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38回国会衆議院1961/02/17

文教委員会 第3号

発言数
98
登壇者
8
会派数
2
開催日
1961/02/17

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  学校教育等に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山委員 大臣にお尋ねをいたしますが、二月の十三日の予算委員会での席上におきまして、保科委員の質問に答えて、大臣が次のように言っておられるわけであります。「ただ遺憾なことは、その間にありまして日教組のあり方が、特に幹部諸公のものの考え方が、御指摘のごとく、教壇を通じて赤色革命のにない手となるように青少年を育成せよということを明確に打ち出して、末端の教師諸公を指導し来たっておることは、国民的立場において遺憾しごくであったと申さなければなりません。」以上のようなことを保科委員の家庭教育の振興という問題に関連をして、その質問条項に対してそういうふうな答弁をされているのでございますが、これはさきに山中委員の質問に関連いたしまして、大臣の方から日教組の倫理綱領についての考え方、特にその中で「教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる」その中にこういうような文句があるのであります。そういうような文章自体からはそういうようなことは言えないけれども、その内容とするものはそういうように考えるんだ、こう見解をお披瀝になったと思うのでございますが、やはり文相が指摘されておりますように、日教組の倫理綱領に基づいてこのようなことを発言されたのかどうか、その点について承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 私の理解しますところでは、教師の倫理綱領及びその解説書と思われる「新しく教師になった人々に」というのを通読してみまして、この前私がお答え申し上げたような結論にならざるを得ないと思っておるのであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 通読した感じでものを言っておられるわけでありますが、これはただ日教組の組織に対する影響上からくる問題だけではなくて、一国の文部大臣として、大臣が議会において答弁をされるそのことは、日本の教育に非常に大きな影響を与えると私は思うのであります。そういうような意味において「新しく教師になった人々に」というパンフレットがどういうようなものであるのか。私もずっと前に出されたと記憶しておるのでございますが、教師の倫理綱領というものは、御承知のように、昭和二十六年の七月十日に、今から十年前にちょうど世界教員連合の会議がマルタ島で開かれるにあたって、その会議に参加するために当時の組合長でありました岡三郎氏が、その世界教員連合の議題の中に教職の倫理というのがありました、その倫理についてどういうような内容のものを持っていけばいいかということで、一つの草案を携えていったのであります。それが二十七年の六月の日教組の大会で満場一致で決定されたことになっているようでございますが、この倫理綱領を通読されて大臣が、一般的な問題として述べられているのでなくて、山中委員に対してお答えになったのは、倫理綱領の中のただ一点でそういうような問題がある、こういうようなことを言われておりますが、その一点というのは、これが十の項目に分かれておりますけれども、第一に掲げてある「教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる」その中のことを言われておると思うのでありますが、その点について重ねてお尋ねいたしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 私が一点見のがし得ない、国民的立場で関心事たらざるを得ないと申し上げましたのは、この歴史的課題を解決するための有能なにない手として青少年を育成せねばならないという趣旨のことが表明されている点。なぜかと申しますと、先日も申し上げましたように、一つの任意団体あるいは結社がいかなる綱領を作られましょうとも、むろん自由であることは理解いたしておりますが、ただ事中立であるべき教育の場に具体的な影響を持つおそれがあるとおぼしきことにつきましては、私はできることならばそういうおそれを除いていただきたい、これは少なくとも子供の親たちが念願していることだ、と思うのであります。そういう立場、そういう意味から、今申し上げた青少年を育成する、教壇を通じて育成する心がまえとして、教師はこの歴史的課題解決のための有能なにない手とならなければならないと規定されておるところは、少なくとも私は教師の団体の綱領というか、教師の心がまえを打ち立て、取り上げておる態度は好ましいことではない、こういう考え方で申し上げた次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 この綱領を大臣が言われるので、私もあらためて綱領を見直してみたのでございますが、その当時の、そういうような綱領ができたときの時代的な流れというものも背景の中に置きながら考えてみなければならないし、またその一条々々が項目ごとに独立をしているのでもございませんで、やはり内容的には関連性があるわけでございますが、その第一項の中に「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧之と失業のない社会の実現は、われわれに課された歴史的課題であり、民主主義を信ずるわれわれの不動の念願である。」こういうふうに書いてあるわけでありますが、この点については大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 その表現それ自体、文字だけから申しまして、断片的に一つ一つ取り上げれば悪いことが書いてあるとはむろん思いません。

村山喜一日本社会党

○村山委員 これはやはり平和憲法のもとに平和を守り抜いていかなければならない。そして当時はまだ占領下にありまして、日本の独立をはかっていかたければならない。さらに経済の民主化、これをはかっていくことによって、その中でわれわれの民三主義を伸ばしていかなければならないという、これは大臣もお認めになる内容のものであると思うのです。だからそういうようないわゆる理想の社会というものを作り上げていくところの、将来の国民形成者としての青少年の教育というものが、そういうような方向に向かって進められていくということは、当然認めてしかるべき問題だと思う。そういうような概念であれば別に問題はないとおっしゃりながら、そういうような各人の青少年の個性に従って、そのような方向に教育の方向が向けられていくことは何ら問題はないと思うのですが、その前文を受けて「この課題解決のための有能な働き手となるように、育成されなければならない。」こういう考え方がなぜ赤色革命のにない手となるように教育をしようと考えているというふうに理論的な発展をされるのでありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ことさら理論的発展をさせたつもりは毛頭ないのですが、最初にも申し上げます通り、またあなたも御指摘の通り、一ヵ条、一ヵ条が孤立しているものじゃない。全体総合されてそれぞれのものがあるのだという関係にあろうかと私も思います。同時に「新しく教師になった人々に」という解説書とあわせ読まなければ、はっきりしない点がむろんあります。同時にこれを総合的に読みかつ判断して、今あなたが指摘したような点を私が申し上げるように理解するということは、ひとり私の独断でないと思っておるわけでありますが、同時にその教師の心がまえが、あるいは綱領というものが厳然として存在しておる、組合員である限りはこの綱領に忠実であるととを要請される意味合いにおいてこれが存在していると思うのでございますが、それゆえにこそ年々決定されます日教組の闘争方針、あるいはそれに基づいての現実の行動、そして教育の現場における組合員の行動、そういうものを多年にわたってあわせ観察し、考え合わせてみました場合に、帰納されて私の申し上げるようなこととならざるを得ない、かように私は考えておるのであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 帰納された考え方が、そしてほかの運動方針なり行動なりというようなものから結びつけ合わせて、こういうような考え方に立っているという大臣のお考えのようであります。従いまして大臣としては、少なくともそういうような教育の中立に相反するような条項については削除をしてもらいたい、こういうふうに考えておられるということを先ほど承ったのでありますが、そういうような非常に危険な考えといいますか、大臣に言わしむればそういうような考えになると思うのでありますが、そういうような考え方を持っているとするならば、それを是正をしてもらうためにも、日本の教育をあなたが責任を持ってやっていこうというような立場におありになるのだから、そういうような立場から日教組の方との話し合いに応じて、その問題についてもお互いに話し合いを進めていかれるお考えがなければならないと思うのですが、どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 これは私は国民的立場を代表したつもりで、もっと具体的に申せば子供たちの両親の願いごとであろうと推察をいたしまして意見を申し述べているのでありまして、日教組がいかなる綱領を作りましょうとも本来自由であります。自由でありますが、ただ具体的に教育の場に中立性を脅かすおそれありと思われる節があるところはお考えになったらいかがであろうかという、いわばアドヴァイスをしておるのでありまして、これは話し合ってどうする、こうするという事柄でなくして、いやしくも厳粛なる中立の立場において教育を担当すべき本質を使命とするところの教職員の団体でありますならば、私が言おうと言うまいと、話し合おとう話し合うまいと、お考えあってしかるべきことだということを申しておるのであります。そのために話し合って、あなたはこうなさいなどということは、本来結社の自由を標榜される立場の方々にその意味でお話しすることは適切ではない。国民的立場におけるアドヴァイスの言葉を発すること、ことに国会におきましてそのことを申し上げることで十二分であろう、かように感じておるのであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 この倫理綱領が生まれてから今九年になるわけですが、その間この問題について大きな論議というものがなされておりません。それがたまたま大きな問題になって発展をして参ったのは、大臣がこの問題を取り上げて、そしてこれがそういう感じのものであるというような意見を国民大衆に向かって発表された。そういうようなところから、こういうような問題に対してどうしてもわれわれもこたえなければならないという立場が相手側の日教組の方にも生まれたのだろうと思うのであります。そういうような上から、あれは赤色革命を考えているのだというふうに一国の大臣が公言をする。あるいはそれに会って団体交渉といいますか、話し合いをする必要もない、ただアドヴァイスしているだけだ、こういうようなことで一国の文教行政というものが円滑に進められていくと私は考えられない。やはりこの問題は、内容が問題であるならば、文部省としては理論的にこういうふうに考えるのだということで、それに対するところのいわゆる対案なり、いろいろな考え方というものをはっきりと理論的に明確にすべきであると思うのですが、そういうような考え方というものをお持ちになっていらっしゃるのですかどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今も申し上げました通り、がんぜない子供たちを預かって、教育の場でほんとうに中立な教育をなさる立場の教職員の団体の幹部諸公たるもの、一々お目にかかって、ああでもない、こうでもないと言わなければおわかりにならないような方々と私は思いません。今まで問題にならなかったとおっしゃいますが、もの言わざる国民の立場において、もの言わざる子供たちの親の立場においては、もう数年来、十年近い間、全国的に私と同じ気持を持ってこのことに対しておったと私は推察するのでございまして、繰り返し申し上げますが、お目にかかってことさららしく人さまの倫理綱領をのぞき込んで、ああでもないこうでもないというふうな形をとること、それ自体が適当でない、かように考えておるのであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 人さまの倫理綱領をとやかく言う必要がなければ、そういうような問題に関連して、大臣が日本の教育の上において非常に大きな影響を与えるような言動をはかれることも私は御遠慮あってしかるべきではないかと思う。この問題はやはり大臣の教育に対する考え方というものが根本になっていると思うのであります。従いましてこれらの内容というものが、私たちはこれは赤色革命の方向を向いてやっているのではなくて、日本の民主教育というものがゆがめられている、そして教育の中立ということが、ただ現場の教師だけに向けられて要請をされているようでありますけれども、権力というものが教育権の上に及ぼしているところの偏向というものを是正をしていく努力は、教育基本法の中において、政府あるいは関係の行政機関において講ぜられなければならないという大前提があるということを、はっきりと規定づけているのでありますから、それが守られるような方向というものが文部行政の上においてとられてしかるべきであると考えるわけであります。この点につきましては以上で打ち切ります。  次に、ILOの条約に関連いたしまして、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。ちょうど七日の日の新聞でございましたか、「ILOへの申し立て政府、日教組に反論」という見出しで、幾多の新聞にその内容が申し立てられております。この内容は、引用事実に間違いがある、スト権否認は組合権侵害でないというような意味の内容であるようでございますが、この内容は大臣が御発表になっておいでになりますけれども、これは政府の見解であるのか、文部省の見解であるのか、その点についてお尋ねいたしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 政府の見解であります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 参議院の文教委員会におきましては、大臣に対して、このILOに資料として出しました見解を、文教委員会に出すようにという要請をいたしているようでございます。それに対して大臣は提出をするというふうにお答えになっていると思いますが、どの程度のものをお出しになろうとお考えになっているのかお尋ねをいたしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 実は今御指摘になりました、新聞に発表されたことそれ自体が、一部分について新聞発表をいたしたのであります。と申しますのは、参議院の本会議でも御要望がありましたが、文教委員会でも参議院で御要望によってすでに提出をいたしておりますけれども、それは元来ILOに関連します往復文書等が、従来の慣例が、ILOにおける取り扱いが、各国とも機密文書として扱う、外交上の慣例がそうなっておると承っております。しかし国会からも御要望があり、新聞方面からも、すでに反論を出したとすれば、事実上日教組の提訴事項等も新聞にちらほら出ておるような状況なんだから、出した以上はその要旨でも発表したらどうだという御要望がございまして、ジュネーヴの現地とも一応連絡しましたところ、それすらもむずかしい様子でございましたが、ようやく一部の要旨だけならばよかろうというふうなことになりまして、その線に沿ってほんの一部の新聞発表をいたした次第であります。従ってその新聞に出ました範囲内のことについての御要望資料を提出し、または提出しようと準備いたしておるのであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 新聞に出された程度の内容であれば、これは外交上の秘密扱いをする必要はない、こういうようなことであると思うのでございますが、十日に政府の発表に関連いたしまして、日教組の方で反論をいたしているようであります。この反論に対しましてまた政府の方でこれに対する再反論と申しますか、そういうようなものを御発表になるお考えがあるのか、その点をお伺いしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今御指摘の事項について特に反論をし、またそれを発表するという考えは今持っておりません。

村山喜一日本社会党

○村山委員 大体ILOの問題は、これは秘密条項とすべきであるというILOの国際的な慣習というものがある、それにもかかわらず政府の方でILOに申し立てたところの資料を特に新聞社に御発表になった意図的なものは、何かあるのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 格別の意図はございません。先刻申しましたように、国会でも新聞の方でもそういう要望がございましたので、現地の方とも連絡の上、ごく簡単な要旨程度ならば、そういう実情ならやむを得まいということで発表したのでございまして、ことさらなる意図は全然ございません。

村山喜一日本社会党

○村山委員 今この日教組からの申し立てに基づいてILOで正式に受諾をして、そうしてそれが政府の方へ、反証資料を求めて、結社の自由委員会で予備審議をされる、続いてILOの理事会でこの問題が討議されて、結論が三月になったら出るであろうというふうにいわれておるのでございますが、そのILOの理事会でどういうような態度を示すか明らかになっておりませんけれども、ILOの理事会で勧告なりという形、あるいは条約という形はこれは生まれてこないだろうと思うのですが、勧告というような形で日本政府に対して是正措置が要請されたときには、どういうふうに対処されるお考えであるか、承りたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ILOの本来の性格から申しまして、きわめて中正なる団体である。国際的に信頼されておる機関であります。その機関で公正な判断が下されて勧告が参りましたならば、勧告そのものを誠実に受け入れるという態度でなければならぬと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 勧告が来たら誠実に受け入れるということでございますので、安心をいたしますが、大臣はILOの性格についてもいろいろ国際的に問題のある発言をされたためしもございますので、そういうようなことにならないように、そういうような勧告が来たらそれに従うということは、議事録にはっきりと明記されるわけでございますので、その点は私の方でもはっきり覚えておきたいと思います。  そこで大臣にお尋ねをいたしますが、われわれの方に教育委員会月報、ナンバー百二十五でございますが、初中局の方からいただいた雑誌がございます。これにILOの内容がきわめて詳細に書いてあるわけでございます。そこでこのILO条約そのものが日本においては今日まで二十四批准をされておる。ところがその横の方に、アメリカが七つ、イギリスが幾つ、こういうふうに数が書いてあるわけでございます。これはそういうような実情をそこに数字として出されたにすぎないと思うのでありますが、アメリカがこのILO条約を七つしか批准をしていないというこの事実は、大臣はどういうふうにとられておいでになるのかお尋ねをいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 正確には存じませんが、アメリカの憲法の建前から批准できないものがあったということを聞いておる程度であります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 大臣がお答えになったように、ただ数の問題だけで、この問題についてどの国が誠実にILOの精神をくんで条約を履行しているか、それを批准をしているかということを意味してはならないと思うのでございます。すでにILO条約の、地方公務員なり国家公務員に関係があると思われます九十八号条約並びに八十七号条約、それにまだ未批准になっておりますが百五号条約が考えられるわけでございますが、こういうような条約は当然批准をされなければならないものだと大臣はお考えになっておいでになるかお尋ねいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 八十七号条約に関する限りにおいては、すでに総理が両院の本会議における施政方針演説の中で、批准をする建前で準備中であるという趣旨のことを言明しておることによって御承知いたきたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 九十八号条約はもう批准をされておりますし、八十七号条約も総理大臣の方から閣議の方向というものが示されておりますので、今の御答弁に納得をいたしますが、百五号条約は強制労働を排除するという条約でございます。これについて大臣は批准をすべきものであるとお考えになるのか、どうなのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 まだ閣議で決定したということは承知いたしませんし、かつまたILO問題そのものについて私も主管のものでもございませんので、必要あらば正確を期する意味で――ILO問題は形式的には外務省が窓口で、実質的には労働省が所管する建前になっておるようでございます。一般問題としましては、私もちょっと正確にはお答えいたしかねます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 国際労働機関憲章の第十九条の五に、条約の場合には各加盟国が権限のあるところの機関に条約の批准をするために提出をする約束が出されているわけでございます。御承知のようにわが国もILOの理事国で、そういうような関係もありまして、当然これらの内容につきましては、百五号条約は批准をするようにされなければならないものだと私たちは考えるわけでございますが、今大臣は慎重な御答弁をされているようでございますけれども、大臣自身のお考えにはどうなんでございますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 百五号条約そのものの全貌を存じませんので、はっきりしたことはむろん申し上げかねます。しかしながら、精神的な立場から申し上げるとするならば、いやしくもILOに加盟し、しかもILOの慎重なる審議の結論として一応の条約案ができておる。とするならば、日本の国情が根本的に許されないとするなら別ですけれども、そうでない限りは批准をしてしかるべきものじゃなかろうか、感じだけを申し上げればそういう気持でございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 批准をすべき趣旨のものであるというふうに、私受け取りたいと思うのであります。  そこでこういうような問題に関連をいたしまして、八十七号並びに批准をされました九十八号、それに批准をされるべき趣旨のものであるという百五号、これらのILO条約と国内法との関係についてお尋ねをいたしたいと思います。きょうは人事院の職員局長やあるいは法制局の第一部長もお見えになっておりますので、専門的な条項はそちらの方からお答え願ってもけっこうでございますが、今日まで国家公務員法、あるいは地方公務員法、あるいは教育公務員特例法、さらに教育の中立性を守る法律等いろいろな法律がございます。そこでまず第一に文部大臣にお尋ねをいたしますが、九十八号条約の第六条に、公務員はこの中に入らないということが書いてあるようでございます。この公務員の解釈をめぐりまして、いろいろ問題が提起されているようでございますが、大臣のお考えは、国家公務員も地方公務員も九十八号条約には関係がないのである、こういうようにおとりになっていらっしゃるものかどうか。それと関連いたしまして今度内閣の方針として批准しようとお考えになっておいでになる八十七号条約というものは、国家公務員、地方公務員には適用されるものであるか、その点についてお尋ねをいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 仰せの通りに心得ております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 八十七号条約は国家公務員、地方公務員に適用される、九十八号条約は適用されない。  この九十八号条約の第六条の公務員の解釈でございます。これは法制局の方では英文と仏文を原文としているようでございますが、いわゆる国の行政に従事する公務員の地位というふうに英文では書いてあるようでございます。ところが仏文ではただ公務員といいますか、官吏といいますか、そういうように日本文には訳されるような内容のものが原文として掲げてあるようでございます。予算委員会の席上において外務大臣は、フオンクショネールというフランス語をとりまして、これは公務員と書いてあるのだからということで説明をいたしておりますが、英文によりますとそういうものでないようにわれわれは受け取るのでございますが、それを日本の法律の上から公務員というふうに概念的にお考えになっておられるのかどうか、その点を法制局の第一部長にお尋ねをいたします。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内(一夫)政府委員 ただいま御指摘になりましたように英文と仏文とは、その点に関しまして言葉が違っております。そうして英文と仏文も同じく九十八号条約の成文であるというふうに了承しております。そこでこの公務員という概念をどう考えるかということにつきましては、私どもは今ILOのいかなる機関が作った文書かはっきり記憶がございませんが、ILO当局の作りました文書によりますと、公務員という概念をそれ自体抽象的に考えることは非常に困難なことである、しかしこの九十八号条約の精神は、九十八号条約の規定で取り扱わない公務員の地位というものは、法令の規定によって賃金その他の主要な勤務条件が規定されておる、言いかえますならば、保障されておるものは九十八号条約の扱いにならなくてもいいという考え方であります。九十八号条約というのは労使間の団体交渉でそういった勤務条件をきめていくための交渉の関係を規定している条約でございまするから、その立法趣旨からいいまして、賃金その他勤務条件が法令の規定によって規定されているというものについては、九十八号条約の適用はないのだ、こういうふうに九十八号条約の考え方からいきまして公務員の概念をきめている文書がございます。そこでこれはなるほど英文と仏文との間には開きがございまするが、そういったILO当局の方の考え方からいたしまして、公務員というものは今申し上げたような趣旨におきまして九十八条条約の適用はない、かように思っておるのでございます。  そこで広く公務員といいましても、御承知のように公労法ないし地公労法の適用を受けるところの職員がございまして、これらの職員は団体交渉によって勤務条件がきまって参りますので、これは九十八号条約の取り扱いの対象になると思いまするが、本来の公務員、すなわち国会なり地方公共団体の議会という国民の代表機関によって勤務条件がきめられて参りますところの公務員が九十八号条約にいうところの公務員でございまして、このような本来の公務員につきましては九十八号条約の適用はないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 公務員の解釈をめぐりまして、六十号事件、日本政府事件において、委員会は立法上で定められる諸条件を享受する公務員、シビル、サーバントは数多くの国において雇用に関する立法の中にノーマルな条件として争議権を規定されること、かつこの問題に関しこれ以上検討する理由はない、こういうことから今御説明の根拠をお示しになったと思うのでありますが、今日郵便局の全逓の諸君は御承知のように国家公務員であります。これは公務員法が適用されている。公務員法が適用され、片一方においてはもちろん公労法も適用されておりますが、そういったような現業職員というものがおります。そういうようなものも今日までは国家公務員として処遇をされてきておるわけでありますが、それがILO条約の九十八号の問題に関連をいたしまして、第六条の公務員の概念に入るとするならば、あの全逓の提訴問題、百七号事件でございますが、そういうような問題は出てこないと思います。そうなった場合に今の解釈では、そういったような現業職員というものはこの公務員の概念には入ってこない、ただ普通の公務員というものが、これに入るのだ、こういうように解釈して差しつかえないでしょうか。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内(一夫)政府委員 仰せになったように私は理解いたしております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 この英文から解釈をしました場合の公務員というものは、その規定された範囲は明らかに国の行政の上に参画をし、しかも執行するに当たりまして高級な公務員と申しますか、そういうふうに限定をして考えたければならないものだと私たちは解釈しているわけです。従いまして、日本政府が九十八号条約第六条の解釈をめぐりまして、いわゆる地方公務員、そして何らそういったような政策の決定、運営、国家権力の行政部門の上に参画をし、あるいは執行をする権能が与えられていないところの普通の公務員といいますか、 いわゆるアザー・ガバーメント・エンプロイース、政府の雇用者というものに対しましては、この条文は当てはめるべきではないじゃないか、こういうような解釈を持っている一わけであります。しかしながら、この問題は具体的事件として問題が提起されて、ILOの理事会あたりで今係争中でございますので、いずれそれらに対する正しい判定が生まれてくるだろうと思いますから、これ以上九十八号条約の問題についてはお尋ねをいたしませんが、八十七号条約の関係について若干お尋ねをいたしたいと思う。  国家公務員法第九十八条の第二項、これは地方公務員法の第五十二条一項に該当するわけでございますが、いわゆるオープン・ショップ制の問題、これをどういうふうにお考えになっているのかということであります。御承知のように一九二七年のILOの総会から四九年の総会の二十年の間におきまして、団結する権利と並ぶ権利となされておりました団結せざる権利というものが、国際的な規制基準から脱落をしたばかりでなくて、団結をせざる権利の保障というものは団結権の侵害行為になるんだ、そういうようなことが事実上国際労働条約の上において承認をされているわけであります。ところが法律にそういうような職員組合を結成をし、もしくは結成をせず、またはこれに加入をし、もしくは加入をしないことができる、こういうような規定づけがあるのは、国際的な基準に反していると考えるわけでございますが、それに対する法制局なりあるいは人事院の考え方というものについて承りたいと思います。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内(一夫)政府委員 八十七号条約を批准いたしますると、本来の国家公務員、本来の地方公務員についても団結の自由は当然認めらるべきものだというふうに私どもは考えております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 団結の自由、これはもう認められなければならないことは明らかなんですが、現在のいわゆる国家公務員法の九十八条というものなり地方公務員法の五十二条というものが、これは団結権に対して侵害をしているじゃないかということを言っているわけなんです。そういうような問題について検討されたことがありますか。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内(一夫)政府委員 これは今までも検討いたしまして、御承知のように労働省にかつて労働問題懇談会というものがございまして、これが労働大臣に答申をいたしましたときにおきまして、現行の国家公務員法九十八条あるいは地方公務員法五十二条の文言だけからいえば、九十八号条約に直ちに抵触するということはないかもしれないけれども、取り扱いいかんにおいては問題が起こるかもしれないというような趣旨のことが述べられておるわけでございます。現在の両公務員法におきましては、職員団体の代表者は現に職員の身分を持っている者でなければいけないということがございますし、また同時に国家公務員の職員団体におきましては、消防庁に勤務いたしますところの、現実に消防に携わる者以外の事務を扱っております職員も、その職員団体に入れないというような建前になっておる等の面からいきまして、やはり八十七号条約を批准いたしました場合には、その点を八十七号条約に合うように改正しなければならないというふうにわれわれは今までずっと考えてきまして、そういった意味で検討をいたしておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 それは職員の加入する範囲の問題に属することであって、私が今尋ねているのは、いわゆるオープン・ショップ制になっているわけで、加入することも自由だし、加入しないことも自由だ、こういうことなのです。これはいわゆる結社しないという純粋な自由権というものは、すでに国際労働条約の上においてはもう該当しないようになっている。こういうような国際的な通念から考えたときに、そういうような条項が残っている国家公務員法の九十八条なりあるいは地方公務員法の五十二条というものは、改正をしなければならないのじゃないか、そういうことを言っている。どうです。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内(一夫)政府委員 たびたび御質問の趣旨を取り違えまして恐縮に存じます。職員が職員団体に加入しないという自由を保有していることは、私どもは八十七号条約に直ちに違反するというふうには考えておりません。そして、労働者が労働団体に加入しないという自由を保有させることが、国際的な通念に背反するものであるかどうかという点につきましては、これはまた一つの見方にもよりますが、私は必ずしもそういう国際的な通念まで高まった問題ではないのではないかと思っております。これは現行の日本国憲法二十八条の問題についても、いろいろ考え方があるようでございますが、労働者と申しますか勤労者と申しますか、勤労者が特定の団体に加入しなければならないという義務を持つ制度にしないと、団結の自由という精神に背反するというふうには実は私ども考えておりませんので、この前改正案を出しましたときにおきましても、加入しない自由は依然として残るような規定になっていたというふうに記憶いたしております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 加入することができるというふうにうたえば、加入をしなければならないということではないのであって、加入しないことができるのだということをわざわざ明文化していること自体が、いわゆる結社しないという純粋な自由権というものに該当するのだということを思っているのです。だからあとの条項を削るべきじゃないかと言っているわけですが、この問題については、ここで時間をかけて論議していくのも必要であると思いますが、一応打ち切りたいと思います。  そこで、大臣も参議院の予算委員会の関係もおありでありましようから、文部省に関係のあります問題にしぼって御質問を申し上げたいと思います。大臣が日教組と会わない理由の中に、連合体の法律上の規定の上から、自分には会う資格もないし、またそういうようなことをきめていく法制上の何ものもないのだ、こういうことをいつも言われるわけであります。それは現在の地方公務員法に基づいているものだというふうに私たちは受け取っているのでありますが、その根拠は何でございますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 職員団体としての全国組織の日教組の代表者と、団体交渉の意味でお目にかかるかどうか、お尋ねはおそらくそういうことだろうと思いますが、そういう点からいえば、文部大臣は給与についても、一般人事権の立場からも、地方公務員に対していささかの権限も与えられていない。しかも地方公務員法は明らかに団体交渉の相手方を明示しておるという制度上から申し上げまして、文部大臣という立場の者は、団体交渉の相手たる権限は与えられていない。だからお目にかかってもどうすることもできない立場である、それは日教組の代表者も文部大臣も双方とも同様である、こう考えて先日もお答えしたわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 そこで大臣にお尋ねいたしたいのは、国家公務員の身分を持っております大学の教職員の任命権者は、これは教育公務員特例法の十条並びに国家公務員法の五十五条によりまして大臣にあると思うのですが、どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 その身分、地位によって違うかと思いますが、文部大臣が任命権者であり給与決定権者であるものと、そうでなくて大学長等にその権限があるものと二つあるかと記憶いたしますが、すべて文部大臣が任命権者ないしは給与決定権者ではないように記憶しております。なお正確には政府委員からお答え申し上げます。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 国立大学の教職員につきましては、御承知のように教育公務員特例法によりまして教授、助教授、講師については大学管理機関にまかされておるわけでございます。なお助手については、大学の学長に委任されておるわけであります。それから係長以下につきましては、これは事務職員でございますが、大学の学長に任命権がまかされておる。そこで文部省が直接任命いたしておりますのは、事務局長、課長、課長補佐でありまして、今日、日教組の中に大学高専部というものがございますが、この大学高専部というものは別に人事院に登録した団体ではございませんので、従って交渉すべき相手方ではないと心得ておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 人事院に登録した団体であれば、初中局長はこれは交渉の相手としなければならないというふうにお考えになっておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 人事院に登録されたものは権限がある当局と交渉しなければならぬ。権限のある当局は、先ほど来申し上げましたように、任命権の範囲によってそれぞれ異なる。しいて申しますならば、事務局長とか課長、部長のように文部大臣が直接任命しているところの管理監督の者が連合体を作り、あるいは人事院に登録しておりますれば、それは文部大臣の交渉相手かと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 これは国立の大学の学長に対して人事権を委任する条項はもちろんありますが、その任命権者はやはり国家公務員法によって大臣であるということは明記されておるわけですね。教育公務員特例法の中で、その大学の管理機関を通じて申請されたものが大臣によって任命をされる、こういうような格好になると思うのですが、そういうような意味において、最終的に法律上の任命権者というのは大臣だと思うのですが、その点はどうですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 明らかに法律上大学管理機関に委任されておりますので、文部大臣はこれに対して発令をすることになっておるわけであります。ですから、事実上の決定権はないわけです。従って、文部大臣が交渉の相下方たるべきものではないと考えます。それから文部大臣が事実上存命権を委任しておりますものについては、これまた同様に文部大臣がいかんともしようがないのであります。委任された範囲においては、その責任ある当局は学長でございますので、学長と交渉する以外にないと思います。

村山喜一日本社会党

○村山委員 人事権についてはそういうような委任がなされておって、給与の、いわゆる勤務条件、この問題について、いわゆる交渉をする相手というものは大学の学長ということになりますと、予算的な点、そういうような財政権上の権限というものはどういうふうになされるのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは大学に配当いたしておりますので、配当した限度において学長が交渉相手になるわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 大学に配当されているものが十分になされておるのであれば、その中において法律に規定づけられた条件の中で給与の改善を行なわれていくであろうと思う。また現に、大学の場合は、そういうような問題は割合に少ないようでありますが、給与の問題をめぐって直接、今後いわゆる新しい給与を要求する、こういうような問題については、交渉をしていく相手が大学の学長であった場合に、それが予算的に権限を持っていない、配賦された予算の範囲内しか権限を持っていないということになったら、これは当然そこに、交渉の相手というものは、能力的に、人格的に考えて制限をされてくる。そうなった場合に、いわゆる勤務条件を満たし得る条件を交渉によって得られるという保障は何もないわけですね。そうなりますと、はたしてそれは交渉相手として当事者能力を備えているものと考えられるか、それはどうですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 国家公務員につきましては、国家公務員の給与に関する法律がございますので、この法律に基づいて適切な運営が行なわれているのであります。現実にその法律以上の要求をされますれば、これは無理でございますけれども、その範囲においては、執行上支障がないわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山委員 地方公務員については、これは大臣には何ら権限がない、人事権も給与に関する条件を話し合う権利もないということを言われているのでありますが、現実の問題から考えていった場合に、義務教育費国庫負担法という法律がございます。これは自動的に二分の一を国の力が補助をするという精算額の規定になっているようでございますが、との国庫負担額の最高限度を定める政令は、給与、人員を制限をしていると思うのですが、そういうような義務教育の職員の給与に関する問題を交渉する場合において、法律においてはそのようになされているけれども、政令によって制限をされている場合、これは実質的に都道府県の教育委員会を相手にして交渉をしても、その身分の保障というものは期し得ないということになってくると思うのですが、その点はどうですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 御承知の通り義務教育費国庫負担法は実績の半額を国が負担する、こういうことでございますから、一般的な県につきましては文部大臣に給与の決定はないわけです。地方が出した分の半分を精算負担するという建前でございます。今御指摘になりました政令は、ただし書きで、ただし、特別の必要ある場合には国庫負担額の最高限度をきめることができる、こういうことになっておりまして、これは財政的な理由にもよるわけでございまして、現在富裕県として交付税が交付されてないような四府県につきまして限度をきめている。その限度をきめる場合に妥当な規模できめておるのでございまして、この限度内で四府県の給与が決定されるならば、これは御指摘のように私は問題があろうと思います。ところがこれは一つの財源の保障でございまして、この単価であるいはこの人員で都道府県がやっているわけじゃないのでございます。その四府県はこれよりもはるかに高い給与を支出し、あるいは人員もそれよりも多いわけでございますから、これによって何ら都道府県の教職員の待遇を拘束していることにはならないわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 一部の富裕府県に対して、交付税の上から財源調整の意味を持ってこの政令が定められているということは、私はよく知っております。しかしながらこういうように最高限度をきめて財源調整をやるということ自体が、精算方式をとっておる義務教育費国庫負担法の立場とは基本的には矛盾する。従ってそういうような制限がされなければ、まだわれわれは勤務条件を高めていくことができるであろう、こういうふうに想定をすることも、これまた自由であります。それらの中から、これはやはり都道府県なりにおいて解決ができる問題ではない、だからやはり文部行政について最高の責任を持っておいでになる大臣とその問題について――予算編成権というのは国務大臣である文部大臣にあるのですから、そういうような意味において交渉をすることにしなければ、実質的な権利というものは擁護されないと思うのですが、その点はどうですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは予算編成の問題であって、あくまでもその都道府県の教職員の給与、勤務条件とは直接関係はないわけでございます。ですからこの点について文部大臣と日教組が団体交渉すべき性質のものではないと考えております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 面接的な関係はそれはないでしょうけれども、間接的には関係があるということは、これは自明の理であります。従ってこの問題についてはこれ以上触れません。  次に新しい、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、この内容を見て参りますと、前の公選制の教育委員会の時代に比べて、文部省の指導権といいますか、指揮権ではなくて、指導、勧告、助言、こういうような権限というものは非常に強まってきた。そしていろいろな補助金等を通じまして、教育委員会に対してアドバイスするところの力というものも強まっていることは、御承知の通りです。そういうような点から考えて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十八条、五十一条、五十二条、そういうような点から考えて、これは当然都道府県内において解決ができない問題だということになれば、その点についてはどうですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 御指摘の点の四十八条は、文部大臣が指導、助言及び援助をするという規定でございます。四十九条は基準の設定でございまして、文部大臣が指導、助言をすること、これと、文部大臣が日教組と交渉しなきゃならぬという問題は、これは全然関係ないと心得ております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 この教育の内容の問題について、いわゆる初中局長の通達等にも明らかになっておりまするように、例の勤務条件の問題をめぐりまして勤務評定の指導、助言、監督権というんですか、そういうようなものに対しては明らかに都道府県教育委員会は市町村の教育委員会に対して指導することができるのだ、こういうような通達がなされていると思うのです。そういうような上から考えたときに、ILOのいわゆる教育者会議が開かれておりますが、そのILOの教育者会議においてなされた結論がどういうふうになっているかということは、文部省の方においてはお調べになっておるかどうか、お尋ねします。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 この間国会でそういう御質問がありましたのでさっそく労働省に問い合わせましたところ、実は文部省の方にはその書類は送らなかったということでございまして、日教組の方には渡したそうでございます。私の方もさっそく取り寄せて今検討しておるところでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 その専門家会議のいわゆる決議というものを見てみますと、今検討をされておるということでございますが、当然教員の場合にはそういうような教育政策というものについて、あるいは勤務条件を高めていくためには勤務評定の問題、いわゆる管理規則というようなものにまで発展をさせて考えていかなければならないのだ、交渉の内容としては含んでいるのだというようなことが言われているようであります。従いましてこの条文を正しく解釈をされて、そして大臣が先ほど言われましたように、ILOの趣旨そのものには自分は賛成なんだからということでございますから、これは当然そういうような立場からこの問題については御検討をされるように要望を申し上げておきたいと思います。  さきに、八十七号条約をめぐりまして、これは当然国家公務員も地方公務員も適用される条約であるということが明らかにされております。その点から考えていったらば、それらのILOにおける教育者会議の結論と関連していくならば、当然文部大臣は日教組と団体交渉をされなければならないということが、国際的な通念として解釈の線が示されるであろうと私は思う。その点だけは申し上げておきたいと思う。  次に予算の問題で一言だけお尋ねをいたしておきたいと思います。それはすし詰め学級の解消の問題でございます。御承知のように二十八回の国会において成立をいたしました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、これが政令で暫定的に暫定標準というものをきめておいでになるわけでございます。政令の改正をやって、三十六年の三月までは小学校五十六人、中学校五十四人という線をさらに一カ年間、三十六年度も三十五年度並みにやろうということであるようにお伺いをするわけでございますが、この予算説明の要綱を見てみますと、必ずしも五カ年計画の最終年度、すなちわ昭和三十八年度においては計画全体を変えるものではないというような説明も承っておる。ところが三十八年度以降は五十名以下になるのだということでございますが、初めに文部省の方で考えられた五十六名、五十四名というのを二名ずつ減らしていって、そして最終年度にそういうような形に持っていくのだという構想は、初め予算編成をされるときにあたって立てられたものだ。それが大蔵省と交渉をされるにあってつぶれて、今日のような格好になったと思うのですが、そういうような考え方というものは、どの点まで強い態度としてお持ちになっておったのか。いわゆる予算編成上の態度というものをお聞かせ願いたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 すし詰め学級解消の問題でございますが、実は当初この法律に基づいて計画をいたしましたときに、三十六年度は中学校の生徒が百万人増加いたしますので、小学校の生徒数の減を立てましても、なおかつ一万人近くの教職員を増員しなければならない、こういう結論になりましたので、当初の五カ年計画のときから、三十六年度は据え置くという方針を立てたわけであります。従って、本年度三十六年度の概算要求にあたりましても、文部省側といたしましては、三十六年度は据え置くということで要求いたしましたので、大蔵省はこの点について査定はいたしておりません。

村山喜一日本社会党

○村山委員 時間の関係もあるようでございますので簡単に終わりたいと思いますが、そういたしますと、中学校の生徒増が九十七万八千人ですか、あって、小学校の方が減っている。そうなりますとその差が出てくるわけですが、一万二千六百人を、文部省の方は初め要求されたやに聞いているわけですけれども、その要求された線というのは、五十六、五十四という線で要求されたわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 さようでございますす。

村山喜一日本社会党

○村山委員 そういたしますと、徐々にこれを改正して三十八年度以降は五十名以下になるようにしていくのだという初めの計画は変更されたわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 先ほど申しましたように、当初計画で五カ年の計画を作るときに、三十六年度は足踏みという計画を立てて大蔵省と五カ年計画を相談しておったわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 今回の人員増で八千五百六十六人という増が示されているわけでございますが、そういたしますと、これはどういうような配分をなされるのでありますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 中学校の生徒増がございますが、小学校の生徒の減がございますので、その減を差し引いて、中学校の百万人の増加に対処できるように必要にして十分な人員を計算したわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 文部省の要求から約四千名ぐらい少なくなっているわけですが、これで十分対処でき、そして中学校の急増対策に間に合うような人員が確保できることに相なるわけですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 さようでございます。

村山喜一日本社会党

○村山委員 地方の都道府県の場合においては、現在五十六名なり五十四名、さらに五十二名、どういうような数字で漸次これを減少させて、学校教育法施行規則あるいは標準定数の確保に関する法律の線に都道府県自体においても近づけていかなければならないい、こういうようなことで、その自治体においてそれぞれ努力がされているる。そういたしますと、かりに五十二名を予算の上において確保している、こういうような線が今までにきめられたととろが、文部省の方がことしは五十六名、五十四名という線でいくんだということになったら、そういうような理想の方向に向かって努力をされていくところの都道府県の教育向上の線というものが後退をして、そうして文部省がそういうような態度であるならば、もうわれわれもことしは五十二名だったけれども、三十六年度は五十四名にしようじゃないか、こういうような現象が生まれてくる心配がありますが、そういうようなことは危惧されませんか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 教育の水準を低下させるようなことはさせたくないと思っております。御承知の通りこの義務教育国庫負担法は実支出額の半額を国が負担する。あとで精算をしております。それから五十人が理想でございますので、自治省の交付税の単位費用を計算する場合に五十人にまで努力するということで計算した人員は交付税の方でも見る、とこういう建前になっておるわけでございます。ですから御心配のようなことはあり得ないと思いますが、少なくとも現状よりもこれを後退させるというような方向は好ましくないと思っております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 そういうような好ましくない傾向が出ないように、初中局長名をもって、あるいは大臣名をもって都道府県にそれらの逆傾向の方向に流れないように善処なり要望される御意思がございますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 当然やりたいと思っております。

村山喜一日本社会党

○村山委員 予算の問題につきましては、まだ特に所得倍増計画に関連をいたしまして、科学教育技術の振興の問題等まだたくさんの問題がございますし、これから先時間もまだ他日においてあるわけでございますので、そのときにやらしていただくことにいたしまして、きょうはこれで一応終わりたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 きょう大蔵省の主計官も来ておられるのでぜひお聞きいたしたいことがありますから、しばらく時間をかりたいと思います。  その前に、大臣に今村山委員からの質問に対して関連して二点だけお伺いいたしたいと思います。しばしば大臣が、親の願いを考えて、教育基本法の問題あるいは日教組に対するお考え方に反映しておるようにお話があったわけですが、確かに親の願い、また教師の願いもあり、親以外の一般国民の願いもあります。それから大臣自身の思想から流れてくる願いもあると思うんです。そういういろいろの願いの中で文部大臣としてはそれをどう指導し、それにどうこたえるかということについては、憲法と教育基本法に基づいて最後の教育方針をきめるということだけは御確認願っておかなければならぬと思いますが、その点お聞きいたしたいと思いますと。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 もちろんその通りと心得ております。憲法、教育基本法及び教育関係の法律制度、それが最後のふるいになるべきもの、かように心得ております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その内容についてはもう時間がありませんので、その後ゆっくりお話を聞きたいと思います。  それから予算委員会の十三日ですか、保科善四郎委員の質問に対する答弁について少し気にかかることがあるから、この機会にお聞きいたしたいのですが、最近の青少年の不良についての質問に対して、文部大臣は青少年の良識欠如の最大の原因は占領当局の命令で長い間義務教育課程で日本地理、日本歴史、修身の教育をやめてきたからだと、こういうふうに認識されておられまするが、修身というのは今の民主教育では禁句になっておると思うのですが、年をとっておられるから昔の言葉をお使いになられるのはけっこうだと思いますが、私も戦前に教育を受けた人間でありますから、みずから常に自粛自戒をして憲法と教育基本法に基づいた日本の民主教育の方向にみずからも戒めて努力はしている。そういうことの中に修身という言葉をお使いになっておられるので、これも今後まだ時間がたくさんあるので、大臣といろいろとお話をいたしたいと思いますが、それは次にして、こういう最近の青少年の不良化というものを単なるそういう教科課程の中から原因が出ておるという御認識は、私はそこからは青少年の不良化は防止できないのじゃないか、やはりもっと現在の社会構造の中に悪どい営利主義の中に、金もうけのために子供の精神を阻害するようなことをあえてするようないわゆる悪どい営利主義のもとからくる映画その他の文化財、その他おとなの世界の中に道義を頽廃せしめるようながらくたのような自由がたくさんある。あるいは同じ自由ということも失業の自由、貧乏の自由を含んで、社会建設の自由は制限されておるけれども、脅迫の自由だけは放任されておるというような、現在の教育環境としての今の自由経済の中の教育を左右する構造、これにもメスを入れなければだめなんだという御認識が欠けておられれば、私は問題は解決しないのじゃないか、そういうことを考えておるので、部分的にお答えになったのではあろうと思いますけれども、教育環境そのものの浄化というのですか、そういうことについての御着意をお持ちにならなければならぬのじゃないか、この答弁に私は非常に気にかかり、またこれだけでは私は大臣の願うところの青少年の不良化防止はできない、こう思うので一言だけお聞きして、これも次の機会にまた論議をいたしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 むろんおっしゃるような気持を持っておるわけですが、私が修身という言葉を使いましたのは、修身という言葉を使わなければGHQ命令が出たことを正確に伝え得ないから使いました。また修身という言葉を今日使っても一向かまわぬと思います、身をおさめるという意味において……。ただし今の問題としていえば、すでに教育課程にも明記しておりますように、道徳ということを言うべきことも心得ております。マッカーサー命令には道徳とは言っていない。当時の修身課程をやめろ、こう言ったわけですから、その用語を使わないと正確でない、こう考えて日本地理、日本歴史、修身と申したのであります。さらに教育課程における日本の国土が何たるやを知り、民族の沿革を知るということがなおざりにされることは、あるいはまた修身すなわち道徳が何がいいか悪いかのものさしが与えられないことは、子供たちにとっては最大の不幸である。少なくともこのごろ十七才がよくはやりますけれども、そういうティーン・エイジャーの非行事件を念頭に置いて保科委員も質問されたようでありますが、そういうことに限ってお答えする場合において、最大の重点は、私は教育の場にある、学校教育、義務教育課程、中学校を終わってこう当学校を卒業した者が十五、六才、七才と直結するわけでございましょうが、だからそういう青少年の学校教育の場におけるあり方いかんというものが基本的なものだ。その学校教育を通じて何がいいか悪いかの弁別力を正しく教えられておるならば、かりに社会に出まして、社会環境が御指摘のようなだらしなさであることを、私も同感でありますけれども、よしんばそうであっても、学校において教わったその良識が、つまらない者にだまされたり、あるいはそういう風潮に染んでしまったということはうんと防げるはずだという意味合いにおいて、重点はその点にあったろうと思う。あのとき申し上げませんでしたけれども、それと同時に私が指摘したいことは、追加して申し上げさしていただければ、子供が学校の先生から受ける影響、先生たる者がすべからく厳正中立の教育をじっくりとやってもらうということもあわせ行なうのでなければ、テイーン・エージャーの非行事件を減少せしめることはその根本においてくずれる、これまた相当重点を置いて関心を持つべき事柄と心得ております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 いろいろ私意見が違うものですから、論議することはたくさんあるのですが、次の機会に……。私、大臣のおっしゃっておる認識には賛同していないのですよ。今一言だけ、修身というのは、そういう意味においていう修身、斎家、治国、平天下といういわゆる中国の古典の中から出てきた意味の修身ならばその通りですが、そうおっしゃいながらGHQの禁止した修身を前提としておっしゃっておられる。それは古い封建的な旧憲法的な、いわゆる身分道徳に立った修身に対する批判であるのでして、単に身をおさめるという意味ではないはずなんです。それを何か矛盾してお使いになっておると思いますので、おそらく大臣がそういう古い、いわゆる民主憲法の上に立った道徳観でないものの上に立っておられるようでありますが、それは私は反対なんです。今時間がございませんので、次にまたこれは解明しなければならぬ。日本の道徳教育の根本問題ですから、私はこれを解明しなければならぬと思います。あとでまたゆっくり論議いたしたいと思います。  それから三十六年度の予算について大臣にちょっとお尋ねします。  きょうは各論には入りませんが、全体の三十六年度の予算をながめましたときに、父兄の負担を軽減するという着意が、ずっと見ますと、どこにも見当たらないのです。かえってこれは負担が重くなるのじゃないかということが一つと、それから予算の量はふえておるけれども、文教政策の予算としての質問は向上していない、ずっと一覧をいたしまして、こういう感想を私は持ったのです。そこでその中からいろいろと分析があると思いますけれども、大臣はこの予算編成の場合に、最初そういう着意をもって部局に基本方針をお示しにならなかったのか、それから局長の方は今度の三十六年度の予算で父兄負担を軽減するという要素を織り込んで、そして自信があるのかどうか、それを根本問題として、ことに大臣は親の願いを非常に強調せられるが、これも大へんな親の願いだと思うので、学校PTAの負担というのは大政治問題だろうと思いますから、それをお聞きいたしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  お答え申し上げる前に、私が修身という言葉を言ったことについていろいろと御批判がありましたけれども、修身の教科をやめろと言ったという意味で申し上げたことは先刻の通りですが、むろん昔ながらの修身が内容がそのまま今日通ろうとはだれしも思わない。あくまでも憲法なり教育基本法なり、法治国である限りはもろもろの法律制度に合致することは当然として、そうしてまた今日の国民感情にも合うべく、今日の子供たちの対症療法的な角度から再検討さるべきもろもろのものがあると思います。その点は念に及ばぬことですけれども、一応釈明さしていただきます。  父兄負担の軽減、このことは、昨年のあの臨時国会でも参議院の文教委員会あるいは決算委員会等におきましてずいぶん警告していただきました。私も初めてそれが年々概算二百億にも上る膨大な経費であるということ、そういう問題があることを知りました。それを解消する考え方としては、事実問題として一ぺんには、一挙動では、不可能だ、残念ながらそう申し上げるほかはないので、そう申し上げる。要すれば、私は今後少なくとも五カ年内に二百億の不当な父兄負担があるならば、ゼロにするという努力をいたしたいと思いますと申し上げたわけでありますが、そういうことも事務難局にもちろん言わずとも心得てはおりますが、特に考慮をめぐらしてやろうじゃないか、国会でおしかりを受けないように努力しようじゃないかということで、予算要求には臨みました。具体的内容等につきましては、また他日御説明申し上げる機会があろうかと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 ただいま大臣から二百億の父兄負担の話が出ましたが、父兄負担のうち一番大きなものはPTAで人件費、給食費等を負担しておるものと、それから学校の維持修繕費、それから教材教具、この三つに大別されると思います。もちろん学校の校合が整備される場合に、臨時的なことになりますけれども、このごろは六・三制の整備がだんだん進みましたので、校舎の寄付金というものは漸次減少しているわけであります。  そこで、ただいま申し上げましたように三つの要素が占めるのですが、毎年地方財政の中で市町村の教育費の充実をはかって参りまして、毎年三、四十億の市町村教育費の増額を行なっておりましたが、PTAの負担がなかなか軽減されませんので、昨年地方財政法の一部改正を行ないまして、ただいま申したうちの学校における職員費等の人件費及び学校の校舎の維持修繕費、こういうものは父兄に負担を転嫁してはならないという法律をいたしました。この関係で昨年四、五十億の財源措置をいたしました。本年も同額程度のものは少なくとも確保したい、特に学校の維持修繕費及び人件費に関するものはぜひ解消したい。それから残ったものが教材教具の問題でございます。教材教具につきましてはまだ相当父兄の負担がございますので、今日教材費の額が十八億でございますが、私どもは少なくとも倍くらいはふやしたいという希望を持っておりました。ところが、ことしは御承知の通り六・三制の整備で、補正予算と三十六年度の予算で中学校の校舎急増対策を解決する、こういうことでございましたので、教材費の方は実はことしは遠慮いたしまして、特にそのうち理科の設備費は五億五千万から八億に増額いたしました。特に理科と中学校の技術・家庭科は三億を六億にふやしました。ですから、この関係で理科及び技術・家庭科・科学技術教育を中心に本年は教材費の軽減をいたしたい。このほかに貧困家庭の援助といたしまして、従来御承知のように、教科費、給食費、修学旅行費、子供の治療費、これを準要保護家庭二%を対象にしておりましたのを四%に引き上げ、また新しく学用品と通学費を加えまして、前年九億でございましたのを十七億と、八億の増額をいたしておりますので、一般家庭の父兄負担の軽減、特に貧困家庭における父兄負担の軽減に重点を置いたわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 初中局長の今の説明では、PTAの負担で何らかのプラスにはなっておるということは私も認めます。これは管理局になるわけですか、あの六・三制の校合その他について基準坪数、それに対する単価というふうなものを変えない限りは、予算を多くとればとるほどPTAに対する負担が重なってくる。従って、今初中局長は自分の管轄でないからその辺の負担は気がつかないようでありますが、一番大きい負担はほかにある、そうして基準単価、それから坪数についても、地方においては文部省の基準によって補助対象になった教室をふやしたところで特別教室などはないのだ、親の願いによって、せめて特別教室を作りたい、もっと教育をしたいというので、結局補助対象にならない三教室、四教室を作ろうとして、それが膨大な負担になっておる。おそらく大臣の言われる二百億という大部分を占めるような気がする。そういうふうなことを考えてみますと、全体としては今度の予算全体は軽減にならなくて、今年度の最後にまたお調べになるとわかりますが、私はふえるのじゃないかとさえ思うのであります。この点については、私の質問に対しては、やはり文部予算の編成の仕方については力の入れどころをもっと変えなければならぬじゃないか、そういうふうに思う。  そこで、大蔵省の主計官おられますか。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 ええ、います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 文部省の方の最初の案というものは私は見てはいないのですが、そういうPTAの負担を減らすというふうな立場、教育の実質上の向上のために私はそういう案を出すのじゃないかと思う。そして最後に査定になりますと、やはり内容的には二分の一の補助になっているが、実質は坪単価が非常に低くてそうならないし、地方に負担をかけるというふうな実態になっておるのですけれども、そういう点について、大蔵省の主計官は査定権はあるのでありましょうけれども、その教育的な基本的な考え方を曲げるような、そういう指導、あるいは外から財政的立場を越えて指導されるようなことがあっては私はいかぬと思うのですが、今までどういうふうな慣行があるのですか、お聞きしたい。

佐々木達夫大蔵事務官(主計官)

○佐々木説明員 お答え申し上げます。先生のおっしゃるように、文教をやる場合に、特に義務教育につきましては、父兄負担の軽減というものは非常に大きな政策だと思います。従いまして、私どもが予算を査定する場合に、義務教育における父兄負担の軽減というものを非常に大きな一つの主眼点といたしてきております。本年度の予算につきましては、先ほど初中局長から御説明がありましたが、財政的な制約もありますし、片方でいろいろな新政策等もございますので、本年度は、ことに技術教育、科学技術振興というような立場から、そういう技術教育の点につきまして、従来から比較いたしますと非常に大幅な金額の増額をはかりました。  それからもう一つは、低所得音と申しますか、貧困家庭と申しますか、そういう方々の就学援助という点を非常に留意いたしまして、家庭が貧しくともりっぱな教育を受けられる、子供たちが楽しく教育を受けられるという点に非常に着目いたしまして、補助の対象を、今まで学用品がなかったのを学用品を入れたり、通学費等を入れたりしまして、そういう対象をふやしたほか、そういう階層が従来まだ非常にあるということがいろいろいわれておりますので、その点従来財務局等で行ないました実態調査等を勘案いたしまして、従来の準要保護のパーセンテージを二倍に引き上げまして、二%を四%に引き上げるということをやっております。  それから公立文教施設関係におきましても、従来鉄筋比率という点が割合に問題になりましたので、本年度はその鉄筋比率の構造、その構造比率の引き上げという点をはかっております。ただ、この五カ年計画につきましては、三十四年度から出発させまして、三十八年度まで一応公立文教の五カ年計画というものが策定されておりまして、この五カ年は一応それでやるのだというような基本方針が快走しております。しかも、ことしはまだ二年目でございます。来年度は三年目に入るというときでございますので、そこら辺の検討は今後またさらにしなくてはならぬということで、従来きまった五カ年計画の線に一応沿って、ただ非常に問題になる点を改善したという点が第一点。それからもう一つは、御存じのように中学校の急造対策というもの、これも五カ年計画からいたしますと、三十八年度までで一応やるということになったのでございますが、その後急造という問題が非常に社会的な問題になりましたので、その点考えまして、中学校の不正常解消については三十六年度に五カ年計画全部を行なうというような繰り上げを非常に大幅に行ないました。そういう関係から、公立文教整備費は三十五年度の補正と三十六年度の予算を入れますと 従来に比べますと画期的な大幅な増額になっておるという点を勘案いたしまして、そういうような見地から査定をした次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 主計官にもう一度お伺いいたしますが、大臣がPTAの負担を軽減するという一つの願いを持っている、その願いに沿うように大蔵省の主計官が査定するということは、日本の政党政治、内閣の責任政治からいえばやはりそうあるべきだと思う。それを無視して大蔵省が査定するというのは越権のさただと私は思いますが、そういうことはないだろうと思うのですよ。  そこで、今御説明を聞いておりますと、予算の学はふえますけれども、PTAの負担はかえって重なるのではないか。貧困児童その他についての教材その他の補助率を伸ばすということだけは確かに軽減になりますけれども、技術革新の方面の予算は増がありますけれども、地元の負担はそれに応じて、工業学校を作るにしても、二分の一の施設寄付なんてものが必ず出てくる。それから青年学級その他についても、建築についての坪単価あるいは補助対象の坪数を実質二分の一にするというふうな着意が入ってこなければ、これも負担が多くなるのは明らかである。それで、今までの文部省の予算を見ておりますと、予算の領が多くなることがかえってPTAの負担も比例的に増加するという性格があると私は見ているが、あなたの説明を聞いておりますと、それを裏づけているように思うのです。ことしの予算についても、もちろんその点については私は信念を曲げるわけにはいかないのですが、もし文部省の最高の責任者が、少なくとも来年度の予算までに、建設的に、PTAの負担をなくするという方針を立てれば、大蔵省でも、日本の国家の役人としては、部局と主計官の各係において、査定の中にその点をはっきりと入れてやるべきではないか、私はこう思うのですが、その点について、一言でけっこうですから御意見をお聞きしておきたい。

佐々木達夫大蔵事務官(主計官)

○佐々木説明員 現行制度のもとにおきましては、学校の経費は、原則として設置者が負担することになっております。従いまして、国がやる場合はそれに対する補助金、御存じのような補助金政策ですね、そういう形でやっております。従いまして、義務教育の本来の経費は、原則といたしまして設置者であるところの地方公共団体が負担するということが建前でございまして、それに対して補助金政策でやっていく。従いまして、今申し上げましたいろいろな父兄負担の問題、これはもちろん今の私どもが査定いたしました文部省の補助金というものにも関係したりするので、その点の改善はもちろんなしていきたいと思います。来年度以降われわれも努力していきたいと思っておりますが、本質的には地方財政の問題でございますので、地方財政計画と申しますか、そういうものを策定する場合に、父兄負担にならないようにこれは大いに努力を払っていかなくてはならぬのではないかという点で、先ほど内藤初中局長も申されたように、地方財政計画、自治庁を通じましてまたいろいろとお願いするということになるのだと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 時間がないので、終わらなければならぬと思いますが、そういう答弁をされると、また私は言わなければならない。それは原則的に施設自体は地方自治団体が持つことになっておるということをおっしゃいますが、現実的に国会を通過した法律で二分の一国庫負担というのがある。それに従うのがあなたの立場でしょう。従って、実質上二分の一の補助になるようにすべきであるのに、個々の施設に関する法律を飛び越えて、あなたがそういう思想を持っておるものだから、実質二分の一の補助対象にならぬようなことを査定するようなことになるんじゃないか。それはおかしいじゃないか。

佐々木達夫大蔵事務官(主計官)

○佐々木説明員 今の施設費のことにつきましては、お説のように二分の一の国事負担です。従いまして、その点につきましては、先ほど申しましたように、補助対象といたしましては、実質二分の一になるように査定しなくちゃならぬと思います。ただ、私どもが査定する場合には基準がございまして、一応必要最小限度の基準というものがございますので、その必要最小限度の基準というものを補助対象といたしまして、これでもって――一応学校教育等がスムーズに行なわれるという基準がございますので、その基準に従ってやっておる。それから単価の点もございますが、単価につきましても、一応地方部局の財務局等を通じていろいろ調査いたしております。大体全国平均では、現在の単価で一応行なわれるという調査の結果も出ておりますので、その点私どもの査定といたしましては、一応その数字に従ってやったということでございますので、実質負担が三分の一が三分の一になるような査定は絶対いたしておりません。その点はこの席上から明確にいたしておきたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 確信のほどを聞きましたから、またわれわれの方でよく相談していろいろと検討して、法律の実質線に沿うように皆さんに一つ御協力願いたい。文教行政の基本的な方針が大蔵省の査定の過程の中で本質がどこかに行ってしまうようなことでは、われわれは黙っておれないわけです。その辺を今のようにあまりかたく力まないで、もう少し弾力性を持って、文教関係の生計官は、やっぱり文教政策の甘木の最高の方針があれば、そういうふうに願わなければならぬと思います。もう時間もないので、委員長はこれ以上やると人権じゅうりんだというのでやりませんが、技術革新のための工業教育の伸展のために、工業高等学校を作る、工業高等学校を作るについて、工業高等学校技術教育の発展という一つの基本があるのに、教育が発展するには、教師の資質を上げなければ教育の伸展はできない。肝心な教員養成を三カ年の臨時教員養成所というのでは筋が通らないと思うのです。おそらく文部省は、そういう意味においては四カ年の大学教育でも現在の工業関係の教師は力がないということはもう認定されておる。従って、五年くらいの案で出して工業教育の発展を考えているのじゃないか。ところが見ていると、三カ年だから、私はこれは科学教育の後退政策だと思う。教育は教える人の素質によっていくのですから、それについてお二人に聞きますが、文部省は一体四年案を出したのか、そして大蔵省は三年に削ったのか。答だけで、次の文教委員会でまた質問します。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 文部省の方から三年の養成期間という案で予算を要求したわけであります。これは現在御承知のように、四年制の工学部を出て先先になるという課程があるわけでございますが、実際には、この課程が置かれておりましても、その課程を卒業して工業高等学校の先生になる人はほとんどないという現状からいたしまして、四年制にするということは、先生を得る上からはプラスにはならぬのじゃなかろうか。しかも現状はまた非常に一般的に申しまして逼迫いたしておりますので、三年の課程で、しかも四年の課程卒業者に比べて質の落ちないような措置を講じて、臨時の措置にいたしたいというふうに考えたわけででございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうなると、おそらく大臣の考えと違うのだろうと思う。日本の科学技術の振興に重点を置くという政府の方針もあり、そこから出てきたのであるから、文部省の原案がそうなれば、おそらく大臣の方針と違うので、再検討すべきである。おそらく大臣はそうであろうと思いますから、次の機会にまた伺いますけれども、要望いたしておきます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせします。  これにて散会いたします。     午後一時四分散会

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