文教委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/04/01
会議録
○濱野委員長 これより文教委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。 —————————————
○濱野委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。野原覺君。
○野原(覺)委員 きょうは科学技術の振興に関して、科学技術特別委員会と文教委員会が連合審査を持ったわけでございますから、私は委員長に対してぜひとも池田総理の御出席をお願いしなければならぬと思って強く要請したのでございますが、都合によってお見えにならぬのであります。そこで総理の代理として官房長官がお見えのようでございますから、私は官房長官に申し上げておきたいことは……。来ていませんか——それでは質問を待ちます。
○濱野委員長 いま十分後に参ります。——官房長官に関係のないことを野原さん、発言してくれませんか。
○野原(覺)委員 官房長官がやがてお見えになるようでございますから、重要な問題に対する質問はあとに回すわけでございますが、官房長官に関連のない問題について二、三点お尋ねをしておきたいと思うのであります。 政府から工業教員養成所に関する提案がなされたわけでございますが、このことについては科学技術庁長官は文部省からこのような提案がなされるということを、提案をする以前に、もちろん閣僚の一人でございますから、閣議の決定には参加したに違いないのでありますが、原案を作成するにあたって、科学技術庁がこの種の原案作成に参加をされたのかどうか、これは池田科学技術庁長官にお尋ねいたします。
○池田(正)国務大臣 お答えいたしますが、もちろんこれは文部省の所管でございまして、直接私とは関係ございません。従って参加をいたしておりませんが、新聞その他で承知いたしております。最終的には、これは閣議で私も賛成して決定したことでございます。
○野原(覺)委員 私も文部省の所管であることは承知いたしておるのであります。しかし、あなたは科学技術庁長官として、科学技術庁の設置法によりますと、事科学技術教育に関しては政府の総合的な企画立案の責任担当省ということになっておるわけでございますから、この種のものが文部省から出されるにあたっては、これは科学技術教育に最も関係の深い人材の開発、養成の問題でございますから、御相談があるべきではないか。むしろそうあることが——今日あなたの方と荒木文部大臣との間に、いろんな点で意見の食い違いを来たしておるわけでございまして、そういうような意見の食い違いを解消するためにも、私はそのような方途が政府の内部においては考えられてしかるべきじゃないかと思うのでありますが、重ねてお尋ねします。
○池田(正)国務大臣 そういう考え方ももちろんあると思います。しかし、私のねらいは、また私の担当しておりますことは、もっと大きな視野から全体としての構想を考えて、従ってああいう勧告になったわけでございますが、その一つとしてではありますけれども、全体から見ますと、きわめて小さな問題で、この程度のことはほったらかして、大きな視野から論じていきたい、考えていきたい、私はかように考えております。
○野原(覺)委員 実は工業教員養成所の問題は決して小さい問題ではないのであります。池田国務大臣が三月十一日に勧告を出されておりますが、この勧告に関連のある問題であります。つまり、四十四万人の中級技術者が不足しておるから、この中級技術者の不足を解消するために、実は教員が足らないから、三年制のインスタントの教師を養成しようというのがこのたび文部省から提案せられておる、政府から出されておる工業教員養成所の提案でございます。私はこれは関連が薄いどころか非常に関連があると思う。あなたは大きなことだけやって、そういうことはやらぬのだと言いますけれども、しかしこれは決して大きい、小さいの問題ではないのであります。科学技術庁の設置法の第三条によりますと、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」とあります。これは科学技術に関する行政の一つなんです。だから私は学校を作って教師を養成するということは、直接的には文部大臣の責任、文部省の仕事の分野に属することは承知しますけれども、事科学技術の推進ということになりますと、当然科学技術庁としても、この種の原案の立案にあたってはやはり意見を差しはさんで、将来問題が起こることのないように対処する方が、私は望ましいのではないかと思うわけであります。これは官房長官がおりませんけれども、重ねてあなたの御所見を承っておきたい。
○池田(正)国務大臣 もちろん工業教育については私の方として重大な関心を持っておるわけでございます。しかし私の今のねらいは、どうして科学技術者を多量に、国家の要請である十七万あるいは四十四万といったような数字に近づけていくか、実施するか、実現するかということがねらいでございまして、その間に起こった——これは小さな問題というとあるいは表現がまずいかもしれません。そのうちの一つとしてここに文部省が提出されたのであります。その一環として、その一部としてこういうものが出てきたので、それが全体から見て妥当であるかどうかということは別でありますけれども、それだけ一応プラスになっておりまして、マイナスになっておるのじゃないのですから、そういう意味で私はこれはよかろうというふうに考えたのであります。マイナスにはならない、こういう意味であります。
○野原(覺)委員 科学技術の振興は申し上げるまでもなく、科学技術者を量的に確保すること、それから確保された量的な科学技術者が質的にもりっぱなものでなければならない。軍と質の問題が私はあろうかと思うのであります。量と質の問題が重大であるとするならば、この量的確保ないしは質の向上、それに関連のあるのはこれは教員なんです。そういう技術者を養成するところの教師、その教師を養成する教員養成所の問題、大学の問題、これが重要になるわけでございますから、こういう点については、もっとやはり科学技術庁は閣議で出されたものをうのみにするのではなしに、科学技術庁設置法の第三条の趣旨からいうならば、当然こういうものについても積極的に参画をして推進してもらわなければなるまいと私は思うのであります。私は三月十一日に池田国務大臣から荒木文部大臣に出された勧告書をめぐって感じたことでありますが、何かしら科学技術庁と文部省の間はうまくいっていないのじゃないか、これはあとで官房長官が見えたら指摘をいたしますが、うまくいっていないのではないか。科学技術者の養成に関して、それは考え方の上だけではない、感情的にも何かしら妙なところがあるのではないかということを実は感じておるわけであります。そういうことを私どもに対して、国民に向かって疑念を持たしめないためにも、この種の科学技術教育、科学技術の振興に関する法案、案件というものについては、かねてから、大臣同士の間でできないならばそれでもよろしい、少なくとも事務当局の間では打ち合わせがあってしかるべきではないかとも実は私は考えるのであります。そのことが望ましいのではないかと思うのでありますが、もう一度池田国務大臣の所見を承っておきたい。
○池田(正)国務大臣 同じ政府の中にある文部省と科学技術庁でありますから、これは一体となって大いに緊密にいかなければならぬことは当然でございます。しかし世の中はそうばかりはいきませんので、たとい親子でも個性が違うと意見が違うこともございます。夫婦の間においてもなおしかり。従って文部省と科学技術庁と若干意見の食い違ったり何かするような場合があり、ことに伝統の古い文部省で、文部省の当局というものはなかなか頭がいいのか固いというのか、われわれの想像もつかないところも若干ある、これを何とかうまく調整しながらこれからいきたいというのが私の希望でございます。
○野原(覺)委員 この問題については、これは内閣の一体性という憲法上の点から見ても、私は若干究明しなければならぬ点がありますので、あとに譲りたいと思うのであります。 荒木文部大臣にお尋ねをいたしますが、あなたは工業教員養成所の法案を国会に提出しておるわけでございますが、この法案を出すにあたっては、これは文部官僚の手だけでお作りになったものか。もとよりそれは大臣が閣議において賛意を表されたから出たことくらいは私も知っておりますけれども、この立案をするにあたって学識経験者の意見を何らかの形において文部省が聴取されたのかどうか、その点を承っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 昨年の秋に科学技術会議の総理大臣に対する答申がなされたことを御承知と思いますが、これは向こう十カ年間に日本の科学技術をどういうところまで持っていくか、そのことはとりもなおさず当面の政治課題たる所得倍増の目標につきましてもあわせ考えられつつ、関係の事務当局のスタッフ全部が、緊密な連絡、協力をしながら作業に従事をいたしまして、その作業の上に立って科学技術会議が取りまとめられて答申がなされたわけでございます。それは答申そのものも閣議で採択いたしまして、制度の上からもその答申を政府は尊重せねばならないとなっておることも御案内のごとくでございます。その答申を尊重しながら、すでに十二分にあらゆる角度から、科学技術庁と文部省とは事前連絡をしつつ、答申がなされた経過にかんがみましても申し上げるまでもなく明らかなように、四十四万人の中堅技術者と申しましょうか、技能者が、現在のままの学校制度のもとでは、累計四十四万人ばかり不足する勘定になります。だからこれを何とか充足する手だてをしなければならない、そのためには教員から養成してかからないと実際上困難だという線に立ちまして、教員の養成の必要性を痛感いたしまして、おおむね八千七百人ばかりの緊急の教員養成をもくろむ必要ありという結論になりましたので、その線に応じますために、ただいま御審議中の工業教員養成所を臨時に大学に付置いたしまして、当面応急の必要にこたえたい、そういうことから立案されたことでございまして、十分に連絡はいたしておりますのみならず、科学技術庁長官も閣僚の一人として、また科学技術庁長官の立場において御賛同を得たものを提出した次第であります。
○野原(覺)委員 科学技術庁長官にお聞きしたいことは、中級技術者が四十四万人不足しておる。これは科学技術会議の決定でもあるし、池田内閣の所得倍増計画の中にも出てくるわけであります。そこで四十四万人の中級技術者を十年間で解消するためにはこの中級技術者を教育するところの教員は何人あればよいと科学技術庁はお考えになっておりますか。あなたができなければ科学技術庁の事務当局からでもよろしい。御答弁願いたい。
○池田(正)国務大臣 実はよく調べておりません。というのは、今出ておる文部省の案ではどうせだめなんです。足りない。私はそういう前提に立っていますから、これからさらに文部当局とそういうこまかい打ち合わせをしたいと思います。
○野原(覺)委員 池田さんは答弁をはぐらかすことがこの国会の中でも随一だという評判でありまして、私はそういう茶化す答弁は実ははなはだ心外にたえぬのであります。きょうは土曜日で、普通でありますとこのような委員会は開くべきでない。きょうは定例の委員会でもないのでありますが、連合審査を私どもが持ったのは、池田内閣のやり方に対して大きな疑点があるから持ったのであります。だからあなたももう少しまじめに、そしてその勧告に示されたような御見識をやはり示してもらいたいと私は思う。 四十四万人の解消にどれだけの教師が要るかということについて全く調べていない、そういうことは打算したこともない、こういうことになりますと、あなたが出されましたこの勧告自体が実ははなはだ問題になってくるのであります。文部省のやり方はけしからぬというのでこの勧告を出しておられるのであるから、けしからぬという以上は池田国務大臣にもこれに対応するところの具体的なものがなければならぬと思う。しかしこのことは、あなたが準備がないようでございますから、私はこれ以上は申し上げません。 そこで荒木文部大臣にお尋ねをしたいことは、先ほどあなたの答弁を承っておりますと、科学技術会議の答申をもとにして考えたのが工業教員養成所の提案である、こういうことでございますが、一体科学技術会議はどこにあのような教員養成をしてもよろしいと述べておりますか。私もここに持ってきておるのです。「諮問第一号「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申、昭和三十五年十月四日、科学技術会議」そしてこの議長は内閣総理大臣池田勇人、これは持ってきておりますが、およそそういう考えではなかろうかと思って私も読んだのです。この前の文教委員会を拝聴しておりました際にもそういう御意見がございましたから、どこにそういうところがあるのだろうかと思って私も読みましたが、このような工業教員養成所で、いかに中級技術者といえども教育されるものでないということは書いております。そういう趣旨のことは書いております。しかし技術会議のこの答申の中にあの三年制の、即成栽培の、大学でもない各種学校の養成所で工業教員ができるものであるとは書いていない。この何ページにございますか、教えて下さい。
○小林(行)政府委員 お答え申し上げます。 答申の中に「職業高校などにおける問題点とその対策」という項目がございまして、百七十五ページでございますが、そこに「教育内容の強化」という項目と「教員の確保」という項目がございます。教育内容の強化につきましては、専門科目と普通科目の連係づけとか、あるいは実験実習の強化ということがあげてありますが、教員の確保の点につきましては、その後段の方に、「工業教員については、工学部学生の絶対数が不足している現状にかんがみ、とくにその養成または確保の措置を講ずる必要がある。」こういうふうになっております。もちろんそこに三年制というような具体的なことにはわたっておりませんが、特別の措置を講ずる必要があるというふうにそこに書かれておるわけでございます。
○野原(覺)委員 教員確保のところの文章でこのようなインスタントの養成所ができたとするならば、科学技術会議の決定を冒涜するもはなはだしいと思うのであります。これはここに傍聴しておられる諸君がお聞きのように、また大学局長が述べられた文章のどこに、一体工業教員養成所、しかも今政府が提案しておるあのようなものであってよろしいということになりますか。私は教員の確保というところを読んでみましょう。むしろ逆のことが書いてあるのです。「教員の確保」のところには「職業課程において優秀な教員を確保するためには、資質の高い大学の卒業者を供給するとともに、」と書いてあるじゃないですか。「優秀な教員を確保するためには、資質の高い大学の卒業者を供給するとともに、一方、産業界からの経験豊かな教員を招致する必要がある。このためには、これら教員の処遇の改善や免許制度について特別な措置を加えるなど、多角的、総合的な改善措置がとられねばならない。とくに工業教員については、工学部学生の絶対数が不足している現状にかんがみ、とくにその養成」、「その養成」ですよ。「その」とは工学部学生です。「その養成または確保の措置を講ずる必要がある。」こんな間に合わせの工業教員養成所でなければならぬとはどこにも書いてない。私は至るところでこの種の指摘を申し上げてもいいのです。何十カ所と書いてあるのです。科学技術会議は量の確保はもとより必要だ、しかしこれからの工業教育というものはレベルをもっと上げないとできないのだ、だから特にその技術者を養成する教師というものは資質の高いものでなければならないのだ、この本はこれで一貫しております。しかもこれは科学技術会議の決定として、池田内閣総理大臣は——科学技術会議設置法によりますと、政府はこれを尊重しなければならぬということになっておるのです。これは普通の審議会や普通の委員会の答申とは違うのであります。従ってわざわざ何名かでできております総理大臣を議長とする科学技術会議が議決をしたのでしょう。しかもそのときに池田総理大臣のあいさつの中には、この答申は政府は尊重しますということを言っておる。そうして科学技術会議設置法の中にも、政府はこれを尊重しなければならぬと明文でうたっておる。私は、荒木文部大臣が、科学技術会議のこの方針にのっとってやったのでございますと言うけれども、これは人をごまかすもはなはだしいことではないかと思うのであります。どこにもないのです。文部大臣のこれに対する御意見を承っておきたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 先刻もお答え申し上げたように、科学技術会議の答申を尊重し、その趣旨に沿って計画をしたと申し上げたと思いますが、そのつもりでおります。科学技術会議の答申は、むろん今度御提案申し上げました工業教員養成所の設置という具体的なことは指摘しておりませんけれども、今後十年を見通してこういう見当になる、現状のままでは四十四万人不足する、それを補うためにあらゆる考慮をせねばならないという趣旨でございます。むろん御指摘の通り、本来の姿である大学卒業という形をとった教員を獲得することが第一義的なことではございますけれども、しかしこれを実行するとするならば、その通りの形をその通りに合わせるということが事実問題として困難である、しからば困難であるから放置するかといえば、それも申しわけない。だから文教委員会でも申し上げましたように、次善の策として、形の上では何がし劣るような形にはなりますが、実質的にはまさるとも劣らないことを目ざして臨時教員養成所を大学に付置してその要請にこたえたい、こういうことでございまして、そういう教員の養成計画それ自体、教育それ自体は、必ずしもその答申が具体的なさしずをしておるとはむろん考えられないことでございますから、文部省の責任において、次善の策としてはそれしかない、当面の問題としてはこの方法が次善の策である、こういう確信のもとに御提案申し上げ、また閣議は、答申を尊重するという考え方のもとに閣議決定をして御提案申し上げたような次第であります。
○野原(覺)委員 そのような答弁をなさいますから、特に私はきょうは委員長に池田総理に来てもらいたい——科学技術会議の議長として私は不見識もきわまれりという判断に立つのであります。荒木文部大臣は私の質問にはいささかも答えていない。あなたは指摘できないでしょう。どこにも書いてないですよ。いいですか。あなたは趣旨を尊重したと言いますけれども、それは言葉の先だけのごまかしなんです。百七十三ページには教員の充実とその質の向上という個所がございます。これは人材養成の6−2−6の個所、(3)です。読んで見ますと、「高校教育の効果は、教育担当者である教員の質の向上と量の確保とによることがきわめて大きい。」質の向上ということをやかましく言っておるのですよ。一体今度の工業教員養成所は三年制だ、山中委員が質問したときに、それは大学ではございません、何ですかと言ったら、何かわからぬところだ、こういうことに速記はなっておりますが、各種学校ではなかろうかと私も思うのですが、そういうものをこしらえて八千七百人養成する、一体そこにどういう人が入るとお考えですか。優秀な者は大学に行くのです。工業教員養成所というのは間に合わせのインスタントの教員になる者が行く、この者はもう入るときから残念ながらレベルが落ちておる。これはそうなりますよ。それが通常世間のものの考え方なんです。そうしてここを出たならば、何だ、あれは養成所か、こうさげすまれるのです。大学に入る者は学士になりたい、修士になりたい、民主主義の時代でもそういう気持が青年諸君にあるのです。何だ養成所出か、こういうようなさげすみをされるところに一体どういう優秀な諸君が入るとお考えですか。しかも、何回も文教委員会では追及しておりますから、私はこの連合審査会ではあえて触れようとは思いませんけれども、八千七百名を養成するのだと言いますけれども、八千七百名が一体何名確保できるかという自信は文部大臣にはないでしょう。今度あなたの方から出された提案を見ると、産業界に出ていくことは御自由になっておるはずであります。だから工業教員養成所はどこかの中小企業か大会社のエンジニアになるために利用されるだけなんです。そうしてそこに十何億も国民の税金を持ち出しておる。そうしてそこを出た者はみんな産業界に出ていく。残った者はかすだ。しかも八千七百名じゃない、残った者はわすかに数名だという事態が起こったら、あなたはいつまでも文部大臣をなさるわけがないのですけれども、それが荒木文相のときにできたのだというたら、あなたは将来の日本の文教行政、科学技術教育に対して大きな責任を負わなければいけませんよ。いかがですか。
○荒木国務大臣 先刻も申し上げましたように、この養成制度がベストのものであるとはむろん考えません。ですけれども、現実にその養成が——一般の大学におきましても教員の単位をとったものは教員になれるわけでございますが、それらの人が財界の方にほとんど行ってしまって、現実問題として教員に不足をするという実情であります。それを教員の方につなぎとめる努力も別途せねばなりますまいけれども、それは当然には期待できない、そういう事情にあることを放置することが困難だ。しからば何か特に教職員になってくれるであろう、なりやすいような施設を設けることが当面の必要である。科学技術会議の答申も、単に四十四万人不足する、それを養成しなければならない、だけれども、その教員の獲得については政府において十分考えてその目的を達するようなことを考慮したらよかろうという趣旨が裏にひそまっておるのでありまして、その趣旨を受けて、当面の次善の策ということは初めからわかっておりますけれども、なさざるにまさること数等であるという意味において臨時養成所をもくろんだのであります。もちろん大学でないことは形の上からもはっきりしております。しかし子供たちの教育に真剣に当たりたいという青年は私はたくさんあると思います。これを出れば工業教員になってもらうのだという看板をかけた学校に門をくぐる人々は、そうでない一般の大学に入る人々よりも、入学を志すときから心がまえにおいて私は違うと思います。そういう人々に期待して、そして三年の教育課程を通じまして十二分に教職員たる心がまえと実力を養ってもらうという明確な線を出して教育が行なわれるならば、必ずや私は質においても、まさるとも劣らざるものを養育できるであろうし、またその趣旨を天下に明らかにいたしまして募集をするならば、続々と志望者は集まってくるものと期待しております。
○野原(覺)委員 とんでもないことであります。一般の大学出は財界に出るから、養成所を出た者は教育界に残るであろうからこういうものを考えたというならば、それはとんでもないことなんです。一般の大学の卒業生が財界に出るごとく、養成所を出た者を食いとめる何らの保障をつけていない以上は、出ていきます。何となれば、教員の待遇が悪いからです。産業界に比べて自分たちの月給が低いからです。みじめであるからです。優秀な者ほど腹を立ててくるのです。何だということになるのですよ。ですから、理工科系の大学を三十五年度においてもたくさんの者が卒業した。私は何人教師になりましたかと聞いたら、大学局長の答弁でございますが、それは三十五年度に三人であります。十年間八千七百人、本年は八百八十人のようでございますが、八百八十人を莫大な国費を投じて養成いたしましても、そのうち何名が残るという保障はないでしょう。あなたは自信はないでしょう。問題はここなんですよ。このような法案を出すならば、私はやはりそういうものの裏打ちというものをはっきり考えて出してもらいたい。それでなければこれは国費の食いつぶしです。意味がないのであります。しかも今度の工業教員養成所の設置を調べてみますと、九つの大学にこれを付置するということでございますが、この九つの大学側とはよく話し合いをして——それは国立の大学であるから文部省の命令には絶対服従だといえばそれまででございますけれども、それを受け入れる大学側はほんとうに気持よく承諾をしておるのか、歓迎をしておるのか、一体どういう話し合いをされてこられましたか、文部大臣に承りたいのです。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 その前に、学校の教職員、大学の先生たちに対する給与がむろんまだ満足でないということは、私も万々痛感いたしております。毎度申し上げますように、当面せめて戦前の程度にまでは待遇を改善したいという目標でやっておりますが、それすらもまだ完全には到達していないという状況であることを遺憾に思います。戦前の水準に達することはもちろん、それ以上を目ざして今後私どもは努力していくべきものだ、一般的にはそういうことを切に感ずるのであります。それは大学でありましょうとも、今度の養成所でありましょうとも、同じことであります。そこで臨時養成所を作るにあたりましては、それぞれの大学に事前に打ち合わせをいたしまして、連絡は十分にとって案画いたしたのでございます。
○野原(覺)委員 歓迎しておりますか。これは文部大臣からの仰せでございますから、監督される大学の学長は、やむを得ないと不承々々に——それはいやな顔もできないでしょう。いやな顔をしたら予算を減らされるから、そういうようなことではございませんか。それはいいことだ、四十四万人の技術者が必要であるからというので、間に合わせの促成栽培でもかまいません、よろしゅうございますと言って快く引き受けておりますか。もし引き受けておるとすれば、それはどこの大学の学長でございますか、承りたいのです。
○小林(行)政府委員 実は昨年の秋に予算を編成いたしましてから、計画されております国立大学の学部長、学長等には、数回おいでをいただきまして、この養成所設置の趣旨、それから設置の計画の概要等について御説明をして、いろいろお願いをいたしております。もちろん中には、できるだけ潤沢な経費をもってこの運営ができるようにということから、あるいは教員の組織、あるいは予算等について御要望はございましたが、この工業教員養成所の基本的な計画について、これは絶対反対であるというようなところは全然ございませんでした。現在まで大体において、私どもお話し合いをいたしましたところでは、順調に経過してきておるというふうに考えておる次第であります。
○野原(覺)委員 反対でないというような御認識であるとすると大へんなことであります。これは監督される側として実はもう不承々々に思っておることは明らかなんです。私どもにはその声が来ておる。その理由として大学側があげておるのは、四十名の一クラスで教授は四人、助教授は四人、助手は四人、これが新制大学の基準になっておるが、今度の教員養成所は、教授が二人、助教授が二人、助手が二人、そうして四十名ということになる。残りは非常勤講師だ。しかもこの教授も助教授も助手も非常勤講師も、今割り当てられておる大学の限られた定員の教師がその責任を負担しなければならぬ。こうなると、大学の教師というものは教育するだけではないのでございまして、特別な研究の責任を持っておるのです。その研究ができなくなる、しかも過重負担を一体どうしてくれるのだ、そういう過重負担を負わされた教授がはたしてどれだけの教員養成所に対する教育ができるか。これは私は実は寒いものを感ずるのです。つまりそういう意味においては劣悪な条件のもとに今度の教員養成所は発足するわけなのですね。しかも三年でそれをやるという。大学四年出なければ学校の教員にはしないというのが今日までの教員免許法の精神であった。それが趣旨であった。そういう養成所を出た三年の者を教員にはできないというのが趣旨であったのですけれども、それを今度は附則を設けて、いや三年の者でもできるんだということになりますと、ますます大学の四年課程を出た者はもう教員にはなりませんよ。どんなことがあってもばかばかしくてなれない。何だ、養成所扱いと同じじゃないかというので……。つまり今度の文部省の考えでは、工業教育というものは低下するのですよ。政府から出されておるこれによると、あなた方は池田さんから勧告を出された、あるいは勧告を出される以前からの方針であったには違いないけれども、とにかく池田内閣の所得倍増計画で、四十四万人の解消、科学技術者、理工系の大学を卒業した者を十七万人解消しなければならぬということを国策として打ち出しております。だから、この国策に対応するためには、何とかごまかしでもいいから間に合わさねばいかぬという考えでやったんでしょう。どうですか文部大臣、私はこれは率直に言ってもらいたいのです。もしあなたがそうでないとすれば、将来の長い十年先の日本の工業教育を高めるためのもっと良心的なものを出すべきなんです。科学技術がそれほど重大であるならば、なぜ大蔵大臣と折衝し、池田内閣の国策でもあるのだから、今日の日本の予算で百億や二百億の金が何ですか。将来の日本の科学技術を振興するという角度から言うならば、やろうと思えば何でもないことなんだ。それをやらないで、このようなごまかしのものを出して、そうして国会で押し切ろうというようなことは——私は野党であるから反対ではないのです。十年先の日本の工業教育というものを一体どうするつもりだということで私どもは憤慨にたえぬのであります。これは文部大臣に御意見を承ります。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。所得倍増の政治目標は、これは私は国民全体が待望しておる一つの目標だと思います。かつまた日本経済がそういう目標の間に間に栄えていきますことも、これまたひとしく望むところであります。それを実現せんがためにかくかくのことが必要であるとする。そのことを実現する方法として、他に手段があれば、お説の通り万全の措置を講ずるという考え方も当然なすべきであると思いますけれども、従来の教員養成の形態は、現実問題としてはほとんど経済界に行ってしまって残らないという実情にある。しからばそのままでよろしいかということと問題がぶつかってくるわけでございますが、その場合に、最初から申し上げておりますように、当分の間の次善の策として、なさないよりははるかにまさる方法があるとするならば、それをやりますことは、私は当面の施策として当然のことと考えるのであります。しかし一年間だけ期間が短いという欠点はまさしくありますが、一年短かろうとも、科学技術教育者として実質的にそれだけの能力を持ち得るようにという意図を持って、教科内容等にも十分の考慮を払い、かつまた、十二分の経費ないしは教授陣をそろえていないことも御指摘の通りでございますけれども、私は教育はむろん金も必要だし、教授陣も潤沢であるを必要とすることをいなみませんが、それにもまして特に必要なことは、その養成をするという意図が確実に教育の場において貫かれ、またその授業を受ける学生もその心がまえであるかいなかということが本質的には重要であろうと思います。それにプラス、形も整え設備も整えていきますことが十全の策ではございますが、当面の要請に応じますために、臨時に大学に付置するという考え方のもとに、実質は目的を達成するようにやっていきたい、またなせる、こう私は考えておる次第であります。
○野原(覺)委員 文部大臣にお尋ねしますが、三年と四年はどっちが望ましいですか。工業高等学校の教師としての専門的な知識、一般的な教養——教師としては、人間としてもりっぱであるし、専門的な技術者としてもすぐれておるということのためには、専門家に言わせると、今日の大学の四年ででも足らぬと言われておるのです。医学は六年になったのです。そのくらい戦前の技術と比較いたしますと水準が高まってきたのです。しかもこれからはネコの目の変わるように一つ一つの技術が変わっていくのです。機械でもこれは次々と変わっていく。ことし覚えた機械は来年は操作はできないのです。これは非常な進歩です。特に原子力ということになりますと大へんなことなんです。そういうようなことを考えますと、それでも三年がけっこうだ、こういうお考えでございますか。四年はいかぬのだ。三年にしたわけはいろいろあろうが、私も想像はできます。しかし重ねてここではっきりしておきたいと思う。大事な点でございますから、私どもはこの三年という点を実は第一の問題点にもいたしておりますから、文部大臣の四年にしなかったわけ、それをお聞かせ願いたいのであります。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 もちろん三年は四年、四年は五年、五年は六年でもありたいという気持はございます。ございますが、それより前に世界的な、日本もしかりでございますが、科学技術の進展のテンポの早さ、そのゆえに世界の進運に伍していかねばならない、また伍していきつつ国民経済それ自体も成長させていきたい、そういう当面緊急の課題が、要請が国民的にあるわけでございます。これは否定できない。そのことが現状のままでは、せっかく大学を卒業して、教職員になってほしいと意図しておる大学を卒業した人もほとんど教職員に残らないというのは、これは批評は別といたしましても現実でございます。しかも一方今申し上げるような現実の人材の養成の切実なものがある。それにこたえる方法は何ぞやと考えた場合に、一年でも半年でも早くその実際の緊急の要請に応ずるように努力することもまた政府として考えねばならない重大な課題と思います。そういう考え方から、次善の策として一年でも早く卒業してもらって、しかし、その教育のやり方次第では先刻も申し上げました通り四年で修了した人に劣らざる専門の教育を授けることによって、次善の策の目的を果たしたい。それが大きな立場からの国民的要請にこたえるゆえんである、そういう考え方でございます。
○野原(覺)委員 それじゃ二年にしたらどうですか。三年でできるというなら二年でできるでしょう。私は二年にしたらどうかということをあなたに申し上げたい。できませんか。三年でなければならぬのだ。私の質問は四年にしなかったのはどういうわけだと聞いておるのです。これはベビー・ブームのためでしょう。それは四年が望ましかったのでしょう。大学の各学部を拡充強化するということが一番よかったのでしょう。そうして教員の待遇を抜本的に改善をして優秀な諸君が産業界に流れることのないように措置をしないというと、たとえ養成所を出てもこれを食いとめることはできない。だからそういう抜本的な対策をとって、四年の大学の各学部を拡充強化するということが文部省としては一番望ましかったに違いない。しかし三年にしたのはベビー・ブームだ。昭和三十九年からいわゆる終戦っ子がたくさん高等学校に入ってくる、そうして工業高等学校を政府は今度三十六年度予算で作ることにした。教師が足らない、間に合わない、間に合わないためインスタントの教員というので三年にしたのでしょう。どっちですか。一体三年で工業学校の教員ができるという確信で三年にしたのか、それとも間に合わせなければならないということでしたのか、これは答弁のいかんによっては重大ですよ。文部大臣の教育に対する見識を疑わざるを得ないのです。もう一度文部大臣から御答弁願いたい。
○荒木国務大臣 先ほど来お尋ねの線だけについて申し上げておったのですが、むろん所得倍増の要請は、即ベビー・ブームの問題でもございます。一般的な青少年の高等学校を卒業して社会に出るという立場の人々を考えてみます場合に、普通高校よりも工業高校の課程を終えて出てもらった方が、社会は人材の養成という立場からも望ましいとする。ひとしくベビー・ブームの対策を考えるならば、今までと違った工業高校を比較的多く作ることによって、その高校課程を終わった青少年が職場活動の意味においても、より幸福であろうということも当然考えなければならない。ですから言いかえれば、所得倍増に応ずる問題であると同時に、御指摘の通りベビー・ブームの問題でもあるわけであります。その両面からいたしましてどうしても必要だ。必要であるが得られない、得られないならば次善の策として何か策はないか、それが一年でも短縮して、しかも実質は劣らざるようにというめどをもってやるよりほかないであろうということでありまして、三年ならば二年にできるじゃないかということは、それは算術的には一応言えないことはありませんけれども、二年より三年でありたい、三年よりも四年でありたいのですけれども、せめてその質を落とさない角度から三年でがまんをして、そうして内容を充実しよう、こういう意図でございます。
○野原(覺)委員 これは局長にお尋ねしますが、大学の方はたしか四年制の大学では、一般教育と専門教育が初めの二年が一般教育、あとの二年が専門教育、ところが専門教育が足らぬというので一年六カ月と二年六カ月に区切られておるかと思うのですが、三年制の教員養成所ということになると、一般教育と専門教育をどのように配当されるつもりなのか。文部大臣に言わせるとなかなか自信がおありのようですが、これは大へんなことなんです。どのように配当されるのか、工業高等学校の教師がどのような教科課程によって作られるのか、これは文部省に案があるでしょう、お示しい願いたい。
○小林(行)政府委員 御承知のように、一般の大学におきましては、四年間に百二十四単位を修得するというのが最低限度になっております。それで実情を申しますと、新制大学発足の当時には、大体二カ年間を一般教養ということでやっておりましたが、それでは専門科目に対する学力が落ちるというので、現在では大体一年半を一般教養、二年半を専門教育ということで実施をしておる大学が大多数でございます。この工業教員養成所におきましては、先ほど来大臣から御説明を申し上げておりますように、工業に関する専門教育を主にいたしまして、これに必要な基礎教育、教職教育を加える。それで工学部の卒業者に劣らないような専門学力を持たせたいというふうに考えておるわけでございまして、具体的に申しますと、卒業までに履修すべき最底の単位数といたしましては、九十三単位というものを想定いたしております。このうち工業に関する専門教育科目が六十単位、基礎教育科目が十七単位、教職教育に関する科目七単位というものを必修にいたしておりまして、なお残り九単位につきましては専門教育に関する選択科目というふうに考えておるわけでございます。
○山中(吾)委員 関連して……。あまりお聞きをしないつもりでおったのですが、三カ年に短縮することはやむを得ない、しかし実質上教育水準を下げないようにしてあるというお話しでありますので、あまり事実に合わないので、質問いたしたいと思うのですが、四カ年の大学の教育に劣らない教育を三カ年でするためには、教授陣の充実、さらに施設も四年制大学よりも充実した施設をしていなければならない。教授の定員についても、それ以上のものがなければできないわけである。ところが現在の予算書には、そう出ておるかどうか。局長にお聞きしますが、四年制大学の教授定員と工業教員養成所で四年の教育内容を行なう濃縮化した三年の教員養成所の教授の定員をお示し下さい。それから施設費は四年制大学の学部と同じくらいの施設費が計上されておるかどうか、その二つをまずお聞きしたいと思います。
○小林(行)政府委員 先ほど野原委員のお尋ねの中にもございましたが、教授の定員につきましては、完成年度一学科当たり教授二、助教授二、助手二ということで組んでございます。これは御承知のように、新制の四年制の大学よりはやや低目になっておりますが、それぞれ国立の工学部を持つ大学に付設されますので、その大学の方から講師陣の応援を頼むことができるわけでありまして、これの非常勤講師手当につきましては、十分予算を計上しておるつもりでございます。なお施設費につきましては、明年度が第一年次でありまして、各付置される養成所ごとに大体五百坪ないし五百五十坪程度の施設を作るということで、予算を約四億三千万円でございましたか、計上いたしておりますので、これは一般の国立大学に比べて、特に低いということはございません。
○山中(吾)委員 今の御説明によりますと、四年制大学の教授、助教授、助手の定員は四、四、四であるけれども、養成所の定員は二、二、二である。従って二カ年の短期大学の定員と同じじゃないですか。三カ年の教育で四カ年の内容をそこでやるんだ。大臣が実質的にやるんだと答えられておる。ところが四カ年の定員から比べると、四カ年の教育に必要なる定員の二分の一の教授、助教授の定員にして、しかも三カ年の教育で四カ年の教育の実を上げるということは、実質的に下げないという理由がどこに立ちますか、文部大臣の御答弁を願います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。形式的に御指摘になれば、そういう理屈も立ち得る余地があろうかと思います。ですけれども、私は先刻も申し上げましたが、幾らか足らざるところありせば、その教育を受ける学生の心がまえにも期待したい、またそれを授ける教授陣の熱意にも期待したい、こう思います。同時にまた足らない点がありせば、将来に向かってその充実をはかることも当然やらねばならぬとも思っております。
○山中(吾)委員 形式的にとおっしゃるから、今度は実質的にお聞きいたしたい。工業教員養成所は大学の資格もない各種学校みたいなものである。どうしていい教授がきます。定員は二カ年大学の定員くらいしか人数は与えない。そうして私立のいい教授がこないようにして、またそういうところにどうしていい資質の人間が入って参りますか。学位ももらえない。そうして今実業界に逃げていくことを防止するために教員養成所を作っておるのじゃないですか。どこから見ても、科学教育振興の美名のもとに科学教育の教員の水準を低下する、振興じゃなく低下政策だと私は思う。従ってこの案というものは安上がり教育なんです。安上がりで教育する。早く先生を出そうとするならば、三カ年にするためには、四年制の大学と同じ教授陣を置き、資質のいい教授を置き、金をかけて三カ年で出すというならそれこそわかる。三カ年で教育するというのに、費用は短期大学以下のような内容に圧縮されておる。私は大蔵省の圧迫か、あるいは文部省における考え方が安上がりと思う。教育というものは人であるという一つの考え方でなく、技術者の養成にあくせくとして、あるいは経済界の要求にこたえることにあくせくとして、そういう優秀な技術者を養成するために優秀な教員が何としても必要だという教育政策の根本に対する認識が私は欠乏しているのだと思う。それを形式的にそうであるとか、実質的に高めるつもりであるとか、観念的に大臣がここで言われるということは無責任である。子供だましのような答弁によって、こういうものを見のがすわけには私はいかないと思う。もっと真剣に考えていただきたい。従ってそれをどうしてもやるならば、私は修正案を出そうとしたように、憲法上、法制局が、疑義がない、就職の義務というものを十分与えても大丈夫だと明言をしているのですから、十分な特典を与えて、優秀な人間を集めるだけの、必ず確保するだけの法的責任を持って、それくらいの責任のある法律案の出し方をすべきである。お答えは初めから終わりまで無責任なその場限りの、糊塗する答弁だと私は考えざるを得ない。 野原委員が質問されているので、私はそう聞くつもりはなかったのでありますけれども、数回の答弁が全部子供だましのように聞えるので、私はお聞きしたのです。どこからいっても三カ年間の教育で四カ年の教育はできません。内容は二カ年の短期大学の陣容です。そうして学位も与えない。大学の学校じゃない。各種学校でないと言っているけれども、各種学校である。どうしていい人間が来ますか、資質のいい教授が集まりますか。しかも短期大学二カ年に相当する教授陣しかないじゃありませんか。それから局長の言うのには、講師は時間講師で十分補って、時間講師の手当は十分出しておる、そんなことは何もならないじゃないか。この工業教員養成所の今までの御答弁と予算の立て方の内容を見ましたときには、全部矛盾で、御答弁と事実は少しも合っていない。いま一度御答弁を願います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。教授陣の頭数は、私は相当程度大学に付置することによって、全然独立に養成機関を作るときよりも充実し得ると思います。それから先ほど来申し上げたようなことを含めて、目的は果たし得ると考えております。
○山中(吾)委員 これで終わろうかと思いましたが、また矛盾したことをおっしゃるので、また聞かなければならぬのですが、現在の大学の学部の教授が定員増になっていない。そうして現在の学部の教授が非常に定員が少なくて、月給が安いので、アルバイトもしている。その先生を今度は養成所の教授の定員が少ないから時間講師でかり立てる。そうして大学の工学部の教授も手薄にする。養成所には時間講師というよりは、片手間のアルバイト式の——私もそういう経験があるのでありますが、予算の一人当たりの時間講師の手当を出さないで、一人分で二人にして、そうして講師をかり出してやろうというのが現実である。おそらくそうなると思う。技術教育者の養成の学部そのものも手薄にして、片手間のアルバイト式になっている時間講師で補って、それで向上できるということは完全にうそである。工業教員養成所については、技術者養成とその技術者養成に応ずる教員の養成というものの中に関連性を持っていない。池田長官の方は技術者の養成だけを考えている。そうしてその技術者養成に必要な技術者教員計画というものはそう頭に入っておられない。文部省は文部省としての別の即成安上がり教育政策だけを考えておられる。そこに私は、有機的な統一された科学教育振興計画はない、大きい問題があると思うのであります。この点については、あとで科学技術者教育計画と科学技術者教育者計画の二つを含んでお聞きいたしたいと思いますので、関連質問はこれで終わりますけれども、少なくとも今言われたことは、ことごとく事実に相反することであることだけは、私はここで申し上げておきたいと思うのであります。
○米田委員 ちょっと関連して小林大学局長に伺います。今社会党席からいろいろの質問が出て、教授、助教授の増員を希望せられておりますが、基本的には、私はそれは間違ったことを言っておられるとは思いません。しかし御承知のように日本の工業界というものの非常な躍進ぶりで、払底に次ぐ払底です。おそらく今日国立大学でも工業系統の教授、助教授が完全に充実しておるとは言いかねるんじゃないかと思うんです。そこへ最近幾つもの学部、学科が増設せられております。さらに今度の臨時工業教員養成所の新設になるわけです。これらの方に相当数の教授、助教授を動員するという計画をかりにした場合に、質問するだけのペーパー・プランなら別です。現実論としてそのような相当数の教授、助教授がにわかにそろえられる見通しがおありかどうか、現実論として私は承っておきたいと思います。
○小林(行)政府委員 この工業教員養成所に対しましては、初年度に大体百二十人程度の職員が必要になって参ります。そのうち教官は大体五十人程度でございまして、これはそれぞれの付置すべきもとの大学におきまして、その工学部なりあるいはその工業大学の学長が中心になりまして、教職員の組織について検討をいたしておりますので、これは間違いなく充実することができると思っております。 なお国立学校全般についての学生増募に関する教員組織の問題でございますが、明年度国立学校におきましては約千八百人程度の学生を増募いたしますが、これに関する教員組織につきましても、それぞれの大学で準備をいたしまして、すでに大学設置審議会の審査等も終わっておりますので、これも間違いなく充実し得るものと考えております。
○野原(覺)委員 官房長官がお見えのようであります。工業教員養成所については山中委員からも指摘がありましたように、全く安上がりの間に合わせの教育、長い将来の工業教育というものを、私は台なしにするんではなかろうかという、実は心配も持っておるのでありまして、この点についてはいずれまた同僚議員諸君からも質問があろうかと思いまするから、官房長官に私は若干お尋ねをしたいことがあるわけであります。 実はあなたがお見えであろうと思って、先ほど質問の口火を切ったのでございますが、お見えでございませんでした。その際もちょっと申し上げましたが、私は、池田科学技術庁長官と荒木文部大臣との間に、この十七万の科学技術者の不足、それから四十四万の中級技術者の不足、これを解消する方途について意見の食い違いがあることを知ったのであります。これはおそらく政府も御承知だろうと思う。官房長官も知らないとは言わないでしょう。新聞であなたが中に入ってお二人を呼んで調整されたような報道も実は拝見したのでございますし、同時にあなたが知っているならば、池田総理もこれは御承知だろうと思うのでございますが、この大きな食い違いに対しては、一体総理は、政府は、どのように対処されようとお考えでございますか承りたい。
○大平政府委員 科学技術庁長官から三月十一日に文部大臣に対しまして御勧告がありました事実は承知いたしております。しかしこの勧告につきましては、池田大臣からも荒木大臣からも閣議に御請議をいただいておりません。従って閣議のレベルの問題にはただいまのところなっておりません。しかしながら御勧告がございまして、そういう事実を知りましたので、本問題につきましては文部省と科学技術庁の間におきまして御調整がつくものと期待いたしている次第でございます。
○野原(覺)委員 閣議のレベルの問題でないという御認識であるとするならば、これは大へんなことであります。官房長官が御承知のように、池田内閣は所得倍増計画を国策として打ち出しております。そうして十年間に十七万人の理工系大学の卒業者が足らぬのだとその計画書には書いてある。それから四十四万人の中級技術者が足らぬのだと書いてある。同時に総理大臣が議長になっておりますこの科学技術会議の決定というものは、法制上からいってもいろいろの点から考えて、私は閣議に準ずるものだと実は理解している。科学技術会議でも十年間に十七万人大学卒が足りない、四十四万人の中級技術者が足りないということを述べているわけです。このことを池田科学技術庁長官は実は正直に示したのです。つまりこれは池田内閣の方針だから、この方針に基づいてなぜ文部省は人材の養成計画に乗り出さぬのかというのがあの勧告であろうと私は思うのであります。 これは池田科学技術庁長官にお聞きいたしますが、あなたは勝手に池田正之輔個人の所見で荒木文部大臣に勧告をしたのではないでしょう。そういう政府の方針であるからという確信があればこそ文部大臣に勧告をしたのでしょう。その確信がなくて勧告をしたというなら大へんなことですよ。いかがですか、まず大臣のお考えをお聞きしたい。
○池田(正)国務大臣 私といたしましてはもちろん科学技術会議の答申、これを尊重しなければならぬという建前で、また現実に日本の産業経済を見渡しましても、今でももはや中小企業などでは学校を卒業したりっぱな技術者を得ることができないというのが実情であります。かような状態では私は政府の産業経済十カ年計画は達成できないのではないかということを憂える。政府の政策は場合によっては目的通りいかなくても、国がりっぱになっていけばいいのでありますけれども、これはうらはらなんで、そうはいかない。これを私は憂えましたので、文部当局にいろいろ注意いたしましたけれども、文部事務当局はなかなか頭が固いので、私の権威がなかったのか、なかなか聞かない。そこで私は勧告、こういうことにいたしました。 私のねらいをこの際一言申し述べさしていただきます。先ほど工業高校や何かの問題に触れてその人数を聞かれましたけれども、私はその資料のこまかいことを実は持っておりますけれども、どうも文部省から出ておる資料というものはそのときそのとき違うのであります。はなはだ困る。これははっきり申し上げる。そしていろいろ苦労をした結果、せめて大学の面だけははっきり私はつかんだつもりであります。そこで十七万人足らない。それに対して文部省で示しておる数字は、きのうも実は文部大臣とお話をしたのでありますが、文部大臣は自分の下僚の言うことを信じ過ぎて、委員会などで出しておる数字——これは卒業生の数字じゃない。入学者の数字なんです。そこに大きな食い違いがまたあるのです。実際言いますと、十七万人の国家要請、国家目的、これは厳としてあります。しかるに文部省の現在の計画によりますと、七万三千とか幾らとか言っておりますけれども、実際に短大をも含めて、昭和四十五年までに卒業する数字は五万六千九百三十二人、七万人にもならないのです。もしそれ——これは入学者が全部完全に卒業して職場についた数であります。必ずそこには入学してから職場につくまでの間に、途中でロスが出ます。工学部を卒業しても、新聞記者になったり雑誌記者になったり、代議士になるのもあるでしょう。(笑声)いろいろありますから、それが全部職場につくわけじゃない。そうすると、その中からさらにロスを見なければならない。そうするとはるかに下の数字になってくる。国家要請の四分の一あるいは五分の一という数字しか確保できないんじゃないか、それを私は指摘しているのです。それならばどうしたらいいんだ。策がないんじゃない。ある。それをあえて文部省はやっていないから私は怒ったのです。それはどういうことかと申しますと、大学というものは御承知のように国立の大学があります。公立の大学もあります。県立あるいは都立、市立、それから私学があります。文部省は、そのうちの国立だけにこれをふやすことだけをやっておるのです。そして公立や私立には何ら呼びかけをしてない。協力を求めてない。この態度がけしからぬというのです。国家要請十七万というものが出ている。ところが国立だけでは三、四万人しかできない。これは明瞭です。そうするとここに十何万人足りない。そうしたらこれを穴埋めする方法はあるのかないのか。あるじゃないか。公立の、全国の府県知事なり東京なり大阪なり名古屋なり、市長さんやその他の連中を集めて協力を求める、私立大学の諸君を集めて協力を求めたらいいのです。それを文部当局がやらないから私は怒ったのです。荒木さんは人がいいからそれをよく御存じなかった。これはけしからぬではないか、国家目的に忠実なるゆえんじゃないと言うて聞かしても、聞かぬから仕方がない、勧告という形で私は出した、こういうことでございます。従って、私は工業高等やその他につきましても若干の意見はございますけれども、あまりそこまで言ってしまいますと問題がこんがらかってきますから、私は一応大学だけにしぼってやっておる、こういうことでございます。
○野原(覺)委員 この種の問題になりますと、さすがに科学技術庁長官で、物事をはっきりおっしゃるわけでありまして、敬意を表しますが、官房長官にお聞きいたします。十七万人足らない、それから四十四万人の中級技術者が不足するというこのことは、あなたの内閣の所得倍増計画に出ておるわけです。これを解消するということは、私は政府の方針になっておると理解しておるのですよ。私も予算委員でございますが、そう言ってきたんですが、これは政府の方針じゃないのですか、これを解消することは。大へんなことをさっき聞いたものでありますから、こういう愚問を発しなければならないのは大へん残念に思うのですけれども、いかがですか。
○大平政府委員 所得倍増計画は、御案内のように、わが国に与えられた条件のもとで十年以内に国民所得を倍増に持っていくためには、どういう政策、手段を組み合わせていけばいいか、こういう一つの構想でございまして、この計画には、これも御案内のように年次計画というものはございません。問題は、年々歳々の国家の予算をもちましてそれを具体化していく、その所得倍増計画の構想に照らしまして、与えられた条件のもとにおきまして最善を尽くして、それに接近して施策をして参る、こういうことが私どもの心がまえでございます。従いまして、今十七万人、四十四万人の技術者、技能者の不足ということが所得倍増計画に対していわれておることは、承知いたしております。その目標に向かって、与えられた条件のもとにおきまして、政府として最善を尽くすべきものと承知いたしております。
○野原(覺)委員 それが政府の方針だ、解消の目標に向かって努力するのが。それはそうだろうと思うのですが、そうなりますと、これは閣議のレベルの問題です。だから、政府がそういう方針をとっておるから、池田国務大国があの勧告ができたのです。あなたは、その次に私が何かひっかけるのではなかろうかと懸念をされて、閣議のレベルの問題でない、こう言われますけれども、これはとんでもないことです。政府の方針に関する問題ですよ。だから、荒木文部大臣も、十七万人の解消はできないけれども、七万人ぐらいの解消ならば考える、残り十万人は職場訓練とかいろいろな方法で消化していくんだ、こう言っておるわけです。ところがこれに対して、私は三月十五日に文教委員会に出まして、池田科学技術庁長官のお越しをいただいてお尋ねをしましたら、そういう文部大臣のやり方は絶対不満だと、こういうわけです。また食い違ってきたわけです。しかも食い違っておることが、閣議の席上で議論をされるならば了解いたします。大臣といえども意見があるのですから、政策については。それが国会に向かって、国民に向かって、このように大きな科学技術士の基本的な、しかも日本の国策の最も大事な科学技術振興の問題で、違った方針がだんだん出されるということになりますと、私は池田内閣というものは一体どういう内閣であるかということをお尋ねしなければならぬかと思うのです。憲法上内閣の一体性ということが、官房長官御承知のように、いわれておりますが、この点についてはどのようなお考えですか。
○池田(正)国務大臣 この問題は私にも関連してきますので、私から一応お答え申し上げます。この問題は、もちろん私も閣僚の一人として、また内閣としても重大な問題でございます。しかしこれは私の所管に属することでございますので、閣議にまで持ち出してこれをやるというようなことをしなくとも、私の権限と、微力ではございますけれども、力においてこれは措置できるだろうという考えで、実は閣議にはまだ持ち出さないで、文部大臣ともっぱら折衝しておったのですが、若干時間がおれましたが、最終的には、荒木文部大臣も賢明な人ですから、私の意見も多分に取り入れてくれるだろうと私は信じております。そこで国家目標に現在の段階において可能な範囲のことはできるだろう、私はこれを期待しておる次第でございます。さような意味で閣議の問題には私からしいてしなかった、こういうことでございますから、どうぞその点は御了承願いたいと思います。
○野原(覺)委員 文部大臣にお聞きしますが、池田さん、なかなかあなたに期待されておるようです。この前の勧告については必ず応じてくれるであろう、こういう御期待を持っていらっしゃるようですが、いかがですか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。池田長官がお考えの通りの期待にいきなり沿えるかどうかはわかりませんけれども、御勧告の趣旨を体しまして、前向きに善処したいと思い続けておるところでございます。 申し上げるまでもなく、先刻も野原さんも御指摘なさいましたように、学術会議の答申の内容を尊重していくという閣議決定のもとに今日まで参っておりまして、すでに御審議いただきました三十六年度予算案に含まれますもろもろの事柄も尊重する線に沿って政府としては案画いたしまして、御審議を願ったわけでございます。従いまして、池田長官の御勧告は、そういうこととはむろん別個の今後の前向きの問題として、予算でいうならば三十七年度以降、所得倍増にしても九年間あるわけだから、先刻来申し述べておりますことも含めまして、もっと名実ともに充実するようにしっかりやれという趣旨のことと心得ておるのであります。また当面三十六年度内といたしましても、もし何かできることがあるならば、努めてこの目標達成のために役に立つようなことを考え、かつ行なうということもまた当然でございまして、そういうことも含めて勧告に応じて、私どもの方としては検討をいたしておる次第でございます。
○野原(覺)委員 官房長官にお聞きしますが、あなたが御承知のようにお二人の考え方はずいぶん違うのですよ。そこで十七万の不足解消、四十四万の不足解消、これは政府の方針だ、こういうことであれば、どうですか、池田内閣はこの不足を解消するための具体的方策というものは持たないわけですね。まだできていない、こう理解してよろしいですか。
○荒木国務大臣 ちょっと、私がお答え申し上げましたことにも関連いたしますので、お答えさせていただきます。先ほども野原さんが文教委員会の質疑応答のことにお触れになりましたように、大学卒業程度の科学技術者が、国、公、私立を通じまして、現在の養成施設のままであるとするならば、約十七万人の不足という勘定になる。そこで施設、設備ももちろんですけれども、特に教授、助教授等の教職員の確保いかんということが、現実に一番逼迫しておるものでございますから、そういうことを中心に案画をし、できることならば十年後に不足数はゼロであるということでありたいと思って、科学技術会議の答申案作業中におきましても、そのことが、直接のことではございませんが、その当時から懸念されまして、現実にできることを中心に案画をしなければ、単に数字だけをつじつまを合わせるということでは、これは実現性に乏しいわけだからということで作業を進めて参りました結果、遺憾ではございますけれども、三十六年度としては、三千人余りの大学の定員増をはかる以上のことはできそうにないということを、第一年度としまして一応の推定のもとに作業しました結論が、十年後に一万六千人の卒業生を出すという希望、それを現状にプラスする、その間何がしかの減耗等も計算に入れながら集計をいたしますと、累積約七万三千人という勘定になる。そうすると、十七万との差は九万七千人ぐらいの不足となるはずだ。しかし不足だからほったらかすわけにはむろんいかない。そこで先ほど御返事申し上げましたように、その不足は極力再教育その他でもって充足する努力を関係省庁と十分に連絡をしながらやっていこうじゃないかということが、答申作業中からの課題でもあり、また三十六年度予算を御提案申し上げたときからの課題でありまして、事実上寄り寄りそういう相談はしつつある現状でございます。ただし、池田長官の御勧告もございますから、その当時の考え方、及び予算案提出当時の考え方は以上の通りでございますけれども、さらに知恵をしぼって何かないかということを新たな課題として検討をしていこうじゃないかというのが先刻申し上げた線でございます。
○野原(覺)委員 官房長官に私は先ほどの点で御答弁をいただきたいのです。荒木文部大臣からあのような御答弁がございましたけれども、どうも池田内閣にはまだ具体的な方策ができていないのではないか。そうなると、私ども予算審議をやってきたのですけれども、非常に遺憾な点がたくさん思い出されるわけですが、あなたはきょうは総理を代理してこられておるので、先ほどの私の質問にお答え下さい。
○大平政府委員 先ほどの内閣は一体性を持っているかどうか、私は一体性を持っておると思っております。両大臣とも所得倍増計画が指向する技術者、技能者の養成充足にベストを尽くすという方針において一致いたしておると思っております。これを具現する方法におきましても、私が今たびたび申し上げましたように、与えられた条件のもとで教育効果が上がるようにして参らなければなりませんし、財政その他の条件もございますから、そういう条件を十分吟味されて、可能な手段を発見して目的に邁進しようということにおきまして、両大臣とも完全に一致しておると承知しております。なお、先ほども申し上げましたように、所得倍増計画というのは十年間の大まかな目標でございます。そしてまた年次計画というものを特に立てていないのでございます。十年間に私どもの努力で、あらゆる手段を傾けまして、倍増計画の指向する目標に効果的に具体的に接近して参りたい、こういうことでみんな一致して努力しようといたしておるものであります。
○野原(覺)委員 あなたはみんな一致していると言いますけれども、みんな一致していないですよ。それから、具体策があるかという質問に対してはお答えがないのです。具体策がないからこういう食い違いがあるでしょう。これは私は率直にお認めになった方がいいと思うのです。今なおお二人は調整するように、お二人自身も努力されるであろうし、それは池田内閣としては当然努力してもらわなければ国民は承知しません。今日の憲法は議院内閣制、内閣の一体性です。閣議で意見の相違がありましょうとも、事、国の国策に関する基本的な問題で違ったことをしゃべられては私ども国会で審議はできないのです。できませんよ。一体だれの言うことがほんとうなのかわからぬじゃないか。それで、こっちに質問すれば十七万解消、こう言う。片一方は七万だと、こう言う、こういうような池田内閣の最近の統率のなさ、そういうものを私どもは実は非常に遺憾に思っておるわけです。しかしこれはきょうの本筋の質問でもございませんからやめます。 私がそこで官房長官にもう一点お聞きしたいことは、このような事態になったのはどんな原因があるかということです。教育に関しては文部大臣の諮問機関として中央教育審議会があるのです。しかし私は、事、科学技術教育、しかもこれは所得倍増という国の政策に基本的に関するようなものを企画立案するにあたっては、一文部省だけではいささか荷が重いのではないかという考え方を持つのであります。これは総理大臣のもとに直属して内閣全体が当たらなければ、このような混乱が次から次へと出てくるに違いない。当面の企画の責任者は科学技術庁長官ということになっております。私が非常に感服いたしましたのは、ケネディ大統領が教育特別教書を出しておる。その中でこう言っておるのです。「国家としてのわれわれの進歩は、教育でのわれわれの進歩以上に早くはあり得ない。」教育第一主義をケネディが述べたその次に、職業教育について彼はこう述べたのです。「私は厚生教育長官に対し、教育界、労使双方、農業界、一般市民及び農務、労働両省代表からなる諮問委員会を招集し、これに現行職業教育諸法を再検討、再評価し、計画改善と方針転換のための勧告を行なう任務を授けるよう指示した。」私は、政府はああいうような審議会をやたらにお作りになりますけれども、事国の国策の基本になるようなものは、この際やはり中央に大きな何か労働者の代表も含めた−i−いつも財界の代表ばかり連れてくるのじゃなしに、農民の代表も含めたそういう国民的なものをお作りになる方が、この科学技術者の問題解消のためにも必要ではないかと思いますが、科学技術庁長官、いかがお考えですか。
○池田(正)国務大臣 お答えいたします。これは社会慣習といいますか、そういうような点からもアメリカと日本とはだいぶ違うので、アイディアとしては今あなたのおっしゃったようなことが望ましい。ただ現在の段階でそこまでいっていないことは事実でございます。そういう方向に今後努力したいと思います。
○大平政府委員 お答えの前に、さっき技術者、技能者の養成について具体的な施策がないじゃないかということでございますが、たびたび申し上げましたように、毎年度の予算案を通じまして、具体案をお示しいたしまして御審議を願うということになっております。本年度の計画につきましてはすでに野原委員御案内の通りでございます。先ほどからも御論議がございましたように、技術者、技能者の養成ということになりますと、教育職員の充実ということ、施設の充実ということも、今御指摘がありましたように、非常に大事な、困難な隘路になっておると思うのでございます。先ほど申し上げましたように、今与えられた条件のもとにおいて私どもはベストを尽くすんだということで、年々の予算案を通じましてお目にかける、こういう方針で今進んでおるわけでございます。 それから教育の重要性につきましては、われわれも全く見解を一にいたしておるわけでございます。特に、アメリカにおけるよりも日本において、われわれの技能、われわれの知能は財産でございますから、この開発には特段の留意をしなければならないという考え方のもとに、年々歳々教育費につきましても特段の配慮を加えております。本年度の予算におきましても画期的な増額をはかりましたことは御案内の通りでございます。
○野原(覺)委員 解消のための具体的方策があるとするならば、その具体的方策とは何だ、お示し願いたい、こういうことになると、官房長官いかがですか、困るでしょう。また私がそういう質問をしたら時間がかかる。先を急ぐから、私は急いでかいつまんで申し上げたいと思うのですが、私は十七万の不足を解消するには池田科学技術庁長官と同じ見解を持つのです。なぜ私立大学を活用しないのかと言いたいのです。今日の日本の政府くらい私立学校に対して冷淡なものはありませんよ。私もいろいろな文献をあさってみたのです。アメリカにおいては、七〇%から八〇%公の金で補助をしておる。日本は学生の授業料が七〇%から八〇%なんですね。だから何か建物を建てかえるということになると、授業料を上げないとやっていけない。こういうようなことで、十七万の解消とか四十四万の解消というものはできはしない。これは私の調査でございまして間違いないと思うが、時間をとるから文部省の発表はもうしてもらいませんが、大学の数は私立が百四十四、国立が七十二、公立が三十三あるはずであります。生徒の数は私大が三十八万、国立は十九万、半分しかない。公立は二万七千。大学院に至っては私大が四十八、国立が二十五、公立は十一。これをパーセンテージで出しますと、約六〇%は、実は日本の科学技術だけじゃないのです、日本のあらゆる文化の領域をこの私大が引き受けておるのです。これに対して一体どれだけの育成強化をしたのだろうかと思って、昭和三十六年度の予算を調べてみますと、総額にして国立大学には七百億の金が出ておる。ところが六〇%を受け持っておる私立大学にはわずかに十五億七千百万、しかもそれは私大の研究設備助成補助金として五億五千二百万、それから私大の理科特別補助金として十億九百万、こういう私大に対する冷酷な政治というものは、一体世界のどこの一流の国家でやっておりますか。官房長官御承知のように、イギリスに行けばケンブリッジ、オックスフォードがある。これは八〇%まで政府が補助しておるでしょう。ですから、私大はこの苦しい中であるにもかかわらず、われわれが六〇%受け持っておるのだから、わが国の文化の進運はわれわれにあるのだというので一生懸命にやっているのですけれども、これに対してはきわめて冷酷なんです。私は一人当たりの単位を一ぺん計算をしてみたのです。私大の生徒は四千百八円しか補助を受けませんが、国立は三十九万四千四百円一人の学生に国が実は金を出しておるのであります。しかも私立大学を出た諸君は、実は国のあらゆる仕事に携わって、国の発展のために努力をしておるわけでございますが、これらの事実に徴して、私立大学の育成強化を今まで何べんも言ってきたのですけれども、本気になって池田内閣は考えているのかどうか、私はこういうことのためにきょうは総理大臣に来てもらいたかったのです。これは予算委員会でもやったのですけれども、科学技術の振興と関係があるからあえて取り上げたわけでございますが、これは官房長官にお聞きしたいのです。どうお考えになりますか。
○大平政府委員 御指摘のように、わが国の私学が長い歴史と伝統を持って国家有為の人材を輩出していくという意味で文化の大きなにない手になっておるということは、野原委員と全く見解を一にいたしております。しかしながらただいま御指摘になりました御見解は、教育制度の根本に横たわる問題に触れておられると思うのでございます。私学は私学として創立の御精神があるわけでございまして、国家と独立にみずからの力で教育していくという趣旨でできたものと私どもは考えておるわけでございます。もし国家目的に国家の方から進んで御協力をいただくというようなことに相なりますれば、御指摘のように国家が財政的な協力をするのは当然だと思うわけでございます。御指摘の御見解は一つの御見解と思いますけれども、ただいまの制度から申しますと、私学は国から独立した制度であるというように思っておるわけでございますが、国家目的上必要な施設をお願いする場合におきましては、当然十分の財政的協力をすべきだと考えております。
○野原(覺)委員 官房長官、世界の一流国家はあなたのような方針はもうとっていないのですよ。政府が補助金を出す基準としては、学校の公共性にあるという方針をとっておるのです。もう欧米各国がみな、公共体化にあるのじゃない、つまり私立であるか、公立であるか、国立であるかということで政府は補助金を出すのじゃないという方針をとっておるのですよ。この基本的な使え方を変えない限り、あなたの方の十七万の解消はできませんよ。どうしてやります。荒木さんは一生懸命知恵をしぼったに違いないのです。私も荒木文部大臣には苛酷な質問を何回かしてきましたけれども、今の国立では荒木文部大臣が言う通りです。七万人、これはどんなに知恵を出しても最高限度ですよ。あなたの方が十七万の不足をしておるのだ。これを社会に送り、産業界に送らなければ、あなたの方の政策は実現できないのです。その具体策を示さない以上は、池田内閣はやめなくちゃならないのです。そのくらいあなたたちは所得倍増ということを今までうたってこられた。それをやるためには、私立大学を拡充強化する以外にないのです。つまり政府補助の基準は公共体化にあるのじゃないか、こういうような大学制度それから学校の行政、財政、こういう基本的な問題をもう今の段階では根本的に検討する大きな委員会を作る必要が日本にはきておるのじゃないか。何回も私どもはこういう議論ばかり蒸し返してきたのですけれども、私立の大学をどうするのか、これから先の日本の文化、産業、経済、それにこたえていくには、国立の学校だけでは、もう国の税金だけではまかなえぬのだが、これを一体どう消化していくかということを審議するために、内閣に権威のあるそういう委員会を作る段階が今日きております。これをやらない限り、日本の文部大臣は科学技術庁長官からいつもそういうような勧告を突きつけられなければならなくなると私は思うのです。この点についてほんとうにまじめに、おざなりじゃございませんよ。きょう済んだらいいのだということじゃなしに、あなたはきょうは内閣を代表して来られたという委員長の話でございますから、私はもっと真剣にお考えいただいて、これは閣議の議題にでもして政府は本腰を入れて一ぺんこの問題に取り組むという御決意のほどはございませんか、承っておきたいのです。
○大平政府委員 先ほど申し上げましたように、私立大学の性格の問題になりますと、私は先ほどお答え申した通りに承知いたしております。ただ当面問題になっておりますように、科学技術者の養成ということは今の至上の課題である、この場合に御指摘のように公正、私立の教育施設に御協力を願わなければならないということは、野原委員と全く私同見解でございます。この点につきましては科学技術庁長官からも御勧告がありました。文部省におきまして、これについての御処置を具体的にお考えいただけるものと承知いたしております。
○野原(覺)委員 この問題はほんとうに真剣に考えていただきたいのです。私はもう時間もありませんからここで質問をやめなければならぬのですが、二、三点、この私学の問題に関連してだけ、最近の文部行政に対してお尋ねをいたします。 この池田科学技術庁長官の勧告によりますと、荒木さんにお尋ねしますが、あなたの方は私立学校に非常に冷淡だそうでございますね。それはどういう点ですか。もう勧告については検討されたと思う。そういうことがないならないでもいいのです。私はあの勧告を見て、それからいろいろ私もあちらこちらから調べてみまして、実に冷淡だ。とても今の文部省のああいうやり方ならば十七万どころか、これはもう一万だって解消できはしないというのが、私学側のふんまんだと私は聞いておるのですが、これは文部大臣にお尋ねします。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。私学に文部省が従来も現在も特に冷淡だということはございません。
○野原(覺)委員 大学の学生の収容、定員の変更に関しては、これはどういうことになるのですか。文部大臣が認可をする、そういう法的条件があるのですか、文部大臣にお聞きします。
○荒木国務大臣 私学に対しましては、学校法人の認可あるいは学部の新設等の認可という制度があるようであります。今お示しのことは、学科の新設、定員の増加についてであったと思いますが、それについては、届出をするということになっておろうかと思います。
○野原(覺)委員 届出ではなく、申請を強要した事実はありませんか。届出ということは、ある私立大学が、八十名の増員をするということを、教授会なりそれから理事会等できめたならば、届け出たら済むことであります。しかし、このことに対して文部大臣はくちばしをいれて、それは相ならぬとかなんとか言ったことは毛頭ないとおっしゃるのですか。
○荒木国務大臣 認可をいたします場合に、認可条件として、学科の新設、増員等の場合は届出になっておりますが、特に当分の間協議をしていただきたいという認可条件をつけて、ここ数年運営してきていると承知しております。
○野原(覺)委員 特に当分の間協議をしていただきたいというのは、法律にございませんね。それは文部省が勝手に作って押しつけたのですか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。理屈だけから申し上げれば、許可とか認可をいたしますときに条件をつけるということはよくあることであります。その範囲内において認可条件というものが勘考されて今日に来ておると思いますが、その意味は、だいぶん沿革的なこともあるようでございますが、私立大学、私立学校等、自主的に学校法人を設立して経営されるわけですが、一般的には問題はないと思いますけれども、中には認可を受けた、学部の設置の認可も受けた、その後の学科の新設、増員等については、学生側から見て好ましくないような条件のもとに学科が新設され、増員が行なわれたという、好ましくない例が過去においてあったそうでありまして、そういうことであると、学部の認可、学校法人の認可、それであとは全然勝手放題だということも、そういう悪い例の場合には適当であるまいということから、認可条件に依存いたしまして届出事項ではございますが、当分の間は相談してくれということをやり始めた沿革があるように聞いております。そのことに関します限りは、私は不当なことだとは思いませんけれども、ただ考えますれば、そういう悪い例があったということから始まった認可条件であるにしても、もういい悪いは抜きにしても、いつで何でもかんでも認可条件にかけて実質的の認可的なことをやるということは、これは検討を要するかと思います。沿革を添えてお答え申し上げれば以上のように承知いたしております。
○野原(覺)委員 これは法律にないのです。そういうことで半ば私大を圧迫してきたのです。文部大臣がお認めの通り。届出ということが法律なら法律通りにやってあげなさい。沿革としては、それは中にはいいかげんな私立大学があって問題が起こったでしょう。けれども、そのことのためにその法律を、そういった文部省の勝手な協議事項か何か知りませんが、押し曲げるというようなやり方は、いかぬと思うのです。私はあなた方のそういうものの考え方が、この前池田科学技術庁長官が指摘されましたように、昭和三十六年度には二万人の理工科系大学の計画を日本全国の私立大学が立てておった。これは私も、実は池田科学技術庁長官に文書で請求しましたところ、私の手元には来ておりますが、それは早稲田大学、慶応大学一切で二万何百人かになるようであります。それが千何百人ですね。どうしてそうなったのか調べてみると、申請は確かにしていない。私立大学は申請はしていない。なぜ君らは計画したのに申請しないのかと言ったら、もういろいろとあるのです、こう言うのです。私はそういうような考え方では、このインスタントの教員養成所まで作ろうという文部大臣にしてはおかしいと思うのです。私立大学は本気になって——ある意味においては、文部省としても監督機関でございますから、それは御調査になって、いいかげんなところは何らかの機会に善処を促せば、商売ではありませんから、聞かぬでもないと思うのです。そういうような点で、これは池田科学技術庁長官が指摘しておりますように、そういう計画があったことを文部省は知っておったのです。知らないとは言いません。知っておったのです。知っておったら、十七万人の不足という事態を顧みて、君のところはこうやれよ、ああやれよと積極的に指導してやって、ちょっとでも多くの科学技術者を増員させるということが手じゃありませんか。なぜそういうことをやらぬのです。そういうことをやらないで、何かしら押えることばかりになって、そして国の予算を国立大学に投ずる、こういうような考え方では、国の六〇%を担当しておる私立の育成強化はできないと私は思うのであります。この点について文部大臣としては事情をお知りであるかどうか知りませんけれども、一つ十分な御再考と御検討をお願いしたいのです。御所見を承りたいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。この点につきましては、先般の衆議院(しゅうぎいん)の文教委員会において御質問にお答えしたことでもございますが、その前に、文部省が従来私学をそういう認可もしくは認可条件等にひっかけて意識的に押える、圧迫するなどという意図があるはずもありませんが、そんなことで行なったことはないと信じます。それは勝手にこの場限りで申し上げるのではなしに、そういう建前でずっときたので、結果として受ける方からはそういう感じを抱かれたかもしれないということだろうと思います。 これは少し長くなっておそれ入りますが、私立大学の設置基準というのがあります。これはもともと終戦直後の、新制大学が発足するに際会しまして、設置基準に関する協議会ができて、私学みずからの自主的な一つの基準を作られた。それを五、六年前に文部省としても拝借して、それを基準にいたしまして、大学設置の場合の認否のものさしにいたしてきておると承知いたしますが、そういうことで、設置基準そのもののおい立ちは非常に民主的に衆知を集めて作られており、またその基準に従って誠実に運営してきたことには何ら他意があったはずはございませんけれども、もし考えねばならないことがあるとするならば、数年前に作られました設置基準というのが、科学技術教育を前向きに、積極的に、池田長官の勧告の線に沿うような意味において受け取った場合に、将来に向かってはたしてそのままでよろしいかということは、単にその応急措置という角度からではなしに、新たなる科学技術の進展に顧みた再検討があってしかるべきじゃないか。そういう課題として検討してみたいという意味のことをお答えした記憶が私はございますが、それもまさしく池田長官の御勧告によってそういうチャンスが与えられたと思って喜んでおる次第でございまして、さらに具体的に検討もしていきたいと思います。
○野原(覺)委員 これで終わりたいと思いますが、最後に池田科学技術庁長官にお聞きしておきます。 私は一万人の増員計画の文書をいただきましたが、これをいろいろ調べてみましたら、あれがわずか千二百名そこそこなんです。こうなると一割なんです。どういうわけであのようなことになったとあなたはお考えですか。これはあなたの勧告に出ておるわけです。これは参考までにお聞きしておきたい。どういうわけでそういう増員計画を持っておった私学がああいうことになったと科学技術庁長官はお考えですか。
○池田(正)国務大臣 お答えをします。今の私学に対する文部大臣の考え方は、私の考え方と大体一致してきたので、私もまことにけっこうだと思っておりますが、元来日本の私立大学というものは、ややもすると世間から軽べつの目をもって見られる。つまりそれは一つの事業的な格好で出発した面も多々あったのでありますが、これはいわゆる私立学校として個人所有の学校を許さないというので、これを途中から法人組織に改めて法人化いたしたのであります。そういう経緯もありまして、その後終戦後今文部大臣から述べられましたようないろいろな経緯もございますけれども、実際は大臣が御存じないような処置を文部省の官僚がやっておった、これは事実であります。これはやめなければいかぬ。これを私は指摘しておるのであります。 そこで内容をこまかく入りますと時間をとりますから申し上げませんが、何といっても今までの日本の悪い伝統で、官尊民卑といったような思想もそこに胚胎し、あわせて文部省の今までのものの考え方というものがあくまでも公立尊重、私学を抑圧するという考え方にきておるとしか私にはとれない。最も文部省の内部に通暁した人の話によりますと、日本の文部省というものは私立大学を絶対ふやさない、これが鉄則であるということまで言われておるのであります。そういうことからやっておることを見ますと、どうもそうじゃないか。これではいかぬ。そこで今の審議会でいろいろな制約をしてやっておる。こういうものは自主的に大学にまかせなければいけない。私なども私立大学出身でありますけれども、昔は百人の定員に三百人も五百人も学生を入れてあった。ところが今はことに理工科系などの科目を持っておる私立大学が、百人の定員に三百人も五百人も学生を入れたり、先生がしょっちゅう休講々々といって休んだり何かしたら学生は黙っておりません。学生が内部から学校当局を責めます。従って昔のようなさようなインチキは自主的にできない形になって、そこまで日本の私立大学は成長してきておる。これをまだ古い頭から抜け切らない文部官僚が、同じようなものさしで私立大学を見ておる。そこに根本の問題がある。しかし幸いに荒木文部大臣が賢明にこれを取り上げられまして、これから大いに検討し、努力していこうとおっしゃっておられますから、私は荒木文部大臣に大いに期待していきたい、また私は具体的な助言もいたしたい、かように考えております。
○野原(覺)委員 以上で終わります。
○濱野委員長 松前君。
○松前委員 私は二、三の点についてお尋ねしたいと思います。時間もおそくなりましたから簡単にお伺いしますが、やはり私学と官学に対する一つの差別的な問題について伺いたいと思います。 ただいままでの認可とか申請とかいういろいろな問題につきましては、野原委員の質問に対して大体文部大臣も、今日まではあのようなやり方をしてきたが、今後はその態度を変えるというふうに承ったのでありますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。私の立場だけから変えるのだと今直ちに言明することはちょっとむずかしゅうございます。しかしそういう気持を持っておりますという意味で申し上げました。というのは、先刻も申し上げましたように、私立大学の設置基準なるものが、池田長官からしかられる文部官僚が独善的にきめたものからスタートしておりませんので、私学の方々がお互い御相談なさって、こうしよう、こんな基準でお互いが自粛して内容を充実していこうじゃないかという気持でお作りになったのをちょうだいに及んで、それが省令という形で受け入れられておる、そういうものでございますから、省令だから文部省で適当に変えればいいじゃないか、理屈はそうですが、実質的に申し上げますと、やはり私学の方にも御相談して、現行の設置基準というものは再検討さるべき本質をもっておりますから、右から左に私の独断で変えますということを断言することは、儀礼的にも少し申しわけないような気持がしますから、幾分余裕を残して答弁させていただきたいと思うわけであります。
○松前委員 なかなか用心深い御答弁でありまして、さすがは頭のいい荒木さんだという感じがしますけれども、しかし今後における文部行政のやり方として、今日までのような認可事項でないものを実質的な認可の姿に持っていく。もしこれを不認可にするような態度をとるという方針がきまったときには、その申請を取り下げせしめる。そうしていわゆる法律をくぐるというようなやり方をしておられた。これはある意味において非常に卑怯なやり方です。しかしながら私学の立場から見ると、先のたたりがこわいから、まあまあこの際はということで長いものには巻かれろということでやってきておる。それが事実です。だからそういう態度を今後もおとりになるかならないか、これは文部省当局の態度によって決定することです。大学設置審議会にそれを審査せしめるかどうかということは文部省がおやりになることです。大学設置審議会にそれを付議しないならば、また学科の設置等はしなくてもいいものです。それを付議されるということは一体どういうわけだ、その点を私はあなたにお伺いしておるわけです。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 元来大学設置審議会は、御承知の通り大学の学長さんや教授という方々が委員になっておりまして、国、公、私立の学校関係者がメンバーになっておると承知しております。そこでその審議会それ自体はメンバーとしては私は客観性があると思うのでございます。問題は今申し上げた通り、設置基準というものが現状もしくは将来に向かってこれでいいかという課題が一つ、これはさっき申し上げた通りに御理解いただきたいと思います。その認可条件について野原さんにお答え申し上げましたように、届出で済むべきものが認可条件ということで実質的には認可事項と同じように協議してくれということになっておる。これまた先刻お答え申し上げたようなことでこれも検討していきたいと思います。届出ということがそれでも要求されているのは、私学の公共性を国民にかわって文部省が監督すると申しますか注目していこう、その機会を得るために学科あるいは定員の増加のときには届け出て下さい。そうすればその届け出られたところの大学の信頼性というか、実態に即して、そうですかと簡単にお受け取りして済ますという場合と、はたしてそれでうまくいくかということを助言申す機会を得るためのものであろうと思います。それを認可の実質と同じようにしていることに、場合によっては——その沿革は別として、今日の段階においては、行き過ぎという印象を受けられる面があろうかと思われるわけでございまして、そういうことからむろん検討さしていただきたいと思います。あくまでも文部官僚、大学官僚と池田長官からしかられますけれども、繰り返し申し上げますが、何かの意図を持って私学を押えつけてやろうという大それたことをやる顔つきの人は一人もいないようでございます。むしろこの根源は、繰り返し申し上げますが、設置基準の非近代性にあるということじゃなかろうかと想像いたします。これを前向きに改善するという意味で、私学がもっと自主的に責任を持ってやられるにふさわしいような角度から検討してもらおうという気持を持っておることを申し上げたいと思います。
○松前委員 実はもう少し勇敢に御答弁を願いたいと思うのです。かねての元気を出してもっと明確な答弁をしてもらいたいと思うのです。けれどもそれ以上は期待はできぬようでありますから、大体従来の方針は変えたいなというくらいな程度のなまぬるい御答弁にしか承れない、私はほんとうに遺憾ですよ。 そこで具体的な例もありまするけれども、たとえば私学と官学に対する文部行政の差別待遇というものは、あらゆる点において現われている。時間がありませんから簡単に申します。まず第一に、大学の設置等に対する校地面積などは私学に対しては広大なものを要求しておる。ところが官立の場合においては広大なものを要求してないのです。要求はしておってもしかるべくうまくやってそれを通してしまう、こういうことになっている。私学に対しては政府の補助もないのに膨大な敷地を要求している。設置ができぬような条件を加味してある。この例は、例をあげろとおっしゃれば申します。このような差別をしておられる。そういうふうな官立と私立との間に大きな差別をするがごときは、これは全くへんぱな行政であるといわなければならないのでありまして、今あなたのおっしゃったように、そういうような考え方は持っていないとおっしゃっても、それはあるのですよ。私も官学の出身ではあるけれども、現在私学にも関係しておるが、とにかくこれは具体的に私は体験しておる。だからこれはもう少し内容にわたってあるかないか、あなたの御所見を承りたいことが一つ。 それから能率よくするためにもう一つつけ加えておきます。それは寄付金の問題です。民間からの寄付金において、官立の大学等に対して寄付をする場合においては、とにかく受け取る側も何でも無条件に受け取れる。そうして法人の場合においてはそれは税金の対象にならない、こういうことになりまして、官立の大学に寄付金が非常に集まりやすくなっております。私立の場合においては、建物や敷地などにこの寄付金を投じてはならない。教育の施設、設備だけにこれを投ずべきものであるという条件がついております。しかも一年間というワクがはまっておる。このようにいたしまして、私立に対しては一つの条件を付して、そして建物やその他に対してはだめだ。しかしながら中の設備や機械類はよかろう。非常に過酷な条件がついておる。これは文部省の問題ではない、大蔵省の問題でありますが、少なくとも文部行政においてはこの点大蔵省と責任を持って交渉された結果でありましょうから。そういうことになっております。 なお寄付金に対してワクがはめられております。君のところは一年間に幾らだけ寄付をもらってもよろしい。しかもある特定の会社から寄付をもらってはいけませんよ。一つの会社から寄付金をもらっちゃいけないのです。会社から寄付金をもらうときにその私学がひもつきにならないならもらってもいいが、官立はそんなことは無条件だ。個人の財産を寄付することは私学の場合は免税の対象になっていません。官立の場合には免税の対象になっているらしい。このようにして官立を保護して、私学に対して許さぬわけにいかぬから、最小限度に許すが、なるべく伸びないようにしようというような意図が明確に出ておるじゃありませんか。この点に対してどういう考え方をお持ちか伺いたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。第一の点は、明確に差別した実績があるじゃないか、知っているかということですけれども、聞いておりません。これも弁解申し上げるようなことを申して恐縮ですが、国立の場合は、たとえば四年の大学であるならば、第一年の施設設備と事務的設備をそろえれば発足いたします。この公共目的を持った学校に対しての監督は国会が最終的にはなすっておる。国の施設だから二年、三年、四年と順を追うて学生生徒に迷惑をかけることはないであろうということから、設備も一年きりでよろしいということでスタートする。私立の場合は、従来は四年制の大学を作るのならば四年まで全部満員したときの施設設備をそろえていなければ認可しない、一番最初はそうだったそうでありますが、それもあまりに過酷すぎるというので、設置基準が順次ゆるやかになりまして、今は六割見当ならばよろしいということにしていると承知します。これとても国立の場合に比べればまさしく過酷であるというように見えることは当然のことであります。私は雑談の中ではございますが、私立の大学で一年の設備だけをしてスタートを切ったのだが、その大学の資産状態、信用状態でいけば、二年の進学がおぼつかないかもしれないというおそれがあるならば、それは特別の措置を考えてもいいだろうが、そうでなくて全幅の信頼が置ける、その裏打ちもあるという場合ならば、国立と同じような考え方で認可してもいいんじゃなかろうかとも考えられるじゃないかと雑談をしたことがございます。これとても先刻申し上げましたように、もちろんそうするのだと言い切れるものじゃございませんが、気持としては私学もだんだんと基礎も確実になってきた現状でございますから、その現状に即して今後に向かって設置基準が考えられてしかるべし、そういう課題と思うのでございます。元来私学は、官房長官も申しましたように、日本では国が補助金をやったり何かしてはいけないというのが根本の立て方になってもおります。ただ国の監督に服するという関連において補助金を出すことがようやくできる。一時は憲法違反論まで出ておったことも承知しておりますけれども、そういうことではいけないので、憲法の解釈上可能な限りは国も助成していくべきだ。それにしましてもおのずから限度がある。一般に公共目的を持っておる事業に対しまして国が寄与をする。低利長期の資金を融通する等のごときは当然やるべきだが、助成金、補助金等をやるについては、国が特に注文をするというか、要請してやってもらう。本来の私学プロパーの立場からは、当然にやるのじゃないけれども、国の目的にも協力しようという話がまとまれば、そこに初めて補助金も出せるのだという考え方で、御案内の通り乏しいながら助成金を出しておるということできております。従って松前さん御指摘の通り、民間からの寄付金等がなるべく集まりやすくするように協力することも、また公共目的を持っております私学に対する政府側としての当然の協力の課題でなければならぬと心得ます。その成果があまり上がってないじゃないかというおしかりだと思いますが、まさしくそうだと思います。もっと私学の公共目的に賛同した方々から浄財が集まりやすくする努力をしなければならぬと思います。そこで昨年来関係省庁と打ち合わせをいたしつつ、法人税法の関係政令を改正いたしまして、わずかではございますが寄付が集まりやすい窓口が少しでも開けたことは、貧弱でございますけれども喜んでおる次第でございます。今後もっと窓口を広げ、さらに効果的に私学振興に寄与する道を寄付金を集めやすくするという角度から検討もし、努力していきたいと思っておるところでございます。
○松前委員 寄付金の問題で簡単にお答え願いたいのです。財産を寄付する場合において法人は免税する、個人は免税しない、こういうことになっておる。そういう点は今後どういうふうな取り扱いをしようとしておるか、お伺いしたいと思います。
○荒木国務大臣 御指摘の通り個人からの寄付はできないようになっておると承知しますが、これは法律の改正を要しますから、将来法律を改正してでもそれができるようにしたいものだと思います。外国の例等も聞いておりますが、外国では資産家が遺贈の形で自分の資産を残すということが多くあるそうであります。あるいはまた相続財産を寄付する場合に特典が与えられるとも聞いております。そういうふうな外国の例等も調査もいたしましょうし、個人が寄付する道が開かれることは望ましいと思いますから、何とか一つ努力してみたいと思っておるところであります。
○松前委員 東京大学の工学部の校地面積は、聞くところによると五万八千坪という公称になっておるそうです。ところがあそこの敷地は大体十万坪くらいしかないようでありますが、そうするとあそこの大部分は工学部が取っておるということになる。行ってみると工学部はすみっこにありますが、そういうふうなデータでいろいろな学部や学科の増設等を大学設置審議会が適当に審議しておきめになっておる。私学だけがインチキをやっておるのではないのです。文部省自体にインチキがあると私は見ておる。あるいは政府が所有しておる例の東大のゴルフ場、あれまでもお入れになっておるかもしれぬが、ゴルフ場までも与えてある。そういうふうに官学偏重の体制というものに対して基本的な施策を講ずべきときだ。少なくとも、偏重というよりも、私学との間に行政の面においての相当な径庭がある。不公平がある。この点については、さっきないと盛んにおっしゃるけれども、現実にあるのです。私は一問一答はいたしませんけれども、そういうように片一方にはゴルフ場までも許しておって、しかもそこの大学の卒業生だけしか行けない。これは一体どういうものでしょう。大学の監督の衝に当たる文部省としては、そこまで黙認されますか。そうして敷地の問題を私学に対しては非常に厳重な条件をお出しになります。その点を一つ、概念的でもよろしゅうございますから、あなたの御答弁を伺いたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。ゴルフ場のことは知りません。ただそういう具体的な、結果的に差別があるなしを一応別とさせていただいて、先刻申し上げるように、根本は設置基準というものの再検討から始まって、そして大学設置審議会のものの考え方が現在から将来に向かって万人に納得できるような線が出るように私は希望したいと思います。そういう努力をしていきたいと思っております。
○松前委員 万人に納得できるという抽象的な言葉で逃げられるのですけれども、現在のような文部省のいわゆる大学設置審議会の委員の選定の方法、あるいはそのよってきたところの具体的な経過というもの、あるいはまた設置審議会を形成する人々の出身の母体、これらのものを検討しますときに、それらの中に今私が言うような要素が入っておる。これを私どもは現実の問題として認めざるを得ない。私はこの間まではそこまではないだろうと思っておったのですが、思っておったらとても根の深いところにちゃんと準備してある。あなたが上だけなでくり回してみても決してできませんよ。根が生えておる。そういうふうな長い歴史の中につちかわれてきたところのそういうふうな風潮が現在文部行政を毒しておると思う。これに対してはあなたはどういう認識を持っておられるか、伺いたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。今御指摘のような深いところまでことごとくの認識は私はございません。しかし制度論からいけばそんなことがあるはずがない、あらしてはいけない問題だろうと思う。審議会のメンバーをどうするかは、任期もあることですから、すぐにどうこうということはできない道理でございますが、大体聞きますと、大学の経営にあたる側の意向と教授グループというものは、必ずしも同じ課題についても一致しない傾向を帯びる。そういうことで長年の間にいろいろと複雑な条件を作り立てておるのじゃないかと推察するのでございますが、これは単に推察であって当たらないかもしれません。私はもし松前さんの説に従って、審議会の委員のメンバーをあらためて考えるとする一私見とするならば、教授側に立つ方、経営側に立つ方、さらに文部省それ自体を代表するような者、たとえばそういうふうな構成にして、従来の審議会できまったことは文部省としては原則として一言も言えた義理じゃないという、非常に民主的なようではありますけれども、多年の間には一つの方向づけができてしまおうそれがある。国会に対しまして直接責任を持つ立場に立つ意味におきましても、そういうふうな考慮が必要じゃなかろうか。文部省という権力が介入することを意図するという意味では全然なしに、国民すなわち国会に対して具体的に責任を持ち得るような、先ほど来いろいろお話が出ておりますことにつきましても実情を常に知り、あやまちがあれば正し得るような立場に立つ必要もあるじゃなかろうかとも思いますが、これとても一私見でございまして、結論的なものではむろんございません。その点も検討させていただきとうございます。
○松前委員 現在の審議会のメンバーがいいとか悪いとかいうことを私は言っておるのじゃない。ただ問題はその審議会を利用して、そして私学の前進をあえて妨げていると言いたい。そういうふうな傾向が見えることを、私は現在の日本にとって不幸なことだと実は思っております。この意味において申し上げておるわけです。 もう一つ伺いたいことは、私学審議会とそれから大学設置審議会と申しますか、二つある。そして私立大学はこの二つの監督を受けなければ——監督というか、その議を経なければ、大学の設置も学部の設置も認められないというような格好になっておる。官立の方はそんな必要はない。そのようにして二重も三重もかきねを作って、なるべくこれを通すまいというふうに持っていこうと思えば持っていけるように仕組みができておる。同時にまたそのような動きが多少あるようです。この点については文部大臣どういうようなお考えですか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。正確なことはまだ承知いたしません。ただ推察を交えることを許していただけば、二つの審議会を経るということにしましたのは、アメリカ的なものの考え方からいけば、役人が私学に干渉してはいけない。しかし公共性については国民にかわって関与せねばならない。その関与する場合に、役所の権力のほしいままな意欲が動かないように、いわば民主的な機関が二つあってチェックするならば、よりよき結果が期待できるだろう、そういうことであの制度は生まれ出ておるかと思います。しかし御指摘のように、考え方によりますれば、池田さんからはしかられますけれども、文部官僚といえども国民に奉仕する、私学の関係でいけば私学に奉仕すべき役人であり、雇い人である限りは、私学の持つその使命を最も効果的に、合理的に発揮させるようにする使命感は当然持っていなければ、役人たる資格はないわけですから、そういうことに御信頼をいただければ、私は二つが一つであってもいいのではないかというふうにも思います。これとても、法律に基づいて設置されておりますことですから、慎重に検討の上に結論が出るものならば出しまして、御審議を仰ぐ機会もあろうかと思います。
○松前委員 私立大学審議会と大学設置審議会、この二つは厳然として存在しており、しかも二つの門をくぐらなければ文部省は判を押さないというような格好になっておるようです。官立の場合はそうじゃない。だから、私学の場合はこういう制度が民主的だとおっしゃるならば、官立の場合は民主的でなくてもいい、こういうふうにお考えですか。そこの矛盾を私は聞いておるわけです。
○荒木国務大臣 お答え申し上げますが、今の点でございますと、国立は政府というものがあって、国と別個の立場で自主的に存在しておる私学とは別個の性格を持っておるわけでございますから、一段階は省略されているというだけのことであって、特に差別して、国立は単純にやるのだけれども、私学は二つの関所を通らなければいけないのだという意図からそうしているとは私は考えません。国立、私立の本来の特質からいたしまして、きわめて事務的にそうなっておるというだけであろうと思います。
○松前委員 そこに差別があるのです。ただ自然にそうなっておるといってお逃げになるわけにいきません。大臣としては責任をもってこの問題をお考えいただかなければならないと思うのです。どういうふうにこういうふうな差別を取り除こうと具体的になさるのですか、伺いたいと思います。
○荒木国務大臣 国立の場合は、既存の国立大学の学部新設等を例にとりまするならば、その大学それ自体が国立は国立なりに自主性を持って運営されております。文部省に申請がありましたときには、いわば予算獲得の手伝いをするという格好になっております。そういうことでございますから、特に審議するということは、別個のもう一段階のものが、あたかも私立大学審議会のごときものがもう一つある必要がない。その必要性は、政府が国会を通じて国民に責任を持つ段階は直接あるのだから、ということだろうと思うのでございまして、国立には関所が一つ、私立には特にいじめるために二つという意図を持ってそういう制度が作られておるとは思われないのであります。問題は私立に対しまして、かりに今二つの審議会、関所が二つあるままで今後いくとしましても、その審議会は、本来の趣旨、目的に沿うような運営がなされ、結論が出されておる限りにおいては、かえっていいんじゃないかと言えないこともない。問題は、設置基準ないし運営いかんにある、問題がありとすればそういうことかと心得ます。
○松前委員 どうも核心に触れません。評論家的な大体の観察はもうけっこうです。ただあなたは一体文部大臣として、どういうふうにした方が将来の行き方としては正しいとお思いですか、それだけ私は伺っておるのです。簡単に一つ……。
○荒木国務大臣 私学についての二つの審議会は、さっき申し上げた通り、検討すべき課題であろう、こう思います。国立につきましての今の制度も、それ自体としては悪いということは考えません。ただ御指摘のように、運営が、ことさら差別しておるという結果がありとするならば、そういうことのないようにすべきだ。その一つのスタート・ラインが、設置基準の検討ということであろうと思っております。
○松前委員 総括して御答弁を願いたいのですが、要するに、私学と官立の大学に対して、相当具体的な差別が今日まであったということを、私は指摘しておるわけです。あなたはいろいろ御答弁になっておられますけれども、総合的にそれらのものがあったとして、これを改めるように、行政指導をおやりになるつもりであるかどうか、この点を承りたい。
○荒木国務大臣 先刻来申しておることが、お答えになっておると思います。そういうことありせば、ないように、どうするかということを考え、ないように指導したいと思います。
○松前委員 先ほど来野原委員からの質問がありましたように、いわゆる所得倍増計画は、端的に言えば、生産力の増大ということを背景として、こういう政策が打ち出されておる。生産力の増大というのは、いろいろな意味においての内容を含んでおると思うのでありますが、量的な問題ももちろんあるだろうし、同時にまた質的な向上というものを背景としておらなければならない。この意味における科学技術者の養成というものに対しては、われわれは今日まで多年主張をし続けて、ほとんどこのために生涯を費そうとまで考えております。そのような重要なものに対して、しかも今日所得倍増計画に必要なる技術者の、要員というものは、今のままでいくと、所得倍増というものは、単なる蜃気楼にすぎないとしか言われなくなる。何となれば、技術者という生産のための一つの要員というものが、架空なものであった、具体的にその所得倍増に必要な技術者の裏づけがないのだ、こういうようなことに相なっておるのが現状です。私は、これは池田内閣の基本的な問題に触れておると思うのでありますが、これに対して科学技術庁と文部省との間に、いろいろ意見の相違がある。先ほど伺ってみると、だいぶ近づいて、文部大臣もこれからできるだけ研究しようというお話のようでありますが、しかしこれからといっても、これは今までに研究されておらなければならない問題であり、またこの問題については、当然技術者の裏づけはあるものとして、すでにわれわれは今日まで予算の審議その他に当たってきた。それがここに至って、このような大きな欠陥が存在しておったということになっておる。しかし、予算の審議はあれであったにしても、国が責任を持って国立において養成するものは一応予算の面においてきまり、あるいはまた民間の私立大学等の養成に対しても、多少の助成金も一応きまって、民間の力によって自分たちはかくやりましょうと言ってきたのに対して、いろいろまたあれやこれや、ただいまお話をしましたような条件がついて、にっちもさっちもいかなくなって、それで文部省の申請も取り下げようというような方向に向かわしめるようなやり方を、あえて今日までしてきておられるところに、私は基本的な文部行政の今日までの欠陥があると実は思う。それが非常に所得倍増を妨げている。妨げるというより、不可能にします。あるいは蜃気楼にします。だからして、文部行政の行き方そのものが、今後における所得倍増政策という池田内閣の一枚看板を、おろすかおろさぬかの岐路に立っていると私は思う。それでその時期は非常に迫っておる。もうすでに今までになされていなくちゃならないのですけれども、今からやらなくちゃならぬというならば、早くその問題を解決しなければならないと私は思う。そして実行に移さなくちゃならないと思う。これに対して、ただ今からよく考えましょうだけではなくて、いつごろまでにこれを実行して、そしてたくましく出発するのだ、こういうところがないと、私は弱い政策として、池田蜃気楼内閣にならざるを得ないと思う。この点は自由民主党のために、また政府のために、なるべくすみやかにこれらの方針を御決定になることを希望するのでありますが、どういうふうにお考えでありますか、伺いたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。非常に御理解のある、御激励の意味も含めた御質問だと、ありがたく拝聴しますが、十万人の、たとえば大学卒業程度の技術者が不足するということは、科学技術会議の答申の作業当時から、やむを得ざるものとして一応考えられておったところであります。だからこそ前向きの努力をせねばならないという努力目標、その気持も含めて答申がなされておるわけでございまして、それを受けてできるだけのことを、国の予算という形では盛り込んで御審議を願った、こう心得えておるわけでございます。その推定の数ではございましても、約十万近い不足があるということは、遺憾千万ではございますが、それは今の池田内閣の施策よろしきを得たか得ないかの問題ということよりも——責任をのがれようというのじゃなしに、そういう問題であるよりも、もっと以前に、私から申し上げぬでも松前さんが万々御承知の通り、科学技術そのものの進歩発展のテンポが、日本人はもちろん、世界の大方の国民も予想しなかったように、突如として新しい発見があり、それを契機として、科学技術の急速な進歩発展が現にある。そのことが、単なる試験管の中の発見にあらずして、現実の社会生活にも結びついたものとして急激な発展を遂げてきた。それをめぐって、国の産業あるいは国民経済という角度から見ましても、何としてもこれに追っついていかぬことには、民族それ自体の繁栄というものはあり得ないという、緊急課題が突如として現われたがごとき姿であると思うのであります。ですから、できるならば数年前から、今課題になっておるがごときことが考慮せられて、政府側としても、積み重ね方式でもいいから、着々努力がなされておったりせば、それを教育の場に持ってきて申し上げるならば、十万人近い不足が出なくて済む現実の条件が熟しておったろうと思うのですけれども、遺憾ながらその点について、日本全体としての置かれた条件が、米ソを念頭に置きましても、とても及びもつかないときに、その要請が突如として出たところの悩みが、具的体にいえば、十万人近い大学卒業程度の高級技術者の不足を、第一年度としては表面に押し出して、それからスタートして、半年でも早く、一年でも早くそのギャップを埋める努力をせねばならない場面に追い込まれておるということだろうと思います。従いまして、その欠陥を、ありのままのことを表面に出して、それからスタートして、年を追うてあらゆる努力を、教育の場のみならず、もろもろの課題と取っ組んで解決しつつ、科学技術の進歩発展におくれざらんことを期し、かつ所得倍増の目的を達したい、こういう課題に、池田内閣はもちろんのこと、国民全般が直面しておるのじゃないか。その中の一つとしての教育の問題としてとらえまして、科学技術庁長官の勧告も含めて真剣に前向きに努力すべきものだ、こう思っておるわけであります。ですから、繰り返し申し上げますが、予算に関する限りは、三十七年度以降八年度、九年度と今後の九年の間に極力努力をして、足らざるところを補っていくという使命もわれわれは与えられていると思っております。 私学のことを具体的に取り上げましても、国の予算というてこ入れなしに私学だけでやるといたしましても、その資金をどうするかということになるかと思うのです。その資金は寄付金に仰ぎたいといっても、その寄付の窓口を広げること等から始めて当たらなければ、諸外国並みにはいかないという悩みも現にある。だから私学の問題も含めまして、予算と関係ないところも当然考え、かつ行なっていく責任を感じます。
○松前委員 いろいろまだ問題もありますけれども、この辺でやめたいと思うのです。 政府の中における矛盾、科学技術庁と文部省との間における矛盾、相反する立場において今日まで進んできたかのごとくに私どもは見受けておったのですが、その点については、多少、今日ただいまの文部大臣のお言葉で、科学技術庁長官の勧告に対して誠意を持って善処するという、しかも多分急速にという意味は言わなかったけれども、そのつもりで言われたのだろうと思うのですが、この問題は非常に深刻な問題であり、日本の歴史としてもこういう事態が起こったことは非常に私は幸福であると思うのです。だからしてこういう事態を、苦い薬がかえってからだにもきくようなものでありますから、これを薬にして、一つ今までの行き方に対してとらわれない思い切った施策を、勇敢に実施してもらいたい。あまり用心深くやっておられると時間がかかります。その点は一つ勇敢に進んでもらわなければ、この問題は解決しないと私は見ております。 いずれ今後政府の行き方を拝見しまして、時間を見てまた御質問をしたいと思いますから、今日はこの程度で質問をやめます。
○濱野委員長 山中吾郎君。時間ですから簡単に願います。
○山中(吾)委員 文部大臣にだけお聞きすることは文教委員会でお聞きすることにして、科学技術庁長官と文部大臣の関連事項だけ簡単にお聞きしたいと思うのです。 長官の方から勧告をされたに対して、文部大臣の方は文書で御回答をされたのか、あるいはされるおつもりなのか。もし、されない場合には勧告しっぱなし、あるいはされっぱなしにするのか。長官の方では、意思統一するまで再勧告する、あるいは一致点の結論をお出しになる御方針なのか。それを先に両者からお聞きいたしたい。
○池田(正)国務大臣 これは単に私が思いつきや物好きでやった仕事ではないのでありまして、ただいま松前委員や野原委員からも御指摘があったように、これは今、日本の国家に課せられた大きな課題であります。日本の産業経済の伸展をはかるとともに、世界各国に伍して日本の科学を伸ばしていく、そのためにはどうしても科学技術者の養成ということは刻下の重大なる要請であります。それにつけても、文部省のやっておることは私には納得できない。文部当局は、先ほど来、三十七年度から三十七年度からということをよく言われるのであります。しかし今となっては予算が済んでおりますから、そこで予算がなくともやっていける面があるはずだ、これを指摘しておるのであります。こういう段階になって参りますと、一年ということは非常に重大であります。でありますから、私はこの一年を待つわけにはいかない。予算の裏づけがなくともできることはあるはずだからそれをおやりなさい。これをやれないようだったら、日本の科学技術の振興ということはできない。私は長官としての立場から、非常に重大に考えております。であるからこそ、かような勧告というような非常手段をとったのでございます。従って、もしもこれができないということになって参りますと、私は閣僚として、また日本の良心ある政治家としての責任はとれなくなる。私はそれだけの決意をもってやったつもりでございます。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 先ほど来申し上げますように、池田長官の勧告をすなおにお受けいたしまして、御答弁を申し上げておるような次第でございまして、一応抽象的には、この勧告に対する受けました側の態度は、国会において表明いたしておりますから、この限りにおいては、文書の御回答などというようなやぼったいことは必要でないと思っております。ただ当面の問題もありましょうが、長きにわたって考えなければならない重大課題を、大所高所からお示しいただいておるわけですから、参考資料等に掲げてあることもむろん参考にいたしますが、その片々たる数字などは、池田長官は初めから念頭に置いていらっしゃらない高邁な御忠告でもありますから、けんけん服膺いたしまして、予算としては三十七年度以降年々歳々努力すべきものである、また予算を伴わないものについても、先刻松前さんにお答えしましたような心がまえで、実行できるものはむろん実行に移す、検討を加えて実行にたどりつくべきものは、そういうものとしての全努力をする、こういう心がまえでおります。
○山中(吾)委員 法律上勧告権というものがあるのですから、当然に文書をもってそれに回答するという何か法的な義務があるのじゃないか。国会でどう言われても、設置法そのものに基づいて文書によって勧告する権限があれば、受ける方は正式にその勧告をした国務大臣に対して、文書をもって回答すべき義務があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 勧告された方からは、必要ならば文書で回答を取られることもありましょうが、いずれにいたしましても、この問題は、政府部内のそれぞれ権限に基づく行政行為でありまして、政府の責任において、回答を取るなり取らないなりすべき性質のものであろうかと思います。池田長官はまた別途お考えがあろうかと思いますが、事柄としてはそういうものと心得ております。
○山中(吾)委員 私は、法律上勧告する権限が与えられておる場合については、やはり正式に何らかの回答をすべきものだと思いますので、これは法律解釈の問題ですから、法制局からお聞きいたしたいのですが、きょういなければ火曜日でもけっこうです。そうして両国務大臣にどうしても意見の相違がある場合には、そのときに総理大臣が判決を下すように、そこに私は内閣という組織があると考えておるのですが、今のようなお話では、これは勧告しっぱなし、受けっぱなしで、池田長官のお話では、そういうことでは許されない、国務大臣として真剣な責任を感じて勧告をしたという御答弁なんですが、文部大臣のその今の答弁で、池田長官はそれで御満足してお聞きになっておられるのですか。それを先にお聞きいたしておきます。
○池田(正)国務大臣 これは賢明な文部大臣でございますから——何しろ文部省という役所は厄介なところで、率直に通俗な言葉でいいますと、小じゅうとみたいなのがたくさんおりまして、それが妙な組織になって、なかなか外からちょいと入った大臣や何かでは手がつかぬところがある。荒木さんよりは私の方が文部省のことはよく知っている。なかなか容易じゃない。そこで荒木文部大臣もああいう御答弁をなすったのだろうと思うし、またお互いに同じ閣僚の中におって、またお互い友人として話し合っていることもあるし、法律的にはどうなるかは知りませんけれども、必ずしも答弁とか、回答とかいったようなものは私は考えておりません。むしろ実態を私は考えておるので、一つお互い同僚閣僚として、この国家の要請にこたえるような措置をとるようにお互いに努力していきたい、かように考えております。
○山中(吾)委員 今科学技術庁関係の報告を見ますと、勧告に基づき当該行政機関のとった措置については報告を求めることができる、こうなっておるわけですが、その報告をお求めになってその措置をとっていかれるか、いかれないか、それくらいはしないと、法律に基づいた勧告というものでなくて、ただ個人的に意見を述べたということになると思いますから、その点は私はやはり報告をお求めになって、将来の見通しに責任を持つようにすべきだと思うのですが、報告をお求めになりますか。
○池田(正)国務大臣 文部省が私の勧告を尊重して行動を起こしてくれれば、私はそれで結果的に満足だと思います。従ってその十一条の四項による報告を求めるかどうかということは、まだそこまで考える段階じゃないと思う。もしも文部省がどうしても聞かないということになれば第四項、それでなおかつ聞かなければ第五項、なおかつ聞かなければその次の手と、これは手は幾らでもあるはずであります。
○山中(吾)委員 大いにあらゆる手を使って内閣の方針が実現するようにわれわれも見守っていきたいと思うのです。ところがこの長官の勧告に対して文部当局においては反論をした、勧告にこたえたのではなくて反論をしたということが新聞にも載っております。その中で、その反論されっぱなしで——その勧告に従ってこういう措置をとりたい、この措置はとれないというならば回答でありますけれども、一つ一つ違っていると反論されっぱなしで、そうして意気軒高たる長官がながめておるというようなことでは、私は何のための勧告だか、演出のような勧告のような気がするので念を押しているわけですが、その中で第三者として見ても、こういうことが書いてある。私立大学においては三十六年度に一万人の理工学科の学生増員計画を持っているとしているが、現実に申請された増員要求は一千三百五人で、このうち一千八十五人が許可されている、長官の勧告では、私学においては一万人の理工学部の定員増を要求したが、たった一千人くらいだ、文部省ではそうでなくて事実要求されたのは一千三百五人である、こういうふうに反論をされておるわけですね。こういうことについてはいかがでしょうか。
○荒木国務大臣 今の御質問について申し上げますが、新聞に何か反論らしいものが出たのは私も見ましたが、私は全然知りません。しかし事務的にはそんなことがあったかもしれません。それ自体は大した問題ではないと私は思うのでございますが、ただ私学に一万人の増員を引き受け得るのだという気持があったとは思います。思いますが、政府として科学技術庁だ、あるいは文部省だという立場において公式に申します場合には、やはり私学からの御申請によって、それに対して法律で定まった助成金を乏しいながらもつけるかつけないかという課題で登場しませんと、現実にそういう計画があったとは申し上げかねると思うのであります。従ってこの参考資料に書いてあります池田長官の勧告に関連する問題としては、あくまでもその将来に向かっての努力目標というか、そういうものを私学は持っておるのだぞ、そのことを今後において機会があれば取り上げてしっかりやれ、そういうことをやらないとあのギャップを埋める時期がおそくなるぞということを示されたものだと承知しておるのであります。つい二、三日前でございましたか、私学連盟その他の三団体の代表者が四、五名私の部屋においでになりまして、私学としての一応正式な陳情書というものをちょうだいしました。これは一般的ないろいろな前向きの課題としてこんなことがある、こういう改善をしてくれ、あるいは科学技術者養成についてもこんな考え方を持っているのだということを意思表示をしに来られまして、これは印刷されたものを持って正式に陳情に来たのだ、こういうお話でございました。そこで事柄として私は全部賛成でありますが、これを実現せんとするならば、何としても来年度の予算ということでないと具体化しませんので、そのことも申し上げつつ、きわめてなごやかにお話を申し上げたような次第でございます。
○池田(正)国務大臣 勧告についての文部当局の反論ですか、実は私は見出しだけ見て、中は見ておりません。そう言うとしかられるかもしれませんが、属僚の言うことを一々——私どもはそういう低い角度でものを言っておるのではない。そんなことは眼中にないのです。 それから今の一万人云々の問題、先ほどの野原委員からの御質問にもあったと思いますが、私はちょっとど忘れしましたが、これはこういうことなんです。つまり去年の秋に私立大学の連中が集まったわけですが、お互いにどこの学校ではこういう学部をふやしたい、おれのところはこういうものをふやしたいというものを寄せ集めて一応検討してみたことがあるのですが、その数字があれなんです。ところがそれが申請されないという理由は、つまり今いろいろの審査規定がございまして、それでみなが引っ込めて出さなかった、こういうことです。しかも今大学設置大学設置といいますけれども、世間ではややもすれば新しい大学を作ることを念頭に置いておるのでありますが、今これから新しい工科大学なり何かを作るということは、手数もかかるし、人間も実際問題としてなかなかむずかしいことです。私立大学は東京その他にもりっぱな大学がありますから、そこに科目をふやしていけば千人でも二千人でもできる。そこでもっと具体的にいえば、文部省はこの際はことしの予算では補助金も何も出さないけれども、とにかく力のある学校は一つ協力してやってみてくれぬかと、一言文部省が声をかけてやればやれるわけなんです。しかもそれが弱体で先に行って先細りになって、あとは財政的に参ってしまうというような学校もあるかもしれないが、そんな学校ばかりではない、りっぱな大学がたくさんありますから、そういう学校に協力をしてもらったらいいじゃないか。そうすれば今まで電気学科というものは一つしかなかったが、そこに今度は弱電を置く、あるいは電子科学を設ける。いろいろな社会の要請している、国家の要請している新しい学科がたくさんあるわけです。それで既設のそういう大学に、君のところは一つこれを扱ってくれ、これを心配してくれぬか。あるいは公立の場合も同様であります。東京都立大学で、君のところではこれがないようだからこれをやってくれ。大阪にはこういう教授がいるはずだ。そういうところまで親切に検討して、大阪にはこういう専門家がいるはずだ。そこでこういう科目を置いてくれぬか。それをやったら立ちどころに金一文も要らないで、国民の税金なんか使わなくても、りっぱに二千人や三千人の学生がふやされる。それを私は指摘している。それをやらぬから、文部大臣は人がいいから、よく知らないものだから、事務当局にだまされて、できないという観念を持っている。この間からだんだん私は話をしてみると、ああそうかということでだいぶ歩み寄ってきましたから、一つこれからお互いによく話し合いをいたしまして、可能な範囲においてこの国家要請にこたえるようにお互いに協力しようではないかというのが現在の段階であります。
○山中(吾)委員 文部大臣を非常に弁護されて、事務官僚が悪いとだけおっしゃっておられますけれども、今の一万人というのも、今長官が言われた通りに、一万人を工学部で教育したい。そして私立大学においては真剣にそれを申請しようとしても、設備その他が六割くらい保有していなければ認めないのだ、国立の場合には何がなくても認めるという基準に差別があるから、これを直すようにという勧告をされておるわけですね。ところが文部省の反論には、私立の教員厚生施設が初年度において完成年度の六割を持つということは、大学設置審議会で私大側が了承したことである。国立大が初年度だけをきめるのは、二年目から標準予算で組まれることになっているからだ、そういう反論をしている。そして大臣は人がいいからそれは知らないのだ。長官の勧告は、現実に六割しか教授の厚生施設が完成しなければ許可をしないということならば、これは永久にできっこありません。そして文部省の方では、いや私学が了承しているのだ。これは了承を強制させたのと同じことだと思うのです。従って一万人の工学部学生の増設計画というものは、やはり厳然として私は存在しておったと思う。反論には一千名しか事実はなかった。それを六割の準備をしなければできないという、これはできっこないわけです。そういう勧告に対して反論が、長官の勧告に対してできるあるいはできない、これはやりたいというのではなくて、それは全部違っているのだというふうなことだけでこういうものが終わるのでしたら、勧告をされない方がいい。権威を失墜するだけだと思う。今の御説明は、いや、一万人の申請というものもそういう基準に満たないから実は引っ込めたんだという御説明だと思うんですけれども、それは永久に引っ込めざるを得ない。県立あるいは公立の大学の申請の場合でも、これはそんなにできっこは絶対にない。官立については、たとえば今度の新設の場合なんか、施設をこれから、この予算を通して、この予算に計上したあとから教室を建てていく。現在建物もなければ、教授もない。それで認可している。そうして私立の場合に六割も教授の陣営と施設が完備しなければ認可しないということならば、これは初めからやれないことだと思うのです。それを長官が、勧告をした人が、文部大臣の弁解をここでされている。それはおかしいじゃないですか。もう一回聞かして下さい。来年なら来年で約束してもらいたい。
○池田(正)国務大臣 私は来年の約束をしておるのではありません。今年の話をしておる。そこで今年の話をしておるので、最初は文部省がただそこに出ているようにわけのわからぬ、弁解やら反論か知りませんけれども、わけのわからぬことを言っておるわけです。そんなものは私は問題にしておりません。それは見当違いなんです。数字の話から申しますと、数字が違っておる。私が取り上げました数字は、これは文部省が大蔵省に予算要求として出した数字を私はつかんだ。その後文部省が若干ふやしておる。それは実施面において若干違ってくることはわかっておる。ふえてみたり減ってみたりしているのです。そこでそんな数字を出して、これは違ったとかそれではいけませんから、私の最初に出した数字は、予算要求に盛られた数字を基礎にして私は出した、それも違っている、これは官僚的なものの言い方なんですが、子供相手にしても問題にならぬ。そこで問題は今年をどうするか、今年やろうとすれば、とにかく東京にはりっぱな大学があるのですから、そこで科目を三つや四つ、多いところは十くらいふやしてもやれますよ。そういう大学がある。あえて名前はさしませんけれども、そういう大学が五つや四つは東京にある。だからそういうところに科目をふやしてもらって、国家要請に達するようにしたらどうだろうか、こういうことなんです。そこで最初の間はだいぶ私も勇ましくやっておったのですけれども、あまり話がわからないでやっておったのですが、大体話がわかってきましたから、これ以上やるとかえっていけないから、私は結果をとうとびますから、その結論を得たいと思って、そこでせっかく話しておるところでありますから、あなたから見たら勇ましくけんかしてもらった方がいいかもしれませんけれども、そんなわけにもいきません。私はこの国家目的達成のために努力したい、こういう考えでやっておるのであります。
○山中(吾)委員 そのことは大体これでお聞きしておいて、これから将来そういう実を結ぶようにお願いしておきたいと思うのです。事実私学というのは認可になったならば、あらゆる努力を払って、毎年施設を充実していくんですが、公立関係は認可になるとやらない、逆なんです。一たん認可になるともう予算は縮小していく。大きい敷地で何万坪という計画を立てて文部省に申請をして、認可になるとこれはやらなくなる。そうしてごまかしていく。お互いに公立的な立場ですからにらみがきかない。私学の方が忠実だと私は見ている。私の体験からいっても……。だからその点は認可基準その他についてほんとうにこれを充実するならば、やはりこれから文部大臣と実態をお調べになって推進する具体的な話にお入り願いたい、かように希望を申し上げておきます。 それからあと一つだけでありますが、この科学技術者の養成計画についての基本方針について、一応長官の考え方と文部省の教育計画を立てるときの基本方針の考え方だけは一致していかないと、私はやはり勧告のしっぱなし、非難のしっぱなしということになると思うのです。お二人に聞きたいのですが、たとえば日本の技術者養成に高級科学技術者と、それから中級、中堅という言葉を使ったりしておりますが、中堅科学技術者と二本建で養成を考えておるのか、あるいは高級あるいは上級科学技術者、中級科学技術者、初級科学技術者と三本でこの計画を基本的にお考えになっているのか、長官はどっちなんですか、文部大臣はどう考えておるか、これは一致していないと教育計画はみなまちまちで勧告しっぱなし、されっぱなし、それから一致した体制が出ないのじゃないか、経済界その他からも要請があるでしょうが、その点の基本的な考え方をお聞きしておきたいと思う。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 教育プロパーのことは私の責任でございますから、最初にお答えを申し上げますが、大学卒業程度の者を上級の技術者と通称しておるようでございますが、それが一本、それから高等学校課程、工業高等学校課程を終えたいわゆる中堅技術者あるいは技能者と称せられる者が第二のもの、その次は、三本建とは申し上げかねますけれども、これは一般的に科学技術教育について下地を作る程度を出ないとはむろん思いますけれども、義務教育課程においても、特にそういうことに重点を構いていこうということでございまして、技術者もしくは技能者と名づけるならば二本建、大学卒と高等学校卒という考え方でいっておりますし、今後もいきたいと思います。この線はまた、科学技術会議の答申の線でもございますから、科学技術庁でお世話をなさる科学技術会議のことでございますから、おそらく池田長官も御同感じゃなかろうかと思っております。
○池田(正)国務大臣 今、文部大臣が言われたように、現在の段階では、大体二本の形で進んでおるわけでございます。しかし、実際の実情から見ますと、これは御承知のように、ハイ・レベルの研究者の段階から、一般の工員の課程まで、幾つもの段階がございます。従って、それにマッチしたいろいろな段階があっていいのじゃないかというふうに私は考えますが、しかし、それを基本的にどうするかということになってきますと、なかなかむずかしい問題にぶつかってきます。それからまた、これからの——これは文部省の関係になりますが、これはまたわれわれの立場から見ましても、日本の科学者というものは、今十七万、四十四万と言っておりますが、それだけで十分であるのか。一応ああいう答申が出ておりますけれども、現在の世界各国の情勢と比較して、それで一体満足していいのかどうか。あるいは、それが余ってきて、失業者が出てきて困りはせぬかといったような逆な考え方もあるかもしれませんけれども、そういうような面から見ますと、これはいろいろ考えなければならぬ。また教育の面になりますと、よけいなことを言うようでありますけれども、御承知のように、私もいろいろ全体主義的国家の教育制度も見て参りました。これらの国々の中には、科学者、技術者を養成することが非常に急がれておるために、いわば非常にお粗末な——普通学というものはほとんどやってないで、そしてほんとうの土木なら土木、測量なら測量、水理なら水理といったもすだけをやって国家要請にこたえていくといったようなところもあるのでございます。しかし幸いに日本は相当基礎ができておりますし、その基盤の上に立って、これから今の二本の線で一応進みたいというのが現在の段階でございます。
○山中(吾)委員 二段階で進められるということ、私もそういう意見なんです。三段階ということになると、昔のいわゆる封建的な職人とか、そういうふうなことになるので、やはり近代の科学技術養成は二段階以上——三段階に分けてはいかぬのじゃないか。その点について、やはり意思統一をされていかれることを希望いたしたいと思います。 で、先ほどの十七万というのはいわゆる上級科学者で、四十四万というのはいわゆる中等科学技術者、その他は国民が全部、こういう科学技術についての潜在技術者でなければならぬ。むしろ教育は、六・三の三までは全国民を、そういうような現在の科学的な技術素質を持ったものに教育するという、科学技術の国民への普及化というぐらいの考え方に立っていかなければ、私は、封建的なものに逆戻りしていく心配があるので、この点は御検討願っておいて、そういう方向に希望申し上げておきます。 そこで、そういうことの上に立ちますと、文部大臣、時間がないので、また次の機会にゆっくり御意見を聞いたり申し上げたいと思いますが、現在の科学技術教育計画の中に矛盾があるので御検討願わなければならぬと思います。それは、四年制大学における教育、それから短期大学の教育、それから、出すか出さないか知らないけれど専門学校、大学と高等学校の中間的なものの技術教育、工業高等学校の技術教育、そういうことになると、文部省では四つ五つの筋を立てようとしている。そこで、二段階の科学技術者を出すという産業と教育の一体化をはかる方針があるならば、その教育そのものが二本建ての教育計画でなければならぬのに、四筋である。この法律を見ますと、短大の付設高等学校の筋、それから工業専門学校、それも出そうである。工業高等学校の増設をはかる。短大の工学部をこの間設置した。そうして四年制の工学部があり、そこに科学技術者の養成と教育のやり方というものにまちまちなものがあって、基本的な方針というものがはっきりと確立されていないから、ときどきの要請に応じてそういうちぐはぐなものが出てくる、矛盾が出るのであって、これは長官と文部大臣の御意見が今一致したようでありますから、それを受けて教育計画も整備しなければならぬ。今お答え願わなくてもけっこうでありますから、次の文教委員会までにその点の基本方針をはっきりと確立していただきたい。そうでないとあとからあとからと矛盾が出ると思うのであります。 それから、たくさんありますけれども、あとは次にしまして、長官と文部大臣と両者おられるので、これも意見のそごを来たしてけんかをされては困るので、ここでお聞きしておきますが、上級の科学技術者の教育は、基礎知識というか、基礎科学教科を充実するかしないかということも十分に意思統一をしていただかないと——いわゆる経済界のために直ちにお役に立つ技術者を養成するというのは、企業の立場から当然アクセプトしてくる。ところが、こちらの方は、民族百年の大計の立場からやはりしっかりとした基礎科学を植えつける。技術者を出すという教育的立場における自主的な教育方針が確立されていないと非常な弊害が出るではないかと思う。明治時代から現在までのようなヨーロッパその他の科学を模倣した科学技術者を作るならばいざ知らず、やはりクリエートしていく日本の科学技術者を養成して、こういう原子力時代になっておるのでありますから、まねたような科学技術でなしに、こちらから作り出して、進んで民族の繁栄を考える。大臣は民族の繁栄ということを言われておるのでありますが、そういう百年の大計の上に立って、単に日経連その他の企業の営利的立場からよこせ、よこせという要請に押されて基礎科学を身につけていないような科学技術者を出すことのないよう、基本的方針を確立すべきである。現実にヨーロッパ、ソ連あるいはアメリカあたりの科学技術者養成の教科課程を見ましても、基礎自然科学あるいは基礎専門科学関係の教科というのを大体四割くらい課しているのです。日本の場合は逆に一割二分から一割四分。そうして、直接必要な専門科学は四九・六。すなわち、五割くらい。そこからは模倣する科学技術者しか出ないのであって、日本の百年の大計を立てるために、私は文教政策といった立場からいったならば、本質をなくしておる。それほど日本のいわゆる経営者界から教育界は田の基本的なものの考え方を曲げられていっておるのじゃないか。そして非常に近眼者的な政策にいつも追われていくということを心配するので、所得倍増計画という計画の波の中に、もちろん科学技術者を要求されて、また作っていかなければならぬわけでありますけれども、この教科の内容については、応用能力のきく、そしてクリエートできる高級技術者の養成ということを堅持していただきたい。それがないものですから、専科大学というふうなわけのわからぬものに共鳴をしておる。ヨーロッパの教科課程を調べてみますと、みんな逆なんです。その点について、長官の方から、科学技術者を養成される立場においても、はっきりと、そういう基礎を持った科学技術者を養成することを念頭に置いて勧告をされるべきであり、文部省においてもそれを前提として、——私はあわてふためいた教育計画を立つべきでない、教育制度を考えるべきでない、こういうふうに思うのでありますので、この点について両大臣の御意見を聞いて、私の本日の質疑は終わりたいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 上級科学技術者の養成の方法は、方法としてはいろいろあります。またあってしかるべきものと思います。六・三制、六年、三年が義務教育課程、これは厳然としてあります。三年の高等学校、これは進学率が向上するに従って、義務制でないにしても、実際上義務制と同じような方向をたどっていくカーブが描かれていると承知しております。それは、少なくとも当面それなりでよろしかろうと私どもは思っております。上級技術者の養成につきましては、むろん今の大学制度それ自体が、中教審で審議中ではございますが、四年制の大学あるいは短期大学等あります。短期大学に四年の高等学校を付値するということも考えております。それから高等学校三年、大学二年をくっつけまして、五年の一貫した専門的な上級技術者養成ということも考えております。それは、あくまでも形式的な制度論という立場からは、御高説として承りますけれども、しかしこれはあくまでも国民本位の、青少年本位の、教育の機会をより多く与えるということが第一義であろうと思います。それぞれの目的に従って教科内容等は変わってしかるべきだ、しかし同時に、御指摘のごとく、最高級のオリジナリティを発揮するようなことを期待する大学というものもあってしかるべき、充実されてしかるべきものと思っております。
○池田(正)国務大臣 これは現実的に考えまして、御承知のように、日本の十何年の空白時代を経て、今、日本なら日本の柱をはっきりして基礎科学からやっていきたい、これは一つの私どものりっぱなアイデアだと思います。しかしそれだけでは追っつかないというのが現実じゃなかろうか、それだから、今の短期大学なりそういうものも必然的に生まれてきた。それと並んで今日の高等学校というふうな構想も、文部省が考えておるのじゃないか、これも現在の段階では——これもまたやると質問でも出てきて長くなるといけないから申し上げませんが、これが現実の状態だ。私はただ単に日経連とか財界とか、そんな連中の言うことを聞いて考えておるのじゃない、国家要請に基づいてわれわれは考えておるので、そういう財界の要請を聞いているのじゃない、そういうことであります。
○濱野委員長 村山君、時間がなくて恐縮ですけれども、きわめて要領をつかんでお願いいたします。
○村山委員 委員長の注意もございますので、きわめて簡単に科学技術庁長官にお尋ねをいたしておきたいと思います。 文教委員会において文部大臣に尋ねる問題はたくさん残っておりますので、それは火曜日の文教委員会で取り上げて参りたいと思いますが、この際池田長官にお尋ねをしたいのは、日本学術会議に対しまして科学技術庁の方から答申を求められておったと思うのですが、その答申が届いているかどうかということでございます。
○池田(正)国務大臣 私もそれは聞いておりませんが、今、政府委員から聞きますと、そういう事実はないそうであります。
○村山委員 科学技術庁の設置法の中に、科学技術に関する日本学術会議の答申または勧告に関して政府が講ずべき必要な行政措置に関する事務を行なうというのがあるようでございますが、科学技術庁の方が十年後を目標とする科学技術振興の総合的、基本的方策についての答申というのを求められたというふうに伝えておりますが、それは今申されたように、そういうような事実はないわけですか。
○池田(正)国務大臣 そういう事実はないようでございます。
○村山委員 科学技術庁とされましては、そういうような科学技術に関する基本的な政策の企画立案にあたっては、そのような審議会に意見を問われないで、そうして文部大臣に対して科学技術庁の立場というような立場から勧告をされることになっているわけですか。
○池田(正)国務大臣 御承知かと思いますが、科学技術庁に科学技術会議の連絡会議がありまして、それには学術会議から十数名いつも参加しております。と同時に、科学技術会議に正式メンバーとして会長がこれに参加しておるのであります。従って学術会議とは常に密接な連絡をとりながらやっておるということであります。 それから、お尋ねの今の問題は、これはいわゆる行政に関する問題でございますので、そういう立場から、私は、私の責任においてやっておるということであります。
○村山委員 文部大臣にお尋ねいたしますが、この日本学術会議に対して、これらの工業教員の養成制度の問題について意見を求められた事実がございますか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。意見は求めておりません。文部省と直接関係ある組織ではないようでございます。
○村山委員 この際お尋ねいたしておきたいと思いますのは、そういうような非常に教員の養成制度につきましては重大な法律案を提案をされるのにあたって、関係者からそれぞれ意見というようなものを聴取されなければならないと思うのですが、そのような民主的な段取りを経て法律案を提案をされるに至っていると思うのですが、その関係者はどういうような関係の人たちにお尋ねになったものか、明らかにしていただきたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。中央教育審議会でございます。
○村山委員 この中教審は、どのような審議過程を経て、どれくらいの日数をかけてやったのですか。
○小林(行)政府委員 予算の編成を終わりましたあとで、中教審に工業教員養成所の計画について御説明を申し上げまして、その趣旨について御了解を得たのでございます。
○村山委員 きわめて短時間の間にそういうような了解を得たような話を聞くのでありますが、日本の今後の教育学術の問題について、最高の権威機関である日本学術会議等にそういうような意見を求めなかったのはどういうような理由に基づくものでありますか。
○小林(行)政府委員 お答え申し上げます。 御承知のように、学術会議は大体学術関係を主にしてやっております総理府所管の機関でございます。特に教育について自主的にいろいろ御研究はあるようでございますが、文部省の方からこれに対して御諮問をするというような関係にはなっておりません。
○村山委員 その学術会議の意見等につきましては文教委員会のときに申し上げたいと思います。 そこで科学技術庁長官にお尋ねをいたしたいのは、今回の所得倍増計画の中に出ております科学技術者は十七万人、それに高卒の中級技術者が四十四万人必要だとされております。ところが文部省の養成計画では、先ほどから明らかにされておりますように、大学卒の科学技術者の場合は七万三千人、それに高等学校程度卒業の中級技術者の場合は三十八万人、だからその間に六万人あるいは十万人近い食い違いがある。これについて先ほど来勧告もされたわけですが、そうした場合に、例の工業高等学校を卒業する中級技術者程度の三十八万人の中から、優秀な者を産業界の協力を得て大学、短大卒業程度の科学技術者に教育する、いわゆる私設の訓練機関と申しますか、企業内におけるそういうような技術者の養成を求めていく、こういうような基本的な考え方を池田長官としてはお持ちになっていらっしゃると思うのですが、それについてどのような見解をお持ちになっているか承りたいのです。
○池田(正)国務大臣 御承知のように、ソ連などでも、工場で働いている中級技術者は、その工場に設置してある夜学などで勉強したり、夜働いて昼やったり、そういう制度もあるようであります。そういった制度をわが国でもやることは望ましいと思います。それをさらに敷衍いたしますと、学校と産業界とのいわゆる産学共同という問題になってくるのでありますが、この問題は、科学技術会議でも大きな課題としてこれを取り上げておりますのは御承知の通りだと思います。 そこでこの機会に一言申し上げておきますが、産学共同、産業界と大学なり学校等の研究機関とそういう密接なつながりを持ってやっていく、またいかなければならぬ。ところが現在の場合に、私学や公立はそれができますけれども、国立の場合はそれができないようになっております。それはなぜかというと、財政法やその他の制約を受けます。それから研究の自由といったようなことで、民間の会社、産業界と大学との密着、共同研究というようなことは非常にできにくくなっております。そういう意味からいっても、今後は、文教政策としてやる場合に、産業教育をやる場合には、どうしても公立、私立というものにウエートを置いてこれを育成しなければならぬ。私がこれを強く主張する一つの大きな柱もそこにあるのであります。
○村山委員 私が答弁を求めておりますのは、現在の公立あるいは私立の大学において、働きながら夜学にでも通っていくというような形における技術者の養成という意味ではなくて、現に働きながら企業内において相当高度の教育訓練が行なわれておる、そういうようなものの上において、高校卒業程度の者を少なくとも短大を修了した程度の技術者として養成をしていかなければならないという企業自体の要請もあって、すでに大きな企業等においては職場内における訓練を行なっておる事実があるのじゃないか、そういうようなものも織りまぜて日本の科学技術者の数を獲得していかなければならないのだ、こういうふうな考えでおられるのではないかと思って質問をしたわけですが、そういうような考え方はないのですか。
○池田(正)国務大臣 お答えいたします。現にそういうことをやっておる会社も日本にございます。そういう形も当然やっていいことだと思います。
○村山委員 そういたしますと、今後十七万人の科学技術者を養成していかなければならないわけでありますが、今高等学校を卒業したような者を含めて総合的な科学技術者の養成という問題を考えなければならない。そうなった場合に、工業高等学校を卒業していくところの質の問題を考えていかなければならないわけですが、今回提案をされております工業高校の教員のインスタント的な養成制度で、そういうような優秀な中堅技術者というものが生まれ、さらに高度の科学技術者として将来伸びていくような、そういうような方向の者を養成していくことができるかどうかということに対して、科学技術庁長官はどのようにお考えになっておるか、その見解をお示し願いたい。
○池田(正)国務大臣 これはできる場合とできない場合があるわけなんで、できるとしても人数はきわめて少ないだろうと思います。しかし、私がここで申し上げたいことは、現在の段階においては、残念ながらそういういろいろな段階がありますから、その一つ一つの段階をそれぞれ埋めていかないと、これは動いていかないのでございます。そういう意味で、今基本的には、二本の柱だと先ほどお話が出ましたが、二本の柱だけでは——この空白時代を経た現在の日本の段階としてはやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。
○村山委員 工業高校程度の卒業生が中堅技術者として四十四万人必要である。そのうち三十八万人の計画がなされて、かりにそれが実現をいたしました際において考えなければならないのは、その教員の養成でありますが、三年間の教員養成を終わりまして出た場合に、当然文部大臣としては教育界の場にあって働いてくれることを期待をしておるわけです。ところが産業界の技術者の養成というのは、先ほど来話がありますように、十七万人に対して現在七万三千人しか養成計画がないわけでから、当然需要は非常に大きい。従って、この問題は、科学技術者の養成という問題と、その中堅技術者を養成をしていく学校の教員との調整という問題が起こってくると思うのであります。そうした場合において、当然科学技術者に関する調整というようなものは科学技術庁において考えていかなければならない問題だと思うのですが、その調整をどのような立場で行なっていったらいいかということを、大臣としては今日までどういうふうに検討されてきたか、検討されたものがあれば承りたい。
○池田(正)国務大臣 実は残念ながらそこまであまり詳しくは検討しておりません。ただこれは非常に大事なことだ。ことに教員養成ということになりますと、文部省から一応案を出してもらってみないと、われわれがここであまり言うのもどうかと思います。これは非常に大事なことなんで、それにどうも文部省当局の熱の入れ方が足りないのじゃないか、私はそういう感じがしております。
○村山委員 池田長官の方からそういうような非常に熱心な意見を聞くのですが、問題は、やはり大学の理工学部を卒業をいたしました産業界の科学技術者と、今度三年間の教員養成コースを卒業しますその人たち、教職員、その間において待遇の問題が一つあるだろうと思う。それからさらに科学技術庁長官に考えてもらわなければならない問題は、その三年間の教員養成機関を出た者が養成をした中堅技術者というものの質のレベルの問題が出てくるだろうと思う。そういうようなものを考えますと、やはり産業界の方に吸収されてしまって、優秀な者は残らない。そして中堅技術者を養成しなければならない。その学校の先生になるべき者が出ないで、しかもそれの質が落ちて、日本の科学技術の全般を通じて考えた場合には、高級技術者の方は割合に将来養成をされるとしても、中堅技術者の方が養成をされないということになれば、これは日本の科学技術の振興の上において非常にマイナスになってくると思うのです。そういうような総合的な立場からこの問題に対しては強く文部省に要求をされるべきであったと思うんですが、まあそういうようなことに対して勧告をし、あるいは要求をされたというようなことを聞いておりません。それに対する長官のお気持は、そういうような勧告なりあるいは意見を申し出て、この制度を両立するような形において考えていくようなお気持はないかということを最後にお尋ねをしたい。
○池田(正)国務大臣 どうもゆうべも寝てないせいか頭があまりはっきりしないので、御質問の要点をあるいはそれるかもしれませんが、つまりそういう学校に入ってくる学生の質が落ちるということも一つの課題であります。それから卒業した場合に、民間会社にとられる心配がある、これも私は心配しております。だからといって、残って若干の者が学校へ行って、それが全部質が悪いということにはならない。やはり教員の好きな人ときらいな人とありますから、そうはっきり割り切るべきものでもないのじゃないかということが一つ、もう一つは、そこの学校から出た人だけで、今度できる新しい工業高等学校の先生が全部それだけで編成されるわけじゃないんですね。その中には前からの大学を卒業したあるいはりっぱな先生も中には入ってくるわけです。それだけでもってその新しい工業高等学校の先生が構成されるというものじゃないのじゃないかというふうにも考えられます。そういうふうに考えてきますと、どうも現在の段階で少し無理があるし、あまり感心したアイデアじゃないと思いますけれども、せっかく文部省がそこまで考えたのだから、一つやらしてみたらどうだろうか、そういうふうに考えております。
○村山委員 初め文部省は御承知のように一千八十名というものを養成をして、そうしてこれを八カ年間で八千六百四十名という養成計画を持っておったわけですね。ところが大蔵省の査定でこの一千八十名という養成計画が八百八十名に減らされたわけですね。初年度において二百名の差が出てきているわけです。これが今後さらに続いていくとするならば、当然千六百名の差が出てくる。しかもそれに対して今後池田長官の考えておられる四十四万人の中級技術者を養成していくためには、まだ現在の計画でも三十八万人しか養成計画はできていないわけですが、それには三百五十七校の新しい工業高校というものを作らなければならない、こういうことになっております。それが学校の教員の待遇が改められず、今度三カ年の課程を卒業した者は四年コースを出た者と同じような給与を与えるような方向に努力をされる向きでありますけれども、それにしても民間との差があまりにもひど過ぎる。あるいは初任給の調整手当を月に二千円やるということをやりましても、これまた話にならないくらい民間の方が待遇がいいわけです。そういうような状態の中にあって、教員としてもこれを確保する方法もない。しかもその人数は非常に少ないし、これが中堅技術者の養成計画に支障があるということがもう今日の段階から予想がついているわけです。ついているときに、そういうようないわゆる質の問題なり、あるいは将来教員として確保していかなければならないという、この方法について、やはり科学技術者を全般的な立場から見て養成をしていくという考え方に立っては、当然池田長官の方から文部大臣に対して意見具申をされるべきだ、こう思うのですが、どうですか。
○池田(正)国務大臣 あなたのおっしゃる通りであります。ただどういう形で文部大臣と話し合いをするかというようなことが問題なんで、そう一々勧告ばかり出すわけにもいきませんから……。
○村山委員 この問題はやはり今後、来年は五十万人、再来年は百十万人くらい、高等学校の生徒が急増している。この急増問題と関連づけて、工業高校の問題も考えていかなければならないわけでありますし、今後さらに検討しなければならない問題が幾多残っておりますが、それは文教委員会の席に譲ることにいたしまして、私が池田長官に要望申し上げておきたいことは、ただいまお話がございましたように、この案についてあまりりっぱな案でもないようだと、こういうような意見もお持ちであるようでございますし、さらにまた全体の科学技術者をどういうふうにして養成していくかという調整の問題もあるわけですから、この問題は将来さらに文部大臣に対して科学技術庁長官の、日本の科学技術者をどういうふうにして養成をしていくかという立場からも今後意見を具申されて、正しい方向が出るように努力をされんことを要望申し上げて、私の質問を終わります。
○濱野委員長 これにて本連合審査会は終了いたしました。 午後六時二十八分散会