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38回国会衆議院1961/05/17

農林水産委員会商工委員会連合審査会 第1号

発言数
68
登壇者
6
会派数
2
開催日
1961/05/17

会議録

田口長治郎自由民主党

○田口(長)委員長代理 これより農林水産委員会商工委員会連合審査会を開催いたします。  農林水産委員長の指名により、理事の私が委員長の職務を行ないます。  愛知用水公団法の一部を改正する法律案を議題として審査を行ないます。

田口長治郎自由民主党

○田口(長)委員長代理 提案理由はお手元に配付いたしてありますので、これによって御承知願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ただいま上程されておりまする愛知用水公団法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、私は二、三まず官房長官にお尋ねしたいと存じます。  すなわち、この法案と、目下内閣で用意されているであろうと予想されまする水資源開発公団と申しましょうか、名前は治水あるいは利水になるか存じませんけれども、その法案と大へん緊密なる関係があると思うのでございます。すなわち、池田総理は、かりに名前を水資源開発公団といたしますとすれば、その法案が通過しその開発公団が発足したときには、この愛知用水公団にかかわるものをも吸収するんだという旨の新聞発表もしていらっしゃるわけでございます。  そこで、お尋ねせんければならぬのは、一体、その水資源開発公団なるものは、農林、商工、厚生と、それぞれ意見の相違があったように承っております。と同時に、またことには建設との関係において非常な意見の相違があったとも聞いておりまするが、そういう意見の相違のあるものが、はたして今国会に提出されるかいなか、あるいは今国会にその法案が提出され通過する見込みがあるのかないのか、それをまずお尋ねします。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 水資源開発公団法案につきましては、政府部内におきまして意見の調整を急いでおりまして、ようやくきのうまとまりまして、本日衆議院の方へ御提案申し上げました。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 さすが大平官房長官の腕によって、難航を続けましたものがきょうその御提出のお運びになったということは、全く野党の私どもも慶賀の至りでございます。ところが、さてそれでは提出はされましたが、内閣としては今国会中にしからばこれを通すという意気込みでございますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 国会に御提案申し上げましたら、今度は国会の方のお仕事になるわけでございます。私どもといたしましては、これは当初から大へんな問題でございまして、せっかく各省の意見もまとめて御提案申し上げました以上、今国会におきましては皆様方の御協力を得ましてぜひ成立さしていただきたいということを希望しております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 各省の意見があなたの腕によってまとまったということであれば、あと残る問題はわれわれ野党の協力いかんということに相なるわけでございまして、まあその内容のいかんによっては異論もあると思いまするが、この水資源の開発が目下の急務であると同時に、この日本の水資源をほんとうに有効に使わなければならないという点については、おそらく与党も野党も一致した意見であろうと思う。これはもはや国民の声だろうと思うわけでございます。そこで、しからば、もしそれが通ったとして、発足を見るとすれば、それは大体予定はいつでございますか。私、その法案を見ておりませんからわかりませんが……。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 成立後六カ月以内にというように法案はいたしてございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 そうすると、六カ月以内に公団そのものが発足する、こういうことでありますね。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 そうです。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ところが、ただいま審議の対象と相なっておりまするところのこの愛知用水公団が豊川用水の工事を引き受けることによりまして、おそらく工事予定は七年と今までの農林省の予定では承っておりまするが、それは七年と解釈してよろしゅうございますか。今度は農林省の方にお答え願いたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 豊川の工事を愛知用水公団で包括いたしまして仕事をする場合の完成の年次でございますが、一応、三十六年度の予算をやりますときには、まだぴっしゃり何年ということを最後まできめているわけではございませんが、大体、今までの目標では、第二期工事を入れまして七年くらいで完成を目標にしようかというような話し合いをいたしておりますが、最終的にまだぴしゃりとはきめておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 大体の目途は何年くらいの御予定でございますか。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 今申し上げましたように、大体、特別会計でやっておりますと同じに、七年を目標ということでやったらどうかというのが現在のわれわれの考え方でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 聞きまするというと、池田総理はこの愛知用水公団なるものを水資源開発公団に吸収するという意味の旨をはっきりと新聞発表もしておられまするが、その時期は一体いつごろでございますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 愛知用水公団は、将来適当な時期に、今度御審議いただきまして水資源開発公団が設立されますと、それに吸収するのが適当であると思っておりますが、これにつきましては、御案内のように、愛知用水公団に対する世銀の借款がございますので、世銀の了解を得る必要があります。従いまして、水資源公団設立後直ちに吸収することは困難であろうと思います。従いまして、世銀の了解が得られ、水資源開発公団への移行の準備が整いました段階で、すみやかに必要な法律上の手続をとりまして、吸収いたしたい、そういう方針でおります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 つまり、事務上の手続の完了次第、可及的すみやかに、吸収という言葉は悪いかもしれませんが、愛知用水公団なるものを水資源開発公団に溶け込ませる、こういうことでございますか。事務手続が完了するのを待って可及的すみやかに溶け込ませる、これでよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 さように考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 実は、私も、そうあってしかるべきではないかと、かように思うわけでございます。なぜかならば、すでに御案内の通り、愛知用水公団は、農林省を主体として、各県からエキスパートが集まり、まあ所期の目的を達成すると同時に、非常な効果をあげているわけでございまして、なおかつ今お話のございましたように世銀の借款その他によるところの技術援助も受けて、非常に優秀な技術を持っていらっしゃるわけです。この技術はそのまま新しくできる大きな公団に溶け込ませることによって一そうこの技術的な効果をも上げ得るではないか。それがほどを経、時を経てざんばらになってからでは、これはせっかくの宝をここでむなしゅうするというおそれもなきにしもあらずでございますので、私どもとしましては、ぜひ一つ可及的すみやかに愛知用水公団を新しくできる開発公団に溶け込ませることによって、一そうの効果を上げると同時に、今必要とされている飲料用水、工業用水、農業用水はもちろんでございまするが、これらの需要を満たすことこそが最もよいことではないか、こう思っているわけなんです。期せずして大平官房長官と考え方が一致いたしましたので、こんな喜ばしいことはないと思います。  そこで、それでは、お尋ねしたいのでございますけれども、ただいま、愛知用水公団がスケールの小さい豊川用水の事業を引き受けることによって、事業量の減少はやがて現在の人員の縮小ということに相なってきているわけでございます。私、先ほど参考人からも意見を承ったわけでございまするが、大平さんも御存じの通り、昔から、治水、利水ということは、ほんの小さな事業をやっても、なおお宮さんが立つというのが普通なんです。まして、いわんや、世紀の大事業をやったこれらの方々に対しては感謝をもって報いねばならぬにもかかわりませず、本人の意思にあらずして、ここに転退職から首切りが行なわれるということは、まさに、これは、木曾川の利水を行なわれたあの薩摩武士、すなわち徳川の圧制下において薩摩の勢力をそぐ手段として行なわれた、あの武士の二の舞が今ここに行われようとすることは、これは民主主義の世の中において黙視することができないと思うのです。幸いにして近き将来においてより大きなところへ溶け込ませるという腹があるならば、なぜにここで転退職やらあるいはよそへと言うて明らかに首切り、辞職を要請しなければならないのか。もちろん、これはあと先に相なっておりまするから、手続上無理からぬことだとは思いますけれども、幸い今国会においてそれが審議されるということならば、当然ここにおいてその人事の問題についてもお考え願ってしかるべきだと思いまするが、官房長官の御意見は一体いかがなものでございましょうか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 愛知用水公団を水資源開発公団に吸収するということになります場合は、愛知用水公団の業務や、これに伴う権利・義務のすべてが水資源開発公団に承継されることになると思います。その際の職員の身分関係でございまするが、業務の一切が引き継がれます以上、これに伴う人員を引き継ぎ申し上げるのは当然でございます。その点に不安のないようにいたしたいと考えております。ただし、役員の人事につきましては、これは別な観点から考えてみねばいかぬと思っておりますが、今申しました職員の身分については、不安のないようにいたしたいと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 役員といえども、自分の意思で転退職をするという人はこれは御自由だと思いますが、しかしながら、縮小されるがゆえにやむなく転退職をしなければならないという方については一考あってしかるべきではないか。いわんや、従業員の方にして優秀なる技術を持っている人がチームワークよろしきを得て愛知用水の工事を所期の予定通り完成したならば、これは功績者でございますから、これに報いるに転退職、首切りでもって臨むということは、もはや民主主義の統治下において人道上から見ても許さるべきものでない。幸いにして今その憂えのなきよう善処する旨の御答弁がございましたので、私もあなたの言を信頼して憂えを取り除くことにいたしたいと存じますが、この点は、ただ一ぺんのここの答弁に終わらずして、ぜひそれを実現していただきたい。さすれば、現在八百有余人で持っておるところの技術がそっくりそのまま生かされる、ここに私は大切な点があるではないかと思うからでございます。ぜひこれはそのようにしていただきたいものだと思います。  次に、権利・義務が移行される場合の問題でございますけれども、現在、愛知用水公団によれば、県に委任された業務がたくさんございます。これは新しい公団法に言う公団の性格上一体どのようになるのでございますか。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 私からお答えいたします。  新しい公団に引き継ぎます場合には、愛知用水公団の一切の権利・義務を承継するというような別途の法律が必要でございます。これは、先ほど長官からお答えになりましたように、世銀等の関係もございますので、今度の水資源開発公団法にはそういう規定はございませんで、別途の法律をもちまして、現在の愛知用水公団がやっております仕事、その関係の権利・義務を一切承継するということに相なろうかと思いますが、その際に、県に委託しましてやりました工事の出来形あるいはそれに関連します権利なり義務というものは一切新しい公団に別な法律をもって承継されることになるだろうというふうに考えます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 別な法律によって処理されることは当然聞くまでもないことでございまするが、大体の目標というものを承っておきたいのでございます。  それから、先ほどの御答弁の中に含まれておりませんでしたが、目下の予定でございますと、整理と申しましょうか、転退職を要請されると申しましょうか、これが大体三百人程度あるわけでございますけれども、その転退職について、整理目標とされている三百有余名の人員に対して、ただいまの官房長官の答弁によりますれば農林省としても考慮してしかるべきだと思いますが、農林省としてのお考えを承りたい。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 御質問は二つでございますが、最初の、目標と言われましたのは、あるいはそれが時期の問題でございますれば、先ほど官房長官から御説明がありましたように、世銀との話し合いがつきました上でということでございますので、私どもは、三十七年度に入りましてなるべく早い時期にというぐらいの時期的な目標を実は考えております。権利・義務等については、私は、県に委託しましたものも一切承継するというふうに考えております。  それから、人員の問題でございますが、これは、現在予算に計上してありまして愛知用水公団としまして事業ができますのは豊川だけでございます。これは予算にそういうふうに計上になっておりまして、全国的な新しい公団ですぐ仕事をするということには実は三十六年度予算ではなっておりません。でございますので、先生の御質問になりました点については、私どもは約二百八十名ぐらいというふうに思っておるのでございます。公団の職員で二百八十名くらいの人を、国から出ていた人は国に返し、また、県の人でも国にとる者もあり県に行く人もある、また、そのほか民間に行く人もありというようなことで、大体年内には二百八十名くらいの人に再就職のあっせんをするということで進んでおりまして、現在六十数名はそういう線に乗りましてほかに就職をしたというような形になっておりまして、その点は、やはり、全国的な公団ができるとしましても、これが事業をやりますのは先になりますので、二百八十名につきましては従来の方針は変わらないと私どもは考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 変わらないということになりますと、本人のあやまちとか手違いとかいうことでなくして、ただ政府の事業量の縮小によって余儀なく転退職しなければならない、こういう方々の目の前にもう一つ事業がふえるということが明らかになっておる。ただ、問題になる点は、本年度予算にその給与が盛られていないということなんです。それだけの理由で、明らかに次に採用しなければならない口があるにもかかわらず、あえていやな者をも退職にさせなければならぬということはないと思う。いずれこれは労働委員会において詳細にわたって権利・義務の問題を討議してみたいと思っておりますが、農林省みずからがそういう意向であるということは、私は解せないと思う。これは、本人みずからのなせるわざでもなければ、本人みずからが作った転退職の原因ではないはずなんです。本人たちはそこに勤めておりたい。本人の自由意思によってよそに行くものなら、これはやむを得ぬでしょう。よそに行きたい、よそにかわりたいというならばやむを得ぬ。しかし、事業量が縮小される、だからこれだけは首切られなければならぬということに相なって、私も勤めておりたいけれども、それじゃ私が一つ犠牲になってあげましょうという方もあるわけなんです。そういう方々に対しては親心をもって臨んでいただかなければ、功労者に対する道ではないじゃないかと思うのです。百歩譲るとしても、もし新採用が可能な時期、すなわち、新公団が発足して採用しなければならぬというときには、かりに一時やめていた人といえどもなお最優先にとるというのが、解雇するときのどこにも通用する雇用条件になるはずなんです。これをもあえて今の答弁では考えておられないということになると、はたして農林省は親心があるのかないのか、切り捨てごめんなのか、まるで城郭築城の場合に秘密の抜け穴を作った技術者に対する仕打と同じように解釈しなければならぬのですが、それでよろしゅうございますか。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 今先生のおっしゃいましたように、あとの場合の、たとえば新公団ができましてどういう人的構成でどういう仕事をどこでやっていくかということは、実はまだ全然事業計画ができておりませんので、まだそういうところまで人数が幾ら要るかというようなことが出ておりません。それで、将来必要な場合に最優先にとることを考えたらどうか、こういうことまで否定しておるというお話しでございましたが、私はそこまで否定して答弁申し上げたわけではございません。ただし、この愛知用水公団は、先生も御承知の通り、この法律のままで参りますと、これは工事が終われば管理するだけで、あとは全然仕事がなくなるわけでございます。私どもは、そういうことについては、この機械でございますとか、あるいは今までの経験をぜひ生かしたいというようなことで、さしあたり、すぐに三十六年から仕事にかかれます豊川というところを統括して仕事をしようということを考えたわけでございます。しかし、豊川をやるにしましても、人件費というものは、みんな農民負担にはね返っていくわけでございます。これはやはり必要最小限度でやるべきでございますので、三十六年度の予算に即して今のようなことを考えたわけでございます。将来新しい公団ができまして、いつから事業を始めますか、その場合に人の問題が出ました場合には、先生のおっしゃったように、愛知用水公団で働いていた人につきましては、そのときには普通の人とは格を違えて考えたらいいんじゃないか、同一のレベルでなくて、こういう経験があったのだということをある程度優先的に考えたらどうかというふうには思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 官房長官は次の委員会もあるそうでございまするので、最初に官房長官に質問を集約してお尋ねしたいと存じます。  第二番目は、政府の農業基本法によりますれば、おそらく近き将来において土地の所有権の移譲ということが行なわれることが想定されるわけでございます。すなわち、あるものは工業用地として、あるものは住宅用地として、ときには、特にこの農業基本法によれば、農民同士の間において所有権の移譲が行なわれることが考えられるわけでございます。ところで、この愛知用水の受益者であるところの農民は、反当四万三千円の受益者負担金をことしから納付していかなければならぬ勘定に相なるわけでございます。納付いたしますれば、この農民に対しては水を得るという権利がついてくるわけなのです。土地の所有権にこれが付加されてくるわけでございます。ところで、所有権の移動をさせた場合には、すなわち売買形式が行なわれるのではないかと思います。そのときに、年々歳々納めていって得たところの水利権は一体どのようなスタイルにおいて移行すべきであるか。これについて、農業基本法について検討を進め、それをぜがひでも社会党の反対を押し切ってでもといってお通しあそばされた官房長官の御意見を承りたい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 農基法上の専門的な問題でございますので、恐縮でございますが、政府委員の方からお聞き取りを願いたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 今の御質問は非常にむずかしい御質問でございまして、農業から農業以外に移った場合、農業内の場合、いろいろ例をあげて御質問になりましたが、農業内の場合でございますと、これは同じ農業用水に使っていくということでございますから、比較的問題はむずかしいことはなかろうと思いますが、これが工業用水あるいは上水道というふうに使われるということになりますと、その点は非常にまだ問題がございます。といいますのは……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 いや、私の聞いているのは、上水道でなしに、農民が持っているその土地が、ときに工場用地として、ときに住宅地として移行する場合と、もう一つは、農業同士の間で農業基本法によれば移動しなければならぬことが起きてきます。——二町何ぼなんということになれば。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 先生の御質問の次第は、土地に一体水がついていくかということになるのじゃないかと私は思うわけでございます。その場合に、たとえば農業内でございますと問題の解決は簡単だということを申したのでございますが、農業以外の問題になって参りますと、国から、農業用水あるいは工業用水あるいは上水道に対します場合に、みな補助というものが違っております。農業用水につきましては、ほかの用水についてよりも、非常に手厚い保護があるというような形になっております。そこで、今度は、農業用に使っていた水を、負担金を払ってしまえば、それは全部工業用水なら工業用水としてそのまま使えるのかという問題になるだろうと私は思います。そういたしますと、国あるいは県から見ますと、農業用水であるがために相当高額の補助金を出してこれを作った、それがほかの用途になってしまうということになりますと、これはそういう補助金を出すべきものじゃない。上水道でありますればほとんど補助がない、工業用水でございますれば四分の一というようなことになりまして、そこからくずれてくるわけでございます。もとが違って参ります。そこで、この問題のときには、農業用水として使っていた人が、負担金を払いましたあとで、それをたとえば工業用水として使うという場合には、これは実は水利権を持っておるのは公団が一本で持っているわけでございますので、水利権が農民にあるというふうにはすぐに考えられませんので、工業の方に水を向けるというときには、これは工業の方からまた負担金を出してもらいますとか、そういうような形で、公団というものを中に入れて、そうして農民の前に出した負担を軽くしてやるというような操作をしていくべきじゃないか。一回農業用水の負担を払えばその水はみな売ってもいいのだというふうにはならぬだろうと私は解釈いたします。公団を中に立てまして、工業、農業間のアロケーションといいますか、この施設についての負担の仕方をもう一回考えていくということに相なるだろうと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私の先の質問は、他の業種に移行するのでなくして、農地が農地として所有権が移動した場合に、これは一体水の権利を得るために納めたところのその代価はどうなるかということを聞いておる。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 農地を農地としてほかに売り渡した、そうしてその水を使っていこうという場合には、農業用水がそこに来ますという権利的なものがついた値段として、その次に土地を買う人の土地の値段としてそこに入ってくるのではないかというふうに考えられます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 もし土地のコストの中にそれが含まれてくるということに相なりました場合に、農業基本法を実行に移そうとするならば、おそらく土地のコストというものをある程度押えていかなければならぬという問題が出てくるのではないかと思われます。特に、愛知用水の受益地帯の土地価格というものは、ここに工場ができ住宅ができます関係上、日に日に高騰を続けているわけでございます。もしそれ農業基本法によって一町五反以上であるとか二町以上ということになれば、残る農民は耕地を他から求めなければならぬ。求める場合に、坪当たり一万円あるいは二万円という耕地を購入して、いかに営農をしたからというて、その投資に見合う収益をあげるはおろか、おそらくや、愛知用水の負担金をも支払うことが不可能に近い状況に追い込まれるのではないかということが予想されるわけです。従って、コストの中にそれが含まれるとするならば、土地が農民から農民に移動するときのコストは一体いかほどと想定してみえますか。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 先生の御質問は、単に水利権という問題だけじゃなくて、あの近郊地帯の農地が値上がりをする場合に、これから自立経営の農家を作る場合には農地の価格をある程度押えるべきじゃないか……

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 押えるべきじゃないかとか、そういうことを言うているのじゃない。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 先ほどの御質問にもございましたが、農地の値段をある程度安くする必要があるのではないかという御趣旨じゃないかというふうに私は解したのでございますが、実は、農地の価格につきましては、農地の価格だけとしてある程度押えていきますか、そういうことをやりましても、なかなか現実の問題としてむずかしい問題がございます。宅地の問題その他工業用の敷地の問題とか、いろいろな問題と関連した土地価格全般としてこれを検討いたしませんと、農地だけでは解決できないというふうに実は概念的には考えております。今先生のおっしゃいました具体的な問題として、それでは、農地を他に売る場合に、この水を愛知用水からもらえるものとして考える場合に幾らとして考えたらいいのだということも御質問がございましたが、これは土地によって実は違います。と申しますのは、四万三千円と申し上げておりますのは、これは十年ないし十五年かかって償還いたします総償還金額でございますが、中には、果樹でございますとか、あるいは旧田の補水をしましたところ、いろいろ土地によりましてこれは違ってくるというふうに考えますので、一概にどの土地にどのくらいのものがコストとして入るかということは申し上げかねますが、これはおそらくそのときどきの経済情勢で水に対するものの考え方ということも変わってくるのではなかろうかというふうに私は思いますので、現時点で四万三千円という平均を出しておりますが、それがそのまま移るとも考えられません。しかし、そういうものが基準になって物事は考えられていくのであろうというふうには考えますが、今幾らということまでは申し上げかねる次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私が心配いたしまするのは、受益者の農民の負担が高い。だから、ほんとうはお宮さんなど作って感謝の意を表したいが、そこまで行っていない。先ほどの参考人の御意見も、伊東農地局長お聞き及びの通りなんです。そのたえかねるような負担を今後どうするかという問題、それはもう延べ払い方式でやってあげるのだとか賠償形式でやってあげるのだとおっしゃるなら文句はない。ところが、この愛知用水公団で言えば、今あなたがおっしゃったように、十年ないし十五年の償還形式になっておる。そうすると、それを農民に対してはそうしていただかなければならぬわけですが、ある程度したその後において、土地が移動するということが、今度新しい農基法によって出来してきたわけなんです。こういうことは愛知用水の計画の当初にはなかったはずなんです。農地が農地として所有権が移転するということはまずまず考えられなかったことだが、今度は大幅にそれを考えておかなければならぬ問題が出てくるわけです。つまり、五反や六反の兼業農家は、これは農業を営むことが困難になってくる。しかし、愛知用水の受益地帯にはそういう人が非常に多いのです。これは新潟県の方とは事変わりまして、一町以上持っている人はぐっと数が少なくて、一町以下の人が多いわけです。そうすると、移転が大幅に行なわれる、大量移転が行なわれるということを考えておかなければならぬわけです。十五念かからないうちに、つまり、償還が完了しないうちにこれが行なわれるということは考えておかなければならぬ。そのときにコストが営農等ともにらみ合わせてみて問題になるわけなんですが、一体移動のコストを押えていきますると、この負担金が問題になると思うのです。プラス・アルファか、負担金を中に沈めるかということによってどういう結果が生ずるかというと、最初から負担金を取るときに、いつ何どき取られるかわからぬようなたんぼに対しては、そんな負担金なんかよう納めませんという声が出てくるわけです。現に出ておるわけです。そこで、私は、そういう心配がないようにしたいがために今質問をしているわけです。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 先生のお話で移動の問題が出ましたが、これは、強制的にどうするという問題ではございませんで、農民の自由意思で行なわれるわけでございます。愛知用水公団がかかりますときも、これは、やはり、全国的に見ますと、有償で所有権が移転しているものというのは何千町とあります。ただ、先生のおっしゃいましたように、五年前よりは最近の方がそういう有償の土地の所有権の移転が漸増していることは、これは確かでございます。それで、いつ取られてしまうかわからぬような土地の負担金は払えぬというお話でございましたが、これは、先ほど申し上げましたように、自由意思で自分がほかに売るという場合は別でありまして、そのほかには、その土地が意思に反して取られるということは実はないわけでございます。それで、負担金が高いじゃないかというお話でございますが、実は、午前中、それから昨日の御質問でもあったのでございますが、これは、四万三千円というのは、当初の実施計画と同じでございまして、私どもとしましては、事業費はふえましたが、農民負担は極力国、県等で考えまして、第一回目の縦覧公告をいたしました実施計画の負担金の限度でこれをやっていきたいということで今考えているわけでございます。営農指導その他につきましては、極力、負担金が払えるように、経済効果の上がる営農指導を国、県でやって参りまして、世紀の大事業としてやったのでございますから、何かあとあとまで有終の美をなすように極力国、県、農民の方々と一緒になって努力いたしたいというふうに考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 きのうも同僚角屋委員が質問をしておられましたが、それではお尋ねしますけれども、今後、産業構造の変化に伴いまして、いろいろこの所有権の移転等が行なわれますると、それはアロケーションに大いに関係が生じてくると思いますが、現在の愛知用水公団に当てはめられているそのアロケーションの基本計画は、一体何によっていらっしゃるのですか。よりどころは何でございますか。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 これは、電源開発の政令が出ましたときに、あれでアロケーションの方法をやるということになっているのでございますが、これは、赤字になりました場合には、話し合いをしてやっていくということに実はなっております。妥当でないという場合には話し合いをしてやっていくということで、今度きめました最後のものは、おのおのが公平な負担をしようというようなことで、当初の実施計画のときのものを基準にいたしまして、おのおの話し合いをしてきめたような次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私の聞く範囲によりまするというと、今のアロケーションは電源開発促進法六条二項方式を採用している、ほかに今当てはめる適当なものがなかったからこれを採用したというお話でございますが、今後もし変更があった場合にはいかようになさるおつもりでございますか。やはりこの電源開発促進法のいわゆる六条二項を適用していかれる御予定でございますか。それによって私は質問を展開しなければならぬことになるのです。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 これは、基本計画を実はこの二月に変えたわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 もう変更したのですか。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 その四百二十三億になるときには、この二月に基本計画を変更をいたしまして、そのときには、関係の電気、水道、みんな相談いたしまして、話し合いをしてやったわけでございます。それは、第一回目の基本協定でやっておりましたものを大体中心にしまして、ものの考え方はそれを基準にしてやっていこうというようなことで話し合いできめましたので、将来また何かそういうものが大きく変わる、変える必要があるというようなことができました場合には、これは関係者寄りまして、電源も一つの大きな基準でありますが、そのままでずばりといけますかどうか問題がございますので、そのときには関係者の話し合い、農業、工業、上水道ということで話し合いできめていくのがよいのじゃないかというふうに思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それでは、せっかく通産省の方からも来ておっていただけておりますので、その点にちょっと触れて、御答弁のいかんによっては大平さんにもお答え願わなければならぬと思いますが、御承知の通り、愛知用水公団の規模は、毎秒三十トンずつ通水できるという構造になっているわけなんです。ところが、事実、需要は、通産省の方で御調査でございましょうが、工業用水も飲料用水も、これは日に日にその需要が増大しているわけなんです。特に、通産省の所得倍増計画によれば、少なくとも名古屋港の臨海工業地帯だけでもって六十万トン余の見込みのはずでございます。さて、その際に、それほど需要があるにもかかわりませず、兼山ダムの取入口から一体常に満水で水が取れるかと尋ねてみますると、そうではないという話です。あの兼山ダムに毎秒二百トン以上の水があった場合に初めて余った分だけ取とる、こういうことだそうでございます。  そこで、通産省にお尋ねしなければならぬことは、この兼山ダムの毎秒二百トンまではよそへ渡すことはできませんという権利ですね、これは一体通産省側にあるのか、長野県側にあるのか、あるいは関西配電側にあるのか、これはいかがでございましょうか。実はこれで大堀さんにも来てもらいたいと言ったんです。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 ただいま御指摘のございました兼山ダムにつきましては、関西電力が毎秒二百トンの発電用の水利権を持っております。その点を今御指摘になったのであろうと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それでは、お尋ねしますが、ほかに需要があって、あればこそ莫大な国家の費用を使って設備をした。ところが、取る場合には、二百トン以上流水があった場合はいいけれども、それ以下は一滴たりともいけない、これが関西配電の水利権である、こういうことですが、しからばお尋ねしなければならぬのは、一体兼山ダムにおいて二百トンの水を必要とするところの発電能力があそこにあるかないか。あるいはまた、何がゆえに二百トンあそこで確保しなければならないのか。木津、宮田の下の用水に対して取入口が上がるの何のということは、すでに愛知用水の皆さんの努力によって堰堤が築かれてああなった。上から取れることになったはずです。一体残る原因はどこにあるのです。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 兼山ダムにつきましては、関西電力が毎秒二百トンの水利権を持ち、それに相応するだけの発電能力、設備を持っております。今御指摘のように、他に愛知用水の方に毎秒三十トン以上に水がほしいところであるのに、なぜ関西電力で二百トンの発電力の水利権を、何といいますか、よけい取っておるじゃないかという意味を含めての御質問かと思いますが、水利権は、御承知のように、関西電力なり何なりが水利権として設定されますと、その後に水を取る場合には、あとの水の量について水利権が設定されるということに相なります。そういうことで、毎秒二百トンの水利権は、関西電力の前からの水利権ということで現在使っております。しかし、さらに毎秒三十トン程度まではここから取れるという計算上の想定のもとに、愛知用水公団の方にそのような水をここから分ける形でやっておるのが現状でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 兼山ダムの発電能力はどれだけですか。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 三万四千キロワットでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 三万四千キロワットを発電するのに毎秒二百トンの水が要るのでございますか。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 水力発電の設備としては見合っておる設備でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 これはおかしいですよ。これは、発電の機械がだいぶロスが多いとか、あるいは古いとかということならば話はわかるのです。佐久間ダムの発電能力とあそこを流れる水の量とはそういうふうになっていないはずです。数字の問題ですから、きょうは官房長を前に置いてのあれでして、数字の問題はいずれまたやります。

松尾金藏通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 水の量だけでなくして、落差が発電の能力に関係して参りますので、水の量だけでは発電能力はあれできないと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 その通りです。そんなことはわかっているのです。それでは、この問題は商工でまた特別に取り立ててやるとして、このように考えをめぐらし、計画をよくし、話し合いを進めていけば、愛知用水に必要とするところの水の量はなお増加をすることが可能な余地が残っていると私は思うのでございます。そこで、こういう問題について、今後おそらくやトラブルが起きることも考えられる。もしトラブルが起きないにしても、話し合いが行なわれなければ、その必要とする需要家の希望を満たすことはできないんじゃないかと思います。そういう場合に、官房長官、池田内閣としては、希望を申し上げておきますが、ぜひ一つ、一つの事業あるいは企業を満足させて他の多くのものを泣かせることのないように、もちろん水利権その他は当然尊重しなければならぬことでございまするし、既得権もこれは尊重してあげなければならぬことでございます。しかし、その企業努力によってなお余裕ができるものならば、当然これは国家有用のために利用してしかるべきである。それが、どうも、なわ張り根性であるとか、あるいはわが田に水を引くところの根性によって、わが方だけを円満に十二分に確保していこうという考え方には、遺憾ながら賛成できませんし、それは今後水の高度利用がますます必要になっている時期にとるべき態度ではないと思う。これについて官房長官の御意見を伺いたい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 経済の成長にとりまして水資源の活用ということが至上の課題になりますことは、加藤委員御指摘の通りでございます。一滴の水たりともむだのないように活用すべく、最善の努力、細心の注意を払うべきものだと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 官房長官に対する最後のお尋ねでございまするが、実は、地元側としては、愛知用水公団ができますることによって目ざましい画期的な発展ができまするので、非常に期待を寄せているわけでございますが、ただ、遺憾なことに、不安と申しましょうか、不満と申しましょうか、これは困ったという問題があり、それが声になって出ているわけでございます。そのうちの第一は、値段が高いということなんです。たとえて申し上げますると、先ほど申し上げましたように、農民の受益者の負担は反当たり四万三千円も払わなければならない。これは、どのように営農を研究し発達させてみても、とてもじゃないがペイするところまでいかないのではないか。従って、ぜがひでも、これはコストを引き下げてもらうか、ないしは延べ払い方式の延べ払いの年限を延長してもらうことはできないであろうかという意見が、先ほど参考人としての協力者の中から出されたわけです。また、飲料用水でございまするが、同じ木曾川の水を引いて、名古屋は十円でございます。末端は四十二、三円になります。これは昔と今とはコストが違いまするから無理からぬことでございますけれども、なお、同じ水を工業用水にすると四円でいける。それは通産省その他の補助金あるいは基本計画等々が違いますから、これは思いあきらめるとしても、同じ地区において、簡易水道、つまり厚生省の補助金その他によってここで水を供給いたしますると、一番安いのは十立米使って大体月五十円でございます。百円ずつ徴収いたしておるのが常滑市大野の実情でございまするが、ことは五十円は黒字になって残っておる。最高といえども簡易水道で二百円以上納めておるというところは実例を見ないのでございます。ところが、一立米四十二、三円の水は、平均使用料十立米といたしまして四百円と見積もらなければならない。このことは、同じ町村におきまして、片や簡易水道、片や愛知用水、これが一緒になって来るわけなんです。また、某々町村におきましては、企業会社が簡易水道をやっているところがございます。ここも最高十七円程度でございます。それが、同じ町内にいて、片方の水を飲むと四十円、片方の水を飲めば十七円、あっちの水は苦くてこっちの水は甘い、こういうことになる。そこで、町では今弱っちゃっている。これは一体どう処理したらいいかということなのでございまして、地方自治にまで影響を及ぼしているわけでございます。つまり、コスト高という点について、官房長官としては一体何らかのお考えがございまするか、あるいは何にもございませんか。なぜこんなことを聞かなければならぬかと申しますと、ここにも同僚丹羽先生が同じ区から出ていらっしゃるのでございますけれども、丹羽先生ではございませんが、他の某々議員さんなんかは、それはもうおれにまかしておけということをおっしゃる方もあるわけなんです。そこで、その人にまかしたからといったって別にできるものじゃない。この際内閣の御協力を得ぬことにはとてもできない問題じゃないかと私は思う。先ほど参考人から出ました地元の声を陳情のような形でお願いするわけでございまするが、一つ御所見を承りたいと思います。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 あの地域に愛知用水事業という世紀の事業が行なわれたわけでございまして、これには巨大な国家資本も参加しましていたされたわけでございまして、従いまして、総体として関係者が受益されていると私どもは考えます。あの事業がなかったならば受けるであろう不利不便というものを解消するに非常に役立っているのではないかと私は思います。しかし、今御指摘の点は、克明に計算いたしますと個々の用途におきましてあるいは合点のいかない面があるという御指摘でございまするが、これは、これからの経済情勢がどのように展開いたしまするか、また、その受益者の経済力がどのように伸びて参りますかということとも関連がありましょうけれども、地方自治体といたしましても、国といたしましても、せっかく仕上げたこういう仕事でございますので、愛知用水の機能が十全に果たされて関係者のため大いに受益になるように行政技術的にも十分配慮を加えて所期の目的を達していくというふうにすべきものであると思うわけでございます。御指摘の個個の具体的な問題についての処理につきまして、今どうしたらいいかという点につきまして、私は具体的な分別を持っておりませんけれども、方向といたしましてはそのようにすべきものじゃないかと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 愛知用水の事業は今まさに終わろうとしておる。通水が行なわれようとしております。ところが、ここにまだ終わっていない問題が二、三あるわけなんです。その最たるものが、先ほど丹羽同僚議員からもお尋ねのございました危険防止の点でございます。すなわち、暗渠水路のところはよろしゅうございまするけれども、普通のところはオープンになっているわけでございます。ここへ毎秒三十トンからの水が流れるということになると、その流速は、かりに横断面が三平方メートルあったとしても、なお十メートルの速力が生じてくるわけなんです。ところで、そのオープン水路ですけれども、その水口の両わきに道路ができているわけですが、このワクが何もない。地元の人たちの子供で、そこへ遊びに行っておっこちた子供がもうすでにたくさんあるわけなんです。なかなか登り切れない。まして、いわんや、流速の早い水が流れていたということになりますと、大へんなんです。そこで、先ほど公団側に尋ねてみますと、途中に二百メートルおきに何かつかまるものを作っておきました、サイフォン、すなわち暗渠水路のところへ行く手前のところには網が張ってあります、こういうことでありますが、幼児がおっこって二百メートル流されていったら死んでしまう。そこへ落ちたときの危険防止はなるほど考えられてあるようでございますが、しかし、危険防止ということは、おっこってからの話ではなく、落ちないように手当をするのがほんとうの危険防止でなければならぬ。特に、人家密集地帯においては、細いみぞでも当然何かある。木津、宮田の用水といえども、ササあるいはシバ、ときには桜を植えて、ふちにつかまれるようになっている。ところが、今度の場合にはそれが行なわれていない。これで終わりだというお話です。そこで、先ほど聞いてみますると、公団側は、何とかこれは危険防止策を講じなければならぬ、こう言っておる。せめて木のさくでもいいから、こういうことでございまするが、農林省側へ行きますると、さような予算はもうだんだんなくなっておりまして、こういう話なんです。一体池田内閣としてはこれはどうしたらよろしゅうございますか。官房長官にお願いいたします。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど加藤委員からも御指摘がありましたように、愛知用水公団としてどういう施設をやるかということは、当然農民の負担にも関係がございまするし、国の財政に影響があるということももとよりでございまして、今御指摘がございましたようなさくの造成というようなことがどの程度のものか、どの程度金のかかるものか、その負担がどういう状況になるのか、そういった点よく検討させていただきまして、農林省にも御研究願うようにしたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 御研究だけでなくて、ぜひこの危険防止策は実行に移していただきたい。実施していただきたい。そのために予算が必要であるとするならば、これはしてもらいたい。もしそれをせずに、危険が発生した、子供がおっこちた、それで死亡するのが次々と現われてきたということになりますと、これは、遺憾ながら、一騒動持ち上がって、水をとめてもらいたいという問題が起きかねまいと思うわけでございます。ぜひ一つ、この際政府としては、農林省に予算がなければ、あるいは追加予算なり補正予算なりも組まれるやさきでございますから、ちょうど今予算委員会が行なわれておるやさきでございますから、今からでも決しておそくはないのですから、ぜひ一つお考え願いたい。それから、通水のとたんにそれがなければならぬという問題ではございません。徐々に行なっていったって、これは決して悪いことじゃないのですから、これは一つ研究とかどうとかでなしにぜひ実行に移していただきたい。ほんとうに今日の政府にして危険を防止するという意図があるならばしてもらいたい。また、私は、公害とか被害を生じた場合にはその被害者に対して災害補償までしなければならぬというこの通産関係法の精神からいきましても、これは当然のことながらついて回る影の形に添うものである、かように思うのでございますが、官房長官、いかがでありますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 とくと考慮してみましょう。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 実は、通産側に対して、工業用水の需要の見通しから、あるいはこの愛知用水に関して一体将来どのような希望を持っておられるか等々のことについていろいろ承りたいのでございますが、あまり私の長談義で同僚議員に迷惑をかけてもいけませんし、官房長官もお急ぎのようでございますから、私は、この質問はこの程度にとどめて、麦との質問はまた別の委員会に留保する、こういうことにしたいと思います。  最後に、ぜひお願いしたいことは、せっかくのこの世紀の大事業が九仭の功を一簣に欠かないように、ぜひ一つ、地元から、これはありがたい、それで愛知用水神社をという声が起こるべく、有終の美を発揮していただきたい、かようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

田口長治郎自由民主党

○田口(長)委員長代理 丹羽兵助君。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 ただいま同僚の加藤議員からいろいろお尋ねがございまして、この質問をお受けになり御答弁をなさった官房長官初め政府の皆様方は、立場上親切に御答弁していただけたと思いますし、また、加藤さんの質問自体が、地元でございますから、よく事情はわかっておるので、微に入り細にわたって、特に地元としての要望の向きを訴えられたものと私も考えるわけであります。  そこで、私は、官房長官に一言だけ申し上げておきたいのは、ただいま申し上げたように、質問をいたしますと、これだけ愛知県に大きな金を国が投資をして、もちろん地元の負担も幾らかございますけれども、国としては十分な理解をして投資をし、それからまた、同僚の農林水産委員の皆様方も深い理解を持って、昭和三十年の七月にこの法案を御通過いただいて、それからというのは、工事は非常に順序よく進んでおりまして、今日、この水が受けられる知多半島というものは、非常に変わって参りました。もちろん、欲を言えばどんな欲でも責えるわけで、四万円が高いだとか安いだとか、あるいは水道料金が云々だと言えばそれは切りがございませんけれども、今まで水が全然なかったところにこの水がちょうだいできるようになって、農民の喜びは、特に知多半島の先なんかの師崎近所に参りますと、年をとったおばあさんが、御岳さんの水が飲めるのだ、木曾の御岳さんの水が来るのだということで、素朴なそういう方々は、どなたがお骨折りいただいたのか、どなたがこの案を立てていただいたかよく承知しておりませんが、この水が飲めるということをもって非常な喜びとしておるのであります。だから、今加藤さんの言われましたように、局部的に、高いとか安いとか、それは、農民から言えば、安くしていただけばこんなありがたいことはない、幾らでも安くしてほしいのですけれども、それが今日の農民の割って割ってしんから出る腹の底の言葉ではなくて、一面、土地が非常に開けて、工場が来て地価が大へん上がって、これも愛知用水のおかげだというのでみんな喜んでいるのです。だから、この点について、もっと大局的に考えるならば、四万円、五万円でもやむを得ませんが、どうか一つ、四万円、五万円が払えるような営農指導をしていただくことが必要だ、こう思うのです。高い安いよりも、感謝の気持の表わせるような営農指導をやっていただくように力を入れていただきたい、こう思います。  それと同時に、もう一つ私の申し上げておきたいのは、今申し上げたように、きのうも申し上げたけれども、この水が木曾川から疏水されて非常な恩恵を受けた。このために非常な発展をした。一人として文句を言っている人はないと言い得るくらいに地元は感謝しております。その上、特定土地改良区の関係で予算がつかぬからというので、いろいろなことを御研究いただいた上に、愛知県では豊川用水がこの公団法の改正によってやっていただける。それでまた豊川流域というものは愛知用水が受けた以上の非常なしあわせをちょうだいできることになるのですから、私どもはほんとうに喜んでおりますけれども、この喜びをひとり愛知県だけがちょうだいせずに、全国の特定土地改良区では予算がつかぬで困っているところがたくさんあって、こういう工合に愛知用水のような切りかえのできる、豊川水域のようなありがたいところばかりではないのですから、全国の特定土地改良事業をなさっていらっしゃる方面にも、これと同じような方法でなくても、こんなような方法で全国の農民が助かるような、もうかるような方法をやはり所得倍増でどうか一つ官房長官は考えていただきたい、こう思うのです。私どもは、きのうあたりから文句ばかり言っておりまして、愛知県の連中は、こんな大きな金を政府が投じて現実こんな大きな恩恵を与えてやっているのに何文句を言うのだというふうにさぞかし腹の中で思っていらっしゃるのじゃないかと思いますが、それは局部的なことを私はお願いしておるだけなんでございます。県民はあげて感謝しております。どうか一つ、予算がつかないからなんて言っておられる全国の特定土地改良区にも、こういうような方法が講じられなかったならば、予算を官房長官は御努力願って、私どもと同じようなしあわせが得られるように御配慮を願いたいと思いますが、その点努力していただけばけっこうですから、努力願うように一つお願いして、感謝の言葉にかえます。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 今丹羽委員から大へん真情のこもった激励のお言葉をちょうだいしまして、感激しております。私どもは、御指摘のように、愛知県だけではなく、全国の地域にわたりましてこのようなことが大規模に展開されまして、より高い所得効率を持った職場が無限にできますように、渾身の努力を払いたいと存じております。

田口長治郎自由民主党

○田口(長)委員長代理 本日の連合審査会はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会

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