文教委員会 第8号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/17
会議録
○坂田委員長代理 これより会議を開きます。 濱野委員長の都合により、委員長の指名によりまして私が委員長の職務を行ないますが、何分よろしくお願い申し上げます。 国立学校設置法の一部を改正する法律案、学校教育法等の一部を改正する法律案、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案及び教育職員免許法等の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査に入ります。 質疑の通告があります。順次これを許します。山中君。
○山中(吾)委員 前々委員会で質問を申し上げる予定であったのですが、時間がなくなったので、本日質疑をいたしたいと思います。 養護教員と事務職員の配置状況について資料の提供を願ったのですが、それは手元に今いただきましたから、これについて御質問いたしたいことと、それから教育会館の目的、性格について疑問があるのでお聞きいたしたいわけであります。 まず教育会館の方から、大臣がおられるのでお聞きしたいと思いますが、本年度一億の予算で、来年度四億を予定をして、全体として五億の予算で教育会館を建設されることになっておるようでありますが、この教育会館の目的をまずお聞きいたしたいと思います。
○荒木国務大臣 御案内の通り、教職員が教育に関しまして研修をする、あるいは研究をするために協力をすることは、文部省としての当然の責務であろうかと思いますが、そういうことで従来も研究会ないしは研修会等を年々やってきておりますけれども、一カ所に集合して相当数が同時に集会をし、研究をするという場所がないので、戦後多年悩んできておったようでございます。ことに三十六年度以降教育課程も新たになりますので、研究なり、研修なりという機会がますます多くなってくることも必然でございます。従来もその場所を得るのには非常に苦心しておりまして、あるときは小学校のあいた部屋を貸してもらうとか、あるいはその他のビルの集会場所をあさり囲って、そのつど式で手当をしておりましたので、はなはだしく不便を生じておりました。そういうことでずっと以前からも何とかそういうものがなければという試みが行なわれたようですが、ようやく三十六年度予算案の中に盛り込むことができましたことは、今申し上げました趣旨においてまことにけっこうであったと、ほっとしておるところであります。目的は以上の趣旨でございます。
○山中(吾)委員 教員の再教育のための機関であるということは大体わかったわけでありますが、その教員を再教育されるときの大臣としての指導精神といいますか、五億の金を使ってお建てになるのでありますから、その教員の研修の基本方針というものがおありだと思いますので、それをお聞きいたしたいと思います。
○荒木国務大臣 これは申し上げるまでもなく、私一個人の考えでどうということなんかあろうはずもでございませんので、指導要領が権威者によって定められております。その指導要領に沿って研修をする、そういうことでございます。
○山中(吾)委員 大臣はよく教育基本法の再検討が必要であるとお話があるので、教育基本法の精神に基づいた教員の再教育を考えてこういう会館をお建てになるのか、あるいは物足らないので、物足らないという言葉をよくお使いになっておられる——そこでよい日本人といいますか、あるいは何か大臣によい教師観というものが別にあって、この計画をお立てになっているかをお聞きしたい。
○荒木国務大臣 お尋ねのようなことは許されざることと思います。憲法の趣旨に従い、教育基本法の定めるところにより、教育基本法の趣旨を受けましたもろもろの法律の制度に従って教育は行なわるべきであり、文部省もその行動半径はそれらのものの範囲内でなければならぬことは、これはもう当然のことでございます。 教育基本法が、制定の過程等から見まして、再検討さるべき一つの課題だということは、かつても申し上げ、今もそう思いますが、それはそうであるにしましても、これまた権威者の衆知を集めて再検討の結果が出て、しかもそれが国権の最高機関たる国会において、主権者たる国民の代表の方々の御検討の結論が出たその後はまた別ですけれども、それ以前に厳然として存在しておる憲法以下の法制の裏をくぐって妙なことをするなどということは、民主政治家に許されざることと思います。
○山中(吾)委員 公正な大臣のお話を聞いて、私も喜びにたえないのでありますが、たとえば、この教育会館がもし建設された後に、全国の教師を集めて研修をされるというときに、文部大臣が行っていろいろとあいさつをされる。そのあいさつをされる中に教育の方針というものはおのずから入ってくるので、そのときに今のように大臣がいつも基本的な立場に立ってお話しになるならばいいのでありますけれども、そのときに自分の私見とかあるいは荒木文部大臣の思想が入って参りますと、この教育会館というものが、私は荒木思想というものがずっと傾斜をしていって、荒木教育のための教育会館だというようなことになるようなことでは、五億の金を教育基本法と憲法から傾斜するような教員の再教育のために使われるとすれば、まことに遺憾であるので、その点を私はお聞きしたわけであります。 祖国を愛する人間を作りたいという言葉は、大臣も何回か言われておる。その点については私も異議ありません。愛国心に燃えた日本人を作ることは、これはその通りでありまして、しかしその祖国というものの中に特定の国家、社会主義国家とか資本主義国家とか特定の国家というものを想定しないで、いわゆる教育基本法あるいは憲法に規定された国民主権制度と、それから人権尊重と平和を愛する平和主義というふうな、三つの柱に立った現実の日本の憲法が規定しておる前提の上に立ったものでなければならぬと思うのですが、特定の国家を想定して祖国を愛する人間ということになってくると、私は教育が偏向すると思うのです。そういう点も含んで、私は、こういう教育会館を建てられて、教員の再教育をされるについては、今大臣が言われた憲法と教育基本法を忠実に守るという線を、具体的なこの指導の立場に立って大臣があいさつをされるにしても、あるいは講師の選択にしても、その点は責任を持って偏向しないようにしていくということを、私は確認をしておきたいと思うのですが、お答え願いたいと思います。
○荒木国務大臣 その御懸念は百パーセント御無用と思います。いやしくも憲法がある以上は憲法に従い、教育基本法がある以上は、教育基本法の趣旨に従って、教育が行なわれ、また現場の教職員もそれに従って、定むるところに従って、偏向教育なんか断じてやってはいけないという心がまえでいくべきものでございますから、山中さんが今御心配顔におっしゃいますけれども、心中一点の疑いも差しはさんでいただく必要がないくらいに私は純粋に考えておりますし、今後もそうだと思うのであります。教育会館ができますのは三十七年度いっぱい、ひょっとすれば三十八年度にかかるかもわかりません。そのときまで首がつながろうとも思いませんけれども、かりに私がそのときに在任しておると仮定いたしましても、教育会館を通じて、憲法、教育基本法以下一連の教育に関する、もしくは教育に関しませんでも、日本が法治主義で立っております以上、国会の定めました主権者の意思たる法律制度に従って、一歩といえども踏み出すべからずという鉄則を守っていくべきことは当然至極のことと思うのであります。むしろそれよりも、現場でともすれば日教組の影響を受けて偏向することなきやを今国民にかわっておそれておる、そういう心境でございます。
○山中(吾)委員 自信がある大臣の教育思想の基本を聞いたので、一応今後の大臣の言動を見守りたいと思いますが、ときどき放言をされるので、私はその心配をしているわけなんです。この点については、また次の機会にゆっくりお話し願いたいし、私も質問したいと思うのですが、一点だけお聞きしたいと思います。憲法の第一条に、天皇は国民の象徴であり、主権を有する国民ということになって、国民主権ということが確立されておるわけであります。天皇に対する国民の象徴としての考え方の中にも、人の上に人を作らず、人の下に人を作らずといういわゆる民主思想の基本というものが、あの第一条の根底の思想だと私は思うのであります。そこで国民主権という思想を第一条に織り込まれておって、旧憲法において天皇に主権があるという基本的な国家理念から、新憲法において国民に主権があるという理念に転換をした。ある意味においてこれは革命という言葉も使える。そういう意味において、新しい憲法従って教育するという場合には、天皇をまた神格化するというふうなことを阻止する教育でなければならないし、また国民主権という立場をもっと強調して、そして人間天皇として、すなおに国民の象徴としての天皇というものを憲法に規定しておるので、その点については当然のことでありますが、再びまた人の上に人を作るというふうな風潮を作らないということが、私は新しい憲法の第一条の線に沿った憲法に即する教育基本方針でなければならぬと思います。この点については、どうも現在の風潮の中には、また人間以上のものに持っていくムードといいますか、そういうものが現われておることを私は非常に心配をいたします。その点について今大臣が抽象的に、憲法と教育基本法を守って、教員の再教育も、教育の基本方針も考えて、百パーセント疑われる何もないというお話でありますので、具体的に、たとえば第一条の国民主権ということについて、これをほんとうに日本の国民の思想、感情の中にまで深めていくということ、そして人の上に人を作らないというこの基本的な憲法の考え方について、大臣はそういう方向で日本の国民教育を進めていくということを、ここで具体的にお話しを願いたいと私は思います。
○荒木国務大臣 今おっしゃったようなことは、教育そのものに関します限りは、指導要領で取り上げる。指導要領がもし今おっしゃることと逸脱しておるならば、指導要領が誤っておる、誤っておるならばそれは改正をすべきである、という論理関係に立つものと思います。従って、文部大臣の職を汚しております私一個によって、教育の場に偏向的なものが現われるはずがない。そういう現われるようなことをなすべきではない、私はこう心得ておりますから、ただいまの御懸念は私に関します限りは、口はばったいようですけれども、御無用にお願い申し上げたい気持でございます。 天皇の地位につきましては、憲法が定めておる通りのことであって、それ以外のことであるはずがない。ただ国民の中には一人々々として自分はどう思うという人があるいはあるかもしれませんけれども、それは単なる立法論的な感想であって、それが他人に押し広められるべき筋合いのものではないことは、もう当然のことでありまして、あくまでも憲法に従い、あくまでも国会の定めた法律、制度に従って、教育というものは行なわるべきもの、それを逸脱することは断じて許すべきではない、かように心得ております。
○山中(吾)委員 一応大臣のそういう信念をお聞きいたしましたので、そのお言葉を信頼して、今後大臣の具体的な教育方針についてまた疑義があればお伺いいたしたいと思うので、この点はこれで一応終わりたいと思います。 教育会館の目的はわかったのでありますが、性格はあの目的によりますと、国立教員研修所というふうな性格のように思うのでありますが、建設されたあとの教育会館はどういうふうな運営になるのか、この目的に従って国立教員再教育機関というのか、あるいはその他のことを何かお考えになっておるのか、これは局長からお聞きしたいと思います。
○内藤政府委員 教育会館の運営につきましてはまだ結論を得ておりませんが、二つの考えがあると思います。一つはお説のように国の施設として直接国費をもって運営する方法が一つでございます。いま一つは特殊法人という形で運営する方法があろうと思います。現在のところ私どもは、特殊法人の形で運営した方が適切ではなかろうかと考えておるのでございます。
○山中(吾)委員 国の五億の予算を投じて国民教育を担当する教員の再教育機関だとするならば、これは国立教員研究所というものでなければ筋が通らないと思うのですが、その点いかがでしょう。
○内藤政府委員 もちろん国の意思が何らかの形で反映しなければならぬと思います。その場合に直接国の所轄機関のような形で、国立教員研究所という形が一つあります。しかしもっと民間の協力を仰いで、教職員の研修をやるという考え方をとりますならば、特殊法人という考えもあるわけでございます。たとえば国立競技場がその方式をとっておるわけであります。特殊法人の形にした方がもっと運営が適切にいくのではなかろうか、こうも考えておるわけでございます。
○山中(吾)委員 予算面にはその維持費、運営費というものが計上されていないのですが、これは来年できるから来年を考えたのか知りませんけれども、いわゆる特殊法人に持っていくということが前提として予算を立てられておるように思うのですが、その点はいかがですか。
○内藤政府委員 まだそこまでいかないので、本年度には会館の建設費の一部を予算化したわけでございまして、債務負担行為がついておりますが、当面の問題は会館を作ることでございまして、会館ができてから運営の問題になるわけでございますので、運営の問題は来年三十七年度以降の予算において考えたいと思っておるのでございます。
○山中(吾)委員 僕は疑問なんですが、競技場とかそういうふうな場合については、それを特殊財団法人ですか、そういうものに維持管理をなにする。そのときには民間からも相当資金が出ておるのじゃないか。それからいろいろな公団とか、あるいは何か事業をやらす場合には、特殊法人的なものにやらす場合は政府が資金を出す。民間からも資金を吸収する。そうして倍ぐらいにして作るという場合に、そういう予算の出し方をするのですが、今度の教育会館は全部国の予算を出して作るのですから、そこのところは国立教員研修所というふうなことを想定しなければ、僕にはぴったりこないのです。どうもおかしいと思うんですよ。それでもし、また民間の特殊法人というふうなものにすれば、国が、今大臣が言われたように、憲法と教育基本法に基づいて現職教員の再教育をするのでありますから、そういうものを民間の財国法人にまかすという手はないじゃないか。そこでその教育会館という名前が大体僕はおかしいと思うので、疑問なのです。私はこういう国の予算において、しかも目的が国民教育を担当する重大な責任を持つ教員の養成ならば、国立研修所というならわかる。ところがそうではなくて、特殊財団に持っていって、教員の再教育を民間に委託するというふうな構想ならば、そうも筋が通らない、おかしいと思うのです。そういう行き方ならば、どうも私は賛成しがたいのです。その点についてどうですか。
○内藤政府委員 国が直接管理運営に当たる場合と、国が役員を任命して、それに管理運営をおまかせするという二つの場合があるわけです。国立研究所の場合でございますと、原則として国の予算で処理するわけでございます。特殊法人になりますと民間の寄付も仰ぎ得るわけでございます。この趣旨に賛同して民間からも寄付があるかもしれませんし、また教育界からもそういう寄付があり得ると思うのです。実際の運営をする場合に、設備を充実したいという場合に民間の寄付もあり得ると思うのです。それから運営する場合に定員を何人というふうにきちっときめて、事業費まできちっときめますと、なかなか今度は運営が窮屈になると思うのです。この場合、特殊法人ならば、特殊法人の予算の中でその辺は大へん円滑に運営ができるわけであります。あくまでも国が責任を持つという体制については変わりがないのであります。みずからやるか、あるいは文部大臣が任命した者にやらせるか、こういうことになろうと思うので、その辺は決してこれは普通の財団法人のような考えではないわけですから、誤解のないようにしていただきたいと思います。
○山中(吾)委員 どうもおかしいと思うのですがね。教員の再教育機関でしょう。それを特殊法人に持っていって、そしてその理事長というのですか、だれがなるか知らないが、問題の一番重大な責任のある仕事を、一体民間の財団法人を作って、それは特殊法人であろうが何であろうが、そういうことで——教員の再教育機関というのは、どうしてそういう構想が出るのでしょうか。
○内藤政府委員 文部省が直接研修するものは、これは文部省の責任においてやるわけです。場所をお借りするわけです。文部省がその場所で宿泊つきの研修会をするときに、その会館を利用する。この場合に管理者と十分協議して、そして文部省がその会場を使う。それから先生方で各教科別の研究団体等もございますので、その研究団体が全国に数百ございます。そういう方々が大会をやったり、あるいは研究会をされる場合にも、もちろん場所を提供するわけでございます。ですからその会館の理事長が研修の責任を負うというわけではないわけであって、あくまでもその会館の維持、管理、運営に当たる建前でおるわけでございます。
○山中(吾)委員 宿泊する場所とか研修する場所を提供するというだけで五億の金を国の予算で出すのですか。研修、再教育のために国が責任を持ってやるからこそ五億の予算も、いろいろ他の文教費の足らないときに支出をするというならわかるのです。財政投融資から出るとか、民間半分国が半分というならわかるのですが、そんな無責任な国の予算の出し方というものは私は想像がつかない。どうですか大臣。大臣のお考えと局長の構想とは違っておるのですか、同じですか。
○荒木国務大臣 同じでございますが、その建物ができ上がった後の運営の問題は、予算なり法案等では今回は三十六年度の予算ないしはそれに関連しては御審議願う段階じゃない。建物ができ上がりましてからその運営を国が直接公務員を配置して運営するか、あるいは今政府委員が申し上げましたように、たとえば国立競技場の例にならって、実質上の公務員ではありましても、形式的には公務員でない人々、すなわち特殊法人、特別立法の御審議をお願いして、それによってむろん性格、内容はきまるわけですけれども、一般の民法に基づく公益法人の形とかいうことでは適切でございませんから、法律に基づいて特殊法人を作っていただいて、その特殊法人をして運営に当たらせる。運営ということは建物の管理、運用ということだけであって、たとえば教職員の研修会を催すことそれ自体を企画したり、あるいは研修それ自体をみずからの責任においてやってみたり、などということは考えられないことなんで、それはあくまでも文部省が責任を持って研修その他を行なう。ただしさっきも話が出ておりましたように、民間の教育研究団体等が団体として研究をやりたいという申し入れがあったときに、場所を提供することそのことは、特殊法人自体にまかせて判断して貸す貸さないをきめていいかとも思われますが、いずれにしましても、そういう運営の形と方法は国が直接やるか、しからずんば今申し上げたように特例立法に基づく特殊法人をしてやらした方がいいかということは、もっと検討さしていただいて、でき上がりが三十七年度一ぱいと予定されておるわけでございますから、それまでの間に国会のご審議を願って、いずれが適切かを決定していただいて運営に当たる、そういう心がまえでおるわけでございます。
○山中(吾)委員 その点は今大臣のお考えの場合、予算の提案と同時に教育会館設置法案という法律案を出さなければならぬのですが、予算だけが出て、そういう法律案は出ていないのです。私は国立教員研修所ならわかるのですよ。研究機関という意味ならわかるのです。今申しましたように立法措置がないのですが、そういうあいまいな性格といいますか、運営の基本的なものが残って、現在の予算を出されるということは、僕は正当な手続を経ていないように思う。どうも文教委員会というのは、予算関係は予算委員会でやって、そして文教関係を御存じない人か時事問題などをやって、国の予算を通してしまって、文教委員会の審議と一番密接な予算関係をわれわれはなかなか審議する機会を与えられないですっといく。まことに遺憾なんです。今のお話の中にも、私は教育会館という名前はぴったりしない、まあ教育会館でもいいですが、その設置法という法律か出なければならないと思うのですが、どうですか。
○内藤政府委員 設置法という問題になりますと運営の問題になりますので、現在は国の予算で一億出ておりますから、この予算を執行する。その場合は官庁営繕として処理するわけでございます。その後の問題として、国で直接管理するかあるいは特殊法人という法律を作って管理をするかという問題がございますので、これは三十七年度以降に十分検討してきめていただきたい、こういうわけであります。
○山中(吾)委員 それでいいですか。国立教員再教育所とか研究所というんなら……。それも何か今までの慣行においては立法措置をとるのです。それから特殊法人に持っていくにしても、全額国の予算なんですから、しかもその仕事の内容は教員の再教育ですから、たとえば学士会館とか民間の自治的な一つの仕事をやるのに、国がある程度補助するというのではなくて、全額国の予算で直接出して、そして作っていくときに、いずれの方向をとるにしても立法措置が要るんじゃないですか。
○内藤政府委員 いずれの措置をするにも立法措置が要るとは御指摘の通りで、ございます。ただそれはたとえば国立研修所にいたしましても、その規模や内容というものをきめなければならぬ。ところが本年度の予算で一億の頭を出して三十七年度一ぱいで完成したいというのですから、現在のところ建物だけなので、まだその段階に至ってない。いずれどちらかにきめて御審議をわずらわすための法案を出すわけなのです。
○山中(吾)委員 どうもこれは坂田委員長も専門家だから、お聞きしながら少し疑問じゃないかと思われていると思うのですがね。一億という計算は、執行できないですね、法案を出さなければ。
○内藤政府委員 これは前にも例がありまして、たとえば国立競技場の予算を作って、それから国立競技場をいよいよ運営するときに、特殊法人の法律を出したわけです。予算執行の面では一向に差しつかえありません。官庁営繕として会館を作るわけです。作ってから後にその運営について必要な法案を出す。それから今御指摘のように国立学校関係の場合は、これは三十六年度から新しい学部なり学科を作るわけですから、どうしても三十六年に必要な定員が組まれているわけです。それに必要な予算があるわけですから、これは法律を合わせて出さなければ執行できない。建物だけではございません。それと今回の教育会館とは違うと思うのです。その違う点を御認識いただきたいと思います。
○山中(吾)委員 しかし目的も明らかでありますし、今大臣からも説明を聞いておるわけなんですが、一億の予算を執行したあとでその法案を出してきて、こういう目的であってこうだった、あとでわれわれに審議をせいなんということは、一体順序が逆ではないですか。そんな無責任な審議はできないと思うんですがね。それで他の例はまだ僕は十分研究はしていないのですけれども、法案を一緒に出しておるのが普通でしょう、そうじゃないですか。
○内藤政府委員 これが三十六年度に運営が発足するというんなら御指摘の通りであります。しかしこの会館は先ほど大臣がお答え申しましたように、三十七年度までかかる。ですから今当面の問題は建物を作るというだけのことなんです。これは官庁営繕で執行いたします。その後の問題として御審議を願いたいと思っておるのでございます。国立の研究所にするか特殊法人にするかということは、三十七年度に十分検討したい、こういうわけです。
○山中(吾)委員 どっちかわからないのに賛成しろとか何とかいったってそれはできないんじゃないですかね、立機関として。どうですかね、大臣。私も法的に十分研究はしていないんですが。
○荒木国務大臣 大体今までの政府委員の説明で御理解いただけそうに思うのですけれども、とにかく予算上として考えますれば営繕費だけの問題で、言いかえれば文部省の庁舎の拡張費と同じことだと思います。たまたま仮称教育会館などと注釈を加えているものでございますから、今のような御疑問がそういう文字の上で一応ありそうには思うのですけれども、事柄としましてはあくまでも建物を建てるということ、しかしその目的は先刻御説明申し上げたような目的で建てたいということ、しかしそれは、建物はできましても、国会の御意思を全然無視して運営ができるはずがない。運営する方法は、国家公務員を増員していただいて、これまた予算で御審議願って、その公務員自体がそういう部屋を貸したり何かということを直接やってもよろしいかと思います。それも一つの方法だと思います。しかしそのときも当然国会の御審議を願わなければ、予算的にも制度的にもその運営の方法は成り立たない。それからまたもう一つ考え得ることは、先刻も再々話が出ておりますように、国立競技場みたいに特殊法人法というものを御審議願って、それが可決されたならば、その線に従って運営した方がより適切だ、より弾力性があって円満な運営ができるということであるならば、それも一つの方法であると思います。しかしいずれにしましても、固く会の御審議を願うにしても、私どもとしてはこっちがよいと一応の判断を立てて御審議を願わなければいかぬわけですが、そのいずれによるかがまだ確定しない段階でもございます。さりとてまた仰せの通りしょっぱなから、建物を建てるときから目的がわかっておるなら、運営の方法に関する法案を添えて出すべきではないかということもお説だろうとは思います。しかしそれば絶対にそうでなければ国会の御審議を願う機会はないかというと、それは一年おくれで、当然国会の御審議を得て可決していただいた制度に基づかなければ、いずれにしたって運営は不可能という性質のものでございますから、国会の御審議を願う意味合いにおいては、まず建物を予算的に御審議願って、そして可決していただけば、その予算を執行しまして建物の建築が続々進行する。完成して勝手に運営するのでなくて、完成の直前には運営の方法をいろいろ考えた結論を法案ないしはその他のものとして国会に御審議願うということにして、そして完成と同時にそれが発足できる、こういうふうに順序立ててやるのが通例でもございましょうし、あえて国会の御意思を無視してどうだということにはこれは絶対になりっこない課題だろうと心得ております。
○山中(吾)委員 文部省を増設するとか単純なる営繕ならば別ですが、そうでなくて、はっきりと教育者の再教育機関だと説明されておる。そうして建てるときには立法はできていない、建てたあとで審議を願うというふうなことの中に、私は非常に矛盾を感ずるのですが、これは今の御説明だけではどうもわからないのです。いま一度次の機会に、もう少しわれわれが自信を持って賛成できるような法的説明、それからもう少し未来に対する設計図をはっきりしてくれないとこれはできないですよ。これは与野党にかかわらず文教委員としてこういうものを賛成だということは無責任千万だと思うのですよ。それで次の機会にもう少し明快なお答えを願いたい。私も前例、慣例その他も調べてみたいと思いますので、一応これは次に保留をします。 次に、「年度別養護教員、事務職員調」の資料、出していただきまして非常にありがとうございましたが、これを見ますと、今ちょっと見ただけでありますけれども、昭和二十五年から三十五年の間にその数が遅々として少しも増加していない。養護教諭については、学校教育法において原則的に必置条件にして、附則に単に当分の間としておるのであって、学校教育法が制定されて十数年もたっておるというふうな状況からいって、ほとんどふえていない。年度によっては前の年度より減っておるところも、ちょっと瞥見をしましても数カ所もあるというふうなことは、私は学校教育法の精神に合った行政が行なわれていないというように思うのですが、この資料から見ると、日本の教育水準は少しも進んでいないように思うのです。この点について、局長の方でなぜこういうふうな状況になっているか、一つ率直にその原因と思われるところを説明願いたい。
○内藤政府委員 この養護教諭は、従来は必置制ではございませんでした。置くことができるということに学校令はなっておったのですが、学校教育法が制定されまして新しい教育制度になりましてから、養護教諭の必要性を認めまして、学校教育法では必置制にいたしたわけでございます。ただ、当時養護教諭の数も非常に少のうございましたので、当分の間置かないことができるという附則を設けたわけでございます。それは昭和二十二年に学校教育法ができたので、その当時はわずかに三千名でございました。それがだんだんふえて参りまして、昭和二十五年には七千六百人に増加したわけですが、その後地方財政の困窮によりまして、なかなか思うようにいかなかった。特に御承知のように再建団体が二十数県にも及びまして、教員の定数は一般的に削減を受けたのであります。これは養護教諭だけでなくて、教員の定数がどんどん削減されるような状況が、二十七、八年ごろから三十一、二年ごろまで続いたわけございます。そこで、御指摘のように、養護教諭や事務職員を適正に配置したいというので、昭和三十三年に学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を作りまして、養護教諭も充実するし、事務職員も充実したい、なお一般の教職員につきましても、すし詰めを五カ年間に解消する、五十人以下にしたいということとあわせて、定数の改善、合理化をはかって参ったわけであります。そこで、三十五年には八千七百六十四人と、約千人ほどの増員になっておるわけでございますが、これでは私どもも非常に不十分だと思う。定数法によりますと、小学校は千五百人に一人、中学校では、二千人に一人ということで積算をいたしておりますので、なお不足数が二千五百ほどございますが、この二千五百につきましては、三十八年までには五十人にすし詰めを解消すると同時に、この定数もあわせて充足いたしたいということでございます。それからいま一つの原因といたしましては、地方財政の困窮のほかに、養護教諭の養成がなかなかできかねておったというのも一つの原因ではなかろうかと思うのです。
○山中(吾)委員 地力の要請からいうと、養護教諭なんというのは非常に熾烈な要請がある。それだけ教育上必要だということなんで、ことに学校給食、それから学校保健、その他学校教育法ができたあとに新しく制定されてきた教育施設なんで、そういう点からいくと、養護教諭は原則として各学校に必置しなければならない現実にある、こういうことを私は痛切に感ずるのです。この点について、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
○荒木国務大臣 もともと建前が必置性であるのにかかわらず、附則で当分の間はやむを得ない式になっておるように聞いておりますが、これも今政府委員から申し上げましたように、むろん必置性を望ましいといたしますけれども、現実に、義務づけましても、養護教諭の供給源というものが見合って考えられなければ意味をなさない道理でございますので、しばらくの間その養護教諭の人材供給ということを考えつつ、行く行くは必置性に附則を改正して戻す、こういう建前であるわけでございます。ただ遺憾ながら、その養護教諭の養成は相当数の大学で行なわれておる趣でありますが、現実問題としては養護教諭希望者がなかなか少ないということを聞いております。また養護教諭の特殊の養成機関というのはほとんど言うに足りないという状況でもあります。従って養護教諭の給源をだんだんと充実していくという努力が足りてないことは率直に認めざるを得ないと思います。年々歳々地方の需要等もあるわけでございますから、国もまた地方も協力しまして、養護教諭を養成するという力を努めていく。さらには応急的には学校看護婦と通称されるものが以前からあるそうでございますが、そういう経験を持った人を養護教諭になりやすくするという制度も別途法律案を成案いたしまして御審議願いつつあるわけございますが、そういうふうなこともあわせまして、極力必置制度に向かって努力を積み重ねていかねばならないと考えております。
○山中(吾)委員 大体大臣のお考えもお聞きしたわけですが、事務職員についても、教育と事務が両方重なって、一免を追う者は二免を得ずで、お互いに能率が上がらないという状況になっている。最も能率を上げるのには事務と教育というのは人的にも分担させる必要があるのじゃないかとも考えます。養護教諭、事務職員のことについてはやはりもっと法的に根拠づけて、これを年次計画的に充足していくという行き方をとらない限りは何年たっても停滞をしておる。その点について、方向としてこれを現実に原則としての必置の方向に持っていくということだけは、一つ責任者においては確認をしていただきたいと思う。この点についていま一度御意見をお伺いして、この資料をさらに私は検討させていただいて善処いたしたいと思う。
○荒木国務大臣 先ほど申し上げたことで私どもの考えは申し尽くしたと思いますが、繰り返し申し上げますと、必置制の方向に年々歳々努力を続けていくべきものと心得ます。
○坂田(道)委員長代理 竹下登君。
○竹下委員 私はただいま議題となっております四法律案につきまして逐次質疑を続けたいと思います。順序は、まず国立学校設置法関係、続いて学校教育法の一部改正の問題、それから免許法の問題、最後に国立工業教員養成所の設置に関する臨時措置法の問題、この順序で質疑を行いたいと思います。 一番目の国立学校設置法関係でありますが、今回の改正法案を拝見いたしますと、毎年ありますところの学部の新設、短期大学の新設、廃止、また研究施設の新設等については、私もいささかの異議をはさむものではございません。ただ国立短期大学に付属学校を設置できるようになっているのでありますが、その理由はいかがでありますか、まずこの問題をお尋ねいたしたいと思います。
○小林(行)政府委員 このたびの法律案におきまして、国立短期大学にも付属として高等学校を設けたいということを御提案申し上げております。実は短期大学に付属学校を設置することにつきましては、公立の短期大学あるいは私立の短期大学ではすでに行なわれておるのでございますが、従来国立につきましてはそのことがなかったわけであります。しかしながら御承知のように最近非常な勢いで科学技術が進歩いたしており、産業界におきましても中堅技術者の養成ということが強く呼ばれておるわけでございまして、できるだけ短い期間に専門的な能力あるいは職業的な能力の高い教育を施すということが要望されているわけであります。従来から文部省におきましては、中堅技術者の長期的な養成計画といたしまして、工業関係の短期大学を設けておりますが、なう一そうこの専門的なあるいは職業的な能力を付与するためには、現在の短期大学だけでは、これは御承知のように四年制の大学教育内容を二年間に圧縮したというような関係になっておりまして、短期大学の設置基準等によって制約されておりますので、この短期大学だけでは不十分でございますので、これに付属の高等学校を付設いたしまして、高等学校課程の三年間と短期大学課程の二年間、この合計五年間を連係ある充実した工業教育を施したい、それによって有能な中堅技術者を養成するようにいたしたいと考えまして、三十六年度に初めて久留米の工業短期大学に付属の工業高等学校を設置することにいたしたいと考えておる次第であります。
○竹下委員 そういたしますと、短期大学に付属工業、久留米に工業高等学校を設置するという考えでございますが、さらにこれが工業高等学校を設置する場合と、将来この法律に基づいて予科的な性格を持つ高等学校を設置するお考えがあるかどうか。
○小林(行)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、短期大学に付属の高等学校を設けましても、現在におきましては高等学校は高等学校の教育課程、短期大学の教育は短期大学の基準によりましてそれぞれ教育をするわけでございまして、完全に一貫した教育ということまでには実はできないのでございます。従来からこの三年プラス二年の五年間に関して一貫した教育を施す制度を考えなければならないということにつきましては、産業界はもちろん各界から強い要望がございまして、文部省におきましてもその御要望にかんがみまして、中教審の答申を得て法案を国会に御提案申し上げたことがあるわけでありますが、いろいろな事情でこれが成立いたしておりません。しかし先ほど申しましたような産業界あるいは各界の要望が現在でも非常に強いものがございますので、この短期大学に付属の高等学校を設置するということのほかに、やはり制度全体として五カ年間の技術者教育というものについて、文部省としては検討しなければならぬというふうに考えておる次第でございます。ただいま私どもとしていろいろ案を練っておるわけでございます。もしこれができますれば、ここにありますところの短期大学プラス付属の高等学校というものよりは一そうに充実した、一貫した技術者教育というものが行なえるようなものにいたしたいと考えておる次第でございます。
○竹下委員 ただいまの答弁の後半の部分につきましては、いずれそうした御検討の結果、法律案が上程せられた折りに、いろいろな点については質問をいたすことといたします。ただ、このたびの国立学校設置法の改正にあたりましては、きょう現在においては、付属高等学校なるものは考慮のうちになくて、あくまでも付属の工業高等学校だけをお考えになっておる、こういう理解でよろしいかどうか。
○小林(行)政府委員 三十六年度におきまして、久留米の工業短期大学に付属の工業高等学校を作るということでございます。 〔坂田(道)委員長代理退席、委員長着席〕
○竹下委員 それでは国立学校設置法関係の質問はそれでおくことといたします。 次に、学校教育法の一部改正の問題でございます。この問題につきましては、いわゆる通信教育の問題が大きな重要な点であると考えられます。そこで、通信教育に現在ラジオ、テレビ、そうしたものが利用せられておるというふうに承っておりますが、その実情を簡単に御説明賜わりたいと思います。
○内藤政府委員 NHKにおきましては、昭和二十八年から通信講座を開いておるのですが、国語、数学、英語等でございます。テレビにつきましては、NHKもやっておりますが、文部省でも本年度約一千万、昭和三十六年度予算におきまして千七百万ほどの予算を計上しておりますが、物理、機械一般の二科目をやっております。そのほかにNHKは英語、人文地理、化学、機械製図、電気製図というような科目を通信テレビでやっておるわけであります。そこで、ラジオを聴取した者につきましては、三分の一の単位を免除する、テレビの場合には二分の一を免除するというような方策をとっておりますので、テレビやラジオによって通信教育を補うという措置をいたしておるわけでございます。
○竹下委員 三分の一を免除する、あるいは二分の一を免除するということでありますが、これはラジオあるいはテレビを利用しておるという実態はいかにして把握するか、これについて伺いたい。
○内藤政府委員 三分の一とか二分の一と申しましたのは、大体一年間に二十日間程度の面接、いわゆるスクーリングがございますが、そのスクーリングにあたりまして、三分の一あるいは二分の一を免除するわけでございます。その場合に、ノートを提出させたり、あるいは面接のときに質問をするわけでございます。その質問によって、ほんとうにラジオやテレビの講座を使っておるかどうか、これははっきり確かめた上でいたすわけでございます。
○竹下委員 その点はよくわかりましたが、NHKでなく文部省自体で今年度千七百万円でありますか、そうしたテレビ放送を利用しておるその内容をごく簡単に承りたいと思います。教育の内容ではございません。やり方、でございます。
○内藤政府委員 現在のところ、日曜日に午前十一時から十一時十五分まで、時間が非常に限られておりますが、放送回数は二十一回、物理と機械一般の二科目でございますので、合計四十二回しております。放送者は大学の教授を中心に、それぞれ斯界の権威者によりまして、一科目で大体四、五人に担当していただいておるわけでございます。ネット数は東京、大阪、札幌、福岡、この四つの局を連係いたしまして、できるだけ広くの人に聞かしたい。特に日曜日を選びましたのは、通信教育の生徒たちはふだんはやっぱり仕事に追われておりますので、日曜に面接をいたしておる、その面接を学校でいたす際に、テレビを見ながら解明できない点を解明し、教師がそれについて十分指導をしておるわけでございます。
○竹下委員 千七百万とか千万というのは結局文部省がどこかの局のスポンサーになるという金でございますか。
○内藤政府委員 さようでございます。現在のところ日本教育テレビに文部省がスポンサーになっておるわけでございます。
○竹下委員 それでは続いてただいまの問題でありますが、この「通信制の課程」とすることによって従来の通信教育とその教育内容また方法に変更があるかどうかということを承りたい。
○内藤政府委員 別に課程としたからといって内容や方法に相違はございません。従来は教育の単に方法として通信教育という方法を認めたのでございます。ところが通信教育が発達いたしまして、今日では通信教育だけで高等学校を卒業できるようにいたしたのでございます。そこで「通信制の課程」と改めたのは、今後は通信教育だけの高等学校も設置し得るように道を開いたのでございます。従前は普通の高等学校に通信の部を置いたわけです。それが相当規模の大きいところもございますので、通信教育だけの高等学校も認めるという趣旨の改正でございます。
○竹下委員 その趣旨は私も理解できるのでありますが、通信教育のみでは、一番欠点として私ども考えられることは、いわゆる教師と生徒との接触の機会が乏しい、あるいはお互い学校教育を受けておりますと、学風とか校風とかそうしたものになじんで、それが大きな人間完成の要素となるわけであります。また学校教育のいま一つ大きな利点は、やはり集団生活を営んでおる、そうした面であろうと思うのであります。そういうふうに考えてみますと、通信教育オンリーというものはどうしてもそういう教師と生徒との接触の問題、それから校風とか学風とかそうしたものになじみがたいという問題、そしてまた相互間の接触がないために、共同生活によって有形無形に利する点が少ないという問題、この三つが通信教育全般についての欠陥であろうと私は思うのであります。その意味においてこれらをいかような方法でカバーしていこうというお考えであるか、これを承りたいと思います。
○内藤政府委員 御指摘の通り、通信教育のいい面もございますが、お話のような欠陥もあるわけであります。特に最近はマス・コミも発達いたしまして、ラジオ、テレビ等によって相当な成果をあげておるのですが、現在定時制にも通えない子供がたくさんおるわけです。定時制に通えない理由としては、職業に従事しておりますから、なかなか時間が切り上げにくいというようなこと、特に中小企業のような場合には、そういう事例が多いのであります。通信の場合でございますと、比較的時間や場所に関係なく容易に学習ができるという点が利点でございますが、御指摘になったような欠陥もございますので、この欠陥を補う方法として、一年間に二十日間のスクーリング、面接授業を行ないますから、この機会に教師と生徒の個人的な接触がはかれるわけであります。それから生徒たちの集団的な活動も御指摘の通り不十分でございますので、面接授業に際しましては宿泊の施設を設けたりして、できるだけお互いに友だちあるいは学友として十分なる連絡なりあるいは相談ごとなりができるような施設も考えておるのでございます。面接のやり方としては、中心校に集める場合もございますし、先生が公民館とか近くの学校に行ってそこで面接を行なっておるとか、あるいはみんなで旅行をするとか、運動会をするとか、そういうような方法で通信教育としての御指摘になった欠陥を補うようにせいぜい努力をしておるわけでございます。
○竹下委員 通信教育の問題でいま一つお伺いして、その問題の質問は打ち切りたいと思いますが、広域の通信教育を認めた理由をごく簡単にお尋ねいたします。
○内藤政府委員 従来は通信教育は府県単位にいたしたわけでございますが、ラジオやテレビが発達いたしますと、本来通信でございますから、通信料だけが問題になるわけでございます。その通信料は、府県単位であろうと全国単位であろうと同じ費用で済むわけであります。そこで府県単位のものをできるだけ広くいたしまして、テレビやラジオも活用するし、全国的な規模の通信学校があってもいいのじゃなかろうか、またその方が今日のマス・コミの発達に即応できるのではなかろうか、そういう意味で広域にいたしたわけでございます。
○竹下委員 それでは続いて技能教育の問題についてお尋ねしたいと思います。だいぶん時間もたっておりますので、かいつまんで御答弁をお願いしたいと思います。 技能教育の問題につきまして、施設はどんなものがあるかということ、また文部大臣がこの法律に基づいて指定しようとする施設はさしあたりどんなものか、何か例をあげて御説明いただけば理解が早かろうと思います。
○内藤政府委員 高等学校に準ずる程度の技能教育を施していくという前提がございますので、その範囲から申しますと、企業内の訓練施設とかあるいは青年学級とか、あるいは各省が実施しておる訓練施設等が該当するかと思いますが、現在のところ高等学校とほぼ内容が同程度と認定できるものは、職業訓練法に基づく企業内訓練を対象にいたしておるのでございます。
○竹下委員 その点はよくわかりましたが、さらに校長が高等学校の教科の一部の履修とみなす場合、いわゆる生徒が入学前に受けておる技能教育というような点についても、同様の考慮ができないかという問題について承りたいと思います。
○内藤政府委員 たいへんごもっともな御質問でございますが、実は連携をしてみないと、どういう学習をしたのやら正確につかめない、連携いたしますと、初めて特定の学校の生徒との関係が生ずるので、それから後のものでないと履習の範囲が明らかになりませんので、その点で遺憾ながら生徒が連携以前に学習したものは今回は法令では対象外にいたしておるのでございます。
○竹下委員 現実的な方法として、その問題は確かにむずかしい点があろうかと思われます。さらに今後この問題について何らかの形においてこれが認定できるような御研究、御検討を要望いたしておきたいと思います。 〔委員長退席、中村(庸)委員長代理着席〕 さらに、文部省の技能教育の施設の指定については、事務的な手続はどういう手続きでもって行われるものか、またこれについての予算措置について承りたいと思います。
○内藤政府委員 各学校と技能者養成施設とが十分打ち合わせまして、その定時制の高等学校なりあるいは通信過程の生徒という関係が生ずるわけでございますが、まずその第一段階として、学校と技能者養成施設との話し合いが済んで、それに基づいて県の教育委員会が文部省に指定の申請をしてくる、その場合に文部省では指定に関する調査の協議会を作りまして、そこで具体的に高等学校の一部とみなし得るかどうかという判定をして、その後に文部大臣からその指定の措置をとりたいと思って、これに関する予算は昭和三十六年度予算に七十数万円を計上しておるわけでございます。
○竹下委員 この通信教育の問題にいたしましても、あるいは技能教育の問題にいたしましても、いわゆる基本的な勤労青年教育という立場からいたしまして、それぞれ御苦心のあとが見られるが、ただ勤労青年教育というものを考えてみますと、俗にあるいは就労学習という言葉も使われておるやに承っておりますが、学校教育の範疇でこの勤労青年教育を行なう場合、あるいは広義な社会教育の範疇でこの勤労青年教育を行なう場合、それぞれあろうかと思われるのであります。ただその場合、これがいわゆる農業技術あるいは農村というものを念頭に置いた場合におきましては、社会教育の団体としてはあるいは4Hクラブ、そうしたものとかそれぞれ酪農、農事研究会とかいろいろございます。そうしてまたあそこでもNHKの農事放送等を利用して、そうして勤労青年教育というものが担当されておる。あるいは労働省とかいろいろ各省にわたってこうしたものが行なわれておるのであります。しかしやはりこれが学校教育と社会教育と大別して、二つの範疇に入る場合においては、文部当局としてはこの勤労青少年教育というものの中心的役割を演じながら、これらの各省との連係をとりつつ、最小の経費で最大の効果を上げるというものの考え方の上に立って、これらの教育を進められなければならないと信ずるものでございます。そこでこの勤労青年教育の振興についていろいろな措置を行なっておられますが、この際これの将来の抱負を承って、この学校教育法の一部改正案についての質問を終わりたいと思います。
○荒木国務大臣 お説の通り家庭の事情その他で進学したい希望を一応ふり捨てて職場につくという人がたくさんあるわけであります。その中に熱心な進学希望を持ちながら、なおかつ目的が達せられないことのためにおうおうとしておる人がありまする以上、何とかそういう人の求めに応じようというのが、今お説にありました勤労青少年に対する教育の方向かと心得るのであります。その意味におきましては、一方において青年学級その他の制度あるいは定時制等の制度、先ほど来お話が出ておりました通信教育の制度もむろんその一環でございますが、同時にまたそういう進学希望の青少年の気持を満たすことがまず第一義でなければならぬし、同時にまた職場の職業訓練等に教育自体がわずらわされてもこれまた困ります。教育第一義であると同時にまた進学希望者の気持を満たすことも当然中心的に考えられなければならぬ、その辺の調整が今後の問題であろうかと思いますが、要は今申し上げたそういう不幸にして進学できなかった青少年に希望を持ち得るような方向づけ、制度づけあるいは実質の改善充実等、懸命の努力を払わねばならないと心得ておる次第であります。
○竹下委員 ただいまの大臣の勤労青少年教育についての基本的な考え方に対しましては私も共鳴いたすものであります。 さて、それでは次に免許法の問題について、これはごく簡単に質問いたしたいと思うのでございます。このたびの一部改正、今までも何回か改正になりました場合をいろいろ思い出してみますと、不足することが予想される免許の取得条件の緩和ということが、やはり免許法改正の場合の大きな前提であろうと思います。ただ不足することが予想される免許の取得条件の緩和ということも、あくまでも当分の間であって、その不足しない状態に立ち至った場合には、再び改正して正常に戻すというお考えがあるのかないのか、このことを承りたいのであります。
○小林(行)政府委員 このたびの教育職員免許法の一部改正におきましては、問題点が幾つかございますが、その中で高等学校の工業、理科及び数学の教科につきまして教員免許状の取得方法について特例を設けることにいたしております。これは御承知のように最近の理工系の大学卒業者に対する産業界その他の非常な急激な膨大な需要ということとも関連いたしまして、きわめて逼迫した状況に立ち至っております。従って教員の採用につきまして高等学校側で非常に困難をいたしておりますので、この現在の事態に対処するために、臨時の措置といたしまして、そういった特別の措置をとろうという考えでございます。従って将来におきまして、たとえばこの免許状の取得方法ばかりでなく、工業につきましては御承知の工業教員養成所等も設置いたしますが、そういったいろいろの措置によりまして、大体需給状況のバランスがとれるというような状況に立ち至りましたならば、従来の免許法取得の本則に戻したいというふうに考えております。
○竹下委員 最後に国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法の関係について、これはおそらくまだ質問も議論も与党内においてもあろうかと思いますので、本日はただ大筋だけを質問いたしまして、それでとどめておきたいと思います。 大体高等学校の工業教員の不足、これはこの間いろいろな議論がありましたが、将来の工業学校を作る、中堅技術者を作るといういろいろな計画、長い計画を考えたときに、一体ある年次でどれくらい不足し、あるいは現在では幾らの不足があるかという実態について承りたいと思います。
○小林(行)政府委員 最近の工業教員の需給の状況でございますが、最近の需要数についてまず大体申し上げますと、御承知のような減耗補充と高等学校の工業課程の増設ということを合わせまして、最近は実は年々六百人程度の需要がございます。これに対しまして工業教員の免許状を取得する者の数につきましては、三十五年三月の大学卒業者について見ますと、約八百人の工業教員免許状の取得者数になっております。でありますから、この免許状取得者と実際の需要数とを勘案いたしますと、一応は取得者の方が上回っておるという状況でございますが、しかし産業界の実情等から、免許状は取得いたしましても工業の教員にならないというのが実際の状況でありまして、三十三年の実績を申しますと、三十三年は大体バランスが一応とれております。需要の総数が五百三十、それから供給の方も大体五百三十ということでとれておりますが、本年度の推定で申しますと大体二百七、八十人の不足が見込まれる。三十六年度に至りますとこれはやや緩和いたしますが、百五十人程度の不足が見込まれるというような状況でございます。なお将来計画といたしましては、お尋ねの中にもございましたように、工業課程卒業程度の初級技術者を養成せねばならぬという国家的な要請もございます。従って高等学校程度の工業課程を大幅に増設していかなければならぬということになりますので、今後この工業高等学校の教員は、これは文部省の推計でございますが八千人ないし八千七百人程度の新たな需要数が出てこようというふうに考えておるわけであります。ただしこの点につきましてはまだ財政当局と最終的な結論に達してはおりませんけれども、文部省といたしましてはそういう推計をいたしておるわけであります。
○竹下委員 この工業高等学校を増設することによって、いわゆる高等学校の急増対策という意味からいたしまして、およそ三十八年度がそのピークになるわけでありますが、そのときから急増する生徒のおよそどれくらいの人数を工業学校にお入れになる予定であるか、それを承りたい。
○内藤政府委員 ただいまのところ三十八年度から始まるわけでありまして、四十年にピークになる。それで所得倍増計画の終わる四十五年までに八万人の定員の増加をはかっていきたいと考えておるのでございます。
○竹下委員 これは非常に不勉強な聞き方でありますが、八万人の定員の増加というのは募集人員の増加と考えてよろしゅうございますか。年々八万人ずつ初級技術者が巣立っていく、こういうふうに理解していいかどうか。
○内藤政府委員 八万人の定員の増加でございますから、年々八万人、ずつふえていくということであります。本年、三十六年度に一万人の定員の増加を計画いたしまして予算に計上したわけでございますが、今後数カ年のうちに八万人の定員増加をいたしまして、四十五年に四十四万人不足するといわれておりますから、それに見合うように充実したいと考えておるのでございます。
○竹下委員 大学の工業教員養成課程というものが現在もございますが、この間の野党の方の御質問に答えて、それを卒業した者がごく数名しか工業学校教員に現在就職していないという答弁を拝聴いたしたのであります。しかしこの工業教員養成課程自体を増強していくということ、三年の特別な教育施設を設けるということについての考え方も私は了とするものでありますが、この四年の課程自体も増強していくという考え方があってしかるべきではなかろうかと思うのであります。これについてのお考えを承りたい。
○小林(行)政府委員 お尋ねのように国立の大学の工学部におきましては、これは七つの国立大学でございますが、工業教員の養成課程を設置いたしております。ただ現状を申しますと、三十四年の三月の卒業者、これは学生定員の数から申しますと大体百三人ということになっておりますが、その中で実際に工業高校の先生になりました者は五人でございます。それから三十五年、昨年の三月に卒業いたしました者の中ではわずかに一人という状況でございます。これはいろいろ原因があろうと思いますが、とにかく産業界の方の技術者に対する要請が非常に強い、そのために高等学校の先生にならずに業界の方に流れていくという実情でございまして、もちろんお尋ねのように工業教員の養成課程の拡充充実ということも一つの考えられる方法でございますが、現状は先ほど申しましたような状況でございますので、これの拡充ということでは先ほど御説明申しましたような高等学校側の要望に対処することにはならぬと思います。従ってそれと並行いたしまして新たに工業教員の臨時的な養成施設、養成所を作るということを考慮いたしたわけでございます。
○竹下委員 今、一人あるいはその前は五人というお話ですが、工業教員養成課程を卒業しながら実際その修業目的に従った方はこの程度のわずかな方々である。これにはいろいろな客観条件の整備ということが必要であろうと思います。それについては常識的に考えてもいろいろなことがいわれるわけでありますが、このたびの臨時措置としてのこの大筋の臨時措置法自体を認めるといたしましても、これらがはたしてまた今までの工業教員養成課程と同じような結果をもたらしはしないかということが、みなが危惧を抱いておる点であろうと思うのであります。そのもろもろの客観条件の整備というものは具体的にどういうことをお考えになっておるか、これを承りたいと思います。
○小林(行)政府委員 工業教員養成所を卒業いたしましても、この卒業生に対して法律上就職の義務を課する、あるいは就職の指定をするといったようなことはいろいろ制度上問題がありまして、これは私ども現在考えておりません。法律をもって拘束するということは困難であろうと思っております。ただ趣旨といたしましては、この卒業生が実際に工業高等学校の教員になるということを最も必要と考えておりますので、なるべくそれが自然にできるように、制度上も気持の上でも仕向けていきたいと思っております。まず学生の選抜にあたっては将来工業教員になるという希望のはっきりした者を選ぶようにいたします。なお卒業後の教職についた場合の教員の資格、あるいは給与等についてもできるだけのことは考えたいと思っております。なおこの養成所で教育を受けます場合の授業料の猶予、免除等についても特別の措置を考えておるわけでございます。それからこの教員養成所の学生についての育英資金の供与ということについても、大学ではございませんが、大学と同じように奨学資金の返還免除というような特典を与えるようなことを考えまして、実質的に就職について効果を上げるようにいたしたいと思っておるわけであります。
○竹下委員 授業料の減免あるいは育英資金制度の活用その他やはり重要な問題であります給与をよくするというようないろいろな問題があろうかと思いますけれども、それにもかかわらず、わが党の政策よろしきを得て経済が伸びる、それは別問題といたしまして、中堅技術者の必要性がますます生じてきますと、どんどんひっこ抜かれると申しますか、スカウトされると申しますか、トレードされると申しますか、そうしたことがあろうと思います。これは非常に誤解を受けやすい質問であろうかと思うのでありますが、だから計画に基づいた数字というものを初めから実質計画の倍くらいとっておかぬといけないのではないかという町のごく素朴な議論が現在ございます。そういう点につきましてのお考え、この七つでおしまいにするのか、あるいは今後ともこれをどんどん作っていくのか、こういう将来のお考えについて承っておきたいと思います。
○荒木国務大臣 今の御質問でございますが、さしあたり御審議願っておる計画以上に、お示しのようにたとえば倍くらいにするという予定はいたしておりません。まさしくこういう状況下におきましては、せっかく工業教員として養成しましても、ひっこ抜かれるということはほっとけばあり得ると思います。これをつなぎとめる絶対的な手段はございませんけれども、先刻政府委員から申し上げましたような施策をあわせまして、本人にも十分その自覚、意識を持ってもらう、あるいは養成所の先生たちもその気持で接していただくと同時に、私は要すればひっこ抜こうとする側の産業界に対しても、ひっこ抜いたことによって当面ある企業体が助かるではあろうけれども、国民経済全般としてはへんぱなことになることは必至なわけでございますから、そういう点もあわせ考えてもらって、協力してもらうという働きかけもなさねばならないかと心得ます。いずれにしましても、絶対的に個人の自由を押えつけて計画に合わせさせる方法は、決定打はないわけでございますから、そういう行政措置と申しますか、勧誘と申しますか、ベストを尽くして予定通りなるべく就職してもらえるような努力をいたしたいと思います。
○竹下委員 ただいまの大臣の心がまえに私も尽きると思います。これがひっこ抜かれることを決定的に防止する方法はなかろうと私も思うものでありますが、ただいまのような心がまえで、客観情勢の整備あるいは待遇の改善、またそういう行政措置の外にございますいわば求人側とでも申しましょうか、そういう会社、工場等に対する、あるいは具体的に申しますならば、これはいささか思いつきでありますけれども、本年度の募集には、ただし工業教員養成所の諸君は除くとか、それもなかなかむずかしいことでありますけれども、そうした各般の考慮というものをなさって、この設立の趣旨に沿いますように一つ十分検討されることを強くこれは要請いたしまして、私の質問を終わります。
○中村(庸)委員長代理 受田新吉君。
○受田委員 私は今御質問をされた竹下君に続いて、最初、技術庁長官が来られる前にご一言だけお尋ねいたしておきたいと思います。 今の国立工業教員養成所というこの養成所は、一体どこへ作って、そうしてもうスタートをすぐするわけでございますが、教授陣その他の陣容は整っておるのか、具体的な計画を承りたいと思います。
○小林(行)政府委員 これは法律案にございますように、北海道大学、東北大学、東京工業大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、京都大学、大阪大学、広島大学、九州大学、この大学に付置する考えでございます。この工業教員養成所は、この予算案とともにこの法律案が国会を通過成立いたしませんければ、スタートをできないわけでございます。ただしこの予算案を私どもとして編成いたしましたときから、これらの大学につきましてはいろいろと御連絡をいたしまして、もし制度ができれば三十六年度からこの工業教員養成所を創設するということで、各般の準備をいたしておるわけでございます。教員等につきましてもそれぞれの大学でそういった考えのもとに準備をいたしてもらっておるわけでございます。
○受田委員 これは法律が成立するのにはまだ時間がかかる、予算ももう少しかかる、こうなりますと、スタートしても、四月の末とか五月とか中途半端なときになりますね、実際問題として、そういう場合も来年度にやる、こういうことになるわけですか。
○小林(行)政府委員 従来大学を創設いたしましたり、あるいは学部を創設いたします場合にも、大体五月あるいは六月から授業開始というようなことできております。この工業教員養成所におきましても、できるだけ早くこの予算案、法律案が通ってもらいたいものと念じておりますが、実際の授業開始はおそらく五月あるいは六月になろうかと思いますが、そういった場合におきましては、先ほど申しましたような例に準じまして、たとえば三十六年度は夏季休暇を返上して、その間の授業を行ないまして、足りない期間を補うというような措置を講じたいと考えております。
○受田委員 四月の末とか五月、六月にでも入った場合に、これに応募する学年というものは、浪人組とか民間に勤めておるものとか、少なくとも新学年の入学を目ざして準備した人々は得られないわけなんですから、そうしたまで大学の入学試験は終わっておりますので、少なくともそういった方面へいく予定のものは、ここへ収容することはできないと思います。しかしいずれにいたしましても、先ほど来御説明申しましたような趣旨で、ぜひ工業関係の教員になりたいという希望の強いものを極力勧誘いたしまして、スタートさせたいと念じております。
○受田委員 昭和四十五年までに八万人の定員増加を考える、こういう初中局長の御答弁であります。その目標の四十五年度における工業教員の不足というものは、どういうめどをつけておられますか。
○小林(行)政府委員 四十五年におきまして、大体八千七百という数字であります。
○受田委員 その八千七百の不足人員を、この国立工業教員養成所で初年度の募集人員のままで続けていくのですか。
○小林(行)政府委員 その八千七百というものは、三十九年以降四十五年に至る間に、大体不足数といたしまして八千七百であります。今度この工業教員養成所で教育をいたします数が大体八百八十でございますので、それの十年間、約八千八百という数字と大体競合するというふうに考えております。
○受田委員 ことし入っても卒業は何年か先になるが、三十九年から四十五年までの間にはどれだけの数になりますか。
○小林(行)政府委員 大体三十六年度に入学いたしましてその卒業が三十八年三月三十一日、三十九年度から教師になるわけでございます。それがスタートいたしまして、現在の八百八十そのままでございますと、その後毎年八百八十ずつ出ていくわけでございます。それの総計が八千八百という数字になるわけでございます。
○受田委員 実際問題として、科学技術会議の諮問にこたえた技術者養成の答申書を見ると、今後十年後四十五年には四十四万人の工業高等学校卒業技術者の必要があることを認めておるわけです。この四十四万人に対して、文部省はどれだけの技術者養成のめどをつけておられるか。科学技術会議の要求に対する四十五年の目標はどこへ置いておりますか。そしてそれに対して教師の養成がどうあるべきかということをあわせて考えなければなりませんので、お答えを願います。
○内藤政府委員 現在工業学校の定員は十万七千三十二人でございますが、これを本年は一万人の増募計画をいたしております。逐年増加いたしまして八万人を目標に定員の増加をはかっていきたい。これで大体四十五年には四十四万に近い数字を出したい。 そこで教員の問題が出ましたが、教員につきましてはお話のように三十九年から出るわけです。その間におきましては、従来免許状がなくて工業の専門教科を終えた者が相当ございまして、そういう者には教養課程がなくても工業の先生になり得る道を考えておるわけでございます。また民間等において能力のある者は、しかも希望のある者を採用するようにいたしまして、その間の計画に支障のないようにいたしたい、かように考えておるのでございます。
○受田委員 今の問題はあと回しにして、技術庁長官が来られたので、長官と文部大臣とお二人に、先般の技術庁長官の勧告をめぐる今後のお二人の御方針について伺いたいと思います。 〔中村(唐)委員長代理退席、委員長着席〕 先週の金曜日、科学技術庁設置法の内閣委員会における審査の際に、私からこの科学技術庁設置法第十一条による長官の勧告権を行使してはどうかという強い要請をしたわけでございますが、これに対して科学技術庁の官房長以下事務当局は、勧告の必要なし、特に第三条に人文科学のみの件あるいは大学の研究に関する件を除くと科学技術の分野にはっきり書いてあるので、文部行政に対してもなかなかむずかしいのである。同時にこういう問題は勧告をしなくて済むように話し合いで今まで解決しているところに、科学技術庁のよさがあったにで、勧告などということをやるのが本質でないのだからというので、全面的に事務当局はこれを否定し、またそういう勧告をしなくて済むことを、実に円満な運営がされておるように誇っておったわけです。ところが私の次の質問に対して長官ははっきりと、大学の研究と制度その他の問題とは別であるという見解を明らかにされまして、その翌日勇敢にあなたは事務当局のその意見を押えて土曜日に勧告された。この点については、国務大臣としての腹がまえがまことにすぐれていることを多とするものであります。ところがこれに対して、文部大臣としても、勧告を請け入れる側として——これは長官がおそらく事前に大臣にもこういう勧告をしたいと言われたと思いますが、それをすなおに受けて立つというそのまじめな態度に対しても、文部大臣に深く敬意を表するものであります。 そこで、この勧告の取り扱いでありますが、この勧告の内容を拝見してみますると、国民に科学技術振興上必要である諸点が、盛られてあるし、文部行政の長である大臣に対しての決意の全貌も示されているわけでございますので、これをこれから具体的にどう取り扱っていくかということが問題であろうと思うのです。そこでこの勧告のあとに出された文部当局の見解というものが、新聞によって相当批判的に出ており、その数字などがずさんきわまるものであるという反駁がされておる。この間ここの委員会でも野原君たちが質問されたようでございますが、私がこの勧告を強く要求をした理由は、別に伝家の宝刀をこの際抜くという意味でなくして、勧告という権限があるのだ、権限は必要なときにはこれを強く打ち出して、行政機関の長がこれを十分検討するという、まじめな意味で平和的な関係でこの勧告というものは必要なときにはしばしばやっていいものだと思っておったのでございますが、事務当局というものはおおむねこういう政治的な勧告の時期とか内容とかいうものについて消極的であるということを、私先般の内閣委員会の審議の際につくづく観じたわけです。しかし高度の政治的な問題、勧告権の行使、これをすなおに受け入れる、こういう問題は特に科学技術振興というような文化国家の柱になる問題に場合には、思い切ってその拠点を政界に示し、国民に示すということは必要なことであって、しかもまたこの取り扱いを反駁して、ずさんきわまるものだといっていいかげんにあしらおうとするような、こういう文部省の態度も問題があると思うのです。こういう点につきましては、幸い荒木国務大臣が文部省の事務当局のそうした対抗的な意識を抑えて、大所高所から科学技術振興には勧告の線に沿ってこれを実行に移していきたいとお考えになっておろうと思うのでざいますが、文部大臣もその点については、私がお尋ねしている線にお進みになる御決意ですね。
○荒木国務大臣 仰せの通りでございます。
○受田委員 そこでこの勧告の内容でございますが、その内容の重点は、科学技術関係の技術者、技能者の養成を急速にやれという科学技術会議の答申に対する答えを一つずつ実行に移せ、こういうことで、それに伴って国立大学だけでは技術者の養成あるいは技能者の養成はなかなか間に合わぬと思うから、私学の面においてその不足分を補って、両々相待って所期の目的を達せよという意味になっておると思う。ところが文部省が昭和三十六年にした私立大学の理工課程における定員増の要求数は一千名ばかりであって、大学側が申請してこなかったのだというお答えをこの間内閣委員会でもされておったわけですが、実際に私立大学がその増員計画をうたっておるその実態を把握しているのかどうか。ただ申請をせよと要求して、それに答えたものだけが拠点になるという行き方でこの増員計画が満たされるとは私は思いません。私立大学の新しい学部を作るとかいう場合は、設置法によるところの一つの基準がありますけれども、増員をするというような場合には法律的根拠があるとは私は別に思っていないのでございますが、科学技術振興に寄与しようとする私立大学側の熱意を文部省はすなおに受け入れる用意をしていないのじゃないかと思う。非常に手きびしい基準でこれを押さえようとしているのじゃないかと思うのでございますが、大臣、この点は私学における科学技術教育に対する寄与の熱意をすなおに受け入れる用意をされているのでございますか。
○荒木国務大臣 仰せの点も、文部省は従来私学の果たしてきました公共性を中心に考えた教育の協力者として対処してきておると思いますし、また私の就任以後もそういうつもりで推移して今日に至っております。
○受田委員 増員と増加、こういうような場合は別に認可事項にはなっていない、新しく大学院を作るとか学部を作るとか、大学の新設とか、こういう場合に初めて設置法によるところの認可を必要とする、こういうふうに了解をしているわけです。この点について関係局長、私の考えでよろしゅうございますか。
○小林(行)政府委員 従来大学につきましては、学部の新設はこれは認可事項でございますが、学生定員の増ということにつきましては届出でできるということになっております。しかし学生定員の増があります場合には、やはりそれに伴う施設、設備等が必要でございますので、学生定員を増加する場合には文部省に御協議をいただくということに従来いたしておるわけでございます。
○受田委員 その御協議をいただく場合に、文部省では非常に手きびしい基準をお示しになっておられるのではないかと思いますが、いかがですか。
○小林(行)政府委員 理工系の学生定員の増ということにつきましては、これは最近の産業界の要望等も非常にございますので、もちろんいろいろな審査上の約束はございますが、できるだけ緩和した状態で審査をいたしております。
○受田委員 三十六年度の私立大学の増員計画は大学別にしてどうなっておりますか。
○小林(行)政府委員 文部省が受けつけました私立大学の学生、要するに学科内の定員増は四年制大学につきましては二百人でございます。それから短期大学につきましては八十人ということになっておりまして、これはいずれもそのまま文部省として認可をいたすようなつもりになっております。
○受田委員 四年制で二百名、短期で八十名、私学にこのぐらいの程度の協力をさせたのでは、とても技術者養成の目標達成は前途ほど遠しと私は思います。 もう一つそれに関連して、文部省は各私立大学に、国立で間に合わぬ面を協力させるために増員とか増加とかいう申請はどんどんさせる、そしてその実態調査は文部省みずから乗り込んでこれを相談するというふうにして、むしろ文部省側からこういう技術者養成に協力してくれよというくらいの、積極的な熱意をお示しになるべきじゃないでしょうか。
○小林(行)政府委員 御承知のように従来理工系学生の定員増加につきましては、長期経済計画に基づく八千人増募ということがございます。これは三十二年から実施いたしたものでございますが、これにつきましても私学の非常な協力を得まして、三十五年度すなわち本年度で一応目標の達成をいたしたのでございます。所得倍増計画に基づく理工系学生の増につきましても、もちろん今後積極的に私学の協力を得まして、できるだけ早くその目標を達成いたしたい。従来も私学に対しては御連絡を申し上げておるわけでありますが、あるいは不十分な点があったかとも存じますけれども、今後はさらに積極的に私学に働きかけまして、その協力を得て、目標の達成に努力したいと思います。
○受田委員 文部省が積極的に働きかける、こういうことが非常に大事なことだし、そして私学の教育施設というものをあまり手きびしく考えていくと、これはなかなかむずかしいことになる。そこで、工業教員さえも四年制のところを短期間に卒業させようという新しい御計画を今審議さしていただいているのですから、先生すら正規の学校を出なくても、短期の学校を出て、しかもそれに高等学校の工業科教員の二級免状を与えようという、四年制の大学を出たのと同様にするという特例が出ている。そういうような暫定的な工業教員養成をやろうというならば、私学において暫定的にできる範囲内でどんどん増員計画を立てて、技術者養成に協力させるという方針をおとりになっても私は決して矛盾はしないと思う。 今の問題に関連するのでございますが、科学技術会議の今後十年後における科学技術者、技能者の需給推算資料を拝見してみますと、その中に文部省が出した案で、やはり理工科系の科学技術者の不足数が十七万と上げてあるわけです。この十七万の不足に対して、もう一度ここでお聞きしたいのですが、四十五年に大学で理工学系の科学技術者が何人養成されると目算をお立てになっているか、お示しを願います。
○小林(行)政府委員 これは御承知のようにいろいろ施設、設備あるいは教員等との関連もございますので、一応最小限度の目標といたしまして一万六千人の増募計画というものを立てております。これを年々平均的に遂行するということで推定をいたしますと、約七万三千人の理工科系科学技術者ができるという想定でございます。
○受田委員 それで約十万人の不足が十年後にできる、こういうことになりますね。
○小林(行)政府委員 理工系大学の卒業者といたしましてはさようでございます。
○受田委員 そこで、このあまりにも大量に不足する理工学系科学技術者の不足を補うためには、今までのような手段ではとても間に合わないのだ、非常手段をとらなければならないのだ、その一環としては、技術者養成の高校に教員を増員する計画等が立てられており、施設拡充計画も立てられておるようでございますが、大学のこの大幅に不足している人員を補おうとするのに次の対策、たとえば理工学系以外のところからどういうふうに補っていくつもりなのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○小林(行)政府委員 御承知のように従来も、たとえば八千人増募計画にいたしましても、産業界その他全般の技術者養成の不足数を大学だけで補ってきたわけではございませんで、たとえば場合によっては工業高校の卒業者をかわって充足する、あるいはそれぞれの企業内で職員の技術者の教育訓練をする、あるいはいわゆる高等学校卒程度の各種学校等の卒業者をもって充てるというような、各般の措置が講ぜられて、もちろん不足ではございますが、今日まできたわけでございます。今後もそういったものをある程度できるだけ活用しなければならぬと思いますが、同時に科学技術庁の長官からの御勧告にもございますように、二万六千人といたしましても、できるだけこれを初期年度に繰り上げるということを実施いたしますれば、七万が八万になり、九万になるということも考えられるわけでございますので、その差はできるだけそういった措置で埋めるように努力をいたしたいと思います。また先ほど申しましたように、私学に対してもいろいろ財政措置その他の必要な措置を講じまして、できるだけの協力を得て、この目的達成に努力をいたしたいと思っております。
○受田委員 その目的達成には非常に間隔があるのですね。それは他の方からいろいろ手を尽くしたといたしましても、ほんに一万か二万だとすなおに今あなたが数字をお出しになった。とても十七万の目標には遼遠であるわけです。それではこの文化国家、特に宇宙科学開発などにおいては飛躍的に伸びていかなければならぬわが国の科学技術の実情からいっても、急速な重点主義の教育がなされなければならぬと思うのです。勧告がされても、実際は今までと大したことはできないのだ、勧告のききめは大したことはないのだ、じたばたしたって文部省としては七万か八万か九万になれば精一ぱいなのだ、というその程度しか見通しが立ちませんか、現状においては。
○荒木国務大臣 ただいま質疑応答されております大学卒業程度の技術者が十七万人必要である、そこで文教施設として、大学施設として増員、をいたします計画、一応計画をしておりますものでは、最終年度の定員が一万六千人だということでは七万三千人の養成になる、だから九万七千人ばかり足りないという勘定になる、こういうことになっておりますが、これは所得倍増計画に見合う意味合いにおいて、一昨年来検討されておりました科学技術会議の答申内容——途中で倍増計画もそれに織り込まれまして、慎重に検討された一応の結論でございます。その間関係各省庁で事務的には十二分に協議、協力しながらあの答申が出されたわけでございますが、そのときもやはり大学教育として一応案画をするとすれば、設備施設の関係あるいは教授陣の関係等を考えに入れると、一応の案画は、最終年一万六千人ということでいくほかにはさしあたりないであろう。ただしその十年間の巡行の過程において、そのギャップを、なるべく大学卒業者という形で送り出す努力を続けることは当然でございます。同時に、今大学局長が申し上げましたように、民間の企業体の内部の努力もやってもらって、再教育も極力やる、そういうことをあわせてやらていくならば、どうやら間に合うのじゃなかろうか、というのがあの答申の内容であると承知いたしております。しかし池田長官からの御勧告をちょうだいしまして、私どもは、三十七年度以降財政措置を伴う問題としては、受田さんもおっしゃるように、もっと飛躍的な気持を織り込んで、十年後の四十五年に至りまするまで、三十七年から始まりまするならば九年間の期間があるのですから、その九年間を通じてあらゆる努力をいたしまして、大学卒業者としての九万七千のギャップを縮める努力は当然なさねばならぬ、そのことについて勧告をちょうだいしておると心得ております。数字的に申し上げれば、ギャップが非常に大きいようですが、国もあるいは公共団体も、あるいは私学もあるいは事業界も相協力して、この国民の幸福増進のための人材養成供給ということはやるべき総合的課題であると心得ますから、懸命の努力をもって勧告の趣旨に沿いたい、今日ではそういうふうに思っておるところであります。
○受田委員 荒木さんは非常に熱意と誠意をもって勧告の受け入れを考えておられるようです。いろいろな方法を尽したいという。ただ、今の日本の予算のあり方と、それから国立、私立大学の大きな隔たり、こういうものを考えたときに、なかなかそういう目標達成には骨が折れると思います。科学技術会議という専門の機関が総知をしぼって答えた答申には、いろいろな方面からの的確な資料か盛られておると思うし、この資料がいいかげんな数字でないこともはっきりしておると思います。これにこたえるために、今の文部行政の中で大学教育、高等学校教育という面を思い切って私学技術振興面にふり注がないと、今までのようなやり方では、いかに骨を折っても、まあ五十歩百歩にしかなりません。画期的な教育行政を考え、画期的な教育施設を考えていくというふうにしないと間に合わないと思います。(「それで専門学校というんだ」と呼ぶ者あり)今専門学校の話が出ましたが、専門学校のようなものは、これはまた屋上屋を重ねる問題で、大体専門学校などというても大した生徒数にならないのですから、もう少し後に譲ります。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)では、ついでにやりましょう。今の専門学校をやはり技術者養成の一翼として考えておるのか、お答え願います。
○荒木国務大臣 短期大学に高等学校を付置するというやり方で私学技術者の供給源を考えたいと思っております。それと同時に、お説の通り、また現実に科学技術会議の答申の基礎に立って考えましても、九万七千人の不足があるということであるから、短大にも付置するわけですから、高等学校と二カ年の大学課程とを一貫して結びつけることによって、専門的な授業は今までの大学制度よりももっと充実するという点の長所をねらい、もっとも一般的教養科目に穴があくという御指摘もあり得るかと思いますけれども、応急措置としては、次善の策ではありますけれども、私学技術者としての能力を極度に重視した制度を考えて、当面の日本の経済、私学技術が急テンポに進展していく、その要請に応ずる一助にもしたい、こういうような考えは別途持っておりまして、そのうち御審議をお願い申し上げたいと思っておる次第であります。
○受田委員 専門学校というのは、今のような職業関係、科学技術関係だけで、文科系はちっとも考えていないわけですね。
○荒木国務大臣 そういう考え方でございます。
○受田委員 そうしますと、ここで問題が一つあるには、先ほども、現在の短期大学というのは、四年制大学の圧縮であるという御答弁がありましたが、これは短期間に大学卒業者としての力を与えようとして生まれた、追っかけてできた制度でありますけれども、この短期大学を拡充強化する、短期大学に付属高等学校などを設けることで、この専門学校の目的は達せられるのじゃないですか。新しいものがここで出るよりも、既設のこれを拡充強化するという方法があるのじゃないですか。
○荒木国務大臣 短期大学も充実していきますと同時に、受田さんのおっしゃるような画期的なということに当たるかどうかは知りませんが、ともかく応急の需要にも応ずるプラス・アルファーとして五年制の一貫した教育をする制度を新たに設けて、ギャップを補いたいという考え方でございます。
○受田委員 大体、専門学校という新しいものが生まれることは、学校体系に一つの傍系的なものを作って、学校教育制度というものを複雑にさせることになると心配する。短期大学付属高等学校というものによって、一貫した教育ができるわけです。それによって職業専門教育もできる。技術教育もできる。それが別にここに生まれるという構想を今伺っておるわけでございます。私は、この問題は、またこの専門学校の法律をお出しになるときに審議いたしますが、大体専門学校によってどのくらいの技術者を養成するのか、これが十年後に何人になるような目標で今御計画を立てておられるのか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
○小林(行)政府委員 この高等専門学校の構想は現在まだ法案にもなっておりませんので、いわゆる科学技術者の養成計画には、この高等専門学校卒業者ということで載っておるわけではございません。現在では四年制大学の卒業者と短期大学の卒業者、こういうことで出ておるわけでございまして、一万六千人のうち、四年制大学は一万、短期大学卒業は六千、こういう一応の推計をいたしておるわけございます。
○受田委員 専門学校に非常に坂田さんなど御期待をされておるわけでございますが、技術者養成の補完作業として、そこで予定される数はおよそあなた方も基礎的にはお考えになっておられると思います。しかし、どのくらいの手伝いをさせようとしているくらいの構想がなくて、貢献するなどということははなはだあつかましい話です。
○小林(行)政府委員 先ほど申し上げました通り、まだ制度も全然ないわけでございます。これがもしスタートいたしましても、五カ年間の一貫教育ということを考慮いたしておりますので、実際の学校の卒業者が五年後でなければ出てこないということもございまして、現在のところ卒業者数と計画はまだいたしておりません。
○受田委員 五年後に始まっても大したプラスにはならないということになるのでございますから、この専門学校の技術者の理工科系のプラスの数字の中に入れるのは、影響力のあるものではない、こういうことになるのです。そうすると大したプラスにならないということで、この十七万というどうしても必要とする技術者をどうして強化するかという問題は、この勧告の線に沿うても、また文部省自体でも今までやっておられなければならぬと思う。これを救う道は今のところお手上げということになるのですね。
○荒木国務大臣 先刻来から申し上げておりますように、三十六年度の予算として御審議願っております大学から出てきます科学技術者というものを第一年度の数にいたしまして、三十七、三十八、三十九、四十五年まで一応こういうことでやるという案画がなされておるのですが、約九万七千足りないという数字となって現われるのでございます。これも先刻申し上げましたように、科学技術会議の答申にいたしましても、それでぎりぎりであって、それ以上ふやしてはならない、またふやすことが絶対不可能だという性質のものではむろんありません。その年々の国政全般から見ました財政資金の振り当て等も当然違うわけでございまして、私どもはこのギャップをそのままでほっておくという意思は毛頭ございません。三十七年度から始まります新たな予算の課題としては、このギャップをなるべく埋めるような努力をし続けていこう。同時に現実問題としましては、三十六年度においてもその初年度の予定数としては足りない数があろうと思いますが、それにつきましては先刻も申し上げました通り、また政府委員から申し上げた通り、極力民間とも話し合い協力しながら、各企業体内における再教育も極力やってもらう。同時にまた私学におきましてもさらに積極的な御協力をお願いし、それをお願いする以上は、また三十七年度以降それに相応する予算措置も必要になってくることも必然でございます。そういう努力を積み重ねながら、一応の計数十九万七千の赤が出ております大学卒業者をなるべく大学卒業者で埋める努力をしていく。同時にまた、今申し上げた再教育による穴埋めも極力やっていく、そういうことで国民経済の発展、科学技術の進歩発展のテンポに追っかける形ではありますけれども、応ずる努力をする、そういうことであろうと思います。 ついでながら、申すまでもないことでございますが、大学教育をおさめた科学技術者という以上は、それにふさわしい施設設備が必要であることも当然でございますと同時に、教える先生も充足しなければならないということからいたしますと、なかんずく教授陣の整備となりますれば、一般の科学技術者すらも足りないという状態においては、いいかげんの人を持ってきて教授にするわけにもむろんいきませんので、その教授陣の整備もあわせ考えながら案画するのでなければ無責任だろうと思うのであります。そういう点が特に科学技術会議の審議途中におきましても、本質的な重要な課題として考え合わされつつ、数字上赤字が出るというふうな計画たらざるを得なかった。ですから、教授陣も充足し、さらに足らぬところは再教育で埋める努力もし、また国立、公立、私立の大学の充実ということも今後に大いに努力することによって、いわば文部省のみならず、科学技術庁も経済企画庁も大蔵省も民間もことごとくの協力を得て、この赤字を埋める努力をすべき課題だと心得ておりまして、その中にあって文部省の受け持つべき課題につきましては、従来以上の努力を傾注して不都合がないようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
○受田委員 お昼休みの御要求も出ておりますので、皆さんに御迷惑をかけるわけですから、一応午前中の質疑は今私が申し上げる一点で終わることにして、御昼食をされてあらためてゆっくりお尋ねをさしてもらうということにしたいと思います。 一点だけ、科学技術庁長官に、文部大臣は非常に熱意と誠意を持っておることはよくわかるのですが、ただ私心配をしておるのは、あなたがあなたの役所の設置法の第十一条に基づいて勧告をされた。このことは今質疑応答を繰り返しておる中でもおわかりの通り、各方面の結集をもってやりたいということであるが、文部省だけではなかなか追いつけない、こういうことになると文部大臣に対する勧告だけでなくして、さらにこれに伴う別の行政長官に対する勧告というものも必要である。それからこの要請を忠実に文部省がやらなければ、文部省に対して再勧告という手もあれば、さらに報告を求めるという手もあれば、内閣法第六条によって閣議決定による指揮権の発動ということもある。こういういろいろななにがあるわけですけれども、そういうところを摩擦なくみんなをふるい立たせる意味で、そういう権限を行使されることは、これは長官としてまことに望ましいことではないかと思うのです。これは各省に対する刺激を与えることにもなるのであって、文部大臣に対する勧告だけでなくして、通産大臣にも大蔵大臣にもその他関係各庁の長に対しても、文部省だけの督励ではなかなかむずかしい部面はさらにこれらの長に対しても同様の勧告をして、科学技術振興の大きな目標を達するという任務がある。長官の抱負経綸を承りたいのです。
○池田(正)国務大臣 各省に向かってさようなものを今出そうというような考えは持っておりません。今文部省が精一ぱいなんで、ただいまの文部大臣の御答弁を聞いておりますと、これはまことにけっこうな御答弁で、私も非常に満足でありますが、しかし残念ながら文部省という役所は、事務当局は、大臣の先ほどの抽象的な言葉だけで動く役所でないと思います。はっきり申し上げておきます。現に私はゆうべ夜中まで体験しておるのです。それだから僕は勧告を出した。しかもこの勧告文は、関係各省にはそれぞれ参考として各大臣に交付しております。それから御参考までに申し上げますけれども、今の文部大臣の御答弁は大へんけっこうですけれども、私は抽象的でその点で不満足です。具体的なものはないです。そこで私は予算に関係なしにことしからやれるものはあるはずだと幾ら言うても文部当局はわからない。私はこれ以上ここで申し上げることは妥当じゃないと思いますから申し上げませんが、もう少し文部当局もこれはまじめに考えてもらいたい、こう思います。従ってそういう場合には、当然文部当局も、一体何を考えておるのだというて事務当局は私の考えておることを聞きにくるのが当然です。呼んでも来やせぬ。はなはだけしからぬ、そういう意味です。
○受田委員 関連も出ておるようですから、その前にもう一つ、長官あなたの御発言で、他の省庁に対する勧告は今用意していない。しかし文部当局はその勧告に対してすなおになかなかこれを受け入れるという点がない。しかも、大臣は非常に誠実であるけれども、官僚の側が、率直にいうならば少し態度が悪い。こういうことになると思うのでありますけれども、態度の悪いこと、誠意がないこと、この勧告をひやかすような文部当局の発言が新聞に出るようなことでは、この大事な仕事の目的を果たすことはなかなかむずかしいと思うのです。必要があれば報告を求めるという権限が、あなたにあるのです。勧告のしっぱなしではいけない。第十一条の第四項には、それに対する報告を求める権限がある。さしあたりその詳細な報告を求めて、長官の勧告を満たしているかどうかをただす必要があると私は思う。そういう権限をそれぞれ用いられることは決して私は伝家の宝刀を抜くという意味でなくして、技術、学術振興のためには大事な意義があると思うので、この点におきましては幸い文部大臣と科学技術庁長官とは意気が投合されておることを私は認めますので、この際お二人がよく肝胆相照らしてこの目的達成のために協力し合って、官僚の独善的な点を押えていくということを一つ考えていただきたいし、特に工業高校などの教員養成については、私立大学の学生に教育課程を研修せしめることでその方からも養成ができることだし、そして教員の質をあまりむずかしく言わないで、工業高校の先生を短期間養成するほどの臨時措置さえとるのですから、教授の資格なども一歩下がってでもやる。それから私立大学の設備なども不十分であっても増員計画を認めてやる。こういうようないろいろな積極的な手を、昭和三十六年度からでも打てるのです。目の前にすぐ打てる。そういうものをちょっと条件を緩和し、手続をちょっと緩和することによって、私学の増員計画などは届出はわんさと出る。すでに私立大学で一万人をこえる要求が出ておるのが、文部省では今ほんのちょっぴりしか認められていない傾向になっている。そういうことで国立、私立が互いにみがき合って、この時代の要請にこたえるということを文部省がちゃんと踏み切れば、すぐにでも仕事に着手できる。りっぱな成果を上げることがあるではありませんか。文部大臣、そういう点について設備とか教授の質とかいう点においても一歩下がってでも、拙速主義ではあっても、工業教員養成の臨時措置さえとるこの段階では、技術者養成についてそういう暫定的な措置をとる必要があるというお考えはないですか。
○荒木国務大臣 勧告の趣旨に応ずる意味でも、今の大学の設置基準というようなものを前向きに再検討するという課題もあろうかと思います。これもしかし一方におきましては、先日中央紙に載っておりましたように、応急措置も必要ではあるが、大事な大学の設置基準というものを簡単に下げるということもいかがあろうかという説も出ております。その説だけに従おうというのではむろんございませんが、いずれにしましても多年にわたって大学というものはかくあるべしとして、ずっと今日まできておると承知いたしますが、それを一日か二日でこうするのだということも穏当ではないと思います。検討すべき問題として文部省はこれに対処せねばならぬ、かように考えておるわけでございます。その他勧告に応じまして前向きにいろいろと考えていただいておきたいと思います。
○池田(正)国務大臣 これは誤解があるといけませんから……。受田議員も、教授の質を低下さしてもという意味ではないと思います。下げなくたって得られるはずです。その努力を文部省はしていない。 それからさっき大学局長は——そこまできましたから一言言いますけれども、審査という言葉を使いましたが、文部省にはそんな審査権はありません。
○受田委員 その設置基準その他の問題は、私今手元に用意している資料をもとにしてお尋ねを繰り返していきたい点がありまするし、それから私立学校の教員の場合、待遇が著しく低いという点においても先生がなかなか得がたいという点があるので、国家公務員である大学の教授と私立大学の教授とでは約一割五分私立大学の教授の方が待遇が悪い。今度もその待遇改善がされてないというようなところにも問題があるわけなんです。それで授業料の値上げをばんばんやっていく。やっても一向先生の待遇改善になっていない。施設拡充費は、理科教育施設拡充費に今度政府はたった十億しか出しておらぬ。私立大学の研究助成費に五億五千万円しか出しておらない。このようなことで私学振興というものはとても果たし得ないと思うのです。 私は、文部大臣にお伺いしてきょうの最後にするのですが、国立と私学と比べたときに、人数の上において国立と私立とでは四対六というくらいの割合になっておると思います。そういうときにむしろこの科学技術振興の一翼をになわすという意味から、当面、差しあたりこの設備を増強すればいい、この教授をふやせばいいというところで、大幅に増員計画を果たし得る道は、国立の現状では期待できない、その部分を私学の協力に待つという方針をはっきりと文部省が打ち立てたならば、当面の問題解決の一翼が果たせると私は思うのですが、大臣いかがお考えでしょうか。
○荒木国務大臣 抽象論としては、気持としては、受田さんと同感でございます。ですけれども、実際問題としますと、私学ば私学なりの自主性をあくまでも尊重せねばならぬ。国立は国費で全部まかなうわけですけれども、私学はその必要な施設、設備ないしは教授陣整備の人件費等ことごとくといっていいくらいに私学みずからの計算において調達しなければならない。しかし科学技術振興ないしは科学技術者の養成といういわば国家的な要請にも応じてもらうという意味においては、私学本来の自発的な考え方からは当然出てこない部分がある。従ってその角度から、科学技術教育につきましては、受田さんも御指摘の通り、十分ではもちろんございませんけれども、設備について補助金を出す。補助金を出すということは、これは私学の本来の立場からいえば、いさぎよしとせざるものと思いますが、国家的要請に応じてもらう意味において、国民の血税の中から、気は心、出していこうというようなやり方で今日まできております。そこで三十五年度に比べればいささか増額をいたしておりますが、科学技術教育振興の意味で御審議中の予算にも心持を盛っておるようなわけでありまして、そのほかに、本来私学の財源たるべきものは、自己資金、なかんずく寄付金、授業料収入等が本来の建前だと存じます。そこで寄付がなるべく入りやすいように国としては考慮を払うべきものと思います。指定寄付の制度があるようでございますが、なかなか手続がめんどうで、窓口が狭くてという欠陥がございますので、今財政当局とも寄り寄り相談いたしまして、従来の倍くらいは寄付金が集まるような税法に関連する措置を一つやりたいということも別途やっております。御承知の通り、一般の科学技術教育以外の施設、設備等につきましては、自己資金でやるわけですから、その一般金利を払った資金では大へんですから、なるべく長期低利資金を供給するというやり方で、私学の独自性を侵さないで、元利は払ってもらう形で財政資金も投入いたしまして、私学振興会を通じて協力しておる。そういうやり方が私学に対する国としての建前上の限度だろうと思うのであります。ただし科学技術教育に対する助成金等をもっと増額する努力は、むろん今後にわたって続けていくべきものと思います。ただそれにしましても、助成金だけでできるものではない。助成金をいわば誘い水として、自己資金の膨大なものが必要でございますから、話はぐるぐる回りになりますけれども、その資金の入手を幾らかでも容易にするというやり方で、私学における科学技術教育の振興を今後も一つ一生懸命はかっていきたい、ことに勧告もあることですから、今までの通りではこれは池田さんにしかられますから、三十七年度以降はもっと努力したいと思っております。
○濱野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後一時五十七分散会