文教委員会 第25号
- 発言数
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- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/05/17
会議録
○濱野委員長 これより会議を開きます。 スポーツ振興法案の起草の件について議事を進めます。 この際申し上げますれば、お手元に配付の起草案文は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案にかかるものであります。 これより、その起草案文の趣旨について説明を聴取いたします。八木徹雄君。
○八木(徹)委員 ただいま議題となりましたスポーツ振興法案の起草案につきまして、その趣旨及び内容の概要を説明申し上げます。 敗戦日本にあって、スポーツの普及が日本再建の気力と体力の高揚に大いに役立ってきたことは、何人も認めざるを得ないところであります。 さきに昭和二十四年五月、国際オリンピック委員会が各国際競技団体に対して、わが国スポーツ界のオリンピック大会その他の国際競技への復帰を勧告し、わが国スポーツ振興の端緒を開いた機会に、衆参両院は、スポーツの民主的発展と育成のための政府の施策を一段と強化することの必要性に関して、全会一致の決議がなされたのであります。その後関係者の御努力により、スポーツは、国民生活の復興とともに、国内的にも国際的にもかなりの水準にまで到達しているということは、まことに喜ぶべきことと申さねばなりません。 ことに昭和三十九年には、国民多年の宿望であったオリンピック大会の日本開催が実現することとなり、目下関係者間においてその準備対策が鋭意進められている次第でありますが、この未曾有の国際行事が円滑に実施され、りっぱな成果を上げ得るよう、国民各階層の協力が必要であることはもちろんのことでありますが、何よりも大切なことは、この大会開催を契機として、スポーツを国民一般、特にわが国青少年の間に広く普及させ、その健康と体力の飛躍的向上に資するとともに、わが国のスポーツ技術を国際的により高い水準に向上させ、国民スポーツの振興に寄与することであります。 ところで、この機会にスポーツ振興に関する施策の基本を明らかにし、スポーツの抜本的振興をはかり、もって国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与することを目的として、スポーツ振興の基本法を制定する必要があるものと判断いたしましたので、おおむね次に述べるような方針を骨子としてこの法律案を立案いたしたのであります。 すなわち、方針の第一は、この法案は、スポーツ振興の基本法であるべきことにかんがみ、スポーツ振興に関する国及び地方公共団体の施策の基本を明らかにしようとするものであります。すなわち、まずスポーツ振興の主務官庁である文部省及び地方教育委員会がスポーツ振興計画を定めるものといたしています。 方針の第二は、国及び地方公共団体がスポーツ振興のための施策を進める場合、スポーツをすることを国民に強制することなく、常に国民の自主性を尊重することと、国民がそれぞれの適性と健康状態に応じてスポーツが実践できるような諸条件の整備をはかること、またスポーツがその目的以外の目的に利用されることを防止し、特に営利のためのスポーツの振興を企図するものであってはならないということを明記しているのであります。 次に、内容の概要について御説明申し上げます。 まず第一に、国及び地方公共団体においてとらるべきスポーツ振興のための具体的な措置についての規定であります。その一は、十月の第一七曜日を「スポーツの日」と定め、この日に行事が活発に行なわれるよう必要な措置を講ずること。その二は、本来の国民体育大会を法定し、特に国の援助に関し規定したこと。その三は、地方公共団体は運動会、競技会、運動能力テスト、スポーツ教室等のスポーツ行事を実施し、また奨励し、国はそれを援助するものとしたこと。その四は、青少年スポーツ、職場スポーツ、屋外活動等の奨励に関し規定したこと。その五は、指導者の充実、施設の整備、学校施設の利用に関し規定したこと。その六は、スポーツ水準の向上をはかり、スポーツ功労者の顕彰を行ない、またスポーツ事故の防止、スポーツの科学的研究の促進等に関し規定したこと。以上の通りであります。 次は、スポーツ振興審議会及び体育指導委員に関する規定を設けたことであります。すなわちスポーツ振興審議会は、スポーツの振興に関する諮問機関で、都道府県は義務設置とし、市町村は任意設置とし、それぞれの教育委員会が知事または市町村長の意見を聞いて任命することとしたものであります。また体育指導委員は、市町村の教育委員会に置かれ、住民に対するスポーツの実技指導その他スポーツに関する指導、助言を行なう非常勤の補助機関とされています。 次は、国の補助に関して規定したことであります。国の補助は、まず地方公共団体に対するものでは、スポーツ施設の整備について補助率三分の一、指導者の養成及び青少年スポーツ指定市町村について補助率三分の一とそれぞれ補助率を明記したほか、国民体育大会その他に関して一部補助を規定しました。次に、学校法人に対しては、スポーツ施設の整備について一部補助を、またスポーツ団体に対してもスポーツ振興事業に要する経費について一部補助を規定しました。 次は地方公共団体の補助についてスポーツ団体に対する補助の規定を置いたことであります。 最後に国の補助金交付についての事務的事項及びこの法律の施行期日並びに体育指導委員の経過措置等について規定を定めたことであります。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。何とぞすみやかに御決定あらんことを切望する次第であります。 —————————————
○濱野委員長 ただいまの八木徹雄君の趣旨説明に対し、質疑があればこれを許します。——竹下登君。
○竹下委員 ただいまの提案者の説明を承りまして、私どもも全面的に賛成でございます。ただ、このスポーツ振興法は、条文の最初の方はいわば訓辞規定、奨励規定等が書かれており、だんだん具体的に予算措置を伴う規定もなされておるところでありますけれども、いずれにいたしましても、スポーツ振興に対しては、国の大きな予算措置を必要とすると思うのであります。それがゆえに、この法律施行後における政府当局の心がまえについて、お答えをいただきたいと思います。
○荒木国務大臣 スポーツ振興が国民精神の健全な作興に基本的な効果をもたらすことは、私の申し上げるまでもないところであり、先ほど提案理由についてもお触れになった意味合いにおいて、十分に理解できるのであります。そういう意味で、従来といえども政府としましては努めてこの振興のために努力してはきておりますが、ただいま御提案のこの法案の趣旨を体しまして、一そうの努力をする必要があると感ずる次第であります。
○竹下委員 さらにこのスポーツ振興法は、大きくスポーツというものの定義等について明らかにせられておるわけでありますが、従来なかんずく社会体育等の関係を規定いたしますところの社会教育法等の関連について承りたいと思います。
○荒木国務大臣 具体的に政府委員からお答え申し上げます。
○杉江政府委員 お答え申し上げます。このスポーツ振興法は、スポーツの活動に関する規定は社会教育法の中に含まれており、社会教育としても行なわれておるものでありますが、今回のこの規定はその中に含まれておりますスポーツを特に振興させる必要があるということで、これに必要な諸規定を設けられ、また助成の措置をも規定されたものと考えております。従って社会教育法に含まれておりますスポーツ活動を取り出して、別にこちらで規定するという趣旨のものでなくして、その趣旨をより一そう生かし、これをより一そう振興するための特別法と考えております。
○竹下委員 二十二条に「地方公共団体は、スポーツの振興のための事業を行なうことを主たる目的とする団体に対し、当該事業に関し必要な経費についてその一部を補助することができる。」と地方公共団体の補助の規定がございますが、かつて私ども当委員会において議論をし、いろいろな経過を経まして社会教育法が改正され、たしか社会教育法十三条の問題がいろいろな角度から議論されたのでありますけれども、この条項につきましても、当時議論されたことをそのまま当てはめて理解してよろしいかどうかということを承りたいと思います。
○杉江政府委員 私どもはただいま御質問の御趣旨の通りだと理解しております。
○竹下委員 最後に一つだけ。これは国民体育大会でございますが、この国民体育大会について、国は国民体育大会の運営の、「体育協会及び開催地の都道府県に対し、必要な援助を行なうものとする。」こう書いてありますが、その前に、「国民体育大会は、財団法人日本体育協会、国及び開催地の都道府県が共同して開催する。」すなわち共催する三つの団体に対して、一つのものが二つに援助を与える、こういうことに対して、別に法制上の不都合はございませんか、承ります。
○杉江政府委員 この国民体育大会は、日本体育協会と国と開催地の都道府県で共同して開催する、そういう観点からいいますと、その経費もそれぞれの主催者が分担するという考え方も出て参ると考えます。しかしながら、その経費をすべてみずから負担する、こういう形にしなければならないということはないと考えます。現在文部省といたしまして、国といたしまして、この開催地の都道府県の国民体育大会運営に関する経費を補助いたしておりますが、そのほかになお、国みずから、たとえば関係官が出張するとか、それから大会開催前にいろいろ現地に行って指導するとか、そういった諸般の経費をみずから負担しておるのであります。だから従来ともみずから負担する部分と、それから補助金として開催地の都道府県に補助するものと、二つあるわけでございまして、そのことは国民体育大会を三者が共同して負担するということと矛盾するものでないと考えます。
○竹下委員 いま一つ、この国民体育大会につきまして、これはかねていろいろな問題点のあるところでございますけれども、いわば各種の選手権大会、こうしたものはトップ・ランナーの養成、国際水準に近づけるためのいろいろな角度から訓練され、そうした選手の競技であるがために非常に人もよけい参ります。ところが国民体育大会となりますと、地方において行なわれた場合にはまさにこれは国民の体育の大祭典ともなる。ところが東京において行なわれますときには、大体、入場式の当日は満員でございますが、その他の日には近くにあるところの後楽園におけるプロ野球等にはるかによけいの人が収容されておるというような実態もございますので、この国民体育大会というものは、国民の、国家の体育の祭典として、私は地方において数多く行なわれるということにむしろ意義があると思うが、これについての考え方を承りたいと思います。
○杉江政府委員 国民体育大会は、現在におきましても、地方の予選を行ないまして、それから一カ所に集まって大会を行なう、こういう形式をとっておりまして、この国民体育大会のいわば背後には、日本全国の勤労青少年が参加する一大体育行事が現実に行なわれておるわけでございます。今後ともこの国民体育大会の運営におきましては、そういった、この大会そのものに参加するということだけに着目せず、それまでに至るまでの各種の行事を積極的に奨励し、これを進めていかなければならないものと、文部省としては考えております。
○竹下委員 最後に、提案者また大臣にお伺いしたいと思います。 提案者には、本案を施行するに要するおよその経費の見込みについて承り、なお文部大臣には、その見込みにつきまして、これに対する決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○八木(徹)委員 本法施行に要する昭和三十六年度の経費としては、二億八千万円程度を予定いたしております。しかしその後、昭和三十七年度以降については、平年度大体十億円くらいを期待したいと、こういうふうに考えておるのであります。
○荒木国務大臣 ただいま提案者から御指摘の通り、三十六年度はわずか三億円足らずでございまして、私どもとしましては遺憾に思っておるわけでございますが、このスポーツ振興法全体を通じて、先ほど御提案の理由にも述べられましたような、国民体育大会を初めとする国民的大祭典は、もちろん国民一般のスポーツを通じての心身の鍛練、さらにひいては国民生活それ自体の明朗な建設を意図するという意欲に対していうならば、まことに今までの施策は遺憾の点が多かったと思います。三十七年度以降平年度約十億円見当でどうであろうという御提案者の御意向でありますが、少なくともその程度の予算を獲得することにあらゆる努力をいたしまして、本法の御趣旨に沿いたいと思います。
○竹下委員 終わります。
○濱野委員長 村山君。
○村山委員 私も、社会党から一つ質問をしておきたいと思います。 この法律案によりますと、それぞれ各省にまたがるものがあるわけです。たとえば第九条に職場スポーツの奨励というのがございます。これは労働省で現在各職場の全国大会、各都道府県の大会、こういうようなものがございます。それに対して従来地方公共団体で補助金等も交付しておる状況にございます。なおそのほか第十条の野外活動のところに参りますと、キャンプ活動、こういうようなものは、厚生省の所管であるわけでございます。それを今回文部省がここに所管をするようになるスポーツ振興法案が成立をいたしますと、それらのいわゆる行事の調整という問題が出てくるだろうと思うのでございます。従いましてそういうような行事の調整なりあるいは各省の予算の配分等の関係、こういうようなことが問題になってくるかと思うのですが、それらの問題はこの保健体育審議会というところでやるのか、そういうような点についてどういうふうにお考えになっておるかということを、まず第一点として承りたいわけでございます。
○八木(徹)委員 この法律案を作成するときにはもちろん各省と十分な協議をいたしておりますわけでございますので、今御指摘になりましたように保健体育審議会がスポーツ振興に対する基本計画を定めるということについて意見具申をすることになっておりますが、文部省側といたしましても、私が知っておる範囲においては、今の保健体育審議会にそれぞれ必要な各省の方々を入れていただいて、そして御指摘のような心配のないようにするように取り運ぶことになっております。
○村山委員 ただいまの御答弁で了解いたしますが、第二十三条には保健体育審議会の諮問等について規定がしてあるわけでございます。その場合には補助金についてはこの保健体育審議会の議を経なければならない、こういうふうになっておりますが、ただいまの行事の調整は、これは参加するのだということでございますので、その中でそういうようなものが十分に調整が行なわれるように、実際の運営に当たります文部省の方で今後の運営については十分検討を願いたいということを要望を申し上げておきたいと思います。 第二点は、最近の新聞を見ますと、水泳だけについては全国の中学校の試合を認めていく、こういうようなことが新聞に出ておるわけであります。それでこういうようなスポーツ振興法が出て参りますと、これからのスポーツについてはきわめて活発になってくるという点が予想されるわけであります。そういうようなものがある点におきましては非常に望ましいものが考えられるわけでございますが、今度その反面、教育的ないわゆる条件の中において、今まで対抗試合をさせなかったもののワクがはずされるような格好になってきて、学校教育上非常にまずいような点が出てくるのではないかという点も考えなくてはならないと思うのですが、今回、水泳について全国的な試合をやるようにすることを認められた理由並びに他のものについてはこれはやらないのだということが新聞に書いてございましたが、これについては文部大臣あるいは体育局長の方から御説明を願いたいと思います。
○荒木国務大臣 先日新聞に出ておりましたことで私も承知したわけであります。事柄自体は検討すべき課題としてむろん承知いたしておりましたが、あれは一応検討されましたものが検討の段階において新聞に出たものでございます。しかし大よその線は文部省としても格別異論があるわけではございません。御指摘の通りスポーツの振興は、それ自体として重大な課題ではありますが、ことに国際オリンピック大会を控えましての選手養成ということに主眼点が置かれて、当面の課題としてやかましくいわれておることは御案内の通りで、そういう点からああいう問題が新聞にも出たわけでございます。このことにつきましてはもちろん今御指摘がございましたように、何といっても生徒、児童、なかんずく義務教育の課程にある生徒、児童を対象として考えますならば、教育本来の目的を達成することが第一義でありまして、スポーツのために本来の義務教育そのものをスポイルすることありとせば、本末転倒のそしりは免れない。ですから、その点を十分考えて、今までの制限を緩和するにいたしましても、その教育との関連こそが第一に重要視されて調整をとらればならないことだという態度で臨んでおるわけでございます。水泳について特に緩和するという気持は私どももちろん持っておりますが、それは単に四年後を控えました国際オリンピック大会に勝ちたいということだけでなしに、水泳というものがわざを争う立場に特に重点を置いて考えれば、何としても中学の過程にある年齢から高等学校に至る年齢くらいが一番適した年齢層であると承知いたします。そういうスポーツの特質そのものが、義務教育過程の生徒にも本来関連を持っておるという、他の競技に見られない特徴を無視することもこれまた適当ではあるまいという考え方もあるのでございまして、そういう関連からさらにまた水泳そのものが原則として夏のスポーツでございまして、夏休みを利用することが可能であるという意味において他の競技と非常な違いがある。それらの事柄を考え合わせて、義務教育過程の児童、生徒に関する限りは教育に支障のないこと、及び特殊な特徴が尊重されねばならない競技についてのみ、何らかの緩和の余地ありやいなやということを検討しよう、こういうことで今日まで参っております。新聞に出ましたことが関係の方々の協議の一応の結論として現われたことは私も承知しますが、最終的にはもっと検討を加えまして、本末転倒しないように善処をいたしたい、かように思っております。
○村山委員 大臣の適切な答弁で了承いたしたわけでありますが、ただ考えなければならないのは、現在でもこれは行なわれておる方法だと思うのですが、公認のブール等で適当な指導者、監督者のもとにそれぞれのその地域の学校において時間を測定するような方法で、持ち寄って、全国的に能力をテストし合う、こういうような方法もとられておるようです。だから東京なら東京に全部集めてそういうような莫大な経費をかけてやるというような方法をとって参りますと、その学校自体の他のいわゆるスポーツに対する影響、これは一定の費用にはそこに限界がありますので、水泳だけは振興されたけれども他の方面の運動が財源の関係で十分にやられないというような結果が出てくる。だからそういうのを考慮していく他の方法も考えていかなければならないのではないかということで、これから慎重に文部省の方におきましても検討をされるというお言葉でございましたので、そういうような方法等も織りまぜながら、やはり水泳の問題も他のスポーツの部門も考えていただきたいということを要望を申し上げておきたいと思います。 それから最後にもう一つお尋ねをいたしますが、これは第七条にいわゆる運動能力テスト、こういうものが行なわれると書いてあるわけですが、これは第一条の目的の中で、第二項に、法の運用にあたっては国民に強制しまたは云々という、そういうような特別な訓示規定も書いてございますので、その運営は第一条の目的から運営をされていかなければならない点を考えますと、そう行き過ぎになるような点はないとは思うのですが、いわゆる戦時中に上級、中級、下級、こういうような一つの位をつけまして、一つの標準というようなものを設けて、それによってそれぞれ上級に合格したものはどういうなにがあるとかいうような方向がとられたわけですが、そういうものは考えていない。こういうふうに解釈をして差しつかえないと言えるかどうか、その点について体育局長の方からお答え願いたい。
○杉江政府委員 運動能力テストにつきましては、これは各国でも相当広く行なわれております。しかしその方法にはいろいろな方法があるわけでございますが、本法で規定されておりますこの運動能力テストにつきましては、もちろんただいまお話のようにこれを画一的に強制的に行なう、こういう趣旨のものでなくして、私どもの理解では、やはり現在でも一部において希望者に対してこのテストが行なわれておりますが、基本的な趣旨においてはそういうことを希望する者に対して行なうという趣旨において、そのあり方を考えることが適当ではないかと考えております。ただこのテストを行ないます以上、ある程度標準というようなものが考えられなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、この運動能力テストの方法につきましては、この基本趣旨に基づきまして具体的な方法は保健体育審議会等にお諮りいたしまして、専門家のお知恵をお借りして納得のいくりっぱなものを作り、その普及に努めたいと考えております。
○村山委員 りっぱなものであればいいことはいいのですが、問題はそれの運営の問題です。その普及の問題が、そういうような画一的な方向をとらないようにということを私は意見として要望を申し上げておきたいと思います。 最後に要望申し上げておきたいと思いますが、議員提出法案はややもすれば予算の査定等の場合に非常に大蔵省に削られて、なかなか予算がつきにくい。こういうのが従来の議員立法の実績ではないか。そういうような点から、先ほど大臣がまことに三十六年度は少ないけれども、三十七年度以降においては、十分に考えて努力をしていきたいということを言われておりますが、ぜひそのような方向に最善の努力をされますように強く要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○濱野委員長 小林君。
○小林(信)委員 三つほどお聞きしたいのですが、まず最初は、こういう法律を作りましても、要はその運営が満足にいかなければ、何ら従来と変わるところがない。一部の優秀な選手を養成することに終わってしまうわけなんです。いかに国民全体を、特に若い人たちがこぞって運動を愛好するというふうな方向に持っていくかということが問題だと思うのです。私はたまたまソ連へ参りましたときに、ソ連の最もはなやかな体育塾というのに出会ったのですが、各民族とか各市民とかいうような地方の団体が、まずそれぞれ体育祭を行なってきて、そしてソ連全体の体育祭をやったのに出会ったのです。それは単に早さを競うとか、優秀な技術を競うとかというだけでなくて、ほんとうに体育を愛好するというふうな、しかも集団でやるという姿をまざまざと見たのです。ソ連というのは特殊なものであってというふうなことになればそれまでですが、しかし大臣もつい先日の高等専門学校の問題でも、どこの国であってもいいところはとるということをはっきり言明しておるわけなので、そういう意味からも私はあえて申すのですが、そういうような形を、何もこの法案が通る、通らないにかかわらず文部省としてもお考えになっておると思うのですけれども、何かそういうような構想なり目標なりというものをお持ちになっておったらお伺いしたいと思うのです。
○杉江政府委員 現在、勤労青年の全国大会がございます。これは全国のほんとうの勤労者の集まりでありまして、この行事は体育だけに限られておりませんが、その行事の大部分は体育でございまして、これは毎年行なわれておりますが、非常に中身の充実した、意味のある大会だろうと考えております。私どもはこのような大会を伸ばすことが、ただいまの御質問の趣旨に相当合うのではなかろうか、こういうことを考えております。それからただいまの御趣旨を生かす方法としては、国民体育大会をもっと、先ほど竹下委員からお述べになりましたような、その前段階のいろいろな行事も含めまして、全体としてこれを振興していく、こういうふうなこともただいまの御趣旨に合うのではなかろうか。私どもといたしましては、現在あります国民体育大会と全国の勤労青少年の大会、この二つをさしあたってより一そう充実し、発展さしていきたいと考えておりますが、そのほかの計画はただいまのところ持ち合わせておりません。しかしながら、今後なお一そうよりよい方法がないか、十分研究して参りたいと思います。
○小林(信)委員 もちろん各国のそういうふうなものもいろいろ参考にされるし、あるいは文部省自体としてもいろいろ構想を持っておいでになると思うのですが、私の最も憂えるところは、一部の人たちの技を争うということにまたなってしまったら意味がないと思います。要は、体育を愛する国民の日というふうなものも設定されるわけですが、こういうふうなものもただ形だけでもって終わったら意味がないと思うのです。提案するわれわれとしては、単なる一日を体育愛好の日にするのでなくて、一年中がこういうものに国民の気持が動いておるようにしたいという考えでおるわけなのです。そこで、松村文部大臣のころでしたが、富士山のふもとへ参りまして青年がキャンプの施設をして、そしてただ登山するだけでなくて、各地方の青年の交流をはかったのです。たとえばそのキャンプをするときに、ただそこで一日を暮らすというようなことでなくて、一つの青年の村を作って、そうして青年の中から村長を作って、村会議員を作って、一つの村の構成の中で団体生活をし、また体育の面にも貢献もするというふうな構想をもっておやりになったようですが、それが続いておるかどうか知りませんが、何か龍頭蛇尾に終わっておるような気がするのです。文部省がそういうふうなことを計画しましても、文部省の施策がどうのこうのということでなくて、やはり国民全体の体育に対する理解というふうなもの、ことに勤労青年というような人たちに相当な余裕を与えなければ、私は非常に実現困難だと思うのです。ただ金のある人たちだけがやるとかいうふうなことであっては意味がないと思うのです。してみると、この法律を実施するためには、単にいろいろな施設をしあるいは指導をするということでなくて、生活の問題にまで及ばなければならぬと思うのです。ことに最近、多少生活にゆとりがありまして、一般の人たちの行楽というふうなものは多くなっていますが、そういうふうなものをいかに体育の方面に向けていくかというふうなことが大事であるし、所得倍増計画と並んで今度はこういう消費面というとおかしいですが、そういうものがスポーツの方に引き入れられるような計画が私は必要だと思うのですが、そういうふうに生かしていただきたくお願いするものです。 そこで二番目の問題として、今お話がありましたプールの問題なのですが、これは先日も私は何かの機会に大臣にちょっとお話申し上げたのです。かつて松村文部大臣のときに私はこのことをよくお話申しましたら、文部省として学校施設の補助の中に対象としてプールを入れるというようなことを一応納得をしていただいたのですが、その後文部省から何ら案が出てこないのです。スポーツ振興法というこの法律が通ったから学校のプール建設に補助金を出すというふうなことでなくて、できるならばこれと並行して学校施設の補助の対象の中にプール建設を入れるというような御意向があるかどうか。できたら大臣にお伺いしたいと思うのです。
○荒木国務大臣 義務教育諸学校の学校施設としてないしは設備として、法律上の補助対象ないしは政府が国費をもって負担する対象として当然には制度づけられていないと思いますが、現実にはプールの設置に対しまして、わずかではございますが、三十六年度予算におきましても一応盛られております。ですからこれは、スポーツ振興以前の課題ではございますが、この法律が制定されますれば、さらにその趣旨が徹底されねばならない筋合いでもございますから、そういう面でも、さっき申し上げたような意味合いにおいて普及度を早める努力をいたしたいと思います。なお具体的には、要すれば体育局長からお答え申し上げます。
○杉江政府委員 本年度予算におきましてプールとして五千万円が計上されております。これは学校のプールといわゆる一般公共施設としてのプールの両方を含んでおります。今年度予算から新しく学校のプールを助成の対象にするということが成立しておるわけでございます。ただその金額は総額で五千万円でありましてあまりにも少ないのであります。今回の法律によりましてプールには特に重点を置いていただいておりますので、この法律成立後の来年度は、ぜひ多額の予算を計上していただけるものと私ども期待し、努力したいと考えております。
○小林(信)委員 これは内容を調べなくて申し上げて失礼でしたが、最近工場建設というものが地方に多くなりまして、今まで山間のきれいな水でもって泳いでおった子供たちも、今は汚水の中で泳ぐような状態になってしまっております。もう一般河川というものも、いなかにおいても下水道になってしまった感がある。従って学校の先生たちは水泳を禁止して一生懸命に歩いておるような状態なんです。水泳を奨励するどころか大へんなことになっておるわけなんです。ことに農薬の問題は先生たちも常に神経をとがらせておるようなわけであります。従って産業伸展の裏にはそういうふうなものに対する措置が必要なので、とても五千万ばかりではどうしようもないと思うのです。それも単にコンクリートでもってワクを作ればいいということではなくて、輸水施設が地方では相当困難なんです。そうしてみると相当に経費を盛られなければ趣旨に沿わない形だけに終わってしまうことになるのです。 さらにプールの下にこういうことが書いてあるのです。これは提案者にお聞きしたいと思うのですが、その他の政令で定めるスポーツ施設の整備に要する費用とあります。しかし建てることは簡単ですが、土地を得ることが非常に問題だと思うのです。依然として学校の運動場を使うというようなことをやったらだめなんです。その土地の問題をはたして提案者は考えておるかどうか。
○八木(徹)委員 ちょっと聞きそこなったのですが、学校法人に対するところですか、どの部分ですか。
○小林(信)委員 その他政令で定めるスポーツ施設の整備に要する費用というような形で出ておるから、その他というものの中に土地が考慮されておるかどうか、あるいは全般にどこかに土地というものがあるのですか。
○八木(徹)委員 詳しくは局長から答えさせますけれども、さっき申しましたように、現実には総額が五千万円で、その五千万円を義務教育諸学校と一般とに分けておるということでありまして、一件当たりの費用が限られておるのであります。そういう意味で整地費と実際の建造費の一部を補助するという格好になっておりますが、それも全額ではございませんので、そういう意味で御指摘のようないわゆる土地購入費というところまでは、現在のところいっていないのではないかと思います。しかしこういうふうにしたのは、将来そこまで予算全体のワクを広げて、それだけ配慮できるように持っていきたいというわれわれの悲願が盛られておるというふうに御理解願いたいと思います。
○杉江政府委員 法的にはここにはいろいろなものを含め得るわけであります。しかし一般に学校を設置する場合においても、土地購入費そのものは国で助成の対象にいたしておりませんので、スポーツ施設の購入費そのものを助成の対象にすることは実際問題として相当むずかしいと考えます。しかし整地費を助成の対象にするということは可能であると考えられますけれども、なおここで申します政令で定めるスポーツ施設の中には、たとえば体育館、プール以外の競技施設、たとえば体操の鉄棒だの肋木というような施設、またその他のスポーツ施設を助成の対象に将来はしたい、し得る根拠がここに与えられておると私ども考えております。
○小林(信)委員 この法案も気休めに出したというお考えであれば、従来学校にあるものを使ってやらせればいいのだというようなことになるおそれが多分にあるわけであります。しかし私個人としてとにかく国民の体育向上あるいは体育愛好という一つの画期的な時代を作る大法案だと考えておるわけなんです。従ってこそくな、弥縫的なものでもってこれに対処するというふうなことでは、私たちは残念でならぬわけです。してみれば、土地の問題も、単に整地費でもって終わるのでなくて、この法案がそういう形ということでなくて、文教政策の面で工業技術を向上させることもさることながら、やはりその根本となるものは、私はからだだと思うのですよ。そういう意味からしても、大いにその予算も計上して、土地なんかの問題も相当国でめんどうを見て、いわゆるここにこそ文部大臣が常に考えられておる機会均等、貧乏な町村においても、貧乏な府県においても、同じような体育ができる、これをやはりやってやらなければ、金がある東京都では大きな運動競技場を作れるけれども、私の県のような山梨県では、そういうふうなものは持てないということになっては、これは機会均等でないわけですから、大英断で一つやっていただきたいということを希望申し上げて、私の質問を終わります。
○濱野委員長 他に質疑の通告がございません。 先刻本委員会において、竹下委員よりの質疑によって、荒木文部大臣から本法案に対する所信の表明がございましたが、念のためにもう一度政府の意見を聞く必要がございます。本法案は、予算を伴う法律案でございますので、衆議院規則第四十八条の二の規定により内閣の意見を聞く必要がございます。よって、政府としての意見を文部大臣からお述べ願いたいと思います。荒木文部大臣。
○荒木国務大臣 委員長からの御要請によりまして、政府としての意見を申し上げます。 スポーツ振興につきましては、かねて政府におきましても意を払ってきたところでありまして、本法の制定については、その趣旨はもちろん賛成でございます。しかし本法の施行に伴います経費につきましては、今後研究すべき問題がいろいろとあると存じます。特に第二十条第三項の規定につきましては、昭和三十六年度、当年度において予算措置が特別になされておりませんので、その点につきましては、にわかには賛成しがたい向きもございますが、この法案の全般的な趣旨につきましては賛成でございます。 —————————————
○濱野委員長 お諮りいたします。 本案を委員会の成案と決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって本案を成案とするに決しました。 次に、本案の提出方法についてお諮りいたします。国会法第五十条の二の規定により本案を委員会より提出するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって本成案は委員会より提出する法律案と決しました。 本日はこの程度で散会いたします。 午後五時十四分散会 ————◇—————