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38回国会衆議院1961/05/11

法務委員会 第9号

発言数
46
登壇者
7
会派数
1
開催日
1961/05/11

会議録

池田清志自由民主党

○池田委員長 これより会議を開きます。  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

池田清志自由民主党

○池田委員長 まず提案理由の説明を聴取することにいたします。植木法務大臣。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○植木国務大臣 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。  この法律案は、訴訟費用等臨時措置法の規定による証人等の日当の最高額を増加しようとするものであります。御承知の通り、民事訴訟における当事者及ひ証人の日当、刑事訴訟における証人の日当、並びに執行吏の実施する執行事件における証人及び鑑定人の日当につきましては、民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法及び執達吏手数料規則においてその規定があるのでありますが、現在、その額については、訴訟費用等臨時措置法の定めるところによることとなっているのであります。  まず、民事訴訟における当事者及び証人並びに刑事訴訟における証人の日当につきましては、その最高額は、従来一般職の職員の給与に関する法律に規定する行政職俸給表(一)による七等級以下の職務にある者が出張した場合における日当の定額を標準として、出頭または取り調べ一度につき二百三十円と定められているのでありますが、民事、刑事の裁判における証人の機能の重要性等にかんがみるとき、その額が低きに失して実情に即しないうらみがありますので、今回若干の改善を行なうこととし、訴訟関係者の負担の点等をも考慮した上、その最高額を三百円に改めようとするものであります。   〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕  次に、執行吏の実施する執行事件において、執行吏が立ち合わせる証人、及び執行吏が高価な物の競売を行なう場合にその評価をさせる鑑定人の日当につきましては、その最高額は、これらの証人及び鑑定人が民事訴訟における証人及び鑑定人とはその性質を異にする等の点から、従来、証人については百二十円以内、鑑定人については二百七十円以内と定められているのでありますが、民事訴訟における証人等の日当の最高額の増加に伴い、執行吏の実施する執行事件における証人の日当の最高額を二百円に、鑑定人の日当の最高額を三百五十円にそれぞれ改めようとするものであります。  以上が訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。     —————————————

牧野寛索自由民主党

○牧野委員長代理 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許します。林博君。

林博自由民主党

○林委員 お尋ね申し上げますが、訴訟費用等臨時措置法が昭和十九年に当分の間の特例法として制定されてから、もう二十年近くになるわけでございます。政府はこの民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法あるいは執行吏手数料規則等を根本的に改正する所存がおありかどうか、この点をまず承りたい。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 御指摘のように、臨時措置法になっておる点につきましては、これをすなわち民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法及び執行吏の手数料に関する法律というようなものに還元すべきであるということは当然考えておるわけでございます。ただ目下のところ、問題点は、訴訟費用等臨時措置法におきましては、執行吏の手数料についての措置も定めておるわけであります。ところが、御承知のように、執行吏につきましては、その制度をいかにすべきかということについて法制審議会等においても、法務省におきましても、検討して参っておるわけでございますが、いまだ結論というようなものを得ていないわけでございます。その意味におきまして、執行吏の関係部面につきましては、早急にこれを本法に引き直すことは困難な状況になっておりますが、民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法につきましては、できる限り近い機会にこれを本法に直して、臨時措置を改めるということを目途にいたしまして、ただいま検討いたしておる次第でございます。

林博自由民主党

○林委員 具体的に、今回のこの改正の点についてお尋ねしたいと思います。  まず証人の日当の増額でございますが、現行の証人の日当は二百二十円になっております。二百三十円というと一般公務員の七等職の日当を基準としておるのでありますが、今回はこれを三百円に改正しようということなのであります。従来の二百三十円、もちろんこれは非常に問題にならない安い額であります。今回の三百円でもまだとうてい満足なものとは言い得ないと思うのであります。ことに裁判の促進あるいは適正化をはかるには、どうしても証人が確実に出頭してこないと非常にいろいろな面において支障を来たすと思うのでありますが、これは一日つぶして出てきて、さんざん待たされてそれで三百円の日当、これではいろいろな面において非常な損害を来たすことにもなりまするし、ひいては出頭をしぶるというような結論にもなるのではないか、こういう点から考えますと、どうも私どもが考えまして、三百円でもまだとうてい不満足なものではないかというふうに考えるのでありますが、今回の改正の三百円というのは、一体どういうところに標準を置いてこの三百円という額を出したのか、この点についてお何いしたい。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 今回の三百円につきましては、これは二百三十円に対して三割程度の値上げをしておるということだけにすぎないわけでございます。ただいま御指摘のように、現在の二百三十円があまりに低きに過ぎるということは仰せの通りでございますが、三百円につきましても満足すべき額でないことはもとよりでございます。ただ今回の三百円という法案を提出いたしましたゆえんは、裁判所が本年度の歳出の見積もりを定めまするにつきまして、最高限を三百円ということとして予算を決定したという事情がありますので、法務省におきましては、さらにそれより高額についても種々検討し、裁判所とも折衝いたしたのでありまするけれども、裁判所においてはその最高限を三百円以上に定めることについては、運用上予算との関係において障害があるという意見でありますので、やむなく三百円でもって提案いたした次第でございます。

林博自由民主党

○林委員 国会等の証人でも日当千三百円、参考人千円、それでも安いと言われておるわけでございます。証人を権威あらしめる上においても、これは三百円ではなくて、将来は大幅に引き上げていかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでありますが、それはさておきまして、他の法律だとかあるいは規則に証人の日当を三百円と定めておる事例がございますか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 現在三百円になっておるものはございません。今回のこの二百三十円を三百円にするということに伴いまして、最高裁判所の規則等によって三百円とされることを予定されておるものはございますが、現在三百円になっておるものはございません。

林博自由民主党

○林委員 次に日当の支給状況についてお尋ねしたいのですが、民刑訴費用法では、「証人ノ日当ハ出頭又ハ取調一度ニ付キ」云々というふうになっておるのですが、民事調停法あるいは家事審判法の手数料規則には一日二百三十円以内というふうになっております。これは何か支給方法が異なるのですか。

内藤頼博最高裁判所事務総局事務次長

○内藤最高裁判所長官代理者 これは、御指摘のように、二つの定め方があるようでございます。実際の支給状況は全く同じでございます。

林博自由民主党

○林委員 それから次に刑事事件の証人の日当に要する政府予算はどの程度なんですか。また今回の増額によって要する経費というものはどの程度でございましょうか。

内藤頼博最高裁判所事務総局事務次長

○内藤最高裁判所長官代理者 年間の所要予算は二千三万八千円でございます。今回の増額によります増額分経費は五百七十五万九千円でございます。

林博自由民主党

○林委員 この問題には直接関係はありませんが、昭和三十三年に暴力事犯対策の一環として、証人等の被害についての給付に関する法律が制定されたわけであります。これが事実上施行されておる具体的な状況、あるいは事例があるのかないのか、また施行されておるわけなんですけれども、実際の事例がどうなっておるのか、この点についてお尋ねしたい。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 この法律施行以来給付が行なわれました事例は一件ございまして、その内容は、昭和三十四年二月二十日、京都の舞鶴支部におきまして、強盗事件の証人が被害者から不利益を陳述をしたということを難詰されて、若干の傷害を受けたという事例でありまして、その事例に対しまして治療約二週間を要しておったわけでありますが、それに対しまして、昭和三十五年十二月二十五日、給付請求が行なわれ、本年二月七日に療養給付として二千七百五十余円支給されておる事実が一件あります。

林博自由民主党

○林委員 今の問題については、実際に執行されたのが一件しかなかったというのでありますが、元来裁判所に証人として出頭することは、関係のある者ももちろんありますけれども、大した関係もなくて被害者的な立場において呼ばれる場合もある。そういうような場合には、一般の人は裁判所へ証人として出頭することを心理的にも非常にきらうわけであります。そういう状況にありますときに、出頭して、しかも自分の商売をなげうって、一日をつぶして、非常に僅少な手当である、損害にもなるというようなことでありますと、先ほども申しましたように、訴訟の進行にも非常に支障を来たすというようなことにもなります。今回はいろいろな面で三百円という僅少な増額をいたすわけでございましょうけれども、しかしながら、将来の問題としては、この問題は根本的にいま少し考えていかなければならない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それはそれといたしまして、次に改正の第二点につきまして、執行吏の証人、鑑定人の日当の改正についてお尋ねするわけでございますが、執行吏を証人、鑑定人に要求する場合はどうでしょうか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 執行吏の証人の場合と申しますと、執行者が債務者の住所に臨みまして執行行為をなす場合に、債務者がいない、あるいは成長した同居の親属とかあるいは同居人がいない、そういった場合には成丁者二人を証人として立ち合わせる。あるいは警察官あるいはまた市町村の吏員一名を証人として立ち合わせるということになっておるわけであります。それから執行吏の場合における鑑定人と申しますのは、これは動産執行の場合に、動産が非常に高価品であるという場合、価格を評価させるために用いるわけであります。

林博自由民主党

○林委員 これらの日当の年間支給状況はどういうふうになっておりますか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 これらの場合、まず証人の場合について申し上げますと、執行吏の場合の証人というのはきわめて数が少ない。その理由をごく簡単に申し上げますと、債務者の不在の場合が少ないということでございます。これは大体債務者のいるときを見はからって執行をかけるということによるものと考えます。また近隣の人に証人になってもらうにしましても、なかなかきらうというようなことで、執行不能になるケースが多い。そういったことできわめて例が少ないように聞いておるのでございます。従いまして、どの程度立ち合い証人というものが使われておるか、あるいはまた立ち合い証人に対してどの程度の金が支給されているか、この金を支給するのはもちろん執行吏なのでございまして、私どもの方で手元に資料を持ち合わせておりません。

林博自由民主党

○林委員 それでは、訴訟費用等臨時措置法に定めておる鑑定人の日当は現在七百円以内というふうになっていますので、執行事件の鑑定人日当と相当の格差がある。これは鑑定人の資格、内容が違うからということになるのだと思うのですけれども、どういうような相違からこのような格差をつけておるのか、その点を一つ……。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 これは結局執行吏の場合の証人と訴訟事件の証人との性質が違うわけで、その性質の違いは大体二つ考えられるのじゃないかと思うわけでございます。第一点は、執行吏の場合の証人は証人義務というものを負担していない。従って、応じなくても他人に制裁を受けるというおそれがないということでございます。それから第二点は、職務の性質が違う。執行吏の場合の証人は、執行が適正に行なわれておるかどうかということを監視するだけでございますし、それに反しまして民事訴訟の場合における証人は、もちろん証人としての義務を負担するし、もし出頭しない、あるいは証言を拒絶するといったような場合には、いろいろ制裁も考えられるわけでございます。それから職務の内容といたしましても、そのほかにかわりが求められないというような関係で宣誓もいたさなければなりませんし、それから現行法のもとにおきましては、相手方の反対尋問というものも受けなければならないというような、そういった違いがこの日当の額などにも現われておるのじゃないかというふうに考えられます。

林博自由民主党

○林委員 執行吏の取り扱い、執行事件の証人の日当、あるいは鑑定人の日当等については、この改正案に内容が盛られておるわけでございますが、根本的に執行吏の手数料の問題については今回触れなかった。この点については先ほどもちょっと御説明がありましたけれども、これだけ取り残される形になってくるわけであります。それで、今回の改正には直接問題にはなっておらないわけでありますが、この際に執行吏の手数料の問題について多少お聞きしておきたいと思うのであります。  先ほどもちょっと御説明がありましたが、執行吏制度の改正準備というものがどのようなことになっておるか。今回はあるいは最高裁判所から執行吏の手数料の問題等についても何かお話があるのではないかというふうに考えておったのでありますが、申し出もないようであります。今の執行吏制度が改正の準備段階にあるから現在の問題とはしておらないというふうにも考えられるのでありますが、どの程度に進んでおるか、いま少し詳しく御説明願いたいと思います。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 御承知のように、現在の執行吏制度は明治二十三年に初めて制定されたものでありまして、いわば非常に時代離れがしておるということも言えるわけです。各方面からこの制度の改善が要望されておりますし、ことに執行の適正を確保するために、全面的、根本的な改正が必要であるということが言われておるわけであります。そこで、政府におきましてはこの制度の改正に着手いたしまして、裁判所、検察庁、弁護士会あるいは学会等の各方面から改善意見を徴して、執行吏制度の運用の調査も行なって参りましたし、研究もいたしております。なお昭和二十九年七月には法務大臣から法制審議会に執行吏制度の改善に関する諮問が発せられておりまして、法制審議会におきましては、強制執行制度部会小委員会を設け、同時に諮問されました強制執行及び競売に関する制度の改善の問題とともに調査審議を続けて参っておるわけでございます。何分にも執行吏制度をどうするかという問題は、強制執行と競売の基本構造の問題、裁判所の組織の問題といったようなきわめて困難な問題でありまして、いまだ結論に到達するには至っておりません。法務省におきましては、法制審議会の審議の下準備のためにひんぱんに会議を開いておりまして、ほとんど一昨年以来毎週一回その会合をいたしておるわけであります。もっぱら問題を執行機関の構成の問題、権限の問題、執行処分に対する不服申し立ての問題等に対する改正と、これらに関連を持つ強制執行、競売手続の改正にしぼって鋭意作業を進めておるわけでございまして、遠からざるうちにその結論が得られるというふうに考えております。執行吏の手数料の問題につきましては、これとあわせて考えるべき問題でありまして、もし執行吏制度が執行官になるならば、手数料の問題はおのずから解消してしまう問題でもあるわけであります。そういう意味におきまして、現在の執行吏制度改善の進行状態とにらみ合わせなければ、とうてい根本的に執行吏の手数料の問題を解決し得ないというふうに考えております。しかしながらそれでもなおかつ現在の執行吏の手数料が不当に低額であるということになれば、これはまたその間の暫定措置も特別に考えざるを得ないということでありまするけれども、現在の状態におきましては、執行吏を監督をいたしております最高裁判所に照会いたしましたところ、特段に改正と申しますか、増額をこの際考えるべき必要があるとは考えていないというような趣旨の回答もありました。法務省自体といたしましても、まだ改正の必要があるとは考えられないわけであります。  なお、政府におきましては、一般の公共料金の値上げ抑制の態勢をとっておるわけでありますので、こういう点もにらみ合わせまして、今回執行吏の手数料につきましては、その改正を見送るということに考えておる次第でございます。

林博自由民主党

○林委員 現在のところ最高裁から申し出がなかったというお話でございますが、これはいろいろな手数料あるいは待遇の点等にも関連すると思いますので、お尋ねするのでありますが、現在、全国の執行吏の総数、それから累年の増減員の状況、任命された者、退職した者、あるいは平均年令はどうなっておるか、こういう点について一つお尋ねしておきたいと思います。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 最初に全国の執行吏の総数でございますが、昭和三十三年の十二月三十一日現在で三百四十九名でありましたものが、三十四年の十二月三十一日現在では三百五十二名、それから昨年の十二月末現在で三百五十四名、今年の五月十日現在で三百五十六名ということになっております。  それから執行吏の平均年令を申し上げます。五十才未満が五十八名で、五十才以上が二百九十八名でございます。五十六才以上といたしますと二百二十五名、六十一才以上といたしますと百六十二名、六十六才以上といたしますと百名、七十一才以上では四十八名でございます。これを平均いたしますと、大体五十九才ということになっております。

林博自由民主党

○林委員 取り扱い事件の状況、執行吏一人当たりの年間取り扱い件数がどの程度になっておるか、それらを一つお知らせを願いたいと思います。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 年聞一人当たりの平均新受件数、これは一昨々年が四千二百八十九、昨年が四千九十八、少し減少しております。これに対しまして、昭和二年から十一年までの十カ年の平均、これは四千五百九十四ということになっておりまして、戦前の水準に比べて若干減少しております。

林博自由民主党

○林委員 国家公務員のうちで、執行吏と同じように手数料収入をもって給与にしておる者は、他にございますか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 国家公務員法の適用を受ける国家公務員のうちには、手数料収入で俸給にかえておる者はございません。

林博自由民主党

○林委員 先ほど執行吏一人当たりの年間取り扱い件数について御説明があったわけでありますが、そうしますと、全国の執行吏の収入状況というものはどういうふうになっていましょうか。これは都市と地方で相当な格差があるといわれておるのでありますが、その都市と地方の状況、それから平均した実収入というものはどの程度になっておりますか、これをこの際伺いたいと思います。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 一人当たりの手数料の収入額を三十三年度から申し上げますと、一人当たり五十四万五千三百六十三円、三十四年度におきましては五十八万九千二百二十二円ということになっております。

林博自由民主党

○林委員 地方の格差でどの程度の差があるかということはわかりませんか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げました数字は、これは純手数料収入でございます。この純手数料収入につきまして各高等裁判所の管内平均をとった統計は持ち合わせておりません。旅費、宿泊料その他を含めましたものについて申し上げますと、東京が一番多い数字になっておりまして、一人平均が百二十九万六千百十五円、大阪が百十八万六千九百七十九円、名古屋が九十五万三千六百三十二円、広島が九十万三千九百二円、福岡が百十三万五千五百八十四円、仙台が七十一万七千四百四十九円、札幌が百三十万六千百六円、高松が七十三万五千七百一円、この各管内を平均いたしますと、一人当たり百七万千百六十三円という数字になっております。

林博自由民主党

○林委員 本法の五条で国庫補助ができることになっておりますが、補助金の支給状況はどうなっておりますか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 一昨々年、国庫補助金を受けました執行吏の数は九名でございます。支給総額が五十二万九千百九十二円、一昨年が七名に減少いたしまして、二十二万五千五十四円ということになっております。

林博自由民主党

○林委員 今回の改正案に際しては、執行吏の手数料の増額ということが盛られておらない。ところが現在の手数料の額は、聞くところによりますと、昭和三十年来据え置きになっておる。その間公務員の給与ベースは五回ベース・アップがあって、三十年度からは四割増になっておる。ことに執行吏は公務員の身分でありながら、地域給であるとか、危険手当、期末手当、退職金、共済組合、健康保険等の制度がないということがいわれておりますが、その通りですか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 その通りでございます。

林博自由民主党

○林委員 今回の改正に際して、手数料の増額ということは、先ほど制度の問題に関連して見送ったというお話しもあったんですが、この増額の問題については考えなかったのですか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 執行吏の手数料の問題でございますが、これは個々の問題につきましては、やはり増額を適当とする手数料というものもないわけではないと思っております。たとえば不動産の明け渡し、引き渡しあるいは動産の引き渡しといったようなケースにつきましては、やはり手数料の値上げを認める必要もあるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、しかしこれを全面的に検討いたしまして、どれだけの項目について値上げを認めるか、またどの程度に値上げを認めるのが適正であるかというような点、いささか問題がございますので、現在私どもの方で執行の実態、それからなかなかとらえにくい問題でございますけれども、執行吏の収支の見合いというようなものをいささか調査しておりますが、まだ結論を見るに至っておらないということでございます。

林博自由民主党

○林委員 最近の執行事務において、特殊な事例として、危険性、困難性の増大、強制執行における集団暴力の抵抗、妨害が多いというようなことも聞いております。それから具体的にいろいろ陳情等も来ておるようであります。たとえば、新島の場合の仮処分の場合にも、たしか現地の方が執行できなくて、そこで東京から行って、四日間ぐらいかかって手数料を二百円しかもらっていないというような事例もあるというような——これは旅費、交通費等は別なんでしょうけれども、そういうような事例もあって、かなりこの問題について執行吏の諸君からも何とか改正してくれないかという要望があるように思うのですが、こういう点についてどういうようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたように、私どもの方といたしましては、今全面的に検討中である、ただし値上げの必要のあるものもあるということは認めておるわけでございます。従いまして、この実態調査とにらみ合わせながら、これからも研究してみたいというふうに考えております。

林博自由民主党

○林委員 いま一つ問題になる点は、都市においては最近の執行の新しい現象として、自動車抵当法による夜間の執行、それから団地だとかアパートの共かせぎ住民の早朝送達事務が非常に多くなっている。ところが公務員の時間外勤務手当に該当する手数料の規定がないというような不満も聞いておるのですが、こういう点についてはどうお考えになっておられますか。

仁分百合人判事(最高裁判所事務総局民事局長)

○仁分最高裁判所長官代理者 最近早朝送達事務というものが、ことに自動車の執行に際しましてふえておるというようなことは、われわれも存じております。しかしこれに直ちに超過勤務手当というものをやれるかと申しますと、超過勤務は、御承知の通り、本俸を基準にして算出される仕組みになっております。しかるにこの執行吏の場合は手数料で俸給というものをもらっておらないという関係で、超過勤務という形で考えることは困難ではないか。それでは別な形におけると申しますか、早朝やった場合には手数料を増額する、特別な手当をしてやる必要があるのではないかということに帰するかと思いますが、御承知の通り、夜間執行の場合には執行裁判所の許可が要るわけでございます。ところが早朝の場合には民事訴訟法の規定で、裁判所の許可というものにかからわしめられておらない。従いまして、何らかそこに手当をしないままで早朝の執行につきまして手数料の増額ということを認めるようなことになりますと、夜間の執行というものが朝の執行に移る可能性がかなり出てくるのではないかという——これはおそれでございますが、やはり早朝の執行ということになりますと、人権にもかかわることでございますし、許可というものにかかわらしめておらない限りにおいては、裁判所としてもそれをチェックする道がないということと、それから早朝という概念は一体どういうふうに考えたらいいかといった点にも問題がございます。ただ民事訴訟法を改正して、早朝の執行も執行裁判所の許可が要るのだということに改めますれば、これはまた別の結論になるかと思いますが、これは訴訟法の改正を要します点で、他の民事訴訟法の規定改正の際に検討して参りたいというふうに考えております。

林博自由民主党

○林委員 私の質問は大体以上で終わりますが、いろいろ御説明を聞きますと、結局執行吏制度の根本的な対策から考えていかなければならないし、また急いで改正を検討準備中であるというようなお話でございますが、この訴訟費用等の問題は、執行吏手数料等の問題も、やはり現状ではいろいろな面で支障を来たしておる面があると思います。一つ改正の準備を急がれて、現実に適したものに早急に改正なさることを要望いたしまして、質問を終わります。

牧野寛索自由民主党

○牧野委員長代理 本日の質疑はこれにて終了いたしました。  次会は、明十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十八分散会

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