P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
38回国会衆議院1961/04/14

文教委員会 第16号

発言数
161
登壇者
10
会派数
2
開催日
1961/04/14

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 市町村立学校職員給与負担法の一部改正について御質問をいたしたいと思うのでありますが、この法案の改正の「第一条中「、死亡一時金」を削る。」となっておるが、一時金を残す必要がなくなった事情をお聞きいたしたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 死亡一時金は昭和三十八年に国家公務員等退職手当暫定措置法が制定されましたので、この死亡一時金に該当する分は退職手当の中に包含されましたので、これを削ったわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 実質上影響ないわけですね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 さようでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは次に初任給調整手当のことについてお聞きいたしたと思うのですが、これはすでに一般職の職員の給与に関する法律の第十条の三によって実施をされておるものであるということだそうですが、現在この十条の三によって適用されておる教員の数ですね、それから調整手当の実績といいますか、大体最高限がどれくらいで最低はどうか、この実施の状況について御報告願いたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 高等学校で申しますと、大学を卒業いたしましてから四年以内の者が対象になるわけでございます。現在高等学校で採用しておる数を調べてみますと、昭和三十三年度で四十五名、昭和三十四年度に三十二名、昭和三十五年度で四十二名で、計百十九名が対象になっておって、これで約百万円でございますが、今本法案では市町村立の高等学校の問題でございますが、市町村立の高等学校で対象になりますものは、数の上から申しますと、比較的少ないように見受けられるのでございます。特に定時制等で工業学校を持っておる分でございまして、しかも大学卒業後四年以内の者でございますから、そう数は多く上らないだろう、せいぜい十名以内だろうと推定いたしております。手当の額は最初の年が二千円、翌年度が千四百円、三年目が七百円、以後は本俸に吸収されていくわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 新卒もこれを含んで調整手当をやるわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 当然新卒が含まれるわけでございまして、大学及び大学院修士課程以後四年以内に出た者はこの対象になるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今の局長のお話の全国的に三十三年が四十五人、それから三十四年が三十二人、三十五年が四十二人、三カ年で大体百二十人、こういうようなものでは、法律ができたために工業関係の教員を吸収するに効果があったとは言えない。こんな法律がなくたって、このくらいならば先生になると思うのです。だからこの法律の実益、目的というものは、いわゆる初任給調整手当を出して、そして最近大いに論議をしてきました工業関係の教員を実業界に出さないために作った特別措置の法律だと思うのです。この程度の数字ならば、こういう法律がなくても同じじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょう。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 先ほど申しましたように、過去三年間に約百二十名前後の者が入っているわけでございますが、民間の企業におきましては今後ますます待遇の向上がはかられていきますので、民間給与との差等が著しくなりますので、この今の初任給調整をつけたわけでございます。かりにこういう手当がつかないならば、民間の方に吸収される分がさらに多くなるだろう、こう思うのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうでなくして、全国で三カ年に百二十名ぐらいしか適用されていない。一年間に四十名ぐらいですか。従ってある県にはこれに該当する先生もない。非常にまばらな適用者ですから、私は実益がないのだ、こういうふうに考える。そういう実益のないような、特別に工業関係の教員だけに初任給調整手当をやって、そういう意味では農業関係の教師、水産関係の教師は非常に不平不満を持っている。教育界の中に要らざる摩擦を持たしめるということになり、水産関係、農業関係の教員からいえばおもしろくない。おもしろくない心理から教育的熱意が減退をする。工業教員を年間たった四、五十名吸収するために、今度は水産、農業関係の教育熱意を減退せしめてみると、教育効果のプラス・マイナスからいうと、私はマイナスになると思う。一年に全国でたった三、四十名しか吸収できないような法律、今聞くと、百万ですか、国の費用を使って、教育界の他の教員に対して非常に不平不満を持たすようなこんな変な法律をどうして作っているか、ちょっとわからない。しかもこの法律を作ったのは昭和二十五年ですか、今のように所得倍増計画という論が出たときでもない、今より十年も前に、まだそういう時期でないときにこういう変な法律がどうして作られたか、理解ができない。その当時の事情、提案をしたときの事情をいま一度お聞きしたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 山中先生、何か誤解があるのではなかろうかと思いますが、一般職の給与に関する法律が前の臨時国会で通ったわけでございます。そのときに工業技術者が不足しておるという点で、初任給調整という規定が人事院の勧告に基づいて国家公務員に適用になったわけでありまして、この法律案の趣旨はそれをどこで負担するかということでございます。都道府県で負担するか市町村で負担するかという問題でございまして、市町村立の高等学校につきましては、なかなか地方財政が窮屈でございますので、本俸その他の諸給与は都道府県の負担において——そこで黙っておりますと初任給の調整手当は市町村負担になるわけでございます。そこで市町村負担になった場合には、この手当てがもらえないという心配がございますので、他の諸給与と同様に都道府県の負担に移しただけのことであります。  今の御指摘はこの初任給調整手当の性質いかんというお尋ねでございますが、この問題はすでに一般職の給与に関する法律のときに御論議の済んでいることなのでございます。ただ今後の所得倍増のことを考えまして、文部省では本年から一万人の生徒の定員増を計画して、中堅の工業技術者の養成をはかっているわけでございまして、今後十年間に四十四万人不足するという工業技術者、特に中堅の工業技術者を養成しようというので、今日までのところ毎年四、五十名程度でございましたけれども、今後は教員の臨時養成で一年に八百八十人を養成したいということをお願いいたしておりますことは、御承知の通りでございます。そこで、相当数の工業教員の需要があるわけでありますが、この需要にこたえるために幾らかでも待遇を改善したいというのが、この初任給調整の趣旨なのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 この法案自身は市町村負担を県負担に切りかえるだけだということはよくわかっているのです。その前の根拠になるいわゆる初任給調整手当を設定した法律である一般職の職員の給与に関する法律の第十条の三、これは昭和二十五年に作った法律なのか。古いのでしょう。改正した時期はいつですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この法律を改正しましたのはこの前の十二月にやりました臨時国会でありまして、特に工業技術者を優遇しよう、民間給与とのアンバランスを調整しようというのが改正の趣旨でございます。昨年の十二月に改正されたのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 前の説明に三十三年に四十五人を適用したというふうな説明があったから、昨年の臨時国会において初めて作った調整手当でなくて、ずっと古いものとして私は説明を聞いておったが、そうではないのでしょうか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この法案の特に初任給調整の適用され得る者はどうかというお話でございまして、現在はまだ適用されて、いないわけなのでこの四月一日から初任給調整手当をもらうわけであります。それは大学を卒業してから四年以内ということでございますから、さかのぼってみますと、昭和三十六年に新卒で入る者は当然二千円の手当がつくわけでございます。それからその前に卒業いたした者は千四百円、さらにその前に出た者は七百円、こういうふうに全部に及ぶわけでございますので、一応この人数をはじいたというわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると新採用ばかりでなしに、現在就職している先生にも全部これは及ぶということなんですね。間違いないですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 無制限に及ぶわけでございませんが、ただいま申しましたように、大学を卒業してから四年以内の者なら、この規定に基づいて初年度が二千円、その前に出た者が千四百円、その前に出た者が七百円という基準で調整手当がつくわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 具体的に、大学四年を出て工業科の先生になった人に適用するという場合に、何か基準があって、全部に適用するというのでなしに、実際に初任給調整をするについての基準というものが、大学四年卒業というだけでなしに、何かプラスの基準があるのではないですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 それは高等学校工業に関する学課において、工業の教科を担当する教員である、これが第一の条件。二番目に、電気、機械、土木、建築、化学等の所定の科学技術部門に関する専門的知識を必要とするものであること。第三に、高等学校の工業または工業実習の教員免許状の所有者であること、しかもその採用が大学を卒業してから四年以内、こういうことでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると、この間工業教員養成所法案が多数決で押し切られて成立をした、まことに遺憾でありますが、その卒業生が今後工業科の教員になってきた場合には、これは適用するわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 普通の四年制大学と同じような処遇をしたいと考えておりますので、本俸のほかに調整手当がつく、こういうことでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そういうことをして、ますます矛盾が積み重なってくるのだが、前の質問の中に、いわゆる人事院規則の関係から、四年の学修をしていないので、三カ年の教員養成所の卒業生は、給与については、免許状を与えても、四年制卒業生と同じ給与を渡せない、こういう回答があったと思うのですが、その点については文部省は御承知のはずですが、それは間違いないですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この点はまだ私折衝しておると思っておりますが、文部省側としては、教員免許状を出す以上、当然他の四年制の者と給与は同等であるべきであろう、こういうことで今折衝しておるわけなんで、その場合に初任給調整も四年制と同じように出していただくように、この点も十分打ち合わせたいと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは、人事院の方ではできないと明らかに答弁しておるのですよ。委員長、人事院の担当者を呼んで下さい。ここでできないと答弁しておる。それで、あなたはああいう無理な三カ年の教員養成所を作って、そして大学四年と同じ給与を与えることにし、調整も出すと言う、そこまで積み重ねて折衝しても不可能だと私は思う。村山委員の質問に対して明らかにできないと言っておるのです。ここでその点を明らかにしておいてもらいたい。あなたの答弁を聞いても権限がないのですから、呼ばなければ……。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この点は今後三年で出るわけでございますから、今給与の問題について御相談をしておるわけなんです。人事院とも打ち合わせを今進行中なわけでございます。人事院には人事院のお考えがあるだろうし、文部省には文部省の希望がありまして、まだいずれにも決着していないと思うのでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それはこちらに人事院の方を呼んで質問したのですよ。それは折衝するのは百年折衝しても自由ですけれども、こういうふうな法案に関連をして、やはり給与の関係にますます矛盾が出るのです。ことに工業教員の確保という目的からの一連の関連した法案ですから、この機会に一つ——引き延ばすつもりはないですよ。きょうこの法案をあげることを努力して質問をしておるのでありまして、聞くべきことは聞かなければならぬ。やはり国会でも見通しを立てなければ、文部省だってせっかく教員養成所というものを無理押しして、その給与がずっと低くなる、上げられないということになれば、これは責任問題ですよ。初中局長の主管か知らないけれども、これは大臣だって責任をとってもらわなければならぬような問題だ。やはり明らかにしておく必要がある。  次に、定時制の教育関係にこれは限定されておるわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この法案は市町村立の定時制の高等学校の教員に対する手当を府県で持つか市町村で持つかという法案でございまして、初任給調整手当は、全日制、定時制を問わず、全部出すことに人事院とは話をしておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私は十分に見ていないのですけれども、この法律に基づくと、定時制の教員に限られておると読んでおるのですが、そうでないのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この改正法律案は、これは市町村立の定時制の高等学校の教員に初任給調整を都道府県で負担する、こういう趣旨でございますから、お話のように定時制だけに限られておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると、現在市町村立の全日制の高等学校の工業科の教員についてはどうなんですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 それは設置者負担の原則によって、当然その市町村が負担すべきものでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは僕は質問の中で初めてわかったのですが、市町村立の全日制については依然として市町村の負担に置いておく、定時制だけを県費負担にするということでは、これは何だか僕は意味がないように思うのです。本来の目的は、工業科の教員を確保するということなので、その点全日制の場合については十分確保できる、こういうことをしなくともいいという観点の上に立って、定時制だけを県負担に引き上げて、全日制は市町村にまかせる。従って調整手当などを特に市町村が出さなくとも大丈夫だというお考えに立っておるわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 都道府県立の高等学校については都道府県で本俸その他の諸給与を払うわけですから、初任給の調整手当も都道府県で払う。それから市町村立の全日制高等学校は大体大都会が多いのでございまして、これは当然市町村が本俸その他の諸給与と同じように初任給調整手当も支払うわけでございます。ただ定時制の高等学校につきましては、終戦後非常に発達いたしまして、小さな町村にも設置しておるわけですが、その本俸その他の諸給与が払えない、こういう実情でございましたので、市町村立の定時制高等学校は山中委員御存じの通り、全部県費負担に移したわけです。県費負担に移しまして、当時は十分の四の国庫補助をいたしておったような次第でございます。その後十分の四の方の国庫補助は地方交付税の方に吸収されておるわけでございます。この法律案が出ませんと、この関係の初任給調整手当だけは市町村に残り得るわけです。そうなりますと、勢い市町村で払ってもらえないというような事態が起きますので、本俸その他の諸給与と同じように都道府県の負担に移したい、こういう趣旨でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 もちろん大都市は、この法律で指定都市を除くということになっておるので、最初から除いておるわけですね。従って全日制及び定時制にかかわらず、最初から中都市の教員だと私は思うのです。それで今までの定時制に対する四割負担という一つの沿革、歴史があることはよくわかっておるので、定時制の教員だけを国が負担するという方向に持っていくということで、一応すなおにこの法律案が出てきたことはわかるわけです。ただ本来の工業科の教員に対する初任給の調整手当を創設した立法理由は工業教員の確保にあるのであるから、市町村の負担にまかしておいても全日制の場合については心配がないのだという理由があれば、それで私は納得するわけです。実際は大丈夫なんですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 市町立の全日制の高等学校は、市町村が本俸その他の諸給与を払っておりますから、初任給の二千円程度のものは払えないわけではございません。ただこの法案の趣旨は、定時制で県費負担になっているところに問題があるので、法律を改正しませんと、その分だけは市町村が払わなければならないというような議論が生じますので、そういうことのないように、本俸を払うところが払うべきだという、負担区分を明確にしただけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その点は了解をいたしました。  次に、政策的な問題として、これは大臣にお聞きしたいと思います。工業関係の教員にだけ初任給調整手当を出すということは、大都市の場合でなしに、たとえば岩手県なら岩手県でとって参りますと、教育界の教員の管理といいますか、心理からいいますと、工業関係の教師にしても水産関係の教師にしても農業関係の教師にしても、差別待遇をされるということに対する心理的影響は非常に悪いものがあるのです。ことに工業関係の学校の所在地は都市で、非常に生活の便宜のあるところです。水産関係というのは、海岸のひどいところが多い。農業関係もそうであります。従って政策的に教育界という立場から言いますと、工業の教員にだけ大きな特典を与えるということは、教育界の教員の管理からいっては非常にマイナスが多くなる。それから教師自身の中にも不平不満というものが入って参りまして、他の実業関係の教師は教育的な熱情というものが非常に減退するという心配があります。そして今局長の話では、非常に小人数なんですね。そういう小人数の先生に対してこういう特別のいわゆる給与を与えるということは、教育界の高等学校の実業教師の中に非常にマイナスを作る、そういうふうに私は考えるので、こういう法律の実施について、この法律自身はただ経済負担を県に上げただけでありますけれども、工業教員に特別の手当を与えるということの教育上の実益は、プラスが多いかマイナスが多いかというときには、マイナスが多いのではないか、そういうことを考えるので、実業教育全体の振興についての文部大臣の、こういう政策的な立場についてのお考えを聞いておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 山中さんの御指摘の、マイナスの面はあろうかと思います。あろうかとは思いますが、当面の問題といたしまして、一般に科学技術者、特に工業系統の者の公務員面における入手が実際問題として困難である、これが公務員として就職してくれませんと、国策全体に支障を来たすという別の面からの要請がございまして、御承知の通りすべてそういう措置がとられておるわけでありますが、学校の先生の場合も、特に工業教員の入手が非常に困難である実情は御承知の通りでございまして、これまた先生が来てくれなければ生徒の急増の面はもちろんですけれども、所得倍増の見地からも、あるいは一般的に今後科学技術教育を振興するということから見ましても、一大欠陥を生ずる。欠陥を生じさせないようにしなければならないという国家的な要請がまた別途にあるわけでございまして、それとこれとの比較考量の結論といたしまして、マイナスの面もございましょうが、まあバランス・シートを作って判断するならば、こういう措置もあわせ講ずることが国家的立場においては適切だ、かように判断して御提案申し上げておるような次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そういう国家的立場はわかるのですが、その国家的立場で行なった結果が、教育界の中に非常に不平不満をもたらしてくる。全体として教育がマイナスになるのではないかということをいつも計算をして政策を立てていただかないと、今工業関係が払底したから工業の教員に特典を与えるというだけでは、今度は水産教育、農業教育に非常にマイナスが出たとすれば、総計としては私は退歩になると思うので、その点については、常に政策的な法律を出す場合については、私は全体の日本の教育水準というものを考えて御検討願わなければ、絶えず思いつきの法案が出るので、その点私は大臣に強く御要望申し上げたいと思います。  そこで、この法案の根拠になっております一般職の職員の給与に関する法律の第十条の三に、「科学技術に関する専門的知識を必要とし、かつ、採用による欠員の補充が困難と認められる官職」云々となっておりまして、この法律に基づいて初任給調整手当を支給できる教員の範囲は、科学技術に関する専門的知識でありますから、その法律に規定する範囲は必ずしも工業科学技術だけではない、農業科学技術も水産科学技術も含んでおると思うのですが、その点はいかがでしょう。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 お説の通り、十条の三で「科学技術に関する専門的知識を必要とし、かつ、採用による欠員の補充が困難と認められる官職で人事院規則で定めるものに新たに採用された職員には、」こう書いてありますので、ここで人事院規則でどの辺までしぼるかという問題だと思う。当面採用による欠員の補充が著しく困難だと認められる職種として工業だけが上がったわけですが、今後水産の問題あるいは農業の問題その他の問題についても、同じような条件であった場合には当然検討されるべき課題である、こう思うのであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうしますと、この法律に基づいて、水産関係の教員も農業関係の教員も含むということは間違いないわけですね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 御指摘の通り、科学技術に関する専門的知識を必要とするものであるならば、当然人事院規則で考慮さるべき問題でございますが、当面人事院規則がきめましたものは、一応工業関係だけに限定したわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それはよくわかりましたので、将来採用に困難を生じてきた場合、量質ともに含んで、先生はあるけれども、非常に質の低い者しかこないという場合には、採用に困難であるというふうに私は解釈したいと思うのですが、それは間違いないですね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 さように考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうしますと、農業基本法というふうな一つの法案が出てきて、農業技術、知識の向上をはからなければならぬという一つの新しい社会的要請が出てきた。それに適応する農業関係の教員が採れないというふうな場合には、やはり初任給調整手当というものを採用して、そして農業技術の向上をはかるということは、政策上おとりになる意思があるのかどうか、これは文部大臣にお聞きしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 もちろん今御指摘のような場合には、検討して追加さるべきものと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 次に水産関係ですが、水産関係については、御承知のように三年の水産高等学校を出て、遠洋漁業その他の免状をもらうのには、実習に相当の時間が要る。沿岸漁業、遠洋漁業を含んでそういうふうなことで相当専門的な教育を必要とするわけですが、そういう水産関係の教師を獲得するについても、同じような条件ができたときには、初任給手当を支給する方策をとっていくということについても、これは文部大臣のお考えを聞きたいと思うのですが、同じ御意見であるかどうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 農業基本法の関連についてお尋ねにお答え申し上げたのと同じ考慮を払うべきものと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それで工業関係だけでなしに、商業関係全体を含む教員に対して、必要によっては同じように適用するというふうな文部大臣の教育政策の一つの方針を言われたので、関係だけの教育界の矛盾は、将来に対しても説明はできぬのじゃないかと思うのです。その点を十分に腹におさめておいていただかないと、教育界が、高等学校の実業関係に非常に矛盾を来たすのじゃないかということを、私は特に一つお考え願っておきたいと思うのです。  次に、三カ年以内において初任給調整手当として支給する、三カ年たつと——先ほど御説明のように、最初は二千円、その次が千四百円、第三年目は七百円やる、四年目になれば、ほかの一般の教員と同じ給与に戻るんですか、何かプラスになっているんですか。あるいは三カ年をえさとり政策で——これはえさどり政策だ。えさをやって、そして最初は二千円高いからといって誘惑をして、次は千四百円、次は七百円、そして三年ぐらい教壇に立っておると外へ逃げないだろう。こじきと教員は三日したらやめられないという変なことわざがあるんですが、子供に向かっていくと、子供の教育のためにやっていこうという、一つの経済的な観念を離れて、文部大臣のいわゆる使命感ですか、そういうものを持つ者はもちろんある。しかし結局四年目には何もなくなるのだ。そうするとずいぶん悪政のえさどり政策のように私は思うのですが、実態はこれはどういうことになるのですか。この法律の実施の結果は……。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 初任給のところが一般企業と比べて非常に低いのでございますが、その後公務員につきましては昇給いたしておりますので、その昇給の方は比較的民間よりもいい点もございます。四年目になりますと、毎年千円ずついたしますから、四千円の昇給をするわけでございます。ですから最初の年に二千円、次に千四百円、円と減じていきまして、四年目はゼロになるわけでございますが、そのころは本俸が今申しましたように、四千円くらい上がっておりますので、ごしんぼういただく、こういうわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 こういうことなんですね。民間の関係を聞いているんじゃないのです。同じ教員関係で農業関係、工業関係、水産関係を含んで、一般の普通教科を持っておる先生も四年目になると同じになる、こういうことですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 さようでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると恩給関係その他には何らの関係はない、そういう政策を出すということになると、これは生活給としてのお考えで出しているのですね。先生の初任給が安くてどうも生活に因るからという生活給の思想で出しておられるのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは単に教員だけでなくて、公務員として科学技術者をとる場合の一般的な政策でございまして、公務員関係に科学技術者を確保したい、こういう趣旨から出たわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 生活給的なものではないのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 別に生活給とか何とかではございませんので、これは科学技術者を確保するための便宜的措置でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 生活給とおっしゃればいいじゃないですか。ぼくは意地の悪い質問のようですが、そうではないのです。初任給は安いが、四年くらいになると昇給があるから、大体食える程度になる。それであとへずっと特典が残るならば別ですよ。四年目でゼロになるのだから、教壇に立っておる教員は初任給は安いのだ、最初三年くらいは無理なのだ、これは初任給調整手当を、財源さえあるならば教員全部にも及ぼしたいものであるけれども、とりあえず政策的な考えで工業関係の教員にだけ出しておる給与なのであるか。その思想は、最初の給与の安いときに三カ年なり四カ年だけ生活費を補給するという性格なのかどうか。もしそうならば、初任給は全体として安いのだという思想の上に立って、できるならばみなもっと上げたいのだということかどうか、これは私としては非常に重大なんです。そういう思想の上に立っておるならば、立っていると今確認しておきたいと思うので、大臣にお聞きしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 当初お答え申し上げましたように、本来工業教員の入手が困難である、困難であることは教育目的を達し得ないということになる。その結果は、また国民経済全体にも影響するところが絶大である。そういうことから公務員に科学技術者を吸収する、その一環として、工業教員についても考えるということでございまして、調整手当の調整の意味は、民間給与の初任給と比較した場合のアンバランスがあることのために、吸収できないという現実問題がある。それに着眼して、それを調整するという趣旨と心得ます。生活給を補給するということでなくして、あくまでも現実の問題に直面いたしまして、民間給与の一般的な傾向をにらみ合わせて、初任給が特に一般より低いものだから、それを調整することによって、給与上の問題だけならば、民間に行っても工業教員になっても、同じ魅力を持つのだという臨時応急の措置である、かように理解いたします。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは調整手当という制度で初任給を上げるという方向に持っていく思想はないわけですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今のお尋ねの点は、私も自信を持って申し上げかねる課題でございますが、公務員の給与等を定めます場合に、工業教員ないしは科学技術関係の公務員というものだけに特別に初任給をどうするという課題は全然別個の問題として、一応合理的な線であると人事院は考えておると思います。ところがそれを民間の一般の初任給に比べると差があるものですから、先ほど政府委員から申し上げましたように、数年後には昇給で追いつけるけれども、初任給のきめ方が一般共通の課題として取り扱っておりますために民間と差がある。それをこの際調整していこう、今後初任給そのものがいずれかの機会にこれまた検討され、調整された結果、民間と比較をしてみてもその必要がないというときには、これは廃止されるべき性質のものかと心得ます。人事院当局でございませんので、自信のあることは申し上げられませんけれども、そういう趣旨かと心得ます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうすると、採用困難という事情がなくなると、廃止する意図のもとにこれを行なっておられるのか、そういうことなんですか。私の聞くのは、恒久的な制度として他に及ぼしていくという思想のもとに初任給調整手当をお考えになっておるのか、あるいは採用困難という事情がなくなると、とってしまうつもりでこれを便宜的に臨時的なものとして立てられておるのか、どっちか、こういうことです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今御指摘のような趣旨のものと存じます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 あとの方でしょうか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは一般職の職員の給与に関する法律によりますと、二つの条件があるわけであります。一つは、科学技術に関する専門的知識を必要とする、かつ、採用による欠員の補充が困難と認められる官職、この二つの条件がございますので、ただいま大臣が申しましたように、欠員に支障がなくなれば、これは別に初任給調整をいたす法的根拠がなくなるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ずいぶん回りくどく話をされたので、だから、そういう条件がなくなると、これは廃止するつもりなのかどうかということです。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは人事院規則できめておるわけでございますから、人事院規則は、その必要性がなくなれば、廃止することもあり得ると思うのです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは人事院に聞く場合に、——そういうお答えは、人事院に聞きますが、そうでなくて、文教行政の教師管理の立場から、この手当が今ここにあるように、法律にあるように、採用が困難なために、一時的に調整手当を出している。採用が困難でなくなったというならば、廃止するつもりでこの調整手当を考えておるのか、あるいは調整手当というものを基礎にして、初任給は一般に比較して安いのだから、これを足場にして初任給は上げる、そういう適用範囲を拡大し、恒久的なものにするという精神で立てておるかということを聞いておるのです。(発言する者あり)これは重要な問題なんです。この辺で私語しておるけれども、もってのほかですよ。それはもっとはっきりしたそういう基本的な考えを持っていないと、この法案の考え方も、私はきっと変わってくると思うのです。それをもう少し明確に——それは人事院規則というものによって、人事院の思想というのはどういうように持っていくか、これは別として、いわゆる文教行政の立場から、教師管理として、こういう思想の上に、この調整手当というものを将来考えていくのだということはお考えになって、あるいは答えられてしかるべきものではないかと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 先ほど申しましたように、この十条の三の法律適用要件がなくなりますれば、人事院規則は当然廃止さるべきものと考えております。しかしながら現在の科学技術者の不足の状況から見ますと、これは当分そういう廃止するような必要は起きてこないだろうと思います。   〔「もういいじゃないか」と呼ぶ者あり〕

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 まだよくない。少しも僕に答えていないのです。この初任給調整手当を恒久化の制度にするつもりかどうか。するつもりです、そうでないのだ、一時的に五、六年ごまかしてとってしまうのだということなのか、はっきり答えて下さいよ、直接的に、間接でなしに、くつの外からかくような答弁をしないで。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 公務員の給与制度、給与表というのは、初任給に関しては一般的には妥当である、こういう考え方で実施されているわけだと思います。ところが現実問題は、数回お答え申し上げた通り、工業教員について、教育の場だけをこの問題に限って申せば、工業教員につきまして、実際上その初任給手当が民間との関係において格差がありますために、就職率を上げることができないであろう、こういう前提のもとに、民間給与との調整をとる意味合いにおいての制度でございますから、ことにまた、今もとの法律、基本の法律を政府委員から申し上げましたように、明らかにそういう条件もある制度でございますので、もし工業教員の入手が困難でなくなったというならば、この調整手当は自然に必要でなくなる、そういう角度から人事院規則が改正されることがあるであろう、そういう筋合いかと心得るのであります。同時にまた、先刻も政府委員から触れましたように、少なくとも今後十年間これが不要になることはないであろうという現状だと思います。ことに今後ますます科学技術の振興が叫ばれる、その方面の民間需要が多くなっても、少なくはならないであろう、十年後といえどもそういう傾向じゃなかろうかと推察されますが、少なくとも所得倍増だけの問題を取り上げましても、すでに御案内の通りに、推定によれば足らないことがはっきりしておる。その養成すらもなかなか追いつかないくらいの困難さを考え合わせますとき、相当長い間この制度は生きていくのじゃなかろうか、こういうふうに思っているわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 所得倍増計画の推進に従って、教員の給与と民間の給与の格差はふえる、自然にほおっておけばふえるはずです。それで文部大臣の立場としては、教育は人ですから、その教師の生活及び待遇を改善するという重大な任務があるのでありますし、こういう所得倍増計画の見通しの中に、一方に政策的に教員を吸収するという便宜的政策から出た制度であっても、この初任給調整手当は、同時に初任給は安いので、少なくとも局長が説明したように、四年くらいの間に昇給があって、一応生活が安定するととってしまうと言っておるのですから、答弁の中に生活給的性格もあることは明らかなんです。そして一方的に十年間の間に民間との所得の格差がふえることは明らかです。こういうときに、十年くらいはとる必要はないと思う、そのあとはというふうな客観的な、人ごとのようなことをおっしゃらないで、こういう調整手当を各教員に普及して、そして現在の所得倍増の推進の見通しを含んで、大臣は初任給を引き上げるという場にするという決心をしているのだということは言えないですか。(発言する者あり)そういうくらいでないと、これはあまりにもうそを言っている。そういう便宜主義の子供をだますようなえさつり政策、そんなことによって教員をだますような政策を持ってくるのは私は反対です。   〔発言する者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御静粛に願います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 採決だけに出てくるなら帰って下さい。私はまじめに審議している。今の点、文部大臣どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お答え申し上げます。山中さんの御質問が、調整手当の趣旨をどう理解しているかというお尋ねですから、その部分だけを申し上げたわけでございますが、一般的に公務員の給与体系、給与制度がいかにあるべきか、初任給を含めまして現状でよろしいかどうか、これはまた別問題だと思います。私は一般的に申し上げれば、しょっちゅう申し上げておりますように、大学教授を初めとして学校の教職員の給与は戦前並みにせめてしたいと従来文部省は考えてきているようですが、戦前並みでなしに、戦前以上に持っていくという方向づけを当然のことと考えております。ただ実際問題としては、文部省だけがそう言ってすぐできるものではないものですから、悩みはございますが、公務員の給与の改善という課題は当然重大なこととして考えていくべきもの、それはそうでありましても、現実に工業教員の入手が困難なのをどうするかという問題に逢着してこのことが出てきておる、こういうものと思うのであります。公務員はあくまでも公務員ですから、公務員としての給与体系あるいは給与内容というものがございましょうが、民間と同一であらねばならぬわけのものでもございますまいから、現実にそういう格差が何十年後もやむを得ずあるとするならば、同様の趣旨の調整手当というものは、少なくとも教員については続けられていくべきもの、その必要が全然なくなったらおのずから適用対象がなくなった意味において人事院規則が改正されるでございましょう、そういう時期があるでございましょう、そういうことを申し上げたわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 通産大臣とか池田長官ならば、技術者の養成とか、そういう立場だけで工業教育の発展のために、とにかくよい教師を吸収するために技能手当をやれということでいいと私は思うのです。しかし、文部大臣の場合には、工業科教員だけに特別の特権を与えれば、農業科の教員も水産学校の教員も不平不満を持って、教育界というのは混乱するのだから、こういうときに、こういう初任給手当という調整手当は、これだけに考えておるのでなくて、一律に他の教員にも及ぼしたい気持であるくらい言わないと、教育界は成り立ちませんよ。通産大臣とか池田長官が言うなら、それは彼らは工業関係の発展だけを考えればいい。文部大臣は全体の教育界の平和と、そして不平不満を持たさない公正な立場を堅持していかなければ教師政策は成り立たないわけです。それを通産大臣と同じような答弁をされておるのは、文部大臣の答弁の感じがしない。そこでほかの教員についても、できればということを大臣が言わなければ、文部大臣の答弁にならないんですよ。(「日教組と違う」と呼び、その他発言する者あり)日教組なんて言ってるんじゃない。国会だよ。もっとそういう意味の教師政策として、いわゆる工業界の発展のために必要だという答弁でなしに、教育界全体としてこうあるべきだという立場から御答弁を願いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先刻お答え申したつもりでありますが、当面工業教員だけが現実問題として、民間との格差があるゆえをもって入手困難だ、その当面の必要に応じていくという考え方なわけでございます。すでに先刻も御質問がございましたように、工業教員以外の産業教育面だけを考えても、かれこれ感情的におもしろくないじゃないか、マイナスの面があるのじゃないか、こうおっしゃいますが、それはある程度あるであろうと私も思います。思いますが、そのマイナスあるがゆえに、他の科学技術者入手の関係においては現実のこういう調整政策をとっておるのに、感情問題としてマイナスが立ちそうだからこれを取りやめるということも、また違った意味でマイナスが大きく出てくるであろう、教育目的を達し得ないという具体的な欠陥が出てくるであろう。それとこれとを考量しまして、これだけとして、教育プロパーの立場からいって、非常にいいものだというわけにはもちろん参りませんけれども、やむを得ざる措置としてこのことがなされるのが適切であろう。同時にまた一般的に公務員の給与の改善、特に教育公務員の給与の改善がもっともっと努力を積み重ねらるべきことは当然のことと心得ております。それとこれとは一応仕分けをして、私も申し上げ、考えざるを得ない課題と受け取っておるのであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 まことにもの足りない答弁ですが、私は一応その辺で善意に解釈して、こういうものを各教育界の平和のために悪用するのでなくて、善用する方向に御検討願いたいと思います。  それから給与の関係で法制当局に質問をしたいと思うのですが、まだ来ないので、私はそれまで質問を中止いたします。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 この法律はきわめて重大な法律であります。山中委員の質問に対する進行の状態を私拝見いたしましたが、本国会始まって以来の、文教委員会としてはまれに見るヤジが続出しております。このようなことは、私は文教委員会の審議のためにはなはだ遺憾にたえない。委員長は、そういうことのないように、私の質問中には静粛に一つ願いたいと思います。  そこで私はお尋ねをいたしますが、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律、この中身を見てみますと、二つあるのですね。一つは死亡一時金を削る。もう一つは、ただいま山中委員が質問いたしました初任給調整手当を加える。この二つだけなんです。ところが、文部大臣の提案理由の説明を読んでみますと、死亡一時金について一言半句も触れていないのです。初任給調整手当については若干の説明を確かにしておりますけれども、どういうわけで、内容が二つしかないのに、しかも死亡一時金について、死亡一時金というものが今日まで教員に出されておったのやら、いないのやら、私ども非常にわからない点があるのに、なぜこんなものを削るのか、こういう点については、私は提案理由の説明にはっきりうたうべきだと思う。なぜ提案理由の説明にこういうことをしないかということは、私の推測によれば、いろいろあります。これは質問において明らかにしていきたいと思いますが、まずその点からお尋ねをいたしましょう。なぜこれをお伏せになられたのでありますか。何か伏せなければならぬ事情でもございますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは整理漏れでありまして、当然前に整理しなければならなかったのですが、その時期がおくれたことは大へん遺憾に思っておりますが、死亡一時金は昭和二十八年に国家公務員等の退職手当の法律が出ましたので、その際に、退職手当に死亡一時金は吸収されておるのでございます。そこで、当時までは死亡一時金という制度がございまして、四カ月分の死亡一時金が出たわけでございますが、退職手当等の法律の改正によりまして、百分の四百を支給することに包含されておりますので、今やこの死亡一時金という名称は、給与体系のどこにもないので、いわば整理漏れでございましたので、あらためて提案理由に説明を加えなかったわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そういうことぐらいは書いたらどうか。その点を述べるのが提案理由の説明じゃないかと思う。  そこでお尋ねいたしますが、死亡一時金は退職手当に吸収をされた、こういうのですが、国家公務員の場合には法的根拠も、これは文部省からここに条文も出ておりますから承知しておりますが、地方公務員の場合に、特に市町村立学校の教職員の死亡一時金というものは、どういう形でそれでは吸収されたのですか、御説明願いたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 地方公務員たる教育公務員につきましては、死亡一時金の制度が廃止されまして、俸給月額の百分の四百を退職手当に加算する、こういうことになって現在きておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 それは四十六都道府県ことごとく百分の四百が退職手当に加算をされて出ておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 出されておるものと思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 ものと思っておるじゃ困る。出ていないとすれば問題がある。出ていないとすれば、教育公務員特例法第二十五条違反になる。だから私は、責任ある答弁を承りたいのです。四十六都道府県の教員が死亡した場合には、百分の四百を加算して出しておるかどうか。あなた方文部省として、初中局長はそういうことをやるために文部省にすわっておられるはずなんです。ものと思っておる、じゃなしに、これは調査してもらいたい。東京都は確かに条例がある。しかし四十六都道府県ことごとくその条例ができておるかどうか、そうして支給されておるかどうか、その点はいかがですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 明確な条例がない場合には従前の例によるということで国家公務員の例をとっております。この法的規定は全部四十六都道府県にされております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 従前の例による、明確な規定がない場合に、従前の例によるという場合といえども、その額は百分の四百でなければならないと私は思う。それを下回ることは相ならぬと思いますが、下回っておるようなことは断じてございませんか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 条例で明記されておる場合は別でございますけれども、国家公務員の例によるというような規定をとった場合には、百分の四百が当然出されなければならないものと確信しております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 条例で明記されておる場合はなるほどそれは条例によって適用されるでしょう。しかし、その条例の額がきわめて僅少であるということになりますと、教育公務員特例法第二十五条の五によって「公立学校の教育公務員の給与の種類及びその額は、当分の間、国立学校の教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定めるものとする。」という規定に違反をすることになるわけであります。だから、これは文部省の方で一体四十六都道府県にどのような額の条例がその後出されておるのか。この種の死亡一時金というものは一体どういう実施状況にあるのか。これは調査をされておると思うので、もう一度その辺を御説明願いたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 現在は死亡一時金という制度はすでに昭和二十八年以来なくなっております。従って現在支給しておりますのは退職手当の中に加算されておるわけであります。加算の額が先ほどお話しのように条例で規定しておりますものはその条例によりますし、条例によらざるものは国家公務員の例による、こういう規定がございますので、百分の四百を下らないものと信じておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 あなたは死亡一時金というものはなくなっておると言いますけれども、死亡一時金を削るためにこの法案を出したのでしょう。私は実際上は死亡一時金というものはなくなっておる、そのくらいのことは知っております。加算制度ということになっておる、それも知っております。しかしながら、今ここで私がこの法律改正について議論をするのは、死亡一時金を削ると出しておりますから、私は死亡一時金という言葉を使っておるのであって、死亡一時金がなくなっているならばなぜ削らなければならないのか。なぜ国会にこれを提案しなければならぬのですか。  そこでお尋ねしたいことは、昭和二十八年の八月一日に国家公務員の場合にはたしか死亡資金といったと思うのだが、これが退職手当に加算をされるということになった。これは昭和二十八年八月一日なんですね。今は昭和三十六年なんですよ。一体八年間も実際にはなくなって不必要な規定をこの法律の中に残したわけはどういうわけですか。文部省は八年間も何をしておったのです。市町村立学校職員給与負担法の第一条に死亡一時金というものは残されておる。この理由を聞きたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは整理漏れでございまして、今日まで市町村立学校職員給与負担法の改正を政府提案いたしませんでしたので、当然改正をすべきものであったと思うのでありまして、遺憾に存ずる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 怠慢であることをあなたは認めたわけですが、私の良識からいえば八年間もほっておいたという怠慢は全く許せない。一つの国会や二つの国会くらいは見のがして整理漏れというのはあるでしょう。ところが八年間もほっておる。あなたは八年くらい初中局長をやっておるはずでしょう。その怠慢の責任者はだれですか。この種の責任は当然文部大臣ということになりますが、実際には文部大臣はこんなことは知らない。当然当面の責任者は初中局長だと思うのですが、一体なぜ八年間もこれに気がつかなかったのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは昭和二十八年にこの法律が改正になっておりますので、当然昭和二十八年に改正すべきものであったと思います。私が初中局長に就任いたしましたのは昭和三十一年の暮れでございまして、自来直そうといたしましたが機会がございませんで、今回機会がございましたので、従来の整理漏れをこの機会に御審議をわずらわしたわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 今度の機会とは、初任給の調整手当を出そうということですね。そこで初任給の調整手当ということになると野党も反対できないだろう、何がしかのアルファの金が出るのであるから反対はできまい。そういう魂胆が一つあったと思うのです。そこでその魂胆がありましたために、今度のこの死亡一時金の削除は提案理由の説明からは伏せて——これを伏せぬと怠慢の責任を追及されるかもわからないからというので、所要の規定の改正をいたしますというようなごまかしであなたは出てきたと思うのです。こういうような考え方が僕は一番許せないと思うのですよ。なぜ一体提案理由を説明するときに、実は八年間これは整理漏れになっておった、まことに私どもの不行き届きでこの、ようなことは相済みませんでした、これは単なる形式的な訂正だけの問題でございますからということを常々と説明しないのですか。国会議員というものは、こう言ったら何でございますけれども、この種のこまかい点については実際に気がつかないものなんです。私も気がつかなかった。私が気がついたのは提案理由の説明がなかったから気がついたのです。これは内藤局長らしいことをまたやったなと思って気がついたのです。人をだますことをやったなと思って気がついたのです。そこでずっとさぐってみると、なるほど八年間ほっておったということがわかってきた。与党の諸君だって野党の諸君だってだれだって気がつかなかった。私はこういうことは今後の文部行政としてきわめて遺憾なことだと思います。荒木大臣の御所見を承りたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 御指摘のように提案説明で率直に御説明申し上げるべきであったと思います。ただ先ほど来御答弁申し上げたことで御理解いただいたと思いますが、実質的な改正内容でないために、単なる整理漏れだということだけであったために、ことさら御説明申し上げぬでもよかろう、こう思ったことと思いますが、しかしそれにしましてもそういうことを付言することが適切であったろうと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 市町村立学校職員給与負担法の一条に死亡一時金というものが残っておる限りは、死亡した教員の遺族は死亡一時金はもらえるものと早合点をする。これは残っておるじゃありませんか。単なる整理漏れと簡単にいわれますけれども、法律の改正とはそんな簡単なものじゃない、一言半句といえどもおろそかにしないのが法律でなければならぬと思う。一体法律の整理というものをどう考えておるかということを私は責めたいのです。しかし、今、文部大臣からあのような釈明もあり、文部省の明らかな怠慢であったということでもございますから、私は今後この種のことがないように一つ気をつけていただきたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 山中君に申し上げます。人事院の給与局長が参りましたから、先ほどの質疑の要領を再び繰り返していただきます。山中君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 給与局長にお聞きしたいのですが、先ほどこの間衆議院採決になった工業教員養成所の卒業生の給与について免許状は授与するけれども、四年制の大学の卒業生と三年制の教員養成所の卒業生とは同一給与を与えることは局長はできないというお答えがあったと記憶しておるのですが、その点はどうですか。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 文部省から事務的に御連絡がございまして、臨時工業教員養成所の卒業者については大学卒業と同様に扱ってもらいたいという御希望があったのであります。われわれの方は給与を所掌いたしております関係上、この問題をいろいろ考えてみたのでございますが、現在の教員給与というものが、免許と学歴と修学年数によって構成され、体系づけられておるのでございまして、かりに三年制の場合におきまして、これを現在の新制大学の四年制の場合と同様に扱うことにいたすといたしまするならば、短期大学におきましてもやはり同様の希望が出てきて、これをまた上げろというお話が出てこないとも限らないと思うのであります。われわれは、この給与法が、先般国会で御審議いただきまして通過させていただきましたおりに、初任給全体について考えろという附帯決議がつけられておりまするので、この点につきましては、全体的な問題といたしまして十分今後研究いたしまして、附帯決議の趣旨に沿いたいと人事院は考えております。ただしかしその間における体系上の問題といたしまして、四年制のものと三年制のものを同一にするということは、どうも給与体系の上からむずかしい。現に新制大学を卒業いたしました者が高等学校の教員になりまする場合には、これは御承知のように教育職俸給表の二、この二というのが高等学校に適用する給与表でありますが、その二等級、すなわち教諭でございますが、それの初号でございます。従いまして、二等級の免許状を持ちまする場合の金額としては、一番下の額が大学卒業の場合の給与になっておりまするので、現在におきましては、ちょっとそれより以下がないわけでございます。文部省としてはそういうこともあるいは御勘案になったのかと思いまするが、そういう事情だから一緒にしたらどうだというようなところであったろうと思うのでありまするけれども、今回できまする制度は、新制度でございまして、現在の給与体系の中にはない制度でございます。従いまして、やはり新制度に対しましては、われわれの方としましては、それに適応するように、これは人事院勧告をいたしまして、給与法の改正という手続をとっていただいて、これに適応するような給与をきめていただくのが適当ではないかというように考えております。だだ全体的に教員確保の問題がむずかしい、従って全体的に初任給を高くしろという御要望はございまするし、われわれとしましてもこのことは痛感いたしておりますので、十分研究いたしたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 やはり四年制の学歴と三年制の学歴は同一にするということは人事院としてはできないということは、私正しいと思うのです。そうでないと、あらゆる波乱が生ずると思う。文部省の方では、四年制と同じ給与を折衝中で、そうなるというふうなことを言っておるわけなんですが、給与局長と違うじゃないですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 従来、人事院も、政員の免許状を一つの重要な柱として給与体系を考えられてきたわけであります。たとえば、大学卒の旧制の免許状を持った者の処遇の改善につきましては、これは必ずしも年限を考慮されない、旧制中等学校免許状所有者及び四年制の大学の卒業生につきましては二級上げるとか、こういうような措置をとられたので、私どもの主張としては、教員の免許状を中心に給与体系を考えていただきたい、こういう御希望を申し上げておる一わけです。これはまだ三年先でございますから、その間に十分人事院と御折衝いたしたいと考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今局長が言った旧制中学の場合は、あれは免許制を作った過渡期の措置です。そして学歴についてわれわれは十分苦心をしたわけですが、四年制と三年制を同じにするというようなことは、これはできるものじゃないですよ。今局長が話したように、免許制度と学歴とあわせてそれらの給与体系を今組んでおる。だから学歴を無視してそういうことをすれば、これは完全に秩序を乱すので、三年かかっても、そういうことで私はこの法案をごまかして通したということの跡始末は大へんだと思う。あれだけ僕ら言ったのに、少しも反省しないで、与党、文部省が通しましたのですが、給与はそうならない。一体免許状はやったけれども、免許状に合わない低い給与をもらって、工業教員の養成獲得は大丈夫だというようなことは私は言えないと思う。今局長との話では、私は局長は見込みがないというふうに聞こえているわけなんで、この点については、もしそうならない場合には、あの養成所を四年制に延長するということの決心を大臣はお持ちになりますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ただいまさようなことは考えておりません。臨時教員養成所でございますので、あくまでも臨時の国家的必要に応じた制度として御納得をいただいたものと思っております。従ってこの臨時の、しかも実力はあるところの卒業者に対しまして免状が与えられるならば、その実質的価値判断のもとに人事院でも十分考えてもらえるものと期待しつつ折衝しているわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 いつも期待論で終始一貫されておるようでありますが、局長の方で今初任給全体として考える、これは私は、初任給全体を上げることは所得倍増計画から当然必要なものが出るだろうと思うのです。今の文部省の期待は、給与局長としては期待に沿えますか。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 私が申し上げましたのは、前回もこの委員会で申し上げたのでございますが、本俸の体系——今まで申し上げたことは多少言葉が不足しておったかと思いますが、本俸の体系におきましては、四年制と三年制のものは、やはりこれは何らかの形において同一でない取扱いにせざるを得ないのではなかろうか、これは現在のわれわれの研究の結果はそう思っております。しかし問題は三年先の問題でございますし、臨時教員養成所を設置されようという趣旨が、やはりこの緊急な科学技術振興の際における要員確保の目的から出ておるということも十分知っておるわけでございます。従いまして、たとえば初任給調整手当というものをこの四月一日から適用いたしておりますが、そういうものはこの工業関係の職員には当然適用されるということになろうかと思いますし、本俸体系以外で何か措置し得ることがあるかもわからぬと思うのであります。従いまして私が申し上げておりますことは、少なくとも本俸体系においてはこれはやはり区分するのが適当であろう、全体の問題がどうなりますか、今後文部省の御意見も十分拝聴いたしまして、給与体系上支障のない限りにおきましてはやはりこの臨時教員養成の目的に沿った線で考えて参りたい、このように思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 だから本俸はくずせない、いいですね、本俸はくずせないとはっきり言っていますよ。そこで次の、この法案に関係した初任給調整手当は、これは本俸に関係ない付随的なものであるから、そこに考慮の余地はあると給与局長は言っておる。それはほかの教員だって同じです。いわゆる養成所を出ない四年制大学を出た者に対しても、工業関係の者には初任給調整手当をやるのだから、本俸をくずさない限りは給与の差は同じじゃないですか、そうでしょう。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 まだ人事院も一般論をおっしゃっていらっしゃいますので、具体的にこの卒業生が出ますのは三年先でございますから、三年間かかって人事院を説得したいと思っております。人事院でも決して年限だけを主張していらっしゃるのではなくて、教員の免許状ということが重要な要件だ、これはこの前の学歴制度のときも免許状中心にお考えになっておりますから、そういう過去の実績等もございますし、また臨時教員養成の必要性もございますので、この三年間かかって一生懸命御納得のいくように御説明いたしたいと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 局長、今のこちらの局長の論に対してあなたの御意見を聞きたい。説得にこたえるのですか。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 先ほど申し上げましたように、現在文部省から事務的に御連絡があったわけでございます、その段階で人事院がいろいろ考えました結果は、ただいま申し上げたようなことでございます。で、やはり本俸体系の上において現存二等級初号の下はないのでございます。新設しなければならぬのでございます。その新設する金額をどのようにするかという問題はまたあろうかと思います。こういうことにつきましては、そういうことも含めまして十分今後文部省と事務的に御連絡申し上げて参りたい。われわれとしましてはやはりこの四年制の場合、三年制の場合というものが、現在初任給体系というものは、学歴と修学年数というもの両者を合わせました基礎の上に初任給体系というものができ上がっておるわけでございますから、その体系は一応存置することが適当ではないかというふうに考えておりますけれども、臨時教員養成の目的に沿うというためには、やはり全体的に初任給が高くなるということが必要なのであろうと思いますし、また場合によりましては、別個の観点から、全収入におきまして、よほど考えるという必要があるのかもしれないとも思うのであります。そういうことにつきましては、十分今後研究をいたしたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 局長いろいろ複雑に考えて答えられたと思いますが、新しい制度と言いますけれども、学歴が三カ年の教員養成所ということだけは明らかなんですね。そして新制度は、大学でもない、各種学校でもない、大学より低い。その大学より低い格づけの養成所で、そして三年の修業です。そういうことが現実の問題だから、人事院規則の給与体系の思想からいってはなかなか困難だと私は思うのです。それから先ほど言ったように、短大卒業生の人々、これは公、私立関係みな含んで、その関係からまた不平不満が出るから、私は一般の経済界の要望ということだけでは、大へんな問題であって、人事院規則というのは、なかなか文部省の要望にこたえがたいものだと思うのですが、今あなたのおっしゃった、必ずこたえられるという見通しを持って、お答えになっておるわけですか。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 現在までの研究の結果は、先ほど申し上げた通りでございます。現在はやはり科学技術振興という観点から、まず教員養成をやってかからなければならぬ。そのためには、特段の努力をしなければならぬので、これは場合によったら、いろいろなものに優先するというような考え方もあるわけでございます。そういう中におきまして、この公務員の、ことに教育職員の給与体系の問題というものをどう調和させていくか。われわれの方としては、現在端的に申しますならば、やはり三年制と四年制は区別すべきであるという原則はございますけれども、そこをどう調和させていくか。しかし本俸体系においては、それはできるだけこの現行の体系をくずさないのがよいのではないかと思っております。そういうことが現在の研究の結果でございますけれども、またこの問題は三年先の問題でございますので、その間に文部省のお話も十分聞きまして、そしてわれわれの体系をくずさない範囲で、どういうことができるのか、十分研究してみたいと思います。   〔「明答」と呼ぶ者あり〕

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 少しも明答でないのです。早くおきめにならないと、三年間と言いますけれども、しかし四月の終わりに募集をして、五月から始まるわけですから、私はこれはどっちかに速急にきめるべきだ、そういうふうに思うので、いずれにしても、文部省の要望が、一方に四年制大学と同じ給与にする、そして局長は免許制度の上に立っておる、こう言う。しかし学歴と免許制度の二つの柱で立っていると給与局長ははっきり言っている。学歴を無視して給与体系をきめていけば、これは給与体系の混乱が果てしなく続くことは明らかなので、たとえば短期工業大学の卒業生で、その場合にもし仮免というような制度が出たときには、そうしたら三年制と同じようにするかどうかという論まで出てくると思うのです。それで三年制というものの矛盾を人事院が解決するために、便宜主義な方法をとるのか、あるいは四年制にすべきであるということによって、根本的に給与体系を守っていくということが、人事院の立場なのか、それはどういうものなんですか。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 どういう教育計画を持つかということは、これは人事院の干渉すべきことではないのでありまして、これはやはり教育主管庁におきましてお考えになることであろうと思うのであります。その際に、どういうふうにそれに給与を適応させたらよいかというところが、人事院が考えるところだろうと思うのであります。従いまして、われわれの方は先ほどから申しておりますように、給与体系というものは、これはやはり全般と関連のある問題でございますから、でたらめにこれをこわしてしまうということはもちろんできないわけであります。しかし問題は、それでは話し合いがもう全然つかない問題であるかどうか、給与という問題は、もちろん本俸における何等級何号というものが一応基準にはなるわけでございますけれども、そのほかの給与もあるわけでございます。またこの場合に、やはりわが国の科学技術振興の立場から、その基本である工業教員の確保という非常に大きな別の面の要請もあるわけでございます。その間をどういうふうに調和さしていくか、給与体系は体系としてできるだけこれは存置したいということで、その間でいろいろ研究の余地はなかろうか、そういうことは研究いたしてみたい、こういう考えでございます。   〔「よくわかった」と呼ぶ者あり〕

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 最後にお聞きしますが、まだわからない。もう一度聞くが、これは給与局と文部省とで話をしなければわからないわけですね、将来の努力で。そして幸いに四年制の学歴と同じ給与というものができれば、これは一応めでたしめでたしでけっこうだと思うのです。できない場合に、今度の法案の初任給調整手当ですか、これを工業教員養成所とその他の大挙卒業生の工業科の先生と同じ二千円ずつ支給しておれば、差は同じですね。差は出るわけです、本俸が違うのですから。だから工業教員養成所の目的というものは、やはり給与が低いということによって果たせない。だから工業教員養成所というものについて特別に同じ給与にするという対策というものはあるのかないのか。いわゆる初任給調整手当というものは養成所の卒業生に多くやるということはできないのじゃないかと思うのです。そういうことができれば、これはできても逆に非常に問題になる。そこで、この三年制の事業生の給与というものが、今の給与局長との話し合いで文部省の期待に沿わないようなことになったときには一体どうするか、できないときはどうするかということを聞いておかないと、この法案そのものにも関連するのであるから、そのときにはこの制度を再考するというだけの決心をもって折衝に当たるかどうか、これを最後に文部大臣にお聞きしておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先刻申し上げました通り、人事院の御共鳴を期待しているわけでございます。三年間あらゆる努力をいたしたいと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 答弁にならぬような答弁をして、いつもそういう調子なんですが、実際問題としては、もう少し再検討するくらいの決意をされておかないと私はいけないと思うので、どうせそういう政治的答弁しかないのだろうと思いますが、給与の問題は私は真剣に検討してもらいたいことを要望しておきたいと思います。  それから、調整手当そのものを単に便宜主義で、えさつり政策だけというようなことでは、この法案に私はどうもすっきりと賛成できないのですが、先ほど言ったように、やはり全体の教員のバランスというものを十分考慮して、今後この調整手当というものを発展的に検討するのだということを大臣がお答え願うなら、この質問は打ち切ってこの法案に賛成したいと思うのですが、その点大臣は明確に御答弁をしていただきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 同様の御趣旨の御質問に対して二回お答えしたかと思いますが、もちろんお話しの通りの考え方で進めていくべきものと思っております。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 他に御質疑はございませんか。     —————————————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 他に御質疑がないようでありますから、これより討論に入ります。  別に討論の通告がございませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認めます。  これより市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。  ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日午後二時まで休憩いたします。午後二時からの次第は、学校教育法等の一部改正法案に対しまして、参考人より意見を聴取することにいたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後二時二十一分開議

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  前回の委員会において委員長一任の御決定があった参考人は、乗富丈夫君、桐原葆見君、及び林博夫君の三君に指名いたしましたので、御了承を願います。  それでは本案について、参考人より意見を聴取いたします。  参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には、御多用中にもかかわらずわざわざ御出席下さいまして、まことにありがとう存じました。本日は、学校教育法等の一部を改正する法律案について忌憚のない御意見をお述べいただき、もって本案審査の参考に資したいと存じます。  参考人の御意見の開陳は、お一人約十五分ないし二十分以内程度にお願いしたいと思います。参考人の御意見の開陳があった後に、委員の質問に入りたいと存じます。  なお参考人の各位が発言を求められます際は、委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承をお願いいたします。  それではまず乗富丈夫君より意見の開陳を願います。乗富丈夫君。

乗富丈夫日本光学工業株式会社常務取締役

○乗富参考人 私、乗富でございます。私は産業関係者であり、また職業訓練の関係者でもございます。そういう立場から、この学校教育法等の一部改正案の中で、職業訓練と定時制高等学校との教科目の関係、調整の問題につきまして、意見を述べたいと思っております。  最初に、結論的に、この案に対する考え方を申しますと、この定時制高等学校の教科目と職業訓練の教科目の間の単位の調整ということにつきまして、これからの教育訓練という制度の発展のために、最初のステップとして賛成できると考えるのであります。そのことにつきまして、考えを申し上げたいと思うのでありますが、この法律改正の内容は、すでに二十八国会の昭和三十二年から毎年出されまして、今度で五回目だと思うのでありますが、なぜこれほど何度も改正の要求がなされるかということにつきまして、お考え願いたいと思うのであります。それはこの改正案の内容をなしております教科目の調整ということは、この要望は長年にわたりまして、実際に職業訓練なり技能養成を受けながら勤労青少年が定時制高等学校すなわち夜学に通っているその青少年の長い念願であったわけであります。すなわち同じような教科目を二度受けるということのむだ、二重負担を考えまして、何とかこれは調整できないものか。これは青少年の悲願でございます。従って文部省当局もわれわれ産業関係者も、今日まで五度もこれを提案していただいて、何とか実現したい、こう考えておるものであります。従ってそれを改正することによる利益と申しますか、それは労働者のものだと私は考えております。もちろんその影響を考えますと、単にそれは個人のというよりは、ある場合には国家財政と教育投資の二重投資というものが相当省けるのではないか。いわゆる企業内の教育施設その他に要する費用も相当削減されるのではないか。同時に勤労青少年の負担があるいは費用が減る。こういう面で非常に重要な意味を持っていると考えます。従って今日五回出されたという一番大きな理由は、そこにあるのではないかと思うのであります。これは文部省御当局が考えているのと私が考えているのとあるいは違うかもしれませんが、しかし私はそう理解しているのであります。  次に技能者の養成、すなわち現在では職業訓練という形で行なわれておりますこの制度は、御存じと思いますが、昭和二十二年に労働基準法の中に技能者養成という制度が設けられまして、それは徒弟制度の廃止と青少年労働者の保護という立場で設けられました。従ってその目的は労働者の保護がなされれば、企業そのものが必ずしも進展、成長したり、あるいはそれが産業に役立つという直接の目的でなくて、労働基準という監督の立場からなされて参ったわけであります。従って技能の養成という面からの成果は必ずしも大きくなかったと思うのであります。しかしそこに技能者の養成という制度が芽生えたという点では大きな点だと考えます。それが三十三年から日本の産業の発展に伴い、技能者の要請が非常に高くなったということもございますし、また当時の占領政策をやり直すという面からも問題が取り上げられたかと思うのであります。そこで職業訓練というものが労働基準法から分かれまして、単独の職業訓練法ということになり、職業訓練制度という形で三十三年に出発したわけであります。従ってそれからの職業訓練の発展も目ざましいものがございますが、国の産業の安定成長も御存じのようにすばらしいものがあるわけであります。それに相呼応しておる制度でございますが、  ここでわれわれは、先ほどの五回提出されたということについて、その五回の意味をもう一ぺん振り返ってみる必要があると思うのであります。それは五年間の産業経済の動きというものは決して同じでない、非常な発展をしている。にもかかわらず、ここに提出されている両者の調整なるものは、三十二年に提出されたままのものであって、はたしてそれで現在の状況に適応するかどうかという大きな問題が一つ残されておるのでございます。私はこの程度の改正では、今の経済成長の十年計画や科学技術の振興という面から考えて、九牛の一毛というような感がするのであります。しかしこれをステップとして、漸進的に改善をしていきませんと、社会制度が不消化でありますと、逆効果が出てくるということがございますし、これのためにはいろいろな政府の予算あるいは施設等も考えられなければならぬと思うのであります。従ってより発展する第一段階として、こういうことが考えられる、そういう意味で産業界としてもこれを支持しようではないかということになったのであります。  それから、この問題の取り上げ方を、この文部省の法律案要綱のところで拝見いたしますと、産学の協同という線が非常に強く出されておりますが、産学の協同という一面はもちろんございますが、産学協同と言って打ち出すにはまだまだたくさんの問題が残されておると思うのであります。  そういう問題はあとで申し上げるといたしまして、もう一つは、今度の国民所得倍増計画などにおきまして、日本は中等教育の完成をしなければならぬということが志向されておるのでありますが、その中等教育、すなわち高等学校の教育を全国民に与えるという目標を掲げております。これはまことにいい方針だと思うのでありますが、それに達するまでにはたして高等学校の制度だけでよろしいかということを検討しなければならぬと思うのであります。ここで倍増計画におきましても、あるいは科学技術会議の答申におきましても、いずれも職業訓練制度というものを柱にしていかなければ、産業の成長発展が期せられないことをうたってございます。すなわち科学技術のことを申しますと、現実には学校の研究者とか教授とかいう人といわゆる技術者、また技能者、これだけの層の人が充実されませんと、日本の産業経済というものは発展しないわけであります。また計画的に人材を養成することによって、今の十年計画を遂行しようとしておるわけであります。それにマッチした学校制度並びに職業訓練制度というものが考えられなければならない。それに加えてその中心を中等教育の完成ということに置きますと、いずれにしても二本建でその完成へ進まなければいけない。従って、そういう意味では職業訓練と高等学校制度の調整を、単にこの小さな部分で、九牛の一毛の一毛だけでやり切れるとは考えません。両建にして、そのそれぞれが前進しなければならないのではないか。従って、どうしても全面的に協力、一元化するようなものを考える必要があるのではなかろうかと考えられます。  それからこの法律におきましては、定時制高等学校と職業訓練制度というものの関係、すなわち定時制高等学校に通っていて職業訓練を受けている者、しかも事業内の職業訓練を受けておる者について、同種の、といいますか、指定をされた施設において受けておる者は、ある条件のもとに学校で受ける単位を省略していこうという考え方、すなわち前提として定時制高等学校に入るということが前提になっておる。入れれば省略してやろう、こういうことになっております。  それからもう一つは、定時制高等学校と職業訓練——定時制高等学校といいますと、主として夜間でありますが、四年制度の高等学校、それと原則的には三年の定時制の職業訓練とを結びつけようとしておる。そのことについてはいろいろ問題があると考えられるのでありますが、そういう教育のつながりについて考慮すべき問題がまだたくさんある。たとえば教職員の資格問題につきましても、理屈で申しますと、文部省が免許した先生が教えた単位は共通して考えてもよろしいという考え方がすぐとれるが、労働省が認定した指導員が教えるものはすぐそのまま学校の単位とすることについて問題がある、こういうことも言えるのじゃないか。しかし、それはどこに問題があるかというと、実質的にその能力なり学力の程度が同じであれば、内容は認める、認めないにかかわらず、同じということが言える。そうしてその次には、免許というものがお互いにあるから問題があるので、免許制度を変えれば解決のつく問題であって、本質的な問題じゃないのであります。しかし、実際には行政的に見ますとなかなかむずかしい問題がある。それはこれからの産学協同の一番大事な問題として、高等学校の理工科系の先生が非常に不足しておる。しかし、この充足の仕方はほとんど手がないといわれておるのであります。ところが技術者は産業界にたくさんおりますが、ただ先生をやった経験がないというだけでありまして、そういう人がなぜ先生にならないかということ、あるいはそういう人たちが教えたら、同じような教育程度の免許を持っておる人が教えたのと、どうして違うかということが問題になるのであって、免許制度も考えなければならぬということになるわけでございます。  それからこの法律改正をなさいますと、政令によって具体的なものがきまるわけでございます。この具体的な問題をきめるにあたりまして、われわれ関係者の考え方を相当そこに加えていただきたい。協議会なり何なりを作って、そうしてそれをもう少し現実に合うようにしていただきたいわけでありまして、同時にそれは将来の発展ということを考えて、そのステップになるような政令がきめられるということを希望するわけでございます。この政令という問題になりますと、いろいろ問題がございます。その中で、たとえば職業訓練の施設を文部大臣が指定するということになっております。その指定はどういう範囲でどういうものを指定するかということについて考えなければならぬ問題がございます。それから教科目を省略するという、その単位、時間、教科目の種類とかいうものはどういうふうにきめるかということがやはり問題であります。それから先ほど申しました教職員と指導員との比較の関係等もございます。それからもう一つは、今回のこの案で拝見いたしますと、いわゆる企業の中で行なう事業内訓練に限られておりますが、これは事業内にかかわらず、公共の訓練でも同じ程度の教育をされる場合には、やはりできるだけ省略を認めるという必要があるのではないか、こう考えるのであります。  それから、私は将来の発展のためにこれに賛成していきたいという考えを申し上げまして、その将来の問題といたしまして、二、三のことを申し上げますと、先ほど申しましたように、職業訓練というものの内容は、いろいろなたくさんの職業がございますが、主として重化学工業というような日本の中心になる産業における職業の訓練がまず優先するわけであります。その職業訓練と結びつく学校の教科目というのは、本来的にはいわゆる工業高等学校というような職業を内容とする高等学校との関係を調整すべきであると思うのでありまして、一般普通科を主体とする定時制とこれを関連させることはどうも適当じゃないじゃないかということが一つであります。従って、かりに工業高等学校というのが定時制でもいいとすれば——現在職業関係の定時制の高等学校というものは非常に数が少ないのであります。なぜ少ないかと申しますと、地方的な産業との結びつきがむずかしいからということと、それから地方財政の力の入れ方が十分でないというようなこと、あるいはその定時制を出た者の成績が必ずしも良好でないとか、いろいろなことがこれに加わりまして、定時制というものが伸びないわけであります。たとえば産業教育振興法という法律がございます。それによって産業関係の施設が十分に高等学校にさせられるような態勢ができておりますが、現実には定時制高等学校にはそういうものが十分まだ回っておらないというようなこともございます。従って、定時制と職業訓練というものが結びつくことは非常にいろいろな問題がございます。特に、これからは工業が地方分散をいたしますと、その工業の分散していく地方には必ず職業訓練制度ができる。ところがその地方には適当な高等学校ができ得るという見込みが非常に少ないのじゃないか。そういう点も考えなければならぬと思うのであります。  それから将来は、職業訓練で修得いたしました学問、技術というようなものが非常に充実しますれば、少なくとも高等学校の卒業というのに不足する部分の教育を行ないまして、補充いたしまして、それで大学進学を認めていくというような考え方、あるいは高等学校の最終年次に編入を許すというようなことを考えて、勤労青少年の向学心を呼び起こすなり、あるいはそういう教育の袋小路をなくすることが必要であろうと思うのであります。これはドイツその他外国の例からいいましても、いろいろな形でこれが袋小路をなくするような努力を払われているのであります。  それから最後に、この定時制高等学校と職業訓練との関係の問題は、前に青少年問題協議会というもので一応答申をされたことがあるのであります。これは産業高等学校案という形で出まして、定時制高等学校はすべて職業高等学校であるべきだ、従って、それと、職業訓練制度とを一緒にして産業高等学校という特殊の高等学校を作って、それを延長して大学へも進学できるし、あるいはそのもののいわゆる評価を、高等学校を出たものと同じ評価をするという、そういう案が考えられて答申されましたのですが、その当時のいろいろの事情からそれは取り上げられなかった。しかし、英国のカウンティ・カレッジというようなもの、その他外国にも例がございまして、そういう点から考えて、将来はこの一元化が必要である。しかし、それを一元化するまでの間をどうやっていくか、一元化だけを目標にしてこれをやりますと、いろいろの面で問題があると思います。従って、漸進するという点では、今あるいろいろの意味の産学協同の形もとられるし、訓練の一元化ができるような共通の態勢を作る必要があるのじゃないか。そうしますと、前に申し上げましたように、国の教育訓練に対する二重投資とか、あるいは訓練を受ける者の二重負担ということがなくなって、もっと効率のいい教育がされるのではないかと思うのであります。  以上、大体私の考えておりますことを申し上げまして、参考の御意見といたす次第であります。(拍手)

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 次に、桐原葆見君より御意見の開陳を願います。

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 桐原でございます。主としてこの案の第四十五条の二の、高等学校の定時制と青少年の技能教育との連係に関する点について御意見を申し上げます。  御案内の通りに、最近ちょうど後期中等学校の時期に該当いたします青年に対する教育が続出しているとでも申しますか、高等学校や職業訓練のほかに、企業内にいろいろな種類の学校が始まり、あるいはできておりますが、その他青年学級の技術教育科というようなやり方も出ております。あるいは程度の低い産業高等学校といったようなものもありまするし、その他各種学校といったようなことで、これはそれぞれ必要があって設置されておるものでございましょうし、また、ある時期にはそういういろいろなものがたくさん出まして、そのあげくに一番いい形になって残るというようなことがございますので、ある段階では必要かもしれませんが、もうこれは後期中等教育を一貫した一つの体系に体系づける時期に今到達しておるのではないだろうかという感じがいたします。そうでありませんと、青年はいたずらに去就に迷いまして目標が混乱いたしまするし、精力を分散しておりまするし、場合によれば袋小路になって、このことがまた産業界では、長らく処遇の上でいろいろな問題を実は職場の中で起こしておるのは御承知の通りでございます。その上に施設設備あるいは管理の面でいろいろな重複があったり、あるいは繁雑な混乱があったりというようなことになって参るかと思うのでございます。そこで、それを一貫した教育の体系の中に入れるということになりますれば、現在の学校教育の中へ入れてしまう、できればあの年令の職業訓練も、これは労働行政あるいは職業安定行政のもとでやるのじゃたくて、教育行政として、教育としてはっきりとやっていく。そうすることによって、全体を学校教育の一環として、上は大学に連接されるようなものに、ここで取りまとめるべき時期にきているのではないかと思うのでございます。  その一つのやり方といたしまして、この四十五条の案に示されてあるようなやり方は一つのやり方だと思っておりますが、これを進めまする上には、もっと基本的に大所から考える必要があるのではないだろうか。このことは、事柄それ自体といたしましては、労働の体験を教育の中にうまく組織立てるという一つの利点がございます。生産現場の労働の体験が人間の形成の上に非常に有力な要因であるということは、現在の自分を考えてみましても、かりに私が何かほかの職業についていたならば、現在の私はこんなことではなかったと考えられるのです。ソビエトの数次の教育改革で、結局最近は労働体験を全部に持たせることにしたあの意味も、はなはだ参考になるかと思うのでございます。従って、この職場に入っている青年は、その体験を毎日やっているのでございますから、この貴重な体験を何とかして教育の中に組織立てるということが一つと、もう一つは、基礎学習が、今日の企業内訓練では、将来の技術時代に立ち向かうためには非常に足りない。またもっと足りなくなるおそれがあると思うのであります。設備を更新した場合に、基礎学力がないためにせっかくの熟練工がお手あげだという例は、現在すでに各職場で至るところに実はあるのでございまして、この意味からも、現在の企業内の訓練に対しては基礎教育をもっと高めて、もっと系統立てて積み上げる機会が与えられなくてはいけない。  それからもう一つには、こういう大事な青年の教育を企業の責任においてやるという名のもとに、言葉が悪いかもしれませんが、企業の恣意にまかせておくことが一体よいことかどうか。もちろんこれは企業が悪いという意味では決してない。企業というのはもともと教育機関ではないのですから、これに教育の完璧を期待いたしましても、それは期待する方が間違いです。そういうもともと教育機関でないものが教育をやるといった場合に、それにまかせておきますと、要るときにはやるけれども、要らなくなったらもうやめるといったようなことも起こらないとは限らない。これで一体青年教育の体系が立つかという問題がございます。  それからもう一つは、先ほど申しました、例の青年の袋小路をなくする、能力によってどこまでもいける道は開かれてあるという条件のもとに置いておく。こういう意味におきまして、先ほど申し上げましたように、この時期に、学校以外の勤労青年の教育を、現場の仕事を教育の課程の中に取り込んだ上での一つの一貫した高等学校課程というものに編成するということが一つの行き方ではないだろうかと思うのでございます。そうするためには、定時制はもちろん昼間の授業をするような定時制でなければならないと思います。かつて労働時間内で教育を受けるということは法律できめられておった時代もあったのですが、現在はややそれがぼやけて後退しているように思いますけれども、その労働時間内で昼間教育をするというふうにいたしまして、その結果、資格も一定の資格がみな持てるということになりたいものだと思うのでございます。週一日学校の教室教育をやることによりまして、年間四十五週間の授業をするとすれば、現在の制度の単位制でございますれば、これに通信教育を二、三加えれば、優に三年間で現在の工業高等学校の単位は履修できるような計算に私は試算をしているわけです。かりに週に二日といたしますれば、通信教育はなくても十分にやれる時間数はあるわけでございます。こういうふうにいたしますことによりまして、四年間ではなくて、これは三年間で十分やれると思うのでございます。こういう根本の考え方の上に立ってこの法律案を御審議願えれば非常にしあわせだと私は考えている次第でございます。  こんなことを申し上げますと、それでは教育が大企業に奉仕するような結果になりはしないかといったような御批判もあるかもしれませんが、私はこれができましたならば、むしろ大企業よりも助かるのは中小企業の青少年だと思うのでございます。と申しますのは、大企業ならば企業内で十分教育施設をお作りになれまするし、またあるいはその学習の内容あるいは程度からいたしましても、工業高等学校はおかしくてというようなところも実は二、三知っております。むしろ必要な中小企業の青年がこれによって非常に救われると思うのでございます。  それからもう一つは、六・三・三制の教育をくずすものじゃないかというような、あるいは混乱させるといったような懸念もおありになるかと思うのでございまするが、これは教育、学校というものの考え方が、相変わらず昔ながらの閉鎖的なものでなくてはいけない、城廓をかまえたものでなければ学校じゃない、これは相変わらず高等学校を特権的なものに考えているからそんなことを考えるのであろうかと私は考えるのであります。もっと生きた社会、ある方面の言葉を使えば、現実をふまえた教育学習というものが、むしろ学校をもっと開放して、そして現場の体験と学級内の教育とをうまく有機的に結びつけて系統立てていくというところに、新しいほんとうの意味の学校がある、これが大衆のあるいは民衆の学校であると私は考えておる次第でございます。そういう意味におきましては、決して六・三・三制をくずすものではなくて、むしろ今のこの案にありますような四年の夜学をそのままにしておいて、これをそのままくっつけるというようなことこそ、六・三・三制をくずすような結果になるのではなかろうか、こうも思うわけでございます。  それからもう一つ、たとえばイギリスのクラウザー報告を見ましても、たとえば基礎学習を一年延べた方がいいじゃないかというような意見が出ております。あるいは御承知のように、ドイツで去年から出発しておりますハウプトシューレ、基幹学校と申しますか、あれは一年延べております。そうすることによって、基礎学習をみっちり学校でやって、それから職場へ出そう、こういう考え方でございまするが、それと今私が申し上げましたやり方と相反するじゃないかというような御意見もあるかもしれないと思いますが、これとそれとは話が別でございます。その学校教育を一年延ばすというのは、これは労働年令の引き下げ、あるいは引き上げになりますか、とにかく十六才にするかあるいは十七才にするかということと同時にやらなければならぬことだ。これをそのままにしておいて学校だけを一年延ばしたところで、それはまた特権者がそこへ行くだけの話でございまして、労働青年はどうにもならないということになるかと思うのでございます。これは別な問題かと思うのです。むしろその一年延ばしただけの基礎教育を、今申しました現場と結びついた学校、教室でみっしりやるということは、現在の制度のままでは不可能ではない、こういうように考えるわけでございます。  こんな学校になりますと教員の負担は非常に加重となります。これについてはまた別途に定員の問題なりあるいは待遇の問題を思い切って措置を講じなくてはやっていけないということになることであろうかと思うのでございますが、それもあわせてぜひお願いいたしたいわけでございます。  こういうふうな学校ができますと、一つ高等学校を作れば、それが週に二日行くとすれば三倍、一日行くとすれば五倍に回転するわけです。そうしますと、一つの高等学校を作れば、それの収容のできる学級数というものは現在の三倍なりあるいは五倍、こういうわけです。こういうものがややまとまった工業地帯にできまして、できましたならば農村地区で工業地区のために——たとえば信州で東京へ出る者のために工業高等学校を作らなくちゃならないというあの地方の悩みが、これによって解消されはしないか。もうすでにその下地は私の知っております範囲でもずいぶんあるのでございまして、たとえばある地区の中小企業では、何か連合して教育機関を作ろうか、そのためにはまず第一に賃金格差をなくしておかないと工合が悪いということで、それをとってしまって、もう待っておるような状態です。といって、中小企業自身でもって施設設備を全部やるということはなかなか困難である、こういったところへ持っていってこういうものができましたならば、またその中小企業の側といたしましては、そういう教育機会を与えるという条件がない限りは、もう中学校卒業生がこなくなってしまいますから……、そういう今時代になっております。  それからもう一つは、自分の職場の中のいろんな新しい設備に対して、それをどうこなしていくかということにこの基礎学力が非常に必要だということも身にしみてわかって参ります結果、そういうことがちょいちょい出てきておるわけでございます。こういうやり方をやりましたならば、今後の青年の人口のピークの時代に対応する措置といたしましても、また農村の青年が自分の居住と生活が保障されて、そうして学校へ行かれるというわけでございますからして、これはだんだんと出て参るに違いないということも考えられるわけでございます。そうしてそうすることによって、例の全員高等学校入学あるいは中等教育を全員にという理想がおのずから実現される。経済の成長に伴いまして高等学校志望というものは、これは急激にふえると私は思っております。それに対する一つのやり方といたしましても、これは適切ではないだろうかということを感ずるのでございます。  ところがここで一番問題になりますのは、そうすることによって、教育が産業に奉仕するだけになりはしないかという懸念です。これは大きな問題でございまして、理想的に申し上げれば、教育が産業に奉仕するのじゃなくて、教育が産業をリードしていくということでなくてはならないと思うのでございます。要するに、これはあくまでも青年のためにやるのだという観点に立ちましてお考えをいただきましたならば、おのずから行き方があるのではないかと思うのでございます。  それで、今度現実に今出ておりますこの案につきまして、その提案理由として述べられたところを見ますと、「このことにより学校と産業界との相互の連携を密にし、技能教育についての能率を固め、もって科学技術教育の振興に資することといたしたのであります。」といったようなことが述べられてございまするが、言葉じりをつかまえて何か申し上げるわけではございませんが、これからの感じは、こういう立場あるいはこういう考え方でこれがもし出発をされましたならば、これはおそらく間に合わせに終わりはしないかということを懸念するのです。もしそうならなければ非常に幸いだと思っております。間に合わせという意味は、産学協同ということがただ機械的な結びつきになる。それから一方にはせっかく協同ということへの要望があったのに、夜学の通学が二重の負担になっている、それが健康をそこねる、また実際に調べてみると、そこねております。一つにはそういうことを防ぐためにやらなければならないことであったはずなんでありますけれども、現在の都市の定時制高等学校、おおむね全日制の夜学でございますね。夜学の全日制みたいなものですが、これをこのままにしてやりますと、これは夜学を奨励する結果になる。せっかく夜学の弊害があるからやろうとするものが、一方では夜学を奨励するような結果になりやしないかということをおそれるのであります。  それからもう一つは、内容が非常に低下しやしないかということです。一体、教育行政ということは、言うまでもないことですが、前向きに教育を高めることが教育行政で、これを堅持してもらわなければ教育行政ではないと思うのです。ところが、こういうことをやることによってかえって内容を低めるなんということになりましたら、これはとんでもない話だと思うのです。  これも関係があるから申し上げますが、例の臨時高等学校教員の養成、あれにいたしましても、あれは中学校の先生は大学を出ているんでしょう。高等学校の工業教員は大学を出なくてもいいというのでは、まるで高等学校を中学校の下におろすことですよ。一生涯二級の免状を持って、そして劣等感に悩まされている、そういう先生を教育して作るというような教育が一体あっていいのかどうかというふうに思うのです。これは別の問題です。ところがそこの先生が今度ここへ来ると思うのです。そうすると、こういう学校がそういう先生でもって構成されますと、生徒は学習意欲なんか出ませんよ。こういうことで行政が教育のレベルを下げる方向へ向いていったならば、この進んでいく科学技術の技術世界に対しましても、はなはだどうも遺憾だと思っている次第なんでございます。  それからもう一つは、先ほども出ました四年制の問題、これはおそらく主として中小企業が最も恩恵をこうむるところだと思いますが、その中小企業で、四年間夜続けて修学するということが一体どの程度できるか。今もそうでありますが、中途退学というものがやたらにふえるのではないかというようなわけです。それで、一体どれだけの決意をもってこれを始めるのかということですね。  それからもう一つ、学校と産業界との相互の連携を密にする、連携を密にするというのは、どこで密にするのかという点ですね。そういったところをもっとはっきりさせなければ——具体的な問題としましては、一体そういう生徒はだれが責任を負うのか、企業主が負うのか、あるいは生徒個人が個人個人の責任で個人的にこれは学校へ出入りするつもりなんですか。これをやっていく上にはそういう点をはっきりさせておきませんと、これははなはだ困ると思うのです。  だから趣旨といたしましては、方向といたしましては、大衆の高等学校教育といたしまして非常にいいのでありまするけれども、現在のままでこれを間に合わせに始めるということに対しましては、私はかえってこれは将来青年にとってマイナスになるのではないかと思うのです。内容を読んでみますと、まるで青年を大人の世界の便宜のためにこの教育をいろいろやっていくというような印象がするんです。それでは事をあやまると思うのです。あくまでも青年のための教育ということを、しかもその青年は三十年、五十年後の世界に生きる青年だということを一つ頭に置いていただきまして御審議のほどをお願いできれば、非常に仕合わせだと思っている次第でございます。(拍手)

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 次に、林博夫君より御意見の開陳を願います。

林博夫神戸市立産業高等学校教頭

○林参考人 私林でございます。私は、直接今対象になっておりますような生徒をつかまえまして、毎日教育をしております現場の教員でございます。そういう立場から、私が考えておりますことの要点を申し上げたいと思います。  現在のわが国の定時制高等学校制度というものそれ自体につきまして、いろいろ御意見をお持ちの方も多かろうと思うのでありますが、そこまで今論じておりますと、話が進まないのじゃないかと思います。それで、一応現在の定時制高等学校制度というものを現在のままで認めまして、そうしてこれをさらに一歩前進させるためにはどうしなければならないのかというような前提に立って、意見を述べたいと思うわけであります。  現在大企業あるいは中小の企業で養成工として働いております青少年が、定時制の高等学校に相当多数入学して参ります。また、行きたいけれども行けないという子供たち——行けないのにはいろいろな理由がございますけれども、あまり喜ばれないということもありましょうし、あるいはその他もろもろの条件で、行きたくても学校に行けないという生徒が多数おるわけでございます。そうして、そういう生徒たちが学校へ参りますと、必ずしも工業科に学んでいるとは限りません。普通科あるいは商業科と、いろいろな課程に学んでおるわけであります。そうしますと、昼間自分たちが従事しております職業の分野と、夜間は、全然別個のことについてさらに学習をしていくというような結果が出てくるわけであります。そのこと自体、必ずしも悪いというわけではございませんが、確かに目標の分裂をしておる青少年が多数ございます。  そこで、この学校教育と技能者養成教育の両方について考えてみますのに、各企業では、それぞれの企業に合うような人間の形成、何々会社のその社風に合う人を作ろうとされると思うのであります。ところが、その内容を見ていきますと、いわゆる基礎的な教科、瀞通の教科の指導という点になりますと、すぐにそれが生産に直結するものではございませんので、具体的に例を申しますと、化学であるとか物理であるとかいうものを教えますのに、あまりにもその施設、設備が不十分であるという事例が多いということを私は見ております。中には、そういう点について例外もあるでありましょうけれども、一般に基礎教科につきましては、不十分な点が多いのじゃないか。あるいは、社会にしましても、国語にしましても、そういうような教科の適当な指導者というような方が、企業では非常に少ないと思うのであります。ところが、学校教育よりも非常にすぐれていると思われる点は、物に即して教えるということ——これは現実にその企業内にいろいろな物があるわけでありますから、それを単に写真で見せたり観念的に教えるのじゃなくて、実際の機械に即して指導するという点では、確かに学校教育よりも長所があると思うのであります。それから、いろいろな機械の更新でありますが、予算関係で非常に窮屈なために、学校におけるところのいろいろな施設、設備は、古い時代のままのものが使われておる。にもかかわらず、各企業では次次と新しい機械が入ってきまして、それらによるところのやはり物に即したところの教育が行なわれるというような点は、確かに企業内の教育が持つ一つの長所であろうと思います。従いまして、こういうように両方の教育が長所、短所を持っておるわけでありますから、これをうまく連携をしていくということによって、より一そう教育効果を上げるということは、私は不可能ではないと思うのであります。  そういう点から考えますと、確かにここに問題がございます。学校教育で考えておりますところの人間形成と、企業自体が考えます人間形成というようなもの、あるいは教育の目標といったものは必ずしも一致しているとはいえないと思うのであります。目標が違うと思うのであります。けれども、私の考えますのには、企業内の教育であろうとも、やはり国の教育としてそこに公の教育の一貫性を持たせておくということが必要じゃないかと思うのであります。それがばらばらであっていいものではなかろうと思います。  それから次に子供の立場から考えますと、非常にかわいそうだと思いますのは、現在定時制高等学校に通っておる大部分の人たちは、自分で個人の責任において学校に来ておるわけであります。従って卒業しましても何らその資格がその企業において認められない。どこまでも中卒の学歴のままであるという点、この点子供たちにとっても非常にかわいそうじゃないかと思います。従って両方の教育を緊密に連携をとることによりまして、より一そう教育効果を上げるような工夫をすることは不可能ではありませんが、ただこの場合に考えなければなりませんことは、やはり職業教育、職訓の一つの系統があります。学校教育もやはりその体系を根本的に乱していくことはこれは考えものだと思うのであります。けれども、これは運営の問題でありまして、決してそういうことが不可能なことでもありませんし、実際において行なわれるのじゃないかと思います。ちょっと具体的に申しますと、社会科であるとか数学、理科、保健体育、芸術、外国語というような教科は、これはやはり学校教育でする方がより効果的ではなかろうかと思うのであります。それから職業に関する専門教科、これはそれぞれの企業によって違いますけれども、適当な指導者があるならば、工場においてそれらの教育をされて効果を上げられることもまたいいのじゃないかと思います。  それから現に私ども体験しておりますのは、一番問題になってきますのは、先ほどからもお話に出ておりました中小企業の場合でございます。一つの事業体で五人とかあるいは三人とかいうふうにしか中学卒業生を採用していない場合、三人なり二人の生徒に系統的な教育をすると申しましても、人の問題あるいは施設、設備の問題、その他で実際は不可能でございます。そうしますと、同種のそういう企業の方が合同されまして、そこに共同体をお作りになって共同で養成されるということが当然必要になって参りますが、その場合にはやはり学校教育と連携をとっていくことの方がより効果的ではなかろうかと思います。現在私の方でそういうのに関係しておりますのに、これは神戸でございますが、三菱重工の共同養成、川崎重工の共同養成の養成工の教育というようなものを連携の立場から取り扱っております。  それで時間内に申し上げたいと思いますが、よく私どもここで考える必要があると思いますのは、現在定時制高等学校へ来ておる生徒は、中学卒業生のわずか七%あるいは八%でございます。そうしますと、残りの大部分の生徒は進学の意思がないのかと申しますと、必ずしもそうではございません。残りの大多数の勤労青少年をどうしてやろうか、教育の機会をこういう人たちにも与えてやりたいと思うのであります。ところが同じ与えるにしましても、それがより有効に効果のしがる与え方でなければ意味がなかろうと私は思うのであります。それでこの問題は非常にいろいろな角度から問題点がたくさんございます。事業内の職業訓練と申しましても、程度の差がいろいろございます。一がいに一口に片づけるわけにはいかないと思うのでありますが、今のこの段階で、一応現在の制度を認めるという立場から考えますと、この際わが国の工業水準を高めていく一つの手段とし、また多数の勤労青少年の欲求を満足させてやる方法としまして、この学校教育法の一部改正案に私は賛成するものであります。  私先ほどからの参考人の方の御意見がありましたように、この制度あるいはこの一部改正によって決してすべて目的が達成される、より理想的なものであるとは思っておりません。けれども、現段階としてはやはり一歩前進のためには必要ではなかろうか、こういうような意見を持っております。以上であります。(拍手)

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 一応以上をもちまして参考人よりの御意見の開陳は終わりました。  これより委員各位からの参考人に対する質疑に入ります。  質疑の通告がございますから、これを許します。村山君。

村山喜一日本社会党

○村山委員 乗富参考人にお尋ねいたしますが、いろいろ御意見をお聞かせ願いましたけれども、その中で現在の事業内訓練所がやっております、実際指導員という資格のもとにやっておる人たちの免許状の関係ですが、これにお触れになりまして、教職員の現在の資格というものは免許制度にあるのだが、これは実質的には指導員との差はないのだから、免許制度というものを変えるような方向において考えたらどうかというような、こういうような御意見があったわけでございます。それで、企業によっても指導員というものは非常に質に差があると思うのです。乗富さんのところのように、優秀な会社の指導員は大学を出られて、そうして教育心理学等も十分に学習されたような方々が、しかも適正な性格を持つ人々が指導員として教育をされていることと思うのでありますが、その会社によりまして非常に差があり過ぎる。ただ専門的な技術については経験が深い方が多いかもしれませんが、これを実際教育上の立場からそういうような教育をするという考え方をまだ十分に体得されていない方も中にはあるのじゃないかと思うのであります。事業内訓練所のいろいろな教育の状況をお聞きしてみますと、ただ精神教育をやっているようなところも中にはございまして、非常に社会科の取り扱いなんかも問題があるようでございますが、そういうような実情というものはどういうふうに克服をしていった方がいいとお考えになっているのか、それをお聞かせを願いたい。  それから桐原参考人にお尋ねいたしますことは、いろいろ有益な話をお伺いしたわけでございますが、この提案の理由というものが、そういうような場当たり的な感じを与えるというようなことで、私たちも懸念しておりますようなことを四点について御指摘を願ったわけでございますが、そういたしますと、基本的にこの問題についてどういうようなかまえで取り組んでいかなければならないかということが一番大きな問題であって、ただ学校教育というその法律を改正するというだけでこの問題を解決はできないと私たちは思うのです。特に今回文部省の方でこの制度改正につながるような大きな問題に取り組んでいるにもかかわらず、予算的には七十万円くらいしか用意がされていない。こういうような実情から、ほんとうに文部省が教育という体系の中に、現在の職業訓練法等に基づく非常に中途半端な腕だけをみがくような技能者養成をやっておるような内容のものを、これを少なくとも中等教育の後期の体系の中に組み入れて水準を引き上げていくのだというような、きわめて雄大な考え方を持って提案されているようには残念ながらうかがえないわけでございますが、先生がこの問題をどういうふうに、意見としていろいろな御意見が述べられましたが、最終的にこの法律案に対する御見解といいますか、賛成か反対かということをお述べ願えたら幸いだと思うわけでございます。  それから林先生にお尋ねいたしますが、実際現場において幾多の職種に分かれている勤労青少年の教育を行なっておられる際において、ただいま川崎重工業あるいは三菱重工業、こういうようなところの共同養成を例としておあげになりましたが、そういうようなところでは大体旋盤工であるとか溶接工であるとかいって一つの職種がきまっている。だから、教育の体系の中に織り込んでいくためには、非常に簡単といいますか、複雑性がないためにまとまった一つの集団として教育ができると思うのです。ところが、例のあの中小企業の人たちがやっております共同養成所の職業訓練、これを見てみますと、ほとんどといってもいいくらい、七五%くらいは一人ないし九人くらいしか雇っていないような小さなところでございます。もう二十人以下というところが全体の八五%を占めている。しかもそこには大工であるとか、いろいろな左官の見習いであるとか、あるいはそのほか機械、電気、そういうような種々雑多なものがございます。そういうようなところで働いている者が一つの定時制の学校に集まってきたときに、はたしてそういうものまで組み入れていくところの学校教育体系の中でそのような措置が講ぜられるかという点であります。それで、技能者養成施設として指定をするところが限られていくのではないかという点から、実際問題として、これはそういうような大企業は自前でやるところはいいといたしましても、中小企業でも、そこに何百人かのまとまりを持ったところしか対象として取りしげられない可能性が出てくるのじゃないか。そうなった場合に、実際進学の希望に燃えながら働いている青少年、特に中小企業の従業員で、しかもそういうような種々雑多な職業についている人たちの、働きながら学ぶところの単位というものをどのようにして修得を学校教育体系の中でさしていくかという問題、これを御意見があれば承りたいと思うのです。

乗富丈夫日本光学工業株式会社常務取締役

○乗富参考人 御質問に対しましてお答え申し上げます。  指導員と教員との資格の問題、免許の問題は、この改正案の内容に直結はしておりません。ただしかし先ほど桐原参考人が指摘されましたように、産学協同という言葉がここに使われておる。そこの一番大きな面として、これは教科目を共通するというようなこと以上に、もう少し大きな結びつきがなければならないが、その大きな問題の一つとして、教職員、指導員の問題があるわけでございまして、現時点でこれを考えてみますと、これに共通性を持たせることには無理があるわけでございます。なぜかというと、発生とか今までの条件がずっと違ってきておりますから。ただし将来として考えますと、職業訓練の制度におきましても一級技能士は指導員の資格を与える、すなわち一級技能士と申しますと、三年の基礎の職業訓練を受けまして、少なくとも十年近い現場経験を持った者について国家試験を課した者、これを通りました一級技能士は相当の知識、技能があるものと考えられるわけでありまして、これに対しては指導員の資格を与えられる。こういう指導員と今の高等学校の教職員の先生方との間に実力的にどれだけの差があるだろうかということが言えるのであります。そのことは、二面は職業訓練の中では教養課程と申しますか、そういうものと実技課程がありまして、実技問題につきましては、これは申し上げるまでもなく、高等学校の教職員の方よりは実技を経た者の方が実技指導員としての適性はあるわけでございます。この点は、かりに産業高等学校という案を考えました場合に、どうしても実技課程の先生が必要であり、その先生はどうやって得るかというと、やはり実技経験を経た者から得ることになりますと、この部面はそういう面で実質的には教育されなければならぬ。それから学科と申しますか、教養学科目につきましては、その学科の内容なり単位というものを規定いたしまして、それを教えられるという逆の立場から免許を考えていかれて、いわゆる学歴とか経験ということ以上に実際問題を考えられたらいいと思うのでありますが、その中で関連学科というのがいま一つ問題になるのです。その関連学科としては、職業訓練の技術、技能に関係のある学科、たとえば機械関係でいいますと、工作技術とかあるいは材料学とかいうようなものであります。そういうものにつきましては、たとえば高等学校を出て相当長い経験を現場で経た者の持つ知識というものは非常に具体的であり、かつ有用だと思うのであります。そういう場合に、その学歴——大学を出ないからといって指導員なり教職員にしないということはおかしいじゃないか。これは一定の試験を課して、それで教職員なり指導員にするということの方がいいじゃないか。これをわれわれが実験的に考えますのは、これはことしすでにおやりになったところがございますが、職業訓練の三年の課程を経た者と、それから工業高等学校を出た者に対して同じ試験問題を課して試験をするということをやりますと、現在大企業の組織立った職業訓練におきましてはほとんど差がないという例が出ております。これは実例を申しますと、日立製作所がこれをやっております。それからそのほかわれわれのところでも採用試験に、工業高等学校の採用試験の数問題は、技能者養成職業訓練の最終段階の試験の問題を出しております。その答えがどうかと申しますと、必ずしも職業訓練の方が下だということは言えない答えが出ております。ですから、実質的に考えますと、教える資格がどうだこうだというより、実質的に受け取った側の方の実力は必ずしも低くないということが出ておりますから、そういう点では別の角度から免許制度をお考えになる必要があるのではないか。ただ非常に危険なことは、文部省の免許がなければ教養科目が教えられないというようなきめ方をいたしますと、労働省は労働省で別に指導員の免許を与えておりますから、二重免許になりまして非常に混乱が起こるわけであります。ですから、これは文部省とか労働省とかいうことにかかわらず、一定の国家的な基準を設けて、それに該当する能力のある者に高等学校あるいは職業訓練の教職員の資格を与える、こういうことにされるとその辺が非常にうまくいくんじゃないか。特に今問題は、産業界では割合技術者を持っておりますが、実際には高等学校の技術関係の先生は非常に不足しておりまして、この充足を何とかしなければとうてい今の四十余万人の工業高等学校のいわゆる中級技術者を造出することは困難であります。そういう別な必要がここにあって、そういう面がむしろこの改正というよりは産学協同という面で大きな問題ではないか、と私は指摘したわけでございまして、これと直結した問題としてではなかったわけでございます。  以上でございます。

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 先ほどの御質問にごくかいつまんで、私の結論を申し上げますれば、問題はどういう立場から、どれだけの決意をもってやるかということにかかっているかと思うのでございますが、その意味におきまして、現状のものをただそのままにしておきまして、卒然とこれを実施することになりましたならば、あるいはいたずらに混乱とレベルの低下が結果するということになりはしないかと思うのでございます。そういう意味におきまして、このまま機械的にあれに持ち込むということに対しましては反対いたします。  それから産学協同という問題は、経営権と教育権といいますか、そういうものにまで実は関連がございまして、そこまで掘り下げていった上での産学協同でなければ、おそらく混乱や低下が結果するということが考えられますので、そういう根本の問題がうまく解決されれば、なお大きな決意でもって、たとえば教職員の問題一つ取り上げてみましても、もしこういう場合ができましたならば、その定員は今よりもうんと増さなければなりませんでしょうし、それから現場の実習指導に関しましても、ある程度学校側から連絡ないし監督とまでいかなくても、もちろん緊密な連絡員と申しますか、そういう技術職員もこれは相当数をたくさん持たなければならないかとも思いますので、そういうようにこれを教育の一環として取り込むという面に、はっきりした見通しがもしつきますことならば、これは賛成いたします。

林博夫神戸市立産業高等学校教頭

○林参考人 先ほど御質問がありましたことにお答えいたします。  種々雑多の職種に分かれておる中小企業の場合に、これをどう取り入れるかという御質問だったかと思うのでございますが、事実その通りでありまして、小さな工場になりますと、種々雑多ございます。しかも入ってきますと、溶接工であれば最初から溶接工としての技能だけを教え、あるいは木型工であれば木型工だけの技能を教えていくというような工場がほとんどであろうかと思います。  そこで学校としてこれを考えた場合に、どう取り入れるかということでありますが、学校は学校自体としての実習計画というものを持っております。機械科であれば機械科の実習計画、電気科であれば電気科の実習計画を持っておるわけでありまして、その実習計画を二つに分けますと、基本的な実習と応用的な実習に分けて考えております。それで学校教育で考えております場合は、基本的な実習にウエートをかけておるわけであります。応用的な方面は少なくなります。これが企業の場合ですと、逆になってくるのじゃないか、こう思います。それで学校の教育計画に合うものとして、基本的な実習をそういう小さな企業でやっているかどうかということをよく調べなければなりません。そうしますと、基本的な実習をやっていない場合には、やはり学校の実習の計画によって、学校内でそういう教育をします。従って溶接工であれば、その溶接工でやっている実習そのものが全部学校の実習になるのではなくて、応用実習の一部としてそれは認められるという考え方を持っております。またこのことは私は非常に必要なことじゃないかと思うのであります。といいますのは、企業にとりましても、特に小さな企業になりますと、職種の転換ということがかなり必要になってくるのであります。全溶接が非常に忙しいからといって、溶接工をうんと養成いたしまして、次に違った仕事が回って参りますと、今度は旋盤の方が忙しくなるというようなことも往々にあるわけでございまして、多能工的な能力というものは、大企業よりもむしろ小企業の場合に、要求される場合が多うございます。そうしますと、学校教育においてそういうふうな溶接工であっても、それに旋盤的な操作の能力であるとか、理解であるとか、あるいは木型の面についても指導しておくことは決してむだではありませんし、また全体をよく理解した上で自分の職種をさらに上げていくということも必要でなかろうかと考えております。従いまして、結論を申しますと、学校は学校として考えておる実習の体系がありますから、それに合うものについてはこれを取り入れていきたいと考えております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 乗富参考人にお尋ねいたしますが、この問題は初め産業界の方から要求として出てきた。こういうふうに私たち聞いているわけですが、今のところ、さっきお説のように青少年の念願である二重負担の解消、これは私も解消ができると思う。そういうような場合を考えますと、青少年の立場からは負担の解消という点はできる。しかしこれを実際に推し進めていった場合に、大企業の場合と中小企業の場合との要請度といいますか、これは産業界の要請度ですが、そちらの方が強くて、こういうようなものがそういうような意見として出てきたのか、そういう点がもし明らかにされることができるならば明らかにしていただきたいと思います。  それと、こういうような形で日本の中等教育といいますか、高等学校教育というものが、産学協同の形で完成の方向にいくというふうに自信を持って——今は御承知のように進学率が五九%ですか、これが所得倍増計画では完成年度において七二%、こういうようなふうに見ているようですが、実際はもっと高等学校のそれははね上がるかもしれない。そういうふうに日本のいわゆる高等学校教育というものを義務教育のような格好に将来持っていくのだというような方向に向かって、こういうような形で学校教育という、昔の学校で行なう教育というものが産業現場においても行なわれて、それが学校教育の一環として取り上げられていくのだ、こういうような方向をとることが高等学校教育の前進の方向に向かっていくのだ、こういうようにお考えになっておるかどうか。御見解があれば、ほかの参考人の方からももし御意見がございましたらお伺いいたしたいと思います。

乗富丈夫日本光学工業株式会社常務取締役

○乗富参考人 第一番目の企業内におきます技能者の教育の課程と高等学校の課程と二曲線を持たせる、あるいは省略をする、この問題につきましては、最初に出ましたのは、三十二年第二十八国会でありますが、このときの事情と現在の事情とは、先ほど申し上げましたように、変わっております。実はその三十二年にこれが決定されたときの事情というのは、それ以前の事情からきております。それ以前の事情と申しますのは、これは御存じと思いますが、戦争中あるいは昭和七、八年から青年教育ということに非常に力が入れられて、青年学校制度に発展して参りました。これが一元化された一つのいわゆる産学協同といいますか、見習工教育と、それから教養教育、公民教育が一つになった体制になったわけです。そこで、それまでに今申し上げましたような二重負担の問題は、ずいぶん各方面で問題になった結果、一元化されたと思うのです。それが今度廃止になりまして、今度出るときには、高等学校教育と技能者養成と別々の形で出発して、またこれの調整という問題が起こってきたので、何も今日起こったわけではなく、従って、ある意味では、労働者、青少年は既得権を奪われたことになっておったわけです。既得権の回復という形でこれが要求されるのは当然だと思うのです。このことは従業員がわれわれに訴える、その訴えが集まってここに出たと考えた方がいいと思います。ただばく然と業者団体や何かが、自分たちのために何かしよう、こういう意思は全然これにはないと言った方がいいと思う。従ってこれをやることは、ある意味では、定時制高等学校に通うことを前提としているだけに、反対が非常にあるわけであります。こういうことをやらない方が、かえって夜学をある程度押えられるという考え方があって、むしろ反対の空気は相当ございます。われわれが、たとえば日経連でこの問題を研究したときも、相当の反対がございました。しかしそういう狭いものの考え方で自分たちの使う従業員の要望を抑えていくということでは、うまいヒューマン・リレーションはできないわけでございます。その点がわれわれがこれを取り上げたという真相なんです。事実は、先ほど申し上げましたように、既得権の回復というようなことと考えた方が早いと思います。ただそれが、時代のテンポが非常に移り変わりまして、今日の段階では、この程度では産学協同という名はとても打てないという状況にあるわけであります。従いまして、これはごく初歩の、あるいは前提の前提といった一方が早いのでありまして、これを基礎にして、すぐ先ほど御質問のございましたような中等教育の完成という線にこれが持ち込まれるかというと、全然それとは距離の遠いものでございます。しかしわれわれはあくまでも合理化された教育訓練制度ということを目標にして考えますと、外国の例からいろいろ考えましても、これは一本化されなければおかしいわけで、先ほど申しました国の教育訓練に対する投資をごらんになりますと、おそらく相当の部分が重複されていると思うのです。これは私も最近定時制高等学校と職業訓練の関係におきまして、どれだけの重複があるかということを調べようと思っております。またこれが経営者の側に立ちましても、また個人にとりましても、相当の経費の重複になって出てきております。ですからこの点を解消するという点では、これはまず第一段としてやるべきだ、こういうふうに理解して賛成しておりますので、経営者、特に大企業の利益のために賛成しようということは毛頭ないのです。大企業としては、実は定時制高等学校に通わないでも、自分の企業の中で、労務管理上いろんな手が打たれまして、われわれのところでも職業訓練、技能者養成で、第一年目は五〇%以上のものが夜学に通いますが、三年になりますと、会社の事情がわかって参りまして、三分の一くらいに減って参ります。職業訓練を出たものと、高等学校を出たものとの間に差別待遇をいたしません。むしろ職業訓練を受けたものの方が優遇されるという状況になっております。従って親も本人もそういう理解の上に、必ずしも定時制に通って資格だけをとるということを考えないようになっております。まして、将来七二%ないし七六%のものが高等学校に入るという段階になりますと、高等学校のものがいわゆる直接作業につく、今まで中学卒のものが主としてついていた面を高等学校を出たものがつかなければならぬという段階が参りますと、今言った状況と全然変わった事情になると思います。そういういろんな面を考えまして、中学校と同じような意味で高等学校ができる。しかも職業的な産業高等学校式のものに発展していくということがやはり目標になる、そう考えるのであります。これは結局国会の皆さん方がそういう方向で押し上げていただかない限りはできないことでございまして、またそれが、外国の例から申しましても、一つの方向ではないか、私はそう考えて、その前提の前提という意味で、大いに支持しようと考えております。

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 私は前段で申し上げましたようなやり方は、実は現在の生産技術、少なくとも職業に関する技術教育につきましては、実習が非常に必要なわけでございます。その施設の一つを見ましても、今日の進んだ施設は、装置工業を初めとして学校ではとうていまねのできないことになってきておりますので、学校ではほんとうの公教育しかできないということになろうと思います。  もう一つは、先ほど申しました、特に職業的な教育に必要な労働の体験あるいは職場の人間に関する体験、それがひいては職場倫理とかあるいはそういうものに関連するわけでございますが、これも閉鎖された学校の中ではとうてい教育はできないと思うのです。そういう教育の重要な面がほんとうにうまく教育体系、つまり公教育体系の中にはうり込むことができますれば、可能であるということを考える次第でございます。それを可能にするためには、大きな立場からもう少しよく考えて、要するに公教育が企業内の教育訓練に関与し得るかというところに問題がかなりあると思いまするので、そういう点を一つ御研究の上で、はっきりした態勢を作っていくということができますれば、これがこれからの教育の、むしろ技術教育の中軸になるべきものではないか。従いまして大学の工学部への入学の連絡にいたしましても、これまでの考え方を改めていかなければならぬ、また改まると思いますが、それに連絡を持った一つの体系に組み立てることが、私は理想であり、また一番いいのではないか、かように考えている次第であります。

林博夫神戸市立産業高等学校教頭

○林参考人 私は具体的な例を二、三申し上げますが、私の学校に来ております会社の中で中田造機という会社があります。これは非常に小さな会社であります。そこは毎年五人か六人くらいの採用しかしていない。企業内で指導員がこれまで教育をやっておったわけでありますが、それではというので、私の学校へ全員よこすようにしておりますが、その結果いろいろな図面を見て自分で考えながら仕事をしていくという点で、基礎的な学力がついたために、二年生、三年生になりますと非常にいい仕事をやっておるわけであります。企業も非常に喜んでおりまして、ここでは全部の費用を会社が負担して学校へ出しております。ことしは非常に求人難の年でございましたけれども、そういうように学校教育と連携をとっております特に小さな企業などでは、ほとんど定員以上に志願者を確保しております。そういう点から企業からは非常に喜ばれておるわけでありまして、またそういう場合に学校に対して非常にこまかい注文というようなものはいまだかつて受けておりません。学校の教育方針によってやってもらってけっこうですというようなことで進めておるわけであります。ですからこういうような問題は必ずしも大企業だけの問題ではないのでありまして、むしろ喜ばれるのは、自分のところでは単独にどうにもならない小さな企業に非常に役立つ問題じゃなかろうかと考えております。従いまして先ほどからいろいろ御意見がありまして、根本的に考えなければならない問題が山積しておりますけれども、現在の状態からしますと、そういう道を一つ開いておくことが必要ではなかろうというように感じております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 どうもありがとうございました。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 山中君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 三人の参考人の方々から、この法案の審議に非常に参考になるお話をいただきましたので、まずもって感謝を申し上げます。  若干お尋ねして、なお御参考にいたしたいと思いますが、林先生は現場の先生でおられるので、政策的な問題ではなしに、訓練所内において訓練を受けておる生徒と、それから産業高等学校、そういう学校の本来の生徒と、教育的に見て人間としての長所短所、そういうふうな点についてどういうふうな効果が出ておるか、それを参考にお聞きいたしたいわけです。  その前に、産業高等学校という名称を私あまり聞かないものですから、神戸市立産業高等学校というのは夜間の定時制なんですか、あるいは産業という言葉を使っておるわけですが、内容はどういう性格のものであって、そして中小企業その他の特別の企業界との関係というものについて、創設当時から何か沿革があるのか、ついでにそれもお聞きいたしたいと思います。

林博夫神戸市立産業高等学校教頭

○林参考人 お答え申し上げます。  私の学校は神戸市立産業高等学校と申しておりますが、これは固有名詞でございますので、日比谷高等学校、何々高等学校というのと同じことでございます。学校の固有名詞が産業高等学校でございます。従いまして前に一度案がでました産業高等学校案という、その産業高等学校ではございません。それで学校の内容は機械科と家庭科を持っております。それに校舎が別になっておりますが、普通科と商業科がございます。  それで特に企業とのいろいろな連携につきましては、過去文部省から実験学校の指定を受けまして、その間実験的にいろいろな取り扱いをして参りました。これは全部の生徒ではございませんので、ごく一部の生徒につきまして、どういうような問題が起きるかというような点について研究して参りました。  それから訓練所内の生徒と他の生徒の人間としての長所、短所というお聞きの問題がございましたが、入って参ります生徒の素質が多少違いますので、養成工でかなりの試験を受けて入ってきておるのが、訓練所から来ておる生徒であります。従いましていわゆる能力的な点から申しますと、一般の生徒よりは多少程度が高いと言えるかと思います。そういう訓練所から来る生徒たちが知りたがりますことは、やはり訓練所内の教育だけでは何か教えてもらってないものがあるのじゃないか、はっきり申しますと、何かきまったその企業に合うような内容のものだけをわれわれは習っているのじゃないかというような気持が多少あるように思うのであります。学校へ参りますと、いろいろな点についてわれわれも知りたいという欲求を持っております。従いましてそういう点だけで多少違いますけれども、その他の点につきましては一般の生徒と何ら変わるところはございません。ただ連携をしていくことによりまして——この生徒は通信教育もとっておるわけでありますが、毎日登校をしていないわけであります。通信教育と兼修しまして、大体週三日の登校で四年間やっておるわけでございます。それで、これは昼間ではございませんので、夜間でございます。今の機械科、家庭科は夜間でございまして、それから普通科、商業科は昼間と夜間、両方ございます。ただしこの場合は企業と連携ということはあまりやっておりませんので、今問題になっておりますのは機械科が中心かと思います。従いましてあまりその間の人間的なずれというものはございませんけれども、ただ一般の企業から参りまして、毎日来るという生徒が多少ううやましがる。連携することによって労働時間内に通信教育などの指導もしてもらえますし、夜間負担が非常に軽減されてくるわけであります。そうしますと、やはりああいうふうに自分たちもしてもらえたらというような気持があると私感じております。以上でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 非常に参考になったのですが、職業訓練の生徒は直接の職業教育以外に一般教養を求める、足らないものを求める。それを定時制のあなたの方の学校に通学することによって、むしろそれを求めて学習するという心理があるわけなのでしょう。そこで今の夜間の教育だから労働過重ということもだいぶあるようにお聞きしたのですけれども、そういうときに一般の教養というか、人間形成という部面だけはやはり学校で責任を持って、技術教育だけを企業内訓練におまかせをして——今の法案というのは企業内の修学関係について、高等学校の卒業の単位の一部と認めるという案になりますから、そういうふうな形を、今のように一般教養的なものを学校で、それから技術関係だけは企業内でというふうに認めていって、あわせて定時制の卒業生というふうにしていこうというこの現行法案には、これが終点として賛成なのですか。あるいはそうでなくて、どこへ持っていくということが望ましいけれども、一応一歩前進という意味においてはいいのである、しかしほんとうはこうあった方がいいという教育体験からのお考えをお聞きしたいと思います。

林博夫神戸市立産業高等学校教頭

○林参考人 それについて私の考えておることを申しますと、こういうことを申し上げるとあるいはどうかと思うのでありますが、率直に申し上げまして、この十八才未満の青少年の夜間学習は、できるだけ軽減するべきものではなかろうかと思っております。従ってドイツのベルフスシューレのように、昼間労働時間内において四時間ずつ週に二回、そして一つの施設を三交代くらいに使いまして、従って今の三分の一くらいの施設で済むと思うのでありますが、充実した施設設備をしまして、昼間学習というものをもっと取り入れていくことが必要ではないか。実は夜来る生徒をこれで私十年扱っておるのでありますが、実にかわいそうだと思う点がよくございます。ですからできるだけ夜間学習を昼間学習に移していくような勤労青少年の教育が私はあるべき姿としては必要ではなかろうか、そういうふうに感じております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 あとでまたお聞きしたいと思いますが、桐原先生にお伺いいたしたいと思います。後期中等教育がいろいろな思いつきからいろいろの種類が出てきて、そしてすでに一貫した制度にする時期に達しておるという御認識をお聞きしたわけですが、これは教育行政として一まとめにする具体的な方法というのはどういうふうにすればいいか、この法案は直接そういう解決を示していないわけです。法案はとりあえず企業内教育訓練の一部を高等学校の履修の単位に加えるということで、解決ではないのです。こういう社会の要請と教育的立場というものを二元的に捨てておくのではなしに、一元化していくとすれば、具体的にはどういう方に持っていくか、従ってどの法案をどこへ進歩する方向に持っていくかということは、われわれの審議の参考になるのですが、もし具体的に御意見があればお聞かせいただきたいと思います。

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 先ほど申し上げましたように、端的に申しますれば企業内で訓練されておるいろいろな、主として現場の実習を中心にした訓練ですが、これを公教育の一環に取り入れるというやり方が何か道が開けないのかということでございます。そうなればおのずからあとは……。要するに考え方といたしましては、企業内で訓練するのも一つの公の仕事だ、私企業の仕事ではないのだということに形がなりましたならばいいのではないか。そのためには一方企業に対するある種の反対給付も必要かもしれません。それに対しては、たとえば税金の免除とか何とかいうような手で、いろいろ反対給付の道が開けるのではないかと考えておるわけです。それがもしできますれば、要するに公教育の一環にそれが取り入れられて組織されるということが終局の形になればいい、こういう考え方で申し上げたのであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうしますと、的に企業内の職業訓練施設を、定時制高等学校とかいわゆる定時制実業高等学校とか、そういう方向に持っていくということの御意見でしょうか。

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 そういうことです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それを今度は会社立のいわゆる私学としての教育でやる、あるいはその他学校法人立ということでそれが……

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 これも一つの行き方であると思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今度は乗富さんにお聞きいたしますが、先ほどこれは最初の足場として賛成だというお話でしたが、今桐原先生の言われた方向については経営者の立場からでも同じ意見なのですか。あるいは違った御意見があるのか。お聞きしておるところではまだ十分つかめなかったものですから、将来の問題としてお聞きしたい。

乗富丈夫日本光学工業株式会社常務取締役

○乗富参考人 究極の姿として考えられることは、以前の青少年問題協議会のときに一応案として出ました産業高等学校案、今の神戸産業高等学校ではなくて、産業高等学校案というのがございます。これはそのモデルを英国のカウンティー・カレッジというのにとってございます。あるいは今のドイツの制度にも、大学につながるという点では関係があると思います。そういう形を一応考えたことはございますが、これはいろいろ問題がございまして、結局そのままになりましたが、そういうことが望ましいし、これを学校法人という形でやるのがいいのか、あるいは公共的な、国なり地方自治体がやるのがいいか、あるいは業界のような一つの団体がやるのがいいか、これは方法論としてはいろいろ問題がございますが、しかし、そういう形でやった方がいい。今の私立の職業訓練制度をそのまま職業学校的なものにするということと、具体的にはそういう形もあると思います。桐原先生の言われたような形もありますが、もう少し別な形へ持っていきませんと、二元的になっておるものを一方的な形だけできめるのは、実際問題としてむずかしい。そこまでいく段階といたしまして、先ほど私は教員資格の問題を申し上げましたのは、学校の教壇で一定の教育免許を持った先生が教えなければ単位にならないという考え方は、教育訓練という広い意味からいうと少しおかしい。これは学校でおやりになれば、もうすでにそれだけで教員資格があるなしにかかわらず、一つの学習単位と考えるし、それから資格のある先生がどこの場でやってもその教育は一定の単位として認めるということにならなければいけない。従って、そういう認められた人が職業訓練の制度の中で教育しても、やはりその人が教えたものは単位として考えるという考え方が必要になってくると思います。と申しますのは、定時制高等学校に就学しなければ単位をくれないということはちょっと問題になる。そこに通学しなくとも教える人が教えたら、その単位はそのまま認めていいのじゃないか。それをずっと就学して参りますと、職業訓練制度でもって十分にやっていれば、その期間なり、その科目については職業訓練の場においても単位が認められて、残りの補充すべきものだけを学校に通って補充するというつなぎ方ができるのではないか。すなわち、たとえば定時制の四年制ということを考えまして、職業訓練の三年制を基準に考えますと、職業訓練三年制でできなかった不十分な面を定時制の四年に編入することによって、最終段階の補習をして、それが高等学校を出たものとして大学へつながっていくという方法がまず最初の段階として考えられなければならないのではないか。これが段階としての問題であります。  それからまたこれは何べんか先ほどから参考人の方々の中で言われたことでありますが、四年制の定時制高等学校というものは六・三・三制の中からいうとおかしいということがいえるわけです。大綱をくずしておるのはそのものがくずしておるので、それを三年制にして、三年制の職業訓練制度とつなぎ合わせていくべきではないか。そうしますと、どうしても労働基準法を変えて、青少年の教育は労働時間の中にしなければならぬという、前の青年学校なりあるいは技能者養成規程において取り上げられたその基準を適用してもいいのではないか。要するに昼間に教育を受けるという形が必要になってくるし、それはある程度の義務制にするということが必要になってくるのではないか。その場合にどうしても学校施設でない訓練施設でやる場合に、その教員は学校で認めると同じような教員が来て学問を教えたら、その単位はやはり学校で教えたと同じ単位にしたらどうかということが問題になるわけです。それから今、職業訓練の側から申しますと、学校教育基本法という法律がありまして、教育はこの法律によらなければならぬということになっております。従って、他の職業訓練法によって教育を行なうことができないので、訓練は行なわれても教育はできない。従って教育はしたいことになる。実際には相当教養科目をやっておりながら、関連学科とか別々名目で、内容は同じことをやるわけですね。そこに一つの問題点があるわけです。従って教育基本法というものをもう少し広くして、あらゆる職業訓練の場においても教育ができるという態勢が必要だと思う。職業訓練の方の、先ほど御質問の中にあった教育の程度が低いとか非常にばらばらだというようなことは、結局教育してはいけないという法律があるから教育をしたい、それで程度が低くなるわけで、教育するような態勢をとりますと、職業訓練それ自身で相当の教育ができると思う。そういういろいろな開くべき道はたくさんございますが、現段階としては産学協同という問題もありますし、また教員をたくさん必要とするというような状況もありますし、あわせて今の制度そのままを両方を生かして、それをどうつなぐかということを考えますと、まず編入をするとかあるいは課程を認めて、そうしてそのもので大学につないでいく、こういうことを考えるべきであって、その次にそれが融合した一元化された産業高校へ前進していくということの方が実際的ではないか、そう考えるわけです。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 資格のある者が教育すればそれは教育と認定すると、家庭教師を連れてきても認定ということになるのですから、そういうことにお考えになるとまただいぶ問題が複雑になると思うのですよ。そうではなくて、職業訓練なり、教育はしておる。教育はしておるけれども、高等学校の教育としては認めないというだけなんですから、教育を禁止はしておらない。技術教育はしておるのですから、訓練という言葉は表現だけの差ですから……。ただ、今お尋ねしておるのは、とりあえずは今のような格好で企業内の職業訓練をしておる一部分の課程は、定時制に通学をしておる生徒を条件として単位として認める。そのことはいわゆる人間形式という一つの教育の目的から、知識とか技術の切り売りでなくして、全体的に教育というものは考えなければならぬものですから、定時制の通学をしておる生徒を条件としておりながら、職業訓練の学習の一部をその課程に入れるということは、これは人間形成という立場からいって差しつかえないという、文部当局の立法の精神からこれは提案し、説明しておるわけなんです。その点はそれで一応はわかるわけですが、今、乗冨さんのように、とにかくここに勝手に免状のある者は家庭教師でも何でもすれば、みな教師としての資格を与えるというのでは、また問題が違ってくると思う。ただ、お聞きしておることは、これから企業内のそういう技術教育、訓練と称してもいいけれども、実は教育ですね。それがもっと充実したものになっていって、そうして企業内における職業訓練という施設を産業高等学校として一まとめのものに持っていく。そしてそれは企業の一つの責任においてやるが、もちろん教育基本法にのっとるという公教育の性格を持ってき、またそういう経緯については一般の行政において免税措置をとっていこうというふうなことにいくのが、桐原先生はそれは理想としていいじゃないかということなので、それで企業の立場からでも、そういう経営の立場と同時に、教育の自主性を認めて人間形成については利己的な形成をしないで、日本の教育基本法の精神に基づいた人間形成をするという公教育の性格を認めて、そうして企業内に完全なる一まとめの高等学校の教育、いわゆる産業高等教育ですか、そういう方向にこれを持っていくということについて御賛成なのかどうかということを今お聞きしたのですが、それはいかがですか。

乗富丈夫日本光学工業株式会社常務取締役

○乗富参考人 最終段階として、それは目標としては私は賛成でございます。おそらく業界の者は全部賛成すると思います。ただ、それはただ目標であって、状況はあまりに現在は離れ過ぎておるわけですね。ですから壁にかいたもちにならないようにという意味で、やはり現段階の目標というもの、すぐ前の目標、たとえば編入に置くとか、あるいは大学へ袋小路をあけるとかいうことに第一段階を設けていきませんと、どうも具体性がないように思うのであります。しかし遠い目標としては、産業と教育が一元化された産学協同の態勢というものがあるべきだと考えます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 遠い目標でなく、近い目標で考えておるのですがね。そこでそのときに企業の立場で、やはり国民教育にも大いに協力するのだ。同時に企業の立場も考えて必要な技術も指導するという、そういう精神が確立されていないと、何か観念的であるし、遠いように思われるのです。そういうことでなしに、日本の経営者が人間形成という教育の立場を理解をし、必要な技術教育とあわせて、経営の費用をもって教育についてもわれわれは貢献しようという考えがあれば、近い目標だと思う。その一番の問題は、先ほど話しました労働時間以外、勤務時間以外のときに労働過剰になって、青少年の心身を傷つけるような今の行き方でなしに、一定の勤務時間のうちに、週に一日あるいは二日を中間に置いて教育するという気持にならないと、これから教育できないわけです。そういうことを含んで企業者が考えていなければ、今の法案にただ賛成というならば、利用するだけだと思う。一般の定時制教育、必要なところは利用するだけ利用して貢献はしないということでは、経営の立場から教育に対して、むしろ悪用するだけだというように私は思うので、その辺の精神は経営者の方々から聞いておかないと、われわれはとても自信を持って——こういう法案についてまた考えなければならぬことが出てくる。何となれば経営者の意見というものは、現在の文部省にずいぶん影響を与えますから、必要以上に教育の自主性をつぶすほどに影響を与えますから、申し上げるのですが、そういう意味において、今乗富さんは、ずいぶん用心して言われた。法案に賛成、反対ということは、賛成だということをおっしゃった。それはけっこうなんです。しかし、それが終点であるというので、あるいは今考えておるのは遠い将来のことであるような気持では、ちょっと、あまり企業的立場であり過ぎると思う。  それだけ聞いて私は質問を終わりますが、要するに、法案では終点ではないのだ。これはもっと産業と教育の一体化をはかって、教育の自主性を尊重しながら、各企業に直接役立つような方向に持っていくことに賛成であるということを御二人に聞けば、私は質問を終わります。一つその辺皆さん一言ずつお願いいたします。

乗富丈夫日本光学工業株式会社常務取締役

○乗富参考人 申すまでもなく賛成でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 最後に一言ずつ御意見をお聞きしたいのです。

桐原葆見日本産業教育学会々長

○桐原参考人 先ほど来たびたび申し上げますように、先ほど申し上げましたような終局の形ができることは賛成なんです。  それからなおちょっとつけ加えますが、企業内に今高等学校がございますね。たとえば石川島造船、あるいは丸善石油、あのやり方をお考えいただきましたならば、今、乗富さんのおっしゃったようなことについて、どういう形になるかという行き方が、多少形が現われてきやしないかということも御参考までに申し上げておきます。

林博夫神戸市立産業高等学校教頭

○林参考人 教育の自主性ということをどこまでも堅持しまして、緊密な連携をとることに教育——公の教育でございますが、国の公の教育という自主性をくずさないで、緊密に連携して教育の効果を上げることは賛成でございます。  それから先ほど申し上げました、企業の責任において学校法人を作るという考え方につきましては、この精神がそへいう方向にいっておりまするならばけっこうでありますが、その際考えなければなりませんことは、企業の責任においてできない企業がたくさんあるということであります。ですから、そういうような企業に対しては、やはり地方自治団体等においてそういう機関が設けられるようにあわせて考えることが必要ではなかろうかと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 他に質疑はございませんか。——以上をもちまして参考人に対する質疑は終了をいたしました。  参考人の各位には、長時間にわたり貴重なる御意見をお述べ下さいまして、まことにありがとう存じました。本案審査の上に多大の参考になることと存じます。  それでは次会は公報をもって御通知たすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗