくことが一番の外交方針じゃございませんでしょうか。こういう意味で、私はただいまのところ中立論はとらぬのであります。」こういう演説をしておりますが、池田総理におかれましては、今もなおこの考えにお変わりはないと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 ただいまお述べになりました昨年の私の演説、考え方は、今も何ら変わりはございません。
○赤城委員 そこでアメリカにおいて、ケネディ大統領が生まれましてからアメリカの外交政策は、ダレスの力による政策が否定されて、話し合いによる融和の政策だとこういわれておりますけれども、平和的な話し合いを強調している反面におきましては、力の立場というものを放棄してはいない、こう私は考えておるのであります。 そこで力とは何をさすのか。もちろんこれは今の総理が演説された中にもありますように、経済ということもあります。軍事力というものも含みます。軍事力の面から考えますと、確かに東西両陣営で大型のミサイル、すなわちICBM、大陸間弾道弾ミサイルの分野におきましては、ソ連のそれがアメリカを追い抜いた、こういうふうに大体見られておるようでありますけれども、最近アメリカに出現しましたポラリス原子力潜水艦、北極洋の氷の下をくぐって千八百マイルを浮かばずに行ったポラリス原子力潜水艦、これが中距離弾道弾を装備することによって、大型のミサイル・ギャップを補って、ソ連のミサイルと対抗するのであるということが明らかにされ、この間のケネディ大統領の教書の中でも、このポラリス原子力潜水艦の建造促進を言っております。そこで、ケネディ大統領の一般教書に、「われわれの軍備が疑いの余地なく十分であるとき、初めてわれわれはその軍備が永久に使われないとの確信を持つことができる。」こう言っています。この力の均衡ということにつきまして、あるいはまた、アメリカのケネディ政権の考え方がダレスの力の政策ということを全く否定しているものではなかろうというふうに私は考えておるのでありますが、これに対しまして、重ねて池田総理のお考えをお漏らし願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 お話しの通りでございまして、ケネディ外交には前とは違った柔軟性のところがあるようでございますが、その底にある考え方につきましては、私は変わりないと考えております。
○赤城委員 国際間の平和が、よい悪いは別といたしまして、力の均衡によって保持されているという見方をいたしますならば、その根底には、やはり共産圏と自由国家群との相いれない対立がまだ横たわっておる、こういうことはいなめない事実だと思います。このことは、昨年秋世界に発表されました八十一カ国の共産党の宣言にも明らかにされております。しかし、こういうような形で共産圏と自由国家群との対立の谷間に立っておる日本といたしまして、いずれの側にもつかない立場をとるということが可能であるかどうか、当然これは非常に疑問がありますが、この点につきましても、総理大臣あるいは外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 日本の地理的な位置からいたしまして、これが東西の力の接点にあるというようなことは一応言えるかもしれませんと思うのでありますが、やはり日本は、わが国の経済を発展させるために、自由というものを基調にして日本の経済を営んでおるのであります。また、国民の活力のもとを自由なる活動に求めておるのであります。従いまして、先ほど総理大臣からお答えになりましたように、われわれは自由陣営の丘の上にあって、しかも相手方に対しては、共産側に対しては、お互いに内政不干渉、相互の立場を尊重するということにおいて平和を求めていくということが可能であり、またわれわれのためになる方針と、かように考えております。
○赤城委員 ところで、国連その他におきましても、AAグループというものがあります。共産圏にも、また自由国家群にも属さない中立の立場にある、こういわれております。中立という考えは、ムードとしては、日本におきましても、中立がよろしいのだというムードはあります。そのムードの根底というものは、戦争に巻き込まれたくない、こういう考え方で、この中立という考え方を持っておる。このムードとしての考え方は、日本にもあると思います。しかし、厳正に中立主義でいくという立場は、日本として非常にむずかしい立場であり、またとるべきものではないと思うのでありますが、このAAグループの動向といいますか、いずれの側にも属さないという立場をとっておるというのでありますけれども、これは、戦争に巻き込まれたくないという気持からの立場か、それとも厳正に国際的に中立主義をとるかとらないかというような考え方からきているのか、こういうことについて、外務大臣から説明を願いたいと思います。 また防衛庁長官にちょっと聞きたいのですが、スイスの中立というものは、AAグループの中立主義とは違うと思っております。スイスの場合は国民所得に対する国防費の割合が三・五%、日本の場合は現在一・四%であります。こういうふうにスイスは著しく高い国防費を支払って中立をしておる。そこで国防費を支払わない中立ということが可能であるのかどうか、世上に国防費を支払わなくてもいいという中立論が横行しておりますけれども、このようなことが現実に可能であるかどうか、こういうことにつきまして外務大臣、防衛庁長官から御答弁を願いたいと思います。
○小坂国務大臣 いわゆるムードとしての中立論、すなわち二つの非常に巨大な巨人が争っておるから、そこから離れておる方がいいのじゃないかという気持は、若干国民の中にあると私どもも思います。しかし、問題は政策としてこれが可能であるかどうかということであろうと思います。私は、外交政策として日本の置かれておる地位、また日本の持っておる高い工業力、経済的な地位、能力、そういう点から見まして、日本がいわゆる無防備中立論というようなものをとりまする場合、かえってそこに空白ができて、その空白のゆえに日本自身も非常に混乱に陥るのみならず、ひいては世界平和の上に非常に危険な問題をかもすと考えておるのであります。これは現内閣すべてさような考えをとっておるのであります。 なお東南アジアの諸国あるいは広くAAグループの中に、そうした考え方をとるものもございますけれども、これはやはりその国の持ちます地位にもよるものであろうと思います。東西の勢力がそれを中心に争うことをどの程度に重要と考えるかというような重点の置きどころにもよりましょうし、それから非常に遠く離れておるというような地理上の条件にもよる場合があろうと思います。最近AAグループの中で、ことにアフリカでいわゆるカサブランカ会議というものが持たれまして、その中におけるアラブ連合あるいはガーナ、ギニアあるいはモロッコ、マリ、そうしたような国が、中立主義というのでありますが、著しく共産側に寄っておる。一方、他のフランスから独立いたしました国の中で十二カ国が、非常に自由主義的な政策をとっているというような点もございまして、いわゆるAAグループと申しますけれども、必ずしも一致した動きをとっておるものではないことは、赤城委員御承知の通りでございます。なおそうした点はほかにも見られるのでございまして、一口にAAと申しましても、その国の持ちまする経済発展の段階なり、また宗教なり人種なりというものによりまして千差万態の点もあるのでございます。 われわれといたしましては、そのいずれの国とも友好関係を持しつつ、かつこれらの国の抱懐しておりまする独立、そしてその国の経済繁栄ということに対する強い欲求というものを十分頭に入れて、われわれはこれらの国の幸福にそれぞれ貢献していく、こういう立場をとっておるのであります。基本的には自由陣営の一員としてわれわれの立場というものをかたく守りながら、しかも友好的にこれらの国に対処していくことをもって適当と考えます。 防衛費の問題は防衛庁長官からお答えいたします。
○西村国務大臣 お答えいたします。ただいま外務大臣からお話がありましたように、中立の可能な条件としては、何といっても戦略的価値があるかどうかということ。わが国の場合には戦略的価値は相当重要を帯びておるということは私から申し上げるまでもないのであります。いま一つは、これは外交上の問題でありますが、周辺の関係ある国々がその国の中立を保たせるという強い決意があるかどうか、この関係があります。この場合に、日本においてはたしてその関係国の決意というものが見られるかどうか、私は疑いなきを得ないのであります。と同時に、もちろん経済の自給自足、いろいろございますが、最後には、その国の国民が独力をもって排除するだけのかたい決意と用意があるかどうかということが、中立の大きな要件であろうと思うのでありまして、スイスの場合におきましては、もう御存じの通り、五百万の人口に対しまして国民皆兵制度をしいております。ただいまお話がありましたように、国防費は国家予算の中で三割八分二厘であります。国民所得に対して三・五であります。このような高比率をもって独力でこれを排除する、国民皆兵制度である。地理的その他の条件も中立にかなっておる。同時に五百万の人口に対しまして、有時の場合には一割の五十万は動員が可能であり、しかも御存じの通り、核装備の問題まで取り上げておる。これがスイスの中立の大きな事実であるということを御返事申し上げたいと思います。 なおこの機会に御参考までに中立の関係でありますスエーデンでありますが、これが国民所得の五・七%、財政に占める地位が一割八分九厘、約二割の財政比を持っておる、こういう状況であります。
○赤城委員 次に私は日中関係について政府の考え方をお尋ねいたしたいと思います。 池田内閣におかれましては、中共に対して前向きの姿勢で、国際情勢の推移を見きわめながら慎重に対処するのだ、こういうふうに言われておりました。これはいわゆる静観主義というものであるかどうか、それとも、まあアンテナを張って、情勢を見ていつでも前進をしていく、こういう態勢で臨んでおるのか、こういうことでありますが、今のあとの方の前進態勢をしながら手を打っていくのだ、そういうことになりますると、中共との関係は、前から言われましたいわゆる積み上げ方式というような形でやっていくのか。郵便協定とか、あるいは気象協定というものを結びたいというようなことも言っておったように思います。あるいは民間の貿易協定、あるいは漁業協定はくずれましたが、この漁業協定というような交渉をだんだんしていって、その積み上げ方式でやっていくのか、こういう方針かとも承れる向きもあるのであります。しかし、私の見方からすれば、前には中共側も政治と経済は分離してもいろいろな交渉に入るのだというようなことでありましたが、最近の状況では、政治経済分離ということはもう過去のことなんだ。政治経済一体となって解決すべきだ、というふうに中共側は出ておるのではないか、こういう見方に対しまして総理はどういうふうにお考えであるか、お聞きしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 中共政権というものがシナの大陸を現に支配しておるのでございます。また、わが国といたしましては、文化的にも歴史的にも、地理的にも、密接な関係であるべきものでございます。従いまして、私といたしましてはこういう現実の立場におきまして、貿易その他必要なことにつきましては、積み重ね方式と申しますか、貿易の拡大その他必要なことにつきましては交渉を重ねていきたいという気持を持っております。ただ問題は、今中共政府を承認するかどうかという問題につきましては、私は、ただいま慎重に考えなければいかぬというので結論を出しておりません。ただ中共と日本の従来の関係等を考えまして、私はその間の調整をやっていくべきではないかという考え方を持っております。
○赤城委員 総理のお考え方は非常に妥当だと私も考えます。この中共との関係はもちろん日本だけで考えるようにいかない、中共側の意向もあります。先ほど申し上げましたように、政治経済一体でなければならぬというような考え方もあるようでありますし、あるいはまた小坂外務大臣が三原則、すなわち中共を敵視しないとか、あるいは中国を分断する謀略に参加しないとか、あるいは日中国交の回復をじゃましないとか、こういう三原則を認めるのか、認めないのかというようなことで問題になった点もあります。その考え方について、日本がこういう敵視政策をとっているとか、あるいは中国を二つに作ろうという陰謀に参加しているとか、日中国交回復のじゃまをするとかという考えは、日本はもちろん持っていない、私はこういうふうに見ています。また私どももそれであります。しかし、中共側におきましては、日本に対してそうも見ておらない面もまだあるのじゃないか。そこで、いろいろな積み上げ方式というような考え方で、できるだけ中共との友好関係を回復しようという考え方を持っておるといたしましても、なかなか積み上げ方式というようなことで中共との国交回復ということは——やれるだけやった方がいいと思いますけれども、まあ非常にむずかしいような情勢で、中共側からいえば、一挙に中共を承認しろ、こういうふうに飛び越えてもうきているのじゃないか。ところが中共承認ということについて、総理も、これについては慎重に国際情勢を見きわめながらやっていくので、今結論を出すとかどうとかいうことは言えない、こういうふうに言っておられますが、その通りだと思います。中共承認問題で、日本だけが承認したいというようなことにいたしましても、中共側として、承認はしろ、しかし第一に日米安全保障条約というものを廃棄してかかってこなければならぬじゃないかというような議論も出ないとは限らない。あるいはまた台湾の国府政府をどういうふうに扱うのか、どういうふうにするのかというような問題も、当然中共の承認という問題と関連してからまってくると思います。 このような状況下におきまして、前向きの姿勢で友好関係を回復する、こういう考え方は賛成いたしますけれども、事実の問題といたしましては、日本が単独で中共の国交回復、承認という問題を扱っていくといいますか、きめていくということは、非常に困難な現状ではないか、私はそう考えております。考え方として回復をしたいという考え方はあっても、現実の問題としては、非常に困難な問題が横たわっておる。こういうことに対してどういうふうに見られておるか、ということを一応承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 中共との考え方について、私は赤城さんのお述べになりましたことに同感でございます。この問題は決して日本だけで解決できる問題ではございませんで、広く国際的な観点からこの問題を解決することが必要であろうと思います。ただ一つ言えますことは、先ほどもお話の中にありましたように、われわれはこの問題に対して前向きの姿勢で考える、この解決をはかっていくという態度であります。もとより政経不可分とか可分とかいう議論はございますけれども、五十年前の考え方でしたら、そういうことはあり得るでありましょうが、近代社会においては、一体どこまでが政治であるのか、どこからが経済であるか、その境を明瞭にすることもなかなか複雑な、今日の機構では困難かと思うのであります。そうした観念論によって律し切れないところは多分にあろうかと思うのであります。われわれはあくまで国際連合憲章の大原則とするところの相互の立場尊重、また内政不干渉ということを大きな原則といたしまして、かつまた両国の国民経済の上にお互いに寄与していくということを考えながら、この問題を取り上げていくという態度で参りたいと思っておる次第でございます。
○赤城委員 前向きの姿勢で中共との友好関係を回復したい、こういうことであるけれども、日本だけでということには非常に困難もあるし、国際情勢というような関係も深く考慮に入れてかからなければならない、こういうお話であります。 そこで国連における中共の代表権の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、御承知の通り、アメリカといたしましては、中国の代表権の問題について、ここ数年来その問題はたな上げにしようという議案が提案されてきております。昨年秋には、このたな上げに賛成するものが四十二、反対が三十四、棄権が二十二、たな上げ案に賛成するものが年々減ってきておる、こういう傾向にあります。ことしの秋の総会におきましても、こういう提案がなされるかと思われますし、あるいはまたその提案が否決されて、中国の代表権問題が議題となるというような可能性もないわけではない、こういうような情勢の見通しが持たれております。そういう場合にだんだん国連において——かりに中国の代表が中共になった場合、日本は台湾の国府政府を承認しておるのでありますから、この関係はどういうふうになるか、こういう問題があろうかと思います。しかしこれは先行きの問題でありますが、ともかくもこのたな上げ案について日本はどういう態度をとるべきであるか、こういう問題が、ことしの秋の国連総会を控えて決意しなければならぬ問題だろうと思います。しかしこれは今どういう考えで臨むのかどうかというようなことをお聞きしても、それは聞く方が少し早過ぎるといいますか、あまり当を得ていないと思います。でありますが、ともかくも池田総理も六月には渡米されるというふうにも新聞で承っております。この中共の問題につきましては、国際情勢というような関係その他につきましても、協議の一つの大きな題目になるのではないか、こういうふうに考えております。国連における日本がどういうふうにするのか、あるいは中共が承認された、国連において代表権をかち得た場合に、国府政府との間はどうなるのかというようなことにつきましては、私は答弁を要求いたしません。ただ池田総理として、渡米される前には、いろいろそういう問題について政府といたしましても検討をされていく必要があるし、もちろん検討されておると思います。そういうことについて答弁がありますならば承るし、お話がなければけっこうでございます。
○池田(勇)国務大臣 中共の国連加盟の問題、またもし万一加盟した場合にその中共を承認するかという第二段の問題、これにつきましては今世界の外交界におきまして、かなり論議がなされておるのであります。昨年のイギリスの国会、ことにこの一月から二月にかけましてのイギリス外務大臣の声明、また最近四、五日前でございましたか、ロンドン・タイムスの論説、あるいはまたブラジル大統領のモラトリアム反対の声明等々いろいろやかましくなって参ったのであります。またごく最近では、ケネディ大統領とニュージランド首相との共同声明——けさ出たようでございますが、こういう問題について中共に対してはかなりまた強いことを言っておるようであります。非常に大きい問題でございますので、私は各国の考え方、過去また将来に向かってどういうふうな考え方を持っておるかということを常に検討いたしておるのであります。また中共側におきましても台湾の問題は厄介な問題でございまして、台湾というものを国連に置きながら自分が入るか入らぬかという問題につきまして、中共はどう思っておるかということにつきましても、非常にむずかしい問題があるのであります。私はこの最も重要な世界の外交問題の一つとして、また日本としてはそれにもました重要な問題として常に検討を加えておる次第でございます。まだ結論をどうこう言う段階ではございません。
○赤城委員 わかりました。 次にガリオア、エロア問題についてお尋ねいたしたいと思います。この問題はすでに予算の分科会等におきましても質疑が出たようであります。第一ガリオア、エロアの対日援助を政府といたしましては終始債務と心得る、こういうことに見ておるようであります。しかしこれには反対の考え方もあるようであります。またガリオア、エロア等につきましてはいろいろないきさつがあるわけであります。ことに池田総理大臣が大蔵大臣の当時に参議院の質問で、ガリオア、エロア問題は平和条約できめるのだという答弁をしています。そうして平和条約の交渉過程と条約案作成で、アメリカは日本に対日援助を優先的債務と確認させ、これによって各国の対日賠償請求権を押える手段としたのだ、こういうふうに政治的に見ておる向きもあるのでありますが、それは別といたしましても、いきさつを見ますと、昭和二十八年七月八日衆議院で当時の緒方副総理がこう答えておるのであります。「ガリオア、エロアは、法律的に確定した債務ではないが、道徳的には支払わねばならないものであり、日米両国の資料を対照し、明確な債務となるものは国会の承認を求める。アメリカが債権を主張しないとしても、独立国家となった以上、当然返済すべきであると考える。」こう答弁しております。これは昭和二十八年の、当時の緒方副総理であります。その間を抜きまして、ことしの一月三十日の本会議でも、小坂外務大臣は、ガリオア、エロアは終始債務と心得ておる、こういうふうに答弁しておるわけであります。これが債務なりや債務でないのかということは、これは法制局長官に聞く必要があろうと思いますが、ともかく債務と心得ておる。イギリスは何と言っておるか。自然債務といいますか、請求権は持っていないが弁済すれば債権債務という関係が確立していくのだ、こういうような自然債務というような考え方もあり得ると思いますが、いずれにいたしましても、政府といたしまして終始言っておりますように、これは債務と心得る、こういうふうにお考えになっておると思いますが、重ねてその点お聞きしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 終戦後におきましてわが国民が生活上非常に困り、また日本の経済復興のかてといたしましてアメリカから援助があったのでございます。私はこの援助に対しまして、お話しの通りに債務と心得てきておるのであります。経過的に申しましても、昭和二十九年重光外務大臣ころからこの問題につきましていろいろ話があるのであります。私といたしましては、適当な時期にこの問題を解決いたしたい、わが国の経済財政上から申しましても、よほど立ち直って参りました。この問題につきまして私は解決をすべきときがきたのではないかと今検討をいたしておるのであります。
○赤城委員 ところで解決をすべきだというこの考え方は私もそう思います。ことにこのいきさつから見ましても時期的に見ましても、私も当然そうあるべきだと思います。そこでその額の問題であります。これは対日援助が始まってからの額というものは、日本でもアメリカでも文書資料が不完全で総括的なものとしてなかなか額の決定がむずかしいような状況にあるように聞いております。アメリカ商務省の数字で昭和二十六年六月末に二十一億一千七百三十八万ドル、こうされておるように私の調べではなっていますが、二十から二十一億ドルの主張に対しまして、今の重光外務大臣がこの話に入る前に、今の池田総理大臣が池田・ロバートソン会談で返済交渉に応ずるという約束をしたと伝えられておりますが、これは新聞報道でありますから、私は事実はよくわかりません。その際に、見返り資金以後の分の七億ドル余ということに話し合って、これも年賦利率も安くしていくというようなことで話し合ったというふうにも伝えられております。あるいはまた二十九年十月に、アメリカは七億八百万ドルを六億四千八百万ドルまでに引き下げてきて、日本側は五億五千万ドルまで歩み寄ったけれども一致しなかった、こういうことも言われておるのであります。もちろんこれは政府の発表ではございません。そのときどきの新聞の発表なのであります。今総理もこれは解決すべき時期に来ておるということでございますが、昨年の十月には、水田大蔵大臣に早急な処理を要望した。これもまた新聞に伝えられておるのでありますが、そういうことにもなっておるようであります。この額等につきましては、いずれも私の調べは新聞等に出たものによったものであります。これを支払うといたします場合に、日本側はこの見返り資金以後の分ということに主張されると思うのであります。その額についてどういうふうにその額を見ておるのか、あるいはまたそれを返済する場合に財政的な扱いをどういうふうにするのか、あるいはまたその額等にいたしましても、西ドイツの方式もありますので、交渉の点においていろいろ過程を持って当たることとも思います。そういう点で、まず第一に額はどの程度のものであるか、これはやはり国会の承認を得ることが、きまれば必要でありますが、そういう場合の支出の方法等についてあらかじめ考えるものがありますならば、お話を願いたい、こう思います。
○池田(勇)国務大臣 ただいまお話のうちにありました昭和二十八年十月の私とロバートソンの会談の場合におきまして、このガリオア、エロアの問題は出たのでございます。交渉の中途におきましては、この交渉を直ちに開始する、こういう強い要望でございましたが、当時の日本の状態といたしまして、直ちにこの交渉に入るということは自分は賛成できぬ、近い将来に、こういうことで妥結いたしました。そしてその結果が二十九年の五月の重光さんということになったわけであります。それからずっと数年たっておるわけであります。いろいろの原因もございます。わが国の国情、経済力、賠償関係等もありましたし、そしてまたわれわれとしてはこれは楽に払えるという方法をとらなければならぬということで、今日まで来ておるのでございますが、お話の二十一億ドルとかあるいは二十億ドルとかあるいは十九億ドルとか、いろいろ資料によりまして話をしてきめなければならぬ点が多いのであります。 ただ問題は、総額がきまった場合において、ドイツ方式でいくならば、その総額の大体三分の一程度になっておりますが、そうするか、そしてまた控除すべき点もございますので、そういう控除すべき点とは、朝鮮に持っていった援助物資をどうするか、総額は先に引くかあとから引くかというような問題等もございまして、今額につきましては正確なところは申し上げかねると思います。またドイツ方式によるか、あるいはそれ以上に少なくできないものかという、いろいろな点もございます。これはいよいよ解決すべき時だと考える上におきまして、十分調査した上で交渉を行ないたいと思っております。
○赤城委員 どれだけの額にして交渉するかどうかという問題は、これは交渉に入ることでありますから、その額を今お聞きすることは非常に無理かと思いますし、できないことと思います。ただ、けさの新聞等にも出ていますが、大蔵省として見返り資金以後の分がどれだけだ、これはどういうふうな会計の方からやっていくというようなことを考えているのだというふうに新聞に出ています。交渉してどれだけということは無理かと思いますが、新聞に出た程度の話は出して差しつかえないと思います。大蔵大臣からその点をお聞きしたい。
○水田国務大臣 申しわけないですが、けさの新聞を見ておりませんので、ちょっとお待ち願います。——債務の総額は先ほど総理からお答えになりましたようにまだ確定しておりません。と申しますのは、昭和二十四年四月以後の対日援助資金は、これは明確になっておりますが、二十四年以前のは総司令部の管轄するところでございまして、商業物資と援助物資の区分が日本側に知らされておりませんでしたので、総司令部に残された書類、日本の旧貿易庁の持っておる書類、その他から今日本側として推算をいたしており、この推算額と米国の方の持つ帳簿との突き合わせを今やっておるということで、まだ債務額が両方とも確認されていないという状況でございます。 それからその金はどういうふうに使用されておるかという問題でございますが、これは対日援助資金のうちで政府が債務を償還しておる、借金をなしておるという問題もございますし、電通や国鉄の復興のために支出しておるという金もございますし、それ以外は現在の産業投資特別会計に資産が引き継がれておりますが、この資産の運用を見ますと、公企業への投資、出資というものとか、私企業への貸付とか、いろいろございまして、政府関係機関への出資もあるし、それから開発銀行その他への貸付金もある。貸付金はこれは私企業に貸しておるということにもなります。そのほかまた現在国債をその産投会計に保有しておるものもございますので、過日河野委員からの御質問の際に、これを払うとしたらどこからどういうふうに払うかという御質問がございましたが、まだ政府としては現在そこまでの段階にいっておりませんので、そういうときになったら十分合理的に考える、そして国民の納得のいくような方法をとりたいと申したのでございますが、とりたいというなら今どう考えておるかということでございましたので、まだ政府部内でこういう討議は行なわれていないが、かりに両国の話が進んで、そうして払うというときになったら、私の考えとしては今言ったようにいろいろ使途がございますので、国が国民のために使った金というのでしたら、これは一般会計から払っても差しつかえない金であるし、私企業に貸し付けておるというようなものは、回収金をこの返済の資金に充てるというようなことが当然であろう。そういう問題は十分国民の納得のいくようにする。一ぺん国民が代金を払ったものだというお話もございましたので、払ったものであるから十分国民の納得のいくように、この使途の性質によって妥当な方法をそのときは考えたいと私の考えを申した、こういういきさつでございます。
○赤城委員 新聞には額までも出ています。新聞を見ないというのはけっこうかどうかわかりませんが、私は与党ですから、そうお尋ねいたしませんが、いずれこれは野党からも質問が出ると思いますので、新聞を見ないだけでは勤まらないじゃないかと思いますので、野党の質問に対してははっきりした答弁というか、考え方を用意されておった方がよかろうと思います。時間の関係がありますから、私はこれはこの程度にいたします。 次に、所得倍増計画についてお尋ねいたしたいと思うのであります。私は池田内閣が所得倍増計画を打ち立てて、選挙に争った、こういうことは非常に画期的で、保守党といたしましても、この保守党の脱皮の先がけをしたというか、そういう面で画期的なものだというふうに考えて、心強く考えておるわけであります。大きくいえば、ルーズベルト時代のニュー・ディール政策のようなものでないか、あるいはケネディなどの言っておりますようなニュー・フロンティア政策というものに似たようなもので、保守党としては非常に進歩的な、脱皮する形だということで、非常に賛意を表するものでありますが、もちろん自由国家の倍増計画でありますから、統制経済あるいは共産圏等の計画とは違っておりまして、民間部門を全部政府が統制するというようなことでなくて、民間は民間として一つの目標を与えて、その目標に従って誤りなきを期したいという指導標であり、あるいはまた診断をするものである、こういうふうに考えておりますけれども、それにしても、所得倍増計画というものを打ち出して、それに沿うて年々の予算もきめていくということになっていきますると、政府としてのやはり高い指導性あるいは責任というものも必要だろうと考えます。 そこで所得倍増計画を見まして、一番私が感じられることは、所得倍増計画を貫くものが必要じゃないか、その所得倍増を貫くものはやはり生産性の向上だ、こう思います。倍増計画の中にももちろん生産性の向上というものはわかり切ったことであるからということで、これを貫くということをそれほど強調してはおらないかと思います。見方によっては強調しておると思います。あらゆる面に生産性の向上がなければ、生産の伸びも、所得の倍増もできないのだというふうに考えられますから、あるいはこれを貫いておるのだというふうに見られるかもしれません。 そこで私は、所得倍増にはどうしても生産性向上という施策がしんをなすものであると思う、これについて政府の考え方はどうか。ことに生産性向上の成果、これは消費者には価格の引き下げということになり、あるいは引き下げなくても、良質のものが市場に回るということでありますから、消費者のためにもなるし、また労働者には生産性の向上に見合った賃上げということにもなりますし、あるいは株主等に対しましては、これは配当の確保ということになりましょうし、企業自体としては内部留保、再生産の資本ができてくる、こういうふうに適正に配分する必要が出てくるわけでありますので、どうしてもこれは生産性の向上というものを貫いて、そうしてその配分方法についても、今申し上げたような形にいくべきだという指導といいますか、そういう考え方でいかなければならない、こういうふうに考えておりますが、特に消費者への還元が十分でないのではないかというような気もいたします。こういうことにつきまして、所得倍増計画についてそれを貫く一つのもの、また生産性向上ということがそれであるとするならば、その配分等につきまして、十分な配慮を——これを指導するというところまでいくかどうかは別といたしまして、そういうことについても配慮を政府としても考えるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、これに対しまして御意見を承りたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 所得倍増の根本をなすものは、お話の通り、生産性の向上でございます。生産性が向上したための余沢はだれが受けるかといったら、これはまず第一にやはり労働者で、賃金の上昇でございます。そしてまた企業自体としては内部留保による設備の近代化、拡大化でございます。そして株主への適当な利潤の分配、そしてそういう三つの要件を満たしながら、お話の消費者へのサービス、こういうことに相なってくると思うのであります。 問題は今の消費者へのサービス、いい質のものを安く販売する、この点につきまして、これは非常に重要なことでございまするが、やはり賃金の引き上げと将来への生産性の向上のもとをなす点が今はかなり重要視せられまして、消費者への均霑ということは、今お話しにもなりましたようにまだ十分いっておりません。これはやはり過渡期と申しまするか、所得倍増のためのりっぱな設備をして、将来の消費者への還元ということを考える点が多いので、消費者へというところにはまだいっておりませんが、政治といたしましては、やはり消費者への生産性の向上の均霑ということを考えていかなければならぬ問題だと私は思います。これも当初でございまするから、そこまでの余裕がないのでできないということをいっておりますが、しかしできるだけ早い機会に消費者への均霑ということを考えなければ、せっかくの生産性の向上が魂が入らぬと、私は考えております。
○赤城委員 その通りだと思います。そこで、今の物価問題でありますが、日本の物価体系も経済成長に伴って西ヨーロッパ諸国の形に近づいてきておる。これは経済成長の当然の結果でありますが、問題はやはり小売物価の上昇ということであろうと思います。これは再々御答弁もいただいておりますが、あるいは統計の操作によって、物価指数の中に入れるもの等によりましてもいろいろ違ってくると思います。しかし現に一月には一・七%ですか、小売物価も上がっているといわれておりまするし、生活感情として、何かこう物価が上がるのではないかというような気がしているのは、これもまた国民感情、生活感情として見のがせないことだろうと思います。この物価政策につきましては静観するというわけではなかろうと思います。倍増計画の中にも、物価安定を維持することはこの計画達成に不可欠の要件であり、政府は絶えず物価の動きに留意して、適時適切な対策をとる必要がある、こういうふうに、所得倍増計画の中にもうたっておるのであります。ですから、静観するというわけではなかろうと思います。しかし、どうも上がるのではないか、上がるのではないかという気持が非常に強い。公共料金にしても、電力料金とか私鉄とかガス料金の値上げの申請をどうするかなどの問題もありましょう。所得倍増を打ち出した以上、物価について物価統制ということは当然考えられないことです。統制経済のようなことは考えられないけれども、やはり調整とか指導ということが必要ではないか。また倍増計画によって物価が上がるものではないのだ、こういうことに対して政府のPRといいますか、これが非常に私は足りないような気がいたしますが、こういうことを強力に打ち出すべきではないか。さらにまた国民一般の物価上昇に対する精神的な動揺とまで言えなくても、そういう面をやわらげるために、たとえば内閣に物価対策協議会というような機関等を設けて、学識経験者やあるいは主婦など消費者代表を加えて、ちょうど人事院が給与勧告をするのと同じような考え方で、物価の動向を知らしたり、また政府に対して適切な献策を行なわせるとか、こういうことで物価問題について、ことに消費者の小売物価等につきまして、それが上がってこないのだ、あるいはこういうふうな状況であるのだ、ということを知らせるような方法をとっていく、すなわち所得倍増計画において決して物価を上げるというのではなくて、さっきの総理の答弁のように、所得倍増計画というものは生産性を向上して、手間等は別でありますが、一般の物価は所得倍増計画に伴って上がらないのだ、あるいは現状のままとしても質がよくなってくるのだ、こういうのが所得倍増計画の考え方であるというようなPR、あるいは現在の物価上昇傾向に対して、これにこういう考え方を持って、そう心配はしないでくれ、また政府はこう考えているというようなことをPRし、あるいは今の機関のようなものを設けて物価の動向をよく見ていく、こういう必要があるのではないか、こう考えますが、政府の所見をお伺いいたしたいと思います。
○迫水国務大臣 所得倍増計画の進行過程におきまして、物価の安定を保つということが何よりも大事なことであるということはお話の通りでございます。しこうして、現在の情勢におきまして、先般国鉄及び郵便の料金を引き上げましたことがきっかけといいますか、いわゆる値上がりムードというより、私はむしろ率直に言うと、値上がり心配ムードと言った方がいいのじゃないかと思うのです。値上がりを心配するムードが出てきたことは事実であります。しかもただいま赤城さんが手間は別であるがとこう仰せになりましたが、その手間の値上がりに基因する若干の消費者物価の値上がりがあることも事実であります。それが生活感情としてはね返ってくる。現在日本の国民は所得がだんだんふえつつあるということを確かにはだで感じておるのですけれども、せっかく所得がふえたというところに、若干でもそういう値上がりがあるということによって、何か裏切られたような感じがする。同時に過去のインフレーション当時の心配がよみがえってきて、生活感情として非常にいやな気持がしているということは、これは確かにお話の通りだと思います。しかし経済の法則によって明らかでありまする通り、イン・フレ的な物価上昇があるということは決してないということは断言してはばからないところでありますし、しかも今日の日本の経済の実力においては、コスト・インフレを防止さえいたしますならば、需給調整の能力は十分備えておるのでありますから、物価がウナギ昇りに上がっていくようなことは決してございません。 先ほどからPRの問題についてお話がございました。確かにその点はきわめて不十分であると私も思いましたので、先般から経済企画庁におきましては、何か物価白書と言っては工合が悪いかもしれませんけれども、そういうようなわかりやすいものを一つ作って皆さんにお目にかけて、国民の皆さんに物価の情勢について理解をしていただきたいと考えて、目下準備中でございます。
○赤城委員 時間の都合もありますから、先に進みます。 次に国際収支の問題についてお尋ねしたいと思いますが、本年一月の貿易収支を中心とする経常収支、これで見ますると、予想したよりも赤字が大きくて、大よそ九千九百万ドル、こういうふうになっております。もちろん三十五年度の総合収支全体では黒字ということになりましょうけれども、この四月以降になっても経常収支は赤字が続く可能性があるのではないか、こういうふうに見られている向きもあります。これは、所得倍増計画に刺激されたため、国内の旺盛な設備投資が国際収支面に影響して、長期的に赤字続きになるのではないかというふうな警戒論を出しておる者もあることも御承知だと思います。何といたしましても、経済成長に伴って輸入は間違いなくふえましょうし、相手のある輸出は楽観しておるというわけには参らないと思います。アメリカのドル危機というものも峠を越したというふうにも言っていますが、今度はポンドの方についていろいろ問題もあるようであります。東南アジアやヨーロッパ諸国の輸出環境も、この方面に力を入れるということでありますが、この方面の見通しについても、手放しの楽観というわけには参らぬと思います。これは現在出ている問題でありますが、長い目で見まして、こういう国際収支等の関係ということにつきましても、もちろん深い関心を持ち続けていくと思いますけれども、こういう見通しにつきまして、お話があれば聞きたいと思います。
○迫水国務大臣 当面国際収支が、一月において、予想いたしましたよりも大幅な赤字が経常収支におきまして出ましたことは御承知の通りでございますけれども、この赤字の性質につきましては、先般来しばしば申し上げておりまするように、経済の成長に見合ったもので、決して思惑的なものは入っていないのでありまして、心配はない。率直に申しますと、現在は輸入時期でもございますので、この経常収支における赤というものは当分続くのじゃないかと思います。私は率直に言って、日本の国民が若干国際収支の赤字ノイローゼにかかかっているような感じがございまして、赤字が少し出ると非常に心配いたしますけれども、私としましては、五月、六月ごろまで赤字が続きましても、今年度の日本の経済の基調には一つも大きな変化はないものと考えております。 なお今お話の中に、設備投資が非常に旺盛なために、将来国際収支の赤字がふえて、所得倍増計画上の国際収支の見通しに変化を生ずるのではないかという御質問がございましたけれども、確かに設備投資があまりにも行き過ぎますというと、そこに食わせる材料の輸入等の関係上、国際収支に変化を来たしてくるおそれはござまいす。従って、設備投資というものがあまりにも先ばしって行き過ぎないように、所得倍増計画のアフター・ケアーをしていくことは、きわめて肝要なことと思いまするけれども、現在の状況におきましては、決してそのような程度の影響のあるような設備投資の先ばしりというものはまだない、こう考えております。
○赤城委員 三十六年度予算の関係で大蔵大臣にお聞きしたいと思いますが、この予算案を見ますと、所得倍増計画とにらみ合わせて、しごくもっともだと思います。ところが、その反面には大幅な自然増収を見込んでおるのではないか、予算が伸び切っておりはしないか。恐慌なんということはありませんが、この景気の変動や天災地変等による臨時支出に対する弾力性が、だんだん欠けてくるようなふうにも考えられるのであります。昭和三十三年の予算でありましたか、海外協力基金だとかその他基金を作って、予算の中でたな上げをしておった額が四百数十億あったと思います。それは、予算総額に対してはごく少ない額でありますけれども、そういう考え方もあってしかるべきであったのではないかと思います。いずれにいたしましても、こういう心配はありませんか、伸び切ってきておる、こういう形で三十七年度、こういうときになって、やはり公債を発行するというようなことが避けられなくなる、また公債の発行によりましても、これはその性質によってはいろいろあると思いますから、一がいにこれがいいとか悪いとかという結論を下すのは早いと思いますけれども、公債発行が避けられないというような情勢には入らないと見ておりますか、どうでありますか、そういう点についてお聞きしたいと思います。 それからもう一つは、ついでですから、予算の編成方針というか、予算の内容であります。この所得倍増計画というような画期的な予算を作るということになりますと、それに見合った予算、その内容も何十年かやってきた予算の内容ということでなくて、やはり重点的な所得倍増にマッチしたような予算の内容、形式というものが必要になってくるのではないか。現在の予算につきましても、継続費とかあるいは国庫債務負担というものが非常にふえてきています。こういう点から見ましても、スエーデンなどでやっている二年予算とか、あるいはそれとは別といたしまして、現在のままといたしましても、予算の内容について、所得倍増計画にマッチするような内容の予算編成方針というものに変わってくべきではないか、こういうふうに考えられますが、この二点につきまして、大蔵大臣の所見を伺います。
○水田国務大臣 第二点の方からお答えいたします。 私ども、最初予算の編成方針はいわゆる三つの柱、これによって重点的な編成をするという方針でございました。所得倍増計画におきましては、御承知のように、私どもの言った三つの柱以外に、やはり経済の成長政策というものをとって倍増計画を達成するためには、その根本である人的能力の向上、科学振興というようなものが大切であるというふうに計画の中でも大きく取り上げられております。またその通りであろうと思います。従って私どもは、いわゆる三本の柱に対して今度の予算編成方針としましては、今の人的能力の向上という部面をも非常に重視して、予算の重点をそこにも置いておるというような形で、大体倍増計画に見合った予算の編成をしたつもりでございます。 それから第一点の御質問でございますが、なるほど一兆九千幾らというのは、非常にワクとして膨大なような感じがいたしますが、すでに三十五年度の実際を見ますと御承知の通りでございますので、それからどれだけの予算ワクがふえているかということから考えてみましても、私どもはやはり現在見込み得る税収、歳入に見合った予算ワクを大体決定しておるわけでございまして、特に膨大予算を編成したとは思っておりません。従って本年度の中で、予算の使い方で後年度にたな上げしておく必要があるというふうには認めませんで、そういう編成をいたしませんでした。今の政府の考えております経済の伸び率、これに即応したいろいろな施策を行なうことでございましたら、来年度におきましても、やはり経済成長のために必要な歳入を期することができる。そうして一般会計が公債を発行しなければやっていけないような事態にはならないというのが今の見通しでございます。
○赤城委員 この問題につきましてもいろいろありますが、先を急ぎます。 次に、株式市場の問題についてお尋ねいたしたいと思います。産業資金調達のために、今までの銀行を通じての間接投資から、証券市場を通じて直接に株を持つ、直接投資に移ることは正しいと思いますが、これが急激に行なわれたり、また株式市場が過当に熱したりしますと、一般の投資層に思わぬ影響を与えまして、社会問題を引き起こすということも考えられないことではないと思います。最近の市況を見ますと、少し熱し過ぎてはいないか、あるいは店頭売買の株式が投機化している傾向があるようであります。また証券業者の態度にも遺憾の点があると思いますので、この点大蔵当局は対策をどう考えておるか。 なお、最近発足いたしました公社債投資信託、これは社債の発行市場を拡大いたしまして、企業に長期の安定資金を供給するもので、大筋としてはけっこうだ、しかし募集に行き過ぎがあったようにも聞いております。金融界との間の摩擦もあるようであります。今後これらの正しい運営をはかっていくよう配慮すべきものと考えておりますが、政府の考え方をお聞きしたいと思います。
○水田国務大臣 最初の店頭売買の問題でございますが、最近非常に活発でございまして、一日の売買高三百万株に達する、地方の証券市場よりは取引高が多いという状況にもなっておりますので、やはりこの際これを組織化し、投資者の利益を擁護し、また最近伸びてきた非上場の中小企業の資金調達を円滑にさせるというようなことから、この際第二市場を設置することが、実情に即した解決策ではなかろうかということも考えまして、ただいま証券審議会に諮ってこれを研究してもらっておりますので、はっきりとそういう形の解決をするのがいいのではないかというように思っておりますが、今研究を願っておるところでございます。 投資信託についてもいろいろな御議論がございますが、これは最近の国民の動向と申しますか、やはり所得がふえるに従って、新しい堅実な中間層というものが日本にどんどん形成されていく、そういう事情にも即応した一つの傾向ではないかと思いますが、非常に関心がその方面に高まっておるというような実情でございます。しかしこれは元本を保証するというものではございませんので、これをはっきり明記すると同時に、宣伝そのほかにおいても国民に誤解を招くようなことがあってはいかぬということで、そういう面の取り締まりについては常に意を用いて、ただいまではそういう不当過大な宣伝というようなものは行なわれておりませんが、しかしやはりテレビ、ラジオ等を通じて、国民の関心がそういうことに向いておるという動向だけは事実でございますので、特にこの点については慎重な配慮をしておる次第でございます。 次に、株式につきましては、これは市場を通じて、公正な取引を通じて、株の価格が合理的に形成されるということが必要でございます。株価についての政府の干渉というようなものは害がございますので、そういうことはいたしませんが、しかし、公正な株価の形成が妨げられるような問題については、これは排除しなければなりませんので、市場を通じて、取引所を通じて、また政府も直接この点については、現在いろいろ指導を行なっておるところでございます。
○赤城委員 公社債投資信託と銀行間との摩擦、金融間との摩擦等もあるようなので、これについての運営についてはお考えはないのですか。
○水田国務大臣 御承知のように、私どもは日本の金利水準をできるだけ下げたいという考えから、今いろいろの施策をいたしておりますが、金利が下がるという傾向に対応して、公社債信託ブームの方に資金の吸収が非常に多いということもそこらに若干の関係はあると思っておりますが、しかし金利は一応体系が整わなければ、これは経済の安定をもたらすことになりませんので、短期の金利、長期の金利、それから公社債の条件というようなものも、できるだけここで均衡ある姿にしたいという配慮のもとに、今各関係業者間においても自主的にいろいろ相談し、検討しておる段階でございますので、この姿がよくなった場合には、それぞれの分野があるべき姿に大体落ちついてくると私は考えております。ですから今の許可した発足当時の一、二カ月の状態が、これがしまいまでの状態になるかどうかということはわかりませんので、いましばらくこの推移を見てからまた適切な考え方をしていきたいと思います。
○赤城委員 先へ進みます。次に中小企業問題について簡単にお尋ねしたいと思います。 予算で見ますと四十五億円、三十五年度よりは非常に増加しておるようでありますが、予算金額が増したというだけで事足りるものでないことは申すまでもないと思います。融資とか組織面とか、税制のことも考えていましょうが、所得倍増計画において弱い層であります。生産性の向上施策についても欠ける点があったのではないかというふうに考えております。これについていろいろな方法でこれを支持していくのだという考えがありますならばなお御所見を承りたい。 それから経済企画庁長官がいないようですが、所得倍増計画の中で、中小企業の中でも中小商業というものがあります。その中小商業のあり方あるいは将来性というものに対しての目標というものがほしいのではないか。これは非常にむずかしいと思います。非常に各方面に業態も分かれておりますが、しかし一つの目標を与えてほしいというような考え方が、中小商業の方に相当あるというふうに見ておるのであります。こういう点についてどういうふうにお考えになっておるかこの二点をお伺いしたいと思います。
○迫水国務大臣 お話の通り、所得倍増計画の中で、いわゆる中小商業の形態がどうなるかということについての突き詰めたことはないと思っておりますが、非常にむずかしい問題でございますけれども、これから通産省とも連絡をして研究いたしてみたいと思います。
○椎名国務大臣 中小企業の生産性の向上という問題でございますが、ことに零細の中小企業の分野においては、近代の大企業の四分の一くらいの生産性しかないというような状況でございます。結局、中小企業振興対策のすべてが、この生産性向上の問題を目標として施設されておると言っても過言ではないと思っております。すなわち設備の近代化、これも三十六年度におきましては、ただ設備、機械等の近代化ではいかない。やはり中小企業の現在置かれておる環境そのものから変えていかなければならないというような点を目ざしまして、これの改善にも当たりたいと考えておるのであります。なるほど予算は少ないのでありますけれども、着々地についた施策を行なって漸次成果を上げていくようにして参りたい。 金融の問題につきましては、約三〇%増の八百数十億を専門金融機関から融資をすることになっておりますし、それからまたアメリカの輸出入銀行から特に中小企業の近代化についての融資を五十億くらい期待される状況であります。 そのほか技術あるいは経営の面において多分に指導の余地があるのでありまして、それぞれの施策を講じておりますが、なおこのほか税制面におきまして、いわゆる専従者の控除制度あるいは同族会社、これは特に中小企業に多いのでありますが、同族会社の留保金に対する税制上の緩和、特に今度重点を置いておりますのは、中小企業なるがゆえに機械等の設備に対して特別の控除制度を厚くするというような点を配慮しておるのであります。 なお御指摘の通り、中小工業については相当な施策が講ぜられておるが、中小商業は至って目標なしにやっておるのではないかという点につきましては、今企画庁長官からお話がありました通り、全く今のところこれという重大な施策をやっておるともわれわれは考えておりません。しかし、小売業で漸次人がなかなか得られない、御用聞きなんかもだんだん減ってくるというような状況でありまして、自然一つの市場を構成するというような状況に向かっていくのではないか。これらについて一体どういう施策をすれば適当であるかという点につきまして、十分各方面といろいろ協議、研究中でございます。
○赤城委員 次に農業問題に入りたいと思うのですが、時間がありませんのでこまかいことは当該委員会等に譲っていきたいと思いますが、ただ池田総理大臣に対しましてお尋ねしたいと思います。 わが国の農業の基本的性格と、国民経済の中に占める地位及び使命、こういうことにつきまして、総理はどのように把握しておられるか、こういうことをお伺いしたいと思うのです。わが国の農業はようやく近代的な形態を整えてきまして、幾多の困難と戦いながらも九千万国民の食糧を確保して、そのために鉱工業原料の輸入もできた、今日の国民経済の発展の原動力になったことは、総理も十分御承知だと思います。このような農業が持ち続けてきました使命等につきましては、今後とも否定できないものであり、また否定すべき理由もないと思います。 しかし所得倍増計画を契機といたしまして、日本農業の発展のために、その経営が零細であるとか、また資本構成の劣悪なこと、さらに農業者が長い自給自足経済からまだ十分に脱却し切っていないことなどが障害となり、あらためて農業問題が所得倍増計画とにらみ合わせて取り上げられてきております。ところが一方におきまして、最近の日本経済の発展によりまして就業労働者の他産業への吸収が顕著になってきました。近代化促進の客観的条件が成熟しつあったということも、これもまた見のがせない事実だろうと思います。しかしこのたびの所得倍増計画の当初においては、どうも鉱工業の発展が中心と考えられて、そのために農業から人口を引き抜くのだというような印象を農民の間に与えたことも、これも事実だと思います。事実は私は全く逆で、農業内部に近代化促進の意欲が燃えておった、解決の糸口が見出すことができないでいたのが、たまたまその端緒が与えられたと思う。しかしやはり農業の近代化、合理化、農村の安定ということから積み上げてきて、下から農業の態勢を整えていって、そうしてそのためにこれだけの人は必要でなくなってくるのだ、またそれだけ少ない就労人口で農業をやっていくのだ、こういう形を打ち出して、そうして農業と工業との面が坂の中間なら坂の中間で出っくわす、こういうような形でいくべきではないかというふうに私は考えておったのでありますが、所得倍増計画の当初においては、何か鉱工業の所得倍増のために人が必要なんで、農業の方から、現にもう出てますけれども、人をとってくるのだ、農業はそのあとでどうなるかという不安を持たせたように見られます。しかしこれも農業基本法が提案され、そして農業の近代化、農業の合理化、農村民の生活の安定、こういう問題が打ち出されて、それによって決して鉱工業の犠牲というものでなくて、農業というものをいいものにしていきながら工業とも協力するのだ、こういうふうに理解してきたと思います。しかし初めのころに非常に誤解もありました。またその誤解が払拭されていない面もないわけではありません。 こういう農業問題のいろいろな点につきまして、たくさん農林大臣にお尋ねしたいことはあるのでありますが、時間がなくなってきましたので、総理大臣の農業あるいは農山漁村民に対しての把握の仕方、考え方ということを承っておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 私は、農業自体をりっぱな企業として、他の産業と拮抗し得る農業を作り上げるということが主眼なんでございます。そうやって参りますと、結果におきまして、今の農業就労人口はだんだん減ってくる、減ったときにどうするか、そのときには受け入れ態勢はできております。こういう考え方でいっておるのであります。これはいつか農村の青年と話したときにも私はそう申し上げておるのです。誤解があったということは遺憾に存じますが、私の気持は農業をりっぱな企業として成り立たせる、それが日本民族の発展の上にも必要だ、食糧、国際収支等々ということもさることながら、民族の発展という意味から、りっぱな農業を打ち立てるということが私の主眼であるのであります。
○赤城委員 農業問題については、先ほど申しましたように、当該委員会とかあるいはその他において農林大臣にお尋ねしたいと思いますので、質問を省略いたします。 最後にILO八十七号条約批准についてだけお尋ねします。 政府は、今国会にILO八十七号条約批准を提案するつもりであるのかどうか、同時に国内法の整備のために改正案として出す法律はどのようなものを予定しているのか、これをお尋ねいたします。
○藤枝政府委員 ILO八十七号条約は、現段階において批准するのが妥当であると考えまして、それに関連する国内法の整備について、鋭意検討をいたしておる次第でございます。できるだけ早く成案を得て、御審議を願いたいと存じております。関係法案として考えておりますのは、公労法、地公労法、国家公務員法、地方公務員法等でございます。
○赤城委員 ILO条約批准につきましては、これは経過を言えば、昭和三十四年の二月十八日に労働問題懇談会の答申がありまして、四月二十八日に閣議決定して、前々国会にこれが提案されましたが、審議未了になっております。労働問題懇談会あるいは閣議決定でもありますが、その要旨に「労使関係を安定し、業務の正常な運営を確保することにあるので、特に事業の公共性にかんがみて、関係労使は、国内法規を遵守し、よき労働慣行の確立に努めることが肝要である。」というふうになっております。そこで今国会におきましても、総務長官からお答えのように、ILO条約とあわせて国内法規の改正案も提案するということを言われておりますが、こういうことが一つの問題だろうと思うのです。いかに法律を改正いたしましても、それが尊重され、実行されないような状態では、屋上屋を重ねるばかりで、意味をなさないのではないか。政府及び政府関係機関の労働組合及び職員団体などにおきまして、法規を励行しなかったり順守しない傾向に対して、政府はどういうふうに考えておるか。昨日の閣議等におきましても、そういう問題が出たように聞いています。たとえば例を申し上げまするならば、争議行為を禁じられておるものがこれを犯した場合に、処分を厳格にしておるかどうか、こういう問題もあります。それから国家公務員に対しては、今チェック・オフを禁止しておるが、これが励行されているのかどうか、こういうような問題もあります。重ねて申し上げますが、積み上げ方法によって違法行為が適法化される傾向に対しまして、政府あるいは政府機関が十分に反省し、法の順守を励行するようにしなければならないと思います。これは政府の方も労働組合の方もそうだと思います。そういうことでなければ、法律をいかに改正しても、これはむだになる、こういうふうに考えておりますが、これに対します政府の所見をお伺いいたしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 お話の通りでございまして、私は必要なる改正を加えると同時に、改正せられた法規が双方において完全に守られることが前提であると考えております。そういう方針で今後進んでいきたいと思います。
○赤城委員 これで質疑を終わります。
○船田委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ————◇————— 午後一時五十五分開議
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。横路節雄君。
○横路委員 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和三十六年度予算につきまして総括質問をいたしたいと思います。 まず最初に、総理大臣に憲法問題についてお尋ねをしたいと思います。先般の松平国連大使の発言をめぐっての本予算委員会の小坂外務大臣の答弁と、本会議における池田総理の答弁されました点について、理解のできがたい点がございますので、お尋ねをしたいと思います。 まず第一の点は、自衛隊の海外派兵はできない、それは憲法第九条に基づいてできないのか、自衛隊法に基づいてできないのか、それとも両方に基づいてできないのか、その点一つまず総理の所信をお尋ねしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 普通の意味の海外派兵ということは、これは憲法から申しましても、自衛隊法から申しましてもできないと私は考えております。
○横路委員 総理大臣に次にお尋ねをしますが、先般の本会議における私たちの党の石橋委員の質問に答えまして、こう言っているのです。「国連の警察軍につきましては、その目的、任務、機能あるいは組織等、いろいろの場合が考えられるのであります。わが国は、自分の国が侵略を受けた場合、これを排除する実力は持っておりまするが、国連警察軍に今派兵ができるかできないかという問題につきましては、先ほど申し上げましたごとく、具体的の事例でないと、憲法上違憲なりやいなやという判断はできません。すなわち、戦争目的を持たない純然たる国内的警察の場合、あるいは、世界治安維持機関としては、ほんとうに国家問の闘争のためでない治安問題につきましてできるかできないかということになりますと、憲法論としてはいろいろ議論がございましょう。私は、その憲法論につきましては、その警察軍の目的、任務、機能、組織等から考え、具体的の場合でないと判断はできないというのであります。これが純然たる警察目的のために派兵する場合において、憲法第九条の問題との関係は私は考えられる、ほんとうに警察目的であって、しかも、世界治安維持のためならば、憲法上考えられる場合もあるということを言っているのであります。ただ、問題は、今の自衛隊法におきましては、海外派兵を認めておりません。この問題は、具体的な場合でないと違憲の問題の判断はつかないと私は申し上げているのであります。」こうおっしゃっている。これは本会議の総理の御答弁でございますが、私がお尋ねをしたいのは、今の国連軍あるいはまた場合によっては名称を変えて国連警察軍というのが出動した場合、その目的その他によっては、自衛隊が一緒になって国連軍あるいは国連警察軍として出ることについて、今の憲法のもとにおいても個々の具体的な事例いかんによっては憲法違反ではない、こういうように総理大臣はお考えなのですか。その点一つお尋ねをしておきたい。
○池田(勇)国務大臣 私は、憲法論といたしましては、軍事目的でない、すなわち一国と一国との戦闘行為に参加するというんじゃなくて、ほんとうに国連というものがその機構が高度化すると申しまするか、ある特定の国の治安維持という純然たる警察目的の場合に、今の自衛隊法、それらは別といたしまして、憲法上できるかできぬかということにつきましては、私はできる場合もあると考えております。
○横路委員 それは総理大臣、今の国連憲章のもとにおいて、そうしてそれが国連軍、あるいは名称を変えて国連警察軍、こういう場合においては、個個の具体的な事例いかんによっては、その目的等によっては、自衛隊がいわゆる国連軍あるいは国連警察軍として出ることは憲法違反でない場合もある。こういうわけですか、その点明らかにしておいていただきたい。
○池田(勇)国務大臣 その通りでございます。
○横路委員 この点は、総理大臣、何か勘違いなすっておりませんか。私は総理大臣の御答弁を本会議でお聞きをいたしまして、それから速記で調べて、それから林法制局長官が本委員会で飛鳥田委員の質問に答えられたそのとき、私もお聞きをしておりましたし、今速記で読んでみた。そうすると、林法制局長官はこう言っているのです。「国際警察軍と申しましても、ほんとうの意味の警察軍的な色彩は薄いと思います。」これは中共の場合に出動した例を引いています。「しかも各国が自分の軍隊を動かしておるという格好でございます。こういうものは、私は日本の今の憲法上はできないと思います。」その次が問題です。「しかし、いわゆる国連の警察活動が理想的形態において、つまり国連の内部の秩序を乱したものを制裁する、あるいはその秩序を維持するという意味で警察部隊を作るという場合に、しかもそれが、何と申しますか、国連というものに統合しまして、各国の兵隊とか、あるいは各国の組織というものをそこで解消して、各国は人員だけ供出して一つの統合したものを作ってしまう、こういうことになりますと、実は九条の文言から見ますと、日本が主権国家として行動するわけでも何でもないわけです。そういう点においては憲法には直接当たってこない場合もある。それからまた、そういう警察軍が行動するのが、平和的な、いわゆる軍事行動をやらない警察軍もあり得るわけであります。」あなたは将来の国連における理想的な形態、しかもそれは日本が主権国家としての行動ではない。ただ、各国の兵隊とか、各国の組織というものを解消して、そうしてそこにただ人員だけを供出してやるんだ。そういう将来理想的な国連警察軍ができた場合においては、それは憲法第九条との関係において、必ずしも違反とはいえない場合もある。あなたはそう言ったわけです。あなたの答弁はそう言っている。私は、あなたの答弁について間違ってはいけませんから、それでわざわざここに速記を持ってきたわけです。その点はどうですか。
○林(修)政府委員 今横路委員が私の答弁をお読みになりましたが、実はそのほかの部分もあるわけでございます。それで、今お読みになりました点は、私まさにその通りに考えております。しかし現在の場合におきましても、いわゆる——これは前にもここでお答えしたことが私あると思いますが、たとえば国連の、いわゆる名称は国連軍と申しますか、国連警察軍と申しますか、あるいは国連緊急軍と申しますか、いろいろの名称はありますけれども、それが純然たる警察的、つまり国境監視とか、あるいは選挙の監視とか、そういうようなまあ国際問題に関連をいたしますが、一国の治安の確保というような観点から出てくれば、これはやはり九条二項の問題ではないんじゃないかと私は思っておるわけでございます。その点はお答えしたことがあるつもりでございます。 それからまた、国連の行動が、たとえば朝鮮事変の場合のように、各国が主権国家として自分の軍隊を動かす、もちろん国連軍の旗を持っておりますけれども、いわゆる連合軍のような形で動かしております。あの場合のことはちょっと日本の今の憲法ではできないだろうということは、今横路委員がお読み上げになった通りでございます。そのことも申し上げました。しかしたとえばレバノンの場合のように、各国が兵員を供出して一つの緊急軍というようなものを作っております。この場合には、その行動は、実は主権国家としての各国の行動はございません。国連の事務総長なら事務総長の指揮のもとに全部動いているわけでございます。そうして各国は、人員を供出したという責任はございますけれども、それ以上の行動については国連がまさに指揮している、そういう場合があるわけでございます。そういういろいろの目的とか、組織とか、これによって私は判断すべきものだ。この点は総理が仰せられたのと実は私は同じだと思う。将来の理想的形態のことは、これはそこで申し上げました通りで、これはおそらくいかなる学者も反対論のないところだと考えております。
○横路委員 今あなたは、私がお読みしたところのほかにもたくさん答えているから、そちらを読んでもらわなければならぬ、その通りだと思う。しかしあなたのこの間の飛鳥田委員に対する答弁の中心は、今私が読んで申し上げたところなんです。これは池田総理に私は申し上げたいのですが、私はやはり今池田総理並びに林法制局長官の、いわゆる国連軍あるいは国連警察軍、そういうものが治安目的のために出る場合において、それに自衛隊が協力して、国連軍、警察軍として出ることは、個々の具体的な事例のもとにおいては必ずしも憲法第九条の違反ではないという点は、私はこれは間違いであると思います。間違いである。これはなぜかといいますと、国連憲章に定められた国連軍なるものは、これに関する特別協定が成立しないで、まだ実現していない。実現していないわけです、総理大臣。だから今のは、変則的な国連軍や国連警察軍やいわゆる国連緊急軍と言ってもいいでしょう。そこで今林法制局長官が言っているのは、今の軍縮会議において、一つは西側の軍縮案、昨年の三月十八日にいわゆる西欧側の軍縮案として、軍縮の進行に伴って、国内治安維持のため、兵力を除いて一切の軍備が撤廃された世界において、他国の侵略行為を防止するための国際的手段を強化拡大をする。そのためには、武力侵略の禁止のための法規を定め、国際司法裁判所の強化、そしてそこで国連の警察軍を創設をする、となっているわけです。そこで初めて林法制局長官が言ったいわゆる日本が主権国家としての行動ではないのだ。あるいは国連というものに統合して、各国の軍隊とかあるいは各国の組織というものをそこに解消して、各国は人員だけを出したのだ、言うなれば、軍備は完全撤廃、国内の治安のためだけだ。そしてそのためには国連警察軍を創設をして、そしてそこにありますように、この国際司法裁判所を強化してやるのだ。そして各国の兵力というものは、治安のためだけですから、国連警察軍に反抗できないように削減をしてしまう。これがいわゆる西側の、西欧側の軍縮案の中における国連警察軍。それから同時に、東欧側、ソ連側の構想としても、国連憲章に従って平和と安全保障を守る措置を実施する、各国はその保持する警察隊から必要とされる分を国連安全保障理事会に提供する、これはいわゆる完全軍縮です。私は、総理の御答弁をお伺いをしていて、そこに言葉の概念上といいますが、大きな違いがあると思うのです。ですから将来、これから、たとえば国連憲章五十一条の、国連憲章としては特別な規定である日米の安全保障条約もそうですか、地域的な安全保障、こういうものもなくす、各国の軍備も大幅に撤廃して国際司法裁判所を強化する、国内治安のためだけのいわゆる警察にする、そして国連の警察軍を強化する。こういう場合においては、そのときは軍隊ではないのですから、そういう場合のことを総理がおっしゃったのかなと私は思って実は今お尋ねをしたところが、総理のお答えはそうではない。今の国連憲章のもとにおいても、名前は国連軍、国連警察軍と名乗れば、それだけでもって、その中に入り込んで海外に自衛隊が国連軍、警察軍として派兵される場合においても、それは憲法違反とは必ずしもいえない場合があるということは、今日はこの国連憲章に定められた国連軍というものに対しては、特別協定がまだ成立をしていない、ここに問題がある。それを私は総理は勘違いをなさっていらっしゃるのではないかと思う。この点は、私は総理は言葉が足らなかったと思いますが、この国会において、この予算委員会でも問題になり、本会議でも問題になったのですから、ぜひ一つ総理からこの機会に明確にしていただきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 今お話しのように、将来においてのことも私は含んで言っておるので、憲法第九条の解釈といたしましては、本会議で申し上げましたごとく、国連警察軍といいますか、国連警察隊と申しますか、ほんとうに治安あるいは選挙の監視、こういう平和目的、純然たる警察目的のために出るような場合があるときには、その組織、機能、目的等から考えて、私は憲法違反でない場合もあり得る。こういうことはいろいろな将来の場合を考えて言っているわけでございます。国連憲章五十一条の将来の問題の分だけしか出られないということは私は考えておりません。
○横路委員 ちょっと林さん待って下さい。あなたにもお尋ねをいたしますが、きょうは憲法の問題ですから、総理にしっかりとお尋ねをしておきたい。あなたに出ていただくときには遠慮なしに出ていただきますから。 そこで総理、あなたは今二つに分けて、今の場合もある、しかし総理の答弁の中には将来の問題もあったのだ。こういうふうに言いますけれども、先ほど私が申し上げましたように、国連憲章に定めた国連軍というものは、まだ特別協定ができていない、今のは変則なんだ。だから西欧側においても東欧側においても、いわゆる軍縮案というものを作って、いわゆる軍縮協定を完全にこしらえて、その中で完全に各国の兵力というものが削減されて、理想としては完全に撤廃をされて、国内の治安維持のためだけのものになる。そういう場合に、ただ人員を供出するということは、先ほど林法制局長官が言ったように、これは日本の主権国家としての行動ではないのだ。こういう場合は、あるいは憲法上の解釈としてはそういうこともあり得るかもしれない。もう完全に軍備はない。その場合には五十二条のいわゆる地域の集団安全保障という日米の安保条約その他は全部なくなる。ところが総理、その点はどういう場合に一体日本の自衛隊が今の国連軍、名前を変えた今の国連警察軍、そういうものの指揮下に参加をして出た場合に、それが憲法違反でないと言えますか。今は私は絶対に言えないと思う。将来のこういう問題、主権国家としての日本の行動ではない、軍備がなくなったのだ、地域的な安全保障もなくなったのだ、軍備が完全に撤廃されたのだ。そういう場合ならばこれはもっと議論の余地もございましょうが、今の国連軍、国連警察軍に協力をして出る場合に、憲法第九条によって自衛隊の海外出兵がやり得る場合もある、少なくともこういう総理の御答弁は私は間違いだと思うのです。この点どうですか。
○池田(勇)国務大臣 将来の理想的な場合のみ合憲だ、憲法に違反しないというお考えのようでございますが、私は今の場合におきましても——まあ今ということは近い将来か何か、国連警察隊というものが安保理事会の決議によって編成され、それが武力を用いるのでないという場合につきましては、その目的あるいは機能、組織等において憲法違反でない場合もあり得る、こういうことを申し上げておるのであります。
○横路委員 ちょっと待って下さい。林さんに必ず答弁してもらいますから、安心して待っていて下さい。 総理、しかし今国連軍、国連警察軍として行動する場合には、今の各国のそれぞれの軍備、それから今の国連憲章において特別協定がないので、やはり日本の自衛隊がその中に入って行動しているわけですね。この自衛隊が入って行動しているということは否定できないわけです。各国の軍備が全部なくなって、ただ人員だけ供出して、そうしてもともとそれがいわゆる治安確保だけのものである、こういうことであれば、性格が違うわけです。ですから私は今の国連憲章に特別協定がない、今の地域的な安全保障の体制、各国の軍備の体制、そういう点からいって、いかように解釈しようとも、今の国連軍、国連警察軍の傘下に自衛隊が入って行動することは、私は絶対にやはり憲法第九条の違反だと思う。総理どうですか。
○池田(勇)国務大臣 私はそう思いません。憲法第九条は国際紛争に武力を行使することを禁止しておるのであります。従いまして今現実の問題ではございませんが、国連警察隊というものが武力を用いるのでなしに、そうして国連の指揮下におきまして出ていくということがあった場合には、その時々においてその目的、機能等から考えて、絶対に憲法違反であるということは言えない。憲法違反でない場合もあり得る。ちょうどあなたが言われるように、将来理想的な格好で、軍隊もなくなったというような、そういう状態が今でも行なわれた場合におきましては、私は憲法違反ではないと思います。
○横路委員 総理、それは今の場合においては絶対にできないのです。なぜならば、各国は軍備を持っている。だから完全に軍縮案が行なわれて、各国の軍備が完全に撤廃されて、地域的な安全保障体制が——五十二条は特別規定だから、それがなくなって、そしていわゆる世界の治安維持のため、各国はそれぞれ国内のいわゆる警察程度、こういうものになってくると、それは軍ではないのです。私はこの点は率直に申し上げて総理の憲法解釈は絶対に誤りであると思うのです。私はこの点は明確に申し上げておきます。しかしきょうはこの問題だけやるわけではないのですから、これ以上申しませんが、私は誤りであるとこう思っております。 次に総理にお尋ねをしたいのですが、同じく憲法問題です。憲法の第九条において戦力の保持は禁止されている。戦力と自衛力とはどこが違うかその点についてまだ池田総理には一度もお尋ねしたことがございませんから、一つお答えをいただきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 憲法でわれわれが認めておるのは、自衛のために必要な実力と考えております。
○横路委員 それではその限度は戦力との違いはどこでしょう。戦力と自衛力とのその境というものはどこでしょう。
○池田(勇)国務大臣 憲法第九条が許しております自衛のために必要な実力ならば、これは私は戦力でないと考えます。
○横路委員 総理、それでは一体戦力と自衛力との限界というものがございますか。ここからここまでは戦力で、ここからここまでは自衛力だという、その限界というのはあるのですか、ないのですか。
○池田(勇)国務大臣 自衛のために必要な限度ということはございます。しかしそれが戦力との差じゃない。私は自衛のための実力という範囲であれば戦力じゃないと思います。
○横路委員 それでは自衛力というのは、日本だけがこれが自衛力の限度だというものではなくて、やはり各国との間に相対的なものですね。小銃だけでこれで自衛力が十分充足していると思う点もあるでしょう。機関銃だ、大砲だ、やがてそれは飛行機だ何だ、こうだんだんなってくる。ですから、そういう意味では今総理のおっしゃる自衛力の限界というものは、相手側との間に相対的なものなんだ、相対的に国が自衛されるというものなんだ、こういうふうに解釈していいですか。
○池田(勇)国務大臣 これは自衛でございますから、もちろん客観的の情勢も考えられますが、しかし、これが限度であるということはわれわれ自身がきめることでございます。
○横路委員 それでは、今の総理のお話で、自衛力というのはわれわれがきめるのだ、そうすると戦力とどう違うかということについては、そのときそのときの情勢で内閣自体がきめていくのだ。こういうことですから、相対的なものとして無限に発展をしていくわけですね。 次に総理にお尋ねをしますが、自衛隊は核武装ができるのですか、できないのですか。
○池田(勇)国務大臣 憲法論で言っておられるのですか、政治論ですか。——私は、政治論では核武装はいたさない。しかし、憲法で核武装してはいかぬとは言っておりません。自衛のためにあるいは核武装しても差しつかえない程度になるかもわかりませんが、私は、そういう憲法論でなしに、政治論として核武装はいたしません、こう言っておるのであります。
○横路委員 そうすると、今私から、自衛隊は核武装ができるかどうかとお尋ねしたら、あなたは、憲法上はこうなんだ、政治論としては自分はしない、こう言われるわけです。それならば私はお尋ねしたいのですが、それでは自衛隊の核武装は法理論としてはできるわけですね。その点どうなんですか。
○池田(勇)国務大臣 純粋な憲法論から申しますと、憲法には戦力を持ってはいけない、こう言っておるのであります。しかし、自衛力は認めておるのであります。だから、純然たる憲法論からいくならば、自衛の範囲内ならば、自衛力に必要な程度の核武装を憲法は積極的に禁止しておるわけではございません。しかし、私は、憲法論とは別に、われわれの置かれた立場として、自衛隊には核武装しない、こういうことを言っておるのであります。
○横路委員 総理にお尋ねしますが、そうすると、それは政治論として持たない、池田内閣の政策として持たない、しかし、一般的に法理論としては持てる、こういうことですね。その点一つ。
○池田(勇)国務大臣 これは自衛力の範囲内においてでないといけません。戦力になってはこれは憲法が禁止しておるのでございます。
○横路委員 それでは池田科学技術庁長官にお尋ねをしたいのですが、原子力基本法の第二条には「原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限り民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」とあるのです。原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限るのだ、こういうように原子力基本法では定めてあるわけです。私は、自衛隊が核兵器を持つことは、みずから進んで開発しようと、他の国からもらってこようと、それは原子力基本法の第二条の違反であると思う。この点はどうですか。
○池田(勇)国務大臣 今の御質問の要旨が、端っこの方にいてどうもよくわからなかったのですが……。
○横路委員 では、もう一度申し上げます。 原子力基本法の第二条に「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」云々となっているわけです。そこで自衛隊が核兵器を持つことは、小型の核兵器であろうと防御用の核兵器であろうと、それを持つこと、あるいは外国からもらってくること、それを保持すること等は、原子力基本法第二号の違反である、こういうように思うのですが……。あなたは原子力委員長でしょう。
○池田(正)国務大臣 それはその通りでございます。これは、私は原子力委員長としての立場から申しますと、その通りであります。
○林(修)政府委員 ただいまの点は、科学技術庁長官の言われる通りでございます。かつて私もお答えしたことがあると思いますが、平和の目的ということの解釈の問題になりますが、率直に言って、これは自衛隊がここで研究、開発をすることは、一種の軍事目的的な点がございますから、原子力基本法には私は抵触するのだろう、かように考えます。もし、将来憲法の範囲内でどうしても自衛隊がそういうことがあると仮定すれば、これは原子力基本法とも調整はしなくてはならない、かように考えるわけであります。
○横路委員 総理、今お聞きのように、これは原子力基本法の第二条の違反なんです。だから私が、先ほど法理論的にはどうなるのですかと聞いたのです。ところがあなたは、いわゆる政治的にはわれわれは持たないと言うのですが、原子力基本法では明確にこれは禁止されておる。特にこれは国会議員全部の議員立法でありまして、当時の速記録を調べてみますと、きょう出席している岡良一委員の質問に答えて、提案者である中曽根委員から「特に、防衛庁とかその他防衛関係を担当する部局において、その原子力の軍事的利用が行われないように、国会を通じまして厳重に監視する必要もあると思う」こういうように言っておるわけです。この点は、私は、西村防衛庁長官がこういう点を抜きにして、原子力基本法で明確にこれは禁止されておるのに、ただ、政治的には持たないのだ、池田内閣の政策としては持たないのだ、こういう原子力基本法に違反する言葉を先般も本分科会において答弁されておる。こういう点はまことに遺憾にたえないと思う。この点は明確にしてもらわなければならぬ。こういう点は、ただ政治的な問題として、政策的な問題として持てるというあいまいな態度ではなしに、明らかに原子力基本法でこれの研究、開発、保持は禁止されておるではありませんか。そういう点について池田内閣は少し——少しどころではなくて、法律を守ることについては非常に違反行為が多いのですよ。
○池田(勇)国務大臣 私は、今の憲法第九条の解釈を、憲法論を言っておるのでございます。しこうして、原子力に対しますところの法律ももちろん知っております。従って、政策的にはそういうものを持たないから、法律に書いておるのであります。憲法論としての私の考え方と何ら矛盾してはいない。
○西村国務大臣 私の分科会の発言をおっしゃっておられますが、私も、明らかに憲法論としては、純粋の理論からすれば、防御的な性格の核というものは絶対に禁止しておるわけではないと解釈をされるが、ただあの速記録をお調べいただくと、岡良一君の御質問にも、原子力基本法では明らかにこれは平和的な利用に限っておる。私は、実は原子力基本法の本会議の賛成演説をやった者でありますから、それはよく覚えておるわけであります。
○横路委員 これは原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、ここでも明確になっておるわけです。「「原子兵器」とは原子力を利用する装置で、その主たる目的が兵器、兵器の原型又は兵器の試験装置としての使用又はそれらの開発にあるものをいう。」これは絶対してはならぬ、こうなっておるのです。この点は、今総理から憲法問題でという御答弁がございましたが、私は、この問題は憲法と原子力基本法をひっくるめて法理論の立場においてはどうなのかとお尋ねをしたのです。この点は政策論議、政治論議として持ってもいいのだ、こういう解釈が行なわれて、逐次それが一歩一歩なしくずしにされてくる。そういう危険性があるから、私はそれを指摘したわけです。 次に、先ほど赤城さんの質問に答えて、ガリオア、エロアの返済についていろいろお話がございましたが、これから私は総理にお尋ねをしたいと思うのです。これは総理がサンフランシスコ会議に大蔵大臣としておいでになられたときもこの問題は出ている。それから先ほどお話がございましたように、二十八年十月の池田・ロバートソン会談においても出ている。しかし、それらのときには、こういうことだったと思うのです。各国との賠償問題が片づかないので、まず待ってもらいたい。各国との賠償問題が先なんだ、こういうことで待ってもらったと思う。いよいよ今度は、先ほど赤城さんの質問にもございましたが、総理は六月にアメリカにおいでになられてケネディ大統領との間に会談をなさるようであります。その場合に、もう各国との賠償問額は解決した、こういう立場でこの返済問題についてあなたの方から積極的にアメリカ側と交渉なさるのかどうか。前のサンフランシスコ会議、二十八年の池田・ロバートソン会談でも、各国との賠償問題が解決していないのだから、こういうことで延期をしてきたのだが、今度積極的にこの解決に乗り出したということは、各国との賠償問題が解決した、こういう立場でおやりになるのかどうか、その点をお尋ねしたい。
○池田(勇)国務大臣 サンフランシスコ講和会議のときに、このガリオア、エロアの問題が講和会議の問題になったのではありません。これは全然別個に、アメリカの国務省の人あるいは日本へ来ておったドッジ顧問と私的の意見交換をしたことはございます。講和会議で問題になったのではありません。それからガリオア、エロアの問題は、今お話しの通りに賠償問題もありますし、また日本の経済の実態からいっても、まだその問題を論議するのは早いというので、私は今までこの問題の交渉に入ることをなるべく先に延ばそうとしておったのでございます。しかるところ、ただいまの日本の状態から申しまして、もう独立後十年もたちますし、日本の経済も予想以上に伸びてきておりますから、この問題につきまして一つ自分の考えを固めるべき時期にきたのではないかと今検討をいたしておる状況でございます。
○横路委員 小坂外務大臣にお尋ねしますが、ビルマとの賠償の増額問題は一応めどがついているわけですか。このガリオア、エロアの返済問題とあわせて、さてビルマの賠償の増額問題というものが再燃して今交渉中のようですが、その点はどうなんですか、めどがついているわけですか。
○小坂国務大臣 御承知のように、ビルマとの間には賠償再検討条項がございまして、これに関連いたしまして現在先方と交渉しておる問題がございます。しかしこれは今後の交渉に待たねば、幾ばくのものに相なるか、われわれの方としては、ビルマの経済及び福祉に寄与するために無償で協力をしたいということを申し出ておりまして、先方もその方針についてはけっこうだと申しておりますが、幾ばくのものにするかということについては、今後の交渉に待たねばならぬ段階でございます。
○横路委員 総理にお尋ねをしたい次の点は、やはり一つの問題としては各国との賠償が片づいた、こういうこともあろうと思います。その場合に将来に残る大きな問題は、まだ平和条約が締結されていない中華人民共和国との間の賠償という問題については、どういうふうに政府の方としてはお考えになっていらっしゃるのか。現に中国大陸の人民には、昭和六年から昭和二十年まで十五年間にわたってあれだけ迷惑をかけている。幾百万の人が殺され、数限りない財宝が焼かれ、この被害はとてもはかり知れないと思うのですが、この点についてはどういうようにお考えになられているのかという政府の考えを、ぜひ一つ総理にお尋ねしておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、これは日本国民にとって重大なことと思います。ただ私の考えといたしましては、中華民国とわれわれは戦争をいたしました。しこうして中華民国は戦争被害による賠償を放棄してくれておる。こういうふうに私は思っております。
○横路委員 ガリオア、エロア援助物資についての資金返済問題は、やはり対中華人民共和国との平和条約の締結、そして中国側の人民が納得をして、こういう問題が根本的に解決をしてその上で総理は——あとでお尋ねをしますが、返済なら返済問題について交渉なさるのが正しい道ではないか。今総理から中華民国、台湾の国民政府との間に賠償権の放棄があった、なるほどあったわけです。しかしその区域は明らかに台湾及び澎湖島に限っている。そして今後入る領土についても、こうなっているけれども、現に支配しているところが台湾並びに澎湖島ではありませんか。そこでは何ら戦争の被害——もちろんそれは台湾の本島人の物資の徴発その他もございましたでしょうが、中国本土の被害問題についてははかり知れないものがあるわけです。そういう意味で、今国際的な情勢も緩和された、国の手持ちのドルも外貨もどんどん準備がふえてきた、各国との賠償問題も解決をした、だからこの際六月に総理がおいでになって、ケネディ大統領との会談の際にこれを一挙に、返済問題について額は別にしても、この問題について取りきめをしようということは、まだあの戦争の重大な問題、とりわけ昭和六年から二十年まで十五年間も戦争して、はかり知れない損害を与えた国、とりわけそこの人民に対する平和条約の締結ができていない。総理は問題の処理の本質を間違っていらっしゃると思うのです。この点はあなたがおいでになる前に、なぜ中国との間に積極的にこれらの問題等との関連で基本的に解決をしていく方針を打ち出していないのかということであります。その点についてはいろいろめんどうなことがあるでしょうけれども、やはりこの問題はそういう意味でとりわけまだ重要な問題が解決をしていないわけですから、それに対する総理としてのお考えを一つお聞かせいただきたい。重ねてお伺いいたします。
○池田(勇)国務大臣 私は、日本国政府といたしまして申し上げております。終戦直後中華民国蒋介石が暴に報ゆるに暴をもってしないという非常に寛大な気持で、賠償請求権を放棄しております。先ほど申し上げましたように中華民国と戦い、中華民国と平和条約、しこうして中華民国は賠償請求権を放棄した、この事実を守っていきたいと思います。
○横路委員 いや総理、そうおっしゃいますが、中華民国との平和条約が台湾並びに澎湖島の区域に限られている、区切られているから私はお尋ねをしておるのです。(発言する者あり)今不規則発言で払えとかなんとか言っているが、私が聞いているのは根本的に問題を解決するところが残っているのではないかと聞いている。問題をどういう処理の仕方をするかは別にして、その点を私はお尋ねしているのです。やはり総理の今のお答えの中には、対中華民国、これは明らかに台湾並びに澎湖島という領域がきまっているわけですから、問題は違うと私は思う。重ねてもう一度お尋ねします。
○池田(勇)国務大臣 私は、先ほど申し上げたことで足りると思います。私は今中国本土にある政権に賠償をしようという気持は現在のところ持っておりません。
○横路委員 私は総理のそういうお答えは、なかなか問題があると思うのですが、次に移ります。 岸内閣は、新安保条約の締結をめぐって辞職したわけです。そこで、私は総理にお尋ねをしたいのですが、当然これはケネディ大統領との会談の際に、対中華人民共和国の問題が出るわけです。その場合に、私は総理のこれに対する基本的な態度を一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、これは先般の安保特別委員会でもずいぶん議論をしたところですが、金門、馬祖は一体中共の領土なのか台湾国民政府の領土なのか、この点、向こうにおいでになると、やはり安保条約の適用範囲の問題ですから、これは一つはっきりお答弁を願いたい。
○池田(勇)国務大臣 なぜそういうことが議論になるのかと思いますが、しいて答えろとおっしゃれば、私はチャイナのものであると考えております。(笑声)
○横路委員 総理、私は今の問題は、対中華人民共和国との国交問題について、先ほど小坂外務大臣から前向きの姿勢でやる——前向きの姿勢でやると言われた以上は、やはり一歩前進するのが至当だと思う。そういう意味で今の問題は、私は総理のそういうお言葉というものは——現に中華人民共和国と中華民国とあるわけです。今あなたのおっしゃる、それはごっちゃにした抽象的なチャイナというものはないわけです。だから、あなたに聞いているのは、総理はやはり、これはここら辺で池田内閣も踏み切って、対中共との間の国交回復に少なくとも前向きの姿勢をとっていくとすれば、やはり一歩前進した形、半歩前進した形でもとるべきだと思う。そういう意味で私はお尋ねをしているのです。だから総理もそういう意味で、先ほど外務大臣から赤城さんに対しては前向きの姿勢でやる、こういうお話があったから私は聞いているわけです。こういう点については、総理は明快に一つ御答弁をいただきたい。
○池田(勇)国務大臣 私は、この問題をここで議論するということはいかがなものかと思います。従いまして、われわれは中国を一体と見ておるのでございます。横路さんは中国は二つの中国のようにお考えになるかもわかりませんが、私は中国というものを一つに今見ておるのでございます。そしてどちらの領土につくというのではなしにチャイナの領土であるということの考え方で私は言っておるのであります。あくまで前向きの方向でわれわれはいろいろ考えておるのでありますが、前向きで半歩出るか一歩出るかという結果は、今申し上げる段階に至っておりません。
○横路委員 この問題は、安保条約のときに議論をしたのです。私はそういう意味で、外務大臣から前向きの姿勢でとおっしゃるからお尋ねをしているので、これはイギリス政府が二月二十一日に金門、馬祖の島々が中共に属するとの見解を明らかにした。こういう点を外電は伝えておるわけです。だからそういう意味で、今総理から言われている、いわゆる二つの中国ではないといっても、現実に今は大陸を支配している。それから日本が平和条約を結んだ中華民国がある。そういう意味で、現にこの問題について議論になっているわけです。あなた御存じのように、ケネディとニクソンとの去年の大統領選挙で問題にしたじゃないですか、重要な課題として。この点もう一ぺん、少なくとも前向きの姿勢で前進するためからいけば、より一そう明確な態度であるべきだと思う。重ねてお尋ねしておきます。
○池田(勇)国務大臣 イギリスにおきまして今お話しのようなことが問題になったと聞いております。ただ私は、これは調べてみてくれ——金門、馬祖は本土かどうかという問題と、あるいは台湾政府の支配か、中共政府の支配かという問題、これをごっちゃにしてはいかぬ。この二つの島が、本土に属するものなりや、あるいは中共政府に属するものなりや、この二つに向かって断定を下したんじゃないと考えまして、これを調べるように外務省へお願いしておるのであります。(「結果は」と呼ぶ者あり)いや、結果はまだ出ておりません。ケネディ、ニクソンの金門、馬祖の選挙中の争いも、結果はどうでございましょう。結果は、こういう問題につきましてはありまり議論をしない方がいいということになったのでありまして、従いまして、私も御質問に対しましてはできるだけ誠意を持って答えたいと思いまするが、国際情勢から申しましても、わが国の立場から申しましても、今度私どもとしていろいろ前向きの姿勢をとる意味におきましても、なかなかやっかいな問題でありまするから、今お答えした以上にお答えができないことを遺憾に思います。
○横路委員 これは二月二十四日の日本経済新聞ですが、池田総理は、対中共との民間貿易を促進するために、中共で日本の産業見本市を開く構想を固めて、近く椎名通産大臣やジェトロなどに具体的な検討を命ずる考えである。こういうことをわれわれは新聞で承知したわけですが、この点は具体的にどういう運びになっておるのですか、こういう事実があるのかないのか、それに対する総理の御所見を一つ伺いたい。
○池田(勇)国務大臣 私は中共政府とできるだけ貿易をしたいという考えのもとに、いろいろ想を練ってみたのでございまするが、従来ありましてほとんど今睡眠状態になっておりまする日中輸出入組合の強化、あるいはジェトロ等を通じまして見本市の開催等を中共が承認してくれれば、そういうふうなことで進めていきたいと思っております。単なる私の構想でございまして、具体的な問題は、通産大臣、外務大臣等に一つお考えを願うことにいたしております。
○横路委員 次に、私はガリオア、エロアの問題について、先ほど赤城さんから御質問がございましたが、別の角度からお尋ねをしたいと思うわけです。大蔵大臣、これは先ほど私も聞いていてどうもよくわからぬのですが、二十一億ドルだ、二十億ドルだ、十九億ドルだ、一体幾らの援助物資をもらったわけですか。その点ははっきりしているのですか。金額ははっきりしているのですか、大蔵大臣にお尋ねしたい。
○水田国務大臣 先ほど申しましたように、二十四年の四月以後の金額ははっきりしております。それ以前の金額は、こちらでいろいろな資料から推定した金額でございまして、米国側の資料との突き合わせをやっておって、まだ確定しないということでございます。
○横路委員 総司令部が帰られるときに、正式に引き継ぎを終わったわけですか。二十四年三月前の分については、当時の内閣との間に引き継ぎが終わっているのですか、いろいろな資料その他について。どうなんですか。
○水田国務大臣 引き継ぎはございましても、普通の商業物資とこの援助物資との区分が当時からしてございませんでしたので、その区分についていろいろな推定を行なっておるわけであります。
○横路委員 大蔵大臣、今の御答弁で、二十四年前は、援助物資なのか、いわゆる一般の商業ベースに乗った貿易上のものなのか、その点はわからないわけですね。わからないわけでしょう。政府みずから何も資料がないわけでしょう。全然資料もない、どれだけの金額かもわからない、正式にこれこれのものですよと引き継ぎもしていない。そういうもので、二十四年三月以降は、なるほどあなたの方の御答弁で八億七千何万ドルというように答弁しているが、その以前のものは全然わからないということになるではありませんか。全然わからないものを、これから向こうに行って、向こうから出された資料で突き合わせをするといっても、何が突き合わせできますか。何ができますか、大蔵大臣。
○水田国務大臣 全然わからないことではございません。会計が一緒でございましたので、入超がどのくらいあるということはわかっております。この入超は本来なら決済しなければなりませんが、これは全部決済しないで済んでいるということでございますから、もしわからなくても日本は入超をどれだけ最後に決済してもらったかということははっきりしておりますし、この区分についてはいろいろな残された伝票やそのほかで今推定をやっておりますが、詳しいことは今通産省でやっておりますので通産相からお答えいたします。
○横路委員 いや大蔵大臣、これから通産大臣に聞きますよ。聞きますが、私はこの間大蔵省の関係者を呼んだのです。何か資料がありますかと言うと、何もないと言う。出しなさいと言ったら、出すことできませんと言う。どうして出せないんだと言ったら、何にもないんですと言う。私は資料要求をしたんですよ、委員部を通して。ところが委員部を通して資料要求したら、大蔵当局の者が私のところに来て出せないと言う。何にも資料がないと言う。まず大蔵省はないわけですね。ないでしょう。それを言って下さい、ないならないと。
○水田国務大臣 これはこの資料を大蔵省では持っていないということでございまして、資料は通産省にございます。
○横路委員 通産大臣一つ。通産大臣どうですか、資料がありますか。
○椎名国務大臣 二十四年の三月三十一日までの分については明確な結論が出ておらないのであります。それは今大蔵大臣から申し上げたように、それ以前の物資につきましては商業物資と援助物資と明確に区別しておらない。そういう関係で、駐留軍が撤収する際に遺留していった書類がございます。これに基づいていろいろ調査をしておるのでありますが、何分にも十数年前の事実でございますから、明確な結論がまだ出ておらない、そういう状況であります。
○横路委員 通産大臣、あなたの方の結論はいつになったら出るのですか。いいですか、二十九年の二月の六日に、予算委員会で河野一郎氏が質問をしている。これは、当時は吉田内閣、外務大臣は岡崎さん、大蔵大臣は小笠原さん。私はそのときも予算委員でございましたから、そのとき議論になりましたから、当時の会議録を私は正確に調べたのです。その結果、一体何と言っているのですか。いいですか、通産大臣、当時の小笠原大蔵大臣は、昭和二十九年の予算委で、この散逸した資料を集めるために私たちは今鋭意資料の調査中です、間もなくできるでしょう。こう言っている。二十九年ですよ。通産大臣こちらを見て下さい。二十九年、三十年、三十一、三十二、三十三、三十四、三十五、三十六、二十九年から八年間かかっている。いまだに資料ができないで、何で一体六月か七月に総理大臣がアメリカにおいでになられて、ケネディ大統領との間に会談をされて、この返済について話をするときに、一体資料が全然なくて、あなたまかせで、向こうの方の出された資料に基づいて、しかも正式の受け継ぎではなくて、向こうが倉庫かどっかにぶん投げていったそれをあなたの方で集めて整理をして、しかも整理はつかないじゃありませんか。この間私は、これも委員部を通じて正式にあなたの方に資料要求をした。私、ここに持ってます。どんなに計算したって数字が出てこない。あなたの方だって出るわけはない。二十九年から数えてもう八年たっているのに、いまだに資料の調査ができない。そうして一体これから、一般の商業ベースによるところのいわゆる輸出入の品目と、それから援助物資であるといわれているそれらの物資との間に全然調査ができなくて、何が幾らどれだけもらったかわからないで、これから一体交渉に行って、向こうから出された数字を見て、何の交渉をなさるんですか。通産大臣は正直でまことにいいんですけれども、資料がないということはないのだから。ないんでしょう。
○椎名国務大臣 資料はあるのです。資料はあるのですが、その資料に基づいて正確な結論がまだ出ない、こういう状況です。
○横路委員 それでは通産大臣にお尋ねしますが、私は正式に委員部を通じてあなたの方に資料要求したのに、資料は出ていないではありませんか。こうなっているじゃありませんか。あなた、正式のこれは予算委員全員に配付したのですよ。「米国からの援助資金の内訳について、別表「米国の対日援助額」の通りである。2、貿易資金特別会計当時の輸入実績について、昭和二十年から昭和二十三年までの間における輸出入実績は、別表「輸出入実績」のとおりである。」こういういろんなことが書いてあって、ここにはまとまった資料というものはないじゃありませんか、ありますか。この中ではあなたの方で一般の商業ベースによるところの輸出入はどれだけで、援助物資についてはどれだけかとないじゃありませんか。そこにないじゃありませんか。なくて何で一体交渉なさるのですか。
○椎名国務大臣 その遺留した書類の中から商業物資及び援助物資を大体綿密な調査をして正確な結論をつかみたいというので、今せっかくやっている最中なんであります。でありますから、資料はないことはない。ないことはないけれどもその整理が困難である。それからその資料につきまして正確な判断をするいろんな資料、判断資料、そういったものがまだ十分にそろっておりませんので、それで正確な結論が出ない、こういう状況であります。
○横路委員 通産大臣、一体貿易資金特別会計の中で、援助物資の輸入も一般物資の輸入も一緒に計上していた。だから、あなたの方でいう対米債務ということは取り上げることは不可能じゃありませんか。不可能なものをわざわざどういうように仕分けをしてこれだといってやるのですか。不可能じゃありませんか。できるわけがないじゃないですか。貿易資金特別会計というのは、そういう仕分けをしてないじゃないですか。どこにありますか、そういうものが仕分けをして。仕分けをしてないものを何で仕分けできるのです。何で仕分けができるのですか。あなたの方で債務と心得ているものは、一般の商業ベースに入ってきたものについて——出したものについてはそれは債務でないですよ。一体どうなんです、これは。これらの資料について出されない限り、私は正式に文書で要求したのだから、これは一体どうなんです。
○椎名国務大臣 不可能な問題ではございませんが、きわめて困難な仕事なんで、それをどういう工合に仕分けをしているかということについては当局から御説明申し上げます。
○横路委員 委員長待って下さい。通産大臣、不可能ではないが困難だ、八年たってできないものが、何でこれから二、三カ月でできますか。できないじゃないですか。一体これは何でやりますか。委員長こういう資料の出し方ってありますか。委員長みずからサインをして、委員部を通じて出したものに——これから重要な政治課題としては、池田総理が向こうへおいでになられて交渉する、世にこれは手ぶら八貫という。何もなくて向こうの言いなりで、そうでございますかというこんなやり方ってありますか。一体どうなんです、これは。
○椎名国務大臣 仕分けの方法につきましては係の方から御説明申し上げます。
○平岡説明員 御説明いたします。ただいまお話がございました通り昭和二十四年三月以前につきましては、貿易特別会計で、商業あるいは援助の資金別が貿易庁側にもわかっておりませんので、こちらサイドの資料では仕訳がございません。それ以前の分につきましてはこれはどうしてわかるかと申し上げますと、先ほどお話がございました通り、総司令部が引き揚げの際に残して参りました一これは引き継ぎではございませんので、残して参りました資料がございました。これは資料でございますが、いろいろ当時の輸入事情がわかる資料でございますので、これを参考にいたしまして、当時いろいろ調べたわけでございます。それを先ほどお話がございました通り、昭和二十九年に予算委員会で御説明がございまして、先ほど八年間というお話がございましたが、二十九年の予算委員会のときの結果といたしまして、翌三十年国会にその概要を通産省は提出いたしております。今回、今なお研究しているということを椎名大臣から御説明がございましたが、これはその当時はそういう作業をしておりますが、さらに今回対米交渉その他をするにつきましては、なお念には念を入れてあらゆる角度からこれを検討する必要があると思いまして、ぎりぎりまで研究するつもりでおりますので、先ほど大臣から御答弁がありました通り、今なお研究しておるという次第でございます。
○横路委員 通産大臣、これは今の答弁は納得できないのです。なぜならば、日本側の機関には輸入物資が援助物資なのか、商業輸入品なのか、正確に識別することができないで、ただ単に政府間の輸入物資として両者を同じ手続で取り扱っていたわけです。いいですか。ですから、そういう意味で全然区別ができないものを仕分けをしてやるという。しかもそれはこちら側にはないのです。それはアメリカ側の残していった統計資料にあるという。しかしそれとて正式の手続でお互いに引き渡しをして受け取ったものじゃない。ただいいかげんな計算というと言葉が過ぎるかもしれないが、ただその上で適当に仕分けをして向こうに交渉する。しかもその交渉によっていわゆる債権を確定するというような、そういうやり方で一体これはできますか。それならば通産大臣、あなたにお尋ねしますが、この問題については、あなたの方ではいわゆる商業輸入品という形でどれだけきたのか、援助物資とい形で二十四年三月まで幾らきたのか。何の資料に基づいて、それがお答えできるならここで一つ御答弁をいただきたいと思います。なんでしたら総理大臣からお答えになってもけっこうです。総理大臣の方が専門家ですから。
○池田(勇)国務大臣 事務当局が研究しておりますから、事務当局からお答えいたします。
○平岡説明員 ただいま申し上げたと存じますけれども、これを一々仕分けすると申しますのは、残しました資料と申しましても、これは単に統計ではございませんので、いろいろな関係の契約資料が残っておりますので、それを見まして、これが商業輸入である、これが援助輸入であるということをある程度まで類推し得ますので、それによって分類している次第でございます。
○横路委員 それではあなたにお尋ねしますが、沖繩には幾らいっているのですか。
○平岡説明員 いや、そういう点も含めまして、ただいますべて研究いたしておる次第でございます。
○横路委員 それでは小坂外務大臣にお尋ねしますが、これは二十九年の二月に岡崎外務大臣が答弁しているのです。沖繩にもいっております。私の方にも数字がございますと、こう言っているのです。沖繩には幾らいっているのですか。
○小坂国務大臣 沖繩には一億七千四百三十万ドルということになっております。 なお私から念のために申し上げますが、ただいまの御答弁で御理解願っておると思いますが、非常に国民の関心の深い問題でございますので、われわれは占領下にありまして受けた書類を、いわゆるスキャッピンと申しおりますが、それがどういう条件でなされておるかということを一つ一つについてしさいに検討しておるということでございます。長くかかっている点はそういう点をさらに掘り下げてやろうという努力の現われだと御理解願います。
○横路委員 通産大臣、この点は、貿易庁を設置することに総司令部が公認をしたのは一九四六年四月三日です。貿易庁が日本政府を代表する貿易業務専属機関である、専管機関である。その際に覚書の中でこういっているのですよ。「輸入せられたものは一切そのまま受領せられることを要し、連合軍最高司令官の承認を受けた場合のほか、貿易庁および日本政府は品質、数量、形態その他当該物品の取引に直接、間接に影響のある事項に関して何らのクレームをも主張し得ない。」こうなって、何がきたものか、品質がどんなものか、数量がどれだけあるものか、品物が違っているかどうか一切言えないことになっているのですよ。一九四六年四月三日の貿易庁を連合軍司令部が承認したときの覚書にそうなっているじゃありませんか。だから、言うならば、そこにきて受け取ったものはどんな品物であるか、数量はどれだけであるか、そういうものは全然わからないのです。おまけに通産大臣、これは価格がわからないのですよ。アメリカ側から何ぼの価格できたかということは、この中に入りますか。貿易資金特別会計には入らぬじゃありませんか。こういうことで、このガリオア、エロアについてこれだけもらったんだとか、金額はこれだとかいうことが言えますか。この覚書にちゃんとあるじゃありませんか。しかも金額については、何らこれは載ってないじゃありませんか。向こうから幾らできたかということの金額は、この貿易資金特別会計には載りますか、載らないじゃありませんか。載らないものを何で仕分けできるのです。しかも数量、品目その他一切については何ら苦情を申してはならぬ。お前の方は黙って受け取りなさい。たとえば砂糖が石ころであっても文句が言えない。まあ極端に言えばそうなっている。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そうなっている。そうでなければ通産大臣答弁してごらん。一九四六年四月三日の許可したときの覚書にそうなっているんだから。
○池田(勇)国務大臣 ガリオア、エロア等、これはアメリカの予算では四項目になっております。そして向こうの国会で承認を受け、向こうの会計手続で物を買って送っておるのであります。その送ったものにつきまして、一般物資との関係もございますので、運賃その他いろいろな点でなかなか仕分けがむずかしいのでございます。私はこういう状態ではよくないというので、昭和二十四年大蔵大臣を引き受けましたときに、これからはガリオア、エロアできたものは、全部区別して、そうしてその売払代金を対日援助見返資金特別会計へ入れて、向こうの援助をはっきりしなければいかぬという考え方のもとに、昭和二十四年からやってきたのであります。しこうして今二十億とか二十一億ドルとかいうのは向こうの予算に計上された金額でございます。しかしそのうちからいろいろな沖繩の問題もございますし、あるいは日本が、これはアメリカからきたものに限りませんけれども、日本のものを軍の関係で朝鮮へ送った、こういうふうな差引計算をしなければなりません。そうして向こうの予算書によりまして買い上げたものをガリオア、エロアの分とほかの分と区別するとなかなか厄介な問題があるのであります。これは調べれば調べるほどなかなかむずかしい問題です。そうして途中である程度の結論は出ております。私は昭和三十二年に大蔵大臣になったときも、あれはどの程度固まったか、今でも固まったともいえるし、まだ調べるものもある、こういうふうな状態でございますから、そこで問題が起こってくるのであります。アメリカは援助したというけれども、われわれの知り得るものは昭和二十四年の対日援助見返資金特別会計からは、この池田ははっきりしておりますが、その前のものはなかなかはっきりいたしません。だがしかし一応の額は国民に納得してもらう上からいきましても、ある程度の正確さをもって交渉しなければなりません。しこうしてこちらがこういうふうにやっておるけれども、向こうはどう言うかという問題もあります。まだ外交交渉は正式にはしておりませんが、そういう問題を今ここで資料の要求があったからすぐ出すということもいかがなものかと思います。私はこの問題は重大でございますから、もしいよいよ交渉に入るということになれば、自分ではっきりその内容を見ましてから入りたいと思います。
○横路委員 今総理大臣の御答弁でほんとうにはっきりした。二十四年四月以降のことは、私は知っています。しかし二十四年三月以前のことは知りませんということがはっきりしたわけです。二十四年三月以前のことは知りません、知らないものを何で向こうと交渉できるのですか。しかも先ほど私が通産大臣に指摘したように、この一九四六年四月三日の貿易庁の設置が認可になったときの向こうの覚書は、今言ったように、品目、数量その他について一切お前の方は苦情を言ってはならぬ。必ずしも合っていないのです。何がなんだかわからない。おまけに区別ができない。金額については載っていないのです。いいですか。そこで総理大臣それならお尋ねしますが、この二十九年二月の衆議院予算委員会における河野一郎氏と吉田総理の答弁をみますと、吉田総理はこう言っている。金額、数量がはっきりしないものは、そんなものは払わない、こう言っているのです。そこで河野一郎氏はわかりました。二十四年三月以前のものは払わないのですね、こう言って終わっている。池田総理もやはりそのようにお考えなんですね。二十四年三月前は知らないのだから……。
○池田(勇)国務大臣 そういうふうにお取りになっては困るのです。私は知らぬと言っちゃおりません。この分はアメリカの予算に載っておるので、大体二十億前後となっております。項目が四つに分かれております。もちろんガリオアが一番多い。そこでアメリカと日本との信頼の観念ですが、池田が帳面を見ないからおれは知らぬのだというふうに考えるべきじゃございますまい。向こうからこれだけの予算を作ってこれだけやったのだといえば、僕はアメリカを信用いたします。何も石ころを砂糖だと持ってくるようなことはしない国民であるということは私知っております。しかし先ほど申し上げましたように、貿易会計で貿易庁を置いておりまするが、その仕分け、評価につきましては、お話の通り、二つに出ておりますので、自分らは十分タッチしておらないのだ。従いましてそのタッチしていない場合のときの分は、これは十分両者検討して、両者で一応の納得のいく額を出さなければいかぬ。払う払わないは別問題です。額は両者の間で折衝していくのが、これが外交交渉だと私は考えておるのであります。全然責任は負わぬとか、知らぬとかいう問題ではございません。私はアメリカの予算書を相当信用しております。ただそのうちで控除すべものかどうか、あるいは一般取引との関係をどういうふうに区別しなければならぬかということを検討しておるのでありまして、知らぬといって責任を持たぬという意味じゃございません。
○横路委員 総理この点はドッジ氏がアメリカの第八十一国会の下院歳出委員会で一九五〇年ですが、それに提出したステートメントの中でこういうように言っておられます。対日援助の主要な援助物資であった食糧と綿花は、いずれも過剰物資であり、商品金融会社によってすでに買い上げられているが、これは現行方法によって買わなければならないものである。その限りではこれは現在も将来も政府支出の増加を意味しない。対日援助計画の実質はこのように主として過剰物質であることを十分考慮すべきである。一九五一年度に日本向けの経済援助物資二億七千百万ドルのうちの八七%は、アメリカの過剰物資の購入を輸送に充てられているのであると、こう言っているのです。この点はアメリカとしては過剰物資なんだ、アメリカは買い上げているんだ、だから君たちの言うように日本に援助だ援助だと言っても、そうじゃないんだ、あなたが先ほどおっしゃったドッジ氏は一九五〇年のアメリカの第八十一国会の下院歳出委員会でこういうステートメントを出されているわけです。過剰物資だ、この点は池田総理もそうお思いになりますか。
○池田(勇)国務大臣 アメリカでドッジ氏がそういうことを言われたことを聞き及んでおりまするが、われわれはのどから手が出るほどほしい品物であったことは事実でございます。
○横路委員 それでは総理にお尋ねしますが、昭和二十二年七月の八日、衆議院本会議において食糧放出に関し連合軍最高司令官に対する感謝決議案、総理、世間一般の放出という観念は、困っている人に食糧を与えるんです。お米の入っている倉をあけて、どうぞあなたたちお上がり下さい、といってやるのが放出なんです。日本における放出という言葉の定義はそうなんですよ。だから昭和二十二年七月八日の食糧放出に関し連合軍最高司令官に対する感謝決議というのは、当時これに参加した国会議員の諸君は、食糧はただでいただいたんだ、こういって感謝したんです。(「そうじゃないよ。」と呼ぶ者あり)放出というのはそうですよ。放出という感謝決議を上げたときのそれはそうです。この点はどうです、総理。
○池田(勇)国務大臣 私は二十二年は国会議員でございませんでしたからその当時のあれは知りませんが、役人としておりましたときに、その感謝決議があったからといって日本の債務にならないのだというふうには私は解釈いたさなかったのであります。私はさいぜんから申し上げておりますごとく、これは今は債務ではございませんが、債務と心得ておりますということは、ずっと前から私大蔵大臣としての意見として申し上げておったのであります。
○横路委員 これはなるほど総理も国会においでになっていないし私も出ておりません。しかし食糧放出に関する決議——放出というのはそういう意味なんです。 次に通産大臣にお尋ねしますが、これは一体十三億ドルとも言うし、十一億ドルとも言うし、十二億ドルとも言うしはっきりしないが、このアメリカからきた日本に対する援助物資の金は一円もなくなっている。なるほど二十四年四月以降のこの見返資金特別会計の分ははっきりしている。しかしそれ以前は一つどこへ消えてしまったのか、これは極端に言えば一銭もなくなっている。これはどういうことなんですか。この点は通産大臣。
○池田(勇)国務大臣 御承知の通り昭和二十年敗戦後、各歴代内閣で物価安定帯、いわゆる新物価体系あるいは片山内閣、芦田内閣の新々物価体系、物価はきめましたけれども、実際の状況がそれに合いません。従いまして一般の輸入物資と、ガリオア、エロアできた物資の払い下げ代、これがどこへいったかわからぬというのは今お話の通りであります。しかし私はこう想像しております。事実こういうふうに使った。あのころ、たとえば日本で二百七十円の綿布をアメリカへ持っていくと一ドルになります。生糸の四百二十円をアメリカに持っていって一ドルになる。薬品その他は六百数十円で一ドルになります。複数為替レートというところまでもいっていない。そういうふうな輸出に対しての差損の問題、それからまた、向こうから物を持ってきましても、石炭六、七千円のものを三千六百円で工場へ売る、その差損におおむね使われたのが事実でございます。従いまして、昭和二十四年に対日援助見返資金というものを置きまして、そして今までの援助物資を国内で売り払った金は全部見返資金へ入れることにした。そうすれば、買ってきたものを安く売るための価格補給金というものはどれだけ要ったかと申しますと、昭和二十四年の当初予算には二千二十億円の価格補給金を組まざるを得なかった。決算は二千二十億円要りませんでしたが、私が初めて作った予算には、二千二十億円の価格補助金というものを一般会計に組んで、そうして今までの援助資金等のものを積み上げた非常措置をとったのでございます。だからその金はどこへ行ったかといわれれば、輸出補助金、輸入補助金に使われておったのであります。ただこういうことをやっておってはいけないというので改めたのでございます。
○横路委員 今の貿易資金特別会計は、総理大臣のお話しの通りだと私も思うのです。そうするとこういうことになるわけです。これは運賃その他詳細な資料を私も集めたのですが、運賃は高い。アメリカから中間の利潤は非常に取られている。そうして日本の国内に高く売りつけられている。高く売りつけられているが、今お話しのように、実際には米価については低く押えなければならない、労働者の賃金については低く押えなければならぬというので、これは国内には安く払っておる。しかし、アメリカのそれぞれの業者は、それは当時の運賃その他諸掛りというので不当に高くなっている。それから今あなたがおっしゃったように、輸出振興のために国内における製品の買い上げは、正当な価格でやっている。今度はアメリカ側に売るときには安く売ってやった。だからその差は今あなたがお話しのように、輸出補給金で払った。だから輸出補給金で払い、輸入補給金で払ったその金額は、全部どこに行っているかといえば、それはあげてアメリカの業者に対する利潤じゃありませんか。だからそういう意味で、私が総理に申し上げておきたいところはこういう当時の価格です。しかもあなたの今のお話しのように、輸入の価格差補給金、これは明らかにアメリカの業者に対しての不当な利潤の支払いだと私は思う。だから、そういう意味で、これはどこからどう見たところで、総理大臣、あなたがこれから行って交渉なさるときに、仕分けをして、ようございます。これはなるほどあなたの方の援助物資です、それじゃお払いしましょうということはどこからだって出てこないじゃありませんか。私はそう思います。総理大臣どうですか。
○池田(勇)国務大臣 少しものを極端にお考えになっている。その差額の分を全部アメリカの利潤とお考えになるのは、私は適当ではないと考えます。適当ではございません。これは向こうが貪欲でむちゃなことをする国民なら別でございまするが、進駐軍もこっちにおることでございます。適正な利潤、運賃は払ったのでございます。しかし、その大部分というものは、国内へ非常に安い価格で売った金であると思っておるのであります。そこで言葉が足らぬといわれてはなんでございますが、昭和二十三年以前におきましても、ある程度の価格補給金は出しております。しかし昭和二十四年程度にはいっていないのでございます。私は、全部アメリカの利潤であるというふうにお考えになることは、少し経済的理論を離れておるのじゃないかと思います。
○横路委員 総理、あなたのお話は、二十四年四月以降については輸入補給金で払った。私は、そのあなたのお話しの二十四年三月前のものは今日一円も残ってないのだから、その点はどうなのかというお尋ねをあなたにしたのですけれども、総理から価格補給金についてのお話しがあったから、私は、二十四年三月前は輸出についても輸入についても行なったんだから、その御答弁かと思ったのです。しかし、今資料に基づいて、たとえばアメリカから来る綿花ですが、戦前の運賃はトン当たり八ドル、これが戦後三十八ドルで来ているのですよ。鉄くずについては、戦前はトン当たり六ドル、これが運賃が三十ドルで来ているのです。今度は生糸などは、戦前の運賃は、日本からアメリカに行くものは八ドルでございましたけれども、これが五十一ドルの運賃です。絹製品に関しては、六ドルの運賃が六十六ドルの運賃になっているのです。私が今あなたに申し上げているのは、これは二十四年三月にしてもしかり、二十四年三月以前の資料を私は出した、こういう状態なんですよ。こういう状態ですが、今あなたは、なるほど当時はアメリカの進駐軍がおった、国内の秩序も保たれていた、だからそういう不当なことはなかっただろうと言うけれども、現に統計上の資料としてはきちっとしているじゃありませんか。これだけべらぼうに高い運賃を払った。これは運賃だけですよ。その他の諸掛り等にすれば、私はここに資料を持っていますが、これは何と考えてもべらぼうに高いものだ。だから私が言ったように、なるほど貿易資金特別会計は、向こうから来るものについては輸入の補給金、そうでしょう、そんな高い運賃で入ってきて買えるわけはないから、国内には安く売る、その差額じゃありませんか。ですから、そういう意味で、二十四年三月前は、どう考えたってこれは一円も残らないわけですよ。だから、吉田総理が二十九年の二月の予算委員会で、河野一郎氏に、なるほどそんなものは払えないだろうと率直にお話しなすったのも、そういういろいろな経緯があろうと思う。これでもなお池田総理は、二十四年三月以前のものについては通産省に命じて仕分けをして、そうしていかがでございますかと、こうやってやるのですか。この点はどうなんですか。
○池田(勇)国務大臣 運賃価格の問題と、そうして日本が終戦後生活に困り、産業復興に困ったときの食糧その他の物資をくれた問題と、これは別個の問題でございます。それは運賃でございますから、一時高いときも安いときもありましょう。 それから、一文も残らなかったというのでございますが、これは一文も残らなかったのじゃない。貿易特別会計から外為特別会計へ入れた金額は、多分七百億ぐらいあったと思います。これは正確な数字ではない。私の記憶がちょっと間違っておるかもわかりませんが、貿易特別会計から外為特別会計へ入れた金が六、七百億円と私は考えている。この貿易特別会計の六、七百億円の分は一般会計からある程度入れておりまするが、その相当部分は向こうから送ってきたガリオア、エロアの品物等の売り残り代金、売り残ったものを換価した代金もこれに入っておるのでございます。貿易特別会計に残ったものにつきましては、すなわち昭和二十四年以前のものについて一文もなかったということは事実に反するのでございます。
○横路委員 総理はそうおっしゃいますが、今私のところにある貿易資金特別会計の収支についてという資料、この私の資料に間違いがなければ、二十二年の九月から二十四年三月までのものについて、受け入れ、それから支出その他がちょんちょんになっておりますよ。そうして特に受け入れについては、日銀からの借入金が二百五十億円も入っていることは総理も御承知だと思います。これはちょんちょんになっていますよ。差引勘定は残っていないですよ。
○池田(勇)国務大臣 それは、貿易特別会計のしまいの切りはちょんちょんになっているが、それ前にこれは外為特別会計へ繰り入れておると私は記憶をしております。
○横路委員 それでは、今総理がお答えのように、私が今申し上げた貿易資金特別会計の収支についてはちょんちょんだということについては、あなたは今それをお認めになったわけです。さてそうすると、どう考えてもわからないのは、二十四年三年までのものについては一体どういうようになさるというのですか。これからあなたが六月においでになって——今まで八年間もやってみて、できなかったのですよ。八年間できないのではないのです。二十七年以来ですから、かれこれ十年やってできないものを、しかもこの間私が国会で委員部を通して要求してできないものを、これから三月かそこらでできるわけですか。通産大臣、どうですか、これは。
○池田(勇)国務大臣 今の、ちょんちょんになったから一文も残らぬというのは、これは誤解があってはいけませんが、貿易会計から外為会計へ入れましたから、しりはちょんちょんになっている。一文も残らぬというのとは違いますから、その点はあとから調べても申し上げますが、そういう考え方でございます。 それから八年もたっている、ちっとできぬじゃないか、こうおっしゃいますが、それはやみくもに向こうと交渉する気持はございません。先ほど申し上げましたように、できるだけ向こうの予算、そうして今までの資料等々を十分検討いたしまして、少なくとも交渉の段階に入る場合におきましては、一応の目安はつけていく考えでおります。
○横路委員 それでは次に、総理が非常に自信を持っていらっしゃるところの二十四年四月以降のことについてちょっとお尋ねをしたい。先ほど総理から赤城さんに対する御答弁の中にもございましたが、この池田・ロバートソン会談で池田さんと一緒においでになられた富澤さんの著書を、私も国会図書館から持ってきた。それは「東京・ワシントンの密談」というので、その中に詳細に書いてあるわけです。そこで私がそれを読んでみましたところが、支払総額七億五千万ドル、年利は二分五厘、三十五年の均等償還、こういうように一九五三年の十月の二十一日ですか、十月か十一月ですかに出されている。この中にこういうことが書いてある。それは昭和二十六年の九月の三日にあなたが大蔵大臣としてサンフランシスコ会議においでになられたときに、ドッジ氏と先ほどお話のようにいろいろ懇談をした。終わってきたときに、宮澤さんにあなたは、おれがドッジ氏に話をしたその通りの方法で、西ドイツはアメリカに対していわゆる債権が確定した、こういうことを言われている。こういうわけです。この総額の三分の一にして、年利二分五厘、三十五年の均等償還というのは、これはあなたのお考えですか。宮澤さんはばかにあなたをほめて、ドッジ氏に話したのがそうなっている、こういうのです。
○池田(勇)国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、昭和二十六年、一九五一年、ワシントンへ参りました。私は大蔵大臣でございましたが、別にこのワシントンの講和条約にこういうものが出てくることはございません。しかし自分といたしましては、この問題は将来重要な問題であるから、一つ研究をしておく必要があるというので検討をいたしたのでございます。当時の記憶は大体はっきりしておるつもりでございますが、昭和二十四年対日援助見返資金の方から大体残っておると思われる金が二千数百億円、まあ六、七億ドルというところでございます。これを開発銀行は当時七分五厘で貸し出ししております。そこで私は、もし将来万一払うという場合におきましては、二分五厘で三十五年、五年据置三十年で元本を払う。利子二分五厘ならば、この援助資金というものは開発銀行その他に置いておいて、その利子の差だけで払える、こう私は見通しを持ったわけであります。いろいろな話のときに、私的に、将来この程度ならなんだけれども、二十億ドルとか、とんでもないことだというような考え方で自分の試案というものを、何と申しますか、払うということはきめてはおりませんが、ドッジという人にその案を見せたところが、こうやれば国民から別にとらなくても、その利子の差だけで払えるか、ということをドッジ氏が言ったことは覚えております。 それからロバートソン会談のときに、ロバートソンは私に、君はなかなかいい案を持っているじゃないか、ドイツとのあれは大体君の案のような格好でいっているのだから、君はあの案で払ったらどうだ、こう言うから、いや、それはいかぬ、まだまだ日本はそこまでいっていない、それが実情であります。宮澤君の本は、私は読んでおりませんからどう書いてあるか知りませんが、実情はそうであります。
○横路委員 この二十四年の四月以降の対日援助見返資金特別会計ですね、この点について私は総理にお尋ねをしたいのですが、一九四八年のアメリカの経済協力法第百十五条の第六項の第六号です。「本法に基づいて物資、役務を贈与として提供した場合には、その物資や役務に相当する金額を、援助を受ける国の通貨をもってその国と米国政府との間に協定した条件により特別勘定として預金すること。」こう定められております。ですから、対日援助見返資金特別会計が設定されたそのときの、一九四八年のこれはアメリカの経済協力法第百十五条では、今のように贈与の分に関してのみは、それは一つ特別勘定でやりなさいよ。しかし供与のものについては、それは必要ないのです、こうなっている。西ヨーロッパのいわゆるマーシャル・プランは全部そうなっているわけです。だからこれは当然対日援助見返資金特別会計という特別勘定で積み立てたという点からいけば——アメリカの経済協力法の第百十五条の第六項の第六号からすれば、これは贈与です。贈与なればこそ特別勘定としたので、供与のものを特別勘定としてやるということは、これは一切西欧側にはないのです。一切あげてアメリカがこの資金の貸付その他について百パーセント権限を行使した。そういう点からいって、昭和二十四年四月以降の対日援助見返資金特別会計も、そういう意味ではアメリカ側としては、これは贈与である。だから特別勘定をしなさい、こういうことでやったわけです。だからそのとき、総理はきっと大蔵大臣に総選挙後なられたわけで、よろしゅうございますというわけで特別勘定にしたわけだ。それを今さらこれは供与なんだ、返しなさい。こういうことはふに落ちないではありませんか。
○池田(勇)国務大臣 私はその規定を今十分記憶しておりませんが、見返資金特別会計を設けるゆえんのものは、今までのようなやり方ではいかないというのでやったわけでございます。なお日本に対するガリオア、エロアが贈与でくれたものであるかどうかにつきましては、アメリカの国会におきましても、またマッカーサー司令官が国会に出しました報告書にも載っておりますので、外務大臣からお答えをいたします。
○小坂国務大臣 ただいま総理のお話に関連して申し上げますが、この問題につきましては横路さん御承知のように、昭和二十九年数回交渉を持ったことがございます。そのときにアメリカ側といたしましては、こういうことを申して参りました。これはやはり返済を要求する意図を当初から持っていたということを言って参りました。その根拠を示す材料といたしまして、一九四五年九月二十二日、降伏後における米国の初期の対日方針、それから同年十一月一日付の日本占領及び管理のための連合国最高司令官に対する降伏後における初期の基本的指令、一九四七年六月十九日付の極東委員会決定、降伏後の対日基本政策及び米国政府関係者の議会における証言というようなものを資料として出して参ったのであります。これを贈与と見るか、あるいは返済を要すべきものと見るかということについて、われわれの意向だけでも参りませんわけでございまして、やはり先方の意向というものが一つの大きな要素になるわけであります。その考え方からいろいろ折衝いたしまして、先ほどから御答弁いたしておりますように、われわれは当時の資料というものを、何としても二十四年前の資料をよく見る必要があるということで、それを精細に調査いたしておりますが、その中の相当部分のものにつきましては、しかじかの物資を援助する。しかしこれが返済の方法については後日協議をするということが明瞭に書いてあるものもございまして、そうしたものがありますると、やはりこれはその点に基づきまして、われわれの意向も明らかにしつつ先方と折衝する必要がある金額の確定をする場合には、われわれの意向も十分反映させなければなりませんが、いずれにしてもこれはただでは済まないと考えざるを得ないのでございます。
○横路委員 次に大蔵大臣にお尋ねしますが、これは先般の分科会における河野委員の質問に対するあなたの答弁、先ほど赤城さんの質問に対するあなたの答弁、これは二十四年四月以降は、今私が申し上げたようにわれわれの立場からすれば、先ほども申し上げた経済協力法第百十五条六項第六号で特別勘定に積み立てたのは贈与だからです。援助であると思っているものを特別勘定に積み立てておいて百パーセント司令部の認可がなければやれなかったということは、日本だけです。そういう点ではまことにわれわれとしては、これは援助、贈与であると思うのですが、さて大蔵大臣、お尋ねしたい点は、先ほどあなたから答弁しているように、二十四年四月以降のものについては国民は払ったわけですね。また先ほど総理からお話しのように輸入補給金として一般会計から入れている。国民は払ったわけです。そこで、先ほどあなたの答弁のように、この点についてはあなたの方では、まず私企業に関しては一つ措置をする、あるいは公企業その他国債償還に充てた分については別途措置をする。どうもその点、この前河野委員に対するお答えだけでは私どもわかりませんし、また先ほど赤城さんの質問に対する答弁でもわかりませんので、一つここであなたの考えについてはっきりと御答弁をいただきたい。
○水田国務大臣 私が言いましたことは、まだこの支払い方法というようなものについて、政府が検討する段階には来ていないのだ、ですからまだそういう問題の検討はしておりません。ただ、もし支払いをする場合にはどうするんだ、国民に一ぺん代金を支払わせたものをまた税金で払った、二重払いというような意味の疑いを起こさせるような払い方をするかどうかということでございましたから、私の考え方としてはこうだということを申したわけでございます。午前中に申しましたように、使途はいろいろになっております。だからそういうところを考えて、全体として妥当な措置を今後は考えるということを言ったわけでございます。 今総理のお話を聞きますというと、貸付によって運用利益が出るという場合には、利子の差額も払う一つの能力であるというふうなお話がございましたが、問題はまだどれだけの額を何年間にわたってどういう条件で支払うなんということが両国の政府できまっておるわけではございません。これはかりに三十年ということでしたら、一年の支払い額というものは非常に少なくなります。そういう額のにらみ合わせも、当然支払いの措置を考えるときには考えなければならないことでございまして、まだ今のところそういう問題の検討に入っておりません。筋としては国民が十分納得のいくやり方をするんだ、したいんだということを申しただけでございます。
○横路委員 そうすると大蔵大臣、おとといの河野さんに答弁して、あなたが、またきのうですか新聞に談話が出ていましたが、返済にあたっては国民が二重払いになるようなことは避けたい、これは間違いないですね。この点ははっきりしておいてもらわないといけない額やその他を聞いているのではないのです。
○水田国務大臣 国民は支払いをしているかもしれません。しかし支払いをしているという事実がありましても、その金がどこに使われているかという場合に、国の債務の償還をしたというような場合には、たとえば国は一般会計で払うということをやっても、国民に二重払いをさせたというようなことにはすぐにはなりませんし、私企業に貸し付けておるというようなものは、これは回収したものを充てるということも筋が立つということでございまして、要するに国が国のために使ったというものは国民の責任でありますので、その点は使途別の性格を十分に私どもは検討して考えたいということでございます。
○横路委員 じゃ大蔵大臣、あなたの答弁は分科会における河野さんに対するあなたの答弁と違うじゃありませんか。あなたはここで何と言っているのです。原則として国民が二重払いになるような支払い方法は避けたい、とこう言っているじゃありませんか。避けたいということが、あなたはだんだん言葉がおかしくなって、国民は払ったかもしれない、こういうことを言っている。国民は払い、一般会計から輸入補給金を出したことは明らかじゃありませんか。この点を訂正なさるのですか、どうなんですか。
○水田国務大臣 国民が支払ったものであるから、いわゆる世間でいう二重払いというような非難のないようなことにしたい、そういう非難を避けたいということでございます。内容は、これは検討すればいろいろあると思います。国が国の目的のために使ったものもございますし、国直接は使わないが公企業のために出資してやったというものもございますし、また私企業に貸付になっているというものもございますので、これはそれぞれにその性質を十分検討して、そういう二重払いと言われるような非難のないような方法でやりたいということでございます。
○横路委員 それでは一般会計からは支出をしないということですね。その点だけはっきりしておいてもらいたい。
○水田国務大臣 これは国が国のために使用しているという限りにおいては、一般会計で払っても決して差しつかえないという部面も当然出てくると思います。
○横路委員 大蔵大臣、それがあなたの言う二重払いになるんです。一般会計から持ち出すということは二重払いです。それをわざわざあなたが、国民の支払ったものに対しては国民に対して二重払いにならないようにするということは、一般会計からの支払いをしないということだ。その点はどうなんですか。その点を今になってあなたはだんだん——きょうはいないけれども大平官房長官から政府の統一見解でないとかなんとか言われて、だんだん後退しているじゃありませんか。その点はどうですか。
○水田国務大臣 少しも後退しておりません。そういう趣旨のことをこの間から申し上げて、この使途の性質も十分検討した上でと言っておりますので、国が国の目的に使ったというようなものについては、これは返済のときにその部分についての一般会計よりの支出ということも考えられる、これはいろいろ比率の問題はございましょう、使途別のいろいろな問題がありますので、一部一般会計から持つという事態があっても、これが性質上かまわないというものでしたら私はかまわないと思います。
○横路委員 大蔵大臣、憲法の八十五条には「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」特に第八十六条には「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」とこうなっている。あなたの方ではまだ国会の承認は得ないから、道義的な債務と心得ている、それが確定をすれば国会にかけます、そこでそれがはっきりといわゆる債権になります、こういうことをおっしゃっているんだが、八十五条のことばかり問題になっているが、八十六条には毎会計年度予算を作成して国会に出して審議を受けて議決を経なければならない。そうすれば当然これは、私はその二十四年三月以前の、いわゆる先ほどから長い間ここで論議をしましたガリオア、エロアの援助物資についても、資金についても、あるいは昭和二十四年四月以降のものについても、八十五条もさることだが、憲法第八十六条に基づいて毎会計年度予算を作成して国会に出して審議を受けて議決を経なければならぬのに、このことをしてないじゃありませんか。この点はどうですか。
○水田国務大臣 債務と心得ておっても確定債務になっていないということはもう御承知の通りであります。いろいろの問題がございますので、政府が最後に支払いをするというときには、私どもは慎重な考慮をするという私どもの考え方を述べただけでございまして、先ほどから申しましたように、一般会計でどれくらい持つのが至当であるかとか、あるいはそうでないとかいうような検討は、まだ政府ではしていないところでございまして、今後この問題が進展してきました場合には、こういう方向で考えるということでございます。
○横路委員 しかし大蔵大臣、これは私は内閣自体としては非常にルーズだと思うんですよ。八十五条に基づいて債務を負担するときは国会の議決が必要だ。八十六条では毎会計年度の予算を作成して国会の承認を求めておかなければならぬ。それを勝手にどんどんやっておいて、あらためて今どうも債務になってきたからそれをきめて、あらためて国会の議決をやる。しかも一部はいわゆる国債の償還に充てた、一部は公企業に使った、一部は私企業に使った、二十四年三月前は、極端にいえば何に使ったのかわからぬ、もう残っていないのだから。そういうものを今になって——これは一体一般の会社ならどうですか。国会はなるほど多数をもってやれば、こういうことが何でもできるかもしれません、憲法で規定されていても。しかし、一般の会社でこういうことは行なわれませんよ。一般の会社では、こういう重役は責任をとって直ちに株主総会で罷免ですよ。そうじゃないですか。それを、多数だからといって一方的にそういうようにやっておいて、今あらためて債務が確定してから国会に出すというやり方は、明らかに憲法違反ですよ、どうですか。
○水田国務大臣 御趣旨は私よくわかりませんが、見返り資金に積み立てた資金の使途は、これは予算のとき全部国会の承認を得て、勝手にやっているものではございませんし、さっき申しましたように、それ以前の整理は、先ほど通産大臣から答弁された通りでございまして、別にめちゃくちゃにやっているというようなことでは全然ないと思います。
○横路委員 通産大臣、今債務と心得て交渉なさるというのですが、一番の問題は、その二十四年四月、三月前は一体一般の商業輸入なのか、援助物資なのか、それは私ども資料要求したが出てこないわけです。これはぜひ一つ出してもらいたい。それが出なければ、ちょっとこの審議というものは容易でないですよ。これは私ども委員部を通して、委員長のサインをもらって、あなたの方に資料要求したのです。あなたの方では仕分けをしてやっているというならば、仕分けをして出してもらいたい。ぜひ出してもらいたい。私が今この問題にこれだけ時間をかけ、先ほど赤城さんも御質問しているのは、この国会が終われば直ちに交渉を開始して、今の池田内閣の方針からすれば、将来これは相当な債務になってくるわけです。国民に負担をかけることは明らかです。一体交渉はどうなるかは、それは交渉なさるでしょうが、そういう意味では、われわれは絶対これは債務ではない、しかしあなたの方では仕分けはできると言うのだから、仕分けをして出してもらいたい。いつ出しますか、通産大臣。
○椎名国務大臣 今あらゆる角度から厳密に調査研究している最中でございますから、ただいまのところはお出しできません。
○横路委員 今出せませんというのはおかしいじゃありませんか。私の方では幾らの債務と心得てやるのかと聞いているのじゃない。一体援助物資についてはどれだけもらったのか、そのことを聞いている。そのことを出してくれというわれわれの要求に、出せないとは一体何ですか。お出しになったらどうですか。重ねて、もう一ぺん要求します。
○椎名国務大臣 ただいましきりに従来の資料に基づいて厳密な研究、審査を加えて結論を出しておる最中でございますから、その作業に差しつかえがございますので、ただいまのところは出せません。
○横路委員 今の通産大臣の、差しつかえがあるから出せないとは何ですか。私が聞いておるのは、一体幾らの債権としてやるのかということは、これは私どもは債務でないと思っておるが、池田総理は債務と心得て交渉すると言う。それが幾らになるかは交渉の結果を待たなければわからぬが、一体幾らもらったのかということを出せないとは何ですか。
○椎名国務大臣 今急いでその結論を出しておる最中でございますので、その資料を出すことはしばらく御猶予願います。
○横路委員 いや、通産大臣、それならいつまでに出せますか。
○椎名国務大臣 とにかく結論が出るまではどうも手放せないのです。 〔「はっきりしなさいよ」と呼び、 その他発言する者あり〕
○横路委員 何ですか、今の通産大臣は。私が聞いておるのは、総理大臣に、私は債務でないと思ってそれで聞いた。しかし総理大臣は、債務としてこれから交渉するという。その場合に、私が聞いておるのは、債務か債務でないかは別にして、一体どれだけのものをもらったか、あなたたちの方は資料ができたのか、その点はどうなんだと聞いておる。先ほどから何べんも聞いても、あなたの方は商業輸入のものとの仕分けはできない、やっておる最中だ、もうかれこれ十年近くやっておるんだ。六月には総理が行って交渉するというのだから私は聞いておる。いつお出しになりますか。
○椎名国務大臣 結論がはっきり出ましたならば、なるべく早く提出いたします。
○横路委員 だめです。総理大臣、私の質問でこの予算委員会の質疑は終わっていくわけですが、しかし今のようにいつ出せるかわからないと、ああいう無責任な答弁では、この質問は次に進むわけにはいかないですよ。これは三十六年度の予算に関係ないようだが、あなたの方では行って、債務と心得てきめてくるのじゃないですか。きめてくれば、必ずこの次の補正——特別国会とか臨時国会にかけるじゃありませんか。だから私は聞いておる。出せないとは何ですか。
○池田(勇)国務大臣 私は、先ほどからの答弁をお聞き下さればおわかりと思いますが、アメリカへ参りまして、ケネディとガリオア、エロアの問題を交渉するとは言っておりません。この問題は、今の日本の置かれた立場からいろいろ考えまして、結論を出すべき時期に到達したのではないか、今それを検討しておるのでございます。私は何もケネディ大統領とこの問題で折衝するということは、今まで一度も言ったことはないのでございます。しこうして、もしありとすれば、こういう問題は外交上の資料でございますし、やはりよほど検討を加えて、十分腹をきめるまでは、いたずらに計数異同あるべしというふうなことでは出せない。だから、私はあなた方がこれを早く知りたいというお気持はわかりますが、それだけ外交上の重要な問題でございますから、われわれとしては十分検討いたしたいと考えております。
○横路委員 私は、総理大臣、今あなたの御答弁で、ケネディ大統領との会談の際に、ガリオア、エロアについての返済の問題は、別に私はやるとは言わなかった。来たる六月あるいは七月にアメリカにおいでになってケネディ大統領との会談の際に、ガリオア、エロアの返済については議題とはしない。そういうならば私も次の通常国会なり、臨時国会なりにまたやりますけれども、あなたの方は六月ないし七月にやると与党の赤城さんですら言っているじゃないですか。だから私は出してもらいたい、こう言っている。あなたが六月に行ったときにおやりにならないというならば、この問題はあらためて次の臨時国会なり、通常国会でやりましょう。しかしあなたはやるじゃないですか。だから今ここであなたがやらない、こう言うならばいいですよ。やらないというならば、私は次の機会まで資料を出すのを待ってもいいと思う。その点はどうなんですか。
○池田(勇)国務大臣 私はやるともやらないとも言っていないのです。だからやるという前提で——これは重大な決意をしなければならぬ情勢になってきたと思っております。とこういうことでございまして、何もケネディと会わなければできぬことじゃないのであります。
○横路委員 総理、あなたは、いっそれを返すとかいう話をしたかと私にこう開き直ってお話をされるから私は聞いたのだ。あなたがおやりにならないというならば、そのとき会談の議題にもならないし、自分としてはガリオア、エロアについては来たる六月ないし七月のケネディ大統領との会談の際にはこの話を出さない、こう言うならば私は通産大臣に出しなさいと言ったのは、次の臨時国会なり通常国会にまた固めてそのときに話をします。ところがあなたは行って、おやりになるじゃありませんか。今ここでまた訂正して、やるかやらないかわからないと言ったじゃないですか。先ほどあなたは私にいつやると言ったかと開き直っておいて、今私に追及されてやるともやらないともわからないと言った。あなたはおやりになるじゃありませんか。だからあなたがここでおやりにならないと言うならば、私は資料を出せという要求は引っ込めますよ。
○池田(勇)国務大臣 あなたはおやりになるじゃありませんかときめてかかられては困る。私はまだやるかやらぬかをきめていないのであります。それだからあらゆる方面から十分検討いたしまして、私は結論を出したいと思っております。今は結論を出しておりません。
○横路委員 それでは私は通産大臣に委員長を通して要求しますが、この点については大体のところ二十四年三月までのものについては、先ほどここに来られた局長はやっているというのだが、この予算委員会の私の質問の終わるまでに次の組みかえ動議並びに討論採決ができるまでにここに資料を出してもらいたい。できないことないですよ。この点どうなんです。
○小坂国務大臣 こういうことだと御理解願えないかと思います。これは私どもとしてはいろいろ当時の資料も明らかでないものもございますから、われわれが受けたと正確に認められるものを、できるだけ少なくしたいと思っているわけです。そこで今ここでかりに幾ら幾らということを申し上げますと、それが一つの基礎になりまして、われわれの交渉に差しつかえる、こういう意味でお待ち願いたいと言っておるのであります。
○横路委員 外務大臣、われわれは債務でないと思っているのですよ。しかしあなたたちは債務と心得て交渉する。総額を幾らにしなさいとか、債務のぎりぎりは幾らにしなさいということを言っているのじゃない。二十四年三月までは一般商業輸入の物資とそれから援助物資の輸入とは仕分けがつかない。つかないものを何でやるのですか、こう聞いたら、実は今仕分けをしています、こう言うから仕分けをしたものを出しなさいと言っている。だから次の討論採決が始まる前にはぜひこれは出してもらいたい。(「必要なし」と呼ぶ者あり)必要がないということはない。わからないというならばいいんですよ。私はわからないはずだと思うのが仕分けをしておるというから言っておるんです。委員長、要求しますよ。大体委員長がサインしてやったんだから……。
○船田委員長 この点につきましては政府から答弁してもらいます。
○小坂国務大臣 この内容は先ほど総理からお答えございましたように、いろいろ仕分けがございます。プレ・ガリオア、ガリオア、エロア、米軍払い下げ物資及び余剰報償物資、こういうふうに分かれておるわけでありますが、そこでこのレシートあるいは先方のスキャッピン、そういうものがいろいろあるわけでありまして、何分にも占領下でございますので、その資料等についていろいろ疑義があるものも実はあるのであります。しかもそれを受けた日本側は政府として受けておるのであります。そのある資料の中に、相当多くの部分、これは終戦後の各内閣が受けておるのでありますが、この支払いについては後日協議をするという先方の申し入れに対して請書を出しております。従ってわれわれの方として、これは当時の事情やむを得なかったとは申せましょうが、ただこれはもらったものだ、また慈善を日本人は欲していないというようなことまで国会で言い、マッカーサー元帥もアメリカに対して言っておるようでございますので、そんな諸般の事情もありますし、また二十九年の交渉の経緯で、先ほど申しましたように、先方としてはこれは処理を要するものと考えておる文書の提出もあり、しかも三十年重光外務大臣がこれを受けてこの問題は早急に解決しようということを約束しておる点もございまして、ただでは済まないわけで、何らかの解決方法を要するわけであります。 そこで解決をする際に、できるだけ日本国民の負担を少なくして解決したいと私どもは考えておるわけであります。従ってその資料を全額これこれと今国会に出しますことが、今後の交渉上有利なものとは限らない、かようにわれわれは考えまして、この資料の提出をしばらく御容赦を願って、もう少し先方と突き合わせてみた上での方が適当であろうと考えておる次第であります。
○横路委員 私が聞いておるのは、これから交渉をなすって幾らにするかということは、これは総理大臣なり外務大臣がおやりになればいい。しかしこちらの方で幾らもらったのかということをなぜここへ出せないんですか。国会に対してアメリカから幾ら援助物資をもらったのかということは出せないのだということについてはおかしいじゃありませんか。それまで一体秘密にしていく理由は何であるのですか。委員長そういうことがありますか。二十四年三月まで仕分けをしている。それを出してくれと言っているのにそれが秘密だという。なぜそれが出せないのですか。だめですよ。
○小坂国務大臣 総額は出すことはあるいはできると思うのでありますが、これは今申し上げたように、もらったものであるものも中に私ども主張してできるわけであります。そこで今ここで幾らもらったと申しますと、結局総額が出ますと、それから何ぼの額を操作するかということになって参りまして、結局返済額というものがある程度の規制を受けるのであります。先ほど申し上げましたように、できるだけこれを国民の負担にならないような形でやりたい、こう思っておりまするが、そういう意味で御了承願いたいと思います。
○横路委員 それはだめですよ。二十四年三月までが幾らもらって、商業輸入が幾らであるかということがわからない。それを全然国会に資料を出さないで向こうに行ってそういう交渉をするなどというそういう交渉はないですよ。それは出さなければだめですよ。委員長だめですよ。 〔発言する者多し〕
○椎名国務大臣 先ほど申しましたように、結論を急いで出したいと思って、せっかく調査中でございますが、現在までの間にわかり得る程度のことをまとめましてお出しいたします。
○横路委員 それじゃ出してもらいます。出すと言うのだからここで答弁してもらいます。答弁するまで待ってます。だから答弁して下さい。今出しますと言ったのだから答弁して下さい。 〔発言する者多し〕
○椎名国務大臣 まだ終局的な結論は出ておりませんけれども、現在までのところの資料に基づきまして取りまとめてお出しいたします。(「今言いなさい、それが約束じゃないか」と呼び、その他発言する者あり)昭和二十九年当時調べた数字について取りまとめたものがございますから、これをお配りいたします。(「それを読みなさい」と呼ぶ者あり)資料の内容も読むのですか。(「そうですよ、ここで読みなさい」と呼ぶ者あり)じゃ読みます。 米国の対日援助額、一、昭和二十年九月から昭和二十四年三月まで。単位ドル。月日……。よくわからないのですがね。(笑声)——シヴィリアン・サプライ・プログラム、それが上の方の欄です。それから軍払い下げ物資……(「事務当局より説明させますと言いなさいよ」「あなたは国務大臣じゃないのか」と呼び、その他発言する者多し)事務的な問題ですから、事務当局から御説明を申し上げます。
○伊藤説明員 お答えをいたします。二十九年の決算委員会に提出いたしました資料は、二十年九月から二十七年二月までに援助を受けました額でございますが、総額で十九億六千万ドルでございます。その中の物資別は、食糧、肥料、綿花等十一品目にわたっております。食糧が一億八千万ドル、肥料及び飼料が一億ドル、綿花が二億四千万ドル、繊維及び繊維製品が四千万ドル、鉱産物が二千万ドル、鉱油一億一千万ドル、金属一千万ドル、その他の工業用原材料四千万ドル、化学及び薬品二千万ドル、雑品五千万ドル、運賃二億五千万ドル、合計十九億六千万ドルとなっております。
○横路委員 いやいや、違いますよ。今のは私に出した資料と同じですね。それはあなたの方でここに書いてあるじゃないですか。連合国軍総司令部経済科学局の統計でしょう。私の聞いておるのは、通産省で仕分けしたのはどうなっておるかということを聞いておる。いいですか。通産省で仕分けしたのはどうなっておるかと聞いておるので、私のとあなたの方から出してきた資料と同じでしょう。あなたの方で、連合国軍総司令部経済科学局統計によると書いてある。こういう統計を出されて、これでもって向こうに交渉されて何なさるのですか。そうじゃないですか。私の聞いておるのは、二十九年の決算委員会の統計というものは、連合国軍総司令部経済科学局の統計であって、通産省の仕分けをした統計ではないでしょう。あなたのは私も持っておりますよ。私の聞いておるのは、あなたの方で仕分けをしてどうなっておるかということを聞いておるのですよ。 〔「理財局長、おととい詳しく発表したじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
○伊藤説明員 先ほど大蔵省の理財局長が分科会で説明された数字と申しますのは、先般通産省からこの予算委員会に提出した資料の数字を申されたそうでございます。(「何年から何年のものだ、内容を言いなさい」と呼ぶ者あり)内容は、昭和二十年九月から昭和二十四年三月まで、項目はシビリアン・サプライ・プログラムと、軍払い下げ物資と分かれておりますが、合計いたしまして十一億九千七百四十五万八千百五十五ドルでございます。
○横路委員 だから、私がさっき言ったじゃないですか。今あなたが言っているその数字は、連合国軍の総司令部の経済科学局の統計から出したもので、私が聞いているのは、あなたの方では仕分けできないじゃないかと言ったら、通産省は仕分けしていると言うから、通産省が仕分したものを出しなさいと言ったら、出てきて読んでいるのは、連合国軍の総司令部のものを言っているじゃないですか。そんなものじゃだめですよ。何を言っているのか。 〔「日本政府のものを出しなさい」「休憩しなさい」と呼ぶ者あり〕
○伊藤説明員 先ほど私が読み上げましのは、通産省で昭和二十九年までに調べた数字でございます。そのトータルが十九億六千万ドルでございます。数字は、司令部の統計の数字と似ておりますが、これは違うものでございます。
○横路委員 あなたは何を言うのですか。私が正式に委員部を通して委員長のサインをもらってあなたの方に出して、あなたの方から衆議院予算委員会提出資料として二月十一日に通商産業省として出したものは何ですか。一体私たちに、これはうその資料を出したのですか。正式に委員部を通じて資料請求をして、委員長の方からあなたの方に出して、今あなたの方で読み上げた数字は、私のところにきておるのは、連合国軍総司令部経済科学局の統計なんです。そこへ出てきたものの内容を私は計算した。合わないですよ。しかも今になってそういう資料があるなら、なぜ出さないのですか。正式に資料を要求して、今われわれに出さないでおいて、それはどういうのですか。委員長、これは数字をお互いに聞いてもわからないから、一たん休憩をして理事会を開いて資料を突き合わせてくれなければだめですよ。違うじゃないですか。(「絶対反対」と呼ぶ者あり)そんなことはありませんよ。私のところに出した資料があるのです。それと、言うのと違うじゃありませんか。もう一ぺん資料を突き合わせて、そしてやったらいいじゃないですか。だめですよ。だから、一ぺん休憩をして資料を突き合わせたらいいじゃないですか。
○平岡説明員 御説明申し上げます。先ほど予算委員会から御要求がございましたときに、提出いたします資料といたしまして、援助総額の二十四年三月以前と以降に分けて項目別に出せという御通知でございました。その際出します資料といたしましては、当然考えられることは、先ほど私が御説明いたしました通り、総司令部の遺留資料に基づきまして仕分けをした数字を出すというのが、一番仰せの通り間違いないことでございます。ところがその総司令部の遺留資料と申しますのは、先ほどからしばしば話がございましたように、昭和二十九年当時作業をいたしまして、国会の御要望で二十三国会の決算委員にまとめて通産省から提出いたしました。この資料を出しますれば差しつかえないわけでございますけれども、今日対米交渉その他のことを考えますと、先ほど御説明いたしましたように、もし交渉がありますとすれば、その前日まで入念に検討する必要があると私どもは思いまして、自来その資料をさらにいろいろな角度、あらゆる他の統計から検討を加えております。従いまして、そういうわれわれが検討を現在加えておる資料をその際お出し申し上げるよりも、むしろ総司令部の一般に援助と言われております統計をさしあたりお出しした方がいいのではないかと思いましたので、提出いたしました。もし私どもが当時の調査につきまして、これはあらゆる角度から検討いたしましても疑義がないと思っておりますれば、おそらく決算委員会の報告、ただいま企業局次長から申し上げました数字を差し上げると思いますけれども、私どもはこれはさらにいろいろな角度から検討を加える必要があると思いましたので、一応あの資料を提出いたしました。
○横路委員 ますますはっきりしないですよ。通産大臣いいですか。あなたの方では、アメリカの資料について、それを仕分けをすることは容易でないだろう、こう言ったところが、あなたは仕分けをしていると言うから出しなさいと言ったのです。ところが、あなたの方では今になって出してきたのは、これはアメリカの統計なんです。ですから、この際、先ほど言っておるように、一体通産省でどういう仕分けをして出したのですか。通産省に資料を出してもらいたい。われわれの要求をしたのはそのことなんですよ。だめですよ。一体これでは交渉にならぬでしょう。 〔委員長退席、重政委員長代理着席〕 〔重政委員長代理退席、委員長着席〕
○船田委員長 横路君。
○横路委員 先ほど来私の方から通産大臣にお尋ねをしております二十四年三月以前のアメリカの日本に対する援助物資がどういうようになっておるのか、私どもの承知しているところでは、これはもちろん貿易資金特別会計においても、仕分けすることが困難だしそれからまた大蔵省にしても、通産省にしても、当時資料がなかったわけだし、それからアメリカ側との間に正式に書類の引き渡しもなかったわけですから、私の考えとしては、通産大臣は、その商業輸入と援助物資の輸入との仕分けはできない、私はそうあるべきが当然だと思うのです。従って、本来からすれば、私どもは池田総理から、この席で二十四年三月以前のものについては数量が確定しないから、われわれとしては、支払いの対象にはしない、こういうように言われるのが、当然だと思ったのですが、通産大臣からは、何とか今仕分けをしている最中です、こういうお話でございましたから、私先ほどから聞いているわけです。従って、だいぶ時間もたちましたのですが、この二十四年三月前のいわゆるアメリカから日本に対する商業輸入のものと、それから援助物資の輸入のものとの仕分けはいつできてどういうようになるのか、いろいろ御相談もあったであろうと思いますので、これについて一つ御答弁をいただきたいと思います。
○椎名国務大臣 一応よるべき資料もございますが、ただそれのみでは判然といたしませんので、それを各角度から綿密に検討して、急いで結論を出したい、目下その作業に従事している状況でございます。事外交上の非常に重要な資料にもなりますので、その点は、すべての取り扱いについては慎重を期して参りたいと思います。いろいろ御要求もございましたので、そういう点を十分に考慮しつつ、なるべく早急に取りまとめまして今国会に提出するよう努力してみたいと考えます。
○横路委員 今の点でただ一点池田総理にお尋ねをしておきたいと思うのですが、この点、今通産大臣から努力をされてできるだけ国会に出す、こういうお話でございまして、われわれも期待をしております。しかし私はこれを仕分けするということは容易でないと思うのです。なぜならば、大蔵省側の統計にしても、通産省側の統計にしても、ないわけです。あるものならば二十九年二月の予算委員会で時の大蔵大臣からわざわざ予算を計上して資料を整備しますと、こういうふうに言われてからもうすでに八年間たっているわけですから、私はとても容易ではないと思うのです。従って、私がこの仕分けができないという段階にくれば、もしもこの問題についてアメリカに行かれたときに向こうと返還についての交渉等があれば、私は当然総理大臣としては、そういう仕分けのつかないもの、数量の確定しないもの、品目の確定しないもの、金額の確定しないもの、そういうものについては断固拒否をする、私はこういう態度であるべきだと思うのですが、この点だけ総理大臣の所信を承っておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 私は相当な資料があるものと聞いております。従いまして、通産省におきましてはその資料をもとにしてただいま検討中と聞いておるのであります。事重要な問題でございますので、できるだけの努力をいたしまして、昭和二十四年三月以前のものにつきましても私は数字をつかんでみたいと考えおるのであります。
○横路委員 それでは、総理大臣並びに通産大臣のお答えがございましたので、ぜひ一つ——私どもは困難だと思う。しかしせっかく仕分けをして出されるというのですから、その点については、仕分けをして出されましてからさらに適当な機会においてお尋ねをしたいと思っております。 次に防衛問題について総理にお尋ねをしたいと思うのです。 それは、総理が向こうにおいでになられましたときに、ケネディ大統領との間にいろいろ会談をなさる際に、第二次防衛計画のことについて私は当然お話があるのではないかと思うのです。それは去る二月六日のアメリカ大統領の国際収支等の教書の中で、共同防衛の分担というところでいっておりますように、米国の新兵器の購入、兵器装備の購入等により自衛隊に対する近代化を要求してくるのではないか、こう思うのです。それからまた沖繩の軍事基地を強化していくというアメリカの建前から、そのかわりとして当然国内におけるアメリカ軍隊の基地の一部返還もございましょうが、自衛隊の強化ということになるのではないかと思うのです。そこで先ほど総理からお話しございました昭和二十八年十月の池田・ロバートソン会談で、総理は御存じないというお話ですが、実は宮澤さんの「東京・ワシントンの密談」というのを読んでみると、なかなか総理は軍事専門家でございまして、この中に、池田・ロバートソン会談における日本の防衛計画というのを私たち拝見をしたわけです。この防衛計画が今日の自衛隊の基礎になり、それが相互防衛援助協定の基礎になり、それが新安保条約の基礎になっていると私は思うのです。もちろんそのときは、これは次に示したというので、内容に触れてございますが、下に示すのは池田勇人氏による日米防衛計画についての個人的研究の結果である。日本に入手し得るあらゆる情報に基づき、かつ基本的には日本政府の最近の考え方を取り入れているが、公式のものではなく、また最終的なものではないというので、陸上兵力はどう、航空兵力はどう、海上兵力はどうと、こういうふうになって、これを読んでみましたところが、なかなか総理はまず軍事専門家でいらっしゃるのではないか、こういうふうに私は拝見をいたしました。しかし、その後の動きは、池田・ロバートソン会談——総理はもちろん吉田総理の特使として示されたものですが、それに基づいて動いていると思うのです。そういう意味で、今度アメリカにおいでになってケネディ大統領との間にお話が進められれば、当然私は第二次防衛計画の中にも触れてくるのではないか、こういうふうに思うのですが、総理のこれに対する御見解はいかがでございましょうか。
○池田(勇)国務大臣 第二次防衛計画は、実はまだできていないのであります。第二次防衛計画は日本独自で私は考えるべきであろうと思います。従いまして、アメリカに参りますときに第二次防衛計画が話題になるとは私は思いません。
○横路委員 話題になることはないというても、なかなか世間ではそう思わないわけです。特に今日の自衛隊の増強、それから相互防衛援助協定、新安保条約というのは、池田総理が吉田総理の特使として、個人の資格ではあっても、おいでになられたときのその構想がずっと動いているわけですから……。 そこで西村防衛庁長官にちょっとお尋ねいたしますが、首都防衛部隊としてナイキ・アジャックスを下志津、武山等に置くことについては、私たちこの間分科会で詳細に聞いたわけです。指揮中隊一個中隊、実戦中隊四個中隊というのでお聞きしましたが、前々から防衛庁がアメリカに要求しておるナイキ・アジャックスを含んで、オネスト・ジョンであるとか、テリヤ、ファルコン、スパロー、ボマーク、タロス、フォーク、タイタンという——これはナイキ・アジャックスはいよいよくるわけですが、あとの八種類については、これは前々から防衛庁としてアメリカへ要求しておるわけですが、これらについては、今どういう折衝の過程になっておりますか。
○西村国務大臣 ナイキ・アジャックスにつきましては、先般分科会でもたしかお話が出ました通りに、まあ首都と申しますか、関東と申しますか、京浜を中心にした編成部隊を将来置くために、訓練部隊として、まだ出ておりませんが、三十五年度予算で三名くらい、それから三十六年度予算で百四十何名ぐらい出る。二年後に一台無償援助等の形でもらうということは進んでおります。 それからなお、核弾頭と全然縁のない空対空と申しますか、サイドワインダーとか、警備艦につきますターター等は、すでに購入の契約をしておるのであります。他の件はまだ検討中でございます。いわんや、私の方針といたしましては、ミサイルは、一面において、わが国情、わが国力に適したものを漸次整備していく、しかもこれは対米援助と国内の財政関係を考慮しながら、次期計画において検討して参りたい、こういう考えでございます。
○横路委員 総理にお尋ねをしたいのですが、この間分科会でだいぶはっきりしたのですけれども、御承知のように、陸上自衛隊の自衛官は十七万です。しかし今度定員をふやしまして、十七万一千五百にしたわけですが、いろいろお尋ねしてみると、陸上自衛隊の自衛官の応募は非常に困難だというので八八%しか予算に組んでないわけです。十七万一千五百の八八%といいますと、約二万二千五百八十名というものが定員から落ちているわけです。そうしますと十七万一千五百からそれだけの人数を引きますと、大体十五万程度になるわけです。私が総理にお尋ねをしたいのは、定員十七万でなお二万ほど充足できない。なお二万二千も足りないのに、充足できないのに、一体なぜわざわざそれを千五百人人数をふやして十三個師団の編成ということをするのか。十七万一千五百の定員ですけれども、予算は十四万五千八百にしかならないわけです。この点は、総理は国防会議の議長でいらっしゃいますので、どうしてこういうような——実際には充足できないのに何でわざわざこういうような定員の増をやるのか、その点についてお尋ねをしておきたい。
○池田(勇)国務大臣 陸上自衛隊の補充につきましては、採用の条件その他の関係上、定員通りになっていないことは存じております。しかしその問題と十三個師団の編成がえの問題とは違って考えておるのであります。詳しい点は、所管大臣からお答えさすことにいたします。
○横路委員 十三個師団の問題についてはあとで長官にお尋ねをします。 そこで総理に、この間から本委員会でもずいぶん所得倍増についてお話があったわけですが、この間低開発地域の開発法案についても国会へ出されてきたわけです。所得倍増計画の中の一つの問題は、農業と他の職業との格差の問題、大企業と中小企業との格差の問題、もう一つは地域の格差の問題があるわけです。ところが、実際に自衛隊の自衛官の応募の状態を見ると、いわゆる政府の方でいう低開発地域の地帯から応募が多いわけです。一番多いのは、鹿児島が陸海空を入れた自衛官の二万九千九百のうち約一万五千六百九十二、これは実際の生活水準とか所得とかと申しますと、大体南関東地区の二分の一ないし三分の一の間です。そういう状態。全国平均を一〇〇にすると約六四くらいにしかならない。こういう状態です。鹿児島、宮崎、大分、熊本、こういうところに今日の自衛隊の人的資源があるわけです。ですから総理のお考えになっている所得倍増、そうして地域格差というものがどんどんなくなっていくと、ますます自衛隊の応募というのは困難になるのではないか。総理のお考えになっている所得倍増、地域格差の解消という点からいくと、自衛隊の応募というのは非常に困難になる。私は実際の統計から見てそう思う。この点いかがですか。
○池田(勇)国務大臣 ただいまのところ南九州の方の志願者が多いということも存じております。しかし、十年先に所得倍増になったから自衛隊にはいかないということにもならぬと私は考えるのであります。やはり時代の変化を見なければ、今一がいにとやこう言えないと思います。
○横路委員 ところが、この前防衛庁において自衛隊の自衛官に応募する動機はどうかというと、たしか約七八%くらいは初めから割り切って、これは職業として応募しているのだ、こういうことなんです。これは事実なわけですね。だから、総理のおっしゃるようにますます一般産業が好況に向かって拡大をしていけばしていくほど、私はそういう意味で応募というものが困難になるのではないかと思うのです。この点十七万一千五百のうち二万二千も欠員を生じている。しかも本年は充足できないという立場で予算には組んでいない。これをどのようにして解消なさるのか、長官、あなたのお考えがあれば承りたいと思います。
○西村国務大臣 自衛隊が必ずしも十分な応募でないということは、私も認めるのでございます。ただただいま私の方で作りました資料、横路委員がお読み上げになりました人的資源、確かに南九州も多いのでありますが、必ずしも低開発県だけでなくて、福岡のようなものも全国三番目の応募でございます。また東北方面になりますと、むしろ逆に応募数が少ないのでありまして、それから北海道方面は全国で四番目の応募でございます。そういうような例から見ますと、やはり土地柄によってかなりお仲間と申しますか、先輩後輩、また国防意欲というものがある程度伝わっていくところは多少はそういうものがあるし、特にもちろんこれは経済の関係は私は考慮しなければならぬと思いますけれども、自国を愛するという自衛観念というものも、また自衛隊の中には旺盛な諸君が自然入ってくるのではないか、こう考えておるのでございます。
○横路委員 次に西村長官にお尋ねをしたいのですが、今度の十三個師団の編成の問題で、私ども新聞で承知しているところによりますと、十二月の二十二日に防衛庁で、記者団との会見で杉田幕僚長はこう言っているわけですね。今度は治安対策と災害対策に陸上自衛隊を十三個師団に改編するんだ、これはこの間あなたから分科会で井手委員の質問に取り消しをなさっているけれども、二十三日の新聞はどの新聞を見ても全部出ている。わざわざ断わり書きをつけている。だから十三個師団の編成というのは、これは治安対策と災害対策のためなんだ、こういうように言われているわけです。この点は事実でございましょう。もちろん北海道における第七混成団というように、数年間に百十八億の装備をして最も近代的な装備をする、北海道に四個師団の配置をする、こういうようなことはわれわれも承知をしているが、しかし中部並びに東部方面にそれぞれ一個師団を配置したということ、これは明らかに治安対策と災害のためである。だから十三個師団の改編の目的はそうである。これは十二月二十三日の新聞は全部そうです。私たち記者の諸君に聞いてみると、これは記者の方から誘導したのではない、杉田陸幕長がみずから言ったのだ。この点はいかがですか。
○西村国務大臣 確かに杉田発言として、治安部隊、災害というような形で新聞等に報道されたことは、たしか十二月の二十日前後でございました。私、これは多少ゆがめられて発言されているか、あるいはその点が正しく伝わってないかでありますので、翌日の閣議を通しまして、自衛隊の目的はやはり従来自衛隊法に書いてある通り、直接、間接の侵略並びに公共秩序の維持ということが本来の任務であるということをはっきり発言をいたし、また先般の分科会を通しましても、横路委員の御質問に対してそうお答えをいたしたのであります。特に北海道に四個師団を置きましたのは、国境近くでございます。また内地から移動等も簡単でないという意味から、四個師団を法案の中に配置しております。それから中部の広島方面に一つ師団司令部ができますのは、従来は大阪中心に四国から山陰一切がいわゆる支配されておった管轄区域を狭くしたわけであります。従いまして十単位を十三個師団に分けましたのは、やはり国内的に見ましても単位の小型な機動力、活動力の多いのを効率的に本来の任務に向かわせたい、こういう趣旨から十三に分けるという趣旨で十三個師団を設定しているのでございまして、治安そのものを直接に考えた、こういう趣旨ではないのでございます。
○横路委員 今西村防衛庁長官からそういうお話がございましたが、そうではございませんでしょう。三十五年の、昨年の十一月の九日に陸上の幕僚長杉田氏の名前をもって、陸上自衛隊の訓練に資するために治安行動——これは草案ですが、配付している。これは実は秘密文書でも何でもないので、あなた方から大綱を印刷をしてもらった。これは出していることは事実ですね。これは否定なさらないでしょう。
○西村国務大臣 治安行動教範の草案というものは、杉田幕僚長の名前で、たしか部隊のどの辺までですか、一部配付になっておると思います。
○横路委員 そこで治安行動というものですが、一体治安出動と防衛出動とはどういうように違うのでしょうか。もちろんこれは自衛隊法その他によって違ってはきますけれども、しかし実際の部隊の編成であるとか、行動の任務であるとか、そういうものについては防衛出動と治安出動というものの違いはあまりないというようにわれわれは考えているわけですが、その点はいかがですか。
○西村国務大臣 自衛隊の出動任務は自衛隊法にはっきり書いてあるわけでありまして、直接侵略、間接侵略、公共秩序の維持、はっきり申しますと、公共秩序の維持というのが治安出動に当たるのではないかと思います。防衛出動は、直接侵略並びに間接侵略、侵略に対する防衛が防衛出動である、こう考えておるのであります。ただし間接侵略の場合におきましては、外国の教唆によるというおそらく大体考え方がついてくるのではないか、純然たる国内の場合においては治安、ただし間接侵略の場合におきましては、治安的な要素、いいかえれば騒擾的な要素というものが多分にそれに付随して参るということはあり得ると思うのであります。
○横路委員 これは具体的にはどういう場合にいわゆる陸上自衛隊は治安行動をとるのか、治安出動をとるのか、その対象というのは何ですか。
○西村国務大臣 これはたしか法令にも書いてあると思うのでありますが、もちろん治安は本来の警察が主任務でございまして、警察がすべて力尽きるというような場合におきまして、私どもの方は出動という行動をとると思います。それまではあくまでも後詰めの態勢である、こういうふうに解釈をいたしております。
○横路委員 去年の六月十八日のこの国会周辺で行なわれた安保のデモ、こういう点はこの今回の自衛隊の治安出動というものの対象になるのかならないのか、その点一つお尋ねしておきたいと思います。
○西村国務大臣 私はまだ昨年の段階におきましては騒擾罪の適用があるわけでありませんし、治安出動のまだ私どもの段階にはなっていない、警察の主任務でいろいろ治安維持をやっていただくという段階であるというふうに判定をいたしております。
○横路委員 それでは私はあなたにお尋ねをしたいのですが、この治安出動の教範等によると、いわゆる防衛出動と治安出動というものは大体において大差はない、一般の用兵作戦とほとんど同じである、こういうようにわれわれ承知をしているわけなんです。この点はいかがでしょう。
○西村国務大臣 治安出動の場合は、もちろん治安出動でさえも警察の後詰めでございます。警察の力がないという場合に、警察と連絡をとりつつやるのでありまして、従ってこれの根拠法規は警察官職務執行法等の自衛隊法にこの準用をたしか認められておるのであります。防衛出動の場合には、おのずから装備等も違います。それと同時にすべて法規等の根拠は、国際法あるいは国際慣例法規等によって参るのではないかと解釈をいたしております。
○横路委員 しかし実際にはこの治安出動というのはそうではなしに、間接侵略その他緊急事態または治安維持上重要な事態において出動する、ですから、今あなたからはこれは警察の後詰めの部隊だ、こう言うけれども、実際にはあなたの方の考え方としては警察力をもっては治安を確保できない間接侵略その他に対処する行動である、こういうふうにわれわれは聞いているのですが、その点はいかがですか。
○西村国務大臣 公共秩序の維持でもへ警察力で秩序の維持のできない段階におきましては、もちろん治安出動の対象になると思うのであります。その場合におきましても、やり方、装備等においては、いろいろ、いわゆる何と申しますか、間接侵略の場合とはかなり装備あるいは行動態様が変わっておる、言いかえれば軽度である、こういうふうにお考えを願いたいと思います。
○横路委員 私は、治安出動、治安行動というものと防衛行動というものは大差はない、そこであなたの方の治安行動に対するところの部隊の編成というものも、実際には、たとえば安保のときをわれわれが考えてみても、警察としても、たとえば装甲車は出る。あるいは消防のホースで水をかける、放水だ、やれ催涙ガス弾である、しまいにはこん棒をかざして攻撃をかける、こういうようになっておるわけですが、この治安出動という問題でわれわれが承知しているところでは、この治安出動に対する自衛隊の部隊編成というものは、なかなかあなたが言うように警察の後詰めという簡単なものではなくて、実際には連隊が出ていく、それに伴って当然特車、言うなれば戦車、装甲車も出ていく、あるいは実際には警告を発しなければならぬ、広報活動をしなければならぬ、あるいは化学資材を散布しなければならぬ、こういうので、実際には航空部隊の編成もその中にあるといわれておる、さらに実際には、各地において暴動が起きた場合においては、その出動部隊の編成の中には、空挺部隊も当然用意されてくるという、私はこういうような一体部隊の編成というものは、どうもこれは警察の後詰めの部隊としての自衛隊の行動というよりは、治安出動とはいうけれども、実際には私はこの点については、どうも防衛出動におけるところの一般作戦と同じように考えるわけです。この点は一体どういうものでしょうか、長官にお尋ねします。
○西村国務大臣 治安に関しまして自衛隊が行動しあるいは出動する場合におきましては、すでに昭和二十九年ごろでありますか、防衛庁長官と国家公安委員長との間に基本的な態度がきめてありまして、警察力が全然麻痺状態というか、かなり麻痺状態になった場合においてのみこちらは行動する、と同時に、後詰めと申しますのは、私が具体的な例を申せば、後方における建物その他の治安がほんとうに乱れた場合には——焼き討ちという例があります。そういう場合の建物の警戒であるとか、そういうことから徐々に始めるのでありまして、従って装備等もきわめて簡単な装備になる場合が多いと思います。ただし先ほども申し上げましたように、間接侵略と治安とが同時にからんでいる場合におきましては、これは防衛出動でございますから、かなり行動の態様が変わって参るということは申し上げたいのであります。
○横路委員 長官そうではないでしょう。間接侵略その他に対して警察の後詰めとして出る場合においては、当然それは治安行動である、その治安行動というのは私はあなたの方からここでもらっているのです。もらっているというのはタイプで打って。このタイプで打っているのから見ると、まず第一番目には、警察の支援後拠としての役割を果たす、次には必要がある場合には重要施設や物件の警護を行なうんだ、そうして最後に直接に行動することはやむを得ない場合にやるんだ、こういうように、これは何も他のものの資料ではないのです。あなたの方から公にされてかまわない資料の中で私は申し上げておる。ですから、そういう意味で、今あなたは警察の支援部隊なんだ、こう言っておるけれども、実際には、最終的には直接行動することはやむを得ない、いわゆる制圧行動をとるわけですね。ですから、当然それはただ単に警察をちょっと拡大したものではなしに、やはり陸上自衛隊としての部隊の編成の根幹がそのまま動いてくるということに、私はなりはしないかと思うのですが、この点はどうですか。
○西村国務大臣 先ほどから繰り返して申し上げますように、間接侵略というもの、外国の教唆によるという想定のもとにおいての間接侵略、それが同時に国内を非常に騒がしている場合におきましては、これはもう防衛出動になるわけであります。しかしながら、そうでなくて、純粋の国内だけの治安、しかも警察力が尽きておるという場合におきましては、あくまでもそういう防衛出動とは装備その他態様が変わってくると思います。もちろん部隊でありますから、ただ個人で、一人で動くというようなものではなくて、部隊組織で動くことはこれは当然なんであります。
○横路委員 西村さん、私はあなたの方からいただいたのですが、こう書いてある。「行動にあたっては、終始関係機関と密接な協力を保ち、武器を使用することなく事態を速やかに収拾するため、広報、警告等の手段に全力を尽くす」広報、警告等ということになると、あなたの方の実際の訓練等からいけば、実際には部隊配置による示威をやる、あるいは執銃行進による示威をやる、あるいは戦車や装甲車による示威をやる、あるいは航空機等による示威をやる、特に鉄砲の先に剣をつけていわゆる執銃行進もやる、こういうようなことは、これは武器使用以前の行動としてあなたの方ではお考えになっておるのではありませんか。一般の警察の警護ということであれば、警察官はこん棒を肩から上に振り上げただけでも、これは警察官の警棒使用の規程の違反であるといわれている。それがあなたの方ではこういう場合の制圧のあれとしては、いわゆる鉄砲の先に剣をつけて、そうして部隊行進、部隊によるところの制圧隊形をとる、あるいは装甲車等によるところの、あるいは催涙ガスあるいは発煙、そういう化学資材の散布で警告を何べんも繰り返している、こういうようにあなたの方ではお考えになっているのではありませんか。
○西村国務大臣 この警察力がほとんど尽きた状態において出動がされてくる場合におきましても、できる限り広報活動、いいかえれば事態が非常に乱れますことは、要するに事態の真相をPRすること、あるいはそれからくるところの非常に騒擾をする人たちに対して警告を発すること、これは警察活動であると同時に自衛隊の一つの部隊活動であってしかるべきだと思うのであります。またかりに部隊編成によって銃をとって、いわゆる執銃とおっしゃったが、銃をとっておるような場合でありましても、危害を加えないというような形においていくということは、私は自衛隊の法令による国内の治安維持として命ぜられたる範囲の行動であろう、こう考えております。
○横路委員 あなたの方ではこうなっていますね。「法令の範囲においてやむを得ず武器を使用する場合でも、事前に警告を発する等の予告を充分に徹底し、指揮官の責任と決心においてはじめて使用するものとして、その使用は最小限度にとどめる」、こういうわけです。銃の使用は一体どうなっておるのか。そこで私はこの間防衛局長からお聞きしていて私思いましたことは、分隊の編成については九人だ、そうしてそのうちの八人はこれは小銃だ、一人は狙撃手だということをこの間分科会で答弁があったわけです。狙撃手である。私は、戦争末期の九九式というのがたしか七万丁か自衛隊で使っているので、これは何の役に立つのだろうと思ったら、防衛局長か装備局長のお話では、その狙撃に使うために、特別の照準装置をしてあるのだ、ところがあなたの方で実際の訓練等、いろいろわれわれ聞いてみるのに、スクラムを組んでいる、去年も安保デモについてスクラムを組んでいる。そうすると警察官が引き抜きをやる。やはりあなたの方も出ていって引き抜きをやる。そういう場合に警察とあなたの方の行動とどこが違うかというと、あなたの方では、そのスクラムを組んでいる首謀者とおぼしき者に対してその狙撃手で——もちろん頭を撃ったり胸を撃てば死んでしまうから、スクラムその他のいわゆるデモ隊、スクラムその他をやっている、すわり込みをやっている者のその中心である指導者に対して、狙撃手をもっていわゆる手足をねらってやるのだ、こういうようになっている。これは私は大へんなことだな、こう思うんですよ。これはまさに大へんですよ。しかもあなたの方での部隊訓練の中で、われわれが承知しているところによると、その武器の使用等についてはもちろんいわゆる正当防衛であるとかあるいは緊急避難であるとか、その他ございますよ。(「正気のさたじゃないよ」と呼ぶ者あり)正気のさたでないから聞いているんですよ。大へんだから聞いているんですよ。この問題はいずれ内閣委員会の防衛二法案のときにさらに詳細にやりますが、そういう意味で私はこれは総理はあまり御存じないかもしれないので、当面の責任者は長官だから私お尋ねしているんだが、いいですか、私は実際この間ここで防衛局長の答弁を聞いて、もちろんそれは戦時中における訓練部隊でしょう。しかし治安行動においてもそれは中核隊になっているわけですね。だから私はそういう点でこの治安行動における部隊の運用等が万一誤ることがあるならば、私は非常に重大なことになると思う。しかもあなたの方ではこういう中で、もちろん小銃を武器として使用することは当然最終的にはやむを得ないが、私はそういう点で相手が、自衛隊の治安行動といえども、それは相手は日本人です。特に去年のように石をぶつけたとか、そこにある棒切れを投げたとか、こういうものに対しては武器の使用はないけれども、しかしそういう部隊が制圧部隊として出る、あるいは戦車、装甲車その他が出てくる、そういう状態というのは私はまことに自衛隊のこの部隊の治安行動に対しては、いかに防衛庁の長官が否定をされても、これは明らかに安全保障条約以降における自衛隊としては大衆団体に対する行動に備えてのいわゆる治安行動だと思うのです。その点どうですか。
○西村国務大臣 隊の編成で狙撃手がどうとかという、そうなっているとかいうお話でございますが、この細部につきましては私も専門でありませんから存じませんが、おそらく戦闘というものを中心に考えますれば、そうした隊編成というものは当然だ、自衛隊の本来の任務を全うするために当然だと思います。治安出動といいますのは言いかえますならば、警察力をもって治安維持ができない段階において行動を起こす。しかしながらあくまでも純粋の日本国内の事柄でございます。外国の教唆等が伴わない治安でございますから、それに対しましては、もちろん日本人に対する直接の問題でありますから、非常に気をつけるわけであります。おそらくそういう際に特定の人を目がけて狙撃手を使うということは常識として私は考えられない。またそういうようなあぶないことをしちゃいけない意味において、治安行動の教範の草案というものを今部隊で研究さしておる。むしろわれわれはそういう間違った行動を一人でも起こさせたくない意味で行動教範なるものの草案を一応検討さしておるというのがその趣旨でございます。
○横路委員 長官に他の問題もありますが、ちょっと一つだけお聞きしておきたいのですが、L−19Eについて、装備局長は、あなたは決裁の判をついているようだが、私は聞きたいのだが、L−19Eについてあなたの方ではいろいろ生産計画があったが、これについては当初の予定よりも生産計画を打ち切った、そのために富士重工に対していわゆる技術援助その他について七千万円払ってくれ、こういうことで、あなたの方では三十五年以降、あるいは補修部分品であるとか、オーバー・ホールであるとかというところにそれぞれ二〇%をかけたりしてふくらまして、三十五年以降でその七千万円について会社側に対して迷惑をかけたというので、それに対してあなたの方では損失補償という形でおやりになろうとしていると聞くが、その点はどうですか。特にあなたは決裁をされたというがどうですか。
○西村国務大臣 細部のことは存じませんが、たしかL−19Eですか、それの打ち切りか何かによる問題はあったと記憶いたしております。そこでそれらは経済的な合理性というものを考えつつ解決をしていきたいという意味で私どもは検討をいたしておるのであります。なお細部につきましては、装備局長から説明をさせてもよろしゅうございます。
○横路委員 時間もありませんから、本来からいえば装備局長から御答弁いただきたいのですが、今の長官のお話で検討しているというのですから、これは全然そうでないということではなしに——しかし私はこの問題は会計法上違法措置ではないかと思うが、会計検査院を呼んで聞いてみると、必ずしも違法とは言えないけれども、不当である、会計検査院の不当というのはどういうことかと聞いたら、それは相当きついものですと、こう言う。私は生産計画全般からいって中止をした。その場合に、しっかりした契約を結んでいるならばともかく、いわゆる防衛産業という形でそういうことが平然と行なわれるということは、やはり私は将来に悪例を残すと思いますから、せっかく今検討中だというからその点について、あとあとまた決算委員会その他でも問題になりましょうから、一応お話だけしておきます。 次に、時間もなくなりましたから経企長官に国際収支についてごく簡単に一つお伺いをしておきたいと思うのですが、大体三十五年度の国際収支のうちで、先ほど赤城さんもお尋ねでございましたが、経常収支の見通しはどうですか。この点一つお尋ねをしておきたいと思います。
○迫水国務大臣 三十五年度の経常収支は大体一億二千万ドルの黒と見ておりましたが、一月の赤字がやや大幅でございまして、二月、三月赤字が続きそうな気配でございますので、一億二千万ドルの黒字というのだけはどうも訂正をしなければならないように思います。
○横路委員 通産大臣、今井という通商局長ですか、おられますね。私は日本経済で見たのですが、通産省の今井という通商局長は、この赤字の見通しについて、三十五年度経常収支は一億二千万ドルというが、まずこのまま進めば、三十五年度の経常収支は二千万ドル程度しか見込めないのではないか、こう言っているわけですが、今井さんという方がいらっしゃればここで——あなたは記者会見で二千万ドルしか見ることができない、こう言っておるわけで、政府の三十五年度の経常収支の一億ドルとだいぶ違うわけですから、その点一つあなたから……。
○今井(善)政府委員 私は三十五年度の経常収支二千万ドルとは申しませんで、かすかな黒字程度にとどまるであろうということを申しましたが、それはただいま企画庁長官のおっしゃいましたことを大体考えてそう申したのであります。
○横路委員 そうすると企画庁長官、だいぶ見通しは間違ってくるが——見通しが間違うというより、経常収支で予定していた黒字というのはずっと下がりますね。一億二千万ドルというのはどの程度下がりますか。私は大幅に下がってくると思う。悪くするととんとん、もっとあれすると赤字になる場合もあり得る、この点はどうですか。
○迫水国務大臣 率直に申し上げますけれども、悪くするととんとんということはあり得ると思います。
○横路委員 そこで総理にお尋ねをしたいのですが、総理がアメリカにおいでになれば、ガリオア、エロアの問題等もございますが、問題は、私はドル防衛に対する協力といいますか、いわゆる日本とアメリカとの貿易問題、とりわけ日本に対するアメリカ側からすれば輸出、日本側からすれば輸入、いわゆる貿易の自由化というものが、今日池田内閣において、あるいは農林省、あるいは通産省が考えているよりはもっと急速に進んでくると思うのです。この点はどうでしょう。
○池田(勇)国務大臣 私の理想としての考え方は、貿易自由化はなるべく早くやりたい、しかし、それにはそれができるような体制を整えておかなければいかぬ。農林関係の方につきましては、これはもう相当困難だ、通産関係等につきましてはできればあの計画よりも早くやりたい、しかし無理はできないと考えております。
○横路委員 経企長官にお尋ねをしますが、あなたは新聞談話で、所得倍増計画で昭和四十五年度に製鉄会社といいますか、製鋼会社、鉄鋼会社における粗鋼の生産はたしか四千八百万トン、それがあなたのこの間の談話では大体四十年には四千七百万トンになるだろう、こう言っているわけです。大体四千八百万トンないし四千七百万トンというと、鉄鉱石は大体四千七百万トンないし四千八百万トンでなければならぬ。それが四十五年の計画が、今の設備の拡大からいけば四十年にはできる、こういうわけです。そうすると今鉄鉱石が大体一万一千トンぐらい入ってきている。それが、所得倍増計画の鉄鋼生産についての四十五年が四十年に繰り上がってくるということになると、まず一つの問題としては輸入が非常に激増してくると思うのです。ですから一つの問題は、今私は総理にお尋ねをしたが、おそらく総理がアメリカにおいでになれば、この貿易自由化の問題は何と言っても急速に私は進んでくると思う。もう一つの問題は経企長官に、今のいわゆる鉄鋼の設備関係からいけば、あなたが御指摘のように、所得倍増計画の鉄鋼生産が四十五年のが四十年にできる。だからそうすると資金その他の関係で、中小企業や弱小企業にしわ寄せが行くのではないかという心配がありますが、そういう意味では私は、経常収支というのは一つは貿易の自由化から、一つは鉄鋼等の関係から、非常にこの輸入がどんどん急増してくると思う。そういう意味では私もあなたの言う通り、決して一月の輸入の増大は思惑的なものではない。しかし、それはますます急増してくるという傾向にある。だからそういう意味では私は、三十五年度並びに三十六年度の輸入というのは、あなたの方で考えていたよりはずっと拡大してくると思うが、その点はどうですか。
○迫水国務大臣 私が新聞に話しましたのは、所得倍増計画における鉄の生産は、昭和四十五年度で四千八百万トンになるような計画をしております。これはもちろんこのごろ少しスピードが早いですから、四十五年ではなくて若干繰り上がると思いますが、製鉄会社が最近通産省に提出をしました自分たちの製鉄の設備計画を見ると、どうも四十年で四千七百万トンになるような計画である。これは少しスピードが早過ぎるのではないか。大体五十キロくらいで走っておるつもりでおるのに、あんまり百キロも出されては少しほかの方が迷惑をするし、今横路さんのおっしゃいましたもろもろの影響も出てくるから、それは民間産業においても十分慎重な投資態度と、金融機関の十分慎重な金融態度に期待をして、そういうことにならないようにしたいというような希望を新聞に申しました。もちろん鉄鋼についてそれだけの設備投資というものは、通産省に査定を一任したわけです。 こういうふうにいろいろな産業がみんな一つの計画をスピード・アップするような気持でおりますのは、率直に申して、日本の産業が日本の経済の成長について確信を持ち始めておる証拠でありまして、私はこれは決して悪いことではないと思いますけれども、しかし、それが今あなたのおっしゃったようなもろもろの悪影響も考えられますから、これから所得倍増計画のアフター・ケア的な立場においてよく民間の人たちの協力を求めていきたい、こう考えております。従いまして、国際収支の見通しというものは、あなたのおっしゃいましたようにはならない。そういうふうにどんどん輸入ばかりがふえることはない。そこはおのずから調整をされるし、また政府としてもその面に向かっての措置をとっていくつもりでおります。
○横路委員 総理大臣にお尋ねをしますが、今経企長官から、輸入は急増してくるが御心配なくと、こういうことなんですが、しかし実際には輸出は伸びますか。特に今アメリカ側においては相当日本からの輸出製品についての制限運動が、政府ではないです、中小企業労組ばかりでなしに、大企業労組においても行なわれてきている、こういう問題が一つ。しかもアメリカに対する輸出というのは、どちらかといえば日本における中小企業ですね。大体年平均十五万円以下、十三万円以下の中小企業の労働者の手によってできた雑貨その他繊維製品等が多いわけです。そういうわけで私は総理にこの際所信を承っておきたいことは、今までのような、いわゆる日本の貿易というものが、とりわけ輸出というものが何といっても三〇%以上占めるアメリカに対するところの集中というものについて、これを変えていかなければ、輸入はどんどん今のお話のように伸びてくる、しかし、輸出については、必ずしも政府の考えているような拡大は私はできないと思うのです。この点は総理の御所信はどうでしょう。
○池田(勇)国務大臣 輸入と輸出の問題は、御承知の通り、もう数年くらい前からいろいろ議論しておるのであります。私は、輸出はほっておいても伸びるのだ、こういう気持はもちろん持っておりません。輸出に対しましてはできるだけの施策を講じなければいかぬ。私はドル防衛の問題のときも、ICAの問題とかあるいは軍人の家族の帰還の問題、こういう問題よりも貿易上についてわれわれは相当注意していかなければならぬ、これが問題だということをこの前も言っておったのでございます。昨年はアメリカとの貿易はそう伸びません。しかし反対にヨーロッパ方面との貿易は相当伸びたのでございます。これは一割足らず、九%余りの輸出増を見ております。これは私は、伸びるというよりも、伸ばさなければならぬという考え方でいっておるのであります。
○横路委員 運輸大臣に、今の国際収支の関係なんですが、この間、これも新聞ですが、海運の国際収支の見通しについては、三十六年度は赤字が三億四百万ドル出るのだ、これは容易ならざることだと思うのです。ですから、そういう意味で輸入はふえてくる、輸出はかりに思うように伸びないとする、貿易外収支については、海運収支というもので相当赤字になってくる、こういう点は私は非常に憂慮すべきものだと思うが、あなたはどうですか。
○木暮国務大臣 お答え申し上げます。 海運の国際収支は、戦後になりましてから御承知の通り赤字が続いて参りまして、ただ昭和三十三年におきましては一千百万ドルの黒字を一時見たことがございますけれども、その後は赤字になりまして、御承知の通り日本の輸入が非常に大きくて輸出が少ない特殊の経済構造がありますことと、三十六年度におきましては、われわれの推定では、輸入はおそらく数量におきまして一億トンになり、輸出の方は数量におきましては一千二百万トンくらいであるだろうという推定でありますけれども、船が十分にありませんので、海運の収入というものも、ただいま御指摘のように、純海運収入プラス港湾の経費というものを加えました場合には、赤字が三億ドル程度になるというような予定になっておるわけでございます。
○横路委員 国際収支についてはいろいろお尋ねをしたいと思ってたのですが、時間がずいぶんかかっておりますから……。ただ国際収支の見通しは、三十五年度の末においては経常収支の問題で経企長官から率直にお話があった。三十六年度につきましては、これまた私は楽観できないと思う。この点は、輸出の拡大よりも特に輸入の問題については、総理がアメリカにおいでになってその後における情勢としては、おそらく貿易の自由化がどんどん進むのではないか、こういうようにわれわれは考えまして、その点はそう楽観はできない、こう思うのです。輸出の拡大がされるかどうかは相当問題のあるところで、私はそういう意味でこれは当然原料市場の変更等も考えなければならぬと思う。 最後に一つ総理にお尋ねしておきたい。それは、昨日日本医師会それから歯科医師会との関係で自民党の福田政調会長がお会いして、なお自民党の三役は池田総理の了承を得てとして、ここに三つございます。さしあたりの措置として、七月から単価で一円を相当上回る額を引き上げる、二番は、入院料、往診料、歯科の補綴、入れ歯等の関係においてもすみやかに措置する、残余の問題は引き続き検討する、こうなっておる。これは総理は了承なさったわけですね。
○池田(勇)国務大臣 大体、党の三役のそういうふうな妥協案につきましては聞いております。
○横路委員 これは総理聞いているということはおのずから了解を与えたということになるわけですが、そうすると、たとえば残余の問題という第三項のうちで、いわゆる地域の差がございます。その地域の差を撤廃するだけで約三十六億円かかるだろう、こういわれているわけです。あるいは一番目の、七月から単価で一円を相当上回った額を引き上げる、そうすると、当然予算の措置が出てくるわけです。こういうあっせんによる妥協をしたということについては、私は当然適当な機会に補正予算を組むことになると思うのですが、その点はいかがですか。
○池田(勇)国務大臣 私といたしましては、日本医師会が保険医を断わるというふうなことがあってはいかないので、十分、党としての考え方、あるいはまた医師会としての希望を調整して、何と申しましても、今の医療協議会にみんなが出て、そうして根本的な審議をする態勢を整えることが必要であるという考えのもとに、党としてのああいう措置はやむを得ないのじゃないか、しかしこれはあくまで医療協議会において審議すべき問題だと私は考えておるのであります。
○横路委員 総理大臣、医療協議会にかけるときは、単価の引き上げはどうするか、単価の引き上げでやるのか、点数でやるのかということについて、本来からいえば医療協議会にかけるべきなんです。ところがこのあっせん案によってお互いに話がまとまったのは、第一項に、七月から単価で一円を相当上回る金額でやる、こうなっておるわけです。そうすると医療協議会にかけたとき、単価の引き上げでやるのか点数でやるのかというときに、初めから妥協は単価の引き上げですよ、一円を相当上回る金額でやりますよと言っておいて、医療協議会でどちらでやりましょうかとかけてみたって、それは私は形式的なものだと思うのです。今総理からせっかく医療協議会にかけるというけれども、この点はどうでしょう。
○池田(勇)国務大臣 党といたしましては、一応日本医師会とそういうふうな話でいっておるのであります。そしてその後におきましても、いろんな問題で折衝を重ねるようでございます。われわれ池田内閣といたしましては、どういう案を出すかということにつきましては、党の意向並びにその他の情勢を考えながら措置いたしたいと思います。
○横路委員 大蔵大臣、これだけ聞いておきたいのです。七月から単価一円を相当上回る額を引き上げる、こうなっておる。そうすると、これは当然補正予算を組まなければならなぬと思う。それはもちろん医療協議会に諮問して、それからのことになりますが、そういうようにきまれば補正予算を組まなければならないと思うが、その点はいかがですか。
○水田国務大臣 総医療費の一〇%増という予算は、計算すれば一円以上の幅を持っていることでございますから、おそらく当初予算を変更しないことで具体的な案は立てられることと私は思っております。
○横路委員 大蔵大臣、そうおっしゃらないで、この問題については医療協議会にかけて、話がまとまって、そうして経費がふくらんでくれば、そのときはそれは補正予算に考えなければならぬ、こういうようにお答えあるのが至当で、これは絶対に大丈夫です、単価一円と言っているけれども、実際には一円を上回っているから、この妥結の内容で補正予算は組まなくても大丈夫です、と、こう言っておるとあとで問題になりますよ。絶対組まなきゃならないのだから……。そうおっしゃらないで、医療協議会でそういう案がきまった場合には、その場合において考えなければならぬ、こういうようにお話しをした方があとで問題ございませんよ。大蔵大臣どうですか。
○水田国務大臣 私は、当初予算の範囲内でこれを変更しなくてもいい案が立てられるものと思っております。
○横路委員 それでは大蔵大臣、補正予算を組まなくても大丈夫だ、こういうお話だというのです。この点は、しかし、われわれとしては絶対に補正予算を組まなきゃならぬと思う。 最後に、総理に——これだけで終わります。お答えいただけばそれだけで終わりますが、実は私ども予算編成の過程で、総理がいろいろお考えになられている政策の一つとして、北海道の歯舞色丹、国後、択捉からの引揚者に、十三億について、内容は別ですよ、大体総額十三億程度のものを交付公債でおやりになる。特に林法制局長官の談話として、これは特別立法措置でやれば問題ございませんということで、私どもも特別立法措置でやれば問題ないと思うのですが、その点だけ。この点は、官房長官に来ていただいていろいろ部内の問題についてお尋ねしたのですが、これはやはり北方領土の関係がございまして、この点、官房長官からお答えがあったのですが、どうもはっきりしないのです。その点だけ、私総理からお聞きをしておいて、そうして終わりたいと思っています。
○池田(勇)国務大臣 以前からそういう問題がございまして、御承知の通り、昭和二十三年か四年だったかと思います。漁業権の問題で、交付債で片づけたことがあるのでございます。歯舞、色丹問題は、外交問題がございましたので、今まで国内と同じような措置をとっていなかった。何としてもお気の毒な状態でございますので、私は、関係省に何か補償の方法はないか、こういうことを申しつけておるわけで、ただいま十三億円の交付公債等等はきまっておりませんが、関係各省でいろいろ検討していると思っております。
○横路委員 これで終わります。ただ私、総理に、六月にアメリカにおいでになられたときに、これはいろいろな問題があろうと思うのです。一つはガリオア、エロアの問題。防衛の問題は、第二次防衛計画については持参をされないということのようですが、しかし、去年の一月岸総理がおいでになられたときには、加藤当時の防衛局長は、一応第二次計画の案を持っていっていると言われている。この点は、おそらく四月ないし五月には第二次防衛計画のことも出るだろうと思います。私どもは、先般も、この機会に、いわゆるアメリカからの軍事援助というものについては、無償援助がなくなってだんだん有償援助になる、そういう傾向と思われる。従って、防衛費はふくれてくるではないかと私は思う。先ほどのガリオア、エロアについては、私どもは、これは絶対に債務でないと思っている。しかし、総理は債務と心得て交渉するというのだが、とりわけ、いわゆる数字について明確でない。そういう明確でないものを一方的に——アメリカ側から出された資料等によって一方的に、私たちは、総理がその向こうから出された要求に頭を下げて、その適当な金額でまとめるということなしに——われわれは債務ではない、そういうわれわれの態度を、しかし、とりわけここで問題になった二十四年三月までの問題については、いかようにしても私は仕分けができないと思う。こういう点等について、総理としては、国会を終わっておいでになる場合においては、この国会における論議というものは当然考慮されてしかるべきであろう、こういうように考えているわけです。 この点だけ申し上げて質問を終わりたいと思います。
○船田委員長 以上をもちまして質疑は終局いたしました。 午後七時十五分より再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。 午後六時四十五分休憩 ————◇————— 午後七時三十七分開議
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 井手以誠君外十五名並びに稲富稜人君外一名よりそれぞれ昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算及び昭和三十六年度政府関係機関予算の編成替えを求めるの動議が提出されております。 この際、順次その趣旨弁明を求めます。川俣清音君。
○川俣委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ここに昭和三十六年度予算案の編成替えを求めるの動議の趣旨説明をいたします。 昭和三十六年度政府予算案は、所得倍増と構造政策の名のもとに国民生活を破綻させ、大資本の資本蓄積と利潤の増大を推進しようとするものである。また平和共存を見ざす内外情勢に逆行して、新安保体制に基づく軍備の増強を推進しようとするものである。よってわが党は、日本の内外政策を平和と独立と国民生活向上の方向へ根本的に転換させることを要求するとともに、別項の要綱に基づき、政府は昭和三十六年度予算案を組みかえるよう要求するものである。 ここで世論の池田内閣に対する批判の重点を申し上げますと、行き当たりばったりの政策はだれにでもできるぜいたくな政策であるという酷評もございます。また計画性の欠けた経済成長は、いずれは泥沼に陥るだけではないかという不安もございます。池田内閣は経済成長にとらわれ過ぎて、人間の尊厳とその成長を顧みないのではないか、どうも政策がドライ過ぎて、あたたかみのムードに乏しい、国民の台所に無関心な政策ではないかという反撃もございまするので、従ってわが党はこの予算組みかえにより、特に次の政策目標を達成し、勤労大衆の要望にこたえようと企図するものでございます。 その一は、国民の所得格差の根本的な是正。最近のわが国経済はかなりの速度で成長を遂げ、国民所得も増大している。しかし、この過程で所得格差、地域格差は拡大の一途をたどっている。政府が、経済成長によって生み出された租税、自然増収等の財源を公共投資を最重点として支出しようとしていることは、大企業の成長のみを促進し、格差を一そう拡大させるという悪循環を生み出すものである。 よってわが党は、特に大衆減税の幅を拡大するとともに、大企業、高額所得者からの正当な租税の徴収を強化し、これを社会保障、農林漁業や中小企業対策、文教の充実等に充てる。 二、防衛費の削減と経済の平和的改造。わが国憲法の精神に基づき、防衛費を大幅に削減する。このことは消費物価を抑制する役割を果たすのであると同時に、従って自衛隊を編成がえし、平和国土建設隊を創設し、国土開発に関連する公共事業を重点的、かつ効率的に施行する。 その三は、消費者物価の安定でございます。これが池田内閣の最も弱いところでございましょう。政府の経済成長政策は、所得倍増ではなく、いたずらに物価倍増をもたらしているという批判もありますので、特にその犠牲は低所得者層に激しくしわ寄せされているところに国民の反撃もあるわけでございまするので、私どもは消費者物価の安定に特に重点を置いているところでございます。 よってわが党は、特に国鉄、郵便等の公共料金の引き上げを阻止するとともに、勤労大衆の立場からの消費者行政を強化し、一般諸物価の上昇を防止する。 その四、財政投融資の運用方法の根本的転換。財政投融資の原資は、国民の税金及び郵便貯金、簡保、国民年金、厚生年金等の国民の零細資金の積み立てである。ところが政府は、この資金を、開発銀行、輸出入銀行等を通じて大資本への長期低利融資に充てている。また産業基盤の強化のためと称して、道路や運輸通信施設、工場敷地等の建設に向けているが、これも大資本の経済活動に奉仕せんとするものである。それに対し、中小企業者や農林漁業者への財政資金の供給はきわめて少額であり、しかもその金利は高い。勤労者福祉厚生施設への還元融資すらも、資本家の労務対策のために悪用されている。これを見るに、本来国民の資金たる財政投融資の運用は全く転倒しており、国民の利益に合致していない。 よってわが党は、大資本への供給資金を大きく国民生活向上のための資金に転換させるとともに、その利子引き下げをはかり、また財政投融資との関連で民間資金の民主的規制を行なおうとするものであります。 以上の四つの政策目標は、わが党の長期政治経済計画の方向に沿うものであり、またこうした方法によってこそ、初めて健全なる財政金融政策を確立することができると信ずるものでございます。 組替え要綱 歳入、イ、所得税は基礎控除引き上げ、配偶者控除新設、扶養控除引き上げ、給与所得控除引き上げ、小規模事業所得者の特別勤労控除新設等により、標準世帯課税最低限を、給与所得者四十六万円、事業所得者四十一万円(専従者一人あれば四十八万円となる)に引き上げる。寡婦、障害者、老齢者、勤労学生等の税額控除を七千円に引き上げる。白色申告者も含め、農民、中小商工業者の自家労賃控除一人十二万円を認める。退職所得控除の限度額を五百万円に引き上げる。 法人税は、中小法人に軽減税率を適用し、同族会社の留保所得課税の特例を廃止する。資本金一千万円以下の中小企業償却資産の耐用年数を一律三割短縮する。国民生活必需物資、中小零細企業に関連する物資物品税を廃止する。大衆酒の一部減税を行なう。入場税、通行税を軽減する。教育、慈善、科学研究等に対する寄付行為は課税所得から控除する。 以上により、総額約千七百三十二億円の大衆減税を行なう。 ロ、所得税の税率を百四十万円以上について累進度を強化する。法人税は、所得五百万円以上の法人税率を四〇%に引き上げる。大資本本位の租税特別措置を整理するとともに、交際費、過度の広告費につき否認を強化する。ゴルフ税を新設する。富裕税を新設する。 以上により、総額約二千百五十八億円の増収をはかる。 歳出、イ、防衛庁費のうち、人件費、物件費、施設費等を削減し、国庫債務負担行為を全額削除する。施設提供費を削除する。 旧軍人等恩給費につき、階級差を是正するとともに、受給者余命率によって交付公債をもって打ち切り、補償を行ない、三十六年度支給額を節減する。公安調査庁、憲法調査会、国防会議、内閣調査室等の反動機構の経費を削除する。 公共事業費の使用方法の改善及び平和国土建設隊の活用により、事業量を減ずることなく予算を節減する。 国民年金費のうち、拠出制年金の施行を延期し、その負担金交付金等を削減する。 森林開発公団への新たな出資を繰り延べる。 反動教育のよりどころとなろうとする教育会館設置費を削減する。 右により、総額約二千六百七十二億円の支出の節減を行なう。 ロ、自衛隊の改編により平和国土建設隊を創設し、国土の大規模調査と土地利用区分の設定及びこの区分に基づく開発を実施するとともに、これを基幹として公共事業の能率的運営を確保する。 この経費は防衛庁費の残額の一部をもって振りかえ充当する。 ハ、国民生活の安定と低所得階層の所得水準引き上げのため、生活保護基準を五割引き上げる。拠出制国民年金の実施を延期し、福祉年金の給付額を引き上げる。失業対策賃金を五割引き上げ、失業保険の給付期間を延長する。医療費引き上げの国民負担を防止するため、国保、健保、日雇い健保の給付に対する国庫補助率を引き上げる。第二種公営住宅の建設戸数を増加する。未解放部落対策を飛躍的に強化する。社会福祉施設職員を増員し、その給与を引き上げる。原爆被害者対策を強化する。母子福祉貸付金を増額する。小児麻痺対策を強化する。 右により約一千六百八十三億円を増額支出する。 二、農林漁業の生産性を高め、農漁民の所得水準を急速に引き上げるため、国土の科学的調査により土地利用区分を定め、水資源の開発、農地の造成、土地改良、農地集団化等の農業基盤整備を強化する。農業経営の近代化、共同化を促進するため、農業サービス・センター及び農業機械化ステーションを設置する。主要農畜産物の価格支持を強化するとともに、農畜産物流通機構を整備する。農業災害補償制度を抜本改正し、農民負担を軽減して所得補償の原則を確立する。官行造林事業の森林開発公団への移管に反対し、水源林涵養の国有林野事業をさらに強化する。沿岸漁業振興のため築磯、魚礁設置等の事業を強化する。魚価安定対策のため魚価安定基金及び水産物販売購買事業団を設立し、これに出資する。漁業サービス・センターを設置し、水産業改良助長対策を強化する。農山漁村生活文化近代化を促進する。農林漁業金融公庫の原資を五百億円公募し、これに利子補給するとともに、農協系統資金を一千億円農業経営近代化のため農業への還元融資に充て、これに利子補給を行なう。 右により約六百四十億円を増額支出する。 ここで池田内閣の農業に一番弱い点を特に強調するものでございます。他産業との生産性の格差是正をほんとうに目標とするのでありますならば、家族経営主義のワクを抜け出して、構造改善の方向を考うべきであろうと思うのであります。もし家族経営農業を維持し、あるいは発展することを目標とするならば、生産性の格差の是正は期し得られないであろうと思われます。これが自民党の農業政策の一番の欠陥であろうと思います。 ここで総理府統計局の労働の臨時調査によりますというと、農林業主の所得分布を見ますと一〇%刻みの第一分位層の最低所得層の所得は、全所得の一・五%、これは三十三年、三十五年と一%ずつ下がっておりますが、漸次所得の比重は低下しております。ところが第二、第三位層になりますというと、わずかに低下しておる。第四から第七くらいは比重はあまり高くありませんが、第七位層から第九位層に至りますというと、その比重は拡大しておりますが、第十位の最高所得層は、二十七年二八・四%が、三十三年には二六・〇%にと低下し、さらに三十五年には二五%へと縮小しております。すなわち、農業収入で見た農林業の個人業主の所得の所得分布は、全世帯で見た傾向と異なりまして、最高所得層の所得の比重は縮小し、中、上層は拡大しておるのでありますが、これはなぜであるか。政府は農林業の規模が増大すれば所得がふえると言っておりますが、この統計によりますると、むしろ低下しているのであります。このことは、最高所得層の比重が低下しているということは、これはおそらく農業経営大規模化の限界を示すものであろうと思われる。一定の限界を越えた場合には、所得がかえって低下することが、農業所得の中に明らかに現われているようでございます。 さらに、ホ、中小企業対策の強化のため、中小企業総合サービス・センターを設置し、小零細企業への総合指導を行なう。中小企業近代化基金を設置し、中小企業への新技術、新設備導入を促進する。勤労性事業の協同化による小組合の組織を進め、その施設と事業を助成する。国民金融公庫商工中金へ出資し、その原資を増加するとともに、貸出利子を引き下げる。 右により約二百四十億円を増額支出する。 へ、教育に関連する父兄負担を軽減し、教育の機会均等を進めるため、義務教育費国庫負担金を増額する。文教施設を整備し、小中学校の学級を増設するとともに高校を増設する。育英事業を拡充する。私学諸施設を助成し私学授業料引き上げを防止する僻地教育を振興する。小学校生徒一〜三年に教科書を無償配布する。学校給食のパン、牛乳に対する補助を拡充し、またなま果実をも給食してこれに対し補助する。また大麦を主体とした新しい給食にも補助をする。 右により約三百四十五億円を増額支出する。 ト、東南アジア諸国との間に、農業、中小企業等に関連する技術協力を推進する。 右により約十五億円を増額支出する。 チ、科学技術及び発明を振興するため、国立試験研究施設を整備する。総合科学技術研究所、人文科学研究所を設置する。台風防災科学研究、核融合反応研究を強化する。発明開発公団を設立する。 右により約七十五億円を増額支出する。 リ、石炭鉱業の総合開発と石炭流通の合理化を推進するとともに、石炭離職者対策を飛躍的に強化する。 右により約百三億円を増額支出する。 ヌ、離島振興を強化する。 右により約十億円を増額する。 ル、防犯のための街灯施設の設置に対し補助する。 右により約十五億円を増額する。 ヲ、公共料金の引き上げを防止するため、国鉄公社に対し公共負担分及び公募債利子負担分を繰り入れるとともに、郵政特別会計にも繰り入れを行なう。 右により約二百八十七億の増額支出を行なう。 ワ、消費者保護審議会を設け、勤労者の立場に立つ消費者行政を強化して物価値上がりを防止する。 右により約二億円を増額支出する。 カ、地域的格差是正のため後進地域開発のための調査を行なうとともに事業の調整を行なう。 右により約三十億円を増額支出する。 ヨ、三税収入の増に伴い地方交付税交付金を増額する。 右により約二百四十四億円を増額支出する。 タ、各種の制度的改革に備えて予備費を増額する。 右により約三十億円を増額支出する。 レ、一般公務員及び公企体職員のベース・アップ、生産者米価引き上げについては、勤労者、農民の戦いの力によってかちとることを支援し、その最終的結果について必要な予算措置を補正するものとする。医療費の一割をこえる引き上げ要求についても同様の取り扱いをする。 三、財政投融資 財政投融資については、国民の零細な積立資金及び社会保険積立金等で構成されている財政投融資の独占資本本位の運用を改め、これを、地域、産業、階層間の不均衡の是正、雇用の拡大等、国民の利益のための運用へ転換する。 イ、開発銀行、輸出入銀行、電源開発株式会社の原資のうち、資金運用部資金を四百二十億円削減し、これを中小企業金融公庫及び住宅金融公庫の資金増額に充てる。なお開発銀行、輸出入銀行、電源開発株式会社は、民間資金規制により、生保、損保等の民間資金を公募して原資を補充する。 中小企業金融公庫に百億円、住宅金融公庫に一般住宅融資を五万戸分及び農山漁村住宅改善融資五万戸分三百二十億円。 ロ、農林漁業金融公庫は、農林中金、信連等の余裕金五百億円を吸収して原資を拡大するとともに、一般会計より二十億円を受け入れてその利子補給に充て、農業経営共同化に対する長期低利融資を強化する。 ハ、国民金融公庫及び商工中金は、それぞれ一般会計よりの出資五十億円ずつを受け入れ、特に零細企業への低利融資を強化する。 ニ、厚生年金及び国民年金積立金の還元融資については労働金庫等を経由する被保険者の自主的運用の道を開く。 ホ、国鉄の運賃を値上げせずに新規建設分の資金を調達するため、民間資金の公募を三百五十億円増額するとともに、これに対する利子負担を軽減するため、二十五億円を一般会計から受け入れる。 以上をもって説明を終わりますが、何とぞ理解ある御審議をお願いする次第でございます。
○船田委員長 内海清君。
○内海(清)委員 私は民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十六年度予算三案に対し、反対の趣意を明らかにして、これが撤回を要求し、皆様のお手元に配付いたしましたわが党組みかえ方針に基づいて政府案を組みかえるよう動議を提出するものであります。 私どもが政府案に反対する第一の理由は、政府案こそは大企業の生産力増強最優先を意味する所得倍増計画の最大推進力だからであります。すなわち池田内閣の所得倍増とは、経済二重構造の解消、所得格差の是正、低所得層の生活水準の向上はすべて大企業生産力増強の結果として与えられるものであるという考え方に立脚しておるのであります。 私ども民社党は、国の財政とは、国家行政の経常支出をまかなうとともに、国内経済社会の不均衡を財政をもって計画的に是正に向かい、この是正の方向を福祉国家建設の方向に発展させることにこそ本来の任務があると考えるのであります。この観点に立って、政府案並びに政府の言う所得倍増計画を見ますならば、それらはいずれも所得格差を拡大し、経済二重構造の矛盾をさらに深めるものと断ぜざるを得ないのであります。 第二に、政府案は大幅の歳入増額を見込んでおられますが、依然としてぬぐい去りがたい一大欠陥は、法人税における大企業課税に対する不当なる恩恵が相変わらず存続しておる点であります。なるほど、法人税は本年度当初予算に比べて千三百九十三億円の増収を計上してありますが、これは租税特別措置によって千二百億円を上回る減免税が実施されることを前提としての増収なのであります。これに対して、所得税の減税は約六百三十億円で、これは明年度の税収の伸びの算定が最終的にきまらないうちの減税案をそのまま政府案として持ち込んだものでありまして、三千九百億円をこえる租税収入の自然増の伸びに対しては、あまりにも低い減税といわねばなりません。しかも歳出予算の面におきまして、政府案は社会保障関係費を飛躍的に増額したと言われておりますが、拠出制国民年金にせよ、医療保険にせよ、政府案の特徴は、予算額の増額と同時に、国民に新たな負担の増額を強制するという両建になっている点にあります。また防衛費を見ますならば、政府みずから何らの自主的な防衛方針も、長期計画も持たないままに、本年度予算の延長線に二百億円の増額をはかっておる点が最大の特徴でありまして、これはとりもなおさず、ひたすら日米安保条約の指向するままに編成されていると称しても過言ではないのであります。 特別会計予算並びに政府関係機関予算についての政府案の特徴は、公共投資の増額という名目のもとに、実は大企業生産力増強のための産業基盤の強化に最重点が置かれている点にあります。しかも、財源不足の点は公共料金の値上げという形で国民負担の増加を強制している点に最も注目すべきであります。私どもは、このような予算編成の基本方針には国民とともに断じて承服し得ないところであります。 私どもが政府案に対して組みかえを求める具体的内容は、まず歳入予算におきましては、大企業法人の企業収益について的確に徴税することにより六百億円の増収、また今回政府より提出されました租税特別措置法改正案の内容を一そう強めることにより、さらに百五十億円の増税、所得税と相続税は一人当たり収入二百万円以上の累進税率を引き上げることによって五十億円、土地増価税の新設によって五十億円の増税をはかり、これによって大企業所得と高額個人所得からさらに増徴する点にあります。これに対して勤労者家計には課税しないという目標のもとに、明年度はとりあえず五人家族月三万五千円平均の家計まで所得税の免税点を引き上げ、特に最近は家計における教育費負担が重くなる実情にかんがみまして、少なくとも義務教育に対する家計の実費負担分を免税するよう、税制改正を要求するものであります。このほか、申告所得税関係におきましては、家族専従者控除は、白色、青色の別なく、一人当たり八万円を認めることにより、二十億円減税、年百万円以下の事業所得には、所得三十万円までに勤労控除二〇%を認めることにより、大工、左官、理髪職その他みずから勤労に励んでおられる国民階層に対し二十億円の減税、並びに退職所得についても、基礎控除を五十万円、免税点を百五十万円に引き上げることにより、二十億円の減税をはかり、所得税でさらに二百八十一億円の減税を要求いたします。また揮発油税の税率引き上げを中止して、これによる百五十三億円の増税の撤回を求めます。 以上によりまして、政府案に対して増収八百五十億円、減収四百三十四億円となり、歳入規模は政府案より四百十六億円の増額となり、一兆九千九百四十三億円となるのであります。 次に、歳出予算の組みかえにおけるわが党方針の中心点は、明年度予算をもって社会保障制度の基礎を確立し、これによって福祉国家建設の第一歩を踏み出せという点にあります。この意味におきまして、わが党は、第一に、医療保険については、明年度予算をもって国民負担は三割以上ふやさないという原則の確立、第二に、福祉年金の支給額を平均三千円に引き上げ、医療保障と所得保障の双方より病気と貧困の悪循環の切断態勢を強化するよう主張するものであります。 これが実現の方途として、一、健康保険、船員保険、の国庫負担は保険給付費の二割に引き上げる。二、国民健康保険の国庫補助は保険給付費の四割に引き上げ、事務費単価を百二十円に引き上げる。三、日雇健康保険の国庫負担を五割に引き上げる。右の三点を明年度より実施すべきであります。 わが党は、現実の問題として四月より着手することは不可能でありますので、十月よりの経費三百二十六億円をこれに充当すべきものと考えます。 次に福祉年金の増額は、一、老齢福祉年金の支給開始年令を六十五才に引き上げ、毎月三千円を支給する。二、母子福祉年金の年金額を三千五百円、児童加算を六百円に引き上げ、準母子世帯を含める。三、障害福祉年金を一級、二級、三級の障害者に支給することとし、年金額を一級四千円、二級三千円、三級二千円に引き上げる。以上を本年十月より実施するとして、拠出年金に計上した予算額約百三十七億円を差し引いて、三百三十三億円を必要とするものであります。 この二大目標実現の過渡的措置として、生活保護対象の増加と基準単価の引き上げは不可避的に必要な政策であります。 これに要する経費として、六十億円の増額の計上並びに母子福祉施設費の一億円増を加えて、民社党は明年度予算において、社会保障関係で千二百十六億円の増額を要求いたします。 第三に増額すべき歳出項目は、農業基本法実施に伴う農業関係予算の増額であります。この点についてわが党は、農家所得の向上と、農業生産の増強とを同時に実現し得る予算措置として、当面は生産費と所得を補償する生産者米価方式の採用が先決条件であると確信しております。その他の農業近代化に要する予算増額三十五億円は、現段階にあっては、米価算定方式の変更に次いで行なわれるものという見解に立っております。 第四に、文教関係費、住宅対策費、沿岸漁業対策費については、お手元に配付しております組みかえ案の通り、それぞれ増額を主張しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。 第五に、失業対策関係につきましては、登録日雇い労務者の労賃と就労日数の引き上げ、炭鉱離職者対策費の増額、雇用促進事業団交付金の増額につきまして、さらに合計二十億円を増額すべきであります。 第六に、中小企業対策に関しましては、特に近代化促進費の三十億円増額の必要を認めます。さらに地方財政の自主財源確保のため、臨時地方特別交付金制度を廃止し、地方交付税交付率を三〇%に引き上げます。これによって百億円の増額を要求いたします。 第七として、防衛費につきましては、国を守る最小限の措置費に改変する目標のもとにまず明年度における一切の新規増勢を中止し、かつまた現自衛隊における一切の欠員補充を中止して、これにより自衛隊規模は、おおむね昭和三十四年度末現在の態勢に戻しまして、この態勢を基準として日米安保条約のきずなを離れた自主独立の自衛措置への改編第一歩を踏み出すべきであると考えます。このための予算措置として、新たなる国庫債務負担行為二百八十二億円、新たなる継続費七十五億円の計上をとりやめ、かつ防衛庁費全体を一千百億円程度に削減することを要求いたします。 第八に、最近の会計検査院の検査報告による官庁のむだ使いの実態にかんがみても、約二兆円の歳出予算の一%である二百億円の行政費節約は、当然にすべての行政官庁の義務とすべきものであると心得ます。このように、わが党は、政府案に対し歳出増千二百十六億円、歳出減八百億円を求め、この差額の四百十六億円は、歳入増額分によって充当するものであります。 最後に、財政投融資計画については、わが党は財政投融資の対象を農林漁業、中小企業、住宅と道路、地方開発並びに地方債と国鉄関係を中心とし、他は主として公募債と借入金に依存するような態勢に再編成すべきであると考えます。 この方針に立って、中小企業関係と国鉄、郵政に対する融資の増額、開銀と輸出入銀行に対しては起債を認めて、投融資は減額すべきであると考えます。 現在のように、起債市場が豊かになってきた今日では、財政投融資が大企業の産業投融資に流れることを極力避けるべきであります。また、この財政資金によって積極的に公共事業の体質改善をはかり、料金の値上げを回避するよう資金の活用に最大の努力を傾注すべきであります。 以上をもって趣旨説明を終わりますが、何とぞ慎重御審議の上、わが党組みかえ案に対し御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○船田委員長 これにて編成替えを求めるの動議の趣旨説明は終わりました。 —————————————
○船田委員長 これより、井手以誠君外十五名提出の編成替えを求めるの動議、稲富稜人君外一名提出の編成替えを求めるの動議及び政府原案を一括して討論に付します。上林山榮吉君。
○上林山委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和三十六年度一般会計予算外二件に対し賛成し、日本社会党並びに民主社会党提案の予算組みかえ案に反対の討論を行なうものであります。 まず、私が本案に賛成いたします最も大きな理由は、わが自由民主党が、昨年の総選挙において国民諸君に公約しました多くの重要政策が、本予算案においてことごとく実現を見ているということであります。 総選挙における公約の中心的課題は、一言にしていえば、国民所得の倍増を目ざす新しい経済成長の政策であります。 この計画は、申すまでもなく、十年以内に国民総生産を倍増し、完全雇用を実現し、生活水準を大幅に引き上げようとするものでありますが、わが党の構想は、あくまでも自由経済の原則の上に立つもので、産業を国営にしたり国家管理にしたりして、国民の自主性と自由な経済活動を縛るようなことは考えないのであります。計画を実現する原動力は、あくまでも国民であります。政府としての任務は、国民経済の持つ潜在的な成長力を正しく評価しながら、成長の要因を積極的に培養し、また成長を阻害するいろいろの要因を排除して、国民の創意が十分に発揮できるように、また職を求むる何人にも、適当な所得で、その希望を満たし得る環境を作り、必要な条件を整えて経済成長を促進しようとするものであります。わが党の財政政策は、この意味におきまして、まことに重大な役割をになうものであります。しかも今日特に必要なことは、農業と非農業との間、大企業と中小企業との間、地域相互間並びに所得階層間に存在する生活上及び所得上の格差の是正に努めなければならないことであります。 かくして、国民経済と国民生活との均衡のある発展を期するのがわれわれの責任であります。 この予算の編成にあたり、政府が減税、社会保障、公共投資を三本の主柱とし、中小企業、農林漁業の近代化、後進地域の開発促進、貿易の振興、文教の拡大充実を特に重要な事項として、最大限の予算措置を講じておるのは、わが党の右申し述べました基本構想にのっとるものであり、政党内閣としての躍進を示すもので、政府の所得倍増に対する意欲と熱意が十分くみ取れると同時に、予算編成のかまえ方が理論的にも正しいと信ずるものであります。 これが私の本予算案に賛成する基本的な態度であります。 以下、少しくこれらの重要施策の諸点に触れてみたいと思うのであります。 第一に、減税であります。わが党の公約による減税額は、国税、地方税を合わせて平年度一千億以上でありますが、本予算案においては、国税のみでも平年度一千百三十八億に達し、所得税において、特に課税所得七十万円以下の中小所得者の負担の軽減をはかることを初め、妻を扶養家族扱いする現在の建前を改めて、新たに配偶者控除を設け、所得税における妻の座を高めたことは、世界にも例の少ないことであり、また中小企業者の体質改善と経営の安定に資するため、所得税、個人事業税における専従者控除の拡大、法人税等における耐用年数の改定、特別償却の拡充、同族会社留保所得課税の軽減等をはかっておることは、特筆されてよいと考えるのであります。 減税の規模が一部縮小したかに見えるのは、租税特別措置の合理化でありますが、これはかねてより社会党の諸君も強くその整理を主張されているところであります。また揮発油税、軽油引取税等の税の引き上げによる料金への影響は、〇・八ないし一・七%程度であって、道路整備が、公約通り画期的に促進されるのでありますから、大局的に見て、国民に好結果を招来するものと信ずるものであります。 第二は、社会保障についてであります。福祉国家の建設を目ざす今回の新政策において、社会保障そのものが同時に経済成長政策の一翼でもあり、またまさに所得格差を是正するものであります。本予算案における社会保障関係費総額三千四百六十七億円は、前年度当初予算に対し六百三十六億円、約三五%の大幅な増加であり、各省所管予算中、低所得者層対策の経費を合算すれば、昨年度に比し七百八十億円という飛躍的増加を見たのであります。特に生活扶助基準を一八%という大幅な割合で引き上げたごときは、最近の改定が常に三%程度であったことを顧みますならば、いかに画期的なものであるかは、社会党推薦の公述人も賛意を表したごとく、特に強調に値するものと思うのであります。また結核及び精神衛生対策においても、三十五年度に倍する予算措置を講じておりますが、生活保護層への転落の原因の過半が、傷病、なかんずくこれら長期療養を要する疾患となっている実情を見るとき、またカード階級の結核被病率が一般の十三倍であることを思うとき、今回の施策は、まさに貧乏と病気の悪循環を断ち切る防貧対策に巨歩を踏み出したものと信ずるものであります。 以上のほか、本予算は、生別母子世帯の児童扶養手当制度の創設等各種目にわたって、この種事業に必要なきめのこまかい施策を充実しており、たくましく成長する経済のらち外にある不幸な人々に安定した明るい生活を約束し、福祉国家建設に画期的前進を示しているのでありまして、率直に賛意を表する次第であります。 第三は、公共投資についてであります。道路、輸送施設、治山治水、用水施設、産業立地条件の整備等、いわゆる社会資本の充足は、所得倍増計画達成のため政府のなすべき重要なる役割であります。三十六年度においては、予算及び財政投融資を通じて、これら公共投資の飛躍的な拡充をはかり、民間設備に比較してはなはだしく立ちおくれぎみにあります公共施設の整備充実により、産業の均衡的発展をはからんとしているのであります。特に道路、港湾等については、三十六年度を起点としてそれぞれ新五カ年計画を策定し、道路二兆一千億円、港湾二千五百億円の巨額の行政投資を行なうほか、今後の産業の拡大に対処するため、産業用地の造成と工業用水の確保についても、予算及び財政投融資を通じ顕著な前進を示し、後進地域の開発については、公共投資全般を通じて格段の配慮を加えるとともに、補助率等についても特別の措置を講ぜんとしておりますことは、後進地域の所得の格差是正に対して多大の貢献となるものであります。 次に、人間能力の向上と科学技術の振興は経済成長の不可欠の要件であり、また産業構造の高度化に対応し、労働の質の向上とその流動化が強く要請されることとなるのでありますが、本予算においては文教関係費において、前年度当初予算に対し、科学技術教育を中心に約四百四十四億円、二四%の飛躍的な増額をはかるほか、雇用促進事業団を新設し、職業訓練、職業紹介等の施策を強化拡充し、経済の成長、産業構造の高度化に対処しておることは、まことに時宜に適した措置と申さなければなりません。 次に、農業部門においては、麦の作付転換対策費、畜産物事業団、農地信託制度、農協資金の活用による農業経営近代化資金の創設等は、農林漁業の体質改善と近代化へ大きく踏み出したもので、農業基本法の制定と相待って、農山漁村に明るい希望を与えるもので、ともに喜ばざるを得ないのであります。 中小企業の近代化、貿易の振興、海外経済協力等の諸施策についても、それぞれ適宜な措置が講ぜられておることは申すまでもありません。 予算と表裏一体の関係をなす財政投融資について一言申し上げますならば、財政投融資のあり方は、公共的性格の強い部門に比重を置くべきが本来の姿でありまして、三十六年度の計画におきましては、総額七千二百九十二億円中、その八〇%以上は生活環境の整備や厚生福祉施設、中小企業、農林漁業、国土保全、地域開発等、国民生活の安定向上をはかる部門へ配分せられ、従来より著しく改善の跡を見ておること、また三十六年度より発足する拠出制国民年金等、長期の社会保険資金は一括して郵便貯金と区分し、年金資金として新規増加の四分の三強の金額は、国民生活の安定に直結した部門に配分しておることは、まさに当を得た措置と思われるのであります。 さて、私は以上申し述べましたような内容の予算案が、その規模において適正なりや、その経済的性格が妥当なりやの点に論及いたしたいと存じます。 まず、その規模でありますが、私は結論として、本予算案は財政の健全性を確保し、しかもわが国経済の成長に見合った適正な規模で編成されているものと信じます。すなわち、一般会計は歳入歳出とも一兆九千五百二十七億円でありますが、歳出の一切が租税その他の普通歳入によってまかなわれ、赤字公債の発行ないしは過去の蓄積を食いつぶすがごとき措置はとられておらず、収支均衡を得た健全な予算であると断ずるものであります。 なるほど、三十五年度当初予算に比べて三千八百三十一億円、約二四%の大幅な増加となっていることは事実でありますが、三十五年度補正後の規模に比べますならば、一〇・六%の増加でありまして、この予算規模を三十六年度国民総生産見込額に対比してみれば一二・五%であって、三十五年度当初予算の一二・四%とほぼ同様であり、三十四年度の一三・二%よりは逆に低いのであります。また国民所得と対比しましても、三十五年度とほぼ同程度で、過去数年の実績とも大差はないのであります。さらに、政府の財貨サービス購入の国民総支出に対する比率も一九・三%であり、三十五年度とほぼ同じく、三十四年度よりは低く、国民経済に対する財政の比重として妥当なものであります。また三十六年度経済においては、消費支出の増加は名目で一〇・七%と見込んでおり、この程度の増加が可能かどうかは九・八%の成長の成否にかかっておりますが、本予算は前述のような編成でありますから、消費支出の増加をバック・アップするものといえましょう。 また、財政投融資の規模についても、一般会計と同様のことが言えるのみならず、設備投資としては前年に比べ三割増でありましても、需要効果が大きく、生産力効果は間接的であるものが多いので、過剰生産をもたらす危険はないのであります。従いまして、この予算規模は適度であり、また経済的効果も適度であると認められるのであります。従ってインフレを招くがごとき懸念はないものと信ずるものであります。これらの点は、客観的な学者の立場に立つ与野党推薦の公述人諸君も、原則としてひとしく認めておることは意を強くしたところであります。 以上述べて参りましたごとく、本予算三案は、その規模において、内容において、わが国経済の現状にかんがみ、所得倍増計画を達成する第一年度として適切な予算であり、国民諸君に対して国民所得の倍増を約束し得る希望に満ちた予算であることを確信いたします。 しかしながら、私は本予算案を検討いたしまして、いささか懸念される面もなしとしないのであります。すなわち、行政面におきましては、その運営の能率化、公共投資につきましては、その運用の効率化、また経済金融面におきましては、政府の目ざす経済成長率に見合う民間設備投資のあり方、ないしは消費者物価の動向等に関するものでありますが、私は特に消者者物価につき一言いたしておきたいと思います。 今次の予算におきまして、国鉄運賃等一部公共料金の値上げが認められ、また民間におきましても、サービス部門の一部料金の値上げ等が行なわれております。これらの事実を見て、所得が倍増される以前に物価の方が倍増されるなどという批評のごときは、きわめて短見で、もとより当を得たものではありません。私は、従来不当に長く押えられてきた国鉄運賃のこの程度の合理的改定は、経済成長政策達成上むしろ当然と考えます。また、生産性の向上によって賃金の上昇を吸収し得ない、たとえばサービス部門における手間賃等の適正な値上げは、これらの職業に従事する人々の所得の増加という点からも、これを容認するにやぶさかではありません。しかしながらこの種の値上げに便乗するがごとき物価の値上がりがあるといたしましたならば、これに対しては重大な関心を払わざるを得ないのでありまして、公聴会においてもきわめてまじめな意見や希望が開陳せられたのであります。ゆえに政府としましては、物価に対する基本的考え方を一そう明らかにするとともに、その動向については十分意を用い、国民の納得の上に健全な対策を用意される必要もあるものと思われるので、慎重な考慮を望むものであります。 なお政府に要望いたしたいことは、国際経済の動きに深く注意されたいことであります。特に米国のドル防衛に対しては、ドルが自由主義国全体の基礎通貨であること、わが国経済の立ち直りに多大の寄与を惜しまなかった通貨であること、さらにはわが国のドルの手持ちが現に多額になっておること等を十分考え、これをわがこととして遺憾のない措置を講ぜられたいのであります。一方貿易の振興については、現に一月の国際収支が、総合収支は黒字であるが、九千九百万ドルの赤字であることにも顧み、格段の留意を払うべきであります。 私は、意欲的な倍増計画第一年度の本予算案の成立を目前にするこの機会において、最後に所見を述べさしていただきたいことは、一言にして言えば、日本人はすべてにもっと自信を持つことだと存じます。そして建設的意欲を持って前進することだと思います。日本はすでにして経済力は驚異的な伸び方を示しているのであるから、私はこの際倍増計画が国民の良識ある協力によって成果を上げることを心から望むものであります。そしてわが国民がまず経済の充実から新しい国作りに自信と誇りを持ち、西欧諸国と同じような自信と力とを背景にした国際社会に対する発言力と説得力とを十分に発揮するようにしたいと思うのであります。池田総理は、そうした意欲を作り上げるため、倍増計画の推進に一段の力を注がれるとともに、寛容と忍耐にとどまらず、積極的に国民を説得してリーダーシップをとり、国民全体が正しい姿勢がとれるよう努力を新たにされることを期待をするものであります。 次に、社会党の組みかえ動議について意見を申し上げます。 まず、案そのものの内容を批判する前に、はなはだ理解に苦しむのは、三十六年度予算に対する社会党の態度であります。御承知の通り、社会党はさきに約二百億円のワクの修正案を示してわが党と折衝をされたのでありますが、修正という以上、修正する部分以外は大体において賛成するということでなければ筋が通らないのであります。ところが党の態度を一たんそうきめておきながら、修正交渉が整わざるや、今度は政府案を上回る二兆五百七十四億円の予算規模で、しかも修正交渉のときに数倍する大幅のはなはだ非現実的な組みかえ要求であります。こんなやり方はあまりにも見えすいた便宜主義的な態度ではないかと思います。もしそれ修正交渉の態度と内容が真に正しいと思うならば、堂々とその内容と同一の修正案をここに出すのが本筋ではないかと思うし、またそうしなかったことは、社会党の成長のためにも惜しまれてなりません。 さて組みかえ案の歳入歳出を見てみますと、歳出をふやす面では、いろいろ詳しい事情を知らない人々を喜ばせるようなけっこうな項目が並べられておりますが、問題はその財源であります。まず防衛費の削減八百五十八億円でありますが、どういうやり方で自衛隊をつぶそうとしているのかはともかくとして、これはわれわれの自衛のための防衛政策とまっこうから対立するもので、もちろん容認できるものではありません。このような削減が国内的及び国際的にどのような影響を与えるものか、社会党も現実的に冷静にもう一度お考え直しを希望しておきたいと思います。 次に、軍人恩給の削源六百五億円はどんな内容を持つものか、つまびらかではないが、いずれにいたしましても、大きな現実的な社会不安を引き起こさざるを得ないことは火を見るより明らかであります。また歳出の削減のうち、事業量を減ずることなく公共事業費を一千三十五億円も削減するというがごときは、事業の重要性に理解のないばかりか、このやりくりは全くの手品というほかはないと言わざるを得ません。 次に歳入の面を見ますと、税収の見積もりがはなはだずさんで、自分に都合のいい無理な見積もりをしているようであります。たとえば所得五百万円以上の法人の税率、現行の三八%を四〇%に引き上げるということによって四百五十億円の増収を見込んでおります。これは時間の都合で説明を省きますが、約二百億円の水増しがあるようであります。しかしこの際そういう計算上の誤りはさておき、問題は社会党の税制に対する基本的態度であります。社会党は現行の税制を大資本擁護の税制であると独断的にきめておられるようでありますが、いや、これは税制だけでなく、わが党の財政経済政策全般に対する攻撃でありますが、しかしこれはあまりにも木を見て森を見ない議論ではありますまいか。終戦後のあのみじめな状態からいかに経済が立ち直ったか、いかに国民大衆の生活水準が上がったか、そして特にここ二、三年来の経済成長がいかに国内に繁栄と幸福をもたらしつつあるか、この辺を公平に冷静に見ていただけば、結局はわれわれの政策がいかに国民全体の利益になっているかということが明瞭であろうと思うのであります。経済の成長を促進することによって、低所得層を含めた国民全体の生活を向上させる、これが国民政党たるわれわれの政策であります。鶏を育て太らせることによって金の卵を産ませる、これが経済成長の政策であります。社会党のやり方は、鶏をいじめ細らせようというのです。これでは金の卵を産むどころか、やがて鶏そのものまで殺して、国民は食うに困るようになることは明瞭であります。このような理由から私は社会党の組みかえ動議に反対するものであります。 最後に、民主社会党の組みかえ案でありますが、防衛費の削減その他の面で社会党案とは相当異なった現実的な点が認められますが、社会党案に対して述べたのとほぼ同様な趣旨において反対するものであります。 以上をもって私の討論を終わります。(拍手)
○船田委員長 岡良一君。
○岡(良)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なっております昭和三十六年度一般会計予算外二案に関しまして、まず政府原案については、その撤回を求め、わが党提案の趣旨にのっとった編成がえを強く要求いたします。 また、民主社会党の編成がえの動議については、その方針は、ほぼわが党と同調いたしてはおりますが、さらに一段の御奮発を願いたいと思うのであります。 私は討論に先立ちまして一言池田総理大臣に申し上げます。 御存じのように、先般わが党は一個の修正案を提出いたしました。この修正案の内容は、御案内のように社会保障関係費は二百億の増、その内容は、あるいは医療費の引き上げに伴う負担は、全額八十四億を国庫負担とする、失業対策事業費は七十億を増額する等でございます。財源にはすでに三十五年度においても六十余億三十六年度においては百余億の使い残しが予想されておる自衛隊、防衛庁の費用を二百億削減してこれに充てる。また公共事業の料金についてはその値上げをやめて、来年度に予想される自然増収から三百億程度を支出するという内容でございます。 この修正案の内容は、社会党の要求と申しますより本現在の国民生活の実情に照らして当然過ぎるつつましやかな要求でございます。おそらく、すべての国民の要求と申しても差しつかえはないと存じます。 池田総理は、しばしば話し合いの政治をうたわれ、また寛容と忍耐の徳を説いておられます。しかしながら、われわれの修正要求に対する与党の態度、形は別といたしましても事実においては問答無益話し合いには及ばないというすげない態度でございました。 これでは総理のしばしば言明される話し合い、寛容と忍耐という総理の言明、総裁としての言明も権威も責任ももろにくつがえされたものと言わざるを得ないのでございます。この点総理の御戒心を切に要望いたす次第でございます。 さて、昭和三十六年度の政府原案でございまするが、私どもがその撤回を求め、反対する理由は、ただいまの自民党の討論者の賛成の理由をうらはらにいたしたものでございます。 結論を申し上げますならば、この政府原案は、世界の現在の平和共存の動向に逆行するものである、同時にまた国民の福祉を裏切るものである、このようにわれわれは信じておるのでございます。 たとえば、その規模でございますが、第一次補正並びに第二次補正のうち、厳密に三十六年度に支出されるものを加えますると、その総額は一兆九千八百八十四億円、前年度の当初予算に比べまして約四千七十億、二五%という大きな増加となる。財政投融資におきましても一千三百五十億、二二・七%の増加となり、文字通り画期的な超大型予算でございます。これを国民総生産の伸びと比較した場合、かりに三十五年における年度当初の見積もりが一兆七千億ふくらんだといたしましても、国民総生産十三兆四千五百億程度でございまするから、三十六年度の総生産十五兆五千八百億円は一六%の伸びにとどまるのでございます。このように予算の伸びがはるかに上回っておる。このようなアンバランス、しかも池田内閣の自由主義経済のもとにおいて、このようなアンバランスのままに予算が執行されるならば、一体どういうことが起こってくるか。まず懸念されることは、今日においてもすでに行き過ぎと見られておる民間の設備投資意欲をいよいよ刺激し、拍車することでございます。すでにこの刺激的な編成方針が発表せられるや、本年に至って鉄鋼においては一兆一千億あるいは石油においては九百億の五カ年計画、あるいは化学繊維における最近の大拡張計画など、次々と設備投資の大拡張が演じられておるのでございます。鉄鋼にせよ石油にせよ、あるいは自動車工業や電子工業、化学工業、化学繊維など、日本の重化学工業、総合機械工業は、たとえばこれまで開発銀行の貸出残高五千三百億、輸出入銀行の貸付累計二千三百億、その大部分はこれらの大企業に融資をされて参りました。税制の面においても、三十四年度は一千億、三十五年度には一千四百億、実に莫大な租税の特別措置、租税の減免を受けて参っておるのでございます。今日これらの産業は、生産の集中度においても上位の十社によってほとんど九〇%から一〇〇%が占められてしまっております。池田総理は、昭和二十四年以来、最も有力な経済閣僚として、日本の大資本と大銀行とそうして国家と、この三位一体の結びの神としてもっぱら大企業の独占と寡頭支配に忠勤をぬきんでられて参ったのでございます。しかしながら高度成長の名のもとに、実態を見ますると、昭和三十一年から昭和三十五年までの間に、国民総支出の中における消費支出の比率は平均七・六%でございます。一方国民総資本形成の比率は三一%に達しております。これは英国においてもアメリカにおいても、西ドイツにおいてさえも見ない高率のものでございます。一体このようなアンバランスにもかかわらず、政府は本予算委員会においても、民間業者の自主調整の名のもとに設備投資の競合を事実上放任をされようといたしております。もしこのような潜在生産力がいよいよ顕在化した場合に、一体それを消費する市場があるのでございましょうか。海外市場に見ればドル防衛政策の強化、貿易の自由化、為替の自由化の促進、東南アジアにおいては外貨事情の悪化が伝えられておる。ヨーロッパ市場においても貿易はすでに伸び悩んでおるようでございます。最近における国際収支の赤字は、季節的な影響というよりも、むしろもはや日本の国際収支が、黒字の基調がくずれ、本格的な赤字に転じ出したということを憂うる向きもあるのでございます。しかも過剰生産、国際収支の悪化、これらの犠牲は常に労働者と中小企業にしわ寄せをされて参るのでございます。原料高の製品安、あるいは加工賃が値切られ、銀行からは攻め立てられ、労働者は低賃金が合理化せられ、首切りの不安にさらされる。このような苦しい経験は戦後二度ならずわれわれは経験をいたしておるのでございます。しかもこのような状態の中で、いつも中小企業と労働者が不況の波に押し流されながら、文字通り踏んだりけったりのクッションの役割を演じさせられておるのでございます。本年度の予算を見るに、慈恵的な、まことに恩恵的な中小企業対策をもっていたしましては、とうてい今日の日本の二重構造を本質的に解消できるものではございません。われわれは日本経済の恒久的な安定のためには、日中国交の回復、貿易の正常化を強く要求いたしておるのでございます。この要望は、ひとり社会党の要望ではなくて、全国民の要望であり、日本経済の死活の要求と存じておるのでございます。またわれわれは、中小企業者も含めて、今日における日本の産業構造の全面的な近代化と高度化のためには、政府の政策転換を強く要求しなければなりません。古色蒼然たる古い自由主義経済のからを捨てて、大企業の無政府的な競合を規制し、特に資金の配分については、民主的な計画のもとに日本の産業構造の繁栄のための、振興のための再編成をはかるべきことをこの機会に強く要望をいたす次第でございます。 また第二に、総理はしばしばわが国経済の高度成長を自画自賛をしておられます。しかしわが国の経済成長をささえておる柱は一体何でございましょう。その最も頼もしい柱の一つは、戦後における国内市場の充実と拡大でございます。農民は農地改革によって、重い小作料の負担から解放されました。労働者は労働組合に団結し、みずからの賃金の向上を戦いとることができるようになりました。勤労大衆の社会的地位の向上と所得の改善が有効需要を喚起して、戦前に見ない国内市場の拡大をもたらしたのでございます。従ってこの柱をゆるがすようなことは、政府みずからが自分の首を締めることと相なるのであります。 この立場から政府の予算を見るに、たとえば減税でございます。政府は減税と社会保障、しこうして公共投資を三本の柱として掲げて参られました。この予算に現われた減税の内容は、しか底ながら、残念ながら看板に大きく偽りありと存ずるのでございます。当初の大蔵省原案においては八百八億、平年度九百七十三億、これが復活折衝の結果、揮発油税、地方道路税の引き上げ百八十億が計画され、国税における純減税額は七百億前後になったのでございます。政府は税制調査会の答申を尊重したと申しておられまするが、調査会のある答申をいたした昨年の夏ごろは、大蔵省は三十六年度の税の自然増収は二千五百億から二千八百億程度と見ていたはずでございます。従ってその三分の一程度を減税に振り充て、残余を事業の費用に充てるのも妥当と言えるでしょう。しかしながら今日となってみれば、四千億近くの自然増収が見込まれておるのでございます。減税はわが党が編成がえにおいて主張するように、一千六百億、一千七百億の線を守ることは決して不可能ではないと存じます。所得税のみならず、消費税、物品税の軽減、合理化に充てて、減税の恩典に浴さない、そうしてただ物価の値上がりの矢面に立たされておるたくさんの国民を潤すことができるのでございます。この程度の減税が砂糖やお酒や、こうした日用の消費税の引き下げに向けられるならば、減税品目の値下がりだけでも、値上がりムードを押えることができると存ずるのでございます。ところが今日事実は全く逆でございます。鉄道運賃、郵便料金、医療費、やがては電力、ガス、私鉄、バス、タクシー料金の値上げが予想されておる。おそらく十年を待たずして物価倍増は必至の勢いとなっておるのでございます。 社会保障にしてもそうである。総理は七百余億の社会保障費の増は歴代内閣のなし得なかった大事業であるかのごとくに吹聴しておられます。しかしこれは池田内閣のお手柄ではなく、これまでの内閣がまことに社会保障に不熱心であったことを物語るにすぎないのでございます。国の法律によって強制的に入院させられている精神病者や結核患者の治療費を国が受け持つことは当然なことでございます。改善されたとはいいながら、生活保護法では、東京都において五人世帯一万二千余円でございます。これでどうして憲法で保障された文化的な、健康な、最低の生活が保障されるでございましょうか。日雇い労働者の一日の手当を引き上げたとは申しながら、一日三百八十余円、しかも平均の稼働は月二十一日、従って八千余円の収入ではとても食える賃金と申すことはできません。当然わが党の要求するごとく、国民年金、生活保護費、失業対策費、社会保険費、住宅対策費など抜本的な改正を行ない、思い切った予算措置を講ずべきが至当と存ずるのでございます。労働者の賃金にしても、今こそわれわれの主張して参った一律八千円を原則とする最低賃金制を実施すべきものと信じます。技術革新とともに終身雇用を前提とする年功序列型の賃金体系は現にくずれつつあります。しかしながら経営者はこの古い賃金体系の中でも最も不届きな部分、すなわち低い初任給はこれを放任をしておる、温存をいたしておるのでございます。これでは何と申しましても石田労政の大きな矛盾と申さなければなりません。 このことは農林予算についても言えると存じます。政府の所得倍増政策に伴い、農村は最も激しい変貌を迫られ、これが対策に最善の努力が払われねばならないにもかかわらず、政府の配慮はきわめて不徹底であり、むしろ欺瞞的でさえもあります。農業構造改善のために二十九億、農業近代化資金融資制度のために三十五億、また財政投融資総額中農林漁業関係に振り向けられるものはわずかに〇・八%に足りません。この程度のものを今後十年続けることによって政府のいう自立専業農家の確立、協業化の促進が満足に実現するものとはまじめには考えられぬのでございます。要するに、政府は誘い水をかけるだけで、あとは農家同士の優勝劣敗にゆだねるといういわゆる貧農切り捨てを目ざしているといわれても、弁解の余地はなかろうと存ずるのでございます。しかも政府の近代化方針は、個別の大企業や農業協同会社の名によって資本の農村へ進出する道を開き、農家自身による農業の多角化や農産加工への発展をいよいよ困難ならしめようとしておるのであります。わが党が農業基盤の整備、農業サービス・センターの設置その他価格、流通等にわたって積極的な施策を要求し、六百四十億の増額修正を要求するゆえんは、かかる政府の欺瞞的政策をもってしては転換期の農政に対処することはとうてい不可能であると存ずるからでございます。わが党は経済成長を支持する力として働く国民の所得の安定を高く評価いたします。減税、社会保障、最低賃金、農村や中小企業の共同化と近代化、これらを通じて国内における有効需要を喚起し、これを維持することこそ日本経済の成長を維持する最大の基盤の一つであることを重ねて強調いたしまして、政府の反省を求める次第でございます。 最後に、私は、政府の予算案が世界の平和の動向に逆行せんとする危険をはらんでいることを指摘いたさなければなりません。今日まで、わが党の組みかえ動議は、今の自民党の討論者が指摘されましたように、常に防衛費の大幅削減をめぐって政府原案と対決をいたして参りました。このわが党の方針は、党が年来掲げて参っておりまするところの積極的中立政策に基づくものであり、しかも今日の世界の動きは、われわれの正当性を証明いたしておるのでございます。たとえばこの予算の成立とともに、百五十数名の自衛隊の要員がアメリカに派遣をされる。二年間ミサイルの訓練を受ける。三十六基のナイキ・アジャックスの発進機を持って帰ってくる。そうしてこれらの発進機は、東京の周辺に首都防衛の名のもとに配置されるのであります。しかも政府はその答弁において、これらのランチャーはナイキ・アジャックスのためのものであり、核弾頭を用いるハーキュリーズは用いないと申されておる。しかしながら、歴代の保守政権は、再軍備はしない、しないと申しながら、既成事実を積み上げて、なしくずしにやみの再軍備を進めて参ったのでございます。小型核兵器の保有は許され得るではないかという憲法解釈に便乗して、いつしかナイキ・ハーキュリーズが採用される。さらに進んでは、NATOの場合に見られるように、ポラリス潜水艦が極東の海域に現われる。アメリカの核報復に依存をしようという政府の方針が存在する限り、このような懸念はあながち老婆心とは言えないはずでございます。しかし今日事情は著しく変わって参ったのでございます。大陸間弾道弾が出現をした。しかも米ソ両国は、そのあまりにも巨大な破壊力のゆえに、これを使用して全面戦争の責任をとることを回避せんといたしておることは、御存じの通りでございます。政府は、安保条約の審議に際し、繰り返し、アメリカの大量報復力が日本の平和と安全のたてであると申しておられました。しかしながら今日では、米ソともその大量報復力の使用を明らかにちゅうちょいたしておるのでございます。日米安保体制の価値は考え直さなければならない時期に到達をしたのである。日本の防衛そのものを根本的に考え直さなければならないと存ずるのでございます。ICBMの巨大なる破壊力は、ついに大国をしてその使用をちゅうちょせしめるに至った。戦争の武器が平和の武器に転化するに至ったのでございます。この事実は、力の均衡による安全と平和という方式が今やくずれようとしておることを物語っておるのである。ここにわが党の主張する積極的中立政策を正当づける客観的な理由が存在するのでございます。われわれが防衛費の大幅削減を主張する客観的な根拠があるのでございます。しかも核兵器とともに今日はミサイルの時代ともいわれておる。不安定な内外の市場にあえぐ日本の大企業が、ミサイル産業という航空機工業や、化学工業や、電子工業にまたがる近代的な兵器産業の開発に乗り出し、国の財政支出に自己のマーケットを見出さんといたしておることは、まぎれもない事実でございます。総理みずからも、先般、科学技術の振興は国防の要請によってと申されておる。私はさきに、日本の経済成長をささえる力として、戦後における日本の勤労大衆の生活と所得の向上をあげました。しかしながら、これにもまして大きなる力、それは平和憲法の力でございます。戦力を放棄した日本において、その国家財政が重い軍事的負担から解放され、日本の産業活動がフルに平和的生産に働くことができた、これが他の国にもまして日本が高い経済成長を維持する大きな原動力でございます。憲法はこの意味において日本の平和の指針であるのみならず、日本の繁栄の原動力でございます。 わが党の組みかえ動議もこの憲法に準拠し、真に日本の平和と繁栄を守る諸原則を示すものでございます。憲法を守る予算、それこそ平和と繁栄の予算であることを強く申し上げ、わが党の組みかえ動議にどうぞ皆さんの御協力をお願い申し上げまして、私の討論を終えたいと存じます。(拍手)
○船田委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十六年度予算三案並びに日本社会党提出の政府案組みかえ動議に反対し、わが党提出の組みかえ動議に賛成の趣旨を明らかにしたいと存ずる次第でございます。 まず政府案は、一般会計予算において今年度当初予算よりも約二四・六%の膨脹、財政投融資においては二二・七%の膨張でありますが、さらに自己資金の増額を加えた実質増額の幅は二八%の膨張となっておるのであります。池田総理は、所得倍増計画を実現していくためには税収の伸びをぎりぎり一ぱい見積もりすると言っておられ、その方針に基づいてこのような積極的な膨張が行なわれたのであろうと思うのでありますが、池田総理の広言にもかかわらず、明年度の税収の伸び率を国民所得の伸び率と比較いたしますと、昭和二十七年より昨年度までの九カ年平均よりも下回っておるのであります。すなわち池田総理の言われるほど税収増額は思い切って行なわれたのでもなく、税収見積もりにもまだ大幅な余裕を持っておるのであります。このように歳入予算の編成におきまして、政府が口ほどには思い切って財政規模を拡大し得なかったのは、実は明年度経済について楽観的な見通しを持っていないからであります。政府は、表面上は、米国のドル防衛政策や、西欧並びに米国の自由化政策のわが国経済に及ぼす影響はさほど大きくないと言われておりますが、わが党の予算委員会における質問によりましても、アメリカの金流出、金ドル平価の切り下げについて何らの確固たる見通しも持っておられないのであります。従って、みずから自由化を積極的に推進すると言いながら、実はわが国の円をドル価にリンクしているだけで、金準備については全くおろそかにしておられるのであります。総理初め大蔵当局は、わが国の金準備について全く答弁があいまいという無責任な状態にあるのが現実であるのであります。しかも池田総理の予算規模膨張論の根拠は、現在は外貨の手持が多いから、少々の輸入増加を断行しても国際収支の悪化を来たさないという自信に存在するようであります。なるほど私たちも、昭和三十二年度における積極財政と国際収支悪化のすれ違いの当時と比べると、現在の外貨手持ち規模が大きくなっている事実はこれを認めるものであります。しかしながら、今後予想されるドル防衛、自由化傾向の進展によりまして、わが国の輸出の伸びはにぶくならざるを得ないのであります。政府は、これを国内市場の拡大で補うと言われておりますが、設備投資の増加を基調とする国内市場の拡大は、外貨の消耗を早めるのであります。従って、池田内閣の国内市場の拡大方針は、外貨危機を早期に招くことによって早晩中止せざるを得ないのであります。しかもこれらの外貨危機とは、単に昭和三十二年当時のように、外貨手持ちの激減というだけではなく、米ドル平価の切り下げという突然変異があり得るというおそれに備えなければならないのであります。私たち民社党は、第一にこのような財政規模の膨張についての政府の経済見通しの不安定性について、政府の方針を全く信頼し得ないのであります。 第二に、政府はこのような歳入予算の膨張をあえて行ないながら、これを財源とする国民の租税負担の不均衡の是正並びに国内市場の拡大については、あまりに大企業本位の政策に偏重しておられるのであります。すなわち池田内閣は、昨年の総選挙以来、減税、社会保障、公共投資を三大公約としてこられたのでありますが、減税の規模は実質六百二十一億円で、租税の自然増収に比べると約一九%にすぎないのであります。これは三十二年度の石橋内閣の減税が自然増収の三二%、三十四年度の岸内閣の場合が約四〇%であったのに比べれば、きわめて小規模な減税であります。しかもこの減税の中心となっている所得税減税において、五人家族年収三十二万円までの免税点を三十九万円まで引き上げておられますが、わが国において年収三十二万円以上とは、現在においては残念ながらわが国の勤労者の収入としては中以上であります。従って今回の減税は、これらの中間層以上の家計負担の軽減に役立って、政府が期待しているように貯蓄の増加を誘導する効果を上げることはできましょう。この意味において今回の所得税減税は、貯蓄増加によって産業資金の原資の増加に役立つ効果々果たすことは明らかでございましょうが、しかも一方における揮発油税の増税、国鉄、郵便料金等、公共料金の値上げは、いずれも間接税の増税となる役割を果たしているのでありまして、これは民間諸商品の値上げを誘発しておるのであります。よって、この点に注目いたしますならば、政府の減税とは大衆負担の間接税の減税を考慮せず、かつまた直接税の面においては、国民の家計負担軽減についてどれほど誠意ある政策であるかということを私たちは疑わざるを得ないのであります。私たち民社党は、税制改正として、国民家計の実質的な向上に役立つ減税を主張し、政府案のような産業資金の調達手段となり、また物価の値上げで収奪してしまうような表向きだけの減税案には反対いたすのであります。 政府案の歳出予算編成並びに財政投融資計画を通じて見られる最大の特徴は、選挙公約で社会保障と公共投資の二本建になっておるにもかかわらず、実際の予算編成では、公共投資に最重点を置かれておる点であります。池田内閣の所得倍増計画は、十年間に国民所得を倍増するという意味で、きわめて高度の生産力拡大を第一の目的とされているのであります。そこで最近の鉱工業の発展に見合う道路、港湾、輸送、交通、工場用地、用水等の産業基盤の整備こそが、所得倍増計画における生産力発展の最大焦点となっておるのであります。これを実現する役割を果たすものとして、財政の機能は、明年度よりますます重要視されてきておるのであります。すなわち、高度成長に対する公共投資につきまして、明年度予算では公共事業費として、本年度当初予算より実質七百八十億円の増額となっておるのであります。これは明年度の新規政策費分と見られる千八百億円の約四割を占めておるのであります。財政投融資計画において、なるほど中小企業関係も増額されてはおりますが、圧倒的優位を占めておるのは、国鉄、電電公社をも含めた公共投資と、直接的な大企業に対する産業投融資であるのであります。しかもこのような増額が、公共料金の値上げという形で国民負担の増額を誘発し、かつまた一方では、経済発展の地域的格差の是正と、後進地域の開発という新規政策を名目としながら、大企業の地方進出の道を開いておる点が特徴であります。 さらにぜひとも指摘しなければならない点は、財政法上疑義のあることをみずから認めながらも、あえて本年度予算の第二次補正を敢行し、百五十億円の原資を明年度の政策費として確保している点であります。明年度予算における歳入予算の大幅な増額は、社会保障制度拡充の財源を供給する絶好な機会をもたらしたものというべきにもかかわらず、政府はせっかくの手にした豊富な財源を、先行き不安定な設備拡張につぎ込んで、経済二重構造の打開、低所得者の生活底上げに対して、国の政策の手を差し延べるチャンスをみずから逸しようとしております。私たち民社党は、このような政府の予算編成を深く遺憾に存ずる次第であります。しかして、このようなあまりにも露骨な大企業奉仕の予算編成方針には、断じて反対せざるを得ないのであります。 なお、日本社会党の組みかえ動議につきましては、次に述べます二つの理由から、遺憾ながら賛成いたしかねる次第であります。 第一の理由は、私たちは日本社会党の組みかえ構想それ自体に疑義を持つからであります。社会党が政府案を、所得格差の解消と、国民生活の安定に向けようとする意図は、私たちもよくこれを了承し得るのでありますが、組みかえ動議として提出されました内容は、現状において、社会党政権下にあって、いかなる予算編成を理想とするかの理想図なのであります。昭和三十六年度という限定された現実の時点において、社会党の政策をいかに具体的に織り込むかというのではなく、実現の可能、不可能を別として、一つの立場を組みかえ方針として発表されておるようであります。これに対して私たち民社党は、昭和三十六年度当初予算という具体的な時点において、わが党の政策を段階的にいかにして予算に織り込むかという観点に立つものでありまして、政策はこのようなものであらねばならないと確信しておるのであります。この点社会党とは見解が相違いたしますので、やむを得ず反対せざるを得ないのであります。従って社会党案が示される具体的な組みかえ金額については、ここでは触れないことにいたしたいと思います。 なお社会党案に反対する第二の理由は、社会党は政府と予算案修正について話し合いを行ない、これが決裂したから組みかえ案を提出されたのでありますが、このような立場から提出された組みかえ案は、修正案を第一義の目的とすれば、第二義的な意味しか持たない、いわば国会におけるかけ引き上の手段にすぎないのではないかと言わざるを得ないのであります。(拍手)社会党の政府予算案に対する真の方針は修正案と見ることこそ社会党の意思を尊重することになると思うのであります。この意味において、わが党は社会党組みかえ案に反対するという態度をとりたいと存ずるのであります。 以上の政府案及び社会党案に対照してわが党提出の組みかえ案は社会党の主張されている所得格差の是正と国民生活の向上とを実現していく方向に政府案を編成がえしようとする最も現実的で、しかも現政府によっても実現可能な案なのであります。すでに民社党案の内容については、提案理由の説明が詳細に行なわれましたので、私は重複を避けて内容紹介をいたしませんが、私は政府案に反対し、かつ社会党の組みかえ動議にも反対し、わが党の組みかえ動議に政府案を編成がえをいたされまするように主張いたしまして、私の討論を終わる次第でございます。(拍手)
○船田委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず井手以誠君外十五名提出の編成替えを求めるの動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○船田委員長 起立少数。よって井手以誠君外十五名提出の編成替えを求めるの動議は否決されました。 次に稲富稜人君外一名提出の編成替えを求めるの動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○船田委員長 起立少数。よって稲富稜人君外一名提出の編成替えを求めるの動議は否決せられました。 次に、昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算及び昭和三十六年度政府関係機関予算を一括して採決いたします。以上三案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○船田委員長 起立多数。よって昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算及び昭和三十六年度政府関係機関予算は、いずれも原案の通り可決いたしました。 委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○船田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 これにて昭和三十六年度総予算に関する議事は全部終了いたしました。 この際一言ごあいさつを申し上げます。 去る二月二日に総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真摯なる論議を展開され、予算委員会の権威を高め、本日ここに審査を終了するに至りましたことは、ひとえに委員諸君の御理解ある御協力によるものでありまして、委員長といたしまして心から感謝の意を表する次第であります。連日審査に精励せられました委員諸君の御労苦に対し深く敬意を表しごあいさつといたします。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後九時三十四分散会 ————◇—————