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38回国会衆議院1961/03/22

文教委員会 第9号

発言数
97
登壇者
11
会派数
3
開催日
1961/03/22

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  質疑の通告がございますので、これを許します。三木君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 科学技術の異常な発達と、所得の倍増計画によるところの産業界の要請にこたえるために、科学技術教育の振興と技術者、なおその教育者の育成ということが当面の急務であって、そういう建前から政府並びに文部省ではその対策を立てられ、着々とその仕事を運んでいかれたことにつきましては、しごくもっともなことと思うのでございます。それなるがゆえに、今次提案になりましたところの国立学校設置法の一部を改正する法律案の中に各国立大学の教科を設定して進めておられるわけでございますので、もとよりこのことについてはわれわれ反対するものではないのでございます。しかし、私は次の諸点につきまして文部省、並びに科学技術庁の長官がおいでになりましたら長官にお伺いして、明らかにしていきたいと思うのでございます。  まず先般科学技術庁長官にお伺いいたしたことは、この所得倍増計画と人材の確保ということにつきまして、文部省と科学技術庁の間に見解の相違があり、かつまた人数の違いがあった点は前の委員会で質問し、そういう点をお伺いしたのでございますが、私がここで非常に不思議に思いますことは、これも科学技術庁長官の方ではうっかりしておったというような形で御答弁があったわけでございますけれども、この委員会で文部省の計画とそれから科学技術庁の十年の計画との間に差異があるということを申してから、科学技術庁においては急に勧告の形でこれを出されたというように私は思うのですが、そうしたところに場当たり的なものがあるのではないかという点です。これは非常に大きな国の所得倍増計画というような計画と対処するにしては、あまりにも場当たり的ではなかったかということでございます。なおその後再度勧告が行なわれたわけでございます。これは私立学校の振興をする中で科学技術者を養成していくことができるじゃないかということの勧告がなされたわけでございますが、これとてもいろいろ私たちの方から追及していく中で私立学校の問題が出されて、そうしてそれを勧告していくというような形でこのことが科学技術庁においては取り上げられておったような感がするわけでございます。こうした点は、当の長官でなければもちろん責任ある答弁はできないだろうと思いますけれども、しかし文部省もこのことについては一連のやはり責任があると思うわけです。そうした点をここに一つ明確にしていただきたい。言い直しますれば、さきの勧告はここにおいて質問がなされてから非常にあわてた形において出されたような感じを持つわけでありますが、文部省の方ではそれをどういうふうにおとらえになっておるか。また私立学校におけるところの技術者の養成の問題も急遽出されてきたような感じがいたします。私たちからいたしますと、科学技術庁設置法の建前だけでこのことを勧告されたごとき感を抱くわけでございます。その点について文部省としてどう把握されておるか。なお勧告に対してどういう措置をおとりになる考えかということをお聞かせ願いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お尋ねの点でございますが、科学技術庁からは御承知のように長官名で勧告を一ぺんだけ受けております。二度勧告が出されたようなお話でございますが、勧告書というのは一回限りでございますので、御了承いただきたいと思います。すでにこの委員会でも御検討をいただきましたように、科学技術庁からの文部省に対する勧告は、三十六年度の予算そのものでなしに、将来に向かって大学卒業程度の科学技術者が不足するという推計になっておることは遺憾であるから、その穴埋めを十分考えたらどうか、なかんずく私学にもっと依存するような気持で対処したらどうかということが主眼点であろうと思うのでありまして、これは勧告を待つまでもなく当然考えらるべき筋合いでございまして、そのことについては、内閣自体としましても、また科学技術庁と文部省との関係におきましても、そごはないわけでございます。ただ具体的に三十七年度以降これをどういうふうにしてやっていくかは、十分関係省庁と打ち合わせていきませんと、結論が出ないわけでございまして、そもそも科学技術会議の答申案が出されますときから、それだけの人材不足であるということははっきりと認められながら作業が進み、三十六年度の予算案の策定ということに相なったような経過でございます。当時私は科学技術庁と兼務いたしておりまして、もともと所得倍増という一つの政治目標は、御承知の通り池田内閣ができましてから立てました目標ではございますが、これよりさき、去年、おととしから、科学技術会議は一般的な科学技術振興の見地からの総合的調査を委嘱されまして検討を加えておった。その途中で所得倍増という十年後の政治的な経済目標というものが登場して参りまして、その問題ともからみ合わせつつ作業が行なわれまして、昨年の夏に答申が出されたことは御案内の通りでございます。そういうことでございますから、先ほど申し上げた通り、政府側としても、官庁側としても、科学技術会議の答申案作成の過程におきましては、連日額を集めて相談をしつつ、あらゆる緊密な連絡をとりながら答申案の策定に協力して参ったのであります。それでもなおかつ九万七千人ぐらいの大学卒業程度の科学技術者の不足を指摘せざるを得ない姿で答申がなされたわけでありますことは、これはまことに遺憾ではございますが、現実問題としていわば仕方のないものだと認識されての答申であったと承知いたしております。それはむろん仕方がないといって投げやりにするという意味ではございませんで、さしより昭和三十六年度においても十年間を通じて九万七千人の不足に対する努力は続けていくべきだ。それについては関係省が十分に打ち合わせをしながら、政府関係はもちろんのこと、国立、公立はもちろんのこと、私学関係においても、あるいは民間の会社、企業体とも緊密な連絡をしながら、現実問題を一歩でも完全な方向に歩み寄っていく努力をしようじゃないかということで、相談すべき課題として残されており、現にそういう気持でみんな対処しておるような次第でございます。こういうふうな穴があきますことはやむを得ないと申し上げるゆえんは、いつかもこの委員会で申し上げましたように、申し上げぬでも御推察の通り、世界的な科学技術の急テンポの発展、それに応ずべき人材教育の混迷と申しましょうか、これは世界的な悩みでございまして、ひとり日本に限らない。米英には遠く及ばない原子力開発の問題を中心にいたしましても、将来に向かって大へんな努力を必要とする。しかもなおエレクトロニクスとかその他最近代的な科学技術の分野が具体的に実生活に関連を持ってきます。それに関連する産業に対する人材も続々と必要とされるわけでありますが、その急激な需要に応ずべく、今までの国、公、私立を通じましての大学教育のあり方から、不足しておったことはやむを得ない事実でありますために、それをスタート・ラインとして、将来の十年を考えます場合には、ただ計数だけを合わせるだけならばわけないことでございますけれども、施設、設備から教授陣からすべてをそろえてきまじめに現実性のある計画を立てるとなりますと、国会の御審議をお願いするにいたしましても、はっきり今申したような事情をごらんに入れて、そのギャップのありますところは現実問題としてとらえて、あらゆる努力を積み重ねるということ以外になかったわけでございます。  先日もここで申し上げましたが、日本の生産力あるいは国民総生産は戦前に比べて二倍、三倍になったとよく指摘されます。事実そうだと思いますが、それに応ずるためには、むろん大学卒業程度の科学技術者が多量に必要であったことはまぎれもない事実でありますが、実際問題として、すでに社会に出ておる人たちを再教育することによって、学窓を巣立ってくる者と一緒になってどうやらその要求に応じてきたのが実際であると思いますが、それはやむを得ずそういう措置に出て、しかも現実は生産力を二倍にも三倍にも引き上げることに成功した。それだけの実力、潜在的な力は日本国内にあったわけでございます。従って所得倍増という政治目標を達する意味においては、すでに御承知のような人材養成面のギャップはむろんございますけれども、それがはっきりと不足しておるということを把握しつつ、今までになしたような実際上の努力をすることによって、幾らかでもその穴を埋めていく努力を年々積み重ねると同時に、三十七年度以降におきましては、国の予算に関連する国、公、私立の大学の整備につきましても、できる限りの努力を積み重ねることによって、あわせて九万七千人の人材供給不足の充足に支障なからしめんことを期していきたい、こういうように考えて今日に至り、予算も御審議願っておるような次第でございます。繰り返し申し上げるようでございますが、科学技術庁長官の御勧告も、そのことを前向きに心配をして、一緒にしっかりやろうじゃないか、文部省もしっかりしろという意味の勧告と、ありがたくちょうだいに及んでおるような次第でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 科学技術庁長官がおいでになれば一番はっきりするわけなんですが、私はこの前の委員会で聞きのがしたのか聞き違ったのか、その点に多少疑問があるのですけれども、私たちがこの法律案が出てからその技術者をいかにして養成するかという問題について取り組んでおるにもかかわりませず、科学技術庁長官の方から先般の委員会で、文部省の役人は私が呼んでも来ない、そのことを語気鋭くおっしゃったわけでございます。科学技術庁の長官の権限の中に、「関係行政機関の長に対し必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」ということが書いてありますので、私は科学技術庁の長官としては当然文部大臣にそのことを要請されなければならないと思うのです。こうした文部省の方々、いわゆる現在おいでになる政府委員の方が科学技術庁の長官に呼ばれる場合には、文部大臣を通じてこのことがなされなければならないと思うのですが、それを技術庁長官が自分一人の単独なお考えで、すぐに文部省の役人の方を呼ばれたのではないかと私は思うのです。もしそうした場合に文部省の役人がおいでにならぬのは、私はこの法の示す通り当然だと思うのですが、それをさも自分の意にならないことに対してふんまんやる方ないというような格好でここで表示されたということは、私は非常に疑問に思ったわけであります。ただいまの大臣の御答弁では、両者ともに力を合わせてやらなければならない、そうした協力態勢こそ必要である、こうおっしゃったにもかかわらず、こうしたことがこの委員会で発言されておるということにつきまして、私は非常に不思議に思うものでありますが、大臣を通じてそういう要請があったのかなかったのか、その点を明確にしてもらうことが、今後文部省と科学技術庁との協力の一つのポイントになると思いますので、お伺いいたしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今御質問の点は、事実問題として長官がここで言われたことですから、あったろうと思います。思いますけれども、勧告に関連してならば前向きに、かりに三十六年度として何かなすべきことありやなしやということにつきましても、新たな課題として十分に調査して、しかる上で科学技術庁長官には何分のお答えをするという筋合いのものかと心得ておるわけでございます。その間どういう都合で池田長官が文部省の関係の者を呼ばれたのか、そのことは直接存じませんけれども、必要とあらば、実際問題として直属の部下であろうとなかろうと、同じ建物でエレベーターで上がればいきなり行けるところですから、行ってもよかったのじゃないかと思いますし、また本来の仕事がありますから、今来いと言われても行けなかったということもあるいはあったかと思います。そういうことよりも、私は先刻申し上げたように、これは政府全体として現実に、所得倍増問題を一応抜きにしましたところで科学技術会議の将来にわたっての大構想に応ずべき課題が山ほどあるわけでございますから、各省庁が一緒になって現実の国民経済の必要に応ずべく、あるいは日本の科学技術振興のために全努力を傾けるていの隔意ない相談をしながら解決していかなければ、一つの省一つの庁だけではできない問題であることも自明のことでございますので、今御指摘のようなことがよしんばございましょうとも、政府内部としてはほんとうに気持を一つにして、日本の科学技術振興のために、また科学技術教育振興充実のために前向きに努力を重ねていくべきものである、かように思っておるところでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 技術庁の長官がおいでになりませんので、そういう点を長々と言う必要もないのですが、私はこの問題は明らかに文部役人に対する一つの冒涜ではないかと思うのです。科学技術を振興しなければならない、科学教育を振興しなければならないということを科学技術庁長官がひたむきにお考えになればなるほどそうした役人との連絡を密にしていかなければならないのに、なお疎略になるような言辞は慎んでもらわなければならないのじゃないかと私は思います。  しかし、この問題は当の技術庁の長官もおいでになりませんのでそれ以上触れないことにいたしまして、次に文部大臣にお伺いしたいことは、科学教育ないしは科学技術者の養成という問題が大きくクローズ・アップされてきますや、一方においては科学技術者養成の急務にこたえるかまえを文部省ないしは文部大臣としてはおとりになり、また先般の御答弁では、そういう機運もあるけれども、一方では国民の科学教育というものを振興しなければいけないという大きな立場も踏まえられておることには私は非常に賛成するものでございます。たびたびのこうした科学技術庁の非常な要請にもかかわらず、静かなるかまえとしてそうした態度をとっておられることにつきましては同感でございますが、私思うのは、ローマが一日にして成らなかったと同じように、むしろこうした問題は急がば回れ式にやることが大きな目的を達成する上に必要なことではないか、むしろ科学技術とか科学者の養成とかいうようなものは、せっかち過ぎることはそこに非常な誤謬と破綻を来たすのじゃないかということを憂うるものでございます。そういう立場から考えまして、大臣が、単に技術者の養成のみならず、ここに国民全体の科学教育を振興し科学技術を高めていくという立場に立っておられる点には非常に賛意を表するものでございますが、しかしながら、過般の委員会でいろいろ御答弁をお聞きしておりますと、成年学級においてそうした教育をするとか、またはその他の点をお話しになりますけれども、もう少しこうした点に具体的なものをお示し願いたいと思うのです。なるほど小学校の教育課程の改正にあたりまして理科の一週の授業時数がふえておりますが、その考え方いかんによってはこれは過重になるという考え方もできないことはないと思うのです。そこで私たちは、こうした問題に大きく対処していくためにはこの点を明確にしていかなければならないと思うのです。科学教育を国民全体の立場に立って振興していく方法というものをどういうようにお考えになっておるのか、その点をお伺いいたしたいと思うのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 すでに御指摘の通り、義務教育課程からして、ともすれば従来は科学技術教育という角度からは考慮が薄かったように思われますので、子供のときから科学技術に親しみを持つという気持での新しい教育課程がスタートせんとしておりますことは御同慶にたえないのであります。高等学校もむろん同断でございますが、大学につきましては、国、公、私立を通じまして、今御審議願っております予算の中に、むろん十分ではございませんが、相当のアクセントをつけてやるべきだという気持を盛り込んでおるつもりでございます。現に御審議中のこの国立学校設置法の一部を改正する法律案につきましても、そのことが具体的に現われておるつもりで御審議をお願いしておるような次第でございます。  元来日本は、ともすれば科学技術者というものを軽視する風潮にあったことは確かであろうと思います。戦前のことを申し上げるのもあまり遠いことであり過ぎますけれども、たとえばかつての陸海軍内において、技術将校というものは、士官学校、陸大出の連中よりははるかに下に見られて、待遇におきましても、人事面の処遇においてもはなはだしく劣悪であったことは周知のことであります。海軍が比較的その誤りに気づいて、技術将校を兵学校出身者並みに扱いましたことは、いろんな面で具体的に格段の違いを陸軍との間に現わしておった。終戦しばらく前になって、あわてて陸軍がそのまねをしたことも、これまた国民のひとしく知っておることであります。そういうかつての軍部内部のことは、今申し上げるのが適切であろうとはむろん思いませんけれども、そういう方面でも実際上科学技術ないしは科学技術教育というものが非常に軽くあしらわれておったことは事実であって、そのばく然たる気持は、終戦後今日まで、あらゆる面にまだ残っておると感じられます。それが世界的な科学技術の進歩発展の目ざましいスピード・アップに驚き、驚きがさらに関心を高めることになって、現実問題としては、以前に比べて科学技術が非常に高く評価され始めたのは、つい最近数年のことだろうと思うのであります。  そういうことからいたしまして、一般的に国民的にも関心が高まりつつありますが、先刻申し上げたように、教育の場を通じてもその正しい方向づけを推進する必要がある。さらにはまた既成の社会人に対しましても、科学技術庁においてもいろいろと科学技術センターとかなんとか、PR機関を設置し、一般的なPRの努力をされつつあり、またさらに飛躍的にしようともくろんでおられると承知いたしておりますが、文部省の関係する面におきましても、先刻も申し上げた通り、現実に科学技術者ないしは技能者が必要とされることが痛感されますので、義務教育課程を終わって、すでに民間の企業体内におる人、あるいは大学を卒業して仕事についておる人につきましても、民間とも協力しながら、再教育のためにはあらゆる協力を惜しむべきではない。いわゆる産学共同ということも、単に民間から金を寄付してもらって設備を充実することももちろん必要でございますが、大学施設を利用することによっての再教育ということが、意識的計画的に推進さるべきものと思うのであります。さような一連の考え方を極力推進し、また努力を続けることによって、先刻御指摘の人材不足につきましても、あわせてその必要な求めに応じ得るのじゃなかろうか、こういう考え方でやっていきたいと存じております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私のお伺いしたのは、抽象的でなくて具体的にということをお願いしたわけでございますが、政治的な見地から見ましたら、やはりただいまの御答弁では、私は抽象的な域を出ていないように思われるのであります。  さらにこういう観点から一つお聞きしたいと思うのですが、今まで理科教育を振興するとか、科学教育を振興するという立場に立って、理科教育振興法というものもございます。あるいは産業教育振興法がございます。免許法の問題もありますし、学校教育法の問題もあると思うのです。その中で本筋的なものとか、あるいはまた科学の非常に大切であるという基礎をつちかうとか、こういうような言葉でこれを表現されては、私は政治的な具体性がないと思うので、こうした関連において、科学教育振興法、理科教育振興法、産業教育振興法等々の法律とどういう有機的な関連をもってこの科学教育を振興されるかということをお伺いいたしたいと思うのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 御指摘のようなさらに具体的なことにつきましては、政府委員からお答えすることをお許しいただきます。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 理科教育の振興につきましては、まず第一に教育内容の改善でございます。これは小学校、中学校、高等学校を通じまして、昭和三十三年から教育課程の改正を進めまして、昭和三十六年から、小学校は全面的に教科書も変わり、実施になる予定であります。また中学校につきましては、昭和三十七年度から全面的に改定をする、高等学校は三十八年から実施を見る予定であります。その間におきまして、ただいま教職員の現職教育を中心に移行措置の研究をいたして円滑に実施ができるようにいたしているわけであります。特にこのたびの教育課程の改正にあたりましては、実験観察を重視するという点が一つでございます。とかく黒板教育になったり、教科書中心の教育に流れないように実験観察を重視しながら、しかも基本的、原理的なものに中心を置き、いろいろな生活や経験のもろもろの事象の中から、基本的、原理的なものを中心にして学習を重点的にすることにいたしたわけでございます。教育内容の全面的な改定をすると同時に、今日まで理科の設備の充実をはかってきたわけであります。今日までのところ、大体小、中、高等学校とも基準の四〇%以上になったわけでございます。これの関係の予算が三十六年度予算案では八億計上されております。これも逐年増額いたしまして、五カ年間に基準の七〇%まで引き上げるようにいたしたい。それから何と申しましても理科の特別教室の問題がございますが、これは小学校の生徒数が減少の段階にございますので、小学校では、だんだんと理科の特別教室を確保するようにいたしているわけでございます。  特に一番問題になりますのは、教師の指導力でございます。この教師の指導力につきましては、文部省でも、五カ年計画で、小学校教師の十分の一、中学校の理科の免許状を持った先生の二分の一を対象に実験観察の講座を五カ年にわたって設けておるわけです。これが過去すでに三、四回に及んでおりますので、大体予定通り順調に進んでおるわけでございます。この経費は約十万ほど計上しておるわけでございますが、この五カ年計画は臨時的な施設でございますので、これを恒久的な施設にいたすために、昨年度から理科教育のセンターを各府県に一個ずつ作りたい。昨年五個所設定を見たわけですが、今年も三十六年度予算で五個所分の予算が計上されております。これは恒久的に理科の教員の再教育をしていきたい、こういう趣旨でございます。  なお中学校では新しい教育課程の改正に関連いたしまして、従来の職業家庭科を改めまして技術家庭科にいたしたわけであります。特に男子には工的な技術を中心に、女子には衣食住等の家庭科的な技術を中心に技術教育を進めていく、こういうふうにいたしまして、これも昭和三十六年度予算では六億六百六十万の予算を計上して、各中学校に漏れなく来年度は最低限の施設を充実したい、こういう趣旨で小、中、高等学校における理科教育の推進に努力をいたしておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 理科教育振興法、それから産業教育振興法との関連においていま少し突っ込んだ御答弁をお願いしたかったわけでございますが、教科課程の改変とその内容の充実という点で御答弁いただいておると思うのです。  それでは理科教育振興法のことで若干お伺いしたいのですが、私は現場において理科教育振興法が非常に大切に取り扱われておるといえばそれまでですけれども、恐怖のあまり、せっかく買った理科備品というものが十全に活用されていないのが各学校の実情ではないかと思うのです。そうした点について、もちろん文部省当局としてどのように把握されておるか。これは十全に利用しなければならないのでありますけれども、非常に監査がきびしいので、破損をしても困るというところから、あまりにもそうしたものをそろえておくという格好だけになってしまうことを私は憂える者です。これは本筋の問題ではないと思いますから、これだけにしておきたいと思いますが、その点だけお聞かせいただきたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 御指摘になったような面も一部あったように聞いております。ただ最近は理科教育の振興という点で、小学校におきましても、中学校におきましても、生徒の実験観察に重点を置いておりまして、いろいろな教材面とか、あるいは気象観測等の施設とか、あるいは小鳥の小屋とかそういう理科教育の環境を整備していくことが一つであります。  それから今お尋ねになりました中の教材、教具の活用の点でございますが、確かに備品という点で一部においてそれの破損をおそれてしまっておるというような傾向も見られる。また先生が中心でモデル実験をしておるという点もございますけれども、特に最近の傾向といたしましては、生徒実験に重点を切りかえてやっておるのが非常に多くなった、これは大へんいい傾向だと思っております。特に先生方が余暇を利用して、あるいは休暇を利用して、自分で教具を作って、その教具を中心に子供が実験するという傾向が非常に大きく伸びて参りましたことは、大へんけっこうなことだと考えておる次第でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 理科教育の振興といいますか、科学教育の充実のためには、内容的に深めなければならないことは以上の御答弁でよくわかったわけでございますが、次に私は、この理科教育ないしは科学教育については、何としても巷間よく言われるところの道徳教育、いわゆる生活指導ということがこれと結びつかなければならないと思うのですが、その点についての初中局長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 御指摘の通り、一面において科学技術の進歩に対応できるような科学技術教育を強化しながら、他面におきまして結局科学を扱うものは人間でございますので、これが人類の幸福のために役立つような方向でなければならぬと思います。こういう点から道徳教育の時間の特設もいたしておりますが、同時に各教科において、たとえば理科の実験をする場合に跡片づけをよくするとか、あるいは物事を正確に処理して実証的に、具体的に結論を出すような子供たちの心がまえを作っていく。とかくすると日本人の弊害として、観念的、抽象的に流れがちでございますので、実験観察を中心にしながら徳性を涵養していきたい。今申しました道徳教育の時間の特設と相待って子供たちに科学する心、同時に豊かな教養を身につけるように徳性の涵養に努力いたしているわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 徳性の涵養というお話がありましたが、私は、この理科教育の中に人間としての正義感ないしは不正に対するところの正しいところの考え方と一緒に、科学に対してやはり謙虚な態度を持っていくということが何としても必要だと思うのです。そういう建前から考えましたときに、ただいまの局長のお話にもありましたように、科学を扱うものが人間であり、人類の幸福のためにこれを使用しなければならないという観点に立った場合に、わが国の当面しているところの問題、いわゆる原水爆の禁止運動が行なわれておりますが、こうしたものが他国にやはり遠慮することなく、われわれとしてはこれを平和的なものに利用しなければならないというような考えで子供の教育に当たらなければなりませんし、また自衛隊の核武装の問題、こうした問題は戦争にこれがつながるということをすぐに連想することもいけないかとも思いますけれども、こうした問題が政治問題ではなくて、純然たる正義感と、そうして人類に役立つというような観点からやはり考えられなければならないと思うのですが、それについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 小学校の理科でございますと、自然を愛護するという点で、自然の観察をし、実験をしながら自然を愛護し、同時にそこにやはり自然に対する親しみが出てくるわけでございます。また物理化学的な実験に当たりましては、物事を実証的に把握するような、そういう態度が養われるわけでございます。  今お尋ねの原水爆の禁止とかあるいは核武装問題というのは、小学校の段階では無理ではなかろうかと思うのです。高等学校の段階になって、そういう社会科等の時事問題の中でそういう問題があるということは、これは子供たちにも教える時間があろうかとも思いますけれども、これは直接科学教育の問題ではないのではなかろうかと思うのでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 少ししつこいと思うのですが、私は小学校のときに——大正年間のことでございますが、大阪の商人で鈴弁という商人がございました。それを大学を卒業したところの人間が殺した。しかも残酷な殺し方をしまして、カバンに詰めて川に流したという話が今も印象的に頭の中に残っておるのでございますが、ただ単に科学技術のみを教える、あるいは科学だけを追究するというだけでは、これは人間がへんぱになると思うんです。従いましてここに先刻からも申しておりますところの道徳教育あるいは生活指導というものをよくやってくお必要がある。それはひいて言えば、この正義感あるいはまた科学に対するところの謙虚な態度を養っておかなければならないということを痛切に思うものでございます。この内容的に充実しなければならないということと、人間を養成しなければならないということは、これは両者車の両輪のように進まなければならないと思うんですが、私は、ただいまの政府の施策の中に少しお急ぎになり過ぎておる点があるのじゃないか。最初申しましたように、じっくり大きな問題と対処するという考え方の中で、この問題を処理していくことはけっこうなんですが、そうした急ぎ過ぎるというようなものがないかどうかということを非常に心配するものでございます。  まあそれはそのくらいにしておきまして、次に参議院でも問題になったかのように聞くのでございますが、九州大学の試験問題の誤りと、なおその問題が事前に漏洩しておったという二重のミスの事件についてお伺いいたしたいと思うのです。大学のいわゆる自治を重んずるという建前に立っておられる文部省としては、これに対するところの強い行政指導はなさっていないだろうとは思いますけれども、やはりその問題の処理にあたって、科学者が今非常に要請されておるときに、一方ではこれらの人、教授ないしは講師が辞任したという問題が新聞に出ておるのですが、これに対して文部省としてはどういうように関与され、どういうようにお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思うのです。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 大学における入学者の選抜につきましては、文部省としてはこの入学試験の具体的な実施方法いかんによりましては高等学校の教育にも非常に大きな関係がございますので、入学試験問題の全般につきまして、学識経験者に集まってもらって、研究協議会を例年やっておりまして、また具体的に出題された問題等につきましても検討いたしまして、全般的な事柄について大学に対して指導助言をいたしておるような次第でございます。  今般九州大学におきまして発生いたしました事柄につきましては、先般大学の関係者に来てもらいまして、大体の事情を聴取いたしました。御指摘のように九州大学の本年度の入学試験の問題につきましては、生物の入学試験問題のうち一部に誤った設問のものがございました。このために混乱を来たしまして、一部父兄あるいは受験者等に不安を与えたことはまことに遺憾に思っております。またお話のございましたように、この入学試験に出ました誤った問題とほとんど内容の同じような問題が某受験雑誌に載せられたということがございました。大学当局におきましては、入学試験の合否につきましては、いろいろ推計学等の専門家も入れまして研究いたしました結果、具体的な措置といたしまして、入学者の決定をいたしました。またこの入学試験の出題等に関連いたしまして具体的な先生の措置につきましては、ただいま九州大学におきまして調査委員会を設けまして厳重に調査をし、その措置を決定するということに相なっております。  なお出題をいたしました者、また出題の責任者につきましては、それぞれ直接の上司に辞表を出しておるということを承っております。大体以上が経過でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 二重のミスの事件については参議院でもお話があったので、私はそのことの内容をお伺いする気は毛頭ないわけなのでございまして、その教授ないしは講師の辞任申し出に対して文部省はどういうようにお考えになっておるか、言いかえますと、非常に速成で高等学校の先生を作ろうという今の状況の中で、社会的な責任とか、そうした責任の大きなものがあると思いますけれども、これを辞任をしっぱなし、あるいはもちろんここで今お話のあったように調査委員会を設けて厳重な措置をとる、こうおっしゃることはよくわかるのですけれども、そうした問題と関連してどうお考えになっておるかということと、なお本年で大学を定年になるところの非常に有為な科学者もあるわけなんですね、そうした方々に対する措置もあわせて文部省の見解をお伺いしておきたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 御承知のように大学の教員につきましては、これは大学の自主性に基づいて大学自体で従来その選考をなさる、あるいは任命その他の措置をなさるということが慣例でございますし、また法制上もそうなっておりますので、それは大学におまかせする以外になかろうかと思いますが、文部省といたしましてはこのたびの入学試験が社会全般、あるいはことに受験者あるいは父兄等に与えた影響等も考えまして、これは今いいかげんに済ませる事柄ではなかろうと思っております。従って先ほどお答え申しましたように、大学関係者が参りましたときには、厳重に調査をして適正な、しかも厳粛な措置をとってもらいたいということを申しております。これはしかし大学の御判断にまかせる以外になかろうと思っております。  なお、このことの出来いたしました事柄に関連いたしまして、文部省といたしましては、従来そういうことはいたしておりませんでしたけれども、第二期校の入学試験についてはさらに入学試験の問題等をこの際再調査して、できるだけ誤った問題が出るというようなことのないように厳重に注意をしてもらいたいという注意喚起をいたしたような次第でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 さらにお伺いしたいのは、きょうの新聞でしたか、東大においても、そのようなミスとはいえないまでも、問題に疑義があったということを新聞で見たわけでございます。こうした点についてももちろん十分な御注意をなさっておるとは思いますけれども、ただ私は問題はこの中から二つのものがあると思うのです。一つはこの入試の問題に遺憾な点があって、その後の措置が五十二名の水増しになり、さらには、広島大学においては九十一名ほど募集人員より下回っておる。東大においては三名水増しした。これがどういう観点においてなされるかということはもちろん専門的な立場に立たなければならぬと思うのですが、ミスをやれば五十二名になり、少ないミスであれば、それが三名に終わるというところに国民としても非常に割り切れないものがあると思うのです。その点について一つお答え願いたいことと、なお九大の場合でございますが、教官がこのようにアルバイトをしなければならないというこの実態をどのように把握されるかということが、私の尋ねておる主たる問題でございますので、その点についてお答え願いたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 御承知のように、大学の学部の入学定員は予算によって決定されまして、それに基づいて学則にその定数を定めておるということが普通でございます。ただその年の入学試験の成績いかんによりましては、多少その定数に関連して増減があるということが普通でございます。このたびの九大の入学試験に関連いたしましては、先ほどお答えの中に申しました通り、生物の問題に誤った問題が出ておったということから、その措置について、具体的に九州大学で慎重に検討されました結果、五十人程度の増員をされたわけでございますが、九州大学では従来からも年々三十名程度の増員はなさっておったようでございまして、増員と申しますか、合格者の許可をされておったようでございまして、従って、このたびの問題のために実質的に増されたのは五十余名全部がそうというわけではないわけでございます。  なお大学教官の兼業の問題と申しますか、一般的な兼業の問題につきましては、これは勤務に差しつかえない場合におきましては、学長あるいは文部大臣の承認を得て他の業務を兼ねるということが普通でございますが、今回の問題は普通の意味の兼業等とは違いまして、要するに受験雑誌に原稿を出した、そしてそれが雑誌に掲載されたということでございまして、こういったものまで、文部省としてはこれを禁止する、あるいはその他の措置をとるということは困難ではなかろうかと思っております。ただこれが、いわゆる教官の本来の職務に反するかどうかということになりますと、むずかしい問題がございますが、私どもは、現在のところは、そういうところまではいっていないのではなかろうかと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 大学の強化ないしはその他研究所の問題なんですが、それを言う前にやはり大学の先生の実態というものを私たちは把握しなければ、教育の内容というもの、あるいは人材というものについても問題があると思うのです。その観点からお聞きしておるわけなんですが、きょうの新聞でしたか、大学の先生の六割が内職、安い月給と研究費ということが出ておるのですが、この中で、文部省としては、戦前に比べれば確かに給与水準は低い、しかし値上げもしたし、飢えに泣くほどのこととも思われないということが書いてあるのです。いわゆる大学の教師の生活白書というのですか、日本学術会議から出ております。これに対しまして、文部省ではこういうようなお考えを披瀝されたのかどうか、一つそれもお答え願いたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 大学の教官の待遇につきましては、戦前の状態と比較いたしますと、確かにまだ不十分でございます。この点につきましては、文部省としては年々教官の待遇を改善してもらいたいという予算的な要求をいたしておりますが、御承知のように昨年人事院の勧告が出されまして、その勧告の線に沿って、三十六年度の予算は計上されておるわけでございます。この勧告によりますと、一般の公務員の待遇改善は一二%程度でありますが、教官の待遇につきましては二二%以上になっております。確かにこの程度のいわゆる優遇措置では不十分でありますけれども、現状としてはやむを得ない、今後時期を見てさらに教官の待遇改善をはかっていくように努力をして参らなければならぬと思っておりますが、そういった大体の考え方で、学術振興あるいは教育の充実という点から、今後も大学教官の待遇改善につきましては、できるだけの努力をして参るつもりでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 このような、法案に示されているように、設備、研究所を増設するという中で、教授陣を充実していくのに、科学技術庁長官の方からも話があったり、あるいは勧告の中にそのことがあげられておったと思うのですが、待遇問題について考えなければならないということがいわれておりましたが、もう一、二点、私はこうした設備を充実して研究所を増設していく中で心配なことをお聞きしたいのです。日立とか東芝とか三菱とかいうような電気メーカーあるいは化学工業分野が研究所を作る、そして大学の先生や国立試験研究所から研究者を大量に引き抜いていくというような問題がはたしてどの程度あるのかということをお聞きしたいのでございます。そういう点がいわれておりますので、私はやはり現在の資本主義の経済の機構の中において、生き延びるためにはどうしても技術者を得たいということから、そういうことがあるかないかということをお聞きしたいと思うのであります。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 ただいまの具体的な企業の名前をあげてのお尋ねでございますが、これにつきましては、私どもまだ十分調査はいたしておりません。ただ大学教官全般といたしまして、理工系の教員につきまして、ことに助教授以下の若手の教官が産業界の方に転出するという傾向はございます。この点につきましては、まあ現在の経済情勢上、待遇その他が非常に開きがございますので、やむを得ないようなふうにも考えられますが、こういった点も、一つの大きな待遇改善をしなければならぬ原因と申しますか、理由に取り上げまして、文部省としては、予算要求その他関係各省との折衝において努力をいたしておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 第二点として、国立大学において、こうした非常に若手の教育者を引き抜かれていくことは、確かに痛手だと思うのです。所得倍増計画を幾ら言い、人材の養成を幾ら考えても、こうしたところに抜け穴があっては、これは非常に大きな問題になると私は思うのです。そういう点から、科学者の生活白書を一々くどくどしく申し上げるまでもなく、文部省当局においては、待遇改善については十分お考えを願えるように思いまして、時間を非常にせかれておりますので、この問題はそれくらいにしておきたいと思うのです。  次に、産業界から流れ込んでくるところの資金によって、国立大学が研究をしているというようなことがあるかないか、その点をお聞かせ願いたいと思います。以上の二点については、他日一般的な質問によって私の見解も申し述べたいと思いますので、ただ事実だけをお知らせいただけばけっこうだと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 従来産業界その他からそれぞれ地元の大学に対しまして、施設あるいは設備のための寄付をするというようなことが往々にしてございました。なお、大学の研究費につきましても、そういう事柄がございます。しかしこれは正規に大学の受託研究といたしまして——予算にも受託研究費というのがございますが、その受託研究費として受け入れまして、これをそれぞれの大学で管理し、教室に流すという方法をとっているわけでございます。しかしその額は、現在までのところ、この研究に関するものはそれほど多いとは考えられません。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は国立学校設置法に直接関連する問題を二、三ただして、一般質問はこの討論、採決後に譲りたいと思います。  今度の改正案に織り込まれてあるいろいろな改正点を見ますと、国立学校の性格がだんだんと研究所の設置、短期大学の付属機関の設置等で、多岐に分かれた方向に進んでいるようです。大体国立学校は国の経営する学校でありますから、今三木君の尋ねられたような、産業界の出費等でまかなわれる性格のものではない。純粋に国の責任でその設立、運営がされなければならないものでございます。今度幾つも幾つもでき上がっております各種の研究所というものの経費は、全部国がまかなうことになっておるか、あるいはこうした特殊の研究目的のためには、産業界等の協力を得るという形も用意されておるのか、お尋ねを申し上げます。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 従来御承知のように、国立大学の付置研究所というものは相当数ございますし、また三十六年度の予算でも、名古屋大学のプラズマ研究所あるいは広島大学の原爆放射能医学研究所というものを新たに作るということにいたしておりますが、これらの研究所につきましては、従来からもやはり施設、設備あるいは研究所の研究に要する経費等は、すべて国費でまかなわれておるのでございます。今後もそれらの事態は変わらないものと思っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今御指摘になった改正法案の改正点である広島の原爆放射能医学研究所、こういうもののごときは、これは非常に大事な研究所なのでございますが、大体今までこれが置かれなかった方が不思議ぐらいです。ところが、こうした特殊の医学研究をすることについては、民間の協力を求めなければならぬ場合がしばしば起ころうと思うのです。今一切を割り切って、国で責任を持つということで済むかどうか、その点を実態に即してお答えを願いたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 確かに今回御提案申し上げております原爆放射能医学研究所の新設は、従来いろいろ経過がございましたけれども、私どもももう少し早くできるものであるべきであったように思います。御承知のように、昭和三十三年に原子放射能基礎医学研究施設ができまして、それが今日まで研究をやってきた。それが今回母胎になりまして、新たに研究所が新設されるということになったわけでございますが、この研究所は、普通の原子爆弾の放射能による障害の治療法あるいは予防法の研究ばかりでなしに、いろいろ数字的な、たとえば患者関係、被爆者の健康の保持増進に関する関係の調査、あるいは資料の整備というようなことも一つの事業の目標といたしておりますので、そういった事柄から、地元はもちろんでございますが、関係の方面といろいろな密接な連絡提携はしていかなければならぬと思っております。ただ、先ほど申しましたように、いろいろな研究費あるいは施設、設備費にまでそういったものから援助を受けるというようなことは、現在のところはまだ考えておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この原爆放射能医学研究所で研究された成果に基づいて、原爆被害者の医療に非常に貢献しなければならぬ問題が残されてくるわけです。従って、ただ単に研究のみでなく、その効果を実際に即して表わさなければならぬという任務があろうと思うのです。そうした関係において、今回改正案の中に織り込まれているこの特殊の目的を持った医学研究所は、そうした病院その他の原爆関係の治療に関与する方々との間における密接な連絡をとる機関として規定されるものであるかどうかをお伺いいたします。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 今回の研究所は普通の研究所と違いまして、これ自体が一つの診療施設を付置するということにいたしておるわけでございます。結局被害者、要するに原子爆弾の放射能による障害を受けての被害者の治療を具体的にやる、治療に関する研究もやりますが、具体的に治療そのものもやるということで、診療施設を持っておるわけでございます。それで、臨床的な面を強く特色として持っておるのでございます。そういった面から、他の診療機関との連絡提携も必要になってくると思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この医学研究所に同意されている職員の陣容及びこれに伴う研究費、これは予算の上にも出ておるわけでございますが、この研究費の数字と、それから今御指摘になりました、診療を伴うということになると、その診療費というものはどういうふうに処理されるものであるか。たとえば大学の付属病院のような形になって、その診療目的と費用の調達がなされるものであるかどうか。この二つの問題でお答えを願います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 このたびの医学研究所は、従来の研究施設では二部門でございましたのを、新たに二部門を加えまして四部門として発足することにいたしております。この定員は、教授四、助教授四、助手九、その他事務官、技官等でございまして、定員三十六人という数字を予定いたしております。なお、診療施設は、付属病院ということを考えておるわけでございまして、三十六年度では、先ほど申しましたような教授、助教授、助手以外の付属病院専門の職員として定員五人を特に予定いたしておるわけでございます。従って付属病院でございますので、他の大学の付属病院と同様に診療費その他が支出されるという予定になっております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その位置はどこに置かれるわけですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 現在、御承知のように、広島大学の医学部には、昨年来建築をいたしております研究施設、それから治療施設、原子放射能関係のそういったものができておりますので、さしあたってはそれを利用する考えでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 将来は独立の建物を用意するという意味ですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 現在の医学部の構内にその研究施設を作る予定にいたしておりますが、現在のものを拡充するか、あるいは全然新たに施設をするかということについては、まだ現在のところはっきりいたしておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 名古屋大学のプラズマ研究所の設立目的、任務、その研究所の構成等についてお答えを願います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 御承知のように、プラズマ科学の研究をする、結局物質を非常に高温に熱しまして高温プラズマを作り、その高温プラズマの中で熱核反応が起きる状態を作る、そうしてそのプラズマ状態を安定に保つということが核融合反応の研究に非常に重要なことであるということから、従来もこのプラズマ研究の必要性というのが学界で強く要望されておったわけでございます。日本学術会議におかれましても、政府に対してぜひプラズマ研究所を作れという勧告があったわけでございます。文部省といたしましては、三十六年度におきまして名古屋大学の工学部にプラズマ工学研究施設を作ったわけでございますが、今度新たに二つの研究部門を加えて三部門といたしまして、名古屋大学にプラズマ研究所を創設したいという考えでございます。定員といたしましては、三十六年度は、教授三、助教授三、助手六、その他の定員を加えまして三十五人で発足するという予定にいたしております。予算額としては一億二千万円を予算案に計上いたしております。なお、施設費も別途約八千七百万円程度が明年度の予算案に計上されておるような次第でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 こうした国立大学に付設される研究所の所管をしている大学の学部、たとえば広島の原爆の場合は医学部、今のプラズマ研究所であれば工学部、こういうような場合に、その工学部、医学部というような学部は、研究所を設けておるということになると、大学院を置くことができる学部でないといかぬのですか、あるいは大学院を置くことができなくても、こういう研究所を今後作るべきであるという文部省の態度ですか、そこもあわせてお答えを願います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 従来研究所は、特殊な専攻分野についての高度の研究をするために設けられるものでございます。従って従前から戦後を通じまして研究所は大学院を置く大学にこれを作るという考えでございますし、文部省としてもその方針を今後もとって参りたいと思っております。ただ大学院のないいわゆる新制大学におきましても、最近におきましてはいろいろ専門の研究等も進んで参っておる状況でございますので、御承知のようにそういう大学のためには特に研究施設というものを設けることについて、全国的にかなりの研究施設が大学院のない大学のために設けられておる実情でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は、国立学校を運営される文部省の態度として、そうした大学院を置くことのできる大学にこういう特殊の研究所を置くと同時に、もう一つ大事なことは、私学の優秀な基礎を持っているところに研究所を置き、それに対して国の助成をする、こういう態度をここであわせ検討をしておいていただかなければならぬと思うのです。それは今度私学振興関係の予算を相当増額されておるのでございますけれども、私立大学の理科特別助成費などは十億円になったばかりでございますし、また研究設備助成費が五億円ばかり出たばかりなんです。総額でも二十四億くらいしか私学には出ておらないわけです。このちっぽけな予算措置で、国立大学の研究を補って、私学は私学なりのよさを持つところの研究をさせるというところに十分眼を向けていかなければならぬと思うのでございますが、こうした文部省が今度の法案の改正で特に取り上げておるような問題を、私学にも及ぼすというような考え方はないかどうか、お考えをお伺い申し上げておきます。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 ただいまのお尋ねは、もし優秀な私学にも国立の研究所を設けるという趣旨でありますれば、これは非常にむずかしい問題がいろいろ起ころうと思います。しかし、私学の優秀な研究所をもっと援助しろ、あるいは成績を上げるように国家的な応援をすべきであるということにつきましては、私どもも全く御発言に賛成でございます。文部省といたしましても、従来微々たるものではございましたけれども、私立大学の研究基礎設備について国から応援する制度を立てまして、明年度におきましてもかなり増額した予算は組んでおります。しかし私学の経営上の実態から申しますと、私学における研究部面にまで財政的な裏づけをするということは非常に困難なように思われますので、文部省としては、将来この私学における研究の助成ということには特段の力を入れて参らなければならぬと思っております。たとえば補助率にいたしましても、現在二分の一の補助ということになっておりますが、これをさらに高めるというような措置も予算のワクの拡大とともに必要なことではなかろうかと思っておる次第でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は、私学の中に国立の研究所を設けるというような形態のことは希望していないわけです。そういう変則的なものでなく、私学は私学なりに特殊の研究所を設けた場合に、国が非常に大幅な助成をする、こういうようなことになれば、たとえばある大学に航空研究所ができておるということになれば、その航空研究のために、国の大学には期待できないけれども、私学のために航空研究目的のために何億出すとか、こういうような特殊目的のために私学に特別の助成をするというような政策をおとりになることは、私学振興の一歩々々の前進のために非常にいいことだと思うのですが、そういうところを一つ十分御研究を願っておきたい。これは科学技術振興の科学技術庁長官の勧告に対する文部省のお答えの一つにもなると思いまするので、国立学校にこうした特殊研究所ができる機会に、私学に同様の助成の道をとることを要求をしておきます。  いま一つ、国立短期大学の方にも今度付属高等学校のような国立学校を設けることができるということがここに書かれているわけです。ちょうど私、この国立学校設置法が昭和二十四年にできたときに、この設置法の中にある国立大学、国立高等学校、この二つ並んでいる二章、三章の規程に当時非常な興味を持って審査に当たってきた一員でございますけれども、その当時の考え方からいって、特に国立学校とこれをうたった理由は、大学でなくして、高等学校も考えるということで、国立学校とうたってあるわけです。その高等学校の中に、短期大学に高等学校を設けると同時に、国立高等学校をさらに短期大学の方へ発展する。国立商船学校のごときは短期大学の性格を盛っていく方法もある。専門学校という考えもあるけれども、短期大学へ持っていくという方法もあるわけですから、国立大学あるいは短期大学に付属国立高校を設けると同時に、国立高校であるところへさらにその上へ短期大学をくっつけるという方法も考えられる。電波高校でも同じことですが、そういうことで専門学校案もあるけれども、短期大学に付属国立高校を設けるという方法もあるが、逆に今ある電波とか商船学校というものに短期大学を延長する、こういうような考え方をお持ちじゃないですか。ちょっと雄大な構想ですけれども、商船学校の場合にしても、これは直接切実な問題が一つあるわけです。いかがですか。国立商船学校のようなのはもう少し高い短期大学をこれへつけ加えるくらいにしていって、そして高等海員の養成ということが必要ではないかと思うのですが、御所見を伺います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 御承知のように具体的に商船の例をとりますと、商船教育につきましては、高等、上級船員の教育については商船大学がございます。普通船員、下級船員については商船の高等学校があるということでございます。今回の提案では、この商船ではございませんけれども、短期大学に付属の高等学校を設ける。短大の方から下の方へ足が伸びてくるような形でございますが、これとは逆に従来高等学校があって、それが母体になって、その上にいわゆる二カ年の短期大学というのが置かれるというものはどうであろうかということでございますが、確かにそういうものも考えられると思います。五年制の教育期間ということもいろいろ一般から御要望がございます。文部省としても現在その点を深く検討しているわけでございますが、その際も確かに短期大学にくっつける行き方のものと、高等学校の方から上に年限が延長されて、いわゆる五年制になるというものも当然考えられるものと思っております。ただ現状、たとえば商船高等学校についてこれを直ちに商船短期大学にせよということには、船舶界あるいは船員界の御要望はまだそこまではきておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 これは商船学校の卒業者の組織などでは、専門学校とか専科大学とか短期大学とか、どれでもいいわけです。とにかく実際は修業年限は卒業して後に二年以上の実習をやっているわけですから、その実習期間を入れると短期大学を卒業した以上の教育、商船高校まで行けば当然国立大学の三年まで卒業するほどの力になってくる。実際はそういう実習期間というものがあるわけです。それらを通算していくと、結局短期大学を卒業した実力を持っていることになるし、その点はぜひ何とかしてもらいたいという要望を私は伺っている。船舶その他運輸関係の要望がないということでございますが、実際は修業年限が実習期間を通ずると短期大学までいっておるのですよ。こういうことを考えて、大臣としても国立高等学校を——さらに特殊の技能教育をこれに与えるということが短期大学の設置基準にもちゃんと書いてある。特殊技能教育のために高等学校を出た者がさらに二年間実習をすることになっておるのですから、商船学校とか電波学校とかいう、下級船員、下級技術者ということではなくて、中級の技術者というものに実質的にはそこまでいっておるのでございますから、今度改正案に出ておる短期大学に付属高校を設けるという規定とは逆に、今度は国立高等学校、これは電波高校と商船高校と数校しかないのですから、その上へ延長する道も考慮すべきであるという勇断を文部大臣としてお持ちになるように、私要求するわけでございますが、賢明な文部大臣の御所信を伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今政府委員からお答えしたような線だと思いますが、ともかく一つ検討させていただきます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 雄大な検討がされるようでございますからそれになにします。  それでこの法案に直接関係する——これを通す直前でございますから十分審議が尽くされなければならないので、もう一つ、この国立短期大学に付属して国立高等学校を設けるという場合には、これは文部省が今度中教審の答申を無理やりに得たといわれている例の専門学校との関係なんですが、せっかく文部省が国立短期大学に付属高校を持ってくるという案を用意されている以上は、短期大学の設置基準にある特殊の専門技術教育を与えるために短期大学を設けるという目的とにらみ合わしてみたならば、付属から大学へずっと続いてくると、結局文部省が企図されている専門学校というものの任務は、この線で果たされると私は思うのですが、いかがでしょう。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 短期大学に付属の高等学校をつけますと、付属高等学校が修業年限三年でございますし、短期大学が二年でございますので、五年間の教育をその学校でやることになるわけでございます。ただ御承知のように高等学校は高等学校の教科課程がはっきりされておりますし、短期大学には短期大学の基準がございまして、それぞれ基準に従って教育され運営されなければならぬということになっておるわけでございます。現在のこの基準の中である程度連係のある教育はできると思うわけでございますが、五年制の教育期間ということの中には、五年間をこういった多少連係のある教育内容ということではなしに、もっと五年間一貫した教育をすべきであるという強い要望があるわけでございまして、その趣旨から申しますと、このたびの短期大学に付属の高等学校を設けるということだけではまだ十分ではないということがいえるわけでございます。五年制の一貫教育という要望の趣旨は取り入れられますけれども、この付属高校設置だけでこの問題が全面的に解消するというにはまだ不十分のように思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 だからこの法案に織り込んである短期大学に付属高校を作る、そしてその付属から大学に一貫した教育を施す、特殊の専門教育、職業教育を施す、こういう行き方を拡充強化すれば、専門学校というような——専門学校ができるのは、ねらいとしているところは、目的は非常にはっきりしたものがあるのでございまして、その目的は私よくわかるのですが、ただわれわれが国立学校設置法を作り、学校教育法に協賛をしたときの、その当時のいきさつから考えて、六・三・三・四というこの学制から横に一つほどぽつねんと、法律に規定する専門学校というのがはみ出るわけなんです。傍系のものができるのです。短期大学というのも結局は大学の一種なんです。短期大学は大学だけれども、専門学校は短期大学と同じような修業年限を持っておっても結局は大学じゃないでしょう。大学じゃない専門学校と、大学の一部と考えられる短期大学とを考えたときに、学制の上において一つの混乱がここで起こると私は思うのです。十何年間も六・三・三・四という制度を持ち続けたこの日本の教育制度の上に新しいこぶができる。そのこぶも中途半端な機関として、社会的に認められるにしても、特殊技能者を養成する機関という印象を与える。従って短期大学としての印象を受けることもできないし、実質的な資格もないことになるのでございます。専門学校を出た者が四年制の大学の三年に編入するというような道もとられないと私は思います。短期大学を出た者は長期の四年の大学の三年に編入の道がとられますが、専門学校を出た者はそれはとられないということを考えますと、今この問題は一応お預けにしておかれて、短期大学及び付属高校を充実する方向に、文部省は国立学校の正系の方向を勇敢に歩んでいかれたらいかがですか。文部大臣、これはいろいろ問題があると思いますが、私は文部省が研究することに水をかぶせるわけではないのですけれども、学校教育の体系を考えたときに、一応第一段階として短期大学と付属高校という一貫したものをどんどん作ってみて、これが不成功のときに専門学校を考えるべきだ。その第一段階の短期大学、付属高校という一貫した方がまだ緒についたはかりのときに、一方で専門学校を考えるのは時期尚早だと思う。日本の文教政策を決定される文部大臣として、将来やっぱりあなたの先輩の文部大臣が残した六・三・三・四制度の拡充強化という意味からは、傍系を作る前に正系においていかにして充実する道があるかを御研究願って、どうしても短期大学及び付属のこの一貫した五年の教育では満ち足りないという結論が出たときに、初めて専門学校にお手をおつけになるのが私は順序だと思うのですが、御決心のほどを文部大臣より直接お伺いをしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 新教育制度が発足しまして以来、御指摘の通りの秩序を維持しながらやってきたと思うのでございますが、五年制度の一貫教育のいわば専門学校というようなものは、今までの慣行から見ますとこぶができたように見えると思います。思いますけれども、それ自体が現実の日本の社会に切実に要望されておることでもあるということに重点を置きまして、もう一種類のものがあってもいいのじゃなかろうかというふうな考え方のもとに検討いたしておるような次第でございます。  なお大学制度につきましては、一般的にはやはり率直に申せばアメリカさんの申し子みたような制度でございまして、いろいろ検討すべき課題もあるということから、前大臣の当時に中教審に諮問されて、熱心に御検討を願っておることでもございます。ですから、今まであります大学、短期大学あるいは高等学校、小、中学校というものを充実すると同時に、現実の要求に対応して五年制のことも考えるということでいきまして、大学制度全般につきましての考え方については、中教審の答申を待って、またあらためて根本的に御検討をお願い申さねばならないのじゃなかろうか、こういう考えでおる次第でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 これに関連する問題で一つ指摘申し上げたいのは、この今度お出しになっている学校教育法の一部改正、その方にこれと関係する規定がありますからちょっと読み上げます。それは、定時制高校の技能教育の特別の施設で、文部大臣の指定するものにおいて教育を受けているときは、その学習を教科の一部の履修とみなすという規定が一つある。こういうようにだんだんと手広く他の機関で、学校以外のところで教育を受けても、それを文部省は教科の一部を履修したとみなすというような用意もされているわけなんです。現に八幡製鉄を中心にした鉄鋼連盟は、特殊の技術養成所を四月からでしたかスタートさせる用意がしてあるようです。これも一つ状況を伺いたいのですが、こうした大きな産業界における機関が特殊の技術学校を、もうすでに実質上の高等学校を作っておるのです。そこで産業技術者を養成しつつある。そうしたら、産業教育専門学校を別に文部省が作るより、そういう特殊なものはそういうところでやらして、文部省の方は体系の方の学校をやるというような形でゆっくり間に合うじゃないですか。鉄鋼連盟なとがやっているこうした計画は、文部大臣、これはいいことと思うか、またこういうように産業界に教育の一部と見られるような学校を経営させることは、文部省としてははなはだ遺憾なことであって、できれば基礎教育を含み、基礎教養科目などを取り入れた正系の学校を卒業した者を産業界へ送るのが文部省としては好ましいのだが、現状においてはそれが可能でないので、やむなく鉄鋼連盟のようなのがやるこういうことを歓迎せざるを得ないのだという、二次的にこういう技術者教育を歓迎されるという意味か、いずれであるかを一つお答えを願いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今、受田さんお示しの具体例はよく存じませんが、新聞に出ていたのをちょいと見て記憶している程度でございまして、実態に即してのことは申し上げかねるわけでございます。しかし今お尋ねの内容を基本にどう思うかということをお答え申し上げるとすれば、好ましいことではないと思います。本来の学校教育で人材を養成すべしと、一応良識ある者が考える限度まで踏み込んで、文部省手ぬるしとしておれがやってみせるというがごとき意図を持って、しかもその実態が本来の教育の場で教育さるべきものを意図しておるとすれば、今申し上げるように好ましくないと思います。ただしやむを得ざることとして見ました場合に、そういうところで本来の教育とおぼしきものが行なわれている部分を無視するわけにはいかない。あくまでも教育を乱さないで、やむを得ざる措置として納得し得る運営の仕方であらねば適当じゃないと思うわけでございます。そういうことを業界が勝手気ままにやらないで済むためにも、専門学校みたいなものが要るんじゃなかろうかというふうにも思うわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたの初めの、私としては歓迎すべきでないという御決意は私も賛成です。私も、文部省が高等学校や大学で十分産業界の要請にこたえるほどの技術者を養成すればこういう問題が起こらない、基礎教育も十分でき、普通教科もできておるような形で、産業界がその卒業生を受け入れるという形が好ましいのです。結局工業高校、大学の技術系の卒業生も大幅に不足するような現状をどう打開するかという問題は、専門学校などで解決する問題じゃないのです。今の高等学校や大学を拡充強化することでこれが救われ、あるいは高校、短期大学という一貫したものを充実することで、その方の技術系をどんどんふやすことで解決するのであって、横の方に専門学校を作ることで解決する問題ではないと思う。現状の施設を最高度に生かして、そうして最高度に収容能力を高めて、大急ぎでこの技術者を養成するという方針をお立てになるということが必要だと思う。私は、専門学校はこれは別なんで、坂田先生など大へん専門学校に御賛成でおられますけれども、そのほかのところは坂田先生と意見が一致しているのですが、その点は私どもと意見が一致しない点なんです。そういうことで、自民党の方々も十分検討され、文部省も検討されて、当面の技術者の養成についてはどういうことをやるか、鉄鋼連盟などでこういうことをせざるを得ぬ、中学を卒業した者をすぐ取り上げて、安く採用して、働かせながら技術者を養成するというような、こういう形は本質的なものでないということを十分含んで、文部省は急速に高等学校の充実、大学の充実拡充というものをおはかりになるように要望して、私は、この国立学校設置法の一部を改正する法律案の審査をお急ぎになっておられるということでございますから、まだまだたくさんの問題点が残っておりますけれども、次の法案に関連して、その際にお尋ねをすることとし、以上で私の質問を終わらせていだたきます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 簡単にお伺いしますが、大学院の問題をどうお考えになっておるかお聞きしたいのですが、別に、この法案には新しく大学院の設置というようなことはないようですが、政令で定められる範囲の中で研究科というようなものを増設するような御意向があるのかどうか、お伺いいたします。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 三十六年度で国立に設置するものは現在のところございません。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 非常に科学技術の振興という面で文部大臣初め当局が一生懸命になっておられるのですが、今のようなお話をお聞きしますと、非常に下級の技術者を養成するということには一生懸命であるけれども、ほんとうに国の科学技術を高度に高揚するというふうな点では、今の簡単な御答弁から伺って非常に私は遺憾だと思うのですが、この点についての大臣の御見解を承りたいと思うのです。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 私から事務的な点をお答え申しますが、御承知のように、大学院は、研究者の養成をするということを目的として大学の学部の基礎の上に作られるということになっております。国立の大学の大学院につきましては、ことに理工系等では現在かなりの研究科がございますけれども、しかしいろいろな事情から学生の定員だけ必ずしも満たされておらぬというような実情でございまして、従って、さらにこの大学院の研究科の学生定員を大幅に広げるということは、現状から申しましていろいろ難点が出るのじゃなかろうか、何とか現在の定員まで大学院の学生の数を埋めるということについての特別な措置をする必要があろうということで、育英奨学資金の増額その他をやっておるわけでございます。なお、もちろんただいまお話のございましたように、大学院の修士課程は、研究者の養成ということではなしに、高級技術者の養成のためのものにしたらどうだという意見が相当学術界にございます。これらの点につきましては、大学設置審議会等で、大学の教育制度の改善に関連いたしまして研究をしてもらうということにいたしておるわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 私は、非常に急いでおりますから、今の大学院の問題だけからお伺いをしたわけなんですが、この審議にあたって、社会的な要請があるからということを大臣初めおっしゃるのですが、それは確かに現実の問題として、これにこたえることも教育行政として当然のことだと思うのです。しかし根本のものは、いかに日本の科学技術を振興させるかということが本来のものであって、ただ企業家の要請に応じて速成の技術者を養成するということに専念したら、これは文教行政の大きな欠陥になると思うのです。大体事業家が要請するという技術者を送り込むということよりも、事業を経営する人のもっと科学的な見解というものを高めるような、そういうやはり技術家を養成するということが一番問題だと思うのです。従って、私はこの問題でいろいろ大臣ともお話し合いをしたいのですが、結局産業構造というものが、常に資本家だけが優先するというふうな考え方でなくて、もっとそこに根本的な問題を検討しなければならぬと思うのです。従来の、あり方というものが、やはり資本家があって、そしてその下に技術者が働くことによって産業経済がなされるというような形態でなくて、もっと技術というものを優先的に考えていくような社会的な傾向を作っていく必要があると思うのです。今大学院だけの問題をお聞きしたのですが、その方には今おっしゃられるように希望者が少ないとか、定員に満たないとかいうお話ですが、しかし大学の先生あたりのお話を聞きますと、文部省にこの研究科の設置を要請しておるけれども、何年たってもわれわれの要求を聞いてくれないというように不満を持ってきておる大学の先生もございます。そういうふうな面も考えれば、どうも高級の技術、そういうふうなものを考えておらないというようなそしりもないわけではないと思うのです。それから外国の大学卒業生等の傾向を見れば、卒業してすぐに職につくというようなものは二五%ないし三〇%というふうなものであって、さらにそれ以上の技術を研究するというふうな傾向が強いわけです。今の局長さんのおっしゃるところから見れば、日本の場合は、すぐに社会に出てしまって、さらに研究しようとするような者が少ないというようなことは、それはその人たちの問題をもっと真剣に考えて、今のように奨学資金の制度とか、あるいは研究するためのいろいろの便宜をはかるというふうな国家的な配慮が欠けておるからそういうことになるのであって、定員が少ないから、希望者が少ないからというようなことで、その方を怠っておったら、これは無責任だと思うのです。こういう点もこの法案の中にないということが私は非常に遺憾なんですが、十分これは考慮されなければならぬ問題だと思うのですが、大臣に一つその点の御決意のほどを伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 科学技術教育に関しましてのものの考え方というものは、これは科学技術教育だけじゃないと思いますが、そうであっても同じですが、ものの考え方としては、私は小林さんのおっしゃる通りだと思います。そういう考え方でいくべきものだと思います。現実問題としますと、今大学局長お答え申し上げたようなこともございますから、それを無視してもやりかねる気もするわけですが、根本的な目標というか、教育内容のレベルを向上せしめなければうそじゃないかというようなお説はしごく同感であります。そういう人材を養成すべき立場におる大学教授あたりが、率先して月給の多い方に流れていくのも実はどうかしら、もっと魂を打ち込んで、ちっとくらい月給が少なくても、国民の血税をもって徐々にではございますが、給与改善もしているわけですから、さらに今後も給与改善に努力せねばならぬことは、政府委員からも申し上げた通りでありまして、そういう国民的な要望を一身にになっておるであろうところの大学教授が、もっと落ちついて後進の指導に魂を打ち込んでくれればなおいいがなということも含めまして、私も小林さんの根本的なお説に賛成でございます。そういう方向に努力をしていくべきものと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 先ほどの質疑を承っておりまして、一点だけ確かめておきたい点があります。  国立の工業短大の下に付属高校を設けるということでございますが、どこの学校へどういうふうに作るのか、その点をまだ明らかにされていない。それで従来都立の工業大学がこういうような制度を作って、今日までやったけれども、その従来なされている教育の傾向というものを見てみたら、高等学校の三カ年の教育というものが、短大の教育の方向によって左右されて、そして短大を卒業した者の方向から考えたときに、先どまりの傾向がある、こういうようなことが今日の教育上の効果として評価されているわけですが、今日こういうような付属高校を設置するということになりますと、先ほども話を承っておりますと、大学は設置基準によってなされているし、高等学校は教育課程の上で、それだけ規制されているのだから、いわゆる完全な意味の専門学校ではないのだ。だから専門学校はまた別個に考える必要があるのだということを言われておるわけでありますが、今日設ける必要性がどこにあるのかという点を明らかにしておきたいと思うのです。この点についてお答え願います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 このたび短期大学に付属の高等工業学校を設けますのは、久留米の工業短期大学であります。これは御承知のように数年前に短期大学として発足いたしておりましたが、設立の当初から、実は付属の工業高校を置きたいし、そうしてこの付属の高等学校の部と、それから短期大学の部とそれぞれ——もちろん高等学校の教育課程、それから短期大学の設置基準によって教育をするという制約はあるわけでございますが、できるだけそれを現在の基準の中でも近づけまして、連係のある教育をさせたいということで、この付属工業高等学校を久留米の工業短期大学に付設したいということを考えたわけでございます。  ただいま都立の工業短期大学のお話がございましたが、私どもといたしましては、その都立の工業短期大学の付属高等学校の教育が現状非常に行き詰まっておって、どうということは私ども聞いておりませんし、現在の高等学校から短期大学に参りましても、さらに四年制の課程に入るものにつきましては、普通の短期大学と同様に取り扱われて、四年制大学に編入されるという規定もあるわけでございますので、特に高等学校の教育が、短大のために行き詰まるというふうには考えておらないわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 内藤初等中等局長にお尋ねいたしますが、そういうような都立工業短期大学の場合は、付属工業高校の教育というものがゆがめられているというようなうわさを聞くのでありますが、そういうような事実はありませんか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 都立短大の具体的事例については、私よく承知しておりませんけれども、高等学校の教育課程は幾つかの類型がございますので、その類型の範囲内でできるだけ連係を密にするということは考えられるわけでございます。結論的に申しますと、高等学校の基本的な性格をあくまでも維持しながら、どういうふうにして短期大学との連係をはかるかということに帰着すると思うのです。お尋ねの点はまだ詳細に私存じておりませんから、よく調べてお答えいたしたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 山中君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 一点だけお聞きしておきたいのです。短期大学を増設するという方針がこの改正の中に出ているわけですが、一方に私立の短大に対しては保護するよりも圧迫するというふうな傾向がある。文部省自身の短大に対する基本方針に矛盾がないかどうか、少し疑問があるので、今後短期大学というものを助成する気なのか、あるいは国立の、便宜上必要な短大は増設しておるけれども、一方、短大が成り立たないような専科大学を作って、そうして短期大学の関係者が心配しておるような制度を作ろうとしておるので、非常に矛盾があるように思うのですが、短大に対する文部省の基本方針をお聞きしておきたいと思う。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 短期大学制度ができましてから、すでに十年余を経過しておるわけでございまして、この間に短期大学制度自体に対する社会各方面のいろいろな意見が実はあったわけでございます。その一つに、御承知のように、短期大学は、現在の四年制大学を年限的に二年に圧縮した。ですから、本質としては変わらないのだが、年限的にその半分のものであるという考えできておるわけでございますが、こういった点から、二年の短い期間の間に一般教育と専門教育をあわせ修得するという制度になっておるわけでございます。こうした短期大学の特徴は、一面、たとえば技術教育あるいは専門職業教育の面から申しますと、一つの欠点であるということもいわれておるわけでございまして、こういった方面の教育としては、さらにこれを改善する必要があるということがいわれておるわけでございます。もちろん短期大学の多くは、御承知のように、女子のための一般教養的な教育ということで大きな成果を上げている面もございます。こうした面は、当然今後も維持され、助長されていかなければならぬと思います。文部省が私立の短期大学に対してこれを圧迫するというようなことは、従来もございませんでしたし、今後もそういうことは考えないつもりでおるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 今、国立大学を増設する改正案をお出しになっているわけですね。従って短期大学を助成するという基本方針の上に立っておるのならばわかるのですけれども、そうでなしに、都合のいい、便宜上必要な分は増設改正案を出して、そして一方に短期大学は暫定的なものであるから、それを押えていくという一方の文部省の行き方もあるので、矛盾がある。そういう点についてはっきりしておかないと、この一部改正については納得しがたいので、今の局長の御答弁ではわからないのです。だから短大というものを増設しながら短大を整理する気なのか、一体どういうことなんですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、短期大学にはいろいろの意見がございまして、一面、欠点とされる教育部門もございますが、確かにまた非常に大きな効果を上げている部門もあるわけでございます。従って、文部省としては、現在の短期大学は暫定的な制度ということになっておりますが、それを中教審に大学制度の改善に関連いたしまして諮問をしておるわけでございまして、その答申を待ってその本質的制度の改善をはからなければならぬと思いますが、文部省としては今直ちにこれを圧迫する、あるいは圧縮するとか、つぶすということは全然考えておりません。  なお技術教育に関連いたしまして、中堅技術者の養成ということが社会的な一つの要望でございますので、文部省としては主として工業関係の短期大学についてはこれを今後も拡張していきたいという考えを待っているわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 先ほどのお話は、家庭科教育その他については、一般教養が中心であるから短期大学というふうなものは案外適当であって、相当功績を上げておる。逆に工業とかそういうような技術を相当深く深める場合においては、短期大学の二カ年では短いのだ、そういうのは不適当だという年来のお考えが答弁の中に入っておると思います。ところが一番教育期間を多くしなければならない短期大学を五校増設する案をお出しになっているのです。やはり文部省の中には矛盾があるのですよ。そういう矛盾があるから、一方に六・三・三・四制のいわゆる正当なる学校制度に対する盲腸的存在である専科大学という案も出てきて、その矛盾を解決するためさらに他の矛盾を加えてきておる。そこに日本の現在の文教政策、学校制度に対する基本問題があると思う。  そこで大臣にお聞きしたいのですが、確かに六・三・三・四制の再検討ということが必要ならば、私らも大いに協力をして真剣に考えたいと思うのです。それは教育と産業の関係というものが遊離して現実に合わないことは明らかなのです。しかしそういう場合に思いつきでぽつんぽつんと盲腸的な案を出さないで、それならば学校制度調査会という基本的な機構を持ってやるべきであって、その前に思いつきでお出しになるというようなことは、あとへあとへと矛盾を積み重ねると私は思う。この法案についても局長が二回答えられた中に大きな矛盾が入っている。そこで私は大臣にお聞きいたしたいことは、六・三・三・四制の基本的な矛盾をなすようないろいろな問題については調査会を設置して検討する。それ以前においては、この六・三・三・四制の秩序を乱すようなものはやらないで、この秩序の上に立って現在の社会的要求にこたえる方途を考える、そういう態度が一番正しいと思うのでありますが、いかがですか、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先刻受田さんにお答えしたことで大体お答えは尽きると思いますが、六・三・三・四という制度が今日までずっと踏襲されてきておりまして、習熟した制度であることをむろん私も承知いたしております。ただこの中で大学教育につきましては、特に今日までいわば一指も染めないままに専重してきておりますけれども、新制度が発足しまして十数年たった今日、大学制度それ自体を再検討したらどうだろうということで中教審に諮問され、熱心に検討していただきつつすでにまた年を越したわけでございますが、あくまでもその中教審の方々の慎重な御検討を待ってしか考えられない課題だというふうに思っております。今六・三・三・四を文部省だけでどうせねばならぬという意味においてはまだ何にも考えはないわけで、あくまでも中教審の答申待ちという状態にございます。五年制の専門学校みたいなものを考えたらどうだということで現に法案を検討中ではございますけれども、それは先刻も申し上げました通り、あくまでも中堅の技術者が四十四万人も足りない、あるいは大学を卒業した程度の科学技術者が九万人余り不足するというふうな事態にも応じつつ、中堅技術者といいますか、専門学校五年制の一貫教育を受けたような科学技術者というものは、単に今の不足に応じるのみならず、将来長きにわたって必要である技術者層ではなかろうか。そのことがまた切実な要望もありますことに顧みましても、そういう気持がするのでございまして、むろん学校教育が経済界からの要求だけで思いつきで変えられたりなんかすべきものじゃないことは当然でございますけれども、当面はそういうことにも応じつつ、また学校教育自体としても、もう一種類あってもいいのではなかろうかという考え方から、中教審にも御相談申し上げつつ検討を続けておるような次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 大臣は非常に簡単にお考えになっているようです。もう一種類あればいいと言いますが、もう一種類置くということになれば、学校制度の基本的な調査会で検討しなければいかぬので、中教審の制度というものは、現在の基本的な学校制度の運営の上に立って矛盾のない範囲内の検討をすべき諮問機関だと私は思う。学校教育法を乱すような——もう一種類のものを置くというふうなことは重大な問題になるので、そういう点に現実の社会の要求があるならば、中教審にかけ、中教審の意見によって動くような問題ではない、そういうように私は思うので、これはもっと真剣に考えるべき問題であろうと思う。短期大学も一方に作っておって、専科大学の思想があるということは、やがて短期大学をまた改組して専科大学に持っていくという意図が含まれるとすれば、これは羊頭狗肉のような案になってくる。そういうことは率直にもっと真剣に——学校制度全体については私も考えおるのでありますが、今のような思いつきで出されることはどうしても賛成できない。そうして五年制の一貫した教育が必要だというならば、現在の制度の中において一貫しようとすれば、やろうとすればやれないことはない。基本的に検討するのならば、やはり責任を持って、調査会を持ってやるべきであって、現行の制度においてやるならば、先ほど例に出ました電波高等学校も、電波高等学校を付属高等学校にして電波短期大学を置けば一貫した教育はできるはずです。それでも矛盾があるというならば、高等学校の教科課程について検討すればいいのであって、現在の六・三・三・四をすぐ破壊をするような、そんな軽率な文部大臣のあり方というものは私はいけないと思うのですが、中教審の意見を聞くほかはない、それからもう一種類のものが必要だというような簡単なお考えでは、日本の学校制度というものは数年ごとにゆるんでくるのじゃないか。六・三・三・四というものは確かに再検討すべきものがあるのじゃないかというととは私もある意味では考えております。しかしそういうことの上に立ってもう一種類のものを加える——先ほどの受田さんの言葉ではこぶをくつけるということがありましたけれども、そういう行き方からいって、いろいろの矛盾をしたものを積み重ねたあとでは、再検討するときに非常に混乱し、整理がつかなくなるのじゃないか、そう思うのですが、いま一度お答えを願っておきます。そしてその点についてはもっと慎重に検討していただきたいのであって、思いつきでちょっとした一部の世論の上にふらふらするようなことは、学校制度の検討の場合にはとってはならない、そう思うのでお答え願いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先刻お答え申し上げたことを申し上げる以外にないわけでございますが、ひょいと思いつきでそんなことを出そうとしておるとおっしゃいますが、それほどでもございません。そういうふうなものの考え方はもうずっと以前から実際上の必要に立脚いたしまして論議されていると承知いたしておる。特にまた、もう一種類あってもいいのじゃないかという私どもの立場の考え方からではございますが、実質的には大学制度に似たところがあるわけでございますから、中教審にも御相談を申しまして、中教審からも賛成をしていただいたのでございますから、十分法案としての検討を加えて御審議を願おう、こう思っておる次第でございまして、いずれ国会に提案する運びになりましたら、各委員の方々から、国会を通じて慎重に御審議を願って、お教えもいただきたいと思っておるような次第でございます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 他に質疑はございませんか。——他に質疑もないようでございますからこれにて本案に対する質疑は終了いたしました。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますからこれを許します。山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私は日本社会党を代表いたしまして本案に若干の希望を添えて賛成をいたしたいと思うのであります。  私の賛成の理由の第一は、現在高等教育が技術革命の必要に基づいて非常に要望されておるということ、並びに基礎的な科学教育の、科学研究の必要もまた世論の要求するところでありますので、今回の改正案の中において短期工業大学を新しく設置する、さらに大学に理論物理学の研究所を置くということは事宜に適したものであると考えるので賛成をいたしたいと存じます。  第二には、付属高等学校を四年制の大学に限らず短期大学にも付設することを認めるということは、一方に技術教育の必要を満たすことであると同時に現在の六・三・三・四制の学校制度を乱さないで、そうして一方にまた産業界の要求にこたえるという意味において、私は賛成をいたしたいと思うのであります。  しかし、次のことについて、特に今後のあり方について要望いたしたいと思うのであります。その第一点は短期大学を一方に増設をしつつ、他方に、公、私立短期大学を含んで文部省において短期大学を軽視するというふうな施策をもしおとりになるとすれば、非常に大きな矛盾である。短期大学というものを一方に増設しつつ、一方に短期大学をどういうふうにしてこれを育てていくかということについて統一した方針を確立されて、今後の短大の発展的な整備というものをお考えになることを特に要望いたしたいと思うのであります。  第二には、今回の一部改正は国立短大だけである。このときに一方に多くの私立短期大学があって、国家の教育に大きい貢献をいたしておるのでございますから、国立短大の増設ということについては同時に私立短大を圧迫しないように十分の注意をされることが肝要でありますので、この点についても文部省の大学教育に対する施策の中に、国立本位になりがちな傾向があることは世間からすでに批判されておるところでありますから、私立短大に対してもっとこういう増設については十分の考慮を払い、また私立短大に対してもっと積極的な方途をお立てになることを要望いたしたいと思うのであります。  第三には、聞くところによりますと、専科大学の設置のことをお考えになっておるようでございますけれども、この点についてはあくまでも六・三・三・四制の秩序を乱さないようにすることが必要であり、その間に非常に矛盾があるのであって、もし六・三・三・四制の基本的な学校制度というものにひびが入るような問題がある場合においては、学校制度の基本調査会その他の機構をもって根本的に検討し、結論を得るまではそういう派生的な、盲腸的な制度の思いつき提案というものは慎しんでいただきたいと思う。  以上、希望を申し上げて私の討論を終わりたいと存じます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 竹下登君。

竹下登自由民主党

○竹下委員 私は自由民主党を代表いたしまして、本法律改正案に賛成の討論を行なわんとするものであります。  本法律の一部改正案は、これことごとく世の要求に沿うものでありまして、時宜を得たものであると確信いたすものであります。ただ、さらに中堅技術者の養成等につきましては、文部当局においてもそれぞれ中教審に新たなる諮問をいたしまして、新たなる学校体系のもとにこれらの養成を考えられておるやに承っております。また、初級技術者の養成等のための教師の養成等につきましては、すでに今国会に法律案が上程せられ、今や審議中でございます。これら総合した問題がそれぞれすみやかに検討せられて、そうして実行に移されるよう要望いたしまして賛成いたすものであります。(拍手)

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は民主社会党を代表して、条件つき賛成をいたします。  それは先ほど山中委員からも社会党の立場からの御意見が出ておりましたが、国立学校の設置というものは、少なくとも国の文教政策の柱になることは私はよく承知しております。しかし、同時に国立と合わせて文教のもう一つの柱になるものは私学であって、私学振興を無視して日本の国立学校だけを中心の文教政策というものは、とうてい成り立たないものであることは、文教当局よく御存じの通りです。従って国立学校の拡充強化というときには常にもう一つの柱である私学をどう育てるかということを念頭に置いて、その育成を怠らざる用意をするということを私は特に条件にしたいのです。特に国の文教予算に占める私学振興費の比率があまりにも少額であって、二十数億にすぎないということ、現に大学の教官は、国立大学は最高三〇%の給与改善がされたけれども、私立は一向それが改善されておらない。約一割五分低い。この国立よりも低い教職員の待遇改善をはかるためには、私学は国から何らの助成がない限り、やむなく依然として授業料の値上げ、設備拡充費の値上げ等でまかなっておるという現状である。諸外国の例を見ても、英米仏独等私学振興にそれぞれ大幅に力を入れておる段階において、この自主的運営に苦労している私学振興に十分国立に準ずる国の助成をはかるよう努力をしていただきたいと思います。  もう一つは、こうして幾つかの新しい施設ができたわけでございますが、私はこういう施設が、研究所が、それぞれの大学に設けられていくことには賛成いたします。この点は、文部省の方針に私も共鳴し、こういうものがどんどん付属の機関として研究所を増設していただいて、その研究が一そう徹底されるよう御努力に相なりたい。そうしてこの特殊の研究所は、また一方において私学にも何らかの法律の助成費をもってまかなって、国学の足らざるところを私学によって補うという御努力をお願いしておきたいと思うのであります。  最後に、この法律の通過とともに問題になることは、この国立短期大学及びその付属高校という形のものと合わせて専門学校をという、この文部省の新しい構想は、山中委員が先ほど御指摘された通り、私も先ほどるる御説明した通り、一つ十分慎重に検討していただいて、国の学校体制というものを混乱させないように、その原則を十分守っていくことを前提としての御研究と相なりたいということであります。そしてさらに願わくば、この国立短期大学に付属を作ると同時に、国立高等学校のその上に短期大学を設けるという用意を御検討するということでございましたが、さらにこれを強力に検討していただくようにお願いをいたしまして、文部大臣以下の御努力を条件にして、この法案に対する賛成を申し上げたいと思います。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 以上をもって討論は終局いたしました。  採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 次に学校教育法等の一部を改正する法律案、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案及び教育職員免許法等の一部を改正する法律案を一括議題とし審査に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は能率的に、皆さんの生理的要求を満たすのにあまり支障のないように、時間を制限して質問します。それで皆さんの御協力がありましたので、十分ほどお尋ねをさしてもらいます。  それは文部省が所管をしているいわゆる財団法人文教協会の醜悪なる事実でございます。この問題について一言お尋ねをしておきたい点があります。財団法人文教協会は全国大学の福利厚生のために、全国大学の事務局長が協力をして二十四年に成立したのです。その後この文教協会がどのように金をかき集めて、それがどのように使われているかについて非常な疑義があり、私が伝え聞くところによると、文部大臣が許可したこの財団法人の経理は、全国から数千万円の金を国立大学からかき集めておりながら、それを事務当局者が適当にごまかして大赤字を出しているという実態であります。このことについて文部省の文教協会に対する御見解、監督権を有する文部大臣としての御見解を伺いたいと思います。

天城勲文部事務官(大臣官房長)

○天城政府委員 私からお答えいたします。  文教協会は御指摘のように昭和二十四年に文教に関する資料の作成、出版あるいは文教関係職員の福利厚生等に資する事業を目的として設立をされました民法三十四条の規定による財団法人でございます。御指摘のように設立当初国立学校の職員の福利厚生ということが目的でございまして、各学校から資金を持ち寄りまして設立されたわけでございます。その後同協会は幾つかの事業を行なってきておりますけれども、事業の運営が必ずしもうまくいっていないことも事実でございまして、現在までわれわれが受けております報告並びにその後要求しております報告書等から見まして、まだ未提出のものがありますが、経営が必ずしもうまくいっていないということは承知いたしておるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 経営が必ずしもうまくいっていない実情を御報告願いたいのです。つまり全国からどれだけの金を集めたか、私数字も用意しておりますけれども、文部省が調べられた数字とそしてこれをどういうふうに使われたか。現在大赤字になっているというのは事実かどうか。それからこれに関係している理事者の責任者の名前がどういうものであるか。そうして現在これによって迷惑をされている人々の申し立てもあると聞いているがどうであるか。事少なくとも文教の府に莫大な国民の血税を食いものにする人間が文部省の同じ屋根の下におるということは、これは許されない現実でありますので、これはきょう与えられた時間で満たされない場合は次会に持ち越さなければなりませんが、その点をはっきりしてお答えを願いたいと思います。

天城勲文部事務官(大臣官房長)

○天城政府委員 当初国立大学から分担して出した金額は大体千八百万くらいでございます。御存じの通り文部大臣といたしまして民法第三十四条によります法人に対する監督権がございまして、これに基づきまして事業報告書あるいは収支決算書等の提出を要求する監督権を持っております。三十一年度までの事業報告、収支決算書等は提出されておりますし、三十三年に役員異動の報告もございましたけれども、三十四年以後の報告が出ておりませんので、公文書により、あるいは人を派して事業報告書等の提出の督促を現在いたしておる段階でございます。  なお同法人の現在の役員は国立大学の事務局長が理事として名前を連ねておりますが、そのほかに専務として大学関係でない清田という人が実際の衝に当っておるわけでございます。  なお、現在の事業の状況につきまして先ほど申したように収支決算書等の提出を求めておりますけれども、いまだ提出に至りませんので、私たちも事業上うまくいっていない点がある、赤字が出ているということも聞いておりますが、数字的にそれらの点についてまだつまびらかにいたしておらない状況でございますが、せっかく明らかにするように督促をいたしている次第でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 文部大臣、あなたの御所管の中に、あなたの前任者が許可した財団法人の文教協会は、その設立以来十年、全国の国立大学事務局長を理事に連ねて莫大な金を寄付さして、今官房長は千八百万円寄付と言われたのですが、官房長の言われた寄付にしてもいいです、千八百万円の寄付した金はほとんど仕事をしないで、福利厚生には用いないで、あの目白にある国立学校、公立学校共済組合の鶉荘を処分したときの金がどんなに処分されたか、まだ私はっきりしないのですが、そういうようなもので相当の利益を一方で得ておりながらも、実際は福利厚生に何ら貢献をしないで、その何千万円という金が使われ、しかも赤字になっている。国民の血の税金を食いものにした責任者が文部省の同じ屋根の下においでになるわけなのです。大臣としてこの現実をながめられたときに、文教協会に対する解散命令、あるいは文教協会の実態調査、責任者の処断、刑事問題の追及、こういうふうに少なくとも国民の血税を食いものにしたような事件については、この次の機会に詳細に、必要があればお尋ねしたいと思っております。こういう事件の全貌が一応わかっておるのでございますが、この全貌の解決策をどうおとりになろうとするのか、これは一つ大臣のお口から責任の所在と監督権の行使上の責任論と、今後の取り扱いについての御所信を伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 文部省には認可しました公益法人が千をこしておると聞きます。そこで、別に弁解するつもりで申し上げるのではございませんけれども、現実問題として千件以上の公益法人の監督が実際上困難であり、不可能に近かった部分もあろうかと推察いたします。そのことはそれといたしまして、決算報告ないしは事業報告等も出さないでおるということだけから申しましても、この公益法人が名のごとく公益法人らしからぬ姿であったのだろうと推察にかたくないのでございまして、先刻官房長からお答え申し上げましたように、監督の立場にある以上は、今まではともかくとして、実態を文部省自体として把握して、その上に立って適切な処置を講ぜねばなるまいという考え方で、今せっかく努力中でございます。結果を待たなければ、何とも申し上げかねますけれども、今私が小耳にはさんが程度、ないしは受田さんのおっしゃることをそのまま考えますならば、公益法人にあるまじき姿であったのだなということを連想いたすわけであります。いずれにいたしましても、正確に実態を把握した後に適切な処置を講じたいと存じます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それでは大臣の適切な処置を講ずるという答弁があったし、その実態をさらに把握したいということでありましたが、実態が一年以上たってもなかなか把握できないのです。問題がそこにある。官房長からも清田理事を呼んできてどういうふうに金を処理したかを質問しても、一こう資料を出してもらえないということなのです。しかもそれが国民の血税である各国立大学の事務費の中から金が何千万円もかき集められて、それがどこへいったかわからない、しかも赤字が出ておる、こういうようなことが、文部省の屋根の下だから問題があるのです。ほかのところなら、こういう悪があっても何とかごまかしがきくかもしれませんが、文部行政の府で道徳教育の総本山のところで、こういう大きな悪の巣食うような、一千に及ぶ認可した法人があるのだ、従って手も及ばないのだというお手上け状況では、日本国民は文教の府を信頼することができなくなる、これは非常に大事な問題だと私は思いますが、きょうは私皆さんに御迷惑をかけないつもりで十分だけと言って、もう十分にちょっとしかないので、資料要求を申し上げて、私の質問を終わりますが、この次にその資料に基づいてお尋ねをさせてもらいます。  そこで、資料要求の第一。文部省が許可された約一千に及ぶ法人の中で、育英関係、学術研究関係、その他の宗教団体、その他の社会教育団体等の類別にした数字と、その中に金の集め方がこの文教協会のように国民の血税を集めて経営されるところはどのようなのがあるか、これが一つ。それから、この財団法人文教協会はどのような職員によってスタートしたか。その理事、評議員の一覧表をお願いし、その設立趣旨、目的をお尋ねしたい。それから、最初のこの資料は文部省に出ておると思うから、第一回からずっと二回、三回とその寄付行為が行なわれておるのでございますが、文部省が監督権を行使してつかまれた寄付行為の数字を列記していただきたい。それから、目白の鶉荘、その建物を国立学校共済組合に売りさばいておるわけです。これは文教協会がやったわけです。そのときの売り渡しの価格がどれだけであったか。地方財務局で評価したのでありまするから、財務局でこれをどのように評価したかをお調べを願って、これも文教協会がどれだけもうけたかわかりませんので、鶉荘という建物を文教協会がいつ買って、それを国立学校共済組合にいつ売りさばいて、幾らの利益をあげて取引をしておるかということを、これを一つお尋ねをしたいと思います。それから、代官山の公邸として使用しておった建物は幾らでいつごろ買い求めて何に使用したものであるか。その後この公邸は松村文部大臣のときかに、こういうものは必要ないというので、これを廃止されたようでございますが、当時宴会やマージャン等で相当お役人さんたちに御利用されたことも伺っておりますけれども、この公邸の善後措置も伺いたい。それから、この文教協会が三十四年ごろから非常な負債をやっておるわけでございますが、その中に本省の役人が関係しておられたことがあるのかないのか、これも明らかにしていただいて、できればどの程度赤字になっているのか、幹部の懈怠の事情などと関連して、その経理の状況を今までつかんだ限界でお答えを願いたいと思います。それから、この文教協会がラジオ研究所とかその他にいろいろ金を貸し付けておる、あるいはトンネル会社を作ってその方に金をつぎ込んだという説が流れておりまするが、これは何千万円もの金をかき集めて、金の行方がわからないで赤字が出ておるのでありますから、当然考えられるのでありますが、どのようなことへ手を出しておるか、そうしてどこで大穴をあけたかということをはっきりしていただきたい。この資料です。  それで、全国の国立大学の事務局長がそれぞれ責任者になっておられるのでございますが、これは普通の法人とは違って、そうなっておるという大事な法人でありますので、この実態は普通の法人とは性格を異にしておることをはっきり御認識の上、今、私がお願いをいたしました資料を現時点においてわかる限りにおいてお答えを願いたい。そうして次の機会に文部大臣に、文部省から出された資料に基づいてこの実態がどうあるべきかをお伺いをしたいと思います。  文部大臣、どうか一つ文教の府の責任者として、あなたの傘下にこのような汚れたことが絶対にないようにという意味で、この事件の解決については思い切った手を打ってもらいたいと思いますので、資料要求にはどうぞ忠実な資料をお出しになることをお願いして、私の質問を終わります。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもって通知いたします。  これにて散会いたします。    午後一時四十九分散会      ————◇—————

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