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38回国会衆議院1961/05/10

文教委員会 第20号

発言数
286
登壇者
15
会派数
2
開催日
1961/05/10

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 この国会は、政府の方としては、一般社会の要請に応じて工業技術科を作るということに非常に終始されたような形なのですが、教員の不足というような問題、あるいは工業技術科の不足というような問題、そのことから関係して、この免許法も一部改正がなされるわけなのですが、特にお聞きしたい点は、大体最近の教育学部あるいは学芸学部というようなところを卒業する人たちが、必ずしも希望が達せられないような状態で、先生にもなれないような人も相当あるわけです。本年あたり、こういうところを出て、先生になろうとしてなれなかった人がどのくらいあるか、お聞きしたいのです。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 教員養成を目的としております国立大学の卒業者で、教員になれない者の数は、毎年約卒業者の一割程度でございます。卒業者が約一万五千程度ございますので、千五百名内外の者が教員になれないで未就職の状態で終わることになっております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 この千五百名がはたして確実かどうか、われわれの想像するところでは相当にあるんじゃないかと思うのです。さらに、一般私立大学等で資格をもらった人たちで、就職しょうとして就職できない人も非常に多いわけなのです。これらを入れますと、相当な数になると思うのです。しかもこの人たちが卒業して、簡単にその卒業した地域で先生になれるかというと、必ずしもそうではない。私の県あたりでは、東京とか神奈川とか、千葉、埼玉というようなところに行きまして採用試験を受けて、辛うじて先生になるというような苦労をして、大体一割程度に食いとめられるというところだと思います。こういうような人たちについて、今工業教員が足りないというふうなことが言われておるのですが、この人たちを活用するというようなことは考えておるのか、活用しようとしてもそういうことはむだなのかという点をお聞きしたいと思います。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 高等学校の工業教員になる場合に、基本的に必要になるものは、やはり工学に関する専門教育だと考えられます。従いまして、一般の教員養成を目的とする大学学部の卒業者は、工学の専門教育という点では全然欠けておりますので、これを活用して工業教員に転換させるということは非常にむずかしいと考えます。ただ現職教員の中に、工業教員としての資格を有する者で、現在工業以外の教科を担当している者が相当数あります。これらにつきましては、現職教育等によりまして、最近の工学教育に関する知識、技術を付加いたしまして、これを工業教員に転換させる方法につきましては研究もし実施するつもりでおります。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 政府は三年制の養成所を建ててまで教員を充足しようとしております。もちろん工業課程の勉強はしておらないからすぐそれを使うということは無理でしょうが、そういう人たちは、四年間の課程を経ておるわけで、それに特別の養成期間というものをつけて、そこで必要な単位をとられるような、そういうことを考えることは必ずしもむだではないと思います。無理な三年制の先生を作って、そうして、そのために免許法を無理な改正をしていくというふうなことも私はどうかと思うのですが、そういうような養成機関を特設するというようなことはお考えになっていないのですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 一般に小学校及び中学校の教員となる目的で教育を受けて、卒業後教員になれなかった者というのは、先ほど申しましたように卒業者の一割程度おるわけでございますが、これらの者が教員になれたかった事情につきましては、いずれの県におきましても教員の採用試験というものをやって、その結果成績のいい者は採用されておるわけでございまして、教員になれなかった者につきましては、必ずしも成績の面で十分でない者も相当数あるわけでございます。これらの者を工業教員に転換させるということは、そもそも工業教育の基礎を受けておらなかったという事情のほかにもなかなかむずかしい点があろうかと思います。そこで、これらの者を転換させて工業教員となるための教育機関というものは計画しておらないわけでございますが、さらに進んで現職教員の中から工業以外の教員を工業教員に転換させるという計画につきましては、若干の基礎を有する者はそのような方法を講ずることを考えておるわけでございますが、基礎のない君につきまして工業教員に転換させるための教育機関というふうなものを作ることにつきましては、現在までのところ計画をいたしておりません。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 それは、基礎がないから無理だといえばそれまでなんですが、考えようではいろいろ問題が出てくると思うのですよ。というのは、大体統計的に見て一割程度が常に余る。これは先生になろうとする人たらの質をだんだん低下させることにもなるし、先生になる人たちに希望を失わせることにもなるのです。そういう余剰な教員が出るということを見越したならば、その人たちに対してもう入学当初から手を打つというふうなことが——工業関係に就職するような、工業教員になるような方法を講じなくて、こっちは余るままにしておいて、そうしてそういうふうな基礎が確立しておらぬから仕方がないの、だということでは、教員そのものに対する養成機関としての施策として私は非常に思いやりがないと思うのです。今のお話は、採用試験に合格しなかったのは質が悪いのだ、こういうふうにもとれるわけなんですが、しかし卒業すればもう免許状を取っておるわけなんです。十分な資格があるわけなんです。しかしそれは数が多いから各府県とも採用試験等が行なわれるわけなんです。一体採用試験なんかやることが、どっちかといえば、私は教育の人事問題にはあまりいい影響を持っておらぬと思うのです。最近の教育委員のいわゆる任命制というふうなことから、相当地方の教育委員の中には政党的な色彩を持ったり、あるいはそれに類するような性格を持っておる者があって、ある学芸学部の生徒の話を聞きますというと、おれは三十万円持ってないから教員になれないのだ。つまり採用試験というのが、今、学生の印象では、試験を受けるために金を出さなければ、まあ教育委員のところへ手みやげでも持っていかなければ、採用してくれないというようなことにまで問題が及ぶということは、これは非常に遺憾なことなんですよ。そういうような事態というものは、やはり一方において考えて、せっかく教員になろうとする人たちが一割も毎年々々余って、それが放置されておる。一方では、工業教員が足りぬから三年制という無理な制度を作って養成しよう、何かそこに一貫しない教育行政が考えられるわけなんです。  そこで大臣にお伺いしたいのですが、二、三日前経済企画庁の方からも発表になったのですが、最近設備投資がふえて、本年は昨年よりも三〇%ぐらい多くなるという見通しである。輸入も、非常に赤字が出るというふうな危険もあるが、依然として輸入状況は非常に旺盛である。経済家の言うところでは、政府が立てた所得倍増計画の十年後の状況というものが、もうすでに今日実現しようとしておる。これは必ずしも所得倍増計画によるものではなくて、自然の経済伸張の問題だと私は思うのですが、そういう設備投資が十年後に政府の予想しておるような状態が実現しようとするならば、工業界、産業界というものは異常な発展をすることになるわけでありまして、自然に工業技術家というものは膨大なものが要請されると思うのです。私は経済企画庁のあの数字を見ただけでも、一体文部大臣はこれに対してどういう見解を持ち、今後どういうふうに対処しようとしておるのか、こんな弥縫的な策を弄しておって、はたしてそれに沿うような人間というものを提供できるかどうかということが心配だったわけですが、このことについて、経済事情とにらみ合わせた大臣のお考えと、そしてこの国会ずっと政府の意見を聞いておりますと、所得倍増計画というものに立った教育行政であるか、あるいはそうした自然の経済伸展の必然のもので、今文教行政の方がそれに応じかねておるというふうにも私たちには見られるわけなんですが、両者というふうなことでお答えがあるかもしれませんけれども、そこら辺、この際大臣に明確にお伺いをしたいと思うのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 所得倍増計画は、すでに御案内の通り、一応今までの日本の経済の成長力と申しましょうか、そういう実績に立脚して一応の推定をし、十年以内に国民全般の所得を倍にしたいという構想のもとに、政府として民間の経済力に協力すべきこと、でき得ることを組み合わせて推定した政治目標であることは、申し上げるまでもございません。従いまして、それはあくまでも推定に基づく平均数値によって年次計画を想定しておるわけだと思いますが、御指摘のように、設備投資が予想外にふえつつある。そのこと自体が過熱になるかどうかという考慮も別途されつつはありますが、ただいまの御指摘は、日本の経済力の十年後の所得倍増計画に推定しましたものよりも、今年度の経済の膨脹度合いが、平均数値よりは高い方向へ向きつつあるということ、だと思います。計画経済下にございませんので、予想平均数値が上回ったり下回ったりすることは、現実問題として当然あることも一方においては予想しておるわけでございまして、十年を通じてはたして妥当であるかという観察でなければ適当でなかろうかと思っております。しかしながらそういう考え方に応ずるべく科学技術者の養成にもこたえねばならぬ。それについては教員組織等の整備が事実問題として困難だということでございまして、十七万の不足に対して七万あまりしか充足できないという一応の推定をいたしておりまして、苦慮しておるわけであります。そのことが日本の経済の発展に教育の面で追いつけないでおる、そういう御指摘も私もそうだと認めざるを得ないと思います。これはいつかも申し上げましたように、予想しないような新しい科学技術の発展分野の展開、あるいはその発展のテンポの早さ、そのことが予想できなかったために、御指摘のような欠陥が現実にあることははなはだ遺憾でございますが、そのことを承知しますがゆえに、できるだけのスピード・アップをしながら、さりとてそれは単に絵にかいたもちでは申しわけないことですから、誠実に、教員組織等も現実に照らしながら、しかも一方それを整備しながら、漸進的に、しかもなるべく早く充足するようにという苦慮をいたしておる最中にあると申し上げ得ると思います。そういうことで、たださえ足りない教育面の努力の成果が、今年度の設備投資の状況に顧みてさらに一そうひどくなるのじゃないかという御指摘であるならば、その点は遺憾ながらそうだと申し上げざるを得ないと思います。であればこそ、なお一そうの努力を積み重ねまして、現実の国の経済力からくる要請に応ずる努力がなされねばならぬ、こういう考え方から諸般の法案等の御審議もお願いしておるようなわけでございます。

坂田道太自由民主党

○坂田委員 ちょっと関連して。ただいま小林君の御質問の中で、大学を卒業して採用の際に、これは工業教員として採れないという事情、これはなかなか傾聴すべき問題であって、これは文部省の方でも、この際で、ございますので、何とか一つ行政的な措置をとられてしかるべきではなかろうかと考える一員であります。同時に、現在工業教員であり、あるいは工業教員の資格を持った人で校長である方々が、各県の定年制、定年制をしいておるしいていないは別といたしまして、実際上五十五才とかあるいは六十才ということで先生をやめていかれるというところがたくさんあると思うのでございます。こういうような際でございますので、私は、文部省とされても、工業教員を確保するという意味において、工業教員に関してはこういった措置をもう少し延ばす、相当の年令まで能力の許す限り勤めてもらうというような指示をされたならば、やはりその一助にたるのじゃなかろうかという気もするのでございますが、この点につきまして、文部大臣はそういうようなお考えがあるかどうかということを、この際お尋ねしておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今の御質問の点につきましては、いつでございましたか、最近、文部省の初等中等教育川長の名前でもって各都道府県に通牒を出しまして、定年制のあるところでも、その運用上は当面の必要ににらみ合わせて弾力的な運営をしてもらうようにという趣旨の通牒を出しております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 大臣の今のお話を聞きますと、要するに、率直にこの際文教行政をお互いに反省をしてみて、決して政府の所得倍増計画による今度の技術者養成の措置でなくて、今まで文教行政がおくれておったために、手抜かりがあったために、こういうような措置をしたければならない羽目に陥ったのだ。それは異常な経済界の発展ということもあったでしょうが、そういうことに対する見通しが欠けておったというのか、できなかったというのか、この点がお聞きしたいところなのですが、何として本手落ちであったということは、この際お互いが考えなければ、今後の文教行政はこの経済の伸展に沿っていけないとも考えるのですが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 率直に申し上げまして、先ほども申し上げました通り、当面、特に教育の面に集約して申し上げるならば、科学技術者の養成計画というものが過小であった、またその下準備たるべき諸要件の積み重ねが、こういった状況を念頭に置いてのあらかじめの施策がなかった、言いかえれば見通しがなかったために欠陥が生じておるということは、率直に認めざるを得ないと思います。今申し上げました通り、いささか弁解がましくなりますけれども、むろん文部当局の見通しの悪さもおわびせねばならぬのでございますけれども、それよりももっと大幅に考え合わせられますことは、たとえば電子科学工業にいたしましても、二、三年前までは概念的にはいわれておりましても、現実に地上のものとなり、実際生活にも密着してくるような現実工業としてこれほどまでに発展し、貿易の面にも外貨かせぎに相当の役割を果たすがごとき発展性はほとんどの人が想像できなかったこと、だろうと思うのでございます。そういうことで、ございますために、見通しの悪かったことは結果的にまさしくそうですけれども、見通しをしようにもし得なかった実情もあった、そのことが結果として遺憾であったと申し上げるゆえんでございまして、だからといって傍観するわけにも参らない、あわせて所得倍増の政治目標にからみ合わせて考えますれば、一応の科学技術者の養成というものも計画されなければ、所得倍増すらもその方面からくずれるおそれありと考えましても、なおかつ穴があかないようにということは事実上困難でございますので、でき得る限りのベストを尽くしてやっていこうというやり方たらざるを得なかったわけであります。従って、それに関連する教員養成にいたしましても、御指摘のように昨年なり今年ぐらいまではどうやらつじつまが合いますけれども、やがてくるであろうところの生徒急増、さらには所得倍増に関連しまして工業高校の増設を当然もくろまざるを得ないということとあわせまして、今後には相当の工業教員の不足を来たすことは、先ほども御指摘のように、設備投資までが予想外に伸びていきそうな形勢を考えれば考えるほど、一般経済界、産業界等からの科学技術者あるいは技能者の要請も予想を上回ることもあり得るであろうということまで考え合わせますれば、いよいよもってそれを養成すべき教員の充足もむしろ困難性を加えるぐらいのもの、だから、従ってこの臨時便法、次善の策ではございますが、こういう制度もお認めいただいて、その必要に応じさせるということもやむを得ないことかと考えて、御審議を願っておるわけであります。先ほどいささか舌足らずではございましたが、お話の通りこれだけが唯一の方法とはむろん思いません、これはあくまでも臨時的な便法でございまして、本来の四年制大学の教員養成制度の現実の充実ができるに従いまして、これは当然廃止ざるべき性質のものとあらかじめ心得て御提案を申し上げておる次第であります。しからば、その本来の教員養成の面はどうするかということですけれども、これはまあ一般の大学制度の再検討の意味合いともからんで、御案内の通り中教審で昨年来真剣に検討中でございます。本年中には結論を出していただきたいと期待いたしておりますが、そういう専門的な検討を持ちまして、答申を待って、大学制度全体の構想が改善さるべきものはさるべきものとして出てくるであろうと期待しますが、それとの関連においても、一般の教員養成の本来の制度の充実は並行的にむろんあらゆる努力をして、この臨時教員養成所が一年でも早く要らなくなる努力があわせ行なわるべきことは当然だと考えて、やむを得ざる措置として御審議をお願い申す、こういうことでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 大臣の率直な御説明で、私ども一応了とするわけですが、この免許法一部改正そのものは大した問題じゃないのですが、そのよって来ることを考えれば、私は非常に重大な文教行政の反省をしなければならぬときだと思ったのでお聞きしたのですが、懇切な大臣の率直な御答弁を受けまして、その点につきましては私も一応了解をするわけです。ただそれが大臣の抽象的な一つの御答弁にすぎないようなことになるならば、私たちはなおこれを問題にしなければならぬと思うのです。  具体的に申し上げれば、こういうふうに異常な伸展をしますと、政府でもおそらく今後、農業基本法等でも明確にしました通り、相当地方にも工場の分散をやるとかいろいろな計画をなされておるわけですが、この問題と教育行政とを考えてみても非常に問題があるわけです。現に地方の山間地帯のところを見ますというと、工場疎開等がなされておる。ところが、何ら考慮せずに工場の誘致というようなことを地力もやっておるし、また事業家も喜んでやっておるわけです。そういうところの汚水というようなものがどんどん川の中へ流れていく。川は子供にとりましては夏の季節には最も楽しい遊び場であったわけです。ところが最近は遊ぶことができない。水泳は禁止というようなことになる。ところがああいうところの子供たちには何ら施設がたい。やむを得ず父兄の負担でプールを作っておるようなことをやっておるわけです。こういうような問題も、この経済の伸展に伴って、文教行政が考えていかなければならぬわけなんで、学校の校舎の建築と同じように、プールを設置する場合には国が補助金を出すというようなところまで御配慮を願わなければ、満足な経済発展の計画とはいわれないわけです。そのほかいろいろな問題があるわけです。たとえば今大臣がおっしゃったように、工業高校を新設しなければならぬ。ところが、校舎を建てるというふうなことだけを政府当局はお考えになっておるかもしれませんが、今はその敷地を獲得するのに非常な困難を来たしておるわけなんです。大体最近の各自治体の構想というものをお聞きしますと、将来この地方を工場地帯にするとか、あるいは住宅地にするというふうな計画があるときには、まずその中心地に学校の敷地を予定する、幾年後に校舎を建てるかわからぬけれども、人間がふえたり工場が建ってから学校を立てるというようなことになると非常に不便なものができるわけです。だからあらかじめここは校舎の敷地にするというようにするためには、政府の補助等を待っておることはできないから、仕方がない、大事な財政をそれに投じて敷地を獲得するというような、万般の問題に大きな影響が来ているわけです。こういうことに政府当局が手をつけていくような、そういうものを持って工業教員の養成も考えるとか、あるいは免許法の改正もやるとかいうならば、私たちはまたこれに賛成しないわけでもないのですが、根本においてどうもそういうふうなものがなされずに、何か追いかけられて文教政策がなされているような気がするのは非常に遺憾なところでございます。大臣が今おっしゃったようなことをほんとうにやろうとするならば、そういう小さいところまで御配慮願わなければ十分な施策はできないと私は思うのです。大臣もおっしゃった通り、政治は見通しが最も大事な条件だと思うのです。見通しのない政治というようなものがあったら、これは意味のないことであります。教育行政はその全般的な見通しよりも、もっと先の見通しを持たなければほんとうの教育行政ではないというふうな考えを私は持つものでございまして、この点善処をお願いしたいと思うのです。  そこで事務当局にお伺いいたしますが、企画庁の発表されましたものによると、昨年よりも三〇%の設備投資の増加である、昨年一兆四千億のものが今年は一兆九千億にたる。これも経済家等の話では、三兆以上になるというお話もあるのですが、この経済企画庁の発表したものによって検討してみても、これは非常に問題があると思うのです。これは従来のようにすべてそのために人が要るということでなくて、相当機械化されて従来よりもそう人は要らぬかもしれませんが、大体三〇%の設備投資の増加というようなことがあるとすれば、一体どれくらいの技術家が必要になるか、これについてのお考えをお聞きしたいのです。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 設備投資のテンポが非常に大きくなったために、どの程度の技術者が要るかという御質問でございますが、それに対して的確なお答えを申し上げることは困難かと存じます。私どもといたしましては、一応所得倍増計画におきまして大学卒業程度の技術者が十七万人、高等学校卒業程度の技術者が四十四万人、昭和四十五年度までに必要であるということを最高の目標といたしまして、それにできるだけ近づけることを目途といたしまして、技術者の増募計画なりあるいは教員の養成計画なりを立てておるわけでございまして、そのテンポが高まるということが明らかになりますれば、計画自体につきましても再検討が必要かと存じますが、それがどの程度になりますかは、今後の検討によらないと的確な数字を申し上げることはできないかと存じます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 その四十何万というのはどういう計画から出たものですか。私はそういう毎年の増加率というふうなものが検討されて、それが積み重ねられて十年後には四十何万要るというような勘出足ができたものだと思うのですが、ばく然と四十何万というようなものをお持ちになっているようにも承るのですが、これは問題なんですがね。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 科学技術者の人材養成につきまして科学技術庁でいろいろ御策定になったわけでありますが、ただいま申しましたように中堅技術者の四十四万人、これは高校卒業程度、それから大学卒業程度の科学者の、不足数十七万、これは十年間の不足数でございます。これは文部省で従来実施をいたしておりました社会的、要請に基づく人材養成の調査に基づきまして、現在と昭和四十五年との開きを算定いたしまして、それに経済の成長率を乗じてそれぞれの部門別に推計をいたしましたものの数字の集計でございます。この数字の集計は、先ほど大学課長からもお答えいたしましたように、一応現在の経済情勢に、当時推定されました経済の成長率というものを平均的にかけておるわけでございまして、実際の経済の成長度合いがどうなるか、あるいは成長の度合いが非常に急速に上昇するというような事態か出て参りますれば、これに応じてやはりある程度改善されていかなければならぬものと私どもは考えております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そういう数字が出るのですから、設備投資は昨年よりも三〇%増加するということが現実に政府から発表があった場合には、それじゃことしの技術家は一体どれくらい必要であるかという、それが出てこなければならぬわけですか、どうも、そういうお答えがなくて、今のような、何か数字を積み重ねた上に四十何万というものが出ているのだということをお聞きしますと、それがすでに何か架空的なもので、現実に沿わないような感がするわけなんです。どうも文教行政がそういう現実の姿というものを見ないで行なわれておるから、今大臣がおっしゃられるように、残念ながらわれわれの見通しかなかったんだ、手落ちであったというような結果になるのだと思うのです。この際、一方において企画庁がそういう数字を出されたら、それじゃことしは何人の人間が必要なんだ、ところが実際においてはこれこれしか教育できないということが、すぐ当局の責任者によってはっきりされるところに、私は教育の現実性というものがあると思うのです。だから、三〇%ふえたら何人技術家が必要なんだ、それにことしは何人しか供給できないんだということがお答えできないというようなことでは、私は非常に文部省の権威というものがなくなると思うのです。できないならばできないでいいんですが、どうですか、その点は。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 御承知のように、今度の所得倍増計画以前に経済自立の五カ年計画を実施されたわけでございますか、その当時やはり科学技術者の養成ということで、八千人計画というものを樹立して、これを四年間に実施いたしたわけでございます。この八千人の養成計画はほぼ完成されたわけでございますが、それをもってしても十年間に高級技術者としては約十七万人、一年間平均で約一万六千人程度不足するということで、文部省といたしましては、四十五年度の不足数を勘案いたしまして、一応一万六千人養成計画というものを作ったわけでございまして、従って、たったいま申しましたように、現在の所得倍増計画に基づく技術者養成が行なわれないとするならば、年々一万五、六千ずつ不足するという実情でございます。これに従って、先般来印しておりますような科学技術者の養成ということで、国立、私立を通じましてそれぞれの大学において学生の増募を行なっておるわけでございます。ただ、先ほどお尋ねのございましたように、三〇%の設備投資の増加がある、これに比例して現在科学技術者が何人要るかという、そういう関連した数字というものは、直接は私ども把握いたしておりません。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 せっかく大臣からいい御答弁を承ったのですが、内容をお聞きしますと、非常にたよりのないものでありまして、もしこの状態ならば、政府の十カ年計画、所得倍増計画というふうなものは、もう計画そのものが意味をたさなくなって、現にもう十カ年後の政府の希望というものが今日実現する状態だというふうなことが覆われておるときであって、現実というものはもっとものすごい勢いで進展をするような状態だ。そうすると、今の局長の御答弁のような態度を持っておいでになると、来年は三年制でなくて二年制の工業教員養成所でも建てるような形になってきて、時代に追われて教育行政がめちゃめちゃになってしまう。やはり私は、数字の問題でなくて、それに対して明確な御答弁ができないということであっては、将来が思いやられるわけです。そこでこういう点も、今後もっと私たちにも文部省自体の方から明確な資料を出していただいて、時代に沿うようなものを見せていただくのが私どもの希望であるわけですが、そういう一般技術者でなくて、今度は高度の科学技術を進展させなければならないということが半面重要になってくると思うのです。そこで、この点で具体的に、設備を整備するとか、あるいは新しい施設をするとかいうような問題としては、大学院とか、あるいは研究所とか、あるいは特別な研究機関を設けるというようなことが必要になってくるわけですが、こういう点についての構想、また、幾ら高等学校程度の科学技術を盛んにしようとしましても、やはり小、中学校の子供たらに対して基礎づけていくということもあわせ考えられていかなければならぬ問題だと思うのです。ところが小、中学校には理振法、あるいは産振法というようなものが一応講ぜられてはおりますが、機械はどんどん古くなっていく、だが、新しくすることはできない、その機械もこわれればこれを修理することができないままに放置されておるわけですが、こういう点について何かお考えがあったら、この際お聞きしたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 お話にございましたように、科学技術の進展を促進するという意味から、いろいろな研究機関の充実をはかっていかなければならぬことは、御指摘の通り、だと思います。大学院について申しますと、現在では大学院に残って研究をするという学化の数が、私どもの期待しておりますほど実は確保されておらぬということがございまして、これはいろいろ原因もあろうかと思いますが、一つはやはり、学生に対する奨学金というようなものも考えられるわけでございます。今年度においては、そのために大学院の修士課程、博士課程に籍を置いて勉強する学生に対する特別奨学金を増加いたした次第でございます。なお、大学院ばかりでございませんが、こういった大学院を終わりまして、あるいは大学を終わりまして教職につくという者については、返還免除の範囲を広げるという措置を講じておるわけでございます。もちろんそのほかに、基盤になりますところの小、中学校の理科教育を充実しなければならぬという意味から、従来の理振法に基づく設備の補助も、三十六年度においては増額をいたしておりますし、また、大学その他の筒等教育機関における老朽設備、これはかなり大きな経費をその更新のためには要するわけでございますが、私どもといたしましては、五カ年計画を立てまして、現在ありますところの大学等の老朽設備の更新をなるべく短かい期間で実施いたしたいというふうに考えておるわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 この免許法そのものをこうして無理なことをしなければならぬ、そういうことが実際は文教行政の欠陥から出ておるのだ、こんな便法を講じなくてもいいような、そういう教育行政を確立していかなければならぬような情勢に今日本があるのだということを私は痛感してやまないために、一応そういう根本的な問題についてお聞きしたのですが、大臣から率直にそれを認めて、これに対して格段の努力をされるような御意図を承ったのですが、残念ながら今までの文教行政のあり方というものが、非常に強くなかったために、文部省の役人の方たちには、今局長がおっしゃったように、局長としてはおそらく御満足かもしれませんけれども、希望者がないから云云というようなことでおっしゃっておられますが、これこそ私は大問題だと思うのですよ。ただ徒弟的な技術家を工業界に送るというようなことでもって文教行政が満足しておってはならないと思うんです。もっと高度な科学技術を——文部省自体が、政府自体が、財界から、事業界から要請を受けて、それにこたえていくというような行政でたく、もっとこれを引っぱっていくような措置がなくてはならぬわけです。それが単に希望者が少ないのは奨学資金がないからというようなことでほうっておいてはならないと私は思うのです。あるいは基礎的な学習を受けております小、中学校の生徒のために、理振法をもっと促進するために増額した、幾ら増額したか、実際子供たらを扱っておる先年なりあるいは自治体の諸君の要望するものはもっと大きな、ものですよ。小さな中学校においてすら、何とか一つ東京へ行っておる先輩に古い自動車でもいいから寄付をしてくれるようにお願いしてくれぬかというようなことを、私たちにさえも言ってきておる。こんなのはほんとうの幼稚な程度なんですが、そんなふうな科学的な技術を向上させる意欲というようなものは、実際においてはもっと大きなものがあるわけです。多少の費用を増額したくらいで文部省が満足しておれば、またこういう免許法の一部改正、当分の間という、ふうなもの、あるいは工業教員養成に見るようなでたらめなことをしていがたければならぬ。おそらく文部省当局におきましてもおもしろくない制度、だと私は思うのですよ。それをやはりやっていかなければならぬようになってしまうわけで、この際果敢な文教行政を確立するようにして、こんな問題について討議をしないように私はお願いをしたいと思うんです。質問をする人がまだたくさんありますので、私は以上で終わります。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山委員 この教育職員免許法等の  一部を改正する法律案についてお尋ねをいたすわけでございますが、提案理由を見てみますと、その中で今日まで政府が提案をいたしました法律の内容と思想的な食い違いがある点があるわけでございます。その点についてまず第一にお尋ねをしたいと思うのでございますが、先ごろ衆議院で通過いたしました工業教員養成制度の中で三カ年間のインスタント工業教員養成をやろうという法律案が提案をされ、可決を見たわけでございますが、その中において、御承知のように免許法の一部改正がなたされております。教職課程については従来の免許法の定めるものの二分の一の単位修得で足りるというようなものででございましたので、われわれ社会党はこれに対して、これは免許法の精神を無視するものであるというようなことを意見として申し上げたわけでございます。そのときにはまだ十四単位のうちの半分七単位は、教職教育科目として工業教員の三カ年間の養成制度の上においては残されていたのでございます。ところが今回の免許法の改正案を見てみますと、工業の教員になろうとする者は、この教職コースについては十四単位の単位を一つもとらなくてもよろしい、ゼロであってよろしいということでございます。ところが工業の教員が、その教職科目の中から、中身にあります教育原理とか、あるいは教育心理、さらに工業科の教育法というような内容のものを全然知らないでおって工業の教育ができるかということになって参りますと、これは非常におかしなものが生まれてくる。提案説明のときに話がありましたが、二万人の工業学部の卒業生のうち七百人が免許状を取得する、だから残りの一万九千三百人について学校の教員になる道を開いたのだ、こういうような説明があったわけでございます。そういたしますならば、今回の免許法のこの点につきましては、教職教育というものが完全に無視されて、だれでもかれでも、そういうような教育原理とか、あるいは教育心理、教育教授法、そういうような内容のものは一つも知らなくてよろしいというような結論が出て参りますと、免許法を全く無視したものになってくるということになるわけでございますが、さきに工業教員の養成制度の三カ年間の教育期間で取り上げられた免許法に対するところの思想と、今回のこの免許法改正案に出されたところの思想との間においては、同一の国会に提案をされながら、その点が食い違っておる、こういう点は、大臣はそういうふうな考え方を、どういうふうにして今日国会において説明をされることが可能であるか、その点を大臣から承りたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ちょっと具体的にお答えせねばならないようでございますから、政府委員からお答えすることをお許しいただきます。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 工業教員の養成所の考え方といたしましては、御承知のように、本来の教員養成の建前からいたしますれば、やはり大学で四年課程を出たものが原則である、しかし現状やむを得ない臨時的な例外的な措置として養成所を置くということにいたしたので、従ってこの養成所におきましては、電気、機械、工業その他いろいろな学科を置くわけでございますが、その学科の共通必須科目の中に教職教育科目を大体七単位程度勉強してもらうという考えでおりますが、現在御審議を願っておりますこの教育職員免許法の一部改正におきましては、この法の場合には、教職専門科目の単位の修得を全然緩和して、なくてもよろしいということにしたいと思っておりますのは、一つはこれは養成所の学生とは違いまして、大学の工学部で四年間の正規の勉学をするものでございまして、工業教員養成所の修業年限とは根本的に違っておりますので、これと工業教員養成所との間に差等をつけることも妥当なのではなかろうか、かように考えたわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 工業教員の養成制度の期間は三カ年で臨時的なものなんだから、それと比較検討した上、四カ年のあたりまえのコースを出た者は工業教員として資格があるんだ、こういうようなことで、均衡の上から考えたような御説明を小林局長から聞いたのでありますが、それは全く話の筋が通らないと思う。というのは、片一方において、同じ大学を出ながら教職課程を履修をした正式の免許状取得者が生まれる。また片一方においては、三カ年の短期間の教育でありますが、まあ二分の一の七単位だけは高等学校の教員となるんだからということで養成を受けている。ところが今度は一般の工業大学を卒業しました君は、そういうような教職課程については全然単位を必要としない、こういうような三本の柱が学校の教師の養成として生まれてくるという格好になって参るわけであります。なるほど普通の工業大学を出た者は、技術者としては完成された、りっぱな者が卒業されると思うわけでございます。しかしりっぱな技術者であるがゆえにりっぱな教育者であるということは言えないのであります。そこに問題の考え方の違いがあると思うのです。先ほどの小林局長の説明を聞いておりますと、一方は三年で養成をしていくんだ、片一方は四カ年で卒業するんだから、その対比の上から考えたということになりましたら、今後文部省としては免許法に定めるところの教職の教育というものは全然必要ない、こういうような考え方に立っておられるのかどうか。その点はきわめて重大であるので、明確にお答え願いたいと思います。これは大臣からお答えを願うのが当然の大きな問題でございますので、大臣の答弁をお願い申します。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほどお答え申し上げましたことを多少補足して申し上げますが、工業教員、養成所の卒業生と今回の免許法の一部改正に関する法案との関連でございますが、先ほど申しましたように、今回の取得条件の緩和は、大学の工学部を卒業した者についてこれを行なうわけでございますが、御承知のように、大学の工学部を卒業した者で工業高校の先生になる数は現在きわめて少ないわけでございます。文部省としてはできるだけこういう本則的な人を工業教育界に誘致したいということを考えておりまして、そういった意味からも、大学の工学部を卒業して成規の課程を経た者については、教職課程の単位の取得を免除するということにしたいと考えております。もっともこれを免除すると申しましても、そこにございますように、専門科目でこれを代替する、かわって専門科目で勉強するということでございまして、その単位が全然無視されるということではないわけでございます。お尋ねにもございましたように、すべてのきわめて優秀な科学技術者が工業教員としてりっぱな教員であるか、その点にはもちろん疑問も出てくると思いますが、工業教員の不足の現状、それから工業高等学校の急増の状況からいたしまして、こうしたことも私どもとしてはやむを得ない措置としてやらざるを得ないと思います。工業以外の教科につきましてこういう措置を行なうということは、現在全然考えておりません。

村山喜一日本社会党

○村山委員 文部省の考え方というものは非常に間違いを起しておると思う。大体工業教員になるべき者を成規に養成をして、それを学校の先年に振り向けていかなければならないのに、今でさえも需要が非常に多いところの科学技術者に対して免許状を与えることによって、あわよくばそういうような科学技術者の人たちが教育界に来てくれるであろう、こういうふうな他力本願的な考え方でこの免許法というものは改正がされておる。これは改正ではなくて改悪です。そういうような立場から、まあ会社あたりに勤めておって、定年になった、どっか行きどころがないので、学校の先生にでもなろうか、あるいは郷里でおやじが死んだので、家に帰っていかなければならない家庭的な事情がある。なかなか教員になり手もないので、教員にでもなろうか、いなかに帰って学校の先生でもしようか、そのときに学校の先生になりやすいようにこの門戸を開放したというのですか、そういうような文部省の考え方で、あるとすれば、これは文部省自身が自分たちで作りましたこの免許法の精神というものを全く無視することによって、科学技術者の養成という問題に隠れて、学校の教師の質を低下さして、そして全然教育の原理とか教育心理とか児童の心理の発達に応じた教育というようなものには経験がない、しかも知識もない、こういうような人たちが工業学校の先生になっていく、そして所得倍増計画の中で、あるいは高等学校の生徒急増対策の中で、工業学校をどんどん作っていく。そうなりますと、大体一工業高等学校で四十名ぐらいの定数のあるところで六割は技術関係の先生になるわけですが、そういうような学校の先生の構成という問題を考えたときに、ところによっては学校の教育法というものについて全然今まで知識もないというような人たちが集まってきて、教育が非常に混乱をし、ただ徒弟的な技能教育というようなものに陥っていくような心配があるわけでございますが、そういうような日本の教育制度全体についての構想というものの上に立ってこの免許法の改正案は出されたものかどうか、そういうようなことはおかまいなしに、産業界の要請なり、あるいはインスタント式で三カ年間の臨教で七単位というところまでやったの、だから、教育については全然知らぬでも、思い切って学校の先生にかかえ込んでいったら何とかなるだろう、こういうような思いつきで出されたのか、そういうような点を明確にしてもらわないと、これ以上の審議はできない。この改正案のほんとうのねらいというものを大臣からはっきりと御答弁を願いたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 本来の教員養成の制度としては、私が申し上げるまでもなく、四年制大学の建前であることは当然でございます。先刻も小林さんにお答え申し上げましたように、その本来の教員養成の姿ですべてを充足することが当然の目標でなければならぬと心得ております。ですけれども、現実半面の繰越としまして、産業界の要請もさることながら——産業界の要請ということは、同時に学生生徒たる国民に職場を与える意味においてはむしろけっこうなことだと思うわけでございますが、ともかく生徒が急増する。所得倍増はもちろんのこと、先刻もお話が出ましたような意味で、日本の経済力の伸展というものに応ずるのには、どうしても工業方面に伸びていかざるを得ない。これは宿命的な、必然的なものであろうかと思うのでございますが、その現実の必要性に応ずる措置が、本来の建前からする四年制大学を卒業した教員は実際上得られないということに直面しておるわけでございます。もしこれを現状のままに放置しますならば、教員組織の面で間隙が生ずることは必須であります。これは理屈抜きに、物理的にそうならざるを得ない。そういうことを放置することは大へんなことだ、何とか方法はないであろうかということが、次善の策であり便法であるところの臨時教員養成所でありますと同時に、また村山さんも御指摘のように、産業界で定年になった、あるいは一たん産業界に入ったが、本人の考えとしてはむしろ教職員に向いておるというふうに考えを変える人もあるであろう。そういう人さえも、いい人がおるならば導き入れて、間隙を化じたいようにしなければならぬ当面の要請が差し迫っておる。従って、本来の建前からいいますれば、欠陥が多少あることは、これは遺憾ではありますがやむを得ない。そのやむを得ないところは、現職教育で補うことによって極力その欠陥を補っていこうという努力をあわせ考えつつ現在の逼迫した必要性に応じていこう、こういうことでございまして、それを本来の筋からいって、いささか欠陥を生ずるのじゃないかという御指摘であれば、それは率戸に認めざるを得ないかと存じます。けれども、その欠陥のある点はあらゆる方策を講じまして、なるべく支障のないように、欠陥を補うようにという努力をしていきたいと思っておる次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 大臣の懇切な御答弁をいただいたわけで、ある点了解もいたしますが、問題は、その教員の構成の上において間隙を生ずる、それに対応すベきものだということでやむを得ない措置であるとおっしゃるわけです。なるほどやむを得ない措置であるとしましても、そのやむを得ないという点にもある程度の限界があると思うのです。その限界をはずしてしまって、それがゼロということになってきますと、そこには非常に問題が出てくる。だから、半分の七単位ということであれば、これはその程度までで、あとは専門教科についての勉強をしてもらう。教育についてはなかなか単位がとりにくいからというようなことで筋道が立ってくると思う。それを全然ゼロにしてしまうというのでは、やむを得ないというのがもうそこまできたら、免許法というものが全く無視されることになってくるというふうに言わざるを得ない。  小林局長にお尋ねいたしますが、そういうことで、せめて三カ年間の興業教員養成の程度と同じように、教職教育の単位数を七単位程度に下げてもとることにして、その七単位だけは夏休みの間に勉強するとかなんとかして、その資格をとる方法もありましょうし、あるいは今後においても、いろいろな現職教育とかなんとかいうような方法も講ぜられるわけでございますから、そういうような大学の卒業生に対しては、そういうふうにして、教職教育についての単位を、現職についてからでも、あるいは在学中に、十四単位ということは無理であっても七単位程度はとるように、学校のそういうような教授陣をそろえるというような方法を講ずることによって、免許法の精神をゆがめないような形でやって行くということで内部の検討はされたものかどうか、そういうような点は、どういうような経過をたどって今日のこの法律案になってきたものかをお伺いをしたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 御承知のように、工業高等学校の先先になる場合の教職科目の単位につきましては、現在におきましても、免許法の規定によりまして、普通の場合は十四単位でございますが、この工業高校の先生になる場合は、半数の七単位までは、教科に関する専門科目で代称することができるというふうな規定ができているわけでございまして、現状すでに七単位でいいということになっているわけでございます。ただ実情を申しますと、この不足条件を勘案いたしまして、七単位に半減いたしておりますが、それでもなおかつその単位をとって工業高校の先生になるという方がきわめて少ないのでございます。すでにそういった傾向がございますので、今回の措置といたしましては、この工業高校の教員不足の現状を緩和いたしますために、七単位のものをさらに免除するということにいたしたいと思っているわけでございます。もちろん理想的な立場から申しますれば、その教職旅程をフルにおさめていることが望ましいのでございますので、ただいまお尋ねの中にもございましたように、就職いたしましたあとで、それぞれ必要な教職教育、その他の教職専門科目について十分勉強をするように文部省といたしましても指導することといたしたいと思っております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 教職教育の単位をとらないようにして、工業学校の先生になるのではなくて、工業学校の先生になりたがらないのは、一般との給与の差がものすごくついているからなんです。ことしの所得倍増の余恵を受けたといいますか、新制中学校の卒業生が大体平均七千七百円、高等学校の卒業生は約二万五百円、短大の卒業生が一万二千五百円、新制大学の卒業生は二万六千円、大学院の卒業生は一万八千円というのがいわゆる初任給の平均値であるというふうにいわれている。そういうようなのと学校の先年との初任給を比較した場合に、なるほど調整手当がつけられる、あるいは産業教育手当がつけられているとはいえ、そういうような給与の問題を解決しないでおって、そうして、工業学校の教員を充実していこうということでは、これはねらいとしては全くはずれてくる。、だからそういうような現実の問題を処理していく際において教職単位をとらなくてもよいということになれば、学校の教員になる人がある程度出てくる、だろうというような考え方で免許法をゆがめていくことは納得できない、という私たちの考え方でございますが、それは意見になりますので、また具体的なものとして提示をすることになるだろうと思います。  その次にお尋ねをいたしたいのは、今回の免許法の改正の一つの柱になっております教科の改正に伴う分がございます。これは教育課程の改正が行なわれて、小学校は昭和三十六年から、中学校は昭和三十七年から教育課程が改正になるわけでございますが、この教育課程の中身が教科と教科以外のものに分かれていることは、もう周知のぶ実でございます。そこで今まで国会において論議されましたものは、この教育課程のいわゆる編成権をめぐりまして、これが法的にどういうようなものがあるのか、いわゆる文部省がこの基準性を統一してこれを強化していく、それに対して、どういうような根拠によって大臣はそういうようなことをやってきたのかということは論議されている。これにつきましても私たちの考え方と若干の食い違いはあるわけでございますが、それはそれなりにおきまして、あるいは今まで論議されて参りました内容を調べてみますと、道徳教育問題について相当論議されているようでございます。そこで私がきょうお尋ねいたしますのは、この免許法の中にも書いてございますように、新しい課程、技術・家庭科と申しますか、そういうような教職員の現在免許法上の教科はないわけでございますけれども、その技術の教科について文部省の講習を受けた者については二級普通免許状を、職業科と図画工作、そういうような免許状を持っている者については与えることができる、こういうようなのが出ているわけでございます。さらにまたこの別表の第一に掲げます中の「理科」の下に「、技術」というものが新たにつけ加えられておりますが、その技術科の必要性といいますか、なぜそういうようなものを設け、その内容はどのようにして今後中学校におけるところの技術・家庭科を必須にしていったか、その理由等については、これは国会においては何ら明らかにされておりません。従いましてそういうような問題を質問をし、そして現在の免許法との関係における問題点を申し上げてみたいと思うわけでございます。  そこで内藤局長お見えになっておいでになりますので、内藤さんにお尋ねをいたしますが、今回昭和三十七年度から中学校の技術・家庭科が、今までの職業・家庭科と変わりまして、そうして必須性の教科として全部の生徒が教育を受けるようになってきた。これは学校教育法施行規則に基づく監督庁の定める権限に基づいてなされたわけでしょうが、そういうような点からその施行規則に基づくものがまず先行をして教科というものがきまる。それによって今度はその立法府においてわれわれが審議をし、免許状の内容を規定づけていくものがあとからこれについていく。行政権限でやったものに立法府のわれわれがそれを補完をしていくというような立場において、この教科の改正という問題が取り上げられていくとするならば、これはきわめて重大な問題であろうと思うのですが、そういうようなについて、どういうふうにお考えになるかということをまず第一にお尋ねをいたします。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 各教科についての権限はお説の通り学校教育法に基づきまして規定されている、その権限をどこまで委任するかという問題でございますが、これは学校教育法で各教科については、文部大臣に委任してございます。ただ免許法の建前はこれと違いまして、各教科にどういう免許状が必要であり、どれだけの単位が必要である、こういう法の体系が違いますので、技術・家庭科の免許状を取得する場合に、その内容につきまして当委員会で御審議になるわけでありまして、これは法体系の違いからくること、こう考えておりますので、別に国会の審議についてあとか先かという問題ではなかろうかと思うのでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 説明は聞いたのですけれども、どうもおかしいのですよ。そこで大臣にお尋ねをいたします。学校教育法の第二十条に「小学校の教科に関する事項は、第十七条及び第十八条の規定に従い、監督庁が、これを定める。」それが中学校の場合は三十八条、高等学校の場合は四十三条にてれぞれ規定づけられている。そこで監督庁とは一体何かということで、あとの百六条に「権限を有する監督庁を、当分の間、これを文部大臣とする。」ということで、「当分の間」というのが入っている。そういたしますと、いつも大臣がおっしゃるように、教育というものは地方のものである。地方の住民のものである、今の日本の教育は中央集権ではなくて地方分権のものである、こういうような建前から、私は日教組と団体交渉もいたしません、それは交渉すること自体が違法になる、こういうようなことをいつも言われるわけです。そういたしますととこの「当分の間」というのは、当分文部大臣が権限を持っているけれども、当然これは小学校、中学校、高等学校についてはこの教育課程の問題も都道府県教育委員会が所管をすべきものなんだ、こういうようなことだが、この「当分の間」は文部大臣が国家的な基準性というものを保持する意味においてやっていくのだ、こういうように考えて「当分の間」というものがつけられているのか、この点について大臣のお答えをお願いしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今御指摘の「当分の間」の立法趣旨というものはちょっと私今明確にお答えができませんので、当時のことを知っておる政府委員からでも答えさせていただきます。  私が地方分権の建前だという意味において日教組との中央交渉をやるべきじゃないと申し上げたことは、そのことに基づくのでなくして、職員団体との団体交渉権限もしくは責任の相互関係というのは、地方公務員たる教職員については地方公務員法に明記されておる。明記されておる相手方以外が相手にたることはあり得ないという、その力の法律規定に基づいて申し上げておるのでありまして、今御指摘の点に関連したことではないと心得ております。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この学校教育法は御承知の通り占領下に作られた法律でございます。その当時のいきさつを申し上げますと、アメリカが少し考え違いがあったのではなかろうかと私は思うのでございますが、アメリカの教育というものは州が全権を握っておりまして、連邦政府は何ら教育に対する権限がないのでございます。そこで司令部と、実は私、学校教育法を起草いたしまして折衝しておったのでありますが、将来日本に教育委員会ができれば教育委員会でいろいろとそのことはきめていいんじゃなかろうかというわけで、監督庁ということにいたしたわけでございます。監督庁の規定を当分の間文部大臣というように読みかえたわけでございます。ところが教科に関する基本が各都道府県で全部まちまちになりますと、日本の教育の水準を考えますと大へんなことになると思う。たとえば国語はやるといたしましても算数はやらない県ができたり、あるいは社会科でやるところのものもあるでしょうし、地理、歴史でやるところもあるだろうし、理科でも物理化学はやるけれども生物はやらないとかいうふうに、全国的にまちまちになりますと、義務教育の点から考えましても、高等学校におきましても、国民教育という点からやはり必要最小限度のものは国で統一しなければならぬのではなかろうか。そこでその点は司令部もよくわかりまして、当分の間、文部大臣がこの監督庁ということに読みかえて、文部省でこの基準をきめておけということになったわけですが、その後、それでは教育委員会制度が生まれまして、各県でばらばら教育課程を作ってよろしいという事情はいまだに起きていないのでございます。私は、根本的にはアメリカの教育制度と日本の教育制度の相違に基づくものであろうと思う。今後この点は検討したければならない課題ではなかろうかと思うのでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 日本国憲法や教育基本法の立場から考えて参りますならば、当然教育というものは、特に義務教育というものは、これは地方自治体の権限に属すべきものであり、地力の住民のものでなければならないわけです。そういうような立場から考えて参りますと、この当分の間というのは、今内藤局長から立法のときのいきさつをお伺いいたしましたけれども、 これは当然、この監督庁というのは都道府県の教育委員会、こういうようなものが一つの監督庁としてはっきりしなければならないと私は考えるわけです。従いまして、日本の民主教育というものの制度を考えていく際においては、この点から出発をしていかなければならないと思うのですが、今お話がありましたように、国の方である程度最低限の基準性というものを持たなければならない。そういうような意味から今回の教育課程が行なわれたものであると考えるわけです。その中で非常に新らしい教科として技術・家庭科というものを必修のものにしていったということになって参りましたが、その技術・家庭科の中の技術科、これは内容的に農業的な内容を削減し、商業的な内容はこれをゼロにして、そうして工業的なものに重点を置いたものが生まれようとしておる。そういうようなものが出て参りますと、一体、技術・家庭科というものを必修にした理由、設置したもの、それからそれの移行的な段階、さらにいろいろな問題が発展的に生まれて参りますが、まずその技術・家庭科というものを必修にして昭和三十七年度から正式に発足をしてやっていくようにされるのはどういうような理由に基づいてやられておるのか、その点をまずお伺いしたい。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 新教育制度になりましてから、職業家庭科というのが必修教科で昭和二十二年から発足したものでございます。当時は農・工・商課程、こういうふうに一通り全部をやる。その考え方は一応トライアルしてみる。そして適性を見出そうというような考え方があったわけでございます。しかしながら、従来高等学校から大学へ進学する者も、中学校を出てそのまま社会に出る者もひとしく必修教科としてやる場合に、はたしてそれでいいのかどうかという問題があったわけでございます。特に教員養成の面から考えまして、農、工、商、水産、家庭一通りやれるという先生ば、実際問題として非常に養成がしにくいわけであります。それから子供の学習を考えましても、一体、一通りつまみ食いをするような形がほんとうに子供の素質を伸ばすゆえんであるかどうかという点にも実は問題があったわけであります。そこで昭和三十一年度に改正をいたしまして、この改正にあたりましては、工的なものを中心に、農と商が少しずつ入ったわけでございます。スタートのときに、これは青年学校の先生が相当入って参りましたので、確かに農が多かった。なかなか工的なものに切りかえられない。これはむしろ人的な関係から今日まできたわけでございます。ところが昭和三十一年度の改正で、相当工的なものに移行して参りましたので、しかし、それでもなおかつ農、工、商、一通りやるというようなことになりますと、これまた同じように教員養成の面におきましても、教育の効果を上げるという面におきましても、いろいろと支障が起きておるわけでございます。一方において科学技術教育の振興が叫ばれておりますので、これは進学する者も就職する者も、社会においても家庭においても今日相当機械化され、電化されておりますので、ある程度の技術教育が必要であろう、そこでこの技術革新に対処できるような心がまえだけは必要だ、こういう点で、別に工業学校ほどの専門的なものでもないし、また職工のようなものでももちろんないわけであります。昔でございますと工作があったのでございますが、工作の中に電気や機械が加わった、こういうふうに御理解いただければいいのではなかろうか。その内容をもう少し詳しく申し上げますと、工作や木工、金工をする場合にどうしても製図が必要でございますので製図、それから木工、金工、電気、機械、こういうような要素が中心になっている。この第一学年におきましては栽培が入っておるのですが、これはあくまでも普通の教科は物肝を理解すれば済むわけでございますが、理解するだけでなくて実際に物を作るという点にこの教科の重点があるわけです。物事を生産し、創造するところの喜びを味わいながら、人間形成の一つの力にいたしたい。また同時に今日の技術革新に対しまして、家庭においてもあるいは社会におきましてもそれに対処できるような心がまえを作っていきたいというのがこの技術・家庭科の役目でございます。昭和三十二年から昭和三十一年の改正を経まして今日にきましたのは、これは必然的、発展的に解消されて新しい教科が生まれた、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 世界的な傾向として、一般教育の中におけるいわゆる技術教育、科学教育というものが重視されてこなければならないという意味における、それに即応した考え方というものは当然認めていかなければならないものだと思うのです。ところが、今おっしゃったように創造し、生産をする喜びというものを味わせながら、教育活動というものがなされていくということになりまして、その内容を調べてみますと、第一学年において技術と生活、第二学年は技術と生産ですか、その中で機械の製図あるいは機械、女子の場合は家庭機械、第三学年においてはこれが電気になっているわけですね。近代技術の理解と活用、こういうようなもとに新しい技術・家庭科というものが生まれてこようとしている。ところが、これを専門的な立場からいろいろ検討された学者の人たらの意見というものを見てみますと、その要求する度合いも非常に高いものが要求されている。ところが今度文部省自身が考えているその技術科の内容というものは、これはもう時間がありませんのでそう長くとるわけにも参りませんが、いわゆる基礎的な内容の中において欠陥とされるものがある。それは産業並びに職業生活、家庭生活についての社会的、経済的な知識、理解という点は技術科、家庭科の中では全然取り上げられていない。そしてただ生産をする、いわゆるそういうような創造をするという、それに問題がしぼられて、技能的な教育というものに終わりがちではないか、こういうような点が批判をされておるのが第一点ですね。それから第二点は、結局他の教科との関連というのですか、一つのプロジェクトを選定していく際において、そのプロジェクトの選び方によっていわゆる科学教育と技術教育の関連をはかる問題の差がある。従って、そういうような点を考えていった場合には、理科とか数学とか、そういうような関係のある関連学科とのいわゆるかみ合わせ、これが不十分であるという点は、文部省自身においても、私文部時報を見てみたのですが、まだ十分でない、こういうようなことが判然と言われているようですが、この技術・家庭科の推進をしていく中でそういうような問題の解決をどういうふうに今日までやっておられるのか、これは免許法の改正案の中に附則の第六項ですか、技術の教科に関する講習を修了した者には二級免許状を与えるということになっておりますので、そうなりますと、その技術の教科の講習の内応というものはどの程度のものをおやりになるのか、それによってまた考え方も違ってくると思いますので、そのあたりについて説明を願いたいと思います。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 第一点の、この教科の中には産業構造とかあるいは商業という言葉はお使いにならなかったけれども、商業的な要素がないじゃないかというお尋ねのようにお伺いいたしました。先ほど申しましたように、職業・家庭科の際には農、工、商、水産課程一通りやるという建前ですから、あらゆる教科のものをつまみ食いしたような格好になっておったわけです。そこで今回は技術科でございますから、生産をするということに重点が置いてある。そこで生産をするようなものに限定されておりますから、一年の場合に栽培が入ってきております。それからあと二年、三年になりまして、先ほど申しましたように、木工、金工、電気、機械が入ってくるわけでございますが、今申しましたような商業的な問題は、その中で原料の仕入れとか、あるいは製品の販売とか、そういう問題で若干触れるようにはなっておりますが、一般的な商業の教育につきまして、は、選択教科で農業、工業、商業というものか別にございますので、必修教科としてやる必要はないのではなかろうか。別にこの子たちが就職する人もございますけれども、進学する者も半分以上おるのですから、そういう点を考えて、国民教養としてならばむしろ技術科にしぼった方が適切である、こういう判断がされたわけでございます。  それから第二点の方の関係は他教科との関連の問題でございますが、数学はこれは小学校、中学校、高等学校一つの体系を持っておりますので、直接この技術・家庭科とは結びつく性質のものではないと考えております。理科につきましては、小学校の理科、中学校の理科それぞれ異なっておりますが、中学の場合には特に従来物理、化学的な面が弱かったので、今回は物理、化学的な面と生物、地学の二つの分野に分けまして、それが双方で十分に行なえるようにしたものであります。しかし理科はあくまでも物事の筋道なり、そういう原理、原則というものが中心になろうと思います。その原理、原則というものは小学校の時代、中学校の時代で学ぶわけで、それが今度は技術・家庭科でものを生産するという場合になると、その理解のもとに立って物事が作られるわけでございます。これはそういう密接な関連を持つ必要は私はないのではなかろうか。ちり取り板を作る場合の製図とか、あるいは机やいすを作る場合の製図から始まって、あるいは金工にいたしましても電気、機械にいたしましても、理科とぴったりと必ずしも合わなければならぬ、かみ合わさなければならぬというわけじゃなくて、理科の基礎的な知識の上にどういうふうに物事を作っていくかということが中心でございますので、この点はむしろぴたっと合う方がおかしいのではなかろうかと実は思うのでございます。しかしながらあくまでもこの理科的な素養というものは小学校段階でも十分積んでおりますし、中学校の階段でもその点は配慮されておるわけでございます。  それから講習の内容でございますが、講習は大体二週間程度やっております。その中では先ほど申しましたように製図なり木工、金工、電気、機械についての基礎的な知識と技術とを中心に講習が行なわれているわけでございまして、三カ年間に全部の教員を対象に行なう予定になっております。特に従来の職業・家庭科と工作関係の先生を対象にして行なっておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 あまり詳しいことを聞きましてもなんでしょうから申し上げませんが、ただ今度の教育課程の改正の中で中学校の最終学年の場合、これは安達さんが書いたものですが、「新時代に即応する中等教育課程のあり方」というものを拝見いたしました。それによりますと、コース制というものが考えられる、これが一つの大きな特徴だろう。今話がありましたように、選択科目の職業・家庭のものがあるのだからこちらの方の修得ができる、たから商業的なものや農業的なものはそちらの方で修得すればよろしいのだ、こういうような考えを昔言われたのもそこにあるわけですが、当時、昭和三十三年この教育課程の問題が考えられたときの進学率というものは、高等学校の進学率は五〇%、ところがことしの所得倍増計画の中に盛りますものは五九%、これがだんだん高等学校の進学率というものは、内藤局長もかねがね言っておられるように七〇%たいし将来は八〇%にまで達するだろう、こういうような将来の見通しを立てたときに、このコース制の考え方というものが必要であるのかどうか。この点について制定当時の考え方と今日の事情とは違っておりますから、そういうような点をもっと明らかにしていくべきではないかと思うのですが、その点をお答え願いたいと思います。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 中学校の場合に多少誤解があるのではなかろうかと思いますが、中学校ではコース制というほどはっきりしたものではございません。選択教科の幅を広げた。その選択教科の幅は英語と数学でございます。英語と数学をやらない者は、たとえば音楽とか図画とか、あるいは先ほど御指摘になりました農、工、商、家庭、こういうような選択教科があるわけでございます。従来の日本の六・三制の単線型教育の中の欠陥は、あまりに画一すぎるのではなかろうか、ヨーロッパのように複線型の教育制度をしていておるところは別にいたしましても、アメリカのような単線型の教育制度をしいておる国でも、やはり生徒の能力なり将来の進路なり、適性というものを十分考慮してある程度のコース制がしかれておると思います。高等学校の場合にはそのコースをさらに明確にしたわけでございますが、中学の段階は義務教育の段階でもございますので、選択教科において幅をつけて、数学がきらいな子供に何時間も数学を教えることはかえって適当でないと思います。それ以外の必要な教科をした方がいい、こういう判断で、子供たちの能力なり、適性あるいは将来の進路を考えて選択の幅を広げた、こういうことでございますので御了解願いたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 進学者にはより多くの学力をつけてやる、そうして家事従業者あるいは就職者にはそれにふさわしい職業的能力の基礎を与えるのだ、こういうように文部時報のそれにも書いてあるのです。そういうようなことで進んで、今お話がありましたように、必須教科と選択教科の割合は二十四対七だからそれは完全な意味のコース制ではないのだ、こういうようなことはよくわかる。しかしながら各人の能力というものは——これは今数学の好きでない者に数学を幾ら教えてみてもというような話がございましたが、そういうようなものよりも、制定当時は半分は高等学校に進学をする、半分は就職する、その他自分の家で仕事をする、こういうような時代であったわけです。それが所得倍増という一つのなにが生まれてきて、科学技術革新の時代になってきた。そしてことしの進学率は五九%、それが将来さらに伸びていくときに、そういうようないわゆるコース制というものを、コース制とは言えないかもしれないが、選択教科というようなものの幅を広げていくことの必要があるかどうか、この点はもう必要がないんじゃないかというふうに私は考えるのです。その点について、これは義務教育というものをゆがめていくような方向に考えられているのであるかどうか。それが発展をしていきますと、同じ学校内において異質のものが、つまり生徒の階級差というものが出てくる。こういうような心配が教育上出てくるわけですが、そういうような点についての考慮というものはどうなっているのかということを、最後に伺います。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 義務教育の段階でございますから、なるべく共通に教科を履修させることが適当であろうと思います。ただ中学校の三年の段階になりますと、いずれにいたしましても、就職するか進学するか、決定を迫られるわけであります。この間におきましては若干の差があってしかるべきではなかろうか。特に本人の能力が問題でございます。ですから能力差というものは当時から考えておったわけで、英語や数学、あるいはその他の教科にいたしましても、能力に応じてある程度教育した方がいいんではなかろうか。これは結局は子供たちの差別待遇に対する意識と、父兄の感情だろうと思うのです。これは現在も相当よくやっている学校もございますが、父兄の理解と子供の協力を得ますれば、非常にうまくいっている。かえって従来のような悪平等でない方が、学習効果が上がるという実験結果も出ておりますので、私どもは父兄の協力を得、また子供の理解を深めて、できるだけ能力なり適性に応ずるような教育をして参りたいと思うのでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 技術科の教科に関する講習は、今のところ二週間程度で三カ年計画でやるということはわかりました。わかりましたが、今度は免許法の提出法律案の五ぺ−ジに書いてありますが、十三項別表一に掲げる「理科」下に「技術」というのが設けられるわけですが、その技術科の教員の養成というものについては、全然今後の方向というものは出されていないわけです。いわゆる附則によって、現在の図工の先生、あるいは職業科の先生というものは、二週間の講習を受けることによって、二級の美術科の免許状を与えられるということが出されております。ところが別表の一の第三号の中に、技術というのが加えられる。ところが技術科の教員養成というものについては、これは今日まで明らかにされたことがない。だからこの技術科の教員養成というものをどういうようなところの教員養成機関で取り上げるのか、その点についての文部省の見解を承りたい。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 教員の資格要件を定める点でございますが、教員養成そのものについては特別に関係がございません。教員の養成につきましては、免許法の定める資格要件を取得させることを目標にいたしまして、各大学において計画を立て、実施することになっております。技術科につきましては、少なくとも国立の教員養成を主たる目的とする大学におきましては、従来職業科という形で教員養成のコースを設けておったわけ、でございますが、職業科の内容を改善いたしまして、必要な教官組織並びに施設設備を整えまして、必要な教員の養成を行なうことにして、技術科が予定されました昭和三十四年度以来漸次進めております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 免許法は、なるほど今話がありましたように、ただ資格要件を定めるだけの法律案だということなんですけれども、新しく技術・家庭科というものが設けられて、技術科の免許状というものが与えられる。そうなると、昭和三十七年から正式に全国一万八千の中学校において技術科というものの教育が始まり、将来日本の科学技術の推進力になるような技術教育というものが行なわれなければならないとなると、それの教員養成という問題がこの免許法の改正と同時に考えられていかなければならないわけでしょう。それが科学技術教育の振興になるのではないかと私は考えるわけですが、小林局長、そうなりますと、こういうふうに理解していいかどうかということです。現在の都道府県に、国立の教員養成の学部がありますが、その学部に技術科というものの教員養成のコースを作って、そしてそこで技術科の教員を養成していくんだ、こういうふうに受け取っていいわけですね。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほどお答え申しましたように、この技術・家庭科は三十七年度から中学校で実施されるわけでございます。この実施に間に合うようにすでに国立の教員養成大学、教員養成学部でこれを実施しているわけでありますが、特にコースを設けるというふうようなことではございませんけれども、それぞれ講義、実習等につきまして教官組織を充実いたしまして、また設備を充実して、実際に養成態勢の整備を行なっているわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 この中学校の技術科の内容を調べていきますと、今内藤局長の力からお話がありましたように、一年生においていわゆる生物学的なものの学習をさせる、二年生、三年化において工学的なものが中心になってくるわけですが、科学的な内容のものも当然取り上げていくようになる。そういうようないわゆる広い意味における科学的な基礎を養成していくんだということになって参りますと、当然今まで職業科コースというようなところで教員を養成しておったものよりも、教員養成の施設設備の内容においてあるいは教師陣の内容において変わってこなければならないと思うのですが、そういう点についての大学局の方でのいわゆる把握といいますか、そういうようなものの考え方はお持ちになっているんですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど来御説明しておりますように、従来の職業科と比べまして内容が相当変わって参ります。従ってこの教員の養成についても職業科の先生の養成とは趣きが異になってくるというふうに考えておりますし、またそれに必要な設備あるいは施設というようなものについても予算措置を講じて充実していかなければならぬと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 そういうような予算的な措置はことしの予算の上に幾ら講じておいでになりますか。われわれは提案の説明のときには聞いていない。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 教官の関係でございますが、従来の職業科は初中局長から説明のありましたように、農業、工業、商業、水産と非常に広範なものを包括する大きなものでございますので、そこで大学の職業科の教官組織について少ないながらそういう各分野の教官がおられたわけでございます。ところが率直に申しまして、その中で農業関係が非常に大きな比重を占めておったわけであります。もちろん技術科ということになりますと、それが工業部面、特に電気、機械といったような方面に重点が非常に移って参ります。そこで大学の教官組織におきましても、そういう重点の移動に応じた措置が必要なわけでございます。それにつきましては大学におかれましても考えられておりますし、大学の御要求によりまして文部省におきましても定員の増加ないし振りかえ等の措置を講じております。それから、施設関係でございますが、これもやはり従来とも職業科としての施設は持っておったわけであります。ただ、その内容が、新しい技術科の分野に応じた変更を加える必要が免じて参ったわけでございまして、これにつきましても大学の御要求によりまして、必ずしも十分とは申されませんけれども、予算措置を講じております。それから、内容に必要な電気、機械等の設備でございますが、これの整備関係の予算は、国立大学におきましては一括して必要な経費を計上しております。今年度におきましては、全体で相当な額が増額されておりますが、その中で技術科関係にはできるだけ重点的に配分いたしたいと思っております。設備費関係は、実は昭和三十四年度以来できるだけ増額配分をいたしておりまして、現在までに約一億円に近い設備費を各大学に配分いたしまして、できるだけ新しい技術科の教育養成ができるように配慮をいたしております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 そういうような内容のものについて、国立学校の運営費の中に計上してあるのか、今配分を重点的に新しい技術科教員の養成のものに使いたいということでございますので、配分のときに、それはよくお考え願いたいと思うのです。  それで、今度予算で通過いたしました例の中学校の技術科の必要に伴う経費というものがございましたが、文部省の三十六年度の補助の単価が三十万円で、そして四千四十四校に対する補助金が計上されておったわけです。この三十万円というものは、これは二分の一負担になっているわけでございますが、一体この技術科というものを必置制にしてやっていくとなれば、一学校当たり、まず一般的なものとして製図をやる、木工をやる金工をやる、あるいは機械、それに電気、こういうようなものまでやっていく、それに生物学的なものもやるわけですし、それにあるいは化学的なものも若干つけかえていくということになりますと、一体文部省が推進をしていく科家技術教育の技術科の設備基準というものは、どの程度をねらっているのか。最近、地方の市町村の段階におきましては、それぞれ予算の編成に対する要求が出ているわけです。ところが、文部省の方で、一校当たり三十万円で二分の一の補助を考える、こういうような線が出て参りましたので、三十万円あればまあ一校当たりの施設、設備というものは整っていくのだ、文部省自身がそれだけしか出さないのだから、まあたくさん学校もあることだし、そんなにやるわけにはいかぬというようなことで押えられておるわけです。そうして今度は教育課程の中では非常に高いものが示されている。それをやるところの学校の先生は、たった二週間しか訓練を受けないでやる農業科の先生が主体なんですね。そういうようなことで、いわゆる新しく設けられた技術科の問題が解決がつくかということになって参りますと、非常に問題が多過ぎる。それで、この施設、設備の基準についても、基準をどの程度考えておるのか、それに対するところの配慮をどのようにしているのか、その点について伺いたい。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは各方面でいろいろ試案が出ております。文部省でも一応の案は作っているわけでございまして、大体百万程度のものも考えたいと思っております。しかしながら、一ぺんに完全な設備を充足することは困難かと思いますので、三十万円でできる範囲のものを検討しているわけであります。基礎的、原理的なものを中心に、まず三十万円で全学校に三十七年までには全部整備するというのが第一段階でございしまして、次の段階でさらに検討いたしたい。今日基礎的なものを整備されておるところの学校につきましては、さらにやや高度なものの設備基準をお示しいたしまして、三十万円で基礎的なものが充足しておる場合にはやや高度なものに移る、こういうふうに考えておりまして、一応三十七年度で第一期の計画が終わりますのでで、三十八年度以降につきましてさらに検討を加えまして、技術課程の教育か完全に実施できますようにいたしたい、こう考えております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 そこで、結局、技術科の必要性というものについてはわれわれも十分わかっているわけなんです。ところが、それが省令によって、いわゆる施行規則によってそういうような教科が作られ、そうして教員養成のための免許法の改正をやって、それから今度は予算的なものの要求、こういうようなことになりますと、どうも筋道が逆のようなコースを通っているような気がしてならないのです。そういうような点から考えますと、やはり科学技術教育のあり方、これは日本の科学技術教育をどういうように推進をし、さらにまた日本の科学技術の水準を高めていくための方策というものを、文部省としては一つの大きな構想を科学技術庁あたりと打ち合わせた上で線を出して、大局的な立場から問題を取り上げていかなければならないと思うわけです。それで、きょうは免許法についての問題について質疑を行なったわけでございますので、それらの点についてはまた別の機会に譲りたいと思いますが、この今回の免許法の改正案の内容の中には、部分的には賛成な点もたくさんあります。ところが、先ほど申し上げましたいわゆる工業教員の要請の三カ月間の制度の際におけるところの単位の修得の方法と、それから今回工業大学を出た者にはもう全部免許法の適用で二級免許状を与えていくのだという考え方との間には、思想的な統一性がない。それが不統一で国会に出されるということに対しては、きわめて遺憾であるという意見を申し上げて、私の質問を終わります。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 暫時休憩いたします。午後は二時から会議を続行いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後二時二十六分開議

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。   質疑を継続いたします。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 免許法についてお尋ねいたしますが、同僚議員の質問と若干重複する点があるかもわかりませんけれども、きわめて重大な問題だと思われる点についてお尋ねをしたいと思うのでございますから、文部当局でも的確な御答弁をお願いしたいと思うのであります。  第一は、工業教員が教職課程を履修しなくてもよい、このことが今度の学校教育法の一部改正では相当な論議をされて、同僚議員からも再三質問があったわけでありますが、これに対して文部大臣は、工業教員の不足の現状から見てやむを得ない、理想から言うならば、なるほど教職課程を履修するということが法の建前でもあるので、その通りにしたいと思うのだけれども、今日工業教員が足らないから、その現状から見てやむを得ないのだ、こういう御答弁をされておるわけであります。  そこでお尋ねをしたいことは、この免許法は昭和二十四年九月一日からだしか施行されて参ったと思うのでありますが、この免許法の考え方から見て、多少の欠陥とか、やむを得ないという程度では済まないと私ども思うのでありますが、重ねてこの点について大臣のお考えを承っておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先刻もお答え申し上げました通り、また今もお尋ねの通り、本来の建前から申し上げますと、不満な点があることは当然であり、またそれがやむを得ないというお答えを申し上げたわけでございます。と申しますのも、生徒が急増する現実が目の前にある、しかも科学技術教育の振興ということが、単に池田内閣の所得倍増という以前にもしくはそれ以上に、世界的な傾向といたしまして、日本もこの傾向におくれるわけに参らないという技術革新の要請からいたしましても、目の前に工業教員がたくさん要ることがはっきりいたしております。しかるに現状は本来の四年制大学を通じての工業教員の養成制度はございますものの、何ともこれが入手できないといううれしい悲鳴とでも言えないこともございませんが、教育の面からいたしますと教員組織に現実に欠陥を生ずるおそれがあるわけでございますから、それを目前にしてどうすればいいかということを考えてみました場合に、すでに御審議を願いました臨時的な養成所、これまた本来の建前から申しますと欠陥があると指摘される節があるわけでありますが、それともう一つ四年制大学を卒業した人で教員になる意思を持たなかったがゆえに教職の課程を履修しなかった、そういう人が教育の場に協力してもらえるならば、教員組織の欠陥を補うととはできる。むろん満足ではないことは当然ではありましても、欠陥の生じたままよりはまさること数等であることは言えると思うわけでございまして、そういう現実の必要性からやむなく応急措置として考えたことでございます。先ほども申し上げました通り、むろん現職教育等を通じまして、おくればせになりましょうけれども、その欠陥を極力補って教育の実態の欠陥なからしめる努力もあわせ行たうというやり方でいきまするならば、あるいは予期の成果を上げ得るのじゃなかろうかということに期待したやむを得ざる制度と申し上げたゆえんでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そのやむを得ないということは、免許法の精神に抵触しておるということをお認めになった上のやむを得ないことだと私は解したいのでありますが、いかがでありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 端的に申し上げれば御指摘の通りだと存じます。ですけれどもできるだけその欠陥を補うことを別途講ずることも当然だ、こういう考えを添えましてやむを得、ざる措置として実施したい、そういう考えでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 免許法の精神に抵触するということをあなたはお認めになったのでございますが、これは重大なんですよ。免許法の目的に今度の改正はそむいておるのだ。法律の目的にそむいておる改正というものは法の改正ではあり得ない。これは法律の常識なんです。免許法の精神に抵触しておるということをお認めになった。私はこれは非常に重要なことだと思うのです。法律には目的、精神というものがうたわれておるわけでありますから、その目的、精神の範囲内において改正をしていくのが法の改正だと私どもは思う。もしその目的、精神に抵触する、違反するという場合には、その法律を廃棄するのが常識なんです。この辺いかがお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 免許法の基本的な考え方からいたしますと、少なくとも形式的にぴったりしない点が、ある意味において抵触すると言い得るかと思って申し上げたのであります。でございますから他の理由によって、先刻申し上げたような教育上の欠陥を生ずることもまたこれは見のがしがたき重大なことでございますから、それを当面埋め合わせる必要性からいたしまして、臨時的に便宜の方法として形式が整わない部分がございましても、そうせざるを得ないということを国会の御審議を通じてお許しをいただいて、当面の目的を果たしたいということでございます。免許法の本来の建前と一致しておりますれば特別の立法措置を要しない道理でございまして、あえて御審議を願いますゆえんは、先刻来たびたび申し上げますような、今も申し上げたような必要性に応ずるという国家目的を果たさねばならないという必要上から御提案申し上げておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 どうも私には、頭が悪いせいかあなたのおっしゃることがわからぬのです。形式的に抵触するとか多少の欠陥があるといようなことを午前中に村山委員にも答弁をしておるのですが、私はこれはそう見ないのです。そこで大胆にお尋ねいたしますが、免許法の条文のどこに抵触しておるのですか。これは局長では困る。大臣が責任を持って、こういう重大な法案を提案した以上は、具体的なこと、形式的なことは事務当局の答弁だということでは私は了解できないのです。私に言わしむれば、免許法のねらいというものは私はあとで明らかにして参りたいと思いますが、この国会で根本からくずれてしまっておるのです。これはこの前の工業教育養成所の問題もしかり、今度の免許法の改正もしかり、この二つでせっかく昭和二十四年に免許法を作ったあの特色が二つともくずれてしまっておる。完全に骨抜きにしておるのですね。私は調べてみてがく然としたのですが、条文のどこにどう抵触しておりますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 条文の詳しいことは政府委員からお答えすることをお許しいただきたいと思いますが、工業高校の教員たるべき者の免許を得ます資格要件として、履修します教科課程内容が一定の要件を具備する必要性を制度上求められておると思いますが、その中でも特に教員としての教職に必要な科目として規定されているものを履修しなくても免許状を与えるという点において、本来の建前からいたしますと抵触する点がある。それもまたやむなしとすることをお認めいただきたいということで御審議をお願いするわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 この問題は一番大事な点です。そこでこれは今の大臣の答弁では私は不満足ですから、十分ではございませんから、局長の方で補足することがあれば補足していただきたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 免許法上の条文ということでございますが、現行免許法の第、五条に普通免許状の資格授与の要件を書いてございます。その中にございます別表第一に最低修得単位数という欄がございまして、専門科目のうち教職に関するもの十四単位というのがございます。なおその備考の第四に、これを現在において工業の教科の免許状の授与にあたっては半減することができる、これらの事項であろうと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 それではお尋ねしたいのは、この別表第一の一般教育科目、それから専門科目として、教科に関するもの、教職に関するもの、そこに単位を——これは施行規則でも何でもない、法律なのです。明示しておるのです。なるほど備考の四には、その半分という暫定の規定もうたわれておりますが、どういうわけで免許法はこのような別表を作って、それから教職単位十四、少なくとも七単位、こういうものを要求したとお考えですか。これは戦前はなかったのです。昭和二十四年にできたのです。これはどういうわけでこういう別表が作られたと考えておりますか、大臣にお聞きしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 教職員の資質を保持するためだろうと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そうなると、資質を保持するために作った別表に違反するわけだ。その別表が、今度は完全に履行されないわけです。そうなれば今度の法律の改正というものは、つまり免許法の第一条にうたってあるところの「教育職長の免許に関する基準を定め、」これはいいです。その次「教育職員の資質の保持と向上を図ることを目的とする。」資質の保持と向上をはかること目的とするという法の目的に違反いたします。資質の保持と向上をはかるために、昭和二十四年には——私は提案の説明も調べてみました。それから昭和二十四年の国会における新しい免許法の審議の経過も、克明に読ましていただきました。そういうところから考えられることは、この教職科目の単位というものがことに重大だということが実はそのときの文部当局によって説明され、その点に最も重点を置かれて審議されておるのです。今、大臣は、資質の保持と向上のために必要だからこのような別表ができた、ところが別表の通りに今度はやらぬのです。別表をつぶすのですね。そうなればこれは法律の目的、第一条に違反した法の改正であるということを大臣はお認めになるかどうか、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 免許法の本則に対する例外規定として附則が本来あると思いますが、むろん全体を通じまして資質の保持、向上ということが守られねばならない重大課題であることは申し上げるまでもございません。しかし現実に必要とします場合の臨時的な例外的な措置としては、現行免許法も今御指摘のようなやり方で、附則でもって緩和することを認めておるわけでございますが、その例外の程度が現に認めておる程度よりももうちょっと例外的要素が多くなるという意味において、現行制度に抵触するということを先ほど申し上げたわけでございますが、免許法の趣旨としますことを極力守っていくべきことはむろん当然のことと思います。しかしまた一方におきまして、先ほども申し上げましたように、教育の面に教員組織が充足されないために間隙を生ずることを防ぐこともまた国家的に考うべき重大課題であると思うのであります。その現実の必要に応じます臨時的な措置として、御審議願っておる内容の改正を加えることもやむを得ないことではなかろうか、かように考えておるわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 やむを得ないことではなかろうかということを私は問題にしてお尋ねをしておるのですが、あなたは常に循環論法式に質問をはぐらかそう、はぐらかそうとするようで、まことに私は残念にたえないのです。  そこで、申し上げたいことは、ここに一冊の書物があります。これは文部省から発行された本なんです。その九十一ページに何と書いてあるかと申しますと、これは短かい文章ですから申し上げますが、「旧免許制度の下では、国民学校の教員については、相当程度の教職教養が与えられたのであるが、中等学校、高等学校の教員については、教員養成を目的とする学校における場合を除いては」これは高等師範学校という学校がありました。その場合を除いては、「教職教養は極めて少く、学校によっては殆んど与えられていなかった。」これは実業専門学校を出て教員になれたわけです。戦前は教員になる規定がいろいろややこしいのがたくさんありました。「本表によって」この別表です。「本表によって、中学校、高等学校の教員の場合についても、小学校の教員の場合と比してあまり少くない教職教養が要求されていることは、この旧制度に思い及ぶとき、画期的な意味をもつということができよう。教職教養の重視は本法立法の基本的な態度であり、民主教育の原理から当然のことであると思う。」こういう方針であなた方がこの法律を作ってきたのです。そうして今度はこの教職教養も、われわれがそういうものを作ってから十年以上もたったから、世の中が変わったといえばそれまでです。それから現実には産業界の要請があるといえばこれもそれまでです。しかしながら免許法は教員の資質の保持と向上をうたっておる。教員の資質の保持と向上のためには教職教養がどうしてもなければならぬのだというので、実はむしろここに重点を置いてこの免許法ができたのです。それを今度はなくするというのです。この別表の備考の四は、例外規定として十四単位の半分ということにしております。ところが、今度は全部これをなくするのです。全部なくするようなことでは教員の資質の保持と向上に相ならぬと今日までわれわれに言ってきたのです。資賢の保持と向上に相ならぬ、つまり免許法の第一条の目的にかなわぬからというのできたのであります。こういうようなことになっておる限り、これが多少の変更であるとか、欠陥であるとか、あるいはやむを得ないものとかいうようなことでは済まないと思う。もし政府が今度のこの点を通したいと思うならば、よろしく免許法を廃棄なさい。廃棄してしかるべきです。これをこのままにしておいて、今度のような改正は私は絶対に承服できない。その内容についてはともかく、法の改正の手続技術の上からいっても、私はこれは問題があると思う。もう一度文部大臣の所見を承っておきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 同じことを申し上げるようでおそれ入りますが、先刻も申しました通り、免許法の趣旨に基づく資質の保持向上はむろん厳守されていくべきものと思います。しかし、それはそれとしまして、本来の制度上の教育課程を通じて教員が確保できるような努力をするにいたしましても、それが現実の必要を満たし得るに至りまするまでに、遺憾ながら少なくとも数年の後を期待しなければできない状況にあります。にもかかわらず他面におきましては生徒急増があり、また何度も申し上げましたように、技術革新に応ずべき科学技術教育ということが緊急の課題として要請される。それに応ずる方法が万全の措置が講じられないという遺憾な現実であります。それに対処しまして免許法の趣旨を規定するなどという考えでは毛頭なくして、一応免許法も本則は本則として立てながら、附則においてその例外は認めるという建前は一応認めておるわけでございますから、その趣旨をいささか拡張いたしまして、当面の需要に応ずる応急的な臨時的な措置としてこういう制度を考えたい。そうして一刻も早く本来の姿に返る努力は併行的にやっていく、こういう考え方で、繰り返し申し上げますように、やむを得ざる措置としてお認めをいただきたい、こういうことでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 こういう改正がなされたら、本来の姿に返りたいと思っても返れるものではないのです。問題は、せっかく資質の保持だ、資質の向上だといって引き締めてきたものかくずされたら、これをまた元に戻すということは容易じゃありません。あなた方は三年か五年かたって教員採用の見通しがつけば元に返すというけれども、そんな間にく合わせの教員が出ておるような状態で何だということになって教育界の中でもこれは混乱が起こって参ることは明らかです。そこで産業界の要請だ、科学技術、所得倍増計画のためにはやむを得ぬのだ、私もこの点は言葉の上ではわかります。それではお尋ねしたいのは、こういう措置をとることによって何名くらいの教員が確保できると考えておるのですか、これをお聞きしたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 工業高校のいろいろな増設の計画がございますが、現状におきましては、たとえば大学の工学部を卒業いたしまして民間の企業等に入っておるというような者で、その後に工業高校の先年になるという数が昭和三十三年の実績で二百人近い者があったわけでございます。しかし年々これだけの数が産業界から転換されるということは期待はできないものでございますので、私どもとしては最小限度この程度のものはこの免許法の改正による取得条件の緩和によって、できれば得たいものであるというふうに考えておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 二百人近いということでありますが、これは、どういう調査でなさいましたか。しかもその年令構成はどうなっておりますか。教員になりましょう、教職単位がなくても教員にしてくれるならば行きましょう、こういうような回答を寄せられた者の年令構成、これは大学卒業であるかどうかも含めて、そこら辺も調査済みでしょうね。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、二百人という数字は、これは三十三年の実績に基づいて申したのでございまして、これは工業高等学校長協会というものが、ございまして、そこで調査をした数字でございます。その学歴につきましては、大体昔の工業専門学校卒というようなものが多いように聞いております。なお年令の点については、ただいまつまびらかにいたしておりません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 これは工業専門学校出が来たということになると、また問題が出てきた。大学四年を卒業した者というならば、これは私はそういうことを予想してお尋ねしたのですが、ほとんどが工業専門学校だ、こういうことになりますと、これは小林さん、あなたはよく御承知の通りに、今度の免許法の精神は根本からこれでだめになりますよ。戦前の教員養成制度というものは、まず一つは、四年制の教員養成機関というのがあった。高等師範学校、農業専門学校、体育専門学校、それから音楽、美術に付置せられた師範科というのがある。これが四年制の教員養成機関であったのです。二つ目には、三年制の教員養成機関があった。これは敗戦直前ですけれども、師範学校なり青年師範学校がこの中に入ると思うのです。三つ目には指定学校というのがあって、大学、国立専門学校、公私立専門学校の一部、高等学校の高等科、この中の者については旧中等教員の免許状々与える。ここには同僚の坂田君がおります。東京帝国大学を卒業して、おそらく中等教員の免許状をもらったのはこの三種に人っておると私は思うのです。それから四番目には、許可学校というのがあった。私立の職業専門学校等がこれに入りまして、これは指定学校まではいかぬけれども、特に文部大臣がそういう私立の専門学校等を卒業した者には教員検定委員会の審査によって教員になることを許可する。その他には臨時教員養成所というものがあった。戦後、こういうようなことではだめだ、これではいかぬということになったのでしょう。今度の免許法の教員養成の原則には私は二つあると思うのです。私が今申し上げました東京の高等師範学校、それからお茶の水の女子高等師範学校、優秀な学校ではありましたけれども、これが大学ではなかったのです。いやしくも教育者になる者が大学の下位については相ならぬというので、大学であることということを教員養成の第一原則にうたったのです。これは免許法上一貫しておりますよ。いやしくも教育者になる者は教育者にならぬ者の下位につくような学歴では相ならぬというので、大学であること。それから第二点には、専門職でなければならぬ。だれでも教員になれる、それではいかぬのだというので別表ができて、一般専門教職ということになったのです。それが教典養成原則の柱なのです。ところが、今度のこの学校教育法の一部改正によって、せっかく工業専門学校なんかというものは教員にしてはいかぬのだというそれをまたつぶそうとしておる。そうして今度は教職課程を履修しなければ教員にしてはいかぬのだという第二の原則をつぶそうとしておる。どこに一体免許法の存立する余地がありますか。これはどこにもないのです。工業教育養成所を作った。これはどういう学校ですかと山中君が尋ねましたら、大学ではありません、専門学校ではありません。そういう何でもないという学校を名づけて各種学校という。そういうようなものの卒業生は教員にしてはいかぬというのが免許法でしょう。局長いかがです。ところが今度あなたは、今御答弁を聞きますと、工業再門学校の者にねらいを定めておる。しかも二百人だという。ばく然としておる。昭和三十二年の調査。だからこういうような法の改悪をやって——五百人か五千人くらい出てくる見込みがあるというか、あるいは、たとい教職課程の履修ができていなくても、はんとうに教壇に立って青年生徒諸君を教えるほどの実力のある者が入ってくるというならば、私は目をつぶりましょう。二百人です。年令構成はわからぬ。でたらめな免許法にしておって、しかもその実益は何もないじゃないですか。七十や八十のおじいさんが、もう会社で雇ってくれないからというのでその学校に入ってきて、戦前の専門学校を出た者に何ができますか。新しい今日の科学技術教育の教師になれますか。そういう点から見てもずさんきわまるこの計画は出し直してもらいたいと思う。こういうずさんなものを国会に出してわれわれは審議できませんよ。何にも計画がないじゃないか。これは撤回してもらわなければ困りますよ。文部大臣のお考えをもう一ぺん聞いておきたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど申しました数字は、そのときの御説明にも申しましたように三十三年の実績を申したわけでございまして、これは現在の制度下でやむを得ずとられておる実情であります。臨時的にそういった民間企業からの転職者が入ってきておるという実情でございます。今回この法改正をお願いしようと思っておりますのは、実際に工学部を卒業いたしまして、しかも教職課程を経なかったために教職単位をとらなかったために工業教員になれないというものを教育界に誘致しようという考えでございます。もしこれをやりませんければ、従来通りあるいは資格の低い者が入る。実際教育界の実情から申しますと、やはりどうしても先生不足でございまして、資格の低い者でもとらざるを得ないという現状でございますので、この制度の改善によってもちろん専門職としての教職科目というものはとっておりませんけれども、専門科目では実がのある者を教育界に招き入れることができるようになるというふうに信じております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そういたしますと、百歩譲ってこのようなでたらめな改悪が国会を通過した、こうなってきますと、これに該当する者で私は教員になりたいといったら、形式的にその条件を満たしておればみな教員にするわけですね。その条件等はお考えですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 これは志望者に対しましてそれぞれの大学なりあるいは都道府県の教育委員会で採用試験をするわけでございます。その試験によって合否を決定するということになるわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 いや文部省の考え方を聞いておるのです。それぞれの教育委員会はあなたの方にお伺いを立てますよ。だからあなたの方としては年令は何才までだ、それから戦前の専門学校を出て形式的条件を満たしておったってそれは困るというのがやはり僕はあると思う。大体戦前の専門学校を出た人が会社で仕事をしておるのは一定の職場しかやっていないのです。旋盤なら旋盤、それは旋般のことは詳しい、弱電気のたとえば螢光灯のある部分、それは詳しいですよそういう者が私は教員になりたい、工業学校の教員になりたいと言ってきて、一体今日の進んだ科学技術教育の上に立った工業教育ができますか。そこら辺の条件、現在の基準というものは考えておるかどうか。考えてなければないでいいですよ。それは教育委員会にまかせますならそれでもけっこうですよ。それは考えてないのですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 この改正が成立いたしますと、大学で工業教育につきまして四十七準位以上修得した者について高等学校の工業の二級免許状を授与する資格が生ずるわけでございます。現実に免許状の授与を受ける者は都道府県の授与権者に対して申請をして免許状の授与を受けることになります。それからさらに現実に工業教員となるためにはそれぞれ都道府県ないしは学校の試験を受けることになります。そこで学校ないし都道府県におきまして工業教員として勤務し得る能力があると認められた場合に限って工業教員になるわけでございますので、工業教員となり得ない者がこの措置によって工業教員になれるわけではないと考えております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そういう条件を抜きにしてばく然たる調査で二百名、ところが今言ったような試験採用だ、それは教員委員会が選考するんだ、教員としての資格があるかどうかそれをやるんだ、こういうことになれば二百名の何分の一くらいになるとあなた方は読んでいますか。これは冗談じゃないですよ。いやしくもこういう法案を出す限り、そういう具体的な裏づけのない法案であるならば、私どもは審議できない。委員長にも考えてもらわなければならぬ。だから現実に教壇に立てる者は一体何名ぐらいと見ているのですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 先ほど二百名と申しましたのは、昭和三十三年度、におきまして工業高等学校において民間等から採用いたしました実績でございます。今後の問題といたしましては、この措置により、まして工業教員となる可能性を生じます者は、年々約二万人ほど卒業しております大学新卒の工学士全部について可能性が生ずるわけであります。このうちどれだけが教員を志望し、また学校において採用するかは、学校側がどの程度これらの人々を誘致し、これらの人々がどの程度教員になる意思を持つかによって異なるわけでありますが、私どもが主として工業高等学校の校長の方々に聞きますと、民間等におられる工学士で教員の資格を持たない者で相当優秀な方で、場合によっては学校の先生になってもいいという者はかなりいる、しかし現在教職保税を履修してない、従って教員の資格を収得することができないために教員になることができない、こういう資格条件の変更措置をしてくれるならば、校長側におきましても極力民間等におけるそういう優秀にしてかつ教員になってもいいという意思を持っておられる方を探し出して連れてくるので、相当数が期待できるのではないかと言っておられます。このような趣旨で校長側からも強い要望がございますので、私どもといたしましては、この措置をとることによりまして、少なくとも工業技術について素養のない者が臨時免許状的なものを持って工業教育の欠陥をカバーするという事態を生ずるよりは、はるかに事態の改善に役立つものと考えております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 個人的な勘で何名ぐらいるのではなかろうかというようなずさんなものでは困る。そういうずさんな計画性のないことで科学技術者の十七万とか四十四万というものの解消はできませんよ。私はこの点はあとでもっと追及したい。  そこで文部大臣にお尋ねしますが、教員が足らないというので正規の教育訓練を受けていない者を採用することのできない場合を今の免許法は予知心しておるかおらぬか、あなたはどうごらんになりますか。つまりあなたは工業学校の教員が足らないとおっしゃる。その点はわかります。だから社会党さんの言うようなことがもっともなんだけれども仕方がない、これがあなたの実は一貫した御答弁の中身なんですが、教員が足らないということを今日の免許法はやはり予想している条文がありますよ。その場合には正規の教員としての訓練を受けていない者でも教員にすることができるという規定があるわけです。だから私はそれを利用したらいいじゃないかと思うのですが、それを御存じありませんか。免許法の中にあるのですか、御存じない。御存じないから、こんなものが出てきたのじゃないかと僕は思うのですがね。あなたの言うような場合に、実は救済する規定があるのですが、大臣いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 おっしゃる意味がおそらく臨時免許の制度だろうと思いますが、むろんそれも活用しなければなりません事態でございますと同時に、先ほど来政府委員、説明員等から申し上げましたような、実力のある人で、幸か不幸か会社には入ったけれども、どうも自分の性格等からして学校の先年にむしろなりたかったというようへ人は現実にあります。私自身が就職の世話をした男も、一たん貿易商社に入りましたけれども、どうしてもその社風になじまないというので、現に高等学校の先生になっている者がおりますが、そういう事例を高等学校校長協会を通じて知り得ましたことを先刻御披露したのだろうと思います。そういうことの実力のある人であるならば、臨時免許でなしに、例外的な臨時的な措置を講ずることによって先生として安定する立場を与えるということにも値しましょうし、そういう人を誘致することによって欠陥を補いたい、こういう要望から御審議願っておるわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 五条の三号ですね、これは大臣も御答弁されましたが、「普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、」云々というのがある。今度のこの改正は、二級普通免許状ということになっておるわけわけです。だから普通免許状を有する者を採用することができない場合とはということで、教員が足らない、普通免許状ではもう間に合わぬという事態がやはりあるということをこの免許法は予想したのです。それは世の中が変わりますから、そういう非常事態に対処しても考えておかなければならぬというので、その場合には教職課程をおさめていない者をもって教員としてもいいじゃないかというので五条の三号はできたのです。これは立法の精神ですよ。ところが今度はそうじゃない。その場合には臨時免許状にするのだということにしたのです。つまり教職課程をおさめていない者はほんとうの教員じゃないのだという免許法の考えです。これは臨時の免許状だ、その人は臨時の免許状の教員としての間に現職教育なりいろいろな方法で一日も早くあたりまえの教員になってもらわなければ困るという、いわゆる教育者の資質というのに重点を置いたのです。そうでしょう。ところが今度は、その五条の三号も無視してしまっておる。今一度のあなた方のこの出し力は、もう免許法なんというものは全部じゅうりんしておるのです。工業教員養成所以来、どこからどこを突っついても、この免許法はだめです。これは死法です。だから私はこういうようなことで、これが通ったら教育界が困るだろうと思っておる。今小学校、中学校、それから現在高等学校へ奉職している教師諸君が何と言いますか。われわれにああいうことを要求しておりながら、今度はこういうことになってきておる。このことの教育に対するマイナス面を考えるべきじゃないかと同僚委員からも、これは何回も警告しておりましたが、私もそれを聞いて肯定しておったのですが、これは撤回して、この五条の三号を使ったらどうですか。そうなれば免許法が生きますよ。わざわざ予定してあるものを避けて、新たなるものを提出するという理由が私には了解できません。いかがですか。これは撤回すベきだと思いますが、大臣、これは固執されないで、やはりあなたも文部大臣としてこうして文教行政をあずかっている以上は、教員の資質の保持と向上、これは考えてもらわなければならぬと思います。あなたは産業界の要請といいますけれども、たった二百人じゃないですか。二百人もどうたるかわかったものじゃありません。計画もありません。こんなものを国会に出して、この忙しいときに審議を要求すること自体が私は不見識だと思う。これはもっと十分検討して出してもらわなければ困る。私は審議をしないとは言いません。出し方がいかぬ。こういう出し方は、一体国会を何と心得ておりますか。われわれを何と思っているのか。こういうでたらめな出し方はないと思う。これは大臣の御意見を承りますと言えば、また同じことをおっしゃるに違いない。しかし私の言うことについてあなたの感想を聞いておきましょう。私の今申したことに対する感想、野原の言うことをでたらめだというのなら、それもいい。ですから、これは一ぺん私の言うことが間違いか間違いでないか、あなたの感想を私はお聞きしておきたいと思う。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 おっしゃることはごもっともな節もあると思います。ただ繰り返し申し上げておりますように、当面の必要性に応じまして安定した立場を与えることによって、先刻申し上げたような事例のうちの優秀な人を獲得したいというやむを得ざる措置を加えようという考え方でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 安定した立場を与えるということでございますが、私はいいかげんな教師というような言葉は使いたくありません。しかしこれは言葉の正しい意味においてはいいかげんな教師です。法の要求する教職課程を履修していない教師でございますから、しかも今日の免許法は大学卒業であること、教職課程を履修した者であること、この二つを免許法の改正の点として規定しているのに、これはその二つを充足していないところの中身しか持っておりませんから、いいかげんな教師といっても、これは間違いないと思います。そこでそのことに対して、かつての文部省が何と言ったと思いますか。われわれに何と言ってきたかと思いますか。これも御参考までに申し上げておきましょう。「たとえば今回の免許法では教員になろうとする者には一定単位の教職課程を修めることを一つの条件とした。ところが、教員不足で正規の教育訓練をうけた人達を採用することが出来ない場合に限り、この教職課程を修めていない者を、もって教員とすることを認め、」これは、私筋の通ったことだと思います。そういう非常事態がある。そうしてそのかわりに、「これに臨時教員免許状を与えることにした。」これが五条三号です。そして「この人達は免許状の有効期間が一年である。」この一年にしたわけは、「教員の生活安定の面から見れば、まことに苛酷であるというべきである。けれども国民大衆の側からいえばその子供達がこのような教員としての特別の教育をうけていない未熟な人達から教育せられることは正規の教員から教えられるよりも、その成長と発達の上において不利である。」これはそうです。「なるほど経験を重ねることによって次第によい教員になるであろうが、それは子供達のぎせいにおいてよくなるので、子供達はそのぎせいを償われることなくして最も大切な或る期間をすごしてしまうのである。だから、そういう教員は真にやむを得ない場合に限り、一箇年毎に任命することとし、」臨時教員免許状というのは、一カ年ごとに任命する。だから、やってみて一年間悪かったら、もうやめさせるのです。そうしなければ、教育はよくならぬ。子供が犠牲を受ける。国民大衆が犠牲を受ける。そのくらい実はこの免許法は、厳格な考えでこれはやってきたのです。「一箇年毎に任命することとし、もしもっとよい教育をうけた人があった場合はその人に職場をゆずるようにするのが国民大衆の利益をよう護することになるのである。もとより臨時教員免許状をもって教壇に立つ人達も、所定の研修をつづけて一定の単位をとれば、上級の教員となることが出来るようにしてある。」というのが、この昭和二十四年にできた免許法でございます。今の文部大臣が、その人が安定するというえさでもってつってみても、教員になる人はごくわずかです。ごくわずかの教員をそのようなえさでつって、教育界にいろいろな問題を引き起こして——わずかといえども、その者が工業学校で将来の優秀な生徒諸君を教えることのできる実力は私は持てないと思う。持てないからこそ、教職課程を必修にしたのです。そんなことで、昔の工業教育ならいいですよ、この宇宙時代の科学技術のやかましいときに、そういう間に合わせの教員で一体できるかというのです。今までの教師は、これは立場がなくなりますよ、そんな者が入ってきたら。何だということにたる。生徒がどだいばかにしますよ。あるいはその学校教育法の一部改正で教員になった教師かということで、生徒が言うことを聞きませんよ。もう少しそこら辺を御検討になって、私はこの法案については文部大臣の言うこともわかりますよ。足らないのだからということもわかりますけれども、全体の教育というものを考えた場合には、もう一ぺん検討して、これは今すぐやらねばならぬことでもないのですから、次の臨時国会も通常国会もあることですから、そのとき出し直したらいかがかと私は思うのですが、これは出し直すことはできませんか、文部大臣の御意見を承ります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 御指摘の御趣旨は、さっきも申し上げましたように、ごもっともな節もあると思います。ただ臨時免許状ということでは、今日引く手あまたで、遺憾ながら経済界に入ってしまった人で、さっき申し上げた例のような人を教育界に迎え入れるというにつきましては、やはり安定した条件を与えることでないと、現実的効果がないと推察するのであります。臨時免許の制度を活用することによってやむを得ず得られる人もございましょうが、それに合わせて安定した立場を与えることによって、より優秀な人を導き入れ、しかも足りないところは現職教育で十二分に補う努力を別途加えることによって、変則の欠陥ありとするならば、それを補うという考え方で当面の必要に応じたい、かような考えでございますので、ぜひお認めをいただきたいと思っておる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 一年ごとに任命されるのですよ、臨時免許状は。その者は現在やはり全回にあるのです。ところが工業だけは教職単位を履修しなくても、二級普通免だ、われわれは臨免だ、そういうことで世間が承知すると思いますか。そういう差別をされて、その差別をされたことが教育にどんなマイナスになると思いますか。それじゃ臨時免許状の五条三項を廃止しなさい。なぜ今度の法案に、これは廃止するということを出していないのです。矛盾じゃないですか。臨時免許状の五条三項はそのまま残しておいて、そしてこんなものを出してきて、矛盾撞着もはなはだしいと私は思う。法の第一条には違反しておるは、目的には抵触しておるは、でたらめきわまると思う。考え直してもらわなければならぬ。幾ら私が言ってもまたその旨を左右にされるでしょう。だからこれはもう所見は聞きません。私の言うことは、一体どういう形で現われるか、この法律が通ったならば、今の臨時免許状をとった人が一体どういう考えを持つか、それを教育界のために、ほんとうに教育の向上を考えるならば、今から文部当局はよく考えておいてもらわなければ困ります。警告しておきます。  そこで大臣にお聞きします。科学技術者の十七万と中級技術者の四十四万、これはこの委員会でも池田科学技術庁長官にも来てもらっていろいろ私どももただしたわけです。この不足解消ということが池田内閣の所得倍増計画、日本の経済成長にとっては特に重大になる。この不足解消ができなければ、池田さんはえらそうに言っても、所得倍増計画は今日の池田内閣には達成できないのです。だからその責任を受け持っているのが文部省だ、こういうことになって、池田長官は再三荒木文部大臣と渡り合っておるやに私どもは漏れ承っておるのでございます。そこで、文部省は当然これを解消するための計画をお立てになっていると思うのです。その解消計画は科学技術者の不足を解消するのですから、科学技術者という人材を養成しなければならぬ。そこで、十七万人の科学技術者と四十四万人の中級技能者を養成するためには、工業教員は十カ年計画で何人あればよいのですか、文部大臣。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 中級技術者の四十四万人の養成に関連して申しますと、大体十年間に八千七百五十人という数字になっております。それがら大学関係の今文部省で計画いたしておりますのは一万六千人計画でございますが、これはそれぞれ大学の教育の内容によりまして、たとえば講座制の大学、あるいは学科目制の大学等によって違っております。また私立大学においてはかなり違っておりますので、教官として幾らであるという具体的な数字はまだ把握しておりません。中級技術者の養成に関連いたしましては、先ほど申しましたように八千七百五十人であります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 関連。今教員の需給状況につきまして話が出ましたが、高等学校の本年度の教員の需給状況というものがどうなっておるかということと、なおこの教員の需給状況の傾向というものについてやはり承っておかなければならぬ。この免許法の根底をなしておるものは、教師を得なければならない、その教師が得にくい、従って免許法をこういうようにゆるめて、法の精神を踏みにじってまでもゆるめて、そういう教員を得やすくするという考え方になっておる。それは一方では所得倍増計画による政府の計画があるから、教員になる者が少ないので、そういう方に持っていきたい、こういうことなんです。しかしながら、現実の教員の需給状況は本年度どういうようになっておるか、そして傾向としてはどんな工合になっておるかということを一応聞かしてもらわなければ、ただいま出されておるこの法改正の根底がはっきりしないわけです。その点についてお聞きしたい。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 高等学校の工業教員につきましての本年度の需給関係はまだ数字的につまびらかになっておりません。昨年、一昨年あたりの状況を見ますと、年間の需要数が約六百名程度になっております。それに対しまして供給の状況は大学新規卒業等の者が約百名以内でございます。それから民間からの転換が約二百名、それから中学校や高等学校の現職教員で現在工業以外の教科を担当しておる者の転換が約二百名程度と推定されております。需要に対しまして若干の不足ぎみの傾向を持っております。将来の問題といたしましては、ただいまの中級技術者四十四万人増加計画が進行いたしますと、今後約七年間に、工業高等学校の工業課程を、入学定員にいたしまして約八万五千人ふやす計画になっております。その計画が進行いたしますと、昭和三十八年、九年、四十年四十一年のころをピークといたしまして、年間千人ないし千五百人ぐらいの需要が推定されます。七年間に八千七百人が需要と相なるわけでございます。これに対する供給の計画といたしましては、その主たる部分を臨時工業教員養成所卒業化をもってまかなう計画で、一年当たり八百八十名供給する計画にいたしております。残りの部分は、今回の免許法の臨時措置によりまして、工学士で教員になる道を開くこととしまして、相当数期待すると同時に、計画の初期におきましては、中学校、高等学校において現在工業教員の資格を持ちながら工業以外の教科を持っておる者の転換措置を極力進めることによってまかなう、それから大学新卒や民間からの工業教員志望者につきましても、待遇改善の措置をはかる等のことと相待ちまして、現在より極力供給の増加をはかっていく。このような多角的な方策を講ずることによりまして、この四十四万人増募計画、それに基づく工業高等学校の入学定員八万五千人増加計画の教員の供給をはかっていきたいという計画でございす。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 この前の御答弁では、大学卒で教師となる者は八百人中三名しかないという、こういうお話があったのですが、そのこととの関連はどうなんですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 大学卒で二、三名しか工業教員にならないと申しましたのは、国立大学卒業者についてでございまして、そのほかに公、私立大学の卒業生あるいは本年度卒業でない、前年度以前に卒業した者で工業教員にたる者もございまして、それらを含めますと、年間六、七十人から、年によっては百名近い数が大学卒業生として新規に教員になっております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 現在の状況として、国立でしかも免許法に基づくところの教職単位を持っておる者でさえ、いわば教職単位をとったということは教師になることを自分としては念願したものでありますが、そういう者も国立の場合二、三名しかないという中において、今後こうした教職課程を持っていない者をどのようにして教育界に吸収していくか、そこに方途があろうと思う。ただ観念的な、大臣がよく言われる、その必要性をるる説いてそれをやっていくというだけでは、このことは充足されないと思う。その点について一つお考えを聞かしていただきたいと思います。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 現在、一般の大学におきまして教職課程を履修して教員の免許状をとる者の実態は、これははなはだ遺憾なことでございますが、教員になろうという強固な志望を持って免許状をとっておる者とは言いがたいのが実情でございます。自分は本心教員になるつもりは必ずしもないのだけれども、将来就職で、先行きいろいろ経済界の変動、景気の変動、家庭の事情等もあるので、その場合免許状をとっておかないと現行制度では教員になれないので、用心のために免許状をとっておこうというような者が、実は遺憾ながら相当数を占めてございます。そういう実情でございますので、免許状は一応とりますものの、現在の産業界の好況などの関係もございまして、工業教員にならないわけでございす。そこで、工業教員を確保するためには養成の方式や資格条件以外の方法、端的に申しますと、待遇改善の問題が一番きめ手になるのじゃないかと考えられます。これにつきましては、先年来産業教育手当といったような措置も講ぜられておりますし、本年から工業教員につきましては初任給調整手当という制度ができまして、初任給から三年間二千円、千四百円、七百円の手当がつくことになっております。これは今年から始めることになるわけでありますので、従来よりは工業教員になるものがふえるのではないかと考えられます。これだけでも必ずしも十分でないので、さらに待遇改善の措置をいろいろ研究、工夫、実施していかなければならぬかと思います。しかし、何と申しましても待遇改善をそう現在より飛躍的に、抜本的にやれるかと申しますと、そこにもいろいろむずかしい問題がございます。従って、待遇改善の措置だけで今工業教員が安心して確保できるという事態にはなかなか相ならぬかと思います。そこで資格要件の変更その他いろいろな措置を組み合わせまして、あらゆる方法からできるだけ工業教員を確保したいと考えておるわけであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 教員需給の傾向というものを今お聞きしたわけですが、私はこの問題につきまして関心を払うがゆえに、ある県の高等学校教員の採用状況を調査いたしました。採用数十二名のうち民間より採用した者はなし、それから欠員は二名で、採用候補者名簿では、いわゆる私立から来た者が二人、あとの十人については中学校より特選をしております。なお東京都についてはすでに内閣の専門員の方で調べられておりますが、高等学校では三十六年度の採用状況は工業において十三人です。理科においては十七人、数学においては十三人、非常にこのことの急を要するというような格好でこの問題が出されておりますけれども、実態を踏んまえない形においてこれが出されておる。なおそれは免許法をけ飛ばすというような危険さえ冒してこれをやらねばならぬという実態ではないと私は思います。そこで、私はむしろ問題の焦点は、ある県で出ておりますように、いわゆる高等学校の免許状を持っておる者が吸い上げられる傾向がある。もちろん、このことがなされないために、ただいまの法律がないためでもあろうと思いますけれども、そういう傾向がある。それはどこに原因があるかといいますと、ただいま課長の方からもお話があったように待遇の問題です。すでに、あなた方はこの高等学校の給与、小中の給与等に差をつけられた、そこで少しでも給与のよい方に行こうとするのが一つの傾向だと思う。ただいまのお話では時代逆行の御答弁ばかり承るわけですが、工業界の景気がよいにもかかわらず、工業界からこちらにひっぱるためのこれは一つの口実であり、一つのよい条件であるというようなことをおっしゃいますけれども、現実の現われておる姿は下から吸い上げられてきておる。これは今のお話の通り、この待遇の問題からきておると思う。事実東京都においてもこういう状況を示しておりますし、中学校ではどういう状況を示しておるかといいますと、三十六年度は工業教員は百一人、理科の教員は百八人、数学の教員は百三十八人要ることになっております。そうすると、理科や数学においては教職単位を七単位でいい。工業においてはゼロにする。こういう積算の基礎といいますか、根拠というものは、こうした実情から見ていきますと、非常に文部当局の出されておる考え方というものはあいまいな見通しの上に立っておられるように思う。その点どうですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 この需給のアンバランスの状況から申しますと、やはり現在におきましては、理科あるいは数学に比べて工業が一番深刻な状況になっておりますことと、それから先ほど来御説明申し上げておりますように、従来工業については教職科目の単位の半減、取得条件の緩和ということを行なっておりますが、理科、数学についてはそういうことが従来なかったわけでございまして、今回初めてこれを半減するという措置を講じたらいかがだろうということからきておるわけでございます。要は実際の需給の逼迫状況とそれから従来からの経過に基づいて工業と理科、数学との間に差等を設けたわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 今の大学局長のお話は私は納得がいかないのです。理科と数学については、従来は半数でよいという規定はなかったとただいまおっしゃいましたが、その通りですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 そういうふうに従来なっております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そうしますと、理科と数学とそれから工業との場合のアンバラがあるとおっしゃいますけれども、その点は私は納得がいかないのです。高等学校では現在十三名、三十五年度は二十四名、理科は二十六、数学は二十四、これは東京の場合です。こういう状況であるのに工業だけ特別に引っ張り出さなければならぬというところにも問題があるし、ただいまも言いましたように、中学校から吸い上げられるということになれば中学校に対る手当をしなければならないのであります。その点を怠って、ただ机上の空論で高等学校の場合だけ充足するというようなことを考えられるのは、焦点がはずれておるのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 実際に逼迫の状況が非常に深刻でございますので、高等学校の資格は持っておりながら、現在中学校以下の教職にあられる方というのは一番先に目をつけられて、高等学校に誘致されるということはやむを得ないことだと思います。もちろん中学校以下にも程度の高い教員資格を持っておる方が相当数入っておることは理想かと思いますが、現在の不足状況から見てやむを得ないことと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 やむを得ないでは済まされぬと思うのです。中学校の場合、ある県の場合、国語、社会、音楽、図工、体育、職業、家庭、英語、これを合計いたしまして、現在教員が不足しておるのが七十六名、それから数学の場合、この県では六十二名足りません。理科の場合は四十八名不足しております。そうして工業の場合、現在は中学校から充足されて二名だということになっておるのであります。そういうデータが出ておるのはこの県だけだと私は思われないわけです。非常に教員が得やすい県でありながら、こういう状況を示しておるので、中学校の場合、最も重点を置いて考えなければならない問題で、むしろ高等学校の問題は、こうした免許法をやるということになるならば、来年度あるいは次の国会でよく考えて審議すべきじゃないかと私は思う。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 ただいま中学校で工業の教員があまり要らないというお話がございましたが、中学校には工業という教科は三十七年度から初めて出るわけで、現在まではまだないわけでございます。それから中学校の教員が本年度あたり足らないというお話でございますが、これは事実でございますが、それは御承知のように生徒急増の山が現在中学校にきておりますので、それに伴う本年度の特別な現象でございます。この山が過ぎますと、中学校は漸次生徒数が少なくなって参りますので、従って教員の需要につきましても、不足の事態からむしろ余裕が生ずるような傾向になるのであります。従って将来の対策といたしましては、中学校について特段の措置を講ずる必要はないのではないかと考えております。さらに小中学校の教員につきましては現在各都道府県に国立の教員養成を主たる目的とする学部を設けまして、若干計画的な養成もやっておりますので、本年度の特別な事態につきましては遺憾ながら若干不足の傾向を生じましたが、将来の問題としてはそれほど心配がないのではないかと思っております。高等学校につきましては急増の山が三十八年以後に起こって参りますし、さらに引続きまして中学校から高等学校への進学率の上昇という問題が起こって参ります。従って教員の需要増加は急激に起こり、かつそれが相当期間続くという推定でございますので、高等学校についてはこの際若干長期にわたって臨時的な特別措置を講じたい、かように考えておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 高等学校に関しては長期にわたって若干臨時的な措置を講じるということで大体わかったような気もするのですけれども、具体的にはどういう方法をとられるのか、私が先がた申し上げましたのは、中学校の工業教員は要らないという意味じゃなくして、工業の免許状を持っておって中学校におる者を十名高等学校に昇格させる。そうして高等学校では今二名しか欠員がない。全体的には十二名不足しておる。しかしながら中学校の数学と理科の場合はただいまも申しましたように六十二人と四十八人、ほかの教科の全部不足数合わせただけの人数が足らなくなっている。これを若干不足があるのでやむを得ないというような考え方は、応急の措置としては、急増対策としては私はまずい考え方じゃないかと思うのであります。大学を出る、その後に便宜を与えることのみに重点を置いて、教員の需給、全体の見通しがこれは立っていないと私は思う。その点を申し上げておるのです。  それから第二点としてお伺いしたいのは、さてそのようにして吸収しながら、中学校、高等学校から工業教員が産業界に流出していく、その人数をどういうように抑えておられるか、この点についてもお聞きしておきたいと思います。これも問題だと思いますからして御答弁いただきます。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 中学校、高等学校から産業界へ教員が流出する傾向につきましては的確な資料を持ち合わせておりません。ただ一般的に申しまして高等学校の工業教員の退職率はほかの教科の教員に比べまして特に顕著に高いということはございません。大体三十三年度の実績で二・四%程度でございました。従いまして現在までのところは校長方が引きとめるとか、その他いろいろな方策を講ぜられまして産業界へどんどん流出するという事態には至っていないのじゃないかと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 二・何%、こういうように申されておられますけれども、三十三年でそういうことなんです。現在私が調べました、これは一県だけで全体的には類推できませんけれども、新規に高等学校に採用した工業教員の数を上回って産業界に流れていっております。この現状を見ましたときに、はしなくも先がた課長の方からも話があったように、工業教員の待遇を改善しなければならぬ、こうおっしゃいましたが、その通りでありまして、ただ初任給調整手当が二千円、千五百円、七百円というような段階を踏んでやりますと、三年目には四年目の者とわずか二百円しか違わない。工業界に行けばその間に上昇率が非常に高い、こうした面も考え合わすときに、初任給調整手当だとか産振法によるところの手当だとかというようなものは現在問題ではないわけです。それで私がこの前大臣にもお聞きいたしましたように、池田科学技術庁長官は、大幅に科学者の待遇を改善しなければならないということを大担率直に言っておられますが、文部省においては、大臣としてはこの点について責任を持った御答弁をいただきたいというお話をしましたところが、大臣は抽象的なことではない、私は確信を持ってやりますというお話だったのですが、今の大学課長の話では非常に困難だという。あなたが困難だと考え、大臣はこれについては確信を持ってしっかりやります、こういうお話なのですが、それはどういうことなのですか。これは根本的な問題だと私は思う。私立学校の教師の問題、教員養成の問題においても非常に物議をかもしたような議論がよくなされておりますけれども、そのことの根底にはこれがあると思うのです。あなたは今非常に困難だとおっしゃいましたが、その点はどうですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 現在まで実現いたしております工業教員の優遇措置といたしましては、産業教育手当、それから初任給調整手出が若干あるわけでございます。これの改善は実は大学局の所掌でございませんので、私、文部省で考えておることをお伝えするわけでございますが、初中局を中心といたしまして極力努力いたしておりまして、相当程度の成果が上がることとは確信しておりますが、常識的に申しますと、給与というようなものが一ぺんに二倍とかあるいはそれに近く飛躍的に増加するというようなことはなかなかむずかしいので、産業界を上回ったような給与を早急に実現することは、口では申せましても実際問題としてはなかなかむずかしかろう。ですからその努力は続けるといたしまして、そのほかのいろいろな方法も考えなければならぬという意味で申し上げたわけでございまして、とてもむずかしいから待遇改善はたな上げにして、ほかの方法だけやるというような意味で申し上げたわけでは毛頭ございません。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 この問題は大体このくらいにしたいのですが、ただ着々と努力をしておるということでは具体性がないわけです。非常に不満です。  それからただいまの教員の不足に対処いたしまして、先般も免許法の問題で質問いたしましたところ、文部当局としては研修をやることにはやぶさかではない、それは考えましょうというお考えだったと思う。この県におきましては研修はこのように考えてやっておるわけなのですが、教職単位が非常におろそかになっている。ただいまも文部省がすでにそういう態度で臨んでおられますけれども、現場の教育委員会では教職単位を非常に重視しておりまして、教職単位がおろそかになるので、三十六年と三十七年に三カ月の研修の機会を設けて、七月一日から九月まで大学とタイアップして高校においては工業、中学校においては数学、理科、そして旅費、宿泊費の実費を県が負担してやろう、こういうことを計画しておりますが、これは具体的な地方等の施策——あなた方の方ではそういうことはよい、本年度は予算措置がないけれどもやろうという考え方だったのですが、これがやられるということになれば、ただいまの大臣の答弁のように臨時免許状の交付の形で優にこのことがまかなえると思う。こういう制度を実施しても人は来ないという見通し、来ても下から吸い上げられるということ、そしてその下には手当がしてないということ、研修の機会は何も考えていない。これでは免許法に関しては踏んだりけったりの状況だと私は思うのです。教員需給の現状を踏まえて、私は、大学を優先的に、免許法免除という恩典を大学卒業生に与えようという考えより何もない、そして教員が得られないという結果になると思うのでありますが、研修の問題について再度お聞きして、具体的なものを打ち立ててもらうか、あるいは府県に対して将来こういうことを積極的にやる場合には補助を出すとかいうような点を一つお考えいただきたいと思います。その点についてのお考えを一つ伺いまして、私の質問は終わりたいと思います。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 現職教員の研修によります工業教員への転換につきましては、三十六年度予算を編成いたしますころには、その実態がつまびらかでなかった関係もございまして、計画が今日まで立たなかった次第でございます。最近に至りまして、大体転換可能者の数字的な見通しなどもほぼ明らかになって参りました。前回内藤初中局長から申されましたように、中学校、高等学校におきまして工業以外の教科を担当しておる工業教員になり得る者の数というものは——これは全体調査でありませんけれども、サンプル調査で約二万人近い数が把握されております。もっとも中学校から高等学校に吸い上げるということにつきましては、先ほど御指摘にもありましたように、それによって中学校側の教員組織に穴があく、その穴埋めの問題をどうするかというような問題もございまして、本人の希望その他によりまして、転換が必ずしも容易でない者もございます。そこで大体二万人のうちの三分の一くらいしか実際問題としては転換ができないだろう。約三千人くらいがやりようによっては転換できるのではなかろうか、この数を大体対象といたしまして、今後どのように転換計画を立てるか。転換計画を立てるとすれば、それらの人々の実態に応じて、どのような研修をしたらいいかということにつきましては、十分研究の上、考えたいと思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 先ほどに戻りましてお尋ねをいたしますが、十年間に八千七百五十人の工業教員が不足をする、こういう見通しをお立てのようであります。その見通しがあるならば、従ってこの不足を解消する年度計画がおありだろうと思うのです。同時に、その不足解消の年度計画通りにいかない——なかなか計画というものはその通りいかないのです。いかない場合にはどう対処するかということもお考えであろうと思うのです。まずこの点承っておきたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先般御審議を願いました国立の工業教員養成所で、年間八百八十人の学生を教育いたしておる。これが一つの先生の供給源になるわけでございますが、それ以外に、先ほど来お話の出ております民間からの教育界への導入、あるいはただいまお話の出ておりました中、高からの工業教員への転換というようなこともあるわけでございます。ただ私どもしては、一応の推定数字をはじいておりますが、もちろんこれは推定でございまして、必ずしもこれが確実にこの通りになるということではございませんので、たとえば工業教員がなお不足するというような場合には、法案の改正の御審議をお願いして、あるいは工業教員養成所をさらに増設するとか、あるいは場合によっては、供給が確保されるということであれば、十年を待たずして一部の工業教員養成所を廃止していくというようなことも考えられるわけでございます。    〔委員長退席、中村(庸)委員長代理着席〕 具体的な需給の状況に応じて、その計画を変更することが必要になってくると存じます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 これは委員長に要請いたしておきますが、実はこの年度計画については非常に重大なんです。私はこれは早急に出していただきたい。数字のことでございますから、口頭で質疑のやりとりではなかなか納得できませんから、数字の上でこの工業教員、養成の不足を解消する文部省の年度計画を出して下さるように、これは委員長にお願いをいたしておきます。  そこで文部大臣にお尋ねいたしますが、もとに戻りまして、つまり教職課程を履修しない教員というものは質は低下しておる、このことは文部大臣もお認めだと思うのです。ですから、やむを得ないのだ、現実がどうにもならぬからこういう非常の措置もとらなければならぬのだ、私も苦しいのだ、こういう御答弁でございますから、質の低下は免れないことを私はお認めだろうと思います。もし質の低下は免れないということをお認めであるならば、その質の低下をどのようにして救済しようとするのか、カバーしようとするのか。先ほど同僚委員の質問に対して、いろいろな方法でという御答弁があったやに記憶いたしますが、具体的には、どういうことをお考えになっておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 適切な現職教育によってその足らざるところを補いたいと思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 その現職教育とは教職課程を履修させるわけですか、いかがですか。そういうことですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 そうでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 次に、もう一点お聞きしておきますが、戦前は試験を受けて教師になれましたね。文検というのがあって、中等学校の教員になれた。小学校の教員も高等小学校を出ただけで、検定試験というのがありまして、准教員になり、本科正教員の検定試験があった。この検定試験制度というのは免許法によって廃止をされたわけですね。その廃止をされたわけはなぜであるか、どういうところにこれを廃止した理由があるのか、大臣はどうお考えですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 これは立法のいきさつになりますので、私から御説明申し上げますが、免許法制定当時試験による資格取得の道を認めなかった理由は、試験は単に一日か二日で、学力だけは調べられるかもしらぬけれども、教員の質として要求されるものは学力のほかに人物、身体その他いろいろ総合的なものが必要だ。それは単に一日ないし数日の試験によっては検出せられないので、やはり学校教育特に大学教育の全体にわたって育成されることが必要だ。従って、この試験による資格収得の方法は補充的な方法としては認めてもいいが、試験のみによって教員資格を与えるという方法はよくないのだということで、現行の制度には試験のみによって資格を取得する道は認められておらないという工合に承知いたしております。  なお、補充的な方法として、現在の二級以下旧仮免あるいは現在の臨時免許状を持っておる下級の資格を持っておる者が、上級の免許状に進む場合には、大学における単位の修得にかわるべき方法として、単位修得の試験という制度があることは御承知のことかと思いますが、申し添えておきます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 今の課長の答弁の通りではなかろうかと実は私も思うのでありますが、一言にしていうならば、片寄った教養の人は困る、専門的な教科の面でも将来に伸びる力を持たなければいけない、こういうことではないかと思うのです。同時に教育全体を見通す力、こういうものは、そのときの試験問題の解答はできても、そういう総合的な、全人的な教師というものは学校教育に待たなければならない、私はこれだろうと思う。そうなって参りますと、試験検定を認めないということからも考えられますように、教師の免許状の条件は教養ということに重点を置いておる。人間としての高い教養、これが大事、人間としての高い教養と口で言うけれども、やはり具体的には大学教育で教養科目を履修させなければならぬのだというので、教師には一般、専門——私何回も申し上げますが、教養ということをうたっておるわけですね。深い専門的な知識とともに人間としての高い教養が必要だ、この免許法の精神、考え方、これはどう考えても今度のなにでやはりくずされている。これは間に合わせだ、どうにもならぬからこういう方法をとってみるんだと言われればそれまででありますけれども、先ほど読み上げましたように、当初文部省の方針というものははっきりしておったのです。私がただいま申し上げたような考え方に立っておったわけですね。大学卒業でたければあたりまえの教員ではないんだ、こうしておった。ところが今度は専門学校だということになる。この辺がどうも私はやはり納得できない。これがどうも文部省当局の答弁では私どもは理解ができません。しかも計画に具体性がない、ずさんであります。  そこで文部大臣にお聞きいたしますが、教員免許状授与の条件というのが免許法にある。これは最も大きいものは大学卒ということになっておるのですが、これをどうあなたはお考えになっていますか。大学卒にしたわけ、それから私がただいま申し上げました人間的教養に欠ける面がある、なるほど現職教育で単位を勉強していけばそれまででありますけれども、それは三年かかるか五年かかるか、私はわからぬと思う。しかも三年、五年、十年という長い間には、片寄ったそういう教養の人から、専門的知識もない人から教育を受けていく生徒、そのマイナスの面も考えなければなりません。だから、あなたがあせられるお気持はわかりますよ、池田長官はやんや言いますし、池田内閣は所得倍増だ、文部省もじっとしておれぬ、何かやらぬことには申しわけがないという、そういうおざなりな気持でこれは出てきたように私は思われてしょうがない。そういういいかげんな気持でやはり出ておるのじゃないかという気がいたします。何とかこれはやっておかぬと、文部省は何もせぬじゃないか、こういう産業界からのおしかりを受けるし、科学技術庁長官もやかましいし、何かやらぬと無能だと一言われるからというのでやったのではございませんが、正直なところ……。私どもこれは採決すれば反対で敗れますが、その結果は明らかです。しかし率直にやはりあなたの正直なところのお考えを聞いておきたいと思う。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先ほど来申し上げておることでございますが、産業界の要請にこたえるとか、あるいは池田長官の勧告にこたえるとか、そういうことではございませんので、何度も申し上げますように、高等学校における生徒急増、これはもう目に見えてそのピークが迫っております。否定できない事実でございます。同時に技術革新に応ずべく教養を高めていくということは、先ほどもお話に出ましたように、小、中学校からその受け入れ態勢を整える意味合いでの新たなる教育課程も実施する、同時に工業高等学校の急増対策ないしは所得倍増、あるいはそれにも増して今後の科学技術教育の必要性、中級技能者の現実の必要性に応じる意味も兼ねまして、工業高等学校に入ります生徒本位に考えました場合、必然的にそういう風潮、趨勢であるならば何としても先生がいないことには話にならない、先生をどうして獲得できるかとなりますと、先ほど来いろいろと申し上げましたように、どうしても今までのやり方に期待しておるだけでは間隙が上ずることも必至でございます。それをそのままにしながら現在の、本来の建前の教育養成の制度のままにまかしておったのでは間隙が生ずることも必至である。そうならば子供たちこそかわいそうだということになる。生徒本位にものを考えました場合、次善の策、本来の制度に比べますれば足りないところがあることは承知しながらも、何とか充足せざるを得ない、その必要性に応じますための臨時応急措置の意味合でございまして、ただお体裁で何かしなければ困るからどうにかしようということではむろんないのでございます。間隙を生ずるマイナスを幾らかでも次善の策で埋め合わせることこそがなすべきことだ、かように考えて御審議を願っておる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 今も三木君からいろいろと意見が出されておりましたが、私はこのような法案を出す前になさねばならぬ大事なことを大臣は忘れておるのじゃないか。忘れていなくてもあなたはやっていないのじゃないか。これはあなたの怠慢かどうか私は知りませんが、大事な点をあなたは怠っておりますよ、それはどんな方途か——たとえばいろんな方途を講ずるのだと言いますけれども、先ほど私が質問して、局長さん、課長さんが答弁したように、何名の教員が確保できるのだと聞いても自信がないのです。三十三年の統計を持ち出してきて、二百名ぐらいその当時は希望者があったでしょうという程度です。調整手当だ、産振手当だといってみたって、大学課長が答弁しておったように、今のような待遇では一体どこまで教員の不足がカバーできるか、確保できるか私は疑問だと思うのです。これは大臣が何を忘れておるかと行えば、お気づきのように、教員の待遇の問題です。これは今の実業教育を受けられた諸君が、友だちは会社におって待遇はよい、学校におって今のような給料でがまんができない。それはだれだって同じことです。よほど神様か仏様でない限り、りっぱな聖人でない限り、安い月給のところに踏みとどまって、おれは大事な聖職で奉仕するのだという者はないのです。だからあなたは教員の待遇の問題で、今日閣僚として、どれだけの御努力をなさっておるのですか、どういうことをやってこられましたか。もう入閣されてかなりの月日がたっておりますが、私はそれを聞きたいのです。おそらく私どもがこういう質問をしたら、いや待遇改善は大事です、やれその点はと、こう言いますよ。言いますけれども、あなたはやろうと思えば文部大臣としてできる立場にあるのです。しかも現在の情勢というものは逼迫しておるのです、教員が足らぬのですから。池田内閣がこういう方針をとっておるから私は今が絶好のときだと思うのです。やればできますよ。今日では国民も承服しますよ。だから文部大臣として待遇改善の点について一体どういう御努力を具体的にしたのか、その辺をお聞かせ願いたい。それをあなたがやる決意を持たない限り、これはどんな方途をとったってだめですよ。これは識者が指摘しておる。この前の科学技術会議の答申にもそれはうたっておったはずです。文部大臣は科学技術会議のメンバーです。その中でも強く叫び、大学からも要求がきておる。総長からもきておる。教授諸君からもきておる。それをやらぬとだめですよ。もう耳にタコの当たるくらい聞いておるのですが、具体的に文部大臣は待遇改善に着手しておるのですか。着手しておるとすれはその内容——具体的なあなたの御努力しておられる事柄を私ども承りたいものだと思うのであります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 基本的には、教員の不足を解決する課題として、御指摘のように給与の改善、これが重要な要素であることは、私ももちろん同感でございます。このことは実は昨年就任早々科学技術庁を兼務いたしましたとき以来、科学技術者の待遇の改善大学教授を初めとする教職員の給与の改善、これが基本的にはどうしても必要だ、科学技術の振興、科学技術教育の振興だと言ってみましても、そのことがネックとなってなかなか人材の面で要請に応じ得ない、これは常識でもあり、当然私どもの立場において職責として考えるべき前提条件だと心得ておるのであります。すでに御審議、決定をいただきました給与改善の人事院勧告の実施に関連する予算の成立にあたりましても、人事院とはむろん一再ならず前の総裁ともお口にかかって、この意のあるところを訴えつつ連係をとりながらいささかの努力をしたつもりでございます。私一人でむろんどうたるものでもございませんし、ただ教員だけが独走することを欲しましても、現実はそうもならない今の制度をいささかもどかしく思いますが、今後におきましても機会あるごとに段階的に、一挙動で参らない実情においては着々と積み重ねつつ改善に努力したいとも思っております。来たるべき勧告にも間に合いますように、人事院ともさらに連係をとるべく事務当局にも指示をいたしておるような次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 残念ながらおざなりな御答弁でございます。そういう御答弁からは待遇改善に対するあなたの御熱意を遺憾ながら私どもはくみ取ることは不可能です。段階的に着々と具体化を考えると言いますが、それでは段階的に着々と考える具体案がおありでしょう。それをお示し願いたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今いきなり具体的に数学的に申し上げる材料を、持ち合わせませんが、今申し上げたことに尽きると思います。いつかも申し上げましたように、従来文部省としましては、たとえば大学教授について言うならば、せめて戦前並みのところまでは持っていきたいということで数年来努力が続けられてきております。戦前に比しますると、ようやく五分の三程度には到着したものと思いますが、それとても数年の積み重ねによって現実はようやく到達した実情であります。ただ口で景気のいいことを申し上げることは可能でございますが、現実に実現をするという良心的な気持から申し上げますと、段階的に積み重ねて着々その方向に持っていくということを申し上げる以外にないわけでありますが、しかし私は理想としましては戦前並みということでは適切ではあるまい、戦前並みより以上に持っていくことでないならば、ほんとうにいい人材を教育界に導入することは困難だ。そこまでの目標を持ちながら、年々歳々の積み重ねによって一貫した考え方でこの必要に応じていかねばならぬと心得ております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 いや、けっこうなんです。それで抽象的にはけっこうです。年々歳々の積み重ねで戦前並みの待遇、しかも教育界はもっと優遇された状態、けっこうです。実にけっこうでございますが、年々歳々のその積み重ねの具体案をやはり案としてくらいわれわれに見せていただきたいものだと心私は思う。いつも問題になっても、おざなりで、いつもごまかすというわけじゃないでしょうけれども、お逃げになられる。一体どうなのですか。年年歳々こういうようにしていくんだというものが——私はなぜこれをしつこく言うかといえば、もう今文部省でがやらねばならぬことはこれ以外にないのですよ。科学技術者の不足解消、人材養成の方途はもう教員の待遇をよくする以外にありません。これをやったら、水が低きに流れるがごとく集まるのです。これをやったら優秀な人材が集まるのです。私は科学技術教育が大事である、科学技術教育が大事であるならば、科学技術教育の教授にやはり優秀な人材を集めなければならぬ。そのときが今をおいてないのです。今や絶好のときなんです。もうこれ以外に日本の科学技術教育の振興のキイ・ポイントはないと私は思っておる。だから、大臣はなるほど頭の中では抽象的にはお考えかもわからない。具体案を出しなさいよ。これは総理大臣に出したらいいと思う。大蔵大臣に要求をして、これをしなければおれは文部大臣の職責は勤まらぬのだと開き直ったら、あなたに国民すべての者が万雷の拍手かっさいを送りますよ。私は文部行政の最も重点は、平凡な常識的なことであるけれども、ここなんだと思う。だから、あなたの具体的なものがおありですか。あるならば、これはちょっと今口頭ではできないならばけっこうです。あとで出していただけますか、いかがです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 現在数字的に申し上げるものは持っておりません。持っておりませんが、今申し上げたような意味で努力をする覚悟は持っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 きわめて残念です。そういう努力もなさらない。そうしてきわめてずさんきわまるところの法案を提出されておる。私は何回も指摘いたしましたように、免許法の根本原則がこれでくずれる。偏した教養の人であってはならぬというので、教員の二級普通免許状は大学卒業にしたのです。そうして教職単位は必ず履修しなければならぬ、これを履修しない者は臨時教員免許状という制度をとる。教員が足らぬ場合もあるから、その場合には臨時教員免許状で一年ごとに審査をするのだ。そのくらいしなければ教員の資質の保持と向上はできない、第一条の目的は達成できないという、この免許状の根本原則が完全に今度の改正でくずされようとしております。臨時教員養成で、大学卒業はない、しかも戦前の専門学校を卒業した者がここに流れ込んでくる。それが六十であり七十であり、会社で使いものにならないといえば語弊がありますけれども、定年近くでやめた人たち、そういう者を拾い上げるためにこういうような法案を出して、それが一体何人くるかについても自信がない。事ここに至っては、もう今の質疑に対するあなた方の御答弁では、私どもはこれを実は審議する気力がありませんね。まあしかしあなた方はそれは社会党がどう出ようとも、今後どう言おうとも、これは採決で通すの、だと言えばそれまでです。通しなさい。通したらいい。しかしこういうものを通したことによって日本の科学技術が振興されるかどうか、世間の良識ある人々が私は批判すると思う。しかも待遇問題に至ってはいかがですか。私は大臣にはお気の毒ですけれども、この点に関してはあなたは政治的には全く無能力と言われても返す言葉がないと私は思う。あれほど私がしつこく質問したのに、具体案を示さないで、抽象的な言葉を繰り返すだけならば、残念ながら待遇問題について政治的無能力の方だ。そうしてそのみずからの政治的怠慢と申しますか、無能力と申しますか、それのしわを免許法に持ってきて、教員の資質の保持と向上をうたった免許法を根本からくずそうとしておる。私は、ほんとうに良識ある人ならばここで反省してもらいたい、考え直してもらいたい。私はこれは質問でございますからこれ以上は申し上げませんが、これは与党の諸君だって私と同じ考えの人もかなりあると思いますが、こういうものはもう一ぺん頭を冷やして検討して出し直すように私は要請しておきます。  これで私の質問を終わります。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 ただいまの野原先生のお話で、この改正によって旧制再門学校卒業軒に資格を付与しようとするものではないことを御了承願いたいと存じます。旧制の専門学校を出た人は、現行の教育職員免許法施行法の規定によりまして資格が与えられておるわけであります。今回の改正は、新制の大学の工学部を出て専門教育は取ったけれども教職課程だけを履修しなかった者に、特例として二級免許状を与える道を開くわけでありますので、その点は御了承願いたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そういうことは末梢的なものでございますね。僕は君らには言う元気はないのだ。あえて言わぬ。

中村庸一郎自由民主党

○中村(庸)委員長代理 山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私はこの法案でいろいろ深い疑点があるので、四点についてお聞きしたいと思います。  その一つは、文部大臣の教師観と免許法の改正について非常に矛盾を感じじておるので、これは一番大事な文部大臣の識見でありますから、それを一つお聞きしたい。それから政策的にこの法案に疑問があることが第三点。法律的にも非常に疑問があるのでこれをお聞きしたい。最後に他の法案との関係に非常に矛盾があるので、その法案との関係においての予盾をお聞きいたしたい。これを解明をしていただけば、私は一分でもやめます。解明をしていただかなければ、これは慎重にご検討願わないと、国会の不名誉になりますからお聞きいたしたいと思います。  文部大臣にお聞きしますが、免許法でありますから、これは教師観というものが裏にあって免許法ができておるので、文部大臣は教師についてしばしば御意見を述べられておるので、文部大臣の教師観をお聞きいたしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 教師の定義を専門的には申し上げられませんけれども、いやしくも人の子供を教える側に立つ文字通りの先生でございますから、人間的にもりっぱであり、学問的にもりっぱである方でなければならぬ、こう思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると、知識だけの切り売りでは教師としては適格でない。知識だけを持っておる者は教師としては不足であるというお考えですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 その通りでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そういう御識見でこの法案を出しておられるというならば二重人格だと思う。工業教員はその知識だけ持っていれはいいのだ、教職関係の教養も何も要らないという法案でありますが、いかがですか。はっきりお答え願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先ほど来の質疑応答で政府側から申し上げておることで御理解いただき得たと思いますが、大学を卒業はしておるけれども、教員たらんと欲しなかったものだから教員としての単位を履修しなかった、しかし本人の考え等によりまして教員になりたいという、人間的にもりっぱであり、四年制の大学を出たという学問的な素養もある人に工業高校の先生になってもらいたいということでございまして、本来大学は制度上学問のうんのうをきわめると同時に、人間的にもりっぱな人間に仕立てるということは、学校教育法にもはっきり書いてあると私は思いますが、そういう趣旨で大学教育を受けた者の中から、たまたま教員になるための必要な単位をとっていないという点、だけに欠陥がありとすればあるわけでありまして、それも欠陥あるままでは適当でないので、できるだけすみやかに現職教育で補う努力もして、本来の望ましい教員になってもらうということをあわせまして迎え入れようとする考え方でございますから、むろん本来の建前そのものから見れば、遺憾な点がないとは言えませんけれども、次善の策として、私は当面の国家的必要、教育上の必要に応じる施策としては、一応納得していただけそうな気持がするわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今おっしゃった文部大臣の御思想は、その通り文部大臣の思想だということはわかる。いつもおっしゃる言葉と一致しているから。しかし法案とは合わないというのです。工業教員というのは知識さえあればいいという思想が眼目になっているのじゃないですか。その辺は、この法案なんというのは便宜主義で、大臣の識見など捨ててしまって、こういう法案をふまじめにお出しになることは、私は大臣の教師観としては合わないと思う。こういうのは撤回をさるべきだと思う。(「教職課程は知識だよ」と呼ぶ者あり)教職課程を省いておる。ゼロなんですよ。——大臣か御答弁ないようですから、それでは次に進ませていただきますが、そうすると、この免許法の第一条の教職員の資質というのは、どういうものを資質と言っておるわけですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 法律的な用語の解明が、ちょっと私も自信を持って申し上げかねますが、教員の資質の向上という意味の資質は、最初申し上げました通り、人間的にも知能的にもりっぱであること、その内容を私は資質とさしておると心得ております。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先生としての資質ということでございますので、広い視野に立った国民的な、人間的な一般教養を持っているということのほかに、先生としての教育に対する正しい使命観を持っておる、また教育的な愛情を持っておるということが先生としての質資であろうと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは法律と合わないじゃないですか、教職コースというものの単位を必置にしておるのであって、必要なる学問と教育に対する方法、それから教育に対する常識、そして人物という三つがこの第一条の教職員の資質だと、法律的にはっきりなっていると思います。そうでないのですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先生の資格条件といたしまして、もちろん学力あるいは身体の条件のほかに、人物ということがございます。それと一般の教職専門科目との関連で申しますと、御承知のように教職専門科目は教育の原理あるいは教育心理、いろいろな科目があるわけでございまして、広くこれらを勉強することによって——もちろん先生の人物の練成ということにかかってくるわけでございますが、   〔中村(庸)委員長代理退席、委員長着席〕 先ほど申しましたように、人物の練成ということは必ずしも教養課程というものだけに限ることは無理じゃなかろうかと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 いま一度お聞きしますが、第一条の教職員の資質というのは教科に関する知識と教育に関する専門的知識と人物、この三つではないですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、先生の資質の保持、向上ということが免許法の第一条にありますが、先年の人物と専門的な学力、身体のいろいろな状況、これが抽象的にはいわれますが、もしこれをもっと具体的に言うとどういうことかと申しますと、私どもとしては、人間的な教養、広い視野に立った国民的な、人間的な教養ということと、それから先生の使命観あるいは教育的な愛情というようなことに言いかえることができると思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 第一条のは法律用語として出ているのですから、道徳的な抽象論を言われても……。それは人物、愛情ということは、これはその通りわかるのですが、この法律の第一条における目的にうたっているところの教職員の資質の保持、向上というのは、その自分の担当の学科の知識と、それから教師としての教育的な知識教養、それと人物という三つが柱になっており、どれも取るわけにいかぬのでしょう。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 条文から申しますと、先生としての人物なり学力なり身体ということであろうと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ごまかして適当にお答えになっているけれども、この法案はその三つの柱の一つを取ってしまっている。そのときの要請に基づいて、工業教員が払底しているから、それで当分の間は教職コースの単位を二分の一にするとか三分の一にするというならば、ゼロと二分の一とは量の差ですから、質の差でないと思う。従ってこの法律の第一条に完全に相反する改正なので、これはこの法律の廃止だと思うのです。三分の一の単位にとどめるとかいうならばとにかく、ゼロじゃないですか。それでこういう法改正について案を作るときに法制局とはいろいろ論議されたと思うのですが、法制局はどうですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 もちろん法制局ともいろいろ、法文上の問題ばかりでなく、教育政策の問題についても検討いたしましたが、特にこれが法律違反というような結論ではなかったと考えます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ゼロにしたことについてどういう意見を述べておりましたか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど来申しておりますように、万やむを得ない臨時的な措置としてゼロにすることも考えられるということでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 時限法なら万やむを得ないということもわかるのですが、この法案は当分の間といっておりますけれども、法律案そのものはこれをゼロにして教員の免状を与えるところの内容なので、時限法じゃないのですよ。委員長、法制局を呼んで下さい。私は法律的な疑問があるので、それでなければ私はこの質問を進めるわけにはいかない。質問している間に法制局を呼んで下さい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 私どもといたしましても先ほど申しましまたように、次善の応急の策でございます。従ってこれは将来その必要がなくなれば、当然元に戻すということで、当分の間ということにいたしておるわけであります。ただし、日限を限ってはおりませんけれども、趣旨は山中先生のお尋ねのような趣旨でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 この法律の改正は臨時の免状をやるとか、あるいは高等学校の二級免状をやるにしても、向こう六カ年有効にして、その間において教職コースをとったならば本免状に切り換えるというならば、これは臨時の措置だと思うのです。これは無条件ですよ、免状を渡すのは。委員長、法制局を呼んで下さい。そうでなければ、今のでは疑義かある。

木田宏文部事務官大臣官房総務課長

○木田説明員 御指摘になりました第一条に響いてございます「教育職員の資質の保持と向上」ということの中身といたしましても、免許法の規定自体が、この別表第一から第七までいろいろと必要な所定資格を記入いたしておりまするけれども、この中で教職科目をとるということが資質の保持に法理上つながっておるというふうには私ども考えておりません。現行の規定を見ましても、別表第五表には教職科目はございませんでも、免許状を本則として授与する事例が現にあるわけでございます。でございますから、教職課程の科目の履修ということが法理上資質の向上ということにつながっておる、このようには考えておらないのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今の説明はどこにあるのです。具体的に説明して下さい。

木田宏文部事務官大臣官房総務課長

○木田説明員 免許法の第六条に指定してございます別表第五を見ていただきますと、その中では、たとえば「中学校において職業実習を担任する教諭」で「二級普通免許状」というのがあがってございまするが、そこには、大学において職業実習に関する学科を専攻して、学士の称号を有し、一年以上その学科に関する実地の経験を有し、技術優秀と認められること。その者については、教職の科目の履修を必要とせずに二級普通免許状が出る、こういう規定が本則の中にあるわけでございます。そういう点から見ましても、資質の向上と申しますことが、法律上の用語の論理といたしまして、教職科目の履修ということに当然のこととして結びついておる、このようには私ども考えておらないのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 おかしいじゃないですか。実地の経験を有するという、教職の経験があるから、その経験の中に教育心理の経験を通じて、教職の教養を持ったという認定が、そこに条件が入っておる。今の法案の場合には、何も、会社の社員をしておって、そうして実地の教育の経験もない、教養コースもとっていないのだから、この条件と全然違うじゃないですか。だから一条の教育職長の資質というものはあなたの言うここには関係ない。こじつけですよ。法制局を呼ばなければだめです。そんな、あなた、文部省の独断の解釈ではだめです。事実合わない。

木田宏文部事務官大臣官房総務課長

○木田説明員 ただいま御説明申し上げましたところは、大学におきまして、あるいは教員養成機関におきまして、教職課程を履修するということが、免許法のこの資質の向上の必須の要件、というふうに論理的に構成されているものでない、ということを御指摘申し上げたのであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 だから、実地の私は今度の場合でも、工学部を出た人が三月でも四月でも教壇に立ったあと、この免状を与えるなら異議はないのです。その実地というものが、いわゆる教育心理の教養科目に相当する尊い体験ですから、その中に教育的な態度も出るわけです。そういう経験もなしに与えるというのはどこにも該当しない。従って、第一条の教育職長の資質という中の一つの柱を取ってしまうことだ、そういうことで第一条の眼目を無視しておるのだから、これは臨時の特別措置ならいいが、これは臨時の措置でないのです。当分の間というのは形容詞だけなんです。一生涯本来の免状を与えるのです。

木田宏文部事務官大臣官房総務課長

○木田説明員 免許法の第一条の御指摘の条文は、この免許法の規定しておりますすべての免許状を通じましての一つの基本的な施策かと存ずるのでございます。先ほど野原委員からも御指摘がございました臨時免許状の取得要件等は、やはりこの一条のこの法律の趣旨の中で考えられ運用されておることでございまして、臨時免許状取得の要件といたしましては、教職の課程というようなものも必ずしも必要とされておらないところでございまするし、私ども法律上の理解といたしまして、第一条の規定は臨時免許状については関係がないものと、このようには考えておりません。従いましてこの法律の用語といたしまして、資質の向上ということが教職科目ということに論理的につながっておる、このようには考えないというふうに申し上げておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私はどうもわからない。それでは工業関係以外の人、文学部を出ておる、そういう人で、卒業するときに教職教科をとっていない、教員になりたいというときには、第六条の教育職員検定は要らないのですか。そうですね。そういう人は教員になるときどうするのです。工業関係以外の大学の学部を出た人が、会社に勤めておって、途中から先生になるという場合には、どういう手続をとるわけですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 現在ですと、新制の学校を出た方は、施行法によりまして、教職課程をとらなくても、各条項に照らしまして資格取得の道がございます。新制の大学を出た力ですと、教職課程をとって免許状をとっておりませんと、二級以上の免許状をとる道はないわけでございますので、第六条三項の規定によりまして、六条の検定によりまして、臨時免許状を得た後、教員として勤務することになります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 新制大学を出た、工学部関係以外の人は、第六条の教育職員検定を受けて、「人物、学力、実務及び身体について、」と書いておるのですね。こういう条件に基づいた試験を受けなければ免状をもらえない。そうですね。そうすると工業関係はこういう試験は要らないで免状をもらえる。同じ新制大学を出た人について、これは法のもとに不平等なんです。憲法十四条違反だ。これは法制局を呼ばねばだめですよ。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 現在の臨時免許状運用の実態を申し上げますと、大学を出た人で臨時免許状をとって助教諭になるという方は事実上ございません。この臨時免許状の制度は、高等学校しか出ていない者が、普通免許状を有する者が採用できなくて、やむを得ず教員になるという場合に適用されておるのが実態でございます。そこで実際問題といたしましては、工学部を出た人と文学部を出た人とのアンバランスというようなことは起こり得ないかと存じます。工学部を出た人で、この臨時免許状制度を活用してやればいいじゃないかという御指摘もございますが、この今回の改正案によって意図しておりますところは、工学部を出た優秀な人で、産業界等のむしろ技術優秀な方に、産学協同といったような趣旨から、工業高校の教壇に立っていただこうというのが主たるねらいでございますので、臨時免許状の助教諭といったような形でなくて、正規の二級免許状を出して、教諭という形で教育に協力願うというのが趣旨でございます。そういう意味合いにおきまして、実際問題として不均衡を生ずるおそれはございませんし、いい人に来ていただくという趣旨からいたしますと、あまり臨時免許状といったような補充的な、高等学校卒業程度の者を補充的に教員にする道を利用するよりは、二級免許状を出して正規の教員とする方が適出ではないかと考えております。    〔「明快」と呼ぶ者あり〕

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 まことに不明快なんです。そういう政策的に、同じ四年制の大学を出て、数学あるいは理科、あるいは文学部、そういうところを出た者については検定試験を受けなければ免許状をもらえない、工学部を出た者だけは無条件でやるということは、これは憲法違反ですよ。法のもとに不平等です。そういう法案なんだから、特別臨時のというのなら、時限法しか私はできぬと思うのです。委員長、法制局を呼んで下さい。そうでなくちゃこういう不明朗な法律を通しては、あとで国会の名誉にかかわる。これは呼んでくれなければ私は納得しませんよ。

村山喜一日本社会党

○村山委員 関連して。先ほどの大学課長の答弁を聞いておりますと、この免許法の改正は産学協同という立場から考えたものであって、優秀な産業界の技術者に免許状を与えて、学校に来てもらって教育をやっていくのだ、こういうようなふうに受け取ったわけですが、この問題は非常に重要な問題があると思うのです。それで今回この教育職員免許法等の一部を改正する法律案と、さきに衆議院を通過いたしました学校教育法等の一部を改正する法律上案との問にどういうような思想的な関係があるのかという点を、小林局長の方からでも承りたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 学校教育法の一部改正、先般、審議をお願いしました一部改正は、職業訓練施設における勉強の結果を単位として認定するという趣旨のものであったと思いますので、教員免許の関係とは直接の連関はないわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 その学校教育法等の一部を改正する法律案の審議のときに、たしか山中委員の方からだったと思いますが、免許状を持たない者に教えられた学校の単位の認定についてはどういうふうにするのかという質問があった。それに対しては明快な答弁が内藤局長の方からなかった。そういうような点から考えて、そのようないわゆる企業内訓練所においては相当優秀な大学を出た技術者の人たちが指導者としておる。だから今回の免許法の改正によって、そういうような大学を出た優秀な指導者に対しては二級免許状を与えて、いわゆる関連学科なりあるいは実習についての単位の認定にあたって、支障がないようにしていこうというねらいを持ったものとしか受け取れないわけでございますが、そういうような関係があるのではないか。先ほどの大学課長の説明を聞いておりますと、産学協同という立場からこの問題について答えられましたので、そういうような点について、どういうような考え方をお持ちになっていらっしゃるのか、はっきりもう一回大臣から御答弁願いたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、学校教育法の一部改正では、企業内訓練として職業訓練所の関係の教育の結果を認定するという趣旨のものでございまして、今回の免許法の一部改正による資格の付与につきましては、これは工業高等学校の先生になるための取得要件の緩和ということでございまして、両者は全然別個のものでございます。先ほど産学協同というような、言葉をちょっと使いましたが、これは産業界から工業教員として教育界に入ってもらうという趣旨でそういったことを申したのでございまして、産業界といわゆる教育界が直接関連を持って、協同して教育をする、必ずしもそういう趣旨ではございません。

村山喜一日本社会党

○村山委員 小林局長の答弁を聞きまして大体了承いたしましたが、最後に確認いたしておきたいと思いますが、この前乗富参考人がおいでになりまして、その意見の中で教職員の免許制度に触れられたわけでございます。そうして実質的に大学を出ておったら、教える立場からいった場合には差がない、こういうような立場から、教育効果というものも何ら変わりがないのだから、教職員の免許制度を変えるべきだ、こういうような御意見がございました。そういうような立場から、今度のそういう技能施設訓練所におけるところの教師といいますか指導員というものにも、当然大学を出て、工業学校のその教科に関するところの免許状を取得したいということで養成すれば、二級免許状は与えられるわけでございますから、そういうふうに資格を与えておいて、そうしてこの問題の調整をはかろうというような考え方があるのではないかというように疑がったのでございますが、今小林局長からそういうようなことはない、こういうことでございますが、この通り間違いございませんか。大臣いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 その通りでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今の法理的な疑問は、法制局が来たときにお聞きすることにして、保留をいたしておきます。  次に、政策的に疑問があるので、お聞きしたいのですが、大臣はしばしば、工業教員が不足をしておるから、やむを得ないので、必要悪としてこの法案を出しておるというような大体御答弁であったと思いますが、それは間違いございませんか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 やむを得ない措置といたしまして、次善口の便宜措置としてとりたい、こういうことでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 次善ならよい法律にならぬですが、大臣の教師観からいったら私は必要悪というふうに受け取らざるを得ないのですが、それはそれとして、不足でなければこの法案は出すべきでない。工業教員が不足でなければこの法案を出す意思はお持ちになっておるのではないのでしょうね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 問題の学校制度から出てくる人によって充足されます限りは、こういうことは考える必要はないと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その通り対人はそういう気持でやむ得ずお出しになっているのだ、そういうお考えにならなければこういう悪法は出せないと私は思う。  そうしますと、局長にお聞きしますが、現実にたとえば東京都で、昨年、本年度において教員の採用試験がありましたが、工業教員の採用試験の希望者と採用者はどうなっておりますか。資料がなければ、次までに出していただければけっこうです。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 今資料を調べて、その点をお答えします。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その間質問を保留します。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 東京都だけの資料はございませんが、全国の資料につきまして参考までに申し上げますと、三十五年三月卒業者につきまして、全国の都道府県立高等学校の工業職員の志願と採用の状況を申し上げますと、五百六名が受験をいたしまして、採用総数が百六十五名になっております。それから、二十四年度につきましては同じく四百七十八名が志願いたしまして、百三十八名採用になっております。それから三十三年度につきましては四百五十四名が志願いたしまして、百七名採用になっております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それじゃ志望者は三倍も四倍もある。どこに不足があるのでしょう。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 志願者は、御指摘のように、採用決定者に比べますと数倍あるのが実情でございます。これによりまして、表面的には必ずしも不足でないではないかということに相なるわけでございますが、教員不足の実態は、必ずしもこういう数字の表面に出たものだけで把握できない面がございます。工業高校の校長の意見によりますと、志願者はなるほど多い。しかしまず第一に、志願はして試験は受けるけれども、実際には採用の段階になると来ない。それから来ても、採用試験に合格しておるのに質が悪い。というのは、これも表面的に見ますと非常におかしいことでございますが、校長に言わせますと、どうも実際問題として使いものになるものがなかなか来ない。従って形式的には採用決定者の数倍も志願者があるけれども、実際には、使いものになる教員を確保するという観点から見ると、実に不足で困っているということを申しております。これが実質的に見た工業に関する教員不足の実態かと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 だからそれは質の問題でしょう。今教員が不足だ、量がせっぱ詰まっておるから、やむを得ずこういう悪法も、免許制度を破壊してもというので、事実希望者が少なくて、採用者の三倍もほしいんだけれどもないというのなら、私も目をつぶりますが、そうでなくてやはり三、四倍あるじゃないですか。そして大臣は私に、そういう不足数がなければ出す気持はないと言っているのですから、撤回して下さい。それが当然の政治の責任ですよ。それからあなたの数字は合っていない。東京都だけで高等学校が四百六名の受験者があって、合格者が百八十七名、しかも採用の定員が少ないので六十二名しか採用していない。これは東京都だけですよ。全国の各一府県のものをお調べになるとどうなるか。こういう法案は通してはいけない。その資料が出るまでは私は質問を保留します。それ以上審議は進められない。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 山中君に申し上げます。先ほど四つの質問点を述べられておりますので、他の諸点について御質疑を続けて下さるようお願いいたします。どうぞ先ほどの残った点を……。   〔「それはだめです。資料の問題が解決しなければ……。そういうでたらめな資料ではだめだよ。」と呼び、その他発言する者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 とにかく質問を続行して下さい。山中君、その他の点に質疑があるはずです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 まだ今調べていまから……。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 東京都の分が資料がございましたので申し上げます。三十五年度分、これは三十五年九月十五日現在でございますが、工業教員の受験者数が百九十六名でございまして、合格者が六十九名、現実に採用になった者の数が三十二名でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは高等学校だけですか、中学だけですか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 公立の高等学校だけです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私の調査によりますと、高等学校は百二十一名、六十名、二十四名ですが、あなたは六大都市を持っていますか。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 六大都市の分だけは調べてございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 こういう法案をお出しになるときには、いろいろ疑問のある、そして基本的な免許制度をつぶしていく法案ですから、全国的な資料をお出しにならないと、われわれが審議をすることは無責任だと思うのです。それで私は全国各県の資料を出していただきたい。それが出て満足すればいつでも私は採決に応じます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 その他の質疑がございましたら、進行上一つ質疑を願います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 議事進行。委員長にお尋ねいたします。委員会の審議においては、国会議員である委員は、資料請求の権利があるはずです。資料を請求されたならば、政府がその請求された資料を提出しなければならぬ義務があるはずであります。この点委員長はどのようにお考えですか。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 そのように考えております。お説の通りと考えておりますから、それは今書類を探しているのでありますから、その他質疑の事項が山中委員にはあるはずでありますから、それを続行して下さいと私は申し上げているのであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは委員長が今の委員の権利を確認されたので、続行いたしますが、今度の同一国会に提案された工業教員養成所の教科課程の中には、教職課程は二分の一は必修にしておったと思いますが、局長、間違いないですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 大体七単位程度を履修してもらうということで、組んでおります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 同一国会において工業教員養成の臨時措置として、万やむを得ず養成所としては四カ年を三カ年にしても、なおかつ教職教科というものは半分は履修しなければならぬという思想を持って案を出されておる。同じこの国会の中に、工業教員の養成じゃなくて、教員をただ吸収するのに、便宜的に文教政策の自主性を放棄して、ゼロで免状を与えるというこの思想の分裂は、一体どういう意味なんですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 工業教員養成所は、先般来申しておりますように、三カ年ではございますが、新たに本来の趣旨として工業教員になるというものを養成するものでございまして、いやしくも先生になる場合には、教職科目をとってもらうというのが建前上当然であろうと思っております。今度の法規上の改正の点から申しますと、これは現在すでに大学を出まして、教育界以外の場所において働いておる、在学中は教職課程をとっておらなかったという者を、先ほど来申しておりますように、次善の策としてでも教育界に誘致をいたしたいということでございまして、これに、現在の免許法の建前でございますように、七単位履修しておらなければ、免許状は与えられないということでありますれば、これを誘致することは非常に困難であろうと思いますので、この方は、教職教育科目の単位は緩和して免除することにしたい。両者は建前が違っておりますので、その辺は矛盾がないことと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 局長のお話は非常に矛盾があるのじゃないですか。工業教員養成所は、教員を希望する者が入ってくるんだから、すでに態度は教師に向かっておるのであって、教職科というものは半減しても、これはその態度が半分できている、そうして一般大学の場合よりも少なくするという論理だと私は思うのです。ところがこの法案において適用するものは、教員がきらいで、教員になるのかばかくさいといって、月給の高い事業界にいって、向こうで不正の公金費消をして首になったり、そういう者がくるのに、そういう者については単位は少しもとらなくてもいいというような論理がどこにあるんですか。どうですか、文部大臣。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど申し上げましたように、養成所は本来、この養成所を卒業して工業教員になろうという者の教育をする施設でございますので、現行の免許法の原則通りに、七単位のものを与えたいと思っております。今回の免許法の一部改正では、先ほど申し上げましたように、現在すでに産業業界等々で働いている者を誘致したいということでございまして、特に教職になることをきらってとか、そういうことではございませんけれども、在学中はそういう教育科目をとらなかったという者で希望する者を工業教育界に導入するという建前でございますので、その点は特に思想的に離れるとか背離しているということにはならぬと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 あなたは無理な答弁をされている。苦心惨たんな御答弁には御同情申し上げますが、少なくとも工業教員養成所を半分にしたという程度でないと、どうしても筋は通らない、文教政策は参ってしまいますよ。それから実業界から、昔の工業専門学校を卒業したりして教員を希望してくる人は、これもこういう無理な法案をお出しになるので、きっと調査をされていると思いますが、一体どんな人が入ってきているか、お調べになったことがありますか。これは定年のあとで、三十年も前に昔の工業高等学校を出まして、新しい工業関係の技術は覚えておっても、ほとんど感覚をなくした人か、会社で何か、不正とは言わないが、不適当なことでやめさせられた人か、それはきまっておるんですよ。お調べになりましたか。私はそれは実際に体験をしている。そういう人を教科単位をなくても採用するなんということでは、工業の振興に絶対になりません。私の経験においてきずのない人は一人もいない。そういう者に何らの単位もなしに本来の免状を与えるというこの改正案は撤回すべきだ。少なくとも私はゼロというのはいけない。これは私は私の良心からどうしても認めるわけにはいかないのです。それでその辺の資料を出してくれなければ困る。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 産業界等から教育界に入ってくる者の状況でございますが、それは特に定年を過ぎて入ってくるという者ばかりではないと思っております。もちろんある程度産業界で働いた後に教育界に転換したいという希望の者がかなりあるように私ども聞いております。またもちろん定年を控えていわゆる技術の向上等から離れなければならぬという者も出てくると思いますが、特にきずを負っておる者だけというようなことには絶対にならぬものと思っております。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 山中君に申し上げます。ただいま法制局の第二部長野木新一君が参りましたから、あなたのお説である憲法違反の疑いがあるという点をもう一度お繰り返しを願いたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは今の局長に対する質問を保留しておきます。  免許法の一部改正について野木さんは審議の過程に直接タッチされていたのかお聞きをします。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 私の所轄するところ  でこれをやりました。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 この教員免許法の第一条に、教育職員の資質の保持と向上という目的を掲げておるわけなんです。そういう法律の目的の趣旨に沿うて免許法の条件がこの法案の内容に盛られてあるわけです。そうして免許状の担当教科、それから教職教科といりものを必修にして、そして基礎学歴を大学を卒業ということで学士号とか修士号とか書いてでございますが、そういう基礎の上にこの法案が組み立てられてきております。ところが今問題になっております法案は、工業教員だけに関して教職教科は何ら受けなくても免状を与えるという法案なのですが、法律常識からいって、こういう法改正は法制局として違法——無効とは言わないが、不適当であるかどうかということを、あなたの審議の過程における法制局の立場からまずお聞きしたいと思います。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 教育職員免許法は非常に複雑な法律でありまして、なかなか全部よく覚えておるというわけにはいきませんが、第一条には御趣旨のような法律の目的を掲げております。法律全体としては御質疑のようなことであろうと思いますし、この法律が原則としてそういう建前ということはそういうことだろうと思います。しかしながら今度の改正案の第一条の十三項の問題でございましょうか、これについて特例を認めましたが、これはあくまでも原則に対する特例でございます。法律が原則を立てておって特例を認めるというのは、やはり法律として絶対に不可能というわけではないのでして、ただ特例を認めるだけの理由があるかどうか、その理由があるならば原則を立てても特例を認めるという場合もあり得ると思います。しからばこの十三項もまさに原則に対する特例でありますから、原則に載っておるある原理を、ある程度緩和なり修正しておるというのが特例でありますが、そういう事態になっておると思います。私どもこれを審議した際には、工業教員につきましては、今教員が非常に不足しておりますから、その応急措置として何か手を打ちたい。そういう事情をたしか説明を承ったように存じます。その一つの政策の現われとしてこの十三項はできたように記憶しております。そうしてみますと、この現下の工業教育の不足を充足するための措置として、十三項に現われたような政策がはたして合理的であるかどうかというその政策の批判の問題になりまして、やはりそういうような政策をとるのが最も適切であり、またさしあたってそういう政策をとるだけの理由があるというような場合には、法制として例外を認めるのもこれはやむを得ないのではないかと存じます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 原則には例外があることはよくわかっていますが、法律的に認められる例外と認むべからざる例外とあると思うのです。法制局の法常識からいって、その中の認められない例外ではないかということをお聞きしているわけです。第一条の「教育職員の資質」という中に——戦前の教員の免許状というものは専門学校、大学を卒業した者には全部与えたわけですね。戦後の教員免許法というのは全部に与えていない。必ず大学で必要なる教職課程を十四単位とらなければやらないということが第一条の「教育職員の資質」という法律的な概念だと私は思う。それを三分の一か二分の一にするというのは私は認められる例外と思うが、工業教員でゼロにするということは、私はこの法律の本質からいって法制局でもおかしいではないかとあなたは言われたに違いないと思うのですが、いかがですか。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 実は正直のところ申しますと、大へんな議論がありまして、具体的の一々の条文を私その場について審議いたしたわけではありませんので、私としては覚えておりませんが、また報告としてもその点は具体的にそういうことを勧めたかどうか、そういう報告は受けておりません。従いまして法制局で全部やるのはひどいかどうかといったような議論をしたかどうかという、そういう事実は私ちょっと申しかねます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは直接タッチした課長を呼んで下さい。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 実は直接タッチいたしました参事官は今防災基本法という百条くらいの法案をずっとやっておりまして、きょうはちょっと席におりませんでした。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 野木君、委員長から申し上げますが、山中さんの質問している趣旨は、こうした特殊な政策が、そしてこうした特例が憲法並びに法律に抵触するかどうか、君は抵触するかどうかということを答弁すればいいので、政策がいいか悪いかはあなたの答弁の限りではないんですよ。ですから自分の分を忘れずに明快に山中委員に御答弁願います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 僕の質問に答えればいいのです。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 法制局はそういう立場なのだ。そういうことをやってはいけません。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 わかりました。法律上は憲法違反という問題にはならないと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 憲法違反はまだ聞いていませんよ。次に聞きますから……。この法改正と第一条との関係を聞いているのです。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 違法かどうかということですよ。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ほかの人の話を聞くと答弁がわけがわからぬようになるから……。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 違法かどうかという問題につきましては、同じ法律の問題でありますから、違法という問題はないと存じます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 あなたは先ほどはこの法案は非常に複雑で見ていないのだ、直接タッチしていないと言って、今はそんな法制局の責任者として断言できますか。だから課長を呼びなさいよ。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 それは法文は全部読みまして、そういう意味ではタッチしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 先ほどあなたは直接タッチしていないと言うから、課長を呼んで下さい、課長に聞くから。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 直接タッチしていないということは、私どもの部で六人の参事官がおりまして、各法がいつも殺到しますから、絶えずそばにいて協議するとか、具体にそれにタッチしていない、そういう意味で申し上げたのであります。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 山中委員に申し上げますが、なるほど事務に直接タッチはしておらぬが、しかしやはり政府委員から責任ある答弁を求めることが私は常識だと思いますから、どうぞ野木部長にお尋ね下さい。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 委員長、そんなにわれわれの質疑権に干渉しないで下さい。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 いや、干渉ではありませんよ。やはり責任ある答弁は政府委員からやった方がいいんです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そんなにあわてないで……。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 ちっともあわててません。どうぞ続行して下さい。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私は、何も課長が来なくてもけっこうです。あなたが責任を持ってお答えになればいいです。だから、私はタッチしていないからあまりわからないと言わないで下さいよ。さっきそう言ったからこうなったんです。  それでは部長に聞きます。この免許法の第一条に、「教育職員の資質の保持と向上を図ることを目的とする。」と書いてあります。そしてこの免許状の基礎は、大学卒業、高等学校の一級免状、そうして絶対必要な教養として、一般教科と専門教科、教職教科と三つの柱を立ててあるわけです。そうして現在工業技術の要請その他の経済的要求は、これは私は満たさなければいかぬと思うのですが、それに対するこの法の建前として許さるべき例外というのは、教職科の二分の一か三分の一かということの量的な便宜ならば、例外はこの法目的の眼目からいって、私は不適当ではないと思うが、ゼロにしているんですね。そうすると、この法の廃止と同じようなものだと思うので、少なくとも豊かなる法常識をお持ちになっている法制局の部長あたりは、文部省の法的に考えない、政策面だけ考えてくる法案を持ってきたときには、助言、指導されているはすだ、そんなことをされないような法制局ならなくてもいい、その辺を私はお聞きしているのです。あまりこだわらないでお答え願いたいと思います。これはゼロにしているんですよ。三分の一というならまだわかるんです。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 原則はお説のように、この教職に関するものは、十四単位ですか、それが原則でありまして、法はそれを理想として掲げているということは、これは間違いないと思います。しかしながらこれはあくまで特例措置でありますから、特例措置としてこれをゼロとすることもやむを得ない場合もあるのではないかと存ずる次第であります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そのあなたの責任のある答弁を、ほかの法案のときに曲げないで下さいよ。この教職コースをゼロにして、水産教員、農業教員はやはり教職コースをとらなければならない。それならなお話をほかに移しながらもう一つお聞きしますが、この法の第六条で、工学部を卒業しない、文学部であるとか、数学科であるとか、あるいは哲学であるとか、歴史であるとか、そういう学部を卒業した者は、工業教員は今度の法案によって教職コースを少しもとらないで免許状をもらえるのに、検定試験を受けなければとれないんです。農業教員も水産教員も一般の文科関係の教員も、無資格として検定試験をとらなければならないようになっているんですよ。これでも法制局は、許される適当な改正だといって御指導なさったのですか。これはきょうは皆さんと御相談して、あしたお答え願ってもけっこうです。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほどお尋ねがございましてお答え申しましたように、確かに工学部以外の学部を卒業した者が免許状をとる場合には、臨時免許状でするわけでございます。この場合に、工学部を卒業して工業教員になるという場合の教職科目の単位修得ということと関連して、アンバランスが出てくることはその通りだと思いますが、しかし先ほど来お答え申しておりますように、現在の教員不足の状況から、そういう制度を国会で御承認いただくということになりますれば、その点は確かに不均衡とはなりますけれども、認められないものではないと思います。しかしなお、先ほどお答えしましたように、現在の臨時免許状は、実際の状況から申しますと、高等学校卒業者がこの臨時免許状を受けるということでありまして、実際の状況では、大学の卒業者が臨時免許状を受けて先生になるという実情ではないのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私は、実情を聞いているのではなくて法律論を聞いているのです。局長は横からそういう制度云々というお話があったけれども、それは私はわかるのです。現在の免許法、改正しない現行法の中で別表第一の備考の四で「この表の中学校及び高等学校の教諭の免許状の項の教職に関する専門科目についての大学における最低修得単位数については、当分の間、中学校にあっては音楽及び図画工作、高等学校にあっては音楽、図画、工作、書道、農業、工業、商業、水産及び商船の各教科の免許状の授与の場合には、その半数までの単位は、当該免許状に係る教科に関する専門科目について修得することができる。」半分まで免ずるというのは、原則に対する例外として許されるべきものであるし、教育政策上どうしてもその先生が少ない場合にはそういう便宜はわかると思うが、そういうことからゼロにすることの正当性を導いてくるということはもってのほかだと思う。それで、なおかつ、資料はあしたかあさって提供してくれると思うのだが、全国の資料では、志願者の方が多い。採用者は四分の一じゃないですか。だから私は、文部大臣が、不足しておるから仕方なしにという把握からこの法案を出したということをしばしば言っている。次善という言葉を使っていますが、そういうことから言って、こういう法案を出してゼロとしていくというのは、ヒステリーな業界からの要望があったからといって、教育政策の柱をぐらぐらさせるようなことでは、あらゆるものがぐらぐらしてしまうということを私は申し上げている。それで私は、その意味において、現在の文部省の資料を出していただきたいし、その資料が、工業教員の志望者が採用者より多い限りについてはこれはまじめに再検討すべきである。資質の向上のためなら別の問題なんだ。これは資質を低下させる法案なんだ。量が少ないから志願者がないので、こういう法案を作ったのです。ところが志願者が三倍も四倍もある。あと質の向上の問題だけならば、こういう法律の第一条の眼目を破るような立法の必要性はないはずである、その点はっきりと、文教の最高の府にある文部大臣は責任をもってまじめに検討さるべき問題であって、こういう問題はあまりにも便宜主義に走ってはいけないのではないか、先ほどの御報告によると、全国でたった二百名くらいの工業教員に吸収するために、残りの人はどれだけ憤慨をして教育能率を下げるか。たった二百名と言ったじゃありませんか、そういうたった二百名の人間を吸収するために、こういうわけのわからぬ法案が出て、教育界において農業教員、水産教員その他の教員で、同じ大学を出て、途中から入ってきた者は劣等生である、工業の先生でない者に優等生がおって、同じクラスの者で一方は教職課程をとっていないのに堂々と入ってきておるということでは、教育管理、教師管理ができない。だから私はまじめに考えるならば、これは文部大臣は再考すべきであると思う。御答弁を願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先刻再三同じことを申し上げておりますが、東京都の状況等を御引例になりまして、志望者と退職者の数の差を指摘されて、埋めようと思えばできる工夫があるじゃないかということを仰せになったのでございますが、現在といえども実質的には、欠員がありましても十分埋め得ない状態に全国的にはあります。地域的には御指摘のような東京都のごとき場合もあり得るわけでございますが、同時にさらに考えましたことは、生徒急増が三十八年度を初年度として、ピークに入ってきます。さらにまた進学率も向上して参ることは当然の趨勢にあります。さらに所得倍増という見地から見ましても、現在のままでは四十四万人の中級技能者の不足を生ずるから、工業高校の新設、増設等もやって、この必要性に応ぜざるを得ない。そのための教員が八千数百名もさらに新たに必要であるということになりまして、今後一応十年を見通しまして考えます場合に、どうしても教員が足りない。足りないからすでに御審議をお願いしました臨時教員養成所も必要だというわけでありますが、それでもなお充足できませんものを、あらゆる手段を講じて、次善の策と申し上げざるを得ないやり方ではありますけれども、それを合わせまして現実の必要性に応じていきたい。反面大学を卒業した程度の高級技術者が十七万名も不足し、それを学校制度としましては十分に埋め得ない、半分にも足りない程度しか埋め得ないという教員組織の隘路からきます実情にもあります。そのこととあわせ考えます場合に、工業高等学校の教員を正規の学校を通じて養成された資格者をもって充てることは、これまた物理的に不可能だという総合判断にならざるを得ないのであります。そういうことを考え合わせまして、ほんとうにやむを得ない臨時便法として、次善の策として御審議をお願い申し上げたい。こういうことでありましたことを重ねて申し上げて、御理解をいただきたいと存ずるのであります。  なお、ついでながら、資料の御要求について申し上げたいと思いますが、全国都道府県の御質問の事項につきましては、調べはいたしております。原本はございますけれども、今直ちに間に合う御要望の資料ができておりません。これを作るにいたしましても相当の時間を要するわけでございますから、もしお許しをいただきますならば、全国的な調査の結果は一応できてございますから、これをごらんに入れまして、それで趨勢は御理解いただく資料には一応なろうかとも存じますので、その資料を提出することで、資料提出としては御了承いただければまことにありがたいことに存じます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私は、それではこの法案についてはやはり審議できないと思うのです。大臣は観念的に不足だ、不足だと言っておりますが、たとえば香川県のようないなかのところでも、高等学校において、三十四年、三十五年、三十六年を見ると、八十五名の受験者に対して、合格者が三十八名で、二十五名採用しておる。一ぱい余っておる。だから全国的に余っておるので、問題は素質の問題だと思う。この法案は素質を低下させる法案です。従って、速急に、電話その他でもいいから、きょうあす中におとりになって、それがそろえば、私はその点の疑問は解決していいと思うのです。そういう一番大事な資料を、ただ腰だめにお考えになって——この法案か気持のいい法案ならけっこうですが、そうでなくて非常に教育界に禍根を残すことが明らかなんですから。大臣が今まで答弁されたことからいっても、ほんとうに不足で困っておるということを理由として提案され、説明されておるのですから、その資料をお出しにならなければ良心的でないと思う。私はどうしてもその資料をお出し願いたい。そうして資料によってまじめに今後の対策もできるのでしたら、私はもちろんこの法案に反対をしておるけれども、政府もその他の人も、それでわかるのでしたら、質疑を打ち切ってもいいのです。しかし、一番大事な資料がないのですから、私は良心的に賛成できない。その資料を出していただかなければ私の質疑を打ち切るわけにいかない。これは国民に聞いて下さい。私の言うことはどこにも間違いがない。資料を出して下さい。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 ただいま大臣が委員会の席上で、全国的の統計がありますから、それで趨勢はわかる、こういうことでありますから、わかるか、わからないか、ここで一つ御配付を申しますから委員諸君の御判断を願って、善処されたい、こうお願いします。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その前に、まだ法制局に憲法違反のことを聞かなければならぬ。部長に聞きます。今の五条、同じ新制大学を卒業した者が、一方は工学部卒業以外の文学部その他の卒業生は教職コースをとらなければ国家が公認をした教員免許状は付与されない。ところが、工学部を卒業した者だけは教職教科をとらなくても免許を与えるという法律は、法のもとに平等という憲法の精神に反すると思うのですが、御意見をお聞きしたいと思います。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 本案のような場合には、反しないと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その理由を説明して下さい。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 本案の場合におきましては、まず第一に、現下の工業教員の不足、そういう要請に対処するための特例措置という理由でありますから、法令的理由がありまして、その点からいっても憲法違反のおそれはないと存じます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは時限法ならば一応ある程度——この法律は時限法じゃない、恒久法なんですよ。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 恒久法だとしても、その点は同様と存じます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その理由。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 やはり今言ったような現下の工業教員の充足という要請にこたえるための措置でありますから、そこで差別はつけられてもやむを得ないと存ずる次第であります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 時勢の要請があれば、みな憲法違反にならないのですか。公共の福祉に反するということ以外にはそういう制限はあり得ないし、十四条の法の平等は、公共の福祉だって制限できない条文でしょう。時勢の要請に合っておるから憲法違反ではない、そんな法律論はどこにあるのですか。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 これは工業教員につきまして、その工業教員の間におきましては、差別はありません。工業教員とほかの教員との間におきましては、一つは工業という科目でありますし、他はそうでない科目でありまして、その点に科目の差もあります。また一方工業教員については、工業教員の不足を充足するということはやはり一つの公共の福祉に連なるものでありまして、合理的の理由がある。合理的の理由があるならば差別してもいいというのが定説になっておると存ずる次第であります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 部長さん、そんなに軽率に憲法、公共の福祉なんて言っていいのですか。一体十四条のすべての国民は法のもとに平等であるということを不平等にするというような法律は、今のような場合、公共の福祉なんて言えるのですか。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 憲法十四条は「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」ということでありまして、まず本条はこの文字通りの点からいいますと、人種とか信条とか性別とか社会的身分、門地、そういうものの差別ではありません。しかしながら、こういうものでなくても、何か差別する場合には合理的理由があって差別する、それは差しつかえないのでありまして、先ほど来るる述べましたような点が合理的理由でありますから、これは平等の間に差別をつけても差しつかえないと存ずる次第であります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは記録にとどまっておるからいいですがね。それから免許制度というのは一つの特権ですね。一定の資格を与えて、それは給与権も結びついておるし、教員免許というのは一つの国民にとっては特権だと思います。それを工学部を出た者とそうでない者を差別する法案なんですよ。それを法制局が当然のことだというような御答弁でいいのですか。いま一回聞いておきましょう。

野木新一法制局参事官(第二部長)

○野木政府委員 これはそういう工業教員の資格を得るという点につきましては何人もこういう法律条件を満たせばたれでも得られるのでありまして、そういう意味ではそこに少しも差別はないわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 意気込んでお答えになったから、私はそれで聞いておきますが、そういう法制局の解釈があらゆる法案に通ってくるのでしたら、たいていのものは憲法の解釈が曲がってくると思うので、念のために申し上げておきます。  それから先ほどまだ答弁をいただいていないのですが、この法案が「当分の間」という言葉を書いておるのですが、その「当分の間」という意味はどういうことなのか、局長からお聞きしたいのです。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 教員養成の建前から申しますと、やはりこの免許法にございますような基礎の資格を持ち、また大学四年で単位を修得するということが理想的であると思います。今回の免許法の一部改正で免許資格の取得条件の緩和をお願いいたしておりますのは、前から申しておりますように、現在の工業教員の不足の状況、また将来の生徒の急増対策ということからどうしてもとらざるを得ない次善の策として、応急の策としてこの施策を考えたわけでございまして、教員の需給状況がバランスがとれてこうした制度が必要なくなれば、早急に私どもとしては元に戻して、この制度は廃止したいということを考えましたので、「当分の間」というふうにいたしたわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 元に戻しますか。文部大臣、これはほんとうに戻すのですか。今局長は戻すと言うのですが、大臣は戻すことを前提としてこの法案を出しておられるのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 その通りでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 工学部の者が教職教科をとらないで、会社に出た。そして教員になりたいといって戻ってくるのは当分の間だけであって、あるいは十カ年の技術者の充足ができた場合にはこの法案は廃止する、そしてその次の年の者はまた教職教科をとらなければ教員になれない、こうされるのですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 工業教員養成所につきましても、これは臨時的な制度でございますので、教員の需給状況がいわゆる成規の課程を経た教員で充足されるような事態になりますれば、工業教員養成所も廃止するつもりでございますし、また今回の免許法の一部改正で取得条件の緩和を考えておりますが、これも成規のコースを経た者で十分供給ができるという事態になりますれば、この制度は廃止をしたいというふうに思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると、この法案のある間の者だけが特典を受けるわけですね。そしてあとの者は元に戻る、そういう谷間をお作りになるわけですが、これはあなた、そう思うということは、私はできないと思うんですよ。この法律を一応制度的にしてしまえば、戻すなんということはできるものじゃありませんよ。だからゼロなんてしないで、やはり少なくするという程度のところで——私はこういう法案をお作りになるときには、経済界の要求におこたえになるということはけっこうだと思う。けっこうだけれども、そういう人が教員に戻ってくる道を開くならば、ほかに幾らでもあるじゃないですか。三カ月なら三カ月教壇に立って、その三カ月の経験を教職科の単位とみなすということもできるのでしょうし、母校あるいはもよりの大学において一週間でも二週間でも教育学、心理学について官費の講習会をやってやればいい。そういう常識的にすぐ考えられるようなことを少しもお考えにならないで、この免許法の根本を傷つけるような、そして教育界の人人がそういう差別待遇の中に一つは劣等感を持ち、一つは優越感を持って処置のないような法案をお作りになるというのは、私は無責任だと思うんですよ。教育制度というのは将来にずっと続くものですから、これはやはりお考えになって、一たん会社その他に勤めた人を教壇に戻す道があれば、きょうでも、今理事会を開いてお考え直しをすることができるのじゃないですか。一たん出したのだからといって面子だとか変なことをお考えになるのだったら。とんでもないことだと思う。幾らでもある。その点思い直すだけの良心をお持ちになっていないとすれば処置がないのですが、なぜこういうまずい法案をお出しになるのか、一体未来に責任を持たない政治だからこういうことになる。さらに、池田総理大臣は政策は高姿勢で、民主主義に対しては低姿勢、これはりっぱだと思う。文部大臣は、教育水準を下げる政策は低姿勢で民主主義が高姿勢である、それは正しい高姿勢でないと思うのです。こういう政策こそ——教育政策についてはもっと水準を上げるというような高姿勢だったら、私は双手をあげて賛成しますよ。ところが一つ一つどの法案も教育水準を下げるような法案である。自主性をお持ちにならないような、極端な低姿勢をおとりになって、民主主義だけ高姿勢をおとりになっている。私はこういう点についてはまことに遺憾だと思うので、もう少しこういう法案については、文部大臣は未来に責任を持っていただきたい。大臣の在職期間は短くても、作った法制は、ことにこういう資格問題というのは百年も続くのですから、そういう意味において私はこの法案についてはすなおに反省をしていただきたい。  そこで私は、一応前の資料についてはまだ見ていないので、委員長休憩して下さい。そうして理事会で私は相談したいと思うのです。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員 関連質問。ただいま山中委員ほかからいろいろ本案につきまして御質疑があったのですが、一つは教員の質が落ちばせぬかということを心配されている。この点についてはごもっともなことでありまして、この法案は大臣もおっしゃっているように次善の法案である、現在においてやむを得ざることから出ている法案だというふうに私たち解しております。それがゆえに「当分の間」ということで、法案の中にもその条項が出ている。今、山中委員の御質疑によるというと、現在の教職課程というものがないことによって非常に教育に差しつかえるというふうな御心配をされているのでありますが、そこでお伺いしたいのは、戦前の中学校、高等学校の教育に際しまして、その教員の資格において非常に欠陥があったのでございましょうかどうですか、戦前の高等学校、中学校の先生方でも一向大して不都合がなかったのであるかどうか、その点を一つお伺いいたしたい。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 戦前の中等教員あるいは高等教員につきましては、先ほど野原委員から御指摘のございましたように、教員養成を目的としておる高等師範学校におきましては、教職課程を今の時間数にいたしまして大体十二時間程度やっておったと承知しております。そのほかに指定学校、許可学校、臨時教員養成所といったようなところで教員の資格付与、養成をやってきたわけであります。臨時教員養成所は、高等師範学校に準じた教育をやっておりました。従いまして、教職課程も高等師範に準じてやっておったのであります。それから指定学校、許可学校につきましては、これは文科系の場合には、国語とか外国語とか今の教職課税に相当いたします教育学とか教育法といったものを多少やっておりました。大体四時間程度やっておったのではないかと思います。理科系につきましては、教職課程がなくとも教員の資格を付与しておったように承知しております。それによって教育上支障があったかどうか、支障があっとすればいかなる点が指摘されるかということでございますが、一般論といたしますと、戦前におきましては、中等教員は今申したように、いろいろな供給源、学歴の者によって構成されておったわけでございまして、それらのものは渾然一体として教員組織を形成しておりましたので、この理科系の者が教職課程を履修しておらなかったことに直接基因いたしまして、教育上どのような影響があったかということにつきましては、必ずしも具体的な傾向といったようなものは指摘されておらないのではないかと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員 理科系においては別段教職課程というものをやらぬでも、戦前においてそう具体的にそれによっての弊害は出なかったというように御観察のようであります。私どもも大体戦前の教育状態を見ていてもそういうふうに感ずるのであります。しかしながら、もとより教育をやる以上は、教職課程にあるところのいろいろ児童の心理とか教育法とかその他それに類するようなことをやることが望ましいということは当然で、そこで戦後の免許証の交付についてはその要件ということを一応数えていたものと思うのであります。しかしながら現在のように特に工業の教員においては、どうしても人数が足りないということであれば、何とか急場をしのいででもこのような方法を講ずるということが次善の策であることはもとよりである。そのほかに先生方にうんと教職の方に来てもらうということになれば、事業界に匹敵する以上の俸給も出せばあるいはどうかと思うが、現在の財政状態においてはそれが不可能、こういうようなことを考えれば、たとい教職課程というものをやらなくても、ある程度やむを得ないという結論になる。それともう一つは、戦後においては、大学の教育が人間を作るということに非常に重要な力を入れてきた。たとえば専門の科目というものについて勉強の時間が少なくて、それを一般教養に入れておる。これが先般ここで質疑応答でいろいろ伺いましたように、一つの欠点にもなっておると思う。専門の技術が大学を出ても足りないということは欠点にもなっておるけれども、しかし、一般教養科目というものを相当やっておるということによって人間を作っておるということ、そういう利点もある。そういう点から考えれば、今度応急処置としてのこの法案が、免許証を工業教員についてはできるだけ数が得られるような方法においてやったというようなことも、これはやむを得ない事情と思うのでありまして、私は今の質疑を伺ってみて、心配されることは無理からぬことであるけれども、これも一つ現在やむを得ない。そこでお伺いいたしますが、これは何らかの機会にそういうような、現在でも教員の再教育というものをやりつつあるのですが、何らかの方法でそれを補うような講習会を開くとか指導をするとか、何かそういうような方法を考えてしかるべきだと思うのでありますが、そういう点について何かお考えの点がありましたら伺いたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 この新たな特例で工業教員になります場合には、教職に関する単位を取らないでなれるわけでございます。その点は従来でも他の場合に比べまして半分の単位になっておったわけでございますが、今回の措置でこれを全面的に緩和して免除するということになりますので、この点は欠けてくると思います。そういう意味からやはり先生として職にある最近の機会において、できるだけ現職の教育をして、教職に関する専門的な知識を得るように措置を講じなければならぬと思っております。文部省といたしましても実際の地方の状況に応じてそういう措置を将来講じたいと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今臼井委員から教職教科を持っていない戦前の教員免許状というものには欠点がなかったんじゃないか。それの方がいいのか悪いのかということになってくると、現在の免許制度は戦前に戻すべきだという結論になると思います。しかしこれは例外でなくて、その方向に持っていこうという立法精神になると思うのですが、それは文部大臣どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 たびたびお答え申し上げましたように、本来の姿に即しまして教員の養成ができ、獲得できるようになりましたら、すべてこういう臨時応急次善の策はやめてしかるべきもの、こう考えてやむを得ざる措置としてお願いしておるわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 教育学とか心理学というのはヨーロッパから発生した学問で、日本の国土から一つも出ていない。これは日本の場合については、先生の言う通り、どんな無理なことでもどんなむずかしい間違った教育方法でも、その通りなるようにという前提で教えているから、そういう学問が発達しなかったのです。だから日本の教師というのは、子供の心理発達段階を考える必要はない。先生に文句を言ったときには子供が悪いのだということでいったものですから、こういう大事な教育学とか心理学というのはヨーロッパだけで発達して、日本はそれを模倣しているだけだ。そういうようなことが日本の教師の側から欠陥が出ておるのであって、戦後の免許法の中にそういう児童心理とかあるいは青年心理学とか教授法とか教育学というふうなものが入ってきた。そこから初めてほんとうの日本の教師観というものが出てくるのであって、その辺を単なる素朴な常識によって戦前の方がよかったのだという簡単な、いろいろなムードによってこういう政策が変らぬようにしていただきたい。そうでないと日本にはそういう学問が出てこない。その点は文部省の局長、大学局の考え方は、そういう意味においては、時代の必要ということはもちろん考えるべきであるけれども、基本的な文教政策を捨てるようなことはすべきでない。この国会中に工業教員養成所しかり、この法案しかり、次の工業教員養成専門学校もしかり、みな大体ムードによって動いているような感じがするのであって、非常に私は危険なものがあると思うので、この法案についてはどこから見てもいいところは一つもない。そうして「当分の間」というのは形容詞だけなんです。当分の間という臨時措置ならば時限法にするのか、あるいは向こう十カ年間有効なら一般免許状を与えてその間に教職単位を取ればいいのか、そういう点について十分に検討されないで観念的に教員不足だというのですが、一つも不足じゃないじゃないですか。そこで今お出しになった資料、これを見ても僕はよくわからないのですが、ちょっとどういう資料か説明して下さい。

村山松雄文部事務官(大学学術局大学課長)

○村山説明員 不足いたしております数学、理科、工業の教科のほか、高等学校の教員の採用状況につきまして最近三カ年の分を集計したものでございます。そこにございます前年度大学卒業者数というのは、これは必ずしも免許状取得者、それから教員採用試験受験者と関係がございませんので、指定統計によりまして国公私立大学別に当該年度の大学卒業者の数を記載したものであります。免許状取得者数と申しますのは、当該年度大学卒業者の中で数学、理科、工業の免許状を取得した者の数でございます。ここのところで説明を要しますのは、各欄で、大学卒業者の数より免許状取得者の数の方が多い欄がございます。これは大学卒業者は、各数学なら数学科の卒業生を集計してございます。免許状の取得者は数学科の卒業者だけでなしに他の理学部卒業者、あるいは工学部卒業者などでも数学の免許状を取っている人がございます。大学卒業者の数よりも免許状取得者の数の方が多くなっております。それからその次の欄は、各都道府県で実施しております教員採用試験の受試者数を教科別に記載したものであります。一番右の欄は、その結果、各都道府県が高等学校の教員として各教科別に採用しました者の数でございます。ここで説明を要しますのは、採用試験受験者の数は一人で二教科の免許状を持ち、二教科について受験した者、あるいは一人で二府県にわたって採用試験の受験をした者はそれぞれ延べ数としてあがっておりますので、この受験者の数は実は頭数より多くなっております。その結果、採用された者の数は、各教科別の実数でございます。それで全国的に各県別のこれらの教科についての内訳は、現在整理したものがございませんが、参考までに昭和三十五年度の工業につきまして一部申し上げますと、これは昭和三十五年九月十五日現在の数でございますが、北海道につきましては二十九名が受験しまして二十四名が試験に合格し、九名が採用されております。青森県におきましては二名受験しまして合格者はゼロでございます。従って採用者もゼロになっております。岩手県につきましては一名受験して一名が合格し、採用はされておりません。それから宮城県につきましては報告がございませんので、記載がございません。秋田県は二名受験し、二名合格し、二名採用されております。以下大体そういう状況でございます。全国的に集計いたしますと、お配りした資料のようになるわけでございます。傾向といたしましては、大都市におきましては受験者数は採用者数をかなり上回っております。しかしながら先ほども申しましたように、受験者の数はやはり若干増加がございますし、実際問題として受験はしたが採用の際には来なかったという者も相当ございます。実質的にはどの工業高校の校長に聞きましても、実際問題として教員の採用にはきわめて困難を感じておるというのが実態でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 御説明では、この法案の根拠というものは少しもなっていないと思うのです。やはり志望者が多いのだから、質が低いなら高める法案を作ればいいのです。それからここの数字は、数学、理科、工業関係の大学の学生は、教科課程を選択する人が少ないというだけの表でございましょう。少なければ、そうしてこういう率は、今度の科学技術者養成のために工学部の生徒が増員になるので、大体の率は同じようなものだと思うのです。教育科程を選ぶ者は、それも取っておこうというような学生、それは性格でくると思うのです。それでこの表はとにかく工学部、理科関係の人は教育科程を選択しない人が多いという資料にすぎないのじゃないですか。だからこういう資料はこの法案を根拠づける資料ではないというのですよ。各都道府県の実態がわかるようにしなければ、文部大臣の答弁と資料の間にちぐはぐがある。文部大臣は払底して困っていると言っているが、困っていないのですよ。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ごらんに入れました資料は過去の資料なわけでございます。御質問の御趣旨もそういうことでありましたからお答え申し上げ、手元にあります資料をその意味で差し上げたわけであります。私が申し上げます工業教員が不足して困るのだということは今までのことじゃございませんで、御案内の通り、中学が三十七年度でピークを終わり、三十八年度から生徒増のピークは高等学校に移っていく。さらに所得倍増の問題は今年度を第一年度といたしましておよそ十年見当で倍になる、またなそうという政治目標でございます。それに応じまして集計いたしますと、生徒増の関係等もあわせ考えて教員の充足のことも念頭に置きながらおよそ大学卒業程度の科学技術教育を受けた者が現状のままでは十七万人足りない。その教員組織の隘路を打開しながら極力努力をいたしまして、入学定員が一万六千人見当たらざるを得ない。その結果、卒業しました者の累積は七万二、三千見当でありまして、九万七千人くらいが絶対的に足りないという遺憾な結果に推計としては相なるわけでありまして、それをしも今後に向かってもっとあらゆる努力をして文部省しっかりしろというのが池田長官の勧告の趣旨であったことは万々御承知の通りでございます。四年制度の大学を出た技術者というものは教育の場も産業界の場もすべてを考え合わせまして今後に向かっては絶対的に十万人足りないのだ。それすらもが高等学校卒業程度の人々を各職場内で再教育することによって補うというのが当面のなし得る方法、もちろんそれには三十七年度、八年度あらゆる努力をしまして事情の許す限り大学の拡充はしていくべきでありますから、その不足数を減らすことを期待はいたしておりますものの、総合的に考えますと、三十六年度までは今ごらんに入れましたような教育志望者、合格者、採用者等の似たような計数が出てくるかとは思いますけれども、三十八年度以降になりますると、がぜん事情が一変してくる、そして今申し上げた通り十年を集計してみれば絶対的に十万人近くが足りないという状況下におきましては、なかなか教員の充足が困難であるということを憂えまして、間隙を生じたら大へんだということのために、いろいろの次善の便法を講ぜざるを得なかったということでございまして、過去の資料が三十六年度まではおよそそうであるかもしれないという資料にはなりましても、十年を見通した大学卒業者の需給関係ということには直接的には御参考にはならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 大臣はいつも同じことを言われておる。その言われておる不足するというのは、私は初めからその通りだと思うのですよ。だから、この教員免許状をつぶす方法によって教員を獲得するというこの法案に私は反対するわけですが、そのことについて御説明になっていないのです。まあそれはそれにしておいて、いま一つ問題があるので確認をしておかなければいかぬと思うのですが、中学校の先生に中学校の免状を与えないで、高等学校の免状を教科修得をしない者にでも与えているのですね。三十年、四十年前の工業高等学校卒業生でも特典を与えて高等学校の免状を与えている。ところが中学校は教科担任のところなので、私は現在の中学校の工業関係にしてもそういう関係の人もみんな大学を出た人だと思う。そういう人たちを採用して中学校の教員の免状を持って、そこから上がっていくならまだわかる。これでは高等学校の先生の方がむしろ質が低下すると思いますが、これはお調べになっておりますか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 現在最も逼迫しておりますものは工業高等学校の教員でございますので、これについての措置をとるわけでありまして、中学校では御承知のように科目別にはなっておりますが、工業という科目にはなっておりませんので、この点についてはもし必要があれば将来検討するということで、現在ではその点について特別なる措置を考えておりません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 一つも満足する御答弁をいただいておりません。  委員長、一つ休憩をして理事会を開いてもらいたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 このまま理事会を開きましょう。委員の皆様方はこのままお残りを願って、この場で理事会を開きます。  以上をもって本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対して、山中春郎君外三名より修正案が提出されております。本修正案を議題とし、その趣旨を説明を求めます。三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 ただいま議題になっております教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対しまして、社会党といたしまして、ただいまお手元に配っておりますような修正案を出しまして、その趣旨の説明をさせてもらいたいと思います。  教育職員免許法等の一部を改正する法律に対する修正案  教育職員免許法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第一条中教育職員免許法の附則に三項を加える改正規定に関する部分中「次の三項を加える」を「次の二項を加える」に改め、同法附則第十三項の改正規定を削る。これが修正案の全文でございます。  この趣旨につきましては、さきにわが党からもるる御説明申し上げましたように、工業または数学もしくは理科の教科について高等学校教諭の免許状の授与を受ける場合必要とする教職に関する専門科目の修得は、当分の間、工業教科の場合にあってはその全部の単位について、数学もしくは理科の教科の場合にあってはその半数までの単位について、それぞれ当該教科に関する専門科目の単位の修得をもってこれにかえることができる特例を設けておるものですが、この特例を設ける理由として、教員が不足することを予想されて、教員の免許状についてこの取得条件を緩和しておるのでございますが、ただいまの説明によりますと、教員の不足するという現状は決して認めがたい。むしろ希望するところの教員が多くあるという現状でありますし、なお各県の工業教員志望状況等つぶさに検討しての上で、この法案が出されておるかということに非常に疑義がある。それが修正の理由の第一点であります。  第二点といたしまして、たびたび申し上げておりますように、免許状の目的は資質の向上と保持ということを主体としておりますにもかかわりませず、この法が出ますと、教職員の資質を低下する以外の何ものでもない。この点にわれわれは考えを及ぼしまして、この条項を削る。  第三の理由としましては、すでにその十三項を削ることによって、今までの中学校及び高学校の免許状の項の、教職に関する専門科目についての大学における最近低修得単位数については、当分の間、中学校にあっては音楽、図画工作となっておるのを、今度は美術になりますが、美術、高等学校にあっては音楽、図工を美術、工芸、書道、農業、工業、商業、水産及び商船の各教科の免許状の授与の場合は、その半数でよいということがこれによって生きてくるわけでございます。従いまして、工業教員については従前の通り半数の教職単位をとればよいということが生きてくるわけでございます。  第四点の理由といたしましては、先ほどわが党で質問いたしましたように、すでに国立工業教員養成所の臨時措置法によりまして、ここを卒業した者に対しましては教職単位を七単位としております。これとのバランスをとるためにもこの条項を削らなければならない。そういうことでこの修正案を出したのであります。  以上、提案の趣旨説明を終わります。(拍手)

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本修正案に対しての質疑の通告はございません。     —————————————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより本案並びに修正案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府提出にかかります教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対して反対、社会党提出の教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対する修正に賛成の意思を表示申し上げたいと思います。  ただいままで論議されて参りましたが、今回のこの法律の改正案の内容の中には、御承知のように実習助手から実習教諭に任用免許状を取得する場合には、あるいは養護教諭の実情にかんがみましてその免許状を取得する場合等の措置は、時宜に適したものであることを認めるのにやぶさかでないわけでございますが、ただ今問題になりましたこの十三項の内容につきましては、ただいままで論議されて参りましたように、免許法の精神を全く冒涜するものであると言わなければならないと思います。今まで政府の説明によりますると、これは暫定的な措置であるという説明でございますが、一たんこのようなふうに免許制度というものを改悪をいたして参りましたならば、これは恒久的なものに発展をする可能性があるわけでございまして、そういうような点から、今後において教員が得られない場合においては、数学、理科というようなものもさらにこのような例にならって発展をしていくであろうということが言えると思うのであります。そういうような点において、なぜ教職員が得られないのかという本質的な問題を確かめていかなければならない問題が、ただ免許法を一部いじくることによって当面の問題を糊塗しようとするかごとき態度に出るようなことになるならば、これは日本の教育制度について重大な問題を引き起こす結果になるであろうということがまず第一点でございます。  第二点は、これは教師の採用の数の問題よりも、今後において教師の質を低下さしていくという点でございます。今まで論議をされて参りましたので、その点についてはあえて繰り返す必要はないと考えます。  次に第三点は、今まで論議いたして参りましたように、学校教育法等の一部を改正する法律案の中に見られました工業教員の養成制度の考え方の問題と、今回提案をされました免許法等の一部を改正する法律案との中においては、思想的な統一性がないということでございます。同一の国会に、このような相反する方向のものを出すということにおいては、これは全く見解がわれわれと食い違うわけでございまして、政府の、いわゆる統一的な見解というものがないと言わざるを得ません。  第四点は、教育学、教育原理、教育心理あるいは教育法等の、そういうような教職、教育に関するところの学問を軽視していくということになるわけでございまして、このことは、戦前のいわゆる日本の教師制度というものの上において、幾多の欠陥があったればこそ免許法が制定をされて参りました、そのゆえんから考えて参りましても、結果的には、そういうような教育に関する学問が軽視されるということになってくるわけであります。  第五点は、これは大臣の説明によりますと、教員組織の間隙を防ぐということを言われておりますけれども、この点から考えて参りましても、今後におけるところの教師確保の道には、絶対に役に立たないということが言える法律でございますので、この条項について、われわれの見解と政府提出の見解とは、全く相反するわけでございます。  従いまして、政府の原案に対しまして反対、社会党の修正案に対して賛成の意思を申しまして、私の討論を終わりたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず山中吾郎君外三名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 起立少数。よって、山中吾郎君外三名提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七四号)及び学校教育法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出第一七五号)について、来たる十三日土曜日、参考人の出頭を求め、その参考意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこの程度とし、次会は公報をもって御通知申し上げます。  これにて散会いたします。    午後六時四十六分散会      ————◇—————

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