予算委員会 第6号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/08
会議録
○船田委員長 これより会議を開きます。 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、農政に関して総理並びに閣僚の諸氏に質問いたします。 総理は昨年所得倍増計画ということを打ち出されましたが、私はこれはキャッチ・フレーズとしてまことに巧みなものであると考えるのであります。所得倍増ということに対しては国民あげて賛成でございましょう、だれも異存を言う者はないのは当然であります。しかし総理が考えておられます所得倍増という言葉と一般国民がこれを受け取る場合とでは、相当大きな開きがあるのであります。特にこの所得倍増では、先般来委員会で各委員諸君の熱心な御討議を聞いておりましても、一番問題になりますのは農業所得の関係でございます。農民自体にも一体所得倍増はあり得るのか、この問題は、単に私だけではなくて、与党の諸君の中にも大きな疑問を持つ人たちが多いようでございます。どうも総理は、こうしたまことに魅力のある所得倍増というキャッチ・フレーズを掲げまして、なおその上に、私は決してうそは申しませんと、テレビで丁寧におじぎをしたことでございますので、この印象がともに相待ちまして、実に重大な誤解を国民に与えておるのであります。総理は、得意の経済知識を、同時にまた体験を持ちまして、うそはつかない、十年後における所得倍増の信念はかたいものがあるというこの気持は疑いありませんけれども、国民の方ではもっと素朴に受け取って、あしたにでも所得が倍になるかのような錯覚を起こしておるのであります。所得が倍になれば当然物も高くなるだろう、物が高くなるのは自然の道理だと思っておる人たちもおります。総理は、その経済学の知識とその経験を持ちまして、こうした国民の浅薄さをお笑いになるかもしれませんけれども、これはむしろ無理もない市井の常識でございます。これに加えて、公共料金や郵便料金、国鉄の運賃などの値上げが発表されましては、所得倍増に先んじて物価の値上がりのあるのは、今や市井の常識を越えて、市井の現実となっております。幾ら卸売物価が上がらないから大丈夫ですと言われましても、結局毎日の庶民のふところに響くおかずやその他の日用品の値が現実にどんどん上がっておるような状態では、総理の考えておられる経済の大本の狂いがなくとも、国民のその日その日の生活に狂いが生ずるのは当然のことでございます。現在の農政では十年後農民の所得の倍増はとうてい不可能と思われるのでありますが、先日来この委員会における委員各位の質問に対する総理の御答弁を伺いましても、ますますその感じが深くなって参るだけでございます。農民の数が半分になったら所得は倍になるじゃないかとか、あるいは全体をよくして、下の方の所得をよりよくする、こういうような抽象的な考え方だけでは、農政の立場から申しまして安心はできません。とうてい納得がいかないのであります。しかも最近になりまして、総理は、農業の問題は難事中の難事でありますと再三言われておる。難事であることはわれわれも十分知っております。しかし私は、所得倍増を打ち出されましたときに総理はこの難事中の難事を克服してこれは均衡のとれた所得倍増を打ち出されたのであると考えておりまするが、一体この難事中の難事を総理はどういうふうに克服していかれるのか、具体的にお話しを願いたいと思います。とにかくこうした所得倍増というものはあしたにでも自分たちの生活の楽になることを願い、また所得が高まることを願っております日本の農民にとりましては、非常に大きな関心を持っておりますので、この際明確に所得倍増と農民との関係をお答え願いたいと思うのであります幾ら難事中の難事であっても、真剣に総理の公約を農民に対しても果たしてやる政治的、人道的な責務があると私は信じますから、あえて重ねて総理にこの点を質問いたします。
○池田(勇)国務大臣 経済の成長というものは、これは政治家がやるのではないのであります。やはり国民の決意と行動によって実現できることは淡谷さんも御承知と思います。われわれといたしましては、この国民の持っておる創造力、成長力、これを刺激してそうして方向づけることがわれわれの政治家としての仕事であります。私は過去の日本国民のポテンシャル・エナージー、これを各方面に伸ばしていく。そうしてあすにでも倍になるというのではございません。できるだけ早く、十年以内くらいにやってみたい。そうしてまたこれが過去の経験からいってできることです。こういうので打ち出しておるのでございます。みんな国民一致、努力によってでき上がることであることをまず頭に置いていただきたいと思います。 農業は、御承知の通り品種の改良、肥料、農薬あるいは技術の進歩、農民の御努力によりまして、非常に長足の進歩はいたしておりまするが、経営自体から申しますると、極端かもわかりませんが、徳川時代、明治時代の経営規模ではございますまいか。他の産業が非常に高度化して生産性を上げておるにかかわらず、農業はこのままではとてもいかない。これは淡谷さんもお認めになっていると思うのです。どうやったらいいかということでございます。それには、農業自体を近代化し、生産性の向上をはかることが必要でございます。詳しくは農林大臣がお答えすると思いまするが、そういう意味において画期的な農業基本法を作って、生産性の向上と農業が一つの企業として成り立つような施策をやっていこう、こういうことで他の産業とはよほど生産性の向上にしても所得の倍増にしてもむずかしい問題であります。そこで画期的な法制並びに予算上の措置を今後とっていこうとしておるのであります。この問題は農民の方ばかりでできることではございません。われわれ全部が力を合わしてほんとうにりっぱな農業を打ち立て、そうして農民の方々が安んじて生業に励まれるとともに、他の産業の発展につれまして職業移動も円滑にいくように、こういうことが私の考えでございます。
○淡谷委員 この御答弁はこれまでもしばしば承りましたが、私は本日はもっと具体的に総理の所得倍増計画に農民のことを忘れておられなかったならば、この所得倍増計画では十年後の農民の生活がどうなるか、あるいは農業生産がどれだけ伸びるか、この把握だけは確実になされておったものと私は信じます。一体総理は、十年後の所得倍増計画において、農業生産の伸びをどれだけに押えておられたのか。これはむろん企画庁の方から出て参っております資料がございますが、あの企画庁の資料通りに信じているのかどうか、総理の一つお答えを願いたいと思うのであります。
○池田(勇)国務大臣 私は企画庁の出されました所得倍増計画案全部は読んでおりません、ところどころ見ております。しかしこの委員会におきまして数百名の人が長い問研究して答申いたしましたものが一つの答申でございまして、われわれはこの構想を参考とはいたしますが、この通りにやっていこうというわけではないのであります。党の方でも倍増計画に対する構想というものを計画とは別にきめまして、そして進んでいこうとしておるのであります。 十年後の農業をどうするかという問題につきましては、今後どういうふうな施策をやっていくか、こういうことなんでございます。たとえば第二次産業なんかにつきましても、石油化学がどうなるか、鉄がどうなるかということは割に楽でございますが、石炭がどうなるか、一般の化学工業がどうなるか、なかなかこれはそのときを見ながらやっていかなければならぬ問題であるのであります。農業をどうやっていくかということにつきましては、倍増計画のもとに時宜適切な施策を立てていかなければならぬと思います。これにつきましては農林大臣よりお答えいたすことにいたします。
○淡谷委員 農林大臣にはあとでまたあらためてお尋ねいたしますが、総理が今言われました企画庁の国民所得の倍増計画の案というのはこの書類でございましょうか、確かめておきます。
○池田(勇)国務大臣 そうです。
○淡谷委員 われわれに配付されておりますこれを読まれないというのは、私はどうも総理としてははなはだ不勉強だと思うのであります。一晩で読めるのです。そうすると、この経済企画庁の案に対しては総理は全然責任はお持ちにならないわけですか。
○池田(勇)国務大臣 全然読まぬとは申しません。大事なところだけずっと見ております。それはそう答えておる。 これに責任を持つか持たぬか、これは閣議決定で、企画庁に対しての答案が来たこの倍増計画は一応の決定をいたしておりまするが、それにはやっぱり所得倍増計画に関する構想ということで、これをモデファイしております。しこうしてこの前も答えた通りに、それは一つの学者あるいは実業界の人の意見でございまして、これによって、この通りにやるということには閣議決定いたしておりません。参考にするということにいたしております。
○淡谷委員 私は所得倍増計画が総理の一枚看板でなければこういうことはくどく申し上げません。ともかくも池田新内閣の国民に対する方向としましてはこの所得倍増が一番人気があるのです。一番魅力があるのです。それが企画庁の出してこられましたわずか六十六ページのこのパンフレット、大きな活字で書かれました。パンフレットさえ、重要な点だけをバラバラと読んだというのであれば、企画庁の所得倍増計画とは別に、総理自体の十年後における国民所得の倍増案があるのかないのか、はっきりお答え願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 企画庁からの答申は五、六ページのものでなく、もっと厚かったと思いますが……。
○淡谷委員 六十六ページ。
○池田(勇)国務大臣 六十六ページよりももっと厚かったと思います。答申になった分は。それを要約したのかどうか知りませんが、私は相当厚いものをところどころずっと大事なところは見ております。 それから所得倍増は私の主義、主張でございます。自分といたしましては大体の構想を立てましてやっており、そしてまた計画として出ました分も、一応目を通すということではございませんが、見ております。
○淡谷委員 実はこの所得倍増に対する問題で非常に全国の農民が不安に思っております。私、この企画庁の案は閣議決定になった案と心得まして、精細に読んで参りました。答申案は答申案でよろしいのですが、閣議決定を見ましたこの倍増計画を総理が十分自分のものとして消化され、またそれに対する信念をお持ちでなければ、これは責任が果たせないと思いますが、一体どうでございますか。
○池田(勇)国務大臣 私が見たときの分が厚かったというのは、これは活字になっておりますが、前は鉄筆の分だったので非常に厚かったと思います。これに違いございません。 それから閣議決定をいたしましたのは、所得倍増計画に対する答申と、そしてまたそれに対しまするわが党の構想、こういうのを閣議決定したのであって、この内容を十年間この通りでやっていくという閣議決定ではございません。
○淡谷委員 この経済企画庁の国民所得倍増計画の前書きのところに、「国民所得倍増計画に関する件昭和三十五年十二月二十七日閣議決定」こうはっきりうたってありまして、「政府は、別冊「国民所得倍増計画」をもって、昭和三十二年十二月十七日閣議決定の「新長期経済計画」に代えるものとするが、今後における経済の運営にあたっては、内外経済の実勢に応じて弾力的に措置するものとし、とくに、別紙「国民所得倍増計画の構想」によるものとする。」ということがはっきりしてあります。これを見た、見ないは別にしまして、当然この案に対しては総理は責任をとるべきものと考えますが、その点はどうですか。
○池田(勇)国務大臣 あそこに書いてあります通り、今まで長期計画というのは二度いたしております。御承知の通り、その計画は二度とも五年計画でも一、二年、二、三年のうちに変わってしまう。その長期計画にかえてこれをやる。過去の実績から申しましても、閣議決定した五ヵ年計画というものは、決定はいたしますがその通りにはいっていない。またその通りにやるようにもしていない。これは単なる計画でございますから、閣議決定いたしましたが、この通りにいくものじゃございませんから、お読みになったように構想を立てて弾力的にこれをやっていく、前の答えと同じであります。
○淡谷委員 構想は構想です。しかし初めからやらないつもりの構想というものは価値あるはずがない。できるだけこの構想は実行に移す決意がなければ閣議決定はできないはずだと思いますが、総理は初めからこの構想はできないのだという前提に立って閣議決定をなされたのですか。
○池田(勇)国務大臣 ごらんの通り、これのうちには太平洋のベルト地帯というものもございますが、この通りにはやっていけますまい。また農林関係のところにおきましては、全体の投資が十四兆でございましたが、そのときに農林関係の分を一兆、こういっておりますが、この通りにいきますまい。だからこれは今までの長期計画にかえて、一応これは閣議決定いたしますが、別に所得倍増計画の構想というものも立て、そしてこれを参考にしてやるというので、この通りにやると閣議決定いたしておりません。
○淡谷委員 それはわかっておりますが、この国民所得倍増計画というものは最も実行のできる方法で立てられたものだと私は思う。初めからやらないつもりならば、こんな愚劣な話はございません。この通りやれとは申しませんが、できるだけこの線に近く実行しなければならぬというこの信念だけはなければならぬはずですが、その点をもう一ぺん確かめておきます。
○池田(勇)国務大臣 先ほど来申し上げましたように、企画庁から専門家に聞きまして一応案を立ててもらったわけです。この通りにやるというのではなく、これは参考にしてやるのでございます。従いまして、私はこういう計画も決定いたしましたが、別に九%の上昇でいこうということもいたしておるのでございます。この通りにやるとか、これより違ってやるんだとかいう、こういう問題ではない。これは参考としてやっていきますということで、今までの長期計画でやっているのと同じことなんでございます。
○淡谷委員 今までの長期計画と同じだったら、わざわざこういうふうな国民所得倍増計画案というものを打ち出して、これをキャッチ・フレーズにして国民をたぶらかす必要はないと思う。今までの長期計画でよろしい。なぜことさらにこういうふうな新しい所得倍増計画を出したのか。これは企画庁長官に伺えば一番よろしいのですが、きょうはかぜを引かれたそうでございますから、残念ながら聞きませんけれども、それじゃ一つあらためて伺いますが、この所得倍増計画に縛られないで、総理の考えておられます十年後における農業生産の伸びはどれくらいに押えられておりますか。
○池田(勇)国務大臣 誤解があってはいけませんからつけ加えておきますが、ここに書いてありますように、新長期経済計画というのが二度ございました。それにかえて今度は所得倍増計画というものを置いておく。今まで企画庁には昭和三十一年の暮れに作ったか二年の初めに作りましたか、新長期経済計画というものがあったわけであります。それが今ある。ずっと続いていっているわけであります。それにかえてこれをやる、こういうのでございます。なお、それには十年後の日本の産業のあり方も載っておりますが、私は、先ほど申し上げましたように、十年後の分はこれからの国民の努力と政府の施策とでいろいろ変わってくると思います。だからそのとき農業がどうなるかということは申し上げられませんが、他の産業とは違いまして、農業の伸び率というものは、その農業自体、原始産業自体の持つ自然的制約、経済的制約、いろいろな制約がございまして、他の産業ほどには伸びません。しかし他の産業が伸びますと、その方への労働人口なんかも移動がございますので、一人当たりの分は相当ふえて参ります。農業自体といたしましては、そういう倍になるということはなかなか困難じゃないか。しかし、それではどれだけふえるかといったならば、私は大体五割前後じゃないかという気持を持っておるのでございます。しかもこれが現在の米麦中心のあれでなしに、酪農その他畜産方面、果樹方面に非常な発達を見ればその割合は違ってくると思います。
○淡谷委員 これは、総理自身、農業生産の伸びが十年後には二倍にはならぬ、こう言われてしまえば実もふたもないのですが、一体これまでの過去十年間における現実の農業生産の伸びはどれくらいにつかんでおられますか。
○池田(勇)国務大臣 年によって違いますが、昭和三十年、三十一年ごろからは大体三、四%程度にいっておるのじゃないかと思います。
○淡谷委員 これは大へんずさんなつかまえようだと思いますが、農林大臣どうです。
○周東国務大臣 大体ただいま総理がお答えいたしましたように、今日までの伸びは三十一年——三十三年の基本年次に比較いたしまして、大体三%弱を年々伸びている状況であります。
○淡谷委員 総理もお聞きになったと思いますが、三%ないし四%というのと、農林大臣が言われました三%弱というのとでは、非常にデリケートなニュアンスの相違があります。二%幾らというよりは、三%弱といった方が総理の答弁に近いように思われますが、現実には三%に達してない。しかも三十一年、三十二年でしょう。その前十ヵ年間の伸びはどうです、農林大臣これをお答え願いたい。
○周東国務大臣 以前から申しますともう少し率が高くなります。何となれば、三十年、二十九年、二十八年におきましては、農業はほかに比較してよかった、生産を上げております。それから比較しますと、大体同じ程度かちょっと低いくらい……。
○淡谷委員 個々の年は問いませんが、過去十年間における成長率はどれくらいに押えられるか、従って年間の成長率をどれだけに押えられるか、これは一つ専門家としてお答えを願いたい。しろうと答弁では私は満足できません。
○周東国務大臣 大体私申し上げたように、年率三・五%前後が十年間の伸びです。これは年率ですから、合計すれば三五%という、これくらいの程度になると思います。
○淡谷委員 総理はその数字を甘く見ておりますが、総理は十年後には大体五〇%伸びを見ておる。農林大臣は三五%、これは一五%の相違ですが、違うのですか。違うなら違うように……。
○周東国務大臣 今あなたのお尋ねは、戦後における過去から今日までの十年間をお問いになった。だからそれをお答え申し上げたのです。今後の問題は新しい施策とともにどういうふうに持っていくか、こういうことに対しましては、農業の関係からいうと年率二・八%ないし二・九%になっております。しかしこれと関連いたしまして見のがすことのできないことは、一人当たり生産所得の増、生産性の向上ということは、淡谷さんも御承知の通り、年々他産業に吸収されていく労働力の減です。この農業就業人口の減ということは、これは大きく農業の所得に関係してくることであります。それが御承知の通り大体年率三十万ないし四十万程度で減になっておりまして、大体千万人か千百万人という形が十年後想像される農業労働人口の残です。そうすると、大体ここに年率二・九くらいの形で減って参ります。この合計が一つ考えられますと、あわせて伸びは五・八ということになって参ります。その点は大体合計いたしますと、五割、六割という形になると思います。
○淡谷委員 私はどうせあとでまたゆっくりと聞きますけれども、今は過去十年間における農業生産の伸び、同時にまた十年後における生産の伸びを聞いている。以前は高かった、最近は落ちている。このままでいくと、とても総理の言う五%ずつの伸びということはむずかしいのじゃないか。その点で、農業生産の伸びを十年後に五割増と押えられた根拠は一体どこにあるか、これは総理からお答え願います。
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたように、五割前後と申し上げましたが、それには前提があるわけでございます。米麦の生産ということに力を入れるよりも、収益率の多い酪農、その他果樹、園芸等に力を入れていくならば、大体五割程度の、五割前後の上昇を見込んでおりますと申し上げたのであります。大体一年の年率で逆算したらわかると思いますが、三%程度になっていくと思います。
○淡谷委員 これは現在までの農業の行き方や、現在までの農政のあり方では、とうてい五割の伸びさえも不可能と思います。当然そこには今を契機として農政の上に一つの転換がもたらされなければならないと思うのですが、今のままの伸びでいったならば、農林大臣、十年後にはどれくらいになりますか。今のままでいったならば自然増はどうなりますか。
○周東国務大臣 私どもの計画しておりますのは、今のあなたの御指摘の通り、現在のままの姿ではいけない。そこに大きく、農業に関しては、生産につきましては作物の大転換も行なわれなければならない。また農業それ自体の経営につきまして、近代化あるいは機械化あるいは協業化という方向をもって大きく生産性を高めつつ、しかも生産を単位面積からもよけい上げるという方向へ持っていくということを考えての、将来の伸びを考えておるわけであります。それで今お話の点でありますが、年率、農業生産から申しましても大体二・八の伸び、これがずっと十年後における総生産を見ますと、大体五割近くになると思います。
○淡谷委員 十年後には五割増産になりますか。二・八、十年なら、これは違うじゃないですか。二八%。
○周東国務大臣 それは生産それ自体は今申しましたような形でありますが、それに単位面積からの増を考えて、生産性の向上ということをあわせて考えたときに、大体の伸びは五割近くになっておると思います。
○淡谷委員 これは総理にまず伺っておきます。将来における農業生産の伸びということは、これからの農政のあり方にもよるだろうし、さまざまな自然状況にも関連があると思いまするけれども、一体総理が、常識で考えますというとどうしても二八%しか伸びない農業生産を、五〇%まで上げるという新農政の方針は、一体どこにありますか。特に総理はしばしば農業を企業として自立し得るような農業にしたいと言っております。総理の考えておる企業としての農業というものはどういう性格のものか、まず総理の構想を伺っておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 過去の実績が二・八%だから、今後二・八%以上にはいかぬだろう、またいってもそう大したことはないだろう、こういうふうなお考えのようでございますが、農業基本法等を制定いたしまして、今後うんと力を入れていくならば、私は十年後には五割くらいにいかしたい、それで施策を立てていこうといたしておるのであります。
○淡谷委員 これは私は決して新しい農業のやり方をやっても五割増産はできないとは申しません。さっき農林大臣には、現在のままの姿で十年後にはどれだけ伸びますかと、こう言っておる。これはあなたは二・八%ずつ伸びていって、何かにしまして将来は五〇%、こう言うのですけれども、一体その数字の飛躍はどうつかまえたらいいのでしょうか。
○周東国務大臣 その点は、お話は二・八を十倍して二八%という考えは持ってない。私は二・八の年々の増というものを、ある意味においてその年がふえ、またそのふえたものを基本として考えていくということを申し上げたのであります。それでもって大体五割近くの増になるということを申し上げたのであります。
○淡谷委員 これはこの前の委員会でも追及されまして具体的なお答えがなかった。それから本会議でも私の方の中澤茂一さんから本会議で質問が出まして、やはりお答えがなかった。この所得倍増計画の十年の年次の数字を出してもらいたいという切なる希望です。前の成長した分を加えるなら加えるでよろしいですから、十年間ですから、ここで一つ十年間の年次表をお読み上げ願いたい。
○周東国務大臣 ただいま所得倍増計画の中におきましては、十年後の大体の見込みとそれから現在の数字の二つしかございません。年次計画というものはまだ立てておりません。これは今後におけるいろいろな経済上の変化、あるいは毎年における増減もございましょう。その点は確定的に年次計画はまだ作っておりません。
○淡谷委員 どうもこんな大事な経済成長の数字を持っていませんでは、しようがないでしょう。現にこの前に中澤議員から本会議での追及まであったのです。それに対してまだどうも数字が出ていないというのは、農政に対する農林大臣の熱意のあり方を非常に疑いたくなってくるのです。できませんか。
○周東国務大臣 お答えをいたしますが、全産業を通じて、十年間における各年次の計算目標はまだできていないのであります。ただ目標としては、年率どれだけ増加させるかということについての目標からいたしますと、二八でございますと大体一三五、六になるでしょう。今後の問題といたしましては、結局生産そのものということをお考えになりますけれども、農家の所得を均衡せしめるという立場から考えまして、当然に農業政策としては生産の増強と、見のがしてならぬのは各農家一単位当たりの生産性の増ということを考えなければ、ただあなたのお話のように農業生産だけでは農家の所得を上げるわけにはいかぬのです。農家所得をいかにするか、また全体の産業における所得をどういうふうに均衡せしめるかということが問題であり、その前提として全体の産業それ自体の増ということを考えなければならない。ですから農業についてはさように考えております。
○淡谷委員 農林大臣は私の質問以外のことまで話しておられますけれども、質問にないことを答えて数字をごまかそうと思ってもだめですよ。年間二・八%の農業生産の伸びというものは、十ヵ年たつと決して五〇%にはならないということをお認めになりますか。三割四分、こういうのですから、前の答弁を取り消しなさい。
○周東国務大臣 お話のように二・八にいたしますと一三三・幾らになります。ただ農業については、先ほど申し上げたのは十年ではちょっとなんですが、十二、三年というように見ました。
○淡谷委員 農林大臣、巧みに身をかわすことは農民は知らないはずですが、さっきのあなたの答弁は間違いであったのでしょう。間違いで、今の答弁の方が正しいでしょう。その点をもう一回はっきり、あとのことは要りませんから、その点だけでもお答え願いたい。ごまかすのはやめましょう。お亙いに百姓ですから。
○周東国務大臣 年率二・八%の増加によりますと、大体一三三前後であります。
○淡谷委員 そこで総理に伺いますが、農林大臣は総理の言葉に合わせようと思って、大体五割いきましたけれども、三割三分しかいかないようです。そうすると一割七分は——総理がしょっちゅう言っております企業的に自立し得るような農業という構想に基づいて、十年の倍増計画が立っておると思いますが、倍増とは申しません。五割増でもよろしい。総理の具体的な農業構想の改革なり、あるいは所得倍増の具体的な計画なりをこの際お話を願いたいと思う。
○池田(勇)国務大臣 私は方針を立てて、そして具体的問題につきましては所管大臣に御検討願う、こういうことにいたしておるのであります。今私が十年で五割前後と申しましたゆえんのものは、過去の実績二・八%程度では、いかないことは当然でございます。これはそろばんですぐできる。そこで私がまず第一に申し上げましたように、非常にむずかしい農業につきまして、できるだけの力を入れて、年に二・八%ではなしに、三・五、六%くらいやっていくならば五割いける、こういう意味で、二・八%とか三・五、六%というのは、これからの努力でやっていくわけでございます。これからの努力によってやるというのはどういう方面にやるかということになりますと、企業形態の問題も出てきましょう。あるいは土地改良の問題も出て参りましょう。あるいは肥料その他いろいろな点が出て参りまするが、こういう点につきましては、今後御審議願います農業基本法並びに農業の機械化等等、万般の措置をとって——私は施政演説におきましても、農政、財政、金融、産業経済、そうして産業教育、その他万般の処置を講ずると言っておるのであります。今からこうやるああやるという具体的の問題は、農林大臣からお答えします。また農業基本法審議のときにも申し上げる機会があると思います。
○淡谷委員 どうも私この話からの当委員会における質疑応答を聞いておりますと、総理は大へん経済にたんのうで、経済はおれにまかせろとたんかを切っておられるのでございますから、数字は詳しいはすなんですが、事農業に関しますと、いつでも数字がぼやけて、大体やるのだとか、しっかりやるのだとか、りっぱにやるのだという抽象的な言葉ばかり出てくるので、まことに不満に思っておる。これは具体的な方針は所管大臣である農林大臣にあとで伺いますけれども、この十年後の伸びを三割三分あるいは五割と押えたことだけでも、私は総理から国民の前に対するはっきりした言明がほしいと思う。農民は今でも所得倍増を信じていますよ。あれほどうそはつかないと池田さんはおっしゃったのだから、国民の四割を占めておるわれわれ農民大衆の所得も必ず倍にしてくれるだろうと期待して待っているわけです。それを今この国会の委員会の席上で、十年後には生産が三割三分しか伸びない、五割しか伸びない、所得もそんなにふえない、こんなことを聞いたならば、あぜんとするだろうと思う。特に私考えますのは、農民の数は少なくはないのです。一割か五分の人間が所得倍増できないというならば、これはまだ逃げ口もあるでしょう。四割の農民が所得が倍にならないとしたならば、かりに五割しか伸びないとしたならば、あとの六割の国民だけで所得倍増の成果をおさめることになりますが、それでは分けてみますと、非農民の所得は十年後には何倍になるのです。その点もお聞かせ願いたい。
○池田(勇)国務大臣 私は選挙中その他の公約の場合に、農業所得が倍になるとは一切言っておりません。それははっきり言っておきます。そうして他の第二次産業、第三次産業につきましては、第二次産業は三倍くらいになるのではないか。第三次産業は二倍六、七になるのじゃないか。そこで農業は、私は常に五割前後と言っておると思います。だが農民一人当たりの分は倍以上にしたいのだ、こういうことを言っておるのでございまして、十年後に農業全体の所得が倍になるということは、絶対に言っておりません。その点は御了承を願います。
○淡谷委員 農民も国民ですからね。国民所得倍増と言うて、農民だけ除外されるということは不満です。国民の四割を占めております以上、農民にもやはり国民としての要求は十分あります。第一農民の所得が五割しか増さないなんということ自体が大きな不満なんですが、倍増計画と同時に、あなたは所得の均衡をうたわれているのです。農民を永久に所得不均衡のままにさらしておこうという意思はないでしょう。まずその前提として、非農民の生産の伸びが、あるいは所得の伸びが、どれくらいになっていくのか、十年後の見通しを聞きたい。
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げておるように、農業という原始産業が、十年で倍になろうなんということは、考える人がおかしな話なんで、それをそういうようにとるということが、農業自体を知らぬ人の考えることなのです。だから先ほど申し上げておるように、第二次産業は三倍前後、第三次は二倍半ばかり、そうして農業は五割前後しか伸びませんから、ここでできるだけ農業に力を入れていこう、こういうことを言っておるのです。しこうして片一方では第二次、第三次の方が労働力が不足いたしますから、農民の方々がある程度自分のうちから、あるいは居所を移して、第二次、第三次産業に円滑に行って、農業もりっぱな農業になり、他の産業もよくなることを考えておるというのが、私の常に言っておることで、間違いはございません。
○淡谷委員 農林大臣の構想はどうですか。
○周東国務大臣 私は先ほどから、ただいま総理からお話のあったことを申し上げております。農家の所得を均衡せしめるということが、従来からいわれておるのだから、農業だけからの伸びは今のような率でありましても、別に一人当たり農家の所得をいかにして上げるかということに思いをいたさなければならぬということは、先ほども私は答弁しております。つまりあなた方は農業によってのみ農家所得を大きく引き上げる、倍にする、これはなかなか困難であるということは、先ほどから総理も言っておるし、私も言っておる。従って私どもは農村における農家の所得を、いかにして他産業と均衡せしめるかということについては、農業それ自体から伸ばし得ることは、十分これに対しての新しい施策を立てるということが一方にあると同時に、現実として農村から労働人口が出ております。その関係におきまして、一人当たり所得の増加するということはどこにあるか。これはあなた方よく御存じの通りでありますが、他の産業における従業員、それがそのままの状態にあって総生産が伸びておれば、一人当たりの所得は多くなるということです、ところが農村におきましては、これも御案内の通り今日多数の零細農家がおりまして、それがやむなくわずかな農業所得というものを分け合っている。しかし幸いにして今日は大きく他産業が伸びて参りまして、その方に需要さるべき農業労働人口というものがあるのだからその面におきましては、労働人口を適正な形で職業教育をなしつつその方に移動せしめ、同時に、残る農村における農家の所得を上げるために、近代化あるいはその他協業化をやって、一人当たりの所得を上げるということは当然じゃありませんか。それを何も農家だけに限って、これは少ないからどうとかこうとかいう問題ではないのでありまして、そういうことによって、農家所得を他産業従事者の所得と均衡せしめるということが、これが私どもの前から考えておる内容であります。
○淡谷委員 私さっきから質問しておるのですが、どうも質問外の答弁が多いので論点がぼけるのです。農業所得と農家所得の違いというものは私も知っておりますよ。まだそこまで聞いていない。ただこれは池田総理にお聞きしたいのですが、さっきの私の質問の、企業的な専業農家というのは、一体どういうものです。総理はどう考えられます。
○池田(勇)国務大臣 理想的に申し上げますれば、米麦も作りますし、酪農もやりますし、果樹、園芸もやりまして、しかもそれが適正規模に行なわれることを私は考えておるのであります。
○淡谷委員 適正規模とは、幾ヘクタールと見てよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 これは米麦、果樹あるいは酪農との比率もございましょう。またその土地の状況によりましょう。そして面積その他も、やはり地方によって違いましょうから、一概にたとえば二町歩が適正規模か、あるいは三町歩が適正規模か、これはわかりませんが、ヨーロッパ辺におきまして、フランスとか、ああいうところでは七町歩くらい持っているようであります。
○淡谷委員 こまごましい点は、総理に聞くのは無理でございましょうから、あとで農林大臣に聞きますが、総理の専業農家というのは、労働力を他に売って、それで所得を増すという農家は入っていないはずでしたね。これは確めておきます。労働力を他の方に売って、それで所得を得るという農外所得兼業農家は、これはむろん専業農家の概念に入っていないはずでございましたね。
○池田(勇)国務大臣 今でもそういうふうな分け方をいたしております。
○淡谷委員 そこで総理の構想に従いますと、将来第二種兼業農家というものは残すつもりですか、残さぬつもりですか。
○池田(勇)国務大臣 そういうものは、残すとか残さぬの問題ではないのでございます。経済の変化によりまして、農民の方々が二反でも三反でも、あるいは一反でも作って、いわゆる日曜の農業ということもあり得ますから、これは政治で、第二種兼業はやめさすのだとかいうふうなことは統制経済の考えで、われわれ自由主義の考えから、そういうものは全然出てこないのであります。
○淡谷委員 それでは、倍増論がほとんど根拠を失いますね。それでは第二種兼業というものを農家と認められますか。
○池田(勇)国務大臣 そこで農家がどうなるこうなるというところで議論があるのですが、私は第二種兼業と申しましても、十年後の第二種兼業は、今の第二種兼業とは同じ名前でも変わってきましょう。たとえば全体の所得が二十万円、今は農業所得が九万円で非農業が十一万円、しかしこれが十年後になったならば、二十万円のうち農業所得が五万円で十五万円が非農業の所得になるようになるかもわからない。そうなったときには、これは農家として取り扱うかどうか、日曜農家というものを農家と見るか見ないか、こういう問題でありまして、そういうときには私は農家の域を脱したものと考えて言っておるのであります。
○淡谷委員 そこで農林大臣にお聞きしますが、第二種兼業というのは、農家所得と農業所得とが一緒になって辛うじて暮らしておる農家です。今のお話では、十年後における農民の所得を、農家所得がなければ五割増あるいは三割三分増にはどうしてもならぬといったようにとれますが、一体農林大臣は、将来ともこういうふうな農家に重点を置いて、農民所得を考えるおつもりでございますか、その点を一つお聞かせ願いたい。
○周東国務大臣 お答えいたします。ただいまの兼業農家のとる所得は、農業所得と見るか見ないか、こういうお話ですね。もちろんその農業所得の面からいえば、これは当然入って参ります。私どもは兼業農家たると、いわゆる自立経営をなし得る専業農家というものも、農業経営から上がる所得というものは、あわせて農業所得と考えております。
○淡谷委員 よく聞けと言うから聞いていたのですが、なかなかわからないのですけれども、農林大臣の構想は、農民の所得というような場合あるいは農家の所得というような場合、一体いつまでも農外所得を当てにするような農業の形態をもって日本の農政の中核を保っていくというようにお考えですかというのです。あなたのお気持を聞いているのです。
○周東国務大臣 私は日本の環境からいたしまして、理想的に言えば、農業を営む者は全部農業だけで自立し得るような規模及び経営の方法をとっていくことができるような農家が理想でありましょう。しかしこれは御存じのように、まず基盤の拡張をするにいたしましても日本の土地の状況なりあるいは地域的の相違とかからいたしまして、すべて農業だけで自立的にやっていける農家を急速にやっていくことは困難だと思います。 そこで問題としては農村における農家というものの所得をいかなる形で他産業に比べて均衡せしめるか、あるいは生活を向上せしめるかという問題につきましては、当然農業というものについての施策は十分にとりつつ、片や今お話の兼業農家にいたしますると、農外所得というものもあって、今日もそういう形で農村というものが形成されておる、将来に向かってはその点の関係は違っては参りましょうけれども、やはり農外所得をはずれて農家所得の全般を考えるわけにはいかぬと私は思います。
○淡谷委員 これは総理がそうお答えになるのは仕方がございませんが、少なくとも農林大臣ならば専業農家——農外所得に持たないで、農業の利潤によってのみ暮らし得るような農家を作ることが農林大臣としての理想でなければならぬと思うのです。これは急にはできない。急にはできないのだが、それに今なおぶら下がっているような形で基本法を打ち出すつもりですか。基本法を出すのですよ。基本法とは少なくとも将来における日本農政の理想的なあり方の基準を示すのが基本法です。理想が専業農家にあるならば、農外所得を当てにしないような農家にあるならば、少なくともあなたの所信としてははっきり農外所得によらなくても生活ができるような農家を作りますと言われることが私は本分だと思います。この点はどうでしょう。
○周東国務大臣 お言葉ですが、ただいま理想的にはその方向を考えますけれども、政治というものは絶えずあなた方が御指摘のように現実を離れては政治はないと思う。基本法に基づきまして自立し得る農業というものを確立するためにできるだけの施設はいたしますが、これは急速な年次においてはなかなか困難である。だからこれにつきましてはできる限りそういう方向へ持っていくことは努力いたしますけれども、急速には参らぬだろうということを申し上げたのです。
○淡谷委員 これはどうも総理が所得倍増論を打ち出した気持とは非常に違っているようです。総理はあくまでも均衡を保った所得を得させるために、自立し得る、企業的になり切るような農家を育成するんだということをしばしば言われていますが、今の農林大臣の答弁とはだいぶ食い違いますが、いかがですか。
○池田(勇)国務大臣 私は違わないと思うのですが、たびたび申し上げますように、近代的農業を打ち立てるということが第一の目標でございます。いわゆるりっぱな専業農家というものを育成していく。ただ日本の状況から申しまして、今の農家が全部専業農家になるということは、これは経済の伸展に伴ってそういうわけにいきませんから、第一種兼業、第二種兼業というものが相当ふえてくる。そういう場合におきましても第一種、第二種の方につきましても私は考えていかなければならぬ。しかし根本は、農林大臣もやはり企業として農業自体が成り立つようにやっていく、しかしなかなか地形の問題、経済の変化で今すぐそういうわけにいかぬから徐々にやっていこう、農林大臣はこう言っているように私は受け取っておるのでございます。
○淡谷委員 農林大臣にもう一ぺん確かめておきますが、理想として専業農家を育成するんだ、理想としてはどうしてもそこまで持っていくんだ、これは確かに現在の農業というものは農業だけではやっていけないことはわかっております。農政を論ずる場合に農政だけじゃだめだということも知っております。少なくとも農林大臣は農政を中心にしてお考えになるのが当然だと思いまするけれども、将来において基本法の精神にのっとって兼業農家はどういうふうに解消するか、この具体的な施策等がございましたらお聞きしたいと思います。
○周東国務大臣 農業基本法を制定した暁におきましても、専業農家、農業だけで自立する農家を作っていきたいということは当然でありまして、そういう方向に今規定は進めて参ります。しかし期間的に急速にいかぬ場合における兼業農家というものの存在はやはりやむを得ないと思っております。しかしその場合においても、兼業農家というものが、これは淡谷さん御存じでしょうが、従来兼業農家というものが一部農業をやりながら他産業に従事しておるということについては、農業の生産性からいうと宙ぶらりんになることが多いのです。手が回らぬとか、片方に入る収入が多いとかいうことで、こういう問題のときに、農業生産を高めるためには、兼業農家であっても農業の方に身の入るような方向は考えなければならぬ。そういう場合において協業化の問題なんかは急速に兼業農家になり得ない零細農なり、あるいは兼業農家の中にも農業の部門に対して協業化を促進して、その方を担当する人と、他の産業の方に動いていく人とが出てくるのではないか、そういうことを私は指導の上に現わしつつ農業生産それ自体、たんぼはたんぼとして最も効率的に使われるような指導を兼業農家についてもやっていきたいと思っております。
○淡谷委員 将来専業農家の自立農家を作っていくという構想はその通りでございましょうが、ここで総理に一つ伺っておきたいのですが、昨年の十二月十四日特別国会の当委員会ですが、愛知委員の質問に対する御答弁の中にやはりこの問題が出ております。そのときに総理の答弁で、「意欲的にと申しまするか、農業人口というものは半分あるいはそれ以下にならないと他との権衡がとれない、」ということを所得均衡の問題でお答えになっております。これは速記録に載っておる。そうするとこの所得倍増と同時に、均衡をとるという理念から言うならば、明らかに現在の農業人口を半分にしたいという意思をお持ちのようにとられるのですが、この点はどうです。
○池田(勇)国務大臣 私は先きほど申し上げましたように、自由主義経済のもとに立っているのですから、こうする、ああするという問題ではなく、こうなっていくように、ああなっていくようにということを考えておる。これが基本でございます。私は自分が意欲的にどうこうということは答えてないと思いますが、あとで速記録を見ます。従いまして今申し上げましたように、第二次、第三次産業がどんどん伸びていく、農業はその特殊性からいって努力しても五割前後だというときに、今の農民の方、その子弟の方をどうやっていくかという問題でございます。だからたまたま日本は第二次、第三次産業で伸びていきますから、円滑に、自発的に農民の方々がお移り願うような態勢を整えていこうというのが私の考えであるのであります。意欲的にどうこうということは、もしそういうことを使っておったならば私は心にもない言葉でございまして、常に私が言っておるのは、そういうようになるような環境をわれわれは作っていこう、こういうことが私の政治理念であります。
○淡谷委員 これは私はこだわるわけではございませんけれども、今の農民の農業人口、これを不足にするという構想を一歩誤るならばとんでもないことが起こってくるということを強く私は申し上げておきたい。これは私ども長い間農民運動をやっておった者は絶えず痛感したのですが、確かに日本の農業人口というものは今までも減って参りましたし、将来ともに減っていく傾向にあるでしょう。また減るべきものかもしれません。しかしどのような減り方をするかということは、これが大事なんであります。これは私から申し上げるまでもなく、百姓という言葉がそのままで農民という意味を現わしていないということは総理も御承知の通り、国民がすべて農業をやっておったら百姓ことごとく農民だということは知れ切っております。それは明治維新の場合九〇%まで農業人口が落ち、さらに今日四〇%まで落ちてきた。これは政治的な経済的な変革に相応じて農業人口が減ってくるのは、日本でも外国でも同じことでございます。しかし、何がこういうふうに農民に土地を離れさしたか、このことについては、私は、総理も農林大臣も慎重にこの農政の曲がりかどにきた場合にはお考えを願いたいと思うのであります。経済的な要因と申します。しかし、この経済的な要因の陰には明らかに政治的要因が加わっている。明治維新に日本に資本主義の芽が芽ばえましたときに、申すまでもなく、年貢と同じ重さを持っておった小作料の重圧がいかに農民を土地から離したかは、これは御承知の通りでしょう。私は今までも思い出しますけれども、秋になるといなかのおかみさんたちが、納屋に米を積んでおいて、片方は地主に納める小作米、一方は残る飯米、この地主に納める小作料の半分でも飯米に残されるならば、冬じゅう子供たちに腹を減らさせなくても済むと言って泣いたことを私は思い出します。しかし、民法はどうですか。凶作の場合でも、小作料に達するまでは飯米がなくなっても米を納むべしという規定だった。それに抵抗した者はみんな断圧を受けた。警察が動員された。で、このような圧迫があって初めて今日まで農業の人口が減ってきている。これは自然に減るなんと申しますが、自由経済の自然という言葉の中には、明らかにこうした権力の、あるいは政治力の圧迫なり作為があって農業人口が減るものだと私は考えますが、その点はどうですか。
○池田(勇)国務大臣 作為、権力ということに、私は賛成できませんが、経済の伸長から申しまして、私は自然の勢いだと思います。アメリカ合衆国におきましても、一九四〇年に比べまして一九五九年は、国民全体の二〇%農民があったのが九%に減っておるのであります。所得は倍になっております。しかし、一人当たりの所得は四倍になっておる。これが自然の勢いで、民主主義のアメリカにおきまして、権力を持ち、そうして法律でどうこうというのじゃなく、これは経済の伸展の自然の勢いと私は考えております。
○淡谷委員 私は、明治初年の農民に対する圧迫の手段と、これからの農民に対する圧迫の手段と同じ方法であるとは申しません。これは、確かに明治政府には若干の封建的な要素、あるいはある場合には強い封建的要素が残っておったから警察権力を使ったでしょう。今後、おそらくは経済人である池田さんの構想の中には、金力を持って農民を圧迫するという方向が出てくると思う。専業農家に対する政策、第一極兼業、第二種兼業に対する政策が一歩誤まれば、刀は用いませんけれども、金力を持ってこれを圧迫し、大地から引き離すという危険性が多分にあると思う。その点で、自然に減るんだろうという安易な気持を持たないで、むしろ私は意欲的に、この際日本の農業構造というものを進めてもらいたい。あなたは言わないといいますけれども、はっきり読みましょう。昭和三十五年十二月十四日付の議事録です。愛知委員の質問に答えまして、あなたははっきりこう言っているのです。「倍以上にするときに農業自体でどのくらいふえるかと申しますと、私の見通しでは、相当努力いたしましても五割ふえることはなかなかむずかしいのじゃないか。他の第二次、第三次産業は私は二倍半から三倍くらいになるのじゃないか、こう考えてみますと、意欲的にと申しまするか、農業人口というものは半分あるいはそれ以下にならないと他との権衡がとれない、これは非常に率直に常識的な考えなのであります。」こうはっきり言っております。
○池田(勇)国務大臣 私が言った、私の考えの根本はきょうお話し申し上げている通りであります。だから、そういう農民の方々が自然にいくようにその場面を作るということが政治の目標である、こう考えております。もしそれが違うならば私は取り消してもよい。私の根本的考えはそういうことであります。
○淡谷委員 この特別国会の速記録の条項をそれではお取り消しになりますか。きょうの発言をお取り消しになりますか。どっちですか。
○池田(勇)国務大臣 今の私の考えで、私もそのときにそういうように言ったと思いますが、前後をずっと読んでみて下さい。私は、法律的にあるいは権力的にこれを変えていこうという気持は毛頭ないのであります。
○淡谷委員 経済の力をもって意欲的に農業のあり方を変えようという構想はお持ちになりませんか。
○池田(勇)国務大臣 自由主義経済のもとにおきましては、私は、経済自体につきましての施策を講ずるだけであります。農民がそちらへいくように意欲的にどうこうということはございません。ただ、問題は、第二次、第三次産業をずっと伸ばすということは、これは自然的に移っていくものと、これは経済の原則と考えておるのであります。
○淡谷委員 そこまで入りますと、私は根本問題で総理と一つお話をしたいと思うのでありますが、一体日本の農業の現状では、自由主義経済にそのままさらしていって伸びるものですか、伸びないものですか。これは重大な一点ですから、責任のある御答弁を願いたい。
○池田(勇)国務大臣 これは経済政策の中で、原始産業につきましては、どこの国も自由主義経済のもとに助成政策をやっていることは御承知の通りでございます。
○淡谷委員 総理は、日本の農業を伸ばす上において、特に五割以上の格差があると見込まれております十年後における日本の農業を一日も早く他の産業と均衡をとらせるために、これはやはり自由主義において助成政策と申しますが、今日まで助成政策が行なわれてきたと思う。連続して助成政策というものが行なわれました。それが、さっぱり農業の生産が他の産業に比べて不均衡をなくしていない。思い切って、ここで曲がりかどに来た農政に対して強力な保護政策の必要があるべきものと思うのでございますが、これは農林大臣、どうです。必要ございませんか、保護政策は。
○池田(勇)国務大臣 施政演説におきましても私はっきり申し上げております、農政、財政、金融、産業、教育その他各般の施策を強力にやっていくということを言っていることは、これは言葉が当てはまるかどうか、保護政策とお考え下さってもよろしい。政府がそれだけ力を入れているということを私ははっきり言っているわけであります。
○淡谷委員 これは農林大臣一つお答え願いたい。保護政策を必要としますか。しませんか。
○周東国務大臣 ただいま総理も申しましたように、日本の農業のあり方といたしましては、まだまだ相当保護政策をとっていく必要があると考えております。 一言つけ加えますが、なるほど明治時代における、小作農時代におけるいろいろな小作料をもとにしての小作農家に対する圧迫はあったでございましょう。しかし、農地改革によって、今日、大体において小作農というものは、従来の形における小作農はなくなって——一部特殊なのが残っておりますが、大体においては自作農に変わっております。しかし、あれで一歩農政に対する改革は前進したのでありますが、私ども農政の立場から言うと、あの改革がそのまま、その以後において特殊な保護策がとられていない。つまり、自作農とはなったけれども個々の農家が過小農形態であるというところに、もう少しこれを考えていく必要があります。このことにつきましては、今後、基本法の建て方もそういうことを考えつつ、自立する農家の育成ということを各施策の上に表わしてやっていきたいと思っております。
○淡谷委員 すでに保護政策の必要が明らかにされた以上は話が進めやすいのですけれども、どうもあとの経済に巻かれて農民が削減するのではなくて削減されるのだ、ひとりでなくなるのだ、あるいはまた経済成長も他の経済成長に巻き込まれて伸びるというのではどうもたよりない。保護政策をとられるならば明らかに見通しというものを立ってもらわなければしょうがない。その見通しを立てる上において、さっきもちょっと総理が言われましたけれども、企業的に成り立ち得る農家の平均的な経営の規模、端的に言うならば、土地の必要性からきますけれども、土地は一体どれくらい平均二戸の農家に耕作さしたならば企業的な、かつ自立し得る農家ができると考えておられますか。これはもう基本的な問題です。
○周東国務大臣 一番大事な経営規模、農地の面積についてのお尋ねでありますが、これは私は、日本全国を一律に幾らがよろしいかということを決定することは困難だろうと思います。中国地方あるいは東海道地方、東北、北海道というようなところも違いましょうし、今日までの水田経営を主とする地帯、それと畑作経営を中心とする地帯といろいろ違っておると思います。またいわんや、それに対しての経営なり、これからの近代化政策をどうとるかということについても違って参ると思いますが、その前提のもとに今までよく比較されますのは、淡谷さん御承知の通り、一番いいのが一町五反程度の農家と、第二種兼業の五反歩と他の兼業で収入を得ている農家が大体生活水準はよくて同様な格好にある。これは一つの例であります。しかし私は先ほど申しましたように、一町五反が全部いいのか、あるいは二町五反になるか、五町になるか。これはもう少し検討をさしていただきたい。これはいずれ御審議をいただきまする農業基本法中に将来における規模をどうするかということについての問題は、審議会等を通じて、その参考案を検討するということになっておりますから、さよう御承知願います。
○淡谷委員 これは総理にお聞き願わなければいけないのです。きょうは迫水長官がおいでになっていれば一番よろしいのですが、かぜ引きではしょうがありませんから、総理に聞いていただきますけれども、この「国民所得倍増計画」のうちの——勉強の便宜のためにページまで申しますが、五十四ページの一番下あたりにこういうことが書いてある。大事な点ですから少し引用さしてもらいますけれども、「農業の近代化は、経営の企業的確立ということにつながる。そのためには、他産業部門の所得水準と均衡のとれた農業所得を確保できる自立家族経営の育成と低い生産性の零細家族経営の協業化によって能率の高い経営を育成することが必要となる。」この場合、一行置きまして、百万戸ほど計画に入れておきました自立家族のためには耕地面積を二・五ヘクタール、労働力三人、こういうふうな構想があります。そして経営能率を正常な技術的水準とともに持たして年間百万円以上の粗収益をあげ得るものを自立家族経営に認めている。同時に、この零細農を協業せしめて、この場合には「十年後には次のような姿を想定できよう」とまでいっているのです。「水田協農においては経営面積二〇〜四〇ヘクタール程度、畑協業においては四〇〜六〇ヘクタール程度になり、いずれも二〇〜四〇馬力の大型トラクターが導入されるであろう。また畜産経営は最低乳牛で三〇〜五〇頭程度、肉豚で一五〇〜二五〇頭程度、果樹経営は一〇〜一五ヘクタール程度の近代的農業が行なわれうる経営単位となろう。」こういうふうな計画があるのですが、これもやっぱり経済企画庁が勝手に作った構想であって、総理大臣並びに農林大臣はこれは責任の持てない計画でしょうか。これは農林大臣からはこの間答弁でお聞きしました。大体こういう構想があるようです。総理大臣はどうですか。
○池田(勇)国務大臣 二・五ヘクタール、三人就業ということは、私は全国平均からいいますと大体その程度じゃないかと思います。しかも、その二町五反のうちで、どういう作物をやるかによってまた違いましょう。だから二・五ヘクタールということは全国的平均の数字だと思います。従って私は、地理的条件の悪いところはこれだけではいけますまい。全国至るところ果樹と酪農とが同時にできるところということはないのでございます。大体の考え方としてはこれは適当じゃないかと思います。
○淡谷委員 この考えが適当であろうというのであれば、百万戸の農家が二・五ヘクタールの土地を耕しますと、土地は一体どうなります、どこから持ってきます。
○周東国務大臣 お尋ねがそこに来ると思っておりましたが、問題は、これはただいま総理答えましたように、私どももこの計画というものは一つの理想的形態と思います。そこでこれを実施するに当たりますについては、今度の予算で御審議をいただいておりまする農業近代化に関する調査、地方的にいろいろ調査計画を立てさせる予算があります。大体全国九十二カ町村に計画を立てさせる、同時に五百町村くらいは予備調査をやらせるというようなことになっております。そういうことに地域的にいろいろな問題がありますけれども、たとえば規模面積はどうなるか、こういうふうな形で一体各地方とも進み得るかどうかというようなことの調査の結果を待ちまして、土地についてどうするかという問題になっております。百万戸二町半というものになれば、お説の通り二百五十万町歩要ります。それについて、現在六百万町歩であるが、次のお尋ねは、当然現在の既耕地の中からどこかを取り落として、それを持ってくるのかという御質問があると思います、先回りをいたして非常に恐縮ですが。そこで問題は、あなたの方の今後における増反、開墾、干拓をどうするかという問題に触れてくると思います。私は昨日も申し上げておりますように、この所得倍増計画に表われておりまする農業に関する公共事業関係のいわゆる資金なり計画というものについては、企画庁長官からもお答えをいたしましたように、ある程度幅のあるものであります。従って、そういう面を考慮いたしまして、さらに調査の結果、増反、開墾、干拓等についてどうするかということをきめたいと思っております。
○淡谷委員 農林大臣、残念ながら質問は別の方向なんです。あなたの想像とは違います。というのは、二・五ヘクタールの農家が百万戸作られるのははっきりしているのですよ。この大きな土地を有する協業体を、酪農、果樹その他水田等に至ってどれくらいの数を作ったならば、日本の現在持っております農業生産の維持ができますか。
○周東国務大臣 これはまことにむずかしい問題で、ただいますぐにお答えを差し控えたいと思いますが、私が今申しましたように、農業近代化に関する計画、企画を、地域的に調査計画を立てさそうと思っております。その上で協業の場合においてどういうふうな形をとるがよろしかろうか、それは果樹の協業化あるいは畜産についての協業化、畑地の協業化、水田の協業化という問題について、私は的確な答案を出して対策を立てたいと思っております。
○淡谷委員 どうも少し受け取れませんな。農業生産の最も重要な基盤をなすべき土地の所要面積が明らかにならないで、それで一体十年後の農業計画が立ちますか。しかも農業基本法を作るというのですよ。将来新しい方向で打ち出す農業の必要とする農地面積さえつかみ得ないで、どうして一体基本法が作れます。これは机上の空論じゃありませんか。農業にとっては、一番大事なのは土地の面積です。所有する土地です。この問題を一体どう解決をつけるのです。
○周東国務大臣 その点は、ただいまの所得倍増計画等に表われておりまする畑地、水田というものの関係は、十年後においても一応の形は大体現状と大差はないのであります。従って今の協業によってある場合は面積が出ておりますが、それぞれの面積をとりましても、一応今の考え方からいくと、十年後におきましても、六百万町歩を前後すると思います。しかし私が先ほどから申し上げているのは、この六百万町歩の現在ある畑地、水田だけで一体いいのか。これに対して、もう少し要るのではなかろうかという気持はいたしておりますけれども、そのことは単に面積を増加いたしますことだけが、農業生産の増をするのではなくて、土地改良等によりまして、現在の面積の単位収量、生産性を上げるということが、これは淡谷さんも御承知の通り、面積を拡大したと同じことになるわけであります。そういうことからいたしまして、今日におきましては、一応所得倍増計画におきましても、現在の六百万町歩前後ということが目標になっております。もう少し具体的に掘り下げた上に、地域的、地方的の問題も考えなければならない、また産業別にいかなる形をとるべきかということを考えなければならぬのでありますから、その上で、私は、基本法を作りましても、その基本法に基づいて、農業基盤の育成ということに対して規定を置きますとか、新しい検討の結果増加をする現在の土地、それの土地改良等における実質的な面積増に加えて、どれだけの面積を増加すべきかということは、地域的に考えを出していきたいと思っております。
○淡谷委員 どうもそう言われますと、私、農林大臣に一戦をいどまざるを得ないのです。単位生産の問題と言いましたが、今の単位生産というのは、単位土地の生産ですか、あるいは単位労働力ですか、どっちですか。
○周東国務大臣 ただいま申し上げましたことは、土地の生産性を上げることであります。
○淡谷委員 あなたはこれ以上日本の農業を土地生産力にたよってのみ出そうとするのですか。あるいはまたこの農業生産の上昇を、土地の生産力を高くすることによってのみ求めようとするのですか。
○周東国務大臣 私は、だたいまも説明をいたしておりますように、これからの農業生産を上げる農政の行き方としては、単に土地の生産性を上げることだけではありません。しかし、あなたが今面積の問題にお触れになりましたから、これはただいまの計画としては六百万町歩前後でありますけれども、これは単なる土地の面積の拡大だけでなくて、実質的に増加になるような土地改良をも含んでおりますから、さらに増反等の関係の必要な問題につきましては検討の結果お答えをする、こう申し上げておるのであります。
○淡谷委員 農民は人にて作り米を作る道具なりという時代は過ぎているのです。農民が非常な過重な労働をしいられてきたのは、土地が狭いからなんです。土地生産力は高まりましたけれども、一労働力単位の生産力が高まらないから農村の貧困がある。従って、今までの農地をただ保有するだけでは、少なくとも農民の生活を高め、農民の所得を高めるためには、意味のない政策である。むしろこの際この労働生産力がもっと高くつくような、そうして所得が多くなるような土地を広げる構想を盛り込まないと、私はこれは基本法が基本法にならなくなると思うのですが、一体今度の基本法に土地をもっと広げるという構想がございますか。
○周東国務大臣 もちろん基本法の中には、農業基盤の拡大という文字を使いましたか、基盤の造成という字を使ったか、入っております。
○淡谷委員 農業基盤の造成というところは、土地をもっと開墾するのだ、耕地を造成するのだ、こういうふうにとってかまいませんね。これは念を押しておきます。
○周東国務大臣 もちろんその中には、開墾、干拓等のふえる部分と、土地改良あるいは土地の交換分合等による農業基盤の整備というものは、入っております。
○淡谷委員 交換分合を考えられておるようですが、そこでお聞きしたいのは、第一種兼業、第二種兼業、このどっちの兼業を新しい工業労働力に動員しようという構想をお持ちですか。
○周東国務大臣 その点は、私どもから強制的に、どっちのところからだれに行けというようなことを考えておりません。産業の成長度の高い今日におきまして、できるだけその方に向かっては自主的に行きたい方向へ行けるような施設を、職業訓練、技術訓練等をやって向けていこうと考えておりますから、第二種兼業か第一種兼業かということを特に私どもは考えておりません。
○淡谷委員 三十五年度には二町五反歩以上の農家は幾らありますか。三十五年度において二・五ヘクタール以上の農家というものは何戸ありますか。これを専業、第一種兼業、第二種兼業と分けてお答えを願います。
○周東国務大臣 事務の方からお答えをさせます。
○淡谷委員 もう一ぺん。何と言われたのですか。あまり与党席がわやわや言うものですから聞けなかった。
○周東国務大臣 事務の方からお答えをいたさせます。
○昌谷政府委員 お答え申し上げます。昭和三十年度におきまして、約五十二万でございます。
○淡谷委員 それは専業と第一種兼業、第二種兼業では、どこに属しますか。
○昌谷政府委員 今直ちに出ませんが、ただいま申しました二町以上はおおむね専業農家だと心得ております。
○淡谷委員 農林大臣、お聞きの通りです。現在では五十二万、あと十年の間にもう五十万ふやさないと、この計画はできない。この五十万農家に二・五ヘクタールの土地を保有させるのは、新規な土地造成によりますか、現在の耕地をそっちの方に交換分合させますか。どっちに重点を置きますか。これは農政の問題です。
○周東国務大臣 これは現在の耕地の中から他に転業したというものがありますれば、当然その方から吸収をいたすことでありますが、同時に、先ほども申しましたような考え方において、新規の開墾、干拓というものが今日行なわれております。そういう面につきましては、そういう方向へ処置をいたしたいと思っております。
○淡谷委員 そこで他に転業したいと希望する農家ということをいいます一が、これは大体現われてきているのです。第一種兼業、第二種兼業、専業のうちで、ここ十年の間に下降線をたどっております業種と、上昇線をたどっておる業種がはっきりわかっているはずですが、これをお答え願いたい、専業、第一種兼業、第二種兼業で、多くなっている農業と少なくなっている農業とあるはずですが、この数字を出してもらいたい。三十五年度までのものを出してもらいたい。
○周東国務大臣 大体先ほどの統計から見ますと、専業農家は今足踏みの状況ですが、兼業にいたしますと、第一種兼業の方が動くのではないか、かように考えます。
○淡谷委員 もう一ぺん確かめますが、第二種兼業が離農する傾向が多いのですか、残る傾向が多いのですか。どっちですか。
○周東国務大臣 今日のところやはり第二種兼業の方は残るのが多いのじゃないかと思います。これは先ほどちょっと触れておきましたが、実際の農村における生活の実態を調べてみますると、第二種兼業の方と、——それは全部一律にはいきますまいが、大体第二種兼業と専業農家の一町五反程度の農家の生活水準と同じような格好になっております。それは私さっき申し上げましたが、一部農業を営みつつ他産業からの収入を得る第二種兼業の方がふえていく傾向ではないかと考えております。
○淡谷委員 そこで第一種兼業がだんだん減っていくというこの趨勢をこのままにしておきますというと、土地を非常に少なく耕作をしております第二種兼業よりも比較的土地の多い第一種兼業が土地を離れる傾向が強くなります。これは総理の構想では、第一種兼業のうちで自立し得るものは専業農家に持っていきたいという構想を持っておるようでありますが、ほうっておきますと、見込みのある第一種兼業がなくなりまして、全然自営する見込みのない第二種兼業だけがふえるという非常にかわった形の農業が現われてくる。これに対して黙って見ておりますか、何か打つ手がありますか。
○周東国務大臣 お話の点はごもっともであります。私どもが自立農家を育成していきたいというものの中には、現在の専業農家ももちろんその育成の対象の中に入ります。一番中堅となっておると思われる第一極兼業からもそれを自立経営をなし得る形に育成をしていくことが必要だと考えております。
○淡谷委員 この所得倍増計画の中の協業形態に積極的に第一種兼業、第二種兼業を盛り込んでいきますというと、私は脱落していく数がずっと変わってくるのじゃないかと思いますが、その見通しはどうですか。どうも今のままでは食えないからやめるのであって、もっと正しい農政の方向が打ち出されて、いわゆる協業といっております大きな形の近代農業が発足しますと、農民が土地を離れていく率がずっと減ってくるだろうと思いますが、この点はどうですか。
○周東国務大臣 その点は先ほど他の問題のときに触れておいたつもりですが、協業の形態をとるというものの中には専業農家での零細農家もあります。同時に兼業の農家に対して、農業経営部門に対して協業というものが起こり得るだろうし、またこれは指導もいたしたい。これは先ほどお答えをいたした通りであります。
○船田委員長 関連質問を許します。横路節雄君。
○横路委員 関連して——先ほど淡谷委員から所得倍増計画のうちの十年後の農業部門について質問しましたように、この中では平均して耕地面積が二・五ヘクタール、労働力三人からなる正常な技術水準及び経営能率を有し、年間百万円以上の粗収益をあげたもの、それが大体自立家族経営百万戸だというので、それとの関連で昭和三十五年度では二・五ヘクタール以上の土地を持っておるものは何戸あるのか、こう聞いたのです。そうしたら五十万戸だと答弁した。これは全く違いますよ、五十万戸というのは。私はこの間委員部の方へ要求をして、農林省の統計調査部で作った農林水産統計というのを持っておるのですが、これを見ますと、このうちの三十五年度都道府県別経営耕地面積広狭別農家数というので、二町から三町までが二十三万二千百九十二戸、三町から五町までが九万一千百十六戸、五町以上が六千三十一戸、従って二町以上を全部入れてもどれだけになるかというと三十八万戸。ところが、二町から三町というのが二十三万戸ある。一体これはどの程度の区別になっておるかというので、農林統計協会で、これもおそらく昭和三十年の今、私が申し上げました統計表から引用したものだと思うが、この中に昭和三十年の経営階層別専兼業別農家戸数と耕地面積というので、そこに専業第一種、第二種と全部分けて書いてある。そのうちの二町から二町五反、それから二町五反から三町というものを両方分けてみて、今私が申し上げた二町から三町までの二十三万戸というものは、概算して二・二ヘクタールから二・五ヘクタールまでが十三万戸、二・五ヘクタールから三ヘクタールまでが十万戸、こういうふうに概算するのが私は正しいと思う。そうすれば今政府側が答弁した五十万戸というのはうそで、これはあなたの方から出した統計によれば、二・五ヘクタール以上は三十五年の調査に基づいて二十五万戸。そこで問題なのは、二・五ヘタタール以上が今日五十万戸あれば、なるほど十年後においては百万戸の自立家族経営にするということはできるかもしれない。それが今二十五万戸しかないとすれば、その四倍の百万戸というのはどうやってできるのか。その点をただ数字をここでもって出されて、五十万戸だから十年後には何でも倍の百万戸になるだろうというので、そういうことで百万戸から逆質して大体五十万戸だという、そういう答弁はいかぬですよ。やはり国会の答弁はもっと正確な数字に基づいて、しかもこれは所得倍増計画の十年後における粗収益を百万円以上上げる、二・五ヘクタールを持つ自立経営の農家の戸数は何戸であるか、百万戸と書いてあるが、百万戸に達するかどうかという質問をしておるときに、五十万戸であるか、二十五万戸であるかということによって違うのです。そういう基礎的な数字を間違ってここで出して、いかにも今日五十万戸だから十年後には百万戸になるだろう、そういう説明なり答弁は非常にいかぬですよ。訂正してもらいたい。二十五万戸であるならば百万戸は困難である。どちらなんですか。私の方はあなたの方からいただいた資料でやっておるのですよ。昭和三十年の統計ならまだひどいですよ。私の方はあなたの方からいただいた昭和三十一年の統計でやっておるのですよ。もう一ぺん答弁をしていただきたい。
○周東国務大臣 ただいま事務の方から御答弁いたしましたのは、大体二・五ヘクタール平均、こういうふうにとったようであります。そこで五十万戸とお答えしたようであります。ただいま横路さんの御指摘のように二町五反以上ということになりますと、お話の通りであります。
○淡谷委員 どうも農業の基本的な憲法を作るという意気込みでかかっておられます農業基本法も、これではまことに数字的に言ってもおぼつかない気がするのです。五十町歩と十町歩が間違っておる。そうすると今後造成する土地の面積も変わってくる。一体農林大臣は、農業をやめる希望のある農民はやめさせるというお答えですが、だれも希望しなかったら今の農業人口はそのままにしておきますか。
○周東国務大臣 お話でございますが、現実の問題として今日年々農業の移動をしておるのが三十万ないし四十万あります。このことは何といたしましても農業に対する現在の収益その他の関係が少ないためということにも原因がありましょうけれども、大きく伸びる産業というものに従事したいという希望も相当あると思います。で、理論的に今お話のようにここでいやだと言ったらどうするかという話が出ましたが、これは最近三ヵ年間の状況を見ましてもそういう状況にあります現実をとらえて、私どもはそういう場合にもできるだけいい場所にうまく移動できるように一面には考えつつ、国内における農業に対する自立経営農家の育成に努めたいと思っております。先ほど申しましたように私は所得倍増計画に現われておる、今御指摘の協業体における面積なり、あるいは自立経営農家に対する一つの見方、私もこれは一つの理想だと思っております。私それを繰り返えし申しましたのは、新しくとれた予算におきまして、地方ごとに農業の構造改善に関する計画を立てさせるという予算をとっておりますのも一つの理想形態ではあるけれども、これをいかにして実現していくかということについて、また土地の問題あるいは農家の地方的な実態を考えまして、しっかりした見通しを立てた上にこれを修正をする必要がある、こういうことを申し上げておるのは、単に現実に出たらこれが一歩も変わらぬものだということじゃないということを先ほど繰り返して申した。それほど楽なものじゃないですよ。二と二と足して四になるような計画ができますならば淡谷さんも御苦労はないと思いまするし、私どもも苦労はせぬ。そこに農業の問題というものは非常にむずかしいものがあるということを御存じの上に立って——私どももこれは初めて着手することです。これから農業基本法をもってこれをやるについて、あらゆる問題を的確に調査の上で進めていくということが、今後十年後の農村のほんとうのあり方をきめるものだと思う。これを今日数字の上で一応の目標を立てたといっても、その通りやらぬからどうかということのおしかりは少しきついと思う。私はこれは麦作の転換にいたしましても、この転作をするということは、ほんとうに農民の利益になるのだということの理解を求めていかなければなかなか確かによいことでも実際に実行はむずかしい。そこで大きな協力を求めて実態を話して、そして悪いところはさらに直していくという形で持っていくのでなければいけないのじゃないか、私はこういうふうに考えております。
○淡谷委員 どうも長々とお説教でございますけれども、私はそこを聞いておるのじゃないのです、ほんとうの話は。一体農民が農業を離れるというのは、農政の側に責任がないかと聞いておるのです。ここで農政を変えるというのでしょう。今までの農政のいき方が悪いから、農業基本法を作って新しい農政に発足しよう、企業的にもまた専業的にもなし得るような農業を作っていこうというのは、これは池田総理の構想でしょう。この新しい構想で発足した場合に農民の土地を離れようという意欲に変化がありますかありませんか、ないならば意味がないのです。
○周東国務大臣 的確な計画が進められて、それを見て、おれは残る方がいい、そういうことになれば、あるいはとどまる者がふえるかもしれません。しかし、そのことはやはり将来に対する計画の変更を伴うものだと思うのです。現在私どもが自然の流れに従って三十万ないし四十万と動いているものを想定して考えておりますが、ただいま淡谷さんの御指摘のように、計画というものはしっかり経済的にも実態的にも合うような計画が進められたときに、おれは農村に残りたいということになれば、おのずから三十万、四十万の労働移動というものは数が変わって参ると思います。そうすると、おのずからそこに農業の新しい計画にさらに改善を加える必要が当然起こって参ると思います。私どもは、その意味におきまして、あくまでも農家所得の増になるようにあらゆる点から考えて施策をしていきたいと思っております。
○淡谷委員 新しい基本法に、農業をやめようという農民を援助し、支援するような構想が入っておりますか、あるいは農業をやめやすくするといったような政策が盛られていますか。
○周東国務大臣 的確にやめたい人に援助するというような形には書いてなかったと思いますが、現在の他産業における労働の吸収というものと労働移動の現状を考えて、それに対して適当な施策をするというような趣旨は出ておったと思います。
○淡谷委員 何をやろうというのですか、具体的な方法は。
○周東国務大臣 これは予算等の施策に現われておりますように、他の方へ移動していくべき農村の農業労働者に対して、職業教育、技術訓練というふうな問題を考えております。
○淡谷委員 従来の農政は、農民の離村をとどめる方向に向いておった。今度はむしろ農民の離村を勧める方に転換を見ておるようでありまするが、基本法の制定に先立って、こういうふうな離村をする農民に対する対策というものに変化を来たした理由はどこにございますか。
○周東国務大臣 私ただいまちょっとつけ加えておくのを忘れましたが、原則としては、新しい農業のあり方によって、農村にとどまるべき中堅的な農民を農村に確保することを必要とし、それとあわせて他産業に移動したいという希望者に対して措置を講ずるというような書き方になろうと考えております。原則的には、できるだけはとどめたい、こういうふうに考えております。これはあくまでも現実に即した形でやっていきたいと思います。
○淡谷委員 端的に伺いますが、所得倍増に関連して、所得均衡もはかろうという構想のもとには、将来農民の数は減った方がこの施策はやりやすいですか、減らない方がやりやすいですか、どっちがやりやすいですか。
○周東国務大臣 私は問題としてやはり日本の農業というものの将来の生産の需給、こういうものが一つの限度になると思う。これはいかに土地をふやし、生産をふやしても、その生産した物が内地及び外地ともに需要が増進するのでなければ、せっかくたんぼを作って、そこで増産をしても、これは私はかえって農家に迷惑をかけるものだと思います。あくまでも問題は、農業所得を上げると申しましても、農業生産から上げるべき生産の転換とか、農政の基本は、農家が将来困らないように、将来十年後における需給の見通しを立てた上に立って、私は生産を指導していくべきだと思います。だから今の御質問に触れますが、もし理想的にあなた方のお考えを敷衍するならば、六百万農家というものをそのまま残して、そうしてこれに、たんぼを今のままでいかぬならば、設例でございまして失礼でございますけれども、逆に今の倍ほどたんぼを持たせたならば、現在の農業所得というものは、ラフな考え方ですが、倍になる。しかし、そういう考え方は、将来の内地、外地に対する需給を考えた上で、私は困難ではないかと思います。そこで、そういう需要供給の上に立って、でき得る限りは農業所得を増加する、そういう場合に今のままに数を残して生産を倍増する方向を、たとえば今言ったようなラフな考えでございますが、設例でございますが、土地を倍にしていくのがいいか、あるいはその限度に即応して農民の数が自然に減少していく、それをできるだけ有利に転業させる方がいいかということは、私はよく考えてみたいと思っております。そのことは、日本の経済というものは、あくまでも農業が全体の経済の中の一環として、これの所得の増大をはかることは、国民所得の面に対しても、国民経済の上からいっても必要であります。しかし他の産業の発展ということと関連して、当然農村というものがよくなる部分もあると思います。そこらがある程度相関関係を持つものと考えます。従って、農村の人口が減ったがいいか、あるいは増加したがいいか、現状のままでいいのかということは、それらの点が農政の基本になると思います。
○淡谷委員 農林大臣は、人口は減っていくのだけれども、農家は減ってない、一農家の構成人員は減るだろうけれども、農家は減っていかない、一体こういった現象をどうつかまえますか。
○周東国務大臣 御指摘のように、三十年から三十五年の間における農業労働人口は減りましたが、農家戸数の減はわずかに二万戸足らずだったと私は記憶します。そういう点で御指摘の点がありますが、この点につきましても、現在まではそうでございますが、多少将来においては農家戸数にも影響が起こってくるのじゃないか、こういう点を私は心配しております。これは淡谷さんも統計は見ておられると思うのだが、少なくとも今日まで学卒の農村にとどまっておる状態を調べてみますと、高等学校とか中学校を出た者が大体八、九十万あったと思います。その中の半数がかつてはとどまっておったと思います。今日は二十万前後という格好になっております。また農業専業者というものの、農業に従事したものが一たん外に出て、また今度逆に帰ってくるものが十万、出るものが二十万、差し引き少し差がありますけれども、こういう状態は今日までのところ、御指摘のように戸数の減は少ないようでありますが、あるいはこのままにしておけば、そういう点では戸数も減ってくるのじゃないか。ただよく言われる、そういう場合において、かくすれば農家というものは老人、婦女子だけになるのじゃないかという御指摘かもしれませんが、私どもはその残った二十万の学卒者というものは筋金入りのしっかりしたものである、こういうことを考えつつ、そういうふうに減れば減るほど、農家の農業経営というものは、近代化あるいは機械化による能率を上げるような形に持っていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。
○淡谷委員 人口が減っていくけれども、農家が減っていかないということの中に、これはやはり総理にも聞いてもらわなければならない非常に大きな経済的な面があると思います。これは農家のうちでも、食べものは自給して現金収入は農業以外に求めるという経済体系ができてしまっておる。これが非常に安易な行き方になっておる。従って親なり長男なりが農耕をやって、次男、三男は給料取りになるという形態が、第二種兼業農家の最近の傾向なんです。経済が苦しいからだ。一方は低賃金で、一方は農業所得が少ない。この低賃金と農業の低所得を温存する形が露骨に現われたのが、第二種兼業の増加であります。人口が減っても農家が減らないという厳然たる事実なんです。これに対して一体総理は将来十年間の構想でどういう変化を与えようとなさるか。このままでいくならば第二種兼業はもっとふえるでしょう。あなたは無理やりに第二種兼業から土地を奪って、それを大きな協業なりあるいはまた二・五ヘクタールの専業農家にやろうという構想は、おそらくお持ちではないでしょう。これは大へんなことになります。むしろ少ないならば大規模に土地を開墾して、あるいは農地を造成して経営規模をふやそうという気持をお持ちだろうと思いますが、この第二種兼業の土地まで奪っていこうという残酷な気持はお持ちにならないと思う。その場合に、第二種兼業が今のままで残るならば、やはり低賃金と農業低所得の温床になる。これは戦争前には日本の兵隊を強くし、日本の国を富ませるという名目で低賃金と艱苦欠乏に耐える農民が育成されましたが、今後経済の発展、所得倍増の構想にのっとって、低賃金と農業低所得が依然としてこのままで残されるならば、これはゆゆしい問題だと思いますが、その点に対する総理のお考えを聞きたい。
○池田(勇)国務大臣 農業経営の変化は、御承知の通りイギリス的に専業農家ばかり、ほとんど専業農家というふうな形態、そうしてあるいはドイツ、フランスのように専業農家ももちろんございますが、兼業農家もある。日曜農業というのは、ドイツなんかで言われておることでございます。しかし、これは経済の高度成長の過程でございまして、そうしてまた農家の収入をよくする上に、これは私は自然の成り行きだと考えております。いいか悪いかという問題はまた別個に、そういうふうになっていくべきものと私は先進国の状況を見まして判断しておるのであります。
○淡谷委員 これはこの間の中澤茂一君の本会議における質問の答弁でございますが、総理は、自分の農業政策としてこんなことを言われているのです。「今の日本の状態から申しまして、農産品に対する需要の関係、そしてまた、他産業の労働需要の増大等と見合いまして、農業がりっぱな企業として成り立つようなものにしよう、これが私の農業政策でございます。」「農業自体の所得はふえませんが、農家所得がふえるような方向を出したいと考えておるのであります。」こういう御答弁であります。この場合に、農業がりっぱな企業として成り立つという構想と、農業自体の所得はふえませんが農家所得がふえるような方向を出したいというのは、明らかに矛盾した考え方ではありませんか。一方には専業農家を作り、一方には兼業農家を残すというような、非常にこれは矛盾した考え方が出てくるようでございますが、これは一体どうなさいます。
○池田(勇)国務大臣 矛盾していないと思います。そういうふうな格好を日本としてはとっていくと私は考える。だから専業農家は専業農家としてりっぱな企業として成り立つようにしていく。しかし専業農家ばかりというわけにはいきますまい、将来はいざ知らず、何十年後はイギリス流になるかもわかりませんが、ただいまのところといたしましては、りっぱな専業農家を育成すると同時に、兼業農家もやはり自然の勢いとして出てくる。これは私は実態を、見通しをそう考えておるのであります。
○淡谷委員 重ねて総理に質問いたしますけれども、総理は、所得倍増は農家の場合に倍増まで達しない数字だ、これには満足されていないのですね。少なくとも、できるならば均衡を得たような、国民がすべてその所得が倍増するようなところへ持っていこうという信念には変わりはないでしょうな。それとも、農業はいつまでたってもこれは所得は均衡を得られないのだ、農外所得を取らなければ農業利潤というものはとても均衡を得られないのだ、こうお考えでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 ただいまのような経営規模では私は倍増にはならぬと思います。ただ私は、一つの農業形態で、適当な規模によって多角的にやっていくのならば、これは倍になり得るのであります。
○淡谷委員 多角的経営ということを自立農家で達成しますか、協業形態で達成しますか。
○池田(勇)国務大臣 今の農業所得というのは国全体の農業所得ではございませんよ。これは日本の農業全体の所得が倍になろうということはなかなかむずかしい。ただ農家の所得として、経営規模が適正であれば私は倍になり得る、こういうことであります。しこうして協業形態がいいか専業形態がいいか、こういうお話でございますか。
○淡谷委員 その通りです。たとえば倍増計画にあります二・五ヘクタールの自営農家の経営、それから三十ヘクタールもしくは五十ヘクタールの協業形態にある経営形態と、一体どっちが農業所得を上げるについて有利かということであります。
○池田(勇)国務大臣 お答えいたします。それは土地の状況と、それを考える人の気持できめるべきものだと思います。
○淡谷委員 これははっきりしているのじゃないか。少なくとも自由競争をもととしておる資本主義経済では、二・五ヘクタールの自営農家が農業所得を上げるか、近代的な協業形態の農場が成績を上げるかはおのずから明らかではないですか。これは非常に大事な点ですから、従来のような零細小農的な自作農主義でいくのか、あるいはもっと大きな農場主義でいくのか、これはやはり農業の基本問題でございますから、総理大臣並びに農林大臣のはっきりした御信念を聞きたい。
○池田(勇)国務大臣 これは一がいにきめられぬのじゃございませんか。あなた方は協業体の方がいいとおっしゃるかもわかりません。また日本におきましても、佐賀県でございましたか、協業体で非常によくいっているところもございます。なかなかむずかしいところがあります。どこに原因があるかということになりますと、協業する人の心がまえの問題もございましょう。それから地理的条件もございましょう。今どちらがいいかと割り切れとおっしゃれば、私は専業農家がいいと考ておるのであります。しかし、協業体を否定するという気持はございません。それをやっていこうということならば、それでけっこうだと思います。
○周東国務大臣 ただいま総理からお答えをいたしました通りでありますが、敷衍をいたしますと、淡谷さんは、新しい農業の行き方としてお説を伺っていますと、全部協業形態が一番いいじゃないかというふうにも受け取れますが、私は、そういう点は強制すべきではないと思います。私は日本の農村、農業というものは、やはり今後におきましても堅実なる家族経営を中心とした経営が原則だと思います。従ってそれに対して自立経営となり得るような施策を基盤の上にも、あるいは近代化に必要な施設なり、またかなり資本装備というようなものが必要ならば、それを持たせるような方向に金融財政の処置をつけていって、それを育成していくということが私は原則だと思います。ただしかし、農業の種類によりましては、今後における商品化率を増大していくとか、生産コストを下げるとかいう面につきまして協業というものが起こって参り、またこれはその事態に徴しましては、ただいまお話しのように地域的にそれがよいとなれば処置をしていっていいと私は思うのです。けれども原則をどっちに置くかとおっしゃれば、私は日本農村の堅実なあり方を考えていけば、やはり家族経営を中心とした自営し得る農家を育成することが中心であると考えております。
○淡谷委員 これは池田総理にも一つぜひお聞きを願い御答弁を願いたいのですが、どうもあなた方のお考えになっております自営的な小農を軸にした農政というものは、この辺でもっと深刻にお考えを願わなければならない時代にきておると思います。もう自給経済の時代は、農業においても破れているでしょう。明らかに流通経済の段階に入ってきている。その最も著しい例は、サケ・マス漁業が非常に困ってきましたので、大きな水産会社が上陸作戦と称して、もう養鶏事業を始め、養豚事業を始めようとしたり始めたりしている例があるのです。お聞きになっていませんか。これは例があるはずですから、そういう実例を一つ農林大臣からお聞きしたい。あるはずです。
○周東国務大臣 御指摘の点は私も聞いております。
○淡谷委員 具体的な例をお聞きになっていませんか。一つ具体的な問題をお聞かせ願いたい。現在ありますから、あなたは聞かないということはないと思う。
○周東国務大臣 お答えいたしますが、たとえば水産会社が養豚を計画しているということも聞きました。また兵庫県等におきましても、同様なことが起こりつつあるようであります。しかし私は、これらに対しての問題は、先の御質問だと思うのですが、農村が、かくあるからやはり農村も大きな協同体を作って常にやる方がいいのだという結論にはすぐならぬのじゃないか、かように思っております。
○淡谷委員 何をもって対抗するのです。たとえば大洋水産ですか。一つの農村に大きな資本を投下しまして、鶏を五千羽、六千羽飼育させて、できたものは全部持っていって加工する。これは現在農林省でも奨励しておりますね。五十羽とか百羽とかいう小さな零細農家、自営農家の養鶏事業はどうなります。もしこの方法で養豚あるいは牛肉までいきましたら、資本主義の原理はやはり大量生産の原理でしょう、大資本を投じてたくさんのものを近代設備で作った方が安く上がるのです。商品の強さは安いところにある。これはできるだけ生産費を下げて安く売ったら勝ちますよ。二・五ヘクタールくらいの自営農家で、これに対して対抗する具体的な方法があったらお教え願いたい。
○周東国務大臣 淡谷さんのことですからいろいろ御研究になっていることはわかりますが、私どもは、そこにすぐ一足飛びに淡谷さんが結論を持ってくるのは早いのじゃないかと思うのです。私は今日まだ農村でなすべきことをなしていない部面があると思うのです。お話しの通り生産に関して大量生産、または出荷を取りまとめて売るとか、あるいは市価の変動に備えて、大量ならばこれを貯蔵して対抗するということが必要であります。そういう点が行なわれずに、たとえば今の養豚の例がありましたが、畜産などは、比較的農村における畜産飼育というものが小規模に行なわれている。そういう点が、今度は取引の関係に現われてたたかれる。そこにもってきて資本家が出てきて大きな養豚会社を作っては困るからということになるのでしょうが、私どもの新しい考え方としては、今設例になりました畜産に関しましては、やはり予算上にも考えておりますが、農村における各農家の畜産飼育の頭数を、少数頭数あるいは少数羽数の畜産を改めて、多数飼育、多数養鶏というような形に指導しつつ、しかもそれらは協同体制としての農業協同組合の活動を大きく期待して、それらの集荷あるいは出荷等に対して、これらの資本家に対抗し得る立場をこしらえることが必要だと思うのです。それに沿うて、政府といたしましてもそれらに必要なる貯蔵施設なりあるいは輸送施設なり種々な点について、あるいは資本家がやろうとしておる子豚、子牛等の先貸しと申しますか、そういう点は、逆に政府の助成によって子豚なりあるいは子牛を出して飼育させるとか、あるいはそれに必要なる家畜の導入等に対して資金を融通するという方向を考えつつ、農家のやり方をこれに対抗するように持っていくことが必要だと思う。しかし私は、先ほど申しましたように、ものによって、場所によって協業体を作るということを否定はしておらない。だから、場所によりましては協業体を作って共同飼育、共同出荷、共同加工というところまで入ることは私はけっこうだと思いますが、ただ、あなたのおっしゃいますように、そういうことが出てきたから全部協業体でなければだめじゃないかということには直ちに賛成いたしかねます。
○淡谷委員 私は全部協業体にしろとは言ってない。ただ、こういうふうな資本政勢に対して、農林大臣として農民を守るために何か手がかりがありますか。これから研究するというのでしょう。私はこの間から、委員会の審議でも本会議の審議でも、農業基本法を出し、現実に農民が村を離れている場合に、検討しますとか、これからじっくり研究してとかいうことでははなはだのんき過ぎると思う。すでにもう所得倍増計画が発足しているのです。一体、農業基本法による新しい予算が今年盛られないということを農林大臣は言っているのでしょう。今でさえ立ちおくれておる農業が、所得倍増計画の第一年目はブランクで過ぎてしまうのです。足のおそい農民が、一年間も取り残されて、スタート・ラインですでにおくれておる。これで一体農林大臣、責任を果たせますか。あなたは研究すると言っておりますが、もう農村には大資本が入ってしまっておる、現実的に。非常に早いのです。しかも流通段階に入った農業は粗生産の段階だけでは太刀打ちができない。どうしても農民も自分の資本と自分の手によって貯蔵、加工、場合によっては販売の線まで手を入れなければならないのです。あなたは協同組合でやらせると言う。しかし零細農民が非常に非効率的に作った農産物を、協同組合がこれを集めて、大企業でどんどん攻撃してくる資本家の攻勢に対抗できるのかできないのか。それとも農業協同組合をもう一歩前進させて、生産協同組合まで発展させるだけの時代的な一つの構想をお持ちかどうか、それを聞きたいのです。私は別にあなたにたてつこうというのじゃない。一緒に農民を心配して、一緒にこうした資本攻勢に対して立ち直っていくような日本の農業の基本的な線を打ち出したいと思うから言っているのです。誠意ある御答弁を願います。
○周東国務大臣 私はその農民のことを御心配になることに対して敬意を表しますし、私どもも今のようなことに対処して農民を守りたいと思っております。それにつきましては、ただいま御指摘がありましたが、生産から販売から加工に至るまで、ことに畜産が問題になっておりますが、その点については今度も予算上相当な処置を加えておるわけであります。だから、まず農村に対して必要なる生産資材と申しますか、その中には子豚あるいは子牛というようなものをどういうふうに導入していくか、またそれらの導入資金をどういうふうに出すか、またそれらの生産したものをいかなる形に取引改善をして持っていくか、あるいはそれらについて時期的に貯蔵保管をして価格の安定をするかという一連の予算措置は今度もとっております。ことに畜産については重大な意味を持ちましてその点を講じております。従って私が申しますのは、まず農民の協同体である協同組合の活動をもっと積極的にさせたいというのが一つ、もう一つは、ただいまお話もいたしましたように、場所によって、ものによって協業というものは私は認めてよいのであります。その点については、御趣旨の点は実行はできると思いまするし、この協業体について農業協同組合法の改正をいたしまして、これがある程度協業体の実際をやり得る形に持っていこう、こういうふうに考えておりますし、またその基盤をなす農業協同組合というものがどうも足弱では困るのでありますから、今度は大きく全国的に農業協同組合の合併促進に対する予算上の措置、制度というものを考えて参っておるわけであります。
○淡谷委員 これはやはり農林大臣も、とても個々の農民ではこの資本攻勢に対抗できないことは十分おわかりのようですから、これ以上追及しませんけれども、ただ気になりますのは、この倍増計画でうたっております協業というものは、一体どういうものなのですか。この協業を構成する単位はどういう単位でやろうというのか、つまり第一種、第二種兼業あるいは専業農家から、とてもだめだというので落ちていくような連中を集めてつくるのか、どこまで協業をするのか、はなはだばく然とした案なのですが、一体この経済企画庁で所得倍増計画なんかを作る場合に、農業政策に関しても農林大臣はつんぼさじきなのですか。いくらか相談に乗っているのですか。そこから聞いておかないと、まるでよその案のような顔をされますと質問がしづらい。これに関してあなたが計画に参画したのかしないのか、まずそれから聞いていきましょう。
○周東国務大臣 政府として、参考案としてこれをきめましたことについては、当然私も参画いたしております。ただし、先ほども申しておりますように、決して悪い意味でなくて、いろいろ倍増計画等におきましては時に変化して参りますから、これを指針として、しかもこれが構想を立てる、こういうことを先ほど総理大臣が申しておりますので、私は一応そこに出ておるいろいろな態形、あるいは模範的な行き方、理想的な形、できるだけこれを実現したいと努力いたしますけれども、先ほど申しました実態調査、これは地方において町村に即して、ものに即して、農業構造の改善についての農村計画を立てさせようとしておる。予算上の措置を尽くした上で、これはあなたの御心配のように、一たん変えますと、そう思いつきで、こういうふうにやったというわけにはいかぬので、私はできるだけ農業者のために迷惑のかからぬような方向に持っていきたいために、先ほどからそういうふに申しているわけであります。
○淡谷委員 それではこの協業の形というものは、具体的にはまだ農林大臣つかまえていらっしゃらないのですか。どういう形で協業体を作るのか。
○周東国務大臣 その点も先ほどから絶えず申しておりますが、協業に関しましては、専業者たると、あるいは第一種、第二種兼業たるとを問わず、私は地域的、地方的な場所にこれは協業に適するからやりたいという希望があるものに向かっては、これを助成し指導して参りたい、かように考えております。
○淡谷委員 総理大臣にお聞きしますが、これは大へんだめを押すようですけれども、総理が参議院の本会議並びにこの委員会でお答えになりました通り、所得倍増の農民の所得に対する均衡を得る対象は、農村における労働者などの所得ではなくて、非農業関係の全般の所得と均衡をはかる構想で進むという御答弁には今日でも変化はございませんか。
○池田(勇)国務大臣 私が経済成長の大きい目的の一つは所得格差をなくする、こう言っております。そのうち地域格差というものを言っております。この観念からいってもおわかりいただけると思います。農業に従事している一人当たりの所得を他の産業のものと差を少なくしてだんだん一緒にしていく。 なおこの機会に、先ほど意欲的どうこうということでございますが、今速記を取り寄せまして、前後をずっと読んでみましたら、ここで申し上げたのと変わりないように、自然にそうなっていくのだというような言葉も使っております。ただ意欲的というのは、ほかのものが大きくなるからこれも何とかしなければいかぬ、こういう意味でございます。
○淡谷委員 その所得の対象はそれでいいのですか、非農業全体の所得と均衡をとるという……。
○池田(勇)国務大臣 そういうふうにしていきたいと思っております。
○淡谷委員 それから経済成長が順当に進みますると、農民の数がまた削減するとは言いませんけれども、少なくなっていく。その結果農民の所得が増すのだという構想がおありのようですが、これも間違いはないですね。
○池田(勇)国務大臣 一人当たりの所得が増すのでございます。それは工業あるいは商業につきましても一人当たりの所得は、従事者が多くなりますと、全体がふえましてもそれだけふえぬということと同じくうらはらの問題です。
○淡谷委員 しばしばあなたの御答弁でほのめかされております第二種兼業農家は農家的素質を失いつつあるということはこの際やめて、あなたのいう農民とは専業、第一種兼業、第二種兼業ともにひっくるめて農民として扱うことに御異存ございませんか。
○池田(勇)国務大臣 これは所得のごく一部が農業所得であるから農家というべしという考えもあるかもわかりませんけれども、それは農家でなしに勤労階級、勤労のうちと見るべしという議論もありましょう。これはとりようでございますから、その人、その人で適当にいったらいいと思います。ただ説明は加えなければなりません。
○淡谷委員 それではあなたの所得均衡の面から見ました農民所得という構想の中には、第二種兼業の中の今までの農家は入りますか入りませんか。
○池田(勇)国務大臣 私の申しておるのは、主として専業農家のことを言っておるのであります。しこうして今の第二種でも十年先にはどうなりますか、日曜農家というようなものになりますると、これは一人当たりの所得などというものはなかなか計算しにくいと思います。
○淡谷委員 ときどきどうも総理は新しい言葉を発明されるのでまごつきますが、日曜農家なんていうものは、大体農家のうちに入れておりますか。非常にこれは混乱させます。 農林大臣に伺いますが、日曜農家とはいかなる範疇に属するか、これをお示し願いたい。
○周東国務大臣 総理のお話は、それも農業として扱っておると思います。ただ、たびたび総理が言われておるのは、だんだんと農業からの所得は全農家所得のうちで非常にわずかな部分を占めるのだから、農業としては、大きな専業農家としてやっている方が農家としても見得るのじゃなかろうかということを言っておられるだけであって、それがために直ちに兼業農家を小なりといえども農家でないと否定をしておるものではないと思います。
○淡谷委員 これは総理大臣にお尋ねいたしますけれども、経済成長が不幸にして進展を見なかった場合に、農民の所得均衡というものは非常に不安な状態になる構想であると思う。これはあくまでも農業を主にした考え方でなく、他の経済成長を主にして、これに随伴する所得倍増の現象のように思われますが、これはどうでしょうか。首相の気持をしっかり伺っておきたいのですが、農業自体としての生産性を高め、その生産力を高め、同時にこの所得をふやすような構想は、農業基本法を作るにあたってできないものでしょうか。これは兼業農家に対する対策は別にありまうょうが、あまりに日曜農家までを日本の農業の範疇に入れないで、これは締め切られた企業なら企業でかまいませんから、農業自体として経済成長を考えるような構想は立たないものでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 それは私たびたび言っておるのでございます。農業というものを他の産業と変わりないようにりっぱな企業として成り立つ農業にしたい。農業というものは民族の上からいっても国家から考えても非常に大事なものであるから、農業自体をほんとうに近代化し、高度化してりっぱな企業として育成しようというのが私の所得倍増論の大きな一つのもとであります。
○淡谷委員 その構想に基づきますと、農民の所得、これは農外収入を加えない純粋の農業所得による農業所得と限定したいのですが、これが他の産業と均衡を保つまでには向こう何年かかりますか。十年じゃだめですな。これは私が農民の一人として、直ちに十年後には農民も所得倍増になるんだというその農民の気持に同調したのは悪かったかもしれませんが、これは明らかにきょうの質問で首相の考えるのは十年後には少なくとも五割、半分、倍増農家半分——あと何年くらいで一体均衡を得られた農業所得にいくのですか。
○池田(勇)国務大臣 私は、世界の情勢から見まして、日本の農業所得が倍になるということはいかがなものかと思います。人口がふえるにいたしましても、ただいまのところ百万程度でございます。三十七、八、九は相当賃金労働者が出て参りますが、日本の人口の増加というものは、年に百万前後でございます。そういたしますと、日本の農業生産から申しまして、これを倍にしなければならぬかどうかという問題につきましては、私はただいまのところでは、農業を倍にするよりも、他の工業、商業を倍以上にした方がいい、農業自体は倍にならなくてもやっていける、しかし農業に従事する一人当たりの所得というものは、これはなるべく早く倍にしたいというのでございます。
○淡谷委員 そこで防衛庁の長官、だいぶじりじりしておられるようでありますから、ちょっと聞いておきたいのですが、その前に、私心配するのは——きょう防衛庁のロッキードなんかいじめませんから御安心願いたいので農民が土地を離すという動機なんです。これはもう農林大臣も、総理大臣も非常にすなおに農民が土地を離れるように考えておられますけれども、これにはやはりそれ相応の原因がある。特に経済的貧困というものが非常に大きな農民離村の原因になります。これは昔から今まで同じことです。そして農民の安い賃金の上に資本主義の経済が築かれてきたのですが、これからでも私は、経済的な圧迫を加えるならば、農民はどんどん離れると思う。これは好ましいか好ましくないか知りませんけれども、もう耐えられない。従って、この所得倍増計画に従いましても、専業、第一種兼業、第二種兼業ともに、これは大蔵大臣に伺っておきたいのですが、いろいろな融資の面でも、補助の面でも農業政策の面でも、ことさらに不均衡な、ことさらにこれを引き離すような方策はとらないということは断言できますね。この一点をまず確かめておきたい。
○池田(勇)国務大臣 これは自由主義経済でございまして法律的に離せとか、出ていけ、こういう筋合いのものではもちろんございません。ただ農民が将来のことを考えて、自分が狭小な土地だけでやっていくがいいか、あるいはたまたまその近くに工場ができて、そしてその土地だけでもやはり兼業農家として立っていけるということになれば、これは離さなくても済みましょう。それはその事態によって農民自体がお考えになる、こういうことでいくべきだと思う。しこうして、そういう生活水準、所得が上がるように、そうしてこれがこちらへいくのがいいんだというふうな環境を私は政治として作るべきだと思っておるのであります。
○淡谷委員 そこで、これは防衛庁長官にお聞きしたいのですが、ただ単なる経済的要因だけじゃなくて、最近は自衛隊の演習地とか、あるいは米軍の基地あるいはまた試射場と言いたくないので、試験場という名前で耕地などが取り上げられるような話が方々にある。これは百里がその通りです、砂川もその通り、新島がそうです、鳥取がまたやられようとしておる。一体防衛庁ではこの耕地の増反をはからなければならない場合に、どれくらいの耕地が演習地として御必要なのですか、お聞きしたい。
○西村国務大臣 お答えいたします。私どもといたしましては、調達庁の面とそれから自衛隊の面と二つの農地関係を持つ、いわゆる基地と称しますか、そういうものがあるわけであります。駐留軍の方は、講和条約発効後、特にまた岸・アイク共同声明で米軍の駐留がなくなりましてから、かなりの部分が返還になっております。それから自衛隊自体につきましても、農地をできるだけつぶさない、こういう方針のもとにやっておるわけであります。ただ飛行場であるとかへ特殊な場合に農地にかかる場合があるのであります。
○淡谷委員 実は自衛隊の方の調査もここにいただいてありますが、総計して、これは坪ですね、一億二千五百七十八万九千六百三十三坪が自衛隊において取得した農地一覧表としてここに出ていますが、この中に、現在取得しようとしている新島とか、あるいは百里などの農地は含まれていますか、含まれていませんか。これは事務局でけっこうですが……。
○西村国務大臣 おっしゃる通り、今自衛隊の施設区域の総面積は一億二千万坪であります。この中で農地は千二百万坪、約一割でございます。新島等の問題も、これは取得はいたしておりますが、農地というよりは、砂地と申しますか、山林と申しますか、そういうようなところが中心になっております。
○淡谷委員 こういう基地が農地をつぶして取得される場合に、農林大臣とどういうふうな了解が得られておりますか。中には終戦後開墾をした土地を、その土地の人が反対するにもかかわらず、農林省と防衛庁の間に協定ができて返してやっている例がある。これははなはだけしからぬと思います。農林大臣はどの程度まで相談を受けておりますか。
○西村国務大臣 農林大臣からも御答弁があるかも存じませんが、実はこの自衛隊等の農地をつぶさないようにというのは、かつて国会の農林水産委員会、たしか衆議院でございますかにおきましても決議がございまして、できるだけ農地をつぶさない、そういう御趣旨のもとに、事前に中央機関、特に農林省と十分な打ち合わせをして、それから取得をする、そういう意味から、現在では農林省と事前に協議をいたしまして、それから今度は成規の農地法その他の手続をとる、こういう方法を私どもはとっておる次第であります。
○淡谷委員 農林大臣は、その場合、実際の耕作しておる農民と連携をとってから返事しておりますか。農林省だけでやっておりますか。
○周東国務大臣 新島の問題については……。
○淡谷委員 新島じゃない。あとの全般的な問題です。
○周東国務大臣 全般的につきましては、ただいまお話のありましたように、そういう具体的事案が出ますると相談を受けるようであります。その際、できる限りは農地がつぶれないように、また耕作農民が迷惑しないように、できればそういうところでない原野地帯というような方向にやってもらうように、やむを得ない場合は話を進めておるわけであります。
○淡谷委員 あなたの方で非常に苦労して作りました開墾地をつぶす場合には、開拓者と相談しておりますか。していない例がずいぶんあるのですが、これからするようにしますか、承っておきます。
○周東国務大臣 御趣旨の点に沿うて相談をいたすようにいたします。
○淡谷委員 防衛庁長官、鳥取県でやはりジェット戦闘機の滑走路を作るのにだいぶ防衛庁から圧力が加わっておるそうですが、この構想をおあかし願いたい。
○西村国務大臣 鳥取の美保というところに今輸送機隊がございます。これの滑走路を延長いたしたい、しかしこれは主として、何と申しますか、あそこに湖がございます、その中へ滑走路を延長したい、そうして、将来はジェットの部分も使わしてもらいたい、こういうことでございますが、もちろんこれは県なりあるいは地元民なりの御協力、御納得をいただいていくんで、私どもは圧力的なという考えはないわけであります。
○淡谷委員 新島の実態は、私も先年行って参りましたけれども、非常に貧乏な島です。特に今度ミサイルの基地を作ろうという新島本島は、ツバキ油とくさやの干物で生活を立てておる島民が大半です。一年間の現金収入が十万円に足らぬといわれておる。また戦争中に非常に零細な土地を開きまして、主食の足しにしている島なんです。このミサイルの被害を直接受けますが、何ら恩恵にはあずからない。式根島の方は、観光地帯としても、あるいはまた水産資源としてもかなり優秀な島なんです。その場合、おそらく防衛庁長官は、地元の島民の中にミサイル基地を誘導する者がいるからこれは正しいのだとおっしゃるかもしれない。けれども、一年間十万円くらいしか収入がなくて、島民の大半が生活援助を受けて暮らしておるという島に、一日四百円なり五百円なり防衛庁が道路工事の賃金を払うと言い出せば、貧乏者の心理としては飛びつくのはあたりまえです。ただし、できたあとの生活はどうするかわからぬ。離島振興が非常に貧弱である、あるいはそうした貧乏な島民の生活に対する経済的な配慮が行なわれない、そういう貧しさでどうにもならなくなったものを、金の力で何とか島を売らせるような方向に持っていこうというのは、私は防衛庁の精神としてはなはだ残念にたえない。これはいろいろ長官も御意見があるだろう。私はあなたとはずいぶんやりましたし、きょうはもう時間もございませんから、強くは論戦はいたしません。ただ心配するのは、この島民の中に反対派も相当おった。ほとんど全部反対派だった。説得というかもしれないが、説得に加うるに経済的なえさを与えて、同時に、——これは防衛庁がやったとは私は申しません。赤尾敏が愛国党を率いて乗り込んでいって反対派に対抗している。この間の新聞を見ますと、中央公論社長の屋敷に行って殺人傷害をあえてした小森という男が、赤尾敏と一緒に新島でとった写真が載っております。この場合に、何をおいても、あの狭い、貧しい島に経済的な圧迫と、防衛庁の意思か意思でないかわかりませんけれども、少なくともこういう暴力的な一つの脅迫をかけ、また防衛庁の圧をかけて、農業とは言えないかもしれないが、ツバキの実を集め、あるいはくさやの干物を作って暮らしてきた者に、島をあげて現実に相対抗するような形を出していることは、これはどっちがどっちとは申しませんけれども、慎重にお考えになって、最小限度において私はあの島における暴力行為だけは断固やめなければならぬと思っております。同時にまた、無理押しをするならば、非常に残念なことですが、勢いのおもむくところ、この情勢は変わらないだろう。このことを一応農地の問題に関連して申し上げておきたい。別段御答弁は要りませんが、あるならば伺いましょう。
○西村国務大臣 新島の問題は、御存じの通り、急に起こった問題ではありませんで、ここ四年くらいの間もんでおる問題で、その点はいろいろな葛藤があるということについては、まことに残念なことであります。新島の本質は、もう御存じの通り、あれ自体はミサイルの飛翔体の試験場でありまして、年間わずかに二十発をただ試験的に撃たしていただく。これには核弾頭もつけませんし、爆発物もつけない。海中において回収するというだけでございます。従って、これはある意味からいきますと、秋田県におけるロケットの試験と大差はないわけであります。地元民の相当部分がむしろこれに賛成されまして、村会で、そのかわり付帯条件として、港の整備、あるいは村道なり、あそこにあります都道の改修をしてくれ、それから近くの式根島の港の岩を除いてくれ、こういうようなことでありました。ところが、不幸にいたしまして、これがいや原水爆の基地になるのだとか、あるいは将来は空襲を受けるとか、そういうような話もいろいろ入り込みまして、それで村民も一部非常な恐怖感を抱いたことは事実でございますが、私どもといたしましては、絶対にこれを防衛基地にするという考えはなく、あくまでも試射場、試験場にすぎない。年間の使用数もわずかであります。そういうような点から賛成派の方も相当多いのでありまして、現在実際問題として、六割以上が工事を進めてくれと言っております。現在問題になっておりますのは、ミサイルの発射場そのものではございませんで、それに行く道路、村道の幅をわずかに広げる問題でございます。ところが、残念なるかな、右翼と申しますか、好ましくない人たちも一部入りまして、またそれと相呼応するとは申しませんが、総評を中心とされましたオルグと称される方々も参られまして、現在たしか三十名くらい右翼と称するものがたむろし、また現在わざわざ東京からオルグと称される方々が百名前後行っておられる。従って、私どもは、村当局関係者に対しまして、先般も東京においてああいう不詳事がありましたから、できるだけ流血の惨事は避け、また平和裏に話し合いができる場合には、私どもも喜んで反対派の諸君とも応ずる、こういう態勢で参って慎重に考慮をいたしておる段階でございます。
○淡谷委員 防衛庁は工事を村に請け負わせて手を引いておる形ですが、やはりここまできました村民の対峙、右翼暴力団なんか現に入っておる状態は極力避けなければならないということを私強く要望しておきます。 そこで私、結論に入りますが、今年度の農林予算を見ますと、まことに性格があいまいな予算になっておるようであります。これは実際を知っておる人は知っておる通り、初め出してきた予算がいろいろな復活運動で増幅されたのは喜ばしいのですが、増幅されたものを見ますと、必ずしも一貫した方向になっていない。昨年予算委員会で大臣に質問しました場合に、曲がり角にきました日本の農政が、曲がり角に立ってどっちへ曲がろうか分別しておる予算だと農林大臣はお答えになった。ことしはもう曲がってもいいはずです。曲がってもいいはずですが、憶病なカメノコが手足を縮めたり出したりするように、ある場合には近代農業に踏み切ろうとし、ある場合には元の農業にこびりつこうとする形が非常に多い。あるいは食管会計の予算にしましても、農地の造成にしましても、ほんのこま切れで、手切金ではないかと心配しておる向きまである。私は、やはりこの際むしろ積極的に伸長する農業なら伸長する農業らしく、酪農、果樹に対する予算なども大胆に組み込んで、農地造成に対してももっと踏み切ってもらいたい。これはやはり第二種兼業、第一種兼業の諸君を、あの零細な土地を取り上げて、菜っぱを作るような農業さえできなくなってくるという状態に追い込むのは危険です。これは積極的な新しい構想ができるまでは、あの農地は引き上げるべきでないと思う。そのかわりに、あらかじめ大きな構想を持って、近代的な農業にふさわしいような土地の造成は思い切ってやってもらいたい。大蔵大臣も、これまでの農業予算というのは、零細農が食っていければいいようにちょびっとつけたのが多いのです。正直に言って、四割を占める農民に対しては、あまりにも予算の比重が軽いのが今までのしきたりになっております。この際、農業基本法も出すというのですから、大胆にもっと近代的な農業にふさわしいような財政投融資も行ない、また予算も大幅に組んで、四割の農民に希望を与えるような予算をつけなければ、いつまでたっても農民が下積みになるということはなくならぬと思う。これは、特に流通過程に入るならば、貯蔵、加工、販売の利潤まで農業の利益としておさめるような構想を持たないと、総理や農林大臣の言う通り何年たっても農業の所得というものは増しはしない。いつまでたっても農業以外の所得にたよらなければ農民は暮らせない。この悲しみをいつまでも持たせないように、画期的な予算を私は要望したい。特に農産物の価格構成などでは、卸売市場の対策を急がれているようです。しかし農産物の価格構成は、卸売市場だけでは解決がつきません。この問田中伊三次委員が、これより野菜の値段が高くなれば暴動が起こると言っておりますけれども、私はむしろ総理大臣がこの間白菜の値が下がったと言われる通り、これ以上農産物の価格が下がれば農民の暴動が起こると言いたい。その間に消費者の価格と生産者の価格とは、特に酪農、果樹の面では非常に開きが大きいのです。この根本的な要因をどこに求めるか。これは卸売市場だけに限定しないで考えてもらいたい。要は、生産者の組織ができていず、生産者の形態が零細であるように、末端の小売制度の形態も非常に零細な商人がたくさん競争しているという、この中にある。生産、消費両先端において、組織のない零細なものが勝手にやっているということにある。これを一体どう持っていくかが、消費者のためにも生産者のためにも非常に大事な点なんですが、この末端に触れた予算措置が全然なされていない。そうかといって、末端の小売商人はもうけるわけではない。零細性のために、税金と生活費に食われてしまって、価格が二倍、三倍になってもちっとももうけていない。野菜などは特に売れ残りになって投げ出される野菜の費用までも、消費者が負担するという不合理が行なわれている。これは大胆に流通機構に予算措置もし、また農政の面でも配慮しまして、この不合理を是正する必要があると思う。少なくとも農業基本法を出す以上——私どもも用意をしておりますが、あらためて農林委員会等でわが党からもこの基本法の構成に対する論議がかわされましょうけれども、少なくとも何年か足踏みをして、曲がり角に来たといって一向曲がらなかった日本の農政が、今度は大胆に正しい角を曲がってまっすぐに行くためには、総理を初め大蔵大臣、農林大臣その他の閣僚諸君も、とにかく四割の農民なんですから、運命をかけた一つの覚悟をもって踏み切られるように、ことしの予算に対してははなはだ不満を感じ、かつまた日本の農政の前途に対してもなお暗い思いの去らないことを表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○船田委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十三分散会