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38回国会衆議院1961/02/24

予算委員会 第18号

発言数
456
登壇者
17
会派数
3
開催日
1961/02/24

会議録

船田中自由民主党

○船田委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。  この際、通商産業大臣より発言を求められております。これを許します。椎名通商産業大臣。

椎名悦三郎自由民主党

○椎名国務大臣 昨日横山委員から、中小企業等協同組合法第二十三条の三に、「政府は一事業協同小組合の組合員に対し、税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」と書いてあるが、これに基づいてどういうことをし、またしようとしておるかという御質問がございました。あらためてこの御質問に対しましてお答えを申し上げたいと存じます。  中小企業等協同組合法第二十三条の三の規定の趣旨にかんがみ、次のような措置を講じております。  まず金融上の措置といたしましては、小組合及びその組合員に対する商工組合中央金庫の融資について、中小企業庁長官の通牒に基づいて、その円滑化をはかっている次第であります。なお昭和三十五年三月に、中小企業振興資金助成法を改正いたしまして、小組合の共同施設を貸付対象に加えることといたしておる次第であります。  次に、税制面におきましては、この法律の規定は、小組合の組合員のような零細企業に対する税法上の優遇措置を講ずる趣旨の規定と解されますので、これらのものに対する税負担については、数次にわたり軽減措置を講じて参ったのでありますが、来年度におきましても、専従者控除の拡充、所得税の税率引き下げ等によって引き続き負担軽減をはかりたいと考えております。これは、しかし一般的の零細業者に対する措置でございますから、小組合の組合員に対する特別措置といたしましては、今後その軽減を特にはかるように考慮いたしたいと考えております。

船田中自由民主党

○船田委員長 質疑を許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 一晩お考えになった結果としては、まことに何もない御答弁でございました。なぜならば、大臣のおっしゃるのは、商工中金の資金で小組合に対して円滑化をはかれという一片の抽象的な通牒です。それから助成法につきましても、何も小組合の組合員なるがゆえの特別な措置ではないことは、だれしも知っておるところであります。税法については、いみじくもおっしゃったように、一般理論であって、小組合の組合員の問題ではないとあなたもおっしゃっておられるのであります。私が昨日から執拗にあなたにお伺いをしておるのは、法律通り政府は小組合の組合員に、組合員なるがゆえの税法上、金融上の特別な措置は何をしたか、こういうことを聞いておるのでありますが、率直にお答えを願いたいのであります。そうすると今のところ小組合の組合員なるがための特別な金融上、税制上の措置は何にもない、こう理解してよろしゅうございますか。

椎名悦三郎自由民主党

○椎名国務大臣 小組合に限っての特別な措置は、遺憾ながらまだ講ぜられておらないという現状でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政府は、議院修正をした法律について何か軽視をしている雲行きがあるように私には思われてなりません。この条文につきましては、各位も御存じのように、団体組織法を制定いたしましたときに、ずいぶん国会内外の論争を呼んで与野党がまさにもう大へんな相談をして、衆参両院におきましてもいろいろな問題をはらんで決定をした修正点であります。この修正点を三年の長きにわたる間政府は何らの措置もしなかったということは、言語道断と言わなければならぬと思うのであります。この点について政府は責任をお感じになりますか。

椎名悦三郎自由民主党

○椎名国務大臣 法律の制定の趣旨をあくまで尊重して、その実現に努力したいと考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは今お話の一番結論にあったのでありますが、今後この法律を誠実に実行するために、特別な税法上、金融上の措置を小組合の組合員にとるというかたい決心をお持ちでございますか。

椎名悦三郎自由民主党

○椎名国務大臣 あくまで法律の趣旨に忠実に、その実現に努力したいと考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 重ねてお伺いをいたしますが、これだけ私とあなたとの間に質疑応答をかわしたのでありますから、よもやこれがまた三年あるいは何年ということではなかろうと私は思うのでありますが、その税法上、金融上の措置の立法化が必要であるとするならば、この国会に提案し、行政措置が必要であるとすればこの国会中に行政措置をとる、こういう気持があなたにありますか。

椎名悦三郎自由民主党

○椎名国務大臣 関係各省と十分の連携をとりまして、極力努力いたしたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 本問題につきましては、むしろ金融上の措置はそうむずかしくないと思うのでありますが、税法上の措置の問題が、おそらく大蔵大蔵としてもおありになるだろうと思うので通産大臣ばかりでなく、大蔵大臣の所信をお伺いしたいと思うのであります。今通産大臣がおっしゃったと同様に、この条文を誠実に実行するべく小組合の組合員に税制上の特別な措置をこの国会で行なう意思がございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 きのうのあなたの御質問をお聞きしておりまして、私は申しわけないと思ったのですが、この法律は私が通産省にいるときに作った法律でございます。あのとき小組合の論議が非常に多くて、最後に政府は税制上、金融上のいろいろ援助をするということで妥協をしたわけでございまして、あの当時、私はたしか中小企業庁長官からの通知であったと思いますが、商工中金に対して、この小組合の金融について、小口貸付方式によって考慮をするようにということを出したまでは覚えておりますが、その後うかつでどうなっておるか、きのうの質問で初めてここで聞いたような工合いでございまして、その後調べたところが、実際には何もしていなかったというのが実情であったと思います。金融の方は、これはいろいろ方法があると思いますが、税制の方は、これはきょう当局から聞きますと、なかなかむずかしい問題があって、これは一、二回論議はされておったができなかった、問題は、中小企業全体に対する税制ということで一緒に片づけるよりほかなかなか特別な方法がないということでやっておった、小組合に対する特別な税制措置というものはなかなかむずかしくてやれなかったという事情もきょう聞きましたわけで、これは技術的に非常にむずかしい問題があるようでございますが、至急通産省そのほかとまじめに研究しようと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございません。それでは両大臣のお約束を得ましたから、この国会中にその措置が、行政上ないし立法上とられるというふうに私は確信いたしまして、私の質問を終わることにいたします。

船田中自由民主党

○船田委員長 赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 最近頻発する右翼テロ事件に関しまして、本院におきましては地方行政法務の連合審査会を開きまして政府の責任を追及したわけであります。それで、その際の政府の答弁で明確を欠いておる点がありますから、この機会に、国の治安行政の責任者は一体だれであるか、このことを政府にお尋ねをしたいと思う。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 すでに申し上げました通り、内閣といたしましては、治安に対する最終の政治責任は内閣にあるという見解を持っておるわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 政治責任とは一体何ですか。法律上の責任と政治上の責任という区別がありますか。あれば一つその解明をしていただきたい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 ただいまの治安機関中警察制度につきましては、御案内のように、政治的に中立性を保障する制度になっておりますので、その限りにおきまして、政府は法律上の責任ある立場にはないという意味でございまして、何事が起こりましても、一般的な政治責任は内閣にあることは申し上げるまでもないと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 行政委員会の特質と機能について、あなたはどうお考えになっておりますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 大へん恐縮でございますが、行政委員会というのは何をおさしになっておりますか。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 たとえば国家公安委員会とかあるいはいろいろな行政委員会があるでしょう。その機能、特質について政府の見解をお伺いしたい、こういうのです。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 一つの行政機関が、そのよっておる法律によって定められた機能を果たしておると思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 国家公安委員はだれが任命しますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 国会の承認を得て内閣が任命するということになっております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 内閣総理大臣は国家公安委員を任命する場合には、国会の同意を得て、両院の同意を得てこれを任命する、こういうことになっております。しからば内閣総理大臣は任命権者です。任命権者であるということは、行政上の責任者であるということになるわけです。この点はどうですか。法律上、行政上の責任者である。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 任命手続といたしましては、今御指摘のございましたように、両院の承認を得て内閣が任命いたしますけれども、その果たす機能につきましては、政治的に中立性を保障していると承知いたしております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 憲法第六十五条は「行政権は、内閣に属する。」ということになっておりますが、それについてはあなたはどうお考えですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 法律上の問題でございまして、私、また間違った御答弁を申し上げたらいけませんから、その点は調査いたしまして、あとほど法制局の方から御答弁を願いたいと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 実に驚き入ったことです。内閣の官房長官が憲法六十五条の解釈がわからない、後ほど調べて答弁する、こんなばかな話がありますか。憲法六十五条は、書いてある通り、明確に、その国の行政権の一切は内閣に属する、従って国家公安委員の任命権者である内閣総理大臣それ自体は、これは一切の国内の治安に関する法律上の責任があるということは明確ではありませんか。その点はどうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど申し上げましたように内閣としての政治責任はあることは当然でございます。法律上の責任につきましては行政機構が定められておりまする法律によりまして、その行政機関が果たす役割につきまして内閣が指揮するという関係に相なっておる限りにおきましては法律上の責任があると思いますけれども、今御指摘の警察制度につきましてはそういう指揮権を持っておりませんので、その限りにおきまして法律上の責任は私はないと思っております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 任命権者が任命をした国家公安委員が過失を犯したという場合には、任命権者が当然法律上の責任を負うことはあたりまえじゃありませんか、重ねて質問いたします。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 任命権者が任命したことについて、法律上その被任命権者、が行ないましたことにつきまして任命者が責任を負うべきだという御所見でございますが、任命いたしました国家公安委員のなしまする機能につきましては、政府としてこの中立性を保障いたしておりますので、これについて政府は責任を負うべき私は立場にないと思っております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 官房長官は長い国会生活をされておりませんので、私の質問に対しましても御答弁は無理だと思うのでありますけれども、第三国会におきましてこの行政組織法の適用されていない人事院、この非常に独立性の強い人事院を置く場合に、いろいろ国会で論議になった。その際、殖田法務総裁に対しまして、私どもは、この独立性の強い人事院をチェックする場合に、一体行政上どういう形でチェックするのか、こういうことを質問をした、その際に殖田法務総裁は、人事官を内閣が任命するということ自体が、これが内閣の責任の所在を明らかにしているものだ、こういう答弁があった、いわんや行政組織法の適用を受けまして、そして人事院ほど独立性の少ないところの国家公安委員会に対しまして、これは任命権者である内閣総理大臣が、その国家公安委員会が警察法第二条によってあるいは第一条によって、いわゆる犯罪の予防措置を十分に講じなかった場合、つまり法安行政上過失があった場合、当然内閣総理大臣に、その法律上、行政上の責任があることは、これはもう論を待たない自明の理です。この点についてはどうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 お説でございますが、先ほど御答弁申し上げました通り、中立性を保障いたしております以上、政府に法律上の責任はないと私は思っております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 官房長官に、この際私から御忠告申し上げておきますけれども、警視総監がきのうやめまして、きょうは各新聞にそれぞれ識者の意見が載っているわけなんです。あのやめ方自身にも割り切れないところがあるし、相次ぐ右翼のテロの頻発事件に対しましても、国民が非常な不安を持っている、そういうときに、国会におきまして、憲法六十五条によって、明らかに行政権が帰属する、そして行政上、法律上国内の治安行政について責任を負わなければならぬところの内閣総理大臣、法律上の責任はありません、政治上の責任はあります、そういう答弁をしておることそれ自身に対しまして、深い不安と疑惑を持っているわけであります。私は本日は内閣総理大臣の出席を求めまして、この点について質問をしたいと思っておりましたが、きょうは参議院の本会議があって、不本意ながら本委員会の運営上、内閣総理大臣にかおって、私はあなたの出席を求めたわけであります。  そこで私は重ねてあなたにお尋ねをいたしますけれども、ここで、あなたは警察法が改正されたその理由を御存じでありますか、警察法改正の理由について、一つ御説明をお願いしたい、どういうわけで警察法が改正になったか、その警察法改正の一番重要な点はどこであったか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 実はつまびらかにいたしておりませんので、あとほど答弁させていただきます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 官房長官が御存じないならば、私が一つ教えてあげます。警察法改正の際の政府の提案理由の説明の中に、次のような一項があるわけです。警察法提案理由の説明を国務大臣が行なっておる。そしてその中にこう言っておる。「委員長として新たに国務大臣が加わることにより、政府の治安に対する国家的の考え方が国家公安委員会の中正な判断によって濾過せられた上警察運営の上に具現されるようにいたしました。」、なお、「政府の治安責任を明確にするため、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて」、そしてその次に、この「政府の治安責任と警察の政治的中立性との調和をはかった」、さらには政府の方針が「警察運営の上に具現されるようにいたしました。」、明らかに政府の治安に関する方針が、——従来の国家公安委員会と、それから内閣と、この間に一種のコントロールをする、そのためには国国家公安委員長というものを置いて、そしてこの国家公安委員長が、両者の緊密な連携、コントロールをやっていく、これが警察法改正の際に行なわれました政府の答弁なんです。明らかに政府の方針が国家公安委員会の中に入っておるじゃありませんか。それを入れるために国家公安委員長というものを特別に作り、国務大臣がこれを兼務するということになったのであります。従って、国家公安委員会が過失を犯した場合には、その責任は当然政府、内閣、内閣総理大臣に関連してくる、こういうように私は考えますが、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 国家公安委員会の委員の任命は、先ほど申し上げました通り、国会の承認を得て総理大臣が任命するということになっております。その任命された国家公安委員があやまちを犯した場合にどうするかということにつきましては、直ちにこれを免ずる権限が政府にあるかと申しますと、そういう規定はございません。ある種の要件が満たされなければならないことになっておるわけでございまして、従いまして、警察制度の中立性を保障する手続といたしまして各種の制約のもとに内閣はある、こういうように私どもは承知いたしておるわけでございます。ただ冒頭にも申し上げました通り、そういうこと一切を含めまして、治安全体につきましての政治責任というものを回避するものではない、こういうことを申し上げているわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 おかしい議論ですね。内閣総理大臣が国家公安委員を任命して、そして解任権がないというような解釈はそれでよろしゅうございますか。それは重大ですよ。そんなばかな答弁をしては……。それでは一体だれが国家公安委員を解任するのですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 ただいま私の答弁で、あやまちがあり、義務違反があるというような場合は、もちろん解任権はございますけれども、そういう場合でない限りは解任権はない、こういうことでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 あやまちがなければ解任する必要はないのですから、あやまちがあった場合には解任する権限は内閣総理大臣にある。従って、政府、内閣総理大臣の法律上、行政上の責任の所在というものはそれで明らかになって参りましたね。  そこで私は今度はあなたにお尋ねしますが、警察の中立性というものは、これは憲法六十五条の行政権は内閣に帰属するという中の行政権の一部分を委託している、すなわち国家公安委員会という行政委員会に委託をしている。しかしながら、その行政上、法律上の責任は一切内閣総理大臣にあるわけです。任命する権限、解任する権限が内閣総理大臣にある限りにおいては、法律上、行政上の責任は当然伴うじゃありませんか。その点はどうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 任命いたしました国家公安委員に事実義務違反があった場合に、これを黙過するというようなことがございますれば、当然総理大臣の責任が出てくると思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 法律上、行政上の責任があるということが明確になって参りました。  そこで私は次に進みますが、われわれは現行警察制度すなわち行政委員会組織というものはなお存続されなければならぬし、これを内閣行政に一本化していく、つまり警察の中立性をそこなっていくという考えはみじんも持っておりません。それを明らかにしておきたいと思うのでありますが、さてそういうことになって参りますならば、今度の嶋中事件あるいは浅沼事件、河上事件、岸事件、こういう事件は先般この委員会におきまして、同僚議員であります、あそこにおられます田中伊三次委員が、政府に対し、あるいは警察当局に対して質問をしておりましたが、今度の嶋中事件は、明らかに警備計画がなく、警備上の手落ちなんだ、それに対して私は、警視総監におやめなさいとは言わないけれども、あなたの良識に訴えるということをこの委員会でしばしばおっしゃった。われわれも同じ意見であります。党は違いましても、同じ治安行政を心配する一員といたしまして、また国権の最高機関の一員といたしまして、田中委員と同じ考えを私は持っております。ところが警視総監がおやめになった理由として、治安上の責任を感じておやめになったのではなしに、後進に道を開くということで辞表をお出しになった。その際に東京都公安委員会の委員長であります堀切善次郎氏がどういうことを言ったか。ほんとうはもっと長くやってもらいたいのであるが、こういう談話を発表している。私はここで東京都公安委員会のことを問題にしようとは思っておりません。明らかに警備上手落ちがあったということは、その見解は与野党とも一致している。そして警視総監は後進に道を開くというようなばかげた——きょうの新聞を読んでごらんなさい。どの識者も、これに対しましては非常に鋭い憤りを感じておる。とにかく後進に道を開くという理由でやめたけれども、これは明らかに相次ぐ右翼テロ事件の責任を感じて彼がやめたに相違ない、これは常識論として一般的に肯定されるところであると思うのです。警備上手落ちがあったということが与野党一致の意見であるということになりますならば、その警視総監の責任は重大だ。警視総監を任命するのは東京都の公安委員会じゃありません。警視総監を任命するのは国家公安委員会です。しかし国家公安委員会が国家公安委員会単独で警視総監を任命することはできません。国家公安委員会が警視総監の任命あるいは解任をいたします場合には、またその辞表を受理いたします場合には、憲法六十五条によって一切の行政権が帰属する、行政上の、法律上の最高の責任者である内閣総理大臣の承認を得て、初めてそのことが発令されるわけであります。今度もその手続がとられたけれども、過失を犯した警視総監を任命した国家公安委員会がてんとして恥じざる態度をとっておることに対しまして、あなたはどうお考えでありますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 政府といたしましては、警視総監が過失を犯したか犯さないかという事実の判定は、国家公安委員会の御判断にまかせるという態度を終始とってきたわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 それではお尋ねいたしますけれども、警視総監が警備上過失があるかないかは都の公安委員会が検討するでしょう。しかしながら、この国会におきまして与野党ともに、その警備上手落ちがあった、こう認めておる場合に、行政上、法律上の責任者であるところの内閣総理大臣もしくは内閣総理大臣にかわる政府の責任者として、それをどうお考えでありますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど御答弁申し上げた通り、公安委員会の方の自主的な判断を尊重する、こういう建前でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 それではこの際国家公安委員長にお尋ねいたしますが、国家公安委員会が、警視総監に警備上の手落ちがない、こういうような決定を下し、またあなたはたしか談話をお出しになっておると思うのであります。その点につきましてはどうでございますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 お答えいたします。国家公安委員会といたしましては、嶋中事件が起こりましたことはまことに遺憾なことでございます。これに対しまして、今後とも十分警察としては戒心をすべきものである、こういう見解を下したわけでございます。しかし、警備上の手続から見ますと、警察当局のとった措置に格別の手落ちはなかったから、これによって警視総監が進退を云々すべきものではないという結論が、五人の委員の間で一致いたしたわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 きわめて無責任な答弁であると思うのです。国家公安委員長の答弁としては非常に私は不謹慎だと思う。事件が起きたこと自身がすなわち警視庁の手落ちじゃありませんか。いかがですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 事件が起こりましたことはまことに遺憾でございます。それを結果から申しますれば、さらにああもすればよかった、こうもすればよかったと、こういったようないろいろな反省や、やるべきことはあったかと存じます。しかし、通常のあの当時の警備状況、手続としては、これは警察としての特別の過失はなかったというのが、国家公安委員の五名の方の一致した御意見でございました。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 あとから申し上げる国家公安委員自身の能力の問題ですけれども、出席常ならざる今の国家公安委員が正しい客観的な判断ができるわけはないのでございます。  問題は二つある。一つは、この間政府は赤尾何がしを検挙いたしました。検挙の理由の一つといたしまして、中央公論社に対して集団脅迫を行なった、これが暴力行為等取締法違反であるということで検挙をしておる。これは現行犯だ。後に逮捕をするならば、なぜ当時逮捕しなかったのか。明らかに現行犯じゃありませんか。編集長をつかまえて暴力を働き、中央公論社において集団脅迫を行なった。この現行犯を見のがしておった。あの際現行犯を押えて検挙をしておれば、後の嶋中事件は発生しなかったかもしれない。この点についてはどうですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 当時警視庁といたしましても、ああいった右翼団体の中央公論社との交渉につきましては厳重に警戒をいたしておりました。当時警官も立ち合っておったのでございますが、その間言葉上のやりとりについては、これはやりとり上、事のはずみで相当過激な話もあったようでありますが、全体の雰囲気は、そこで暴行が起こったり、傷害事件が起こるというようなことではなかったと私どもは承っております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 あなたは雰囲気によって取り締まりに手心を加えるのですか。当時は客観的な情勢として、当然中央公論社に対し、あるいは嶋中さん自身に対して迫害が加えられるということは、もう客観的に予断できるのです。しかも、彼らは中央公論社に乗り込んで集団脅迫をしておるじゃありませんか。それがそういう事件の発生を見るような雰囲気ではなかったということは、とりもなおさず警察当局の警備の手落ちを意味するじゃありませんか。  これについてはどうですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 そのときの状況の判断につきましては、いろいろな見解がありましょうが、専門家がそこへ立ち会っております場合、この際ここで検挙するというような状況ではなかったという判断を下しておるわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 その警察当局の警備上手落ちがあったかなかったかという点につきましては、ここで押し問答を重ねましても無意味でありますから、私どもとしましては、後ほど、この決定を下しました、そして著しい過失を犯した国家公安委員、これを説明員として国会に召喚をいたしまして、私どもみずから当時の模様を詳細に調べる考えでおりますから、この点は一応質問を打ち切っておきます。  次に、今度は政府の方にお尋ねしたい。  私はここへ議事録を持っておりますが、浅沼事件が起きた際に、池田総理並びに当時の国務大臣がどういう答弁をしておるか、念のためにこの際明らかにしておきましょう。これは三十五年十月二十四日の地方行政委員会法務委員会の連合審査会の議事録です。周東国務大臣はこう言っておる。「浅沼社会党委員長が去る十月十二日、日比谷公会堂における自民党、社会党及び民主社会党の三党首立会演説会におきまして演説中、右翼の一少年の凶刃により不慮の死を遂げられましたことにつきましては、私どもはまことに遺憾に存じておるところであり、ここにつつしんで哀悼の意を表する次第であります。われわれは今後重ねてこのような不祥事件が起こることのないよう新たなる決意をもちまして、さらに治安の万全を期する所存であります」こう言っておる。これが昨年の十月二十四日、さらに続いて、あの浅沼事件の海外の影響について、「今回の事件が海外に及ぼした影響についてでありますが、すでに御承知の通り、海外諸国に対しましてもきわめて大きな反響」を呼んでおります。「日本の民主主義の基盤の弱さとその前途を憂慮し、あわせて特に極右の暴挙に対する反動としての左翼の暴力化を懸念する論評が中心となっているようであります。いずれにせよ、この事件が列国の対日信用をそこなった点は、きわめて大きいものがあると認められる次第でございます。」こう言って、事件の対外的な影響、対日信用の失墜、こういう点に言及をいたしまして、「警察といたしましては、この際新たなる決意を持ってこの種事態の未然防止に努力をいたす所存でありますが、その要点を申し上げますと、第一は、今後危険性のある右翼的人物に対する視察警戒をさらにきびしくすることであります。そのために必要な増員措置等もすでに実施いたしておるところでございます。」こう言って、それから警視総監——きのうやめました警視総監は「事件が起こりまして反省してみますると、これはやはりさらに十分な措置を講ずべきであったというふうに考えておるのでございます。」こういうふうに反省しておる。続いてこの議事録の中に出てくる文句は、「警視総監は将来に対してかかる手落ちのなきようにするためにはいかに善処をする考えか、あなたの心境を最後に伺います。」という田中伊三次委員の質問に対しまして、小倉説明員が「この事件の重要性、その影響するところにかんがみ、私の進退を考慮すべき時期であるということで、警察庁長官を通じ国家公安委員会に対しまして進退をおまかせしたのでございます。」こういう答弁をしておる。おまかせした警視総監、その治安上の責任、警備の不備を反省した警視総監が進退を十月におまかせして、そうして今日になって、これは治安上の責任を負うてやめるのではない、後進に道を開くためにやめるんだ、こんなばかげた話がございますか。政府はしばしばここでもって二度とこのような事件が発生しないように努力いたします。ことに池田内閣総理大臣がこう言っておる。「今回のような事件が起こったことはまことに遺憾であり、許すべきでないと考えております。従いまして、二度とこういうことを起こさないのは、やはり政治の姿を正していくことが第一であり、そうして既存の法律を順法するという観念を盛り立てなければならぬと思います。私はそういうことが主であって、法律を改正するとか、あるいは警備力の強化とかいうことは二の次に考えていきたいと思っております。」ここではこの事件が起こったことはまことに遺憾であり、憂慮すべきことであり、二度とこういうことが起きないように私はあらゆる努力を払うということを言っておる。今国家公安委員長は、同じように、まことに遺憾であります、今後こういうことの起きないように努力をしたいと思います。何度事件が起きても同じことを政府は言っているじゃありませんか。これは浅沼、河上だけの問題じゃないのですよ。政府においても岸さんがやられているじゃありませんか。また政治とは全然無関係な憲法によって言論の自由を保障されておるところの中央公論社が、そこに記載された小説の内容のよしあしによって、右翼テロによって被害をこうむっておることはまことに重大です。あなたは簡単に二度とこういうことの起きないように努力すると言うが、努力する努力すると総理大臣が何回言っておるか。今国民は不安と疑惑に陥っているのですよ。きょうの新聞をごらんなさい。そしてこの間政府が暴力対策要綱というものを発表したときの各社の社説をごらんなさい。どう言っておる。各社の社説は、問題を刃物の問題やその辺の街路灯の問題にすりかえておる。右翼テロ対策をなぜやらないのだ、こう言っているのだ。あなたたちは真剣に右翼テロ対策をやろうという考えはあるのか。自分の同僚の中から犠牲者が出ておるじゃないか。われわれはもちろん岸内閣のやり方には反対だった。けれどもああいうテロをもって相手の思想や言論や信条を制するというやり方には絶対賛成できぬ。私どもはこの際憲法を守るために——また自由に自己の思想を表現し、自由にものが言え、自由に集まり、自由に行動のできる憲法の民主主義の精神を守っていかなければならぬ重大な問題なので、簡単な問題ではありませんよ。  そこで私はこの際、国家公安委員自身の能力についてあなたに申し上げておく。私が調べたところによれば、国家公安委員が外においてどういうような言動を弄しておるか。これはまた国家公安委員を呼んだときに詳しくやりましょう。時間があればあとでやるけれども……。そこで彼らは一体国家公安委員会にどれくらい出席しておるか、これを私は調べてみた。実に驚くべきことなのだ。小汀利得、月給十三万円。よく聞いて下さいよ。過去一カ年の開会数四十九回、出席回数三十三回。この小汀利得の兼職状況は、経済企画庁参与、海運造船合理化審議会委員、郵政審議会委員、百貨店審議会委員、産業合理化審議会委員、これだけやっておる。それから金正米吉、同じく給与は月額十三万円、過去一カ年の開会数は四十九回、出席回数二十回。これは憲法調査会委員、日本銀行参与。これを計算してみると、金正委員の出席は一回出席すると日当七万五千円になる。一回出席して七万五千円、こんなべらぼうな話がありますか。安井英二、これはなかなか出席率がよろしい。同じく月給が十三万円だが、過去一カ年の開会数四十九回のうち四十八回これはあたりまえのことだから、別に表彰せぬでもよろしい。それから永野重雄さん、この人は非常勤でなくてやはり常勤だと思いますが、これは十三万円を返上しておられる。日額五千八百円、四十九回のうち三十五回です。これは関税率審議会委員、雇用審議会委員、行政審議会委員、通商審議会委員、この人は非常に財界で忙しい人なんでありますが、前の連中に比べれば割合に出席率はいいわけです。  ここで私はあなたにお尋ねしたいのは、一体この一国の治安行政をあずかる国家公安委員会が、出席常ならず、しかも国民の税金から高額な給料を支給されて、その上経済企画庁の参与もやり、海運造船合理化審議会の委員もやり、郵政審議会の委員もやり、百貨店審議会の委員もやり、産業合理化審議会の委員もやる。こんなことで責任を持って一国の治安行政、警察法第一条あるいは第二条にいうところの警察の運営、管理ができますか。犯罪の予防ができますか。どうせここで警察庁から出た書類にめくら判を押すのが関の山ではないか。そうでないというならば、国家公安委員を説明員としてわれわれは呼ぶから、その際にそれを明らかにしたい。公安委員長はどうですか。あなたには監督権がないので、先ほど言ったように、国家公安委員会と内閣との間の調整役をあなたはやっておるのだ。いわばメッセンジャー・ボーイなんだから、あなた自身には指揮、命令する監督権はない。そのことは私はよく知っておる。よく知っておるけれども、こういう実態で一国の治安行政ができるか。これについてあなたはどう考えるか。ここに東京新聞に一読者として非常に憤慨して投書をしておる。その投書の一つを念のために読めば、こう書いておる。「十七日付本紙政界手帳を読んで驚きかつあきれた。すなわち国家公安委員の報酬は月額十万円だのに、」これは読者が間違えている。ほんとうは十三万円だ。「一年間にたった十日間しか出席しない人もある、とは国民として真に腹の立つ話である。試みに報酬年額百二十万円を十日で割って見ると、この委員の一日の日当は実に十二万円にもなる。報酬は出席の度合いに応じて支払われるべきで、日当十二万円などという高額を払うほど、国も国民も裕福ではないのである。国費のムダづかいはこんなところにもあった。報酬泥棒を追放しろ、と叫びたい。」これは二月二十二日の東京新聞の朝刊にこういう投書が載っておる。「報酬泥棒を追放しろ」、私はあなたも報酬どろぼうの仲間の一人だとは言いませんよ。言いませんけれども、少なくとも国民の間からこういう警察の権威に関するような投書が出てくるということそれ自身に問題がある。これについてあなたはどうお考えですか。第一に、出席回数常ならず、第二には、いろいろな審議会の委員をやって、あっちでももうけ、こっちでももうけておる。しかもろくろく国家公安委員会には出席しないという事実、これについて政府としてはどうお考えですか。まず官房長官に聞きましょう。総理大臣にこのことをよく言っておきなさい。総理大臣はおそらく知らぬだろう。あなたはどうお考えですか。これでいいと思いますか。報酬どろぼうを追放しろと言っておる。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 政府からお願いしてその職についていただいた方々でございます。私はその果たしております役割のすみずみまでは存じませんが、国家公安委員の果たされておる仕事は、国家公安委員会の会議にお出になるだけが仕事ではないと思います。お出になってない間におきましても、警察行政につきましては終始御心配をいただいておると思うのであります。ただ審議会という行政委員会の運営につきましては、政府といたしましても十分審査いたしまして、適切なものでないものがございますれば、是正して参らなければならないと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 実にあなたの答弁は重大だ。お忙しいので、中には御協力をいただいておる向きもある。何を言っておるのだ。国家公安委員会自身の機能というものを、そんなに軽く見てはいけない。先ほどからあなたはしばしば答弁しておるではないか。国家公安委員会に治安上のことはすべておまかせしておるのだ。その法律上、行政上の責任はもちろん内閣にもある。憲法六十五条に照らしてみても明らかである。その一国の治安上の責任をゆだねられておるところの国家公安委員が、こんなざまでいいのかどうかということを私は言っている。どうですか。かえる意思はありませんか。あるいは警告を発する意思はありませんか。ないならば、罷免要求の決議案を出すぞ。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど申し上げましたように、国家公安委員会に御出席されることでなく、終始治安行政につきまして御心配をいただいておるものと思うわけでございまして、現在の各委員は最善を尽くしておられるものと承知いたしております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 私の今の資料は、これは国会に正式に報告されて参りました公式文書ですよ。先般議院運営委員会でこれが問題になりまして、そしていわゆる行政委員会が紊乱している、その出席回数その他を調べろということでもって、国会に報告をされました公式文書なんです。その回数には偽りはない。偽りありとすれば、それは偽った報告を国会に出しておるかもわからない。あなたは、国家公安委員に御協力願っておる、御出席を願っておるという考え方自身がおかしい。そんなことてどうして治安行政がやれますか。しかも常勤じゃありませんか。そのために国は月額十三万円の俸給を払っているのだ。一般の警察官をごらんなさい。一つ間違えば命がけなんだ。いつ命を取られるかもわからない。この寒空で安い給料でもって一生懸命に治安維持に当たっておるじゃありませんか。それに引きかえて、これを指揮監督、命令するところの国家公安委員が、出席回数常ならず、しかも高額な報酬を国家から受け取りながら、その責務を十分果たしていない。すなわち警察法第二条でいうところの予防の措置を十分講じていない。こんなことで警察官がまじめに働けますか。国家公安委員の任務は、言うまでもなく警察の管理、運営なんです。その管理、運営の責務が十分に果たされていないということは、とりもなおさず任命権者である池田内閣総理大臣自身の責任なんだ。そうじゃないですか。国家公安委員会は中立機関だ。それは行政権の一部を委託しただけなんです。すべての行政権のその帰属は、憲法六十五条から出ている。六十五条から出て、そうして警察の中立性を確保するために行政委員会というものを作っている。その行政委員会と内閣の連係を常に緊密にするのが国家公安委員長なんです。その国家公安委員長がぼんやりしているから、国家公安委員会があのようにだらけ切っている。だらけ切っているから事件が起きるのだ。これは一連の連鎖反応を持っているのだ。この際、国家公安委員をおかえになる考えはないか、罷免の意思はないかどうか。罷免の意思がないということならば、われわれ自身が国会において同意をしたのですから、これを罷免するの手続、すなわち任命権者である内閣総理大臣に対しまして、国家公安委員をすみやかに罷免すべし、適格性を欠いておるというところの決議案を出すことになってくる。その前に政府として責任をおとりになる考えはないかどうか、この点はいかがですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほども申しましたように、現在の国家公安委員の皆様は、その職責に最善を尽くしておるものと私どもは承知をいたしております。   〔「公安委員長、公安委員長」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党

○赤松委員 いや、公安委員長は何も権限はないのだ。あれは内閣との間のメッセンジャー・ボーイなんだから、それは気の毒だ、公安委員長に言っても。これは政府の責任なんです。内閣総理大臣の責任なんです。官房長官、ちょっとこれを見て下さい。——こういうばかな話があるか。委員会回数四十九回中二十回だ。これでいいのか。もう一ぺん答弁しなさい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 赤松委員があげられました開催回数、それから出席回数等は、赤松委員が言われました通りだと承知いたしておりますが、国家公安委員におきましては、先ほど申し上げました通り、終始国家治安の状況につきましてベストを尽くされておるわけでございまして、出席回数の多寡だけでは判断ができないのじゃないかと私どもは思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 警察法第二条では、警察の責務として、公共の秩序の維持、国民の生命及び財産の保護、犯罪の予防及び鎮圧、犯罪の捜査及び被疑者の逮捕、交通の取り締まり、逮捕状、勾留状の執行その他我判所、裁判官または検察官の命ずる事務で法律をもって定めるもの、こういう広範な権限がある、あるいは責任がこれはまかされておるわけなんです。しかもあなたの今のあれによれば、四十九回のうちたった二十回出た。しかしそれはやむを得ないのだ、こういうお考えですか。政府の方は、国民に対して明らかにしてよろしいですか。四十九回開かれた国家公安委員会、しかも警察法第二条でいうところのこれだけの広範な責任、任務を達成しなければならぬところの国家公安委員が、四十九回中たった二十回出た、それでも仕方がありません、十三万円の俸給を払います、これでよろしゅうございますか。それとも政府の方は、これを罷免するとかあるいは戒告するとか、そういう意思はありませんか。いかがですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 公安委員の活動状況につきましては、いろいろ国会の御議論なりあるいは国民の御意見につきましても十分伺いまして、今後も反省の用に供するつもりではございますが、今お話の小汀さんは、三十三回というのはちょっと報告の間違いで、三十四回でございます。これはただ念のために申し上げておるのであります。そうして特に御出席の少ないこの金正委員は、御承知でもございましょうが大阪にいらっしゃいまして、これは昭和二十三年から国家公安委員を長くおやりを願っております。当時の片山内閣時代からお願いしております非常にその道のべテランでございまして、大阪におられます関係上、関西のいろいろな府県の公安委員会との御連絡というようなものへ重点を置いていただいておりますために、御出席の数は二十回でございますが、常時十分いろいろと御活躍を願っておるわけでございます。その他の委員におきましても、これは会議におきましては非常に活発な、有益な御検討を常に願っておる次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 国家公安委員長には常々私は同情している。というのは、あなたの場合には、国家公安委員会を統率する制度上の責任は実はないわけなんです。そこで私は、国家公安委員のそれについてもう一ぺん聞きたいのだが、その国家公安委員の中で、外部に対してこういう発言をした者がある。それは憲法第二十八条によって許されておる大衆行動、すなわち集会とかデモとか、そういったものを暴力だと、こう呼んでいるのですね。そして今度の右翼のテロ事件も合わせて左右の暴力と、こういうことを小汀さんが言っている。それから非常に僕はけしからぬと思うのだが、小汀さんの発言の中にこういうのが出てくる。「今度の嶋中事件については、警備の責任は全然ないよ。野球にたとえてみると、見ている方では、ここでピッチャーを代えるべきだと思って、ハラハラするピンチがあるとする。水原君なり、三原君は予想に反して、ピッチャーを続投させる。それでウマくいくと、さすがは水原だと思うだろう。たまたま、ウマくいかないときもあるが、それは結果論でね。こんどの場合も、それと同じことなんだ。」と、こう言う。これは実に不謹慎だと思うのです。野球は一つのゲームですよ。スポーツです。スポーツと右翼テロ事件とは違うのだ。こういうような、こんなセンスしかない国家公安委員をそのままに置いていいのかどうか。言うまでもなく安保で行なわれたデモンストレーションというものは、あるいは最近におけるところの労働組合のいろいろな大衆行動は、憲法二十八条によって許されたところの大衆行動じゃありませんか。これは民主主義的にちゃんと憲法で保障されているのです。もしその中で暴力が起これば、当然これは刑法でもって取り締まることができるのだ。ですから大衆のデモンストレーション、憲法二十八条によって許されたそれと右翼テロとをごっちゃにするような、こんな感覚を持った国家公安委員を、現在の職にとどめておいていいのかどうか、これは問題だと思う。これについてはどうですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 国家公安委員会の機構等につきまして、赤松委員から十分御理解のある機構上の御見解を承っておるわけでございますが、国家公安委員長の仕事は、国家公安委員会の会務を総理して、主宰するということで、決議の内容に参画できないということでありまして、決議されたものにつきましては、それを十分に警察庁を管理して運営をせしめる義務を持っておるわけで、単なるメッセンジャーとは申せないのでありますが、それは別といたしまして、小汀委員がいろいろな言動をされまして、あるいは個々の点につきましては私どもも今後も御注意によってよく調査をいたします。ただ一般の言論としましては、個人がこの会議の内容を機密にわたらない限度で、ことにこういう社会批評家でもございますので、御発言をどこかでしておられるかもしれません。こういう点で非常に不穏当な点があればまたよく調査もいたしますが、私ども今まで一般的に見まして、非常にこの会議の秘密を漏らされる、あるいは非常な極端なことによって特にひんしゅくを買うというようなことは、従来一般論としてはなかったように存じております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 こういうような感覚を持っておる国家公安委員がおるから、世間では何か右翼に対しては特に警察は甘い、こういう国民感情があるわけなんです。これは私が言うのじゃありません。これは二月六日の毎日新聞の世論調査によりますと、「警察は右翼にあまい」、これが国民の中の実に五九・五%、約六割がそう考えておるわけです。それはどうしてこういうことができてくるかというと、今言ったように、左右の暴力というように、右翼のテロ行為をまるで援護するような、そういう考え方が国家公安委員の中にあるからです。  それから、これは世論調査に現われたそれでありまするが、同時に今度の警視総監がやめた問題に対しましても、きょうの新聞は一斉に、治安に対する警察の責任の限界、国家公安委員会のあり方などについて一向にはっきりしない、こんなうやむやな解決は、ただ問題を先に延ばすだけである。それから東急電鉄社長の五島昇さんなどは、原新総監に一番望みたいのは、警官はもう官僚ではない、独立した立場にある国民の守衛であるということを自覚してもらいたいということを言っているわけなんですね。今度の警視総監のあのやめ方、すなわち会議録によれば、昨年の十月に自分は進退を決したいと思ってへ国家公安委員会に対しまして進退伺いを出しておいた。ところがいろいろな新聞の報道によれば、警察当局の圧力か内閣の圧力か、それは知りませんけれども、やむにやまれない。そして最後に小倉警視総監一人が犠牲になった。そしてこの国内治安に当たるところの憲法上の責任者、これがほとんどこの問題につきましては、政治上責任はあるが法律上責任がないというような詭弁を弄して、その責任の所在を明確にしない。今幸い官房長官によりまして、法律上、行政上の責任があるということが明確になって参りました。しからば法律上、行政上責任があるとするならば、警視総監を任命したのは内閣総理大臣である。すなわち内閣総理大臣が国家公安委員を任命し、この国家公安委員が任命したのが警視総監であるから、昨年十月、自分はやめたいというので、進退伺いを出しておった警視総監を、何ゆえ今日までその辞職を認めなかったのであるか、こういう点について、安井さんでもけっこうだ、大平さんでもけっこうだから、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 昨年の暮れであったと思いますが、私の在任中ではございませんが、警視総監が進退伺いを出したことはあったようでございます。しかし当時はその状況から見まして、国家公安委員会としては今日やめられるべきではないという結論によって、その意思を撤回されたように聞いております。自来警視総監は、相当長くもあるし、激職も続いておるから、自分としては適当な機会には引退して後進に道を譲りたい、こういう意向を漏らしておったようなことを私ども聞いておりました。ところがたまたま嶋中事件が起こりまして、その渦中にあっては、自分はこの事件を処理することが当面の責任であるというような気持であったと思いますが、渦中で、その場でやめるということは適当でないという自分の判断から、今度の事件につきましては、進退について総監は一切発言をいたしておりません。たまたま一昨日の夕刻、そういう意向を漏らされまして、昨日の定例国家公安委員会におきまして、自分は後進に道を譲りたいとかねがね思っておったが、ちょうど今時期がいいと思うから、ぜひやめさせてほしいという申し出がありましたので、いろいろ本人の心情を尊重いたしまして、引退することを承認した次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 今国民感情を率直に言えば——一般警察官じゃありません。一般警察官は非常な薄給に甘んじて、一生懸命に治安行政に邁進しておる。ただ国家公安委員を含めて、警察当局の上層部のことを言えば、色盲に自動車を運転させるようなもので、非常に危険だという感じを持っておるわけなんです。今も金正委員が関西で活躍願っておるというようなことをあなたは答弁いたしましたが、国家公安委員として関西で一体何をやっておられるのですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 国家公安委員会で決定いたしました事項を連絡をいたしましたり、それから関西方面における警察の活動状態というものを常々いろいろ視察をしておられるということも仕事のうちに入っておると存じます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 あなたはそんなことをおっしゃっても、金正さんが大阪に在住しておられて、たまたま東京の国家公安委員会においでになる、関西においてその人が国家公安委員として、警察の管理、運営について非常な努力を払っておられるという実績を、私ども不敏にいたしまして今まで見たことはございません。もしそういう事実があれば明らかにしてもらいたいと思いますが、これもやがて国家公安委員の方に国会に来ていただいた際に、この点をさらに私は追及したいと思うのであります。  この際、先ほど言ったように右翼に対して警察が甘いという疑惑が国民の間から出る一つの要素として、保守党の方々と右翼との関係があるのかないのか、この点については公安委員長としてどういうふうな情報を持たれますか。事実はございますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 いわゆる右翼と保守党の間に関係があるとは考えておりません。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 この点につきましては、やがて適当な機会にまたその事実を明らかにいたしまして、いろいろ議論をしてみたいと思うのであります。ただ一点この際お聞きしておきたいのは、これは政府の方じゃありませんが、世上いろいろ疑惑を呼んでおりまするので、この際、はなはだ御迷惑ではございますけれども、船田さんの問題なんですけれども、ちょっと政府の方にお尋ねしてみたい。  一昨年暮れ、在日朝鮮人の本国帰還直前発覚をいたしました、新潟日赤センター爆破未遂事件に参加いたしました元韓国特務機関員——特務機関員というのは、たしかこれはスパイですね。諜報機関だと思います。この特務機関の車進、四十二才、これは海外出版社の社長をやっている。この人が、このほどこの事件は、つまり新潟の日赤センターをダイナマイトで爆破するという事件は、韓国代表部が指令したもので、私に自民党船田中代議士、衆議院予算委員長が、今後の身分と生活を保障すると約束したので、警察と協力、芝居を打ったが、約束は果たされず、私は陰謀の犠牲にされたと内幕を暴露、近く船田氏と警察当局を相手取って損害賠償の訴訟を起こすと言っておる。そしてこの事件については、いつでも国会に呼ばれれば国会においてその事件の内容を明らかにする用意がある、こういうことを言っているというのです。これについてあなたは何か情報を持っておられませんか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 一昨年の新潟の爆破事件につきましては、私も報告を受けております。その概要につきましては、車進という韓国人についてはかねて警察において注意をしていた人物であったが、北鮮帰還の問題について不穏な計画を持っておる旨の情報を受けたので、本人につき調査をしたところ、新潟において日赤爆破の計画があり、自分もこれに関係があるが、共同して実行する者に新潟の場所において会うことになっておるという供述をしたのである。しかもこの者と場所とは新潟に行ってから連絡をしなければ明らかにならない、こういう言い分でございましたので、やむを得ず監視人をつけまして本人を新潟におもむかせ、新発田市におきまして共犯者李麟基という者に会い、同人らがダイナマイトを受け取った際両人を逮捕したということでございます。取り調べの結果、李は起訴し、第一審では懲役六カ月、執行猶予二年の判決があり、現在控訴中であり、車進については申告をした実情を考えて不起訴処分にしたということでございます。船田氏との関係については何にも聞いておりませんし、また警察がこの事件に関与をしたといったような事実は全然ないというふうに私は報告を受けております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 最後に政府に対しましてお尋ねしておきますが、御承知のように、先ほど来申し上げましたように、憲法六十五条、さらに警察法七十一条、七十二条等、非常時に際しましてはその警察権力を一手に掌握いたしまして国内の治安に当たるというところの強大な権限を内閣総理大臣に警察法によって与えられているわけであります。ことに先ほど来申し上げましたように、頻発する右翼テロ事件に対しましては、世上いろいろ疑惑がある。この際、政府の責任者といたしまして、内閣総理大臣から適当な機会に国内治安に関する所信、さらに今度の頻発した右翼テロ事件に対する反省、また将来に対する決意、主としてその責任の所在を明確にする。あれをやる、これをやる、政治の姿勢を正す、そんなことを百万ぺん繰り返したって、右翼テロはなくなるのじゃないのです。そうでなしに今私が申し上げましたような意味で、二度とこういう事件は——それで先ほど来申し上げたように総理大臣としてもしばしば、二回も三回も国会において二度とこういう事件を発生させない、許すわけにはいかない、私は重大な決意を持って対処していくということを言っておる。しかるにそのあとからあとからこういう問題が起きておる。これに対して政府は適当な機会に内閣総理大臣としてその所信と責任を明らかにする考えはないかどうか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 御指摘のような事態に対処して、政府としても十分対策を講じなければならぬと存じまして、先般閣議で決定いたしました暴力犯罪防止要綱にのっとりまして、行政上、立法上十全の措置を早急に講じて参る決意でおるわけでございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 法務大臣、大へん長いこと待っていただいて恐縮ですが、最後に一点あなたにお尋ねしたい。この間あなたは読売新聞に、破防法の改正を考えておられるだけでなしにそれを決意した、こういうことが報道されておる、その点についてはどうですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○植木国務大臣 お答えいたします。私その読売新聞の報道を実は読んでおりませんけれども、こういう気持でおりますから、あるいはそういう伝え方があったのかもしらぬと思います。それは今回のこの悲しむべき暴力事件に関連いたしまして、私の所感といたしましては最善の道を尽くさなければならぬと非常に心配もし、研究もいたしております。その方法といたしましては、さしあたっては現行法令の範囲内におきまして、でき得る限りの措置をするようにいたしたいというので、実は先日も全国の刑事部長、検事を会同いたしまして、それらの皆さんの意見も求め、また反省も求め、十二分に注意をしていくようにいたしておるわけであります。しかしそれのみならず、ただいま官房長官からも答えられました通り、閣議におきましても応急的な施策はもちろんのこと、根本的にも一つ十分研究をしていこう。そしてなるべく早くそれをもし必要ならば法制上の措置も講じなければならぬというような建前で、今いろいろと関係当局と相談をいたしておりますので、従って破防法等の問題につきましても、場合によればそうしたことも起こり得るかもしれないという意味において談話をいたしたことを、あるいは書き取ったのかとも思います。さような意味で必ずそれをやるということを意思決定しておるのではございません。あらゆる手段を研究して、要すればそういうことも考えなければならぬ。もちろんそういたしますのには立法の問題でございますから、やはり政府としてももちろんでありますし、党としてもまた十分研究を願い、また野党の方々の御意見も十分参酌して参りたい、かように考えておる次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 いろいろ御質疑も申し上げたいし、また政府の暴力犯罪防止要綱に対するいろいろな批判も行ないたい、こう思っておりますが、わが党におきましても右翼テロ防止法案を立案し、近く国会に提出をいたしますので、その機会に政府の政策と私どもの政策を対比しながらこれをいろいろ論議をしたい、かように考えております。  内閣総理大臣に対する私の質問を留保いたしまして、質問を終わります。

船田中自由民主党

○船田委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————    午後二時十五分開議

船田中自由民主党

○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 きょう私の質問は、党の指示に基づいて沖繩問題だけについて、関係の大臣に御意見を伺いたいと思います。  まず第一に、昨年の末の本予算委員会におきまして、小坂外務大臣は受田君の質問に答えまして、昨年の九月十二日ハーター国務長官に会見した際に、沖繩の返還問題について外交交渉を——ここで特に外交交渉をという言葉を使って——外交交渉を行ないましたという答弁をいたしております。そこでこの外交交渉の基礎になっている沖繩の法的な地位については、小坂外務大臣はどのような根拠に立って外交交渉を行なわれたのか、この点をお伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  沖繩の施政権の返還ということについて特に要望いたしたわけであります。ただ岡田さん御質問の、どのような地位に現在沖繩があるかということでございますが、一つその法的な地位に対する私どもの見方をまず申し上げたいと思います。  そこでわが国は平和条約によりまして、北緯二十九度以南の南西諸島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度のもとに置くこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意するということを約束いたしておるわけであります。これによりまして、このような提案がアメリカによってなされることがありますれば、わが国としてはこれに異議を唱えない義務があるわけでありますが、アメリカはまた一方において、かかる提案を一定期間内にする義務を負っておるわけではありません。従って現在までのこの地域が信託統治制度のもとに置かれないからといってアメリカはわが国にこれを返還する法律上の義務はないわけであります。  なお、こういうような提案が行なわれ実行されるまで、わが国はアメリカがこれらの地域の領域及び住民に対して行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権限を認めておるわけでありまするが、潜在主権はわが国にある次第であります。  そこでこの潜在主権がわが国にあるのであるが、講和条約締結以来一貫してこの施政権の返還を要求しておるわけでありまするが、私もその立場に立ちましてできるだけすみやかに施政権をわが国に返還されたいということについて交渉いたしておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そこで、今の答弁を伺っておりますと、こういうように私たちは理解してかまわないかと思いますが、第三条の前段において、アメリカはその提案の時期は未確定であるけれどもアメリカとしては信託統治制度にするということを国連に提案しなければならないという義務がある、この一点は第一点。それからまた、もちろん前段と後段に関係をただいまの点もいたしますが、後段においてそういうことが提案されるまで、そして可決されるまで、その経過的な措置としてアメリカが一切の施政権を握っておる、日本の国は潜在主権が与えられているだけである、このように解釈してかまわないと思うのでありますが、この点いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私の解釈はさようでございません。さようなことを提案する権利を、信託統治にする権利をアメリカが持っておる、こういうことに理解しておりまして、その権利を行使せずして施政権を返還する、こういうふうに私どもは希望いたしております。現在のところアメリカがその権利を行使してさような信託統治にすることはなかろう、かようなふうに理解いたしております。と申しますることは、東西両陣営の対立が今日のような場合にはやむを得ないが、そういう状況が解除されることを望み、またその暁には日本に対してこれを返還することになるだろうというふうに私は感じ取っておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 アメリカの方としては信託統治を提案することはなかろう、このようにただいま言われましたが、それはアメリカから確認された事実でございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 交渉の内容でございまするから、私はさようなことを明瞭に申すことはいかがかと思いますが、私の得ている感じといたしまして、さようなふうに感じ取っておるという程度に御了解願いたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 この点は実は交渉の内容の点でありますけれども、非常に重要な点でありますので、あとでこの点は質問いたして参りたいと思いますけれども、少なくとも小坂外務大臣という日本政府の機関としてはそのような印象を明らかに持った、この事実だけは明らかに答弁されたわけでございます。ですから、この点だけの確認の上に立って後段において質問を続けます。  その次にお伺いをしたいのは、やはり外交交渉を進められた基礎になった沖繩住民の法的基礎、この点についてはどのような法的基礎に立って交渉をおやりになったか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先般ここで申し上げて笑われたのでありますが、私は法律家でございませんので、用語その他がはなはだまずいかもしれませんが、経済の方を若干やっておりますので、それは御了承願って……。これはよけいなことですが……。  そこで御承知のように潜在主権があるわけですから、沖繩の国民は日本国民の権利を持っておるわけでありますが、これは潜在しておって現われない、こういうことであろうと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 潜在主権というのはそういうことを言う。あなたは経済の専門家でしょうが、今はやはり外務大臣をやっておるのですから、大蔵大臣ならそれでもいいでしょうけれども、中川さんがうしろにおられますから御相談いただいてけっこうですが、潜在主権というものは沖繩住民の法権限を規制するものですか。私たちが理解しておる限り、潜在主権というものは、政府の説明によると、それを私が了解するかどうかは別ですけれども、領土処分権であるというふうに今までは答弁されて参ったと思いますが、あなたの場合において、政府としての新解釈をお出しになるなら別ですけれども、沖繩住民に関する法的権限、いわゆる権利義務の関係を規定しているのが潜在主権である、こういう御解釈になっておるなら、その法的な論拠もあわせて御答弁願えればけっこうだと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日本国民としての権利義務を有しておるということであります。ただそれが潜在主権ということでありますから、そうした権利義務が現われないということであります。潜在しておるということです。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 権利義務が現われないというのは、いわゆる権利の行使が行なわれないという意味ですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 施政権がアメリカのもとにあるわけでありますから、そうしたものによって日本国民としての権利が現われないということであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは伺いますが、日本国憲法は沖繩において適用できますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 法律解釈でございますから、法制局長官にお答えいたさせます。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 日本はいわゆる残存主権と申しますか、潜在主権というものを持っておりまして、ここについての領土主権を放棄したことはまだないわけでございます。従いまして、日本の憲法も観念的には施行されている。これは前にもお答えしたことがあると思います。観念的に施行されている。しかし沖繩にはアメリカの施政権が今あるわけでございますから、施政権がある限度においてはもちろん日本の憲法が現われることはない、かように考えます。  先ほどの沖繩の住民の問題でございますが、これは日本が領土権を放棄したわけではございませんから、日本の国籍を持っているわけでございまして、その意味においては、日本の国籍はもちろん持っております。しかしこれに対するいわゆる施政は沖繩がやっている。そういう意味においては、日本国内に住んでいる日本国民とは違う地位だ、こういうことでございましょう。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 ですから、後段の点は先ほどの小坂さんの答弁とはちょっと食い違ってくるわけですが、これはあらためて荒立てません。しかし林さんの前段の点は、アメリカの施政権の及ばない範囲において憲法の適用が観念的にあるということは、具体的にはいわゆる潜在主権としての領土処分権を意味するということですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 結局潜在主権の内容は何ぞやという問題でございますが、これはいつかもここでお答えしたことがあると思いますが、現在施政権は完全にアメリカが持っておるわけでありまして、これに対して日本は異議を申し得ないわけです。従いまして、結局領土処分権というものは日本には留保される、かようなことだと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 小坂さん、そういうことなんです。施政権は完全にアメリカが握っている。この点がやはり重要なんであって、潜在主権の内容というものは、ただいま林さんの言われたように領土処分権である。そういう事実である。首を振っておられるようですから、そうでないならそうでないとお話いただいて、論拠を明らかにしていただくならけっこうですが、そうであるならそうである。そうでないならば、やはり閣内に不統一の点もありますから、あなたの方が大臣ですから、はっきりしていただいた方が……。林さんも大臣待遇ですけれども……。あなたがはっきり一つお答えをいただくならけっこうだと思います。小坂さん、あなたどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 最初にお断わりしておりまするように、政府の法律解釈は法制局長官にまかせております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは林さんの言う通りである、政府の解釈はそれである、そのように解釈したいと思います。  それではもう一つ伺いますが、潜在主権ということは国際法上非常に珍しい。私の記憶に関する限りは、日本のサンフランシスコ条約において初めて出てきた考え方、あるいはその前にありましてもほとんどまれな状態でありまして、学者の説によると、これはアメリカが沖繩を領有するために潜在主権という言葉を日本に与えることによって、擬装的な割譲をねらったものである、こういうねらいを持っているのが潜在主権であって、当時の吉田総理が調印をしたときに、潜在主権をダレスが与えると言ったことを非常に喜んで、うちょうてんになって感謝した。これは吉田総理は笑うべきことをやったものであるということを言っている学者もあります。潜在主権の問題は、先ほどからこれは領土処分権であるという点については非常に明らかになって参りましたが、このあとでもう少し話を進めて参りたいと思いますけれども、潜在主権の問題については、だいぶいろいろ今まで議論があったのです。たとえば岸総理が新らしい安保条約に関連して、アメリカの施政権のへこみ論というような言葉を使いました。へこみ論によって潜在主権がだんだん拡大していって、行政権が及び得るのだというようなことを当時の岸総理大臣が答えられたのを、あとで実は訂正をいたしております。私はこの第三条がある限りにおいて、アメリカが施政権の一切を握っている限りにおいて、そして反面において日本が潜在主権というものしか持っておらない限りにおいて、日本は何らかの行政権をその範囲内で持つということは許されないと思うのですが、この点はどうですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 現在において、いわゆる日本が潜在主権を持っている意味は何かというお尋ねに対して、先ほど私はお答えしたわけでございます。しかし日本は、ここに関する領土主権を放棄したわけではありません。従いまして、アメリカが全部または一部の施政権を行使することがあるわけでありますから、施政権の行使の範囲を減少することはあり得るわけです。すれば当然日本はそれに対して、日本の施政権は回復されるわけです。そういういわゆる潜在力といいますか、可能性は常に日本は持っておるわけであります。現状において何かとおっしゃるわけでございますから、さっきお答えしたわけでありまして、それしかないという問題じゃございません。可能性は幾らでも持っておるわけであります。向こうの施政権が縮めばこちらはふえていく、これは、もちろん条約とか協定によってそういうことが行なわれれば、それは伸縮するものである、かように考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 ですから、条約によって規定された全部または一部と、こういうように今言われましたが、これはだいぶ問題のあるところでして、中川さんや林さんも御存じのように、オール・アンド・エニーというふうになっているから、一部ではなくて、すべてという意味に解釈すべきなんで、これは一部の返還ということはあり得ない。あり得ないのを、小坂さんあると言っているらしいが、二月の一日に沖繩において立法院の定例会議が始まったときに、ブースが日本でいう施政方針演説をやっておる。その中で施政権の分割は行なわれないということをはっきり言っている。それはこういう法的論拠に立っているのですよ。ですからあり得ない。もしあるとすれば、何らかの条約上新たな権利義務を規定する条約の取りきめがなければならぬと思いますが、この点はどうですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 おっしゃる通りに、英文はオール・アンド・エニーでございますか、オール・オア・エニーでございますか、要するに全部何でもできるという意味であります。しかしそれはもちろん全部を持てるし、少なくとも一部に減らすことはできるわけです。これはもちろん何らかの取りきめをもってやるのがあたりまえだと思います。また現にこれはいわゆる施政権の、量ではございませんが、質的にいえばたとえば奄美群島については、アメリカ政府と日本の協定で返還しております。これは部分々々と申しますが、施政権の及ぶ区域の一部を日本に返還した、そういうこともできるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでだんだん明らかになって参りましたが、施政権の一部へこみ論と言われるように、日本が施政権の一部を行使する場合には、何らかの取りきめを行なわなければならない、この点は今、林さんが答弁された通りです。ただ勝手に向こうへ行って施政権の一部をわれわれがやりますというわけにはいかない。条約上の取りきめが必要であるということは、ただいま林さんが答弁した通りであります。  そこで、もう一点伺っておきたいのですが、これは小坂さんに伺っておきたい。この琉球小笠原諸島の法的な地位、並びに住民の法的な地位について、一九五一年の十二月十日付で外務省の外務次官名によって、アメリカに書簡が提出されております。この書簡に対する回答がアメリカからございました。この書簡並びにその回答は、いまだに日本政府において公表いたしておりませんが、この機会に公表されて、資料として御提出を願いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 はなはだ申しわけありませんが、その一九五一年の外務省から出ました書簡というものを、実は私記憶しておりませんので、もし、どういう内容であるか、岡田先生からお示し願えればはなはだ幸いであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは具体的に伺いますが、先ほどから申し上げたように、琉球諸島並びに小笠原諸島の法的地位、並びにその地域住民の法的地位に関する質問ですね、アメリカ側がどういうように法的に見ているかという質問を含んだ、いわゆる外務次官名による書簡が出されている。これに対して、翌年になって回答の書簡が来ております。その往復書簡に基づいて、日本の沖繩、小笠原に対する法的な問題は処理されている。従って、この往復書簡というのは、一つの外交的な取りきめに関するその基礎になるべきものと私たちは考えておりますので、沖繩問題をやって参ります場合に、この往復書簡が明らかになっておりませんと、われわれは沖繩の地位というものを明確にすることはできないわけです。この書簡はぜひとも御発表願いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 私実はその書簡の内容を存じません。また見たことも実はないのでございまして、沖繩の法的地位、小笠原の法的地位及び住民の法的地位等は、われわれもう七、八年仕事をしておりますが、明らかになっておると考えてやっておるのでありまして、その書簡を調べてみまして、その内容いかんによっては公表することも差しつかえないかと思いますが、研究いたした上で処置したいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 中川さんは、今七、八年やっておるが心配ないというその論拠に、中川さんの頭の思想の論拠になっておるのが、その書簡なんです。ですからそれがないとあなたはどこまでそれが基礎になっておるかどうか明確にならないと思う。今調べればすぐわかりますから、小坂さん、この際発表したらいいと思うので、今まで何も隠しておく必要はありません。今すぐお調べいただいて、委員会の発言の終わるまでこれをどうされるか、御返事を願いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 さっそくに調べてみます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 なお念のために申し上げておきますが、これはアメリカにおいてはすでに公表されております。ですから、あなたの方で言われる前に申し上げておきますが、おそらくこういう答弁をするかもしれない。アメリカと相談しなければわからないので、今発表できるかどうかわかりませんと、あとになってから言うかもしれませんが、そういう話は通りませんから、先に申し上げておきます。  これはハワイ裁判所においてすでに公表さております。城山ウシの事件において公表されておりますので、日本政府だけが発表しないとすれば、あなたは秘密外交をやっておることになるのですから、この点ははっきりしておいていただきたいと思う。それはあとで一つ御答弁を願います。  次にお尋ねしたいのは、昨年の末に藤枝総務長官は沖繩に行かれましたが、沖繩に行かれました印象として、沖繩に在住しておる日本の国民——先ほど林さんの言われた国籍は日本の国民、この日本の国民は、日本への復帰を望んでおるというように受け取りになりましたか、どうでございますか、その点からまず伺いたいと思います。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 沖繩の方々が日本復帰に非常な熱意を持っておられる、また熱望しておられるという印象は強く受けて参りました。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは藤枝さんに再度伺いますが、二月の一日に、琉球政府、正式の名前は琉球政府立法院というのですか、要するに沖繩の議会ですが、ここにおいて沖繩返還の決議を行ないまして、すでに日本政府にその決議文が到達しておるはずであります。しかもこの決議文は、沖繩の全政党の満場一致において、すなわちあなたの方の同じ党派の関係である自民党も含めて、これは満場一致決議されておりますが、この決議文はすでにこちらにきておると思いますし、この決議に対するまず所感を伺いたい、お感じを伺いたいと思います。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 お話のように、二月一日琉球政府立法院は日本の内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長あて、並びに合衆国大統領、上院議長、下院議長、国防長官、琉球列島高等弁務官あてに施政権について、アメリカに対しましては至急に返還さるべきであるということ、また日本政府に対しましては、積極的に外交折衝を通じて、施政権の返還を求めるべきであるという決議を満場一致でいたしております。このことは先ほど申しましたように、沖繩におられる方々の日本復帰に対する非常な熱意、熱望というものを、その代表者である立法院において決議されたものと心得ております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それではこの文書の中にもございますが、琉球立法院のこの決議というものは沖繩全住民の意思である、このように確認して間違いございませんか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 日本復帰ということについては全住民とも非常な熱望を持っておられるというふうに考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それからもう一点伺いますが、決議文の中でアメリカ合衆国が十五年の長期にわたりその統治を続けてきた、これは住民の意思に反している、こういうことを言っておりますが、この点はいかがでございますか。アメリカが十五年間沖繩を統治してきたのは沖繩住民の意思に反しているという、この決議をあなたはお認めになりますか、どうですか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 沖繩の方々にすれば平和条約においてああいう取りきめをされたことについても、もちろん事前の打ち合わせ等もなかったわけでございますから、沖繩住民といたしましては、自分らの意思にかかわらずこういうことがされておるという感じを持っておるであろうということは推測されます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それはお認めになったということだと私は認定しますがいいですね。そうでしょうね。そういう点は何か言葉をごまかされたようですが…。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 沖繩住民の一人々々に当たったわけではございませんから、私も推測の域を脱しませんが、沖繩の方々とすればそういう感じを持ったであろうことは推測されるということを申し上げたわけです。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 まあいいでしょう。ともかくも先ほど藤枝長官が言われたように、沖繩の住民というのは信託統治にすることが意思ではなくて、日本に復帰することが住民の意思である、そしてアメリカが沖繩を統治していることに対しては、住民の意思に反している、この事実は藤枝さんがお認めになったわけですが、もう一点あります。  現在日本の国が国連に加盟している今日において、こんな状態が沖繩において続けられているということは、国連憲章の原則に反していると決議の中に書いてあります。これは国連憲章の原則に反しているというこの決議の内容を藤枝さんはお認めになりますか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 琉球政府立法院といたしましてそう考えたものと心得ております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたの場合にはこれについて決議文を取り扱わなければならない任務があると思うのですが、あなたはこれについては違う御意見をお持ちなんですか。あなたはどうなんですか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 私と申しますか、総理府の役目というものは外交権その他は持っていないわけでございます。ただ沖繩の諸般の事務の連絡をいたしておるわけでございますから、これを外交ルートに取り次ぐだけの役目でございます。従いまして私この席上でこの立法院の決議そのものの内容について御批判を申し上げることは差し控えた方がいいのではないかと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 今の藤枝さんの内容云々のお話がありましたけれども、ここではっきりしているのは、これは中川さんにも伺っておいた方がいいと思うのだが、国連憲章の第二条に主権平等の原則があります。その点からいって、沖繩の今日の状態はこの国連憲章の原則に反していると明らかに言っているわけです。これは明らかに反していると思うのですが、藤枝さんは、われわれに外交上の関係がないから答えられないとおっしゃるなら小坂さんだっていいんですよ。外務大臣どうですか。国連憲章の原則に反しているという決議を行なっている。これは反しているという決議を行なっているのは間違いだとあなたの方がお考えになっているなら取り次ぐことはできないでしょう、正しいと思うなら取り次げるだろうけれども。この点はどうなんです。反しているのかいないのか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 国連憲章の趣旨に反しているという御意見でございます。沖繩における決議はまさしく国連憲章の趣旨に反しているという考えで決議ができたのだと承知いたしております。  しかし国連憲章から見て平和条約三条がその趣旨に反するというふうに言い切るということは必ずしも言えないのではないか。一つはただいま御指摘になりました各国家の平等の原則でございます。これはまさしく大原則でありますが、同時に国連憲章によりますと、敵国から分離される地域は信託統治に付するという規定があるのであります。従って例外的に戦争の結果分離される地域については信託統治というのが置かれることを予定しておるのでございまして、その例外的な事態に当てはまる意味でこの三条ができておる、かように考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 今の中川さんの答弁は非常に重要な点を含んでおりますが、これはあとで伺います。  それでは続いて伺いますが、外電によりますと、アメリカの内外の軍事基地網を再編成するためのアメリカ国防省の特別委員会は今月二十日にレポートを国防長官に提出した、そのレポートによって沖繩を長期保存する、この文書ではこう書いてあります。これは無期限に領有する、保有をするという政策を続ける、こういうように発表いたしておりますが、こういうレポートについて外務省として何か御存じでございますか、その内容についても含めてお話をいただければけっこうであります。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 新聞でそういうような報道を読みまして照会いたしてみましたが、これは大統領の手元に行っているのでまだ公表したことはないということでございます。従ってその公表された内容を見ないと何ともコメントすることはできないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 大統領の手元に行っているというのは正式に提出されたということを意味すると思いますが、それはともあれ、この報道に関連してこういうことが書いてあります。池田首相も沖繩に対する管理、施政権の早期返還を要求する気配がない、こういうことがはっきり書いてありますが、沖繩の早期返還を要求する気持は日本政府はないのだ、そういうようにアメリカは受け取っておるのだということになって参りますと、あなたが九月十二日に交渉したというのは、これは外交交渉でなくて、懇願でもしたのか何か知らないが、そういうことと著しく反することだと思うのですが、この点はいかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今申し上げましたように内容を見ておりませんから、内容を見た上で考えたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 内容はいいですが、新聞にも出ているのです。この点はどうなんです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 新聞にどう書いてあっても、私はさようなことをコメントいたしません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは続いて伺いますが、先ほどあなたは九月十二日の話、外交交渉に関連して信託統治の問題についてお話が出たわけですが、先ほどのあなたの答弁によると、信託統治に対する提案を行なう意思がないように自分としては受け取った。この点にもう一度戻って伺って参りますが、第三条の後段は、信託統治の提案が行なわれ、かつそれが可決されるまでは施政権を握る、従ってそれはそれまでのいわゆる過渡的な措置、暫定的な措置であると考えますが、それはどうです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、第三条による信託統治のものは、これはアメリカがさようなことを一定期間内に履行する義務を負っておるわけではないのであります。従ってその間に現在の状況があるということでありますから、これはやはりその経過期間中の措置である、必ずしも過渡的であると言っていいのかどうかわかりません。しかし必ずそういう措置がとられるという前提もないわけでございますから、その辺が少しはっきり言い切れないところもあると存じます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そこら辺がちょっとはっきりしませんが、あなたの言われるその間の経過措置ということを私は聞いておるのですが、それはそれでもけっこうなんです。ところがその間の措置の場合に、提案というものは行なわれないということになるならば、それまでの措置というものは全部それがあるからという——民法でいえばこれは一つの契約があって、その解除条件の契約、何々までの措置というのですから、そういう契約自体が履行できないということが日本政府の面において明らかになったならば、後段のその期間における措置というものは一切無効になるのはあたりまえじゃありませんか。あなたの言われた通りに考えるならばそういうことになりますが、いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国連憲章の七十七条1項bですか、これで旧敵国にあった地域というようなものを信託統治にするという、そういうものが発動いたしまする場合にも、もうすでに相当期間経過しておりまするので、そういうものを発動することについてもやはり問題があろうかと思うわけです。従って、必ずそういう事態が行なわれるという前提、それがやはり民法の場合と違って、国際的な環境というものが一方にあるわけでございますから、その現在行なわれているのが必ずしも経過的なものではないと思います。ということは、そのままに日本に施政権が返還されるということもあり得るわけであります。具体的に申しますと、たとえば奄美大島ですね。これなども返還されたわけでございます。そういう場合もあり得るということを私は頭に置いて御答弁しているわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは中川さんに伺ってもいいのですが、一つの提案が行なわれるということが行なわれないことになったということになれば、当然それは、後段における施政権の一切を行使しているということは無効になるわけです、これは条約上。そこの点を伺っておるので、信託統治を提案しないために返すということはそれは当然でしょう。それは当然な話ですよ。信託統治を行なわなくて返さないということを、むしろアメリカが今やる危険性があるので私は言っているので、信託統治の提案をしないで、するかのごとくしないかのごとくして、あいまいにしておいて、だからこれは擬装的割譲だなんて言われるのですよ。信託統治の提案をするかのごとくしないかのごとくしておいて、そのまま永久的に保存、領有するという態度、先ほどのレポートに出ている無期限の領有というのはこの意味なんですよ。そういうようにこれは解釈すべきものなんです。そうではないのですか、これは。これは条約違反だというのです。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 われわれは平和条約三条をその書いてある通りに実は解釈しておるのでありまして、これには御承知のように第三条地域につきましてアメリカがいかなる信託統治の提案をしても、それに日本は同意するということがまず第一であります。そのような提案がされ、それが決定され、可決されるまでの間は、日本はアメリカがその地域に立法、司法、行政の三権の完全な行使をすることを認めるというのが第二段でございまして、その前段につきましては、アメリカが必ずしもしなければならないというふうに義務として書いてあるのではまずないのであります。また、いつまでにしなければならぬということもございません。それから、後段につきましても、もし前段が成立しない場合には後段は無効になる、後段は撤回になるということもないのでありまして、その三条の通りに解釈しておる次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もう一点伺っておきますが、中川さん、提案するまでは施政権を握るというのですから、提案しないことになれば施政権は握らないのですね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 われわれ承知しておりますのは、アメリカは現在提案する意思がないということを知っているのでありまして、将来永劫にわたってこういう提案をしないというところまでは聞いていないのであります。あるいは国際情勢の変化等があった場合にまたこういう提案をするという権利は、アメリカとして依然条約上は持っていると解釈しないわけにはいかないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 中川さん、今現在提案をしないという意思が明らかになったのだが、そのとき以降三条後段における一切の施政権というものは、これは無効になるではありませんか。提案するまではとなっているから、提案しないということになったら施政権は直ちに返されなければならないではないか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 提案しないのは現在提案しないのでございまして、将来提案するかもしれない。そういう少なくとも権利、可能性は留保しているわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それではこういうように解釈してもよろしいですね。提案したいときには提案する、従って、期限が書いてないということにおいて、ちょうど昔の中国における租借地よりももっと悪質の——中国における租借地の場合には九十九年間という期限なんかついておった。永久的に領有するために、百年後において提案するかもしれないということのために第三条が書かれてある。そういう意味で、アメリカが永久的に施政権を握るためにこういうことを書いてあるのだ、こう解釈せざるを得ないわけですね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 アメリカの意向として一つはっきりしておりますことは、決して沖繩を将来永久に自分の領有に置いておこうということではないのでありまして、国際情勢がそれを許すに至ればこれは必ず日本に返すつもりであるということははっきりしておるのでございまして、あるいは上海の租借地等のように九十九カ年とか、そのような長い期間のものであるとは考えておりません。国際の情勢はそれまでの間には必ずや緩和するであろうと期待しておる次第であります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それは政治論で、あなたの条約論の解釈からはだいぶ離れておるようですが、この点はどうなんですか。条約論で解釈するならば、そういう点は、日本の政府の立場としては、アメリカがどう解釈しているかは別として、これに対して態度が出てこなければならないと思うのですが、これはまたあとでやります。  そこで、中川さんそれから小坂さんが非常に重要なことを言われておりますが、アメリカが提案をする場合には憲章七十七条一項bに該当するというお考えですか。それはどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほどから申し上げておるように、信託統治の第三条による提案をするということを、一定期間内に義務を負うているわけではないのであります。従って、また現在一方に国際情勢をにらんで、していないわけであります。そのしていないということを岡田さんは、していないからこれは永久だろうとおっしゃいますが、われわれは、していないということが、また非常に近い機会の可能性もある、こういうふうに見ているわけであります。従って、そういう問題も、必ず第三条を発動するであろう、こういう前提において、その場合には七十七条の1項bによるかどうかということを今言うてみるのも無意味だと思いまするが、しかし、御承知のように、a項にもc項にも該当しないから、まあ第二次大戦中旧敵国における地域ということになるであろう、適用するとすれば。それ以外のaにもcにも当たらぬではないか、こういう程度のことはいえると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 さっきからb項に該当すると再三中川さんもあなたも言っているわけですが、それは実は間違いなんですよ。岸総理はそうではないですよ。あなたの答弁と、岸総理時代の答弁と違うのですよ。そういう点中川さんもよく調べてから言われなければはっきりしないのだが、大体b項に該当しないのですよ。あそこで「第二次世界戦争の結果として」、「結果として」というのは、サンフランシスコ条約の締結ということを意味するわけです。「分離される地域」という「分離」という言葉は、これは主権の分離ですよ。割譲です。主権の分離を意味しているかというと、意味していないのですよ。それはあなた、さっきから言っているように、潜在主権が日本にあると言っているではないですか。七十七条のb項に該当するのは二条の(b)項です。南洋諸島が信託統治になった場合です。沖繩の場合にはこれに該当しないのです。これは中川さんの方にむしろ伺いましょう。あなたはb項に該当するとおっしゃるのだが、どういう論拠で言っておられるか知らぬが、私の方は論拠がある。ここで「分離」という意味は、国連憲章の制定会議において、信託統治の小委員会ができたそのときに、スマッツという委員長は、この場合の「分離」というのは新たに征服し取得したる地域となっている——征服し取得したる地域となっている。征服し取得したる地域というのは、割譲という意味ですよ。主権の分離です。潜在主権が残って、しかもその他において分離されたる地域というものはこの中には該当しない。これはあなたよくお調べ願いたい。この点は前の高橋条約局長が、この分離についてはこの事実を認めて、その高橋条約局長の事実について、岸、当時の総理大臣兼外務大臣に私が確認を求めたところ、高橋条約局長の言う通りであると答えている。そうすると、あなたの場合には、この「分離」という中に主権の割譲を意味しない分離があるとおっしゃるならば、これはどういう法的な論拠に基づいておっしゃっているのか。そして制定会議以外の方針の分離、ディタッチということは割譲以外にあるのかどうか、これは該当しないのですよ。これははっきりしている点なんで、一つはっきりしておいてもらわなければならないと思うのですが、どうですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 まず第一に申し上げたいことは、もし平和条約第三条によりまして沖繩が信託統治に付せられる場合は、これは日本が付するのではないのでありまして、アメリカ合衆国が、安保理事会なりあるいは国連総会と協議をしてきめるわけであります。その際に、国連憲章のどういう条項によってこれが信託統治に付せられるかということもおのずから協定で明らかになる、あるいはその提案過程において明らかになると思うのでありますが、それにつきましてどうしてこのbであると想定するかという根拠につきましては、サンフランシスコ条約におきましてこの条項が説明されました際に、主たる起草者でありましたアメリカ代表から、この点についてははっきりb項、敵国から分離される地域として信託統治に付せられることになろうという説明をしておるのであります。従ってそのような事態が起きた場合には、おそらくこのb項によって付せられることになるであろうと考えるわけであります。  なお分離という字の解釈でございますが、日本語でも分離といいますと分け離すでございます。英語でディタッチと申しますと引き離すということでございます。引き離す様式、分け離す様式はいろいろあり得ると思うのでありまして、潜在主権を伴った引き離し方ということも必ずしも排除する趣旨でもないのではないか、またそのような解釈からアメリカ代表がそういう解釈を、サンフランシスコ平和会議で下しておるのである、かように考えておる次第であります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それもあなた、ダレスの言うことを金科玉条だと思っているから、そういうことになるのですよ。ダレスの言っていることは知っていますよ。ダレスの言っていること自体が間違っているのだということです。憲章に反しておるのだと言うのです。あなたは分離という意味を、私、ディタッチ云々と言った場合に、あなたのお答えは国際法上分離ということは何を意味するか、主権の分離を意味するのか、どうか、この国連憲章七十七条に書いてある分離というのは何を意味するのか、これをお答えいただきたいと私は言っているし、私はその説明をやったのです。この分離というものは、新たに征服し取得したる地域となっている。だから岸総理大臣は、bでなければcではないかと言っている。だから小坂さんの答弁と食い違っているのです。小坂さんはbだと言っているのだが、岸さんはcでもあると言っている。その点は、国際法上分離というのは、割譲あるいは主権の移転を含む、移転である、それじゃそうでないような分離というのは国際法上あるのですか、中川さん。国連憲章の七十七条の解釈です。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 国際法上主権の完全なる分離を伴わない分離があるかという最後のお尋ねでございますが、私は、平和条約三条の沖繩の地位などは、まさしくそれに当てはまるのではないかと考える次第でございます。  なお憲章にいいます分離の意味でございますが、これは主権の完全なる移動を伴う分離であるという解釈に帰一しなければならないという根拠もないと思うのでありまして、やはりこの文字に従って解釈するのが条約の適当な解釈方法ではないかと考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 中川さんの御意見を聞いていると、加盟国の日本は、国連憲章よりもサンフランシスコ条約の方が優先するようですが、どうなんですか、さっきからお話を伺っていると。それから憲章七十七条のb項は、そういうような解釈が国際法上できますか。国際法上と言っているんですよ、さっきから。あなたは、漢和辞典で、分離ということを国語的にどう解釈するかということと国際法上の解釈と混同されてお話しになっても、これはちょっと話にならないと思うんですが、どうなんですか。国際法上主権の移転を伴わない分離というものがありますか。国連憲章七十七条のb項において……。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 平和条約と国連憲章とが、どちらが優先するかということは明らかでありまして、国連憲章が優先することは、平和条約それ自体に書いてあるわけでございます。また国連憲章の規定からもそれが当然出てくるわけでございます。  分離という文字を国際法的にどう解釈するか、私も国際法をいろいろ読んではおりますが、分離という言葉の公定解釈というものを国際法できめてはいないのでございまして、やはりその場に適応するようにいろいろ条約の文字は解釈するのが一番適当な解釈方法であろうと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これはまだまだ条約局長に伺わなければならないのですが、時間がないから私はこの程度にしておきますが、これはお調べいただきたいと思います。これは外務委員会であとでやります。国際法上に分離という言葉があるかないかという場合には何を基準にするか、制定会議の小委員会の決議を基礎にしなければならぬ、そうしたら、その場合には何か、スマッツ小委員長ははっきり言っておる。新たに征服し取得したる地域と言っておる。これは主権の分離を意味しているのですよ。割譲ですよ。それをあなた自身は、第三条においてこれが認められるんだ、b項に該当して認められるんだということになれば、あなた自身は潜在主権も放棄するということを意味しておるからそういうふうに言うのですよ。だから潜在主権などというのは擬装的な割譲なんであって、あなた自身言わず語りにそれを認めておるというわけですよ。そういうことにならざるを得ない、論理的に言うと。  そこでもう一つ進みますが、あなたの方は、こう言っちゃ口は悪いけれども、ばかの一つ覚えみたいに七十七条のb項といえば何でも納得するだろうというように今までお感じになっておったようだが、それは間違いなんです。外務省のそんな不十分な見解では足りません。b項に該当するかどうかというのは、まず日本が国連加盟国の一つとして、憲章の精神を守らなければならないという日本の立場として、七十七条のb項に該当するかどうかということは、優先の義務としても、まずきめなきゃならないですよ。あなたそういう点をきめないでおいて、外務省が、それでいったら国会じゃ答弁が切り抜けられるだろうなどというふうな甘い考えじゃ困るので、もう少し御勉強願いたい。これは条約局長の高橋さんのころにはずいぶん私と論議した点なんです。あなたのそんな答弁では不十分です。もっともっと勉強して下さい。  それから憲章七十六条——小坂さん少し退屈がらないで答弁して下さいよ。これはあなたに関係する部分ですよ。七十六条を開いて見て下さい。信託統治の基本目的が出ておるでしょう。信託統治にするためには、この四つの基本目的に該当しなければならないのです。その点はそうでしょう。小坂さんどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 信託統治にするためにこう書いてあるのですから、そうだと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そうでしょう。七十六条のb項において人民の自由に表明されたる願望というものは、藤枝さんがさっき言ったように日本に復帰にある。はっきりしているじゃないですか。日本に復帰にあるなら、信託統治にすること自体が間違いなのです。アメリカが信託統治に提案するということは国連憲章に違反するのです。あなたがはっきり今言ったように七十六条の四項目というのを全部守らなければならないとするならば、しかも同じ政府の一員である藤枝さんが、住民の意思は信託統治にすることでなくて日本に復帰することであるということである限り、アメリカが信託統治にするということは国連憲章に違反することなのです。どうなんです。そうでしょう。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この七十六条に四つの基本目的が書いてございますが、これはどの一つをとって、これだからというのじゃなくて、やはり他の条項も全部読み砕いて、法律はあなた専門家ですからあれですが。それで国際の平和及び安全を増進するということにも反してもいけない、ただし国際環境のもとにおいて最善と思うということだと思います。そこで、これは平和条約三条によりまして沖繩における信託統治をアメリカがするということを申し出るということを、さっき申し上げたようにアメリカが義務づけられておるわけじゃございません。一定の期間内に言うということを義務づけられておるわけじゃございません。それはただ言う権利がある。それをしないということだと思うのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それは私の聞いておることじゃない。信託統治にすることのためには、七十六条の基本目的を全部満足させるものでなければならない、これはあなたのおっしゃった通りです。それならば信託統治にするためには、住民の自由に表明されたる意思ということは、沖繩においては日本に復帰することであるから、信託統治にすることではないのであるから、従ってアメリカが信託統治に提案するということになるならば、国連憲章に違反するということになるではないかということを聞いておるのです。違反することになるでしょう。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 平和条約は、これは締約国が全部これを是なりとして、日本がそれを承諾せしめられたのが平和条約でございます。その平和条約によって第三条を発動して、沖繩をどうするかという問題を今論議しているわけでございますね。そこでこの解釈よりも、そういうことがどうなるであろうかということを、外務大臣たる私にお聞き下されば、これは政治判断といたしまして、先ほども申し上げたように、これはなかなかせぬであろう、そしてある時期にはこちらへ返すのではなかろうか、さような感じを持つ。これは外務大臣としての責任においての感覚を申し上げたわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたは、私の質問を勝手に想定されて勝手に答えられておる。私はそんなことを聞いていない。さっきから国連憲章七十六条のb項にある自由に表明されたる云々ということは、具体的に平和条約とこれは相反する事実として、違反事項として出てくるではないかということを私は言っておる。それは、日本政府の立場としてこれをどう判断するかということを聞いておるので、しかも日本復帰をしたいというのは、藤枝さんがさっきはっきり答弁している。それならばこれに対してどうだということをあなたがお答えにならないというなら——日本の国は国連加盟国なんでしょう。加盟国として、松平大使に、日本の新聞なんか見なくていい、アメリカの言うことだけ聞いていればいいのだという式で、またやらせるというつもりで日本政府の態度を明らかにしないのですか。どうなんです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほど私がお答えしたように、日本はこれを信託統治にしてもらいたくないわけなんですね。ですからそういう交渉をしておるわけです。さように大体いきそうであるということを申し上げておるので、信託統治となる場合はどうかこうかとおっしゃいますけれども、私どもはそういうふうになりたくない、してもらいたくないわけです。そういうことをさっきから申し上げておるわけです。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 ですから、したくないということだけではなくて、するとするならば、国連憲章に違反するではないかということを私はさっきから聞いておる。それはどうなんだと聞いておる。あなたは、反するではないかというのに、したくないという答弁をするからいつまでも時間がかかる。私はそんなところに時間をとりたくない。西村さんが待っているのだから……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 そういう提案をしまする場合は、これは国連憲章に違反しないように考えてやるのが、提案する場合の国としては当然だと思うのですね。(岡田委員「日本はどうなんだ」と呼ぶ)このサンフランシスコ講和条約というのは、その当時の締約国が相談して、これがいいというのできめたわけでございますね。日本はそれを受諾させられた。そこでアメリカが三条に従って国連に提案する場合には、そのことについてアメリカは国連憲章に違反しないという確信がなければ、私はできないと思います。日本もそういう提案をしてもらいたくないということで従来から交渉し、先ほども冒頭から申し上げておるように、私は日本の外務大臣の判断としてそういうことはどうもないではないか。ある時期にはわれわれの方に主権が返ってくるのではないか。こういう印象を持っておるということを申し上げておるので、いろいろな条約解釈その他は事務当局からさせます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたはいまだに私の質問にはっきり答えられないわけですね。私の聞いているのは憲章に違反するではないか。平和条約は何カ国できめようが、条約は憲章に違反してないという何らの保証はないでしょう。もし違反している場合においては憲章が優先すると書いてあるじゃないですか。そういう点は憲章に違反しているではないかということを私が言っているのに対して、あなたは違反しないようにという願望を言っているだけであって、それは答弁に全然ならないですよ。憲章の解釈はどうなんですか。そればかりではなくて、もう少し進みましょう。中川さんは、この間受田君の質問に答えて、アメリカが沖繩の信託統治を提案するというような場合においては、戦略信託統治になるのでないかと思います、こう言いましたね。そうすると戦略信託統治の提案を国連においてする場合はどこでやりますか。八十三条ですね。八十三条は安保理事会ですね。その点間違いありませんね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 岡田委員御指摘の通りでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは小坂さんに今度聞きましょう。安保理事会に戦略信託統治を提案した場合にソ連が拒否しますね。小坂さんの政治論でお話し下さい。それじゃ信託統治の提案はできないでしょう。できますか。できないという事実ですよ。できますか。できないじゃないですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ですから私は政治論をもってお答えして、お互いに政治家ですから政治的にお答えしているわけですが、要するに今のあなたの御設問は、七十六条による信託統治制度というものはこうなんだという御設問がありまして、さらに安保理事会にかける場合はどうだと、こういうことなんです。ところが私は初めから沖繩の信託統治というものは反対だと申し上げている。おそらくそういうことはないだろう、これはお互いの政治家としては判断をしているということでいかがでございますか。ない場合仮想をして、そしていろいろ御議論になりまするけれども、法律論でございますと、これは事務当局から言っていただくように、冒頭にお答えしているように、私にお聞きいただくよりは事務当局の方が正確だと思いますから、さようにお願いしたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 盛んに政治家々々々とおっしゃいますが、政治家であるなら、法律はどうであってもいいということではないでしょう。条約がどうであってもいいということではないでしょう。まさか賢明なる小坂さん、そうじゃないと思いますが、私が今聞いておるのは、八十三条なら安保理事会に提案をしなければ信託統治にはなれないのだ。そこで政治家としてお答え下さい。安保理事会に提案するんならソ連の拒否権にあってできないではないかと言っておる。したくないのだということは、あなたの主観的な意図であって、安保理事会に提案した場合においてはできないのだということをはっきりしなさいと言っておる。どうなんです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は日本のむしろイニシアチブでこれが提案せられぬことを努力しているつもりなのです、私外務大臣としましては。ところが岡田さんは、これはソ連の方がむしろ非常に信託統治ができぬようにしておる、こういうふうに言わせるような御質問でなければ、もう私の今申し上げたことは撤回いたしますが、そういうことだと思うのです。これはだれでも提案はできるのです。ただ通らないであろう、とこういう推定はもちろんできると思います。それだけのことだと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 その条約解釈は全く間違っている。あなたは三条さえ知らない。提案するのはアメリカ以外にないのですよ。三条に書いてあるじゃないか。だれでもできるなんて、そんなこと言ってないじゃないか。はっきり取り消しなさい。ソ連が提案するなんということを私一度だって言ってやしない。間違っておる。完全に間違っておる。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 それはおそれ入りました。その通りです。それは私の言葉が足りませんで、だれでもというのは、たとえばアメリカと、こういうふうに一般的に言っておるので、そういう三条の提案国になった場合に、そういう抽象的なものを仮定いたしまして、その場合はだれでもそういう権利を持っておれば提案ができる、こういうことを言ったわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたの政治家の程度はその程度だということがわかりました。ともかく条約にないことまであなたが政治家としてやられるのでは困るんですよ、外務大臣としては。だから取り消す点ははっきり取り消した方がいいでしょう。しかし、それほど日本がやりたいなら、なぜ国連に提案しないのです、返還せいということを。十四条の後段でできますよ。なぜ提案しない。岸さんのときには、それについて研究しているといったが、あなたの方は研究していますか。提案する気持もないでしょう、沖繩を復帰しろという提案をする気持ありますか。しかも国連憲章十四条の後段によって提案ができるんですよ。するのか、しないのか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 諸般の情勢について検討いたしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もう一度言いましょう。政治家としてというお言葉をお使いになるから政治家として伺いますが、あなたは外交交渉の部面においても大したことはしてない。国連においてもそういう提案もしないという程度のことを沖繩に対してはやっておらないということになると思うのですが、あなたは提案しないということになると、私たちの考え方でいうと、国連憲章の義務にも反すると思うんだが、どうだ。百三条の義務に反すると思うのですが、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今の御設問は国連憲章違反の場合はということですが、違反の場合ではないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そんな答弁されたって話にならないですよ。提案をするということを言っている。提案について、提案しなければ義務違反になるということを言っているのですよ。ですからあなたはただ違反にならないと言われたってそれは何で違反にならないとかどうとか理由を言わないと、話にならぬですよ。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 どうも最初から調子が違うのですが、平和条約の三条は、これは一定の期間内に提案をする義務を負っているわけじゃないのですね。アメリカが提案してない、それを義務違反とおっしゃるから義務違反じゃない、こう申し上げておるのです。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 小坂さん、あなたはアメリカの代表でないでしょう。そうですね。あなたの言っているのは、アメリカが提案できるかできないかと言っているのです。私は日本がどうするのだと言っているのですよ。アメリカのかわりはしなくてもいいですよ。もうアメリカのかわりはわかりました。今答弁しなくても前からわかっていますよ。日本がどうするのだということを聞いているのです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日本は平和条約の三条によってアメリカが義務を怠っておる、こう認識すれば、義務違反であると言って提案をするわけでございますが、そう思っていない。しかのみならず、そういう信託統治にするよりも、現状において返還交渉をして、適当なる時期に返還をさせるということはなし得ることである、可能なことであるし、またその方が望ましい、こう思っているからしないわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 小坂さん一つそれでは条約を離れて、国会でも返還の決議をしておりますね。これをどういうふうに扱うのですか。国連に提案をすることはやらないのですか。日本はどうするのだということをさっきから聞いているのですよ。しかも国連加盟国として百二条においてこれをしなければ義務違反になるというおそれがある、十四条において提案することができる、この二つの権利を放棄されるということなんですかということなんです。政治家としてあなたは国会で決議したことを守らなくていいというお考えですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私はアメリカと交渉して返還をさせるということの方が政治的判断においてよろしい、こういう見解に立っておるから申し上げたわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ国連に提案をするということは一切やらない、このように解釈してよろしいですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国連というものは御承知のようにコンプロマイジングな機関であるわけなんです。そこで黒か白かということを決定するより、むしろその中間をとっていくわけでございますから、それよりもやはり相対の交渉の方が事態がはっきりする、こう思っておるわけなんです。しかもその交渉というものは私は非常に有望である、こういう見通しのもとにやっておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 小坂さん国連中心主義ということを言われましたね、国連中心主義というのはこのときは放棄するのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 事柄の性質によってこの問題はきまると思います。そこで国連によって解決する方が適当な事項については、国連によってその解決をお願いします。なお国連というものは世界平和維持機構でございますから、そういう国連を通じて、それを強化し、世界平和を維持するために働こうということで、国連強化を言い、国連中心主義を言っておるわけであります。この問題の解決に国連を使う方がいいか悪いかという判断の問題だと思います。私は政治的に相対の交渉の方がよろしい、こういう判断に立っておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それではこういうように解釈しておきましょう、この点だけにこだわってはいけないから、もっと進めるために。あなたは事アメリカに対しては国連中心主義ではない、アメリカに対してはまずアメリカである。それはなぜか、国連においてはアメリカの投票機械であるから。だから国連中心主義の道をとらないで、まずアメリカと御相談されるということが先決条件であると解釈せざるを得ないわけです。国連中心主義は少なくとも沖繩に関する限りは放棄した、こう認めざるを得ないということになりますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国連は一切の外交交渉を国連以外において禁止しておるわけではありません。二国間の交渉でできるものは何も国連に持ち出すまでもない、こういうことであります。ことにその方が有利である場合には、当然そうすべきものであると思うのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 国連中心主義を放棄して——少なくともアメリカの方は戻すつもりはない。現実に戻すつもりはないのですよ。しかも日本の方は戻したい。その場合に国連にも提訴しないで、まだアメリカに懇願するわけですか。そんなことをして戻るわけないですよ。そういうごまかしを政府はやっておるのです。交渉していると称してアメリカの言うなりになっている、そういう形で永久に沖繩をアメリカに保存しておきたいということについて日本政府は協力している。明らかにしているのです。あなたの言ったきょうの速記録全部読んで、あとで冷静にお考え下さい。協力しているという事実は明らかだ。私はこの点についてはこれ以上はあとで外務委員会でやります。  そこで西村さんに伺いますが、西村さん今月の初めにブース高等弁務官の後任の琉球司令官兼高等弁務官キャラウエーにお会いになりましたね。キャラウエーにお会いになったときに自衛隊の募集を沖繩でやりたいという要請を行なっておられると聞いておりますが、その点はどうです。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 キャラウエー高等弁務官が沖繩に赴任する途次に、あいさつにお寄りになったことは事実でございます。その機会にお会いしました。また従来から自衛隊員を希望する沖繩在住の人たちがありますので、できるならばわれわれとしてはそういう者は自衛隊にほしい、こういうことは話をしました。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 自衛隊の募集というのは行政権の行使ですね。行政権の行使を沖繩において許されるということになりますならば、これは何らかの取りきめがなければならないということは、これは先ほど政府の最高の法律の見解を述べられた林さんがはっきり述べられた。何らかの取りきめをやるのですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 自衛隊員を希望しまして、沖繩の人たちが内地に参りまして試験を受けておるのは、現在ではこれは常識でございます。それ以上に昭和二十八年でございましたか、沖繩で南方連絡事務局ですか、それを通じ、向こうの琉球政府あるいは米軍の代表機関、それらの了解のもとに募集をやって応募を受けたことがあります。そういう例から考えまして、わざわざ沖繩から自分で旅費を使って来るよりは、われわれとしては現地で南方連絡事務局あるいは琉球政府、あるいは米軍の代表機関等の了解が得られれば、かつて現地でそういう作業をやらしてもらった例もありますから、その例に準じて私は話をしたわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかしそれはあなた何らかの条約上の取りきめがなければ違反ではありませんか。さっき林さんがはっきり言っておりますよ。取りきめなくしては違反であるとはっきり言っていますよ。そういう事実について西村さん、あなた自身はっきりお認めになったのですが、これは第三条に違反することになるじゃありませんか、どうですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 今防衛庁長官のお話を伺っておる限度においては、これは実は事実行為でございます。実際上自発的な募集、あるいはこっちに来てもらって応募してもらうということでありまして、別に行政権の行使というような問題でもございません。現在事実上沖繩にある南方連絡事務局がいろいろあすこで事実的な連絡事務をやっております、それに類するもので、これは別に第三条云々の問題、いわゆる施政権を日本政府が向こうに断わりなしに行使したという問題とは違うと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 何か事実行為であるから行政行為でないかのように言われましたね。しかし事実行為であろうが何であろうが行政行為をやった。自衛隊が募集するというのは行政上の事務ですよ。日本の国内でやったということと、沖繩でやったということとは違いますよ。そうでしょう。日本の国内で、沖繩の人が日本に来て、それによって沖繩の人を日本で自衛隊募集した、これは行政事務としてやれるかもしれない。それと沖繩の場合とは違いますよ。もし沖繩でこれをやったというのならば、これは何らかの取りきめがなければだめですよ。それはあなたがさっき認めたじゃないですか。あなたは取りきめがなければならないと言ったじゃないですか。だからこれに違反しているじゃないですかと言っている。はっきりしているじゃないですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは、沖繩の地域において日本政府が一定の行政権を行使するとなれば、もちろん向こうの意向に反してはできません。向こうの意向でそれを認めるということであれば、それは取りきめというのはいろいろなことがあるわけでありまして、そういうことを黙認するということもございましょうし、そういうことをいいということもございます。一々それが条約という意味ではございません。事柄の性質によって、実際上何ら日本政府が強権を発動するわけでも何でもないわけで、実際上そこで募集の、たとえば広告をするとかなんとかいうようなことは、これは事実問題で、それを向こうが拒否すれば別問題でございますが、そうでない限りはできる、私はかように考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは林さんは、さっき言った取りきめというものはもはや必ずしも必要としない条件であると答弁を改められたというように解釈してもよろしいのですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 いわゆる立法、司法、行政の権限を日本政府があそこにおいて行使することは、アメリカの了解なくしてはできません。アメリカが了解すればいいわけでございます。そのアメリカの了解のやり方は、先ほど申したように、条約とか取りきめとか申します。取りきめにももちろんいろいろ種類があるわけでございまして、必ずしも書面によらなくてももちろんいいわけで、事柄の性質によってこれは認めるということであれば、何ら差しつかえはない、私はかように考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ沖繩においてやることをお認めになったわけですね。やることをお認めになったわけですね。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 やることを認めたという御質問の趣旨がよくわからないのでございますが、要するに、それは日本政府として、日本政府のやりたいことが、かりにアメリカ政府がそれはいやだということがなければ、あるいは琉球の民政府でそういうことは困るということがなければ、やり得ることはあり得るわけでございます。またしかし、それがいわゆる法律の執行的な強権的なものになれば、これはちょっとそう簡単にはいかないものもあるわけでございまして、そこにいろいろ別途の法的根拠を必要といたしましょう。しかし事実的な問題であれば、そういうことで向こう側がそれを拒否しないことであれば、できる範囲のものはいろいろある、かように考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ小坂さん、第三条はそういうように解釈してよろしいわけですね。そんなに柔軟性があるんですね。平和条約の第三条はそんなに柔軟性がある。ということは、小坂さん、今度は政治問題としてお答え下さい。岸さんのへこみ論を、岸さんは訂正したのだけれども、あなたは政治論としてはへこみ論の方針に従っているわけですね。そういう方針ですね。だから何でもやれるわけでしょう。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 へこみかくぼみかは私はよく存じませんけれども、いずれにしても、合意がなされて、そしてその合意のもとに行なわれるという場合はあり得ることでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 その合意というのは取りきめじゃないのですか。合意というものは何らかの取りきめなり——勝手にやれるのですか。西村さんどうです。これは防衛庁の事実問題として伺いたい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もちろん昭和二十八年に行ないました当時も、向こうの米国民政府と申しますか、あるいは琉球政府、これらの諸機関と了解の上、しかも現地の方、現地の募集者もその便をはかってもらいたいという強い要望もあった結果、そういう事実上一回やりました例がすでにあるのでありまして、事実上やったのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それは西村さん、非常にはっきりしておられるが、あるという事実は私もそれははっきりわかります。しかしその事実が違法であるかどうかということを私は聞いておるのですよ。だから、合意があったということは事実である。合意ということは、第三条の規定によってアメリカの掌握している施政権の行使について、日本に対してそれを許すということの何らかの合意がなければならぬ。それは何らかの取りきめという形がとられなければならないということになるわけですよ。そうすれば、その取りきめというのがあったのかなかったのかと、さっきからそれを何度も聞いているのです。簡単な話なのです。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 了解があったということは事実で、その了解に基づいて、昭和二十八年において行なった、その了解を取りきめというふうに解釈するなら、そういう形は言えると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは沖繩からも自衛隊の募集はできる、沖繩の中においてですよ、そういうようにわれわれは解釈してよろしいか。これは新しい問題ですから、はっきりしておくべき問題です。自衛隊の本質に関する問題です。それは今後において重大な問題ですから、発言だけははっきりしておいて下さい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もちろん私どもは、恒久的な取りきめというようなものでなくて、そのつどそのつど了解を得てやっていくという考え方でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 しかしそれはできるというわけでしょう、やったんだから。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 その通り昭和二十八年においてすでに実行いたしております。従って、そのつどそのつど了解は取りつけなければならぬと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 ではこの点もあとへ留保して一おきます、時間があまりないので。  ラオスの内乱の場合において、これは小坂さんに伺いますが、新しい安保条約第六条の交換公文に基づく事前協議、これは在日米軍に関してこの事前協議というものが行なわれたかどうか。それから在日米軍がラオス問題に対して何らかの軍事行動を行なったかどうか。第三点、時間がないから要約して聞くのですよ、在日米軍の全体または一部に出動準備命令が発動されているというようにわれわれは聞いているが、この点はどうか。これは西村さんの関係です、在日米軍は防衛庁の関係だから、これはどうか。この三つの点をまず伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 第一点、第二点について私からお答えいたします。事前協議を行なったことはございません。また在日米軍が移動した事実もございません。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 在日米軍が出動命令を受けたという事実は聞いておりません。また存じておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私は出動を直ちにしたというのでなくて、出動準備命令を受けていると聞いている。それでそういう事実があるかどうかということをまず伺いたい。それからもう一つは、在日米軍が沖繩に移動する場合、それは交換公文の、装備に重要な変更をもたらさないという方法で行なわれた場合には、事前協議の対象にならないでしょう。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 お答えいたします。準備に対しても、そういう命令があったという事実は聞いておりません。それから在日米軍が沖繩方面へ出ていくということ自体について、あるいは他へ出て行くことについては、われわれは事前協議の対象にならぬというように解釈しております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いやしかし、それはそういう抽象的な答弁ではちょっと不十分ですよ。重要な装備の変更のあった場合には、沖繩に行く場合でも、事前協議の対象になるのです。そこら辺ははっきりしておかなくちゃね。それはあなたの担当が違うといえば条約解釈でいいですが。  ところで防衛庁長官に伺いますが、沖繩の米軍、またはその一部に対して出動準備命令が発令になって、すでに出動しているということを知っておりますか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 それは米軍自体のことで、われわれの関知したところではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いや、関知しているいないは別として、あなたがそういう事実さえ知らないというのは、いかに日本の自衛隊というものがアメリカに従属しているかということを立証することになるのだが、いいですか、沖繩にいるJTF一一六部隊はすでに出動しています。どうです、この事実をあなたがごらんになって、沖繩は隣同士ですからね。おれは知ったことじゃないなんて言ったって、このJTF一一六部隊が出動しているということについて、それも知らない防衛庁長官なら、何にもこれはお話にならないですよ。これははっきりなさいよ。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 沖繩における米軍自体の動きというものについては、私どもは直接の関係はございません。自衛隊は日本本土の、国内の守りを責任を持っていたしておるのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それではナイキ演習をやっている事実も御存じないですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もちろん米軍も近代軍隊でございますから、近代装備を持っているとわれわれは考えます。従って、ナイキ等の演習ぐらいは当然やる場合もあろうと考えております。しかし、事実は私存じておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それでは防衛庁長官、それを知らないというのなら、このナイキ演習によって被害がたくさん出て、鹿児島付近でも、この被害について問題が起こっているのも、それも知らないのですか。これは新聞にも出ているだけじゃなくて、鹿児島県から正式に役所に陳情がきているじゃありませんか。これさえ知らないのですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私も新聞はよく目を通しておりますが、そういうことにつきましては存じておりません。ナイキの演習自体、沖繩の演習自体で、鹿児島県に被害があったという事実は、私は現在存じておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私の伺っておるのは、被害の問題もそうですが、ナイキの演習をやっている事実は新聞に出ておったのだが、それも見なかったのですか。そこの部分だけはごらんにならないというのはちょっと……。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、米軍は近代の装備を持っていることは、もう皆さん、私から申し上げるまでもなく事実でございます。従いまして、米国内におきましても、あるいは海上におきましても、また沖繩等におきましても、持っている近代装備の演習は当然行なわれるであろうと思います。たくさんの記事が出ておりますから、一々記憶はいたしてないのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 藤枝さんに伺いますが、藤枝さんは琉球へ行った、沖繩へ行ったのですから、沖繩でナイキ演習で被害が起こって、住民はこれに反対して、日本の政府に対してこういうことをやってもらいたくないという要求があったはずですが、これについて藤枝さんは、西村さんは知らないそうですが、同じ政府の一人として、西村さんに一つ教える意味でもお答えを願いたい。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 昭和三十五年十二月二日付で米国民政府の現地での発表、並びに同政府が那覇の日本政府の南連事務所を通じて、日本政府にあてた通報によりますと、ナイキの演習をやるということが通報されておりまして、ある期間、ある時間でございますが、それで米側はすべての船舶その他について警告を発しておるということは存じております。なお、それにつきまして、いろいろ航行上の問題等がありますので、十分各方面とは連絡をいたすようにしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それみなさい、西村さん、はっきり通達まで出してあなたのところにいっている。あなた、それを知らないのですか。はなはだ失礼だけれども、それじゃ防衛庁長官としての任務がどうなんですか。それさえも知らないとおっしゃるのですか。はっきりなさいよ。どうも日本の新聞読んでいるそうだが、日本の新聞も、見出しだけの初めの方だけしか見ていないのじゃないかな、どうです。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もちろん米軍は御存じの通り米本土において、海上において、あるいは沖繩等の基地におきまして、近代装備を持っている軍であります。従って軍である以上は演習をいたします。その一部にナイキ等の部隊があり、またナイキ部隊が演習をするであろうことは、一々新聞を読まぬでも、これは常識上当然のことです。部隊である以上演習をするのはあたりまえのことであります。一々の新聞を私は覚えていないのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたと私は新聞問答をするつもりじゃない。あなたは知らないと言ったから、新聞は知らないのかと言ったし、新聞どころじゃない、公報によって公文書によって通知があったということをあなたは隠していたのでしょう。今知っているというのなら、隠していたんでしょう。知らなかったのか、どうなんです。あなた自身そういうことを隠しておったってだめなんですよ、事実はっきりしておるんだから。そればかりじゃなくて、藤枝さん、どうですか。そういうことで被害が起こるからやめてもらいたいという要求が住民からあったのに対して、日本政府はどうしますか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、そういうことで漁船とか船舶とかそういうものに影響がございますので、そういう関係の方面には連絡をいたしておりますが、防衛庁自身に直接の関係はございませんので、防衛庁には連絡はいたしておりません。なおそういう意味で、いろいろな被害の問題がございますので、その点について各方面からこの問題につきましての意見の具申がありますことは承知いたしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 いや、私の伺っておるのは、その点よりも、沖繩の住民並びに関係の日本の国内の住民がナイキの演習をやめてくれということが出てきておるんだが、これに対してはどうされるんだということを伺っておる。日本政府としてほっておいていいというようにお考えになっておるのかどうかということを聞いておる。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 米軍が沖繩に軍事基地を持ち、いろいろな近代装備を持ってやっておりますので、その住民側からいいますれば、こうした演習が自分の生活等にも影響がございますので、いろいろ御意見のあることは承知をいたしております。しかし、また一面において、米軍がそういう演習をせざるを得ないような事態もこれもわかります。その辺はできるだけ被害の——被害と申しますか、現実の被害ではございません。それをやるためにその辺の航行が制限されるという意味においてのマイナスについては、できるだけ最小限度にとどめていただきたいように、この点は外交ルートを通じてやりたいと考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ西村さん、沖繩の那覇、嘉手納、両航空基地に所属しておるアメリカ空軍三一三師団、これは立川の第五空軍に所属しておるのですか、この点はどうですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 立川の指揮下に入っておると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 アメリカ空軍三一三師団は出動準備命令を受けておる。そしてアメリカの第七艦隊も出動準備命令を受けて、すでに東支那海に出動しておる。この二つの関係において、三一三師団を指揮命令をしておる、管轄をしておる立川の第五空軍というものがラオスに対する出動のために何らの責任を負わないということはあり得ない。そこで当然われわれの考えられることは、立川の第五空軍というものに所属しておる飛行機が、先ほどあなたの言ったように、事前協議を経ないで沖繩に移駐をして、そしてこれは実質的には在日米軍だが、これがそういう形でラオスに出動しておる。ここに新安保条約の抜け道がある。これが新安保条約の実体なんだ。こういう形でラオスの戦争にまで日本にいるアメリカの軍隊が干渉しておる、侵略をしておる。これが新しい安保条約の実体なんです。事前協議なくして行なわれておる。こういう形で日本の国民が今ラオスの戦争に関してまで危険を感じなければならない。これが新安保条約の実体なんです。わかりましたか。どうです、あなたは知らないからそうではありませんと言うが、事実はそうです。これは新しい安保条約がいかに危険であるものかということを明らかに立証しておる。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私以上に岡田君が事実を知っておられるかどうかわかりません。私は私なりに、そういうふうなこちらから直接の基地を使っての関係は何らないのでありまして、沖繩におりますところの空軍自体が動いておるのであります。しかもその事実があるかどうかは、私は確認しておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたは知っておっても隠しているか、知らされないか、そのどちらかです。おそらく知らないというのがほんとうでしょう。しかし事実において立川の第五空軍というものが沖繩の三一三師団の親元の、上の方の関係である限りにおいて、ラオス問題について、これは当然在日米軍というものがラオス問題に関係を持っているということだけは否定できない事実でしょう。どうです。直接にハワイの太平洋軍司令官から沖繩の三一三師団に対して指令を出すのじゃない。第五空軍を通じて指令が出されるのですよ。ラオスは明らかに日本にいる米軍と関係をしているのです。明らかじゃありませんか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 岡田委員は立川とおっしゃいますが、これは指揮系統は府中であると私は考えております。府中の空軍司令部だと思いますが、ハワイの系統から府中の系統という一つの指揮系統はできております。しかし、これは何ら在日米空軍ではない。沖繩にある米軍がそれぞれ所要の目的に従って動く、これは私どもの関係するところではないのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 指揮系統に関する限り、当然出ろとか出ないとかいう指揮系統は府中の第五空軍がやるのがあたりまえではないですか。実際の行動をするのは沖繩であっても、三一三師団が動いても、指揮命令は府中において在日米軍が行なうのではありませんか。明らかにラオスと関係があるのではありませんか。これはもう明らかではありませんか、誰が見たって。これは日本の国民がこの事実を明らかにするならば、いかに新しい安保条約というものが危険なものであるかということをはっきり国民もわかり始める。  そこでもう少し話を進めます。こればかりではない。陸上自衛隊の田中義男陸将補という人は、陸上幹部学校の副校長ですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 先ほどの問題をこの機会にさらにもう少し明らかにいたし七おきますが、編成上確かに府中にあります在日米空軍の編成下に入っておりますが、直接の指揮はハワイから沖繩の在日陸軍総司令部ですか、その指揮下で、直接指揮系統で動くのであります。その点はちょっと岡田君の方と私の方とは見方が違うのであります。この点をはっきり申し上げておきます。  それからただいまお説の田中という人は事実そういう学校の副校長をしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 この人は昨年の十二月四日に沖繩へ行っております。この人の出張というのか、沖繩へ行った理由は、公務出張ということになっているのか何か知りませんが、沖繩の戦史研究ということが理由になっているわけですか、それはどうなんですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 事実この人たちは沖繩へ参りまして米軍の施設の見学とあわせまして、旧日本軍の戦闘の歴史と申しますか戦史、これの研究に参ったのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 今お話の通り、この人たちと言われた通り二十二名ですね。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もう一人多うございまして、二十三名でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 西村さん、あなたの本音は多ければ多いほどいいのでしょう。自衛隊を海外派兵させる裏づけのために、きっと多ければ多いほどいいのでしょう。とうなんですか。——そこでこの人たちは、藤枝さんから伺いますが、出発するにあたって内閣の特別地域連絡事務局から公用身分証明書をもらっておりますか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 具体的な事実を存じておりませんのであれですが、沖繩に渡航いたしますには、御承知のように、沖繩の米国民政府の入域許可証をまず必要とします。その入域許可証がついておるものに対しましては、内閣総理大臣は身分証明書を出すことになっております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 事実関係をはっきりして下さい。きょう特別地域連絡事務局長は見えておりますか。——これは公用身分証明書が出ておりますか。今ここでおわかりにならなければあとではっきりしていただきたいのですが、出ておりますか。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 事実を調査いたしましてお答えいたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これはあとで事実を明らかにしていただきたいと思います。この点についてはもう少し西村さんに伺いますが、この二十三名の人は民間航空を利用して行ったのではなくて、日本の自衛隊の飛行機を使って沖繩に飛んでいったでしょう。軍事上の目的に基づいて自衛隊の飛行機を使って沖繩へ飛んでいったでしょう。これには公用身分証明書は出ていないと思う。これがまた松平氏の海外派兵の事実上の裏づけをこういう形で進めておる実例ですよ。どうです。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 自衛隊の輸送機で参ったということは事実でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 自衛隊の輸送機を使われたならば、自衛隊の輸送機が沖繩に到着することについては、沖繩の飛行場に輸送機が着陸することの承諾がなければならないと思うが、これはどうですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もちろん安全に着陸するためにも了解を得ておると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは明らかにしておきたいのですが、今までは自衛隊というのは、公務員として海外出張ができるというようないいかげんな憲法の解釈があった。ところが今度は海外出張という名目で自衛隊の軍用飛行機を使って外国に派遣することができるようになった。そのことも海外出張であるという口実で、事実において海外派兵の準備が進められておる。これが実体なんです。こういう事実がすでに進められておることは否定できないでしょう、行っておるのですから。あなた方は解釈論でいろいろごまかすでしょう。松平問題だって、いろいろあなた方の方ではごまかしたでしょう。しかしこのような事実が日本政府によって進められておる。自衛隊が軍用機を使って、しかも二十三名の軍人を乗せて、口実においては、これは公務員の出張であるという名目で、公用の身分証明書を持っておるか持っていないかわからないまま沖繩へ派遣されておる、このような形が進められておる、これが事実なんです

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 これは例を一つ別の例から申しますれば、すでに練習艦隊と申しますか、これもたびたび——ことしもまた出るのですが、メキシコ方面に日本のいわゆる軍艦を使って堂々と出ておるのであります。これから見ましても、別に何ら平和、研究目的に日本の輸送機で出るということは不可思議ではないと思っておるのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それではもう一つお伺いします。さっき二十三名と言って、私の言ったのを訂正されて多い方がよいというのですから、もう少し多い方の例をあげましょう。沖繩には二十三名だけではありません。相当数の日本の自衛隊があそこに駐留しておるでしょう。どうです。しかも時間は一年前以上から駐留しておるでしょう。日本の自衛隊で相当数の者が沖繩へ一年以上にわたって駐留しておる。この事実をお認めになりますか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 現在は何も行っておりませんが、以前に毎年相当数の自衛隊の幹部をアメリカに留学させております。この中で時と場合によりましてやりましたのが、昭和三十五年六月に二カ月から四カ月の期間で十二名の者、これは三佐とか一尉といいますか、このクラスを派遣いたしまして、野戦と申しますか情報と申しますか戦闘情報ですか、そういう訓練といいますか、研究をやっておる。それはアメリカまで毎年参りますことより旅費の節約にもなる、そういう意味から行っておるのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたは現在行っていないと言うが、それはうそですよ。現在行っていますよ。訂正されるなら訂正なさいよ。六名の人がこの間田中という人が行ったときに迎えに出ているじゃありませんか。これはもうはっきりしているのです。それは帰ってきたというのですか。しかもそれだけではなくて、そこで訓練を受けているというのは落下傘か何かの訓練を受けているのでしょう。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 事務当局にも今調査させましたが、そういう事実はないそうでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 事実はないとおっしゃるが、田中陸将補等二十三名が到着したときにも迎えに出ている写真までありますよ。あなたはそうおっしゃるなら、これは朝日新聞の写真があるから見せてあげましょうか。新聞を見ていない証拠かな。新聞に迎えに出た六名の写真が出ていますよ。それは事実でしよう。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 これは事実は明らかでありまして、確かに迎えに出ているのは、野戦の情報の研究員が、こちらから行った者に対して迎えに出ている。それは現在みな帰ってきております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 この人たちは一年以上も駐留していたでしょう。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 それも二カ月から四カ月の滞在でございまして、一年なんという長い期間いたわけではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これは田中陸将補は、一年以上いると現地で言っているのです。だからこれはあなたの方が間違っているか、田中陸将補の言っているのが間違っているか、どちらかです。そればかりじゃなくて、日本の自衛隊を沖繩だけでなくて、南ベトナムにも派遣しているでしょう。どうです。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 岡田委員非常に情報にお詳しいようでございますが、私の方といたしましては、南ベトナムにはそういうものはないと思います。ただタイとかその他の国には、外務省の身分で自衛官が一、二名ずつ滞在していることは事実でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 外務省の役人の名目で自衛隊が行っている。いわゆる武官ですね、駐留武官。そればかりではないはずです。これはお調べ下さい。南ベトナムに行っています。しかもこれは国際監視機関という委員会に提訴されている。提訴されている限り日本の政府が無関心でおられるはずはない。これはお調べ下さい。今あなたきっと御存じないと思うのだが、調べたあとでお答え下さい。国際監視委員会に提訴になって、それが問題になっている。そこまではっきりしているのに、あなたは知らないと言えばそれでいいかもしれませんが、あまりにも知らないということは、これはやはり防衛庁の長官だから、そこまで知らないじゃ困るですよ。それは今おわかりにならないなら一つお調べの上で、きょうは無理だとしても、適当な時期におけるこの委員会でお答えを願いたいと思います。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 陸佐の階級の者が東南アジアに視察に出たということが、あるいはおそらくベトナム方面に立ち寄るという場合はあり得るのではないかと思うのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そうじゃないのです。旅行したとき立ち寄って、二十四時間のトランジット・ビザに基づいて行ったというのではないのです。あなただって外国に行って知っているはずです。そんなつまらないことをおっしゃらない方がいいと思うのだが、長期滞在を私は言っている。長期滞在について、あるのです。それはあなたの方はないとおっしゃるなら、もっと外務委員会でもはっきり教えてあげますが、これはあるのです。ないという事実があるなら、あなた方はなぜ、国際監視委員会に提訴されているのに、それに対して異議を申し立てないのですか。日本政府として異議を申し立てておらぬじゃないですか。それさえもやっておらないというのは、事実において認めているのじゃありませんか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 ただいままで事務当局で明らかにしたところでは、二、三日の滞在だそうでございます。提訴されたという事実は、防衛庁の当局としては存じていないそうでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 防衛庁として知らないかもしれないが、政府は知っている。知らないようならば外務省は無能力なんです。外務省は、国際監視委員会の問題はジュネーブ協定に基づく監視委員会であるから、これは当然連絡がなければならないし、向こうから連絡がなくても、日本に関することは調べなくちゃならない。あなたがこれを知らないというのは、防衛庁が知らないというのは、これは内部の不統一というか、外務省がそういう事実を知りながら教えなかったか、外務省自身が知らなかったか、調べなかったか。うそだと思ったらベトナムのサイゴンの大使館に調べてごらんなさい。わかりますから。はっきりしていますよ。小坂さんどうなんです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 そういう事実はないとわれわれは承知しています。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 ないというよりも、私がサイゴン大使館にお調べなさいと言っているのに、それも調べる必要はないのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 調べてみます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それはお調べの上ではっきりして下さい。それはこのあとでやります。それに基づいて西村さんにもはっきりお教えします、西村さんあまり知らないようですから。  それから沖繩において……。

船田中自由民主党

○船田委員長 だいぶ時間がたっていますが、いかがですか。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 沖繩には、沖繩というよりはアメリカと台湾の防衛条約、それからアメリカと李承晩——李承晩は今ではないが、いわゆる韓国政府と称されるものとの防衛条約、これに基づいて沖繩は共同防衛地域になりますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 その前に、今の南ベトナムの話はどうも全然ないようです。しかしせっかくですから調べます。  それからあとのお話は、ございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 共同防衛地域でないなんと言われると困るのですがね。伊關さんがラオスやその他行ってみてきたでしょう。ラオスにおける日本軍隊がいるかどうかという問題も、これはあとでやります。南ベトナムだっているはずですよ、伊關さん行ってそれを聞かなかったでしょうか。ともかくこれは南ベトナムの賠償問題に関連しているのですから。  ともかくも、これは別として、沖繩の地位というのは米台、米韓の関係において共同防衛地域になる。それから先ほど西村さんが答えたように、日本の自衛隊が沖繩に派遣されている。この三つの関係で明らかにNEATO体制が裏づけられている。どうですか。その証拠に、沖繩には台湾からも訓練生が来ている、兵隊が来ている、韓国からも来ている、フィリピンからも来ている、ベトナムからも来ているという形で、アジアの現地軍がアメリカ帝国主義の軍隊の指揮のもとに土民軍としての訓練を受けている。これなんですよ。これが本質なんですよ。沖繩と日本の自衛隊の本質、安保条約の本質はこれなんですよ。あなたは訓練を受けている事実をお認めになったが、これは一緒に訓練されているのですよ。台湾の軍隊、フィリピンの軍隊、南朝鮮の軍隊、全部一緒に訓練されている。その証拠に、去年のクリスマスのときに、この外国の軍隊の訓練生が沖繩で事故を起こしたじゃないか。これはもうはっきりしているのですよ。その一人として日本の自衛隊が訓練を受けているので、海外出張とかそんなものじゃないのです。これはアメリカの統一指揮のもとにおいて、NEATO体制が沖繩を中心にして進められているということを立証している。これはほかでもない、アメリカ帝国主義の野望の一環がこういう形で現われているということですよ。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 自衛隊から研究に参っている者でも、自衛隊として参っているのではありません。自衛隊の個々の者がそこへ行って研究をいたしておるのでありまして、それがいわゆる軍隊的なまとまりを持って行動し、訓練を受けているということは絶対にございません。従ってわれわれは何らNEATOというような考え方はないし、またそういうものではないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 そうですが。それじゃあなたは自衛隊の人は個人で行ったというなら、自衛隊を欠勤して行ったのですか。欠勤をして行ったのではないでしょう。公務員として正式の公務出張をしているでしょう。それで訓練を受けている。しかも訓練を受ける場合には、アメリカの指揮のもとにおいてフィリピン、韓国あるいは台湾がそういう訓練を一緒に受けている。あなたが研究というのは、戦史研究の話を言っているのでしょう。そうじゃないですよ。前の事実を認めた、それだってそうじゃないか。二カ月、四カ月の訓練を受けているとあなたは言ったじゃないか。それが明らかにNEATOの体制なんですよ。新しい安保条約はそういう形で、沖繩を中心にして海外派兵の準備を具体的に進めている。この海外派兵というものは、アメリカ帝国主義の指導のもとにおいて、その現地の土民軍として、アジアの軍隊が養成を受けているということですよ。その養成を受けている一部として日本の自衛隊があるということですよ。これがNEATO体制なんです。これが安保体制なんです。この基地として沖繩が使われている限りにおいて、日本の国に、決して安全な状態というものはあり得ないということです。新しい安保条約がある限り、沖繩の施政権を返還しないで今のままの状態に置いておいて、小坂さんが返してもらえるんだと言って沖繩の住民をごまかして、返さないでおいて、アメリカ国防省の報告書にいわれているように、沖繩の全軍事基地をそのまま永久に保存して、それを侵略基地の拠点にしていくこと、そして日本の自衛隊を雇い兵に使っていくという体制がここにできている。沖繩問題というのは、小坂さんが言っているように政治問題として考えようじゃないですか。条約問題ばかりじゃない、政治問題として考えるのが、これが実態だ。すなわち、日本に最も危険な状態が、擬装的な割譲において行なわれている、これが沖繩の実態なんです。だから日本の国民や沖繩の住民は、これを直ちに返還しろ、施政権を日本政府に戻せと要求しているのです。この事実をあなた方はいいかげんにごまかしちゃいけないと思う。私はこの点を明らかにしてきょうの私の質問を終りたいと思いますが、小坂さんにもし御意見があるなら、どうぞ小坂さんの御意見をお答えいただきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 われわれは、日米安保条約というものは、日本の安全並びに極東における国際の平和と安全のために必要なものだと考えております。しかも、沖繩問題についていろいろ御意見を承りましたが、われわれはできるだけ施政権を早く返還するように努力したいと思っております。ただし、沖繩の問題を沖繩とだけ見ないで、今申し上げたように、日本の安全、極東における国際の平和と安全、その問題の一環として考え、また北方におけるわれわれ固有の領土の問題、この問題とも相関連したものと考えて参りたいと思います。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 自衛隊に関する分をはっきり申し上げておきますが、先ほどお問い合わせがありました自衛官が参りましたのは、総理府南方連絡事務局発行の公用身分証明書を携行して参っております。また自衛隊の隊として参っておるのじゃございません。自衛官として研究するために参っております。これはアメリカに参る場合におきましても、同じような状態は起こるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたは自衛官として、自衛隊でやったんじゃないとおっしゃるなら、それじゃ自衛隊は欠勤になるのですね。そんなつまらないことをお話しにならない方がいいと私は思うのです。事実問題として自衛隊が行って、自衛隊が派遣しているのだからね。もし個人的に行ったんだったら、自衛隊が公用出張をさしたのは間違いじゃありませんか。それじゃ、なぜ特別地域連絡事務局が公用身分証明書を出したのですか。それは間違いですよ。個人として行ったのなら、個人の資格で出しなさいよ。そのこと自体が間違いです。そういういいかげんな答弁をしてはいけません。明らかに個人じゃないですよ。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私が申し上げておりますのは、こういう趣旨でございます。自衛官として参っておるのでありまして、あくまでも公用でございます。ただし、自衛隊という部隊を編成し、隊としての派遣を受けているのじゃない、こういう趣旨であります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなた、それははっきりしているでしょう。憲法であれほど禁止しているのですよ、西村さん。(発言する者あり)自民党の諸君もよくお聞きなさい。

船田中自由民主党

○船田委員長 御静粛に願います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 西村さんはそう答えざるを得ないでしょうよ。憲法では海外派兵を禁止しているのだし、自衛隊の派遣も禁止しているのだから。実際には実質的に自衛隊の派遣になるようなことを、個人の形でやるんだというだけの話を言っているので、そんなことは明らかなんですよ。あなたの言い方がどうであるかなどということで国民は納得しない。これは明らかだ。そればかりじゃなく、先ほどから小坂さんに対して、最初の文書について回答していただきたいと言うのだが、秘密書簡はないというような答弁がありました。ないというのは、あなた方御存じないので、これはあとで外務委員会で見せてあげましょう。この点は、中川さんたちも少し調べてくれなければ、そういう事実があるのに隠してはだめですよ。それは秘密外交というものですよ。そういう点は秘密外交をやり、またやろうとしているということを立証している。私はこういう点からいって、沖繩の問題というのは、ただいま申し上げた安保条約の中心として、軍事侵略の基地として、そういうものが使われているということは、先ほど申し上げた通りであります。  以上意見を述べまして、私はこれで終わります。

船田中自由民主党

○船田委員長 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は、ただいま岡田君が質問された問題の中で、非常に重大な政府答弁のごまかしがありますので、これを重ねて第一に追及をしたいと思います。  先ほど外務大臣、条約局長の御答弁で、平和条約第三条における沖繩の信託統治の規定は、これは憲章七十七条のb項によって分離された地域という解釈をされました。この解釈に基づいて、さらに問題が新しく発展する点は、その分離されたという地域が、主権はそのままで一部が分離するというような場合、あるいは割譲とか征服とか取得とかで得た地域を取り離すとか、いろいろな見方があるように私伺ったのでありますが、問題は、憲章七十六条の規定です。岡田君が指摘しました七十六条の規定のb項の、住民の願望に適合するということと、「且つ、」という規定がありまして、そこに「従って、自治又は独立に向っての住民の漸進的発達を促進すること。」という規定があるわけです。この規定は、分離された地域がひとり立ちできるように、独立の方向へ向かうように発達することを促進する役割が、信託統治にあるというわけです。そうしますと、沖繩の島は、結局日本から分離されると同時に、独立の方向へ漸次発展する役割を信託統治をする国が負うということになるのでありますかどうですか、まず御答弁を願いたい。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 この平和条約の第三条と、国連憲章の七十六条及び七十七条の関係でありますが、七十七条の関係につきましては、先ほど来条約局長がお答えいたしております通りに、第一項の考えようによってbまたはcという考え方が出てくるわけでありますが、おそらくb、ダレスの言っているところによるとb項ということになるであろうということでございます。これはもちろん現在沖繩が信託統治にないことは御承知の通りで、将来アメリカが信託統治に提案する権利を持っている。その権利を行使する際にどの条項を適用してするかということになるわけであります。その場合には信託統治協定を結ぶわけでございますが、その場合の信託統治協定のあり方は、七十六条のa、b、c、dですか、四つの原則に従わなければならない。その場合のことでございまして、その場合における想定として、信託統治はあそこに、七十六条にある諸原則に適合しなければならない。そういう方向にいくことは、日本政府としてはもちろん決して好ましいととではないので、先ほど来外務大臣からも——信託統治を別に日本政府は促進する気持は少しもないわけで、その前に日本政府に返してもらいたい、そういう交渉をしておるわけなんです。この七十六条の原則は信託統治に付する場合に、信託統治の責任を負う国が負うべき義務でございまして、その場合にはここにあるような原則が盛られるのであります。そういうことは日本政府としてどう判断するか、これは別問題だと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本政府がどう判断するか別問題じゃないわけなんです。きょうこの点については法律論からお答えを願いたい。先ほどの岡田君の質問は、昨年の末に私がお尋ねした問題と合わせて非常に大事な沖繩の信託統治の法律的地位を解明する質問でございますが、特に分離された地域が漸次この憲章の規定に従うならば、独立国の方へ向く。大体日本の国が複合国家のように民族が一緒になって国家を作っておって、それが二つに分かれておのおのの自主性を生かして国家を作るというのであれば、それは納得できます。完全な日本の固有の領土であり、完全に日本国民としての教育を受け、伝統を持ち、今日また祖国への復帰を熱望しているという国民に向かって、この一部を切り離して、自治または独立の方向へ発達させるという国連憲章の規定に適合しますかどうか、その点をもう一度お答え願いたい。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 信託統治というのは、まさに第七十六条の諸原則に従って行なわれる建前でできております。従いまして普通の場合においては、信託統治地域というのは、将来独立または自治の方向へ向かっていくというのが、ほかの信託統治すべてその方向でございます。ただ先ほど条約局長がお答えをいたしました通りに、沖繩の場合かりに、これは仮定の問題でございますが、信託統治に付されるとしても、主権をたとえば日本に保留するということは不可能ではあるまいということも、先ほど条約局長も申したのでありますが、そういう信託統治のあり方もあるかもわかりません。しかし、いずれにいたしましても信託統治のあり方というものは、七十六条の諸原則に従うわけでございまして、沖繩についてそういうことがとられれば、やはりこの七十六条の原則は適用されると言わざるを得ません。こういうことについては、連合国がいわゆる日本の平和条約としてこういう方針をきめて、この条約を作ったわけでございまして、これを日本政府は承諾したわけでございます。しかし、そういう方向に向かうことが日本政府としては決して好ましい方向ではないということは言うを待たないところでありまして、信託統治に付することを前提として、われわれとしてそれの場合のことを考えるより、むしろ返還を望むというのが日本政府の態度だ、かように考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 こういう約束を日本とアメリカが平和条約で取りきめていることに問題があるわけです。憲章に違反する条約を結ぶ。無条件降伏と言いながらも、日本の自主性でこれが結ばれたということになっておるのだから、そういう問題、国連憲章に違反するような規定を条約に盛り込むなら、そのときに反対してそれにサインをしない、そういう努力もできたわけなんです。そういう信託統治にされて、しかもそれが独立国の方向へ進んでいくというような手きびしい規定のあるこの平和条約を、国連憲章に違反している条約をそのままうのみにしているという日本政府のあり方は容易ならぬ問題だと思います。  もう一つ問題は、これに関連するので、結局これが信託統治になる時期が今外務大臣の言われるようにずっと先に延びるといたしましても、延びれば延びるほど法律的に問題があるわけです。それは何かというと、平和条約で分離されなかった主権というものがまだ残っているその地域が、平和回復後において第二次世界戦争の結果として敵国から分離され得ることがあり得るのかどうかです。大体平和条約によってあの当時すべての領土問題は解決すべきではなかったか。それが平和発効とともに敵国関係というものは完全に存在がなくならなければならなかったわけです。それがまだ未確定の将来に敵国から分離される地域というものが、そのころになって依然として戦争の夢まぼろし、幻影が取り残されるような形にこの規定が再び用いられるということは、はなはだ奇怪ではありませんか。いかがですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは平和条約に対する立法的な御意見はいろいろあるわけでございますが、この平和条約において、沖繩については、その当時の連合国の態度としてはアメリカの施政権を認める、しかし日本から、これは日本の古来の領土でございますからこれを確定的に分離することは適当でない、こういう見地でこの条項をきめたものだ、かように考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 外務大臣、あなたもゆうゆうとたばこをふかしあそばしておりますが、ここであなたにぜひお答え願わなければならないのですが、あなたは外務大臣として、こういう憲章違反の規定、第二次世界戦争が終わってほど遠き将来、この問題がいつ実現するかわからない、実現するかもわからないという段階のこの規定が、何年か先になって、第二次世界戦争の結果として敵国から分離される地域として信託統治に付されるということははなはだ奇怪とは思いませんか。沖繩住民としても、これは容易ならぬ手きびしい約束をされていると悲憤様慨しているはずなんです。いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 受田さん御承知のように、講和条約を結びますときにはアメリカが主導的な地位をとりましたけれども、多数国がこれに加わりまして、連合会議の結果、日本は無条件降伏としてこのきめられたものをのんだわけであります。さらにそのほかにも日本と当時条約を結ばなかった国が御承知のようにあったわけでございます。そういうような関連もございますわけであるということをまずもって申し上げておきたいと思います。  それから七十七条の国連憲章の規定は、これは国連憲章の規定であって、われわれの平和条約の規定ではないのでございますから、直ちに七十七条の規定があるから沖繩が旧敵国から分離される地域として非常にむごい扱いを受ける、こういうふうにお考えになるのもちょっと思い過ごしではないか。というのは、結局われわれはあの当時の情勢からすれば、アメリカ初め日本とあの当時サンフランシスコにおいて講和条約を結んだ国は、第三条において沖繩を信託統治地域に将来アメリカ合衆国が申し出た場合には、この合衆国の意見に従ってそうするということをきめたのでありますけれども、日本の意見というものを聞いて、その発動はある一定期間内にしない、する義務を負わないということをきめてあるわけです。従ってその間にあってわれわれも、その規定もさることながら、この施政権の返還を求めるということを考えてさように努力しているわけでございます。従って、先ほど来いろいろ岡田さんから御質問がございましたけれども、必ず信託統治になるものときめて、そんな場合はどうなるということをお聞きになったわけでございますが、私は政治家として、法律解釈は法律解釈としてあることでありますけれども、こういうことがないのだという前提で、ない方が日本のためにもまた極東のこの地域の国際的な安全と平和のためにもよろしいのだ、こういう考え方からこの返還を交渉しているという事実、また私どもの気持を申し上げておった次第であるのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私はそうした政治論で今お尋ねしているのではない。実際問題として手きびしく平和条約三条にこういう規定がある。第三条には領土のそれぞれの処分規定がある。第二条で処分がされているなら一応筋が通るけれども、第三条で取り立てているところに問題がある。しかも信託統治という、これは国連憲章の規定から生れた制度ですけれども、平和条約から生れた制度ではない。そういう制度をここへ使っておりますから問題がある。憲章の精神に生きた規定でなければならないわけです。根っこが憲章から生まれた規定ですから。ところが、この私が申し上げている敵国から分離される地域というものは、何年か先に、不確定のときにこれは実現する可能性のあるものであるということは、大臣もお認めになりますね。この第三条の規定によれば、それはお認めになりますね。そこを一つ。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 それはそういう場合はあり得ると思います。しかし、そういう場合がないように私どもは交渉している、こういうことであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あり得る規定ですね。はなはだ不可解な規定で、こういう国際条約というものが今までにあったかどうか。何年も先になって、平和条約の発効とともに当然効力を発揮しなければならない、敵国関係が解消しなければならない問題が、ずっと先にまだ尾を引くような形のものは決して適切な条約じゃない、これはおわかりになりますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 無条件降伏の結果としていろいろな問題があるわけです。たとえば第四条b項の規定というような問題も今までなかった問題だと思うのであります。その他にもございます。たとえば十四条、十六条、これらにおいても旧敵国のみならず、旧中立国において日本人が持っておった私有財産もこれを国際赤十字に帰属せしめる、こういう規定なども全く新しい規定だと思います。しかしそういう問題もさることながら、当時の情勢からそういうことになったんだ、こういうことだと思います。さらに領土問題その他については、いまだにわれわれは日本の主権を主張しておって、しかもそれが認められない地域が、たとえば歯舞、色丹、あるいは国後、択捉、そういうものもある、これもまた現実でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私があなたにお尋ねしているのは、こういう不適切な不適当な条約をお結びになっておられる現在において、しからば政府はこの条約を、三条を改めて削除してしまう、こういう外交上の交渉もあるじゃありませんか。早速これを実現に移すという段階において、困難はありましょうけれども、平和条約が結ばれて十年近くもたっている今日、こうした国連憲章違反の規定は、憲章を重んずる相手の国でございますから、当然賛成してくれるはずです。そしてはなはだ怪しい将来に戦争の原因を残すような規定を——当然これに協力してくれるはずです。平和条約第三条の規定を適切に削除するという外交交渉をされることが、むしろあなたとしては前向きの外交ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国として条約を結びましたる場合、その条約を変えろということを言う方がいいか、そういう規定もさることながら、現在の国際情勢下において、それに適合するような状況をとっていきたいというふうにして交渉いたしまして、実体的にその希望を生かす方がいいかという二つの問題があると思います。私は後者をとりたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたにもう一つ。平和条約は、国際法上から見て、三条を初めとして数々の不適当な規定が掲げられた条約である、こうお考えになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 講和条約というのは、これは最終的には合意した形になりますけれども、その当時の力関係といいますか、片方は無条件降伏しているという場合でありますれば、そこにおいていろいろな敗戦国ということからする不都合はあるかと思います。しかしそういうことが、たとえば日本の場合、ドイツにおいてどうなっておるかというような場合等も考えてみますると、やはりそこには一つの線があるということもまた認めざるを得ない場合もあります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私が今お尋ねした二つの問題、すなわち憲章七十六条のbの「且つ、」何々の規定、及び将来不確定な時期に敵国から分離されるということを考えたこの問題等は、国際法上の原則から見て、これが不適当であり不適切であり、また国連憲章の規定から見て平和条約三条は憲章違反の規定であると、このように見ることができるとお考えになりませんか。法律的にお答え願いたい。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは先ほどからも、条約局長からもお答えいたしましたと思いますが、平和条約の三条は国連憲章に違反するとまで考える必要はない、かように考えております。また当時の連合国も当然そう考えてこの条文を作ったものだと、かように考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたは政治的にこの分離の規定を解釈しようとせられるのですが、主権はそのままで領土だけが分かれるというようなのが国際法上、信託統治その他の問題で他に例がございましたか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 沖繩の事例は特殊な事例だと私は思います。これに全くぴったり当たるような事例は実はあまりないかと存ずるわけでございます。しかしこれは当時の第二次大戦終結後における太平洋のいろいろな複雑な問題、これを反映してこういうステータスを連合国がとるという立場をとったものと考えざるを得ない、かように考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 これに関連する問題があるわけですが、それは法律的に見たときには、今申し上げた分離の解釈はあなたの立場では成り立たなくなる。そこで憲章の百七条の規定、いわゆる敵国条項の規定、連合国の敵であった国に対するこの特別措置の規定、この規定がこの場合に用いられるという考え方も成り立つのじゃないですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 百七条の規定、いわゆる旧敵国に関する規定でございますが、これは国連憲章が一九四五年の春できた当時において、まだ第二次大戦が終わっておらない時代でございまして、従ってこういう規定があるわけでございますが、しかしその後におきまして、たとえば当時連合国側に対する旧敵国であった国が国連に加盟を許された場合においては、当然主権平等の立場において旧敵国条項は加盟国には適用されないものと、かように考えております。この解釈はもちろん間違っておらないと思います。ただいま百七条と平和条約三条の関係をおっしゃいましたが、ちょっとそのおっしゃる趣旨がわからないのでございますが、私は直接関係はないと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 趣旨がわからないということですが、趣旨は、分離というこの規定は、今の国連憲章のどの規定からも今あなた方のような立場で七十七条のb項を適用するという理由がないですよ。これはあなた方の御説では、全くその点では国際法上の慣例からいっても、これは一般国民を理解せしめるような回答になっていない。そういう立場から、こういう特例を設けたこのことは、結局憲章百七条の敵国条項によって、一切のものが別の立場で処理されるというこの規定によって解決するというならば、これは可能性がありますね。これはどのような理屈でもつけられるわけです、いかがですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 結局、いわゆる旧敵国から分離される地域というのは、この国際連合憲章ができた当時において、連合国側に対して旧敵国であった国を対象としてしかあり得ないことでありますから、そういう意味におきましては百七条との関連は、それはないとは申せません。当時連合国側について、連合国側の領土であった地域、あるいは委任統治をしておった地域について七十七条の一項bというものを適用する余地のないことは、これはもう言葉から申しまして当然のことでございまして、そういう場合のものを信託統治にするのはaかcかということになるわけでございまして、b項というものは、当時の旧敵国の占有しておった地域にしか発生しないという意味においては、今おっしゃるような関連はないことはございません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この問題は非常に重大な法律論でございますので、今後繰り返し論議をする問題になると思いますけれども、今百七条の適用を受けることも可能であるという意味の発言もあった、そういうことを考えても差しつかえないかもしれないということも御答弁になっておったわけでございますが、大体この百七条とか五十三条の後段の規定とかという規定は、現在生きている規定ですか、これは死文化しているのですか、お答え願いたい。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 お答え申し上げます。国連憲章の中の敵国条項なるものは、今まで国連の中におきまして、ことに日本に対しまして一度も適用を主張されたことはございません。私どもの解釈といたしましては、日本が国連に加盟いたしました以上、その将来に向かっては、この条項はすでに死んだと申しましては——効力を失っているものであるというふうに考えているのであります。その例証といたしましては、いろいろあるかと思いますけれども、たとえば安全保障理事会の非常任理事国というような重要な席を与えられる。それも総会においてその手続に従って選挙された。こういうような事実、これは一例でございますが、そういうようなことによりましても、過去に向かっての効果は、あるいはわれわれとしてこの条項を取り上げられた場合に、どこまで対抗できるか、これは研究の余地があるかと思いますけれども、将来に向かいましては、すでに死文になったというふうに解釈いたしまして、現に国連において活動いたしております。そしてまた、これを今まで援用された例は一回もなかったのであります。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 さっき私の申し上げましたことで、ちょっと誤解を招くおそれがございますが、第百七条は、これは条文をごらんになればわかります通りに、要するに、第二次世界大戦中に連合国が旧敵国に対してとった行動についての責任免除の規定でございます。従いまして、さっき申しましたように、いわゆる七十七条の一項bというのは、旧敵国から分離される云々ということでございますから、いわゆる旧敵国という字が出てくる意味において関連ないことはなかろうということを申し上げましたけれども、直接の関連はもちろんこれはないわけでありまして、その点は一つ誤解のないように願いたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この憲章の規定で一九五 ○年に中ソ友好同盟条約も生まれているわけなんです。これがもし死文化しているのならば、その死文されたものによって、これを根拠に生まれた中ソ友好同盟条約も、当然もう死んでいなければならぬはずですね。これはどう解釈できるのですか。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 過去の事態、過去にいろいろ処分があってしまったそのことについて、われわれがこの条項がなければ対抗できるようなことが、この条項があるために対抗はできない、こういう意味においては生きておりますけれども、将来に向かいましては生きていないという解釈でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると、過去に向かって生きているということは、結局生きたものがこの規定から生まれておる。それはまだ生存しておるわけですね。死文化じゃないわけですね。生存しているという解釈になりますね。どうですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは中ソ友好同盟条約がこの条項を援用しているという点において、今おっしゃったような問題があるわけでございますが、これはやはりソ連と中共との間の関係でございまして、直接に日本として、それが無効であるとかなんとかいうことは、言うわけにはいかない問題だと思います。それと同時に、これはおのおの独立国としてのソ連あるいは中共政府というようなものの考えがあることでございますから、これを他国でとやかく言うべき問題ではない。国連憲章違反であるかないかというようなことをとやかく言うべき問題ではなかろうと思います。しかし少なくとも日本としては、もう国連憲章の旧敵国条項の適用を受けるべきいわれはない、かように考えておることだけは確かだと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 中ソ同盟条約も、この憲章の敵国条項をもとにしてできておる。この条約は、日本としては、われわれの立場からは、これは容認できないんだという立場をとるのですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 まあそこになりますと、政治的判断の問題になりますから、私から申し上げるのは差し控えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それでは外務大臣……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この点は、どうも私にわかにお答えしにくいので、よく調べてみます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 事務当局は政治的な問題であるから大臣に、大臣は私からはお答えできない、こんなばかげたことがありますか。だれが責任者なんです。政府の行ないが、事務当局も政務当局もどちらもお答えができないというような、中ソ同盟条約のこの解釈ができないというようなだらしないやり方で、どうして政府が勤まりますか。総辞職すべきものだ。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 解釈はもちろんございます。しかし、政治的な判断として今言わない方がいいということでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 政治的判断で言えないような外交を持っており、また政治的判断では解釈ができないような条約が国連憲章をもとにして生まれておるというこの現実は、まことに残念です。外務大臣、政治的判断ということは、どういう意味で言えないのか、その言われない意味を一つ言ってもらいたい。その理由を。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日本の外務大臣といたしまして、世界の各国に対する反響、その当事国に対する反響というものを考慮しているわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 中ソ同盟条約の前文にも、明らかに、「国際連合の目的と原則とに従って極東及び全世界の永続的平和及び一般的安全を強化する希望にみたされ、」云々と、国連憲章の規定によってこれが生まれたことがりっぱに書いてある。それに対する政府の判断ができないようなことでは、これはどうも日本国民の総意を代表して政治を負託するのにはたよりない、なまくら政府であるということが言えるわけです。私は、これは非常に大事なことなんです。国連憲章の根っこの規定がちゃんとして残っておる。死文としてもう将来には生きないのだとおっしゃっても、その規定をもとにした条約が生まれているという手きびしい現実がある。その現実は、すべて今世界の大きな力となって動いているじゃないですか。決して雲のかなたの犬の遠ぼえのような力じゃないですよ。目の前に迫っている大きな力です。それに対する国連憲章の規定がどうであるかという解釈ができないとは残念です。私は、こういう大事な問題の解釈すらできない、政治的な判断さえできない質問をすることは、はなはだ残念でございまするが、一体外務大臣、この国連憲章の百七条と五十三条の後段の規定というものは、やっかいな規定であるということだけは大臣わかりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 御承知のように、国連憲章ができましたのは一九四五年でございますから、当時の判断からしてある規定であるのは間違いございません。その規定が、今日われわれとしてやっかいなものになる場合ももちろんあるわけでありますが、先ほどお答えしたように、現在国連の内部におきまして、この規定がわが国に対して特に適用された、援用された事実はないわけでありますから、まあその程度で、この国連憲章全体を研究する際に、この問題は必ず問題にはなる要素を多分に持っておると思います。しかし、そういうことでわれわれもこの問題を検討はいたしております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日米安保条約も国連憲章の規定で生まれたものではありませんか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 すべて国際間の協定は国連憲章の精神にのっとって作られるのでありまして、国連憲章というものは、われわれお互いに平和を考える各国の場合、必ずそのよりどころになるということでなければならないと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 二国間の条約としては、日米安全保障条約も中ソ同盟条約も同じ性格のものだ、これは国際間の常識じゃないですか。違いますか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 日米安全保障条約は、言うまでもなく国連憲章のワク内で作られたものでございます。中ソ友好同盟条約につきまして、その前文においていわゆる旧敵国条項を引用していることは、これは日本が国連に加盟した現在においては、私どもとしては適当なこととは考えません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 国連に加盟した今日、適当なことと考えない。しかしこれを不法なものであり、根拠のないものだとして解釈することはできますか、できませんか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは実は外国間の条約でございまして、他国からこれをどうこう言うのは、私は現在においてはすべきものでないと考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この憲章の中に生きた規定が二カ所に出ておる。これは厳然たる事実じゃないですか。いかがですか、今の敵国条項……。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 生きた規定とおっしゃる趣旨は……。

受田新吉民主社会党

○受田委員 現にこの憲章の中に、りっぱな条項として残っておるのじゃないかということです。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 先ほど来外務大臣あるいは国際連合局長からお答えいたしております通りに、形式的に残っております。残っておりますが、しかし日本についてはこれは適用がない、日本にまた適用されたこともない。わが国が国連に加盟した現在においては、日本に関する限り、この条項は適用さるべきいわれもない、かように考えておるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それはあなたが考えておるのであって、国際的にはっきりとそれが確認された何か約束があるのですか。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 それは明文その他でもって確認されたものはございません。従って、先ほど来受田先生御指摘のように、憲章の改正ができます場合、こういう問題を少なくとも日本について適用のないように改正するということは、私どものねらいの一つでございまして、そのラインで研究も実際的な努力もいたしているわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今局長から御答弁になったことは非常に大事な発言であって、その改正の方向に持っていきたいという熱意を日本政府が持っているのであれば、さっきからそれを言っていただけばよかった。これは国連憲章改正に対する日本側が取り上げたい事項の第一号だ、かように了解してよろしゅうございますか。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 必ずしも第一号というわけではありませんけれども、抜かせないものの一つであるというふうにお考えいただいていいかと思います。これは事務当局のみならず、現に実際にそういう考えを国連の中において、正式ではありませんけれども、方々の代表団などに当たっておる、そういうような次第であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そのような次第であるということですが……。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 国連憲章改正のことについて日本が何をやっているかということについて、ちょっとだけ補足させていただきたいと思うのであります。  国連憲章は十年たちましてから、その憲章の改正のためにいろいろの努力をしなければならぬことになっております。そこで私ども加盟いたしましてからは、日本もその先頭に立ちまして、改正の方向に一歩進めるような努力をいたしておりますが、これに対しては各方面にかなり大きな抵抗がございます。そこで私どもは、まず憲章改正のための会議を開くとかいうようなことは第二段としても、憲章を改正するための研究委員会くらいを設けてもいいのじゃないかということで、たしか一昨年以来努力を続けておりますが、まだその実りを得ておりません。その間におきまして御指摘の条項が問題になるわけであります。その際私どもは、この条項はもう死んだものであるという主張をいたしまして、現にこの問題を取り上げてわれわれがサロンにおいて、あるいは代表団間においてこの条項は死んだものであるという主張をしたのに対しまして、これを取り上げて生きているのだということを主張した例は今までなかったということを先ほど申し上げたわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本政府の強い主張をしたいという問題にきておるそうでありますが、外務大臣、この点につきましては、あなたが当面外務大臣として日本外交の責任者なんですから、あなたはこの憲章の改正ということについて、今五十三条の後段と百七条の敵国条項の削除について強い要望がある。そのほかにどういう何があるか。憲章改正の国際的な動きと、日本政府が特に主張しようとする国連憲章のいろいろな規定について、どこを変えていったらいいかという対策があるはずです。その対策の用意なくして国連に加盟して日本の外交を推進しようというのははなはだうしろ向きで、先ほどのようなうしろ向きの形になりますから、前向きの国連外交中心主義の立場から御答弁願いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国連憲章は、加盟国の大法典でありますから、これを改正する場合には十分議を練らなければならぬということで、先ほど国連局長が言いましたようになかなか抵抗があるわけであります。しかしわれわれといたしましては、その抵抗もさることながら、改正のための研究委員会を作れということを主張しておりまして、これはまだそこまでいきませんけれども、それをぜひやりたいと思っておるわけであります。その場合には、五十三条の後段あるいは百七条は、われわれとしては当然大きなデータとして取り上げたいと思っておりますが、まだ研究の段階でございますから、今ここでいろいろ申し上げることを差し控えたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 研究委員会の提案をした、これは日本がしたのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 一昨年わが国がいたしました。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そこで議題になっている憲章の改正の問題点は、たとえば常任理事国の問題など、数の問題などもあるわけですが、その討議されているおもな問題点は、新聞に報道されていることによってもおよそ見当がつくと思うのですけれども、外務省が把握している憲章改正の動きはどういうものか、お答え願いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 われわれとしまして主張し始め、従って日本が言うたのだからということになっておる問題は、一つは安保理事会の理事国の数をふやせという問題です。これは国連ができました当時から今日非常に構成国が変わっておりまするし、大国中心主義の安保理事会をもっと一般的なものにしろという主張でございます。それから社会経済理事会の理事国の増員、これもわれわれが強く言っておることでございます。これも非常に理解されつつあるのでございますが、その他今度はだいぶ方向の変わったところでは、ソ連から事務局長三人制というようなものも出たり、いろいろしているわけでございますが、あまり具体的にこれといってまとまった機運になっておるものはございません。むしろ日本の言っていることが非常に大きく問題の中心になっているというふうな状況でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本の立場からの強い主張をされておるということを聞いたわけですが、この改正を実現させるためには、やはり順序があると思うのです。一ぺんになかなか改正がいかない、抵抗もある点から起こるでしょうから。そこで結局とれに次ぐところの、たとえば総会における決議によって、この二つの条項を無効とするというような姿のものも、私は当面とるべきではないかと思います。去年の特別委員会でも、時の外務大臣は、何とかそういう方向へ持っていきたいと約束されておのですが、一年近くなっておるわけです。もっと前進的に努力していただかなければならぬと思うのですが、いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 常に努力して参りたいと思いますが、やはり国際情勢の推移等を見まして、いろいろな加盟国の気持というものも探りながら、一番適切な時期に、適切な方法をとりたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 実に政治的な発言です。私が申し上げた総会の決議案というものは、総会の構成の三分の二を基幹にして考えられる問題ですから、反対が少数あったって、決議の程度であれば可能性があるのではないですか。そういう形で一歩ずつ前進するという努力、それによって初めて日本政府の主張が通ったことになると思うのですが、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は憲章改正問題の一番いい方法は、やはり研究委員会を作ろうではないか、こういう提案だと思うのです。これはだんだん賛成者がふえつつございますから、先ほど申し上げましたように、適当に時期を見てやりたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 国連において当面なすべき問題として、いま一つ中共問題があるわけです。私がここで外務大臣に再確認をしたい点がありますが、外務大臣は大臣就任後において、国会の発言で、中共側が示している例の平和三原則については、原則としてお認になっておりますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 われわれの方といたしまして、やはり三原則といいますか、そうした原則を持っておるわけです。この国会で私が施政方針の演説において述べたのでありますが、内政に相互干渉しない、あらゆる問題についてしんぼう強く話し合って解決する、それから相互に新たな東西の緊張を持ち込まぬように各国間で考える、この三つの考え方があるわけです。中共の言っております三原則についても、われわれは敵視したり、あるいは陰謀に加担したり、そういうことをする覚えはない、こういう意味で言っておるわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 中共の示す三原則についても、原則的には異議がないですね。何か問題の点がありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 われわれが二つの中国を作る陰謀に加担したり、敵視したり、あるいは友好を妨げたり、そういうような気持はないという意味において、そのことを考えておるということであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、外務大臣は大陸中国が侵略国ではないという前提には立っておられるわけですね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これは今のお話と別の問題と思います。国連憲章上はいろいろ解釈があるわけです。

受田新吉民主社会党

○受田委員 侵略国であるかないかということについては、明解な答弁ができないのですか。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 これは御承知の朝鮮事変の後に国連で決議が行なわれまして、中共は侵略国であるという決定が下されております。その後この点について、いまだ変更はございません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 中共政府について、一応その政府の形をお尋ねしてみたいのですが、大体大陸からどんどん追われて台湾へ逃げていった蒋政権というものは、これはどういう形であちらの方へ追われていったのか。国民の信用を得ておったならば、追われていったはずはないけれども、国民の信頼を失って漸次蒋政権は台湾へ移った、こう理解してよろしいかどうか、外務大臣の立場から御答弁願います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 他国の内部のことについていろいろ論評することは差し控えたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 しかし台湾政府を中国政府として今一応形として認めておられるのですから、その立場から台湾政府の最高責任者である蒋介石というものは、大陸から追われてあそこへ行ったという現実、これはお認めになるのですね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これはそのときの事情をその人、人が判断するのでありまして、私がそういうことを認める、認めないということは意味のないことだと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると私はここでもう一つお尋ねしてみたいのですが、台湾政府を正統政府として今お認めになっておるわけです。ところが中共政府、大陸政府の方をお認めになれないという理由は、今申された非難決議があったことと、まだほかに何かありますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 一つの国に二つ政府があって、そのいずれもが正統政府であると、こう主張しております場合に、そのいずれかが正統政府になるということは、これはその国の内部の問題だと思うのであります。しかし今御設問の場合は、現に台湾にあります事態、またその事態を解決することによって生ずるであろうと考えられる国際的ないろいろな影響、かりに武力によってその問題を解決するということになれば、それがひいては極東の平和、または世界の平和に障害になるというこの事実、そうした点を考えますと、なかなか簡単にいかない問題であるわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると、今御説明になった国際的ないろいろな事情というようなこともお話に出たのですが、それはどういうような事情ですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国際的な事情というのは、今申し上げたように、かりに武力によって問題が解決に達するというような場合は、これはまさに大へんな問題だと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 中共政府の姿というものは、一応正統政府としてこちらを認めるべきだということは、世界の大勢としては、もうそういう方向へ行っておると思うのです。ただ現実の問題として非難決議があること、日本も台湾政府を認めておるということ、そういうものが阻害理由になっておる。厳密にいえばこの二つが阻害理由でないかと思いますが、いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日本のみならず、国連におきまして五十二、三カ国が国連における代表権を国民政府に与えておるのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今年度内には英国すらも中共の代表権を認めようと考えておる。こういう動きが非常に強く動いておる。そうしてアメリカの内部にもケネディ新政府ができて以来、来年あたりは何とかなるのではないかという動きさえ見受けられる、こういう国際情勢です。結局日本が今後中共政府を承認するという問題は、あるいは国連の代表権を認めるという問題は、世界の大勢に迎合する立場をとるか、あるいは日本が世界の世論をリードして勇敢にこれを認めていく方向へ進むかという、二つの道しか日本の外交にはないと私は存じますが、あなたはいずれの立場をおとりになろうとされますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は外交の担当者といたしまして、世界の平和、極東の安全と平和、そうしてわが国の利益というものを中心にものを判断いたしたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今あなたのあげられたその条件をもとにされて、結局世界の大勢に順応していくという形をおとりになるか、むしろ日本がある程度のリーダーシップを発揮して、国連内部においてこういう方向へ行こうじゃないかという強い勇気をもって当たるという形をとるのか、そのいずれであるかということを、もう一度私がお尋ねしたことをお答え願いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 勇気を出します場合にも、やはり現実をよく直視してやらなければならぬと思います。現実の直視ということは、われわれ日本の政府として、日本の国民のために何がいいかということを考えなければならぬと思います。迎合ではございません。日本の立場というものを主にして、そうして今申し上げたように世界の安全と平和、極東はもとよりでありまするが、そういう点をどう考えていくか、ということが判断の基礎でございまして、国際問題でございまするから、慎重にかつまた弾力的にやりたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は外務大臣が非常に慎重に考えておられる点について、一つあなたに力をつけてあげたい。それは池田内閣は成立以来、国連強化とか、国連中心主義の外交をしきりに言っておられるのです。ところがアメリカ中心の国連外交ということでは、これは困るのだし、われわれはAAグループにも入っておる。そういうことになるならば、ちょうどいい立場で、その日本の置かれている地位を利用されて、国連内部において勇敢に、常に日本がこの方向へという国連外交方針を押し立てて進むべきではないか、このように私は考えるのです。特に中共の実態はもはや正統政府として、台湾政府よりははるかにりっぱな形をとっていることは、もう国際の常識になっている。ただ踏み切るか踏み切らぬか、勇気があるかないかで、敷居のところまでまたぎかけている状況が国際間の動きじゃないでしょうか。一押しすれば、中共承認という方向へ、代表権獲得という方向へ必ず進めるという情勢は熟している。アメリカのしっぽについて進む国連外交ではなくして、日本が中心になってAAグループも率い、そしてまたアメリカのグループも率いて、かくあるべき国連外交の姿を勇敢に進めるべきじゃないですか。そのための第一歩として、問題は例の一九五一年の非難決議をまず第一に撤回するということは、これは隣国として一番近い日本国が勇敢にこれに踏み切って、まず第一にこの厄介な決議案を取り去ってやる。そして中共を国際場裏にちゃんと一人前として入れて、世界恒久の平和を確立するという方向へ踏み切るべきじゃないか。その第一の段階は非難決議の撤回であると思うのでございまするが、外務大臣、中共への前向きの外交を進める上において、この決議の撤回という前の橋をお渡りになる決意があるかないか、お伺いを申し上げます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今の点は、十分に研究してみないと、まだここで何とも申し上げることはできないと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は日本の国連外交の基本方針、国連外交の性格がきまらないから、この間からのような問題が起こっておると思うのです。国連大使松平氏が、あなたをちょうど子供のように思って、国際連合の副議長が、国際連合の駐日大使というような気持で、あなたにいろいろな指図をしているような印象を——あなたとお二人の立場を見たときに、松平さんの方が高飛車に出ているという印象を国民は受けているのです。可憐なる弟よぐらいに思っているのです。そういう調子なのですから、あなたが私の下僚などと言っていばっても、なかなかこれはおさまらぬですよ。私は日本の外交がその点において、国連外交という独得の外交に携わっている、日本語も読まないそういう大使によって、日本が適当に操縦されているような国連中心外交になっていることを、事実大へん遺憾に思うのです。なぜもっとはっきり割り切った、基本的な国連外交の性格を打ち出して、敢然と国連大使に指示し、そして国連内において日本のリーダーシップを発揮する勇敢なる外交をお進めになりませんか。大臣、あなたは坊ちゃんでなくて、もっと堂々としてやってもらいたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 まず第一に申し上げたいことは、松平君は国連の副議長ではありません。国連の副議長に当選しているのは日本国であります。私が参れば私がなる。松平君は常駐代表だから、こういうことだけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それはもちろんそうだ。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 もちろんでございますればそれでけっこうです。そこで松平君に対しましていろいろ御非難もありましたし、私もまた叱責をいたし、非常に彼も恐縮をいたして、取り消してきょう立ったわけであります。もうこれ以上追い打ちをかけぬでやっていただきたいと思います。彼はしばらく日本を去っておりまして、日本の情勢にもいろいろ欠けるところもあったかもしれぬと思う。そういう点は非常に反省をしたいと思いますので、その状況を持って帰ったことが、一つの国連外交の強化にもなろう、かようにも思っておる次第であります。私に対する御批判は自由でございますが、私は自信を持って、確信を持って日本のために間違いない外交をやっておるという強い信念を持っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それでは松平国連大使をしかりおいたということでありますから、あなたのこれからの外交方針は、自信と勇気を持ってお進めになれると私は一応期待をさしてもらいましょう。しかし問題は、今日本の国連外交の動きというものは、世界各国から見たらアメリカに加担して、アメリカのしり馬に乗っているという印象を受けていることは、これはおおうべくもない現実なんです。敢然とした、純粋な国連中心外交ということであるならば、もっと国連内における地位に重心を持ってがんばっていただきたい。従ってあなたにこれから国連の外交上ぜひすぐ手をつけてもらいたいことがもう一つある。それは決議案で、この日本が世界でただ一つの原水爆の被害を受けた国家として、この問題はぜひ国連の総意をその方向へ持っていけるように、何かもっと強い約束でもして、それに違反したものには制裁が加えられるような、りっぱな取りきめができるような努力をする、その権利と義務を持つ国は日本一つしかないのです。その最高の栄誉をもって、あなたは国連の内部でこの問題をどろお取り扱いになるか、今からあなたの御所信を伺いたいのであります。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 核物質に関する問題、ことにその爆発に関する問題は、われわれ今お話のような自負を持ってやっておるつもりであります。しかし核使用というものを全面的に禁止するのに一ぺんに行きますことには、いろいろ各国間で抵抗があるわけであります。そこで実行可能なものからまず入っていこう、そしてまたそうしたものを他に広げないようにということで、核実験停止協定をやろう、実験の停止からまず入っていこうということで、これも日本の株になっているわけですが、われわれとして先に立ってやっているわけです。それから、他に進めないために、核爆発の拡散防止、これに関する決議案を提出し、これまたわずかの棄権の国をもって大部分の賛成を得て通過させておるのであります。そういうことで物事は一歩々々進めなければなりません。しかしながら一方において理想の旗はわれわれはあくまでも高くかざして、各国の同調を得るように努力はいたしておるわけであります。  それから先ほどアメリカ追随とおっしゃいましたが、これはそういうことを考えることがすでに私は追随の気持があるのではないかと思う。日本は日本の立場を十分に主張して、非常な尊敬を受けております。しかし他に共産圏追随あるいは自由主義圏追随、いろいろ追随という言い方をすればありましょうけれども、そうした関係が一つの二つの大きな流れになる。またその間にいろいろ右往左往するようなこともあるわけであります。そういう点をわれわれはわれわれ独自の立場に立って、ほんとうに国連を世界平和を維持するための唯一、最高の機関として、権威あらしむるためにはどうすればいいかということで、常々その問題を中心にして考え、行動をしておるつもりであります。またその行動している姿勢については、相当に各国間の尊敬を受けているというふうに思っておる次第であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 相当な尊敬を受けておられるそうですから一つこの機会に、私もう一つ当面の問題として今の中国問題がある。これも国連の問題に関係するわけでございますが、台湾の処理というものは、一体日本の場合、台湾に対する態度はきわめてはっきりしていなければならぬ。この点について、台湾問題は中国の内政問題として片づけるべきか、あるいは別の角度においてこれを考えるべきか、いずれを日本の政府としてはお考えになっておるか、これを最後に外交問題の方を終わりたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 外交問題を処理いたします場合、日本はこう考えるといった方がよい場合と、それからいろいろな関係を一つ一つ具体的な問題をほぐしていって、最終結論に達する方がいいという場合とあると思うのであります。この台湾に関する問題は、御承知のようにわれわれカイロ宣言を見まして、カイロ宣言において、日本が当時の清国人から奪取したという言葉を使っておりますが、台湾、澎湖島に対してはこれを中華民国に返す、こういうことになっており、日本はポツダム宣言を受諾したのであります。ポツダム宣言には、カイロ宣言の条章は履行せらるべくということが書いてあるのであります。従ってそのことを日本は受諾いたしまして、しかもサンフランシスコの講和条約において、台湾に関する権利、権原、請求権の一切を放棄しておる、こういう立場に立っております。その立場を私どもはよくかみしめていくということによって、この問題を考えていくということが、現在一番賢明であろうと思っておるわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 内政問題についてはどういう立場で……。もう一度はっきりお答え願いたい。内政問題としてケリをつけるべき問題ではないというお考えかどうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この問題は先ほどお答えしたように、一つの国に二つの政府があって、そのいずれかが自分の国が正統政府になるのだということで、そのままにすればこれは内政問題であると思います。しかしながら現実の世界情勢の中において、台湾というものに対して非常に国際的な関係がある。そしてしかもそれを解決するために万一武力が行使されたということになりますれば、これは非常な大へんな問題になるわけでありますから、そういう点を加味してよく考えなければならぬということは先ほども申し上げている通りです。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そこで一つ大臣、あなたは結局二つの政府を認めたような形に現実の問題としてはお考えがいっているのじゃないか。平和三原則を認める。中共政府を一応形の上では実質的には認めた形になっておる。一方には承認した台湾政府がある。こういう二つの国を、承認をしているといないとの立場はありますが、一応形の上ではお認めになっているということになりますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 認めるとか認めないという問題では私はないと思うのです。今申し上げたような国際関係があり、日本はさような国際関係に従って一つ日本としてこの極東において、その情勢との関連においてあるという事実であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと今のカイロ宣言、ポツダム宣言という場合と、平和条約の二条(b)項という場合といろいろありますけれども、台湾が法律的に最終的に帰属するというその法律的根拠は、一体どういう形で考えればいいのか。わが国から離れてしまったのだからそこまで考えなくてよいというお考えか、その問題についての御意見を伺いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 われわれは中華民国との間に条約を持っておるわけです。そうしてわれわれの立場といたしましては、現実に蒋介石政府との間にいろいろな通商関係を持っておるのは事実であります。しかし台湾に関しての権利、権原を放棄しておるのでありまして、その帰属とか、そういうようなことに対しては、これは国際会議できまることになっておる、その事実だけ考えておればいい、こういう立場です。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私はあなたが新しい大陸中国を承認しようという方向、国交回復の方向へ行こうという形に非常に縁遠い発言であることを遺憾に思いますし、国連外交をお進めになる場合に、この問題は、台湾の法律的帰属がどこにあるかというような問題をはっきりちゃんと腹に入れて、そうして今まで置かれておる大陸の中国と台湾の関係も十分胸に入れて、勇気を持って中共承認、国連代表権獲得の方向へ前進をされないと、アメリカのしっぽへついてよちよちと進んでいったのでは、日本の平和国家を前進させようというあなたの願いはむなしくなりますよ。どうか一つ国連外交の根本的な性格を早く打ち立てて、そうして松平大使にも命令を出し、すべての国々にも呼びかけ、自信と勇気を持ってこの国際情勢に伸びていただきたいと思います。  私、外務大臣に後ほどまだ関連する問題がありますが、防衛庁長官と大蔵大臣とお二人を中心にしばらく防衛問題でお尋ねしたいと思うのです。  今度防衛庁がお考えになっておられる防衛計画は、あまりにも場当たり的なその場しのぎの計画であって、長期性が全然見受けられない。なぜ防衛庁は、日本の国防計画について長い目で見た長期計画、すなわち第二次防衛計画というものをお作りにならないのですか、お答え願いたい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 御存じの通り第一次防衛力整備計画が三十五年度で一応終了いたしました。次期防衛力整備計画は、一応過去におきまして練られましたが、諸般の事情から国防会議等の決定までの段階に至らなかったわけであります。そこで今年度は、単年度の形におきまして師団編成その他を一応計画いたすと同時に、先般国防会議を開きまして、次期防衛力整備計画をすみやかに決定する、こういう考えでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今お答えになったところでは、今からゆっくり考えられるようなお話ですが、大体今日まで長期防衛計画がおくれた理由はどこにあるのですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 今からゆっくり考えるのではなくして、たしか北海道で赤城構想として第二次防衛力整備計画を打ち出しました。その後諸般の情勢、と申しますのは、御存じの通りの安保あるいは選挙、いろいろな事態が続いておりまして、その当時の政府としてはこれを決定する状況下に立たなかったのではないかと思います。従いまして私といたしましては、次期防衛力整備計画をすみやかに政府の意思として決定をするというふうに、先般も国防会議でそういう方針をきめたわけであります。と同時に三十六年度に対しましても、またその単年度、言いかえれば三十五年度の残りました分を、また将来の織り込み方を考えて今回予算面並びに法案の面において、その長期防衛計画のつなぎの形をとったものを御審議を願っておる段階であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたは長期防衛計画の構想を用意されなければならぬ。これは国防会議で承認をとる前に一応のあなたの構想があるはずです。赤城構想に類するものがあるはずです。その構想はいかがですか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 もちろん私、防衛庁長官といたしまして、まだ十分の確定的なものは、これは部内の意思並びに政府関係部局との連絡等を済ました上でなければ正式な発表はできないわけでありますが、大きな方針といたしましては、次期防衛力整備計画といたしましては、現在の国力、国情に応じた防衛力のあり方という、ずっと以前の日本の国防の基本方針をやはり体して参りたいと思うのであります。従いまして、それは漸次陸海空三方面の自衛力に対しましては均衡を保つということが一つの方針でありましょう。と同時に、さらに装備の近代化というようなものも考えて参らなければならぬでありましょう。またいま一つは、アメリカとの関係における従来の援助関係というものをどう見ていくかということも考えて参らなければいかぬ。言いかえますれば、無償援助等は今日漸次減って参ることは当然のことであります。しかし一方において装備の更新というものは当然やっていかなければなりません。さらに有事の場合における備蓄、後方補給、こういったものに対しても十分な関心を払ってやっていかなければならぬと思います。と同時に、全体の国民所得あるいは財政力の中においてどういう地位をこれが占めるかというものも一つの大きな課題であろう、こう考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 長期防衛計画、自衛隊、防衛費の増大と所得倍増計画というものの間には関連がどのように成り立つのか。大蔵大臣に伺います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 所得倍増計画の中には特に防衛に関する長期計画というものは別に示されておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その防衛費の増大と所得倍増とには関係がないということになるのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 関係がないということはございませんが、経済の十年先の成長の方向というようなものを見通した計画でございますので、特に防衛についての計画とは関連させなかったものだろうと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 経企長官もおられるのですが、防衛費は昭和四十年には三千億円に近いものが計上されようという構想が発表されておるのです。それと大した関係はないのだというような大蔵大臣の答弁でよろしゅうございますか。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○迫水国務大臣 所得倍増計画の目標年次における財政の規模については、四兆幾らという大体の想定はしておりますけれども、その中で防衛費が幾らになるということは想定いたしておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その根拠は……。

迫水久常自由民主党郵政大臣

○迫水国務大臣 幾らになるということは想定いたしておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 防衛庁長官、防衛費は所得倍増計画には全然影響がないということです。御所見を伺いたい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私の解釈といたしましては、所得倍増計画は十カ年計画でございます。防衛庁といたしまして、次期防衛力整備計画は四カ年ないし五カ年の計画でございます。従って四カ年、五カ年の間における経済の成長が九・二でございますか、ここ三カ年、ある程度の。パーセンテージをもって見通されている。その間に財政、税収あるいは財政支出がどうあるべきかという姿はおのずから描かれていく。このおのずから描かれていく中にわれわれとしては当然防衛力の漸増方針を遂行するような形での長期防衛力整備計画を立てて参りたい。われわれの方としては四年ないし五年の計画を一応考えて参りたい、こういう考えであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、防衛庁の考え方は四年か五年かのものが近く発表される、こう了解していいのか。そのことと、もう一つ無償武器援助、MAPの形のものは今後どういう形でこれが見通されるかという見通し、この二つをお示し願いたい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 防衛庁長官といたしましては、防衛庁自体を考えあるいは国防自体を考えますれば、さらに長期の十カ年ぐらいの将来の国防力のあり方というものについて、やはり構想は持てる方がいいと思います。しかし、さしあたりわれわれがすみやかに決定して、国防会議の決定を経、提示したいと考えております考え方は、四年ないし五年という考え方でおるわけです。  武器につきましては御存じの通り、もし数字の必要があればお示しを申し上げますが、昭和二十六年ですか、自衛隊発足以来——数字はちょっと間違うかもしれませんが、四千五百億かの総計が一応無償援助で出ております。最近の傾向は一時多いときは年間五百億とか八百億とかの時代もありましたが、三十五年度はたしか二百五十六億、来年度の見込みが二百十二億くらいのMAPの期待を見て漸減という形をわれわれは織り込みつつ考えて参りたい。かたわら、そのかわり有償援助という面をまたある程度それにからませて参る、こういう考えでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は今ここで防衛庁長官が一言触れられた十三個師団編成の問題についてお尋ねしたいのです。今度師団という名前で、ちょうど七個師団、十三個師団で日露戦争直後の師団がここへできたわけです。そういう師団編成をされた根拠に、師団という名称をお用いになったところに、どこかに旧軍人、旧軍隊に対する郷愁を西村さんお感じになっておるのではありませんか。このことも伺います。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私は旧軍人でもございませんし、直接軍隊勤務をした男でもありません。何ら郷愁は持っておりません。ただ御存じの通り師団という名前をとるべきかいなかという問題だろうと思うのであります。現在までに管区隊、混成団という名前で一応十単位で分かれておったのであります。あれができました当時の考え方は、管区隊というのは地域的担当という思想で大体やり、一万二千七百名くらいの単位でありますか、片方の混成団が六千数百でございます。こういう片寄った編成で一応できて十個単位が六管区隊、四混成団。いま一つはこれを十三単位に分けるという一つの考え方は国内の地形あるいは運用いたしました結果に基づいて長い間研究してこういう単位に分ける。そのときの名前の問題であります。  そこでこれをどういう名前にしたらいいかというのにつきまして、地域担当というよりはその一つの固まった単位が戦闘部隊といたしまして機動的に効率的に動くためにはやはりそれにふさわしい名前、そこで世界各国が共通しておる、大体部隊のかたまりの最高のものを通称師団といっております。特に私といたしましては、防衛庁長官になりまして防衛庁の用語というものが非常にわかりにくい。わかりにくいことは、同時に国民に実態がわからない。その意味からも大体わかりやすい単位名を使って参りたい、これが師団というものを使った理由であります。歴史的に調べてみますと、中国におきましても、すでに周の時代から師という言葉をこういう単位に使っておるそうであります。中共におきましても、国民政府におきましても、今日やはり師という言葉を使っております。世界各国のこういう単位に対しまして、普通日常、映画、テレビ、ラジオ等でも、翻訳する場合には師団と言っておりますから、これを通常の名称として法案の中に採用し、御審議を願うつもりであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたは大将、中将、少将という名称を用いたいという御意思があったと伺いますが、それはいかがでありますか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私は先ほど申しましたように、自衛隊に入りまして旧軍の片寄った名称の使われている部分もあります。あるいはアメリカ系の略称を使っておる場合もあります。と同時に戦後に取り急ぎ作られた名称もあるわけであります。しかし、今日の実態を持った自衛隊をまず国民にわかっていただくということが一番大事なことではないか、そういう意味から私としては用語の平易化ということを唱えております。用語の平易化の中からおのずから出てくる言葉を検討する委員会を部内に作らせて、いずれ成案を得ますればまた民間の方々の御意見も問うて用語の平易化をはかりたい。その中の一つとして階級称号の問題がございます。一等海尉と申しましても、一部の方だけしかわからぬだろうと思います。それは私もときどきそれを翻訳しては頭の中に入れなければならないので、なるほどこれは一等海尉というと大尉だということを覚えるのでありますが、間違うと何か少尉というものと間違うのではないか。その場合に、責任分担なんかもむしろ国民にわかっていただく意味で、私は、階級称号等も世論が御納得をいただければ大将であり、中将、少将であり、あるいは大佐、中佐、少佐——ただし私は下級の兵の諸君については従来の曹であるとか士であるとかというなじんだ言葉を使ってもいいんじゃないかと思いますが、そういうところはよく検討を加える。従って今回のあれは法律事項でありますから、今回の法案の中には私は慎重にかまえまして、一度部内の検討を経、世論に問うてみた上やりたい。私といたしましては従って階級称号と申しますか、そういうものは国民になじんだ理解しやすい階級名で呼ぶべきだという考え方を持っておるのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 非常にはっきりしたお考えがあるようでございますが、大将、中将、を考えたい。海曹とか空曹とか——特に海草やら空想、ユートピアのように言う人もありますから、問題もあるんですけれども、とにかく名称というものが旧軍的なものに復活するということは、やはり避くべきではないか、平和的な形の名称というものがいいんではないか、こう自分ではあなた方にそういう努力を希望したいところでありますが、あなたのお考えははっきりしました。そこでもう一つ、憲法には文民という言葉が国務大臣の条件の中にあるわけです。国務大臣は文民でなければならぬということになっておりますけれども、制服の軍人さんがだんだん防衛庁の中で勢力をきかして、やがて防衛庁長官にでもなろうということになったら、制服の自衛官が防衛庁長官になる、つまり国務大臣になるということは、これは憲法で私は禁止をしてないと、かように了解しておるが、そう考えてよいかどうか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私が用語等を平易化したいと言うのも、国民に実態をわかっていただきたい、そして国民が実態に基づいての御批判をいただきたい、これをもとに、わかりやすい自衛隊、それから親しみやすい自衛隊という言葉を使っておるのであります。そこで、防衛庁長官、あるいは国会を通して総理大臣、こういうものがシビリアン・コントロールの原則を現在立ててあるわけであります。たとえば出動というような場合におきましても、総理大臣の指揮命令下、防衛庁長官が統轄はいたしますが、その場合に国防会議の承認、さらに国会の承認というシビリアン・コントロールの形態をとられております。従って、そのシビリアン・コントロールというものを今後打ち立てる意味におきましても、国民のよくわかる、国民が親しめる自衛隊で、国民の意思を体した国会がシビリアン・コントロールをしていただく、その意思を体して私どもが行政面において、さらにコントロールする、そのために防衛庁の中には今度は文官補佐官がおるわけであります。従って、とれらに対しましても……。

受田新吉民主社会党

○受田委員 法制局長官、前に大村防衛庁長官、大橋国務大臣が国会答弁で、文民の解釈で旧軍人はこれは文民でないという考え方があるという答弁をしておられますね。このことは二様の解釈があるのでありますが、政府の正式の解釈、今や制服が大いに幅をきかして防衛庁長官までねらおうとしている空気になってきて、西村さんたち、いやおうなしにやがてけ飛ばされるような空気に自衛隊は成長しつつあるわけです。ここに旧職業軍人という解釈と、もう一つは制服の自衛官は新しい立場から、これほどもう軍隊化して師団もでき、大将もでき、中将もできるという段階では、もはやりっぱな軍人としていくならば、これは武民という解釈になるんじゃないかと思うのですが、あなたの法律的解釈を……。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 憲法の文民という言葉の解釈につきましては、これはもう何回かお答えしておるわけでございますが、要するにいわゆる旧職業軍人であって、しかも軍国的思想に深く染まった者、そういうふうな解釈でやってきております。政府の公定解釈としてはそういう考え方であります。これは憲法の規定のできましたいきさつ等についてはよく御承知のことだと思いますが、そういういきさつから考えて、いろいろ解釈もございますけれども、政府としてはそう解釈する。ところでこの自衛隊法ができますときに同じ御疑問がございまして、自衛隊は昔の軍隊とはもちろん違う。その任務から申しましても差があるわけでございます。また平和的、民主的なもので、旧軍国体制のものとも違う、そういう意味において自衛官はここでいう文民に当たるという解釈をしております。その点は私は今でも変わっておらない、そういうふうに考えていいと思います。これは自衛隊の実体の問題でございまして、別に名称がどうだということと関連はないと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 これはしかしだんだん自衛隊、自衛官が旧軍隊の性格、旧軍人の性格を露骨に現わしてきて、その統合幕僚会議たどというようなものが偉大な権限を持っていくに至ったならば、これはりっぱな、旧軍人とちっとも劣らない立場の性格を持ってくると思うが、それでも依然として今後も日本国には武民はあり得ないと解釈しますか。今後においても日本には武民というものは発生する筋合いのものでないというお考えですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 いわゆる旧制度のもとにおける軍人との違い、端的に申せば昔の軍人は終身官でございます。つまり一定の職務ある場合、あるいは予備になり、後備になりあるいは退役になっても、やはりその名称は保存しておりまして、一定の地位を持っております。ところが今の自衛隊はもちろん旧軍隊と違います。また自衛官も普通の何と申しますか官職でございまして、その間にいるだけの官職でございます。やめればもちろん普通の、そういう官職を持たない、公務員でもなくなるわけであります。公務員である間の官職にすぎないのでございます。そういう意味においても根本的に立場が違うと思っております。そういう意味もありますし、自衛隊の性格から申しましてもこれを文民にあらざるものと考えるべきではなかろう、かように考えております。将来憲法の改正でもない限り、私はこの性格が変わってくることはおそらくなかろう、かように考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 西村防衛庁長官、制服の自衛官は防衛庁長官になることは可能であるということに今なっておるわけですがね、文民という憲法上の規定からいえば。制服の自衛官が防衛庁長官にたり、国務大臣になることは適当であると思うかどうか、お答え願いたいと思います。それだけでいいです。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 ただいま法制局長官から政府の法律解釈を述べましたように、制服であるから文民ではないというのではなくて、いわゆる文民の解釈というものは、軍国主義的な、軍で政治をやろうという思想でないものというような解釈であります。そういう場合においては、これは情勢によってはそういうことが起こり得るという観念上の問題はあると思いますけれども、私どもは直ちに、制服の者が国会に出てきて、そうして大臣としていろいろ政治に折衝するという場面は、当分は想像はできないわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 防衛庁長官、あなたは現職の防衛庁長官として将来の日本の国防を担当する長官に制服の自衛官がなることが当分はないにしても、将来はそういうことがあり得るという解釈になるわけですね。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 制服という意味のとり方にもよります。私自体でも制服を作って、いわゆる自衛隊の私は統括者でございます。私の公の行動をする場合には、長官旗というものがすでについております。従って、私が今度は制服の形をとって参りますれば、やはり制服であります。しかし、そういうことは私はとるべきではない、シビリアン・コントロールとしては、あくでまも形はシビリアンとしていく形をとるべきだ、こういう考えであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 簡単に答えていただきたいです。国務大臣としての防衛庁長官は制服の自衛官でさしつかえないと、こういう解釈していいか。当分はそうなるべきではないと思うが、それはさしつかえないんだという考え方があなたにあるのか。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 これは御存じの通り世界各国——共産圏はいざ知りません。しかしアメリカ、イギリス、ドイツ、これは全部国防長官のいすは純然たる文官であります。従って私どももこれはこのやり方が正しいと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたの答弁は全く支離滅裂で、当分はなんだが将来はということです。制服の自衛官は瞬間喜んでいたわけですよ。これで希望を失わしめたということになる。あなたは日本の国では制服の自衛官は国務大臣となるべきでないという信念をお持ちになるなら、それでお答え願いたい。あなたが現職ですからお聞きするのですから…。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 これは、私どもとしては、政治論といたしまして、やはり現在の状態がいいという考えなのでございます。問題は、ことに国務大臣という場合に、自衛官というものは自衛官、国務大臣は国務大臣という別の一つの憲法上の規定をもって国務大臣があるわけでございますから、私は当然こういう形が続くであろう。こういうふうに考えておるわけです。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたは続くであろうと思うと言われた。もう一ぺんはっきりしておきます、大事なことですから。将来制服の自衛官の国務大臣が現われることはあり得るという考えかどうかです。そこだけはっきりしておいてもらいたい。それで私は聞きませんから…。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 私は現在——ですからそういうことは今の憲法下において制服の自衛官のままで国務大臣ということはあり得ない、こういう考えなんです。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 今の点少し法律的に補足いたしますが、国務大臣は一つの官職でございます。自衛官も一つの官職であります。結局自衛官というのは昔のような身分的な称号、地位ではございません。従いまして自衛官という身分を保持しつつ国務大臣になるということは考えられないわけでございます。従って、過去においていわゆる自衛官であった人が、たとえば国会議員になられてあるいはそういう国務大臣になられる、これは別にそういう問題とは関係ないことだ、私はかように考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そのことはそうです。二つが一緒になるわけにはいかない。政治家と自衛官は兼ねられないから、それはわかり切っておる。だから全然ないですね。観念上もあり得ないという解釈ですね。もう一ぺんはっきりしておいて下さい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 誤解があるといけませんからはっきりいたしておきます。国務大臣は国務大臣でございます。自衛官は自衛官でございます。従って自衛官が直ちに国務大臣になるということはない。これは二つのものを兼ねるということはあり得ないということでございます。その前提に立ったわけであります。ただ制服がつき得るかどうかという議論になって参りますと、それは別の問題になる、しかしこれは妥当ではない、こういうことであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると、私もう一度あなたに伺いますが、たとえば統合幕僚会議の議長が、議長をやめて、すぐ国務大臣になる。なる前にやめればなれるわけなんです。それは日本の場合考えられることかどうかお答え願いたい。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 それは一応理論の上では自衛官をやめてなれるおけでありますが、御存じの通り今日は国務大臣は事実上国会の分野を経た人でございますから、まずそういうことはあり得ないと思います。観念上は今のような説明からいけば、やめてそれから普通の市民になって、それから憲法の条章に従っての国務大臣になってくれば、あり得る場合は観念上はあっても、事実上はそういうことは妥当でない、こういうふうに見るべきじゃないかと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 憲法には、国務大臣は国会議員が過半数おらなければならないということだけであって、国会議員でない者がなれるようになっているんですよ。それを、あなたは、国務大臣は国会議員でなければならぬというお話でしたが、これは間違いですから、もう一ぺん一つ…。

西村直己自由民主党

○西村国務大臣 国務大臣は御存じの通り内閣総理大臣が任命いたします。そしてかりに統合幕僚会議議長をやめた者、しかも過半数は国会議員で占める。その中に、私はおそらく総理大臣としても、そういう者を任命するということはまずない。またその方が適当であるといいますか、シビリアン・コントロールの精神を出す意味でも、世間の誤解を招かない、あたりまえだ、こういうことになると思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 御答弁に時間がかかってきて、大へん迷惑を受けましたが、もう少し防衛庁長官は自分の職責と自分の地位というものをはっきり認識しておいていただかないと、あなたが三軍を叱咤される責任者としては、幕僚の制服の皆さんに適当にごまかされますよ。これは全く危険な状況になってきていると私は心配している。  そこでおしまいに憲法の規定から一言自衛隊との関係で、質問を終わりたいと思うのですが、憲法の中の九条の規定の戦力とそれから今の自衛隊の実力というものを比較したときに、自衛隊の実力は憲法にいう戦力と見ることができるかどうかということです。現在の内閣の新解釈は出ておりませんから、これを御答弁願いたい。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 内閣の法制上の問題につきまして私からお答えいたします。この点につきましては、従来の私どもの申しております解釈と同様でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうするとこの戦力とは近代戦争を有効的確に遂行し得るところの実力と解釈していいですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これはそういう表現は今使っておりません。自衛のため必要最小限度の実力は憲法九条二項にいう戦力ではない、かようにいっております。かように御承知願いたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この戦力は、岸内閣の解釈をそのまま踏襲ということですか、そうですが。そうすると池田内閣は、岸内閣の解釈によって自衛のための最小限度の実力、その実力というものは近代的な戦争にたえ得る最小限の実力ということかどうか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 要するに日本の防衛ということでございます。日本の防衛に役立ち得る力、日本の防衛以上の力を持つことはできない。日本の防衛を全うし得る力、つまり日本が他から侵略された場合に、それを日本の面において排除する、他国まで行って排除するということではないわけでございまして、つまりいわゆる自衛の見地から申せば、他国に数倍する力を持てば最も自衛上安全なることは間違いございませんが、そうではないのでございまして、自衛のために必要な最小限度の実力ということで、そこにしぼりをかけて考えているわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、あなたの憲法解釈、池田内閣の憲法解釈からいうならば、たとい警察目的のためであると言いながらも海外へ出ることになると、この日本の自衛隊は最小限の自衛力ですから、その分からさらに持っていかれたら、最小限の自衛力というものはなくなるから、また補充して海外に出さなければならぬ、こういうことになるわけです。だから最小限の自衛力は、海外へ将来国際協力をするということで与えるならば、これは別の角度から海外協力の部隊を考えていかなければならぬということになるわけですね。海外派兵——あなたの言われるような形であるならば、警察目的と言いながらも、その部隊がよそへ行った部分だけは別ワクで考える自衛隊、そういう戦力と考えていいですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 そうではございませんで、いわゆる憲法九条二項において保持を認められている実力の限度を、今申しました表現で申したわけであります。これは限界でございまして、それまで必ず持たなければならぬというものではもちろんないわけであります。現在はそれ以下だと思っております。そういう段階において、そのうちの一部は、あるいは国際協力として、これは自衛隊法の問題ではございませんが、純粋の憲法論として全く武力行使と関係のないような、いわゆる国際軍とか、あるいは国連軍とか、国連警察軍とか、そういうものの形で協力するということは、これは憲法九条の一項のどの条項にも違反するわけではないわけでございます、武力行使をしないわけでございますから。そういうものに協力することは、憲法論としては違反ではなかろう、かように言っておるわけです。それからいわゆる自衛隊は、自衛のために必ず必要最小限度の限度一ぱい持たなければならぬという憲法上の要請はもちろんないわけで、その範囲内において、国力、国情に応じて持つわけでございまして、もともと限度以内のことでありますから、かりにそういう事態が起こって何十人かの者を派遣してもあと補充しなければならぬという問題ではないと思います。

船田中自由民主党

○船田委員長 受田委員、御注意申し上げますが、だいぶ時間を超過しておりますから……。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたのお考えでは、海外に兵を派遣するのは二十人か三十人という程度のものという観念ですね。はっきりお答え願いたい。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは将来の問題を考えれば、それを一切の場合を想定して申し上げるわけにはもちろん参りません。しかし過去の例におきまして、たとえばレバノンの監察団の派遣の要請は十名でございました。そういうものは別でございます。それから将来いわゆる理想的な国際社会というものができて、各国がそれぞれの軍備を撤廃をするか、最小限度まで縮小して、日本のような場合にして、自国の防衛のため必要な最小限度にみなとどめる。そのかわりに常設の国連軍を作る、そういう場合になれば、これは私は憲法九条の問題とは別の問題になってくると思います。そういう場合において日本がいかなる協力をするか。そうなれば、その場合の日本の協力というものを考えた場合に、それは別に二十人や三十人の問題ではないかもしれません。しかしそれは将来の問題として別に考えるべきだと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私もう一つ重大な問題があるのですが、派兵という、兵という観念から、海外で日本の自衛隊を兵と見ている、軍隊の観念がある。そうしてもう一つは、警察目的という目的のために、国内の警察官を巧妙に持ち出すというような形のものをおとりになるおそれはないかということも考えるわけです。警察官が出るならば、これは海外派兵ではないのだ、憲法違反ではないのだ。国内法で警察法をちょいと改正しておけばいいのだということで、そういう考え方に立つときに、ある程度の装備を持った警察官、機動力を持つ警察官を警察目的のために協力させるということは、あなたが考えられる場合における、いわゆる警察目的のための国連軍への協力と言えるかどうか。これも一つあなたの法理論の立場から御答弁を願いたい。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 私どもが、国連警察軍あるいは国連軍というものに協力ということと憲法の関係を考えておりますのは、憲法九条との関係でございまして、国内的にそれが自衛官であろうと警察官であろうとあるいは一般の各省の職員であろうと、これは同じことでございます。つまり海外に行って軍事的協力をするものであれば、行く者はだれであろうとこれは同じことであります。自衛官だからいけないとか、自衛官でなければいけないとか、警察官ならいいということではないので、それはいわゆる参加すべき国際警察軍なり国連軍の性格とか任務とか目的できまってくる、そっちできまってくる問題で、国内の組織がどうだからいいとか悪いとかいう問題ではございません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その問題は、その性格を明らかにしていただいたので、それで終わります。  最後に、大蔵大臣に一問だけ御答弁願いたい。それと、関連するほかの閣僚にお願いいたします。あなたは人事院勧告の問題で、五月に勧告をするのは予算上の措置ではなはだ不適当であるという手きびしい御意見が出ておった。こんなばかげた勧告をするのは間違いだという御意見が出ておったのです。今でもそうお考えですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは大蔵委員会におきましてだいぶ油をしぼられて、言葉を訂正してございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、いつにさかのぼって勧告をされても、予算技術上においてもやれるという御答弁と伺ってよろしゅうございますか。人事院の勧告通りやることが可能であるという……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 五月というような時期は好ましくはない、しかしこの勧告については財政上というだけの問題でもございませんし、諸般の事情、各施策等との均衡、いろいろなものを総合してきめるべき問題だと思いますので、今後勧告が行なわれましても、私どもはそういう総合勘案の上でこれをきめていくのがやはりいいのじゃないかと思っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それだけで終わります。

船田中自由民主党

○船田委員長 明二十五日より五日間分科会の審査を行なうことといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会

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